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野坂委員 時間もございませんが、いま私は
質問に非常に苦慮しておるわけでありますが、たとえば時計の問題をまず挙げます。
すべてのものは
検察側にあるということははっきりしておるわけです。いま私が素人的な
立場で、型が違っても、あるいはぬれてもいない、雨が降っておるのにぬれていないという非常識なことが盛んにある。それでも、なかなかここでは御
答弁ができない。しかも、公正妥当な
裁判を信頼しておる、こういう法務大臣の御
答弁であります。私は、恐らく請求があれば開示されるであろうことを信じてやみませんが、そのように当然ならなければならぬ。
また地下たびの問題についても、この
狭山事件の場合は、善枝さんのお姉さんの登美恵さんが五月の二日に
犯人と声をかけ合って会話をしております。その足跡を三個も石こうでとっておる。ところが
証拠書類として出されるものは、バケツや木の枠というものが、農道において
——遠景はありますが、近景はない。しかし、いま三島参
事官がおっしゃったように、その生の足跡の写真というものは、普通常識的に一般的に、写すんだと言われておる。ところがこれには出てこない。だから私たちが
調査すると、確かにあなたがおっしゃったように、地下たびの足跡がいっぱいついておる。それを出してこないというのは、やはり国民に
疑惑が残る。まして
石川青年にとっては命にかかわる問題でありますから、これらの問題は、公正妥当に進められると言う
裁判所はやはり明らかにして、
裁判の公正を期していかなければならぬと私
どもは思います。
それから、
万年筆の問題については恐らく
八木さんがいろいろ話したと思うのですが、鑑定は、日記等調べて、
万年筆は二十一日と二十二日までしか鑑定をしていないわけですね。
和田君が言ったように、善枝さんの使用しておったものはライトブルーだ、
かもいから出てきた
万年筆は、ブルーブラックだ。なぜ二十二日までしか鑑定をしていないかというのは
——二十四日の日に同僚の中根敏子さんがブルーブラックの
インクを彼女に貸してやった、こういう証言があったと言っておるわけですね。これは発表されておる。そうすると、二十四日以降の鑑定というものが、その
万年筆で、その
インクの色というものが必要になってくる。それには、日記にやはり書いておりますから、ライトブルーかブルーブラックかというものがその辺で出てくる。それを二十二日までしか鑑定をやらぬということになると、ますます
疑惑が残ってくるということが私たちは言い得ると思うのです。
ちなみに、第二審の寺尾
判決というのは、こういうことを言っておりますね。
被告人は不当な誘導によって
供述させられたと言うけれ
ども、それは信用できぬ、
捜査官の証言からも当局の作為をうかがわせるようなものを見出すことはできぬ、
捜査当局に作為のあったものではないかと推測せしめるような
被告人及び家族の各証言は信用できぬ、こう言って、いま私が申し上げたいろいろなことの
証拠を明らかにしないまま、寺尾
裁判長はこのようなことを
判決の中で述べております。
しかし、その
判決とうらはらに、いま申し上げた時計にしてもあるいは
万年筆にしても、そういうものが出されていかなければ、
石川一雄青年はこの
最高裁判所が最後のチャンスなんですから、すべて国民の前に、あれだけの世論の高まりがあるわけですから、やはり出してもらわなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。
特に、数えれば
疑惑の点は数限りなくあります。たとえば
脅迫状の文字にしてもそうです。鑑定人の鑑定によれば、これは違っておるんではないか。あるいは封筒の問題にしても、身分証明書にしても、
万年筆にしても、腕時計にしても、自転車にしても、どれからも指紋というものはとれていない。こういうこと。あるいは頭部に裂傷があって、それを
石川青年が引きずったということになっておりますが、
石川青年の衣類にはそういう血のついた跡、血痕というものは全然ないというような点。あるいは、先ほど
和田君が言っておりましたように、胃の
内容物と死亡時刻というものの関係を、昼ライスカレーを食って二時間後に死亡しておると鑑定人は言いますけれ
ども、死んでおるのは四時三十分だ、四時間半もある。
こういうたくさんの問題が私たちの目の前に広げられて、本当に公正妥当な
裁判が行われるだろうか、そういうことを国民は注目しておると私は思います。
きょう
最高裁判所の皆さんはおいでになっていただいておりませんが、こういう一、二の例を挙げて、きわめて制限された時間の中で申し上げました
内容でも、私は
石川青年の今日までの
判決については疑義がある。しかも弁護人が百点にわたる開示請求というものを行っておる。それをこの
委員会では検察の最中であるからそれらについては
答弁ができない、こういうことに終わることを非常に残念に思います。皆さんが取り次いでやるというようなこともされないと思いますが、私は
最高裁判所を信頼をして、この
委員会でいろいろ議論のあったそれぞれの問題は必ず
最高裁判所の中で
判断をされるし、明らかにされるであろうということを
疑いません。ぜひそういうことをしてほしいと思っておるところであります。
最高裁判所に対して私は
質問をしたいと思っておったのでありますが、
最高裁判所は
憲法違反とか
判例違反は義務的にやらなければならぬ、こういうことになっております。一般的に言って、法務大臣に聞きますが、たとえば
狭山の問題については、その部落に見込み
捜査、こういうかっこうでそこに集中されておるというのは、
憲法第十四条に
差別をしてはならぬということがありますが、
差別のように見えて、一般的に言って
——ここでごらんになりますように「
狭山差別裁判」というふうにまで書いてあります。そういうふうに見られがちだ。そういう意味では、私は、この十四条に基づいて
最高裁は事実の
審理と
口頭弁論、こういうものを行って明らかにしながら、事の真相をきわめて結審が出ると思うのでありますが、
憲法十四条とのこの関係は、法務大臣はどのようにお
考えでしょうか。