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中尾(栄)
委員 このたび大変な
被害の問題が突然変異的に起こったものですから、
同僚委員の
皆さん方に御
報告かたがた、
被害状況を説明いたしまして、さらに、でき得べくんば
農林省挙げて御高配を賜るべく御陳情も申し上げたい、こういう
意味で、この
委員会の
トップバッターに立たせていただきましたことを厚く御礼申し上げたいと思います。
実は、
実情を概略説明いたしますると、去る六月十五日の午後、甲府市を初めといたしまして、
山梨市、塩山市、中巨摩郡龍王町、敷島町というような
ぐあいに、大体約十三
カ町村が
ひょう害の大
災害に遭ったわけでございます。これは何も
山梨県に限りませんで、実は
青森県、
島根県、
千葉県、
鳥取県におきましてもこの問題が出たわけでございます。
山梨県にとりましては、
ひょう害というのはほかの県に比べますと希有の現象でございまして、いままでにもそれほど数多くこういつた
災害は起こっていなかったのでございます。識者の話ですと有史以来だというのでありますけれ
ども、戦前、戦後と申しましょうか、昨今の
状況の中では最たる
ひょう害の
被害を
激甚に受けた、こう申し上げても差し支えはなかろうと思うのでございます。
このたびの
ひょう害といいますのは、調べてみますと、私の今回
調査した範囲でも、
大豆大と申しましょうか、
直径が大きいところで大体三センチあるいは四センチ、それから小さいのでも
直径が一センチはあるというような、言うなれば大きな
豆粒大でございまして、これが大体午後の六時四十五分から七時四十分まで降り続いたわけでございます。とても
人間が立って
かさを差してこれを防ぐなんという手合いのものではございませんで、大きい
ひょう害に遭いますと、
かさそのものが破れてしまうと言われておるわけであります。それが四回にわたって
ひょうにたたかれましたので
被害は加速度的に
甚大になりまして、
山梨県の
特産物であります
ブドウ、桃、
野菜、
レタスにしてもトマトにしましても見るに耐えない
状況でございました。桑、これは
養蚕をやっておりますので、
桑園がございますが、蚕が上簇しておるところも、あるいは稚蚕のための
桑園も、
壮蚕のための
桑園も、この
被害の大
激甚は目を覆うべきものがあったわけでございます。
被害総額その他は、一番最初に県から発表したものよりもふえてまいりました。と申しますのは、
ブドウの場合には、諸
先生方にもぜひ御見聞を願った方がということで、ここにも一応
ブドウの一部を持ってきたのでございますが、このように多くは枯れたような形になってしまう。ちょうどかつていまから九年前に私も
農水委で発言をいたしました
ジベレリンというのがございまして、
武田製薬の
ジベレリン、言うなれば肥大をさせるための溶液を使うわけでございますが、それが真っ赤な
ジベレリンの液を使いますと、わりあいとよく肥大してりっぱに生成するのであります。それがちょっと薬の混合の間違いからミイラのような
ブドウができたということで大問題になったことがございました。私もその折衝の任に当たった経験がございますが、それよりもひどい
状況と言っても決して過言ではないという
感じがするのであります。
これがノーマルな普通の
ブドウの
状況でございますが、御案内のように茶色の点が打たれておりますのはほとんど裂果されておる。
果実そのものがすっかり割れておるわけでございまして、これを
一つ一つ摘出して、現在は
農家でやらしておるわけでございますが、ほとんど
商品価値はゼロという形になってまいりました。恐らくことしの
甲州ブドウは勝沼のごく一部で出荷される以外は、出され得ないだろうといわれるほど、
山間僻地でつくられている
ブドウはほとんど軒並みに
被害をこうむったというのが現状でございます。
さらに、私ここに桃を持ってまいりましたが、桃の
現実は、大体幹はこのようにやられておるわけでございます。これは私は折って持ってきたわけではございませんで、そのまま持ってきたわけでございますが、ほとんどこういう形で折れてしまっておる。しかも枝の
先端ほ
どもろい。しかも枝がみんな
ひょうでほとんど傷ついてしまうというような
現実の姿でございます。そうしてさらに桃にいたしましても、こういう傷の跡を見てもおわかりになるように徹底的に
ひょうでたたかれますから、あるものは裂果をする、あるものはそこからもうすでに半分は切り落とされる。
ひょうの力というのは、加速度的に落ちてきますから、
人間の頭に当たりますと、子供ですと場合によってはその場で倒れてしまうくらいな威力があるそうで、したがって
桃あたりでも一たん傷ついたところに、幸い二、三日雨が降っておりませんから助かっておりますけれ
ども、雨が降り続いた場合は、必ずそれから
灰星病に入っていく、あるいはカビが生えていくことは間違いがないと言われておるわけでございます。それだけに、私の県だけを言うわけじゃございませんが、
山梨県の
特産物のほとんど三分の二は大
激甚被害を受けたということで
皆様方にも御理解のほどを願い上げたいと思うのでございます。
たばこにしても
レタスにしてもそうでございますが、参考までにごらんいただきたいと思いますけれ
ども、こんな
状況が全部でございます。
実は昨日、幸いにも
農林省の
調査団がわざわざお
見えになっていただきまして、
果樹花き課長初めその他の
各位の
方々もずっと歩かれて、これは大変なことだという印象を等しく持ったと思うのでございます。これは何も特別の物を持ってきたわけではございません。ここに並んでおる
レタスであるとかあるいはまた
野菜、蔬菜あるいは
たばこの葉も、ちょっとひねって持ってきたわけですが、
たばこの
被害甚大は、
先ほどもちょっと御
指摘をいただいた
先生がおられましたが、これは大変なものでございます。すなわち
たばこの葉は大きゅうございますから、そこに
ひょうがぶつかりますとほとんど穴があく、その穴があいた
たばこの葉の穴がさらに広がっていく様相を呈しますので、大体みんなこういうかっこうになってしまうというのが
実情でございます。
そこで、ここに専売の方お
見えになっておりましょうか。
——来ていませんか。
それでは
農林省の
各位に
要望申しておきたいのですが、まず
恒久対策、
応急対策の問題があろうと思います。そこで、私
どもの
要望といたしましては、まず
応急対策として
農林省はこれに対してどういう
応急措置をとっていくのか。たとえば
つなぎ資金等の問題あるいはそれと同時に私
どもが考えております
技術対策の問題、この問題についてはどういう
見解に立ち、どういう
措置をしようというのか、まずその一点お聞きしたいと思います。