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神谷信之助君 なかなか逃げの答弁ですね。ちゃんと
演説はこのテープがあります。だから、本来はテープでやりたいんだけれ
どもそれができないから、その中の
部分を抽出して
——まだまだあるんですよ、時間がありませんからこれだけの
部分にしたわけです。で、私はこれは本来総理以下、さらに当然金丸国土庁長官の
出席を求めて、そしてただすつもりをしておりました。残念ながらきょうは公務のため出張で
出席できないということですから、これを問題にしたわけであります。
で、これは私は重要な問題だと思っているんです。御承知のように、八月の五日に
田中角榮が拘置中に、越山会の
新潟県本部、県下の連絡協議会の会長と県議団を集めまして、そうして全員一致で出馬要請を決めた、こういうことも行われている。そして、
田中派に属すると言われる
国会議員の諸君がちょうど金丸国土庁長官と同じようにいろいろと弁護に回る、地元に帰っては弁護に回る、あるいは居直る、こういうことがやられているわけであります。それに対して
国民大衆は一体どう見ているか。これは御承知のように、連日のように投書が載っています。一番新しいきょうの毎日
新聞に載っている投書を紹介しますと、「《
田中派
議員に一言》」ということで「
田中と縁切り出直せ」という、そういう投書が出てきています。あるいは「
田中派
議員は
田中角栄や橋本登美三郎を激励しているようだが、いやしくも
国会議員という立法府の人たちが、裁判前とはえい、法律違反
容疑者に対してこんな態度をとるとは一体どういうことなのだろう」と、こう言っています。まさにそのとおりでありまして、七日会が八月四日の総会で東京拘置所に留置中の
田中に激励の手紙を送り、これに
田中派
議員八十三名が署名をした、
国会議員が留置中の刑事犯
容疑者を激励をするとは何事かといって
国民を驚かせているわけであります。そして、金丸さんも言っているように、七日会の代議士は盆暮れに百万、二百万もらうと、しかも、われわれの派閥ばかりではない、全党に対してもらっているんだと、こう言っています。身内同士でクロでないやつがいるかと、金をもろうたのは皆じゃないかと、金をもらってないのがどこにおるんだと、こういうことが言われておる。
そこで、
田中の
政治団体、この
政治資金の届け出の
報告書を見てみました。
田中の
政治団体としては、越山会、財政
調査会、関西財政経済研究会、新政経振興会、経済社会研究会あるいは
政治経済
調査会、この六団体がある。そのうち新政経振興会と経済社会研究会は現在は解散をしております。いずれにしても、この六団体が四十七年の下期から五十年の上期にそれぞれ
調査費として、あるいは組織活動費、この
部分だけです、
調査費と組織活動費。しかも、
国会議員に支出をしたということがわかっている
部分、これだけを六団体分合計をしてみます。それぞれ調べてみました。そうしますと、越山会はこの期間に五億九千八百十一万円、これを二百四十三名の
国会議員に支出をしています。財政
調査会は三億三千六百六十三万円、百四十九人の
国会議員。
政治経済
調査会は二億二千四百万円、九十七人。新政経振興会、これは一億一千六百七十三万円、十三名。経済社会研究会、これは一億一千四百二十二万円、二十二名。関西財政経済研究会、これは七百二十万円を十八人。合計しますと、驚くなかれ、十三億九千六百八十九万円を延べ五百四十三人の
国会議員に支出をしています。これは表金であります。自治省に正式に届けられた金であります。一般にはこれ以外に裏金があると言われる。そして
田中角榮は、
政治は力だ。力は金だと、こう言って
自民党の総裁のいすを金で買い、そして総理を手に入れました。これが
自民党の金権体質と言われるものじゃないかと思います。
そこで
法務大臣、これは先般の朝日
新聞の投書にありました。府中刑務所の
——だから
法務省の
関係ですね、府中刑務所の医療第一課長が、受刑者からこんな話を申し込まれたということです。受刑者の方から、「先生、
田中が
逮捕されたんだってな、おれは無銭飲食五千円で懲役だ。相手が前総理大臣じゃ、無罪放免になるでしょうね」と、こう言われて、その課長さんは返事に困ったといいます。なぜか、たとえば
全日空ルートの金、これは二人は起訴をされた、あと名前が出ているコーチャンの証言、名前の出ている四人、これは
逮捕もされていないし、そして、先般も騒ぎがありましたが、まだ調べを受けるということにもなっていないようです。そして巷間、五十万円程度ならば
国会議員の生活費以下だからそれは賄賂にはならないと、あるいは
政治献金ならそれは免れるんだと、こういうように言われて、
全日空ルートを通じて
ロッキードの資金が数十人の
国会議員に渡っているということさえ言われながらそれが不問に付されようとしている。こういう
状況から、現場の刑務所の第一課長は、受刑者からそういう質問を受けても返答に困る、こういう投書が出ているわけであります。これについて、上司である
法務大臣、どういう御見解をお持ちですか。