○
参考人(
蔵原千秋君) 日本銀行の総務部長の
蔵原でございます。よろしくお願いいたします。
第一のマネーサプライの点でございますが、マネーサプライにつきましては、私
ども定期性預金も加えましたM2というものでもって通常見ておるわけでございますが、このM2の推移を見てまいりますと、
昭和四十九年の九月でございますが、ボトムで、一〇・六を打ちまして、それから次第に
増加に転じてきております。ことしの三月の時点で一五・七というところまで高まってまいっております。しかしその後四月に一五・二、それから五月に一五・五というふうにやや落ちついた動きを示しておりまして、私
どもこの
水準につきましては、現在の
景気回復の
状況とにらみ合わせまして、いまだこれは行き過ぎではない、
インフレ的ではないというふうに実は判断をいたしております。もちろんそのマネーサプライの動きにつきましては、私
ども常時注意いたしておりまして、いやしくもこれが行き過ぎまして、それが物価の面に悪い
影響を及ぼすというふうなことのありませんように注意を払ってきております。特に国債とか、あるいは地方債、そういった公共債の
発行を通じますところのマネーサプライの供給要因が増大しておるのが
現状でございまして、そういう
観点からいたしまして、私
どもといたしましては、全体としてのマネーサプライが行き過ぎることのないよう、特に
金融面につきましては、
現状において
金融機関の貸し出しが行き過ぎることのないよう常時注意をしておるというのが
現状でございます。
それから、第二点の地方の
縁故債の
担保適格の問題でございます。先ほどの
戸塚先生の
報告の中で述べられましたこととあるいは重複するかもしれませんが、私
どもの考え方を述べさせていただきたいと思います。もともと日本銀行の
担保適格と申しますのは、日本銀行券の裏づけとなりますところの日本銀行信用、この日本銀行信用の健全性と申しますか、確実性を保証するものでございまして、そういう
観点から申しまして、私
どもといたしましては信用力にすぐれますとともに、市場性の高いというものでなければならない、そういうものが日本銀行の
担保適格としての基本的要件ではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう
観点から申しますと、現在私
ども地方債につきましては、公募地方債の中から
適格債を選定いたす扱いにいたしておりますわけでございますけれ
ども、公募地方債につきましては、御案内のとおり一般の
発行市場におきまして国債、政保債に次ぐ優良な
条件でもって、しかも不特定多数のものを相手に
発行されております。しかも、
流通市場におきましても上場相場あるいは気配相場というものが立っておりまして、いわば客観的に形成された相場を一般のものが了知し得るというふうな
状況になっておるわけでございます。そういう
観点から申しまして、公募地方債につきましては、私
ども先ほど申し上げましたような
担保適格としての要件を備えているんではないかというふうに判断しているわけでございます。これに対しまして
縁故債でございますが、これは債券の形式をとるものが多いようではございますけれ
ども、やはりその
発行というものは個々の
金融機関との相対的な
交渉でもって行われておるのが
実情でございまして、実態といたしましては、やはり融資の変形に近いんではないかという感じがいたしております。したがいまして、
発行条件にしろ、あるいは
発行方法にしろ、ばらばらでございまして、しかも流通を前提として
発行されたものではございませんために、たとえば売買に際しましても償還方法その他の面でいろいろ不便な点が生じておるというのが
実情でございます。そういう点から見まして私
ども現時点におきまして、縁故地方債を
担保適格にいたしますにつきましては、やはり先ほど申し上げましたような要件に欠けるところがあるんではないかというふうに考えておるわけでございます。私
どもかねてから縁故地方債が
公募債に切り変わることによって、日本銀行の
担保適格になるということを
期待しておるわけでございまして、そういうことで
関係者の
方々にも御努力をお願いしておるのが
現状でございます。
なお一言つけ加えさしていただけますれば、現在地方銀行その他の
担保部分と申しますか、
担保の保有
状況から見まして、この縁故地方債を
担保適格にいたしませんと、地方銀行などの
担保部分に支障を生ずるというふうな
状況にはございませんということを申し添えさせていただきたいと思います。
発行者の側の立場からのあれと、それから私
どもの方の立場からの見方でやや食い違いが生じたかもしれません。その点はなはだ恐縮でございますが、私
どもの方の立場を述べさしていただきまして、答弁とさせていただきます。