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1976-07-14 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十四日(水曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月十三日     辞任         補欠選任      内藤  功君     小巻 敏雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 柄谷 道一君     委 員                 石破 二朗君                 岡田  広君                 亀井 久興君                 戸塚 進也君                 宮崎 正雄君                 小谷  守君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 秦   豊君                 峯山 昭範君                 小巻 敏雄君                 青島 幸男君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        国防会議事務局        長        内海  倫君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        警察庁刑事局保        安部長      吉田 六郎君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        通商産業審議官  天谷 直弘君        通商産業省機械        情報産業局長   熊谷 善二君        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        前田 正恒君        会計検査院事務        総局第二局長   高橋 保司君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十三日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として小巻敏雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 秦豊

    秦豊君 これまでの本委員会での審査を通じまして、審議を通じまして、対潜哨戒機をめぐる、いわゆる四十七年十月段階の疑惑についてはかなりしぼられつつある。が、なお未完の部分が多い。しかし、あとはいわゆる田中、相澤、後藤田、うわさの三名を初め、われわれの要求証人喚問が満たされて初めてそれが達成されるという時期に来ているが、残念ながら政府与党側の理不尽な抵抗によってそれはとんざを来している。したがって、私はきょうは私の持ち時間いっぱいでその対潜哨戒機問題を少し変わった観点から追及をしてみたいと思います。  本論に入る前に、安原刑事局長にちょっと伺いたいことがあるんですが、きょうの朝刊各紙ははなはだ華やかでありまして、いずれも一面トップで大きな活字が泳いでいる。そして、政府高官への追及は来週早々にもかというトーンで大体統一されている。あなたが仕えている法務大臣はマスコミというのはときどき真実を伝えないというふうな饒舌を弄しているが、きょうの各紙の一面トップ報道政府高官にいよいよ肉薄か、という記事は刑事局長印象からすると、あれは書き過ぎの勇み足ですか、それともあたらずといえども遠からず、なかなかいい線を行っているのか、あるいはぐさりとした報道なのか、その辺どうなんですか。
  5. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 面を変えて非常にデリケートなことのお尋ねでございますが、要は、捜査内容あるいは見込みを話せということに相なるわけでございますので、その点については申し上げるわけにはまいりません。  新聞各紙報道はあくまでも推測であります。
  6. 秦豊

    秦豊君 あなたも御苦労なことで、ときどき放言をする法務大臣を助けてガードを固める、非常に御苦労に存じます。あのようなお答えしかないでしょう。  刑事局長、これも最高裁のことだからあっちに聞いてくれという回答をすでに口の中でつぶやきつつあると思うが、この最高裁の新たな免責についての対応アメリカ側によって要請されていることは事実ですよね。ところが、最高裁判事諸公は今月の二十日過ぎから交代でバケーションに入ると、これもいいでしょう。そうすると何らかの意味で夏休みの前に日本側の新たな決定、きょうも会議をお持ちのようだが、これはまあ常識中の常識ですね。  私があなたに伺いたいのは、仮に最高裁が格式が邪魔をして、どうも新たな対応が素早くとれない、何らの措置もアメリカ側に打ち返せないといった場合に、このアメリカ側つまりコーチャン氏その他の、その他のと言ったってもうコーチャン氏しかないのだから――データが届かない場合に、あなた方手持ち資料、いままでの供述の総体をすぐって政府高官への肉薄は可能なのか、いわゆるアメリカ側から来なければ切っ先が政府高官に及ばないのか、それも捜査内容です、お答えいたしかねる範囲ですか、どうなんですか。
  7. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 秦委員明察のとおりでございまして、これがなければ何ともならぬかどうかということは捜査内容でございますが、たびたび申し上げておりますように、やはりどうしても捜査のベストを尽くすという意味では欲しい調書でございます。
  8. 秦豊

    秦豊君 それから安原さん、これは仮の話をここでしても許されると思いますが、その政府高官が容疑に包まれている期間が仮に昭和四十八年なら八年としますか、そのころに政府与党高官であった、幹部であったという場合ね、たとえば、幹事長だというふうな場合があったとしますよ、あり得ると。そうしますと、収賄の裏づけは弱い、しかし金は確かに動いた形跡がある。これはそうなると当然政治資金規正法ですね、そうでしょう。その場合の政治資金規正法の場合には念のために、今後の展開のために伺っておきたいんだが、第二十二条のいわゆる外国人外国法人及び外国の団体から寄付を受けてはならぬというところを含めて、会計責任者に対する追及、罰則が二十一条以下二十四条、二十五条とずっと展開をされておるが、そういうところに当てはまるんですか。
  9. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ロッキード社から日本国内流れ込みました資金の入りと出というものを詳細に究明することが本件の捜査使命でございますので、何も贈収賄だけを明確にすることだけが使命でもございませんので、あらゆる資金流れにまつわる不正行為の存否についてはすべてを明らかにするつもりで検察当局は臨んでおるはずでございます。
  10. 秦豊

    秦豊君 安原さん、だから私の申し上げたような条項は当然踏まえるというお答えと解してよろしいですか。
  11. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御指摘のとおりでございます。
  12. 秦豊

    秦豊君 それからこれも捜査内容だ。あえて伺うんですよね。国政調査がいま空回りをしているからあえて伺うんですよ。いわゆる児玉ルートでは水谷より太刀川がほとんど緘黙を通しており、つまり壁が厚くて、丸紅ルートでは大久保の抵抗が一番強いという印象を持っています、お答え範囲ではないだろうけどね。しかし、この二人の壁が破れなければ、いわゆる政府高官への追及は及ばないのではありませんか。非常にむずかしくなるんじゃありませんか。どうでしょう。
  13. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 逮捕した被疑者真実を語ってくれることが最も捜査のために望ましいことは申すまでもございませんけれども、これまた御明察のとおり、捜査の現段階を申せということに相通ずることでございますので、これ以上は御勘弁を願います。
  14. 秦豊

    秦豊君 福田太郎氏が亡くなりましたね。これまで地検は何回、延べ何時間ぐらい調べましたか。
  15. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御案内のとおり、すでに亡くなられた方で、病が非常にあつかったわけでございますので、短時間、大体二十分ぐらいで相当回数調べたというように聞いております。
  16. 秦豊

    秦豊君 合計時間はわかりますか。
  17. 安原美穂

    説明員安原美穂君) つまびらかにしておりません。
  18. 秦豊

    秦豊君 その福田供述の中で二十分ぐらい、単位時間は短いが回数が多かった、トータルはわからぬ。これはわからぬでもいいですよ。ところが供述の中で、クラッター通訳としてクラッター児玉の間、それからクラッター小佐野賢治の間の会話、これは当然彼は通訳なんだからすべて彼の口を介さなければならなかった。そういう内容をしゃべったと言われているが、これはずばり内容にかかわるからあなたは首を横に振るだけだと思うが、われわれの知り得た範囲ではその福田太郎供述の中に自民党の大物、たとえば田中総理、中曽根、大平氏等々の名前がちらついたと言われている。これはあなたに答弁求めない、同じこと聞くのいやだから。  そこで、われわれの知り得たところでは、福田太郎は、世間の印象とは全く違って、児玉譽士夫よりもCIAの中におけるランクははるかに高いという感触もある。いずれも答弁は求めませんけれども、しかし、もう死亡したのだから、証人に対する工作という危惧はあり得ない。そうしますと、非常に重要な供述が行われたという印象はいまお持ちですか。
  19. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 捜査訴訟の過程においてその人間がどういう地位を占めるか、要するにその人がどういう重要性を持っているかということを一般に言うことは、いまの段階では差し控えるべきだと思います。特に今度の場合、死亡されておる方でございますので、いろんな意味において揣摩憶測を生むことでございます。たとえば悪い話でございますが、死んだ人に全部かぶせちゃうとか、死んだ人はわからないからうそをつくとかいうようなこともありますので、その証言の価値についてはひとつ御容赦を願いたいと思います。
  20. 秦豊

    秦豊君 そうでしょうね。それじゃ刑事局長、こういう点はどうですか。では、その亡くなった福田供述は法の手続に従って検察官面前調書として公判においても通用するような証拠能力を有しているのかどうか、これはどうなんですか。
  21. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 証拠能力刑事訴訟法に明らかに規定されております三百二十一条一項二号の検察官面前調書ということで証拠能力はございます。
  22. 秦豊

    秦豊君 それを伺えばいいのです。きわめて私たち自身は重要な証拠能力のある資料が陳述されたという印象を持っています。したがって、これは要望ですが、保管を完全にして、厳重にして、言うまでもなく、灰色高官名公表に際しては有力な資料にしていただきたい、これは要望だが、それについての答弁だけは求めておきます。
  23. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 紛争、訴訟の書類は厳重に保管して、しかるべき用途に使うべきであるということは間違いございません。
  24. 秦豊

    秦豊君 法務側にはもうありません。  本論に入る前に防衛側、これはどなたがお答えになるのかちょっと私わからないんですがね、児玉譽士夫ロッキード社とのいわゆる秘密契約コンサルタント契約有効性をちょっと聞いておきたいんですが、どなたでしょうかね。七三年の七月二十七日の例の第四次改定合意書による第四項、つまりP3C五十機の確定発注時に十五億、六十日後に五億、九十日後に五億を支払うという契約は現在でも有効と防衛庁側は考えていらっしゃるのかどうか。こんなことを突然お伺いした理由は、もしも有効ならば防衛庁側もしゃにむにP3C導入導入という望みをいまでも捨てていない、そういう防衛庁側は、その意思があろうがなかろうが、もしもこの契約有効性を認めているという前提に立てば、再び三たび多額のどす黒い金が黒いフィクサーに流れることを黙認することになる、そういう意味でこの点をあえて聞いておきたい。どうでしょう。
  25. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 私どもロッキード児玉譽士夫とのコンサルタント契約を直接に了知し得る立場にございません。したがいまして、現在私どもの知り得る範囲はいわゆる新聞紙上等において報道されておる域を出ないわけでございます。したがいまして、これについてどういうふうな、有効か無効かあるいはどういう扱いになるかということを現在私どもとして推定し得る地位にはないわけでございますけれども、まあいずれにしてもそういう客観情勢が従来あったということは事実であろうと思いますし、それからまあこういうこともいまあるいは一部においてはそういうものが存続し得る可能性もあるということは考えられるわけでございます。ただ、それ以上はあくまでこれはコンサルタント契約の当事者でありますロッキード社児玉の間の問題でありますので、論評は差し控えたいと思います。
  26. 秦豊

    秦豊君 国防会議に伺います。  四十七年の八月下旬に正式の国防会議予定されていましたか。
  27. 内海倫

    説明員内海倫君) 四十七年の八月二十五日には国防会議議員懇談会が行われておりますが、その際にさらに国防会議を開く予定であったかどうか、いままだ私の資料ではつまびらかでございません。懇談会が二十五日に行われたことは事実でございます。
  28. 秦豊

    秦豊君 あなたはその当時の国防会議事務局長ではないから、そういうエクスキュースはあるだろうけれども、それだと引き継ぎが不完全ですね。これは国防会議予定されていたはずです。もう一度確めてから回答してください。懇談会というのは国防会議が開かれなかったから懇談会になったはずです。確答を求めたい。
  29. 内海倫

    説明員内海倫君) なお正確には調べてみますけれども、いま私どもの承知しております範囲では、御存じのように、四次防の主要項目を決定するための国防会議昭和四十七年の夏以降に開くということになっておりますので、少なくともそのための国防会議がいずれにしても開かれなければならないという、そういう予定のあったことは間違いございません。
  30. 秦豊

    秦豊君 事務局長ね、あなた方は事務屋さんだからそういう答弁しか想定問答集にないと思うんだが、結局八月下旬の国防会議というのは確かに予定されていた。ところが、田中総理ハワイでのニクソン氏との会談に臨むためには、当然これこそ白紙還元ではなくて、一国の総理として白紙ホノルル会談に臨む必要があったので、予定されていた国防会議をとりやめたはずです。いままで当委員会審議の中で同僚議員先輩議員が懸命に追及をして、少なくとも十月段階、二日から九日に至る大蔵、防衛絡み通産を含んだ流れについてはかなり明らかになった。しかし、いわば十月という季節はP3Cについては仕上げ季節であって、それまでの大きな流れがあり得たと私は思う。その流れの中に、たとえば四十六年の佐藤内閣時代岸特使の訪米、そしてニクソン氏との会談バイアメリカン運動への協力つまり十億ドルの規模の兵器日本が購入できるかどうかの検討、そして兵器国産化路線のいわゆる見直し。それで、四十七年一月のサンクレメンテ。それからキッシンジャー氏のたび重なる訪日、再度にわたったはずだ。間に田中政権の発足、七月七日。そうしてホノルル会談に至る流れがある。この流れはいわばアメリカの戦略の変化と同時に、いわばバイアメリカン運動への協力を執拗に願ってきた、要請してきたアメリカの意図が大きな力として働いている。こうした大きな流れの中に国防会議延期というのは私は見なければならないと思う。それについてはどう考えますか。
  31. 内海倫

    説明員内海倫君) お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、四次防の主要項目策定のために四十七年の夏以降にそれを決定すると、こういうことで、防衛庁の方ではなるたけ早く、八月末ぐらいには決めてほしいという希望を持っておったようでございますが、ただ主要項目を策定いたしますためにはその基礎にやはり経済長期見通しとかいうふうな問題も考えなければならない。当時の事情といたしまして、経済長期見通しというものは九月に入ってみないとわからないというふうなことがございましたので、そういうこともかなり大きな、これを後に延ばさざるを得ない理由であったのではなかろうかと、そういうふうに私どもは考えております。
  32. 秦豊

    秦豊君 大変不十分な答弁しかあなたはできないと思います、その意味については。もちろんこれは田中総理から聞くべき話かもしれません。したがって、これ以上深追いはこの点についてはいたしませんけれども、やはり一言だけ付け加えておけば、四十七年に限って言うと、やはり六月十日キッシンジャー佐藤榮作会談、この場合にもいわゆるバイアメリカンヘの協力。そして同じく七月二十三日には例のコーチャン氏のデモフライト、伊丹空港。そして七月二十五日には四日間にわたった箱根の日米会談、ここでははっきりエバリー代表が八項目経済要求を出した。これはもう周知の事実です。こういう流れ。そしてそのころにコーチャン氏が田中総理会談をしたのではないかという観測がいま濃厚になっている。そしてハワイ会談の前の八月十八日にはキッシンジャー氏が羽田に着いて、翌日軍用ヘリコプターで軽井沢の万平ホテルを訪れた。もちろん田中総理と会うためである。同席はインガソル大使ただ一人であった。そこでハワイ会談の始まる日、このホノルル会談の直前に会場のクイリマホテルではキッシンジャー氏やインガソル氏が記者団に対して田中総理買い物リストというのを雑談を交わしている。外電のこれはサイドニュースに伝わっている。十一億ドル――三千三百億円の中には胴体の太い飛行機や純度の高いウラニウムも含まれている、しかし細目はインガソル氏と鶴見氏の間で終わっている、今度の会談はいわば仕上げである、いささかの懸念もない、こういうことが報道されているくらいであって、すべては会談の前に終わっている。したがって、そういう大きな流れの中に国防会議延期という事実があり得たと私は思うので、なお精査をして私に回答をしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  33. 内海倫

    説明員内海倫君) お答え申し上げますが、私どもがいま事情を承知いたしております点は、先ほど申しましたようなことでございますが、さらにそのほかに何か国防会議を十月まで延ばさなければならないどういうふうな事情があったか、わかる限りにおいてはよく調べてみたいと思います。
  34. 秦豊

    秦豊君 ちょっと本論に入りますが、国防会議専門家会議におきまして、次期対潜機導入時期というのはいつごろだと当初防衛庁説明していたんでしょう。
  35. 内海倫

    説明員内海倫君) 防衛庁説明いたしておりますのは導入時期というふうな意味合いではなくて、昭和五十七年度ごろから現在使用しておるP2Jが逐次何といいますか脱落していくというふうなことを説明をいたしております。
  36. 秦豊

    秦豊君 これは防衛庁側から補足をしていただきましょう。  防衛庁側は一貫して五十五年という説明をしていたんではありませんか。
  37. 丸山昂

    説明員丸山昂君) いま国防会議事務局長から御答弁になりましたとおりの説明をいたしております。
  38. 秦豊

    秦豊君 防衛庁はそれではいろんな機種を、ヨーロッパ生産のものを含めていろんな機種を比較をして説明をしたはずだと私は承知しています。そのときにP3Cについてはどのように説明をしたでしょうか。
  39. 江口裕通

    説明員江口裕通君) いわゆる専門家会議が行われましたころにおきましては、まあ大体四十八年の調査に基づきましてP3Cの状況というものは一応了解しておるわけでございますが、そういつた調査団資料等に基づきましてP3Cというものを御説明しておると、ごく大づかみに申しますと――ちょっと御質問の趣旨がよく理解できませんので、大づかみに申しますと以上でございます。
  40. 秦豊

    秦豊君 これは当初は五十五、五十五で通していたんですね。ところが私が昨年の六月二十四日にP3Cの導入に関する質問主意書を出したときに防衛庁側回答昭和五十七年ごろとすでにそこで変化をした。そして最近の丸山局長あたり答弁はもう御存じのとおりで、言うまでもなく五十九というふうなニュアンスが早くもちらついている。このことについては後で触れます。そしてその国防会議専門家会議への説明の中で滑走路についてはどういう説明をされたんでしょうね。
  41. 岡太直

    説明員岡太直君) P3Cの滑走路の話でございますけれども調査団調査結果でございますが、P3Cにつきましては通常の状態では重量が六十一トンでございます。その場合は滑走路が二千七百四十メートル必要であると。しかし、われわれの方の要求としましては、海上自衛隊が使用しておるところの二千二百メートルの滑走路でなくちゃいかぬと。それで、その場合、この六十一トンの全備重量から燃料を五トンばかり減らしまして運用しますと、十分なる航続時間を持ちながら二千二百メートルの滑走路でも運用ができると。つまり燃料を減らすことによって、しかも十分な必要な航続時間を持ちながら二千二百メートルの現在の海上自衛隊滑走路運用できるということを御説明申し上げてございます。
  42. 秦豊

    秦豊君 それはこういう意味ですか。まあ下総級のクラスでは使えません。なぜならば滑走路が二千二百メートルであるためです。厚木も足りません。那覇とか岩国では耐え得るでしょうがと、こういう前提での御説明ですか。
  43. 岡太直

    説明員岡太直君) ただいま滑走路の長さについて申し上げたわけでございます。で、二千二百メートルの場合は六トンばかり燃料を減らすことによって運用ができると。しかしそのときの航続時間はじゅうぶんであると。そのほか二千……
  44. 秦豊

    秦豊君 航続時間何ですか。
  45. 岡太直

    説明員岡太直君) 飛行する航続時間でございます。
  46. 秦豊

    秦豊君 が何ですか。
  47. 岡太直

    説明員岡太直君) 航続時間が十分に必要にとれるということでございます。
  48. 秦豊

    秦豊君 とれる。
  49. 岡太直

    説明員岡太直君) はい。十分要求性能を満足させるだけの航続時間を持つことができると。それから、二千二百メートルより長い滑走路で使用する場合でございます。そのときは、いま六トン燃料を減らすと申し上げましたけれども、これを五トンにするとか、あるいは三トンしか減らさないというようなことで、滑走路に応じた運用ができると、こういう意味でございます。
  50. 秦豊

    秦豊君 進出速度についてはどういう説明をされましたか。
  51. 岡太直

    説明員岡太直君) 進出速度につきましては、やはりP3Cにつきましてはその速度は三百三十ノットであるという事実を申し上げてございます。
  52. 秦豊

    秦豊君 それから、関連してこうアトランダムにずっと聞いていきますから、一通り答えてください。後でまとめますから。  機首見張り員席についてはどう説明されましたか。
  53. 岡太直

    説明員岡太直君) P3Cにつきましては、機首には見張り員席はございません。そういうことを御説明申し上げてございます。
  54. 秦豊

    秦豊君 見張り員席というのはこの機種の場合要らないんですね、じゃ。
  55. 岡太直

    説明員岡太直君) これは米国の運用のものでございますから、私どもの方は十分承知しておりませんが、P3Cの場合には見張り員席がなくて十分に運用しておるというふうに了解しております。
  56. 秦豊

    秦豊君 なるほど。  それから、これは重要な項目だと思いますが、費用対効果比説明、各機種について。これはされたはずですが、どんなふうに説明されたのか。そのときに何がよくて、つまり機種に即してこの機種はこう、この機種はこうと、あなた方グラフを書いて非常に精密にやられましたからね。何がよくて、何が悪いと言われたのか。たしかそのときにはここにニムロッドがあり、それからPXLがあり、P3Cがあり、さまざまな機種が対比されて、そのときにはたしかあなた方はPXLが最善と言った説明をされたはずです。もちろん、私の前提は費用対効果ですよ。答弁をしてください。
  57. 岡太直

    説明員岡太直君) 費用対効果の問題でございますが、まず費用について申し上げますと、航空機を整備する場合、まず開発費が必要であると、これはPXLの場合には開発費が必要であるけれども、P3Cの場合はすでに開発されておりますから、開発費は必要ではございません。  それから次は、何機整備するかによりまして、単価と機数と、こういう問題でありますけれども、これはPXLとP3Cを比較いたしますと、確かにP3Cの方が単価が安いわけでございます。それから今度は施設整備の費用、これはつまり滑走路の問題であるとかエプロンであるとか、そういうような問題でございますけれども、これはP3Cの場合はやはりある程度の滑走路のかさ上げが必要であるということで、その方の費用がかかります。それから維持運営費につきましては、これは余り大きな差はございませんでございました。以上総合いたしまして、費用で比較いたしますと、PXLとP3Cを比較いたしますと、P3Cの方がやや安いと、こういうことになっております。  ただ対潜効果ということを考えてみますと、何と申しましょうか、潜水艦をいかに撃沈するかというそのORを計算いたしました場合、PXLの方が効果が大きいと、こういうわけでございます。したがいまして、費用対効果の点から申しますと、PXLの方は費用は多少かかるけれども、対潜効果は大きいと。それからP3Cの方は費用は多少安いけれども、やはり対潜効果はPXLに劣るということでございます。  以上総合いたしまして、多少の差はございますけれども、この差につきましては画然とした大きな差はないと、こういうことでございます。
  58. 秦豊

    秦豊君 四十九年十二月の専門家会議への説明では、防衛庁側はP3Cの性能についてかなり率直にその欠陥を認めたという事実はありませんか。たとえば将来のエンジンの取得であるとか、進出速度であるとかを含めた問題、いかがですか。
  59. 岡太直

    説明員岡太直君) 先生いまおっしゃいました第十四回もそうでございますけれども、第二回の四十八年六月二十五日のときに進出速度が三百三十ノットであると、これはわれわれの計画しておりますところのPXLよりも低いということは専門家会議において御報告申し上げてございます。
  60. 秦豊

    秦豊君 そんなにあなた小出ししちゃいけませんよ。あなた方はかなりまとめて専門家らしく謙虚にP3Cの欠陥をお認めになったはずです。あなたその資料なんですか、それ、いまお持ちの。そこに書いてあるでしょう。え、――あなたはその役目を与えられているから仕方がないんだろうけれども、そういう不確かな答弁をされちゃ、国会の審議を軽視しちゃいけません、あなた。あなたはそんな安直な説明をしただけじゃなくて、たとえばP3C改善型はターボプロップ・エンジンのために進出速度は不十分。またエンジンの製作の趨勢からして、傾向からして、将来の取得には懸念があるとか、それからあるいはP3Cの正規の全備重量の問題も話をしたし、それからあなた方はごく手軽に見張り室がなくていいんですと言いながら、私に対しては。その専門家会議説明に対しては、機首見張り室がなくて、下の方、下方の視界は不良だと、それから正規の運用のためには、つまり性能諸元一〇〇%で運用するためには、滑走路及びエプロン等の補強が必要だとまで説明をしているじゃありませんか。何ですか、いまの答弁は。はなはだもって不十分。完全な、こういう説明をしたということを正直に答えてもらいたいから、私は控え目に伺っている。もっと補ってください、答弁を。私がいま言ったことを含めて説明があったんでしょう。違いますか。
  61. 岡太直

    説明員岡太直君) 専門家会議におきましては、われわれはなるべく、できるだけ客観的な事実を説明したつもりでございます。いまエンジンのことについて、古いエンジンであるとかあるいは技術的ポテンシャルがないんじゃないかということを先生御指摘になりましたけれども、その件については説明いたしております。
  62. 秦豊

    秦豊君 いたして……
  63. 岡太直

    説明員岡太直君) おります。
  64. 秦豊

    秦豊君 おります。  私の申し上げた機種、見張り、その他エプロン、滑走路の補強等も説明されたのですね。
  65. 岡太直

    説明員岡太直君) 滑走路の件につきましては、先ほど費用対効果のときに申し上げましたけれども、かさ上げであるとかそういうような問題も含めて御説明申し上げてございます。
  66. 秦豊

    秦豊君 つまり、あなた方は専門家としての見地から非常にクールにデータを分析されて、解析されて、P3Cについてはかくかくの欠陥がある、足りない点があるということを総合的な見地からお話しになったことは認めますね、重ねて。
  67. 岡太直

    説明員岡太直君) ただいま申し上げましたように、第二回の話と第十四回の話とございます。
  68. 秦豊

    秦豊君 全体を通じて。
  69. 岡太直

    説明員岡太直君) 第二回はまだ調査団が行っておりません。したがいまして第二回におけるわれわれの説明と申しますのは四十五、四十六年度における調査結果、そういうものにつきまして、しかもP3Cについてはリリースされておりませんので、公刊の資料、その他いろいろデータを集めた上で比較いたしております。  第十四回に至りましては、四十八年度の末に調査団が行きまして、P3Cの実態を調べてきております。したがって、その間の事情は大分変わってきております。それで、つまりスピードの問題であるとか、エンジンの問題、こういう問題は明らかにわれわれが従来調査しておったことと同じでございました。ただ、電子情報処理装置の能力とか、あるいはソフトウエアと申しましょうか、そういう表にあらわれてないようなものにつきましては調査団の結果が出て初めてわかったということで、そのソフトウェアの問題などにつきましては、第二回のときと第十四回のときとは説明が違っております。
  70. 秦豊

    秦豊君 ちょっと参事官お休みください、国防会議に伺いますから。  四十九年十二月の専門家会議への説明では、いま参事官が小出しに認められたけれども、P3Cの欠陥、いわばこれはずばり言って欠陥ですね、欠陥。それから、費用対効果比ではP3CではなくてPXL国産路線、これが最善という説明があったことは引き継ぎを受けていらっしゃいますか――いやいや、お認めになりますか。
  71. 内海倫

    説明員内海倫君) ただいま防衛庁の方から説明のありましたP3Cに対する諸般のPXLとの比較における欠点というものは、全部専門家会議でも指摘されております。  それから費用対効果の分析の際におきましては、P3C、それからPXL、これは国産予定機でございます。それからニムロッドとそれからフランスの、ちょっと名前ど忘れしておりますが、あの、何でございますか――
  72. 秦豊

    秦豊君 アトランティック。
  73. 内海倫

    説明員内海倫君) アトランティック、失礼いたしました、ど忘れいたしまして。アトランティック等を比較対照いたしまして、かなり精密な費用対効果分析が行われておりますが、そのときの説明ではP3CとPXLが第一ランクにクラシファイされて、ニムロッド以下は費用その他の点においてかなり差があるということで、さらにP3CとPXLとの比較においては、有意の差がない、こういうふうな説明を受け、かつまた、そういうふうな説明に対する専門家の先生方の認定と申しますか、それもそういうふうなものであろうと、そういうふうなことでございました。
  74. 秦豊

    秦豊君 内海さん、専門家会議ではあれですか、あなた方の言っておられた防衛側の、五十五年には何機のPXLが必要なんだろうか、それから導入時期というのはタイトなものか、延ばせるのか、延ばせるとすればいつごろまで延ばせるんだろうかというふうなことを質問された専門委員がおられたか、あるいは質問に答えて説明をされたことがあったかどうか、確認をしておきたい。
  75. 内海倫

    説明員内海倫君) 防衛庁におきます説明、要するにP2Jが脱落していくということについての説明はございました。これは五十七年度以降こういうふうな状態で脱落していくという説明はございました。ただ、この専門家の先生方の受け取りとして、五十七年というものの説明についても、一応防衛庁側説明を聞かれて、しかし、それではこれがもう絶対不変のものであるかどうかというふうなことになりますと、やはり諸般の状況を考えて絶対不変というところまで厳しい認識はお持ちにはならなかったのではなかろうか、しかし、防衛庁のそういう専門的な立場での説明でございますから、それをそのままお聞き入れになっておると、こういうふうに理解いたしております。
  76. 秦豊

    秦豊君 ちょっと観点を変えますけれども、当初五十五から五十七年導入が可と言ったり――これはまあ私の質問主意書に対して。それからその後の国会でのやりとりの中では、防衛側は五十九年導入説さえ出していると、こういう理由づけについては後で触れたいと思いますけれども、こういうこと全体を通じまして、あなた方の態度が非常にあいまいであるということは、つまり専門家会議を軽んじたということになりはしないのか。つまり導入時期というのは非常にポイントですからね、枢要なポイントですからね。それがこんなにぐらぐらするというふうなことは、せっかく設けられた専門家会議を軽視したゆえんである、私はそう言わざるを得ない。これは専門家会議の、むしろ再審議を求めるべき重要事項じゃありませんか。それについてはどうお考えになりますか。
  77. 内海倫

    説明員内海倫君) お答え申し上げますが、専門家会議における説明では、初めから五十七年以降ということで説明が行われておりました。五十五年というふうなことは、専門家会議においては防衛庁からは説明はされてございません。
  78. 秦豊

    秦豊君 それから、これ防衛庁国防会議側に、両方に伺っておきたいんだが、いわゆる審議概要と言われている四十九年十二月二十七日のこのデータですね。これは特別委員会のメンバーにはすべて配付されていると思います。これは私がいま参事官に聞いたところでも、私の当初の質問には出てこなかったことがだんだん出てくる、いわゆるP3Cの欠陥についてなんかね。こういう調子だと私は信用ができない。いいですか、この審議概要というのはどうなんですか、重要なポイントについては正直にダイジェストがされているとお考えですか。それとも肝心な点は、これはかなりぼかされていると、私は、私自身の調査では思うんだが、あなた方自体は枢要なポイントはちゃんと反映されていると、自信を持って言えますか。
  79. 内海倫

    説明員内海倫君) 審議概要につきましては、専門家の先生方から出ました意見、さらにいろいろ各省庁から説明されました見解、そういうものを取りまとめましてつくられたものでございまして、仰せのように私はきちっとしてつくられておるもの、こういうふうに確信いたしております。
  80. 秦豊

    秦豊君 それは全く違うんですよね。P3Cの条項一つとってみても違う。一体この専門家会議の専門委員のメンバーにはどのような資料をお渡しになっていますか。つまりニムロッド、アトランティック、それからP3C、PXL、すべてを並べた相当膨大な資料が渡されているはずだと思いますが、それはどうなんですか。
  81. 内海倫

    説明員内海倫君) それぞれの調査結果に基づきまして、防衛庁から詳細な資料に基づいて詳細に説明が行われております。資料として先生方にお渡ししたというよりも、そういうところで十分納得のいくようにいろいろ膨大な資料に基づいて検討が行われております。
  82. 秦豊

    秦豊君 それは答弁になっていない。資料を渡したのか渡さないのかがまずわからない。一応会議の席では回覧をして、部外秘だからすぐ回収をするというふうな資料。見せるだけ、ちらっと。後は回収。資料は配付したがそのつど回収するという措置であったのか、あるいは専門家の立場を尊重して膨大な資料は渡しっ放しであったのか、その点はどうなんですか。
  83. 内海倫

    説明員内海倫君) 先ほども説明申しましたように、防衛庁側から詳細なデータ、資料に基づいて説明が行われており、それは場合によりますとスライドとか、あるいは防衛庁の、何と言いますか、こういう大きく見せる図面、こういうふうなもので行われておる場合もございますし、それからまたお持ち帰り願って、十分専門的に検討していただきますためにそれをお持ち帰り願って検討してもらったものもございます。しかし、いずれもそれらは大きく秘にわたるようなものでございますから、会議終了後はお返しを願って防衛庁の方に返却をいたしております。
  84. 秦豊

    秦豊君 これは委員長にひとつ適切な措置をお願いしたいことがあります。  つまり防衛庁のユニホームは一〇〇%の情報を持っている、対潜機の問題については。内局はどれぐらい知らされているかはわからない、実は。そして、この重要な対潜哨戒機の問題を練る当委員会のわれわれ特別委員はせいぜいこの審議概要しか渡されていない。しかも、いま聞くところによれば、機密度が高いものだからそういう措置をした。しかも、この審議概要自体の信憑性について、正確度について私は信用ができない。できませんから、いやしくも重要な国防構想、防衛構想あるいは重要装備をめぐる黒い疑惑を追及している当該委員会が十全な審議をなし得るためには、この程度の資料ではなくて、本当に防衛庁側専門家会議で費用対効果比にわたる点を含めて、先ほど私の追及に対してようやく認めたP3Cの欠陥、それはどの部分か、そして、PXLの利点等々をまとめた資料が必ずあるはずだ。必ずあるはず、これは。それを当該委員会に、本委員会に完全な資料としてぜひ提出をしていただきたい。こういう審議概要を踏まえたぐらいでは、とても今後事件の核心を迫ることはできない。  私ども調査によれば、対潜哨戒機については費用対効果ではPXLが最高、P3Cは欠陥の多い機種だということを防衛庁側は認めていたはずであり、それはですよ、専門家会議には、メンバーには資料として渡されているはずだと私は確信を持っています。したがって、いまの答弁ではとても納得ができないし、この審議概要ではもとより納得ができない。より完全な資料を当該委員会に提出をするように、委員長において取り計らっていただきたいし、理事各位にもそのことを御高配を願いたい。どうしていただけますか。
  85. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これは防衛庁の方に承りますが、いまの秦委員の御指摘に対しまして、完全なその当時の資料を提出が可能であるかどうか、また資料の提出はできないかどうか、防衛庁側の意見をひとつ私は承ります。
  86. 秦豊

    秦豊君 理事会で諮ってもらわないと困りますよ。防衛庁の意見は意見として、委員会の権威に関しますよ、あなた。おかしいですよ、その措置は。
  87. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) じゃ、よろしゅうございます。  じゃ、ただいまの委員長のは取り消しまして、理事会で十分討議をいたしまして善処いたします。
  88. 秦豊

    秦豊君 それから委員長、関連しまして。  もしも防衛庁側がこれは部外機密だ、機密事項だというふうな反撃に出た場合に、これは重要な問題を提起すると思います。つまり、ユニホームは一〇〇%知り得ている、内局はほどほどである、国会議員はほとんど知らされていないという事実と結びつくからです。したがって、これは、簡単に資料提出をしない、ああそうですか、では先に進めましょうというふうな問題では私はあり得ない実は重要な問題だと思います。したがって、十全の措置をお願いしておきますけれども、それに関連しまして、国防会議の座長を当時たしかお務めになったはずの堀越二郎氏を、こちら側が証人証人はこうしていますから、参考人であろうとも、しかるべき審議の日程を見て当委員会にお呼びをしたい。もしも防衛庁側が、国防会議資料を絶対に出さないと言った場合には、堀越座長にそのときの資料を持って、来ていただいて、本委員会での質疑に答えていただきたい。そういう措置をもあわせてお願いしたいが、どうしていただけますか。
  89. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 堀越座長の問題につきましても同様に取り計らいます。
  90. 秦豊

    秦豊君 じゃ、その二つの件についてはよろしくお願いをします。  それから、問題を変えます。  五十年三月十七日以後に各省庁は、防衛は防衛サイドでP3C導入の再調査、それから通産を主体にして国産化の検討をなされたはずですが、国産派いわゆる見直しですね。見直し作業というのは、P3CとPXLの両方のサイドでどういうふうに進んできて、いまどうなっているんですか、ちょっと聞かしてください。
  91. 丸山昂

    説明員丸山昂君) P3Cにつきましては、五十年の三月、国防会議の参事官会議で各省庁と御協議を願いました結果、外国機については専門家会議審議の結果を踏まえてP3C一本にしぼるということで、その年の五月あるいは六月であったかと思いますが、第二次の調査団アメリカに派遣をいたしております。その調査結果を踏まえましてさらに詳しい事情がよくわかったわけでございますが、特に問題は、先ほども岡太参事官から申し上げましたように、ソフトウエアの問題については、これは大変に当初PXL開発の段階において当方の予測し得ないほど進歩しておる、問題がたくさんあるということがわかったわけでございます。それから一方、国内の問題につきましては、これもやはり、いま先生は防衛庁がP3Cで通産がこれは国産というふうにおっしゃっておりますが、防衛庁の中でやはり国産を、技術開発をやっておるわけでございます。これは、各幕技術部とそれから技本、技術本部、これが中心になってやっておるわけでございます。この研究のリードタイム、開発のリードタイムの短縮ができないかという点についてかなり詰めてもらっております。大変これはむずかしい問題でございまして、大体、実質一年、形式になりますと二年にわたっての短縮が可能であるという結論が出ておるわけでございます。  で、いずれにいたしましても、この五十年の四月からポスト四次防の作業に入りまして、そこで固定翼の対潜哨戒機について、次期防の中でこれは主要な位置を占めるわけでございますから、全体構想をどうするか。これは先生十分御存じのように、他の艦艇あるいは回転翼対潜機、いろいろございます。そういうものを全体でこのASWの体系づけを考えていかなければならぬということになりまして、そこで一応この問題は、その国産かあるいは導入かという二者択一の問題ではなくて、各種のバリエーションを考えておるわけでございます。  御案内のように、最近またさらにS3A、これは同じくロッキードの製品ではございますが、これのエレクトロニクスはP3Cよりはかなり進んでいるというふうに私ども聞いておるわけでございますが、どうせ導入するのであれば、これも検討の対象にしたらどうだということで、そういうものも含めましていま技術的に検討を進めておる、こういう状況でございます。
  92. 秦豊

    秦豊君 もちろん防衛庁側も技本云々はわかりますが、その主として主体と言いますか、通産の側の検討作業はどういうふうにまとまっておりますか、あるいは進行しつつありますか。
  93. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) いま丸山局長からおっしゃいましたように、昨年の三月以降の状況につきまして御報告申し上げますが、私どもPXLが国産か輸入かという問題につきまして、かねて航空機産業を所管をしております立場から、できるだけ国産の方向で決めていただきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございまして、その線でいろいろ勉強をいたしてまいっております。従来の研究の結論につきましては、五十年の十一月の上旬ごろに私どもの見解をまとめまして防衛庁の方に御連絡を申し上げて参考にしていただきたいということで、そういう連絡はいたしておるわけでございます。その後につきましては、いまおっしゃいましたように、いろいろ将来の防衛のあり方の問題との関連もございますので、具体的に防衛庁と細かい問題につきましての検討はいたしておりません。
  94. 秦豊

    秦豊君 熊谷局長、いまのなんかはあれで答弁と言えるものじゃないんですよね、とても。あなた方は防衛庁に遠慮をされる立場があるのかもしれませんが、あなた方は十月にまとめたものを防衛庁に連絡をした、その前に五十年七月に通産省として中間的にデータをまとめられましたね。しかも、その中には、まず第一項にはPXL開発のスケジュール、それを見ると、結論的に言うと、丸山さんが言ったように、量産機の納入開始は二年間早めるという修正案が実現可能であるとの結論を得たというふうな資料が含まれているし、それからPXLとP3Cの性能を比較した中でも、ある。パーセンテージを挙げて、たとえば速度もPXLの最大速度はP3Cより一一%も大きいとか、あるいは上昇下降性能もおよそ一一%まさっているとか、滑走路に及んだ検討もちゃんとなさっているはずですね。それから航法と探知系統の性能についてもP3CよりPXLはまさっていますと、それから丸山さんが答弁の最後で述べられたいわゆるEDPS、電子情報処理装置の性能比較においても、アメリカの場合に先駆けて第四世代の新しいシステムを開発が可能であるとまで述べていて、総じて通産側のデータを見ると、これはPXしの国産化による経済的な波及効果を含めて何もP3Cに頼る必要はないと、PXLで十分に対応できるとお述べになっているじゃありませんか。ちょっと資料を確認していただいてよろしゅうございますか、委員長
  95. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) いいです。
  96. 秦豊

    秦豊君 これはあなた方の資料ですか。(資料を示す)――これは通産側の資料だということをお認めになりましたが、ではこの資料に基づいて十月に防衛庁側に連絡をされたのですか。この点から著しくかけ離れた連絡要綱になっていますか、大体はこの線で丸山さんの方に行っていますか、これはどうですか。
  97. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) ただいまの資料は私どもの部内の研究したものをまとめた資料と思いますが、一貫して十一月の際に防衛庁の方に連絡いたしましたのは、ほぼその線に沿った考え方になっております。
  98. 秦豊

    秦豊君 くどいようですが、その十月に通産省の熊谷さんのところから丸山さんの方へ連絡をされた、PXLに関する通産省の調査検討についてと、ほぼそのようなタイトルだと思いますが、その資料も今後の審議を充実させるためにぜひとも特別委員としては提供を受けたいと思いますので、これも理事会において計らっていただきたい。私が調査段階で入手したのは五十年七月の資料にすぎません。おおよそは変わっていないそうです、ポイントは。変わっていないそうですが、念のために最も新しい完備した資料を要請したいと思いますが、それも理事会において取り計らっていただけますか。
  99. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 承知しました。
  100. 秦豊

    秦豊君 じゃ、防衛庁側に違った観点を伺います。  五十年の夏にロッキード社とカナダ政府との間におきまして、PXL――この場合はP3Cですけれども導入について交渉しているはずで、いまややもたつきが見えますけれども、もたつきを含めて交渉経過、現時点の状態を御存じでしょうか。
  101. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 結論から先に申し上げます。  現在私どもの方で入手しておる情報によりますと、カナダ政府はロッキード社との間で五十一年の一月の五日に締結されております契約がございますが、それのP3Cの購入契約の生産に必要な三億ドルの前金融資を拒否いたしました。その結果、一応現在この契約は破棄されたというふうに了知しております。中身につきましては申し上げ……
  102. 秦豊

    秦豊君 値段を言ってください、たとえば一機当たりとか。
  103. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 一応そのときの一機当たりの値段として伝えられております値段は、一機当たり二千七百六十万という数字になっております。もっともこれは、このカナダで使用いたしますP3Cは、流氷調査、漁業活動あるいは海洋汚染監視というような特殊任務を持っております。そのための特殊スペックあるいはS3Aのハードウエアを入れております。そういうことで若干の改装を行っておりますので、その改装の費用がその中で六、七百万ドルあるというふうに伝えられております。そういうようなことを考えまして、一応含めまして二千七百六十万という数字を了知しております。
  104. 秦豊

    秦豊君 防衛庁調査団を出したし、この対潜哨戒機の値段というのは重要な一つのポイントになると思うんですね。それで、カナダのことを聞きましたのは、日本との関連が浮かび上がってきたためです。その関連はどこで結びつくかというと、カナダとロッキード社との交渉の段階でいわゆるオフセット契約というのがあったわけなんですね。その内容御存じでしょうね。
  105. 江口裕通

    説明員江口裕通君) いまちょっと手元に資料がございませんので記憶で申し上げますけれども、一応オフセット契約というものがございまして、カナダに購入するP3Cはもちろんのこと、ロッキードが将来つくります機種につきましても、カナダで部品を生産いたしましてそれをロッキードの方に渡すという意味のオフセット契約があったというふうに聞いております。
  106. 秦豊

    秦豊君 これはなぜこれを聞くかという意味は、もう江口さん御存じのとおりなんだけれども、最初交渉の段階で、P3C一機は、これは素渡しですけれども、あとの補給品入っていないけれども、八十二億八千三百万円、一機当たり。それが後に百二億円になり、百二十五億円になり、一番新しいいま行われているカナダ政府とロッキード社の間におけるP3Cのいわゆる復活交渉という新しいニュースが入っているが、それによると、年間のインフレ率を七%として、七九年五月導入開始とし、スペアパーツを含めますと一機当たりにして百五十八億円というふうになっているんですよ。もっとも、安く言っておいてつり上げるのはこれロッキードのお家芸ですからね、この程度で驚いていたんじゃしようがないと思うが、とにかく私ども調査によるとそのように値段が次々につり上がっている。だから、あなた方が対潜哨戒機P3Cと言って、まだ結論を出したわけじゃないと言われるかもしれないが、このロッキード社が仮に相手になる交渉の場合には、カナダがいま直面しているような、しばしばこういうつり上げ操作に直面するということを含めて検討してもらいたいと、こう思うんです。その場合、装備局長に念のために聞いておきますけれども、カナダがロッキード側と当初契約をしようとした中に、オフセットという契約があって、それは日本が対潜機を仮にP3Cとして導入するという場合には、どういうふうなかかわりを持つとあなたは専門家としてお考えですか。
  107. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 大変むずかしい質問でございますので、これはある程度私見に近くなりますので御了承いただきたいと思いますが、一応字面から見ますと、このオフセット契約の中身と申しますのは、カナダの購入する飛行機だけではございませんので、それ以降の、アメリカで持っておりますロッキードP3Cの生産計画にかかずらうわけでございます。したがいまして、その中に仮に日本ロッキードのP3Cを輸入するということになれば、その部品は入ることはあり得るというふうに解されるわけでございますが、ただ私どもは現実にそういうP3C導入等をやります場合には、仮にやるといたしますと、従来のパターンではライセンス契約になってまいります。そのときにどういう適用があるかというようなことにつきましては、これはわかりません。大変恐縮でございますが、いまはその程度の考え方と申しますか、推定と申しますか、ということでございます。いずれにしてももう少し情報がございませんと、はっきりしないという感じがいたします。
  108. 秦豊

    秦豊君 しかし、P3C、P3Cで血道を上げている防衛庁の専門家、担当局長にしては、失礼だが情報過少ですね。不勉強じゃありませんか、失礼ですが。やっぱりこれは日本導入と実に密接に私は関連すると思いますよ。だから、これは精査されて、しかるべき場でまた私に答弁をしてください。  カナダとロッキードの話がいまこんなになっているのは、融資問題が本質じゃなくて、まさにいま提起している日本向けのオフセット契約流れそうになったから話がややこしくなったというふうに私は見ているが、あなたはどういう御見解ですか。
  109. 江口裕通

    説明員江口裕通君) どうも不勉強というおしかりを受けることと思いますが、私どもいま了知している限りにおいては、融資問題というふうに了知しておるわけでございます。もちろん中身につきましてはオフセット契約が非常に複雑であるということは十分了知しております。たとえばF16のA等の例もございますのでいろいろパターンがございまして、それがどういうふうになるかということは実はわからぬわけでございますが、しかし、私どもの了知している限りはいわゆる融資問題というふうに了知しております。
  110. 秦豊

    秦豊君 カナダの駐在武官がですね、防衛庁側にP3Cを買ってくれないかというふうな意味のアプローチをした事実はありますか。
  111. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは防衛局あるいは装備局両者を通じまして、いまカナダの武官からそういうお話は伺っておりません。ただ、強いて思い当たるといたしますと、PS1につきまして、前にいわゆる消火活動等にPS1を向こうで開発しておりますので、それを買えという話は過去においてございました。
  112. 秦豊

    秦豊君 五十年五月二十五日から六月八日にかけて行われたと思われます伊藤康夫団長の第二次調査団、これがロッキードにもちろん赴いていろいろな調査をされたときに、P3Cを買うというふうな意味の、権限もないのに、そういうふうな感触を与えるはずがないというのが世間的な常識なんだけれども、何らかの内約ないし感触を与えたのではありませんか。つまりそれ以後、ロッキードを訪れた日本人の専門家や日本のジャーナリストがP3Cをどうもありがとうというふうな、ジョークとも真実ともつかないあいさつに接して大変奇異な感じを持ったという情報がひんぴんとしてあるので、お答えは大体察せられるけれども、念のために伺っておきます。どうでしょう。
  113. 丸山昂

    説明員丸山昂君) これはもうまさしく先生がおっしゃるとおり、本人に何らの権限も与えられておるわけではございませんので、そのようなことを不用意に発言をしているということはないと思います。
  114. 秦豊

    秦豊君 仮に丸山さんのいままでの答弁の中間的に、五十七年対潜機配備が必要とした場合に、いまの現行対潜機が減衰していく度合いですね。これを年度別に教えてください。
  115. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 五十年度末の就役機数が六十一機でございます。五十一年から五十三年にかけまして現在調達中のもの、それから調達予定のもの、これが就役をいたしますので、五十三年度末に七十八機になるわけでございます。その後は新たな就役が、増加分が出てまいりませんので、この機数がだんだんに減ってまいるということになっております。大体この七十八機の勢力を五十三年から五十六年、大体三年ぐらいは維持できるというふうに考えております。  それから五十七年から減衰に入るわけでございまして、これから六十一年までの五年間、大体約この半数、四十機程度のものが用途廃止になります。それから残りの六十二年から六十六年の五年間、これで残部の約四十機、これが退役をする、大体そういう見込みを立てております。
  116. 秦豊

    秦豊君 対潜機の耐用年数は大体十三年から十五年、十五年が通説らしいのだが、飛行機の老朽化というのは年月じゃなくて飛行時間ですね、局長
  117. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 経年変化ということが全くないとは申せませんが、一応私どもはこの計算をしております根拠は、飛行時間で考えておるわけでございます。
  118. 秦豊

    秦豊君 限界飛行時間というのはどれぐらいですか。
  119. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 約七千五百時間というふうに承知しております。
  120. 秦豊

    秦豊君 オイルショック以後、訓練が制約されている、これはもう常識ですね。そうすると寿命は延びるという皮肉な結果になる。丸山さんの答弁は、防衛庁が五十五、五十七、五十九とどんどんどんどん延ばしてきた、導入時期についてのことですけれども。飛行機の寿命も延びている。端的に伺いたいのですけれども、P2JをP2J改というふうに、年ごとに次々にとは言わないが、その都度必要な改装、換装をしていくとぎりぎりいつまで伸ばせるかという種類の質問に対して、いままでは二年ぐらいという答えがあった。そうすると一体いま装備されている、ことし買うのもある、来年買うのもある、P2Jがありますね。ぎりぎり使っていって五十九年ぐらいまで日本の対潜能力は満たせるのではないかと総体的に思われますが、その点、どうでしょう。
  121. 丸山昂

    説明員丸山昂君) まず、私ども別に五十七年からあと五十九年に延ばしておるというような発言は私申し上げておらないわけでございまして、ぎりぎり延ばすとしても五十九年ぐらいまでがせいぜいのところではないかということを申し上げておるわけでございまして、やはり五十七年から減衰が出るという、少なくともいまの計算値から申しますと、そういうところが現在私どもの推定をしておるところでございます。  それから四次防でことしが最後でございますが、ことしでP2Jの取得をいたすわけでございますが、ポスト四次防についてP2Jをなお取得し続けるかどうかということにつきましては、すでにこのPXLの問題が出ておりますので、恐らくP2Jを引き続いて購入するということはまずないというふうに考えてよろしいかと思います。  それから、P2Jの改ということを御指摘でございますが、私どもは現在のP2Jの機体そのものにグロースポテンシャルがございませんので、これ以上改造をいたしてその性能を上げるという余地はほとんどないというふうに考えておりますので、P2J改というような考え方は内部的にも全然そういうあれを持っておらないわけでございます。  で、いつまで続くかということでございますが、先ほど申し上げましたように、このなだらかな線をずっとたどってまいりますので、最終的に全部がなくなりますのは、先ほど申し上げましたように昭和六十六年まででございますけれども、このP2Jとしての大半の勢力を保ち得ますのは、その五年前の六十一年ぐらいまでではないかというふうに考えます。
  122. 秦豊

    秦豊君 飛行機の寿命は延ばすことができるんだという前提でのお話だと思いますね、それは。  そうしますと、B52でも四回延長してますからね、P2Jも可能だという類推は成り立ち得ると思うが、ならば仮に昭和五十九年が対潜哨戒機PXLの導入のもうタイムリミット、それのときに導入しなければ日本の防衛構想が崩れるとした場合ですよ、ならばPXLのつまり国産化路線を含めてP3Cのつなぎというのは、私の常識の中では必要ないというふうに思われるんだが、その点についてはどうですか、局長
  123. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 問題はPXL、いわゆる国産でまいりますものの計画が予定どおり順調にできるかどうかという問題にかかわっておるかと思うわけでございます。先ほども申しましたように、ハードの面におきましては確かに日本の技術水準は相当これについては自信があるというふうに私ども理解をいたしておりますが、問題はそれをいかに運用するかという、運用面についてのソフトの問題でございまして、この航空機の開発自体に相当の、P3Cの場合ですね、御存じのようにANEW計画で相当の長年月とそれから多額の経費を開発費につぎ込みまして、やっとこのP3Cの状態にまでなってきたという経緯を見ました場合に、私どもがこれに開発経費にほとんどそれと同等の年月とそれから開発経費を投入をいたしませんと、少なくともそれの同等程度のものの努力をいたしませんと、そこに到達し得ないというふうにまず考えるのが常識ではないかと思うわけでございます。  そういった点をいろいろ勘案をいたしまして、全部を国産でやるかあるいは一番問題になっておりますエレクトロニクスのソフトの面、こういう面についてやはり部分的には導入を図らざるを得ないんではないかと、こういう技術的な面における検討も出ておるわけでございまして、そこで先ほど申し上げましたように、現在いろんな案について検討を、柔軟的な対処の仕方を考えておると、こういうところでございます。
  124. 秦豊

    秦豊君 いまさまざまな多様の中の選択をされつつあるようだが、いま一番根強くなっているのはどういう選択ですか。いま一番新しい段階で。
  125. 丸山昂

    説明員丸山昂君) これもいまのところまだ最終に決定をいたしておりませんし、もちろん大臣のところまで上げまして御決定をいただくという段階にもなっておりません。現在私ども事務レベルにおいていろいろ各案についての検討を聞いておるというところでございまして、先ほどもちょっと触れましたように、P3CのUP-DATE2クラスで、たとえばエレクトロニクスにつきましてはやや世代の古い、ハードの面におきましては世代の古いものであるわけでございます。で、S3Aでございますと、かなり世代が進んだものであるというふうに聞いておるわけでございまして、これから導入をし開発をするのであるなら、新しいものの方がいいではないかという、これは私ども素人の考え方もあるわけでございまして、そういう意味で、どれが現在最も有力な方法であるかということは、まだこの段階では申し上げられる状態にはなっておらないわけでございます。
  126. 秦豊

    秦豊君 坂田長官、お待たせしました。  あなたは、たしか私ども先輩議員に対して、衆議院の予算委員会だと思いましたがね、上原代議士に対して、P3Cというのは現役のP2Jの十倍の能力があるというふうにお答えになったそうですが、それは事実ですか。
  127. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) この十倍の能力というのが非常にむずかしいわけでございますが、対潜水艦、つまり原子力潜水艦ということを考えると、それに対する解析その他は十倍の能力、しかし行動半径ということになるとそれはまた別の問題になると。もちろんそれも含めて十倍というのはあれが出てくるかと思いますけれども、いかにも何だか素人で申しますと、十倍となるならばその地域、このエリアというものが十倍になるというふうに考えがちでございますけれども、その点は少しは伸びるかもしれませんけれども、そういうあれじゃない。そういう意味における何と言いますか、探知能力といいますか、そういうものが十倍ということが計算上出ておるということを申し上げたわけであります。
  128. 秦豊

    秦豊君 何か当初、坂田発言が伝えられましてね、P3CはP2Jの十倍というようなことが非常にマスコミの見出しになってね、ジャーナリスティックに広がっちまったんですよ。いまの御答弁をお伺いするとなかなか控え目でね、何か抑えるところは抑えているというような感じになるんですがね、その後ずいぶん研究をされたのかどうか、その成果なのかわかりませんが、確かに控え目に言われた方がいいんじゃないかと思いますね、この場合は。十倍というのは大変ラフな表現だと思います。速度を比べてみてもあるいは搭載火器等を比べてみても、あるいは行動半径を比べてみても、十倍というのは全く当たらない、私は。たとえば速度についても、仮にP3Cが三百六十三ノットならば、P2Jに比べて一・八五倍でしかないし、航続時間のごときは十四時間と十二時間だから、P3CとP2Jは二時間しか違わないと。こういうデータを踏まえていくと、結局何がどう違っているのか。確かに与圧装置はないだろう、P2Jは。それはもう決定的な差であろうけれども、センサーの能力の差もさしてないのではないだろか。問題は情報処理装置だけではないのかと。突き詰めた解析をすると、P2Jの索敵能力と、いわゆる対潜能力とP3Cの能力とは一体ぎりぎりに詰めた言い方をしてどれぐらい違うのか。それはまたなぜなのか。その辺を改めて答弁をいただきたい。
  129. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 先ほど大臣の方に御質問がございましたけれども、大臣のおっしゃっております十倍という表現は、ある問題に限定して申し上げる場合には正確、正確と申しますか、必ずしも間違った表現ではないというふうに私は考えております。一応、ORで検討いたしましたものでございまして、通常撃破率と言っておりますが、対潜哨戒機が潜水艦に対して行い得ます能力の評価として探知をいたします確率、探知率、それと、それから後それを追尾をいたしまして撃沈をいたします撃沈率と申しますか、これを総合いたした一種の確率でございまして、この点で、特に原子力潜水艦に対しましてなぜこういう大きな差が開いてくるかと申しますと、御案内のように原子力潜水艦のスピードが、水中速力が年々増してまいっておるわけでございまして、現在、すでに三十ノットを超える状況になっておるのでございます。  そこで問題は、先ほども先生の御指摘ございましたように、もちろんセンサーその他においても格段の差のあることはございますが、一番大きいのは情報処理装置でございます。これを現在はP2Jにおきましては、先生もP2Jに御搭乗いただいたかと思いますが……
  130. 秦豊

    秦豊君 まだ。
  131. 丸山昂

    説明員丸山昂君) じゃ、ぜひ一回乗っていただきたいと思いますが、現在は皆手計算でやっておるわけでございます。大変御案内のように、水の中にもぐっておるものを、センサーで得たデータだけを頼りにいたしまして追っていくわけでございますから、相手方の速力の推定、方向、水深、こういったものについての各種の複雑な計算値があるわけで、理論式があるわけでございまして、これを機上において、そういうものを得たものをもとにして、手計算をしながらやっておるというのが現在のP2Jでございます。ところがP3Cになりますと、これがすべてコンピューターの中で瞬時にして処理をされていくということになるわけでございまして、そういった点をお考えいただきましても大変両者の間には差がある、P2JとP3Cの間においては相当の、格段の差があるということが言えるのではないかというふうに思うわけでございます。
  132. 秦豊

    秦豊君 局長、結局P3CとP2Jの最大の差は、言うまでもなく情報処理システムである、これは私もそうだと思います。じゃつまり探知能力ではない、探知能力は大差がない、これはお認めになりますか。
  133. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 探知能力も相当差のございます。御案内のようにソノブイで、現在われわれが使っておりますのはローファーでございますが、これは方向性がございません。二個以上あるいは三個を使用いたしませんと方向が出てまいらないわけでございますが、アメリカで使用しておりますのは、ダイファーと申しまして、一個で方向と距離が出てまいるということで、これは相当の差でございます。
  134. 秦豊

    秦豊君 その処理能力、探知能力の差を仮にあなた方がこだわるならば、たとえばP2Jの中の情報処理システム自体を新世代のコンピューター化するという技術的可能性はあり得ますか。
  135. 岡太直

    説明員岡太直君) 情報処理装置をP2Jに積み込めないかというケースでございますけれども、これはやはり専門家会議のときも検討がございまして、実際問題として検討してみましたが、まず第一にスペースという問題でできませんでございます。それからまた仮にできたといたしまして、つまり不完全なものを搭載するということになりましょうけれども、したとしても、与圧装置がございませんから高度が低い、したがって一つの対潜機でカバーする範囲が小さいということでございます。結論的に申しますと、P2Jに新しくそういう情報処理装置を搭載するということは不可能であるということの技術的な結論を出して、専門家会議にも説明してございます。
  136. 秦豊

    秦豊君 坂田長官、こういう点についてあなたの見識をひとつ伺わせてください。つまり潜機の戦術的な有効性ということなんですよね、日本の膨大な防衛構想、予算の中で、あなた方の見地によれば対潜哨戒機だけが突出しているんですよ、私の見解によれば。それでアメリカの場合だと、海軍のハロウェー作戦部長などの公式答弁を見ましても、たとえば七五年二月のアメリカ上院軍事委員会ではこう言っているんですよ。ロッキードのP3Cというのは、水中監視システム、まあ水中固定聴音システムだとも思いますけれども、これの補完的機能しか果たせない、なぜならば対潜機が戦術的な効果を発揮するのは、対象的原潜が潜伏している海域が特定された以後に初めてその有効性を持ち得るからである、これが常識だと思う。だから広大な外洋で、まああなた方の仮想敵、言いたがらないが、ソビエトのウラジオ配備の四十二杯の原潜をどう捜し出すか、第七艦隊とどうやるかどいう問題にこれはなってくるわけなんだけれども、専門中の専門であるハロウェー作戦部長自体が限定的な効用を、評価をしか対潜機に与えていないんですよ。五十一年度においては一兆五千億、で、いまP3Cをあなた方いつ導入するのか結論出していない。それはそうだ。今度実際に導入するとなったときは、カナダの例をちらっと引いたけれども、大体一機百五十億円近い買い物になるんだ、百五十億円という膨大な買い物になる。しかもユニットでこれ買わなきゃいけない、ある戦術効果を、相乗効果を発揮するためには。それで五十機で済まない。児玉譽士夫のリベートの対象になっている機数五十機以上になるだろう、百機としてもやっぱり一兆五千億円という膨大な買い物になる。しかし非常にだれが考えても、常識的に考えても、戦術的効果がきわめて限定的な対潜機にそれほど膨大な国費を使うという、そもそもそういう考え方自体についてあなたはどういうふうに答えられましょうか。
  137. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私はしろうとでございますから、防衛局長からお答えを申し上げたいと思いますけれども、ただ私、常識的に聞いておりまして、ハロウェーの言っているのは本当だろうというふうに思うんです。それであるがゆえに、わが国の防衛、わが国の海上防衛を考えますと、日本列島、その周辺地域の海域について、日本がやはり責任を持つということは日本の防衛にとって非常に大事なことだということで、日本の防衛の責任者であります私といたしましては、その対潜能力を持つということが非常に大事だというふうに思うわけで、むしろそれはアメリカではやり得ないこと、むしろ日本独自でやり得る分野ではないかというふうにも思うわけで、これは同じ対潜機にいたしましても、アメリカアメリカの使い方がございますし、イギリスはイギリスの使い方がある。日本日本の使い方がある。しかし翻って日本の状態を考えられれば、日本海もあるし、この周辺諸地域もあるということを考えれば、やはり対潜能力を高めておくというのが海洋国家、しかもたくさんの資源を外国に仰いで、そして日本経済が成り立っておるということを考えれば、当然なことじゃないかというふうに概括的には考えるわけでございます。
  138. 丸山昂

    説明員丸山昂君) ただいまの長官の御答弁でもう十分意を尽くされておると思いますので、私からあえて申し上げる必要はないと思いますが、このASW、対潜作戦の中で固定翼機の占める比重というものはかなり重くなりつつございます。昔は水上艦艇によりましてもっぱら潜水艦に対処するというやり方をやっておったわけでございますけれども、何と申しましても機動力が大きいということ、広範囲をカバーできるという意味におきまして水上艦艇の比ではないということでございます。もちろん最終的に潜水艦のおります位置がだんだん限定されてまいりますと、水上艦艇の支援を得るということが最終的には一番いい方法でございますけれども、包括的にカバーできるということ、したがって、それが潜水艦の行動に対する非常に大きな抑止力になるという意味におきましても、この対潜哨戒機というものは今後引き続いて保有していくべきであるというふうに考えておりますし、現在のP2Jが御案内のような能力にもうすでに限界がまいっておりますので、次期の対潜機というものは、それはP3Cを導入するかあるいはPXLにするのか、あるいはその中間にするのか、それはいろいろやり方はあると思いますけれども、やはりそれは整備をしてまいらなければならないものであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  139. 秦豊

    秦豊君 きのうも上田委員が日米共同作戦上の必要が優先して、同一機種つまりP3Cの導入という詰め方をしたけれども、あなた方は逃げられたようだが、外務省に伺っておきたい。この今度発足をした防衛協力委員会は、当然この対潜作戦の面においては日米両海軍の合同演習の強化のほかに、日米協力作戦の指揮系統の緊密化、それから対潜哨戒や偵察飛行での分担の明確化、それから作戦パターンの共通化、兵器弾薬等の標準化というふうなところにだんだん及んでいくんだろうと思いますが、その場合の指揮系統の緊密化ということは、一元化を意味しますか、そういう方向を目指していますか、どうなんですか。これは外務、防衛、両方の考え方を聞いておきたい。
  140. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 私の方からお答え申し上げたいと存じます。  かねがね申し上げておりますように、日米の指揮につきましては、これはもうそれぞれの固有の系列でやるということでございまして、これはもうどの段階に至りましてもこの指揮が二元系列であるということは、たてまえは崩さないことになっております。したがいまして、そのために指揮の調整を必要とするであろう、その調整のための機関というものは有事においてはやはり設ける必要があるんではないかというふうに私どもは考えておりますが、しかしこれはいずれにいたしましてもそういう方向にいくと思いますが、シュレジンジャーが昨年の夏参りましたときの記者会見でも、そういう機関は必要と思うが、いずれにしろそういうものは日米の緊急協議の最後の段階になっての問題である、という言い方をしておりますが、私どももそう思っております。
  141. 秦豊

    秦豊君 二元ですね。二本立てならばつまり機種を統一することも言いかえれば必要でなくなるわけですね。それからあわせて、たとえば横須賀にあるNTDS――海軍の戦術チータシステムと結合する必要などもしたがってなくなるわけですね、調整をすればいいんだから。全部一本にする必要はない、こういうことに理解してよろしいですか。
  142. 丸山昂

    説明員丸山昂君) ただいま先生のおっしゃったとおりであるというふうに私どもは考えております。
  143. 秦豊

    秦豊君 時間がなくなってしまいましたから、たとえば、坂田長官、P2JとP3Cの問題とか、あるいは日本の防衛構想全体の中で一体このASWとは日本にとって何なのか、日本に内在する必然、日本のさし迫った必要というよりは、アメリカ極東戦略の要請にあなた方が屈しているためではないかとか、そういうさまざまな基本的な問題。第一、日本の防衛構想自体は私見によれば完熟していないと思います。きわめてしたがって未熟、きわめて粗漏である、ラフであると思います。しかも、本質的に言えば、P3Cの問題は、トライスターを含めて落ち目の国際企業ロッキードというものを救済しようとした日米双方の権力の絡んだ、まことにこれこそ共同作戦だと私は思う。私はそう思うんですよ。この問題の中にP3Cがある。しかも日本の防衛構想自体がはなはだいびつであり粗漏の段階で、なぜこのように対潜哨戒機だけがぐいぐいと突出をしていかなければならないのか。日本の防衛構想とPXLという問題は、これはもう内閣委員会を初め、予算委員会だろうが外務委員会だろうが何だろうが、あらゆる国会の場でチェックをし、掘り下げ、討議をし、国民の皆さんの前に明らかにしていく必要があると思います。しかし、あなた方がどう理解しているのかわからないが、たとえば外務省などは、P3Cがいま岩国から何をどう日常運用しているのか、おそらく連絡の義務がないから知らないと思うんですよ。第七艦隊が一体どういう対潜能力を持っているのかも、お答え範囲ではない、という答えしか返ってこないだろうと思うから聞きませんけれども、そもそもこのシーレーンとか海域分担といいましても、いまの第七艦隊の戦力の現状からすればもうアメリカにキャパシティーがない、余力がない。これは分担じゃなくて坂田さんの方だけに重みがかかってくるんですよ、対ソ作戦というものを考えた場合には。共同分担というものはぼくはあり得ない。だから、タスクフォースの直営部隊としてあなた方が機能する、その空の上をP3Cが舞う、飛ぶというふうな役割りをしか私は与えられないのではないかと思う。だから、非常にあなた方の考えている方向というのは危険なんですよ。なぜこれほどまでにさまざまな欠陥のある、問題のあるP3Cが独走を目指しているのか。P3C、P3C、あらしが通り過ぎればP3Cだと、オライオンだと、それで抵抗が政治的に大きければドンガラとはらわた論というあなた方得意の折衷論に逃げ込む。いろいろな知恵は使っておるようだが、一番国会の外で国会の論議をごらんになっている有権者の皆さんの実感からすれば、なぜこれほどまでにP3Cにこだわるのかという点が一番ぼくはわかりにくいのじゃないかと思うのです。それはさまざまな委員会でやりましょう。  それで、最後にこれ伺っておきたいんだけれども、一体あなた方防衛庁は、なぜPXLが必要なのかについて、たとえばP2Jの陳腐化、老朽化、あるいは対象潜水艦の性能向上というふうなことを挙げている。しかしPXLをかくも多量に導入しようとしている判断をした根拠は一体何かを突き詰めた場合に、あなた方には情報見積もりというのがあるはずです。つまりウラジオストックに配備されているソビエトの兵力をどう評価するか、それがどういうふうな脅威なのか、何年何月に比べて現在はどういうふうに脅威が高まっているのか、当然そういう情報見積もりによって装備が決まっていくんだと思うが、あのユニホームが持っている対ソ作戦用、海上作戦用、あるいはASW作戦を含めて、坂田長官はユニホームの持っている程度の情報量としての情報見積もり、それは知らされていますか、最後に伺いたい。
  144. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私のところには陸海空それぞれの情報関係があって、その報告を受けております。また私は私なりに幹部の補佐を受けまして、これについての日本防衛上どうこれをとらえるかということは考えておるつもりでございます。それから従来、ともいたしますと、われわれが保有しております兵器が、わが国の防衛にとってどういう意味を持っておるのかということについての説得力ある説明が不十分であったというふうに私は思っております。したがいまして、一つには、やはり防衛白書にも多少そういう点も出したつもりでございます。まだこれが十分だとは考えておりません。それからやはり私は、私がいまここで申し上げる立場にはございませんけれども、やはり常任の防衛委員会なり、あるいは安全保障委員会なりが国会にあって、そうして常時こういうようなことを、われわれ与党だけじゃない、政府だけじゃない、防衛庁だけじゃない、野党の方々もよく御審議を賜って、そうして議論をしていただくということが非常に私は日本の安全にとって必要なことであるというふうに思うのでございまして、この問題を契機としまして、やはりこの論議が先生のきょうの御質問のような形で行われるということがどんなに必要かということを私は痛感いたしておる次第でございまして、ぜひともひとつ皆様方のお力によって、いま申しましたような常任の委員会、そうしてこういうようなPXLが起きたからこういうような問題が初めて論議をされるということじゃなくて、もう四十七年ごろあるいは四十三年ごろからこういう問題がやはり議論をされなければならなかったのじゃなかろうか、これは私の気持ちでございますけれども、申し上げておきたいと思います。
  145. 秦豊

    秦豊君 時間が参ったようですから、先ほどお願いいたしましたことにつきましては、二項ぜひ御善処をお願いしたいことと、それから私どもの党の枠は百二十分でございまして、私が消化したのは百分にすぎません。で、残り時間につきましては、いろいろな党の方が終わられた後、残り時間についてはその後の事態で対応部分として残しておきたい、こう思います。  終わります。
  146. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午後零時五十分再開することとし、休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ―――――・―――――     午後.零時五十六分開会
  147. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  148. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 通告いたしました内容に入ります前に、きょうは十四日の大安でございまして、どうも今度のロッキード問題というのは大安の日が何か非常に捜査の山場の日になる、こういったようなことが新聞等で流れている情報もございます。きのうは逮捕された関係者の中で起訴された方々もあるわけでございますが、きょうの午前中に至って何か特別な変化があったかどうか等について、刑事局長、お尋ねをいたします。
  149. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 特別な動きということは、逮捕というようなことでございましたら全然ございません。
  150. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 逮捕その他ということであればないということでございますが、何か特別に留意する事項はございますか。
  151. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いや、特にございません。要するに、逮捕いたした者につきまして鋭意昼夜兼行で捜査を続けておることがただいまも行われておるわけでございます。
  152. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 この捜査につきましては、内容についてはこれはもうたびたび刑事局長からも捜査の妨げになるというようなことで、必要以上のことは勘弁してほしいというお話がありますから、別にこの内容に立ち至って伺おうとは思いません。ただ、これまでの捜査つまり外為法とか議院証言法というようなことによって被疑者が逮捕され、中には起訴されておる者もあるというのが現実でございますが、これまでの捜査を踏まえておおむね司法当局としては満足すべき捜査を進められておられる、こういう状況であるかどうかお尋ねをいたします。
  153. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 満足かどうかは申し上げかねまするが、要するに結果を見ないとわからぬことでございます。ただ、検察当局といたしましては、警察、国税も同様でございますが、与えられた権限の範囲内で全力を尽くしてきたということは言えると思います。
  154. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では刑事局長並びに警察庁に伺いますが、ロッキード隠しという言葉が実はときどき聞かれるわけでございます。これはまあ政治家の中で、それを、ロッキード問題を隠すとか隠さないとかというような言葉もあるわけでございますが、いろいろ広く解釈しますと、このロッキードの問題をなるべく隠滅すると、こういうためのいろんな行動と、こういうふうに考えられて、もしそういうことがあるとするならばまことに遺憾であるし、そうあってはならないし、またそうは絶対ないと私は信じております。  そこで、念のためにお伺いいたしておきますが、法務省刑事局長並びに警察庁、これまでのロッキード問題についての捜査等で、これはまあ政府関係者あるいはまた国会議員、そうした関係の者から、こうしたロッキードの問題はなるべく調べない方がよろしいとか、あるいはこの人は証人に呼ぶべきじゃないとか、参考人に呼ぶなとか、あるいはこの辺で捜査を打ち切れとかと、まあいろいろあると思いますが、そういったような圧力がましいようなことがあったかどうか、たとえ一度なりともあったかどうか、この点をはっきり伺っておきます。
  155. 安原美穂

    説明員安原美穂君) さような圧力は一切なく、今日まで幸いにいたしまして厳正公平、不偏不党の立場で捜査を続けてまいりました。
  156. 吉田六郎

    説明員(吉田六郎君) 御指摘のような事実につきまして報告も一受けておりませんし、またそのような印象を私どもも受けたことは一切ございません。今後とも厳正に職務を果たしてまいりたいと考えております。
  157. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 まことに結構です。  それでは、たとえば、まあ政局が何か動くと非常に捜査に支障があるとか、いろいろそういうことも一部新聞等でも取りざたされる面もあるわけでございますが、ただいまの刑事局長の、非常に力強い、これからも不偏不党でやると、こういうことにおいて政治の動きとかそういうものには一切惑わされないで、これからも断固として司法当局として究明を続け、国民の負託にこたえる、こういう御所信だと承ってよろしいか。刑事局長、伺っておきます。
  158. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 政局の動きには一切影響されない立場で鋭意捜査を進める所存でございます。
  159. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 そこで、後ほど官房長官もお見えになりますから、官房長官にもお尋ねするわけでございますが、このロッキードの問題が起こりまして以来、ロッキードの問題ももちろんこれは政治不信を解消する、そのほかいろんな面で非常に重要だと、これはもう当然でありますけれども、通常国会が終わりまして以来、臨時国会というような問題も実は言われているわけですが、その中にどうもこのロッキードの一応の解明が済まないと、そうした諸般の政治案件と申しますか、政治日程というものはなかなかこなしがたいんだというような、そういう意見もかなり強くある。御存じのとおりでございます。そうなりますと私どもロッキードの問題も徹底的に究明をすることは、繰り返して申し上げますが、これはもう絶対必要なことである。前提に申し上げておきますが、しかし国民生活を守っていくというためには、それ以外に多くの、財政特例法もそうでございましょうし、関連のいろんな歳入関係の法律もそうでございましょうし、中小企業者は中小企業者で非常にいま当面の経済情勢を憂えている点もあります。こういう点を考えるならば、一体それではこのロッキードの問題がいつごろになったらおおよそのめどがつくんだろうか。これは私どもは非常に大きな関心を持たざるを得ないことだと思うんでございます。このロッキードの問題がすべて片づくというのは、これは常識的に考えまして、仮にもう起訴があったとするならば、公判が開かれ、そしてそれがどういう結果になるというような、すべてのことが終わらなければすべてが終わったとは言えないことはよくわかっております。しかし、私がここで申しますのは、一応捜査当局がここまでで一応捜査は大体おおむねほぼ来たんだと、こういうことが、なかなかこれは確実に何日までということはむずかしいでしょうけれども、しかし、非常に大きな関心を持たざるを得ないし、また新聞にも、きょうの朝刊あたりを見ますと、どうもロッキードの問題の山は、捜査もほとんど大体このくらいで終わるだろうと、中には八月の中旬になるであろうというのもありましたし、七月一ぱいには大体めどのつくのもあるだろうというふうな新聞論調もございました。これはあくまで新聞でございますから、これをすべて受けて正しいということの論評は私が申し上げるべきじゃないと思いますが、いままで申し上げましたような見地から刑事局長にお尋ねいたしたいのでございますが、今度のロッキードの一連の問題についてのおおよそのめど、ここまでだったら大体ひとつ捜査はほぼ完了であろうというようなそのめどにつきまして、この際、お差し支えのない範囲で結構でございますから御答弁をいただきたい。
  160. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど来戸塚委員から御指摘のように、いま御指摘のような国内のいろんな政治問題が、国民生活にかかわる問題があることは、検察官も木石ではございませんので承知しておりますが、そういうことのために捜査が、終結が左右されるということはまさに政治に左右されることでもございますので、そういう意味におきましては真相の究明を終わるまでは捜査は終わらないということでございますが、刑事訴訟法にも-迅速に刑罰法令の適用を実現するということが訴訟の目的でもございますので、ただいま昼夜を分けず努力いたしておるわけでございまして、捜査もいまや一種の山場に差しかかっておるわけでございます。しかしながら、いつ終わるかということは、またこの段階で言うべきことでもないと思います。迅速に、しかし真相の究明に向かって検察官が努力しておるということでひとつ御了承願いたいと思います。
  161. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 そこで刑事局長、次にお伺いしたいんでございますが、実はきょうは法務大臣がお出かけいただけると思っておりましたので、私は法務大臣にお尋ねを幾つかしたかったのでございますが、それができ得ませんので、刑事局長に全部法務大臣にかわってということで荷物をしょわしてしまうようなお尋ねになるので恐縮でございますが、昨日の議論の中にも、法務大臣は政治家であると、したがってこのロッキードの問題について最高の責任は負うけれども、しかし、この捜査内容等について立ち至ったり、いろいろあれこれ皆さんを集めて聞くとか、事前にいろんなことを知っているというと、いろいろそのことがまた即捜査の妨げになることもあってはいけないので私は一切聞かないことにしていると、まあしかし、きのうも檜山会長が逮捕される寸前か何かには、局長が何か大臣にはお話になったとかいう御答弁はありましたけれども、いずれにしましても法務大臣は、一切そういうことで捜査当局に対して、何らこうしろああしろという指示もしなければ積極的に話も聞こうとしておらぬ、こういうお話でございましたがそのとおりでございますか。
  162. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 大臣の申されたとおり、大臣は権限としては指揮権をお持ちでございますが、具体的な事件についての指揮にわたるようなことは極力避けて、極力検察官としての独立した捜査の独立性を尊重しようというお立場でおられるということで、検察当局としてはありがたい御配慮と考えておるわけでありまするが、だといってわれわれといたしましては、最終的には責任を持っていただく大臣をつんぼさじきに置くというようなことはまことに失礼なことでもございますので、重要な問題につきましては事前に御報告を申し上げて御指示を仰いでおる次第でございます。
  163. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 よくわかりました。  では局長、当然このロッキードの問題が決着、一応の決着といいますか結末がつくまでそうした態度を貫かれると、大臣も恐らくそういうきのうの御決意のように伺いましたし、また刑事局長初め検察当局も、そういう一つの距離をもって接すると、こういう御方針でございますね。
  164. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ただいまの一つの態度は不変のものと考えております。
  165. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では次に、昨日法務大臣が愛媛県そのほかの遊説先でいろいろお話なすったことの中で、一部誤解されたような言葉があったということで、野党委員の方からも二名の方からこれについて詳しいお尋ねがあり、最後にはいろいろ法務大臣も、新聞のこの記事の前の日のこの食堂の発言も比較に出されてお話があった。いろいろ私も貴重なことを承ったわけであります。で、刑事局長からは、野党委員の方にはまあ万が一にもそういうことはないと思いますがというような御答弁をなさって、たしか黒柳委員でございましたか、それはよくわかったというふうなお話でございました。これは野党委員の方々のそのお考え、なるほど私もわかる点があります。野党委員と言われれば野党に籍を置かれる議員の方すべてを包含されるわけでございますから、そういうおしかりがあっても当然かとも思うのでございます。しかし、今度は与党の議員の立場を考えてみますと、これは私がここでいろいろ申し上げるまでもないと思いますけれども、非常にマスコミの、これは別に全部の新聞がこうだというわけじゃございません。それは見識を持って書いて下さっている方もございますけれども、しかし、野党委員の方からあれだけの新聞の記事でこう書かれたということでの御指摘があったとするならば、今度は私の立場から見ると、何か現職の国会議員や大臣を経験された方々にあたかもこのロッキードの疑惑があるがごときような誤解を与えるような、早く言うならばこの中から、すうっと表が書いてあって、運輸省なら運輸省に何年ごろに勤めておった人がいて、大臣はこの人で議員はこの人と、で、大体この枠の中にある人の中から逮捕者が出るであろうなんというような書き方、これは現実に私も見ましたけれども、私は非常にこれは残念至極なことだというふうに思うのでございます。また当然、そういうことで名誉棄損されたなら告訴すればいいじゃないかというお話もあります。しかし、なかなか今日活字で載ったものに対して、じゃあ告訴したからそれでいろんな関係の人たちの受け取り方がすっかり解消するというものでもない。なかなか活字の魔力というものもあるわけでございます。そこでいままで長く申し上げて恐縮でございましたが、刑事局長ひとつこういう事態ですね、捜査上においても何かこう、この人が間もなくつかまるのではないかとか、どうもこの枠の中の人が怪しいだとか、ああいう特定の人の名前を挙げていまやるということは、捜査の点でもいろいろ問題もあろうかとも思いますが、いかがでございますか。
  166. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 取材活動がきわめて御熱心で、いわば一億人捜査のような状況にある状況下において捜査を進めるということは、決して容易なことでないことは事実でございます。ただ検察当局といたしましては、関係者の人権の擁護ということは常に念頭にあることでございまして、しかるがゆえに、だれだれを調べたかということにつきましても、いま戸塚委員御指摘のように、調べたということは、直ちに被疑者あるいは犯罪人であるととられがちな世情というものを考慮いたしますと、ますますそのようなことは秘匿しなけりゃならないと思って、当委員会等におきましてもそれを御勘弁を願っておる次第でございます。マスコミの批判は私は避けますけれども、いま御指摘のように、名誉棄損の罪の規定を見ましても、たとえ公務員でありましても、真実でない報道というものは名誉棄損を構成するわけでございますし、犯罪行為にかかる記事の報道は公共の利害に関する事実と見なされ、公益性のあるものではありましょうけれども、やはり真実でないものは名誉棄損罪を構成するということになるというようなこともございますし、やはり事実が不確かなものを確かなごとく報道するというようなことは、やはり避けるべきであろうというふうに私は考えております。
  167. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 ただいま官房長官もお出かけいただきまして、ちょうどこの与党議員の中の特定の人を指して、どうもこの人が怪しいのではないかとかいろいろ新聞――これは全部じゃありません、ありませんが、中には相当大きなマスコミ機関で報道されて、そのことによって非常にもう、これは後でいつかわかってくれると思いつつも、やはり政治家としてあるいはまた官吏として耐えがたいという気持ちを持っておる方もおるんじゃないかということをお尋ねしておったわけでございますが、私は、実は法務大臣が連日元気にこのロッキード問題に取り組まれ、また日曜日には政治家として遊説なさる、そのこと自体は私は決して悪いとは言いません。言いませんが、私個人的に言うなら、むしろここ、いま一番山場ですから、法務大臣には少し、ひとつそういう新聞なんか誤解をされるような言葉が出ちゃいけないから、遊説はちょっと差し控えていただいた方がいいんじゃないかなと、まあ心の中で、決して圧力をするわけじゃありませんが、そんなような気もするぐらいに、これからは言論も相当慎重にしていかなければいけないんじゃないかと思っているんです。そういう面で、私は法務大臣が昨日サンケイ新聞――新聞さんの名前を言っちゃ悪かったんですけれども、サンケイ新聞さんの名前を挙げられて、食堂でこうだったというお話もありましたけれども、やっぱりこれから捜査が一番核心に入っていくというときでありますから、法務大臣談話なり、あるいはまた刑事局長さんの記者会見なり、何なりかの形で、マスコミの方々に――決して私は言論の自由を抑えようだとか、あるいは国民の知る権利を奪おうだとかというような意味は毛頭ありません。ありませんが、ひとつそういうやはり見識を持って報道に当たってもらいたいというようなくらいは、やっぱり私は法務省としても考えてしかるべきじゃないかと思うんですが、その点、局長いかがでしょうか。
  168. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 大臣を補佐する立場にある私といたしましては、常に人権の擁護ということを配慮しながら補佐を申し上げたいと思います。
  169. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 そこで、昨日、全日空、丸紅、児玉、いわゆるこの三ルートと言っちゃまことにおかしいんでございますが、それぞれのお金が流入したではないかと言われているルートというものが言われ、かつそれにプラスXというような法務大臣のお話があったとかどうとかというお話があったわけでございますが、刑事局長にお尋ねをいたしますが、今回のこのロッキード問題というものは、まあ全日空、丸紅、いわゆる児玉氏のルートと言われるこの三つと、こういうふうに考えてよろしいのでございますか。
  170. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 実は、たまたま逮捕者の出た会社の系列が、会社あるいは個人の系列が、一応世俗的に三つあるために三つのルートと、こう言われておりましたけれども、これはジャーナリズムがおつけになった一つの分類でございまして、私どもはさような分類をいまだしておるわけでもございませんので、要は、ロッキードの国内の活動における不正行為の存否ということを究明しておるわけで、何々ルートからと、ルートを決めて進んでおるわけではございません。
  171. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それでは刑事局長は、先般の予算委員会のときに、わが党の藤井丙午先生が代表質問に立たれた――七十七国会でございますが、そのときのこのロッキードにかかわる部分は恐らく御存じないだろうと。まあ御存じあればいいですが、私も申し上げてなかったから、ちょっとこの項を申し上げます。「同時にまた、このロッキード事件というのは、これはアメリカだけの問題、あるいは日本だけの問題じゃございません。すでに三月二十五日付の毎日新聞のワシントン発でも、アメリカの司法次官補のソーンバーグ刑事局長が三月二十三日夜、司法省がロッキード社の不正事件について独自の捜査を行っておるということも明らかにしておりますし、また、例のCIA事件を暴露したタド・シュルツ氏が、ニュー・リパブリック誌四月十七日号に、アメリカの大手軍需航空企業が日本その他の諸外国の秘密代理人に支払った手数料の一部がアメリカ国内に還流して、大統領選挙か何か知りませんけれども、政治の不正な献金に使われた疑いが非常にあるとして、アメリカの司法省でひそかに捜査を開始しておるということを報道しておるわけでございまして、そのシュルツ論文の要旨は朝日新聞にも詳しく出ております。」、こういう七十七国会での藤井先生の代表質問があるわけでございます。これに対しては藤井先生は長くお話しなすって、後で三木総理から概略のお話でございましたから、これについては何ら政府から御答弁は出ておりません。この問題、アメリカ還流の疑いがあるのではないかという問題、これは現に三大新聞にも、その扱い方の大小は別にいたしまして、かつて報ぜられております。法務省当局あるいは警察庁、私はこの六日の大蔵委員会でもこの問題を指摘したのでございますが、警察庁からは、まあそのことも含め、重大な関心を持って、この問題も含めて捜査しておるというお話がありましたが、刑事局長、まずひとっこれについてどういう御見解を持っていらっしゃるか、関心を持って、そのことも当然含めて十分――これは日本の中の問題じゃない、アメリカから来た問題でございますよ。それが何か日本の中だけの問題のようにいま言われていることは、はなはだ私はどうも不本意だと思う。アメリカの中の、当時のなぜ多国籍小委員会でこの問題が取り上げられたか、チャーチさんがどういう気持ちで取り上げたか、あるいはまたこの問題は、いまアメリカの司法省としてはどういう形で捜査をされているのかというような、そういうもっと広範な点に目を向けていただかないと、当然やっていただいていると思うけれども、これは徹底解明にならないと思うのです。その点、刑事局長、どのように関心を持っていらっしゃるか、改めてお尋ねをいたします。
  172. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘のようないわゆる還流問題ということは、私も新聞を読んでおりますので見たことはございます。しかし、そのことの事実の存否ということは、いままさにロッキード社に入ったとされる金の使途を究明している最中でございますので、その使途の究明の過程において還流したものがあるかどうかということも明らかになるであろうと思っております。  なお、ロッキード事件として検察当局が取り組んでおりますのは、あくまでも国内問題としてのロッキード問題でございまして、当然国際問題としてのロッキード問題は検察当局捜査の対象ではないわけでございます。しかしながら、アメリカのSEC、証券取引委員会ロッキード社調査したり、多国籍企業委員会国政調査の観点で調べられているということは、アメリカ国内におけるロッキード社に対するアメリカ国内としての処理の仕方であるというふうに承知しておりますが、いずれにいたしましても、いまお尋ねの御関心の還流問題は、資金の使途を究明する過程においておのずから明らかになることと思いますが、現段階においては、さようなことがあるという報告は受けておりません。
  173. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 官房長官が何か御用事が忙しくて、また半ごろには御退席と伺いますから、途中の質問で恐縮ですが、一遍官房長官だけのお尋ねにまた返ってやらせていただきます。  官房長官、先ほど長官がいらっしゃらない前に、法務省当局に、今度のロッキード問題、大体おおよその捜査のめどをいつごろに置いておられるのかということをお伺いしたのです。これはやっぱり世評、言われておりますように、ロッキード問題が解明されなければ他の政治案件はなかなかむずかしい、言うなら臨時国会を開くこともむずかしいというような御見解も一部承っております。また、昨日の新聞あたりでは、いや、そう言っていてもなかなか、これは重要案件をたくさん抱えているんだから、そうばったり言っていたらいつになっても困る。財特法の問題もある。あるいは生活関連、あるいは財政法案もある。こういう見地から、臨時国会はやはり速やかにできるだけ早く開かなければならぬというような、政府首脳のそういうお打ち合わせもあったやにも報道されております。ロッキード問題が終わらなければ臨時国会は開けないという、これは私はどうもちょっと腑に落ちない点もあるのでございますが、その辺も含めて、現在のこの政府首脳部でお考えの点について、官房長官から御所見を承りたいと思います。
  174. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) お答えをいたします。  いま御質問の点は、政府側あるいは与党側、時折この問題は相談をいたしております。で、おっしゃるように、やはり当面ロッキードの山が見えると申しましょうか、そういう時期、私どもも検察にお任せしている立場でございますから、まだ明らかに、およそこうだという目安は立ちがたい状態であります。あわせて一方、御指摘の財政の特例法その他国鉄、電電、こういうものは前国会の積み残しでありまして、政府としてはこれがやはり早いところ成立をいたしませんと、財政運営にも大変事欠く次第でございますから、これも実は苦慮しておる一つの大きな課題でございます。その辺を勘案いたしまして、どういうめどをつけるかというのにはもう少々の時間的な余裕をお与えいただきたい、これが率直な考え方であります。
  175. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 なるほど官房長官のお話、ごもっともな点が多いと思います。司法当局でやっていらっしゃるのに、官房長官がいつまでが山だ、いつまでにこれ、決着をつけるということはなかなかむずかしい。しかし、政治情勢は必ずしも、ロッキードロッキードばっかりでずうっといって、それですべて国民生活もいいというわけにいかないという点は、いま御答弁でわかりました。  そこで、もうちょっとというお話でございます。その、もうちょっとというのも、ちょっとも、やっぱり一週間もちょっとだし、十日もちょっとだし、あるいは一月もちょっとだとお考えになっているかもしらぬが、私どもの、やはり国民生活ということを考えた立場の者から言いますと、いまの官房長官のお話のちょっとというのは、せめて一週間、十日ぐらいの間には臨時国会のめどもひとつつけたいと、こういう前向きなお考え――ということは、別に七月末に開くという意味じゃないんですよ。ですが、いまのようにいつだかわからないということであっては、やはりこれは諸般の政治課題から言って問題があると思うんです。ちょっととお話がありましたのは、まあ一週間か十日、具体的に申しますれば、この下旬ぐらいまでには確実にめどを決めたい、こういう御方針と承ってよろしいか、改めてお尋ねします。
  176. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 時間的のめどをきょう申し上げられれば戸塚さんも御満足がいくだろうと思うんでございますが、その点は実はもう少し御猶予をちょうだいいたしたい。私どもも、片やロッキード、片や臨時国会、これを前にいたしまして、大変これには焦慮といいましょうか、そういう気持ちを持っておるわけでございます。したがって、きょうの御発言をも十分踏まえて対処をさせていただきたいと思います。
  177. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 官房長官、わかりました。誠実な長官の御答弁ですから、それ以上あれこれ申しません。ただ、いまの、きょうの発言を踏まえてというお話がございましたことは、具体的には総理初め関係の人たちにも、与党議員からもこういう声もあったというようなこともお伝えもいただくし、また鋭意、できるだけ早い機会に臨時国会を召集できるような環境づくりのために政府として挙げて努力されると、こういう官房長官の御意見と承ってよろしいか、もう一度念のために伺っておきます。
  178. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 大筋においては私も同感でございます。
  179. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それでは、官房長官にお尋ねしたいこと、少し細切れになって大変恐縮でございますけれども、先ほどの、官房長官、私がマスコミ関係の方々の一もちろん報道も自由だし、取材も自由だし、国民の知る権利も奪うという意味じゃないけれども、いま一番、ちょうどもうぎりぎりのところへ来ているようだから、特定の人の名前を挙げて、怪しいだとかどうだとかという、そういうことについては、やっぱりできたら私は良識をもって考えていただけないかなと願っているのでございますが、官房長官はたびたび記者会見等もなさるわけでございますし、ロッキード問題等についてもいろいろお尋ねもされるでしょう。そういうときの心構えとして、官房長官いかがでしょう、私の気持ちは間違っておりましょうか。
  180. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 私も、短時間でございましたが、先ほど安原刑事局長とやりとりをされておりました模様を承りました。これ、なかなか言論を規制をするというふうなことは、日本のような社会においては許されないことでございますが、私ども願わしいことは、やはり一つの節度とでも申しましょうか、これは報道側にも、あるいはまたそれを受けとめる国民の側においても、そういう気持ちであらまほしいと、こういう感じはいたすのでございまして、私も会見等におきましては、そういう言葉の端々にも注意をして常日ごろ対処をしておるような次第でございます。
  181. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では、官房長官に最後にお尋ねいたしますが、このロッキード問題のおおよその決着といいますか、決着といっても、先ほども申し上げたんですが、起訴された人が有罪であるか、無罪であるか、どうなったかということまでざあっといけば、これは相当長くかかるのは当然ですけれども、一応のここで捜査もおおむねピリオドということの場合には、政府として一応ここでロッキード問題については解明も一通り済んだんだというような態度を国民に示さなきゃならないと思うんですね。あるいは国会に対しても当然政府としてやはり報告もされなければならぬと私は思うんですね。そういう御認識であるかどうか、まずちょっと伺います。
  182. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 戸塚さん、これ、いずれの日にかそういう幕を引くという時期が来なければならぬと思うのでございます。それで、そのやり方といいましょうか、どういう一体手だてを用いたらいいのか、このあたりは実はわれわれの苦慮しなければならぬところでございますが、その前段階として、まだやはり真相の解明、こういうことに鋭意努力を払っておるさなかでございますから、そういうめどがある程度つきまする時期を一方に想定しながら、それに一体、片や刑事的なという問題がありますと同時に、政治的道義的という問題がございますから、それをどういうふうに組み合わせて対処すべきか、こういう点は私どもいま、一つの重要な関心事でございまして、その辺もいまここでどういう方法でということはちょっと申し上げにくいのでございますけれども、それには十分に関心を持っておるということだけ申し上げたいと思います。
  183. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 官房長官、ごもっともだと思います。  そこで、いま重大な関心を持っていらっしゃる。ということは、関心を持っていらっしゃる。あるいはまた、長官のお話を伺いますと、国民に対しても一応こうなりましたと、国会に対してもこうなりましたということを、政府として意思表示するにはどういう方法がいいだろうか、いろいろまた相談もしていらっしゃる様子でございますし、また、官房長官御自身もまだ結論は出てないが悩んでいらっしゃるという話がありましたが、それは、たとえば首相談話であるだとか、あるいは法相談話であるだとか、あるいはまた国会に対しては何らかの施政方針等の中で報告されるだとか、何かそういうことを含めて当然一つの区切りを、政府としてはここで一応区切りであるということを、姿勢を示されるということは考えながら進んでいらっしゃると、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  184. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) さように御了解願いたいと思います。
  185. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 官房長官、ありがとうございました。どうぞ。ちょうど半でございますから。  それでは、先ほどの刑事局長への還流問題の続きをさせていただきますが、警察庁、先日六日の日に私が大蔵委員会質問いたしました内容についても、若干当時課長さんから御答弁が――部長さんでございましたか、当時は課長さんだと思いましたが、御答弁がございました。速記録もございますが、改めてひとつ、警察庁としてもこの還流問題、十分な関心を持って捜査の対象として、当然全体の中の金の入ったこと、出たこと、そういうことの中で重大な関心を持って捜査を進められておられるのかどうか、警察庁からもお伺いいたします。
  186. 吉田六郎

    説明員(吉田六郎君) 資金アメリカに還流したというような記事が報道されておったということは知っております。しかし、予見をもって捜査をするということは、ときには捜査の基本を踏み誤るということもございます。警察としましては、資金流れを具体的な事実に基づいてその全容を解明したいということで今後とも全力を尽くすということで御了承をお願いいたしたいと思います。
  187. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 刑事局長、先ほど、還流問題については現在のところではそういう兆しはないけれども、もちろん捜査の中の対象としては考えているし、関心は持っているという御答弁だと私は承りましたが、アメリカの司法省等との間ですね、アメリカの司法省等とは、この還流問題だけにはこだわりませんけれども、どういう事情アメリカの背景としてこういう問題が起こってきたかとか、あるいはアメリカの現に関係の人とか、クラッターだとか、エリオットだとか、いろんな人が出てまいりますが、それは全部アメリカ人でございます。そういう点においても、現在嘱託訊問も行われているわけでございますが、アメリカ司法省とは十分タイアップといいますか、捜査については十分連絡を取り合ってやっていらっしゃるのか、全く独自で日本の司法当局としてやっているんで、アメリカがどう捜査していようとそんなことはとんちゃくないと、アメリカのやっていることは知らないと、こういうことであるのか、どういうことでございますか。
  188. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほども申しましたように、現在ロッキードの問題は、わが国内の国内問題として検察当局はその真相の究明に努めておるわけでございまして、もとより、御案内のとおり、アメリカのためにやっているわけではないわけでございますが、御案内のとおり、日米の実務取り決めによって、情報、資料の交換ということができることになっておりますので、わが国内問題を処理する上においてアメリカの情報が必要なときはその情報の有無を、あればそれを提供してもらうということも取り決め上はできることになっておりますし、いずれにいたしましても真相の解明のためにはあらゆる手段を尽くしていきたいと思っておりますが、いまのところ、この点に関しましてアメリカと情報の交換をやったということはございません。
  189. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 くどいようですが、刑事局長ね、もう一遍だけ伺っておきます。  この還流問題という点については関心を持っていらっしゃるかどうか、関心はないか関心はあるか、それだけ聞かしてください。
  190. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私というより捜査当局が関心を持っておりますことの第一は、ロッキードから流れた金がどのように日本国内で使用、処分されたかということでございます。
  191. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 通産省にお尋ねいたします。  多国籍企業に対するいろいろな今回の問題が起こりまして以来、その道義的あり方とか、進んで不正防止という点、多国籍企業という問題そのものについて多くの話題を投げかけられたわけでございます。通産省にいまの不正防止のことについてどうだこうだと言いましても、通産省としてはなかなかお答えしにくい点だと思いますが、しかし、これまでこの問題が起こりまして以来、アメリカ政府も、国連においても、いろいろ多国籍企業については何とかひとつ改善――そういう不正問題も含めて道義的あり方とか、活動の仕方とかいうことについて考えていかざるを得ない、立法措置もアメリカでは考えなけりゃいかぬだろうということも言われております。一体、日本政府としてはこの問題にどのように関心を持たれ、また現状はどうなっているか、またアメリカ側とのそうした打ち合わせがあるか等についてお尋ねをいたします。
  192. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) お答え申し上げます。  通産省としましては、多国籍企業に関しましては過去十年来非常に深い関心を持っておりました。と申しますのは、御承知の資本自由化問題というのがございまして、外資法による規制をできるだけ自由化すべきであるという要請が国際的にも国内的にもあったわけでございます。この場合に、資本自由化を進めますと、産業政策上一番大きな関心事は、多国籍企業、巨大企業が日本に入ってまいりまして、これと日本の国内産業との間で、国内企業との間でいろいろな矛盾が起こるのではなかろうか、摩擦が起こるのではなかろうかということを心配いたしたわけでございます。したがいまして、通産省としましてはかなり慎重に自由化を進めた次第でございますが、ために通産省のやり方がなまぬる過ぎるというようなことで、外国、あるいは国内の外資審議会、世論等々から批判があったところでございます。しかしながら、慎重に自由化を進めまして、現在では資本自由化は、わが国といたしましては国際的水準を超す程度の自由化を達成した次第でございます。ところが、その自由化がちょうどほぼゴールに達した段階におきましてロッキード事件なるものが起こったわけでございます。そして、このロッキード事件を契機といたしまして、多国籍企業が正常な経済活動のみならず、その陰の部分において非常に大きな違法行為をやっておるということがクローズアップされてまいりました。この違法行為の主な態様といたしましては、贈収賄、脱税、為替管理法違反、独禁法違反、それから政府調達における不正行為、それから労働関係法違反、大体こういう種類の違法活動が相当な規模で行われているらしいということが国際的な注目を浴びるに至った次第であります。ところが、この種の犯罪は、従来、一国の規模で行われるという想定のもとに取り締まり法規ができておったかと存じます。  ところが、多国籍企業のように、贈賄側はたとえばアメリカにいる、収賄側は日本にいるというふうなインターナショナルな犯罪が起こってまいりますと、現在の各国の取り締まり法規によりましてはこれに対処することがなかなかむずかしいという問題が起こってまいり、アメリカ等もこういう見地から、国連におきまして、こういう多国籍企業の違法行為を国際的に効率的に取り締まるようなシステムを考えようではないか、そういうことを専門家レベルで検討しようではないかという提案をし、これに対して日本は賛成をしたという経緯がございます。通産省といたしましては、こういう違法行為に関しましては、それぞれつかさ、つかさと申しますか、責任の官庁があることでございますから、その各官庁における取り締まり活動に期待をいたしたい。いずれにしましても、こういう違法行為が頻発するということはきわめて重大な問題でありますから、それが徹底的に取り締まれるような体制がつくられるということにつきましては大きな期待を持っておる次第でございます。それから、この違法な活動とそれから正常な経済行為といいましても、そう白と黒と画然と区別できるものではなくて、相互に関連する部分もいろいろあろうかと存じます。したがいまして、通産省といたしましては、その正常な、違法でない多国籍企業の活動を産業政策上どう調整するかということが通産省の主たる関心事ではございますけれども、この違法行為の規制ということにつきましてもできる範囲内で最大限の協力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  193. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 刑事局長、いま通産省からお話があったとおり、お聞きだと思います。そこで、いま捜査中なのでございますが、私は多国籍企業というのは決してこれは全部悪であると、こう言うわけじゃないし、もちろん、この企業活動において、世界の経済の発展、ひいては世界の人類の幸せということに貢献している面も確かに多いだろうと認めます。しかし、こうした国際的な、地球をまたにかけたような事件が出てきて、日本もこれに巻き添えを食ったと、こういうような問題を考えてみるときに、現在の日本の法体系の中でも、なるほどいまお話がありましたようにいろいろお調べをいただいているわけでございますが、さらに進んで、やはりこの多国籍企業の活動について、悪いことをやったときにはもっと本当に厳正にやるというような日本の国内の法体系の整備も必要だと思うし、あるいはまた、進んでアメリカを初め、国際的に御相談をいただく必要もあるんじゃないかと思うが、法務省の立場からどのようにお考えか、一言承っておきます。
  194. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 多国籍企業そのものが悪でないことはもちろんでございますが、それが不正行為を行った場合におきましては、国内法によって処断できるものは厳正な態度で臨むべきであることも間違いないところでございますが、実際の運用に当たりまして予想される困難は、たとえわが国内法を犯したことがある程度わかってまいりましても、その者が国外におる場合には、逃亡犯罪人の引き渡しを求め得ないことでは何ともならないということでございますし、国内にその者がおりましても、そのことが国内法では処罰できないという場合もございます。というようなことで、さしあたり逃亡犯罪人引渡条約というものの整備を図るべきだということを考えますとともに、国内法で賄い切れない多国籍企業の不正行為につきましては、国際的な条約等の約束によりまして国際的にこれを取り締まっていくというような国際法的な取り決めも必要であろうと考えておりますが、前者の犯罪人引渡条約につきましては、外務省とも相談して、目下さしあたり日米両国犯罪人引渡条約の改正を検討中でございます。後者の国際的な協定の問題につきましては、いま通産省も仰せのとおり、関係省庁もあることでございますので、関係省庁とも協議して前向きで検討を進めたいと、かように考えております。
  195. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では、最後に防衛庁にお尋ねいたします。  いわゆる陸海空の自衛隊、この研究開発費、いわゆる研究開発費と言われているものは、私が伺っているところで間違いがなければ間違いないと答えてください。  四十六年度の合計が百一億、四十七年度百十三億、四十八年度百二十一億、四十九年度百二十二億、五十年度百二十一億、五十一年度百三十四億と承っているが、間違いがないかどうか。
  196. 江口裕通

    説明員江口裕通君) いわゆる研究開発費として仕分けをしておりますが、その研究開発費の額につきましては、いま先生のおっしゃったとおりでございます。間違いございません。
  197. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 これがいま防衛庁の、たとえば将来装備を近代化するだとか、あるいは船だとか、あるいは飛行機だとか、あらゆるすべてのものの研究開発費がこれですべてである、こういうふうに思うが、間違いないですか。
  198. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 厳密に申しますと、この研究開発費、いわゆる研究関係につきましては、技術研究本部予算ということになっておりまして、厳密に申しますと、いま先生の御指摘の額よりも若干余裕がございます。しかしながら、これは自分のところでやる研究等でございまして、いわゆる大規模な研究開発はいま御指摘の額が全部でございます。
  199. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では、時間がもう四分ぐらいしかありませんから急ぎます。  三次防、四次防関係について、このいまの研究開発費の中から、川崎重工等へ、飛行機の、対潜哨戒機等の全体的なイメージ等をつかむためのいろんな調査研究、あるいはまた高低速のいわゆる特性試験、あるいは電子情報処理装置の一部についての試験研究等を行うために、四十五年度が二千百万、四十六年が二億八千九百万、なお、四十七年度になってからはゼロで、四十八年度が二千百万等、このような研究調査費を出している、委託費を出している。こういうことに間違いありませんか。
  200. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十五年度、四十六年度の調査研究委託費はいま御指摘のとおりでございます。
  201. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では、あなた方が、専門家会議ができて、その専門家会議に、P3Cのいわゆる国内開発を進めようとするならばおおよそ七年間ぐらいの間に四百数十億ぐらい研究費がかかるであろう、こういうことを説明したプリントを出したことは事実ですか。
  202. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 専門家会議において当初の当庁の一案としてお示しいたしました数字は、いま御指摘になりましたような数字でございます。
  203. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では最後に、防衛庁長官にこういう状態を踏まえてお尋ねいたします。  長官、全部の研究費が百三十億、五十一年度でも。そして、このP3Cだけの国内開発をやろうと思えば四百数十億。七年間と言いますから、この四百数十億が、数十が二十としても一年間に六十億、これだけで。なるほど国内開発を進めること、国産にすることが結構なことは、これはだれでもわかるかもしらぬが、現実問題として、これはもう議論の以前の問題じゃないかとぼくは思うのですね、長官。これを疑惑だと言うのも私はどうも納得がいかないのですよ、こういう状況を見て。なお、防衛庁の関係の人から聞きますと、アメリカ等のいまのP3Cの開発等のいろいろな経過から見ますと、国内で研究するには七百億かかるかもしれない。七百億と言えば、七年間とすれば一年間に百億ですよ。防衛庁の予算全部で百三十億ぐらいしかないのに、そのうちのほんのちょっぴり二千百万だか幾らしか出していないのに、それなのに国産をすることができるのだということ自体が、これは私は少しおかしいのじゃないかと思うのです。ここらのことを踏まえて、これからももし国産をやるならやるで、期待を持たれることは結構であると思うけれども、疑惑を持たれないためにも、本当に現実可能な姿でやはり計画を防衛庁でも立てていただかないと――私どもだって希望は言います、期待は言いますよ。しかし、現実論として、これじゃ全く無理じゃないかと思うのですね。こういう点について長官はどういうふうにお考えか、私の考えが間違っておるかどうか。  それから最後に、もう一つ伺います。このP3Cについては、すでに機能的に見ても――何か対潜哨戒機というのは速く行ったり遅く行ったりいろいろあること、あるいは電子機器の問題等で、もう時代が非常に進んでいますから、日本の国の中でああだこうだ言っているうちに、アメリカの方では一九八五年まででもう全部納入も終わってしまうのだ、このP3Cは、こういうふうな状態で、すでに新しい機種はどうするか、こういう問題に入っているそうであります。防衛庁でも、このP3Cというものはもうすでに古い、こういうことから新しいものにいろいろ研究に取りかかっていらっしゃると伺っているが、P3Cをあくまでも推進されるのか、いまの時代感覚から考えて、もっと新しい方向で考えていらっしゃるのか。  以上二点を最後に伺います。
  204. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いま先生の御指摘は、私は非常に貴重な御意見だというふうに考えております。私、防衛庁長官になりまして、もう少し、日本の技術あるいは研究、こういうものについて投資をすべきであるというふうに思っております。ことに三次防期間は大体全体の一・七%ぐらいだったと思うのですが、四次防になりまして一・四%ぐらいということです。これは、いまさしずめのP3Cは別といたしまして、これから兵器がどんどん世界各国とも競争をして新しく近代化されていく、それに対しましてこちらは老朽化していく。これをやはり年次を追いましてそして研究開発を続けていかなければならない。それにしても余りにもその額が少な過ぎる。こういうようなことから、たとえば一体国産をやると言うけれども、それをやれるのですかという疑問が大蔵省から出てきたというのも、私はあの一面は、私防衛庁でございますけれども、素直に見てみますると、言われる点もあるのじゃないかというふうに思いますので、いま御指摘のところはもう少し本当に真剣にわれわれで考えていくべきであるというふうに考えます。  しかしながら、とにかくポスト四次防の計画は進んでおりますし、いずれこの十二月までにはPXLをどうするかということを決めなければならぬわけでございますが、しかし私は、基本といたしましては、災いを転じて福となすと申しますか、この機会に、単に輸入だとか、単に国産とかいうようなことでなくて、必要なものは国産する、あるいはどうしても必要なものは輸入をする、そしてまた長期的にはこれはやはり国産化の方向へ持っていかなければならないのだ、こういうような気持ちを持っておるわけでございます。
  205. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 終わります。
  206. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今回のロッキード汚職事件が、ただ単に全日空-ロッキード、あるいは丸紅、児玉、こういうふうなルートがいま相当解明されておりますけれども、これだけがロッキード汚職の根幹ではない。私たちは、当参議院のこの委員会で、特にPXLが一体どういうぐあいに絡んでいるのか、現実に大臣も御存じのとおり、児玉契約書の中にもこの問題が出てまいります。したがって、このPXLがどういうふうに絡んでいるのか、なかんずく防衛庁の装備、中でも航空機の購入に一体どういうふうに絡んできているのかということを現在までいろいろ解明をしてきたわけです。そこで、私はきょうは、この防衛庁の装備の中でも特に航空機、この航空機の購入について、いわゆるロッキードの商法と言われている賄賂商法ですね。こういうふうなものが確実に絡んできているということをきょうはこの委員会で明らかにしたいと思います。  そこで、まず初めに防衛庁の方にお伺いをいたします。昨日、私は丸紅とロッキード契約をもとに質問をいたしました。そこできょうは、その質問のところから多少入りまして、全く新しいこともございますので、その点もあわせてお伺いしたいと思います。  初めに、いわゆるこの契約書の中に出てまいりますコンペンセーションというのがあります。このコンペンセーションというものと、いわゆる航空機等を購入する場合に正式の手数料、正式のコミッションというものがあります。たとえばF104を購入する場合には、そのF104購入についてのいわゆるその品代についての原価、原価を算定する場合には、それぞれ、その丸紅に対しましても、丸紅が立てかえた金利もありましょうし、また諸掛かりもありましょう。あるいはそれぞれのその利潤というものもやはりあると思うんですね。そういうふうないわゆる利潤というのは、この品代に対する手数料、コミッションとして正式にあると思うんですね。こういうふうな正式の売買によるその手数料というものと、それからこの契約の中に、丸紅とロッキード契約の中に出てまいりますコンペンセーションというものとは一体どういうふうに違うのか、この点まず初めに明らかにしてもらいたいと思います。
  207. 江口裕通

    説明員江口裕通君) いま、コンペンセーションと、それから私どもが輸入を行います場合に輸入手数料ということで申し上げましたいわゆる項目との違いについて御質問があったわけでございますが、簡単に申しますと、これは本質的に違うというふうに私どもは考えております。で、どこが違うかと申しますと、いわゆるそのコンペンセーションと申しますのは、俗称コミッションと言っておりますが、昨日も申し上げましたように、いわゆるソールエージェント契約、たとえばロッキードと丸紅との間において、丸紅がロッキードのむしろ代理人的な存在になりまして日本における市場開拓等を行うということで、これは言うなればロッキードからもらっている金でございます。したがいまして、この額というものは当然、私どもが物を調達いたしますときの代価の中には、加算してあるいは算定して入れておらないわけでございます。そういうことは、予定して、いわゆる原価要素としては考えておらないわけでございます。  それから一方、この輸入手数料と申しますのは、いわゆる品代に若干の手数料率を掛けると。実態的に申しますと、その品代にたとえばわれわれが輸入を委託いたします商社の管理費、あるいは利潤分というものを見まして、その一定率を支払うということでございまして、私どもの方の調達のたてまえといたしましては、こういった品代と手数料、それから商社の方で実際払います販売直接費と申しますか、輸入諸掛かり、そういう三つのファクターで考えております。この場合には、私どもの方の予定価格の中に――予定価格と申しますのは調達をする場合の予定価格でございますが、その中にはこの手数料を算定しておると、こういう扱いをいたしております。
  208. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、たとえばF104を購入する場合には、その購入する売買契約の中にいわゆる丸紅が通常もらう口銭というもの――まとめて言って口銭ですね。いわゆる手数料とか、丸紅が実際に使った費用、たとえば立てかえ金の金利とか、そういうものがこれは口銭として一切含まれているわけですね。これはどうです。
  209. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 御指摘のとおりでございまして、輸入手数料というものは、もしF104を完成機輸入いたします場合には、当然、その間に入りました商社――これは商社が防衛庁と商社の名前において調達契約をいたすわけでございますから、そういう意味で入れるわけでございます。ただ、実態を申し上げますと、F104も御存じのようにライセンス契約でございます。したがいまして、大部分のものはいわゆるメーカーが輸入先と直に契約をいたしております。私どもの入れておりますのは、いわゆる主として現在においては補用部品でございますが、そういったものを直接輸入しておる。そこでその補用部品等について手数料を見ておる。こういう形になっております。
  210. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 少なくとも丸紅とロッキード社のそういう契約はございます。あるわけですから、そのライセンス生産の場合でも、要するにロッキード社の製品なり備品なり、そういうふうなものが一切含まれておるそのものについてのこれは、要するに口銭というのは、このいわゆるコンペンセーションとは全く別にこれはきちっと防衛庁として支払っているわけですね。
  211. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 防衛庁が、いわゆる直接輸入契約という形でございますが、その場合に、ただいまの補用部品等について商社を介して入れておるという場合には支払っております。
  212. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、丸紅は少なくともロッキード社の製品については、これはいかなるあれであろうとも、ライセンス生産であっても、現実の問題としては手数料というものは、これは、たとえば三菱重工に納めたにしても、これは三菱重工が直接払うか防衛庁が直接払うかは別にして、防衛庁の手数料、正規の手数料というものはこれはその一つ一つの契約の中に含まれているのが当然なんですね。それが普通なんでしょう。
  213. 江口裕通

    説明員江口裕通君) いま先生の御指摘の点は若干複雑でございまして、いわゆるコミッションと代理店手数料とは違っておるわけでございます。いま先生の御指摘のいわゆる輸入手数料ということでございますれば、これは防衛庁が直接に輸入するものにつきましては、当然、仲介いたしました、たとえば丸紅が入っておればそれに支払っております。ただし、いま先生のおっしゃったような、たとえばF104でございますと、川崎重工というのが生産をいたしておりますが……
  214. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 104、川崎重工……
  215. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 104、三菱重工というのがやっておりますが、この三菱重工の場合は三菱重工が直接に先方と部品等の調達をいたしてきておりますので、このときは――現在はいわゆる
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、丸紅を通した場合の話をしているんですよ。
  217. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 防衛庁が丸紅を通した場合には払っております。ただ、三菱重工の場合は別でございます。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 三菱重工の場合は別にしましても、少なくとも丸紅を通してこういうふうな売り込みに正式に契約する場合には、当然丸紅のいわゆる口銭というものは正式の規定に基づいてきちっとした手数料が支払われているわけですね。これはどうです。
  219. 江口裕通

    説明員江口裕通君) おっしゃるとおりでございます。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、それとは全く別に、このコンペンセーションというのはあると、こういうことですね。
  221. 江口裕通

    説明員江口裕通君) コンペンセーションの性格が違いますので、それは要するに向こうの、アメリカならアメリカのメーカーから丸紅に支払われておる、こういうことでございます。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、それは結局その性格は違いますけれども、たとえば一つの航空機を購入する場合に、要するにロッキードが丸紅に払ういわゆるこれは裏金ですね、言うたらね。結局この正式の手数料というのは直接契約した人たちからもらっているわけですね、丸紅としては。それとは全く別に、たとえばF104が一機売れるごとに、またそのお金がロッキード社に納まるごとにいわゆるコペンセーションとして幾らかの率で丸紅は現実にもらっていると、こういうことになりますね。
  223. 江口裕通

    説明員江口裕通君) そのとおりでございます。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは結局、こういうふうにして出されたこの金というのは、この契約書から言いましても、現在まで防衛庁は、このMAP方式なり、ライセンス生産なり、合わせて、現在ロッキード社の製品を一体どの程度購入していますか、合計で結構です。それで概略どの程度の金額になるのか。
  225. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 現在、手元の数字でわかりますのは、一応はっきりわかりますのは過去五年間の数字でございますので、その数字で申し上げますと、防衛庁が、調本の例で申し上げますと、調本がロッキード関係の製品を丸紅を介しまして買っております分は四十五年以降四十九年までで約八億七千万、この中には純粋のロッキードでないものも若干入っておりますけれども、大ざっぱに申しますと八億七千万円でございます。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことを聞いているんじゃなくて、要するに航空機です。航空機のロッキード製品は、これは要するに丸紅を直接通す通さないに関係なく、コンペンセーションというのはいわゆる報償金と訳していますけれども、これは要するに丸紅を通す通さないというような――通して八億買ったというのは、これは別問題です。これとは全く別に、防衛庁としてはいままで、トータル機数で結構です、大体どの程度の航空機を購入しているのか。
  227. 江口裕通

    説明員江口裕通君) この御質問のところ、こちらなりに解釈をさしていただきますと、いま御質問の趣旨は、ロッキード社関連の航空機で自衛隊が使用しておる航空機と、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのとおり。
  229. 江口裕通

    説明員江口裕通君) そういたしますと、現在、昨日申しましたT33、P2V7、P2J、F104等々を合計いたしますと、これは昨年末でございますが、いままで防衛庁が使用いたしました機数は六百三十三機、それから、現在保有いたしておりますのは、これはちょっと数字が古うございますが、昨年末で四百八十四ということでございます。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この六百三十三機を現在までの分合計いたしますと、これは私のもとにあります防衛庁から出た資料を参考にして、航空機の購入総額、総額は概略三千億円になると思うんですが、どうですか、大体合うていますか。
  231. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 概略三千億で結構だと思います。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは後ほどまた取り上げることにします。したがって、ロッキード社関係の航空機はT33が合計で二百七十八機、P2V7が六十四機、P2Jが六十一機、F104関係が二百三十機、金額にして合計約三千億、こういうふうなデータが出てまいりました。そこで私は、先ほどのコンペンセーショソ、この問題を詳細に一遍お伺いしてみたいと思います。  このコンペンセーションというのは、実際の商契約とはまるっきり別に、商契約で丸紅自身はそれぞれ利潤を得ているわけですから、それとは全く別に、結局丸紅自身が、先ほど局長答弁になりましたように、いわゆるロッキード製品の市場開拓費あるいは前払い負担金を取引の実施に応じて補う、そういうような形になっているかっこうですね。そうしますと、結局は、このコンペンセーションで得た丸紅の費用というものは大部分がいわゆるロッキードの製品を売り込むための工作資金である、私はこういうように思うんです。  そこで、防衛庁が現在まで購入した三千億円のいわゆる航空機があるわけですけれども、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 この購入というのは当然直接間接いろんな形での購入というのが考えられます。したがって、昭和三十三年から現在まで、防衛庁としては、当然ロッキード契約書を――きのうお話がございましたように、ことしの二月の二十五日には防衛庁自身にも入手をしているわけですね。そうして防衛庁はそれまで全く知らなかったと言うんですから、知らないところでこういうふうな報酬を丸紅が受けておったというわけですから、防衛庁としては、一体丸紅はどの程度のコンペンセーションを受けておったのか、この点についてはもうすでに調査していらっしゃると思いますけれども、どの程度のいわゆる裏金を丸紅は入手しておったと考えられるのか、これはどうです。
  233. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これも私どもの方でいまいろいろと調査をいたしておりますけれども、まあなかなか数字が実はつかまらなくて弱っているところでございます。ただ、丸紅の方に事情を聴取いたしましたところによりますと、これは果たしていわゆる工作資金かどうかというのはまた見方がございますけれども、いわゆるコンペンセーションということで丸紅がロッキードからもらっておる金というのは――大体防衛庁向けの扱いが、先般大久保証人の話にもありましたように、三十三年以降約一億一千万ドルということを言っておられます。その一%前後――これは三十三年以降の話でございまして、平均いたしますと一%以下というようなことを言っておられます。したがいまして、大体まあ百十万ドルあるいは百二十万ドルとかいうような数字のオーダーであろうというふうに一応類推しておるわけでございます。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま局長がおっしゃった一億一千万なんというお金が、これは要するに丸紅から、いわゆる大久保証言で言っておったそういうことじゃなくて、現実にいわゆる報償率から何からすべて計算する種が全部あるわけですよ、これね。契約書は入手しているわけです。防衛庁としては、これは実際問題、そんなものですか。防衛庁、あなたがいまおっしゃったいわゆる補用部品にかかわる手数料、先ほどあなたがおっしゃった八億幾らに対する手数料でさえ、私が手元で計算すると、それはもちろんパーセントは五%から一五%までのあれがありますから多少計算のあれがありますが、過去五年間の分でさえ一億になるんじゃないですか。その補用部品のほんのわずかな分ですよ。そのほんのわずかな分でさえ一億になるんじゃないですか。それをあなた方そういうふうな言い方で、説明だけで私は納得できませんね、あなたの説明だけでは。現実にいわゆる契約書に基づいて計算をすると一体どの程度になるのか、もう一遍答弁願いたい。
  235. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 先ほど申し上げました八億六千万という数字に対しましての、補用部品に対しましての手数料というのは大体はじいておりまして、これは大体平均いたしますと三%ぐらいになっておるようでございます。大体そんなことで、過去五年間で約二千九百万という数字になります。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはね、補用部品の一五%というのがありますね、最高一五%。これはどうです。
  237. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 一五%の料率が恐らく適用されておるといたしましても、それは七四年の秋の契約更改以降であろうと思うわけでございます。いまの中には四十九年度が入っておりますので、一部入っておると思います。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、少なくともその補用部品というのは、三千億の、いわゆるこの航空機やそういうものからするとほんのわずかですね。これは率から言いましても何から言いましても問題ないんじゃないですか。それだけでも二千何百億になるんでしょう。それがたった一億なんていう計算になるわけないでしょう。もう少しやっぱり詳細に、真剣に答弁してもらいたい。
  239. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 先ほどの、ちょっとラウンドで申し上げましたので、あるいは誤解をしていただいたのかと思いますけれども、三千億という数字をさっき申し上げましたのは、ロッキード社に関連する航空機を取得するために防衛庁が支払った経費でございまして、この経費は大ざっぱに分かちますと、日本側に払いました経費と、それからいわゆる米側にドル払いをしたのと二通りございます。いまの約三千億、私どもの方の計算では、五百六十四機を基準といたしまして、二千九百億になるわけでございますが、そのうちの日本側で生産した分、これは輸入ではございませんのですが、この分が約二千四百億になっております。逆に言いますと、米側に払いました金は約五百億という数字になります。これは対象機種が四機種でございますが、このすべてが丸紅を通しておるということには必ずしもなりませんので、そういうようなことを考えますと、必ずしもその三千億で考えていただくよりも、むしろ五百億というのを考えていただいた方がよろしいと思います。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは局長おかしいんで、それじゃ私は詳細にもうちょっとお伺いします。そういうふうな大ざっぱな計算をされるんじゃ困るんです。そこでたとえば具体的に私は申し上げます。  まず、この契約書によるいわゆるこのコンペンセーションが予定されている航空機はどういう航空機ですか。
  241. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 契約防衛庁関係で扱っておりますといいますか、防衛庁に関連する契約は私ども提示を受けました八本のうちの六本でございますけれども、その契約の都度若干航空機の対象が変わってきておりますので、正確に申し上げられるかどうか疑問でございますが、いま手元にあるので申し上げますと、飛行機といたしましてはP2V7、F104、T33、C130、それからP3A、P2J、L100等の飛行機でございます。それの関連部品ということになります。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、そうしますと、いまおっしゃったT33、P2V7、F104、C130と、こういう航空機になっていますね。そうしますと、その航空機について、この契約書のまず第一回目の一九五八年、昭和三十三年の契約書によりますと、T33については第一ランクの千二百五十万ドルまでは一・二五%、P2V7に対しては一九五八年八月一日までに販売が終わったものについては〇・七五%、その後の分については一・二五%、それぞれ千二百五十万ドル、第一ランクです。104については一九五八年八月一日現在で一・一二五%、そしてその後の分については一・二五%、こういうふうなコンペンセーションがこの表に出ておりますね。これは事実ですね。間違いありませんね。
  243. 江口裕通

    説明員江口裕通君) おっしゃるとおりでございます。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、いまのは航空機です。そのほか今度は備品とか、そのほか詳細に出ております。そこで、そのほか、まず、ライセンス生産でございますから、このライセンス生産の中身についてもこの契約書の中にございます。いまの2の項に出ておりますね。P2V7についてはいわゆるライセンスフィーとロイアルティーの一・二五%、ロッキードモデル104については一・八%、それぞれのライセンスフィーとロイアルティーです。そしてC130については二%、これはこのとおりですね。
  245. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 細かい点で恐縮でございますが、P2V7についてはいま一・二五とおっしゃいましたが、私の方では一・二というふうになっております。あとはおっしゃったとおりでございます。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはおたくの方に……、その点は一・二で結構です。そうしますと、そのとおりであるとすれば、今度はこの契約書に基づいて詳細にお伺いします。  F104については一番新しい航空機は昭和四十年ですね。
  247. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 契約をいたしました最終期限は昭和四十年でございます。
  248. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、その昭和四十年の契約の分についてF104一機当たりのロイアルティー、ライセンスフィーは幾らですか。
  249. 江口裕通

    説明員江口裕通君) F104DあるいはF104Jにつきましては、一号機から一〇〇号機までが約三万二千五百ドルでございます。
  250. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一機当たりね。
  251. 江口裕通

    説明員江口裕通君) はい。一機当たりでございます。ということで、あと一〇一号機から二〇O号機までが約三万ドル、それから二〇一号機以降二万五千ドルということになっておるようでございますので、いまの昭和四十年度ごろでございますと恐らく二万五千ドル程度のものであるというふうに解釈されます。
  252. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまのはこれはロイアルティーですか、ライセンスフィーですか、どっちです。
  253. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これはロイアルティーでございます。
  254. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ライセンスフィーは幾らですか。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
  255. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 私どもの方では、扱いといたしましてライセンス関係につきましてはイニシアルペイメントとロイアルティーと二つ分けておりまして、イニシアルペイメントは、104の場合、約百五十万ドルでございます。
  256. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 百五十万ドル。
  257. 江口裕通

    説明員江口裕通君) はい。
  258. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、一機当たりのこのロイアルティー、ライセンスフィーというのは百五十三万ドル平均と考えていいですね。
  259. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これはいま御指摘のようではございませんので、ライセンス契約をいたしますと、最初に手付金と申しますか、頭金みたいなもので百五十万ドル、イニシアルに払ってしまいます。これはあとの機数に関係なく払ってしまいます。で、あと一機ごとにかかりますのは、先ほど申しました三万ドルとか二万五千ドルとかいうような数字になるわけでございます。したがって、一機当たり、二〇一号機あたりでございますと二万五千ドルということになります。
  260. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまのライセンスフィーというのは、百五十万ドルというのは、これはもう一回説明してください。
  261. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 百五十万ドルと申しますのは、ライセンス契約を締結いたしました最初のときに、いわゆる頭金と申しますか、最初の支払いといいますか、渡し金でございます。それで払うのが百五十万ドルでございます。あと一機生産するごとにロイアルティーを払っていく、その額が二万とか三万とかいう額になるわけでございます。
  262. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それ以外に、今度は104についてはロッキードの材料費がありますね、これは一機当たり平均どの程度になりますか。
  263. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは、一機当たりと申しますよりも、むしろ個々の部品、資材単価、部品ごとに五%と、つかみでなっております。
  264. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうじゃなくて、一機当たりの、いわゆるロッキード社の製品は一体どの程度の資材費。これはいまライセンス生産でも、三菱でどうしても購入することができなくて、ロッキードから購入しなくちゃならないものがあるでしょう。これはどの程度になっているかというのです。
  265. 江口裕通

    説明員江口裕通君) ちょっといま資料をチェックいたしますので、ちょっと失礼します。  104につきましては、現在生産を打ち切っておりますので、四十二年度以降生産がございませんので、いまちょっと数字がないわけでございます。まあしかし、大づかみの勘で申しますと、いわゆる国産化率というものは最初は低うございますけれども、徐々に高くなってまいりまして、恐らくまあ、これは非常に勘で恐縮でございますが、輸入が大体三割か、前後でなかったかと思っております。
  266. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 金額にして幾ら、概算で結構、平均で。
  267. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは後ほど資料で差し上げたいと思いますが……。
  268. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構です。  そうしますと、少なくとも、装備局長、F104のこのロイアルティーやこのライセンスフィー、いわゆるこの契約書の中にある言葉で言いますと、104だけ考えただけでも、あなたがいま答弁した、合計しただけでも八百四十万ドルという金額になりますね。日本円で幾らですか、これ。
  269. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これはちょっといますぐ計算できませんので、先生の方が計算をしていただいたわけで……
  270. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、八百四十万ドルに三百円掛けたらいい、大体。
  271. 江口裕通

    説明員江口裕通君) わけでございますが、大体一機当たり三万ドルといたしますと、それの大体平均いたしますとロイアルティー二%前後でなかったかと思っておりますが、ですから、三万ドルの二%ということの機数分をお掛けいただくということになろうかと思います。
  272. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですからね、要するに合計八百四十万ドルになりますね、ロイアルティー、ライセンスフィー合計で。
  273. 江口裕通

    説明員江口裕通君) ロイアルティーの合計は、大体いま三万ドルとすれば二百機分を掛ければ六百万ドルでございます。おっしゃるように……。
  274. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、八百四十万ドルは日本円で幾らかと聞いているのです。二十五億でしょう。
  275. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 大体先生のおっしゃるような数字になると思います。
  276. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体認めたようですから……。  二十五億円の一・二五%、そうしますと、この皿だけでも少なくとも二億五千万円から三億程度のいわゆるコンペンセーションをもらっているということになりますね。概算ですよ、もちろん。そうなりますでしょう。
  277. 江口裕通

    説明員江口裕通君) ちょっと違うようで恐縮でございますが、二十五億の一%でございますれば二千五百万円であろうかと思います。
  278. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何……。
  279. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 二十五億の一%であれば二千五百万円であろうと思います。
  280. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうそう、そうだ。そこはちょっと勘違いしてました。結構です。たとえばいまの104について、これは資材費というのは含めなくて、ロイアルティーとライセンスフィーだけで二千五百万、要するに一%として二千五百万です。  そこで、今度会計検査院にお伺いします。会計検査院、たとえば――概略で結構です。いまの問題、防衛庁なかなかはっきりしませんので、ちょっとお伺いをいたしますが、たとえば104を購入する場合、ロイアルティー、ライセンスフィーというのは大体出てまいりました。材料費というのはどの程度あるものですか、わかりますか。
  281. 高橋保司

    説明員高橋保司君) お答えいたします。  契約年度三十五年度の第一回の契約、これ、二百機の生産契約金額でございますが、四百十六億になっています。その中で直接材料費が二百十九億、それから輸入材料費が百六十八億となっています。この中でロッキード分と推定される金額が四十五億ございます。それから、そのほかにロイアルティーが二十億、約二十億の支払いが計算されます。
  282. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点お伺いします。  いまのライセンスフィーというのを、いまの防衛庁説明では一括して初めに百五十万ドル払ったと、こういうことですが、この契約書によりますと、何となく一機ごとに払うみたいな感じの契約書になっておりますが、ここら辺のところはどうです。
  283. 高橋保司

    説明員高橋保司君) お答えします。  先ほど防衛庁側からお答え申し上げましたとおりでございまして、一九六〇年六月三十日までに千百五十万ドルを固定費として支払うということになっております。
  284. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの一九六〇年のあれは千百五十万ドル……。
  285. 高橋保司

    説明員高橋保司君) 百五十万ドル。
  286. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 千はなし。百五十万ドル、そうですね。わかりました。  そうしますと、いま説明ございましたように、材料費というのがございますね。これは材料費は大体ロイアルティーの倍とちょっとですね、いまの説明ですと。ロイアルティーが二十億、それから材料費が四十五億という説明がございましたね、そうしますと、約倍になります。そうしますと、少なくともこの104だけについて考えてみましても――大まかにですよ、これは。大まかに少な目に見積もったにしても、少なくともこの104についての何といいますか、コンペンセーションというのは、これは少なくとも五千万、六千万という金額になるんじゃないでしょうか。  私は、ロイアルティーとかライセンスフィーとか、材料費とか、こういう問題については詳細に前もって説明を求めたんです。ところが、きょう委員会の前に私のところに説明に来たのは全くゼロなんです。何にもわかりませんと言ってきたんです。だから私はこの委員会でわざわざ言っているから数字がなかなか合わせにくいんですけれども、こういうのは少なくとも、やっぱり、こういうふうな問題が起きているわけです、こういう契約書も出ているわけですから、当然私は防衛庁では、丸紅はこういうふうな上積みして――品代には上積みしてないというような先ほど話がございましたけれども、ないという証拠何にもないわけですよ。ですから、当然丸紅にこういうふうなものは値引き交渉をちゃんとすべきです。そういう作業は少なくともすべきだと私は思うんですよ。そういうことをしないで、ここへ来て一々説明したっていかぬわけです。だから、私は重ねてこの点については詳細な資料要求しておきます。  そこで、さらに、時間がございませんので、もう一歩前進して質問をします。  それではまず、これは非常に大きな問題がありますので質問いたしますが、ただいまの契約書、これは一九五八年八月一日の契約です。このいわゆる付表のAというのがあります。これは先ほどから言っております「附属A」、いわゆるコンペンセーションレートというのがございます。そこで、コンペンセーションレートのA、これのロッキード社・丸紅株式会社「契約書号LAI/一一七四」というのがあります。これは一九七二年十一月一日付の契約であります。この十一月一日付の契約を一遍防衛庁側に詳細に御説明を願いたい。防衛庁長官、ちょっと資料、これ、見ておいてください。
  287. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 「一一七四」、これはLAIとの契約でございますが、七二年の十一月一日の契約におきましては、一応対象品目といたしましてはT33、F104、CL一二〇〇、P2J、それからP3、S3、それからその他、それに関連するL一〇一一の材料、それから非航空機品目等々が対象になっております。そういった上記の品目の販売ライセンス契約、役務契約の締結についての援助をするというのが総代理権の範囲でございます。それにつきましては一応総代理権を持っております。それからさらに、技術援助契約の締結につきましては、非排他的な代理権を付与されておるということでございます。中身等につきましては、そういう販売契約の締結についてのロッキード社の援助あるいは市場開拓、それから競合品の販売等の禁止とか、まあ、いろいろ条項が七項目ばかりございます。それからあと別表におきまして、従来の料率が若干変わってきておるというふうに理解しております。
  288. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういうところを、あんまり関係のないところを説明してもらわなくてもいいのです。これはもう一回局長から説明してもらいたいのです。一遍ここを説明してください、これ、ここを。
  289. 江口裕通

    説明員江口裕通君) ここにおきましては料率の改定が行われておりまして、P3シリーズにつきましては一機当たり十五万ドル、それからS3シリーズにつきましては一機当たり十五万ドル、それからCL一二〇〇シリーズにつきましては三万五千ドル、スペアパーツ、それからその他地上支援機材というようなものにつきましては、これは五%の料率が出ております。
  290. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それで結構です。  これは結局、大臣、非常に重要な問題を含んでおります。この丸紅とロッキード社との契約は、われわれはいままで、ロッキード社が支払ういわゆる裏金みたいな政治工作資金というものは――いわゆる昭和四十八年の七月二十七日に行われた児玉のあの契約でP3Cの問題が出てきたわけです。したがって、PXLの問題についてやはり相当いろいろな工作が行われているんじゃないかということでこれは大分問題にしてきたわけです。ところが、われわれ丸紅レポートを詳細に調べてみますと、児玉との契約の約一年前、一九七二年の十一月一日、この契約によると、いまレートの改正だなんておっしゃっていますけれども、そうじやないわけです、これは。この点で、ここで初めて出てくるわけです。この契約によると、P3シリーズ、すなわちP3Cですね、P3C一機当たり、これは初めの、いままでは部品のどうのこうのとか、一切いろいろづいていましたけれども、この契約のいわゆる報酬レート、先ほどのコンペンセーションレート、これでP3シリーズ一機を販売したらUSダラーで十五万ドルを差し上げますと、それからもう一つ問題になったS3、これは大臣も御存じの、いわゆる船の上に積んでおる小型対潜機、この小型対潜機は同じく十五万ドルを差し上げます、こういうふうな契約がすでに児玉の前、約一年前に結ばれておった。しかも、たとえば、児玉流に解釈をいたしますと、五十機購入するということになりますと、これは二十二億五千万円といういわゆるコンペンセーションレートですよ。正式の手数料とは全く別に、先ほどから私がやっておりますように、正式の手数料じゃないわけです。これは結局、市場開拓費とか、そういうような名目でロッキードの製品を売り込むための工作資金ですね。そういうことでいわゆる二十二億五千万円、たとえば五十機の場合ですね。児玉流のあの契約書でいくと五十機ですから、あれと合わせますと、五十機で二十二億五千万円を差し上げますというような契約になっているわけです。  だから、そのほか詳細に言いますと切りがないくらい、いままでのロイアルティー、いままでのコンペンセーションというのは、一%とか、一・二五%とか、そういうような非常に低い率でございまして、ところが、このP3に至っては、今度は従来のライセンスフィーとか、ロイアルティーの四%というように、いわゆるコンペンセーションそのものも上がってきていますね。こういう点について一体どういうふうにお考えなのか、この点については、いままでわれわれは全く知らされておりませんでした。こういうふうなことは、現実にこういうふうな契約書が出てきて現実にこういうふうな様子を見ておりますと、このロッキードの事件というものが一体PXLとどういうふうに絡んでいるのか、われわれはなかなか解明できなかったんですけれども、こういうふうな中身を見るにつけ、従来防衛庁が購入してまいりましたこのいわゆる航空機というものの購入の仕方、このこと自体にもいろんな問題がある。ただないというんじゃなくて、われわれはそういう点にもやっぱり詳細に食い込んで、防衛庁の中のいわゆるそういうところでちゃんとしないといけないんじゃないか、こういうように考えるわけです。こういう点も含めて、まず大臣の御見解をお伺いしたい。
  291. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私どもいまお示しのことにつきまして詳細調査をいたしておりませんので、早速調査をいたしまして、そして解明に努力をいたしたいというふうに考える次第でございます。
  292. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、これは大臣、少なくともこの問題については、これはこの問題をはっきり明らかにしない限り、このPXLの問題の疑惑が晴れたということになりませんからね。ですから、ただ単に、いままでは児玉契約一つだったんですけれども、そうじゃないということははっきりしてまいりました。しかも、これが児玉契約というのはただ単にぽんと出てくるわけですけれども、そうじゃなくて、昭和三十三年ごろから丸紅はこういうふうな契約で、ただ単にこれは「附属A」というんで、「報酬レート」の改定ということで出てきているわけです。こういうふうなものが――ただこれだけじゃないわけです。何回も何回も改正されながら、こういうふうないわゆるコンペンセーションという名前で裏金がもう相当動いている。これは悪く勘ぐったりすれば、防衛庁の中にも相当食い込んでいる、これが言えるわけです。長官。  この点については委員長にもあれしたいんですが、きょうはまず法務省当局にお伺いしますが、この契約書の中でこういうふうなコンペンセーションというものをロッキード社が確実に受け取るためにはその条件があるわけです。その条件というのがこの契約の第八条にありますけれども、代表者は――代表というのは丸紅ですね。丸紅は販売プログラムに従事する代表者の、いわゆる丸紅のスタッフの活動状況の報告を定期的に文書にてこういうようなものを提出すると、こういうことになっておるわけです。したがって、丸紅はこういうふうな――これは軍用品ですよ。軍用品といいますと、よその国は別にしまして、日本防衛庁しかないわけです。ほかはないわけですから、対象者が。ですから、少なくとも丸紅は、こういうふうなロイアルティーやこういうようなものをいろんな角度から計算をしますと、これはもう何十億というすでに金額になると思うんです。後でこれは防衛庁から計算して出してもらうにしましても、少なくとも私は何十億という金額になることは間違いないと思うんですよ。そうしますと、そういうふうなものを受け取るためには、市場開拓として――市場開拓というのはこれは防衛庁です。この防衛庁のいろんな様子というものを詳細に私は丸紅がレポートしてロッキードへ送っているということは、これは間違いないと思うんです。  そこで当局にお伺いいたしますが、先般から捜査をやっておるわけでございますが、この丸紅レポート、特に防衛庁関係の資料については、これは押収されていらっしゃるのかどうか、これはどうです。
  293. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御案内のとおり、丸紅の関係者三名につきましては目下逮捕、取り調べ中でございまして、そのような関係もございますので、どのような証拠品を押収しているかを明らかにすることはできないので、御了承願いたいと思います。
  294. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかし、これは特に重要な資料でございますから、こういうようなことに相当やっぱり関心を持っていらっしゃるということはどうなんです。それからさらに、コンペンセーションという問題が契約書の中に出てまいりますが、こういうものに対する調査捜査ということはもう進んでいらっしゃるわけですか。
  295. 安原美穂

    説明員安原美穂君) PXLの特にP3Cの売り込みにつきましては種々の疑惑が投げかけられておりますので、検察当局としてもその解明に努めておることは間違いないと思いまするが、先ほど来御指摘のいわゆるコンペンセーションということにつきましては、いまだ私どもは当局から報告は受けておりません。
  296. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、この問題は、当然私はこういうような資料というのは丸紅のこのレポートを押収していらっしゃると思いますので、ぜひともやってもらいたいと思うんですが、委員長、丸紅レポートですね、これはやっぱりP3Cの問題、PXLの問題を、特に防衛庁の問題を解明するためには私はもうどうしても必要な資料だと思うんです。そういうような意味で、委員会としてもこの資料の入手方、これは是非一遍努力していただきたい。
  297. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) よく理事会で相談いたします。
  298. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、私はもう一点お伺いをいたします。  昨日、装備局長は、この日米の政府間の取引の場合、防衛庁購入価格――購入の場合、いわゆるコンペンセーションが含まれている場合は日米話し合いでいわゆる送り状なり何なりに注記することにしたと、こういうような答弁が昨日ありましたですね。これは一体どういうふうなことになっているのか、どういうことなのか、一遍具体的にお伺いしたい。
  299. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは、やや経緯を申し上げたいと思いますけれどもロッキード事件が起きまして以来、先ほどの御指摘のいろいろな契約書等も私どもの方で入手をいたしたわけでございますが、その際、昨日先生の御指摘のようないわゆるこういったコミッションの支払いというものは、いわゆるFMSといいますか、政府間の契約にも支払われることがあるべしという条項があったわけでございます。ただ、その条項の中身は、直接最初から日本向けに売られるということがはっきりした場合に限るという条件はついておりますけれども、いずれにしてもそういう条項がございます。そこで、私どもの方はその実態がどういうことになっておるのかということを米国側にも問い合わせをしたわけでございます。その結果、米国側の方から一応昭和五十年の八月、昨年の八月以降におきまして、こういった問題については、そのコミッションあるいは、先方では工ージェントフィーという言い方をいたしておりますけれども、そういったものを昨日申しましたDDフォーム一五一三というのの注に記入する、それで向こうの調達担当官が一応エージェントフィーがフェアでリーズナブル、つまり合理的で公平であるということの査定をいたしまして、それを日本のような購入国に対して通知をしてくるという制度があると、そういうふうな新しいポリシーがとられておるということを了知したわけでございます。で、その点について、その後、そういった場合に実際の運用といたしましては、先方はそういうことを通知してまいりますけれども、購入国側がそれを否認をいたしました場合にはその支払いを当然しないと、つまり、調達価格の中に加算しないという取り扱いをいたしておるようであるということもわかったわけでございます。  ごく大ざっぱに申しますと以上のような経緯でございます。
  300. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは契約書が皆さん方の手に入ったのはことしですね、二月二十五日とおっしゃっていましたね。それで、それからこの問題について話し合ったんじゃないんですか。いまの話ですと五十年八月以降とおっしゃいましたね。そこら辺の食い違いはどうなんです。
  301. 江口裕通

    説明員江口裕通君) この五十年の八月と申しますのは、先方のアメリカの方のいわゆる国防省の方の扱いでございまして、それがその以前からもこういったコミッションの扱いにつきましては、米国においては、一応さっき申しましたフェアでリーズナブルな料率であれば、これは支払うのが普通であると、一般商慣行であるということを向こうは認めておるわけでございまして、向こうの調達価格の中にはそれは加算されるというようになっておったようでございます。ただ、それがこの八月という時点以降は一般的な価格の原価構成の中に入っておりましたのを別記いたしまして、特にこれはこうだよということを書いてきておると、そういう制度にすると、こういうふうに了知しております。
  302. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、問題点は二つありますね。一つは、五十年八月まではコンペンセーションというものが、これは要するに品代の中に含まれておった。八月以降はやはりフェアであるかどうかということがいろいろ問題になってきたんでしょう、アメリカでもね。それでその問題についてやっぱりその点を注記すると、そういうことに変わってきたというんですね。その問題一つですね。これはやっぱりそういうような制度そのものについての問題があります。  それからもう一点は、ことしの二月防衛庁がこの問題を気がついて、それでこういうような問題について防衛庁としてはだれに交渉したんですか。だれと話し合いをしたんですか。日本向けのものについて注記するということについてだれと交渉して先方からいつ返事があったんですか。そして現実の問題、もうこういう注記が行われて、現在までは注記したものは現在入ってない、注記されたものはないというような答弁きのうありましたね。これは一体そこら辺の関連性どうなってますか。
  303. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これはFMSの関係でございますので、当初はMDAOの方に照会しております。それから、さらに時代がもう少し――私どもの方でそれだけではわかりませんバックグラウンド等がございますので、外務省それから在ワシントン大使館等を経由いたしまして、先方の方の担当の方にも事情を聴取しておるということでございます。
  304. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、そんな大ざっぱな答弁じゃなくて、時間ありませんからしようがありませんが、これは詳細に後で報告してください。これは要するに、MDAOに初め交渉した、二月ですから、もう三月ですね。それで実際MDAOでどうしようもないんで、外務省を通してやった。いま七月ですよ。現実にこういうようなものが入ってきてチェックできる時間なんかないんじゃないですか。ですから、そういう点から言うときのうの答弁いいかげんな答弁になりますよ。  それからもう一点、時間ございませんからやりますが、コンペンセーションというのは、きのうあなた方答弁で丸紅は正式の帳簿に載せておるというふうな意味答弁があったように思うんですが、これは要するに、丸紅としてはこういうようなコンペンセーションというのは正式に帳簿に載せているのかどうか、これはどうですか。
  305. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは、私どもの方は直接丸紅の帳簿の中まで見るという権限がございませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、最近においてはそれは載せておるということでございます。  それから先ほどの問題に戻りますが、調査をするのは時間がなかったんではないかという御指摘でございますが、こういう情報が入りますと同時に、直ちに先方に調査を依頼をいたしまして、実態を調査をいたしております。
  306. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはどうも納得できませんけれども、最近調査しておると言いましても、それは調査して返事が来て、実際にそういうふうな品物が入ってきて、注書きが書いてあるか書いてないかということを確認するまでには大分時間がかかりますよね。だから、実際に現実に確認したものはまだないんでしょう。その点一遍後で答弁ください。  それからコンペンセーションが実際に帳簿に載っておるのかどうか。これは法務省どうですか。こういうようなものを載っているか載っていないか、詳細わかるかどうかわかりませんが、いずれにしてもこういうようなものが正式に帳簿に載せられているのかどうか、これらのところについてはそういうふうな面についての調査とか、そういうふうなものは調べていらっしゃいますか。
  307. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど申し上げましたように、コンペンセーションにつきましては報告を受けておりませんので、したがって、それの帳簿の記載の有無もわかりません。ただ先ほど申し上げましたように、PXLの導入の経緯につきましてはいろいろと疑惑が投げかけられておりますので、すべて解明について努力をしているということば間違いないと思いますが、その点については報告は受けておりません。
  308. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは防衛庁もう一回お伺いしますが、最近は帳簿に載せておると。これは丸紅のだれが言うておったんですか。実際問題、これは重要な問題だと私思うんですよ。この問題、実際問題、裏金というふうなことも考えられるわけです。正式にどういうぐあいに帳簿に載せていたのか。あなた方確認をしたのかどうか。帳簿を見してもらうことはできないけれどもと言って、最近はと先ほどおっしゃった。きのうも同じようなことをおっしゃったわけです。これは要するに、一体どういうことなのか。この点一遍もうちょっと詳しく。
  309. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは正式には確認をいたしておりません。正式には確認をしておらぬわけでございます。ただいわゆる担当の課長等におきまして、私ども担当の方がまあ接触した際にそういう感触を得たということでございます。
  310. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは委員長、一遍お伺いしておきますが、非常に私はコンペンセーションというのは契約上も非常に重要な問題だと思います。したがって、防衛庁も確認したとはいえ、いま答弁ございましたように、詳細確認をしてないわけですね。感触で物を言っているわけです。これじゃ困りますし、この問題、非常に私は今回のPXLの問題を解明するに当たっては非常に私重要な問題だと思います。したがって、できましたらこの丸紅関係のこういうような関係者、この問題の担当者なり、この契約やいろんな問題から見てみますと、たとえばいま質問いたしました、これは防衛庁に一遍ちょっとお伺いしますが、一九七二年十一月一日付の契約契約者は、ロッキード社はだれで、それから丸紅はだれですか。
  311. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 一九七二年の十一月には契約が三本締結されておりますが、先ほど御指摘のLAI一一七四というのについて見ますと、丸紅側は契約者は檜山氏でございます。それから先方はLAIの社長のプリル氏でございます。
  312. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういうわけでございまして、これは檜山会長はいまちょっとおりませんけれども、少なくともその関係者はこれはやっぱり何かの機会に詳細にこれは明らかにする必要があると思います。できましたらそういう関係者を当委員会証人として喚問していただきたい。  以上要望いたしまして私の質問を終わります。
  313. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) その点は十分理事会で相談いたします。
  314. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ええ、お願いします。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
  315. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ロッキード社の賄賂商法に応じて働き、また不正な金を受領したのは一体だれか。本委員会で解明努力を続けておるPXL問題は国民の注目の的であり、田中総理、相澤氏と並んで後藤田正晴氏は疑惑の集中点であると言うことができると思います。私はまず坂田防衛庁長官に対して後藤田氏に関する質問を行います。  坂田長官、ここに後藤田正晴氏の後援会会報五号なる刊行物があります。この刊行物にあなたから後藤田氏にあてた親展の書簡が写真版入りで掲載されているのであります。あなたはそういう書簡を後藤田正晴氏あてに出されましたか。
  316. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これはこの間のこの委員会におきまして明らかにいたしたとおりでございます。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
  317. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この書簡の中で「久保次官記者会見における誤認に関する釈明文」というふうに銘打って、その文章の中を見ますと、「後藤田さんからも直接抗議をおうけするとともに当時の事情について御説明を頂いた次第であります。その際克明な日記に基いての御話を承りました。」というふうに書かれてある。こういう文章があるわけですが、――初めの方にあるでしょう。中ごろかな。いま読み上げた文はあなたが書かれた文書の中にありますか。
  318. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) あります、あります。
  319. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 その日記についてお伺いをしたいわけでありますが、後藤田氏の「克明な」といわれる日記は、あなたとこれに基づいて話されたのでありますが、昭和四十七年十月七日の件について何を記述しておりましたか。
  320. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) そうじゃなくて、後藤田さんは自分は日記をつけていると。そしてそれを手元に持っておられたんです。そしていろいろ久保次官が発言したことについてお話しになりましたし、またこの際その当時の事情を後藤田さんから聞いておいた方がいいと思いましたから、その前後の関係をずっと聞きました。たとえばそのときの大きい問題はとにかく支援戦闘機、高等練習機の問題が非常に大きな問題だったと、自分はPXLの問題はそうタッチしておらぬと、こういうお話でございました。
  321. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あなたのこの非常に低姿勢な釈明の文章には「克明な日記に基いて」というふうにありますので、克明か克明でないのかはあなたが書かれた文章ですから、これはかなりの徳島県民の中にばらまかれておるものでありますからね。あなたが責任を持って書かれたものだと思って聞いておるわけであります。それじゃその日記の中身が信用できる克明なものであったのか、そういうことは確認しないで言われたのか、それについてはわからなかったということですか。
  322. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 普通こういう問題で、ほかの先生方ですね、増原長官とか、あるいはその他の方々にお会いしました。しかし、日記なんかつけておられないわけでございまして、その意味合いにおいて非常に記憶が不確かな部面がございます。しかし、その日記は一応日記でございますから、しかも相当前の時点の、しかも毎日のことを書いてあるわけで、だから、私はそれはそれなりの克明な証言であると、証言――お話であるというふうに承ったわけでございまして、ことさらにこれがまた裁判所に提出するような、どうだこうだと言われますと、そういう意味で克明であるかどうか、そこは私は考えなかったわけでございます。しかしながら、そういうふうにしてやはり日記に基づいてお話しになっておるということは、あの人柄から考えまして私は十分信頼できることであるというふうに承ったわけでございます。
  323. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あなたのお書きになったこの文章は、「後藤田正晴さん並に後援会の皆様に多大の御迷惑をおかけしましたことを深く御詫び申し上げます。」というふうに丁重をきわめて、そうしてその中で後藤田氏のこの説明は、「克明な日記に」基づくものであって、「私たちの調査と大筋において符合しておりました」というようなわけで、まあまことに低姿勢、丁重なものでございますけれども、少なくともその後藤田氏が多くの県民にばらまいて、自分の信用を高めようとしておるこの文書の中の「克明な日記に基いて」という話は余り根拠がない。あなたが手にとって見られたわけでもなければ、何が書いてあるのかも確認しないで、ただ後藤田氏の信用を増大させるために余り根拠のない話をされたということになると思うのですが、どうですか。
  324. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私はそうは思わないわけでございまして、私は以前から後藤田さんもよく知っておりますし、あの人柄も知っておりますし、そして全く自分とかかわりのない問題、あるいは間違ったことを私の防衛庁長官のもとにおります次官が言った、そしてそれが新聞に大きく報道された。そうしていま後藤田さんは選挙に出ようとしておられる。そうなればわれわれ、先生もそうですけれども、同じ政治家で、私も三十年やってまいりましたけれども、そういうような自分のこの事実と違うようなことを言われて、後で訂正されましても、それはなかなか選挙民に理解ができない。また反対の人はそれを非常に過大視してやるということは、われわれ三十年政治をやってまいりました者からよくわかるわけでございまして、ここの事実関係だけははっきりしておかなければいけない。それはやはり大事なことだというふうに私は思ったわけで、私の率いております次官が不用意にそういうことを言うたことについては、やはり責任のある次官として釈明するなり、あるいはまあ事実、記者会見をやりまして、自分が不用意であったということも申しておりますし、その後の国会におきましても久保次官はそのことを釈明をいたしておるわけでございます。その点は後藤田さんの言うのがほぼわれわれの調査の結果とは一致しておるということをその時点で申し上げたわけで、私はそのことを書いたことを別にどうだというふうには思っておりません。
  325. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあこの問題はこれ以上追及いたしませんけれども、少なくとも坂田道太個人として、志を同じうする者に対していろいろ情をかけられたというようなことなら理解もするのでありますが、いやしくもこの防衛庁長官としていま国政上の重大問題になっておる中で、余り根拠のないところにまで立ち入って後藤田氏を、たとえばこの一日記の問題についても、根拠もなく信用を増大させるように長官が言われたという点については、私は遺憾な問題であるというふうに思います。  中身に入りますけれども、七日の問題については少なくとも、まあ日記に基づくか基づかないかは別として、国防会議幹事会の問題等については、話し合われたときに後藤田元官房副長官から長官に話があったわけですか。
  326. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 何日のことですか。
  327. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 七日ですね、十月七日。
  328. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) とにかく八日のことが非常に大事なことでございますね。しかし、まあ七日のことも恐らくお話あったと思います。いまちょっと記憶がはっきりいたしませんけれども
  329. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 七日には国防会議幹事会が午前、午後にわたって行われておる。まあ私は恐らく克明な日記に基づいておればそれらの問題の、この時間、場所、出席者、議事というようなものが記述されておったに違いないと思ってお伺いをしたわけであります。あわせて当日は、大蔵省においては問題についての省議が行われて、内意が決定された日でもあったわけです。これについても、その際に長官の方に後藤田さんの方から話があったかどうか、これもお伺いしておきたいと思うのです。
  330. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私は直接後藤田さんにいろいろお話を承りましたのは、うちの久保次官が自分の憶測を交えて、そしてあるいは八日の時点なんかの事実を忘れて話しておったというような、そういうところに焦点を合わせてお話を聞いたわけでございます。もちろんその一環のお話を私は聞いたつもりでございます。  それから、先ほどいろいろ御批判はありますけれども、私は、たとえば後藤田さんでなくとも、共産党の人でございましょうとも、たとえばこれ事実誤認じゃないかということを言ったら、むしろそやつはちゃんとはっきりそのことはそうでございます、あるいはそうは思いませんということをやるというのがやはり政治家としての責任であると思いますし、いやしくも防衛庁長官にかかわる問題について、私の次官が誤ったことをやったことについては、どなたといえども、どんな国民の一人であっても、もしそういうような抗議があるならやはりそれについてお答えする責任がある、そういうようなつもりで私は言っているわけでございます。
  331. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 七日段階で大蔵省省議決定が行われておったという問題について、いますぐに長官自身も余り記憶がよみがえってこないというようなふうですから、先へ進みますけれども、八日には、本委員会でも非常に繰り返し問題になった島田次官の後藤田氏宅訪問という件があるわけでございます。これは記者会見でも後藤田氏がわざわざ取り上げてみずから大宣伝をしておるところでございますが、こういう話は聞かれましたか、八日の問題であります。
  332. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) その話は聞きました。そして島田次官と小田村経理局長二人で行ったと、そして支援戦闘機の問題について陳情をした。しかし、それに対してそうやりますとか何とかというようなことは聞かなかったということでございますし、そのことも後藤田さんは私に言わなかったと言っておりました。
  333. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この八日の段階で島田次官の後藤田氏宅訪問に関して、後藤田氏からあなたの方へ、次官みずから八日段階防衛庁でもって庁議決定があって、もう支援戦闘機問題、目的を達したらPXLの国産開発化のための研究開発、これはあきらめるというような話を島田次官の口から後藤田氏へ告げたというような話は聞かれなかったわけですか。
  334. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私はそれは聞いておりません。
  335. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 その後、九日の午前八時半から当日の朝、再度幹事会が聞かれ、そうして問題の三者懇談を経過をして、そうして国防会議懇談会となるわけでありますが、この中で防衛庁の報告書の中にも三人だけが知っておる。特に初めの方は後藤田氏と田中総理とさしで、二人のようでありますけれども、ここで後藤田氏からFST2改の国産問題について、国産が適切でございますと言って進言をしたというふうになっておりますけれども、その点については長官が後藤田氏から聞かれたわけですか。
  336. 丸山昂

    説明員丸山昂君) ただいまの「国防会議に先だって、後藤田官房副長官は、総理に懸案となっていた支援戦闘機の問題は、国産機でいきたい旨進言した。」と、このくだりは後藤田さんからのお話でございます。
  337. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 本人だけの証言なんですか。田中総理の裏づけもあったわけですか。
  338. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 後藤田氏のお話でございます。
  339. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実は、先ほどからも言われるように、後藤田氏からいろいろ報告があった部分についてはまるのみ、うのみにして、そしてたとえば久保発言などについては、はなから後藤田氏の発言に合わない限りでは事実誤認だというふうに整理をされておるような印象を受ける。そこで一、二細部について、後藤田氏の主張の重要点になっておる分についてお伺いをしてみると、長官みずから報告書を出されたのでありますけれども、それらの細部について定かでない。私は、それらのことは責任ある答弁を、あるいは報告書を出されている以上変な話ではなかろうかと思うわけであります。特に、この防衛庁の報告書の中に、統一見解として記述されておる後藤田進言の件でありますが、これ自身後藤田さんの当時置かれた立場から見ても妙な話になると思うのであります。少なくとも首相とさしで後藤田さんが国産化を、対地戦闘機の国産化について進言をされたということであるなら、これはその当日の朝の幹事会の結論と合致していないわけであります。後藤田さんはみずから幹事会を招集して、そこで意見の対立する防衛庁、そして大蔵省、これらの発言に耳を傾けて、そこで導かれた結論を少なくとも総理説明をするという立場にあると思いますし、幹事会も法、規則によって設置されたものであります。ところが、この朝の幹事会では結論なしということになっておるのであります。そして、ここでこの結論の方向へ向けて進言するような内容について後藤田氏は何ら発言をしていないわけであります。これらのことから眺めますなら、後藤田さんのこの進言というものは、十月七日の大蔵省議ですね、これが反映をされず、防衛庁議がそこで反映されず、そういう姿の中で九日朝行われた幹事会の結論をも、これを結果的には首相に対する進言の中に反映させることなく、素通りで勝手に進言をしているということになってまいります。まあ幸いにしてというのか、その場面では後の報告を聞けば、よく話が合って相澤さんと唇歯輔車と申しますか、うまいこと足らず部分を埋め合って、結果的には田中総理と呼吸を合わせて、そのときまで議事として予定もされていなかった合議に達し、そうして三者の中の得た結論を持って懇談会に臨むということになっておるのであります。それは細部でさまざまなものを言えばどうなるかは別として、これと、この防衛庁の報告書もしくはその後の後藤田氏のみずから宣伝をしておられる発言とは食い違いがあるわけだと思うのであります。  そこで、次に長官にお伺いをいたしますが、二月十三日ですね、この文書を出されるに先立って、坂田長官と後藤田氏とが会見をされたわけですね。
  340. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) とにかくあの久保事件が起こりましてから、後藤田さんもやってきますし、相澤さんもやってきますし、それから増原長官も来られるというわけで、いろいろお話を聞きました。そういうことでございますし、まあこの機会にいろいろの関係者のお話を総合して、そしてそのときの状況を本当に真実に近いようにひとつ再現させてみたいと、私考えまして、そしてあの報告書をまとめたわけで、これは後藤田さんの話だけでこれをまとめたわけではございません。その他前の、ここに証人に来られました海原さんにもお会いしましたし、それからその他小田村君にも会いましたし、いろいろの人たち、それから私だけではございません。うちの人たちをいろいろやりまして、そしてやったんです。二十三日会ったかどうか、調べて……
  341. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 二月十三日ですよ。
  342. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 二月十三日……
  343. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 十三日と十九日とあなた……
  344. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 多分そっちで調べておられればそうかもしれません。もし何なら調べてうちの日記帳見ればわかるわけで、私はそんなこと隠しゃしませんから、はい。
  345. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この後藤田氏が会報などに書きまして大宣伝をしておる坂田防衛庁長官みずからがおわび文を出されましたその根拠をなす後藤田氏とあなたとの会見は、後藤田氏みずから言うところによれば、十三日と十九日と二回にわたって行われるわけであります。そして後藤田氏は二月十三日坂田長官と会見をした後記者会見をいたしまして、そして次のようなことを言っておるのであります。防衛庁国防会議前日の十月八日庁議をもって国産化の断念を決めたと言っておる、こういうことを後藤田氏は記者諸君に申し述べたわけであります。しかも、さらにそれを証拠立てるために防衛庁の島田次官が後藤田氏宅訪問の際に防衛庁の断念を伝え聞いたとさえ言っておるわけであります。これ長官にお伺いをすると、また克明な日記でも見ない限りは、失念をしておられるといけませんから、かわって答えていただいてもいいわけですけれども、この点は防衛庁は後藤田氏が言われたようなこういうのを事実というふうに押さえておられますか。どうですか。
  346. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 記者会見で後藤田氏がそういう発言をされたかどうかにつきましては私存じておりませんが、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 八日の日に当時の島田事務次官と経理局長が後藤田氏のところへ参りまして、FST2改についてせひ国産でお願いをしたいということを申し上げておるわけでございまして、そのときにはPXLの話は全然出てなかったというふうに承知をいたしております。
  347. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 少なくともいま私がこう新聞記事を引用した分については十四日の各紙が一紙ならず記載しておるところでございますから、後藤田氏の口からその問題が出たことは間違いないことだと考えていただいた方がいいと思うわけであります。いまも丸山さんの方から言われましたように、しかく後藤田氏の克明なメモに基づいた発言というものは不確かなものである。これ一つを見ても非常に不確かなものであるということがわかると思うのであります。その時点で防衛庁報告は大体後藤田発言を調査と符合するものなどと申しまして、これに対しては七重のひざを八重に折って丁重な政治的返書を書き、それと矛盾をする庁内の係官に対しては非常に過酷な態度をもって臨む。私はこれは今日の時点の政治のもたらした政治的な行為であると見ざるを得ないと思うのであります。  なお、その際に後藤田氏は、これも各紙の報ずるところでございますが、長官との会談に関して次のようなことを言っております。後藤田氏はみずからの主張を裏づけるために、坂田長官に徳島県の後藤田氏のための真相発表集会に出席を求める。もしそれを断られたら、久保次官の陳謝文を提示をさせる。次には、防衛庁は関知せずという久保次官発言に対しては行政上の措置をとらせる。このことを新聞記者にみえを切って発言をいたしまして、そうしてもしこれを数日のうちに防衛庁が聞き入れなかった場合には、これは行政訴訟に訴えるんだ、こういうことを言って帰っていったわけであります。こういうふうな要求内容防衛庁に対しても行われたのか。その後それに対して、この中身に関連しては防衛庁はどういう態度をとられたのか。その経過をお伺いしておきたいと思います。
  348. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いろいろお話がございました。しかし、私自身が人に言われるとか何とかじゃなくて、これはやはり政治を志し、選挙に出ようとしておる人について、もし一部でありましても、事実誤認に基づくことをうちの次官がやったことについてはやはり釈明すべきであるというふうに考えまして、あの釈明文を書いた次第であります。
  349. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 お答えがないわけですけれどもね。  後藤田氏のこの三項目と言いましょうか、二項目の主張ですね。坂田長官の徳島行きは行われませんでしたけれども、それにかわってという久保次官の陳謝文提示と。そうして久保次官に対する行政上の措置はとられて、いわば後藤田発言はまるのみにされたのがその後の経過であることは、これは答弁されるまでもなく明らかなことであります。こういう状況をもたらすほど後藤田発言は正確なものであったのか。それについての瑕疵は、一つはありもしなかった防衛庁の庁議による断念が行われて、そうして後藤田氏に告げられたとか、さまざまな事実誤認に満ちた報告と宣伝が行われておる。これが奇怪なことにはほとんどそのままの政治効果で、細部の瑕疵にもかかわらず、奇怪なことには防衛庁の採用するところとなっておるというのは、これは言い逃れのできない事実だと思うわけであります。  ここで、私は後藤田氏に関して法務省、自治省あるいは警察庁の方に質問を移したいと思うのでありますが、この後藤田氏は当面のロッキード問題解明のための丸紅、全日空、児玉ルートと並ぶ一つの柱としてのこのPXL問題の重要疑惑の対象であります。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 これはわが国のみならず、ニューヨークタイムズでも東京特派員の電報として紹介をしておるわけでありますが、対潜哨戒機P3Cの売り込みでは、児玉は贈賄資金を含めた九百万ドルを受け取ったと言われるオライオンP3Cにおいては、小佐野氏のほか後藤田官房副長官、これを通じて工作をしたと言われると、こういうふうな記事もあるわけであります。これに関して安原刑事局長に聞きたいと思うのでございますけれども、当然捜査が進められなければならぬと思うのですけれども、いかがですか。
  350. 安原美穂

    説明員安原美穂君) たびたび申し上げてありますように、PXLの関係につきましても種々な疑惑がある、投げかけられておる状況でございますので、その解明に努めておるわけでございますが、いま小巻委員のお尋ねは後藤田氏を取り調べておるかどうかということであろうと思います。そうなりますと……
  351. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あるいはその意思があるか……。
  352. 安原美穂

    説明員安原美穂君) そうなりますと、調べたか、あるいは意思があるかということになりますと、捜査というものは、本来御案内のとおり、秘密に行うのが原則でございますので、特定の人を調べたか、あるいは調べるつもりがあるかということはちょっと申し上げにくいことでございますので、御勘弁を願いたいと思います。
  353. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 PXL問題が対象になっておると言えば、これは田中、相澤、後藤田を除いて他の部分というふうには国民常識としてもならない。この点は捜査を行うがゆえの支障があるから答えられないというふうに私は理解したいと思うのであります。  続いて申し上げるのでありますが、後藤田正晴氏が政界入りを決意をして、そうして氏の出身地である徳島県で動きを見せ始めたのは昭和四十七年六月ごろであると、衆議院解散近しと見て土曜、日曜には必ず帰郷して県議二、三人を連れて県内有力者に会い、各方面の瀬踏みを行った、こういう文章の記述、私このほど徳島県に調査に赴いた際に手に入れた小冊子の中に記述をしておるわけであります。これは三陸同志会という会が編著した冊子であります。三陸というのは、つまり三木総理の後援会が発行したものであります。三木というのと睦子さんというのが関係があるんでしょうかね。そういう本の記述によるものであります。問題のPXLに関する国防会議が行われたのは、元警察庁長官、時の内閣官房副長官、田中総理のふところ刀と言われた後藤田氏がまさにこの政界に進出せんとしてすでに下ならしの工作中、政府高官として、ガバメントオフィシャルとして官界最後における大仕事であったわけであります。くしくも相澤氏と相似た足取りとなっておりますが、後藤田氏はその年の十二月十日の総選挙は見送ったものの、大みそかの十二月三十一日には徳島市に帰り記者会見をいたしまして、そして参議院出馬を表明をし、私は絶対自民党公認になりますよと、こう言い切りました。実はこの記者会見に先立って、県下の自民党県連の幹部三百八十人に対して約八千円の品物が歳暮として贈られていたと、こういうふうなことも記述をされています。いまでは天下周知と言った方がよろしいかと思いますけれども、これが事の序の口であります。その後が国民周知の買収、天下一と言われた金権選挙に続くわけであります。昭和四十九年の参議院選挙における後藤田派の選挙違反について検挙数、起訴された者、有罪判決、買収に使われた資金総額等を伺いたいのであります。
  354. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。  お尋ねの選挙における後藤田派の違反検挙の状況でございますが、徳島県警におきまして百五十九件、二百七十二名を検挙いたしまして、このうち二百五十二名が起訴され、現在までに二百四十九名が有罪となったと聞いております。なお、買収の捜査を通して把握いたしました買収基本金額は約二百六十万円でございます。
  355. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 言われただけでも元警察庁長官と言われる方にあるまじき選挙の結果である。まことに悪質と言わなければならぬと思います。その有罪となった人の中には元警察署長と関係者が含まれておるのではありませんか、いかがですか。
  356. 土金賢三

    説明員土金賢三君) 警察官、元警察官が入っておったという話は聞いております。
  357. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 署長歴任者だけで三名というふうに私は掌握をしておるのでありますが、まことに悪質である。しかしながら、表に出た検挙された分は実態からははるかに遠いわけであります。使われた選挙資金は十億とも十二億とも言われ、一番高く見る人は十五億で、一時的に県民の所得を若干上げたというふうにまで言われるのでございますけれども、届け出報告の金額とはほとんど見合っていないわけであります。事前運動、自民党公認獲得の段階ですでに億という金が流れた。連絡事務所の立て看板は五千本、一本単価が製作費と置き賃合わせて一万八千円あるいは二万円と言われて、おおよそ億と。私が徳島に参りましてかなり年月もたっておりますけれども、タクシーに乗ったら運転手が語りぐさに、あの選挙の間は片っ端からお客さんがただのチケットで乗って、これをざるに入れて事務所に運んだんだというふうに語るわけであります。必ずしもこれは法的に捕捉されるものではありませんけれども、語りぐさになる選挙であった。こういう点から考えますと、いまこのロッキード疑獄の中の重要人物、新たな観点と角度から政治資金が当然洗われなければならないと思うわけであります。いまのこの選挙違反の調査結果の中には、これらの問題は捕捉されておりません。資金源について新たに捜査すべきだと思いますが、担当の方で御答弁を願いたい。
  358. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。  参議院議員の選挙、それの選挙の違反取り締まりにつきましては、捜査はすでに終了いたしております。なお、今後この選挙に関連して新しい犯罪というものが容疑が出れば、捜査の手続に従いまして捜査をするということの手続をすると、こういうことになるわけでございます。
  359. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 なお、自治省に聞きますが、それではこの後藤田正晴氏の届け出団体であるところの東山政治研究会の政治資金はどういう状態になっておるのか、どこの企業からいかほどの金が出ておりますか。
  360. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) お答えを申し上げます。  お尋ねの東山政治研究会は四十七年の十月一日に組織されておりますので、収支報告は四十七年の下期以降が提出になっておるわけでございます。寄付といたしましては、四十七年の下期におきまして五つの会社から、それから四十八年の上期において二つの会社からそれぞれ寄付がなされております。会社名、金額を申し上げますならば、四十七年下期におきまして望月印刷株式会社――以下すべて株式会社でございますが、望月印刷から五十万円、日東タイヤから百万円、秋北バスから二百万円、十和田電鉄から三百万円、それからすべて申し上げますが、関西電力から百万円、それから四十八年の上期でございますが、日本電建から四百万円、東洋電機通信工業から五十万円、以上でございます。
  361. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまも報告をお伺いしたのですけれども、トータルおよそ千二百万円の献金、まあこういう表金というのは、これはまあ非常に限界のあるものだというにしても、届け出られた政治資金はそれ自身やっぱり人のつき合いを示すものであります。いま聞くところによるこの企業ですね、望月というのと関電を除いて、ことごとく著名な小佐野賢治氏関連企業であります。日東タイヤ、秋北、十和田、世にも名高い日本電建等、これが千二百万円のうちの一千万円まで占めておるのであります。少くともこの政治資金で見る限り、小佐野氏まる抱えという姿があらわれております。ちなみに、私は日本電建がどこに献金したのかという献金を電建の方からながめてみますと、日本電建では余り献金をしておりません。この後藤田氏へ出した四百万円のほかには同期、百五十万円、児玉譽士夫氏の政治団体の交風倶楽部に出しておるだけであります。日本電建がこよなく愛したのは後藤田氏と児玉氏であったのであります。こういう人脈の関係、後藤田、小佐野の結びつきというものは後藤田氏みずからが隠そうとしていない。かなりの新聞の記者にもこの政治資金の発表された時点で談話をいたしまして、まあ自慢じゃないが、と書いてありませんでしたけれども昭和二十二年の暮れ、役所の同僚――海原氏といわれますが、彼に紹介されて以来、小佐野さんとのつき合いで田中総理よりつき合いが古いんじゃないかというふうにみずから言っておられますし、日本電建からの四百万円はもちろん参議院選挙のため小佐野氏が出してくれたものだ。そしてその政治献金はいまも続いているというふうにみずから述べておられるのであります。いまも続いておる分の献金の方はまだ私は調べておりませんけれども、みずからそういうふうに言っておる。昨日、本委員会内藤委員から特に刑事局長に対して資料を提示して、小佐野氏の手口を明らかにして捜査についてただしたところ、重大関心を持っておる旨を答弁されたわけであります。  重ねて聞きますが、後藤田氏についてはどうなんでしょうね。やっぱり関心を持って調査をされるべきなのではないでしょうか。
  362. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほども申しましたように、PXLの導入の関係につきましては、検察当局がその投げかけられている疑惑の解明に努めておるということを申し上げた次第でありまして、後藤田氏を取り調べるべきであるかどうかというようなことは、私の口から申し上げることではないと思いますので、御容赦願いたいと思います。
  363. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 暗に疑惑の中にあるというふうに言われたものとして理解をいたします。  時間がございませんので、あと省略するのでございますけれども委員長、いまPXL問題の国産の白紙化、P3C輸入問題の解明が、これが国民注視の的であります。田中、後藤田、相澤の三者で突如国防会議に持ち出された白紙還元問題、まあ長官は死んだ子が生き返ったとか、いろいろ弁護の説を弄されますけれども、結局これが出てくることによって同年、防衛庁では既決予算であった開発研究さえストップ、未執行、ところが同じ時期に一面ロッキード社の望む輸入に通じるP3Cの見学、試乗というようなのは大手を振って行われるようになった。まことにロッキード社にとっては恩人であります。これらの三人を本委員会に喚問することこそが国民の要望であります。重ねてこの要求をしたいのでありますが、繰り返されておる問題でございますので、いま直ちにする要求としては、いまの追及の中でも明らかにされた後藤田氏の、大臣の推賞おくあたわざる日記帳を議院証言法に基づいて本委員会調査資料として提出をしていただくように、委員長要求をいたします。善処をお願いしたい。
  364. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 承知いたしました。
  365. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がありませんので、安原刑事局長に端的に伺わしていただきますが、四十七年の十月といえば、このロッキード問題については重大な疑惑の数々が集積している、言ってみれば魔の月であります。この中であらわれている一つの重要な公表された事実に、当委員会でたびたび問題になりました、ロッキードと丸紅との四十七年十一月一日付のP3Cを含む契約書がございます。この契約書はすでに公表されているし、当委員会でも問題になっているので、局長御存じと思いますか、この契約書は検察庁においてもすでに了知されていることと思いますが、双方の契約当事者の署名はだれとだれか、御存じですか。
  366. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 申しわけございませんが、私は報告は受けておりません。
  367. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ、次の質問をいたしますが、その間に装備局長契約書をお持ちですから、ちょっと聞いていただいても、公表された資料でもすぐわかります。すぐお調べいただきたい。  この契約書はですね、局長、なぜ私が問題にするかと言いますと、P3Cのライセンス輸入がオーケーだというのは公式には四十八年の八月なんです、USネービーから回答が正式にあったのは。ところが四十八年を待たずしてP3Cの輸入に関連をして丸紅とロッキード契約書が交わされている。これは一つの大きな不思議なんだ、疑惑なんだ、こういうことなんですね。こういうことなんです。なぜこの時期にそういう契約書が成立する余地があったか。これはリリースの可能性という問題を知っていた人たちが契約をしたということが推測されるわけですね。しかも十月九日のいわゆる白紙還元、それから田中総理の十一月十一日の輸入にウェートを置いてという発言から直後の契約になっている。そうして十一月の三日にはコーチャンが滞日予定を終わってアメリカへ帰る、これは入管から正式の記録で明らかです。そこで当然P3C問題の疑惑について捜査を進めるとすれば、この契約書をめぐる問題について調べるのが当然だというのが国民常識であり、われわれの常識であり、あらわれた現在の公表された中からでも明らかだ、こう思いますが、この契約の締結の背景、事情について当然お調べいただくということは間違いないと思いますが、いかがでしょうか。
  368. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 橋本委員の御指摘はそれなりにロジカルなことと思いまするが、要は具体的な捜査内容でございますので、貴重な御意見として承らせていただきたいと思います。
  369. 橋本敦

    ○橋本敦君 それなりに私の指摘が合理性があるという、こういう御答弁ですが、私が局長に聞きたいのは、実はこの契約書は片やコーチャンがその契約を現に行っている。片や問題の逮捕された檜山氏が行っている。  そこで局長に聞きたいのは、当然檜山氏を現在は外為法違反で逮捕されて捜査をやっておられるわけですが、この檜山氏がこの契約の締結に関して檜山氏の捜査の中で当然に調べられるであろう、私はこういうように推測をするのですが、これは局長としても私の推測をどう思われますか。いまの檜山の逮捕に関して、公表された十一月十一日の契約書の経緯、これは当然お調べになると思います。
  370. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ただいま檜山前会長を四十八年以降四十九年二月までのいわゆる五億円の受領に関する外為法違反で逮捕、取り調べ中でございますが、要するに丸紅に入りましたロッキードからの金の流れに檜山会長がいかに関与しているかということは当然対象になるはずでございますので、いま申されたこともその捜査の対象になるものと、私なりに推察はしておりまするが、具体的には報告は受けておりません。
  371. 橋本敦

    ○橋本敦君 それで結構です。当然捜査の対象にならなければおかしい。  そこで、最後に局長に聞きますが、この契約ができる前提として重要な会談が檜山氏において――ニクソン田中会談が行われる八月三十一日の直前の八月二十六日、そしてもう一つ重要なのは十月九日の白紙還元後、そしていまの契約の十一月一日の直前十月の十四日、この時期に田中・檜山会談が行われている。これは公表された新聞紙上で明らかです。こうなりますと、檜山氏に契約の締結の経緯を聞くと、さらにこの檜山氏を通じて金の流れ捜査するというその上に乗って、実際この契約を締結するに至る四十七年十月ごろの檜山氏の重要な行動を追っていきますと、当然田中・檜山会談もどういう事情会談が行われたか、檜山氏に聞かねばならぬ、こうなってくるはずです。で、檜山氏にこのことを聞くならば、当然会談の相手方である田中氏に聞かねばならぬ、こういうように捜査は発展をして、田中氏から事情を聴取することを抜きにしては檜山氏の捜査は完結しないと。少なくともこの疑獄事件については完結しない。当然のロジックになっていく。公表された事実からでもそうなっていく。私はこう思いますが、いかがですか。
  372. 安原美穂

    説明員安原美穂君) そういう会談があったことは公表、公開の資料によって明らかでございますが、その点は橋本委員はロジカルと申されますけれども、必ずしもロジカルとも思えません。そういう意味におきまして、一つの御意見として十分承らせていただきました。
  373. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ、最後に伺いますが、田中氏とコーチャン氏が何回会ったか、一回だけか一回以上か、どのように聞いておられますか。これも公表された事実があるんですね。
  374. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 記憶が悪いんで、不正確かもしれませんが、三回ぐらいじゃなかったかと思います。
  375. 橋本敦

    ○橋本敦君 いままでは、四十七年一月一回会ったと田中氏は言っておりますが、局長も三回ぐらいとおっしゃった。コーチャンは私に五回は会ったということを一回は言っている。だから、田中コーチャン田中・檜山、こういったトップ会談について厳重な捜査を遂げられるように要求をして、一応私の質問を終わります。
  376. 柄谷道一

    柄谷道一君 昭和四十七年の十月七日から九日の、いわば暗く長い三日間の経緯につきましては、ただいままでの証人尋問、政府質問を通じましてほぼその焦点が浮かび上がっております。そしてその真相を解明するためには、野党が一致して要求しております田中、相澤、後藤田、そして一時三者会談に参加されました二階堂氏、たまたま故意か偶然か、全部田中派の皆さんでございますが、それらの方々の証言を求めるべき段階に来ていると思います。しかし、自民党がこれを拒否しておられますので、内閣の継続性という立場に立って、今日まで主として質疑が集中いたしました防衛庁国防会議事務局の側面、すなわち他の一方の重要な当事者である大蔵省に対し質問を行いたいと思います。  まず最初に、四十七年の十月八日、大蔵省は国防会議を前にして省議を開き、その省議の結論を得て、植木大蔵大臣の了解を求め、同夜相澤主計局長の指示により宮下主計官が防衛庁経理局長に対し電話でその内容を伝えたということが今日まで明らかになっているわけでございますが、その省議にどなたが出席をされましたか、お伺いします。
  377. 高橋元

    説明員高橋元君) 柄谷先生のいまのお示しでございますが、十月の八日に大蔵省で省議を開いたということはございません。十月七日に国防会議の幹事会がございました。その際に次期対潜機及び早期警戒機、これを国産でいくか輸入でいくかということについて必ずしも結論を得なかったのでございますが、その際の会議内容等を踏まえまして、大蔵省の部内で主計局におきまして、主としてこの二つの機種については国産はやむを得ないということを決めまして、その旨を主計局長から大蔵大臣に連絡をして御了承を得ておるということでございます。したがいまして、十月八日に改めて省議を開いたということはないように聞いております。
  378. 柄谷道一

    柄谷道一君 それは主計局内部の部内会合であったということでございますね。それではその部内会議の決定の内容はどういうものでございましたか。
  379. 高橋元

    説明員高橋元君) ただいまも申し上げましたように、十月の七日に防衛庁が主として支援戦闘機の性能を中心として、これは国産でぜひいきたいという御主張がありました。大蔵省としてはそれに関連いたしまして、高等練習機につきましても輸入ということを検討方お願いしておったわけでございますが、支援戦闘機、それからそれと連携をなしますところの高等練習機、この二つにつきまして防衛庁の御意向がさようであるならば、またその支援戦闘機及び高等練習機につきまして、防衛庁から内々で示された別案につきまして検討した結果、総費用というものについてほとんど差がないというようなことも部内で検討の結果わかりましたので、したがいまして、七日の夜主計局の内部で打ち合わせをして、その結果をただいま申し上げたように大臣に話をしたということでございます。
  380. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵省はそれまで一貫してT2、FST2改の問題につきましては輸入を強く主張されておりました。十月五日に防衛庁の四次防案に対してその代替にF5Bの導入ということを強く迫っております。さらに十月七日の国防会議幹事会及び同日ホテルニュージャパンにおいて開かれました関係者会議でも強く輸入論を述べております。それではその主計局内部における、部内でそういう結論が出る以前、大蔵省は輸入が適当であると主張した根拠はどこにあったわけでございますか。
  381. 高橋元

    説明員高橋元君) 四次防を定めます際に、同等練習機及び支援戦闘機を整備するということになったわけでございますが、その整備の内容を、開発中のT2及びFST2改、これを採用するかどうかという問題がございまして、防衛庁はその採用を盛り込んだ四次防の主要項目というものの御要求があったわけでございます。それに対しまして、従来たびたび申し上げておりますように、大蔵省としては一般に国産機は外国機に比べて割り高である。数字で申し上げますと、ドルショックがありまして円高になりましたものでございますから、たとえば高等練習機で申しますと、いわゆるF5B、これが八億九千四百万円ぐらいに当たります。それに対してT2は十四億円、それからT2改は十六億五千六百万円と量産価格が見積もられたのに対してF5Eは十億円と、かなりの一機当たりの量産価格の差がございます。それがしかも、ただいま申し上げましたように、四十六年の暮れ以降の為替相場変動によりまして、円高、外国機の輸入がさらに割り安になる、そういうこともございました。もう一つ、四十七年度予算ではT2、高等練習機の国産購入という予算が組まれたわけでございますが、当時の四次防決定の際の経緯から、その執行が停止されておりました。さようなことも踏まえまして、主要項目、十月九日の国防会議で定めることを予定しておりました主要項目におきましては、十月の二日に内示をしたわけでございますが、大蔵省としてはもう一度輸入を検討してくださいということを防衛庁にお願いをしたわけでございます。
  382. 柄谷道一

    柄谷道一君 すると、その十月七日の会合まで大蔵省が費用対効果の面で国産は割り高である、こう主張しておられたわけですね。それがその主計の部内会議で、そう費用が変わらぬ、したがって割り高であるという一つの難点は解消された、そういうふうに受け取っていいわけですか。
  383. 高橋元

    説明員高橋元君) T2、FST2改、これが調達コストにおいて輸入機を相当上回っておるという事実は、それは十月の二日以前、それから十月の二日以後七日に至るまで事実としては変わらないわけでございます。ただ割り高であるけれども、性能がいいという防衛庁の御主張、これは支援戦闘機、高等練習機両方についてもさようでございます。それと、性能の面とそれからコストの面と両方を総合してお考えいただいたらどうか、輸入について検討していただいたらどうかという私どもの主張と、そういうものが並行したまま十月の七日に至ったわけでございます。したがいまして、その間、まあただいま費用対効果というお話もございましたけれども、私どもは、これを実用に供した場合といいますか、実際に配備しました際の、何と申しますか、運用上のメリットというものを入れた費用対効果分析をやるほどの専門的な知識がないわけでございます。総体の費用において輸入の方が安いならば、輸入について性能の面である程度折り合いをつけていただいて考えていただくことはできないか、こういうことを七日までずっと考えてきたわけでございます。
  384. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいままでの答弁ですと、きわめてこれ、あいまいなんですね。強硬に大蔵省は大蔵省なりの分析によって、T2、FST2改の輸入というものがしかるべきである、こう言われておった根拠というものが、突然、防衛庁との事務的な詰めがないまま、一主計の部内討議によって国産を認めるという方針に変わったということにつきましては納得がいきません。これはまた改めて大臣に、その他の点も含めて所見を伺いたいと思います。大蔵省のそのような態度急変の背後に、次期対潜機問題の取り扱いが絡んでいたという事実はございませんか。
  385. 高橋元

    説明員高橋元君) ただいまの柄谷先生のお話でございますが、私どもは支援戦闘機及び高等練習機、これをシリーズとして採用するかどうかという問題、それからその際に特に支援戦闘機の性能について輸入と国産とでかなり差があるのではないかという問題、それから支援戦闘機及び高等練習機の価格の問題、その三つの問題につきまして、もちろん私どもとしてはできる限りの材料を使い、防衛庁説明も聞いて検討を加えてまいったわけでございます。そこで、ただいま十分な検討のないままにという御指摘でございますが、もちろん、防衛庁が行っておりますような意味での費用対効果ということは、私どもとしては材料もございませんし、知識もございませんので、できない点もございますけれども防衛庁から一部輸入を入れた場合にどうなるかということを、十月の七日の未明であったかと思いますが、五つばかりの案を御提示いただいたわけでございます。それにつきまして申し上げますと、FST2改、いわゆる支援戦闘機につきましては、支援戦闘能力という点から見て、これはF5Eというものではまずいのではないか、しかしながら、高等練習機につきましては、それに見合う体系というものが一部輸入でも考えられ得るということを幾つかのバリエーションをもってお示しをいただいたわけでございます。それにつきまして七日払暁から夜までかかって検討いたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、具体的な数字はいまちょっと持ち合わせておりませんけれども、総体のコストとしては、主要項目予定されております機数を調達するコストとしてはかえってほとんど差がない。しかも防衛庁の御主張になるように一部T2、一部F5E及びF5Bということにいたしますと、かえって総体としての機数がふえてまいって維持運用のコストが高くなるという事実も判明をいたしました。そこで、七日の夜になって、これは防衛庁の国産案というものを採用するもやむを得ずということを主計局の内部で意見を固めまして、たびたび申し上げておりますように、大臣にもその旨をお話をして了承をいただいたということでございます。  で、別途PXLの問題でございますけれども、これは昭和四十五年に調査研究費の予算がつきましてからこの方、研究開発費に非常に巨額の金がかかるということ、開発量産の暁においても国内開発と輸入機とでは非常にコストの面で差があるということ、この二つの理由から、私どもとしては三年来、四次防に至りますまで、国産化を前提とした研究開発は認められないという方針で臨んでおったわけでございます。
  386. 柄谷道一

    柄谷道一君 天下の大蔵主計という立場から長年そのT2、FST2改の輸入を強硬に主張しておったということにはそれなりの根拠があったと思うのであります。それが突然、いろいろ調べてみれば防衛庁の言っているようにそう割り高でないということで、この七日のその直前の会合まで強硬に主張しておったものが急激に変わるということについては、私はどうしても……。私の推測でございますけれども、九日に開かれます国防会議議員懇談会で、次期対潜哨戒機の国産化問題を白紙に戻し輸入を含め専門家会議で検討する、文章は別でございますが、その種の了解事項が決定されるということがあらかじめ予見ないしは予知ができた、そのためにこれとの総合的な関連においてT2及びFST2改の国産を認める、こういう態度が打ち出されたのではないかと一般に疑惑が持たれるところでございますけれども、その事実は全くございませんか。
  387. 高橋元

    説明員高橋元君) 繰り返し申し上げるようでございますが、FST2改、これが性能的にF5Eよりもすぐれておる、この点につきましては、わが国の防衛の運用構想上どうしても国産機によりたいという防衛庁の御主張、これは私どもとしては、価格、性能、両方の面からして、七日になりまして、やむを得ざることかということをほぼ考えてきたわけでございますが、それにつきましても、高等練習機につきましては、必ずしもT2シリーズでなくてもいいのじゃないか、これにつきまして輸入機を考慮する余地はないかということをずっと申し上げておったわけでございます。それにつきまして、T2を一部入れ、それから一部はF5Bによるというような案が示されたわけでございますが、これは練習機の体制上かえってよけいに機数がかかるというのが防衛庁から私どもがお示しいただいた案であったわけでございます、七日の払暁とさっき申し上げた、未明と申し上げましたのは。そうなりますと、総体の航空自衛隊の保有機数というのはふえてまいりますから、そこはかえって割り高につくということ、防衛庁のそのような修正案を前提にして考えれば、そういうことになる。FST2改をF5Eに取りかえることができないということの御判断が、これは私どもとしてもやむを得ざるものとすれば、やはりT2及びFST2改、両方を国産でいかざるを得ない、こういう、高等練習機及び支援戦闘機につきましてのその部分でのそれだけの判断で、大蔵省として先ほどから申し上げておるような方針に傾いたわけでございます。
  388. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいままでの証言によりますと、防衛庁当局は、この国防会議及び国防会議議員懇談会で了解事項が決められたという際に、おやおやと思ったと、四十七年度予算折衝及び政府案決定当時のその実態を再碓認するという受けとめ方をしておるわけでございますね。すなわち、その当時の状態というのは、国産化は前提としないが電子機器等の積載機器の技術調査研究は認めるというのが四十七年度予算の決定当時の内容であったと思うのです。なるがゆえに予算がついたと思うのであります。大蔵省はその十月八日の主計の部内打ち合わせの際にPXL問題についてその程度の認識であったのか、現実には、当分の間国内の調査研究を四年間にわたり全面的に停止させるという結果を生んだわけでございますが、そのような従来の方針変更というものを含むと、そういうものとの関連においてこれらの方針変更というものが行われたのか、その点はいかがでございますか。
  389. 高橋元

    説明員高橋元君) 次期対潜機の問題は四次防期間中に調達ということに至らないわけであります。四次防期間中は四次防の大綱にも、主要項目にも示されておりますように、研究開発という段階であります。したがいまして、私どもとしては、先ほども申し上げたことですが、四十五年から四十七年まで、国産を前提とした調査研究開発というものは認められない、四十五年、四十六年、四十七年におきましても技術調査委託費というものを計上しておりますけれども、それはいずれも国産を前提としていない、こういう形で臨んだわけでございます。したがいまして、次期対潜機につきましては、私ども政府全体として――防衛庁から御要求があったことは事実でございますけれども、政府全体として国産化を前提としたということは一度もなかったというふうに承知しております。
  390. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣が四時十五分までということですから、大臣にお伺いいたします。  大蔵省はいろいろの資料に基づいて、それまでの時点、T2及びFST2改、これは輸入が適当であろう、これは予算執行の面からそのような判断をしておられたものと当然思います。しかも、そのような方針というものは少なくとも大臣以下の省議によってT2及びT2改の輸入という問題の方針は確定されておったと思うのであります。ところが、いまの答弁にもありましたように、大蔵省の従来の方針が、大臣も出席していない、次官も出席されていない、正式の省議でもない、いわば主計局の部内会議によって大きな方針変更というものが行われる。しかもその方針変更の中に、結果としては、これは後ほどまたお伺いをしたいと思いますけれども、四十七年の予算で決まっているPXL関係の予算を全面停止させ、しかも専門家会議の設置というものに基づいて自後引き続き三年間国内の研究開発が全く停止される、そのような重要な意思決定というものが、果たして一主計の立場において行われるほど権限委譲が行われているんですか。大蔵省の内部運営というものはそのような結果になっているわけでございますか。
  391. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういう運営はいたしておりませんです。また、その当時もそういう運営をいたしたはずはないと私は確信をいたします。承りますと、事前に当時の大臣の了承を得て事が行われたと承知いたしております。
  392. 柄谷道一

    柄谷道一君 それではその部内会議でだれがT2及びT2改の国産やむなしという問題提起を行われたんでありますか。それは主計局長でございますか。
  393. 高橋元

    説明員高橋元君) 四次防の主要項目の内示を二日にいたしましてから七日の段階に至りますまで、これは国防会議の幹事会あるいは国防会議議員懇談会あるいはそれに基づきますところの関係省庁間の折衝というものを繰り返してまいりました。内示に際しまして、内示の方針を当時の大蔵大臣に御了承いただいておったわけでございます。その後折衝を進めてまいります際に、これは予算の折衝でございますから、各段階を経て段階ごとに問題点というのを残して煮詰めてくるわけでございます。そこで煮詰まってまいりました問題点が、高等練習機及び支援戦闘機の問題と次期対潜機の問題というものにほぼしぼられてまいった。そこで、高等練習機及び支援戦闘機の問題を決めてまいります際に、それは防衛庁から七日の未明にお示しのあったいろいろの代替とか、それからそれについての分析の結果というものは、これを主計局の係でもって慎重に検討いたしたわけでございます。そういうものを報告し、主計局長なり、はっきりいたしませんが、恐らく担当の次長というものが入りまして、それの扱いについてそれらの出た人全体のいわば会議で決まりまして、それでは大臣の御指示を仰ごうということになったというふうに私は承知しております。
  394. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいままでの答弁によりますと、その主計局の決定というものは、きわめて高度の政治的判断を要するべき問題でございます。一主計という部内会議で従来の方針を決定的に変更するということを決定し、そして大臣の後ほどの事後承認を求めるほどその性格というものは軽くないと思うのであります。私はお伺いいたしますけれども、その国防会議前に大蔵省に対して田中総理から直接、もしくは後藤田官房副長官を通じ、ないしはその他の者を通じて総理の何らかの意向というものが大蔵省に事前に伝えられたと、そのことを受けて大蔵主計内部における検討が行われた、こういう事実は全くございませんか。
  395. 高橋元

    説明員高橋元君) 私が承知しております限りでは、そういう事実はございません。
  396. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、主計局長というのは――次期対潜機問題について重大な影響を与え、かつ国防上の見地からも非常に重要な影響を及ぼす問題でございます。また、T2及びFST2改の問題もしかりでございます。そのような高度の政治的判断を行い得る権能と立場にある方でございますか。
  397. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 主計局長というのは、国の総予算を取りまとめてまいる重要な職責を持っておるわけでございますので、見方によりましては相当高度の政治性を持ったポストであるという見方が成り立たないわけではないと思います。しかしながら、組織法上大蔵省の一局長でございまして、大臣の監督のもと、大蔵省設置法のもとに定められた職責をその条章に従ってじみちに遂行しておる一官吏にすぎないわけでございまして、またそれ以上のものではないと私は思います。
  398. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、防衛庁に対しまして四十七年度予算の執行停止、これを大蔵省から指示されましたか。指示されたとするならば、それはいつ、だれが、防衛庁のだれに対してそういう指示を行われましたか。
  399. 高橋元

    説明員高橋元君) 十月九日の国防会議議員懇談会におきまして次期対潜機の国産化問題に関する了解というのができたわけでございますが、その了解との関連で、四十七年度に計上になりました六億八千六百万円の国庫債務負担行為を組みました技術調査研究委託費、この執行を行うべきか否かということが大蔵・防衛両省庁の間で問題になったわけでございますが、いろいろ相談をして、四十八年の一月に四十八年度の予算を決めます際に、専門家会議の答申を待って試験研究の内容を再検討の上予算の執行を行う方がより効率的だという答えが出てまいったわけでございます。したがって、大蔵省が決めて防衛庁のだれかに連絡をしたというものではございません。
  400. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、私、いままでの答弁を聞いておりまして、依然として疑惑が薄まるどころか、ますますこれ、深まるんですよ。防衛庁はT2、T2改の国産ということを強く要求していた、これは事実ですね。大蔵省はそのことに対して、割り高になるということからこれに反対しておった。これはいままでの証言及び政府答弁で明確になっているわけです。それが、その当日の国防会議幹事会及び同夜のホテルニューオータニにおける会合の時点まで依然としてやはり輸入すべきであると強硬に主張されておった大蔵省の姿勢が変わった。しかも、その変わった意思決定をした最終的な責任は当時の報告了解をされた植木大蔵大臣ではありますけれども、その意思そのものを固められたのは一主計の部内会議にしかすぎない。これは事実ですね。しかも、翌日持たれた国防会議で了解事項がつくられる。四十八年の一月に予算執行停止を確認されたと言いますけれども、四月に決定された予算が全然執行もされないまま翌年の一月を迎える、これは常識上あり得ないことです。そういう問題と絡んでまいりますと、どうも私は特定の方から大蔵省の特定の方に、その国防会議を前にして、国防会議の決定というものを予見する何らかの情報が伝達され、そのことがこの大蔵省の態度決定に結びついたのではないか。推測と言われればそれまででございます。  大蔵省のみに質問時間を割くわけにはまいりません。私は、こういう疑義を解明するためにも、直接――いや間接的に幾ら内閣の継続性ありといえども、この問題に直接タッチされた方々から当時の真相というものを伺い、それを解明することが私はこのロッキードPXL問題に対する疑義を解くかぎであるという感じを持っております。この点に対する大臣の所見を伺いまして、次の質問に移っていきたいと思います。
  401. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 主計局の会議で大蔵省の方針が最終的に決まるわけでなくて、大蔵大臣の責任のある決定がなければ決まらないことは申すまでもないことでございまして、いま問題にされておるケースにおきましても、その他予算の事案全体を通じまして、すべてがそういう性質のものでございますので、その点に何らの狂いはないと私は確信いたします。で、私が報告を受けております限りにおきまして、いま柄谷さんが問題にされておる事案につきまして、第三者から大蔵省の方針決定につきましてある種の示唆が加えられたということ、そういう報告、そういうことがあったという報告は受けておりません。
  402. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、お約束の時間ですから、結構です。  大蔵省に、最後にもう一問だけお伺いいたします。  土屋証人の証言によりますと、専門家会議で検討されたその検討の中心課題は、一つは取得価格の問題であった、こう証言されております。それがほとんど費用対効果の中の中心的な議論であった。ところが、川重の室井証言によりますと、維持費、整備費等を含んだライフ・サイクル・コストの分析というものを行うならば、輸入と国産はそう遜色がない、こういう証言が行われております。私はそこで質問するわけですが、大蔵省はこの専門家会議で、国産化と輸入の場合の費用対効果に関する大蔵省としての資料分析を出されたのかどうか。もし出されたとするならば、その分析の中には、せっかくそれまで二年にわたって検討されました川崎重工の検討結果というものを踏まえて、それらの内容が室井証言とは異なるという独自の判断によってその分析が行われたのか。また、防衛庁の出しました費用対効果分析と大蔵提示の見解との間には差があったのか。異なるとすればどの点が異なっていたのか。この点をお伺いをしておきたいと思います。
  403. 高橋元

    説明員高橋元君) 専門家会議の席上で、大蔵省からこの次期対潜哨戒機の問題、これにつきまして御説明をした事柄は、防御関係費のGNPに占める割合、それから今後経済成長が下がってまいりました際の防衛関係費の期待される実質的な伸び率の制約、それから一般会計に占める防衛費の割合が低下傾向にあるということ、それから防衛関係費の中では、糧食、人件費というものの割合が高まっておる、装備面に対する財政からの制約というものが一段と厳しくなる、そういう財政上の事柄でございます。大蔵省が専門家会議に独自の費用対効果分析というものは提出したことはございません。
  404. 柄谷道一

    柄谷道一君 防衛庁長官専門家会議は、そういたしますと防衛庁の費用対効果分析ということを中心に検討が進められたということで理解していいわけですか。
  405. 江口裕通

    説明員江口裕通君) かわってお答えいたしますが、そのように御理解いただいて結構であろうと思います。
  406. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵関係の質問は次の機会に譲りまして、次に、長官に対する、質問に移りたいと思います。  アメリカは、昨年のシュレジンジャー前国防長官の来日以来、日本の防衛当局に対しまして、対潜水艦作戦、すなわちASWの能力強化を強く要請していると伝えられております。また、ラムズフェルド国防長官は、アメリカの国防報告の中で、対潜水艦作戦能力の向上は日本の利益である、米国はこの分野で日米の協力増進を希望する、こう述べております。さらにフォード大統領は、本年四月二十二日、ホワイトハウスで開かれましたテキサス州のラジオ各局記者とのインタビューにおきまして、ロッキード事件のあおりで、P3C対潜哨戒機導入を初めとする対潜水艦作戦機能の整備がおくれていることに不満を述べたと新聞は報道いたしております。私は、これら一連のアメリカの首脳の発言から見まして、アメリカ日本に対し対潜水艦機能の強化を要請し、期待をしているということは明らかであろうと思います。  そこで、長官は、日米防衛協力とこのPXL問題の関連についてどのような基本的構想と具体的方策をお持ちになっているのか、その基本的な所見についてまずお伺いをしたいと思います。
  407. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) アメリカ軍当局を初めとして、政治家の人も日本の対潜能力が高まることを希望しておるということは事実でございます。ただ、昨年のシュレジンジャーとの会談におきまして、むしろ私から、日本の防衛にとって、海に囲まれ、資源の大部分を外国に依存するわが国としては、当然のことながら対潜能力を高めるということが大切である、今日まで四次防の整備をやってきたけれども、なかなか海の方については十分ではないんだと、これについてさらに努力をいたしたいと、こういうことを言いましたところが、そういう考え方に対して理解するし、また同意をすると、こういうことでございます。日米防衛協力の安保協議委員会に新しい機関を設けるということを合意いたしまして、この七月の八日に新しい機関が発足をいたしたわけでございますけれども、これはもう御案内のとおりに、安保条約第五条の有事の際における日米の防衛協力のあり方を決めることでございます。また具体的にはこれからの問題であるわけでございます。したがいまして、ここでは一般的にこの対潜能力の問題は論じられると思いますけれども、しかしながら、具体的にこの次期対潜哨戒機をどうするかということは、これは日本の固有の問題でございまして、日本独自に考える問題だというふうに考えております。
  408. 柄谷道一

    柄谷道一君 防衛白書によりますと、基盤的防衛力という新しい考え方を打ち出しておられます。これとの関連で、現在の対潜水艦能力、大体何%程度達成しているとお考えになっておりますか。また、今後いわゆる目標とする一〇〇%にあと何年ぐらいで到達しようとしておられるのか、これとの関連でPXL問題をどう位置づけられておられるのか、お伺いいたします。
  409. 丸山昂

    説明員丸山昂君) ポスト四次防と申しますよりは、基盤的防衛力の構想の中で海上自衛隊の勢力をどの程度整備すればいいか、それからまた、その海上自衛隊の機能の中で対潜水艦作戦、ASWの能力をどのように整備をしてまいるか、それからそのASWの中では、御案内のように、固定翼の一これが固定翼の対潜機でございますが、そのほかに海上艦艇、それから同じ航空機にいたしましても回転翼の対潜機もあるわけでございますし、それからまた、場所によりましては固定の海底の水中聴音器、こういったものを総合的に整備をしてまいらなければならないということでございまして、ただいま鋭意全庁を挙げてこういった作業に従事をしておるという状況でございまして、いま御質問のございました現在がそういった目標に対して何%になるかということは、ちょっといまの段階でははっきりと申し上げられないところでございます。
  410. 柄谷道一

    柄谷道一君 新聞報道によりますと、五月二十六日、アメリカの国防総省は日本海上自衛隊に対しまして、P3Cを商社を仲介としない政府間取引、すなわちFMS方式で売却することを検討中である、また、日本の航空機メーカーから希望の出されている、機体は国産、電子機器はアメリカから輸入という打診に対しては一括方式を強く示唆したということが報ぜられております。そういう事実はございましたんですか。
  411. 丸山昂

    説明員丸山昂君) FMS方式の問題は、先生御案内のように、アメリカで目下議員立法で審議中でございまして、これがどのような結論になるかということについては私ども大変この点を重視して注目をしておるわけでございまして、現在のところ、はっきりした見通しというものはついておりません。  それからいまの機体と電子機器の分離の問題でございますけれども、これは前々から申し上げておりますように、このロッキード問題とは関係なしに、国内の航空機産業の実態というものを踏まえまして、通産省からの申し入れもございますし、できれば機体を国産、それから問題の電子機器等については導入ということでひとつ、案を考えてみてはどうかということで、これはもう昨年の暮れあたりからそれぞれのチャンネルで非公式に打診をいたしておるわけでございまして、これに対しては、いまのところ、原則的には分離ということはむずかしいという回答を得ておりますけれども日本事情もあるので、十分その点については正式の申し入れがあればアメリカとして十分検討すると、こういうことを言っておるわけでございます。この点につきましては、私どもいま各種の案について検討しておりますので、はっきり技術的な見通しがつきましたら、いずれ正式にアメリカに申し入れるつもりでおるわけでございます。
  412. 柄谷道一

    柄谷道一君 川崎重工に対しましてP3Cのライセンス生産というものを打診しているという事実はございませんか。
  413. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 川崎重工の方に私の方から打診をしておるということはございません。それから、川崎重工も従来から、先般の証言にございましたように、国産化ということを主張しておりますので、私どもにそういうことを言って、提案してきた事実はございません。
  414. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官にお伺いしたいわけでございますが、私は、防衛当局がP3Cの輸入かまたは国産かというその問題の選択に踏み切るその前に、まず日米防衛協力との関連、わが国の安全、防衛、こういう観点から、次期対潜哨戒機に対する必要性について十分な説明を行い、かつ少なくともそれを出発点として国会で十分な討議を交わし、大方の同意を得るということが必要ではないかと思うのであります。今日までの経過を見ますと、次期対潜機の問題はそうした国会における根本的な問題の検討や討議が欠如いたしまして、単に国産か輸入か、輸入するとすればどのような機種にするかという方法論、技術論が政府部内でのみ中心課題となって検討されてきた。そこに今回のPXL問題に対する大きな疑惑を生む根本的な原因というものが存在しているのではないか、こう思うわけであります。わが党は防衛委員会の構想をかつて提唱したことがあるわけでございますが、長官としても、本日の答弁の中で、まだ私見ではあるがという前提は置かれましたが、いま私の指摘いたしましたような点について、今後やはり前向きに抜本的な検討というものが必要ではないか、こういう答弁をされたわけでございますが、長官としての今後の対応策につきましてさらに明確にしていただきたいと思います。
  415. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 全く先生のお考えと私は気持ちを同じゅうするものでございまして、やはり一つの兵器にいたしましても、それがどういう日本の防衛上必要なものであるかということが国民の一般の方々にも、あるいはまた国会の皆さん方にもおわかりいただいて初めてそれは意味のある防衛力となると思うのでございます。ともいたしますと、いままで十分そういうようなことが討議されないままに、単にわれわれだけがこれは必要であると考えまして、そして御審議を煩わすというようなことの経過であったと思うのでございますが、しかし、私は日本の防衛あるいは安全保障というものが国民一人一人の生存と自由にかかわる問題であるだけに、ポスト四次防については、やはりその防衛力というものがどういう意味を持っておるのか、そしてまた、その装備編成というものが本当に必要であるのかどうなのか、その内容等についても詳しくいろいろできる限り議論をし、そしてそのコンセンサスを得ながら、われわれの意思決定をしていくということでなければならないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、その意味からも、先ほどどなたかの先生にお答えをいたしましたとおりに、やはり防衛委員会あるいは、名称はいろいろございましょうけれども、安全保障委員会と名前を呼んでもいいかと思いますけれども、そういう中で常時こういう問題が議論をされ、特にポスト四次防とか、あるいは基盤的防衛力とかというような構想が出ましたら事前にそれを御審議を煩わす、そして決めていかなきゃならない。それからまた、PXLの問題は、当面の問題として国民にこれだけの疑惑を投げかけておるわけでございますから、この解明をいたしますとともに、この災いを転じて福となすと申しますか、そういうような話し合い、議論の中において大方のコンセンサスを得つつ次期対潜哨戒機を決めていきたいというふうに私は考えております。
  416. 柄谷道一

    柄谷道一君 いまの答弁にも触れられたわけですが、長官は、統一見解と申しますか、その中で、次期対潜哨戒機については国民に疑惑を持たれるようなことがあってはならないので慎重に取り扱うということも述べておられますし、また、純粋に防衛上の見地に立って、所望の性能が得られ、費用対効果の上ですぐれているものを選定する、こういうことも述べられているわけでございます。まことに言葉たるやよしでございますが、それではこのような趣旨を現実にどのように生かしていくのか。具体的には、次期対潜哨戒機につきまして、いつどのようなプロセスを踏んで、いま長官の言われております趣旨を生かそうとしていこうと考えておられるのか、その点をお伺いします。
  417. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) まあ、こうやってPXLの問題についてこの真相の究明を図ることもその一つかと思いますが、ただいま作業をいたしております基盤的防衛力の構想、この考え方、これをまあ国防会議でひとつ御審議を煩わす。単に私たち防衛庁だけの考え方じゃなくて、やはり経済、財政、そういうような面からも、あるいはその他の、たとえば防衛産業というような面から通産大臣とか、あるいは技術的な面からは科学技術庁長官とか、そういうような方々の御意見を聞きながら国防会議が中心になって考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。  時期でございますが、一応概算要求のときが一つのめどでございます。しかし、なかなかそのときまでに、八月の末でございますから、あるいはそこまではまだ無理かと思いますが、最終的には十二月の予算編成のときまでには何らかの決定をいたさなければならない、その間、できるだけひとつ皆さん方にも議論を闘わせていただきますことが非常に大事であるというふうに考えておる次第であります。
  418. 柄谷道一

    柄谷道一君 いまの御答弁でございますが、それは、いま言われましたことは、いまからでも国産は間に合うと、いわゆる国産と輸入という問題は現在互角の検討状態に置かれている、決して輸入というものにウエートを置いた現状ではないという理解をしていいわけですか。
  419. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 先生のお言葉、そのとおりというふうには私は言えないわけでございまして、いまはやっぱり国産ともあるいは輸入とも決めていない、しかしながら、その間にも、たとえば胴体は国産でやる、あるいは電子機器等は外国のものを使うというようなこと、また、いろいろなコンビネーションもあろうと思いますので、あらゆる場合に対して対応ができるように十分の検討をいまいたさせておるというふうに、あらゆるコンセプションに対して検討をいたさせておると、こういうことでございます。
  420. 柄谷道一

    柄谷道一君 輸入とも国産とも決めていない、いわばいま互角の、いまいわゆる並列的な状態における検討である、まあこうお答えになったわけでございますが、そうだとすれば、私は当然、専門家会議答申に至るまでの間、防衛庁としてはそのような状態に置くためにタイムリミットというものを考慮しなければならぬということになると思うんであります。  で、内海国防会議事務局長答弁によりますと、なるべく早く答申を出してもらいたいということを専門家会議にお願いをした。防衛庁は四十九年十二月までにこの答申をいただきたいということをそのときに説明されたと思うと内海さんは述べられました。ところが、七月六日、私の質問に対しまして防衛庁は、どうもこんなに専門家会議の時間がかかるとは思わなかったと、こういう答弁をされたわけでございます。こんなに時間がかかるとは思わなかったということになりますと、どうも対等の立場に立って専門家会議の結論等が公正に検討し決定ができるということに対する防衛庁当局としての、この専門家会議における姿勢はやや疑問視せざるを得ないということになるわけですけれども、この七月六日の防衛庁答弁真実なのか、それともタイムリミットを専門家会議に強く主張したのか、その点どちらが真相でございますか。
  421. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 専門家会議がそれほど時間がかかると思わなかったという趣旨の発言は、要するに、四十七年の十月の九日の閣議了解が出まして、まあ専門家会議で御審議をいただくということになった時点においては、比較的早く専門家会議が開かれ、そして早く答申がなされるんではないかというふうに考えておったという趣旨で申し上げたわけでございまして、い、ずれにしても、当時の情勢からいたしまして――当初は、この開発のタイムリミットといいますか、五十五年ぐらいから考えておったようでございますけれども、当時は五十六年あるいは五十七年というところまでには実戦配備ができるようにしていただきたいということで、国防会議にも、答申を早く出していただいて、まあ五十一年度、少なくとも五十一年度予算には間に合うようにというような意向を申し上げておったことは、もう御指摘のとおりでございます。
  422. 柄谷道一

    柄谷道一君 午前中、秦委員がすでに指摘されましたので、細部については重複を避けたいと思いますが、P3Cに関しては、海幕説明の中に、第二回専門家会議では、浮力不足などなどですね、を指摘されております。ところが、第十四回専門委員会では進出速度が多少遅いことは致命的な欠陥ではないなど、いわば第二回専門家会議の発言というものを打ち消すような部分が非常に多いわけでございます。この海幕の説明というものが第二回と第十四回でこのように違ってきたという理由につきましては、先ほどの答弁によりますと、四十八年度末調査団調査結果に基づくものであると、こう答弁をしておられますわけですが、現在、海幕は純粋な防衛上の見地と性能の上から見て、国産、輸入いずれが望ましい、こう考えておられるのか。期間的に開発が間に合う間に合わないとか、それから費用の点がどうであるとかという点は、また別途の検討の素材であろうとは思いますけれども、いわゆる純粋の防衛上の見地と性能という点から見るならば、いずれがベターであると海幕は判断をしておるわけでございますか。また、P3Cにつきましては、なおその性能に問題があるというふうに認識をされておりますかどうか。
  423. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 私からお答え申し上げます。  海幕は海幕としての最終的な意見というものはまだ現在の段階では私どもの方に上申をしてまいっておりません。しかしながら、この二度にわたります調査団の派遣によりまして、当時まで海幕として想像もつかなかった新しいいろいろな問題が存在すると、つまり、国産を開発していく場合において当然直面しなければならない関門が幾つかあるということ、これがP3Cの実態的な調査によりまして判明をいたしておるわけでございまして、現在の状態においてP3Cが非常にすぐれた対潜哨戒機であるという認識は、海上自衛隊では持っておるわけでございます。これを国産でやってまいります場合に、かなりの年月と、それから相当の開発費を注がなければならないというふうに現在判断をしておるわけでございますが、そういう問題も含めてこれからひとつ全般的な検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、海幕としては、どちらかと申しますと、率直に申しまして、P3Cが非常にいいという、そういう意向がかなり有力でございますけれども、さりとは申しながら、今後の、具体的にP2Jの後継機として整備をしてまいる場合において、それだけでいいかどうかという点につきましては、必ずしも海幕全体の気持ち――気持ちと言ってはおかしいですが、まだ意思が統一されているというわけではないというふうに私ども判断をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、海幕から正式の意思表示がまだ私どもの方へ上げられておりませんので、現在の段階においてはいずれと決定しているというふうにはまだ判断をしかねるという状態でございます。
  424. 柄谷道一

    柄谷道一君 いまの答弁によりますと、もちろんこれは正式には決定されていない、また、海幕から防衛庁当局に対して正式な意思の表明はない、しかし、初めP3Cについていろいろ問題があると、こう思っておったけれども、いろいろ調査してみると案外に性能がいいから、海幕としてはP3Cの輸入ということにその意向が傾斜しているという答弁と受け取れるわけでございます。  そこで、そのP3Cは、アメリカにおいてはすでにUP-DATE機が就役をしている、こういうことも伝えられております。また、アメリカではP3Cの次の対潜哨戒機が一九七八年ごろには登場してくるのではないかということも言われております。そういたしますと、日本がこのP3Cを導入した場合、まあこれは七年ないし九年先にその配備が完了するという答弁でございますけれども、そのときにはもうすでにアメリカ及び世界的な大勢としては、そのP3Cは衰退をしている、いわばすでにその時期は次の対潜哨戒機の時代にもう入っているということになると思うのであります。そういうことになりますと、果たしてわが国の対潜機能という点からして、一体これをどう理解すべきなのか。また、アメリカにおきましてP3Cの生産がとまるということになりますと、部品その他の調達ということがその面でスムーズにその補充がつくのか、こういうところにも問題点が投げかけられるわけでございます。御意見をお伺いいたします。
  425. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 御指摘のように、現在P3Cにつきましては、いわゆるANEW計画が――MODE3と言っておりますけれども、一九七〇年に評価が終わりまして、現在MODE7の段階に入っている。言いかえますと、UP-DATE1、2、3という計画段階に入っております。その予定によりますと、一応一九七八年までに所期の目的を遂げるということで計画が進められておるようでございます。  それから一方、調達面につきましても、現在アメリカの方で予定されておりますのは、一九八二年ごろまでにまあ百四十機程度の調達が予定されておりまして、その後はないわけでございます。それからまた、一部においてはVPXの問題もございます。ただしかしながら、そういう面はございますので、たとえば、先ほどの調達の問題で、もしそれをそのとおり受け取りますと、おっしゃるように八二年なりあるいは八五年になりますと、若干向こうの方の生産がないというような問題が出てくると思いますけれども、しかしながら、やはりこういったものの検討というものはなお今後も引き続き行われていく可能性が非常に強い。先ほどのUP-DATE計画につきましても、やはりどんどんこれから行われていくでありましょうし、まあ調達問題につきましても、現在わかっておるのは八二年でございますけれども、これは必ずしもまだはっきりしておるわけではございません。それで、VPXの存在等いろいろ問題がございまして、確かにわれわれもその点は十分考慮していかなきゃいかぬと思っておりますが、いずれにいたしましても、息の長い飛行機でございますので、まあもう少し様子を見きわめた上でないとその結論が出ないのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  426. 柄谷道一

    柄谷道一君 官房長官が来られましたのでお伺いをいたします。  ただいままでの質問を通じましても、防衛庁当局は、この四十七年の十月までに至る間ですね、次期対潜哨戒機、これは国産が望ましい、そうして研究開発を積み上げて国産による次期対潜哨戒機を試作をし、量産段階まで持っていきたいという意向でありましたですね。大蔵省はその直前まで、割高であるという理由で輸入を強く主張されておった。ところが、国防会議議員懇談会で、いわゆる了解事項なるものが決定された。そこで、形式は専門家会議の設置であって、そこでどっちがいいか専門家に判断してくれというのが、これ、形式上の受けとめ方でございますけれども、その了解事項によって結果的には国内の研究開発は四年間とまった。しかも、そのような重要な影響を及ぼす決定が、田中総理、二階堂当時の官房長官は一時入られて途中退席、後は後藤田、相澤両氏という少数のメンバーによって決定された。そのことが国民にとっては、行政権力の乱用ではないのか、また行政権力の私物化という疑惑があるのではないか、それとこのロッキードの黒い疑惑というものが結びついているわけでございます。私は、このような問題に根本的なメスを入れるということでなければ、第二、第三のロッキード事件を招きかねないと思います。また、自衛隊の元海将補がロッキード社と秘密代理人契約を結んでいることも明らかになりました。そしてP3Cの導入を積極的に働きかける行動をとっている。日本の防衛機密の外国への漏洩という問題にもつながりかねない問題でございます。私は、このような政治体質を改善していくためには、行政改革の推進、官僚の天下りに対する規制の強化、さらに行政に対する監視、チェック体制の強化、また行政権力の乱用、私物化に対しましては、これを社会的公正の立場からコントロールするといういわゆるシステムの確立、こういう一連のものが必要ではないかと思うのであります。官房長官としての率直な御所見をお伺いいたします。
  427. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 今回のロッキード事件が日本の各界に非常な衝撃を与えており、連日当委員会においても真相解明のために御努力をいただいておりますことには深く敬意を表する次第でございます。  そこで、ただいま柄谷さん言われる行政が一部私物化されておると、これはまあ一つの何か政治体質の問題であるというふうな御指摘でありますが、この点、いま何をなすべきかと言えば、何としてもこれは真相の徹底的な解明でなければならぬと思うのでございます。そして、その明らかになりました上に立って、そして反省をすると言うか、見直しをすると言うか、そういうことで、いま御意見にありましたような、若干具体論もお示しになっておりますが、そういうことを私どもの方としても検討をしてみたいと思っておりますが、当面何としても真相の解明に全力を挙げたいと心得ておるようなわけであります。  それから後段に申されました、自衛隊の元幹部が企業の方へ天下りをして云々というお話でございますが、これも私どもそれによって秘密が漏洩されたというふうには承知をしていないのでありまして、そういう点、まあこの高級官僚の天下りということ自体は、現在人事院の関係等もこれあり、二年間でございますか、その間は関係のある企業に就職をするということが制限をされておるわけでございまして、まあその限りにおいてはチェックはなされておると。しかし、いま御指摘のような点も心がけまして、どういう具体的な方法論をとるか、これはまあ、いまお示しになりましたような御意見も十分考慮の上に、この真相究明の暁においては対処をしなければならぬ問題であろうと、かように存じておる次第です。
  428. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま官房長官がお答えになりましたように、当面まず図らなければならない政治の責任は、この疑惑というものを解明することにある、これはもう当然のことでございます。しかし、いま捜査当局で行われております捜査だけでその疑惑は晴れるわけではございませんので、捜査当局の捜査終了の時点から、さらに引き続いて政治的道義的責任の究明というものが第二段として行われる、これもまた五党の合意によって明らかなところであります。私の指摘いたしますのは、ただ、その二つのプロセスを通過しただけでこの問題の解明ということにはならないということでございます。やはりこういう問題を引き起こす基本的な政治体質というものに対して明確な対応策を確立するということが必要であろうと。ただいまの官房長官の御答弁は、第一段階、当面ここには重点を置いておるが、そういうことに対しても政府として前向きな検討を加える意思を、意欲を持っていると、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  429. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 当面は真相解明に全力を挙げるわけでございますが、事はそれだけでもって済ましていいのかどうか、こういうあたりは、御意見のあるところを私どもよくくみ取りまして、今後こういう過ちを繰り返してはいけません、深刻な反省をいたしまして、いまのような根本的な問題にも取り組みたいと、かように思います。
  430. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは質問の通告に入れてなかったわけでございますが、これは一般的な理念の問題でございますので、官房長官にお伺いしたいと思うのですが、新聞報道界の先輩であります森恭三さん、元朝日新聞におられた方でございますが、今日までわが国のたてまえというべきものは、新聞マスコミが報道する、事実に相反しかつ重大な名誉棄損であるという場合は、名誉棄損の訴えを当該者が起こす、そのことに関して、これを報道した側が挙証の責任があるというのが、これ、たてまえでございました。しかし森恭三さんは、もちろん報道側の責任というものは当然ではあるけれども、公人たる政治家というものは、少なくとも疑惑をかけられた以上、その疑惑に対して挙証する責任と使命、義務というものがあるのではないかということを最近述べられているわけでございます。私は、議会制民主主義を擁護し、かつ政治に対する信を取り戻すためには、まことに傾聴すべきこれは提言ではないかと、こう思います。法体系がどのようなものであるかということは一応別として、公人たる政治家の挙証の責任というものは、これは重く見なければなりません。そうでなければ、政治に対する国民の信を得るということは困難ではないかと思うのであります。この点に対する官房長官の率直な御所見をお伺いしたいと思います。
  431. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 私も森恭三さんは存じ上げておりますが、いまどのような論文におっしゃるようなことが掲載されておりましたかは、どうも私も十分見届けてはおりません。しかし、おっしゃるように、政治家たるもの、これ、何と言っても天下の憂いに先立ちて憂えなければならぬ。公人としての――普通の庶民と申しますか、そういうお立場とは違った厳しいモラルを要求されてしかるべきものだと思います。そういう意味においては、もし疑惑がありました場合には、これを晴らす努力をみずからしなければならぬものだろうと思いますが、これは一般論でございまして、いまこそ本当に政治の信を取り戻すということのためには、これは本当にこぞってそういうビヘ-ビアに徹しなければならぬという感じを抱いております。
  432. 柄谷道一

    柄谷道一君 一般論としてはまことにそうあるべきだと私は思います。そのような立場からいたしますと、本日午後三時、自民党から回答されました証人喚問に対する姿勢というものと、ただいま官房長官の、一般的概念ではございましたが言われました公人たる政治家のあるべき態度というものにつきましては、やや隔りがあり過ぎるのではないか。捜査の妨害になるというその一面はある程度考えなければなりませんけれども、しかし、いま国民の本事件に対して持っている疑惑というものを考えますならば、公人たる政治家みずからがやはり挙証の責めを追って、そのかけられている疑義は明らかにするという、この二つが私は相互に機能し合いながらこの問題の解明に当たらなければならない問題であると、こう思うのであります。この点、答弁を求めるつもりではございませんが、ひとつ官房長官として、その言たるやよしという結果だけに終わらないように、総理とも十分お話しを願いまして、野党の要求しております証人喚問の真意というものをひとつ十分に把握をされた対処方を求めておきたいと、こう思います。  そこで、次の質問でございますが、それは、国防に関するシビリアンコントロールの問題でございます。  四十七年十月九日の国防会議では、当初予定されていなかったPXL問題が田中首相のツルの一声で突然提起された。防衛庁はもちろん、国防会議事務局長すら寝耳に水という感じを受けたと、証言で明らかであります。しかも、議員懇で、その専門家会議について、それが正式の法律、政令に基づくものなのか、公務員をその中に含むものなのか、防衛庁など当事者を除くPXLの専門家を入れるのかどうか、こういった事務的な詰めが全く行われないまま決定された、そのことについていささかどうかと思われたと海原さんも言っておられるわけでございます。さらに、過般の総理に対する質問の中で明らかにされましたことは、当時副総理であり、かつ国防会議の重要構成メンバーであった現三木総理は、その席上田中首相の提案に同意はしたが、その了解事項の持つ意味とそのことが結果的に国産化のための研究、調査を全面的に停止するというその重さというものについて、いささかその認識といいますか、失礼ではございますが、全貌というものを的確に把握されていたとは思われないような発言でございました。また、国防会議や議員懇ではほとんどこれらに対する討議も行われなかったという証言もされております。このことは、重要な国防に関する決定が、田中、相澤、後藤田三氏による密室会議で実質的に決定されたということでありまして、私は、国防会議が実質上総理大臣の運用いかんでどのようにでも運営されると判断されてもやむを得ない局面を今回残していると思うのであります。  これは、現在の国防会議が形骸化され、そして文民統制の手段として最低限の保障機関である国防会議がその機能を十分果たしていないという如実な証明でもないかと思います。これは私は黙過することのできない重要な問題であります。十月九日のいわば暗く長い一日は、PXL問題につきまして国民に深い疑惑を残したという一面のみにとどまらずに、シビリアンコントロールというものが十分に役割りを果たしていないという現実を問題提起しているのではないかと、こう思います。この認識に対する官房長官としての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  433. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 国防会議は、御承知のように、国防に関する重要事項を審議するために主として内閣総理大臣の諮問に応じて必要の際に開催されるということに相なっておりますが、文民統制強化のための措置についてというものがかつて決定せられまして、それ以来シビリアンコントロールという点については、私決して御非難いただくようなものではないと、かように存じております。現に私自身もこの一年半ばかりの間に国防会議に、議事進行の仕事をいたすもんですから、ずっとその会議に列席をいたしまして、終始この運営がそれほど形骸化しているというふうには思っておらぬのでございます。現に、ごく最近とすれば、去る十二日に国防会議を開きまして、そして重要な諮問事項をそれぞれ論議を重ねて決定をしておる。こういうふうなこともございまして、これ、もっと工夫をする必要があろうと、こういう点については私どももこれからも研究してみなければなりますまいが、いまのところ、ただ単にこれが形式に堕しておるというふうには必ずしも考えておらないわけであります。
  434. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間があと二分しかありませんので、最後に官房長官と防衛庁長官に御質問したいと思うんですが、私は、現在時点の国防会議という指摘ではなくて、少なくともロッキード問題というものにいま関して言うならば、この四十七年十月に行われた国防会議というものはその運営が形骸化されていたということは、これはすべてのものから見て明らかであろうと思うんです。  そこで、私は、これは問題提言でございますが、これを解決するためには、第一には、防衛庁長官答弁で述べられましたように、国防、国家安全保障に関する国民的統制、こういう意味におけるシビリアンコントロールの原則を再確認いたしまして、そのために最高機関たるべき国会に防衛委員会もしくは安全保障委員会等を設けまして、黒い霧を生ぜしめないための開かれた討議というものを保証するということが第一ではないか。第二には、現在の国防会議は、防衛庁設置法の中で位置づけられているわけでございますが、内閣のシビリアンコントロールと総合的安全保障政策確立、これに対する最高の機関であるとするためにはこれを単独立法として位置づける、とともに、国家安全保障会議といいますか、名称は仮称でございますが、改組強化をしていく、その構成について、諸外国に見られますような民間有識者を登用するということも検討されるということが必要ではないか。第三番目には、現在国防会議の事務局五十数名おられるようでございますけれども、いわばこれは事務局でございまして、たとえばスウェーデンのような広範かつ緻密な情報を収集して、そして国防、安全保障に資すという意味の、たとえば平和研究所というものをスウェーデンでは持っているわけでございます。こういうものを含めたいわゆる事務局機構とそのスタッフというものに関する充実も必要でございますし、そのような機構を充実するとすれば、そのトップスタッフにつきましては少なくても国会承認人事にするということも検討されなければなりません。今日まで防衛庁長官は非常に前向きの発想をこの委員会で述べられておるわけでございますが、私はこの際、いま当委員会は当然ロッキード問題の真相究明に当たるべきでございますけれども、これを一つの契機として、シビリアンコントロールの現状と、そして将来のあり方というものに対する、政府はもちろん、与野党挙げての検討姿勢というものが必要ではないかと、こう思うのでございます。この点に対する両長官の所信を伺いまして、時間でございますので、私の質問を終わります。
  435. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 先生の御提案は、私非常に傾聴すべき御提案であるというふうに思っております。  まず第一には、シビリアンコントロールと言うからには、もちろん、国防会議が充実し、それが実質的に広い視野で、単に防衛庁だけでなく、経済、財政の立場から、あるいは外交の立場から、あるいは通産、科学技術庁、そういうような広い万般の視野から安全保障全体の中で防衛というものを考えるという意味において、あるいはまたその運営といたしまして、実力集団たる自衛隊をコントロールするということ、これがやはり必要であるかと思いますが、さらに重要なのは、やはり国会に防衛委員会なり、あるいは安全保障委員会があって、そしてそれがコントロールすると、実力集団たる自衛隊をコントロールする、運営をするということでなければならないというふうに思います。しかし、これは私防衛庁長官でございますが、ぜひともひとつ皆さん方のお力によりまして国会にそのようなものをつくっていただきたいというふうに念願をいたします。  それからいまもう一つの点は、国防会議の充実の問題でございますが、これについては二通りの見方があると思います。先生の御提案のように新たな法律をつくってそして独自の機構とすると、これも一つのりっぱな御見識ではなかろうかと思います。いまわれわれ現実には国防会議がございますから、これを実質的に充実をし、その運営を官房長官とともに広い視野からシビリアンコントロールの実を上げていくということを考えなきゃならないというふうに思います。  それからいま一つ、平和研究所のお話ございましたが、これも実は私も、そういう機構というものがあって、もうちょっと学者だとかいろんな民間の安全保障に対する権威のある方々が不断に検討を積み重ねられておる、あるいは情報の収集をそういう機関でやっておくということが、言うならば国防会議の論議が非常にきめ細かいものになりますし、あるいはインターナショナルなものになるし、本当の実質審議が行われることになるんじゃないかというふうに思います。先生の御提案は私非常に同感でございます。
  436. 柄谷道一

    柄谷道一君 官房長官、内閣としてもひとつ検討してください。
  437. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) ただいま専門の坂田長官から御答弁がありまして、私もこれには異論はございません。私、かつて春日委員長と三木総裁との党首会談というのに臨席したことがございまして、そのときやはり安全保障委員会のあり方というか、大変強調しておられましたのを耳にいたしました。こういうことはやはり国会の中におけるコンセンサスということにしなければならぬ問題でございまして、そういう努力もいたすつもりでございますが、御意見のほどは十分傾聴に値するものと、かように存じます。
  438. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  439. 秦豊

    秦豊君 官房長官、伺います。  最初に、確認の意味を込めまして、いまのあなた方がおとりになっている国会議員レベルの証人喚問の拒否という理不尽な態度ですね、私たちに言わせれば。これは政府・与党一致しての御方針でしたね。
  440. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) そういうことでございます。
  441. 秦豊

    秦豊君 いままでさんざんな不評は時としてこうむったけれども、あの衆参両院における証人喚問ということがあり得たからこそ今日の一連の捜査の核心に迫るようないわゆる捜査活動があった、つまり、国会における国政調査権の発動としての証人喚問捜査を大いに助けたという事実はお認めになりますか。
  442. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) たとえば偽証というような問題もございますし、その点はよく評価しておるつもりでございます。
  443. 秦豊

    秦豊君 そこからがおかしくなると思いますね。お認めになっている。にもかかわらず、たとえばきょうの衆議院の法務委員会では、あなた方の閣僚の一員である稻葉さんが、捜査の関連の中では、田中角榮、小佐野賢治、檜山三氏の関連があるということを間接的にせよ示唆されています。両院の審議で、トライスターから行こうが対潜機から行こうが、どこから行っても田中角榮という名前が浮かび上がってきます。いままでの国会の国政調査を評価されている官房長官としては、事件が大詰めになったのならば、いよいよ核心の人物、田中角榮元総理というふうな人を初め一連の人々を喚問しようとするわれわれのこの要求に対してどうおこたえになりますか。
  444. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) この点はしばしば当委員会におきまして稻葉法務大臣あるいは三木総理からもお答えを申し上げてきたはずだと思いますが、やはり捜査権を持っておる検察当局がまあ一つの山場に差しかかっておるという現状から見まして、真相解明のためにはやはりしばらくの間は問題を一本にしぼって捜査を進めることが大変解明に役立つと、こういう趣旨から当委員会にもお願いを申し上げて、しばらくの間ひとつお差し控えをいただいて、全力を挙げて捜査当局の活動ということにお任せを願いたいと、この趣旨に出ておるものでございまして、私もその意味においては同様にお願いをいたしたいと、こういう気持ちでおります。
  445. 秦豊

    秦豊君 官房長官ね、事件の真相解明に三十九年の政治生命をかけるんだと言われている三木総理、この方針と、願いと、あなた方のとっている態度は基本的にこれ、矛盾するんです。おっしゃったことには論理がありません。説得力も、したがってありません。あるのは党内配慮だけです。そうはお思いになりませんか。
  446. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) まあ、必ずしもそうばかりでもございませんで、やはり国会の国政調査権、これを発動をしていただくこともとより大変必要でございますが、同時に、いまの捜査段階、かえって問題がふくそうするというような恐れもあるのではないかと、こういう考え方でございまして、必ずしもそれが矛盾するというふうには考えておりません。
  447. 秦豊

    秦豊君 私は防衛の質問も残していますので、官房長官にこれは最後に伺います。  それでは、当初自民党、政府・与党は、二十日ばかり待ってくれと。いまではまるで捜査が終わるまで待ってくれというのが本音でしょう、恐らくは。そうしますと、贈収賄についての立件ができるまで待ってくれと、こうおっしゃりたいのか、改めて、公式の場で。じゃ政治家の責任は、政治責任、道義責任に時効はないと三木さんも言われていますから、ならば、贈収賄の立件が終わった後は、国会にそのようなどす黒い連中の証人喚問に応ずるという決定には踏み切るわけですね。その辺、念のために一点だけ伺っておきたい。
  448. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) まだ、どういうところに期限を切ってということは必ずしも煮詰まっておらないと思うのでございまして、当面しばらくの間御猶予をというのが党なり政府なりの気持ちでございます。
  449. 秦豊

    秦豊君 官房長官、最後に申し上げておきますが、これは質問じゃありませんですがね。三木さんを、三木総理を衆議院、参議院両院にちょこっと出すぐらい、三時間とか三時間半とかいうぐらいでは疑惑は解けませんよ。一言申し上げておきますよ。そのように不徹底な態度をあなた方があくまでも続けられるというならば、次第にあなた方が一番頼りにしている世論の支持を失う、こういうことを警告しておきます。失礼を顧みず申し上げておきます。  で、防衛庁国防会議にちょっと確かめておきたいことがあります。端的に伺いますから、だらだら答えないで、ずばっと答えていただきたいです。先ほどの質問に対して、対潜哨戒機、五十七年から減衰に入るとお答えになったのだけれども、ではもっと具体的に、五十七年には何機減衰をし、昭和五十八年には何機減衰をする予定か、これを……。先ほどのようにぼあっとした答弁ではなくて、事前に通告しておったように具体的にお答え願いたい。
  450. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 先ほど申し上げましたように、五十三年に七十八機。それが大体五十五年までその状態が続きます。それから五十七年には四機、七十四機になります。
  451. 秦豊

    秦豊君 五十七年には何機ですか。
  452. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 七十四機でございます。
  453. 秦豊

    秦豊君 七十四機……
  454. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 七十八機が……
  455. 秦豊

    秦豊君 減衰の部分ですよ。
  456. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 減衰の部分は、それを引いた四機でございます。
  457. 秦豊

    秦豊君 四機でしょう。それを伺っている。
  458. 丸山昂

    説明員丸山昂君) それから次に、五十八年に六十八機、それから五十九年に五十六。六十年に四十三。
  459. 秦豊

    秦豊君 ですから、それを引きますと、五十七年が四機ですね。
  460. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 引き算をやりますと六機でございますね。五十七から五十八に六機。
  461. 秦豊

    秦豊君 両年で六機ですね。
  462. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 五十七年から五十八年に向けて六機でございます。
  463. 秦豊

    秦豊君 六機ですね。
  464. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 六機落ちるわけです。それからその次は十二機でございますね。五十八年から五十九年には十二機。それから十三機。これは要するに、いまの計算でございますから、変わることはあり得るわけでございますが、そういうことでございます。
  465. 秦豊

    秦豊君 そうしますと、これは内海さんの方でしょうか、専門家会議にも同様のことを具体的に説明があったんでしょうか。
  466. 内海倫

    説明員内海倫君) お答え申し上げます。  私も正確にいま記憶いたしておりませんけれども海上自衛隊の方から五十七年以降の減衰については数字を挙げて説明をいたしております。
  467. 秦豊

    秦豊君 同じようにですね。
  468. 内海倫

    説明員内海倫君) いま私ちょっと記憶を、覚えておりませんが、恐らく同じ資料によっておると思いますから、同じではなかろうかと思います。
  469. 秦豊

    秦豊君 それでは、この説明をされたのは防衛庁のどなたでしょう。海幕の方でしょうか、内局の方でしょうか。
  470. 内海倫

    説明員内海倫君) いまその特定の名前をちょっとまだ調べておりませんが、海幕の人でございます。
  471. 秦豊

    秦豊君 それから、減衰機の数は具体的にわかりました。この「審議概要」の二十一ページに、国産化を図ることが望ましいが、防衛庁案に関しては、今後その量産機取得までに相当の期間を要し、当面P3Cの導入を図ることもやむを得ないと、こういうふうになっているんです。しかし、これは大事なポイントですからよく聞いていただきたいのですけれども、しかし、ここで考えてみますと、防衛庁案というのは、開発期間の七年、量産取得二年となっていますので、四十九年十二月の答申、同じく四十九年十二月の国防会議で仮に国産が決まったとするならば、当然五十七年に開発機一機ができる。五十九年には量産機が入り始めると、こういう計算になりますよね。だから、つなぎとしてP3Cが必要だと仮にしましても、いま丸山局長お答えになったように、五十七年の四機、あと六機で足りることになるはずであって、専門家会議のメンバーは、何年から減衰と言ったら、何年導入と言ったら、いきなりばかっと全部の機数がもうなくなると、ゼロになるというふうなイメージをあるいはお持ちになったのではないかと、大変失礼だが、思うんです。だから、いまのあなた方の答弁のように、いや、そうじゃありません、四機です、六機ですというようなデテールまで正確に真実をお述べになったならば、専門家会議の反応は必ずや違ったものになったはずです。しかもいまのような減衰のスローテンポで、おそいテンポの減衰であれば、先刻この私の質問に対してあなた方がお答えになったように、しかも性能上もP3Cに劣らないPXLを開発可能で、しかも短縮できるというリポートが通産から防衛に行っているということもあわせて考えますと、やはりここでPXL国産機を選ぶという選択の方がむしろ合理的であり、冷静じゃありませんか。どうお答えになりますか。
  472. 丸山昂

    説明員丸山昂君) これは、いま通産とおっしゃいましたけれども、通産じゃございませんで、私どもの内部でございます。内部でそういう短縮案を出してきておるわけでございますが、これは技術サイドの問題でございますので、私ども本当に問題を詰めて、私らの立場で納得のいくような説明があるというわけではないわけでございます。問題は、その開発については要するに不測の要素というものがたくさんあるわけでございまして……
  473. 秦豊

    秦豊君 端的に局長答えてくださいよ。
  474. 丸山昂

    説明員丸山昂君) そのとおりに開発ができるかどうかという点についての保証は現在のところはっきりしていないということでございまして、要するに一つのペーパープランであるという点の不安感が依然としてあるということ、で、いま直ちにここでその方向に方針を決めたらどうかというには、そういう最終的な決断をするにはまだ私どもとしてはそこに踏み切れない要素があるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  475. 秦豊

    秦豊君 丸山局長ね、あなた方の構想、プラン自体が大変――いまあなたはぺ-パープランという言葉をお使いになったが、あなた方の案自体が非常にアローアンスのある浮動的な、あいまいな要素に満ち満ちているんですよ。だから五十五、五十七、五十九と、いつまで延びるかと。おしんこ細工みたいなものなんだ。こういうことで国のある重大な装備計画を――重要な血税を使おうとしている、非常に不本意です。それでどうなんですか、ところで防衛庁としては、五十五年から減衰に入ると考えたことは厳としてあるんでしょう。これは対馬議員の質問に対して六月二十二日当委員会において江口装備局長がそれを認めておられるが、それに間違いないでしょうね。
  476. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 大変もちのように伸び縮みをするという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、次第に減衰をしていくわけでございまして、したがいまして、運用の時間の短縮その他によって、またアトリションその他がないというような実態において実績は少しずつずれていくということでございまして、それを最大限どこまで延ばしていけるかということになれば、かねがね私が申し上げているように、二年ぐらいピークをずらすということは可能であるかもしれませんが、そのためにはかなり運用に無理を来すので、今度は落ちるときにはがたっと落ちる、そういう問題があるわけでございます。ですから、われわれの持っているのが何か非常に漠然としたもちのように伸び縮みをするというような御指摘は私は当たらないと思います。  それから、いまの五十五年でございますか、という江口局長答弁は、当初昭和四十五年研究開発のための予算を要求をいたしました当時、その時点においては五十五年の配備ということを考えておったということを申しておるわけでございます。
  477. 秦豊

    秦豊君 ならば、五十五年導入案というのは、いつ、どういう時点で、なぜ五十七年導入案に変わったと説明ができますか、されますか。
  478. 丸山昂

    説明員丸山昂君) 先ほどちょっと申し上げましたように、四十四年――これは四十五年の概算要求でございますから四十四年に案を立てたときでございますが、そのときは五十四年度から量産機を部隊装備をするということを考えておったわけでございます。それから引き続きまして四十六年度概算要求におきましても同じ考え方を持っておりました。それから四十六年度の、つまり四十七年度の概算要求、このときには、五十五年度から量産機を部隊装備するという考え方を持っておりました。それから四十八年度の概算要求の場合には五十六年度から量産機を部隊装備ということでございます。こういうことで逐次に変わってきております。
  479. 秦豊

    秦豊君 時間がありませんので、官房長官、恐縮ですが最後に一問伺いたいことがあるが、その前に、これ、ますますあなた方の答弁、あいまいな点が輪郭があぶり出しになってきましたので、今後の特別委員会の有力な資料にできると思います。だから、これは私、質問じゃなくて意見を言っておきますからね。丸山さんと内海さん、江口さんの方で部内的に練ってください、また聞きます。  私は、見方によりますと、あなた方は五十五年から減衰という一本で力強く専門家会議に臨んだ、説明をした、こう思うんです。その方がつじつまが合うと思いますのは、国産量産機が導入されるのは、五十五年減衰とばちっと割り切りますと五十九年からになるので、減衰機は第一年次から第四年次を数える必要が当然論理的に出てくるわけです。ならば、さっきあなたが認められたように、両年で十機というのが足りなくなるだろう、そうだとすれば、専門家会議の多数の専門家委員が国産路線、国産意見であったのに、つなぎとして外国導入もやむなしというふうになった理由がそこでようやくはっきりしてくるからです。もっともこれをやっていると時間がぐっと延びますから、これは重要なポイントだから私はこの質問を留保し、今後につなぎます。決してあなた方の説明、そのような通り一遍なもやもやした答弁では私にはわからない。今後にもっと留保したい。  最後に、委員長、まだ時間が一分ほどあるようだから官房長官に伺いますが、あなたがさっき私の冒頭の質問に対して答えられた答弁は実は重要な食い違いがあるわけです。福田総理が先日、証人喚問の見合わせは自民党、党が決めたことであって、わが政府は関係ないと答えられました。私は総理の代理であって総裁の代理ではありませんと、きわめてにべもない答弁をされている。政府はかかわりなしと言ったのが、あなたは私の質問に対して、政府・与党一体です、さようですと答えられた。重大な食い違いになるんですよ、結果としては、これは。どうなんですか。
  480. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 当初党の方の御意見が先行したとは思いますが、与党と政府との会談等もございまして、当面そういうことでひとつしばらく御猶予を願いたいという点においてはその後一致したというふうに心得ております。
  481. 秦豊

    秦豊君 おかしい。申し上げますがね、それでは答弁になっておりません。官房長官が私に答えられたいまの部分は論点のすりかえです、これは。だめです。やはり政府・与党が一体であったと認められたわけだから、福田総理のこの先日の答弁とは基本的に食い違っている、これは重大な食い違いだから確かめているんです。重ねて答弁を求めます。
  482. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) まあ、副総理はいつ御答弁されたか、私、そこはつまびらかにしないんですが……。
  483. 秦豊

    秦豊君 六月二十九日だそうです。
  484. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) そうですか。その後、政府と与党の間でもいろいろ話し合いを続けてまいりまして、いま私は先ほど申し上げたように承知をしているわけでございます。
  485. 秦豊

    秦豊君 委員長、もう時間だからやめますが、これは重大な食い違いだから、政府側として誠意ある態度を貫こうと思えば、見解と答弁を一致してわれわれに回答していただきたい、こう要望しておきます。重要な食い違いですから念を押しておきます。終わります。
  486. 橋本敦

    ○橋本敦君 私も一官房長官にロッキード疑獄解明の政府の政治姿勢に関連をして若干お伺いをさしていただきたい、こう思います。  まず第一に、三木総理はサンファン会議で米大統領に対して米側の日米司法取り決めに基づく協力に感謝をされたというように新聞で承っておりますが、この日米司法取り決めは、これは取り決め自体は直接はアメリカの司法当局と日本の司法当局間の取り決めと、こうなっておりますね。しかし、政府としてこれに対しては重要なかかわりを持っておられる。つまりは、フォード・レターをまず政府において了解をし、そして日米司法当局がこの取り決めを結ぶということについて閣議でも了解をし承認をされた、こういう経過がある。こういう意味において、この日米司法取り決めには政府としても重大なかかわりがあり、また関心を持つべき立場にある。ロッキード疑獄事件の真相解明をやるという上からもそうでなければならない、こう私は思いますが、まずこの点はいかがでしょうか。
  487. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) ただいまおっしゃられましたようにわれわれも承知をいたしておるわけであります。
  488. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで次に問題は、この取り決めに基づいて現に行われているロサンゼルスにおける嘱託尋問の問題なんです。これは御存じのように、コーチャン側の異議の申し立てあるいはエリオット、クラッター氏の異議の申し立てによって、期待されたとおりには進んでおりません。だがしかし、真相解明を本当に求めるという立場からするなれば、この司法取り決めに基づく嘱託尋問は一刻も早くスムーズに行って、その尋問調書は当然わが司法当局がこれを捜査資料として取り寄せることができると、こういう事態を一刻も早く招来しなければならない、私はこう思っておりますが、官房長官の御意見はいかがでしょうか。
  489. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) 嘱託尋問がスムーズに進行されまして、そこで得られた証言を利用、活用できるようにという望みは私も全く同感であります。
  490. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで問題は、私は、いま官房長官は全く同感だというようにおっしゃった、そのことを政府として真剣に本当にどうやるかということにいま政府は一つは立たされていると私は考えているのです。コーチャン側がいわゆる免責の問題について異議の申し立てをいたしました。この免責の問題自体が私は政府として重要な責任があると思う。稻葉法務大臣は、検察官コーチャンにあるいはアメリカ側証人に提起をした日本側検察官の免責の意思表示は、これは国家の意思表示という、そういう立場において公的なものだと稻葉法務大臣答弁されている。私はそのとおりそれでいいと思う。検、察官がその免責意思表示をするについては、稻葉法務大臣はわざわざ閣議で報告をし了解を得たと、こう報告をされている。答弁されている。そういう意味において、私は、三木内閣もこの免責についてそれなりの責任を持って処置された問題だというように理解しているわけです。ところがこの問題が、御存じのように、いま一つの重要な問題になって、コーチャン証言は終わったけれども尋問調書の引き渡しがまだ行われてないという状況ですね。これをどう打開するか、この点について法務大臣は早速最高裁判所との協議を通じて最高裁でしかるべき努力方を要請をし、最高裁も協議に入っているということは報告されています。それはそれで結構ですが、私は、いま長官がおっしゃったように、本当にこの調書を早く日本側に引き渡しを受けて真相解明をやるということを期待されるならば、内閣としてこのファーガソン判事の裁定に対する日本側対応として、内閣としても責任ある立場をお認めになったとおりですから、何らかの手を打つ必要があるのではないか、私はこういうことで長官の御意見を承りたいのです。いま何らかの処置を考えておられる向きがありますか、それとも何もございませんか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  491. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) これはまあ法務当局がおられればそちらから答弁をいただくことが適切と思いますが……
  492. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務当局の答弁はいただいております。
  493. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) はい。したがいまして、これは司法取り決めのいきさつ等にもかんがみまして、主として法務当局にやってもらわなければならぬ問題だと思いますが、これはまあ、いま法務大臣もおりませんが、しかるべく御意見のほどは法務大臣にも伝えて、何らかの工夫をしてみたいと、こう思います。
  494. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで長官、私はこう思うんです。そもそもこの司法取り決めは、単なる司法当局同士じゃなくて、内閣が深くかかわられた責任がある。そしてしかも、免責の意思表示についても内閣としては了解をしておるという意味において責任を持って国家対国家の関係でも了承された上でなされておる。この問題がいまこう問題になっているときに、私は三木内閣が本当にこれの取り寄せを真剣に考えて真相解明をやるということのために、私は一つの方法として、こういうことをやってもらったらどうかと考えている。それは、内閣が了解をし、日本検察官が行った免責の意思表示、このような意思表示に反して、まさに禁反言の原則に違反をして将来コーチャンその他の証人日本検察官が起訴するようなことは、これはあり得ないんだという、そのことを、内閣としても免責について承認を与えた、了解を与えた以上、そのことは言ってよいのではないか。そのことを内閣が明確にし、かつコーチャン証言の証人調書その他が一刻も早く日本に引き渡されるように、米政府に対して新たな協力方を求めると、こういう意思表示を私は内閣として米側に行うと、これを公に行いますと、そのことは当然に裁判官にも裁判所にもわかりますから、日本の政府が真剣にこのことに期待をし、要求をしているということが私は公に明らかになる、これは一つの方法だと思います。直接にはファーガソン判定に対しては最高裁対応してくれることを期待します。それが向こうが要求していることでしょう。しかし、三木内閣も真剣にこのことはいま私が言ったような立場で要求をし、期待しておるんだということを内閣として表明する、そのことを積極的にやってもらいたい、このような提起を私はしたい。長官は何らかの工夫をしたいとおっしゃったが、いま私が提起をした、そういう方向での御検討はいただけませんか。ぜひやってもらいたいと私は思うんです。
  495. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) さきに稻葉法務大臣が閣議で報告をされましたことは逐一先方へも伝えられておるはずであります。そこで日米彼我両国の関係、たとえば、三権分立というふうなことも向こうは非常にシビアであるというふうなことも聞きます。そういうふうなことはあるとしましても、いまお述べになりました御提案ですね、これも私承りまして、先ほど申し上げた何か工夫をということの一助たらしめたいと、こう思います。
  496. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういうことで私はまさに三木内閣が本当に真相解明をやるかやらないか、いま試金石に立たされていると思うのですよ。証人喚問の問題しかりです。この問題もしかりです。そういう意味において私は早急に積極的にこれに対応する方向を内閣として検討してもらいたい。来週もまた質問をするということになりますが、これは早急にやってもらわないと夏休みその他の関係があって間に合いません。そういう意味において、私は三木内閣の対応を積極的に、いま長官がおっしゃったような方向で具体化されることを期待をして、時間が終わりましたから、質問を終わります。
  497. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会