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国務大臣(福田赳夫君) 最近の
経済の
状況、また、それに対する
施策の取り進め方、そういうことにつきましてはもう本
会議の
経済演説でも申し上げておるわけでございます。が、その後時間がたっておりますので重ねて申し上げたいのでありますが、基調といたしましては、
経済情勢も、また、それに対する
対策、対処の方針も変わるところはございません。
つまり、
経済活動の面から見ますと、昨年の暮れぐらいからようやく
停滞を脱しまして、
輸出がかなりふえる、これはもうかなりのふえでございます。それから個人の消費が着実に伸びておるわけでございます。それから設備投資がようやく底をついた、こういう段階になってきております。それら
経済各部面の動きを受けまして生産がふえてきた。暮れ、十二月には〇・八、前月に比べてふえております。それから一月になりますと、暮れに比べましてまた二%ふえる。それから二月はさらに一月に比べまして二・三%ふえる。三月は二月に比べましてまた一・九%ふえる。生産の伸びは非常に活発になってきておるわけです。そういう状態を受けまして
雇用の
情勢も大変
改善をされてきておるのであります。特に時間外労働なんというのは大幅な伸びを示すというような状態でございます。
そういう状態でありますので、いまマクロ、ミクロの乖離という問題が論ぜられておりますけれども、その根本には
企業操業度の上昇不足、こういう問題であったんですが、
企業操業度も着実に伸びてまいりまして、昨年の三月の時点では七七ポイントでありました製造業稼働率指数もすでに二月におきましては八六・四%と、こういうふうに
改善をされておるんです。
そういう状態で、さて、今後はどういうふうに推移するかということを考えてみますと、ようやく五十一年度
予算が
成立実施の段階に入ったわけであります。この
予算は御案内のように、かなり
景気対策を重視した
予算であります。特に
予算の中の
公共事業の伸びは、実質におきまして五十年度に比べて八%の伸びを超えるというようなものでございますので、これが
実施に移されるということになりますと、暮れから三月までのこの
景気回復の勢いというものはさらに加速をされるといいますか、
景気回復の基調を固めるのに役立つであろう、こういうふうに思っております。まあ
景気の方はやっと明るい展望ができた、こういう状態でございます。
さて、他方
物価の問題はどうかといいますと、昨年度はまあ一けた台と、こう申し上げましたが、結果的には三月の消費
物価、全国平均で八・八%と、かなりゆとりを持ちながら目標を達成したということになりました。四月につきましてはまだ東京区部しかわかっておりませんけれども、東京区部について見る限り、四月になりますとこれはややまた反騰しておる。これは一つは学校、学年が変わる時期でありますので、その時期には幼稚園だとかそういうところの授業料の引き上げ等が一部響いておりますが、主として寒冷気象に災いされまして野菜が不作であった。野菜が四月には三月に比べて三〇%暴騰をいたしたんです。これが主として響いているというので、そういう季節的要因で上昇を見ましたが、基調といたしましてはいささかも
変化はございません。私は、春闘の決着、そういうものの推移等を見まして、五十一年度の
物価、これは八%を目標とすると、こういうふうに申し上げておりますが、これは着実にその目標を実現し得る、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから、卸売
物価につきましては、ここ四、五カ月続いてやや高目の上昇が続いておるんです。これは一番大きな原因は、昨年安定をしておりました国際
物価ですね、これがまた上がってきた。その
影響、それからもう一つは通産省の減産
指導、これがまた一部
影響をする。その他若干の要因がありますが、とにかく、いままで非常に静かだった卸売
物価がここで頭を持ち上げ出したという観があるんですが、私は、この卸売
物価の今日のそういう状態は、これは
景気がただいま申し上げましたような
回復期に入った、その
回復期への転換の摩擦現象である、こういうふうにとらえておるわけでありまして、決して心配はいたしておりません。しかし、卸売
物価の帰趨ということは、
わが国経済ことに対外競争上重要な問題でありますので、注視してまいる、つまり警戒はいたします。しかし、心配はいたしておらぬというのが率直の考え方でございます。ですから、
物価も
景気もというのはなかなかむずかしい問題ですが、まあまあ大体私はいい線をいっているのじゃないか、そういうふうに見ております。
そこで、そういう基調をとらえまして、五十一年度を初年度とする
長期展望をしてみる必要がある。かねがね皆さんに申し上げたところでございますが、暮れに五十年代前期五カ年計画というものが策定されたわけでありますが、それをもとといたしまして、明日
経済審議会総会が開かれまして、五十年代前期五カ年計画の答申が
政府に対して行われるということになってきたわけであります。この答申を基礎にいたしまして、これからの
長期的な
経済運営が誤りなく
運営されていくように今後とも十分配慮してまいりたい、かように考える次第でございます。
常日ごろ大変御教示にあずかりまして、こういう非常に重要な段階でございますので、何とぞ、今後もよろしくお願いします。
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