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赤松委員 日本経済の行き詰まりは、私どもの
立場から言えば、現代資本主義の体制的な矛盾が累積をした結果であるというように判断いたします。これは
三木さんとは少し
意見が違うと思うのですけれども、要するに、生産設備を拡大して生産力をずっと高めてきた、それが消費需要と衝突をして、そして生産過剰になってきたというように私ども判断をしているのですが、そのことは別にしましょう。したがって、一時的な公債を発行したりそういうようなつけ焼き刃ではなかなかこの状態を脱することはできないと私は思う。
そこで、基本的には、
国民の資産所得の再分配、生産と消費の計画化、産業、就業構造の改造、独占禁止法の改正による経済の民主的な規制、こういうものをやらなければ私は本当に経済の立て直しは困難だと思います。あなたに
答弁を求めているとだんだん時間が——もうすでに一時間半これで費やしましたが、あなたはいま生産性ということを言われた。
そこで、
日本生産性本部の春闘セミナーが、十九日、東京千代田区の赤坂プリンスホテルで開かれました。この席上、賃金問題の専門家である金子美雄
日本賃金研究センター所長が、これは公労委の公益
委員ですが、彼はこう言っているのです。「景気回復のため、支払い能力に余裕のある企業は、賃金引き上げに努力すべきだ。ベースアップのガイドポストは、五十一年度の八・八%という消費者物価上昇率見通しが下限となるべきだ。景気回復を目指すためには、少なくとも一二%の賃上げが必要」だということを述べている。私は金子さんの
意見に必ずしも賛成ではありませんよ。ということは、私は後で数字を出しますけれども、春闘は二〇%、これも本当は五年間の落ち込みを補うには三五%必要なんですが、しかしそれを要求するのは無理でしょう。しかし、私は少なくとも二〇%が妥当だと思っていますけれども、この生産性本部の金子さんでさえ一二%の賃上げが必要だ、そうでなければ、ことしはこの
不況にさらに輪をかけるということを述べているわけです。
国民経済から見て最優先の
政策課題であるとの前提に立って、
政府が見込む五十一年度の五・六%の実質経済成長率達成のためには、いま言ったように最低一二%の賃上げが必要だ。ところが、
政府が昨年当初、五十年度の実質成長率を四・三%と見込んだけれども、そして一七%程度の賃上げを予想しておったけれども、物価抑制への配慮から総需要抑制
政策を長引かせ、
日本版所得
政策によって賃上げを一三・一%に抑え込んだ。その結果、個人消費は伸びず、景気回復がおくれたことについて、この金子さんは、これは
三木内閣の
政策上の大きなミスである、こう指摘している。さらに金子氏は、日経連が今春闘で再びゼロを含む一けたという賃上げ抑制のガイドポストを設けることに対して非常な
批判をしている。したがって、今日の
不況を打開するためにはどうしても消費需要を拡大しなければならぬ、個人消費を上げていかなければならぬ。だとすれば、春闘に対するところのゼロもしくは一けたというような日経連あるいは経団連あたりの
考え方は、私は
不況打開の上から言ってもまことに不当な見解であるというように思うのであります。
ある
新聞の社説はこういうことを書いている。
国民経済のマクロ的な視野から見た場合も、過度の賃金抑制は個人消費の低迷をもたらし、景気の回復にブレーキをかける懸念が大きい。昨年春闘での賃金の引き上げ実績一三・一%は、五月、六月段階の実質賃金の上昇率をマイナスに転化させ、さらに昨年後半の経済成長をおくらした。
政府が本年度の実質成長率を、当初見通しの四・三%から後になって二・二%に下方
修正する事態となったのもこのようないきさつと無関係ではない。ことしの賃上げは一〇%を攻防の基準と見ている人が多いけれども、この一〇%以内の賃上げ率の正否は別として、再び昨年の轍を踏まない配慮が望ましい、こう言っている。
私はこの際聞きたいのは、昨年十二月経済
審議会が決めた
昭和五十年代前期経済計画は、最終年度の五十六年三月末の消費者物価上昇率をさらに六%以下にする目標を立てています。これは私はできないと思うのですが、立てている。
政府がいまやろうとしている新価格体系への移行のための価格調整という形で、またぞろ物価上昇の圧力がいま高まっている。石油製品や鋼材、私鉄運賃など民間部門の
値上げは、さらに自動車、電力料金、ガスと波及する勢いだし、
公共料金でも国鉄運賃、電報電話料金、授業料
値上げなどメジロ押し。こういう機運に、物価より景気回復に重点を置いた五十一年度
予算が拍車をかけ、再び物価上昇のインフレーションに悩まされるのではないだろうか、こういうように私ども
考えております。
それで
政府の方は、いま市中消化はうまくいくということを
大平さんが言ったが、その問題はともかくとして、五十一年度の
公共料金及び社会保険料その他の引き上げによって、
国民の負担がどれだけふえるか。酒が千四百億円、たばこが四千億円、国鉄運賃が五千三百億円、電話電報料金が五千二百五十五億円、国立大学授業料が五十五億、NHKの受信料が七百二十億、郵便が三千三十七億、
国民年金七百八十億、
政府管掌保険三百四十億、厚生年金五千四百二十七億、これで二兆六千三百十四億円になります。そのほか住民税の均等割りが今度上がる。これが三百九十億円、所得税の減税調整が二千四百億円、これで二兆九千百四億円になる。それから自動車の関係の税が今度引き上がる。これは当初
予算でありますけれども、当初の
予算は千七百四十億円、これで三兆八百四十四億円。そのほかに医療費の値上がり、それから塩、私鉄、バス、水道、電気、ガス、家賃、消費者米価、こういうものが相続いて上がってまいりますと、果たしてこれで
国民が負担に耐え得るかどうか。
国民生活がいよいよ圧迫されて苦しくなると思うのでありますけれども、その点については
政府はどう
考えていますか。