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1976-08-03 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年八月三日(火曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  七月二十八日     辞任         補欠選任      小谷  守君     対馬 孝且君  八月三日     辞任         補欠選任      野々山一三君     野田  哲君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 木島 則夫君     委 員                 石破 二朗君                 岡田  広君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 久保  亘君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 神谷信之助君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        公正取引委員会        事務局審査部長  野上 正人君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        法務省入国管理        局登録課長    山下 善興君        外務省経済協力        局長       菊地 清明君        大蔵大臣官房審        議官       徳田 博美君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        大蔵省国際金融        局次長      北田 栄作君        国税庁調査査察        部長       系  光家君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、野々山一三君が委員辞任され、その補欠として野田哲君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野田哲

    野田哲君 まず、委員長にお伺いをいたしたいと思いますが、先般、野党各党を代表して、わが党の瀬谷委員から——児玉臨床尋問のことは別途協議をされておるんですが、緊急提案として、田中角榮、それから後藤田元官房長官、それから相澤元大蔵省主計局長、さらに国際興業社主小佐野賢治氏、まあ田中角榮については逮捕されましたので当面実現可能性はむずかしいと思うんですけれども、これらの証人喚問についての提案を行って、委員長理事会協議をする、こういう扱いになっているわけでありますが、すでにかなりの期間を経過をいたしておりますので、この取り扱い経過について、どのようになっているのか、できればその取り扱い経過についてこの席で委員長の方から御報告をいただきたいと思います。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 野田君の御発言お答えいたします。  先般、瀬谷委員から動議が出されました証人喚問の件につきまして理事会相談をいたしておりますが、その中で、御承知のように田中角榮君がああいう状況になりましたので、残余の証人喚問につきまして昨日も理事会相談いたしまして、来週になりますれば相当前向きにこの問題を相談しょうということで一応話をしておりまして、来週には何とかこの動議の処理をいたしたいと委員長としては考えております。  以上お答えいたします。
  6. 野田哲

    野田哲君 重ねて伺いますけれども児玉譽土夫に対する臨床尋問といいますか、そのことにつきましても理事会協議が行われていると、こういうふうに伺っておりますので、その取り扱いについてもあわせて現段階でどういう取り扱いになっているか伺いたいと思うんです。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 児玉譽士夫には、まず委員会の御決定によりまして証人喚問の手続をとりました。昨日、診断書をもちまして、病状よりして証人喚問には応じがたいという返事がございまして、なお理事会でそれに加えまして臨床尋問の件について向こうに通達をしておりました。その結果、児玉譽士夫病状が相当きついようでございますから、臨床尋問についてはいましばらく病状の様子を見てほしいという向こうの希望がございましたので、来る十日の日に喜多村医師を呼びまして、理事会で、その病状をつぶさに調べまして、臨床尋問ができる状況かどうか理事会相談をするという予定をいたしております。結論としましては、臨床尋問を断ってきたのではございませんので、もうしばらく病状を見守って適当な処置をとりたい、こう考えております。
  8. 野田哲

    野田哲君 証人喚問については前向きに来週中には結論を出したい、こういう委員長の御発言でありますから了解をして、ぜひその取り運びが実現をするように重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  重ねて委員長要望を申し上げたいと思うんですが、本日の委員会におきましても、私は法務大臣出席あるいは大蔵大臣出席要求をしているところでありますけれども出席をされていない。法務大臣についても、新聞報道等によると、かなり所々方々に法務大臣も結構出向いて、かなり思い切った発言をされている。その法務大臣、言うならば、このロッキード特別委員会には欠くことのできない法務大臣、これが要求をしても出席できない、こういうことはどうしても私どもとしては納得できない。この委員会は、毎週日程を、定例日をすでに当初の段階から決定をしておるわけでありますから——前週坂田防衛庁長官出席されていなかった。これはやはり、この審議を進めていく上においては私は大臣の態度としては納得できない。特に、法務防衛あるいは運輸、こういう関係については欠くことのできない大臣でありますから、ロッキード委員会定例日については最優先をする、こういう取り扱いをぜひ委員長の方で政府の方に要望してもらいたい、このことをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) お答えしますか。
  10. 野田哲

    野田哲君 計らってもらえればそれでいいんですよ。
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) お答えします。  野田委員の御発言につきましては、委員長もさよう存じます。理事会でもよく御趣旨が通るように相談しまして、政府に督促してまいりたいと存じます。
  12. 野田哲

    野田哲君 以上で運営上の問題は委員長の善処を要望して、質問に入っていきたいと思います。  まず、昨日、田中総理田中角榮の自宅の自動車運転手をしていた笠原政則さんが、埼玉県の山中において自動車の中で死亡した。この問題についてまず伺いたいと思うんですが、朝日新聞報道するところによると、この笠原政則さんの死体取り扱いについて検察庁警察庁の方でかなり意見の食い違いがあった、こういう報道がされているところであります。そこで、この点について警察庁及び法務関係においてこの取り扱いについてどういう判断をしたのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  13. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。  八月二日の午前十時ごろ、付近を通りかかりました運転手の方がこれを発見いたしまして、すぐ警察に届け出ていただきまして、それで現場に急行して調べましたところ、笠原政則さんであるということがわかったわけでございますが、直ちに地検にも報告いたしまして、地検検察官の指示によりまして検視を行いまして、両者が協議の結果、その状況自殺に間違いないということになりました結果——まあそういうことで自殺というふうに、両者共同して実況見分をいたしました結果、そういうことに断定いたした次第でございます。
  14. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 結論といたしましては、ただいま警察土金局長の申されたとおりでございまして、新聞報道いたしますように意見対立があったわけではなく、ただその過程におきまして、自殺であるかどうかという——自殺である疑いが非常に濃いけれども念には念を入れる意味において遺族同意を得て解剖してはどうかというような意見検察官としては持って、そのことで警察とも協議いたしましたが、結果的には他殺疑いがない、そして自殺であるということでございまして、かつ遺族からも解剖の御同意がなかったものでございまするから解剖はいたさなかったということでございまして、結果的には警察との間に何ら意見対立はないわけでございます。
  15. 野田哲

    野田哲君 こういう時期の、言うならば変死でありますから、当然新聞にもいろいろ疑惑点等が触れられているわけでありますけれどもゴムホースをどこでいつ入手したのか、あるいは検察庁での取り調べを受けた後の現地に至るまでの足取り、あるいは車のロックの仕方、キーの所在、こういうものについてもっと厳密な検討が行われた上で、これは検察庁で任意で取り調べを行っておるわけでありますから、当然警察庁検察の方と双方十分協議の上でこの死体取り扱いについて決定されるべきものではないか、こういうふうに私どもは考えるわけでありますけれども、この点はいかがでしょう。
  16. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御指摘のとおり、亡くなった方が亡くなった方であり、検察庁参考人として取り調べをした人でもございまして、慎重の上に慎重を期するという意味において、あらゆる角度から検討いたしまして、血液を採取してそれを鑑定した結果、一酸化炭素中毒であることが明瞭であるというようなこともございまして、他殺疑いはないという検察官判断にも達しましたので、警察との意見の一致のもとに解剖しなかったということでございます。
  17. 野田哲

    野田哲君 結果的に、もういまから言っても後の祭りだろうと思うので、それ以上触れません。  重ねて最後に伺っておきますが、この問題について、死亡の原因というのはどういう状態であるのか、この点だけ、もう一回明確にしてもらいたいと思います。
  18. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。  死体の発見の状況並びに検視の結果等からいたしまして、排気ガス吸引による一酸化炭素中毒死と、こういうふうに判定されたものでございます。
  19. 野田哲

    野田哲君 私が聞きたいのは、物理的なこの問題ではなくて、そこに至った経過、この点についてどういうふうに判断をされているのか、このことを聞きたいわけなんです。
  20. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 先ほどお答え申し上げましたように、検察庁と共同して検視をいたしました結果、自殺と認定いたしました理由といたしましては、一般に一酸化炭素の血中濃度が三〇%以上になりますと……
  21. 野田哲

    野田哲君 そうじゃないんだ、動機、心情だ。心情精神状態
  22. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 検視といたしましては、そういう現場判断から自殺と、こういうふうに、その一酸化炭素中毒死であるということが認定されまして、それから、その状況等からいたしましてこれは自殺であると、こういうふうに認定したわけでございます。
  23. 野田哲

    野田哲君 死に至るまでに、本人を死に追い込むような状況はどういう状態であったのか、この点を聞いているんです。
  24. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 結論から申し上げますと、わかりません。ただ、東京地検におきましては、この笠原さんを七月三十一日は午後、それから八月一日は午前から夕方にかけて参考人として取り調べをいたしておりますが、取り調べ状況につきましては何らその間に検察官の方から供述を強いるということもなく、きわめてスムーズな取り調べ状況であったということでありますので、そういうことから考えますと、なおさらどういう理由自殺されたのかということはわからないのが現在の状況でございます。
  25. 野田哲

    野田哲君 この笠原さんに対して検察の方はどういう目的笠原さんを取り調べていたのか、この点を説明できるものならば説明してもらいたいと思います。
  26. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 田中総理に係る、それから榎本秘書官に係る外国為替管理法違反の被疑事実の関係参考人として取り調べをしておったわけでございます。
  27. 野田哲

    野田哲君 次の問題に入りたいと思います。  私は、本日は、アメリカ議会におけるコーチャン証言、それからさらにロサンゼルスで行われた嘱託尋問、この中で小佐野賢治氏にかかわる問題がそれぞれかなり重要な証言が行われている、アメリカ議会証言はすでにもう公表されているわけでありますが、嘱託尋問の中でもかなり重要な証言が行われているような報道もされておりますので、その件を中心にして政府に対する見解を求めてまいりたいと思います。  まず、去る二月にロッキード事件日本に伝えられたそのときに、彼はハワイへ飛んでいる、二月十一日にホノルルを立ってソウル経由で二月十二日に大阪帰国をする、まさに意表をついた帰国の仕方をしておるわけでありますけれども、この行動は、どう考えてもロッキード事件韓国に波及をする、このことを予想しての対応策関係者協議をした、こういうふうな疑惑を持たざるを得ないと思うのですが、捜査当局はこの小佐野賢治氏のこういう意表をついた帰国の仕方についてどのように認識をされておるか、まずこれを伺いたいと思うんです。
  28. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま野田委員指摘のように、小佐野氏が証人喚問において、いま御指摘のようにソウルを経由してハワイから帰ったということは証言でなされたことでございますので、承知しておりまするが、それ以上のことは捜査当局から何ら報告を受けておりません。
  29. 野田哲

    野田哲君 彼はこの二月の十六日の衆議院での証言で、二月十二日にソウルに立ち寄ったときに趙重勲に会ったのではないか、こういう質問に対して、趙重勲とはだれのことですか、こういうふうにとぼけている。で、質問者の方から、大韓航空社長趙重勲のことだ、こう言われると、ああ趙さんのことですか、ちょっと会いました、こういう白々しい証言を行っているところでありますが、これは入管関係いらっしゃると思うんですが、入管関係で伺いたいと思うんですが、この小佐野賢治氏と趙重勲氏は、ソウルでちょっと会ったという状態ではなくて、これは同道して大阪まで来ている、こういうふうに情報が流れておりますが、この点は確認をされていますか。
  30. 山下善興

    説明員山下善興君) お答えいたします。  法務省入国管理局保管出入国記録によりますと、小佐野氏は昭和五十一年の二月十二日ソウルから大韓航空五〇三便によって帰っておられます。同日の同じ大韓航空五〇三便によりまして趙重勲氏は同じくソウルを出発されまして大阪伊丹入国なすっております。
  31. 野田哲

    野田哲君 出国はいつしていますか。
  32. 山下善興

    説明員山下善興君) 趙重勲氏でございますか。
  33. 野田哲

    野田哲君 そう。
  34. 山下善興

    説明員山下善興君) 出国は翌日の十三日でございます。二月十三日でございます。
  35. 野田哲

    野田哲君 この趙重勲氏が入国をして翌日出国をしたこの目的、だれと会ったか、こういうことは把握をしておられますか。
  36. 山下善興

    説明員山下善興君) 出入国記録によりますと、だれとお会いになったかということはわかっておりません。ただ、渡航の目的、わが国に渡航した目的は商用、オンビジネスとなっております。
  37. 野田哲

    野田哲君 法務省刑事局長に伺いますが、小佐野氏の証言衆議院での証言は、ソウルでちょっと会っただけだと、こういう証言になっておる。いまの入管のお話ですと、同じ飛行機で大阪まで同道して一日滞在をして翌日出国をしている。こういうことになると、この二月十六日の小佐野証言というのは、ちょっと会っただけだというこの証言、これは明らかに議院証言法違反ということになると思うんですが、御見解はいかがですか。
  38. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 具体的な事実の関係に立ち入ることはできるだけ差し控えた方がいいと思いまするが、御指摘証言記録を見ますると、同社長が「送ってきてくれました。」という言葉がございますので、その送ってきてくれたというのがどこまで送ってきてくれたのかということの意味内容によりましては、仮に一緒に来たとしてもそれは送ってきてくれたことの一態様だということになりますと、必ずしも客観的に事実が相違しているということにもならないんで、要するに「送ってきてくれました。」ということがどういう意味内容かによって事実が相違するかどうかが違ってくるのじゃないかと、かように考えております。
  39. 野田哲

    野田哲君 法務省刑事局長に伺いますけれども児玉譽士夫が一九七三年七月六日にロッキード社との間の大韓航空に対するコンサルタント契約を取り交わしているわけです。そういたしますと、当然児玉が、この契約を遂行するための工作ルート、この点についてはまず第一に考えられるのは、この大韓航空の九・九%という大株主であり、そしてさらに大韓航空社長趙重勲に対して事業の上でさまざまな援助を与えている小佐野賢治氏、このルートを当然考えられると思うんです。さらにまたもう一つは、児玉譽士夫韓国ルートできわめて近い筋にある東亜相互企業町井久之、この二人のことを当然想定をされる、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この韓国への工作ルートとしてそういう判断を私どもは持つわけでありますけれども、この点について捜査当局としてはどういう見解をお持ちになっておられますか。
  40. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 野田委員指摘のように、公表された資料の中に児玉譽士夫ロッキード社との間に韓国へのロッキード社トライスター売り込み等につきましての契約があり、報酬の契約があることは事実でございますが、いま御指摘のような大韓航空児玉あるいは小佐野氏との関係というようなことについて捜査当局から報告は受けておりません。
  41. 野田哲

    野田哲君 重ねて伺いますが、児玉ロッキード社との間には大韓航空に対するトライスター売り込み契約をしている。そして相前後して小佐野大韓航空の九・九%の株を取得をしている。そしてコーチャン証言によると、児玉から小佐野賢治氏を紹介をされて大変役に立った、こういうコーチャン証言がある。こういうことになれば、当然、大韓航空に対する売り込み工作として、小佐野賢治氏、彼の役割りというものが考えられると思うんですが、いま安原刑事局長報告は受けていない、こういうお答えがあったわけですが、そうすると、全くこの点については捜査当局としては関知をしていない、こういうふうに言われるわけですか。
  42. 安原美穂

    説明員安原美穂君) コーチャン証言の中身につきましては、たびたび申し上げておりますように、捜査当局としては重大な関心を持っておるわけでございますし、児玉譽士夫に対するロッキード社からの先ほどの報酬等含めての金の入りにつきましても当然捜査の対象にしておるはずでございますが、具体的にいま御指摘大韓航空との関係については報告を受けていないということでございます。
  43. 野田哲

    野田哲君 取りつく島もないということなんですけれども運輸省にこの関係について伺いたいと思うんです。  まあ私どもはいろいろ調査をし、当時の状況を検討したときに、児玉ロッキード社との大韓航空への売り込み契約、これを遂行していくためには、一つにはやはり航空政策上の条件づくりというものが非常に重要な役割りを果たしているのではないかと思うんです。そこで伺いたいと思いますけれども、一九七三年三月二十九日から三十一日にかけて日韓航空実務者会議というのが開かれていると思うんですが、これはどこで、どういうメンバーが出席をして、どういう内容のものを議論をされたのか。まあ私の資料では、これはKAL太平洋便の増便、それと済州島−東京便についての韓国側要望について協議をした、こういうふうに考えているんですが、この点いかがですか。
  44. 高橋寿夫

    説明員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  昭和四十八年の三月三十一日に、いま先生指摘会議東京で行われまして、日本側は航空局の審議官後藤茂也であります。それから相手側は、肩書きはいまちょっとわかりませんが、キム・ドオック・ウーンという人であります。  日本韓国の間の航空協定につきましては、一九六七年、つまり四十二年に調印されましてから数次の改定が行われてまいりまして、その都度便数増加あるいは寄港する地点増加等がずっと図られてきておるわけでありますが、この四十八年三月三十一日の会談では、議題になりましたのは、いわゆる以遠便と申しまして、ある地点から先どこまで飛ぶかということにつきまして合意になりました内容は、七三年の五月一日から日本側韓国側以遠便についてどれだけの便数を飛ばすかということにつきまして、日本側が十四便、韓国側がやはり十四便ということを合意いたしました。それから同時に、韓国側東南アジア線東京経由を三便まで運航できるというふうなこと、あわせて日本側日本内の地点から釜山、ソウルへ至る路線を同時に三便まで運航できるということを合意したわけでございます。いま先生が御質問の中で御指摘になりましたところの済州島の件につきましては、私どもの持っております資料では、この話が一番初め出てまいりますのは一九六九年、つまり昭和四十四年の交渉のときから出てまいりまして、このときに日本側日本の国内の地点済州島を結ぶ、そういう路線を獲得したわけであります。それから後それでずっと来ているわけでありまして……
  45. 野田哲

    野田哲君 それでいいです。  まあ、そのころに日韓航空関係協議が何回か行われて、KAL路線増加、こういう状況にあったというふうに思うし、それからもう一つ、いま説明があった済州島の問題、これがやはり何回か日韓の間で協議をされている。  そこでこの済州島の問題について伺いたいと思うんです。これもやはり日韓航空関係、そしてKAL趙重勲国際興業小佐野賢治氏、こういう関係が非常にかかわっている。で、まず済州島の観光開発計画、これは日韓定期閣僚会議合意によって日本側から調査団を二回現地に派遣をして、済州島の観光開発プランがつくられている。つまり、この済州島の観光開発プラン、これは日韓両国政府合意によってつくられている。こういう経過になっているわけでありますが、運輸大臣に伺いたいと思うんですが、これはまあ直接は外務省が担当だと思うんですが、この済州島の観光開発計画には運輸省観光部から参加をされている、それから運輸省監督下にある国際観光振興会、こういうところからも参加をされている。そこで、まずこれは運輸大臣に伺いたいと思うんですが、私の手元に「済州観光開発計画調査報告書」、二つのこの報告書があるんです。どちらも昭和四十七年三月、発行したのは海外技術協力事業団。見比べてみると全く内容は同じなんです。ところが一冊は、これは私が同僚の議員から提供してもらったもので、国会議員に配られている。で、あと一冊は、これは国会図書館に保管されていたものなんです。両方比べてみると、国会議員に配付された分には全く記録されていない部分がある。最初に発行されたんだろうと思うんですが、国会図書館に保管されたものの中には入っている。どういう内容のものが入っているかといいますと、まず二十七ページ、「済州島の観光地としての評価、将来性」、この中に「西帰浦のホテルにはカジノが許可され、外国人旅行者に営業を行なっており、その他妓生パーティやナイトクラブの施設を備えたホテルもある。」、こういうくだりがあるわけです。私どもの方へ配付されたものにはそういう文言は一言半句もない。さらにページをめくっていきますと、近隣地域との観光地としての比較がある。その近隣地域との観光地としての比較のページにも同じく済州島なり韓国の特徴として、カジノ、これがある。あるいはキーセンパーティーあるいはナイトライフの施設が特徴である。「ナイト・ライフ」、こういう文句が使ってある。そして最後の済州島の「国際観光振興方針」としてどういう言葉で結んであるかといえば、「済州市は済州国際空港を控え、国際観光ルートの拠点となるので、西帰浦とゝもに、市内に外人観光客用のレストランやナイト・ライフが可能な施設の整備が必要となろう。」と、こうなっているわけです。つまり、われわれに配られていない原本の方では、済州島はカジノやキーセンパーティー、ナイトライフ、こういうものがあるのが特徴であり、そのことを、もっとこれからもそういう施設を整備することが必要であろう、つまり飲む、打つ、買う、このことを奨励する必要があるということをこの事業団の報告書では提起をされている。国会議員に配付をされたものにはそういう点は一切抹消されている。これは一体どういうことなんでしょうか。まず、この同じ海外技術協力事業団報告書が、われわれに渡すものと、そして実際につくられたものとは中身が違うというのは一体どういうことなんですか、これをお伺いしたいと思うんです。
  46. 木村睦男

    ○国務大臣(木村睦男君) 済州島の観光開発につきましては、いまの海外技術協力事業団ですか、その中に参加をして運輸省観光部の者が参ったわけでございますが、まとめは事業団の方でまとめましたので、そのいまのお示しの資料がどういうわけでそうなっているかということは私の方ではわかりませんが、参加したときの様子は、参加しておりますから、観光部の方からお答え申し上げます。
  47. 野田哲

    野田哲君 じゃ、外務省おられますか。——海外技術協力事業団というのは外務省監督下にあるわけですが、まず運輸大臣、あなたの言うことはちょっと無責任だと思うんですよ。この報告書は、はっきりとこれは運輸省の係官も参加をしてつくられているんですよ。当時で言えば、運輸省大臣官房観光部計画課補佐官堀木常雄、こういう人がこの調査団の中には参加をされているんです。そしてこの報告書というのは日韓閣僚会議合意に基づいてつくられたわけでしょう。派遣されてつくられたわけでしょう。ですから、この報告書の原案というものは、当然このもとになった日韓閣僚会議のところへ報告をされているはずでしょう。それが原本の方は、カジノやあるいはキーセンパーティー、ナイトライフ、こういう形で、飲む、打つ、買うを奨励をされている内容になっている。われわれに配付をされた方は、一切、そういうことは一言半句も触れられていない。つまり、一つ報告書をわれわれ向けと実際のものと使い分けをされている。運輸省外務省が全然知らないということはあり得ないと思うんですよ、これは。どうなんですか、この点。外務省どうですか。
  48. 菊地清明

    説明員(菊地清明君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、この済州観光開発計画調査報告書というのは二回にわたって出ておりまして、第一回目は四十七年三月、それから第二回目は四十九年の一月に出ております。で、先生指摘のとおり、第一次報告書と第二次報告書の間には、御指摘のような相違がございます。これは御案内のとおり、この報告書がこの国会でも問題になりまして、昭和四十八年十月九日の決算委員会におきまして、この調査報告書に不適当なところがあるではないかというようなことの御指摘がございまして、そのときに、当時の海外技術協力事業団の理事長、それから政府委員の御巫が両方お答えしまして、確かに御指摘のとおり、用語、それから現状の説明、それからその勧告している内容につき不適当なところがあるということは政府側も同意いたしまして、との報告書を訂正する、修正するということを国会にお約束いたしまして、その結果、四十九年の一月にこの訂正された報告書が出たような次第でございます。
  49. 野田哲

    野田哲君 これは全然違いますよ。第一次、第二次で内容が変わっているということを言っているんじゃないんですよ。第一ですよ、これは。第一次、両方。四十七年三月、同じなんですよ、これは。私も第二次のを持ってますよ。第一次が、われわれに配ったのと実際あるのと違うんですよ。内容はほとんど同じなんですよ。カジノとかキーセンパーティーとかナイトライフというようなくだりだけを抜いたものを私どもの方へ提供されているんです。第一次、第二次の違いじゃないですよ、これは。全く同じときの報告書の違いなんですよ。で、現にいま済州島のKLLホテルとかなんとか、いろいろ済州島の観光案内を国内でもやっている。それを見ると、やはり同様のことが書いてあるじゃないですか。KLLホテル、カジノの殿堂がある、ナイトライフが快適であるとか、キーセンパーティー、そういう宣伝がこの韓国のパンフレット、この中でされておるわけですよ。第一次報告書の原案にあるとおりのことが宣伝をされているんですよ。だから、これを書きかえて私どもに渡したからといって、問題は解消してないんですよ。つまり、政府調査団はその観光開発計画で、明らかに飲む、打つ、買う、この施設を整備することを強調しているわけですよ。中身が、書いた、書かないという問題じゃないんですよ。いまそれで外務省報告した、これは明らかに違うんですよ。第一次、第二次で書きかえたんじゃない。同じ時期のものを二色つくって、当たりさわりのないのを私たちに配っている、そういうことじゃないんですか。いかがですか、その点。
  50. 菊地清明

    説明員(菊地清明君) お答えいたします。  第一次、第二次と申し上げましたので大変失礼いたしましたけれども、最初のものとその次のものという意味だけで申し上げたわけでございまして、先生の御指摘のとおり、その一次——まあ一次という言葉をもう一回使わせていただきますと、最初の報告書が出て、その後、国会その他で御指摘がございましたので、その同じものを訂正したわけでございます。
  51. 野田哲

    野田哲君 文章を訂正したって同じなんですよ。現地の方は、第一次と言えば第一次、最初のあれで現にそういう施設がつくられているんですよ。  もうこれ以上その問題は触れませんが、警察庁に伺いますけれども、この済州島の観光開発に関連をして、韓日観光株式会社、こういう会社が設立をされている。で、韓国側は、先ほど来の小佐野賢治氏と重要な関係にある趙重勲氏の韓進商事が出資者になっている。で、日本側からは日本開発という会社がこの韓日観光株式会社に参加をされている。この韓日観光に参加をしている日本開発について警察庁の方に伺いたいと思うんですが、この日本開発に対して、ある時期に問題になっているシグ・片山、彼が近づいていって融資の話を持ち込んだ。で、そのときに、その融資の成功した場合には、謝礼は要らないが、そのかわりに大韓航空へある航空会社の製造する飛行機を買ってもらいたい、この持ちかけをした。こういう動きがあるわけでありますけれども、この点について警察庁はどのような捜査を行っているか、これをまず伺いたいと思います。
  52. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 御指摘のようなシグ・片山氏が日本開発へ融資話を持ち込んだということは聞いております。しかし、その詳細については御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  53. 野田哲

    野田哲君 これは警察庁法務省入管関係か、あるいは刑事局長のところか、わかっておれば答えてもらいたいと思うんですが、この日本開発、これは倒産をして、いま会社更生法の適用を受けておるわけですが、この社長であった吉田清貫氏という方、この人は国籍は韓国にあると思うんですが、このシグ・片山の接近をした融資話があったしばらくして、倒産した前後から居所不明というような状態になっている、こういう状態だというふうに私は情報を得ているんですが、その状態を把握をしておられますか。
  54. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 報告は受けておりません。
  55. 野田哲

    野田哲君 いまどうだったんですか。もうちょっとはっきり、聞こえないものだから、おっしゃってください。
  56. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 御指摘のような件については、報告は受けておりません。
  57. 野田哲

    野田哲君 法務省入管関係者、御存じありませんか。
  58. 山下善興

    説明員山下善興君) 全然報告を受けておりません。
  59. 野田哲

    野田哲君 警察庁あるいは法務省に伺いたいと思うんですが、済州島の観光開発のための韓日観光株式会社、ここに日本側から半額出資で参加をした。そうして、この日本開発が参加をした済州島の開発、観光開発、これは日韓閣僚会議合意に基づいて、日本側政府の派遣した調査団、これが観光開発プランをつくった。で、これを現地で実行するための、各種の事業を行うために参加をした日本開発、これが間もなく倒産をする。そして、私の調査をしたところでは、この社長であった吉田清貫氏、この人は韓国籍の人だと思うんですが、間もなく行方不明になる。その前後にシグ・片山が奇怪な融資話を持ち込んでいる。これは非常に一連した動きとして、奇怪なことを私どもに感じさせるわけなんです。特に、日本政府韓国政府合意をした済州観光開発計画日本側から参加をした会社が倒産をする。しかもこれは、日本信販という会社の子会社であり、三和銀行がメーンバンクとしてついている。これが倒産をするという経過、どう考えても不可解なことなんですが、その間の経緯について、あわせて先ほどの、警察庁、資金話とあわせて、こういう経過、これにまつわる動き等について調査をされておりますか。
  60. 土金賢三

    説明員土金賢三君) ただいまの御指摘のような点については報告は受けておりません。
  61. 野田哲

    野田哲君 この日本開発と国際興業・小佐野賢治氏との関係について調査をしておりますか。警察庁、いかがですか。
  62. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 御指摘の件については、申し上げられない次第でございます。
  63. 野田哲

    野田哲君 申し上げられないということは、ある程度事実はわかっておるけれども捜査上支障になるから申し上げられないと、こういうことなんですか。
  64. 土金賢三

    説明員土金賢三君) そういう具体的な内容については報告は受けておりません。
  65. 野田哲

    野田哲君 おかしいな、これは。あのね、先ほどのあれは、そういう件については申し上げられませんと、こう言われた。その次は、報告を受けておりませんと。これは大分ニュアンスが違うんですよ。途中で言いかえられちゃ困るんですよ。どっちなんですか。
  66. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 報告は受けておりません。
  67. 野田哲

    野田哲君 大平大蔵大臣に伺いますが、このいま議論している韓日観光株式会社、この韓日観光株式会社という済州島でいろいろ事業をやっている会社、この韓日観光株式会社には、会長として、ずっと前の総理の岸信介氏、岸信介氏が会長として就任をされていた、こういう情報がありますが、事実を調査されたことがありますか。
  68. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうことは存じません。
  69. 野田哲

    野田哲君 法務省なり警察庁なり、この日本開発に関係する問題を調査して、その事実を確かめられておりますか。いかがですか——もう時間がありませんからね、いいです。次回までにこれは調査をして明らかにしてもらいたい。こういうことでこの問題を終わりたいと思うんです。  次に進みますが、いいですか。  大蔵省に伺いますけれども、一九七二年の七月十三日に小佐野賢治氏が大韓航空の九・九%の株式を取得をしている。これは大蔵省では、金額、日時等々について、どういう手続がとられているか、これを説明してもらいたいと思います。
  70. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) お答え申し上げます。  一般的に申しまして、四十七年当時の対外投資につきましては、原則的に、一部の例外を除きまして、原則的に自由化されておりまして、金額に制限なくすべて日銀に事務委任をいたしておりまして、日銀において手続がとられておった状況でございます。
  71. 野田哲

    野田哲君 それで、大蔵省としてはこの間については何ら調査をされていないと、こういうことなんですか。
  72. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) いま申し上げましたように、原則的に自由化されておりまして、すべて金額に制限なく日銀に事務委任されておりますので、一般的に申しまして個々別の案件について一一大蔵省がチェックをするというような態勢にはなっておりません。
  73. 野田哲

    野田哲君 この件については、私は、きのうこの内容について質問するのでということで、大蔵省に対して質問項目を提示をしているんですよ。それをそういう答えで、日銀で——これは原則として大蔵省は許可なしにやられるんだと、こういうことで答えられるのは、私はこれは答弁としては誠意がなさ過ぎると思うんですよ。いきなり私が質問したんであればそれでいいかもわからぬけれども、きのうから通告しているんでしょう、この問題は。なぜこれは調べて正確に答えないんですか。
  74. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) ただいま申し上げましたとおりでございますが、大韓航空に対する株式取得につきましては、先ほども申し上げましたような手続がとられておる次第でございますけれども、ただ個々の、個別の金額とか日時等につきましては個別の案件でございますので、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  75. 野田哲

    野田哲君 なぜ、あなたはそれが答えられないんですか。大蔵大臣、これはなぜ答えられないんですか。大韓航空との関係がいまロッキード委員会の非常な疑惑になっているわけでしょう。そこで、小佐野賢治がいつどういう金額でこれを取得したのか、このことを私が質問したのに対して、なぜ答えられないんですか。その点明らかにしてください。
  76. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) どの企業でございましても、その企業の持つ企業の機密につきましては、政府といたしまして知り得た秘密を口外する自由を持っていないわけでございます。その当該会社の、何といいますか、許諾がございますれば格別でございますけれども、私どもの立場で、国際興業であろうと、どなたでございましょうとも、そういうたてまえで政府は仕事をいたしておることは御了承いただきたいと思います。
  77. 野田哲

    野田哲君 最後ですから。  この小佐野氏が大韓航空の九・九%の株を取得したことは、これはもう周知の事実なんです。報道機関でも何回も報道されているし、国会でも証言されているわけでしょう。それがなぜ調査して報告できないんですか。そういうことならば、なおさら私は、委員長、これは政府側が知り得たことでも守秘義務を盾にとって——大韓航空への売り込みに関する疑惑を解明するためには、その辺から明らかにしていかなければならない。これを大蔵省が明らかにしない、こういうことであるならば、なおさらこれは小佐野賢治氏の証人喚問をぜひ取り運びをされることを強く要望すると同時に、いまのような大蔵省の態度、すでにもう周知の事実についてもなお守秘義務で答えない、こういう態度に対しては、これは委員長の方でしかるべく問題を明快にするように要望をしてもらいたい。このことを最後にお願いをして終わりたいと思います。
  78. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 田中逮捕、それから檜山起訴の、この二つの根拠になった事実は、すでに御承知のように、丸紅とロッキード社のいわゆる共謀による五億円の支払いということになっているようでございますが、私は、この五億円の金銭の授受の裏には、これはロッキード社と丸紅の間に何にもなくて五億円の受け渡しが行われたんではなくて、これは必ずその裏に契約があるはずであると、こういうふうな観点で先般から質問をしてまいりました。そこで、きょうはこういう立場に立ちまして、先般から問題にいたしております丸紅・ロッキード社間の、特に昭和四十七年十一月一日のコンペンセーション契約を問題にしたいと思います。  そこで、まず初めに、私は、質問の前提といたしまして二、三確認をしておきたいと思います。  それはこの問題の発端になりましたコーチャン証言の中で、コーチャンがこういうふうに言っている部分がございます。このロッキードの問題で、特にこの売り込みですね、売り込みの問題について児玉氏には大変お世話になったと。大変尽力してもらいましたと。この売り込み運動期間中私は十回も日本を訪れ、十回目には十一週間も滞在をいたしましたと。こういうふうなコーチャン証言がございます。そこで、法務省当局にお伺いをいたしますが、コーチャンが日本に来日をいたしまして、特に長期間滞在をしたと——特にです、特に長期間滞在したと考えられる期間はいつからいつまでか、この点ちょっと、わかりましたら御答弁願います。
  79. 山下善興

    説明員山下善興君) お答えいたします。  入国管理局保管の記録によりますと、昭和四十一年から昭和四十九年までのコーチャン氏の記録によりますと、四十七年の九月二十四日に入国いたしまして、同じく四十七年の十一月三日に出国した。この間、一月と十日ぐらいでございますか、これが一番長い期間でございます。
  80. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 非常に調べてないようでございますから、私が言います。ちょっとそこにおってください。あなたの資料と全く同じ資料です。あなたからいただいた資料です。全部で二十七回来ております、四十一年から四十九年まで。それで一番長いのが、いまおっしゃった九月二十四日から十一月三日まで四十日間、その前の八月二十日から九月二十二日まで三十三日間、これが一番長いと思うんですが、これは間違いないですか。
  81. 山下善興

    説明員山下善興君) 間違いございません。
  82. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 したがって、ただいまの法務省資料に基づいて言いますと、八月の二十日に来日をいたしまして、九月の二十二日まで三十三日間、九月二十二日から九月二十四日までの二日間日本出国いたしまして、九月二十四日から十一月三日までの四十日間、合計七十三日間になりますが、コーチャンの証言で、こんなに長期間にわたりまして日本に滞在しておりましたのは、記録によりますとこれしかございませんので、約十一週間になります。したがって、コーチャン証言の中で、この十一週間、相当売り込みをしたという、これは八月の二十日から十一月の三日の期間であると、このように私は考えております。これを前提にいたしまして、特に今回のPXLの問題、さらにはトライスターの問題、こういうふうな問題がこの八月の二十日から十一月三日の間に特に重要な事件がすべて起きていると、そういうふうな考え方に立ちまして、そういうふうに推定できます。したがって、それを前提といたしましてこれから質問を進めてまいりたいと思います。  そこで、初めに大蔵大臣にお伺いをいたします。当時、大蔵省は——いま私が申しました期間中でございます。この期間中に大蔵省は、特にこのPXLの輸入について、特に予算の査定等では、それまでも主張してまいりましたが、特にこの期間中にこの輸入の主張をいたしております。それで、非常に時間が短いので端的にお伺いをいたします。大蔵省は、この期間中にどうして輸入を主張したのか、こういうふうに大蔵省に質問をいたしましたら、これに対して文書で答弁が来ております。この文書の答弁によりますと、「1、次期対潜哨戒機の国内開発には多額の研究開発費を要すること。2、国内開発機の量産価格は、大量生産された場合の外国機に比べてかなり割高になることが予想されたこと。」——大臣、この二つの答弁が大蔵省の方から文書で私の手元へ来ております。そうしますと、大臣、これは大蔵省としては、当時、PXLについては、要するに大蔵省が主張する輸入というのは、これはどういうふうな輸入であったのか、この点をはっきりしていただきたい。と言いますのは、私が言いますのは、当時はいろんな問題があったと私は思うんですけれども、要するに防衛庁は、輸入輸入と言いましても、輸入と国産にはいろいろ種類がありまして、大体輸入と言いましても、まるっぽのままぼんと輸入するんじゃなくて、初め一機二機輸入して、あとはすべてライセンス生産と、こういうふうになっていたわけです。したがって、ライセンス生産というのは、過去の議論からしてみますと、国産の部類に入ると、こういうふうになります。そうしますと、大蔵省の主張しておりました輸入というのは、これはまるまるの輸入というのを考えておられたのか、ここら辺のところをはっきりしていただきたい。
  83. 高橋元

    説明員高橋元君) 昭和四十五年以来、大蔵省は御承知のとおり国産化を前提とする研究開発には反対をいたしてまいりました。その理由は、ただいま委員からお示しのあった理由でございます。しからば、いかなる形の輸入を主張したかということでございますが、当時はまだ航空機の現実の装備決定、調達の決定ということはございませんでしたので、まだ次期対潜機に関します限りでは研究開発の段階であったわけでございます。したがいまして、いかなる形態での、完成品か部品か、それともライセンス生産かと、そういう点につきましては全く議論をされておりませんで、研究開発費及びその後の量産単価、その二つに顧みて国産化を前提とする研究開発をすることに反対をしてまいったというのが終始一貫の私どもの考え方でございます。
  84. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、そういう議論はいままでやってきたわけですよ。ですから、一歩前進して議論しないといけませんでね。私はいま大蔵省から話があった問題はもう読み上げたわけです。それを承知の上で言っているわけです。したがって、研究開発費については、この資料を御持参の大蔵省の方は、研究開発費としては少なくとも四百億近くかかるという話を現実にしていらっしゃいますね。しかも、ライセンス生産の場合は、国内開発と同じぐらいのいろんな費用がかかるし、値段も同じぐらいになってくると。そういうふうになってくると、大蔵省はかねがね輸入を主張していた、その輸入というのは、一体何を考えての輸入なのか。これは要するに、ライセンス生産も、研究開発が進んでいないから、そうじゃないと言ってもそれじゃ話が通じませんでしてね、やはり大蔵省は、輸入と主張するからには、その輸入の根拠というものをはっきりしていただかないと困ります、いままでと同じような答弁では。全部承知の上で質問しているわけですからね。そこのところをはっきりしていただきたい。
  85. 高橋元

    説明員高橋元君) 大筋は先ほど申し上げたとおりでございますが、当時の大蔵省の考え方、それから防衛庁から聴取いたしておりました内容、それらに即して申しますと、ライセンス生産という場合は全く想定されておりませんでした。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 したがって、再度あなた方の答弁を……。大蔵省の説明で私は言いますとね、こういうことでしょう。当時は産軍癒着ということが言われておったと、したがって国産という問題については非常に問題があった、しかも国費の節約ということ、それからもう一つはドル減らしということ、そういうふうないろんな観点から、外国の安い航空機を導入するということが自然の理であると、こういうふうな意味の答弁をされた人もいるんですがね、これはこのとおりなんでしょう、要するに。したがって、この輸入という場合は、いま言っておりますように、できたら安い航空機をまるまる輸入するというのが当時の考え方の中にあったわけなんでしょう、これはどうなんです。
  87. 高橋元

    説明員高橋元君) まあ、研究開発段階でございますから、将来の装備は、五十二年度、つまり四次防が終わった後以降ということを当時から考えておったわけでございます。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなんじゃわからない。まだどうなるかわからないのに、そんな輸入を……
  89. 高橋元

    説明員高橋元君) しかしながら、その国産機について研究開発を進められるというのが防衛庁の御主張でございました。わが方としては、国産を前提とした研究開発は認められない、経費面から認められないという主張でございました。
  90. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういう議論はもうしたくない。
  91. 高橋元

    説明員高橋元君) したがいまして、当時どのような飛行機をどういう形で輸入するかということは、まだ議論の前であったわけでございます。
  92. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間の関係で、大蔵大臣、これ以上私はもうこの問題は議論したくはないんですが、要するに大蔵省は、防衛庁との議論はもう先般からずいぶんやっておりますね、要するに国産を前提にした研究開発は行わない、それはそれでいいわけですよ。だから、国産を前提とした研究開発は行わない。そして予算の査定の段階でだんだん詰めてまいりますと、輸入を大蔵省はさんざん主張してきた。特にこのPXLだけじゃないんですね。そのほかの問題もそうです。輸入を主張してきた。輸入するという根拠は何かというと、私がいま申し上げたような答弁が現実に返ってきているわけです。ということは、安い航空機を輸入するという、それは一体どういうふうな輸入を考えて輸入を主張されたのか。そういうことは議論してなかったんなら、議論してないものを、現実に予算査定や、そういうところでばんばん出てきているわけです。ですから、それじゃ困るので、輸入というんなら、どういう輸入を考えていたか。安い航空機を買うっていうんですから、それはやはり私が大蔵省の答弁で言いますと、外国の安い航空機を導入するということが当時としては自然の理であったと大蔵省の皆さん言っているやつを、私こう言っているわけですがね。これはこのとおりだろうと思うんですが、大臣どうなんです。
  93. 高橋元

    説明員高橋元君) いまもお話がございましたように、次期対潜機だけじゃございませんで、高等練習機、それから支援戦闘機、それからミサイル等につきましても、当時のコストの状況、それから外貨事情、為替事情その他を勘案いたしまして、国産によるよりは安い外国製品を輸入した方がいいという主張をいたしたことは事実でございますが、次期対潜機につきましては、先ほども申し上げたとおりでございますが、四次防期間経過後に現実に調達装備されるという予定であったわけでございますから、したがいまして、完成品の輸入、それとも部品の輸入、ライセンス生産か、それとも議論の結果国内開発ということになるか、その辺は輸入を含めて広く代替案を検討してほしいということに当時は尽きるわけでございまして、国内開発を前提とする研究開発は認められないということはたびたび繰り返し申し上げておるとおりでございます。
  94. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はいまの答弁では納得できません。納得できませんが、このまま問題を議論していくわけにはいきませんので、少なくとも研究開発費、少なくとも当時四百億かかると言われておったこれを削って、認めていらっしゃらないわけですね。しかも、そういうふうな過去のいろんな経過から言いましても、大蔵省としては、安い航空機を輸入する、たとえどういう形になるにしろ、輸入するというふうな主張を繰り返しておられたわけですね。  そこで、私はこの問題をおきまして、防衛庁にお伺いをいたします。まず防衛庁、先般私が提案いたしました丸紅との契約書でございます、この契約書ですね、これは防衛庁長官もその後調べられたと思うんですが、特に私はきょうは、先ほども言いましたように、後半の方の契約ですね、これを問題にしたいんですが、昭和四十七年の十一月一日の契約を問題にいたしますが、丸紅とロッキード社契約につきましては、これはもう昭和三十三年以来契約がなされているわけです。しかしながら、このP3シリーズ、P3という名前ですね、これは丸紅とロッキード社契約の中ではたびたび出てまいります。私たちが調査した段階によりますと、昭和四十年の段階からこのP3という名前が出てきております。そこで、この丸紅とロッキード社のP3シリーズ、あるいはP3についての現在まで判明している経過、これを、簡単で結構です、御説明願いたい。
  95. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ただいま先生の御指摘のありましたP3Cの問題は、一応P3Cは、契約の推移によりまして、P3シリーズというのがございます、その中に加えられておるということでございます。具体的に申し上げますと、このP3シリーズに関する取り決めが初めて行われましたのは昭和四十三年の二月の一日でございます。で、その後この契約は三回改定されておるわけでございます。その三回改定された中に、先ほど御指摘昭和四十七年十一月一日というものが入っておるというわけでございます。
  96. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、このP3の問題について、いまの問題について、再度申し上げます。  昭和四十年の十二月十五日、これはP3Aという名前が初めて出てまいりましたですが、このP3Aの場合、この昭和四十年の丸紅とロッキード社契約によりますと、昭和四十年の契約は、要するに分類をしておりまして、二百五十万ドルまでは、いわゆるコンペンセーションレートとして一・二五%、そういうふうにパーセントであらわしておりますですね。それから昭和四十三年の二月一日の、ここでP3シリーズという名前に変わっております。ここでは五百万ドルまで二%と、こういうふうな契約になっておりますね。それが昭和四十七年の十一月一日の契約になって、P3シリーズ一機当たり十五万ドルと、こういうふうに変わっておりますが、私がただいま申し上げたことは契約のとおり間違いございませんか。
  97. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いまおっしゃったとおりでございます。ただ、最初二百五十万ドルとおっしゃいましたが、これは千二百五十万ドルまで一・二五%ということでございます。
  98. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あ、千二百五十万ドル。失礼しました。いまのは私の見間違いで、千二百五十万ドルになっています。  そうしますと、そこでお伺いをいたしますが、この昭和四十年、四十三年等の契約は、いわゆるその千二百五十万ドルまで一・二五%、それから四十三年の五百万ドルまで二%、こういうふうな、いわゆるパーセントであらわしてきた契約が、昭和四十七年の十一月になってなぜ突然一機当たり十五万ドルというような契約に変わったんでしょうか。この点について防衛庁どうお考えです。
  99. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは、先般来申し上げておりますように、まあ私ども第三者の立場でございますので、実際になぜこういうふうに契約が変わったのか、もっと正確に申しますと、契約締結のパターンが変わったのかということについては、私ども定かに了知し得べくもございません。ただ、先般も申し上げましたように、この前後に、丸紅とロッキード間におきましては、契約条件の改定ということの交渉が行われておったようでございます。私どもの知る限りにおいては、その一環としてこれが行われたのではないかというふうに了知しております。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 従来の契約方式が昭和四十七年になってがらっと変わっている。これは全般の契約方式が変わったんじゃないかと、こうおっしゃっておりますが、そこで、丸紅は防衛庁とは、もうすでに明らかにされておりますように、昭和三十三年以来、防衛庁がどういうふうな航空機の購入の仕方をするか、どういうふうな航空機の購入の仕方をするかということは、熟知していたはずであると思うんですが、この点どうです。
  101. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) そのとおりだと思います。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかも、ロッキード社のこの航空機を、MAP方式やあるいはライセンス生産を含めて六百三十三機、約二千八百億ですね、二千八百九十七億ですか、概算。先般三千億ということになっておりますが、これだけの航空機がロッキード社から購入をされているわけです。そこで、こういうふうな購入のシステムというものから考えて、昭和四十七年の十一月一日のこの丸紅の契約については、防衛庁はどういうふうにお考えですか。
  103. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ちょっと先生の御質問意味が実は定かでございませんが、恐らく、おっしゃっておられます意味は、当初MAPなり共同生産なりということでスタートしておったわけで、それが丸紅、ロッキードあるいは防衛庁の間で扱われました飛行機というのは、その後ライセンス生産ということになってくるわけでございます。ですから、そういう形というものに対して、まるごと輸入、なぜこんなことになったのかという御質問ではないかと思うわけでございますが、実はこの点につきましては、私どもの方としては、なぜこういう形をとったかということについては、先ほども申しましたようにあくまでこれはもう推測の域を出ませんので、先ほども申しましたことと同じになって恐縮でございますが、全般的な条件改定ということで行われたのではないかと、こういうふうに解しておるわけでございます。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、ちょっと質問のやり方を変えます。  要するに、たとえばこの一機十五万ドルというようなこのコンペンセーションをもらうためには、契約が有効に働くためには、どういうふうな購入のシステムをとらないとこの契約は有効に働かないんですか。これはどうです。
  105. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) この一機十五万ドルと申しますのは、完成機一機輸入をいたしました場合に十五万ドル支払われるということでございます。したがって、完成機輸入という形をとるということが前提になるわけでございます。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、この契約ロッキード社昭和四十七年に結んだわけでございますから、もう三十三年以来十数年たって、防衛庁がどういう購入の方式をとっているかということは熟知している丸紅の檜山さんが、わざわざ昭和四十七年に当たって一機当たり何ぼというような手数料、いやまあ報酬をもらうような契約をしたというのは、これは何にもなしでこういう契約を結ぶわけはない。私、考えるんですよ、何にもなしでね。これ、一機当たり、まるっぽのまま、こう、防衛庁は五十機なら五十機まとめて買わないと丸紅には手数料は入らないわけでしょう。そうなんでしょう。
  107. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) まるごとでございませんと十五万ドルは入らぬわけでございます。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、そういうふうな一機まるごとぼんと防衛庁が買わないと入らないような契約を、昭和四十七年の十一月一日になぜこの丸紅の檜山さんがこのロッキード社契約を結んだのか、これは非常に私は重要な問題であると思います。ここの問題を解明しないとこの問題は解決しない。しかも、防衛庁の購入の仕方というのは、これはいままで幾つかの航空機を購入いたしております。もうすでに御承知のように、P2Jにしましても、104にしましても、F4にしましても、現在まで約三千億、六百四十八機購入した中で、この契約と同じような購入方式をしたのがどのくらいあるんですか。概略でいいです。
  109. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 記憶でございますが、要するに完成機輸入の形をとった一般的な例として申し上げますと、ごく最近ではRF4E、これは偵察機でございます。それから若干、一部ヘリコプターの関係でございます。例としては少ないわけでございます。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまおっしゃったような、この航空機の中でも本当に一機か二機というような、わずかな航空機と聞いております。そうしますと、わずかしか従来やったことのないような契約防衛庁から見ればもうとんでもない契約を、現実に昭和四十七年の十一月一日に丸紅の檜山会長がこういう契約を結んだ。結んだというからには、この檜山さんだってやはり商売人ですし、何らかの影響を檜山さんに与えなければ、檜山さんはこういう契約を結ぶわけがないと私は思います。そこには必ず、檜山さんに、ほかの人はできないけれども、丸紅に対して、防衛庁が今度はいままでの購入方式とは違って、PXLについてはこういう方式で買うんだという強烈な影響を与えた人物、必ずそれがいなければならないということに私はなると思います。  そこで、まず検察当局にお伺いをいたします。これは一般論としてお伺いをいたします。今回のロッキード社児玉との契約は一般常識からは考えられないもの、児玉ロッキード社契約というのは、特に私はPXLの問題を考えます。それ以外でも結構ですが、ロッキード社と丸紅のコンサルタント契約そのものを考えていただいても結構です。こういうふうなものは常識では普通考えられないような契約であったと。しかしながら、コーチャン証言のときに私たちはそう思いましたけれども、事実はこのコーチャン証言のとおり、契約のとおり実施され、そしてお金もその契約のとおり動いていたのではないかと、そういうふうに考えられるわけですが、これは一般的に考えて結構ですが、この点どうお考えですか。
  111. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 公開のコーチャン証言にあり、公開された領収書等でも明らかなように、児玉譽士夫に入りました十七億につきましては、契約のとおりに支払われているわけでございます。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 したがって、コンサルタント契約十七億については契約のとおり入っているということは、その契約が結局有効に働いていたと、こういうふうに考えて処理をしていらっしゃると思うんですが、その点どうでしょう。
  113. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 当然そうだと思いますが、捜査当局としては、有効かどうかという法律上の有効無効ではなくて、現実にそのような金が動いた、それが契約に基づいて動いたということだけで足りるわけでございます。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一般的な考え方で結構ですが、ロッキード社のいわゆる契約のあり方ですね。これは丸紅との契約もありますし、児玉との契約もあるわけでございますが、大体一般的に考えて、ロッキード社契約というものは、少なくとも契約が現存している以上、その契約そのものは根拠のないものはないと考えるのが一般的だと思うんですが、これはどうでしょう。
  115. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 何か深い意味をお持ちでお聞きかどうか、ちょっとはかりかねますけれども契約がある以上は理由があったものと思います。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 当然、契約がある以上、その契約が有効に働いているものであると私も考えるわけです。  それからもう一点お伺いしておきます。児玉に対する昭和四十七年度の所得税法違反の起訴状によりますと、児玉ロッキード社契約等による所得を除外して申告している云々というくだりがあります。したがって、契約の有無が捜査当局にとっては犯罪の重要な決め手になっているということは、客観的に見て私は事実であろうと思いますが、この点どうです。
  117. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御案内のとおり、所得税法違反につきましては、いかなる収入があったかということを明確に——それがいかなる額まで脱漏したかが問題でございまするから、いかなる収入があったかと明確にする根拠に契約があったということでございます。
  118. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 したがって、私は、ロッキード社と丸紅の契約というものは、少なくとも現在までの丸紅とロッキード社関係等から考えて、契約そのものが非常に有効に働いていると、こういうふうに考えるわけです。  そこでお伺いをいたしますが、先ほどの問題と一貫して、もう一回お伺いしますが、丸紅がロッキード社と一機当たり十五万ドルのコンペンセーションをもらうというような契約、この契約を現実に結んで、契約がここにあるわけです。したがって先ほども少し言いましたが、丸紅の檜山社長が、何らかの確かな情報を得たからこそ、確かな情報を得たからこそ、いわゆる従来はパーセントでずっと契約がなされ、そうしてたとえばライセンス生産にしろ、どういう生産にしろ、そのいわゆる率で報酬をロッキード社から受けていた丸紅が、従来の防衛庁の購入方式からは全く考えられないようないわゆるその契約方式を、昭和四十七年の十一月一日に結んでいるわけであります。従来の商慣行では考えられない契約を結んでいるわけですね。その確かな情報というのは一体何か、これを明らかにする以外にないわけです。そこで、確かな情報というのを、檜山さんに確かな情報を与え得る人物、これはもう限定されてくるわけですね。そこで私は、この確かな人物というのは、現実に昭和四十七年の八月の二十六日、あるいは二十三日ということも言われておりますが、田中・檜山会談あるいは田中氏がニクソンとのハワイ会談が終わりまして、日本に帰ってから会った十月十四日の田中・檜山会談、この二つの会談が私は何らかの影響を与えたのではないかと判断をいたしておりますのですが、この点については検察当局はどうお考えですか。
  119. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 公にされております報道によりますと、いま峯山委員指摘のとおり、田中・檜山会談は、昭和四十七年八月の二十六日と、同じ年の十月十四日の二回あることは承知いたしておりまするが、それがどういう意味合いを持つかということは、まさに捜査内容に関することでございますので、申し上げることはできません。
  120. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 当然、この点が非常に重要な問題であろうと思います。先ほども質問の冒頭に申し上げましたように、八月の二十日の日にコーチャンが来日をいたしております。そうして八月の二十六日に田中・檜山会談が行われております。そうして、その後のいろいろな日程等、それぞれあるわけでございますが、コーチャン証言によりますと、この間——この間というのは八月二十日から十一月三日までを指すと思います。その間、児玉小佐野両氏と会合を重ね、売り込み戦略を練ってもらいましたと、ある時点では、政府のいろいろなレベルに誤解もあったこともあり、それが私のねらいを御破算にしかねなかったので、両氏に頼んでさまざまな人に接触をしてもらい、誤解を解いてもらいました、という証言がございます。ここら辺のところから言いますと、これは非常に私は的を得て証言をしていると考えるわけです。ここら辺の問題については捜査当局どうお考えですか。
  121. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いまお読み上げのような証言が公聴会においてなされたことにつきましては、私も承知をしており、捜査当局も承知しておるはずでございますが、そのことをどう評価するかということは、これまた捜査内容に関連することでございますので、控えさせていただきたいと思います。
  122. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ少し変えて質問します。  したがって、檜山氏がどうしてこういうふうな契約を結んだのか、この問題を解明するためには、どうしてもこの田中・檜山会談、それから田中・コーチャン会談、そして田中・コーチャン・檜山会談、この三つを除外しては私はPXLの解明はできないのではないか、こういうふうに考えているわけですが、この点についてはどうです。
  123. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 田中・コーチャン会談につきましては、昭和四十七年一月二十五日に一回会ったという報道がなされておるわけでありまするが、そのような田中・コーチャン会談、あるいは先ほどの田中・檜山会談等がいわゆるロッキード事件の真相解明の上に持つ意味については、いま峯山委員一つ見解をお述べになりましたが、私どもとしてはその見解を承るだけでございまして、これ以上のことを申し上げる立場にはございませんことを御理解いただきたいと思います。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構です。  いずれにしましても、私が判断いたしますのに、当時の檜山氏がこれだけの契約を結ぶからには、長年の商慣習を破って一機当たりというような契約を結ぶからには、檜山氏にそれだけの影響を与えた者がいるんではないか。この点はこういうぐあいに判断せざるを得ない。捜査当局は、その捜査内容に入りますのであれでしょうけれども、そういうぐあいに私は判断をするわけです。  そこで、もう一点私は捜査当局にお伺いしたいことがあります。これは、このピーナツ、ピーシズ五億円、これは現在大きな問題になっているわけでございますが、その前のユニットを含めましても六億二千万ですね。この丸紅とロッキード社の間の契約の中身というものを見てみますと、もうすでに御承知のように、部屋割りですね、たとえば次の間つきの部屋をどうこうせいとか、たとえばロッキード社売り込みに当たっての運転手つきの自動車をどうせいとか、部屋の雑役夫をどうせいとか、そういうふうな、ロッキード社との契約というのは非常に細かいところまで契約が行われております。そういうふうなシステムから考えてみますと、少なくともこの六億二千万というお金が、丸紅が電話をじゃっとして、ロッキード社からお金だけぽんと送ってくるようなことは私は全く考えられないのではないか、こういうふうに思うわけです。現在明らかになった私たちの手元にある領収書、そういうふうなものから考えてみましても、現在まで明らかにしてまいりましたこの契約の形態から考えても、私は考えられないと思うのです。  そこで、そういうふうな観点から見ますと、ロッキード社と丸紅の間に少なくともこの六億二千万の移動について、金品の移動、送金等について何らかの秘密契約があるのではないか、こういうふうに思うわけです。ただ単に秘密契約だけではなくて、さらには、何といいますか、丸紅とロッキード社の中でなされておりますレター、こういうふうなものの往復というものが何らかの形であったんではないか、こういうふうにも考えるわけですが、こういう点については捜査当局はどういうふうにお考えなんでしょう。
  125. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘のように、ユニット領収書に見合う一億二千万円、それからピーナツ、ピーシズ領収書に見合う合計約五億円の金が丸紅に一たん入り、そしてそれが、昨日起訴いたしましたように、檜山から五億円については田中総理らに支払われたという検察当局は判断をしているわけでございますが、いま御指摘のように、このような金がいかなる趣旨のものであったかということがまさに解明の対象になっていることでありますとともに、いままさに田中総理に関する外為法違反の関係捜査内容にもかかわることでございますので、いまの段階で、結局それは契約があったかどうかということを含めて、それがどういう趣旨のものであるかということにつきまして、この段階で申し上げる立場にはないこともひとつ御理解いただきたいと思います。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官まだですか。——それではもう一点、もう一回お伺いしておきます。  この六億二千万の現実に丸紅の領収書があるわけですが、この領収書の金銭の授受には、少なくとも、いま私がずっと質問をしてまいりましたが、この質問の過程から考えてみましても、契約の文書が必ずあるべきである、あると私は確信をしておるわけです。それで、その文書が現在までどういうような文書であったのか、あるいはどういうような契約であったのかということは、その気配すら現在私たちの目の前にはあらわれていないように思うんです。そういう点からいきますと、あるいはすでに捜査当局では押収していらっしゃるかもわからないわけですね。押収されていらっしゃっても、とうていいまここで説明しろなんと言いましても説明していただくわけにはいかないと私は思うんですけれども、しかし、もし押収されていらっしゃらないとすれば、これは会社ぐるみで丸紅が証拠隠滅をしているのではないかということも、そういう懸念も抱くわけです。そういうふうに、考えてみますと、証拠隠滅ということであれば、証拠隠滅の事実があれば、これはそれ相当の別個の逮捕者なり、そういうような者が丸紅の中から出てくるであろうと思いますし、また、まだ証拠隠滅をしたなんという事実も聞いておりませんし、もしそういうふうな証拠隠滅の事実があるとすれば、これは一般的に考えて逮捕するということがあり得る、そういうふうに考えるわけですが、ここら辺の点については、捜査当局はどこら辺までおつかみなんでございましょうか。
  127. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いまお尋ねの趣旨は、要するに一億二千万、あるいは五億円という金の受領についての具体的なそれを認定する資料は何かということにもつながるお尋ねでございますと理解をいたしますと、すでに檜山、大久保につきましては、特に檜山につきましては外為法違反ということで公判請求をいたしておりますので、遅くとも公判の期日におきましては、それらのピーナツ、ピーシズがどういう理由から入ったのかということは公判廷で明らかにしていくことが当然に予想されますので、それまでひとつ申し上げることを御勘弁願いたいと、かように思います。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官まだ来ませんか。
  129. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) もう一、二分です。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうですか。——やりましょう。  まず、法制局長官にお伺いをいたします。  まず、憲法第六十六条第三項に「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」ということがございますが、この問題についての解釈を一遍ちょっとお聞きをいたします。
  131. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 憲法六十六条第三項は、ただいまお述べになりましたように、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と、こういうふうに定めております。この趣旨はどうかということでございますが、これは、行政権は内閣に帰属しております。で、内閣がそのみずからに帰属する行政権の行使につきまして、国会による民主的なコントロールのもとに置くということがねらいでありまして、現在在任している内閣がその行政権の行使についての責任を負う、そのあり方の基本を示しているものである、こういうふうに考えます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その現在在任しているということ、いまおっしゃいましたが、現在問題になっておりますのは、当時の田中内閣総理大臣——当時の総理大臣ですね——職務権限に関していわゆる収賄をしていたということに、まだなってないわけですが、もしなったとすれば、当然この六十六条の連帯責任が国会に対して発生すると、こういうふうに私は考えるわけですが、この点どうです。
  133. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) ただいまお述べになりましたような事態が仮に将来明らかになったといたしましても、その問題の内閣はすでにもう総辞職しておりまして、現在の内閣がその前任者である前の内閣のときの行政権の行使なりあるいはいろいろ施策について責任を負うということを六十六条三項から読み取ることは無理であろうというふうに考えます。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、現任してないから、その内閣は総辞職しているから責任は問われない。そうですけれども、もしたとえば——その内閣が現在まだずっと続いているということはあり得ませんわ、こんな長く続くわけないんですから。続いていたとすれば、当然問われるわけですか。
  135. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 仮の話なんですけれども、不祥事を起こした内閣がずっと現存しておると、それがかなりの期間を経てから発覚したといいますか、言葉は悪いかもしれませんが、そういった場合にはどうなるかという御質問だろうと思いますが、それが行政権の行使にかかわるものであれば当然六十六条三項の規定の対象になります。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、当時副総理大臣でこの問題に関与していた三木総理、いわゆる当時の副総理辞任をしていないわけですけれども、現在は総理大臣としているわけですが、これは要するに、この場合、具体的に法的責任はないかもしれませんね、当時の内閣は総辞職してないわけですから。しかしながら、政治的責任というのは当然負うわけでしょう。これ、どうです。
  137. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) もともと六十六条三項に言っている、連帯して国会に対して責任を負うという場合の責任は、これは法律上の責任というよりも、むしろ政治的責任であるというのが一般の説でございますので、おっしゃいますように、もともとが法律上の責任という問題ではございません。  それから、いまおっしゃいました、現在の三木総理が当時副総理でいらっしゃったわけですから、だから六十六条の第三項の規定から言っても当然現在なお国会に対して責任を負うべきではないかというふうな御質問でございましょうけれども、しかし、三木総理について申し上げますと、田中内閣が総辞職した後に国会において新しい内閣の首班として指名を受けているわけでございますから、むしろ信任を受けたと言ってもいいんだろうと思うんです。ただ、ですからそういうかた苦しいこととは別に、六十六条第三項とは別に、三木総理として政治的道義的責任をお感じになるかどうか、それは実は政治家の方々の御判断になることでございまして、私から申し上げる筋合いではございません。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まじめに答弁してもらいたい。  官房長官、お見えになりましたので、お伺いします。ただいまの政治的道義的責任の問題については後ほどお伺いします。  そこで官房長官に、いまいろいろと問題になっておりますが、政治日程ですね、今後の政治日程についてどうお考えなのか、ちょっと一遍初めにお伺いしておきたいと思います。
  139. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) お答えいたします。  政治日程とおっしゃいますのは、たとえば臨時国会をどういうふうに召集をするかというふうなことにわたるのであろうかと思われますが、ただいまロッキード事件の解明という問題が一つございますと同時に、前国会積み残しの、私ども非常に責任を感じております財特法その他の合わせて三法案、こういうものを仕上げていただかなければならぬのでございますが、その国会召集のめどというものは諸般の情勢を勘案して決めなければならぬものと心得ておりますが、この際、野党の皆様の御感触なども確かめる必要もあろうかと、いろんな状況を慎重に配慮して臨時国会の日程等は決めたいと思っておりますが、まだ明確に、きょうここでいつどうというまでには立ち至っておりません。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官は去る二日の記者会見で、特に稻葉法務大臣が最近この問題について種種発言していらっしゃるわけですが、この問題について法務大臣が一週間か十日すれば事件は山を越し、臨時国会は早くても二十五日以降からで、会期は四十五日から五十日、会期は十月十日までで、十一月の第一日曜日、七日が選挙の投票日、こういうぐあいに発言したのかどうか、本人きょう出席ありませんので、確認はできませんがね。こういうように現実に報道されているわけです。この臨時国会の召集時期などは、政治日程はきちっとした機関で決めることだと、こういうぐあいに官房長官おっしゃっているわけですが、現実に、今回のロッキード事件についての稻葉発言をずっと総合して見ておりますと、何となくあの人の言うとおりになってきているわけですね、これ。そういう点からいきますと、政府・自民党の首脳会談でも大筋はそういうふうに決定されているんじゃないか、過去のいろんな発言内容から見ても、そういうぐあいに判断するわけです、われわれとしては。ここら辺の問題は、官房長官、正式のところですから、もう少し言っていただきたいと私は思うのですがね。
  141. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) いま御指摘のように、四国における稻葉発言一つはロッキード問題に言及されておりますし、もう一つは政治日程に触れておる点は仰せのとおりでございます。私は、稻葉さん、お立場上ロッキード事件に対しまする認識は私どもより正確にお持ちだろうと思いますので、それはその限りにおいては稻葉さんの見通しというものを尊重しなければならぬと思いますが、しかし、政治日程となりますと、これは政府で、あるいは国会における、さっき申し上げましたような御感触も確かめて、そして一法務大臣の個人的な見解というふうなものでなく、きちんと決めなければいかぬというふうに、私、会見で申したような次第でございます。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官、そうおっしゃいますが、法務大臣大臣のおっしゃったことを聞かれて、すぐ、あの問題は確かに一政治家として個人的見通しだと、こういうぐあいに法務大臣は釈明しながらも、しかしながら、そうかといって政府・自民党首脳会談で話し合われていることと格段の相違はないと、こういうぐあいに法務大臣はすぐおっしゃっているわけです。結局、稻葉発言に近い日程で今後政治日程が進行する可能性はあるんではないかと、こう考えるんですが、これはどうです。
  143. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) まあ稻葉法務大臣、なかなか直感というか、洞察をよくされる方のように評価をなさいましたですが、私はやはり政治日程につきましてはいろんなまだ未知数のようなものもございまして、新聞記事にあらわれておるように、そうばかりのものではない。まあわれわれとしてはそういう点を十分に慎重に配慮をして、今後国会を開く場合等野党の皆さんにもお願いをいたしたいと、かように思っております。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 刑事局長にも一言聞いておきたい。  稻葉発言に関連をいたしまして、法相は大物民間人の逮捕の可能性をにおわせておるわけですが、その部分について、捜査当局報告に基づいたものではない、大臣が独断で言われていると、こういうように談話が続いて載っております。とすれば、法務省当局としては——その法務省の幹部の見解が現実に載っているわけですけれどね。とすれば、この問題について大臣に対して捜査経過なり状況なりについて何も報告していらっしゃらないのかどうか、これはどうです。
  145. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 法務大臣は、かねがね申されますように、検察当局を信頼して、その検察の良識に従って捜査権を行使するようにということを申されておりまするが、組織上法務大臣をつんぼさじきに置くべきではないわけでございますので、重要な事柄につきましては常に事前に御報告を申し上げて、その御指揮を仰いでおるわけでございます。ただ、それは常に重大な問題について申し上げておるわけで、細かい捜査内容、計画というようなことで一々申し上げるというようなことはいたしておりません。ただし、重要なことにつきましては必ず事前に報告をしておるわけでありまするが、今回の民間人の取り調べ云々の問題と、あるいは捜査が数日で山を越すというような事柄は、これは私ども報告したことでなくて、法務大臣の従来の御経験に基づく一つの御推測として申されたことと考えております。
  146. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官ね、少なくとも法務大臣ともなれば、今回のロッキード疑獄事件の捜査の中心にいる現職の法務大臣であります。この現職の法務大臣が毎週毎週、週末になりますと派閥の演説会に出かけまして、それで言いたいほうだいを言ってくる、それでそれが毎週この委員会で問題になる。あるいはこういうことは実際問題捜査の公平という問題から言いましても、やはり私は好ましいことじゃないんじゃないかと、こういうふうに考えるわけですがね。官房長官どうお考えです。
  147. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) 確かに稻葉大臣、話題を提供されておるようでありますが、しかし同時に、あの人らしい、何と言いましょうか、人柄ということにもなりますけれども、そういう意味で稻葉さん——まあ私一生懸命やっていらっしゃると思うのですが。そこで、きょういま御発言のありましたようなことは、私からもよく伝えてまいりたいと、こう思います。
  148. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで、先ほど官房長官お見えになる前に、法制局長官と政治的責任の問題についてちょっと議論をしておったんですが、今回のロッキード事件というこの問題、特に前の総理大臣である田中角榮さんが逮捕されたというような重要な事態になっておるわけであります。そこで、私は今回のこのロッキード事件について政治的道義的責任というものを現在の三木内閣はどういうふうに考えていらっしゃるのか、この点、まずちょっとお伺いしておきたい。
  149. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) この事件の発生いたしましたようなその時点におきまして、いまの三木総理が直接関連のある立場におったとは申しがたいと思います。しかし、これ、自民党内閣という一つの継続性、こういうものからいたしますると、この事態まことにゆゆしいものであると、こういう認識を総理みずからも持っておられますことはしばしばここでお答えをしておるとおりでございます。したがいまして、御指摘の政治的道義的責任を果たすということのためには、何としましても真相を解明をする、そしていやしくも今後かようなことが二度と再び起こらないような措置、それは政治の粛正といいますか、改革といいますか、そういうことに力をいたすのがいまの三木総理に与えられた本分ではなかろうかと、こう思う次第でございます。
  150. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 長官、この憲法第六十六条からいうところのいわゆる国会に対する連帯責任というのは、先ほどの法制局長官の答弁でいきますと、その内閣がいわゆる解散する、いわゆる総辞職をするということになってしまうと、その時点で一応解消するような形みたいな答弁がございましたが、政治的責任というものは一体いつ解除されるのか。長官は、いわゆる政治的責任ですね、その場に居合わせた政治責任というものはいつ解除されるとお考えですか。
  151. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) 憲法なり法律なりの解釈は真田長官が言われましたとおりと思いますが、いま日本を覆っております政治不信というふうなものにかんがみましても、現職の総理としてのこれに処する道というものは、これは私は大変厳しいものだ、こう思うのでございまして、それを一体どういう形でその責めを果たすか、まあ総辞職論みたいなものも出ておったようでございますが、そうすることが一体適当なのか。私はむしろそうではなくして、これを下手に無責任に放置するというふうなことであってはならない、あくまで真相を解明することによって二度とこれを繰り返すことのないような手だてを講ずるのが政治責任、道義責任を果たすゆえんであろう、こう思っております。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最後にお伺いします。  長官、私は、政治的責任というものは少なくとも政治家である以上生涯つきまとうと思うんですよね。当然生涯負うべき責任があると私は思うんです。そういう点から言いましても、この政治責任というのは、その人が幾らいいと思ってやったとしても、現実に結果として国民を苦しめ、国民に対して不利益なこととなってしまったというんでは、これはそこに当然責任が発生する、政治責任というのはそういうものだと私は思うんです。その人が幾らいいと思ってやったにしても、結果として国民に大変な迷惑をかけ、国に大変な迷惑をかけてしまったということになれば、そこには当然大きな責任が発生すると私は思うんです。そういうふうな意味から考えてみましても、二度とこういうふうな事件が起きないようにするためにも、あるいはこの問題をはっきりさせるためにも、当然私は、三木内閣はもうこの時点で総辞職して、そして国民に信を問うということも大事だろうと私は思うんです。  さらには、もう一つの大きな問題点であります国防会議の中身の問題というのは、きょう時間ございませんから詳しくやりませんが、国防会議のたとえば議事録そのもの一つにしても、きちっとした議事録をとって、いざというときに公表できるような体制、そしてそういうふうな重要な問題についてさらに今後研究しなければならない問題が多々あるんじゃないかと思うんですが、こういう点の、二、三言いましたが、見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  153. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) 総理なり、あるいはわれわれの置かれておりますいま現在、いまの瞬間というものが、考えますと、本当に恐ろしいぐらいの思いでおるわけでございます。後世史家の審判をまつなんという悠長なものじゃなくして、いまおっしゃるように、政治というものは動機よりもその結果について責任を負わなければならぬものだと、私はその点同感でございます。そういう意味で、法を誤りなく対処したい。そのためにかえって問題を放てきして、そこから生ずる混乱というふうなものを招来したんではかえってどうも無責任だという感じを持っておるわけでございます。  それから、国防会議の点にお触れになりました。これは御意見のほどをよく承りまして、改善すべきものはしていかなければならないと、こういう次第でございます。
  154. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  155. 橋本敦

    ○橋本敦君 田中角榮の逮捕によりまして、捜査もいよいよ核心の一角に迫ったということで、現在検察庁田中角榮の被疑事実、外為法違反だけではなくて、贈収賄の立証に向けて全力を挙げて取り組んでいることと期待をしています。  ところで、この疑獄事件の真相の徹底的解明、刑事責任の追及ということになれば、小佐野賢治氏を取り調べなければならないというのは、今日もはや国民常識となっているとさえ言っていいと私は思います。たとえば、私が調査のためにアメリカにおりましたちょうど三月一日、ニューヨーク・タイムズはかなり長い記事を書きましたが、その中でこういう言い方をしている。児玉は、第一次FX戦争において、金と政治家を使ってロッキードのためにグラマンに勝利をした。しかし、彼は第二次FX戦争で敗れた。この経験から児玉は金を使うと同時に、国の政策決定の最高中枢部に食い込む政治工作が必要であることを痛感をした。ちょうどそのとき児玉はよき知り合いと友人を得たのである。つまり、佐藤内閣の最も有力な後継者と見られている田中角榮、そして自分とをつなぐ切っても切れない友人小佐野賢治氏を彼は見出した。このつながりによって彼はロッキードのための工作に成功するに至るのだと、こういう記事が報道されていた。私はこれを読んで、なかなか的を射た分析力、それに基づく記事だと理解をしたわけですが、一方、コーチャンは、何度も言われているように、小佐野賢治氏、彼が児玉氏と組んでコーチャンのために売り込み戦略上重要な役割りを果たしたと、コーチャンは小佐野賢治氏の役割りを称賛をしている。こうなりますと、この小佐野賢治氏を取り調べることは真相の核心に触れる問題として当然必至の情勢であると私は見ていますが、刑事局長、いかがでしょうか。
  156. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 橋本委員指摘のとおり、いわゆるコーチャン証言等におきまして、ロッキード事件に関する関係におきましての小佐野氏のある程度の役割りということをコーチャン証言証言していることは事実でございますし、ロッキード事件の真相を解明するということの使命を持つ検察当局としては、さようなコーチャン証言にいわゆる関心を持っていることも事実でございます。しかしながら、お尋ねのように、当然取り調べるべきであるというような御意見は御意見でございまするが、小佐野氏に対してどういう対処の仕方を捜査当局がするかということは、この段階では申し上げるわけにはまいらないことも、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  157. 橋本敦

    ○橋本敦君 どういう対処の仕方を、ここで刑事局長から伺おうとは私も思いません。しかし、真相解明のために、捜査当局として小佐野氏を取り調べる必要があるという観点に立って検討を加えているということは、これは事実であればおっしゃっていただいて差し支えのない状況ではないかと思うのですが、いかがですか。
  158. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いつもお願いすることで恐縮でございますが、特定の人をお名指しになって取り調べるつもりがあるかどうかということは、何人といえども、ひとつ御勘弁をいただきたいと思いますが、私が先ほど申しましたように、捜査当局コーチャン証言には関心を持っているということは事実でございます。
  159. 橋本敦

    ○橋本敦君 含みのある答弁のまま終わりましたが、すでに多くの人が知っているように、この小佐野氏と片や田中氏とは刎頸の友と言われる仲である。そしてまた、この小佐野氏は児玉氏ともかねて親しい間柄であると言われている。ついこの間も私の質問に対して法務大臣は、国民相互銀行の児玉に対する株の名義貸し問題に関して、単なる茶飲み友達とは言えないでしょうということも言われた事実もある。私はこのような一方で田中氏、そして一方で小佐野氏、そして児玉氏、こういう関係は一体どういう関係なのだろうか。私はこれは今度の疑獄事件で明らかになったけれども、まさに日本の政治の中枢部に食い込んで、政治の最高権力の地位、これと深く結びつきながら、まさしく国民不在の悪徳不法の巨利を目指していく黒いシンジケート集団、こう言っても差し支えないのではないかと思うぐらいであります。私はこの問題できょうは小佐野氏の疑惑を中心に、政府当局の見解をただしていきたいと思いますが、まずこういった原型は十年前にさかのぼる一九六五年のいわゆる三和・千葉銀行事件、この問題に一つの原型を見ることができるし、この事件を通して小佐野氏と児玉氏との深いつながりは一層緊密化されたと世上言われている。そういう意味でこの事件に注目をしたいのですが、まず私は公取委員会に聞きます。  この三和・千葉事件について公取委員会として調査をしたことがありますか。そして私はこの問題についての公取委員会調査は当然三和系の千葉銀行株の買い占めという問題で、独禁法が禁止している一金融機関が他の一〇%以上の株式を取得してはならないという独禁法、これに違反するという容疑で調査をされたのではないかと思いますが、まずこの点を明確にしていただきたい。
  160. 野上正人

    説明員(野上正人君) お答えいたします。  公正取引委員会といたしましては、昭和四十年の六月、三和銀行が千葉銀行の株を一〇%超えて持っておると、これは第十一条の制限を超える第十七条の規定に違反するということで審査をいたしました。
  161. 橋本敦

    ○橋本敦君 その違反容疑の調査の結果はどうなりましたか。
  162. 野上正人

    説明員(野上正人君) 審査いたしました結果、審査中にそれぞれこれら会社の株式を処分いたしまして、三和銀行も一〇%から八・六%ですかに減らしまして、違反被疑事実が消滅いたしましたので、翌七一年ですか、七月に不問処分といたしました。
  163. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、調査した時点では独禁法違反の疑いは十分存在をしたということは言えますね。
  164. 野上正人

    説明員(野上正人君) 疑いがありますので調査をいたしたぐらい……。
  165. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、この株の買い占め事件というのは、これはちょうどわが国の高度成長期に見合って三和銀行がいわゆる京葉コンビナートの発展に目をつけ、そして千葉銀行を傘下に置いて大きく発展しようとすることをねらったものだと言われている。もともとこれがどういう事件から起こったかと言うならば、この三和銀行の大株主であった日活の社長をしていた堀久作氏、彼が持っていた株を実は塚本素山に売らせる、このときに児玉の圧力が働いたと言われている。そしてこの塚本素山が持っていた約一千万株近い株、この株を今度は小佐野と組んで三和銀行が買い取るということで、三和が千葉銀行を系列下に置いていくということが事件の筋書きになっていると言われている。大体いま私が話したような筋書きに事実相違ないかどうか、公取委の方の調査の結果をもう一度お答え願いたい。
  166. 野上正人

    説明員(野上正人君) お答えいたします。  その点につきましては、われわれとしましては、十年前のことでございますので、はっきりしたものがございません。ただ、国際興業が一応買い取ったという事実はございます。
  167. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ、重ねて聞きますが、小佐野氏の国際興業が塚本素山の株を買い取って、またたく間に三和及び他の関連企業にこれを分散をしたという事実は間違いないでしょう。
  168. 野上正人

    説明員(野上正人君) 国際興業が一応買い受けまして、それを各三和系の企業に分割したと思います。三和銀行それ自体にも一〇%譲渡したという事実はございます。
  169. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、もう一つの問題は、この小佐野氏、国際興業が買い取った株を三和及び三和系企業に分割するに対して、一株二百四十円あるいは二百四十五円と言われていたものを二百七十五円ということで操作をして約一千万株、この株を国際興業から三和系に切りかえるだけで一挙に三億五千万円、これを小佐野氏が取得したということも当時問題になったのですが、そういうことは当時公取は耳にしておられましたか。
  170. 野上正人

    説明員(野上正人君) その点私は承知しておりません。
  171. 橋本敦

    ○橋本敦君 私の調査ではそういう事実がはっきりしている。  ところで、単に問題はこれだけではありません。このときにこの三和系への株の譲渡、これに関連をして塚本素山が田中角榮氏に謝礼を贈ったという話を私ども調査でつかんでいる。これには大変大きな落とし話までついていて、川端竜子が描いたコイを持っていったら、田中総理はそんな物は要らぬ、私の池には一匹百万以上のコイがうようよしている、見たらどうか、こう言ったという話さえもついているぐらいの話が当時伝わっている。金額にして二千万円の謝礼を払ったというのです。当時の大蔵大臣田中角榮であったことは明らかである。それじゃ、田中角榮がどういうことでこれにかかわりを持ったかということになりますと、当時言われていたのは、一つは非上場株であった千葉銀行の株、これの価格が消息通では百七十円ぐらいと言われていたのを田中角榮が二百四十円というように値を定めて売買の仲介をしたということと、いまあなたがお答えになった公取の独禁法違反の調査、この調査に絡んで独禁法違反の疑いを解消するためにいろいろと工作をし、知恵をつけた、こういうことの謝礼だと当時報じられていた。こういうような関係で当時の大蔵大臣——田中角榮であったわけですが、この公取委員会調査を中止したという事情の裏に大蔵関係から何らかの働きかけその他があったかどうか、この点はいかがですか。
  172. 野上正人

    説明員(野上正人君) そういう事実はないと思います。
  173. 橋本敦

    ○橋本敦君 公取の立場ではそういう事実はないと否定されるけれども、依然としてそういう疑惑は、われわれとしては解消できない具体的な事実関係関係者から聞いているのです。ちなみに大蔵省からきのう提出をされた現在の千葉銀行の主要株主名及び株式数についての資料をいただきました。これを分析をしますと、主要株主——筆頭は三和銀行二千五百八十六万八千株、これを所有しております。そして三和系の会社が大株主の中に名を連ねておりまして、たとえば宇部興産、日本火災海上保険、第百生命、日商岩井、大林組、日立造船、こういった会社は三和系企業だといわれている。これらの会社が持っている千葉銀行の株を総計しますと、これは七千百六十九万一千株に及び、主要株主の中のパーセンテージは七二・四%に及んでいる。こういう状況は、これは事実上独禁法十一条を蝉脱し、これを免れる十七条違反の疑いが現在でもあるのではないかと私は思いますが、公取の見解はいかがですか。
  174. 野上正人

    説明員(野上正人君) 現在、言われますとおり、株主構成はそうなっておりますが、それだけをもって直ちに十七条違反というふうには、私どもそれだけでは考えられないと思います。
  175. 橋本敦

    ○橋本敦君 しかし、それだけでは考えられないと言うけれども、実際にこのような関連会社が三和系として株のほとんどを持っているということの中で銀行の運用なり、役員の派遣なり、そしてまたこの株の買い受けについて三和銀行が資金を出しているというような事実が出てくれば十七条違反になるということは明確ですね。いまの私の前提で物を言ってください。
  176. 野上正人

    説明員(野上正人君) 事実につきまして調査しなければ、現在の段階ではお答えいたしかねます。
  177. 橋本敦

    ○橋本敦君 いいです。だから、調査をした結果、私が指摘したような事実があるとすれば、現在でも独禁法十七条違反という疑いがあり得ると、あり得るということを私は指摘しておきます。  さて、この関係でいま話したように、小佐野氏と児玉氏とは一層深いかかわりを持つようになった。そしてまた、田中氏が大蔵大臣時代の出来事であるという事実も明らかであります。  私は次に、この小佐野氏が一体どれだけ巨額の資産を形成してきたかという問題に関連をして、これから事実を明らかにしながら聞いていきたいと思います。  まず、小佐野氏は一九七三年九月十四日付のある週刊誌で「わが金銭哲学」というこういうところで次のようなことを言っている。私は、財産は四等分して持つべきだと思う。かねがねそう思っているのだが、現金、有価証券、不動産、もう一つは海外資産である。こういうぐあいに財産を四等分しておけばいかなる事態が起きても困らないと、彼はこの週刊誌の中で述べている。小佐野氏が言う「いかなる事態」とは、今日のロッキード疑獄事件を予想したかどうか、私はもちろん知りませんよ。知りませんが、彼はこういう思惑で、それではどのように海外資産をふやしていったか。小佐野氏のハワイヘの進出の問題についてこれから私は質問をしていきます。  これに関連して、答弁資料として国税庁、大蔵省、刑事局長小佐野氏のハワイにおけるホテル等の取得の経過を私の方で一覧表にまとめておりますので、大変ややこしいですから、これをごらんいただきながら私の質問を聞いて答弁をしていただきたい。参考資料です。委員長よろしいでしょうか。
  178. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) はい。
  179. 橋本敦

    ○橋本敦君 (資料を示す)まず、その表を見ていただきたいのでありますが、小佐野氏が最初にハワイに進出をして京屋レストラン、これを買収いたしましたのが一九六一年。その取得価格は三十万ドル、約一億円と言われています。この金は小佐野氏は私ども調査によればバンク・オブ・アメリカ、バンク・オブ・ハワイから調達をしたと、こう言われているのですが、いよいよホテル買収が始まってまいりますのは明けて一九六三年以降であります。一九六三年にプリンセス・カイウラニ・ホテルを小佐野氏は八百七十万ドルで買い受けました。次いで同じ年の十二月モアナホテル、サーフライダーホテル、この三つを買収いたしました。このサーフライダーホテルは、問題の四十七年八月末ニクソン・田中会談が行われた際に、この日本田中角榮以下の代表団一行が泊った有名な小佐野所有のホテルであります。この三つのホテルを買収したその後で、一九七四年に入りますと、さらにシェラトン・ワイキキ・ホテル、ロイヤル・ハワイアン・ホテル、マウイ・シェラトン・ホテル、さらにこの三つのホテルを総額約四百億円、米ドルに直して一億五百万ドル弱で買収をするというようになっていきます。こうして小佐野氏はいまやホテルの室数で言えば数千、まさにヒルトンに次ぐホテル王と言われる、そういうところまで大きくなっていくわけでありますが、これだけではない。そこに至るまで六四年にはモアナ、サーフライダー、このホテルに隣接をする広大な土地を二百四十八万五千ドルで買う。さらに六四年、同じ年にはこれで買い占め土地にホテルを建てて七百万ドルを使っている、こういう状況であります。いまこのようにして小佐野氏がハワイで蓄積をした海外資産は約九百億円と見積もられているそうでありますが、その半分、四百五十億円が海外における資金調達と、こう言われている。小佐野氏はある週刊誌の中でみずからハワイヘの投資には百五十億円を投資したと、こう言っておりますが、それは少ない見積もりであろうと私は思う。  そこで、最初にまず私は大蔵省に伺いますが、最初に小佐野氏がプリンセス・カイウラニ・ホテルを取得したときに、一九六三年——昭和四十八年ですが、当時の大蔵大臣田中角榮、このときに三百万ドルを彼は日本から海外投資として資金を持ち出すについて大蔵省の認可を受けたと、これは一九六五年三月十五日号の「財界」という雑誌の中で語っている。これを許可した事実は間違いありませんか。大蔵省答弁願います。
  180. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) お答え申し上げます。  特定企業の海外投資状況についての個々の許可の内容等につきましては、個別の企業の関係に係ることでございますので 答弁を差し控えさしていただきたい、このように思います。
  181. 橋本敦

    ○橋本敦君 けしからぬですよ。個々の企業であっても海外投資、円の持ち出し、外貨の持ち出し、これは国の政策として厳重な管理のもとでやられている。そのために外為法があるわけですよ。だから、個々の企業であっても大きな問題について国会で問題になれば、国の政策に間違いがあるかないかとただしていくのは国政調査権の当然の責務ですよ。なぜこんなことが答えられません、答えてください。許可したかどうかさえ答えられないというのは、委員長おかしいですよ。答えさせてください。
  182. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) ただいま申し上げましたように、個々の案件の一つ一つ内容、金額等につきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思いますが、御指摘のような時期におおむね御指摘のような件についての許可はいたしております。
  183. 橋本敦

    ○橋本敦君 素直に答えていただければいいわけですよ。  この三百万ドルに続いて、小佐野氏はさらにモアナホテル、サーフライダーホテル、これを六三年十二月に買うときに三百五十万ドル外貨を使うことを許可を得たと、こう語っております。これはその当時持ち出しを許す政府の限度額、最高限度額であったということも言われています。  さらに続いて、一九六四年に土地を買う際に二百四十八万五千ドル、この許可も得たと、小佐野氏は雑誌の中で語っております。私は、不法に許可も得ないで彼がやったというように言いたくありませんから、いまのお言葉を援用してこれら全部許可されたものと、こういう前提で議論を進めてまいりますが、以上の総計だけで八百九十八万五千ドル、実に三十二億四千万円を小佐野氏は海外投資に日本から持ち出しているということになるわけです。  ところで、大蔵省に聞きたいのですが、一九六〇年代の初め、この外貨について大蔵省はどのような態度をとっていたであろうか。  その前に、私は一つの事実を指摘します。ハワイにおける日本の主要投資、これを明らかにした一覧表がジェトロから発行されていますが、これによりますと、小佐野氏がハワイに進出をする一九六三年まで、国際興業がハワイに進出するまでに、いま言ったような何百万ドルという多額のレジャー産業投資をした企業は一つもない、これが初めてであります。そして小佐野氏が三つのホテルを六三年に買い、さらに続いてワイキキの三つのホテルを取得すると、こういうようになっていく七二年、七三年以後になりますと、大林ハワイあるいは東海不動産、日航、ダイエー、東急あるいは伊藤忠、住友不動産、西武グループ、どんどん進出をしていきます。まさに小佐野氏のハワイ進出は、こういった不動産進出、第三次産業進出の真っ先を切って行われたという状況がこの一覧表によって明らかであります。  ところで、私は大蔵省に伺いたいのは、一九六三年までに、六〇年代に入ってもこのような第三次産業あるいは不動産収得について外貨の持ち出しを許可した事例はないと。なかった理由は、この当時大蔵省当局はどういうたてまえをとっていたかというならば、この外貨持ち出しに対しては、国策上厳しい制限を考えていた。たとえば対外投資の許可、不許可を決める基準として、大蔵省当局はまず第一に、日本の国際収支に悪影響を及ぼさない、国内経済に重大な支障を来さない、被投資国の政情を考慮して指導する、そしてそれが被投資国における過当競争を来さないというような問題を考慮し、さらには日本全体の国際収支上のリスクを十分に考慮した上で、そして海外投資はわが国の国際収支改善に役立つものでなければならないという国策的な見地から、ケース・バイ・ケースで許可、不許可を検討していたと、こう伝えられている。大体いま私が調査をし、その他の資料によって大体の基準をいま申し上げたわけですが、六〇年代当初においてこのような国策上の厳しい外貨持ち出し制限、こういうたてまえで、大蔵省が取り組んでいた事実は間違いありませんか。
  184. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 御指摘のとおり、当時はわが国の国際収支の状況、それから外貨準備の状況も現在のような豊かなものではございませんで、したがいまして、外為法関係につきましてもそれなりの規制をしていたわけでございまして、海外投資につきましても、一件一件審査をいたしました。ただいまお話しのございましたような、主としてそういう基準から個別の審査をしていた次第でございます。
  185. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、したがって、六三年に一挙にして三百万ドル、約十億を超すこれだけの外貨を海外投資で持ち出すということを許可するには、これは通常ならばなかなか容易でなかった事情が見とれると私は思う。たとえば一九六三年七月十一日付のハワイ報知という新聞によると、こう書いてある。小佐野氏のホテル買収交渉については「四月ごろからあったもので、日本政府の許可をとるのに約二カ月半かかった。やっと九日に許可がおり、既に三百二十万ドルを送っている。」これはその当時のハワイにおける新聞の記事であります。そして小佐野氏はこのような報道を背景にハワイに参りまして、カイウラニホテル売買の手続を完了するという状況が同じく現地新聞で報じられているわけであります。このようなホテル事業は、これはプラント輸出あるいはその他第一次、第二次産業と違って、関連輸出を振興する波及効果が少ない。むしろこのハワイにおける観光事業日本人をどんどんここへ誘致するということになれば、海外へ外貨の持ち出しを促進するということにさえなりかねない。当時の基準からすれば容易にこれは許可できないという状況のものではないかということを疑うのはだれしもあたりまえでありまして、したがって、このような記事が存在することに注意をしてもらいたい。つまり、この三百万ドルの許可については、当時大蔵大臣であった田中角榮、彼が小佐野氏のために尽力をしたのではないか、こういうような疑いが当時から報ぜられていた。そしてこれについては私ども調査によれば、当時の為替局の職員から聞いたところによっても、これが許可されたということはなかなか容易でないはずのものだけれども、為替局長からの直接の指示で決まったようなものだということも聞き取りで私どもは知っている。そこで大蔵当局に聞くけれども、この三百万ドルという、この許可をした理由について明確に述べていただきたい。
  186. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) ただいまも申し上げましたとおり、当時は海外投資につきましては、一件ごとに個別審査をいたしておったわけでございますが、先ほども申しましたように、その基準といたしましては、直接または間接に国際収支の改善に寄与すること、あるいは国民経済に悪影響を及ぼさないこと、あるいは資本逃避その他法令の制限を免れるものでないこと、あるいはわが国の保有外貨の状況から見て不適当でないこと、そういったような基準に従いましてケース・バイ・ケースに審査をしていたわけでございます。本件につきましても、やはりケース・バイ・ケースに審査をしたものと考えておりますが、これはやはりその事業計画、資金計画等が妥当であり、外貨資金の回収が順調に行われると考えられたこと、またハワイへの本邦旅行者の増大に対応いたしまして、旅行者の落とす外貨を本邦へ還元できるというメリットもあり、また資本逃避等の意図がないと認められるといったようなことから認可をしたものと、このように考えております。許可をしたものと考えております。
  187. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまのような一般的説明は全くの一般的説明である。で、単なる不動産投資、これだけではないというようなことをおっしゃるが、実際にその後のホテル買収を見ると、このプリンセス・カイウラニ・ホテルを買ってから、続いてすぐ六三年、同じ年にモアナホテル、サーフライダーホテルを買っているんですよ。莫大な外貨の持ち出しを、厳しいと言われた同じ年にどんどん許可をしている。そしてさらに六四年にはその表にあるように土地を買い、七二年、これはいよいよロサンゼルス、サンフランシスコにまでホテルを買う。そしてまた七四年にはいよいよワイキキに三つのホテルを買う。これが不動産投資でなくて何ですか。外貨が還流すると、そんな簡単なものじゃありませんよ。  さて、このような小佐野氏のハワイにおける投資に厳しい対日批判が向けられたことを大蔵省は知っていますか。
  188. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 現在私、承知いたしておりません。
  189. 橋本敦

    ○橋本敦君 ここに海外市場白書一九七四年版があります。これを読めば一目でわかりますよ。承知してないというのは、私の質問に対する不勉強そのものですよ。小佐野氏が七四年にさらにホテルを三つ買うという状況になったときに、ハワイの上院議員D・G・アンダーソンが連邦取引委員会、このハワイ駐在のジェローム・スタイナー検事に書簡を送って、小佐野氏のこのような次から次へと行うハワイにおけるホテルの買い占め、土地の取得、これはまさにアメリカにおける反トラスト法違反ではないかということを提起をして捜査を求めている。その手紙がここにあります。これはその手紙の写しですが、これによると、このアンダーソン上院議員は次のように言っている。小佐野氏はすでに買い占めたホテル二千五百室に加えて、さらにこの三つのホテルを買って、ハワイで二千五百室を追加をし、合計五千室になろうとしている。しかもこの小佐野氏はこのホテルの取得によってハワイにおける最も価値ある観光所在地の中心であるワイキキ、このワイキキにおいて重要な独占的地位を築こうとしているということをここに指摘をしている。こうしてこのようなアンダーソン上院議員指摘に基づいてアメリカの反トラスト法違反という状況にあるかないかが、これが捜査の対象となって調査をされたという事実、この事実は知っていますか。そんなもの知らないじゃ通りませんよ。
  190. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 調査いたしたいと思います。
  191. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまから調査をするというのはおかしいです。こんなことを知らないようで、日本政府は真相解明に尽力すると言えませんよ。さらにこれがどういう批判を受けているか、この日本貿易振興会が書いた海外市場白書一九七四年版、明らかに小佐野氏とわかる指摘をして、次のように言っています。「日本人は再びハワイを侵略している。」こういうことで、ウォール・ストリート・ジャーナル七四年一月二十二日号が日本人のハワイにおける不動産取得、これに重大な警告を出している。そしてこの白書は次のように述べている。「正確な数字は明らかにされていないが、わが国企業の対ハワイ投資は、製造業投資が一件もなく、」よく聞いてくださいよ。大蔵がどんどん認可をした最大の欠陥ですよ。「その多くが観光、不動産分野に集中していて、その累計投資額は2億ドルとも二億5、000万ドルとも推定されている。なかでもホテル業については、現在10ホテル(部屋数約5、000室で、ハワイの全ホテル室数の約15%)を日本企業が取得しており、最近ではシェラトン・ワイキキなど3大ホテルの日本人への売却をめぐり、ハワイ議会のアンダーソン上院議員が連邦取引委員会調査を依頼するとともに、ホテル売却規制法を検討しているといわれ」ている。どうですか。いま私が指摘したように、アンダーソン上院議員指摘にも基づいて連邦取引委員会調査、これも行われているが、いま言ったように、「日本人は再びハワイを侵略している。」とまでウォール・ストリート・ジャーナルに書かれ、この製造業一件もなく、第三次産業——観光、ホテル、これが中心になって現地で厳しい批判を受けているということが、これがこの白書でも明らかになっている。まさしくこれは小佐野氏のことですよ。こういう状況で一九七四年外貨の認可について大蔵省は態度を改めて明確な基準を打ち出したはずだが、どうなりましたか。
  192. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 海外投資につきましては、その後、自由化の方向で対処いたしておりまして、最近では一般的に申しますと、海外投資は原則として、一部の例外を除きまして、原則として自由化をいたしております。
  193. 橋本敦

    ○橋本敦君 答弁にならない。私の質問をよく聞いていらっしゃいませんよ。  四十九年四月十一日銀行課長発「海外投資に係る融資の抑制について」、この中でレジャー、ホテル産業、どうなっているか、答弁してください。
  194. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 当時の金融引き締め、昭和四十八年ころの狂乱物価等のときに対処いたしまして、金融の面では非常な引き締め政策を実行いたしまして、金融の面から厳しい抑制の措置を講じたわけでございますが、その一環といたしまして、国内の金融につきまして、海外投資に係る融資につきましても、特にそういった不動産取得、ホテル、飲食店、レジャー関連等に類する海外事業に対する投資に係る融資についてはできるだけ差し控えるというような措置がとられております。
  195. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうですね。だから、四十九年に至って、特に不動産取得、ホテル、レジャー関連、その他これに関連する海外事業に対する投資に係る融資はこれを差し控えるということを明確に大蔵は指導として打ち出している。これは、いま私が指摘をした小佐野氏の傍若無人とも言えるハワイ進出、これに対するハワイにおける対日批判、こういうこととも絡み、外貨事情とも絡んで、四十九年四月十一日に、こうしてようやく出されてきたものである。ところで、四十九年四月十一日にこのような抑制処置が出されたにもかかわらず——その表を見ていただきたい。先ほど指摘したように、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 七四年、つまり四十九年、四十九年の九月にアンダーソン上院議員指摘をしたワイキキの有名な三つのホテル、シェラトンワイキキ、ロイヤルハワイアン、マウイシェラトン、これが四十九年の九月に小佐野氏によって総額一億五百万ドル弱で買い取られるという、そういうことで、問題は少しもおさまらないで、小佐野氏はどんどん拡張を続けている。  そこで、銀行局長もしくは大蔵省当局に聞きますが、このような海外におけるこの小佐野氏の資産取得について莫大な金融が行われているのですが、この通達の趣旨から見て、決して好ましいことでないはずだ。この点についてどう考えておりますか。この通達との関係で。
  196. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) お答えいたします。  先生指摘の四十九年四月十一日に出されました通達につきましては、当時の経済情勢を勘案いたしまして、当面の情勢から見て緊急とは認められないものに対する融資を抑制し、より緊急度の高いものに対する資金を優先的に確保するということの目的をもって出された通達でございますので、この通達の趣旨に反しまして不要不急の融資がなされることについては好ましくないことであると、このように考えております。
  197. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから聞いているのです。もう一度答弁してください。この三つのホテルの取得は不要不急のレジャー産業だと思いますが、どうですか。緊急を要すると大蔵省は考えましたか、こんなもの。そのことを答えてください。
  198. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 先ほども申し上げましたとおり、海外投資に対しましては原則的にいま自由化いたしておりまして、したがいまして、海外投資の許可そのものは金額の制限なく一般的に日銀に事務委任がされておりまして、日銀で自動的に許可をされるということでございます。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 ただ、先ほどの問題は、各企業がそういった海外投資をするに当たって、金融機関として、そういった融資をするということをできるだけ優先順位の高いものに、緊急度の高いものに融資をしろというような趣旨でございまして、投資の許可とは直接に関係ございません。
  199. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は投資の許可を聞いたつもりでないんです。このホテルを三つ買うのに約一億五百万ドル——これは、小佐野氏は自分の金を持ち出したというよりも、莫大な金融を受けている。調査の結果を明らかにしておきますと、その表でも書いておきましたが、ITT、つまり、チリのアジェンデ政権を倒すのにCIAと組んだ悪名高いアメリカのCIA系会社と言われていますが、これから三千四百万ドルを借りている。それからハワイシェラトンの肩がわりとして五千万ドルの借金を負担をする。そして二千百万ドル——これが問題なんですが、よく聞いてください。この二千百万ドルは三和のロンドン支店からハワイへ送金されたという説と、それからカリフォルニア三和と、そしてバンク・オブ・アメリカのシンジケートで二千百万を貸し付けたという説とある。いずれにしても、これは全部融資なんです。だから、海外における事業拡張といえども、大蔵省のこのような不要不急の事業に対する融資抑制という立場から見て、さっきの通達から見れば、好ましくないことは明確ではないか、私はこう聞いておるんですよ。質問を取り違えないでもらいたい。  そこで、もう一つ次に質問を進めますけれども、たとえば、ITTから三千四百万ドルを借款をした。このITTからの三千四百万ドルの借款は一体どういう条件で行われたか、調べてみて私は驚いたんです。これはどういう条件かといいますと、何と三十年年賦で、満期が二〇〇四年、二十一世紀にわたるんです。その満期をするときに小佐野氏は年齢幾らになるかといいますと、八十八歳になるんですよ。八十八歳。長生きは結構ですが、いま言った三千四百万ドルという大金を三十年年賦で小佐野氏が八十八歳になるまでずっとITTが貸していくというようなことで援助をしてワイキキホテルの買収に手をかしている。これは一体どういうことでこういう金融ができるのであろうか。まさに大きな疑惑です。  たとえば、シェラトン・ワイキキ・ホテルあるいはロイヤル、マウイ、この三つのホテルを調べてみますと、すでに担保に入っております。これは日本でいえば有価証券報告書ですが、ハワイ市における商業取引規制委員会に提出される年次報告、これはオリジナル、原文ですけれども資料を示す)こういうものを調べてみると、担保の所在がよくわかる。こういう三つのホテルを、いま言った多額の融資を受けるについて、ITTは一番抵当になるか。決してITTは一番抵当にはなりません。すでに一番抵当に入っているのは、メトロポリタン、ジョンハコック、そしてエクタブルライフという、いずれも金融会社であり、生命保険会社である。第一抵当が小佐野が買い取るホテルの物件についていますよ、莫大な抵当が。これを、総額五千万ドル債務を引き継ぐんです。その上に三千四百万ドルITTが貸して、そして三十年年賦で——小佐野氏がよっぽど長生きしなければ事業をうんとやっていけない八十八歳になるまで借款をする。  こういうような借款をする場合に、当然、日本の銀行の銀行保証を要求されるのが普通だと思いますが、仮に、このような海外の投資において日本の銀行が銀行保証をする場合には、これは外為管理令十三条の二によって大蔵省の許可、これがなければできないと思いますが、そうなっていることは間違いありませんか。——質問の趣旨おわかりですね。日本の銀行が海外における企業活動に銀行保証する場合ね。
  200. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 許可が必要になっております。
  201. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうですね。  そこで次の質問に移ります。小佐野氏のメーンバンクは言わずと知れた三和銀行。この三和銀行が、このホテル買い取りについて、ITTその他に対し銀行保証をした事実はありませんか。それを許可した事実はありませんか。
  202. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 個別の内容にわたることでございますので、答弁を差し控えたいと存じます。
  203. 橋本敦

    ○橋本敦君 また同じ答弁しか返ってこないので困るんですけれども。銀行保証をしなければ当然このような債務、借金ができないということを私は指摘をした。銀行保証しているなら、しているでいいんですよ。そうではないとするならば、一体小佐野氏はこの多額の総額一億五百万ドルを海外でどのようにして金を集めることができたのだろうか。まさにこれは、ロッキードで問題になったディーク社、このディーク社ならできるかもしれません。小佐野氏も同じような国際黒い金融、これを自由に動かす手を持っているのであろうか。重大な疑惑があるんですよ。その疑惑ではないと、ちゃんと日本の銀行が銀行保証をしているんだということなら、小佐野氏のためにも言ってもらっていいことですよ。もう一遍答えてください。疑惑を残しますか、答えますか。
  204. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) 個々の詳細な内容については申し上げるのを差し控えさしていただきたいと思いますが、そのような事実は、許可はやっております。
  205. 橋本敦

    ○橋本敦君 三和が銀行保証をし、そのおかげでこのようなことができたということになれば、先ほど指摘した四十九年の海外の不要不急の不動産投資等に対する融資の規制、この銀行通達に違反しますよ。おわかりでしょう。これに違反してまで小佐野氏になぜこんな銀行保証を許可するんですか。大問題ですよ。まさに時の総理田中角榮、そして大蔵大臣は植木大蔵大臣田中派、そういう背景がなければとてもできないような大仕事を小佐野氏はハワイでやっているんですよ。  次に質問で聞きますが、メーンバンクの三和、この三和銀行が小佐野関連企業に現在どれだけの貸し付けをしているか、答弁いただけますか、いただけませんか。
  206. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) お答えいたします。  御質問の点につきましては、個々の取引にかかわることでございますので、お答えを御容赦願いたいと思います。
  207. 橋本敦

    ○橋本敦君 小佐野氏の公示をされている所得、これを明らかにしましよう。これは公示所得ですから明確です。小佐野氏の所得は、四十七年一億八千五百四十八万、四十八年二億七千百三十五万、このホテルを買い取る莫大な資金を必要とした四十九年五億四百四十七万。六一年から七四年まで小佐野氏がこれだけの資金を投下してホテルを買うにしては、小佐野氏の税務署に対する所得申告の公示額は余りにも低過ぎます。わずか年間所得五億、二億、どうしてこれでこれだけのホテルが買えますか。一方、国際興業の収益を調べてみました。これは帝国興信所の調査です。帝国興信所の調査ですが、四十六年は国際興業の収益は六千万円。これは少ないんです。四十七年からずっと伸びて、四十七年には一億三千百七十九万、四十八年一億五千八百七十四万、四十九年十億五千四百五十四万、十億台にいきます。それでもしかし、この一億五千万ドル、約四百億に上るようなこのような商いができるような収益は、国内における税務実績から見て絶対にないんです。どうしてこれだけの莫大な資産形成が、たったこれだけの所得でできたか。一つは、彼は莫大な脱税をやっているのではないかということです。二つ目には、彼がアメリカ及び日本の政治的首脳部と結びついて国際金融をうまく利用したのではないかという疑いです。  たとえば、ITT、このITTは御存じのようにCIAの機関とも深く結びついている機関ですが、このITTだけではなくして、小佐野氏はバンク・オブ・アメリカも利用している。バンク・オブ・アメリカといえば、あのベトナム戦争のときにCIA資金の預託銀行として世界に有名になった。こういう黒いつながりがある。しかも、このITTはニクソンに四十万ドルに上る政治献金をしたということでアメリカ上院特別委員会で大問題になったことが、これが新聞で公表されている。私は、私ども調査として、個人の預貯金に関することであるけれども小佐野氏の問題ということで公の疑惑の中で調査をして、残高、これをここに手にしております。ここにあります。これによりますと、三和銀行が小佐野氏へ貸し出している日本電建百四十四億貸し出し、そして国際興業二百十五億円の貸し出し、国際不動産六千四百万円の貸し出し——一三和銀行が小佐野氏の国際興業関係企業に何と三百五十九億六千四百万円貸し出している。これだけの莫大な貸し出しを三和が小佐野にやっているということも異様なことですが、ここで銀行局長に伺いたい。このような銀行は自己資本額の何%まで一企業に融資をすることが可能ですか。
  208. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) お答えいたします。  現在大口信用集中に対する規制は、一債務者に対する貸し出しは自己資本の二〇%までと、このようになっております。
  209. 橋本敦

    ○橋本敦君 自己資本の二〇%ということになりますと、これは三和銀行の資本額から見て二〇%ということになれば、とてもじゃないが四百四十九億も貸し出せません。国際興業二百十五億も貸し出せません。三和銀行は明らかに、いまあなたが指摘をされたこの大蔵省の指導通達、これに違反をして小佐野関係企業に莫大な融資をしている事実が明らかですが、特別監査をする必要がある。どうですか。
  210. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) お答えいたします。  ただいま先生指摘の大口信用集中でございますけれども、三和銀行の五十一年三月末におきます広義の自己資本は三千五百五十八億円でございます。したがいまして、貸出限度は七百十二億円と、このようになっております。
  211. 橋本敦

    ○橋本敦君 貸出限度一企業に対して七百十二億円、こういう意味ですか。
  212. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 御指摘のとおり一債務者当たりでございます。
  213. 橋本敦

    ○橋本敦君 三和銀行の資本金は、私ども調査では六百六十億円と調査をしておるんですか、間違いありませんか。調べ直してください。大変な違いですよ。
  214. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) お答えいたします。  三和銀行の五十一年三月末におきます資本金でございますが、先生指摘のとおり六百六十億円でございます。
  215. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうでしょう。
  216. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) そのほかに、法定準備金、剰余金——法定準備金が二百一億円、それから剰余金が千三百八十七億円と、このようになっております。御承知のことと思いますけれども、大口信用集中の規制は広義自己資本を対象に行われております。
  217. 橋本敦

    ○橋本敦君 だけど、銀行の通達では資本金の二〇%と明確にしている。だから、この六百六十億円を基準にして考えるのはあたりまえじゃないんですか、違いますか。
  218. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この銀行の大口融資規制についての通達でございますが、これを読み上げますと、「一債務者に対する貸出金の合計額は、それぞれ、普通銀行については自己資本の二〇%」と、このようになっておりまして、自己資本となっております。
  219. 橋本敦

    ○橋本敦君 なるほど。いずれにしても、私が指摘をした疑惑は、これはかなり大きいはずですよ。  そこで国税庁に伺いますが、このロッキード疑獄事件が起こって、小佐野氏及び関連企業に国税庁は特別の調査を行ったと私どもは調べで聞いておりますが、間違いありませんか。
  220. 系光家

    説明員(系光家君) お答えいたします。  国税当局といたしましては、小佐野賢治氏、また国際興業の申告につきましては、所得がもともと高額でもありますので、得られる限りの情報や資料に基づきまして検討を行い、従来適正に処理してきているところであります。また、現在調査を続行いたしておりますこの児玉譽士夫の脱税事案に関連しまして、いわゆる反面調査としまして、多数の関係者に当たっているわけでありますが、その中に小佐野氏とか、あるいはまた国際興業が含まれているかどうかということにつきましては、ひとつ申し上げることを差し控えさしていただきたいと思うわけであります。  また、最近国会での質疑とか新聞報道等でいろんなことが取り上げられているわけでありますけれど、それらの中で課税に関係すると認められるものにつきましては、現在その内容を十分検討しているというところでございます。
  221. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がなくなりましたから最後に入りますけれども安原刑事局長に伺います。  アメリカ日本に提供する司法取り決めに基づく資料は、日米司法取り決めに基づいて、捜査機関、司法機関にのみ秘密のうちで提供されるということになっている。もしも、この税務関係、これが国税犯則取締法違反の脱税事案ということで処理されるということになるならば、アメリカの証券取引委員会あるいはチャーチ委員会、そういうところから提供された資料は、国税当局も国税犯則事犯という立件ならば利用できると私は理解しておりますが、間違いありませんか。
  222. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ロッキード社関係における企業活動からくる不正行為の関係が国税犯則取締法の調査対象になっている場合には、御指摘のとおりでございます。
  223. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって、私は最後に要求をします。  徹底的にこのような疑惑のある資産形成、これについては調査をする必要がある。田中金脈のときに、国税犯則取締法に基づいて脱税事案として調査をしろと私ども野党のすべてが強く要求したにかかわらず、今日までそれをやらなかった。それはまさにこのロッキード疑獄を生む一つの背景にもなっている。そして、いまや田中角榮が五億円を受け取った事実は明らかになっているし、さらに、それだけではなくて、児玉が十七億円余りを受け取った事実も明らか。そしてこの小佐野賢治氏も、これはコーチャン証言によれば、児玉に渡した金の一部が小佐野氏に行ったであろうと彼は証言しているとおり、金を受け取った事実がある。それだけではなくて、小佐野氏の場合は、日本で円で受け取らなくても、この莫大な海外資産、海外における拡張、これについて直接ドルで報酬を受け取るということも可能である。  私はロサンゼルスで調査をしましたが、四十七年十二月から四十八年、まさにトライスター決定をし、そしてPXL売り込みの青信号を打ち出した国防会議白紙還元、あの四十七年の後に小佐野氏関連企業はロサンゼルスにホテルを、土地を取得している。これは、小佐野氏の工作に対する報酬として何らかの金がロッキードその他からこれに融資もしくはその他で流れたと言えないわけのものではない疑惑があると私は見ている。  こうなってくると、このような大きな疑獄事件の中での税務処理という問題も、これは脱税事案としてこれを徹底的に捜査をする、そういうたてまえに立ってこそ真相解明もできるし、アメリカ側から来ている資料警察当局と共通にそれを検討して真相をきわめて正しい税務処理ができる、こういう立場で、国税犯則取締法、これを適用するということを検討し、アメリカ側からの資料を十分活用できるということで捜査当局とも協力をして徹底的に真相をきわめて問題を明らかにする、このことを要求をして、そういう見解をとって本当にやるかどうか、国税庁、これの見解を伺って質問を終わります。
  224. 系光家

    説明員(系光家君) お答えいたします。  査察調査の性質上個々の納税者につきまして査察調査を行うべきかどうかといったようなことを申し上げることは差し控えなくちゃならぬわけでございます。一般的に申しますと、査察調査の場合には、通常の税務調査とは異なりまして、強制調査権限の発動でもありますので、事前に裁判所から許可状の交付を受けるということに十分な嫌疑事実を把握する必要があるわけでありまして、そういう点、先生も十分御承知だと思いますが、そういう点をひとつよく申し上げておきたいと思います。
  225. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかっています。私が言っておるのは、方針を含めて検討するかという質問です。やる気があるのかないのかでいい。
  226. 系光家

    説明員(系光家君) 米国から来ている資料の中に脱税調査の発端となるような資料がありますならば、これは検察当局から開示を受ける、交付を受けるということで従来からお願いをしてあるところでございます。
  227. 橋本敦

    ○橋本敦君 終わります。
  228. 木島則夫

    ○木島則夫君 四十七年の十月九日のPXLの白紙還元が突然に決められたことが今回の事件の大きな焦点でございますけれど、こういった問題が発生をした一つの原因は、国防会議が十分な組織を持たないで、それがよく機能をしていなかったところに、つけ入るすきを与えたんだという御指摘に対しまして、過日の委員会では、総理が、その点もよく認識をされた上で、今後国防会議のあり方については特にその運営面で改善が必要であるということを強調をされたことは防衛庁長官もよく御記憶のことだろうと思います。その際、特にシビリアンコントロールの問題について表立っては論議はいたしませんでしたけれど、総理発言、あるいは言外に文民優位というものがいかに大事であるかということも十分に御承知の上での発言であった、このことも私は確認をしているつもりでございます。  そこで防衛庁長官に伺いたいんでありますけれど、まず、国防会議の議長でありました田中角榮総理が逮捕をされた事実を防衛庁長官としてどのように受けとめていらっしゃるか、率直にお聞きをしたい。
  229. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) この点は、自衛隊の最高指揮官であった方が今回の事件によって逮捕されるということは、まことにこれは残念至極なことであるというふうに思っておる次第でございます。
  230. 木島則夫

    ○木島則夫君 わが国の安全保障に伴う国防の政策を推進するに当たりましては、先ほどから申し上げておりますように、何よりもシビリアンコントロール、文民最優先でなければならないわけですね。つまり、政治が最優先されなければならないのは、もう至極当然なことでございます。その最優先されなければならない政治にいま大きな疑惑が生まれて、政治に対する信頼感が音を立てて崩れようとしている。これが現状ですね。防衛庁長官としましても、いま、前国防会議の議長であった田中総理の逮捕はまことに遺憾であるというその言葉の中に、いろいろのニュアンスを込められてきっとおっしゃったと思うんでありますけれど、私は大変ショックだったというふうに率直に御指摘を申し上げたい。  私は、民社党の立場で、わが国の防衛とか安全のためには必要最小限度の自衛力を必要とするという立場の民社党の考え方、私どもの立場からいたしますと、これは非常に遺憾な問題だということだけでは私は済まされないゆゆしい問題だというふうに申し上げたいわけであります。  具体的に伺います。現場で国防の任に当たっております自衛隊の諸君はこの問題をどう受けとめているか、いろいろ反響などもきっとあったと思います。現にそういった反響も入りつつあると思う。これをどういうふうに現在把握をされておりますか。
  231. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) これは陸海空三幕僚長を呼びましていろいろ聞いていますけれども、なかなか具体的な形としては出ておりません。しかし、私から推測いたしまするに、かなり深刻な受けとめ方をしておるというふうに私は考えるわけでございます。
  232. 木島則夫

    ○木島則夫君 恐らく防衛庁長官も、わが国の防御のあるべき姿としては、これは文民最優先でなければならない、つまり政治が最優先されなければならないということを繰り返し繰り返しお説きになっていらっしゃるだろうと思いますね。そうしたいわゆる文民最優先、政治最優先の立場を繰り返し説いていらっしゃるその政治が、私がさっきから言っているような立場で音を立てて崩れかけようとしている。そのことのショックの大きさというものははかり知れないものであり、このことが、いいですか、わが国のこれからの防衛、現在の防衛、安全保障に私はやっぱり大きな影響を与えることは必至であると思うんですね。現在、直接の形ではそういうものの把握というものは非常にむずかしいという、なかなか入ってこないというお立場、御発言ではございますけれど、私はこれは非常に大きな問題だと思う。もう少し具体的におっしゃっていただきたい。
  233. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) 申すまでもなく、この政治優先の原則に立ちましてわが防衛の任に当たります自衛隊が運営されるわけでございますし、また非常の事態におきましては、その政治優先の原則に従って事に当たるということになるわけでございまして、やはり今回の問題につきましては今後時間をかけまして、そしてこの受けました深刻なショックというものを漸次直していかなければならないというふうに思うわけでございまして、そのまた直接の指揮に当たっております私といたしまして自粛、自戒、そして一層政治家といたしまして、この自衛隊諸君の気持ちを今後裏切ることのないような形に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  234. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま長官の御発言の中に多少触れられておりましたね、こういうショックとか、こういったものをできるだけ回復をして収拾、いわゆる吸収をしていかなければならないという御発言がございましたけれど、いま長官は何か具体的にこういうショックをこういうふうにして回復をさせていくんだという方策はお持ちでございますか。
  235. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) 私は、政治のこの事態に対しましても、現在の自衛隊諸君が現在与えられました仕事を着実に遂行をするということに心がけてもらいたいというふうに思っておりますし、私の時間の許す限り現場に参りまして、そして私といたしまして自衛官のあるべき姿といいますか、歩むべき方向を示唆するということに努めておるつもりでございます。何を申しましても、現在の仕事に支障があってはなりませんので、むしろ何にもなかったときと同じような気持ちで現在やるべきことはやってもらいたいというふうに私は努めておるわけでございます。
  236. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題は時間をかけてゆっくり論議をしたいところでありますけれど、私が申し上げたいことは、やはり政治が最優先しなければならない、国防政策の推進、あり方の中で、その最も最優先されるべき政治がこんな状況では一体何を信じていいのか、信じるに足らないというようなそういう気持ちが起こったときに、一国の防衛なり、安全保障なりというものが一体どういう姿をとるか。これは戦前の歴史にも、また世界のいろいろの歴史にも私は多々やっぱり見られるところだろうと思うのですね。いま非常に大事な時期だということを申し上げたいわけであります。  そこで、具体的な問題に入りたいと思うのでありますけれど、PXLの機種の決定について、もうそろそろやはり結論を出さなければならない時期にきているんじゃないだろうか。八月といいますと、予算の概算要求も必要であろうし、きちっとした指針を立てなければならないそういう時期だと思いますけれど、このPXLの機種の選定についての指針というものを、田中逮捕のこの問題と絡めてひとつお話しをいただきたい。
  237. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) この問題の対処の仕方につきましては、繰り返し私がここで申し上げておるとおりでございまして、現在基盤的防衛力の大綱というものを近く国防会議に諮りましてこれをお決めいただきたいというふうに考えておるわけであります。これはでき得べくんば実は八月の最終段階までにという気持ちでいま進めておるわけでございまして、この第一回をこの八月の十日ごろに国防会議にお願いをして開いてもらいたいと思っております。まあ何回開けるかわかりませんけれども、なるたけひとつ回数も多くして実質の、審議をいたしたいというふうに思っております。  一方、このポスト四次防の整備計画も、この一つ防衛構想に基づいて長期的なポスト四次防の整備計画のいま作業を進めておるわけでございます。  そういたしまして、その第一年度といたしましてのこの予算、これが八月の末の概算要求にもなるし、最終的には十二月ということに相なろうかと思います。十二月までには何が何でも決めなければならないというふうに思っております。その中でPXLの問題も、あるいはFXの問題も出てくるわけでございます。で、PXLの問題については、国民のこういう疑惑の中にあるわけでございますから、私は何としても国民に疑惑を招かないような形で決めなければならない、それが第一でございます。  それからもう一つは、やはり国防上の見地からいたしまして、必要なものはやはりこれをちゃんと保持するということでございまするので、その位置づけ等もきちんとやりたいというふうに思っておるわけでございます。いまここで具体的にこうだ、ああだというふうには申し上げられませんけれども、単に国産で行くのか、あるいは輸入で行くのか、というように完全輸入あるいは完全国産というようなオプションもございましょう、あるいはそうではない、コンビネーションの行き方もございましょう、かなりいろいろのやり方があろうかと思います。それらのあらゆるオプションにつきましていま慎重に検討をいたしておるわけでございまして、いま申しますようなスケジュールによって決めてまいりたいというふうに思っております。
  238. 木島則夫

    ○木島則夫君 従来からいろいろ言われてきたことの繰り返しになるかもしれませんけれど、そのPXLを国産にするか、あるいは全くP3Cを輸入するか、あるいはその折衷案とか、いろいろ方法はあるわけでありますけれど、この決定についてやっぱり国民の疑惑を招かないためには、あらかじめしておかなければならないいろんなことがあると思うんですね。  私はここで二つのことを申し上げたい。一つは、こういう三案の性能というものを比較検討をされまして、できるだけこれを国民の目の届くところに、白日のもとに出していただきたい。もちろん軍事秘密に属することもございますので、全部が全部というようなことは申しませんけれど、できるだけこれを国民の目の前にやはり出していただきたいということ、公表する用意があるかどうかということ。  で、もう一つは、こういった三案のコストの比較でございます。これは単にその取得価格だけではございませんで、ライフ・サイクル・コストと申しますか、生涯にわたっての価格ということの検討の中でやはり十分に比較されなければならないということでありますけれど、こういったことの用意はございますか。
  239. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) 私も大体先生おっしゃるようなことを実は考えておるわけでございまして、今度の場合におきましては、こういう衆人環視の中で、しかも疑惑を持って見ておるわけでございますから、こういう行き方がある、こういう行き方がある、こういう行き方がある。で、この行き方についてはメリット、デメリットがこうこう、こういうふうにございますということを国民の皆さん方に提示するような形において、そこで私どもとしてはベターなものとしてはこれでございます、これでいかがでございましょうかというようなやり方で決めてまいりたい、そういうことができるならば幸いであるというふうに実は思っておるわけでございまして、先生のきょうの御意見は十分私傾聴に値する御見解ではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  240. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、いまのお答えの中で、きょうの段階でそれじゃそれを具体的にどういう、ふうに進めていくのかとか、具体的な方策、その段取りを示せと申し上げてもこれは無理だろうと思います。ただ一つ大事なことは、何を決め手として選択をするのかというこの基準の確認をしておきたいのであります。また、これに伴って国防会議を開くのか、開かれないのか、どうするのか。十日過ぎごろにはもう国防会議で実質的な審議も行われるというようなことでありますから、この辺もあわせて聞いておきたいと思う。
  241. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) 細かい問題はなかなかまだお答えできないと思いますけれども、しかし、やはりこの問題につきましてはそう簡単には実は結論が出ないわけで、かなりの時間はやはりかかると思います。時間はかかると思いますけれども、一応のめどがございますので、八月の末が一つの区切りでございますし、あるいは大綱を決めるときが一つの区切りでございますし、あるいは最終的には十二月の末だと、予算編成の時点だということが一つでございます。  それから、まあ何を一番大事なものというふうに考えるかというようなことについて、あるいはまあ……
  242. 木島則夫

    ○木島則夫君 選択の基準というのがですね、いまこういうことを言う人がいるんですよ。P3Cについては、こういう疑惑の中に問題が包蔵されているし、この際輸入というのはひとまず見送るべきだとか、いろいろあるわけですよ。私が申し上げたのは、一つの選択の基準というものを何か確固としたものをいまお考えですかと、こういうふうに申し上げたわけです。
  243. 伊藤圭一

    説明員(伊藤圭一君) PXLの問題につきましては、先生御承知のように現在持っておりますP2Jという飛行機の性能向上というのが大きなねらいでございます。したがいまして、潜水艦の性能向上に対応できる性能面が一つございます。それから同時にまた費用対効果といった面もあろうかと思います。こういったものが大きな基準の一つになると思います。
  244. 木島則夫

    ○木島則夫君 私が申し上げたのは、いまその疑惑に包まれているP3Cについてはこれをしばらくおく考えはないかと、そういうことが一つの選択の基準にはならないだろうかという意見も世の中にはずいぶんあるんですよ。これについても触れていただきたい。
  245. 伊藤圭一

    説明員(伊藤圭一君) 私ども事務的な検討といたしましては、いま申し上げました性能の面、それから費用対効果の面、そういった点が中心になって検討を進めてまいっておるわけでございます。
  246. 木島則夫

    ○木島則夫君 きょうの段階ではこの辺にしておきます。いずれ、この国防会議のあり方、そして自衛隊のこれからの行き方、そして政治が最優先されるべきなのに政治がこういう失態を現出しているというこの問題については、やはり私はもっと国会の中に、私どもが主張しておりますような単独の、独立のやはり安全保障委員会とか国防委員会というようなものでしかるべき論議をするのが筋だと思います。このことについてもまた時間があるときにゆっくり論議をさしていただきたいと思います。防衛庁長官は以上で結構でございます。  それから、先ほどほかの委員の方もお触れになったんでありますけれど、田中総理の自宅の運転手笠原さんが亡くなりましたですね。一部の報道は、その死体の扱いについて検察庁警察との間に食い違いがあったり、見方の相違があったと、この問題について質問をされていた。ですから、私は重複を避ける意味でこういったことをお聞きはいたしません。で、私が申し上げたいことは、いままでのいわゆる疑獄事件、こういった事件の中にも犠牲者がずいぶん出ているわけであります。で、犠牲者を犠牲者として終わらせないためにも、やはり事件の徹底的解明をしてほしいというのが一つの希望でございます。  で、先ほどの結果について——いない。質疑通告は出しておいたはずですよ。
  247. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  248. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。
  249. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、具体的な質問に入ります前に要望を申し上げておきます。  と申しますのは、このロッキード事件は国際的にも国内的にも非常に注目の的であることはいまさら申し上げるまでもありません。わけても国民はいろいろの角度からこの推移がどうなるであろうかということを見詰めながら、そして疑惑を持っておることも確かであります。したがいまして、この特別委員会におけるやりとりというのは、いいかげんとは申しませんが、その疑惑が少しでも国民に対して解明されていくような、こういうやりとりであってほしい。それをその場逃れの答弁になるようでは、またその回答もどうも当を得ないような、こういうことになりますというと、国民はますますその疑惑をエスカレートしていくだけである、こう思うのであります。そういう意味から、ぜひひとつ少しでも国民に対する疑惑を解明していくという、こういう真摯な態度であってほしい、こういうことをまず要望しておきます。  次に、真の国防というのは、必ずしも軍事力の強化だけではないということはいまさら申し上げるまでもありませんが、このロッキード事件が国際的にも、そして国民に及ぼすその影響というのは、これはもういろんな角度からはかりしれないものがあると言わなければいけません。そういう立場を踏まえて、防衛庁長官は、あなたの御専門の日本の国防という立場からどのような影響を与えておるか。まあ、いまさっき木島委員もそのことについて触れられましたが、私もまた角度を変えて、この事件がいかに平和を望み、そして文化を願い、国の繁栄を願う、幸せを願う、そういう国民大衆からしてどのような影響を与えておるであろうかということを、防衛庁長官としてどうこの問題を通じてそれを評価しておられるか、まずそれをお聞きしたい。
  250. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) 私は、まあかねがね申し上げておるわけでございますが、どんなにわが自衛隊が精強でございましても、またどんなに優秀な装備を備えておりましても、もし国民の理解と支持と協力というものがなかったならばそれは真の防衛力にはなり得ない、そういうふうに思います。そのために私就任いたしまして、何とかして防備の問題を国民の大方のコンセンサスを得るように最大の努力を払ってきたつもりでございます。そのさなかに実はこのロッキード問題が出たわけでございまして、もしこのPXLの問題が解明されないままでございましたならば、たとえりっぱな次期対潜機を保有いたしましたとしてもそれは真の力にはなり得ない、あるいは対潜能力の向上にはなり得ないというふうに思うわけでございます。そういう意味合いにおきまして、私は一日も早く国民の疑惑を解消するために最大の努力を払わなければならないというふうに思っておりますし、また、ただいまもお話がございましたように、政治優先を旨としなければならないそういう立場にあるわが自衛隊、その最高指揮官が逮捕されるということ、これはゆゆしい事態であるというふうに思っておるわけでございまして、何とかしてこの深刻な影響をできるだけ時間をかけまして早く回復をいたしたい、そのためにはまずもってこのロッキード問題の解明に全力を挙げて当たりたいというふうに考えておる次第でございます。
  251. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは具体的な二、三の問題に触れたいと思いますが、まず初めにP3Cを中心にお尋ねしたいと思います。  防衛庁長官にお聞きしますが、P3Cはわが国が購入をするとすればその価格は幾らになりますか。
  252. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 結論から先に申し上げたいと思いますが、日本はまあ仮に——仮に購入するといたしました場合でございますが、これはその航空機の購入の条件につきましては、購入時点あるいは購入の方法とか、あるいは機数等によりまして具体的にそのケースが違っておりますので、まあそのときになりませんと実はわからないというのが実態でございます。ただ、まあそれではお答えになりませんので、最近の事例で申し上げますと、先般ちょっとこの委員会でも申し上げましたように、現在アメリカの海軍が一九七七会計年度予算に計上しておりますP3Cの単価でございます。これは先般も申し上げましたが、約千三百九十万ドル、約四十三億でございます。それから最近カナダで契約いたしましたP3Cの単価は、いわゆる標準機体と申しますが、特殊仕様のない部分でございますが、それで申しますと大体二千百万ドル、約六十数億のものになると、まあこういうことでございます。これはあくまで御参考として申し上げたいと思います。
  253. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 日本が購入するとすれば幾ら。
  254. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) したがいまして、これはよその国が買っておると、あるいはアメリカの海軍が買っておるということでございますので、これはそのときの条件になりませんと、実はいまのところでは予測がつかないと、結局仮に購入いたすとした場合に先方との話し合いになるということでございまして、現在の段階ではまだ幾らということはちょっと申し上げられません。
  255. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあいまの御答弁では、ロッキード社からアメリカ国防省ですか、機体と内部装備によっても幾分の差はあると思いますが、約四十三億と、それからカナダの国では約六十三億ですか。ところが情報によりますと、日本が買うとすれば百億を超すであろう、こういうことも報ぜられておるわけなんですが、いま買っておらぬという、決まってないということであれば、それはそれでいいと思いますが、このように報ぜられておることも、これは決して架空のものではないのではないか。そこで、仮に百億でないにしても、それに近い、あるいはそれを上回る、こういうこともあり得るかと思うのでありますが、私が、仮にアメリカ国防省では四十三億、カナダでは六十三億、そして日本では百億を超えるであろうと、そういうことを関連して考えた場合に、幾分の差はあるとしても、装備の内容あるいは輸送の関係からあるといたしましても、そのような差額が出るということは一体どういうわけなんだろうか、こういうことをこれはだれでもそこに疑問を、疑惑を持たない国民はいないと思います。仮に百億と押さえて、四十三億でアメリカ国防省がとるなら、すでに日本が百億で買うということであるとなると、五十七億のそこに差が出てくる、そういうところに国民の疑惑が出てくるのではないかと、こう思うわけであります。すでにその疑惑は単に私の仮説ではありません。架空の話ではありません。それは当然いま問題となっておるロッキード汚職につながっておるのではないか、すなわち賄賂金につながっておるのではないか、こういう一つ疑惑であります。それがはっきりそうでないという、その疑惑をぜひ解いてもらわなければいけない。で、当たらずとも遠からずで、もしそれが事実であるとするならば、これはまた恐ろしい結果になるわけであります。では、そのような賄賂金がどういうことになるかというと、その日本が買うP3Cの値段にこれが上積みされて、賄賂金が上積みされて、そして上積みされたそのP3Cは、その他の飛行機も含めて考えていいと思いますが、国の予算で買う。すると、国の予算は申し上げるまでもなく国民の税金である。そうして、たぐってみるというと、その賄賂金もわれわれ国民が負担させられておるのではないか、負担しておるのではないか、こういう疑惑を持つこともこれは当然であります。ここに国民の許しがたい——これは国防の上からも論ずるわけですが、一応はこういういま申し上げましたつながりにおいても、これは国民が許しがたいことであるという、こういう怒りを込めることは、持つことは当然である、断じて許されない。こういった資料やあるいはその他の情報でそれが裏づけられておる、こういうことに対して防衛庁長官はどうお考えですか。
  256. 坂田道太

    ○国務大臣坂田道太君) そういうような疑惑がないような形で決めなきゃならないというふうに思っておるわけです。したがいまして、だれでもこれが納得のいくような形で決めなきゃならないというふうに思っております。で、これが百機で買うのとあるいは二十機で買うのとではずいぶん違ってきます。百機で買う場合は幾らになるのか、二十機で買うのが幾らになるのか、そういうようなことはやはりきちんといたしまして、国民にある程度知らせる、そしてそれに対して何らの賄賂が入っておらないということを明らかにした上で買わなければならないというふうに思います。まだアメリカのものを買うというふうに決めておるわけではございませんし、これから国産にするのか、あるいは輸入にするのか、あるいは機体は日本のライセンス生産でやり、あるいはその中に搭載しますいろいろな機器はアメリカのものを買うのか、まだ最終的には決めておりませんが、しかし、やはり国民に疑惑を招かないような、賄賂などが入らない、入る余地のないような決め方をしなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  257. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは転ばぬ先のつえで、ぜひそうあってもらわなければいけない。  それと関連しまして、結局国防会議のあり方、このこともまた重大な問題になってくると思うんです。で、この疑惑をめぐっても、あの白紙還元の問題のいきさつにしましても、当時の田中総理のいわゆるツルの一声でそのようにゆがめられてきたのではないかという疑惑もいっぱいあります。また、国防会議の民主的な運営という面からも多くの疑惑が持たれる理由があるわけなんです。節があるわけなんですね。そういった点、本当に国防会議の使命——単なるある特定の権力者の御用機関じゃなく、国民の納得のいく、こういった組織にしても、運営にしても十分配慮してもらわなければ、これがまた秘密裏になされるとするならば、これは今後また大変な事態になる、こういう心配があるわけであります。  そこで、そういった観点からお聞きしますが、いまのロッキード問題を解明していく中で、結局特定の個人やあるいは商社が介入しておるというところに賄賂商法が生まれてくるわけですが、それを排除していく一つの方法としてFMS方式といいますか、これを取り入れていくことによってそれがチェックされるのではないかと、こう思うわけですが、そのことに対してはいかがお考えでしょうか。
  258. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 装備品を外国から調達いたします場合に、その方法といたしましては、ただいま先生の御指摘のありましたような政府間取引という方法がございます。それから従来やっておりましたように民間取引でございますと商社を経由するというようなこともございます。それから、あるいはライセンス生産ということでやるような方法もいろいろございます。それでどの方法をやるかということでございますけれども、現在のところ、先ほども長官が申されましたように、まだ防衛庁として、あるいは政府としてこういうもので買うということは決めておりません。ただ逆に、決めておりませんが、あるいはこういう調達方式のメリット、デメリットということが逆にそれを決めるということにもなる一因もございます。したがって、そういうことでございますが、とりあえずいま御指摘のFMSの直接方式ということでございますけれども、これについてもやはり一長一短はございます。確かに商社の介入は排除できるというメリットは十分あるわけでございます。それから現在アメリカの法律も変わってまいりまして、大口の取引につきましては政府取引にするというような改正の機運もございます。また、そういうふうにもなっておりますので、そういう問題がございますけれども、しかしながら、一面におきましてこのFMSは非常に手続も複雑でございます。それから、さらに納期の点につきましても、向こうの都合ということに非常に左右される面もございます。まあそういう点もいろいろ考えまして、どの方式をとるかと、仮に輸入をいたすとする場合にも、どの方式をとるかということは十分検討しなきゃならぬと思っております。ただ、いまのところ、繰り返しますが、決まっておりません。これから決めなきゃならぬ問題でございますが、以上のような点をよく考えまして、検討してまいりたいと思っております。
  259. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今度こそひとつ抜本的に過去を検討し、反省してもらって、いささかも国民に疑惑を残さぬような、こういう方向に行ってもらうことを強く重ねて要望しておきます。  次に、防衛庁は、例のPXLの白紙還元までの間に、昭和四十五年の七月と昭和四十六年の九月の二度にわたって川崎重工業との間に次期対潜機の技術調査研究を委託契約しておられる。ところで、これは開発期間が九カ年、あるいは研究費用として五百億の一応費用をかけておられるんですが、ところで、この対潜機の一番大きな役割りは装備されておる電子機器が果たすものと、十分その知識はありませんけれども、そのように理解いたしておりますが、そこでお聞きしたいことは、川崎重工業に対する調査研究の委託というのは、その対潜機の一番大事な役割りである電子機器も含めての委託研究であるかどうか、まずそのことをお聞きしたい。
  260. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 四十五年、四十六年、この二カ年にわたって委託調査をいたしておりますが、四十五年はどちらかと申しますと、性能面の概定でございますとか、いろんな一般的な調査というようなことをしております。  そこで御指摘の電子機器関係の問題でございますが、これは主として四十六年度の技術調査研究費の中に組み込んでおります。その際は、次期対潜機におきまして重要な役割りを持ちますところの電子情報処理装置に関する試験研究ということで、それを重要な柱にいたしまして川崎重工業に対しまして四十六年度の技術調査委託研究を委託しておるわけでございます。
  261. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 含めておるとおっしゃると、ちょっと——私の知る限りにおいては、川崎重工業は電子機械は開発されてない、こう承知しておりますが、そうすると、川崎重工は自体ではできないということになるんですが、その辺はどうなっておるんですか。
  262. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 俗称川崎重工に対しましてこういうふうに委託いたしましたのは、俗に私ども重立った契約者という意味でプライムという言葉を使っておりますが、そのプライムであります川崎に一括して委託したわけでございます。ところで、その川崎重工の方は確かにそういった電機メーカーではございませんので、さらに川崎重工の方から関係の、たとえば富士通信機でございますとか、あるいは東京芝浦電気、あるいは日立製作所というようなところに再委託をいたしております。再委託をいたしておりまして、まあそこから具体的には社員の出向の形で、まあ一応川崎の中にも部屋をつくりまして、そこでこういったものの調査研究をしておるというのが実態でございます。
  263. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、もう委託研究をしてまあ四十五年、四十六年、まあ五、六年になりますが、この研究の成果はどうなっておりますか。
  264. 岡太直

    説明員岡太直君) 委託研究の成果でございますけれども、先ほど装備局長から御説明申し上げましたように、四十五年度にやりましたことは、運用要求を受けまして、どういうふうな航空機になるかと、その航空機がどういう寸法、構造あるいは重量、そういうことを検討しております。そうしてその外国の対潜機との比較、あるいは民間機が共用できないかと、そういうことを検討いたしております。それが四十五年度の成果でございます。  それから四十六年度でございますけれども、これは大別いたしまして空気力学の関係と電子情報処理装置、この二つになります。  先生のおっしゃいました電子情報処理装置でございますけれども、これは将来の対潜機と申しますのは電子計算機を中心といたしまして、これにいろいろなことをやらして、従来経験なり勘なりでやってきたことを電子計算機を中心としまして多くのデータを処理して効率的にやろうというわけでございますが、四十六年度のこの電子情報処理装置に関する成果としましては、電子計算機と人間の分担でございます。どういう項目をまず電子計算機にやらすかと、そうしてその場合どの部分を電子計算機にやらすか、そうして人間はどの部分をやるかと、いわゆるマン・マシーン・インターフェースと申しましょうか、そういうふうなことに関しまして、大体こういう方向で行けば総合的な電子情報処理装置ができるというふうな成果を得ております。そのほか空気力学に関しましては、高揚力装置の研究であるとか、あるいは全体の高速度、低速度の性能であるとか、そういうものの概要をつかんでおります。  以上が四十五年度と四十六年度の研究の成果でございます。
  265. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 すると、結論としてはうまくいっておるということですか。余りはかばかしくいかぬということですか。
  266. 岡太直

    説明員岡太直君) これはおおむね目標とした研究の成果を得ております。  以上でございます。
  267. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、時間ですから、あと質問あしたいたします。
  268. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  明日は午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会