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1976-07-09 第77回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月九日(金曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  七月八日     辞任         補欠選任      中村 英男君     神沢  浄君      松本 英一君     鶴園 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         工藤 良平君     理 事                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 宮之原貞光君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君    委 員                 上田  稔君                 神沢  浄君                 辻  一彦君                 鶴園 哲夫君                 原田  立君                 柄谷 道一君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        国土政務次官   野中 英二君        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        国土庁長官官房        災害対策室長   山本 重三君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  秋山 雅保君        国税庁直税部所        得税課長     田口 和巳君        厚生省社会局施        設課長      水田  努君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        農林省農林経済        局保険管理課長  市川 博昭君        農林省農林経済        局保険業務課長  大塚 米次君        農林省構造改善        局建設部長    岡部 三郎君        林野庁指導部治        山課長      鈴木 郁雄君        水産庁次長    佐々木輝夫君        資源エネルギー        庁公益事業部火        力課長      伊藤 栄一君        気象庁長官    有住 直介君        気象庁予報部予        報課長      内田 英治君        建設大臣官房会        計課長      伊藤 晴朗君        建設省計画局宅        地開発課長    梶原  拓君        建設省河川局治        水課長      本間 俊朗君        建設省河川局開        発課長      佐々木才朗君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省河川局砂        防課長      中村 二郎君        建設省河川局傾        斜地保全課長   大工原 潮君        建設省道路局国        道第一課長    坂上義次郎君        建設省住宅局住        宅総務課長    吉田 公二君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        自治大臣官房参        事官       平岩 金一君        消防庁防災課長  永井 浤輔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和五十一年六月二十二日から二十六日まで  の梅雨前線豪雨による災害に関する件)  (火山及び地震対策に関する件)  (冷害及びひょう害問題に関する件)     —————————————
  2. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、松本英一君及び中村英男君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君及び神沢浄君が選任されました。     —————————————
  3. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、昭和五十一年六月二十二日から二十六日までの梅雨前線豪雨による被害について政府から報告を聴取いたします。野中国土政務次官
  4. 野中英二

    説明員野中英二君) 六月二十二日から二十六日までの梅雨前線豪雨による災害について御報告申し上げます。  六月二十二日から九州中心として西日本地方で断続的な大雨が降り、鹿児島県、宮崎県を初めとする各県に、がけ崩れ、河川はんらん等による被害が生じました。  これらの災害による被害状況は、現在までに判明したところによりますと、一般被害といたしましては、死者三十六名、建物の全半壊、流失百七十棟、床上浸水三百七十棟であります。  また、施設関係等被害額といたしましては、公共土木施設関係約四百二十三億円、農林水産業関係約二百七十五億円、その他の被害を含めますと総額で約七百十八億円に上っております。  この災害に対してとった措置といたしましては、災害発生と同時に、一県四十九市町村災害対策本部を設置し、消防、警察、自衛隊等により被害拡大防止並びに被災者の救出に努めるとともに、被害の特に大きい鹿児島垂水市には災害救助法適用し、応急救助救護活動を行いました。  一方、政府といたしましては、私国土政務次官を団長とする調査団を六月二十九日及び三十日に鹿児島県に派遣し、被災地実情調査に当たるとともに、関係省庁においては災害発生後、直ちに関係係官現地に派遣し、被害調査及び応急措置指導に当たりました。  なお、今後とも被害調査に基づいて被災者及び被災地方公共団体災害復興に必要な万全の措置を講じてまいる所存であります。   〔委員長退席理事古賀雷四郎君着席〕
  5. 古賀雷四郎

    理事古賀雷四郎君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まず、昨日、本委員会におきまして桜島噴火地帯実情調査にかかわりますところの報告があったわけでございますが、それらの問題点について若干お聞きをいたしておきたいと思います。  第一点は避難施設緊急整備事業適用地関連をしてであります。  私どもが参りました際にも現地の方から強い要望があったわけでありますが、垂水市の牛根麓地区地域外にされておるということについて、ぜひともこの避難施設緊急整備事業適用地にしてもらいたいという強い要請があったわけであります。政府皆さんも御承知のように、同地区桜島とは熔岩寄り地続きで大体百メートルぐらいしか離れておらないところです。それで国道二百二十号線が通っておるところの地域でございまして、噴火のたびに噴石が落ち、学童がけがをしたという事件、あるいはまた、その国道筋を通っておるところの車がこの噴石のためにいろいろ破損著しかったという点が再々の事態として起きておるわけでございますが、これを私ども現地実情を見る中からも、これは適用地域にすべきだという感を強くしたわけでございますけれども、この点に関します政府側のお考えをまず聞いてまいりたいと思います。
  7. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) ただいま御指摘いただきました件につきましては、鹿児島県とよく相談いたしまして検討さしていただきたいと、かように思っております。
  8. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういう形式的な答弁やめてもらいたいんですよ。県はおたくの方がいいと言うならいつでも申請するんですよ、これは。答弁はよく相談さしてもらいたいという、何回かおたくの方にあるんですよ。  それならお尋ねしますがね、県の方からその申請があれば認めてくれますか、どうですか。
  9. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そういう方向に向かって努力さしていただきたいと、かように思っております。
  10. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 方向に向かっててね、これはたてまえとしては知事申請があれば中央防災会議で決めるんでしょう。防災会議はおたくの方で主宰されるわけなんですからね。これはもう常識で考えても、これは次官なども水害のときにも行かれたんだけれども、もう小っちゃな水を隔ててすぐなんですよ。それを桜島の区域の内でないということで、とりあえずは除外されたということで、当日私ども調査団が行ったときさえ、どうして除外されているかわからないというぐらいの、みんな不思議なあれだったんですよ。県当局も頭を抱えておりましたけれどもね。皆さんが、やっぱり県の方から申請があれば、これについては善処をするというお約束があれば、この問題、一気に解決するんですよ。この種のものは、そう慎重に検討する必要ないじゃないですか。災害に関するところの問題あたりは、いいと思えば即断をしていただくことが現地皆さん要望にこたえる道じゃないでしょうかね。どうですか、もう一度はっきりおっしゃってくださいよ。
  11. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そういうふうな意味で善処さしていただきたいと思います。
  12. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、申請があれば、このことについては、大体関係当局としては異議ないものだと理解してよろしゅうございますね。
  13. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そのとおりでございます。
  14. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次に、これともう一つあるんですが、実は防災営農施設整備事業の問題と関連をしてですが、私ども参りました際に宮崎県の串間市に行ったんです。ところが、御承知のようにあそこは五十キロぐらい直線距離で離れておるところでございますけれども、大体鹿児島の噴煙が九月から翌年の四月ごろにかけてまでは大隅地区からあの辺にずっとおりておるという風向きの関係上、非常にやはり降灰のために特に桑畑あたりはひどい災害を受けておるわけなんです。そういうようなことから、当市の市長を初め関係者はぜひとも適用地域にしてもらいたい、これまた強い要請があるんです。それで何回かいままでは関係筋には要請書を出しましたという話でしたから、おたくの方は国会筋にも出したことがありますかと、いやありませんというから、国会筋にも出してください、こういう要請をしたんですが、この間の向こうの市長説明では、それぞれの所管庁ともいろいろヒヤリング、その他をやっておるという話で、私どもは若干めどがついておるのではないだろうかと思いますが、これまたやはり早急に、これは法案の趣旨からいたしましても適切だと思いますので、前回の垂水の問題じゃございませんけれども、当然私ども調査団としてはそれはそうだという気持ちで話を聞いたのが皆の気持ちだったし、昨日もまた上條先生報告にもそれがあったわけなんですがね、この点についていかがでしょう。
  15. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 手続的なことを申し上げて恐縮でございますが、活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律第八条、これに基づきまして都道府県知事があらかじめ関係市町村長それから関係農業団体等意見を聞いてつくりましたところの防災営農施設整備計画、これを農林大臣に提出してその承認を求めるという手続によって対象地域拡大を図ることができるわけでございます。現在までのところ、鹿児島とか熊本におきましては従来からそういう計画が出て何遍もその一部の手直しを行うというような手続がとられてまいっておりますが、宮崎県につきましてはいままでのところは出されておりませんでした。しかし先生お話しのように、宮崎県の南部の一部の地域では桜島降灰被害があるということなので、最近、県においてもそういう計画を出したい、承認を求めたいという意向があると聞いております。そこで現在、熊本にあります九州農政局におきまして県そのほかの意向をヒヤリングしているところでございます。近く今月の下旬にも、私ども本省の方にもその関係書類が提出されるというようにも聞いておりますので、ここでまだ処理を見ないうちから当然対象地域にいたしますというお約束をするわけにはまいりませんが、被害があって実態まさに適用すべきであるという判断が出るならば、当然対象地域にするということで検討さしていただきたいというふうに思っております。
  16. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 手続のことはよくわかっておるんですよ。ただ、やはりそれぞれの地方実態は大体脈があるのかどうかということを何回か打診するものですよ、常識的には。それで大体いけると思った場合に初めて書類が整うというのが慣例でしょうが。それを書類が来ないから云々とこうおっしゃらないで、事災害やこういうような問題は特にこれは皆さんも適切だと思っておられぬと思うんですよ。したがって、県も内々もうこのことについては準備を進めておりますからね。だから私は先ほどのやっぱり垂水地区同様の皆さんの回答を期待したいんですが、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  17. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 当然そういう理解でおります。現地から書類が上がってくるというなりには、それなりに実態を踏まえて農政局判断を持って上げてくるというふうに私ども当然理解いたしております。
  18. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だからその判断は、大体先ほどお答えいただいた垂水地区と同じような形に結果的にはなるものとそういうように私は理解をしたいのですが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  19. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) まだ実は関係市町村といいますか、対象地域をどこどこにするというような具体的な関係市町村の名前まで聞いているわけではございません。実態的には多分先生のおっしゃるようなことになろうかと思いますが、いまここでもって私がはっきりと、上がってくるものは全部フリーパスですというような言い方では申し上げられないのは残念でございますが、実態に沿うように十分努力いたしたいと思います。
  20. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 くどいようですが、私は上がってくるものはみんなフリーパスにせいと言っておるんじゃないんです。現に見た串間のこの地区というものは、これは現実の問題として相当の被害を受けているのは私ども目の当たりに見ております。養蚕の面ではすでに適用を受けているところの鹿児島県の国分市の場合と全く同じなんですよ、これは。ちょっと距離が違う、県が違うというだけの話でございましてね。こういうことについては御異議ないでしょうとこう申し上げているんです、現実の問題として。
  21. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 先生のおっしゃるとおりに被害があるなら、私は当然対象地域になると考えております。
  22. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次にもう一つお伺いをしたいんですが、実は果樹共済の問題なんですが、これは御承知のように、同法の施行令によりますとビワ除外をされているわけなんです。しかし桜島周辺では、このビワというのは長崎ビワとともにここは産地でございます。特にこの垂水あたりビワの県下の生産の六〇%がこの垂水市の周辺でつくられておるという状態なんです。したがって、この問題が、いわゆる降灰によるところの被害が、たとえば昨年は七千五百万円前後、百五十トン前後がこの被害によって減産を見たという実態があるわけでございまして、当地区あるいは桜島地区皆さんが、ぜひともやはりこれを果樹共済の中に加えてもらいたいという声がきわめて強いんです。これは共済というシステムでございますから、いろいろ条件があることは私ども承知はいたしておりますけれども、ただ、あそこであるところのミカンはあるのにビワだけは除外をされておるということでは現地の諸君から見れば理解できないという、私もビワがなぜ除外をされておるかもお聞きいたしたいんですけれども、ぜひともやはり、この問題を指定果樹にしてもらいたいという強い要請があるんですがね。この点に関しますところの皆さん方のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 市川博昭

    説明員市川博昭君) お答え申し上げます。  果樹共済につきましては四十八年から本格実施に入っております。そして、果振法の対象果樹果樹共済指定対象にしていこうということで、先生承知のように、われわれ保険設計に必要な被害率等調査それから保険需要等調査いたしまして、準備が整い次第対象果樹として追加する方針でまいっております。五十年にはカキ、栗と指定柑橘を加えたわけでございます。したがいまして、果振法の対象果樹で残っておりますのは梅、ビワ、桜桃それからパイナップルでございます。われわれやはり果振法の対象果樹でございますので、準備が整い次第、やはり追加してまいりたいと思っておりますが、これらの果樹につきましては、一般的に園地化率が低いとか、また隔年結果が大きいと。このことは保険設計から申しますと、基準収穫量がなかなか設定しにくいようなことがございます。  それから御承知のように、被害発生態様なんかもかなり複雑でございます。われわれいままでずっと基礎調査をやってまいりましたが、ことしさらにこうした問題点を踏まえまして、実は補完調査を現在着手しておるところでございます。したがいまして、この補完調査の結果並びに共済需要を確かめながら、準備が整い次第対象果樹に追加してまいりたいと、こう思っております。
  24. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 御努力はわかるんですがね。準備のでき次第ということですが、大体これは時間的に言えばどれくらいかかるものですか、その準備、いろんな問題点がはっきりするまでには。
  25. 市川博昭

    説明員市川博昭君) 被害率調査につきましてはかなりの長期のデータが要るわけでございますが、ビワについてはもうすでにわれわれ四十五年から調査を始めております。ただ、御承知のように、カキと栗、指定柑橘につきましては同じように調査を始めたわけでございますが、準備が整ったということで五十年に指定したわけでございます。残っておりますこのビワまた梅につきましては、先ほど申しましたような問題点がございます。したがって、私ども本年中にこの調査を行いまして、この問題点の究明を行いまして、そして、その結果を待って——また実は保険需要も実は確かめております。ところが、一番大きな産地長崎でその他千葉等がございますが、まだ長崎その他千葉におきましては、どうも基礎調査の結果、非常に保険設計を組むにはまだ難点があるというようなお話もございます。私どもその点も含めまして、いま調査をやっておるところでございます。調査結果を待ちまして、できるだけ早く指定にこぎつけたいと思っております。
  26. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう少しお聞かせ願いたいんですが、千葉長崎の方の保険事情として、大体希望するのかどうか、あるいはそのそろばんが合うのかどうかといういろんな問題もいろいろお調べになっておると思うんですが、これはあれなんですか、そういうところあたりも同じ歩調をそろえなければ、鹿児島だけそのビワのうちの中で指定をするというわけにはいかぬのですか、どうですか。あれは何か一つ連合会単位になっておるんじゃないですか。そこらあたり、どうなっておりますか。
  27. 市川博昭

    説明員市川博昭君) 現在の果樹共済全国危険分散をするということで、国が再保険措置をとっております。したがいまして、これまで果樹共済対象になってまいりました果樹は、いずれもかなり全国で栽培されているものが多いわけでございます。で、現在まで九果樹指定しておりますが、この九果樹でほぼ現在の果樹栽培面積の九五%を占めておるわけでございます。したがって残っております梅にしましても、ビワにいたしましても、サクランボにいたしましても、かなり地方的な果樹でございます。特にビワにつきましては長崎鹿児島が大半を占めるわけでございます。それで、われわれこうしたものを新しくやはり追加する場合に、できるだけやはり全国危険分散をするという方向で進んでまいりたいのでございますので、やはり長崎あたりと一緒にこの果樹共済に入るような保険需要がございますと非常に好都合でございます。ところが現在のところ、まだ日本一の産地でございます長崎におきましては、こうした保険設計上まだ問題もありますし、現地におきましてもまだまだ保険需要が足りないというような事情があるようでございます。
  28. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういたしますと、長崎が動かないから鹿児島の方も仕方がないというかっこうになりますわね、いまの御答弁をお聞きいたしておりますと。長崎の方がある程度燃えてこなければ、鹿児島から幾ら強い要求があってもこの問題についてはなかなかというかっこうにしかなりやしませんか、いまの御答弁を聞くと。ただ、長崎がそうだから、やはり全国的ないろいろな視野の中から長崎の方を積極的に指導するなら指導して、それでやはり歩調をそろえるようにして、できるだけ現地要望に沿うようにやられるのか。それとも長崎待ちなのか。そこらあたりを少しお聞かせ願いたいんですよ。
  29. 市川博昭

    説明員市川博昭君) 私どもといたしましては、やはりビワ指定する際には主産県においても歩調をそろえるのが一番望ましい姿でございます。その意味におきまして、先生おっしゃるように、まだ長崎鹿児島を比べますと燃え方が少し違います。しかしわれわれ、先ほど申し上げましたようにいろいろ問題点がございますが、その問題点をやはり早く究明し解決するために、実は長崎にも調査をお願いしております。そして、そうした調査結果を待って、しかももちろん保険でございますから需要の動向も勘案するわけでございますが、できるだけやはりわれわれ果振法の対象果樹は早く果樹共済対象にしたい、こう思って努力しているところでございます。
  30. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぜひともひとつ積極的に長崎関係者にも働きかけて、その最後におっしゃったところの、早急に実現をするという努力をしてもらいたいと思います。来年のいまごろになってまた同じことの答弁にならぬようにひとつ頼みますよね、それは。  続いて、もう一つでございますが、たしかこの防災営農施設整備事業は五十二年度で一応終わりという形にいまのところなっておりますですね。これはきのうも私ども参考人皆さんからこの桜島の爆発によるいろんなお話を聞いたんですが、とても二、三年で終わる話じゃない、いわゆる山頂噴火にいたしましても。そういたしますと、相当やはり降灰という事態はここ当分の間続くものだという、きのうは参考人皆さん意見を聞きながら感じたんですがね。そこで、五十二年度で終わりだというかっこうになると、これは身もふたもない話になっちゃうんですね、率直に申し上げて。五十三年度以降もこれはやはり継続をしてもらいたい、こういう強い現地要求があるんですがね。これは私どももそれは妥当だと思うんですがね。その点どうなんですか。
  31. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 私ども先生のように、全くこれについては延長することが必要であろうというふうに考えております。
  32. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もともとこの法案議員立法ですからね。ですから、私もこれをつくったときに参画したことがあるだけに、皆さんの方では、これはもうそういうような方向にあってほしいと、こういう気持ちは私どもとやっぱり一致するものだと、こういうふうに、まあ理解しておいてよろしゅうございますね。
  33. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 結構でございます。
  34. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ続いて、先ほど政務次官の方から御報告いただきましたところの梅雨前線によるところの水害の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、先ほど御報告いだだきましたところの被害総額ですね、七月現在の。これの先ほどのお話によりますと、七百十七億五千五百八十七万という、人命を含めましてきわめて大変な損害を受けておるようでありますが、これは確かに報告によりますと四県にまたがるところの問題でございますけれども中心は何といってもまあ鹿児島であったんですが、この中の金額の中で鹿児島は大体どれくらいの金額を占めておりましょうかね。詳細なものは要りませんから。総額だけでよろしゅうございますから。
  35. 山本重三

    説明員山本重三君) 鹿児島県のいま申しました被害額に相応いたしますのは、これ毎日変わっておりますので、ほぼ二百数十億と考えていただきます。
  36. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 二百数十億といいますと、この報告のあったものの三分の一ですね、これ。そうすると、前の方の災害対策本部を置いてやっておるところの各県の状況をこう見ますと、なるほど宮崎、大分、熊本もそれぞれやっぱり被害は受けられておるようでありますが、この人命の損傷を含んで大変な被害を受けておるのは、これは常識的には鹿児島なんですけれども、けれども、この適用のこの町村の数からこう見て、鹿児島県がこのうちの三分の一というのはちょっと常識的に理解できないのですがね。じゃ県別にちょっとおっしゃってみてください、トータルを。
  37. 山本重三

    説明員山本重三君) 県別の被害額の内訳は、現在のところちょっといま手元に資料ございません。私ども特に鹿児島県について被害が大幅に出ましたので、特に鹿児島県に照会いたしましてとりました数字が先ほど申しました二百三十億です。私どもの七月二十日現在の数字を出しましたときに二百三十億ということです。ほかの県の被害額は詳細まだわかっておりません。
  38. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しかし、ちょっとけったいじゃないですか。おたくの方の対策調査室としてはこういう数字で七百幾らとこう出しておいて、鹿児島は二百三十億ですけれどもほかの県はわかりませんというね、じゃ、この数字はどこから集めてこうなったのですか。だから、私が言っておるのは、公共土木費がどうだどうだと、明細は要らないと。しかしながら、その災害対策本部を置いてやった県は少なくとも四つでしょう、これ。県は鹿児島だけだけれども、町村はね。そうすりゃ当然この災害被害というのはこの四つの県が中心になると判断されるでしょう。そうすると、しかもその大部分がわれわれ常識的に考えりゃ鹿児島だと思えるのに、七百十七億のうちの約三分の一というのは素人でも理解できないので、これね、やっぱり大まかな基礎というのがあるはずなんだからね。それはわかりませんということはないでしょう。
  39. 山本重三

    説明員山本重三君) 私どもが、先ほど政務次官から御報告申し上げました数字は、関係各省庁から、たとえば公共土木施設関係被害とか、農林水産業関係被害とか、文教施設関係被害とか、施設別に報告を受けました額の総額を集計して御報告を申し上げたわけで、公共団体から直接の報告はそれぞれ各関係各省に出てきております。したがいまして、やがて各公共団体別の被害額調査しなければなりませんが、現在まだ調査中でございますので、公共団体別の詳細な被害額についてはまだ私どもの手元では集計しておらないという実情でございます。
  40. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならお尋ねしますが、そういたしますと、激甚災害法を適用する場合は一体どうなるんですか。この法のたてまえからやっぱり県単位額になっていくんでしょう、年間を通しての。そうすると、おたくの話ではまだ事業別の、関係別の集計しかできておらないということになると、こういうものに対するところの取り組みは一体どうなっていくんですか。
  41. 山本重三

    説明員山本重三君) 激甚災害指定基準は、公共土木施設関係とか、あるいは農林水産業関係とか、やはり施設別に全国被害額に対応する基準がございます。したがいまして、私どもといたしましては、いわゆる全国激甚の指定ができるかどうかというのは、まず全国のこういった施設なり物の被害、基準に対応した被害の概要をまずつかむという形で処理をいたしております。したがいまして、あと公共団体別に局地激甚の指定基準ございますが、これはたとえば公共施設関係であるとか、あるいは農林水産関係であるとかございますけれども、これはかなり細かい災害復旧の査定額が確定した段階で決定するということになりますので、査定の作業が進んでからだんだんその対応の仕方が決まってくるということで、とりあえずは全国激甚の指定が当面可能かどうかという意味では、先ほど申しましたように、各省庁から受けます施設別なり、あるいは農林関係で言えば農林水産関係被害ですね、そういったものを把握することによって対応の仕方を判断するということでございます。
  42. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ようわからぬのですがね。たとえば、いまあなたがおっしゃった中央防災会議で四十三年の十一月に決めた局地激甚災害指定基準ですね、これは確かにあなたがおっしゃったように、こういう公共事業とか農林水産がどうあったかという形で項目別にぽんとこうやることができるわけですよ、仕組みの中ではね。そういう立場からこれは調べたというならわかるけれども、しかし、この激甚災害法の施行令の第一条をこう見ますと、あれじゃないですか、その県またはその市町村というものが単位になっていくんじゃないですか、違いますか。だから、そこにこの標準税収額の何分の一、百分の幾らだどうだという一つの基準があるんじゃないんですか。それ違いますか、どうですか。
  43. 山本重三

    説明員山本重三君) 施行令の一条の関係は、この法律の財政援助の適用を受ける公共団体を特定する場合の基準でございまして、まずその災害が激甚災害法に対応する激甚災害であるかどうか、まず災害を特定して、災害が特定された場合に、それに伴った被害についてこの法律の適用を受ける団体であるかどうか、これを決めますのが先ほど先生おっしゃいました施行令一条の特定地方公共団体の基準でございます。
  44. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはどうですか、当然いままで大体五百億前後がめどだと言われておるところの激甚災害一つの事象についての額から見れば、七百十七億というのは大体常識的には対象になり得るんじゃないんですか、この災害としては。どうですか、それは。
  45. 山本重三

    説明員山本重三君) 激甚災害指定基準は、先ほど私御説明申し上げましたように、公共土木施設関係の基準であるとか、あるいは農地、農業用施設関係の基準であるとか、それぞれございますが、特に、今回の中で被害額の大きい公共土木施設関係について申しますと、中央防災会議で決定いたしました基準の中で一番緩やかな基準は、全国の公共団体の標準税収入のおおむね一・二%に相当する額を超える災害である場合、こうなっております。今年の標準税収入はまだ確定しておりませんが、昨年の例で申しますと大体八兆円でございます。したがいまして、昨年の場合ですと八兆円の一・二%でございますから、九千二百億円を超えれば一応対象になるということになろうかと思います。ただ、これは査定見込み額でございますので、私どもいま現在生で受け取っておりますのは報告額でございますので、実際にはその報告額を具体的に査定した額ですね、査定、あるいは査定した場合に予想させる額を対象といたしますので、昨年の場合でございましても、ほぼ一千億を超えなければ激甚災害指定対象にならないということでございます。したがいまして……
  46. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、昨年の例から見れば、これはまだまだほど遠いというように考えられますね。どうなんですか、それ。
  47. 山本重三

    説明員山本重三君) いま私が公共土木施設関係について例を申しましたので、公共土木施設関係で一千億を超えなければ対象にならないということでございますが、現在報告を受けておりますのは四百数十億でございますので、まだ基準には相当足りないという状況であると思います。
  48. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 農林水産の方はどうですか。
  49. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 被害の額でございますが、総額でもって二百七十六億九千八百万円、これはいま国土庁の方からお話ありましたように、日々動いておりますので、七月八日現在の各県報告の数字でございます。  そのうち主なもの幾つか拾って申し上げますと、農地関係が三十七億九千万円、このうち鹿児島の分が十四億四千百万円でございます。それから農業用施設が百四十三億八千万円……
  50. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がありませんから詳しいやつはいいですから。
  51. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) わかりました。
  52. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま先ほどの公共土木事業みたいとやっぱり同じなんですか、どうですか。結論だけ言ってください。
  53. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 激甚災の問題に関しましてはいま計算をしているところでございますが
  54. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ここで出ているのは二百七十四億ですから。
  55. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) ただ、これは農地でありますとか、農業用施設、林道それから農林水産業共同利用施設でありますとか、そのほか物によりましてそれぞれ別に金額を出して、それぞれ激甚災の場合には、その採択基準に照らし合わせて算定をするということになっております。現在までのところ、いままでの報告被害額では激甚災の適用対象とするにはまだ届かないという状況でございます。   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
  56. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そこで、私は政務次官にお聞きしたいんですが、しかし、政務次官が六月二十九日に現地に行かれてとても景気のいい話をされておるんですよ。いま両方の話聞くととても激甚災害適用どころじゃないという話をされておって、おたくの方はあたかも実現するごとく早急に前向きに検討しますと言って花火上げておるんですよ。これは一体どういうことになりましょうか。だからきのう、ほかの問題米価で上がってきたところの農民関係者野中政務次官が行っていただいたのだからこれはもう絶対大丈夫です、こう言うから、じゃきょう私が確かめてみましょう、それはもう野中政務次官という、きわめて力のある方がいらっしゃったんだから間違いないんだろうけれども、いろいろ仕組みもあるんだから聞くのだがと、こういうような形できょうは傍聴者の皆さんもおるんですがね。一体そうなると、どうなりますか、これ。ちょっとお聞かせ願いたいんです。
  57. 野中英二

    説明員野中英二君) 過日災害地を回りまして被害の甚大なのに驚いたわけでございます。被害地区の住民の皆さん方のショックも大変大きかったと思うわけでございまして、できるだけこのことを前向きに検討いたしたい、こういうことを申し上げたことは事実でございます。御存じのとおり、梅雨前線が南下をいたしておりまして、まだ梅雨明けにならないわけでございます。したがいまして、今後の梅雨前線による災害がどれぐらいのトータルになるか、まだ確定いたしておりませんけれども、そういうものを見合わして、いま事務的なことは災対室長等からお話し申し上げました点等を考慮しつつ御期待に沿いたい、そういうふうな考え方で今後の災害も含めて考えておったわけでございます。
  58. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しかし、それは私は現地皆さんに対するおたくの記者会見とは違うと思うんですよ。もしそういうお話でしたらそれはもう大変な被害だと。しかし、激甚災というのは、やはり一つの一年を通しての、あるいは今後の状況を見なければわからない、よく検討してみましょうというなら話もわかりますけれども、とても景気のいい——ここに私記事を持っていますけれども——談話を発表されておる。皆さんは、農民の方々は米では非常に困るわ、農水の被害は受けるわ、とにかく何か救うところの道を教えてくれというくらいに切実な問題になっておるのですよ。特に垂水あたりは公共施設の問題でも現地から二十一億、農林関係でも一億何千万という災害を受けて、これは今後の問題になるでしょうけれども、局地の激甚災害の、市町村でも指定してもらえぬのだろうか、あるいはその中の部分的な問題でもしてもらえぬのだろうかというくらいな強い要求もあるくらいなんで、これは私は単なる新聞記者の政治的な答弁だというかっこうで済まされぬと思いますよ。もしこういうような形でまだ今後の推移残されておるとするならば、何らの方法でとにかくやっぱり拾い上げるところの努力は、あなたはやはり政治責任としてぼくはなすべきだと思うのですが、いかがなもんでしょうか。
  59. 野中英二

    説明員野中英二君) 御存じのとおり、私どもといたしましては特殊土壌法の延長の問題であるとか、あるいはまた激甚地指定の問題であるとか、こうしたことでおつくり申し上げたい、こういう気持ちでいっぱいであったわけでございます。全体の激甚地指定ということは別問題といたしましても、局地災害適用になる町村はあると私は確信をいたしておるわけでありまして、局地激甚災害に該当する市町村を速やかに決定をして、先生の御質問のとおり、地元の皆さん方の御期待に沿いたいというふうに考えております。
  60. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう少しあれしますが、御承知のように垂水市は災害救助法適用を受けているわけですね。鹿児島市の場合には当てはまらないで、県単で、県独自でやるということになっておりますけれども、少なくとも私は後からも実際がけ崩れの問題でも言おうと思っているんですがね、垂水の場合にはまさに踏んだり、けったりのかっこうになっているのですよ。先ほど私は桜島噴火の問題でも申し上げましたけれども、そういうところで被害を受けた上に今度の風水害でたんとこうやられておるわけです。ですから、いま政務次官がおっしゃったように、いわゆる局地の激甚災害地区にでも指定する方向皆さんがやっていただくということになれば、それでも一つの非常な希望を与えてくれると思いますがね。それはそういう方向努力をされておるというふうに政務次官の御答弁理解してよろしゅうございますか。
  61. 野中英二

    説明員野中英二君) よろしゅうございます。
  62. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、今度の災害を見てみますと、一概に天災とばかり言えない、いわゆる人災という感を非常に深くするわけでございます。  私は、以下具体的に関係官庁にお聞きをいたしたいと思いますが、一つは囎唹郡の松山町の例でございますが、これは御承知のように、高さ三十メートル上の方の広域農道が舗装されているやつが落ちてきて皮肉なことには人家をつぶしたというかっこうになっておる。だからその点から申し上げますれば、私は農道のつくり方に一つ問題があったんじゃないかと言わざるを得ないと思う。この点、これは農道ですから、一応農林省の担当でしょうが、どういう理解をされておりますかね。これを見てみますと、言うならば上の方の昔あったところの農道を拡大をした。そして下の方に人家がある。したがって、人家の方から擁壁をずっと積んでいって若干盛り土をして道をつくった。ところが雨が降ってきて、積んだところの擁壁のところだけが皮肉にも崩れて五名の生命を奪ったというこれは事例なんですね。そういたしますと、これは農道のつくり方自体、あるいはあり方という問題に問題点を私はやはり提起しておると思うんですが、そこらあたりはどういうふうに見ておられますか。
  63. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 六月二十二日からの梅雨前線豪雨によりまして、二十五日の九時ごろ、松山町河床地元におきましてがけ崩れがございました。それにより、上部にありました広域農道が約五十メートルほど被災をいたしたわけでございます。この広域農道は、四十六年度から鹿児島県営事業といたしまして着工したものでございまして、現在約六六%の工事が完了をいたしておるわけであります。この地域は特殊土壌の地帯でございまして、事業の実施に当たりましては、県において十分その路線並びに工法等は検討をいたした上で着工いたしたものでございますが、その一部に、御指摘のような災害があったということでございまして、この災害の原因につきましては、現在県におきまして学識経験者並びに農政局、あるいは県の技術者を含めた技術検討会を組織いたしまして、その原因並びに対策について検討中でございますので、農林省といたしましてはその報告を待って今後の対応策を慎重に検討してまいりたいと、かように考えております。
  64. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは技術者を集めての検討も結構ですがね、しかしやっぱり農道にそもそもの原因があったということは、これは否定できないでしょう。いかがですか。
  65. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 災害当時の現況がまだ余りはっきりわかっておりませんが、実は先週、私どもの方の担当の係長を現地に派遣をいたしまして状況を調べさしたわけでございますが、当時はまだ測量もできないというような状況でございまして、今週あたりから測量なり、あるいは地質調査なりを始めているような状況でございます。  ただ、目撃者の言によりますと、このがけ崩れは初め下方の、斜面の下の方の杉林がございますが、杉の生えている部分が先に崩れ落ちて、その後にその上部にあります道路の石積みが右の方からだんだん崩れていったというふうな証言もあるようでございますので、やはりその基盤の特殊土壌地帯の地質構造等が非常に複雑でございますので、その辺を十分に調査をいたしませんと原因等についてははっきりしないというふうに考えております。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは明確な写真もあるんです。おたく方に見てもらいたいのですが、上の方が農道なんです、これ。それで表土の方の五十センチ下の方からずっとシラスができているのですよ。これは新聞記事にも明確に書いてあるのです。割れた道路は厚さ三十センチのコンクリートで、その下に約五十センチのシラス層がずっとあると、こういうのですから、これは。杉林じゃないです、このうちを見てごらんなさい。ここが崩れているんですからね。これは技術検討委員会待たなければ物言えぬということだと、すでにこのシラスの上に——これは後から建設省にも聞きますけれども、つくるところのいろいろな道路の建設のあり方あるいは擁壁のつくり方あるいは上の方に御丁寧に道路までつくっておるんですから、そこにも問題があるということは、致命的な欠陥がどこにあるか別にして、あるということはこれは明白じゃございませんかね。それもやっぱり調査結果を待たなければわかりませんか。私はつくり方について今後改善をするためにはどうすればいいかで検討するというならわかりますよ。けれども、それは農道に原因があるんじゃないというのじゃちょっと理解できませんね。
  67. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 現地の状況は、地質状況といたしましては、御指摘のように下部にシラス層がございまして、その上にアカホヤと称する特殊土壌がかぶっておる地域でございまして、現在は全部崩れておるわけでございますので、杉林はございませんが、このアカホヤの地域には相当杉が生えておる。そこの部分が最初に崩れたというふうな現地の証言があるわけでございます。さらにそのアカホヤとシラスとの境目あたりに相当地下水が出た穴が現在あるようなことも発見されておりますので、その辺の事情をこれは専門の地質の方々も入れまして検討をいたした結果、今後の対策を考えたいというふうに考えております。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私が天災でなくて人災だと言う一つの要素はそこにあると思うんですよ。だから容易に農道は拡大をして舗装しさえすればいいと、どこにでも、というわけには私はやっぱり特殊土壌地帯では許されないと思う。この辺では通用するところの建設方法でも向こうではやっぱり通用しないという点をぼくは如実に示しておるんじゃないかと思ういますよ、それは。ぼくはそういう点を十二分に考慮して、再びやっぱりこういう誤ちが繰り返されないような立場から検討してもらわなければ困ると思うんですがね。まだ原因究明中ですではこれは失われた人命は浮かばれませんよ、率直に申し上げて。それだけ申し上げておきますよ。  次に、鹿児島市の宇宿町、鴨池町の問題について、これは建設省だと思いますけれども、私は宇宿町の高さ百メートルのシラスのがけが幅五十メートルにわたって落ちて十四人が生き埋めになって一人が死に八人が行方不明になったという宇宿町の例、あるいはまた裏山の高さ五十メートルのシラスのがけが二十メートルにわたって崩れてアパートが直撃を受けて四名の学生を含めて死んだというこの事件ですね。これは私は明らかに宅地造成に問題があると思うんですがね、宅地造成に。したがって、現在の宅地造成等規制法から見て、私は行政指導上に問題があったんじゃないかと思うんですがね。この点どういうふうに見ておられますか。——これは建設省でしょう。
  69. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) お答えします。  鹿児島のシラス地帯につきましては、御案内のとおり昭和四十四年の六月に原良団地等で大きな災害がございました。これを教訓にいたしまして行政指導の強化等図っておる次第でございますが、特に毎年梅雨期の前には私ども計画局長名で各都道府県知事あてに宅造工事の点検あるいは改善措置あるいは応急工事を適切にとるように指導をしてまいりました。本年も五月十八日付でそのような趣旨の通達をしておったわけでございますが、たまたま鹿児島市でこのたびのような災害が二十五日に起こりました。私の方では宅地開発課の担当の課長補佐並びに担当官を翌二十六日に現地に派遣いたしまして、関係県当局の方とともに第一回の現地調査に入ったわけでございます。そこで、四カ所の被災個所、先ほど先生がおっしゃいました宇宿町それから鴨池町を含む四カ所につきましてとりあえずの調査並びに応急措置をとったわけでございますが、とりあえずはビニールシートをかぶせる等、再度災害の防止を図りますとともに、当面の原因調査等を指示しておるわけでございます。そのうち宇宿町につきましては、人工的にこのがけに手を加えた経緯がございまして、行政指導をした実績がございます。それから鴨池町につきましては、どうもそのがけにつきましては人工を加えてないというようなことでございまして、その辺の事情につきましては現在県当局に詳細調査をお願いしておるところでございまして、その結果はまだ参ってございません。  このシラス土壌につきましては非常にまあ土木技術的にもむずかしい問題がございまして、昭和三十九年以降日本建築学会あるいは土質工学会等におきまして専門的な検討をしていただいておりまして、その成果を鹿児島県に設置されてございます宅地造成等審議会の場で検討されて、具体の宅造工事の指導あるいは改善命令の実施の上でその成果を反映しておるという次第でございます。  今回の被災個所の問題でございますけれども、果たして人工的な要因が今回の被害の原因であるかどうかにつきましてはさらに調査を要するかと思いますけれども、今回の降雨量につきましても、先ほど申し上げました昭和四十四年の原良団地災害を上回ります日降雨量が出ております。そういった異常災害ということもございますので、そういった点を含めまして現在県当局でも調査しておる次第でございます。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 質問に的確に答えてくださいね。それぞれ私ども持ち時間持ってますからね。長々答弁されたって困るんですよ、これ。私がお聞きしておるのは、どういう事後処置をやりましたかということを聞いておるんじゃないんですよ、ビニールをかぶせたかどうかということを。調査に行ったなら、どこにやっぱり問題点があったかということを皆さんは把握して帰られましたかと聞いている。けれども、いまの答弁を聞いてみますと、それはまだ時間がかかるんだと、あるいは異常災害で当初考えられなかった事態だというふうにしか考えない。おたくの行政指導も、あるいは県や市の行政指導も宅地造成については手落ちがなかったような印象を与えるところの答弁なんですがね。本当にありませんでしたか。的確に答えてください。
  71. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) これは先ほど申し上げましたように、シラス土壌につきましては、専門的、技術的に非常にむずかしい問題がございます。今回のたとえば宇宿町につきましても人工的に加工したがけ、斜面以外のところにも相当の亀裂が入ってございます。そのがけの土質の構成がどうなっておるか、断層があるという考え方もございますし、その辺の現地の土質等の状況を的確に把握しない限り正確にはにわかに右左の判断はできないというふうに思っております。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは災害の起こるたんびに建設省の物の考えは、調査中でございます、どうでありますというかっこう一つも変わらぬじゃありませんか。とうとい人命は、あんた先ほどおっしゃったところの昭和四十四年の六月にも起きておる。あるいは四十六年にも起きておる。二、三年置きにずっと起きておる、同じようなシラス地帯の中で、宅地の造成の中で。初めて今度起きたなら異常災害云々ということで研究、検討しなきゃわかりませんと言えるけれども、もう数回も起きてきておるものを、まだ事件が起きて行って見て調査をします、調査中で原因はわかりませんと、一体こういうことで行政官庁としての私は役目なんかは勤まるかと思いますよ。疑問に思いますよ、率直に申し上げて。これは建設省だけの責任だとは言わない。もちろん宅地造成の問題については県も責任あるだろう。市もあるだろう。それを指導するのがあんた方じゃありませんか。ほんの一回じゃないんでしょうが。しかもとうとい人命が何十名と失われておる。それをいまのようなのんびりしたところの答弁で一体災害特別委員会におけるところの任務は勤まると思いますか、あんた方は。非常に私は問題感じますよ。きょうおたくの所管大臣がおらぬからぼくは日を改めて言いますけれども。それならお聞きしますけれども、いわゆる宅地造成等規制法の施行令によってちゃんと造成地域というのがありますわね、事前許可を受けるとかどうだとか。そういう点、この点これはどうでしたか、皆さん調べていって。そのとおり事前に許可を受けてやっておられましたか。どうですか。
  73. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 先ほど答弁の中でも少し触れましたけれども、この宇宿町の被災個所につきましては人工的にがけに手を加えた経過がございまして、この点につきましては詳細はまだ県の当局で調査をされておりましてわかりませんけれども、現段階でわかっておりますのは、このがけの上に三軒ございまして、その二軒の前面に四十九年六月に擁壁が設置されてございます。そこで市の消防当局の方で危険個所ではないかということで聴問あるいは改善命令の措置がなされております。なお、宅地造成等規制法の関係部局におきましても改善命令の措置をとっております。その辺の詳細につきましては、まだ県当局の方で調査いたしておりますので、私の方に報告を急ぐように言っておりますけれども、まだ参っておりません。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まことに官庁というのはのんびりしたところですね。あなた方は調査に行ったらそういう調査をするのが中央の監督官庁としての仕事じゃありませんか。法律のたてまえに沿ったところの、こわいところだったら、改善命令をおまえのところはいつやったんだ、あるいは無断で建築したのかどうかと、そういうのを調べるのがおたくの仕事じゃないんですか。それをただビニールをかぶせなさい、どうしなさいということで指導に行くのなら、それは現地の諸君でもできますよ。公費を使って行くんですから。これは現地の新聞でも明らか。私自身も伺いまして聞きましたけれども、たとえば宇宿町の場合は、これは施行令に定められたところの五百平米以上、盛り土一メートル、切り土二メートルの該当するところの場所なんですよ。当然これは造成地区として許可を受けなきゃならぬところなんだ。無許可でやっているんですよ、これは。これ明白なんですよ、無許可で。それをまだ県の方から連絡がありません、まだ調査中ですというそんなのんびりしたところの答弁で物事を決しられますか、あなた方は。何のためにそんな調査に行ったんですか。その点はどうだったんですか、それなら。
  75. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 先ほど申し上げましたように、私どもの担当官を派遣いたしましたのは災害の翌日の二十六日でございます。まだ、生命の危険といいますか、危険個所でございまして、県の当局にまだ入ってない段階でございまして一緒に初めて入ったわけでございます。そこである程度の話は聞いております。それから、それ以後にも電話連絡等によりまして一応聞いておりますけれども、果たして無許可であるかどうか等につきまして、公式にこの場で御返答を申し上げる、御報告申し上げるだけの県の正確な調査というものがまだ私の方に届いておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 国土庁の政務次官で行ったときには建設省から行きませんでした。  それならお聞きしますが、野中団長と一緒に行きませんでしたか、建設省からは。どうですか。行ったか行かないか聞かしてください。
  77. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 私の方の河川局等の関係者が参っております。
  78. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、いまおたくのものは建設関係だから自分たちは知らないと、こうおっしゃるわけですね。そこにもうすでに問題があるんですよ、これは。何のために政府調査団を派遣をするのか。少なくとも調査団を派遣するならば、いろんな被害のことも実態調査をすると同時に、問題点を的確に把握できるような官庁の配慮をやるというのが当然じゃありませんか。それを、自分のところは二十六日に行って野中団長のところと一緒に行かなかったから知らないということでは、これは私は行政の責任としてどうかと思いますよ。これは明確に現地の新聞にさえも出ているところのことなんですよ。私個人が聞いたことじゃない。もう天下に公にされていることなんです。だから、いわゆる十六条によるところの改善命令も一体何回出したのか、どうされているのか、それも知らない、わからないというような話では、これは一体どういう名目、使命を受けて皆さん行かれたのか私は疑問に思わざるを得ない。これは鹿児島現地被害者が聞いたら、大変な政治に対する不信感を持ちますよ。まあ、次の機会に明確にこの点を報告してもらいたい、それだけを申し上げておきます。  大体こういうようなところに対してのあなた方の行政の姿勢というのはきわめて私は消極的過ぎると思うんですよ、これは。これは今度の場合だけではないんですよ。たとえば本委員会でも問題になりましたけれども、四十八年七月の北九州の台風、同じく十月の十号台風によるところの北海道の室蘭地区のいろんな問題、そのときにも宅地造成の問題が委員会で大きな問題になったんですよ。山へ山へとずっと開発をしていく。一体そのままでいいか。行政指導の方は後手後手で、みんな次に次にという形でいっているところに非常な問題がある。しかも、災害が起きても一番の問題点となるところの問題をやってないで、ビニールをかぶせてまいりましたということだけで皆さんの目的が達したというのなら、これはもう話になりませんよ。  続いて聞きますが、この擁壁のつくり方の問題についても私はやっぱり問題があると思うんですが、皆さんはどういうふうに、調査の結果、それを結論として得ていますか。
  79. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 擁壁につきましては、この宇宿町の例で言いますと、先ほど申し上げましたように、四十六年の六月に設置されまして、市の消防当局が問題があるということで県の宅地造成規制担当局の方も調査いたしまして改善の命令を出しておる次第でございます。
  80. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どういう改善命令を出しました。調査をした結果をちょっと聞かしてください。
  81. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) それにつきましては、原状に復旧せいというような趣旨の文書の写しをいただいております。
  82. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私が聞いているのは、あの擁壁の工事自体にシラスに対するところの擁壁のつくり方として非常に問題があるんじゃないかということを、すでに現地の大学の工学部の皆さんでさえも指摘しておるんですよ。そういう問題について、皆さんはどうされておるんですかというんです。調査結果、結論を得ていますかね。ただ原状に復旧せいと言ったって、また同じものをやってみたって、これはさいの河原の石積みと同じですよ。これでは私は適切な行政指導とは言えぬと思いますが、いかがでしょうか。
  83. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) この点につきましては、先ほど申し上げましたけれども昭和三十九年以来、建築学会あるいは土質工学会等におきまして専門的検討をしていただきまして、その成果を鹿児島県に設置されております宅地造成等審議会の場で擁壁の設置の仕方等の検討の際にそれを具体的に反映させるということで措置しておるわけでございます。
  84. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 きわめて今の答弁には不満ですが、まだやかましく追及したい点がありますけれども、時間が来ておりますからこれ以上は言いませんけれども、端的に申し上げて、人命が失われて大変な災害を受けた。しかも、梅雨前線がまだ停滞をしている、あるいは何回来るかもしれない、災害が起こるかもしれないという事態の中で、そうのんびりしたような調査では困る。的確にやはり違法事項があるなら指摘をして、どんどん県なり市なりに皆さん方としては積極的にやっぱり指導をしてもらいたいと思うんですよ。その点だけを申し上げておきます。  それから、これも建設省の問題ですけれども、先ほど触れました垂水の牛根地区国道二百二十号線の問題ですね。あそこでも相当の山崩れがまた今度の場合ありました。これは、昨年の六月の大雨でもちょっと一キロぐらい離れたところで山崩れがあって七名の犠牲者が出たんですよ。事ほどさように、あそこは非常に問題が多いところの地域で、特殊土壌の上に、先ほども申し上げたように、噴火によるところの噴石というものがある。そういうようなことから、現地では、もうこの際、あの地区は思い切って若干のトンネルをつくったらどうだろうか、その方法の要望が非常に強いんですが、その点について皆さんとしては検討をしていただく用意がありますかどうですか、この問題について。検討してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  85. 坂上義次郎

    説明員坂上義次郎君) いま御指摘のとおり、あの個所は、特にシラスの中でもボラと言われる基礎で、大変悪いところでございますのでそういう事故が起こっておるわけでございますけれども、この個所につきましては、防災的な見地から防災対策の調査を五十一・年度から実施することにしております。そういたしまして、今年度は、航空写真によります地形、あるいはボーリング等による地質調査をいたしまして、その予備調査でございますが、これを行いまして、五十二年度以降に具体的な工法につきまして検討いたして、いま御指摘のありましたトンネルとか、その他のいろいろ道路のルートの選定の問題も含めまして、構造の問題も含めまして検討いたしたい、このように考えておるわけであります。
  86. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何回も同じ地域周辺で同じような災害が起こるというのは、この際やっぱり抜本的な方法、策を講じられた方がいいと思うんですが、いま調査中ということですからこれ以上申し上げませんけれども、早急にやっぱり変わった形のものを考えていただきたいということだけを御要請申し上げておきます。  ここで、まだあと一、二問ただしておきたい点があるんですが、実は、私は鹿児島の全県下のシラスの特殊土壌地帯の話について申し上げたんですが、先ほども指摘いたしましたように、ここ四、五年でも、雨のたびにとうとい人命が失われておるんですね、この全体地域で。これは国土庁の問題になると思いますけれども、四十四年の六月に四十三名死亡、三名行方不明、四十六年七月——八月に五十六名死亡、三名行方不明、四十七年の七月の大雨で四名死亡、今度三十二名で、これはやはりシラスの土壌という問題についてのがけ崩れ、いろんな問題がある。したがって、がけ下の危険区域ですね、あるいは山地の崩壊危険個所というものが非常に鹿児島の場合多い。現地のデータによりますと、がけ下危険区域で鹿児島県内が二千六カ所なんです。それから、山地崩壊の危険個所が二千七百六十二カ所ある。そして、その中には三万戸から五万戸の家が大体その周辺にあるということで、常に危険にさらされているのが現実なんですね。したがって、いままで四十六年から五十年までの対応の中で、がけ下危険区域からの移転というのは二千四百戸しか進んでいないのです。それから、防災工事が進んでいるところがわずか六百五カ所なんです。したがって、これからまだたくさん残っているわけですね、いまだに。災害の場合は、これは年次計画というわけにいきませんからね。したがって、私は国土庁でこの現実を踏まえてこの鹿児島に年々起こるところの災害を抜本的にやはり除去するためにはどうすればいいかという私はやはり根本的な対策を国土庁としては本格的に取り組んでいただきたい。その点を第一点として御要請申し上げて、時間がありませんから三つ申し上げてまた御回答いただきたいと思います。  いま一つは、そのがけ下危険の区域からの移転問題と絡むところの防災集団移転特別措置法ですね、これは御承知のように四十七年からずっと制定されながら何回かずっと延長されてまいりました。しかし、これも時期切れの問題になってきておるところの問題であるだけに、この問題について積極的なやはり手だてと申しますか、これに基づいたところの鹿児島の場合の対策をやっていただきたいという点。それから、例の特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法というのがありますわね。これも有効年限が五十二年で終わりというかっこうにきておるわけです。しかし、いま申し上げたように、この問題についてはいまだに鹿児島の場合には相当な地域が残っておるというかっこうになりますと、この延長という問題についても私はやはり積極的な姿勢を示してもらわなきゃ困ると思うんですがね。その点についてどうお考えになっておるか、その点をお聞かせ願いまして私の質問を終わりたいと思いますかね。——ちょっと済みません、五十一年度限りでしたね、特殊土壌のやつは。
  87. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) ちょっといま担当が違うものですから確認しておるのでございますが。
  88. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この延長問題も含めて答弁してください。
  89. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) まず急傾斜地の御質問でございますが、建設省等と十分、その急傾斜地が非常に問題点があるということは再三御指摘いただいておるところでございまして、かつて調査し、そうしてここが急傾斜地であるというふうに手続を進めておるところでございますが、なおなおそういう形でよく検討していきたいと、かように思っております。  それから、防災集団移転……。
  90. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 失礼いたしました。集団移転につきましてはお説のとおりでございまして、危険地域からの集団移転の促進ということは十分実態に応じてやらなければならないと思っておりますが、御承知のように地元市町村等のいろいろな事情もあるわけでございますので、そういったところとも十分相談をいたしまして、実態に沿うように促進をしていきたいというふうに考えております。
  91. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 延長問題はどうなるの、特殊土壌の。
  92. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 特土地帯の法律につきましては、御承知のとおり三十二年の春で切れるわけでございます。この点についてはいろいろと関係の府県等からも話を聞いております。いろいろメリットもあるわけでございますし、これをどうするかといったことも含めまして、いま検討しておる最中でございます。——失礼いたしました五十二年でございます。
  93. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 土屋さん、いま来られたからそういう答弁しか返ってこないと思いますけれども、これはあなたも十分御存じのように、鹿児島県はがけ下危険区域がまだ二千六カ所、それから山地崩壊危険個所が二千七百六十二カ所もあるんですよ。そのうちで五年間でようやく移転が済んだのが二千四百戸。大体四、五万戸が入っておると言われておる、その地域の下にね。けれども、五カ年かかってまだ二千四百戸なんですよ。これではこれは災害が起こるたんびにとうとい人命が失われることは目に見えておる。それだけに、地元の市町村と相談をしましてなんてのんびりおっしゃらないで、私はやっぱり積極的に、こういうことで人命を失わさせてどうするんだと、おまえたちは積極的にやっぱりこれは協力せいと、こういう形でこの問題での移転促進の方途を講じられていただきたいし、あるいは先ほど申し上げたところのこの特殊土壌のやつですね、これは五十二年度春で切れますけれども、これはいま申し上げたような、これは宮崎も同じですけれども、もうまだまだ不十分な土地が残っておるんですね。これはとてもじゃないけれども、五十二年の三月で切られているようなしろものでは困るんです。積極的にこの問題については延長して、やはりこれの特色を生かすくらいの積極的なやはり御発言があってしかるべきじゃないだろうかと私は思うんですがね、その点いかがでしょう。念のためにもう一回ひとつ御答弁願います。
  94. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) この非常に危険ながけ下等にまだいっぱい家が残っておる、しかもそういうところはシラス地帯とかそういうところに非常に多いというようなことでございまして、そういった集団移転ということについてもう少し積極的に力を入れるべきではないかということでございますが、この法律の趣旨に従いまして、私どもとしてももちろん熱意は持っておるわけでございます。ただ、どういった計画を立ててどうするかということになりますと、それぞれの市町村なりの事情もございますので、そういった実態を十分聞いた上でこれが積極的に進められていくように私どもとしても心がけたいと思っております。  なお、もう一つの特殊土壌についての法律の延期の問題でございますが、この点については、先ほども申し上げましたとおり、もともと議員立法で制定された経緯があるわけでございますが、鹿児島なりあるいは宮崎なり、ああいった非常にシラス地帯が広範にかぶっておるといったような地方公共団体等では、本法の延長問題というものが前々から言われておりますし、私どものところにも相談もございますので、関係方面ともよく相談をしながら、ある程度前向きで私どもとしては検討を進めていきたいというふうに考えております。
  95. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 同僚議員の宮之原先生からいろいろ質問が出ましたが、非常にごもっともな点が多いのでダブる点も若干あるかと思いますが、できるだけ重複を避けまして、私、簡潔に質問をいたしたいと思います。大きな問題から先に話しますので、ひとつその点について御答弁を願いたいと思います。  まず、先ほどお話がありましたように、シラス地帯にはたくさんの人命の死者が毎豪雨たびに起こっておる、こういった災害もありますので大変われわれも心配しておるわけですが、それに関連しまして特殊土壌地帯の法律の延伸の問題、これはどうしてもやってもらわなければいかぬ。これは答弁は要りません。私らは全力を挙げてこの特土法の延伸をやらなければいかぬと決意をいたしておりますので、さよう御理解を賜っておきたい。  それから、シラス地帯の問題と関連しまして、宅造の問題、建築基準法の問題、いろいろな問題がたくさんございます。また、特殊土壌地帯の工法の問題もある。先ほど御提案のありましたように、急傾斜地の擁壁の構造が、構造と申しますか、みんながけの途中につくられている。これももう私は、皆様そういった点の専門家でございますので、そういった点は私は反省を要するんじゃないかという気がいたします。さらに、牛尾地点のところではあらわになって基礎に入っていない状況があらわれているといったいろいろな状態もありまして、これらは工法自体の問題を十分ひとつ今後お願いをいたしたいという問題もございますので、それらを含めまして、私は特土法の延長という問題を、ぜひひとつその趣旨に沿うように延伸していただきたいということを申し上げておきたいと思います。それから、活動火山周辺地区の問題も地域指定の追加の問題と、それから防災営農の問題につきましても、ぜひひとつ最大の考慮を払ってもらうようにお願いしたい。これはわれわれも関係しました議員立法ですから、われわれとともに政府当局も御協力をぜひお願い申し上げたいということを申し上げます。  それから激甚災の問題ですが、激甚災の問題は地元から強い要請がございます。私、見せていただきまして、財政需要枠との関係で、私は激甚災、局地激甚になり得るところは相当あると思うんです。したがいまして、激甚災の指定というのは地方財政に非常に関係いたしますので、一日も早くそういった可能性の確実なものについては、地方公共団体に知らせていくというような措置をしてもらいたい。これは毎災害のたびに激甚災の問題が論議される。論議されるけれども、最近四十七年と四十九年の災害につきましては非常にスムーズに激甚災の指定がなされたと。それで非常に地元の方は安心していろんな問題ができる。地方公共団体もそういった点で安心して処理ができる。この問題は非常に私は精神的な問題とも関連しまして、非常に重要なファクターになる。だから、そういった点の激甚の災害をこうむられたところにつきましては、国も協力の手を伸べるんだという意思表示としてやっぱりこれらの問題は真剣にひとつ考えてほしいと。これらは、私は答弁は要りません。主な項目だけひとつ申し上げて、強く政府要請をするとともに、われわれも政府とともにひとつこの問題を解決するように努力することをお約束したいと思うんですが、よろしくお願いします。よく上司に伝えていただきまして、ひとつその辺のことを御報告願いたいと思います。  私は今回の災害を見まして、急傾斜地の問題につきましてひとつ御質問をいたしたいと思います。  実は、私は急傾斜地の対策の問題につきまして、役人時代に立法を企画いたしました。さらに、その後防災の集団移転の問題で議員立法をいたしましたので、そういった意味でそういう観点からもいろいろと考えるところがありました。今回の災害を見まして、また、宇宿地区におきましては、たとえばがけ上に住宅が建っている。それからさらに中途にはミカン畑がある。そういったところに一つの要因があるのじゃないか。それからもう一つは鴨池の方は住宅団地がある。さらに家が、本当に住宅団地の排水路の先に三軒建てられておる。先ほど不法建築じゃないかという御指摘の点だと思いますが、不法建築か、建築基準法の許可を得てない家屋じゃないかということでございますが、そういった意味で、私は今後急傾斜地の管理を今後どうしていくかという問題は非常に重要な問題である。上は私有財産でございますし、また下も私有財産、あるいはがけの中途も私有財産になっているようです。この管理の問題につきましていろいろと原因を考えてみますとそれからまた松山町における道路の問題、路面道路の問題も、これは一つ問題点を提起しておるわけでございまして、シラスが非常に水に弱いということは皆さん承知のとおりでございまして、そういう意味では、私は排水対策という問題は非常に大きな要因である。松山地区の排水路の系統を見てみましても、私はちょっと考えなきゃいかぬ問題があるんじゃなかろうかということで、そういった問題がございまして、私は、この管理の問題をどうするかというのは、もう本当に重要な問題である。  そこで、お聞きいたしたいのは、建築基準法による家屋の建築基準法上の認可をする場合に、そういったがけについての上の家の認可につきましてはいまどうやっておられるか、それをお伺いしたい。要するに建築基準法によって排水問題まで取り扱えるのかどうか。それから、がけに近接して私有地に建てる場合に、そういう認可の問題に当たって、具体的ないろんな条件があるのかどうかということをひとつお聞きしたい。  それからもう一つ、宅造の問題と関連しまして、ああいう鴨池の宅造地帯において、あれから水路から先は、私は住宅は建てられない地区だと考えるが、そういったところに住宅を許可する場合に、いろいろ私は考えなきゃいかぬ問題がたくさんあると思うんです。したがいまして、そういった点について建築基準法の取り扱い、あるいは宅造法に関係するかどうかしりませんが、そういったところの取り扱いの問題をひとつお聞きをいたしたいと思います。
  96. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 敷地の排水につきましては、建築基準法に規定がございまして、「雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。」という規定がございます。これは都市地域ですと、かなり有効に外部に排出されるわけでございますけれども、農村地域でございますと、そういった下水溝その他が不備な場合がございます。その辺ですと、十分しかるべく放流先に連結できるかどうか、現地事情によっていろいろ変わってまいると思います。  それから、がけに近接して住宅を建てるような場合には、これは各県に条例がございまして、一定の高さを超えるがけに近接して建築する場合には、がけの高さに応じてある程度がけの上あるいはがけの下から離すような規制がございます。これも建物が堅牢な物あるいはがけの勾配等で安全が確保できるもの、そういったものについてはただし書きがございますけれども、一般的にそういうふうな扱いになっております。
  97. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 なるほど言われることはごもっともなことでございますけど、現実に建てられている家は決してそうは建てられてない。それから排水も実施されてない。それは建築基準法の厳格な施行というのがやられてないからじゃないか。そういう点にはどういうふうにお考えですか。
  98. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) いろいろ災害がありまして、がけの下上等で家屋が倒壊する大部分のものはこういった条例が施行される以前の既存の建物に多いような状況でございます。それらにつきましては四十七年から事業を起こしまして、移転の補助、あるいは新しく建物を増設する場合の補助、そういったことで対処しておるわけでございますが、新たに条例が指定されて後は、そうこういったがけの下上に近接して家を建てるということはないはずでございます。
  99. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私はそれはそうは思わないのですけれどもね。たとえば宇宿のところの家なんかは非常に新しい。それで、いつ建ったか私は確認をいたしておりませんけれども、そういった住宅が建てられる、そして、非常にがけの高さが高いのに、しかも近接して建てられる、こういった事態はよく行われるんです。私は、建築基準法の施行というのは本当にやれるのかどうかということを私はお聞きしたいんですよ。現実に、私も建設省におったからあれですけれども現実に建築基準法施行をやろうとすると私は相当人手が要ると思うんです。一つ一つチェックしなきゃいけない。建築主事のもとでやられておりますけれども、これはぼくは非常に現実にむずかしい問題である。また、新しい宅造をやるところは宅造の規制法に基づいてやりますからそれはまあそれとして、私は、従来の私有地に建てる家とかいろいろな問題の本当のチェックというのはやられておるのかどうか。私は残念ながらうまく指導がいってないんじゃないかという気がいたします。人の足らない点もよくわかるけれども、やはりもっとそういった、特に特殊土壌地帯におけるところのそういった基準法の適用に関する問題の指導につきましては、やはり相当強化しなければいかぬじゃないかという気がいたしておるんですが、その点はどうですか。
  100. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 先生御指摘のとおり、決して十分な人員をもって執行しておるわけではございませんで、建築基準法にはいろいろな規定がございます。それをすべてそういった手薄な陣営でチェックしていくということはなかなか大変であろうとは考えておりますけれども、やはり地方地方にそれぞれ特殊な事情がございまして、特にこういった鹿児島県等では特殊土壌のためにとうとい人命が失われるということはもう前々からわかっておりますので、なるべくそういうところを重点的にチェック、あるいは現場審査をする、そういったことで足りない陣営を補いながらやっていきたい、そのように今後県あるいは市町村と協議しながら進めてまいりたいと、このように思うわけでございます。
  101. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 農免道路の問題ですが、農免道路は私は精細には見なかったんですが、要するにあそこは道路の曲がり角になっている。そしてアスファルト道路をつくれば当然水は相当集中的に大体川になって流れるような状態が続く場合もあります。そういった道路をつくれば当然あの曲がり角で水がはねてくることは考えられるわけですね。そこで排水対策の問題で、具体的にあの辺のいろいろな排水路の状態とかいろいろなものを検討してみますと、必ずしも私は十分じゃなかったかと思うんです。  そこで、この道路の問題と家の問題、先ほど申し上げました家の問題はがけ崩れの非常な要因になっている。水をそこに、道路に集めてしまう、山から降ってきた水をみんなそこに集めてしまう。だから、集中して水が流れてくる。これを何とかしなければ、私は構造物などのいろいろな問題で人災の可能性も起きてくるというような考えを持っているわけです。そういった点につきましてはそういった私の感じを申し上げて、今後早急に検討されて、いろいろな問題を考えていただきたい。  それから先ほど施行の問題をお話ししましたが、いまの松山のがけでも途中にがけをつくってある。それから鴨池団地のところもがけは途中につくってある。それからもう一つ牛根のところのがけも途中につくってある。途中につくるということは基礎が適当なものが得られなければ、私は非常に危ないと思うのです。そこで、そういったところにつくるがけというのは、私はかえって土に重力を与える。重さを与える。だから、雨水が浸透したら、かえって私は激甚の災害を招くというような気もするのですよ。そこで、どうも私もよくわからない、これは調査してみなければわからぬでしょう、また地質を調べてみなければわからぬでしょう。しかし少なくとも原因となるものが何らかあるということだけはひとつ皆さん十分理解してもらわぬと困る。一つ一つが、いや原因を調べなければわからぬというふうなことを言われますけれども、やはり原因の発端になるものが、たとえば水を集中的に集めるとか、あるいは建築基準法におけるいろいろな対策が決して十分でなかったというような問題があることだけは十分ひとつ理解をしてもらっておかぬと、これは将来は非常に大きな問題になると思うのです。これは感じたままを申し上げたわけでございます。   〔委員長退席理事宮之原貞光君着席〕  そこで、私は一つ問題は、急傾斜地の管理の問題を今後どうしていくか、この問題は非常に大きな問題です。幸い建築基準法の三十九条一項の災害危険地に指定する場合は適切な行政的な手段が講ぜられる。ところが、指定しない個所が相当ある。それで、その指定しない個所の管理というのは非常にむずかしい。  まず第一点は、そういった少なくとも人命を失うようながけ、そういった問題について、建築基準法三十九条の指定を私はがけ上あるいはがけ下までにしてやっぱしやらなければいかぬだろうという気がいたしますが、その点が非常に少ないのはどういう理由か、それを伺っておきたい。
  102. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) われわれも急傾斜地の周辺にはそういった災害危険区域の指定を図るよう、ずいぶん都道府県あるいは市町村にお願いしているわけでございますけれども、やはり一つは規制がかかります。そういった区域が指定されますと家が建たなくなるということで、地元とすれば、十分その辺の調査をした上でということで、なかなか思い切って指定されないという実情はございます。
  103. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 この問題は、たとえば建築基準法指定したら集団移転とかいろいろな問題が起こるので金が要る。それで予算サイドから制約されているとすれば、これはぼくはちょっと問題だと思うのですね。私は集団移転の予算はすべて事前に施行された例というのは一、二例聞いておりますが、大体において災害が起きてからやるわけですね。たとえば天草だって集団移転は災害が起きてやっとやられた。だから、事後措置が多い。私は事後措置というのは、亡くなられた後のそれは最大の努力をしなければいかぬと思う、そういう気持ちはわかるのですが、やはり事前にそういった救うことを考えなければいかぬ。災害危険地ですよということは、人心に相当不安を与えることもわかります。その辺はむずかしいと思うんですが、やはりこれらは親切に危ないところは危ないと知らせてあげなきゃいかぬ。知らせることが豪雨のときの退避に通ずる。そういったことをしなければ、このシラス土壌地帯、まあほかのがけ地も含めまして特にシラス土壌地帯はこの死者をなくするということは、非常に困難じゃないかと私はいま考えております。だから、その辺の行政的な管理の問題を今後十分ひとつ御指導を願いたい。まあ、具体的にどう指導するかという問題は、ひとつ行政当局で今後十分ひとつ問題点を書き上げながらひとつ指導していただきたい。  それから、がけ上の管理という問題は、その急傾斜地全体をどう管理していくかという問題に関係しますので、あらゆる方向から検討しなくちゃいかぬと思うんですが、この管理問題が恐らく私はただいま宮之原先生お話になったように、山地も含めまして、山地がけも含めまして、大体五千カ所ぐらいある。五千カ所の管理を通牒一片ではなかなか管理ができない。このがけ上、がけ下の管理という問題を今後どうやられるか、どうやっていって、そして人命の損傷をできるだけ少なくするような方向に動くのか、この辺の問題をひとつどなたか答弁していただけますか、お伺いしたいと思います。——国土庁ですか。
  104. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 急傾斜地の問題は、建設省、それから農林省その他の関係の問題がありまして、常々こういう事態を繰り返しておるというようなことでございますので、十分両省庁と御相談いたしまして、御趣旨の方向で一遍話してみたいと、かように思っております。
  105. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 いまそういった管理の問題についてお話をくださるということですから、その結果がひとつはっきりしましたら私にいただきたい、お願いします。まあ、そういった管理の問題に十分ひとつお考えを願いたいということを申し上げておきます。  それから、まあ特に特殊土壌地帯であるシラス対策の推進というのは、もう当然先ほど特土法の延長の問題と絡んで私は考えていかなきゃならぬ問題ですから、ひとつこの点はあわせて申し上げておきたいと思います。  その他いろいろありますので簡単に質問を申し上げたいと思います。  まず集団移転の問題でお聞きいたしたいと思います。集団移転は集まる戸数が十戸以上であればいいというような御意見だと私は理解しておりますが、この集団移転は非常に個々の個人のいろんな希望もありまして、実際やろうとすると非常にむずかしい問題があると思うという点がございます。しかし、まあいろんな部落構成とかいろんな問題で、そういった問題が起こるのはよくわかるんですが、やはりこういった問題は積極的に進まなくちゃいかぬと。それから先ほど申し上げたように、事前に災害の起こる前に集団移転を起こすようなことにしなければならぬ。そういった点で積極的な予算の獲得問題というのが起こってくるだろうと思うんです。特に私は災害の後というのは、その集団移転の一つのやられるチャンスであると思うのです。こういうのをチャンスで利用するというのはまことに恐縮ですが、私はそういったことを積極的にやっていかなければ、この問題はなかなかむずかしい。天草のような大災害のときでも、なかなか個人個人によって意見が違って、なかなかまとまりにくかったという例も聞いておりますので、この辺は行政のサイドで十分ひとつ指導をやっていただきたいということを要望しておきます。  それから集団移転をやる場合に、やはりこれは自治省の基準行政の基準補助みたいな、基準単価で問題を処理される。そこで、お金が足りないとか、いろいろな問題がありまして、天草の場合にはかなり苦労をいたしました。そこで、そういった点を実勢単価に合わせるような仕組みにしてもらいたい。あるいは少なくとも基準単価をつくるなら、それに相当の余裕を持って弾力的に処理できるというようなことを、実勢に合った価額で処理できるというような、弾力性を持たなければいけないだろうと思いますので、その点をひとつまとめて御答弁をお願いしたいと思っております。
  106. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) いまお示しのございましたように、災害の起こらない前にそういう危険なところは集団的に移転するというようなことが行われれば、非常にこれは結構なことでございますけれども、実際問題としては長い間住んでおられるというようなことで、いまお話のございましたようにむずかしい。したがいまして、災害が起こったときに、その機会に積極的に移転をしていくというようなことが多いようでございます。現実には建築基準法上の危険区域ではなくて、災害が現に起こったときに、そういった事例が多いのが実例でございます。そういった点につきまして、こういった人命を失うような事件が起こりますと、いろいろ私どもとしても反省をするわけでございまして、かねがね何らかこういう施策が順調に進むようにという期待は持っておるわけでございます。今後ともそういった点については十分注意をいたしたいと思うわけでございます。  もう一つは防災集団移転促進事業の補助の問題でございますが、お示しのように基本額については限度額があるわけでございまして、五十一年度は一戸について四百四十万ということになっておることは御承知のとおりでございます。この点については、私どもといたしましても、用地取得造成費、あるいは個人住宅の建設費補助、移転者の住居移転補助費等につきまして、住宅金融公庫の用地取得単価表とか、あるいは個人住宅建築資金に係る借り入れ利子の問題、実態、それから生活保護法に基づく生計費の基準といったこと等を基礎にいたしまして、従来の実績を踏まえて、現実に即するように積み上げて算出をしてきておるわけでございます。したがいまして、これらの積算根拠が改定された場合は、できるだけ実態に合うように引き上げていく。四十八年度以降今年まで徐々に引き上げてきておることは先生も御承知のとおりでございますが、私どもとしては、従来の事業の実績を見ましても、大体この限度額で実態に合うようにカバーされておるという事例が多いと思っておりますけれども、先ほど実例としてお引きになりました天草の場合等では、かなり地元の負担が多くなっておる事例もございます。事情によってはこういった補助でカバーし切れないという面があるかもしれません。そういった場合にどうするかということがございますが、私どもとしては、一般的には大体これでカバーできるという線までは、毎年引き上げ、また今後もそういった努力をしたいと思っておりますが、具体的に災害が起こりました場合に、まあ場所によっていろいろケースも違うと思うのでございまして、そういう際は現行のこの基準のほかに、総合的に当該市町村の財政の状況等を見まして、財政制度全般の中で、その市町村の財政を圧迫しないように、いろいろと工夫をしていかなければならないというふうに考えております。御趣旨に沿って努力をいたしたいと存じます。
  107. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 特に災害市町村とか、公共団体とか、県とか、あるいは個人の持ち出しがないように、できるだけ少ないようにひとつやってもらいたい、そういう点でひとつ強く要望しておきます。  話はばらばらになるんですが、集団移転ができないとすれば、どうしてもがけ下の移転を早急に行政指導によってやっていかなければいかぬという問題がある。そのがけ下移転につきましても、建築基準法との関係もあるでしょうから、それと絡んでひとつ急速に進めていただきたいと思うんですが、私はいままでがけ下移転の問題が、事務当局から聞きますと、予算の範囲内で何とかできるというようなお話を聞きました。しかし、どうも行政の積極的な姿勢がなくて、ただ言ってこられた方だけを処理するということならば私もそれで間に合うだろうと思います。だけど、実際はやっぱし人命の亡くなる非常に危ないところですから、そういったところは積極的にひとつ進めていただくようにお願いしたい。  そこで、その進めるためのがけ下移転に対する枠の拡大とか、あるいは補助率の問題とか、いろんな問題もあるでしょう。それから厚生省に関係している災害救助法の問題とか、いろんな問題も当然、援護資金の問題も考えられる。あるいは金額を当初決めておりましたけど、援護資金等につきましては政令に委任したと思いますので、その点でひとつ十分検討していただいて、この問題をひとつ御検討願いたいと思いますが、いかがですか。
  108. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) がけ地移転事業でございますけれども、やはりこれは個人の方の仕事になりますので、やはり好不況とか、それぞれ個人の方のいろんな家庭の事情でなかなか当初計画どおり進めない面もございますけれども、県あるいは市町村に対する指導としましては、先ほどお話しのようながけ地条例とか、あるいは災害危険区域の指定拡大等で今後ますますこの事業は伸ばしていくということで進めておりますので、その点、もしいろいろ事業を進めるための阻害要因がありますれば、逐次改善してまいりたいと思うわけでございます。   〔理事宮之原貞光君退席、委員長着席〕
  109. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 住宅の金融問題について簡単にお話し申し上げたいと思いますが、住宅の金融問題は住宅金融公庫の五分五厘の利子ですか、そういったことで災害復興住宅として一応金融をすることになる。それから災害救助法におきましても借り入れるようになっている。しかし、住宅問題というのは、非常にぼくは重要な問題だと思うんですが、まず衣食というのは大体いま足りていると。そうすると、やっぱし住の問題が一番生活の根拠を立てるために重要な非常な大きなファクターだ。住宅の全壊した人に対しまして、やはり私は補助という問題はともかくとしまして、金融の利子を下げるとか、あるいはいろんな考え方をひとつ入れて積極的にその復興ができるような形をとっていかなきゃいかぬ。災害を受けておりますから、もう全財産失ったというぐあいに理解しても結構なわけでして、そういう意味では政府の手厚い私は援護措置という問題をあらゆる角度から、各種いろんなやつがありますから、それらを総合的に勘案をして問題を処理してもらいたいと思いますが、その点ではいかがですか。
  110. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) ただいま御指摘ございました住宅の被災した場合の再建設の問題でございますが、公庫融資につきまして非常に強い要請があることは十分感じております。それで、公庫の災害対策でございますが、大づかみに申しまして二通りございまして、一つは、零細な災害の場合には、たとえば一戸被災しても、これに対しまして一般の個人貸し付けのうち、特別に、いわゆる抽せん等によらないで貸す、こういう制度がございます。それからもう一つ、公庫法の第十七条第六項といういわゆる災害住宅の貸し付けがございます。この両者の比較をいたしますと、貸し付け限度額でございますとか、いろいろな手続につきまして災害貸し付けの方がはるかに有利な内容になっておりまして、ただこれは従来一つ災害として五百戸以上というような枠を設けてあったわけでございます。ただ、これにつきましても、昨年の災害の際に各地方から非常に強い御要望がございまして、五百戸という枠が非常にきついではないかということもございましたので、昨年実はこれを大幅に手直しいたしまして、災害救助法の発動対象になったものについては全部災害貸し付けをやるというようなことに改めまして、今回の鹿児島災害につきましても、従来の基準ではちょっと救えないような形でございますが、改正後の今回のルールで申しますと全部これ拾えるようにいたしましたので、一応以前に比べますとかなり幅広くやれるようになったわけでございます。いずれにいたしましても、今後ともこういった点につきまして十分改善に努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  111. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 金は借りても要するに建てられる金がほしいわけです。したがいまして、枠の問題も十分ひとつ考えていただきたいと思います。一戸の枠の問題です。総枠の問題はもちろんですが、一戸の枠がその災害を受けた人が建てられる金額を融資できるといったようなシステムにぜひお願いしたい。それぞれ環境によって違いますから、それは行政当局の判断にお任せしますが、やっぱりそういった基本理念としては、たとえば半分しか貸さないとか、三分の二しか貸さないということじゃ家は建たないわけですから、あらゆるいろんな仕組みがありますから、そういった仕組みの中で全体的な評価をしていただければありがたいと思っております。これは要望いたします。  それから治水治山の砂防の問題についてちょっと若干お伺いしたいと思います。  福山町ですかな、磯脇川という問題がある。この磯脇川という問題は実は河口付近でひん曲がってあそこに途中で砂利がたまるということでございまして、これは護岸施設等は前の災害等でやられたようでございますが、これに対して私はやはりああいう急流な河川におきまして河口途中で曲がるというのは非常に危険が多い。したがいまして、この問題は今後どう処理されるかひとつお伺いしたいと思っております。
  112. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 福山町の準用河川磯脇川でございますが、ただいま先生のおっしゃるとおりでございまして、河口付近が蛇行しておりまして、そのために水害を受ける、温水、はんらんをするという状況にございます。したがいまして、これは河川改修をする必要があるというふうに考えておるわけでございまして、昭和五十二年度におきまして準用河川改修費補助事業あるいは局部改良事業によりまして、いずれかによりまして改修を行う方向で県と協議を行っております。
  113. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ぜひ問題点をひとつ解決していただきたいと要望します。  それから時間も来ましたので簡単に項目だけ質問いたしたいと思います。  野尻川の改良を盛んにやっておられます。ところがあの計画も見せてもらいましたけれども、だんだん河床の上がるような計画になっております。河床の勾配を急にすればするほど流れるわけですが、どうもその一番川の長い方向に石を出すような、もちろんそのほかのところは営農とか行われておりまして、非常に困難だろうと思うのですが、川が天井川になっておる。したがいまして、こういった問題はこういう年に三回ぐらい来ればああいう災害起こるわけですから、今後土砂の流出というのは非常に激しいと思うのです。そういったところの対策はやはり何か考えなければいかぬのじゃないかという気がいたしました。たとえば、ただいま本間さんもお話しになったように、天井川のつけかえといったような問題も全国の各地で行われているようですから、そういった問題とあわして問題処理をひとつぜひ考えていただきたい。これは答弁は後で結構ですから。  それから、もう一つは治山で行われておりますがけ、山地の崩壊防止の対策をやっておられますが、住宅を置いてあるところが優先的に実施されているようです。それは結構な話ですが、どうもがけ下の問題とあわせまして、ひとつそういった人命を守るための技術基準というのはある程度ひとつ歩調を合わしてやってもらいたい。これは強く要望をいたしたいと思います。  二、三年前でしたか、どうも山地崩壊を防ぐのは若干擁壁の高さとかいろんな点でやっぱり考えはそこまでいっていないんじゃないかという気もいたすわけです。家屋が少ない山地がけではそういった災害が起こる可能性があるということは、四十七年の災害が十分証明しておりますので、その点をひとつぜひ御検討願いたいと思います。  それからもう一つは、普通の行政財産、行政用の財産、道路とか河川とかあります。そういったものは地方財源の問題と関連しましてなかなか管理がうまく行き届かない。その管理の問題についてひとつ今後どうされるか。それらが災害の原因になっている実例もたくさんございますので、そういった点につきましてひとつ考え方をお願いしたい。特に、この財産の管理の問題になりますと、国有財産の場合には委任事務になるだろうと思いますが、そういう委任事務でやっていけるのかどうかという問題、行政財産の場合には要るものは要るとして、やっぱしがっちり管理する方式というのを考えていかなきゃいかぬのじゃないかという気もしますので。  それから、普通の財産の場合には払い下げできるものは払い下げすると。そして、適切な管理を市町村、公共団体にやってもらうとかいったような考え方を私は今後考えていかないと、やはりこういった財産が災害の原因を起こす要因になっているということも考えていただいて、これらの管理問題についてひとつ真剣な御討議をぜひお願いしたい。  それからもう一つ、鹿屋市で防空ごうが相当多い。この防空ごうの問題の処理はいまどうなっているか。それをひとつ御答弁願って、速やかに処理していただきたいと思っております。  以上簡単ですが、時間を超過しましたことをおわびして質問を終わらしていただきます。
  114. 中村二郎

    説明員中村二郎君) お答えいたします。  先生御指摘のように桜島の諸河川におきましては、特に野尻川でございますが、再三発生する土石流によりまして河道埋塞による災害が繰り返されておるわけでございます。この対策といたしましては砂防工事を促進いたしておりますが、その都度災害に対しましては災害復旧工事で配慮を行ってきておるところでございます。ところが、こういう災害が繰り返されるということは何と申しましても残念なことでございまして、これを早急に防止するために建設省といたしましては、抜本的と申しますか恒久的な土砂対策を立てるため昭和四十九年度に砂防、河川、治山、火山等の学識経験者よりなります桜島防災対策技術研究会を設置いたしまして技術的な検討を進めてまいりました。で、現在のところ結論といたしまして上流にできるだけ大きい遊砂地を確保すること、それから部落等重要な地区に土砂が流入しないように導流堤をつくること、それから流出土砂をできるだけ無害に下流にと申しますか海に放出するための流路工をつくること、こういうほぼ結論が出ております。われわれといたしましては、この結論に従って工事を進めていくわけでございますが、特に先ほど御指摘ありましたように、河道計画につきましては詳細にいろいろ検討する点がございまして、土木研究所等で模型実験を行うなどして、より計画を詰めて実施をいたしたいと考えております。  以上でございます。
  115. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 治山事業の工法につきましてただいま先生からいろいろお話ございましたが、人家の裏山等の崩壊を防止するために治山事業で対処いたします場合には、一般的に土どめ擁壁を基礎におきまして法切、階段、切付、積苗工、筋工あるいは水路工、このような工法をやっておるわけでございます。基礎となります擁壁につきましてただいまお話がございましたが、この擁壁につきましては山腹斜面の勾配、土質などの状況から判断いたしましてこの構造を決定いたしておりますが、擁壁構造だけで不十分な場合は法枠工等も行いまして斜面を固定する方法をとっております。今後とも十分、人家、人命の安全ということを第一義といたしまして工法を決定してまいりたい、このように存じております。
  116. 伊藤晴朗

    説明員伊藤晴朗君) 法定外公共物の管理の問題につきまして御指摘の点、私どもも十分承知いたしております。法定外公共物の的確な管理のためには、御指摘のように、まずこれを法定公共物として管理するという方法が何よりも大事なことでございまして、市町村道あるいは普通河川の場合におきましては、たとえば四年前に河川法を改正いたしまして準用河川制度というのを発足いたしましたが、それに基づく準用河川指定もだんだんに進んでまいりまして、現在時点で約九千河川くらいの指定が行われておるわけでございます。こういう形で、まず法定河川として、ないしは法定道路としての管理を的確に行うような方向で推進をいたしていく。何分非常に数も多いものでございますから、そういう形でまだ網に残るものにつきましては、現在政府部内でいろいろ検討はいたしておりますが、それの管理の制度面、それから財源面あるいは御指摘のように地方公共団体の払い下げ、そういった点を含めまして十分前向きに検討してまいりたいと思います。
  117. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 普通財産につきましては、国自身が使用する予定のないものにつきましては、早急に公共団体あるいは隣接地主等に払い下げるよう仕事を進めております。それから今後もその方針を続けております。
  118. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  119. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  120. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 午前中、宮之原、古賀両委員の方からいろいろ質疑要望等が行われたわけですが、私は簡単にいろんな点についてお尋ねをしたいと思いますが、まず一つは全体の問題といたしまして、今回の垂水市、その牛根ですね、垂水市の牛根、これは町村合併やりまして垂水市に入ったところなんですけれども、ここは大変被害を受けているわけですが、がけ崩れで大変な被害を受けているわけですけれども、これが集中豪雨が原因であると同時に、桜島の爆発と大変関係があるんじゃないか。非常に近いわけです。そうですね、爆発地点から言ったら四、五百メートルくらいのところでしょう。私も鹿児島市に住んでいるんですが、私のところは五キロぐらい離れていると思いますが、夜二、三回爆発がありますと、昼間でもそうですけれども、家が非常に揺れるわけですね、爆発がありますと。ですから、そういうことで岩盤とそれからその上の土壌との間のやはりずれがあるんじゃないだろうかという点等の心配もしておられるようですね。そこで、県としましてもそういう面の調査をやりたい、基礎的な調査をやりたいという考え方のようで、このことは大変結構なことだと思います。したがって、その調査について、人選の問題についてもいろいろまた県の方としても政府にお願いをすることもあろうと思いますし、経費もそう大きな金ではないと思います。大した金でない。そういう経費の問題等について国で可能な面については援助を願えないかという問題であります。これは国土庁と並びに文部省との関係になると思いますが、国土庁が総括をしていらっしゃるわけでありますから、国土庁で御答弁をいただきたいと思います。
  121. 野中英二

    説明員野中英二君) 私も過日現地へ参りまして、特に垂水市の桜島との根っこのところでございます牛根地区、これが大変な災害を受けている現状を目の当たりに見てまいったわけでございます。御存じのとおり、火山噴火あるいは微弱な地震との関係において特殊土壌と岩盤との間にどういう作用が起きてくるのであろうかという、こういう疑問が当然起きてくるわけでございます。御存じのとおり、この震動によって岩盤との間にずれができる、そして、そこに集中豪雨が来る、こういうことが予見、予想されますので、われわれといたしましても大変心配いたしておったわけでございますが、当時私が参りましたときに金丸知事さんの方からも、学術的に基礎的な問題から解明をしていきたい、こういう真摯な御発言がございまして、国土庁といたしましてもこれを検討してまいりたいというので、いま検討中でございますが、先生からもいま御指摘がございましたので、私の方で持っております調査調整費を使ってやろうか、あるいはまた科学技術庁の調整費にしようか、あるいはまた文部省の学術研究委託費を使ってやろうか、どちらがなじむであろうかということでいま検討中でございます。
  122. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ぜひいま政務次官お話しのように善処をしていただきたいと思います。  次に、農林省につきまして四点お尋ねをいたします。  時間が短いものですから四点お尋ねをいたしますが、一つは、桜島噴火あるいは桜島について治山事業を今日まで県がやってきてことしから林野庁が直轄事業として始めておるわけです。大変地元も喜んでおるわけですが、今度の災害に当たりまして直轄事業計画なり考え方なりを変える必要があるのかないのか、あるいは追加しなきゃならぬものがあるかどうか、そういう点について林野庁にお尋ねをしたいと思います。  もう一点は、いつものことなんですけれども、これは農地局はいまは構造改善局になっておるんですね、構造改善局にお尋ねをしたいのでありますが、鹿児島におきましては、何せ県の六割がシラス、ボラ、コラという形で特殊土壌に覆われているわけですね。ですから農業の振興の上につきまして、シラス対策あるいは特殊土壌対策いままでも大変な国費をかけてやっていただいておるわけですが、災害ごとに一層そのことを痛感するわけです。防災の上から言いましても大変痛感をしておるわけです。ですから、こういう特殊土壌対策についてもっともっとやはり予算をつけて、いままでもやってきていただいているけれども、もっと積極的にやっていただけないかという点が一つです。  もう一つは、これは水産庁でありますが、牛根地区、今度のいま政務次官お話しになりました桜島と牛根地区の根っこに当たっているところ、そこに牛根麓地区というのですが、ハマチの養殖の基地をつくっているわけです。それぞれ援助をいただきまして団地として作業場、冷蔵庫等の団地がはかられておるわけです。大変一生懸命やってこの地区においては重要な産業になっておるわけです。これが昨年も被害を受けたわけです。ことしもこれに土砂をかぶるというような形になりまして大変難渋しておるわけです。ですから、この問題についてやはり積極的に前向きに対策をとってもらいたい、善処してもらいたいというのが水産庁に対します問題です。  それからもう一点は、これは宮之原委員の方からもお話がございましたですが、桜島噴火に伴いますところの防災営農計画というのが三年計画で行われておりまして、ばい煙が飛ぶ、噴煙が飛ぶ中で大変憂うつなといいますかね、何か気持ちの悪い農作業をやっているその中でも防災営農計画というのは喜ばれておるわけなんです。桑の洗浄の問題にいたしましても、あるいはちりを、噴煙を防ぐ問題にいたしましても、あるいは土壌の改良問題にいたしましても大変明るい期待を持たしておるわけですが、防災営農計画というのが五十二年度で終わるわけです。ですから、これを続いてやってもらいたいというのが、これは関係町村十五、六カ町村に及ぶと思いますが、非常な熱意なんですね。この間も、ずっと前でありますが、一月くらい前にも決議も行われております。ですから、ぜひこの防災営農計画の来年終わるものを引き続いてやっていただきたい。この四点です。お答えをいただきたいと思います。
  123. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 桜島地区の直轄治山事業の件でございますが、ただいま先生からお話がございましたように、本年度から西桜島地区につきまして直轄治山によりまして集中的に大幅に治山事業を行うようにいたしたわけでございます。この区域につきまして、今回の災害によりまして四カ所、約一億五千万程度でございますが、災害発生いたしまして、とりあえずこれにつきましては本年度の緊急治山事業によりまして緊急に必要な個所から追加いたしまして全体計画に追加いたしましていろいろな治山事業を施行いたします。なお、全般の計画につきましては、今回の災害実態にかんがみまして、全般的に検討いたし直しまして、十分災害の起こらないような措置に万全を期してまいりたいというぐあいに思っております。
  124. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 特殊土壌地帯の防災対策についてでございますが、今回のこの災害実態を見ましても、がけ崩れだとか、あるいは地すべり等の南九州の特殊土壌地帯特有の災害のパターンが見られるわけでありまして、これらに対しましては従来からもこういう地域の特性と申しますか、そういう災害を未然に防ぐために、南九州地帯に限ってシラス対策事業とか、あるいは特殊農地保全事業等を実施してきたわけでありまして、今回の災害におきましても、これらの事業を実施した地域につきましては、被害も比較的少なかったというふうなことも県から報告を受けておるわけでありまして、今後ともなお一層これらの事業を推進いたしますとともに、その他の防災ダムでありますとか、あるいはたんぼ事業等の農地防災事業につきましても積極的に促進するよう努力をいたしたいと考えております。
  125. 佐々木輝夫

    説明員佐々木輝夫君) 水産関係では、先ほど先生から御指摘のございましたように、漁港以外の被害といたしまして、牛根地区でハマチ養殖業者が集団で利用しています共同利用施設等が災害を受けております。いままで県から連絡を受けておりますところでは、共同作業場五むねが全壊したほか、いろいろ保管中のえさその他にも被害があったというふうに連絡をいただいております。これに対する復旧につきましては、当然共同利用施設等について一定のルールに従って助成をいたしてまいるつもりでございますけれども、地元ではどうも現在の場所が非常に災害を受けやすい場所で、いまの場所に復旧すること自身がどうも不適当ではないかという声もあるやに聞いております。県の方の災害調査の詳細がまとまり、かつ復旧方針が固まりました段階で、水産庁といたしましてもできるだけ早急にその復旧ができますように、対応策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  126. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 防災営農施設整備事業のことでございますが、先生御指摘いただきましたように、洗浄施設の整備にいたしましても、土壌改良にしても現地で大変喜ばれている、これは五十二年度でもって終わることになっているが、その先もさらに必要ではないかというお話、ごもっともだと思います。この事業の経過を見てまいりますと、当初の対象市町の数も七でございましたのが三十三から、さらに現在では三十四というようにふえてまいっております。事業費も現在では三十四億八千万円ということでかなりな金額に上ってまいっております。今日までの事業の実施状況を見ますというと、五十一年度の見込みを加えましても、達成率、計画に対して約三五%というふうに見られております。そういうふうに計画量が全額消化できていないということ、さらには桜島火山被害実態、特にこの五月から灰がなお降って被害も現に生じているというような状況からいたしますと、私としてはこの事業は五十二年度で終わるというような性格のものではないと思っております。ただ、役所のことでございますから、当然財政当局との相談もあるというようなことではございますが、私どもとしましてはこれを延長するという考え方のもとに対処してまいりたいと思っております。
  127. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、建設省に二つか三つ、三点お尋ねをしたいわけですが、今度人家に被害を与えたがけ崩れというのが百四十二カ所あるんですね、鹿児島県の場合。その中で県が指定をしておったものが十六指定されておるわけですね。したがって、総点検をした結果は五十七カ所まだあるということなんですが、ところが、この百四十二カ所崩壊した中で五十五カ所というのが基準外になっているのですね。基準外の地が五十五カ所、この百四十二の崩れた中に入っている。つまり、三分の一以上というのは基準外だということになるわけですね。そこで二つ問題があるわけで、一つは基準を——鹿児島の特殊土壌という特殊な土壌、シラスであり、そしてコラがあり、ボラがある、まあシラスですね、シラスという特殊な土壌。それに豪雨という、これは有名なところです、豪雨の多いことは。そういう二つの条件を考えますと、基準をやはり鹿児島の場合には緩和する必要があるのじゃないかというのが一つです。いま申し上げたように三分の一以上というのは基準外のところが崩壊をしている。そして人家に被害を与えている。それと、先ほども古賀さんの方から話がありましたが、やはり毎回のごとくこの鹿児島が出てくるわけで、したがって、指定を重点的にひとつ拡大をしてもらいたい。重点的に指定拡大してもらいたい。この二つですね、基準の問題と重点的にひとつ指定拡大をしてもらいたい、やってもらいたい、この二つです。
  128. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 先生御指摘のように、今回の鹿児島県におきます人家に一部破損以上あった件数がいま御指摘のように百四十二カ所でございます。ただ、私どもで現在まで全国的に調査を実施いたしました結果から申し上げますと、一応急傾斜の法律によりまして危険が予想される個所の受けとめ方といたしましては、もちろん、たとえ一戸でありましても当然被災するおそれのある場合には防災対策というふうなことが当然望ましいわけでございますけれども、都道府県において義務づける範囲というふうな考え方の中では、一応法律にも被害を与えるおそれのある人家相当数ということにもなっておりまして、私どものとらえ方といたしましては公共性というふうな意味から人家五戸以上というふうなもの、さらに法律事項ではございますが、一応傾斜度が三十度以上ということでとらえておるのでございます。高さの方もやはり五メーター以上ということでとらえておりますが、従来のとらえ方といたしましては、過去の災害の事例から、災害を受ける激甚さの度合いに応じましてそういった基準を設けておるわけでございます。ただ、先生いま御指摘のように、基準外というもののとらえ方の中には一応人家戸数の一戸あるいは二戸程度しかない点在個所での事故でございまして、公共性というふうなとらえ方の中で私どもとしてはいまのところ五戸以上という範囲に置いておるわけでございます。ただ、人災事故等を避けますという意味では、県によりましては五戸、いわゆる建設省所管の基準以下の個所につきましても避難その他の対策をとっておる都府県があるわけでございます。  さらに、重点的な指定ということでございますが、指定につきましては急傾斜の法律によりまして県が指定するということになっております。指定に際しましては、指定した結果に基づきましてその土地が行為の制限を受けるわけでございます。あるいは土地の所有権がいわゆるがけの加害者的土地の所有者と、それから被害者的土地の所有者、いわゆる下に人家を持った方でございます、そういった土地の所有者関係が利害相反するというふうなこと、それからその土地の所有者の将来の開発というふうなもの等がいろいろと指定の段階におきまして問題がございまして、かなり指定業務がおくれておるのが事実でございます。しかしながら、現実的には、全国的には鹿児島県はいま御指摘のように特殊土壌地帯であるというふうなことでございますので、非常に全国的な率からいきますと指定は促進されておるというふうに承知いたしております。しかしながら、最近の災害等の事情を踏まえまして、私どもとしましては指定計画的にやらなければならないということで、各都道府県を集めまして現在鋭意その計画を策定するべく促進をしておるところでございます。
  129. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が伺ったのは、人家に被害を与えたがけ崩れというやつが百四十二あると、その中で指定したところは十六、基準外——三十度だとかあるいは五戸だとか、あるいはそのがけに面しておるとかという、その基準外のところが五十五戸の中に入っている。そしていずれも人家に被害を与えている。こういう状況ですね。ですから、一律に基準が決められるということはこれは行政上必要ですが、ですが、鹿児島のような特殊な土壌、これはがけといったってがけじゃないです、あれ。もう要するにシラスのがけみたいなものですね、恐らく五メートルというんじゃ、これはやっぱり。だから、そういう意味でいまこの実績を踏まえて私は言っているわけです。ですから、こういうやはり実績を踏まえて行政としては検討しなきゃならぬというふうに私は思うんです。百四十幾つの中で三分の一以上が基準外である、そのいずれも死者は出なかったけれども、人間並びに家に被害を与えているという場合に、これはやはり基準について、県の指定だそうですから、県と建設省の方でお話しになってもう少し指定を緩めてふやすように、さらにもう一つは、全国の中でも特に鹿児島については重点的に指定というものをふやすように、そういう努力が要るんじゃないかというふうに思います。それはひとつ後ほど答弁をいただきます。  続いてもう一つ、同じ建設省でありますが、先ほど宅造の問題について出ましたですけれども、これはまあ私も言いたいこともありますけれども、時間の関係ございますのでこれはひとつ省略をいたしまして、もう一つは、がけ地に近接している危険住宅の移転事業ですね。これについて補助額が、除去費が四十五万五千円、それから移転をするという場合が土地つきでまあ二百万、家だけの場合は百五十万と、こういうような補助金になっておるわけですが、これなかなかやはり、まあいままでもこの金額は増加してまいっておりますけれども、なかなか進まないということがあるわけですね。いろんな事情がございますけれども一つとしては、この補助額の引き上げが必要じゃないかという点が一つであります。  もう一つは、この補助率ですね、これを引き上げてもらいたい。特に今度のような大変ながけ崩れがあって、そして死者が三十二名も出るというような状況の中で、特に私は建築基準法の十条命令を出したような場合、こういう場合は補助率をやはり高める必要があるんじゃないだろうか。そうしないとなかなか進展しないですね。今後この補助率を高めていかれる考えはあるかどうかと言えば、二分の一が国庫補助で四分の一が県で四分の一が市町村と、こういう形になっておりますですね。ですから、この補助率を高める必要があるんじゃないかというふうに思いますし、さらに、十条命令を出した場合においてはぜひこの補助率を高めてもらいたいということ。もう一つは、移転しようとしましてもなかなか行く先がないというようなことが非常に多いわけですね。そこで公共団体が、県なりが相当宅地造成をして移転をするというような、移転をさしてもらうというような状況を来しておるわけですね。そういうような公共団体がこういう移転先の造成をするというような場合について何らかの援助が必要ではないか、あるいは住宅資金を貸す場合の貸し付け条件の緩和というようなものが要るんじゃないかと。これは建設省です。  もう一つ建設省に、時間がありませんのでまとめて申し上げますが、もう一つは、いま政務次官もおっしゃった桜島垂水市の牛根とのつけ根ですね。百メートルぐらいでつながっているんですが、熔岩の流れによってつながっているんですが、そこの地域、これは去年も被害を受けたわけですし、ことしもまた被害を受けておるわけですが、そのために六日間も交通が途絶してしまう。もちろん電信電話等も途絶してしまう。それで海路からいろいろな物資を運ばなきゃならぬというような状態になっておるわけなんですね。そこで地元の方では、ここのところを、ちょっと短い区間なんですけれども、海潟の小浜から牛根の麓の間ですね、ここを隧道を掘ってもらえないかという要望が非常に強いわけなんです。これは建設省にも来ていると思いますが、以上、建設省にお尋ねをします。
  130. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 補助の限度額のことでございますけれども、これは平均的な住宅を想定しまして、それに要する諸費用を実情に合うよう年々引き上げてまいってきておるのでございます。鹿児島県の実情も詳しくは十分聞いておりませんですけれども、今後ともこの単価の改善には努力してまいりたいと、このように思うわけでございます。  それから補助率でございますけれども、本事業以外の住宅移転事業がいろいろございます。それに比べて特に市町村にあるいは県に高い負担を課しているとは考えられませんので、一般的なものにつきましては補助率アップということはむずかしいかと思いますけれども、今回のことで特に地方財政が過大となるという場合には特別地方交付税等による財政負担の軽減がされるよう関係省庁等とも十分御相談して調整してまいりたいと思います。  それから先生御指摘の十条命令云々でございますけれども、これは十分研究さしていただきます。
  131. 坂上義次郎

    説明員坂上義次郎君) 一般国道の二百二十号線が先ほど御指摘のありました小浜から牛根麓の間を通ってあるわけでございますけれども、この区間につきましては、このたびの場合の災害に対しましては、直轄の道路災害事業と並行して緊急治山事業の工事を行うよう鹿児島県と協議しており、両者相まって復旧いたしまして道路の管理に万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。昨年も災害がやはりございましたが、その個所について同じような方法で道路サイドにおきまして山側に擁壁とストンガードをつくりまして、その上の方を山腹工事をのり面保護法を行ったところにつきましては今回の災害では免れているというような状況もございますので、そういうようなことでやっていきたいというふうに考えております。  また、いま御指摘のありましたトンネル等によります対策でございますけれども、これは五十一年度より災害対策調査を実施しておりまして、本年度は基礎的な調査、地形、地質等の調査を実施いたしまして、五十二年度以降にどのような構造物あるいはルートをとったらいいかというようなことを調査いたしまして、根本的な対策を考えていきたいというふうに考えておるわけでございますが、ただ、現在の海岸線のルートも全然捨ててしまうというようなことには——桜島等の連絡等を考えますと完全に捨ててしまうというわけにもまいりませんので、海岸沿いのルートにつきましても、先ほど申し上げましたような対策をあわせて実施し、また考えていきたい、このように考えています。
  132. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 先ほど先生御指摘の五戸未満の指定の問題でございますが、私どもとしては、一応一定の規模以上ということで五戸をとらえておるわけでございます。ただ、現実災害の事例等を踏まえまして、住民に対します危険個所の周知徹底、あるいは警戒避難体制の整備、あるいは特にそういった小規模な一戸あるいは二戸程度のものでございますと、むしろ危険住宅の移転というふうな問題との兼ね合いもございまして、そういった措置がとれるような方向で都道府県並びに市町村というふうなものに対しましていま指導をしておるところでございまして、県によりましては、一戸のところにつきましてもいろいろ防災措置等を講じておられる県も一部にはございますが、現在のところまだ鹿児島市・県におきましては、むしろ移転というところほどでは積極的にやっておられるように承知しております。
  133. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間があるともう少しやりたいんですけれども、いまの建設省の答弁に対しまして。ですけれども、時間が限られておるわけですよね。改めて直接お会いしてやることにしましょう。その方がいいでしょう。  いまの国道課長答弁は隧道も含めてこれから調査をやられるわけですな。
  134. 坂上義次郎

    説明員坂上義次郎君) トンネルを含めまして、あるいは洞門工法とか、その他いろいろ対策工法がございますので、先ほど申し上げましたようにルートを変更ということは、ルートを変更してトンネルを掘るというようなことも含んでいるわけでございます。
  135. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 最後に厚生省について三点ほどお尋ねいたします。  一つは、災害救助法適用を受けているわけですが、垂水市ですね、この応急援助について救助費についていろんな種類があるわけですが、限度額がある場合もあるし、実費補償の場合もあるわけですが、この基準額が実情に合ってない面が相当出てきている、したがって、この基準額を引き上げてもらいたいという要望なんですね。意見なんですよ。そこで、いまやっているのは五十年度の単価でやっておるわけですね。いま市町村がやっておる、この垂水市でやっておるのは。そこで、五十一年度の予算で額が決まってくるんだろうと思うんですが、当然、さかのぼってその額は支払っていくということになると思いますけれども、どういうふうに進んでいるのか、いつごろ決まるのかという点ですね。  それからもう一つは、災害援護資金ですね。この災害援護資金が、死亡した場合世帯主百万、その他五十万。それから災害援護資金の限度額、これが百万というふうになっているんですが、これを、特に災害援護資金ですね、この百万という限度額を引き上げてもらいたい。これが一つです。  それからもう一つは、世帯更生資金貸し付け補助額、これが八種類に分かれておるわけですが、この貸し付けの補助額が五十一年度原資として国の方から一億二千万円という金が割り当てられておるわけですけれども、今度こういう事故が起こりまして、これは増額しなきゃならぬだろうというふうに思うんですが、その増額の問題についてどういうふうになさるお考えか、お尋ねをいたします。  以上、厚生省、三つですね。
  136. 水田努

    説明員(水田努君) 災害発生以来、県当局と緊密な連絡をとって対処いたしておるわけでございます。まず、災害救助の基準の関係で申し上げますと、私ども現在、県当局から強く要請を受けておりますのは、家を全壊された方の応急仮設住宅の点でございまして、この点につきましては、一般基準でいきますと六戸の建設しか認められないわけでございますが、そのほかどうしても八世帯用意してほしいという要請を受けまして、私ども直ちにこれについては特別基準を設定して対応してよろしいということで御連絡を申し上げているところでございます。なお、災害基準一般につきましては、物価、労務費等の上昇に応じて当然五十年度の基準を改定する必要がございまして、一両日中に、財政当局との交渉の結果、基準の改定ができるものと考えておりますが、基準を改定いたしました暁におきましては、御指摘のとおり、さかのぼって適用いたす考えでおります。  次に、二番目の災害援護貸付金の点でございますが、昨年倍額の百万に引き上げたわけでございますが、この災害援護資金というのは、一応災害が起きました場合には経済活動に対処しますためには天災融資法であるとか、あるいは国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫等の災害向けの貸し付けがございますし、また住宅につきましては住宅金融公庫からの災害の貸し付け制度があるわけでございますが、私どもの受け持っております分野の資金というのはいわゆる福祉的な資金でございまして、いわゆる生活の立て直し、こういう色彩を持った資金でございますが、この災害援護資金につきましては、そのほかに世帯更生資金というのがございまして、この世帯更生資金の中の生業資金、これも最高限度百万円まで借りられますので、この両方活用いたしますと二百万までの、ほぼ借りる対象者の年間所得に対応するぐらいの資金量の確保が図れますので、私どもは現時点においてはこの世帯更生資金の活用と相まってほぼ妥当な対応がとれるのではないかと、このように考えております。  なお、最後の点の世帯更生資金の問題につきましては、すでに県当局に渡し済みのもののほか、必要があれば県当局と緊密に連絡をとった上、実情に沿うように対処してまいりたいと、このように考えております。
  137. 上條勝久

    上條勝久君 私はまず最初に、昨日の委員会報告をいたしました本委員会桜島噴火災害、大分地震災害及び特殊土壌地帯災害防除に関する調査の結果について、その大筋の二、三点を各省庁に要望を申し上げておきたいと思います。せっかく国会のこの特別委員会調査をした結果でありまするので、いずれ会議録で十分ごらんをいただいていろいろ御配慮をお願いいたしたいと思いますが、また他の委員先生方からも二、三その問題については御発言がありましたけれども、私はその大筋について二、三点これからお願いをしておきたいと思います。  その第一点は、桜島噴火災害についてでありますが、これも先ほどの宮之原委員の御発言に関連いたしますが、また、それによってお答えをいただいておると思うんでありますけれども活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律に基づいて進められておりまする避難施設整備緊急事業は、御承知のとおりその第一次計画が本年で終わるということになっておりまするけれども、先ほどもお話しのとおり、桜島は将来山腹噴火があるかもしれぬというような学会の警告も受けておるようなときでありまするから、ぜひひとつこれは二次計画を設定をしていただいて、続いてこの整備事業を進めていただくように特に御配慮をお願いしたいというのが第一点でございます。  それから第二点は、大分の地震の災害対策についてでありますが、おかげでこの前見てまいりましたが、おおむね事業は円滑に推進をいたしておりまして、大体ことしで八〇%ないし九〇%の事業が完了するであろうということであります。ただ、治山事業が大変おくれておりまして、残事業が多くなっておりますが、私たちも震源地付近をジープに乗って先生方と一緒に現場を見ましたけれども、いまだに山腹に災害当時そのままの土はだが露呈をしておるというようなことでありますので、これから台風の時期にも入りますし、ぜひひとつこれはなるたけ早く完成するような方向で農林省においてはお取り組みをお願いを申し上げたいと、そう思います。それから、これは一般災害でも適用されることでありますし、きょうは郵政省からおいでになっておりませんけれども、国土庁がこの災害の元締めでありますからお聞き取りをいただいておきたいと思います。農山村の孤立部落等が発生をする可能性が非常に多いわけでありますが、これに対処して救援救出の万全を期するということは、これは人命救護の上からいたしましてもきわめて大事なことである。したがって、今日の農集電話等では間に合いませんから、これを自動電話等に切りかえる等の情報網の整備に御配慮をお願いいたしたいということであります。  それから第三番目は、これは先ほど古賀委員から御発言がございました特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法に基づく各種の防災事業が活発に行われておりますけれども事業費の関係や制度上にも、具体的な制度上の問題で若干問題があるようでありまして、現在のところ危険地の計画的な解消が動いてないというのが現状ではなかろうかということを、私は今度の視察をした上で、また全国的な傾向から勘案をいたしましてそういうふうに判断をするわけでありますが、これは時限立法でありますけれども、先ほどの話のとおり、ぜひひとつ臨時措置法の期限を延長することに政府として御配慮を願うとともに、予防治山事業に対する一般公共事業債の適用についても、その制度化等についてひとつ前向きに取り組んでいただいて、この大事な事業の進捗を図るようにお願いを申し上げたいということでございます。  なお、桜島噴火による大量の降灰被害を受けました養蚕、葉たばこの特産地である串間市でありますが、私は宮崎県の選出の議員でありますけれども、決して宮崎県のことを申し上げておるわけではありません。これは一つの事例として、ひとつテストケースとして、これをもとに踏まえてお互いに勉強して御検討願いたい、こういう意味でありますから、誤解のないようにお願いをいたしたいのでありますが、降灰除去施設等の整備が非常に緊要であるということでありますので、隣県ではありますけれども活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律に基づく防災の施設整備の対象地域にぜひとも御指定をお願いいたしたいのであります。この点は国土庁からお答えをいただきたいのでありますが、先ほど参事官から宮之原委員に対して、そういう前向きで検討したいと思うが、何分にもまだ手続がされておらぬので、その手続が来た上でということでありまするので、御答弁は要りません。いずれ農地局でありますか、を通じて書類が上がってくると思いますから、参りました節はひとつそういうことでぜひ指定について御配慮をお願い申し上げたい、こう思います。  以上が桜島等を見てまいりまして、そしてその結果を御報告申し上げましたことについての一部であります。  次に、先ほど来諸先生から御発言があっておりまする先月の異常な梅雨前線降雨による災害対策について、関係各省庁に御要望、また二、三の点についてはお答えをいただきたいと思うわけであります。ただ、現在恐らく資料も十分ではなかろうと思いまするし、調査もできていない現在の段階でありますから、この際は主として要望にとどめておいて、このことはお答えは当然いただけるという点についてだけお答えをお願いいたしたいと思います。  先ほどの古賀委員の発言に関連いたしますが、私は、四百ミリからないし六百ミリ以上の雨量が観測されて、七月二日現在で、いま皆さんにも写真も見ていただきますが、百六十五億円の甚大な被害を出した宮崎県の災害中心に発言をさしていただきます。その最初に、まず今度の災害についての特徴であると私は思いますので、その点を先に申し上げておきたいのでありますが、物的な公共土木施設であるとかあるいは農地農業施設、林道等には先刻申し上げましたような百六十五億という大きな被害が出ておるにかかわらず、人的被害はおかげをもちまして軽傷者が二名にとどまるという程度であったのでございます。このことは先ほども委員先生から御発言がありましたが、宮崎県におきましてあらかじめ危険個所を十分に調査指定をいたしまして、これは危ないというところについては市町村警察による事前の避難、これを非常に強く指導、強行をいたしたため、その措置が徹底した防災対策でこれに対応したと。その結果、そういうことのおかげで大変人命に対する被害が出ないで済んだわけでありまして、このことは各省庁の皆さんには十分ひとつ御承知おきをいただかなきゃいかぬと思うんです。何といっても災害で人命を失うということは一番遺憾なことでありまして、あらゆる行政努力あらゆる政治的努力、配慮のもとにたった一人のけが人も出さずに済むというような体制づくりを平素から心がけていくことが私は一番基本的に大事なことである、かような認識に立っておりまするので、それが一つ。  それからもう一つは、後でお願い申し上げまする激甚地の指定基準というような問題についての政府筋の判断のひとつ材料にもしていただきたい、こういう意味合いから、これも単に宮崎だけの問題でありませんが、そのことを御承知おきをいただきたい、こう思います。御承知のとおり、梅雨に続いて台風の時期に入っておりまするし、この前、米の問題でもいろいろ議論されましたように、ことしはこれは非常に異常気象現象の年でありまするので、そんなことがないように、心から天に祈るわけでありますけれども、しかしこれは覚悟はしておかなければいけない。そういう意味で、どうしても災害については万全の措置を講じていただかなきやならぬ。  そこで、第一に国土庁にお願いをいたしますが、御承知のとおり、地方財政が非常に逼迫をして苦しい今日の情勢下において、今度のような災害鹿児島県、宮崎県等中心として襲ってきたということでありまするから、どうしてもやはり一番先に問題になるのは私は財政上の措置、これがやっぱり問題になってくると思うんです。それには先刻来御発言のとおり、補助率の問題もあるいは制度の改正の問題もいろいろあろうかと思いますが、いずれにいたしましても激甚地の指定ですね、これは公共災害、農林災害あるわけでありますが、十分ひとつ、そういう次元の点も御配慮の上、指定について特別な配慮と、そしてこれに伴うところの特別な財政措置を急いで配慮していただく必要があると、こう考えますので、どうかひとつ、そういうことでお願いをいたします。  先ほどこれも御答弁いただきましたが、ここでまた重ねて出てまいりましたけれども要望いたしましたが、災害防除等農地改良対策の見地から、特殊土壌地帯の保全と生産性の向上を図って、なお発生する災害と農業生産性の低位性を除去していくために、どうしても特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の有効期限を相当期間延長していただきたいということでありますが、これもまた前向きな政務次官の御回答等もございましたので、私からも重ねてお願いをいたします。これもお答えをいただくつもりでおりましたけれども、先ほど前向きなお答えをいただいておりますから、重複を避けて御答弁は要りません。  次に、農林省関係でありますが、宮崎県では御承知のとおり農地の被害が四十三億五千万円に上っております。さらに、いま申し上げましたとおり、台風の来襲等も予想される今日でありまするから、当然のことながら、先ほど申し上げましたとおり早急な査定の実施と、そして早急な復旧体制の確立について格段の御留意をお願い申し上げたいということであります。林地の被害は、鹿児島宮崎の中南部シラス地帯を中心にずっと開けておって、これはもう私どもが現役でおりますころから、いろいろな法律、制度をつくって対応してきたわけでありますけれども、六億円の被害を出しております。裏山災害に対する早急な治山対策が必要でありますが、これに対応するためには山地治山事業はもとより、林地崩壊防止事業、それから小規模山地災害対策事業を拡充することが要請されますので、どうかひとつ御善処をお願い申し上げたい、かように存じます。  次に、建設省関係でありますが、道路の決壊、河川の破堤、決壊等の土木の被害は百三億円に上がっております。さらに今後の台風の来襲も先刻来申し上げますとおり十分予想されまするので、これもただいま申し上げたと同様に、早急な査定の実施と復旧の万全を図っていただきたい。もう一つは、再度災害を防止するということはこれはきわめて大事なことでありますが、改良復旧事業の促進を図ることと、それから災害関連事業の採択基準である災害費と関連改良費との比率が、現在一対一になっておりますが、積極的な改良復旧事業を促進するということはこれは防災的見地からきわめて大事であると思うのでありまして、関連改良費の比率の緩和について、この際、ひとつぜひとも前向きに御検討をいただきたいと、こう思いますが、この点につきましても、私は強く心から要望をいたして、ここでお返しをいただくことはよろしかろうと思います。先ほども申し上げましたが、いずれまあ、今後いろいろな資料も出てくる、調査も完了する、その過程の中で皆様方のまた御配慮をいただけるという前提で、その様子を見た上で改めてまたお願いもし、質問もしていきたいと、こう思います。  次に、自治省とそれから建設省初め関係各省に及ぶかと思うんでありますが、二、三点お願いをいたします。県市町村災害復旧に相当なこれは経費が要ることは御承知のとおりでありますが、先刻も申し上げましたように、財政の運営が非常に逼迫をした現状のもとでありますので、目に見えないいろいろな困難が伴ってくるということが想像されます。したがって、普通交付税であるとかあるいは特別交付税に対する全般的な災害の諸経費に対する特別な御配慮と御措置を、これはもう本当に真剣に考えていただきたいと思うんでありますが、そのことをひとつ包括的に自治省に篤とお願いをいたしておきます。  一例をちょっとここで申し上げてみますと、一つのわずか一万かそこらの町で三百カ所以上のいわゆる公共災害発生をいたしておりますが、その調査設計というものは、いわゆる市町村、都道府県でやるというたてまえになっておるはずでありますが、ところが一遍に三百カ所の災害個所が生じた、それに今度は公共災害に乗っからない、十万円に満たない小災害と称するものが今度の災害の特徴であると思うんでありますが、非常にたくさん発生をいたしております。これらを抱えて、調査をしようにも人員的にも技術的にも手のつけようがないというのが実情でございます。それじゃ外注すればいいじゃないかということでありまするが、先刻申し上げましたとおり、外注するにはなかなか町村財政が苦しいということで、もう全く手も足も出ないという気の毒な私は町村の現状であると言わなきゃならぬと思うんでありますが、それでひとつこれは、建設省、各省、農林省等にも関係があるので、自治省には、こういうこともありますので、ひとつまあ地方財政を担当されておる自治省においてはいろいろな面から考えて、配慮ある、何というか、温かい御配慮をお願いしなきゃなりませんよ、ということを御承知願うためにこの場で申し上げておるわけでありますが、たとえばそれらの調査設計に要する経費は、河川について言えば維持費等の中に繰り入れるか、しかしこれは、補助率がたしか非常に低いと思いますので、こういう仕事に適合するかどうかわかりませんが。それから、いわゆる一般災害費の中に打ち込んでめんどう見てもらえぬものかどうかということが一つ。それから、先ほど申し上げました公共災害と——これはまあ公共災害のことをいま申し上げておるんでありますが、に満たない、十万円に満たない小災害についても同様でありますが、自治省で地方債なりあるいは地方交付税、特別地方交付税の算定の基礎にぜひひとつ、これは入れていただくことになっておるかもしれませんけれども、そういうことにしていただいて、そしてこれもなるたけ早く県にひとつ御連絡をいただいて市町村を御指導いただかぬと、それだけでも一カ月や二カ月はおくれるわけでありまするから、どうかそういう意味で、こういう際でもありますので、温かい御指導をいただきたいと、こう考えます。いろいろ財政上の問題はあるわけでありますけれども、何もこれが全国的に起こった災害でもありませんし、年がら年じゅう起こるものでもありません。でありまするから、こういう災害発生に対しましてはあとう限りいろいろな面においてめんどう見ていただく。私たちがたばこ一つ吸うところを吸わぬで協力するということだってこれは考えにゃいかぬと思うのですよ。桜島もそのとおり。でありまするから、そういう意味でひとつ前向きに御検討をいただきたいと思いますが、この点は先ほどからあるいは御発言の中にあったかもしれませんけれども、大事なことでありまするから、自治省からひとつ前向きなお答えをいただければと思います。  もうついででありますから、時間を四十分いただいておるのでありますけれども、先ほど少し時間が延びたのもありますから、それをひとつ取り戻すということで一遍にひとつ一気かせいにやってしまいます。これも古賀先生から先ほどちょっと御発言がありましたが、それに関連しますけれども宮崎県の都城市に一級河川で丸谷川というのがありますですね。私たまたまくにへ帰っておりまして、新聞を朝見ましたら、これは人災であるということが書いてあるわけです。なぜかというと、前に災害を受けた個所を災害復旧工事を行った、石積みの上に土羽が積んであるわけでありまするが、それから浸水をして大事な美田をつぶしたのであるから人災であるというようなことが書いてある。都城市長は、恐らく防災課長さんあたりのところへ飛んできたと思うのでありますが、東京へ飛んでいったと。私は留守中に県の土木出張所長、市の建設部長さんの御案内で現場をこれは見ておかなければいかぬということで見てまいりました。見てみますると、先ほどのお話のとおり、あの川というのは全くの自然河川でありまして、ぐにゃぐにゃぐにゃぐにゃ曲がっておるわけであります。その曲がったところが正面からの流水で、そこに前の災害復旧の個所があるわけでありまして、それを越しまして、そうして浸水をしておる。そこだけかというと、それから十メートルぐらい下流の方に、ちょっとやはりこれは自然の築堤で竹や笹が繁茂しておる地点でありますが、そこがちょっと恐らく低かったのでしょう、私たちが外から見ても、どこがどうなっているやらさっぱりわかりません、これは舟にでも乗って中からずっと時間をかけて見ぬ限り、外からは見えぬような、そういうところであります。そこからまたたんぼの中へ同じような水が入っておる。それから二十メートル下流にまた同じようなところ、またそれから十メートルぐらい下がって同じようなところがあるわけであります。その下に橋があるわけでありますが、その橋のたもとはこれは非常に下からわいてくるような形で、噴き上げるような形でこれまた浸水をいたしておるわけでありますから、これは人災ではない。私は素人で技術者じゃありませんけれども、人災ではないと。しかし、したがって、その災害復旧についてはもとよりこの決壊をした、あるいは浸水をした個所については、万全な復旧体制をとっていただくことは当然でありますけれども、どうもそれだけじゃなかなか災害の防除ということにはほど遠いんじゃないかと、こう思うわけでございます。したがって、こういう河川については、現行制度におきましても、防災的な見地から改修工事が行われる、こういうことになっておりますが、十分ひとつ建設省の方でも検討をして、建設省の方へ上げてくると思いまするので、とりあえず災害の個所、あるいは非常に危険な個所等については、幅広い手当てをいただくといたしまして、あわせてこれが防災的改修について十分御検討をお願いをいたしたいと思うわけであります。  それからもう一つは、これは今度の災害では直接ありませんが、やっぱり若干の影響はあったのは、延岡市の一級河川に北川というのがありますが、そこはいま堤防築堤工事を進めていただいておるわけでございます。地元ではその堤防の高さが少し低過ぎるんじゃないかと。一たん出水時においては、満潮時の出水ということになると、この高さでは危ないということを言われておるんですが、今度もその寸前であったように聞いております。ところが、この川のど真ん中に旭化成の高圧線の基柱が立っておるわけであります。この州を取り払いますと、私素人でありますが、住民が心配しておる堤防の高さも比較的有利になってくるんじゃないか、まさに水流は非常に円滑になるであろうということで、これは今度の災害とは直接は関係ありませんけれども関連をいたします。建設省の方に地元から要望がされておると思いまするので、多少移転費を要すると思いますけれども、どうかひとつ速やかに御検討の上、あわせでこの対策を考えてほしい、こう思いますので、その点については河川局からだれかきょうはおいでいただいておりますかな、治水課長さんからでもちょっとひとついまの丸谷の問題と、それから北川の問題についてはお答えをいただければありがたい、こう考えます。自治省と建設省にお答えをいただくことといたしまして、ほかにも申し上げたいことはたくさんありますが、まだ調査が十分できておらない、私自身も今日の時点ではまだ自信がありません。以上にとどめて、また改めて他日お尋ねすることにさしていただきます。ありがとうございました。お願いします。
  138. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 都城の丸谷川についてお答えいたします。  丸谷川につきましては、数千万の災害報告がなされております。で、確かに先生のおっしゃるような自然河川の状態でございますから、非常に現状のままでは大変かと思いますが、現在県の方で改良復旧関連事業等の点をいろいろ検討いたしておりますので、先生のいまの趣旨をよく体しまして、今後検討してまいる所存でございます。
  139. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 先生の御指摘は、北川の支川祝子川にございます旭化成の送電線の鉄柱、これが立っております中州がございます、この中州を除去すれば洪水の疎通能力が増すということかと思います。この点については、先般よりただいま検討中でございます。
  140. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) 今回の集中豪雨によりまして被害を受けられました関係団体に対しましては、その被害の状況でございますとか、団体の財政事情等を勘案いたしまして、本年度の特別交付税の配分におきまして措置いたしますとともに、地方債につきましても十分配慮いたしまして、被災団体の財政運営に支障を来すことのないよう措置いたしてまいりたいと存じます。  なお、一例としてお話のございました設計委託費の件につきましては、当省といたしましてもかねがね関係省庁に対しまして、それら補助対象範囲の拡大改善方をかねがねより強く要請してまいっているところでございまして、それに伴います裏負担につきましては対処いたしてまいりたいと、かように存じております。なお、まことに蛇足でございますが、今回の被災市町村につきまして、普通交付税の一部を繰り上げて交付いたすべく目下手続中でございまして、近く繰り上げ交付ができるものと、かように存じております。
  141. 上條勝久

    上條勝久君 打ち切るはずでしたけれども、大変前向きな自治省の事務当局のお答えをいただきましたので、その考え方が正しいと思うんですよ、私も。ですから建設省も農林省もあるいは関係省庁も、ひとついまの自治省の考え方にお互いに同調して——きょう大蔵省の主計局からだれかおいでいただいておりませんかな、財政当局にひとつ私ともも政治的に各省——国土庁あたりとよく連絡をさらにいたしまして、地元はもとよりでありますが、努力をいたしたいと、こう考えますので、関係各省庁でもひとついま自治省で御発言のような趣旨を踏まえて御配慮をお願いしたい、こう考えます。どうもありがとうございました。
  142. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 与えられた時間が四十分ということでございますので、余り詳しいお話もできませんが、ちょっと話があちこちにいくようになるかもしれませんが、二、三点についてお伺いしたいと思います。  四日の日私も鹿児島に行ってまいりましたので、鹿児島のことをちょっと、一番当委員会中心になっておりますので、気のついた点ちょっとお伺いしたいと思いますが、鹿児島市のとうとい人命を失う被害につきまして、午前中もいろいろ審議がございました。この急傾斜地の下に家を建てる、これがどれほど急傾斜地の土質や構造によって大きな被害をもたらすか、これは今日までいろいろな事例があるわけでありますが、また午前中もその点についていろいろな論議がございましたが、そうしてまた現在の法律でもこの急傾斜地につきまして、シラス地帯——特に特殊土壌地帯につきましての問題について、午前中もいろいろな質疑があったわけでありますが、シラスというのは特殊な土壌であるわけですから、もちろんがけ下の方の対策も大事ですが、上の方の問題もこれまた決して軽んじてはならない問題であることは御存じのとおりです。ここへ結局土地造成がどんどん都市化で進みまして、土盛りしまして、シラスである上に土盛りをして、そして住宅を建てる、こういうことのために被害が起きたというこういう現状、これは現場へ行ってごらんになればおわかりのとおりでございます。この土盛りにつきましては宅地造成等規制法によりましてこれはある程度規制があるわけですけれども、われわれがこの現場を見まして被害の状況を見ますと、本当にこの宅地造成というものに対して、これは法律がありますけれども、この法律が十分に働いてこのシラスの上に土盛りをして家を建てるなんということについて、どこの省庁が厳しく監視の目を光らしておるのか、こういう疑問を抱かずにはおれない、こういう状況を私どもは見てきたわけであります。しかも県とか市におきましては、こういう急傾斜地に対しての改善勧告、こういうことについてやっぱり相当真剣に取り組みませんと同じ事故が同じような形でいつも繰り返される、このように私は思うんですが、宅地造成等規制法、この規制法では土盛りのところに対して第四条とか、そのほか第八条、こういうところである程度の規制はあるんですけれども、シラス地帯のようなところについては特に厳しい規制といいますか、対策がなされなきゃならぬ、このように思いますが、担当はどこか知らぬけれども、ひとつその間の見解、お考えをちょっとお聞きしたいと思うんであります。どうですか。
  143. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 御指摘のとおり、シラスは特殊土壌地帯でございまして、宅地造成につきましては慎重な対策を行わなきゃならぬわけでありまして、特に技術的な宅地造成の基準につきましては、御案内のとおり、宅地造成等規制法の施行令におきまして全国一般に通用いたします一般的な技術基準に加えまして、特別に鹿児島知事の県の規則によりまして技術的な基準を強化いたしております。たとえば擁壁をつくります際には、その背面といいますか、裏側には特別の水を通す透水層をつくるとか、あるいは特定の傾斜地におきましてはじゃかご堰堤等を設置しなきゃならぬ、それから計画流出量を算定する場合には一般的な基準以上の降雨量、あるいは流出係数につきましての要件を加重しておるというような状況でございます。しかも、こういった基準の運用につきましては、鹿児島県の場合、昭和四十四年の災害の教訓もございまして、特別にパトロール車を置きまして常時巡視をいたしております。  最近の宅地造成等規制法に基づく勧告あるいは改善の命令の実績を申し上げますと、昭和四十七年には三十七件、四十八年には五十四件、四十九年には四十六件というふうにパトロールの際に発見いたしましたいろんな問題個所につきましてはこういった措置をとっておる次第でございますけれども現実なかなかこの徹底が十分でないという問題がございますけれども鹿児島県におきましては精いっぱいの努力をしているというふうにわれわれは考えております。
  144. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは午前中もいろいろ質疑がありましたけれども、あなた方としては十分にやっているというそういう見解かもしれませんが、現実にこういう事故が起きているということは、そしてしかもそれが事故になってみてシラスの上に土盛りしてあったということが発見される、その建物もそんな二十年も三十年も前に建てたものじゃない、こういうことで、パトロールしておったりまた勧告受けたものが何件あったというそういう数字的なものについてはいまお話しになったとおりだろうと思います。せっかく御努力なさっていることもわかりますけれども、一たび事故が起こりますと、こういう多くの方々の人命を失うということにつながるわけでありますので、これは土地造成の時点で、また建築許可を与える時点でか、これは宅地造成のときや建築するとき、また消防当局についてもやっぱりこういう部面についての災害ということで関係あるのかもしれませんが、それぞれでチェックをするというふうにいたしませんと、一つの課で全部目を光らせるというわけにいかないだろうと思います。県では特別——特別というか、県では規制を強化してそういう監視をしているようでありますけれども、さらにひとつ現状に即した面でこういう点検討をいただいて、同じ轍を踏まないような対策といいますか、施策を考えていただきたいと、こう思うのですが、どうでしょう。
  145. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 御指摘のとおり、今回の被災個所の調査につきましては、ただいま詳細に実地調査を進めておるところでございまして、その成果を生かしまして同じような災害が二度と起こらないように措置してまいりたいというふうに考えております。
  146. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 だから急傾斜地のことにつきましては、三十度から高さ五メートルですか、土質のもろいというこういうところについては崩壊危険区域というこういう指定をするわけですね。まあ土地によってはこういう危険区域なんていうことになると造成したものが売れないというか、価格にも影響もあったり、温泉地なんかではそんな危ないところには行きたくないとか、これは鹿児島じゃありません、総体的に言いましてね、一般論で。そういうことで、本来これは県がもっと厳しく見なきゃならないものがそういういろんな思惑の中で県としても厳しくなされていないということもわれわれしばしば聞きます。また現実、現場でもそういうふうなことに直面することがあるわけであります。これはぜひ、土質のもろいとかどうとかいうことはなってみなきゃわからぬことかもしれませんが、しかし事故が起きてからでは遅いわけであります。こういうことで、こういう災害があったことを、シラスだけに限らず、ひとつ全国的にこういう勧告または危険地域指定、こういうことについていままでも再三当委員会でも取り上げられてきたわけでありますが、同じような事故を何度も繰り返すことのないようなひとつ行政指導なり何なりをしていただきたい、こう思うのですが、この点についてはどういう御見解ですか。
  147. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 全国的にも過去四十二年、四十七年、五カ年ごとに危険宅地の実態調査を実施いたしまして、その調査結果を技術的基準の改善等に反映さしております。今後、来年その五年目に当たりますので、当然実施する予定で計画を進めてございますけれども全国的にも今回の経験を生かしまして慎重に対応策を考えていきたいというふうに考えております。
  148. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 狭い国土の中での都市化現象の中でどうしても商業ベースで物を考えますとこういう方向に行きやすい。そこを厳しく監視をし、人命尊重の上から行政指導するのが建設省だと思いますので、ひとつ積極的に取り組んで、まあ来年五年目だからということでありますが、現在こういう危険区域等についての指定をちゃんとなされているかどうか、これはいろんな県の実情等を見まして、どうもこの県は緩いようだと、こういうように感ずるところも多々あるから私は申し上げているのです。何も来年、五年迎えなくても、ひとつ今回のこれだけの三十数名に及ぶ人身事故もあったわけでもありますし、それが全部が全部急傾斜地からの問題ではないかもしれませんけれども一つの教訓としてこれはぜひやっていただきたいと思うんです。  それから、やはりこの急傾斜地の問題について、これも午前中いろいろな論議がございましたが、危ないということもわかっていながら——わかっていながらというか、そういう徴候がないということで、どうしても安易に考えがちだという、また延び延びになるということの一つには、人為的な急傾斜地については別でありますが、自然の傾斜地についてはこれは国、県でそれぞれ補助することになっておるわけですけれども、やっぱり自己負担が多いということであるいは二の足を踏むという、危険区域の指定を受けたり、勧告を受けておっても相当な金額の工事をしなきゃならぬと、こういうことでもっと融資制度等についても、やりやすいような方向でこれはまた考えていかなきゃならない。これもまたこういう危険をなくする一つの隘路であろうかと思うんですが、こういう点についてもいろいろ御検討にはなっていらっしゃるだろうと思いますけれども、ぜひひとつ同じような事故を何度も何度も全国各地で繰り返すことのないように、ひとつがっちり取り組んでいただきたいと、こう思うんですが、どうですか。
  149. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) ただいま先生御指摘のとおり、この宅地造成等規制法によりまして勧告あるいは改善命令を受けた場合、その命令に従いまして擁壁の設置、改造あるいは排水施設の設置等の工事を行います場合には、住宅金融公庫から特別の融資をすることになっております。その活用で当面問題個所に対応していきたいと思っておりますけれども、この融資条件等につきましては今後とも改善に努力したいと考えております。
  150. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間ありませんので、どうかひとつ課長さん一生懸命取り組んでいらっしゃるようでございますが、上司の方ともよくひとつ御検討いただきましてしっかり取り組んでいただきたいと思います。  南の方の話がずっと続きましたので、私はちょっと北の方に話が移りたいと思うのでありますが、気象庁の方いらしておりますね。巷間伝えられるところによりますと、地球がちょっと異変を起こしておるように思うのでありますが、最近の——最近というか六月の末、下旬の寒波、またヨーロッパ等における異常な寒暖、こういうことを見るにつけても、このたび六月から七月の初めにかけての東北、北海道を中心といたします寒さ、オホーツク海高気圧、これはいままで測候所にない大変な低温を記録しておる。私このように承知しておるわけでありますが、やはりこれは異常な状態であると、こういうふうに見てよろしいのではないかと思うんですが、気象庁の見解はどうでしょうか。  それから、これらの——ここ二、三日はちょっと暖かいようでありますが、これからの気象の動きの中で、やはりこういう寒さというのは、やっぱりやってくるのかどうか。新聞にもいろいろ報道されておるんですが、現実にひとつここで私ども拝聴したいと思うんでありますが、どうでしょう。
  151. 内田英治

    説明員(内田英治君) お答え申し上げます。  北半球の気候が非常に寒冷化しているということは、もうずいぶん数年前から論議されているのでございますが、気象庁といたしましても二年前に白書を出しまして、異常に広範囲な場で見て、しかも、相当時間的にも長い時間平均して現象を見ますと、一九四〇年ごろからだんだんと北半球が寒冷化しつつあるという事実がございまして、これを報告に発表しているわけでございます。それで全般的な傾向は、大体この平均の大きな場の傾向というものは、今後も十数年は続くであろうということを中に書いてあるのでございますが、それでこれに伴ってどのような現象が起こるかと申し上げますと、非常に気象現象というのは変動の大きいことでございますので、個々の短い時間、それから小さい規模の現象は非常に変動しております。でございますが、さっき申し上げましたように、その非常に大きな場は寒冷化しつつある、それに伴いまして小さな場でも非常に異常な現象——異常ということを私たちは三十年以上に一回程度起こるというのを異常というふうに定義づけておりますけれども、そのようなことが、つまり偏りの非常に大きい傾向が発生しやすいということは言えると思います。個々のことについて毎年毎年必ず大きく異常の現象がふえていくのかというようなこととは少し論議が違いますので、発生しやすいということを申し上げているわけでございます。その一環としまして、先生がいまおっしゃいましたように、世界的に見ましてもヨーロッパの干ばつであるとか、それからまたあちらこちらで冷害あるいは寒冷、それから集中豪雨といったような現象が起こっておるのだと思います。極東付近につきましても、いま御指摘のありましたように、オホーツク海高気圧というのが六月の下旬以降に発生いたしまして、そのために非常に寒冷な空気が日本付近に押し寄せてくるということが非常に強くうかがわれました。これも大きな場の中の一つのあらわれであると感じております。  それで今後のことでございますけれども、長期予報によりましてもつゆ明けまでに局地的な大雨のおそれはあるということと、それから中部日本より北の方では一時低温がまた予想されるということを申しております。しかし、まあ西日本の方までは多分及ばないのではないだろうかというような見通しを立てております。つゆ明けは大体西日本では十一日から十五日の間くらい、それから中部日本より北の方では大体二十日前後から二十五日くらいの間だと見込んでおる次第でございます。
  152. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 東北、北海道大変な寒さを記録いたしまして、札幌では三十日の日七度ですか、盛岡が五日の日は四・三度、岩手県の遠野では零度以下になったと、こういうことで相当な農作物に対する被害が出ておるわけでありますが、被害総額はまだはっきりいたしませんが、青森においてのリンゴがおよそ十二、三億とか、岩手県また葉たばこを中心といたしまして、また北海道におきましても被害が非常に大きい。これは実態はまだこれからだろうと思いますけれども、いずれにしましても、こういう異常な気象のもとに起こった農作物の被害ということで、またいまお話聞きますと、これからまた低温がそう遠くないうちにくるかもしれない、こういうことで実際もう一回種まきのできる作物はいいんですが、そうもいかない作物等につきましては春先から——春先といいますか初夏を迎えるか迎えないかのうちに大変な打撃を受けたということで、これはやはり農家の方々にとりましては非常なショックであり、やはりこれは何らかの法的な立場で処置をしなければならぬ、こういうことで天災融資法等やはり適用して、これらの農民に対しての対策を講じなきゃならぬ、それだけがすべてじゃ決してありませんけれども、これは県それぞれで対策を講じているようでありますが、国としてもこの異常な気象状態の中でのことでありますので、天災融資法についても真剣にこれは取り組まなきゃならないんじゃないかと思うんでありますが、この点についてはいかがですか。
  153. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 長期的な一般的なお話と、今次の災害、冷害に伴う対策、特に天災融資法の関係どうかという二点のお尋ねでございますが、一般的な点に関して申し上げますれば、私ども先ほど御説明ありました気象庁の判断なんかも承って慎重に経過を見守りながら対処しているところでございます。ただ、長期的にはともかく、いろいろ地球が寒冷化したというようなことはありましても、ここ数年、四十七、四十八、四十九、五十とむしろ主要作物は、特に米でございますが、平年作に比べてかなり豊作、特に昨年は作況指数が一〇七を記録したというようなこともございます。しかし、そうは言っても、長期的にやはり警戒を要する問題で、今後十分留意してまいりたいと思います。  いま先生御指摘の六月三十日から七月一日にかけて北海道岩手県、ここらを中心といたしまして大変な寒気が襲ったわけでございます。しかし、これも一時的なものならそれほど心配する必要はない、ただ、むしろ今後どうなるかと、特に作物にとって大事な時期に日照時間でありますとかあるいは温度がどうなるかというようなことが注意を要するんではないか、警戒を要するんではないかというふうに思うわけでございます。  それから被害の状況でございますが、まだ詳細は判明いたしておりませんが、道それから県の報告では、その低温による被害は合わせて七億七千万円、それから先生ただいま青森県のリンゴ等というお話もございましたが、これはまたその冷気による被害とは別に、降ひょう——ひょうが降ったというようなことからやはり県報告では十数億の被害が生じているというようなこともございます。これらの被害につきましては同一気象現象のもとに起こった被害であるかどうかというような判断の問題もありますし、それから今後さらにこの系列の現象がどう出てくるか、被害がさらにはどう出るかというようなこともありますので、それらをあわせて総合的に判断する必要ありますが、現在までのところ、天災融資法の問題は、これは国の基準でもって判断することになりますが、全体としての被害額がおおむね六十億程度に達した場合に発動するということで運用されております。その基準からいくと、先ごろの冷気といいますか、寒気による被害、それだけではなかなか基準には達しない、被害の規模はそれほどまだ大きくはなっていないという状況でございます。
  154. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農作物ですから天候が持ち直せば回復する物と——零度以下の寒気に遭ったものはもうそれはだめだろうと思いますが、そういう点では不確定要素はたくさんありますけれども、ただ、全体的に気象状況というのは、いま米審やっているから米たくさんとれるなんて、そんな話何もぼくら聞こうと思っていませんけれども、全般的に全部が全部だめだと私言っているわけじゃ決してありませんけれども、ことし特に春先にかけても大変心配しておった、一時しかし盛り返した、ところがまた寒波がやってきたという、こういうことの繰り返しということから言いまして非常に心配をしているわけです。そういう点できょうどちらかと言うと南の方の話が中心となりましたが、北の方にも決して、農作物を中心にして心を配らなければならない重要な問題もあるぞという提起をしているわけですけれども、それで金額的にはこれはいろんなことがあるかもしれませんが、今後の推移等を見まして、そうしてまた霜害、また青森のひょうの被害、これも、ひょうもそれをどう見るかという気象上の問題についてこれからまたいろいろ御検討なさるんだと思いますが、決して被害額が大きくなることを望むわけじゃありませんけれども、どうも大きくなる傾向にあるということを心配するわけであります。心配して申し上げておるわけでありますが、積極的にひとつ調査いたしまして、農民の方々が、農家の方々がひとつ立ち上がっていくことができるように政策をひとつ強力に進めていただきたい、こう思うんです。特に畑作等につきましては、どちらかと言うと稲作と違っていろんな面でおくれた面があると、こういうことから私もこういう点申し上げておるわけでありますが、農業災害補償法によりましても畑作もまだ限られた物が実施されているにしかすぎないという、そういうことからいたしまして特に配慮をしていただきたいと思うわけでありますが、今度岩手県でデントコーンが非常に被害を受けたということも言われてますね。それから北海道においても牧草も非常に生育が悪いということも聞いておるわけですが、いま日本の農業政策として酪農ということに非常に力を入れてきたんですが、まあいろんな曲折あります。しかも、酪農の振興のために、輸入飼料というものの高さ、高いということが酪農振興のでき得ない一つの隘路になっておることは、もう私がくどくど言うまでもないだろうと思います。そういう点から言いまして、農業災害補償法の中に畑作が非常におくれておるということと、国策的に酪農というものに非常に力を入れようということであれば、やっぱり酪農家、酪農民の方々が、酪農を営んでおる方々が、こういう牧草やデントコーンやこういう物で被害を受けたときに、高い濃厚飼料を買わなきゃならないこと、輸入飼料を買わなくても守られるような制度というものもやはりこれは非常に考慮しなきゃならないことではないか。これは去年の——去年、おととしだったかな、北海道のいろんなことがあったときに申し上げたんですが、そのときは農林省の方がいらっしゃらなかった。それで一人でしゃべって御答弁をと思ったらおりませんなんていうんで、話がしり切れトンボになってしまったんですけれども、ぜひひとつこれは、まあきょう言ってあしたすぐできることじゃない、そんなことはぼくらもよく知っていることですが、ぜひこの酪農振興ということのためには、こういうそれに伴うものとしてこれは重要な政策だろうと思うんですが、まあいろんな降路が問題になることはぼくらもよく知っているんですが、検討してぜひひとつこの実現の方向に向かって進めていただきたいと、こう思うんですが、どうでしょう。
  155. 市川博昭

    説明員市川博昭君) 飼料作物がやはり酪農振興上非常に重要な作物でございますし、また、現に北海道を中心にして栽培面積もふえておることでございます。特に北海道におきましては、やはり畑作物の中の輪作体系にこの牧草とか飼料作物がだんだんに取り入れられ、現在、二割、三割のウエートを占めているわけでございます。で、先生承知のように、私ども、畑作物共済ということで、北海道を中心にいたしまして、ビート、バレイショ、大豆、小豆、インゲソと、これが従来から畑作物共済の中の基幹作物でございますが、これを中心にいたしまして現在試験実施をやっております。で、私どもこの試験実施を通じまして、確かに北海道の場合この五品目が重要な作物でございます。同時に、この五品目が輪作体系の主要な作物であることも事実でございますが、やはり牧草ないしは青刈りの飼料用作物、こういう物もだんだんにやはり輪作体系の中に取り入れられ、地力の増強等々に、いろいろと北海道の畑作の基盤づくりに貢献しているわけでございます。で、私どもも将来やはりこうした飼料作物を現在試験実施をやっております畑作物共済の中に取り入れるという検討を進めなければならないと思っています。  ただ、先生承知のように保険でございますので、これは基準収穫量を決めたり、それから基準になる共済金額を決めるわけでございますが、飼料作物、また牧草につきましても、何回もやはり刈り取りをやるとか、それから実は余り売買が行われておりません。したがって、数量はつかむことができましてもこれを金額に換算できないというような、非常に保険としては致命的なまだ欠陥がございます。ここら辺もわれわれ大いに詰めて今後畑作物共済を拡充する場合に検討していかなきゃならない課題だろうと思っております。
  156. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その点についてはぼくらもよく知っているわけですけれども、いままで果樹共済につきましてもいろんな問題がありましたが、いろいろ検討なさって実施に踏み切った、この農林省の英知をしぼってなさってできないことではないだろうと思いますが、ひとつせっかく御努力をいただいて、農業の一つの大きな酪農振興という柱の上から大事なことでもあろうかと思いますので、ひとつ進めていただきたいと思います。今後の推移を見て、天災融資法の指定になるのかどうか、被害額等にこれは大きな影響——被害額によってどういうふうに決まるかわかりませんが、そこで営々と農業にいそしむ方にとりましては、打撃を受けた方はどうしてそこから立ち直るかということになりますと、天災融資法のこれは政令で決まりますれば今度は個人限度八十万の融資ができるわけですね。もし天災融資法にならぬということになると自作農維持資金ということになるわけですが、これは限度額、現在百万ということでずっと推移しておりますね。御存じのように農業も非常に多様化してまいりまして、現在の社会の変動の中でこの限度額百万というものは少し、倍ぐらいに引き上げてはどうかという、引き上げてもらいたいという声も非常に強い。何でも限度額を上げることだけが能ではないのでありますが、全部が全部限度額いっぱい借りるわけじゃ決してないわけであります。しかし、これ被害の程度により、その場所によってはそうせざるを得ない、そういう方々もいらっしゃるわけでありますから、やはり規模が大きい、またいろんな条件によって百万ではどうしようもないという方が非常に多いように私どもは見受けるわけでありますが、この点についての限度額引き上げの検討等についてはどうでしょうか。
  157. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) この自作農維持資金につきましては、原則百万でございますが、特例的なケースといたしまして、今朝来問題になっております桜島噴火被害の場合は百八十万というような限度が設けられております。それから累積被害の場合、特に北海道の場合は営農の規模も大きいというようなこともありまして、最高三百万ないし四百万に引き上げられているというような特例がございます。そういうようなことで、今日までもそれなりに実態に応じた限度額の引き上げをやってまいっております。今後ともそういう問題については、実態がどうか、資金需要要求に合わせて検討をしてまいる必要があろうかと思っております。
  158. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 桜島のような特殊な場合、また北海道のような規模の大きいところ、それはいろいろ処置をなさっていることはぼくなんか知っているんですが、東北なんかですと、北海道みたいに大きな規模でないという、そういう点ではちょっと中途半端といいますか、土地柄が、規模面積や何から言いまして。そういうところについては特例とかいろんなことがなされないということで非常に——それは農家の全部が全部ではない、その規模や何か、様子、状況にもよるんですけれども、やはり東北でも大きくやっているところもございますし、北海道並みでなくても、やはりこの限度額百万というのは、現在この営農の中で被害を受けたり何かしますと、ちょっとまあ対処できない。そしてまた山間部ですと二、三年前にやっぱり被害を受けているということで、百万で抑えられるとどうもということが、そういう声が非常に強いので私申し上げているわけでありますが、ぜひひとつこれを検討していただいてやっていただきたいと思うんです。  じゃ、気象庁の長官いらっしていただいていますので、何も御発言なくお帰りになるということは非常に失礼に当たりますので、ちょっとお伺いさしていただきますが、私どもの方にいろんな陳情なんか来まして、気象観測所ですか、小名浜とか、これは減員がある。それから宮古——東北管区は特に私は関係するからかもしれませんけれども、これは気象観測というのはやっぱり二十四時間体制でなさるわけですから、人員が減るということは、機械化が進んでそれでいいんだということのようでありますけれども現実はこの交代勤務が非常に厳しくなるということやいろんな条件が加わる。私ども現場へ行っていろいろお伺いしましても、それほど機械化が進んでいるというふうにも思えませんけれども、いろんなシステムの上で確かにそういうように観測機器の自動化、そういうものが進んできたのかもしれません。しかし、昨日午前午後にわたりましてびっしり地震予知やいろんな問題について先生方の御意見を伺ったり、いろんなまた質疑応答をいたしましたが、やっぱり観測データというのは非常に重要であるということとあわせますと、この人員の削減が何か気象庁さんの、まじめにお仕事をなさっている気象庁さんの方にしわ寄せがずうっといっているみたいな感じがするんですけれどもね。こういうことでこれからのいろんなむずかしいデータ収集ということに支障はないのかということを非常に心配するんですけれどもね。それと、聞くところによりますと、気象庁で今日までずっとやっておりました海洋観測、これもちょっと人員削減のために、定員を減らすためにいままでのような観測ができなくなるということもわれわれ聞いておるわけですけれども、運輸省の中でそんなに定員を減らしてもいいほど気象庁さんというのは自動化が進み、そしてまた、それでこれから非常に多種多様な——先ほどは異常気象のいろんなお話ございましたけれども、そういう変化の激しい世相の中でそれに対応できるのかどうかということを非常に心配する。これは非常に概念的な話で、どういう機器があったから何人どうなってどうかという具体的なことを申し上げればいいのかもしれませんが、われわれは専門的な知識がございませんからこんな雑駁な話で申しわけないんですけれども、長官といたしまして、こういう——これは総定員法の枠の中でいろいろ各省庁でやっていることはわれわれはよく知っておるわけですけれども、気象業務というのは、それは生産性やまたすぐそれが何らかの形にあらわれるものじゃないかもしれませんが、国家百年の上から言いまして非常に大事なデータが集積される。きのうの地震観測につきましても、やっぱり地震観測についての長いデータが蓄積されて今日いろんな予知についてもある程度の予報ができるようになったというお話もございました。こういうことを考えますと、各測候所における定員減や、特にこの海洋観測も定員減のために大幅に削減しなきゃならぬ、減らさなきゃならぬ、こういう非常にむずかしい気象状態の中にあって、そういうことで後顧の憂いはないのかという、こういうことを私は心配する。もう時間になって終わらなきゃならないんですけれども、これはまた改めて具体的なことをいろいろ申し上げて審議したいと思うんですけれども、せっかくおいでいただいたわけでありますから長官からその間のことについて御意見をお伺いしたいと思います。
  159. 有住直介

    説明員(有住直介君) お答え申し上げます。  気象庁の仕事というのは、私ども国民の皆さんに非常にいい情報を短く的確に流してあげたい、そのためには学問が非常に進んだり、技術が進んでまいりますというと、それを取り入れて、そしてその目的を果たすようにやっていきたい、そういうことで進めておりまして、たとえばきょうもいろいろ気象業務の重要性というものをいまさらながら感ずるわけでございますけれども、ですから、たとえば注意報、警報、情報などを的確に早く流さなければいけないということから長期予報を正確にしなければならない、非常に広範囲にわれわれ努力しているわけでございます。どうしても人がやっておりますというと、たとえば電話、何か情報を電話したいといって電話をかけますと、やっぱり一通話電話するのに三分ぐらいかかる、それを十カ所やればもう三十分かかってしまう。どうしても早い作業をやって国民に早く情報を流すというのにはそういうことではいけない。そういうことで、たとえば数年前から始めました地域気象観測計画というのでは千カ所以上の自動観測所を全国につくりまして、東京に大きな計算機を置きまして十分足らずでそれを呼び出しまして、十分足らずの間にデータを全部集めてしまう、それをまた十分足らずで予報官のところに全部データをやってしまう、そういうことが始まっておりまして、必要によってはテーブルの形だけじゃなくて、予報官が必要なら地図の形でどこには何ミリ、一時間雨量何ミリ、三時間で何ミリ降りましたというのを図の形にして予報官のところにお渡しする、そういうことでいきまして、我田引水かもしれませんけれども、数年前から見ますというと注意報、警報なども、完全とはもちろん申せません、われわれはまだまだ努力しなければならないわけでございますけれども、数年前から言いますと、ずいぶんよくなったというふうにわれわれ思っておるわけでございます。これは皆様からの御批判をいただかなければならないことでございますけれども、これはしかし、そういうのは一例でございまして、長期予報の関係になりますというと全球的なデータを迅速に集めなければならない。そういうことで大型計算機を入れたり、また来年度には、夏ごろには静止気象衛星も上げていきたいというようなことも考えているわけでございますが、そういうことでどうしても国民の皆様の要求に応ずるようにするのにはどうしても機械化しながら進んでいかなきゃならない。そういうことでございまして、そのためにはやはり古いやり方というものが新しいやり方にどんどん移行してまいります。そこで古いやり方というものにつきましては逐次合理化いたしましたり効率化したりしながら、新しい方には必要な予算や定員等をいただきながら進めていくというのが現状でございます。  で、先ほど観測の問題が出まして、二十四回を八回ということで大変先生方にも御心配をかけているわけでございますけれども、二十四回、八回と申しますのは、通報と申しまして、電報で、あるいは電話で知らせるという作業なんでございますけれども、それは三時間ごとでいいだろう。というのは、毎時の観測は、先ほど申しましたように、自動的にいろんなデータが迅速に入りますので、通報に関しては三時間ごとでいいだろう。しかしながら、観測のデータは全部なくなるということではございませんで、観測値は、たとえば自動的に記録されまして観測地方気象台、そういうところにはデータが残っているわけでございまして、後日必要というときには、そういうデータは調査その他には使えるようになっているわけでございます。そういうことで、完全とは申しませんけれども、逐次そういう後世に支障のないようにということも一方で考えながら新しい技術を入れるということで進めさせていただいて、われわれとしてはそういう国民の要望に沿うようにできるだけの努力をしていきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  160. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もありませんのでこれで終わりますが、気象庁長官に人数減らして大変でないのかと言って、大変でございますなんて言うわけもないので、本当は運輸大臣とか政務次官に来てもらってこれは厳しくやらなければならない。だけど気象庁の方は学者みたいな方が多いわけで、運輸省の中でもどうもしわ寄せがそっちの方へ来ているんじゃないかという心配もしているわけですが、そういう点では、運輸大臣に来てくれ、こういうことだったのですが、運輸大臣は来れないということで、大臣にかわってということじゃなくて、気象庁の見解というか、非常に控え目な長官のお話ございました。まあ、非常に大事なお仕事でもございますので、私どもも、何でも人数をふやして減らしちゃいかぬなんということじゃございませんけれども、ひとつ私どもも公平な目で見ていきたいと思いますので、本日は大変お忙しいところ、ありがとうございました。じゃ、終わります。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 じゃ、長官が見えましたから質問に入りますが、長官、先般当委員会桜島噴火による被害状況や大分震災の復旧状況並びに火山、地震の観測施設等の実情調査を行いました。私も参加をしたのですが、いままでの当委員会でその調査に基づいて現地の方から非常に多くの要望意見を聞きました。われわれ行きました調査団全員は、確かにこれはもっともだ、しかも事人命にかかわる問題ですから、これは党派を超えてひとつこの実現のために努力をしようということで一致をして、実は昨日の委員会の冒頭に上條理事が代表して報告をいたしました。個々の問題はしたがってその報告を議事録でごらんいただいて、長官としてひとつ関係各省に実現の促進方をぜひともお願いしたいと思います。いままで各委員それぞれ個々に申されておりますから重複を避けますが、ひとつその点を特に長官にお願いしておきたいということが第一点であります。  それから次は、これも各委員から出ておりますが、激甚災の指定なり天災融資法の発動の問題ですがね。これはひとつ紀埜さんの方からお答えいただきたいと思うんですが、先ほど政務次官の方が非常に前向きで、梅雨前線の今度の被害についても、今後の災害の状況も含めて、できれば全国激甚指定、少なくとも局地激甚災の適用のために努力をするという答弁がありました。しかも梅雨前線にしても、これはいまの気象庁の方で、一番早くても二十五日ごろでしょう。ですから、それだけじゃなしに、集中豪雨による被害とかいうようなのは今後も予想されるし、台風その他もあるでしょう。こういった問題を含めて、一つはこの全国激甚の適用をできるだけ図っていくという考え方、まあ従来もとっていただいているんですが、この辺をひとつお考えを聞きたいという点が一点です。  それから第二点は、先ほどもありましたが、冷害、異常低温による冷害ですね、それからひょう害が起こっています。先ほど農林省の方の答弁ですと、これが同じ気象条件のものであるかどうかということが天災融資法を発動する上で二県以上六十億という基準に合致するかどうかということになってくるという意味だったと思うんですが、そういう答弁です。しかも、これは先ほどもありましたが、冷害とか、いわゆる霜の害とか、ひょうの害とかいう個別に見ない、異常気温といいますか、異常気象といいますか、そういう形で全体としてひっくるめて考えていくという、そういう考え方に立って、激甚災の指定あるいは天災融資法の発動というのを考えてはどうかという点が第二点。この二つの点について全体を束ねている紀埜さんの方と、それから特に天災融資法の問題では農林省の方からお答えいただきたいと思います。
  162. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 先ほどからの質問過程においていろいろお話が出ておりましたですが、整理をいたしてみますと、結局私らの激甚指定の作業としましては標準税収入は確定しなければいかぬ、それから被害額が幾らであるかということをつかまなければいかぬというふうな問題があります。だから、そういう作業を進めてまいりまして、いろいろ議論も十分踏まえまして、私たちは全国激甚、それから局地激甚、そういう指定の方法を持っておりますので、仕事を進めさしていただきたい、かように思っております。
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、それ気象の区分ですよ。
  164. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 気象の区分につきましては、また気象庁の方と——いままでの行き方からしますと一連性のある気象条件ということに相なっておりますので、気象庁とも十分相談さしていただきたいと思っております。
  165. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 農林省関係の特に農作物の被害、これは一年を通じてほとんど毎月のように何がしかは起こっているわけでございます。極端なくくり方をしますと一年間異常な気象であって、これが全部災害だというような言い方もできなくはないのでございますが、余りそこら辺は節度のない無理なこじつけのようなくくり方というのはやはり考えなければいけないと思います。本年の大きな災害といたしましては、五月上旬から六月中旬にかけての霜の被害、これが全国でかなりございました。それから、先月のやはり六月中旬の九州南部におきます長雨被害、これは麦作などを中心にあったのでございますが、それから今回の鹿児島中心とする集中豪雨の被害、これはむしろ農作物よりは施設被害の方が大きかったということになっておりますが、その関係被害、さらには北海道、岩手を中心とする冷害といいますか、寒気による被害、こういったものがそれぞれあるわけでございます。その間に気象の一連性がどれとどれがどの程度結びつけられるかということにつきましてはいろいろ気象庁の見解も承っているところでございます。  南の方の被害につきましては、これはまだ今日なお雨を伴うような気象が続いておるというようにも受け取れるわけでございまして、今後の気象状況も見定めながら判断を下さなければいけないというふうに思っております。それから、霜被害につきましては、これはそのときまさに突発的な異常な現象として起こる性格のものでございましょうか、この辺は専門的には気象庁の御判断をまちたいのでございますが、これは五月、六月のものは一括することはあるいはできるのではないかというようにも考えております。一番最近の北海道と岩手を中心とする寒気の被害、これについてはやや特殊なものではないかというように考えております。なお、これが今後どのような関係で推移していくかということも十分注意して見守る必要がある、このように考えております。そういうようなくくり方の考え方のもとに、それぞれ被害額を集計していくとどうなるかということでございますが、まだ県の第一次的な報告が入っただけの段階でございまして、最終的な判断は若干しかねる点もあるわけでございます。  失礼いたしました。私、五、六月について霜という表現を使いましたが、これ霜ではなくてひょうでございます。恐れ入りますが、訂正さしていただきます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 ひょう害とそれからこの間、先般の冷害と一つにくくることができるかどうかという点が一つ問題があるようなんですが、これはひとつ特に長官もだから心にとめておいてもらって、十分配慮してもらいたいと思うのですが、特に農作物に対する被害補償が二県以上、六十億以上というやつでなかなかむずかしいわけですね、天災融資法の発動をする場合。だからそれは、しかも、御承知のように、農業というのは生産性が低い産業ですから、前に問題になっておりますように、農業被害に対する手当ても当委員会でもしょっちゅう問題になっているもの等まだまだ不十分さを持っておるようですから、この辺はひとつ弾力的にといいますかね、余りおっしゃるように、節度なしに一年じゅうになっちゃそれはちょっと無理ですがね。しかし、異常気象といいますかね、異常気象による農作物被害という、そういう考え方に立てば一本にくくることも可能ではないか、こういう点、しかも、部分的にこれは起こりますから、局地的に、他の産業と違って被害総額というのもそう大きくなりませんからね。個々の零細な農家が多いわけですから、こういった点をひとつ含めて、これは途中ですから、いま直ちに断定的に言えませんから、これは長官ひとつ要望だけしておきますから、よろしいですか。長官、よろしいですか、答弁は要らないですから、頭に入れておいてください、聞いておいてもらわぬと。  その次は厚生省の方に移りますが、災害救助法の発動に関する問題です。先般の六月二十二日からの鹿児島中心にした豪雨による被害ですが、私ども党で早速すぐ直後に調査に行きましたが、もう当時はまだ桜島の方には行けない状況でして、鹿児島県や市に聞いても桜島被害状況というのは十分にわからない、そういう状況だったわけです。しかし、その当時鹿児島市内だけでも御承知のように全壊が九むね、死者十三人ですか、二次災害の危険があるということで数十世帯に避難命令が出ているという、そういう状況であったわけです。私どもこういう状況は救助法の施行令一条四号の「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた」という、そういう状況ではなかろうか。これは当然鹿児島知事が厚生大臣と協議をして救助法の発動ができ得る状況ではないのか。ところが現実どうなったかというと、垂水市の方は一条四号該当というところで発動されたけれども鹿児島市はやっていないあるいはその他の町村もやっていない、こういう状況が起こっていますが、この辺の理由は一体どこにあるのか、お伺いしたいと思います。
  167. 水田努

    説明員(水田努君) 私ども災害救助法の発動につきましては各県の担当者に適切な運用ということを毎年強く強調いたしているところでございます。私どもは、災害発生しました場合に現地における急迫した状態その他の問題というのは現地知事が最も的確な判断ができるわけでございまして、私どもといたしましては最大限現地知事判断を尊重する、こういうことで対処をいたしているわけでございます。  いまお尋ねの件につきましてでございますが、まず垂水市に災害救助法を発動いたしましたのは、災害救助法施行令一条一項三号後段によって発動をいたしたわけでございます。すなわち、垂水市に通ずる道路が山崩れで埋まりまして復旧のめどが立たなくて、海上輸送によって生活物資その他の復旧に必要な資材を送らなきゃならぬということがございまして、ちょうど県会の開会中、鹿児島県の方から発動したいという要請がございまして、私直ちに結構という返事をいたしまして、上司には事後了承という形で迅速に対応をいたしたわけでございますが、なお私ども鹿児島県に災害発生いたしましてから、私どもの担当官を通じまして、現地の社会課の方に災害救助法の発動について遺漏のないように常時指導をいたしておりまして、現地判断としては災害救助法を発動するのは垂水市の場合に行いたいという協議がございまして、それによって私どもは三号後段の発動をしてよろしい、こういうお答えを申し上げた次第でございます。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、厚生省としては鹿児島市が施行令の一条四号ですね、該当として発動をする必要がないと、救助法の発動をやらなかった鹿児島市の態度、措置というのは適切だったというようにお考えになったのですか。
  169. 水田努

    説明員(水田努君) 災害救助の発動権は御承知のとおりに知事にあるわけでございまして、私どもは先ほども申し上げましたように、現地における知事が最も的確な情勢判断、県内その他の諸情勢を見て……
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはわかっているんですから、簡単にやってください、時間がないから。
  171. 水田努

    説明員(水田努君) 判断ができるわけでございまして、私ども知事判断が正しいと、このように考えております。  なお、念のために申し上げますと、鹿児島市について御指摘の四号の発動したいという協議を受けた事実はございません。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 昨年の衆議院の災害対策委員会の基本問題小委員会ですね、ここで適用基準の緩和について議論になった。当時の施設課長ですね、あなたの前任者であろうと思いますが、舘山さんが政令一条四号があるからいかなる災害にもやろうと思えば適用ができるという説明があって、この改正を見送るという経過があったわけです。この点は御承知ですか。
  173. 水田努

    説明員(水田努君) 私の前任者が災害救助法実情にそぐうように発動し、またそのようにするように都道府県に指導するということは承知いたしておりますし、私どももその路線に従って都道府県に指導をいたしておるところでございます。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしますと、先ほども話がありましたが、毎年この適用については適切にやるようにという指導をやっておられるわけですね。まあことしの六月にも、したがって自治体の関係者を集めて救助法の講習会といいますか、指導を行っておられるわけですがね。その場合どうも、だから解せぬわけですね。それぞれの県知事がこの発動については権限を持っていると、だから言うなれば一条四号を適用すれば——特に死者まで出ているわけですね。そうして宇宿なんかですと、二万トンからの土砂が流れ込んできていると。これを自力でやりなさいといったってなかなかむずかしいわけです。実際は自衛隊や警察も出て死体を発掘するという、そういう仕事をやっていますよね。しかし、炊き出しだとか、その他のやつは皆実際どうなっているかというと、地元の、近所の町内会の人たちなり、あるいはわが党の支部なんかも活動して参加をしている、一緒にやらなきゃならない、こういう状況になっているんですよね。それで、県は独自の県単でそういうものについての若干の費用は出せるようにしていますが、そんなことをしなくたって一条四号で発動すればいい。そういう指導をちゃんとやっていればそうなるじゃないか。逆に言うなれば、鹿児島知事が怠慢であって、発動すべき状況にあったのに発動しなかった、こういうことにもなりますが、この辺は一体どうなんですか。
  175. 水田努

    説明員(水田努君) 一応災害救助法は御承知のとおり多数の災害発生した場合に社会の安定とその救助を目的にしておるわけでございまして、どの程度の災害まで対応するか非常にむずかしい問題があるわけでございまして、いま先生の御指摘の施行令の一項の一号から二号まで一般基準がありまして、三号、四号と弾力条項があるわけでございますが、これにつきまして、やはり三号につきましてはいま垂水市の例で申し上げましたように部落が孤立して救助活動を行うためには災害救助法を発動しないと的確には行われないというような場合とか、いま先生の御指摘の四号のように多数の生命または身体に危害を加えるおそれが生じたような場合、いわゆる二次災害が続発するような事態の場合には一号、二号の基準に該当しなくても発動すると、こういうたてまえになっておりまして、そこらあたりの規模その他の勘案というものはやはり現地における的確な判断にまつ以外に現実問題としては方法がないんではないか、このように思っております。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 現実には先ほども言いましたように二次災害の危険があるということで数十世帯に避離命令が出されるという状況も生まれています。応急仮設住宅の必要も当時は考えられるという状況でもあった。それから自衛隊や警察官も来ました。ところが炊き出しの準備ができたって近所の人やその他が、わが党の救援隊なんかも含めて握り飯を分けてあげると。これは自衛隊は非常に喜んで、現場の警官も喜んでいるのですが、警察署長は後から勝手なことするなという文句言ったらしいのですが、とにかくそういう活動をやらなきゃならぬ。そして、自衛隊や警察の方は一応死体を発掘すればあとはもう引き揚げますから、だからあと残った土砂をなにしたりするのは全部地元の人たちの善意によってやらなきゃならぬ。これは県の方の独自の条例でやれるといういろいろな措置をしてしりをふかなきゃならぬわけですね。ところが先ほども言いましたが、去年の衆議院の委員会では、この政令一条の四号があるから大体もうどのような災害もこれが適用できるんですという説明があって、したがって発動基準というのはおっしゃるように一号、二号があって、三号、四号というのは弾力条項ですね。特にその四号の弾力条項を使ってやれば、災害救助法をもっと簡単に発動できて、そしてそういう身体に危険がある、あるいは実際また死んだ、死亡者が出ていると、そういう状態に国や県がもっと適切に援助ができると、こういう状況になるわけです。だから、この辺はひとつ、どうも衆議院における昨年の説明と実際に適用をやる、そういう指導の点で私は食い違いがあるのじゃないかと思うのですね。確かにおっしゃるように一条の四号を使えば多数ですから、それは百名以上でないといかぬとか、千名以上だとかいう規定もありませんしね。あるいはこれは単に危害を受けただけじゃなしに「受けるおそれが生じた」場合ですから、だから二次災害、三次災害が起こるかもわからぬといえば直ちに救助法を発動して、特にああいうシラス地帯という特殊な土壌地帯ですから、そういうことで発動しようとすればやれないことじゃない。そうすれば救助法に基づくいろんなメリットは県の方も受けるし県民も受けるわけでしょう。こういう点はひとつ知事がそれは権限を持って決めるのだといっても、その範囲はどうなんだというのを指導するのはあなた方厚生省ですから、この辺の指導について一体どういうようにやられているのか、もう一遍ちょっとはっきりしてもらいたいと思うのですが。
  177. 水田努

    説明員(水田努君) 私どもは、この御指摘の四号というのはいつも私、例に引かさしていただいているんですが、新潟県の彌彦神社で死亡事故があったような場合に発動したケースがあるわけでございます。非常に最近の災害というのはきわめて内容が多様化し、複雑化しておりますので、具体的個別的にどういう場合にどう発動するのかというのはなかなか具体的な指示がしにくいわけで、私どもとしては常々申し上げているのは、ある県で災害が起きた場合に災害救助法の発動について非常に均衡性がとれるような、公平性が保てるような形で十分弾力的に発動してもらいたいと、こういうことを基本原則として申し上げてあるんでございまして、あとはいやしくも県当局でございますので、そこらあたりはそれぞれの県下における状況の把握によって的確に対処してくれるものと、このように考えております。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 あのね、やっぱり救助法の適用、発動というのは、災害が起これはもうほとんどの例外を除いて発動して、そして国も援助していくというような、そういう方向へいかないと、一定の枠を決めて、そしてそれ以外の災害は知りませんよという態度というのは私は逆に公平さを欠く、こういうように思うんですがね。で、事実、当時鹿児島市からの要望では救助法の適用の基準を緩和してくれという要望さえ出ています。それで、垂水市は発動されるけれども、うちは出ていない、やっぱりそういうことになりますと、県や市の対応も変わってくるんですね、これ財政を伴いますから。だからこの点ではひとつ救助法の適用をもっと緩和をするといいますか、本来そのためにつくらせているんですからね。これ以上の災害ならば適用するけれども、それ以下はだめだといっても、災害を受けたところはひどいんですから、その地域が仮に狭くっても、あるいは数十世帯とか百世帯であっても、そこの災害を受けたところでは死者を出し、家は壊され、あるいは全壊になるという、そういう状況なんですから、それに対して数が少ないからということで県や市が適切な手が打てない、後手になってしまうと、これは逆に私は不公平なことになると思うんです。だから、これは災害救助法適用についてさらに緩和をするといいますか、拡大をする、こういう方向でこれは検討してもらう必要があるんじゃないかと思うんですが、この辺どうですか。検討する余地がありますか。
  179. 水田努

    説明員(水田努君) 私どもできるだけ災害発生しましたときに申し上げましたように、災害救助法の発動について不均衡の生じないように運用の適正化についてさらに努力し、指導をしてまいりたいと、このように考えます。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 不均衡にならないように発動せいと言うんですが、そういうことはどういうことですか。発動したら不均衡になるという意味ですか。そうじゃなしに、不均衡にならないようにできるだけ発動を考えなさいという、そういう方向指導するんでしょうか。
  181. 水田努

    説明員(水田努君) 先ほどから申し上げておりますように、災害が起きました場合に、やはり災害救助法というのは一定の規模の災害というのを当然この法律想定しているわけでございまして、県下で災害救助法が具体的にある市町村において発動された場合には、同程度、同規模あるいはそれに準ずるような急迫性を持った事態が生じている自治体についても不均衡のないようにきめ細かい発動ができるように積極的な指導をしたい、このように思っております。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 じゃあ均衡を失しないように、積極的に発動できるような、そういう指導をするというように承ってよろしいですね。  したがって、その次ですが、当然これは垂水市が発動されていますから、したがって災害弔慰金の支給あるいは災害援護資金法八条の貸し付け、これらは鹿児島全県に当然適用されるというように思いますが、この点はよろしいですか。
  183. 水田努

    説明員(水田努君) そのとおりでございます。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから住宅の方ですね、これも当然適用されるわけですが、特に今度の場合見ますと、実方なんかのところは昨年の八月に入居して、そうして壊れてしまっているんですね。そうしますと、これ住宅ローンが皆残っているわけですよ。住宅金融公庫の関係ならば、これはまあ住宅局の方でもいろいろ援助して、返済の期限の延長とか、そういう措置もとれないかと思いますがね、民間の資金を措りている場合にはこれなかなかむずかしい問題と思いますが。それから家が壊されていますから、したがって災害のための住宅金融、これをまあ当然申し込むということになりますが、この辺も十分考慮して融資枠なんかは考えてもらうということができるかどうか、この辺ひとつ住宅局の方にお願いしたいと思います。
  185. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) いまの御質問でございますが、住宅金融公庫の融資のついております住宅の場合には、災害の場合の保険がついておりますので、保険で担保されることになっておりますが、その他のものにつきましては全額保険という制度にはなっておりませんので、一部ついているものもございますが、住宅金融公庫といたしましては、災害融資で今後の建設についてはお手伝いするという形でございます。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはひとつ十分に考えてもらいたいというように思います。  で、その次の問題は、今回の災害がシラス台地という特殊土壌地域であったために災害を激しいものにしているわけですが、こういう災害防除のために、いわゆる特殊土壌地域振興法ですか、シラス法がつくられています。しかし、これまあつくられたけれども、なかなかシラス地帯の災害は、先ほどからも論議されておりますようになくならないわけですが、来年三月までの時限立法で、これの延長問題が、きょうもしばしば要望が出ています。これはひとつ長官にお願いしたいんですが、宮崎県等地元の方は災害まだなくなっていないわけですから、当然これを延長してもらいたいという要望が強いわけです。この辺は長官ひとつよろしいかどうか、どうですか。
  187. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) できるだけ成案を得まして御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこでね、したがって延長するという方向で検討してもらう場合に、もう一つ重ねて検討して同時にやってもらいたいと思うのは、この法律に基づく事業ですが、対象事業が国土庁からもらった資料ずっと見まして、別表に対象事業というのがずっと出ているんです。それをずっと見ますと、今回の災害を大きくしているところのがけ崩れ対策の急傾斜地崩壊対策事業といいますか、あるいは急傾斜地保全事業といいますか、これが別表に含まれていないわけですね。この法律つくられるときに、それぞれの法律でいろいろな事業をやると、それでシラス台地についてはそれを優先的に採択をするということですね、特殊土壌地域については。ということで、その事業が別表で規定されているんですね。ところがそれを見ますと、一番肝心のがけ崩れ対策のこの事業が含まれていないという状況にあるわけです。したがって私はこれは今後、これはまあ別表ですから、法律事項ではありませんから、すぐふやすことも含めることもできると思いますし、少なくとも今度法律を延長する場合にはこの事業も含める必要があるんじゃないかと思いますが、この辺、建設省あるいは国土庁の見解を聞きたいと思います。
  189. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 急傾斜地の法律ができました時点が昭和四十四年でございます。その時点で問題になりましたのは、むしろ特土地帯というよりも市街地域といいますか、災害が大きかったのが神戸市であるとかあるいは横浜、横須賀あるいは呉等でございます。そういった範囲が非常に強く災害を受けたというふうなことで、非常に法律の促進がされて四十四年に法律施行を見たという経過がございまして、その後の、いま先生御指摘のように、シラスの問題等、私どもとしましては、対象事業でないにいたしましても、従来からそういった地帯につきましては積極的に取り組んできたつもりでございますし、そういった面につきまして、法律改正、延長等の機会には検討をさしていただきたいと思っております。
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま建設省からありましたが、国土庁の方もそれでよろしいですね。
  191. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 私は行政でなくて、いわば政治家の端くれですが、政治家たちが当然そんなことをやるべきだと、こう考えております。
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、具体的に急傾斜地の保全事業についてお尋ねするわけですが、これの危険地域指定基準は、先ほどもありましたが三十度、五メートル、五戸というのが指定基準で、そして事業採択基準が三十度、十メートル、十戸、こういうことでやられたんであります。ところが、これは全国一律であるわけですね、全国一律。そうしたら、シラス法までつくって、そういう特殊土壌地帯については災害防除の特別の措置をやろうという法律があるわけです。とすれば、そういう地域についてはこの採択、あるいは指定基準なり採択基準というのは全国一律じゃなしに、よけい危険なわけですから、この点ひとつ実態に即して危険地域指定なり採択基準というものを考える必要があるんじゃないだろうか。これは先ほども同僚議員からありましたように、急傾斜地あるいは山腹崩壊、そういう危険地帯はすでにもう五千カ所近くあるし、鹿児島市内で七十六カ所ぐらいあるんですか、ところが、現に今度崩れました宇宿、実方、鴨池、紫原、こういったところは全部指定されていないところでありますね、指定されていない。だから、それは全国一律の基準でいくから指定されていない。しかし、非常に崩壊しやすいシラス土壌のところですから、これはもうそういう特殊性というものは入れなければならないのであります。この点でいろいろと調べてみましたが、昨年五月の「建設月報」に国土地理院の江川良武さんという人が書いているんですが、その崩壊要因に十二項目挙げています。そういう地質、土壌というものを、あるいはそれに気象条件である雨量というもの、こういったものも、危険地域の設定をするあるいは指定をする場合の基準として取り入れなければ、外見だけの外形だけを見てこれは危険だ、どうだといって中身を見なければ、これはだめじゃないかと思うんですが、この辺を、こういう環境要因も含めて危険地域の設定基準というものを改めて考え直す必要があるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  193. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 先生御指摘の今回の災害の個所は指定されてなかったということでございますが、実は全国で約六万カ所というふうに危険個所の把握をしておるわけでございます。で、いまお話がございましたように、高さ五メーター以上、人家五戸以上ということで、もちろんこの法律事項でございます三十度以上急傾斜角を持つがけであるということにしております。それらの絶対条件といたしましては、過去の災害事例等から判断いたしまして、非常に土質、地質関係の影響は当然あるわけでございます。いまお話ございましたように、特にシラスの場合は、たとえば角度で例を申し上げますと、むしろ現況は非常に切り立っておるという状況でございまして、むしろ三十度以下というものはほとんどないという状況でございます。そのように、必ずしも今回の指定の基準の中にすべて今回の災害個所が入ってないということじゃなくて、むしろ、指定の作業がおくれたために入ってなかったということでございます。ただ、指定をします場合には必ず法律的に七条によります行為の制限をしなければならない。と言いますのは、たとえばがけをいじめるような行為をいたしますと崩壊を起こすということで、それらを制限をするということでございます。あるいはその構造物ががけの崩壊を助長するような構造物があればそれを改善させるとか、あるいは勧告させるというふうな行為があるわけでございます。そういったことがございまして、私権の制限をするというふうなことから、全国的に指定が進んでいないというのが実態でございます。しかし、こういった災害を契機といたしましてできるだけ指定を促進したいというふうに考えておりますが、ただ、人身事故を避けるというふうな意味では、いま申し上げました全国で六万カ所という把握いたしております個所につきましては、指定をするしないにかかわらず、避難という面では、避難等を担当いたしております関係部局に対しまして、ここは危険個所として把握しておる個所でございますということを知らすようにいたしておりますし、今回の鹿児島災害の事例を私聞いてまいったんでございますが、かなり避難は徹底しておったというふうに聞いておりますし、いまございました宇宿のところ、あるいは鴨池、その他災害がございました個所も一応調査対象の個所であったというふうに聞いております。そういった意味では人身事故をできるだけ避けるようなことは今後とも指導を強化してまいりたいと思っております。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 今回崩れたいまの宇宿その他ですね、こういったところは当然緊急の急傾斜保全事業として採択して、直ちにすぐ復旧事業にかかる、そういうことである、これは当然のことであると思いますが、その点はよろしいですか。
  195. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 今回の災害がございました個所で採択基準に合う範囲のものにつきましては、現在、県と実施計画について協議中でございまして、財政当局と調整の上、早急に実施するような運びにしてまいりたいと思っております。
  196. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、これは長官にお伺いしたいと思いますが、こういう危険地帯ですね、これをずっと見ますと、危険地帯であるにもかかわらず、今度の鹿児島市内の場合、崩れたところというのは第一種の住居専用地域なんですね。これがその地図ですが、そこが全部入っているわけですよ。一カ所が第二種になっておりますが、大体あと三カ所は第一種の住居専用地域という都市計画指定されている地域です。ところが、実際は、そこはきわめて危険なところであったわけですね。危険でないところには大体大手の業者なんかが買い占めをして造成をしております。残った端のところ、がけっ縁とか、そういうところを中小業者が手を加える。そして実方のところですが、先ほど言いましたように、昨年の八月に入居した、三ヵ月目に亀裂が生じて、これは危ないというので市に診断を依頼をしている、そういうところなんですね。それが崩れて、全壊一、半壊が一、立ち退きが八世帯、こういうことになったわけです。ところが、建てた方の原因者負担だからというので、市が建築業者を調べてみたら、それは倒産しておらないというわけです。いろいろと地元の人の話を聞きますと、こうなるんですね。やっぱり、そこに土地を持っている人は早く売りたいわけです。市に建築のお願いやら、その他いろいろ手続します。市の方は危ないというのでしばらくとめておくと、けしからぬじゃないか、何でおれのところをおくらせるのかというので文句を言われる。やっと、しようがないというので許可をしたら、今度は崩れる。そんな人が死ぬような危険なところへ何で建築を許可したのか、こういうことになるんですね。  こういう事態をなにするのに、いろいろな法律が確かにある。都市計画法が一つある。都市計画を策定するときに本当に安全な地域を住居地域に設定をするかどうかという問題があるでしょう。それから、今度はそれに基づいて土地造成をやる。これは土地造成の規制法があって、先ほどからも出ているように規制の基準があります。それで、いよいよ今度は家を建てるときには建築基準法に基づく規制がありますね。三十九条、四十条の規制もある、こうなっている。だからそれぞれでチェックできにゃいかぬのですけれども、私調べてみますと、一番大もとのこの都市計画法が実は災害の観点が全然ないんじゃないかと思うんですね。都市計画法の八条には地域地区の設定があります。いま言いました第一種、第二種の住居専用地域とか住居地域とか商業地域とか決める、あるいは工業地区を決めるとか、あるいは防火地域も設定をする、美観地区だとか風致地区とかいろいろ設定すると、これは八条で決められている。それから、十二条にはその都市計画の基準について決めています。ところが、問題はこの基準なんですが、この都市計画全国総合開発計画、首都圏整備計画、都道府県総合開発計画その他の国土計画に適合するとともにということで、こういう開発計画、整備計画に適合するその適合性は十三条の基準の中に明記されている。同時に、その中に公害防止計画を定めている場合にはその公害防止計画に適合しなさいというのがあります。だから、このように開発計画に都市計画が適合するかどうかということがこの都市計画法十三条では規定がされているんです。それで、公害の防止計画がある場合には公害とも適合しなさいというやつがある。しかし、防災の観点から都市計画考えなさいという考え方はこの十三条の中にはどこにもない。そして、したがって二十三条に他の行政機関等との調整というのがありますが、これを見ますと、都市計画を定めようとするときはあらかじめ農林大臣、環境庁長官、通産大臣、運輸大臣の意見を聞かなければならない。つまりこれは開発ですね。残念ながら国土庁長官意見は聞かぬでよいことになっているんです。防災の観点抜きになっているんです。こうなっていますね。厚生大臣は建設大臣に意見を述べることができるとあるけれども国土庁長官災害を束ねておる、災害対策を束ねておる長官の意見は聞かぬでもよいと。だから中央地方に防災会議をつくって、そして防災計画を策定をするということがあるけれども、都市計画とは何の関係もない。だから、つくられる都市計画、根本の計画はそういう防災の観点からつくられてないわけです。開発の観点からです。ちょっとチェックされるのは公害防止計画、こういう不備が根本の問題で大もとのところで一つあるという点を気がついたのですがね、この辺長官お考えいかがでしょうか。
  197. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 私もそのところまで詳しくは承知いたしておらないわけでありますが、最近の災害というものは非常に多様化してきておるわけでありますから、これに対応するのにはいままでの法律で間に合わないという場面もあると私は思うんです。御指摘の問題につきましてはひとつ十分検討して、またこれは建設省の関係もあることだし、あるいは他省庁との関係もあることですから、十分連絡して、防災という立場からひとつ検討さしていただきたいと思います。
  198. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、私はここで長官に提案をしたいんですがね。われわれはやっぱり災害から学ばなきゃならぬだろう、そして再びこういう災害を起こさないようにしなきゃならぬ、これがわれわれ政治家の責任だと思うんですがね。そこで、こういう一つは、いま言いましたように都市計画法自身の防災の観点が欠如している、この点を一体どうしたらいいのか。それから同時に、たとえばシラス法ならシラス法あるいは活動火山法なら活動火山法というそういう法律がある。それは一般の基準じゃなしに、先ほど一つ例を言いましたが、急傾斜の危険地域ですね、一般の基準じゃなしにそういう特別の災害のために必要な立法をなされれば、それは一般の基準よりもっと厳しい基準といいますか、こういうものをつくらなきやならぬ、あるいは災害救助法の発動にしても一般のところとは違ってもっと弾力的に発動ができるように、たびたび起こるわけですから、そういうことを考えてやらなければ自治体も困るだろうと、こういうことなんですね。ですから、そういった点でいままでのこういった災害関係法、幾つかあります。あるいは特別立法もあります。こういうのを一遍中央防災会議あたりで検討してもらうといいますか、あるいはそういう会議をやらなくても長官の命令でやれるのかもしれませんが、事務局会議ありますね、中央防災会議の。各省から出てきて、十八でしたか関係省庁集まっているわけです。ここで検討さす。そういういままでの法律が災害の観点から見直してみて一体どうなのか。さらにもう一つは、そういう特別の地域指定した法律がある、それとの関連でどういう措置が必要か、こういうのをひとつ検討をさして、そして中央防災会議、これは閣議と同じなんですね、総理が議長だから。だから、そこで最終的に決めて、ひとつそういう点を考える必要があるんではないか。たとえば都市計画地域で防火地域というのがあります。きのうの参考人意見の陳述についても出ていましたが、防火地域というのは決めるだけであって、それでそこへいま建っておる建物が木造の家屋で、すぐ燃えるという建物であっても、それはもうしようがないと、こうなんでしょう。次かえるときに不燃化対策を期待をしているわけですね、期待をしているわけです。不燃化対策で木造がやっぱり建てられるということになってもこれはしようがない。防火地域を決めて、そして都市なら都市の防災計画を立てて、あちこち防火地域を決める、避難地域を決めるという場合でも、やっぱり戦略的に考えて、そこのところは本当に防災区域にしてそこで延焼を食いとめるとか、こういうものをやらなければいかぬ。それを実際にその計画どおりやらそうと思えば、不燃家屋にする場合に政府の方で助成をするとか補助をするとか、促進をすることをやらなければ、そんなわざわざ高くかかるのはできゃせぬと、こうなってくるわけです。こういった非常に、防災の観点で見ると、法律としては都市計画法で防災区域の設定はある、しかし実際にはそれは机上の空論であり、絵にかいたもちにしかすぎない、こういう問題もあるんですね。これらを含めまして一遍中央防災会議の中で、あるいは事務局会議でも検討してもらって、それぞれの関係法を手直しをする必要があるのかないのか、あるいはそういう特別の措置を講ずる必要があるのかないのか、こういった点を私はこの際検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、この辺の御見解をひとつお願いします。
  199. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 御指摘の点につきましては、中央防災会議の下に大都市震災対策連絡会議というものがあるわけでありまして、またその連絡会議の下に分科会があって、その分科会の中でただいま御指摘の問題について検討をいたしておるわけでございますが、先生のおっしゃられること、まあ一つ計画は立った、これはひとりその問題ばかりではなくて、計画を立てた以上はその裏づけというものがなくちゃならぬ、とかく紙に書いただけのものではこれは計画倒れになるという私は心配をいつもいたしておるわけであります。たとえて申しますと新全総の問題にしたって、計画ばかり紙に書いて、これが予定どおりいかなかったらこれは計画じゃないじゃないかということだと私は思うわけでありまして、十分検討いたしたいと思います。
  200. 神谷信之助

    神谷信之助君 ひとつ十分検討してもらいたいというように思いますが、その計画倒れのお話いま出ましたので、それに関連して次の問題お話ししたいと思います。  活動火山法によって防災営農事業が四十八年から五十二年の五カ年計画でやられたですね、まあ鹿児島県一帯に。これ聞いてみますと、農林省に聞きますと、計画では四十八年から五十二年にかけて非公共事業関係で約二十五億近くが計画です。で、その実績はどうかといいますと九億七千万円足らず、これは五十一年度の予算分を含めてですね。だから約三分の一強ということです。それから、公共事業を含めますと、総額でいくと三十五億近く計画がある。実際の実績は五十一年度予算を含めまして十二億ですね。だからこれも三分の一そこそこ、強ですね、ちょっと。あと残っているのは五十二年度、あと一年ですね。一年間にあと残っている三分の二近くの事業を一遍にやるのかといったら、恐らくこれはなかなか不可能だろう。問題は、ひとつ農林省に聞きたいんですけれども、何でこういうようにおくれているのか、この事業が。この理由はどこにあるのか、お聞かせ願いたい。
  201. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 防災営農対策事業、これは当然県が計画を立てて、それなりに実行の予定を見込んでいくという性格のものでございますが、この事業まあ初めて実行したものでございます。当初そういう新しい事業につきましては、理想的にといいますか、それなりに県としても意図するところがあって、いろいろ設計を描いてみたんだと思います。実行する段階でいろいろ問題も出てきたんではないか、そういうことの結果、いま先生御指摘のようにあと一年を控えて、現在までの事業消化率は三五%という低位にとどまっているわけでございます。国としましては、県が必要とする補助金については、それこそ枠でもって査定するというようなことなしに見てまいったわけでございますが、いま申し上げましたような現地事情もあってかなり消化がおくれたということがあろうかと思います。  それに引き続いてのお尋ねがございませんでしたが、当然そうなるというと、今後どうするのかという問題になってくるわけでございます。それについてもお答え申し上げてよろしゅうございましょうか。
  202. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはいいです。今後どうするかというのは、もっとやってもらわなきゃいかぬということになるんですけれども、それよりも私が聞きたいのは、この間の調査で行って、地下水くみ上げて灌漑の施設やっていましたよ、高免地区でしたね。で、その公害に対する、それ水で洗浄しなければいかぬわけですから、その装置がなけりゃいかぬ。それで聞きますと、やっぱり採択基準が一つ問題になってくるんですね。二十ヘクタール以上ないといかぬと、こうなるんです。そうすると、桜島でそれだけのものをそんなによけいあちこちあるわけじゃない、こうなるんですね。それからもう一つは、島ですから水源地がそう簡単に出てこない。だから水量に応じてやるとすると、二十ヘクタール以下になってくる。だからいろんな問題が起こってくるんですね。私は、これおくれてきているのは四十八年度、四十九年度の事業というのは前の事業そのままであって、それでしかも補助率は三分の一だったんでしょう。五十年度から実際には始まってきて、補助率は二分の一になった。だからその補助率の問題も一つは県の方でも大きな問題になってきますよ。だからそういったいろいろな点を補助の補助率をどうしてやるのか、それから採択基準をそういう島なら、桜島なら桜島というそういう特殊な条件に合わして、一般的な基準じゃなしに、もっと実態に即したやり方を考えていかないと、実際には計画倒れになってしまうんじゃないかと思うんです。この辺どうでしょうか、検討していただきたいというように思うんですがね。
  203. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) いま申し上げましたように、この計画、まあ新しい立法によりまして初めて立てられたものでございます。そのために若干年度の途中でもって、計画年度の途中でもって補助率が変わるとか、それから対象市町村、まあ鹿児島県の場合は市と町だけでございますが、の数もだんだんふくらんでいくというようなこともありまして、事業も途中で事業費自身が増額になるというようなこともあったわけでございます。そういうような関係から必ずしも遠大な、計画が大き過ぎたというようなわけだけじゃなくて、残事業量が多くなったという経緯があるわけでございます。今後そういった点についてはそういう不都合のないようにこれは十分注意してまいりたいと思いますが、なお採択条件の話につきましては、構造改善事業局の方から担当の者がお答えいたします。
  204. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 畑地灌漑施設等の農業水利施設の新設あるいは改修等の土地改良事業を公共事業として実施いたす場合に、ただいま先生御指摘のように最低規模として二十ヘクタール以上なければいかぬというふうな規定があるわけでございます。しかしながら、この桜島のような活動火山周辺火山降灰地帯等におきましては積極的に畑作の振興を図る必要がある地域であることも言うまでもないわけでありますが、さらに御指摘のように畑地灌漑で実施いたします散水灌漑施設によりまして降灰の防止あるいは防除、除去等を行う、いわゆる防災効果があるということが大いに期待されておることでもございますので、この事業の採択基準を緩和するということにつきましては、今後も関係機関と協議いたしまして、そのように努力をいたしたいと考えております。
  205. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんから、実は地震火山対策についてお聞きをしたいと思ったんですが、これはそれぞれ地震の方の予知連の事務局の国土地理院やあるいは火山の予知連の気象庁に状況の報告問題点なんかを出してもらおうと思いましたが、時間がありませんから、その部分せっかく来てもらって申しわけないんですが、省略をしていきたいと思います。ただ、きのう参考人のいろいろ意見を聞きまして、火山観測あるいは地震予知、そういうのは非常に長期的な観測が必要だ、桜島の場合にきのう京大の先生の話では、この阿蘇や浅間は昭和の初めから観測始めた、だからデータがある、桜島は三十年から観測が始まった、それ以後のデータである、あとは古い古文書なんかを引っ張り出して、探し出して何とか山腹噴火なんかは予知できるところへずっときた、山上噴火についても、まあやっと予算をつけてもらって傾斜計を置いて、そうしてこれの予知もできる見通しがほぼ立ってきたという、まだ予知できるというところまでいっていないという話ですが、こういう話も聞きました。ですから、これは一つは観測点なり観測機器、これを全国的にやっぱり整備をして長期にわたってやらなきゃならぬ。参考人意見ですと、日本列島至るところ地震の危険性はあるということですから、地震の危険性があるのはどこかという質問に対して、いや、日本列島全部そうです、こういう話ですね。こうなりますと、やっぱりいまは活動していない、あるいはいまはどうもなくとも長期にわたった観測をしなければならぬ、これを気象庁を中心にして、そういう観測、気象庁だけで私はやってもなかなか大変だろう、そうすると各大学なりそういう研究機関に協力をしてもらわなければならぬ、こういうことになると思います。きょうは文部省ちょっと来てもらう、呼ぶのを忘れましたから、これから長官の方にお願いして文部大臣ともひとつ相談をしてもらいたいと思いますが、一つは、もう一点ですね、京大の加茂先生は、大学の地球物理学教室の中に火山学講座を設けてほしい、火山の観測をする跡継ぎができぬと言うんですよ、いまの場合は。だから、ひとつ火山学講座というのを地球物理学教室の中に設けてほしいという要望が出ています。それから北海道が非常に火山が多いんだけれども、気象庁の観測する場所はあっても、気象庁の方では観測をしているけれども、大学の方の観測場所というのはない。だから、来年はどうしてもそういう北海道にはつくりたいという希望も述べておられました。これは私は当然だと思うんです。  それからもう一つは、これは文部省とひとつ御検討願いたいんですが、高等学校なんかではその可能性を追求すればできるんではないかと思いますが、いろんな形の教育の補助としても気候の観測からあるいは井戸水の水位の観測からやろうと思えば、いろんな地震計を置いてやろうと思えばやれる、簡単な観測ですね、こういうのも全部やれるようにしてはどうか。問題はそういう今度は観測をしたやつが集中されなければいけない。現場でいろいろ聞いてみますと、自主的に、気象庁と大学のそういう研究機関との間の自主的なデータの交流その他はある、しかし組織的に体制的にそうなっていないという意見を聞きました。  それからもう一つは、いろんな観測の項目はあるんだけれども、人手が足らぬので、そのデータについての分析はしないで、資料は資料として横へ置いておく、いま当面必要なやつだけはするというような状況も生まれてくるという意見も出ておりまして、したがって、こういった点、これは対策を立てる上でもそういう火山あるいは地震の予知、この体制、観測の体制の整備、それからその一元化、データの解析能力、それに必要な体制、こういったものはどうしても国土庁が中心になって、長官中心になってそういう体制だけでも少なくともつくってもらうということがなければ私は大変だと思いますので、この点ひとつ長官の御意見を伺って質問を終わりたいと思います。
  206. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 防災あるいは地震対策というような立場で地震の予知というものについては、われわれ非常に関心を持っておるところであります。実は、先般東大の萩原名誉教授がこういう話をされたんですが、地震が東京の周辺において起きるという場合——私は選挙区か山梨県ですが、山梨県の東部に地震の相当大きい根拠地があるという話を聞いた。その話を聞いてちょうど一月ばかりたったとき先般の山梨の地震が、震度四程度のものが起きた。石塔が倒れたというようなことがあったわけでありますが、そういうことを思いますと、またいま一つ、これはこういうところでお話しする性格のものじゃないと思うのですが、山梨県の方のキジをたくさん飼っておる、ふ化しているそこを見学をいたしましたところが、ちょうどあの地震が起きる三分前にこのキジが非常に羽ばたきをしてあばれたと、すべてのキジがあばれたと、何か地震に関係がある、たびたびの地震にそういうようなキジが巣箱の中であばれるという状況を見た、これはまことに非科学的な話でありますが、しかしどういうことにしても三分ばかり前に予知されても非常にこれは困るのですが、できるだけ長い時間の間に、地震が起きる前、そういうことを考えてみると一人でも人命を損傷をなくするためにはこの予知というものは最大の私は災害予防の一つだろうと、こう考えておるわけでありまして、先生の御指摘の問題につきましては十分文部省とも話し合い、あるいは地理院とも話し、建設省、大臣等とも話して全きを期してまいるように最大の努力をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  207. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  208. 神沢浄

    神沢浄君 私は与えられている時間もきわめてわずかなものですから、最近の降ひょうによる農作物被害の対策にしぼってお尋ねをしていきたいと思うのですが、というのは、いま金丸長官も山梨だと、こう言われたけれども、私も山梨でございまして、御承知のように山梨県の場合二月から三月時点でもってこれはこの気候の異常のために不熟成によるスモモの大きな被害がありまして、県の数字で見ますと、約十五億くらいになっているようであります。それに続いて六月の中旬にこれは降ひょうによる大被害が生じているわけであります。これも県から数字を聞きますと、二十五億前後に上っているようであります。そうなりますと、四十億からする大きな農作物に対する被害が、特にその中でもスモモに続いて今度はブドウ、桃と、こういうことになるのですが、果樹についての被害が非常に大きいわけです。山梨などというのは小さい県で、その中でも大宗を占めるところの果樹にとりましては、果樹農家にとってはこれは甚大な打撃でありまして、その対策のためにもう天を仰いで長嘆息しておるというような実態にいまなっているわけでありますが、そこで、その対策について私も聞き及んでおりますけれども、国などでも非常に積極的に心配をしていただいているようだし、県なども真剣な取り組みをしていることも承知をしております。しかし申し上げましたように、相次ぐ災害のためにこれはスモモの場合は国の方でも大変な御配慮をいただいたわけでして、自作農維持資金の災害枠の拡大などを図っていただいて、何とか取り組んでいるようなんですが、今回の場合引き続いてのことでありますから、しかも小さな県の山梨にしましては、被害の度合いというものは大変大きなことになる。先ほど来意見も出ておるわけなんですが、天災融資法の適用ということにこれはもう非常に大きな望みを託しておる。これがもう偽らない実態でもあるわけなんです。そこで、天災融資法の問題などについていろいろ照会もしたのでありますが、先ほど来の発言の中にもありましたように、二県以上にまたがるというような従来の発動の基準といいますか、災害額が六十億を超えるというようなことになっているようなんですけれども一つ考え方といたしまして、この降ひょうの被害というのは、この六月に限らなくて五月にもたとえば千葉とか鳥取であるとか静岡の一部であるとかすでに発生を見ているわけなんですし、六月段階においても山梨だけでなしに青森などにおきましても相当規模の被害というものが生じているようでありますから、本年度におけるところの同一の原因に係るところのいわゆる降ひょうによる被害というのは、これを合わせますと、従来のそういう発動の慣例の上からいきましても、私は大体基準に適合するのではないかという考え方に立つ。  それからさらに、四十二年以降というのは必ずしも基準に基づかなくても降ひょうであるとか高潮であるとかあるいは大風というんですか、風の害であるとか、こういう特異な災害の性格によりますと、激甚なケースに対しましては、たとえば従来の経緯からすると、被害額二十億を超えるというようなことあるいは被災県が二つ以上にわたるというようなことあるいは特別被害者の数がこの被災者数のおおむね半分くらいになるというようなこと、というような基準に基づいて発動の例があるというようなことを実は聞き及んだのでありますが、そういうふうな点から考えてみますと、実際被害実態というのは恐らく国でもお調べになって御承知いただいているところだろうと思うんですが、果樹被害というようなものは表にあらわれました減収というような数字だけの問題でなしに、これは私も回ってみましたけれども、それこそどこへ参りましても口をそろえて訴えられるのは、この収量減というようなこともですが、むしろ農家にとりましてはその災害が原因になってのいわゆる経済損失、この所得減というようなことの方がずっと大きな比重を持つようであります。たとえばとれることはとれても、きずものになりますとこれはもう市場へ出しましても、ことに山梨のブドウだとか桃だとかというふうなものはいままで全部が生食用としてこれは栽培をされているわけですから、これがまあ生食用として市場へ出す場合にも格差がついていて半値にも三分の一にも値段が落とされてしまう。しかも生食用として市場へ出せないということになると、これは醸造ないしは果汁用などに回す以外にはない。ブドウを例にとりますと、醸造用ということになれば大体十分の一に価格は落ちてしまう。桃などの場合はネクターの原料に回すというようなことになるとそれを割ってしまうというふうなことのようでありまして、したがって農家にとってはただ単に降ひょうによるところの収量が減ったというようなことだけではこれはもう済まない。むしろそれよりもこの経済的な損失というか、その所得減というふうなことが非常に大きな問題にされているようであります。こんなような実態からいたしましても、これはぜひひとつ天災法の適用を受けたいということがもうそれこそ県も市町村も被災農家はもちろんのことでありますけれども、挙げての要望なんです。そういうふうな点を国の方でもきっと十分お調べをいただいておることとは思いますけれども、この被害実態をどんなように把握していただいておるか、同時に、その上に立って、いまの天災融資法の適用というようなことについてのどのようなお考えをなさっていただいておるかというようなことを含めまして、まずお尋ねをいたしたいと、こう思うわけであります。
  209. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) いまの先生のお尋ね、一つの御質問の中に幾つか問題点を御指摘いただいているわけでございますが、分けて御説明申し上げますと、初めにこの二月にも霜の被害があってスモモなどでもって大きな被害を生じたではないかというお話、これは私ども十分承知しておりまして、そのときは県とも相談して、国としては、先生お話がありましたように、相当手当ての厚い自作農維持資金でもって四億二千万を枠をとるというようなことを措置いたしたわけでございます。めったない話なのでございましょうが、重ねて五月、六月、この降ひょうによりましてブドウそのほかの果樹被害を生じたということ、これに対しては確かに被害の規模、山梨県だけ見ればそれほど大きくないということはありますけれども被害を受けた農家にとってはきわめて深度が深いという事情もございました。そのようなことから何らか措置がとれないかということで、若干時間かかりましたが、今日までいろいろ国におきましても県と相談をいたしまして苦心を重ねてまいったところでございます。  そこでまず第一の降ひょう被害、これについては五月に起こったほかの地域被害、それから六月の中旬におきましてもほかの地域でもまた起こっている。一々挙げますとたくさんの県名になりますが、そういう一連の降ひょう被害について一つ災害としてこれは把握できないか。これは余り無秩序に節度なくおよそ災害全部をひっくくるというようなことはできませんが、その間に気象的な一体性があるかどうかということを分析してみて、その説明がつくものならということでいままで検討してまいったわけでございます。何といいましても、これは専門的立場の気象庁に御判断を願うことで私ども相談をいたしておったところでございますが、このほどようやく、これは同一の気象現象として解して差し支えないという回答を得たところでございます。そこで、その同一の気象現象、降ひょうに基づく災害として全体がどのくらいあるかということでございますが、いま先生御指摘のような被害額の把握の仕方自身についてもいろいろ問題がありましたが、現地とも調整をいたしまして、県報告では、現在までのところ各県全部合計いたしまして七十億円というような話を伺っておりますが、私ども調査でも、これは最終的な集計まだできておりませんで、発表はしばらく先になりますが、しかし、いずれにしても相当大きな額になるということが見込まれておりますので、天災融資法を発動するという方向で目下検討いたしております。
  210. 神沢浄

    神沢浄君 それは山梨などの被災農家が聞きましたらば大変喜ぶような御答弁をちょうだいをいたしたのでありまして、私なども努力に対しまして心から敬意を表するわけなんです。そこで、天災融資法発動の方向での御努力をいただくと、こういうことですけれども、ちょっと突っ込んで申しわけないようですが、見通しとしてはどんなものでございましょうか、たとえば時期の問題だとかですね、というようなことを含めて。
  211. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) これは役所の内部の手続でございますが、国土庁にも御相談申し上げ、それから政令としての条文を整理するわけでございます。それから実際の融資額がどのくらいあるかということで枠の設定をいたします。それらについて財政当局と詰めば現在やっておるわけでございますが、まだ一部残っております。さらに政令ということになりますれば、次官会議、閣議にかける、その前に当然法制局の審査もあるというようなことで、少なくとも一週間くらいはかかるのではないか。できるだけ急がして、来週じゅうには公にできるようにいたしたいと考えております。
  212. 神沢浄

    神沢浄君 わかりました。ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。融資法適用をしていただこうという問題について質問点なんかもいろいろ用意をしておきましたけれども、発動する方向で御答弁をいただいたのだから、もうそのことは触れないことにいたします。  そこで、融資法発動されまして、融資法によるところの救済が行われることになると思うんですが、それからはみ出す分というやつが出てくるんではないかということが一つ想定されます。そのはみ出す分については、その方でも大変、確かに私も県から聞きましたが、いつになく国から手厚い指導を受けたと、こう言っておりますので、私もそのように受け取っておるわけなんですが、それに加えて、また今回のひょう害ということでありますから、これはいろいろむずかしい点もあろうかとは私自身も思います。しかし、はみ出し分についてはやはり自作農維持資金の災害枠などの拡大もこれは伴わざるを得ないと、こう思うんですが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  213. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 天災融資法の経営資金だけで全部が終わりというわけではなくて、それなりにそれ以外の災害対策あわせて必要だと思います。自作農維持資金につきましても、天災資金の枠とあわせて資金需要実態考えながら、実情に即した措置をとるということで検討してまいりたいと思っております。
  214. 神沢浄

    神沢浄君 さらに農家の方のいろいろむしろ使命に近いような場合もあるわけですけれども意見を聞きますと、いままでかなり借金をしている面があるわけですね。いわゆる既存の借入金、この返済などの点がこれは問題になってくると思うわけなんですが、既存の借入金の返済の猶予措置。それから被害を受けますと、俗な言い方をすると、泣き面にハチみたいなものでありまして、ことに今回の降ひょう被害、それからスモモの場合もそうでありましたが、手のかかる部分はすべて手をかけてしまって、肥料初め資材などのかけるものはみんなかけてしまって、災害に間に合ったというような、こういう性格の災害になっているようであります。しかも、その上に、今度は消毒の必要もあるでありましょうし、その被害減を回復するためにいろいろさらには手をかけていかなければならない、こういう実態だというわけであります。そこで、この被害減の回復のための農薬だとかあるいは肥料だとかいうようなものについての国では助成措置などをお考えになっていただいておるかどうか、こういうような点についてもこの際ちょっと伺っておきたいと、こう思います。
  215. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 初めの方の資金の条件変更といいますか、猶予の話でございますが、近代化資金でありますとか、そのほか公庫資金、制度資金がございます。こういった資金につきましては、従来からも業務方法書なり、それぞれ規則の定めるところによりまして、ケースに応じて猶予等の条件変更ができることになっております。災害の場合、私どもできるだけそういう農家の実情に合わせて条件変更もやってやるようにという指導をいたしてまいっております。  それから、農薬だとか肥料の話でございますが、これはまあ、天災融資法による経営資金、この中で当然その使途として認めるという形でその農家でもって賄っていただくというふうに考えております。  なお、私どもいま国の措置のことを申し上げておりますが、県も先ほどのスモモの被害と合わせまして、今回のブドウそのほかの果樹被害についてはそれなりの単独の事業をいろいろ仕組んではおるわけでございます。今日までもつなぎ融資そのほかのことをやっておられるようでございまして、県の方においても合わせて一体的なそういう措置を行うということを聞いております。
  216. 神沢浄

    神沢浄君 それから、農家の要望のさらに一つとして、共済金の早期支払いを求める声が非常にあるわけなんです。この点はどうでしょうか。共済関係からおいでになっていただいておりますか。
  217. 大塚米次

    説明員(大塚米次君) お答えいたします。  果樹共済共済金は、収穫期に減収を評価いたしまして支払いをする、これがたてまえでございますが、激甚な被害を受けたために損害の程度が著しいというような場合は、経営の安定を図るというたてまえから共済金の仮渡しを行うことができます。これは団体が行うわけでございますが、できるだけ共済金の仮渡し措置をとるように指導してまいりたいと思います。それから、場合によりましては特別会計から仮保険金の概算払いの措置をとるということもできることになっております。で、まだ被害実態は十分掌握されておりませんので、概算払いをするかどうかは県ともまだ相談中でございますが、必要がある場合は概算払いもできるように私どもとしては対処したい、このように考えております。
  218. 神沢浄

    神沢浄君 わかりました。ところが、そこで私ちょっと果樹共済の問題に入るんですけれども、概算払いをしていただける、早期支払いについても考慮していただいておる、これは大変結構です。ところが、この被害に際会をしてみまして一番やっぱり問題になってまいりますのは、本来こういう災害のときに、これは役立たなければならない共済制度であると、こう思うんですが、実は今回のあの降ひょう被害でもって一番大きな被害を受けておりまする御坂町という町があるんですけれども、河口湖から甲府市に至る間の町なんですが、この町へ行って調べてみますと、被災農家でもって果樹共済に加入をしておるのはわずかに一〇%ぐらいのものですね。それから一番加入率の高かったのは甲府市域の被災農家で、これが約五〇%ぐらいになっておりましたが、それが加入率としては一番高くて、最も甚大な被害を受けた、さきに申し上げた御坂町などに至ってはわずかに一〇%と、こういうことですから、これは実はこのときにこそ役に立ってもらわなければならない共済の制度というのが実は役に立っていないという現実ですね。だから早期支払い、概算払いをしていただけても、それによって喜ぶのはごくわずかな人たちということになってしまうのでありまして、まあ、それ時間の関係もありますから、私この際この災害をやっぱり制度の上においても、さっきどなたかもおっしゃいましたけれども、やはり教訓として受けとめまして、この果樹共済の加入促進、こういう点に、最近よく農業見直しとかなんとかいって見直し論というのが非常に言われるんですけれども、やっぱりこれは制度としてもこの災害を機会にしまして、一方農家のサイドでもこの災害を機会にして、これはその面においては加入促進は行われるだろうと思います。思いますが、しかしこの行政の側からしましても、やはりこういうときにこそ役に立たなきゃならない制度がこのままであってはならぬというような点からの見直しというものはどうしてもこれは必要であると、こうまあ思うわけであります。ちょうどこういう機会がありましたから県に尋ねましたところが、山梨の場合ブドウでは、その収穫共済で全県で一九%なんですね、加入率が。それから桃では六・七%だと言うんですね。それから樹体で、ブドウで一三・一%、桃では何と三・三%だと、こう言うんですね。これではしかし、全くこれはもうどう欲目に言いましても役に立っている制度だとは現状では言えない、こういうことになると思います。   〔委員長退席理事上條勝久君着席〕  そこで、いろいろ農家サイドからの意見などをこの機会に聞いてみますと、あるいは団体、共済団体の意見などを聞いてみますと、こういう問題を提起してきておるわけです。まあ、いまのところこの加入が任意制になっておるけれども、加入の義務づけというのをひとつ検討をしてもらえぬだろうか、それから一つの方法としてこれはまあいろいろ問題点があるようだけれども、他の融資制度との関連でもって共済加入者への優先制というようなものを考えてみてもらえぬだろうか、これは団体側の要望なんですがね。それから農家側の要望意見としては、これはまあ私もこの委員会で二度ほど繰り返した問題ですが、やっぱり園地単位共済というのを考えてもらえぬだろうか。これはいまのところ足切り三割ですね。これは米穀なんかと違って果樹経営というのはかなり規模の上からいっても大きいんですから、三割被害という、農家単位での三割被害というようなことになりますと、これは全く大きな被害であって、そういう大きな被害以上でなければ共済金の支払いが受けられぬというようなことである以上はどうも加入に足踏みをしてしまう。ですから、もっと、一つの園地が被害を受けたらば、その園地については共済金の支払いが受けれるというような、ちょうど米における一筆単位という方式でしょうけれども、園地単位共済というようなものを、とにかく果樹共済の加入率が、果樹共済が定着するまでの、たとえば過渡的な方針としても考えてもらえぬだろうか。それから、できるならば、比例てん補制というような制度をひとつ考えてほしい。一割でも共済金の支払いが受けれるような、こういう制度を考えてほしい。そこまでいき切れぬとすれば、もう少しとにかく足切りの短縮というのを、三割などということを言わなくて、せめて二割なら二割という足切りの短縮というようなことが考えられぬだろうかというような意見がどこへ参りましてもこれは共通をしているわけなんですね。   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕 だから、この機会にひとつちょっといま申し上げたような問題点についての意見もお聞きしておきたいと、こう思います。
  219. 市川博昭

    説明員市川博昭君) 果樹共済につきまして、われわれ四十八年に実施以来推進方に努めてまいりまして、確かに現在まだ一八%強でございますが、毎年毎年二割以上ふえてきております。それで、まだわれわれも日が浅いということが確かにございます。それからもう一つは、やはり農作物共済などと違いまして、これは対象農家がやはり果樹栽培農家でございます。したがいまして、非常に農家間に技術の差があると、したがって平均的な、いわばお米と同じような考え方でこの共済を進めてまいりますと、保険需要がかなり果樹共済の場合には農家の具体的なやはり経営によりまして差があるということでございます。で、私どもさきの通常国会によりまして、こうした問題点を踏まえ、やはり果樹栽培農家というのは経営によって保険需要が違うんだろうと、その保険需要に合わせたかっこう共済事故をやはり選択すると。特にこれは山梨からも非常に強い御要望があった点でございます。そうした共済事故の選択制というものを導入いたしまして、この制度改正が来年度から実施されるわけでございます。われわれこうしたものをよりどころにいたしまして、さらに加入の推進に努めてまいりたい、こう思っております。もちろんそのほかにつきまして、先ほど先生からお話がございましたように、果樹共済は任意共済である、これを当然加入ということで強制ができないかという問題ももちろんあるわけでございますが、実は農作物共済については当然加入になっております。しかし、これもやはり農家に強制するということについてはいろいろ問題がございまして、だんだんにこの当然加入の条件を緩和してきております。特に果樹の場合は、先ほど私が申しましたように、非常に地帯によりまして保険需要が違うわけでございます。したがいまして、むしろやはり適地適産という観点から申しますと、むしろ農業者の自主性を尊重して加入をやはり推進した方がいいんではないか。ただ、われわれ保険者の立場から申しますと、やはり農家がたくさん入っていただきますと、これは当然保険収支も安定するわけでございます。そうした意味合いにおきまして、実は義務加入制という制度を法律で持っております。これはそれぞれの組合の段階におきまして、総会で皆入るように義務づけようじゃないかと、こういう決議でございますが、こういう決議が現にございますし、またこれを活用しております。われわれもっとこれを活用するように行政指導も強めてまいりたいと、こう思っております。  それから園地単位の問題が一つございます。これはやはり水稲については一筆方式と農家単位方式がございますので、果樹共済についても園地単位ができないかと、こういうお話でございます。確かに園地単位になりますと、やはり園地単位で損害評価をいたしますから、農家単位に比べますと、やはり農家が共済金をもらう機会は確かにふえるわけでございます。ただ、これはやはり共済金をもらう機会がふえるということは、同時に、農家のやはり掛金率も上がることでございますし、農家負担もふえることでございます。ただ、私ども現在この果樹共済、先ほど先生もおっしゃいましたように、単に量だけの減収ではなくて、品質低下というのが果物の場合非常に大きな要素になるわけでございます。果樹共済はこの減収のほかに品質低下というのも共済事故にいたしております。品質低下をどう見るかということになりますと、これはやはり共選場に持ってまいりまして、いろいろと等級をつけるわけでございます。したがいまして、実は園地単位でこれをやりますと、こうした品質低下が損害評価としてできないかっこうになるという問題がございます。したがって、われわれやはり品質低下をやるという場合には、どうしても出荷団体の資料を使う。出荷団体の資料というのは、これはあくまでも農家単位でございます。園地単位ではございません。そうした意味合いにおきまして園地単位は非常にむずかしいと、それでは足切りを下げられないかと、こういう問題にまたなるわけでございます。現在足切りは、果樹共済の場合三割以上の被害があった場合に共済金を払うわけでございますが、果樹共済を始める際に、やはり果樹栽培農家というのは非常に経営感覚がすぐれておると申しますか、非常に敏感であるということで、農作と同じような三割であっても、三割の場合に一割から支払いましょうと、こういう特例をやっております。で、これをさらに二割に下げることになりますと、実は非常に掛金率が上がる問題がございます。現在でも三割以上の被害が毎年毎年たくさん出ておりまして、実は連合会もそうでございますが、特別会計も大変な赤字をいま抱えております。これはやはり加入率をどんどん高め、そして保険収支も安定しながら、その過程の中でわれわれこの足切り問題を実は考えてまいりたい、こう思っております。  それから、融資の問題につきましてはまた別にお答えお願いいたします。
  220. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 先生から役に立たない制度だと悪口ちょうだいしましたが、入ってない人には仕方ありませんが、私ども加入している人には大変役に立っている制度だと思っております。農家の皆さん自分のところは災害にかからないと思っている人も多いかもしれませんが、山梨県も何年に一遍かあるいは何十年に一遍かの今度のような大被害を受けて大いに加入の機運が高まっていることと思います。せっかくそういう機会に、できるだけ多くの加入者を得て、共済制度が安定的に運営されることは非常に結構なことですから、この機会に役所としても大いに促進したいというふうに考えております。  そこで、金融の面でも何かそれを助けるような仕組みはとれないかというお話でございますが、いまさら申し上げるのはちょっと釈迦に説法みたいな話でございますけれども果樹共済制度は、掛金の納付を前提に共済金を支払うということで成り立っている一種の保険でございます。一方災害融資制度は、まさに融資ということでございまして、災害による収入減のため経営上の支障を来す者に対して必要な資金を低利で融通するという仕組みでございます。そういうふうに趣旨なり仕組みが異なるものでございますので、直接これを関連さして運営する、一番極端には共済に加入しない者には金を貸さないというようなやり方をして運営するのは正直なかなか困難であろうかと思います。しかしながら、いま申し上げましたように、できるだけ加入促進のために何か工夫はないかという御趣旨はごもっともでございます。共済加入者に対して優先的にあるいは優遇して融資するようなことはできないだろうか、一般的な加入促進の指導とあわせて今後検討すべき課題として十分念頭に置いてまいりたいと思っております。
  221. 神沢浄

    神沢浄君 ありがとうございました。
  222. 辻一彦

    ○辻一彦君 具体的な災害の問題を一、二お尋ねしたいと思います。  岐阜県の白鳥から福井県の和泉村、大野市に至る国道百五十八号線がありますが、五月の二十二日の夕方かなり大きな山崩れがあってそれが遮断をされましたが、その災害実態が一体どうなっているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  223. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  御質問の個所は、一般県道白山中居神社朝日線の和泉地区災害じゃないかと思われるのですが、そのとおりでございましょうか。
  224. 辻一彦

    ○辻一彦君 ええ。
  225. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 国道ではないのでございますが。
  226. 辻一彦

    ○辻一彦君 国道には入ってないの。——じゃ、その……。
  227. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 県道——五月二十二日の災害は、これに該当するものとしてはその辺にございませんので、多分道路の洞門が壊れたやつだろうと思いますが。
  228. 辻一彦

    ○辻一彦君 和泉地区のスノーセッドといいますか、かなり山が崩れて川にまでめり込んでいるのですが、そこの実態はどうなっていますか。
  229. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) これだと思いますので、じゃこれをお答えいたします。  これは道路沿いの山腹がのり長約五十メーター、延長七十五メーターにわたりまして、土量としましては約二千立米が崩壊いたしまして、そこには既設の洞門工、まあスノーセッドでございますが、その一部が崩壊いたしましておるわけでございます。これにつきましては、とりあえず近所の和泉村の村道を利用いたしまして交通を確保しておったわけでございますが、現道につきましては、災害後すぐ早急に崩土の除却等を行いまして、今月末ぐらいまでには仮工事を完了いたしまして交通の確保に入る予定でございます。それから本復旧につきましては、この応急仮工事に引き続きまして早期に完成をいたすことにいたしております。その本工事の復旧内容につきましては、洞門工を五十七メーターをやる。それから、切り土につきましては一万八千立米、崩土除却についても千八百立米、事業費にしまして六千万ほどでございまして、現地査定は六月四日すでに終わっております。  以上でございます。
  230. 辻一彦

    ○辻一彦君 昨年のあれは、秋か夏ごろにいろんな工事が完了したのですが、それから間もなしに山崩れが起こっておりますが、工事についての手落ちだとか遺憾な点、そういう点はほとんどないのですか。
  231. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) その点についてはまだ何も聞いておりませんが。
  232. 辻一彦

    ○辻一彦君 この道は、和泉村の奥の方に岐阜の白鳥がありますが、非常に林産地というか、林業関係の生産地になっているのですね。したがって、林産物の販路としては非常に重要な道になっております。私もちょっと現場を見たのですが、いまそういう復旧対策が講じられているとすれば大変結構です。しかし、あの地区は冬になだれが非常に多いところになりますですね。特に午後になると、これはどこでもそうですが、非常になだれの危険個所になっております。で、通常の復旧状況では、将来なだれの危険等も非常にあると思うので、現地ではなだれの危険を考えた場合に、むしろ川を横断して架橋によって恒久的な対策を立ててほしい、こういう声も現地においてありましたが、なだれの将来の危険防止等も考えて恒久的な対策では大体どういう考えを持っておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  233. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 恒久的なものとしましては、ここでは洞門工、いわゆるいまのスノーセッドをもとどおりに直すということでございます。ですから、これはそういう意味では原形復旧でございます。
  234. 辻一彦

    ○辻一彦君 スノーセッドをもとどおりに直す程度でこのなだれの心配、なだれ等が起きたときに心配はない状況になりますか。原形復旧の程度では将来に非常に問題が残りそうに思うのですが、いかがでしょうか。
  235. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) その辺の話は聞いておりませんで、そういう問題ですと、やはりこれは県道の道路改良事業として扱わないといけない問題だろうと思います。
  236. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、そんな大きな道路のことじゃないですから、国の方での調査と言っても大変と思いますが、あの周辺にはなだれの危険な場所が七、八カ所大体考えられるわけですね。したがって、ちょっとその状況等を恒久的な対策——その架橋も含めて恒久的な対策と、七、八カ所非常に危険な地区が予定されるので、それらについて少し調査をしてもらって心配のない対策を将来立ててほしいと思いますが、その点の調査をお願いできますか。
  237. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) その辺につきましては、それでは道路局の方に伝えておきます。
  238. 辻一彦

    ○辻一彦君 ここはいまは道もよくなったのですが、前は冬はなだれが非常に危険で、この地区に住んでおった人は、ずっと前はスキーで岐阜の方に出て、米原を経由をしてぐるっと回って福井へ上がってきたと、こういうところになるので、そういう点で、なだれの点は大変懸念をされますから、冬季における積雪期間中における交通の安全確保という観点から一度調査をして対策を立てるようにお願いいたしたい。  続いて、具体的な問題が幾つかあるんですが、ちょっと私それに入る前に、国土庁の論議はほかの機会に余りないのでひとつお伺いしたいことがあるんですが、それは国土庁の方で、農村総合整備モデル事業というもの、その前提となる農村総合整備計画というものを策定をし、これを指定をされている。順序としては、国土庁が計画を立ててこれを指定をし、農林省が採択をして実施をすると、こういう段階になっておると思います。そこで、聞くところでは、大体国土庁として全国的に予定した地区の数がほぼ終わりつつあると、こういうふうにも聞いておるのでありますが、これは全国的にも非常に希望がかなり高いのでありますが、国土庁で行っている農村総合整備計画指定についての全般的な構想、それから将来どうするのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  239. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) ただいまお話のございましたように、国土庁が主宰しておりますこの農村総合整備計画に基づいて農林省で農村総合整備モデル事業がずっと行われてきておるわけでございまして、これはセットになって動いておるということでございますが、御承知のように、最初モデル的に実施するということで始められたという経緯があるわけでございまして、恒久的なものではないわけでございます。  ただ、いまもお話がございましたように、農村整備に関する各地からの強い要望があるわけでございますし、この事業自体については非常に好評な点がございまして要望が強うございますので、私どもとしても、いろいろこれができたときの経緯があるようでございますけれども、農村における環境整備の一層の推進を図る方向で検討したい。現在では国土庁で本年度いっぱいで大体四百三十カ所の市町村で総合整備計画ができる予定でございます。ただ、実際に実施計画をつくり、そして事実上事業を実施していくのが若干おくれておりますけれども指定したのはいままでことしで四百三十ヵ所ぐらいになる予定でございます。ただ、いま申し上げましたようにいろいろな要望もございますので、関係方面ともよく相談をしなければなりませんが、十分検討をしていきたいと思っております。
  240. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま局長からかなり前向きの御答弁があったんですが、たとえば、これはきょう突然質問するようになったのは、きょう午後この陳情の要旨を手に入れたものですから、せっかくの機会と、こう思ってちょっと予告なしで、ごく最前の先ほどの予告で恐縮ですが、御了承いただきたいと思います。  そこで、たとえば私のところは福井県ですが、この農業振興地域指定はその市町村、三十五市町村指定を受けておるわけですね。ところがこのうち八地区が——実施地区が六地区、それから今度採択になったのが二地区、それから指定になったのが一地区、結局九地区ということになります。これは十一、二億から十三、四億という農村の小規模な災害防止をも含めたものであると思いますが、広い意味の環境整備を図ると、こういうことで非常に、助成率もわりと高いという点から、農村では評判がいいというか、あるいは非常に期待が強い事業種目になっている。ところが、実際はその三十五市町村の農業振興地域が福井県においても指定をされながら九地区にとどまっているとすれば、モデルという点ではなるほど幾つかということになるんでありましょうが、この要望が非常に私は強いと思うんですね。そういう点で、具体的にいま要望があるので検討する必要があるというような程度なのか、あるいは内部的に、あるいはその関係、農林省初め諸官庁との間にかなり具体的な論議が行われておるのか、この点についていかがですか。
  241. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、モデル的に実施をするということで始めたわけでございますから恒久的なものではございませんし、まあある程度やったら、この程度やったらどうであろうかという考え方も当初あったようでございます。しかし、そういうことは別にいたしまして、いまもお話しのように非常に好評でもございますし、強い要望もあるということでございますので、私ども気持ちとしては非常に前向きな気持ちで推進をしたいと思っておるわけでございますが、出発当時のいきさつ等もございますので、関係方面とよくこれは相談をしていきたいということでございます。したがいまして、ここでどうするというところまでまだ各省と詰めた話はいたしておりませんが、農林省の方でも多分私どもと同じような気持ちを持っておられると思うんでございますが、予算ともいろいろ関連するわけでございますから、なお今後各省と十分相談をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  242. 辻一彦

    ○辻一彦君 モデルということになれば幾つかということになるでしょうし、しかし具体的にこれが実施されている進行状況を見れば、かなり基盤の整備から部落道、あるいは部落のいろんな生活環境、あるいは生活改善のセンター等々、かなりな事業が進められていると、そうすれば私の県の数で恐縮ですが、三十五対九ということはモデルとはいえ非常に残されたところにとっては不平等にもなるし、期待がそれだけにあるということ、そうしますと、国土庁はこの場合モデルの数を幾つかふやしてみようというような考えなのか、あるいはこの農村における非常に期待が大きいからこれを全般的に数をふやして将来展開をしていこうというような考えなのか、そこらはモデル・プラスアルファ程度か、あるいはもっと農村の環境整備という観点から本格的にこの事業拡大をし展開をしようとする考えか、その点はどうなんですか。
  243. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 農村の環境整備を進めるということは、これはもう恒久的にやっていかなければならないことで、農振地域全般について私は必要なことだと思うのでございます。ただ、それの一つの形式としてこういった形をとってやってきておるわけでございまして、これをさらに進めるかどうかという場合に、あと若干モデルをふやせばそれでいいとかという気持ちよりも、もっと私の気持ちとしては前向きに、全般的に考えていく必要もあろうかと思うのでございます。ただ、いろいろな手法でございますから、全部切りなくやっていくのかどうかとなりますといろんな意見もあろうかと思いますので、どこまでやったらいいのか、十分その点は関係各省と相談をしてという気持ちでおるわけでございます。
  244. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは農林省がおってもらえばいいんですが、ちょっと予告がしてないので無理と思いますから、大臣がお帰りになっていますが、政務次官おいでになりますから、これはどうでしょう。事務当局ではいまのような御論議でかなり前向きにお考えになっておると、こういう感じを非常に強く私受け取りました。しかし、政策的に強く推進するとなればやはり国土庁の長官なり次官の見解というものが非常に重要だと思うんですが、私は非常に農村でこの要望が強いと思います。したがって、関係するところは農林省、大蔵省等々あろうとは思いますが、そこらの諸官庁と十分連絡をとってこれを全面展開を目指して広くひとつ展開できるように考えていただきたいと思いますが、長官にかわってひとつお考えをお伺いいたしたいと思います。
  245. 野中英二

    説明員野中英二君) いま地方振興局長の方からお話がございましたように、これはモデルとして考えてきたわけでございます。したがいまして、こういう水準まで上げていきたいという願いで新農村の一つのモデルをつくり上げたわけでございます。幸い全国でいま先生から賜りましたように好評でございまして、この継続を考えておるわけでございますが、さらに国土庁といたしましては、今後の農村のビジョンというものを審議会の議を経まして新しいビジョンをいまつくっておるわけでございます。したがいまして、このモデルの形式があるいは今後変わってくるかもしれない、さらにより以上のモデルをつくっていきたいということで検討をいたしておりますが、先生からもいま御指摘がございましたので、いまちょうどこれから概算要求の時期に入ってまいりましたので、これ目玉商品としてさらに続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  246. 辻一彦

    ○辻一彦君 そうすれば少なくもその構想は後退はしないということですね、モデル、中身はさらに現在よりももう少し向上さしたいと、こういうことでありますから。今回、これはもちろん農林省との十分な合議が必要であると思いますが、国土庁としても、新年度における、次年度における概算要求の重点項目として吸うと、こういう考えですか。もう一度お伺いしたいと思います。
  247. 野中英二

    説明員野中英二君) 十分考慮し、各関係省庁と連絡をとりまして御期待に沿うよう検討いたしたいと思います。
  248. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、それは大変結構なので、農林省の方には、大蔵当局にはまた別の機会にただしたいと思います。  そこで、私は好評と、こう言ったんですが、これは何でも結構だと、いいという意味ではなしに、中身にはいろいろ問題や意見たくさんあります。これはほかの委員会で若干論議をしましたが、たとえばまあ一つの基準として生活改善の管理センターといいますか、生活管理センター、中央に大きな建物をつくる。二億数千万でつくる。しかし、町村等に中心センター等がある場合にはあえてそれをつくらずにもう少し旧村単位、あるいは幾つか、五つ、六つの部落の生活圏に分散をしてやってほしいという、画一的な基準ではやはり非常に意見がありまして、そういう意見を組み入れてほしいと。これは農林省の方でかなり柔軟な対策でケース・バイ・ケースの形を打ち出しております。しかし、好評ということは、全般として助成の率もいいし、環境整備にプラスになるということで、現在のあり方がそのまま何でもいいと、こういう意味ではないので、これは、中身は大いにひとつ、いろんな意見たくさんあろうと思いますから、十分聞き入れて、国土庁もさらに目玉商品として積極的に来年度打ち出すと言うならば、中身についてもさらに十分検討していただきたい、これは一つ要望しておきたいと思います。いかがですか。
  249. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) お話のように、中身についてはいろいろとさらに検討すべき面があろうかと思います。この事業自体は農林省のものでございますから、私どもとしても十分連絡をとり合っていきたいと思いますが、それはそれといたしまして、先ほど政務次官からも話がございましたように、新しいこの農村のビジョンというようなことについても、昨年あたりからかなり詰めた形で検討しておるさなかでございます。将来のあり方についても、いまおっしゃいましたように、実態に合うような形で事業が進められるように私どもとしても努力していきたいと考えております。
  250. 辻一彦

    ○辻一彦君 実施主体はもちろん農林省でありますから、具体的な内容はまた農林省との論議でいたしたいと思います。  次に三つ目になりますが、地域における、地区災害、あるいは災害の常襲地をいろいろ挙げてみるといろんな問題がありますので、その点について二、三点お伺いしたいと思います。これは河川局長もしくはその代理おられますかな。——滋賀県の、水源地が滋賀県になりそこから流れて福井県の若狭地方の方に流れておる一級河川で北川という水系がありますね。この若狭地方という地域は、前には海岸、後ろは山で平たん地が非常に少ない。たとえば山間地が山が余り深くなく、谷が浅い、こういう点で台風や雨が降ると非常に洪水等によって災害の多い地域になっております。代表的なところが幾つかありますが、前回もちょっと指摘した三方五湖等々は衆参両院でも視察に何回か見えている、こういう場所になります。そこで、北川水系で北川の災害防止をする防災、あるいは最近は水の利用という点がいろいろあるんですが、そういう点から多目的ダムを上流に建設したいという、こういう要望があって、過日河川局長が現地を見に行っているわけです。おられれば直接伺えば一番いいんでありますが、きょうは所用でおられないということでありますから、その北川上流における多目的ダムの建設の可能性、あるいはその適地性、そういう見通し等、見られた感じを、かわってひとつ伺いたいと思います。
  251. 佐々木才朗

    説明員佐々木才朗君) お答えいたします。  最近、治水、利水の要請から多目的ダムを建設してほしいという御要望が非常に高まっておることはわれわれもよく承知いたしておるわけでございまして、実は本年度福井県の方で三百万円の調査費を組みます。近々調査を始めるということで、御案内のようにダムをつくりますとなりますと、滋賀県とも若干関係がございます。で、両県でいろいろ相談をいたしまして、滋賀県側の方もひとつ進めてもらっても結構であるというような了解も成立したようでございます。これから調査を始めるわけでございます。来年度以降につきましては、ひとつ国が乗り出してほしいという県当局から御要望ございます。われわれの方といたしましても、その準備をいたしておる段階でございます。ただ、これから調査を進めてまいりましてどういう問題点が出てくるかということによりまして、今後の見通しがいろいろあるわけでございます。問題といたしましては、やはり地質的な問題これはダム等をつくる上での技術的な問題でございます。もう一つは、水没者の生活再建対策の問題がございます。その辺を詰めていきまして、問題がなければ四、五年で調査を終わって事業化するかというようなことを考える時期が参るのではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  252. 辻一彦

    ○辻一彦君 河川局長が現地に行かれて見られた感じはどんなものですか。
  253. 佐々木才朗

    説明員佐々木才朗君) 実はちょっと直接河川局長から確かめておりませんが、地質的に申しますと、北川の渓谷自身は全般的に申しまして非常に良好な地質であるということは言えないと、われわれは思っておるわけでございます。したがいまして、やはり十分な調査をいたしませんと、どうであるということは申し上げられないという段階でございます。
  254. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは具体的な調査が進行してその中で明らかになる問題であると思いますから、県の要請があれば国の方でも本格的な調査は進めてもらって十分検討してもらいたいと思います。  それから、これに大変関連しますが、五月十四日にこの委員会で衆参両院で前に災害調査に出た三方五湖、これは水害常襲地になっておりますが、ここで、いろんな護岸であるとか治水の道がありますが、山を抜いての日本海に水を落とすそういう可能性といいますか、そういうものは一体どうかということについて県とも調査をしてみたいということでありましたが、その経過につきましてある程度実態がもしもわかればお伺いいたしたいと思います。
  255. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 三方五湖につきましての調査を県と打ち合わせを行いまして継続中でございます。そこで出ました主要な点を要約して申し上げますと、第一番に、先生が言われましたようなトンネルを掘りまして放水路をつくる、そして日本海側の世久見湾という方に出すということになりますが、そこに海中公園がございます。そういったものに対する影響が非常に大きいのではないかというようなこと。それから第二に、日本海の海面と三方五湖の湖面との標高差が洪水時でも大体一メートル以下、一メートル程度というように小さいので効率のよいトンネル放水路ができるかどうかということが疑問であろうということ。それから第三といたしましては、現在実施中の災害助成事業がございます。三方五湖の周辺においてやっておるわけでございますが、それと、小規模河川改修事業といたしましてはす川改修事業を行っております。こういった事業によりまして主要な地区は大体まあ防御が可能ではないだろうかというようなこと。それから第四に、地元の長といたしましての意見はどうであるかということでございますが、これはトンネル放水路についての強い要望は持っていないということがわかっております。  大体、要点は以上でございますが、この中で一番中心になりますのが、トンネルを掘って放水路をつくるという事業が水理学的に効率のよいものであるかどうか、あるいは実施するのに値するものであるかどうかというようなことの検討でございまして、ただいまその水理計算につきまして、県に対してその水理計算を行うよう指示しておるところでございます。
  256. 辻一彦

    ○辻一彦君 その水理計算は大体いつごろできますか。
  257. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) これにつきましてはそれほどむずかしくございませんので、何日ということはまだ県の方に聞いておりませんが、何カ月もかかるというものではございません。
  258. 辻一彦

    ○辻一彦君 非常に技術的、専門的な中身でありますから、これは専門的に検討してもらって、最も周辺によい影響でもって効率的な道を探っていただきたいと思います。せっかく数年前にも衆参両院で調査に行っているところでありますから、国会両院で災害調査に行ってその後具体的な手が打たれずに終わっておりますから、いま護岸等もありますが、ぜひ効率的な成果のある方法を探って努力をいただきたいと思います。  それから、この問題に似通った問題ですが、北潟湖という湖がこれは南に対して北の方、大体石川、福井の境にありますが、やはりこの湖水の周辺にたとえば福井県の金津町に細呂木、蓮ケ浦地区、あるいは芦原町の赤尾地区、こういうところがありまして、湖の周辺がずっと水田になっております。西風が吹くとその強い波によって常に浸食が起こって崩れていく、ある意味では災害常襲地帯になっておるわけなんですが、これらに対して護岸であるとか具体的な対策によってこの災害常襲地を防御する対策はないのかどうか、この点どうでしょうか。
  259. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 北潟湖につきましては、これは大聖寺川という二級河川の支川でございまして、県が管理しておる河川でございます。ただいま先生が言われましたような実態、これにつきましてはまだ十分わかっておりませんので、図面その他被害の資料等取り寄せまして実態をこれから調査いたしたいと思います。
  260. 辻一彦

    ○辻一彦君 多少めんどうな問題ですが、一遍県の方にもその実態を確かめてもらって、具体的な状況というものを一度私の方へ知らしていただけますか。
  261. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) そのようにいたします。
  262. 辻一彦

    ○辻一彦君 最後にもう一つお伺いしたいんですが、これは京都から福井県の小浜の方につながる国道ですが、やはり北川に対する南川という川があります。これは道路関係ですが、いいですか。——北川と南川というのが若狭地方における主要河川になっておりますが、その両側に片方は国道、片方は県道と二つに分かれて走っておりますが、この県道周辺の方にダンプカーが毎日大体数百台通って、これが狭い町の中を抜け、学校の前を通っている。こういう点で非常に危険であるという点から、国道とこの県道をつないで、そして大型のダンプか国道の方を——繁華なあるいは狭いところ、学校の子供の多く通るところ、そういうところを避けて、直接国道に乗り入れて動くようにしてほしい、こういう声が非常に強いんですが、若干県の方もこれに対する対策をいま考えておるようでありますが、建設省の方でいろんな指導やあるいは連絡等がありましたらどう考えておられるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  263. 坂上義次郎

    説明員坂上義次郎君) 御質問の件でございますけれども、ちょうどいま御指摘のような原石山がございまして、川をはさんで、ちょうどその対岸に砕石工場があるというようなことで、以前には企業者の専用橋がありましたが現在はないというような状況でございます。したがいまして、いま御指摘の点を改良するためには改めて企業者側で専用橋を建設するか、あるいは地域住民が利用できる一般道路の橋として道路管理者が建設するかという二つの方法があるわけでございますけれども、この件につきましては目下県及び市の方で検討をしておりまして、まあ、これはつくるという方向で検討しておるという意味でございますけれども、そういうことを検討しておりますので、この結論が出ましたら国としては県から協議があり次第そういうことについて前向きに検討したい、こういうふうに考えております。
  264. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは性格上あれですか、どういう道路になりますか。
  265. 坂上義次郎

    説明員坂上義次郎君) まあ方向としては県道をつけかえるとか、あるいは現在その間に二カ所ぐらい二メートル程度のこれは市道の橋がかかっておりますので、それをやるかということでございますけれども、現在の方向としては市道の橋としてやる方向で検討いたしております。
  266. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま県当局で検討中であればいずれ国との協議が求められると思いますが、私もこの地域は若干知っておるんですが、何百台というダンプが通って、学校があって、非常に危険なところになっております。それから、軒並みが非常に道をはさんで接近しており、そこに大型のダンプカーが一分間に何台という形で通るということは非常に子供たちの上にもまた町の中にもいろいろと危険性がありますので、県の協議が求められた場合には十分なひとつ指導をいただくようにお願いしたいのですが、もう一度。
  267. 坂上義次郎

    説明員坂上義次郎君) おっしゃるとおりに早急に検討いたしていきたい、指導いたしたいと思います。
  268. 工藤良平

    委員長工藤良平君) どうもありがとうございました。
  269. 原田立

    ○原田立君 私の手元に宮崎県あるいは鹿児島市あるいは鹿児島県からいろいろと要望書が出ているわけでありますが、余り時間もありませんので簡潔に御返事をいただきたいと思うのであります。  一番最初に大蔵省、これはもう鹿児島市から要望があった、要請のあったものでありますが、大蔵省、通産省関係要請として、「り災者に対する国税の軽減措置について」「集中豪雨により、り災者は、所得が激減するので、り災者に対する各国税の減免措置および納期限の延長等について特別の措置を講ぜられるよう要望します。」、こういう要請が出ているのでありますが、これについていかがですか。
  270. 田口和巳

    説明員(田口和巳君) 御説明申し上げます。  私ども国税当局といたしましても、今度の豪雨の大変な被害を受けたことを十分承知いたしておりまして、私ども税の立場からも被災者の方々の立場に立って可能な限りのお手伝いをいたさねばいけないというように考えております。災害を受けました納税者に対する税金面の救済措置といたしましては、御承知のところかと存じますが、国税通則法なり所得税法、災害減免法等によりまして数々の救済制度がございます。これらの規定を十二分にフルに活用いたしまして被災納税者の救済に当たってまいりたいと存じます。  その制度の概要でございますが、所得税の軽減免除としましては雑損控除の制度、それから災害減免法によります税の軽減免除の制度等がございます。で、これらの制度によります所得税の軽減免除は、最終的には来年の三月の確定申告の時期に適用を受けるということになりますが、ことしのうちから予定納税をされる方、当面七月からということになりますので、その方々にはその段階から減額をする制度がございます。それからさらに、サラリーマンで源泉で課税、納税しておられるという場合にはその源泉徴収の段階でその徴収をしばらく待つ、あるいはさらに、すでに納めた源泉徴収税額を返す、還付するというような制度もございます。このようないろいろな制度がございますが、これらの制度が被災者の方々に十分理解していただく、あるいはわかっていただいておりませんと、せっかくの制度が役に立ちません。そういう点で、これらの制度のございますことを納税者の方々に十分お知らせするということが大事かと思いますが、私とも現地関係局——国税局、税務署におきまして市町村等とも連絡をとりながらこれらの制度の広報、さらに何でもお気楽に御相談いただくような体制でやっているつもりでございますが、御指摘もございましたし、今後一層きめ細かく浸透いたしますよう被災地関係局署に十分私どもから注意をし、指導してまいりたいと存じております。
  271. 原田立

    ○原田立君 余り時間がありませんので答弁は簡単で結構ですから。  もうすでに要望書は各省庁の方に通達が行っているだろうと思いますので、よろしくお願いします。  次に、農林省関係でありますけれども災害復旧事業、「災害復旧単独事業に対する起債の枠を大巾に拡大されるよう要望」する、あるいはまた「大巾な高率補助を適用されるよう要望」したい、これは農林省関係です。
  272. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 起債の枠の問題につきましては、これは公共事業でもって災害復旧に限らず国の事業が行われる場合は、当然その裏負担として、これは財政当局あるいは自治省とも相談をいたしまして十分な手当てができるように努力してまいっておるところでございます。  それから、補助率の問題につきましては、これは長い間のそれぞれ事業の歴史もありまして、現在の補助率の体系ができ上がっているわけでございます。地元の御要望もさることながら、全体のバランスを考えながら今後慎重に検討してまいるということにいたしたいと思います。
  273. 原田立

    ○原田立君 どうもあんまりお軽いような御返事であんまり納得しがたい感じがするんですけれども、いままで従来の流れがあるから、だからそれ以上あんまり動きませんよというような返事で、非常に誠意のない返事というふうに私は受け取る、もう一遍御答弁願いたい。
  274. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 別に誠意がないというつもりでもって申し上げたつもりではございませんが、補助率はそれなりにその都度実態に即して負担の能力なども考えて定めてまいったという実態があるということを申し上げただけでございます。地元なり、事業を実施する側からはそれを引き上げてほしいという御要望なり、御意見のあることはわかりますが、やはり、それなりの実情に即した今後の検討ということは必要でありましょう。しかし、一概にここでもって引き上げますとか、そういうなかなかお約束はいたしかねる実情にあるということを申し上げておきます。
  275. 原田立

    ○原田立君 こういう要望は出ているけれども、聞きおく程度で、そんなにあんまり言うことは聞きませんよと、これが本心ですか。
  276. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) そういう露骨な言い方を別にしているわけでもございませんし、そういうようにとられると困るのでございます。もちろん、それなりに実情に即したということを私申し上げました。今後とも一般的に補助率の検討ということはあることでございます。ですから、そこは誠意をもって検討いたします。
  277. 原田立

    ○原田立君 やっと誠意、納得のいくような返事が出てきた。「起債の枠を大巾に拡大されるよう要望」するという、この点はいかがですか。
  278. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) これは一番初めにお答えしたつもりでございますが、当然国の事業に伴って地元負担が生ずる、それに伴って地元の需要を賄うための起債、公共事業でもってやります場合は災害復旧に限らず、一般的にそうなのでございますが、大蔵省財政当局あるいは自治省と相談して十分そういった手当てができるように従来も努力しておりますが、今後とも努力いたします。
  279. 原田立

    ○原田立君 次は厚生省関係。おいででしょうか。——鹿児島市で言っているのに、「災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律一部改正について」、「法第三条第二項に規定する遺族は、死亡した者の死亡当時における配偶者、子、父母、孫及び祖父母の範囲とあるを、祖父母の次に「兄弟姉妹」を加えるよう法の改正方を要望」したいと、こういう要請なんでありますけれども、いかがですか。
  280. 水田努

    説明員(水田努君) 遺族の支給の範囲は、厚生年金その他公的年金の改定の際もどういう範囲にするのが妥当かというのが常に論議になるところでございますけれども、一応厚生年金を初め公的年金の場合には、配偶者、直系尊属、直系卑属という形で今日定着を見ているわけでございます。で、このいま先生のお尋ねの、災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律、当委員会でこれは発議された議員立法の法律でございますが、恐らく当委員会が発議されるに当たりましても、この公的年金制度の遺族の範囲を踏襲されたものとわれわれ理解をいたしているわけでございます。したがいまして、公的年金制度の遺族の範囲との均衡その他の問題等もございますので、一応この法案を作成されました参議院の法制局等ともよく御相談させていただきまして、この問題については研究をさせていただきたいと、かように思っております。
  281. 原田立

    ○原田立君 最後、何か研究だけで終わりになっているんですけれども、これだと具体的に「「兄弟姉妹」を加えるよう法の改正方を」云々というような一項があるんですけれども、大体そういう方向性は部内でも検討があったのか、なかったのか、あるいはそういう方向には全然向かないのかどうか。その点はいかがですか。
  282. 水田努

    説明員(水田努君) ただいま申し上げましたように、当委員会で発議されましたこの法案、これは超党派でおつくりいただいておるわけでございますが、遺族の範囲については公的年金の範囲に準拠しておつくりになったと、こういう経緯がございまして、一方公的年金の方においても兄弟姉妹を現在対象にしてない、そういう他の公的年金制度との均衡その他の問題があるんで、いま直ちに兄弟姉妹を入れるということは大変むずかしい問題があろうかと思いますが、なおこの立法をされるときに実際に企画をされました衆議院の法制局等ともよく相談をして、今後の研究課題としてこれは検討さしていただきたい問題でございまして、いま直ちにそのように踏み切るとか踏み切らぬとかというのは、他制度との均衡もございまして、なかなかむずかしい問題がある、この点だけはひとつ御理解を賜りたい、このように思っております。
  283. 原田立

    ○原田立君 御研究願いたいと思います、せっかくの要望でありますから。  それから建設省関係、よろしいですか。——「急傾斜地崩壊危険地域指定について」でありますが、「南九州の特殊土壌であるシラス地帯のがけくずれを特に勘案され、急傾斜地崩壊災害防止法との関連において特別の措置を講ぜられるよう要望」したいと。非常に抽象的なことなんで、あなた方の方にはもうすでに文書が行っているから大体の見当はついているだろうと思うが、御答弁願いたい。
  284. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 急傾斜地の危険区域の指定につきましては、従来から計画的に緊急度の高いところから指定をしてきたところでございます。しかしながら、今回の災害実態を踏まえまして、さらに特に事故があった個所等を調査の上、今後もさらに指定につきましては促進してまいりたいと思っております。今回の災害、特に特殊土壌地帯のシラスでございまして、特に特別の措置というふうなものにつきましては、防災工事の実施に当たりましてそれらの特殊性を踏まえた工法というふうなものにつきまして、従来からシラス対策については調査研究がいろいろの委員会を設けられまして進めてきたわけでございますが、それらの実績、さらに私どもですでにシラス地域におきます急傾斜対策事業を実施してきておりますので、それらの工法の成果等踏まえまして安全対策の万全を期して事業の執行に当たっていきたいというふうに考えます。
  285. 原田立

    ○原田立君 あとシラス問題等お聞きしたいと思いましたが、まだほかに質問がありますので、そちらの方に譲りたいと思います。  自治省関係おいでですか。——これはもう当然お考えのことだろうと思いますが、「特別交付税の増額について」「災害の復旧には全力をつくしておりますが、財政支出が多額におよぶので、特別交付税の増額について特別の措置を講ぜられるよう要望します。」、こういうことですが、いかがですか。
  286. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) 今回の集中豪雨によりまして被害を受けられた関係団体に対しましては、その被害の状況でございますとか当該団体の財政事情等勘案いたしまして、本年度の特別交付税において措置いたしたいと、かように存じております。
  287. 原田立

    ○原田立君 以上のことが鹿児島市から出てきた要望書なんです。  あと鹿児島県から出ているものについては上條先生の質問等に若干ダブるだろうと思いますが、お答えを願いたい。  まず最初に「激甚法の適用について」でありますが、「今回の集中豪雨による被害は、公共土木関係をはじめ、山林関係等広範にわたり、極めて甚大であるので、これが災害について「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」の適用について特別の御配慮を願いたい。」、こういう要請が出ていますが、いかがですか。
  288. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 被害額等いろいろ基準に照らし合わせまして、本激、局激の制度もございますので、それで処置してまいりたいと思っております。
  289. 原田立

    ○原田立君 ちょっとよくわからないのですが、激甚災害になりそうですが、それともならないのですか。
  290. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 先ほど政務次官からもお答えいただきましたように、ただいま表から計算いたしますと約一千億ほどということになりますと本激の姿勢になるわけであります。だから、その本激の方の災害額がちょっといまの段階では満てていないようなのが実情でございます。しかし、局激の制度等がございますので、激甚指定という意味で処理していきたい、こう思っておるわけであります。
  291. 原田立

    ○原田立君 次に「桜島地区の直轄事業の促進について」でありますが、「桜島地区民有林直轄治山事業及び直轄砂防事業の五十一年度事業費増額と国庫負担率の引き上げを図られたい。」と、こういう要請なんですが、なお具体的には治山関係に約三億円、砂防関係で約二億八千二百万円の増額をというふうに県は言っているのですが、いかがですか。
  292. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 桜島当年度の災害が起きました個所につきましては、ただいまから緊急治山事業で実施すべくまとめてまいりたいと思っております。全体計画につきましては、今回の災害実態をよく調査いたしまして十分再検討いたしまして全体計画の練り直しもやってまいりたい、かように考えております。
  293. 中村二郎

    説明員中村二郎君) 建設省におきましては五十一年度直轄砂防で、先ほど先生のお示しになった二億八千二百万をつけまして現在実施いたしております。それから補助砂防につきましても一億八千六百万つけまして四河川において実施しております。なお、今回の災害、主に堆積による災害でございますが、これの復旧につきましても現在調査中でございますが、約一億三千万になる予定でございます。
  294. 原田立

    ○原田立君 先ほどからの当局の答弁で、よく調査して、よく検討してと、こういうふうな返事が大分多いんですけれども、こういう災害の場合には早期の査定、災害査定の早期実施、こういうのが強く要請されているわけです。また、ここにもあるわけでありますが、「今回の集中豪雨による公共土木関係、農地農業用施設災害に対して早急に災害査定を実施していただきたい。」と、こういう要請なんですが、ここでは公共土木関係、それから農地農業用と、この二つのことしか例が挙げられていないんでありますけれども調査ですね、調査の方の実施状況は一体もうどのぐらい進行したのか。もう十中八、九いったのか、それともまだその緒についたばかりなのか、一体その点はどうなんですか。
  295. 中村二郎

    説明員中村二郎君) 直轄砂防の災害復旧につきましては、応急対策としてすでに四千八百万をかけまして施工中でございます。残りの分につきましては早急に査定を終わりまして実施する予定でございます。
  296. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 農地農業用施設の査定についてでございますが、まず激甚な地域につきましては鹿児島県につきましては六月二十六日から係官を現地に派遣をいたしまして被害の状況の把握並びに復旧計画指導に当たって一おります。なお緊急査定は七月十二日から三班に分けまして現地に入っております。また応急工事につきましては七月八日現在でございますが、鹿児島県五千二百万で応急工事を実施いたしております。
  297. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 公共土木関係の問題についてお話しいたします。  公共土木施設関係の補助関係につきましては、鹿児島県は百億ほどあったわけでございますが、現在その査定の設計を進めておりまして、今月の下旬から入る予定になっております。私どもの方では地建の方に最近査定官並びに検査官を大幅に委譲しておりますので、査定設計書ができ次第いつでもやるからという話にいたしております。  以上です。
  298. 原田立

    ○原田立君 早期にやってもらいたいという、こういうふうな要請が強く出ておりますから、各所長もできるだけ早く、御苦労ではありますけれどもやっていただきたい。これは強く要望しておきます。  それから農林省関係でありますけれども、「緊急治山事業計画の完全実施について」ということで、「本県独特のシラス土壌の性質から、ひとたび崩壊が生ずると降雨のたびに拡大崩壊の一途をたどり、被害も増大するので緊急に復旧する必要がある。そのためへ県が要望する緊急治山事業計画の完全実施をされたい。」と、こういう要望なんですけれどもね、いかがですか。
  299. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 緊急治山個所につきましては今月中旬には計画書ができ上がりまして、県と十分協議いたしまして約七十カ所程度になると思いますが、完全実施するつもりでおります。
  300. 原田立

    ○原田立君 次に建設省関係ですけれども、先ほども急傾斜地のことをちょっと申しましたが、県の方から言ってまいりました「緊急急傾斜地崩壊対策事業の採択基準緩和及び緊急砂防事業の大幅採択について」「今回の集中豪雨により、がけくずれ及び土石流による人命、人家の災害が大きく、これの早期復旧の必要があるので、緊急急傾斜地崩壊対策事業及び緊急砂防事業の大幅採択のため、予算増額を図るとともに人身事故のあった箇所については民心安定のため、採択基準を緩和されるよう特別の措置を講ぜられたい。」と、こういう要請なんです。この点いかがですか。
  301. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 緊急急傾斜地崩壊対策事業といたしましては、現在すでに県と個所ごとに調整を図っておる段階でございます。もうすでに人身事故のあった個所等を含めまして、大蔵当局へも個所を持ち込んだ段階でございまして、ほぼ採択を県とは相談をしておる段階でございます。ただ、今度、採択基準の緩和ということでございますが、ちょっとこの意味が解し得ない状況でございますが、われわれといたしましては、できるだけ崩壊した個所のみならず、崩壊するおそれのある個所も含めて採択していきたいというふうなことで協議いたしております。
  302. 原田立

    ○原田立君 現行ではがけの高さですね、これは十メーター、しかも自然斜面ということであろうと思うんですが、その点はどうですか。
  303. 大工原潮

    説明員大工原潮君) そのとおりでございます。
  304. 原田立

    ○原田立君 要望としては、県はがけ高五メートル、一部人工斜面を含めると、こういうふうにしてくれという要望なんです。その点はいかがですか。
  305. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 現在採択基準につきましては、過去数年にわたりまして採択基準の拡大ということで努力してまいったわけでございます。で、特に緊急事業につきましては五十年度から五戸以上まで採択するということで拡大してまいりました。一般事業といたしましては、本年度から十戸以上という範囲まで採択基準の拡大を図ってきたわけでございます。いまお話にございました五メーターと十メーターの問題でございますが、私ども従来から危険個所の崩壊の実績から判断いたしまして、人家が壊滅的な打撃を受けるあるいは人命に影響があるという範囲につきましては、やはり十メーター以上であるということで従来からそういう採択をしてきたわけです。で、それ以下のものにつきましては、非常に小規模でございますので、現在のところ単独事業として県で対応していただいているという状況でございます。
  306. 原田立

    ○原田立君 いや、そういうふうにやっているという説明を私は聞いているんじゃないんですよ。県はがけ高五メートル、一部人工斜面を含めるような、そういうふうに緩和をしてくれと、こういうふうな要請をしているわけなんです。だから、それについてあなた方はもうだめだと頭から断るのか、それとも検討するというふうに言うのか、一体その点はどうですか。
  307. 大工原潮

    説明員大工原潮君) いま申し上げましたように、急傾斜地対策事業は非常に個人の財産それから個人の施設を守るということで非常に直結した事業でございます。で、われわれとしては、できるだけ公共性というふうな意味からある程度の複数の人家を含めました範囲、しかも災害が激甚である範囲につきまして補助対象として考えておったわけでございます。で、たまたま指定の基準でございます五戸まで災害があった場合には採択基準を広げようということで拡大したわけでございますが、いまお話がございます人工がけの問題につきましては、特に人工斜面についての問題につきましては、たとえば非常に施設が脆弱なものを悪意といいますか、悪意で実施いたしまして、それを公共事業でフォローするというふうな実態が出てまいりますと問題がございますので、われわれといたしましては、あくまでも人工斜面といういわゆる造成された斜面を人工斜面というふうに見ておりますが、そういったものにつきましては、当然その造成された管理者がおるわけでございますので、その人に手当てをしていただくということで、基本的には自然斜面、あるいは人工斜面的な斜面であっても、たとえばその管理者が防災工事ということでやられた施設等につきましては、それは人工斜面とはとらえておりません。その辺は一応人工斜面という解釈につきましては造成の目的をもって造成できた施設によってできたがけにつきましては人工斜面というふうに解しております。  で、五メーターの問題につきましては、いま申し上げましたように、相当過去の災害事例からいきまして十メーターという規模につきまして災害が激甚であったというふうなことでございますので、いまのところ十メーターを限度にして採択をしておる状況でございますので、今後それらの災害実態調査してみたいと思っておりますが、いまのところ十メーターということで実施してまいりたいと思っておるわけでございます。
  308. 原田立

    ○原田立君 非常に不満な答弁だけれども、しようがないでしょう。時間がないもんだから先に進みます。  「がけ地近接危険住宅移転事業の促進について」ということでの、同じくこれも建設省関係でありますが、この「事業に要する補助対象額及び国庫補助率の引き上げと公共団体等の行う移転先の造成資金融資制度の創設並びに公庫資金貸付条件の緩和を図られたい。」と、三つここで述べられているのでありますけれども、まず国庫補助率の引き上げですね。事業に要する補助対象額及び国庫補助率の引き上げ、これについてはいかがですか。
  309. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) ただいまのがけ地近接危険住宅移転事業の補助額でございますが、これは毎年実情に応じて見直しをしてまいっておりまして、ことしは一応建物の移転につきましては二百万ということで、それから建物の受託につきましては四十五万五千円ということでございまして、前年に比べまして建物の受託関係では六万五千円、建物の助成の方では十六万円、約一〇%程度ずつ上げてございまして、一応おおむねこの額は適正だと考えておりますが、今後に向かいましても実情に応じて努力してまいりたいと思っております。  それから、国庫補助率の問題でございますが、国庫補助二分の一で、残りが県と市で折半というたてまえをとってございまして、これはほかの補助制度と比較いたしまして、一般的に妥当な線ではないかというふうに見ているわけでございますが、なおことしの場合、財政負担等との関係もございますので、地方負担分につきまして、特別交付税等については関係省と御相談して調整ができるように努めてまいりたい、かように考えております。
  310. 原田立

    ○原田立君 要望としては、三分の二にしてくれないか、こういう要望なんです。いかがですか。
  311. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) ただいま申し上げましたように、全体的な均衡から見て、ことし直ちに国庫補助率を引き上げるということはちょっと困難と思いますが、財政の補てん面につきまして関係省と調整に努めてまいりたいというふうに考えております。
  312. 原田立

    ○原田立君 厚生省関係でありますけれども、「災害援護資金の貸付限度の引き上げについて」ということで、「災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律に基づく災害援護資金について貸付限度額の引き上げを図られたい。」、現行は、世帯主が負傷し住居が全壊した場合の例は百万円でありますが、要望として、生活立て直しのため住宅資金等から見て百万円でなしにもっと増額、引き上げをしてもらいたいと、こういう要請なんです。この点いかがですか。
  313. 水田努

    説明員(水田努君) 災害の際のいわゆる立て直しのための貸し付け制度というのは、経済自立のためには御承知のとおり天災融資法、国民金融公庫その他の機関の融資がございます。それから、住宅につきましては住宅金融公庫の融資の道が開かれておるわけでございますが、私どもの受け持っております範囲はいわゆる福祉資金としての、福祉の資金として生活の立て直し、こういう分野を分担しているわけでございまして、その災害援護資金につきましては昨年倍額に引き上げたばかりでございまして、なおこの災害援護資金につきましては、同県の要望の三番目にあります世帯更生資金の生業資金が最高限度百万まで借りられるようになっておりますので、この両方を援用して活用しますと二百万まで借りれると、こういう形になっておりますので、私どもとしましては三番の世帯更生資金の需要に対して融資枠の確保を図られたいという点について、十分県当局とも相談しながら、実情に合うように配慮することによって、今回の問題には早急に対処してまいりたいと、このように考えております。
  314. 原田立

    ○原田立君 時間がありませんので、質問もごく簡単にやりますので答弁の方も要領よくお願いします。  御承知のとおり桜島は周囲五十二キロ、総面積八十平方キロで、ここに二千八百十三世帯一万百七十六名の人が居住しているのでありますが、この活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律が制定され、避難施設及び防災営農施設等の整備が図られておりますが、これがたしか、この第三条の避難施設緊急整備計画及び第八条の防災営農施設整備計画が実施期間が四十八年から五十一年までの期間であると、こう承知しておりますが、第二次計画も必要なのではないかと。また、ただ単なる延長ではなしにいままでの経験を踏んで内容をもっと充実したものにするという、そういうお考えはないものかどうか、その点をお伺いしたい。これは国土庁でしょう。
  315. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) 防災営農計画の方は農林省でございます、避難施設の方は国土庁でございますが。  防災営農施設整備計画、これは御指摘のように五十二年までで事業が終わるということになっております。この間、総額が三十四億八千万円ほどの事業費になっておりますが、当初計画が逐次ふくらんでまいりまして、それからまた当初の見込みと若干事業の実施の間に差が、ずれがございまして、現在では実施率が五十一年の実施見込みを加えましても三五%程度というふうに見られております。したがって、残事業量がかなり多いということから、五十二年をもってしては、計画事業量は、残事業量の全部は消化できないというふうに考えられます。そういう従来、事業をそれなりに検討して整備してきたという経過、それから残事業量が多いということ、それから最近におきましてもなお活動火山降灰被害が生じているというようなことからして、私ども五十三年以降においても、さらに県の意見を伺って計画の延長あるいは検討ということを考えてまいりたいというふうに考えております。
  316. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 避難施設関係につきましては、地域指定についても御意見があるようでございますので、十分鹿児島県とも相談して御要望にこたえるように処置していきたいと思います。
  317. 原田立

    ○原田立君 災害対策現地本部の不燃堅牢化を要望していると、こういうのが現地要請でありました。というのは、東桜島支所は昭和三十年に建築した木造の平家であります。それから、桜島町役場においては実に大正五年に建築したものだということで非常に老朽化していると、大爆発の際における強度の地震にはとうてい耐えられず、倒壊は必至であると、中枢機関をもしなくした場合には完全に機能がストップしてしまうので、この庁舎の建設ですね、これも活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律に織り込んでやってもらえないかどうかというような、そういう要請でありました。これについてどう考えるか。また、避難港及び待避舎の二次計画についてでありますが、桜島町においては五十年まで町内五カ所に設置したそうでありますが、最近の爆発の頻度、降灰の累積、溶岩等の風化作用等々によってあと五部落分、要するに五カ所ですね、五カ所ほど設置をしてもらいたいと、こういう要請がございました。これらについていかがですか。  なお、これ答弁いただければ私の質問終わりにしたいのでありますけれども、まだ実は質問がこんなにたくさん残っているんで、当委員会が終わった後、また別な機会に関係各省庁の方に部屋に来てでもいただいて御説明願いたいと、こう思います。
  318. 山本重三

    説明員山本重三君) ただいま先生御指摘の桜島町の町役場の老朽化に伴うこの改築を避難施設計画の中で事業を進めてもらえないかという要望ございましたが、これは当初の五カ年計画の中に私どもも広い意味での公民館として改修する計画計画にのせていたものでございます。ところが、本年当初桜島町の方から、地元の財政事情が悪いのでこの公民館の設置は断念したいと、ついてはこれにかわる避難港の増設で処理いたしたいという具体的な計画の変更申請がございまして、私ども関係省庁と協議しました結果、これは適切であるということで、本年当初計画を認め、それに基づいて施設整備を進めるということで話を終わったところでございますが、その後の噴火の状況で、またそのほかに今後も町役場を公民館的に改修して、今後の災害活動あるいは避難活動に活用したいという要望が、またことしのうちに再び出てきたものですから、この点につきましては町当局並びに鹿児島県と十分協議して、今後のあり方について今後十分検討してみたい、それに基づいて私どもも処置いたしたい、かように考えております。  それからなお、避難港の増設につきましては、一般的にはまだ避難港までの避難距離が長いというところで、部落によっては避難港の増設の要望もございますが、具体的にどこに避難港を設置するかにつきましては、地元の漁業補償との関係もございまして、具体的にまだ詰めてみる段階にきておりません。そういう意味で、今後町当局の要望も具体的に聞き、それについて私ども検討を加え対処していきたい、かように考えております。
  319. 原田立

    ○原田立君 東桜島支所のその関係は。
  320. 山本重三

    説明員山本重三君) いま後の方でお答えした……。  支所の問題ですか。鹿児島市の桜島支所の建物につきましても……
  321. 原田立

    ○原田立君 それと桜島町役場は大正五年だから、この二つあわせて御答弁願います。
  322. 山本重三

    説明員山本重三君) 桜島町の大正五年にできた役場につきましては、先ほど申しましたように、当初、計画にあったものでございます。ところが、今年の初めに、町の財政事情が悪いのでそれを変更したいと、そういうことで私どもはそれにかえて避難港を増設する形で計画を変更したところでございますが、ことしの噴火の状況によって再びまたあの町役場を改築したいという要望がこの間現地に行きましたら出ておりましたので、今後町当局及び県とも今後のあり方についてまた十分協議してみたいと思います。  それから東桜島鹿児島市の支所ですね、市長もその際、町役場と同様にこの施設計画に基づいて改築していただけないかという要望もございましたが、これもいまの問題とあわせて、今後鹿児島県当局並びに市、町とも十分協議して検討してみたいと思っております。
  323. 柄谷道一

    柄谷道一君 最後の質問になりましたので、多くの方が触れられておる点は、なるべく重複を避けたいと思います。  そこで、委員の派遣報告に関するもろもろの質問についてお答えがあったわけでございますが、質問を省略して、ひとつ確認の形で最初にずっと申し上げてみたいと思います。  まず第一に、避難施設整備事業についてでございますが、従来の基本方針が、島内における一時避難と島外への脱出避難ということにされておったために、垂水等の地域がこれから除かれている。そのことに対する地域指定が、地域の追加指定が必要ではないか、この意見に対して、県より申請があればこれを認める方向で検討し善処する、こう確認してよろしゅうございますか。
  324. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そう確認していただいて結構でございます。
  325. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまの質問にもあったわけでございますが、私は、最終的に桜島の防災拠点になるというものは、やはり市の庁舎であり、そして町役場であり、病院であり、警察であり、そして消防署であろうと思うわけです。これは一般町民及び市民の方々の退避後も最後まで島内にとどまって、その任務に当たらなければならない個所でございます。いま支所及び町役場につきましてはお話があったわけでございますが、これらとあわせ、最後までこの防災の中枢となり、拠点となるそういう地域につきましては、今後、県市、町と十分協議を詰められまして、最近の山頂爆発の多発という傾向に即して検討が行われるもの、こう理解してようしゅうございますか。
  326. 山本重三

    説明員山本重三君) そのとおりでございます。
  327. 柄谷道一

    柄谷道一君 第三番目でございますが、そうなりますと、地域の追加指定があり得る。さらにいま申し上げました庁舎等の検討がなされなければならない。さらに先ほどは、避難港につきましても検討が必要である。こう言われますと、当然緊急避難施設整備事業につきましては本年度で一応終わるわけでございますが、第二次計画をここで策定をいたしまして、引き続きその事業の推進に当たる、こう理解してよろしゅうございますか。
  328. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そのとおり理解していただいて結構でございます。
  329. 柄谷道一

    柄谷道一君 次は、農林省関係でございますが、防災営農対策につきましては、串間市の問題が質問に出たわけでございますが、これにつきましては、県当局からの申請があれば実態に沿うように極力努力する、そして五十二年度で切れますこの事業につきましては、現在の実施率三五%というこの実態と新たな追加地域指定というものを踏まえて、当然この延長を行う所存である、こう理解してよろしいですか。
  330. 杉山克巳

    説明員杉山克巳君) そのように御理解いただいて結構でございます。
  331. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、果樹共済ビワにつきましては、午前中の質問にもあったわけでございますが、現在保険設計等の準備が行われている。したがいまして、それらの準備を極力推進をいたしまして、追加指定方向で検討する、こう理解してよろしゅうございますか。
  332. 市川博昭

    説明員市川博昭君) そのとおりでございます。
  333. 柄谷道一

    柄谷道一君 そこで、これはひとつ要望なんでございますが、問題はその平年度というとり方でございます。これは水害その他は単発的に起こってくるわけでございますので、比較的平年度収益との対比が容易であろうとは思うんでございますが、事桜島噴火に関します限り、いわゆるこれは慢性的な被害という形になるわけでございます。何をもってこの平年度の収獲量と見なすかという点は、事この桜島地帯におけるビワ被害というものを考えますときに、非常に慎重な配慮を要さなければならない点ではないかと考えられるわけでございます。全然灰の降らない年がないわけでございますから、まあこの平年度の基準というものの策定に際しまして、実態に沿うようなひとつきめの細かな配慮というものをこれは求めておきたい、こう思うわけでございます。  それから次に桜島果樹洗浄、畑地灌漑事業の採択基準の現在の受益面積二十ヘクタールという問題につきましては、実態に即するようにその改定について検討する、こう理解してよろしゅうございますか。
  334. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) そのとおりでございます。
  335. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、厚生省にお伺いするわけでございますが、災害援護資金貸付金の増額につきましては、ただいままでの答弁によりますと天災融資法、住宅金融公庫法その他世帯融資法等の総合的な視点からの検討を行いたい、こういう答弁であったわけでございますが、私といたしましては、現在の災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律、これに伴って出されております施行令の第七条及び厚生省社発八八号の通達、これらを総合いたしますと、限度額百万円とはきまっておりますけれども、この百万の支給がされるというのはこの世帯者、世帯主ですね、これが一カ月以上の負傷を負うということが大前提になっておりまして、しかも住宅が全壊という場合で初めて百万円の対象となり得るわけでございます。そういう世帯主の負傷という事態を伴わない場合は全壊で七十万、半壊で四十万、家財の損失の場合三十万という金額になるわけでございまして、現在のこの実態というものと対比します場合に、限度額の再検討とあわせこれらの施行令及び通達の内容自体が厳しすぎるのではないか、これらの内容についても検討が当然行われるべきであろうと思うんですが、いかがでございますか。
  336. 水田努

    説明員(水田努君) 先生には釈迦に説法でございますが、私先ほど来御答弁申し上げておりますのは、弔慰金に関する法律に基づきますこの援護資金の貸付金があるわけでございますが、この位置づけを申し上げたわけでございまして、この法律以外に、経済活動に伴う貸付金制度、住宅の損壊に伴う住宅金融公庫の貸し付け制度、そういうものの中にあって、これは生活福祉資金としての位置づけで、これの前身というのは世帯更生資金から特別法として制定したと、こういう経緯を持っているわけでございますが、私先ほど原田先生の御質問にもお答えいたしましたように、この援護貸付金につきましては昨年全般的に倍額に引き上げたばかりでございまして、家屋が全壊しました場合には百万、最高限貸せるようになっておりますし、そのほか同性質の世帯更生資金で生業資金というのがございまして、この生業資金というのは最高限度百万まで借りれるわけでございまして、この法律に基づきますいまお尋ねの援護資金の貸し付けのほかに、世帯更生資金の生業資金、生業に必要な場合ということはございますが、その両方をうまく福祉資金として活用しますと両方で二百万まで最高限度ですといけますので、先ほど鹿児島県からの要望書にもありましたように、世帯更生資金の資金枠に十分な配慮をしてくれということの要望に即することによって当面している問題の実際の解決にはお役に立てるのではないかと、このように考えておる次第でございます。
  337. 柄谷道一

    柄谷道一君 私はその点の検討をしてはいかぬと言っているのではなくて、その検討とあわせて、現在の施行令及び厚生省の通牒によって決められている細部の条件についても私個人としては緩和をすべきではないかという意見を持っているわけであって、その点に対する検討は当然行うべきではないか。さらに償還方法でございますが、現行の、これはたしか通達だったと思いますが、施行令ですかな、十年間、うち三年は据え置き期間、こういうことになっておるわけでございますが、これらも他にいま言われましたように、幾つかの方法で被災世帯が金を借りるわけでございます。総合的な償還方法についても、現行の施策というのが適当かどうかというものについては、これは洗い直される必要があると思うわけでございます。総額の枠の拡大とあわせて、そういう細部の問題についても、今日までの被災の実態等も十分に把握し、分析をし、また被災世帯の意見も十分にくみ上げていただきまして、温かみのある検討が厚生当局で行われることを期待をしておきたいと思います。  次に、情報網の確立でございますが、大分地震の現地視察をいたしました際に、山間孤立部落の地震発生時における情報網ということが非常に話題になっておりました。一本しかない県道、町村道が土砂崩壊によって交通が途絶する、電話線も初断される、わずかに残った電話線は、そこに申し込みが殺到するために公用の緊急連絡もままならない。そういうことで、打つべき対策もそのためにおくれてまいりますし、被災を受けて孤立しております部落民からすれば、非常に不安が高まるという実態が述べられたわけでございます。私はこういう点を考えまして、たとえば専用電話線の設置とか、さらに無線電話の配置とか、そういうことがやはり当然今後配慮されてしかるべきではないかとこう思うわけでございますが、いかがでございますか。
  338. 永井浤輔

    説明員(永井浤輔君) お答え申し上げます。  有線通信網がいわゆる災害で途絶した場合に防災無線網、これを整備するように消防庁でいろいろといま推進しているわけでございますが、さしあたりまして、国と都道府県をまず結ぶ防災無線網を整備しようということで、これは現在東京都を除きまして四十六道府県できております。それから今度は、県と市町村この間を結ぶ防災無線網を整備しようということで、現在補助金あるいは起債こういった面で整備を進めているわけでございますが、五十年度末で二十府県が整備しておりまして、現在北海道とあと二県、三道県が現在整備を進めておる次第でございまして、残っておりますのが二十四都府県でございますので、こういったものを早急に整備していきたいと、現在努力しているわけでございます。それで、御質問の市町村の内部におきます部落とこういった市町村役場とのそういった情報連絡体制、これは当然考えているわけでございますが、現在としては消防救急無線の整備を促進してこういったものに当てていきたい。現在約二万五千局、こういったものを設置いたしております。これで間に合わないところはアマチュア無線であるとか、それから非常無線協議会、そういった無線を有効に活用するようにということで、各地域防災計画にこういうことを詳しく盛り込みなさいという指導をいたしているわけでございます。  なお、市町村の役場と集落を全面的に結ぶ防災無線網ということは、これは電波の割り当ての関係で非常にむずかしゅうございます。また、それを設置するには膨大な財政負担になる。それから維持管理するには技術職員とか維持管理経費が大変であるというような問題がございますので、そういった全面的な防災無線網につきましては、なおもう少し検討していきたい、かように考えております。
  339. 柄谷道一

    柄谷道一君 桜島の治山治水対策でございますが、ただいままでの答弁もあったわけでございますが、われわれ委員で視察をいたしましたその率直な感じは、桜島の山腹荒廃が予想以上に激しいものであるということをわれわれはだをもって感じたわけでございます。そうなりますと、現在治山治水ともに建設、農林両省が直轄事業としてこれを行っておられるわけでございますけれども、あの山腹の荒廃というものを考えますならば、この実施年度を繰り上げるとか、各年度における費用というものを拡大するとか、そう気長にやっておったのでは間に合わないのではないかというこれは実感を深めたわけでございます。この点、答弁を一々いただきますと、私質問時間が短いわけでございますので、答弁はいただかなくて結構でございますから、もう一度この直轄事業のあり方というものと現在の桜島実態というものを踏まえまして、一度洗い直して、この治山治水事業に対して早急なひとつ施策というものが必要であるということだけをこれは指摘をいたしておきまして、当局の善処を求めたいし、また次官としてもこの点に対する特段の配慮をお願いをいたしたいと思うわけでございます。  次に、気象庁に最近の異常気象の問題について御質問をいたしたいと思います。WMO——世界気象機関の定義によりますと、異常気象というのは、原則的に二十五年以上に一回起きるきわめてまれな現象と、こう定義つけられているわけでございますが、最近日本においてもそうでございますが、世界各地でたとえば百年ぶりとか二百年ぶりとか、場合によっては七百年ぶりの現象というものがあらわれてきております。気象庁の長期予報によりますと、一九六〇年代から北極地方の寒冷化が顕著になった。この影響で偏西風の流れは、規則的な東西流より不規則な南北流が多くなっている。この気流の蛇行が激しいときほど異常気象があらわれる。そして地球全体が平年度に戻るというのには、最低七十年かかるのではないか。特に八〇年から九〇年までの十年間は、現在の異常気象というのが一層これ多発をしている。そのために涼しい夏とか、極寒とか、暖冬とか、さらに干ばつ、そして集中豪雨というものが多発するのではないか、こういう長期予報を発表されているわけでございます。ということは、わが国の国土というものを考えますと、農林行政としても、また災害対策の面からしても、この異常気象の現象というものがここ当分の間激しくなる。ということは、農作物被害なり、また災害というものが多発するということにこれつながっていくわけでございます。そこで私は、気象庁の長期観測という問題が、単に気象庁だけの観測にとどまるのではなくて、当然それが国土庁、農林省、建設省などと有機的に関連をして、今後の防災及び農林対策の中で何が必要かということが一つの総合された施策として、この際洗い直される必要があるのではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、私専門家でもございませんので、気象庁から長々と長期予報の予測など聞きましても、時間がありませんので、いま新聞等に報道されているこの長期予報というのがそのとおりであるのかどうか、これを受けてこれは各省に聞きますと時間が長くなりますので、ひとつ次官の方からお考えをお伺いしたいと思います。
  340. 野中英二

    説明員野中英二君) 柄谷先生の御質問にお答え申し上げますが、私も専門家でございませんから、気象庁のこの発表をどう受けとめたらいいかということで苦慮しているわけであります。御存じのとおり、仄聞するところによりますと、北極圏における異常気象のために、各地にそれぞれの異常現象が起きてくる。これは気象庁のこういう発表は、少なくも長期的なものであり、あるいは概括的なものであろうと思うわけでございます。したがいまして、この日本列島にいつどういう形でその現象があらわれてくるだろうか、これを謙虚に受けとめまして、その対策を各省庁と検討をいたしていかなければならない、そういうふうに考えておるわけでございまして、御存じのとおり、繰り返し申し上げますが、この現象がいつどこでどういう形であらわれてくるか、それをもう一度各省庁と洗い直しをし、並びに気象庁からもよきアドバイスを得まして万全の処置を講じてまいりたいと思うわけでございます。
  341. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間の関係から、それで私は一応この問題終わりますけれども、単なる気象庁が長期予報を出すと、それは出したということだけでは意味がないわけでございますから、ぜひひとつ国土庁の次官として、各関係省庁とこの異常現象というものの長期展望とこれに対応すべき各省の施策というものを総合的にいかに確立すべきかという点につきまして、私は、必要ならばプロジェクトチームでも組んでいただいて、この問題に対する解明を行い、そして施策が後追いにならないような体制確立を強く求めておきたいと、こう思います。  次に、シラス地帯の防災対策と急傾斜地の防災対策でございますが、確かに今日まで関係省庁が特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法、急傾斜地防災法、さらにこれに建築基準法や災害対策基本法等をリンクさせまして施策を進めていることは評価いたしております。しかし、建設省の調査によりますと、がけの角度が三十度以上、高さ五メートル以上、その下に人家が五戸以上あるものというものを対象としただけで、全国のがけ崩れ危険個所は六万七百五十六カ所に及んでいると、こう発表されております。しかし、この防災工事というものは一カ所平均大体二、三千万円の金がかかるということで、毎年防災工事が実施されているのは約八百程度である。六万を超える危険個所と毎年の施工個所が八百であるというこの数字には非常に大きな開きがあるわけでございます。しかも、この十年間にがけ崩れによります人命の死亡事故は九百十七人に及んでいるということもまた発表されております。いわば、さいの河原に石を積むような対策ではなかなか万全を期することができないというのが率直な実態ではないか、こう思うわけであります。私は、こういう事態考えますと、これまた一つの総合施策がこの際必要ではないか。  その第一は、採択基準の再検討とその拡大という問題が一つございます。  二番目には、その財源確保の方法についてでございます。それについては国自体としての財源の拡充ということも必要でございますし、また一般公共債適用の制度化という問題も必要であろうと思います。さらに、個人の行うこの種の工事につきまして、思い切った低金利、長期の融資制度を創設するということもその方法ではないか。あらゆる方法を通じての財源確保策というものがとられなければならない。  それから第三番目には、ある委員も指摘されましたように、都市計画法、それに基づく開発計画と危険地帯との関連度というものをながめて、都市計画法の中に防災の配慮というものをより強く盛り込んでいくというこの配慮も必要であろう。  しかし、第四番目には、そのような施策を行ったとしても、なお災害というものが起き得る余地を多分に残しているわけでございますから、私は、建設省が「あなたもできる防災措置」というパンフレットを出されたということも承知しておりますけれども、たとえば急傾斜地の危険地帯に簡易雨量計を据えつけるとか、さらに観測による予報体制の整備とか、またこの予報というものを受けた場合の緊急避難方法の確立とか、そういう対策というものも必要ではないか。繰り返しますが、全国に存在する六万を超える危険個所と、そして現実には約八百カ所程度の工事しか行い得ないこの現実を結びつけるために、人命尊重のための総合施策がこれまた確立を要請される時期ではないかと思うのであります。これまた一省庁ではなかなかできないことでございまして、これらに対するひとつ御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  342. 野中英二

    説明員野中英二君) お答え申し上げます。  先生の申されましたことは一々ごもっともでございまして、これが拡充強化に努めてまいりたいと思っております。  はなはだ失礼でございますが、この機会にお願いがございます。  この申されましたことはすべてごもっともなのでありますが、施行してまいりますわれわれの方から申さしていただきますと、社会教育というものが必要なんじゃないだろうか。おれのところは大丈夫だ、こういう考え方が危険個所の方々にもあるのじゃないだろうか。それから、この危険個所がある場所は、御存じのとおり、代替地がなかなか得がたいところでございます。そういうこともございますので、諸先生方にもお願いいたしまして、この協力方をこの機会にお願いを申し上げる次第でございます。はなはだ失礼でございますが、それだけつけ加えさしていただきます。
  343. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま次官が御指摘されましたように、やはり住民のコンセンサスというものが必要だと、これは私否定いたしません。しかし、私はそういうコンセンサスは何によって得られるかということになりますと、このわが国の急傾斜地の実態とそれから起こってきた災害実態と、そのために国としてはこうするんだ、各地方自治団体としてはこういう対策を組む、そういう国及び地方公共体のやはり持つべき分野というものを明確に示す、それで補い得ないものをひとつ住民もこのような配慮が必要だというものでなければ、なかなか住民のコンセンサスというものは得られないと、こう思うわけでございます。その意味において、御意見は御意見でございますけれども、やはりこの問題はもう本当に本格的に各省庁の知能を集めて総合施策というものが確立されるべきだと重ねて要望いたしておきたいと思います。  通産省、来ておられますか。——私は、次に通産省に地熱エネルギーの問題について御質問をしたいと思うわけです。  昨日も和光大学の生越教授からの指摘があったわけでございますけれども、わが国に従来のような経済成長第一主義の経済政策が当を得たものではないかということは当然としても、しかし、わが国の産業そして国民生活安定のために必要なエネルギーが必要だということは、これはもう申すまでもないと思うのであります。  そこで、このエネルギー確保のために、たとえば火力発電によれば亜硫酸ガスや窒素酸化物といういわゆる公害問題が出てくるということで抵抗がございます。また、原子力発電の場合には放射性廃棄物の処理という問題が絡んでまいります。水力発電の場合は、これまたそのダムをつくることによる補償問題その他が絡んでまいります。それらの問題は一応横に置くとして、従来地熱エネルギーーというものはきわめてクリーンなエネルギーであるということが言われておったわけでございます。そこで、政府が調べたところによりますと、現在の技術で開発可能な地熱発電は約二千万キロワット、これから技術が進歩するであろうことを配慮して七十五年までに四千八百万キロワットの利用ができると、こういう推定をされております。ところが、この問題はいま一つの大きな障害にぶつかっているわけでございます。私はその障害は四つあると思うわけであります。  その第一は、開発のためのリスク負担をどうするか。これは各所にボーリングをしなければならないわけでございますから、当たるときもあり当たらないときもある。このリスクというものを政策的にどうカバーするか、これが一つ問題点だと思います。  第二の問題点は環境保全との関連でございます。地熱エネルギーのあるところはほとんどが国立公園である。環境とエネルギーとの問題をどうすべきか、その調和の問題が一つございます。  第三番目には、学者によって意見は異なりますけれども、砒素、硫化水素、これを地下還元することによって問題は解決されているという説とそうではないという説がございます。このことによる住民不安は除去されておりません。  第四は、地震との関連でございます。昨日の参考人意見を聞きましても、生越先生は、安全の証明のない限り危険と考えることが安全である、こういう証言をされますし、一方、表九州産業大学教授は、圧力を加えた地下還流ということになると問題があろうが、自然還流の場合は大きな影響がないのではないか。相異なる学説がここに出ているわけでございます。そういう点を考えますと、この種の問題も私は通産省一省の問題ではなくして、環境庁もかかわりますし、また地震対策という観点からの検討も必要でございますし、これまた総合的なひとつ国としての施策と、そしてそれに伴う方向というものが打ち出されませんとこの問題の解決にはならないと、こう思うわけでございます。御所見をお伺いいたします。
  344. 伊藤栄一

    説明員伊藤栄一君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の問題点四つにつきまして私ども現在考えておるところを御説明申し上げます。  第一の、開発リスクの軽減についてでございますが、私ども通商産業省では、まず開発リスクを軽減するために昭和四十八年度から基礎調査、それから翌年度、四十九年度からはボーリング調査を主体にいたしました精密調査を実施いたしまして、地熱資源の賦存状況と開発の可能性について調査を進めております。また、発電所の建設に対します融資といたしまして、日本開発銀行その他から融資を行っております。そういった形でリスクの軽減を講じておるところでございます。  それから、第二の環境との調和につきましては、地熱は国産エネルギー資源である、これを活用しよう、そういうことと電源の多様化、そういう二つの観点からこれを積極的に推進しておるわけでございますが、開発に当たりましては自然環境との調和には十分配慮いたしております。  それから地熱開発事業者に対しまして、それらの実際の指導につきましては、環境庁その他の関係省庁と事前に十分の連絡をとって進めておるわけでございます。  それから第三の砒素、硫化水素の問題につきましては、地熱開発に当たりましては、地下から蒸気を主体といたしますエネルギーを採掘するわけでございますが、その際蒸気と一緒に熱水が出てまいりまして、この中に従来、温泉でございます数PPmオーダーの砒素が含有されておるわけでございます。それの対策といたしましては、地下にこの熱水を還元する、そういうことで対策を講じておりまして、すでにこの還元の実績は大岳、大沼等の発電所で五年以上の実績がございます。その際、還元水が地上へ湧出すると、戻ってくるというようなことはないという確認は……
  345. 柄谷道一

    柄谷道一君 簡単に。
  346. 伊藤栄一

    説明員伊藤栄一君) はあ。行っておりまして、私ども従来ございます水溶性ガス田の灌水、そういった技術から見ましても、これは十分実用しておる技術である、そのような評価をいたしております。  硫化水素につきましては、現在発電所の境界線におきまして、実績といたしまして〇・三PPmと、その程度の濃度でございまして、環境への悪影響は特に認められておりません。  それから最後に、熱水の地下還元と地震との関連でございますが、熱水を還元いたします際には事前に十分地質調査を行いまして、熱水の貯留層の大きさ、それから地下の地質構造、そういったものを十分把握いたします。それから熱水の注入に当たりましては、十分その付近、地盤への影響、そういったものを入念な監視を行わせる、そういったことによりまして対策を講じさせる。  以上申し上げました四つの点につきましては、現在私ども特に支障はないと、そのように考えておりますが、今後関係の諸調査をさらに行いまして、十分その確保を図っていきたい、そのように考えております。
  347. 柄谷道一

    柄谷道一君 御説明は聞いたんですがね、その通産省ペースとしての説明としては理解できるんですよ。しかし、まだその種の問題に阻害があればこそ、いま言った巨大な四千八百万キロワットというものの発電が可能だというものでありながら、現在の計画を含めても十五万キロワット程度の計画ではないかと、こう思うんです。片や熱エネルギーの活用は必要だと。なぜおくれているのかということになると、私は端的に言っていま私の言った四つの問題が通産省ペースでは解明したとしても、それがナショナルコンセンサスとして、また政府全体のコンセンサスというものが得られていないというところに、この実態が私はあると思うんです。国土庁長官がおられれば、私国務大臣としての善処を求めたいと思っておったところでございますけれども、昨日も地震と無関係ではないという証言が、参考人意見が述べられたということに照らしましても、これは次官、ひとつ国務大臣にも御連絡を願って、通産省だけにこの問題をやらしておいていいというのじゃないわけですから、防災の立場、環境保全の立場、公害の立場、そういう立場からのこの問題に対する解明というものを行うことによって、付近住民なり国民にやはり不安を与えないという施策というものを早急にこれは確立する必要があると、こう思います。いわゆる全政府としての取り組みを求めておきたい、こう思うわけでございます。  時間が私、参りましたので、最後にもう一問だけ御質問して終わりますが、一つは七月八日の新聞によりますと、御前崎付近の気象庁が設置いたしました高性能の埋め込み式ひずみ計が一キロ当たり一センチの縮みを見せている。このことが地震の前兆ではないかということが恐れられている。予知連絡会議はまだそういう内容で大地震と結びつくものではないという態度を出しておりますけれども、この種の問題が報道されますと、住民というものが不安を抱くことはこれ当然でございます。その気象庁としての観測は一体どうなっているのか、これが一つ。  あわせまして私は地震予知と観測体制、そして予報という問題を考えますと、四つのこれも問題があると思うんです。一つは現在行っている地球物理学的研究というものをさらに充実させるという必要のあることであります。昨日の証言によりましても、マンパワーがまさに不足をしている、全国の各大学で火山学を専攻する教室がない、また桜島観測所一つをとりましても電子機器による解析装置がまだ設備されていない、観測点もさらにふやす必要がある、連続地殻変動観測装置というものも整備しなければならない、北海道、東北等にはまだその観測の体制が十分でない、いろいろ問題点が指摘されております。これらの問題をどう解決していくのかということが一つの課題であろうと思います。  それから第二番目は、毎日新聞の社説にも書かれておったわけでございますが、中国等における専群結合、いわゆる専門家と大衆との結合された観測体制、土洋結合、従来からの古い予知方法と進歩した近代的科学との結合という問題が言われているわけでございます。中国と日本は政治体制も、また国土の置かれている条件も異なりますけれども、過般新聞に神奈川の「ナマズの会」がかつての東京震度五の地震を予知したということも書かれているわけでございまして、これらの立体的予知体制の確立ということが必要である。  三番目には、現在の地球物理学的予知観測の体制とあわせまして、地球化学的な、また地震生物学的な研究というものをこれに併用させることによって、より科学的な予知体制を確立するということが必要である。  最後には、このような形において予知いたしましても、一体どういう形で予報するか。現在の予報体制ではいたずらに社会不安を高めるだけであって、場合によってはパニック状態すら起こりかねぬ。そういう状態を考えますならば、さらに社会科学的な側面の研究というものを行うことによりましてその予報体制の確立というものをしていかなければならない、こう思うわけでございます。  総合的予知と観測体制と、そして予報との体制確立の問題に対する御意見を伺いまして私の質問を終わります。
  348. 野中英二

    説明員野中英二君) お答え申し上げます。  大変該博な御知識を拝聴いたしましてありがとうございました。一々ごもっともなことでございまして、私たちもただただ傾聴いたしておったところでございます。  御存じのとおり、中国の観測体制、大衆と専門家の結合、こういうような問題につきましても、私たち新聞紙上で見ておる程度でございますが、御存じのとおり、わが国におきましては、社会的あるいは自然的なことによって大変地下水というものが影響を受けておりますので、これは必ずしも決め手ではないんじゃないか、こういう考え方を持っておったのでございます。しかしながら、御存じのとおり地下水の影響というものがいかに重大であるかということは、われわれもショルツ理論等によって承知してきたところでございます。  そこで、昭和五十年の七月二十五日に、「第三次地震予知五カ年計画の見通しについての研究」というのが出てまいりましたので、これを受けまして地方公共団体とも相談をしながら、大衆とそして専門家とを結ぶ一つの路線をつくっていきたいと、こういうふうに考えております。  第一点の地球物理学の拡充等につきましては、文部省と連絡をとりましてこれが強化を図ってまいりたいと思うわけでございます。いずれにいたしましても、各省庁の知識集約をいたしまして、国土庁といたしましては最善を尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  349. 工藤良平

    委員長工藤良平君) これで終わるところですが、私、二つだけちょっとお聞きをいたしたいと思います。  まず一つは、今度の梅雨前線被害、南九州災害起こりましたけれども、この中で私ども大分県ではため池の密集地帯があります、国東半島でありますけれども。今度の被害で一番大きいのは、三つ重なっておりましたため池が、一番上のため池が崩壊をしましたために、三つ全部崩壊をいたしまして、わずか三分ぐらいの間に五万トンを超す水が一気に流れた。幸いに夜中でありましたから作業をしておりませんで、人命に影響はなかったんですけれども、私はこれを見ますときに、老朽ため池に対する手当てというものが非常に災害の面からも緊急を要するというように感じているわけであります。特に農業用のため池の場合には、雨季に水をためて農業をやるわけでありますから、防災ダムと全く趣を異にしておりますので、そういう立場からも私は非常に大事だと実は痛切に感じておるわけでありまして、そういう意味から、ぜひ老朽ため池に対する総点検をやると同時に、これまた農業用の絶対必要な池でありますので、来年の田植えまでにはできれば——災害の復旧については一応の基準がありますけれども、来年の農作業に影響を与えないような復旧対策を講じていただくということが一つであります。  それと同時に、いま進めている老朽ため池の改良ですね。改良、補修でありますけれども、これにつきましても、たとえば私のところに、いま荻町に百八十万トン程度の農業用のため池がございます、ダムに近いものでありますけれども。ところが、これが改修が行われておるんですが、一般的に言えると思いますが、三年計画が五年になった、五年が実質は八年から十年かかるという状態でありまして、そういういま申し上げましたような農業用のため池の持つ防災ダムとの違いを考えてみますと、私はこの対策は、農道もあるいは圃場整備も非常に大事なんですけれども、それよりもっと優先的に緊急を要する事項ではないかと、こういうように思いますので、ぜひひとつ本年度の補正から来年にかけましては全面的にそういう予算の使い方についても再考していただく必要があるんではないか、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一点は、これは私も国土庁長官がいらっしゃるときにと思ったんですけれども、昨日、上條先生から先般私ども調査いたしました六月の十四日から十六日の報告を出しました。これは普通であればそのまま議事録に載る程度に終わると思いますけれども、これを読んでいただきますと、私どもがなぜ十四日から十六日にかけて災害のないのに調査をしたかということであります。ある新聞は私ども調査何のための災害調査かとまでたたかれましたけれども、私はいまや災害防止は予防的な治山治水、そして予防的な災害防止の対策こそが最も緊急な災害防止の道だということを確信をしたからこそ、私どもは、あえてそういうものを非難を浴びながら調査をしてきているわけであります。そういった意味から、この報告書の持つ意義というのは実に大きいし、きょうも出席した皆さんから再三にわたりまして御質問が出たわけでありますから、そういう点を配慮していただいて、私はぜひ各省の緊密なる連絡の上に立って万全の措置を講じていただきたい。とりわけ私は、いま当然直ちにできることは——これは厚生省の水田施設課長が言っておりましたけれども、私ども災害現地に入ったときに何と言ったか、何か御要望ありませんかと、こう聞いたときに被災者は何と言ったかということです。それは、こういう悲惨な災害を受けたときに国が私ども個人災害にやってくれたものは一体何だったですか、わずかに崩壊した家に対して七十万円のお金しか貸してくれなかったんですよと。どんな田舎でもいま五百万、六百万は最低かかるんです、こういうようなことが国の私たちにしてくれた手だてなんですよと涙を流して私どもにすがりついて被災者が言った、そのことを、一年たった今日でも私たちはこれは忘れることはできないんです。どうぞ課長、あなたも、一年たち二年たってもどういう悲惨な生活をしているかということを、現地に入っていただいて、これは私は融資の制度でありますから、思い切って個人災害に対する対策を講じていただくように、形式を乗り越えて私はやっていただきたいということを特にこのきょうの終わりに当たって申し上げておきたいと思いますから、ひとつ農林省と政務次官の方で御答弁をいただきたいと思います。
  350. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 今回の梅雨前線豪雨によります災害におきまして、特にただいま御指摘のありましたため池の被害が相当多く出ておりました。九州地方だけでも百九カ所、金額にいたしますと八億三千六百万というふうな被害がございます。特に大分県は、個所数は三十カ所ほどでございますが、金額としては五億七千九百万ということで、まあ三分の二程度が大分県に集中をいたしておるわけでございまして、ただいま御指摘のありました国東町の小原地内に設けております小谷上池、小谷下池、高尾新池という三つの連続した池が相次いで決壊をいたしまして、下流の農地約十・二ヘクタールが被災をいたしたわけでございます。被災後、六月二十六日から三十日にかけまして現地には係官を派遣いたしまして、被災状況の把握並びに復旧計画指導に当たっておるわけでございます。査定設計書ができ次第、早急に査定を実施いたしまして早期に復旧をいたし、ただいまお話ございましたように、何とか来年の作付に間に合うように努力をいたしたいというふうに考えております。  なお、全国でこの農業用のため池というのは二十七万七千カ所、まことに膨大な数あるわけでございまして、この中には、徳川時代あるいはもっと前にできたようなため池もございまして、現在改修を必要とするものが約一万カ所あると言われておるわけでございます。これらにつきましては、いわゆる老朽ため池復旧整備事業という事業で、現在までも農地防災の中では最も力を注いでこれの整備に当たってきたわけでございますが、今回の甚大な災害にかんがみましても、ため池等の整備がなお一層非常に重要であるということが痛感されておるわけでございまして、先生御指摘のとおり、今後も事業の促進には一層の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  351. 野中英二

    説明員野中英二君) いま委員長が申されましたように、大変予防的な見地において各省点検しなければならぬということは最も重要なことでございます。昔から鉄は熱いうちにとか、あるいはまたのど元過ぎれば熱さを忘れるとかということわざがございますけれども、何か災害が終わってしまいまして緊急対策をやってしまいますと、もうこれで終わったのだということで、後の事後点検というものが徹底していないように思うわけでございます。私も五月の十五日に徳島へ参りまして台風六号のあとを見て参りました。そのときに同様に新聞でたたかれました。けれども、この点検こそ明日の対策の礎である、かように考えておるわけでございます。まことに同感でございますので、参議院の諸先生方が鹿児島あるいは大分へ視察に行かれましたその貴重な報告書を十分に読まさしていただきまして、今後の参考にいたしたいと思うわけでございます。
  352. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十七分散会