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1976-08-18 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年八月十八日(水曜日)    午後一時三十七分開会     —————————————    委員異動  八月十八日     辞任        補欠選任      峯山 昭範君     矢追 秀彦君      橋本  敦君     近藤 忠孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 田渕 哲也君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                久次米健太郎君                 戸塚 進也君                 最上  進君                 青木 薪次君                 上田  哲君                 久保  亘君                 寺田 熊雄君                 野田  哲君                 矢追 秀彦君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 市川 房枝君    国務大臣        国 務 大 臣  福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        自 治 大 臣  福田  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        国防会議事務局        長        内海  倫君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局刑        事課長      吉田 淳一君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        国税庁次長    山橋敬一郎君        通商産業省通商        政策局次長    間淵 直三君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。委員異動について御報告いたします。本日、峯山昭範君及び橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君及び近藤忠孝君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 青木薪次

    青木薪次君 坂田防衛庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、防衛庁次期潜哨戒機PXL導入検討し始めたのは昭和四十三年ごろだと記憶いたしております。その前年に主力対潜哨戒機のP2Jの量産が始まったばかりでありますから、まあこの時分に何とも気の早い話だというようにいま考えておったわけでありますが、この気の早い話というものは、防衛庁PXL国産化に対する対応の考え方というものを私はこの中から知ることができるというように考えているところであります。手順として四十三年から四十六年ごろまでに国産化に必要な基礎研究、四次防の四十七年度以降本格的な開発研究に進み、P2Jの引退予定時の五十七年度ごろまでには国産の対潜哨戒機を就役させよう、こういう構想だったと記憶いたしておりますが、長官いかがですか。
  5. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 大体仰せのとおりだと承知いたしております。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 昭和四十六年当時の海上幕僚監部防衛部長でありまして、現在の統幕会議の鮫島氏は、重要な装備国産で行うということを再三明言いたしております。それから、当時の防衛庁長官中曽根康弘氏は、やはりこの方向を積極的に支持しておったというように考えておりますが、いかがですか。
  7. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 大体そのとおりだと承知をいたしております。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 昭和四十六年から四十七年にかけまして基礎研究の間はともかくといたしまして、PXL国産化のための本格研究ということになりますと、四次防計画の中にきちんと組み込んでおかなければならぬということだったと思うのでありまするけれども、その点はいかがですか。
  9. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) お答えいたします。  四次防の主要項目の中で四次防期間装備するものははっきり明記してございます。ただ、研究開発というのは将来の問題でございますので、いろいろなアイテム年度年度予算のときに決めていくということで、四次防そのものの中には明記してございません。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、その都度その都度国防会議正式決定をしてもらわなきやならぬということになるのですか、どうですか。
  11. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 個々の研究開発アイテム国防会議で決めていただくというふうに私どもは考えておりません。といいますのは、研究開発というものはあくまで研究開発でございまして、それを装備する時点において国防会議ではっきり決定していただくというふうに考えておるわけでございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 実質的にはしかしその都度その都度決定をしなきゃならぬわけでありますから、この時期が私は児玉譽士夫等の黒い工作が動き始めた時期だと、政府高官へ巧みに入っていった時期だと考えておりますけれども法務省刑事局長いかに考えておりますか。——法務大臣でいいですよ、法務大臣、あなたは詳しいんだから、もう。
  13. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 詳しくございませんので、よくわかりません。いま刑事課長が来ますから、来た時点でちょっと……。
  14. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止
  15. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) じゃ、速記始めてください。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 防衛庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、昭和四十七年の十月の九日の国防会議並びに閣議決定内容というものは、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊技術研究開発並びに民生協力、その他ということになっておりましたけれども、その点間違いありませんか。
  17. 内海倫

    説明員内海倫君) お答え申し上げます。  四十七年の十月九日には四次防の計画としての主要項目というものを決定いたしております。その主要項目内容は、ただいまおっしゃいましたように、陸上海上、あるいは航空、さらに技術研究開発等項目について掲げてあります。それを決定いたしております。
  18. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記とめてください。   〔速記中止
  19. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) じゃ、速記始めてください。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 この昭和四十六年から四十七年にかけて次期潜哨戒機問題というものは、これはもう防衛庁の執念だったと思うのです。したがって、このころから児玉譽士夫等の黒い工作が始まり始めた時期だというように私は理解いたしておりますけれども法務省刑事局長としてはいかが考えていらっしゃるかということなんです。
  21. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉関係につきましては、御承知のように、所得税法違反外為法違反で公訴を提起し、さらに同人に対する所得税法違反、四十八年、四十九年分につきましてさらに捜査中でございます。で、児玉関係については検察当局としては必要な限りでその解明を行いたいということで努力しておりますけれども、ただいま御指摘のようなことは、児玉に関する国内における具体的な行動についてでございますので、捜査内容に関連すると思いますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 刑事課長これをどう考えますか。P3対潜哨戒機に関する七三年七月二十七日の契約修正四号、総額二十五億円というものを、新しいP3型五十機の確定的な契約ロッキードが受けた時点で十五億円を支払い、次いで、全機の確定契約ロッキードが受けた後六十日後と九十日後の二回に分けて分割して各五億円ずつ支払うものとするということは、あなたが御承知のはずなんですね。これらの関係等について関係ありと、いわゆるPXL国産化白紙還元の問題と関係あるということを私は考えております。その点いかがですか。
  23. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉につきましてはロッキード社との間にコンサルタント契約があって、それについて公表資料等があることは私どもよく承知しております。その内容PXL関係があるのじゃないかという御指摘でございますけれども、それは具体的に現在捜査をしているまさしく内容に関することでございますので、その内容捜査の過程の現段階においてこれはこうだということを公表するのはいかがかと思いますが。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 そういう答弁はどうも余りにも通り一遍の答弁で、法務大臣関係あるかないかということについて内容に立ち至ったことじゃないと思うんですけれども大臣いかが考えますか。
  25. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それはその時期がただその時期になっているということだけで、関係が結びつくか結びつかないかということを直ちに私が言えと言ったって私にはどっちにもわかりませんですね。時期はその時期になっているなと、けれども……
  26. 青木薪次

    青木薪次君 だから関係あると、関係があると思う……
  27. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 関係があるのかないのかは、その時期が一致するからといってあるなしということを右、左断定するわけには私はまいらない、こう思います。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 違う観点から、国の財布を預かる大蔵省主要項目にどれだけ予算を出すかということでありましたけれども防衛庁PXL国産化、いわゆる研究開発中心とする、それから大蔵省ドル減らしということが中心だったと思うのでありますけれども大蔵省はおりますか、次長
  29. 高橋元

    説明員高橋元君) 次期潜機の問題につきまして四十五年以来、防衛庁国産前提とする研究開発をやりたい、大蔵省といたしましては、財政上の観点からそれには反対であるということで応酬してまいりました。ただいまドル減らしという御指摘があったわけでございますが、大蔵省国産化前提とする研究開発に反対いたしました理由は、主として二つでございます。  第一は、研究開発多額経費が要る。当時約四百億円かかるというふうに考えておりました。  第二は、将来量産化に移りました段階国産でありますと、多額経費を必要とし、一機当たり単価が高くなる。当時の資料では輸入いたしました場合には、一機当たり二十五ないし三十億円、それから国産化いたしますと三十五億円かかる、かように考えておりました。それが財政PXL国産化前提とした研究開発大蔵省が反対した理由でございます。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 しかし、そういういまの主計局次長のお話からいくならば、PXL国産化方針とか、ドル減らしという問題以外に、当時丁2等については国産化ということで私は妥協したと思うんです。これが初めはT2に一機が四億円だったのが人件費材料費の値上がりもあったでありましょうけれどもエンジンメーカー等の倒産問題も含めて十五億円になってしまったという結果になったと思うんでありますけれども、これはそのように確認しておりますか。
  31. 高橋元

    説明員高橋元君) 高等練習機の問題でございますが、高等練習機につきましても国産をいたしますと、それに対応いたしますFsBという輸入機の場合よりは一機当たり単価が約五億円高くなるということを当時当方としては主張いたしまして、一たん四十七年度の予算で決まりました高等練習機の執行にかえてFsB輸入を四次防の主要項目検討の際に検討してほしいということを防衛庁にお願いをいたしたわけでございます。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 このことは、いま主計局次長もお話しになったように、金がかかるということもあるけれども、国策であるドル減らしというのが大蔵省の主要な言い分であったのでありまして、防衛庁も後に引かなかったということで、むしろ防衛庁制服組といいますか、の人たち自衛隊出身国会議員に陳情、請願するというような時期もこの時期にあったわけでありますが、いま問題になっている昭和四十七年十月九日の国防会議議員懇談会の直後に開催された国防会議において、文民統制強化措置について決定をしたわけでありますが、その内容を簡単に説明してください。
  33. 内海倫

    説明員内海倫君) お答え申し上げます。  「文民統制強化のための措置について」ということで、十月九日に決定いたしておりますが、一つは「通商産業大臣科学技術庁長官内閣官房長官のほか国家公安委員長議員とする。」と、これは法改正を要する問題でございます。それから二に「別紙事項は、防衛庁設置法第六十二条第二項第五号の「重要事項」として、国防会議にはかることとする。」ということで「別紙」といたしまして「一 自衛隊法改正を要する部隊の組織、編成の変更」それから「二 自衛官の定数の変更」、それから「三 左に掲げる装備の新型式のものについての種類および数量 ただし、長期防衛力整備計画においてすでに装備種類および数量決定されている場合を除く。」ということで、「1陸上自衛隊の戦車、主要ミサイル兵器および作戦用航空機 2海上自衛隊護衛艦、潜水艦および作戦用航空機 3航空自衛隊作戦用航空機および主要ミサイル兵器4前三号以外の装備で、その整備計画が数か年の長期にわたりかつ多額経費を要するもの」と、以上が決定されたものでございます。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 しかし、このことは国防会議議員懇談会において、逮捕された田中角榮が当時総理であったときに、PXLのような技術的な問題を一々自分のところまで上げちゃ困る、こういうことは専門家検討さして決めてはどうかということについて、三木総理はこのことについて発言をして、賛成発言をした。そのことによって専門家会議設置が決められた。このことはまさに正反対の内容であると同時に、同じ日に同じ人たちによるところの決定だということについては非常に事実と相反するような認識を持つわけでありますが、この点いかがですか。
  35. 内海倫

    説明員内海倫君) 大変恐縮でございますが、御質問いただいている点、私あるいは聞き違えておるかもしれませんが、もし間違っておりましたらお許しをいただきたいと思いますが、十月九日の国防会議議員懇談会におきまして当時の議長であります田中さんからT2改というものの問題が非常に大きく問題になりまして、こういうふうな問題について一々自分のところに意見を求めてこれを決めさせるというふうなことは困ると、だからこういうふうな事柄は専門家に十分検討させて意見を聞いた上で検討したらどうだと、こういうふうな御発言があり、列席の各出席の方々もこれに同意されたというのが当日の経緯でございまして、三木当時の副総理もそれに対して自分も同感であるという意味で賛意を表したということをこの委員会でも仰せになっております。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 新兵器の先ほど言われた導入等について、数量はともかくとしてその機種まで国防会議議題にせねばならぬということについてはどういうことであろうか、めんどうじゃないかということが表面的な理由でありましたけれども、そのことと同時に、シビリアンコントロールのもとにこういうことが利権と結びつく口実となってきたというようなことは、これは当時の第一次FX問題、これは昭和三十三年から三十四年にかけてロッキード・グラマン戦争、それからその後の第二次FX問題もそうでありましたけれども、必ずしも機種選定が法定の国防会議付議事項ではないにもかかわらず、こういう点について一々国防会議に諮ってきているということについて、いまの専門家会議に預けるというような話とは矛盾をしゃしないかということなのであります。
  37. 内海倫

    説明員内海倫君) それに対します私の立場国防会議事務局長でございますので、所見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、いま私御説明申し上げました文民統制強化措置に関する決定が行われましたときの経緯といたしましては、こういうふうな主要なものについては極力国防会議で論議をして、いわば公正を期して処置をしていく、それが文民統制の基本的な大事な問題であるというふうな御理解、また当時の出ておりましたいろいろな御意見等もそういうふうなことがあったようでございます。そういう経緯の上でこれが決定されたものと思います。所見につきましては、私申し上げるべき立場にもございませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 いま申し上げましたように、第一次FXからPXに至る経過をながめてまいりますと、機種選定利権絡みで政治の場で討議されてきた、そういう歴史だ、その歴史の繰り返しだというように私は考えているわけでありまして、したがって、この点から逐一PXL国産化白紙還元という問題とP3C導入に的を当てた私どもロッキードスキャンダルというものについてもっと真剣に考えていかなきゃならぬと実は思っております。そこで、四十八年の段階では当時中曽根康弘防衛庁長官が、先ほどの坂田防衛庁長官の話にもありましたように、防衛庁当局と一緒になって国産化ということを進めていきながら今度はこの四十七年の七月の九日の国防会議時点では黙っていた。しかも、一年たった昭和四十八年の六月の六日あたりには経団連の防衛生産委員会では積極的に日米貿易の不均衡解消にもう向かってきちゃったんだ、だからひとつ兵器国産化を進めてほしいというような突き上げが実はあったわけであります。国産化推進中曽根氏は、私どもとして抜きがたい不信を感ずるのは、黙ってこれに答弁をしなかったという点に終始したわけでありますけれども、この点に非常に私たち不可解な感じを現在も持っております。  そこで、大平大蔵大臣はきょうは何か病気で出られないわけでありますが、私ども日本社会党上田哲議員、本日出席されておられますけれども昭和四十八年の六月十五日に中曽根通産相質問いたしますと、兵器国産化については長所短所があるが、「最近は、国際収支の点も考慮に入れたらいいのではないか」というようにまたくらっと変わっているんです。そこで、過般、国防会議におきましてPXLAEW——早期警戒装置等について白紙還元して専門家会議にゆだねて決定することにしたのもこのような考え方に基づいて白紙還元したものでございますということをぬけぬけと答弁しているんです。それから大平大蔵大臣は先般一カ月前のわが党の対馬議員質問に対して、中曽根さんはそう言ったけれども外貨減らしになるのかならないのかということを聞いたところが、大平さんは、当時もそうだったし、今日も全く外貨減らしにはなりませんということを堂々と実は言っているわけであります。その点から考えてまいりますと、非常に中曽根大臣発言というものは、当時は国産化、それからそれは今度は四十八年になったところが、これは外貨減らしだということを答弁しているということについては非常に矛盾があると坂田防衛庁長官お思いになりませんか。
  39. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 実は私の防衛庁といたしましては、中曽根さんが防衛庁長官在任中の昭和四十五年七月十六日でございますが、長官の決裁を経まして「装備生産及び開発に関する基本方針」というものを定めておられます。さらにその具体的な指針といたしまして「防衛産業整備方針」及び「研究開発振興方針」を定めておられます。で、中曽根さんもこの方針に沿った考え方をしておられるものと私は考えておるわけでございますが、その前記の基本方針にはこういうふうに書いてあるわけで、「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する。」ことをうたっておるほか、「効率性経済性及び安定性を考慮しつつ、計画的に推進するものとする。」ともうたっておりますし、装備開発及び生産はこれらを総合的に勘案して行うべきものであり、すべての装備品国産にしようというものではない。このことはその後の各種装備品調達実績を見ても明らかであると考えるわけでございまして、この基本方針というものは今日まで防衛庁といたしましては変わっておらないわけでございます。しかしながら、物によりましては科学技術の非常な発展、それからまた日本国産ではどうしてもやり得ないものがございます。しかし、防衛上はどうしてもそういうような高い技術を持ったものを買わなきゃならないこともあり得るわけでございまして、その点についてはやはり国産ではなくて輸入をする場合もあるということでございますから、これは決して矛盾をするものではないというふうに私どもは解釈をいたしておるわけであります。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 坂田長官、誤解されちゃいけませんけれども、私の言っているのはそういう科学技術の進展に伴って長所短所もいろいろ出てくるでしょう、国産の場合にですね。しかし、収支の点も考慮したらいいじゃないかということを急に言い出すということはおかしくはないか、こう言っているんですよ。その点いかがですか。
  41. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) この点も実は先ほど申しましたように「効率性経済性及び安定性を考慮しつつ、計画的に推進する」ということが基本方針にございますので、やはり効率的経済性ということはそういうことに当てはまるんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 (資料を示す)いまの防衛庁長官立場としちゃ言えないということは、それは言えないでしょうけれども、とにかく一年前の防衛庁長官国産化を絶対的にこれは推進するんだということでもって防衛庁制服組を叱咤激励してやってきた、立場が変わって通産大臣になったら、急に今度はドル減らしのことを考えたらいいじゃないかということを考えるということについては、ここにちゃんと上田議員質問によって議事録があるわけでありまして、いま確認されたとおりでありまして非常に問題が多いと考えております。  それから、特にこの点では昭和四十七年に三十億ドルの収支の差が実はあったわけでありますが、大平大蔵大臣はこのときでさえもドル減らしにはならぬよ、白紙還元して輸入ということを考えてみてもならぬよと。それはならぬでしょう、昭和五十八年に輸入ということになるでしょうからね。P2Jの関係もありますから。それから昭和四十八年には、それじゃその三十億ドルの収支の差がどれだけ解消したかという点については全く四十八年についてはほとんど収支の差はとんとんになったということを言っているわけでありますから、田中総理、それから中曽根防衛庁長官、これらの皆さんは非常にこの点について私は疑惑を感ずるということをまず申し上げておきたいと思うのであります。  次に、それらの関係から中曽根氏に対するいわゆる議員証言を求めるということは私はほかの事実もあるわけでありますけれども、この際、委員長に対してこれは要求いたしたいと、こう思っております。これは後で理事会等において諮っていただきたいと思います。  それから田中角榮が昨日保釈になったわけでありますが、これはもう御案内のように金権政治をほしいままにして、一連の金脈事件でも刑事責任をどうやらいままで免れてきたわけでありますけれども、八月十六日についに受託収賄罪と外国為替管理法違反で起訴されたんであります。で、きのう保釈金二億円で釈放ということになったわけでありますが、前総理大臣の田中角榮の起訴でありますから、その意味では最高峰を登頂したという国民の賛成の意見というものは非常に多いわけでありますが、今後の捜査についてはどうなるか、トカゲのしっぽになってしまうんじゃないかということが非常に国民の間で心配されております。P3Cの解明は何が何でもやり遂げてほしいという声は私どもに対する電話その他でももう訴えてきている事実であります。で、私はきのうのロッキード調査特別委員会で議論された問題でもありますけれども田中角榮釈放によって証拠隠滅のおそれがありと私どもは考えておったわけでありますが、きのうの稻葉法務大臣答弁で徹底的にやり抜くと、こういうことを言っておられますけれども、いまもその点については変わりございませんね。
  43. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 終始変わりはございません。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 ロッキード社からの工作資金三つのルート、すなわち児玉ルートそれから丸紅ルート、全日空ルートのうち、丸紅ルートについては峠を越したかの感があることは私も認めます。しかし、ロッキード事件はまだ解明される半分にも行っていないということについて理解してよろしいかどうか、大臣答弁願います。
  45. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そう、半分まで行っていないという表現が適切であるかどうかと思いますけれども、とにかくまだまだ解明されておりませんと思います。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 私の発言を裏づけされたというように理解いたしますが、特におくれている児玉ルートについて非常に難航しているけれども、その原因については児玉の病気であるのか、あるいはまたなかなかガードがかたくて児玉の身辺に近寄れないのか、あるいはまた児玉自体が証拠隠滅を図っているのか、その点いかがですか。
  47. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉関係につきましても鋭意捜査をしておることは大臣が申し上げたとおりでございますが、どのような事情で現在捜査がおくれているのかというお話でありますが、検察当局としては最善を尽くしてその捜査を進めておるわけでございます。で、ただ御指摘にありましたように、児玉につきまして病状が御承知のとおりでございますので、そういう点も一つの障害になっているのでございますけれども、そのほかにどういう具体的な状況にあるか、また御指摘に、捜査が非常におくれているというお話でございますけれども、検察庁は検察当局なりに手順を踏んで犯罪の容疑のある者については必要な解明をするということで順次進んでいるものと思っております。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 田中衆議院調査特別委員長が尋問いたしましたときに、政治家とは川島正次郎さんのとき以来は会っていない、それから政治家には百円もやっていないというような問題について、この児玉は偽証だというように私どもは考えているわけでありますが、法務大臣いかが考えておりますか。
  49. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういうことが、そういう発言が、児玉自身のこの質問に対する答えとしてすでにそういう発言をしたことが事実に合っているか合っていないかという点では、私何だか合っていないような気もするんですよ。けれどもね、これやっぱりそれが直ちに偽証になるかどうかということになるとこれはあれですものね。ああそれからあれは大体証言法に基づいたあれじゃないから偽証罪という罪にはならぬですがね、うそついているということがあるかと言えば、普通はまあうそついていると言うんでしょうが、本当に頭が変でね、川島正次郎さん以降会ったことを忘れたりしていて、うそをつくつもりでうそをついていないのかもしらぬし、その辺のところは微妙ですな。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 いや、肝心かなめな政治家に対して金やっていないなんていう説になると、百円もやっていないというように非常に意識がはっきりいたしているわけであります。もちろん議院証言法に基づく証言じゃありませんからね、偽証罪ということを私は言っているんじゃないのです。しかし、もっとこの児玉発言に対して的確にこれを行政の立場、国会審議の立場として両々相まって捕捉できる手段というものについてどう考えていらっしゃるのか。これは法務大臣の私は責任だと考えておりますんですが、その点いかがですか。
  51. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 検察当局としては、まあ、ああいう児玉の病状にあるにもかかわらず一生懸命にやったわけです、三十四回もね。そうしてどの程度こう心証をつかんでいるか、それは報告を受けていないからわかりませんけれども、全く意味のないことをやったとは私思っておりませんで、努力は評価すべきものはあると私は思っておる次第です。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 クラッター、エリオットは九月六日から嘱託尋問に応ずるということを理解してよろしゅうございますか。
  53. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねの点については、米国司法省におきまして、クラッター証人らに対する刑事免責の問題について検討をしているというふうに承知しております。で、その結果が出ませんと、どういうことになるかはお答えははっきりできない状態でありますが、一応予定としては九月八日に証人尋問の期日が入っていると聞いております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 P3Cの調査は、これらの条件が整ってき次第、田中角榮の再調査はあり得るということをきのうも言って、大臣も刑事局長答弁したわけでありますが、このことは再確認してよろしゅうございますな。
  55. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 児玉ルートの解明はこれから核心にずうっと入っていくと思いますがね。その過程において犯罪の容疑が出てくれば、これは捜査の対象になることは当然でしょう。そういう意味を申し上げたわけです。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 昨日の閣議終了後、まあ夜になったと思うのでありますが、三木総理大平大蔵大臣を呼んで、首相官邸で閣議後三十分話し合った。その中で財特、国鉄運賃、電信、電話料金問題を臨時国会開いて仕上げることは絶対必要だけれども一、もし自民党の挙党体制ができないと法案が通らない、その場合には大蔵大臣は辞任するぞ、そのこともあり得るぞということを示唆したそうでありますけれども、臨時国会の早期召集には意見が一致したようであります。しかしその前に、この捜査の日程でありますけれどもロッキードのこのトライスター関係についてはすべて打ち上げるのか、あるいはまた政府高官捜査はその前に終わるのかどうなのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  57. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それにつきましては、この丸紅ルートについてはまあ山を越したと言ってよろしいかと存じますと、きのう閣議でも報告しました。全日空ルート、児玉ルートにつきましては、前の全日空ルートについては事実関係については捜査は順調に進んでおりますと、こう申しました。児玉ルートについては捜査が難航しておるけれども、あらゆる方法を講じて真相究明に努力すると、こういうことを申したので、いつの時点でということは申し上げかねるわけでありますね、いつの時点で終わるとかいうことは。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 大臣、臨時国会が開かれますと、議員逮捕の関係については許諾請求や手続等についていろいろめんどうです、その前に終わるということだということをあなたは盛んに発言されておったと思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  59. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 不逮捕特権との関係などがあって、その捜査の進みぐあいによって国会議員に及ぶというような場合には手続上手間が取れることは事実ですな、これは。それからまた、どういうわけで逮捕の許諾を請求するのか、理由の中に捜査内容を申し上げないと許諾を得られないような場合が出てきますと捜査に支障を来しますので、重ならない方が望ましいと、こういうことは申し上げましたね。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 政治日程の関係から、きのうも話が出たわけでありますが、十一月十日が天皇即位の記念式典があるわけでしょう。それからずっと、これらの三つの重要法案と言われる法案の、審議をしていきますと、このロッキード捜査問題とも絡み合わして日時がどうしても合わないんですけれども、この点については、臨時国会が召集されている期間内といえども議員逮捕、いわゆる政府高官はもとより、議員逮捕もあり得るのかどうなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  61. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査の進みぐあいいかんによると思います。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 いまの捜査の進みぐあいいかんによるということなんでありますけれども、しかし、リミットがあるわけですね。その点について、これは大臣の答弁を裏返して言えば、その場合でも高官の逮捕その他があり得るというように理解してよろしゅうございますね。
  63. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査の進みぐあいによって捜査当局が証拠をつかんで動かざるものだということになれば許諾請求をするでしょうな。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 並行してやるわけですな。
  65. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 臨時国会がいつ開かれますか、捜査がいつ山を越すか、一山は越えたけれども二山、三山と、越えぐあいにもよりますわね。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 一山、二山と言うけれども、あと十山ぐらい越さなきゃならぬじゃないかというように私どもは考えております。それば、私ども自体の調査によっても、これは相当な汚職疑獄に発展する可能性をまだ将来において秘めておるわけでありますから、そういう点から、臨時国会開会中といえども法案審議と並行してこの捜査は徹底的に行うというように理解してよろしゅうございますね。
  67. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それは一にかかって捜査の進みぐあい、事件の内容によるんでありまして、そういう御質問ですから、それは三法を控えていつまでも、あれでしょう、国会を開かぬでいるわけにはいかぬでしょう。国民生活に重大な関係があって大変なことになるわけですからね。予算が通ったような通らないようなかっこうなんですから。それじゃ国の事業はほとんど進まないわけですから、そんなばかな政治、そんなおかしな政治はありませんからね。ですから、総理もいつも言うているように、ロッキード問題だけが政治じゃない、これの解明だけが政治じゃない。そのとおりなんで、ですから国民生活に重大な関係のある三法通過の臨時国会と並行してそれらの捜査が進む場合には、その臨時国会中、いろいろ、もし犯罪の事実があれば逮捕許諾の請求をせざるを得ない事態になるようだと、もうそのとおりでしょうな。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 わかりました。  七月二十三日に社会党の瀬谷議員より野党五会派を代表いたしまして、田中、小佐野、後藤田、相澤の喚問を要求しましたが、田中が逮捕され、それから小佐野はまだ証人喚問がこの二十六日に決まったばかりでありますから、ひとつ委員長において、PXL関係する後藤田、相澤を喚問することについて、ひとつ委員会に諮っていただきたい、こう思います。
  69. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 申し上げます。  理事会で相談中でございます。
  70. 青木薪次

    青木薪次君 時間がありませんので、私は特に、中曽根氏の政治資金規正法に基づく収支報告の——うその収支報告ですね、この点のうその部分というものは一体どこにあったのか、その点について自治省からお伺いいたしたいと思います。
  71. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) お答えいたします。  中曽根系四団体の政治資金収支報告に関連する問題の経緯についてでございますが、この四団体につきましては、本年四月に、四十七年下期分以降の収支報告書の支出関係につきまして訂正をいたしたい旨の申出書が提出され、これについて事務的審査を行いましたところ、支出先が特定されていないこと、領収書その他の支出を証する書面の写しが添付されていないこと等、不備が認められましたので、四月十七付をもちまして再調査の上訂正するように求めた次第でございます。四月下旬——正確に申しますと四月二十六日と三十日でありますが、再訂正の報告書の提出がありましたので、再度審査いたしました結果、必要な是正が行われたものと認めまして、五月十五日から一般の閲覧に供したところでございます。  以上でございます。
  72. 青木薪次

    青木薪次君 もらった人が架空の人であり、出した人も架空の人だ。それから領収証のあるものはほとんどない。ところが、再提出を求めたところが、今度は大分政治家個人に対する献金というものが非常に出てきた、団体も出てきた、この金額も大いに変わっていたというようなことについて、これはこのままにしておっちゃいけないじゃないか。特に私は、自治大臣がお見えですから申し上げるわけでありますが、後援団体に対して一一チェックするように決まりました。それから金額等についてもいろいろ規制があるわけでありますが、政治家個人に対しては全くないわけです。だから幾ら金を企業から献金しても、政治家が、これは政治資金に使ったよと言えばそれまでになってしまうわけでありまして、それらの点から、このピーナツ問題等についても、いま田中角榮はわしゃ政治資金でもらったんだと、こういうことを言い張れるくらい、いまの、このまだ政治資金規正法はざる法だと思うんでありますけれども、この政治家の収支の報告ぐらいするぐらいまで私は政治資金規正法を改正するということについて意欲を燃やすべきだと思うのでありますけれども、その点いかがですか。
  73. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  改正前の政治資金規正法というのは、これは政治団体を中心にして、これに対する規制ということを主眼として立法されておりました。したがいまして、政治家個人に対する寄付についての規制は入っておりませんでしたが、昨年の政治資金規正法を御審議を願いまして、それが通りまして、そうしてことしの一月一日から施行されたわけでございますが、この改正案におきましては量的な面での規制をいたしました。それは同一の者が年間百五十万円を超える寄付を同一の者から受けてはいけない、政治家は同一の者から百五十万円以上のものを受けてはいけない、こういう規制が加わったわけであります。それからまた質的な面での規制では、国から補助を受けている会社あるいは外国人、外国法人などから寄付を受けてはならない。これははっきり規定されたわけでありまして、そういう改正が今回、昨年の法律改正によって実現をいたしました。いまこれが施行されておるという段階であります。あなたのおっしゃることもわからぬわけではございません。もちろん、わからぬわけではございませんが、法律を改正してまだいま施行したばかりのことでございまして、これが今後どのようなことになるかということを、慎重に実施状況を見るというのも一つの問題点ではあると思います。しかし、あなたがいまおっしゃったこともこれまた一つの考え方であると思いますので、われわれとしては今後検討をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  74. 青木薪次

    青木薪次君 最後に、私はいま自治大臣のおっしゃったことが改正の要点であることはよく知っているわけです。しかし、あくまでも選挙に金がかからないように、また選挙資金を非常に明朗な会計の中に置こうというような立場に立って政治資金規正法の改正というものがなされたとするならば、いまこの問題になっているロッキードスキャンダルのような問題等について、ただ政治資金だということを言えば、それでもってどんどんまかり通るというようなことが、これがいわゆる白昼公然と責任ある人の立場から意見として出されたり、あるいはまたそのことが白昼堂々とまかり通っているようなことというものについては、私どもはこれはいけないことだと。したがって、政治資金規正法の今日改正されたものといえども、ざる法の域を脱しないというように考えておりますので、それらの点についてこれからひとつ改正する努力というものを今回のロッキードスキャンダルの経過として他山の石として考えるべき時期に来たのではないかというように考えて質問しているわけでありますが、この点いかがですか。
  75. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほどもお答えいたしたつもりでございますが、ただいまの御質問の趣旨等を十分に考慮いたしながら検討を続けてまいりたいと考えております。
  76. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。
  77. 野田哲

    ○野田哲君 私は日本航空と大韓航空、東亜国内航空、この関係での民間航空機がたらい回しをされている、この問題について運輸省並びに最後に法務省の見解を承りたいと思います。  まず第一に運輸省の方に伺いますが、昭和四十七年、田中内閣が発足直後の時期に日本航空から大韓航空に対してボーイング727が三機、これは譲渡を前提としてリースされている。これについて運輸省がこれを認可をしたのはいつなのか。これ運輸省の資料はその都度その都度私が請求した資料では日にちが大分ずれている。どれが正しいのかさっぱり見当もつかないんですが、これを明確にひとつ答えてもらいたいと思うんです。
  78. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  日本航空株式会社から727三機を退役さしたい、現役から退かしめたい、退役させたいという申請がございましたのが四十七年の三月七日でございます。そして認可いたしましたのが四十七年三月三十一日でございます。  それから、続けて申し上げますと、同じく四十七年の五月の二十日に、いま先生お示しの大韓航空に対するリース・パーチェス契約日本航空と大韓航空との間に成立したわけでございます。それに伴いまして日本航空株式会社の保有機材が減るわけでございますので、その減る関係が事業計画変更認可という形で出てくるわけでございますが、変更認可申請がございましたのが四十七年七月十二日でございました。認可されましたのが同じく七月二十日でございます。これは三機のうちの一番機でございまして、二番機が同じく七月三十一日の申請で認可が八月二十六日、第三番機が九月八日の申請で認可が九月二十二日でございます。  それから、下りまして、今度これはまだリース・パーチェスでございますから、日本航空の財産を大韓航空に貸しているという状態でございます。で、最終的にはリース・パーチェス契約によりましてパーチェスが行われたわけでございます。そのパーチェスをいたしますと飛行機が日本航空から大韓航空の財産に変わりますので、日本航空株式会社法によりまして重要財産の得喪認可という規定によりまするところの認可申請がございました。いわゆる大韓航空にリース・パーチェス契約によってパーチェスをしたいという航空機譲渡の認可申請がございましたのが四十九年の十二月二十五日でございまして、認可いたしましたのが五十年一月二十日でございます。これが大韓航空との関係のリース・パーチェスに関する手続の一切でございます。
  79. 野田哲

    ○野田哲君 東亜国内航空から運輸省にローカル線のジェット化計画についての申請が出された、これはいつですか。
  80. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) 東亜国内航空は四十六年の暮れにジェット化計画を立てたわけでございます。これはB727三機に加えまして日本航空から退役予定の航空機を五、六機譲り受けまして、計八、九機でローカル線のジェット化をしたいということでございました。この話が東亜国内航空から運輸省に対してなされたわけでございますけれども、当時の東亜国内航空の状況等から考えまして、とてもまだ承認し得る段階ではないということで認可を承認を与えるに至らなかったわけでございます。
  81. 野田哲

    ○野田哲君 いま説明がありましたが、この東亜国内航空は四十六年末にジェット化計画を立てて運輸省に申請をした。その使用機材は東亜国内航空が合併前に、旧日本国内航空時代に日本航空に貸していたボーイング727三機、それから日本航空から退役する五、六機を予定して、ボーイング727を使用機材ということで申請を行ったということですね。  で、次に伺いますけれども、このジェット化計画昭和四十七年七月十四日付で運輸大臣の認可が行われた。後でこれ間違っているかどうかそこだけ聞きたいと思うんですが、内容は八月一日から東京−大分便一日二便、九月から大分−鹿児島便一日二便、十月から福岡−鹿児島便一日二便、この使用機材は日本航空から返却されたボーイング727、この際の承認については四十七年の十一月末までと、こういうことで限定的に期限を切って承認をして、それ以降についてはさらに検討すると、こういうふうになっていると承知をしているんですが、そのとおり間違いないか、間違いであればどこが間違いか、これを説明してもらいたいと思います。
  82. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) そのとおりでございます。
  83. 野田哲

    ○野田哲君 この十一月以降は別途検討するというのは、これは何を検討するということなんですか。使用機材を検討するということなんですか。
  84. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) これにつきましては、そのあとのジェット化計画については、東亜国内航空の路線、旅客輸送需要、そういったものとの関連でまた話を聞いてから検討しようということでございまして、小出しにしたといいますか、ステップ・バイ・ステップでやっていったということだったと思います。
  85. 野田哲

    ○野田哲君 このTDAのジェット化計画、これはTDAからの申請ではボーイングの727、これを使用機材としての申請ということになっていったことは先ほどの説明で承ったわけですが、この727の機材を使う、これにあわせて東亜国内航空のパイロットの配置計画などを調べてみると、JALからの二名の機長の支援を含めて十八クルー、三十六名のジェットパイロット、これが限定変更等の訓練を受けてそろっていた、こういうふうに聞いているわけでありますが、十八クルーと言えばこれは六機体制、こういうことになるわけだと思うんですが、その点いかがですか。
  86. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) お答えいたします。  私どもの手元にございます資料では、十八クルーというふうな大規模な乗員編成ができているようにはなってないわけでございますが、三クルー程度というふうな資料になっているわけでございます。
  87. 野田哲

    ○野田哲君 この三クルーの中には日本航空から支援をする機長二名が含まれておりますね。
  88. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) 含まれております。
  89. 野田哲

    ○野田哲君 いずれにしても、その段階まででは運輸省としてもそれから日本航空としても、727によって東亜国内航空がジェット化計画を進めている、このことは運輸省も日本航空承知をしていたと、こういうことですね。
  90. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) お答えいたします。  これはもともと東亜国内航空が持っておりまして、といいますか日本国内航空当時に持っておりまして、日本航空に貸した形になっておりました三機につきましては、これはもともと東亜国内航空のものでございますから、それを使ってジェット化計画を進めることについてはわれわれも異存はなかったわけでございますけれども、その後のことにつきましては、日本航空からの退役機が入手できなければ東亜国内航空としてはジェット化計画を進めることはできないわけでございますので、その場合にはまた他の方法を考えることがあるんじゃないだろうかというふうな意味でございまして、この東亜国内航空の方の側で、日本航空の退役機を予定いたしまして、八機ないし九機という体制をつくったことについて、運輸省としてはこれを承知しあるいはこれをバックアップするという立場にはなかったわけでございます。
  91. 野田哲

    ○野田哲君 いまの説明では三クルーということになっていますけれども、当時の航空関係の業界新聞等の報道するところを見ると、これは十八クルー、この体制をつくっていたと、JALからの機長二名の支援を受けて東亜国内航空から機長が十二名、副操縦士が十四名、航空機関士八名、計東亜国内航空の乗務員三十四名がアメリカのデンバーの訓練センターで727への限定変更の訓練を受けている、こういう資料があるわけですよ。だから、三クルーというのは、これは三機が許可になったから三クルーということであるわけだけれども、実際に用意をしたのは六機体制の十八クルー、こういうジェットパイロットの訓練を行っていたという資料があります。これは運輸省は承知をしているはずなんですが、いかがですか。
  92. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) 私どもはそれは現在のところ承知をしてないわけでございますが、ただ事実に関することでございますので、さらに調べまして、そういう事態が明らかになりますれば御報告申し上げますが、現在のところ手元にございますデータではそういったことはわかっておらないわけでございます。
  93. 野田哲

    ○野田哲君 これは新聞に出ているんですよ。「18クルーが勢揃い 活気溢れる」東亜国内航空「運航の最前線」、こういうのが新聞に報道されているんです。そこで、そういう状態の中で東亜国内航空のジェット化計画が、日本航空からの返却分三機とそれから退役分三機、計六機を予定をしていた、そういう状態であったにもかかわらず、この東亜国内航空のジェット化の認可前にいま、先ほど説明があった大韓航空へのリースを許可をしている。これは非常に不可解ではないんですか。先ほど言ったように、東亜国内航空は十八クルーを用意をしている。これは間違いない。そして、それには日本航空からの機長二名も派遣をされて十八クルー体制をつくっている。そういう状態の中で日本航空の727三機を韓国へ譲った。これは日本航空のやり方も非常に不可解、それを認可をした運輸省の態度もこれは非常に不可解きわまる。東亜国内航空の社内にある社外秘という文書の中では、日本航空の突然の事情によって三機が使用できなくなったと、こういう社外秘の文書がある、こういうふうに言われておるわけです。そして、後で聞きますけれども、そこで使用機材が行き詰まって、日本国内航空は結局DC9を新機材として導入をしている。そのDC9を入れるときにも、日本航空の機材が使えなくなったから、こういうことで機種選定委員会をつくっているわけです。ですから、明らかにこれは東亜国内航空としては、リースしていた三機の返却と、もう一つは、年度当初に昭和四十七年度の日本航空の事業計画を運輸省が承認をした中で、退役することが明らかになっている、十二機から九機になっている727、その三機を予定したことはもう間違いない事実だと思うんです。そういう状態にあるにもかかわらず、日本航空が東亜国内航空への譲渡の予定を変更して、突然に変更しておりますよ、そして大韓航空ヘリースした。そしてこれを運輸省が認めた。これは一体どういう事情にあったのか、その間の事情を明らかにしてもらいたいと思うんです。
  94. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) 私どもが現在知っております限りでは、四十七年三月に日本航空の三機の退役を承認した時点においては、その仕向け先というものはわれわれにはわかっていなかった、そういうふうに聞いております。
  95. 野田哲

    ○野田哲君 この問題の背景として考えなければならないのは、この東亜国内航空のローカル線のジェット化計画の認可の背景として昭和四十七年五月二十二日、当時の運輸政務次官佐藤孝行氏がまとめたいわゆる佐藤試案というのがある。この佐藤試案が、四十七年六月二十六日付で自民党航空対策特別委員長福永一臣氏の名前で丹羽運輸大臣に意見書として出されていますね。航空企業の運営体制に関する件、こういう文書になっている。この文書の表書きをつけかえただけで、そっくり内容はそのままで四十七年七月一日付で、丹羽喬四郎運輸大臣の名前で航空三社に対して通達が出されている。この通達の中の東亜国内航空関係分を見ると、国内ローカル線の一部ジェット機による運航を認める、それから将来国内幹線のジェット機による自主運航を認める。その運航開始は昭和四十九年度をスタートとして、当面、当初の投入輸送力は実働三機、こういうふうな通達が出ている。つまり、この佐藤試案、自民党の航空関係特別委員会ですか、これの意見書、そして運輸大臣通達、こういう一連の文書の中で、明らかにこれは東亜国内航空については、当面ローカル線のジェット化三機、それから四十九年から国内幹線への運航を認めて当初の投入機材三機、六機が必要だということをはっきりこれはもう認めているわけですね。どうなんですか、その点は。
  96. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  いま先生お読みになりました七月一日の運輸省の決定の中の文句でございますけれども、ここで国内幹線のジェット化ということを認める、その時期が四十九年度であって、当初は実働三機ということでございまして、それ以上のことをここで認めているというふうに私どもは読んでないわけでございます。
  97. 野田哲

    ○野田哲君 これは運輸大臣に聞きたいと思うんですが、そういうふうに明らかに、当初の国内線のローカル線に三機、それから四十九年度から国内の幹線に三機、こういう形で運輸省は文書を出しているわけです。そういう事情にあるにもかかわらず、東亜国内航空が予定をしていた727、この三機を大韓航空にリースすることを認めているんですよ、運輸省は。この事情というのは非常に不可解です。しかもこの大韓航空へのリース三機というのは、そういう先ほど言ったような内容の東亜国内航空のジェット化計画、四十七年からとりあえず三機、四十九年は三機、こういう体制になることを認可した後で、大韓航空に東亜国内航空へ予定をされていた三機を譲っているわけです。これは明らかに、東亜国内航空に新しい別の機種航空機を買わせる必要があって、そのために工作が行われたものとしかこれはどうしても考えられない。この工作日本航空にも大韓航空にも、そして東亜国内航空にも、個人筆頭株主として強力な発言力を持って、しかもあわせて当時田中内閣が出現をした、こういうことで航空関係に非常に強力な権限をふるっていた田中角榮、これとの刎頸の友、こういう関係にある小佐野賢治氏、これが田中当時の総理大臣、これとの合作でなければこれはできない工作じゃないですか。運輸大臣、いまの経過を聞いてどうお考えになりますか。
  98. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 事実関係は私も詳細には聞いておりませんけれども、当時の実情をいま航空局長が申し上げたように、リース問題あるいは東亜国内の事業計画、そういったものを、全部その都度航空局が把握しておるような状況にはなかったんではないか。運輸省にあらわれてくる問題は、許可なり認可なりの必要があるときに出てくるわけでございますから、日本航空でもそれから国内航空でも、すべてその会社がいろいろ考えておることを事前に全部キャッチして、あの会社はこう考えておるからこうしなければいかぬというところまではちょっと手が行き届かないのではないか、いまでも私はそう思っております。したがって当時の事情は、運輸省に対していろいろ許認可の申請が出た段階でどうしたらよろしいかということを処理しておるわけでございますので、少なくとも航空局のやっております行政の段階で、いまあなたが言われたような、背後にどういうことがあったか知りませんが、そういうことを一つ一つ把握するということも事実上不可能でございますし、また把握してどうこうするということもかえっていろんな問題を起こすということで、航空行政はやはり表にあらわれた事柄を十分に調査をして処理をするということで今日まできておるわけでございます。事実関係の詳細は私よく知りませんが、そういうふうに考えておるわけでございます。
  99. 野田哲

    ○野田哲君 それは運輸大臣のお答えとしてはこれは非常に納得できない。なぜかと言えばね、東亜国内航空が四十六年の十二月にジェット化計画の申請をして、七月十四日に認可を受けるまでに、運輸省はその間、東亜国内航空のクルーの計画、訓練はどうなっているか、整備の状況はどうなっているか、こういう点についてかなり具体的に六カ月の間に問題点を指摘をして、認可を保留にしているのです。そこで東亜国内航空は、運輸省の指摘によって、先ほどのお答えでは東亜国内航空は三機分のクルーしか用意をしていなかった、こういうふうに言われているけれども、東亜国内航空は六機体制を運輸省の乗員のジェットパイロットの数、訓練状況、整備、こういうところまで立ち入って半年間の間にいろいろ具体的に指摘をしているんですよ。その指摘に基づいて東亜国内航空は六機体制十八クルーという体制をつくっているんですよ。ですから、この六機体制十八クルー、これは明らかに日本航空昭和四十七年から退役させる727、これを予定をしてそういう体制をずっと運輸省の指導のもとでつくってきているんです。そういう中で大韓航空の方へ突如として三機が横流しをされているんですよ。これは、いまの運輸大臣が社内の内部まで立ち入ったことは知らないということじゃないんですよ。明らかにこれは727六機を予定して、整備からクルー、整備については日本航空の協力を受ける、こういうようないろいろ指摘を受けているんです。これは違いますよ、運輸大臣。どうですか、その点。
  100. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) 大変申しわけございませんが、私、現在確認できる資料に関する限りでは、いま先生御指摘のようなところまでは、運輸省は立ち入ってなかったというふうに承知いたしておるわけでございます。
  101. 野田哲

    ○野田哲君 ここに書いてあるんですよ。「18クルーが勢揃い」したと。そしてこれは運輸省の指導によってこういう体制をつくったということを書いてあるんですよ、これは当時の新聞に。いいですよ、それは。  結局、東亜国内航空は、この予定した機材の入手ができないために、昭和四十七年の十一月から、つまりこれは全日空がトライスターを決定したあの時期と同時ぐらいのところから新機材の検討に入っている。そして、社内事情では新機材としては727、これとDC9、これが候補に上がっていって、最終的にはDC9に決まっているわけです。これは一回運輸省から新機材の導入について、DC9の導入について申請を出して、二月ごろにクレームをつけられている。最終的に四月の二十八日だと思うんですが、DC9の八機の承認を受けている。この経緯を一体どう考えたらいいのか。  問題は——時間がありませんから——二つあると思うんです。これは法務大臣なり法務省の見解を伺いたいと思うんです。稻葉さん、いいですか。結局、この航空機のたらい回しと言いますか、二つの疑惑がある。現に報道もされているんですよ。一つは全日空がDC10のオプションをキャンセルをした。そしてトライスターに変更した。そこで、すでにDC10のオプションを受けていた三井物産、それからダグラス、これに対して全日空からのオプション、DC10、これをキャンセルしたことに対して何らかの形で埋め合わせをする必要があった。これが東亜国内航空の新機材に利用された。  もう一つは、大韓航空が当時太平洋線等に進出をして機材不足の状態にあった。あるいはベトナムとの間の兵員輸送等で機材不足の状態にあった。そこで、ロッキード児玉、このコンサルタント契約にある大韓航空へのトライスターの売り込み、これへの時間かせぎをするためには、当時機材不足にあった大韓航空に対してすぐ新機材導入でなくて、時間かせぎをする必要があった。そのために東亜国内航空が予定をしていた727三機をとりあえず大韓航空に使わせて、そしてその間にトライスター導入工作をする必要があった。こういう二つの疑惑が持たれているんですよ。  そういう疑惑について、児玉の周辺、小佐野賢治氏の周辺、この周辺でこれらの疑惑について司法関係、検察庁なりあるいは警察庁の方では調査を行っておりますか。どうですか、この点は。
  102. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉関係につきましては、先ほども申しましたように、いろんな悪条件がある中を最善を尽くして、犯罪の容疑ある者についてはこれを解明するという基本的な態度で臨んでいることは先ほど申し上げたとおりであります。しかし先ほど来お尋ねの件については、私自身全く承知しておりませんし、検察当局がそういう角度で捜査をしているかどうかについては全く私は聞いておりません。
  103. 野田哲

    ○野田哲君 警察庁、どうですか。
  104. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。  御指摘の件につきまして警察でその事実を把握しているかということでございますが、ロッキード事件を捜査しております警視庁からはその件につきましては報告を受けておりません。したがって、私ども承知しておりません。
  105. 野田哲

    ○野田哲君 時間がまいりましたので、これはぜひ一遍調査をしてもらいたいと思いますが、最後に運輸大臣と法務大臣、一つの問題について見解を承りたいと思います。  木村運輸大臣はきのう記者会見をされて、田中総理の起訴状の中の職務権限の問題に触れて、総理が指示したとしても、運輸大臣には民間航空会社の航空機の購入先を決める権限はない、こう述べて、田中総理の職務権限を利用したという内容の起訴事実に対して、かなり疑問の意思を表明をされました。そういう記者会見をされている。これは新聞——一部ですけれども、報道をされています。この発言はこれは民間航空会社の運航路線、使用機材等の許認可権をこれは一〇〇%運輸省が持っておる、あるいは輸銀法等の改正によって民間航空機の購入についての融資の措置、これについても機材購入に政府は大きな影響力を持っているわけです。今回のロッキード事件というのは、そういう政府の権限を最大限に行使をして、今回のスキャンダルに至っている、このことは今日までに明らかになっている事実なんです。これに対して運輸大臣が担当大臣としてこういう発言をされるということは、この問題について反省が全く見受けられない、こう私どもは認識をせざるを得ないと思うんです。今日の国民感情に対しても全くこれは挑戦するような発言ではないか、こう思います。きのうの新聞の報道でもありますね、田中総理が就任直後に佐藤孝行氏を呼んで、南西航空と東亜国内航空を合併させて、政府が資本を出して国策会社にする、会長には小佐野賢治氏を据えるということまで画策をしたということが大きく報道されているんです。そういうふうな権限を大きく行使したことに対して、運輸大臣は法律的に民間の機材の選定については権限を持っていないんだから、総理大臣が運輸大臣等に対して権限を行使したというのは、起訴事実としては納得できない、こういう発言をされている。これは私は運輸大臣としてはきわめて不適当な発言ではないか、こういうふうに思うんですよ。これは司法に介入をする発言だと言わざるを得ないんです。運輸大臣はこれを、発言を取り消す意思はありませんか。いかがですか。  それと関連して法務大臣法務大臣はかねがね日本の検察陣は優秀であり、全幅の信頼を置いている、こういうふうに何回もここで答えておられる。ところが、あなたと一緒に内閣を組織している閣僚、閣内から先ほどのような発言が出ているわけです。まさに昨日の起訴事実に対して挑戦をする発言が出ているわけです。法務大臣としてはこれに対してどういう見解をお持ちですか。  それぞれお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思うんです。
  106. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 昨日の記者会見で記者諸君から、ちょうど田中総理が起訴された翌日でもございましたんで、いろいろまあ話が出たわけでございます。それに対して私がお話をした事柄でございます。一つは事実関係で、当時の総理が当時の運輸大臣を通じて、ロッキードを購入するように全日空に指示をしたというふうなことが問題になっておるがどうか、というようなお話がございました。それについて、私も、予算委員会あるいはこういう特別委員会でいろいろすでに聞かれて答弁をいたしておるわけでございますが、当時現職であった航空行政を担当しておる者についていろいろいままで聞いてみたわけでございますが、そういう話は一つも聞いていないということを申し上げたわけでございます。  それからもう一つは法律問題で、いわゆる機種決定、これが法律的にどうかということに関連しての話がございましたので、現行法によりますというと、運輸大臣は民間航空会社がどこのメーカーの機材を購入するかということについては何ら干渉をする権限はないんだということを言ったまでのことでございまして、事実をそのままに申し上げたわけでございまして、別にそれ以上の意味も何もございません。
  107. 野田哲

    ○野田哲君 起訴状の内容に納得できないということを言われておるのじゃないんですか。
  108. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 言っておりません。
  109. 野田哲

    ○野田哲君 言っていないんですか。
  110. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) はい。
  111. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私が検察当局に満幅の信頼を置いておるということはいまでも変わりはありません。それで、いまの木村運輸大臣の発言は、何も検察陣営の起訴事実が不当であるとかいうことを言っておられるのではなくって、一つは、田中総理大臣当時、彼が当時の運輸大臣を通じて、運輸省所管事項全般に対する職務を統括する運輸大臣を指揮監督する総理大臣の立場から、事実行為として具体的に指示したというようなことば事実としてはなかったと、これだけの話ですね。ですからそれは、そういう事実行為はなくっても法律上は指揮監督する権限がある。そして五億円については、権限のあることについての五億円の授受であると、こういうふうに起訴状にはなっておるわけですから、運輸大臣のそういう御発言が直ちに検察当局の起訴事実を否定したものではないんですね。(「法的には職務権限がないと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、こういうことですよ。行政各部を指揮監督するなどの職務に従事しておる、内閣総理大臣は。それで、「航空運送事業の事業計画変更等の業務に関する許可、認可及び右事業の発達、改善、調整など運輸省所管事項全般に関する職務を統括する運輸大臣を指揮監督」するんだからこれの中に入ると、こう起訴状は認定しておるわけであります。
  112. 野田哲

    ○野田哲君 委員長、もう一言。  両大臣ともね、新聞ではこうなっているんですよ。「田中起訴に疑問」、運輸大臣はそういう職務権限は持っていないので、田中総理の起訴の内容について「疑問を投げかけた」とこうなっているんです。起訴状に触れて、そういう内容は運輸大臣の職務権限にはないということで「疑問を投げかけた」と、こうなっているんです。起訴状に触れて、となっているんです。
  113. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 「疑問を投げかけた」というのは新聞の記事でございまして、聞く方の記者の推測でございまして、私はそうではなくて、事実問題と法律問題と二つについて話をして、こういうことが将来裁判で議論になるでしょうということを申し上げたわけでございます。
  114. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 初めに副総理にお伺いをいたしますが、まず初めに、いまいろいろと政局をめぐりまして、特に自民党の内部でいろいろな動きがございます。副総理自身もその渦中にあるわけでございますが、まず現在の状況を副総理はどういうふうに把握をしておられますか。
  115. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま政府・与党が置かれております立場は、これはあくまでもロッキード事件の解明をする、こういうことです。それからさらに、先般の国会で積み残しになりましたいわゆる懸案三法案の処理をつけるために臨時国会を開催し、懸案三法案、これを成立せしめる、この二つに取り組むことである、こういうことなんです。そこで率直に申しまして、自由民主党の中に、それらの課題を処理するというために党の一体の体制を固めなければならぬ、そのための仕組みをどうするかということにつきまして議論のあるということは御指摘のとおりでございます。
  116. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまの答弁だと一つ大きな点が抜けていると思うんですが、要するに副総理がしばしば主張されておるいわゆる党の改革、政治の一新、この点はいかがですか。これはいまおっしゃいませんでした。
  117. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が主張しておる出直し改革論、これは私の考え方なんで、政治が置かれておる立場ということでこの統一見解になっているわけじゃないんです。私としてはぜひとも自由民主党はロッキード問題を解明する、しかしそれにとどまらず、その解明の上に立って党自体の反省、国民へのおわび、その上に立って自由民主党は出直し的大改革をする、こういうことを主張しているのですが、これは私の主張でありまして、まだコンセンサスを得たということではございません。
  118. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それから解散、総選挙の問題があるわけですが、この問題も含めまして、いま言われた三つありますね、それに解散、総選挙を入れて今後の政治日程、副総理はどういう主張なんですか。要するに順番ですね、どうしてどうしてどうしてどうするかという、その点はいかがですか。これは非常に大きな問題です。
  119. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これからのプログラムにつきましては、これはまだいろいろ客観条件もありますから、どういうふうに動いていくか、これはわかりません。ただ、総理大臣はとにかくロッキードの解明を早く終えたいと、それから同時に、それと相並行しということになりますか、あるいはそれに引き続いてということになりますか、懸案の三議案の処理をいたしたい、そのために臨時国会を開催する、これは当然のことであります。それから自由民主党の問題でありますが、これは総裁選挙規程の改革等諸改革を行いたい、その上に立って解散、総選挙を三木首相の手で行いたい、こういうことをお考えなんです。まあ、そういうふうにいけば大変結構なことなんですが、そういうふうにいけるかいけないかというところでいろいろ党内に率直に申し上げまして議論が分かれておるというのが実情でございます。
  120. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 副総理はいまさっき言われた出直し改革論、コンセンサスはないけれども自分としてはそういう強い考えである、それはどこへ入れられるわけですか。どの時点にそれをはめ込まれるつもりですか。
  121. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は解散、総選挙、これを非常に重要視しておるんです。やっぱりこの解散、総選挙、自由民主党が勝ちませんと、これは政局は非常に不安になる。そのための欠くべからざる前提として、私の主張によれば、党は国民にまずおわびする。またおわびを前提として党自体の今日までのあり方を反省する。そうしてきれいなしかも団結力のあるたくましい、つまり清新にして強力な政党になったという形で選挙を戦おう、これが唯一の道である、こういうふうに考えておるのです。そういうことでありますから、総選挙前にはどうしても出直し的改革を行うべしと、こういう主張を強力に展開しておる、かように御理解願いたい。
  122. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ところがけさ、三木総理は自民党の会合で、もちろん解散は現在の総理の手でやると、その後も引き続き政権を担当するような意欲であるという報道を私はニュースで聞いたんですが、この発言をお聞きになっておるのかどうか。もしお聞きになっているとすれば、それに対していまのお話とちょっと違ってくるわけですが、その点いかがですか。
  123. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総理大臣はおやめになるその瞬間まで国政に責任があるわけですから、もう最後まで毅然たる姿勢をとらなければならない、こういうふうに思います。どなたが政権の座にあろうと、最後までわが輩は引き続いて政権を担当するというかたい姿勢でなければならぬと、そういうふうに思います。
  124. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 非常に副総理は明解に言われているようですけれども、まだ余りよくわからぬところがあるのですが、もう一つは三木内閣の責任論ですが、いま国民におわびをすると、そうして出直し改革をやって強力な体制で選挙に臨むということは総辞職を意味すると私は思うのですが、その点いかがですか。その前に総裁選挙をやられるわけですか。その点どうですか。
  125. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) おわびの仕方はいろいろあると思います。これはいろいろの方法があると思う。最も国民に納得のいくおわびの仕方を選ばなければならぬ、かように考えております。
  126. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 言いにくいでしょうが、副総理ならどうされますか。
  127. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 仮定の質問にはお答えできませんです。
  128. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 昨日の当委員会で大蔵政務次官から、財特法について九月十日が限度であるという答弁がございましたが、この財特法についてはいろいろ議論がございますが、景気の回復がまだまだ現実には思わしくないわけです。一部においてはいい面がありますけれども、非常に大変である。そういうことで財特法早く通さなきゃだめだと、そういうふうに政府は相当いつも宣伝をされておるわけです。政府の立場としてはそういうふうに言われる点もわからないではございませんけれども、財特だけを盾に臨時国会を早く開けと、それには値上げをひっかけてくる、こういうやり方については私たちは反対をしておるわけでございますけれども、副総理、現在の景気回復、それをどう見ておられるか。どうしても財特法というのは九月十日ぎりぎりなのか、あと知恵はあるんじゃないか、少々延びた場合でもまだ知恵があるのか、本当にもう知恵は出し切ったのか、その点は大蔵当局ではございませんけれども、副総理いかがですか。
  129. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私もいま大蔵大臣じゃございませんものですから、大蔵省のふところぐあい、これは定かには私は承知しておらないんです。そこで財特法、一体いつまで成立させればいいんだということを大蔵省にもかけ値なしに検討してくれと、こういうことで検討していただきましたその結論が九月十日というのです。ですからこれを信用しないわけにはいかない。私どもはそういう大蔵省の見解を前提といたしまして、ぜひとも九月十日ごろまでには財特法を成立していただきたい。また同時にいわゆる値上げ二法、これにつきましても非常に影響がある問題なんです。そのためこれがいままで成立しないと、そういう結果、景気にも大変な影響があるんです。これもあわせてなるべく速やかに成立さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  130. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次にロッキードの問題に入りますけれども、副総理は、田中総理の起訴並びに昨日の保釈、これについてどういう考え、所感をお持ちか、特に起訴状の中身についてどういう御意見か、その点をお答えいただきたい。
  131. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 田中総理という方は、これは個人としては非常に愛すべき人物である。人間としてはまことにいい、いわゆるいい人なんだ。その人がああいうことになったということにつきましては、非常にお気の毒に思います。しかしそういう個人的な感情を離れまして考えるときには、とにかくロッキード問題を解明する、これは私は政府の国民に対する最大の責任であると、こういうふうに思うんです。その捜査の過程におきまして、田中前首相が不幸にして疑惑の対象になったと、そういう以上はこれは解明の一環としていたし方ないことである。まことに残念なことでありますけれどもまことにいたし方ないことである、こういうふうに思います。いずれ法廷闘争、そういうことに移っていくわけでありましょうが、まあ黒白がはっきりされる。そして国民に正しく問題の経過、結果が報告されるということを期待しております。
  132. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 非常にいま人情論のお話しかなかったわけですけれども、特に起訴状の中で問題になって、先ほど来も御質問が出ておりましたけれどもPXLとの関係性は出ていない。トライスターだけの問題になっておる。この点についてはどうお考えですか。
  133. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その辺になりますと、これは検察当局捜査、これに絶対の信頼をかけるほかはない、こういうふうに思います。その検察当局、信頼する検察当局はああいう理由を掲げて起訴に踏み切った。これにつきましては私は論評するということは、私の立場としては妥当ではないと、こういうふうに考えております。
  134. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 副総理は、大蔵大臣当時はPXL調査研究費を大蔵大臣として予算化をされておるわけですが、福田大蔵大臣当時はやはり国産化という線でPXLはお進めになっておったと私は思いますが、その点はいかがですか。
  135. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もし軍用飛行機が国産化できるならばという一般的な考え方は、私は大蔵省にもあったと思いますけれども、さあ調査費を組む段階において、これは国産に踏み切ったんだということで調査費を計上したということではないんじゃないかというふうに考えます。期待は込めているんですよ。しかし踏ん切りをつけて、そして調査費を計上したと、こういうんじゃないんじゃないかと思いますが、とにかく私は調査費まで大蔵大臣として一々チェックするわけじゃございませんから定かにはお答えできませんけれども、恐らくそういうことであったんじゃないか、そういうふうに見ております。
  136. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま調査費がついたからそれが決定ではないと言われますが、大体予算をつくる場合、特にPXLについて言いますと、昭和四十四年にすでにもう八月八日、これは川崎重工業に依頼されているわけですね、調査費は三百万。その明くる四十五年は四十五年度予算PXL研究費二千二百万円が計上、その年の十二月の二十八日、四十六年度予算ではPXL調査研究費三億百万円計上と、こうなっているわけですね。こうやって連続して見た場合、いま副総理は、とにかく国産にできるかどうかやってみるんだというふうなものであれば、特に三億の予算計上となると、これはちょっといまの答弁とは矛盾するんじゃないですか、それが一つ。  それからいま言われた、よくわからないと言われますけれどもね、これはかなり重要な項目だったと思うんですよ。特に三次防、四次防に絡む問題ですからね。それをよくわからぬと言われるのは、いまになってこういう問題になったから言われておるのか、その当時、やはり相当これも議論されたことだと思うんですよ。その点はいかがですか。記憶にございませんですか。
  137. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ三百万円の調査費を組む、各省に調査費、調査費とたくさんありますけれどもね、これは大蔵大臣までその調査費の計上について判断を求められるというような性格じゃないんです。これは大体まあ各省間の折衝で決められると、こういうような性質のものでありまして、恐らくその初期の調査費三百万円というものもそういう事務当局間の折衝で決められたんじゃないか、そんなふうに感じます。私はとにかく記憶がございませんです。
  138. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあいま三百万と言われてますがね、じゃ、いま言ったその三億百万はどうなりますか、四十六年度予算計上。
  139. 高橋元

    説明員高橋元君) 四十五年度予算と四十六年度予算、この二つの予算福田当時大蔵大臣の御指揮を受けて私どもの方で編成をいたしましたので、私から便宜お答えをさしていただきたいと思います。  いま矢追委員からお話がありましたように、四十四年度に三百万円の支出をいたしておるわけでございますが、これは技術研究本部の計上の調査費の執行のようでございます。四十五年、四十六年に計上いたしました技術調査研究委託費、それはお示しのような金額でございますが、この予算を計上いたしました経緯と申しますのは、まあ三次防が終わりまして四次防に入りますその段階で、昭和五十七年ごろからP2VまたはP2J、当時現用の対潜哨戒機がだんだん減ってまいりますので、その装備化を将来の問題として検討していく必要がある。まあ対潜機でございますから列国潜水艦の性能向上に対応して新機種について考える必要がある。この辺につきましては防衛庁の御主張もあり、大蔵省もさように承知しておったわけでございます。  しかしながら、大蔵省としては四十五年、四十六年それからまた四十七年の予算につきまして、いずれもこの調査研究委託議は国産化前提としないという条件で認めたということはたびたびこの委員会でもお答えを申し上げた次第でございます。  しからばこの金額の中身は何かということでございますが、四十五年の二千二百万円の技術調査委託費は、運用構想と申しますか、運用をいたします防衛庁考え方を満たすに足りる航空機の技術的可能性というものについて検討をいたす、それから諸外国機についてもこれは比較検討をするという内容でございます。  四十六年度の三億百万円の調査委託費は、次期潜機において重要な役割りを持つ電子情報処理装置に関する試験研究を行うとともに、空力特性に関し高速風洞試験及び低速風洞試験を行う、こういう内容のものでございまして、いずれも国産の場合であろうと、またこれが輸入の場合であろうと、将来取得を予定いたします次期潜機、これがいずれの方針に決まりました場合におきましても必要となる事前研究ということで、国産化前提としないという条件をつけまして防衛庁との間でそういう前提で認めた次第でございます。
  140. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これは再三、いま言われたように議論されている問題ですが、素朴な疑問として、外国から輸入するものと国産するものと、国産化前提としない調査研究費と言われますけれども、実際、川崎重工という物をつくるところに出されておるわけでして、その辺考えますと、非常にいまの答弁はおかしいんじゃないかと思います。ということは、いまになって問題になった国産化が白紙還元になったということになりますとぐあいが悪いから、やはりその点はぼやかしておいた方がいいということしか私は考えられないわけです。  そこで、防衛庁長官にお伺いしたいんですけれども、いま言われたとおりでいいのか。実際現実にその後ですね、連続して見ていきますと、やはり国産化傾向ということになってきているわけですからね。そうして突如白紙還元と。その点いかがですか。
  141. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これはたびたび私がお答えをいたしておるとおりでございまして、白紙還元というのは、国産化前提とする研究開発の是非を輸入を含めて検討するということでございまして、輸入にするというふうに決まったわけじゃないというわけでございまして、そこには矛盾はないというふうに私どもは考えております。
  142. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 副総理はどう考えますか。
  143. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 防衛庁長官が考えているような考えでございます。
  144. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 法務大臣にお伺いいたしますけれども法務大臣田中総理の保釈に対して非常に不満であると、こういうことを言われたということが新聞に出ておりますが、それはいかがですか。
  145. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 検察当局としては保釈に異議を唱えたわけですから、検察当局に万幅の信頼を置いている者としては当然じゃないでしょうか。
  146. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 あの新聞報道は誤報ですね。
  147. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いや……
  148. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それじゃ、そのとおりですか。
  149. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そのとおりじゃないですか、いま答えたのが。
  150. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もし保釈が不満とするならば、起訴をもう少し延ばしてもよかったんじゃないですか。その点はいかがですか。
  151. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) ちょっと御趣旨がよくわからなかったんですが、十六日が勾留の満期でございますので、どうしても処理しなければならないわけでございました。
  152. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この問題はまた後であれしますけれども、次に児玉ルートについてですけれども、これは先ほど来おくれておる云々とずっとおっしゃっていますけれどもね、病気が一番おくれておる最大理由ということになっておりますが、この点については病気という判断をしてよろしいんですか。
  153. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほども申し上げましたように、児玉自身が相当重い病気であるということが一つの障害になっていることは事実だと思います。
  154. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 一般論としてお伺いをしたいんですが、逮捕の基準という条件は何か。特に病人の場合は、逮捕できない理由はどこにあるのか。それから逮捕勾留に耐え得るかどうかの最終的な判断というのは、だれがどのような手続、また基準で決定をするのか。その点はいかがですか。
  155. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 逮捕につきましては刑事訴訟法に規定がございまして、こういう一般的なことを申し上げるのはなんでございますけれども、まず、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるという、資料によってそういう認定ができるということでございます。それと、逮捕の必要性と一般的に言われているものでございまして、逃亡をしたり、あるいは罪証を隠滅する等の恐れがあるということが逮捕の必要性でございます。それ以外別に具体的な基準というのは、それは事件ごとに検察官が判断するということになります。問題は、本人が病気のような場合でございますけれども、これは非常に重い病気で勾留に耐えられないというような判断が下される場合には、これは逮捕勾留は検察官として慎むべきであるというふうに考えざるを得ないわけでございます。で、それはもちろん専門家の医師の診断によるわけでございます。で、検察官から見て、あるいは司法警察職員の場合ももちろんでございますけれども立場から見て十分その点についていろいろ確かめて、やむを得ないということであればそれを尊重するということになると思います。で、こういうものの最終的な判断につきましては、やはり捜査を担当しておる検察官ないし司法警察職員であるわけでございます。それで、あるいは勾留請求ということになりますれば、もちろん逮捕状の請求なり勾留請求ということになりますれば、その当否については裁判官が判断する、こういうことになるわけでございます。
  156. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 病人の場合、警察病院もありますし、また医療刑務所もございますが、その点について現在これはどういうふうになっておりますか。また、この場合はどういう人がその対象となっておるのかどうか、児玉の場合はこういったことは対象外なのか、その点はいかがですか。
  157. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) この点についてもいままでお尋ねがあったのでございますけれども、もちろん拘置所——法務省の所管でございますと拘置所でございますが、その拘置所では医療の施設がございます。で、問題はそれらの医療の施設を施すことによりながら勾留に耐えられるものであるならば、それは先ほど言いました逮捕勾留の必要性と理由が備われば検察官としては逮捕勾留に踏み切るということになるわけでございます。しかしながら、それらの施設、あるいはもちろん医師もおるわけでございますが、そういう者がおりましてもなおかつ本人の病状がかなり重い、いつ不測の事態が起きるかわからないというような状況であって逮捕勾留にはとても耐えられないという場合におきましては、最初からそれがわかりながらこれを逮捕勾留するというのは刑事訴訟法の精神から言っても許容されない事柄である。本件の場合につきましてその点検察官がどういうふうに判断しているかということは具体的には申し上げかねますけれども、検察官といたしましては、児玉の病状等につきまして逐一いろいろ専門の担当の医師から状況を確認し、あるいはそういう確認した上で十分それらの病状についての判断を慎重に行っているというふうに確信しております。
  158. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 先ほども臨床尋問三十四回と言われましたが、大体一回ではどれぐらいの時間になっておるわけですか。特に一番新しい臨床尋問における児玉の健康状況はいかがですか。
  159. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 時間の関係は、一般的に申しますとごく短時間である、その短時間を何回か繰り返して、現在三十四回までそういう状況を繰り返して継続して取り調べを行っているという状況でございます。で、時間はどのぐらいの時間やっているかということは、余りそういうことを申し上げるのもいかがかと思いますけれども、どんなに長くても一時間以上にわたるということはないように聞いております。  で、最近の病状でございますが。これにつきましてはやはり喜多村医師の診断で脳血栓後遺症でかなりいろいろな症状があって、検察官としては逮捕勾留に耐えられるような状況ではないと判断しているものと思っております。
  160. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 田中総理の秘書官の榎本は病気で入院中を逮捕されたわけですが、当人は病気であったのかどうか、これは先ほど言われたその逮捕に耐えられるものであったのかどうか、その点はいかがですか。
  161. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 榎本本人につきましては、逮捕時池上の松井病院に入院中でありました。それは主たる目的は血圧が高くて精密検査を要するということで入院していたと聞いております。しかし、検査の結果特に異常は認められないということでございましたし、その他胃潰瘍の訴えもあったとかいうことでございますけれども、これについてもレントゲン検査等を行った結果、異常は認められないということで、当時検察官としては専門医師の意見を十分に聴取した上で逮捕勾留に支障はないと判断して逮捕に踏み切ったというふうに報告を受けております。
  162. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 児玉ルートの解明がこれから急がれなければならぬわけですけれども法務大臣としてはこの児玉ルートの解明をやりこなせる自信はおありですか。
  163. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 検察当局は十分能力はあるというふうに信じております。私が捜査してやりこなす立場じゃありませんから、やりこなすのは検察当局ですから、そのやりこなす検察当局は十分能力があると信用しております。
  164. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 特に児玉譽士夫と中曽根現幹事長との関係もいろいろ言われておるわけでございまして、こういった点でいままで全日空ルートとそれから丸紅ルートがかなり解明をされた。しかし、もう一つが残っておるということで、いろいろ疑問、疑惑が出ておるわけですけれども、この点についていろんな雑誌等でもあるいはまた新聞等でいろいろ言われております。そういった点で法務大臣中曽根派であるというふうなことがよけいまた疑惑を広げておるわけですが、その点について法務大臣いかがですか。
  165. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 厳正公平、不偏不党、冷静沈着なわが検察陣営は、法務大臣とどういう関係にあろうとなかろうと、人によって差別するなどというはずはありません。万々一法務大臣稻葉修に犯罪の容疑ありとすれば容赦するような連中では断じてありません。
  166. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 防衛庁にお伺いをいたしますが、先ほど来もちょっと出ておったのですけれども中曽根幹事長が防衛庁長官の在任は四十五年一月十四日から四十六年の七月五日、そのときにかなり国産化の主張をされ、四次防原案というものが発表されたと。したがって、中曽根幹事長が防衛庁長官当時はやはり国産化に非常に熱心であった、これは決まっておるわけです。そういうことは私はもう事実だと断定していいと思います。先ほど来の大蔵省当局の説明がございますけれども、この点はもう明らかになっておるわけでして、これが白紙還元されたということでの疑惑がずっと問題になっておるわけですけれども法務大臣にお伺いしますけれども、実際国産化に非常に熱心であったということはお認めになりますね。それから、その輸入に賛成をされたという点は素直にさらっと賛成したと、当時のドル減らしと、こう素直に受け取ってよろしいのですか。その点はいかがですか。
  167. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それは私におまえの心理状態はどうかと岡かれても、それは中曽根康弘本人がどういう経緯で仮に初め国産を熱心にやったが、事情の変更によって黙して輸入も含めてというのにクレームをつけなかったかどうか、どういう理由であるのか御本人にお聞きいただきたいと思います。
  168. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 通産省にお伺いをいたしますけれども、この当時のいわゆるドル減らしとして、まあエアバス導入、濃縮ウラン等が言われておりますが、これを具体的に品目、金額等を含めていままで日米通商会談等でできてまいりましたドル減らし対策の中身ですね、これを説明をしてください。
  169. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 四十七年当時の状況でございますが、その前年、四十六年のスミソニアン会議によりまして大幅な円の切り上げを行ったわけでございますが、それにもかかわらず非常に黒字の累積というのが予想されておりましたものでございますから、私どもといたしましては、その黒字の主な要因、ことにその対米貿易の不均衡を是正するというのが非常に緊急の課題でございました。したがいまして、政府といたしましては、この日米貿易収支の不均衡を解消するということが貿易の健全な発展というものにきわめて重要であると、こう考えまして、まあいろいろの外貨減らし対策、ことにそのアメリカからの輸入増大策というのをいろいろの角度から検討しておったわけでございまして、通産省といたしましても、こういう背景のもとに各省庁にいろいろ要請いたしまして、まあアメリカからの輸入の増大を図ったわけでございます。その間いろいろの検討の結果、鶴見・インガソル会談で発表されました農林水産物、民間航空機、ヘリコプター等、またウラン濃縮の役務というようなものを含めまして、約十一億ドルという輸入の拡大を図るということに決定したわけでございます。
  170. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 各項目別の金額と、できましたらその中身の主なものがあればありがたいんですけれど。
  171. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 各品目別でございますが、農林水産物が、まあ穀物五千万ドルなどを含めまして四億四千万ドル、民間航空機三億二千万ドル、ヘリコプター等二千万ドル、それからウラン濃縮の役務三億二千万ドル、計十一億ドルでございまして、その詳細についてはここに持ち合わせておりません。
  172. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 昨日、当委員会で黒柳委員質問をいたしました例の空港の施設については、これはどこに入っておると考えてよろしいですか。
  173. 間淵直三

    説明員間淵直三君) ヘリコプター及び航空関連施設二千万ドルと、中に入っておると記憶しております。
  174. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 通産省にお伺いしたいのですけれども、この鶴見・インガソル会談でこのようにドル減らしの話し合いが決まった、これが結局いま問題になっておるロッキードの場合については、民間航空機が国産化を目指したものも、白紙還元が行われて、そうして、こちらに非常に大きな政策変更があったと、民間航空機の問題を別として、この中でそういう、本来であればこういう方向でなかったものが急に変わったというものはございますか、その点はいかがですか。民間航空機もそういう大きな変更があってこう持ってきたんだと、通産省としては考えていないと言われるのか、その点はいかがですか。
  175. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 先ほど申し上げましたように、私どもとして、アメリカからの輸入を拡大を図るということで、その輸入される品物の管理をしております関係各省庁にいろいろお願いしたわけでございまして、本来どういうものであったかということは、私どもとしては承知しておらないわけでございまして、各関係省庁からこれだけ輸入が可能であるという答えがありましたものでございます。
  176. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それから、大臣がおられませんので、余り聞いても出てこないと思うのですけれども中曽根当時通産大臣が、エバリー代表と会われて、それは表敬訪問ということに中曽根幹事長の弁明はなっておりますが、実際その中身を見ますと、かなり具体的なことが行われておるわけですね。したがって、それは会談後の記者会見でも、今後とも日米間の貿易収支の不均衡が是正されないときは、日本側で自主的に輸入拡大、輸出抑制などの総合対策を実施すると、こういうことが言われておりまして、中曽根氏自身が決して表敬訪問ではないということを裏づける発言を記者会見でされておるわけでありまして、その点について非常にこれが問題になるわけですけれども、通産省としてはどう言われますか。その点ちょっと大臣でないからお答えにくいかもわかりませんけれども
  177. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 昭和四十九年の七月二十九日、エバリーが中曽根通産大臣を表敬訪問いたしまして、そのときの話の内容についてはつぶさには記録がないものでございますから承知しておりませんです。
  178. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に法務省に伺いますけれども昭和四十七年の自民党の総裁選後に、ある週刊誌に、当時の中川代議士が総裁選に際して、田中角榮から中曽根氏に七億円金が渡されたと語ったことから、中曽根氏が名誉棄損で告訴した事件がありましたが、この事件では地検の特捜部が調べに当たったようであります。そこで、北海道炭礦汽船の萩原吉太郎氏が参考人として呼ばれて、金の出所を聞かれたり、同氏の自宅に地検の捜査員が来て、中曽根氏はどこに座ったかということまで調べられたと本人が語っておりますけれども法務省はこの事件をどのように把握しておられますか。
  179. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 当時お尋ねのような告訴を受理して捜査をした結果、不起訴処分に付しているということでございます。関係者についても、いまのお尋ねのことが完全に正確かどうかは別問題といたしまして、そのような関係者の調べも行っているということでございます。
  180. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それから中曽根幹事長についてはそのほかいろいろございまして、今回、別件ということでやられております例の太刀川氏の殖産の問題ですね、これ。それからさらにジャパンラインの石油の問題がありますが、このジャパンラインの石油の問題については、これは地検の方では何かおやりになっておりますか。
  181. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 検察庁からその件について捜査をしているという報告は受けておりません。
  182. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 通産省にお伺いいたしますが、この朝日新聞に出た問題ですけれども、この件についてはどのような考え方ですか。
  183. 橋本利一

    説明員橋本利一君) 若干当時の事情をかいつまんで申し上げますと、御承知のように、日本の原油輸入は、その大半をメジャーその他外資系の手に依存しておるわけでございまして、そういった事情から、わが国といたしましては、できるだけ自主開発原油を多く入れたい、あるいは二国間取引を拡大したいという立場にあったわけでございますが、一方、産油国側といたしましても、言うところの事業参加によりまして、自主的に処理し得る油の量もふえてきた、そういう事情にかんがみまして、通産省といたしましては、価格その他の輸入条件が適正であるならば、できるだけ輸入をふやしてまいりたい、こういう立場にあったわけでございます。そういう状況下におきまして、御指摘と申しますか、新聞報道がなされましたジャパンラインがアブダビ原油を引き取るという話が出てまいったわけでございますが、趣旨としては、方向には即しておるわけでございますが、問題点が二つございまして、一つは、価格が割り高であるということ、それからいま一つは、実需と申しますか、国内精製業者の引き取り保証がないという点が問題であったわけでございますので、当時通産省といたしまして、価格についてアブダビ側と再交渉をする、それから利用につきましては、国内の精製会社の引き取りのめどをとってくるようにといったことで改善を求めたわけでございますが、ジラインといたしましては、アブダビ側と価格再折衝した結果、残念ながら不調に終わったということになったわけでございます。  そこで、われわれといたしましても、こういう契約が円滑に履行されない場合には、国際信用を損なうばかりでなく、産油国との関係で、その友好関係にひびが入るのではなかろうかという危惧の念がございまして、輸入体制を整備してこれを導入したいというふうに考えたわけでございますが、これも御承知のとおり、当時だんだん石油市場が、買い手市場が売り手市場になる、値段が上がってくるということで、輸入機構については必ずしも話が進展しなかった。そのうちにいわゆるオイルショックが発生したというようなことで今日に至っておるわけでございますが、当時私たち聞きましたところでは、当時の中曽根大臣とされましては、石油の二国間取引の重要性、石油の国際的需給がだんだんタイトになってくるという事実を踏まえてこの問題に対処するように、いわば一般的な指示があったというふうに承知いたしております。
  184. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もう時間がありませんので、法務大臣中曽根幹事長については、ずいぶんマスコミを中心といたしまして、いろんな疑惑が言われているわけです。いまのジャパンラインの石油権益に絡む問題、それから先ほど申し上げた総裁選のこと、それから殖産住宅、あるいは先ほどもこの委員会でも出ておりました政治資金の報告の問題、非常に疑惑があります。しかも、先ほども言いましたように、児玉ルートの解明が依然として進んでいない。これは病気ということが最大の理由と言われておりますが、やはり国民の立場からいたしますと非常にすっきりしないといいますか、納得しないというか、何となく疑惑がだんだん広がってくる。しかも、昨日刑事局長答弁では、中曽根幹事長については捜査の対象になっていないような発言がございました。私、その言葉を直接ここで聞いておりませんので、新聞の報道で聞いたわけでございますけれども、そういった点がますます疑惑を深めておるわけです。先ほど法務大臣は、私自身が罪であっても、それを逮捕するのは検察庁だと言われておりますけれども、しかし、これはもう少しですね、ただ病気だから進まない、あるいは先ほどもジャパンラインについては報告がない、また中曽根幹事長については捜査の対象でないと、そういうようなことだけでは納得ができないわけですよ。そういった点で、今後この問題を、特に児玉中曽根幹事長との疑惑、これについてはどう対処をされるおつもりですか。
  185. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) その対象たる人物のいかんによって差別を、差異を設けることなく、厳正公平、不偏不党に検察庁はやるものと信じます。
  186. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 きのうの刑事局長答弁……。
  187. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) きのうの刑事局長は、ここでどなたかの質問でしたか忘れましたが、中曽根康弘氏については犯罪捜査の対象になっているという報告は受けていませんと、こういうことでした。それでまた、新聞には何か疑いがないように、刑事局長、つまり法務当局が示唆したか、言明したかな、そういうようなふうにけさ新聞に出ているものですから、衆議院のロッキード対策特別委員会で、特に刑事局長は、そういう報告を受けていないということを申しただけであって、新聞に書いてあるような意味で申したのではありませんと、つまりシロを証明したような発言を法務当局がしたようなことではないのですと、こういうふうに言い直しておりますから、決してそんな、特に何か不公平なことをやっていたように言われるんだったら、まことに心外千万です。私の腹の中を割いて見せてあげたいくらいです、死ななければね。(笑声)
  188. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあ、法務大臣そこまで言われるんですから公平だと思いますけれども、実際、現実にそういう素朴な疑問があることは事実なんですよ。だから、いまはっきり言い直されましたので、ということは、今後も場合によっては中曽根幹事長が取り調べを受ける、あるいは事情聴取をされる、あるいは逮捕される可能性もゼロではないと、こうとっていいわけですね、その点いかがです。
  189. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査が終わったわけではないですから、これから続くわけですから、その過程において、中曽根康弘であろうと、稻葉修であろうと、剱木亨弘であろうと、矢追さん、あなたでもそうだよ、出てくればきちんとやりますよ、それは。(笑声)
  190. 内藤功

    ○内藤功君 昨日、田中角榮総理が保釈で釈放されたわけであります。検察側当局としては、あくまで罪証隠滅のおそれありということで、この保釈申請には不相当の理由をつけておる。しかも、その不相当の理由は罪証隠滅のおそれがあるということであります。ところが、保釈の決定が昨日午後東京地裁であった。これに対して検察側は、罪証隠滅のおそれがあるというならば、一つ合法手段が残っておったわけですね。それは準抗告を行って、そうして身柄をもとにしておく、身柄をとどめておく、これで証拠隠滅は防げるわけです。ところが、それをしなかった。これはやっぱり重大な責任があると思うんです。ただ、もう出ちゃったんだから、出ちゃった後の責任のとり方だ、問題は。そこは一体どうするのか。罪証というのは、物もあり人もあるんでしょう。隠滅というのは、自分でやるのも、田中角榮自分でやるのも、人を介してやるのも、両方含むと思うんですね。これはもう常識。私が聞きたいのは、大臣でも課長でもいい、もし出てきた田中角榮が罪証の隠滅をやりそうになったらどうします、ほうっておくんですか。抗告しなかった責任が残るんです。どうするんです。なぜぼくがこういうことを言うかといえば、きのうも橋本委員質問したように、この事件は日米協力でもって行われた事件であるだけでなくて、コーチャンさんの証人尋問のときに日米協力でもって情報を流して何か動いていた動きもあるんですね。九月の八日にはクラッターとエリオットの尋問があるというんです。こういう時期に妨害したり、それから情報を与えたり、供述を合わせたり、日本では何と言ってますか。じゃこっちもそうしましょうというようなことで供述を合わせる、これは隠滅ですよ、人証の隠滅である。人的証拠の隠滅である。これが野放しになっちゃう。裁判というものは証拠と道理の闘いだと思うのですよ。だから、裁判で有罪をとろうとする検察側は、半面相手を追及するとともに、半面証拠の隠滅を防御しつつ攻撃する、これが検察の攻め方だと思うのですね、ぼくは。そういう意味で、これ、責任重大なんです。一体どうしますか。  その前に、こういう一旦保釈で出た人物が人証、物証を隠滅するおそれのあるとき、それから保釈で出た人物が関係者の方に何か圧力を加えて、おどかすと言っちゃ語弊があるけれども、威力を加える、威迫を加えるというとき、検察当局はどういうふうな手続をすることができるのですか。何にも手はないのですか。
  191. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) すでに御専門のことでございますので、私がお話しするまでもないことだと思いますが、保釈をされた者が、刑事訴訟法九十六条の一項各号、その中には、「罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」、そのほかにも各号に列挙しておりますけれども、その当該事由があれば、その保釈の取り消しの請求をして、検察官の請求によって裁判所がこれを取り消すことができるということになっておるわけでございまして、いかなる場合といえども、また、いかなる立場の被告人といえども、この各号に該当する以上は、検察官はその事由を的確に判断して、これについての法律に定められた正当な手続を踏むことを考える、検討する、そしてそれが必要であるという判断の場合にはそれの手続をとるということになると思います。
  192. 内藤功

    ○内藤功君 だけれども、実際やりますか、そういうことを。実際やってくれますか、責任を果たす上で。具体的には、証拠を隠滅するためにアメリカあるいは日本国内の関係者と通謀して——小佐野賢治とやっているかもしれませんよ。やるかもしれません。だれとやるかもしれません。そういう証拠隠滅工作があるかないかも、日常検察官を初めとする捜査当局がよく網を張って監視をして、そして証拠が隠滅されるのを防衛するようにやりますか。そういうことをやらないと、あんたの言うのは、たてまえ論としてはそのとおりだけれども、絵にかいたもちになっちゃうわけですね。実際それを検察官は、この事件でも、またどんな立場の被告人であっても、そういうことをやりますか。
  193. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) いかなる事件についても、いかなる被告人についても、検察官はそのような事由があれば、これについて法律に認められた適切な措置をとるということは、もう検察当局の確固たる態度でございますので、この点についてはとやかくこれ以上は申し上げる必要はないと思います。ただ、特定の人物について、いまそういうことを予想して、こういうのがあるのじゃないか、どうかという御質問になりますと、私どもはそういうことについて、いまからそういう特定の人物についてどうするか、こうするかということを申し上げるのはいかがかと思います。その点はお断りしておきますけれどもいかなる事件、いかなる被告人についても、そのような事由があれば、法律に定められた適切な措置をとるというふうに確信しております。
  194. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、三つ残っているうちの一番むずかしいと大臣が言われる児玉ルートです。あらゆる方法を講じて解明に努力するとおっしゃるわけです。さて、この一般論、姿勢はよしとしても、具体的にどこを突破口にこの難関を破って捜査をするかという問題、ここに入りたいと思う。児玉の病気だけのせいにしちゃいけません。工夫と気魄が、これは捜査には必要だと思うのですね。  そこで、まず私は一つの質問として伺いたいのですが、重要な関連のある突破口として、児玉、小佐野が経営支配を策し、さらに中曽根さんもかかかわっておられるといわれる殖産住宅事件、これは非常に重大な事件だと思うのです。役者がそろっているわけです。この事件について、ロッキード児玉ルートの解明のかぎの一つだと思うけれども、大臣、これ、どう思いますか。
  195. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それ、いまの問題ね、それからまた次々あなたは、これはどうだこれはどうだってやってこられるに違いないんですが、それを一々、それもやりますよ、それはやりますよと言えば、手の内開くようなものですからね。ですから、まあひとつ、わが検察陣営は万々抜かりはないと、こういうふうに御信頼いただく以外にはございません。(「答弁になっていないよ、大臣、それは」と呼ぶ者あり)しかし、手の内……
  196. 内藤功

    ○内藤功君 もう初めっから逃げ腰じゃ困りますね。そんな順番にやりはしない。それほど時間もない。  具体的に、刑事課長、伺いますが、この突破口の一つとして——私は検察側がもっと動けるように質問しているんですからね、いいですか。太刀川の起訴状、これはちょうど太刀川が起訴された日が児玉譽士夫の衆議院の田中委員長質問の日だったものだから余り新聞に出ていない。そこで、太刀川の起訴事実の要旨、特に、日にちゃ何かはいいから、太刀川がどういう言葉を申し向けて強要をしたかという、その言葉をちょっと読み上げてみてください。
  197. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねは公訴を提起した公訴事実に関することでございますので、その要旨を申し上げます。  太刀川、これは被告人でございますが、この被告人は——省略しますが、昭和五十年三月十九日……
  198. 内藤功

    ○内藤功君 言葉だけでいい。
  199. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉事務所において東郷に対し、きょうは児玉の代理として話をする、君は殖産住宅の取締役をやめなさい、相談役には残してやると要求し、東郷がこれを断るや、左に行くか右に行くかいま決めなければならぬ身分だ、君の身柄は児玉に預けろ、すぐ返答しろ、おまえの身はどうなっても構わないのかなどと申し向けて脅迫して強要したという事実について公訴を提起しております。
  200. 内藤功

    ○内藤功君 いま手際よく読んでくれましたが、三回児玉という名前が出てきた。つまり、これは太刀川の単独犯とは見られないんです、起訴状自体から。児玉の代理として話をする——そうでしょう。君の身柄は児玉に預けろ、三つ目は、児玉に身柄を預けられぬと言うのか——三回言っておる。これはもう児玉の代理としてと言っているんですから、児玉と相談をしているに違いないです。供述はどうであれ、これはそう見るのが当然です。その方向で捜査をしなきゃならぬ、こういう場合は。特にこの児玉と太刀川は、これはもう多くのことを言うまでもなく、長年のこれは——一時中曽根さんの事務所へ行ったことがあるらしいけれども、ずうっと児玉の秘書で、分身ですよ。ダミーのようなものですね。これは当然児玉の方も、実際は出てこないが、裏で相談をして強制をする、強要をする。これは共謀による共同正犯、強要罪の共謀共同正犯としてこれは追及すべき事案だと思うんです。  そこで、これについて、まずどのように検察側としては考えておられるか。どういう措置をしているか。それから、もしそれが言えないというんなら、これは捜査の重要な参考として、検察捜査当局がこれを参考にして捜査を進め、突破口の一つを開くべきじゃないかと思うが、どうです。これは大臣でも課長でもいいです。
  201. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) ただいまの強要の公訴事実、太刀川に対する公訴事実につきまして、検察庁は、警視庁から事件の送致を受けた後、いろいろな角度から検討をして捜査をしたわけでございます。そしてその結果、太刀川の本件は単独犯行であるという証拠によってこれを認定して公訴を提起したのでございます。いろいろ児玉の名前が出ているからおかしいじゃないかというお尋ねでございますけれども、いろいろ捜査をした結果、太刀川の単独犯行であるという事実を認定して公訴を提起したと申し上げる以外にはございません。
  202. 内藤功

    ○内藤功君 それは、結果の報告なんですね。で、私の言うのは、一歩進んで、一たん起訴状で単独犯で起訴されても、その後新たな捜査によって共犯だという事実ができれば訴因の変更ができるわけです、起訴状の変更ができるわけです。一般論としてはそれは認めますね。
  203. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) まあ技術的なことはもうやめますが、訴因の変更ができるかどうか、これは太刀川の公訴事実についてはできることは間違いないわけですけれども、要するに、この事件について、検察庁としましては、先ほどいいましたように、慎重にいろいろ各般の捜査をした結果、単独犯行であると認定をして公訴を提起したのでございまして、そのような捜査の結果に基づいてやったのでございますから、これから仮定の問題として児玉が共犯であるというような事実が出てくればというようなことにつきましては、ちょっとお答えしにくいんでございますが……。
  204. 内藤功

    ○内藤功君 これは、共犯か単独犯かは、ずうっと歴史的に前からの人間関係を調べなくちゃいけないんです。その意味で、私は、本件犯行の二年前、四十八年三月二十日の午後九時——遅い時間ですよね。この時間に、料亭の、たびたび名前が出ております「千代新」に児玉が東郷を呼び出しまして、「戸栗から聞いたんだが、このごろおまえさんの会社の中はどうか」と——戸栗というのは、戸栗享と言って、小佐野賢治氏のダミーと言われる、小佐野賢治氏にかわって株をずっと買い占めていた人であります。この戸栗から聞いたと前置きをして、メモを手にしながら、おまえはそんなに悪いことをしているのかと詰問をしているんですね。これがもうこの太刀川事件の二年前からある。介入しているんです。これが脅迫にならぬかどうか、まず問題。  それから次は、児玉自分の事務所に東郷を呼び出して、元暴力団の会長をやっていた岡村吾一だとか、総会屋の西山光輝だとか、こういうのを紹介をして、そうしてその都度、「おい、名刺がわりで百万円」とか、あげくの果ては、殖産の株二万株を児玉が受け取っているわけです。これは前後の事実関係からして恐喝の疑いがないか。  もう一つは、この脅迫、恐喝を積み重ねながら太刀川のこの強要になったんですから、このずうっと歴史的事実を検察官の勘と道理と洞察力をもってすれば、共犯だということは、これははっきりしてくると私は思うんですね。私はこれ以上時間の関係でこれ聞きませんけれども技術的にももう可能なんですから、訴因の変更は。そして検察側は改むるにはばかるところなかれですよ、間違っていたら。私は、かたくなにそういうふうに単独犯を言われることは事態の真相を究明することにならぬということを申し上げておきたいんです。  それで、次の質問ですが、さてこの事件は、殖産住宅事件は、第二の人物、小佐野賢治が登場してくるんですね。で、小佐野賢治は、戸栗享という人物を手先にして、四十六年から四十七年にかけて約三十億円の資金をもって殖産住宅の元役員や下請業者から株式約百七十一万株を買い集める、そうして乗っ取りを策したわけですよ。乗っ取りを策した。そうして、四十八年の二月に、小佐野賢治は、一株二千五百八十円、百七十一万株ですから、約四十四億円の金を東郷側から受け取って、そして一応この事件は、株の問題はおさまりがついた。その直後、つまり二月にこの株の問題が片づいた翌月に児玉が表にあらわれて、さっき言った千代新での脅迫、それから総会屋や暴力団の出現ということに相なってくるわけです。つまり、最初は小佐野がずっと買い占めをやった。それから児玉が出てくる。これはさっきの児玉が、「戸栗に聞いたんだが」という言葉にも端的にあらわれているように、小佐野、児玉が別々じゃなくて——単独犯じゃないのです、これは。いわゆる単独犯じゃない。別々じゃなくて、連携をしてこの殖産住宅の経営支配、乗っ取りを策していたと、こういうふうに洞察しなければならぬ問題であります。  以上の事実関係については、刑事課長、どうですか。
  205. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) いまいろいろ株の買い取りその他のお話がございましたが、その点の事実については私は承知しておりません。太刀川の強要罪の捜査の過程で必要なことは検察官は捜査しておると思いますけれども、その内容についてはどうであったかということをいまの段階で申し上げるわけにいきません。御指摘の点については私は承知しておりません。
  206. 内藤功

    ○内藤功君 きょうは急遽局長にかわって答弁にお立ちになった点もあるかもしれぬけれども、よくこれは検察当局並びに警視庁の捜査の結果をあなたも課長としてお調べ願いたいと思います。これはもう動かせない事実ですね。しかも、私が党独自の調査によって入手をした公判記録などを見ても、公判のいろいろな証人の証言でもってこれは世の中に明らかになってきている。もう単なる捜査段階を経て、いま裁判の段階で出ておるという事実ですから、わからないというようなことがこの重大な事件にあっちゃならぬのじゃないかと私は思うのです。  ところで、五十一年の二月十六日に、小佐野は児玉との関係について、衆議院予算委員会の証言で、こう述べておるのです。これはたびたび引用されるんですがね。児玉との関係について、児玉がどうやって来ますかという質問に対して、「別に話題というよりも、まあふらふらっと先ほども申し上げましたとおり遊びに来て、これという用事はなくて、まあお茶でも飲んで帰ると、こういうことでございます。」と述べているのですね。遊びに来て、用事はなくて、ふらふらっと来てお茶でも飲んで帰る、こういう関係だという。この後で、ぼくの取っているテープだと、場内が笑っているのですね。これはもうそんなことはないという笑いですよ。こういうような証言ですね。  いま私は、この児玉−小佐野ルートを突破する一つの問題は、これは太刀川との共犯の問題以外に、この偽証罪ですね、小佐野の偽証罪、この問題だと思う。で、法務大臣はこの点どうお考えになるか。さっきの児玉、小佐野の殖産住宅の事件では、明らかに連携して共同の乗っ取りを策しています。なお言うならば、千葉銀行の事件、あるいは虎の門の土地事件、これはいっぱいあります、そういう疑いのある事件は。これを徹底的に調べていけば、ここで児玉ルートの突破口、偽証罪というものが私は開けると思う。こういう点について法務大臣の御所見を伺いたい。
  207. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いろいろ内藤さん、鋭い洞察力で事実を並べられてきまして、一番最後にそういうところへ参りました。児玉ルートについては私きのうここでも申し上げ、閣議でも報告したとおり難航しておることは事実でございますけれども、あらゆる方法を講じて真相解明に努力する、そのあらゆる方法の中に入ると思います、いまのあなたのことは。
  208. 内藤功

    ○内藤功君 私は、時間の関係でたくさん出す必要もないから、もうこれはだれが見ても問題になるだろう——太刀川と児玉の共犯ですね。太刀川の単独犯なんというのはないですよ。共犯だ。訴因の変更ができるわけですからね。児玉側を起訴できる。児玉を起訴できる。  もう一つは、お茶を飲んで帰るだけだという証言に対しては、もっとお茶飲み友だち以上の関係だという事実はいっぱい出てくる。こういうところを突破口にして、あなたは非常に苦労しておられるかもしれないが、児玉ルートを突破できるわけです。要するに、やる気があるか、気魂があるか、それだけ調べることができるか。検察側の方方は日夜疲れておられるということも出ているけれども、しかし、ここが大事なところだ、しっかりこれはやってもらわにゃいかぬ。ただ、児玉が病気で難航しておりますというのは、泣き言とは言わぬが、泣き言に近いようなことを言われても困る。実際にやって見せてもらいたいと私は思います。  最後に、この事件は、中曽根さんが遺憾ながらかかわりのある事件です。まず、この東郷民安にかかわる脱税事件なるもののきっかけがなくちゃならぬ。脱税の事件のきっかけは何か。これは中曽根氏であると思います。これは、私どもの党が入手をした、現在進行しておる東郷民安に対する所得税法違反被告事件の昭和四十九年九月十七日の被告弁護側の冒頭陳述という文書があるんです、ここにね。これはちょっと参考までに見ていただきたいんですが……。(資料を示す)どうしてこういう脱税をやるに至ったかという動機ですがね。こう言っています。昭和四十七年三月九日、中曽根派所属の代議士である木部経企庁政務次官の赤坂料亭「一条」での激励会で同席したと、中曽根氏と東郷民安が。隣席に座った中曽根は、被告人——これは東郷であります。東郷に対して「殖産住宅が近く上場するそうだが、一般に、新規上場に際しては、公開値と寄附値との差額で相当儲けることができるという話を聞いている。自分が今度の自民党総裁選挙に出るためには」——これは四十七年の例の選挙です。「相当額の資金が必要だが、新株の引受け資金として二五億円程度は自分の方で調達できるから、何とか協力してもらえないか。」という話があったと——まあ、ここまでにしておきましょう。こういう話がある。  現職の通産大臣から、隣の席に座ってこういう依頼を受けたので、この資金づくりをしたというのが、この公判における一貫した被告弁護側の主張です。これに対して、公判廷で中曽根さんがお出になって否定をされたということを私は聞かない。出廷されたということも聞かない。否定をされてないんです、これは。ただ、新聞報道で私は頼んだことがないというお言葉が出ておりましたよ。おりましたが、これに対しては、被告弁護側がやっぱり−特に弁護側は職業的生命をかけてこれを言うわけですから、政治家の名前を出すわけですから、これはよほどの覚悟であります。私はやっぱりこれを一つの重要なかかわり合いのある問題として重視をしなきゃならぬ。ただ、私は一足飛びにこの問題から検察にこれを捜査の対象にしろと言うんじゃない。中曽根氏と児玉氏との関係中曽根氏がいろんな問題にかかわっている政治家としての言動の問題、言い分が大きく違う問題、余りにも多過ぎるんですね。これを私はぜひ、こういう問題も含めて、いま中曽根康弘氏が衆参両院の口特委で証人として喚問が要求されております。委員長もこれは御承知のとおり。こういう問題も含めて、はっきりさすべきだと。これは政治家を殺す道ではなくて、生かす道でもあると私は思うんですよ。そういう意味で、私はこの証人喚問を、この殖産住宅事件というものの中の疑惑を解明するためにも要求を強くいたしたいと思うのです。そして特に児玉中曽根との関係ですね、この関係。これは私は深く繰り返しませんが、昭和四十七年のあの十月のPXLの問題でも児玉中曽根側に働きかけていたのではないかと疑われる幾つかの事実も私どもの党はいま調査をしております。これは後で同僚の近藤議員から質問があると思います。  私は最後に、まとめとして、この殖産住宅事件が児玉ルート突破の法律的にも政治的にも非常に重大な事件だということを法務大臣以下当局がしっかり認識されて、そのしかるべき処置をとられることを要求をしまして、私の時間が来ましたので、近藤議員にかわりたいと思います。
  209. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 まず、コーチャンに対する嘱託尋問について一般的なことをお伺いしたいと思います。  このコーチャンに対する尋問が行われたわけですが、これはアメリカの検事が直接尋問するわけですね。そしてこれは日本捜査機関がつくった尋問事項に基づいてやるということが一つ。それから日本の堀田検事などもこの法廷には立ち会っておりますけれども、これは直接尋問はできないのであって、要するに、毎回尋問や証言の中身を検討して、そしてあと討議をして、そしてさらにこういったことを尋問してくれと、こういう形で実際尋問を行ってきたと、こう理解してよろしいでしょうか。
  210. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) アメリカで行われました嘱託の証人尋問手続は、本来いわゆるイン・カメラの手続でありますので非公開でありますから、余りその内容に触れることはどうかと思うのですけれども、いまのお尋ねの点に限定して申しますと、アメリカの検察官はいわゆるコーコミッショナー、共同コミッショナー、——チャントリー判事がコミッショナーでありますが、それに対する.共同のコミッショナーという立場で証人尋問の実施に参画して、それで実際の尋問を行っている。で、それに対して日本側の検事が、補助と言うんですか、援助と言うんですか、協力してやっている。で、当然、そういうことでございますから、その前に、コーコミッショナーであるアメリカ側検察官と証人尋問の内容について十分打ち合せした上で証人尋問に臨んでいると思います。
  211. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから、今度は具体的にその尋問事項の中身ですが、これは八月四日の当委員会における神谷委員質問に対しても吉田さん答えています。検察当局は秘密のアメリカ資料に基づいて、それについて必要な捜査は十分遂げている、こう言っております。要するに、コーチャンに対する尋問事項は、こういうアメリカの資料はすでに入手しておりますね。さらに、日本独自の捜査、こういった裏づけをもって具体的な尋問事項がつくられている。盲めっぽうな尋問をするんじゃなくて、そういう事実に基づいた尋問が行われていると、こう理解してよろしいでしょうか。
  212. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) もとより証人尋問の事項の作成に当たりましては、それまで捜査した結果、それは御指摘のアメリカから提供を受けた実務取り決めに基づく資料をも含めた資料でございますが、それに基づいて尋問事項を用意して臨んだと思っております。
  213. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私も弁護士ですからそのことは当然だと思います。そのことを前提にして、以下の質問をしたいと思います。  これも八月四日、神谷委員がこういう指摘をしておるわけであります。ロッキード社から児玉に対して四億四千万円の支払いがなされた。その時期、十月五日ごろ、四十七年の十月五日ごろでありますが、児玉中曽根氏に接触をしてP3Cの輸入について働きかけの工作を行ったという、この事実がまず第一点。それから第二点は、防衛庁長官のとき以来兵器国産化論者であった中曽根氏は、このことによって変節をし、そして十月九日、あの白紙還元には異論を唱えなかったという事実。第三番目には、このこととさきに述べました金銭の支払いと関係があるんじゃないかという、こういう疑惑を神谷委員指摘したわけであります。私は、少なくともいま言った点について捜査当局が、さきのアメリカ資料、それから国内の捜査の結果ですね、そういう具体的な根拠を持って児玉及び中曽根氏に対するこの疑いを具体的に持ちましてコーチャンに対する質問を行っている、この事実は間違いないと、こう思いますが、いかがですか。
  214. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 証人尋問事項内容については私自身承知しておりませんし、私承知していても、その内容を申し上げるべき性質のものではないと思います。お尋ねの点について検察当局捜査の対象にしているのかどうか、私は承知しておりません。
  215. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それがいままでの一貫した答弁でありますから、私の方から申しましょう。私は約十日間にわたってアメリカ各地を調査して、昨日帰国してまいりました。この調査の中で入手した資料によりますと、先ほど私が述べた神谷委員指摘は全く正しいんです。これは日本の検察官がアメリカの検察官に、こういった尋問をしてくれと、それで依頼したメモがございます。このメモによりますと、これはピーナツ、ピーシズ領収書の質問に入る前にこういった質問をしてもらいたい。第一に、証人は——これはコーチャン氏のことでしょう——児玉に対する支払いの総額が一九七二年の十月六日から十月十日を経て十月、十一月の間に劇的とも言える異常な状況で支払われたという事実を知っているかどうか、また、総額六億円の手始めとして総額四億四千万円が七回にわけて支払われた。この事実を知っているかどうか、第二番目に、もし彼が支払いの事実を知っていたらその理由を尋ねてもらいたい、こうアメリカの検事に依頼しています。特にそれが十月五日と六日の児玉の活動、すなわち児玉中曽根と話し合い、中曽根の考えあるいは政策を変えさせたという行為に関連して児玉の要求によって支払われた、これが四億四千万円の金が支払われたものかどうか、こういうきわめて重大な質問を依頼しているわけであります。こういう事実がある以上、捜査当局は、私がいま指摘したこの事実をすでに確認をして、具体的な証拠に基づいて確認をし、その観点からいままで捜査を行ってきた、このことは明らかではないでしょうか。
  216. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) それがどのような資料であるか、私の方は承知しておりませんので、何ともいまのお尋ねについてお答えしょうがないのでございます。検察庁といたしまして、どういう証人尋問事項を用意したかということは、法務省としてはその捜査の過程において関与すべき事柄ではありませんので、そういうことについては関与しておりません。まして本件は、アメリカの現在秘密の資料をもとにして捜査を行われたわけであることは御承知のとおりでございまして、そういうものについては法務省は、捜査検察当局の独立公正の見地から全くこれについては関与しないという立場を厳に現在まで維持してきておるわけでございます。いずれにしても、お尋ねのことについては、どういう資料に基づくのか全く私の方ではわかりませんので、何ともお答えしょうがございません。
  217. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そういう答弁を聞きますと、先ほど問題になりました昨日の安原刑事局長答弁、要するに中曽根幹事長はいまのところ捜査の対象となっているとの報告は受けていない、このことは客観的に明らかな誤りじゃないか、このことが明らかになってまいります。  そこで、法務大臣、どんな資料かわからぬと言いますから、具体的に資料をお示しいたしましょう。(資料を示す)  そこで、特にこの第二の真ん中以下をひとつごらんいただきたいんです。ゆっくり読んでみます。「Especially these payments were doneon the demand by Kodama in relation tothe Oct. 5 and 6 activities、」、その後これは、すなわち、ですよ、「Kodama called Naka.sone.」そして「Nakasone had correction’’」、これは括弧がついていますよ、括括がね。意味があるんです。そして「be done.」とあります。どうでしょう。これは明らかに日本の検察官が、「Before entering into peanunts、 piecesReceipts.」ですからね。要するに、このピーナツ、ピーシズの質問に入る前にこんな質問をしてくれと。しかもその事実は、先ほど刑事課長もお答えになったとおり、いままでのアメリカから来た具体的な資料です。また、日本のいままでの捜査、それに基づいた、事実に基づいたこれは尋問事項なんです。その中にはっきりと児玉が——「Kodama called Nakasone」ですね。しかも中曽根が「correction」というのは、これはやっぱり影響を受けたということです。変わったんですよ、考えが。そしてそのことに関係して金は支払われた。しかもそれは児玉が要求したというんです。こういった具体的な事実があるんです。法務大臣、この事実を具体的にいま初めてごらんになったかもしれぬけれどもいかがお考えでしょうか。
  218. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) こういうものがどういう経緯で公にされているのか、私は存じませんね。したがって、この真偽のほどもにわかに、こういう事実があるというふうに私が答弁するわけにはまいりません。
  219. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 法務大臣、これは調べてもらえばわかりますけれども、明らかに日本の検察官がアメリカの検察官に、こういった質問をしてくれという、こういうものなんです。私がアメリカの調査の過程で入手したものです。これは間違いないんです。そのことをひとつ前提にして答弁いただきたいと思うんです。  しかもこの第三番目にはこう書いてあるんです。もし彼が——この彼がというのはコーチャン氏でしょうね。彼がこの支払いの事実について知らなかったならば、その知らされていなかった理由を尋ねてほしいということです。ということは、コーチャン氏がこの事実を知っていようと知っていまいと、日本の検察官はちゃんと知っておるんだと。児玉から中曽根に話があり、そして中曽根氏のいままでの国産化論が変わった、そのことに関係して金が払われた、こういう重大な疑いを持って捜査に着手しておる、こういうことなんです。こういう重大な事実があるにもかかわらず、中曽根氏に対する具体的な捜査は進んでいない。少なくとも法務省の方へこれは報告が来ていない。このこと自身がきわめて重大な事実じゃないでしょうか。これについての見解を賜りたい。
  220. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いまのその文書がね、真実なることを前提として、と言われるけれども、私は真実なりという前提に立たぬものね、まだ。どういう経緯でそういう文書が出てきたのか、その真偽のほどを確かめないで、その前提法務大臣ともあろう者が軽率に立つわけにいかぬものね。したがって、その前提に立ってきのうの安原刑事局長答弁はうそでないかと言われても、そうはいきませんな。もし仮にそういうことがあっても、安原刑事局長は聞いておらぬから、捜査の対象になっているということで報告を受けておらぬから、おらぬと言っただけの話で、仮にだ、仮にそれはあれであっても、前提に立つわけには、しかしまいりませんよ。
  221. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 余り重大な事実なんで、すぐ答弁できないんだと私は思うのです。私はこういう具体的事実をはっきりと責任を持って指摘いたしました。また、いままでわが党議員初め、多くの議員がこの委員会、まあ衆議院もそうでありますけれども中曽根氏に関する多くの疑惑、いま内藤議員指摘しましたし、たくさんの疑惑が指摘され、提起されております。しかも、そのいずれも解明されておりません。こういう状況のもとでは——これはきょうの新聞にも出ておりました。こういう疑惑に対しては、こういう理由でシロだと、こういう釈明が必要じゃないか、ある新聞は指摘しております。まさにそのとおりだと思うのです。こういう事実を具体的に指摘し、たくさんの疑惑が提起されておる以上、これもう法務大臣としてもこれは徹底的に調査する、このことをここでお約束願いたいと思うのです。まあ法務大臣はよく、派利派閥にとらわれることなくやっていくと。そうであるならば、本当にやる気があるのかどうか、この点についてもあわせて見解を賜りたいと思います。
  222. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 本当にやる気があるかと言われれば、本当にやる気がないでどうして法務大臣がこんなことしてられますか。それは本当に徹底的にやらないかぬと思っていますよ。ですから、安原刑事局長が、報告は受けてないと、こう言うたからといって、検察当局は犯罪の容疑ありというものについて捜査しないというような不公平なことはやっているはずはないですね。やっているかやってないかは別として。やっている、やってない——容疑ありと思うなら、やらぬはずはないんです。  それから、私に調査しろというのはね、これはあなた、特に中曽根君についてそういう疑いがあるから調査せいと言われれば、ほかにもこういう疑いがあるから調査せい、みんな私法務大臣が一一調査しなけれりゃならぬでは、国会の答弁なんか来てられない、暇がなくて。そんなことはできません。
  223. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 こういう重大な事実がいまだに報告されてないという答弁がされたところに大変問題があると思うのです。だから、今度は中曽根隠しだという、こういった指摘までされたわけです。それでは私は、ここでこの問題を徹底的に究明することを求めて、次の質問に入りたいと思います。  私、やはりアメリカの調査に基づく第二の資料に基づいて次の事実を指摘したいと思うわけであります。これは昨日橋本議員指摘した問題でありますが、四十八年当時コーチャン氏がしばしば来日をして小佐野賢治氏と会った、その会った回数は四回会談したという事実であります。それから、この会談はもうすでにトライスター関係は終わっておった後でありますから、P3C売り込みのための協力要請が行われた、こういった点について質問をいたしました。しかし、そのいずれの事実につきましても、刑事局長答弁は、重大な関心を持っているとのみ答えまして、具体的には答えてないんです。しかし、私の調査によりますと、捜査当局は、小佐野氏がP3Cに関してコーチャン氏とはっきりと四回にわたって会っている、こういう確かな事実をつかんでいると私は思うのです。これについてどうであるか、御答弁いただきたいと思います。
  224. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねのことは児玉関係捜査に関連することではないかと思いますが、それの内容でどういう事実関係になっているかということは、こういう席上で申し上げるべき事柄ではないと思います。私自身はその点については詳しくは承知しておりません。
  225. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この事実は、いまも大問題になっております小佐野賢治氏が具体的に偽証罪に該当するかどうかという、この問題、そういう意味ではきわめて重大な問題であると同時に、私は、単なる偽証罪だけではなくて、これはもう重大な贈収賄罪の共犯、そういう疑いが大変濃厚であると思います。これも具体的な資料をお見せしたいと思います。(資料を示す)  これは直接コーチャン氏に質問をしたアメリカの検察官のメモであると思います。これはコーチャン氏の証言を走り書きしたものだと思うのですね。真ん中辺に「Osano」と書いてあります。その下に、ちょっと読みづらいですが、「4 times diary where met each time」「time  in seventy three」そのあとはリレーションというのですね、「P3C」とあるのです。要するに四回会った。しかも「diary」ですから、これは日記か何か大変はっきりしたものに基づいて四回会ったという事実を証言している。しかも、その会ったときは七十三年、P3Cに関係していることだと、これほどコーチャン氏がはっきり証言している、こういうこれは証拠なんです。となりますと、このことは、いままで橋本議員指摘、さらに七月三十日の謹賀新聞の記事その他にやはり具体的に指摘されておるのです。こういう具体的な事実があるからこそ、私はこれは指摘されたのだと思います。となりますと、四回会ったというのですからね、これはいままでの小佐野氏の衆議院における証言とはっきり違いますね、偽証です。これは単なる偽証罪はもとよりでありますけれども、さらに、このような中身でありますと、もうこれはP3Cに関する贈収賄の共犯、こういうことになります。私は、これだけの事実がありながら、これだけの証拠を現実に日本の検察庁がつかんでおりながら、いまだに小佐野賢治氏に対する強制捜査に踏み切っていない、このことに大変な私は疑問を感ずるんです。大臣の見解を伺いたいと思います。
  226. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) コーチャン氏の日本に滞在中の行動については当然捜査当局は重大な関心を持つに決まっておると思いますな。そうでなけりゃ捜査当局の資格はないと私は思いますね。そんなことはもう当然厳重な興味、関心を持って捜査していると思いますよね。ただ、まだそういう段階に、報告の段階に至らないか刑事局長も報告を受けていないと言ったんでしょう。そうだと思います。御心配になるようなぼさっとした検察陣ではないと私は思います。
  227. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最後に指摘したいのは、いま具体的な事実を指摘いたしましたけれども、きわめて重大な事実ばかりであります。これいま特に田中起訴によっていわゆる幕引き論が大変強まっておる。幕引きどころじゃなくて、具体的にむしろこれから中曽根、小佐野という、こういう具体的に検察官がつかんでおる、こういう事実をもっともっと究明して、徹底的に洗い直すべき、洗い出すべき時期であると思いますので、その点徹底的に究明するように求めまして、私の質問を終えたいと思います。
  228. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止
  229. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記始めてください。
  230. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 官房長官の時間が十分しかないようなので、先に官房長官並びに郵政大臣に対しまして質問をしたいと思います。  実は電電公社の経営委員の問題ですけれども、先ほど聞きますと、小佐野氏は辞意を表明されたということでありますけれども、それは事実かどうか。さらに政府としてはそれを受理するつもりかどうか、お伺いしたいと思います。
  231. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 本日小佐野氏から辞表が提出されましたので、閣議に諮った上で辞任を認めることにいたしたいと思っております。
  232. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 小佐野氏の電電公社の経営委員としての適格性について衆参両院の委員会でも論議されてきたところでありますけれども、最初に選任されたのは四十九年の六月、田中内閣のときだったと思います。それから昨年の九月に改選ということで再任されたわけでありますけれども、これは三木内閣のもとにおいて再任されたわけです。私は、この小佐野氏を電電公社の経営委員に選んだ経過というものを見てみますと、やはりいわゆる田中派閥人事である。最初に選任したときは四十九年の六月で、総理大臣は田中角榮、さらに官房長官は二階堂氏、また郵政大臣が久野大臣、こういうことで派閥人事的になされた。これは小佐野氏の談話等を見ましても、そういうことがうかがわれるわけでありますけれども、しかし、いずれにしましても、これは田中内閣の責任でやられたことである。しかし、去年は三木内閣のもとにおいてさらにこの小佐野氏を再任されたというのは、私はきわめて遺憾に思うわけです。しかも、この両方とも国会の承認が要るわけですけれども、野党は全部反対というような、人事問題としてはきわめて異例の状態で再任されておるわけです。私は、三木内閣のもとで小佐野氏を電電公社の経営委員に再任した理由というものについてお伺いをしたいと思います。
  233. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 三木内閣において小佐野氏を再任した理由につきましては、別に特段の理由があるわけではございませんが、自来経営委員はほとんど一回きりでやめておる事実がない、適格条項さえ整っておればいずれも二回以上やっておるというような一つの慣習がありまして、それらを検討した結果、政府間で小佐野氏の再任をいたした次第であります。
  234. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私が問題にしているのは、そういう一般的なことではなくて、野党が全部反対するというのは、理由があるから反対しておるわけですね。特に去年の段階では田中金脈の問題がかなり明らかにされて、しかもそれは、田中角榮、小佐野両人がやはり共同してやったという形跡もある。そういういかがわしい疑惑が持たれておるから野党は反対しておるわけで、そういう中であえて再任されたというのは、何らかの理由があったと思うわけですね。官房長官いかがですか。
  235. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 小佐野氏の辞表は、郵政大臣からきょうの午後に内閣官房の方へ手交がございまして、いま村上さんからお答えのありましたように、近く閣議に付議して辞職を認める方向でありますことは先ほどと一致しております。  そこで、いまの引き続いてのお尋ねでございますが、郵政大臣も申し上げましたように、これという欠格条項もございませんし、再任の当時におきましては、特にこれを拒否しなければならぬという理由はなかったものでございまして、従来の慣例に従って任命をいたした、こういう次第でございます。
  236. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 小佐野氏もやめられるということですから、この問題は余り追及はやめておきますけれども、官房長官にもう一つお尋ねをしたいと思います。  今回のロッキード事件を通じてわれわれが考えなくてはならないことは、今後将来にわたってこの種の事件をいかにして防ぐか、そのための措置というものをやはり敏速にとらなくてはならないと思うんです。アメリカでは、ウオーターゲート事件あるいはロッキード事件等にかんがみて、現在二つの腐敗防止のための法案が議会に出されておるようであります。  一つはウオーターゲート改革法案で、その中身は、重要な点は三つありまして、一つは政府高官にかかわる刑事事件を捜査する、あるいは訴追する、こういう役割りを果たすために常設の特別監視官制度を設置する、それから第二は、政府高官以外の政府関係職員の犯罪を捜査するために司法省に政府関係犯罪部を設置する、第三点は、政府高官の資産、収入の公開の義務をつける、こういう点だと思いますけれども、私は、わが国においてもこういう立法措置というものを考える必要があるのではなかろうか。これに対して三木総理はかなり前向きに考えておられるということを聞いておりますけれども、政府として近い将来こういう法案を提出する用意があるかどうか。  それからもう一つは、海外支払い公開法案、いわゆる他国と商取引をした場合に、政府とかあるいはその他の個人、法人への支払いの公開を義務づける、公開というよりか、商務長官に報告させる、こういう趣旨のものだと思いますけれども、この種の法案についてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
  237. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま田渕さんお触れになりました二つの法案は、アメリカにおいて逐次実現化の方向へ向かっておるということをわれわれも承知をいたし、これらの法案の原文を取り寄せまして、いま翻訳をさせておるというような状況にございます。この中でウオーターゲート改革法案の方は、先般の記者会見において三木総理も関心を寄せてこれに触れたことがございます。ただ、この種の法案がわが国の法制になじむかどうかというふうな問題も検討しなければならないかと思いますが、いずれにもせよ、今回のロッキード事件の反省あるいは教訓、こういうふうなものを大きく受けとめておる立場といたしましては、御指摘のようなものを十分に検討してみたい、こういう考え方でおります。
  238. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 官房長官、結構です。郵政大臣も結構です。  次に、副総理にお伺いをしたいと思いますが、先ほど同僚議員から政治日程その他の質問があったわけです。私は、副総理が先日ロッキード委員会においても言われましたし、また八月十五日の世界総調和の日の式典でも述べられたことでありますけれどもロッキード事件の真相は徹底的に究明しなくてはならない。しかしそれより重要なことは事件の背景、根源をえぐり出すことである、こういう趣旨の発言をしておられます。副総理ロッキード事件の背景、根源というものは何か、どうお考えでありますか、お伺いしたいと思います。
  239. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は今日の世相、金、金、金というような、金が人生だというような世相を非常に心配しているんです。そういう世相の流れの中で特に政治は力である、力は金であるというような風潮がなかったかということを反省いたしております。私はそういうような風潮から.このロッキード問題というものも飛び出した一つの現象ではないか。でありますので、私は先ほども申し上げたんです。それからいま総調和の日の式典でも申し上げたんですが、ロッキード事件というものは、これは事件として徹底解明は必要である、これはしなきゃならぬ。しかしそれだけで終わらしちゃならぬ。これは再びロッキード事件というものは起こる可能性がある。というのは、つまりロッキード事件を起こした背景、根があるからだ。根を変えないと、これは第二、第三、第四のロッキード事件をまた巻き起こす。私はそこにこの事件の処置として着目する必要がある、こういうふうに考えておるんです。とにかく特に政界の中でも自民党の立場、これは重大な政権政党としての立場にあるわけなんです。その政党、二十一年も続いておるわけです。政権が自民党のもとに二十一年も続いておる。そうすると、やっぱりそこに流れによどみというものが出てくる。流れがよどめばそこに濁りも出てくるわけです。またにおいもしてくる。こういうような状態で、これは常に反省し、自己改革ということを努力しなきゃならぬ。率直に言って私はその努力が足りなかったと思う。しかしその改革というものはむずかしいわけでありまして、何か契機がなけりゃこれはなかなかできないのです。しかしロッキード事件というこの不幸な事件があった。この不幸な事件をその改革への契機としてつかまえなきやならぬ、こういうことを申し上げておるわけで、ぜひそのようにしていきたいと、かように考えております。
  240. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ただいまもロッキード事件を契機に政治を改革するという抱負を語られたわけでありますけれども、具体的にその改革というのはどういうふうにしてやるのか、精神論としてはよくわかるわけですけれども、具体的にどういうことをやられるのか、お聞きしたいと思います。
  241. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いろいろ制度論を言う人もありますが、私は制度の改革ももとより必要である。いまあなたウオーターゲート改革法案に触れられましたが、ああいうことも検討してみる必要があると思うんですよ。思いますけれども、制度だけ幾ら改革してもこれはもう制度改革のねらうその成果というのは上がってこないですよ。やっぱりこれはこの事件を契機として、私はよその政党のことを触れたくありませんけれども、自由民主党の党員一人一人というものが本当に反省する、そうして姿勢を取り直すと、これをやってのけなけりゃ、いかなる制度改革を行いましてもこれは無意味であるとさえ思うんです。ですから、私は政権政党である自由民主党は今日このような事態が起きた、そのことについて国民におわびをする、そこから始まらなきゃいかぬと思う。そうしてそのおわびの上に立ってみずからの姿勢を正すと、この仕事から始めなけりゃならぬだろう、こういうふうに思います。  まあいろいろの側面がありまするけれども、これは何といっても自由民主党の派閥体制というのは、これはなかなか業病というか、もう行き過ぎた状態である。この体制を直すことから始めなければならぬ、こういうふうに考えているのです。これは小手先じゃ直りません、やっぱり私は解党、新党というくらいな大手術をしていく、それくらいな決意を持ってこの改革に取り組まぬと、今日このような状態になった党の体制というものは挽回できない、こういうふうに考えまして、ひとつ出直そうじゃないか、こう申し上げておるわけでございます。
  242. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 三木総理は去る十六日の自民党顧問会議のあいさつで、自民党の改革について五つの点を述べておられます。第一は金権政治の打破、第二は政・官・財の癒着の防止、第三は国民政党への脱皮、四は総裁選挙の改革、五は福祉向上を目指す政治、この五点を述べられておるわけでありますけれども、副総理はこれについてどう考えられますか。
  243. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まことに結構なことばかり並べておられると、こういうふうに思います。しかし、これはどの一つをとりましても大変むずかしい大事な問題なんですよ。これはもうこれだけの大きな問題を片づけていく、それにはやっぱり政権政党としての統一と団結というか、これはもう非常に大事だ。派閥体制でばらばらしている、そういう状態でこんなむずかしい問題とても処理できるもんじゃありません。これはやっぱり私は先ほど申し上げましたような趣旨で、自由民主党が今日の体質から本当に清新で、そうして強力な政党、そういう政党へ生まれ変わる、その生まれ変わりができて初めてこういう政治的な理想とされるようなことも実現できるんじゃあるまいか、そういうふうに考えます。
  244. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 三木総理と副総理の間に今後の具体的な政治日程とか、あるいは具体的な党の改革とか、あるいは政局の収拾について意見の相違があるように思いますけれども、どのように違いますか、具体的に。
  245. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どのように違いますかということをいまここでお答えすると身もふたもない、そういうことになっちゃいます。つまり、いま私は素直に申し上げまして多少見解の違うところがありますよ。ありますけれども、この見解の相違を話し合いでひとつ調整していこうと。私は総理大臣といえども総理大臣が一人で考えたことを党員にそのまま押しつけると、こういうこともよくないと思う。それから、しかし総理大臣がおっしゃることを党員が頭から否定する、そんなようなこともよくないと思うんです。やっぱり意見の違いがあれば話し合いでこれを処理する、この基本姿勢、これをどこまでも貫いていくべきである、こういうふうに思っておりますので、いま話し合いの途中ですからね。どこにその問題点があるのだということはひとつ御勘弁願いたいと、かように存じます。
  246. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 じゃ、副総理は結構です。  次に、大蔵省並びに国税庁にお伺いをしたいと思いますが、賄賂課税の問題が検討中と言われますけれども、私はその中で一つは収賄側の課税の問題があろうかと思います。いままでは実際には賄賂の場合は課税は見合わせてこられたというのがいままでの例ではないかと思います。ところが今回は田中総理の場合は、受け取った金の性格が明らかになった時点で課税をすることを考えておると、この委員会答弁でも言われましたけれども、もちろんこれは田中総理のみならず、今後の収賄者全部に適用されることだと思いますけれども、この点はいかがですか。
  247. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  収賄、いわゆる賄賂ということでございますが、これは賄賂ということでございましても、税法上は利得でございます。したがいまして、その利得が発生した年分の所得となるということになろうかと思いますが、いつの年分の所得であるかどうかということにつきましては、その実態を究明をいたしまして課税上のいろいろな判断をいたしたいと、こういうふうに思っているわけでございます。先生ただいま御指摘のとおり、収賄の場合には刑法上の必要的な追徴をし得るという規定がございます。したがいまして、有罪の判決が確定をいたしました場合には、これは没収あるいは追徴という形になりまして、その経済的な利得がなくなるというふうな問題もございますので、現在そういう点も含めまして実態を解明した上で適切な判断をいたしたい、あるいは処置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  248. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 問題はその税をかける時期でありますけれども、先日の質問に対しましても、その金の性格が明らかになった時点というふうに言われたわけですけれども、それは起訴された段階でかけられるのか、あるいは捜査資料が公判で開示をされて、その内容が明らかになった時点にするのか、あるいは法律の解釈の決着がつく、つまり判決まで待つのか、まあいろいろあろうかと思います。この点はいかがですか。
  249. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) お答えいたします。  課税上の時点の問題でございますけれども、税法上の扱いといたしましては、その所得の発生した年分の所得である。したがいまして、いっその所得が発生したかということを判断するためにはその実態関係の究明が必要でございます。したがいまして、その実態関係を究明した時点において何年分の所得になるかということの判断ができるかというふうに考えているわけでございます。
  250. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それからもう一つは、この賄賂を贈った方の課税もあると思うんです。これについてはどうですか。
  251. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) お答えいたします。  いわゆる贈賄側についての課税上の問題でございますが、これはたとえば法人というふうに、内国法人というふうに一応仮定をいたしますと、法人がいわゆるいろいろな支出をいたします。たとえば接待とか、供応あるいは贈答というふうなために支出をいたします費用につきましては、まああるいは貸与、贈与というふうな場合もございますが、通常交際費あるいは寄付金というふうな取り扱いになってまいります。一定の限度を超える金額につきましては損金の算入を認めないと、こういうふうな形になっていることは先生御存じのとおりでございます。ただ、この場合でも支出先が明らかでないものにつきましては、いわゆる使途不明ということでございまして、損金の算入を認めておらないという実態でございます。したがいまして、この贈賄する金というのは通常の場合には、これは支出先が明らかでない場合が多うございます。また調査段階におきましても相手先を言わないというヶ−スがほとんどでございますので、結果的には使途不明金という形で課税をされているケースが多いわけでございます。
  252. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ただ問題は贈賄で有罪となる場合には相手が明らかにされるわけですね。そういう場合は税金は免除されるわけですか。
  253. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) お答えいたします。  収賄であること、あるいは贈賄であることがはっきりした場合はどうかということでございますけれども、いわゆる違法な支出ということでございますが、この問題につきましては、税法上は実は法人税の面におきましては益金から損金を引くというふうな形でございまして、損金にそれが当たるかどうかというふうな問題につきましては解釈上いろいろな問題が実はございます。したがいまして、そういう支出につきましてその損金性を否認できるかどうかというふうな問題につきましては、なお検討すべき問題が非常に多うございますので、引き続き現在検討をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  254. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは現在の税法でそれ解釈できるのかどうか、あるいは新たな立法措置が必要なのか、この点はいかがですか。
  255. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) できるかどうかということにつきまして実は現在検討をしているわけでございます。
  256. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に法務大臣にお伺いをしますけれどもPXLの白紙還元の直前にT2並びに支援戦闘機のFST2改、これの国産開発をやめて輸入にせよという議論が起きました。これはきわめて突然に唐突に出されたのでPXL白紙還元のための布石であったという見方もされております。ところが、同時にこのT2を一遍輸入論を出しておいてまた国産に切りかえた、こういうことでT2の生産をしておる三菱重工に揺さぶりをかけて政治献金を取った。これは自民党の政治団体である国民協会の収入を調べてみれば明らかなのでありますけれども、三菱重工はそれまで四十年代はほとんど全然ゼロであります。四十七年の下期だけ四千七百八十万円の献金をしておる。それ以後もほとんどありません。これは政治献金だから賄賂じゃないと言えるかもわかりませんけれども、私は政治献金として受け取ってもこれ賄賂性の強い金だと思います。この点については調べられておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  257. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 検察当局がそのようなことについて捜査しているかどうかの報告は来ておりません。で、検察当局はもう御承知のように、犯罪の容疑がある者についてその刑事責任を追及するためにその内容を明らかにしていくというこでございます。いまのお尋ねの事実がそのような関係にあるのかどうか、私は具体的な事実を承知しておりませんのでわかりませんが、検察当局としては現在そういう点について捜査しているという報告は聞いておりません。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは直接ロッキードからもらった金ではないかもわかりませんけれども、どう考えてもおかしいわけですね。だからこれはやっぱり当時の担当者等を調べてみる必要があるのではないかと思うんですが、大臣はいかがですか。
  259. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 検察当局が調べてみる必要がありと思えば調べますし、まあ調べる必要はなかろう、ほかに重大なこともあるからというふうに思えばやらぬと思いますね。私があなたの質問に対して当然調べるべきだなんていうことは指図になりますから、ちょっと言いかねます。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これで終わります。
  261. 市川房枝

    ○市川房枝君 福田自治大臣に対しまして政治献金問題についてお伺いしたいと思います。  三木総理は一昨日の八月十六日の自民党の顧問会議で自民党の自己改革の方向として五項目を発表されました。その中の第一項目としては「金権政治を打破し、清廉な政治の確立」ということを挙げておられます。この問題は自治大臣の所管ですね。まあ三木総理は具体的な内容には全然お触れになりませんでした。いままた前の田渕さんの御質問に対して福田総理がこれと同じような答弁をなさいました。その場合もそれほどまあ具体的ではなかったんですけれども、自治省としてはある程度具体案をお持ちになっているんじゃないですか。それを伺いたいんですが。
  262. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  政治が金権によって腐敗するとか、あるいはそれによって大きな弊害が起きるということを防ぐということは、私は当然考えなければならない問題であると思っております。まあこれについてはいろいろのやり方等も、いろいろの問題もあり、御案内のように皆さんに御協力いただいて、政治資金規正法を今度改正をいたしまして、まあ一月一日から改正案を施行いたしておるということは御案内のとおりであります。しかしその節にも、私、政治資金規正法を通過させるときにも申し上げておったんだが、これが完全な案だとは私は思っておりませんと。しかし一歩でも二歩でも前進させるということが必要だからぜひこの法案は通していただきたいんだということを申し上げて、皆さんに御了解を得たつもりでございまして、今後といえども、必要があれば法の改正ということも考えなければならないということは当然だと思っております。
  263. 市川房枝

    ○市川房枝君 総理がこういう問題をお出しになっている、いや平生から私自治省としてはこういう問題は御研究になっておるべきことだと思うんですけれども、まあいまお話を伺ったんでは、ただ政治資金規正法を改正したとおっしゃるだけで、その点私は少し不満なんですが、この問題はまた別なときに伺うことにします。  次に三木総理は第二の項目としてこの「政・官・財ゆ着の防止」ということを挙げておられます。まあ自民党は御承知のとおり、財界から莫大な政治献金を受けておいでになります。収入のもう九割前後は財界からの献金で賄われているわけでありまして、まあつまりまる抱えとでも言いましょうか。それでいて私は財界との癒着を防止するということは、これは不可能なんだと。こういうことはまあ三木総理に本当は伺いたいんですが、自治大臣は政治献金——いまのような政治献金というものが大っぴらに、まあいまのお話ですというと、新法は大いにいい法律に変えたんだという御意見で、これはまあ当時から私はこれに反対をしてきた立場ですが、むしろ新しいその政治資金規正法では法律でもってはっきりと企業の献金を認めていると。旧法はそうでなかった。むしろ法律で認めているということが口実になって財界からの献金を勧誘しておいでになるのでありますが、私はまあこの政治献金というものがある限り財界との癒着は切り離せないんだと、こういう意見を持っていますけれども、自治大臣いかがですか、その点。
  264. 福田一

    国務大臣福田一君) 御案内のように政治献金、企業が政治献金をするということについては最高裁の判決もあることはあなたも御存じのとおりだと思うのです。しかし何といっても政治はやはりある程度お金が要ります。そればどういう形であるにもせよ、みんなの奉仕とか、そういうことだけでやれるかどうかということになりますというと、なかなかそうはいかない。金が必要になる。できればそれを個人の献金に切りかえることができれば一つの考え方かもしれません。私は現実の問題としてそれではやっていけないと思っております。そういう場合に企業から献金があって、それを禁止すべきかどうかということでございますが、私としてはいまここで企業の献金を禁止するということにはにわかに賛成するわけにはまいりません。ただし、まあそれに一つの制限をつけると、できるだけ弊害をなくするようにするということは必要だと思うのでありまして、そういう意味でこの前の政治資金規正法というものを改正をいたしたつもりであるわけであります。したがいまして、その法律が施行されてまだ七、八カ月しかたっていないいまの段階で直ちに法律をどう直すというようなことについて具体的に意見を述べろとおっしゃっても、私としてはまだその用意は持っておりません。しかし考え方としては、なるべくそういう弊害をなくする努力をすべきであるというお考えについては私ももちろん賛成であり、今後もそういう方向で考えてまいりたいとは思っております。
  265. 市川房枝

    ○市川房枝君 選挙には金が要る、政治には金が要る、だから財界から金をもらわなきゃやっていけないんだという考え方、いま現在それで私はロッキード問題は起こったんだと思うんですけれども、この考え方が変わらなければ、私は日本の政治の金権体質というものは、それは改革できないんだと思うんですが、まあそこは見解の相違かもしれませんから、また別の機会に譲ります。  次には、自治省は去る八月十一日の官報で政党及び政治団体の五十年一年間における収支を発表なさいました。田中総裁のもとでの自民党の四十九年一年間の収入は百八十九億でありましたが、三木総裁のもとでの五十年には約百十五億円で、七十四億ぐらい減りましたね。ところが、派閥の方のを見ますと、自民党の中の五大派閥は十億円もふえているんです。特にその中でふえているのは田中派が四十九年には八億でありましたのが五十年には十二億にふえているんです。これは一体どういう原因だとお考えになりましょうか、御意見を伺いたいんですが……。
  266. 福田一

    国務大臣福田一君) これはまたなかなかむずかしい御質問でございまして、寄付をなさる方がどういうわけでそうなさったかということを私たちは一々推察することはできません。また寄付を頼みに行った人がどういうことを言ったのか、それも私はわかりませんが、そういう数字が出ておることだけは明瞭でございまして、発表いたしたとおりでございます。これはどういうわけかとおっしゃっても、私に解明させろとおっしゃっても、いささか困難かと存じます。
  267. 市川房枝

    ○市川房枝君 自治大臣、御自身のお考えというのはちょっと無理かもしれませんけれども、私は自治省としては単に届けられたものを計算するだけ、そして発表するだけじゃおかしいんで、やっぱりその数字にあらわれた現象がどこに原因があるかということは当然検討なすって、そして将来の立法に参考になさるべきだと思うのですが、どうもいまのようにただ発表するだけなんだということでは、非常に私は不満だと思いますが……。  それから次に、お話しのように政治資金規正法の改正案はことしの一月から実施されておりますが、その結果は来年の秋から暮れへかけなければわかりませんと思うんですが、旧法の規制と、それからその新法での報告でどれくらいの違いが出てくるか。たとえば金額の総額だとか、あるいは透明度だとか、そういうことの御検討は自治省ではなすっていらっしゃらないんですか。
  268. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) お答えいたします。  御質問の趣旨は、新法のもとでの報告や公表はどのように変わってくるかということのお尋ねと存じます。
  269. 市川房枝

    ○市川房枝君 形式的だけでなく、内容もね。
  270. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) 改正前の政治資金規正法におきましては、収入のうち寄付についてのみ詳細に報告をし、かつ公表されると、こういうことになっておりまして、寄付以外の収入についてはこれを明らかにするということは特に規定されておらなかったことは御存じのとおりでございますが、改正法におきましては、法人その他の団体の党費または会費はこれを寄付とみなすということに相なりました。したがいまして、五十一年分以降の公表におきましては、改正前と異なりまして法人からの収入についても明確になってくるものと存じます。  さらに改正法におきましては、収入及び支出の各項目について統一と明確化が図られました。たとえば収入のうち党費または会費を分別して報告する、あるいは機関紙誌の発行その他の事業の収支というものを明確化する等の措置も講ぜられましたので、収支の報告の内容改正前に比べまして相当明確になってくるものと考えております。
  271. 市川房枝

    ○市川房枝君 透明度はどのくらいになるものとお思いになりますか。五十年の透明度は二一%。しかし国民協会の透明度を考えますと、本当は実態は七・一%の透明度と、一割も明らかになっていないという実態だったんですが、今度新法ではある程度私は透明度は高くなると思うんですけれども、どのくらいになるものと御期待ですか。
  272. 佐藤順一

    説明員(佐藤順一君) 透明度というお尋ねがございましたが、私ども役所といたしましては透明度という用語はずばりは使っておりません。私どもの方で割り出し、発表しておりますのは、収入総額の中で占めるところの寄付の割合ということでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、改正法のもとにおきましては今後は法人からするところの党費、会費もまたこれを寄付とみなし、従来の寄付と同様にこれを分別して報告し、これを公表することになりますから、勢いその割合は多くなってくるものと、こう考えております。
  273. 市川房枝

    ○市川房枝君 自治大臣に対する質問がなおありますけれども、これ次回に譲りまして、国税庁においでいただいておりますんで、政治資金と税金の問題をちょっと伺いたいと思います。  私は企業が毎年莫大な政治献金を政党、政治団体あるいは政治家に献金できるというのは、つまり法人税法で特別な配慮が行われていると言いましょうか、法人は一定限度までの寄付は損金に算入することを得とありますが、無税の相当額が各企業にあるということ、それを残せばそれは税金の対象になるということで、これが一つの大きな原因だと思うんですけれども大蔵省、国税庁はどうお考えになってますか。法人税の寄付限度額の問題、それを伺いたいと思います。
  274. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) お答えいたします。  先生御承知のとおり、法人が支出いたしました寄付金につきましてのいわゆる損金に算入できる限度でございますけれども、これにつきましては御承知のとおり、資本等の金額の千分の二・五に相当する金額と所得金額の百分の二・五に相当する金額との合計額を半分にした額ということになっておるわけでございます。この制度のよしあしという問題は、実は立法論の問題にもつながるので、私としてはお答えする立場にございませんが、この寄付金につきましては、いろいろな方面に寄付ということが行われているのが現状でございまして、この寄付金の存在自体というものを否定するわけにはいかないと思います。ただ、この限度額そのものがいいかどうかということになりますと、これにつきましては実態を見、立法論の問題というふうなことでございますので、ちょっとお答えしかねるというようなことでございます。
  275. 市川房枝

    ○市川房枝君 企業の寄付限度額ですね、大企業のベストテンとでも言いましょうか、そういうものの寄付限度額はどのくらいあるか、お願いしておいたんですが、ちょっと伺っておきます。  それから寄付限度額の総額ですね、あるいはその中で寄付された金額、あるいは課税の対象になっている寄付の金額、そういうものの推定で構いませんけれども、お願いいたします。
  276. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) お答えいたします。  寄付金の限度額の総額というお話でございますけれども、実は私たち全法人の寄付金の限度額の総額が幾らになっているかにつきましては、統計上そのような計数は把握できていないのでございますが、ただ国税庁が毎年行っておりますところの会社標本調査というのがございます。これは推計値が入っておりますけれども、この標本調査によりますところの推計値で四十九年分について、四十九年分が一番新しいわけでございますけれども、この支出寄付金の総額という数字がございますが、これは千六百七十七億円でございます。そのうちで損金に不算入した額、いわゆる税金上は否認をされた額というのは四百八億円でございますので、差し引き千二百六十九億円が損金に算入された寄付金額となるというふうなことになろうかと思います。ただ、いま申し上げました損金に算入された寄付金額は、寄付金の支出額が限度額に達している場合とそうでない場合とがございますので、全法人の寄付金限度額を示しているものとは言えないわけでございますけれども、大体の趨勢というものはおわかりいただけるかというふうに考えております。  それからもう一つの御質問の大法人につきましてのお尋ねでございますが、大資本を持っている会社の寄付金の限度額は幾らになるかというお話でございましたけれども、個々の企業の寄付金の損金算入限度額を申し上げることは、申告の内容にかかわる実は問題でもございますので、差し控えたいと思いますけれども、しかし五十一年の三月期、一番新しい期でございますが、その申告所得の上位の法人のうちで、資本金の高いもの十社につきまして、仮にそれぞれの資本金、これは明らかになっております資本金及び公示された所得金額というものをもとにいたしまして、仮の計算を行ってみますと、最も上位の会社で限度額は十三億円、最も下位の会社で三億円、こういうふうな数字が出てまいります。
  277. 市川房枝

    ○市川房枝君 それは一年ですね。
  278. 山橋敬一郎

    説明員山橋敬一郎君) はい、一年でございます。
  279. 市川房枝

    ○市川房枝君 国税庁の質問が残りましたが、ちょうど時間が参りましたから、これでまた次の機会に発言さしていただきたいと思います。
  280. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会