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説明員(
大塚博比古君) お答え申し上げます。
先生御
指摘のように、国連大学設置の構想は、一九六九年に故ウ・タント国連事務総長が提唱されまして以来、今日やっと実現の運びに至った長い経緯がございますんですが、その間に、最初にウ・タント総長が提唱されました構想が、その後、国連総会の審議あるいはユネスコにおける審議等を通じまして、当初の構想が若干変更になりまして、現在国連大学憲章に決まったような構想に変遷していったわけでございます。したがいまして、その間におけるいろいろな変遷には、それぞれの専門家のいろいろな
意見を十分にしんしゃくして今日のように決められたわけでございますけれ
ども、最初の御質問の、なぜ
日本が非常にこれに熱心に誘致を求めたか、これらに対する御質問に関しましては、一般論といたしまして、
日本政府は平和外交というものを国是とする国柄から、特にこの国連大学設置の問題につきましては、こういった知的な側面から全人類が直面する資源、公害、南北格差、そういった問題の解決に
世界の頭脳を結集いたしまして貢献しよう、こういった高い理想を掲げているわけでございますけれ
ども、こういった理想を推進することこそ
日本の国連外交あるいは平和外交を推進するのに最も適当な次第であると考えて誘致を進めてまいったわけでございます。
それから第二の御質問だったと思いますが、それでは
日本以外の国が、特に欧米の先進国がどうしていままでのところそれほど熱心ではなかったのかという問題でございますが、この問題は、まさに大学自身の構想が先ほ
ども申し上げましたように当初の構想から現在の構想に至るまでに若干の変遷があったということ。そういったことに対する理解といいますか、
各国の理解、これももちろんわれわれも非常に極力理解の開発には努めているわけでございますけれ
ども、そういったことがまだ十分徹底をしていなかったきらいがあることは事実でございます。大変残念でございますけれ
ども。
それからもう
一つ、そういった現在考えられております国連大学の構想というのは、非常にいわば大学とは申しまするものの、いわゆる既存の大学というイメージとは
大分違った機能、そういったものを持っておりますことから、なかなかまだ
国際的になじまないという点も実は
指摘されるのじゃないかと思います。こういう点も、先ほど申し上げましたように、われわれの今後の
努力にまつところが非常に多いわけでございます。したがいまして、大学が発足したものの、まだ本当の大学というものの機能というものが理解が至っていない。それは
一つにはこの大学が発足したばかりでまだ本格的な活動を開始するに至っていないということにもある。結局うらはらの
関係にあるわけでございますけれ
ども、この間、
先生御承知のとおり
国際的にいろいろな
経済的な変動がございまして、
各国の台所が非常に苦しいという問題のあったことが、たまたま時期が重なったということも事実でございます。しかしながら、
政府としては、この大学というものは本当の
意味で
国際的な基盤を有するということを非常に重視しておりまして、その
関係から、これは何も
日本がまる抱えのあれではないのだという点をあれすることと、それから本当に
国際的な基盤を強めるという観点から、現在国連大学のへスター学長が
世界の各地を回って非常に募金運動を要請しておられますけれ
ども、
政府といたしましても側面からこれを強力に支援いたしておるわけでございます。
なお、その一環といたしまして、昨年の国連の総会では、わが国が決議案を出しまして、この大学に対する
各国の拠金を呼びかけるという決議案が全会一致をもって採択されております。そういった経緯からもおわかりのように、当初は確かにこの大学の構想というものが変遷した。したがって、その間において欧米
各国あるいは社会主義諸国、そういった国たちの協力といいますか理解が足らなかったということは事実でございまして、それが今日の財政的な基盤に反映していると思いますが、いま申し上げましたように、昨年の決議は全会一致をもって採択されているという事情もありまして、そういった
各国の理解はだんだんに深まっていくものと思っております。