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1976-06-10 第77回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      下村  泰君     青島 幸男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  力君     理 事                 今泉 正二君                 遠藤  要君                 世耕 政隆君                 大塚  喬君                 峯山 昭範君                 塚田 大願君     委 員                 青井 政美君                 石本  茂君                 岩男 頴一君                 岩上 妙子君                 河本嘉久蔵君                 木内 四郎君                 温水 三郎君                 案納  勝君                 久保  亘君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 矢原 秀男君                 加藤  進君                 青島 幸男君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       戸田 嘉徳君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        国税庁次長    横井 正美君        文部省管理局教        育施設部長    柏木健三郎君        林野庁指導部長  藍原 義邦君        通商産業省産業        政策局沖繩国際        海洋博覧会管理        官        大木 俊夫君        労働省労働基準        局賃金福祉部福        祉課長      中岡 靖忠君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       大工原 潮君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        会計検査院事務        総局第一局長   田代 忠博君        会計検査院事務        総局第四局長   東島 駿治君        日本専売公社副        総裁       齋藤 欣一君    参考人        国民金融公庫総        裁        佐竹  浩君        日本開発銀行総        裁        吉岡 英一君        日本輸出入銀行        副総裁      星野 大造君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づ  く経費増額調書及び経費増額調書内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づ  く経費増額調書及び各省庁所管経費増額調  書(その2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和四十九年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和四十九年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書内閣提出衆議院送付) ○昭和五十年度一般会計予備費使用調書及び各  省各庁所管使用調書(その1)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十年度特別会計予備費使用調書及び各  省各庁所管使用調書(その1)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十年度特別会計予算総則第十一条に基づ  く経費増額調書及び各省庁所管経費増額調  書(その1)(内閣提出衆議院送付) ○昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(第七十五回国会内閣提出) ○昭和四十九年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(内閣提出) ○昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書  (その1)(内閣提出) ○昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和四十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十八  年度政府関係機関決算書(第七十五回国会内閣  提出) ○昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十五回国会内閣提出) ○昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十五回国会内閣提出)     —————————————
  2. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨九日、下村泰君が委員を辞任され、その補欠として青島幸男君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 次に、昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件、昭和五十年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件、昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為総調書外二件、以上十三件を一括して議題といたします。  それでは、まずこれらの説明を聴取いたします。大平大蔵大臣
  4. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいま議題となりました昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外九件の事後承諾を求める件につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十八年度一般会計予備費につきましては、その予算額は六百五十億円であり、そのうち昭和四十九年一月五日から同年三月二十九日までの間において使用決定いたしました金額は四百六十八億円余であります。  昭和四十八年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は一兆八百四十三億円余であり、そのうち昭和四十九年二月十五日から同年三月二十七日までの間において使用決定いたしました金額は三百七十四億円余であります。  昭和四十八年度特別会計予算総則第九条及び第十条の規定により、昭和四十九年二月十五日から同年三月二十六日までの間において経費増額決定いたしました金額は千三百七十七億円余であります。  次に、昭和四十九年度一般会計予備費につきましては、その予算額は千四百十億円であり、そのうち昭和四十九年四月十二日から昭和五十年三月二十九日までの間において使用決定いたしました金額は八百二十億円余であります。  昭和四十九年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は一兆二千九百二十三億円余であり、そのうち昭和四十九年八月十六日から昭和五十年三月二十八日までの間において使用決定いたしました金額は二千三百九十九億円余であります。  昭和四十九年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和四十九年八月三十日から昭和五十年三月二十八日までの間において経費増額決定いたしました金額は千二百八十九億円余であります。  次に、昭和五十年度一般会計予備費につきましては、その予算額は二千億円であり、そのうち昭和五十年四月十八日から同年十二月二十六日までの間において使用決定いたしました金額は二百三億円余であります。  昭和五十年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は二兆六百八十二億円余であり、このうち昭和五十年五月二十三日から同年十二月二十六日までの間において使用決定いたしました金額は二千八百七十億円余であります。  昭和五十年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和五十年八月八日から同年十二月十二日までの間において経費増額決定いたしました金額は四十三億円余であります。  以上が昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外九件の事後承諾を求める件の大要であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為総調書外二件の報告に関する件につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和四十八年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、国が債務を負担する行為をすることができる限度額は四百億円であり、そのうち昭和四十九年二月二十六日の閣議決定を経て、総額四十八億円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。  昭和四十九年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、国が債務を負担する行為をすることができる限度額は八百億円であり、そのうち昭和五十年二月二十五日の閣議決定を経て、総額百九十七億円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。  昭和五十年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、国が債務を負担する行為をすることができる限度額は八百億円であり、そのうち昭和五十年九月十九日の閣議決定を経て、総額一億円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。  以上が昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為総調書外二件の報告に関する件の大要であります。
  5. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 以上をもちまして説明の聴取を終わります。  なお、ただいま大平大蔵大臣から聴取いたしました説明の詳細が別途提出され、委員各位のお手元に配付いたしてございますが、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 鈴木力

    委員長鈴木力君) それでは、これより質疑に入るわけでございますが、これを一時中断することとし、次に、昭和四十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、大蔵省と、それに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録末尾に掲掲いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 質疑通告のない齋藤日本専売公社総裁佐竹国民金融公庫総裁吉岡日本開発銀行総裁星野日本輸出入銀行総裁は退席して結構でございます。  それでは、これより質疑に入るわけですが、先ほど一時中断いたしました予備費関係十三件もあわせて便宜一括質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 二、三お尋ねをいたしますが、その前に大平大蔵大臣政局に対する認識を若干お伺いをいたしたいと思います。  率直に申し上げて、自由民主党は何をやっているのかわかりません。自民党がごたごたされるのは党内事情としてはそれで結構でありますけれども、ただ政権党党内のことと日本政治のこととをごちゃごちゃにされますと国民は大変迷惑をするわけであります。そこで三木内閣の主要な閣僚であり、実力者であり、派閥リーダーであり、保守本流と、こう言われておる大平正芳氏の時局認識を問うわけでありますが、報道によりますと、大臣は五月の二十日の派閥総会で、今日の事態保守支配体制三十年のあかが積もってこうなったんだから、だれがいい悪いではなくて、みそぎをしなくてはならない、この際ボスも含めて閣僚党幹部はみんな責任をとってやめるのが筋だ、このような見解を示したとされるのでありますが、一見深刻な反省のようにも受け取れるんでありますが、改めてまず見解をお伺いしたいところであります。
  11. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 志苫さんのせっかくの御質問でございますけれども、私は大蔵大臣として国会責任を負っておるわけでございまして、政局全般につきましてお答えを申し上げる立場にないことは御了承いただいておると思うのでございます。ただ、せっかくの御質問でございますので、今日の時局に対しまして私は私なりにいささか憂えるところを感じておるということだけはこの際申し上げておきたいと思います。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣として答える筋合いでないという趣旨の答弁でありますが、私も先ほど申し上げましたように、一つの政党の中におけるさまざまな議論、出来事そのものをそんなにせんさくをしようとは思わぬのでありますか、たとえばじゃあ政党内出来事かというと必ずしもそうではない。報ずるところによれば、たとえば椎名総裁参議院議長を訪ねたりして、さまざまなお話をされています。こういうことは党内のことではないんでありまして、あの方は党人でもないわけでありまして、明らかに私は日本政治そのものについてのいわば動きでありますだけに、あえて三木内閣実力者でもありまた自民党実力者派閥リーダーでもある大平さんの見解を尋ねておるわけでありまして、改めてひとつ御答弁をいただきます。
  13. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 自由民主党政党といたしまして、また政局を預かる政党といたしまして、党内におきましていろんな論議があることは事実でございますし、またあってしかるべきであるし、なければおかしいと思うのであります。ただ、このことは自由民主党の内部の問題でございます。で、そのことについてもし志苫さんが国会を通じてお尋ねになるのでございますならば、しかるべき人があるんじゃないかと思うんです。私は自民党を代表してそういうことについてお答えをする立場にないわけでございますので、そのことは御勘弁を願いたいと思います。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 時期が時期でありますから、あなたの口がかたくなっておるという事情は十分に承知をしておりますが、しかし政治家発言機会があれば積極的に発言をすべきだと思うし、また三木内閣主要閣僚として、同時に自由民主党の中における主要な派閥リーダーとして国会においてそのような見解を求められるというのは当然のことでありまして、それに対して見解答弁を拒むという筋合いのものではないと私は思うんです。この点はいかがですか。
  15. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 自民党の党を預かっておる立場にあられる方にお聞き取りをいただきたいと思います。もし私がそういう立場でございますならば、遠慮なく御答弁申し上げます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、私も機会があればあらゆるところでお尋ねをしたいと、国民それなり見解を求めたいんでありましょうし、ですから、きょうは機会でありますから、まずあなたの見解をお伺いをしたいと、こう言っているわけであります。  押し問答ばっかりしておってもこれしょうがありませんから、私若干報道基づきますけれども、続けて見解を求めたいんでありますけれども、先ほど指摘をしました報道によれば、私先ほど申し上げたんでありますが、このような反省を示すということは、当然のことながら三十年の間ずいぶん大事な地位を占められて、保守本流とも言われてこられた大平さん自身責任反省を表明されたものと受けとめてよろしいですか。
  17. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申しましたように、私自身政治家といたしまして、今日の時局にかんがみましていささか憂えるところがありますことは、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 これは答弁拒否だね。とすると五月二十日の派閥総会発言をされたと言われる報道を否定をされるんですか。
  19. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) われわれ同志の集まりでやりましたことを一々こういう場面お答えしなければならぬ立場でないと思うのであります。またそうすべきでないと私は思います。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 私は先ほど言いましたように、大蔵大臣大平正芳氏、三木内閣の主要な閣僚でありますから、当然国民がいま聞きたがっていることを代弁をして尋ねる、そういう資格がある。あなたは答弁席に座っておるわけでありますから、その答弁をすべきである、このように思うのですが、どうしてもお答えにならない。しかし、このような事例というのは、たとえば政局に対する主要な閣僚認識を、総理を初めとして求めたという事例は、過去にも私、記録によれば、それぞれの立場お答えになっているはずです。たとえば田中金脈の当時にも、盟友大平正芳氏としてこの事態をどのように考えるかという質問に対して、あなたはそれなり見解を述べておられます。どうしてこの事態で私の質問に対しては答弁をできないんですか。
  21. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いまの事態に対してどのように処してまいるかということは自民党の中におきましていろいろ論議が交わされておるわけでございまして、これは外に対しましてわれわれがこういう場面では、こういう会合でこう言ったとかああ言ったとかいうようなことを外でお話しするというようなことは適当でないと思います。先ほど申しましたように、国会におきまして、とりわけそういうことに対してお答えをするような立場でない私がおしゃべりをするというようなことはことさら適当でないと私は思いますので、決して答弁拒否とかなんとかいうんじゃなくて、私はそうすべきであると考えておることは御了承をいただきたいと思います。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 私はあえて報道で、実は今日の政局問題についてだれも正式なコメントをしたり物を書いたりしませんので、結局報道に頼る以外にないわけですね。ですから勢い報道をもとにして政局認識というようなものをお尋ねをすることになるわけでありますから、あえて私はあなたの派閥の中におけるあなたの発言に対して見解を求めるというふうに幅を狭めないで、三木内閣主要閣僚として、今日の政局について考えるところもあり、見解を述べるところもあり、所信を表明することがあってしかるべきだ。頼まれもせぬのにしゃべることはないにしても、現にここで見解を求められておる。当然私は今日の政局についてあなたの判断なり見解なり認識を答えるべきだと思いますね。事柄は確かに自民党の中の出来事のようでいて、それでいて日本政治全体にかかわっておるということを私は冒頭指摘をしています。日本政治出来事について見解なり認識を述べられないという閣僚がありますか。いかがですか。
  23. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういうお話でございますとなおさら困るんです。というのは、私は何も国会というところでは、先ほど冒頭に申しましたように大蔵大臣として責任を負っておるわけでございまして、今日の政局について私が責任ある御答弁を申し上げる立場にないということでございまして、でございますので、そういうことでございまするならば、自由民主党の今日の政局に処する姿勢というものをあなたがお尋ねしたいということでございますならば、国会を通じて、それはまた自由民主党でそういう責任の持てる方をお呼びいただいてお話を聞いていただきたいんで、私はそういうことをすべきじゃないというのが私の信念でございます。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 いや、ですからね、私は自民党総裁にも聞いてないし、三木総理にも聞いてないわけであります。現実には多様の見解が交錯をしておるようでありますから、大平さんの見解を求めるんですが、どうもあなたはお答えにならない。これは何を聞いても答えないということになりますと私は何にも聞けないということになるわけで、これならまあ決算委員会は要らぬことになりますが、こういうときにはどう言うたらうまい返事をしますかね。委員長、これは答弁拒否ですよ、実際に。あなた言うてくださいよ。  それじゃまあ次へ参りますけれども、私はじゃあ少し申し上げましょう。私は特にあなたにお伺いをしようと——厚生省所管かあれは厚生大臣に聞き、何々省の所管があればその大臣に聞くという意味だけではないわけであります。まあマスコミ流の言い方をすれば、保守本流による三木追い落とし工作と、こういう表現もあるようでありますが、いずれにしても椎名さんが陣頭に立って、その背後には田中角榮氏とその軍団が隠然たる力を持って、盟友大平正芳氏とその軍団がそれに連動しておる、こうも一部報道をされ解説をされますだけに、私はあなたにお伺いをしようと思ったのでありますが、どうも口がかたくてお答えにならない。派閥会合にせよ、私は報道されるところでは、大平さんは大平さんなりの深刻な認識見解を持たれておるということを承知をしておるのでありますが、少なくとも伝えられるような見解に従うならば、いままでにはない何らかの新しい将来に向かっての何かビジョンのようなものがあるのかなということを聞きたかったわけでありますが、しかも聞くところによると総裁ダービーのお一人だと言われることでもあれば、なおさらお伺いをしたかったのでありますが、余りどうもお答えにならない。  観点を変えますが、いずれにしても今日の三木退陣工作と言われるものがロッキード隠しだという批判国民の一部にはありますが、この点について何か見解ございますか。
  25. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ロッキード問題の真相を早く究明いたしましてこれに厳正な処理をしてまいるということは、政府に課せられた私は大きな責任であり義務であると思っております。この信念は、政府であろうと自由民主党であろうと、だれも異にする見解を持っておる人はないと確信をいたしております。したがって自由民主党動きがロッキード問題の隠蔽を策したものであるなどというものはいわれなき誹謗であると私は思っております。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 いわれなき批評である、いわれなき批判であるという見解でありますが、国民の多くは、三木首相ロッキード究明姿勢、これに対して、まあポーズは別としまして、手ぬるいという実感を持っていると思います。あなたは閣僚の  一人としてそのようにはお考えになりませんか。
  27. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 三木内閣総理大臣以下関係当局、この問題の究明にはいま鋭意当たっておるわけでございまして、一瞬の懈怠もなくやっておるものと私は信じております。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 あなた自身も手ぬるいと思っておられないのかもしれませんが、私は自由民主党の中にもいろんな方がおられるわけでありますから、手ぬるいものは手ぬるいと指摘をして、おれなら灰色高官は全部公表するとか、公表された政治家は除名をして粛党をするとか、たとえばそういうことを表明する者があってもいいのじゃないかと、こう人ごとながら思うのでありますが、あなたはそういう御意思はありませんか。
  29. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま申したように、関係者は一生懸命にいま事に当たっておるものと確信しております。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても、あなたの答弁も当を得ませんが、努めて発言を控えたいという心境のようでありますし、事情としてはわからぬわけでもありませんが、しかし私は、先ほど申し上げましたが、あなたの立っておられる立場から見て、むしろ積極的に受け答えをすべきだ、こう思って質問をしましたが、どうやらその熱意の方も持ち合わせておらないようです。私に言わせれば、たとえそれが派閥総会だと言われるにせよ、ボスも含めて、閣僚党幹部みんなが責任を持ってやめるのが筋と、このような深刻な認識をお持ちであれば、まず自分自身見解に忠実であるべきだろうと、このようにも思います。しかしどうも口を緘して語らぬようでありますから次へ参ります。  国民はこの決算委員会を中心にして田中金脈の追及が行われ、盟友だと言われる大平大蔵大臣を初めとする守秘義務の壁に阻まれてうやむやになっていることを忘れてはいません。また田中氏自身が、釈明というのですか、解明というのですか、そういった政治責任を果たしておらないこともよく承知をしています。その田中氏が何らかの形で政局に影響力を行使をして、大平氏がその連動体だと言われていることを不愉快に思っています。お伺いしますが、田中金脈がうやむやにされて、田中氏が政治責任を果たさずに政局に隠然たる影響力を行使しておるということについて何か所感がありますか、見解はいかがですか。
  31. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は国税庁を管理する立場にある国務大臣といたしまして、田中さんであろうとどなたであろうと、税法の前に平等な立場を持たれておると確信するのであります。したがって公正な税務の執行を保障してまいることが国民に対する責任であると確信をいたしております。田中さんは、一納税者といたしまして、今日まで納税義務に服してこられたわけでございますが、御案内のように、それに疑問を投げかけられたわけでございます。国税当局といたしましては、すでに調査決定いたしました過去の決定につきましても、新たな材料が出てまいりますならば、どなたであろうと調査いたしまして税額を更生していくということをいたしておるわけでございまして、提起された問題につきまして専門家を動員いたしまして綿密な調査を遂げたわけでございまして、そしてそのことを調べまして適正な更正措置を講じたわけでございます。  このことは、ひとり税務当局がやったばかりでありませんで、会計検査院当局におきましてもそのことを検査されたことは、当決算委員会におきましても御報告があったことと私は承知いたしております。問題は、守秘義務の問題でございます。守秘義務は、御承知のように、ただいまの税法上、申告納税制度を守っていく上におきまして職務上知り得たことを外部に漏らさないということが立法の趣旨としてとられておる制度でございまして、私どもが勝手につくったものではないのでありまして、立法府といたしましてそういう立法趣旨のもとでつくられた制度でございまして、私どもはそれを尊重してまいる責任があるわけでございます。しかし国会におきましては、国政調査権に基づきましてこの事態究明に当たられることは当然の御責任でございます。また権限でもあられるわけでございますので、田中金脈問題につきましても、当委員会ばかりでなく、両院の各関係委員会におきましていろいろの究明が行われたわけでございまして、国政調査権と守秘義務との関連につきましては、その関連が立法府と行政府の間でいろいろ議論が重ねられたことは志苫さんも御承知のとおりであります。それからまた、それを境にいたしまして、いろいろな政府の御答弁、それから提出の資料等につきましても、行政府と立法府の間でいろんなやりとりが行われたことも御案内のとおりでございます。行政府としては最大限の御協力は申し上げるということを基本にいたしまして鋭意国会の御審議に応じてまいりましたつもりでございます。私どもが不当に守秘義務をかたくなに守るとか、守秘義務に弾力性を加えるとかいうようなことではなくて、私どもはこの問題につきましてはきわめて厳正に対処してまいったつもりでございますし、両院の関係委員会に対しましても終始変わらない姿で対処してまいったつもりでございまして、この問題につきましては、すでにそういう手順を踏みまして一切の調査が税金の問題に関する限りは私は終わっておるものと承知いたしております。その他の問題につきましては、私まだ詳しく存じていない面もございますけれども、事課税問題につきましてはすべての調査は終わり、すべての措置が完了いたしておると承知いたしております。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 もう少し正確に答えてくれませんか。それでは重ねて聞きますが、その問題に端を発しましたが、田中角榮氏がいわゆる金脈問題について解明といいますか釈明といいますか、その種の政治責任をまだ果たしていないということについては、そのようにお考えになりますか。   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕
  33. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) その問題は田中さん御自身の問題でございまして、私の関与する問題ではございません。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 そういうことはないでしょう。前総理大臣田中角榮自身があなたも御承知のように国民の前で釈明ないし解明のその責任を果たすと、こう言っておられたわけでありまして、三木総理も田中氏自身がそれをまだやっていないという、その種の答弁をされておるようでありますが、あなたはそう思いませんか。もうそれは十分に果たした、このように御理解ですか。
  35. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 田中さんがそう言われたことは私も聞いております。そしてまたそういう機会をまだお持ちになっていないことも知っております。しかしそれはどういう事情によるものか、それは田中さん御自身にお聞き取りいただがないと、私にはそういうことに対しての答弁する立場にございません。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 いまあなた、私があなたを初めとする守秘義務の壁に阻まれてうやむやになったということに、いろいろと税の面では誠心誠意、熱心に対応したというお話でありますが、そうでしょうか。私はたまたま田中金脈の際にも、今度のロッキード事件でのいわば児玉の、児玉譽士夫のいわば脱税等にかかわる問題についても、外で問題が提起をされて、税務当局がそうかなというので調べに入るというケースの繰り返しでなかったんじゃないでしょうか。お伺いしますけれども、たとえばこの二つの事件、皆さんの立場で後からいわば税務調査等の必要な措置を講じたようでありますが、この二つのケースから税務当局としてさまざまな問題点、反省点というふうなものでもつかんでおられませんか。
  37. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 多数の納税者があるわけでございます。しかし徴税官吏は定員が限られておるわけでございます。したがって一人一人の納税者につきまして綿密な調査を毎年行っていくということが理想でございますけれども、それは言うべくして不可能なのでございます。したがって私ども徴税当局といたしましては、いろんな情報に対しまして非常に敏感な姿勢を終始とっておるわけでございまして、あらゆる情報の解明を通じまして、そこに私どもがやっておりまする税の調査決定に誤りがないかということにつきましては不断に反省を加えてきておるわけでございます。ただ御指摘のように、今度の児玉事件につきましても、今度の脱税容疑事件があらかじめ察知できておったということが望ましいことでございましたけれども、そういうことができなかったことは非常に残念でございますけれども、極力情報の収集、解明、評価に鋭意努めておることは事実でございますけれども、そこまで私どもの能力が及ばなかったということはまことに残念でございますけれども、今後一層この反省の上に立ちましてその努力は強化してまいらなきゃならぬということは当然のわれわれの務めと考えております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 次にロッキード問題に少し入ります。  他のいろんな委員会等でたくさんお尋ねもあるようでありますから、私ダブらないようにしながら、ほかの議事録等も読みながらダブらないで質問をしようと思うんでありますが、まず大蔵省が四次防主要項目決定の段階で対地支援戦闘機FST2改、それから高等練習機T2、これらの輸入を言い出したことに、率直に申し上げましてとかくの疑惑が持たれておるわけであります。まずこの対地支援戦闘機なり高等練習機の輸入を言い出した論拠をまずお伺いしたいんであります。
  39. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それぞれの経緯が若干ございますので、事務当局から詳細に報告させます。
  40. 高橋元

    説明員(高橋元君) 高等練習機、いわゆるT2でございますが、これにつきましては、御案内のように三次防の中で超音速高等練習機について国内開発を行うということが決まりましてから、四十二年度以降国内開発のための予算措置も講じ、防衛庁で開発を進めてこられたわけでございます。一方で支援戦闘機につきまして、そのように開発されましたいわゆるT2、これを四十七年度予算で二十機計上をいたしたわけでございますが、その二十機につきまして予算が、四十七年度の予算編成の過程の御承知のような事柄から凍結になりました。高等練習機についてさようなことになったわけでございますが、支援戦闘機につきましても、四次防の中でT2を改造したFST2改、これを採用するということで防衛庁から御要求があったわけでございます。政府の部内で防衛庁といろいろ検討を交わしております際に、当時の国際通貨事情からしまして急激に円高になった、ドル安になったということもございまして、国産機が外国機に比べて著しく割り高になった。特にドルショック以降、円高の為替相場によって外国機が従来よりさらに割り安になったというのと、また国際収支上の観点もありまして、輸入について再検討するように防衛庁に要請をいたしたということでございます。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 まずT2について言えば、いまも御答弁がありましたように、四十二年から開発がスタートされましてずっと来ましたな。四十六年試作、四十七年四次防スタートの年に生産に入るという段取りでいたようでありますが、揺るぎない方針として進められてきたものが、どうしてたとえば四十六年度当初予算ではゼロ査定、復活で二十機盛り込まれたけれども凍結、言うならば一時量産取り消しの運命にあったわけでありますけれども、これはただ単に当時のドル状況等から見て国産は割り高になる、総体的に輸入の方が割り安になるということだけでは、政府の施策としては一貫性が全然保てないということになりませんか。
  42. 高橋元

    説明員(高橋元君) T2の御質問でございますが、いま志苫委員から御指摘がありましたように、四十二年度以降国内開発ということで所要の予算措置を講じ、開発を進めてまいったわけでございますが、四十六年の二月になりまして、T2に搭載するエンジンはロールスロイスでつくっております。そのロールスロイス社が倒産をいたしました。そこでエンジンの生産が継続するかどうかという点がひとつ問題が起こったわけでございます。それからT2の価格そのものが、当初の四十二年に三次防で国内開発を決めました当時、考えておりましたよりは著しく高くなってまいる見込みが出てきたということ、これは国会でもさような御指摘がございまして、そこで防衛庁が一時ロールスロイス社の調査を行うとともに、F5Bと申しますか、輸入機との比較検討を行うということがあったわけでございます。そのようなことがありましたので、四十六年にはおっしゃいますような形で予算措置がなく、四十七年度に改めて概算要求におきましてT2の購入が要求された、さような経緯でございます。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 いま述べたような事情で輸入と、こういう主張になるわけでありますが、その場合にT2ないしFS、この場合はT2改だったわけですが、それにかえて輸入という場合に輸入機種の想定をしていましたか。
  44. 高橋元

    説明員(高橋元君) 特別この機種という想定で輸入と国産とを対比するということではなかったわけでございますが、当時はT2に対比すべき機種としてはF5B、FST2改に対応いたします性能を持った支援戦闘機としてはF5Eということでございました。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、T2にかえてのノースロップのF5B、FST2改にかえてF5Eということになるようですが、これはあれですか、私らは皆さんがただ一般的に輸入が安い安いというだけでは納得できないわけでありまして、一つはこの単価及び使用の全期間を通じての修理、補給、部品交換——トータルとしての経費ですね、それとの比較がもう一つ必要だと思うし、安ければいいということにはなかなかならぬわけでありまして、安ければ木の飛行機でもいいかということになかなかならぬわけでありまして、当然一つの防衛構想に組み入れられる飛行機の性能というものも防衛問題には出てこなければ意味がないということになるわけですが、この経費比較はいま御発表できますか。
  46. 高橋元

    説明員(高橋元君) 航空機の購入価格でございますが、これは高等練習機いわゆるT2、これが要求ベースで開発費を除きまして一機当たり十四億一千四百万円ということでございますが、これに対しまして、それに対応する対応機種であるF5B、これが三百八円のレートで計算しました際に一機当たり八億九千四百万円、そこでT2に比べて五億二千万円程度割り安になるという想定がございました。これは四十七年度の予算編成当時は、編成の交渉を行っておりました際にはいわゆる三百六十円レートでございましたから、三百六十円レートの際に想定したF5B九億七千百万に比べますと、四次防の議論をいたしました際にはさらに下がって、いま申し上げたように八億九千四百万という数字になるわけでございます。  それから支援戦闘機でございますが、FST2改、これが要求ベースで申しますと一機当たり十六億五千六百万円、これに対しまして当時の防衛庁の試算でF5Eこれが十億二千万円。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 それはF5のEですね。
  48. 高橋元

    説明員(高橋元君) Eでございます。支援戦闘機でございます。その差が六億三千六百万円これが初度部品を含めました購入価格の対比でございます。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 トータルとしての経費の積算はありませんか。
  50. 高橋元

    説明員(高橋元君) ただいま申し上げましたP5Eにいたしましても、たとえば当時の米国の航空関係の専門誌等々を資料として出したものでございますから、計画に組み入れられる機数全体も決まっておりませんし、トータルの経費の比較というものは当時はつくっておりませんでした。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 これはよくもうあらゆるところに出てくるのでありますが、買うときには安いが最後にはずいぶん高くなるという、これは何も軍用機に限らずあることなんでありまして、五億ないし六億の差というようなものがあるようでありますが、私はただ購入単価だけの比較というのは比較としては不十分だという気がいたしますが、しからば性能上の考慮はどのように払われていましたか。
  52. 高橋元

    説明員(高橋元君) 性能面、これはいま先生からも御指摘のありましたように、防衛庁の航空機として使います際に、性能が必要な水準を満たしてなければならぬということは御指摘のとおりであります。そこで大蔵省、防衛庁の両省の間で高等練習機について高速性能、これは超音速ということでございますから高速性能がいずれがすぐれておるか、これは申しますとT2の方がすぐれておったようでございます。それから安全性、レーダー装備、こういう点で比較検討を行いました。それから支援戦闘機につきましても、全天候下の攻撃能力なり爆弾の搭載能力、こういうものについて議論を行ったわけでございます。その結果、十月の二日に四次防の内示をいたしましてから十月の九日に決定をいたします際までに性能面の議論が交わされて決着をみたということでございます。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと後段わかりにくいですが、たとえばT2について言えば高速性能とか安全性、レーダー機能等々いろいろ十月九日の最終決定まで両省間で詰められたと。詰められた結果、これはどうも性能がまずいからやっぱり国産にしようというふうに話がいくんですか。
  54. 高橋元

    説明員(高橋元君) 経費面、それは購入価格もございましょうし、以後の維持管理もございます。そういった経費面の比較、それから先ほども申し上げました性能面の比較検討、それらを総合勘案いたしまして、四次防においてはT2、FST2改が採用されたということでございます。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 これはまた後で聞きます。  そうしますと、大蔵省としては経費面、何かあなたのお話だと補修費やその他を加えての経費面てなことで後で言っていますかわかりませんが、ただ外貨事情その他の状況から言うて輸入だと、こう主張したけれども、性能その他のことでは議論をしているとやっぱり防衛庁に言い分があるというふうにとっていいんですか、この経過は。
  56. 高橋元

    説明員(高橋元君) 申し上げるまでもないことでございますが、私ども予算の仕事をいたしておりますと、その際にはいかにして予算を効率的に使うかということに最も心を払うわけでございます。そこで性能面、それから経費面、それらを総合勘案いたしてまいります際に、先ほども申し上げましたように四十六年の暮れ以降の為替事情の変動によりまして、非常に輸入機の割り安ということが著しくなってまいりました。そこで経費面で割り安であるものを買って使った方か財政としては効率的使用という本来の使命にかなうんではないか、その点を当時の新しい情勢に即してもう一度再検討をしてほしいということが十月二日に輸入を検討してくれという内示をいたしました趣旨でございます。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕
  57. 志苫裕

    志苫裕君 先ほどのところに戻りますが、T2の場合にはエンジンのロールスロイスの倒産その他の事情でしばらく見合わせるような期間があってというのが一つの、果たしてそのエンジンが使えるかどうかという問題があったということを言いました。それからFSの場合は四十六年暮れごろのいわばドル事情、そういうものが大きい作用になっておるというふうにいたしますと、FST2改を防衛庁が配備しようというのは五十年ですよ、五十年。五十年に配備しょうというのであれば、言うなら国産であるから四十六年、七年から五十年まであれはずっとT2を改良していくのですが、配備計画そのものは五十年なんですよ。五十年配備というようなものを輸入に変えて、四十六年の外貨事情で、これはドル減らしに役に立つという論拠が出ますかね。
  58. 高橋元

    説明員(高橋元君) 御指摘のように、T2にいたしましてもFST2改にいたしましても、具体的に大量調達しますのは後年度でございますが、当時問題にいたしましたのはその単価差でございます。つまり後年度十年間にわたって数十機の支援戦闘機なり高等練習機を購入する、それの経費総額をできるだけ減らして、しかも財政としては効率を上げていきたい。それがもっぱら当時の論争の中心であったわけでございます。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 単価差である——どうも私はあなたの話に少しあっちこっち矛盾があると思うんですよ。一番最初私は、単価差だけではない、全般のトータルとしての経費ですね、それも当然考慮に入るべきだと。いや実はそのころはそれをしていなかったということでした。その次の御答弁では、性能、加えて経費全体ですね、それらを総合的に勘案をしてというふうになっていますから、後段の場合には単価差だけではなくて経費全体が配慮の対象になるわけです。この辺に若干の食い違いがありますが、とにかくわかりやすく言えば安いからと、後年度負担も少ないからと、性能のことを抜きにすれば、まあ安いもの買ってくれやというのが大蔵省の主張だというふうに、わからぬわけじゃありません。わからぬわけじゃありませんが、しかし四十六年暮れ当時の事情というのが、PXLの場合には五十七年ということになるわけだし、T2改の場合には五十年以降の配備ですから、私は必ずしもその当時の外貨事情なりドルの状況が、そんな五年も三年も八年も続くというふうに皆さん玄人がおられてお考えになるわけがない。ましてやT2のことになれば、ロールスロイス云々という事情は私初めて聞きましたけれども、少なくとも四十二年から予算をつけて既定の方針でやってきたのを、四十六年当初予算でばっさり切っちゃうという、およそ役所としては考えられない芸当をやってのけるというあたりがどうもすっきりしないんで、こう何遍もお聞きしておるのですが、もう一度聞きます。T2はエンジンの問題、T2改は四十六年暮れごろの外貨事情、ドルの状況というものが理由であるということを確認していいですか。
  60. 高橋元

    説明員(高橋元君) 私のお答え申し上げましたことを整理して申し上げますと、四十六年にT2の具体的な購入というものがなかったのは、それはエンジンメーカーであるロールスロイス社の倒産という事情があったということを経過として申し上げたわけでございます。しかしながら四次防の中にどういう形で支援戦闘機及び高等練習機を取り入れるかという話は、全くこれは単価の問題であったわけでございます。  外貨事情と仰せられますが、四十六年の八月にいわゆるフロートに移行しまして、三百六十円レートがだんだん下がってまいりまして、三百二十円ぐらいがたしか十二月であったかと思います。で、十二月に三百八円レートになった。そうなりますと、外国から購入をいたしますものの価格は非常に安くなるわけでございます。そこで急激に内外の単価差というものが開いてまいりました。そこで性能面の問題もございましょうけれども、まあ、そこは折り合いがつくならば安いものを買った方が財政としてはいいであろうと。そこが私が先ほど来お答えをいたしておりましたことでございます。したがいまして、いずれの機種につきましても、四十七年の四次防の議論をいたしておりました際に私どもが取り上げましたのは、輸入機の方が単価が安い、したがって全体としての財政負担が少ない、性能の点で折り合いがつくならば安い方でやっていただくという検討が願えないかということであったわけでございます。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 後でまた詰めますが、もう少し先へ行きます。  大蔵省といえども安けりやいいという話ではない、あらゆる予算の場合ですね。やらなければならぬものはやらなきゃならぬということになるわけでありますが、まあいまのお話を聞いておりますと、性能の違いのことはひとまずこちらへ置いて、当時のT2改について言えば、単価差から見て、安いものを買いたい、輸入をしたいということのようでありますが、これは大蔵省の方針だったわけですね。
  62. 高橋元

    説明員(高橋元君) 財政の効率的使用ということは、大蔵省はいついかなる場合でも考えておりますので、いま仰せのように大蔵省の考え方であったわけであります。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、性能の違いがこの場合にはF5EとT2改ということになりますが、性能の違いというようなものが防衛庁の幹部の言葉を借りれば、T2改とF5Eでは、コンピューターつき高速ブルドーザーと、かっこよいスポーツカーの違いがあるという名言があるわけであります。これはずいぶん違いがあるわけですが、にもかかわらず輸入を主張するには大蔵省なりの防衛構想とでもいいますか、こういうものがなければ、何でもいいから減らしゃいいというこんな気楽な商売はないと思うんでありますね、そのことも聞きたいんでありますが、後ほどこれはPXLとあわせてお伺いするとして、しからば四十七年十月に入りまして、まあ二日の要請を初めとして、とにかく大蔵省はFSの輸入を繰り返し防衛庁に要請をされています。ところが十月八日になって宮下主計官の方から電話でT2改の国産は同意すると、ただしPXLの方は国産を前提とした研究開発はだめですよと、断念してくれという最後的とも思われる電話要請があって、防衛庁はやむを得ないと、こう判断をしたと、まあ防衛庁はこう言っているわけであります。  そこで聞きますが、この宮下主計官なるものの要請は、それまでT2改について言えば、ずいぶん執拗に輸入を主張しておった大蔵省の方針からすれば、輸入というのを国産と、こう言うわけでありますから、これは百八十度の転換です。で、この変更というのはどういう場所でお決めになったんですか。
  64. 高橋元

    説明員(高橋元君) この予算に関連した折衝でございますから、常に要求側との話し合いを一方でいたしながら、要求側の言い分、それから大蔵省の考え方、その辺をあわせまして随時上の方と相談をいたしまして決めていくわけでございます。したがいまして宮下主計官が、それは直接の連絡の当事者であったとしても、大蔵省としては四次防に関連して方針を決めてお知らせをしたということでございます。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 ですから私は、宮下さんという方が自分で何もお金を持っているわけじゃないんでありますから、たまたまその方が大蔵省の意向を代弁をされたのだと思いますけれども、いずれにしても、事は一国の防衛にどの機種を採用するかという問題も絡んでいるわけであります。こういう問題が、ただ単に予算編成上のテクニックで——私も実は役人上がりなもんですからちっとは知ってるんですよね、予算のいろんなやりとりというものを。ああいう雰囲気の場、ああいう状況の場だけで決められる筋合いのものじゃない。とすれば輸入を主張するにしても、国産を主張するにしても、それなりの論拠を持ち、それだけのやっぱり方針を決めなければならぬことだと思うんですね。これはもう一度聞きますが、大蔵省のどの場で国産にしようと、いつごろからそのT2改の輸入を主張したかはつまびらかではありませんが、いずれにしても四十七年です、問題のとき、昭和四十七年にこのことは起きているのでありますから、いつごろから言い出したかは知らぬけれども、とにかく少なくとも大蔵省からすれば重要な方針変更であります。この方針変更はどこで行われましたか。
  66. 高橋元

    説明員(高橋元君) 予算関連の仕事を詰めてまいります際に、志苫委員もよく御存じのように個々の責任の担当者というものが相手方の言い分と、それから自分の方の考え方というものを、随時変わってまいるわけでございますから、取りまとめまして、主計局の次長なり局長なり、そこと相談をいたしまして、またそれを大臣の方に御連絡をいたしまして、そこで大蔵省として、内示では輸入という主張をいたしましたが、国産という形にまとめるということを決めていくわけでございます。これはあえて、ただいま御指摘の四次防だけでなくて、全体の予算を決めてまいります際に、そういうプロセスを経ていることは御承知のとおりであります。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 一般論としてはわかります。しかし、これは大臣にちょっとお伺いしますが、職員の数、十人にしてくれと言ったら、まあ八人にしないかということで、予算折衝上いろいろやり合うということはよくあります。あるいは土地改良十億やりたいんだが八億にしないかとか、これはありますが、しかし少し性格違うんじゃないでしょうかな。大臣はこれに相談にあずかっておりますか。T2改については国産にすると。その前のも、いきさつで言えば、T2、T2改とも輸入にしてくれないか——余りそういうことを言うのてあれは、しょうがない、T2は二十機だけ復活で認めてくれたですね、その分だけつくったら、じゃああと輸入しても結構ですというような話が途中で防衛庁から出た。そうこうしているうちに、じゃあT2は国産丁2改は輸入、また逆転をしてT2、T2改とも国産、こういうふうに大蔵省自身も逆転、逆転でこういくわけですけれども、これは少なくとも防衛構想とも絡んだ重要な決定です。大臣かかわっていますか。
  68. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  69. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 速記を起こして。
  70. 高橋元

    説明員(高橋元君) 当時は大蔵大臣でおられましたのは植木大臣でございまして、その際に大臣にこの四次防の問題について報告をし、御指示を仰いでおります。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても、先ほども私申し上げましたが、大蔵省側からすれば二つとも輸入、一つ輸入、全部国産、こういうふうに変化を十月九日に向けてしていくわけであります、非常に短期間の間に。しかもT2について言えば、T2もT2改もそうですが、一般的には国産というのが四十六年の四次防原案で発表された、機数等も——機数は最終的に変わってきますけれども、発表されてきて、それがまさに突如として輸入が主張される。ずいぶん人騒がせなことはあったが、最終的には元のへいろくで、当初方針どおりに落ちつくという経緯をたどっておることが、これは何とも腑に落ちない。途中で輸入を押し通した、経費の問題だと、単価の問題だと言いますけれども、当然ある飛行機を買おうというのでありますから、性能と経費の検計は整合性を持たせて講義されるのはこれは当然の話でありまして、どうも私はここのところが腑に落ちないのですが、大臣、いまのやりとりを聞いてて何かお考えになりませんか、おかしいなと思いませんか。
  72. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私もまあ若いときに予算をやった経験もございますが、問題は予算当局というのは森羅万象すべてよく心得ておるわけじゃないのです。やっぱり要求当局の方がいろいろな点に具体的な知識は経験は持っているわけなんでございますから、予算当局といたしましては、できるだけ要求当局の判断がよくよくでない限りはそれを尊重して差し上げるという態度でいくのが私は当然の筋道でないかと思うのです。ただ予算当局といたしまして、こういう点は考慮すべきじゃないかと、検討してもらえまいかということを申し上げるのはまたこれ当然の責任でございまして、あるいはいま御指摘の問題につきまして、単価の問題から申しまして、輸入について検討を願うというようなことはあっても一つも、不思議はないと私は思います。  しかし志苫さんのおっしゃるとおり、しかし単価だけが勝負ではないのでありまして、その後のメンテナンスの問題もございますならば、また今度全機能を広く見なければならぬ問題でございますので、そういった点を総合的に終局に判断して、最後に落ちつくところに落ちつけなければならぬということになってくるわけでございますので、この道行きは、そこに何か不自然なものがありはしないかという疑惑を一抹お持ちであるかのように聞き取れたわけでございますけれども、私自身は別にそういうようには感じないわけでございまして、検討すべきものを検討していただいたことは決して不思議じゃないと思いますが、最終的にやはり防衛庁の専門家の意見が終局において尊重されたという結論になったことは、別に私どもの経験から判断しましてそんなに不思議なことであるように私は思いません。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと時間が詰まってきましたので私も簡単に聞きます。  この点についてもう一度確認しておきますが、宮下主計官が十月の八日にT2改の国産は結構と、ただしPXLは輸入と、輸入というよりは国産を前提とした研究開発は認めない、そっちの方が正確な表現でしょうか、ということについて、先ほどの答弁ですと大臣の指示を受けたと。ずばり聞きますが、皆さんの方が大臣の指示を受けたのですか。大臣から指示があったのですか。
  74. 高橋元

    説明員(高橋元君) 主計局の部内で局長まで上げて相談をいたしまして、大臣と連絡をとってお許しを得てさような方針を決めたわけでございます。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 そこでPXLの方に入りますが、宮下主計官が大蔵省を代表して防衛庁に知らせた、防衛庁の答弁によると、やむを得んなと、こう判断をしました。大蔵省がPXLの研究開発は認めない、防衛庁もしようがないと、こう判断をしたのであれば、めでたしめでたしで意見の食い違いはどこにもないわけでありまして、にもかかわらず、その翌日、輸入も含めて検討するというこの議員懇談会の了解事項に移るというのは私にとっては不思議なのです。国産にするかどうかを決める、国産は認めません、ああそうですか、しょうがありませんと、こういう合意ができたのであれば、翌日どっちにするか知恵のあるやつを集めて相談をしていこうということにはならぬ理屈だと思うのでありますが、その点はどうなんでしょう。皆さんどういうふうに判断なさいますか。
  76. 高橋元

    説明員(高橋元君) 四次防の主要項目にかかわることでございますから、国防会議でお決めいただくわけでございます。先ほど来御質問がありお答えを申し上げておりますのは、財政当局としての大蔵省と、それから防衛を担当いたします防衛庁との間の財政面の話が詰まったということでございますが、これを国防会議の幹事会、懇談会、国防会議と、そういう段階を逐次上げていきまして、決定をいたします際には、単に財政面以外にいろいろな判断がまた出てくるかと、そういうことであったかと思います。防衛庁が当時そういうふうにお考えになりましたのは。そういうふうに私どもは思っております。
  77. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、皆さんはPXLについての扱いについては防衛庁と話がつきましたということを大臣には報告しなかったのですか。大臣の指示を受けて、大臣の指示を仰いでT2、T2改は国産、PXLはただし国産を前提としては認めませんよということを通告をした、防衛庁がまあしようがないと判断をした、大臣に、もし皆さんが防衛庁もそのような判断でありますと、まあ言うなら話はつきましたということを報告したのであれば、大臣は議員懇談会の一員です、ああ、その話ならついていますとそこで発言をしてしかるべきでしょう。報告しなかったのですか、事務当局は。
  78. 高橋元

    説明員(高橋元君) 私どもの方からつまり宮下主計官、当時の担当者を通じまして防衛庁に大蔵省の意向を連絡をいたしました。それに対して防衛庁がそのような大蔵省の方針でいいという返事を別に私ども当時受け取っていなかったのであります。したがいまして大蔵大臣に内示案で輸入について検討ということを言っておりましたのを、十月八日になりましてこれは国産でいきますということにつきまして、先ほども申し上げましたようにお許しを得て、方針の変更をして通知をしたわけでございますが、その通知をした事柄が防衛庁がアクセプトしたかどうかどうかということにつきましては報告をできなかったと申しますか、する材料がなかったわけであります。
  79. 志苫裕

    志苫裕君 防衛庁の他の委員会における答弁は、防衛庁が、そう、しようがないと防衛庁が自分で思い込んだだけであって、しようがありませんというようなことを皆さんの方なり、しかるべきところに通告をしたというわけではないということになるようです。  そこで、とにかくT2、T2改はそれでいいですが、PXLはこの八日の宮下通告で国産を前提とした研究開発は認めない、開発認めない、わかりやすく言えば国産しないということになったわけでありますが、そこでまた私はわからぬことがある。PXLの国産の場合には研究期間を除いても基本設計から量産までは七、八年かかります。この場合、研究期間を三年だと防衛庁言っていますから、足しますと十年ぐらいということになるわけで、防衛庁はそういう計算をして五十七年からのPXL配備というものを防衛構想として書いていたということになるわけであります。ところが最終的に皆さんの強い主張等もあって、四十七年段階で国産を前提とした研究開発は認めないということを皆さんが主張し、防衛庁が認めたということになりますと、事実上国産機の五十七年からの配備というのはできないということになるのが理の当然であります。五十七年からの国産機の配備はできない、時間がないですからできないんです。論理的にそうなりますが、これはお認めになりますね。簡単に答えてください。
  80. 高橋元

    説明員(高橋元君) P2J、そういう既存の機種で、だんだん機数が減ってまいりますのが五十七年からというようなことはそうでございますが、試験研究の期間を縮める、または輸入について検討するということを、当時であれば十年間あったわけでありますから、その十年間余裕の中で勉強してまいることは十分可能であるというのが当時の考えでございました。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、大蔵省には防衛庁の五十七年配備というふうなものを認めないか、あるいは代案として輸入を考えるか、あるいはP2Jの継続生産か、あるいはPXL不用論まで含めて機つかの選択の可能性はあるということになるはずでありますが、当然輸入の可能性は考えたわけですね。
  82. 高橋元

    説明員(高橋元君) 先ほどもお答えしましたように、五十七年まで当時の防衛庁の主張でございましても、五十七年までの期間があったわけでございますから、輸入、国内開発、それらを含めて検討することは、防衛庁が検討なさることは十分余裕があると思っておりました。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 P2Jの食いつなぎ以外は、五十七年配備を考えれば、四十七年当時まだ方針が決まっていなければ国内開発というのは不可能じゃないですか。そうすればP2Jの食い延ばしか配備しないか輸入するかしかないでしょう、ですから輸入の可能性というのは当然考えましたかと聞いているんです。
  84. 高橋元

    説明員(高橋元君) PXLの研究開発期間の短縮ということももちろん可能でございましょうし、そういうことは防衛庁が十分申し上げておりますような、十年に近い時間的余裕の中でおやりになれるということで、防衛庁もその方針でいこうということだったわけでございます。
  85. 志苫裕

    志苫裕君 輸入の可能性は全く考えなかったんですか。あなたT2改のときには単価差で輸入をあんなに熱心に主張されたものが、PXLの場合には輸入の可能性は考えなかったんですか。
  86. 高橋元

    説明員(高橋元君) PXLの国内開発に大蔵省が賛同いたしませんでしたのは、PXLの開発費が非常に高くなる、それから輸入機に比べて国内生産に移った場合の生産価格はかなり割り高になる、そういう論拠でございました。したがいまして、その後の期間について検討を進めていく際に、輸入一般、それから国内開発一般、それら両面の検討を防衛庁がお進めになる、さようなのが当時の考え方でございました。
  87. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、端的に聞きますが、PXLについては大蔵省は輸入を主張したことはないんですか。
  88. 高橋元

    説明員(高橋元君) その後の予算の経緯でも、御案内のように国内開発を前提とする試験研究ということは予算化いたしておりません。
  89. 志苫裕

    志苫裕君 質問に答えてください。PXLの輸入を考えたことや要請をしたことや主張をしたことはありませんかと聞いている。
  90. 高橋元

    説明員(高橋元君) 国内開発を前提とする研究開発は認めないというのが結論でございます。輸入も含め国内開発も含めて、そういうことを全般的に、それから四十七年、四次防の大綱が決まりました後に、検討していただくということに了解をいたしております。
  91. 志苫裕

    志苫裕君 十月九日にそうなりましたけれども、大蔵省としてはPXLの輸入を主張したことはない。皆さんの言葉は非常に正確でありまして、国内開発を前提としたPXLの研究開発は認めないということを終始一貫言ってきました、こう言っている。それ以外の言葉を使ったことがなければ大蔵省としてはPXLの輸入を主張したことはないという返事になるはずでしょう、それはいかがですか。
  92. 高橋元

    説明員(高橋元君) 四次防の中では主要項目で見ますと、御案内のように対潜哨戒及び早期警戒機の向上のための電子機器等の研究開発を行うという形で入ったわけでございます。したがってまだ装備化が決まっておりません。装備化をしていく前段階としての研究開発ということが主要項目に取り上げられたわけでございますから、したがって当時の段階で国内で開発をする場合には非常に経費がかかるから、そういうこともありまして、国産化を前提とする研究開発というものは行わないというのが当時の主張でございました。
  93. 志苫裕

    志苫裕君 これはなかなかあなたたちも強情で、それ以上のことは言わぬけれども、にもかかわらず十月の十一日になりますと、総理大臣は輸入にウエートを置く、こう外に向かって言っておるわけでして、これは総理でなければ皆さんに聞いてもしょうがないんですが、時間がないので、あと幾つか問題が残ってしまったんですが、その当時PXLについて、輸入の可能性としてP3Cという対潜哨戒機があることを承知をしていましたか。
  94. 高橋元

    説明員(高橋元君) 防衛庁からP3C、それの価格面の話はもちろん聞いておりました。
  95. 志苫裕

    志苫裕君 私は時間があれば普通、防衛構想というのは防衛庁に聞くのでありますけれども、しかし、いままでいろいろやりとりしました過程でもわかりますように、大蔵省もまた国の大事な財政を預かって、それか非常に効率的に使われるようにという立場からすれば、ときには防衛庁とやり合うこともあるわけでありますから、大蔵省なりの防衛構想のようなものでもなければなかなか太刀打ちができない。性能論議は防衛庁、是非の論議大蔵省、異質のものを持ってきて政治的に足して二で割るようなへなちょこな防衛構想などというようなものがあり得るわけがないということになりますと、これは大蔵省側の防衛構想も大いに承知をしたいところでありますが、きょうは時間がないようで残念です。いずれにしてもP3Cという この次買おうか買わぬかと言っていま問題にしておる飛行機について言えば、原潜の探知攻撃を主任務としておるエースでありますけれども、ずいぶんと広い範囲にカムチャッカからフィリピンの向こうまで守備範囲に入るわけでありまして、果たしてこのような強力な対潜機、あるいは広大な海域での対原潜作戦を主任務に開発された哨戒機というふうなものが必要であるかどうかですね。必要であるかどうかという問題が大前提として論議をされてしかるべきでありまして、防衛庁の経験者でもP2Jの食いつなぎ程度でいいという見識を発表されている者もあるようでありますから、これらの点についてはこれは当然大蔵省としても、もう勉強され研究されてしかるべきだ、このように思いますが、大臣いかがです。
  96. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 防衛の基本構想、方針というものは政府全体で決めなければならぬわけでございまして、大蔵省もその方針に従って予算の仕事をやらなければならぬと思います。その場合、大蔵省として考えにゃならぬことは、一つは効率性の問題だと思うんです。その資金が効率的に使われるかどうかという点について財政当局として細心で周到な配慮をしなければならぬという点が一点と、それから当然のこととして、防衛予算と他の社会保障でございますとか、文教でございますとか、その他全体の他の政策分野に対する財政資源の配分とのバランスというものをどのように考えるかというような点か私どもが力点を置いて配慮しなければならぬ問題であろうと思います。したかいまして防衛の基本について大蔵省独自の構想を持つというようなことは私は適当でないと思うのでございます。決まった方針を効率的に、他の政策分野とのバランスを維持しながら推進してまいるということが私どもの任務であろうかと考えております。
  97. 鈴木力

    委員長鈴木力君) それでは、午後十二時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      —————・—————    午後零時四十六分開会
  98. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、予備費関係十三件並びに大蔵省と、それに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算を一括して議題とし、審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  99. 志苫裕

    志苫裕君 先ほどの話の、ちょっとまとめだけお伺いしておこうと思うんでありますが、十月八日の晩に宮下主計官が大蔵省を代表をして、PXLについて言えば国産化を前提とした研究開発は認めない、そのかわりと言っちゃ何ですが、T2、T2改については国産を認める、こういういわば電話の要請ですか、通告のようなものを行った。それに対して防衛庁としては、やむを得ないと判断をしたと、別のところで答えているわけであります。  問題は大蔵省の方がそういうことを通告をし、防衛庁が、まあしようがありません、ようござんすというふうに判断をしたのであれば、それ以降、いわゆるPXLについて了解事項ができ、専門家会議が設けられて一年間も、言うならすったもんだの時間を使わなくても済んだということになるわけであります。ところが先ほどの御答弁では、大蔵省としては防衛庁にそう言うたけれども、防衛庁の最終的な返事を聞いたわけではなかった、防衛庁は別の委員会で、やむを得ないなというふうに判断をしたけれども、そういう返事を大蔵省にしたわけではなかった、こう言っておるわけであります。もし、そこのところに両省で合意ができておれば、九日の了解事項以降のものは形の変わったものになるはずだという段取りになるわけでありますが、そこでお伺いするんですが、十月八日に大臣の指示まで仰いで、PXLについて言えば、国産化を前提としたものは認めないという通告をしたその返事を、大蔵省は防衛庁からなぜその日にもらわなかったんですか。翌日は九日、最終的な議員懇談会から国防会議が行われて決着がつくわけでありますから、事前に事務レベルで決着がついておれば、きわめて簡単なわけです。なぜ八日の通告に対して防衛庁の確認を求めなかったのですか。その点いかがですか。
  100. 高橋元

    説明員(高橋元君) 午前中にもお答えを申し上げましたように、大蔵省は財政面で防衛庁と四次防の輪郭についてお話を詰めていったわけでございます。で、翌日の十月九日に四次防の大網が定まってまいります過程は国防会議の幹事会、それから議員懇談会、国防会議の本体というプロセスを経るわけでございますから、財政当局と防衛庁との関係よりも、もう少し広いと言いますか、国政のレベルで御議論をいただくということでございます。当時の事情を私、必ずしも完全につまびらかにしているわけではないので、どうして返事を求めなかったのかということでございますが、とにかくは防衛庁からは大蔵省の申し入れば聞いたけれども、それに対して、それで財政面はいいというお返事かなかったのは事実でございます。
  101. 志苫裕

    志苫裕君 結局そこのところが最後に疑惑として残るわけでありまして、私は両省話がつきましたということなら後の対応は変わるわけであります。両省話がついておりませんという状況のもとで、初めて閣議了解、専門家会議の設置といういわば一つのスケジュールがはまり込むことになるわけでありまして、私はその閣議了解事項並びに専門家会議が、従って両省話がついているにもかかわらず、ついていないということにして行われた儀式になる。そういう疑惑を依然として持つということだけ申し上げておいて、いつかの機会にやりたいと思うんであります。  最後に、ロッキード問題の最後にいたしますが、たとえば全日空の大庭社長退陣劇等にも、そのほかさまざまなところでさまざまな諸説が出てくるのでありますが、いわゆるM資金というものが頭を出します。M資金については、私は膨大なここに資料がありますけれども、時間がありませんから一々申し上げませんが、諸説さまざまであります。現実にこの問題をめぐって金融ブローカーが暗躍をし、わけのわからない資金が取りざたをされるわけでありますが、大蔵省としてはM資金なるものの存在があるのか、所在を確かめたことがあるのか、確かめようとしたことかあるのか、この辺の点いかがですか。
  102. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) 大蔵省としましても、いま先生のおっしゃられたようなうわさを聞いたことは何度もあるわけでございます。そこで、その額も非常に、うわさの中ですが、膨大なものであるというようなことで、これについては十分関心を持ちまして、そういう存在を関心を持って調べると言いますか、調べるという言い方は誤りかと思いますが、十分関心を持っておるわけでございます。いままでのところではそういう資金はないと確信いたしております。  その理由は、私どもが諸金融機関に検査に参りまして、そういう段階でもそういう点は、全然そういう返事はございません。また、各金融機関というのは、それぞれ大きな企業、あるいは小さな企業にお金を貸すについて、いずれも相手先企業がどんなところからどういうお金を借りているかというのはやはり当然調べるわけでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃりましたような、そういう資金がありますと、必ず金融機関には耳に入ってくるわけでございます。したがって、当該金融機関がもちろんそんな資金は扱ってないわけでありますが、何かそういううわさでもあれば、うわさというよりか、そういう事実かあればつかめるわけでございますが、さようなことも全然ないわけでございます。したがいまして、私どもはこれは全くのうわさであるというふうに確信いたしておりますので、私どもとしてはどうしてかようなものがいろいろ利用されるんであろうか、また残念ながらそれに乗ると言いますか、いささかでもそれを信じるような方があるというのは大変残念に思っております。したがいまして、大蔵省としてはさような資金は絶対にないと確信いたしております。
  103. 志苫裕

    志苫裕君 M資金、W資金、LS資金、G資金とか、ずいぶん資金が多様で、またいまもお答えがありましたように、えたいの知れないものに、やれひっかかったとか、ひっかかりそうになったとかというようなことがまた絶えないわけで、それぞれの何か調べによりますと、二十件近くもそういうものがあるということなんです。  で、幾つか聞きますが、常陽銀行をこの問題について調べたことがありますか。
  104. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) 別にこういう問題についてということで、特別に調べたことは常陽銀行を初めございません。ただ金融検査というのは絶えず循環的にやっております。そういう点で、いまお名指しのところにも、もちろんそういうものは全然聞いておりません。
  105. 志苫裕

    志苫裕君 それでは大蔵省に直接関係あることを聞きましょう。  榎本榮三郎及びその権利譲与者と言われる石井鱗という人から、占領軍が接収して後、日本政府に返却されたとされる貴金属類について、発見協力報賞金とでも言われるそういうものの請求に関して、大蔵省が請願や要請を受けたことがありますか。
  106. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) さような事実を聞いておりません。
  107. 志苫裕

    志苫裕君 そうですか……。昭和三十九年七月二十一日、昭和四十七年八月二十二日と言われておるのでありますが、たとえば三十九年七月二十一日に、大蔵省はこの問題について、しかるべき公式の返事をしておるじゃありませんか。
  108. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) ただいま記憶がございませんが、そういう御指摘でございましたら、一度その真偽のほどを調査いたしてみます。
  109. 志苫裕

    志苫裕君 もう時間がありませんからやめます。やめますが、いずれにしても私は、これについては若干お伺いしたいのでありますが、時間の約束を破ることはできませんからやめますが、諸説の中には、あっちでひっかかったとかどうとかということがありますが、その諸説の中には、たとえば、それに大蔵省のだれだれが立ち会ったとか、大蔵省のだれだれが口をきいたとかというふうに、名前まで出て取りざたをされているわけです。もっともらしく次官室においてとか、こういう話が出ているのであります。そうすると大蔵省にとっては迷惑な話でしょう。こんなくだらぬことを書いているのを取っつかまえて、何か訴えるか何かしたいぐらいの話にならざるを得ません。でありますだけに私は、この機会に、先ほども御答弁がありましたけれども、不愉快な話でしょうから、これはやっぱりよく調べる、くだらぬことを言うておる者があるならばしかるべく措置をとるとかということは、あったらあったで、またしかるべき措置をとらなければなりませんが、そういうことをひとつ最後に要望をして、私の質問を終わります。どうも済みませんでした。
  110. 大塚喬

    ○大塚喬君 大蔵大臣、それから関係者の皆さん方に、数点にわたってお尋ねをいたしたいと思います。  初めに総論的なことになりますが、予算と歳入法、特例公債法の問題について、大蔵大臣お尋ねをいたします。五十年度予算は当初予算から赤字国債の発行を予定する、戦後の財政運営の中では全く初めてのケースでありますが、この問題の論議に入る前に、ごくかいつまんで、歳入不足があらわれた昭和四十九年度以降の動きについて、私も大蔵委員ということでこれらの動きについて、その審議に参加をいたしてまいったものでありますか、昭和四十九年度の財政は年度終了の直前において約八千億円の税収不足が明らかになり、年度終了後の五十年の四月十五日、大蔵大臣が財政危機宣言を行う。そして国税収納金整理資金に関する法律の施行令を改正して、いわゆる税収の前倒しということによって四十九年度の財政の欠陥をつくろったわけであります。四十九年度の場合も補正予算が組まれており、十二月の段階で四十九年度の税収を詰めた結果、税収見積もりが出されて、これがわずか三ヵ月を経過したのみで八千億円の税収不足の見込み違いが生じたことになりました。  次いで五十年度の場合は当初予算成立後四ヵ月にして専売納付金を含む租税収入の不足が四兆二百億円に上る。まことに異常な税収の見込み違いが生じたわけであります。そして去る六月一日大蔵省が発表した五十年度の税収の結果を見ると、今度は逆に二千九百五十九億円の税収増となっており、出納整理期間に発行予定の国債を発行しないなどの調整を行っても、二千百八十億円の剰余金が生ずることになると、こういうことが報道されたわけであります。  税収の見積もり、これは大変むずかしいことであろうということは私どもにもわかります。むずかしいことだということはわかりますが、このようにたびたびどうも見込み違いということになりますと、より正確を期することができないものかどうか、こういう問題をやっぱり素人考えなりに感ぜざるを得ないわけであります。見積もりは見積もりだということですが、より正確、もっと正確なそういうものができないものかどうか。ここらの問題について、いままでこのようなたびたび変化があったわけですが、どうもこれに対しては大蔵当局の方からは何ら意思表示がいままでもなかったと、私は私の受けとめ方でそういう感じがすごくするわけでありますが、大蔵大臣、いかがでございましょう、この点は。
  111. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 歳入の見積もりが大変当初の見積もりと結果が乖離が激しかったことは最近の二年間の経緯、いま大塚委員が御指摘のとおりでございます。これは申すまでもなく経済の変動が非常に鋭角的な変動でございまして、過去においてわれわれが経験いたしました不況は比較的短い期間で、しかもピーク時とボトムとの間の落差というものがそう大きなものでなかったのでありますけれども、今回の場合は二年半続いていまなお脱出ができない。しかも、落差は従来見られたものの二倍も三倍もの大きな落差でございまして、全くわれわれが経験したことがない事態でございます。したがって、財政当局といたしまして、この経済界から現行税制によりましてどれだけの税収が期待できるかということにつきましては細心な検討で見積もりを立ててみたわけでございますけれども、御指摘のように大きな乖離を生じましたこと、まことにざんきの至りでございます。  けれども、考えてみますと、過去におきましても税収の見積もりというのは必ずしも予想どおりいかなかったわけでございますが、過去の場合は見積もりよりも多く増収の形で、いわゆる自然増収という姿で出てまいりましたことは高度成長期の特徴であったと思うのであります。そして、そのことにわれわれはなれておったという感じがするのでございますが、ここ二年われわれが経験いたしましたことは、大変な減収の形で出ましただけに、驚きは一層激しかったと思うのでございます。  こういうことでございましたので、五十一年度におきましての、私どもの五十年度の補正予算と五十一年度の予算の税収の見積もりにつきましては異常に神経質になりまして、英知を傾けてやったつもりでございます。幸いにいたしまして五十年度の補正後の状態は、いま大塚委員がいみじくも言われましたように、やや剰余が出る程度にいったわけでございまして、ようやく私どもといたしましても、いまの見積もりで大きく底を割ることがないという一応の目安を持つことができたと考えておるわけでございまして、五十一年度、したがいまして今年度は何とか先般成立いたしました予算で、総合予算として五十一年度はこの予算をもって年度いっぱい切り盛りをさしていただきたいと。またそれは可能なのではないかというようなほのかな希望をいま持ちつつあるわけでございます。
  112. 大塚喬

    ○大塚喬君 その見積もりが大変むずかしいということはそのとおりであろうと思います。正確を期さなければならない国家財政の運営、こういうことを考えてまいりますと、財政運営にも何らか考慮があってしかるべきじゃないか。  このことに関連をして、私はさきの財特法が継続審議になった問題に考えをあわせるわけでありますが、現在問題になっております特例法、赤字国債は税収不足を補うものである、これは当然の話でありますが、予算において予算総則で発行限度額が定められているとしても、建設国債、この建設国債分を発行をし、終わる時期、この時期になれば税収の見積もりというものも、いま大蔵大臣からお答えがありましたように、大体確定的なものになるのではないか。このぎりぎりになって赤字国債を発行する、こういう構えがあってもよろしいのではないか。このよろしいのではないかということよりは、よりその方がベターではないか、こういう考えを持つわけでありますが、この点について大蔵大臣見解はいかがでございましょう。
  113. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 予算案は歳入と歳出から御案内のように成っておるわけでございまして、これは申すまでもなく一体でなければならぬものでございます。歳出権が予算によって与えられたけれども、それにうらはらになりまする歳入法案が未成立であるという状態は、予算案としてはびっこの状態でございまして、これはいわば異常な状態だと思うのであります。本来ならば予算は、歳出予算と同時に歳入法案が税法も公債法案もすべて一緒に成立をいたしまして、それを踏まえた上で計画的な財政の運営が着実に進められるということが本来の姿でございまして、それがそうでないという状態はいびつな姿でございまして、非常に残念なことだと思っております。それはたてまえとしてそうであると思います。  それから第二に、実態の問題として非常に困ったことには、そういうことをやっておりますとどういうことになるかと申しますと、公債の発行ということは思い立ったときに計画した公債が直ちに円滑に消化できるという状況にあれば結構ですけれども、そういうわけにまいりません。これは年間を通じて金融の繁閑を見ながら前広に、ただいまで申しますとシンジケート団と十分の意思の疎通を固めて前広に準備をしてかからなければ市中消化の円滑を期することができないわけでございます。したがって公債法案は前広に成立をさしていただきまして、そしてそういうことが可能な状況を財政当局に与えていただきたい。そうしないと建設公債部分が全部消化してしまった、さてこれから特例公債に移るんだ、それじゃひとつどのぐらいかかるのか一遍これから見当をつけて、それから国会の承認をひとつ考えようというようなことではとても間尺に合わないわけなんでございます。それは決して私は国会の権威を高めるゆえんでもないし、財政の円滑を図るゆえんでもないと思うのでございまして、こいねがわくば一日も早く歳入法案の成立を図っていただきたいというのが私どもの念願でございます。
  114. 大塚喬

    ○大塚喬君 大臣答弁で、歳入法案と予算というものは表裏一体だと、その成立は同時でなければならない、もしその歳入法案の特例法、赤字国債発行というものが時期がおくれるということになれば技術的にいろいろむずかしい問題も出てくる、こういう趣旨の答弁にお聞きをいたしたわけでございますが、といたしますと、さっき私が申し上げましたように、税収の見積もりがたびたび大きく変わっていく、こういう問題、この赤字国債というのはあくまでも税収不足というものを補うものであると、こういうものであろうと思います。そうすると、そこらの問題を現実的に一体財政運営の中でどう配慮をして、どう改善をすべきかという問題については、大臣お答えの中から私がお尋ねしていることについてはお答えがいただけなかったわけであります。そこらの問題をこれから、いままでこのようなたびたびの繰り返しの中で、政府としては、大蔵大臣としてはどういうことがよろしいのか、何かお考えいただいておることがございませんか。
  115. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) でございますから、歳入の見積もりにつきましては、冒頭にあなたが御指摘になりましたように、実態、見積もりと結果が乖離を少なくするように配慮をせよということ、それに、われわれといたしましてはその要請にこたえてベストを尽くしておるところでございまして、しかし、それでもなおやはりプラスが出るかマイナスが出るか、見積もりどおりに結果がいくということはないと思うのでございますが、できるだけその幅を小さくするというように努力をいたしておるところでございます。しかし、その乖離が若干出てまいりました場合の調節は、あるいは公債の、五十年度の最後にやりましたように、特例公債の発行を二千億発行しないで済ますというようなことは、行政府としてやらしていただいたわけでございますが、そういうことはあり得ると思います。何となれば、予算は見積もりでございますので、予定でございますので、予定に若干の、実行に当たって若干のアローアンスはお認めいただく必要があろうかと思うのでございまして、そういう程度の若干のアローアンスは実行上お認めをいただかなければならぬことになるのではないかと思います。しかし、それが大きなことにならぬように私どもは考えてまいりたいと存じております。  しかしながら、再び非常に大きな歳入欠陥がございまして、補正予算をお願いしなければならぬというような事態が起こるというようなことは極力避けていかなければならぬ。先ほど申しましたように、五十一年度の予算はこの間成立したものをもって年度中何とかこれで切り盛りをしたいということ、またできるのではないかということをいま考えておるところでございまして、補正はなるべくお願いしないようにしていきたいという意気込みでいま財政運営に当たっておるところでございます。ただ、それは大前提といたしまして、私ども予定いたしておりまする歳入法案はぜひ早期にお認めいただかなければならぬという、そういう前提は当然お認めいただかなければならぬ、そういうことを前提としての話でございますことは申すまでもございません。
  116. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまの論議を発展させまして、特例公債法案とその発行限度額を明記する問題、これについて重ねてお尋ねをいたします。  この問題はさきに公明党の鈴木一弘議員からも質問があり、大蔵当局からも答弁があった問題でありますが、この問題もやはりはっきりしておかなければならない。特に参議院という立法府の立場からはいろいろ考えさせられる問題がたくさんございます。  いま大蔵大臣が、補正予算に赤字国債の発行の追加というようなことは極力避けると、こういうようなことが答弁ありましたけれども、そのことは追加予算の中で絶対に赤字国債の発行が行われないと、こういう保証はないだろうと思います。特例公債法案には、「予算をもって国会の議決を経た金額範囲内で、公債を発行することができる。」こういうことで、この問題についての疑問がさきに取り上げられたわけでありますが、このときに大蔵省答弁は、公債政策の運営に慎重を期すべきものであるとの観点から傾聴に値する問題の御提起でもあるので、御意見を十分承り、上記の諸問題を含め今後の課題として十分研究していくという趣旨のお答えがあったように記憶をいたすものであります。この問題についてその後の経過がどういうことになっておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  117. 高橋元

    説明員(高橋元君) 技術的な問題でございますので私からまず経過を御説明さしていただきます。  いま大塚委員からおっしゃいましたように、こういう特例公債は、そもそも発行自体が財政法の予定しておるところでないわけでございます。また、そういう発行やむを得なくなるような事態、経済情勢というものが望ましくないものであることは当然でございますから、まずこういう特例公債の発行について歯どめを厳重にするということの勉強を、私どもはいまこれから続けていくわけでございます。それで具体的には、まだただいま継続審査になっておりまして、五十一年度の特例法の成立を見ておりませんのですが、五十二年度以降、なお経済の情勢でこういった特例公債の発行が必要になる場合があるであろうということをさきに財政収支試算でお示しをしたわけでございます。そういう事態について新しい法案の形をどういうふうにしていったらいいかという勉強をいま政府部内で検討に着手しておりまして、いずれ財政制度審議会、その中の法制専門家のお集りでありますところの法制部会、そういうところに逐次諸外国の立法例も含めて御検討を願いたいというふうにただいま考えております。
  118. 大塚喬

    ○大塚喬君 補正予算についてですね、補正予算の中身に赤字国債発行と、こういうことになった場合に、予算は衆議院通過後三十日を経過すれば自然成立、こういうことになるわけであります。特例公債法案に公債発行限度額を明記すべきである、こういう立場は赤字公債法案が成立した後補正予算が成立した場合、参議院における赤字国債発行についての審議権に関する問題が私はどうしてもやっぱり予算総則にだけ明記をしておけばよろしいと、こういうようなことになった場合に、大きな問題が参議院の審議権には残るということを憂えるものでございます。十分に研究さしてほしいというような前の鈴木議員の質問に対して、その後どうなったのかということが私も大変重大な関心があるものですから、このことについてお尋ねをいたしておるわけですが、検討された結果、大蔵大臣として基本的に、今後どういうふうにいまの問題との絡み合いを把握をされて対処をされますのか、いまのお答えではちょっと納得ができかねますので、もう一度ひとつお尋ねをいたします。
  119. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま継続審査をお願いいたしておりまする特例公債法案には、額は予算総則で決める額となっておるわけです。だから法律でそういうように明記いたしておるわけでございます。私といたしましては補正予算を避けまして、もし補正予算でお願いするとすれば、その予算で定められた金額につきましては、特例債を出すことが認められるわけでございますので、大塚委員の言われるように、確かに補正予算の場合は補正予算案だけで結構で、法律は要らないわけでございますけれども、私としてはそういうことのないように、補正予算をお願いして特例債をよけい増発するような事態を避けるようにいたします、そういうように最善の努力をいたしますということを、両院を通じてお約束を申し上げておるわけでございます。それがベストだといま答えとしては思っております。しかし、あなたはまず制度的な問題として法律に金額を明記するということはどうだということをさらに詰め寄られておるわけでございます。  それにつきましては、この前の大蔵委員会の審議におきましてもお話し申し上げましたように、予算の御審議と法律の御審議と一事不再議になるのかならないのか、そういう法制論もございまして、私どもといたしましては、専門家にもう少し聞いてみなければなるまい、あえて労をいとうわけじゃございませんけれども、法制論として居座りのいい議論は、五論はどういうことであろうかという点につきましては、もっと検討を要するのではないかというように申し上げておいたわけでございますが、いま主計局次長が申し上げたのも、そういうラインでなお専門家の意見は虚心に聞いてみようということを申し上げておるわけでございます。しかし最もいいことは、それより何よりも、補正をお願いしないような財政運営をやるということに全力投球をいたすべく最善を尽くしますという答えが一番あなたのお気に召すのではないか、私のまた決意でもあるというようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  120. 大塚喬

    ○大塚喬君 私はこの問題は参議院にとってはきわめて重大な問題であろうと考えるわけです。単に予算総則で限度額を定め、さらに法案にも限度額規定する、こういうことになれば、一事不再議という原則に反する、二重に議決をする、こういう心配がある、こういう答弁は、いまもちょっと触れられましたし、前にもそういうことをお聞きしたことがございます。  そこで提案ということになろうと思うわけですが、特例公債法案の第二条の後段の中に、「予算をもって国会の議決を経た金額範囲内」、こうあるものを、「当初予算をもつて国会の議決を経た金額範囲内」、こう改めれば、いまの二重議決の問題は解消するのではないか、そういう心配はないし参議院の審議権というものもここで保障される、そういう内容を持つと私は考えるわけでございます。この点について大蔵大臣見解はいかがでしょう。
  121. 高橋元

    説明員(高橋元君) この特例公債の発行額と申しますのは、大塚委員たびたび御指摘のように、まさに税収をもって、また四条公債をもって賄えないその歳出の部分でございますから、当初でございましても、補正後でございましても、やはり予算と一体でないと具体的な金額というものは決まってまいりません。その点がひとつ実態的に予算と法律に国会の御議決を書き分けました際に、問題になってくる点でございます。したがいまして、それに伴いましていわゆる二重議決の問題という法理論が出てまいります。  それで、いま御提案のような方法も一つあるわけでございますが、私どもとしては繰り反しになりますが、大臣からも申し上げましたように、特例公債の年度内追加をしない、そういう経済運営、その経済運営に乗りましたところの財政の運営、これが何よりも先決かというふうに考えております。法制上の問題につきましては、前に大蔵委員会でもお答えを申し上げましたように、また私が先ほどお答え申し上げましたように、学者それから実務家、そういった人方に広く御意見を聞いて勉強してまいりたいと思います。  御提案のような方法につきましても、今後その検討の中に私どもお答えを出していただくように専門家の方々にお話しをしてまいりたいというふうに考えております。
  122. 大塚喬

    ○大塚喬君 どうもいまの答弁では、私の質問に答えをいただいたことになりません。補正予算は出さないようにする、総予算主義を貫徹する、こういうことを強調されたと思うわけでありますが、そういう保障というものは一体じゃしからば何だということになれば、お答えいただけますか。  予算の範囲内でということになって金額が明示されない。そうすると補正予算で衆議院で議決をされた、三十日過ぎれば自然成立だと、こういうことになれば、その中身がないようにすると言っても現実にその保障がないということになれば、そういう事態も起こり得ることは考えられるわけであります。そういう場合にはもう参議院の方のその赤字国債、初めにこの法案を通してしまえば、その年度中はもう一切合財それらの問題について参議院の審議権は放棄すると、こういうことにも通ずるわけでありますので、私はこの点を重ねてしつこくお尋ねをいたすわけであります。  いま継続審議になっております五十一年度特例公債法案、来るべき臨時国会で審議されるものと考えるわけでありますが、この第二条の後段の内容を変える、そしてこの法案を撤回をして再提出をしたらどうか、これが私は一番筋だ、参議院の立場から言えば当然そのようにすべきであると考えるわけでありますが、大蔵大臣いかがですか。はっきりしなかったわけでありますが、いわゆる当初予算をもって国会の議決を経た金額範囲内でと、こういうことになれば、あと補正予算の問題が起きても、それらの問題は私どもそう心配をいたしませんが、もう今年度中この特例法案を通してしまえば、仮に臨時国会、そこで追加予算が出る。そして重ねて赤字国債を発行する、追加する、こういうようなことになった場合でも、参議院の審議権というものは一切認められない、そういう立場になってくることを私は心配をして、いまのお尋ねをいたすわけであります。
  123. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま御提案、御審議をいただいておる特例法案は、五十一年度のと年度を限ってあるわけでございまして、五十一年度限りの特例公債法案でございます。したがって五十一年度だけの問題でございますので、まず政府が五十一年度につきましては補正を考えずに最善を尽くしますということを御信頼いただいて、国会に対して政府がそのように決意を表明するわけでございますので、これが五十二年、三年と予算の定めるところに従って特例公債は出せるんだという、年度の限界がないんでありますならば、それは大変なことでございますけれども、五十一年度というように限った法案でございますので、私はまず、そういう御理解を得たいと思うのでございます。  しかし当初予算の範囲内で示された金額範囲内でというような一つの御提案でございますから、それは検討するにやぶさかではございません。しかし、それを直ちに取り上げて、ひとつ提案がえをする、前のを取り下げて今度新しく出すとなると、衆議院の方からえんさえんさとこれまたやってこなきゃいかぬわけでございまして、一日も早くこの成立を希求いたして、渇望いたしておるわけでございますので、こいねがわくば政府の誠心誠意やっておりまする財政運営の決意に対しまして、何とぞ理解と声援を賜りますようにお願いしたいと思います。
  124. 大塚喬

    ○大塚喬君 余り総論をやっていると、各論の方の時間がなくなりますので、急いで幾つかの質問をいたします。  最近の新聞報道でありますが、これはもう一ヵ月ほど前になりますけれども、銀行の不良債権の増大の傾向ということが日経に出ておりました。五十年度の銀行検査の結果、銀行の不良貸し付けが急増しておるという内容であります。この金融機関種類別にその件数、それから総貸し出し残額に対する比率、これを不況前の昭和四十八年と比較をして現状どのようになっておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  125. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) いま先生のお話のございましたのは、去る五月七日付の日本経済新聞社の朝刊に記載された記事であろうと、かように思います。この記事は実はいかなるところから取材をされたか、全く私どもよくわかりませんで、またしかも、かなり違っておるわけでございます。  全般的に申しますと、最近の検査の結果、長期不況という経済情勢下にあって、これはやむを得ない面もあるわけでございますが、貸付金の固定化という傾向がふえておることは、これはもう否めない事実でございます。しかし、私どもとしましては、これが直ちに銀行経営に懸念をされるような程度に至っているとは毛頭考えておりません。また金融機関としましても、せっかく貸していった企業をここでまたきつく取り立てていくというようなことで、角をためて牛を殺してしまうというようなこともまたいかがということでございます。その辺のあんばいをしながら適正な債権管理を行っていくというふうに金融機関もやっていくということでございます。  そこで先生の、いま申されました不良債権の数字を出せということでございますが、これはただいままでいずれも発表したことがございませんで、あくまでも当該金融機関に対してその注意をいたすということはやっておるわけでございますけれども、そういうことで外部に発表ということをしたことがございませんので、ひとつ何分御容赦を願いたい、かように思います。
  126. 大塚喬

    ○大塚喬君 どうも審議になりませんね。私もここに、どの金融機関が具体的にどうだということをお尋ねしておるのではなくて、一般的にこういう減速経済に入った中で、そういう問題は当然起きてくるだろう、こういう予測をいたしておるわけですが、相対的に昭和四十八年度と昭和五十年度、相当景気の幅が変動があった、こういう中で相対の数字としていかがかと、こうお尋ねをしておるわけです。そこまで答弁を忌避されるということになるとこれは審議にならないものですから、そういう概括的なことをお尋ねしたときには、こういう傾向にございますという程度のお話は当然お答えいただいてしかるべきじゃないですか。どうです。
  127. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) お言葉ではございますが、数字を申し上げるのはどうもいろいろな影響がございますので、この点はひとつ御勘弁を願いたいと思いますが、いまおっしゃいました点から見まして、おっしゃいましたようなことを概括的にぼんやりということで御容赦願いたいと思いますけれども、四十八年と五十年というようなところを比べてみますと、ざっとしたところで分類率が二倍に近く上がってきておるということは申し上げられると思います。
  128. 大塚喬

    ○大塚喬君 いま、おおよそ二倍ということですが、私がお聞きしたいのは、銀行の種類別に、金額、件数、この程度の発表は、国民の信頼を金融機関が受けて、国が厳重な指導監督で運営をされておる。そこらの数字を発表して天下がひっくり返るような、だれか持定の犠牲者が出るような、そういう事態にでもなるとお考えになるんですか。この程度の——私は何か大蔵省答弁というのが、大変こういうことできわめて官僚的な、そういう感じに終始をしておるということを大変遺憾に思うわけなんです。そういう程度のこともここで発表できないんですか。いかがです。
  129. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) まあ金融機関というものは非常に信用というものが大事なわけでございます。わが国の経済の、非常にかなめというとちょっと語弊があるかもしれませんが、その信用機構というものは私はきわめて大事なものである、かように考えております。したがいまして、この点で、信用機構、金融機関の信用というものに何らかの形でそういう悪影響があるというような可能性でもあればこれは御勘弁を願いたいと、かように思っているわけでございまして、その金融機関の監督につきましては、私どもとして全力を挙げて責任を持って、さような信用機構にいささかの乱れも生ずることのないように検査し、監督いたしておるわけでございますので、ひとつ大蔵省を御信用お願いいたしたい、かようにお願いするわけでございます。
  130. 大塚喬

    ○大塚喬君 信用しますよ、あなたの言うことを。それでね、信用しますけれども、そういうことが、あなたのおっしゃったことに直接どうかかわり合いがあるのか。余りにも飛躍をしておるんじゃないですか、その論理が。だれもやっぱりこういう事態ですから、当然そういうことはさもありなんと、こう考えるわけですけれども、そのことを発表して、あなたのおっしゃるようなそういう懸念、それはその信用の問題にそんなに大きなあれになりますかな。あるとすれば具体的にどういうことでそういう悪影響が出るのか、おっしゃってください。
  131. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) 仮に全体として申し上げましても、その数字を出しますと、それに比較してどこどこの信用機関はどうである、金融機関はどうであるというようなことが、またその金融機関面からも出てくる可能性はあるわけでございまして、そういうことになりますと、その金融機関というものが、たとえばその率に比して非常に高いというような金融機関については不安が起こるというようなことも、これはないわけではないと、かように考えます。
  132. 大塚喬

    ○大塚喬君 五月七日の日経の報道というのは、これは全く虚構な根も葉もないという発表だと、こういうことで受けとめてよろしゅうございますか。
  133. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) 私どもとしては、全く数字について申し上げたことはないわけでございます。おそらく金融機関等に行かれて調べられたのか、その辺はよく存じませんが、私どもとしてはこれについては全然責任の持てない数字である、かように申し上げざるを得ないと思います。
  134. 大塚喬

    ○大塚喬君 その発表したかしないかということ、それから責任は持ちませんということと、この発表された数字が事実かあるいは事実に近いものであるかどうかということは別問題でしょう。私はこの発表された数字が、これは全く事実無根、虚構なものであると、こういうふうに受けとめてよろしいですかとお尋をしているのです。あなたの方の責任があるかないかということをお尋ねしているのではありません。
  135. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) おそらくこれは、報道機関がいろいろな手づるで調査をいたしたんだろうと、かように思います。したがいまして、私どもとしてはその報道機関の方のおやりになったことについては、ひとつ先生の方で適宜御判断を願いたいと、かように思います。
  136. 大塚喬

    ○大塚喬君 こういうことで時間食って自分も少し辟易しているのですが、新聞の報道によれば、「大蔵省が金融機関の経営を監視するために実施している銀行検査の五十年度分の結果を集計したところ、」と、こういうことで都銀では一・四%、地銀では二・六%、銀行の不良貸し付けが急増しておる。しかも不況前の一・五倍から四倍に増加をしておる、こういう大変刺激を受ける報道がなされておるものですから、一体事実はどうなのかということをお尋ねしておるので、私はその数字というものが銀行検査の結果を集計したものだと、こう報道されておるので、そのことが、この数字が事実かどうかということだけをお尋ねしておるのです。あなた方の責任を、漏れたからどうこうということを追及しているのではありません。この数字がどうなんですかと、いわゆる銀行検査の結果集計したもので間違いはないのですかと、これに近いものですかとお尋ねしておる。それだけお答えいただければ結構です。
  137. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) 先ほど申し上げましたように、集計と言われましても、私ども何を集計されたかわからないわけでございます。ただ全体としまして、先生に先ほど申し上げましたように、大体のところ二倍に近いような形になってきておるということを申し上げておるわけでございますので、その辺のところをひとつ御賢察を願いたいと思います。
  138. 大塚喬

    ○大塚喬君 どうもあなたのおっしゃることはさっぱり私の方でもつかみにくくて、せっかく質問したのに理解が得られないで困っています。  それから国税庁の所管大蔵大臣お尋ねをいたします。大変国民の関心を集めております児玉譽士夫の脱税問題、ロッキード事件で児玉譽士夫の脱税事件が報道されるわけでございますが、法務省関係に比して大蔵省、国税局関係のコメントが大変少ない、一体どうなっているのだろう、こういう尋ねを受けることがあります。全容、全貌についてもいままでのたくさんの方の努力ということで明らかになってきておると思うわけでありますが、昭和四十七年度分は少なくとも起訴をされる段階ですから、内容についてはほぼ確定に近いものがおわかりだと思います。それから昭和四十八年、四十九年度分についても、新聞では何らかの報道がなされておりますが、これらについても近く起訴をされると、こういうようなことであります。これらについて現在まで把握をされております問題をこの委員会においてひとつ明らかにしていただいて、一体今後の対策というか見通しというか、どういうお考えか承りたいものであります。
  139. 横井正美

    説明員(横井正美君) 御承知のように私どもといたしましては、事件が発生いたしました二月上旬、直ちに任意調査を開始いたしまして、その後におきまして二月二十四日、強制調査に切りかえるということにいたしました。御承知のように三月十三日に児玉譽士夫の所得税法違反ということで検察庁に告発をいたし、同日検察庁が起訴したわけでございます。  その内容は起訴状の公訴事実にも盛られておるわけでございますが、御案内のように、「自己の所得税を免れようと企て、ロッキード・エアクラフト・コーポレーションとの間に締結したマーケッティング・コンサルタント契約等に基づき、同社から受領したコンサルタント報酬等を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、」税額にいたしまして「八億五千三百七十四万七千五百円を免れた」と、こういうものでございます。  なお、それに加えまして公訴事実以外で私どもの調査の過程で判明いたしましたものを加えまして三月十三日、玉川税務署長より児玉譽士夫に対し四十五年分、四十六年分、四十七年分の更正をいたしてございます。三月十四日以降引き続いて四十八年分以降の調査を鋭意続けておる段階でございまして、できるだけ早く全容を解明いたしたいと、かように考えておるわけでございます。  調査の中身をもう少し詳しくというお話でございますが、起訴いたしました分野につきましては、これは公判延で争われるという問題でございますし、また法務省の所管にかかわるものでございますので、私どもから起訴状等にございますもの以上申し上げるわけにまいらないわけでございます。またそれ以外の課税の内容等につきましては、大塚委員等毎々御議論いたしておるわけでございますが、調査によりまして知り得た秘密ということでございまして、はなはだ申しわけございませんが、答弁を差し控えさせていただきたいと、かように考えます。  いずれにいたしましても、事件発生以来、私ども任意調査、強制調査を通じまして、全精力を挙げてやってまいっております。今日までに投入いたしました従事人員の延べ人数でございますが、六千二百二十二人ということになっております。これまでの前例にございませんような全力をふるいました調査をいたしておりますので、その点を御勘案いただきたいと考えるわけでございます。
  140. 大塚喬

    ○大塚喬君 質問通告の内容がまだ半分もいかないで、急いでひとつお尋ねをいたしますので、これからの答弁は至極要点をつかんで御答弁をいただきたいと思います。  勤労者財産形成の問題についてお尋ねをいたしますが、政府が実施をいたしております勤労者財産形成政策、これは労働者の財産を形成する、持ち家を促進すると、こういう各分で大変労働者重視の体裁をとっておるところであります。ところが実際は大企業の資金調達、金融機関の擁護ということだけに使われておるという感じを強くするものであります。私はこの制度は、勤労者の福祉を忘れた、忘却した制度にほかならない、こう受けとめておるわけでございますが、その観点に立って次々に質問をいたしますので、ひとつ要点をつかんでお答えいただきます。まず金融機関別の財形貯蓄の残高と加入者数は現在どの程度であるか、お尋ねをいたします。
  141. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) お答えいたします。  都市銀行につきまして、財形貯蓄残高九百三十七億五千八百七十一万三千円、それから財形貯蓄の契約勤労者数でございますが、八十八万八千八百五十八人、それから信託銀行、同じく残高二千九百八十三億三千八百十万三千円、加入者数は百四十三万二千七百九十五人、長期信用銀行、三百六十四億一千四百二万円、加入者が十八万二千八百七十八人、地方銀行、二百五十五億七千六百十五万七千円、加入者数が二十三万五千八百四人、証券会社、残高が二千三百八十八億三千九百五万九千円、加入者が百七十一万六千六百三十八人、労働金庫、六百八十五億四千百四十五万八千円、加入者五十九万二千七百九十八人、以上合計いたしまして残高が七千六百十四億六千七百五十一万円、契約者数五百四万九千七百七十一人、以上でございます。これは五十一年三月末現在でございます。
  142. 大塚喬

    ○大塚喬君 わかりました。財形貯蓄ということで各金融機関に集まった金額は七千六百十四億円、これは制度上その金融機関は三分の一程度の二千五百億円、これは雇用促進事業団に資金協力することが義務づけられておるわけですね。ところが実際はわずかに三十億程度の事業国債を金融機関が購入しただけにすぎない。こういう現状だといたしますと、昭和四十八年度から五十年度における雇用促進事業団の当初財形融資事業計画、この貸し付け決定額がどのような推移で現状なっておりますか、そこのところをひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  143. 中岡靖忠

    説明員(中岡靖忠君) 労働省の福祉課長でございます。ただいま先生おっしゃった財形融資の貸し付け決定状況でございますが、この制度四十八年度に始まりまして、四十八年の九月からでございますが、その年約六億の貸し付け決定、それから四十九年度三十億、それから五十年度九十四億、累計で百三十億という貸し付け決定の状況になっております。
  144. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまのお答えに続いて、事業団の当初の事業計画、これが百三十億ということだといたしますと、現在金融機関の雇用促進事業団に対する資金協力二千五百億円から見ると大分余裕がありますね。この事業計画自体がきわめて小規模過ぎるのではないか、余りにも数字が違い過ぎる、これについて、なぜ小規模でこのままで現状至っておるのか、その根拠は何ですか。
  145. 中岡靖忠

    説明員(中岡靖忠君) この制度はただいま申し上げましたように四十八年から始まったわけでございまして、まあ率直に言って経済の環境が非常に悪かったということ、あるいは私ども一生懸命周知徹底はやっておるんですが、事業主や労働者に対しての周知の度合いがまだ低いというようなこと、いろいろ要因はあるかと思います。ただ先ほど申し上げましたように、貸し付け決定の実績は六億、三十億、九十四億ということで、いわばしり上がりに上がってきておるわけでございまして、これから私どもも全力を挙げて周知徹底に努めますということもございますし、五十一年度以降さらに大きく貸し付け決定が伸びるんではないかというぐあいに私ども考えております。
  146. 大塚喬

    ○大塚喬君 その貸し付けが伸びないということの原因と申しますか、どういうところに基づいてそうなっておるとお考えですか。
  147. 中岡靖忠

    説明員(中岡靖忠君) いまちょっと申し上げましたが、全体にいわば不景気ということで、事業主に何といいますか、先行き不安かあったことは一つの大きな原因ではないかと思います。といいますのは、この制度、事業主の勤労者に対する負担軽減措置といいますか、を義務づけておりまして、その関係で事業主自身の負担がある程度あるわけでございます。そういうこともありまして、全体の景気のよしあしというのもある程度影響があったのではないかということが一つでございます。それからもう一つは、やはり歴史が浅いといいますか、二年半ちょっとたっておりますが、まだ周知の度合いが低いというようなこともあるかと、私どもは考えておるわけでございます。
  148. 大塚喬

    ○大塚喬君 大蔵大臣お尋ねします。  七千五百億円も財形貯蓄で金が集まっています。ところがその三分の一は雇用促進事業団の方に回すということになっておるわけですが、それらの金が現在百三十億程度しか利用されておらないと、こういうことの一番大きな原因は、事業国債の発行利回りか九・二%から八・八%、実際に事業主に貸し付けをする場合の金利が八%から七・五%、その利子の差を国が利子補給すると、こういうことになっておって、それらの金を大蔵省が出し渋っておるために、この勤労者のそういう大変いい名目で始まった財形貯蓄というものが、労働者に、勤労者に還元をされない、そうして現行百三十億程度しか利用されておらない、こういうことになっておるのではないですか。大蔵大臣いかがですか。これらの問題を抜本的に解決する道は何か大蔵大臣としてお考えございませんか。
  149. 戸田嘉徳

    説明員(戸田嘉徳君) 私どもが拝見しているところでは、やはり需要面という面が、どうもいま労働省からお答えになったように低いというふうに見ておるわけでございます。すなわち雇用促進事業団の予算というものは、前年度の貸し付け決定額とか、あるいは事業主からの次の年度の要望というような点を勘案して、そういう予算が組まれ、資金枠が決められるわけでございます。それがどうも、最近伸びてはおりますが、いま先生のおっしゃったように、先生の御期待ほどは伸びていないということは、やはり需要面がそれほどまだ非常に急激には大きく出てきてないということの証左であろうと思います。私どもとしたら、ただいまの財形持ち家分譲融資制度でございますね。これもさることながら、来年の四月からは個人融資制度というのもまた発足するというふうに聞いておりますが、こういうようなこともありまして、この融資申込額も逐次ふえていくと、そうして先生のおっしゃったような趣旨に合うような形に次第になっていくのではないか、さように考えております。
  150. 大塚喬

    ○大塚喬君 終わります。
  151. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最初に大平大蔵大臣お答えをいただきたいと思います。  一つは予備費の使用について昭和二十九年の閣議決定がなされておることは御承知でございます。その内容等々が今日まで遵守をされておられるわけでございますが、大臣として今日どのような理解をされていらっしゃるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  152. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いまお尋ねの点につきましては、予備費の使用につきまして閣議決定の趣旨は遵守尊重されておると私は考えております。
  153. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 予備費の使用については、二十九年の四月十六日閣議決定がされました。ここには第三点までいろいろと述べられております。私もこの第一点の「財政法第三十五条第三項但書の規定に基き、大蔵大臣の指定する経費は別表のとおりとする。」云々。それからまた特に大蔵大臣にもう一度御答弁をお願いしたいことは、第三項の「災害(暴風雨、こう水、高潮、地震等異常なる天然現象により生じた災害及び火災をいう。)に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急経費。」ということは、災害等の問題についてはやはり予備費の性格として緊急な経費という非常に重要なこの閣議決定があるわけでございますが、質疑の前にもう一度この三項について大蔵大臣のお考え、姿勢なりをお聞かせ願いたいと思います。
  154. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 予備費は憲法並びに財政法によりまして、御指摘のように、予見しがたい予算の不足に充てるため予備費として計上することが許されておるものでございまして、その使用はいま申されたとおり、災害等緊急に処理する必要がある本当にやむを得ない経費に支出すべきものでございまして、実際政府としても予備費の運用につきましてはそのような趣旨に従って的実に処理しておるつもりでございますけれども、今後もこの趣旨は踏みはずしてはならないものと考えております。
  155. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そこで大臣にもう一つお伺いしますが、災害等が起きた、そういうたとえば発生をした、そうしてその時間というのは一日か二日のことでございますが、それから財政法にのっとって大蔵大臣が許可をして、そうして指導されていくわけでございますけれども、その期間というのはどのぐらいが妥当なのか、事故が起きて、災害が起きてそうして大蔵大臣の指示が出ていく、その期間はどういう、時間的に考えてみて一週間なのか、一ヵ月なのか、二ヵ月なのか、三ヵ月か、四ヵ月か、一年なのか、そういう時間的な対処の方法、それひとつお伺いしたいと思います。
  156. 高橋元

    説明員(高橋元君) 事務的なことでございますので御説明をさせていただきます。  災害が起こりました場合に、まず災害の発生に基づきまして被害報告というのが参ります。被害報告基づきまして主務省——農業災害であれは農林省、公共施設災害であれば建設省その他でございますが、主務省と財務局とで現地の査定をいたしまして、そこで復旧事業費が決まってまいるわけでございます。財務局それから主務省の出先のお役所の手順等もありまして、この辺までは大体二ヵ月ぐらいで事務を処理すると。その後まあまさに緊急な経費でございまして、翌年度の予算をもって待ったのでは処理するのが適当でないというところに予備費の使用の事由があるわけでございまして、復旧事業費を決定いたしました後それにかかる国費を計算する。それから単年度で復旧できないものはまあ数年度、三年間をかけて直していくというのが多いわけでございますから、進捗度合いによる当年度の所要額を出してまいります。その段階で通常最近の予算では当年災の復旧費というのを事前に組んでおりますので、当年災の復旧費をもってまず処理できるものはそこで支出をいたします。当年災をもって処理できないということがわかりました分につきまして予備費を使用する。大体それは秋から後という、予備費の使用にかかります部分は秋以降という事例が多いと思います。なお四十九年のように非常に災害の多い場合には、補正で災害復旧事業費を追加するというようなことをやっております。  したがいまして、一概になかなか申しがたいわけでございますが、災害の発生から復旧事業費決定までが二、三ヵ月、それから国費率、その中で補助率ないし国の事業費というものを勘案いたしまして、国費率を決めますのは翌年の二月ということになるのが通常の順番でございます。できるだけ事務の処理を急いで、災害の復旧に遺漏のないように、各省とも御相談をして私ども事務を進めております。
  157. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま御答弁いただいたわけでございますが、主務官庁で二ヵ月から三ヵ月、そうして秋以降に実際は使われていく、こういうようなことになれば、本年度の当初予算であるとか、そうして最近は補正の臨時国会というものが非常に多く行われているわけでございますが、そういうところで手当てをすればいいわけであって、いま申し上げた財政法とか憲法、そういうものにのっとってこの予備費が位置づけられているのは、緊急なそういうふうな災害等については急遽救済をするんだというのがこの予算措置の性格ではないんですか。いまあなたがおっしゃっていらっしゃるようなことであれば、当初予算と補正予算にきちっと組めば——こんなに悠長なことてしたら——足りることであって、いまから話を展開していきますけれども、こんな秋以降に、そういうふうなことであればこれはちょっと当局としては悠長過ぎるんではないんですか。
  158. 高橋元

    説明員(高橋元君) たとえば最近二ヵ年の例で申し上げますと、五十年度、これは当初予算で二百億の当年度発生災害復旧事業費というのを組んでおりました。したがいまして、五十年度の初期に発生いたしました災害につきまして、先ほど申し上げましたように、復旧事業費のいわゆる査定というものが済みました後、それに必要な国費の支出につきましては、まず当初予算の当年災分で手当てをいたしております。したがいまして、大体梅雨前線とか夏の初めに起こってまいります台風、それ以降にかかります災害が大きくなってまいると思いますが、その分につきまして、申し上げましたような諸手続を終えまして予備費の使用決定をいたしましたのが大体九月の十九日ということになっております。それで、この年は非常に災害が大きかったものでございますから、十一月に補正をもって一千十億追加をしていただいたわけでございます。その後、既発生災害を前提として、災害査定状況、既応の国費率等を勘案した所要見込み額で逐次災害復旧の手当てを行ってまいりまして、二月末の最後の予備費をもって調整をするという形にしております。  申し上げておりますように、災害が起こってからかなり時間がたっておるではないかという御指摘で、私どもとしても、事柄の性質上できるだけ災害復旧の進捗を図ってまいらなければならぬということは、そのとおりだと思います。しかしながら事業費の確定、そのためには災害状況の把握、それからそれに必要な補助事業でございましたらば、国費率の決定、直轄事業でも地方の分担金というものを算定してまいる、年度割りを決めてまいる、どうしても事務に必要な最低限の日数は要るわけでございます。その辺は御了察をいただきたいと思いますが、私どもとしては、災害復旧の円滑な遂行に支障のないようにいたしておるつもりでございますし、今後ともそのような所存で事務の改善も図ってまいりたいというふうに思っております。
  159. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 きょうは予備費に関連して、災害シーズンもやがて来るわけでございますから、そういう面から質疑をしてまいりたいと思います。午前中に四十八、四十九、五十年度の一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書事後承諾を求める件について概要の御説明を伺っだわけでございます。  そこでまず一つは、四十八年度の一般会計予備費予算額が六百五十億円でございましたが、このうち財政法第三十五条の予備費の管理及び使用規定によって、四十八年六月十二日から同年の十二月十四日使用決定した金額が百八十一億六千三百十二万余円となっております。その後四十九年の一月の五日から同年三月二十九日までの間に使用決定された金額は四百六十八億円でございますが、その内訳の中で私がお伺いしたいのは、災害対策費として河川等災害復旧事業等に必要な経費等の、九件も挙がっておりますが、この内容についてお伺いをいたします。その一つは、河川等の災害はこの時点の場合は何月何日ごろであったのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  160. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  四十八年の災害は、最近におきましては比較的少ないものでございまして、これは当初予算には百三十九億——補助災害でございますが、であったわけでございますが、当初予算分の配分といたしましては九月の十五日までの査定済み分が十七億あったわけでございますが、これを九月二十一日に出しております。それから第二回目は十二月十日までの査定済み分でございますが、六十四億、これを十二月の十七日に出しております。第三回目でございますが、十二月の三十一日までの査定済み分五十八億を翌年の二月の二十六日に出しております。それと同時に、それで当初組みました予算が全部使い切りましたので、予備費といたしまして五億ほど保留解除及び負担率の差額ということで出しております。四十八年はこういうことでございます。
  161. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま私が質問しておりますのは、あなたの場合、いま報告いただいたんですが、九月の二十一日査定をされたわけですけれども、そのときの河川等の災害は何月の何日だったのかという日にちなんです。その点。
  162. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) これはちょっと資料がないのでわかりませんが、四十八年災と申しますのは四十八年の一月一日から十二月三十一日分の災害を言うわけでございます。災害の査定は県の方から報告をわれわれは受けておりまして、この第一回目というのは恐らく融雪であるとかあるいは冬季の風浪の分ではなかったかと思います。で、これは九月の十五日までの分につきましては、応急工事等につきましては県が立てかえて施行しておりますから、現実には応急の分は仕事はできておると思います。
  163. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大蔵省では、災害が起きて当局では大体二ヵ月ぐらいというふうなあれから出発するいうふうに——ところかいま災害か確かに七月に第一回目が襲ってきております。やはり予算の執行については、来年、その次の一月の五日から三月の二十九日まで断続的に行われておるわけなんですね。  こういうふうに、私はまず大蔵省に言いたいのは、現地で自然災害とかそうして技術的にもう少し手を打っていただけばよかったなというふうなところへ豪雨やいろんなものが来て災害を受けている。復旧ができないためになかなか大変である。そういうことで閣議でこの予備費というものが、何重の網を張って当初予算であるとか補正であるとかそういうところでまかなえないものについての予備費という非常に国民に共鳴を受けるようなやり方になったわけです。ところが七月に第一回の災害が来る、実際は四十九年の一月中旬ごろからでないと適用できない、こういうところに大きな時間のずれがあるということと予備費の閣議決定の内容というものについてもっと味のある、国民の皆さんにこたえていくような予算措置を私はどんな理由があってもとらなくちゃいけない、そういうことをこの四十八年度の問題では申し上げたいわけでございます。  次に四十九年の一般会計の予備費は、当初の予算額は二千六百億円でございますが、補正予算等で減少されて一千百九十億円、で、改予算額は一千四百十億円になっているわけでございますが、これも財政法第三十五条の規定によって、四十九年の四月十二日から五十年三月二十九日まで八百二十億円が使用決定した金額になっているわけです。その内訳の中で災害対策費として河川等災害復旧事業等に必要な経費等四十一件とあるわけでございますが、この点については四十九年の四月十二日から来年の、五十年の三月二十九日まで大体使用されているわけなんですが、この四十九年度のときの第一回目の災害日付、これはどういうようになっておりますか。大体でいいですよ、月だけで。
  164. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 四十九年度におきましても、一月から五月の災害、伊豆地震等、そういうふうに一月からやはりございます。
  165. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 四十九年の一月から五月までが第一回というふうに御説明いただいておりますが、翌年の、ずっと続いてやはり三月二十九日までこの金額使用推移というものがあるわけですね。私がいま申し上げておりますのは、大蔵大臣がやはりすべてをつかさどっていく、「予備費は、大蔵大臣が、これを管理する。」と財政法の三十五条第一項にあるわけでございますから、出先の関係省庁で決定をされていく。やはりそういうふうなものが一日でも早く被害を受けた方々のところへそういうふうに手当てがなされていかなくちゃいけない、そういうふうに私は素直に予備費の性格というものから見て主張をしているわけでございまして、当局の皆さん方が技術的にもうこれ以上大変であるからといって、いじめた意地悪な質問をしているわけじゃないんです。憲法八十七条についても「予見し難い予算の不足に充てるため、」に国会の議決は後でもよろしいから「内閣の責任でこれを支出することができる。」、また予算案には予備費の細目等を示さなくてもいいんだと、こういう非常に理解というもののある、そういうふうな項目が出ているわけです。  ところが、いま四十八、四十九年を伺いましても、いずれも会計年度は別として、一般の国民の皆さんが一月から十二月という形の考え方、そういうふうなことを、官庁ではどうしても三月末が年度決算になるわけですが、常に前の年に被害があるのがどうしても次の年まで延びていく、それは皆さん方は、いや、それは県、町、いろんなところで手を打ってくれております、こういうふうなことも加味されますけれども、なかなか現実には私も災害の状況を見ておりましても、四十七年災であるとか、四十八年災であるとか、現実に県とか町では残っているものがあるんです。  そういう細かいところはいま質問しませんけれども、では、きょう御説明をいただいた五十年度の一般会計予備費、これは当初予算額が三千億円でございますけれども、補正等によって一千億円の修正の減少されております。で、改予算額は二千億円となっておりますが、これも五十年の四月十八日から十二月二十六日までの間に使用決定された金額が二百三億円でございます。その内訳の中で、災害対策費として、河川等災害復旧事業に必要な経費等の十二件が明示されておるわけでございますが、これももうお伺いをしなくても、五十年四月十八日から同年十二月二十六日までの決定推移の手順でございますけれども、これまた大蔵省お話がございましたように、二ヵ月、それに上乗せして二ヵ月というふうなことではなしに非常におくれたものがあるわけでございます。  こういうふうなことでございますので、私はもう一度大平さんにお伺いをするわけでございますが、財政法また憲法の八十七条で申し上げましたように、「予見し難い予算の不足」そういうふうなことで、特に災害等についてはもう至急手を打つべきである、こういうふうに明示されておりますのに、それがそのまま素直に被害地域のところにどうしても時間がかかってくる。これもまた具体的な時間のおくれ等も項目を挙げまして申し上げますけれども、こういう状態で一〇〇%の時間的な手が打てたと大臣は——これはもう今後ずっと日本の災害を見ましたときに続くわけです。これでいいんだと言われるのか、それとももう少しはこれは善処してあげないと被災を受けたところが大変であるというふうなことで、前向きでもう少し検討、善処されるのか、そういう点大臣いかがでございましょう。
  166. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど事務の方から御報告申し上げましたように、災害が起きまして報告を受けますと、直ちに関係省と協力しまして査定に入り、所要の手順が進んでまいるわけでございます。そして当年災の予算について経費がつけられると、第二年、三年と、ただいまのところ三割、五割、二割ということで三年をもって完成するというようなパターンで災害復旧をやっておることでようやく定着してきたと考えております。もとよりこれが完全であるとは思えませんけれども、長い過程を経ましてようやくそこまで災害復旧事業が地についてきたと思います。  私も終戦直後公共事業の仕事をしてまいりました当時を回顧いたしますと、今日の公共事業は大変組織立って対応が早くなってまいったように思うのであります。しかもこの場合、単なる原形復旧ではなくて、施設の改善も加味されておる場合も認められておるわけでございますので、十分とは言えませんけれども、ともかく一応国民の期待にはこたえられておるのではないかと思います。  で、今日災害復旧費につきまして、財政上の見地から規制を加えるというようなことはいまやっておりません。それからまた財政資金の都合で予備費の支出について、これを繰り延べるとか後回しにするとかいうようなことは一切やらないつもりでおりますので、十分の災害地に対する同情等をもって配慮をいたしておるつもりでございます。しかし、そうわれわれが考えておりましても、現実の仕事の過程におきましては、遺憾な点がないという保証はないわけでございますので、関係各省と協力しまして、さような落ち度がないように十分気をつけていくつもりであります。
  167. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大臣、この閣議決定の予備費の使用について私見ているわけでございますが、いま災害のことだけを申し上げておりますが、これらの問題か——これは私は老婆心で申し上げるわけでございますが、どうしてもだんだんだんだん決定やいろんなものがおくれてくる。そういうふうなことが技術的な手順としてどうしてもそれだけ時間がかかるんだというふうな理由の中でもし——これは老婆心てございますけれども、地元からいろんな陳情が見えるとか、そうしてそれに各議員さんたちが一緒について、そうして予算の獲得等に走っていくとか、そういうふうなことがこの予備費の中できちっとしたルールというものがなければ、力のある議員の陳情についてはお金が動いていくとか、そうして私たちのように力のない議員がお願いをしてもなかなか動けないとか、まあそれはいろいろ強弱はあるわけでございますか、慎重にこの予備費の使用ということについては一歩たりとも間違ってはいけない、ほんとにこの決められたルールによって厳正に国民の皆さんの前に公開したとしても、間違いのない予算の使用のあり方である、こういうふうなことを私大臣に一言だけ、そういうことはない、ほんとに厳正に使われておるということのお言葉を賜りたいと思っております。お願いいたします。
  168. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのように厳正かつ迅速に事を運んでまいらなきゃなりませんし、それはまた公正でなけりゃならぬことは当然のことでございまして、仰せのような趣旨にもとることのないように注意してまいります。
  169. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では当局に細かいことでございますが、お伺いをいたします。一般会計の予備費の使用額中に、非常に繰り越し状況というものが上がっております。私がいま挙げる数点の項目についてその内容等を明らかにしていただきたいと思います。  四十八年度でございますが、文部省、項は〇一八公立文教施設災害復旧費ですね、目は一四〇七四−一二五−一六でございますが、公立諸学校建物其他災害復旧費補助金について。それから四十九年度の通商産業省のいわゆる〇〇一の項でございますけれども、目は九八〇一六沖繩国際海洋博覧会出展の施設整備費。同じく四十九年度建設省でございますけれども、急傾斜地崩壊対策事業費の補助でございます。そして同じく建設省でございますけれども、直轄河川等の災害復旧費、これは四十九年ですね。それから四十九年の都市災害復旧事業費この項目についてお伺いをしたいと思います。
  170. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 四十八年度の文部省の公立文教施設関係の災害復旧費にかかります分につきましては予備費は一億三千五十二万五千円でございます。うち千六百五十万一千円が四十九年度に繰り越しされております。以上です。
  171. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 四十九年度の緊急急傾斜地崩壊対策事業が、ちょうど四十九年度は非常に大災害でございまして、その中、繰り越し個所が四件ございます。一件は静岡県でございまして、三件が兵庫県ということでございます。当初から予備費的に緊急急傾斜地崩壊対策事業費というものを持っておるわけでございますが、それが大災害であった関係で予備費をいただいてやったということでございます。全額といたしましては国費で三億八千九百万という国費の予備費でもって対処したわけでございますが、そのうち静岡県、兵庫県の三件、合わせまして四ヵ所におきまして国費は七百九十万の繰り越しをしたわけでございます。  個所の内容といたしましては、静岡県のものにつきましては五十年の四月十五日にすでに完成はいたしておりますが、原因といたしましては中埋めの玉石の材料の収集困難であったというのが原因でございまして、災害から発生以来鋭意施工に努力したわけでございますが、大災害であった関係上、一部において材料の収集が間に合わなかったということでございます。さらに兵庫県の個所でございますが、これは家島町といいまして離島でございます。離島の関係で港の不整備あるいは材料運搬道路の不良というふうなことから材料搬入に手間取りまして、三ヵ所のうち一ヵ所につきましては五十年の四月三十日に竣工をいたしておりますし、あとの二ヵ所につきましては五月三十一日に竣工しておるということでございます。
  172. 大木俊夫

    説明員(大木俊夫君) お答え申し上げます。  通産省所管沖繩海洋博政府出展館、内訳は海洋文化館と水族館の建設工事でございますが、その政府出展施設に関します予算節減に努めたわけでございますけれども、当時資材労務費の高騰がございまして、どうしても不足するという見込みのもとに予備費を使用させていただいたわけでございます。工事着手したわけでございますが、実際に会場内の他工事との総合調整、それから現地を精査した結果基礎になります床掘り工法、それから汚水処理方法、こういうものの変更があったほか、さらに観客の動員、動線でございますが、その観客対策に大きな変更がございまして、そのための工事の内容変更、それに伴う調整、それから設計変更、こういう関係がございまして、当初年度内完成の見込みであったものが約三ヵ月間工期のおくれを生じた結果繰り越したものでございます。
  173. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま御説明をいただいたわけでございますが、大蔵大臣ちょっと聞いておいていただきたいんですが、時間がございませんのでさっと申し述べますけれども、いま文部省にお伺いしました件でございますけれども、文教施設の災害復旧、これはどうしても教育、子供さんの将来、日本の将来、最も大事なことでございますが、災害発生が四十八年の九月にあって閣議決定が四十九年二月の二十六日で、五ヵ月もかかっているわけです。公立諸学校の災害復旧にもかかわらず、いま何回も申し上げておりますように緊急な経費といわれる予備費が、災害後五ヵ月を経てやっと充当され、さらに翌年度に繰り越しを出さざるを得ない結果になった、翌年度の繰り越し、こういうふうになっているわけです。またいまお話伺いました通産省の海洋博、この施設整備についても、閣議決定、四十九年八月三十日から年度末まで七ヵ月もあるのに、使用額九十五億円のうち三分の一の三十二億円も繰り越しをされている。  いま理由の御説明がありましたけれども、そういうようなことになると、会計の原則である当初予算にすべてを網羅して皆さん方のベテランの中で、いつももう長年経験されていらっしゃるわけですから、本当にがっちりした当初予算であるとか補正予算を組めばいいわけであって、もう予備費というものがいま大臣がおっしゃったように非常になじんでおらない、そうして効率的に使われておらないということは、国民の皆さんの御要望に本当に価値的にこたえることができない、こういう如実のものがいまここにあると思います。だから四十九年度建設省分についても、急傾斜地崩壊対策事業費についても、この事業を必要とした災害等は年度当初の四十九年五月から生じており、そうしてそれが四十九年の九月末閣議決定をされていたわけです、やっとですけれども。ところが、この問題も翌年度繰り越しを生じている。こういうようなことで半年間も一体何をしていたのかというふうな問題も出てくるわけでございます。  こういうふうに挙げてまいりますと、まだ先ほども御質問しましたように都市災害復旧事業費、この補助に関しても予備費の使用調書によれば、予備費の使用閣議決定されたのが四十九年十一月の十五日、それから二ヵ月半の一月末には支出が全然なされておらず、結局また翌年度の繰り越しが行われている。われわれは、事故が起きる、災害が起きる、年度内に必要であるからこそ予備費が充当されている、こういうふうに理解をしているわけでございますが、決定から使用までに非常に長時間を要して、しかも繰り越しを出していく、まあこういうふうなことに非常に私はすっきりしないことを覚えるわけでございますが、こういう点について大臣、予備費が本当に当局になじむよりも国民の皆さんに理解と喜びを与えていくのか、そういう観点から、そうして何回も申し上げますけれども、閣議決定のこの性格から見て本当にこれでいいのかどうか、大臣どうなんでしょうか。
  174. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 通常の予算の手続によりますと、たとえば災害復旧費でございますと、災害が起きた後、次の年度の概算要求に出しまして予算を組むというようなことにならざるを得ないわけでございますけれども、そうではなくて、予算の編成時に予見できない事情のために設けられた予備費でございますので、その制度にふさわしく政府は運用をいたしておるつもりでございます。  ただ発生時と閣議決定を経て予備費が支出された時期とが乖離がひどいじゃないかという点、この短縮には私は一層の努力を払わにゃいかぬと思います。さらに繰り越しを見るというようなことも決して名誉にならぬと思うのでございまして、その点もなお一層努力を各省庁にお願いしなけりゃならぬと思うのでございます。財政当局といたしましては、先ほども申しましたように、財政上の都合あるいは資金上の都合で規制しようというつもりは毛頭ないわけでございまして、国民の方を向いて、国民にどうしたら迅速に正確にサービスができるかという点に主眼を置いた運営を願っておるわけでございますので、各省庁と努力いたしまして、いま御指摘のような方向に最善の努力をしてまいりたいと思います。
  175. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今度は角度を変えて災害問題をやらしていただきます、また話を戻しますけれども。これは具体的な問題でございますが、去る五月の二十五日、二十六日にかけて兵庫県の美方町石寺山中で幅二百五十メートル、高さ二百メートル、面積約四ヘクタール、流出土量が約一万五千立方メートルの大規模な地すべりが起きました。一時は停電、電話不通、県道ストップ等も起きまして、九百世帯の家族が完全な孤立状態になったわけでございます。一時は町の人たちも非常に不安に陥っておりましたけれども、現在は建設省関係が努力をしまして、生活道路を山越えする、まあこういう別途のものを設けたために孤立化を避けている現状でございます。  五月の二十八日に公明党の第一次調査団として私も調査に参ったわけでございますが、まあ標高三百四十八メートルにある農業用水池、貯水量が推定五千トンから六千トンでございますが、これを基点として、江戸時代以上ですから、三百年前からもでございますけれども、多年にわたる頂上からの漏水と私は解釈をしているわけでございますが、地盤の軟弱等によりまして地層の脆弱化、そうして中途にございます林道の大照線建設時のカッティング等々をいたしておりますので、複合的な諸要因というものが、地下水のそういう含みを持って、私は地すべり指定地域に全然入ってないこの土地で、ことしは日本で初めてと言われるような大きな地すべりが起きたわけでございますけれども、まあ一つは専門家による原因解明をお願いしているわけでございますが、梅雨期や台風の時期を迎えて、まだ二十万トンから三十万トンの流出土量があります。それがいつまた地すべりを起こしてくるかわからない危険性を持っているわけでございます。私はそういう観点の中で、国土の保全とか民生の安定を図る立場から、一つ一つ該当の皆様に質問を申し上げたいと思います。  まず一点は、地すべり防止法、これは第一条の目的等もございますけれども、私が一番重要視いたしておりますのは、第三条の地すべり防止区域の指定でございます。この項目の中には、「主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、地すべり区域及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべりを助長し、若しくは誘発し、又は助長し、若しくは誘発するおそれのきわめて大きいものであって、公共の利害に密接な関連を有するものを地すべり防止区域として指定することができる。」とあるわけでございますか、私が現地へ乗り込んだ段階で当局の人々にお伺いをいたしますと、国の関係の指定地域の査定が年に一回か二回かしかできないので、やっておられないので、指定地域の認定も受けられるかどうかわかりませんという心配をしておられました。このことについては、すでに指定地域の認定がなされたのかどうか、これは林野庁の治山課がたしか中心になっていると思いますが、これ河川局長でも結構ですが、お伺いします。
  176. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 地すべりの指定につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、この地域につきましては、昭和三十六、七年ごろ治山事業を一部やりまして、一部保安林ございますけれども、その他につきましては、その後その地域についての大きな地すべり的な徴候もございませんでしたので、現時点までは地すべり地域の指定はいたしておりませんでした。
  177. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ということでございますけれども、六月の一日に私はあなたに申し入れをしたわけです。この指定地域の問題は早く認定してあげないと、すべてのものが条件がそろわないからと。私は二十八日に、現地でも県の災害対策本部の局長に、これはすぐ連携をとって、そうして早くしていただきなさい。たとえ関係省庁にいろんな予算があったとしても、やはり指定地域の認定は受けなくちゃいけない、同列にですね。そういうふうにあなたにも私はお願いしたし、現地からも、県からもお願いするようにしたのですが、指定地域の認定というものは、やはりそこに事故が発生した以上は、たとえあなたのところに予算が別個にあったとしても、これは今後の問題もありますから早急にやはりやらなくちゃいけないと思うのですが、いまあなたのお話伺いますと、指定地域の認定は、きょうの時点ではまだなされておらないと、こういうことですか。
  178. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先生御指摘のとおり、私どもとしても、こういう地すべりが起きました地域につきましては、早急に指定をすべきであろうというふうには考えております。ただ、まだ何よりも復旧工事を先に急がなければならないということで、係官も五月末には派遣いたしまして調査をいたしておりますし、当然今後関係省庁との連絡のもとに、この地域につきましては地すべり地域の指定という形で検討してまいりたいというふうに考えております。
  179. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では出先の方で話が出ておりますけれども、認定協議会が本当に年に一回か二回しか開催ができないから、そういう現地で大規模の災害が起きても、シーズン外であるとなかなか対応ができない、こういうふうに解釈していいですか。
  180. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 地すべり防止地域の指定の協議につきましては、年に何回というふうに決めはいたしておりませんで、過去の実績を見ましても、四十八年には九回、四十九年には六回、五十年には四回、五十一年度にはすでにもう二回をいたしておりまして、緊急な事態が発生いたしますと、関係省庁と連絡をとりながら協議会を持つという形にいたしております。
  181. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 藍原さん、私は国会が済んで帰って、またおとといも行ってきたんです。はっきり言って、建設省は計画を立ててやっております。あなたの方は、藍原さんは、お金もある、何もやります、何もやりますというふうに言いながら——私は現地へ行ったけれども、何にもやってないように感じました。  私がいま一番この指定地域の問題を言っておりますのは、防止法の第九条の中で、地すべり防止工事基本計画というのがあるんです。これは第三条の第三項の規定によって、地すべりの防止区域の指定の通知を国から受けなくては、主務省令で定めるところによって関係市町村の長の意見を聞きながら当該地すべり防止区域にかかわる地すべり防止工事に関する基本計画の作成というものが後にどうしても残されていくんです。国というところは三条とか九条とか、すべて法律というものをきしっきしっと決めていく一面もなくちゃいけないし、また現地で応急対策をやらなくちゃいけないけれども、これだけ日にちがたっているのに、いまあなたから質問を受けるようなそういうふうなことでは、非常にスローモーな点が——もっとこういうふうな町民が不安を感じている、そういうようなときに、これいつやるんです。もうこれは必要ないんですか、地域指定の認定は。
  182. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 林野庁で行っております治山事業の中に、一般の緊急治山というものとそれからいま先生お話しの地すべり事業とございます。私ども従前から当然その原因の発生が地すべりであるものにつきましても、当年度の発生につきましては緊急を要しますので、緊急治山という事業がございまして、それで一応応急に対応しようということで、その後翌年度からはその間に地すべりの指定をされたものにつきましては地すべり事業という形で対応してまいりますけれども、当年度につきましては緊急治山という事業がございますので、それで緊急に必要な事業だけは対応いたしまして、その間に地すべりの指定の必要なものについては地すべりの指定をいたしまして、翌年度からは地すべり事業という形で対応してまいろうというふうに従来やっておりまして、この事案につきましても当然五十一年度は緊急治山で早急に対応するという姿勢でおります。
  183. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま三十万トンにわたる土量が雨期を迎えて、台風期を迎えて県道、河川に落ちていく状況があるわけです。そういうふうなときに、もし人命に事故が出たということになると、いま藍原さん言われているような状態で、いま緊急治山事業費確かに三十七億円あるんでしょう、あなたの方には。しかし、そういうようなことだけでなしに、法的な措置というものをきしっと決めてないと、だったら、地すべり防止法の第一条、第三条、第九条等、こういうふうな法律も早く手を打ってこそ法律の効用があるんであって、なぜ来年まで延ばさなくちゃいけないのか。ですから、両方きしっと手順は組めるんでしょう。その点もう一度お伺いします。
  184. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先生十分御存じのように、地すべりの工事と申しますのは、くい打ちとか排水とか非常に技術的にもむずかしい点が多々ございます。しかしながら、それを待ちまして工事をするのでは災害復旧の対応ができないということで、地すべり地域の指定がされておりますところで災害ができましたら、当然そういう形でも対応できますけれども、そうでない地域で万一出たような場合にはともかくにも応急に緊急事態に対応いたしまして、地すべり事業に必要ないろいろな調査その他につきましては早急に対応し、翌年度から地すべり事業でやっていこうというふうに計画いたしておりますものでございまして、その点災害復旧には万遺漏のないように私どもとしても対応してまいりたいというふうに考えております。
  185. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ではいま現時点において、林野庁はあの地すべりに対してはどういう技術的な対応をされていらっしゃるのか、御説明願います。
  186. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 現在考えておりますのは、緊急治山事業によりまして、工事費といたしまして約六千万円をもちまして、谷どめ工、土どめ工、排土工、くい打ち工等を計画しております。
  187. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 考えてもらっては——事故起きているんですから、発生しているんですからね、そしてあなたはいま、六千万円で仮どめやくい打ち工をされると言われておりますけれども、あの現地にあなた行かれましたか。六千万のお金で対応するもので、あれだけの三十万トンの土をどうとめるんですか。そういうあなたがいいかげんなことを、技術者のあなた、長でしょう。六千万のあれでこんなのできるわけないじゃないですか。そしていまやったとしても、三十万トンの土量があるのに、またつぶれてしまうわけでしょう。だからいまあなたが考えていますと言うんでなしに、実際に事故が起きているんですから、それに対してはもっと技術的な——こういうふうなことで土はとまりませんよ、これ。もっとあなた本当に真剣にちょっと考えてもらわないと、これはことし日本で一番大規模な地すべりですけれども、それが林野庁が中心になってやる、そういう対応の仕方ですか。
  188. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 私申し上げましたのは、ただいまのところの応急対応として申し上げたんでございまして、この地域は先生御指摘のように確かに非常に地すべりの層が深い非常にむずかしいところでございます。そういうことで、関係機関とも十分協議し万全を期すような対応はあわせてやっております。
  189. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 おととい行った段階では、現地に林野庁の皆さん方の対策というものは一切見受けられなかったわけですけれども、藍原さん、いま言われているわけですから、着実に人命に——まだ人命の事故は出てませんから、もしあの県道に大きな、いま五千トン近くの土がたまっておるわけです。河川にも落ちております。雨季で大きな洪水が出てくる。子供さんや学生がやはりあすこを越えて行っているとき、もし人命に事故でもあるようなことがあったらこれは大変なことですから、努力をしていただきたいと思います。  それから建設省にお伺いしますけれども、県道の村岡−若桜線の早期復旧、こういうことが考えられるわけですけれども、現実の問題としてはあれだけの土量を排除したところで上から何十万トンの土がいつ流れてくるかわかりませんので、一日に建設大臣が、河川局長も同席していただいたわけでございますか、バイパスの計画というものを伺ったわけでございますけれども、その後の経過、そういうことについてはどの程度進められておるのかお伺いしたいと思います。
  190. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えいたします。  建設省といたしましては、先生のおっしゃった災害状況でございますので、土砂が主要地方道の村岡−若桜線を遮断いたしまして、直ちにこの迂回路を設定しようということで、県道河内−美方線がございますが、この未改良区間の約三キロございますが、これを整備補修いたしまして、災害後直ちに二トン車程度のものは通そうというふうに考えまして、それはすぐ確保したわけでございますが、次に主要地方道の村岡−若桜線でございます。これはいま林野庁の方でいろいろとこの対策を講ぜられておりますけれども、私ども道路管理者といたしましては、できるだけ地域住民の生活に支障のないようにするためには、やはりここに大型車等の交通を確保する必要がございますので、応急工事といたしまして現地の上下流に橋を対岸に渡しまして、幅員五メーターの仮道路を計画いたしまして、六月中完成目途に現在鋭意施工しておりますし、恐らくそのうち一本の橋はもうでき上がっておるんではなかろうかと思っておりますし、次のもう一本につきましてはペリー橋等の応急仮設用の橋を考えていま鋭意努力しておるわけでございます。つきましては、この本復旧につきましては先ほど林野庁の方から御答弁ございましたように、現在は緊急治山事業ということでいろいろと対策を練っていらっしゃいますので、これにあわせて今後本復旧をする予定でございますけれども、相当時間がかかるように私考えますので、やはりこのバイパスといいますか、これに現在対策の中心を移しておるわけでございます。  なお川の方、ここにちょうど二級河川の矢田川がございますので、これもやはり埋没をある程度いたしましたので、現在は出水期を控えておりますので、現地にブルドーザー等を置きまして必要な河積を確保するということを現在やっておるわけでございます。  いずれにしましても応急復旧もやはり若干時間がかかるという立場での応急復旧に対処しておりまして、これにつきましてはいずれ査定を、もちろん県でいまやっていただいておりますけれども、査定をすればまたこれは災害復旧の事業となると思いますけれども、本復旧は若干時間がかかるという感じがしておりまして、林野庁とよく工法の確定をした上で、現在の県道に対しましては将来とも安全な工法を今後決めたいと思っておるわけでございます。
  191. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま局長からも経過を話していただきましたが、県道の復旧については仮道路、特に生活道路の場合は八百メーターぐらい上を通っていく林道とも県道とも言われない非常に危ないところでございますので、今後雨季等にもあそこを使用するということになれば大変ですので、補修等には力をかけていただきたいと思います。  それと同時に、いま話が出ました矢田川でございますけれども、三千トン以上の土砂が流入しているわけでございますが、これも極力早く排出するようにお願いしたいと思います。  ただいま私、具体的な美方町の地すべり対策について質疑をしたわけでございますが、ここで国の立場から質問をしたいと思いますが、いま梅雨や台風のために非常に災害時期に直面をしております。いま申し上げた全国の地すべり等の危険区域、まあ総点検はもちろんでございますけれども、防災計画の対策、こういうことについて質問をしたいと思います。本年度の防災関係の当初予算額は一兆四千二百九十億円でございます。前年度に比べまして二三%も増額をしております。五十一年度の防災計画として、まず最近の傾向としては、一つは、集中豪雨による山崩れ、二番目にはがけ崩れ、そうしてまた都市地域での災害要因といたしましては高層建築、石油タンク等々が非常にやはり注意をされておるわけでございます。  こういう実害の中から国としてもお考えになっていると思うわけでございますが、端的に質問申し上げる一つは、まず防災に関する科学技術の研究強化の連携はどうなっているのか、第二点は災害予防の強化について。第三点は国土保全の促進についてはどうなっているのか。第四点目には、特に災害応急対策として災害復旧の敏速な実施体制というものはどのようにとられているのか。四つの重点的な項目について質問申し上げますので、簡単でございますので具体的に答弁をお願いしたいと思います。
  192. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 防災関係のすべての総括につきましては国土庁がふさわしいと思いますけれども、いま災害復旧等のものまで出ましたので申し上げます。研究関係につきましても、建設省所管、河川、砂防、海岸等、いろいろ毎年鋭意研究テーマを選びまして、その報告が全部国土庁へ提出されておりまして一括まとめたものになっておるわけでございますが、建設省として申し上げたいのは、最後の災害復旧について申し上げます。  災害復旧のことにつきましては、先ほど大蔵大臣が申されましたように、昭和二十六年から決まりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法ができまして、この制度が非常にりっぱな制度でございまして、これをいかに早く実際の災害に対しまして応用するかということで、その後毎年の災害ごとに改善を見たわけでございまして、大臣がおっしゃいましたように、補助等の、河川、道路につきましては三年間でやると、直轄につきましては、道路につきましては一年、河川については二年と、そういうような一定の期間内に行うということと同時に改良復旧に努めるというようなことでございます。特にこの中で災害査定というものがございますが、これはいわゆる、その前に地方公共団体の方から査定用の設計書をつくるということが一番時間がかかるわけでございまして、この辺につきましては、昨年の災害のときにおきましても、各県から応援者を出しまして絶えず技術者を用意しておりまして、全国的な技術者をプールしておりまして、そういうことで大きな災害を受けたところは皆応援に出かけていくと、そういうようなところまできめ細かくやっております。その他につきましては非常に総括的なことになりますので、建設省以外のことがございますので、最後の災害復旧のことだけ御答弁申し上げたわけでございます。
  193. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 防災対策といたしましても、台風の来襲期に備えてのこういう問題一番大きいと思うわけです。そこで、いつも私たちが思うことは、集中豪雨の対策についてでございますが、どうしても気象庁というものが非常に重大な役割りを持つわけでございますが、これはちょっと別な話になりますが、大平大蔵大臣、ちょっと質問いたしますけれども、台風襲来でいつも事故が起きましたときに、集中豪雨とかそういうふうなことで気象庁の予測というものがいつも問題になるわけでございますが、この監視体制の一環として、ちょっと予算面がございますので大臣質問いたしますけれども、たとえばこの災害対策には気象庁というものが中心でやらなくちゃいけない問題が出ております。ところが気象庁の方では五十年度の予算額でも百九億の予算を取っているわけなんですね。その中では、やはり災害に一番関連をする世界気象監視計画の推進の中で静止気象衛星システムの整備を五十二年度ぐらいにはどうしてもやっていきたい、打ち上げたい、こういうふうに目標しているわけです。しかし私は、洋上観測網の整備であるとか、そうして気象レーダーの観測網の整備であるとか、航空機の気象業務の整備、こういうふうなのが百九億ぐらいの限られた予算の中で果たして——災害のために大きな役割りを果たそうとする気象庁が、こういう静止気象衛星システムの整備、これだけの金額の中で、こういう重要ないま申し上げた数点の項目の中で、果たして五十二年度までに静止気象衛星を打ち上げていくだけの予算であるかどうか。まあ、これは年度別にずっとついてくると思うのですけれども、五十二年度までにできて国民の皆さん方の期待にこたえることができるかということについて、過去の経過を見ておりましても、非常に心配しているわけでございますが、その点について、一番の財政の元締めである大蔵大臣として、その点は間違いない、こういうふうな状態なのか、その点だけをお伺いしたいと思います。
  194. 高橋元

    説明員(高橋元君) 気象衛星は現在科学技術庁が宇宙事業団に金を出しまして、そちらの方で星の本体を製作を進めておるわけでございます。その打ち上げに間に合いますところのロケットというのは日本にございませんものですから、恐らく打ち上げは外国に頼んで打ってもらうということになろうかと思います。  いま先生おっしゃいましたように、五十二年に星を上げることができるかどうか、これは技術面もございますし、それからロケットなり星の中に入れますところの観測器械なりの技術的な問題もございますが、その問題は別といたしまして、できるだけ観測衛星なり気象衛星なりというようなものを通じて災害の発生を未然に防止する、予知する、それに対して対策を立てていく。そういう防災関係の予算につきまして、他の施策との権衡もございますけれども、極力関係の役所と相談をして遺漏のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
  195. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いずれにしても、この問題について今度は建設省にお伺いしますけれども、傾斜地関係では防止区域等に対してどういうふうな実態把握をされて対処されようとしているのか。また治山化についてもお願いしたいと思います。防災化等もですね。  局長にお願いしたいことは、時間ございませんので、激甚災害対策特別緊急事業の体制というものが五十一年度から組まれていく、こういうふうな国の計画ですね。ですから私は、ことしの災害、そういうふうな防災面に対してこういうふうな体制が前年と変わってどれだけ寄与できるのか、そういう具体的なプラン、そうして体制等のものを御説明、決意を伺いたいと思います。
  196. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 急傾斜地の崩壊による災害防止につきましては後で保全課長の方から御説明申し上げますが、後段の激甚災害の特別緊急事業について申し上げます。  これは最近における災害の様相を見ますと、先ほど申し上げましたように災害が起こりますと、大体土木施設が壊れるというのが従来の災害の様相でございましたけれども、最近は公共土木災害がなくても一般災害がきわめて多いという事例が出てまいりました。全国的に調べて見ますと、そういう個所が出たわけでございます。また今後ともこういうような災害の発生の場所がふえてくるように考えたわけでございます。したがって、これの根本的な解決というものは河川改修に待つ以外にないわけでございまして、災害復旧に関連いたしまして災害関連事業、助成事業を起こしまして、従来はそういう手法があるわけでございますけれども、この手法も使いませんで、いわゆる本質的な改良事業を進めるということになるかと思いますけれども、そういう場所は大体低湿地でございまして、普通の毎年の雨でも若干水がたまる。したがって再度災害防止という立場から見ますと、従来の河川事業は、五十年に一度とか、三十年に一度とか、いろいろな問題を考えますけれども、絶えず浸水を受けやすくてその被害が甚大である場所を特に指定いたしまして、その地域に対しましての河川砂防、地すべり、あるいはまた林野の砂防も関連いたしますが、こういう一定の選択条件を設けまして、こういう地域の防災事業につきましては、一定の計画を一定期間内に仕上げるべきであろうということで、特にこの制度をつくったわけでございまして、まだそう数は多くございませんし、また多くあると困るわけでございますが、全国にその指定した個所だけは一定の計画を一定期間内に終えよう。大体河川につきましては五年間ぐらいで一つの事業を終えたい、あるいは砂防事業につきましては三年で終えたいということの制度でございまして、これは万やむを得ない一つの処置と私ども考えておるわけでございます。  まあ、治水事業全体の枠が非常にありますと、こういうものに対応すべきでございましょうけれども、やはりほっておけばまたいつすぐ来るかもわからないところについては特に重点的に施工せざるを得ない。そういう考えからこういう激特制度というものをつくらしていただいた。そういう経過がございますので、私どもはこういう制度がないような治水事業をやるのが本質だと思っておりますけれども、現在はやはりこういう制度も活用いたしまして、一般の治水事業、あるいは災害復旧の制度、あるいは激特制度、こういう各種の制度をうまく運用いたしまして今後の治水対策に対処いたしたい、そういうことでございます。
  197. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 急傾斜の問題につきましてお答え申し上げます。  急傾斜地崩壊対策関係といたしましては、現在建設省所管で危険個所を約六万ヵ所というふうに把握いたしております。その個所につきましては、その後の災害の条件等によりましてさらに一部見直しをするというふうなことも現在やっております。しかしながら、法律に基づきます指定個所というのが五十年十二月末におきまして四千七百八十八ヵ所ございまして、まだ微々たるものでございます。これにつきましては、今後積極的に指定地に編入いたしまして、そして地域の管理、いわゆる行政管理におきまして対応し、さらに必要な個所、危険度の高いところにつきましては計画的に順次事業を実施していくという予定でございます。  急傾斜崩壊対策事業の事業費につきましては、従来公共事業が非常に圧縮をうけておりました時期におきましても、人命尊重というふうな立場から非常に積極的に取り組んでまいりまして、三〇%増ということで、五十一年度に対しましても前年対比三〇%増という予算でもって取り組む予定にいたしております。  さらに採択基準の問題でございますが、公共事業といたしましては、保全対象人家戸数が二十戸以上という従来の経緯があったわけでございますが、五十一年度から採択基準を十戸まで拡大するということで対応いたしておりますし、さらに災害を受けました個所につきましては五戸以上の個所につきましていわゆる緊急対策事業を実施するというふうに対応することができるようにいたしております。さらに急傾斜の危険個所が数多いわけでございますので、われわれといたしましては、地方防災計画の中にそういった危険個所を計画的に織り込んでいただきましてそして警戒避難体制の万全を期すべく関係省庁に連絡をとりながら各都道府県を指導しておるところでございます。
  198. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 治山関係について御説明いたします。  治山事業につきましても、昭和四十七年に危険個所の点検をいたしまして、約十二万ヵ所という把握をいたしておりますが、その後も毎年文書あるいは会議等におきまして、災害危険個所あるいは防災施設の再点検ということを命じておりまして、今後とも梅雨時期に備えまして、関係省庁とも連絡を十分にとりながら予防治山その他を積極的に進めるということで対応したいと、こういうふうに考えております。
  199. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま申し上げておりますのは予備費の問題から具体的な地すべり、そういう問題の中で災害期を迎えた日本の国内にあって、関係省庁が防災のためには全力を尽くしていただきたいという立場の中で申し上げたわけでございます。  そこで予備費に返るわけでございますが、厚生省の施設災害復旧費のうち、国立のらい療養所施設災害復旧費の充当分についてお伺いしたいわけでございますが、社会福祉の問題、社会復帰ができない不幸な方々の施設の問題、こういう中で、ちょうど四十九年の七月の六日に台風八号によって長島愛生園ですか、それからもう一ヵ所の光明園という国立らい療養所の二ヵ所が土砂の崩壊二十六ヵ所、建物の倒壊一むね、そうして光明園の方は土砂の崩壊十五ヵ所、金額にして七百四万四千円の災害を受けております。四十九年の七月六日です。閣議決定が十二月の二十四日です。そうして予備費が執行されるのがそれからいわゆる事故発生後、災害を受けてから七ヵ月以上も費やしているわけでございます。私は先ほど大臣を初め大蔵省の方々に、予備費というものが本当に財政法であるとか憲法の条文に従ってその条文どおりに素直に努力をされておられるかどうかという面から、具体的に非常に期日のおくれている面を申し上げたわけでございますが、健全なところが災害を受けて、その復旧よりも——国が一番心配していかなくちゃいけないそういう方々の入っているところが七ヵ月も予備費が使われていないんです。大平さんは、予備費はいろいろ私のあれに答えていただきましたけれども、大体間違いないんだというふうな立場の私はお話に承っているんですが、なげ七ヵ月以上も予備費を適用されないんですか。私はこういう面については本当に該当の庁はこれは厚生省ですね。これがいま大蔵省お話がありましたように、いろんな手続等の、いわゆる財政法の第三十六条の第二項によっていろんな調書がたとえ二ヵ月かかったとしても、その後どこをこの調書がうろうろして予備費が七ヵ月も執行されないのか。  いま時間がございませんけれども、社会福祉のそういう災害によって、本当にある面においては大蔵省からわざわざ社会福祉関係でも財政の繰り延べ措置が指示をされている、補正も組み、予備費も充当した、さあやろうとしているところへ今度は大蔵省から財政繰り延べの措置というものの指示が出ている。予備費と社会福祉の問題、施設という問題、そこへ防災という問題を考えたときに、いまこの一点だけを時間がございませんので申し上げておりますけれども、大蔵大臣、予備費の使用というものがこういうやり方でいいのかどうかということを、本当に大蔵大臣という総元締めの大平さんにこの一点だけを質問をしまして私終わりたいと思います。いま具体例を申し上げましたけれども、社会福祉の施設、来年度に繰り延べをさしたり、七ヵ月もなぜ時間がかからなくちゃいけないのか。これで閣議決定された「予備費の使用について」という項目はみんなうそになる。特に第三項には災害等を取り上げて、そうして緊急に手を打つ——みんな机上の空論になってくるわけです。こういう点について大平さんにお伺いをいたしまして終わりたいと思います。姿勢を聞かしてください、予備費に対するね。
  200. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど一般論として、災害等が起こりましてから予備費の支出に至るまでの手続の運び方につきまして、できるだけ早く国民の側に向いての速度を速め、効率を高めてまいらなけりゃならぬ性質のものであるし、そのように努力してまいりたいということを申し上げたわけでございます。  ただいま社会福祉施設についての繰り延べに関連してのお尋ねがございまして、恐らくこの繰り延べ措置がとられたということは、政府の一般的な経済政策といたしまして、景気が過熱をしてまいった段階におきまして、公共事業全般についてある時期繰り延べるという措置をとったことがございます。しかしこの場合におきましても、私どもは、一般の公共事業の中でも社会保障施設でございますとか、同和施設でございますとか、重症者施設でございますとか、そういったものに対しましては特に繰り延べ措置の対象から除外をいたすというような措置は講じたつもりでございます。一般の経済政策を推進していく場合におきまして、全体の財政運営の速度に調節を加えるというようなことは間々あり得ることでございます。しかし、その場合におきましても、いま言った国民の福祉の観点というものは忘れてならないという御趣旨は体しておるつもりでございます。  しかし、いずれにいたしましてもこれは官庁間の中央、地方を通じてのマンネリズムと申しますか、レッドテープと申しますか、そういうものによりまして事務が渋滞するということは許されないことでございまして、国民の側に立っての事務の促進ということにつきましては、財政当局としても事業実施官庁の協力を得ながら鋭意努力を続けて御期待にこたえてまいらなければならぬと思っております。   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕
  201. 塚田大願

    ○塚田大願君 大平さんもよく御存じのところでありますけれども、ロッキード問題が起きましてから、政治家政治姿勢というものに対しまして国民の目は大変厳しくなっておると思うわけであります。そこで、きょうは二、三点についてお伺いするわけでありますか、いろいろお耳にさわるようなことがありましてもひとつ厳粛な気持ちでお答えを願いたいと思うわけであります。  まず最初にお伺いいたしたいのは、去る二月二十八日、今年度の衆議院の予算委員会におきまして、大平さんに対する質問かございました。稲葉誠一委員からの質問でございますが、大平さんが児玉とどういう関係にあるのかという質問でございました。その節に大平さんは、十数年前のことなんでよく調べてみる、児玉さんのところにある用件で行った、説明しておかなければならない必要があって一回事務所に伺ったということでございましたが、その当時のことはよく調べてみるという約束でこの委員会は終わっておったと思うわけでありますが、その後その事情が公式の場で大平さんから説明されていないように私は考えるわけであります。そこで、きょうは改めてこの児玉との関係がどういうことであったのか、調査の結果をひとつお知らせ願いたいと思うんです。
  202. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 何せ十数年前のことで記録が残っていませんし、何年何月何日ということは記憶にも記録にもないわけでございますけれども、十数年前、私の先輩のことで誤解を解いておく必要があると存じまして、あの方の事務所を訪ねてお話をいたしたことはございます。自分のことではございません。
  203. 塚田大願

    ○塚田大願君 そういう趣旨のこと、いま先輩の問題というのは初めてでございますけれども、訪ねて行かれたと、この前は事務所にお訪ねになったということなんですが、いずれにしてもこちらから出向いたと、こういうわけでございますが、わざわざ、国会議員で、しかも当時は役職についていらっしゃらなかったかもしれませんが自民党の議員があえて訪ねていくということになると、よほどのことだろうという感じがいたしますが、そういうことでございますか。
  204. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私の先輩につきまして、いま物故された方でございますけれども、その方についての誤解がございまして、その誤解は解いておく必要があると私が感じたものでございますから、お訪ねいたしましてお話をして、先方もわかったということでございました。それだけのことでございます。
  205. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうしますと、それ以後は全くつき合いはなかったと、こういうことになるわけですか。
  206. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一切ございません。
  207. 塚田大願

    ○塚田大願君 この児玉がどういう人物であるかはすでにもう国民全部か知っておることでございまして、こういう関係が大変疑惑を生むわけでございますが、いまのお話ですと、その後一回もないと、こういうお話ですからそれはそれとして聞いておきたいと思います。  次にもう一つお聞きしておきたいのは、やはりこの児玉と並んで今度のロッキード事件では大きな疑惑を持たれております小佐野氏でありますけれども、小佐野氏との関係はどの程度のものでございましたか。
  208. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 全然お目にかかったこともございませんし、面識もありません。おつき合いもありません。
  209. 塚田大願

    ○塚田大願君 あの小佐野氏から献金を受けられたことはありますか。
  210. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 昭和四十六年の参議院選挙のときに私が責任者になっておりました候補者が、小佐野氏の関係会社から若干の献金を受けられたことがございます。ところが、その金を処理する方便がなくて、私の後援団体を通して受け払いをさしてもらいたいという希望がございましたので、私が責任を持っておる選挙でございますので、そういう便宜な措置をその団体に依頼してやっていただいたことはございますが、私の後援会、私の後援の趣旨で私の後援会が小佐野氏との交渉は全然ございません。
  211. 塚田大願

    ○塚田大願君 その議員のお名前はどなたですか。
  212. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 当時香川県の地方区から立候補いたしまして、不幸にして落選いたしましたけれども大庭哲夫君でございます。
  213. 塚田大願

    ○塚田大願君 大庭哲夫さんというのはいま問題になっております全日空の前社長ですね。
  214. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) さようです。
  215. 塚田大願

    ○塚田大願君 大庭さんも今度の場合にはいろいろ問題の渦中の一人でありますけれども、とにかくこのいま大平さんおっしゃいました四十六年のこれは上半期になりますか政治資金収支報告にはございます。これは大平さんの例の新産業政策研究会に二百万渡っておると、こういうことでございます。この年は大変おもしろい年なんですけれども、小佐野氏からの献金というのは少なくとも届け出の上では大平さんのところと児玉関係の交風倶楽部という団体、この二つしか献金がないんですね。そういうことで大変目立った献金でございますが、このほかに何か小佐野氏とは、いま面識もないとおっしゃいましたけれども、ほかに全くそういうつき合いというものはないんですか。
  216. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 面識もございませんし、おつき合い一切ございません。
  217. 塚田大願

    ○塚田大願君 それも私はそれとして聞いておきたいと思います。  そこで三番目にお聞きしたいのは、全国塩業政治連盟という団体がございます、この政治団体の代表者を大平さんやっていらっしゃると思うんですが、間違いないでしょうか。
  218. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 間違いありません。
  219. 塚田大願

    ○塚田大願君 この政治連盟は、私どもの調べました限りにおきましては、塩の生産、卸、小売こういう業者で結成している政治団体だと思いますけれども、それも間違いございませんか。
  220. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 間違いありません。
  221. 塚田大願

    ○塚田大願君 この団体が四十九年の下期、大平さんの政治団体であります新産業政策研究会とそれから八栄会、この二つの政治団体に対しまして会費として約千五十万、それから四十七年の下期には新産業政策研究会並びに新財政研究会、これに対して二千百五十万献金をしております。で、前の四十九年の下期の分は会費として出ておりますが、四十七年の下期の分は寄付として出ております。届けられておるわけでありますが、この点も間違いございませんか。
  222. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私の関係しておる政治団体に塩業政治連盟からいま仰せになったような寄付または会費としての払い込みがあったということは承知いたしております。
  223. 塚田大願

    ○塚田大願君 では自治省に伺いますけれども、いま大平さん自身が確認をされました、その献金について。ところが四十九年の下期の千五十万、これは会費として出ておりますから別としまして、四十七年下期の千百万の分は寄付として出されておりますけれども、私どもの調べた限りにおきましては、この新産業政策研究会あるいは新財政研究会の収支報告書では届けられてないと思うんですが、その辺はどういうふうに調べていただきましたか。自治省に。
  224. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 御指摘のこの全国塩業政治連盟から四十七年の下期とそれから四十九年の下期におきまして寄付あるいは会費の名で金が支出されておることは御指摘のとおりでございます。ただ、それが受け入れ側の新財政研究会あるいは新産業政策研究会の収支報告書にどうなっておるかということにつきましては、その旨の記載は見当たらないわけでございます。ただ先生御承知のとおり、旧政治資金規正法では、寄付収入については一々収支報告書に内容を記載するということになっておりますが、会費についてはその内訳まで記載する必要がないということでございまして、そういった意味では、この提出されました収支報告書を見る限りにおいては四十九年下期についてはこれは会費という形のところに入っておりますから、それは全体としての届け出の金額の中には入っておっても個々には届け出がないということだろうと思います。  しかし四十七年下期はどうかということでございますが、これは調べたところ、一応寄付という形では出されておるわけでございますけれども、ただ、いかなる名目で出されておりましても、実質的にその二つの団体の間で、支出側、受け入れ側のそれぞれの団体において、どういった事情のもとに支出をされたのか、あるいは収入をされたのか、どのような約束なり何なりがあったのか、そこのところが私どもの方では定かでないわけでございます。まあ同じような出し方で、一方では会費になっており、一方では寄付になっておるというところもはっきりしないわけでございますが、受け入れる方は、これは全部会費のつもりでとっておられるということもあろうかもしれませんし、そこらのところがはっきりいたしませんので、その点について明確な断定はできないわけでございますけれども、ただ法律上は、ただいま申し上げましたように、会費と寄付との取り扱いは別になっておるということでございます。
  225. 塚田大願

    ○塚田大願君 塩業政治連盟の方からは寄付として明確に届けられていると。しかし受けた方の政治団体、大平さんの政治団体の方は、それを寄付としてはっきり届け出てないと。収支報告書にはそれがないわけであります。したがって、これは当然政治資金規正法違反ということになるのは当然のことだと思うんですが、そこは自治省どういうふうにお考えですか。
  226. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 先ほども申し上げましたとおり、出された書面からは寄付の欄とそれから会費の欄というふうに、同じような金が区分けして記載されておるわけでございます。そこで実態はどうかということでこれは判断せざるを得ないと思うわけでございますが、御承知のように寄付と会費とはこれは明らかに性格が違うわけでございますけれども、それがこの会費であるのかどうかといったようなことにつきましては、支出したものがその当該政治団体の実際の会員になっておるか、あるいはまたその団体の規約等において会員となってこういう義務的経費を支払うんだということにされておるのか、あるいは単なる会員になったときに申し合わせ等があったというような場合もございましょうが、そういった形で、経理の仕方はともかくといたしまして、実際上、それぞれの団体の間での取り決め等によってそれが義務的な会費だということであれば、それは一々個々に出さなくてもいいということでございます。  ただ、おっしゃるとおり、確かに形式上は一方は寄付になっておると。どうして違うんだろうかということが私どもにもわからないわけでございますが、後の方で会費になっておるということからすれば、いずれも実際上会費であったとも思われるわけでございまして、どうもそこのところまでさかのぼって、私どもそれがそのときは寄付であったと、こっちの方は、後の方は会費であったというふうに、どうも明確に差別をつけて考えるわけにもまいらないと。したがって事実上、両方の団体の間でどういう取り決めがあったか、そこの実態を突き詰めないと明確な判断は下しかねるということでございます。
  227. 塚田大願

    ○塚田大願君 政治資金規正法では寄付と会費というものを明確に区別して記載してあるわけでありますから、少なくとも出した方が、これは会費だ、これは寄付だというふうに明記して出してあるわけでありますから、自治省の方で主観的に、いやこれはどういうふうに解釈したらいいのか、どういうふうな取り決めがあったのかなどという主観を交えてお考えになる必要はないんじゃないんですか。寄付というふうに、出す方が出したからには、やはりそういう立場で受けた側の記載をきちっと点検をする。そしてそれがそのようになってないとすれば、法規どおりになってないとすれば、これは違反ということでやはり処置すべきではないかと思うのですが、どうですか。
  228. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) おっしゃる意味もわかるわけでございますが、確かに出した方からは四十七年についてはこれは寄付というかっこうになっておりますから、まあ一方は寄付のつもりで出したのではなかろうかとは思いますけれども、ただ受ける方がここに出しておらないということは、これは従来からやはり会員というつき合いできておったので、それは会費として出されたものだということで受け取って処理をされたということは十分考えられるわけでございます。だから主観で判断するというわけではございませんけれども、まあ一方側の団体と、それから受けた方の団体という場合の認識が違って受け取ったということもあるわけでございまして、そこらのところは出した方の形式的な面から見れば寄付にはなっておる。したがって実質みんなそうであったのを隠したんだということも、これちょっと言いにくい場合もあろうかと思うのであります。受けた方がほかのところと同じように、会費としてほかの団体からも出してもらっておるから、ここも会費だということでとらえたということもあり得るわけでございます。その点が私どもとしてははっきりわかりませんので断定しかねるということを申し上げておるわけでございます。
  229. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこがどうもいまの説明はわかりませんね。ほかの団体が会費だと、だからまあこれも寄付とはこっちでは書いてあったけれども、あるいは会費というふうに解釈したんじゃないかというふうに、大変そうなりますと法律の規定なんていうものはほとんど意味なさなくなりますね、解釈次第でどうにでもなると。こういう拡大解釈を自治省が勝手におやりになるのが私は主観ではないかというふうに解釈するんですけれども、そういうことであっては、私はやはりこの政治献金の問題が今日大変やかましく世論の中でも糾弾をされておるというときに、やはりその所管であります自治省がいろいろな解釈で、そしていろいろの立場をそんたくして、政治家立場をそんたくして、まあああだったんじゃないか、こうだったんじゃないかというふうな解釈判断をされるといたしますと、これは全く法律の規定というものが水増しをされまして意味をなさなくなるんではないか、政治資金規正法という非常に大切な法律の運用が誤ってくるのではないかと思うのですけれども、その点はどうです。
  230. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 法律の規定を厳格に守られなければならないことはもう当然のことでございまして、私が申し上げておりますのも、寄付であるべきものをそうでないというふうな言い方をしておるわけではございませんで、そこにはいろいろな事情もあったわけであろうからその取り扱い方をどういうふうにされたのか、一方の方が私の方は必ず寄付だということを明確に添えて出されてないとすれば、受けた場合は会費だと思って受けられた場合もあるだろうと、だから私は絶対に法律違反だということを明確に断定しがたいという面から申し上げておるだけでございます。しかし、ただいまおっしゃいましたようなこともございまして、御承知のように新しい政治資金規正法では、会費の名目であってもすべて企業から出されるものは、これは寄付としてここに出すようにということになっておりますので、今後は少なくともそういった点は明確になっておるというふうに考えております。
  231. 塚田大願

    ○塚田大願君 そういう新しい法律の精神に基づいてやはりもうちょっと正確にお調べを願いたい。単なる自治省の判断でおやりになるんでなくて、じゃあこの場合には出した方はどういう気持ちだったのか、受けた方もどういう気持ちだったのかという、その辺をよくお調べになった上で最終的な判断をひとつしていただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  232. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 率直に申し上げまして、私どもの立場といたしましては、出させた収支報告書を審査をいたしまして、形式的な不備があればそれは訂正していただいて国民の前に明らかにして国民批判を仰ぐ、そういう形の仕事をいたしておるわけでございまして、実質的な内容に飛び込んで一々チェックをしていくというようなことはやるべきでもないし、またそういう解釈もとりにくいであろうと思います。したがいまして一々各団体の中へ入り込んで中身を調べるというわけにもまいりませんが、せっかくのお話でございますので、当時の事情がわかるかどうかわかりませんが、責任者の方がおられればどういう事情であろうかという程度のことをお聞きするということはできると思います。その点はまあ調査と申しますか、調べてみたいと存じます。
  233. 塚田大願

    ○塚田大願君 まあ相手が大平さんだからと言って、ひとつ遠慮しないで、この際国民の疑惑を晴らすという大局的な立場でひとつぜひやっていただきたいと思うのです。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕 話を続けますが、大平さんにお伺いしたいのですが、ことしの六月一日から塩ですね、食卓の食塩の値上げが行われました。平均八七%という大変大幅な値上げでございます。しかし専売公社なんかに言わせると、八七%と言ったって塩なんかぱくぱくなめるわけでもないんだと、ごく小量しか使わないのだと、だから家計にはどれほどのこともございませんと、こういうふうに軽くおっしゃるんですね。ところがやっぱり食塩というものは、塩というものはもう人間の生存に欠かせない、食卓に欠かせないという、そういう存在でございますから、やっぱり八七%の大幅値上げというのは大変なことだったと思うのですが、この値上げの認可をされましたのは大蔵大臣大平さんだと思いますが、その点間違いございませんね。
  234. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのとおりです。
  235. 塚田大願

    ○塚田大願君 私のところに当時の記録がございますが、昨年の八月の二十五日に塩業団体が大平さんのところに大幅値上げの陳情に見えました。当時は大体二倍以上値上げをしてもらいたいという、こういう陳情でございましたが、この陳情団の中には当然のことかもしれませんが全国塩業政治連盟も来ておられる。その会計責任者であります今城彰男さんなどが大平さんに陳情に来ているわけであります。当時の塩業新聞、専売新聞にも出ておりますが、いま申しました八七%の値上げというのは、要するに受ける側、大蔵大臣大平さん、陳情をする側が大平さんが代表者であり会長である塩業政治連盟と、こういう形になっているわけですね。そうしますと、この八七%の値上げというのは大平さんとその身内が集まって決めたんだと、こう言ってもいいぐらいのことだと思うのですが、そういうことになりますと、大平さんがその地位を利用したという疑惑が持たれても仕方がないことではないかと思うのですけれども、この点につきまして大平さんはどういうふうにお考えでございますか。
  236. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は大蔵大臣としてなすべきことをいたしたと考えております。
  237. 塚田大願

    ○塚田大願君 よく聞こえなかったんです。
  238. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大蔵大臣の職責上なすべきことをいたしたと考えております。
  239. 塚田大願

    ○塚田大願君 大平さんは当然のことをやったまでで別に地位利用ではないと、こういうことをおっしゃりたいのだと思いますが、そうですね。ところが先ほど問題にしました四十七年の七月に大平さんの政治団体が献金を受けられた。そのたった十日後に大平さん——当時外務大臣だったと思いますが、四十九年の七月です。四十九年の七月十六日に大蔵大臣に就任をされております。いまもお伺いしたんですが、大蔵大臣というのは塩の政府の買い入れ価格あるいは売り渡し価格の決定、認可権を持っておるわけであります。大変な権力を持っていらっしゃるその大平大蔵大臣がその塩の政治団体から献金を受けているということになりますと、これはやっぱり地位利用したという疑惑を持たれても私はやむを得ないんじゃないかと思います。  それから、そういう四十七年の下期から四十九年の下期にかけて食塩の公社買い入れ価格もやっぱり値上げされておりますね、四十九年の四月でありましたか、四〇%から五〇%近く値上げがされておる。ちょうどそのころに一方では大平さんの政治団体がその塩業団体から献金を受ける、こういうかかわり合いを見ますと、どうもやはり大蔵大臣が自分の地位をうまく利用して自分の団体の要求をうのみにしている、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、そういう事実が明らかになっても、なおかつ大平さんはみずからの行為に対して何らやましいところがないんだと、反省するところはないんだと、当然のことをやっただけだというふうにおっしゃられますか。もう一度その辺をお聞きしたいと思います。
  240. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 塚田さんに申し上げておきますけれども、私は政治資金を収受いたして政治活動をいたしておりますけれども、地位を利用して政治資金の強要をするというようなことはかりそめにもいたしたことはございません。そういう国民の皆さんが全く純枠に自発的に浄財のコントリビューションをしていただけると、それがそんなに無理なものでない限りにおきましては収受さしていただくということに終始してきておるわけでございます。地位を利用して政治資金をいただこうなんというさもしい根性は毛頭持っていないのであります。  もともと塩業関係でございますけれども、私は讃岐に生まれまして、当時は塩を炊く煙の中で子供のとき育ったわけですね。それでいまは塩業というのはなくなってしまったわけでございますが、世の中が移り変わりまして、いまでは塩業王国から塩業が消えたわけでございますけれども、盛業をきわめておった当時からいまなくなるまでの過程、塩業者の皆さんといろいろ苦労を一緒にしてきたわけです。いろんな思い出を分かってきたわけでございます。大蔵大臣になる前からこれはずっとやってきたわけでございまして、今後も塩業者との友情というものはやはり続けていかなければならぬと考えておるのです。一昨年の七月の十六日にたまたま私が大蔵大臣になったわけでございます。これは後から来た話でございまして、なった以上は大蔵大臣としての職責を果たしていくわけでございます。大蔵大臣としては専売公社を監督する立場にあることは仰せのとおりでございまして、専売公社が塩の収納について責任を持ち、塩の収納価格を決めておるわけでございます。全体として大蔵大臣が専売公社を監督しておるという立場にあることはもう申すまでもない、あなたに御説明するまでもないと思います。
  241. 塚田大願

    ○塚田大願君 大平さんが私はそういう地位を利用するようなさもしい気持ちは持っていないのだということをおっしゃる。それはそれとして私も聞いております。  確かに政治家が浄財をもらうことは、これは別にどうこうと申し上げているわけではないんです。ですから主観的には大平さんがそんなさもしい気持ちでやっていらっしゃらなくとも、やはり認可権、許可権を持っておるという大蔵大臣が、胸先三寸で価格を決定するような地位にある大蔵大臣が、塩業団体の代表者もやっている、そこの陳情を受けて価格を決定する、この関係は一般国民から見たらどうしたって納得はできないんです。もちろん大平さんは讃岐の生まれで、子供の時分からのともに苦労した連中だとおっしゃる、それはわかります。私も讃岐の辺はよく知っております。昔の塩田の苦労というものは大変なものだったろうと思いますが、だからと言って今日大平さんは大蔵大臣という大変な権力の座に座っていらっしゃる。そういう人がこういう団体から献金を受けるというのは、やはり一般の国民から見れば何だと、あれは地位利用じゃないか、こういうふうに見ても私はとがめるわけにはいかないんじゃないかと思うのです、常識として。  しかも全国塩業政治連盟というのは、先ほど申しましたように、塩の生産業者、卸売業者、小売業者の組合なんですけれども、もう塩業関係というものはみんな中小企業ですね。大きな会社が七つあると言われる。しかし、それもほとんど全部二百人以下の中小企業でしょう。大きいので二百人程度ですから、もっと小さいので言ったらもっと小さいかもしれない。そういう中小企業から、わずかな塩の、さっき言いましたように値上げしたと言ったって、それはどれほどの違いがあろうとも思えない、そういう中小企業から政治献金を黙って受け取るというそのこと自体が、私は政治家としての政治的、道義的問題があるんじゃないかと思うんです。もちろん法律的には別に違法ではないかもしれないですよ。しかし政治的、道義的に考えて、どうしてもそこが、まあ言うならばそういう中小企業から政治献金を巻き上げると言ってもいいようなやり方ではないかと思うんですが、そういう意味でやはり私は疑惑は残ると、こう申し上げたいんですが、(「勤労者……献金もらっているじゃないか」と呼ぶ者あり)それはまた別の話だよ。政治家は——こういう大蔵大臣のことを聞いているんだ。雑音を余り出さないでくれ。どうですか大平さん、そういう点で、そういう中小企業から大平さんが献金を受けるということです。それについての道義的、政治的な何か責任は感ぜられませんか。
  242. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 塩業政治連盟から私の後援団体が政治献金を受けたことはあなたが指摘されたとおり事実でございます。その後、私は大蔵大臣になったわけです。だからあなたの立論を整理すると、それは大蔵大臣にならぬ方がよかったということです。大蔵大臣にならぬ方がよかったか、大蔵大臣になったらもう塩の値上げなんかやらぬ方がよかったか、どっちかだと思うのです。私はどっちも間違いだと思うのです。ただ問題は、私はあなたがすでにそういう事実を知って、国会でも取り上げて公明な議論をしていただいておるわけでございますから、私は政治家として、また大蔵大臣として正しく行動しておるかどうかということを国民に公正に判断していただくということでよろしいんでないかと思うんですね。私も気をつけて行動するつもりでございまして、あなたから御指摘を受けるまでもなく、私の名誉は私が守らなければならぬわけでございますので、私自身、自分で気をつけておるつもりでございますが、国民の公正な判断に待ちたいと思うんでございます。
  243. 塚田大願

    ○塚田大願君 自分の名誉は自分で守ると、これは当然のことなんで、ところが多くの政治家がみずからの名誉をなげうっているような現状があるから、いまこういう政治献金の問題に対しまして国民が大変厳しくこれを批判している。私がいまここで名前を挙げるまでもないでしょう、たくさんいらっしゃる。ロッキード問題でもたくさん名前が出ておる、まあこういう状態であります。  とにかく私が申し上げるのは、あなたが大蔵大臣になったからいかぬ、あるいはとかなんとかということを言っているんでなくて、まあ大蔵大臣になるころその値上げはする、そして今度もまた八七%という値上げをなさる。しかもなおかつ大平さんはその塩業団体の代表者としてやはりちゃんといまでもやっていらっしゃる。こういう二足のわらじというんでしょうか、両方の役割りを使い分けると、こういうことになるんじゃないんですか。業者の団体の代表者である。片一方は大蔵大臣である。で、業者の陳情を受ければ値上げも認可すると、こういうことになりますと二足のわらじですよ。これがやはり疑惑を私は招くゆえんではないか。大平さんはそんなけちなことをおれは考えているんじゃないとおっしゃる。確かに献金額はそう莫大な何十億、何百億なんというものではないんだから、それはそういうふうにも言えるかもしれませんよ。しかし、そういう二またといいますか、二足のわらじというんですか、そういうことをやっておるから私は疑惑を受けるのではないか、そして地位利用だと言われるんではないかと一こういうことを申し上げているわけですよ。特に今度の起きておりますロッキード疑獄はいわば行政権限を悪用して利権あさりをやった性格がきわめて濃厚ですよね、御承知のように。トライスターの場合でもPXLの場合でもそうでしょう。時の権力者が外国の企業から賄賂をもらって何か指示をしたんではないかというのが疑惑の大もとでしょう、一番。灰色の政府高官の問題もそこから出てくるわけでしょう。ですから、そういうことから見ますと、政府の認可権、決定権を持っている公共料金ですね、塩のような、この公共料金と政治献金の絡みということもやはり全く異質のものではなくて、いわば同質のものです。額が小さいと団体も小さな団体だと、だからこれは構わないんだということになれば、ロッキード疑獄の問題だって私は同じ論法でまかり通ると、こういうことになると思うんですよ。ですから私は、そういう意味でこの大平さんの政治的な道義的な責任は非常に大きいと。こういう立場から率直に申し上げますけれども、私は大平さんがあえて潔白なんだとおっしゃるならば、私はこういう政治連盟の代表者の地位をおやめになるべきではないかと。そうすれば私は大蔵大臣として厳正に公正にやっておるんだということも言えるかもしれませんが、一方ではそういう団体の代表者もやっておるということでは、やはりこれは問題は解決しません。疑惑は解決しません。だからここですっきりそういう点も、私はもうはっきりやめると、そんな疑惑を持たれているんだったら、痛くもない腹を探られても困ると、私はそういう団体の役職はやめます、こうおっしゃれば非常にわかりいいと思うんですけれども、その辺はどうです。
  244. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大蔵大臣になりまして、いろいろな役職をやめておるわけでございますが、政治連盟というのは私まだやっておるのかやっていないのかまだよく調べておりませんが、もし調べまして、現にそういうことでまだ責任がある立場におるといたしますならば、そしてまたそういう疑惑を私が持たれる筋合いのものではないと思いますけれども、そういう疑惑のことはまあ遠慮した方がいいということも理解できますから、私はそういう潔しとしませんから、政治連盟の責任者というような地位は遠慮いたしたいと思います。
  245. 塚田大願

    ○塚田大願君 大平さん、やっぱり大平さんぐらい偉くなると自分が何をやったか余り記憶がないようですが、ことしの四月二十七日の官報に各政治団体の代表者、会計責任者の名前か全部出してありますから、この官報にちゃんと大平正芳と書いてあります。だからやっぱり私は問題にするんです。こういう公式の役職ですから、そしてそれがどんどん塩の値上げを許可をしている、おかしいではないかということになるわけでして、そういう点で私は政治家政治姿勢、特に大平さんのように自民党の一派の領袖をなすっている方が、そして主要な閣僚の地位にあられる方が、とにかく瓜田にくつを入れず、李下に冠を正さずということぐらいは私は当然考えるべきだと思うんで、ですからあえて私は苦言を呈するわけですが、こういう疑惑を持たれるようなことはすっきりおやめになるべきであると、こういうふうに提言をしたわけですが、大平さんもその点は理解されたようでありますから、私はこの問題はこのぐらいにしておきます。  なお私、まだほかにもいろいろお聞きしたいことがあったんですけれども、時間が大変中途半端になりましたから、きょうはこれで終わります。
  246. 青島幸男

    青島幸男君 私も時間が大変限られておりますので、ただ一点だけかねて疑問に思っております点をお伺いしたいと思うんです。  大蔵大臣、大変しつこいと思われるかもしれませんけれども、かつてお伺いしました問題をここでまた蒸し返さしていただきますけれども、政治家個人で受け取った政治資金はその個人の収入として総額を一応明らかにすべきではないか。そのうち控除されるもの、あるいは必要経費として認められるものは無論それはそれでいいんですけれども、一回総額を出すというようなかっこうにしないと、一般の国民の方々の疑惑がますます深まるんではないかというお話を申し上げました。その際に、大倉主税局長答弁では、政治資金として受け取った収入金額から政治活動に必要な経費を差し引いて、残りがなければ届け出しなくていいんだというお答えをいただいたんですけれども、収支相償ってゼロになってしまえば届け出しなくていいということになりますと、商売をしたんだけれども利益がなかったら届けないよということになってしまうんではなかろうか。それはそれでいいかもしれませんけれども、長年にわたって営業を続けておりますと、ことしに限って、去年あんなに利益があったのに、ことしはないのはどういうわけですか、じゃ、それに見合うだけの証拠書類を添付してその書類を明らかにしていただきたいということを求めるわけでしょう。ですから一般の商社とか個人の営業者に対してはそういうことをしておいて、議員さんについてはそれを求めないというのはどういうわけなんだろうという疑問が一方にわくと思いますけれども、この問題についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  247. 横井正美

    説明員(横井正美君) 先日予算委員会でございましたか、青島委員の御質問に対しまして大倉主税局長からただいま御披露されましたような答弁を申し上げたわけでございます。政治家政治目的のための収入から生ずる所得、これが雑所得であるということにつきましては、古くから私どもそのような解釈、扱いでまいっておるところでございます。その場合におきまして、政治目的のために使った支出が多くて残りがないか、あるいは赤字になったという場合に申告の必要がないということで、同様に長い間やってきておるわけでございます。  そこで事業所得の場合はどうかというお尋ねでございますが、事業所得の場合も、たとえば個人の零細企業でございまして赤字になりましたと、あるいは課税最低限以下でございますというふうな場合には申告の必要がないということになっておるわけでございます。ただ御承知のように青色申告でございますと、赤字を翌期に繰り越しましたり等の前後期の関係ございますからそういう御申告をいただくということがございますけれども、いわゆる白色申告の場合におきましては、いま申しましたように所得がなければ申告の必要はないということでございます。そのような場合に国税当局としてはどのような管理をしておるのか、それでは不便ではないかということでございますが、私どもといたしましては諸種の資料を収集して納税者の管理と申しますか、やっておるわけでございますので、そういうことから、もしそれが過少申告であるということでございましたならば調査をする、こういう体制でございます。したがいまして政治家の雑所得についてだけ異例な扱いをしておる、こういうことではないわけでございます。
  248. 青島幸男

    青島幸男君 おたくの方で納税の手引きと申しますか、まあ解説パンフレットと申しますか、配付していらっしゃいますね。これによりますと、「政治資金にかかる所得の計算上控除される必要経費になる」という部分があるんですよ。必要経費というのをどういうふうに解釈していらっしゃるのかということが大変に私かねがね疑問に思っているんですけれども、税法上で言うところの必要経費というのはどういうものを指すわけですか。
  249. 横井正美

    説明員(横井正美君) 税法ではその収入を得るために直接必要な経費と、こういう定義にいたしております。これと政治家のいま御指摘のパンフレットに書いております必要経費の幅と申しますか、若干抵抗があると申しますか、そういうことは私ども感じておるわけでございます。ただ政治家の方々の実態を拝見いたしておりますと、ただいま御指摘のパンフレットにございます項目が政治家政治活動として実際に使われておるという実態がございます。それが望ましいかどうかというふうなことは、政治問題としていろいろ議論はございましょうけれども、現にそれが政治目的で支出をされておる、それがなければ当選ができない、したがって政治家としての歳費なり、あるいはまた政治資金の収入を得られない、こういうふうな考えが現在の実態に合っておるということではないかと思います。そういうことから御指摘のパンフレットに書いてありますような経費で、政治目的のためのものであれば経費に認めますということにいたしたわけでございます。  なお御承知のとおり、そこに注書きがございまして、私的に使われましたものはだめでございますよということは当然のことでございますが、市川委員等の御指摘もございまして、ことしの三月確定申告前にお配り申します段階で特に明らかにしたという事情になっておるわけでございます。
  250. 青島幸男

    青島幸男君 それがわからないんですよ。実は必要経費の問題ですけれども、「当該総収入金額を得るため直接に要した費用」を必要経費と言うんでしょう。そうしますと、確かに政治活動をするために必要な経費かもしれませんけれども、政治活動をすることは収入を得ることを目的として政治活動をするわけじゃないわけですね。ですから税法上で言う必要経費には当たらないでしょうというわけですよ。それを一緒に考えているのはきわめて間違いなんじゃないかという考え方です。それは確かに事務所を構えたり、専従の事務員さんを置いたりすることは必要だと思いますね。しかしそれは自分の政治的な主張を遂げるために必要な経費であって、そのことによって収入を得ようと思っているわけじゃないわけですよ、政治家は。だから自分の考え方、政治政策、政治信念あるいは政治の政策目的を明らかにするために必要な経費ではあるけれども、その当該総収入を得るための必要な経費ではないですよね。それを混同されてこういう文章になっているのはきわめて基本的な間違いではないかという気がするわけですよ。それはいかがですか。
  251. 横井正美

    説明員(横井正美君) ただいまの御指摘ごもっともな点もございまして、かねがね市川委員等からもそういう御質問等があったことを記憶いたしております。  税法におきまして、なお詳しく申し上げますと、「総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。」、こういう表現でございます。したがいまして、まあ青島委員のおっしゃいます政治目的で使ったお金というものか、歳費なり政治資金を得るために直接ではないではないかという点も確かに感じるわけでございますけれども、しかしながら政治家の業務に関連して要した費用だということは一曹えるわけでございます。まあ先ほど申し上げましたように、政治家の実態を拝見いたしておりますと、政治家の事務所費用、秘書の費用等のほかに、政治活動に関する交際費とか、あるいは接待費とかというふうなことがかなり多額に必要だというのが実態のように拝見いたしておるわけでございますし、またそのようなものがなければ、政治家としての当選でありますとか、あるいはまた議員の地位が得られないと、こういう問題に関連いたす問題でございますから、やはり直接要する経費あるいは業務に関連ずる経費だというふうに考えてまいりますのが現在の実態に合っておるんじゃないかと、こう思っておるわけでございます。
  252. 青島幸男

    青島幸男君 これは大変な間違いでしてね、そんなこと一つも法文には書いてないですよ。そういう実態があるからそういう扱いをしておりますというんだったらそれ全く間違いですな、あなた方のやっていることは。政治家政治目的のために何かをするというのは、あなたのおっしゃることを言いますと、この必要経費ということを条文どおりの解釈で考えますと、政治資金という収入を得るために必要な経費なわけですか。政治資金を得るということが主たる目的である、そういう営利目的でふだん事務所を構えたり、政策宣伝をしたりして政治活動をしているんだということになりますよ、あなたのいまおっしゃったことは。それが実態なんですか。ですから、つながってくるかもしれませんよ、確かにあなたのおっしゃるように。しかし、「当該総収入金額を得るため直接要した費用」ということを明確にうたってあるわけですよ。いかに実態に即そうが即さなかろうが、そういうふうな拡大解釈をしたり、いいかげんな解釈をして執行していいわけですかね。必要経費じゃないですよ、これは。税法上の条文による。確かに政策を、あるいは主張を周知徹底せしめるために必要な費用であることは確かですよ。そのための必要な経費であることは確か。しかし、それが即税法上の必要経費には当たりませんよ。御理解いただけませんか、この点は。
  253. 横井正美

    説明員(横井正美君) まあ御指摘の点はよくわかるんでございますけれども、政治家の収入を得るためにそれが直接必要だったとは言えませんかもしれませんけれども、しかし政治家という業務に関連して生じた費用だというふうには当然考えられるわけでございまして、その辺から実は古くからそういう解釈で運用してまいっておるということ、御承知のとおりでございます。
  254. 青島幸男

    青島幸男君 古くから運用してても間違ったものはやめた方がいいですよ。間違った解釈と間違った運用の仕方ですよ。たとえば、じゃこういうことはどうですか。私が青島幸男を激励する会という会をつくっていただきまして、そこで一万円会費のパーティーをやりますね。そうして百人の方にお集まりをいただいた。百万円の総収入があります。しかしそのお集まりいただくために配ったパンフレットあるいは借りた会場、飲み食いに供した金額、これは五十万あったとしますね。これはその百万円という総収入を得るための必要経費ですね。ですからこれは確かに控除してしかるべきだと思いますね、必要経費でしょう。あと残った五十万円、これは何なんですか、じゃあ。そういうふうに分けて考えていきますと、その全く違ったものになってきますよ、必要経費というのは。
  255. 横井正美

    説明員(横井正美君) ただいまの申されました例は、この百万円の収入からパーティー費用の五十万円を差し引いた残り五十万円がいわゆる雑所得の収入となるべき金額だと、それを青島委員政治目的にお使いになったということでございますならば、で、かつ五十万以上お使いになったという場合には所得はなくなると、こういうことになるわけでございます。
  256. 青島幸男

    青島幸男君 そこが問題だというわけですよ。それだったら総収入を一たん明らかにして、どなたさんもそうやっているように一たん明らかにして、で、これだけは政治目的に使いましたよということを明確にしないと、一般の納税者の方々と全く違ったかっこうで取り扱いをすると、一般の方々の納税意欲をいたく刺激することになるし、減殺させることにもなるし、それからつまらない疑惑を持たれる結果になるじゃないかということを言っているわけですよ。ですから一回受けたものは、総収入は総収入として明記すべきだろうということをかねがねから私は申しておるわけですよ。そうしないと、必要経費という言葉も、法文上の意味から全く離れたことにこれ使われているわけですから、これは全くナンセンスな話になりますよ。その点はどうですか。
  257. 横井正美

    説明員(横井正美君) 先ほどもお答えしましたように、政治家の雑所得だけを特別な扱いをするというわけにはまいらないと申しますのが税の考え方でございます。で、その場合におきまして、たとえば青島委員承知の確定申告書の様式をごらんいただきますと、雑所得の欄につきましては、収入金額、必要経費差引所得額というふうな欄になっておるわけでございます。したがいまして政治家の方々が雑所得がおありになる場合におきまして、幾ら収入があり、幾ら必要経費があり、差し引き幾ら所得がございましたということで申告をいたすことはもちろん望ましいことでございます。しかしこれは赤字の場合には必要がないということになりますし、また黒字の場合でもそれをどの程度まで明確にするかということは強制できるものではないという現行税制になっておるわけであります。  私どもといたしましては、政治家の方々からいただきました申告について申告審理をしまして、いろいろな角度から検討した上、必要な場合には調査をいたすということにしておるわけであります。その場合におきましては、収入支出という損益面と申しますか、そういうやり方のほかにいわゆる財産増減といいますか、そういう面もあわせて調査をいたしまして政治家の税を重視してまいると、こういう所存でおるわけでございます。
  258. 青島幸男

    青島幸男君 だから総収入を一回出してくれた方が望ましいといまあなたおっしゃいますね。そのとおりですね。だからといって特例を設けているわけじゃないでしょう、議員さんに。だったらそうすべきじゃないですか。一回総トータルを入れて、で、これからここは政治活動に使って収支ゼロだからという話にしたらどうですか。望ましいならそのようにしたらどうだということなんですよ。そうじゃないと、収支相償ってとんとんで利益が残らなかったからもういいんだというようなことでは国民のだれ一人として納得する人はいないと思います。  それからもう一つ、翻って考えますと、先ほどの必要経費ですけれども、どうしてもこの必要経費という言葉がここにあるのは納得できないです。これはどうしましょうね。あなた方のおっしゃる必要経費というのは、総収入金額を得るための直接に要した費用ですから、そうすると政治家が事務所を持ったり、人を雇ったり、自分の政策宣伝をしているというのは、利益を得るためにやっているわけじゃないでしょう、直接。当然政策宣伝をするから票が集まって当選もするでしょうけれども、営利目的でやっているように考えなければ必要経費という概念は当てはまりませんよ。そうすると、あなた方のお考えでは政治家というのは日常事務所を構えたりして、政治資金をもらったり、あるいは議員歳費をもらうための営業活動として議員やっているというようにお考えですか。そう考えないと必要経費にならないわけですよ。
  259. 横井正美

    説明員(横井正美君) その点、まあ古いことで恐縮でございますけれども、四十一年ごろでございましたと思いますが、田中彰治事件に関連いたしまして、政治家の所得とは一体いかなる性格のものかとか、あるいはその経費というのはどう考えるべきだとか、あるいは申告の仕方等はどうかとか、いろいろ議論がございました際に、いまお話しのようなことも議論になったように記憶いたしております。そこで、おっしゃいますように、確かに必要経費論というのを政治家政治活動と結びつけるのは若干抵抗があると、こういう議論ももちろんあったわけでございます。しかしながら現行税制では、御承知のような所得の種類があり、その場合においては必要経費を差し引く残りが所得だと、こういうふうな考え方で来ておりますので、古くから政治家政治収入からの所得は雑所得だという考え方、それから現行税制、その辺をいろいろ議論いたしまして、先ほど御異論はあるというお話は伺っておるわけでございますけれども、政治家としてやっていくために必要な費用、それは必ずしも収入を得るということと直接結びつかない面が確かにおっしゃるようにあるかもしれませんが、そういうふうなものを必要経費として差し引くということでやっていこうと、こういうことになったと、こういう経緯であることを申し上げておきたいと思います。
  260. 青島幸男

    青島幸男君 古い話や経緯はどうでもいいんですよ、この際。法律にきちっとのっとって事が行われてないということを、国民のひとしく疑問に思う点ですから、古い話はそうなっているとか、現行そうなっているとかはいいんですよ。きちっと法律にのっとって運用できるように考えてくださいよ。どうしたらいいんですか、これは。
  261. 横井正美

    説明員(横井正美君) 税制の問題にも関連いたしますので、私からお答えするのが必ずしも適当でないんでございますけれども、しかしながらお話の点は、私の個人的な考えでございますが、多くその政治としての問題、あるいは政治モラルとしての問題というふうなことになる分野が多いのではなかろうかと考えるわけでございます。税の議論といたしましては、先ほど申し上げましたように、赤字の場合に申告をいただくというのは考えられないわけでございますから、したがって政治家についてだけ赤字の場合も収入支出を明記すべしと、こういう税制は成り立たないと思いますし、また政治家の雑所得についてだけ特別に変わった税制をつくるということも非常にむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  262. 青島幸男

    青島幸男君 しかし利益がなかったと、マイナスだった、あるいはゼロだったということを判定するための証拠書類を添付したりさせられているわけですよ、一般の人はね。そうでしょう。ことしは商売したけれども全然利益なかったから届けないよ、で済みますか。それでいいんですか、一般事業所も。
  263. 横井正美

    説明員(横井正美君) それは先ほども申し上げましたように、白色申告の方でございますならば、赤字であったと、あるいはまた課税最低限以下であると、こういう場合におきましては申告をいたさなくても結構ですと申しますか、むしろいたさないんでいいんですよということを私どもの方から納税者の方々にPRもさしていただいているというふうなことになっておるわけであります。
  264. 青島幸男

    青島幸男君 必要経費の問題はどうなりますかね。あともう残り時間わずかになりましたけれどもね。必要経費という考え方を変えない、あくまで変えないとしますとね、先ほど私がるる申し上げたようなことになりますよ、政治活動というのは。いままでどういう議論があったからどうだとかということではなくて、確かに事務所を構えたり人を雇ったりするのは、政策宣伝をする、票を集めるために自分の考え方を一般の方に知っていただくための必要な経費ではありますよ。しかし、それは直接政治献金をもらったり、あるいは歳費をもらうためにやっているわけじゃないわけでしょう。それを混同して、必要経費というものは政策宣伝のための必要経費というのと、それから収入を得るために使った必要な経費というのを混同して考えているところに問題の間違いの基本があるんじゃないかということを言っているわけですよ。これ一緒に考えるととんでもないことになりますよ。  大蔵大臣、どうでしょうね。いま私の言っていることは乱暴な議論だと思いますか。あるいは納得のいく話だと思われますか。つまり必要経費として考えてはいけないんだということですよ、政治活動の資金は、資金の用途はですね。確かに政策宣伝のために必要な経費ではあるけれども、収入を得るための直接の経費ではないわけだから、税法上で言うところの必要経費には当たらないだろうということを言っているわけですけれども、大臣はどうお考えになります。
  265. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 間違っておったらまた青島さんに訂正してもらいたいのですが、私はあなたの問題意識の中には、単なる税法問題として問題をとらえられておるんでなくて、やっぱり政治のモラルというか、があるんだろうと思うのです。政治姿勢の問題が根本にあって、そしてそれについて税法上の取り扱い方が、現に横井次長か説明したような取り扱い方がおかしいじゃないかという点に疑問を持たれておるんだろうと思うのです。問題はしかし、どのような制度にしましても、あくまでやっぱりこれは政治家のモラルがしっかりして、ちゃんと確立しないと、税自体もうまくワークしませんし、政治のモラルが確立しないわけでございまして、やっぱり私は、この問題は税法に期待するというのが少し無理じゃないかと思うのです、税法にこの問題の解決を期待するのは。そうでなくて、この前の予算委員会の最後にも、あなたとお別れするときにちょっとその点について申し上げたわけでございますけれども、やっぱり政治資金規正法とかいう法領域とは別な次元の立法政策の問題があるんじゃなかろうかと、それからもっと言えば、そういう立法の問題でなくて、お互いの政治家としてのやっぱり根本的なモラル——モラルなんだからもう法律かあろうとなかろうと、われわれはどうして民衆の期待にこたえるかという基本的な姿勢の問題でございますから、法律がどうあろうとこうあろうと、というより前の問題なんで、それがまず基本的な姿勢だろうと思うので、しかし立法政策の問題として責島さんの問題意識を取り上げようとすれば、税法の問題でこれを取り上げて横井さんといろいろ議論を交わしても、これは非常にテクニカルな議論に終始——必要経費がどうのこうのという議論に低迷してしまうんじゃなかろうか。問題は、もし立法政策として取り上げるのであれば、やっぱり政治資金規正法——規正法というか、何か別な立法が要るんじゃないかというような感じが私はするんですけれどもね。まあこの問題はあなたもお考えいただくし、私もまた考えさしていただきたいと思います。
  266. 青島幸男

    青島幸男君 確かに大臣おっしゃるように、基本的にはモラルの問題だと思います。しかし、そのモラルについて国民の信頼が残念ながらないわけですよね、いま。ですから法の上で明確にしておいて、だれから見ても納得のいくようにしておいたら一番いいんじゃないか、これはもう御異論ないと思います。ですから、もしこのまま続けるんだったら、所得税法をやっぱりある意味で変えなければならないかもしれないですね。あるいはこのままいくんだったら、やっぱりもっと明確にして、いままでの議員さんの申告をもう一回改めてやり直していただくか、どちらかにしなければならないと思います。  ですから、これ以上またあなたと法理論を繰り返しても仕方がありませんから、問題提起というかっこうであなた方も十分にお考えいただきたいと思います、私がいま申し上げましたことを。次の機会に、改めましてどういう結論を出したら一番皆さんに御理解いただけるのかということを、私も考えますので、大臣も含めまして皆さんでひとつお考えいただきたいと思います。
  267. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 他に御発言もないようでありますから、予備費関係十三件並びに大蔵省と、それに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算につきましてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会      —————・—————