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1976-07-07 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月七日(水曜日)    午後一時三十四分開会     —————————————    委員異動  七月六日     辞任         補欠選任      内藤  功君     上田耕一郎君      野末 陳平君     市川 房枝君  七月七日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 柄谷 道一君     委 員                 岡田  広君                 亀井 久興君                 秦野  章君                 最上  進君                 上田  哲君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 秦   豊君                 矢田部 理君                 藤原 房雄君                 上田耕一郎君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        法務省刑事局長  安原 美穂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨六日、内藤功君及び野末陳平君が委員辞任され、その補欠として上田耕一郎君及び市川房枝君が、また本日、太田淳夫君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、三木内閣総理大臣に対し質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょう午前中、衆議院における委員会質疑もお伺いいたしましたが、そこで終始一貫総理から言われたことは、証人喚問を中断をするといった問題については捜査の必要上やむを得ないんだと、こういう御趣旨の答弁がありました。昼飯を食べた後で答えが変わるということはないと思うんでありますけれども、同じことを繰り返されますと、私の方では質問してみても意味がなくなるんで、衆議院参議院の若干のいままでのやり方の違いから申し上げますと、衆議院は主としてトライスターの問題、全日空の問題、民間機の問題、丸紅の問題をやってまいりました。参議院PXLを中心にしていろいろと審議をしてまいりました。いままで証人にも数々出てもらいました。その結果、参議院ではどこまでいったかというと、民間側証人としては川崎重工証人にも出てもらう、それから、前の国防会議海原事務局長にも出てもらいました。そこまで来たわけです。  そこで、それまでの証言をもとにして、じゃこれから何が聞きたいかというところまでまいったわけです。海原証人証言あるいは川崎重工室井証人証言によりまして、川崎重工では国産化の方向で進んできた、ところが突如としてPXL国産化白紙還元になった。その白紙還元になった十月のいきさつについてもかなり当委員会で事細かに行われたわけであります。そこで、最後後藤田当時の官房副長官相澤大蔵省主計局長田中総理、これらの人たちが協議をして決めたんだと、最後のかぎはそこにあるんだというところまでいったわけです。だから当委員会では、事の成り行き上、じゃ今度は後藤田さんに出てもらおう、相澤さんに出てもらおう、田中さんに出てもらおうと、こういうふうになったわけであります。これは当然のことだろうと思う。そこのところで、衆議院と同じように待ったがかかって証人喚問はしばらくやめてもらいたいということになったわけです。衆議院の方は、なるほど関係者がずいぶん逮捕されております。参議院の場合にも同じことが当てはまるのかどうかという疑問をわれわれは持つんであります。参議院は果たして捜査支障になるのかどうか。これは具体的な問題として、一般論じゃなくて、参議院のいままでの経過もお聞きになっただろうと思う。そこで、参議院については、捜査支障になるというふうにわれわれは思われないんだけれども、総理としてはどのようにお考えになるのか、その点をまずお伺いしたいと思うんです。
  5. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) お答えをいたします。  この国政調査権に基づく証人喚問というものは、きわめて重要な国会の機能であるわけです。政府として、これにとやかく干渉すべき性質のものではないわけです。ただ、今日までのこの経過を見てみますると、刑事上の責任追及というものがずいぶんと進んでまいりまして、まあ核心に触れてきていると、こういうときに、いろんな人物について国政調査権に基づく証人喚問、一方においては検察の取り調べ、こういう問題が、もしもお互いにぶつかるようなことがある場合には、そういうことがかりにあったとするならば、いろんな点で捜査支障になる場合が考えられるので、いませっかく核心に入ってきた刑事上の責任追及というものを、これを、いつまでもだらだらとこういう問題はやるべき性質のものじゃないですから、迅速に処理するためには、しばらく証人喚問を延期してもらえれば捜査支障にならないことになるわけですから、まあその方が捜査支障にならないというような検察考え方というものももっともなものなので、何かこれが一段落するまでは証人喚問というものを延期していただければ、それが一番捜査を促進さす上において好ましいのではないかというような判断で、まあひとつ国会として、国会自発的意思でそういうことを御理解願えないだろうかということを申したわけでございます。それ以上は国会の自主的な判断によることは当然でございますが、そういうことを考えておるわけでございまして、捜査支障になりはしないかという危惧の念を持っておる司法当局考え方については、私よりも司法当局の方から少し御説明を願った方がより的確だと思いますので、補足的な説明司法当局からいたすことにいたします。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 一般論について述べてもらう必要はないんです。私の方は、先ほど総理一般論について衆議院でも述べておられましたから、それはもうわかりました。  具体的に、PXLの問題について参議院はいままでやってきたんです。そうすると、捜査核心に触れるとこれはぐあいが悪いからということになれば、PXLの問題についても捜査核心に入ってきたんだということになるのかどうか、具体的に聞きますよ。国会判断には自民党意思が働いているわけなんですから、それで私どもは要求をしたけれども、証人喚問自民党は応じられなかった。だから、この応じられなかったという理由は、PXLについて、たとえば後藤田さんや相澤さんの名前も出てきました。聞くところによれば、御本人たち国会に出て証言をしてもいいというふうに言っておられるということなんです。それならばなおさら拒否する理由はないだろうというふうに思われるんでありますが、逆に言うと、それをしもいけないということになれば、PXLについても捜査核心に触れてきた、こういうふうに解釈してよろしいんですね。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が言っているのは、議員だからといって特別な扱いをすべきではない、そういう意味で、議員とか一般の人とか、そういうものの区別でなしに、一般論として申したのでございますが、具体的な問題についての瀬谷君の御質問に対しては司法当局からお答えをいたします。
  8. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いまPXLの問題について捜査核心に入ってきたのかというお尋ねでございますが、そのことは申し上げるわけにはまいりません。要するに、現在の捜査ロッキード社日本国内における企業活動に関する不正行為の存否について鋭意捜査を進め、七人の逮捕者を出して捜査を進めておるという現況であるという以上のことを申し上げるわけにはまいりません。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 言うわけにいかないことは答えてもらわなくたっていいんです、時間のむだだ。それならそれで結構。しかし、当委員会で私、前に福田総理に聞いたんです。自民党の三役会議決定というのが出てきて、そのために証人喚問はやめてほしいということだった。それで総理が出張中で不在だったので福田総理にお聞きしました。そうしたら副総理は、私は総理代理ではあるけれども総裁代理じゃないんだと、こう言った。これは自民党で決めたことについては責任を持たないというふうな言い方なんです。これはずいぶん理屈としてはおかしいと思うんですね、総理代理ではあるけれども総裁代理じゃないなんということは。私は留守番は引き受けたけれども電話の番までは引き受けてないというのと同じなんです。これじゃ留守番の役には立たぬわけです。ネコより悪いわけです。そういうふうに、党という点は、自民党ということは一つの隠れみのになっちゃっている。しかし、だれが考えたって、自民党政府というものは別々のものではないですからね。そういう逃げ口上を言われちゃ困ると思う。  私は、これから総理が当委員会において事実の解明が行われるということを期待していられるならば、これからの審議のあり方として、やはり疑惑がないというふうに自信を持っておられるならば、そのかぎを握っている人にはどんどん出てきてしゃべってもらっていいんじゃないかという気がするんですよ。ところが、いままで、たとえば先般、竹下国務大臣出席を求めたところ、これも自民党の方から、これは「中央公論」に出ている問題について追及されるんならば建設大臣の所管の事柄と違うから困ると言ってクレームがついた。それから、警察庁長官が九州、山口には灰色高官がいないというふうに言明をしたということが現地の新聞にも出たという話がある。こういったような事柄については、参考人であろうと政府委員であろうと、やはり問題はロッキード関係あるんだから、出てきてしゃべってもらったって一向に差し支えないというふうに私は思うんですが、総理として、総裁として、その点はどうでしょうか。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、やはり議員国会から証人として喚問を受ければ、進んで出て、やっぱり喚問に応ずべきだと思いますよ。ただ、私の言っておるのは、いよいよ刑事上の責任追及というものが核心に入ってきておるので、しばらくの間、一応めどが、この事件刑法上の責任追及めどが、一応のめどがつくまで、証人喚問を延期してもらえれば、捜査当局捜査というものに対して、これが促進されるし、また真相解明ということにも役立つので、迅速な真相解明に役立つので、まあそういうことが望ましいという捜査当局の意を体して、瀬谷君もよくいろいろと物事の御理解の深い人でございますから、わかっていただければありがたいんだということでございまして、だから刑事上の責任追及政治上の責任、また道義上の責任追及とは、これはもうぴったりと一緒に終わるというものでは私はないと思いますね。時間的なずれはあると。だから、そういういま刑事上の責任追及というものを一生懸命にやっておることは瀬谷君ごらんになってもわかるとおりですが、これが一応のめどがつくまでひとつ証人喚問というものは延ばしてもらえぬだろうかという、こういう一つ希望を申し述べておるわけでございまして、それが済めば大いにやっぱり、そういう政治道義上の責任追及というものは国会が当然なさるべき権限を持っておるわけでございますので、何か政治上あるいは道義上の責任を覆い隠してしまおうという意図は全くない。一つ捜査——刑事上の責任追及一つの技術的な面から見て、そういう方が迅速な真相解明に役立つという、まあそういう配慮の上に立って希望を申し述べておるわけでございまして、そういういま言ったような責任追及というものを何かはぐらかしていこうという意図は全くないということは御理解を願いたいのでございます。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ぼかしていこうという気が全くないというならば、証人喚問を中断することも本当はおかしいんです。しかし、それは何回言っても同じことの繰り返しですから、これ以上しゃべってもむだだと思いますから言いませんけれども、しかし、それじゃ、三木内閣の手によってロッキード問題はもう解明をするんだという決意を持っていらっしゃるんだと、こういうことなのかどうか。伝えられるところによると、アメリカでは日本とドイツの選挙が終わるまでは真相は発表しないと、こういう報道があるということです。それは真相報道が行われるならば政府並びに自民党にとってきわめて大きな打撃を受けるということになることを恐れてのことだと、こういう報道が行われているんでありますけれども、総理アメリカへ行って来られて、そのようなこのロッキード問題についての話し合いというものはあったのかどうか。もし選挙の後ということになると、三木内閣の手によって事実を解明するということにはならぬわけですね。その点はどうですか。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) アメリカフォード大統領とは最高責任者同士の話でありますから、細かいいろいろな技術的な問題について話し合ったわけではないのでございますが、私は二つのことを言ったわけです。  一つは、ロッキード事件というものは、戦後、国民的な関心というものを呼んだ最大の問題であると。この真相解明することが日本民主政治というものを、基礎を強固にするためには必要である。この真相解明したいと私は決意をしていると。もう一つは、このことが、この不幸な事件日米両国友好関係にひびが入らないようにしたいと願っていると、この二つの願望を私が持ちながらこの問題を処理しようとしているということを申し述べたわけでございます。そうしたところがフォード大統領も全く同感であると、アメリカ政府としても今日までもできる限りの協力はしてきたつもりであると、今後も法制の許す限りできるだけの協力アメリカ政府はいたしたいということを述べたわけでございまして、技術的ないろんな諸問題について話し合ったわけではないわけでございます。また、このロッキード事件解明というものは、これはやはり迅速に徹底的に解明さるべきものと思っておりますし、また総選挙はこれは既定の事実でございますが、総選挙の前にこの真相は明らかにして国民の審判を受けることが政治としては当然の——国民判断を求める上において当然にそうすべきだと考えておりますので、総選挙後に真相を明らかにするという考えではないわけでございます。また、アメリカが、いろいろ新聞記事について瀬谷君から、総選挙の前には——あれはまあ証券取引委員会が求めておるロッキード社報告についての発言でしょうが、そういうことは総選挙前にはしないんだというようなことが新聞に出ておったようでございますが、まだこれは新聞報道であって、私の方にはそういうことのいわゆる真偽というものは正確には伝わってはおらないのでございます。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 あくまでも迅速にということであれば、なるべく早くということになるわけでありますから、三木内閣の手によって事態は解明をすると、こういうふうに理解をしたいと思います。それでよろしいですね。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 当然のことでございます。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大分強調されましたけれども、自民党決定という中には、この捜査を迅速に進めていく、あるいは疑惑解明を速やかにという熱意がちょっと疑われる節がある、自民党ということになりますと。自民党の、福田総理でもそうですが、これは副総理としてはこうだと言ったけれども、副総裁としてはということになるとわからぬわけです。だから、自民党ということになると、総裁がいない間は責任者は副総裁ですからね。ところがその副総裁は、まあ端的に言うと、これ、いろいろ伝えられるところによると、総裁の寝首をかこうとして、手際の悪い明智光秀みたいなまねをしておられるので、こういう関係にあると、副総裁が本気になってこれまたロッキード問題に取り組んでいく気があるのかどうか疑問を持ちたくなるんです。  そこで、私はこれからの問題ですけれどもね。それならば、当委員会においてもあくまでも事実の解明をやっていくということについて総理理解を持っているということならば、たとえば竹下大臣を呼ぶという問題についてここで拒否権を発揮をするいわれはないと思うんです。これは国会の問題だと言われるかもしれないけれども、自民党もあるいは政府も同一のものというふうにわれわれは理解しておりますから、これらの問題について(「話を聞け、こっちの話を聞くんだよ、後ろの話を聞くんじゃないんだよ」と呼ぶ者あり)これからの審議の問題について私は言ってるんですよね。幾らやってみても肝心なところでもって肝心な人に逃げられちまったら委員会審議はできないんですよ。証人喚問は、捜査核心に触れているんだと、だからしばらく待ってくれと言われてしまえば、これは何ともしようがないわけなんですけれども、それじゃ捜査支障を来すと思われない人たちに出てもらってしゃべってもらう分には一向差し支えないと思うんです。政府委員として出てもらう、あるいは国務大臣として出てもらうという分には一向に差し支えないと思うんです。そういうことについてまで、とやかく自民党としてブレーキをかけるということはないと、こういうふうに私は理解いたしたいと思うんですが、その点はどうですか。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 竹下君のことを私は知りませんでした。それで後ろに向かってそういうことを聞いたわけですが、国務大臣ですからね、国務大臣委員会に呼ばれて国務大臣として質問を受けるというときには、それはやっぱり出席をしないというわけにはいかないんじゃないでしょうか。私はよく調べてみます。そのことは知りませんでした。国務大臣ですからね。だから証人——私が申しておるのは、証人としての喚問ロッキード事件に対する証人喚問というものは、いま刑事責任追及というものが微妙なときであるからしばらく時間をかしてもらえないかと、その証人喚問というものは議員はいけなくてほかの者はいいというわけにはいかないと、一般的に証人喚問というものはしばらく時間をかしてもらえないかと、こう言っておるわけでございまして、そのこと以外に私は申しておるわけではないのでございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 普通の場合だったらこれは大変な問題になることなんですよね、建設大臣出席させないなんという問題は。しかし、このロッキード問題、幸か不幸かこういうときにやっておりますんでね。自民党の方でだめだと言われると、これは幾らやりとりをしても時間を空費するだけで、どうにもならぬ。  そこで、灰色高官——灰色高官というような名称はないというふうに先ほどもちょっと言われましたが、これは「いわゆる」なんですよね。時効によって、あるいは起訴猶予等によってうやむやにされてしまう。要するに、疑惑のある人が、疑惑を持たれている人が自民党の内部あるいは元大臣といったような人の中にいるということははっきりしているわけです。これは疑惑がないということならば、その人たちにはっきりと証言をしてもらえばいいことなんです。その点、疑惑が持たれている人がいるということは総理もお認めになるでしょう。その点はどうですか。灰色という名前がいいか悪いかは別といたしまして。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まだ私、司法当局から私に対して詳細な報告は受けてないので、いろいろ週刊誌とかいろんなものを——私は余り週刊誌は読まない方でございますが、たまには読みます、たまにはね。たまには読んで、いろんなことが書いてある。そういうことで、ああなるほどなと思うんですが、それはやはり週刊誌などの報道でございまして、私はそれに対しての何か的確な報告も受けておりませんので、証拠を持っておるわけでございませんので、いま瀬谷君の、自民党の中に疑惑を持っておる者がおると思うかおらぬと思うかという端的なお答えをするのには私の材料が不足であると申し上げるよりほかにない。うわさは出ておることは、私も新聞も読みますし、たまには週刊誌も読むわけでございますから、承知はしておりますが、それを私の口から疑惑を受けておる人間がおるということを断定するべく、私はそれだけの証拠は十分に持っておるわけでございませんので、それはやはり軽率に過ぎると考えます。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ灰色高官なる者については法務大臣も言っているわけなんです。そこで、たとえば時効なんという問題は、どんなにがんばったって、三百六十五日たてば一年たつのだから、これはどうにもならぬわけです。しかし、時効が逃げ道にならないように、たとえば刑法上の責任追及から逃れられることができても、政治道義的にはその責任は逃れられないという場合はあり得ると思う。そういう場合がいわゆる灰色高官関係をしてくるのですが、それらの人々についてひた隠しに隠すというようなことはないのだと、そういう場合はちゃんと公表するのだということを約束してもらえるかどうかということですが、どうですか。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 瀬谷さん、いわゆる灰色というのは法律用語ではないと私は思いますね、灰色というのは。灰色というものは法律的に用語として説明はきわめてむずかしいわけです。かなり文学的な表現だと思いますが、まあしかし、わからぬわけではない、言おうとしておることがある程度こういうことかなということはわかりますけれども、この段階で私が、ここまでは公表する、ここまでは公表しないと言うことは、これはやはり捜査支障なしと言えませんね。何もかも皆こうやって公表されるのだということになると、そのことが捜査に影響ないとは私は言い切れませんので、捜査終了段階において国民真相を明らかにしたいという、私の責任というものは果たしたいという決意でございます。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 答弁まで灰色になっちまって、まことにどうもつかみようがないのですがね。しかし、捜査めどというものもあるでしょう。それから、現行法制上無理であると、あるいは可能であると、こういう問題が出てくるんでありますけれども、嘱託尋問の問題でもいろんなことが出てまいりましたけれども、先ほどの衆議院の御答弁では、法制上の相違があるかもしれないけれども、現行法の中でぜひ何とかしたいという御答弁でありました。しかし、それは可能性があるのかどうか、不可能だったらどうするのか、こういうことについて端的にお伺いしたいと思います。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま衆議院段階では、これを一つの不可能でないかというような仮定の上に立って新規の立法を考えるかという御質問でございましたが、いまの段階では現行法制上の枠内で何とか、アメリカのロサンゼルスの地裁、まあファーガソン裁判長、何とかこれに対して納得のいくような答えは出ないものであろうかということを、これはそう長くこれにだらだらと時間をかけるつもりはございませんが、ここ数日真剣に検討をしてみたいと。まだ私は、これは司法当局も不可能だと断定はしてないようですね、これで、現行の枠内で。そうして、その枠内で最善を尽くしてみると。まあそれでもいけなければどうするかというところまでいま考えてはいない。いま努力しておるのは、現行の枠内でひとつ最善を尽くしてみようということに知恵をしぼっているのが正直な段階でございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 終わります。
  24. 秦野章

    ○秦野章君 きょうも衆参の総理答弁を伺っておったわけでございますけれども、例の証人喚問の中止の問題につきまして、いま捜査核心に入ってくる段階だから中止した方がいいという、そういうことに対する説明といいますかね、やはり一般的に聞いていてちょっと不十分だと思うんですよ。総理は帰朝後時間もないからお聞きになっておられぬかもしれませんけれども、やはり証人喚問というものを中止する理由は、捜査が密行主義だからというような程度では、ちょっとこれ、納得がいきにくいんですよね、正直言って。恐らく総理は胸のうちそう思っておられるだろうと思う、徹底解明なさろうという立場なんだから。まあ日本国会の歴史にはまだ国政調査権と行政権の調整についてのよき慣行が確立されておりませんね、イギリスのように。だから、今度のロッキード問題の取り扱いに関して、私はこの問題は非常に大事な問題だと、やっぱりいい慣行をつくっていかにゃいかぬ、こう思うんでございますけれども、それにつけても、この証人喚問を中止するということは、密行主義だからじゃなくて、やっぱり本当は捜査に重大な障害があるおそれがあるということが具体的にないとこれは私はまずいと思うし、恐らく法務当局もそう言っているんだから、そういう理由もあるんだろうと。  それで私は、国政調査の立場でもって証人喚問をしたいと、証人喚問国会がしたいという一つ政治問題、これは政治問題ですね。それに対して、ちょっといまじゃぐあいが悪いというのは、これ、技術論なんですよ、言うならば。捜査の技術論なんですよ。政治問題と技術論を対置した場合には普通政治が優先するんですよ、これは。しかし、今度の場合、技術的な問題が非常に重大であって、その政治的な問題が、政治がいつも優先するとは限らないという一つの特例みたいな立場だと思うんですね。そういうことであるならば、そういった技術的な理由ですね。これは総理には、そこまで納得されて証人喚問はだめだだめだと、こう言っておられるのかどうか、ちょっと私は疑問に思うんだけれども、これを納得しないで言っておられるならおかしいし、やっぱり本当に捜査に重大な障害があるんだと、そのおそれがあるから待ってくれと、しかも待ったところで、二カ月待った先へ行ったところで、後でまたできるではないか、刑事責任の方は時効があるけれども政治責任の方には時効もないんだと、そういうことで待ってくれという気持ちはわかるんだけれども、その技術的な理由といいますかね、こうこうこういうことで、捜査の中身の生のものをすぐ聞かせろとは言いませんけれども、いま少し国民がわかりやすいように。そうでないと、きょうの午前中の質問答弁を聞いていても、やっぱりこれまあ自民党だから、自分の仲間を引っ張り出されるのはかわいそうだからというようなことに、こう思っちゃうんですよ。それはね、そうじゃないんだという、もう少し国民にわかりいいように、そういうことを私は感じましたので、ひとつ総理はちょっと時間もないからあれだけれども、場合によったら局長でもいいけれども、もっとわかりいいようにしなきゃだめだと思うんですよ。
  25. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 前提といたしまして、国政調査権というものと捜査権というものは、いわば憲法下において並び立つ権限でございます。したがいまして、双方の権限が同じ対象に向かって立場は違っても向けられる以上は、相互に支障を生ずることは避けられないことかと思います。そこで私がこれから申し上げますことは、先般衆議院ロッキード問題に関する調査特別委員会の理事会で捜査支障があるかどうかということについてお尋ねを受けましたときにお答えしたことでございまして、あくまでも捜査権の立場から、その立場を一〇〇%の便宜を図るとすればどういうことについて国政調査権が並び行われるときに支障を生ずると考えられるかということを申し上げたわけでございまして、決して調査権発動をやめてくれという要求などをしたつもりはないわけでありまするが、そういう前提でお聞きを願いたいのでございますが、一〇〇%に捜査側の便宜ということを考えますならば、具体的な問題でどの事件についてどうということではございませんが、一般にこれがいままでの経験上から、今後予測される一つの障害として考えられますことは、先に国会証人喚問があるといたしますと、今後検察庁が取り調べようとする関係人がその証言に口裏を合わせるおそれがあるということは真相解明のための支障になるのではないかということが一つ考えられます。  それから、これはその後起こったことでございますが、本日アメリカでは証人尋問が現実に開始されたと報告を受けておりますが、そういたしますと、たとえば本国会において公開の場で国政調査としての証人喚問がなされました場合に、私どもの知っているところでは、この日本国会内の動きその他は直ちにロサンゼルスにキャリーされているということがうかがわれますので、いま始まっております証人尋問におけるアメリカ証人の尋問に対する証言に何らかの影響を与えるのではないかということが、これは公開で行われるがゆえに、やはりそれはすぐにキャリーされるということから来る一つ支障ではなかろうかということが考えられるということ。  もう一つは、公開の場で行われるがゆえに、やはり事柄によりましては当該証人が、たとえば卑近な例として金銭の授受というようなことについて聞かれた場合に、公開の場ではとても言えないというような事柄があろうかと思われますが、これは捜査密行ということで、捜査段階において非公開の場で取り調べを行った場合には言えるような事柄も公開の場では言えないということもあろうかと、人情としてあろうかと思われますが、そういうことがやはり先行されますというと、捜査段階に入りましてから、その国会における証言に拘束されて、実は本当のことではないと思われることが、本当のことを究明することの支障を生ずるおそれもあるということが支障として考えられることでございます。  あともう一つは、これは捜査が先行いたしまして、国会証言が後からいく場合におきましては、それは国会における尋問の仕方の問題ではございまするけれども、検察庁でどういうことを調べられてどう答えたかというようなことが往々にして聞かれるおそれがありますということは、私が国会で聞かれましても申し上げかねる事柄が、証人の口を通じて公にされるということは捜査支障になるというととも考えられる、というようなことを私ども現在では、捜査権の側の利益を一〇〇%主張するというならば、そのようなことが支障になるのではないかというふうに現在では考えておる次第でございます。
  26. 秦野章

    ○秦野章君 いま確かに技術論だから細かくなるのですけれども、よくこいつを総理理解されないとやっぱり納得いかないんじゃないですかね。よくひとつ理解して、あらゆる機会に、もしどうしても捜査の重大な障害になるというおそれなら、国会が節度を持って遠慮をするということもやむを得ない、こう私は思うのですけれどもね。しかしそれは理解をさせなければだめだ、こう思うわけですよ。これは要望をしておきたいと思いますが。  総理にちょっと。私はもう時間がなくなっちゃったのだけれども、十五分しかありませんから。解明がされない限り、一切の政治日程が決められないということをいろいろな機会のときに総理はおっしゃっておられますけれども、一体それは具体的にどういう意味なのか。特に臨時国会の問題があるわけですけれども、私どもまあ国会へ出てきて、国会というところはあんまり仕事をしないところだなと、出てきたら途端にストみたいなかっこうになっちまうのはどういうわけだろうと、こう不思議に思っているのですけれども、やっぱりやるべき積み残し法案、財政特例法等いろいろあるわけですから、臨時国会なんかでも、やっぱり解明されなければ開けないとか、そんなことはないんじゃないか。やっぱりロッキードはいま司法が中心にやって、後から政治責任追及をやるという段取りさえあれば、それはきちっとしているのだから、国会国会でその機能をフルに発揮しなければ国民に対して申しわけないんじゃないか。積み残し法案がないのならいいですけれども、いっぱいあるのですから、それは責めを尽くしたことにならない、こう思うのですけれども、解明されなければ余り政治日程ができないというようなことが何遍も新聞等に出ておりましたので、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一体ロッキード事件というものがどういう一つの内容のものであるか、これを解明されたときに院内外に対してどういう反響を呼び起こすかということはいまから予測できませんから、やはり本格的な政治日程というものは、いまから予測のできない事態を仮定して、そして政治日程というものをいろいろつくり上げるということは困難が私はあると思う。ただしかし、臨時国会の問題につきましては、一方において解明は急がなければならぬですけれども、一方において先般予算との重要な関係を持つ財政特例法とか、運賃・料金の値上げなどもございますから、両方のやっぱり要請があるわけですね。解明は急がなければならぬ、一方においては積み残しの法案というのはできるだけ早く議了しなければならぬ、この両方を踏まえて臨時国会は開かなければならぬことはもう当然でございますから、いつ開くべきかということをいまは真剣に検討を加えておるわけで、これにはやっぱりロッキード事件捜査の進捗状態も全然無視するわけにはいかぬですよね、これは。それを踏まえて、しかしまた秦野議員の言われるように、これが全部終わってしまって臨時国会ということになれば、相当臨時国会の時期もおくれてくる、そういう点に実際これは二つの要素というものを踏まえて、臨時国会の召集の時期というものは非常にむつかしい問題を含んでおるわけで、いまここでいつ政府は召集したいのだという的確な時期を申し上げるまだ結論には達していないわけでございますが、秦野議員ロッキードロッキードだけれども、積み残した法案の審議もおろそかにしてはいけないという御趣旨はよくわかります。そういう二つの要請を踏まえて適当な時期に臨時国会を召集したいと考えておる次第でございます。
  28. 秦野章

    ○秦野章君 時間がなくなりましたから一言だけ最後に。  ちょっと私どもにわかりにくいお話なんですけれども、証人喚問を控えてくれ、控えましょう——ロッキード委員会は存続しますけれども、それは限られた委員会として存続するだけですね。だから、国会を開くということがロッキードの進展と私は関係ないと思うんですよ。仮に国会議員に被疑者が出れば、国会中だってちっとも構わないんですから。むしろそういうことを余り顧慮されることが、政治捜査というものに何か非常に関係が深いみたいな印象を与えるだけ、私は損じゃないかと。司法権の自律と言いますか、準司法権の立場で検察捜査が動いているというときには、政治というものは関係ないんですよ。少なくともやっている方は関係ないと思っていますよ。こっちだけが関係ある関係あると思っているんだけれども、さあ果たしてそれはどんな関係があるんだろうかといってみると、別に証人も呼ばないんだし、それで普通の委員会はやるんだと。国会国会でもってやるべきことがあるならどんどんやるということでないと、私は国民理解しないと思うんですよ。私は、ちょっと総理お答えがわかりにくいんですけれども、最後にちょっとそこのところを、いまちょっとはっきりさしてもらえれば私はこれで終わります。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 実際の政治論としまして、ロッキード問題というのはこれから核心に入るわけですね。いろいろなことが進展する、ロッキード事件真相解明というものが一番核心に入った時期というものの国会の召集というものが、実際国会のその場合の運営というものを考えてみて、適当であろうかどうかということは、いろいろ判断をせざるを得ないわけなんですね。だから一応のめどがついてやることが、国会運営としては法案の能率的な審議をしていただけるのには好ましい環境であることは間違いがないですね、その場合が。そういうことで、ロッキード真相解明、その問題が核心に入りつつあるという時期、そういうものは、まあそのさなかに国会を開いて、そしてわれわれの願いは財特法、運賃・料金の値上げですからね。環境として果たしてその法案の審議の能率的運営というものが可能であろうかという点も配慮の中にあるわけでございますが、しかし秦野君の言われる意図もわからぬわけではないわけです。したがって、臨時国会の召集というものについては、いろいろな要素を頭に入れて、その時期というものは十分考慮をいたしたいと考えております。
  30. 黒柳明

    ○黒柳明君 嘱託尋問、また証人喚問につきましては午前からいろいろ話があって、それこそ答弁は変わらないと思いますが、一言私も触れざるを得ないと思うんです。  現行法の中でこのファーガソン裁定を何とか検討したいと。ですけれども、私たちきのうの法務大臣または刑事局長の答弁を聞きましても、非常に無理でむずかしいこと、これが前提であることも、これは事実であります。となりますと、いまから先を読むのも失礼ですけれども、何か国内捜査では最大の努力はしたと、だけどアメリカ証言が得られないんで、実際的にこちらが入手できないんで、まあこの程度で、というようなしりつぼみの原因を、結果を向こうに転嫁するような、こういう可能性を私いまから心配せざるを得ない。  さらに、証人喚問につきましても、三木・椎名政変のときには、何か国民世論をいろいろ見ますと、椎名さんの方に若干の分の悪さがあったんではなかろうかなという私なりの感触があった。ところが、やっぱり総理総裁としてあくまでも証人喚問、幾ら捜査の妨害と言ったって、これはもう自民党の中だって、そんなことないという意見も現にあるわけですし、これをあえて拒否するということはもうロッキード隠しと。いままで三木さん寄り、サイドの方と言われてたような、ある意味でのね。そういうことをもろにこれからもう三木総理大臣総裁が受けざるを得ないと。それも甘んじて受けざるを得ないんだという心境に立っているんでしょうか、いかがでしょう。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その御心境は是正をしてもらいたい。それは何かと言えば、これはやっぱりロッキードのそういうことが、捜査としては、真相解明を迅速にするためには、まあ好ましいのではないかという意見を申し述べておるわけで、これで立法府の決定を拘束する考えはないと、だからひとつそういうことも頭に入れて御理解を得たいと言っておるわけでございます。またもし、しばらくの間証人喚問というものが多少延びても、やはり刑事上の責任追及が済めば、もう政治道義上の責任追及はこれで終わりというわけではないんでありますから、大いにそういう場面もあるわけでございますから、したがって、これでロッキード事件をうやむやにするために言っておるのではないと、そういうことでございますから、私自身がロッキードをうやむやにしようという意図はないのですから。そういうことをすれば、今日まで私が発言しておることというものを裏切ることになって、そういうことは私にはできないことでございますから、その真意というものがこれは証人喚問をうやむやにしようとするのではないんだと。もし、そういう御理解を得ても、しばらくの間延期するだけのことであって、そのことがロッキード問題に対する政治責任追及の場を、何かこう、逃れようとする、そういう意図は全くないということだけは申し上げておきたいのでございます。
  32. 黒柳明

    ○黒柳明君 そういうお言葉ですけれども、明らかにその自民党サイドからの証人喚問に対する両院における特別委員会の理事会の話の過程において、国民世論というのは自民党ロッキード隠しと、こういう世論が強まっておることも、これは総理、御存じのことだと思います。  そこで、私、若干視点を変えて総理に聞きたい、聞きたいと思っていたこと。御存じのように、当委員会PXLを中心にやってきました。四十七年の十月九日、あの例の国防会議議員懇談会から議員会議に移った了解事項について、もう核心に触れる一歩手前まで、証人の方のいろんな発言で、全貌は明らかになりつつありました。当然、あの四十七年十月六日、九日の直前の国防会議議員の懇談会、それに前後して幹事会が一週間ありまして、いわゆるT2改の国産か輸入かについてがたがた論議して決まらなかった、こういうこと、もう承知のとおりであります。そのときに総理を補佐する副総理として、あるいは国防会議の議長を補佐するあるいは副議長格としても一応三木さん出席していたわけです、十月六日。これはもう間違いありませんでしょうな、十月六日の国防会議議員懇談会の出席は。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 間違いありません。
  34. 黒柳明

    ○黒柳明君 それでそのときに、あのPXLについてはもう論議はなかったわけで、これははっきりしたんですけれども、T2改、T2シリーズについて論議があったんです。その十月六日の閣議から国防会議議員懇談会に移ったわけです。十月六日は、出席なされていたわけです。そのときにT2改について三木総理は、当時副総理は、どういう発言をなされておりますか。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あのときの記憶は私にも詳細な記憶はありませんが、しかし、こういう問題はひとつ専門委員会で検討しようというような結論で、あの国防会議は終わったのだというふうに記憶をしております。
  36. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十七年十月六日のことです。もう足かけ三年半になるわけですから、正確に記憶しろと言っても無理だ。だけど、逆に言うとPXL白紙還元、さらには一晩にしてというより、わずか数十分にして、いわゆる田中総理相澤さん、後藤田さんが一片のメモで変わったんです。そして海原さんまでもおやおやと思って驚いたPXLが入ってきた。そういう過程にいて、もうここで論議していること、これはもう知らないというわけにまいりませんよ。真相解明に対して、究明に対して、それこそ真剣に取り組んでいる、その総理としてそれはもう十二分に知っている。と同時に、記憶がというのは——まあこれは証人じゃありませんよ。証人は、知らぬ、存ぜぬ、記憶がないと、こういう一つのおもしろい言葉、比喩になりました。三木総理として記憶がないなんて、ちょっとこれは……。私は、証人のことならば、これは言ってもうまくない、言わなくてもうまくない、知らぬ、存ぜぬ、記憶ないと、これでよかったでしょう。これはうまくないんじゃないですか、記憶ない、しかも専門家会議というのはPXLのことでありまして、T2改は——専門家会議ですか。まさか、失礼ですけれども、基本的なことまで総理知らないとか、勉強してないということじゃないんじゃないですか。済みません、もう一回。記憶はしてないということはないと思います、これだけの大変なことですから。あの六日から九日まで大論議があったんですから、その当事者ですから。いま少ないんです、いる人が。前総理が出ないんだからしょうがないですよ、そのときにいた人に聞くよりね。証人に。それで後藤田さん、相澤さん出てこないんだから、三木総理と  ……。もう一回ひとつ、記憶にないとは言わせませんわ。思い起こしてください、何をおっしゃったか。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国防会議というものはそんなに議論をした……
  38. 黒柳明

    ○黒柳明君 議員懇談会です。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 議員懇談会は議論をしたわけではないので、一応事前に、こういうふうに持っていこうという段取りはできておったと思いますよ。そういうことで、それを説明して了承したということで、いろいろな議論をやりとりしたのであれば、それはいろいろな記憶がありますけれども、そういうふうなことではないわけでございますから、決定に対して了承をしたということでございます。
  40. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、そこまで話はいってない。十月六日の国防会議議員懇談会で三木総理が発言しているのです。それについてどんな発言だったか。記憶がないといったって、これだけ重要な問題ですからね、そこから導火線になって九日の了解事項、それに対して与野党含めて真相解明三木総理もエアバスと一緒にPXL真相解明。まさかエアバスだけではないでしょうな、ロッキード全部含めているでしょうな、児玉だってこれに絡んでるんですからね。そこでそんな発言しましたか。T2改についてはどういうふうになっていましたか、その当時は。T2改はどうなっていましたか、その当時。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国防会議のその記録をもう一遍読み返してみれば、もっと鮮明になると思いますが、簡単な会議でございますから、私は一々そのときの事情というものを、いまこう突然の御質問でございますし、記憶の中に鮮明ではないのですけれども、記録を見れば鮮明にそのときのことがよみがえってくると思いますので、これはよく記録を読んでみることにいたします。
  42. 黒柳明

    ○黒柳明君 記録って何の記録ですか。記録あったらまた出してもらいますから、ひとつ教えてください、どういう記録があるのか。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国防会議のいろいろの議事録があるでしょうから。
  44. 黒柳明

    ○黒柳明君 失礼ですが、それはないんです。ここでさんざん論議したんです。記録はないということで提出いただけないんです。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そのときの国防会議の議長も出ておりましたし、そういうことでその記録はないにしても、そのときの模様というものは詳細に知っておる者があるわけでございますから、それはもう少し詳細な経過を聞いて、そうしてそのときの記憶をよみがえらすことにいたします。
  46. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、田中総理出してくれと言って、出ないんじゃないですか。海原さん出した。密室での会議はわかんないんです。懇談会での話、わかんないんです。だから、わかっている三木総理にどういうことを言ったか——言いましょう。いいですね、私ね、いまこれちょっととんちんかんの質疑ですよ。これだけ重要なPXL解明だけど、三木総理、余りそれについて関心ないみたいですな。どういう発言されたか、記録がある。記録というのは懇談会の。会議の記録はないんですよ。ちゃんとマスコミが各紙全部とっている。それについてどういうことかといいますと、T2改については国産国産と言う必要ない、輸入も考えるべきじゃないか、議長である田中総理も当然そうだ、国産第一主義なんか必要ない、輸入も考えろや、こう言っている。思い出しましたか。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 懇談会では、何かやっぱり国産というものが、初めから国産というものに決まっておって、そいつをまた白紙還元というふうに言われておりますが、何か初めからもう国産だということにきまっておったことではなくして、そしてだから、白紙還元という言葉も、何かそのときの会議の記憶からすれば、正確でないのではないかというような気がするんですよ。初めからもう国産でやるということでやったんではなくして、そしてやはりこの国産と輸入というものの議論がずっと続いておって……
  48. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構ですから。いまの発言されたということについて。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それに対してまあ強くはうたってないんで……
  50. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がないので。
  51. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 何か国産化ということになると時期的にも莫大な金もかかるし——この場合には国産の方が便宜なんではないかというような議論もあって、そういうふうな国産の方が時期的にもあるいは国費の支出のような場合にも、何か輸入の方が、非常にその方が便宜だというふうな話もあったと思いますので、そういうことならばその問題も検討したらどうかというような話はあったと私は思います。
  52. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは期せずして前田中総理も当然三木総理も、輸入を考えてみろ、国産第一主義なんか必要ない、輸入も考えろ、こういうことなんです。こういう発言している。記録がないんですから、これ、どうしようもないじゃないですか、間違いないんですよ。ところが、私たちさんざんここで証人を呼んだりなんかして究明して、そこで疑惑が残ったのは、大蔵と防衛の国産と輸入。防衛は国産、大蔵が輸入。これに対していろいろまとまらなかった。幹事会一週間過ごしたけれども、どうしようもなかった。十月八日日曜を使ってもまとまらなかった。それで島田さんが後藤田さんのうちを訪ねたり、海原さんが訪ねたりして、八日の晩。それから九日の朝に増原長官田中総理のうちへ行ったりして、九日です、問題は。急にT2改は国産、こういう案がいわゆる三者会談で出てきた。田中総理相澤後藤田さん。そうしてそこにPXL白紙還元、輸入も国産も考えろというものが出てきた。これに対して当時の事務局——そうじゃない、そんなことは首ひねることはないですから、それは事実関係ですから。何も私が言っているのではない。事実関係。海原さんがこれはおやと思った。全く議論も何もされてないPXLが何で出てきたのかとおやつと思った、驚いた。こういうことなんです。それに対して三木さんは、海原さんがその了解事項の文書を書かして読み上げたときに、うなずいた。うなづきましたね、了解を与えたということですな。了解事項に対してイエスと言った。ちょっと……
  53. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ見てきたようなことを言って、(笑声)人がうなずいたとかなんとか、どういう——記録というのは見せてもらいたいですね。
  54. 黒柳明

    ○黒柳明君 海原証人の発言、議事録ありますよ。
  55. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だから、その何かうなずいたとかなんとか……
  56. 黒柳明

    ○黒柳明君 うなずいたと議事録が……、海原さんが言ったんだ、うなずいたと。
  57. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はこの問題に対して深く前から相談を受けたわけではないんです。その場合にいろんな話をして、いろいろ話も輸入とかあるいはまた国産とかいうような場合に、決まっておるのではないのですからね、国産と。決まっておったわけではないわけですから。
  58. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま言ってるのは九日のことを言っているんですよ。了解事項の案文を読んだときに。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことでいろいろ検討してみたらどうかというような発言は確かにしたと思いますが、何かその場合にうなずいたとかなんとか、その場を見たような発言というものは、その信憑性というものは、どういう記録をもっていま……
  60. 黒柳明

    ○黒柳明君 海原証人が言っている。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 海原君が言ったことがすべてその場合を正確に記憶しておるか、考え違いもあるでしょうが、うなずいたとかなんとか、いかにも……
  62. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、うなずかなかったんですか。
  63. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはうなずいたかうなずいてないか覚えてはいないですけれども、この問題について私は前もって知識はないですよ、これはね。その場合にいろいろな説明をしておったから、そういう場合にはいろいろな角度から、とらわれないでひとつ考えてみたらどうかというような発言は確かにあったと思いますよ。それは何も深くこの問題に、どれをせんならぬというような角度でなくして、日本の自衛隊の一つの装備の充実という点から、国益を踏まえて、そうしてその方が便利だというものをとればいいんだという発言で、どこへ結論を持っていかなければならぬということは初めから考えた発言ではないということである、それは。自衛隊のことを考えて一番いいことを、一番適当だと思う方法をとればいいという発言であって、それに特別の意味を持たすような、そういう意図を持った発言ではないということでございます。
  64. 黒柳明

    ○黒柳明君 ここの六日の発言はいいです。私もうこれ示したんですから。九日のこと、海原さんが了解事項の文案を読んだときに、海原証人いわく、全議員がうなずいたと。ということは了解したということですよ。了解しなかったら決定にならないじゃないですか。それに対していま三木総理は、そんなことは前からおれは知らなかったんだと、深い知識なかったんだと、何か説明があったからまあそっちの方に行くならば行けという非常に浅い単純な漠然とした気持ちで了解事項に賛成をしたと、こういうことですな、いまの発言は。前から知識なかった、これ重大問題ですよ。全然知識なかったんですから、こういうものについて。それは全然知識ないものを田中さんと相澤さんと後藤田さん、それで輸入論である相澤さんの大蔵省の意見が出てきたんだろうという証言もあったんです。そこに問題があるんですよ。何にも議論がなかったPXLが突然出てきたんです、了解事項で。それであくまでもここでの証人の、最後はいや懇談会で決まったんです、田中総理の案じゃないんです、あくまでも議員懇談会で了承を得たんですからと、これが全部の人の一致した発言なんですよ、長官含めて。その中にいる三木さん、それは予備知識がなかった、知らされてなかった、だけどそこで何か説明があったから、まあその方向に行けばいいんだろうというような、全く単純、浅識——失礼ですけれども、即断的に何となく、海原証言いわく、うなずいたと、いわゆる了解事項に賛意を示した、こういうことですか。こんなものでPXLが入ったんですか。だから疑惑だというのです。
  65. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 疑惑も何もないですよ。そんなもので疑惑を持つ、疑惑と言うことは間違いである。ただ、その懇談会の場合にいろいろな説明があって、そうしてうなずいたかどうかは覚えてないが、それだけやっぱり説明があって、そうしてその説明というものが恐らく懇談会の連中がそれはもっともだと思ったのでしょう。そういうことになったわけでございまして、その国防会議というものは副総理だからといって副議長でもございませんし、一メンバーであるわけですから、事前にこういう問題に対して十分な説明を受けるというよりかは、懇談会の席上で説明を受けるわけですから、これに対して私が判断をするということは、当然メンバーの一人でありますから、そういうことで恐らくうなずいたかどうかは知らぬが、その説明というものが了承できるものであったんでしょう。そういうことで、その場合にそれに対して異議を申さなかったという結果だと思います。
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がありませんからね。そうすると、三木総理、もう過程については私言うまでもないんです。国産、輸入決まらなかった。大蔵、防衛の対立があった、T2シリーズ、T2改にしても、さらにそれだけじゃなくて急にPXLが出てきた。これについて全く予備知識も何もないで賛意を示した。前の晩まで決まらなかったんです。そのT2改が国産ということで出てきた。それに賛意を示したらばそれに対しての三木さんなりの賛意を示す論拠があったんでしょう。全く幹事会でも懇談会でも話題にもならなかったPXL。防衛庁は国産化を目指して進んできた。それが急に白紙還元と、輸入も専門家会議を含めて検討しろと、ぽこっと、事務局長でも驚くようなものが出てきた。これに対して賛意を示したということは、三木総理なりに賛意を示す根拠があったんでしょう。その根拠を言ってください。
  67. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは恐らくその時の判断としては、なかなか決まらない、それで専門家がこの問題に対して検討をして、そうしてこれに対して結論を下すことが適当だということだったんでしょう。長いことやっても決まらないような問題をその場で決めるわけにはいかないでしょう。だから専門家を入れて、専門家が十分に検討してその結論を出そうじゃないかというような説明があったら、それはもっともだなと考えることはいま思っても当然のことだと私は思いますよ、それはね。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 T2改の国産は。PXLはいいですよ。T2改の国産。
  69. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だから、いま言ったようなその国産化するものはし、国産化と輸入と決まらぬものは専門家で決めると、こういうふうな説明というものは、聞いておって、まあもっともだと思ったから賛意を表したものだと思います。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 委員長、検討してください。政府委員を出しますと、現職の人が説明しますと、答弁しますと、当時の人を引き継いでいるんですからと、事務手続ですね。そうなると、いまくしくも総理大臣おっしゃったように、その時に国防会議議長も出ているんだからとおっしゃったですな。田中総理ですよ。その前総理の職責を現国防会議議長が受け継いでいるんですからね。だから私はもう一回——やっぱり十分や十五分じゃこの問題煮詰められない。最後総理のお話の中に、答弁の中に、まあくすくす笑いが聞こえたでしょう。三木さん、この解明するという発言、全く何も事実関係知らないじゃないかという、私の耳にはそういうくすくす笑いに聞こえた。それは三木さんには、ほめている、非常に激励の笑いに聞こえたかわからない。これはもう見解の違いでしょう。私にはそう聞こえた。少なくともこの場で真剣に論議して暑さの中でやっている人が、それは三木総理みたいに、そんな変な…。事実関係何も知らないんです、失礼ですけれども。だから、事務手続を引き継いでいるなら、現国防会議議長としての、もう一回三木さんに出ることを理事会で検討してもらいたい、お願いしますよ。  と同時に、最後に一言。済みませんね。この事件と全然関係がないといういろんな推察があるんで、田中総理の資産の公開、やらすやらすといって三木さんが総理になってから言明して二年半、全く手がついていないんですな。ひとつ、この問題に関係あるのかどうか私個人にはわかりませんよ。だけど、いろんなところではやっぱりまた悪いうわさが立っている。ひとつ、もう二年半たってるんだから、この資産の公開ぐらいは、国民の前で約束したことだから、やってくださいよ、どうですか。いまの、いいですな、委員長、終わったらひとつ検討のこと。
  71. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは私がしばしば言っておるとおりですよ。田中総理自身もいま専門家でいろいろ検討さしておる。それで、これは専門家の検討が終わればすると言っておるんですから、本人がこれは国民の前に、すると約束をしたわけですから、それは時間はかかっておりますけれども、やるものと私は期待をしておる。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ十年ぐらい待つですな。  委員長、済みません、それじゃさっきの理事会の検討をひとつ……。
  73. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 理事会のことはいたします。
  74. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ロッキード隠しの策謀がこれまで何回も行われておりましたけれども、いま日米両国で重要なロッキード隠しの動きがあると思います。一つアメリカ嘱託尋問の難航であります。この問題については、われわれは日本ロッキード問題の真相をどれだけ真剣に追及するかということが非常にかかわりがあると思います。御承知のように、アメリカでは国会調査権が非常に強くて、ウォーターゲート事件にしろ、ロッキード問題にしろ、CIA問題にしろ、国会が徹底的に追及している。たとえばウォーターゲート事件の場合には決定証拠となったニクソンの録音テープ、あれは国会調査の中で証言が出て、録音テープの存在が明らかになったほどのものであります。そのアメリカ国会並びに政府に対して、このロッキード問題の真相追及に対する積極的協力日本国会並びに政府が要望するんだとすれば、日本国会自身がこの問題について徹底的に積極性を示す必要があると思います。ところが、肝心の国会議員を含む証人喚問をこれほど引き延ばしておいて、実際には中断している、そういうふうなことをしておいて、アメリカに対して積極的協力を望む根拠をみずから失うものになると思いますけれども、首相いかがでしょうか。
  75. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうふうに私は思っておりません。
  76. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうではなくて、日本疑惑に包まれている高官国会の野党そろって要求しているのに、その証人さえ喚問しない。つまり犯人を自分で隠しておいて、他人にひとつ捜してくれ、捜してくれというようなことになるのではないかと言うのです。三木首相はかつてフォード大統領あての親書の中でこう述べている。「その関係者名前が明らかにされず、この事件がうやむやに葬られることは、かえって、日本民主政治の致命傷になりかねないと」、そういう「致命傷になりかねない」ことを、いま自民党は、あなた総裁なんですよ、そのことをおやりになっているんだと思う。その点どうお考えですか。
  77. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題は、私はしばしば言っておるように、隠そうというんでないんですからね。いましばらくの間そういうことを延期をしていただければ、捜査当局としてもまあ捜査支障があるのではないかというような懸念がなくなるからということを言っておることで、そういう捜査段階に対して国会で御理解を願えればありがたいんだがということで、それ以上は国会意思でございますから。そういうことを言っておるので、あるしばらくの時期の延期ということでございまして、これをもう証人喚問というものをもういつまでも引き延ばして、そうしてこれを全然証人喚問というような事態を葬り去ろうという考えではないわけですから、その意図が迅速に真相解明、ことに刑事責任追及ということがいま核心に入りつつあるんですから、これにまあいま全力を尽くすという点について、こういうことがあった方が真相解明に対しては非常に役立つということを申し述べておるわけでございまして、証人喚問をこれをずっと引き延ばすという意図ではないわけでございますから、いま上田君の御指摘のような杞憂は当たらないと私は思うわけでございます。
  78. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相はいま捜査核心に入っていると申されましたが、参議院は御存じのようにP3C問題について究明しておりますが、P3Cの問題についても捜査核心に入っているんですか。
  79. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは先ほど刑事局長から、いま捜査の内容に触れてはこの段階で申し上げかねると申したのでございますから、そのようにひとつ御理解を願いたい。
  80. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや捜査核心に入っているから、しばらくの間証人喚問を差し控えてもらいたいと、参議院はP3Cをやっているのですから、そうすれば、もしP3Cについて捜査核心に入っていなければ、証人喚問しても何ら捜査支障にならないはずです。いかがですか。
  81. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは証人喚問というものについて全般的なことを申し上げたわけでございますが、P3Cの問題などについても、これはいまどういうふうに捜査当局段階がなっているかということを申し上げることは、これはできないという、こういう司法当局の意見でございますから、こういう問題に、個々の問題について具体的に申し上げることは適当ではないと思いますが、全般として捜査はまさにいろいろな問題について核心に入っておると、こう見なければならぬと思います。
  82. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、われわれはいまP3Cをやっているのですから、捜査は全般としてとか、状況については私は知らぬと、安原刑事局長の言うとおりだというようなことでは、参議院相澤大蔵省主計局長や、後藤田当時の官房副長官、あるいは田中前首相を呼んでは困るという理由にはならないわけです。  安原刑事局長、この三人について事情聴取、あるいは取り調べをしたことがありますか。あるいは今後する予定がありますか。
  83. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御理解いただけると思いますが、そういうことは申し上げるわけにはまいりません。
  84. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 安原刑事局長、P3Cについても捜査核心に及びつつありますか。
  85. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほどPXLについて核心に入っているかどうかということについては申し上げるわけにいかぬと申し上げたことは、PXL一つがP3Cでございますので、申し上げるわけにはまいりません。
  86. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまこの委員会でわれわれが要求しているこの三人の人ですね。この三人の人を将来呼ぶことがないとすれば、捜査当局が調べることがないとすれば、これは捜査と全く無関係にわれわれ委員会証人喚問できるわけですから、この捜査支障があるとあなた方が判断する理由は、相澤後藤田田中の三氏を、過去あるいは現在、未来にかかわらず、捜査の対象としているということを意味すると思いますが、安原刑事局長、いかがですか。
  87. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ですから先ほど来申し上げておりますように、捜査当局としては、最終的にそれが支障があり、国政調査権として抑制すべきかどうかということは国会で御判断いただくことであるという前提で、捜査支障のある場合として一般論を申し上げたわけでございます。
  88. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれは一般論をやっているのではないんです。あなたは先ほど幾つかの事例を申しましたけれども、具体的にここで問題になっている相澤後藤田田中の三氏を、われわれがこの特別委員会証人喚問することは、このロッキード問題に関する捜査に具体的に支障になるのですか、この点はっきり具体的にお答えください。
  89. 安原美穂

    説明員安原美穂君) その三氏についての捜査上の支障を申し上げることが捜査の内容を申し上げることになるので、そういうことは遺憾ながら申し上げるわけにはまいりません。
  90. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それを言うことが捜査支障になるというと、どうもこの三人は捜査の対象になっているという一般的な推定が成り立つであろうと思います。  次に、もっと具体的に聞きます。この三人をここで喚問することは、われわれが取り上げておりますこのPXL問題の事態を解明するのにどうしても不可欠になりました。私はもう詳しく繰り返しませんけれども、先ほどから問題になっております十月九日の議員懇談会で、その前の三者会議白紙還元問題と専門家会議の設置をどうも田中前首相がツルの一声で決めたようであるという疑惑が出ております。ところが、重大な問題は、わが党の神谷議員がこの委員会で取り上げましたけれども、たった二日後の十月十一日に外人記者クラブで、田中首相は、ニューヨークタイムズのハロラン記者の質問答えて、対潜哨戒機については輸入にウエートを置くと、そう述べております。テープも現存しております。そうしますと、二日前に田中前首相はそういう技術的な細かな問題はわしに決めろと言っても無理だと、わからないから専門家会議に検討させろということをしたわけで、いま黒柳委員質問に対しても、首相が当時賛成したのもそのためだというふうに言われました。そうしますと、私はわからぬから、輸入か国産かわからぬから専門家会議にしろということを田中前首相は言ったはずなのに、二日後には輸入にウエートを置くということを言っているのであります。しかも十一月十日の参議院予算委員会では、国会でもそのことを、アメリカから飛行機を買いたかったということを明言しております。そうしますと、十月九日の田中首相の発言は実はうそだったと、腹の中は輸入にウエートを置いていたのです。ところが、そのことを隠して、何もわからぬから専門家会議の検討に任すということを言っている疑いがきわめて強いのであります。この問題については、坂田長官が六月八日に、白紙還元が原則だけれども、当時田中総理は輸入にウエートを置いている気持ちがあったかもしれないということを防衛庁長官自身がはっきりと認めているのであります。そうなりますと、どうしても後藤田相澤氏だけでなくて、どうしても国防会議議長の田中前首相をこの委員会喚問しなければ、この事態の解明は事実上むずかしいということは明確だと思います。ですから、われわれはこういう事実をはっきり挙げて田中首相の喚問を要求しているのであって、なぜこのことを明らかにすることが捜査支障になるのか、ひとつ首相、はっきりお答えください。
  91. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど来たびたび申し上げておりますように、具体的な問題について捜査支障のあるということは一度も申したことはございませんし、そのことを申し上げることは捜査の内容にかかわることにもなりますので、一切具体的な問題についてはお答えをいたしかねます。
  92. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相にお伺いします。  田中前首相は、四月の二日、田中派七日会の臨時総会に出席して、ロッキード事件について疑惑を一切否定しました。当時、「私の所感」という膨大な文書を発表しております。このPXL問題についても一切私については疑惑がないと彼は言っているのであります。そうだとすれば、この委員会喚問に応じて身の潔白を主張するのは恐らく田中氏の希望であろうと思います。彼は田中金脈問題について国民全体の前でこれを明らかにするという約束を果たしながらいまだに果たしておりません。ロッキード問題についてもこれだけ疑惑が集中して、田中派の臨時総会でこういうことを言っておいて、なぜ国会証言することができないのか。その点では、もし彼が本当に潔白ならば、ここに出席させて弁明の機会を与えるのが自民党総裁としても、あなたの前任者に対する配慮としても必要であると思いますが、総理、あなたは田中前首相に会ってこの委員会喚問に応じたいかどうかということをひとつお聞きになるつもりはありませんか。
  93. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、私が先ほどから申し上げておるように、こういう段階証人喚問というものは捜査の今後の進展に支障なしとしないという点で、証人に対してしばらく延期してもらえないかと言っておることでございます。それは、この人間だけはその一般論から除外ということで申しておるわけではないんですけれども、政治家は適当な機会に自分の責任をやはり明らかにするような機会は当然に持つことがあると思います。
  94. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれは、P3C問題についても、トライスター問題についても、当時の田中総理がこの委員会出席して、彼の口から彼しか知らない事実をどうしても聞く必要があります。十月九日の三者協議、あるいは議員懇談会の中身についても、あるいは檜山氏とか若狭氏とかの会談の中身についても、田中・ニクソン会談についても、コーチャン氏との関係についても、彼しか知らない事実を、国民にかわって国政を信託されているわれわれとして、この特別委員会としてあくまで究明する必要があります。  コーチャン氏は当時八月二十日から十一月三日まで十一週間にわたって日本に滞在していました。十月九日の国防会議、あのあれを見て、十月三十日のトライスター決定、これを見て、十一月一日に丸紅とP3C契約を結んで、十一月三日に帰国しているのであります。わが党の橋本議員が二月の十八日にアメリカでコーチャンと会見した際、彼は重要な発言をしております。田中角榮氏にどこで会ったかと、事務所で会った。だれの紹介で会ったか、丸紅だと。あなたは何回田中氏に会いましたかという問いに対して、彼はファイブ——五回と答えました。で、橋本議員が驚いて、えっ五回ですかと聞いたところ、大変あわてて、田中氏のことですか、一回ですと言い直しております。これはコーチャン氏と田中氏の関係についてであって、コーチャン氏についてはこういう疑惑が出ておりますが、このことについてもわれわれは、田中氏に一体何回会ったのか、どういう話をしたのかということをも追及したい。で、田中氏が潔白だと言いながら出てこないとすれば、重要な問題は、議院証言法に反する偽証の罪を彼は恐れているのではないかという疑惑が当然生まれてまいります。  安原刑事局長は、国政調査権捜査権との関係の問題についていろいろ言われましたけれども、これまでの経過全体を見るならば、大久保氏の逮捕あるいは伊藤氏の逮捕で、偽証の疑いでの逮捕ということが進んでおります。あれは国会調査権がいかに事件解明に役立っているかということを示しております。そしてこの偽証の問題は、議院証言法の第六条で、三カ月以上十年以下という懲役の強制力をもって本人に言わせるわけですから、本人がここに出てきて議院証言法に基づいて真実を証言すれば、これは捜査にプラスになります。そして、もしうそを言うならば、今度はこの偽証による逮捕という問題が生まれるわけで、これもまた捜査を進展させるわけであります。ですから、国政調査権の発動が捜査権に対して何らかの障害になるのではなくて、強制力を持った国政調査権を発動すること、事件の全貌と政治道義責任を徹底的に追及することが、実は捜査にも役立つのであって、もしうそをつくならば、これは刑事責任にも転化するという関係にあるのであります。  この偽証逮捕の問題で、東京新聞によりますと、自民党のある大臣経験者は、目まいが起きるということを言ったそうであります。つまり、告発もしないのに逮捕されると、これは大変だというので目まいが起きるというわけであります。それほど国政調査権のこの事態の真相を明らかにする役割りはきわめて大きなものがあると思います。  その点で、私はもう一度首相に、首相が何回も国民の前に約束している事態の真相解明のために、国会国政調査権の発動に対して自民党総裁として協力するという積極的熱意を表明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、議長の裁定の中にも国政調査権に対して協力を約束しておるわけでございますから、全体としての姿勢は、国政調査権に対して協力をいたすという考え方は私は変わらないわけでございます。
  96. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、それは抽象的な言葉だけです。  で、いまのところ、三木さんその他の発言は、刑事責任追及に対してしばらくの間、支障にならないために国会での調査を控えたいと言うのですけれども、国会は、刑事責任の問題だけでなくて、政治道義責任全体を追及しております。ですから、国会での政治道義責任追及がしばらく控えられたために、本来刑事責任のある人さえ逃れ得る、そういう危険さえ実際には生まれるわけであります。そういう点では、われわれが徹底的に政治道義責任追及することが、刑事責任をもあいまいにしない、こういう議院証言法に基づく強制力をもって事態を明らかにすることが必要なのであります。その意味でも、どうもこれまで捜査も余り及んでいないと思われる。現実に防衛庁もまだ一人も及んでいないようでありますし、P3C問題の解明に対しては、われわれが要求しております相澤後藤田田中三氏をとにかく早くここに喚問して、彼らに真実を明らかにさせること、これがどうしても私は必要であると思いますが、重ねて首相の見解を尋ねます。
  97. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしば申しておりますように、いろいろ捜査というものに対していささかも支障が起こるのではないかという憂慮がなくなった事態においては、当然に国政調査権の発動があってしかるべきだと考えております。
  98. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも首相の態度は、非常にあいまいかつ後退しております。  先ほど椎名副総裁名前もこの委員会で出ました。椎名副総裁は、読売の七月二日のインタビューで、灰色高官名について、あれは実行できないねと、中間色、黒とも白とも判別しようがないではないかと、昂然と答えております。で、「出しようがないということか。」という質問に対して「そういうことだ。」として、灰色高官の公表に対して真っ向から反対する態度を示しております。また、首相と六月二十一日に会談した後、記者会見をして、有名なお掃除論を述べました。掃除にしても、ほこり一つ落ちていても掃除にならぬと言う人もいる——これは国民のことであります。しかし、ほうきの目が通っていさえすればいいと言う人もいると。ロッキード事件もそんなものだと。つまり、ほこりは幾ら残ってもほうきの目さえすうっと通ってればいいというのが、あなたが総裁をしている自民党の副総裁であります。これは議長裁定を踏みにじり、国民世論に対して公然と挑戦をしたものだと思いますけれども、総裁としてこういう副総裁の言動をこのまま放置しておくつもりですか。
  99. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このロッキード事件真相解明総理総裁として私は全責任を、これを感じておるわけでございますから、私は最善を尽くす決意でございます。
  100. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間になりましたので、最後一つお伺いしますが、午前中の衆議院審議、それからこの参議院での審議三木首相は非常に後退的な姿勢を示しました。あなたのこの後退的な姿勢は、いまの椎名副総裁などの自民党内のロッキード隠しの勢力に対するあなたの妥協、それを示すのではないかという危惧を、われわれも、また国民も持ちつつあると思います。  そこで、最後一つお伺いしたいのは、六月の二十三日に自民党側が衆議院で二十日間の休戦ということを申しました。来週で二十日間になります。ところが、三木首相は午前中の衆議院での質問に対して、来週もまだこの捜査の進展というのはめどがつかないだろうと思うと。そうすると、証人喚問の開始はもっとおくれるかもしれぬということを述べました。そうしますと、この捜査めどがつくまでということで自民党が当初言い始めた二十日間どころか、一カ月あるいは一カ月半以上も衆参両院のこの証人喚問国会議員を含む重要な証人喚問が引き延ばされる危険が生まれてくる。これが引き延ばされてくると、いま国民が大いに心配している問題は、これまでたとえば共和製糖事件では五十六人の国会議員が調べられながら、起訴されたのは社会党の相澤議員たった一人、日通事件は四十七人の国会議員が調べられながら、起訴されたのは自民党一人、社会党一人、たった二人という、同じような結果にこのロッキード事件がなるのではないかということであります。国民は、刑事責任を明確にすると同時に、いわゆる灰色高官事件の全貌と政治道義責任を持つすべての政府高官関係者名前を明らかにすることを求めております。一体、三木首相はいつまでこの証人喚問を引き延ばすつもりなのか、来週でなければ一体いつなのか、最後に明確にお答えいただきたいと思います。
  101. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 引き延ばすという言葉は適当でないわけでございまして、まあ、そういうふうなことになれば捜査の進捗にも非常に好都合だがと、こういうことで国会の御理解に訴えておるわけで、引き延ばすというようなわけではないわけでございます。それ以上は国会判断にゆだねるわけでございます。  そこで、これはやはり捜査にいささかも支障がないということになりますと、多少この捜査めどというものも必要なんで、これはいつめどがつくかということは、私自身も的確には承知をしてないんですけれども、これがまあ来週というのは無理じゃないかという感じがするわけで……
  102. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、再来週ですか。
  103. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや、そういうふうな感じがするわけで、ちょっと来週という御質問があったから申したわけでございますが、いつまでもこのロッキード事件というものがだらだらと引き延ばされるわけではないわけでございますから、したがって、そう長期にわたってとは思っておりませんが、しかしいま、そんなら来週はどうだと、こういうふうに言われますと、なかなかやはりその的確な時期というものをこの際私は申し上げることは根拠がないわけですから申し上げにくいのでございますが、この問題は刑事上の責任追及が終わりましても、政治道義上の責任というものはそれで同時に終わるというわけではないわけでございますから、したがって、この後に残る問題だと思います。そして、この事件が終了したときには、ロッキード事件一つ真相というものはこれは国民の前に明らかにされなければならぬと私は思っておりますが、それをどの程度明らかにするかということを、この段階で、ここまではどうだ、ここまではどうだと申し上げることは、こういう捜査が進行中において適当でないと思いますが、できるだけ国民の納得の得られるような真相は明らかにせなければならぬと私は考えております。
  104. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと委員長、一言。重大です。  三木首相は、刑事責任追及が終わっても政治道義責任追及はできると言われた。これは国政調査権捜査権に順序をつけて、まず刑事責任をやらせておいて、その後を国政調査権追及をやればいいということであります。つまり、刑事責任追及をすべて終わらした後で国会調査をやらせようと。それが問題だというのです。それは国政調査権に対するきわめて大きな過小評価だというのだ。政治責任追及刑事責任追及を双方一緒にやることが、政治道義責任追及の中から偽証の問題も生まれてきますし、刑事責任の範囲ももっと徹底的にやることができるのであって、国会追及後ろに回して、先に刑事責任を済ましてしまおうというこのこと自体がロッキード隠しになるし、刑事責任追及を大物まで行かさないで、稻葉さんの言葉によれば、前頭の十二、三枚目から、あるいはちょっと上がって前頭の筆頭ぐらいで終わらせてしまうのではないかという重大な問題がある。だからこそ、われわれは、国政調査権追及を一刻も休むことなく、捜査権の発動と同時に車の両輪で進める必要があるということで、首相が先ほどの順序をつけて捜査権を優先させている考え方自体がロッキード隠しにつながるおそれがあるということを強く主張いたしまして終わりたいと思います。
  105. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それまでの間、刑事事件としての追及が終わるまで国政調査権はお休みにすべきだと言っておるのでないのです。私は、いま申しておるのは、これはやはり車の両輪のごときものでございますから、国政の調査権というものに対してはそれは事件解明が終わるまでお休みということではない、両々相まって真相解明に当たるべきものであると、このことは私自身もそのように考えるわけでございます。
  106. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、両輪が一刻も早く回ることを要望しまして終わります。
  107. 柄谷道一

    柄谷道一君 三木総理にお伺いいたします。  あなたは総理総裁として去る四月二十日「国会正常化に対する衆参両院議長裁定」の中で、「今後とも国会の決議を踏まえ真相の徹底的解明を期する。」、五党のこの裁定案に合意されたわけでございます。与えられました時間が短いわけですので、簡潔にお答えを願いたいと思いますが、総理総裁としてこの決意というものは今日に至るもいささかも後退はないと、こう確認をしてよろしゅうございますか。
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 四月二十一日の両院議長の裁定案、「国会正常化に対する衆参両院議長裁定」は、誠実にこれは守りたいというのが変わらざる私の決意でございます。
  109. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、その決意というものには具体的な行動の裏づけが必要ではないかと、こう思うわけであります。ただいままでの質問によりますと、フォード・アメリカ大統領との会談の中では、このロッキード問題に対する一般的な協力問題を語り合ったと、技術的な問題には触れていないと、こうお答えになっております。そして、ファーガソン裁定に対しては現行法の中で対処すると、こうお答えになっております。いわばこれは私は受け身の姿勢ではないか、こう思うわけです。  何とならば、今回のロッキード問題の徹底解明のためにこの嘱託尋問というものが、捜査の進展、公判の維持のためにきわめて大きな力を持つものである、これはもう御承知のとおりであります。とするならば、当然私は、フォード大統領との会談の際、日本アメリカとの法制上の相違、さらに、法務大臣も述べられたわけでございますが、これは本来閣議で決めるべき問題ではないけれども刑事免責についてはわざわざ閣議にこれを報告をし、検察当局のその行動を了とする、こういう手続までとった。いわばこの問題は国家意思の正式表明であるということも明確に述べる必要があると思うのであります。さらに、日米間の資料受け渡し取り決めの中の第七項に、国の司法当局により発せられる嘱託書による嘱託事項の迅速な実施を援助することにつき日米両国は最善の努力をする、こういう協定もあるわけでございます。  さらに私はあえてつけ加えますならば、このファーガソン裁定というものは、いわゆるコーチャン氏らによる異議申し立て、これが行われて、それに基づいて裁定が下されたわけでございます。私は、この問題の徹底解明が、ただいまも触れられましたように、日本の議会制の民主主義の危機にも場合によってはつながりかねない。しかも、両院の決議の中には、日米友好関係に重大な阻害を与えることも憂慮される、こういう趣旨を確認しているとすれば、ファーガソン裁定が出された、現行法内で対処する、こういう受け身の姿勢ではなくて、むしろ積極的にこれらの日本の意見というものをフォード大統領に伝え、しかもこのロッキードというのはアメリカ政府資金というものを多量に受け入れてやっているわけでございますから、アメリカ政府としての影響力も非常に大きい、こういう点を踏まえての、私は、嘱託尋問に対する積極的なアメリカ大統領としての姿勢について協力を求め、その確認を求めるというのが決議に忠実なるゆえんではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  110. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) アメリカの大統領といえどもアメリカ法制に従わなければならぬわけですね。大統領はもうアメリカ法制を度外視して何でもできるという、そういう権限はないわけで、ことに法治主義に徹底しておる国でありますから。アメリカの場合は免責規定というものがちゃんとあるわけですが、日本の場合は免責規定というアメリカのような規定はないわけですからね。検察官の判断というものにゆだねておるわけでございますから、そこに日米間の法制の相違というものが今回の場合こういう問題を引き起こしておるわけでございまして、法制上は違いがあるわけですから、アメリカ大統領に法制上の違いはあってもこういう違いを無視して、そうしてアメリカがどうこうせよということは非常に無理があると思います。こちらの国内で、向こうに対して対応できるような処置を日本の国内として考えることがまず第一番に必要であると、そういうことで、いまの段階では、現行法の中で何とかこれを向こうに対して、まあアメリカの免責の規定というものとはこれはまあ性質が違いますけれども、効果としては、まあ起訴猶予ができるわけですから、そういう効果を何とかもっと先方に対しても安心さすような方法で現行法の枠内で解決をできないかということで、まあ法務当局で検討を加えておるわけでございます。まあ数日間かけてこの問題を真剣に検討しようと思っておりますが、どうしてもこの問題は大統領に特別の便宜を頼むというよりかは、日本法制上のこういうたてまえを踏まえて、こちらで処理をして、そしてアメリカに対して善処を頼むということが順序だと考えますので、そういう方式をとっておる次第でございます。
  111. 柄谷道一

    柄谷道一君 この問題だけで時間をとるわけにまいりませんが、これはコーチャン氏の異議によってこの裁定が出ておるわけです。そうですね。したがって、このコーチャン氏が異議を取り下げれば嘱託尋問は順調に進むわけでございます。まあ、そういう問題について、より両院の決議を踏まえ、このコーチャン氏のこの種の行動が及ぼす影響というもの、日本に及ぼす影響というものをよりアメリカ理解を求めて善処を求めるという積極的な姿勢に欠けたのではないかという点は、これは指摘にとどめておきたいと思います。  次に、稻葉法務大臣は過般閣議で、捜査当局捜査を終結するのは一応八月いっぱいぐらいかかるんではないかという見解を示されたと聞いております。総理として、嘱託尋問の見通し等も含めて、あなたはその捜査終了の時点を大体いつごろと見通しておられますか。
  112. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、私も常に申しておるのは、できるだけ徹底的に、かつ迅速に処理してもらいたいという一般希望は述べておりますが、まだいつまでに捜査は完了するということを閣議の席で稻葉法務大臣が述べたことはございません。また、法務当局も私自身もこれは知りたい点でございます。いろんな政治日程を考える場合に、これは知りたい点でございますが、まだいつまでにこの捜査は完了するということを法務当局からは申してこないわけでございますから、いまここで申し上げることはできませんが、まあそう、これでこの問題がだらだらと長く、こういうふうな捜査当局も全力を挙げてやっているんですからね、こういう緊張状態がずうっと長く続いていくとは考えておりませんので、まあできるだけ早くこの問題を処理しようと検察当局も考えておるに違いないと、こう思っております。
  113. 柄谷道一

    柄谷道一君 そういたしますと、前国会積み残し法案の中で、特に財政特例法、これは政府の立場からすればやはりタイムリミットがあると、こう思うわけです。で、そのタイムリミットを総理としていつとお考えになっているのか。また、これとの関連で臨時国会の召集が行われるわけでございますが、仮にこの臨時国会が持たれ、その開会中に議員逮捕の許諾請求がありました場合、これを無条件で応ずるというお考え総理総裁として明確にされることができますか。
  114. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 柄谷さんのお尋ねの臨時国会の召集時期は、正直に申して、私も苦慮しているんですよ、これは。早いにこしたことはないんですよね。積み残し法案というものは早く処理したいと、こう思っておるわけですが、一方において、できるだけ迅速にこのロッキード事件を解決をしたいと願っておるものですから、捜査の障害になるようなことも避けたいという気もあるわけですから、そういうことがなければ、もうこれは簡単ですよ。早いにこしたことはないわけですよ。そういうことで、正直に言って、いまいつ召集するかという時期は決めかねているんだということが正直ないまの状態でございます。しかし、財特法にしても、また運賃・料金の改定にしても、これは早いにこしたことはないというような状態であることは柄谷さん御承知のとおりでございます。いましばらく、この召集の時期については、私の口からある一つの時期的なめどを示すことはお許しを願いたいと思うわけでございます。  また、開会中に議員の逮捕の許諾請求があった場合のことでございますが、これは政府というよりかは、院が決定をされるわけでございます。院の許諾が要るわけでございますから、その判断は院の判断に従わなければならぬ。政府がこれに対して諾否を申すべき筋合いのものではないわけですが……
  115. 柄谷道一

    柄谷道一君 自民党総裁としてはいかがですか。
  116. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、真相解明したいというのが私の願いでございますから、できる限り院もまた真相解明協力をしてもらいたいという願いを持っておるわけでございます。
  117. 柄谷道一

    柄谷道一君 政府の立場からすれば御答弁のとおりでございますが、少なくともまた三木さんは自民党総裁でもあるわけです。その場合、野党が許諾請求に反対するということは、まずあり得ないわけでありまして、自民党としてこれらに条件をつけたり云々ということはないというふうに私は理解いたしておきたいと思います。  次に、法務大臣は、政治道義責任を別とした刑事責任に限ればという前提をつけられまして、灰色高官の五つのケースなるものを述べられております。また、自民党の永野法務部会長は、灰色高官とは被疑者調書をとられた者に限ると、こういう見解も述べておられます。私が昨日質問いたしましたところ、法務大臣は、これは国会で決めるべき問題である、こう答弁をされたわけでございますが、これまた総理総裁として国会でということはきわめてこれはあいまいでございます。これは今日までの答弁で推測いたしますと、捜査が一段落した時点ということになろうと思いますが、どの機関で、たとえば具体的にそれは予算委員会なのか、特別委員会なのか、お伺いをいたしたい。あわせて、この問題は国会正常化に際しまして、少なくとも五党の合意というものがあるわけでございます。とするならば、私は、その機関とは別に、この徹底究明を図るための灰色高官の公表の手続なり基準というものにつきましては、運用上、たとえば党首会談、幹事長・書記長・書記局長会談もしくは国対委員長会談等で、それこそロッキード隠しと言われないような政治道義責任の一切の追及ができるような各党合意というものが当然運用上配慮されるべきだと思いますが、その点いかがでございますか。
  118. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 巷間、灰色という言葉が非常に一般化されておりますが、しばしば申し上げますように、法律用語としてはきわめてあいまいである、灰色というものは。したがって、刑事上の責任ばかりでなしに、政治道義上の責任というものも追及しなければならぬという一般的な意味があるんでしょう、この中には。こういうものに対してどの程度これを公にすべきかということは、国会政治道義責任追及の場であるこの特別委員会においても、いろいろと定義について御検討を願ってしかるべき問題だと思いますが、そういうことも踏まえて、そしてこのロッキード事件捜査完了の暁には、この真相国民の前に明らかにしなければならぬ、これは政府責任であると、刑事責任検察当局、政治責任というこの問題の処理ということは政府責任であると、こう考えて、いまは柄谷君に対してここまでここまでということは申し上げられませんが、国民に対して真相は明らかにされなければならぬと私は決意をいたしておる次第でございます。
  119. 柄谷道一

    柄谷道一君 まあ、時間もありませんので、私はこれ、要望でございますが、この問題は単に自民党一党というものの意思によって決すべき問題ではないと思うわけであります。少なくとも五党の合意の得られる一つの明確な基準というものが設定されるべきだと思いますし、またこの問題については、原則は全面的に出す、ただ例外とすべきは、人権という立場から例外として何を一応公表の対象としないのか、発想は、しぼるというんではなくて、全面的な公開であって、例外というのはきわめてこれは異例のものである、こういう一つ考え方を持つべきであるという点を指摘いたしておきたいと思います。  時間が参りましたので、最後にもう一問だけ質問をいたしまして、質問を終わります。  私は、この特別委員会が今日まで進行してまいりました、今日までの政府質問、そして証人尋問を通じまして明らかになりましたことは、四十七年十月九日の国防会議当日まで、いわゆる国としての国産か輸入かの決定はなかったけれども、少なくとも防衛庁は国産化にウエートを置いて研究開発に努力をしてきた。当日の国防会議議員懇談会の了解事項は、事務局への根回しもなく、突如田中相澤後藤田の三氏によりましてまとめられ、いま総理も言われましたように、大した議論もなくこれが決まった。そうしてその了解事項は結果として四十七年から五十年にわたって四年間国産化のための研究開発というものを全面的にストップさせるという結果があらわれている。そして、前田中首相の外人クラブにおける輸入にウエートを置くという発言がその間にあった。しかも、専門家会議の大勢は国産化であったにもかかわらず、輸入やむなしという意見が入った最大の要因は、国産化では五十七年配備が不可能であるということが非常に大きなウエートとなった。その後答申以降、防衛庁の動きは輸入の場合はP3Cにするとか、アメリカ調査団を派遣するとか、もっぱら輸入の方向で検討が進み、国産化への努力が大きなものが見られない。こういうことが明らかになったわけであります。  私は、昭和四十八年七月の児玉契約との関連で、専門家会議の設置、国産化研究の全面停止、時間かせぎ、P3Cの輸入の工作、こういうものが行われたのではないかという疑惑は一向に解明されるどころか、ますます深まっているというのが実態であろうと思います。とするならば、その重大な転機となった了解事項の作成、そしてこの方針決定に参画をした田中相澤後藤田三氏を国会証人として招致し、その真相を明らかにすることは、まさに国政調査権の最たるものであり、われわれの義務、任務ではなかろうかと思うのであります。今日までの答弁では、どうもこの三名の方の証人請求を捜査支障を来すという理由でいま拒否をされているという自民党の姿勢は、私は国政調査権に対する協力とは言えないと思うのであります。自民党総裁としての明確な所見をお伺いをいたしまして、私の質問を終わることといたします。
  120. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国政調査権に基づく政治責任追及は、今後も大いにやっていただきたいと思いますが、今回の証人喚問の場合について、検察当局などの捜査の進捗状態からして希望を申し上げておるわけで、拒否しておるわけではございません。希望を申し述べて、御判断国会の御判断にゆだねたいという考えでございます。
  121. 市川房枝

    市川房枝君 私は、往復で六分間いただきましたんで、三木総理に対して、ロッキード問題に対しての政治姿勢について伺いたいと思います。  第一番には、総理ロッキード問題に対して政治生命をかけて真相を究明すると何回も力強く声明されましたことに対して、私は多くの国民の方たちとともに期待し、椎名副総裁を中心とした三木総理の辞職要求に対し、ロッキード隠しだとして総理を支持しました。総理に対しての辞職要求が一時ストップしたのは、国民のこの支持があったことも大きな原因でないかと思いますが、総理はどう受けとめておいでになりますか。
  122. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、日本国民は教育水準も高いし、批判力も高いわけですから、したがって、清潔な政治を要求しておる。政策の決定という権力に携わっておる者の不正を憎むという感じは、よその国民にも増して強いものだと思います。だから、政治の信頼を、国民政治に対する信頼というものを得るためには、やはりそういう国民の願望に政治はこたえなければ政治の信頼はかち得ないと、かち得られないと、そういう意味で、今度のロッキード事件というものは戦後最大のスキャンダルであると私は見ておるわけです。したがって、この問題に国民も大変な疑惑を持ったわけですから、これを解明して日本政治がみずから自分の政治を浄化する能力を持っているということは、日本の民主主義というものに対しての成長を意味するものですからね。海外に対しても日本の信頼を高めますし、国内においても国民政治に対する信頼を回復する一つの道でもありますので、ロッキード事件というものは日本民主政治にとって非常に重大な出来事だと思いますので、まあ、これを機会にして何かこう物事をあばき立てることを目的とするものではないのですよ。これを転機にして、日本の政党もやはりもっと健全な政党になり、日本民主政治も何かこう基礎を強固にする一つの大きな転機であると、こういうふうに、このロッキード事件の不幸な事件日本政治再生の一つの大きな転機たらしめなければならぬというのが私の決意でございますから、この決意に対しては、いささかの変化はないわけでございます。
  123. 市川房枝

    市川房枝君 いまの総理お答えとちょっと私は期待を別にしていたんですが、国民総理に対しての支持には、私はまあ、裏があると言いましょうか、これでもしロッキード問題がうやむやになり、小物ばかりで大物の政府高官の名が出てこない、そういうような場合には、国民の失望は非常に大きく、逆に総理に対しての非難攻撃が非常に強くなり、政治不信はさらに深くなると、こう思いますが、総理はそういうこともちゃんと覚悟しておいでになると思いますが、いかがですか。
  124. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これだけのことを国民の前に言ってきたわけですから、私が国民の前に言ってきたことを裏切って、ロッキード事件というものを、これを臭いものにふたをするという態度をするならば、私の政治生命は終わりである、自分はそう自覚いたしております。
  125. 市川房枝

    市川房枝君 いまの総理の信念を伺ったのですが、ただ、アメリカからお帰りになってからの総理は少しお変わりになったみたいな印象を受けるのですが、先ほどから、きょうの委員会での答弁を伺ってみましても、何か総理少し元気がない。はっきりあんまり物をおっしゃらないというような感じがしているのですが、本委員会議員証人喚問することについて、これはまあ検察の反対といいますか、何かもあるようですけれども、総理自身がそれに賛成をしておいでになるというか、呼ぶことに反対をしておいでになるということは、どうも国民としては納得ができないと思います。ついに総理も反三木派に屈しられたのかなという心配がありますが、いかがでしょうか。先ほどから田中相澤後藤田、三人の方々が非常に疑いが深いから、ぜひこの委員会証人喚問をすべきだという御意見がありましたが、総理は呼ぶことには御賛成ですか。いまはすぐはだめだとしても。そのお考えもちょっと伺いたいと思います。
  126. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ私は、この問題を迅速に片づけるべきである、いつまでもこの問題が片づかなければ、ロッキード問題というものは国民の最大の関心の一つですから……。しかし、ロッキード政治のすべてではない。ほかのことをおろそかにしておるわけではないわけです。だから、先般も首脳会議にも出席をいたして、外交上のわれわれの課されておる責任を果たしておるわけですが、しかし、どうしてもこの問題が片づかなければ、まあ政治的な大きな問題としていつも繰り返し論議されるわけですから、早く片づけるためには……。まあ捜査当局が、いまの場合、いろいろな人に対して証人喚問というようなことになってくると、何かこう捜査支障を来すおそれなしとしないと言っておるわけで、捜査当局国会に対してやめてくれと、そんなことを言っておるわけではない。捜査支障を来すおそれなしとしないという、そういうことも頭に入れて、しばらくの間時間をずらせないだろうかと、時間を。それはいつまでもというわけではないですからね。そして捜査当局が思う存分刑事上の責任追及をやって——そのことは大事ですからね、刑事上の責任追及というものは。これは政治責任追及にも関連を持ちますよ、刑事責任追及ということはね。これは非常に関連を持ったことになりますから、これをひとつ精力的に捜査当局がやって、そのあるしばらくの期間を延期して、その後で何か証人喚問ということができる、そういうふうに持っていくことが、国会の方々の御理解が得られないだろうかと、得られぬというなら仕方ないですよ。得られるならば、そうしていただくならば非常にやはりロッキード事件解明に役立つと、こう言っとるわけで、私から申せば、そんなにアメリカから帰ってきた途端に後退したとは思わないんですよ。これはやはり政治の粛正というものは多少の時間をかけて考えなければならぬわけですからね。市川さん御存じのように、ウォーターゲートでも一年半かかっていますからね、一年半、あの結論に達するまで。そういうことですから、無論この事件は一年半かけるべきだと言うんではないんですけれども、多少の時間というものが、そういう時間がかかるようなことがあっても、真相解明したいという、この最後の目標というものには変わりないんですから、私は変化はないんですから。そういうことでございますので、そういうことの御理解を訴えておるわけでございまして、アメリカから帰った途端に後退するというようなことは断じてございませんから、どうかその点は御理解を願いたいと思うのでございます。
  127. 市川房枝

    市川房枝君 余り長くなると、みんな国民——日本人はやっぱり気が早いといいますか、一年半なんということじゃ困りますから、できるだけ早く証人喚問問題、いつごろならいいかどうか。それをひとつやっていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  128. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上をもちまして三木内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会