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1976-05-11 第77回国会 衆議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十一日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十四号   昭和五十一年五月十一日     午後一時開議  第一 海洋汚染防止法の一部を改正する法律案     (内閣提出)  第二 労働者災害補償保険法等の一部を改正す     る法律案内閣提出)     …………………………………   一 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一     部を改正する法律案内閣提出)の趣旨     説明     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 海洋汚染防止法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第二 労働者災害補償保険法等の一部を改   正する法律案内閣提出)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣   提出)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提   出)  刑事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提   出)  国会議員互助年金法の一部を改正する法律案(   議院運営委員長提出)  国会議員歳費旅費及び手当等に関する法律   の一部を改正する法律案議院運営委員長提   出)  国会における各会派に対する立法事務費交付   に関する法律の一部を改正する法律案議院   運営委員長提出)  国立国会図書館法規定により行政部門に置   かれる支部図書館及びその職員に関する法律   の一部を改正する法律案議院運営委員長提   出)  衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規   程案(議院運営委員長提出)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改   正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質   疑     午後一時三十四分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 海洋汚染防止法の一部を改正する   法律案内閣提出
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、海洋汚染防止法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。運輸委員長中川一郎君。     —————————————  海洋汚染防止法の一部を改正する法律案及び同  報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔中川一郎登壇
  4. 中川一郎

    中川一郎君 ただいま議題となりました海洋汚染防止法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、海域において大量の油の排出または大規模な火災による重大な災害が発生している最近の実情にかんがみ、海上災害からの国民の生命、身体及び財産の保護に資するため、油の排出または海上火災による海上災害及びこれに伴う船舶交通障害防止するための措置を講ずるとともに、あわせて海上災害の発生及び拡大の防止に関する業務を行う海上災害防止センター設立等について定めようとするものでありまして、その主な内容は、  第一に、危険物排出により海上火災が発生するおそれがあるとき、または海上火災が発生したときは、船長等は、海上保安庁の事務所に通報し、かつ応急措置を講じなければならないこととするとともに、海上保安庁長官は、現場の海域における火気の使用制限船舶の進入の中止命令火災が発生した船舶その他の財産処分等を行うことができることといたしております。  第二に、海上保安庁長官は、船舶海上火災によって船舶交通の危険が生じ、または生ずるおそれがあると認められる場合、当該船舶を安全な海域に曳航すべきことを命ずることができ、また、緊急に海上火災等による船舶交通の危険を防止する必要が認められるときは、当該周辺海域を航行する船舶の航行を制限し、または禁止することができることといたしております。  第三に、一定の大きさ以上のタンカーが主要な湾内、内海等を航行する場合は、船舶所有者油回収船等を配備しなければならないことといたしております。  第四に、海上災害防止に関する業務を行う海上災害防止センターを、運輸大臣の認可により設立することができることとし、海上保安庁長官は、排出油防除措置を緊急に講ずる必要がある場合で、船舶所有者等に対しその措置を命ずるいとまがない場合等においては、海上災害防止センターに対し、その措置を講ずべきことを指示することができることといたしております。  以上のほか、海上保安庁消防機関との間の連絡及び消防活動に関する協力、海上保安庁長官による排出油防除計画の作成、タンカー所有者による排出油防除協議会設置等について所要事項を定めることとし、また、本法の目的を改めるとともに、題名を海洋汚染及び海上災害防止に関する法律に改めることといたしております。  本案は、二月二十六日本院提出され、三月三日本委員会付託となり、四月二十三日政府から提案理由説明を聴取し、同日及び五月七日質疑が行われ、同七日採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 労働者災害補償保険法等の一部を   改正する法律案内閣提出
  7. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第二、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。社会労働委員長熊谷義雄君。     —————————————  労働者災害保証保険法等の一部を改正する法律  案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔熊谷義雄登壇
  8. 熊谷義雄

    熊谷義雄君 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、業務災害または通勤災害をこうむったことにより、長期療養を要する者に支給する年金給付その他の保険給付内容を改善整備するとともに、労災保険保険施設整備拡充して、労働者福祉の増進のための事業を行おうとするもので、その主な内容は、  第一に、労災保険目的拡充し、業務災害及び通勤災害に対する保険給付とあわせて、被災労働者社会復帰促進等を図るための労働福祉事業を行うことができること、  第二に、療養の開始後一年六カ月を経過しても治らない病状の重い長期療養者に対して、従来の長期傷病補償給付にかえて、引き続き療養補償給付を行うとともに、障害等級第一級から第三級までの障害補償年金の額に準ずる額の傷病補償年金を支給すること、  第三に、年金給付の額のスライドの要件である賃金水準変動幅を改善すること、  第四に、同一の事由による他の社会保険給付との調整について、その方法を改善整備すること、  第五に、事業所ごと災害率による保険料調整幅の限度を拡大すること、  第六に、昭和三十五年三月三十一日以前に打切補償費の支給を受けた者についての年金額減額等措置を廃止すること、  第七に、特別加入拡充その他所要規定整備を行うこと、  第八に、船員保険について、労災保険法改正に準じた改正を行うこと等であります。  本案は、去る二月二十七日付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  11. 三塚博

    三塚博君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  12. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  地方交付税法等の一部を改正する法律案(内   閣提出)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣   提出
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長小山省二君。     —————————————  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同  報告書  地方財政法等の一部を改正する法律案及び同報  告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔小山省二登壇
  15. 小山省二

    小山省二君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、地方財政の現状にかんがみ、  第一に、昭和五十一年度分の地方交付税総額について特例を設けるとともに、社会福祉向上、教育の充実等に要する財源の確保を図るため、普通交付税の算定に用いる単位費用を改定することといたしております。  第二に、昭和五十一年度に限り、地方財政法第五条の規定による場合のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるための地方債を起こすことができることといたしております。  第三に、公営競技を行う地方団体公営企業金融公庫に対する納付金納付期間を延長するほか、新産業都市の建設、首都圏近郊整備地帯整備等に係る財政上の特別措置を引き続き講ずることといたしております。  本案は、四月二十二日本委員会付託され、同月福田自治大臣から提案理由説明を聴取し、四月二十八日には参考人意見を聴取するなど、本案はもとより、地方財政全般にわたって熱心に審査を行いました。  五月七日本案に対する質疑を終了しましたが、本日、日本社会党及び公明党から、地方交付税率引き上げ、第二交付税創設等内容とする修正案が、また、日本共産党革新共同から、地方交付税率引き上げ交付税特別会計の借り入れによる地方交付税総額特例等内容とする修正案提出され、井岡委員及び林委員から、それぞれその趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論を行いましたところ、自由民主党を代表して左藤委員は、本案賛成、両修正案反対日本社会党を代表して山田委員は、日本社会党及び公明党提出修正案賛成本案及び日本共産党革新共同提出修正案反対日本共産党革新共同を代表して多田委員は、日本共産党革新共同提出修正案賛成本案反対公明党を代表して小川委員は、日本社会党及び公明党提出修正案賛成本案及び日本共産党革新共同提出修正案反対民社党を代表して折小野委員は、本案及び両修正案反対意見を述べられました。  採決の結果、両修正案賛成少数をもって否決され、本案は、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対して、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四党共同提案により、昭和五十二年度を目途としての地方行財政制度抜本的改革の実現、超過負担完全解消措置生活関連公共施設国庫補助負担制度拡充強化等内容とする附帯決議を付することに決しました。  次に、地方財政法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案内容の第一は、地方財政法の一部改正に関する事項でありまして、耕土培養家畜保健衛生所及び繭検定所に要する経費については、地方財政法第十条に定める国の負担対象経費から除くことといたしております。  第二は、農業協同組合法農業災害補償法水産業協同組合法土地改良法森林病害虫等防除法植物防疫法農業委員会等に関する法律森林法及び主要農作物種子法について、地方公共団体に対する国庫負担に関する規定整備等を行うことといたしております。  第三は、補助金等臨時特例等に関する法律中、公営住宅工事費についての国の補助率特例に関する規定を削ることといたしております。  本案は、三月三十一日本委員会付託され、四月二十二日福田自治大臣から提案理由説明を聴取し、五月七日質疑を終了いたしました。  本日、日本共産党革新共同から、耕土培養及び繭検定所に要する経費等現行法のとおり国の負担対象経費とすること、国の直轄事業負担金を廃止すること等を内容とする修正案提出され、三谷委員からその趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論を行いましたところ、自由民主党を代表して左藤委員日本社会党を代表して山田委員公明党を代表して小川委員及び民社党を代表して折小野委員は、本案賛成修正案反対日本共産党革新共同を代表して多田委員は、修正案及び本案賛成意見を述べられました。  採決の結果、修正案賛成少数をもって否決され、本案は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五党共同提案により、国と地方との財政秩序の確立を図ることを内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより採決に入ります。  まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  17. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、地方財政法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  19. 三塚博

    三塚博君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出刑事訴訟法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  刑事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提  出)
  22. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 刑事訴訟法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。法務委員長大竹太郎君。     —————————————  刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び同報告  書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔大竹太郎登壇
  23. 大竹太郎

    大竹太郎君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、無罪確定判決を受けた者に対し、公訴の提起から裁判確定に至るまでに要した費用補償しようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、無罪判決確定したときは、国は、当該事件被告人であった者に対し、その裁判に要した費用補償するものとし、  第二に、補償すべき費用範囲は、被告人または弁護人であった者が公判期日等に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並び弁護人であった者に対する報酬とし、  第三に、補償は、被告人であった者の請求により、無罪判決をした裁判所が決定で行い、その請求期間は、無罪判決確定後六カ月とするほか、補償の手続その他の事項については刑事補償の例によるものとする等であります。  当委員会においては、去る三月二日提案理由説明を聴取し、自来、慎重審議を行い、本日質疑を終了したところ、日本共産党革新共同から、補償範囲を拡大する等を内容とする修正案提出されました。次いで採決の結果、修正案は否決され、本案は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  26. 三塚博

    三塚博君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、議院運営委員長提出国会議員互助年金法の一部を改正する法律案国会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案国会における各会派に対する立法事務費交付に関する法律の一部を改正する法律案国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案及び衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案の五案は、委員会審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  国会議員互助年金法の一部を改正する法律案   (議院運営委員長提出)  国会議員歳費旅費及び手当等に関する法   律の一部を改正する法律案議院運営委員   長提出)  国会における各会派に対する立法事務費の交   付に関する法律の一部を改正する法律案   (議院運営委員長提出)  国立国会図書館法規定により行政部門に   置かれる支部図書館及びその職員に関する   法律の一部を改正する法律案議院運営委   員長提出)  衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する   規程案議院運営委員長提出
  29. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案国会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案国会における各会派に対する立法事務費交付に関する法律の一部を改正する法律案国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、右五案を一括して議題といたします。  委員長趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事小渕恵三君。     —————————————     〔小渕恵三登壇
  30. 小渕恵三

    小渕恵三君 ただいま議題となりました国会議員互助年金法の一部を改正する法律案外四案につきまして、提案趣旨を御説明申し上げます。  まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案でありますが、これは、昭和四十八年三月三十一日以前に退職した国会議員等に給する互助年金について、本年六月から、基礎歳費月額を三十万円に引き上げた年額に改定するとともに、給付金率を百分の九に引き上げ、あわせて、遺族扶助年金について準用する恩給法改正に伴い所要規定整備し、経過措置を定めようとするものであります。  次に、国会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが。これは、本年四月から文書通信交通費月額を五十五万円に、弔慰金の額を歳費月額十六カ月分に、特別弔慰金の額を歳費月額四カ月分に改めようとするものであります。  次に、国会における各会派に対する立法事務費交付に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、御承知のとおり、先般の政治資金規正法改正によりまして、本年一月一日から「政党、協会その他の団体」はいずれも「政治団体」と改められ、この政治団体の中でさらに一定要件を具備しているもののみを「政党」とすることになりましたので、この際、国会における各会派に対する立法事務費交付に関する法律第一条に規定されている「政党」という字句を「政治団体」に改め、現行と同様の運用ができるようにいたそうとするものであります。  次に、国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、現在三十一の行政機関国立国会図書館支部図書館が設置されておりますが、さらに国土庁に支部図書館を設置しようとするものであります。  次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案でありますが、職員定員千六百九十四人を千六百九十七人に改めようとするもので、本院の議員定数二十人増に伴う要員として三人を増員するものであります。  以上各案は、いずれも議院運営委員会において起草、提出したものであります。  何とぞ、御賛同くださるようお願いいたします。(拍手)     —————————————
  31. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより採決に入ります。  まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  次に、国会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  33. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  次に、国会における各会派に対する立法事務費交付に関する法律の一部を改正する法律案国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案及び衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案の三案を一括して採決いたします。  三案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも可決いたしました。      ————◇—————  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を   改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  35. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 内閣提出国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。運輸大臣木村睦男君。     〔国務大臣木村睦男登壇
  36. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として、国民生活向上国民経済の発展に寄与してまいりました。今日、全輸送機関の中で国鉄が占める輸送割合は逐年低下し、かつての独占的地位は薄れてはおりますが、鉄道としての特性を発揮できる輸送分野もなお多く存在するものと思われます。すなわち、国鉄は、わが国の交通体系の中で、今後とも都市間旅客輸送大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送について重点的にその役割りを果たすとともに、国鉄の本来の使命から見て、これらの分野以外の分野を含めた全体につきまして、独立採算性を指向した自立経営を行っていくことが強く期待されるものであります。  一方、国鉄財政は、昭和三十九年度に赤字に転じ、以来急速に悪化の傾向をたどってまいりました。このため、政府におきましては、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二度にわたって国鉄財政再建に関する基本方針を決定し、各種の対策を鋭意推進してまいったところであります。  しかしながら、その後、輸送構造の変化、運賃改定のおくれ等による収入の不足と人件費及び物件費の大幅な上昇等による経費の増高のため、国鉄財政は改善の兆しを見せず、昭和五十年度には約八千五百億円の減価償却後損失を生じ、繰越欠損金は約三兆一千億円にも及ぶ見通しとなり、昭和四十八年度を初年度とする現行財政再建計画の目標を達成することはきわめて困難な状況に立ち至っております。  このような現況にかんがみ、政府といたしましては、この際、現行財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省を加え、抜本的な再建対策を策定して、これを強力に実施していく必要があると考え、昨年末に日本国有鉄道再建対策要綱を閣議了解いたしました。  今回の国鉄再建に当たりましては、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう、厳しい姿勢のもとに国民に対して責任ある経営体制を確立することが再建を達成するための基本であり、このためには、労使関係を速やかに正常化することを初め、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立するとともに、組織・人事制度の抜本的改革を行うことが必要であると考えております。  次に、国鉄財政問題につきましては、その収支の均衡を速やかに回復し、以後これを維持していくことをもって基本方針といたしております。このため、国鉄業務運営の合理化その他の経営の改善を図る一方、いわゆる過去債務の処理を初めとする国の助成措置の強化とあわせて、平均約五〇%の運賃改定を実施しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法改正内容について申し上げます。  第一に、鉄道の普通旅客運賃につきましては、その賃率をおおむね五五%引き上げ現行賃率では、営業キロ一キロメートルごとに、六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルを超える部分については二円五十銭となっておりますのを、六百キロメートルまでの部分については七円九十銭、六百キロメートルを超える部分については三円九十銭に改定することといたしております。  第二に、航路の普通旅客運賃につきましては、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行うことといたしております。  第三に、貨物につきましては、車扱い貨物運賃の賃率をおおむね五九%引き上げることといたしております。  なお、これらの改定は、本年六月一日から行うこととし、これによりまして、おおむね三七%の増収が得られる見込みとなっております。  次に、日本国有鉄道法改正内容について申し上げます。  第一に、国鉄は、その事業の収支の均衡の速やかな回復及び維持を図るとともに、その業務の適正な運営を図ることにより、その経営の健全性を確立するよう努めなければならないことを明らかにいたしております。  第二に、国鉄に対して、経営の改善に関する計画の作成及び実施を義務づけるとともに、運輸大臣が、経営改善計画の変更その他経営の改善に関し、必要な事項について指示をすることができることといたしております。  第三に、政府は、昭和五十年度末の国鉄長期債務のうち、累積赤字相当額の一部について、その償還が完了するまでの毎年度、その償還額を無利子で貸し付けるとともに、その利子を補給することができることといたしております。  第四に、前述の貸付金の償還が完了するまでの間、国鉄は、特定債務整理特別勘定を設けて、他の勘定と区分計理を行うとともに、収入支出予算についても他の勘定と区分することといたしております。  第五に、国鉄は、前事業年度から繰り越された損失があるときは、運輸大臣の承認を受けて、資本積立金を減額して整理することができることといたしております。  第六に、政府は、国鉄経営の健全性の確立のため必要があると認めるときは、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をすることといたしております。  なお、以上の措置に伴い、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法は、廃止することといたしております。以上がこの法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  37. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。斉藤正男君。     〔斉藤正男君登壇
  38. 斉藤正男

    ○斉藤正男君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりましたいわゆる国鉄関係法案に対し、三木総理以下関係大臣の見解を伺いたい。  まず最初に、三木総理に伺います。  その第一は、国鉄の現状認識と具体的再建の方策についてであります。  国鉄は、昭和三十九年度初めて三百億円の赤字を出して以来、昨年度末までに六兆八千二百億円の長期債務を抱え、その支払い利息だけで年間五千億円になろうといたしております。さらに、昨年度末の累積赤字は三兆一千億円になろうとし、単年度だけでも八千五百億円の赤字と言われています。  二万一千キロの延長を持つ国鉄は、歴代自民党内閣の高度経済成長政策、列島改造計画に対する文字どおりの大動脈として、黙々としてその使命を果たしてまいりました。すなわち、新幹線を中心とした新線の建設、複線、複々線化あるいは電化を含めた在来線の改良工事、車両の整備、貨物輸送の近代化、十年間に三万二千百六十七人の大量人員整理を行いながら、無謀とも言える国土の乱開発、やみくもな生産手段の増設に骨身を削って酷使されてきたのが国鉄であります。しかも、その大部分の経費は自前で調達をし、ほとんどが借金で賄ってまいりました。  この間、政府は、道路整備に十八兆八千七百億円、港湾建設に二兆三千億円、空港にすら五千五百億円の投資を行ったにもかかわらず、国鉄に対しては、わずかに九千八百億円の出資と助成にすぎません。それは道路の二十分の一であり、港湾の二・四分の一であります。やらずぶったくりとは、まさにこのことであります。国鉄財政が破綻してあたりまえではありませんか。総理の見解を承りたい。  質問の第二は、国鉄の労使関係についてであります。  国鉄労働者は、占領軍の方針変更により、マッカーサーの一片の書簡でスト権が剥奪されました。国鉄労働者は、もともと持っていたスト権を返してほしいと言っているのです。なかったものを新しく欲しいと言っているのではありません。しかも、国鉄経営の最高責任者である当時の総裁が、労使関係を正常化するためには、少なくも条件つきであってもスト権を与えるべきだと、本院においても発言をされているところであります。  総理、あなたは、専門委員懇談会の答申を隠れみのに使い、組合性悪論に同調し、労働者の基本的権利をじゅうりんし、長年労使双方の努力で積み上げてきた正常化への道を逆戻りさせたではありませんか。あなたのリーダーシップの欠如と決断力の不足は、このこと一つとってみても、もはや総裁、総理としての資格はありません。いまにして思えば本当に残念であります。  有言不実行、口ではきれいなことを言うが、何一つ実行できなかった三木総理でも、公労協の諸君に対するスト権の条件づき付与は、今日ただいまでもできるはずであります。総理、いつになったらこの問題に対する最終的な前向きの結論を出すのか、明確にお答えをいただきたいと存じます。  お尋ねの第三は、運輸大臣の責任問題であります。  大臣は、スト権ストに対する報復手段として、参加者を大量に処分し、組合に対し損害賠償を要求しました。このことにより、藤井前総裁を初め多くの国鉄幹部が引責辞職したではありませんか。にもかかわらず、指導監督の立場にある大臣、鉄監局の幹部は、何一つ責任を問われることなく、のうのうとして現職にとどまっているではありませんか。これでは片手落ちです。一方的です。いかに官僚王国日本とはいえ、ひど過ぎるではありませんか。私にはどうしても合点のいかないことであります。いまからでも遅くはありません。総理の決断を求め、覚悟のほどを伺います。  総理に対する第四の質問は、高木新総裁選任の経緯と、巷間伝えられる新総裁との約束の内容であります。  藤井前総裁の後任として、民間経済人を登用するためにいろいろ御苦労なさったようであります。しかし、いずれも断られたのであります。民間経済人の大物をというあなたの構想と要請に対し、桜田日経連会長は、権限を与えず責任だけを問われても虫がよ過ぎる、無責任な要請にはこたえられないと反論しました。永野日商会頭もまた、いまの国鉄をそのままにしておいて財界人を起用しても意味がないと冷たい態度であったではありませんか。  難産の上生まれた高木新総裁は、就任に当たり三つの約束をあなたとしたと言われております。その一つは、大蔵省が予算の面で十分めんどうを見ること、その二つは、運輸省が指導監督のみならず積極的に支援をすること、その三つは、自由民主党が全面的にバックアップすることだと言われています。事の真相はいかがでございましょうか。もし事実とするならば、きわめて重大であります。  すなわち、このことは、裏を返せば、一つ、少なくも高木新総裁就任前までは、大蔵省は予算面で国鉄のめんどうを見ていなかったことを立証している。二つは、運輸省は国鉄の維持と再建のために支援体制がきわめて不十分であったこと。三つは、与党である自由民主党国鉄に対し冷淡であったということになるではありませんか。私はまさにそのとおりであったと思うわけであります。この事実の認識が三木総理にあるのかないのか。深刻な反省に立っての発言であり約束であると信じたいが、例によって口先だけのことになることを心配し、あえてお尋ねをいたします。  福田副総理に伺いたい。  ポスト三木とみずから任じ、経済企画庁長官として物価問題に責任を持つ閣僚として、五割になんなんとする国鉄運賃の値上げは、さきに実施された酒、たばこの大幅な値上げ、そしてこれから続々値上がりしようとする電信電話、NHKの聴視料とともに、公共料金の大宗が国鉄運賃であります。これら料金の値上げが、鎮静化しつつある物価に与える影響は無視できないと思うのは、私  一人ではないと思います。国鉄運賃の値上げは、やがて私鉄運賃、トラック運賃、航空運賃、船舶運賃等、値上げの起爆剤的役割りを果たすことは必然と思うが、今回の国鉄運賃の値上げが物価に与える影響は何ほどとお考えになるのか。また、その波及をいかにして食いとめるか。具体的に実現可能な方策を明らかにしていただきたい。(拍手)  大平大蔵大臣に伺いたい。  その第一は、六兆八千二百億円になんなんとする国鉄長期債務についてであります。利息だけでも四千二百億円も支払っていたのでは、国鉄再建は百年河清を待つに等しい。この際、全額を国が肩がわりし、利息のめんどうも見るべきだと思うが、考えはどうか。  その第二は、五十年度末赤字三兆一千億円に対し、約二兆五千四百億円に相当する債務について、五十一年度予算では二千四百余億円の一般会計からの助成となっていますが、設備投資に伴う借入金の利子補給九百七十余億円を含め、全く不十分であります。これらの助成については全額国が措置すべきだと思うが、大臣の所信を伺いたい。  大平大臣にお尋ねの第三は、地方交通線の運営費の一部につきスズメの涙ほどの補助金百七十二億円が計上されております。従来全くなかった助成であり、画期的と言いたいところかと思いますが、九千二百キロの延長を持つ地方交通線は、昭和四十九年度の実績を見ましても、収支係数実に四三二、必要経費二千三百七十二億円に対し収入はわずかに五百四十九億円にすぎません。実に一千八百二十三億円の赤字を出しており、百七十二億円の補助金ではお話になりません。いかなる根拠で百七十二億円を計上されたのか、積算の単価を含め理論的根拠を明らかにしていただきたいと思います。  最後に、木村運輸大臣に伺います。  国鉄再建の二本柱は、財政問題と労使関係の正常化に尽きると思います。しかるに、あなたは、労使関係は明治憲法時代の古い感覚しか持ち合わせていないとしか思えません。公労協労働者の基本的権利の要求を司法問題にすりかえ、今回のスト権要求の正当な行動を不法不当な行動ときめつけた、自民党タカ派の有力なメンバーの一人と言われております。旧態依然たるあなたの労働政策は、必然的な歴史の歯車を逆回転させているとしか思えないのであります。時代錯誤もはなはだしいと断言せざるを得ません。もしそうだとするならば、あなたを運輸大臣にいただくことは、国家百年の計を誤ることにもなりかねないと思うのであります。深刻な反省の上に立ち、御心境のほどを伺い、以上申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇
  39. 三木武夫

    内閣総理大臣(三木武夫君) 斉藤君にお答えをいたします。  第一の御質問は、国鉄の現状をどう総理は見るのかという御質問でございます。  国鉄の現状は、斉藤君も御指摘のように、大幅な赤字、あるいは労使関係も必ずしも円滑にいっていないというのは、御指摘のとおりであります。だから、政府は、昨年末に再建対策要綱というものを決定いたしまして、これに基づいて本法案を提出したわけでございます。  政府の考え方は、このような国鉄の現状を打開するためには、財政状態をまず正常化することである、財政状態が不健全な状態で国鉄の健全な運営というものは不可能である、したっがて、この状態を正常化することが必要である。労使関係を一体どう考えるかということは、労使関係が親方日の丸の考えではなくして、この冷厳な国鉄の現状というものに対して、労使とも的確な認識を持つことである。やはりこの的確な認識を持って、それを出発点として労使が忍耐強く話し合いするという以外に正常化の道は私はない。これをやるつもりであります。  第二点は、なぜこのように国鉄の経営が悪化したかということでございますが、これには幾つかの原因がある。一つは、運賃の水準が非常に低位であることも事実であります。この運賃の値上げというものは、国会の御承認を得ることはなかなか容易でない。何か必要なときに値上げについて国会の御審議を願うべく相なったと思いますが、どうしてもそれがおくれがちになってきた。運賃の水準が低位であった。そしてまたもう一つは、経済の大きな状況が変革する中で、貨物部門がこれに対応策がおくれた。貨物の輸送というものが減少をした。また第三には、自動車というものの普及によって、特に列車を利用する地方の利用者が減少してきたということであります。もう一つは、国鉄の経営には人件費の比重というものが非常に大きい。その中で、その上昇というものが大幅に行われて、そしてそのことが非常に経営に影響を与えた。  まあ、そのほかにもいろいろな要因がありましょうが、私は、国鉄の経営が悪化した原因は、このようなものがあると考えておるわけでございます。  また第三の御質問は、今回高木新総裁が就任の際、大蔵省あるいは運輸省、自民党に対して協力を要請したのは、大蔵省や運輸省、自民党が国鉄再建に熱意を欠いたからそういうことをしたのではないかというお話でございましたが、熱意を欠くといっても、これだけの国鉄という大問題は、日本政治の中でこれを解決せなければならぬという優先度はきわめて高い。今日国鉄問題は最重要政治課題の一つである。大蔵省、運輸省、自民党、政権を担当しておる政党、あるいはまた財政、あるいはまた国鉄の経営に対して監督の立場にある両省が熱意を欠くということで過ごせる問題ではないわけでございます。高木総裁は、この困難な国鉄の総裁としてひとつやってみようということで決意をされたわけでございますから、こういう大蔵省とか運輸省、自民党の協力を要請するということは、熱意のあらわれであると見るべきであります。  また、次には労使関係、ストと処分、ストを繰り返しておるのはよくない、条件つきのスト権を与えるべきだということ、私もこういう状態が繰り返されることを非常に残念に思っておるわけでございます。しかし、これを繰り返さないために大前提になるものは、やはり法治国家として、ことに民主主義制度のもとにおいてそのときの法律は守るということである。この法律は悪いから自分は守らぬのだということで、どうして法治国家としての秩序が維持できるでありましょうか。こういう悪循環を繰り返さないすべての前提は、現在の法律を守るということであります。現在の法律を守らなければ、これは法治国として当然厳正な処分をせざるを得ないでしょう。こういうことが悪循環を断つ大きな前提になっている。しかし、スト権という問題が労使関係の大きな問題になっておることは、これはわれわれもよく認識をいたします。しかし、スト権という問題は、スト権だけを取り出して解決するということでは、私は解決できないと思う。もっと複雑です。  一体、国鉄に限らず、公共企業体の経営形態というものはどうあるべきか。経営形態によってスト権は違ってくる。また、いまの国鉄にしても他の公共企業体にしても、その経営の当事者というものが当事者能力を持っておるのだろうか。持ってない。(「持たしてない」と呼び、その他発言する者あり)だから、そういうことを考えてみると——持ってないと言うことは弊害がありましょうが、十分ではない。こういう公社、公団といいますか、公共企業体のあり方、あるいはまた当事者能力、こういうもの全体の中でスト権問題は解決せなければ、ただスト権というものだけを取り出して解決することは、それはもう問題は簡単だと斉藤君はお考えになるかもしれませんが、私はそうではない。もう将来において労使間の紛争を起こさないように抜本的に検討しなければなりませんから、政府は現在、公社、公団、国鉄——国鉄で言えば国鉄のあり方、当事者能力、スト権問題、こういう問題について、専門家の意見も徴しながら結論を得たいということで、いまそのために、こういう問題を検討するための一つの懇談会、専門委員の懇談会を近く再出発をして、できるだけ速やかにこの問題に結論を出したいと考えておる次第でございます。  また、斉藤君は、このストで藤井前総裁に詰め腹を切らした、こういうお話でありましたが、藤井前総裁は詰め腹でも何でもありません。健康を理由として個人的な理由でやめたわけであります。  また、その場合に、違法な争議行為というものがやはり処分を受けることは、これは法治国家として当然である、これに対して処分をしたり、あるいはまた、違法ストによって甚大な損害を与えたような場合には、国鉄当局が損害賠償を請求するということも、これは当然のことであって、そのことと藤井前総裁の辞任ということとが関連を持つものではないということを明らかにしておきたいのであります。  大体、私に対する質問にすべてお答えをしたと思いますが、もしお答えをしてない面があるとするならば、他の関係閣僚が補うことにいたします。  お答えといたします。(拍手)     〔国務大臣大平正芳君登壇
  40. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 今回の国鉄の再建策でございますが、これは仰せのように、過去債務の一全部をたな上げするというようなことによってではなくて、国鉄の経営の合理化、運賃の改定と並行いたしまして、私どもの行う財政助成を行うことによって、五十一年、五十二年両年度で収支の均衡を回復しようという方法で再建しようということでございます。したがって、過去債務全部をたな上げするという方法はとっていないわけでございます。  その助成の方法といたしましては、累積赤字三兆一千八億円のうち、五千六百四億円は再評価積立金で償却する、残余の二兆五千四百四億円は特別勘定に移しまして、その元利の償還について一般会計がめんどうを見るということにいたしたわけでございます。  それから、第二の御質問の地方交通線に対する百七十二億円の特別交付金についてのお尋ねでございます。  地方交通線の問題は、御指摘のように大変複雑な問題でございまして、政府も、この問題をきわめるためには検討に相当時間を要するのではないか、少なくとも一年くらいの時間を要するのではないかと考えておりまして、地方交通線の運営費の一部を一般会計がめんどうを見ることにいたしたわけでございますが、その根拠を申しますと、運営費の直接費の一部、すなわち、人件費の二分の一と物件費の合計額が運輸収入を超える部分がキロ当たり出てまいります。それを地方交通線の必要とするものの約二分の一程度想定いたしまして、それに乗じたものが百七十二億円になる、そういう計算でございます。(拍手)     〔国務大臣木村睦男登壇
  41. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国鉄再建に当たりまして、運輸大臣として心境はどうかという御質問でございますが、法治国家のもとにおきましての民主主義社会は、法秩序が厳守されることによって初めて正常な社会生活が保障されると私は考えております。  現在まさに破局状態ともなっております国鉄の再建に当たりまして、一つには財政面の再建が必要でありますが、もう一つは、四十三万の全職員が打って一丸となって、崇高な使命感のもとに国鉄の再建活動に協力、邁進することが何よりも必要であると考えております。  このような重大な局面に当たりまして、国鉄内の労働組合の一部の人が、法律によって禁止された違法なストライキ類似行為によりまして国民に多大の迷惑をかけ、また国鉄再建に重大な支障を与えることは、まことに遺憾にたえないと存じておるところでございます。  国鉄におきます労使関係の正常化こそは、再建に最も必要な大きな柱でありますことは、斉藤議員と全く考えを同じくするものでございます。しかしながら、労使関係の正常化は、法秩序、職場規律の維持、厳守が大前提とならねばならないと思います。これなくしては労使関係の正常化も単なる虚構にすぎないと私は考えております。昨年の秋以来の違法なストライキ類似行為に対する国民の痛烈な批判もまた、このことを端的に指摘しておるものと私は考えておりまして、私は、いまこそ国鉄職員諸君がこれに謙虚に耳を傾け、厳正な秩序を守りつつ再建に努力せらるることを切に心から願ってやまないものでありまして、いまこそ国鉄百年の大計として、労使の正常な関係と協力一体化のために、私は渾身の努力を続ける決意でございます。(拍手)     〔国務大臣福田赳夫君登壇
  42. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私に対しましては、今回の国鉄運賃の値上げの消費者物価など国民生活に与える影響いかん、また、これで物価は大丈夫かと、こういうことでございます。  今回の国鉄運賃値上げ案によりまして消費者物価に与える影響は、〇・五%程度と予想しております。しかし、〇・五%と申し上げましても、これは決して国民生活に与える影響は軽微なものじゃございません。しかし、一方におきまして、御承知のような国鉄は火の車である。これにはどうしてもいろいろな自己努力も必要である。財政の援助も必要であります。それをしてもなお国鉄の収支のバランスをとるためには料金を倍にしなければならぬ。これが国鉄、また運輸当局の見解なんです。政府におきましては、それらを検討いたしましたが、どうも一挙に倍ということでは、これは国民生活に与える影響が重大過ぎる。そこで、その一挙大幅という運輸当局の考え方、これを調整いたしまして、五十一年度、五十二年度の両年度にわたってこの運賃問題を解決しよう、そういう結論になったわけであります。  さて、そういう状態のもとにおいて物価は大丈夫か、こういうことでございますが、確かに、いま公共料金問題というものが、わが国の物価問題に大きくのしかかっておるのであります。  公共料金につきましては、あの石油ショック後の物価狂乱、あの状況に顧みまして、これを抑制してまいったわけであります。しかし、これを抑制し続けるわけにはいかないんです。どうしてもこれが調整をしませんと、国鉄のような状態になってしまう。  そこで、主要の公共料金につきましては、五十年度、五十一年度、五十二年度、この三カ年にわたりましてこれが調整をいたそうという方針を立てたのでございますが、昨年は酒、たばこ、郵便料金の値上げがありました。そしてこれが消費者物価に及ぼす影響は、二・七%になるのであります。もちろん、その他の料金も含めてのことでございまするけれども、公共料金の、八・八%という消費者物価上昇の中で占めるウエートは二・七%である。五十一年度におきましては、国鉄の問題があります。電信電話の問題があります。その他もろもろの公共料金の改定がありますが、その総体を前年度の二・七に比べまして、二%強程度にこれを抑えてまいるという考え方の一環として、国鉄の料金改定、これも考えておるわけでありまして、国鉄の料金が今回の御提案のように相なりましても、もう物価の安定の基調にはいささかの狂いもないということをはっきり申し上げます。(拍手)     —————————————
  43. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 梅田勝君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔梅田勝君登壇
  44. 梅田勝

    ○梅田勝君 私は、日本共産党革新共同を代表して、ただいま提案趣旨説明されました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。  まず、最初に総理大臣にお伺いいたしたいのは、現在叫ばれている国鉄の危機の原因は何か、その責任はだれが負わねばならないのかという問題についてであります。  今日、昭和四十八年度を初年度とする国鉄財政再建十カ年計画が、昭和四十四年度に始まる第一次再建計画と同様、完全に破綻したことは周知のことであります。しかし、政府は、約三兆一千億円の累積赤字、約六兆八千億円の長期債務という国鉄財政の破綻を口実に、大幅な運賃値上げが不可避であるかのように、財政が逼迫しておるにもかかわらず、何億円もかけて宣伝しております。これは国民を欺くものと言わねばなりません。  すでに御承知のように、わが党は、昭和四十八年六月、国鉄財政五項目の改善に関する提案を行い、その中で、政府が提案した再建十カ年計画が、国鉄財政再建どころか、財政悪化を加速度的に進行させ、一層大幅でかつ頻繁な運賃値上げをもたらすものにほかならないことを、はっきりと指摘いたしました。  同時に、わが党は、国鉄財政を根本的に改善するため、第一に公共交通機関にふさわしい費用負担原則の確立、第二に大企業本位の運賃体系の抜本的改革、第三に設備投資の規模と内容の根本的再検討、第四に長期債務、利子負担の計画的軽減、第五に国鉄の管理運営民主化という、運賃値上げを抑え、国鉄財政を民主的に再建するための積極的な五項目の改善提案を行ったのであります。  もし、との提案を実行していたならば、今日のような国鉄財政の異常な悪化は防げたはずであります。ところが、自民党政府は、わが党のこの建設的な提案には耳をかさず、大企業中心の日本列島改造のため、十カ年で十兆五千億円という莫大な設備投資を四回の運賃値上げという国民の犠牲によって行い、もっぱら大企業奉仕の国鉄づくりを強行しようとしてきたのであります。  その結果、国鉄はどうなったかと言えば、新幹線や大企業貨物の輸送力は増強されましたが、一方では借金の激増によって財政破綻は急速に進行し、国民には、大幅な運賃値上げばかりでなく、地方線の縮小、小さな駅の廃止や無人化、貨物駅の統廃合など、サービスは低下し、安全、公害、通勤対策はおろそかにされ、まさに大企業にはますます近い国鉄となり、国民にはますます遠い国鉄になっていると言わねばなりません。(拍手)  ロッキード大疑獄事件に見られるように、戦後政治の後進性は、金権、戦犯、売国の三悪政治として、今日だれの目にも明白であります。  国鉄の今日の姿も、大企業が国鉄を食い物にしてきた結果以外の何物でもありません。この政治責任はきわめて重大であります。三木総理、あなたはこのような国鉄の危機と財政破綻の責任についてどのように考えておられるのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  第二にお尋ねしたいことは、国鉄運賃値上げと物価、国民生活への深刻な影響についてであります。  今回、旅客運賃約五五%の値上げによって、東京から福岡へ親子四人の里帰りには、往復で実に八万四千円もかかることになります。しかも政府は、来年度も引き続いて五〇%程度の大幅値上げを予定しており、ふるさとはますます遠のく一方であります。  また、今回の値上げによって、東京と横浜の通勤定期では六千八百六十円となり、高度成長政策の始まった昭和三十五年当時と比較すると、実に七・八倍になるのであります。政府統計によっても、この間の消費者物価は三・一倍でありますから、今回の国鉄運賃値上げがいかに大きなものであるかは明白であります。さらに、国鉄が値上げしようとすると、私鉄の民鉄協会は早くも便乗値上げの意向を表明するなど、諸物価の値上げに拍車をかけることは明らかであります。  今回の運賃値上げによって打撃を受けるのは旅客だけではありません。未曾有の不況とインフレのダブルパンチで苦しんでいる中小企業や、農業、漁業の危機にあえぎながらも生鮮食料品を都市に届けている農漁民、さらには、貨物駅を拠点にしている中小運送業者などは、貨物取扱駅の廃止やサービスの低下による打撃に加えて、大幅運賃値上げでさらに深刻な被害を受けるのであります。  政府は、このような運賃値上げが物価や国民生活に重大な影響を与えないと考えるのかどうか、総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)  また、昭和四十七年度に廃止された生鮮食料品等の政策割引の復活こそ必要であると考えますが、運輸大臣の明確な答弁を求めるものであります。  次に、政府、国鉄当局のこのような国民生活無視の姿勢は、内部疾患の身体障害者の方々に対する当然の運賃割引措置さえやろうとしていないところにも、明白にあらわれております。これはまさに命の問題にかかわっております。  人工透析のために、毎月十回前後も国鉄を利用して通院している腎臓病患者の方々について、京都で私が調査したところでは、通院費が国鉄だけでも毎月二万二千百二十円かかっている方があります。今回の値上げをすると三万三千三百二十円もかかるのであります。心身障害者対策基本法では、これらの方々の運賃の軽減について配慮しなければならないことが国鉄に義務づけられ、かつて厚生省は国鉄に文書で要望し、昭和四十九年三月の予算委員会運輸大臣は検討を約束していたにもかかわらず、内部疾患の身体障害者には、いまなお割引すらしようとしていないのであります。  総理大臣並びに厚生大臣、このようなことでは国民の納得は得られるものではありません。直ちに割引措置を実施すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。(拍手)  また、この際、運賃法定制度の問題について質問いたします。  政府は、昨年末閣議了解とした国鉄再建対策の一つに、現行の運賃法定制度の廃止の検討を打ち出しました。しかしこれは、国鉄に自主的経営能力を持たせるという口実で、国鉄運賃決定を国会審議から除外し、政府と国鉄が勝手に運賃値上げをしようとするものであります。このことは、国会審議を義務づけた財政法第三条を踏みにじる重大問題であり、絶対に認めることができません。この点について、総理並びに関係大臣の責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)  第三は、国鉄を真に国民のための公共輸送機関とするために、国はいかなる施策を行うのかという問題であります。  自民党政府の大企業本位の高度成長政策は、全国に過密と過疎をつくり、モータリゼーション優先政策は、五カ年で十九兆五千億円という巨費を高速自動車道建設などに注ぎ込み、結果、国鉄を初めとする公共輸送機関はその機能を破壊され、なお公害は激増し、交通事故の死傷者も、十カ年で七百八十万人も数えるに至ったのであります。  私は、公共交通機関としての国鉄を再建するためには、何よりもまず、自動車優先の交通政策から、公共交通機関整備優先へ根本的な転換を図るとともに、さらに、次のような抜本的な対策をとることが必要と考えるものであります。  まず第一は、過去債務を国の責任で処理することであります。今日の莫大な借金は、新幹線建設や大企業のための貨物輸送力増強のための過大な設備投資を、ほとんど借入金によって賄ってきたからであります。今日までの自民党の悪政と失政によるものであることは明白であります。(拍手)したがって、国の責任において計画的に解消していくべきものと考えますが、大蔵大臣の答弁を求めるものであります。  第二は、線路、建物など基礎施設の建設と改良費は国の出資で賄うことであります。今回の予算では、従来わずかでも出していた国からの出資金を全面的に打ち切っております。国鉄国民財産となるわけででありますから、公共交通機関にふさわしい費用負担の原則からいって、国が当然負担すべきものと考えますが、大蔵大臣の答弁を求めるものであります。  第三は、設備投資規模を適正にし、国民本位のものに改めることであります。この三年間の国鉄の投資額は、四十九年度六千八百億円、五十年度七千二百億円、そして五十一年度は七千九百億円という大規模なものとなっています。いずれも大企業本位の貨物近代化と新幹線建設などがその大部分であり、本当に国民が必要とするものを中心に、今日の国鉄財政の実情に見合った適正な規模に検討、縮小すべきものと考えますが、運輸大臣の所見をお伺いするものであります。(拍手)  第四は、大企業本位の運賃体系の抜本的な改革を行うことであります。大企業商品が大部分を占めている貨物部門については、過去十年間だけでも約一兆四千億円の赤字を出しています。ところが、大企業の貨物には、物資別輸送の強化など輸送体制の面でも、営業割引制度など運賃の面でも、至れり尽くせりの出血サービスが行われています。したがって、このような大企業優先の貨物輸送と運賃体系を抜本的に改め、営業割引の廃止はもちろんのこと、到着日時が確実な速達の物資別専用列車や地域間急行列車などで輸送される大企業の貨物については、新たに料金制度を設けるべきだと考えますが、運輸大臣の答弁を求めるものであります。  第五は、国民の足としての国鉄の機能をもっと強めることであります。地方線の切り捨てや無人駅、貨物取り扱い駅の廃止など、サービスの切り捨てと住民無視の合理化は、国鉄法に定められた「公共の福祉を増進すること」という目的にも反するものであり、合理化をやめ、国鉄をもっと国民のものとするよう努力すべきものと考えますが、運輸大臣の明確な答弁を求めるものであります。  最後に、私は、この国鉄の再建に当たって重要な役割りを果たす国鉄労働者の問題と国鉄の民主化について、質問いたします。  迅速、安全、快適、そして低廉で便利な国鉄、これこそ国民がひとしく求めるものであります。ところが、国鉄に働く労働者の賃金、労働条件は悪化しているにもかかわらず、運賃値上げなしには賃上げはできないなどと言われ、その上五年間で五万人要員削減の大合理化が押しつけられようとしております。線路の保守一つとってみましても、従来の定期修繕方式から随時修繕方式へと安全対策は低下し、再三の事故となっていることはきわめて重大と言わねばなりません。  また、国鉄労働者には、アメリカ占領軍によって奪われたストライキ権がいまだに回復されず、仲裁裁定すら実施の保障がない状態であります。国鉄の危機が深刻であればあるほど、いまこそ国鉄経営を民主化し、ストライキ権など労働基本権の保障、生活の安定を図ってこそ、真に国民のための国鉄に再建することが可能となるものと信じますが、総理並びに運輸大臣の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)  以上、私は、国鉄の真にあるべき姿を求める国民の圧倒的な声を代表して質問いたしましたが、国民を犠牲にする国鉄運賃値上げ法案の撤回を強く求めて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇
  45. 三木武夫

    内閣総理大臣(三木武夫君) 梅田君にお答えをいたします。  梅田君は、国鉄を大企業の食い物になってきたというふうに言われましたが、私は全然そういう考えはない。日本の国鉄は、過去百年にわたって、世界における最も能率ある輸送機関として、世界的にも一番高い水準にあったわけでございます。この名誉ある伝統を日本の国鉄は持っておるのですから、最後にも御質問がございましたが、いろんな改革は行うべきです。そしてこの名誉ある伝統を取り返せというのが、私たちの願いであります。  そこで、この国鉄の現状についてでございますが、斉藤君に対して詳しく述べましたので、私は繰り返しませんけれども、やはりこの国鉄の現状を打開するためには、財政的に国鉄が均衡のとれたものにすることが必要である。そのために政府は、昨年末に再建対策要綱を決定して、それ基づいて今回の法案の御審議を願うわけでありますが、その骨子は、政府も、国鉄の赤字に対するある部分はこれをたな上げする、国庫の助成を強化する、一方において、国鉄自身も経営を徹底的に合理化して経費の節減を図る、また、利用者の方々にも応分の運賃の改定による御負担を願う、この三つのものを組み合わせて国鉄の再建を図るよりほかにはない、こういうことが骨子になって再建対策というものが生まれておるわけでございますから、どうかこの法案の御審議に対して御協力を願って、国鉄再建の実を上げたいと願っておるわけでございます。  また、今回の国鉄運賃の改定が、日本の物価問題に対して悪い影響を与えるのではないかという御懸念でありますが、われわれも、景気の回復は望むけれども、一方において物価というものの動向には非常な細心の注意を払っておるわけでございます。物価の値上げといいますか、インフレのない経済の回復、景気の回復を願っておるのであって、物価が一方においてだんだんと値上がりしては、景気の回復といっても政府の願う経済政策ではないわけですから、国鉄の五〇%の運賃改定というものが与える影響については慎重な検討を加えたのでありますが、先ほど福田副総理もここに申し述べておったように、〇・五という程度の影響であって、これも物価に対しての影響ではあるけれども、これが物価を押し上げていく大きな要因にはならぬという判断で五〇%の運賃の改定をお願いしておるわけであります。来年度も引き続いて運賃の改定をお願いしなければなりませんが、その改定の場合には、さらにまた物価への影響というものを十分配慮して、具体的な値上げの幅も検討いたしたいと思うわけでございます。  第三には、内部疾患、あるいはまた、その他身体障害者などに対しての運賃の割引の問題についてお触れになりましたが、現在は内部疾患以外の身体障害者の運賃の割引は実施しているわけでございます。いろいろなお気の毒な人たち、われわれもできるだけのことはしなければなりませんと思いますが、国鉄というものが個別の事案といいますか、個別的な身体障害者、内部疾患者、こういう一つ一つの事実に着目して助成をするということよりかは、こういう問題は、やはり社会保障の中において、そういう身体障害者の福祉向上というものに対しては考えていく方が妥当なのではないか、だから、国鉄の運賃というものによってこういう個別的な問題を解決していくよりも、その方がいいのではないかという考え方に立つものでございます。  また、スト権の問題等もお触れになりました。また、運賃決定のいわゆる法定主義をやめるのではないかという御質問もございましたが、政府は、十二月一日の政府の基本方針を決め、一月二十日に、公共企業体等関係閣僚協議会を開いて、そして、これからこの問題を検討するのにはいろいろ専門事項が多い、だから、閣僚の協議会ばかりでなしに、学識経験者の人たちの意見も求める必要があるということで、今回、こういうふうな専門家の一つの会議体を持つことになりまして、近く発足することになりました。その中ではスト権の問題も扱いますが、公共企業体のあり方、当事者能力、こういう問題もあわせてこの際に、もうときどきときどきで、困ってきたならば何か対策を講ずるというようなやり方ではなくして、日本の公共企業体のあり方というものにこの際徹底的な根本の解決策を講じようではないかということで、近く発足することになっております。その中で運賃の問題なども、当然にいろいろと検討いたしたいと考えておる次第でございます。  お答えをいたします。(拍手)     〔国務大臣木村睦男登壇
  46. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いろいろございますが、まず第一点は、今回の短期決戦型で大幅の値上げをして再建ができるのかというお話でございますが、従来は五年計画なりあるいは十年計画で再建を図っておりました。また、運賃改定も、その期間に何回かに分けてやる計画を組んでおったわけでございますが、今日のような経済成長の非常に鈍化した状況のもとにおきましては、かつまた、いろいろと客観情勢が長い間にわたっては変わってきておりますので、長期にわたっての再建計画ということは、過去の経験から考えましても非常に困難であるということで、今回はむしろ短期間に再建の方途を講ずべきであるという考えに変わったわけでございます。  また、短期でありますだけに、五〇%という非常に高い運賃値上げになりますが、しかし、予算案でごらんいただいておりますように、名目五〇%の運賃改定をいたしましても、ようやく人件費と物件費の経常費だけがそれで賄える程度でございます。交通企業としては、その程度のことは運賃収入で賄うのが常識である、かように考えておりますので、五〇%は高いようでございますが、交通企業の本質から考えまして、御理解をいただけることではないかと考えておるわけでございます。  なお、貨物部門についていろいろ御意見がございましたが、確かに貨物部門につきましては極端に悪化をいたしております。しかし、これを一挙に改善いたしますことは、そうでなくても貨物のシェアはすでに一四%ぐらいになっておりますので、一層貨物の利用というものが激減をしてまいるおそれがございますので、そういうことも勘案をいたしまして、今回は旅客とほぼ同等程度の運賃改定によってこれを賄う。一面、貨物につきましては、五十五年度を目途にいたしまして、貨物部門の固有経費はここで収支が償うようにいたしたい。そのために、この五年の間に所要の近代化、合理化等を推進をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。  次に、今回の改正では出資をやめておるけれども、設備投資はむしろ出資でやるべきではないかというふうな意味の御意見でございましたが、従来の再建計画によりますと、政府出資につきましては、工事費補助金とあわせて、国鉄工事費にかかる利子負担も軽減する趣旨から行われてまいったのでございますが、今回は御承知のような再建対策で、現行工事費補助制度の基本はこれを継続いたしますけれども、過去債務というものに対して、これをたな上げにする、実質的には利子の負担軽減が図れることになっておりますので、これらの点を考えまして、今回は出資を行わないことといたしたのでございます。  また、設備投資が多過ぎるという御意見でございますが、借入金の金利、それから減価償却費の増大等、経営の圧迫にならないように留意する必要があるとは考えておるわけでございます。今後の設備投資につきましては、極力効率化、採算性を考えておりますけれども、やはり国鉄の使命を達成してまいりますためには、安全、公害、合理化等、そういった方面につきましては、一定の投資を継続せざるを得ないという状況でございます。これらにつきましては、工事費の補助金制度の措置等によりまして、経営の健全性を阻害することのないように配慮はいたしてまいるつもでございます。そういった考え方から投資の規模を決定いたしたものでございまして、おっしゃるほど過大なものとは考えておりませんけれども、今後なお一層効率化については配慮をしてまいりたいと考えております。  それから、地方交通線等についての御質問があったかと思いますが、国鉄は、国民に対して交通の利便を担保する最終的な責任を持っておる、国に準ずる機関であるということから、いかに赤字でございましても、ローカル線も、必要なものは今後とも維持しなければならないことは申すまでもございません。しかし、それが国鉄経営の負担となっておることも事実でございます。今回は、そのために百七十二億の補助金をこれに充てることにいたしたのでございますが、今後とも、この赤字線の対策につきましては、いろいろな方法を考えまして、しかも、その地域の住民の意向を十分参酌するという前提のもとで処理をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、今回の再建計画で五万人の合理化を考えておるわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、運賃収入だけで人件費と物件費が辛うじて賄える程度である。また、仮に従来の運賃でいきますと、五十一年度は運賃収入で人件費すらも賄えないというふうな、非常に膨大な人件費を抱えておるのが現状でございます。そういうことから考えまして、どうしても経営合理化という点から、国鉄業務全般にわたりまして、要員の合理化につきましても、きめ細かく検討をいたしながら合理化をやっていきたい、そうしなければ、どうしてもこれからの再建はむずかしい、かように考えておる次第でございます。  なお、身体障害者等の運賃割引のことでございますが、これは、たびたび梅田委員からも委員会等でも御質問を受けておるわけでございますが、個別的な対策というのも一つの方法でございますが、やはり広く社会一般的な福祉対策としてこういう気の毒な人たちの対策は考えるのが、あるいは筋ではないか、かように考えておるところでございますが、御意見の点は担当の厚生省とも十分相談をいたしたい、かように考えておるところでございます。  その他、スト権等、御質問がございましたが、総理からお答えがございましたので、割愛をさせていただきたいと思います。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣大平正芳君登壇
  47. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私に対しましては、過去の累積赤字は国の責任で処理してはどうかという御質疑でございました。  先ほど斉藤さんにもお答え申し上げましたように、二兆五千四百四億円の累積赤字につきましては、その利子分は一般会計がめんどうを見ることにいたしますが、元本までめんどうを見ることまでは踏み切っていないわけでございます。何とならば、国鉄運賃は、戦前比価にいたしまして、ただいま三百二十七倍、今度値上げをいたしましても五百六倍でございます。消費者物価はすでに千倍を超えておるような状況でございまして、やはり原則として受益者の御負担によって再建が図られることを原則といたしまして、政府は鋭意これを助成するという立場におきまして、そういう思想をもって再建策が打ち立てられておるわけでございまして、全部が全部、過去債務を国がめんどうを見る、こういうたてまえはとるべきでないという立場を堅持させていただきたいと思います。  それから、出資をやめたことにつきましては、ただいま運輸大臣から御答弁がございまして、私も全く同意見でございますので、重複を避けさせていただきます。(拍手)     〔国務大臣田中正巳君登壇
  48. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 国鉄の行う運賃割引について、内部障害者等についてさらにその範囲を拡大せよというお話ですが、厚生省には、そのほかに母子世帯、老人等いろいろなグループから、国鉄運賃を無賃ないしは割引をせよという御要請があります。今日、国鉄の現状から見て、こうしたことは相当困難なことだろうというふうに思われるわけでございますが、厚生省としては、先ごろ総理が御答弁いたしましたように、この種の身体障害者の個別的、一経済的な需要に対しては、むしろ所得保障ないしは医療保障の制度を充実する方向で対処するのが、私はオーソドックスな手法だと思っております。(拍手)     —————————————
  49. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 松本忠助君。     〔松本忠助君登壇
  50. 松本忠助

    ○松本忠助君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  破局寸前の国鉄財政をどのように立て直すかは、現下の重要な政治課題であります。それは国鉄が、わが国の運輸交通機関の根幹であり、その再建の成否と再建計画の内容いかんが、国民生活と経済活動に重大な影響を及ぼすからであります。したがって、国鉄の再建案は、単に一時的な財政対策ないしは技術的視点のみで解決を図るべきではなく、今後のわが国の経済の展望と国民生活への配慮を初め、総合交通政策の確立など、多面的な問題を含めて国鉄の位置づけを明確にし、策定されなければならないと考えるものであります。  しかるに、今回、政府がここに提出した五〇%に及ぶ運賃値上げ案は、こうした認識を欠く一時的な収支均衡策にすぎず、国鉄財政を根本的に立て直そうとする努力も意図も見られない、きわめてあいまいなものと言わざるを得ません。  また政府は、五十一年度と五十二年度に国鉄の収支の均衡を図るとしていますが、これは明らかに五十二年度も今回と同規模の大幅な運賃値上げを予定したものであり、これは恐るべき暴挙であると言わざるを得ません。そうなると、政府は、四十九年の運賃値上げ、五十年の料金値上げに続き、四年連続して国鉄運賃、料金の値上げを行うということになるのであります。  このように連続する国鉄運賃値上げの強行は、もはや、三木内閣が掲げた政治公約の眼目である物価安定を、政府みずから放棄したと言っても過言ではございません。それは、国鉄運賃が公共料金の主柱であるだけに、連続する国鉄運賃の大幅値上げが、この秋には諸物価高騰を誘発することは必至であり、インフレ再燃のおそれがきわめて強くなり、不況に苦しむ国民をますます窮地に追い込むことは明白でございます。それにもかかわらず、あえて国鉄運賃の値上げを強行しようとする政府の真意は那辺にあるのか、まず、この点について総理の明快な答弁を求めるものであります。  第二に、政府は、五十一年三月の物価上昇率を前年同月比で一けたに抑えるという物価公約が達成できたと誇らしげに言いますが、これは、物価指数の上でのからくりとまやかしによって、鎮静したかのごとくに見せかけたものであって、物価それ自体の鎮静でないことは、国民が生活実感としてはだで受けとめているのであります。  たとえば東京都が四月六日に発表した都市生活に関する世論調査は、都民がこの一年間に実感として受けとめた物価上昇率は、何と平均三一・六%に達し、暮らし向きは前年より苦しいという人が、五四%と半数以上に及んでいる実態を明らかにしております。私はこれが現実の国民の生活実感であると思います。しかも国民生活を取り巻く環境は、賃金の低額抑え込み、減税見送りから来るところの実質増税など、まことに厳しい状態にあります。  こうした国民生活の実情を知るならば、物価高騰の引き金となる国鉄運賃の大幅値上げを国民に強要することはできないと考えますが、この点についても、総理の率直な見解を伺いたいと思います。  第三に、国鉄運賃の値上げ案に付帯して政府がまとめた国鉄再建要綱について、総理に伺います。  国鉄財政の実情を理解する者ならばだれもが、今回、政府提案国鉄再建要綱では国鉄財政を根本的に立て直すことができないと言っております。その理由は、この要綱には、国鉄の赤字要因である貨物問題、地方閑散線問題、さらには借入金依存の投資計画など、これらに対する具体的な解決が何一つ示されておらないのであります。これらの諸問題が国鉄財政再建のかなめであって、この問題解決なくしては国鉄財政の立て直しは不可能であります。  たとえば、現在の国鉄の貨物輸送量は、わが国の全貨物輸送量のわずか一四%にまで低下し、貨物収支から生ずる赤字が、国鉄の赤字額のほとんどを占めております。また地方ローカル線は、五十年度に約三千億円もの赤字を生み出しております。さらに、借入金依存の投資計画を進めてきたため、国鉄は現在六兆六千億円の借金を抱え、その利子の支払いに追われ、財政崩壊の原因をつくっていることは周知のとおりであります。したがって、こうした赤字要因となっている諸問題の具体的な解決策を欠いた政府の国鉄再建要綱は、国鉄再建の名に値しないものと断ぜざるを得ません。  このことは、国民の強い反対の声を無視して実施し、しかも、国鉄財政を現在の破局的状況に追い込んだ第一次、第二次の国鉄財政再建十カ年計画と軌を同じくするものであって、もしこの再建要綱に基づくならば、国鉄財政は完全に崩壊すると思われるのであります。  総理は、運賃値上げによる多大な負担だけを残し、国鉄財政を危機に追い込む政府の国鉄再建要綱が、果たして国民の納得を得られるものと考えておられるのかどうか、明快な答弁を求めるものであります。  第四に、総合交通政策と国鉄再建の関連について、総理並びに運輸大臣に伺います。  国鉄財政の再建は、もはや国鉄という一つの企業の範囲内で解決できる問題ではなくなっておるのであります。たとえば都市交通問題、省資源問題環境公害対策、労働力不足問題など、交通経済が現実に抱える諸問題の解決が個別の交通事業では解決できないと同様に、国鉄財政の再建は、そうした社会的、経済的諸問題との整合性を図らなければなし得ないと考えるものであります。したがって、わが国の総合交通政策の早期確立を図り、その中で国鉄役割りと位置づけを明確にした上で、国鉄経営の立て直しを図ることが緊要であると考えますが、総理並びに運輸大臣の明快な答弁を承りたいと思うのであります。(拍手)  第五番目の質疑は、大蔵並びに運輸両大臣に答弁を求めます。  前段で申し述べた立場に立って考えますと、国鉄の収支をわずか二年間で均衡させようとする政府の再建策は、まさに無謀というほかないのであります。国鉄の抜本的な再建を図るためには、総合交通政策の確立がなされるまでは、国鉄の赤字補てん策として国庫補助の強化を図るなど、暫定的な国鉄予算を組むべきであると思いますが、この点について大蔵並びに運輸両大臣の見解を伺いたい。  第六に、政府は、国鉄再建に当たって、六十年度までに六万五千人の人員削減を国鉄に強要しておりますが、これは国鉄再建と矛盾するものであります。六万五千人と言えば、現在の国鉄職員の一五%になり、これだけの人員を減らすためには、地方閑散線の廃止、貨物輸送の縮小、安全・保守業務の縮減などが当然必要となるはずであります。しかし、そうした国鉄事業規模や安全対策上重要な問題の検討は、合理化案決定に際しては全く行われていないのであります。また、このような大量の人員削減が、国鉄の労使間にとって重要な問題であるにもかかわらず、労働者側と何らの話し合いもなされずに一方的に提起されているところに問題があります。それは、労使の協調が国鉄再建にとって不可欠な条件であることを考えれば、政府が決定した国鉄の合理化案は、まさにそうした労使間の協調体制を一方的に破壊しようとするものと言わざるを得ません。政府は、かつての第一次国鉄財政再建十カ年計画が、十一万人削減という実現不可能な合理化案を作成し、その結果、マル生運動という労使間に不毛の対立を生んだことを改めて思い起こすべきであります。国鉄再建を真剣に考えるならば、労使の対立を生み、ひいては国鉄を内面から崩壊させるおそれのある合理化案を即座に撤回すべきであると考えますが、運輸大臣の誠意ある答弁をお願いいたします。  また、労使の正常化の問題に関連して、国鉄の賃金体制、つまり賃金格差の是正である昭和五十年度仲裁裁定第四百四十三号の主文二項について、過去三回、何ら具体的な解決がなされていないと聞きますけれども、主務大臣たる運輸大臣は、国鉄当局に対しどう指導され措置しようとするのか、あわせて大臣の誠意ある答弁を求めます。  第七に、国鉄財政再建策として何点かの提案を申し上げ、政府の見解をただしたいと思います。  その第一点は、国鉄の資産が国民共有の財産であるという立場に立って、鉄道施設等の基礎的な施設の整備は国の責任において行い、そのためにも現在以上に国庫補助を強化すべきであると考えます。これまでのように、投資財源を借入金によって賄うことを続けるならば、国鉄は永久に赤字財政に苦しまざるを得ないでしょう。国鉄経営の基盤強化のためにも、国の責任において基礎的な施設整備を行うことは必須の条件であると思いますが、この点について、大蔵、運輸両大臣の見解を伺いたいのであります。  第二点は、政府は五十一年度から赤字線補助として百七十二億円を計上する一方で、三十一線区、千三百五十キロに及ぶ赤字路線を建設しようとしています。こうした矛盾は、政府に赤字線対策が皆無であることを如実に示すものであります。国鉄財政の健全化を図る意味から、赤字線建設は抜本的に見直す必要があると思うが、どうか。  また、赤字線建設の根拠法となっている鉄道敷設法及びその別表に掲載された建設路線は、現在、中期的な経済及び社会情勢から見てもそぐわないものが大半であります。したがって、この際、敷設法の抜本的改正が必要であると考えますが、運輸大臣はどのように考えておられるか、御所見を伺いたいと思います。  第三点は、貨物対策として他の交通機関との輸送分野調整を行い、また、収支の改善を図るため、大企業向けの割引料金制度は廃止し、貨物運賃体系を見直す必要があると考えるが、この点について運輸大臣の見解を明確に示していただきたいと思います。  最後に、本年度は、この国鉄運賃のほかに、電話電報料金、NHK受信料、電力料金など、主なものだけでも十数種類の公共料金の値上げが予定されております。公共料金の一斉値上げがどのような結果を生むかは、昭和四十九年に国鉄、私鉄、電気、ガス等の値上げによって物価が異常に高騰した例を挙げるまでもなく、明白な事実であります。  また、国鉄の赤字要因を放置し、無謀とも言える合理化計画を画策し、労使対立を一層深刻化させる政府の国鉄再建要綱は、絶対に認めるわけにはまいりません。  以上の点から、わが党は、不況と物価高が併存する国民生活に決定的な打撃を与える本法案の撤回を強く要求するものであります。  なお、国鉄の再建は国民的課題であり、その再建策は国民の十分なコンセンサスが得られるよう積極的な努力をすべきであります。国民のための国鉄をつくろうというならば、与野党一致で賛同できる国鉄再建計画をつくる必要があると考えます。わが党も、そのための協力は決して惜しむものではありません。  政府は、国鉄再建要綱を抜本的に改め、全党一致で国鉄の立て直しに協力できる国鉄再建案を策定すべきである、このことを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇
  51. 三木武夫

    内閣総理大臣(三木武夫君) 松本君にお答えをいたします。  第一の御質問は、国鉄の再建は、ただ経営の収支だけ考えるのではなくして、国民経済全般の影響の中で考えるべきだという御意見と、この国鉄の運賃の改定はインフレの再燃を招くのではないかという御質問でございます。  松本君も御指摘のように、ただ国鉄の経営の収支だけで、この再建はそういう観点から見るべきではなくして、国民経済全般から、国民生活全般への影響からとらえるという意見は、私どももさように考えて、そういう全般からの配慮もいたしました結果、こういう再建案となったわけでございます。  ただ、その場合に、やはり国鉄が一年間に一兆円近くの赤字を出しておるというこの現状をそのままに放置して国鉄の再建はあるものではございません。したがって、財政的な再建というものが国鉄の再建の中心課題になることは当然であると思います。  また、これは先ほどから申し上げておるとおり、政府は物価の安定、景気の回復という二つの経済目標を追求しておる内閣でありますから、物価の動向に対する関心は、松本君に決して劣らないものがあるわけです。三木内閣が出発したときには年率二四・五%という異常な物価高が、今日では約束どおり、今年の三月末には八・八%になったわけであって、一気に物価というものを正常な水準に持っていくことは容易でないことは、松本君も御承知のとおり。これをさらに、消費者物価を正常な状態にまで下げていこうということで鋭意努力をしておるわけでございまして、この今回の国鉄の運賃の改定も、まあ〇・五という程度の値上げの影響であるということを先ほども申したわけでございまして、これが今日の鎮静の傾向にある物価を押し上げていく要因にはならない、こういう確信のもとに今回の料金の改定案を決定をいたしたわけでございます。インフレにはならないという確信のもとにこの改定案を出したということと。  それから、現在の国鉄の再建案というものはもう一遍検討し直したらどうか、これはやはり再建にならないのではないかという御指摘でございます。まあしかし、松本君がお考えになっても、国鉄の再建というものは、一つには国庫助成を強化するという一面がございます。もう一つは、やっぱり国鉄自身が経営を合理化して経費を節減する。もう一つは、国鉄を利用される方々も、値上げ案というのは不人気なものですけれども、しかし、やはり利用しておる人にも、国鉄の経営というものが立ち行くようにある程度の御負担を願う。この三つのものが組み合わさらなければ国鉄の再建はできないわけでございまして、現在の政府の考えておる実施の基本的な考え方は、私は間違っていない。これをもう一遍見直していく考えはございません。  ただ、いま具体的な実施の方法については検討いたしておりますから、その実施の具体的な方法を検討する場合には、いろいろな点できめ細かく配慮いたしますが、政府の再建に対する考え方の基本というものは間違ってはいない。これを見直す考えはないわけでございます。  また、松本君は、国鉄の再建は総合の運輸政策の確立が要るということについて御指摘になった。全くそのとおりだと思います。諸外国では、鉄道の持つ役割りというものが時代とともに変化をしておることは事実でございますが、日本の場合、私はやはり、鉄道というものが持っておる輸送機関としての役割りというものは、相当長期にわたってその役割りを果たすことが要求される。たとえば都市間の旅客輸送、大都市圏の旅客輸送、また、長距離、中距離の大量な貨物輸送、これに対する国鉄役割りというものは、決してこれはそう軽くはならない。したがって、国鉄の日本の輸送機関として占める位置は、諸外国の変化などに比べてずっと重要なものがある。そういう総合的な交通政策の中で国鉄役割りというものを考えて今後の再建を考えていこうとしておるわけでございまして、われわれも、総合交通政策、その一環としての国鉄を考えて、これをどう再建するかということを考えておるわけでございまして、それを無視するものではないということを申し上げて、お答えといたします。(拍手)     〔国務大臣大平正芳君登壇
  52. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私には暫定的な助成策についてのお尋ねでございます。  松本さんの言われる暫定的という意味を正しく理解しているかどうかいぶかるものでございますが、ただいま政府が考えておりますのは、昭和四十四年以来二回にわたりまして暫定的に再建策を考えましたけれども、いまだ実を結ぶに至っておりませんし、財政財源あるいは財政投融資の資源にも限界がある中で、いかにして国鉄再建を考えるかということをいろいろ腐心いたしました結果、国鉄自身の経営の合理化、そして運賃の改定、それに私ども、先ほど運輸大臣から御説明がございました財政的な助成と、三本柱で五十一年、五十二年両年度を通じまして収支の均衡を取り戻そう、こういうことを考えておるわけでございまして、あなたの言われる総合交通体系上の国鉄の位置づけが、総理がいま言われたような機能を持って定着するに至るまで、こういう政策でもって国鉄が本格的な再建の道を歩むよう期待し、かつ努力をしなければならぬと考えておるわけでございます。  第二に、設備投資、工事費を安く上げるために、工事費助成金その他助成を強化すべきでないかという意味の御質問でございました。  先ほど、梅田議員の御質問に対しまして、運輸大臣からもお話がございましたけれども、これまで出資の道が開かれておったわけでございますけれども、過去債務の処理という大変大胆な政策がとられるようになりましたので、工事費補助金はこのまま存続することにいたしまするので、従来の出資制度はやめにしようということにいたしたわけでございますが、そういう意味で今度の再建策は、工事費のコストを下げてまいるということの上に、私は相当大きく寄与するものと確信をいたしておりますことを御答弁申し上げておきたいと思います。(拍手)     〔国務大臣木村睦男登壇
  53. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 総合交通政策との関係で、二カ年間で再建しようというこの計画を見直したらどうかという御質問でございますが、まず総合交通政策でございますが、これは自由経済のもとでは強制的にこの政策を実施すべき問題ではありませんで、やはり過去の実態を見ながら、また需要の推移を見ながら、総合交通政策というものは決めていかなければなりません。そうしますと、今日の状況から見ますと、国鉄輸送分野に占める使命というものは、先ほどもちょっと触れましたが、大都市相互間あるいは都市間の輸送、あるいは中長距離・大量貨物輸送、こういうものが実態としても国鉄の使命となっておるわけでございます。マクロ的に見まして、私は、この傾向は今後とも続くと思います。ただ、ミクロ的にはその年その年で多少の変化もございましょうが、大体これを前提にして考えてしかるべきではないか。  なお、運輸省にございます交通政策審議会で総合交通体系のあり方について現在検討をいたしておりますが、この答えが出ますときにも十分これを参考にいたしたいと思いますが、いま申し上げましたような前提に立ちまして、鉄道の輸送需要というものを考えながら二カ年間で再建しようということを考えておりますので、私は、この際、いま御審議をいただこうとしております再建関係の法案が成立いたしますれば、二年間で十分再建できるという確信を持っておるわけでございます。したがって、改めて暫定的な計画をつくるということは現在考えていないのでございます。  それから、十年間に六万五千人の人員削減を考えておるが、これを考え直したらどうかという御意見もございました。やはりこの際、国鉄の再建を考えます場合に、お客から運賃改定に協力してもらうことと、政府の助成も必要でございますが、国鉄内部としても、それに対応するだけの合理化なり近代化を図らなければなりません。しかも、たびたび申し上げますように、収入のほとんどを人件費が食ってしまうというこの交通企業体としての実態は、どう考えても不自然でございます。したがって、どうしても人員の経済化ということは考えなくてはならないと思うわけでございます。したがいまして、これをやるにつきましては、しかし、労使間でも十分相談をして万遺憾ないように進めるように国鉄当局も考えておりますし、また、合理化、近代化にも、労使相互が理解の上で協力するように努力をしてまいるように指導いたしたいと考えております。  それから、賃金格差のことがちょっとお話がございましたが、恐らく国鉄の中で施設関係の従業員の賃金格差の問題であろうかと思います。これは過去三年間の仲裁裁定でも触れられておることでございますが、これは、これらの施設関係の組合員の職務の特殊事情というものがございまして、それとの関係で他との賃金格差があるということが主張されておるわけでございます。仲裁裁定の中でも、こういう問題に関しましては、他の同じような条件下にある労働者との均衡を考えながら労使間で協議をすることを期待すると述べられておりますので、われわれも、国鉄の労使間の中で、この趣旨を踏まえて解決をするように努力をすることを期待をいたしておるわけでございます。  それから、赤字の問題で、新線、それから地方路線の問題がございましたが、現在の国鉄地方路線でほとんどが赤字であることは御承知のとおりでございますが、しかし、赤字と言いながら、国鉄の公共的使命から言いますとこれを廃止するわけにいかない。したがって、今回も、額は小そうございますが、百七十二億の補助金を政府は出したわけでございます。なお、これらの赤字線の持ちますその地方に貢献いたしております使命等を考えまして、あるいは廃止するなり、あるいは他の代替交通機関に任すなり、あるいは地方公共団体がこれを引き受けるなり、これらの問題は、いろいろな方法がございますので、国鉄の内部におきましても十分検討し、政府もこれに対して十分応援をするつもりでございますし、また、原則はその地方の人たちの要望を十分尊重して処理するという方向で考えたいと思っておるわけでございます。  なお、貨物の運賃につきまして、大企業優遇ではないかというお話がございましたが、先ほども申し上げましたように、貨物はわずかに一四%のシェアを国鉄が分担しておるにすぎない。その運賃収入も三千億にすぎないという状況でございますので、これ以上極端に運賃を上げますと本当に貨物が国鉄に集まってこなくなるというふうなことも考えまして、なるほど収支の面から言いますと非常な赤字ではございますが、旅客と大体同じ程度に今回は五〇%の値上げということで、将来は五年間の間に固定経費ぐらいは償う程度に持っていきながら、貨物を失わないようにというふうに努力をするつもりでおるわけでございます。  以上、申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  54. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 河村勝君。     〔河村勝君登壇
  55. 河村勝

    ○河村勝君 私は、民社党を代表して、ただいま上程された国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対して質問をいたします。  すでに多くの問題について質問が行われましたので、私は最も重立った二、三の点についてだけ政府案の問題点を指摘して、同時に私の国鉄再建についての意見を申し述べますので、総理、大蔵大臣、運輸大臣、それぞれの立場から所信を述べていただきたいと思います。  国鉄は、昭和三十九年度に初めて赤字に転落をして、自来昭和四十四年の第一次再建案、それから昭和四十八年の第二次再建案、二度にわたる再建計画が立てられましたが、いずれも二年を待たずして挫折をして、その後国鉄財政は悪化の一途をたどって、とうとう昭和五十年度末で累積赤字三兆一千億、長期債務残高六兆八千億という巨額に達して、いまや完全な破産状態に陥ったのであります。  この経過を通じて、政府は、国鉄のこの病根というものがどこにあるかを、すでに十分に認識をされたはずであります。現に今度の政府案を見ても、政府の財政援助の項目だけを見れば、それがわかっているというふうに解される。それにもかかわらず、現実にでき上がったものを見ると、従来のものに比べれば大分前進したと言うことができますが、結局は中途半端なものに終わって、依然として、いわば肺炎の患者に熱冷ましを飲ませるというたぐいのものに終わっているのは、一体いかなる理由に基づくものであろうか。  政府の今度提案された国鉄再建計画を一言にして評すれば、財政あって国民経済なし、そういう種類のものであります。  昨年十二月三十一日の閣議了解の国有鉄道再建対策要綱によれば、向こう二カ年で国鉄財政の収支を均衡させることを目標にしてそれに基づいて運賃値上げと財政措置を計画しているのであります。そして収支試算によれば、また先ほどの福田副総理の発言にも明らかなように、名目五〇%の運賃値上げを二年連続して、五十一年、五十二年の二年度にわたって実施をするということになっているのであります。およそ、このぐらい乱暴な政策はかつて前例を見ることができません。  物価問題を一応別にしても、一体あなた方は、運賃さえ上げれば、それだけ収益が上がるとでもお考えになっているのであろうか。また、他の運輸機関との運賃水準のバランスが全く崩れてしまうはずだが、一体それをどう考えているのか、その点もきわめて疑わしいのであります。  五十一年度において、旅客運賃を五〇・四%引き上げて、実収率を三六・九%、それから貨物運賃の方は五三・九%引き上げて、実収率は三七・二%を見込んでおります。旅客においてすらこの実収率はきわめて怪しい。だが、貨物の方に至っては、この増収予定を達成することは全く不可能である。いわんや五十二年度においてさらに五〇%の運賃値上げを強行すれば、貨物輸送は完全に壊滅状態になる。旅客においても、実収率ははるかに下回ってしまって、増収の実質というものは全くなくなってしまって、物価上昇に寄与するだけの効果しかなくなってしまう。  国鉄が交通機関の中で独占的地位を占めていた時代ならばいざ知らず、自動車、航空機、船舶というような強力な競争機関が存在して、国鉄輸送分野というものは逐年減少している。貨物輸送に至っては、年々絶対量すら減少しているという事実を一体どう認識しているのか。それとも、交通体系全体のバランスをとるために、陸海空軒並みに運賃を倍増するというようなことをもくろんでいるのだとすれば、それこそ大インフレの起爆剤をつくるだけであって、国民経済的見地から見たら一体どうなるのか。この点についての総理の見解、並びに常に総合交通政策というようなことを言いながら、総合交通政策的に見てこういう事態を一体どう考えているのか、運輸大臣にひとつ御所見をお伺いしたい。(拍手)  すでに政府も気づいておられるように、国鉄財政の本質的な病根というのは二つであって、これを何とかしなければ解決策がない。大蔵大臣は、先ほどからすでに否定的なことを発言をしておられるけれども、これがなければ、結局何遍やっても同じことだということを申し上げたい。  一つは、先ほどから話がありますように、国鉄はいかに経営努力をやってみても、コストをどうしても償うことができない線区を多く抱えているということであります。その延長は、総延長二万二千キロのうち大体九千キロ前後に上る。ここから生ずる赤字というものが年額二千二百億程度でありますが、今回の政府が補てんしようとしておりますのは、そのうちわずか百七十二億、鼻くそほどのものであります。政府は、少なくとも、経営努力を前提とした適正コスト、これを賄うだけのものはこの際補てんする決意を固めなければならない。どうしてもそれがことし財政事情が悪くてできないというなら、少なくともそれをやるのだというルールだけはどうしてもことしつくって、それを逐次軌道に乗せなければならない。  それからもう一つは、言うまでもなく、六兆八千億に達する長期債務であります。これの利子の負担額が年額四千億。この原因というものは、過去の巨大な通勤輸送対策を初め、ほとんどが国策の要請に基づいた投資による赤字の累積であり、もう一つは、それによって生じた赤字補てんのための借金なのであります。でありますから、政府は、この際、会社更生法を適用した破産会社と同じように、やはりこれは過去の債務というものを全額肩がわりをして、再建のために一回身軽にして、これから働けばよくなるのだというだけの条件をつくらなければならない。それが今回の政府の肩がわり分というのは二兆五千億、大きいようであるけれども、これはただ現在の赤字補てんのための借入金にも満たないということでありますから、これではとても肩がわりしただけの値打ちはございません。  もしこの二つの基本的な対策ができたならば、そこで初めて自然に、適正水準、国鉄の収支を均衡させるためにどれだけ運賃を上げたらいいのかという、そういう運賃水準というものがおのずから出てくる。それが出てきたときに、初めて政府は、国民に対して、利用者負担のためにこれだけ引き上げなければならぬということを堂々と言うべきである、私はそう考えるのでありますが、どうお考えであるか。  こういう私たちの主張に対して、国鉄の労使関係というものが非常に荒廃をして、国鉄の労使がみずからなすべきこともなしておらない、そういう現状で巨額な政府の出資をするということは国民感情から見て許さないという有力な意見が一部  国鉄財政改革だけで再建されるものではありません。このような病弊が改まらない限り真の再建はございません。だからわれわれも、国鉄労使に対して強い反省を求めるものであります。  しかしながら、それだからといって、国鉄再建についての政府の責任を免れることはできないのであります。もちろん、労使関係が乱れていることによって経営能率を阻害して、それが財政悪化につながっている部分があることは私も否定はしない。しかし、今日の国鉄財政破綻の責任の大半の部分は、政府が長きにわたって多くの公共負担を背負わせながら、手をこまねいて国鉄の衰退を放置してきたというところに本質的な原因があるのです。  だから、政府はまず国鉄財政再建の基盤をつくって、一生懸命国鉄労使ががんばりさえすれば国鉄は立ち直ることができるのだという、そういう条件をまずつくらなければならない。それだけの体制ができた暁には、政府も、またわれわれも、また国民全体も、国鉄の労使に対して、国鉄労使挙げて国鉄再建のためにあらん限りの力を尽くすことを要求し、もしそれを怠ったときには徹底的にその責任を糾弾すべきであろうと思う。政府の所見をお尋ねしたい。  最後に、一言だけ申し上げておく。近く予定されている仲裁裁定について、政府は予算上、資金上支出不可能だという理由のもとに、不承認の議決を国会に求めるやに聞いております。公労法は国鉄の争議行為を禁止すると同時に、その代償として仲裁制度をつくっております。仲裁裁定をじゅうりんするようなことがあれば、政府は二度と再び法の遵守を労働組合に要求する資格を失います。同時に、今日まで法を守ってまじめに行動してきた労働組合までもストに追いやるという結果になって、国鉄労使関係をどろ沼に追い込む結果となるであろうということを最後に警告をして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣三木武夫君登壇
  56. 三木武夫

    内閣総理大臣(三木武夫君) 河村君にお答えをいたします。  河村君は、この国鉄運賃の改定は日本の物価問題から考えてみて大幅に過ぎるのではないかという御意見と受け取りましたが、今年は五〇%ということでございますが、来年度については、物価の動向ともにらみ合わせてまだ決定をいたしておらないわけでございまして、これは来年度における物価動向なども十分に配慮して決めなければならぬと考えております。まあ政府自身は、インフレを抑えながら景気を回復するというのが、これは三木内閣の絶対の経済政策の目標でございますから、物価の動向に対しては慎重に検討いたしたわけでございますが、この値上げによって〇・五程度の影響は受けるけれども、これがせっかく鎮静に向かっておる物価水準を大きく押し上げていく要因にはならないという判断のもとに、この改定率を決定したわけでございます。  河村君の言われます。国鉄というものの総合交通体系における位置づけというものは慎重に検討すべきものだという点は、お説のとおりに考えます。諸外国においては、自動車の発達によって、旅客輸送の機能として国鉄の機能は低下しておる国もあるわけでございますが、日本の場合は、都市間の旅客輸送あるいは大都市圏の旅客輸送、また貨物もだんだんとトラックなんかに押されてはおりますけれども、中距離あるいは長距離の大量な貨物輸送というものに対しての国鉄役割りというものは、やはり持ち続けておるのではないか。  こういうことから考えてみまして、国鉄というものが日本の交通体系の中に占めておる地位は、諸外国にはいろいろな変化はございますが、日本の場合は、相当に重い位置づけを総合交通の体系の中に置いて再建を考えていこうということでございます。  また、国鉄の今回の運賃の改定というものは、いろいろ財源という、国鉄財政面だけの配慮にすぎぬではないかという御批判でございますが、国鉄というものが独立した企業体でございますから、やはり収支というものの均衡をとるということは必要であって、そのためには、国鉄自身ができるだけこの経営を合理化して、そして経費を節減するという努力は必要であって、それを行って、政府もできるだけ国鉄というものの持っておる役割りを考えて、国民生活への影響が大きいわけですから、国民の足ですから、もっと積極的に政府自身もこれに対し助成の道を講ずるべきであるという河村君の御意見には、傾聴させられるものがあるわけでございます。この点は将来の課題たり得る。まあ今度は、累積赤字の一部をたな上げして国庫助成を強化したのでございますが、今後の一つの課題だと思うわけでございます。  また、国鉄の再建には労使関係というものが正常化されることが絶対に必要だという意見は、河村君の意見と私も同様に考える。この再建に対して労使がお互いに協力してがんばったならば、国鉄は希望の持てるものになるという確信を労使が持つことは絶対に必要でございます。そういうためには、国鉄財政面からの収支の均衡をとることも必要でございますし、労使間が、国鉄の置かれておる現状というもの、この厳しい現状をしっかりと正確に把握することが必要だと思うわけであります。その正確に把握した基礎の上に立って労使が話し合いをしていけば、私は、今日のような何か非常に距離がある労使関係というものは、もっと共通の土俵の上に立って話し合いの余地があるのではないか、現状の認識に対して共通の厳しい認識が足らない点も私は確かにある。こういう点から、今後とも労使関係というものについては、国鉄の再建の上において大きなこれは問題点である。問題点として河村君の御指摘は全く同感でございます。  また、スト権問題についてお話がございました。これは大きな問題であることは事実でございますが、スト権という問題は、私は単にスト権だけの問題でこの問題は片づくとは思わない。日本の公共企業体というもののあり方、現状のままでこれでいいんだろうか。いろいろ事業体が違うわけですから、個々の公共企業体によって事情が違うから、もう少し公共企業体のあり方自身を根本的に検討したらどうか。あるいはまた、当事者の能力、当事者がいろいろ話し合いをして、どうしてもまとまらない場合にスト権の問題が起こるのですが、いまだに当事者の能力というものは実際持ってないですからね。そういうところで、やはりこういう問題についてもあわせて検討してみたいということで、専門家によってこの問題は意見を徴したいということで、中山伊知郎氏をすべての座長として、これから専門家による一つの会議体を持つことにしておるわけでございます。そしてこれは、この公共企業体のあり方を十分に検討をいたして結論を出したい所存でございます。  お答えをいたします。(拍手)     〔国務大臣木村睦男登壇
  57. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 根幹に触れる問題がたくさんございまして、総理からも答弁がありましたので、二、三私から御答弁申し上げる問題が残っておりますから申し上げます。  五〇%の運賃値上げと総合交通体系との関係でございますが、河村議員のおっしゃることも、確かに私は憂慮をいたしております。しかし、五〇%の運賃改定ということは、どうしてもこの際、国鉄の再建のためには必要である、こういう考えでやっておりますので、これによって総合交通体系のパターンが変わってくる  確かに変わってくると思いますが、どのように変わってくるかということも一応見まして、総合交通体系は、半分はあらかじめ考えるべき問題であり、半分はやはり実際の事態を見て処理すべき問題だろうと思いますので、これらの点をわきまえて今後の交通総合体系を見直していきたいと思っております。  それから、六兆八千億の債務の問題でございますが、赤字は、一応入るべき旅客収入、貨物収入等が入らなかったための借金であるから、これはある程度国がめんどうを見よう。しかし、債務は投資でございますので、企業としての財産もふえるわけでございますから、これは一応企業の責任で将来にわたって返還するという、こういう基本的な考え方で今後の処理をいたすわけでございます。  その他の問題は、総理から概括的にお話がございましたので、以上で終わります。     〔国務大臣大平正芳君登壇
  58. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 地方交通線問題でございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、この検討に少なくとも一年ぐらい要するであろう。しかし、その間も赤字が進むわけでございますので、その一部に充てるために、とりあえず百七十二億円を特別交付金として交付しようといたすものでございます。  それから、累積赤字について全的に責任を持つべきであるというお説でございます。私どもといたしましては、この過去の累積赤字が今後の収支に影響を及ぼさないようにということで、他の運賃改定、経営の合理化と相まちまして再建の跳躍台になることを期待いたして、財政当局といたしましては、精いっぱいの措置を講じたつもりでございますが、これを契機といたしまして再建が緒につくことを期待いたしております。(拍手
  59. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  60. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君      ————◇—————