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1976-07-13 第77回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十三日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 板川 正吾君    理事 越智 通雄君 理事 加藤 紘一君    理事 萩原 幸雄君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       坂本三十次君    竹内 黎一君       三塚  博君    安田 貴六君       中村  茂君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         食糧庁長官  大河原太一郎君         食糧庁次長   下浦 静平君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君     ————————————— 五月二十四日  一、総合商社事業活動の規制に関する法律案   (松浦利尚君外四名提出、第七十二回国会衆   法第二九号)  二、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 板川正吾

    板川委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、資源エネルギー庁から、去る六月十五日電気料金改定が行われた東北電力株式会社ほか三社の査定経過について報告を求めます。増田資源エネルギー庁長官
  3. 増田実

    増田説明員 先月の六月十五日に料金改定認可いたしました四電力会社査定につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  この四電力会社につきましての受け付けは、四月五日に北海道電力及び東北電力の二社、続きまして四月の八日に北陸電力及び九州電力の二社、合計四社からの申請を受け付けたわけでございますが、料金値上げは四社平均三四・三三%の申請でございまして、電気供給規程変更認可申請書提出があったわけでございます。  私ども資源エネルギー庁は、この申請を受理いたしました後、料金改定必要性値上げ率積算根拠等につきまして慎重かつ詳細に事情聴取を行いますとともに、各社に立ち入りまして詳細に特別監査を行ったのでございます。さらに、電気事業法第百八条の規定に基づきまして、北海道電力につきましては五月六日及び十四、十五の両日、その他の三社につきましては五月六日、七日の両日公聴会を開催して広く一般意見聴取し、また六月十一日には物価安定政策会議特別部会が開かれまして、料金改定についての討議が行われました。いままで申し上げました特別監査結果あるいは公聴会その他の意見参考にいたしまして、料金原価の前提となります供給計画施設計画等に検討を加えますとともに、各原価項目につきまして厳正な査定を行いまして、経済企画庁とも協議を重ねました後、六月十五日、物価対策閣僚協議会の了承を得まして認可を行ったわけでございます。  これにつきまして、ただいまお手元の方に「四電力会社料金改訂について」というもので料金改定内容その他を取りまとめましたので、これに基づきまして簡単にさらに御説明申し上げたいと思います。  まず、供給計画及び施設計画でございますが、これにつきましては、当初申請会社から出ておりました供給計画につきましては、五十年度の実績が当時まだ未定の状況のもとに提出されておったわけでございますが、実績が確定いたしまして、これに基づきまして五十一年度の供給計画につきまして若干の補正を行っております。また施設計画につきましても、着工時期、工事地点等不確実なものにつきましても査定を行っております。  それから次に、総括原価関係でございますが、内容の詳細は省略いたしまして、ここに書いてございますまず人件費、それから次のページにございます燃料費修繕費資本費、それからその他、この五項目につきましてそれぞれ査定を行ったわけでございます。この結果、三ページ真ん中に書いてございますように、四社の二カ年間の合計総括原価は、申請の二兆七千五百四十六億円から千二百八億円を削減いたしまして、二兆六千三百三十八億円に圧縮いたしたわけでございます。  これの内容につきましては、お手元の資料の六ページをごらんいただきますと、これは四社の合計総括原価申請及び査定の対比でございますが、下から四行目をごらんいただきますと、差引原価が載っております。これが先ほど私から申し上げました内容でございますが、申請金額二兆七千五百四十五億に対しまして査定二兆六千三百三十八億、差し引き千二百八億の原価査定をいたしております。  これによりまして、料金収入といま申し上げました原価の差額が差引不足額としてこの表の下から二番目に載っております。申請におきましては七千三十九億円の二年間における不足額が出る。これに基づきまして三四・三三%の値上げ申請が出ておったわけでございますが、査定の結果、差引不足額を五千六百十一億円に査定いたしまして、この結果、改訂率を二七・〇七%に査定いたした、これが四社の査定内容でございます。  続きまして、もとへ戻りまして、三ページ供給規程変更内容でございますが、この新料金でございます。これはただいま申し上げましたような査定結果に基づきまして、先ほどページの表で申し上げましたように、総括原価に基づきまして料金値上がり率を、三四・三三の申請に対しまして二七・〇七に査定をいたしたわけでございます。  平均単価につきましては、これは最後ページでございますが、十八ページ真ん中のところに平均単価が載っております。これは北海道、東北、北陸、九州及び四社の計がそれぞれ載っております。ここにございますように、平均単価につきまして、四社につきましては電灯が十五円七十二銭から十九円四十三銭、一キロワットアワー当たりでございます。これが電力につきましては九円四十七銭から十二円二十銭、両方を合計いたしましたものが現行十円九十六銭から十三円九十二銭ということでございます。  なお、よく言われております電灯電力との格差でございますが、現行が一・六五、つまり電力一に対しまして電灯が一・六五という格差でございまして、申請が一・六一でございますが、査定の結果一・五九ということで、若干ではございますが、電灯電力格差が縮まっております。  これによりまして、三ページ最後に書いてございますが、四電力会社平均値上がり率は、電灯二三・六〇、電力は二八・八八、電灯電力計二七・〇七%という値上がり率になるわけでございます。  さらに、続きまして四ページ目をごらんいただきたいと思いますが、今回の電力料金改定認可に当たりまして、暫定料金制度実施いたしたわけでございます。現在の物価情勢及び産業状況にかんがみまして、電力料金値上げ影響を少しでも緩和しますために、実施日から昭和五十二年三月三十一日、すなわち五十一年度までの期間は、四社平均改定料金に対しまして一・六六%の割引を行うことにいたしたわけでございます。これは現実には、先ほど申し上げました査定で二七・〇七という値上げ率になっておりますが、これに対しまして二・一二の引き下げを行いまして、暫定料金としましては、二四・九五%の値上げ率、これを五十一年度に適用するということになっております。  なお、生活保護世帯社会福祉施設等に対しましての特別措置といたしまして、これは四十九年度の料金改定の際にも行ったわけでございますが、五十一年度は旧料金を適用することにいたしております。  それから特別料金制度でございますが、これは低圧電力高圧電力甲及び業務用電力につきましては、電力量料金につきましても特別料金を適用することにいたしております。この特別料金制度は、いわゆる省エネルギ観点から、逓増制を敷く、こういうことでございます。  六月十五日に認可をいたしまして、中十日を置きまして五十一年の六月二十六日よりの実施ということになっております。  以上が、先般行いました電力料金値上げ認可につきましての経緯並びにその査定方針その他を簡単に御報告申し上げたわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、各種原価項目値上がりする中にありまして、電力安定供給確保するということを一方で対処する、また同時に、物価の問題につきまして、この電力一般消費者の方々、また各種産業に対しましても、非常に電力値上がりが大きな影響を与えるということを踏まえて、今回相当厳しい態度をとりまして査定をいたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。
  4. 板川正吾

    板川委員長 以上で報告聴取は終わりました。     —————————————
  5. 板川正吾

    板川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
  6. 越智通雄

    越智(通)委員 最初に経企庁物価局長にお伺いいたしたいと思います。  七月一日から麦が上がりまして、いままた消費者米価を二けた、要するに一割以上、二けた上げたいというような声が聞こえてきておりますが、食料品というのは国民生活の基盤でございます。このように主食系統のものが軒並み上がってまいりますと、経企庁がおっしゃっているように、一年間の消費者物価値上げを八%ぐらいという見込みに対して、非常にむずかしい状況になると思いますけれども、今後食料品関係、どういう考え方で進まれるか、まず物価局長さんにお考えを伺いたいと思います。
  7. 喜多村治雄

    喜多村説明員 ただいまお話しございましたように、主食関係は確かに国民の食生活の基本でございますので、これの価格安定のためには、経済企画庁としてはどうしても価格のできるだけ低い安定というものを考えなければならぬと考えております。さきに、消費者麦価につきましては、二〇%一月に上げました後、一六%強上げていただいたわけでございますけれども、この関係は、四十八年十二月に引き上げて以来ずっと据え置いておりましたものを一月に上げていただいて、四十九年度、五十年度についてずっと抑えてきたという関係もございまして、逆ざや等関係が非常に大きな問題になってまいりましたために、そういうことの解消をできるだけするようにという御意見も一方にはございましたために、できるだけ低いということを私たちは主張いたしまして、家計麦価の及ぶ影響力もできるだけ小さいというようなことを主張いたしまして、最大限の努力をいたしました結果、一六・四%ということで決まったわけでございます。ただ、これが便乗になりますと大変困りますので、農林省とも十分連絡をとりながら便乗値上げの行われにくい時期に上げて、しかもそれを抑えていくという努力はしていきたいと思います。  次に消費者米価でございますけれども、先週、つい最近に生産者米価改定になりまして、五・二%の諮問に対しまして、基本米価そのほかの奨励金も含めまして七%強という形で決まったわけでございますが、消費者米価につきましては、一方においては、食管制度の運用上、また財政負担の面から、できるだけ逆ざや解消というような声もございます。しかし、私どもは、消費者米価改定に当たりましては、物価家計への影響ということをまず第一番に考えていただきたいということで、今後、農政上、財政上、物価政策上の観点配慮してという関係省庁協議の中でも、私ども物価政策との関係を特に重視して協議に当たっていきたいと思っております。  確かに、ことしは公共料金等が陸続として上げられなければならぬ時期でございますので、特に物価安定目標を八%前後に置いております関係上、公共料金がそれを大きく阻害するということでは困りますので、公共料金全般についてきわめて厳しい態度をとりますと同時に、消費者米価につきましても、先ほど申し上げたような観点で臨みたい、かように考えております。
  8. 越智通雄

    越智(通)委員 麦価を一年間に二回上げた、二年据え置いたから二回上げた、こう言うのですが、今度は農林省にお伺いしたいのですけれども、国際的な麦価、いま日本人の食べている麦は九割まで、ほとんど輸入でございましょう。国際的な麦価は一ころよりはよほど安定した水準を保っているように思うのです。もちろんこれからことしの世界的な天候異変というのでしょうか、日本では寒くて向こうでは暑いそうでございますが、ともかくそういうことで穀物値段は多少上がるかもしれない。しかし、いまの現状では、安定的に推移している国際麦価をにらみながら、一年間に二度もいまだかつてやったことのない連続値上げをやったというのは、結局それは財政上の理由でしょう。できるだけ逆ざや解消したい。今度の麦価の一六%の値上げで、一体逆ざやの分はどのくらい縮小するのですか。私どもは当初、予算のときには麦の勘定で八百億ぐらいのそういう逆ざやが出るやに聞いておったわけですが、一体どれだけの逆ざや赤字がこの二度目の値上げで縮まるのか。そしてその金は、一体麦勘定でそれだけ赤字が減った金はどう使うつもりか、その点について食糧庁からお答えいただきたいと思います。
  9. 下浦静平

    下浦説明員 お答え申し上げます。  まず麦の逆ざや関係でございますが、これは本年度予算で三三・四%というような見通しを持っております。そこで、七月一日からの麦価改定によりまして一六・四%の引き上げを行ったわけでございますので、その余のものが今後まだ残るということに相なろうかと存じております。  それから金額の面でございますけれども、これはただいま御指摘がございましたように、五十一年度予算では八百五十億円余の損失というものを計上いたしておりますが、そのうち、今回の麦価改定によりまして、平年度ベースで四百二十億円の節約に相なるということでございます。ただ、これは七月一日からの改定でございますので、本年に関しましては三百二十億程度節約ということになろうかと存じます。  国際価格は、いっときほどではございませんけれども、なお国際的な在庫水準が非常に低位にあるということには変わりはございませんので、今後ソ連の作柄の動向、あるいは最近ではECで非常な干ばつぎみであるというような報道もございますので、その辺をにらみますればなお高位不安定な状況が続くというぐあいに私ども見ておる次第でございます。
  10. 越智通雄

    越智(通)委員 そこで、疑問が出るのでございますよ。今年度三百二十億麦勘定赤字が減れば、調整勘定から麦勘定に対する繰り入れば少なくて済むわけでしょう。そうすると、調整勘定でそれだけ余裕が出てきているわけだ。国会に対して、こんなに大変なんです、八百五十億も赤字を出すんですという予算を出しておいて、それが通って二月かそこらのうちに、いきなり三百二十億話が違ってきちゃうわけです。これは国会との関係では非常におかしいと思うのですよ。いままで米やなんかの場合には、予算で見込んでいた以上に生産者の方からの買い入れ値段を上げなければならない、したがって赤字がふえる、その赤字を今度消費者に売る分も値上げをして消していくといいますか、とんとんにしていく、したがって、予算上は当初計上した赤字余り差がない、こういう作業をしていたわけだけれども、今度の一六%の麦価というのは、値上げしなくても予算でいった八百五十億ぐらいの赤字は大体そのままいく計算でありながら、途中で上げて、三百二十億調整勘定に貯金をつくっておるわけです。そういうのは、国会に一たん予算を出しておきながら、後でやって、その調整勘定を、いま聞いたらお答えにならなかったけれども、何に使うんだ、こういう問題になるわけで、それを許していたら、国会で通った特別会計中身は、大福帳というか、ずた袋というか、何だかわからないような使い方になっちゃうんじゃないですか。その点、食糧庁としていかなる考えで今回やったのですか。
  11. 下浦静平

    下浦説明員 この食糧管理特別会計におきましては、予算を組みますときに、米、麦ともに、売り渡し価格につきましては、その予算を組みます当時の現行売り渡し価格で組むというルールがございまして、そういうルールのもとに予算を編成いたしておるわけでございます。  なお、米につきましては、買い入れ価格も同様の扱いをいたしておりますが、麦につきましては、過去一年なり一年半なりの動向を見まして、その翌年の予算単価を決めるということをいたしておるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、五十一年度におきましては、先般の麦価改定によりまして約三百億余の節約がなされる見込みでございますが、これはこの麦価改定だけに着目をした勘定でございまして、なお今後の国際的な穀物価格動向なり、あるいは運賃その他の改定等の問題もございますし、さらに人件費改定の問題もあるわけでありますので、今後の損益の変動要因を見守ってまいる必要があるわけでございますから、現在の段階では、これを何に使うということはまだ申し上げる段階ではございません。  ただ、大局的に申し上げまして、これは来年度の話になりますけれども一般会計から食管特別会計への繰入額がそれだけ節約をされる、先ほど申し上げましたとおり、平年度ベースで四百二十億でございますから、その分だけ節約をされるわけでございますので、その分につきましては、国民食糧安定的供給確保という観点から、総合食糧政策の推進のための経費を充実させるようにできるだけやってまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  12. 越智通雄

    越智(通)委員 いまのお話を伺っていますと、何となく農林省予算をとっちゃいまして、後はどう使うがおれの勝手だみたいな話に聞こえまして、私どもとしては非常にどうも納得しがたい。話を進めますと、いままた米でその手を使いそうな感じがしてしょうがない。生産者米価を決めておいて、それで今度逆ざや不拡大まではわかるとして、逆ざや解消を打ち出すというのは、明らかに逆ざや解消した部分をまた農林省がおれのものだよととっておいて、何に使うか、構造改善にしようか何にしようか、奨励金にしちやおうか、こういうことで、自由自在に食糧庁にそんなにでっかい何百億という金を使わしておいていいのかという疑問を、われわれは感ぜざるを得ない。  そこで、まず第一に聞きたいのは、生産者米価の決め方がどうも納得いかないのは、生産費所得補償方式は堅持する、堅持して前のとおりでやれば二・五%ぐらいの値上がりだと巷間俗に言われているわけです。それがいきなり五・二と出た。そこにかなりの政治的配慮がすでに加わっているように思う。その中身の差をぼくらとしては聞きたい。私どもが聞いているのでは、労賃のアップ率のとり方を変えたというふうに聞いている。それは製造業だけではなくて、第三種産業まで入った全産業アップ率をとった。なぜか。去年の製造業はそんなに上がっておらぬ、その数字では使えない、もしそういう配慮が加わっているならば、それは余りにも御都合主義というか、そういう感じがするのじゃありませんか。そこらをもっと国民に納得のいく方法でやっていただきたい。  さらにその上に、奨励金は別として、ともかく五・二を六・四まで上げられるその一・二についても、何か知らないけれども、利子や何かの計算を変えたとおっしゃるのだが、そこら辺もわれわれとしてはすっきり腑に落ちない。その点を明確にひとつ食糧庁からこの場で御説明をいただきたい、こう思います。
  13. 下浦静平

    下浦説明員 生産者米価決定につきましてお答え申し上げます。  五十一年産米生産者米価につきまして、先般米価審議会を開きまして、御諮問の上、決定をいたしたわけでございますが、本年産米価につきましては、実は米の需給が過剰基調でございます点、これは考慮をしなくてはならないだろう、それから物価賃金等動向がさらに鎮静化をいたしておりますので、これはまた適切に反映させなくてはならないだろうということでございまして、そういう観点からいたしまして、昨年の算定方式、これを実は踏襲をいたした次第でございます。  ただ、その場合、先ほども御指摘がございましたとおり、非常に鎮静化いたしております物価賃金動向等の反映が非常に鋭角的に出てまいりまして、これをこのまま米の価格に反映させるということにつきましては、米が、生産者側から見れば、基幹的な作物であるという点、それから一般国民から見ますれば、基礎的な食糧であるという点、そういう観点からいたしまして、長期的視点に立ちまして、この米の安定的供給確保ということを図っていかなければならないわけでございますので、そういう点に着目をいたしまして、農家所得の維持と申しますか、所得に及ぼす影響等を勘案いたしまして、五・二%の水準米価審議会にお諮りをした次第でございます。  なお、米価審議会は、生産者側退場問題等がございまして、例年のように御答申をいただくようなことにはならなかったわけでございますが、報告書をいただきました。その報告書あるいはその後の関係方面との協議過程で、いろいろな御意見が出まして、これらを勘案をいたしまして六・四%、こういうぐあいに決めた次第でございます。この六・四%につきましても、先ほど申し上げたような事情を勘案してこれを決定いたしたという次第でございます。
  14. 越智通雄

    越智(通)委員 ただいまの説明では、二・五が五・二になって、六・四に上がった経過というのは、正直な話、わからぬです。それはここでもっと明確なお答えをしてもらわなければいかぬと思うのですけれども、いま話の中に二つ大事な問題が出ている。在庫量がある、これは大きな話です。半年分以上あると、こう聞いておる。これを値上げをしたら、消費は落ちるのじゃないですか。すでに米の消費量は落っこってきているのじゃないですか。それを値上げして、さらにおまけに、消費をふやすというわけにはいかなくて、在庫量はどんどんふえている。在庫量がふえるということは、消費者梅雨を越した米を食わせるということです。いわゆる古米を食わせる。私も食べてみたけれども梅雨を越す前と梅雨を越した後の米は、実際問題食べてみてわかりますね。一体在庫は幾らあるのだ、その在庫をどう処理するのだ、そして梅雨を越してしまったいわゆる古米だか古々米だか知りませんが、どのくらいあって、どう処分するつもりか。値上げをしておいて、古米をじゃんじゃん出されて新しい値段で買わされたのでは、全く消費者は泣き面にハチみたいな話なんだけれども、その点を食糧庁お答えいただきたい。  ついでにもう一つ、同時に聞いておきますが、所得の問題が出た。農家所得ってそんなに減っていますか、あるいは伸び悩んでいますか。企画庁にお答え願いたいけれども勤労者所得、去年の絶対水準並びに伸び、それから賃金アップ率、そういうものを農家と比較して、ひとつわかるように説明していただきたい。この二点をそれぞれ食糧庁経企庁お答え願いたいと思います。
  15. 下浦静平

    下浦説明員 米の在庫問題につきましてお答えを申し上げますが、米穀年度末の食管特別会計持ち越し量について申し上げます。  これは昨年の十月末——米穀年度末でございますが、におきましては百十五万トン程度でございました。これを私どもは、今日のような国際的な穀物事情にございますので、本年の十月末には百五十万トンまで持っていこう、さらに両三年中には二百万トンまで持ってまいろうという計画を持っておったわけでございます。したがいまして、これは先ほど過剰基調にあるというお話を申し上げましたけれども、この食管在庫の積み増しと申しますか、持ち越し数量増加自体、これは過剰の結果というわけではございません。そういう計画を実は持っておったわけでございます。ただ、昨年産米が異常な豊作になりまして、いわゆる限度超過米というものが五十万トン程度出たということがございまして、ただいまのところでは、ことしの十月末の持ち越し量は二百三十万トン以上になるというような見込みでございます。これはいま申し上げましたように、五十年産米の非常な豊作、これは史上第四位でございますけれども、この結果によるものでございます。  そこで、この限度超過米の処理を実は昨年の暮れからことしの五月にかけまして急ぎました結果、どうやらこれは処理ができたわけでございますけれども、その結果といたしまして、食管からの売却量が落ちまして、その分がはね返って在庫量、持ち越し量の増加につながったというわけでございます。  この処理でございますけれども、これはやはりそういうことで、こういう国際情勢下の食糧確保という観点から積み増しをやってまいったわけでございますので、これはやはり食糧用に充当していくということでございまして、御指摘のように、梅雨越しをいたしますと品質が落ちるというようなことも事実あるわけでございますので、これはできるだけ低温保管、低温倉庫に保管をいたしまして、品質を落とさないようにいたすというような努力、それからさらに、加工原材料用等には低温保管以外のものを充てていくというようなことをやりまして、できるだけ品質を落とさないように努力をいたすつもりでございます。
  16. 喜多村治雄

    喜多村説明員 昭和五十年度でございますが、農家経済調査によりますと、これは対前年比でございますが、一〇・一%実質増加でございます。ちなみに、この問におきます全国勤労者世帯の伸び率は一・五%でございます。  そこで、それじゃ、伸び率ではなく、絶対値でどうかということでございますけれども、世帯人員が違いますために、必ずしもこれは比較にならないかもわかりませんが、全国勤労世帯では二百八十九万円、農家世帯では三百三十三万円ということでございます。
  17. 越智通雄

    越智(通)委員 いまの企画庁の話を聞いていると、農家所得の安定を考え生産者米価決定をしたというのは、どうしても何かつじつまが合わないわけですね。食糧庁にその点をしかと胸に入れてもらわなければいかぬ。農林省の仕事というのは、農家のことだけ考えればいいのじゃなくて、国民食糧安定的供給というのをはっきりうたってあるわけですから、生産者サイドでだけ物を考えているというのが、こういうところにはっきり出てきているような感じがするのですね。この点は私は非常に遺憾だと思うのですよ。  それで、おまけに、いまの在庫の御説明の中に出てきた、よけいとれたら、結局食糧庁の分だけよけい残っちゃったということをおっしゃったわけでしょう。千二百万トンぐらい毎年生産している。去年千三百万トン以上できちゃったのでしょう。買い入れ数量を制限しているから、買う方は抑えていったかもしれないけれども、よけいできていれば、米はそれだけ出回っているんだから、食糧庁から買うのは、その分だけ売れ残っちゃったわけだ。その八十万トンというものが、計画の百五十万トンが二百三十万トンにこの十月に在庫量のふえる原因でしょう。そうなってくると、生産の方をコントロールするのか消費の方を拡大するのか知りませんが、その根っこを規制していかなかったら、こういうものは価格による調整なんて効かないですよ。その意味では、こんなに値をつり上げて、消費はその結果落ち込みを助長し、生産に奨励をぶっかけたら、幾ら買い入れ制限をしていたって、またまたこれはふえちゃうのじゃないか、こういう感じを非常に強くするわけです。  そこへまた良質米の奨励金というのをつけられた。一俵五百円。私ども、良質米というのは、平たく言えば、食ったらうまい米ということだと思うのですが、食ったらうまい米というのは、実際はそんなにありゃしないと思うのですよ。ところが、良質米奨励金というのはどういうふうに配るのか、一体何という米に配るのか、どういう対象に配るのか、そういう点について何か非常にあいまいでございますね。この点、まずわれわれとしてはその中身を聞いてみないと、本当の意味の奨励金なのか、奨励金という名を借りたかさ上げなのかはっきりしないb食糧庁にまずその点をよく伺いたいと思います。
  18. 下浦静平

    下浦説明員 まず第一点の米の生産問題でございますけれども、これは先生おっしゃるように、生産面でも、実は稲作転換を中心といたします水田総合利用対策というものを本年から始めております。これは米が過剰基調にあるということで、できるだけ米以外の増産を必要といたします農産物をつくっていただくようにしようということで、助成をいたしながら稲作転換を図ってまいるということでございまして、ことしは大体九十万トンをこの水田総合利用対策の目標にいたしまして稲作の転換を図ろうということでございます。  それからもう一つ、これも御指摘にございましたとおり、米の消費拡大につきましても、これは力を入れていかなければならぬということでございまして、本年度から学校給食への米飯導入を中心といたしまして、民間の各団体等で構成をいたします協議会等を設けたりいたしましてただいまやっておるところでございます。まあ、この消費拡大の方は大変息の長い話でございますので、じみちな努力が必要かと存じております。  それから、第二の良質米奨励金の問題でございますけれども、いかなる米を対象にするのかというお尋ねでございますが、これは消費者の選好に応じてうまい米が選ばれるということでございまして、自主流通米、これが現在はそういう消費者の選好、選択によりまして価格形成が行われ、消費が行われておるというようなことでございますので、この自主流通米を対象にいたして交付をするという考えでございます。  ただ、現在、別に銘柄米奨励金というのが出ておりますが、これは来年度以降段階的に廃止の方向で考えていこうということでございます。
  19. 越智通雄

    越智(通)委員 第一に問題になるのは、消費の拡大には学童に米を食わせるんだ、こういう御答弁があったわけですが、これ自身が一つの大きな問題を抱えていると思います。  学校給食の現状、まあ、ここでいまその時間ではないかもしれませんが、学校給食の現状を考えると、これは実際にはなかなか問題でございます。それだけの米飯を炊く施設をつくり、それに見合った給食のシステムをつくってやっていくというのは、これは大変なことじゃないか、このように思うのですけれども、そういうことの十分整備ができてない間に、さっきの話との関連ですが、麦価をどんどん上げまして、ことにこの間の麦価の二度目の値上げで私ども気になりましたのは、パンの原料の麦が一番上がっていますね、レッドスプリングや何かカナダ産の分が。あれじゃ一気に十円ぐらい上がっちゃうでしょう。米食え米食えと言ってパンの方を意識的に上げているのじゃないかという勘ぐりさえ出るわけでございまして、米飯の導入というのは、何といいますか、そういう乱暴なやり方ではなかなか効果が出てこないのじゃないか、そういうふうに思うわけです。その点についてもお答え願いたいと思います。  もう一つは、いまの御答弁の中で、良質米イコール自主流通米だというような感じがしてくるのだけれども、良質米すなわち自主流通米と言えるのかどうか、非常に疑問がある。良質米というのは、さっき申し上げたように、食ったらうまい米。食ったらうまい米というのは、植えといてちょうどうまくできちゃった米ということじゃなくて、うまい米をつくるためには苗のところから違う種類を植えることでございましょう。そして違ういい品種の米を植えると、手間もかかるし反収も落ちるし、したがって、だんだんうまい米がなくなって、味がよかろうが悪かろうがたくさんとれる米を植えるといけないから、良質米奨励金というのを出してやるわけだから、でき上がっちゃってから良質かどうかということではなくて、いい品種を植えたら必ず良質になるかどうかは別として、植えたところでともかくいい品種を植えてなかったら、実際問題そんなものは良質米になりっこないのですよ。自主流通米即良質米だというところは、どうもわれわれとしては解せない。自主流通米は高く売れるからいいじゃないかと言うけれども、その自主流通米が、いまだって価格統制をしているじゃないですか、実際には皆さんの方で行政指導をしているじゃないですか。おまけに、自主流通米がいまなかなか売れないで、標準米に殺到しているじゃないですか。そこら辺について、もっとうまくそういう米の供給が動くような有機的な判断をしないと、私は大変なことになると思う。せっかくおつくりになる良質米奨励金ですから、その点を、自主流通米ならば何でも薄く広くばらまいてしまうというような考え方ではなしに、方針を決めてもらいたい。その点についてもう一遍お考えを聞きたいと思います。
  20. 下浦静平

    下浦説明員 第一点の小麦の銘柄別の価格改定の点でございます。  これまでの政府売り渡し価格でございますけれども、これは実は昭和四十六年の輸入価格を基準といたしまして銘柄間の格差決定しておったわけでございます。ところが、御承知のとおり、昭和四十七年以降非常な需給の基調の変化がございまして、それ以降銘柄間の格差につきましても相当な変動があったわけでございますが、実はその銘柄間の格差につきましては手をつけずに本年まで推移をしたという経過がございます。  そこで、これは現実の輸入格差を十分に反映させるべきであるという観点から、本年の一月の麦価改定におきまして実はその第一回の格差是正をやったわけでございまして、今回が第二回でございます。その中身といたしましては、御指摘がございましたように、ハード系の小麦、これはパン用でございますけれども、パン用の小麦が、実は輸入価格自体ほかの銘柄と比べまして非常に高くなっておるということがございまして、それを今回の格差是正に当たりましても、現実の輸入格差の二分の一を反映させるということで麦価改定に織り込んだわけでございます。したがいまして、確かに平均一六・四%の引き上げ率でございますけれども、アメリカ産のダークノーザンスプリング、これにつきましては一八・八%の引き上げ、それからカナダ産の、ナンバーワンと言っておりますが、これは一八・五%の引き上げ率ということに相なっておるわけでございますが、これは現実の輸入格差を的確に反映せしめないと、国内の需給関係にはもちろん、輸入の関係におきましてもいろいろな混乱が生じますので、そういう措置をとったわけでございます。  それから、第二点の良質米奨励金についての重ねてのお尋ねでございますが、これは先生の御指摘のとおりであると存じます。つまり、新潟のコシヒカリあるいは宮城、山形のササニシキ等、これは非常に反収が低い、それから病害にも弱いというような欠点がございまして、五十年産米におきましても、前年対比で約一割程度減少しておるということでございます。したがいまして、そういうものの増産を図りまして、できるだけうまい米を食べていただこうということでございますが、ただいま申し上げました二つの銘柄のほかにもそれに類するようないろいろな銘柄がございます。そういう銘柄米が流通をいたしまして実は自主流通米を形成しておるというのが現状でございまして、したがいまして、この自主流通米に着目をいたしまして、それを対象としてこの奨励金を交付いたしたいということでございます。  ただ、反面、この銘柄米の中にもさほどでないものも実は入っておりまして、これが自主流通米で流れながら、その反面の部分が実は政府の方に売ってくるというような現状のものがございます。したがいまして、これはどうも余り好ましくないわけでございますので、先ほども申し上げましたとおり、別に従来から出ております銘柄米奨励金につきましては、来年度以降漸減をさせたい、こういうことでございます。
  21. 越智通雄

    越智(通)委員 経企庁長官もお見えいただきましたので、私どもの一番のポイントである消費者米価のことを伺いたいと思うのです。  食糧庁からまずお答え願いたいと思うのですが、私ども感じでは、先ほど来伺ってまいりましたように、従来の生産費所得補償方式でやった二・五、これを五・二に持っていったのは、農家所得その他を考慮してという、勤労者の何倍か上がっている所得まで考慮しながらやっていらっしゃったのですから、これは完全な農業政策というか農政費でございますね。ですから、われわれから言えば、今度の値上げというのは、二・五の単に一・二八倍、消費者米価との倍率ですね、これを考えた、まあ三・何%ありますか、四%がらみのものが本来の消費者米価の当然の値上げ幅であって、それを超えるものは、五・二の一・二八倍も問題だし、六・四なんてなってきますと、非常に問題だ。いわんや一部の人間が、七・三の良質米の奨励金まで入れたところの一・二八倍が消費者米価値上げだ、このような議論は、これは私どもとしてはどうしても理解ができない。  ですから、先ほど来るる伺ってきますと、どう見たって、今度の生産者米価は二・五以上の理由は、ほとんどいま説明らしい説明が聞けなかった。したがって、われわれの一番関心のある消費者米価に関しては、その二・五をかけた倍率でいいんじゃないか、このように思うわけです。ましていわんや、さらにその上に逆ざや解消を乗っける、売買逆ざやの二七%を三年か五年で割って乗っけたらどうだとか、あるいは、少なくは末端逆ざやの一四%がらみのものを三年か五年で割って乗っけたらどうか、段階解消だ、こういうことがちらちら聞こえてくる。私どもとしては、それらの売買逆ざやというのは、本質的には農政費のかたまりみたいなものですから、それを消費者の上にかぶせるのはおかしい。おまけに、先ほど来申し上げてきたように、麦についてやったと同じ手法をいまとろうとしている。逆ざや解消で浮いた分は、食管会計の中でプールしておいて、何に使おうが農林省の勝手でございますみたいに聞こえるわけでございますよ。麦の分についても三百二十億何に使うかいま申せませんと、おっしゃったんだから。国会では八百五十億の赤字が出ると言いながら、この間の一六・四%の値上げで三百二十億その赤字は減ります、減った金どうするんだと言ったら、いま使い方は言えません、しかしこれは農林省のお金ですということをいまおっしゃった。それと同じ手法で米に関して逆ざや解消をやって、その分は食管会計の貯金にしておくんだと。そういう意味に三百二十億があるんだったら、これは米の値上げのときに埋め合わせに使えるじゃないですか、食管会計の調整勘定でこの分は浮くんだから。  そういう点で、いま伝えられているように、消費者米価逆ざや解消まで持ち込む、あるいは七・三に一・二八を掛けろとか、六・四に一・二八を掛けろというのは、われわれとしてはどうしても理解がつかない。その点、一体どうお考えになっておるのか、食糧庁から御答弁いただきたいし、同時に、経企庁長官せっかくお見えですから、その後でお考えを伺わしていただきたい、このように思うわけでございます。
  22. 下浦静平

    下浦説明員 消費者米価につきましてのお尋ねでございますが、先般ようやく生産者米価決定を見たところでございますので、これから関係各省庁と協議をいたしまして決定をいたしたいという段階でございます。  ただ、私ども考えといたしましては、先ほど来私の方からもるる申し上げておりますとおり、五十一年産米買い入れ価格につきましては、一方におきまして生産刺激的にならないような米価、それから一方におきましてはやはり国民の基礎的食糧でございます米の生産の維持というようなことを十分に勘案して決めさせていただいたわけでございますので、やはりこの決まりましたものを基礎にして消費者米価の方も考えてまいりたいというぐあいに考えております。  なお、昨年度は逆ざや不拡大という一つの方針がございまして、それで消費者価格を決めさしていただいたわけでございますが、本年は逆ざや段階解消、これをできるだけ私どもとしては図ってまいりたいというぐあいに考えております。
  23. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 越智さんにお答え申し上げます。  いよいよ消費者米価決定の時期になったわけですが、これは単に消費者というか、物価といいますか、そういう角度だけで考えるわけにいかぬ性質のものです。これは越智さんにおかれましても御承知のように、いま財政が非常な窮屈な状態、私は経済の方は大体軌道に乗りつつある、しかし、財政の方面では石油ショックの後遺症というのが相当長く続くという展望を持っておるわけです。そういう中で財政という角度の考え方、これは非常に重きをなさなければならぬ、そういうふうに思うわけです。そういうことで逆ざや解消、不拡大、これはぜひやっていきたい。できれば多少なりとも逆ざや解消、そういう線が出し得るかどうかということも念頭にあるわけなんです。  しかし、米価の問題はそういう財政上の角度からだけで論ずることはできないのです。一体消費者の立場というものはどうなるか、それからひいてはいわゆる消費者物価への影響はどういうふうになっていくだろうか、こういう角度の問題も考えなければならぬ。  消費者物価の今後を展望しますと、これまた容易じゃないのです。御承知のように、電力料金改定の問題、ガス料金も出てきておる。そういうものがちょっと私どもがかねて考えておったよりは高目に出てきておるという問題もあるわけです。そこへ海外の市況が上昇傾向のものが多い、そういう問題もある。しかし、国民生活は安定的にこれを維持しなければならぬ、そのためには消費者物価問題に格段の努力を必要とする、その辺の立場を十分踏まえなければならぬ。  それからもう一つは、農政上の立場があるわけなんです。さあ、わが国においては米は余り過ぎるくらいできる。ところが小麦に至ってはほとんどこれを海外に依存をする、こういう状態もあるわけです。米と麦との問題、これも十分にらんでおかなければならぬ。  それから、いま食管会計に対しまして一般会計から繰り入れを多額にしているわけですが、これがほっておくと一兆円にもなろうかという勢いになってきておるわけなんです。そのことを考えますときに、そんなような状態になったら、これは食管制度の崩壊までいくかもしらぬ、そういうおそれがあるのです。食管会計を維持するにはどうしても、これは麦と米の問題とは逆になりますが、この格差、食管赤字をできるだけ解消していかなければならぬという要請が農政上からもあるわけなんです。そういう問題を総合的に勘案いたしまして、どの辺の水準消費者米価水準を決めていくかということ、これはよほど総合的に慎重に決めなければならぬ。二十日、二十一日と米価審議会を開催する予定にいたしております。本委員会においても皆さんからいろいろ御意見が述べられる、また米審においても答申があるであろう、そういう広く各界の意見を踏んまえまして、まあこの辺かな、というところで消費者米価問題を処理したい、こういう考えでございます。
  24. 越智通雄

    越智(通)委員 いまの長官のお答えでございますけれども、きのうの記者会見では、大体一割以内におさめたいという御意向をおっしゃったと聞いておりますけれども、私どもも一割以内大賛成であります。ぜひ消費者米価を一割以内におさめられるように御努力願いたい。  それから、時期でございますけれども、昨年だけがたしか九月一日でございまして、去年だけが異例に早かったと思うのですが、一体今度の値上げをいつからおやりになるのか、その点についても、お考えがあれば、伺いたいと思います。食糧庁で結構です。
  25. 下浦静平

    下浦説明員 ただいまお話がございましたように、昨年は九月一日から価格改定をやっております。過去の例を見てみますと、七月にやったこともございますし、大変まちまちでございますけれども、大方のところは十月一日からが多いようでございます。ただ、そういう過去の例はございますけれども、本年につきましては、ただいまのところは全くまだ御相談を申し上げておりませんので、今後よく各方面の御意見を伺いました上で決定をいたしたいと思っております。
  26. 越智通雄

    越智(通)委員 最後に、委員長にもお願い申し上げておきたいのですが、きょう大蔵省来れたら来てほしいということを言っておいたのです。特に質問するということではなかったのですが、この議論を聞いておいてもらいたい。  その理由は、依然として私が釈然としないのは、予算の成立後において逆ざや解消を事実上行う、それによって生じた食管会計の余裕というものは、国会の承認を得ることなく何らかに使われるということになりますと、国会予算を通しているということについてとの関係が非常にあいまいじゃないか、私はこのように思うのです。この点について、いずれかの機会に、この委員会の場をかりてか、あるいは他の委員会でもいいですが、私ははっきりした答弁を財政当局から求めたい。いま企画庁長官がおっしゃいましたように、食管会計の赤字は莫大です。これを解消することについてもよくわかりますけれども、仮にさっきの麦を値上げした三百二十億が、気がついてみたら何か農林省の方の別のものに使われておった。結局、繰り入れが少なくて済むとか、あるいは調整勘定の中で余裕があるからしかるべく使われていたというのでは、われわれとしてはどうしても納得がいかない。今度の米についても、もしそのようなことが起こって何百億といいますか、そんな億が出たら困りますけれども、そういう問題が出てきたときに、財政当局としては、従来のパターンのように生産者米価の引き上げに見合う消費者米価の引き上げではなくて、過去の累積分の解消をするときは、予算審議の際にその旨はっきり方針として国会に了解を求めるべきではないかと私は感ずるのですが、それらの点について財政当局にお伝えいただき、また機会を得て解明していきたい、このように思います。  これで、きょうの質問を終わります。
  27. 板川正吾

    板川委員長 委員長からちょっとお答えいたしますが、御趣旨は大蔵省に伝えて、善処をいたします。
  28. 越智通雄

    越智(通)委員 どうもありがとうございました。
  29. 板川正吾

  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 物価問題の議論に入る前に、若干最近の政局について副総理のお考えをただしておきたいと思うのです。  その一つは、御承知のように、いま三木内閣はロッキード問題追及に焦点を置いて、その結果が出るのを待つという姿勢をとっておられると思うのです。ところが、きょうの新聞等でも御承知のように、いま景気がやっと上向きになってきた。できれば、この景気の上向き状況をそのまま持続していくためには、何といっても早急に臨時国会を召集して、通常国会に積み残した——まあ財界の皆さんは特例法案のことを言っておるようでありますが、そういったものを急いでもらわないと後半に至って非常に混乱を生じてくるのではないか。ですから、早急に臨時国会を開けという要求が相当多数出てきておることは事実だと思うのです。逆に三木内閣の方は、ロッキード事件が先だ、こういう議論が出ておるのですが、そうすると、一体ロッキード事件というのは、八月をめどにして解決するんだろうかどうだろうか。とのロッキード事件というのは、恐らくそんなに底の浅いものじゃない。相当構造的なもの、われわれは構造的汚職と言っておりますが、相当根の深いものであれば、この解明というのは相当長期間かかると思うのです。国民の側から見て本当にロッキード事件は解明できたんだということは、私はとうてい早急にはむずかしいということになると、早期臨時国会を召集させようという一部——これは一部か多数かわかりませんが、そういう要求とロッキード事件を解明するというものとの接点を一体どこに置いておられるのか。物価問題にしても、これから後半に入って非常に重要な局面を迎えてくるのですが、そういう具体的な議論をする場としての国会というものを想定した場合に、副総理としては、臨時国会の召集めどというのは一体どういうふうに考えておられるのか。三木総理の発表しておられる——三木さんではないかもしれませんが、三木内閣と言っていいのでしょうか、そういう点をどこに置いておられるのか。副総理に質問する機会がありませんし、私はロッキードの特別委員ですけれども、一遍もおいでになりませんので、この際、副総理から明確にお答えいただきたいと思うのです。
  31. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 先国会積み残しの諸案件があるわけであります。特に重要なのは財政特例法、それから国鉄の運賃法、それから電電公社の料金に関する法律、この懸案三法案は早急に御審議を願い、そしてこれを成立させなければならぬ、これはそういう立場にあるわけです。そういうことを踏まえまして、自民党の中にも早期臨時国会召集論、これは相当根強くあります。それから党外におきましても、そういう要請があるわけであります。  しかし、それらは十分私どももよくその動きを検討しておるわけでありますが、問題は、臨時国会召集ということよりは、それらの法案をいつ成立させることが可能であるかという判断、これが大事だ。まあ、ロッキード問題にも絡みますけれども、さあ臨時国会を召集しました、ロッキード問題がその処理の重要段階であるというような際の臨時国会になりますと、大事な議事というもの、これは懸案処理の方がなかなか進みにくいんじゃないかということも考えられるわけです。  そういうことで、いま財政特例法等懸案三法案は一体いつまでにこれをぎりぎり成立させる必要があるのかということを検討いたしておるわけなんです。まだ、その検討がぎりぎりのところどうだという検討が済んでおりませんので、その時期について申し上げるわけにはいきませんけれども、その見当がつきましたならば、与野党とも話し合っていただきまして、一体どのくらいの期間がこの臨時国会としてはそのために必要であるかということを判断しなければならぬ。それに伴って、臨時国会の召集時期が決まってくる、こういう手順に相なろう、こういうふうに考えておるわけなんです。何せしかし、ロッキード問題がいよいよ重要な段階に入ろうとしている、そういう際でありますので、これの動きも見なければならぬ、かたがたいつまでにこの懸案三法案の国会における成立を必要とするかという最後的の詰めをしなければならぬ、こういうことで、いま臨時国会早期召集論につきましては様子ながめである、こういうふうにお答えするほかありません。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いろんな閣僚が、あるいは衆議院の議長さんは言われませんが、参議院の議長がアメリカに行かれていろんなことを言われるのですね。率直に言って、われわれの任期切れは十二月九日ですけれども、いまの副総理のお話をお聞きしておりますと、要するに七十七国会の積み残し重要法案をぎりぎりいつまでに成立させなければならぬかというところに臨時国会召集日のウエートがあるのか、それとも、ロッキード事件というのは、いま巷間言われておるようにそんなに簡単なものじゃないと思うのですよ、私たちから判断をしてみて。八月ごろすぐすべてが解決するという、そんな単純なものじゃないと思うのですね。もっともっと根の深いものだ、こういうように私たちは思っておるのです。そうすると、副総理としては臨時国会の召集というのは、要するに積み残した重要法案の成立をぎりぎりいつまでに成立させなければならぬかというところに召集のポイントがあるというふうにわれわれは理解をしていいのか、それともやはりロッキード事件の絡みで、ロッキード事件がある程度解明されなければ見通しは立たぬのだ、こういうふうに理解をすべきなのか、大体副総理はどっちの方にウェートを置いておられるのですか。
  33. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 仮に財政特例法案が一定の時期までに成立しない、こういうことになりますれば、これは国政全般にわたりまして重大な影響があるわけです。国政が麻痺するというような事態に当面すると申し上げても支障はないのです。それから国鉄運賃法、また電電公社の料金の法案等につきましては、これは財政特例法案のように国政全体にわたるというよりはむしろ局部的な影響というふうになろうが、局部的にせよその与える影響というものは非常に深刻である、そういうことで、大体三法案につきましていつまでに成立を要する、ぎりぎりいつまでだ、こういう見当をつけたならば、この審議並びに成立、これがすべてに優先する、こういうふうに考えるわけであります。そういう見地から臨時国会の召集時期は検討さるべきである、さように考えております。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから次に、サンファン七カ国首脳会議のことについてお尋ねしたいのですが、御承知のようにこの会議は黒字国の責任論だけが出された会議であって、かえってわが国では何かおもしをつけられたような会議だったという批判もあるわけでありますけれども、経済担当大臣としてはこのサンファン会議の結果についてどういう評価を持っておられるのか、特に経済担当大臣としての見解を承っておきたいと思います。
  35. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いま世界の経済情勢が非常に大事な段階である、そういう大事な段階で、昨年の秋ランブイエ会談が行われた、大体そのランブイエ会談の同じ顔ぶれが再びサンファンにおいて会合するということになったわけでありますが、そういうふうに大事な段階を迎えた世界情勢の中で各国の指導者たちが会うこと自体に私は非常に大きな意味があると思うのです。大方の話をしておけば、問題が起こったというときにはまた非常に彼此相通ずる、その関係がよくなる、場合によれば電話もかけて相談もできるというような雰囲気になってくる。私はそういう意味において、この会談でこの半年の間に再び各国の首脳が会談をしたというところに大きな意味があると思うのです。  それから同時に、昨年のランブイエの会談のその時期は、各国とも経済不況、失業問題、そういうことで大変混乱をした時期であります。それが半年後におきましては、まあ大方の国がその当時の様相と相当変わってまいりまして、イタリア、イギリス等におきましてはまだ景気回復の顕著な兆しというまでには申し上げられませんけれども、その他の国は着実な景気回復の段階に入った。そういう段階で、さてインフレない持続的な成長をどういうふうに実現するかというこの会議のテーマでありますが、そういう問題について、これは一国だけの努力では十分ではありません、各国が共同してやる、そういうことで話し合いをするということは大変意義があることである、こういうふうに考え、私は大変いい会談であったという評価をいたしております。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 御承知のようにいま非常に景気が上向いてきつつあるというのは、政府の見通し以上に輸出が非常に好調だ、そのことに実際の景気の急速な回復が支えられておるということになっておるわけですが、これから輸出がある程度鈍化するといたしましても、輸入の増加というものが期待できないのですね。輸出の伸びに比べて輸入というのは大体ほとんど伸びておらない。そうすると当然貿易収支というのは黒字基調ということになりかねないわけですね。そうなってくると、今度の七カ国首脳会議で暗黙裏に出たと言われている黒字国の責任論ということからすれば、輸入というものをもっとふやしてバランスさせていくということを考えなければならぬときが当然来ると私は思うのですね。アメリカの貿易収支の赤字の半分以上日本の黒字が累積しますと、当然アメリカの方から円切り上げとかいろんな意味の圧力がかかってくることは私は否定できないと思うのです。ということを考えてきますと、一体輸入をふやすという考え方、これをこれからどういうふうに輸出とバランスさせようとお考えになっているのか、そういう手だてを持っておられるのかどうか、そういうことについてちょっとお伺いしたいと思うのです。
  37. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いまわが国の輸出が非常によろしい、逆にわが国の輸入の方ははかばかしい増勢を見せておらぬ、したがってわが国の貿易バランスが非常に黒字基調を強めておる、これはお話のとおりでございます。さて、それじゃその状態は今後どういうふうになっていくのだろうという展望をしてみますと、これは、いまのそういうわが国の貿易黒字バランスがどこから出てきたかということを考えてみる必要があるのです。つまり、輸出がいま非常な好調であるというのは、これは特にアメリカに対して強いわけでございますが、このアメリカに対する輸出の激増、これはアメリカがこれまで在庫補充という段階にあったのです。たとえば自動車である、あるいはテレビである、そういうものの在庫が非常に少なくなってきておる、景気がよくなるからその売れ行きが始まるだろう、そこでその在庫を補充しなければならぬという情勢がありまして、それが主たる対米輸出増加の原因である、こういうふうに見ておりますが、さあそれだけの輸出があったわけですから、だんだんアメリカ側の在庫は補充される、そこで適正在庫という状態に今日もう大体なりつつある、こういうことでございます。そうしますと、アメリカの景気がよくなってきた、それに伴いまして自動車が売れます、テレビが売れます、そういうようなことで、在庫補充じゃなくて、その売れ行きによる在庫を補充するという意味の規模の輸出ということになっていくだろう、こういうふうに思いますので、本来の在庫補充段階を終えた今日までは非常なそういう意味においての輸出の大幅な拡大がありましたけれども、これからはさように伸びていくという状態は予想されない、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、逆に今度はわが国におきましては景気が回復過程に入ったわけでありますけれども、さてそれには、象徴的に生産が非常な一月からの伸びである。その生産に必要な資材、これはどうかというと、あの狂乱物価当時の思惑買いというようなこともありまして、これは相当多量の在庫を持っておるわけなんです。それを食いつぶしておる。したがって、新たに外国から資材を輸入する、あるいは資源を輸入するというような必要がそう強くは起こってこなかった。しかし、わが国におきましてもだんだん輸入在庫が使い果たされまして、もう外国から新たにこれを輸入をしなければならぬという段階になる。そうすると、輸入もこれから自然にふえてくるということになると思うのです。  したがって、これからを展望しますと、輸出はそうはいままでの勢いでとても伸びません。逆に輸入の方は逐次増勢に転ずる。現にこの輸入契約の状態なんかを見てみましても、そういう傾向を顕著に示しておる。こういう段階でありまして、これまで半年間のこの貿易バランス状態は、やや異常なそういう状態である、これから正常化されるだろう、こういう展望をいたしておりまして、特に輸入のため何か手段を講じなければならぬというふうには考えておりませんです。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ただ、私が非常に恐れるのは、過去に経験を持っておりますので、いま副総理が言われたように、心配しなくてもいいということで、バランスするんだということであれば問題はないのですが、仮に首脳会議で出たように黒字国責任論というようなもので、逆に言うと外貨減らしとか、あるいは円切り上げという事態に追い込まれてきたときに迷惑するのは国民の側ですから、ですから言われたことは実行していただきたい。ぜひ過去の例は今度の場合には起こり得ないんだと、起こらないということをいまの副総理の言葉で私は受けとめておきたいと思うのです。そういうふうに理解をさせていただきます。  ただしかし、非常に危険に思いますのは、いま大蔵省の方を調べてみますと、毎日の直物買いのドルですね、一億二千万ドルから一億三千万ドルを買っておるわけですね。非常に高いわけですね。そうすると逆に言うと、そのことはまたある程度日銀が介入しておるんだろうとは思いますけれども、しかし、いずれにしてもこれが異常に高いということはそれだけまた過剰流動性が国内にふえつつあるということを私は示していると思うのです。これがそのままずっと行くとは思いませんけれども、こういうものについてもある程度経済担当大臣としてぴしっとしておいていただかないと、私はまた過去の二の舞が起こってくるんじゃないか、また引き締め基調というものに移らざるを得ないんじゃないかという気がするのですが、そういう点についても副総理、すでに把握はしておられると思うのですが、ぜひ間違いないように経済運営を図っていただきたいというふうに思います。
  39. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 過去の経験と申されますが、あのときはわが国においては固定相場制をとっておったのです。ところが、実勢はだんだん円が強くなる。それにもかかわらず三百六十円というこの固定制を堅持しておったものですから、輸出はどんどんどんどんふえる、こういうような状態でありましたが、いまは変動為替制でありまして、円が強過ぎるというような事態でありますれば、それに応じまして為替相場もまた変動するわけです。現に一月ごろは一ドル三百四円でありましたか、それが今日では一ドル二百九十六円、そういうところまで来ておるわけでありまして、これはそれだけ輸出にブレーキをかけ、また輸入を促進するという効果を持つわけでありますが、為替相場につきましては、これが非常に投機的な状況があって乱高下をするというような状態があれば介入する、これは私は当然そうしなければならぬと思いまするけれども、通常の状態においてはこれに介入しない、自然の流れに任しておくということで、いま松浦さんの御懸念の点は対処し得るのではあるまいか、そういうふうに考えております。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それからもう一つ物価問題で心配なのは、昭和五十一年度の消費者物価の上昇率は八%ですね。そうすると、五月末現在で消費者物価が二・九%上昇をいたしておりますね。その点事務局、間違いありませんか。
  41. 喜多村治雄

    喜多村説明員 そのとおりでございます。
  42. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうしますと、当初政府が八%という消費者物価上昇を見込んだ段階公共料金の上昇率というのは大体二%だったというふうに理解をしておるのですよ。八%の中で二%公共料金の上昇分を見込む、そういう考え方だったですね。これは事務局間違いないでしょう、当初は二%であったですね。
  43. 喜多村治雄

    喜多村説明員 公共料金を割り当てておるわけではありませんけれども、見通しておりましたのは二%強でございます。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、その二%強というのは大体二・五から二の間ですね。
  45. 喜多村治雄

    喜多村説明員 おおむねそのとおりでございます。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうしますと、仮に公共料金が、今度消費者米価値上げその他で、福田副総理の手腕いかんによっては二・五ぎりぎりのところにいくかもしれないですね、二・五の一番上に。そうすると、非公共料金の部門の消費者物価指数に占めるウエートというのは大体八%から二・五引いた五・五%ということになりますね。そうすると、五月末現在の二・九%の中に含まれておる非公共部門の消費者物価の上昇率は幾らになっておりますか。二・三%でしょう。二・九の中の二・三が非公共部門の上昇率ですね。
  47. 喜多村治雄

    喜多村説明員 二・三ぐらいになります。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうしますと、公共料金を除いた分は五・五%ですから、そうすると、五月末現在ですでに二・三%上がっておるわけですから、これから十カ月間の政策ウエートとしては五・五から二・三を引いた三・二%しかないわけですよ。具体的な数字として三・二%しかないわけですね。十カ月で非公共部門だけで三・二しかない。私は非常にむずかしいと思うのです。公共料金についてはある程度政策的に抑えることは可能ですね。行政指導でやることも可能です。ところが、非公共料金部門についてはいままで政府は標準価格等を実施したときには行政指導という形でやりましたけれども、それも公正取引委員会等の厳しいあれもありますから、なかなかむずかしいということになれば、率直に言って、現状のままの状態でいけば年度上昇率の八%というのは非常にむずかしい。公共料金をよほど抑えない限り、極端に言うと八%というのはむずかしい。場合によっては二けた台に乗るんじゃないか。その危険なあらわれが私は十カ月連続卸売物価上昇という形だと思うのです。現実に十カ月ずっと卸売物価は上昇しっ放しですから、これがいよいよ八月から十二月ごろにかけて消費者物価影響を与えてくるということになりますと、いまどちらかというと景気の方に焦点が置かれて、物価というのは、物価局としてはあるいは担当大臣としては決して従だということは言われないと思うのですが、何か三木内閣全体の動きとしては景気が中心で進んでおって、もちろん物価等も言っておられるけれども、そういう状況を今日まで分析をしてみますと、物価というのは非常に重大な段階にいままさに来ている、峠に来ておるんじゃないか、へたをすると年末にまた二けた台のインフレ狂乱という形が出てくるのじゃないか。そのおそれなしとしないのですよ。  そういう点について福田副総理に、どういうお考えに立っておられるのか、私は非常にむずかしくなってきておると思うのですが、決意だけはもうよくわかっておりますけれども一体大丈夫なのかどうか、一体物価というのはどういうふうに考えておられるのか、その点をひとつ正確にお答えいただきたいと思うのです。
  49. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 物価問題は、基本的には経済の運営を節度を持ってやっていくということで十分対処できる。ですから、物価が再び非常に混乱し、インフレが起ってくるかというようなことを言う人がありますが、そういう心配は私は絶対にない。そのためには節度のある経済運営をやっていく、こういうふうに思います。ただ、インフレというような混乱状態ではないけれども物価が上がりぎみでいくのか下がりぎみでいくのかあるいは横ばいでいくのか、こういう目標に対しての話ですが、目標を上回る状態になるのか目標を下回る状態になるのか、あるいは目標の線でいくのか、こういうことになりますと、これは多少——多少というかかなり努力は必要である、これは前々からそう考えているのです。手放しで、あれだけの大きな打撃を受けた後の日本の物価をそう簡単に安定させるわけにはなかなかいかぬだろう、努力を要するというふうに考えておるのですが、まさに今後のわが国の物価情勢を展望してみても、インフレになるということはもう絶対にこれは心配ありませんけれども、そういう中において努力する必要がある、そういうふうに考えております。  これから先の物価一体どうだといいますと、一つは、やはり消費者物価になりますと賃金問題があるのです。この賃金は、率直に申し上げまして、私ども消費者物価目標を五十一年度の問題として八%だという目標を立てた、そのとき考えたよりはこころもち低目に決定されておる。つまりベース賃金が八・八、これは当時考えておったよりは低目でございます。ところが、所定外賃金の方はかなり伸びておる。そういうことがありまして、賃金全体といたしますと、これは当時想定をいたしたものよりはこころもち低いようなところで決められたんじゃないか。この賃金消費者物価にはかなり響くわけです。大企業の方は、賃金が上昇をいたしましても生産が増加する。それに伴って生産性の向上が見られる。したがって、これを製品の価格に転嫁するという度合いが低いあるいはない場合もあるというような状態でありますが、消費者物価というのは中小企業物価であり、また各種料金、手数料、そういうようなものでありますので、これはどうしても賃金影響、これが消費者物価にはかなり大きく覆いかぶさる性向を持つわけでございますが、その賃金が、とにかくこころもちとはいえ低目に決まったということ、私はこれは消費者物価の今後に対して非常に明るい材料である、こういうふうに見ております。  それから、もう一つ問題がありますのは公共料金です。先ほど局長からお答え申し上げたように、公共料金がまた消費者物価をかなり押し上げる要素になるわけで、昨年度八・八%上昇という中で大体二・七%ぐらいが公共料金要素であったろう、こういうふうに見ております。大体昨年度の消費者物価が八・八だ、それを一割ぐらい下げる、こういうことで八%を五十一年度は目標にしておりますが、それに見合ってという考え方公共料金の方も、昨年は二・七%の上昇だった、それを二%強、つまり二・五%以内ということを考えておったわけでありますが、何とかしてその辺で公共料金も抑え込む、こういう考えでございます。  それから、あとは卸売物価がまた時間を置いて消費者物価にはね返ってくるわけでございます。これにつきましては、需給がいま非常に緩んでおる状態でありますので、多少の影響はあるいはあるかもしれませんが、さほどのことはなかろうか、こういうふうに考えておるわけでありまして、総体といたしましてまあまあ八%目標を根本的に脅かすというような状態はいま見られない。  ただ、これから景気がどういうふうになっていくか、恐らく回復過程をずうっとたどっていくだろう、こういうふうに思いますが、その間景気回復の摩擦現象といたしまして物価上昇の要素になるわけです。それがならないように経済全体としてのバランス、また個々の物資の需給、また個々の物資の価格、そういうものにつきまして細心の注意を払いまして、とにかく目標とする八%上昇、この線を守り抜いていきたいし、また守っていける、こういう見通しを持っております。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは抽象的な議論ですから結果が出てみなければわからぬのが常ですが、率直に言って二カ月間で非公共部門の指数が二・三上がっているわけですから、これから残り十カ月でこの三・二というものが本当に守れるのかどうか。福田副総理の手腕を相当発揮しなければ抽象的な議論だけでは、私は率直に言って数字的にむずかしい状態が来ているという気がしてなりませんので、この点は結果が出てみての議論では後の祭りでしょうけれども、副総理の言ったことが違っておれば——大体当たったことはないのです、いつも後でまた修正をすることが多いのですけれども、しかし、いま言われたことを信用してぜひがんばっていただきたいというふうに思います。  それでもう一つ、これは物価局長で結構ですが、どうもわれわれやはり信用できないなと思いますのは、例の五月一日にLPGの標準価格を撤廃いたしましたね。そのときに私たちがいただいた資料は、もう供給もだぶついておるし、不需要期だから標準価格を撤廃したって上がりませんよということだったのです。なるほど理論的にはそうなんですよ。ところが、標準価格を撤廃した途端にじりじり上がりまして、北海道あるいは東京なんかもう相当大幅に上がってきておるわけですね。私はやはり物価政策というのは、ある程度国民に信頼感と信用を与えることが物価対策の基本だと思うのですよ。それが五月一日約束されたものがもうずっと上がってくる。私は物価局なり経済企画庁の責任だとは申し上げませんよ。そういう点だけはやはり大丈夫なら本当に大丈夫のように監視をして、しかもきょう来ておられませんけれども、エネルギー庁のごときは、この年末までには百円ぐらい上がるでしょう、こう言っているのですね。百円以上上がったらどうかするけれども、それくらいまでは静観をしますというようなことを堂々と新聞に述べておられますね。私はそういうことでは幾ら物価物価と言ってみても国民は信用しないと思うのですね。起こった結果についてここでいろいろ申し上げませんけれども、こういったことについてもひとつぜひ物価局の方でも十分エネルギー庁あるいは通産省と話し合いをして、少なくとも約束を守っていく、守るための行政をやる。この四月、五月に卸売物価が上がったのは通産省が減産指導したのがけしからぬのだ、すべての犯人は通産省の減産指導だ、こういうふうに結果が出てから言うけれども、それならなぜ結果が出る前にそういう指導をしなかったのか。それが総合的な経済を運営する、経済を見通す経済企画庁の責任じゃないか、こういうふうに思うのですね。この点についてどうでしょうか。局長からでも結構です。
  51. 喜多村治雄

    喜多村説明員 LPGにつきましては、五月一日に指定物資から外したわけでございまして、その理由といたしまして、国民生活安定緊急措置法によります法的要件が消滅したことによってそうなった、私こう申し上げました。確かにそういう事態でございました。そのときにLPGの値上がり分が心配であるという御質問もございまして、エネルギー庁の方からも私の方からも、上がる地域もあるかもしれないけれども下がる地域もある、全体的にできるだけ抑えていきますというお約束は申し上げたつもりでございます。現に五月を経過いたしまして、最近の通産省の調べによりますと、いま仰せになりましたように部分的に上がったところもございます。しかしまた、部分的に下がっているところもないわけではないわけでございまして、私どもは常にどの程度単価アップを掛けていっているだろうかということをいつでも注視しております。ただ自由価格にいたしますために、多少そういう上げぎみのときには上がってくるということもやむを得ないものかと思っております。それが標準価格を設定いたしておきますと、むしろ標準価格を上げろという圧力の方が強くなってまいりまして、その両者の関係考えますと、むしろ外した方がいいという判断をあのときにいたしたわけでございます。言いわけになりなりますけれども、監視はいまでも十分やっておるつもりでございます。  そのほかにつきましても、減産指導云々につきましては、確かに私どもも通産省に減産指導をなさっておる最中にお願いを申し上げたり、忠告をしたりなんかいたしまして、その点につきましてはぼつぼつと解除していただいておる最中でございます。先生仰せのとおり、常に結果ではなくて、その途中において注視するということについては従来もそういたしておりますが、これからもそのようにいたしたいと存じます。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は責めておるつもりじゃないのです。要するに、そういう結果が出てからじゃもう遅いわけですよ。ですから、結果が出る前に政策を講じなければならない。もう三木内閣が反三木と三木派で混乱をして統治能力を失っておるという状態だから仕方がありませんというなら、これはしようがないけれども、統治能力を持っておられるでしょう。ということになれば、結果が起こる前にそういうものについては具体的にぴしぴし処置をしていくということが必要じゃないか。特に実力者の副総理がおられる経済企画庁ですからね。長官どうですか、いまさっきから言ったことは、過去から見てびしびしやってもらわぬとだめだと思いますね。
  53. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 どうもさっきから、私どもが申し上げていることがいつも違うというようなおしかりを込めてのお話でございますが、そうでもないのです。消費者物価は四十九年一五%目標と言ったのですが、これはそれ以下でおさまっておる。また五十年度におきましても一けた、こういうふうに申し上げましたが、余裕を持って一けたを実現いたしておるわけでありまして、大体申し上げていることは実現をされておる、こういうふうに見ておるわけであります。個々のことにつきましてもお話があることはそのとおりだ、こういうふうに思いますので、この上とも物価政策が申し上げていることと違うじゃないかと言われないようにいたしたい、かように存じます。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、最後になりましたが、米価の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいのです。  率直に言いまして、先ほど越智委員から詳しく御質問がありましたから、もう私はくどくど申し上げませんが、今度決定をなさいました良質米奨励金というのは一体食管会計で負担をすべき性格のものなのか、それとも全体の農業政策の中で支出をすべき予算なのか、その点はどっちだというふうに事務局は考えておられるのですか。
  55. 下浦静平

    下浦説明員 ただいま交付をいたしております銘柄米奨励金というのがございますが、これは食管特別会計から交付をいたしておりますので、今回の良質米奨励金につきましても食管特別会計から支出をいたすという考えでございます。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その良質米奨励金というのは全体の農家の方に渡るものじゃありませんよね。逆に言うと、北海道なんか地質と水の関係で良質米をつくろうと思ったってできないのです。ということになってきますと、これは特定の地域にしか行かないものなんでしょう。だから、生産農家全体に行くものでもないわけです。特定の農家にしか行かないんですよ。そのことはもう間違いないでしょう。それはどうですか。
  57. 下浦静平

    下浦説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、従来からの銘柄米奨励金につきましても同様な問題はございます。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうしますと、その良質米奨励金というものを出さなければならない根拠というのは、当初から食糧庁の方にあったわけですか。良質米奨励金というものをどうしても農業政策上あるいは食管上出さざるを得ないというふうに事務当局としては思っておったのですか。どっちなんですか。
  59. 下浦静平

    下浦説明員 ここ一、二年の現象といたしまして、新潟のコシヒカリあるいは宮城、山形のササニシキ等の超優良銘柄米でございますが、そういったものの作付及び生産量が減退をしてきておるということがございまして、これを何とかしろというような御意見が実は各方面から昨年来かなり強く出てまいっております。それから片や銘柄米制度自体でございますけれども、これは先ほど来大分御議論があったわけでございますが、自主流通で流れますもの、それからそれ以外に政府へ売ってまいりますもの、この二本立てになっておるようなものもかなりございまして、実はこれに対する批判も昨年来かなり出ておりますので、それらを総合的に勘案をいたしまして今回の措置をとることにいたした次第でございます。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私が聞いておるのは、それなら、初めから必要なものなら、これは資料をきのう持ってきて説明を受けたのですが、非常に反収は低いし、病気にかかりやすい。ですから、多収穫の方に農家の人たちがみんないく。だから、良質米の生産がダウンしてきておる。ササニシキやなんか二〇%近く作付が落ちてきておる、だから必要なんだ、こういうことなら、なぜ初めから諮問する段階で良質米奨励金というものを出さなかったのですか。本当に農政上、政策上必要なら、初めから食糧庁自身が、農林省自身が、諮問の中に良質米奨励金というものを入れるべきだと私は思う。あなたが言うような理屈なら初めから入れなければいかぬでしょう。なぜ入れなかったのですか。
  61. 下浦静平

    下浦説明員 先生の御指摘でございますけれども、現在銘柄米制度がございまして、その中で指定銘柄米とそれから特例銘柄米という二つの銘柄米がございます。その前者の方に対しましては六十キロ当たり四百円、それから後者の方に対しましては二百五十円の奨励金が実は出ておるわけでございまして、これとの関連がございますものですから、私どもといたしましては今回の良質米奨励金というものになかなか踏み切れなかったというのが実際の問題でございます。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 副総理、私は率直に言って、良質米奨励金というのは高度な政治的な判断で出てきたものだと思うのです。そのことは、与党と政府との間で、農家の立場というもの、農政というもの等考慮した上で出てきた、やはり農業政策として出てきたものだというふうに理解をするのですよ。良質米を増産させるということについては、農政上重要なものだとして出てきたと思う。ということになってくるなら、それは食管会計から支出すべきじゃなくて、その分を出すなと私は言うわけじゃない、その分は少なくとも消費者米価にはね返らさない、本来の農林省予算の中から出されるべき補助金的な性格のものだ、そういうふうに理解をしないと、消費者の方自身がたまったものじゃないと私は思うのです。極端に言うと、農業政策上に必要な資金まで全部消費者の方がかぶらなくちゃいかぬというようなことに結果的になってくると大変だと私は思いますから、そういう仕分けというのが、いまからでも遅くない、やろうと思えばできると思うのですが、副総理、そういうことはできませんか。良質米奨励金についてだけは農林省の予備費なら予備費から支出をする、食管会計にははね返らさない、そしてその上に立って消費者米価というものについての議論をする。そうすると、大分変わってくるのですよ。そのとりょうですね、見方。だから私は、この良質米奨励金を減らせと言っているのじゃない。出すことについては大いに賛成です。それはあくまで農政上、自主流通米がダウンしてきておる、大豆の作付をふやすあるいは麦の作付をふやす、それと同じ性質のものだ、そういうふうに私は理解すべきだと思うのですが、副総理、どうですか。
  63. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そこは大変議論の分かれるところだ、こういうふうに思うのです。銘柄加算につきましてもさような議論があったのですが、結局これは食管会計で負担をする、こういうふうにしたわけですが、その銘柄加算と大体同じような性格のものですね。そういうことで、ただいま政府としては銘柄加算と同様に食管会計から支出をする。しかし、その支出の原資は、赤字状態の食管会計でありますので、これは一般会計からの繰り入れという性格になるわけでございますから、実際問題とすると、実益といいますかそういう点から言うと多少違った結論にはなってくるわけでございますけれども、とにかく会計処理としてはこれは食管会計負担ということにいたすという方向で大蔵省では農林省と相談をしている、こういう段階でございます。確かに議論の分かれるところであると思います。
  64. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、今度米価審議会消費者米価諮問なさるわけですけれども、非常に財政的に特例法を出さなければならぬような状態になってきておる。食管会計も非常に赤字だ。ですから生産者米価をストレートに消費者米価の方に上乗せする、逆に八千四百億くらいの食管の赤字についてもこの際何カ年か計画でその分も消費者に上乗せしていこう。ですから、少なくとも二けた以上の消費者米価というものを大蔵省財政当局は要求しておる。そうすると、福田副総理の方は、経済企画庁として物価に与える影響が大きいので、きのうの新聞発表によりますと、九・九以下、一けた台に抑えたい、こういうふうな議論がいま出されておるわけですけれども、具体的に言うと、副総理としては、きのう新聞記者会見で発表なさった最高九・九、それ以下に消費者米価を抑えていくというお考え方ですね、現状は。その点はどうですか。
  65. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 消費者米価問題は、先ほど越智さんに申し上げたところですが、主として三つの角度から検討しなければならぬ。財政上の角度、それから農政上の角度、それから物価対策上の角度、こういうことですが、いま財政が非常に窮屈なものですから、大蔵省においては非常に強く逆ざや解消、これを主張するわけなんです。それから農林省におきましても食管制度維持というような立場から、余り逆ざやが大きい状態、これでは適正にこれを維持していくことはできない、こういうことでこれまた逆ざや解消、これを考える、そういう状態です。しかし、国全体の経済秩序というか、その中で非常に大事な問題は何といっても物価です。特に公共料金につきましては、しばしば申し上げておりますが、五十一年度においては二%強の程度にこれをおさめたい、こういう考え方をいたしておるわけで、企画庁といたしましてはやはり財政上、農政上の角度ばかりにとらわれるということはできない。物価政策、これが安定的にいく、そのために米価水準はどこの辺に決むべきかという角度の考え方が必要であるということを考える、これは当然そういうことでなければならぬと思います。ただ、まだこの段階では関係各省と相談もいたしておらない。おらないので、何%程度という見通しを申し上げることはできないわけなんですが、とにかく財政、農政、そういう角度もあるけれども物価政策米価決定が支障を来たさないという程度においてはぜひその方向で決めていきたい、こういうことでございます。
  66. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間がありませんから、二つだけお聞きしますが、きのう新聞記者会見をなさって九・九以下だというふうに言っておられて、きょう九・九ということがずっと流れているわけですが、あれはうそですか。
  67. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いま松浦さんに申し上げたようなことを新聞社の諸君に申し上げたわけなんです。それを一けたを示唆というふうに書いておる。これは記者諸君の受け取り方がそういうことであったかと、かように存じます。
  68. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから最後に、一つだけ大切なことをお聞きをしたいのですが、いま食糧庁は食管会計の赤字、その問題を抱え込んで、総合農政ということについて食管会計の赤字そのものが非常に障害になってきておる。ですから、ほかの農政振興の方に予算が回ってこない。ですから、極端に言うとその食管会計の赤字というのが重荷になってきておる。できれば良質米奨励金なんかを出して、うまい米の宣伝をして、食管を通らない自由市場に米が出て行って自由に流通をする、そういうことをやはり積極的に奨励をしていきたい。逆に言うと自主流通米奨励ですね。だから将来、食管会計、食管制度そのものというものについて、もうこの際見直すべきだ。食管制度がもうこれはかえって農政の重荷になるから、この際、早い、近いうちになくしてしまいたい、そんな考え方がやはり農政、皆さん方の事務当局の腹の中にありますか。  それともう一つは、副総理に、食管制度は将来にわたって堅持していくのかどうか。政策的なものですから、その点について最後にお聞きをして、終わりたいと思います。
  69. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 食管制度は、わが国の国民生活を守るという上において非常に貴重な役割りをしていると思うのです。この制度はどこまでも堅持してまいる、かような方針でございます。
  70. 下浦静平

    下浦説明員 先生おっしゃいますように、確かに食管の赤字は私ども農林省全体の立場からいたしましても重荷でございますし、それから自主流通米につきましてはそれだけ財政負担の軽減になるという点はこれは事実でございます。しかし、あのオイルショックの後で、米麦につきましてとにかく全く混乱を来さずに済んだということもこれは厳然たる事実でございまして、私どもはそういう観点からいたしまして、今後とも食管制度の根幹はこれは維持をしてまいりたい、守ってまいりたい、そういうぐあいに考えております。
  71. 松浦利尚

    松浦(利)委員 終わります。
  72. 板川正吾

    板川委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  73. 板川正吾

    板川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  物価問題等に関する件、特に電気料金改定問題について、参考人の出席を求め、意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 板川正吾

    板川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 板川正吾

    板川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  76. 板川正吾

    板川委員 長物価問題等に関する件について質疑を続行いたします。小林政子君。
  77. 小林政子

    ○小林(政)委員 経企庁長官にお伺いをいたしたいと思いますけれども先ほど午前中の討議の中でもすでに質問が出ておりますように、今年度物価の見通しを八%で何とか抑えたい、こういうことでございますけれども、六月の消費者物価の上昇率は前年同月に比べまして九・七%の上昇、卸売物価もここのところ連続上昇しているという中で、引き続いて国鉄だ、電信電話だあるいはまたガスだ、電力だという形で消費者米価も含めて値上げがずっとここでもって準備をされているわけでございますけれども消費者米価が実際にいまこのままの状況の中で引き上げられるということで、果たして今年度の八%というお約束を守っていくということがはっきりと国民に対して言えるのかどうなのか、こういう点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  78. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ことしの消費者物価お話しのように大体八%を目標にしているのです。昨年八・八だったのでそれを一%程度は上げ率を下げていくという考えなんです。  そこで、その中で公共料金問題があるわけですが、公共料金は国鉄の運賃でありますとか、それから電電の料金でありますとか、電力会社電気料金、ガスの料金問題、いろいろあるのです。ありますが、それ全体ひっくるめまして二%強程度にこれをおさめたい、こう考えておるのです。二%強というと四捨五入すると二%だ、こういう程度のことを考えているのですが、消費者米価決定に当たりましても他の公共料金と全部合わせまして二%強、つまり四捨五入して二%の影響、強の影響というところ辺に決めたい、こういうふうに考えております。
  79. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はいまの状況の中では、これは非常にやはり、私ども具体的にいろいろ検討してみましても、素人が考えても大変無理なことになるのではないか。消費者米価というものが結局ここで値上げが行われるということになれば、これはどうしてもその八%の枠というものも外れていくのではないだろうか。先ほど値上げ期待というものが基礎産業の物資の中でも相当ふえてきているし、もういまではほとんど値下げというものはもちろんありませんし、すべてが値上げを期待している、こういう情勢の中で、地方公共料金も相当の値上げが見込まれています。こういったような中で、実際に結果を見てみなければ何とも言えないと言えばそれまでのことですけれども、いまの見通しとしてこれで大丈夫なんだということが、はっきりと約束は守れるのだ、公約は守れるのだということがおっしゃれるのかどうなのか、あるいはどうしてもこれは枠をはみ出すというような状況になれば訂正をするのだというようなこともお考えになっているのかどうか、この点もお伺いをいたしておきたいと思います。
  80. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 五十一年度の消費者物価の目標八%、これは実現をいたします。まあ手ぶらでこれが実現できるというふうには考えておりません。たとえば電力料金をどうしても決めなければならぬ問題がある、それも暫定料金制というようなことを導入いたしまして、そして工夫をいたしますとか、また米価につきましては、農政上あるいは財政上も消費者米価の高い引き上げをというような要請もありますけれども、これは物価のことを抜きにしてこの問題を処理するわけにはいかぬ、こういうようなことで、この点についても工夫をいたしまするし、いずれにいたしましても努力は必要である、努力はいたします。そしてこの八%目標は実現をする。そう心配はいたしておりません。努力を必要とするけれども、いま再びインフレになるんだという心配はいたしておりません。
  81. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、今回の消費者米価値上げという問題は、物価情勢から考えても非常に大きな問題だというふうに思いまするし、それからまた、家計そのものに与える影響、こういった問題、所得の階層別の家庭の実態などをいろいろと調べてみますと、第一分位から第五分位までの中で数字をとってみましても、やはり所得の低い家庭ほどその負担が相当大きくなっている。こういった点からも、米が上がればすべての物価が上がる、もちろん外食は言うに及ばず、昔から米が上がればすべての物価が上がるということも言われているし、また、高額の所得の人たちよりも生活保護世帯なりあるいは低額所得の人たちにとっては、米が上がるということは単に米だけが上がるということではなくて、その家計への影響というのはさまざまの物価値上がりという形で家計を圧迫していくという点からも、やはり相当大きな影響を与えるのではないか。このことはいままでの事実の中でも明らかになってきております。  こういう点等考えますと、今回、このような情勢のもとで、消費者米価については上げるということが前提ではなくして、物価をこれ以上上昇させない、あるいはまた家計の負担をこれ以上重くしないという立場からこの問題は真剣に考えていく必要があるのではないだろうか、私はこのように思います。先ほど来の質疑の中でも、この問題は物価観点だけからは考えられない、財政の問題もあるし農政の立場からも見ていかなければならない、こういうことが言われていますけれども、私は、消費者米価というものが物価全体に影響するという点を考えれば、この点については今回はやはり据え置きにすべきである。いままでも据え置きにしたことがあったわけですね、そういう点から考えても、このような情勢のもとでは消費者米価については据え置きにしていくことが望ましいというふうに私は思いますけれども、この点についてそういうお考えがおありかどうか、まず第一点にお伺いをいたしたいと思います。
  82. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 非常に残念なことでございますが、いま消費者物価を据え置き、横ばいというようなわけにはとうていまいりません。どうしても八%程度の上昇はやむを得ない、こういうふうに考えているのです。そういう中で米価一体どういうふうに位置づけするか、これは先ほどから申し上げているとおり農政上の要請もある、財政上の要請もある、そういうこともにらみながら、消費者物価水準の八%上昇、それが可能になるということを旨として消費者米価は決める、こういう考えであります。据え置きという考えは持っておりません。その前提として、消費者物価は、残念なことでございますけれども、八%程度は上がらざるを得ない、こういうふうに考えております。
  83. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま八%というお話がありましたけれども、その程度はやむを得ないであろう、その八%というのは一体どこから引き出してきた根拠になる数字なんですか。福田(赳)国務大臣 これは米価じゃありませんよ。消費者物価水準八%上昇、これはもう予算編成のときから申し上げておるわけで、国全体の経済の流れを見てみますと、消費者物価というのはずっとなだからにしていきたいのです。いきたいのでありますが、公共料金のこともあり賃金の上昇も考えておかなきゃならぬ、そういういろいろな要素が物価水準を押し上げる、その押し上げる程度は大体八%にこれを抑えたい、こういうようなことでございまして、米価じゃないのです。消費者物価全体の水準を八%程度として、米価はその構成要素としてその水準の中におさまるように働く、こういう考え方のもとに決めていきたい、こういうふうな考え方です。
  84. 小林政子

    ○小林(政)委員 いままでの論議などいろいろ聞いておりましても、生産者米価が六・四%上がったのだから、逆ざや不拡大という立場から考えても当然消費者米価を上げざるを得ないだろう、こういうような論議がされています。結局は、生産者米価の引き上げが即消費者米価にかぶさってくる、こういうことがあたりまえのことのように、いわゆる売買逆ざやを埋めていく、だから生産者米価が六・四%上がれば、極端に言えば消費者米価も一二・八ですか、倍にして売買逆ざやを出さないように上げていくのが当然のことなんだというような論議がいまされておりますけれども、本来食管法の精神からいけば、生産者米価というものは農民が再生産を確保するということを旨にこの価格を決めなければならないということがはっきりとうたわれておりますし、また政府の売り渡し価格につきましては家計の安定を旨として定めなければならない。全くこの問題は次元の違う立場で、目的も異なり、生産者米価は再生産が今後補償される価格で決めていくんですよ、消費者米価家計の負担という問題を考慮して決めていかなければいけないのだということが食管法の精神だと私は思うのです。法律ではっきりとこれをうたっているのですね。精神じゃないのです、法律でうたっているのですよ。厳密に法律を見てみれば、第三条で、「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所二依リ其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府二売渡ス」、そして二項として、「前項ノ場合二於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所二依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨」とするというふうにはっきりと法律で再生産を確保するということがうたわれておりますし、「第四条では、政府ハ其ノ買入レタル米穀ヲ」売り渡しをする場合には「家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者家計ヲ安定セシムルコトヲ旨」とする、これも法律なんですね、食管法という。ですから、生産者米価消費者米価というものは当然次元の違う立場で算定もし、また価格決定していくということが食管法のたてまえでははっきりとうたわれているのです。それがいまでは、全く次元が異なる問題を連動させて、生産者米価がこのくらい上がったから逆ざや不拡大のためにも消費者米価はそれと同等ないしはそれを上回る額を決めていって埋めていくのだ、こういうことが何かもう当然のことのように言われてきておりますけれども、私は、この関連について、それでは一体政府はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まず経企庁長官にこの法律と現状との関連についてお伺いをいたしたいと思います。
  85. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 食管法第三条、第四条には、三条で生産者米価、それから四条で消費者米価、その決め方の考え方基本を掲げておるわけです。まあ生産者米価消費者米価ですから、おのずからそこに決め方の差異は出てくる。しかし、両方共通している問題があるんですよ。それは経済事情を参酌して消費者米価生産者米価も決めなければならぬ、こういうことになっているわけで、経済事情というのは一体どういうことだ、こう言いますれば、広く国民経済の中で生産者米価あるいは消費者米価をどういうふうに位置づけすることが妥当であるか、こういうことになる。これは共通しているのです。経済事情をよく見て決めなさいということであって、これは生産者米価消費者米価がおのおの何らの関連なしにひとり歩きしてよろしい、こういうことじゃないのです。いわゆる二重米価という考え方ですね。これは二重米価ということを第三条、第四条から当然にもう前提としてこの米価問題を、方式を決めているんだという考え方はとっておりません。経済全体の中でよくにらみ合わせながら決めていかなければならぬという趣旨であるという理解でございます。
  86. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、ここのところがやはり食管法の中では一番大切なところではないかというふうに思うのです。米価を決める算定の基礎というのは三条、四条で、いま読み上げた法律によってはっきりと決められている。そしてそれに対して当然逆ざやが出てくるということも、これは次元がそういう立場で決めていくのですから、当然二重米価というものが前提になっているのですから、経済事情を参酌してという言葉が一言入っているということで、これはそのときの事情事情によってどうやろうとそれはいろいろと検討した結果、政府が自由に決めることができるんだ、あるいは米価審議会等にも諮ってそして決めることができるんだ、こういう立場をとっていらっしゃるわけですけれども、いまのやり方というのは、ともかく食管赤字が相当出ている、財政上からもこの逆ざや解消というものを一刻も早く解決したいんだ、こういうことでこの問題について行政指導がいろいろやられている。そうでしょう。片方は食管法という法律なんですよ。そして、それに基づいて米価は算定しなければいけない。ところが、経済的な参酌を必要とするということで、具体的には行政指導の面で、今度は財政が、大分逆ざやが大きくなってきたとか、あるいはまた食管赤字がふくれてきている、こういうことを理由にして行政的にもいろいろこれを縮めていかなければならないとか、あるいは何とかして米価決定の中にそういう意向を盛り込んでいかなければいけない、こういうことで、いま米価の算定ということが何か自由にできるかのような、法律と行政指導との問題がどのように本当に厳密に受けとめられているのかという点はいま非常に大きな問題になってきているというふうに思います。特に財政上の理由ということを挙げていますけれども、私はこの問題についても意見を持っております。  しかし、法律と行政指導との関係について、今回の場合のようにいろいろと政治加算だとか、あるいはおいしいお米を普及するということで良質米についてのこういう奨励金を出すとかいろいろな形で米価が、経済事情を参酌してということで、やはりいろいろな理由をつけて食管制度そのものの法律の精神を逸脱していくのではないか、こういう危惧を非常に強く持つものですけれども、この関連についてもう一度副総理からお伺いしたいと思います。
  87. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まあ、小林さんの御意見は、要するに生産者米価がどうあろうと消費者米価の方は据え置きにしたらいいじゃないか、こういうようなことを腹に置いての御意見のようでございますが、生産者米価は上がります、消費者米価は据え置きです、こういうような、そんなことを長く続けておきますれば、これは大変ゆゆしい事態になる。これはもう、そういうような状態をこれ以上進めてまいりますれば、いわゆる食管赤字というものが一兆円にもなろうというくらいな重大な局面になってきておるわけなんです。いま、財政という問題、これはもう本当に国の経済上の大変な問題で、七兆円を超える公債を出さなければ均衡できないというような状態、そういう中で、この財政の現状というものを無視して食管制度を運用するということは、これはできません。やはりそういう状態を考え、一挙にどうのというわけにはまいりませんけれども、しかし、いわゆる逆ざやにつきましてはある程度これは精力的に解消へ向かって努力をするというステップをとらなければ、これはとにかく経済秩序まで波及する大きな問題に発展しかねないということを憂慮しておるのです。  そこで、法律で、生産者米価の決め方、消費者米価の決め方は、基本方針は決められております。しかし、それを数字でどういうふうにするかということについては、そのときの経済事情、そういうものを考えますと非常に流動的です。幅の広い考え方ができると思うのです。そこで、その幅広い考え方の中でどういう考え方が適当であるかというようなことにつきましては、皆さんの御議論も聞かなければならぬ。同時に、制度として米価審議会、この意見を聞くということになるわけですが、その審議会の意見等を篤と聞きまして政府は最終的な決定をする、こういうことになるわけでありまして、決して国民生活のことを考えないというわけじゃございませんけれども、最終的な決定は、農政上の立場も財政上の立場も、また物価政策上の立場もみんな踏んまえまして総合的に決めていかなければならぬ、こういう見解でございます。
  88. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、消費者米価を長年にわたって据え置けなんということは言っているわけじゃないのです。いまのようなこういう情勢のもとで、ことしは据え置いたらいいんではないかということを私自身としては考えておりますし、ぜひそれは実現をしたいものだというふうに考えております。  そしてまた、現在食管赤字が一兆円にも及ぶのだということですけれども、私は、この問題も、現在の売買逆ざやが三千七百八十九億円ですから、実際にかかる売買逆ざやは。ですから、人件費だとか、倉庫の保管料だとか、これはもうだれが見ても当然運営上の必要なそういった行政上の経費というような事務費などは、一般の行政費でやはり見ていくというような形で洗い直しをきちっとやはりやって、そしてそれを措置していくというような、こういうことを抜本的に赤字解消という点でも検討されていく用意があるのかどうか。私は、いまのこういった状況の中で、三千七百八十九億の売買逆ざや、これは、見方にもよりますけれども、しかし、国民生活の安定という点で考えますならば、それほど大きい額だというふうには思っておりませんし、逆に、一般経費その他を含めて大きな赤字が出ているということは、何かいかにももう食管会計がパンクする寸前——まあパンクしているわけですけれども、誇大宣伝といいますか、こういう印象を与えるだけであって、むしろこういったものについては、一度きちっと会計上の整理もするお考えがおありになるかどうか、この点をひとつお伺いをしておきたいと思いますし、また、いまいろいろと租税の問題の洗い直しなども税制調査会でやっておりますけれども、大企業に対するああいう特権的ないろいろな減免措置だとかそういったものが二兆、三兆とやられているいまの政治の状況の中で、三千七百八十九億という額は、国民生活の安定という点を考慮すれば、私にはそれほど重大な問題だというふうには思われませんけれども、具体的にこの食管赤字内容についても、きちっと行政費で見るものは国の一般会計で見ていくという措置がとれるのかどうなのか、こういう点もお考えになっていらっしゃるかどうか、これは食糧庁長官にお伺いをいたしたいと思います。
  89. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  お話のとおり、食管の赤字の問題につきましては、五十一年度予算では七千四百三十七億という数字に相なっておりますが、最も大きいのは、ただいましばしば御質問に出てまいりましたが、その売買逆ざやでございまして、政府の買い入れ価格売り渡し価格の差、これが五千四十一億、それから、お示しのございましたいわゆる食管管理経費、これが、集荷経費なり器具その他を入れました千六百三億と事務人件費が七百九十三億ということに相なっておりまして、いわゆる食管赤字は売買逆ざやに伴う赤字が最も大きいわけでございまして、今日、食管の両米価の正常化と私ども申しておりますけれども、いわゆる逆ざやの是正は、とりあえずこの売買逆ざやの是正ということに相なっております。もちろん、管理経費等の合理化によりまして、コスト分についての節減にも努めるべきは当然でございますけれども、まず当面売買逆ざやの是正ということを図らせていただかなければならないというふうに考えております。  なお、一般会計その他というようなお話がございますが、御案内のように、特別会計におきましては、事国内米管理勘定につきましても、売買に伴う損失あるいは管理に伴うコスト、これを全部一括いたしまして、その損益の最終の赤字一般会計から繰り入れて始末しているということでございまして、行政費等で一般会計へ計上してあれすれば、いわゆる食管制度の国内米管理勘定に限定いたしましても、これに伴う経費が別になくなるわけではないわけでございまして、やはり特別会計として売り買いの経理をしておるということから、これらの損益を合わせて一般会計から始末をしておるということでございまして、一般会計から負担しているわけでございます。
  90. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はやはり、こういう食管制度というものを守っていくという点でのもう一つの主要な柱は、何といっても、一つは、いま申し上げた生産者米価の決め方、消費者米価の決め方というものが法律できちっと決められている、こういう点はやはり重視して取り組んでいくということと同時に、食管制度のいままでのたてまえは全量買い入れだったと思うのですね。ところが、四十四年度から自主流通米制度が導入されるし、四十六年からは予約限度数量というものが決められて、そして買い入れ制限が実際にいま行われている。こういった中で、実際には自主流通米制度を相当今後奨励して、これを大きくふやしていこうとする。こういう動きの中で、法律できちっとうたわれていたそういうものが次々と、何か食管制度というものがなし崩し的にもう崩されてきている。これが私いま大きな問題だと思うのです。  こういった中で、私はひとつ超過米と標準価格米との問題について、こういう食管制度そのものがなし崩し的に崩されてきている中で起こってきている一つの事例を取り上げて、食糧庁長官にこの問題はお伺いをいたしたいというふうに思うのです。  政府は、毎年予約限度数量をあらかじめ決めておいて、そして五十年産米というのですか、政府の予約限度数量、これが八百八十五万トンで、そしてことしの分については八百七十万トンといういわゆる予約限度数量を決めていますね。そして、その中で政府買い入れ米は六百三十五万トンであって、自主流通米が二百五十万トン。この自主流通米か、あるいは政府買い入れ米か、この二つからはみ出た、いわゆる豊作だったとかという場合には超過米ということになるわけですね。そしてこの五十年度の場合には五十万トンの超過米が出ているというふうに言われていますけれども、この問題は、先ほども数字の確認はほかの委員の方からもされておりましたので五十万トンで間違いないというふうに思うのですけれども、こういった全量買い入れ制というものが崩されてきているところに結局は超過米というようなものが出てきている。しかも超過米が出た場合にはそれを政府が買い入れ米として認めればいいのですけれども、政府買い入れ米としてはこれを認めようとしないで、自主流通米に乗せているのですね。しかもその自主流通米でもって結局流しておりますけれども食糧庁は超過米の卸売価格について具体的にどのような指導をされているのか、まずその点を私はお伺いしたいと思います。
  91. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  最後の御質問に答えるのが筋かと思いますけれども、前段のいろいろな御意見がございましたので、これについてお許しを願いましてお答え申し上げさせていただきたいと思います、時間の関係で恐縮でございますけれども。  食管法は全量買い入れということは規定しておりません。国民食糧基本食糧である米について必要量を確保いたしまして国民経済の安定を図る、その需給と価格の調整をいたす、配給の調整をするということでございまして、国民食糧確保に必要量を買い入れる、これを限度として定めておるわけでございます。  御案内のとおり、四十年早々からの七百数十万トンの過剰事態、これで一兆円以上の経費をかけましてこの過剰米を処理したわけでございまして、やはり需給調整という点から予約限度制をしいておるわけでございます。そのようにいたしまして予約限度制をしいておりますけれども、たまたま昨年度のごときは非常な豊作でございまして、先生ただいまお話しございましたような八百八十五万トンの予約限度を五十万トン超えるというような超過米が発生したわけでございます。これにつきましては、やはり配給秩序維持という食管制度の大きな目的から、これを自由に放任するわけにまいらぬということで、制度として予定しておりましたとおり、農協その他集荷団体が自主流通ルートとして集荷いたして、一卸、小売等にこれを渡すということによりまして処理しておるわけでございます。  最後のお尋ねの点でございますが、その場合の両者の価格関係につきましては、一般の自主流通米もそうでございますけれども、品質に応じた、集荷団体と実需者、すなわち卸との取引ということによって相決まるわけでございまして、このそれぞれの超過米については、自主流通米においても優良銘柄であるというようなものについてはそれなりの高い値段で仕切られておりますし、またそうでないものについては、政府売り渡し価格水準に近い水準で仕切られておるということでございまして、これは自主流通米に準じた価格の仕切りということに相なっておるわけでございまして、特段これについて私どもとしては指導しておるわけではないわけでございます。
  92. 小林政子

    ○小林(政)委員 しかし、買い入れ限度量というものを決めて、そして一定の量を超えるものは買わないという制度を取り入れたのは四十六年からでしょう。食管制度の中には、それは確かに全量買い上げということは言葉ではうたっていないかもしれませんけれども、では四十六年前まではどうやっていたのですか。
  93. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  申すまでもなく、二十年代におきましては米の需給は非常に逼迫いたしまして、これについてはむしろこの限度制の反対に供出割り当てという制度をとりまして、国民食糧確保に努めたのでございますが、三十年後半以降におきましては、実は予約制を導入いたしまして、ほぼ稲作農家の方々が政府に売り渡そうという数字については、政府がこれを全量買い上げておった。しかし、先ほども申し上げましたように、四十年以降、単年度の需給ギャップが二百万トン以上に相なった。当時としては需要が千二百万トン、生産量は四十年の当初早々では千四百万トンということに相なりまして、くどいようでございますが、七百万トン以上の過剰を抱えておった。この段階におきまして、御案内のとおり生産調整で農家の方々に大変御迷惑をかけたわけでございますが、水田に他作物をつくっていただくという、一方における転作奨励の助成措置と相並びまして、食管といたしましても需給上必要な数量を買い入れるということで限度制を導入したわけでございまして、食管制度の根幹を維持しながら需給情勢に応じてそれぞれ対応しておるということが実情でございます。
  94. 小林政子

    ○小林(政)委員 こういった食管制度の中で取り入れられてきた制度が、次々といろいろな制度でもってなし崩し的に限度量制がとられたり、こういった中で余り米が出てきておるわけでございますが、この余り米の問題について、これはある小売商から直接聞いた話なんですが、余り米については食糧庁の指導で具体的には政府管理米並みに取り扱う、こういうことが指導としてされているのですか。
  95. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  平年作でございますと、予約限度制がございまして、流通量の七五%は政府が買い入れる、二五%は自主流通のルートでしておりますが、この自主流通のルートも全農その他の指定法人が自主流通計画を立てて農林大臣の承認ということで集めたものを配給業者に渡す、その配給についても配給計画の中に組み入れられておるというのが平年の場合でございますが、豊作等による超過米が出てきた場合にはルートはやはり自主流通ルートによって集められる。集められた米は、配給計画、それを先生は政府管理米とおっしゃったのですが、卸なり小売なり、要するに実需者団体はこれを配給計画に組み入れて消費者にお渡しするというたてまえになっておるわけで、制度としておるわけでございまして、これは指導というものではなくて、食管法なりその施行令なりその運用規定というようなことで、制度として、仮に超過米が発生した場合にはそのように処理するということに相なっておるわけでございます。
  96. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまのは一般論をおっしゃったのだと思いますけれども、具体的にことしの超過米の取り扱いについて、これは私はある小売店から直接聞いた話ですが、五十年産米の生産過剰の中で超過米になったこの問題については、自主流通ルートでもって乗せていくということと同時に、卸売価格については、政府が指定法人に昭和五十年予約限度米の販売促進費、流通促進奨励金及び特別販売奨励金を助成するという措置をとって政府管理米並みとするということで具体的にやられているということなんです。そのことは事実ですか。
  97. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  多量の超過米、おっしゃいますように五十万トンの超過米が出たわけでございますが、これは本来の予約限度内の自主流通米とは異なるわけでございますけれども、その流通を円滑化するために、本来の自主流通米に対して助成いたします各種の助成に準じた助成を行って、最終、これが配給と申しますか実需者に渡り、配給のルートに入って消化できるような格段の措置をしたというのが昨年の取り扱いでございます。
  98. 小林政子

    ○小林(政)委員 ところが、ことしの二月から六月までの間に卸売が小売商に対して、余り米が残っている間は政府管理米は出せない、こういうことで、しかも余り米と自主流通米を一対一で抱き合わせだとか、あるいは中には自主流通米と政府管理米の価格を足して二で割ったその額でもって小売店に引き取らしている、こういう事実が出てきております。これは私は具体的な納品書その他全部持っておりますけれども、こういうことは明らかに食糧庁が販売経費だとかいろいろな経費を補助して標準米並みに取り扱う——標準米といいますか政府管理米並みに取り扱うという立場でいろいろな補助がされているにもかかわらず、こういった問題が具体的には高い値段で小売に卸されているということは、これは食糧庁が指導している方針と明確に違うと思うのですよ。こういう事実を御存じですか。
  99. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  先ほどの御説明でも申し上げたわけでございますが、政府といたしましては、超過米についてはこれは自主流通ルートで集めまして実需者に対して配給計画の中に組み入れております。したがって、その分だけ政府米でございます。政府が買い入れて売る政府米については、胃袋は一定でございますから、それについては売り控える、その超過米の優先消化ということはしておりますが、指定集荷団体から卸に渡りました超過米については、それぞれ引き取った実需者、卸が小売に配給計画にのっとって売り渡しておるということでございまして、私どもとしては価格とか売り方については格段指導しておるわけではございませんが、実は超過米と自主流通米というようなことを申しても同じ銘柄のものがあるわけでございます。一方では自主流通ルートで集荷団体から卸が引き取った米と、それから超過米として集荷団体が集めて卸が引き取った米と両方ございます。それをそれぞれの卸、小売の関係でこれを売りさばくという関係でいろいろな話し合いがあったということは聞いておりますけれども、特にそれが価格とか数量について相互のお話し合いで行われた限りにおきましては、私どもとしては特に申し上げることはないかと思っております。
  100. 小林政子

    ○小林(政)委員 ちょっと食糧庁のその態度は私は問題だと思うのですよ。実態を調べてください。たとえばB銘柄のトヨニシキというお米がありますけれども、これは具体的に商社系の卸ですよ、商社系の卸が、東京都内の米穀商ですから、その場合にはいろいろと流通促進奨励金だとか、販売促進費だとか、特別販売奨励金だとか、そういうものをいわゆる政府に補助してもらっていますから、したがって価格の点で政府米と同じような取り扱い方である。ところが、東京都に出している報告書があるのです。この東京都に出している報告書ですと、結局それには一万三千四百七十円でこれを小売に出していますということが掲載されていて、そして実際にその小売商に対する納品書の中には一万四千七百三十六円と、食糧庁が超過米をこういう形で具体的にやられているという事実について、これは明らかに食糧庁の方針とも違うと私は思うのです、東京都に対して虚偽の申請もしているわけですから。  この問題についてちょっと資料を見てください、これは確かなところの資料ですから。こういう問題が起こっていることも事実ですし、結局それを高い価格で買わされた小売商は、政府米扱いにできないで、やはり一ランク上げて消費者に売らざるを得ない、こういう問題が出てきているわけです。こういった事実について具体的に調査はされますか。
  101. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 その調査云々をお答え申し上げます前に、事柄をもう一回述べさせていただきたいと思いますが、先生お話しの銘柄はトヨニシキでございますか。——これは先ほど抽象的に申し上げましたのでわかりにくかったと思いますが、政府に来る分、政府管理米と、それから本来の自主流通米に乗るものと、それから去年のような豊作だと超過米で自主流通ルートに乗る場合と、同じ品種、銘柄で三本のルートがあるわけでございます。私、推測いたしますのに、先生がおっしゃっておりますのは本来の自主流通ルートで、要するに全農等の指定団体から卸が買い受けたトヨニシキと、それから超過米で全農等が集めて卸が仕切った価格とには差があるはずでございます。その差をプールするとか、あるいは超過米と本来の自主流通ルートで集めた米とを、数量の割合を両方がこなれるようにするとか、いろいろな取り扱いがあったかと思いますけれども、いずれにいたしましても、価格自体は、これは卸が集荷団体である全農と、自主流通ルート、または超過米であればそれに準ずる制度でございますので、品質に応じて値決めしておるわけでございますので、両者話し合いでその価格は決まったのではないかというように思いますけれども、その実情等についてさらに取り調べろということでございますれば、私どもといたしましては実情を明らかにさせていただきたいというように思っております。
  102. 小林政子

    ○小林(政)委員 この超過米に対する東京都あての政府通達等も、ひとつ委員会に正式に提出してもらいたいというふうに思います。  それから、ただいま私がお聞きいたしました問題についても、具体的に私どもの方は納品書から何から全部持っておりますけれども、その実態について調査をしてほしいと思うし、私はこういう問題が、結局購入した小売屋さんがこの問題について政府米と同じ取り扱いの価格ということで考えていても、事実東京都に報告を出した数字と納品書の数字も違う、高い額で買わされているということは、結局はやはり一ランク上のランクに入れて消費者に買ってもらわなければならない、こういう問題はむしろいま大きく消費者が要求しているいわゆる標準価格米その他の質の問題にもある程度はかかわる問題にもなっていく可能性の強い問題だというふうに私は思うのです。結局、との問題はひとつはっきりとした調査をしていただきたいというふうに思います。  時間がなくなってまいりましたので、次に標準価格米の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど東京都の標準価格米の実態はどんなような状況であるかということで食糧庁の方から資料をもらいましたけれども、これを見ますと、やはり標準価格米の消費量というのは四十九年、五十年とふえてきているわけですね。そして逆に自主流通米の方は消費量が若干減っているわけですね。こういう問題を具体的に食糧庁はどのようにごらんになっているか。たとえばだれしもおいしいお米は食べたい。だれしもおいしいお米は食べたいけれども、結局標準価格米の量がふえて上米の消費量が減ったということは、私の考えでは経済的ないろいろな家計事情その他で減っているのではないだろうか、このように見ておるわけですけれども食糧庁はこの東京都の数字をどのようにごらんになりますか。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  103. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  東京都の調査は、この調査自体についてとやかく申し上げるわけでもございませんが、事例調査でございます。われわれが家計調査その他で見ている限りにおきましては、若干この一、二年で標準価格米が一%前後ふえているというような数字を承知しております。また、その中でも家計調査の第一階級、所得の低い階層の方々は標準価格米の依存率が高く、第四、第五というような分位階級にまいりますれば逆に標準価格米の依存度は低くなるというような傾向を示しておるように承知しておりますし、また全体としての自主流通米の消費量は、この五年間で非常に増加をしております。現在主食用ウルチでございますれば約百七十万トン、かつては五十万トン、六十万トンであったものが百七十万トンに相なっておりまして、必ずしも断定的に自主消通米の消費量が減って、標準価格米の消費量が非常に伸びているということは、他の諸統計その他から見ても言いがたいのではないかというふうに考えておりますし、蛇足でございますが、標準価格米の若干の増加傾向ということについては、当然でございますが原料用の政府米、それに見合う政府米の売却ということはこれを十分行っておるわけでございます。
  104. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はいま東京都の実情を申し上げたのですけれども一体こういう状況の中で標準価格米の推移というものがどういう状況になっているかということを何軒かのお米屋さんからも聞いてみました。そしてまたその中のお米屋さんたちの意見を聞いてみますと、また数字をいろいろと出してもらいましたところ、四十九年と五十年の標準価格米と徳用上米、これの伸び率がどんなだろうかということで数字をはじいてもらいました。そこのお店ではじいてくれた数字を見ますと、結局四十九年は五千八百五キロであった。ところが、五十年度は八千五百七十七キロ。やはり標準価格米と徳用米を入れますと、非常にふえているのですね。  それから、東京都のいまの数字でもそうですし、いま多くの消費者が望んでいるのは、おいしいお米を食べたいということですね。うまい米は自主流通米だけということに区切ってしまうのではなくて、おいしいお米を食べたい、そして、比較的価格も安定している手ごろの標準価格米の質をよくしてほしい、そして量も確保してほしい、これが消費者の偽らない声じゃないだろうか、私はこのように思いますけれども、こういう量の確保あるいは質の向上、こういう点について今後具体的にどのような指導をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  105. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げました、最後にも申し上げましたように、標準価格米については、その三七ないし八%が、家計調査から見た、それを伸ばした全体の消費量だというわけになっておりますが、四割以上の原料米、非銘柄米の政府売却を行いまして、十分その御要望にこたえるという点でございます。  それから、標準価格米、非銘柄米であるから味が悪いというようなこともいろいろございますけれども、今日の米の品質管理とかその他がございまして、その品質等について、われわれとしては、従来のような品質ではなくて、十分食べていただけるお米であるというふうに思っているわけでございまして、特に最近におきましては政府在庫もふえてまいりましたので、かつて考えられなかった低温倉庫による品質管理ということに重点を置きまして、低温倉庫の増設等を非常に進めておるわけでございます。そういう意味で、ただいま小林委員がおっしゃいましたような、標準価格米についても品質の確保という点についての配慮は、やはり一種の庶民米でございますので、努力をしなければならないというように考えております。
  106. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に一点。  私は、この標準価格米というのが本当にもっと質がよくなれば比較的  これは政府米でもございますし、非銘柄米だけで標準価格米というのはできているわけではないと思うのです。当然、質のよい、そういう味のいい標準価格米ということになれば、価格も安定しておりますし、比較的皆さんから強く要求されている物だというふうに思っているのです。  ところが、これが、実際にもっと伸ばしていきたい、米の消費の拡大ということも言われておりますけれども、もっと伸ばしていきたいということを考えて、いろいろと、どこに問題があるのかということも聞いてみましたところが、一つには、この標準価格米のマージンなんですね。お米屋さんの小売屋さんが取り扱うマージンのここのところの動き、何年か調べてもらいました。そうしますと、これは平均ですけれども、四十八年のときには八・三八%であった。ところが、五十年度、これは値上げも行われて価格も異なっているわけですけれども、マージンそのものが八・六%。そして現在どうなっているかということで聞いてみましたら、八%を割るというんですね。これでは、実際問題として取り扱い量もふえ、また四十九年度の十月一日の値上げあるいは五十年度の九月一日の値上げなどで価格そのものも上がっているんだけれども、マージンそのものは逆に四十九年に比べて下がっている。こういう状態では、とてもじゃないけれども、お米屋さんがこれを普及していこうとしても、その手数料が少なくてなかなかこれを普及していくことが困難だ。こういうことで、何とかこれをもっと引き上げてほしい、こういう要求が強く小売商の方からも出ておりました。たとえば自主流通米の場合には、マージンは現在一九・七%、あるいは徳用米の場合には標準価格米よりは幾らかマージンがよくなってはおりますけれども、実際問題として標準価格米のマージンを大幅に引き上げてもらえなければ、これを大量に扱っていたのではもう経営が成り立たない、どうしても自主流通米を扱わなければ、マージンの点からいっても店が成り立たないというような、大変強い不満の声が出ておりましたので、こういう問題についてもお考えになる意思があるのかどうかお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 標準価格米の小売マージンにつきましては、いろいろなお話を承っておりますが、われわれといたしましては、まあこれは先生の御立論から反するかもしれませんが、やはり上米、中米、それぞれ扱っていただいて、総体マージンが一つのある水準確保できるかどうかということと、もう一つは、この米屋のマージン自体、それを消費者価格改定ごとに改定しておりますが、やはり物価賃金動向ですね、それはそれなりに見なければならないというふうに考えております。マージン率をどの程度に見るべきかは、他の小売業との関係等も横目でにらみまして、やはり実際としては消費者に負担していただくものでございますので、それぞれ慎重に検討していかなければならないというように思っております。
  108. 松浦利尚

    松浦(利)委員長代理 次に、有島重武君。
  109. 有島重武

    ○有島委員 米価等の物価問題に入ります前に、最近の福田副総理の御心境につきまして二、三承っておきたいと思います。  去る九日午後に、東京でもってライオンズクラブ主催の講演会で、福田副総理がこういうことをおっしゃっているんだそうです。ロッキード事件は「高度経済成長が生んだ金とエゴの社会風潮によるものだ。」云々、それで、この事件は徹底的に解明しなければいけないというふうに言われたと報道されておりますけれども、私はちょっとこれは不審に思うのですけれども、事実こんなことをおっしゃったのかどうか、ちょっと先に承っておきます。
  110. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 それに近いことを言ったのじゃないかと思います。私はかねがね、今日社会風潮が大変ゆがんできておる、こういうことを憂えておるのです。これは高度成長のうらはらとして出てきたことかとも思いますが、つまり、人間万事金の世だというようなこの社会風潮、そういうものがまた政治とも深いかかわりを持ってきておる。ロッキード問題こういう問題もそういう金支配というような世の中の風潮とゆかりがないとは言えない、こういうふうに思っておるのです。ですから、ロッキード問題というのは徹底解明しなければならぬ。これはクロかシロか、クロに対しては厳重な処断をしなければならぬ、こういうことを主張しておりますが、しかし、それで足れりとしてはいかぬと思うのです。やはりその背景、これについて深く反省し、これを矯正するというよすがとしてこのロッキード問題と取り組むべきである、こういう考え方を持っておりますから、恐らくそのいま有島さんのおっしゃるようなことを申し上げたんじゃないか、こういうふうに思います。
  111. 有島重武

    ○有島委員 高度経済成長というのは、私ども知るのは、大体昭和三十六年以降のことであるというふうに認識しているわけでございますけれども、このようないま副総理がおっしゃった金次第、政治行政が金次第で動くというような風潮が、これは三十六年以降になって始まったわけではないというふうに思うんですけれども、たとえば昭和三十三年のときにすでに次期戦闘機機種の問題がございましたし、御承知の二十九年にあの造船疑獄の問題もあった、あるいはその前に保全経済会の事件もあった、昭電事件もあった云々と、こう幾らもあるわけでございますね。ですから、これは高度経済成長が生んだ云々とおっしゃるのはやや不適当なことではないかというふうに私は思ったものですから、こんなこと本当におっしゃったのかなというふうに思ったわけです。いかがでございましょうかね。
  112. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 政治の運営につきましては、常に反省ということが必要である。そしてその姿勢を正していくということが求められる、こういうふうに思うのですが、それがないとやはり腐敗現象というものが起こる、いま有島さんの御指摘のようないろいろな事件は過去において起こっております。しかし、私は最近のこの社会風潮というものがどうも人間、人生というものを金で推しはかるというような風潮が強く出ておる、こういうふうに思うのですよ。ですから、そういう土壌、風潮の中からは過去においても起こった、その起こった腐敗現象というものがさらに頻繁に起こりやすい環境になっておるという点を指摘しておるんです。何も腐敗現象が昔からなかったんだ、最近になって初めて起こるんだという、そういうことを言っているわけじゃないので、今日の社会一般の風潮、この風潮の中からは腐敗事件というものが生み出されやすいような状態が出てきておるということを指摘しておるわけなんです。
  113. 有島重武

    ○有島委員 私どもは、平たく申せば、与党である自由民主党の金権体質というふうに、まあ多少決めつけた言い方かもしれませんけれども、そのように思っているわけだ。だから、これは経済成長とは全く無関係ではないかもしれないけれども、この種の問題というものは昔からあったのだ。これはお認めいただけると思うのですよ、一つ。それから、もう一つは、確かに社会全般にこうした風潮が一般的になってきた。これは憂うべきことであるというようなお話も一つあるかもしれないが、いまごっちゃにその二つのことが、何かすり合わせられていると思うのですね。ですから、これは別の問題としてお考えいただいた方がいいんじゃないんだろうか。せっかくいま政治には本当の反省が必要であるというようなことをおっしゃったけれども、ここの御発言が本当であるとすると、これは政治の反省というよりは、社会風潮全般がそういうふうになったからというふうに、政治の方の責任を社会の方におっつけている、責任をそちらの方におっつけているというふうにも聞こえると思うのですよ。これはちょっと不適当なんじゃないかというふうに私は感じたものですから、本当の御心境のところを承りたいと思ったわけです。いかがですか。
  114. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 有島さんは今日の社会風潮をゆがんでおるとごらんにならないのだろうかというような感じがいまお話を承るとしますが、私は、どうもいまの社会風潮というものは、何というか、エゴというか、そういう考え方が行き過ぎておる、こういうふうに思うのです。社会連帯というか、そういうような意識が非常に薄れてきておる。その背景にはやはり物質社会、自分がもうけさえすれば、人ははねのけても、人に迷惑を及ぼしても、もうとにかく金を握ればそれが力である、それが人生であるというような考え方が強く出てきておるんじゃないかということを非常に心配しているのですよ。ですから、それは社会風潮の問題として、私は政治家として、これが是正、そういう問題に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。  そういう風潮の中で私は政治の流れというものも影響を受けないわけにはいかぬと思う。やはり社会風潮がそういう風潮であれば、政治の流れの中にも、政治は力である、力は金である、こういうような風潮が出てくることを防ぎとめることができないのじゃないか、こういうふうに思うのです。しかし、政治がそういう金で動かされるというようなことになると、それ自体これはもう大変なことですから、これは是正しなければなりませんけれども、そういうふうな政治の姿勢を醸し出しやすい社会風潮、これにつきましても私は政治として大きく取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに思います。つまり、物質的繁栄が行き過ぎちゃって、そして社会で非常に大事な社会連帯の考え方、こういうことが薄れておる。そこに私は日本社会の問題として非常に重大な問題がある、こういうふうに思うのですがね。  このロッキード問題、これを社会風潮に転嫁して口をぬぐうなんて、そんなけちな考え方は持っておりませんけれども、このロッキード問題というものは徹底的に解明をする。するが、それだけでこれをとめちゃならぬと思うのですよ。つまり、そういうロッキード問題という問題を醸し出すような政治の基盤、これに重要な改革を加える必要がある、こういうことを強調しているわけです。
  115. 有島重武

    ○有島委員 私は社会が全くゆがんでいないなんというふうに言っているわけではない。確かにこれは社会の問題、それからまた、大きく言えば、文明の問題かとも思いますけれども、確かにそれはそれです。しかし、いま副総理も半分はおっしゃっているようなんだけれども、これは高度経済成長以前からも、自由民主党をめぐってはお金のためにはというような、現在の社会風潮を先取りしたような現象もたくさん起こっていたんじゃないですか。そういったことはあったわけですね。それですから、そのことをそれこそ本当に反省していただかないと、これは問題の決着が遅くなるように私は心配するわけです。  それで、この講演にあったような、あるいはちょっと、さっきから伺っているのは、聞き方によってだけれども、何だか、やはり社会が悪いから全体的になってきたんだというような、やや責任回避のようなふうに聞こえなくもない。いまのお答えで責任回避ではないというふうにはっきりおっしゃいましたから、それでとどめますけれども……。  関連いたしまして、きのう私たち野党四党が政府・自民党に申し入れたわけです。議員を含む証人喚問に直ちに応ずべきだ、それからもう一つは、このロッキード事件の徹底的な糾明ということなしに中途半端にして臨時国会を早期に召集するようなことはしないようにせよというようなことを申し入れたわけでして、それは副総理もお耳にしていらっしゃると思いますけれども、どのようなお考えを持っていらっしゃるか。
  116. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 第一点の、国会議員を証人として国会へ喚問すべしという問題は、これは国会の運営の問題でありまして、私はいま国会運営の衝に当たっておりません。その私がとやかく言うのはちょっと出過ぎたことになると思いますので、これは各党間でお話しを願いたい。国会の運営であります。  それから第二の問題は、なるべくロッキード問題が解明されて、そして臨時国会となることが好ましい、私はそういうふうに思います。しかし、このロッキード問題が仮にずるずる、ずるずると延びていく——私は、早く片づいて、そして臨時国会が開かれて、そして重要な国務が論議されるということになることを切に希望しているのです。しかし、それがそういかぬで、ずるずると延びてということになりますと、どういうことになるか。財政特例法なんか、これは早急に成立しませんと国務に支障を生ずる。これはいま大蔵大臣が検討しておりますが、その検討の結果、いつまではもつ、そのもつ時期、それまでにこの法律案が成立しておらぬというようなことになると、これは本当に国政が半身不随になっちゃうのです。それから、国鉄運賃法にいたしましても、あるいは電電の料金法案にいたしましても、これは国政全体が麻痺する、そういう大げさなことは申し上げませんが、局所的には非常に大きな影響のある問題だ。これが遷延されるというようなことになると、これまた重要な影響がある。ですから、ロッキード問題が早期に解決になる、そこで臨時国会となるのが非常に好ましいのです。切に願いますけれども、それをずるずると待っておって、財特法を、あるいは料金法、運賃法をほうっておいていいんだということにもならないのです。ですから、臨時国会の早期召集という問題、これはもう少し事件の推移を見ないと、ちょっと、いつ開会するのがいいか。気持ちとしては、それは早期召集、そして懸案の三法案が片づくということを期待いたしますけれども、いま、いつどうしなければならぬという見当は、しばらく見ないと見当がつかないのじゃないか、そういうふうに思います。
  117. 有島重武

    ○有島委員 いまおっしゃった重要な三つの法案等のタイムリミットを、どの辺に置いていらっしゃいますか。
  118. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 これは、国会当局にタイムリミットはいつだということをいずれ申し上げなければならぬわけなんですが、そこで、そうなるとぎりぎりのタイムリミットということなんです。そこで、いま大蔵大臣を中心に各省で検討いたしております。まだ結論は得ないのですが、早急に結論を出し、いつまでに成立だ。そうすると、逆算いたしまして、各党の御意見等も参酌し、またロッキード問題なんかも横ににらまなければいかぬでしょう。いつごろ臨時国会を召集しなければならぬという時期も大体出てくるのじゃないか、そんなふうに思いますが、そのタイムリミットはよほど厳重に検討する必要があるだろう、こういうふうに思われる問題なんでありまして、まだその最終的な結論を得ておらぬ、これが現状でございます。
  119. 有島重武

    ○有島委員 漏れ承るところによると、今月いっぱい状況を見て、今月の末にそのタイムリミットですか、見渡したことを御発表になるというふうに承っておりますけれども、そんなお心づもりですか。
  120. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まだ具体的にそこまで考えておりませんです。
  121. 有島重武

    ○有島委員 それから、先ほどお答えの前段の方ですけれども、ある場合にはロッキード問題の徹底解明ということなしに臨時国会を開く、そこに踏み切らなければならない場合もある、そういうお考えでございますね。
  122. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 それは非常に好ましくない事態だと思いますけれども、ロッキード事件は解明が進行する、同時に国会の方の審議も並行して行われる、こういう事態も理論的にはあり得る。ロッキード事件の解明がずっと長くおくれてしまったというようなことになると、他方懸案三法案の処理、これは待ったというようなことのきかぬ問題でありますから、そういうこともまたなしとしない、こういうふうに考えます。
  123. 有島重武

    ○有島委員 米価の問題に入りますけれども、昨日の記者会見で、副総理が消費者米価値上げ大体一けた以内ということをお示しになった、指示されたというふうに承っておりますけれども、これは根拠はどの辺にあるわけなんでしょうか。
  124. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私は、消費者米価は、財政上、農政上また物価対策上広範な配慮のもとに決めなければならぬ、こういうことを申し上げておいたわけです。それを記者団は、一けた台を示唆、こういうふうにお書きになられたのですが、そういう感触を得られたからそういうように書いたのではないかとも思いますが、私は、一けた台に決めるというふうに申し上げておるわけじゃないのです、慎重に検討して決めます、こういうことであります。
  125. 有島重武

    ○有島委員 たとえば八%以下にはしょうとかなんとか、そういうことも考えていらっしゃいますか。
  126. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 八%以下というか、八%程度といいますのは、これは消費者物価全体ということです。それは、五十一年度の目標は八%程度であるということを申し上げておるわけです。その中において八%消費者物価水準が実現されるような米価の決め方をしたい、こういうことはそのとおりでございます。ただ、それは米価を八%ということじゃないのです。消費者物価水準全体として八%ということで、現実の問題とすると、米価を八%程度とか八%以下というのは、これは財政上あるいは農政上の見地を踏まえて見るときに、非常にむずかしい問題だと思います。
  127. 有島重武

    ○有島委員 米価審議会の構成の問題について私たちは一つの意見を持っているわけですけれども、審議会の構成について、これをもう一遍考え直してみるというような段階に来ているのではないかというような意見があるようでございますが、これについて何か御見解を持っていらっしゃったらば……。
  128. 下浦静平

    下浦説明員 お答え申し上げます。  米価審議会は、農林省設置法に基づきまして設置をされております審議会でございますが、現在二十五名の委員さんから構成をされておるわけでございます。この米価審議会につきましては、たとえばたばこの審議会でございますけれども、あのような生産者代表何名というような構成には実はなっておりません。すべての委員さん方がすべて学識経験者という取り扱いになっておるわけでございます。その中で、強いて色分けをいたしますれば、現在の構成というのは、生産者側が四名、それから消費者側四名、あと十七名が学識経験者という扱いになっておるわけでございます。  そこで、米価審議会の運営の仕方でございますけれども、これは多数決で決めておるというような運営はやっておりませんで、皆様方の意見を会長が集約なすって、それぞれ答申をされておるというようなこともございますし、それから過去の構成につきまして実はいろいろな経緯がございまして、昭和四十一、二年当時は、いわゆる中立米審と呼ばれておりますけれども、色分けをいたしましても、全くの中立学識経験者の委員さんから構成をされたという時期もございまして、実は昭和四十三年からいまのような構成になっておるわけでございますので、私どもといたしましては、この構成につきましては、特にこれを変更するというような必要は現在のところはないというぐあいに考えております。
  129. 有島重武

    ○有島委員 食糧庁のお考えはそうかもしれない。副総理として、今度の生産者米価の審議の状態として、米審の方が本当の審議を放棄したという形ですか、意見書でもって終わったということもございましたけれども、毎年毎年いろいろなやかましいことになるわけですけれども、その構成をもう一遍考え直してみるというような時期に来ているのじゃないだろうかという意見が大分あると思うのですけれども、副総理としては何か御意見を持っていらっしゃいますか。
  130. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 一部の方から、中立委員だけであれを構成したらどうだというような意見があるのです。それは私もそういうことを聞いておりますが、やはり生産者消費者、両方の代表の方が入って、皆さんの多数の方が納得されるという形で米価というものが決められるという現在の構成、これを基本的に改めるという必要はいま考えておりませんです。
  131. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、大変ぼくははっきりしたと思うのですけれども生産者消費者、学識経験者、その三者構成ということが望ましいというお考えであろうかと思うのですね。それがいまの二十五名中四名というようなことでもって、いま副総理がおっしゃた三者構成というものがちゃんと機能するかどうかというような問題があると思うのですね。少なくともそれを生産者八名、消費者八名、学識経験者が八名と一名、そういうような構成も考えられると思うのですね。いまは、副総理、三者構成とおっしゃったけれども、それがそのように機能していないのではないだろうか。そういった意味でもう少し考えてもいいのじゃないだろうかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  132. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ただいま学識経験者と申しますか、中立的な方が多いわけですが、私はそういういまの形はわりあいによくできておるのじゃないか、そういうふうな感じがいたします。それを積極的にいま三者構成の中身を改めよというような必要はないのじゃないかというような見解でございます。
  133. 有島重武

    ○有島委員 それでは、それを宿題としてお考えおきいただきたいと思います。こういった意見もあるということをお含みいただきたいと思います。  それから、議録の公開のことについてですけれども、審議会の会議録ですね。これはちょっと話がずれますけれども先ほど松浦委員の方から、かつてのドルショックのときの話がこの場で出ました。それで、いま景気は上向きになっている。輸出は伸びているけれども、輸入がその割りに伸びていかないのじゃないだろうか。そして国際収支は黒になっていくという状況がある。先般の先進諸国の会議もあった、そういうようなお話が出ていたわけですけれども、日銀に政策委員会というのがございますね。この前のドルショックのときにも、恐らく日銀の政策委員会ではさまざまな議論がなされておったのであろうと思うのです。もうこの辺でもってフロートにすべきである、あるいはまだ固定相場を保つべきである、いや、こんなにドルをたくさん持たされてしまって、次にそれは国民が大損をして外国人にもうけられてしまうであろうというようなことは、外部からもうんと騒がれておったことでございますし、それから政策委員会の中でもさまざまな議論がちゃんとあったと思うのです。その当時の議論、だれがどういうことを言ったのか、だれの議論によってこういうことになったのかというような責任の後追いというようなことがいまわが国ではなされないわけです。当時の日銀政策委員会の議録というもの、いま私たちが見ることができますか。
  134. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私も日銀政策委員会の運営については余り詳しくないのです。つまり記録を果たしてとっておるのかとってないのかですね。概略の話の筋は記録してあると思うのですが、速記録みたいな形でとってあるのかとってないのか、その辺につきまして詳しいことを存じません。したがって責任のあるお答えをすることができないのです。
  135. 有島重武

    ○有島委員 アメリカなんかの場合ですと、ある期間を置いて発表するのだそうですね。そうすると、だれがどういうことを言った、これは正論であった、この意見は間違いであったということが後からきちんとわかる。それなりに、だから、みんな非常に責任を持った、責任をかけての発言をそれぞれするというような風習になっておるようであります。それでいまの日銀の場合には、われわれはそれを知ることができないわけです。ですから、後から考えてみますと、あんな大変な過剰流動性があって、それでもう少しちゃんと手を打ってくれればよかったのにと思われることがいろいろ反省されるわけでございますけれども、そういうような政策決定をした方々がまだ依然としてやっていらっしゃる。さっき政治的な反省がなければ腐敗するというようなことを言われましたけれども、これは政治とは違いますけれども、やはり日本全体の経済を大きく決定していくその政策委員会、これが何かブラックボックスの中で行われているということは、これは近い将来に改めていかなければならない問題であるというふうに私は思うわけです。  米審の方に戻りますけれども、米審の方もこれはそのときそのときすぐに意見を発表してしまうということになりますと、これはまた議論がしにくくなると思うのですけれども、ある期間を置いて、そしてその議録が発表されていく、そういうような制度にしていくということが、さらにこの米審の機能が本当に責任あるものになっていくことに通ずるんじゃないだろうか、こう思うわけでありますけれども……。
  136. 下浦静平

    下浦説明員 先生の御質問の趣旨とはちょっと違うかとも思いますが、米価審議会の公開、非公開の問題で、実はかつて非常にもんだことがございます。三十六年までは公開で参りまして、三十七年以降非公開になった経緯がございます。  なぜ非公開になったかと申しますと、公開いたしておりました当時、だんだん公開制度に伴います弊害が非常に強く出てまいりまして、それでやむなく非公開にいたしまして今日まで至ったという経緯がございますので、その辺の経過を十分踏まえまして考えなくてはならぬ問題かと存じております。
  137. 有島重武

    ○有島委員 副総理、お聞きのとおりでありまして、いきなり公開いたしますと、大変みんなエキサイトしておりますから、これは大変なことになる。それから、私も、議録を余り早急に発表するということになっておりますと、やはり出るべき話も出にくくなるということもあると思うのです。ですから、一定期間を置いて、それでそれが発表されていく、そしてその後からちゃんと冷静にそれを検討し、それでそれの正否を時間をずらして考え直していくというようなことが、米審自体をもう少ししっかりさせていくということに通じるんじゃないだろうかということで御提案申し上げるわけなんです。日銀のことも、これもひとつ考えておいてくださいませ。  それで、今度食糧庁にちょっと伺いますけれども、いままでいろいろ議論が出ましたから、私も消費者米価のことについてはでき得べくんば据え置いてもらいたいと思いますけれども、なかなかそうもいかないでしょう。食管のこの赤字解消する方向、これは国民みんなが考えて協力していかなければならない問題でありましょう。だけれども、これは食管制度そのものが逆ざやということは予想してかかってくるわけですから、全くこれでゼロというわけにもいかないんだけれども、少なくともさっき議論が出ておりましたけれども、農業政策にかかわる部分というものをもう少し切り離すということをこの際考えなくてはいけないんじゃないだろうかと思うわけです。それが、倉庫代だとか、保管料だとか、人件費だとか、金利負担だとか、こういった必要経費については、これは食管ということではなしに、政府の負担分というふうに切り離して考えていく、そういうような方向に踏み出されるべきときじゃないんだろうかと思うわですけれども、これについてはいかがですか。
  138. 下浦静平

    下浦説明員 ただいま先生御指摘の点でございますけれども、理論的な問題と現実面の問題と両面あろうかと存じます。  理論的な面からいたしますれば、これは集荷をいたしました米を保管し、輸送し、それから配給をするということになるわけでございますので、これは当然米のコストの一部になるわけでございます。したがいまして、これは食管特別会計で現在まで計上してまいりまして、それに伴う必要な経費は一般会計から繰り入れをするという方式が現在もとられておるわけでございます。  ただ、現状はどうであるかという点でございますけれども、これは実際面の問題でございますが、逆ざや関係でございますけれども生産者米価決定前の逆ざや関係で申し上げましても、実は売買逆ざやが二七%余あるというようなことになっておりまして、今回、これから消費者米価決定を行う段取りになるわけでございますけれども、なかなかこれはそのコスト部分まで届く話ではございません。したがいまして、現状は、これは全額国の負担ということに相なっておるわけでございまして、このコスト部分まで逆ざやを直ちに解消しようという考え方は私ども持っておりません。当面は、この売買逆ざやが私どもの問題ということでございます。
  139. 有島重武

    ○有島委員 いまの食管赤字が八千四百七十九億円といま言われておりますね。この中には、売買損失だけじゃなくて、いまのことから言えば、政府が当然負担してもいいような管理経費というものが含まれているんじゃないだろうか。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 それで、米麦輸入の勘定まで入っているわけですね。だから、これは計算にもよると思うのですけれども、実際の売買損失分というのは三千七百八十九億円であるというように言われている。こういった計算も成り立つわけです。ですから、消費者にこうした管理経費を米の値段として押しつけていくというようなことは、これは避けるべきじゃないだろうか、改革をすべきじゃないだろうかと思うわけです。いまどうもあなたに聞くと、次長さんだから、現状はこうでございます。改める考えはございません、そういう答えしか出てこないわけなんです。副総理として、何か将来の方向を示唆していただくような御発言があれば大変ありがたいのだけれども、いかがですか。
  140. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いまの食管赤字というものは膨大なものでありますが、その中で売買逆ざや、これがその大半を占めるわけなんです。その売買逆ざやだけでも二七%の改善をしなければこの解消に至らぬ、こういう状態で、いま食糧庁といたしましては、いろいろ管理費でありますとか、輸送費でありますとか、もろもろのそれに必要な人件費でありますとか、いろんなコスト要因がありますけれども、それは一応たなに上げても、この売買逆ざや、これをとにかく解消しなければならぬ、こういうことを考えておるようでございますが、それにだって、相当これはまだ時間がかかるわけで、その売買逆ざや解消した後において他のコスト、これをどういうふうに扱うか、その時点において篤と検討いたしたい、こういうふうに思います。
  141. 有島重武

    ○有島委員 いま副総理がおっしゃったようでございますが、売買の損失分というのは、いま現在三千七百八十九億円ということなんですよ。約一兆円にも及ぼうというお話があって、売買損失分というのは三千八百億円ということでございます。ですから、そこに集中して、それを本当に合理的にひとつ解消していくということをどこからやっていくのかというふうにして、ほかの荷物は少し切り離してあげるということが大切であろう。そうでなくて、一兆円にも及ぶ、だから消費者米価はこうしなければいかぬ、そういうふうに攻めてこられると非常に、そちらとしては筋が合っているのかもしれないけれども消費者の側からすると、筋違いに見える。いまお話を聞いておりますと、確かに売買損失分のところだけを、これをとにかく解消するんだ、その方向でいくんだというようなお話でございますから、ぜひそういうふうにしていただきたいと思うわけです。
  142. 下浦静平

    下浦説明員 先生おっしゃいました三千七百八十九億、これは自主流通米を除いた分の売買損失でございまして、自主流通米助成が千二百億出ておりますので、これを合わせますと五千億ちょっとということになるわけでございます。そこで、まさにこの売買逆ざやを何とか解消したいということでやっておりますので、先生おっしゃいますような方向で現在作業を進めておるというのが現状でございます。
  143. 有島重武

    ○有島委員 ですから、食管赤字が一兆円に及ぶからどうのというようなことは以後慎んでいただいて、実質的には五千億円である、これを今後やっていく、そういうふうな表現にしていただくべきであろうと思うわけです。  それから、時間がなくなっちゃったのですが、前にいろいろ質問がございましたが、コストの二・五%が五・二%になって、それが七・三%になった、このことが私も何遍聞いてもよくわからないので、時間があれば承っておきたかったのですけれども、略します。  八月になって電力のことを当委員会においてまた審議することになっているようでございますけれども、一つだけ副総理に承っておきたいのです。  今度の電力値上げの根拠は、六十年度には現在の電気の需要を二倍にする、そういうことを前提としてその設備を進めていかなければならない、そういうことが一つの大きな根拠になっているわけです。それで、六十年度までに発電量をどうしても現在の二倍にしなければならぬものか、その点はどうなんでしょうか。
  144. 大永勇作

    ○大永説明員 お答え申し上げます。  四十八年度から六十年度までの電力の年平均増加率を五・六%というふうに見ておりますが、そういうことでまいりますと、約倍に需要がなっていくということでございます。
  145. 有島重武

    ○有島委員 そのことはよくわかるのだけれども、副総理に承りたいのは、六十年度には現在の二倍の電力需要を見る、そういったことを大前提としているわけですよ。本当にそうなんだろうか。
  146. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 しばしば申し上げておりますが、六十年代は平均経済成長六%、こういうところを目標にして経済運営をしたい、こういう考えなんです。そうしますと、やっぱり経済がそれだけ規模が拡大するということになりますると、それに応じて電力量がふえていくということを想定しなければならぬ。そういうことで十年間をとってみますと、まあ、倍にはなりませんけれども、倍近くなっていく、こういうことでございます。
  147. 有島重武

    ○有島委員 現在の電力需要状況というもの、これは分析していろいろ考えないことにしておいて、それでこのまま六%、六%、六%伸びていくであろう、大体そういうような大ざっぱな計算なわけですね。それでいいのだろうか。さっき最初に社会風潮の話をなさいました。社会風潮のことを私の方から持ち出した話だけれども、何でも金に換算する、金次第というような社会風潮はよろしくないとありました。高度経済成長政策というものがその社会風潮に一つの役割りを果たしたといいますか、深い関係があったというようなお話があったと思うのです。それで、これからの高度経済成長じゃなくて、年々六%くらいだから、鈍化された成長には違いないけれども、現在の電力需要の構造というものは、ここ十年間に高度経済成長時代にずっとシェアをうんと伸ばしてきて、それでいまのこれだけのGNPのためにはこれだけの電力というような数値が大体決まっていたと思うんですね。十年前にはそうじゃなかったわけですよ。GNPと電力需要との係数がやっぱり少しずつ違うわけですよ。ちょっと時間がないから略しますけれども、現在をそのまま未来に延ばして、それで大体GNPが二倍程度になるのだから、電力の方も二倍程度、これは大ざっぱにはいいと思うのだけれども、こうしたことをもう少し詰めて考えていただかないと、電力値上げの問題も、大前提のところで非常に大ざっぱな前提から発した議論にならざるを得ないと思うわけです。これはひとつ経済計画の中における電力需要のウエートということについてもう一遍考え直していただくべきじゃないか。その上でまた電力料金ということをもう一遍考えなければならないのじゃないだろうか、そんなふうに思うわけです。  ちょっとしり切れトンボになっておしまいになっちゃったけれども、いずれ電力問題は八月にやるそうですから、そのときにまた議論をしたいと思います。副総理から一言言ってください。
  148. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いま有島さんの御指摘の点なんか精細に検討しておるのです。つまり、経済が成長し発展する際に、その経済を動かすエネルギーという問題もあるし、さらにまた社会も経済発展に伴って高度化する。そうしますと、電気洗たく機だあるいはクーラーだヒーターだというような電力の需要、こういうものもふえてくるという傾向。つまり、高度化された社会では、電力の需要というものは生産活動のほかに配慮せらるべき問題であるというような点もあるのです。一方においてわが国は、資源小国であるという立場から、省資源、省エネルギーという政策も進めなければならぬ。そういうものを彼此差し引きいたしましても成長率よりも電力需要量の方がやや上回る傾向と断ぜざるを得ないという立論で、十年間の電力需要量を算定いたしておるわけでありまして、なお精査はいたしますが、大体お考えの筋は取り入れて考えておる、こういうふうに御理解願います。
  149. 有島重武

    ○有島委員 ぜひとも考えていただきたいのは、ただ客観的にこうなっていく傾向だなどということではなしに——こういうことがあったでしょう。砂糖の消費は文明の指標だという話が一時あったのです。それから石けんの使用量が文明の指標みたいなことを言われたこともございました。そういうような傾向がある。砂糖のことで言えば、いま学童を見ても九五%は虫歯でございますけれども何かうんと使うことがまるで文明のような、そういったかけ声が経済成長以前からもあったわけですね。そういう安易なといいますか、やはりこれも一種の商業主義だと思うのですが、商業主義に国民が踊らされてしまうということがないようにしたい、そう思って申し上げたわけです。  以上で終わります。
  150. 板川正吾

    板川委員長 和田耕作君。
  151. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま日本の経済も政治もなかなか大変な状態になろうとしておるわけでございますけれども、いまはもう七月の中旬でございますから、待ったなしの十二月九日までということになると、もう四カ月ぐらいしかないわけです。この四カ月の間に、ロッキード問題を徹底的に究明するということと、三つの重要な法案を通すということと、総選挙をやるということがあるわけですね。しかもこの問題は、関連しておることであればいいのですけれども、かなり矛盾している要素を持っておるのじゃないかという感じが私はするのです。  たとえばいま日本の経済は、副総理も大変努力をされて、二年越しの不景気から景気回復の局面をずっと移行しておる。最近は、停滞はしておっても、かなり確かな足取りだという御判断があるわけですけれども、それなりに物価の問題も、いろいろな意味で警戒をされるという問題があるわけですね。経団連の方からも早く法案を通してくれというような主張も出てきておるようなことを聞いておりますけれども、しかし、そういうロッキード問題の究明ということと、いまの三つの法案を通して総選挙をやるということは、私は現実に矛盾した要素を持っておると思うのです。とても一人の責任者では私はこれをうまくやり切れないんじゃないかという感じがするんですよ。  と申しますのは、まあ、ロッキード問題がどういう形で解決されるか知らないけれども、ここまで来ますと、かなり大きな波紋をいろいろな意味で起こしてくる可能性を持っている。これを主宰してやる人が九月以降もあるいは総選挙もというふうな政治日程を頭に浮かべますと、このロッキード問題は徹底的な解決ができないんじゃないか、いろいろなことが頭の中に右往左往して。そうでしょう。ロッキード問題を徹底的に解決するということであれば、党内あるいは国民から、あるいはほめられることもあるだろうけれども、大変に恨まれることもある。それを覚悟しなければこれはできないという問題を、ここまで来るともう含んでおるわけですね。したがって、このロッキード問題というものも、いろいろな世論、毀誉褒貶を冒して徹底してやるというこの仕事と、今後この三つの法案を含んで総選挙をやるという仕事は、私はこれはいろいろな誤解なしに聞いてもらいたいと思うのですけれども、一人の責任者ではできない、そういう感じがしてならないのです。これは副総理にお聞きするのはちょっと相手が悪いと思うのですけれども一般論としてどういうふうなお考えを持っておられるでしょうか。
  152. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 これはなかなかむずかしい政局論議でございますが、私はこれから下半期の政局というものは、ロッキード問題の推移に大きく影響される、こういうふうに思うのです。いまここで、まだこのロッキード問題が山にかかろう、こういうような段階で、さあロッキード問題が解明された後の政局は一体どういうふうな展望になるかということになりますと、これは非常につけにくい段階じゃないか。御見識として承っておきますが、どうも私としてはまだ見当がつきかねる政局である、こういう理解でございます。
  153. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはぜひひとつお考えになっておいていただきたいと思うから、私は申し上げておるのですけれども、本当に与党内のいろいろな人のこと、あるいは今後の政治の主宰者としていろいろなことを考えますと、これを考え過ぎると、ロッキード問題の徹底解明というものはいろいろな意味で矛先がにぶってくる可能性を持っている。これがにぶりますと、結局何をやっているかわからぬようなことにもなるということがあって、この問題はぜひともひとつそういうふうにお考えになっていただいて——ロッキード問題を徹底的に究明することは大事なことです、もうここまで来ちゃえば中途半端なことはできやしません。したがって、これはやるとして、その後は違った構想で早くこの三つの法案を含めて総選挙へ向かっていくというような考え方、これは私は自民党の党員じゃありませんので、自民党の党員というよりも、国の政治を主宰する者として考え方はこういうふうになければならないということを申し上げておるわけでございます。  と申しますのは、今後の物価問題あるいは経済問題を考えましても、そういう問題を突き詰めて考えていただかないと、なかなか私はうまく指導はできないと思いますよ。たとえば国鉄運賃の問題あるいは電信電話の問題あるいは財政特例法の問題これをうまく解決するためには、全党的な一つの支持を持っていなければならないし、野党としても違った考え方でこれと取り組んで審議しなければならないという問題もあるわけで、これはもういままで取りざたされている問題もありますけれども、私は必ずそういう必要が出てくる、私はそう思いますね。そういうことでいまの三つの法案の問題についての質問をしてまいりたいと思うのです。  副総理、この財政特例法案という問題は、このごろ景気が大分よくなってきて、税金の自然増収も増加している見通しも出てくるということもあるんですけれども、副総理が御判断になっていま検討なさっているということですけれども、大体タイムリミットというのはいつごろを考えておられるのでしょうか。
  154. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そのタイムリミットがこれからの政治運営のプログラムをつくる上において非常に大事なんです。そこで、政府としては大蔵大臣に対し、本当にどこまでいまのままで持つのか、ぎりぎりのところをひとつはっきりさせてもらいたい、こういうことを申し上げておるのですが、常識的にはいままでずっと九月いっぱいで財特法が成立すればということは言われておりましたが、どうもいままで年度始まってからの公債の発行、そういうものはかなり順調に進みまして、八月中にはもう公債の発行余力が六千億だとかそういうようなところに来ておるようでありますが、そうすると九月になると公債発行の余力というものは非常に少なくなる、そういうようなことを考えますと、この辺でいついつかのところがぎりぎりかということを、これは厳密に調べておく必要があるだろう、こういうふうに思うわけであります。それを近いうちにひとつ見当をつけるということにしておりますので、いまここで九月の何日だと、こういうようなお答えができない、そういう状態でございます。
  155. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 昨年の予算でも非常に重要な税金収入の財源として自動車の重量税というのがあったのですが、これもいろんなことで私ども反対してちょっとおくれたのですけれども、今度の三兆七千億という赤字国債の問題は、一つ一つの予算関連の法案と違って全体にかぶさる財源でございますから、本来私はこれは予算と離してやるのはおかしいのじゃないかという感じを持っておったのですけれども、それはいかがでしょうかね。
  156. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そのとおりなんです。いま予算案は施行されておるわけでありますけれども、これは片肺で動いておる、こういうような状態で、財政特例法が成立しませんと両肺が備わった健全な、健康な姿とは言えない、こういう状態です。しかも、そのもう一つの片肺を整備しなければ国政が運行できないという時期が刻々と迫っておる、こういう状態でございます。
  157. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そのような意味で、この三つの重要な予算関連ということですけれども、やはり二つに区別することができると思います。赤字特例法案はとにかくもう参議院に行っておりますし、審議も大体半分以上済んでいるという段階ですから、これは早く片づける、あとの運賃と電信電話の問題は別に考える、あるいは緊急の事態では特例法案だけ通してあとは総選挙後の国会に送るというふうな考え方もあるのですけれども、そのように二つを分けて考えることができるとお考えになっておられるのか、あるいはいま三つの法案をどうしてもこれは予算関連として一緒にやらなければならない、一緒にという意味は、一つのこの臨時国会でやらなければならないというようにお考えになっておるのか、副総理としての御見解をお伺いしたい。
  158. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 財政特例法はいずれにしても九月、その見当で成立しなければならぬということですが、一方、国鉄運賃法また電電の料金法ですね、こちらはもっと急ぐ事情があるようでございます。つまり、基本的に赤字が累積するというこういう問題がありますけれども、同時に料金法が今日のような状態では、予算に予定した事業量、これをかなり大幅に削減をしなければならぬ、こういう状態があるわけなんです。たとえば国鉄で言いますれば、国鉄が担当しておる東北新幹線の工事なんかに相当の支障がある、これは一万人とも言い、一万五千人の就業にも影響するというような大きな問題にまで発展していく、こういうふうな事態がありまして、いま郵政大臣また運輸大臣、これは双方ともがぎりぎりのところは八月一ぱいだということを申しております。それがしかし、十日おくれて、二週間おくれてそれでどうということはないと思いまするけれども、ぎりぎり八月だと申しておることから、これをいつごろまでに大体成立させないと相当大きな問題が起こってくるというととは想像されるのです。切り離して、臨時国会をまず開いて、そうして財特法を通して、特別国会料金法、運賃法を通す、こういう二段制はいまのところ政府の方では非常に考えにくい状態でございます。
  159. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そういうものだと私も思いますけれども、しかし、日程を全部合わして八、九、十、十一と四カ月しかないのですから。しかもその間に、私はどうしてもやっぱり政変があって新しい顔でやらなければならぬという感じを持っておりますけれども、そういうふうなことになると、なおさらもうどん詰めまで行くという感じが出るわけですね。そうなると、特例法だけはやって運賃とあれとを離してというふうなこともやむを得ず出てくる可能性があると思うのですけれども、もしそういうことになれば、今年いっぱいにできるかどうかわからないことにもなるわけですね、これは一番どん詰めまで行きますと。そういうことができないとすれば、一つの臨時国会で三つを片づけるということは是が非でもやらなければならないというふうにお考えになっておられるようないまの御説明のように聞くのですけれども、大体そのように承知しておっていいのですか。
  160. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そのとおり御理解願います。
  161. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ぜひとも新しい顔の問題は——これは冗談でなく、このごろそう思うのですよ。ロッキードをうまくやって、しかも総理が、党内の人心を収攬しなければならない立場の人が、そういういろいろな雑音が頭に入ってくると、ロッキードの大事な局面で考えが鈍ってくる、あるいは濁ってくる、こういうことを私は思うのです。そういう面からやはり役者交代というような形のものがなければならない。また運賃法案の審議なんてことになりましても、いままでの関係のある人では、野党としてもこういう問題をすっきり気持ちを変えて、いや総選挙だという形でなかなかやれないと私は思うのです。そういういろいろなことがあるので、特にそれがあっても三法案のいろいろ片づける問題があればということで御質問を申し上げたわけですけれども、大体わかりました。  今年の自然増収の問題が、案外景気がよくなって三兆七千億という赤字国債も必要でないという事態が出てくれば——これが出てくるかどうかという見通しはいつごろわかるでしょう。
  162. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 今年度の財源の見通しは非常に大まかに申し上げますと、給与所得が予定したよりはやや少なくなる。したがって、源泉所得税収入が少し減るかもしらぬ。いま和田さんのお話のように、他方景気が上昇しておる。そういうようなことから、九月期の決算、三月期の決算、逐次よくなっていく。本年度の税収に関係のありますのは九月期の決算なんです。三月期となるともう五十二年度になってしまいますものですから、そういうようなことで景気上昇を余り財政上いい影響というところまでいきませんと思われますが、それにしても予定した額よりは幾らか多い収入があるんじゃないか。差し引きしていまのところでは大体とんとんくらいなところではあるまいかというのが大方の見方でございますが、その見方に大きな狂いはない、私はそう見ております。
  163. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それからもう一つ大きな問題についての副総理の御見解を承りたいのですけれども、二年ほど前からスタグフレーション、大変なことだという感じがあった。先進諸国、アメリカもイギリスもドイツもフランスも大変これには苦しんで、数年間苦しんでおられる。ところが日本の場合は、ごく最近ではスタグフレーション、大変だという言葉がほとんど学者の間からも出てこなくなってしまった。これは副総理がなかなかうまくかじをとって、私もその点は感心しているのですけれども物価も一応片づけて、景気もいろいろな指標から見て、とにかく漸進的にアップしていく傾向になる。案外スタグフレーションて大したことないじゃないかという感じがいま各方面にあるんじゃないかと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。今後やはり怪物のような問題が今度出てくる可能性があるだろうか、あるとすればどういうふうな形で出てくるか、あるいはもうこれで恐れられたスタグフレーションという問題は一応解決したというようにお思いになるのか、その点いかがでしょうか。
  164. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 あの石油ショックによる日本経済の打撃というものは非常に深刻だったと思うのです。その前からインフレは始まっておりましたが、とにかくそこへ石油ショックだ。しかも石油ショックの影響はどこの国にもあったわけですが、わが日本に一番ひどく響いてきましたのは、その前からインフレが始まっておったという問題と、それからもう一つは石油に依存する度合いが日本は非常に高い、世界一高い、そういう二つのことから、他の先進諸国に比べると比較にならないような大きな打撃であり、したがって深刻なスタグフレーションということになったわけですが、私はああいう石油ショック的な海外の要因——軽徴な動きはこれはこういう時勢、資源有限時代という世界態勢ですからいろいろあると思いますけれども、ああいうショックということが再び起こるということになるとまたかなり影響を受けると思います。しかし、国内的には節度ある経済運営という姿勢を崩さない、着実にやっていくという限りにおきましては、私は日本の経済が再び混乱するということはあり得ない、こういうふうに考えております。
  165. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 けさの質疑でちょっと賃金問題に触れておられたのですけれども賃金の問題は消費者物価にとってはかなり大きな要素というお話もございましたが、日本で案外スタグフレーションという問題の第一回——第一期戦だと思う、後から必ず出てくると思うのですけれども、これがうまく解決された大きな要素の一つは、やはり二年続きの春闘が予想以上に控え目な形で推移をしたということと非常に関係があるんじゃないかという感じが私はするのです。これはイギリスとかイタリアの場合は非常に大きな組合の団結力があって、いわゆる下方硬直という線が崩せないわけですね。不景気になっても賃金は下げられないという問題が非常に大きな要素になってあのイギリス、イタリアのような状態になっている。しかし、日本の場合はもう三十何%から一挙に一三%、一三%から一挙に八%というように下がっていくことのできる、これは組合の形態にもその根拠があると思うのですけれども、そういうことと関係があったのではないか。しかし今後、組合の中でいろんなそういう要素についての反省は、すでにすっかりやられてしまったという形でいろんな考えが議論されておるけれども、これが不景気であろうが要求するものは要求するんだという姿勢が出てくると、日本の場合もなかなかうまく解決できないのではないかという感じがするのですけれども、それだけに組合の問題、労使問題は今後大きな関心を持って政府としても見守っていく必要がある。あるいは経営協議、共同決定的な考え方、ああいう型を含めて、このスタグフレーションを乗り切るためには非常に重要な要素だという感じが私はするのですけれども、そういう問題についての、副総理の先ほどの見解はわかりました、わかりましたけれども賃金問題をめぐっての今後の取り組み方等についてのお考えをお伺いしたい。
  166. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 わが国は、いま和田さんがおっしゃるように石油ショックのあの大スタグフレーションから順調な立ち上がりをした、私もこういうふうに見ておるのです。世界でも第二の日本の奇跡だなんというような評価もあるくらいですが、これはしかし奇跡でも何でもないと思うのですよ。やはりいま御指摘の昨年の春闘、これがとにかくスタグフレーションからの脱出を決めた、こういうふうに思うのです。もしあれがおととしの三三%というような惰性で、まあ三三%までいかないでも、二〇%だ、二五%だなんというような当時言われておったようなところで決まっておったとしたら、これは物価を押し上げる、物価を押し上げればそれは賃金をまた再び押し上げなければならぬ、賃金物価の悪循環、こういうことになり、賃金の重圧で企業は不振になる、そういうことになれば設備投資も行われない、また勤める人々も、ノミナルの賃金は上がるけれども、インフレで実質所得は下落する、こういうようなことで社会が非常に不安になっただろうと思うのです。それからまたスタグフレーションは一層進行して不況になる。さあ不況になったからそれじゃ景気対策をとるかというと、景気対策どころじゃない。逆にインフレの火の手を静めなければ、消さなければならぬ、こういう立場。昨年の春闘というものがおととしのあの惰性から決められているという状態だったら、今日のような落ちついた日本社会、日本経済というものはなかったと私は思うのです。私は去年の春闘が石油ショック後の日本社会、日本経済を決めたほとんどすべてのものであるというくらいに見ることが妥当であるという見解ですが、今後とも労使間の良識ある話し合い、協調、この方向は非常に貴重なものとして推し進めていかなければならぬだろう、かように考えます。
  167. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 米価の問題について最後にお伺いしたいのですけれども、石油ショック以前は、お米なんかを目の色を変えて大きな援助をしてつくる必要なんというものはないんだという感じが出てきておりました。経済企画庁なんかにも相当あったと思うのですけれども、あれ以後これは大変だ、食糧だけは日本でしっかり自給しなければならないという空気がまた非常に強く出てきたわけですね。つまり、お米に対しての基本的な考え方を現在農林省はどういうふうに考えておられるのか。あの石油ショック以前のような状態と、あれ以後の食糧は大事だ、こういった感じの状態とを踏まえながら現在どういうふうなお考えを持っておられるのか。
  168. 下浦静平

    下浦説明員 お米の問題でございますけれども、先生おっしゃいましたのは、石油ショックと申しますよりは、むしろソ連の四年前の不作に伴います大量買い付けが契機になりました世界的な穀物需給基調の変化でございますが、それがもとになりまして、国の内外を問わず食糧問題が非常にやかましくなってまいったわけであります。私どもまだこの基調は変わらないというぐあいに考えておりますが、国内産米につきましては基調としては過剰の基調にあるわけでございますので、できるだけ単年度均衡は図っていかなくてはならない。しかし、生産者の側から見ますれば、米というのはやはり基幹的な作物でございますし、それから国民一般から見ましても食糧の中の最も基礎的なものでございますので、この供給の長期的な安定と申しますか、長期的な安定供給は図っていかなくちゃならぬというぐあいに考えております。
  169. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 麦の値段を一年に二度上げたということも、食糧自給という問題と関係があるのですか。
  170. 下浦静平

    下浦説明員 これは関係があるわけでございまして、小麦を初めといたしまして穀物国際価格が非常に高位不安定で推移をしておる、片や日本の食管の売り渡し価格というものはなお三三・四%の逆ざやがあるということでございまして、これに対しまする批判、これは国内でできます米を抑制いたしまして、外国産の穀物に輸入補給金みたいものを出しておるという結果と同じではないかというような御批判もございますので、できるだけこれは是正をさせていただくということでございますので、これは関係があると言えるのではないかと思います。
  171. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その場合に、米も麦もあるいは牛乳もというふうに考えるのか、あるいは米は多少減らしぎみであっても、麦だあるいは肉だ牛乳だというふうなお考えになるのか、その点いかがでしょうか。米を中心に考えていくのか。
  172. 下浦静平

    下浦説明員 畜産につきましては、経済成長が進むにつれまして非常に需要が拡大してまいりましたので、それに伴います各種の振興策をとってまいったわけでございますけれども、トウモロコシあるいはコウリャンというものも需給の基調は先ほど申し上げましたような状態と変わらないわけでございますので、できるだけ国内でとれますものを食べていただくということがまず大切ではなかろうかと考えております。そういう見地からいたしますれば、やはり米を見直していただくということが必要かと考えておりますので、日本人の食生活の中心でございます米というものは大切にしていかなくちゃならぬ、こういうぐあいに考えております。
  173. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 先ほど福田副総理も、食管制度は断固として守る——断固という言葉があったかどうか知らぬが、そういう趣旨の答弁がございましたけれども食糧自給という考え方が中心にありますと、やはり食管会計というものが柱になってくるという感じがするのです。多少無理でも、そういう政策は今後続けていきたいというのが政府の基本的な姿勢だと了解していいんでしょうか。
  174. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そのとおり御理解願っていいと思います。いま何といっても穀物食糧ですね、その中で小麦は自給度がもう三、四%になっちゃったという状態、他方お米の方はあり余る、これは生産調整までしなければならぬ、こういう状態ですが、やはり基本的な方向としては、米の需要をふやす、麦の需要を減らす、この方向を強く押し出す必要があると思うのです。さっき石油ショックから変化があった、こういうお話ですが、資源有限時代という時代ですわね。その資源の中には、食糧もまた含めて皆意識しているわけです。さあ二十一世紀になったら地球上の人口は七十億人を超えるだろう、その際に食糧一体どうなるか。公害の問題、農薬の問題、そういうことで食糧生産が制約される、倍の食糧増産とてもむずかしいぞ。そこで、わが国がとにかく食糧の半分も海外に依存しているという状態は果たして健全か、こういうわが国の安全保障的な立場から言いまして非常に重大な問題になってくる。その中でどうしても余りぎみの米はふやす、自給度三、四%の麦はその需要を減らす、こういう基本的な考え方を力強く推し進める、これが農政の非常に大事な、基本的な考え方になってくるのではないか、そういうふうに考えています。
  175. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まあ肉にしても麦にしても、精いっぱい自給しても余り外国から輸入は要らないなんということにはなかなかならないから、それはそれでいいと私も思うけれども、余り国内自給、自給だと言って外国とトラブルばかり出てくると、また困ったことになるということもあると思います。ただ、米価決定の問題でも、やはりそういう基本の問題がしっかりしておれば国民は納得すると思うのですけれども、それについてもう一つ納得できるような姿勢を農林省自体としてもおとりになる必要があるのじゃないか、そういうふうに私は思いますね。それにしましても、当面の消費者米価としては二けたになるといろいろ刺激的な要素が出てくるので、一けた堅持という姿勢は、多分、副総理も一けたとは言った覚えはないと言っているけれども二けたにしろというようなことは言わないというようなことですから、結局一けただというふうに理解しておるのですけれども、その態度はやはり堅持してもらわなければならない、こういうふうに思います。  質問を終わります。
  176. 板川正吾

    板川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて解散いたします。     午後四時十一分散会