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柄谷道一君 時間がありませんので、私は指摘だけにとどめたいと思いますが、今日までの各
委員からの質問の中にも含まれておりましたように、今日までいろいろ当
委員会で
審議いたしてまいりました問題の中で、妻の
年金権につきましても
加給年金額を
引き上げたことと、
寡婦加給
年金制度の
創設によって肩がわりはされておりますけれども、妻の
年金権はこれで解決されたという問題ではないと思います。さらに、五人
未満事業所に対する適用拡大、スライド制の
改善、労使
負担比率の改革、積立金の管理・運用、
老齢年金の非課税問題、業務処理体制の整備問題、国庫
負担の拡充問題などはいずれも今回の
改正から見送られているわけであります。ぜひこれらの問題について引き続き今日までの当
委員会の
審議経過を十分踏まえて次回改革の際に盛り込んでもらいたい。あわせまして、その検討の中で
年金ポイント制、現在の
年金の計算方法は非常に複雑でわかりにくいという不評、風評がもっぱらでございますから、これらの
年金ポイント制の採用についても検討の項目に入れていただきたい。さらに、
老齢年金、
障害年金等は受給開始時期主義をとっております。したがいまして、
障害を受けた者、
老齢年金の受給を受けている者が結婚をしても、子供が生まれても、——
老齢年金受給者には子供が生まれることはないと思いますが、再婚しても
年金額はふえない。逆に死んでしまえば即刻条件が
変動したとしてそれは打ち切られてしまう。それでは老人には一人寂しく再婚せずに生きよということかと、こういう切実な訴えが私の方にも参っておりますので、
審議会等でこれらも検討の中にぜひ加えていただきたい。時間の関係で問題の指摘だけにこれはとどめておきたいと思います。
次は
国民年金でございますが、私は前回の五万円
年金改定の際は
厚生年金と同一水準にするということが一つ前提となっておりました。しかし、今回の十万円
年金についてはその前提が外されております。これはいろいろ分析をいたしますと、付加
年金の
充実改善が今回の
改正で見送られているというところに最大の
理由があるのではないかと、こう思うわけであります。今回の
改正は私はやむを得ないと思いますけれども、
給付水準の
引き上げにつきまして、たとえば所得比例制、所得別段階制、低所得者に対する
特別措置という方法も検討に値する一つの方法であろうと思うんです。これらを含めまして各種
年金を横断する水準の基準というものを明確にしつつ総体的な
引き上げを図っていくためにはひとつこれはぜひ真剣に検討すべき問題であろうと思います。
さらに、
福祉年金の
引き上げ額千五百円も余りにも低額過ぎるのではないか、このように感ずるのであります。ナショナルミニマムの検討ともあわせこれらの
国民年金と
福祉年金についても同様並行した抜本
改正のメスが入れられることを強く求めまして、時間の関係から健保に移りたいと思います。
医療保険の抜本
改正の声が上がってからすでに久しいものがあります。特に
昭和四十六年には、私も当時
審議会の
委員でございましたが、
社会保険
審議会で五十五回に及ぶ検討を経まして、
医療保険の根本的
改正についての答申を大臣にいたしております。また、
制度審も
医療保険制度の改革についての答申を同年行っております。また、昨年十二月二十三日、
社会保険
審議会の健保問題等懇談会もその意見書の中で緊急提言の前提としての抜本
改正の必要性を強調しているのであります。しかし、今回の
改正案は二月九日の保険審で保険審答申、同十二日の
制度審答申の中でも指摘されておりますように、依然として
財政対策中心でございまして、抜本
改正というものにつきましては遺憾ながらその取り組む姿勢が怠っていると指摘せざるを得ない
提案であります。まことに私としては残念であります。
そこで、大臣として各種
審議会の答申を踏まえて、今後これら抜本
改正問題にどのような姿勢で取り組んでいこうとしておられるのかお伺いをいたします。