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政府委員(
増田実君) 原子力
発電所につきましては、先ほど申し上げましたように、これの達成というものについてはいろいろ今後克服すべき
問題点があります。これらの
問題点というものを克服し、安全性の
確保、環境の保全というものに努めて、四千九百万キロワットというものを達成したいというふうに考えております。
それで、
先生からお話しありました四千九百万キロワットというものが、
電力で二五%、また、総エネルギーの中で九・六%という地位を占めるわけでございますが、これを諸外国の現在の
電力発電所計画と比較いたしますと、アメリカが大体総エネルギーの中の一四%ということで、エネルギー自立計画を発表いたしております。日本の九・六%に対しまして、アメリカのように資源が豊富な国でも一四%を計画いたしております。それからまた西独が大体一五%、それからフランスが二五%。これは、フランスは新しい
発電所はもう全部原子力
発電所でやろうということでエネルギー政策を立てています。ただ、これにつきましても、
先生御高承のように、各国で原子力
発電所の安全性については、いろいろ問題が地域住民の反対その他で出ておるわけでございます。ただ、私が申し上げたかったのは、日本の四千九百万キロワットというエネルギー計画、私
どもの方で立て、これを総合エネルギー調査会の答申ということでいただいております計画は、決して諸外国に比べて過大なものではないということを申し上げたかったわけでございます。
それからまた、ただいま御
指摘のありましたように、核燃料サイクルの点から、日本において原子力
発電というものはなかなかむずかしいんではないかという点の御
指摘がございました。ウラン燃料の
確保、濃縮の
確保、また、先ほ
ども申し上げました使用済み核燃料の再処理
設備の
建設、それからいろいろ出ます廃棄物をどういうように処理するかという、いわゆる核燃料サイクルというものが日本において確立されてない、そのために原子力
発電をする基盤がないんではないかという御批判があります。それから、先ほど
先生から言われました新聞記事として、むしろ原子力
発電というものから目を移して、ほかのエネルギーというものに努めるべきではないかという議論もございます。
ただ、この総合エネルギー計画につきまして、私
どもは、やはり第一には国産のエネルギーというものを活用すべきだということで、石炭あるいは地熱それから水力の開発というものにつきまして、これは最大限見込むという政策をとりまして、その
不足分を原子力
発電でできるだけ埋める、そしてその結果として、日本が先進国の中の最大の石油依存率になっておるわけでございますが、その石油依存率を減らして、エネルギーの
安定供給、また、エネルギーの多様化というものを図りまして、
経済の安定的な発展の
確保を図りたい、こういうことで考えたわけでございまして、いま申し上げましたようなことから、この四千九百キロワットというものにつきまして再検討し、むしろ原子力
発電の比率というものを低めるということは私
どもは考えておりません。やはり四千九百万キロワット、非常に困難があります、これに克服すべきいろいろな問題がありますが、少なくとも総エネルギーの九・六%というものを原子力
発電で維持いたしたいというふうに考えております。
原子力
発電につきましては、一方におきましては安全性の問題、環境の問題というのがございますが、他方におきましては、その
経済効率の問題、これはもちろん先ほど
先生から御
指摘のありました操業率、稼働率というような
関係がございます。またこれ以外に、原子力
発電所というのは、一回動かしますと、燃料棒の取りかえというものは一年に三分の一をかえるわけでございますから、いわゆる石油の備蓄をいたしますと同じような効果があるということから、それらの点から言いましても、
経済の安全保障にとっても役立つわけでございます。
以上、いろいろ申し上げましたが、原子力
発電につきましては、一番初めに申し上げましたように、安全性の
確保、環境の保全というものを行いまして、国民
一般の信頼、御協力によって達成いたしたいというふうに考えております。