○和田春生君 そこで、やっぱり私は
民間の能力というものを十分活用していく、こういうようなことも、特に消火というような場合、消防の場合には必要だと思うんですね。
で、今度の
改正で、油の
流出とか
海洋汚染とか、そういうことによる大
災害の
防止という面に対する立法体制というものはかなり整ったと私
ども考えるわけです。しかし、
火災というものは、起きてもらったら困るんですけれ
ども、一たん起きた場合には、この間の
雄洋丸の場合には非常にラッキーだったと思うのですが、風向きが悪かったり、そういう形で曳航もうまくいかない、京浜の
港湾地帯に流れついてくると、なかなか大変な問題が起きてくる。そうなった場合に、
海上保安庁だけが想定する
災害に備えるだけの設備を持とうとすれば大変なことになると思うのです。消防艇一隻建造するにしても少なからざる費用がかかります。そういう問題もいろいろお聞きしようと思っておったんですが、きょうは時間もないようですから機会を改めて、この場で無理に質問しなくてもよろしいわけですから、省略をいたしますが、消防のみを任務とするものはほかのものに使えない。火事が起こらない間は訓練しておるだけですね。本当はりっぱな設備があるけれ
ども、その設備が一度も使わなくていいというのが理想的な状況ですけれ
ども、そうそう言ってもおれません。
そうすると、たとえば
民間のタグボート、非常に大馬力の性能の高いタグボートもあるわけですね。それはふだんタグボートとして活用しておるけれ
ども建造のときに
政府が助成をする、そういう形で
相当強力な消火装置をそれにも建造のときからつけさせる。あるいは改造可能なものであるならばそれにつけさせる。そうすれば、船体とかエンジンとか、基本的なものについてはタグボートが持っているわけですから、あと消火の
関係の設備をつけ加えるということですから、大変コストの面でも安くできますし、りっぱな消防船を一隻つくるだけの金があれば、十隻なり二十隻なりそういう
民間のタグボートを活用できる面が出てくるのじゃないか。そうすると、設備だけじゃなくて、当然それを使用する訓練とか、そういういざという場合に役に立ってもらわなくてはならぬ、こういう面があると思います。
現に
陸上における
火災については、幾ら消防庁並びに消防署がベストを尽くしたといってみても、すべてをカバーするということは困難でありますから、御承知のように国のこれはやる仕事、市町村の、
地方自治体のやる仕事、その中に消防団というものを置いてある。消防団員というのは非常勤の消防団員もある。御承知のとおり
平素は自分の仕事をしておりながら、いざというときには出動する。それには
災害が起きたその他の場合の補償の
措置とか、かなり、不十分であってもきめ細かく決められているわけですね。海の場合においてもここまで突っ込んでいって
法改正をしてやろうと。いわば
海上保安庁が海の消防庁としての役割りも引き受けていこうと、はっきりしていくという場合に、第一義的に
海上保安庁の任務だという形だけではなしに、やはりそういう
民間の能力というものも活用するということまで一歩踏み込んで考える必要があるんではないでしょうか。
言うなれば海の
民間消防団、そういうことまで踏み込んでいくと。そして、
災害ないことがいいんだけれ
ども、一たん大きな
事故が起きたときには、たとえば京浜港なら京浜港のほとんど
民間のタグボートなんかも総動員の体制で消火に当たれると。そして
災害が大きくなることを未然に
防止をするということまで考えておく方が費用の効率の面でも、
災害防止ないしは
災害の、火事が起きた場合の消火とかいう面においても私はいいんじゃないか。そうでないと、いまの
海上保安庁の持っている消防船、消防艇、あるいはセンターがすでに持っているということだけではいざという場合これは間に合わぬと思いますよ。
先ほどタグボートが着く時間がどうという質問がございましたね。もっとひどいことになる。
災害起きたけれ
ども、何時間もたたなければ
現場に到達しないというようなことになりかねないと私は思う。そうすると、今度の
法改正は
法改正でありますけれ
ども、当然それに対する助成の面も考えなくてはいけない。訓練の面も考えなくてはいけない。またそういうことをやるとすれば
法律の面で、法制の面で考慮しなくちゃいけない、こういう面が私は出てくると思うんですね。
ですから、この
改正はこの
改正として、一応前向きの
改正ですから、いけないということを言っているわけじゃない。これは一歩前進として評価をするにやぶさかではないんですけれ
ども、どうも
火災が起きたという場合、しかもそれが
タンカーの
火災というものは、非常にやはり大惨害を及ぼす
可能性があり得るわけです、一たんこの過密な
港湾の中等で起きますと。その体制という面に対して及び腰じゃないかと。
海上保安庁が第一義的に任務を持つと言いながら、じゃ、
海上保安庁のいまの装備はどんな装備を持っていますかと聞かれますと、きょうは質問するように用意してきたんですが、それはまことに心細い
範囲なんですね。そして、センターというものをつくって、せっかく
民間資金も導入してくると、
船舶振興会からギャンブル資金か何か知りませんが、その分もこれはまあ引っ張ってくると。いいことに役立てようということですから私はいいと思うんですけれ
ども、そういうようなものをやっぱりフルに活用していくというものをつくっていかないと、このまま行くと非常に及び腰、実務的にはほっといておれは知らぬということにならぬと思いますよ。協力をすると思いますが、むしろ積極的にそういう体制をつくるという面のイニシアチブというものがこの立法者として、行
政府として欠けているんじゃないか、こういう気がするわけです。
したがって、このことについて
保安庁の長官並びに運輸大臣もひとつ行政の
責任者として所見をお伺いしたい。政治的な判断、政治的な体制の単なる技術的な問題じゃありませんから、そこまでやっていこうと、こういう決意をお持ちかどうかということもお伺いしたいと思います。