○内村
政府委員 茨城県漁連の原子力発電の
補償に関連いたしまして疑惑を持たれた事件につき、当該漁連及び県庁より事情を聴取したところ、次のようでございます。
原子力施設周辺海洋地帯
整備事業として実施する漁業
振興施設の資金についてでありますが、動力炉・核燃料開発
事業団が茨城県東海村に建設した使用済みの核燃料再処理工場に関連し、茨城県漁連は、原子力施設周辺海洋地帯
整備事業の実施を国に要望してきましたが、
昭和四十九年四月六日、科学技術庁長官と県漁連会長との会談の結果、海洋地帯
整備事業として実施する漁業
振興施設として、一万トンの大型冷蔵庫の設置費、概算の設置費十二億円でございますが、これの全額助成の確約が得られまして、同じ年の四月三十日に、動力炉・核燃料開発
事業団を通じて、資金の一部として二億五千万円の支払いをなされましたが、県漁連会長はその一部を一時流用したわけでございます。このことが、
昭和五十年八月二十八日に開催された沿岸漁協組合長
会議において、
関係者の事前の了解なく取り進められたということで問題になりまして、県漁連会長は同年の十一月二十日付をもって、
事業団との間に総額十二億円の支払いに関する協定書の締結及び覚書の交換を行いまして、五十年度分として五億五千万円が同年の十一月二十七日に支払われておりまして、現在まで、
先ほどの二億五千万円と合わせまして八億円の支払いがなされ、これは漁連に全部入金済みでございます。したがいまして、現在のところ、
先ほど申しましたように、四十九年四月三十日にもらいました金の二億五千万円の一部を県漁連会長が他に流用したわけでございますが、それはすべて返されておりまして、そういった問題は一応治癒しているという形になっております。
次に、
昭和四十九年の十一月二十九日に、
事業団理事長と県漁連会長との間で、使用済み核燃料再処理工場建設に係る漁業
補償協定が締結されましたが、この交渉の最終
段階で、県漁連会長は、口頭をもって、
補償金のほかに若干の調整金を欲しいということを
要求いたしまして、了解を取りつけたわけでございます。その後、県漁連会長からの要請によりまして、
事業団は
昭和五十年の五月十二日に三千万円を現金で支払いましたが、会長はそのうち一千万円を、いわゆる先進地視察ということで、米国原発視察旅費、これには漁連及び加工連の会長並びに漁連の専務等十二名が参加したわけでございますけれ
ども、その経費に充当したわけでございます。残額の二千万円については、同年八月
事業団に返済されているということになっております。
そこで、私
どもいろいろ茨城県の漁連を監査いたしたわけでございますが、いわゆる金銭上の問題につきましては、一部流用したものが返されておりますし、治癒されておるわけでございます。
なお、米国の先進地視察に使った一千万円、これは遊びに行ったのじゃないかというような批判が新聞等にも出ておりましたけれ
ども、この種のものについて先進地の視察ということはよくやることでございまして、調べてみますと、ちゃんと原子力施設を見に行っておりますので、特に不当だということも言えないのじゃないかというふうに考えておりまして、経理面の問題は全部治癒されておるわけでございます。
しかしながら、私
どもといたしましてこういうことでは非常に困りますので、ことしの四月十二日から五日間常例検査をしました際に、漁業
補償に関連して漁連が受け取った資金の一部を会長が一時流用してい
たこととか、さらにまた
補償に関連した
事業計画について、一部役員が、漁連の業務執行機関たる
理事会の議や、
関係漁民の十分な理解を得ることなく、独断的にこういうことが行われているということは非常に遺憾である、今後は
補償交渉を初め
事業計画を進めるに当たっては、
理事会の議を経ることはもちろん、
関係漁民の合意の上に立って実施するようにするとともに、法令、定款等にのっとった業務の遂行が図られるよう執行体制の正常化に努めるべきではないかということを
現地で
指摘し、そのように指導したわけでございます。
その結果、五月二十日開催の通常総会で、いわゆる執行体制の刷新が図られる見込みでございますし、私
どもといたしましても、漁連でございますから、直接水産庁が監督しているということもございますので、このようなことが起こらないように十分指導していきたいと考えておるわけでございます。