○
案納勝君 いま新しい閣僚協が発足をしたと、こう言われますが、この閣僚協はさきの専門懇のペースを土台にしたんでは全く意味をなさぬ。今日の専門懇の意見書等は、ストライキ権問題の解決や労使の正常化の解決にはならないことは明らかであります。私はここでそのことを、時間がありませんから改めてやるとして、触れる気はありません。
ただ一言だけ私は明らかにしておきたい。専門懇の意見書の中では、条件つきスト付与論に対して正常化の保証はあるかと、こういうふうに問いかけている。私はそう言うならば、きょうやりとりをやった
国鉄の
再建について、
再建の保証はあるのかと、こう聞いたいのであります。いずれの場合でも同じであります。そしてしかも、この専門懇の意見書の中では、公労協のスケジュール闘争や政治的色彩や体制変革の手段と
考えているなどという、そういうふうに言い切っています。そしてこの労使の荒廃に至った
原因というのは、
政府当局の収拾に当たっての取引がまずかったからだと、こう
指摘をしている。
政府の無責任な姿勢にあると、こう
指摘をしている。そういう見地から刑事罰の強化や民事損害賠償や団交権の禁止やその他を
指摘をしています。
私は、これは
経済合理性による発想、もう
一つは労働者は性悪なんだという抑圧型労務管理、警察の治安対策的発想以外に一歩も出ていない
内容なんであります。私はここで労働
大臣に来てもらって、
国鉄副
総裁や
運輸大臣に言うのは、戦後三十年にわたるこの歴史的経過というものをしっかり踏まえて対処しなければ労使の公労協問題というのは解決をしない。処分をやれば事が済むという問題ではない。ならば今日まで解決をしたでしょう。百万人に上る公企体労働者の処分が、されてもされてもストライキをせざるを得なかったということはどこにあるのか。国際的に先進工業国でございます、民主国家でございますと自民党の
皆さんは胸を張ります。どこに日本の労使
関係があるか、国際的に比較をした場合に全く問題にならないような
状態にあることを自民党の
皆さんはよく知らない。
私はこのことが、いままでここで
指摘をした意見書のことが、日本の労使
関係を荒廃に導いたことなんであります。これを改善をするのが、私はいま
政府や当局の責任ある態度だと思う。そういう面から、こは専門懇のペースを土台にしたやり方というのは私どもは認めることはできません。まさに当事者が、今日まで三十年の間流してきたお互いの努力というものを十分受けられる、役立つような姿勢というものを私は
政府はとるべきだと、こういうふうに思います。私はそういう面で、一々ILOやその他の勧告の
内容をここに紹介しようとは思いません。今回の処分問題についてもそうです。私は処分問題について労働
大臣が言われるように
一つの区切りであったでありましょうが、いままでの経緯の上に立って、処分については悪循環は断ち切るという、そういう姿勢の実行を今回の
国鉄再建等の問題をめぐってでも打ち出すことが、私は今日の
国鉄の
再建問題につながることだと信じます。そういう点について、これは
答弁は要りません、私の方から強く要求をしておきたい。直ちに、というよりも、今回の処分を行うべきではない。それより一歩進んで、
再建と将来の労使の正常化と健全化のための協力と話し合いを私は積極的に進めるべきだと思います。その点を強く要望しておきたいと思います。
さらにあわせて、先ほど損害賠償の問題が
提起されました。公労法十七条自体が、多くの労働法学会や国際的にも問題が
提起をされ、憲法違反としての疑いのある今日、この損害賠償が成り立つと私は
考えられません。これは自民党の政治の面からの圧力によって
国鉄総裁が
提起をしたものだとしか理解できません。こんなことで働いている労働者を敵に回して、そこから損害賠償を求めるようなやり方で
国鉄の
再建ができるはずがありません。私はこの点について、そういう
措置を行わないという、そういうふうに明確にすべきだということを要求をいたしておきます。
最後に労働
大臣に一点だけ
お尋ねします。ILO百五号の批准を早急に行うべきだと思います。すでにイギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、カナダなど、九十一カ国が批准をしています。
政府はいままで、佐藤前総理もまた、この批准問題については前向きの姿勢を出されたこともあります。
政府はILOに対して、この百五号の条約の批准の問題についての報告書を
提出した経過もあります。しかし今日の段階で、イギリス、フランスその他の工業先進諸国と言われている国々が批准をしているこれらについて、
政府は速やかな
措置をとるべきだと思います。
政府の疑義も、すでに二回にわたる専門
委員会の回答によって明らかにされていると思います。労働
大臣は本通常国会に提案をされて批准をする、そういう意思がありますか、これについてどういうふうにお
考えになっているか。