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1976-05-27 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月二十七日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      小谷  守君     野田  哲君  五月二十六日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     中尾 辰義君  五月二十七日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 田渕 哲也君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                 亀井 久興君                 玉置 和郎君                 秦野  章君                 町村 金五君                 宮崎 正雄君                 最上  進君                 上田  哲君                 野田  哲君                 野々山一三君                 矢田部 理君                 中尾 辰義君                 内藤  功君                 市川 房枝君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君        外 務 大 臣  宮澤 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        法務省刑事局長  安原 美穂君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省経済局長  本野 盛幸君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  一昨二十五日、小谷守君が委員辞任され、その補欠として野田哲君が選任されました。  また、昨二十六日、峯山昭範君が委員辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 矢田部理君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出かございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事瀬谷英行君を指名いたします。     —————————————
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 本委員会の運営に当たりまして、委員長にも御要望申し上げたいことがございますが、きょうはたまたま衆参両院で同時に特別委員会が行われることになりました。それからまた、園遊会等で中断をされまして時間的には大分細切れになりました。そこで今後の問題でありますが、これは衆参両院で協議をしなければならぬことではありますが、運動会じゃないわけですから、同時に用意ドンでスタートする必要はないわけであります。できれば双方が別々に委員会を開き、あるいはまた参考人証人等についてもダブらないような適切な方法を講じて能率的な運用が行われなければいけないだろうというように考えますので、それらの点につきまして、今後の問題について十分御配慮あらんことを希望したいと思います。  それから、冒頭、きょう御出席稻葉法務大臣宮澤外務大臣にお聞きいたしたいと思うのでありますが、いま、国会が二十四日で終わった後、非常に政局が何か動いているという印象をわれわれ受けるわけなんです。三木さんがやめるとかやめないとか、あるいはその後はどうだとかこうだとか、こういうことが新聞のトップをにぎわしているわけですね。しかし、いまそんなことをやっていていいのだろうかという疑問は国民のだれしもが持つところなんです。ロッキード問題の究明というのは閉会中といえどもやらなきゃならぬということで特別委員会が持たれたわけです。しかし、ロッキード問題の究明ということよりも政権の問題が大問題になるということはちょっと解せないという気がいたします。何で、いまここで、自民党内部だけの問題でいろいろと取りざたをされなければならぬのか。ちょっと不謹慎なような感じがするわけでありますが、閣僚の中でも自民党長老でありますところの稻葉法務大臣から、この問題についてお伺いをしたいと思います。
  8. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 御質問ではございますが、それは、私は争い渦中にいる人物じゃありませんから、どういうつもりだとか、不謹慎ではないかと言われても、何ともお答えしようがございませんが。私、そういうことが捜査に響くか響かぬかということなら、それは響くわけはないじゃありませんかというお答えをするわけですね。  それから、検察庁も捜査当局も直接は法務大臣管轄下にございますね。その法務大臣内閣におるわけですな。その内閣がぐらついていた方がいいかぐらつかない方がいいかと言えば、ぐらつかない方がいいに決まっているのです。それだけのことです、これは。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 渦中人物じゃないということでありますけれども、謙遜して言われているのか、本当にそう思われているのかわかりませんけれども、しかし、閣僚であるということは事実であります。しかも、閣僚になられる方は、自民党の中でもきのうやきょう議員になったような方がなられるわけじゃない。百戦練摩長老、もしくは優秀な方が閣僚になられるわけです。だから、この政権の問題について、あなたが渦中外であるというふうには見られないわけなんです、私どもから見れば。やはり、あなたも自民党の中のしかるべき立場である、師団長であるか軍司令官であるかということは別といたしましてね。そうすると、その自民党閣僚として、この三木政権の存続か否かといったような問題にかかわることは決して他人事ではないわけです。そこで、私ども考えるのには、やはり、これは自民党の中の問題でありますから、これは政府委員の手を煩わさなくとも御答弁願えるというふうに考えて、あえて質問をするわけなんですがね。こんなことでごたごたするということは好ましくないという気がするんですよ、これはね。言ってみれば、地震だ、火事だ、消防だ、救急車だと、こういう大騒ぎの最中に煙の中で夫婦げんかしているようなものです。果たしてそんなことをやっていていいのかどうか。ともかく、このロッキード問題がいま政治的には一番大きな問題ですよ。こういう大きな問題に対して何とかして決着をつけるということが、政府としても、あるいは自民党としても——これは自民党だけじゃありません。超党派議員団アメリカに送っているわけですから、各党としての責任であるというふうに思われる。それらの重大な責任があるにもかかわらず、肝心の政府の中で、そういう政権をめぐる争い表面化をするということは果たしてどんなものであろうかということについては、閣僚一員として見識があってしかるべきではないかということで私はお尋ねしたわけなんです。その点、私の質問趣旨が御理解願えたならば、その質問趣旨にこたえられるような御答弁をお願いしたいと思う。
  10. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ロッキード問題の究明と関連して御質問でございますからね、それは、しかし、ぐらついてないんじゃないですか。ロッキード問題については徹底的に究明するという三木総理、それから法務省の姿勢には反対を唱えている人は、副総裁でも皆反対を唱えているわけじゃないですから、その点は大丈夫だと思いますが、それは。ただ瀬谷さんのおっしゃるように、非常に頭脳的な捜査を必要としますから、そういう、芸術家芸術品をつくるようなときに、空気がざわつかない方がいいにそれは決まっていますわな。仮に試験勉強でもしているというような息子が二階で一生懸命にやっているのに、下で夫婦が大きな声でけんかしていて上まで聞こえるようなことでは、それはやっぱり好ましい条件下ではないと、こういうふうには思いますね。けれども、そういうことで、あの有能、勤勉な検察当局がこのロッキード追及に関してそんなにぐらついたりしている、そういうことは御心配ありませんと、これはしっかりしておりますと、御信頼いただきますと、こういうことを申し上げたいと思いますね。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大丈夫だというふうに言われても、実はいま大臣が、二階で試験勉強している最中に下で夫婦げんかやっている、それも取っ組み合い夫婦げんかだということになると、試験勉強している方も二階から降りてきて下をのぞくと、何だったら降りていって仲裁しようかと、こういう状態になるわけですな。政権がかわるということは、まさに夫婦げんかが単なる取っ組み合い段階ではなくて、片方が飛び出すといったような大騒ぎに進展をすることなんですよ。そうすると、これは法務大臣自体のいすまでどうなるかわからなくなってくると、こういうふうになるわけです。試験勉強どころの騒ぎじゃないと、こういうことになるわけですね。そこで、やはり法務大臣立場とすればロッキード問題を究明する当面の責任者であると、これはサボるわけにいかない、とことんまでやらなけりゃならぬということになりますと、やはり政府としても、ともかくこの際は国民にかかわり合いのない政権交代夫婦げんかみたいなことを内部ではやらないと、一応それはたな上げすると、けんかしたいときは時期を別に設定をして、人に迷惑をかけないようにして改めてやるということにしてたな上げしてもらって、とりあえずはロッキード問題の解決全力を集中するということを政府方針とすべきではないかなという気がするわけなんですよ。だから、政府方針として、ともかく政権交代といったような夫婦げんかはたな上げすべきであるということが、これは閣僚一員としても強く主張すべきではないかなという気がするんでありますが、その点はどうです。
  12. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ごもっともでございますね。私も責任がありますから、そういう点については心得ておるつもりでございます。きょうは副総裁と三役の会談も行われることであり、調整に本気になって乗り出しているんですから。  それからまた、取っ組み合いのけんかなんとおっしゃいましたけれども、そこまではいっていないんです。新聞にはえらい大げさに、オーバーに書いてありますよ。そんなことはありません。まあ、だんだん鎮静していきますから、見ていてください。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 よそのうちの夫婦げんかに私ども介入する気はないわけなんですが、しかし問題が、これが政権交代といったようなことに発展をするとなるとよそごとでは済まなくなってくるということを考えたので、あえて私は長老であるところの法務大臣にその点をお伺いをしたわけです。  そこで、事のついでに、外務大臣もお見えでありますので——あなたは長老というふうに言われるというとひっかかりがあると思うんですが、長老でなくとも新鋭であると、頭の方は。そういうふうに考えられます。あるいは閣僚の中でも中堅どころの大事な要職についておられるんですが、外務大臣としてはどのように考え、どのように想定をしていらっしゃいますか、この問題について。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いろいろ御心配をいただいておって、ごもっともなお話であると思いますけれども、御承知のように、私どもの党内のだれもがこのロッキード問題の究明というものは何よりも優先をし、集中して、急いでしなければならないということは、その点ではみんなが一致をいたしておりますので、その点は御心配を余りいただかなくてもよろしいのではないかと思っております。それで、本件については外務省もときどきやはり関係をする役所でございますから、もとよりこのやや騒々しいことがございましても、私ども与えられました職責は誤りなく全力をもって尽くしたいというふうに考えておりまして、特段の影響を受けるようなことはないというふうに存じております。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私が特にこのことについて触れましたのは、三木さんにやめてもらうとか、もらわないとか、こういう自民党内紛自民党だけの内紛であるならば、それは自民党の中でゆっくりやってもらって結構な話だということなんですよ。しかしそうでなくて、ロッキード問題をこの機会に何とか隠してしまおう、ロッキードぼろ隠し政権交代が利用されようとするんではないかということを危惧するからなんです。ともかく何とかしてこのロッキード問題というものをごまかさなければいかぬと。かつて指揮権発動なんていやなことがありました。それと類似したようなことが政権交代に名をかりて行われちゃならぬということを心配をするからあえてロッキード問題に関連して質問をしたわけなんです。だから、ともかく夫婦げんかかどうかわからぬけれども、事情がどうあれ、ロッキード問題の解決には全力を尽くすということを政府閣僚一員として責任を持っていただきたいということを冒頭に念を押して、具体的な問題に入っていきたいというふうに考えます。  まず、今回のロッキード汚職というのは、いままでかつて例がなかったんじゃないかと思うのです。なるほどシーメンス事件などという大正時代の話は聞いておりますけれども、維新前の話は別といたしまして、日本が近代国家になってからこのくらい大規模な事件というのは例がないような気がする。そこで果たして現行法のもとでこのような大がかりなロッキード汚職中心人物に対して刑事責任追及するということが可能かどうかという心配が一つ出てくるわけです。その点、刑事責任追及する場合にはどういう法規が今日該当するのか、その点をまずお答え願いたいと思います。
  16. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 脱税、それから外国為替及び外国貿易管理法違反刑法贈収賄罪の成否、そういう法規がこの事件には該当すると思います。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま大臣お答えになりました現行法で適用し得る法規とすれば、税法とか、贈収賄とか、そういったことに大体しぼられるわけですね。しかし事柄が十万や二十万の賄賂を贈ったとか、やったとかという問題だとか、あるいは百万、二百万の脱税であるとかといったような小さなケースのものでないわけです、これは。かつてわれわれが考えたこともなかったような大がかりなものです。したがって、現行法がこのロッキード問題について、刑事責任追及に当たって果たして妥当であるかどうかということからしてわれわれは一つの疑問を持たざるを得ないという気がするわけですね。現行法だけでいくとおのずから範囲が限定されてくるわけです。その点果たして現行法で十分であるというふうにお考えになっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  18. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ロッキード事件の、もし仮に法秩序違反の事実があれば、それを究明するということについて、私は現行法で十分にやれる、現行法に該当しない、行為が逃れられるというような行為考えられませんね。現行法で全部賄い得ると、縛りつけることができる、こういうふうに考えております。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 現行法で十分だというふうにおっしゃるけれども、たとえば贈収賄の場合に時効というのがあるわけですな。三年とか五年とかいう時効が今日存在をしているわけです。そうすると時効逃げ道になって真相をつかむことができなかった、あるいは大物を逃がしてしまうというようなことにならないのかどうか、そういう心配はないのかどうか、その点をお伺いしたい。
  20. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 刑法改正草案、これは弁護士会などに相当反対があるわけですが、それでは、いまの時効の三年を五年にし、五年を七年にするという改正を出しているのです。贈収賄事件というのが三年で時効になってしまうのじゃ少し逃がすケースが多い、そういうことなら、あなたのおっしゃるとおりに、現行法では私どもは不備があると思うから改正案を出しているのです。ところが、これには過罰主義だとか、その辺の弁護士会の皆さんからえらい反対を受けているのですよね。そういう点はございますね。あります。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣言い方がちょっとひっかかる点がありますよね。何かその辺の弁護士会の方方と言って、何か責任を転嫁をしておる。しかし、そういう言い方はその辺の弁護士から異論が出るのじゃないかと思うのですよ、これは。私が言っているのは、三年だとか五年だとかいう時効逃げ道になって大事な犯人というものは逃がしてしまうのじゃないか、刑事責任追及を逃がれるということになりはしないか。その刑事責任追及を逃がれる人は仮に小物であったとしても、それにつながっている大物があるということになれば、大物小物も含めてみんなこの時効という逃げ道から逃げてしまうということがあり得るのじゃないのか。一般論として刑法改正是か非かということを私は言っているわけじゃなくて、まずこのロッキード問題の究明に当たって時効逃げ道になるという可能性はないのかどうか、あったらどうするのか、その点をお伺いしたいわけです。
  22. 安原美穂

    説明員安原美穂君) お答えいたします。時効制度というものは、これは現在の時効制度外国でもそうでございますが、法定刑を基準にいたしまして刑の重さで一律に犯罪行為が終わってから何年たてば時効だということで公訴権がなくなる、したがって刑罰請求権が消滅するという一律の制度をとっているわけでございまして、そういう意味におきましては、いま瀬谷先生のお言葉のように、時効逃げ道になるというのは、これは犯罪行為を行った者がそれを利用するということであれば、これは利用のしようのないことでございまして、時効というのは客観的に決まっておるわけでございます。そういう意味逃げ道というのが犯罪の発覚を防ぐように工作をするということであれば、これは時効制度そのものではなくて隠滅をはかったということの結果でございまして、時効というものは個人によってそう違うものではないという意味において、それが逃げ道になるということはいかがかと思います。それと同時に、現在の段階におきます、すでに行われた行為につきまして、立法上の欠陥があるからといって、急にいま時効を変えて三年を五年にするというようなことをすることは憲法の保障しております罪刑法定主義、三十一条の規定から言いましても、あるいは刑罰不遡及の原則を決めております憲法三十九条からいきましても、すでに行われた行為につきまして遡及して時効を長くするということは憲法違反の議論になりますので、これはとうてい不可能なことでございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そんなことは知っていますよ。ここでもって時効を三年を五年にして、そしてひっかけようといったようなことはできないことぐらい知っていますよ。ただ、このロッキード問題について、事件の事の起こりというのはいつだったかというんですね。去年やおととしの話じゃないでしょう。三年前の問題であり、あるいは四年前の問題であり、五年前の問題であり、そういうことになってくるといやおうなしに政府の方とすればこれはもう起訴できない、時効だから起訴できないということになれば、事実があったとしてもこれはいかんともしがたいということでもって打ち切らざるを得なくなる。こういう問題が出てくるんじゃないかというんです。まず、ロッキード問題に焦点を当ててそのことを私は質問しているんです。憲法違反だとか何だとか、そういう問題とはちょっと私が言っているのは次元が違うのです。その点です。
  24. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 犯罪捜査、一般的に時効になるおそれはないかと言えばおそれがないなんていう過剰な自信を持つわけにはいかない。今回の場合も同様でございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、私が言ったのは、現行法でもってこのロッキード問題というものは、これは果して刑事責任追及できるかどうかということを先に質問したのはその点なんですよ。一番最初に大臣にお聞きした、どういう法規刑事責任追及をする場合に該当するかというと、たかだか脱税であるとか、外国為替法であるとか、あるいは贈収賄であるとか、こういう税法だとか贈収賄というふうに大体において局限されてくる。政治的にかなりこれは責任が重いというふうにわれわれが判断したとしても、じゃあ刑事責任追及という段になると、これはなかなかひっかからない、そういう問題が出てきやしないかということなんです。ところが、大臣は大丈夫だと、現行法でも大丈夫だとこういうふうに言われたんですね。そこで、現行法で大丈夫だと言われるのならば、それならば時効逃げ道になるというおそれはないのかということを聞いてみたわけです。そうすると、やはりいまのお答えだとそういう心配もあるのだと、このようにお考えになっていらっしゃるのですか。
  26. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 心配だか心配でないかという質問の仕方は、そんなに、全く心配だなんて言えば自信ないんだなというふうに国民が思ったら大変ですよ。これは鋭意捜査を進めているんですからね。必ずつかまえるという決意でやっているんですからね。それをみんな時効になって刑事責任追及は全くゼロで、そんな心配ないのかと言われれば、そんな心配はありませんね、そんな心配は。ただ、全然心配ないかと言えば、それはそういうことはあり得ることは当然ですものな。だからこそ、そういう刑事責任を免れたけれども政治的責任があるという場合は国会調査権でもって、このいろいろなことをお聞きになるでしょう、お聞きになるんでしょう。そういうときに私もまたこれに最善協力をすることになっていますから、そのときになったら最善の御協力を申し上げます。そうして、刑事責任は免れたけれども恬然として政治的、道義的責任はどこへいったかというような顔をしているのは、そのときに国会がきちっと追及なされるんじゃないですか、それが両院議長の裁定にもあらわれているんじゃないですか。こちらは刑事責任追及者ですから、そちらが政治責任追及者でございますから、それには協力を申し上げると。いま具体的な例を挙げて、時効になったものを公表するかしないかということは、そのときになって——時効になんかかかったらたまらぬから一生懸命やれと言っているときに、時効になるかもしらぬからそれをどうするこうするというのは、余りまだ早いんじゃないでしょうか。もう少しこう見守っていただけませんでしょうかな。お願いします。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ただ、時効というのは三年とか五年とかと、こういう、どっちへ転んだって大したことないんですよ、これは。まあちょっと話はそれるけれども、三億円の事件犯人だって時効になっちゃったでしょう。そうすると、もう時効になったから、三億円事件犯人はいいことやったと言うわけにいかないわけですよ。三年たとうと十年たとうと、悪いことは悪いことなんですよ。すると、果たしてこの時効ということが、——今日時効というのは、これは憲法でもって、三年なり五年なりというのは憲法で決まっているわけじゃないでしょう、これはね。すると、こういうわずかな期間終われば刑事責任追及されないという、完全なこれは逃げ道になっているわけですよ、時効を利用する側にしてみれば。果たしてこの時効というものが今日妥当であるかどうかということは、かなり問題があるんじゃないだろうか。これは贈収賄だけじゃない、三億円事件のようなああいったような事件にいたしましても、あるいは殺人といったようなもっと凶悪な事件にいたしましても、それぞれ時効がある。しかし、今日この時効というのは再検討する必要があるんじゃないかという気もいたします。これは一般論としては大臣どのようにお考えになっているでしょう。
  28. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 一般論として立法論として妥当でないと、三年、五年というのは。だからこそ法制審議会で刑法改正の答申があって、刑も五年、時効も五年——三年のやつはですね。五年のは刑も七年以上、そして時効も七年と、こういうふうに、立法論として妥当でないからそうやって考えているわけですね。しかし、現行法はそうなっていますから、現行法でやる以外に仕方がない。現行法でやらなければ憲法違反と、こういうことになるわけです。罪刑法定主義違反ということになるわけです。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 現行法ではいたし方ないというふうに言われてしまうと、刑事責任追及にはおのずから限界が出てきてしまうんですよ。そうすると、まず起訴される、されないということが、この問題にとって、われわれが道義的責任追及する場合においても一つの大きな基準になるわけですね。ところが、起訴、不起訴ということも時効とひっかかってくると。時効とひっかかってきて、刑事責任追及はできないが、道義的責任追及特別委員会で大いにやってくれと言われてみたところで、これはもうのれんにげんこつをかますような結果になりはしないかという点をまず心配をするわけです。そこで、こういうロッキードのような前例のない大疑獄事件というのは、現行法には合わないんじゃないか、現行法ではちょっと律し切れないんじゃないかという感じを私は持つんですよ、時効のこと一つを取り上げてみても。鯨とるのに手網でもって追っかけ回すという感じになってしまう。だから、これは新たにこの種の一こういう事件が再々あっちゃ困るんだけれども、この種の大がかりな国際的な大疑獄事件、国益を侵害をすること大なるものがあるわけです。国の損失ということきわめて大なるものがある、これは三億円犯人の比ではない。したがって、新しい立法措置ということが当然考えられてもいいんじゃないかという気がするんです。たとえば国益侵害法であるとか、あるいは国際疑獄究明法であるとか、あるいは国家損失摘発法であるとかいったような形で、こういう大がかりなロッキード事件のような大疑獄事件を対象にした立法措置ということは考える価値はないのかどうかと、その点は、これは立法府としての判断の問題であるというふうに考えますので、その点を大臣にお伺いしたい。
  30. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 立法府の有力な一員であられる瀬谷さんの御意見として承っておきます。それよりしょうないでしょうが。仮にしかし、早急にそういういまおっしゃったような立法ができましてもね、今回の事件に当てはまりませんものね。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ、間に合う、間に合わないという問題を私は言ってるわけじゃない、間に合うかどうかということで聞いてるわけじゃない。しかし、現行法だけではいかにもこれは不備であるという感じを受けたわけです。特にこの時効の問題は、これは大事な魚を逃がすということになりはしないかということを心配せざるを得ないわけですよ。幾ら大丈夫だと言われても、厳然としたこういう規定があるわけですからね。だから、そこでまあ今後の問題としては、やはりこういう大疑獄事件に対応するような立法措置ということは法務省自体が考えておいてもいいんではないかと、こういう気がいたしますし、それから逃げ道をふさぐ。いままで何回も審議をやっておりますけれども、予算委員会を初め多くの審議の経過、われわれが議事録を拝見いたしましても、やりとりがくつの上から足をかくような思いをすることばっかりなんですよ。だが、大臣が、鋭意いまその捜査をやってるんだと、捜査をやってるんだが、その内容について聞かないでくれと言われれば、私はあえてそれをつついて聞こうというような気はありませんけれども、しかし、じゃあ問題が明るみに出たと、明るみに出た場合に逃げ道があったということじゃしょうがないと思う。その逃げ道をふさぐというその決め手となるものはどうやって用意をするのか、これが法務大臣としてはいま肝心な問題になってきはしないかなという気がいたしますので、その点をあえてお伺いしたいと思うんです。
  32. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私も、それから捜査当局ももちろん、あの国会の議長裁定というようなものがありますことをよく心得ておりますからね、その国会の国政調査権に基づき政治的責任追及し、これに法務大臣協力しやすいように心得て捜査を進めているというふうに御理解願います。
  33. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 参議院の内閣委員会法務大臣が中間報告をされております。かなり多くの人たちから事情を聴取したということをおっしゃっておりますけれども、まあその中に政治家が入ってるのか、入ってないのか。政治家とは何であるかということになるといろいろむずかしい問題が出てくると思うんでありますけれども、私どもがやっぱり懸念をしておりますのは、小魚ばっかり追っかけて、大きな魚を逃がすというようなことがあってはならない、そういうことをまあなさるまいとは思うけれども、その意味で、今日までもう捜査の対象にした人々の中にはいわゆる高官という名に値する人もいる、政治家もいるんだというふうに理解をしてよろしいのかどうか、これは再度お伺いしたいと思うんです。
  34. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) この前もお答え申し上げましたように、およそ百八十人を超える事情聴取をしておるという報告を受けておりますが、その中に政治家が含まれているかどうかということについては報告を受けておりません。政治家は含まれているという報告は受けておりません。いないという報告も受けておりません。
  35. 野田哲

    野田哲君 関連して法務大臣伺いますが、二十四日の私の質問に対して法務大臣から中間的な報告をされた。その際の百八十人を超える人から調査を行った。こういう説明があって、これに対して同僚の秦議員の方から百八十人を超えるという報告、この中にはいわゆるいま瀬谷委員質問と同様に、国会議員は含まれているのかいないのか、こういう質問に対する法務大臣安原刑事局長の答弁はかなりニュアンスとしては食い違いを私どもは感じたわけなんです。そこで、重ねて伺いたいと思うわけでありますけれども、一応あの場の報告でそのとおりに受けとめたとして百八十人を超えるこの人数の中には、安原刑事局長の説明によると、この百八十人というのは、官公庁関係にかかわる者としてはいわゆる役人だけだと、政務次官とか大臣とか、あるいは国会議員は含まれていないんだと、こういう説明があったわけであります。  そこで、重ねて伺いたいのは、この現在まで行った百八十人、これ以外に今後調査を行う対象として百八十人以外に今後の対象者としてどのぐらいの人数の者がリストアップされているか、このことを伺いたいと思うんです。
  36. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘のように、百八十人の中には政治家は入っていない、入っているという報告は明らかに受けておりませんので、入っていないと御理解いただきたいと思います。今後のことにつきましては、これは捜査のこれからの見込みにつきましては、私どもは承知いたしておりません。ただ、百八十人より超えることだけは間違いないと思います。
  37. 野田哲

    野田哲君 それからあのときの報告では捜査を行った対象、児玉の周辺あるいは関係官公庁等々の報告、丸紅等の報告があったわけでありますけれども、銀行について伺いたいと思うんですが、今日まで行った捜査の対象の中に日本輸出入銀行、これは入っているのかどうか、これをまず伺  いたいと思うんです。
  38. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘のございました日本輸出入銀行について取り調べを行ったという報告は受けておりません。  なお、銀行関係につきましては主として税法の関係で国税当局で相当数の銀行をお調べになったことは、先般の内閣委員会で国税庁次長から御報告のあったとおりでございます。
  39. 野田哲

    野田哲君 この前の報告では外為法という問題で丸紅の大久保、伊藤両氏の問題の報告をされているわけであります。外為法という問題が出てくれば当然関連をして輸出入銀行が対象として考えられると思うんです。  もう一つの問題は、衆議院でもすでに問題になっている輸銀法の突如とした改正、これが一つの疑惑の対象になっている。その二つの面からしても当然輸出入銀行がその中に含まれていなければならないはずだと思うんですが、なぜ今日まで輸出入銀行が調査の対象、取り調べの対象になっていないのか、この点は非常に疑惑を招くわけなんですが、重ねてその点について伺いたいと思うんです。
  40. 安原美穂

    説明員安原美穂君) たびたび申し上げますように、検察庁といたしましては、ロッキード社の製造機の売り込みに関します日本国内における営業活動の中に不正の存否を明確にするという目的で調査捜査を進めておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、そういう目的のためにはいかなる人、いかなる企業でも取り調べをするはずでございますから、私がただいま申し上げましたのは、報告を聞いておらないということでございまして、必要とあればいかなる銀行でも取り調べをするはずでございます。  なお、そういう意味におきまして、さらにお尋ねで、なぜ取り調べていないのかというようなことになりますと、これはむしろ私の口からは、ただいまの段階では報告を受けておらないからわかりませんというほかはございません。
  41. 野田哲

    野田哲君 二十四日の内閣委員会での質問の中で、韓国外換銀行の問題が出ております。韓国外換銀行と関連をして日本不動産銀行、これが調査の対象になっているかどうか、この点をあわせて伺いたいと思うんです。
  42. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 詳細を承知しておりませんが、先般国税当局の御報告によりますと、児玉譽士夫の脱税の関係で取り調べたということでございますので、取り調べの経過、結果については当然検察庁が報告を受けているはずでございます。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今後の問題でありますけれども、日本側の該当者が百八十名だかあるいは二百名になるか、それはわかりませんけれども、この問題は太平洋を越えた問題ですからね。アメリカの方の、つまり贈賄側、贈賄と断定をしてしまっていいかどうかわかりませんが、要するにいま疑惑の焦点となっているのは贈収賄でありますが、この贈賄側のいろいろな人物についての調査が行われなければ、日本人ばかり幾ら調べてみたところでなかなかこれはらちが明かぬという気がするわけです。そこでコーチャンとかあるいはクラッターとか、問題のかぎを握っている人たちの嘱託尋問の可能性が一体どうなのか、この辺また日本政府としてはどこまで話をいま詰めているのか、その点をお伺いしたいと思うんですが。
  44. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御案内のとおり、本件はアメリカにまたがる、しかもアメリカに端を発したというべき事案でございますから、そういう意味におきましてアメリカに重要な関係人のおることも事実でございますので、捜査の目的を達成するためにはそういう関係者から直接事情を聴取することがきわめて適切、有力な捜査方法であることは申すまでもないわけでございまして、そういう意味におきまして、そういう人たちから何らかの方法によって事情を聴取したいという希望を持っていることは事実でございますが、何分にも具体的にいつどういう方法でそういう手段を講じたか、あるいは講じようとするかというようなことは、まさにこれから行おうとする捜査の内容に関しますので、ひとつお答えをすることを御猶予願いたいと思います。特に私どもがそのことをお願いしたいと思いますことは、先般衆議院の委員会でも申し上げましたが、今日非常に国民の関心の高い事案でございますので、それにそういう要望にこたえるという意味において非常に報道の関係の方々が熱心な取材活動をなさいます結果、私どもがそういうことを明らかにいたしますことが、アメリカにおきましても熱心な取材活動を誘発し、したがって円滑な証人尋問の実施を妨げるおそれが多分にあると私ども考えておるわけでございますので、どうかこの点につきましては、一定の時期までひとつ申し上げることを御猶予願いたいと、かようにお願いをする次第でございます。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そういうふうに言われてしまうと、どうもどこまで突っ込んで聞いていいのか私らの方でもちょっと困るんですけれども、しかし問題のかぎを握っているのが向こうの人間であるということは間違いはないわけですね。そうすると今度は法務省だけではなくて外務省としてもかなり仕事が、これは外務省としての責任も重くなってくるんじゃないかという気がするわけです。これらの嘱託尋問の可能性という問題にいたしましても、あるいは外務省自身がアメリカの関係当局とまず橋渡しをするという問題にいたしましても、法務省とこれは連係をとってやってもらわなきゃいけないことなんでありますが、どうも今日まで外務省はどちらかというと傍観者のような形になってきているという印象を受けるわけなんでありますが、外務大臣にお伺いしたいんですが、外務省としてどのようなこの問題の究明についての努力を払ってこられたのか、これからまたやろうとしておられるのか、この点は外務大臣にお伺いしたいと思います。
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど法務省政府委員からお答えがございましたように、捜査当局としてはそのようなことをする必要があるとお考えのように私どもも承知しておりますが、外務省の者はいわゆる法執行の官吏ではございませんので、わが国の法制からいたしましても、また先般日米間で結びました司法共助の取り決めの精神からいたしましても、この事件捜査に直接かかわる、タッチをするということがあってはならないというふうに心得ておるわけでございます。しかしながら、外国におきましてそのようなことをわが国の法執行官吏がいろいろ活動をされるというときに、いろいろな意味で私どもが便宜を供与して差し上げるということは、そういう法執行官吏の職務執行に役立つ場合が多いと存じますから、そういう意味でのいろいろ物理的な便宜の供与というものは、これは最大限にするようにということは私から指示をいたしてございますけれども、これは厳格に捜査の内容には立ち入らない、そこのところのけじめはきちんとしておくようにと、くれぐれも申しておりますし、またその点は法執行官吏の方々も当然そのようにお心がけでございますから、そのような間違いは起こらないように、起こることはないと存じております。しかしそれ以外の活動がしやすいような便宜の供与は最大限に出先の者がいたすように、私から指示をいたしてございます。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 事柄が法務省の領域にわたるものであるから、外務省としてはまあお手伝いはするけれども、その範囲であると、こういうふうに受け取れるわけなんです。しかし司法の取り決めは、たとえばアメリカの司法省と日本の法務省との間の取り決めというようなものは、本来外交ルートで先にまず先鞭をつけておくというのが筋道じゃないかなという気がしたんですがね。条約とか協定といったようなものとはまた性格が違うわけですね、これは。そういったような拘束力を持っているものではない、紳士協定的なものであるというふうに理解をされるわけなんですが、これは外交ルートがまず先行をして、そして司法当局当事者の話し合いに持っていくということをして、もっとこれは拘束力のあるものにする必要はないのかどうかという点をちょっとお伺いしたいと思うのですが。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今回のいわゆる司法共助につきましての取り決めは、沿革的に経過的に申し上げますと、アメリカのインガソル国務副長官の議会における証言あるいはフォード大統領の書簡等々から、その中に示唆されておったものでございますから、ここまではいわゆる外交ルートにおける問題であったと思います。しかし現実にそのような取り決めを結ぶという段階からは、これはもう純粋に法執行当局の問題になりまして、したがいまして、そのようにいたしました取り決めは閣議でこれを確認するということにいたしたわけでございます。もとよりこれは行政組織法の上で法執行当局にすでに与えられております行政権の範囲内のものでありまして、新たに権利義務を発生させるというものではございませんでしたから、国会の御承認というようなこと、そういう条約、協定——条約あるいはそれに類する協定といったような性格を持ってはいない行政の範囲内でいたしたことでございますけれども、しかし事柄が重大でございますから、閣議で確認をするという方法をとっておりまして、そういう意味では日本政府全体がこの取り決めを守る義務を負っておるというふうに私ども考えております。
  49. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 余りまあ歯切れのいいお答えではないんでありますけれども、要するに外務省とすれば、このような事件解決に当たって第一線に出て行動するという立場にはないんだというふうに聞き取れるわけですよ。しかし事が両国間にまたがっていることであるし、それからまあ事と次第によっては日米間の信頼関係を全く傷つけてしまう、こういうような事柄に発展をする、すでにそういう問題に発展しつつあるわけなんですけれども、そういう点から見ると外務省としてもこのロッキード問題をうやむやにしない。そして国民に、日本の国民だけじゃなくて、アメリカ国民にも納得のいくような解決策を講ずるという責任があるような気がするわけです。そのためには、むしろお手伝いということよりも、外務省自体がもっと積極的なイニシアチブをとって問題の解決に当たるという立場をとってもいいのではないかという気がいたしますが、その点はどうでしょうか。
  50. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、この事件には捜査面というものと外交面とが私どもやはりあるというふうに考えておりますから、このできごとによって日米間の信頼感が破れる、あるいは将来の両国の関係に悪い影響があるというようなことは、これは外交努力によってそのようなことがないように、それを最小限にとどめるような努力は、これはもとよりいたさなければならないところでございます。その点、私ども最大限に私どもの職責と心得ておりますし、これからもまたそのように心がけていかなければならないと存じておりますけれども捜査そのものの中身にいやしくも関与をするというようなことは、これは厳に慎まなければならないという考えでございまして、したがいまして法執行当局が必要であると言われる限りの外側からのお手伝いはいたしますけれども、その実態について話を聞くとか、あるいは関与をするとかいうことは一切いたしてはならない。これは当然のことでありますけれども、これは間々、外側と内側というのは非常に接点が微妙でございますので、厳にそれは慎むように私から申してございます。これは、しかしこの問題の解明について外務省が不熱心であるとか、あるいは消極的であるとかいうことを意味するものではありませんで、私どもはこの問題の持つ外交面の影響、それが悪い影響を両国間に持ちませんように最大限の努力を従来からいたしてまいっておるつもりでございます。
  51. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この問題が、単に賄賂をやったとか取ったとか、両国間に、それだけの問題であればまだ規模は小さなものだと思います。ところが、その金額が莫大であるし、それからその背景にCIAが介在をしていると、こういうようなことが報道されております。これは国会における質疑の中でも行われておりますけれども、どちらかというと余り触れたがらないような形でもってさらりとかわしておられる、予算委員会等では。しかし、このニュースのたねはアメリカの方から、たとえばアメリカ国会でもって発表されたということが日本のマスコミによって報ぜられておるという形になっておるわけです。そうすると、単なる風聞とかうわさでは済まされない。特にこのCIAというものが介在をするということになると、これは大きな謀略がここには入ってくるわけであります。その謀略が、たとえば日本の政治そのものを動かす、あるいは日本の総裁選挙にまで大きな影響を及ぼしているということになりますと、事はきわめて重大であるというふうに思われるわけです。そこで、このCIAの活動についてある程度外務省としても心得ておらなければならないし、あるいはこれは外交上の問題として、アメリカ政府との間でもって、余りこういう陰にこもった一つの策動というものが介在をしないようにこれは話を詰めていかなきゃならぬ問題ではないかという気がいたしますが、このCIAの活動について外務省としてはどのような見解を持ち、どのような対応策を持っておられるのか、お伺いしたいと思うんです。
  52. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) CIAが日本におきましてロッキード事件に関与をしていたのではないかというお話でございますけれども、これは四月の十日及び十七日付のアメリカのニューリパブリックという雑誌に載っておりましたタッド・シュルツという人の記事に基づいてお話があるのではないかと思います。私たちもこの記事につきましては詳細に検討いたしましたけれども、この記事はいずれも推測に基づくものでございまして、はっきりした証拠は示されておりませんので、まあ、そういう記事をもとにわれわれとしていろいろと調べるというわけにはまいらないわけでございます。ただ、宮澤大臣国会において何回も申し上げておられますように、政府としましては、CIAがわが国の中で組織として活動をするということは許しておりませんし、またそのような事実もないものと考えております。
  53. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 CIAと児玉譽士夫との関係とか、あるいはまたCIAがロッキード事件の背後に介在するとか、こういうことが単なるうわさにすぎないと、事実無根であるというふうにこれまた断言できるならば問題はないですよ。しかし、そういうふうに簡単に解決できる問題であるかどうか、もしCIAというものが組織的にロッキード事件の背景になっていたということになると、真相の解明がまたまた複雑になり困難になるんではないかという心配をしないわけにまいりません。ところが、何しろこういう秘密機関なんでありますから表立って行動するわけじゃないし、金の流れにしたところで、先般、自民党にもCIAから金が流れたんじゃないかと、こういうことが記事になって、自民党は強くこれに対して抗議をしたということが出ておりました。しかし、秘密工作費なんというものは受け取りもらって公然とよこすような性格のものじゃないんですから、出した方だって知らぬ顔しているだろうし、受け取った方だって知らぬ顔しているんじゃないかということになると、抗議をしたとかなんとかいってみたところで、これはもうらちの明かない話だと思うんです。問題は、こういう秘密工作というものが日本の政治に対して影響力を及ぼすというようなことがあってはならぬ。これは自民党のためだけじゃない。日本の国益のためにも十分に監視の目を光らかせなければならないと私は思うんですよ。三木総理自身が記者会見の中で、CIAの問題について答えておられますね。これは十分に調べていかなきゃならぬという意味のことを記者会見の中で言っておられます。また、決して軽視をしておられないというふうに思うんですよ。したがって、日本のマスコミにCIAのことがたくさん出るけれどもそう意に介することじゃないんだというふうに軽く見ていいのかどうか。これは法務大臣の方からお伺いした方がいいんじゃないかという気がいたしますので、法務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  54. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 具体的なロッキード事件に関連いたしますCIAとの関係につきましては、うわさとしては聞いておりますけれども捜査当局からさようなことについて全然報告を受けておりませんので、お答えいたしかねます。
  55. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きわめて事務的なお答え局長の答弁というのは事務的な答えでいいのかもしれませんが、私どもが懸念しておりますのは、これだけの金が動いたと。これだけの金といったってわれわれ自身が正確にまだつかんでいない。つかみがたいほどの莫大な金が動いたと、しかもそれが政治的に動いておるということになると、これは簡単には手の届かないところでいろんな動きがあるんじゃないかということを心配しているわけですよ。そこで、このCIA等の動きについて、日本の政府としてこれは遠慮気がねをしておったんではいかぬと思うんですよ。むしろ、このCIAの動きについては細心の注意を払って、彼らがアメリカとソビエトの間で何をしようとそれは勝手なんですけれども、日本の国内で日本の政治を動かすようなことをやられたのでは迷惑千万な話です。したがって、これだけ今日マスコミの中でCIAが話題になっているにもかかわらず、法務省では捜査当局から何らそういう報告を受けておりませんということで片づけていいのかどうかということですね、これは。もう一つ一つの材料をここで申し上げるには時間が足りないから一々私は指摘をいたしません。しかし、今日、たとえば町の書店を見てごらんなさい。CIAという活字のないところはないぐらいあらゆるところに、雑誌等にCIAの活動について記載されている文書を見ることができるんですよ。そうすると、これは単なるうわさだとか捜査当局から報告がないで済まされることではなかろうというふうに私は思うんですよ。これは重要な問題だと思うんですよ。したがって、このCIAの活動についてはもっと重要な関心を払っていいのではないだろうかということを私は言いたいんです。外務大臣としても、特に調べようともしないというふうにお考えになっているのか、あるいは調べようがないというふうに判断をされているのか、その点はどうなんでしょうか。
  56. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) CIAにつきましては、まあ昔から凡百の書物がたくさん、いわゆる民間から出されておりますけれども、これはまあしっかりしたものだとも申しにくい。たまたまアメリカの議会におきましてこれについてのかなり広範な調査が行われまして、その結果がいわゆるチャーチ委員会の報告書として出されつつあるわけでございます。私ども瀬谷委員の言われますように、このCIAというものがどういうものであるかというようなことは知っておかなければ、知れる限り知っておきたいと考えておりますことは、これはもうもとよりでございますけれども、御指摘のようにCIA自身あるいは政府自身からこういうものであるという説明というものはかってなされたことがありませんので、いわゆる伝聞あるいは民間の人たちの書いたもの等々で一般的な知識を得る以外に実態を知る方法がないというのが実情でございます。もちろんわが国にもしそれが関係をしておりますということになりますと、これは大変なことでございます。私どもの知っております限り、占領中あるいはその直後の期間はよくわかりませんので別といたしまして、わが国が独立を回復して今日までの間、組織としてCIAがわが国で活動をするということは、われわれ許さないという方針でございますし、またそういうことはしたがってないというふうに考えております。  ロッキード事件との関連につきましては、先ほど政府委員が申し上げましたように、ある雑誌にそのようなことが述べられたことがありますけれども、これはきわめて抽象的なことしか書いてございませんで、どこがどうということを何も言っておりません。したがって、まあこれは一つの想像あるいは伝聞としか考えられないことだと思います。  まあ結論といたしまして、私ども、もしわが国でCIAというようなものが組織的な活動をしておるということになればこれはゆゆしいことでございますから、いろいろな情報あるいはCIAに関します書物であるとかというようなものは、もう最大限に気をつけて見ておかなければならない、これは瀬谷委員の言われるとおりであろうと思います。
  57. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 CIAについては、何かどうも無防備のような感じを受けるわけです。しかし、いろいろ伝えられておることは確たる証拠がないんだと、こういうふうに言われてしまえばそれっきりなんでありますけれども、今日まあマスコミにCIAの記事は非常にたくさん出ておりますが、じゃあ具体的に一つですね、これは動かしがたい事実としては、これはCIAじゃありませんが、KCIAですね、韓国の。KCIA。このKCIAが金大中事件の中で働いている犯人であるということ。これはアメリカの議会でもってこういう証言があったわけですね。これもアメリカ種なんですよ。アメリカ種ではあるけれども、金大中事件というのはまぎれもなく日本で起きた事件である。そして金大中氏は拉致されて韓国に持って行かれた。これは事実なんですね。そうすると、このKCIAの活躍、それと金大中事件というものは結びつくわけです。だから、この一つのこういう秘密諜報機関の存在ということを証拠立てる事実として、日本では金大中事件というものがあったということはこれは否定できないでしょう。もし金大中事件というのはKCIAとは無縁であると、無関係であると、韓国政府とも無関係であるということが断言できるならば話は別ですが、これは断言できないでしょう。これはCIAに関連してあえて私は金大中事件について触れたわけでありますが、この問題については外務省としてはどのような判断をしておられるのか、その点をお聞きしたいと思うんです。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 過日、元国務省の職員であった人が金大中事件はKCIAの仕事であるというようなことをアメリカの議会で述べたという報道がございましたので、私どもとしてはこのいわゆる金大中事件につきましてはその犯罪捜査捜査面では事は終了していないというのが政府考え方でありまして、新しい事実があればそこから捜査がさらに進行をすべきものであると考えておりますので、この元国務省職員の発言については当然注意を払いまして、まず国務省に確認を求めたわけでございますが、国務省としてはこれは一私人の発言であるから国務省として責任の持てることではないということでありました。  そこで、ワシントンのわが国の大使館の者を発言者自身に会わせまして、どういう根拠に基づいてそういう発言をされたのか。具体的な事実を知っておればわれわれに明らかにしてほしいということを実は申しましたのでありますが、御当人は——レイナードという人でございますけれども、実はそれは一般的にわれわれがそう考えておるということ以外に具体的な事実、知識に基づいて言ったわけではないという返事であった。そうでありますと、これはわが国の捜査当局もそのような疑いを抱いて当時調査捜査を行ったのでございますから、そのような疑いがあるというだけのことであればこれは別段われわれにとって役に立つお話ではないので、あれば具体的に聞かしてもらいませんと今後の捜査に役立たないのでございますが、そのような具体的な知識に基づくものではないということでございましたので、これ以上これを追及していきましても新たな事実関係が出るということではないと考えまして、そこで本人についての聞き取りを打ち切ったというのが経緯でございます。したがいまして、新たな事実あるいは新たな確度の高い情報というものは、あの証言からは何も出てこなかったというのが現在までの事実関係でございます。
  59. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ともかく確たる証拠がつかめないということで捜査も終了してないと、金大中事件の。しかし、こういう事件が日本で、東京で起きたということは紛れもない事実である。しかも、その犯人は日本人ではないということ、これもまたはっきりしておる、となると、このCIAあるいはKCIA、これらの秘密機関の活動というものは、日本の国益にとって決してプラスにはなってないというふうにわれわれは思うわけです。したがって、それだけにこれらの、われわれの目に見えないこういう機関の活動に対してはもっと厳しい目を光らせる必要があると思う。捜査当局から報告がないから事実もないものと判断をしてしまって知らぬ顔をするということは、私は日本の法務省の態度としてはよろしくないと思う。そういうなまぬるいことではいかぬと思うんです。特に、ロッキードの問題と、このCIAの問題と決して別々には考えられないということになってくれば、ロッキード問題の捜査に重点を置いてみても、先ほど来何回も繰り返しておりますように、この現行法規の中ではおのずから限界がある、限定をされてくる。それではしょせん出てくるのは小魚ばかりであるということになってしまったのでは問題の解決にはほど遠いということを懸念をいたします。したがって、きょうのところは刑事訴訟法第四十七条等の問題については省略をいたしますが、法務大臣から、このCIA等のこういうわれわれの目に見えない機関の活動等についても積極的な目を、監視あるいは調査ということを考える気があるのかないのかということもあえてお伺いすると同時に、今後のロッキード問題の究明についての法務大臣自体の決意ということをお聞きをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  60. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いま、ロッキード問題については順調に捜査が進んでおるという報告を受けておりますから、なお一層精力的に捜査を進めていく、その捜査当局、検察庁の意気込みは私高く評価いたします。私自身もそういうふうに厳正に、公平に、しかも迅速に一日も早く、国民は非常にやきもきしているわけだから、そういうことにこたえてもらいたいと、こう言って一般的な指揮をしておるわけであります。その捜査の過程においていろいろな関係からCIAなるものの実態がつかめたりするかどうか、その点につきましてはまだ何とも申し上げられる段階ではありませんが、しかし、もしそういうものが出てくれば、そのものを、何といいますか、実態を明らかにする努力は、ああCIAがかんでる、それじゃ手に負えないなんていう、そんな意気地ないことはいたしませんね。
  61. 秦野章

    ○秦野章君 きょう最初でございますので、基本的なロッキード事件に対処する問題の中のごく一部の点をお尋ねして、いままでの政府のおやりになってきたことの、言うならば整理といいますか、考え方の、そんな角度からお尋ねをしたいと思います。  最初に法務大臣ちょっとお尋ねしますが、両院の議長の裁定でもって、「政府の措置は不充分であり、遺憾である。」と、こう裁定があるわけですね。法務省として、法務大臣として、検察当局の上に責任を持っておる法務大臣として、この議長裁定のこの項目についてはどのように考えておられるか、これを最初に伺っておきたいと思います。
  62. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 法務省としては、もうできる限りのことをやったつもりでおります。不十分であると言われたのは心外であるなどということを申し上げませんが、人間のやることでありますから、国会の方から見れば不十分な点があったかもしれないと、そうであるなら、なおさら一層一生懸命にこの捜査には力を入れなけりゃいかぬと、こういう裁定の受けとめ方を、裁定に対してそういう受けとめ方をしております。
  63. 秦野章

    ○秦野章君 そうすると、やっぱり政府の措置は不十分であるということの中に、法務大臣としての責任立場でやっぱり不十分であるというふうに認識されるわけですか。もしそうであるならばいかなる点が不十分であったというふうにお考えになりますか。
  64. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あの裁定は、法務省やそれから検察庁のやり方が手ぬるいとか間抜けているとか、そういう裁定ではないと思いますね。まあ、ああいう決議をしているのに特使も出しておらぬとか、そういう点について御不満があるんであって、法務省、検察庁のやり方なっちょらぬという裁定ではないと思いますね。
  65. 秦野章

    ○秦野章君 そういうことならそれで私は結構だと思うんです。  次に、この事件が問題になってから公表の問題というのが一番先に出てきている。これは、総理がアメリカの資料を公表するとかせぬとか言ったようなことから公表という問題が大変クローズアップされたんですけれども、一体、公表という概念ですね、法務省あるいは検察当局として、公表とは一体なんだろうと、公表とは何かということをちょっとお聞きしたいと思います。
  66. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私どもの理解では、公表とは、公表する権限を有する者が、その思想内容、事実の内容等を公にすることであるというふうに考えております。
  67. 秦野章

    ○秦野章君 そうすると、たとえばマスコミが自分の力で取材をしてどんどん新聞に書くとか、いろんな捜査の過程で事実をつかむということはあり得るわけですが、そういうことに若干のコメントといいますか、そういうようなことも、これはデモクラシー社会の中に当然あるわけですけれども、そういうのは必ずしもここで言う公表とはその程度のことは言わない、こういう理解でよろしいですか。
  68. 安原美穂

    説明員安原美穂君) お説のとおりだと考えております。
  69. 秦野章

    ○秦野章君 結局刑事訴訟法の四十七条の問題に関連をするわけですけれども、この四十七条の規定ですね、「訴訟に関する書類は、」これは衆議院でもいろいろ議論がございましたが、また当局の答えもありましたが、改めてこの四十七条の訴訟書類の公開禁止の規定というものは、文言の上から言いますというと、書類の公開禁止というふうになっているわけですね。ところが学者の意見その他を見れば、書類そのものの公開禁止ということだけじゃなくて、四十七条には刑事司法の運営の上で一つの原則というものがあって、その表現として四十七条があるという解釈がどうも通説のように思うんですけれども、この四十七条の基本的な解釈といいますかね、原則といいますか、そういう点について改めてひとつ刑事局長から伺いたいと思います。
  70. 安原美穂

    説明員安原美穂君) この刑事訴訟法の四十七条におきます「訴訟に関する書類」というものにつきまして、私どもは相当広くこれを解釈しておるわけでございまして、そのある被疑事件あるいは被告事件に関して作成されました書類、たとえば捜査当局捜査の過程で作成いたしました供述調書とかあるいは報告書あるいは検証調書というようなものあるいは起訴状、それから裁判書き、上訴の申し立て書、最終の陳述書というようなもの、あるいはまたその事件捜査の過程で押収しました証拠物である書面、たとえば被疑者の作成した報告書とか議事録とかメモ、日記なども含まれるというふうに考えておりまして、およそ当該事件に関します捜査当局ないしは裁判所が保管しております書類は、それがそのために作成されたのみならず、それからその証拠物たる書面も入るというふうに考えますと同時に、さらに広げまして、その書類そのものを公にする場合のみならず、書類に記載されている内容を公にすることもこの四十七条の制限の対象になるというふうに考えております。
  71. 秦野章

    ○秦野章君 そのような解釈をする、つまりこれは一種の文理解釈を越えた解釈というふうに言われておる一つの論理的な解釈だと思うんですが、それにしてはいささかちょっとこう、説明がもうちょっと要るんではないかと思うんですがね。
  72. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私ども考えますのに、およそ刑事訴訟法上収集され、作成された書類というものは刑事訴訟法の目的実現のためにそれが権限を認められて作成されたものであり、入手されたものであります以上、訴訟法の目的に沿わないような意味での公にするということは禁ずるんだという基本的な考えのもとに、特に公判開廷前におきましては、その内容を明らかにすることが関係者の名誉を侵害するおそれがあり、かつ公判開廷前に公にすることがこれから始まるであろう公判手続において、その事前にその書類の内容を公にすることは裁判の運営に支障がある。たとえば関係者に対し圧力が加わったり、あるいは裁判官に予断を抱かしめるというような意味において支障があるということからこの規定ができておるというふうに考えますと、その中身を相当広く解釈することが合理的であるというふうに考えた次第でございます。
  73. 秦野章

    ○秦野章君 この四十七条のただし書きで、「公益上の必要その他の事由があって、」と、「公益上の必要」、それから「その他の事由があって、」大変広範な、考えによってはかなり広い、具体的なケースの適用の問題ではかなり広い適用ができるような感じがしますが、それが一つと、それからいま一つは、「公判の開廷前には、」とありますけれども、公判開廷まで、前の中でもたとえば起訴になったようなときにはよく発表もされているようですね、あるいはまた不起訴の場合でも不起訴になった理由を公表しなければならぬといったような場合がこの公益の立場からも考えられるケースもあるのだけれども、ここでちょっと最初にお聞きしたいのは、公判の開廷前は公にしちゃいかぬといいながらやはり起訴のときは大体これしているのじゃないか。そうすると、これは文理解釈では必ずしもぴしゃっとこない点が実際の運用で大分あるというふうに思うんです。それが一つと、いま一つは、「公益上の必要その他の事由があって、」というその解釈ですね、これをちょっとお聞きしたいと思います。
  74. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 公判開廷前という場合におきましての解釈でございますが、公判開廷前というのは、それが当該事件が公訴提起を受けた場合に関する問題として公判開廷前に当該公判請求した事件に関する書類を公にしてはならないということのみならず、当該事件が公訴提起をされなかった場合におきましては、原則として公判開廷ということがない以上は原則としては不起訴に関する書類は公にしてはならないということでございまして、公判の過程ということがない以上は、いわば不起訴の事件については原則としてはこれは公にしてはならないという原則が、いわば永久にかかるというふうな解釈になるわけだと思います。  あと、もう一つ何でございましたか。
  75. 秦野章

    ○秦野章君 「公益上の必要その他の事由」。
  76. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 「公益上の必要その他の事由」というものといたしましては、いわば私どもの理解では、民事裁判——交通事故の民事裁判等におきまして、実況見分調書というようなものは再現が非常に不可能なものでございますとともに、損害賠償請求する原告にとっては非常に欠くべからざる代替性のないものだというような場合には、その民事訴訟を提起した者のために、民事裁判のために、事件の記録、資料を民事裁判に提供するということがあるというようなことが「その他の事由」の一つのいい例だと考えております。
  77. 秦野章

    ○秦野章君 いわゆる世間的に大きな事件というふうに思われるような場合に一般の世論といいますか、そういうものがいろいろ書き立てるということは、これはいまのデモクラシー社会の中で、ある意味でこれはまた検察を鞭撻するといったような意味もありますから、ちょっとオーバーだなと思う場合もあるけれども、それはそれなりの意味があると思うのだけれども、そういう記事や報道の中にときに具体的な名前が入ったり何かして報道される例があるわけですね、目下捜査中なんだからそういう予断を持つことはどうかなと思うけれども、現実にはそういう事態がある。そういうような、世間でそういうふうに登場してきたニュース、報道というものが勢い民衆が大きく関心を持つということは当然だと思います。その関心を持ったことに対して、これは実はこうであったというやはり事態を、真実を明らかにするというような意味では、これはもう不起訴になった者であっても、これをむしろ公表することの方が被疑者の利益にもなるしまた——利益になるかならぬかわからぬが、なるかもしらぬし、あるいはまた少なくとも重大な関心を持った世間のそういったものの何というか期待にこたえるといいますかね、そういう感じもあるんですがね。その辺のところはやはり「公益上の必要その他の事由」といったようなことに該当するのでございましょうか。
  78. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど申しましたように、刑事訴訟法の四十七条の原則として公にすることを禁ずる利益との兼ね合いの問題でございまして、きわめて具体的な判断を要する問題で、片一方では公にしてはならないという原則がございますが、それを突き破る公益上の必要というものはどのようなときにあり得るかはきわめて具体的な問題として、抽象的には申し上げかねるわけでございますが、そういう問題としていま秦野委員御指摘のように、たとえばかつて問題になりました心臓移植事件等におきましてはその不起訴の理由を明らかにしたわけでございます。これはあの事件については告発がなされておって、すでにその被疑者の名前が世間に公にされておったというようなことも考えて、世間の非常に関心の高い事柄であるという事情も考える、いろいろのことを総合、いわゆるわれわれの言葉で総合考覈いたしまして公にすることが好ましいという判断をいたしたわけでございます。また、一般論としてはすでに何らかの形で取り調べを受けたということが公になっておる、通常われわれ逮捕、勾留いたしますとこれを公にするという事実上、これは世間の関心のあるものにつきましてそういうことが事実上行われておるわけでございますが、そういう場合におきまして、それが完全に本人が犯罪の嫌疑がないということが明白な場合、その本人の名誉を保護するということが、この公開してはならないことの一つの原則を打ち立てる理由になっておりますが、そういう場合に名誉のためにかえって本人が犯罪の嫌疑がないんだということを明らかにするということの必要性のある場合もあります。そういう意味におきましてこの公益性の判断というものは人権の保護ということを含めまして具体的な問題としてかつて検察の実務におきましてもこの例外としての運用としてさようなことをしたことがございますが、いま御指摘のようにこれはすべて公益上その他の事由があってということの判断をいたしまして、それがそれを秘匿するよりも優先する利益だという判断のもとに行われておるわけでございます。
  79. 秦野章

    ○秦野章君 公害問題なんかの例では非常にまあ公害問題がやかましいというような住民パワーその他で非常に問題になる、それがいろいろ調査をし捜査をしていって結局司法の取り調べを受けると、取り調べたけれども結局起訴には至らないといったような場合にはまあよくこれが起訴に至らなかった理由を公にするという例がありますね。それとやや似たようなケースになると思うんですけれども、この公共の利益その他の事由というただし書きの規定の運用、解釈というものは、これはまあ検察官等の立場では非常に御苦労の要る、慎重に判断を要することだと思うわけですけれども、この刑事訴訟法四十七条のただし書きのこの法律の運用の責任者といいますかね、当事者はだれになるわけでしょう。
  80. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 責任に直接責任と監督責任というふうに考えてそれを分けてみまするならばこのようないわゆる書類を公にするかどうかの判断をする直接の責任を持つ者は当該検察官でございます。そういう意味においてこれを直接に指揮する検事正、検事総長という者も責任者でございますが、そういう直接責任を持つのは書類の保管者である検察官であり、あるいは裁判所に書類があります場合は裁判官そのものであるというふうに思いますが、それを監督する責任ということになりますと御案内のとおり法務大臣ということが監督責任としては考えられるわけでございます。
  81. 秦野章

    ○秦野章君 その場合に、そのただし書きの適用という問題について監督責任のある法務大臣が、そのような解釈ではうまくないと、こうせい、ああせいということを指示するということは検察庁法十四条の指揮権になりますか、なりませんか。
  82. 安原美穂

    説明員安原美穂君) そのような書類の内容を公にするということは、私どもは検察庁法第十四条ただし書きの具体的な事件の処分ということに入るという解釈をしておりますので、御指摘のとおりそのことは十四条ただし書きの、法務大臣が仮にそういう検察官の判断はよくないと、それをこのように変えろというような御指揮をなさるとすれば、それは検察庁法十四条ただし書きの具体的な事件の指揮権の発動ということになると思います。
  83. 秦野章

    ○秦野章君 そうすると、この四十七条の解釈、運用ですね、まあ解釈はだれがしても一応いいわけですね、抽象的には。しかし具体的事件の適用に当たって解釈、運用するという責任者は検察官にあると、法務大臣とか総理大臣にはそういう権限はないと、こういうことになりますね。
  84. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど来述べておりますように、直接そういう権限はない、監督をする権限はあるということでございます。
  85. 秦野章

    ○秦野章君 これ法務大臣直接の問題じゃないんだけれども、例の記者会見、総理の四月三日の記者会見がよく話題になりますけれども、総理の発言の中で、ただし書きで不起訴の場合も公表の道をふさがれているわけじゃないんだという解釈をされる、私はこの解釈は解釈なんだから別に差し支えないと思うんですね。ただ問題は、公開を、一体そういうことを決めるのはどこだと言ったら政府だと、こうはっきり、新聞記事が本当なら、政府だとこうおっしゃっているのだけれども、これについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  86. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 不正確な表現だと思うんですね、不正確な表現だと。不正確な表現ですから、その後いろいろお話して、後ではこの国会答弁などではきわめて正確に総理も答弁しておられるというふうに私は思います。いま刑事局長が言ったような答弁になっておるというふうに思います。
  87. 秦野章

    ○秦野章君 もし政府の行動として総理とか法務大臣が公表というアクションを実行なさるということであるならば、それは実は政府の一般的行動ではなくて検察庁法第十四条の行動なんだというふうに解釈せざるを得ませんね。それはそれでいいですか。ただし書きに関連してよ。
  88. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ちょっと御趣旨をそんたくいたしかねておるわけでございますが、書類の保管者である検察官が四十七条ただし書きの適用として公にするという場合は検察官が公表するわけでありまするが、まあ検察権の行使も行政権の一態様であるということになれば、広く言うならば政府の公表ということになるのかもしれませんが、訴訟法上正確に言うならば検察官による訴訟に関する書類の公に公表ということに理解して、それは一応検察権の性質上政府と分けて表現する方がより理解を正確にするのではないかというふうに思います。
  89. 秦野章

    ○秦野章君 そこから一歩進んでね、検察官が四十七条の運用の責任者なんだと、まあ言うならば実際の運用は、これは検察官の専売特許なんだと、四十七条は。そうすると、四十七条ただし書きに基づいて政府が、検察官じゃなくて——検察官も政府一員には違いないけれども、これは準司法機関という独立の地位がありますから、ここでは一応除いて、政府が、総理とか法務大臣が検察官の責任ある判断とは別個にですね、また検察官が判断をした中身とは別に公表という政府の行動を起こされるということがもし仮にあるとするならば、それは政府行為というには違いないけれども、それは検察庁法第十四条のあの指揮権の発動という形においてだけしか発表が、公表のしょうがないではないかと、こう申し上げているわけです。
  90. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど申しましたように、この検察官による公表ということになれば、それを政府が何らかの形で検察官をしてそうなさしめるという行為がなされるとすれば、それが指揮権の発動という意味において検察庁法十四条の具体的な事件の指揮が法務大臣から検事総長になされて行われたということになるはずでございます。ただ、いつも参議院の委員会等でも申し上げておりますように、まさに四十七条の検察官による公表ということになれば、四十七条の場合におきましては、これはそれをなさしめる大臣ないしは内閣行為は指揮権の発動ということにならざるを得ない。問題は、まあ指揮権の発動ということはあってはならないという伝統が確立いたしておりますので、そういう問題の指揮権の発動というのは検察官の意見と内閣なり法務大臣の意見が食い違った場合に行われるわけでありまするから、食い違うということはないものと思っておりまするが、食い違った場合に初めて指揮権の発動ということが行われるわけだと思います。  それからなお、私ども委員会でも申し上げておるわけでございますが、あるいは言わでものことで、御案内のことかと思いまするが、法務大臣は検察官に対して一般的な指揮監督の権限をお持ちでございますから、今回の事件を含めましておよそ検察官の行っております捜査の経緯、結果につきましては、一般的な指揮監督権に基づきまして報告を求める権利を法務大臣はお持ちでございまするから、その報告を、法務大臣が得られた中身を法務大臣責任において、刑事訴訟法四十七条そのものではなくて、自分の知っている範囲において法務大臣が報告を得られた中身を判断して何らかの形で公にされるということは別途考え得るのではないかというふうに考えております。その場合におきましてもやはり法務大臣は検察官に対しまして四十七条含めて訴訟法を遵守せよという監督権を行使されるべきお立場におられまするから、四十七条の精神を踏んまえて、いまの報告を受けたことを公表なさる場合におきましてもその趣旨にかんがみて御判断をなさるものと私どもは期待をしておる次第でございます。
  91. 秦野章

    ○秦野章君 ちょっと私の質問がルーズな質問で恐縮だったんでございますけれども、あの四十七条の規定に基づいて検察官がただし書きの運用もやると、その運用の内容等について法務大臣は報告を求めてですね、いろいろまあ御処置になる、報告を求めることは権限なんだから。その報告の中には四十七条ただし書きでいわば公表される以上のものが当然あり得るわけですね。それ以上のものを今度は検察官の報告した限度を越えて、もし政府とか、つまり法務大臣とか総理が公表するということになると、別に検察官に指揮をしないから、検察官のやったことはちょっとまずいよという、まずいよというか、もっと広げて公表した方が政府としてはいいから、検察官はその程度でやったけれども、われわれは別の角度でもう少し広げて、たとえば公表するよと、こういうふうになさることは、この検察庁法十四条の指揮権そのものではないけれども、この十四条の趣旨にかんがみてどうかなあという感じが解釈上するわけですね、一つ。それからいま一つは、いま刑事局長がおっしゃったように、この四十七条はやはり——四十七条のみじゃありませんけれども、法律を守るということは、これは政府全体の憲法上の責務でありますから、特に刑事司法の関係の法律を守ることについては守らせるという責任法務大臣にはありますから、下には守れと、こう言っているんだけれども、しかし政治の次元ではまた別なんだと、政治の次元では刑事訴訟法守れと言っているのは検察官に言っているだけでこっちは別なんだというような解釈が一体できるのかどうか。私は、まあ内閣、たとえば内閣の権限といったようなものも憲法、法律で限定的に規定をされておるので、法律にないことはできないというふうに思うんですよね。まあ、そういう点ではクアラルンプル事件のときに大変お尋ねを申し上げましたが、憲法、法律を破るようなことを政府みずからがやって、これを超法規と言うけれども、一体超法規という行動が政府独自の判断で、政府独自の行動でできるという、そういう妥当性は憲法、公法上の解釈からは日本の三権分立のいまの立場の中でもできないんじゃないかという私は考え方を持って、このことはいまでも信じておるわけでございます。やはりこれは裁判所とか立法府とかの証人なりそういった三権分立運用の中で消化されて初めて超法規——憲法、法律の超法規などというものは妥当性を得るもんだと、そういうような考え方を持っておりますから、ややそれと原理的には通じたところがあるんでございますけれども、刑事訴訟法の運用を検察官に守れと、検察官だけ守りゃいいんだと、ほかはまあ責任も、責任というか地位も違うし、政府とか総理とかというものは違うんだと、それは検察庁法にどんなことが書いてあってもそれとは違った範囲で行動することは可能なんだというふうなまあニュアンスがいままでの総理の発言等からちょっと感じられるわけですよ。そういう意味においてこの制度の筋道というものは、今度のロッキード事件ももちろん大事でありますけれども制度趣旨を、国会がつくった法律でございますから、国会を初め立法府で一遍つくった法律は、これは忠実に守っていくというのは、これは大きな責任だと思います。これは憲法にもちゃんと書いてある。もしその法律が悪ければ直せばいいんですから、直さないで守らないということはできないと思うんです。そういう意味において、いま申し上げたような質問をしておるわけですが、この点、いかがでしょうか。
  92. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 秦野さんのおっしゃるとおりで、検察庁には守れ、こっちは守らないで自由に発表する。そんなばかなことはできるわけはないんです。それは法律違反ですからね。法務大臣が法律違反やっては国家の治安は保てないですな。おっしゃるとおりです。
  93. 秦野章

    ○秦野章君 政府は指揮権を発動しないという、今度の問題についてこれは早々と声明をされました。したがって、指揮権は発動しないということを早々と声明されたんだけれども、公表の問題についてどうも総理の記者会見その他の記事を見るというと、やっぱりこれは犯罪の積極面をストップさせるのじゃないんだから、こっちの方はいいんじゃないかというニュアンスがないでもない。指揮権発動というものは、いずれにしても指揮権発動なんでございますが、この点は、私は検察庁法十四条というものがこれは悪法であって、こういう法律はない方がいいんだという考え方もあるかもしらぬけれども、これは国会がこういう法律つくって現にあるのだけれども、しかし、この十四条の運用というものは、検察の政治的中立を確保し、準司法権としての地位をやはり盤石なものにしていかないと、いわゆる日本のような三権分立の民主主義は危ないということに根差した非常に重要な問題があると思います、この運用の問題では。そういう意味において、これは、こんなものは使わないんだ、使わないんだといって早々と声明なさる趣旨はわかるんだけれども、これを早々と指揮権を発動しないんだといったようなことを声明されることは、いささか私は、一つは何だかこの事件はどえらい問題なんだなということを政府みずからが予断を持ったという感じがするんですよね、予断を持つ。大体、指揮権発動なんというのは、規定はあるけれどもめったに発動すべきものでないことは、もう子供でもわかる規定なんですよね。そういう問題について非常に予断を持った。真実の追求というものは、大きくなるか小さくなるか、やってみなければわからぬですよ、これ、正直言って。これが基本的な姿勢であって、これ二十人か三十人、犯罪者が出るだろうとか、いや一人も出ないだろうとかという、いずれにしてもそういうことは、少なくとも一般の人たちが言うことは結構ですよ。しかし、政府立場で余り予断を持つということは、私は禁物だと思うんですね。やはり真実の追求一路に進んでいくということしかないわけでございまして、そういう点では、十四条の問題なんかを早々と持ち出されて、一体ばかにこれあわてているといえばあわてているね。私はそういう感じを受けたんでございますが、それと関連して、この十四条の問題をやはり使わないと、公表の問題にも使わないんだと、さっきの刑事訴訟法の四十七条の規定は検察官が責任持ってやるんだと、そいつを守れと、こう政府は言っているんだから、それと違ったことはやるわけがないんだと、こういうふうにおっしゃる。しかし、四十七条を守れということを言って、政府みずからそれに反するようなことはできないと、こういうことをおっしゃったが、これは確かに検察庁法十四条と関係しちゃうんですよね。検察庁法十四条というものはやっぱり使っていかないのだというふうにいまでも、今後もはっきりとそのことが政府方針として確立されているのかどうか、ちょっとこの点をお伺いしたい。
  94. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それは確立されておるんであります。少し早過ぎて、軽率に使わないんだ、使わないんだといったみたいな調子の御質問ですが、私はやっぱりそうじゃないと思うんで、前に前歴の悪い例もあったりするものだから、国民がまた故意に捜査打ち切りなんという指揮権が発動されて、結局ぐっとふたされてしまうんじゃないかというから、そんなことはいたしませんという意味で指揮権の発動はしないと、こう総理も言われたんですね。しかし、総理が指揮権は発動しませんと言うのもおかしいんだね。指揮権は法務大臣が持っているので、総理大臣が持っているんじゃないんですからね。それはそうなんですよ。けれども、あの発言は、もしこれ、法務大臣がそういう気配でも示したら、その法務大臣は罷免するというようなニュアンスで言っているんがとすれば、それは正しいんです。
  95. 秦野章

    ○秦野章君 これまた議長裁定の四項の中で、国会が政治的道義的責任の有無について調査すると、国政調査権の行使に当たって政府はやっぱり協力をせにゃいかぬ、まあ当然のことですけれども、この協力の中に、したがって検察庁法十四条まで発動して国政調査権協力をするということはないということでございますか。
  96. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そのとおりであります。検察庁法十四条ただし書きでやるんじゃないんですね。ただ、当該検察官としても、公益の比較考量ということになると、こういう事件に関しては公益の比較考量が非常にむずかしいでしょうが。そうじゃないでしょうか、政治問題にもなっていますからね。そういう点で、政治的判断などということはなかなかむずかしい、比較考量が。そういう場合は上司にいろいろ相談したり、上司はまた検事総長を通じて法務大臣に相談あったりするんじゃないですか、現実問題として。だから、その意思に反して検察庁法十四条でやると、こういうことはないということなんです。
  97. 秦野章

    ○秦野章君 いや、そういうことじゃなくて、検察庁法十四条というのはまさに行政府の問題ですね。行政府が国政調査権協力をするというのはあたりまえなんだが、そして特に議長裁定にもあるんだけれども、その協力の姿の中に、検察庁法十四条を発動して、ただし書きの運用じゃなくて、政府の検察庁法十四条の発動というような形、そういう政府行動をもって国政調査権協力をしていくということが理屈としては考えられるわけですよ。それはないんだと、こういう意味に理解していいわけですか。
  98. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういう御理解をしていただきたいと思います。
  99. 秦野章

    ○秦野章君 公判廷になれば起訴された者は明らかになると、それから不起訴になった者でも、その一部の者は四十七条の適切な運用によってある程度世間にも出るであろうと、私はそういうようなことのほかに、国会が独自の国政調査権に基づいて捜査の目的を達成するということは、いま第一義的に非常に大事なことだから、その目的を達成するということに障害にならぬような配慮のもとに、いま積極的な国政調査の任務を何というか、機能をフルに発揮して、道義的な、あるいはその政治的な責任を明らかにする、これはまあ当然だと思うんでございますけれども、正直言って検察官そのものが道義的あるいは政治的責任追及という、そういう立場にはないわけですわね。それはもっぱら国会の方に来る。ただ、問題は、データが多くのものが検察官の手中にあるということで、ずっとこう問題になってきているんですけれども、何かこの際、やはり私の感じでは、一刻を争わなければ国家がひっくり返るとかそういう問題じゃないんだから、いわゆる捜査の目的を達成させると、達成させれば資料だって公判廷以外の問題でもいろいろ出てくる可能性があるわけですよ。そういうデータを基礎に国会というものはじっくり政治的責任なり道義的責任追及していくということが実は好ましいと思うんだけれども、いかにも性急な感じがすることは、私は司法当局の職務遂行の上から言ってもいささか残念なような気がする。しかし、その場合に政府の姿勢が、さっきもちょっと申し上げましたけれども、公表等の問題に関連していささか、あえて言うならば食言的なことまで出るもんだから、それでお祭り騒ぎみたいに大きくなっちまうという感じもする。私は重ねて言いますけれども、どろぼうだと言ってこうつかまえてみたら人殺しだったということもあるし、人殺しだと言ってつかまえてみたら過失致死罪だみたいなこともあるんですよ。本当にやってみなきゃわかんないんだというこの姿勢というものを守っていくには、実際の立場に立っている者は大変だと思うんだけれども、それをバックアップするというか、政府の政治の責任者にあるものは三権分立という立場に立ってお互いに協力しなければ国家の経営はできないんだから、そういう協力の姿勢というものを貫くためには、政府がへどもどしちゃいけないんですよね。政府が真実追及にクールに突き進んでいくという姿勢をバックアップしてやるということにおいて政府責任は全うされる。そういう点について多少私は残念な点が先ほどの問題であるんですけれども、今後、これからだと思います、いずれにせよ終わっちゃいないんですから、まだ、だんだん進んでいるとおっしゃるけれども、なかなか大きな事件でしょうから、どうかそういうこれからの問題を進められるについて余り、何といいますか、国会だって結構あおりますからね、新聞もあおるようなこともやるが、あおることも悪いことじゃないんですよ、これは。鞭撻する意味がありますから。だけれども毅然として当局は、バックアップしていくと、検察当局なり捜査なり。そして後から間違ったことがあったら何ぼでもしかったらいい。そういう考え方に、ちょっとロングに見ていきませんと、大きな事件なんていうものはなかなか、かえって事件になるものもならなくなっちまうということも配慮しなきゃならぬ。どうかそういう点について、私はもう時間も終わりになりましたから、法務大臣に、そこらの点についてはひとつ総理を補佐されましてぜひ目的の完遂をお願いしたい。
  100. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 関連。  いまの秦野さんの質問に関連しますけれども、政局が転換をしたときに捜査当局捜査に大変な支障を来たすんじゃないかという危惧が一部で言われておりますが、私の意見をちょっと加えますと、日本の捜査当局、また国税当局にしましても、そういうことはあり得ないと。大変な中立性を持っておりますし、固有の法則性を厳として守っておる、それだけに、それほど検察当局をばかにした意見はない。私は、その点について、もしそうであるとするならばしっかりした稻葉法務大臣を留任させればいいので、この辺のところをしかと一回聞いておきたいと思いますので、関連をしてお願いをいたしたいと思います。
  101. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 秦野さんの最後のいまの御質問というか、御訓示というか、非常にごもっともだと思うんです。私あらゆる機会に申し上げているのはそこなんですね。不羈独立、不偏不党、厳正公平とこう言われていますが、今度の事件はそのほかに、冷静沈着にやんなさいと、冷静沈着に真相を究明してもらいたいと。あんまりね、かねや太鼓で山からイノシシを追い出すようなやり方では、真相究明にならないです、それは。(笑声)そういう点で、全く同感です、全く同感です。  それから、関連質問の玉置さんの点は、それもそのとおりですな。それは、わが検察庁が政局の動向で手がゆるんだり厳しくなったり、そんなばかなものではないんです。そういうことを言うのは、本当に、なめてはいけません、なめては困ると、こういうことになりますね。ただ、非常に頭脳的なこれ仕事ですから、あんまり雷鳴ったり、それからあられ降るようなざわざわざわというのはないにこしたことはない。これは、警察捜査の指揮監督に立つ法務大臣としては、親心としてそういうふうに温かく庇護してやるのも当然じゃないですか。どうでしょう。
  102. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 もう一つ関連して。  ぼくはね、これたとえて言うなら、法務大臣——三木総理がきのう記者会見して、ロッキードの解明は自分の手でなきゃできないようなことを印象つけていますね。これは大変な国民に対する誤解を与えておると思うんです。これは間違いです。大きな間違いで、これはあくまでも検察、警察、国税の手にゆだねるべきであって、ああいうことは、たとえば例を言いますと、私は三月のおひなさんの内裏びなで三木さんいいと思うんです、この問題に関しては。三月のお節句というのは、あれは済んだらその明くる日すぐしまわなければならぬというのがこれは日本のしきたりなんです、ね。しかしおひなさんは二カ月前でも飾るんです、ずうっと。だから三月の内裏びなでいいんですよ、この問題については。ほかの政治問題は知りませんよ、これは当然やらなければいけませんが、この問題については三木さんはあくまでも内裏びなであってほしい。ちゃんと上へ乗っかっておって、それで動くんじゃないんです、そして言わないことがいいんです。内裏びなは物を言いませんからね。そこで、終わったらすぐに倉庫におしまいになるというのがこれが一番いい方法なんです。だから、こういうことで要らざる誤解を国民に与えちゃいかぬということです。どうかひとつその点を、意見を交えて最後に法務大臣の御見解をもう一回確かめておきたいと思います。
  103. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 事件の真相究明捜査当局を信頼してこれを見守ってる。これは当然なことでありますね。それから、いい環境に置こうとする法務大臣の気持ちも当然なことじゃないですか。静かないい環境に置いて十分に徹底究明をさせる。それもしようがないですな、それはそのとおりだ。それから、お蔵入りなんということはいま言うべきことじゃないですね。それは私の、捜査当局を指揮監督する法務大臣の答弁の限りでないもんね、これは。後でよくあなたと話しましょう。(笑声)
  104. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午後三時再開することとし、休憩いたします。    午後、零時二十九分休憩      —————・—————    午後三時二分開会
  105. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 中尾辰義

    中尾辰義君 私は今回の訪米議員団の一員といたしまして、ロッキード事件発端の一つであります米国の証券取引委員会のヒルズ委員長と会談をしてきたわけでありますが、その中でヒルズ委員長はこういうふうに言っているんです。「日本政府へ渡した資料はこれまでにSECが調べた約六千ページの資料のうち、関係者の供述書を含め二、三千ページである。外国政府高官への不正支払いを調べたものであり、贈収賄容疑を裏付けるのに十分値打ちのあるものだ」まあこういう発言をしているんですがね。そこで日本側は当然これは受け取ったと思いますけれども、その中に政府高官の贈収賄容疑を裏づける十分な資料が入っていることを法務大臣は報告を受けましたかどうか、その点お伺いします。
  107. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 中尾委員御案内だと思いまするけれども、日米の実務取り決めによりまして、渡された資料の内容については秘密を守らなきゃならぬという約束がございます。これは単に約束をしたから申せないということもございますが、そのほかに、やはり捜査の現段階におきまして、われわれの手のうちにある資料の内容を公にするということは、本来秘匿すべきことでございますので、せっかくのお尋ねでございますが、その内容については申し上げるわけにはまいりません。
  108. 中尾辰義

    中尾辰義君 内容じゃない、受け取ったか受け取ってないか。
  109. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 資料は受け取っております。しかし内容については申し上げるわけにはいかぬということを言っております。
  110. 中尾辰義

    中尾辰義君 資料は受け取ったということであります。  そこで、SECのヒルズ委員長がわれわれ十三名の訪米議員団の前で、あのように明確に、その資料の中に日本の政府高官の贈収賄容疑を立証できるような資料があると、こうここまで言っているわけですからね。それで、検察庁当局でこれがもし立証できなかったと、そういうことはないと思いましょうが、できないようなことでありますと、これはまあ伝統あるわが検察庁の威信が問われると、こういうことになるわけですが、法務大臣のその辺の見解、所見をお伺いしたい。
  111. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) お尋ねでございますが、わが検察庁はしっかりしておりますから、御期待を裏切るようなことは万が一にもあるまいというふうに私信頼しておる次第です。
  112. 中尾辰義

    中尾辰義君 力強い法務大臣の御答弁いただいたわけですが、それで次に入ります。  これは五月の二十四日、東京地検は東京地裁に対しましてロッキード社の元日本支社長クラッター氏らに対する証人尋問の請求手続をとったと、このように伝えられておるわけであります。どういう請求手続をとられたのか、その概要についてお伺いをしたい。また、刑事訴訟法上の根拠も説明をお願いしたいと思います。
  113. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 五月二十四日にそういうことをしたという新聞の報道のあることは、私も見て承知しております。しかしながら、けさ瀬谷委員のお尋ねに対しまして、お願いを申し上げましたように、いま重要な段階におきまして、その捜査の重要な方法であります事柄につきまして、それをやったかどうかというようなことを含めてお答えをすることはひとつ御勘弁を願いたい。という理由は、けさも申し上げましたけれども、熱心な取材活動の余りに、外国におられる日本の特派員の方々も非常に熱心な取材活動に従事しておられるようでございまして、その熱心さの余りに、私どもが期待するような証言が得られないというおそれもあるわけでございますので、いつやったか、やるのかというようなことを含めて、その点について触れることはひとつ御猶予を願いたいと思います。ただ、一般論といたしまして、せっかくのお尋ねでございますので申し上げますならば、仮に証人尋問の嘱託をするといたしますれば、わが国の刑事訴訟法の二百二十六条という規定がございまして、これは第一回の公判期日前におきまして裁判所にお願いをして証人尋問をしてもらうという証拠保全の手続でございまして、これは検察官あるいは司法警察員の取り調べに応ずることを求めたが、それに対じないか、あるいは応じても供述を拒む犯罪捜査に欠くことのできない知識を有する者に対する証人尋問の請求でござ、いまして、刑事訴訟法二百二十六条に規定のあるところでございます。
  114. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、だれに証人尋問の請求を行われたのか、その辺のところもお答えができないと、こういうことですか。
  115. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 遺憾ながら現段階においては申し上げるのを御猶予願いたいと思います。
  116. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ具体的に名前は聞きませんけれども、多分新聞等の報ずるところは、クラッター、コーチャン、エリオットというような名前も出ておるようですがね、本来であれば私はそこで確認もしたいわけですけれども、それと、何名ぐらい証人尋問の請求をされたのか、この辺はいかがでしょう、何人ぐらい。
  117. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 一人ではございませんけれども、数字を言うということが、またこれおのずからそれを推定させる根拠にもなるわけでございまして、どうかひとつこの段階では、証人尋問等が行われることも十分に予想されるわけでございますので、一定の段階まではひとつ控えさせていただきたいと思います。
  118. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、その証人尋問の請求に対する裁判所の判断、これは大体いつごろ出そうですかな。
  119. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど来お願いいたしておりますように、われわれは証人尋問の請求をしたと申しておりませんので、いつごろ終わるかということもしたがって申し上げるわけにいかないわけであります。
  120. 中尾辰義

    中尾辰義君 これじゃさっぱりこれは質問が進まぬですが、一応私は国政調査権もあるんですから、何か聞かないと、これはもう委員会にならないですよ。  それでは、もう一点聞きますけれども、今度の東京地検がロッキード事件に関しまして、米国にいるクラッター氏らに対する証人尋問の手続がとられたということは、国内の捜査が進み、贈収賄の容疑が相当固まったものと判断をしてよろしいかどうか。この辺、いかがでしょう。
  121. 安原美穂

    説明員安原美穂君) すべて行ったことを前提でのお尋ねでございますので、前提が違いますから、お答えの仕方がまた違うわけで恐縮でございますが、私ども国政調査権を最大限に尊重する気持ちに何ら揺るぎがないわけでございますけれども、現段階においては申し上げるのは控えさせていただきたいとお願いをしておるわけでございます。  ところで、一般論でございますが、仮に証人尋問の請求をするといたしますれば、御案内と思いまするけれども、これはいかなる被疑事実についてその証人に尋問を求めるのかということが、わが国の国内法上、裁判所に請求する以上必要でございますので、何らかの犯罪の容疑を検察当局が持って証人尋問の請求をする。そういう意味においてある程度の犯罪の疑いを持っておることが前提であることは間違いのないところでございます。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 関連。  法務大臣、お伺いしますけれどね、なかなか捜査中答弁出ないでしょう。先ほど捜査順調に進んでいると、こういう発言でありますが、やがて可能性としては灰色高官名も出るであろうと。そうすると、法務大臣の職責上、やっぱりこの灰色高官名はみずからお知りにならなきゃならない。その必要があると、こう思うんですが、いかがでしょうか、法務大臣
  123. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 仮に発表するとすれば、名前がわからなければ発表できません。
  124. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、法務大臣はそのとおり率直に正しいことをおっしゃるんです。知らなきゃわからない。ところが、総理大臣は昨日の記者会見で私、見ないと。きょう自民党長老が反発していましたな。見なきゃなぜ徹底的追及できるんだと。私はあの見ないという意味は、政治的圧力かけないと、こういう配慮だと思いますよ。だけれども、もうここまできて、間もなくある程度のものが出る可能性があるときになって、法務大臣は当然。あるいは総理としても当然この報告を求めて全貌を知る。それが徹底的解明をするという条件じゃないでしょうか。法務大臣としていかがでしょうか。まあ総理を批判するという意味じゃなくて、ひとつ率直に御意見いかがでしょう。見なきゃ、わからなきゃ徹底究明できない。
  125. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 仮に発表するとすれば、名前わからぬで発表できませんからね。しかし見なけりゃ名前わからぬかというと、そうではないんですね、聞いてわかる場合もありますから。
  126. 黒柳明

    ○黒柳明君 見なけりゃということは資料を見るとかじゃない。報告を求めて聞く。当然それも含めてでしょう。非常に雰囲気がいいんで、ユーモラスに御答弁になられたけれども、非常にいい雰囲気ですよ。私は何も実際に目でじゃなくて、耳も、目より耳の方が、やっぱり壁に耳ありということもあるんですから、おっしゃるとおり。  そこで、私これ近い将来あるいは若干の将来になると思いますね。国会証言法に基づいて、正式に適切な時期に、適当な方法で灰色高官名を求められたとき、論理的には、三木内閣としてというよりも、三木さんと法務大臣稻葉さんと、この線で拒否できるという、理論的には方法があるわけです、内閣声明によって。これはなされないでしょうね、まさか。いかがでしょう。
  127. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それ、いまここでどうでしょう。どうしても言わなければならぬですか。いまはもうちょっとお待ちいただけませんかね。
  128. 黒柳明

    ○黒柳明君 どのくらい待ちましょう。
  129. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) さあ、一週間とか二週間とかという期限を切るということもどうかと思いますがね。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 数カ月ですか。
  131. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いやいや、そのうちに臨時国会も開かれるんじゃないですか。それまでには間に合うんじゃないですか。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 非常に雰囲気がいいので、私もそれ以上雰囲気を悪くするつもりはないと思うのですが、ひとつこれは明らかに指揮権は発動しない、見ないということは、報告を聞くということ、これも含めまして何も知らないという、こういう三木さんの姿勢じゃないかと思うのですけれどもね。いまのところはそういう自党の長老からおかしいじゃないかというクレームがついている、私もおかしいと思うのですよ。ですから当然積極的にもう報告を求めるというこういう姿勢が法務大臣にあって、それでこれを閣僚協あたりでそれを総理に伝える、あるいはじかに法務大臣が伝える。全部総理大臣熟知してもらって、そしてしかるべきときにやっぱりしかるべき方法を講ずる。そのしかるべきとき、そんな長い将来じゃないでしょう。臨時国会にしたって何にしたって八月の前か一カ月あとかでその問題、そのときに可能性はあるんじゃないですか、論理的に。国会証言法で、適当な時に適切な方法で灰色高官名を出せと言われる可能性はあるじゃないですか。論理的にノーと言えるわけでしょう、内閣声明で。その可能性はあるわけです。そのときノーと言わないでしょうねと、これほど徹底究明するというのですから。これはいま言わなければならないんじゃないんでしょうか。間もなく臨時国会でしょう。それに先立って特別委員会発足ですから、思い切って答弁してください。
  133. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 思い切って申し上げましょう。それはいま捜査段階でそういうときになったら内閣声明みたいなことで断るというようなことはしないでしょうねなんて言われて、しませんということを言いますと、捜査協力してくれる幅が狭まるから、何とかいまは言わせないでくれと、思い切って言いましょう。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま一言、最後、関連で、委員長済みませんね。  外務大臣も特使から報告を聞いていると思うのです、法務大臣、当然責任者ですからね。いかに日本の国会が灰色高官名を出す出さないと言っても、御存じのようにSECの方では調査を終わって六カ月後にはこれは全部調査資料発表する。これはSECの調査のたてまえですね。あるいはロッキードの社外重役が徹底的に調査委員会をつくって調査しております。秋になるとこの結果が出る。そうなりますとこれは自動的に日本の国会の灰色高官名に対しての質疑を越えて時期が来る、出る可能性がある。この余地は、キッシンジャーのあの十二月十五日のワシントンの地裁に対する圧力、全資料非公開、これとは全く別の次元であるわけですが、まあ外務大臣これを特使から聞いていると思います。こういうことは当然重要事項なんで、話して報告があると思いますが、それについての考え。当然法務大臣、片一方でそういうアメリカ国内で発表される可能性が残っているわけでありますから、それを踏まえて当然わが国においても捜査当局法務大臣として笑われることのないようにがんばっているのだ。検察庁なめるなとおっしゃるからには当然の腹がまえがあってそれに先んじて適切な処置をとらざるを得ない、こういう判断かと思いますが、それについての御答弁。  以上で関連終わります。
  135. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま黒柳委員が言われたように私も理解をしておるわけでございます。すなわち一般のこういう場合の扱いといたしまして、公平な学識経験のある第三者を委員長とし、そして会社の社外重役等々によって調査を行う。そうしてそれを報告をし、SECと裁判所がそれを最終的に認めたときにそれは公の報告というふうに扱われることになる。その期限は一応原則として六カ月でございます。やむを得ない事情があるときは延長することがある由でありますが、その場合にも中間報告を聴することがあると、それから報告書の内容については株主等の利益を損傷するとか、あるいはその他重大と認められる事情があるときには、一部訂正あるいは削除を認めることができる、これは一般論でございますが。したがいまして、そのような委員会はすでにつくられておりますので、報告書が原則どおりであれば、十月の下旬ごろでございましょうか、出るのではないかと考えております。
  136. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 笑われるようなことはないだろうなという御念のいった御質問でございますが、笑いにもいろいろありますから、あざけり笑われるような、そういうぶざまなことは断じてない。しかし国民がよくやったと、莞爾としてわが意を得たりという、ほほえみを与えるようなことはあるかもしれませんな。
  137. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、先ほどの質問に続きまして、もう一歩突っ込んでちょっと聞いてみますけれども、刑訴法二百二十六条の証人尋問の請求を行うためには刑事局長、これは百六十条においてこういうことになっておりますね。「証人の氏名」のほかに贈収賄にかかる「被疑者……の氏名」、「罪名及び犯罪事実の要旨」、「証明すべき事実」、「尋問事項又は証人が証言すべき事項」を書面にして提出をしなければならない。ですから、これらの点について、ほぼ事実がこれは明らかになったんじゃないかと考えておるわけですが、こういういま申し上げた事項について、ちゃんと書いて出されたんですか、出されたとすれば、私の質問にも少しはこれは答えられるということなんです。その辺いかがです。それも言うわけいかぬかな。
  138. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど一般論として申し上げましたように、仮にそういうことをするとすれば、いま御指摘の百六十条の書式の要件を充足しなければ裁判所はアメリカの裁判所に嘱託をしないわけでございますから、当然にその要件を充足して請求すべきものでございます。
  139. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、こういうような項目について書かれたんですか、書いてないんですか、どうなんですか。
  140. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど来繰り返しお願いをいたしておりますように、やったかどうかは申し上げるわけにはまいりませんということでございますので、いまのお尋ねにつきましても、遺憾ながらお答えするわけにはまいりません。ただ、やる以上はいま御指摘のようなことをやらなければならないことは事実でございます。
  141. 中尾辰義

    中尾辰義君 やる以上は書かなきゃならぬというような意味の答弁がありましたが、そうしますと、こういうものを書けば、「証人の氏名」、これはいいですわね、贈収賄にかかる「被疑者……の氏名」でしょう、これ。「罪名及び犯罪事実の要旨」云々と、そうすると、大体あなたこれは贈収賄の事実がほぼ明らかになったというふうにわれわれは判断をせざるを得ないんですがね。その辺はいかがです。
  142. 安原美穂

    説明員安原美穂君) やるときには、いかなる罪名になるかを含めて申し上げるわけにはいきませんので、中尾委員は御推察の上でのお尋ねでございますが、問題はこの場合の犯罪の嫌疑の程度でございますけれども、これはいわば判決をするに熟するような、反証を許さない確信の段階犯罪の嫌疑がなくても、ある程度犯罪の嫌疑を抱くに足ればいいんだということが最高裁の昭和二十七年の判例で固まっておりますので、いわば犯罪捜査に着手する場合における嫌疑という程度でいいということに理論的にはなっておりますので、必ずいま御推察のように、一般論ではございますが、もう贈収賄なら贈収賄脱税なら脱税というような事柄がすでに公訴提起をするに熟しているまでに嫌疑が濃厚でなきゃならぬということには法律ではなっていないと。
  143. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、米国での手続につきまして、新聞等にも報じておりますので、若干お伺いしますが、アメリカに在住するクラッター氏らに対する日米司法共助による嘱託尋問ですね、こういうのが実現するためには今後どのような手続がとられるのか。これも粗々は新聞に出ているんですから、ちっとはあんたしゃべってもらわぬと、新聞を見た方が委員会よりいいじゃないかということになるんです。少しぐらいはね。
  144. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 証人尋問の嘱託をするとすればいかなる手続かということと理解をさしていただいてのお答えを申し上げますが、まず日本の検察、具体的に言えば東京地方検察庁の方で、東京地方裁判所の裁判官に対しまして二百二十六条の証人尋問の請求をするわけでございます。そういたしますと、それが外国におる者でございます場合におきましては、東京地方裁判所は証人尋問をすべきであるということを考えるならば、これを外国の裁判所、具体的にはアメリカの裁判所に、関係裁判所に証人の尋問を嘱託すべきだという決定をするわけであります。決定をいたしますと、その後は、一つの手続でございますが、従来の慣例では、最高裁判所事務総局にまいりまして、それから外務省外務省から従来の慣例では在米のわが大使館、それからアメリカの国務省等を通じまして司法省、それから関係の裁判所というような手続で、具体的に証人の所在する地方を管轄する該当裁判所にその嘱託書が回されまして、そこで証人尋問の手続がとられるというのが手続でございます。
  145. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ時間がありませんのでまとめて申し上げますが、そこで、アメリカの連邦地裁が日本からの尋問の依頼を拒否するという事態は予想されるのかどうか。  それから、コーチャンやクラッターですよ、これははっきりしてないらしいですが、仮にコーチャン、クラッターにした場合、これが裁判所の呼び出しに応じなかった場合は、これはどうなるのか。  次に、証人側の反撃に対して有効適切に対応するためにも、尋問の際に日本の検事の立ち会いがぜひとも必要であるとわれわれとしても考えるわけですが、この点について米側との交渉経過がどうなっているのか。  それから、けさの新聞によりますというと、米国での嘱託尋問に備えて堀田検事が三度目の渡米を行ったと、こういうふうにあるわけですね。これは日本の検事の立ち会い、あるいは立ち会いだけでなく直接コーチャンらに対する質問も可能であるとの、そういう認識に立って渡米をするのかどうか。その辺まとめて答弁してください。
  146. 安原美穂

    説明員安原美穂君) アメリカの司法省とわが法務省との間で取り決めました実務取り決めによりまして、先ほど来問題になっておりますような司法共助につきましては、その実現に最善の努力をするという両省間の約束は、この間斉藤特使がおいでになりましても、アメリカ政府がコンファームしているところでございまするから、そういう証人尋問が実現することの可能性は多分にございます。  それからもう一つは、証人尋問する場合に、証人が出頭するようなことが強制できるかというお尋ねと思いまするが、これは尋問に対して出頭いたしません場合には民事、刑事両面にわたる制裁がございます。法廷侮辱ということで制裁がございますし、民事上の制裁としては証言をするまで監置するとまでの制裁もあるようでございますので、強制する手だてはアメリカの連邦法では十分に備わっていると私ども考えております。それから検察官の立ち会いを認めるかどうかはすべてこれ連邦の法律によりますると、連邦の裁判所の決定次第でございまして、御指摘の堀田検事が行きましたときにも、そういう立ち会いを認めてもらうことを日本側の希望としては伝えてございます。
  147. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは議題を変えましてお伺いしますが、日米合意事項ですね、例のこの日米間の司法取り決めの手続と刑事訴訟法第四十七条との関係ですが、これも何回か質問があったようですが、確認のためにお伺いしますが、捜査の終了の時点においてどういう形にせよ、灰色高官名を公表しようとする場合に、資料提供に際しての日米の合意事項との関係はどういうふうになるのか、つまり日米司法取り決めの手続にわが国の刑事訴訟法四十七条はこれは拘束されるのかされないのか、そういう点をまずお伺いします。
  148. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘のいわゆる高官名がアメリカから提供された資料に載っておるということを前提にして、捜査を終わった段階において、それを公表することが取り決め上許されるかというお尋ねであるといたしますれば、それは取り決め上裁判で使用する以外にはこれを公表することができないというお互いの取り決めがございますので、それを公にすることは取り決めの違反になるというふうに私ども考えております。なお資料とは関係——資料を端緒として取り調べをいたしました結果、日本の捜査当局の取り調べの結果にいわゆる高官名というものが明らかになってきたという場合の公表の問題は取り決めの拘束外でございまして、これはもっぱら刑事訴訟法四十七条等による独自の判断で公表の有無が決せられるわけでございます。
  149. 中尾辰義

    中尾辰義君 要するに、アメリカの資料以外で日本で検察庁独自の捜査に基づいてやったものはこれは日米司法合意事項には拘束されない、そういうことですね。確認のために一つずつ聞きますけれども
  150. 安原美穂

    説明員安原美穂君) アメリカの資料に何ら関係なくの場合はもちろんでございますが、アメリカの資料を端緒として捜査の結果、いわゆる灰色高官名がわかったという場合も含めて、これは取り決めの拘束外でございまして、日本独自に刑事訴訟法その他の法規に従いまして公表するかどうかが決められるということでございます。
  151. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、完全に日本捜査当局独自でやった場合、これはあり得ないかもしれない。せっかく資料が来ているんだから、資料を見ている、だからそれを見た上で捜査したということになりますと、これは拘束をされるということになりますか。
  152. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私の説明が不十分で御理解いただけないで申しわけございませんが、要するに資料そのものの中に高官名がある場合に、その資料を公にすることは取り決めの拘束を受けてできない。しかしながら、アメリカから得た資料が高官名が書いてあるものではなくて、その他の資料から捜査の結果、日本当局において高官名がわかった場合は、取り決めの拘束は受けないから、日本の訴訟法その他の精神に従って公表するかどうかが決められるということを申し上げたつもりでございます。
  153. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、アメリカの資料に高官名ずばり出ておる場合と、あるいは政治家、高官等疑いがかけられるようないろいろな事実証明が出ておった場合、それで調べて被疑者が大体わかってきた場合はこれはどうなんですか、灰色高官ですよ。
  154. 安原美穂

    説明員安原美穂君) もう少し御理解いただきやすく申し上げるならば、この資料にこう書いてございますと、もらった資料に、このように高官名が書いてございますということ、このようにと見せないにしても、資料にはこう書いてございますということが禁じられておるだけであるというふうにお考えいただきたいと思います。
  155. 中尾辰義

    中尾辰義君 資料にはこう書いてありますということは公表してはいけないと、そうしますと、それを見てそれで捜査をした結果粗々被疑者が出てきたとこういう場合。
  156. 安原美穂

    説明員安原美穂君) アメリカからもらった、仮に高官名が書いてある資料があれば、それを生のままで公にすることがいかんのであって、そういうものを端緒にして、日本が調べた結果こうでございますということをいうことは何ら資料の公開ではございませんので、日本の捜査当局捜査の結果を公にすること、ということに事柄を限って考えれば、何ら取り決めの拘束外である。資料にこう書いてございますということを、生の資料を生のままで公にすることが禁じられておるという程度に御理解をいただきたいと思います。
  157. 中尾辰義

    中尾辰義君 それではついでにお伺いをしますが、日米間の司法取り決めは単なる日本の法務省と、向こうの司法省が取り決めをしたと、ですからこれは条約でも何でもないんだ。そういうものが政府全体を拘束されるのはどうか、おかしいじゃないかという意見もあるのですがね。国会で批准もしたものでもないし。これに対する法務大臣の御意見。そっちでもいいです。
  158. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) お答え申し上げます。  この今回の日米法務当局間の取り決めは、仰せのとおり、政府間取り決めではございません。しかしながら、この取り決めはフォード大統領の親書の趣旨を受けて、日本政府がこれについて閣議決定をいたしまして、そうして取り決めたものでございます。その意味におきまして、これは日本政府の名において行われた国際約束ではございませんけれども、その実務当局間において行われた取り決めという意味においては十分拘束力のあるものでございます。
  159. 中尾辰義

    中尾辰義君 時間がありませんので……。  それで法務大臣にお伺いしますが、いわゆる灰色高官の不起訴になった場合、これは例の四十七条でやかましくいま議論されているのですが、この灰色高官の公表の可能性につきましては、三木総理も記者会見で国民の知る権利に最大限にこたえたい。こうおっしゃっているわけです、新聞記者会見で。国民の知る権利に最大限にこたえたいということは、発表するというふうに受け取っていいのか。これはまあ総理に聞かなければわからないけれども、私どもはそう受け取っておるわけですよ。法務大臣の注釈を、これをお伺いしたい。それと、法務大臣自体はどうお考えになっておるのか、その二点。
  160. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 総理の記者会見における御発言についてどう解釈するかという点は、総理に聞いてみないと私にもわかりませんが、そんたくするに、最大限に協力するということなんで、無条件に協力するとなってないんですから、やっぱりわが国の刑事訴訟法……。
  161. 中尾辰義

    中尾辰義君 最大限にこたえたい。
  162. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 最大限にこたえたいというんですから、それは無条件にこたえたいというのと違って、やっぱり刑事訴訟法の枠内において最大限にこたえたいと、こういうことなんでしょうと思いますが。それから、おまえはどう思うかと、法務大臣は。それは総理大臣と同じですな、これは。もう最大限におこたえしなけりゃならぬなと、こう思っております。
  163. 中尾辰義

    中尾辰義君 ということは、公表することですか。
  164. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 公表することが刑事訴訟法の立法の趣旨に踏まえて合致している場合、合致してない場合ありますから、合致してない場合は公表しませんし、合致している場合は公表すると、こういうことになって、いずれか一方だなんていうふうには決めつけた答弁はいたしかねますね。
  165. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、まとめて最後にお伺いします。これで終わりにします。  これは少しとっぴな質問かもしれませんけれども、こういうことがいろいろ新聞情報なんかちらちら出ておるんですがね。日本の政府高官がスイスの銀行に秘密の現金口座を持っていると、そういうようなことが書いてあります。この点につきまして調査をされたのか。それから、これはまた日本政府がスイス政府に対して申し入れをすれば、スイスの銀行は理事会を開いて犯罪による隠し金の摘発に協力するというようなことも聞いているわけですが、事実であるかどうか、その辺をお答え願いたい。  それからもう一点は、これはまあ確認で聞いておきますが、もしか法務大臣、近い時点で解散等があった場合に、この被疑者を、解散選挙中には捜査の支障になるというようなことを聞いておりますが、解散選挙中は被疑者の逮捕等はできないのか、やろうと思えばできるのか、選挙妨害になるからやめるのか、その辺のところちょっと参考にお伺いしておきます。
  166. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 週刊誌に載っております、スイス銀行の預金口座の問題につきましては、私もそういう報道のあることは知っておりますが、具体的に捜査当局からそのようなことについて取り調べをしたとか、するつもりであるという報告は受けておりません。しかし、一般に、ロッキード社の日本国内への資金の流入の経路というものは克明に調査をしておるわけでございますから、その過程であるいは取り調べの対象になっておるかもしれませんが、報告は受けておりません。
  167. 中尾辰義

    中尾辰義君 選挙中での逮捕状の出し方。
  168. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私ども一般論といたしまして、選挙中でございましても、刑事訴訟法上は何ら逮捕、権限の行使の制約されるものではないと思いまするが、それが選挙妨害になるかどうかという問題でございますが、選挙運動の公正、自由ということも考えなければならないといたしますと、その点について慎重に配慮しながら、逮捕するなら逮捕するということに相なろうという意味において、一つの、そういうことを慎重に考慮しなければならないことも事実であろうと思います。
  169. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ終わります。
  170. 内藤功

    ○内藤功君 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、外務省としては、このロッキード社から航空機の売り込みに関しまして日本政府を含む幾つかの国の政府に金が送られているというこの事件が存在しているということを初めて知ったのはいつですか。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
  171. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) アメリカの上院のプロクシマイヤー委員会で、これは日本ということはなかったわけでございますけれども、何ヵ国かにそういうことがあると思われるという報告がありましたのが昨年の八月ごろであったと思います。その会議録は昨年の十月ごろに私ども、できましたものを入手したわけでございます。しかし、この場合には日本というようなことを言っておりません。そこで、わが国のいわゆるガバメント・オフィシャルズに云々ということを初めて知りましたのは、二月四日のチャーチ委員会における公聴会を大使館関係者が傍聴をいたしまして、それを私どものところへ電報で報告をしてまいったのが最初でございます。
  172. 内藤功

    ○内藤功君 八月二十五日のプロクシマイヤー委員会では、答えの中には日本という名前が出てきていなかったということですか。それともプロクシマイヤー委員長などの問いにも一切このジャパンというのは出なかったという意味ですか。そこを正確に。
  173. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) いま大臣からお答えがございましたように、   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 この八月二十五日の米国の上院銀行委員会の公聴会におきましては、ロッキード社のホートン会長が、一九七〇年から一九七五年の六月までの間に支払われたコミッションのうちの一五%に当たる約二千二百万ドルが外国政府関係者に流れたということは言ったわけであります。そのときに、国別のことは何ら明らかにいたしませんでした。ただ、その際にプロクシマイヤー委員長は、ロッキードがこのトライスターを売った先のリストだけを持っていたようでありまして、その国別に一つ一つ聞いたようであります。カナダはどうだと。イギリスはどうだと。そして日本はどうだということも聞いたわけであります。それに対してホートン会長は、一切答えなかったわけでございます。そういう形でしか日本という名前は出ておりません。
  174. 内藤功

    ○内藤功君 いま局長が言ったように、日本という名前は答えには出てきてないけれども、プロクシマイヤー委員長質問の中で、ロッキード社は日本におけるロッキード製品の販売に関連して政府職員への賄賂あるいは政治団体への献金を行ったかという質問をしております。ホートン会長は、それにはお答えしようとは思わないと、各国の話を出したら次々と国の名前を出すことになるから、という問答がありまして、この宮澤大臣が言われたように全然出てなかったわけじゃない。各国の中に伍して日本の政府職員、政治団体への献金の問題出ているわけです。まあさっき大臣の言ったのは言葉が足りなかったものと理解をして先へ進めますが、それが本当ですね。  そこで、この八月二十五日にプロクシマイヤー委員会のこの議事録、会議が行われる、この議事録は外務省はいつ入手したんですか、正確に。
  175. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) このプロクシマイヤー委員会の公聴会が行われましたときに若干の新聞報道がございました。われわれはそれで一応承知しておったわけでありますが、その後国会において質問がございまして、その点について議事録を取り寄せるようにというふうな御要請もございましたので、われわれとしてはアメリカ大使館——アメリカにおりますわが方の大使館を通じまして取り寄せるべく努力をいたしまして、それを入手しましたのはたしか十月の中旬であったと存じます。その上で、それに訳もつけまして国会の関係委員会に提出したわけでございます。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 アメリカ大使館でこの八月二十五日の——アメリカにいる日本大使館でこのプロクシマイヤー委員会の論議を知って、その内容について外務省——本国の外務省の方に情報を連絡してきたのはいつなんですか。
  177. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 先ほど申し上げましたように、国別には具体的なことは何ら出ておりませんでしたので、大使館からその時点においては報告はございませんでした。ただわれわれは新聞報道そのものは東京で読んですぐ知っておったわけですが、その直後に国会て御質問があったという次第もあり、在米大使館に訓令いたしまして、この議事録を至急入手して送れということを私たちとしては訓令いたした次第でございます。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 そうするとそれに基づいて議事録が十月の中旬に外務省にくると、当然その中身を読むと、中には日本に関する質問もある。それから日本と特定しないけれども、高官に何百万ドルというものを払っているという記載もあります。これは一々時間がないから言いませんが、当然読んでいると思う。そういう内容について外務大臣としてはいつ知りましたか。
  179. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはその八月の公聴会がありましたときにそのような報道がございまして、それは私も読んでおります。それから国会でもお尋ねがそのすぐ後でございましたから、その時点では承知をしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、あの国はどう、この国はどうと一つ一つ質問があって、一つ一つ引き算すればわかりますというようなことで、いわゆる日本がその一つであるということを示唆するようなやりとりはございませんでしたから、正直を申しまして私どもそのことに別段の、特段の注意をいたしておりませんでした。
  180. 内藤功

    ○内藤功君 これはプロクシマイヤー委員長はただ単に当てずっぽうで聞いているんじゃないわけですね。相当の独自のスタッフがあって調査をして、御承知のとおり上院の委員会というのは調査スタッフがありますから。そしてこのホートン会長に対して日本におけるロッキード製品の販売に関連してという質問が出ていると、こういうふうに見なきゃならぬですね。それに対して答えの中に、日本のことを肯定するものはなかったから、そういうわけでそのまま何の手も打たず、外務大臣としては手も打たずあるいは総理その他の関係閣僚に情報の連絡もしないで、ことしの二月四日に至ったと、こういうことなんでしょうか。
  181. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あれはちょっと私の記憶がきわめて鮮明ではないのですけれどもロッキードが売り込みのときにそういう不正な金を払ったというようなことが前段にありまして、それはどこの国ということはない。しかしロッキードを一体買っている国はどこどこだということがありまして、むろんその中には日本もあるわけでございます。そういうやりとりであったと私は記憶しますので、わが国においてそのようなことが、むろんロッキードを買っておるということは事実といたしまして、その前のことと後のこととを私ども結びつけて考えておりませんでした。またそのようなやりとりではなかったように私は記憶をいたしております。結果といたしましては、内藤委員の言われるような疑いをその段階で持つべきではなかったかと仰せられれば、なるほどそうであったかもしれませんと申し上げる方が素直かもしれませんけれども、実際には全く私どもそういう疑いを持ってはそれを読みませんでしたので、したがって、別段の注意を払わなかったわけでございます。
  182. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、こういうプロクシマイヤー委員会で、こんな話題が日本のロッキード売り込みに関して出てますよということをあなたは総理その他関係閣僚に、二月四日の前にお話しになったことはあるのかないのか、情報をあなた自身あるいはあなたの部局を通してやられたことがあるのかないのか、その点だけひとつ伺いたい。
  183. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) プロクシマイヤー委員会のやりとりは、結局ロッキードが海外の売り込みについてある国——複数か単数かは別といたしまして——に不正な支払いをしているという、そういう一つの問題の提起と、今度は別にロッキードが品物を売っている国はどこどこだというやりとりとがございまして、両方の間に私どもは関連をして考えていなかったわけでございます。わが国が買っていることは知っておりましたけれども、前の話とわが国とが結びつくというふうにはあのやりとりは私ども読んでおりませんでした。  それから後段のお尋ねですが、総理大臣ロッキードのわが国に対する、わが国との関連での不正支払いのようなことが議論になっておるという報告をいたしましたのは、二月四日の実は公聴会がありましたときに大使館関係者がそれを傍聴しておりましたので、その報告は私のところに電報でまいりました。したがって、総理大臣にはこういう公聴会があったということを申し上げたのでありますが、それは二月の、でございますから五日になりますでしょうか。そのころでございます。
  184. 内藤功

    ○内藤功君 これは繰り返しますが、委員長とホートン会長の問答は非常に具体的なんですね。これを放置しておくという方がおかしい。委員長が、ロッキード社は日本におけるロッキード製品の販売に関連して、政府職員への賄賂——ハイオフィシャルとはないけれども政府職員への賄賂と言っているんですね。あるいは政治団体への献金を行ったか。ホートン氏は、それにはお答えしようとは思いません。次々と国の名前を出すことになるからですと、こう答えると、委員長はさらに畳みかけて、ロッキード社は全日空へのL一〇一一の売り込みに関連して、政府職員あるいは政治団体への金銭支払いをしましたか、お答えできませんというと、委員長さらに畳み込んで全日空へのL一〇一一の売り込みに関連してどうだったのかというふうに非常に核心に迫る質問をしているわけですね。私はこれ繰り返しになりますがね。あなたその時点で疑いを持つべきだったと言われればそうかもしれぬと、まあそういうことも言っておられるんで、私はこれ以上追及しないけれども、この時点でまだ日本の国内に問題が起きるということはあなたは全然考えなかった、総理その他の関係閣僚にも連絡はしなかったということなんですね。  そこで、私がこれを冒頭に聞きましたのは、次は法務大臣に一言伺いたい。大臣でも局長でも結構。児玉譽士夫が何か自分の持っている領収証だとか契約書だとか、そういう証拠書類を焼却するなどしていわゆる隠滅しているということを報道で私は知ったんですが、これはこういうことがあるかないか聞いてもまあ答えは大体わかっている。そういうことがあるかないか。もしそれにまともに答えられないというのなら私は無理は言わないが、そういう場合にどういう罪になるか、また、これはなくした方がいいですよということを児玉に言うた人はどういう罪になるか、それだけ答えてください。
  185. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘のようなことが新聞等で報道されておりまして、検察庁も恐らく関心を持っておることと思いまするが、ひとつ一般論で御勘弁願いたいのでございますが、他人の刑事事件というものは何も犯罪が、いわゆる捜査当局捜査の対象になっていなくても、第三者が、たとえば児玉譽士夫のための何らかの犯罪のために証拠を湮滅するつもりで何らかの行為をいたしますれば証憑湮滅の罪ということになるものと私ども考えております。
  186. 内藤功

    ○内藤功君 それを勧めた人は。それを隠滅を児玉に勧めた人は。
  187. 安原美穂

    説明員安原美穂君) もう御専門でございますが、教唆等の罪になるはずでございます。
  188. 内藤功

    ○内藤功君 捜査上の秘密でまともには答弁が取れませんでしたが、この報道は五月二十日の毎日ですが、去年の秋に児玉が証拠を隠滅していると、こういう趣旨の記事なんですね。秋というのは九、十、十一を言うんだろうとぼくは思う。去年もある問題で秋までにというのはいつかという論争になった。九、十、十一、ちょうどこのプロクシマイヤー委員会の議事録というものが外務省に入ったのが十月中旬なんだね、さっきの山崎局長の答弁によると、秋と。私はこういう点でいま冒頭に聞いたのは、児玉譽士夫が一体どこからこの情報を得て捜査の妨害になることをしたかと、まあ稻葉さん以下一生懸命やっているということですが、児玉、が悠々と去年の秋に隠滅しておると、こういうのは一体どこから情報を得てきたかということを私は知りたくて調べているんでいま聞いたわけです。ただ私はいまの答弁の印象としては、どうも外務省が議事録を得た時期とほぼ同じ時期に児玉も隠滅していると、外務省がどうこうというんじゃありませんよ。その同じ時期だという印象をいまの問答で受けたということを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  さてこのロッキード事件の真相徹底究明というのがこの委員会の任務でありますが、中心人物児玉譽士夫がロッキード社やCIAとどのように結びついていたかということをまず明らかにしなきゃならぬと思うのです。元ニューヨーク・タイムズの記者タッド・シュルツ氏の論文についてみますと、児玉は一九四八年の末に戦犯として釈放されて間もない時期に米情報機関——マッカーサー将軍の軍事情報部と接触をした。そしてワシントンの情報筋によると、四九年と五〇年に東京にCIA事務所が設けられて、接触が引き継がれたとされております。  私は先日、アメリカ合衆国の国立記録文書センターで調べておりましたところ、一九四九年一月二十二日付のGHQ経済科学局に対する児玉譽士夫のラジウム献上に関する文書が保管をされておりました。これによりますと、児玉は巣鴨拘置所から釈放された四日後の一九四八年十二月二十八日に経済科学局に対しまして一定量のラジウムを渡し、これを占領軍のために使うか、占領軍が適切とみなすように処理することを要請した、とあります。そうして児玉が当局に渡した物資のうち二十三個のラジウムの針は香港サナトリウム病院の略奪資産であった。これ以外のものも略奪財産かもしれない、と指摘されていると、こういうふうにESS——経済科学局の文書に書いてある、これを発見しました。そうしてGHQはこの調査のため、一九四九年、昭和二十四年の一月二十二日付のメモランダムと同年二月十九日付のメモランダム、これはスキャッピンの番号もありますが、この二つの覚書で日本政府調査を委嘱している、命じている。そして同年三月三十日付で引揚援護庁の残務処理部から外務省の特殊財産局長にあてまして、児玉譽士夫から引き渡されたラジウムの情報の件と題する文書と添付書類が出されております。これらの文書は児玉と米軍情報機関との関係を解明するのに必要、役立つものであり、また外務省に保管されているべきものだと思いますが、これを調査の上、提出されるように要求をしたい。  以上の点につきまして、外務省としてお調べになったかどうか、今日現在の結果を御報告願いたいと思うんです。
  189. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) まず、連合軍司令部関係の覚書の問題でございますが、これにつきましては私の方でとりあえず調べております。実は外務省といたしましては、戦後三十年を経過しました外交記録の一部を外交資料館を通じまして、近く一般に公開するために準備し、整理をいたしております。その中に連合軍司令部関係の公文書も相当入っておりますので、その整理がついておるところをよく調べまして、御質問のありましたそういう覚書があるかどうかということを十分調べてみたいと思います。そしてそれが発見できましたならば御提出申し上げたいと存じます。  それから次に、いまお話のありました昭和二十四年三月三十日付の外務省特殊財産局長あての引揚援護庁第二復員局残務処理部長発の文書でございますが、この問題につきましては、先般参議院の予算委員会において内藤委員から、法務大臣、国家公安委員長等に対して御質問がございました。したがいまして、その当時におきまして、われわれ早速調べてみたわけでございますが、この文書は外務省としては見つけておりません。  それからちょっと申し添えますが、先ほど私プロクシマイヤー委員会の議事録を入手して国会に提出したのを十月中旬と申し上げましたが、ちょつとこれは私の記憶違いでございまして、いま書類を調べてみましたら、十一月上旬でございましたので、その点だけ訂正さしていただきます。
  190. 内藤功

    ○内藤功君 では、この覚書について調査して報告していただくことを約束された。なお、この特殊財産局長あての文書についても、さらに鋭意調査を続けられることを希望いたします。  次に、日本におけるCIAと児玉との関係について、ことしの四月二日のニューヨーク・タイムスの記事によりますと、児玉は在日米大使館の館員たちと長年の関係を持っていたということが書いてあります。  それからタッド・シュルツの論文によりますと、一九四九年と五〇年に東京にCIAの事務所が設けられて、児玉その他日本の右翼との接触を引き継いだ。ワシントンの情報筋によれば、これらの接触は長年にわたり、恐らくはごく最近まで続けられた模様である、という記事が四月の上旬相次いで発表されたわけです。CIAが児玉のような、いまや外為法違反、脱税の被告であり、贈賄の容疑のある人物と長年にわたり接触を続ける、しかも米大使館員と長年の接触を続けるということがあるとすれば、これは日本政府としても許せないことだと思うんですね。外務省としては、独自にやはりCIAの東京事務所なるものの存在、CIAと児玉との長年の接触の問題、また米大使館員との長年の関係の問題、その長年関係を持っている米大使館員とこのCIAとの結びつき、こういうことはだれでも疑いを入れる事実でありますから、こういうものを当然調査してはっきりさせる政治的な責任があると私は思うんですが、この点いかがですか。
  191. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 午前中瀬谷委員にも申し上げたところでございますが、わが国においては組織としてのCIAというものの活動を許しておりません。ただ、これも午前中申し上げましたが、占領中及びその直後若干の期間というものは私どもに実はわからない期間でございますので、これについては正確には実は確言を申し上げることができないのでございますけれども、わが国が主権を回復いたしましてから今日までの間、組織としてのCIAの活動はわが国では認めておりません。
  192. 内藤功

    ○内藤功君 外務大臣は組織としてのCIAの活動ということを言われるわけですね。私は、ちょっとこの言葉にひっかかりを感じるんですが、外務大臣は、一体CIAの日本での行動というものは全然ないと考えているのか、どんなものが組織としての行動なのか、あなたのおっしゃる意味ですね、何回も私聞いているんですけれども、組織としてのCIAの行動とは何ですか。もう一つ言いますと、組織としての行動でない行動というものもあるんですか。
  193. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が組織としてのと申し上げた意味は、先ほど内藤委員がちょっとおっしゃいましたように、事務所を持って、そして、一定の人数を置いてそれがアメリカ合衆国のいわゆる国から与えられた使命を遂行しておるというような場合に組織としてというふうに私は申し上げておるつもりでありまして、そのようなものは、当然まず日本政府に、そういうことをするのでしたら届け出をしてもらう必要がございますが、そういうことは私ども届け出を受理したこともないし、そのようなことは許していない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  194. 内藤功

    ○内藤功君 CIAの行動というのは、もう言うまでもありませんけれども、事務所を持って、電話を持って、はいCIAでございますというようなのではなくて、むしろ隠れた、隠密の、密偵の最たるものだと思うんですね。最も科学的な密偵であると私は思うんです。  それで、私ここにアメリカの上院のチャーチ委員会、情報委員会の資料を持っておりますが、この中にCIAが軍事輸送や空輸に当たって東京の基地を使っていたということが——具体的には東京の立川基地ですね。これがここの中で指摘されているということで大変な問題になった。外務省としては、この四月の二十六日にこれが発表されたものでありますけれども、このCIAが輸送、空輸などについて、日本の本土の基地、しかも首都東京の基地を使っていたという点については調査をされましたか。
  195. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府委員からお答えをいたした方がよろしいかもしれませんが、その部分は私も読みました。それで、たしか、それは大分前に、一九五〇年ごろでございますか、中国からいろいろな物資を輸送するのに、何とかという名前の会社でございますが、エア・アメリカとか何とかいう、ちょっと私いまそこのところ忘れましたが、そういうものが仕事をしておって、それにCIAが出資をしておったというようなこととの関連で、CIAの活動というのは、いわゆる営利事業に近いものに出資までするのかというような問答との関連で出てきております。で、現実には、そのころにアメリカの民間航空会社がもう復活を始めておりますので、このようなCIAの活動は民間企業活動と競合して妨害になるではないかというような関連で出ておったというふうに思っております。大変に古いことでもありますし、そういう関連での話として出てきたように思いましたので別段の調査をしておらないと私は思います。
  196. 内藤功

    ○内藤功君 この資金を出して航空機会社を一つ買って、やるということ自体が大変なことなんですね。CIAというのは民間の航空会社も資金によって手に入れて動かしているということは、私は、いま大臣が言ったようにそう軽視する問題じゃない。軽視していいんでしょうかと私は疑いたいですね。民間会社を雇ってよその飛行機に乗るというんじゃない。自分で会社を一つ買って飛行機会社を勝手に使っていくんだものね、これは大変な問題だと思います。いやしくも、これが、私が強調したいのは、アメリカの上院の公式の調査文書です。公式の調査文書で出た以上は、それがいつの時期であろうと、わが日本の国内に一あなたも絶対許してはいけないと言われましたね、このCIAが活動しているという以上は、これは当然私は調査をされているはずだと思うんです。一部の新聞には、外務省調査を始めたと言う新聞もありますが、新聞の記事にはそう書いてありますが、改めてこの席上で、調査をされているのかいないのかという点をお答え願いたい。
  197. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 内藤委員のお尋ねになっております航空会社というのは、そのチャーチ委員会の報告から見まして、いわゆるエア・アメリカ及びサザン・エア・トランスポートという会社のことであろうかと思います。この二つの会社に関しましては、実は、日米安保条約及びそれに基づきます地位協定において一つの地位を与えられておったわけでございます。これはアメリカの空軍の輸送司令部との契約に基づきまして、わが国にあります米軍の基地の一部を使いまして、空軍との契約のもとに輸送に従事していたと。これは地位協定で申しますと第十四条の特殊契約者という地位を持っておったわけでございます。これは、その二つの会社のいわば資本関係と申しますか、そういうものについてはわれわれとしては詳細は承知していなかったわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、その業務形態において別段問題となる点はございませんでしたので、当時も調べておりませんし、現在においても特に調べる必要はないと考えております。
  198. 内藤功

    ○内藤功君 これはアメリカの公式の上院の記録であります。詳しくお読みになればわかるように、大変なスタッフを使って調査をした結果こういう報告書が出るわけです、御存じのとおり。これを、日本の特に名前を挙げられて出されたものを調査をする必要がないということは、私は、これは外務省としてはどうかと思うんです。私はさらにこの調査を強く要求をしたいと思う。  それで、時間の関係もあり、他の同僚委員質問もありますので、最後に私は一問だけ聞いておきたい。  外務大臣伺いたいんですが、いままで、運輸省の行政指導の面あるいは防衛庁の防衛政策の面でのロッキード事件追及が行われてきた。外務省は、一体、どう外交ルートで応対してきたかということなんです。簡単に言いますと、一九七一年の九月の第八回日米貿易経済合同委員会、それから七二年一月のサンクレメンテ会談、七二年七月の箱根における通商協議、それから七二年八月から九月のハワイ会談、この一連の動きの中で、アメリカ側は、大ざっぱに言いますが、エアバスや軍用機の輸入ということでずうっと強力に主張をしてきた。日本側はこれに対してどう対応してきたのか。この経緯を、きょうは時間がありませんけれども、正確に議事録でこの委員会に、皆さんにわかるように提出してほしい。万一、この議事録そのものがないとか、あるいは出せないという場合には、その両者の、両側の主張について整理をした、対照した文書を出していただくようにお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。
  199. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 間違いのないようにきちっと確認をさせていただきます。  七一年九月の日米貿易経済合同委員会、それから七二年八、九月のハワイ会談に至るまでの何回かの日米の閣僚会議あるいは首脳会談において、航空機をアメリカから日本が買うという問題についてどのような議論がなされてきたかという経緯がわかるような何か文書を出せ、こういうことでございますね。
  200. 内藤功

    ○内藤功君 はい。
  201. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私ども、恐らくこの議事録そのものをお目にかけるということはできないことだと思いますけれども、その中でこのような問題がどのように議論されたかということにつきましては、できるだけそれを調べまして文書で御報告をいたします。
  202. 内藤功

    ○内藤功君 関連質問
  203. 橋本敦

    ○橋本敦君 いわゆる四十七年の八月末、九月一日、ニクソンハワイ会談——ニクソンと田中のハワイ会談、これが大きな問題になっているわけですが、田中総理当時、米国訪問一行の行事日程を外務省からいただきました。これによりますと、田中総理は、まずホノルルのヒッカム空港に着きますと、その行事を終えた後、日系人会合への出席のためにプリンセス・カイウラニホテルに参ります。それから、その後サーフライダーホテルに泊まります。このプリンセス・カイウラニホテルもサーフライダーホテルも、これは今日明らかなように、ともに小佐野氏が一九六三年に手に入れた、小佐野氏がオーナーであるホテルですが、この行事について、外務省は総理の一行の日程を組む場合に、ホテルをどこにとるかという問題ではだれが決めたのか。私は、恐らく田中総理がサーフライダーホテルに泊まりたいと、こう言ったというように私は考えているんですが、このことを正直に外務省から明らかにしてもらいたい。
  204. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 行事日程についてはそのとおりでございまして、田中総理一行がお泊まりになったホテルも橋本委員の仰せられるとおりでございます。ただ、私たちとしては、それがどういうふうにして選ばれたかということは、残念ながら記録として持っておりません。
  205. 橋本敦

    ○橋本敦君 調べてください。  予算委員会での証人喚問で小佐野氏は、小佐野氏自身もこの当時ハワイに行っておった、そしてサーフライダーホテルで、田中氏らが行かれるのを彼自身もハワイで同じ日時に迎えておる、これはもうはっきりしておるんです。しかも、さらにそれだけではありません。この行事日程を見ますと、九月の一日には日本側内輪の昼食が行われていますが、これが何と小佐野氏が所有するワイキキの最古の日本料理店、資本金十五億といわれておりますが、これが京屋です。こうして、この日程を見ますと、田中一行が泊まったのも、内輪の会議をやったのも、日本人会で出席する会合をやったのも全部、当時小佐野氏がハワイにいて、小佐野氏がオーナーであるホテル、料理店、これを全部使っておる。まさにこの時期は、コーチャンがそれ以前に何度も日本に来日をして航空機の売り込みを行い、この年の一月には田中通産相自身がコーチャンと会っていることが明らかな年である。こういうときに日米会談をやるについて、会談場所からはるか離れたサーフライダーホテルに泊まるだけでなく、全く小佐野一色といってもいいような、このようなホテル行事を組む。今日から見れば、外務省、全く不見識きわまりないと言われかねない問題だけれども、いま山崎局長は、だれがこのホテルをセットしたか、これは承知していないと言ったけれども、これは明らかに調べる必要がある。調査をして報告してくれますか、だれがこのホテルを決めたか。いかがですか。
  206. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 総理のこういう場合の外交訪問の日程を決めますときは、外務省だけでなく、もちろん総理官邸とも十分連絡をとるわけでございますので、外務省だけの一存で決めたわけではもちろんないと思います。ただ、大分前の、三年近く前のことでございますので、関係者も変わっておりまして、ちょっと簡単に調べがつくかどうかわかりませんけれども、できるだけ関係者に聞いてみたいと思います。
  207. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまのお話のように、外務省自身だけじゃなくて、こういう行事は総理官邸の意向も聞く。だんだんはっきりしてくるですよ。田中総理自身がサーフライダーへ泊まりたいと言った可能性あるですよ、小佐野氏がそれを知って行っているんですから。この点は、まず第一に徹底的に調べて明らかにしてもらいたい。  私の質問時間がもうこれで終わりですから、最後に一言外務大臣に、斉藤特使を政府は議長裁定に基づいて派遣をいたしましたが、特使派遣の成果、具体的にどういう成果があったと外務大臣考えなのか、これを一言お聞かせ願いたい。  それから法務大臣に、予算委員会で若狭偽証告発、これがついに決定をされました。いずれ告発状が届けられるでしょう。これに対応する検察庁の姿勢について所信を承って質問を終わります。  二点だけです。
  208. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 斉藤特使には三つの使命を託したわけでございます。一つは、このロッキード問題に関するわが国の実情を米側によく説明して相互理解と相互信頼の増進を図る。第二は、いわゆる日米間の捜査協力の推進について努力をする。第三は、多国籍企業の問題でございます。  キッシンジャー国務長官、レビ司法長官、ヒルズ証券取引委員会委員長のほか、政界、実業界、言論界のかなりの人々にワシントン及びニューヨークで会って話をすることができまして、第一点につきましては、アメリカ側も私どもが思ったよりは日本の問題の受け取り方を知っておったようでございますけれども、なお懇切に説明をして、ああそういうこともあるかという、これは大変に時宜を得たことであったと考えております。  それから第二の問題につきましては、レビ司法長官等によく話をいたしまして、レビ司法長官も、ヒルズSEC委員長も、自分の権限内の事項については最大限の協力をするということを確認をいたしております。
  209. 橋本敦

    ○橋本敦君 嘱託尋問、入っていますか。その確認に嘱託尋問の協力入っていますか。
  210. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般論といたしまして、実務取り決めの中に司法共助、実務取り決めによる司法共助、これについても米国政府協力を求めたいということを一般論として申しております。  それから、多国籍企業の問題につきましては、リチャードソン商務長官等々から、今後、日米間で協議をして、今後、腐敗行為が起こらないための規制をしようではないかということについて合意をしておりまして、現にリチャードソン商務長官は現在日本に来ておりまして、関係閣僚とこの話をいたしておると承知をいたしております。  概して特使に与えました使命は十分に果たしてきたというふうに判断をいたしております。
  211. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 検察庁はまだ告発を受けてはおりませんけれども、受けた場合は厳正公平にこれに対処して起訴、不起訴を決めます。
  212. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がありませんからこれでやめます。
  213. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず、法務大臣にお伺いをしたいと思います。  五月二十三日付のニューズウイーク誌にこういう記事があるわけです。三木総理ロッキード事件に対して最も新しい進展状況を知らされておると、そして同総理はその情報を三木退陣を求める自民党内実力者との政争に武器として使用する可能性があると、こういう趣旨の記事があるわけですけれども三木総理は最近のこの事件の進展状況について詳しい情報を得ておられるかどうか、この点をまず法務大臣にお伺いをしたいと思います。
  214. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういったような情報は得ておられるわけはありませんね。私、この間、参議院の内閣委員会それから衆議院のロッキード問題特別委員会で申し上げたこの程度のことは総理も知っておられます。それ以上のことをまだ私も報告を受けておりませんし、したがって私から総理に報告をしていないことは漏れるわけがない。
  215. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、最近の自民党内の非常に複雑な動きがあるわけですけれども、これとこのロッキード事件との関連ということで考えた場合に非常に危惧を感ずるわけです。  どういう面かと言いますと、このロッキード事件自民党内の政権争奪のための派閥抗争の具にされておるのではないかと。いわゆる反三木という動きがありましたけれども、これがマスコミ等ではロッキード隠しというふうに言われております。それから逆に、三木陣営の方はこのロッキード事件の解明ということを一応のにしきの御旗にしながらもこれを武器にして政権維持を図る。私は、ロッキード事件がこのような派閥抗争の具にされるということは非常に危険なことだ。これが一つの取引材料として扱われるならば、三木総理政権維持の武器として使われるということは、逆に言えば、もし派閥間の妥協が成立した場合にはロッキードについての捜査あるいはそういうものに手心を加える、そういうことにも発展しかねないと思うんです。したがって、私は、このロッキード事件を絶対に派閥争いの具にしないでもらいたい、巻き込まないでもらいたい。このように感ずるわけですけれども、この点について法務大臣の感想というものをお伺いしたいと思います。
  216. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ロッキード問題という非常に大事な問題を各政党間の党利党略に使われたりしてはもちろんいけない。ましていわんや自民党内の派閥争いの具に供するなんて、そんなことは断じてやってはいけないんだ。もうそういうことは許されない。所管の法務大臣としては断じてそういうことは許しませんな。御信頼ください。
  217. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、次の質問にいきますけれども、嘱託尋問の手続が行われたというような記事も出ておるわけでありますけれども、これについては詳しい内容はお伺い——先ほどからの質問を聞いておりますと御答弁をいただけないようでありますけれども、ただ先ほど御答弁いただきました手続によりましてもこれはそう簡単にはいかない、時間的に、かなり手間暇がかかるような気がするわけです。どれぐらいの期間がかかるものか、その点おわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。
  218. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 具体的な事柄はひとつ御勘弁を願いたいと思いまするが、従来、アメリカにおきます証人尋問の嘱託の手続の実例に徴しますと、相当期間の要するものであるということは間違いないと思います。
  219. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その嘱託尋問の結果によって強制捜査に踏み切るというような報道もされておりましたけれども、これはその上のことですか、嘱託尋問の結果を待って政府高官に対する強制捜査に踏み切るという報道は正しいのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  220. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 非常に捜査の機微にわたるお尋ねでございまして恐縮いたしておりまするが、証人尋問が本件の日米両国にまたがる不正行為の疑いというものの究明の上で有力な関係人が  アメリカにおられることも間違いないわけでござ  いますので、そういう方々から何らかの方法で供述を録取するということが有力な手段、方法であるということは間違いないと思います。
  221. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、この嘱託尋問のアメリカで実施される時期いかんによっては捜査がかなりおくれる、ずれ込むというような心配はないわけですか。
  222. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど、証人尋問をした場合に通例相当の期間を要すると申し上げましたが、今度の取り決めによりますると、迅速な実現に最善の努力をするということでございますので、必ずしも従来の実例がそのまま基準になるものとも思われない、そういう意味で迅速な実施についてアメリカ政府が最大限の努力をしてくれるものと思います。  なお、いまお尋ねの、そういうものが長引けば捜査自体が長引くのかというお尋ねでございますが、これまた捜査の機微にわたることでございますので、いずれとも申し上げかねる次第でございます。
  223. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 引き続いて嘱託尋問の件でお伺いをしますけれども、日本の捜査当局がまあ立ち会えるという話を聞いておりますが、これは実現できるかどうか。  それからさらに嘱託尋問というものが贈収賄犯罪を立件するために、裏づけとして絶対必要な要件であるのかどうか、この点はいかがですか。
  224. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほども申しましたように、現実にそういう証人尋問が行われます場合に、検察官が立ち会うんだということがすでに確定的のごとく申し上げること自体が証人尋問の円満な遂行、特に相手方の円満な協力を得られるかどうかにも影響することでございますので、確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、やはり事柄の性質上、日本の捜査当局捜査をしておる事件についての証人尋問でございますから、日本の検察官がその場に居合わせることができますればそれは最善の条件であろうとは思っております。
  225. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に法務大臣にお伺いをしますけれども、このロッキード事件の解明の時期について先ほど臨時国会までには明らかになるというようなことを答弁されましたけれども、ということは大体七月ごろというふうに考えていいのでしょうか。  それから法務大臣は全容を国民の前に明らかに解明するという自信をお持ちでしょうか。
  226. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私はこの次の臨時国会までには皆さん方に返答のできるような程度の捜査があってほしいという希望を申し上げたわけです。  それから、全容を明らかにする自信があるかと、これはまあ捜査当局——検察庁があれだけ熱心に、あれだけの陣容で一生懸命にやっているんですから、必ずそういうふうになるものと期待しておりますね。  それから、あなたは臨時国会七月とか何とか言いますけれども、それが……この次の臨時国会までには御返答できるようにしたいものだと、それじゃそれはいつかということはそれはあれじゃないですか、臨時国会がいつ開かれるかということなんですから……それがわかれば苦労はない。(笑声)それはそうですよ。
  227. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 法務大臣は衆議院のロッキード特別委員会におきまして民社党の河村委員質問に答えて、いわゆる灰色の高官名の公表についてかなり前向きの答弁をされたわけであります。そこで、この灰色の高官名の公表というのはどういう形で行われるのか。新聞の報道によれば、これは検察当局方針としては公判の冒頭陳述の中でそれに触れるというようなことが検察当局方針として決まったようだ、こういう報道があるわけですけれども、そのようなかっこうで行われるのか、あるいは国会に対して総理もしくは法務大臣が報告というかっこうでされるのか、この点はいかがですか。
  228. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 灰色の高官の公表の仕方につきましては検察当局としてはさようなことを議論したこともございません。いまは全容を明らかにすることだけで精いっぱいでございます。と同時に、公判の手続の過程において高官名を公にするなどということはおよそ考えられないことでございまして、公判の手続では公訴提起をいたしました事件の立証という活動をするわけでございますから、灰色というのは不起訴ということでございましょうから、不起訴の人の名前を公訴提起をした手続で明らかにするなどということが目的ではないわけでございますので、ちょっと考え得ない報道であろうと思います。
  229. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、この灰色の高官ということが俗に言われておるわけですけれども、その内容についてどう規定すればいいのか。衆議院のロッキード特別委員会では稻葉法務大臣は、仮に刑事事件として立件できなくても今回の事件は政治的、道義的責任追及することによって政界を浄化する必要のある性格上公表することが適当と考える、こういう趣旨の答弁をされておるわけですけれども、つまり灰色の高官というのは、刑事事件としては立件できないけれども政治的、道義的に責任を問われるべき人物と解釈していいと思うのです。これは具体的にはどういうものが該当するのか、この点をお伺いしたいと思います。
  230. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) まあ当局が心配そうな顔をしていますからね。(笑声)——まあやってみなければわかりませんね。やってみなければわかりませんが、金銭の授受はあったけれども職務に関係しないとか、金銭の授受もあり職務にも関係したけれども時効になって公判請求はできない、こういうようなことでないでしょうか、一般論として。しかし、やってみなければわかりません。いま一生懸命にそうはさせぬぞといってやっているのですから、いまこの段階でそういうことを早く——せいては事をし損ずるわけですから、いろいろなことを予想されるのは、まあしょうがないとしても早漏らしというのはよくないと思いますな。
  231. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それじゃ、次に外務大臣にお伺いしたいと思います。  このロッキード事件という問題は、これ自体日本の政府を揺さぶる、また政府高官の贈収賄に絡むきわめて重要な事件であることは間違いがないわけです。しかし同時に、これは一方で、ロッキード社のみならず他の大企業、多国籍企業、こういうものも同様のことをやっておるというふうに見なくてはならない。先日、派米議員団の一員としてアメリカに行きました場合にも、ロックフェラー副大統領は、これはロッキード社には限らないのだ、もうたくさの会社がこういうことをやっておるということを言っておられましたけれども、その意味で、今後こういう事件が起こらないようにするために多国籍企業の規制に対する措置が必要かと思います。これはもうすでに国連の場とかOECDとか、そういうところでそういう動きもあるわけですけれども、その点、現在どういうような進展をしつつあるかお答えをいただきたいと思います。
  232. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 多国籍企業の問題は、御指摘のように国連におきましても、OECDにおきましても、やはり議論をしなければいけないということは前から言われておりました。ただ、過去の段階におきましては、今回のようにいわゆる腐敗行為というようなものが問題の中心になるという感じよりは、多国籍企業の功罪、メリットとデメリットというようなものについてどう判断するのか。そうして、場合によっては非常に大きな企業が小さな独立国に入っていって、実際その政府よりも強い力のようなものを発揮する場合もございますから、そうしますと、その国の政治というものあるいは経済というものをある意味で支配をするようなことになってしまう。そういう問題でありますとか、あるいはその国の持っております伝統とか習慣とかいうものを無視するようなことになりかねないとか、そういうデメリットの面と、ただ多国籍企業によってこの世界の経済交流が非常に自由になる。また、失業の多い国で失業問題を解決し、あるいは生活水準を高めるのに役立つ、これはメリットの方でございますが、そういういろいろな問題を国連及びOECDでおのおの議論をしておったわけでございます。しかるところ、こういう腐敗の問題が最近特に注目をされるに至りまして、ただいまの段階は、国連は昨年の三月に第一回の会合をいたしましたが、ことしの三月に第二回の会合がリマで行われまして、ここでアメリカが現在のような事態を考えつついろいろな意見を出しまして、その結果作業部会を設置いたしました。そうして、七八年までに多国籍企業の行動基準とでもいうものをつくろうではないかということで作業が進み始めたわけでございます。それから、OECDの方は、昨年の三月に第一回の会合がありまして、これは現在まで頻繁に会合が続けられております。そうして、多分ことし、来月の下旬に閣僚理事会がございますから、そこで多国籍企業行動指針とでもいうべきものを採択するということでいま作業を進めておりまして、国連にもOECDにもわが国は積極的に実は参加をして作業をいたしております。一般的に申しまして、そのような行動基準、あるいは行動指針といったようなものが現在の段階ですぐに国際条約になるものであるか、あるいは、むしろその法的な拘束力よりは道徳的な規範というようなものを定着さしていく方がいいのであるかといったような、これ実現可能性の問題と、好ましいか好ましくないかという問題とが両方ございますけれども、そのあたりがやはり最後の問題のむずかしいところになるのではないであろうか、恐らく、でございますから、来月のOECDなどでは一般的な指針といったようなもので合意をするということになる見通しではなかろうかと思っております。
  233. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 近く国連の多国籍企業委員会で、多国籍企業の行動規制に関する日米の共同提案、共同決議案を提案するという報道がありましたけれども、その決議案の内容はどういうものですか。
  234. 本野盛幸

    説明員(本野盛幸君) お答えいたします。  いま御指摘になりました点につきまして、恐らく斉藤特使が訪米いたしました後にいろいろ新聞に出ておった記事からの御質問かと存じますけれども、そのようなことは実は事実としてはなくて、何かそういうような観測を中心にした形で記事が、そういうふうな報道がされたというふうに了解いたしております。
  235. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最後に外務大臣に少しお伺いしますけれどもアメリカにおいても賄賂を防止するためにプロクシマイヤー法案とか、あるいは多国籍企業の情報法案とか、ハード法案、それから多国籍企業小委員会の出しておる法案、こういうものが提出をされたか準備されておるか、そういう段階だと思います。私は日本においてもそういう国内立法的な措置も必要になるのではないか。たとえば、日本の多国籍企業が外国政府高官に賄賂を出すというようなことも現実には起こり得ることでありまして、したがって、アメリカの証券取引委員会がやっておるような活動とか、あるいはアメリカが準備しておるような法案の立法措置というようなものは、わが国でも必要になろうかと思います。それから、まあこういうものは一国だけではなかなかできないもので、やはり国際間の協力ということも必要なので、やはり条約というものも必要になってくるような気がしますけれども、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
  236. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わが国でも通産省等でいろいろ検討をしておられるようでございますが、国際的にどのようなことが一番可能性があって、場合によって実現が期待できるのではないかということになりますと、ある金額以上の支払いについては、支払われた相手を会社から報告をさせて、それを関係国に通報をするというようなことが比較的有効な方法ではないかという意見がございます。それは、国によりましてはそのことは何ら違法でないということであれば、それはそのまま受け取ってもらえばよろしいわけですし、国によってはそれが違法であるということ、そういうことを前提にして考えますと、自動的に一定金額以上の支払いについては会社から報告を求めるというようなことを各国が合意をして、そしてそれを相手国に通報をするというようなことは比較的有効な方法ではないかというようなことがただいま検討されているように存じております。
  237. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  238. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、三木内閣閣僚でおいでになりますお二人に対して、ロッキード問題についての政治姿勢とでも申しますか、そんなことを二、三お伺いしたいと思います。  三木総理は、御承知のとおりに一昨日の経団連の総会で、また昨日の新聞記者会見で、あくまでも総理としてロッキード問題の真相究明に努力する、政権交代についての話し合いなら椎名副総裁と会見しないとおっしゃったようでありまして、これは当然のこととして私どもは評価しておりますが、稻葉法務大臣宮澤外務大臣閣僚としてどういうふうにお受け取りになっておりますか、伺いたいと思います。法務大臣どうぞ。
  239. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 結構な話だと思いますがね。ただ、政権交代の話なら副総裁に会わないというようなことは、少しかたくなでないかなあなんというふうにも考えますね。お会いになって結構じゃないですかという気もいたしますな。しかし、総理のおっしゃることはどういうおつもりか聞いてもいませんからね。ただ、その言葉の表面上から見るというと、総裁、副総裁の間でちょっと水臭いではないかねという気は閣僚としてします。
  240. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三木総理大臣は、自分は現在総理大臣としてこのロッキード事件の解明を最も大事な問題であると考え、そのために全力る尽くすと言われております。私も全くそのような総理大臣の御方針に対して一人の閣僚として全面的に協力をいたしたいと考えています。
  241. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ三木内閣と言っても、それは派閥内閣ですわね。私、アメリカにこの前行きましたときに、実はハビブ国務次官補と日本の政治についてお話をし、この自民党内の派閥についての私は一覧表をつくったのをお見せしていろいろお話ししたんですが、そうしましたら、日本の政治を知るためには派閥のことを知らなきゃだめですねと、まあおっしゃっておりました。そしてまあ、私の持っていった資料を二部よこせということで、置いてまいったんですが、法務大臣は、いま御意見伺いましたが、三木支持の中曽根派でおいでになりますね。それから宮澤外務大臣は反三木の大平派に属しておいでになるんですが、いまの外務大臣のこの三木総理の答えに対して全く同感だとおっしゃったんですが、そうすると派閥の方から圧力が来てるんじゃありませんか。
  242. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは先輩の市川委員に申し上げるまでもないことでございますけれども、いやしくも内閣閣僚であります限りは、これは総理大臣に全面的に協力をして御一緒に仕事をしていくというのが、これは閣僚たるものの務めでございます。閣僚をやめました後のことはこれは別でございますけれども閣僚でございます限り、私は内閣総理大臣方針を体してやってまいります。
  243. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ三木内閣をつぶすためには、反三木派の派閥から内閣に出ておいでになりまする大臣の方々を引き揚げればよいと、まあこういううわさをされてますけれども宮澤大臣のいまのお言葉を伺いますと、まあそういう場合があってもそれはそれに応じないということですね。内閣つぶれてしまえばそれはまあ後、別の問題でしょうけれども
  244. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 閣僚というのはやはり公職でございますから、だれかによって引き揚げられるとか引き揚げられないとかいう性格のものではございませんで、私がやめることが適当であると存じましたら私の判断でやめますし、そうでないことが適当であると思えばそういうことはいたしません。私自身が判断をいたすべきものと思います。
  245. 市川房枝

    ○市川房枝君 稻葉法務大臣がさっき、総裁と副総裁の間で会うとか会わぬとかっていうのはおかしいと、そうおっしゃいましたけれども、私ども国民から言っても本当はおかしいんだけれども、それがまあ対立して簡単に会えないような実情があるということが問題なんですね。だから、いまの状態では私はやっぱりそういう政権交代っていいますか、異動の問題の話し合いなら受けないということは、三木さんの現在としては当然だとまあ本当は評価してるんですが。ところで、法務大臣はまあ中曽根派に属しておいでになりますが、国民の間では、中曽根さんはいま三木——党の執行部の幹事長という重大な席においでになって、そうしてまあ三木総理の意見が実現するように骨を折っておいでになり、まあ国民はその点は評価してるんですが、ただまあ中曽根さんは、前の政治生活の経過を拝見しますといい方に味方をなさるというようなことも過去にあったらしく、だからいつ何どきいい方へおかわりになるかもしれないというようなことを心配している向きがありますが、どうなんですか、法務大臣。失礼ですが。
  246. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それはざっくばらんな御質問ですから、こっちは何もこだわることはないですね、そういう人間じゃないんですよね、私の見るところは。ただ、先生から見られてそういうふうに過去においてそんなふうにやったでないかというふうに見られているとすれば本人の不徳、で、私どもも同じ派閥に属する者として不徳のいたすところでございますが、しかし、今度のこの姿勢はそんなことはないでしょう、そんなことはありませんよ。また、それはあなたね、しょっちゅうヒマワリみたいなことやってて大成するわけがない。(笑声)
  247. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまの法務大臣のお言葉を聞いて、心配していた人たちは安心するでしょう。  ところで、椎名さんを中心とした反三木の派閥の方々はこの派閥解消を真っ先にすべしだということをおっしゃっております。前の池田さんの総理の時代に一ぺん派閥解消することに決まって解消をなさりかけたんですけれども、いつの間にやらまた元へ戻っちゃって、そして最近はもっと派閥が盛んになっているように国民の目に映っておるんですが、お二人の方々は、私は自民党の中ではりっぱな政治家でおいでになると思っておるんですが、やっぱり派閥に属さなければいけませんか、派閥解消はできないんでしょうか、その点お二人から御意見を伺いたいと思います。
  248. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 派閥解消がいいということはいいに決まっているんですね、それは。大いに努力した方がいいと、努力するつもりですね。
  249. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 派閥というものの定義にも私はよると思いますけれども、一緒に政策を勉強したりする、おのずからそういうグループができるということは、私は別段それ自体として非難されるべきことじゃないと思いますけれども、やはりいろいろ金銭的なめんどうを見てもらうとかいうようなことになりますと、これはやはり弊害が伴うのではないかという見方を私はしております。
  250. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員長からちょっと申し上げますが、きょうはやはりロッキードの審議ですから、なるべくひとつロッキードの問題に関してひとつお願いします。
  251. 市川房枝

    ○市川房枝君 最初にロッキード問題に関連してと、閣僚としてと申し上げたんで、直接ロッキードでないかもしれませんけれども、やっぱり今度のロッキード問題に関連しての政変といいましょうか、これは自民党の内輪の問題といえば問題かもしれませんけれども国民は大変心配しておりますから、そのことを伺ったんです。  今度、いまの反三木の運動の中で三木さんは自民党の近代化に努力をしないということが理由になっておるようですが、近代化、もちろん私どもも大賛成で、どうかそうしていただきたいと思うんですけれども、ただ、国民の目から見ますと、そういう方々がいろいろ相談をしていらっしゃるのはやっぱり料亭の奥で、国民から見えないところで話し合いが進んでいると、国民全く不在でお話が進んでいるということなんかはおおよそ政党の近代化とは逆なんであって、だから、そういう方方から出てくる近代化ということは一体信用していいのかどうかということの疑問を持っておりますが、優秀なお二人の方からその問題についても御意見をちょっと伺いたいと思います。
  252. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) さあ、飲みに行っていいか悪いかというような御質問ですがね、そういうところへ飲みに行ったりしては近代化はできないぜと言うんだったら、そうは言えないと思うんですね、そうは言えないでしょう。私なども近代化に熱心ですけれども、行きますからね。(笑声)
  253. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま法務大臣の言われたことに特につけ加えることもございませんけれども、仕事の話は飯でも食ってしなければならないとすれば、やはりホテルを使うとかいうことの方がよろしいので、仕事でございましたら。それ以外のことはいま法務大臣の言われましたように、これ、別でございますけれども、そのくらいの心構えはやはり必要かと私は思っています。
  254. 市川房枝

    ○市川房枝君 そういうところへいらっしゃること、必ずしも私は悪いと言っているわけじゃないんでして、そういうところで国の政治が動かされている、相談されているということに対する国民の疑惑と、こういうふうに考えていま伺ったわけでございます。  今度の自民党の中の政変劇といいますか、これは自民党の中だけで、第三者は関係ないということに言えるかもしれませんけれども、これは国民としては、日本の政治をやっていただいている自民党なんだと、政府の与党なんだということで、その自民党の動勢は非常な関心を持っている。いや、第三者と見れば、私は今度の政変劇はそれはおもしろいんだと、いや、これによって国民自民党の実態を見せることになるんだと、こう言えば言えるかもしれません。しかし私は、それではロッキード問題がそのために行方不明になる心配があると、過去においてそういう例が幾つもあるわけでありまするから、どういう点で、やはり今度は特に三木さんを支持するというわけではありませんけれども三木さんが政治生命をかけて真相究明をやると、こう言っておられるので、国民としてはやってもらったらいいじゃないのかと、やってくだすっても先ほどからの御質問のように、果たして真相が出てくるかどうかそれはわかりませんけれども、一応そうしたいと、こういうようなのが国民の声、これは新聞の投書その他で皆さんがごらんになっているとおりでありまして、私はそういう国民の声を代弁といいますか、かわってきょうこの機会にお二人の閣僚にいろいろ御意見を伺ったわけでございます。  ありがとうございました。
  255. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会