○松川
政府委員 今回の大量の国債を発行するに当たりまして、私
ども、ただいま先生御
指摘のように、インフレとの関連その他いろいろの
関係がございますので、市中消化の原則はぜひ守ってまいりたいと
考えております。そしてその間、御
指摘のような、あるいは中小企業金融の方にしわ寄せが起こることのないように、この辺は
日本銀行とも十分連絡をとり、そしてまた私
どもの銀行局を通じましていろいろ監督指導しながら進めてまいりたいと思っております。
そこで、御
指摘の、証券会社に行きましたときにいろいろな問題のあるような勧誘態度があるという点でございますが、この点につきましては、私が再三大蔵
委員会でも御
説明申し上げましたが、市中消化というのは、やはり個人がある程度資産がたまってまいりまして、たとえば今度の入学のための金が要るとか、そういう流動性選好の貯金からだんだん利回り選好、より金利の高いもので利殖をしていくという利回り選好の金融資産になり、それが十分たまったところで、今度はキャピタルゲインなり何なり、そういったものをねらう、そういう個人の資産の保有形態が望ましいので、この国債は利回り選好の金融資産を保有する形としてぜひお勧めし、そしてこれを
国民に定着させたいという基本的な
考え方で指導してまいっております。この点につきましては証券会社の幹部も大賛成でございまして、先生も御案内のとおり、昨年の十一月ごろ、ボーナスを目当てに私
どもが国債のキャンペーンをいたしましたときには、証券会社もそれぞれ
自分の計算において積極的にこのキャンペーンに
協力してくれました。最近国債の個人消化が非常に進んでおりますのも、こういったキャンペーンの効果であろうと思います。
ただ、証券会社も数多い外交員を使っておりまして、その末端にはただいま先生御
指摘のような事例が間々なしとしないという話は私
どもも耳にはさんでおります。この点は機会がありますごとに証券会社の幹部にも十分注意を喚起し、また私
どもの証券局も通じまして、このことはPRいたしまして、いたずらにこの国債をきっかけに投機的な資産運用を
国民に勧めるようなことのないように、十分注意してまいりたいと思っております。
最後に郵便局の窓口を通ずる販売でございますが、これは戦争中にも経験があり、そしてまた戦後間もないころ、二十七、八年のころですが、このときにも経験がございました。戦争中は
国民総動員的な
考え方が背景にございましたから、それなりの成果は上げました。しかしながら、戦後やりましたときには、どうもうまくいきませんで、予定しておりました量の何分の一かしか郵便局の窓口ではさばけなかったという実績がございます。これは
一つには、ただいま郵便局を通ずる資産運用の形に定額貯金というのがございます。定額貯金をいたしますと、郵便局の方でもそれなりの手数料がもらえる、また国債を売れば国債なりの手数料がもらえる、郵便局のサイドとしてもそういう問題がございます。それからそれを預託に行く
国民の側から言いますと、郵便貯金の限度額いっぱいになった方は別でございますけれ
ども、その限度額いっぱいになるような資産をまだ持っておられない
国民の方は、どちらかというと中途でも解約できる定額貯金の方をお好みになるということで、なかなかこの郵便局の窓口を通じても、そこへ来たお客さんに必ず国債の方もぜひ強力に勧めてくださいということを私
どもが郵便局の方々にお願いしても、それだけの所期の効果が上がるかどうか、いささか疑問に思っております。そしてまた反面、郵便貯金の形を通じて集まってきましたものは、これは運用部を通じまして国債の保有に充てるとか、あるいは国債が果たしている
役割りと似たような目的に使われておりますので、これはこれなりのお金としての生きた使い方があるわけでございますから、現在の段階でいきなり郵便局に国債を売らして、そしてこれによって市中消化をもっとふやそうではないかという
考え方はとれないのじゃなかろうか、このように
考えております。