○中川(利)
委員 時間の
関係がございますので、最後に少し一括して読みますから、一括して答えていただきたいと思います。
韓国水産物の輸入問題に絡んだ問題ですが、
政府が放置する間に無制限輸入の実績だけが積み上げられまして、日本の漁業者が再建
整備を余儀なくされようとも、依然として外国人漁業
規制法の政令発動をしようとしない、こういう状況があるわけでありまして、その間日本の水産物輸入はどう変わったかというと、韓国からの輸入は量、金額、種類とも他に類を見ない、こういう状況だと思うのです。つまりありとあらゆるものが韓国から無制限に輸入されてきておって、これが国内の漁業者の経営を脅かしている。こういう状況に対して、
政府は、
民間ベースの話し合いを進め、
政府間も
努力しているというぐらいのことなわけでありますが、私らに言わせますと、話し合いによる解決は結構ですけれ
ども、
政府は意図的に韓国との交渉をおくらせてその解決を延ばしてきたのではないか、こういうことも
考えるわけであります。
たとえば、カツオ・マグロ。
昭和四十二年当時から
民間ベースでアジアまぐろ
会議を開くなど問題が顕在化していたにもかかわらず、七十五
国会で外国人漁業
規制法の一部改正が議員立法で提案されるまで
政府は何ら具体的に動こうとしなかった。マグロ類の輸入問題について日韓
政府間交渉が初めて行われたのが五十年三月です。以後何回か行われていますけれ
ども、依然として問題解決はされていないということが今日の状況で、日鰹連なんかからも
政府に対して最近
意見書まで出ている、こういうことも聞いているわけですね。
だから、私が聞きたいことは、
政府は外国人漁業
規制法の発動をなぜためらうのか。議員立法されてから今日まで一年余の間に、韓国マグロの輸入実績だけは急増していること、そのことが日本のカツオ・マグロ漁業者を再建
整備と称して減船にまで追いやっている現実、これは言い過ぎかもわかりませんけれ
ども、日本の水産庁は韓国
政府のかいらいかと、こう言う漁業者もいるほどそういう批判もあるということを真剣にお
考えになっていただかなければならない。
同時に、外国人漁業
規制法の政令指定は「外国漁船によるその本邦への陸揚げ等によって我が国漁業の正常な秩序の維持に支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められる」場合に行われることとされていますけれ
ども、
昭和五十年で、韓国からだけで約六万トン、台湾、パナマを含めますと十万トンを超えるマグロ輸入が日本の漁業者に大きな支障を生じているという状況が今日の姿だと思います。つまり「支障が生じ又は生ずるおそれがある」——
政府はそういう事態はないという見解のようでありますけれ
ども、それならば、いまの
国会に漁業再建
整備法などというものを出すその
趣旨にも反するだろう、こういうことになり、自己矛盾するのではないかと私は
考えるわけです。したがって、日本の沿岸漁業、沖合い漁業を見直そう、これは大変きれいごととして私らも決して否定はしないわけでありますけれ
ども、自由化品目といえ
ども、日本の漁業者を守る
立場に
政府が立つならば、たとえば漁船での入港、陸揚げは認めないなどの
措置をとれるはずだ。しかし現実は直接漁場から日本の漁港に韓国、台湾船が入っているという実情なわけであります。
さらに、
政府は二百海里問題と相まちまして、口を開けば沿岸、沖合い漁業の見直しを叫んでおります。そのこと自体は結構なことですけれ
ども、問題は、遠洋、とりわけ北洋漁業に対する姿勢です。私は北洋ギンダラ問題を
一つの事例として挙げたいと思うのですけれ
ども、北洋海域のあらゆる業種が新たな再編を迫られようとしている今日、
政府の水産外交は
余りにも手ぬるいのではないか。ギンダラ業界にしても、日米漁業交渉の対米従属的な姿勢が、国内漁業者は
規制し、韓国、台湾は野放し状態という現実をつくり出している。それだけにことしの夏の日米交渉は相当の覚悟で臨むべきである。
また、北洋漁業の再編成が、大商社や大漁業資本本位に行われる懸念も一方に大きくあるわけであります。
韓国マグロ輸入にしても、商社の利益を
考えないで、仮に一万トンの輸入制限ができるとするならば、今
国会での再建
整備法で予定しておるカツオ・マグロ減船計画、年間六十五隻の一年分に近い五十隻分を減船させなくても済むことになるということです。
日本の漁業を取り巻く情勢は確かに厳しいものがありますけれ
ども、
政府がこれまでの大商社や漁業独占本位の漁業政策を改め、沿岸、沖合い漁業を再建し、中小漁業の発展を図る方向に改めるならば、国民の期待に十分こたえる日本漁業をつくり上げられるだろうということです。
そういう点で、わが党の見解をいまずっと述べたわけでありますが、これに対して農林
大臣と水産庁長宮からそれぞれ
所見をいただきたいと思います。