運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-09-01 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年九月一日(水曜日)    午後一時三十六分開会     —————————————    委員異動  八月三十日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     野々山一三君      川村 清一君     野田  哲君      近藤 忠孝君     神谷信之助君      木島 則夫君     三治 重信君      市川 房枝君     青島 幸男君  八月三十一日     辞任         補欠選任      久保  亘君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 三治 重信君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                 亀井 久興君                 戸塚 進也君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 最上  進君                 小谷  守君                 野田  哲君                 野々山一三君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 神谷信之助君                 青島 幸男君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君        自 治 大 臣  福田  一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        会計検査院事務        総局第二局長   高橋 保司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会開会いたします。  この際、委員異動に伴う欠員中の理事一名の補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三治重信君を指名いたします。     —————————————
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 矢田部理

    矢田部理君 私どもは、三木総理以下主要閣僚出席を求めて、昨日またきょうの委員会でぜひ集中的にロッキード問題の審議をしたいという要求を重ねて出しておいたわけでありますが、三木内閣政府の協力を得られないまま、きょうの委員会を持つことになりました。このような事態は、真相究明をやると繰り返し強調をしてきた三木内閣政治姿勢そのものに大きな疑問を持たざるを得ないわけでありますが、本日は、やむを得ず、出席された閣僚を中心にしてロッキード問題の質疑を継続していきたいと考えています。  まず最初に、稻葉法務大臣お尋ねをしたいと思いますが、最近のいわゆる反三木派の結集と動向等について、稻葉法務大臣、いろんな立場がおありだろうと思いますけれども、どのように認識をされておられるのか、その認識から伺いたいと思います。
  6. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) よく、どういう人が反三木派で、どういう人が親三木派で……。その辺のところも、あることについては反三木である場合もあるんですね、親三木派と称せられるグループでも、ある点については。それから反三木といったって、どうしても引きずりおろさなければ承知しないなんて言っておられるわけでもなしね。ただロッキード問題に限って言えば、私はやっぱりこれを解明して、そうして黒白を明らかにしないと、ごく少数の黒のためにみんな灰色みたいな形で選挙をやったら悪いんじゃないか、気の毒じゃないかと、こういう考えはありますね。ところが、あんまり徹底追及といったって、はしゃいで やることもないじゃないか、もう少し政治的配慮もあってもいいじゃないかという立場とありますわね。やっぱり私は、きちんとした方が政治に対する国民信頼——まあ自民党について言えば、自民党に対しても、よしそこまで自分努力して、うみを出したんなら助けてやるぜということになるんであって、みんな灰色でやったら大負けすると、こういうことを考えますな。そうでないのとありますわね。反三木派が全部いいかげんにしておけという立場の人だというふうに言っているわけじゃないんです、私は。そんなこと言ってないんです。みんな徹底究明と言うてるんです。中には、しかしあんまり徹底しない方がいいみたいなニュアンスの発言もあったやにお聞きしますが、そういうことでは、自民党のためにも、国会のためにも、政治のためにも、断じてよくないというのが私の信念です。
  7. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、やや具体的にお尋ねをしたいと思うわけでありますが、先般、稻葉法務大臣は当委員会で、二山越えた、あるいは二山目がほぼ終了に向かいつつあるので、場合によってはその段階灰色高官等発表についても検討の余地があるかのようなお話もございました。いずれにしましても、灰色高官、いわゆる灰色高官の問題が出てきておるわけでありますが、この灰色高官発表等について反三木陣営抵抗しているというような向きの御発言もなさっているやにお聞きしておるわけでありますが、その種の抵抗圧力みたいなものは、法務大臣に対してあるのでしょうか。
  8. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そんな灰色高官という、いわゆる灰色高官の公表の問題は、できれば児玉ルート解明もした上での方が一番いいに違いないんです。けれども、これは多少難航して手間がかかると。もし臨時国会でも開かれれば、そのころには二山目はほぼもう遠からず解明されるというから、そういう段階において、全日空ルート丸紅ルートの金の使われ方等については、国会がその灰色というのはどういうものだということを決めてきておられなければ困るけれども、それからその範囲や方法、資料の提供、そういうような点については国会国政調査権に基づいて、刑事責任は免れたけれども道義的政治的責任が残ると、こういうふうに御判断なすったものについて協力せいと言われれば、議長裁定に基づいて協力しないわけにはいきませんと、こういうことを申し上げたにすぎませんね。  それから、反三木陣営灰色を公表してはならぬというふうに抵抗があるようにいまおっしゃったですが、そんなことはありませんね、そんなことは。そういうことは私はないと思いますよ。会合に出ていないからわからぬけれども、わからぬけれども、そんなことはないと思います。それから、それについてそういう反三木陣営から法務大臣圧力があるかないか、そんなことはありませんな。また、圧力かけたって、あいつばかだからどうしようもないと思っているんじゃないですか。
  9. 矢田部理

    矢田部理君 これは八月の二十九日夜に新潟の方で演説会をされましたですね。その際、法務大臣自身が、私に対して相当圧力が来ているが、どんな妨害、圧力があろうとも命がけでやると。いま後段の部分は大変結構だと思うんでありますが、別に反三木陣営というふうに特定はしておりませんが、も含めて外部から、あるいは身辺から法務大臣に対するいろいろな圧力なり妨害めいた状況は出てきておるんでしょうか。
  10. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 別にありませんね。ただ、八月半ば以降、妙に身辺の警戒が物々しくなりまして、何だこれはと思って、気味悪いような、そんなような感じのことを言いました。仮にどんなに圧力があろうともという意味ですよ。わしの方も命がけでやるなんて、ちょっと誇張だね。そんなことは心にしまっておいて一々やっていればいいんで、人に言うべきことじゃないんだ。したがって、言い過ぎもありますが、あれ、前半、私がこのくらい言い過ぎとすると、書き過ぎはこんなにあるね、書き過ぎは。
  11. 矢田部理

    矢田部理君 新聞等に出ると、すぐ、書き過ぎだとか、あれこれ法務大臣らしい説明をされるわけでありますが、どうもこの新潟演説会状況を見ておりますと、各新聞がほぼ同じような内容でこの記事を書いているわけですね。そういうことになりますと、法務大臣自身説明されるように、たまたま新聞が間違って書いたとか、書き過ぎだったとかだけでは説明し切れない法務大臣気持ちが、話の内容に、しかも随所にあらわれておるのじゃなかろうかと思われるわけですので、さらにこれにかかわる問題を幾つかお尋ねをしていきたいと思うわけでありますが、一山、二山越えて三つ目の山は児玉ルートだというふうにかねてから言われております。その児玉ルート児玉プラスXだという指摘もされておるわけでありますが、Xというのは小佐野等意味するというふうに常識的に受け取れるわけですが、法務大臣認識はいかがでしょうか。
  12. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私は、その児玉ルートというのは、十七億もあって非常に金高も多いし、それから範囲が非常に多いんじゃないかという感じを持っているんですな、法務大臣としての、個人として感じを持っている。そのことを検察当局から報告を受けて根拠に基づいて言っているんじゃないです。それはどうかひとつ御理解願いたいと思いますがね。そういう意味では範囲は広いと、こういう認識をいまでも持っておりますね。そして、これはなかなか難解、解明検察当局も骨が折れるんだろうなあと、御苦労なことだなと、こういうように思いますな。
  13. 矢田部理

    矢田部理君 範囲が広いということはわかりましたし、それから検察当局から直接報告を受けてしゃべっているのではないということも、それはそれで結構だと思いますが、法務大臣感触として、児玉ルートというのはXがあると、そのXは、もう大体いままで出てきた状況から見て小佐野及びその周辺だと、あるいはこれにつながる部分だという認識、受け取り方になっているのでしょうか、というふうに伺っているわけです。
  14. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 第三の山は児玉——小佐野ルートであると、こういう表現を用いましたのは、あくまでも個人的感触からであります。現在までのところ、検察当局から小佐野氏について犯罪具体的容疑があるとの報告は受けておりません。そういうわけでありません。したがって、検察当局としては、犯罪容疑があれば何人たりとも取り調べることになろうが、それ以上具体的なことは申し上げられませんし、また、第三の山と目される児玉ルート関係については児玉病状等種々捜査上困難を伴っており、必ずしも捜査が順調に進捗しているとは言いがたいことは、これまでも再三申し述べたとおりであります。そういう観点から、そういう心情があるものですから申し上げたところ、まあ法務省詰め記者というものは、やっぱりこのロッキード事件解明の一日も早からんことを願っているらしい——私もそういうふうに願っておりますね、一日も早からんことを。で、記者諸君記者諸君なりに若い人は気が早いですから、非常にそういう希望に燃えているようですな。ですから、何か私が言うと、自分希望も加えて書きますから、拡大される向きはありますね。決してこれを、この間のあなたの出された何かの文書みたいに、偽造文書だなんて新聞のことを言うわけではありませんけれども、とにかく拡大が強過ぎて、私ももう演説もやめようかなと思っている。そのくらいに思っています。どうぞ御理解願いたいと思います。
  15. 矢田部理

    矢田部理君 演説たびごとにしばしば話題を提供する法務大臣でありますが、かなり思い切ったことを相当の点にわたって指摘をされているわけですね、この演説会では。だから、必ずしも誇張だ、拡大だということだけではいかない、かなり基本的な問題に触れたお話もあるようなんですね。たとえば、田中出所によって風向きが変わったと。それまでは福田さんや大平さんもそういう態度ではなかったのに、急に全体的に勢いづいたようだというようなことも言っておられるようだし、さらには、早い時期に臨時国会をやっていれば、最近の反三木陣営動き状況を考えれば、ロッキード事件ふたをされてしまったんじゃないか。つまり、国会開会中でありますれば議員逮捕については院の許諾を必要とする、それを否決してふたをしてしまったのではないかというような具体的内容にも触れてお話をなさっているやの報道になっているわけです。等々のことを考えてみますと、いわゆる反三木派動き、総体として見てロッキード隠し、そういう流れの中で動いているのではないかという受けとめ方、認識法務大臣の心の底にはどうもやっぱりあるんじゃなかろうか。だから、これは、表現はいろいろあるかもしれませんが、そういう気持ちの奥にあるものが演説会のたびにいろんな形で出るのではなかろうかと推察をするわけなんです。そういう点で、そこら辺の認識を私は実は伺っているわけなんですが、いかがでしょうか。
  16. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 新聞には、反三木陣営灰色隠しだなんて見出しでぴしっときめつけてありますが、そんなことは言うてないんですね。ただ、私が申し上げるのは、最初から、私の立場としては、国会の、院の許諾ということが条件になっているから、逮捕には、ですから、もし国会議員の中から容疑者が出るようなことで逮捕者が出るようなことになる場合も予想されるとすれば、それは国会開会中でない方が捜査当局としてはありがたいに決まっているんだと、そういうことをずうっと言うてきましたな。したがって、早い時期に開け開けって——三法も大事だけれども、七月ごろ開いておれば、ちょうど田中氏の逮捕とぶつかって、いまこの騒ぎを見ていると、あのとき開かれてなくてよかったなと、開かれていれば果たしてすんなり逮捕許諾、こういう結論が出たのかどうか疑問に思うという感じはいまでも持っていますから、そのとおり演説に言うてあります。
  17. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、今後の問題等も含めて伺いたいわけですが、私どもロッキードを徹底的に解明すべしと、ロッキードを中途半端にして臨時国会ということについては賛成しかねるというふうな立場を基本的には持っているわけでありますが、そろそろ臨時国会の話が具体的日程に入ろうとしている。ところが、法務大臣も言っておられるように、三つ目の山がほとんどまだ手つかずでいるような状態ですね。この山を攻めれば当然政府高官等にも容疑が及ぶ可能性危険性を持っている。そこでまた臨時国会が邪魔になって、第三ルート解明に非常に障害を来たすというような事態が考えられないのかどうか。とりわけ、三木内閣は最近、大平福田連合軍といいますか、いわゆる反三木派といいますか、と一定の妥協をし、政治姿勢を後退させようしている感じも非常に強く受けるだけに、そのことを心配するわけですが、その辺はいかがでしょうか。
  18. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) その辺はいかがですかって、どの辺かわかりませんけど、どういうことでしょうか。第三の山は難航していると、けれども、一方、ロッキードだけが政治問題でなくて、やっぱり国民生活というもの、国務がありますからね。そうして大蔵省では、特例法などは十日くらいまでに通らぬと困るような、担当の当局がそういうことをここでも明言するくらいですからね。それも重要な国政ですから、ロッキード問題を担当する法務大臣がいやだいやだなんということばっかりは言っていられないじゃないですかという意味で申し上げているんですね。しかし、それだからといって、第三の山に、もし仮にですよ、仮に国会議員が絡んでいるということになれば、それは逮捕許諾請求をして、許諾をいただかなければいかぬなと。しかし、まだそういうこと、どういう捜査段階になっているか私知りませんが、手つかずだということはないんじゃないですか、手つかずだということは。この辺のところでございます。この辺のところでございます。
  19. 矢田部理

    矢田部理君 手はつけているんでしょうが、進まないと、ほとんど解明が進んでいないというふうな感触を私どもは受けるわけでありますが、それならば、どの程度まで来て、山の頂上がもはや見えるところあたりまで来ているのか。それとも、まだすそ野の辺をうろうろしているのか。そこら辺のところは、何も捜査の具体的な細かい内容を聞くつもりはありませんが、大筋見方等について伺いたいと思いますが。
  20. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 第一の山についても、第二の山についても、大体越す見込みがついたころそういうことを申し上げるんであって、越す見込みがまだつかないときに、どの辺まで行っている、すそ野か何合目かなんということは申し上げかねます。
  21. 矢田部理

    矢田部理君 何か、時折法務大臣は、セミの鳴くころとか雪の降る前とかということで季節感表現されるのが得意のようでありますけれども、この問題についても、ひとつまあ九月ぐらいをめどにというのには、単なるいいかげんな見当つけで物を言っているじゃないと思うんですね。一定捜査状況なり、正確ではないにしても大筋の見通しを立てた上で季節ときどきの表現をされるように思われるんですが、その辺との関係ではもうちょっとしみじみした説明はできないんでしょうか。(国務大臣稻葉修君「あんたやってくれるか、あんたの方が危なくなくていい」と述ぶ)
  22. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 法務大臣は決してうそはついておられませんので、危ないことはないと思いますけれども、私は山という言葉は避けたいと思っております。現状はもう御案内のとおり、児玉につきましては、入りの関係では脱税犯とかあるいは外国為替管理法違反で起訴をいたしておりますが、いわゆる出の関係につきましては、たびたび御説明申し上げておりますように、本人が病気ということが何よりも障害になっておりまして、順調な進捗を見せていないのが実情でございます。ただ、それにいたしましても、最近、八月十二日には秘書の太刀川と児玉共謀外為法違反容疑で取り調べを進める等、いろんな手段を尽くしておるわけでありまするが、そういう状況でございまして、これから解明までにどれだけの期間を要するかということは一切私にはわかりません。
  23. 矢田部理

    矢田部理君 いよいよ臨時国会あるいは解散総選挙という日程政治日程としては当然のことながら入ってくるわけでありますが、児玉ルート解明についてはかいもく見当がつかないということになりますか、そうすると。
  24. 安原美穂

    説明員安原美穂君) どれぐらいかかるかということについては、わからないということを他の表現で言えば、かいもく見当がつかないということになるんでございましょうけれども、それは余りにも極端な言い方でございまして、検察当局の目標といたしましては、できるだけ早く解明に努めたいということを考えて鋭意努力中でございまして、その努力にまちたいと思いますし、私から、実際問題として、いつまでということは判断いたしかねます。ただ、かいもく見当がつかないという言葉はやや誇張に過ぎるのではないかという語感を持っております。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 それから、自民党内の激しい抗争の上に収拾策が模索をされているのでありますけれども、その中に内閣改造問題が出てきております。法務大臣従前から、受験勉強は静かな雰囲気がよろしいと、余りざわざわしてもらっては困るということを指摘をしておられたわけでありますが、内閣改造ということになりますれば、最も大きい振動——自民党理事さんに言わせると、大地震と台風が一緒に来たみたいなものだというようなことを再三理事会で強調されておるんですが、その内閣改造等捜査との関係、これはどんなに変わろうと関係ないと、捜査捜査としてやりますというのはこれは筋だろうと思いますが、従前法務大臣がここで述べてこられたお話、この大振動があると、その論理でいけば、捜査にいろんな響きが出てくることも予測されるわけでありますが、その辺についてはどういうふうに受け取られておりますでしょうか。
  26. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 静ひつであるにこしたことはないんですね、それは。しかし、それは検察庁を預かる法務省責任者として、そういう希望を持つのは当然じゃないでしょうか。けれども、人間の希望というものは、世の中そう甘くありませんからね、なかなかうまくいきませんわな。現実の問題としてああいう裁定があり、党及び内閣人事を刷新すると、こういうふうに、いわゆる議員総会の決議なんかも踏まえて、五役の調停案が出たわけですから、なるべく早くそういうことが行われて、臨時国会が開かれ、ロッキードの問題と同時に、各委員会の三法の審議が進むことを希望いたしますが、現実内閣改造という問題があるんですから、それはしようがないんじゃないでしょうか、まことに震度が大きいといえば大きいようなものですけれども。ですから、静ひつにこしたことはない、静ひつであってほしいと、それが法務大臣としては当然な希望でないかということを申し上げてきたんです。それがうまくいかない、うまくいっていないという現実でありますと、こういうことです。
  27. 矢田部理

    矢田部理君 児玉ルート解明に関連して、さらにお尋ねをしたいと思うわけでありますが、昨日の未明からアメリカでは再度の嘱託尋問が行われているようであります。この嘱託尋問は、当然のことながら、日本裁判所が再びアメリカに要請をして行われたものだろうと思いますけれども、再度の嘱託尋問を求めた理由、これはどういうところにあるのでしょうか。
  28. 安原美穂

    説明員安原美穂君) まず、前提として、今回の再度の尋問は、再度にわたるわが国司法裁判所からの嘱託に基づくものではございませんで、最初嘱託がなお有効に存続しておるという前提のもとに、アメリカ政府当局裁判所の間において再尋問するということに相なったものでございます。それが前提でございますが、なお、どういうわけで再開になったかということにつきましては、私の承知しておる限りでは、先方アメリカ政府当局からも資料をもらっておりますが、こちらの捜査状況に関してもある程度向こうにインフォメーションを提供しておるわけでございます。その関係で、最近における日本からの情報等にかんがみて、コーチャンの最初証人尋問では不十分な点があるということをアメリカ司法省関係検事判断をいたしまして、チャントリー判事に申し入れたというのが実情でございます。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 そういたしますと、日本裁判所の手続はともかくとして、日本側のイニシアで、あるいはお願いでやったということではなくて、従来お願いをした状況が今日も継続をしていて、アメリカ側の考え方で再尋問が行われたと、こういうことになりましょうか。
  30. 安原美穂

    説明員安原美穂君) あくまでもアメリカ司法省当局のクラーク及びレイノルズ検事判断、それを指揮する司法省当局判断でございますが、その判断に達する過程におきましては、当方から行っております堀田、東条両検事の意見も徴されているはずでございます。
  31. 矢田部理

    矢田部理君 従来の捜査について稻葉法務大臣は、繰り返しになりますけれども、二山がほぼ越えつつあると、三山目児玉ルートが一番難解で残っているという状況に照らして考えると、今度の再尋問児玉ルート解明に役立つもの、少なくともこれに関係するものということが焦点になりましょうか。
  32. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 矢田部委員御案内のとおり、この証人尋問は、捜査の一過程における一つの捜査の方法としての証拠収集の方法でございますので、どういうところに証人再尋問内容の重点があるかは申し上げるわけにはまいりません。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 私も余りくどくど細部にわたって伺うつもりはありませんが、常識的に見て、これは法務大臣に伺ってもいいと思うんですが、二山越えれば三山目が残っている、それは児玉ルートであると。そしてこの段階で再尋問をやると。再尋問をやるということになれば、従前のやつが不十分であったか、新しい事実関係として必要になったか、あるいはあれこれの証拠の間に矛盾があったか、幾つかのケースが考えられるわけですが、焦点が当てられているのが児玉ルートだとすれば、そう見るのが常識ではありませんか。
  34. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それが必ずしも常識とは思えませんね。一山、二山、三山、これは山脈ですからね。ロッキード問題というのは山脈ですから、そして山は独立してあるわけじゃないですからね。ですから、その中のコーチャンという人物は、ずっと山脈全体に占める重要人物ですから、これの再尋問ということが児玉ルートだけに焦点を集められてやられたんだというふうに判断するのが常識的だなんというふうには私、あなたと判断が違いますな。全部に関係すると思いますね。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 まあ全部には、一つの山脈ですから、あるいは汚職の一連のものでありますから、かかわっていることは私も否定はしませんけれども、しかし、どちらかといえば、重点なり焦点はそちらに向けられていると見るのが、そう間違った、法務大臣が強く否定されるような筋ではないのではないかと。これは余り議論しなくてもいいと思いますが、そこで問題は、P3C、PXL等についての捜査状況、これは従前防衛庁関係者を何人か呼んで事情聴取をしているという報告はここにありました。その後、全体的に進んでいるのか、どんな状況になってきているのかというようなことについて、これは刑事局長の方がいいと思いますが、お話をいただけませんか。
  36. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ロッキード事件の全貌解明ということで、当然に検察当局としてはPXL導入に関連する問題点について重大な関心を持つとともに、それに必要な限度において捜査を行っていると存じますが、現在のところ、捜査当局からPXL導入の経過に関連して犯罪容疑が生じておるという報告は受けておりません。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁に、関連して伺っておきたいんですが、防衛庁は従前、P3Cのリリース問題に関連して、機体と電子機器の分離はむずかしいんだというような説明をされてきたかと思うんでありますが、最近、その分離が可能だというような情報なりは入手しているでしょうか。
  38. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いまの御質問は、機体とそれから電子機器との分離というもの、つまり導入の場合、あるいは技術的にそういうものが可能かということであろうかと思いますが、従来私どもが、リリース——分離リリースというふうに申し上げておりましたのは、その困難ということを申し上げましたのは、いわゆるそういう技術的な問題ではございませんで、アメリカからたとえばそういった搭載機器等を分離リリースされることが可能かどうかということを非公式にサウンドしてまいりまして、これについて必ずしも十分な確答が得られなかったということでございます。ただ、技術的には必ずしもわれわれはそれが不可能ではないと思っておったわけでございます。ということは、逆に申しますと、そういうことをも含めまして、種々の検討、つまり、開発案でいくか、導入案でいくか、あるいはその折衷案でいくかと、この折衷案というときにはいまの分離ということが当然考えられておりますので、そういうことで、技術的には必ずしも不可能ではないだろうという考え方をしておりました。それがたまたま今回、カナダの新しい対潜機のCP140の問題になりまして、技術的にはやはりそれは可能であろうというふうな推論を得るに至っておると、こういうことでございます。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 分離してリリースが可能だという正式な回答はアメリカからもらっているのでしょうか、国防総省なり米海軍から。
  40. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 現在までいろいろアメリカとやりましたのは、いわば非公式なサウンドでございます。で、これに対しまして先方としては一応答えはノーでございますが、検討しようという若干の含みは持たしておりますけれども、若干の含みのある答えはもらっておりますけれども、しかしながら、一応言い方としてはノーという言い方になっております。それ以上、まだわれわれの方としては詰めて、と申しますか、そういう当たりはしておらないと、こういうことでございます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 日本に対しては、多少の含みはあるものの、たてまえはノーと言っておる。ところが、いまお話があったように、カナダのCP140、これはP3CのボデーとS3の電子機器を結びつけたというふうに伝えられておるわけですが、カナダには分離、日本には不離一体論という対応の仕方はちょっとわかりにくいんですが、その辺の事情はどういうふうにつかんでいるんですか。
  42. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) この中身は、何分最近のことでございますので、よくわからないわけでございます。一応われわれは、公式に発表された中において一応状態はつかんでおるつもりでございますが、その中身というものは、やはり一応SP140という完成機を入れるということでございまして、そこの中において確かに搭載機器というものは技術的には分離されて、それでしかもそれがCP140という形で結合されておるわけでございます。しかしながら、それが果たして搭載機器だけで分離されたというふうに解釈すべきか、あるいはCP140という形でカナダが買うことになったのか——むしろ後者であろうと思いますけれども——ということでございます。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 そろそろ時間ですので締めくくりたいと思いますが、防衛庁長官は、従前八月中ぐらいにはPXLについて方針を出したいというお話でしたが、すでに八月も越えた。今度は十二月まで延ばしたというようなふうにも伺っておるのですが、年末まで延ばした事情、理由というのはどういうことだったのでしょうか。
  44. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いままでも、実は八月に概算要求を出すが、その際にまあ固まることもあるかもしれませんけれども、しかし最終的には十二月の末には決定をしなければならないというふうに答弁を申し上げておるわけでございまして、その事情はいまも変わらないわけでございます。  で、ただいまポスト四次防、なかんずく基盤的防衛力の構想内容、それをいま国防会議で御説明を申し上げておる階段でございまして、いずれその大綱が決まり、そしてポスト四次防の整備計画、これを決めまして、そしてその中にPXLあるいはFXの問題が入ってくるということでございます。したがいまして、十二月の末には決定をしなくちゃならぬということであります。また、したがいまして、いまのお尋ねの問題にしましても、国産にするのかあるいはP3Cを輸入するのか、あるいはその折衷案にするのか、そういうようなことにつきましてこちらが腹づもりができませんと、なかなか向こうの方でも決定的なことを物を言わないということもあります。しかし、その間といえども、あり得べきオプションにつきましては十分検討をいたして、腹構え、腹づもりをつくらなければなりませんので、できれば向こうからしかるべき人をお呼びするということも一つの方法、あるいはそれいかんにかかわらずこちらから向こうに調査団を出す——まあ調査団という大きいものになるかどうかわかりませんが、少なくとも調査をする者を出したいと考えております。それで、場合によっては、アメリカだけじゃなくて、カナダにも出さなければならないんじゃないかというふうに、いま考えておるわけでございます。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 中にはさんで恐縮ですが、刑事局長にもう一度お尋ねしますが、PXLも捜査の対象にしてきたわけですね、従前から。それが容疑者がこうなってきているという報告は受けていないけれども、いまでも捜査は継続中なんでしょうね。
  46. 安原美穂

    説明員安原美穂君) そういう捜査内容について申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにしても、現在までのところ、PXL導入の経過に関して犯罪容疑が認められるという報告はないということでございます。
  47. 矢田部理

    矢田部理君 まあ逆な聞き方をすれば、PXLについてすべて解明はし尽くしたと、捜査では終わったという報告もないわけでしょう。
  48. 安原美穂

    説明員安原美穂君) そういう報告もございません。
  49. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、始めた捜査は継続していると見るのが当然だと思いますが、この疑惑が全体的に解明されるまで、その一つのポイントは私は児玉ルート解明が非常に大きなウエートを占めるのではないかというふうに考えているわけでありますけれども、そういう全体の捜査状況、疑惑の解明状況を待って、防衛庁としては問題を煮詰めていくという考え方も当然なければならぬと思うんですが、その辺とのかかわりはどういうふうに受けとめているんでしょうか。
  50. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私どもの方は、その解明解明として明らかにしなければならないというふうに思っておりますが、一方、こういうようなあらゆるオプションにつきましては、現在進行させておるわけでございます。で、最終的に決定をいたします場合には、やはりこれだけの疑惑を受けておるわけでございますから、そういうことを十分考慮した上で決めなければなりませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、あらゆるオプションについて手落ちのない十分な手続あるいは調査検討ということは、それとかかわりなく進めてまいっておるということを申し上げておきたいと思います。
  51. 矢田部理

    矢田部理君 私の質問は以上で終わります。
  52. 野田哲

    野田哲君 先日、稻葉法務大臣選挙区の新潟の私の友人が参りまして、稻葉法務大臣演説会の模様などを話してくれました。確かに新聞にも報道されておりますが、ここで私たちの質問にお答えになるよりも、かなりオクターブが高いというふうに私はその話を聞いたわけです。それで、法務大臣演説会の写真を見ると、すべての疑問に答えると、こういうようなサブタイトルがポスターに書いてありますね。書いてあるんです。写真も私は持っているんですがね、いまここへは持っておりませんが。ひとつぜひ、新潟選挙区だけでなくて、私どもの疑問に率直に答えてもらいたいと思うんです。具体的な質問はこれから事務当局関係者に伺いながら、あわせて法務大臣の見解を承りたいと思うんです。  法務大臣は、まず最初に伺っておきますけれども、先般来朝日新聞に掲載をされている、朝日新聞の村上特派員とコーチャンとの会見記、回想録と呼ばれているコーチャン回想録、これ、お読みになりましたか。まず、そこから伺っておきたいと思います。
  53. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 実は読んでないんですね。  それから先ほどの、演説会のポスターに、すべての疑問に答えるなんていう印刷はしてありませんよ。それから、稻葉法相ロッキード事件を語るなんていうことをいつかどこかで質問されて、ああそうですか、それならそんなことは消さにゃいかぬなと、こう申し上げて、くにへ帰ったら、それも書いてないんですね。ただ「時局講演会 稻葉修」と、それだけですな。それはそのとおりです。いかにも何か、外ではいろいろなことを言って委員会ではちっとも言わないというふうに印象づけられると困りますから。
  54. 野田哲

    野田哲君 それは写真がありますから、後でまたお見せしますよ。  それでは刑事局長に伺いますが、先ほどのコーチャンの回想録、このコーチャンの回想録、先ほど矢田部君の方から再度の嘱託尋問のことについての質問があったわけでありますが、このコーチャンの回想録を読むと、これは私どもとしても、いままでこの場で審議をし、あるいは法務省当局捜査の経過を報告を受けたことと、かなり食い違うというか、詰めていかなければならないような問題点を感じているわけなんですが、まず、このコーチャン回想録について、捜査当局はこれをどういうふうに評価をなさっておられるか、その点をまず伺いたいと思うんです。
  55. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 八月二十一日の朝日新聞のコーチャン回想記というものにつきましては、有力な新聞の有力な報道記事でございますので、捜査当局としては当然有力な情報として関心を持っておるわけでございますが、これにつきましてどう評価しているかということは申し上げるわけにはまいりません。
  56. 野田哲

    野田哲君 このコーチャンの回想録によると、特に私は非常に注目をしておりますのは、四十七年の十月五日の記事があるわけです。この十月五日——これは八月二十日からずっと日程を追って始まっておりますが、この十月五日の記事を非常に私は注目をしているんですね。これによると、十月五日に、朝、小佐野賢治氏からある情報がもたらされた。これをコーチャンは恐るべき陰謀というふうに受けとめておって、この陰謀は、児玉から中曽根氏に要請をして、中曽根氏の努力でコーチャンの期待したとおりに、この陰謀、恐るべき陰謀が覆されることに成功したと。で、その結果については、十月六日に丸紅の伊藤宏から田中角榮前総理の秘書の榎本敏夫を通じて確認されたと、こういうくだりが十月五日から六日のあたりにかけて述べられているわけです。  コーチャンが恐るべき陰謀だと感じ内容というのは、まず一つは、日本政府が、国内の二大航空会社、日本航空と全日空がロッキード、ボーイング、ダグラス、アメリカの三社のエアバスあるいはジャンボ機をそれぞれ購入すべきだと決定をする。二つ目には、日本政府は、日本航空の注文はロッキード社に与えられる。ダグラス社にも機会を与えるためにDC10は全日空が注文をするものとする。三つ目に、ボーイング社への注文は日本航空が引き続きボーイング747のジャンボ機を購入する。こういう情報であったというふうに述べているわけです。これは非常に私は注目すべき、初耳——いままでいろんな情報がある中では初耳の情報であると同時に、いままでこの衆参両院のロッキード特別委員会で審査してきた経過からすれば非常に奇異に感じられる情報がここに述べてあるわけです。  まず、運輸省に伺いますけれども、コーチャンが十月五日に小佐野を通じて得た情報として述べている、トライスターは日本航空にと、DC10は全日空、それからボーイング747は日本航空、こういう方針を決める、あるいは運輸省として民間航空会社に行政指導等を行ってきたこと、そういう方針を決めたことがあるのかどうか、これをまず運輸省にお聞きしたいと思うんです。
  57. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) お答えいたします。  運輸省の方針といたしましては、航空会社が使う機材の選定はその航空会社が自主的に決めるものであるという原則でございますし、当時もそのとおりであったものでございますので、ただいまの先生お話しのようなことについては運輸省は全く関知しなかった、私もあの新聞を見て驚いたわけでございます。
  58. 野田哲

    野田哲君 法務省安原刑事局長に伺いますが、いまのようなこのコーチャンが回想録で述べているような情報、コーチャンは陰謀と言っておりますけれども、いままで司法当局田中角榮、この名前が挙がっている田中角榮あるいは榎本敏夫、全日空の関係者、丸紅の関係者、児玉関係者、いままでこの十月五日から六日にかけてのコーチャン回想録に述べておる関係者はすべて、小佐野以外は逮捕して、身柄を拘束して取り調べを行っているわけですね。この捜査の中で、いまコーチャンが恐るべき陰謀として感じたという、トライスターは日本航空に、そしてDC10は全日空に、こういうようなことが一時的に政府の指導方針として動いたことがあるという経過は取り調べの中で出てきておりますか、いかがですか、その点。
  59. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いまお尋ねの点は、今後における捜査にも関連するかもしれませんし、何よりもまず、すでに公判請求をしております田中前総理の受託収賄の背景事情に関連する事柄であるようにも思われることでもございますので、いずれそういうことは公判廷において背景事情として立証していくことであろうと思います。ただ、そのような、いま御指摘のようなことが入っているかどうかは私自身知りませんけれども、いずれにいたしましても、仮に知っておったとしても、そういう内容については申し上げるわけにはいかない事柄でございます。
  60. 野田哲

    野田哲君 いまの安原刑事局長のお答え、印象としてはそういう経過も一時あったということなんですか、どうなんですか。私はそういう印象を受けるんですが。
  61. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いつも困惑する次第でございますが、存じていない、申し上げられないということは、いずれにしても、白とも黒とも言えない、積極も否定もできないということでございますので、だからといって積極だとおとりいただくことは、はなはだ私としては迷惑する次第でございまして、よろしくお願いします。
  62. 野田哲

    野田哲君 いままでロッキード問題ではいろんな情報——新聞、週刊誌あるいはまあ衆参両院の審議の経過等を通じて、たくさんの情報を私どもも知っておりますし、関係者からの説明を受けたととがあるわけですが、このコーチャンが十月五日から六日にかけて述べておるようなことは、いままでのいろんな情報なりあるいはこの衆参両院のロッキード委員会の審査の中では全く出ていないと思うんですが、この点はいかがですか。
  63. 安原美穂

    説明員安原美穂君) あの記事まで、公開の情報あるいは公開の当委員会等において、あのようなことが云々されたことはないことは事実でございます。
  64. 野田哲

    野田哲君 これは率直に私は受ける感じですよ、この十月五日から六日の回想録を読んで受ける感じというのは、もしこういう事実があったとすれば、これはだれかがロッキード社からの賄賂をつり上げる口実をつくるための、これはまさにこのコーチャンの言う陰謀であったのか、あるいはもう一つは、コーチャン自身が、十月五日から六日にかけての行動について、ある事情があって、事実を隠蔽をするために故意にこのような話をつくっているか、私はこういうふうに感じるわけなんです。  そこで、贈賄側のコーチャンが、児玉からの依頼で公然とロッキード社の飛行機の売り込みの障害を中曽根氏が取り除いてくれたと、こういうふうに発言をしているし、これには小佐野も絡んでいることになっているわけです。もう天下の朝日新聞からこれだけのものが公開をされ、しかもこれは週刊誌などでも取り上げているわけでありますから、当然、中曽根氏それから小佐野氏、まあ児玉氏についてはああいう状態の中で捜査が続けられておるわけでありますけれども、この三人の関係者からこのくだりについては事情を聴取をして疑惑の点を明らかにすべきではないか、特に小佐野賢治氏、中曽根康弘氏、それぞれ世間から非常に注目をされているわけでありますから、これだけのものが公開をされたわけでありますから、事情聴取をして事実の経過を明らかにすべきではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  65. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほども申し上げましたように、いま御指摘のようなコーチャン回想について捜査当局が重大な関心を持つであろうことは当然のことと私も思っておりまするが、それについてどういう対処の仕方をしているかということは、ちょっと答弁を差し控えたいと思います。ただ、御信頼をいただきたいこととしてお願い申し上げることは、検察当局としては真相究明ということを第一義と心得、そのことのためには何人であるとを問わず遠慮会釈なしに取り調べをするという自由独立の立場でおりますことにつきまして御信頼をいただきたいと、かように思う次第でございます。
  66. 野田哲

    野田哲君 法務大臣、先ほど私の冒頭の質問に対してあなたは、そういうことはないというふうに言われました。ここに写真がありますがね。「法務大臣 稻葉修君 時局講習会 「今日の政局」を語る」と、サブタイトルで「サア、あなたの疑問点を話題の人稻葉法相に」と、こうなっていますね。だから、私の言ったような趣旨の写真がある。それはいいですよ、もう。いいですよ。そこで疑問点を聞くんですよ。  最近ね、ロッキード問題についてはもうこれだけ公にされたから、これはもう行くところまで捜査としても行かざるを得ないと。ところが、もう一つの疑問点であるP3C。P3Cについては、これは日米両国の安保体制にかかわることでもあって、いいですか、P3C隠しということが日米両国のトップの間で取り決めがされた、これは日米両国政府日本の防衛庁とアメリカの国防省、こういうところの間で、トライスターについてはもうやむを得ない、あばくところまであばかなければいけないが、P3Cについては、これは隠してしまう、こういう風説が世間に行われている。あなたは、そういう風聞があることを御承知ですか。
  67. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 風聞があることは承知しておりませんし、そんな風聞はうそだと思いますね、私。
  68. 野田哲

    野田哲君 これはまた機会があれば、三木総理以下関係大臣全部出そろったところで明らかにしていかなければならないと思うんですが、六月に三木総理とそれから七カ国首脳会談がありましたね。あそこで、フォード大統領と三木総理との間の個別会談でこのことが合意をされた、こういう風説がある。こういうことで、私はこの問題は今後、きわめて注目すべき情報として、機会を改めて三木総理並びに関係大臣に伺わなければならないと思うんです。そういう風聞がある、かなり権威のあるジャーナリストの中にそういう説があるということを申し上げておきたいと思います。  そこで、法務大臣なり安原刑事局長に伺いたいと思うんですが、先ほど来の、この十月五日から六日にかけてのコーチャンの発言、この部分については、どう見てもこれは不可解きわまる発言です。このくだりについては、これはある別のことを隠蔽するために、ことさらにコーチャンが、だれかの、これは恐らくアメリカ政府と見るべきであろうと思うんですが、この意を受けて、別の話をでっち上げていると、私はこういう印象を持っておるし、現にそういう報道もあります。ここにある、中曽根氏が協力をしてコーチャン氏が心配をした障害を取り除いてくれたというのは、これはトライスターではなくて、PXLの白紙還元にからむことではないか、こういう風説がある。私もそういう疑惑を持たざるを得ないんです。その点について幾つか私なりの理由を挙げて見解を承りたいと思うんです。  まず、十月五日から六日というのは、あの昭和四十七年十月九日の白紙還元、これに至るPXL問題では最後の詰めの段階であるということが一つ。それから二つ目には、すでにこの段階では、先般の黒部証言なりあるいは事実経過にあるように、すでにロッキード社あるいはアメリカのMDAO等を通じてP3Cの売り込みが始まっていた。八月にはアメリカ政府はP3Cのリリースをオーケーをしている。そして、そのP3C導入の道を開いたのは、十月二日から始まった十月九日にかけての国産化の白紙還元の動き、こういう時期に相当をしている。こういうこと、三つ目には、この十月五日ごろに、コーチャン発言にあるような、トライスターは日本航空に、DC10を全日空に、こういうような動きは、これは政府部内にはもちろん、関係日本航空なり全日空にそういう動きがあった形跡は全く私ども調査でもない。もしあったとしても、当時通産大臣であった中曽根康弘氏が十月五日の夜に——九時ごろですね、あれ。中曽根さんはこの前、いま出席されている共産党の神谷さんの質問に対して記者会見をして、四十七年の十月五日には新潟に行っておって、私は昼間はいなかった、何か八時ごろに東京へ帰ってきた、こういう発言をされているわけです。コーチャン発言によると、児玉から中曽根氏に電話をしたのは九時ごろということになっておるわけです。コーチャンが、その話が終わってホテルに帰ったときには九時半であった。こうなっているわけですね。そして十月六日に、すでに午前中にはコーチャンが心配をした恐るべき陰謀というのが中曽根氏の協力によって覆された、こうなっているわけです。  もしこれが運輸省所管事項であり、民間航空会社の機種の決定であるならば、夜の九時ごろに電話を受けて、明くる日の午前中にそれが全部解決をされるというような、そういう事柄のものではない。どう考えてみても、これは中曽根氏の所管事項で、自分自身が決断をすれば済むことでコーチャン氏の要請にこたえた、こう思わざるを得ないんです。これは、結局は何かといえば、通産省の所管事項でPXLの国産化白紙還元にかかわる問題といえば、通産省内の国産化の方針を通産大臣みずからが抑えて白紙還元、P3C導入の窓口を開く、そのことしかあり得ないじゃないかと。もしコーチャンの言うように、中曽根氏がこの時点で非常に協力をしてくれたといえば、そのことしかない、こういうふうに私は疑問を抱かざるを得ないんです。先般の久保亘君のこの席での発言に対する通産省の答えとしても、通産省は一貫をして国産、可能な限り国産という方針をとってきた、こういうふうに答えている。それが国防会議議員懇談会では、中曽根通産大臣は国産という発言を一言もしていない、輸入の方向に同調している。そういう点からして、この十月五日から六日、このコーチャンが中曽根氏に要請をし、協力を求めたというのは、PXLの国産白紙還元に対して通産省として協力をしてもらう、こういう疑惑を持たざるを得ないと思うんですが、この点、感想としていかがですか、安原刑事局長
  69. 安原美穂

    説明員安原美穂君) コーチャン回想記のある一小節に関する価値判断の問題でございまして、いわば信憑性の問題でございますが、まあ個人として感想なくもございませんけれども、この席で申し上げるのは差し控えたいと思いまするが、野田委員の御指摘の事実の評価に関する御意見は御意見として十分に拝聴させていただきました。
  70. 野田哲

    野田哲君 稻葉法務大臣、まああなたときわめて派閥的に言えば近い関係にあり、しかも自由民主党の要職、幹事長にある中曽根康弘氏が、このコーチャン回想録によって、公然とですよ、公然とコーチャンの要請、児玉の要請によってそのロッキード社の目的を達成するために動いた、協力をしたと、こういうことが公開をされたわけですから、この疑惑にこたえるためには、当然これは、小佐野あるいは中曽根、この両氏について具体的な事実について明らかにすべきではないかと思うんです。  安原刑事局長は、きょう午前中の衆議院ロッキード委員会で、小佐野氏が捜査の対象になっているという報告は受けていないという意味発言があったというふうに昼のニュースで見たんですが、もう一回これを正確にこの席で、小佐野氏について捜査当局はどういう扱いをしているのか、明らかにしてもらいたいと思うんです。
  71. 安原美穂

    説明員安原美穂君) どういう扱いということについては——を含めてでございますが、先ほど御指摘のように、小佐野賢治氏について現在のところ犯罪容疑があるという報告は受けておりません。
  72. 野田哲

    野田哲君 法務大臣としては、これだけの事実——まあ事実かどうかはともかくとして、これだけのものが公開をされたわけですから、これに対して、これは刑事的な責任があるのかどうか、これは捜査当局判断をすることでしょうけれども政治的にはこれは明らかにされなければならないと思うんですが、法務大臣としてこの点についての対処の仕方、どうお考えですか。
  73. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 友だちのことでありますからね、そういうことが公にされたという点についてどう思うかといえば、率直に正直に申し上げて、はなはだ遺憾であると、残念なことだななあと、こう思いますし、それから犯罪捜査との関係についていえば、それはだれであろうと、あなた派閥的と言いましたが、同一派閥であろうとなかろうと、与野党を問わずそんなことについて軽重の差を設けるなんという気持ちは全然ないですね、私、全然ありません。ですから、この間の演説会にも、中曽根はどうしたなんというやじが飛ぶから、そんなものは区別するわけはないじゃないですか、中曽根康弘であろうとだれであろうと法務大臣であろうと、こういう犯罪容疑があるからというておれのところへ逮捕請求の許可を求めてくれば、稻葉修逮捕を許可すると言わざるを得ぬじゃないですかと、刎頸の友であろうと何でもそんなことは構わないと、こう言うたんです、やじに答えて。それが別の方の刎頸の友なんかにくっつけられて大変迷惑していますがね。
  74. 野田哲

    野田哲君 刑事局長に伺いますが、きのうからのこのコーチャンに対する嘱託尋問、この嘱託尋問については、先般来のコーチャン回想録、この中で回想録に述べておる事実と、いままでの日本国内での取り調べの点との間で合致しないような点があるとすれば、これは嘱託尋問事項の中に含められておりますか、いかがですか。
  75. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほどもお断りしたんですけれども、これは捜査の一方法としての証拠収集の方法としての尋問でございますので、どういう事項を尋問の対象にしているかを申すわけにはまいらないわけでございます。なおたびたびお尋ねでございまするが、これは朝日の記事が出たから再尋問が始まるということではございませんで、こちらから提供した今日までの捜査資料に基づくアメリカ司法省当局のコーチャン証人尋問の第一回との間の不足分あるいは不突合分について、さらに再尋問の必要があるという判断に基づくものでございますので、さよう御承知おき願いたいと思います。
  76. 野田哲

    野田哲君 捜査当局はこの前の田中前総理の起訴に当たって、これはここで御質問が出て、刑事局長答えておられるんですが、もう一回正確に承認をしておきたいと思うんですが、田中前総理の起訴について、P3Cの問題についての疑惑はなかったという発表をされておる。これはつまり世間はあれは、全くP3Cというのは真っ白けで、一つもしみも斑点もないんだと、こういうふうに受け取っているんです。しかし、これは明らかにしておかなければならない、確かめておかなければならないと思うのは、起訴事実の田中角榮が受け取った五億円についてはP3Cの疑惑はなかったと、こういうことであって、これから解明されていない児玉ルートの十七億幾ら、こういうものをこれから具体的に捜査をしていく過程においては、これはどうなるかわからない。いまP3Cについての疑惑はなかったというのは、五億円、あの収賄の中にP3Cの疑惑はなかった、こういうことだということをもう一回確認しておきたいと思うんですが、そのとおりでいいですか。
  77. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先日の受託収賄の公訴事実に関する限りトライスターの導入に関するもので、P3Cには関係がなかった、ただそれだけのことでございます。
  78. 野田哲

    野田哲君 稻葉法務大臣は、コーチャン回想録を読んでいないということでありますから、これ、質問のしょうがないんですがね、このかなり長い、あれは五十何時間村上記者が面会をして記録にしたというのですね、これを見ると、あれだけの詳細な回想録の中にP3Cの字句は一言半句も入っていないのです。入っていない。ところが日本においては、この時期、四十七年の十月五日、六日、九日、この前後、コーチャン回想録の中で詳細に述べているこの時期が、一番P3C問題についての、PXL白紙還元という非常な焦点の時期に相当しておるわけですね。そうしてその白紙還元以降ずっとP3Cの売り込みのいろいろな試乗会とか、説明会とか、こういう売り込みの手だてが講じられているし、それから引き続いて丸紅との契約、児玉との契約、こういうふうに至っているわけです。この回想録の中に、P3Cの字句が一言も入っていない。商売の金額から言えばけた外れにトライスターよりも大きいこれが入っていないということ、これは刑事局長、非常に奇異に感じられませんか。
  79. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 一言も入っていないことは事実でございます。
  80. 野田哲

    野田哲君 奇異に感じられませんか、それは。
  81. 安原美穂

    説明員安原美穂君) この場ではお答えいたしかねます。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
  82. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 刑事局長は、これは私がきょうこれからする質問とはちょっと関係ございませんけれども、ただいまの答弁、田中の起訴事実の中に要するにP3Cのことは一言も触れていない。トライスターの賄賂であったということはこれははっきりしているわけですけれども、いま答弁の中で、P3Cには関係なかったとおっしゃいましたがね、しかし起訴事実の中には、P3Cには関係なかったという字句は全くないわけですよね。ですから、P3Cという言葉が起訴事実の中に全く出てこないということは、これはいまの答弁おかしいんじゃないですか。
  83. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 起訴状をごらんいただければ、P3Cに関係がないということははっきりしております。公訴事実に関する受託収賄はP3Cとは関係ございませんということを申し上げたわけであります。それ以外のことは何も申しておりません。
  84. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかしそれは、P3Cに関係はなかったという言葉はないわけですね。五億円についてはトライスターの受託収賄ですかの事実は述べられているわけですけれどもね、しかし五億を受領したということは、これは確かにトライスターだけかもわかりませんね、その場面では。しかしこれからP3Cの問題をいろいろな角度から解明してくる段階で、P3Cという問題が出てくる可能性はあるわけですね、これは。それはいまの段階でP3Cには全く関係なかったと言うこと自体がまず私は大きな問題じゃないかと思うんですよ。なぜかと言いますと、現実にわれわれ庶民の立場から考えた場合でも、同じ航空機会社の航空機ですよね。片方の航空機がトライスターです。片方がP3Cです。片方の方をお願いした、片方はお願いしていないから関係ないとはこれは言えないわけですよ。いま明らかになった分については、確かに関係ないかもわかりませんよ、これはそのとおり私も認めます。しかし、この点についてやはり全く関係ないのだということを明言されるということは、これは要するにP3Cそのものが真っ白であるということを証明していることになりますよ。そういうような意味からも私はこの問題非常に納得できませんね、答弁。
  85. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私は峯山委員の言われたとおりを申したつもりでございます。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それなら結構です。いま、ですからP3Cには関係なかったという意味を、私が言ったような趣旨ということにとれば結構です。  そこで、私は先般の委員会から、丸紅とロッキード社の契約の問題について相当ずっと取り上げてまいりました。実はこの問題についてもう一点きょうはただしておきたいと思います。  先般の委員会で私は、この問題を取り上げましたときに、最後に坂田防衛庁長官にお伺いいたしました。そのときに、長官の答弁は、非常に、会議録を見てもわかりますように、簡単な答弁でございました。早速詳細に調査をいたしましてその解明努力してまいりたいと思いますと、こういうふうな簡単な答弁で、事務当局に、これでいいかと大臣聞いておられました。で、その後の調査ですね、この問題どういうふうに調査をされましたか、一遍御答弁いただきたいと思います。
  87. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 防衛庁に丸紅から提出されました資料によりますと、ロッキード・丸紅間の代理店契約は、昭和三十三年以降、本年四月に契約関係が終了するまで延べ八本の契約書が締結をされております。そのうち防衛庁関係の品目をカバーする契約書は六本でございます。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何本。
  89. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 六本。  なお、防衛庁は、本契約に関してはいわば第三者の地位にございますし、実情調査を行うに当たりましても限界があるということは否めないのでございますが、当庁といたしましては、   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 できる限りその解明に努めたわけでございます。さらに、その詳細な結果につきましては政府委員に答弁をいたさせたいと思います。
  90. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いま御説明がありましたように、丸紅とロッキード間は、御存じのように昭和三十三年の八月に契約が締結されまして以来今日に至っておりまして、今年の春契約を打ち切ったわけでございますが、その中身は主としてT33、P2V7、P2J、F104、それからそれに関連いたします補用部品関係でございます。先般御質問のありましたのはこういった契約に関係いたしますコンペンセーションというのが大体どれくらいになるかという御質問であったと思いますけれども、私どもの方でいま提示を受けました契約の中身のいろいろな料率がございますが、そういったものを一応実際の取引に当てはめまして推定いたしました結果を申し上げますと、昭和三十三年から昭和五十年に至ります約十八年間でございますが、この間に丸紅が受け取りました金額はおおよそ四億二千万円程度、年平均にいたしまして二千三百万円程度というふうに推定しております。  以上でございます。
  91. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、いま丸紅の契約に基づいてコンペンセーションを計算してみたら、トータルで四億二千万ということですが、会計検査院は、こういうふうないわゆるコンペンセーション、四億二千万というような裏金を丸紅が受け取っていたであろうということを防衛庁は推測していらっしゃるわけですが、会計検査院はこういうふうな裏契約があるかどうかということについては、かねがねどういうふうな見解を持っておられたか。
  92. 高橋保司

    説明員高橋保司君) お答えいたします。  輸入商社とそれから外国のメーカーなどとの間に取り結ばれておる代理店契約につきましては、ずっと以前からそういうものがあるんではないかということを推測していましたし、ことに四十四年、日航製とシャーロット社との間のその種の契約のあることをはっきり知って以後、そういうものの存在を予測しておったわけでありますが、そのために防衛庁が輸入するその種の装備品などにつきましても、そういうコンペンセーションの存在ということを念頭に置きまして資料の要求ということをやってまいりましたのですが、何しろ先ほど当局からもお話がありましたように、防衛庁にとりましてはいわば第三者的な契約であったというような関係もありましてなかなかとりにくかったのであります。それが、ことしに入りましてようやく私どもの要請にこたえていただきまして、われわれは、その資料に基づきまして鋭意いま検討を進めてきたわけでございます。まあ、なかなかとりにくいことでありましたが、そういうことにつきましてわれわれといたしましても相当の努力を払ってきた次第であります。そうして、この種のものにつきましては、防衛庁が行います価格交渉の過程でそういうものの存在を十分認識した上で相手方との交渉に当たられたいというのが私どもの従来からの見解でございます。
  93. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 検査院にもう一遍お伺いしておきますが、これは、こういうふうなコンペンセーションの契約というような、いわゆる裏契約ですね、裏契約で、この航空機等を取得する人がわからないようないわゆる裏金をもらうような契約ですね、こういうふうな商取引というのはこれは一般的なんですか。常識的なんですか、これ。どうなんです。
  94. 高橋保司

    説明員高橋保司君) 一般的ということをどういうふうに解釈しますか、あらゆるその種の取引について必ずあるというふうに見るのかどうかということでございますが、まあ大体あるんではないかというふうに私どもとしては推測しています。
  95. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、現在、防衛庁はこのロッキード社以外にも、F4とか、 いろいろ買っていますね。こういうふうなところのこの契約というのは現実の問題としてすでに入手しているんですか。
  96. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 先般来、この委員会でも申し上げましておりますように、こういったものの輸入をいたす場合等につきましては、防衛庁が直接輸入するような場合には、たとえばそれがソールエージェント、代理店のような相手方の、まあたとえばロッキードとかいうところのソールエージェントでありますような場合には、その販売権を証明するようなものを要求しておるわけでございます。その過程において極力そういった契約の現在があれば見せてくれということをかねて心がけておったわけでございますが、遺憾ながらなかなかその協力が得られなかったわけでございます。まあそういうこともございまして、本事件、この問題が起きまして以来、さらに一段とその要請をいたしまして、現在、防衛庁関係の取引で取引のあります七十社を中心にいたしまして代理店契約の提示を求めております。それにつきましては先般来いろいろ御質問がありまして提出状況等を申し上げておりますけれども、現在、この七十社のうちにおきまして、代理店契約がないというのがそもそも二十一社ございます。それから残りのものにつきまして現在二十九社程度が出してきておると、こういう状況でございます。
  97. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは長官、先ほど会計検査院の方からも話がございましたように、検査院としては昭和四十五年当時からこの問題に気がついて、すでに防衛庁の方にも何回も要請をしていたと。ところが現実の問題として、第三者の契約であるからなかなか入手しがたいとは言え、検査院から具体的に指摘をされているわけですね。ところが防衛庁の答弁はいつも、そういうような契約はないというのが会計検査院に対する防衛庁の答弁だったと、私現実にこう聞いているわけです。今回の問題も、こういうふうな問題がもう少し早くキャッチできてちゃんとしておれば未然に防げる点もあったわけですね。またその価格交渉の場合も、この価格を正当であるかどうかということを判断する場合ですね、こういうふうなものがあるかないかによって判断の基準が変わってくるわけですね。そういうような観点からもやはりいまだに出してない商社もあるわけですけれども、少なくとも防衛庁のこういうふうな主だった主要装備を取り扱う商社は、当然私はこういう契約は明確にして今後取引を行うようにすべきだ、こういうぐあいに思うんですが、長官の御答弁をいただきたい。  それから会計検査院にも続けてあれしておきますが、こういうふうな問題が二度と起きないようにするためには、一体どうしたらよいのか。現実に航空機を購入する場合、特に主要装備の場合、相当な金額にもなるわけです。そういうような観点からも、今後の対策について検査院はどう考えているか。この二点伺いたい。
  98. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この点はまさに先生おっしゃるとおりに私は考えておりまして、こういうようなことをやはり明確にして、国民の疑惑を招かないような形で契約を行っていかなければならないというふうに考えております。
  99. 高橋保司

    説明員高橋保司君) お答えします。  これに対する対策という御趣旨でございますが、必ずしもつまびらかにいたしませんが、まあ、たとえば代理店契約をなくするような取引をやったらどうかというような趣旨に対しましては、たとえばFMSというような関係の購入方法があろうかと思います。それが一般的と申しますか、まあ、この種のつまり代理店契約というものがありまして、コンペンセーションの受け払いがあるというのが普通あるようでございますが、これがもし一般的に認められるというようなことでありますならば、そういうものの存在というものを十分念頭に置いておくべき性質のものではないかというふうに考える次第でございます。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは法務大臣にお伺いします。  先ほどから法務大臣の答弁をお伺いしておりまして、まず、法務大臣、先日の二十九日の新潟における発言ですね、これは大体、新聞に報道されている内容、各紙書いてございますが、大体このとおりなんでしょう。
  101. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 大体という、その大体ですね。全部がそのとおりだとは申しませんが、大体というのは八割とか六割とかというふうに分けるわけにはいきませんけれども、大体と言えばそのとおりですな。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣ですね、私は大臣がロッキード委員会に御出席になりまして、毎週大体大臣が各地で演説会をされる、そのたびにこういうふうないろいろな話題を提供してくださっている。これは私は新聞が書き過ぎだと、こういう話もございますけれども、大臣は少なくとも現在注目されてますね、マスコミの皆さんに。ですから、大臣の行くところには当然そういうような取材網があるわけです、現実にですね。そうしますと、こういうふうな発言をすればこういうふうに書くであろうということも大臣はもう当然おわかりのはずですね、やっぱり。もうここまで来たらそうでしょう。初めのうちはそんなことは言えなかったかもわかりませんよ、初めのうちは。しかし少なくともこの二十九日の報道ぐらいのときには、この程度のことをしゃべればこういうふうに新聞は書くであろうということは予想されることだと思うんですよ、大臣。違いますか。
  103. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 記者がついていっているんですから、言うたことは書くであろうということは、そう思いますね。言うたことを書かぬ記者なんか、ついてくる必要ないんだから。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、大臣はこの新聞の中にあらわれている、たとえば「反三木灰色隠しだ」、この趣旨、こういうふうな見出しも頭に入れて大臣はしゃべっていらっしゃるんじゃないか。まさかそこまでは私はないと思いますよ。思いますけどもね、普通の私ならそんなことは考えませんけどね。大臣はその先の先まで考えて、こういうふうないわゆる法務大臣という立場を私は政治的意図に使っているんじゃないか、そういうような感じがするわけです。そういうことはありませんか。
  105. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 政治的に利用をするためにそういうことを言うて書かせるなどという悪らつな思想は持っておりません。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそうでしょう。そうでないとだめなんですよ。しかしここまできたら、これは初めのうちなら、初めの一回や二回なら大臣のおっしゃることはごもっともと言って私たち引き下がりたいと思うのですよ。しかしながら、この話の内容、これ一つずついきましょう。先ほどから話がございましたように、第三の山の解明の問題、この問題一つにしましても、新聞に書いてあるとおりではないと思います。どこが違うか、一遍おっしゃっていただけば結構です。新聞の報道によりますと、大体——いろいろありますが、第三の山の問題としてこういう話が出ています。「自民党は前首相を逮捕されて申し訳ないと謝るわけだが、「キチンと〃フンケイの友〃をしばったから安心です」と国民に言えるようにしなければならない。再犯の恐れがないというようにしなければ、自民党の再生はで.きない。第三のヤマをしっかりやらないと、また経済界のおかしなヤツが組んで外国の商社とヘンなことをやるかもしれない。」これは趣旨はこういうことですか。
  107. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 趣旨はそうですな、趣旨というのは。私は福田副総理もここで答弁されたように、あれ、正しいと思うのです。ロッキード事件というものは解明しただけでは政治的意義がない、解決しなきゃいけない。その解決は再犯防止だということも含めて、そして政治に対する国民の信頼を回復するというところまできちんと、その方途を見出すというところまでいかないと解決にはならないという点についてはそのとおりであると、こう思うものですから、そういう表現になりますね。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、大体新聞に報道されているとおりのようですね、いまの問題。少なくともいまのとこについては。そうしますと、「フンケイの友」というのはだれですか。
  109. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そこんところが違うんですよ、そこんところがね。そこんところは、やじの中で、中曽根はどうしたと言うからね、それはだれだろうとあれだろうとそんなことは区別するはずはないじゃないですかと、そして、仮に私のところに、法務大臣逮捕の請求許可を受けに来たら、おれは困ると、そんなことは言うわけにもいかぬじゃないかというつもりなんですね。そしてずっと後になって、最後に、それはもう決意を披瀝するときに、仮に刎頸の友であろうと何であろうと、それは縛りつけるくらいの決意を持たなければ全貌の解明はできませんと、こう言ったんだ。だから、私の頭では刎頸の友というのは中曽根君を頭に置いて言うているんだけども、別の方の刎頸に行っちゃったんだ。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかし、「フンケイの友」が中曽根さんとはもうほんまに、これ。いや大臣ね。大臣の決意のほどはよくわかりますけどね。しかしながら、新聞に報道されているのは、それじゃあれですな、これは「フンケイの友」っていうのは大臣は中曽根さんのことを考えておっしゃったんですか。
  111. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) つまりだれであろうとということを強調するために、さっき中曽根はどうだと言うから、そういう私の刎頸の友であろうと、区別しないと。決して田中前総理の刎頸の友を指して言っているんじゃないです。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはわかりました。しかし、刎頸の友というと、これはいま問題の焦点になっているわけですよ。それでだれが考えたって小佐野さんということは、これはもう大臣、わかり切っているわけですよ。それは大臣はいまとぼけていらっしゃいますけどね、そういうことを承知で、心では中曽根だと自分は思っているけれども、中曽根だと言う人だれもおりませんよ。現実に全部の新聞——大臣は中曽根と思って言ったとおっしゃっていますけどね、どの新聞も中曽根とは書いていませんわ。全部田中さんの刎頸の友と、こう見てますね。そこが私は、大臣のいわゆる政治的な意図というのがそこに出ているんじゃないか、そう思うんです。実際現実の問題としてね。現実にそうなっているわけです。その問題、現実に私は重要なこれから解明しなければならない問題だと思うから、改めてまた言っているわけですがね、そうなりませんか。
  113. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私はそうならぬのですけれども、あなたがそうなると言えば、そうならぬようにしてくれと言って頼むわけにもいかぬからね。しょうがないです。しかし私はそんなことを計算に入れて——何と言うのですかな、そんな悪党じゃないです。それからまたそんな頭もないわ。まことに平々凡々、ぼんくらですからね。そんなことあなた、こうやってやれば誤解を、必ずそういうふうに書くだろうなどという計算をするような、そういうさもしい考えありませんよ、私。本当にこの間も言ったように、腹断ち割って見せてあげたいくらいなんです。御信頼ください。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや私は御信頼はしないわけじゃないんですよ。ずっと信頼してきたわけですよ。しかしこういうことがたび重なると——これはもう一回、二回じゃないですよ。今回のこの問題も私だけが誤解しているんじゃないんです。私がつくって言っているんじゃなくて、マスコミの皆さんも一社だけじゃないんですよね。一社だけなら聞き間違いというのもありますけど、少なくとも私の手元にある四社の新聞は同じ名前を挙げて同じように書いていますよね。これはやっぱり私は非常にいかぬことだと思いますよ。これは私の誤解じゃありませんよ。ですからそういうような意味では——大臣ここで気張らなくて結構です——大臣が意図しなかった方向に記事は進んでいますね。しかしながら現実の問題として、第三の山というのは意図しなかった方向のこの問題なんでしょう。これを解決しなきゃいけないんでしょう、要するに。どうなんです。
  115. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あらゆる努力を傾倒して第三の山を解明してほしいなと、検察庁はね、そういうふうに検察庁はあらゆる手段を講じて解明努力しておりますと、こういう報告を刑事局長から受けていますからね。それは一番大事なこと。  それから、いろいろこうあなたおっしゃいますけど、私、何といいますか、答弁も下手だし、演説も下手だし、言葉は知らないし、手がつけられないんです。ですから新聞にそう書かれているという、四社そろって書いて、そんなふうにとるのかなあと思って不思議に私思うんです。新聞社というのは不思議な存在だなと思っているのですね。(笑声)しかし、朝日などにはそんなことは書いておりませんということをだれかに聞かされました。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私はね、大臣のそういうふうに答弁するところがまた非常に頭のいいところだと思うのですよね。これは非常に頭はいいですよ。(笑声)  そこで大臣、もう一点お伺いしたいんですがね。昨夜のNHKでも自民党の中曽根幹事長が、代議士の取り調べに対し、法務当局に慎重な取り扱いを要望したというような報道がされています。それからけさの新聞でも、総務会での記事に関連をいたしまして、党執行部としてもあの問題が起きた後——これは四高官のあの問題です——適当な方法で関係当局に対し、しかるべき措置をとったと、こういうふうに報道されておりますがね。これは具体的に自民党から法務当局に対してどういうふうな措置の要望があったのか、そして、だれからだれに要望があったのか、一遍お伺いしたい。
  117. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私のところへ、総務会の意を体してとか、党の意を体して慎重に取り扱えという御忠告なり、そういう申し出はありませんが、それは申し出があるないにかかわらず慎重な態度でいくべきは当然で、この前のはちょっとまずかったなと、こういうことをここでも申し上げましたわけですね。それもしかし人権に関することでございますからね。なるべくカメラの放列などのカッとしているところへ、たとえ任意捜査にしても何人においてもそうですか、なるべく任意捜査ならば人権に触れないように、人に知られないように調べてあげるという配慮は検察当局にあって当然じゃないかと、そういうことから、余り報道機関の見張りがひどいものですから、つい関係者はあるいは済んじゃっているかもしれませんよといったような、もう取り調べが済んだという新聞記事に書かれるようなヒント、これはそして、こう言えばそう書くだろうなどということは全然考えないわね、これは。考えるわけはないんだから。それはそういうつもりで言うたんでしょうけれども、それにしてもヒントを与えたということはまずいなと、こういうことでございますわね。
  118. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私の質問に答えてほしいんですがね。要するに、自民党の中曽根幹事長が法務当局に慎重な取り扱いを要請したと、その要望した事実があるのかどうか、これはどうです。
  119. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私のところへは何にも、覚えておりませんね。記憶に……それこそ記憶にありませんなあ。中曽根幹事長から、慎重にやるように検察当局にあんたから言えなんという電話も何もないですね。なるべく電話の往復も、会うことも、こういう立場ですから慎しんでおる次第です。
  120. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは事務当局にはこういう要望は全くありませんか。
  121. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 直接党からそういう要望はございません。ただ大臣からは、人権上の配慮に事欠くことのないようにという御注意はございました。
  122. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは幹事長から直接はなかったにしても、大臣は幹事長の目をちらっと見てね、幹事長の言わんとしていることを法務大臣がぽっとこう事務当局に注意したということなんですかな。要するに、これはきのうのNHKではきちっと報道しているんです、夜十一時からニュースで。それに関連した新聞の報道も現実にあるわけです。私が言いたいことは、確かにこの間の問題はある点ではやっぱりまずかったと私は思うんですよ。しかし、その点に絡んで、さらに今度は検察に対する政治の介入という問題が出てくるわけですよ。さらには、介入とまではいかなくても、いわゆる圧力をかけて、灰色高官を今後取り調べたり、公表するに当って、いわゆる派閥あるいはそういうところが圧力をかけるということになりかねませんからね、こういう事実がもしあったとすればですよ。ですから、私はこの点は明らかにしてもらいたいと思って質問しているんです。どうです。
  123. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういう人権を不当に傷つけない配慮というのは、やっぱり捜査当局としても、刑事訴訟法の第一条にきちんと書いてあるのですからね、それは守ってやるべきだということを……
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、それはわかります。それはわかる。
  125. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ああいう事件に関連して法務大臣がやっぱり注意しておくべきだと思うから、刑事局長を通じて、気をつけてやってよねと、こう言った。  それから、その後自民党から圧力がかかったなんていう話は聞いておりませんな。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 自民党の中曽根幹事長が、こういうぐあいに言った、要望したと明確に言っている。
  127. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういう事実は、私、報告を受けていませんね。また、もしそんなことがあっても、いわゆる灰色高官の問題について議長裁定にある義務を法務大臣が怠るなんていうことはあってたまりますか、それは。そんなことをやったら、頭の悪いところへもってきて信用までゼロになっちゃう。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、時間が非常に短いものですから、もう一点お伺いします。  まず、刑事局長にお伺いしますが、児玉の取り調べですね、これは昨日四十回目の取り調べが行われた、こういうような報道がなされておりますが、現在までの概略を、簡単で結構ですから、取り調べの概略を報告願いたい。
  129. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 概略というのはどういうことを聞いたかということになれば、申し上げる段階ではないと思いますが、少なくとも四十回取り調べをしたということは公になっておる事実でございますし、それから健康状態に配慮しながら取り調べを進めて、大体一時間程度が現在の健康に、生命に異常を来さない限度であるということでございます。それから、病気は脳血栓後遺症という病気で、よくもなっておらないが悪くもなっていない、ある状態が継続しておるというふうに聞いております。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは局長、現在の児玉の取り調べの状況ですね。私は、少なくとも強制捜査といいますか、取り調べといいますか、これをやっぱり考えないといけないんじゃないか、これを言いたいわけです。といいますのは、きょう、もう時間がございませんから簡単にやりますが、要するに、取り調べる方が少なくともいろんな容疑で、健康なら逮捕して取り調べているわけでしょう、これはそうですね。
  131. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 健康ならば逮捕したかどうかということもやはり捜査内容に関しますので、申し上げるわけにはまいりません。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかし、捜査内容ですから言えないにしても、健康であるならば逮捕して取り調べるというのが、私、常道だろうと思うのです。しかし、先方の、取り調べられる側の都合を一々聞いて、それで一々時間も先方と交渉して、それで先方の都合のいい時間に出かけていく。国民の側から見ればこんな納得できない話はないと私思うのですよ。少なくとも私は、これはいま新聞や報道やいろんなところで言われておりますけど、いわゆる強制取り調べをやらないと——これは大臣、中曽根さんにもやっぱり関係がないわけじゃないわけです。要するに、児玉ルートの取り調べの中、児玉ルートというものの中身は、大臣もいま先ほどからおっしゃいますように、中曽根さんや小佐野さんという人が現実にコーチャンの回想の中にも名前が出てくるわけです。ということは、児玉ルートをがっちり解明しないといけないということを大臣もおっしゃっていますけど、大臣、これは現実の問題として児玉の取り調べに四十回行っているというわけでしょう。四十回行って、まくら元で取り調べをやっていますと、現実の問題として、その検事がどういう意図で取り調べているか、何を言わんとしているか、逆に言えば、検事が取り調べているんじゃなくて、児玉の方から完全に取材されているということが考えられますね。どうです、大臣。
  133. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 抽象的に言えば、なかなかの男ですから、逆取材ということもある。それだから前にも言っているように、逃げる方も真剣だからねと言っている。団結も固いよと言っている。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですから、であればあるほど、逆に言えば、先方がテープを全部仕掛けて、検事がしゃべることを全部取材して、それでどういうことを取り調べているということも逆に言えばわからないわけじゃないわけですね、これは。そうしますと、大臣、こういうようなことになっていきますと、その取材された中身、いわゆる検察が取り調べようとしている中身はいろんなルートへ全部流されて、全部証拠隠滅をされて、その証拠隠滅に四十回の取り調べが協力しているということも言えないわけはないわけですよ、逆に言えば。そういうふうな意味から言えば、私は先般からいろんな、この問題については人道上の問題であると、こういうぐあいにおっしゃっておりますけど、人道上の問題であればあるほど、東大の藤木教授がジャーナルの中にも発表しておりますように、現在の法律の中でも人道的な配慮を払いつついわゆる真相究明に役立つような方法が考えられるんじゃないか、こういうふうに述べておりますし、現実に拘置所の病監とか、八王子の医療刑務所とか、そういうところに収監して、いわゆるそこで取り調べをやる。何らかの歯どめをしないと、これから取り調べていることが全部ツーツーで漏れてしまう、そういうことが現実にあるんじゃないか。あるいは監獄法第四十二条によって、児玉の方から申し込みがあれば現実の問題として喜多村教授が付き添って、ということもできるわけでしょう。そういうふうないろんな観点から考えてみると、ここら辺のところはもう一遍検討して、本当に児玉ルート解明するためにはここら辺のところをはっきりさせないといけないんじゃないか。国民現実に疑惑を持っているわけですよ。最近の新聞の投書欄なんかにもこういう問題が、お医者さんが現実にこういう問題のときはこうしたらいいんじゃないかという投書が載りつつありますね。最近載っていますね。そういう点を見ますと、やはりこれは非常に私は重要な問題だと思うんですが、大臣どうです。
  135. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 捜査当局がいまの段階において児玉譽士夫を逮捕勾留の必要があると考えているかどうかということは、私承知しておりませんし、また承知しておっても申し上げるわけにはいかない事柄でございますが、いずれにいたしましても、真相究明のために必要であるということになれば、当局としてはそれにちゅうちょすることはないと思いますが、しかしながら、やはり人命の尊重ということは忘れてはならないわけでございまして、その辺にまた苦心の存するところでもございますが、いずれにいたしましても、具体的な勾留の必要性の有無について論ずるわけにはまいりません。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は私は、大臣、これはそういうふうないろんな問題ということを——まだ逮捕するかどうか、勾留するかどうかということについては言えないとおっしゃっていますけれども、少なくともこれだけの問題が起きて、こういうふうな事態になって、現実の問題としてコーチャン証言の中でも児玉が中心の動きをしているわけです。現実に二つの問題で法律違反で起訴されているわけですね。そういうふうないろんな角度から見ても、そこら辺のところをもっと明確にしないと、この問題は解決しないんじゃないか。さらに大臣ね、大臣が幾らこの問題を解明する、児玉ルート解明には総力を挙げると、こういうぐあいにおっしゃっておりますけど、現実にこの問題を解明するためのまず第一歩はこの病気という問題が大きな壁になっておるわけですから。しかし、その病気という問題を、ただ単に私は、病院へ行くという問題で人命にかかわるということは私はないんじゃないかという判断——私、素人ですからわかりませんよ、しかしながら、現実に車に乗って女子医大へいきましたね、そういう事実もありますね。そして自宅で看病するより病院できちっと治療できるということもありますね。また現実に主治医の先生もその病院へ行くということもできないわけじゃないですね。不可能なこと何にもないわけですよね、やろうと思えば。ですから、そういう点を考えてみますと、大臣ね、この児玉ルート解明をやるやると言うだけじゃなくて、ただ単にそれだけじゃなくて、児玉ルートというのは、先ほどの問題の中からも、中曽根さんや、さらには小佐野さんという二人の人たちが完全につながっていることはもうだれが見ても明らかなんですよ。そうすると、この問題をきちっとしない限り、三木さんも、また法務大臣もやっぱりロッキード隠しをやっているというふうに言われますよ。そういうふうに国民の目からだんだん見えてきます。だから、そういうような意味からも、私は、そういう印象を払拭するためにも、ここら辺のところはやっぱりがっちり法務当局も検討して、そして何らかの措置をとるべきじゃないか、私そう思うんですが、どうです。
  137. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたからいろいろのことを教わりまして、そんなこともあるかなあ、油断がならないやつだな、しっかりせなけりゃいかぬなと、さすがにあなたは頭脳明晰、鋭い。(笑声)私などはとうていそういうところまで考え及びませんです。まことに不明のいたすところでありますが、今後一生懸命にあらゆる努力を通じて、結果として三木、稻葉なんて者もぐるになってロッキード隠しをやったんだなんていうこと、ゆめゆめ国民にそういう印象を与えないように気をつけてやります。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひそういうふうに国民に思われないように、この問題については善処をしてもらいたい。  以上で終わります。
  139. 神谷信之助

    神谷信之助君 ロッキード事件は、アメリカの黒いピーナツで日本政治が左右されていたというチャーチ委員会におけるショッキングな証言によって戦後政治の醜い姿を国民の前に露呈し、国民の間に政治不信を増大していることは周知のとおりであります。だからこそ三木総理も、議会制民主主義の根幹にかかわる問題としてその徹底的解明国民に公約し、国会もまた両院がその真相究明を議決し、今日まで七カ月間にわたりその解明のため努力してきたところであります。しかるに、田中逮捕、そしてその保釈を契機に田中派の七日会を中心に、ロッキード隠し、灰色高官隠しの幕引き政変劇が起こり、三木勢力もまた独自の思惑からも、また反三木勢力への追随妥協という点からも臨時国会早期召集という形の幕引き劇、これを進めているという事実については、先週の委員会で私が追及したところであります。  本日は、さらにその一方で重大な国民に対する挑戦がいわゆる田中軍団によって進められている点について指摘をしたいと思います。すなわち、田中派幹部の間では、指揮権発動をなぜやらなかったかとか、逮捕は交通事故のようなものだとかというような、賄賂政治に対する反省どころか、国民の顔を逆なでするがごとき発言が平然として行われ、田中、橋本の地元では次期選挙への擁立運動が起こったり、金をもらって何が悪いと居直り演説をして回るがごとき、世論への挑戦が行われているわけであります。しかも、一国の宰相だった田中角榮は、二億円の金を積んで出てきても、七日会や自民党に迷惑をかけたと述べても、国民には一言もわびていないのであります。そればかりか、離党し、七日会を脱会したといっても、実際上はいまでも陰で采配を振り、ロッキード隠しの政変劇を行っている。また一方で、何らの反省をも行わない居直り的態度をとっていることは言語道断、許すべからざるものと言わなければなりません。これはロッキード事件解明によって国民政治不信を取り除き、その信頼を回復する上からも、また戦後の金権、戦犯、売国の三悪政治を一掃し、わが国の議会制民主主義を守る上からも不問に付することができないと考えます。  以上の観点から二、三の実例について問題の提起をしたいと思います。委員長、ちょっと大臣に資料を渡しますから。  お手元に資料を渡しました。まず最初の八月三十日、水戸市の自由民主会館ホールで、橋本登美三郎後援会西湖会臨時大会で決議をされた十万人のお見舞いの署名、それの署名文の要旨及びその大会で決議をされました決議文、これをいま資料としてごらんいただきたいと思います。  これは、いまも申し上げましたように、三十日、水戸市の自由民主会館ホールで橋本登美三郎後援会の地元の後援会西湖会が臨時大会を開いた。この臨時大会には茨城一区の四市三十七町村にある支部組織から八百人近い熱狂的な支持者が集まった。その大会では、まず決議が行われました。その決議は「私達の敬愛する橋本登美三郎先生は不幸にしてロッキード事件の渦中にあるが先生の高潔にして温情溢れる人格の前に暗雲はおのずから霧消し青天白日の身となる事を確信する。先生の国政への貢献、郷土茨城に対する深い愛情を以つて県勢発展に尽力された功績は何人と雖も否定し去る事は出来ません。内外共に多難な緊迫した情勢を目前にして吾々西湖会哲に橋本登美三郎先生後援諸団体は、本日ここに連合大会を開催し、慎重に討議した結果、次の事項を決議した。一、来るべき総選挙えの、橋本登美三郎先生のすいせん立候補の実現 一、今こそ吾々会員一同は、更に意志の疎通を図り強固な団結と不動の信念に燃え選挙戦を闘い抜くことを誓う。右決議する」であります。  このように賄賂を受け取ったということで逮捕された橋本登美三郎を、来るべき総選挙で推薦、立候補させる、そして全会員が強固な団結と不動の信念に燃えて選挙戦を戦い抜くということを誓うという決議を行っています。同時に、その会合で、この決議を行った後に、十万人の橋本に対するお見舞い署名をやろうということが決められました。「先生の高潔にして、温情あふれる人格の前に、暗雲おのずから散らし、青天白日の身となることを確信、西湖会ならびに後援会諸団体全会員は、一糸乱れぬ固い団結で政治行動を展開する所存であります。残暑なお厳しき折、くれぐれも健康第一にお過ごし下さるべく、ここに私たちの微衷を述べ、連署をもってお見舞申し上げます」。当日会場に集まった八百人近い人がその場で署名をして、そうしてこの署名簿をもって十万人の選挙区民に支持の署名を要求すると、こういう運動をやろうということが決まりました。  まず、法務大臣にお伺いしたいのですが、法務大臣、いま国民はこのロッキード疑獄によって起こされた、明らかになった賄賂政治、これについて非常な怒りを持っている。そして、三木内閣法務大臣としては、法務大臣も、その真相解明のためにしばしばどんな圧力があろうと、どんなことにも負けないで断固として真相究明のためにがんばると決意をされ、またその決意にこたえて捜査当局も困難な条件の中で捜査をして、そうして賄賂を受け取ったという、そういう容疑逮捕した。そういう状況の中でこういうことが行われることについて、これは非常にりっぱなことだというようにお考えですか、あるいはこれは好ましくないことだというようにお考えですか、まず大臣の見解を聞きたいと思います。
  140. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 端的に言って、こういうことが好ましいなんて毛頭思いませんね。だって、検察当局を預かる法務大臣として、検察当局が確信を持って逮捕した者を人格高潔という地元の——逮捕する以上は相当の犯罪容疑がありとしているのですから、それを預かっている法務大臣として、こういう選挙民のあり方は、人情としてはともかく、りっぱな行動だなんていうことを言ったらおかしなことになりませんか、私の立場は。
  141. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、この行動が単に好ましい、好ましくない行動だと言うだけではなしに、公職選挙法の第百三十八条の二項、これに違反をするのではないか、こう思うのです。公職選挙法第百三十八条の二項ですか、これには「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人に対し署名運動をすることができない。」、こう書いています。この大会では八月三十日に橋本登美三郎の推薦、立候補、この実現を決め、そのために選挙活動をやるということを決める、同時に十万人の署名運動をやる、まさにこの二つが同じ会場で同じ集会で同じ人物によって決議をされた。これはまさに百三十八条の二の違反の疑いが非常に濃いと思いますが、この点いかがですか。
  142. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) お答え申し上げます。  御指摘の署名運動の詳細を承知しておりませんので、断定的にお答えすることはいたしかねるわけでございますが、一般的には、当該行為の具体的な態様いかんによりまして判断されるべきものと考えます。署名の集め方あるいはこれに付随する行為等によりまして事前運動など公職選挙法の規定に触れるようなことがあってはならないものと考えております。
  143. 橋本敦

    ○橋本敦君 関連。  いまの選挙部長の答弁は、私は、具体的に事実を指摘した神谷委員の質問に対する答弁としては、これは全く答弁になっていないと思うのですよ。具体的事実は、この大会で、来るべき総選挙で橋本登美三郎の擁立を決めた、そうして、その決議に基づいて今度は十万人の署名をやるというわけです。百三十八条の二の解釈としては、これはもうすでに最高裁がどう言っているかといいますと、「選挙に関し」という意味については、これは当該選挙の施行されることが確定的となった場合に限らず、いいですか、選挙の施行されることが予測される場合に、その来るべき選挙のためにする場合も包含すると解するのが相当である。これは最高裁の昭和三十年二月十日の判決でもはっきりしている。だから、今度の場合は、予測される総選挙に擁立を決めたという意味において、具体的な選挙公示はまだないけれども選挙に関するという問題であることはきわめて明らかである。  次に、署名運動の問題について、自治省は昭和二十七年九月の質疑回答の中でどう言っているか。これはあなたの方が言っているんですよ。この署名運動に関して、「選挙に関し」というのは選挙に際し選挙に関する事項を動機としてと同じであるかという質問に対して、お見込みのとおりと答えておる。まさに動機に関して今度は擁立をする、決議をする、そういう動機に基づいて署名をやるというわけです。まさに自治省回答のとおりです。さらに、今度は署名の名義について自治省はどういう回答をしているかというと、署名運動とはいかなる行為かという問いに対して、昭和二十七年九月の回答では、その署名運動ば「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって」するものである限り、直接請求、特定の者の後援会加入などその名義のいかんを問わない。つまり今度の場合、陣中見舞いというようなかっこうのたとえ名義だと、こう言っても通らない、これはもう回答されておるのです。ですから、今度西湖会がやっているこの行動は、政治的にまさに許されないと神谷委員指摘したことにプラス、明らかに公選法百三十八条の二に違反をする違法な行為をやろうとしているのだから、これは明白です。一般的な答弁ではなくて、いま私が指摘した具体的な違反だという、これについて、もっと明確な答弁をしてもらいたい。
  144. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) 一般論としての御質問に対して一般論として答えた質疑応答の考え方はそのとおりでございますけれども、具体的な名前と具体的な事実をお挙げになってのいまのお尋ねにつきましては、さらにその他の具体的事実を承知しておりません私どもといたしましては、断定的にお答えいたしかねるわけでございます。
  145. 橋本敦

    ○橋本敦君 自治大臣、お聞きのように、一般的にはいま西湖会がやろうとしていることは百三十八条の二の公選法に違反する違法な選挙活動だというようにとられる可能性があることを選挙部長も一般論としていま認められたわけです。ただ、具体的には詳細を調査しなければならぬと、こういうわけです。具体的事実は神谷委員指摘したとおりですが、これは重大な問題ですから、まさに選挙の公正を預かる大臣として、この問題については調査を命ずる、あるいは私は、現に違反する疑い濃厚ですから、こういうことはやらないように指導する断固たる処置をおとりになることを期待するのですが、自治大臣の御答弁はいかがでしょうか。
  146. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) 私が、質疑に関連して認めると申し上げましたのは、質疑応答の線を認めると申し上げたわけであります。具体的な事実に関連しては判断をいたしておりません。
  147. 福田一

    国務大臣福田一君) 行政府の長として、また自治省を預かって選挙関係を監督しているという関係からもでありますけれども、要するに、われわれは法律に反する行為をする場合にはこれを取り締まるのは当然なことでございます。それは選挙部長がお答えをいたしたとおりでありますが、具体的な内容についてどうであるかということについては、ただいま私お話を聞きましたから、事情を調査いたしまして、これが法に反するということでございますれば、やはり適正に取り締まりをすべきものであると考えております。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治大臣、自治大臣は公明選挙を指導しなければならぬ選挙部も包括をしていると同時に、国家公安委員長でもありますから、したがって、この点は至急調査をして、そして公職選挙法の違反の疑いがあるかどうか、これは警察自身調査しなければならぬ。これはいま言いましたように、八月三十日にその集会が持たれた。まだつい前ですから、二日前ですから、だから、その会場におった者で、さらにそういう運動を続けられようとしているわけですから、犯罪行為の予防の意味からもこれは至急に調査をして、そしてしかるべき処置をとると、この点は迅速にやつていただけますか、再度確認をしておきます。
  149. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほどお答えをいたしましたとおり、事実を調査いたしまして、そうしてもちろん国家公安委員長でもありますから、その立場からさらに措置すべき面があれば当然また措置をとるべきだと思っております。事実の有無、内容等を十分調査をさせたいと思っております。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治大臣はもう結構でございます。  次に、もう一つ実例を挙げたいと思います。それは、現職の国務大臣が地元で重大な演説を行っているという問題であります。八月の二十七日の夜、山梨県の甲府市の共済連合会館で、金丸国土庁長官が「現政局と金丸信の歩む道」と題して一時間半の演説が行われました。その演説内容は、ここにテープを持ってきております。録音をしてあります。この録音テープを聞きますと、これは重大な演説をやっておられるわけです。まあ先ほど稻葉さんの演説がいろいろ問題になっておりますが、それ以上に——それ以上とは、比較にならぬほど国民をまさに愚弄するような内容になっています。その中の重要な部分は、配付をしました資料の中に、第二項にテープを起こした部分を書いてあります。こういうことを言っているんです。「金なしで政治はやれない。……全日空から陣中見舞くれた。それをもらったものが正しくないと言うのです。なんで、みなさん、それが悪いんです。」「私は七日会の一員です。私は七日会の幹部であります。田中という人は自民党全体が生成発展することをこい願っている。それで、われわれ七日会の代議士には、盆・暮れに百万円、二百万円くれる。一年生、二年生、三年生、四年生にそういうことを田中さんはいたしております。われわれの派閥ばかりでない、全党にです。」「私は七日会の田中の子分であります。田中がクロであれば田中派に属している金丸信もクロである」、その続きはちょっと聴取不能ですが、それに引き続いて「今は自由社会、自由経済だ。全体主義や共産主義の国会じゃない。この国のためにやることがなんで悪いか。」、こういう演説をなさっているわけです。いやしくも閣僚の一員が——苦心をして捜査当局容疑事実を固めて、そうして田中角榮を逮捕し、起訴をしたわけであります。いやしくも前総理ですから、捜査当局はそれなりに念には念を入れて十分な事実を、容疑内容を固めて逮捕し、そしてさらに苦労して起訴に至っただろうと思います。ところが、その起訴された内容は、明らかにロッキード社の頼みを入れて五億円の金を賄賂として受け取ったという内容です。こういうことで起訴をされた田中角榮を弁護し、そうして全日空から陣中見舞いをくれたと、それもろうたの何が悪いと開き直って、そして田中が賄賂をもらっても、それは自民党全体が生成発展することを願って、そして七日会の代議士に盆暮れに金をくれているんだと。で、しかも全党にです、といいますから、これは金丸さんの話ですと、稻葉さんにも坂田さんにも渡っているということになるんでしょう。そして自由社会、自由経済だからそれはあたりまえなんだと、こういうことを言っている。こういうまさに国民に対する重大な挑戦、それを閣僚の一員がやっている。これもまた法務大臣法務大臣の、いままでのまた職責からいっても、金丸さんが閣僚としてりっぱな行為をなされたというようなことは当然言えないだろうと思う。おそらく好ましくない行為だというようにお考えだろうと思いますが、この点についての感想、御意見を、見解を聞きたいと思います。
  151. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 金丸長官がどういう演説をされたか、それあなた、述べられましたがね、そうして法務大臣より上手が出てきたなんておっしゃいましたがね、そうしていま言ったような内容のことだと仮に仮定すれば、好ましくないことは当然じゃないでしょうか。ただ、そういうことがいろいろ言われましても、私のロッキード事件の真相解明に関する態度は微動だにもいたしません。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 坂田防衛庁長官もお見えになっていますから、あなたも閣僚の一員であり、国務大臣の一員であり、そして金丸国土庁長官はその閣僚の仲間でもあります。で、三木内閣全体としては、三木総理のもとでこのこの真相解明国民の期待にこたえるべく、内閣全体が団結をしてやっていかなきゃならぬ、そういう時期にこのような演説を金丸国土庁長官が行っているということについての見解を承っておきたいと思います。
  153. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いまお述べになりましたけれども、私、その演説を聞いておりませんし、何とも申し上げようはございません。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 なかなか逃げの答弁ですね。ちゃんと演説はこのテープがあります。だから、本来はテープでやりたいんだけれどもそれができないから、その中の部分を抽出して——まだまだあるんですよ、時間がありませんからこれだけの部分にしたわけです。で、私はこれは本来総理以下、さらに当然金丸国土庁長官の出席を求めて、そしてただすつもりをしておりました。残念ながらきょうは公務のため出張で出席できないということですから、これを問題にしたわけであります。  で、これは私は重要な問題だと思っているんです。御承知のように、八月の五日に田中角榮が拘置中に、越山会の新潟県本部、県下の連絡協議会の会長と県議団を集めまして、そうして全員一致で出馬要請を決めた、こういうことも行われている。そして、田中派に属すると言われる国会議員の諸君がちょうど金丸国土庁長官と同じようにいろいろと弁護に回る、地元に帰っては弁護に回る、あるいは居直る、こういうことがやられているわけであります。それに対して国民大衆は一体どう見ているか。これは御承知のように、連日のように投書が載っています。一番新しいきょうの毎日新聞に載っている投書を紹介しますと、「《田中議員に一言》」ということで「田中と縁切り出直せ」という、そういう投書が出てきています。あるいは「田中議員田中角栄や橋本登美三郎を激励しているようだが、いやしくも国会議員という立法府の人たちが、裁判前とはえい、法律違反容疑者に対してこんな態度をとるとは一体どういうことなのだろう」と、こう言っています。まさにそのとおりでありまして、七日会が八月四日の総会で東京拘置所に留置中の田中に激励の手紙を送り、これに田中議員八十三名が署名をした、国会議員が留置中の刑事犯容疑者を激励をするとは何事かといって国民を驚かせているわけであります。そして、金丸さんも言っているように、七日会の代議士は盆暮れに百万、二百万もらうと、しかも、われわれの派閥ばかりではない、全党に対してもらっているんだと、こう言っています。身内同士でクロでないやつがいるかと、金をもろうたのは皆じゃないかと、金をもらってないのがどこにおるんだと、こういうことが言われておる。  そこで、田中政治団体、この政治資金の届け出の報告書を見てみました。田中政治団体としては、越山会、財政調査会、関西財政経済研究会、新政経振興会、経済社会研究会あるいは政治経済調査会、この六団体がある。そのうち新政経振興会と経済社会研究会は現在は解散をしております。いずれにしても、この六団体が四十七年の下期から五十年の上期にそれぞれ調査費として、あるいは組織活動費、この部分だけです、調査費と組織活動費。しかも、国会議員に支出をしたということがわかっている部分、これだけを六団体分合計をしてみます。それぞれ調べてみました。そうしますと、越山会はこの期間に五億九千八百十一万円、これを二百四十三名の国会議員に支出をしています。財政調査会は三億三千六百六十三万円、百四十九人の国会議員政治経済調査会は二億二千四百万円、九十七人。新政経振興会、これは一億一千六百七十三万円、十三名。経済社会研究会、これは一億一千四百二十二万円、二十二名。関西財政経済研究会、これは七百二十万円を十八人。合計しますと、驚くなかれ、十三億九千六百八十九万円を延べ五百四十三人の国会議員に支出をしています。これは表金であります。自治省に正式に届けられた金であります。一般にはこれ以外に裏金があると言われる。そして田中角榮は、政治は力だ。力は金だと、こう言って自民党の総裁のいすを金で買い、そして総理を手に入れました。これが自民党の金権体質と言われるものじゃないかと思います。  そこで法務大臣、これは先般の朝日新聞の投書にありました。府中刑務所の——だから法務省関係ですね、府中刑務所の医療第一課長が、受刑者からこんな話を申し込まれたということです。受刑者の方から、「先生、田中逮捕されたんだってな、おれは無銭飲食五千円で懲役だ。相手が前総理大臣じゃ、無罪放免になるでしょうね」と、こう言われて、その課長さんは返事に困ったといいます。なぜか、たとえば全日空ルートの金、これは二人は起訴をされた、あと名前が出ているコーチャンの証言、名前の出ている四人、これは逮捕もされていないし、そして、先般も騒ぎがありましたが、まだ調べを受けるということにもなっていないようです。そして巷間、五十万円程度ならば国会議員の生活費以下だからそれは賄賂にはならないと、あるいは政治献金ならそれは免れるんだと、こういうように言われて、全日空ルートを通じてロッキードの資金が数十人の国会議員に渡っているということさえ言われながらそれが不問に付されようとしている。こういう状況から、現場の刑務所の第一課長は、受刑者からそういう質問を受けても返答に困る、こういう投書が出ているわけであります。これについて、上司である法務大臣、どういう御見解をお持ちですか。
  155. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 府中刑務所の服役者から刑務所の所長ですか、何か……
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 課長ですね。
  157. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 課長ですか、そういう人にそういう質問があったと、おれは無銭飲食五千円で懲役だが、田中前総理は五億円の起訴を受けているが裁判になりゃ無罪になるんじゃないかと、こういう質問、無罪放免じゃないかということを問われて返答に困ったというんですね。どうして返答に困るんだろう。今度その課長さんに、ぼくはね、今度そういう質問を受けたら、大丈夫だよと、ちゃんと公平に、裁判所はあるんだからね、大丈夫だよと、しかも法務大臣も稻葉さんだからねと(笑声)こう言って返事してもらうようにしましょう。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 法務大臣が稻葉さんであっても、問題は金が政治を動かしている。そういうことで今日まで、先ほど明らかにいたしましたように、田中政治団体からは十四億からの金が五百人余りの国会議員に渡った、そのことをまた金丸国土庁長官は、七日会の幹部でもあるという立場で、言うなれば誇りを持って演説をしている、何が悪いと。こういう態度がまさに——いまロッキード事件解明を通じて、政治が金で動かされるんじゃなしに、政治を浄化をして、そして真に国民の負託にこたえることのできるわが国の議会制民主主義を確立しなきゃならぬ、そのことにいま国政に参与するわれわれが全力を挙げなきゃならぬときに、こういうことを言っている、こういうことを許せると思いますか。この点についての見解をお伺いしたいと思います。
  159. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 演説を、あなたがお読みになったような演説を金丸君がしたと、こういう前提に立てば……
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 ここにある。
  161. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そうなりましょうけれども……
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 事実です。
  163. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いまね、あなたに言われたから……
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 じゃ、事実であればどうです。これは事実なんだから。後でこのテープをお聞きになったらいいが、事実であればどうです。
  165. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 事実を確かめてから返答しようかね。どうでしょう。もし、しかし、感じとしては、そういうことが事実で仮にあるとすれば、まあそれは甲州津向の文吉時代の演説ではないかなという感じがします。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 まさにいまおっしゃったように、やくざの集まりのようなものなんです。やくざみたいである。それが日本政治を動かしてきたところに私は国民の最大の苦しみがある、苦しみの根源があると、こう思うのですよ。  時間がもうありませんから次に進めていきます。これも法務省当局に聞きますが、先週の委員会で河本通産大臣も、ロッキード事件解明はまだ現在二、三割程度にしかすぎないということを御答弁になっています。私どももまさに、富士山に登るということでいけば、いまやっと二合目、三合目程度のところで、まだまだ残されている疑惑がたくさんあるという点については先週も具体的に指摘をしたところであります。とりわけPXLに対する疑惑の解明は全くゼロと言ってもいいと思うんです。今日まで逮捕なりあるいは起訴された関係というのは、いわゆるトライスター関係のみであります。ところで、このトライスターの問題、これは賄賂でわが国の航空政策、これがゆがめられた、こういう疑惑に基づく問題であります。きわめて重要な問題である。しかし、PXLはそれよりもさらにわが国の防衛政策にかけられた疑惑であります。すなわち、国の政治の根幹にかかわる、あるいはまた今日の日米軍事体制そのものにかかわる問題であります。したがって、このPXLに対する疑惑をあいまいにすることは、これは絶対に許されないことだと、こういうように私は思うんですが、このPXLの疑惑についての捜査、これは当然引き続いてこの解明のために迅速に進められなきゃならぬと思いますが、この点についての見解をまずお聞きしたいと思います。
  167. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほども申し上げましたように、ロッキード事件の真相の解明ということは、すなわちトライスターの導入、それからPXLの選定の経過についての疑惑の解明ということでございます。そういう意味において検察当局が関心を持っていることは事実であり、そのための所要の調査捜査を続けてまいっておるわけでありまするが、先ほども申しましたように、現在までのところPXLの選定の経過について犯罪容疑を認めるに至っていないという報告を受けておるわけで、いや、認めるに至ったという報告を受けていないわけでありまするが、その関係捜査が終わったという報告も受けておりませんので、なお継続中であると考えております。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 このPXLに関する疑惑について、わが党は今日までいろいろ調査をしてまいりましたが、まあ大きく言って四つの疑惑、細かく挙げますと、数十項目にわたる疑惑がまだ残されています。大きく言って四つの疑惑というのは、一つはニクソンの防衛費分担政策と兵器あるいはP3C売り込み、これとドル減らし、緊急輸入問題との日米折衝にかかわるところの疑惑であります。第二番目が四十七年の十月九日の白紙還元、そして輸入にウエートを置くという、この田中をめぐる疑惑であります。第三番目はMDAOの防衛庁へのP3C売り込みをめぐる疑惑であります。第四番目が四十八年の七月の三十一日から八月一日にかけて開かれた第二回田中・ニクソン会談、これをめぐる疑惑、まあこのように分類することができるかと考えています。国民はこのPXLのなぞが今日まで何一つ解明をされていない、そのこと自体に大きな疑惑を今日持ち、PXL隠しがやられているんじゃないかという、そういう疑問さえ出てきています。そこで先ほどからいろいろと去る十六日の田中、檜山、大久保、伊藤の請託贈収賄罪での起訴について質問が出ておりましたが、確認をしておきますが、いままでのところはトライスターに関する請託があったということで起訴をしたのであって、PXLに関する請託はいままでの調査では全くなかったと、現在までのところは。しかし、今後の捜査の進展によってはトライスターに関する請託収賄罪としての公訴事実にPXL関係、P3C関係を追加することもあり得るというように考えるんですが、この点はいかがですか。
  169. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 去る八月十六日の東京地検の公訴提起に係る田中前総理の受託収賄に関しましては、検察当局としてはトライスターの導入、選定に関する受託収賄であるという確信を持って公訴提起をしておりますので、あの公訴事実の根幹が今後の捜査で緩むというようなことはとうてい考えられません。したがいまして、あの公訴提起に関する限りはトライスターの導入であって、P3Cには何ら関係がないということでありまして、それ以上のこと、すなわちP3Cについて何ら疑惑が消滅したということまでは申しておるわけでは毛頭ないわけでありまするが、現在までのところ、捜査当局からはP3Cの導入に関して、PXLの選定に関して犯罪容疑が認められたという報告は受けていないというのが現在の状況でございます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしますと、いまのは、わかりやすく言いますが、五億円の分については将来とも捜査の進展があってもP3Cの売り込みに関する請託収賄罪、こういうことでの追起訴とか追加の公訴提起とかいうことはあり得ないと、こういう答弁と聞いていいんですか。
  171. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 四回にわたって受領されました金額五億円に関する限りは変わることはないというように思っております。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大変おかしいと思うのです。この点に大変国民は非常に大きな疑問をまず持っています。ロッキード社の売り込みというのはトライスターだけじゃなしにP3Cも一緒ではないのか。コーチャンは証言の中でもトライスターとP3Cをワンセットで売り込もうとしておったと、こういう証言をしています。また朝日新聞のコーチャン回想記では、トライスター導入工作の謝礼としてというようにコーチャンは述べていますが、トライスターの採用決定後八カ月もたってから支払いが始まる、これは日本の贈収賄の慣習並びに商行為に関する社会通念になじまない話ではないかと。他方、P3Cの売り込み、あるいはこの点の請託が含まれるというように考える場合には、十月九日の白紙還元というのは、これはP3Cの売り込みの必要条件にすぎません。現実にP3C採用の十分な条件はまだ完成してない、こういう状況です。ですから、ロッキード社が十月九日の白紙還元後八カ月後に贈賄を行う、贈賄を伴う本格的な売り込み工作を開始する、こういうように考えても別におかしくない、これが日本の常識ではないのか、これが国民の疑惑であります。さらにコーチャン回想記によりますと、大久保が大きな取引で好意的な取引を要請する場合、通例の場合は五億円賄賂が要ると、こういう賄賂の話を持ちかけたようにコーチャンは述べています。大きな取引と言えば、トライスターは二十一機一千億余りの取引です。P3Cは百機一兆円を超す大取引であります。これから見てもこの田中への五億円というのはPXL絡みであると考えるのは当然じゃないか、こういうように考えるわけであります。なおこれらについての疑惑をわれわれはたくさん持っています。特に防衛庁長官にお伺いしますが、アメリカ政府あるいはアメリカの国防当局ですね、これは日本にP3Cの採用を希望しておったのではないか、この点についての御見解はいかがですか。
  173. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いまのところ公と申しますか、はっきりした線でそういう話があったというふうには私どもは考えておりません。ただ強いて申し上げますと、先般、黒部証人のときに若干出ておりましたが、MDAOのスタッダード所長というのは、当時の黒部装備局長のところに来られたということは私どもも黒部前局長から伺っております。ただそれは時期的には四十七年の春ごろというふうに、四十七年度予算の成立した直後というふうなことでございまして、その辺の因果関係は必ずしも明らかではなかったということでございます。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的にMDAOが工作を始める、動き出してくるというのがいままで明らかになったのはそのころからというのはわかっています。問題は日米軍事体制、これをどうお互いに協力、分担をし合うかという問題、日米の軍事政策に関する問題として私は長官にお伺いしたいと思うんです。すなわち、防衛力の分担の問題がアメリカ側から提起をされる、そして昨年の八月には長官とシュレジンジャー、アメリカの当時の国防長官との会談が行われる。ここでは日米防衛協力についての話がなされて、そして先般設置をされました防衛協力小委員会が七月に設置をされる、こういう状況になってきています。すなわち、日米同盟関係の相互補完、この点が具体的に相談をされるという状況になってきた。観念的な協力関係から現実的な協力関係に一歩進んだんだというように一般に言われている状況が生まれています。それからことしになってラムズフェルド国防長官は対潜作戦のための日本の能力を改善することが日本のためであり、また日米協力を増進するだろう、こういうことを明らかにしています。すなわち、対潜作戦のための日本の能力の改善あるいは強化、このことをアメリカは期待をしている、このことが明らかになってきている。そして、現にアメリカはP3C四百機配置をすでにしている。それからオーストラリア、ニュージーランド、これは日本に四十八年リリースが許可されたあの時期に同時に許可になって、ここにも配置をされる。そしてさらに先般カナダに十八機P3Cが導入される。そして日本もP3Cを導入してもらえるならば太平洋全体にわたっての防衛体制といいますか、これが完成をする、こういう意味を考えてみますと、今日、アメリカ政府あるいはアメリカの軍当局はP3Cを日本で採用してくれることを願っているというように考えるのが普通常識ではないかというように思いますが、この点いかがですか。
  175. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 昨年八月の二十九日にシュレジンジャー国防長官と私会いまして、その際日本の安全のために対潜能力を高めるということが非常に大事である、そのことについてシュレジンジャー長官は自分もそういうふうに考えるということでございます。でございまして、日米の防衛協力委員会を具体化しましたのは、向こうからでなくって私の方から申し入れ、そして向こうがそれに同意をしたということでございまして、これは日米防衛協力、つまり安保条約が有効に働く上において、日本の安全にとって非常に私は大事なことであるし、一歩を踏み出したというふうに考えております。それから、次期対潜哨戒機をどうするかという問題はアメリカが考えるんじゃなくって、私どもが、日本が独自に選択をし、日本の防衛のために必要であるという機種を選ぶということをひとつ念頭においてお考えをいただきたいというふうに思います。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 アメリカの考え方は。
  177. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) アメリカの方は、あるいは期待していると思います。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間ですから、最後に一言、一問だけお願いします。  法務大臣、PXLの捜査解明が非常に立ちおくれていることはもうしばしば指摘をされているところであります。これはいまも防衛庁長官がお答えになったように、アメリカ側としてはP3Cの採用を日本がしてくれることを望んでいると。しかし日本の側は、長官は、これは日本の利益から考えまして日本自身判断をするんだと、こういうようにおっしゃていますが、アメリカの方はそういうことを願っている。それからロッキード社の方は、トライスターはもう二十一機売ってしまいました。あと残っているのはP3Cの売り込みであります。これがうまく成功すれば一兆円からの大取引になる。ですから、アメリカ政府にとっても、それから売り手の方のロッキード社にしてもトライスターについての疑惑がどんどん出るのはもうしょうがないけれども、事P3Cの売り込みに対する疑惑は全く消さなきゃならぬ、こういう意図が実は今日PXLをめぐる疑惑の解明にとって非常に困難な状況に立ち至っている一つの重要な原因ではないか。法務大臣は日米合作でロッキード隠しがやられていると、向こうも逃げるために団結しているんじゃというお話がありましたが、この逃げるというのは、事P3Cの売り込みに関するこの問題については徹底的に逃げる、逃げてしまうと。だから、先般のコーチャンの回想記にも全然P3Cの売り込みについては触れていません。しかし、西ドイツやオランダやイタリアやイギリスではっきりしているように、P3Cの売り込みにどんどんと賄賂を贈る、それがそれぞれの国で問題になる、そしてチャーチ委員会でのコーチャン証言では、悪い飛行機でも金を積んだら売れる、こういうことを堂々と証言をしています。こういう点を考えますと、まさにP3Cの疑惑、PXLに関する疑惑の解明というのは、その日米双方の壁をぶち破って進めていかなければ解明し切れない。言うなれば日米軍事同盟、特にアメリカの太平洋戦略の根本にかかわる問題でもある。したがって、それだけ困難になっている、こういうように私は考えるんですが、この点についての決意を伺って私の質問を終わらしていただきます。
  179. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ロッキード問題の捜査は全部終わったわけじゃありませんからね。ですから、飛行機がトライスターであろうと、P3Cであろうと、そんなことに区別があろうわけがない。犯罪の事実があればどんどんどんどん摘発していく。当然でございます。そんなことを隠すなんということはできる相談ではありませんもんな。それをこっちは隠し逃げる立場じゃないですよ。こっちは取っつかまえる立場ですよ。つかまえる方の立場としてはぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう——ぎゅうぎゅうきゅうぎゅうはおかしいけれども、静かでもじりじりじりじりっと、ついには解明して、いかがでございましょう、国民は納得できましたかというところまでいきたいという決心であります。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  181. 三治重信

    三治重信君 ロッキード特別委員会最初の私質問でございますが、いままでのこのロッキード事件全日空ルート丸紅ルート児玉ルートと、こう三つ言われております。全日空ルート丸紅ルートについての贈収賄その他いろいろの経過について検察の解明がほぼ峠を越したと、またそれについて疑いのある人は検察当局によって起訴された、これが大体のところじゃないかと思うんですが、児玉ルートについてまだいろいろの記事は出ておりますが、私のいまからの質問もいろいろの新聞、雑誌その他の情報からの質問しかできませんわけですが、児玉ルートでやはり一番この中心と申しますか、ポイントになるのは——丸紅ルート全日空ルートでも最後の決め手が金の行方であったわけなんです。当初の証言では、存じません、知りません、受け取っておりませんと、こういうことであったけれども、しかし、アメリカ側の証言を探っていくと、大体ほぼそれの線に近い、またほとんど性格的にコーチャン証言といわれるものとそっくりの金額が出てきた。またそれを手繰っていくことによって犯罪容疑者が出て検挙される、こういうことだろうと思うんです。したがって、児玉ルートについてもひとつこの金がどれぐらいの金額のものをいま捜査当局で問題とされているのか。この点についてまず最初に聞きたいと思います。それでいままで新聞、雑誌等に出た金額を申し上げますと、先日の朝日新聞に載っておりますコーチャン回想録によりますと、ロッキード社が児玉ルートに出したと、こう言っておりますのが合計すると十八億八千二百二十万円と、私は理解をするわけでございます。この金額は四十四年からの金額になっております。しかし、いままでの起訴をされたりなんかしたときの調査資料からいくと、四十七年からがいわゆる調査対象の容疑になっておる。これによると、四十七年の脱税、それから外為法違反というようなことで起訴をされ、脱税金額あるいは外為法違反として新聞等に出た金額からいきますと、四十七年が十一億四千二百万円、四十八年が一億三千八百万円、四十九年、五十年がつい先日の五十一年八月二十七日に外為法違反で追送検された二億二百三十四万円、こういうことでございます。したがって、四十七年から五十年までの合計金額が十四億八千二百三十四万円と、あるいはざっとした計算ですから間違っているかもわかりませんが、まあ十五億円弱の金額になるわけでございます。それから児玉の脱税一覧表という、東京地検の捜査令状によるということで出ておりますのが、四十七年、四十八年、四十九年の合計で十億二千八百三十八万円、これは四十九年までの金額、こういうことになるわけなんですが、したがって、こういうようなので大体捜査当局の方で児玉ルートに入った金額のどれくらいの金額を、全日空や丸紅ルートと同じような比較でいくと入ったものとし、その金額の行方を捜査をしている対象金額とされておりますか。
  182. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 領収証等において認められますように、四十七年中は御指摘のように十一億四千二百万円、四十八年中に一億三千八百万円、それから四十九年中の日付のもの、領収証が七千一百万円、五十年中の日付のものが一億三千百三十四万円というふうにありまして、総計いたしまして、入りの関係において児玉ロッキード社から受け取ったものは総計で十七億二千四百三十四万円であるというふうに判断されまして、その入りの関係につきましてはすでにいま御指摘のように、昭和四十七年分の関係におきましての十一億八千万円につきましてはこれを所得税法違反ということで公訴提起をいたしておりますし、四十八年中に現実に受領いたしました四億四千万円と一億三千八百万円につきましては外国為替管理法違反で公判請求をしておるわけでありまするが、したがいまして、現在の捜査の対象といたしましては、その余の、つまり四十八年、四十九年、五十年にわたる税法違反の有無について調査捜査中でございますとともに、問題はそのように入りました金がどのように使用、処分されたかという使途の究明ということにあるわけでありまして、その意味におきましては、十七億円余に余る金額すべてにつきましていま捜査調査の対象にしているわけでございます。
  183. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、いまの調査の対象にされておりますと言われる十七億余の金額からいきますと、いわゆる盗難小切手と称されるクラッターから渡されたといって——盗難小切手という四億四千万円の金額が入っての十七億ということになるわけですか。領収証の、外国のドル払いの小切手の紛失したというやつの裏金の対象のやつも入っているんですか。
  184. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御指摘部分は、四十七年度の所得税法違反ということの所得の中に一応入って計算されておりまして、むしろ盗難の後で補てんのために参りました——円の切り上げに伴う関係でドル計算では違いますが、四億四千万円というものが後に盗難小切手の穴埋めとして送られてきておりますが、それはただいまの十七億の計算には入れておりません。
  185. 三治重信

    三治重信君 そうすると、それ入れてないと十七億と言われたのは四十七年以降の金額ですか。その前の四十四年、四十五年、四十六年の金額も入って十七億、それ四億四千万円抜くと、四十四年、四十五年、四十六年の金額を抜いた金額——入れた金額ではないんですか。
  186. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 児玉が受け取った金額は実質十七億二千四百万円余りであるという計算の中には、後に盗難の関係でまた送ってまいりました四億四千万円は入っていないということでございます。
  187. 三治重信

    三治重信君 そうすると、この十七億のほかに四億四千万円を加えた二十一億六千万円余が調査対象の金額になっていると、こう理解していいわけですか。
  188. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 要するに現実の授受といたしましては、十七億円余りプラス四億四千万円ということに相なります。
  189. 三治重信

    三治重信君 これだけの金額が全日空、丸紅ルートより捜査がおくれているわけなんですが、この中の性格として、一般に朝日新聞のコーチャン回想記を読んでみたところからいきますというと、この中身は秘密代理人としての契約料が含まれる、それからトライスター機の契約報奨の金額、それから小佐野氏の抱き込み工作資金の五億と、それからさらに追加七機の注文、いわゆるこれ契約成立の報奨なんですが、こういうのだと、いわゆる朝日新聞の記事からいけば小佐野さんの抱き込み工作資金が若干、何といいますか、いわゆる事件らしい贈収賄——これは民間関係ですから、贈収賄も成立しないんじゃないかと思うんですけれども、形としての金の授受はそういうかっこうになっているわけです。ただ、この中の記事で、いわゆる代理人の契約料を後から訂正し直してその中へこの賄賂的な性格のやつはぶち込んだというようなのが、賄賂的かどうか、相当ほかへ回すやつをぶち込んだと、こういうふうにそれが第一次契約についてはなっているわけですけれども、これについて性格からいきますというと、大体捜査当局の方も、この代理人契約としての七三年以降から七五年と書いてあるんですが、これの半期二千八百万円とかいうようなものについては、大体児玉さんのポケットに、当然外為違反、所得税法違反はあってもポケットの中へ入れたんだろうと、それ以外の契約成立の報奨というのが非常に多いと、これについてのやつは大体朝日のこういうような、書いてあるようなものとあたらずといえども遠からずのような事例になっておるんですか。
  190. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど来申し上げておりますように、十七億余りの収入というものは、すでに公開をされております領収証並びに契約書にそれぞれ見合う金額でございます。ただ、いま御指摘の朝日の回想記というものと捜査内容というものとの関連性につきましては申し上げるわけにはまいりません。
  191. 三治重信

    三治重信君 その中身について申し上げるわけにはいかぬと、こういうような御回答なんですが、しかし、この問題について児玉氏が受け取った金額の中で、朝日のやつでは、小佐野さんへ五億いくようにと、実際もらったかどうかはわからぬと。しかし、そのほかのことについては全然触れてないわけですが、これだけの金額の中について児玉さんが自分のポケットへ全部入れたんではなくして、ほかのところへ相当金額流れたであろうという部面についての捜査は相当進んでいるわけですか。
  192. 安原美穂

    説明員安原美穂君) まさにその点が児玉ルート解明のポイントでございますが、どの程度に進んでいるかを申し上げるわけにはまいりません。ただ、たびたび申し上げておりますように、児玉本人の病気等でその他のルートに比べて順調に進捗しているとは申せない現状でございます。
  193. 三治重信

    三治重信君 じゃ、まあこの金額についてもう一つ。  現在児玉氏が受け取ったと、新聞なんかの情報だと手数料は受け取ったけど、それ以外の領収証、ことにいわゆる仮領収証として報道されている部面については受領したことはないというふうに言っていると、こういうふうなことが報道されているわけですが、その点は非常に何というんですか、受領については、手数料以外は児玉氏は受け取ってないということを強く言っているように読んでいるわけですが、どうですか。
  194. 安原美穂

    説明員安原美穂君) まだ捜査中でございますし、公判前でもございますので、いわゆる被疑者、被告人の供述の内容を申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにいたしましても、この所得税法違反で起訴いたしました四十七年の十億、これは公開の領収証に見合う金額でございまして、その意味においては、単なる顧問料以外の成功報酬に類する金額につきましても契約どおりの収入があるという認定でございます。
  195. 三治重信

    三治重信君 前の質問者もきょう質問されたのでございますが、若干重複しますけれども、なるべく重複を避けて、アメリカでの尋問についてひとつ御質問いたしますが、コーチャンさんは日本の免責で証言台に立って証言をし、しかも三十日には再尋問にも応じてやった。ところが、クラッター、エリオット氏の方はアメリカの方の免責をさらに求めて尋問に立つのを拒否して、この来る八日にも一応尋問の予定にはしているけれども、そのアメリカの司法省の回答というんですか、見解いかんによってはさらに延びるかもしれないと、こういうふうに報道されていると思うんですがコーチャン氏は日本の免責で証言台に立った、クラッター、エリオット氏はさらにアメリカの方まで免責しないと日本だけの免責では証言はできないと、こういうのはどういう理由か。同じ三人のこの差はどういうことなんですか。
  196. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 免責を主張するかどうかは本人の判断であり、自由裁量でございますから、どういう理由で主張したのかはよく存じませんけれども、私ども推測では、コーチャン氏はすでにアメリカのSECの委員会等で証言をしておりまして、その事柄については免責を主張していなかったという事情がその後における証人尋問についても免責を主張しなかったんではないかと推測されますけれども、これはあくまでも本人に聞いてみなければわからないことでございます。米国人、何人といえども一応主張することは許されるわけで、それは自由裁量でございますから、こういう人に与えなければならないということになる法律上のものではございませんので、その事情はつまびらかにいたしません。
  197. 三治重信

    三治重信君 そうすると、来る八日に尋問予定としてアメリカの地方裁判所が言っていることも、この二人がその当日になってさらにアメリカの免責関係が気に食わない、納得できないということになると、証人に立たない、でもまたそれがいつになるかもわからない状況が出てくるわけですか。
  198. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先のことはわかりませんが、いまのところ米国司法省が免責を与えるかどうかを慎重に検討しておるようでございまして、すでにもう近く結論が得られるというふうに聞いておりますが、問題は米国法上の免責を与えるのについては、その条件として公の利益、パブリックインタレストにマッチするということが条件になっておりますので、日本側証人尋問嘱託のような事柄について、いわばロッキード事件捜査のためということで免責を米国人に与えることが公の利益に合致するかどうかというようなところで判断を検討しておるんじゃないかというふうに思っておりますが、いまのところ九月八日の証人尋問ということにつきましては、それなりにそういうことが実現することについて希望を持っておる次第でございます。
  199. 三治重信

    三治重信君 それから三ルートで大変繁忙だったのが、全日空、丸紅ルートの方が大体峠を越したので、近く東京地検の捜査体制をこういうロッキードの非常体制から平常体制に戻すというようなのが最近新聞に出たように思うんですが、そういう児玉ルートにしぼってやるルートだけなら、ロッキード事件の前のような平常体制、いわゆる東京地検の普通の、特捜部を平常な人員でできると、こういうような検討が行われているわけですか。
  200. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いわゆる、そういうロッキードの特捜体制を変更するという報告は受けておりませんが、三ルートに比べれば一ルートはそれだけに人間の数も少なくなってもいい場合もありましょう。いずれにいたしましても、真相究明の熱意はもちろん失ってはならないし、ますます燃え盛るものがあろうと思いますので、それに必要な限度においての必要な人員の体制で臨むものと思います。ただいたずらに人を抱えて、体制だけの多きを誇っても何にもならないわけでありますので、実質必要な限りの体制で真剣な取り組みをするものと期待しておる次第でございます。
  201. 三治重信

    三治重信君 法務大臣にちょっと。  まあ、ロッキード特別委員会をつくるについて、私たちは、国会における国政審議の重要な審議はやりながらロッキードの問題はロッキードの問題として特別委員会をつくってやったらどうかということで、この特別委員会に非常に期待をかけておったわけなんですが、どうも最近、いろいろの人を証人に呼ぶ、またいろいろな人を調査するという場合に、自由民主党がなかなか応じないという場面に当たっているわけなんですが、まあこれはいずれ近く解決することと思うんですが、それにしても、いわゆるこういう事実の問題の調査をやる特別委員会について、証人喚問なりあるいは特別委員会として独自の調査機能を持って国政調査権をやっていく、これが機能ができないということになると、やはりこのロッキード特別委員会をつくるのは自民党政府のまやかしであって、その場逃れだけのものになって、いずれそれはそこの急場を逃れるためにそっちへ問題をただ移転するだけにすぎない、それは現実においてそういうものをつくってもすぐさめてしまえば、それはまたそんなことは余りやらぬ方がいいと、こういうような態勢になって押してくると、こういうようなことを非常に今度は感じているわけなんです。この問題がいまの自民党政府のいわゆる政権維持の混乱からも来ているかと思うんですけれども、こういう問題について、稻葉法務大臣ロッキード捜査については非常に熱心でされているんですが、この委員会の運営という問題についてどういうふうに……。こういうような特別委員会をつくってやっている場合において、いろいろの国政調査権をやっていく場合に、いろいろの証人喚問、そういうものは捜査上特別支障があるときは別として、もっと積極的にやるようにぜひ見解を述べていただきたいと思いますが、それが一つ。  それからもう一つは、やはり先ほどからも新聞記事でいろいろの問題があり、また先日は、捜査当局のいわゆる誤解を与えるヒントによるマスコミの誤報、こういうのがあって、ますますその二つが重なってきますとロッキード捜査のじみちな捜査というものが非常に熱がさめてき、また国民は、またもまた暗やみにいくのかと、やみに葬られるのかと、こういうことを感ずるんじゃないかと思う。そうすると、われわれが事実特別委員会でじっくり、またその事実に即してじみちに検討して、また調査をしていくべきだという趣旨が、いまの政府との関係では、言うは、理想はいいけれども現実の問題としてはちっとも効果が上がらぬじゃないかと、こういうふうに言われるのを私はまた非常におそれるわけなんです。そういう意味において、こういう特別委員会調査について、事実調査や、そういうものについて、それからまた報道についてしかり、私はそういう二つの意見を持っているわけですが、御見解を述べていただいて私の質問を終わります。
  202. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査当局刑事責任追及に関しましても、国会の予算委員会なり、あるいは特別委員会が設置されてからの特別委員会国政調査権に基づくいろいろな調査が、両々相まって非常に役立ってきている、捜査はまだまだである、まだではありますけれども、ここまでとにかくこぎつけたことを私は感謝しているんです。これからも、いよいよこの捜査が終わりになって、刑事責任は追及できなかった、追及しなかったけれども、法律上刑事責任はないけれども道義的政治的責任が残るという部分についての究明の主役は国会のこの委員会なんですから、そういう主役に対して今度はわき役になるわれわれ捜査当局としては、あの議長裁定に基づいて刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえ最善の御協力を申し上げていかなければならぬなと、そうして全貌を明らかにしていきたいと、こう思っておりますので、いままでの御協力を感謝しますとともに、今度は主役に対する協力を私は誓うつもりであります。
  203. 青島幸男

    青島幸男君 せんだって私、当委員会発言の機会を得ましたときに、法務大臣に、今回のロッキード事件の究明の終着はどこだと、逮捕者が出る、あるいはそういう時点でこれはおしまいにするのか、あるいは、もし動いた金があれば、その金はどういうふうに流れていって、どういうふうに使われたのか、その辺まで究明しなければ当委員会の役目は果せないだろうし、国民の疑惑にもこたえることはできない、そういうことをお尋ねいたしました際に、当然そうあるべきだ、最終どういうことになったかということが解明できなければこの構造汚職と言われている現今の疑惑は晴れないだろうという御回答をいただいたわけです、というふうに私は認識しております。それでよろしゅうございましょうか。まず。
  204. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それでいいんじゃないでしょうか。
  205. 青島幸男

    青島幸男君 外為法のことはおいておきまして、少なくとも田中の収賄の事実あるいは容疑事実が明らかになって、まあ起訴というようなことも行われたんだと思いますので、入りの方はかなり明快に当局はおつかみになっておるように拝察いたします。出の方につきまして、どの程度どういう方面に出たというのを発表なさるという御用意がおありになりますでしょうか、どうでしょうか。いままでの捜査の上で結構でございます。
  206. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いずれ公判でそういうことは明瞭になっていくんじゃないでしょうか。そういう点についてまた間違うと問題を起こすといけませんから、刑事局長に正確な答弁をさせます。
  207. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ロッキード社からの金員の入りにつきましては相当程度究明されていることは御指摘のとおりでありまするが、出の問題につきまして、それが田中前総理に関しますように、受託収賄という形になりました場合においては公判請求という形で公にするわけでありまするが、捜査した結果、何らかの理由によって不起訴になったというような場合につきましての公表の問題につきましては、いわゆる国会当局でただいま御審議中の政治的道義的責任の問題ということに還元されてくるかと思いますので、そうなりました場合におきましては、どの範囲において公表を求めるかということはむしろ国会当局で御判断をいただく事柄でございまして、それが決まりました場合におきまして、私ども捜査当局といたしましては、訴訟法の精神にかんがみましてできる限りの御協力を申し上げるという意味においての資料の提供をいたしたいと考えておる次第でございます。
  208. 青島幸男

    青島幸男君 よくわかります。それはそのとおりで結構だと思うんですけれども、もう一つ、私、大変わからないこと、単純なことをお尋ねするんで恐縮でございますけれども、受託収賄というケースになりますと五年以下、それから単純収賄ということになると三年以下というふうに承ったような気がするんですが、受託収賄と単純収賄のその法文上の差別、差ですけれども、それを明確にお教えいただきたいと思います。
  209. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 受託収賄の罪というのは、まあ御推察いただけますように、ある公務員が職務に関する行為につきまして現実に請託、依頼を受けまして、その依頼の対価として金品を受領するというのが請託収賄、受託収賄というやつでありまするが、そういう具体的な職務行為に関する請託のない場合であるが職務に関する違法な報酬のようなものをもらう場合が単純収賄という時効三年の犯罪になるわけでございます。要は、具体的に職務に関する請託があったかどうかということによって差別されるわけであります。
  210. 青島幸男

    青島幸男君 そこで、先ほど質問いたしましたときにお答えいただきました政治的道義的責任の問題に触れてまいるわけでございますけれども、全日空から常日ごろ三十万、五十万というような金品が渡されていた、これはもう半ば常識になっておるというようなことが新聞報道にもあるわけですし、そのことについては当局は余り追及しないということは、収賄かあるいは社会通念上言われております儀礼上のやりとりかということがはっきりしないからだというようなことが一つ論拠になっておると思うんですけれども、しかし、常日ごろ、まあ職務権限と申しますか、国会議員には委員会委員になるのに差しかえも可能でありますし、ですから、かなりの国と関連を持った企業の間で収賄、贈賄のチャンスを持つ可能性はあるわけですね、これに似たようなケースで。しかし、通常言われております社会上の通念にのっとった社交儀礼というものの範囲も、おのずと限度があると思うんですね。それの最高限度額を幾らにしようというようなことを法文化するということは、とてもこれは意味ないことだとも思いますし、しかし、だからと言って、五百万、三百万はこれは通常儀礼的なやりとりであるとは考えられませんね。しかし、そういう、これは儀礼的なものだから目をつむっても差し支えないというような風潮が逐次金額を増していく、あるいはそういうことに対する罪悪感が麻痺していくというようなことが、構造汚職というものをやっぱりはぐくみ育ててきた一つの事実だと私は思うわけですよ。ですから、常日ごろそういうふうなことが行われているのを黙認するというような態度を基本的に改めていかなければ、この構造汚職をなくすることはできないんじゃないかという気がしますんでね。法的に追及することはかなりむずかしいかもしれませんけれども、三十万、五十万の儀礼的つけ届けみたいなものがあってもこれを厳しく取り締まっていく、これはもうきわめて基本的には政治家のモラルの問題に戻ると思うんですけれども、そういうふうな風潮をつくっていくというようなことが実は一番必要なんじゃないかという気がしますけれども法務大臣はどうお考えになりますか。
  211. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私、いまの職務は法務大臣、そして検察当局を所管する立場ですね。検察当局はそういう道義の問題の追及者じゃなくて、犯罪があるかどうかということの追及者、捜査機関でございますからね。私の立場で、いま言ったような、犯罪は構成しないけれども儀礼的な問題についてどう思うかと言われても、ちょっといまの立場で……。むしろ、それはそれこそ、ロッキード問題調査特別委員会のような、こういう国会国政調査権に基づいて、政治家の道義問題というようなことは皆さん方の方できちっとしていただいた方が、今後この政界を浄化するに大いに役立つんじゃないでしょうか、こう考えますんです。
  212. 青島幸男

    青島幸男君 そこで問題になるのは、先ほどお伺いしました受託収賄か単純収賄かということになるわけですけれども、常日ごろごあいさつをしている、何か事があったときに改めて別途御用立てをいたしますのでそれについて配慮していただきたいというのが一般国民の考え方だと思うんですけれどもね。三十万、五十万を、何のつき合いもない、あるいは何か物を頼むという必要のない人に贈っているということはあり得ないわけですね。ですから、通常おつき合いというような形はとりますけれども、しかし国政調査権国会議員は持っているわけですね。しかも特別その委員会に所属していて、しかもその当該委員会とある関係を持っている企業がありますね。しかもその企業が、A企業はマル派、B企業はバツ派というような派閥次元も含めて考えますと、常日ごろごあいさつをしておいて、何かお願いするときに別途〇百万円を添えてお願いに上がるということが通常慣例になってきてしまっているという事実がもしあれば、これは大変なことだと思いますし、ですから、先ほど申し上げましたのは、三十万、二十万というような金額はこれは単純収賄に相当するのであって、今回のようなロッキードの場合何億というような金を積んで何々社に便宜を計らってもらうというようなことになったときに初めて受託収賄との差が出てくるのではなかろうか。そうすると、通常儀礼的なものだからといって検察当局がほうっておくというようなことは、こういう芽をはぐくみ育てているもの以外の何物でもないというようなふうに国民は見ると思いますけれども、そういう立場で、少なくとも刑事局長は、私の質問じゃありませんけれども、前回に衆議院の質問者に答えまして、収賄の事実があったとしてもそれは金額の多寡によるものではない、その内容によってだということをおっしゃられているわけですね。その辺を詰めて考えますと、そういう、先ほど申し上げましたような背景の上に常日ごろ渡されておる金は、それは通常国民の考えるところの社交儀礼ではなくて、単純収賄に該当するのではなかろうかという気がするんですけれども、そういう面で捜査をしていこうというようなお気持ちはおありになるんでしょうか、ないんでしょうか。その辺を明確にしていただきたいと思います。
  213. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 青島委員指摘のように、金額の多寡だけで、社交儀礼であったり、社交儀礼ではあるが収賄ではなくなるというようなことはないと思います。あくまでもそれは、金銭のやりとりをする間柄においてそれが社交儀礼と認められるものかどうかという具体的な問題であって、単に金額の多寡だけで決まる問題ではない。通常お互いに何かやりとりをするという場合に金額が低ければ社交儀礼というように見られる場合が多いかもしれませんけれども、必ずしも金額だけで決まる問題ではない。金品を授受する間柄によってそれが社交儀礼と認められるかどうかという問題だと思います。ただ、先ほど大臣も申されましたように、捜査当局と申しますか、検察権の行使というものは犯罪の存否ということを明確にするところにありまして、道義的な責任の存否は検察権の行使の対象外でございますので、あくまでもそれが犯罪にならないということがわかっておるにかかわらず道義的に非難すべき事柄だからといって捜査の手を進めるというのは、検察権の行き過ぎでございます。そういう意味におきまして、私どもは、したがって、お金のやりとりに関する犯罪として最もティピカルな贈収賄に事を限って考えますならば、贈賄罪になり、収賄罪になるという疑いのもとに検察権の行使をすべきであって、その結果それが贈賄にならないというようなことになる場合もあるかもしれません。あくまでも容疑としては贈収賄の容疑をもって進めるというのが検察権の行使の目的であり限界であるわけです。  そこで、贈収賄罪といたしましては、単に金額だけではなくて、社交儀礼という名に惑わされてはならないのでありまして、要は、賄賂というものはある公務員の職務行為というものとそういう金品の授受との間に具体的な対価関係がなければ賄賂にならない。したがって、問題は対価関係があるかどうかということが問題なんであります。したがって、そういう意味におきまして、なかなか具体的な問題としてむずかしい問題ではございますけれども犯罪捜査という面からは、金銭とそれからそれを受け取った当該公務員との関係におきまして、それが職務行為との対価関係があるか、それはその受け取った人と渡した人との間の関係において、それが社交の儀礼の程度にとどまるかということが問題の分かれ目でございます。
  214. 青島幸男

    青島幸男君 それはまさにおっしゃるとおりでして、その職務行為の対価として受け取るかどうかという事実を法的に立証することは大変むずかしいと思います、長年月にわたって行われていることですからね。しかし、まあロッキードの事件について、はっきりした容疑事実が田中さんの場合あるわけですね。あったからこそ常日ごろまかれていた水が役に立ってくるんだという考え方からすれば、そういう事件が起きなけりゃいいですよ、社交儀礼で済んだかもしれないですね。しかし、常日ごろおつき合いをして、事があったらお願いしますということをして、三十万、五十万の金を盆暮れに届けていたとしますね。事が起こらなきゃ、これは通常の社交儀礼で済むかもしれませんね。しかし、事が起こった、そのふだんのつながりの上に何億という金品のやりとりがあって事が行われたわけでしょう。そうなると、逆に計算すれば、その起こった時点から発生したところまで時間的にさかのぼって考えていけば、そうすると、もう最初にごあいさつにまかり出ましたと言ったときから始まっていると考えてもいいんじゃないかということですよ。このことを法理論的に証明することは大変むずかしいことだと思います、確かに。しかし、そういうことが積み重なってこういう構造汚職が生まれているということからしますと、所得税法では、個人に渡った金は、政治資金として渡った金は、とにかく政治活動費に使ってしまって収支相償ってゼロになったという場合は申告しなくて済みますね。こういう事実があるから、個人の方が収賄、贈賄にタッチするチャンスが非常に多い。企業から政治団体に政治資金として金が贈られるケースよりも、名はどうあれ、個人もしくは個人の支援団体に金が贈られる方が収賄に結びつく可能性が多いということはお考えになりませんか。
  215. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 一概にそう言えるかどうかわかりませんが、理屈を申してなんでございますが、贈収賄罪というのは、公務員という個人犯罪行為でございまするから、個人が受領する場合の方が収賄罪の成立する場合が多いことは間違いないと思います。
  216. 青島幸男

    青島幸男君 それはそうです。そのとおりです。だから、まあ私は現在の税法の扱い方にも問題があると思うんですけれども、必要経費として使ったらもうそれはトータルは申告しなくていいというケースですね。この問題をさかのぼって考えなきゃならないということを背景にして、いまこの質問をしているわけですけれどもね。ですから、個人にたとえ十万でも二十万でも——金額の問題ではないということも先ほどおっしゃられましたしね。そういう風土が結局構造汚職を呼ぶ基本なんだから、少なくとも贈収賄のにおいのするような金品の授受が社交儀礼のかっこうで行われていても、それは許しがたいことなんだということを少なくとも形づくっていかなきゃならない。そのためには、幾つかの事例として摘発するようなケースを、金品の多寡ではなくて、みせしめと言ってはなんですけれども、そういうケースを明らかにして、そういう政治風土を払拭するようなきっかけになるような捜査のあり方を考えられてもしかるべきではないかというような気がしますが、その点はどうでしょうね。
  217. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど申し上げましたように、検察というのは実定刑罰法規に規定された犯罪の存否を明確にするということでございまして、世の中の風習を直すなどということは、およそ検察のやるべき事柄ではございませんので、まさにそれは青島委員を含めて立法府その他政治家の方々にモラルということの確立については御努力をいただく方が至当ではなかろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  218. 青島幸男

    青島幸男君 お説ごもっともでございまして、ありがとうございますけれども、御忠告は。少なくとも、権力におもねるというようなかっこうが検察側にどうもあるんじゃないかという一般国民の疑念を踏まえた上で、あえて私こういうことを申し上げたわけでしてね。逸脱した捜査をしろとか、そういう私怨みたいなことで何かしろというようなことを申し上げるつもりは毛頭なかったということも御理解いただきたいと思います。  時間が来ましたので終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  219. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 議事進行上発言をしたいと思いますが、きょうの委員会前の理事会で、矢田部議員から、NHKの小野会長を参考人として出席をしてほしいという要請があったはずであります。ところが、自民党理事から、NHKの小野会長は辞意を表明をしている。したがって辞意を表明している者に対して追い打ちをかけるのは酷ではないか、だからこの参考人の出席要求についてはまあ取り下げてほしいと、こういうお話があったわけであります。内容はもちろん小野会長が田中前総理の保釈見舞いに行ったという問題なんであります。で、私どもも、伝え聞くように小野会長が辞意を表明をしているのであればそれ以上追い打ちをかけるというのは確かにまあ酷なことでもあるし、お話のように、まあ武士の情けという言葉もございましたけれども、その武士の情けというものを発揮いたしまして小野会長の出席問題は取り下げたわけであります。しかし、きょう午後、話を聞いてみますと、四時の記者会見で、多分この記者会見で小野会長が辞意を表明するんだろうと思っておりましたところが、実際はそうじやないと、あれは個人の行動であって責任は感じていないというような表現があったそうであります。これはまことに意外なことなんでありまして、こういうことでは私どもは再度参考人として出席を要求しなきゃならぬと思うんです。  個人の行動としてということであれば、たとえば、最高裁の長官であるとか検事総長が個人の資格で田中前総理のところへ見舞いに行ったら果たしてそれでいいのか、あるいは新聞社の責任者田中前総理のところへ見舞いに行ったらいいのかという問題も出てくるわけです。公共的性格を強く求められているNHKの会長という地位を捨てて、そして個人で行く場合には問題はないかもしれない。それでも問題は道義的にはあると思うんです。実際はそうじゃない。あくまでもNHKの会長という資格で行っておる。そのことは、特にいまロッキード問題を審議している最中にわれわれとして問題にしないわけにまいりません。まことにきょうの経過、まだ記者会見の詳細を承知しているわけじゃありませんけれども、辞意の表明でないということが確かであるならば、理事会は何か裏をかかれたような感じがいたします。  ぜひ次回の委員会にはNHKの会長を参考人として出席をするようにわれわれとしては動議を出したい。あわせて、郵政大臣にも出席をしてもらって、事の真相というものを明らかにしていきたいというふうに考えておりますので、委員長としてお取り上げくださるようにお願いをしたいと思います。
  220. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 瀬谷君にお答えいたします。  小野会長に本委員会に参考人として出席を求める件につきましては、お申し出のとおり、理事会におきまして十分相談いたしたいと思います。  以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会