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村山(喜)
委員 自治法の第二条の第二項の事務についてここに
行政実例も出されているようでございまして、いま
行政局長が
お話しになりましたように、設置に係る事務は国の固有事務であるが、その周辺の事務についてはその調査権の発動は可能であるということをお聞きをいたしましたところ、
行政実例の中にも「現に議題になっている事項、若しくは将来議題に上るべき基礎事項又は世論の焦点となっている事件」、こういうようなものについては固有の事務についての調査権限はあるんだということが
行政実例で示されておりますので、それに基づいて発言をされたものだと
考えます。
そこで私は、この際
自治大臣に所見をお伺いをしておきたいと
考えるのでございますが、昨年の十二月二十九日に原子力
行政懇談会の方から「原子力
行政体制の改革、強化に関する
意見」という中間の取りまとめがございますが、
福田自治大臣はこれをごらんになりましたか。——これを見てみますと、自治権の問題はこれから論議をするんだ、こういうことになっておるわけです。そこで
自治大臣、きわめて今後原子力発電の問題というのは
地方自治権とのかかわりの中において重要な問題がありますので、私はこのことを銘記をしていただいて、善処を要請をしておきたいと思うのでございます。
たとえば、この川内原発の問題にいたしましてもいろいろな
経緯がございますが、県においてもあるいは当該市においても、安全性の問題をやはり一番関心を持っておるわけでございます。そうなってくると、原子炉の設置の問題以前の問題といいますか、その地質の問題は果たして十分であろうか、あるいは地震が発生をした
経緯等もあるが、このことについてはどうなのだろうか、あるいはそのほかの漁業権の問題やあるいは水利権の問題等もございますが、電調審の審議の場合にも、知事の
意見を聞いて電調審は——先ほど三つの条件を
お話しになりました。その中で知事の
意見を聞いて決めるのだというのが
一つあるようでございます。とするならば、知事は当該県議会の
意見を聞くということになりましょうし、あるいは市町村の
意見を聞くということになります。また、県議会は当該設置予定の市町村の議会の
意見というものを聞いていくということに、民主的な手続をとる以上はならざるを得ない。そのときに十分な資料をもらっていない、そして具体的なデータに基づかないで論議をして、そして多数決でこれを決めていく、そういう見せかけの民主主義の上に電調審が開かれていくという過程が私はあると思うのです。それぞれ特別
委員会等を開いて、
関係者に出頭を求めて詳しく資料の提出を求め、
意見を聞こうと思っても、それは国の事務でございますからできません、こういうように断られる。そしてまた電力会社がそれを出そうというふうに
考えましても、今度は通産省の出先機関の方にお伺いを立てなければ、おまえは勝手なことをしやがってということで、後でえらい目に遭う。四国の伊方の原子力発電所をめぐる社長が通産省に呼ばれて怒られた事件等はわれわれは記憶に新しいところでございます。そうなると、電力会社もこれは法制上はそういう
地方公共団体に資料を渡す必要はない、義務づけられていないのだから出す必要はないということになってくる。おまけに監督官庁からは余分なものを出したといって怒られる。こういうような形の中で、住民が参加しない政治の形態の中から知事の
意見というものが生まれていく。そしてそこに電調審の審議が行われて、発車オーライということになっていく。
このような状態であるならば、原発をこれからつくっていくところにおいては、もう住民の意思というものがほとんど見せかけの民主主義の住民自治しかないわけでございますから、何らかのそれに参加していくという形はとられていない。そこが私は、原子力発電所の設置をめぐる大きなトラブルがある原因になっているのではなかろうか。こういうふうに
考えているのですが、これから原子力
行政懇談会の中で「原子力
行政体制の改革、強化に関する
意見」をまとめられるそうでありますけれども、
自治大臣としては、いまのような状態の中で繰り返されている原子力の問題をめぐる争いの中で、
地方自治団体のその意思反映というものがいまのような姿で十分であるというようにお
考えになっているとは思わないのであります。とするならば、何らかここに
地方行政との上において、原子力
行政の進め方の中においてどうあるべきかという問題について私は
検討されてしかるべきではなかろうかと思っておるのですが、
福田自治大臣はそれについてはどういうお
考えであるのか。御
意見がありましたらお伺いしたい。