運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-05-18 第77回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十八日(火曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     鈴木  力君  五月十四日     辞任         補欠選任      向井 長年君     藤井 恒男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 竹田 現照君                 加藤  進君     委 員                 小笠 公韶君                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 林田悠紀夫君                 矢野  登君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 鈴木  力君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 桑名 義治君                 藤井 恒男君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        通商産業政務次        官        黒住 忠行君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大永 勇作君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        大蔵省銀行局特        別金融課長    岡崎  洋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債  発行限度に関する特例法案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、向井長年君が委員辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。
  3. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。     —————————————
  4. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  一般電気事業におきましては、需要増加に対応する発電所建設送電線網整備公害防止投資などに要する設備資金が急増するものと見込まれており、今後十年間で総額四十八兆円に達するものと予測されております。また一般ガス事業につきましても、液化天然ガス導入関連する設備及び年々増加する需要に対応するための設備資金が急速に増大し、今後十年間で四兆七千億円に上るものと見込まれております。  これらの設備資金調達面を見ますと、減価償却費等内部資金は、石油危機設備資金調達に占める比率が低下し、企業の努力を前提にしても、今後これを大幅に引き上げることは困難な状況にあります。また、増資借入金財政資金も、市場における制約財政事情などから調達可能な資金量伸びには限度があり、社債には法定発行限度枠制約が存在しております。したがいまして、現状のまま推移すれば、電力ガスとも設備資金不足のため所要設備投資が非常にむずかしくなり、その安定供給に支障が生ずることが憂慮されるのであります。  今回の特例法案は、一般電気事業及び一般ガス事業につきまして、このような設備資金調達上の益路を解決し、所要設備投資を可能ならしめるため、長期、安定的な資金源である社債法定発行限度枠拡大しようとするものであります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  一般電気事業会社社債発行限度枠は、現在、電気事業法により資本金の額に準備金の額を加えたものまたは純資産額のいずれか少ない方の二倍に制限されております。また一般ガス事業会社は、商法適用を受けまして、同じく一倍に制限されております。この限度枠をそれぞれ現行の二倍に拡大することが、第一点であります。  第二に、この法律による特例枠を使って社債発行しようとする会社は、毎年度、その必要性等について通商産業大臣確認を受けなければならないこととしております。  なお、一般電気事業及び一般ガス事業における設備資金需要は、初めに申し上げましたように、ここ十年間急速に増大いたしますので、この法律は、六十年度末までの十年間の限時法とするとともに、限時法としたことに伴いまして所要経過措置を設けております。  この法律適用を受けます会社の中には、五十一年度上期にも社債発行限度枠不足を来すものがありますことを考えますと、この法律案は、電力及びガスの中・長期的な設備投資確保に資するものであるとともに、五十一年度における電力及びガス設備投資、ひいてはわが国経済景気対策にも関連を有するものであると考えております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  5. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。増田資源エネルギー庁長官
  6. 増田実

    政府委員増田実君) 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。  わが国電力需要は六十年度に八千百五十億キロワット時に達するものと見込まれ、これを賄うための設備としては、需要構造変化等による所要設備規模の逓増もあって、六十年度末には、四十八年度末の二・三倍に相当する一億九千百二十万キロワットの規模が必要とされることとなります。この設備建設するための資金の面を見ますと、電源構成変化公害防止安全投資増大、立地の遠隔化に伴う送電部門投資増大などの増加要因も加わって、六十年度までには総額四十八兆円が必要となると見込まれております。同じく都市ガスについて見ますと、六十年度において二百億立方メートルに達する需要に対応する製造・輸送能力確保するために、液化天然ガス導入関連する受け入れ基地建設及び輸送幹線網整備に要する資金並びに年々増加する需要に見合った導管網等整備に必要な資金増大し、六十年度までに四兆七千億円に上るものと見込まれております。  これらの設備資金を賄うための資金調達可能性については、社債以外の資金源からの調達努力を払っても、電気の場合、六十年度までの合計内部資金が十七兆円程度増資が二兆五千億円、借入金財政資金は十四兆円程度にとどまり、どうしても社債に十四兆円程度を依存せざるを得ないと見込まれております。ガスにつきましても、同様の状況から社債に六千億円以上を依存する必要があります。  しかしながら、現在社債については、一般電気事業については電気事業法により資本金の額に準備金の額を加えたものまたは純資産額のいずれか少ない方の二倍、一般ガス事業については商法により同じく一倍という限度枠が設けられております。この法律案では、電力ガス安定供給を図るため、その所要設備投資確保することを目的として、この限度枠をそれぞれ現行の二倍に引き上げることとしております。  次に、この法律案要旨を補足して御説明申し上げます。  まず第一に、この法律案趣旨を定める規定において、この法律案電気及びガス安定供給確保重要性にかんがみ、今後当分の間の設備資金需要増加に対処するため、社債発行限度特例を定めるものであることをうたっております。  第二に、本法律案の中心をなす規定として、一般電気事業会社または一般ガス事業会社が、それぞれ電気事業法または商法限度枠を超えて、現行枠の二倍まで社債を募集できる旨を定めております。  第三に、通商産業大臣の行う確認制度に関する規定を設け、この法律規定により社債を募集しようとする会社は、毎年度その募集総額が、電気またはガス安定供給確保のため必要な限度を超えるものでないこと、及びその会社の財産の状況及び償還能力に照らして過大でないことの二点について確認を受けなければならないこととしております。  次に、本法律案の附則においては、この法律が、電力ガス資金需要見通しを踏まえた十年間の限度法であることを規定するとともに、十年経過時に、この法律に基づく発行により電気事業法商法の本来の枠を超えることとなった社債の額については、これをさらに十年間は社債総額に算入しない旨の経過措置を設けております。  なお、電気につきましては、五十一年度に九社合計で一兆円の社債発行が、また、ガスについても同じく六百八十億円の社債発行が必要とされておりますが、仮に現状のまま推移いたしますならば、五十一年度上期にも社債発行限度枠不足を来す会社が出てまいる情勢にあります。  以上、この法律案につきまして提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げました。  なにとぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 竹田現照

    竹田現照君 いま提案説明がございましたように、この法律は、この十年間に四十七兆六千億の設備投資をするために資金調達が困難になる、したがって、社債の枠をふやすことによってその活路を求めようと、そういう趣旨法律でありますが、それに関連してちょっと先にまずお伺いしておきますが、電気事業審議会の「電気事業資金問題に関する意見書」の前書きの末尾に、「財政資金拡充を含めた多元的な資金調達等可能な対策を多角的に準備し、すべての分野であらゆる努力を行うという姿勢が肝要である。」と、そういうふうに結んでおりますが、この「財政資金拡充」という面でどういう措置をとられようとするのか、この点がどうもはっきりしておりませんので、その点まず最初にお伺いしておきたいと思います。
  9. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 財政資金につきましては、現在開発銀行から年間約一千億程度融資をいたしておりますが、その主たる内容といたしましては、一つ原子力発電関係でございまして、従来は原子力発電機器国産部分につきまして融資をしておったわけでございますが、国産機器の中でもボイラーとかその他につきましては除外をしておりましたけれども、今年度からはそういったものを対象にするということになりまして、若干対象範囲拡大をいたしております。  それからもう一つの大きな柱は、公害防止施設でございまして、火力発電所におきます高煙突あるいはLNG火力等々に対しまして公害防止施設としての融資を行っておるわけでございますけれども、今後ともこういったものの必要性にかんがみまして融資枠の拡大、あるいは融資条件緩和等につきまして努力をいたしてまいりたい、こういうことでございます。
  10. 竹田現照

    竹田現照君 大蔵省にまず最初にお伺いしておきますが、いま電力ガスへの融資の額が、資料をけさもらいましたけれども融資残ですね、いまどれぐらいあるんですか。融資額として出されていますが、いま融資残電力ガス、別々に。
  11. 岡崎洋

    説明員岡崎洋君) 先生の方に御提出いたしました数字はフローの融資額でございます。たまたま残高につきましては、手控えといたしまして、電力だけ手持ちで持ってまいりましたので、とりあえずそれだけお話しいたしまして、後刻ガスにつきましては、わかりますれば御連絡するということにさしていただきたいと思いますが、電力につきましては、四十九年度末で残高が四千八百八十九億円ということでございます。
  12. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、約五千億、これにいま大永さんお答えになった今年度の一、千億増というのは、これに上積みする財政措置だというふうに理解してよろしいですか。
  13. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 返済分もございますが、そういうことでございます。
  14. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ、これに関連しては後ほどまたお伺いします。  まあ相当景気回復その他の関連もございまして、過大な設備投資によって景気を回復させる、経済成長機動力とさせたいそういうことでこの財政の問題を含めて社債の増発、こういうようなことが内部資金問題等も含めまして現にいま問題となっておりますが、これから十年を見通して、資金不足というような点から電気料金の大幅な値上げというものが、いまエネ調でいろいろとやられておるのは、まあ二年ということで算定をはじいているようですが、そういうようなものが今後何回か行われることが予想をされますけれども、その点についてはどんなものですか。
  15. 増田実

    政府委員増田実君) 今後の電力需要というものを年率で六・三%、昭和四十九年度を起点といたしまして、昭和六十年度まで六・三%ふえる、こういう想定をいたしております。これが今後の設備投資所要資金算定基礎になっておるわけでございますが、この需要伸びが高過ぎるんじゃないかという御意見もいろいろございますが、従来電力需要伸びというものは、大体昭和四十八年のいわゆる石油危機以前は一二ないし二%という伸びであったわけでございます。今後の十年間、いわゆる経済安定成長時代ということでございますし、また、電力消費につきましては、省エネルギーということで相当な節約あるいは使用の合理化を行うということを勘案いたすわけでございますが、しかし、それらがありましても、今後の需要伸び年率大体六・三%、従来の約半分というものは、これはどうしても需要伸びざるを得ないし、それに対する供給というものを確保しなければならない、こういうことで非常に多額になりますが、四十七兆六千億という十年間の設備投資というものはこれによって算定されておるわけでございます。  ただいま先生からお尋ねのございました電力料金との関係でございますが、電力料金につきましては、これは原価主義ということで、必要な原価というものを総括原価で計算いたしまして、それを電気料金に割り振るわけでございます。この原価の中で設備投資というものが非常に大きくて、それによるはねっ返りで電力料金が今後値上げせざるを得ないんじゃないかという点が問題点だと思いますが、私どもといたしましては、できるだけ電力料金というのは上げない、できるだけ引き上げないという基本的姿勢でございますが、ただ、これにつきましては、先ほど申しあげましたように、電力料金原価というものを算定いたしまして、原価に見合う電力料金をはじくわけでございます。また、これは原価を外して電力料金というものが決まりますと、安定供給というものができなくなるという点がございますので、そういう意味でこれらの設備投資はね返りによります料金の押し上げという問題がございますが、できるだけ電力会社に対しまして合理化あるいは技術の向上というものに努めさして、料金の引き上げというものを最小限度にとどめるように行っていくという方針でございます。
  16. 竹田現照

    竹田現照君 長官は、いまそのようにお答えになりましたが、電力業界は五十一年度政府景気対策の要請を受けて約八千億円の設備投資の繰り上げ仮発注ということを行うということになっていますが、これは景気対策上どうしてもそういうことが必要なのか。電力業界にそういう仮発注までさせて設備投資をさせることによって、いまのお答え関連をいたしますが、そのコストが消費者負担となって、ごく短時間の間に、繰り上げですから、はね返るというようなことが考えられないのかどうか、この点ひとつ。
  17. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 景気対策関連しての御質問でございますから、私から要点を申し上げたいと思いますが、先ほど来御説明をいたしました十年間四十八兆円という電気事業に対する投資は、前半の五カ年が約十六兆円でございます。後半の五カ年が約三十二兆円、こういう割り振りになっておりまして、前半一年に平均いたしますと三兆二千億、こういう平均になっております。昭和五十一年度工事ペースは約二兆四千億でございますが、いま御指摘のございましたように、後年度の分から約八千億円の仮発注をいたすことに決定をいたしております。   〔委員長退席理事楠正俊君着席〕 仮発注は受注の内示をするということでございまして、資金がそちらの方へ流れるということよりも、仕事の量をあらかじめ、どこそこにはこれだけの仕事がいきますよ、そういうつもりをしておいてくださいという趣旨でございまして、発注する方は金は出さなくとも、内示を受ける方はそれによって大体その仕事の見当がつきますので、仕事準備にもかかれる、将来の生産計画も立つ、こういうことで景気対策上非常にプラスになる、こういうことでございます。でありますから、この仮発注そのもの料金上影響が出てくるということはございません。
  18. 竹田現照

    竹田現照君 長官、そういうようなことで、消費者負担にはね返ってこないかということも、次の質問関連してでも一緒でお答えいただきたいと思うのです。  五十一年度設備計画投資計画によると、九電力だけで工事ベースで約二兆二千億ですね、二兆一千三百九十三億。これはもう五十年度実績見込みに比べても四五・二%の増です。今年度電力投資の際立った特徴が、いま私が質問しました五十二年度設備投資の繰り上げによる八千億の仮発注、これが特徴ですが、政府経済見通し民間設備投資が二十二兆二千五百億円ということになると、この九電力だけで仮発注の分を含めても約一〇%弱を占めておる。これは六〇年代の高度成長期でもこういう膨大な投資というものはなかったように思うのですが、これはちょっと私の調べが間違いであれば訂正してもらいたいのですが、四十五年度以降の対前年比の伸びというのは、四十六年度が二八%の最高、四十七年度が八%、四十八年度が二一%、四十九年度が九・九%、五十年度が三・八%、そういうことになると、対前年比四五%増というのは、これは大変なもんですけれども、この景気回復のてことして電力事業にこうまで大きな伸びを期待をしなければならないのかどうか、これはちょっと冒険過ざるのじゃないかというような気もします。ですからそういう点も含めて、伸びが余りにも大きいだけに、一般消費者へのはね返り等というものがやっぱり私は懸念されるのです。この点あわせてお伺いしたい。
  19. 増田実

    政府委員増田実君) 九電力設備投資の毎年度の推移につきましては、ただいま竹田先生がお挙げになりましたとおりでございます。ただ、五十年度三・八%とおっしゃられましたのは、これは五・八%でございます。あとは私どもの方の数字と合っております。  そこで、いまお尋ねのございました五十一年度について四五・二%という数字が、非常にここが際立って大きい。それで、ここで大幅な設備投資というものをやり、それが最終的には料金負担になるんではないかということでございますが、いま先生のお挙げになりました対前年度伸び率をごらんいただきましても、四十六年度先ほど先生がおっしゃいました二八、それから次が一七、一五と、こういうことになっておりますが、四十九年、五十年は需要の減というものが現実にありましたし、また、いろんな資金事情の問題がありまして一〇%以下になっている。この二年間が非常に設備投資が低いということによりまして、五十一年度設備投資のおくれを若干取り戻さざるを得ない。それで、これらの設備投資が非常に過大かどうかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、需要伸びを大体従来の半分ということを見まして、それにどうしても必要な設備投資ということではじきましたのが、先ほど先生からもお挙げになりました二兆一千四百億円の数字でございます。これの完成時期その他、これは従来に比べましては各種の設備のいわゆる懐妊期間、つまり当初の設備投資建設工事をしましてから実際の発電に至るまでの期間が相当にかかるようになっております。そういうことから伸び率として上がっておりますが、これを四十九年、五十年、五十一年ならして考えればそれほどの大きな差になっておりません。  それから、先ほど大臣から御答弁申し上げました繰り返しになりますが、これに加えてさらに八千億円の仮発注、仮需給というものを行うことになっておりますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、資金的にはこれは支出にははね返りませんで、ただ、発注を受けます会社が、従来電力会社はぎりぎりのときまで発注しないという点がありまして、そういうことで手順その他を整えさせるためにできるだけ早く発注予約をする、これによりましてさらに下請その他も今後の生産見通しができるということで、景気対策の一環といたしまして仮発注、仮予約電力会社にやらすことにしたわけでございますが、これは直ちに料金に響く内容ではございませんで、先ほど申し上げましたように、むしろ手順を整えさし、また、先々の下請業者その他にも明るい見通しを与える、こういうことで電力会社に対して指示をし方次第でございます。
  20. 竹田現照

    竹田現照君 ずっとこれからの成長率を六%と、これも世界で一番大きいんですね、その見込みとしては。それにしてもいまの不況下でこういう膨大な設備投資を、過剰設備を発生させるということは、これから何年か先に供給過剰というか供給予備率、こういうものができて、それが電力会社資本費の急増となるという心配はないのか。それから、当面の景気対策ということで、何といっても電気事業国民生活中枢ですから、国民経済中枢ですから、そういう中枢であるべき電気産業設備投資を行わせるということは、当面はそれでいいのかもしれませんけれども、画来に禍根を残す結果にならないのか、この点二つを。
  21. 増田実

    政府委員増田実君) 先ほども御答弁申し上げましたように、今後の需要想定というものを電力につきましては年率六・三%というふうに考えて、これを基礎にしまして今後の設備投資計画を立てておるわけでございますが、さらに今後の設備につきましては、いわゆる負荷率の低下、その他の点を考慮いたさなければなりませんので、実際の設備伸びといたしましては、能力伸びといたしましては七%弱というものを見込んでおるわけでございまして、これらの設備につきましては、いわゆる予備率というものを計算して出しておりますが、六十年度におきましては九・八%という数字を出しております。この予備率につきましては大体一〇%内外というものがどうしても必要だという計算が出ておりますので、九・八%という予備率はむしろ過大なものではなくて適正なもの、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、設備につきましては、これは両面あるわけでございまして、ただいま先生が御指摘になりましたように、設備投資が過大であるということは、これは料金にもはね返りますし、またむだな投資になるということになります。しかし、今度は逆にその設備投資が過小ということになりますと、電力はほかの品物と違いまして貯蔵もできません。また、足りないからといって外国から緊急輸入するという性格のものではございません。また、電力供給不足いたしますときには、これはいろんな問題が起こるわけでございます。かつて日本では、いわゆる保安電力というもので特別の線を引きまして、一般に停電が行われても、そういうどうしてもとだえることのできないという部面に対しては電力供給ができておったわけでございますが、現在そういう制度にはなっておりません。自家発電で切り抜けるという形になっておるわけでございます。これが電力需要が急激に増加いたしますと、これはかつてニューヨーク市で大停電が行われましたように、変電所の能力に過剰負担がかかりますと、一斉に電気が消えてしまうというような状況にもなります。そういうことから言いまして、やはり予備率といたしましては一〇%前後確保し、また今後の需要に対しましてはそれに見合う設備投資をしなければならない、これが私どもの方が設備投資としてどうしても十年間に四十七兆六千億というものが必要であり、これによって電力安定供給確保をしなければならないということを申し上げている次第でございまして、先ほどの御質問にありました設備投資が非常に過大であるということは、これは私どもは考えておりません。もちろん、今後の需要の動き方によって徴調整というものは行われると思いますが、現在考えられます限りでは、電力というものを確保しなければならないこの設備投資をどうしても達成しなければならないということで、社債につきましても特例の取り扱いをお願いしている次第でございます。
  22. 竹田現照

    竹田現照君 そこで、昭和四十六年度末までに、この意見書によっても一億九千百二十万キロワットの発電設備を持つということになるわけですが、これは現在の発電設備が——たら訂正してください−九千二百五十万キロワット、それから現在建設中が三千九百八十三万キロワット、そうすると大体一億三千二百三十三万キロワットになると、差し引き約六千万キロワットが今後新たに電調審の認可を受けて新規着工する分、そういうことになりますが、それは間違いございませんか。五十一年度の新規着工予定分は千二百四十七万キロワットだと聞いていますが、これも合わせますと約六千万キロワットですね。これは間違いございませんか。
  23. 増田実

    政府委員増田実君) ただいまの数字で間違いございません。
  24. 竹田現照

    竹田現照君 これをいままで電調審の認可から営業運転開始まで事実問題として約七年間かかっていると言われていますが、その計算でまいりますと、いま私がお尋ねした約六千万キロワットの新たなる電誤審の認可というものは、少なくとも五十三年度中に受けなければならぬ、六十年度末のこの目標を達成するとすればですね。そういうことになりますと、いままでのぺースから考えてそういうスピード建設というものは事実問題として可能ですか。
  25. 増田実

    政府委員増田実君) 今後電調審に約六千万キロワットの新しい発電所の承認を受けなければならないということでございますが、これにつきまして、ただいま先生からおっしゃられましたこの電調審にかけまして、それから完成まで七年要しますが、これは原子力発電は六年ないし七年かかりますが、火力につきましてはいままでの実績から言いますと三、四年でできるわけでございますから、これは全部の分につきまして七年前に電調審にかけなければならないというわけではございませんで、原子力発電につきましては相当早目にかける必要がある、こういうことでございます。
  26. 竹田現照

    竹田現照君 いや、いまお答えになった原子力発電関係もありますからまず先にお尋ねしといたんですがね。この意見書によりましても、一億九千百二十万キロワットの見込みのうち、石油火力が三二・六%、LNG火力が一四・一%、原子力発電が二五・六%ということになっていますね、この意見書では。そこで、原子力発電のウエートがかなり高いわけです。しかし、いま全国各地の状況を見ましても、原子力発電の立地の現状その他から推して、この比率というものから考えて、一億九千万キロワットという六十年度末の目標とする一つ設備投資というようなものは、現実に果たして沿っているのかどうかという私は心配があるわけです。懸念があるわけです。そういう点も考えますがゆえに先ほどの質問をしたんです。いかがですか。
  27. 増田実

    政府委員増田実君) ただいま先生からお話ございましたように、昭和六十年度におきます総電力設備能力といたしましては一億九千百二十万キロワット、その中で原子力が四千九百万キロワットということでございますので、電源構成といたしましては原子力を約二五・六%というふうに考えています。この原子力の四千九百万キロワットの達成につきまして問題があるんではないかということでございます。これにつきましては、私どもも四千九百万キロワットを達成いたしますためには、今後官民挙げての相当な努力が要ると思います。またこの原子力発電所につきまして、これが日本のエネルギー確保のためにどうしても必要であるということを国民一般の方々がやはり理解され協力されなければ、四千九百万キロワットの達成は非常に困難だということは、私はそのとおりだと思っております。  現在、原子力発電所は十二基、六百六十万キロワットが動いております。それからすでに電調審で通りました分を加えますと、現在稼動中のもの及び建設に取りかかっているもの、また、建設に直ちに取りかかり得るもの、その他を合計いたしますと二千百万キロワットでございまして、これは電調審が済んでおる、あるいは現在もうすでに稼動しておるという分でございます。そうなりますと、その差額の二千八百万キロワットというものにつきまして、先ほど先生から御指摘になりましたように非常に長期の期間がかかるということで、これを今後できるだけ早く電調審の議を経まして建設にかからなければならない、こういうrとでございます。そのためには、やはり原子力率電につきましては安全性の確保あるいは環境の保全というものについて十分各種の措置をする、易して先ほど申し上げましたように、国民一般がこの原子力発電重要性について理解を示し、また、御協力を得るという態勢にいたさなければ、実現はむずかしい点があるということは御指摘のとおりでございます。
  28. 竹田現照

    竹田現照君 いまお答えがございましたように、営業運転中、建設中、それから建設準備中含めて約二千百万キロワット。そうすると、六十年度末の四千九百万キロワットの目標から見ると一千八百万キロ、これを電調審の認可を受けて建設にかからなくてはならないという勘定になりますうが、しかし、この電調審認可済みの原子力発電証が、すでに認可されたやつが順調に建設されても五十七年度末で二千二十八万キロにしか達しない、こういう見通しだと、こういうことも言われていますね、五十七年度末です。それで五十一年度から五十三年度の着工期待分を加算しても、六十年度末というのは二千五百から三千万キロワットにしか達しないと見るのが私は妥当なような気がいたしますが、としますと、私のあれが間違っていれば別ですが、三千万キロとしても千九百万キロワット足りなくなるわけですね、見込みから見ると。これはどういうことですか、私の言っていることが間違いですか。いま長官お答えになった四千九百万、百歩譲ったとしても、これかなりのペースで、かなりの協力、それからかなりの安全性から信頼性というものをぴしっとしないことには、そういうことが全部なされた上で、しかも、地域住民その他の全面的な協力、バックアップがあって四千九百万キロというものが可能なわけなんです。それに一抹も二抹もの不安がいまあり、各地でいろんなことが起きている現状から見ますと、私の主張の方が妥当なような気がいたしまして、むしろエネ調の計画の方が少し多過ぎる、少しどころじゃない、大変膨大なもんだ、そう思うんですけども、これは見解の相違では片づけられないと思うんですがね。いかがなもんですか。
  29. 増田実

    政府委員増田実君) 四千九百万キロワットを昭和六十年度に達成するためには非常にむずかしい問題があり、また、非常にその達成が困難であるという先生の御意見につきましては、私どもも非常に困難があるということは率直に認める次第でございます。ただ、今後の電力の構成あるいは日本のエネルギー構成を考えていきますと、この四千九百万キロワットというものをぜひとも到達をいたしたいというふうに考えております。このために今後私どもとしていろいろなすべきこともまだ残されておると思います。この四千九百万キロワットを到達するためには、これから二、三年というものが一つの勝負だというふうに思っております。そのために原子力発電につきましての行政の問題、これは現在内閣に原子力行政懇談会というものが開かれておりまして、すでに昨年十二月に中間報告も出ておりますが、安全規制についての組織、つまり原子力委員会の改組というものの意見が出ております。これによりまして安全規制についてのダブルチェックシステムというものを行いまして、安全性についての信頼というものを得るための行政機構の改革というものも考えております。  また、私どもの方としての計画として、もうすでに着手中でございますが、原子力発電所の安全性につきまして、これはいろんなパンフレットとかその他の手段で、一般国民の方々にわかりやすく安全性につきましてのPRというものを行っておりますが、しかし、口ではなくて実際に証明をするということが必要だということで、現在、原子力発電所につきましていろんな安全性についての心配というものがございます点、たとえば地震が起こったときに原子炉というものは果たして安全なの、またか、どれくらいの地震が起こったときにどれだけの影響を受けるかというものをむしろ実証的に実験によって証明をする、それによって信頼性を確保するということで、原子力工学試験センターというものを昨年度発足いたさせまして、これに相当膨大なる資金を割り当ていたしまして、実証試験、ただいま例で申し上げました地震試験につきましては大体二百億円ぐらいの資金をかけまして、そして実証していくということを現在計画しております。もうすでに着手いたしております。それ以外に、たとえば蒸気発生管の問題あるいはバルブの問題、その他につきましてもこれも実証試験によりまして、たとえばバルブにひびが入ったときどういう影響が出るかということを全部実証試験によって証明する、こういうことを行っております。  それからまた、それ以外の問題といたしましてよく言われております、いわゆる核燃料サイクルというものが日本では確立していないんではないかということが言われております。核燃料サイクルにつきまして日本国内だけで達成することは困難でございますから、もちろん外国との連携によってやるわけでございますが、一番現在問題になっておりますのは、使用済み燃料棒の再処理というものが日本国内で全部できないんじゃといかという問題がございます。確かに現在、使用済み燃料棒の再処理につきましては第一工場というものが、これは二百十トンの能力でございますので、発電量にいたしますと七百万キロワットあるいは八百万キロワットという、現在の稼動中のものはこれは処理し切れますが、毎年ふえていきますのは処理し切れないという問題がございます。ただ、これにつきましても、これは英国の原子力公社との契約によりまして、今後昭和六十年度近くまでの分につきましてはすでに契約ができております。また、不足分につきましては現在それの交渉をいたしております。それからさらに、日本国内におきまして第二工場の建設計画というものを進めております。  以上、いろいろの点を申し上げましたが、今後解決しなければならない問題点が相当残されておるということは先生の御指摘のとおりでございますし、また、この四千九百万キロワットというものは相当な努力と相当な施策というものを前提にして初めて達成される、こういうふうに思っております。そういう意味で今後二、三年の勝負ということで私どももあらゆる努力を重ね四千九百万キロワットの達成をし、これによりまして日本のエネルギー構成というものの改善に努めていきたいというふうに考えております。
  30. 竹田現照

    竹田現照君 長官の話はそれなりに構想としてはわかりますが、先ほどちょっとお答えになりました、昨年春から秋にかけての原子力発電所の営業運転可能のあれは八基、三百八十九万キロと私はそう思っておりますが、それは間違いなかったですな、八基と聞きましたが。八基、三百八十九万キロワットというふうに理解しておりますけれども、しかし、そのうち年間通して稼動しておりますのは原研の東海一号、中国電力の島根、関西電力の高浜一号だけですね。それから福島一号、美浜一号は四十九年度からそれぞれ二六.一%、七・四%と大変低い稼動率になっています。五十年度に入ってから敦賀一号、福島二号、美浜二号を加えて合計五つがストップしておりますが、そうなってまいりますと、原子力発電所の利用率は五〇%になってしまったという勘定になります。  しかし、この原子力発電のコスト計算でいきますと、設備利用率は七〇%程度で計算をされているということを聞いております。そうしますと、この五〇%という利用率が現実間違いないとすれば採算はとれない勘定になりますが、これはどんなものでしょう。アメリカなんかもこの原子力発電設備利用率が五〇%前後だというようなことも言われておりますが、この点は、この五〇%というものは現実問題として私はまあそうだと思うのですがね。コスト計算上からいくともう大分採算割れになっているのじゃないですか、いかがですか。
  31. 増田実

    政府委員増田実君) ただいま竹田先生からおっしゃられましたように、昨年の原子力発電所の稼動率は非常に低いわけでございます。そういう意味で、原子力発電所については私どもは七〇%稼働というものを前提にしてコスト計算をはじき、いろいろしておるわけでございますが、その七〇%稼働のまあ半分以下というような事態が昨年出ております。  ただ、これにつきましては、これ各炉について御説明は省略いたしますが、それぞれのいろんな問題がちょうど重なりまして、五十年の四月から五十年の十二月に生じまして、そのためにこの原子力発電所十年間の歴史で最悪の稼働状況になっておるわけでございます。その中の一部は、これはアメリカで問題があったということで、同型の炉をすべてとめたということもございますが、五十一年四月の操業率は六一・六%に戻っております。  それで、この中でいわゆる定期検査の炉が、関西電力の高浜一号、また中国電力の島根原子力がこれはちょうど定期検査の時期に入っております。とまっておりますのは関西電力の美浜一号、これはいわゆる蒸気発生管の事故対策中でございまして、これがとまっておる。それから東京電力の福島一号は、これは原子力の一号機でございますが、これの中間点検を行ったわけでございますが、これも四月二十七日に検査を完了いたしまして稼働に入っております。そういうことから言いますと、五月にはさらに稼働率が上がるわけでございますので、七〇%ずっといくかどうかにつきましては、これはいろんな問題がございますし、また、私どもの方は少しでも問題があればとめて、そして点検するということが保安のためのやはり必須なことである。無理して動かすとかあるいは小さな問題点だということで、操業のままでそれを点検するということでなくて、一応とめてみるということで、あらゆる用心をするということから、稼働率に余りこだわるということでなくて、むしろ安全第一でとめて、そして点検するということでやっておりますので、今後必ず七〇%維持するかどうかということについてはこれは断言できませんが、現在、先ほど詳細に申し上げましたように、四月の稼働状況その他から見ますと、五月以降は大体七〇%近くにいける、こういうふうに思っております。  そういう意味で、確かに先生が御指摘ありましたように、昨年の稼働率から見ますと、もう原子力発電というのは採算に合わないし、また、非常に故障があるんじゃないかという印象を一般の方々にも与えますような次第でございますが、昭和五十一年度に入りましては正常運転というものに近い形になっていく、こういうふうに考えております。
  32. 竹田現照

    竹田現照君 まあ現実に稼働しているところがそういうことですから、これが早急に改善をされるということはなかなか期待が持てない。そういう意味で先ほど触れましたように十カ年計画のうちの約四分の一がこの原子力発電に依存するという計画になっていますからあれですが、この原子力発電が石油や石炭、そういうものにかわるものとして大分期待をされているようにいろいろ喧伝をされていますが、放射性廃棄物再処理事業の長期展望というようなものが現在全く描かれていないで、将来非常に暗い影を投げている。  それから、ウラン資源の開発、濃縮と再処理、廃棄物処分の問題、こういうものをどう解決していくのかというようなことを疑問符を打っている新聞もすでに出ています。それから、昨年の五月十九日の読売のエコノミスト特約によると、「「原発」、今世紀は不要?  原子力発電は汚く、短期間しか安上がりでなく、しかも実のところ少なくとも今後二十五年間は不必要かもしれない」という書き出しでずっといろいろ書いてあります。ごらんになっていると思いますが、そういうようなことも国際的にも原子力発電の問題が論議をされ、石油依存度を減らせないとか、あるいは石炭の活用であるとか、そういうようなものをやはりもう少し真剣に見直すべきであるというようなことを言われているときに、二五%以上の計画に盛られているこの原子力の問題というのは、抜本的再検討を加えて、その特質というものを分析することを開始すべきであると思っておりますが、通産省としてはそういうことについて取り組んでおられるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  33. 増田実

    政府委員増田実君) 原子力発電所につきましては、先ほど申し上げましたように、これの達成というものについてはいろいろ今後克服すべき問題点があります。これらの問題点というものを克服し、安全性の確保、環境の保全というものに努めて、四千九百万キロワットというものを達成したいというふうに考えております。  それで、先生からお話しありました四千九百万キロワットというものが、電力で二五%、また、総エネルギーの中で九・六%という地位を占めるわけでございますが、これを諸外国の現在の電力発電所計画と比較いたしますと、アメリカが大体総エネルギーの中の一四%ということで、エネルギー自立計画を発表いたしております。日本の九・六%に対しまして、アメリカのように資源が豊富な国でも一四%を計画いたしております。それからまた西独が大体一五%、それからフランスが二五%。これは、フランスは新しい発電所はもう全部原子力発電所でやろうということでエネルギー政策を立てています。ただ、これにつきましても、先生御高承のように、各国で原子力発電所の安全性については、いろいろ問題が地域住民の反対その他で出ておるわけでございます。ただ、私が申し上げたかったのは、日本の四千九百万キロワットというエネルギー計画、私どもの方で立て、これを総合エネルギー調査会の答申ということでいただいております計画は、決して諸外国に比べて過大なものではないということを申し上げたかったわけでございます。  それからまた、ただいま御指摘のありましたように、核燃料サイクルの点から、日本において原子力発電というものはなかなかむずかしいんではないかという点の御指摘がございました。ウラン燃料の確保、濃縮の確保、また、先ほども申し上げました使用済み核燃料の再処理設備建設、それからいろいろ出ます廃棄物をどういうように処理するかという、いわゆる核燃料サイクルというものが日本において確立されてない、そのために原子力発電をする基盤がないんではないかという御批判があります。それから、先ほど先生から言われました新聞記事として、むしろ原子力発電というものから目を移して、ほかのエネルギーというものに努めるべきではないかという議論もございます。  ただ、この総合エネルギー計画につきまして、私どもは、やはり第一には国産のエネルギーというものを活用すべきだということで、石炭あるいは地熱それから水力の開発というものにつきまして、これは最大限見込むという政策をとりまして、その不足分を原子力発電でできるだけ埋める、そしてその結果として、日本が先進国の中の最大の石油依存率になっておるわけでございますが、その石油依存率を減らして、エネルギーの安定供給、また、エネルギーの多様化というものを図りまして、経済の安定的な発展の確保を図りたい、こういうことで考えたわけでございまして、いま申し上げましたようなことから、この四千九百キロワットというものにつきまして再検討し、むしろ原子力発電の比率というものを低めるということは私どもは考えておりません。やはり四千九百万キロワット、非常に困難があります、これに克服すべきいろいろな問題がありますが、少なくとも総エネルギーの九・六%というものを原子力発電で維持いたしたいというふうに考えております。  原子力発電につきましては、一方におきましては安全性の問題、環境の問題というのがございますが、他方におきましては、その経済効率の問題、これはもちろん先ほど先生から御指摘のありました操業率、稼働率というような関係がございます。またこれ以外に、原子力発電所というのは、一回動かしますと、燃料棒の取りかえというものは一年に三分の一をかえるわけでございますから、いわゆる石油の備蓄をいたしますと同じような効果があるということから、それらの点から言いましても、経済の安全保障にとっても役立つわけでございます。  以上、いろいろ申し上げましたが、原子力発電につきましては、一番初めに申し上げましたように、安全性の確保、環境の保全というものを行いまして、国民一般の信頼、御協力によって達成いたしたいというふうに考えております。
  34. 竹田現照

    竹田現照君 資金問題に移る前に、いま原子力に関連をして二つの点大臣にひとつお尋ねして着きたいと思います。  相当の資本調達が困難になるということでこの法律が出ていますが、特に原子力発電は、火力発電に比較して著しく資本集約的であるために、単位建設設費の増大懐妊期間の長期化、設備資金が多額に食い込む、加えて核燃料の手当て、濃縮再処理、廃棄物処理等特別の資金需要が生じる、そういうことを言われますが、この点についてひとつ大臣の御所見を伺いたい。  それからいま長官も、国内資源の活用その他に触れてお話がございましたが、両角電発総裁がこの五月の初めに、石炭を流動化して石油との混合発電を検討中であるというようなことも新聞紙上では明らかになっています。政府においてもっと石炭の液化、ガス化なり無公害の石炭火力の発電などというようなものについて鋭意検討すべきではないかと思うのですが、この点について一生懸命やっているけれどもなかなかうまくいかないという御答弁でなくて、ひとつ明確な政府の方針というものをお答えをいただきたいと思います。
  35. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 原子力発電の場合に、やはり一つの大きな問題は、いまお示しがございましたように、建設期間が普通の発電所に比べますと、二、三年あるいはそれ以上長期間かかる、こういうこともございまして、設備投資が普通の発電所に比べまして相当高くつくわけでございます。ただしかし、現在のところ燃料費は非常に安くついております。将来、先進工業国に限らず、OPEC諸国等発展途上国等におきましても、原子力発電建設が非常な勢いで計画されておりますし、先進工業国における原子力発電の計画につきましては長官が申し述べたとおりでございまして、今後飛躍的にふえる、こういうことを考えますと、ウラン等の確保、まあ現在の比較的安いんですけれども、将来はこれが暴騰する、こういうことも当然考えられます。十年間は一応わが国見通しがついておりますけれども、それ以降については、まだ十分なる見通しがついていない。こういうことを考えますと、やはりこのウラン、濃縮ウランをどうして確保するかということがこれからの大きな課題かと思います。  それから同時に、先ほど来いろいろ御指摘がございました安全性の問題、環境保全、それから核燃料サイクルの問題、こういう幾つかの問題がございますが、わが国のエネルギー事情を考慮いたしますと、現在計画いたしております原子力発電の全エネルギーおきましても一〇%弱である。こういうことを考慮いたしますと、困難はありますけれども何とかこれを実現したい、こういう考え方でございます。  それから、石炭の問題でございますが、電源開発会社で発表しておりました新しい石炭の使い方でございますが、これは調べてみましたですけれども一つのアイデアでございまして、まだ現にこういうことができるということではないようであります。後でまた説明をさせますけれども、そういうアイデアを持っておる、こういうことのようであります。  石炭につきましては、ガス化それから液化ということ等につきましては、いわゆるサンシャイン計画におきましても相当な資金をかけて研究をしておりますが、何分にも成果が上がるまでに相当な時間がかかるんじゃないか。しかも各国でこの研究を進めておりますが、これが実用化されました場合に非常に高いものにつくんじゃないか、こういうことが言われておるわけであります。アメリカのメジャーあたりもずいぶん研究しておるようでありますが、相当高くつくと。でありますから、現時点で石炭は無尽蔵に近いわけであります、世界全体の埋蔵を考えますと。これからのエネルギーの中心になるわけでありますけれども、特に石油危機以降における中心になるわけでありますけれども、石炭をそのまま使うということがやっぱり一番有効であると、アメリカあたりでもこういう結論のようでございます。でありますから、そのまま使って、その場合に公害対策を十分やっていく、こういうことはこれからの中心課題でなかろうか。液化、ガス化といいましても時間がかかり、コストが高いものにつくということでありますと、これは企業化ということもなかなかむずかしい、こういうふうに理解をいたしております。
  36. 竹田現照

    竹田現照君 この問題は、石炭問題に関連するのは明後日対馬委員の方に譲ることにして次、資金需要の問題について移りますが、審議会の試算では、いうところの五十年度前半約五兆円の資金不足というものをほとんど社債で依存しようとしております。この意見書にもありますように年率一九・一%。五十一年度以降も、従来の拡大テンポから見て年率二〇%程度が無理がないというようなことを見込まれると、こう書いてあります。しかし一面、政府が多額の国債を長期にわたって発行しようとしているわけですが、そうなってまいりますと、公社債市場の環境変化、あるいは債権者の保護の観点などから電力会社の自己資本の比率を考慮した場合、こうまで社債に依存するということがちょっとオーバーなような気もするのですが、その点はいかがなものなのか。  それから、毎年度初め、通産、大蔵両省が協議して社債発行額、電力債の起債額というものを決定しているわけですが、毎年どの程度の起債を認める考え方が両省間において話が進められているのか、詰まっているのか、この点二つあわせてお伺いいたします。
  37. 増田実

    政府委員増田実君) 今後の社債発行の計画でございますが、これは今回の御審議いただいております限度拡大をお認め願ったということになりますと、大体今後年率二〇%で発行する計画になっております。もちろん今後の設備投資のための必要の資金というものを、社債だけによって、社債の増だけによって賄うべきではございませんので、やはり内部資金あるいは増資、それから借入金の増、それから一番初め先生から御質問のりあましたいわゆる財政資金の投入という各種の資金手当てというものによりまして、今後の需要に見合う設備投資を行うべきだと考えておりますが、その中でも社債に期待するところは非常に大きいわけでございます。年率二〇%というものが可能かどうかという点につきましては、過去の社債につきましては、昭和四十六年におきまして起債条件の弾力化が行われまして、これによりましていわゆる事業債、全業種の社債につきましては年率一九%で伸びております。これから見ますと、今後の二〇%ということは決して過大ではない。大体全部の事業債の伸び率というものと並行して伸ばすという考えでおるわけでございます。  それから、もう一つ質問がございました大蔵省との社債につきましての調整と、今回の電気事業あるいはガス事業の社債発行につきましては、これは事前に調整をいたしております。本年度につきましては、国債あるいは地方債というものが相当増発されるわけでございますが、これとの競合関係の問題がございます。これにつきましても現在、つまり昭和五十一年、五十二年と見ますと、いわゆる国債あるいは地方債というものは大体金融機関引き受けになっておりまして、個人引き受けという率が非常に少ないわけでございます。この電力債につきましては、実績では大体六割五分から七割というのが個人引き受けになっておりますが、それから見ますと、国債、地方債が増発されますが、現在の金融情勢あるいは景気の回復状況の中におきまして、この二〇%ずつ増察するということにつきましては可能であるし、まあ問題ないということで、大蔵省との調整も終わっております。
  38. 竹田現照

    竹田現照君 電力会社増資コストは、一〇%の無償配付、配当なしの場合でも一七・五%だと言われていますが、社債コストが九・六三%の差だけ資金調達コストが安くなって、世間ではもうそれだけ電気料金の値上げが少なくて済む、そういうことが期待されるんだということを言われておりますが、そういうふうに理解していいのか、悪いのか。  それから、もしそういうふうに理解していいんだとおっしゃる場合は、それではこの特例法制定後、電気料金値上げ等に具体的にどれだけ圧縮されるのか。たとえば、毎年一兆円起債を認めた場合、その七・八七%に当たる七百八十七億円は増資した場合よりは経費が節約できる。その分だけ値上げをしなくても済むそろばん勘定になるんだ、こういうことを言われていますが、そういうふうに理解していいですか。   〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
  39. 増田実

    政府委員増田実君) 社債と、それからいわゆる増資資金によって資金を賄う場合につきましては、これは相当大きな差がございます。増資資金の方のいわゆるコスト、資金コストというものについては、これは払います税金を含めますとまあ一七%を超えるということになりますから、社債発行しないで全部増資で賄うということになりますと、これは相当膨大な差が出るわけでございます。これは計算上そういうことが出てくるわけでございますが、現実には、電力会社が大幅増資を毎年行って、これで社債にかえて資金調達するということは、現在のその増資可能性から言いましては、これは不可能でございまして、今後の十年間として増資について考えておりますのは、大体毎年平均して一割ないし一割二分の増資をするということで考えております。ですから、二年間に一回二割増資を行うというようなテンポで増資を行うということになっております。  いま申し上げましたようなことから、社債というものによって資金調達いたしますのと、増資によって調達いたしますのとは相当大きなコストの差がございますが、現在申請が出ております四社の電力料金算定につきましては、これは社債で賄うということになっております。もちろん、今回の法律の御審議を得ましてお認め願えなければ、これは社債発行が不可能になりますと、増資によって賄うかあるいは融資によって賄うということをせざるを得ないわけでございますが、増資にいたしましても融資にいたしましても、社債よりはコストが高くなる。ことに増資の方は七・八%高くなるわけでございますから、それによりまして、むしろ原価としてはふえるという計算上の結果が出てくるわけでございます。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 関連して一言だけ確かめておかないと全体の審議にちょっと影響があると思いますから。  竹田委員質問に対しての先ほどの長官の御答弁の中に、電力債の消化が個人消化に大部分いけると。それを大蔵省やその他の関連の中の御答弁で、国債、地方債は金融機関が引き受けるから競合しない、心配がないという趣旨の御答弁があったと思う。ところが、国債のいまの財特法なんかの審議で、一方では政府側の方は、将来の償還の見通し等も含めて個人消化に全力を注ぐという答弁をしている、説明を。ところが一方では、こちらは国債の方は金融機関が引き受けるから差し支えないという説明をし、大蔵委員会では、国債の金融機関の引き受けよりも個人消化の方に全力を注ぐという説明をしておると、政府全体のこの法案としては統一がとれない。もし長官の御説明がうそであったとすれば、個人消化の方が安心だという説明は言い直さなければいけない。そこをはっきりしていただきたいと思います。
  41. 増田実

    政府委員増田実君) 先ほどの私の答弁に不正確あるいは若干問題点がございまして御指摘を受けましたわけでございますが、昭和五十一年度におきます消化につきましては、電力債につきましては大体七割ぐらいが個人だと思います。それから国債につきましては、従来の実績では大体五%から六%が個人でございまして、大部分が金融機関でございますが、将来の問題といたしましては、いま鈴木先生から御指摘ございましたように、国債についても個人消化というものを相当大幅にふやすということになっています。そうなれば、この電力債と国債との間の個人消化につきましては競合が出てくるということは御指摘のとおりでございます。  そういうことでございますが、ただ、電力債を今後大体年率二〇%というのは、過去の実績から見ましても今後の見通しから見ましても決して、電力債だけが今度枠を広げることをお認め願って、そしてほかとの競合をしながら出すということではないということを申し上げたかったわけでございまして、先ほどの答弁について若干不正確、ことに将来の国債の消化の見通しにつきましては、誤解の生ずるような答弁を申し上げましたことをおわび申し上げます。
  42. 竹田現照

    竹田現照君 大蔵省お見えになっていますが、最近の国債の消化状況を見ますと、新聞に伝えられるとおりに理解しますと、利回りだとかあるいはマル優、マル特か、そういうようなものから個人消化がなり伸びていると。それで大蔵省との目算はずれだったというようなことが言われていますが、そういう現実から照らして、いまのエネ庁の長官等の社債との関連ですな、今後の消化見通しですよ、こういうものは大蔵省としてはどういうふうに見ていますか。
  43. 岡崎洋

    説明員岡崎洋君) 大変申しわけございませんが、私は証券全体の資金需給関係の所管でございませんので、責任を持った御答弁はできる立場でございませんので、御了承いただきたいのでございますが、一般的に申しまして、国債の個人消化ということが最近時点で予想以上に伸びておるというふうに聞いております。これは全体的に金融情勢がかなり緩んでおるというようなことも反映していると思いますし、全体的に成長率が落ちてきてはおりますけれども、国民全体の所得水準等は徐々に上がっておりまして、金融資産の多様化という感覚が個人にも非常に強くなってきておる。そういうことから、債券類に対する資産選好というものが強くなっておりまして、ふえてきておるんじゃないかというふうに考えております。  電力債につきましては、昔から個人消化ということに努めておられまして、安定的な個人の消化層というのがあることは事実でございまして、これは今後とも大きく広がっていくだろうというふうに思われます。したがいまして、将来、電力債とその他の公共債とがどういうふうになっていくかというのは、時々の金融情勢、資金需給の問題と絡み合いながら、しかし、両方基本的には並立しながら量がふくらんでいくというのが一般的な傾向ではないかというふうに存じております。
  44. 竹田現照

    竹田現照君 岡崎さんは専門でないから、じゃ、あさって私の方の対馬委員質問のときに、通産、大蔵のこの問題についての見通しをしっかり意識統一をして返事をしてください。これは財特法の審議にも関係がありますから、食い違っておったんではあれですから、財特にちょっと問題がある答弁にもなっていますから。  それから、資金コストが安くなるということのそろばん勘定にはなろうかと思いますが、いまの株式市場の実情等を——私は株は全然知りませんから余り詳しくはわかりませんが、電力会社が五、六億円からの増資というようなことは、ちょっと実現不可能な数字だと私は思うんですが、とすると、電力会社増資もしないで大量の社債発行するということは、勢い自己資本比率が著しく下がることになるわけです。そういうことになると、社債発行限度というものもおのずからこれは限界が出てまいりますね。それで、通産省が実際に自己資本との比率を三五%以上に維持させると、そういうことを指導する考えがこの意見書に出ていますけれども、これは増資というものが非常に困難だ、私が言うような見通しだと、こういうことになって、皆さんはそうでないとおっしゃるかもしれませんけれども、私はいまの動向からいって困難だと。そうすると、この比率というものは通産省の指導にもかかわらず低下をする。低下をすれば社債発行限度額もおのずから限界が出てくる、こういうふうに思いますが、この点はどうでしょう。
  45. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 先生がいま御指摘になりました三五%程度を維持するという考え方をとっておりますのは内部資金ということでございまして、これの主たる中身はいわゆる減価償却費になるわけでございます。それで、増資の手取り額も確かに自己資金の内数になるわけでございますが、増資につきましては、今後資本市場の動向から見まして、大体年一割つまり二年に一度二割増資をやるか、三年に一回三割増資をやるかという辺が大体限度ではないかという見方が一般的でございまして、この中におきましても、五十年か五十五年までは年一割増資ということで考えておるわけでございます。しかし、先生指摘のように、やはり自己資本比率というのは著しく低下するということは非常に問題でございますので、五十五年以降につきましてはせっかくの努力をいたしまして、増資率を年率一割二分程度にいたしまして、六十年度末におけるいわゆる自己資本比率が少なくも一割を割らない、それだけはどうしても割らないようにしようという考え方で計算をいたしております。
  46. 竹田現照

    竹田現照君 六十年度末一割というのは、これはすると自己資本一〇%と、そこまで落ちても仕方がない、そういうふうなことですね。
  47. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 現在、自己資本比率が電気の場合で一七%余りでございますが、大体それが今後一割程度まで落ちることはやむを得ないだろうというふうに考えておるわけでございます。
  48. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、電力会社というのは、これは社債だって借金ですからね。すると、大半が借金によっていろんなことが行われるということになってまいりますと、私は先ほど、この社債によって電気料金等の値上げも圧縮できるというのかということについて、ちょっと例を挙げてお尋ねしましたけれども、そういうふうに自己資本比率というものが極端に、一割程度に落ちてしまうということになると、結果的にそういうものが借金の返済になるわけです。社債はしてもその何%かは返還していかなくちゃいかぬから、償還していかなくちゃいかぬから。そうすると、最初の方にも質問いたしましたけれども消費者の方に結局電気料金の引き上げというようなかっこうで、償還の金その他の問題も含めて、資金調達面からはね返ってくるということになってしまうんではないか、そう思うんですが、これは間違いですかな、当然でないですかな。
  49. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) いまの自己資本と申しますのは、いわゆる資本金になるわけでございますが、この資本金に対しましては、現在大体八%から一割の配当をしておりますが、仮に一割の配当といたしますと、先ほども説明申したかと思いますが、配当分につきまして法人税がかかりますので、実質的な資金コストといいますのは一七・五%ぐらいになるわけでございます。社債の方は、発行者利回りで大体九・六%程度でございますので、資金コストといたしましては、社債の方が増資でやる場合よりも低いということでございますので、そういう意味から言いますと、料金の面からいきますと、社債資金調達をしていった方が資金コストは若干安くなるということが言えるのではないかというふうに考えております。
  50. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ちょっと、いまのお話につきまして基本的な考え方を申し上げたいと思いますが、社債は、いわゆる純粋の意味での自己資本ではございませんが、借入金の中では非常に安定した資金である、そういう意味におきまして自己資本に準ずるものである、こういうふうに理解をされておるわけであります。  それからもう一つ、先ほどの御質問は、どんどん社債発行しておると、そのうちに返済期限が来るじゃないか、その返済資金電気料金の値上げでやるのではないか、当然そういうふうに理解できるとのお話がございましたが、電気料金を決めます場合は、これは電気事業法で、企業は能率的な運営をしておるかどうかということと、それからもう一つは、厳密な意味でのコスト計算ということをいたしまして電気料金を決めるわけでございます。借入金の返済というようなものまで電気料金に入れることは絶対ございません、それは法律違反でございますから。そういうことはいたしませんで、社債の期限の来たもので返済能力が仮にないというふうな場合には、借りかえとか、そういうことはそれはあり得ますけれども料金だけでこれを処理すると、そういうことではございませんで、料金の計算は別途厳密な基準に従ってやる、こういうことでございます。
  51. 竹田現照

    竹田現照君 ちょっと私はその点は、いまの御答弁に納得しないんですが、ただしかし、はね返らないとしても、そうそう社債を次からやっても返還をしていくわけだから、その部分、たとえば  一兆円社債発行したとしても返還がかなり出てくると、当初の資金調達計画というものは狂ってくるんじゃないですか、それはやっぱり。一兆円のうちまあ三千億償還して七千億見込んだとしても、自己資本がだんだん少なくなってるわけだから、その点が、償還が多くなると資金調達のこの六十年までの見通しというものが狂う結果にならないかと、これはまあ素人なりに思うんですよ。だから、その点はどうなんですか。
  52. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 御指摘のように、社債発行いたしましても、この償還分がございますので、その間は差があるわけでございますが、一応の見通しとしましては、五十一年から六十年度までで社債発行額は約二十兆円というふうに予定しておりますが、二十兆余りでございますが、そのうちで償還をのけまして手取りになりますのは大体十四兆円というふうな計算にいたしておるわけでございまして、資金調達としてはこの十四兆をベースに、つまり償還を差っ引いたもので四十八兆円の内数を賄うということで計画をいたしておるわけでございます。
  53. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、先ほど大永さんお答えになったように、自己資本比率がまあ一〇%に下がったとしてもいまのこの計画には支障がないと、そういうことでこの計算をしてると、そう理解していいんですね。
  54. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) おっしゃるとおりでございます。
  55. 竹田現照

    竹田現照君 それでは、ちょっと時間のあれがありますからはしょりまして、先を急ぎますが、今度のは九電力と、ガス会社も大手四社だけですね、この特例法の対象になるのは。中小の方は社債を出していませんからね。そうすると、その他のガス会社、中小のガス会社というようなのは今後どういうことになるのですか。それには財政資金投入とかなんとかということでその点の方の解決を図っていくのですか。いまこれ対象になるのは、理解する限り、東京、大阪、東邦、西部、四つのガス会社だけだと思うんですけども、間違いですか。
  56. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) いわゆる公募債を発行しておりますのは先生いま御指摘の四社でございますが、そのほかに中小ガスで三社ほど縁故債を出してる会社がございます。こういった縁故債を出してる会社につきましては、この社債発行限度特例が当然適用される、生きることになるわけでございますが、現在ガス会社は二百五十数社ございますので、まあその二百四十数社のその他の中小ガスについてはそれではいかなる資金対策をとるかということでございますが、これにつきましては政府といたしましては、今後財政資金のやはり投入ということを中心に考えていくべきではないかというふうに考えております。現在でも北東公庫及び開発銀行の地方開発融資枠等によりまして相当額の融資が行われておりまして、私営の中小ガス事業者で現在財政資金の占める比率が大体二三%ぐらいということで、過去に比べますと相当上がっておりますが、今後ともこの点につきましては十分考えていきたい、こういうふうに思っております。
  57. 竹田現照

    竹田現照君 この大蔵省の法人企業統計によりますと、ガス事業の中で資本金十億円以上の十社は純益を計上していますが、五千万から一億の会社、一億から十億の会社は大体大幅な赤字を計上しています。会社名はあれですが、ある会社のように、資本金三億二千四百万円の会社が一億八千三百万の赤字を出してる、そういうところもある。となってくると、これは一般会社であれば当然倒産ということですけれども、か、あるいはまた会社更生法の適用というようなことになるんですが、そういう状態の中小ガス会社というのは非常に多いと思うんですけれども、いまお話がありましたような、そういう中小ガス会社資金調達財政資金というお話でありましたが、具体的にはどういうふうにお考えか。それで私は冒頭に大蔵省お尋ねしたのは、電力ガスの開銀あるいは北東公庫等からの融資の問題についてお尋ねしておったわけです。ですから、大手のところはある程度社債その他の問題であるいは開銀融資その他の問題も解決できる面があろうかと思うんですけれども、中小ガス会社等については、余り金を逼迫させますと事故がまた出てきますからね、無理をして。そうなってくると、そういうガス会社が多いだけに私は大変心配をするわけです。本当にこの財政資金等の投入がなければ、これは借金だっておのずから限度がある。そういう点で大変心配ですから、特例法のらち外にあるそういう公益、もうやっぱり公益事業には間違いないわけですから、そういうことにはどういう手だてをするのか。
  58. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 従来中小ガスに対します北東公庫、開発銀行等の融資につきましては、いわゆる設備の近代化というところに重点を置いておったわけでございます。すなわち供給圧力を維持いたしますとか、そういったような設備の改善に重点を置いておったわけでございますが、先生指摘のように、中小ガスの経営というのはなかなかむずかしいわけでございまして、今後の方向としましては、広域運営あるいは共同でやるというふうな体制整備の方にやはり相当重点を持っていく必要があるんじゃないかということで考えておりまして、それに対します開発銀行融資等につきましても、新たにそういった制度を設けまして今後推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 竹田現照

    竹田現照君 大蔵省、それじゃいいです。先ほど言ったのをあさっての答弁のときにあわせてやってください。  この社債限度拡大によって、それじゃ一般の株主に対する影響、株を持っているいわゆる株主、これには影響というものは出てこないのか、この社債発行限度拡大によって。その点は通産省、どういうふうにお考えになっておられるか。
  60. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) この株価の問題、いわゆるキャピタルゲインという問題と、それから配当の問題というのがあるかと思いますが、この株価なりあるいは配当の問題につきますと、いわゆる資本市場の大きさを無視してといいますか、大きさ以上に増資を強行いたしますと非常に影響があるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、大体年率一割程度増資をやっていくということであれば、いまの株価の問題あるいは配当率の問題等に悪影響はないのではないかというふうに考えております。
  61. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ、この間も同僚の対馬委員からちょっと質問が若干ございましたから、重複する面もあろうかと思いますが、電気料金値上げに関連してちょっとお伺いしておきますが、いま四社から値上げ申請が出ているところは御承知のとおりですが、この申請の基礎となる原価、電灯、電力などへの個別原価割り振りの基礎数字、こういうものは一般に言われているように公表されてない、そういうことはね。電力会社というのは地域独占ですから、企業秘密にもおのずから限界があって、何でもかんでも企業秘密だと言って逃げるということは許されないと思うんですけれども、この点が消費者なんかが一番疑問に思っていることなんですよ、いろいろな数字は出していて、いろいろと説明はされているけれども、知りたいことが公表されてない。この点についてひとつどうお考えになっていますか。
  62. 増田実

    政府委員増田実君) この四月の初めに四社からの電力料金改定の申請が出ております。これにつきましては、物価に与える影響あるいは家庭の家計に響く影響、また、電力消費しております産業に対する影響その他、非常に大きい問題がございます。ところが他方におきましては、昭和五十一年度、五十二年度におきますいわゆる総括原価電力供給いたしますためにかかります総費用というものが、電力料金では賄い切れないという事態も出ておるということで申請が出ておるわけでございますが、この電力料金の引き上げにつきましては、いま先生から御指摘がありましたように、値上げをせざるを得なかったという内容についてはできるだけ説明すべきだというふうに私ども考えております。そういう意味で、電力料金の認可をいたします際にはできるだけの説明をするということで、やはりこれの影響を受けます消費者あるいは産業界の理解を得られるように努力いたしたいと思います。  また、現在申請中のものにつきましては、この申請内容、それから各種の経理内容その他、できるだけ業界の方にもこれを公開するようにということでやっております。企業について全部公開するということは、これは私企業でございますので一定の限度がありますが、やはり先ほど冒頭に申し上げましたように、電力料金というものは非常に需要者側の方々には影響を受けるわけでございますから、納得を得られるようにできるだけの努力をするということで、それの説明に努めるというのが基本方針でございます。
  63. 竹田現照

    竹田現照君 この委員会でもたびたび過去にも質問がございましたが、電気事業の効率的な運営という観点から現在の——これは大臣お答えをいただいた方が一番いいんだと思うんですが、九電力体制というものに問題があると、そういうことをたびたび言われていますけれども電力料金一つとっても、これは九州から北海道まで住むところによってこの負担が違うわけです。だから、それは勝手に住んでいるといえばそれまでですけれども、これは日本列島のように長いところになるとおのずから気象状況その他が全部違うわけですから、その使用その他についても相違が出てくることは当然なんです。住むところによって片方は高く、片方は安いと、こういうようないろいろなこと等も関連をして九電力体制というものについて検討を加えるべき時期ではないか、あるいは総合を考えたらどうかというようなことはしばしば質問をされてきたんです。この点については、まあ、いまそんなことは考えてないというふうに答えられるんでしょうけれども、そういう決まり文句じゃなく、やっぱりひとつ真剣に考えていい時期だと思うんですけれども、いかがですか。
  64. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在の電力事業は、九電力とそれから電源開発会社を基軸といたしまして運営されておるわけでありますが、現在までのところ、通産省といたしましては十分その仕事をしておると思います。使命を果たしておると考えております。ただ、御指摘のような問題点もございますので、統合は考えておりませんが、広域運営ということを今後積極的にひとつ考えていきたい、こういう点を十分研究をしていきたい、こう考えております。
  65. 竹田現照

    竹田現照君 最後の質問をしますが、いまお答えがあった広域運営、これはいろいろと言われていますけども、余り成果が上がってないようですが、電力の融通だけでなく、立地の問題、投資面、こういう問題も含めてその広域運営という問題について対処していくべきではないか、そういうふうに考えるのですけれども、この点はどうなのかお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今後は、いま御指摘のような点も十分配慮いたしまして広域運営問題を検討いたします。
  67. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案に対する本日の質問はこの程度にとどめ、これにて散会いたします    午後零時十分散会      —————・—————