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1976-04-28 第77回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十八日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 井上  泉君 理事 角屋堅次郎君    理事 中川利三郎君       足立 篤郎君    江藤 隆美君       加藤 紘一君    金子 岩三君       吉川 久衛君    佐々木秀世君       澁谷 直藏君    染谷  誠君       渡辺美智雄君    柴田 健治君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       馬場  昇君    津川 武一君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         農林大臣官房長 森  整治君         林野庁長官   松形 祐堯君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         参  考  人         (全国森林組合         連合会会長)  植田  守君         参  考  人         (社団法人大日         本水産会専務理         事)      森澤 基吉君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会会長         理事)     及川 孝平君         参  考  人         (日本鰹鮪漁業         協同組合連合会         会長)     増田 正一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     諫山  博君 同月二十七日  辞任         補欠選任   諫山  博君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   金子 満広君     諫山  博君     ――――――――――――― 三月三十日  こんにゃく生産農家経営と生活安定に関する  請願津川武一紹介)(第二二五六号)  農林漁業団体職員共済組合法改正に関する請  願(津川武一紹介)(第二二五七号) 四月八日  道頓堀場外馬券売場設置反対に関する請願(  井岡大治紹介)(第二六九一号)  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物価  格の引上げに関する請願岡田春夫紹介)(  第二六九二号)  同外三件(塚田庄平紹介)(第二六九三号)  同外三件(美濃政市紹介)(第二六九四号)  同外二件(塚田庄平紹介)(第二七六六号)  同外二件(美濃政市紹介)(第二七六七号)  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物  価格引上げに関する請願美濃政市紹介)(  第二七六五号) 同月十二日  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物価  格の引上げに関する請願外二件(塚田庄平君紹  介)(第二八六〇号)  同外三件(美濃政市紹介)(第二八六一号)  同外二件(美濃政市紹介)(第二九八六号)  同外二件(塚田庄平紹介)(第二九八七号)  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物  価格引上げに関する請願塚田庄平紹介)(  第二八六二号)  配合飼料価格安定に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第二九七九号)  森林国営保険制度改善に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第二九八〇号)  優良農用地の確保に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第二九八二号)  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物  価格引上げに関する請願美濃政市紹介)  (第二九八三号)  野菜生産出荷安定法改正に関する請願津川  武一紹介)(第二九八四号)  蚕糸業振興に関する請願津川武一紹介)  (第二九八五号) 同月十三日  昭和五十一年産米の全量買入れ等に関する請願  (多田光雄紹介)(第三〇五二号)  加工原料乳保証価格算定方式改善等に関する  請願多田光雄紹介)(第三〇五三号)  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物価  格の引上げに関する請願塚田庄平紹介)(  第三〇五四号)  同外三件(美濃政市紹介)(第三〇五五号)  昭和五十一年度加工原料乳保証価格等畜産物  価格引上げに関する請願塚田庄平紹介)(  第三〇五六号)  中国食肉輸入禁止解除に関する請願(佐々  木更三君紹介)(第三一三五号)  農林漁業団体職員共済組合法改正に関する請  願(古川喜一紹介)(第三一三六号) 同月十四日  蚕糸業振興に関する請願津川武一紹介)  (第三二五八号) 同月十九日  さとうきびの生産安定対策に関する請願山中  貞則紹介)(第三四五四号)  農業政策確立に関する請願山中貞則君紹  介)(第三四五五号)  のりの価格保障に関する請願庄司幸助君紹  介)(第三四五六号) 同月二十一日  中国食肉輸入禁止解除に関する請願竹内  猛君紹介)(第三五七〇号)  同(吉田法晴紹介)(第三五七一号)  同(平林剛紹介)(第三六一九号)  農業経営安定対策等に関する請願八百板正  君紹介)(第三六一八号) 同月二十四日  漁業経営危機救済に関する請願赤城宗徳君  紹介)(第三七五二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月九日  昭和五十年度産米の予約限度超過米買上げ促進  に関する陳情書外一件  (第一八  五号)  繭糸、絹織物等輸入規制等に関する陳情書  (第  一八六号)  畜産経営安定の基本施策確立に関する陳情書外  一件  (第一八七号)  昭和五十一年産てん菜最低生産者価格等に関す  る陳情書(第一八  八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  林業改善資金助成法案内閣提出第一四号)  漁業再建整備特別措置法案内閣提出第一八  号)  中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一九号)  漁船船主責任保険臨時措置法案内閣提出第二  〇号)  農林水産業振興に関する件(林業及び水産業  の諸問題)      ――――◇―――――
  2. 湊徹郎

    湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件、すなわち、林業及び水産業の諸問題について、本日、全国森林組合連合会会長植田守君、社団法人日本水産会専務理事森澤基吉君、全国漁業協同組合連合会会長理事及川孝平君、日本鰹鮪漁業協同組合連合会会長増田正一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 湊徹郎

    湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 湊徹郎

    湊委員長 この際、参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。  林業及び水産業の諸問題につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、御意見はお一人十五分程度植田参考人森澤参考人及川参考人増田参考人の順序でお述べをいただき、その後各委員からの質疑がございますので、これにお答えをいただければ大変幸せと存じます。  それでは、植田参考人お願いいたします。植田参考人
  5. 植田守

    植田参考人 ただいま御紹介いただきました植田でございます。  私は、林業の問題につきまして御意見を申し上げたいと思っております。  御承知のようにわが国林業は、特に木材面におきましてただいま非常に重要な時期に立っていると思われるのであります。それは、終戦後、従来からの国産材中心にして需要を賄ってまいりましたものが、経済成長の結果、木材供給の不足を来しまして外材が入ってきておる。御承知のように、今日では外材が六〇%以上入ってきております。国産材はわずかに三十数%にとどまっておるようなわけでございます。国内林業資源から見て、これは今日やむを得ないということは皆様も十分御承知かと存じます。外材輸入かそれ相当になければどうにもならぬということは、私どももはっきりと認識はいたしております。がしかし、今日国内林業者が非常な苦痛を感じていることがこの事実から出ておるのであります。  それは価格の不安定さであります。あるいはおしかりを受けるといけませんけれども、昔から木材そのもの生産者は、いわゆる山師と言っておったものであります。きわめて投機的な物の動かし方をやっておったということは事実であります。そういうものが今日もなおかつ残されている流通機構でありますので、勢い木材価格の面で非常な不安定さがあるということは、皆様方も御承知かと存じます。そのために、国内林業生産造林面において沈滞の空気が出てくるということに相なってくるわけであります。あるいは造林ばかりでなしに、いろいろな面においての沈滞林業面で出てきておるようなわけであります。  そこで、われわれ林業者立場から申しますと、今日最も苦痛を感じておるのは、この価格をどうして安定するか、安定してくれる一つ考え方行政的にも政治的にも打ち出していただきたいという事柄一つあるわけであります。従来、外材輸入が六〇%を超えておるわけでありますが、外材輸入は今日もなお木材全体の需給の上から見て、常にある程度のセーブをしながら国内需給価格を乱さずにやっておるとは決して言えないのであります。そういう意味合いにおいて、私は、外材輸入規制しろとは申しませんけれども、国内需給によく見合った、国内需給を十分勘案した方向外材輸入をするような一つ組織を考えていただきたい。それには、名称はどうでもよろしゅうございますが、外材輸入調整機構一つの強力な形でもって実現していくような方向をとり、そして価格問題の安定に資していただきたい。  御承知のように、三十年代に一度、四十年の後半に一度木材の非常な高騰を来した時期がございます。そういう時期には直ちに、消費者価格のベースを目標にいたしまして、国有林増産体制をとったり民有林の増伐勧奨をいたしたり、あるいはまた外材輸入促進を図ったりというようなことが行われておりますが、片方、今日の事態のように木材価格が停滞してまいりました時代には、林業者に対する価格安定政策というものは全然とられていない、需給からくる価格政策であるという意味合いにおいて野放しになっておるということであります。こういった点に対して、木材備蓄機構というものもあるのではありますが、この木材備蓄機構の今日の内容では、われわれが期待するような価格安定政策はとれない、かように考えておるようなわけでございまして、ぜひひとつ木材の適切な需給に合うような調整機能を持った一つ組織を考えていただきたいということでございます。それが林業者にとっての当面する一番重要な問題でございます。  次は、御承知のように、森林法によりましてわが国世界でも有数な森林基本計画というものを持ち、また林業基本法木材長期需給見通しをやることになっております。その両面から見まして、今日わが国木材資源森林資源は非常な勢いで、戦後、行政の適切な政策、政治の適切な施策を受けて造林地が増加してまいっております。数字をちょっと申し上げますれば、二千五百万ヘクタールの森林面積のうち、すでに八百万ヘクタールが人工造林地化しております。その内容というのは、適切な国の計画である基本計画のもとに処理されておる数字でございます。  しかもその中に、昭和五十年代において三百八十万ヘクタールの間伐を要する面積があるわけであります。林業経営技術から申しまして、間伐はきわめて重要な、将来の有効な森林を育成する唯一の技術的方法でございます。その間伐に対しまして将来を考えるならば、三百八十万ヘクタールの森林から間伐されます材積を、たとえば一ヘクタール十立方と考えてみますれば、三千八百万立米の材が出てくるわけであります。この将来出てくる材を森林資源として有効に活用することは、わが国木材需要の上から見てきわめて大切な事柄だと思います。十年間で三千八百万立米でございます。一年にすれば三百八十万立米、石にして一千二百万石くらいになるかと思います。これはきわめて大きな数字でございまして、この間伐は実際には、現在森林組合などが中核になりまして組合員の山の協業体制をもって集団的に間伐を実施したりいたしておりますけれども、前に申し上げましたように価格が低迷している安い時代においては、持ち出し分が多くて間伐による収入によって十分有効な森林維持培養をすることがなかなかむずかしい事態になっております。  将来、これらの数字を頭に入れて考えていきますならば、間伐に対して販売加工等についての十分な手当てをしていく必要が今日あるかと思います。森林組合中心になっておる事業に対しまして、事務的な助成は別にしましても、間伐を実施する段階においての技術的な助成というものを特に考えて、加工販売面の新しい方向を打ち出すことが今日きわめて重要であり、その点を林業者は非常に期待しておるようなわけであります。  次に来る問題は、労務の問題でございます。労務は、御承知のように農山村からどんどんと都市の方へ流出してまいりましたが、最近の不況下においてuターン現象が起きていて、統計数字によりましても林業労務がややふえてきているという事実はあるようであります。しかし、その労務内容について少しく見ますれば、若齢層が流出して減少してまいります事柄は依然としてとまらないのでありまして、だんだん老齢化されてくる事実がはっきりいたしておるわけでございます。  たとえて申し上げますならば、森林組合には、これは非常に珍しい組織なのでございますが、協業体制確立していく上から労務を確保する森林組合が非常にふえてきております。全森林組合のうち約七割は森林組合自身労務組織を確保いたしております。その人数は約六万人と数えられております。そのうち通年就労としている者が約一割五分から二割ぐらいあると見込まれております。正確な数字はわかりませんけれども、そう見込まれております。しかし、一般季節労務が非常に多いわけでございます。そういった事実にかんがみまして、労務後継者養成ということが非常に必要になってきておるわけでありまして、この労務対策につきましては行政的にもいろいろお考えをいただいておりますが、なお積極的にこれに対して手を差し伸べていただきたいということでございます。  次は、最後になりますが、林業金融の問題でございます。林業には、御承知のように公庫資金としての国の制度資金が相当額投下されております。その林業融資内容長期であり、低利であり、償還期間が長くて、元金償還据え置き期間も長いというのが一つの特徴になって体系づけられております。これらに対しまして、特に今日その方向が整っておらないような林業金融もあるわけであります。たとえば林道の資金のようなものはわりあいに短い、中期的な償還期限を持っておるわけであります。こういったものも中にございますので、条件の緩和と今後起きるであろうと思われる拡大をひとつ考えていただきたい。  特に林業金融につきましては、われわれの立場から長年農業漁業のような信用事業組合にやらせていただきたいという希望は非常に強いのであります。先般の森林法改正の際にも強くその要望が出ておるところでございまして、これらの問題も、あわせて林業金融面における改善を図っていただきたい。特に、これはこの国会法案が提出されておるのでございますが、林業改善資金制度の問題、これはさっき申し上げました間伐資金の問題、それから労務資金問題等が含まれておりまして、ぜひこれは実現をしていただくように御配慮をお願いをしていきたい、かように考えておるようなわけでございます。  最後一つつけ加えさせていただきますならば、先般の森林法改正におきまして、附則として第二条がつけられて、その御議論の過程において、森林組合制度単独立法化、それから共済事業国営保険との一本化の問題、あるいは、もう一つつけ加えられまして信用事業の付与という三つの問題が残されております。この点につきましての当時のわれわれの意向は、今日もいささかも変わっておりません。強く期待をしておるようなわけであります。幸いに今日、これは林野庁側にお  いて、行政庁において検討会をお持ちになって、その方向で御検討をいただいておるようなわけでございますので、そちらの方にお任せはいたしますが、われわれの強い希望はどこまでも反映して  いただきますようにお願いを申し上げて、私の御説明を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  6. 湊徹郎

    湊委員長 どうもありがとうございました。  次に、森澤参考人お願いをいたします。森澤参考人
  7. 森澤基吉

    森澤参考人 御紹介いただきました森澤でございます。  私のほかにあとまだお二方の参考人の陳述がございますので、私は主として全般的な問題及び国際漁業ポイントをしぼりまして先生方に御説明を申し上げたい、こういうふうに考えております。  もう私が申し上げるまでもないことでございますが、日本の将来を左右する非常に大きな問題というのは、私はエネルギー食糧であろうということを常々感じております。エネルギーはこの場の議論ではございませんので触れませんが、最近食糧問題というのがいろいろな場において論ぜられ、農林省におかれましても、食糧自給率向上という点において、予算面におきましてもあるいは制度面におきましても非常に力を入れておられるわけでございます。私は、食糧は将来石油と同じように世界戦略物資になるという考え方を常々持っておる者の一人でございますが、特に、わが国民が摂取いたしておりますたん白質の中で、国民生活向上と食生活の多様化に伴いまして、動物たん白質のウエートというものが逐次高くなってまいりました。特に、日本人の健康という面から見まして、たん白の中で動物たん白の占める比重が上がっていきます中で、お魚、いわゆる水産物によって動物たん白を摂取する比重世界のどの民族よりも非常に高いわけでございます。細かい数字は申し上げませんが、要するに日本人の摂取しております動物たん白質の半分は畜産に依存をいたしておりますし、半分は水産に依存しておるわけでございます。  こういう観点から、先生方にすでに御案内のように、国会に提出され、また一般に発表されました最近の漁業白書をごらんいただきましてもおわかりのとおり、その冒頭で「我が国漁業の概観」をいろいろ述べておりまして、「水産物安定供給への道」というサブタイトルが掲げられております。従来、数回にわたり漁業白書国会に提出されておりますが、こういうサブタイトルをつけた白書は初めてであろうというふうに私は思います。それにはそれなりの背景があるわけでございまして、わが国水産業は、昭和四十九年度におきまして総漁獲高は一千八十万トン余、世界の第一位を依然として維持をいたしておりますけれども、内容的に見ますと、生産面においても金額面においても、魚種別に見た面においてもいろいろ問題がございます。特に日本水産業漁獲生産高というのは、過去十年間に約五割ぐらいアップをいたしております。年率四%ぐらいの成長率を続けてきたわけでございます。戦前の最高は昭和十一年だと思います。四百三十三万トンぐらいでございますので、そのころに比べますと日本漁獲高というのは二倍以上になった。これは旺盛な動物たん白に対する需要という背景があるわけでございますが、最近の動向を見ますと、すでに海洋法等中心とする国際漁業情勢日本漁業生産に濃く影を落としつつございます。  白書にもございますように、遠洋漁業中核といたしております大規模漁業におきましては、前年に比べまして八%ぐらいでございますが、生産高はむしろ減少を見せております。中小漁業沿岸漁業は若干ずつ伸びておりますが、生産全体の伸びというのは前年に比べましてわずかに〇・四%ということで、従来年率四%程度で伸びてまいりました日本生産が非常に停滞的であるということ。特に国際規制を強く受けます遠洋漁業、これには中小漁業も大資本漁業もございますが、こういう面においてかげりが出てきたということは非常に大きな問題であり、今後、安定的に水産物供給していく場合にいかにしてこういう情勢に対応していくかということが、先生方政策面において裏づけをお願いしたい最大のポイントでございます。  現在、ニューヨーク国連海洋法会議第四会期開会中でございますが、どうやらこの会期中には、前ジュネーブ会議で議長の責任において発表されました非公式単一交渉草案というものを修正しました正式の草案はできそうにもない状況のようにわれわれ報道を受けております。特に、海洋法条約の中で一番関連の深いのは経済水域の設定問題であり、サケマスのような遡河性魚種に関する条項並びにカツオ・マグロのような高度回遊魚に関する問題でございますけれども、私たち水産業界といたしましては、海洋法会議の趨勢に重大な関心を持っておりますけれども、ニューヨークあるいはまた夏のジュネーブにおいてコンセンサスが得られようと得られまいと、もうすでに世界の大勢は経済水域二百海里に大きく動き出しております。  先般、アメリカ合衆国は、海洋法会議の合意を待たずして一方的に二百海里の漁業専管水域法案議会で可決し、フォード大統領もこれに署名をいたしましたことは御案内のとおりでございます。来年三月一日から施行される。その内容は、日本遠洋漁業にとりましてまことに厳しいものでございます。多分この八月に行われます日米政府間漁業交渉におきましては、私は、政府代表の御苦労は察するに余りある、そういうふうに思いますが、アメリカがそういう情勢でございますので、後進国は言うに及ばず、世界先進諸国もこれに対してなだれ現象を起こすことはもう必至であろうと私は思います。もうすでにカナダは、議会の議決を得ることなく二百海里を施行する権限を政府に与えておりますし、EC諸国におきましても、内容はいろいろ問題があるようでございますが、二百海里という方向に踏み切るようであります。  われわれの一番のライバルでございますソビエト、いままでは、二百海里の経済水域は、ソビエト日本と同じように遠洋漁業国でございますので、正式には持ち出してまいりませんでしたけれども、現在モスクワで行われております日ソ漁業委員会並びに日ソ政府漁業交渉の成り行きをじっと見ておりますと、明らかにソ連も二百海里を前提にしてわが代表団にいろいろ厳しい規制を迫っておるようでございます。非常に問題になっております索餌ニシン規制の問題あるいはカニの規制の問題、サケマス、どれを見ましても、二百海里水域を濃厚に頭に置きながら日本との交渉に臨んでおる、こういうふうに私は見ざるを得ないわけでございます。  いずれにしましても、日本水揚げ高の約半分に近い四百四十七万トンに達する生産が、外国沿岸二百海里の水域で上げられておるわけでございます。これが海洋法の施行で一挙にゼロになるということでは決してございませんけれども、海洋法条約が施行されますと、恐らく政府各国別交渉を行いまして、政府間の協定が調わなければ、日本の旗を掲げた漁船はその水域内では操業できなくなるということに相なろうと思います。したがいまして、この日本生産の約半分を占める大きなウエートの漁獲量が逐次目減りをしていくという懸念は、もう十分あるわけでございます。  特に、私たち非常に大きく依存をしておりますべ−リング海、いわゆる北洋海域における生産が、その経済水域の総生産の中の八割を占めている。したがって、南北問題も非常に重要でございますけれども、水産業界にとりまして海洋法の問題はむしろ対ソビエト問題であり、対アメリカ、対カナダの問題が中心になるというふうに申し上げてもよろしいかと思います。  したがいまして、われわれは、水産業界の浮沈の問題ももちろん水産業界でございますから非常に重要でございますが、もっともっと大きい見地に立ちまして、冒頭に申し上げました動物たん白食糧の半分の水産物の安定供給に対して、思い切った政府施策をかねがね強く要望してまいりました。これは、単に一発でこの危機を打開する方法は私はないと思います。いろいろな手を打っていただかなければならぬ。  たとえば、まず第一には、先ほど申し上げましたように、諸外国ときわめて厳しい政府交渉をお取り進めいただきまして、外交面において日本遠洋漁業の実績が二百海里の経済水域の中で急速に失われることのないような御尽力を願わなければならぬ。そのためには、その裏づけとなります国際協力、これは技術協力も経済協力もございます。あるいは国内的な対策、そういうものも当然必要になりますし、不幸にして大規模な規制が一挙に落ちてまいりました場合には、私は、いわゆる体制整備、減船整理というものは当然業界がまず自主的に努力をいたしますけれども、とても業界の能力ではこなし切れないような大きな規制が不幸にして一挙に落ちてまいりました場合には、私は予算面におきましても、また立法面におきましても、強い施策お願いしなければならぬ不幸な事態が来るのではないか、こういうように考えております。  過去におきまして、瀬戸内海の小型機船底びき網の減船整理、これは国際問題ではございませんけれども、特別措置法で実施した歴史がございます。さらに自主減船では、北洋のサケマスにつきましては三回にわたり業界自体の努力でやってまいりましたし、また昭和四十六年には、厳しい日ソ漁業交渉の結果きましたオホーツク海の抱卵ニシンの全面禁漁に対しまして、政府からいろいろ、これは立法措置ではございませんでしたが、財政上の御援助をいただいて後始末をしたこともございます。また、最近は以西底びき網漁業の減船整理等につきましても利子補給等の御援助を得たこともございますが、そういう海洋法中心とする厳しい国際規制が急激に来た場合の措置というものは、新しい政策としてぜひ御考慮おきいただかなければならないときが近く来るのではないか。二百海里はもうすでに、開発途上国はもちろんでございますけれども、先進国に対しても動き始めております。したがって、海洋法会議が終わってからどうこうということでは非常に立ちおくれるわけでございまして、行政がなかなか先取りはしにくいという特質は十分存じ上げながらも、食糧の安定供給という立場から、ぜひ政策面の御検討政府並びに国会にこの際強くお願いしたいと思うわけでございます。  それから、もう一点特に申し上げたいことは、いろいろ厳しい国際情勢日本漁業は危機に直面をいたしておりますが、遠洋漁業だけでございませんで、沿岸漁業から資本漁業に至るまで、最もわれわれ頭の痛いのは、オイルショック以後の経営危機でございます。オイルショックが参りますまでは、日本漁業というのは、広い公海と安い重油をベースにして、沖合い、遠洋へと伸びてまいりましたことは御案内のとおりでございます。しかし、広い公海も安い重油もすでに過去のものと相なりました。したがいまして、オイルショック前に比べて油の値段が三倍、漁網綱等の資材が二倍、こういうふうな状況に相なりました。人件費はもちろん水産業だけの問題ではございませんが、やはり高騰してまいります。ところが、漁業のコストがこういう形でどんどん上がりますのに比べて、いわゆる生産者の手取りがそれに並行してアップしていく何らの保障もないわけでございます。  水産物は、御案内のとおり、市場という機構を通しまして価格形成がなされます。したがって、原価を販売価格に反映する機構がないという特質を持っております。これは農産物についても同様でございますが、米を初めとする農産物あるいは畜産物には、政府政策による価格安定制度がございます。ところが、水産物につきましては、従来そういう制度は全然ございません。したがって、生産コストのアップが漁業経営を非常に強く圧迫をしているという状況があらわれておるわけでございます。  昭和五十一年度の予算におきましては、幸いにしてこういう面に水産庁も力を向けられまして、業界の自主的な調整保管を前提とする魚価安定基金の制度を打ち出されることになりました。これは私は大きな前進だと思いますが、海洋法等で、国際規制等で日本水産業が危機に立つ前に、日本漁業経営全体が崩壊をするということがあってはなるまい、こういうふうに私は申し上げざるを得ないわけでございます。したがいまして、供給の担い手でございます漁業経営者、こういう者の自主的な努力は万全にわれわれさせますけれども、さらに政策面でこれを大きく裏打ちをしていただくということがございませんと、とても水産物の安定供給ということは図られないであろう、私はこういう危惧をするものでございます。  過半、農政審議会政府水産物需給の予測を答申しておられますが、昭和六十年で千三百五十二万トンという需要の予測が出ております。これに対して、生産が一千二百万トン余、これは予測でございますから数字に別にこだわっているわけではございませんが、そういう数字がございますが、きわめて率直に申し上げまして、私は、一千二百万トンの供給というのは、現在の情勢の中ではとうてい無理である、少なくとも私たち業界としましては、ミニマム一千万トンを国民皆様供給する努力、これは外交交渉もございますし、新漁場の開発もございますし、魚の有効利用、そういうこともございますし、また沿岸の再開発という問題も含めて努力をいたしますが、目標はその辺に置くのがぎりぎりではなかろうか、こういうふうに感ずるわけでございます。  ごく全般的なことを申し上げましたが、水産業の現下の問題点の一側面について申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  8. 湊徹郎

    湊委員長 どうもありがとうございました。  次に、及川参考人お願いいたします。
  9. 及川孝平

    及川参考人 ただいま森澤参考人から全般的な陳述がございましたが、私の立場から申しますと、全国漁業協同組合でございまして、一トン未満の零細な漁民から千トン以上の船を持っておるものまで、すべてこれ私のところの会員でございます。したがいまして、どの立場に立って物を申し上げるかというのは非常にむずかしいのでございますけれども、総じて最近の動向を見ますと、部分的にはよくなっていると思われるものもありますし、いやまだよくなってない、非常にピンチだというものもございまして、部分的にとらえますと、ときどきいろいろな論議が出るのでございます。しかし、一般的なことについてこれから申し述べたいと思うのでございます。  先生方も農水の先生方でございますから、私から申すまでもなく、わが国のいままでの、いわゆるオイルショック前の政策というものは沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へ、こういうスローガンのもとに、これは恐らく国の政策だったと思うのでございます。その当時の客観的背景というものからしますと、その政策は必ずしも間違ってもいなかったと思うのでございますが、とにかくそういう形で日本漁業というものは拡大をしていったということは事実でございます。  その中で、一体、四十八年のあのオイルショックで皆たまげたのでございますけれども、その当時の日本漁業がどうであったかと申しますと、実はこの点などは先生方におわかり願えますと思うのでございますけれども、日本漁業経営はその当時でも決して楽でなかった。銀行等の調べによりますと、指定遠洋漁業などというものにおきましては半数ぐらいがやや経営が赤字であったということが出ております。要するに非常に弱い体質だった。体質がきわめて弱かったということでございます。ただ、沖合から遠洋へというようなことでどんどん漁船も増トンされ、大きくなり、また設備も近代化していったということは事実でございます。  一方、その当時の状況を考えてみますと、企業の経営体質を占うものとしまして自己資本の比率が問題でございます。一般の中小企業というものは大体設備投資に対しまして二〇%なり二五%ぐらいの自己資本を持っていると言われます。ところが日本漁業は、階層によっても違いますけれども、大体大きくなれば大きくなるほど自己資本比が少なくなりまして、数%というような自己資本比でございます。ということは、逆に申しますと、借金政策で、借金で船もどんどん大きくしたりやっておったわけでございます。こういうふうに借金と、それから先ほども森澤参考人が申しておりましたけれども安い油、安い油といわゆる借金が日本漁業の繁栄と申しましょうか、その基盤であった。これが今日、オイルショック以後日本経済も大きく転換をしなければならぬところに差しかかりまして、これが実はそもそものこれからの対策の根本になるわけでございます。  われわれは先般、昨年の十二月九日でしたか、全国の一万人の漁民集会を持ちまして、もう生きていけぬ、漁業の危機突破ということで大会を持ちました。まさしく軒並みに赤字が続いてくるということでございます。そういうところから、われわれは、無謀でございましたけれども、魚価の方はなかなか景気も悪く上がらぬし、経費を詰めるほかはないというので、いわゆるEC各国がやっておるのでございますけれども、漁業用の石油に対して補給金をくれということをあえて言わざるを得なかった。それ以外に生きる道はないとまで思い詰めまして、そのような要求をいたしたわけでございます。しかし、なかなか国としての立場から認められませんで、やっと、それだけ苦しいならばということで、油に対しては六百億の融資が行われるという問題と、それからこの国会でわれわれが成立を期待しておりますところの漁業再建整備特別措置法、これを背景にしまして六百億のこげつき資金の整理、この二つが出てまいったわけでございます。われわれの漁業危機意識からしますと、もちろん非常にありがたいことでございますけれども、これはまさに沈まんとするものに対する一種のカンフルでございまして、基本的なものではないという考え方を私たちは持っております。  今後いろんな施策が行われなければならぬというふうに私考えておるわけでございます。したがいまして、今国会でわれわれがぜひ成立を御期待申し上げておるいわゆる水産三法、これにつきましては、非常に差し迫った事態に対応するカンフルでございまするので、遅きに失しまするというと、これはせっかくの御好意もわれわれ漁民を救うことにならない。たとえば例の油資金といって前に借りました石油の資金でございます。それなども償還期が来ております。償還期にぱんぱんとうまく返せるような状態でございますれば何か言わんやでございますけれども、全部とは申しませんけれども、相当部分のものはずっと前からのつながりで返し切れぬ。うっかりしますと倒産破産が出てまいる。したがいまして、一刻も速やかに漁業再建整備特別措置法などを先生方に通していただきまして、有効にこれが行政のベースに乗っていくことをわれわれはのどから手が出るように渇望いたしております。そうでないと破産倒産が出てまいります。  それとうらはらになりますけれども、しょせんは後ろ向きの金融でございまして、政府資金が出るわけではございませんので、系統資金を流さざるを得ません。そうすると、後ろ向きの資金でございますので、どうしても金融機関は十分な保証を要求します。そこで出てまいりますのは、中小漁業融資保証の一部改正、いわゆる保証てん補率八〇%への引き上げということがうらはらになければスムーズな金融は行われませんので、この二つについては本当に焦眉の問題であるというふうに御理解をお願い申し上げたいと思うのでございます。  私も、きょうは法案そのものについてじゃなくて、水産振興一般についてでございますから一言二言申し上げたいと思いますけれども、最近やっとこの日本列島周辺のことに大分日本人が関心を持ち始めた。先生方の御協力で前には沿岸漁場整備開発というものが出まして、ことしから予算化されておる。どういうふうにこれから日本列島周辺の生産力を高めていくかということについてはようやく高まってきております。このことはますます積極的にわれわれは推進しなければならぬものと考えております。ただ、私は海外の漁業がもう——先ほど森澤参考人の言うとおり、政府の努力によりましてわれわれの得た実績というものを確保していただきたいのでございますけれども、しょせんは相当の打撃を受けることはわかり切っておるということになるならばどうしてももう一遍日本列島周辺というものを見直していただくということが、日本漁業政策の根幹でなければならぬかと思います。  なお、経営問題につきましては、漁村はまだまだ非常にいろいろな問題を抱えております。魚価対策、先ほど森澤参考人の方からも出ましたけれども、わずかな状態でございます。まだまだわれわれの満足するものではございません。私は総じて、いかに国民食糧がどうこうと言いましても、漁民が安んじて自分の生業、漁業というものに誇りとまではいかぬでも、これでやっていけるんだという自信を持たせなければ、どんなに供給プラン、需給プランを書きましても、しょせんは供給は確保できないと確信いたします。漁民が、これをやっていくならば自分から生計は営めるんだという自信、まだ誇りとまでは言いませんけれども、それを与えていただきたい。そのためには何をすべきかということはおのずからはっきりしておると思います。魚価対策でございます。  もう一つは、国民食糧が非常に問題になるやさき、いままでの漁業はとることのみ、いかにたくさんとるかということに日本漁業の姿勢かあったと思いまするけれども、私は、今日の魚というものか余りにも粗末に扱われておる。現在、われわれが食べておるところの魚というものは五十数%しか食っていない。あとは捨てておる。こういう問題がある。今日、魚が流通しておる中において鮮魚の形態において流通するものはまず三〇%くらいでしょう。あとは何らかの形で冷凍加工その他のいろいろな手を加えられて流通しておる。その中において魚価対策の面からもまた魚の有効利用という面からも、いまの日本人の消費動向も考えながら、どうしても魚の有効利用、いわゆる加工対策というものを先生方に真剣にお考えを願いたいと思うのでございます。加工の合理化、高度化。私は生産者でございますけれども、従来はややもするとたくさんとればいいということで、生産の方に行政も政治も偏っておったような気がします。これからはもっと高い立場で、国民食糧というような立場に立ちますならば、どうしてもやはり加工の問題というものを離れてはわれわれは物を考えられません。そのことを特に施策としてお願いを申し上げたいと思うのでございます。  それからもう一点は、私いろいろなところで会合を持っておりまするけれども、なるほど昭和六十年にこうなる、ああなる、食糧危機がどうと言われましても、漁師の立場じゃぴんときません。なぜでしょう。これは新聞、最近は週刊紙にまでひやかされて、イワシさんとか言われて、いま百万トン近くもとれようというイワシが、銚子の港あたりではトラックにひかれて地べたにびしやっとつぶされて拾っていくものもない。漁師は安いからとらない。こういうような事態を現実にしておきまして、食糧危機だとか、日本の動物性たん白質が何だのと言ったって、私は漁師は共感を持たないと思います。したがって、何がゆえにこのような現象が起きておるか。しかも一方においては、大きな打撃を日本漁業は国際的に受けようとしているというような悲痛なことを言いながら、片一方においてはそのような事実が歴然と毎日繰り返されておる。この事実の解明こそが——この問題は簡単な問題じゃ実はございません。消費動向というようないろいろな問題もございますけれども、これに対して真剣に取り組んでいただくということになりますならば、私はおのずから解答は出てくるというふうに確信をいたしております。  時間の余裕もございませんので、これで私の陳述を終わりたいと思います。(拍手)
  10. 湊徹郎

    湊委員長 どうもありがとうございました。  次に、増田参考人お願いいたします。
  11. 増田正一

    増田参考人 私は、ただいま御紹介をいただきました日本鰹鮪漁業協同組合連合会増田でございます。  本日、農林水産業振興に関しまして、私に意見を述べる機会を与えていただきましたことを深く感謝申し上げますとともに、私どもカツオ・マグロ漁業振興に関しましては、御出席の各先生方には平素特段の御指導をいただいておりますことを、この機会に深くお礼を申し上げたいと存じます。  本件について、私は、私の関係しておりますカツオ・マグロ漁業日本漁業の縮図であるという考え方を常に持っているものでありますので、このカツオ・マグロ漁業を通じて、カツオ・マグロ漁業の現状、問題点並びに若干の意見をできるだけ具体的に申し上げ、関係の諸先生方の今後の御施策の上に何かの参考にしていただければと、かように存ずる次第でございます。  まず、私どものカツオ・マグロ漁業は、漁業の中でどういう地位を占めているかということでありますが、遠洋のカツオ・マグロ漁船が千二百七十七隻、近海のカツオ・マグロ漁船が千三百七十三隻、母船式カツオ・マグロ漁船が二隻ということでありますが、その全漁獲量は六十九万八千トンでございまして、わが国の海面の全漁獲総量に対して七・二%を占めておりますが、その漁獲の金額では二千六百十五億で、同じく全海面漁業の一九%を占めておりまして、私ども日本漁業の中でも重要な地位を占めていると存じております。  カツオ・マグロ漁業は申し上げるまでもなく、遠洋漁業でありまして、現に世界の七つの海の海域で操業を続けております。特に遠洋のカツオ・マグロ漁業におきましては、一航海十カ月以上にも操業日数がわたっておるわけでございます。そのために一航海の中でも、少なくとも数回は外国の港に寄港しまして、物資の補給を受けますけれども、私どもはその操業の円滑化を図るために全世界に九十一の代理店を設置いたしまして、操業の円滑化に資しているわけでございます。  また、漁場は外国の沖合いでございますから、当然漁場に近接する外国とは常に密接な関係を保持することが重要でありますし、同時に、国際漁場でありますから、資源の保存あるいはその有効利用を図るためには、政府は、東部太平洋海域においては全米熱帯鮪委員会、また大西洋海域におきましては大西洋鮪委員会に加盟をしているわけでございます。  しかしながら、最近においては、国連の海洋法会議の動向を背景とし、またはこれを先取りいたしまして、沿岸国の相当数の国では、すでに広範な海域にわたって漁業の管轄権を主張し、そのため現実に漁場の制約が進行しているわけでございます。不幸にして予想されますような二百海里の排他的の経済水域あるいは群島水域等によりまして漁場が制約を受けますと、私どものカツオ・マグロ漁業は、前述いたしました数量の約四〇%は喪失することになります。しかも漁獲される魚種等を考慮いたしますと、その影響はさらに大きなものがございます。  そのためには、まずもって国として本腰を入れた漁業外交を推し進め、関係国との政府交渉によってその実際的な解決を計り、操業の実績を確保することが大事であると存じます。また、当面の措置といたしましては、国による入漁料等の積極的な援助及び拿捕救済その他早期釈放についての助成措置を強く要望いたしたいと存じます。  次に、漁業経営問題について申し上げてみたいと思います。  一昨々年発生いたしましたオイルショック以来、石油を初めとする諸経費の高騰あるいは諸外国からのマグロ類の輸入の激増、また生産地魚価の低迷等によりまして、その漁業経営は一段と厳しさを増してきております。そのためにすでに数多くの倒産と係船の事例が出ておりますし、このような現状はいまなお進行している次第でございます。そしてまた多数の漁業者は多額の負債を抱えまして倒産の防止と資金繰りに寧日なく腐心をいたしております。そして経営改善につきましても、経費の節約と合理化、調整保管事業等を通じまして懸命な努力を払っているのが実態でございます。しかし、漁業者のこのような自主的な経営改善努力を尽くしましてもおのずからそこには限度がございます。政府の強力な支援措置を要望する声が一段と強烈になってきております。  幸いにして政府は五十一年度予算案におきましてはいまだかつてなかった諸種の経営対策を取り上げられ、業界としても深く感謝している次第でございますけれども、いま申し述べましたような経営の実態でもあり、またその実行を一日も早くと鶴首いたしておる次第でございます。漁業用燃油対策の特別資金あるいは漁価安定のための調整保管事業に対する助成あるいは魚価安定基金の活用あるいは漁業経営維持安定資金の実施、構造改善設備資金漁業整備資金等、一連の経営安定対策を一日も早く成立させていただくことを念願いたす次第でございます。なおまた、これに関連の予算につきましても速やかに成立されますよう各先生方の特段の御配慮をお願いする次第でございます。  私はこの機会に五つばかり特に問題点を提起いたしまして、具体的な御要望を申し上げたいと存じます。  その第一は、漁業再建整備特別措置法に基づく漁業整備計画の認定の第一号に予定されておりますカツオ・マグロ漁業立場といたしましては、先ほど触れましたように、国連の海洋法会議の動向のあるいはオイルショックの直接のしわ寄せ、国の経済政策などによりまして、業界の自主的な経営改善努力だけでは対応し得ない外部要因が根幹となって今日の経営の悪化をもたらしている、かように考えますし、また五十一年度予算に計上されております長期低利の融資と減船事務費補助だけでは、恐らく私どもの所定の減船整備計画を完全に遂行することはできないと思うのであります。したがいまして、政府が業界の減船計画を後ろから援助するということではなくて、政府がもっと前面に出ていただきまして、国の直接補助を主体にした強力な政策を推進し、その所要の予算措置を講ずるよう強く要望する次第でございます。  私といたしましては、今回のカツオ・マグロの減船整備はカツオ・マグロ漁業に対する一連の経営対策の一環でありまして、この減船整備を遂行することによって初めて諸経営対策が実を結ぶものであるというように考えておる次第でございます。諸先生方の特段の御理解と、国の強力な直接補助が実現できますよう御支援をいただきたいと存じます。  次に第二の点といたしましては、漁業経営維持安定資金の円滑な推進を図るためには、漁業信用基金協会の協力によって各企業の受信力をつけることが最も肝要なことだと存じます。基金協会自体も、漁業経営が難局に直面しておりますいまこそ本来の機能を発揮すべきときであると存じます。幸いにして今回漁業経営維持安定資金漁業用燃油特別資金を含めましてこの種の政策金融については国のてん補率を八〇%に拡大されましたことは、業界として深く感謝するところでありますが、この機会にさらに中央漁業信用基金に対する国の補助を一層拡充強化していただきまして、基金協会の体質を強化するとともに基金協会の保証能力を拡大し、将来本件融資について代弁事故等が起きた際にもその原資に充当し得る道を考慮していただきたい、かように存じます。  次に、第三の問題でございますが、魚価安定基金の運用についてであります。現行の予算におきましては、魚価安定のための調整保管事業実施した結果、その生じた損失の八〇%については魚価安定基金から長期無利子の融資をするという仕組みとなっているわけでありますけれども、私は、この点について、近い時期においてぜひともこの損失については国が直接補助を行うよう改善すべきであり、同時にまた、魚価安定基金自体も法人格を持つように制度化して本来の機能を発揮できるように改組すべきである、かように存じます。そして業界が非常に強く要望しております魚価支持価格制度が速やかに実現できますよう特段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  その第四は、水産物輸入規制についてでございます。水産物国内需要は年々高まりを見せております。しかし一方におきましては漁業国際規制が一層厳しくなりますので、水産物輸入は今後一段と増強することが予測されます。従来の水産物輸入の事例を見ましても、国民への食糧の安定供給に籍口し、あるいはまた輸入業者等の恣意によって無秩序に輸入され、国内漁業との間に紛争、摩擦を生じておる事例がきわめて多いのであります。貿易問題が国際間においてきわめてむずかしい側面を持っていることは十分私も承知いたしておりますけれども、すでに述べましたような数多くの漁業経営安定対策を講じましても、他方において水産物輸入が無秩序に放任されますならば、何らの成果を見ることも期待はできないわけであります。したがいまして、水産物輸入につきましては、速やかに秩序ある輸入が実現し、漁業生産者の納得のいく有効な措置を講じていただきたいと存じます。その施策の一例としては、漁業生産者を含めた輸入窓口の一本化あるいは輸入課徴金制度も検討すべきであろうというように考えます。  第五といたしまして、漁船船主責任保険について一言申し上げたいと存じます。現在私どものカツオ・マグロ漁業では、米国の水質改善法の制定以来、その操業と物資の補給を確保するために、同方面に出漁いたします総トン数三百トン以上のカツオ・マグロ漁船はすべて英国のブリタニヤP・Iに加入いたしております。その隻数は現在二百八十九隻、毎年支払う保険料も八千万円に達しております。公害の防止、水質の保全あるいは環境の整備、改善等につきましては今後一段と厳しくなることが予測されます。人命の損傷等をも含めまして、漁業経営者として負担すべき事項は今後ますます拡大すると予測されます。このときに新しく漁船船主責任保険法が制定される運びに相なっておりますことはまことに喜ばしい限りであります。私どもといたしましては、前述いたしましたようにすでにブリタニヤP・Iに加入しているわけでございますから、この法律制度が実施された暁には、ぜひともてん補範囲の内容のより充実と現行保険料よりも一層低率な保険料が実施できますよう、特段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  以上をもちまして私の意見開陳を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  12. 湊徹郎

    湊委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
  13. 湊徹郎

    湊委員長 質疑の申し出かありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  14. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 参考人の皆さん、御苦労さまです。限られた時間でございますので簡潔にお尋ねしたいと思いますので、参考人におかれてはぜひひとつ簡単明瞭にお答えをいただきたいと思います。  私は植田参考人に対して林業森林の問題について四点ほどお尋ねをしたいと思います。  まず第一点は、先ほどお話の中で非常に低迷する国内木材中心にした、そのほか製材等を含めた苦悩についてるる御披露がございました。私も全くこの木材の今日的な状態というものは胸を痛めている一人であります。それだけに植田参考人のお考えについて私はもう少し聞きたい点が実はあります。たとえば価格政策について触れられたんですけれども、輸入外材調整機能を強化してと言いますか、新設をしてほしい、それから備蓄の見直しをやってもらいたい、こういう趣旨の御発言でありましたけれども、これはお考えとしては、外材輸入の一元化ということをおっしゃっているのか、それとも課徴金制度を強化してそれを国内生産に振り向けるという制度をもっと強化せよ、こうお考えになっているのか、参考人はその制度についてはお任せをするがと前置きしていますが、これは当面全国の森林組合会長という立場にいらっしゃる植田さんですから、この際やはりあなたのお考えを明確にされるということは非常に現状を打開していく上に必要なことだと思いますが、いかがですか。
  15. 植田守

    植田参考人 ただいま価格問題に対しまして課徴金制度のお話が出てまいりましたが、実は私どもも過去においてこの課徴金制度を考えまして、非常に強力な全国運動を起こしたことがございます。そして当時自民党の党内の説制調査会においてお取り上げいただいた時期かあったのであります。しかしこれは当時つぶれてしまいました。最近もその問題はいろいろわれわれ内部的には考えております。ただ課徴金という名称が適当かどうかという問題についてはいろいろ議論のあるところでありますけれども、要するに価格政策をほしいにはほしいのですけれども、価格政策が非常にむずかしいという現実の問題に立って、課徴金制度というようなもので、あるいは別な差額税制みたいなものでひとつ財源を考えて、それを造林とかそういう面へのつぎ込みをやったらどうかというようなことは内部的には考えておりますが、まだ具体的に外へは出ておりません。それだけ申し上げておきます。
  16. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 次に労働対策について、これまた現状を吐露されていらっしゃいました。私も全くそのとおりだと思う。一部にUターン現象があるとはいいながらも、労働の質的な問題からいえば老齢化の一途をたどりつつあることにはいささかもまだ歯どめがかかっていないというのが現実だと思う。しかし労働力を確保する上におきます大前提というのは、私が申し上げるまでもなく、労働環境の整備あるいはまた生活環境の整備、こういうものが他の業態、業種と比較して完全になされているかどうかという、この比較論において労働力というものは右に行ったり左に行ったり流出する。しかもそれを考えてまいりますと、林業には依然としてつきまとっておりますのが雇用不安であり、労働災害であり、低賃金であり、社会保障の立ちおくれだ。これは私が何もひとりよがりで申し上げているのではなくて、総理府の昨年十二月の発表によってみても明らかなごとく、労働力の今日の実態というのがやや上向きなっておるとはいいながら、依然二十四万という域を出ていない。しかも雇用保険法が今度新しく制定されて、これの加入促進が行われていますけれども、現状は依然として五〇%の段階である。このように考えてまいりますと、労働力の確保というのは、これは言うべくしてなかなか困難な内容を含んでいると言えると思う。植田参考人はこれまたお立場からいっても、当然林業の将来をお考えになっての御発言の中にも触れていたように、労働力をどう確保していくのかというのは焦眉の急を要する問題であるというこの御指摘は、まさに私もそのとおりだと思いますけれども、そういう発言にとどまらず、それでは全国森林組合連合会としてはどうやってこの労働力を現実面で確保していこうと具体的にお考えになっているのかをこの際ぜひ御明示いただきたい、こう思うのです。
  17. 植田守

    植田参考人 ただいまの労働力確保の問題で、いわゆる労働者に対する社会保障の問題が非常に立ちおくれている。これは確かに私どももそう考えて、何とかこれを処置しなければいかぬ。まず最初に出たのは失業保険の問題でありましたが、失業保険か雇用保険法に変わって、いま御指摘のとおり五〇%しか入ってないということも事実だと思います。しかし、そのほかにもう一つ、老齢化された労務者の退職一時金制度という、共済制度と申しますか、そういうものを考えてまいりたいというようなことも考えております。これは中小企業の退職金の制度もございますが、独立して林業だけでそういうことを考えている向きもありますけれども、中小企業のあの制度の中に入ってやっておる向きもございます。そこら辺の問題を当面は考えておるようなわけであります。これを全国的に林業的に広げてみたいという考えは持っておりますけれども、まだ具体的な方向までは出ておりません。その点、御説明申し上げます。
  18. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまのお話では私も多少意見があるのですけれども、きょうは参考人にお考えをお尋ねするということで、議論の場でございませんから、第三点目のお尋ねをしてまいります。  次に、労働災害でありますが、先ほどもちょっと触れましたように、林業の部門ではこの労働災害に長い間必ずしも的確に対応していなかったという歴史的経過の中で、これが最近非常に深刻な問題として幾つか出ております。  たとえば、きょうは限定して申し上げますが、振動障害というのは、これは国有林民有林を問わず、山で働いている人たちにとって非常に脅威となっています。民有林は実は国有林ほど現状の把握が的確に行われていないという向きがあって、したがって現状把握ができていないのですから、対策も必ずしもこれに的確に対応していない、つまりおくれている、こういう感じがいたします。植田参考人の全森連傘下においてのチェーンソーの今日の状態というのはどういうふうになっておるのか。さらにまた、振動障害に対する実態把握、さらにまた、組織として独自にお取り組みのことがおありだとすれば、この際ひとつ御披露願いたい、こう思います。
  19. 植田守

    植田参考人 大変どうも御説明にならないのですけれども、振動障害の問題につきましては、森林組合系統としては、御指摘のとおり非常に不備な状況に置かれております。むしろこれは、林業全体として考えた林業労働災害防止協会というのがございまして、そちらの方で民有林の振動障害等は、直接いろいろ検診まで含めて調査を進めております。森林組合系統そのものは、まだわれわれの立場から見まして、きわめて少ない人数であるということが言われておりますけれども、これも検診をはっきりした上での数字でございませんから、明確にはお答えできないと思います。  ただ、ここで申し上げたいのは、振動障害を受ける、特にチェーンソーの問題ですが、チェーンソーの機械の買いかえというものが、今度の法案改善資金ですか、あれに載っておるわけでございまして、ぜひこれは実現さしていただきたいものだ。この点だけははっきりわれわれも重大な関心を持って考えておるようなわけでございます。  以上でございます。
  20. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまのお話にも私なりのまた意見があるのですけれども、これは別な機会に譲らしていただいて、最後の問題でお尋ねをいたします。  先ほど植田参考人は、新全総に基づきます森林資源基本計画の問題に触れて、この計画をかなり高く評価をいたしました。しかし、私は現状を考えますときに、この計画が必ずしも手放しで評価できないという一面を持っているということを常に指摘をしてまいっておる一人であります。いみじくも、最近発表になりました林業白書でも、この基本計画に触れて、そのとおり進んでいないという点について厳しい指摘がなされ、告白がなされています。  たとえば、林道の例を一つ挙げてみてもよくわかるのでありますけれども、この基本計画による六十年目標は十七万キロの林道作設を計画いたしております。つまり、一年間に一万一千三百キロつくっていかなくちゃならないのです。ところが、実績はどうかというと、三〇%足らずであります。五十年の実積でも三二・三%しか実は計画に対する実積がないのです。林道の問題一つとってみてもそうでありますし、また、先ほどお触れになった国内産の生産の問題につきましては、五十六年で六千七百万立方の生産というものが見込まれているのですけれども、これまた計画どおりいってない。このように考えますと、私は基本計画に不備があるのではないか、こう考えるのです。たまたま国土庁も新全総の見直しというようなことが言われて、またそれが出されてまいりました。ですから私は、その辺的確に現状を把握するということがないと、これから先の森林政策に対しても私どもは心配を持っているだけに、現場で実務担当で努力をされている植田参考人、皆さん方の率直な意見というものが政治に反映されてくるということも今日非常に大事だと思うのです。ですから、政府がやっていることは何でもよろしいという物の考え方ではなくて、悪いことはびしびし指摘をする、こういう姿勢が私は欲しいというような気がいたしますから、この際本当にお考えになっていることを——私はこの実例を見ても、これで全森連傘下のいわゆる森林に携わっていらっしゃる皆さん方が満足しているとはとうてい思えません。そう考えますと、もっと本音があるのではないかという気がするのですよ。この際、林野庁の長官もいるのですから、率直にあなた方の立場でのお考えを明確におっしゃることがいいのではありませんか。どうですか。私の考え方と大分違いますかね。その辺ちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
  21. 植田守

    植田参考人 ただいま、これは私自身としても非常に興味のある御指摘をいただいたわけであります。峯、御指摘のあった林道問題については、私自身も中央森林議会等の席上、あるいは林政審議会の席上でそういう指摘をいつでもしております。しかし、さっき申し上げました内容は、造林面積について申し上げたのでありまして、造林面積については、少なくとも私は林野庁の基本計画というものの数字が唯一のわが国森林資源数字のよりどころではないか、かように考えております。その中で、林野庁自体がその年度においてピックアップされた間伐面積というものが三百八十万ヘクタールある、こういう数字が出ておるわけであります。この数字も、造林地面積内容から見て、過去の造林地画積がこれだけ累積されているぞというような話になりますと問題がありますけれども、その時点においての造林地面積が八百万ヘクタールというのは、基本計画のチェックもしておることだろうと思います。そういう意味合いでは、八百万ヘクタールは正当な数字であって、しかもその中から間伐面積が三百八十万ヘクタールあるということも、わりあいに誤差の少ないものだ、かように考えております。  いまの林道の御指摘は、まさにそのとおりに私も考えております。その点御説明しておきます。
  22. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私は先ほど参考人としての立場での総体的なお話をお聞きしている中で、若干その点に矛盾を感じたものですから……。前段では、労働対策にしても、それから国内生産対策にしても、また価格面におきます御不満というものも、ずいぶん強く出されておる。そういたしますと、全体的に日本森林政策というものは、林業者立場ではもっと大変な御意見があるのだろう、こう思ってお聞きしておりましたら、途中で政策礼賛に移ったから、これはちょっとおっしゃっていることが矛盾しないか、こう思ったのです。いろいろと参考人の御意見を私どもは十分政策に反映するという立場で今後検討を進めていきたいと思います。きょうはありがとうございました。  以上で私の質問を終わります。
  23. 湊徹郎

    湊委員長 次に、津川武一君。
  24. 津川武一

    津川委員 参考人の皆さん、きょうは本当に御苦労さまでございました。皆さんの切実なる要求は、私たちは政府とも話し合いをしてみますし、政府も鞭撻してみる、要求もしてみる、委員会でも論議していく、そして幾らかでもその実現に邁進してみたいと思っております。  きょうは植田参考人に三つばかりお尋ねいたします。  一つは、価格の安定のことで、調整機構のことを話されましたが、これについてもう少し内容がおありでしたら明らかにしていただきたい、これが一つであります。  二つ目は、間伐について全くそのとおりでございまして、その消費拡大などについて具体的に何かお考えいただければ、後でまた政府との折衝に私たちも非常に役立つのではないかと思っております。この点が二つ目でございます。  三つ目は、後継者対策でございますが、これと生産の拡大なんかについて、改良普及事業に対して皆さんの御注文、どうお考えになっておられるか、こういったことと、それから後継者対策のために、農業でありますと合宿していろいろな技術研究なんかをやっておる、また、いろいろな交流をやっているところがありますが、そういったものがどのくらいあって、これに対してどんなことを考えておいでになるか。農業で言うと、各県に農業短大なんかがあります。こういう点がどうなっておりますか。こういうことに対する皆さんのお気持ちなどを伺わしていただきたい。私はこれで終わります。三つお願いいたします。
  25. 植田守

    植田参考人 ただいまのお尋ねの外材輸入の調整問題に対する機構の問題が一つ。これは、具体的にどうこうということじゃありませんけれども、私ども日ごろ考えておることは、実効の上がるものでなければいけない。従来も外材輸入調整ということで自主規制については業界と林野庁が入っていますが、実際的には業界が主体でしょう。そういうものはございますけれども、それでは実効が上がるということにはつながらない。だから、政府の何か一つ組織として、実効の上がるものを考えてもらいたい。具体的に申せばどういうものを入れてということまで発展しなければいけませんけれども、そこまではひとつお許しいただきまして、そこら辺をまず考えておる、政府の機関であるということでございます。  それから、間伐の問題ですが、どういうふうに処理したら間伐がうまくいくか。結局、加工販売の方法まで考えなければならぬ。しかし、いまのところそれは行政庁側にもやかましいことを申し上げて、そして加工販売の方法を何とか早く確立していただくようにという配慮をお願いいたしております。ただしかし、間伐をするときの一つ事業体としては、これは森林組合が協業でもっていまの労務者を、膨大な組織を持っておりますから、そういう組織を使いましてやらせよう、やることも可能であります。現在、造林にしても伐採にしても、すでに森林組合中心になって、そういうことを協業でどんどん始めております。数量はそれほどシェアとして大きくありませんけれども、やっておりますから、そういうことは可能であります。  それから、最後の後継者ですが、いまお話のように、農業のようなりっぱな組織は全然いまのところまだ弱小のために考えられておらないのです。がしかし、何とかこれは近い将来において考えてまいりたいということとあわせていまの改善資金の問題もぐずぐずしないで早くお通しいただきたい、こういう念願を持つようなわけであります。  非常に雑駁でお答えにならぬかもしれませんが、よろしくどうぞ。
  26. 津川武一

    津川委員 ありがとうございました。
  27. 湊徹郎

    湊委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  28. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全森連の植田参考人にお尋ねします。  本日は大変貴重な御意見ありがとうございました。時間の関係がございますので、簡潔にお尋ねします。  まず第一点は、今回森業改善資金助成法が提案されておりますけれども、五十一年度枠として資金枠が二十億予定されていますが、こんな二十億台では、全国四十県として一県に五千万円ぐらいが一つの基準になろうかと思いますけれども、こういう金では大変少ないわけですが、将来この資金枠はどのくらいを希望しておられるか、お考えがあればまずお答えをいただきたいと思います。
  29. 植田守

    植田参考人 二十二億五千万円とかいう数字になっているように予算では拝承しております。しかしこれは初年度あれだけの予算が通ったということで、満足はしておりませんけれども、とにかく画期的なものができたということで、いま御指摘のように将来に期待をいたしております。将来これが何百億必要になるかという点になりますと、まだ試算もいたしておりませんので、その点はごかんべん願います。
  30. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現在、参考人もおっしゃっているように、要間伐林分面積は約百六十万ヘクタールを数えております。今後十年間にさらに約二百二十万ヘクタール、計三百八十万ヘクタールが想定されますわけですが、このような増加が見込まれている間伐に対して、間伐の実施状況を見ますと、約二割弱というきわめて低い水準に推移しております。これでは今後の森林の健全なる増進ということはこれは大変問題であります。適切な実施が急務でありますけれども、御承知のように三十六年がちょうど拡大造林のピークでございまして、現在ちょうど十四、五年、三齢級になっておりますが、この三齢級前後の林分はかなりうっ閉度が厳しいわけですが、これに対して全森連の方では森林資源の整備を進め、優良な林木を育成する目的で間伐促進のために森林の一斉掃除というようなことを考えておられるように聞いておりますけれども、その点どういうふうな考えであるか、参考までにお聞かせいただきたい。
  31. 植田守

    植田参考人 将来の間伐林分の問題でございますけれども、全森連としてはいまのところ、将来これが非常にふえる可能性を見越しまして、労務の作業班の体制をいまから十分整備していかなければならぬ、こういう行き方で考えておるようなわけであります。作業班ががたがたするようでは、いかに間伐林分が多く出てみたところでだれもやる者はない。個人がやるということにはなかなかいかないと私は思っております。特に零細な所有者が中心になるような森林に対しては、どうしても森林組合が協業でこの作業をやっていかなければならない、こう覚悟いたしております。それでいまも新生十年運動で、こういった運動に対する入り口をつくって、そうして森林組合協業体制をできるだけ早目に確立していこうという運動を起こしております。そういうふうに考えておりまして、事態がそこまでさましたら全森連中心森林組合として大々的に間伐に取り組みたいと考えております。
  32. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、この間伐について今回の本法の制度によりますと、償還期限が五年になっておりますけれども、端的に伺いますけれども、これは大変短いわけですが、全森連としてはどのくらいをぜひ実現してもらいたい、かように考えておられるか、お答えいただきたい。
  33. 植田守

    植田参考人 これは間伐ばかりの問題でないかもしれませんけれども、間伐は特にいま御指摘のように資金の借り入れの年限が長くなるだろうと思います。六年や七年ではなかなかこれは容易でない。少なくとも十年ぐらいは償還期限を置かなければいけない。次の間伐期が来るくらいまでは置いていただければ非常に幸いじゃないかというようなことを考えてはおりますけれども、まだ具体的な資金の問題も出てまいりませんものですから、そこまでは結論的には具体的に申し上げかねる点がございますことをお許し願いたいと思います。
  34. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に端的にお尋ねします。  林業後継者等の養成資金のことで、今回後継者に対しては手当てがなされることになっておりますが、これは当然のことでありますけれども、現在の林業を推進しているのは中高年齢層でありますが、この中高年齢者に対する資金の手当てというのは考えられておりませんけれども、その点はどういうふうに全森連は要請されるのか、その点が一点と、もう一つは、中小企業には金利二・七%の資金制度があるわけですけれども、林業では従来三分五厘の資金のみであった一制度として立ちおくれている、こういうふうに私は言っているわけですけれども、その点のお考えをこの機会にお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 植田守

    植田参考人 いまお話しの比較的高齢者に対する対策ですが、これはさっき申し上げましたように中小企業の退職金の共済ですか、これに入ることをわりあいに多くの現地の組合では考えておるわけであります。中には独自でやっておるところもある、その独自な資金がどういうふうに流れておるかという点を申し上げますならば、しかしこれは余り多い数ではございませんが、県とかあるいは町村とかいうところから資金が流れておるわけであります。本来、中小企業の場合だと事業主がほとんど全部負担しなければならね。しかし、いまの森林組合事業主としてはまだそういう問題弱小の場合がございますから、そこまではいきませんので、それで県とか町村がカバーしてくれているという面があると思います。そういう点についての資金の操作というのは、いずれ国の助成か何かを受けなければとうてい賄い切れるものではない、かように考えております。すでに御承知のことだと思いますけれども、労働者の就労対策の際に二億ばかりの国の助成金をいただいたことがございます。そしてその点についてさらに県とかあるいは町村、県森連、森林単位組合、これがみんな一緒になってあの就労対策の資金を、共済制度の資金を出したことがあります。こういった行き方をやはり将来考えていかなければ、とてもじゃないがいまの森林組合の現状から見るとむずかしい。呼び水が来て安定された森林組合の運営ができるようになりますれば別ですけれども、そうでない限りにおいてはいまのようなことを考えておるようなわけでございます。
  36. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 どうもありがとうございました。
  37. 湊徹郎

    湊委員長 それでは参考人の皆さん、議事の都合上しばらくお休みをいただきたいと思います。      ————◇—————
  38. 湊徹郎

    湊委員長 林業改善資金助成法案漁業再建整備特別措置法案中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案及び漁船船主責任保険臨時措置法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。安倍農林大臣。
  39. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 林業改善資金助成法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  わが国林業は、国民生活にとって不可欠な木材等の林産物の供給と、森林の持つ国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の維持増進とを通じて、また、山村地域住民に就業の場を提供すること等により、地域の振興に寄与するとともに、国民経済の発展と国民生活向上に大きく貢献してきたところであります。  このような森林林業の果たす役割りに対する国民的要請は、今後とも一層増大するものと考えられますが、わが国森林林業の現況を見ますと、戦後の拡大造林の積極的な推進により造成された広大な森林が逐次間伐期を迎えつつあるにもかかわらず、必要な間伐が適切に実施されておらず、このため、森林の資源内容の脆弱化をもたらすおそれがあること、林業機械の使用に伴う労働安全衛生の問題が深刻化してきていること、山村において若年層の林業従事者の確保が困難となってきていること等厳しい情勢にあり、これらが林業経営の健全な発展、林業生産力の増大及び林業従事者の福祉の向上を図る上で大きな制約条件となりつつあります。  政府におきましては、さきに述べました森林林業に対する国民的要請にこたえるため、これまで、造林、林道等生産基盤の整備、林業構造改善事業の推進、林産物の流通加工の合理化、林業労働力対策等の各般の施策を推進してきたところでありますが、以上のような最近における林業経営の状況等にかんがみ、これらの施策に加えて、林業従事者等が自主的に行う林野の林業的利用の高度化と林業技術の向上を図るための林業生産の方式の導入及び林業労働に係る安全衛生施設の導入の促進並びに林業後継者等による近代的な林業経営方法または技術の実地習得を積極的に助長するための新たな施策を講ずることが緊要と考えるのであります。このため、これらに必要な中・短期の無利子の資金の貸し付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を創設することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  まず第一に、この法律の対象といたします資金林業生産高度化資金林業労働安全衛生施設資金及び林業後継者等養成資金に分けて、それぞれの内容を定めますとともに、都道府県が林業従事者等に対するこれらの資金の貸し付けの事業を行うときは、政府は、当該都道府県に対し、予算の範囲内においてその事業に必要な資金につき、原則としてその三分の二を助成することといたしております。  第二に、都道府県が行うこれらの資金の貸し付けにつきまして、その利率を無利子とするとともに、一林業従事者等ごとの限度及び償還期間等について定めております。  第三に、都道府県がこの貸し付けの事業を行う場合には、当該事業の経理は、特別会計を設けて行わなければならないこととするとともに、その事務の一部を森林組合連合会等に委託することができることといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  次に、漁業再建整備特別措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近におけるわが国漁業につきましては、燃油その他漁業用資材価格の高騰等により支出が著しく増大する反面、魚価の相対的な低迷等のため収入が伸び悩んでいることにより漁業経営は総じて不振に陥っており、加えて、漁業をめぐる国際環境は一段と厳しさを増すなど、きわめて困難な事態に直面いたしております。  このような状況に対処し、経営が困難となっている中小漁業者についてその経営の再建を図るため緊急に必要な固定化債務の整理等のための資金の融通の円滑化を図るほか、特定の業種に係る中小漁業について構造改善促進するとともに、漁船の隻数の縮減を必要とする業種についてその円滑な推進のための措置を講ずること等により、漁業の再建整備を図ることとし、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、漁業経営再建のための措置についてであります。すなわち、経営が困難となっている中小漁業者でその経営の再建を図ろうとするものは、漁業経営再建計画を作成し、その固定化債務の整理等のために緊急に必要な低利資金の融資を受けた場合においては、政府は、都道府県または漁業者団体が行う当該資金に係る利子補給に必要な経費について補助することといたしております。  第二は、中小漁業の構造改善についてであります。構造改善を図ることにより経営の近代化を促進することが緊急に必要なものとして政令で定める業種に係る漁業を営む中小漁業者を構成員とする漁業者団体は、国の定める基本方針に即して構造改善計画を作成し、これに従って構造改善事業を実施する中小漁業者等は、必要な低利資金の融通を受けることができるとともに、税制上の特例措置を受けることができることといたしております。  第三は、漁業の整備についてであります。国際環境の変化、水産資源の状況等に照らし漁船の隻数の縮減を行うことが必要なものとして政令で定める業種に係る漁業を営む漁業者を構成員とする漁業者団体は、漁船の隻数の縮減等についての整備計画を作成し、これに従って整備事業を実施する漁業者等は、必要な資金の融通を受けることができることといたしております。  第四に、漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた漁業離職者に対し、就職のあっせん等に努めるとともに、職業転換給付金の支給等の措置を講ずることといたしております。  このほか、報告の徴収等につき所要の規定を設けております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  中小漁業融資保証保険制度は、昭和二十七年に制定された中小漁業融資保証法に基づき、中小漁業者等に対する融資の円滑化を図る制度として運営されてまいりましたが、四十九年度末における漁業信用基金協会の債務保証残高の合計額はおおよそ千五百億円に上っており、中小漁業振興に大きな役割を果たしてきているところであります。  本制度につきましては、制度創設以来、逐次改善を図ってきたところでありますが、最近における漁業事情等に対応して中小漁業者等の資金の融通を一層円滑にするため、所要の改善措置を講じて制度の運営に遺憾なきを期することとし、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  改正の第一点は、従来、漁業信用基金協会が行う債務の保証につき中小漁業融資保証保険特別会計において行ってきた保証保険の業務を中央漁業信用基金に移行し、同基金の業務を拡充することであります。この改正によりまして、現在中央漁業信用基金が行っている農林中央金庫に対する融資保険の業務及び漁業信用基金協会に対する貸し付けの業務と保証保険業務が一元的に実施されることとなり、制度の一層円滑かつ機能的な運営が図られるものと考えております。  改正の第二点は、緊急融資資金の保険のてん補率の引き上げであります。すなわち、今国会で御審議をお願いしております漁業再建整備特別措置法の規定に基づき中小漁業者の漁業経営の再建を図るために融資される資金その他国の助成に係る利子補給を受けて緊急に融資される資金のうち主務大臣の指定するものに係る保証保険及び融資保険のてん補率を八割に引き上げ、これら資金の円滑な融通に資することといたしております。  このほか、改正の第一点において申し述べました保証保険業務の中央漁業信用基金への移行に伴い、中小漁業融資保証保険特別会計を廃止するとともに、同会計に属する一切の権利義務を中央漁業信用基金に承継させる等、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  次に、漁船船主責任保険臨時措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁船の運航に伴って生ずる漁船の船体及び積み荷に関する損害につきましては、政府は、漁船損害補償制度及び漁船積荷保険制度を通じその損害のてん補を図ることにより、漁業経営の安定に多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりであります。  しかしながら、近年における漁船の大型化、高速化等に伴って、油の流出、他船との衝突その他の偶発的な事故が発生する危険性は高まっており、漁船の船主等が一水面清掃費用等の不測の費用を負担し、または漁船乗組員等の人的損害や第三者の物的損害に関し賠償することによる損害は、漁業経営に重大な影響を及ぼすようになってきておりまして、漁船の船主等のこれらの費用及び責任等を適切に保険する制度の創設が強く要請されるに至っております。  このような事情にかんがみまして、政府は、昭和四十八年度以来漁船船主責任保険の制度化に必要な各種調査を実施してまいったところでありますが、漁船船主責任につきましては、保険制度を樹立するのに必要な諸種の資料がなお十分整備されていない状況にありますので、漁船船主責任保険の本格的な制度化を図るための準備として、まず試験的に保険事業を実施し、保険料率算定のための基礎資料の収集、損害の評価等事業運営上の諸問題の検討を行い、その成果に基づいて適切な保険制度の確立を図ることとし、本法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、漁船保険組合は、農林大臣の認可を受けて、漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険の事業を行うことができることとし、これに必要な手続を規定いたしております。  第二に、漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険の内容につきまして、被保険者、保険契約者、保険期間、純保険料率及び漁船保険組合責任等につき所要の規定を設けることといたしております。  第三に、漁船保険中央会は、農林大臣の認可を受けて、漁船保険組合の漁船船主責任保険事業等による保険責任についての再保険の事業を行うことができることとし、これに必要な手続を規定いたしております。  このほか、漁船船主責任保険事業及び漁船乗組船主保険事業並びにこれらの再保険事業の適正かつ円滑な運営を期するため必要な国の援助規定その他の規定を設けることといたしております。  なお、この法律は、昭和五十一年十月一日から施行し、この法律が試験実施のための臨時措置法であることにかんがみ、その施行日から五年以内に別に法律で定める日に失効することといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  40. 湊徹郎

    湊委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。  この際、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  41. 湊徹郎

    湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  参考人に対する質疑を続行いたします。今井勇君。
  42. 今井勇

    ○今井委員 午前中、水産団体のお三人から御意見の御開陳がございました。  まず最初に、当委員会に御出席賜りまして貴重な御意見をお述べいただきましたことにつきまして、お礼を申し上げたいと思います。  時間も限られているようでございますので、問題をしぼりまして、二、三お伺いをいたしたいと思います。時間の都合上、私があらかじめ質問を申し上げたいことを申し上げますので、それについて御答弁をいただければ幸いだと思います。  まず最初の問題につきましては、森澤さんと及川さんにひとつ申し上げたいと思います。三つございます。  第一点は、先ほどからの御開陳で浮き彫りにされましたもので、今後の日本水産資源の確保というものについて非常に問題があることがよくわかります。したがいまして、もろもろの方法があろうと思いますが、私は新しい漁場の発掘といいましょうか、同時に新しい、利用されていなかった魚族、魚種の活用といいましょうか、そういう問題について具体的にお二人ともどのような御検討がなされ、どのように対処されておるのかということをまず承りたいと思います。  第二点は、現在たくさんとれております魚の中でも大衆魚と言われますものにつきましては必ずしも十分利用されていない。たとえばイワシだとかサバのようなものは、大半が他の魚のえさになってみたり、あるいは肥料になってみたりするわけであります。われわれが食べることを余儀なくされておりますいわゆる高級魚と言われるものに比較しましても、決して栄養価等々について落ちるものではないと思うのでありますが、何さまそういうものを国民が好まなくなったといいましょうか、そういう嗜好の問題等々もありまして、どうもむだに拾てられているということを聞きます。まことに残念なことでありまして、貴重な資源であればあるほどこれを国民に納得をして食べてもらうという努力をやはり水産団体もなさるべきであろう。これはばかにならない数字だと思います。と同時に、現在のたとえばスケソウダラ等につきましても、すり身にいたしますものの利用率を聞いてみますと、二十数%という話を聞きます。大半を拾てておるわけでありまして、これなんかも知恵の使い様によってはもっと利用率を高めることができる。一割高めれば一割増産ということになるわけであります。そういったじみな問題ではありますけれども、解決すればできないことはない、焦眉の急の問題であろうと思います。それについていかなる御検討がなされているかということが第二番目であります。  それから第三番目は、先ほどから、沖合いあるいは遠洋漁業についての深刻さの問題についてはいろいろございましたが、もう一つ沿岸漁業振興の問題を私はどうしても考えなければならないと思います。特に日本の国は四周海でありますが、最近沿岸漁業が公害の問題等あるいはまたその他労働力不足といいましょうか、そういう面等もありまして、政府もかけ声をし一生懸命やろうとしておりますけれども、なかなか十分に伸びていないと認識いたしております。そのためにわれわれはこの間の国会法案をつくりまして、沿岸漁場の整備等についても大いにやろうじゃないか、こういう意気込みを示したのでありますが、水産業界としてこの問題に具体的にどう取り組もうとされているのか、それぞれのお立場から以上三つの問題について御意見を伺うことができれば幸いだと思います。
  43. 森澤基吉

    森澤参考人 いま今井先生から三つお尋ねがございましたが、第三点の沿岸漁業の問題は、私がお答えするよりもむしろ及川参考人からお話があると思いますので、最初の二点に重点を置きましてお答えをいたします。  第一点は、新しい漁場の開発、未利用資源の利用でございます。きわめて大ざっぱなお話をいたしますと、現在世界漁獲高約七千万トンでございますけれども、FAOあたりの専門家の意見及び日本の資源学者の従来作業しました意見などを取りまとめますと、大体世界の総漁獲高を一億二千万トン程度にすることはそう飛躍的な技術革新がなくても可能である。もちろんこれはグローバルなお話でございまして、日本漁獲量がその比率で上がるという意味ではございません。ということは、まだまだ世界には残された未利用の資源がある、こういうことでございます。特に地理的な人口配分の関係もありまして、南半球の海洋水産資源の開発というものが非常におくれております。そういうことで私たちは、午前中申し上げました厳しい国際情勢の到来等も予期いたしまして、数年前に海洋水産資源開発促進法という法律をお出しいただきまして、この法律によって認可法人として海洋水産資源開発センターというセンターをスタートさせたわけでございます。運用の経費は主として政府にお出しいただいておりますが、これは基本的には官民合同の機関でございまして、私たちはこのセンターを中心に、業界の持っている船、さらに進んだ技術、こういうもので漁場の開発を進めてまいりましたし、今後もまた進めなければならない、そういうふうに考えております。  具体的に申し上げますれば、例のミッドウェー近海におりますクサカリツボタイというふうな新しい魚、これもこのセンターの一つ事業として開発されました。それから、現在ニュージーランドの総理がお見えでございますけれども、ニュージーランド近海のスルメイカの漁場、これもこのセンターの活動によりまして開発され、百五十隻になんなんとする日本の中小漁船が、時期的にではございますけれども操業しておりますが、今後こういう残された資源の開発を、私たちは業界自体でもやらなければなりませんが、主としてセンターを中心に進めていくということでございまして、いま私たちが問題にしておりますのは、特に領土権のございません南極大陸の周辺における鯨の資源が御案内のとおりになりましたので、むしろ鯨以外の資源、一番問題になるのは鯨のえさになるオキアミでございますが、こういうものをいかにして漁労し、いかにして処理、加工して食用としあるいは餌用とするか、こういう研究に取り組んでおります。私の所属します大日本水産会におきましても南氷洋懇談会というものをつくりまして、いろいろ学者の意見も聞きながら、今後南氷洋の未利用資源、主としてオキアミでございますが、こういうものを開発していくためのいろいろな問題点をいま詰めておりますし、また科学技術庁にお願いをいたしまして、鮮度が落ちることの非常に速いオキアミの処理、加工技術の開発、研究調整費による研究費の御援助をお願いしたいというような動きも現在やっております。いま申し上げたのは一例でございますが、こういう形で新しい資源を開発する余地はまだまだある、こういうように私は考えております。  ただ、この新しい資源の開発は、いま深い海の方にまで及ぼして、深海丸という船を業界がつくり、センターにチャーターをお願いしてニュージーランドの近海でも進めておりますけれども、深い海であろうと遠い海であろうと、恐らくどこかの国の二百海里の中に入ると思います。したがって、政府お願いをいたしまして、民間ももちろんやらなければなりませんが、国際的な合意を得た上で、この海洋センターが活動を開始するということになると思います。  さらに第三点、これは及川参考人からお答えがあると思いますけれども、日本列島周辺の漁場のきわめてミクロな、微細な開発調査というものもまだ大いにやる余地があるであろう。これなども業界の仕事であり、さらに今後のセンターの一つ中核的な仕事になるべきである、こういうふうに考えております。  第二点のいわゆる大衆魚の利用でございますが、今井先生御指摘のとおりでございます。現在二百五十万トンから二百七十万トンぐらいが非食用向けとして当てられております。われわれは一千万トンとって世界第一位でございますというように一応胸を張っておりますけれども、内容を見ますと、国民食糧として提供しておるのは七百五十万トン前後である。しかも、お魚の可食率というのは五五%でございますから、一千万トンとっておりましても五百五十万トンしか食糧にならない。いわんや、二百七十万トン非食用の部分があるということは、今後食糧を安定的に供給していくという命題のもとにおいては非常に重要なことになるわけでございます。私たちは、イワシでございますとかサバでございますとかあるいはサンマでございますとか、従来魚釣りのえさあるいは養魚のえさ、肥料、そういうものにしかなっていないものを、どうして国民の食卓に送り届けるかという工夫を当然しなければならないわけでございますが、消費者の方に責任を転嫁するわけにはもちろんまいりませんので、私たちは第一に、そういう回遊性の大衆魚、これは年によって非常に漁獲に豊凶がございますけれども、ある程度とり過ぎないように生産調整をまずやるという責任生産者の段階においてあるであろう。  それから第二点は、とれました物を流通しやすく、しかも消費者の嗜好に合うような形に加工処理いたしまして、新しい商品として開発をいたしませんと、いまの生のままでイワシをお上がりなさいあるいはサバをお上がりなさいと言うだけでは問題は解決すまい、そういうふうに考えております。現在大手及び全漁連等を中心にお魚普及協会という組織をつくりまして、昔ありました魚食普及宣伝とは違った角度の魚食普及宣伝をやっております。さらに魚種別団体では、きょうお見えの増田さんの団体でも、いろいろカツオ・マグロの魚食普及運動を従来からやっておられますし、さらにサバなどの組合におきましては、サバの魚食普及と同時に、サバのすり身を開発をする。いわゆる白身のスケトウダラのような魚を原料とするすり身が、将来国際規制で非常に先行き不安でございます。したがって、赤身の魚を処理、加工する、その一つの方法としてすり身にしてかまぼこの原料にするというようなこともいろいろ研究をしておりますが、いずれにしましても、そういう従来食用としなかった漁獲物をうまく処理、加工して、流通業者が喜んで消費者の食卓に提供できるという方法を、われわれ生産地においても流通段階においても考える必要があるだろうと思います。  意を尽くしませんけれども、沿岸漁業の問題は及川参考人お願いをすることにいたしまして、  一応私の答弁を終わります。
  44. 及川孝平

    及川参考人 最初のお尋ねの漁場開発という問題でございますけれども、われわれはこの問題につきましても、仮に日本の国が海洋法の動向によって二百海里という専管水域を設けられるとしますと、三千万ヘクタールの日本の自由になる海が出ると言われております。その中で、現在沿岸のどれだけのものが沿岸漁業として利用されているか。せいぜい百三万ヘクタールではないかと思うのです。少なくともこの三分の一程度の一千万ヘクタールを、本当に国家資本を投じて漁場造成をしていきますならば、かなりの外国で失われたものが確保される。われわれは手前みそでございますけれども、先般沿岸漁場整備開発法というものができました。ことしから予算が実行されますけれども、実はグリーンブックと称しまして、私のところで七年か八年前からあの骨子を持っておったわけです。ところがその当時食糧問題というようなことは問題にならないで、沿岸がだめになったら外国から輸入したらいいじゃないかというようなことで、世論もそうですし、一般の認識もそうでございますが、とうとう日の目も見ないでおったわけでございます。最近になりまして、やれ食糧問題とかいう背景がありまして、実は沿岸漁場整備開発法というものが通ったと私は思っております。したがって、その手法をもってするならば、日本近海はこれだけの世界の大漁場でございますので、積極的に漁場造成をしていくならば、私は必ずしも非観するに当たらぬという考え方を持っております。  それから大衆魚については、先ほども冒頭陳述で、私はイワシさんがああいうことになっておるということに問題は尽きるのだと申しましたけれども、私いろいろと財界のえらい人方ともときどきお会いする機会があります。そうすると、私たちぐらいの年輩の経団連あたりのえらい方々が、及川君おれはイワシが好きなんだ、だけれども一向魚屋にイワシが売っていないじゃないか、聞けばイワシは銚子で捨てられておるということだが何たることかというて毎回イワシの話が出ます。しかし、たとえばあなたが好きだ好きでないということは別にして、現在何のためにイワシは見向かれないのかということを考えると、この原因は非常に深いのでございます。今日の若い人々の嗜好というものが非常に変わっておる。それからまた家庭生活の内容も変わっておる。たとえば、家の中でイワシを焼いたらアパートが臭くなってどうもならぬとか、各種の生活要件とかが入っておるので、そこまでさかのぼって考えないとなかなかむずかしいのだ。したがって、当面は私たち何としてもこのサバなりイワシなりというものを、いまの国民の嗜好に合ったような形に姿を変えるということでなければ、幾ら観念論をしてもなかなかいかぬだろう。そこで役所に対して、先ほども出ましたけれども、かつてスケソウも非常に安かったものです。ところがあれがすり身という場を見つけまして、あれだけになってきたわけでございます。現在サバなんかでも何とかしてかまぼこ原料等にならぬかと思いますけれども、なかなか固まりが悪いとか、いろいろ問題がございます。イワシであれば、そのほかにおいがいかぬとか、そういう問題は、科学的にこれから開発をすることは、恐らくこれは国の力でやってもらわなければいけないだろう。したがって、いまの段階においてはなかなか大衆魚というものが振り向かれない。おっしゃるとおり、観念的には恐らく二割ぐらいしか普通の食事に上がらぬのじゃないかと思っております。イワシのごときはもっとひどいでしょう。だけれども、それは嘆いておってもしょうがないんで、今日の日本人の食様式というものにかなったようなものを開発する以外になかなか方法はないんじゃなかろうかと思います。  それから第三点の沿岸漁業振興、この問題につきましては、やっと沿岸漁場の整備開発というようなことか、ことしから七カ年ですか、二千億の投資か行われるということでございまして、要は、われわれのねらいとするところは、まず第一に沿岸の漁場をきれいにして守るということと、汚れたものはもう一遍きれいにするということと、積極的に魚のすみかをつくり、いわゆる稚魚を放し、あるいはまた養殖をやっていくということでございます。これはわれわれも政府予算というようなものを先生方お願いして、大きな予算をつけることもできましょうけれども、問題はこれに対する勉強が非常におくれておりまして、科学技術的な手法、一体どういうふうにすれば的確に効果が上がるかというような問題について科学的な手法というのが非常におくれておる。こういうことが一つの問題点でございますので、こういう点についての科学技術的な研究というようなものを政府としても特段に力を入れていただかなければならぬと思います。したがって、現在の技術段階からしますとあの程度のものであろうかというふうにも私は思うております。  ただ、最近になりまして私痛感しますことは、いままで増養殖といいまして、増殖と養殖とございます。おっしゃるまでもなく、養殖というのは、先ほど御指摘になりましたほかの魚を食わせまして稚魚を大きくするのでございます。増殖というのは、自然の力を利用して、えさも何にもやらぬで、いわゆる自然の保育力を使って魚をふやしていくということでございます。養殖も大変でございますけれども、養殖に一部批判がございます。たとえば一キロのハマチをつくるのに七キロなり八キロのイワシその他を食わせなければならぬというような批判もございます。いまのようにイワシさんが粗末にされておるときならばこれは結構でございますけれども、国民食糧として食糧問題を論じるときには多少これは問題があることと思います。したがって、養殖もさることながら、いわゆる増殖、自然界の、自然の海の力を利用してやる、いわゆる増殖という問題に今後われわれの視点を広めて、これに力を注がなければならぬと考えております。  一つの例としまして、いま日ソ交渉サケマスがやれ八万トンとかなんか言っておりますけれども、これだけ国を挙げて大折衝しているのでございますけれども、昨年のわが国沿岸におけるサケ、これが何と七万トンというものすごいものがとれておりました。これは過去長年にわたって蓄積いたしましたところのふ化放流事業でございます。そういうものが実りまして今日サケが七万トンも日本近海に帰ってきた。もちろんサケが帰ったことにつきましては、そのことだけでなくて海流の関係もございましょうけれども、しかしこれはわれわれに非常に大きな示唆を与えておる。こういうことで増殖という問題についてきわめて大きな力を注ぐべきであろうと考えております。  もう一つ……(今井委員「大変ありがたいのですが、後の質問も残っているようですので……」と呼ぶ)はい。特に一言だけ申し上げたいのは、最近不況というようなことに名をかりまして公害に対する考え方が非常に甘くなってきております。このことだけは、私は特に沿岸漁業者として言わなければなりません。
  45. 今井勇

    ○今井委員 大変ありがたい御意見をいま承りましたが、私は最後にいまの御意見を承って三つばかり御要望しておきたいと思いますか、第一点は、森澤さんの方でも海洋法会議に対して国際的にも広告をなさいましていろいろPRをされている、大変努力をされているのですから、その一部分でもお使いなすって、国内的にも未利用資源、たとえばいまのイワシをもっと食べましょうとか、サバをもっと食べましょうというような広告は見たことがないのですが、そういう努力を、ひとつじみちですけれどもしていただきたい。  それから及川さんにも申し上げたいのですが、ひとつ本当に国民がこうすればおいしく食べられるという料理の方法だとか加工の方法なんということにどのくらいあなた方がお金を使っておられるのか。とるだけが能じゃない、食べさせなければだめだと思うので、そういう意味の努力をさらにしていただきたい。  それからさらに、あなたがおっしゃるとおり、やはり増殖をしていって、利子だけをわれわれが食べていく、元金には余り食い込まないでいくというのが本当だと思うわけです。海をよく知っておられるのはあなた方の漁民だと思うわけです。海をどうすればよくなるのか、どこにどうすれば魚がふえるかというのを一等よく知っておられるのはあなた方であるわけですから、あなた方の意見を集約されまして、政府を突き上げて、法律の施行を促進させるという意味の最大限の努力をさらにお願いをいたしておきたいと思います。  たくさんありますが、きょうは時間もございませんので、残念ながら問題をしぼって申し上げたわけでございます。  最後に鰹鮪の増田さんにお尋ねをしたいのですが、あなたは例の魚価安定のことをちょっとおっしゃいましたが、その魚価安定のための調整保管事業というのは具体的にどのように計画をしておられるのか。それからこの事業を私どうも考えますと、収支で赤字が出る可能性が多分にあると思うのですが、そういう場合は一体どのように対処されようとしておるのか、その二点についてお考えを承りたい。それで私の質問を終りたいと思います。
  46. 増田正一

    増田参考人 ただいま今井先生から御質問のありました魚価安定のための調整保管事業を具体的にどのように進めているのか、それから第二点といたしましては、赤字が出た場合の対応をどうするかという御質問でございます。  第一点についての魚価安定のための調整保管事業は、現在カツオ・マグロ漁業漁業生産コストを基準にいたしまして、それの見合いの価格を一応算定いたしております。それから同時に、現実にはカツオ・マグロ需給の関係からきた実勢の価格がございますので、そういった問題も同時に勘案いたしまして、その最低買い取り価格というものを設定いたしたいと思います。漁船が非常に集中した場合あるいは国内需要が非常に低下した場合のために生産地の魚価がその最低買い取り価格を割った場合に私どもの事業主体がそれを全部買い上げる、こういう体制をとって進んでいきたいと思っております。ただ、問題は現実の魚価の実勢価格と、私どもがいま申します漁業生産費を基礎にした理想の価格というものには、相当価格の上にギャップがございます。したがって、最初から理想の価格までにはなかなか行き得ない。若干の時間あるいは年月をかげながら理想の価格に到達せざるを得ないのではないか、かように考えております。  それから御指摘のように、こういう形を理想に近づけた最低買い取り価格をもって事業主体が買い取りますと、私どもの現在の計算で、しかも五十一年度、まだ成立はいたしておりませんが、予算の構想からいきますと、大体年間に数億の赤字が出るようであります。現在予算に盛られております内容から見ますと、その赤字の二〇%は事業主体、すなわち業界が自己負担する。八〇%については魚価安定基金から無利子融資を受ける、こういう形になっておりますが、その二〇%にいたしましても一億数千万ないし二億のものが毎年赤字が出てくる、あるいは将来の扱い数量が増してくれば、それに応じてますます出てくる。こういうことでございますので、現在私どもは全体の漁船に対しまして、水揚げ金額に応じてその赤字を水揚げの都度天引きするという構想で、いま論議を重ねている最中でございます。
  47. 今井勇

    ○今井委員 ありがとうございました。終わります。
  48. 湊徹郎

    湊委員長 次に、井上泉君。
  49. 井上泉

    ○井上(泉)委員 参考人の方に若干お尋ねしたいと思います。  まず、鰹鮪の増田さんにお尋ねしたいと思いますが、減船の計画というのは大体何%ぐらいをお考えになっておられるのか、そのことをまずお伺いしたい。
  50. 増田正一

    増田参考人 私どもカツオ・マグロ業界が現在考えております減船の率は、全漁船勢力の二〇%というものを一応の目途にいたしております。そして、これを三カ年計画で遂行いたしたい。そして、初年度である五十一年度はその四分の一、次年度は二分の一、三年度が四分の一という計画をつくっておりますので、予定どおり三カ年の減船を遂行いたしますと、二百六十四隻が減船対象になる、こういう計画を現在持っておるわけでございます。
  51. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いまいわゆる経済水域二百海里、領海十二海里の問題が目前に迫っておる問題だと思うわけですが、全漁連の及川さんにお尋ねしたいと思います。  領海十二海里の点は、まだちっとも日本政府の方でもこれを宣言をされるような段階にないわけですが、業界としては二百海里に賛成なのか、十二海里も賛成なのかどうか、その点、全漁連の及川さんにお伺いしたいと思います。
  52. 及川孝平

    及川参考人 領海十二海里につきましては、われわれは断固一日も早くやるべきであるという考えを持っております。二百海里の問題につきましては、いろいろな日本の全体の立場を考えますと、単に沿岸漁民層の立場からのみでは考えられぬということで、少なくとも領海十二海里につきましては、一日も早くやってほしいというふうに考えております。
  53. 井上泉

    ○井上(泉)委員 水産会の森澤さんにお尋ねするわけですけれども、いま日ソの漁業交渉でも、ソ連側の態度が非常に強硬で、日本の北洋漁業はお先真っ暗というような状態の中にあるわけで、そういう中で、ソ連が農業面における食糧不足を補うために水産面に進出をして、日本の近海におけるソ連漁船の操業というものが大変な問題になっておるわけですが、この点と関連をして、こういうソ連漁船の日本近海における操業と北洋におけるソ連との漁業交渉の関係等について何か問題点がありはしないか。その点についてのソ連側の意向とか、あるいはソ連の日本近海における操業の状態についての水産会としての意見、そういうようなものをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 森澤基吉

    森澤参考人 井上先生からソ連の操業のお話が出ましたけれども、基本的には午前中私も申し上げましたように、ソ連も遠洋漁業国でございますし、日本遠洋漁業国であります。したがって、海洋法会議等ではある程度共同作戦が張れるというようなことも実はわれわれ考えておったわけでございますが、現実には日ソ交渉をやってみますと、御指摘のようななかなか厳しい状況でございます。私は、ソ連が日本の近海において数年前から盛んに大型の漁船を稼働しております理由はいろいろあると思います。  第一点は、いま先生もおっしゃいましたけれども、ソ連の農業の不作、穀物生産の不振ということに関連して、国民食糧を確保するという立場で、いま井上先生がおっしゃったような、農業で達成できないノルマを漁業で達成していくという考え方が強くあるだろうと思います。ことしから始まるソ連の第十次の水産振興五カ年計画におきましても、五年先においては三割ぐらいの生産のアップというものを見込みまして、日本に追いつけ追い越せという政策を掲げておるように思っております。したがいまして、そういう背景のもとに、特に極東水域における比重は非常に高うございますから、日本近海の操業というものが非常に活動的になってきている。  それから第二点は、これは私の想像にすぎませんけれども、いずれ将来日本も二百海里というなわ張りを張る時期が来るであろう、そういう場合にその中における実績を確保しておきたいという考え方もソ連にはあるかもしれません。  しかし、今度の日ソ漁業委員会でソ連のニコノロフ代表は、われわれの漁船が日本の近海においてとっておるよりも、もっともっとたくさんのものを日本の漁船はソ連の近海においてとっておるではないかというようなことを言っておるようでございますが、いずれにしましても、先ほど及川参考人がおっしゃいましたように、十二海里というものの設定は早急に急いでいただきまして、その外側における日本近海のソ連漁船の操業につきましては、沿岸漁業との摩擦を極力防ぐ対策というものを十分考慮していただく必要があると思います。  損害賠償につきましては、すでに委員会も発足をいたしましたけれども、これとてもスタートしてみればなかなか難航する問題が多いのではないかと思いますので、あとは資源保全なり紛争、摩擦防止ということでソ連側とよく話し合って、秩序のある操業を要求するということであろうと思いますし、さらに日本漁船のソ連近海における操業につきましては、何回も申し上げますように、正当な科学的な資源評価の上に立って、日本政府として、非常に厳しいと思いますけれども、急激なショックを北洋漁業に与えない交渉というものをお願いするのと、もし大きなショックが参りました場合には、ひとつ大幅な政府の立法あるいは財政上の対応策を講じていただきたいということに尽きると思います。
  55. 井上泉

    ○井上(泉)委員 最後に、カツオ・マグロの増田さんにもう一点お尋ねしたいのですけれども、カツオ・マグロの業界の実情として減船をせざるを得ないということは理解をされるわけですが、しかし、その減船をされる側の、つまりいままで漁業をやっておった方がこれで漁業を放棄するとかというようなことは、当事者にとっても非常にさびしいことだと思うし、そういうものに対する対策、まあ大体カツオ・マグロは中小の漁業者が多いのですから、そういうものに対する対策というようなものは、単に減船をした者に借金の肩がわりをするとかあるいはその補償をするとかいうことだけでは、減船をされた側の者もなかなか問題の解決にはならぬと思うのですけれども、その点について何か連合会としてお考えがあり、そしてまた政府水産行政の面でやってもらいたいとお考えになっておられる点があれば、この際お聞かせを願っておきたいと思います。
  56. 増田正一

    増田参考人 私どもの現在進めておりますカツオ・マグロの減船計画が進展いたしまして、現実に整理者が出た場合に直接問題になりますのは、船主自体と乗組員の両面でございます。船主につきましては、従来、船の建造なりあるいは航海経費等の運転資金につきましては、最寄りの周辺の漁業者にお互いに保証人というものが立っております。あるいはまた大部分は系統組織から転貸を受けておりますから、系統組織からの借り入れ、こういう形になっているわけでありますので、一応第一義的には保証人がその損失について協力をしていく、補償をしていく、こういう体制をとりたいと思います。  それから同時に、業界全体が政府のあっせんによる低利、長期資金を借りて、船主についてはとも補償資金というものをひとつ供給していきたい、こう考えます。それでもなおかつ足らないという場合が現実には多いわけでございますが、勢いこの問題は系統の組織の方にどうしてもしわが来る。それで、私どもは最後に系統組織に来るしわについては今後どう対応するかということをいまいろいろ検討しているわけでございます。  それからなお、乗組員につきましては、政府の方の今度の予算措置でも所要の措置を講じられております。それからまた業界自身もそれについての適切な対応をして、乗組員の雇用先あるいは船の減船によって雇用先を失うということのないようないろいろの協力、便宜供与をいたしたい、かように考えております。
  57. 井上泉

    ○井上(泉)委員 どうもありがとうございました。
  58. 湊徹郎

    湊委員長 次に、角屋堅次郎君。
  59. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本日は参考人の皆さん御苦労さまでございます。  本来ならば水産三法の法律に関連をして参考人に三団体の代表以外の方も含めてお呼びすることを考えておりましたが、御承知のような国会情勢もございまして、こういう形に相なったことは御了承いただきたいと思います。  すでに午前中法律案も大臣から提案されましたので、若干そういうことにも関連をして簡潔に御意見を承っておきたいと思います。  今度水産三法が提案をされておるわけですが、そのうちの一つである漁業再建整備特別措置法案は、再建計画あるいは構造改善計画あるいは整備計画と、それぞれの業態に応じて三つの手法で漁業の再建整備を図ろうという考え方でございます。ところが、国連海洋法会議の今後の行方を待つまでもなく、現実にアメリカその他の新しい立法の制定、あるいは日ソ漁業交渉を通じての厳しいソ連の態度、あるいは五月以降に開く日米の漁業交渉というふうなものを予測してまいりますと、この法律のみをもってしては対応できないということはいまから明らかでございます。これはいずれ法律案の審議の中で政府自身にもその見解をたださなければなりませんが、現に大日本水産会の森澤専務自身が、これからの情勢に即応して、立法的措置あるいは財政的措置という意味の中には、出されている水産三法以外に新たな立法的措置もやはり必要であるという考え方も含めてお述べになっておるものと判断をいたします。  現実に、たとえばニシンの問題、カニの問題、さしあたって出てきておる問題に対応しても、この法律をもって直ちに対応できるかということになれば、これは予算措置その他新しい別途の手法も考えていかなければならぬ、こういう問題を控えておると思うのでありますが、これからのそういった情勢に対応して、水産三法のみならず、今後減船の問題あるいは離職者対策等の問題——石炭では石炭から離職する人々に特別立法をもってこれらの職業転換等についても対応したという経緯がございますし、漁業の場合は、できるだけ魚で生きてきた者は魚で活用するということを考える立場から、われわれとしては沿岸、近海におけるこれからの漁業振興というふうなものを新しい組織等も考えて、そういうところにも積極的に入れていくという構想等も持っておるわけでありますが、まず森澤参考人及川参考人に、現実に出されておる水産三法、これで今後の厳しい情勢に対応できるのか、対応できないとすれば、今後の事態を予想して、端的にどういう見解を持っておられるのか、こういう点についてまず簡潔に御両人から承りたいと思います。
  60. 森澤基吉

    森澤参考人 お答えをいたします。  いま提案をされております水産三法は、先ほど来もお話が出ておりますように、主として厳しいオイルショックに伴う経営改善対策を中心として発想をされておるもので、漁業再建整備特別措置法がその中心でございますが、これに伴ういろんな融資のための基金協会の保証の拡大、さらに保険制度の充実としてのPI保険、いずれも相互に関連がございます。及川さんは先ほどカンフル注射だということを言われましたが、まさしくオイルショックに対する経営対策のカンフル注射で、これはぜひ大急ぎにやらなければ、たくさんな負債を抱えております特に中小漁業については倒産が続発する恐れがあるという認識を私たちは持っております。  ただ、いま角屋先生がお尋ねの、今後の国際交渉いかんによって起こってまいりますいわゆる外圧による業界の体制整備、これにつきましては、私は、この特別措置法の範囲内では恐らく律し切れない問題が出てくるであろうし、また業界の能力を超える問題も当然出てくるであろう。大変不幸なことでございますが、そういうことを決して期待するわけではございませんが、起こってくるであろう。したがいまして、この再建整備特別措置法は経営対策として早急にひとつ御審議をいただきたいと思うわけでございます。  あわせて、もう近く落ちてくるかもしれません日ソ交渉の結果等を見ても、たとえばニシンなどについて大副な減船が迫られるということになりますと、午前中私が申し上げましたような特別な立法なりあるいは予算措置なりということを講じていただかなければ、恐らく労働者の問題を含めて解決をすることはできない。しかし、現段階におきまして、政府法案を出す場合には、その将来来たるべきショックを大幅に予想して予算措置なり法律を提案をするというわけにはまいりませんので、これはやむを得ないものだと思いますが、将来のそういうインパクトに対しましては、ひとつ臨機応変に迅速に業界も対応いたしますけれども、政府なり国会の御協力、御援助をお願いしたい、こういうように考えております。  それから沿岸振興の問題につきましては、先ほど来及川さんからるるお述べになりましたとおりでございます。今後やはり日本漁業生産の量的にも質的にも中心というのは、中長期に見まして沿岸、沖合いにならざるを得ない、こう思います。  私は一千万トンということを申し上げましたけれども、現在沿岸、沖合いだけでも六百万トンから  六百五十万トンというものを揚げております。したがって、沖合いの養殖、これは内村水産庁長官が非常に熱意を持って取り組もうとしておられますが、沖合いの養殖を含めまして沿岸の生産量のアップ、それから先ほど来御質問にお答えしました水産資源の利用をもっと濃密に利用率を上げるということで、ミニマム一千万トンの供給というものは決して不可能でないというように私は考えております。
  61. 及川孝平

    及川参考人 角屋先生のお尋ねのとおり、この三法の関係は、冒頭に申しましたとおり、いずれカンフルでございます。ましてやポスト海洋法の体制などというものは、こういうことぐらいで救われるならば、何も漁業危機でも何でもないのでございまして、これは全く海洋法後に備える体制が、立法その他なされなければならぬ。  ただ私、一言だけ申し上げたいのは、ポスト海洋法、ポスト海洋法と、皆世界の大勢が決まったなどというようなことを言っておりますけれども、具体的にどうなんだ。恐らくそのときになっては遅いじゃないか。いまからその体制を築かなければ、それほど世界の大勢が決まったとおっしゃるならば、いまから政策を準備しなければならぬじゃないか。その点が何やら、まだ決まらぬ、まだ決まらぬ、海洋法が決まらぬから決まらぬからということで、問題が何かずらされているということに非常に焦燥を感じます。  以上でございます。
  62. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 増田参考人に引き続きお伺いしますが、この漁業再建整備特別措置法の中では、カツオ・マグロの関係は再建整備でも関係している。それから構造改善計画でも関係してくる。ことに整備計画では、いわば整備計画の第一号の対象になっている。先ほど井上さんからのお尋ねの中で、第六条に基づく整備計画の対象業種としてこれからの進め方について御説明がございました。  そこで、私はざっくばらんに言って、後ほどの法案審議でも議論しなければならぬと思うのでありますが、この整備計画で減船を二割からやっていく。オイル・ショック以降の遠洋、沖合い、沿岸の漁業団体、漁業者の今日置かれている非常に厳しい条件下からすると、このこと自身も遠洋カツオ・マグロの業種について自主減船ということでやることはほとんど至難ではないか。そういう意味からいきますと、この問題については融資セットであって、必ずしも政府考え方としては、これに対する積極的な財政援助というものは立法の考え方の中では薄いのじゃないか。私は、むしろこの整備計画というような困難な問題は、第一号としての遠洋カツオ・マグロのみならず、今後想定される業種についても積極的な政府の財政援助というものをそれぞれの漁業の実態に即応して、並行していかなければいけない問題であるというふうに考えるわけでありますが、これらの問題について増田参考人から御意見を承りたいと思います。
  63. 増田正一

    増田参考人 私どもカツオ・マグロ漁業は、いま減船の問題につきまして全国の機関をもっていろいろと具体的に検討を進めておりますが、先生御指摘のように、現在の予算的な裏打ちは農林金融公庫の長期低利の融資、具体的にはとも補償の資金をもって充当する。言うならば、残存する漁業者がその金を借りてやめる人につぎ込むということでございます。いままで数回にわたって全国の会議を催しておりますけれども、会議を通じて非常にはっきり出てきますのは、午前の意見の開陳の際にも触れておりますように、やはり政府が後ろに引き下がって長期、低利の融資をあっせんしたということで終わるのではなくて、ぐっと前面に出てくれて、政府の直接補助というものを相当主体にした動き方でないと完全な減船計画はできない、こういう意見が圧倒的に強いわけです。  そこで、私ども一応五十一年度は六十五隻というように予定していま進んではおりますけれども、現在の融資だけであるならば、果たして予定どおり全部いくかどうかわかりません。まして第二年度、第三年度の五十二年度、五十三年度に本当に二割までいくかどうか私どもは危惧いたしております。そこで、先生も御指摘くださいましたように、できるだけひとつ政府の方が前面に出ていただいて、政府の直接補助を主体にした形において減船を進めるべきだというように考えます。これはしばしば申しますように、私ども自主減船という言葉がしばしば言われますけれども、そのよって来るところは、先ほど来話が出ておりますように、海洋法を先取った沿岸国の漁場制約の問題とか、あるいは国際経済情勢の中におけるオイル・ショックのしわ寄せとか、こういう問題かやはり外圧になってきているわけであります。個々の企業の放漫経営の結果減船せざるを得ない、倒産するんだ、これならこれはやむを得ないと思いますけれども、その原因というものをつぶさに見ますと、まさに個々の企業ではどうしても対応し得ない理由によってやる。したがって、政府ができるだけひとつ直接補助という形で前面に出てほしい、こう思っております。
  64. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますので、簡潔にさらに数点お伺いしたいと思います。  先ほど森澤参考人の方からも出ておりましたように、やはりこれから新しい漁場の開発もやらなければならぬ、深海の開発にも着手しなければならぬ。そこで一つのケースとして、御承知の南極海に生息するオキアミの開発問題、これは現在の全世界漁獲量に匹敵するような漁獲を毎年続けていっても資源の再生産に支障が起こらぬというふうなことがFAOの研究で言われておるわけですが、現実に日本の場合は、いま四十九年度で言えば調査船が一隻、民間の試験操業船が一隻というふうな形でやっておるわけですけれども、私どもの党の立場から言えば、こういった開発の問題については国がむしろ国の積極的な事業としてこういう問題を推進をする、さらにそういうことで資源の開発の見通しがつけば、出漁については共同事業化の中で国も肩入れをして行う、国民食糧の確保の観点から見ても、そういう姿勢が望まれるし、それとタイアップした業界の対応が出てきていいのではないか、こういうふうにこの問題については考えます。  それから及川参考人にも関連をいたしますが、例の沿岸漁場整備開発法の制定に伴いまして、本年から七カ年で二千億という予算でスタートしていくわけでありますけれども、研究の問題についてもっと整備、充実しなければならぬという点はまさにそのとおりだと思いますが、この問題についての予算のスケールという問題では、これからの沿岸、沖合いの積極的な開発という面からまだ不十分であるというふうに思います。業界自身として、政府施策に対応しながら、これら沿岸漁場の整備、開発というものに対する取り組みの対応策というものについてどういうふうに考えておられるか、これらの点についてひとつ簡潔にお答えを願いたい。
  65. 森澤基吉

    森澤参考人 オキアミのお話が角屋先生から出ましたが、先生もおっしゃいましたように、大体FAOの学者あたりでは、資源量が非常に多くて、毎年七千万トンくらいとってもいけるんではないかという科学者の見解もございます。資源量が大きいことは確かでございますが、いま私たちが、私も所属しております大日本水産会を中心にいろいろ懇談会を設けて検討しておりますのは、今後どういうふうにしてこの資源を商業用に開発をしていくのかという問題ももちろんございますけれども、それと同時に、領土権がございませんので、いわゆる経済水域の設置はないわけでございますが、やはり将来を見越しましてオキアミの資源管理という形にどういう方向日本としては声を出していくべきであろうか。というのは、わが国はもちろんでございますが、ソ連、ポーランド、西ドイツ、いろいろオキアミの資源開発について調査船を出して開発をやっておるわけでございます。したがいまして、私たちは、先生御指摘のように、政府の御指導を得ながら、主に海洋水産資源開発センターを中心にこの資源の開発を進めていく方向、それがある程度物になれば、現在大手各社でこれを食品として企業化をしつつございますが、そういう方向、さらにそういうものをばらばらにやるんでなくて共同でやるという方向は、まさしく正しい方向として同感でございます。ただ、私がいま申し上げようとしております南極海のオキアミ等の資源の国際的な管理というものについては、私は、将来やはり日本世界漁業先進国として世界をリードしていく立場で人類の食糧資源を長く確保するという見地からは、十分現段階において考えておかなければならぬ問題がかなりあるのではないか。御案内のとおり、現在南極条約というものがございまして、十数カ国がそのレギュラーメンバーでございます。日本もそのレギュラーメンバーでございますか、こういう南極条約のレギュラーメンバー等を中心として、海の資源の将来に対する国際管理のあるべき姿という方向を決めて、その中で各国が整然としてオキアミの資源の開発をやるという形を当然考えなければならないし、私はわが国がその主導権をとるべきであるということをつけ加えまして、角屋先生の御質問に対するお答えといたします。
  66. 及川孝平

    及川参考人 沿岸漁場開発、整備に対するわれわれの対応策ということでございますが、現在取り組まれておる予算規模における施策というものは実は新しいことではございませんので、内容的には二次構造改善の延長でございます。したがいまして、これらの段階までは技術的にもそう余り問題がないだろうと見ております。私が問題にしておるのは、さらにその先を行った大規模なものという立場で先ほど午前中申し上げたわけでございます。これについては、われわれは単に役所のベースで鉛筆なめなめというようなことであってはいけないので、何としても漁民のために本当にためになるものにしたいということで、地方漁民の意思の反映、これを一体どういうふうに反映していくかということについてよりよりその対策をいま考えております。たとえば漁港の推進のためには漁港協会というようなものがありまして推進しておりますけれども、同じような公共事業でございますので、やはり全国的な一つの推進体といいますか、民意を反映させる推進体というようなものもできれば近く何とかしたいというふうに考えております。ただ、いまの二次構造改善の延長程度のものであっても、どうも聞いておりますというと、地方財政、府県の方に非常に問題があるのではなかろうか、この点が非常に問題でなかろうかと私は思うておりますので、この点についてはむしろ先生方には特段の御配慮をお願いしたいというふうに考えております。
  67. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますからあと一点で終わらしていただきたいと思いますが、一つは、漁船船主責任保険臨時措置法案というのが新しく出されてまいりまして、漁船の積み荷保険に引き続いてこれを試験実施をしていこうということでありますが、増田参考人は四十五年時点でこういう問題の小委員会の小委員長をやられ、小委員会報告も取りまとめられた責任者でございます。私は専門的なことに入ろうと思いませんが、一つは漁船保険中央会が積み荷保険も担当する、今度の漁船船主責任保険の試験実施についても漁船保険中央会が担当するということになっておりますが、漁船保険中央会がこういうものをいま試験実施として請け負っておりますけれども、本格実施のときの組織体は本来制度上からいけばどうあるべきかということが今後の問題でございます。こういう問題について及川参考人あるいは増田参考人等から御意見があれば承りたい。  それから、この問題では、増田参考人からもお話しのように、現在一部漁船か加入しております日本船主責任相互保険組合それから外国保険事業者の例のブルタニヤP・Iクラブ、こういうものの保険制度との関連で、より有利な条件のもとで試験実施ができるかどうかというのがこれからの試験実施の一つの重要なポイントになるわけでございます。たとえば三百トンから五百トン程度のところは設計上は非常に高い保険料というふうな形で、いずれこれは実施の過程では補正をして修正をしなければならぬ問題だというふうに思いますけれども、そういう問題も含めて、先ほども御要望かありましたけれども、漁船船主責任保険臨時措置法案の問題について、特にこれは人身事故等の問題については全水共のノリコーとの関係、いま水産庁を中心に調整等をやっておるようでありますが、そういった既存の問題は、先ほど挙げた問題以外に、全水共のノリコーとの問題の調整といったようなこともあるわけでありまして、これらについて御意見があれば承りたいと思いますし、同時にこれからの厳しい情勢下で、この際、及川参考人増田参考人から、系統団体の現状から見て、いろいろ融資の問題があり、再建あるいは構造改善、整備、その他各般の問題をやっていかなければならぬ、こういう際に、系統の今日の能力と経済の実態から見て、特に今後の政策上に強く希望したい点があればお述べをいただきたい、こういうふうに思います。
  68. 及川孝平

    及川参考人 PI保険の実施に伴いまして私はPI保険そのものについては申しませんが、将来の課題としてわれわれの業界で問題になっているのは、PI保険を実施すれば、いわゆる全水共がやっているノリコーとの競合とかいろいろ問題があることを承知しております。私は当面全水共、漁済連というものがございまするが、これはいずれも立法根拠は違います。であってもこれは一体運用を図ろうということで、私はその中央センターの会長といたしまして両方まとめております。それで、現在漁業協同組合の共済という看板で実態を進めたい。そうしませんと、協同組合が人から頼まれたところの事業としてやりましたのではとても伸びに限界があります。加入率がよくなれば保険の効果も上がりませんから、どうしても実績を上げたい、そのためには協同組合事業としてこの全水共、漁済連の事業を持ち込みたい。これは着々と進めております。その過程において、いわゆる立法根拠が違うし実情も違う点はありますけれども、漁船保険等の問題については、将来の問題としては当然やはり協同組合組織体の中においてどう考えるかということか大きな課題であろう。これに対する現実的なお答えは差し控えたいと思います。  それからいまひとつの協同組合で困っているのだろうというお話、角屋先生、まことにありがとうございます。というのは、いま漁業が非常に困っておると言いますけれども、漁業が困っておるということを皆さんおっしゃるけれども、われわれの組織体がいま血へどを吐いているのです。というのは、まだ停船もしてない、何とか動いているのじゃないか、何だかんだ言いながら動いているのじゃないかというその背景には、漁業協同組合に対するしわ寄せ、これは大変なものです。買った資材代金は返せない、借りた金は返せないということでございます。そうしてそれがだんだん積み上がって県連合会のいわゆる滞りが多くなり、全漁連まで多額なものが期限を経過して払えぬ、それが著しく経営を圧迫している。この経営体が弱ったときにはパイプもなくなり、どんなに国が資金を用意しましてもどうにもならぬ状態じゃないか。したがって、今度の漁業再建整備特別措置法におきましても、少なくともこの効果というものが、漁業協同組合のいわゆる組織強化、いわゆる体質の強化、いわゆる漁業協同組合から借りているものを、これは金融機関から借りているものだけが焦げつきと思わないで、漁業協同組合から借りているものをまず優先に整理をしてかかるという姿勢であらんことを水産庁の方にも特に私は御要望を申し上げております。そうして漁業協同組合というものを少しでも息をつかせませんと、今後政策を行う場合に、漁業協同組合かへたったら何にもできなくなると私は思いますので、その点、ただ今の先生の御質問は非常にありがとうございました。
  69. 増田正一

    増田参考人 最初PIの問題でございますけれども、これが本格実施になった場合の体制はどうかという御質問につきましては、いま関係の各団体、機関等でもいろいろ検討しておりますので、現在の段階において明確に御答弁することができないことを遺憾に思っております。ただいま先生もお触れになりましたように、資料を拝見いたしますと、私どものカツオ・マグロ関係、特に三百トン以上の船型については現在ブリタニヤにかかっております保険料よりもはるかに高額な保険料が計画としてはかかるようだという点について、私は非常に心配しているわけです。少なくともこれは外国保険でございますからどうこうということではなくして、国がせっかくこのための船主責任保険を新しく制定してくれる、その結果保険料が高くなってしまった、あるいはまた対象の範囲が非常に制約を受けたということでは、私は何らの効果がないと思います。せっかくつくっていただく以上は、ぜひともいま私どもの希望がかなえられるようにひとつ運営していただきたい、かように思います。  それから、いま及川参考人も触れまして、私も全国の系統組織を持っているわけでございますが、先ほど来、カツオ・マグロ関係が減船あるいは係船というものがここ一両年急激にふえてきている、現在進行中であるということをお話しいたした次第でございますが、現実には私ははるかに厳しいのが実態だと思います。そうしたしわはすべて県の段階の鰹鮪組合、そういったところにいっておる。ですから系統の力というものがじわじわと下に下がってきている。そういう形において個々の船の倒産とかあるいは係船というものが防がれている。これはあくまでも形式的に防がれているということだと思います。今度いろいろ制度的に処理をしていただきましても、最後の問題は、私は、系統のところにくる。したがって次に来たるべき問題は、系統の強化をいかにすべきか。これは全漁連関係も含めましてそういった問題を真剣になって考えなければいけない、かように考えております。
  70. 森澤基吉

    森澤参考人 船主責任保険の問題、私から簡単に一言申し上げたいと思います。  というのは、四十五年に水質改善法が出ましたときに日本のいわゆるP・Iクラブでは木造船は取り扱わないということで、漁船に対する適応性がございませんでしたので、大日本水産会でブリタニヤクラブヘの加入のごあっせんを申し上げてまいりました。もちろん外貨の送金を伴いますので、その都度大蔵省の御承認を得て私の方でお世話をしてきた経緯がございます。ことしの一月三十一日現在の数字で申し上げますと三百五十四隻でございまして、そのうち八二%がカツオ・マグロでございます。そのほか北洋はえなわ、底びき、官公庁船等もございますが、主力はカツオ・マグロでございます。それから払いました年間保険料約二十九万三千ドル、日本のお金にして八千八百万円ぐらいでございますか、その大きな部分をカツオ・マグロ業界が負担をしておられる、こういうことになると思います。いままではこのブリタニヤクラブの証明書がなければ米国の近海における操業ができなかったわけでございますが、今後、米国のみならず日本で試験実施が実施され、将来いかなる形が事業主体になるかは別として、本格実施が行われる時期が参りますと、従来こういう外国の保険クラブに掛けておったものが日本国内で処理されるということで非常に便利になる、こう私は思います。  ただ、率直に申し上げてやや懸念しておりますことは、現在、船主がブリタニヤクラブと保険の契約を結んでおるその保険料というものが一応のベースになるという可能性は当然保険数理上あるわけでございまして、日本に漁船のPI制度が新たに創設されるわけでございますので、保険料の問題につきましては十分慎重に専門家の御検討並びに水産庁の御検討を煩わして従来よりも手軽にしかも安く入れる、てん補内容も豊富だ、これは保険の常識から言うと非常にぜいたくなことでございますけれども、そういうものであってほしいというふうに、実はブリタニヤクラブの保険を世話してまいりました団体の責任者として一音つけ加えて申し上げます。
  71. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 どうもありがとうございました。
  72. 湊徹郎

    湊委員長 次に中川利三郎君。
  73. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きょうは参考人の皆さん、本当に御苦労さんでございました。  先ほど来いろんな率直な御発言を聞かしていただいているわけでありますが、まず最初に私も大日本水産会の森澤さんにお伺いします。  端的に言って、日本漁業外交ですね、これに対する認識はどうかということです。先ほど来あなたのお話の中にもありましたけれども、対ソ、対アメリカの漁業交渉中心的な課題になるわけですね。しかしいままでのそういうものを見ますと、日本はもう守勢一方だ。いつも言うことは、資源は何も減っていないんだとか、実績がこれこれだからということだけ。実際は押しまくられてしまっておる。ソビエトなんかの状況を見ますと、ぺルーに新しい漁港をつくるなんてことも言って、積極的な外交をやっておるわけですが、日本水産行政、そういう漁業外交のあり方に対するあなたの御見解をお聞きしたい。これが第一。  第二番は、先ほど全漁連の及川さんも言っておったわけですが、あの計画、このプランというかっこうで、とにかく食糧問題大事だ大事だと言っていますけれども、一番大事なことは、漁民が安心して食っていけるような状態をつくらないとだめだということを言っていましたね。ああいう御発言はやはり政府施策との開き、あるいはいら立ち、こういうものを示したものだと思うのですけれども、率直に言ってあなたから見た、大日本水産会の立場から見た、いまの水産行政のレベルだとか現状に対する認識はどうか、この二つをひとつ簡単に森澤さんからお聞きしたいと思うのです。
  74. 森澤基吉

    森澤参考人 第一点の漁業外交の問題でございますが、日本は二十数個の漁業条約に加盟をしておりまして、相手もいろいろでございますし、二国間条約、多数国間条約、いろいろあるわけでございます。したがいまして、政府もその対応にいとまなしという現状であると思いますが、業界の立場から率直に申し上げまして、私たちは、やはり水産業維持するための漁業交渉でございましょうけれども、水産庁だけに責任を負わせるような立場の外交ではなくて、もう少し外務省を含めて日本政府全体が、水産業ももちろん大事でございますが、先ほど来何回も申し上げております食糧政策という面から十分な調査、研究、そういうものを背景にしてもっともっと強く交渉していただきたいものだということを原則的には感じております。しかし日ソ漁業交渉に見られるごとく、迫ってくる漁期というものを背中に負いながら強硬な相手と交渉をするわけでございますので、おのずとこれは限界があると思います。たとえば油田の開発であるとか天然ガスのシベリア開発等でございますれば別に期限はございませんので、それではまたこの次にお会いしてお話ししましょうということもできますけれども、漁業交渉にはそれが許されないという特殊な状況がございますのでやむを得ないと思いますが、私らが非常に不満に思うのは、何らの科学的な十分な根拠もなく、ただ一方的に強さで押しまくってくるというたとえばいまのソビエトの出方、これにつきましては、率直に申し上げまして業界としては非常に不満でございます。さりとてこれを打ち破る伝家の宝刀もわが方にはなかなかないわけでございますが、要はひとつ水産庁だけにまかせるのじゃなくて、外務省ももちろんタッチしておられますが、日本政府全体として食糧問題の見地から、もっと粘り強い、きめの細かいいろんな経済協力、技術協力をも前提とした漁業外交を今後進めていただく必要がますます大きくなるであろう、こういうことを申し上げますと同時に、私は率直に申し上げますが、業界にも責任があると思います。というのは、決められた条約、協定、そういうものを完全に履行する。これは業界から見れば非常に不満なものでございましても、一応政府間で決められました条約、協定こういうものについては絶対に違反あるべからず、こういう姿勢を、漁労の責任者、船長はもちろんでございますけれども、経営者自体がもう一ぺん考え直してみる必要がある。そうしなければ、われわれが漁業外交の強力な展開などと申し上げましても何ら迫力はないわけでございます。相手国から違反を指摘されるというふうなことでは政府代表もがんばりようがないということでございますので、情勢が厳しくなればなるほど、強い外交が必要であると同時に、私はやはり業会の条約、取り決め遵守に対する姿勢、こういうものが必要になってくるだろう、こういうように考えております。  それから第二点の水産政策全般についての考え方でございますが、昭和五十一年度の予算案におきましては、いろいろ政府の御努力並びに先生方のお力添えを得まして、数字的にはまだまだ農業に比べると非常に低うございますけれども、将来大きく成長するたくさんの予算の芽が提案されております。魚価安定基金なども、及川さんもまだ不十分だと申されましたが、まことに不十分でございますが、私はこれは業界の努力と政府の努力によって大きく大木に育て上げることができるきわめて重要な施策である、こういうように考えております。これは一例でございますが、しかしいずれにしましても何としても一千四百億前後、一千万トンの水揚げを揚げておる水産業立場から見ますと、もっともっと予算の量においても内容においても水産政策というものの強い前進があってほしいものだ、これは業界にも責任がございます。率直に申し上げまして、農業施策に比べて、政府の努力にもかかわらずまだまだ私たちとしては御要望したいことがたくさんあるというのが率直な感じでございます。
  75. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 次は全漁連の及川さんにお伺いするわけでありますが、四月一日から三日まで、おたくの専務の池尻さんが日本水産界の代表というかっこうで、北海道沿岸の韓国の漁船による漁具被害交渉を韓国で行われたわけでありますが、その結果どのように道が開けたのか、同時にその際政府がどのようなかかわり合いを持ったか、それに対する皆さんの御見解はどうか、この点が一つです。  二つ目は、先ほど来カンフル論が大分出ましたのですけれども、政府のいま焦げつき整理の六百億やら油が六百億、これについて後ろ向きだという御発言がありまして、抜本策への期待が述べられたわけでありますが、同時に、海洋法待ちじゃなしにいまから具体的な政府施策をつくらなければ間に合わないのだという警告も発せられたようであります。これについて私非常に同感でありまして、そういう点に対する政府の対応が本物になっておらない、これは私もそう認めざるを得ないわけでありますが、これをひとつどういう手だてで対応できるように持っていったらいいのかということで、もし御見解がありましたらお示しいただきたい、こういうことであります。  以上、二点について……。
  76. 及川孝平

    及川参考人 韓国との問題につきましては、新聞等にも出ておりますが、私のところの専務も行っておりまするけれども、本来ああいう関係は大日本水産会が中心でやっておりますので、ただ、いままでの日韓の関係はわが方がいわゆる加害者になっておる、向こうを痛めておるというようなことでございまして、今度はこちらが痛められる、痛められる相手がどうも日本側であるというようなことから、しかも日本の沿岸の漁民であるということから、私の方の池尻君が行ったわけでございます。  話を聞きますと、お互いに仲よくといいますか、ひどいことにならぬようにという程度のことで、今後具体的なことは別なベースで進められていくというだけのことだったようでございます。具体的な取り決めとかいうようなものは別に今後の問題になろうかと思います。  それからいわゆる抜本策の問題でございまするが、いま私は、非常に私の焦りといいますか、申しますというと、もうすでに経済水域二百海里が世界の大勢だとするならば、また領海十二海里も世界の大勢だとするならば、それに対応する日本国内漁業秩序というものはいまから準備しなければならぬのではないか、そのときになって急に言ってもしようがないじゃないか。いわゆる今日の漁業法にもたくさん問題がありましょうし、いろいろな問題がある。私は非常にせっかちなせいか、こういうことは漁業一つ変えるにしましてもそう簡単には、きょう言ってあすから変えられるというものでもないので、いまからあるべき時代に対応した施策というものを研さん、準備していく必要があるのじゃないか。その内容につきましてはたくさんございますけれども、一々私申し上げる段階でもございません。また一つには、日本政府としてはまだ二百海里を認めたわけじゃないという立場から何にも手がつかぬのかな、それにしちゃそのうちにどんどん既成事実が出てくるのじゃないかというようなことを、私は本当にこれは意見じゃなくて、先生もおっしゃるとおりいら立ちの気持ちで実は申し上げたというふうにお聞き取り願いたい。同時にまた何かいまから政府がやることがあるはずだ。先ほど角屋先生の御質問にもありましたように、現実にたくさんの問題が起きておる、これに対するいら立ちを私は申し上げたので、格別に自分独自の政策を持っておって申し上げたわけじゃございません。その点どうぞ……。
  77. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後に日鰹連の増田さんにお伺いしますが、四月七日から開かれた日韓マグロ交渉政府交渉でありますが、これに先駆けて皆さんの団体の方で政府に、水産庁長官意見書を出した。これ以上輸入が増大すれば、韓国のマグロについて外国人漁業規制法の政令発動をすべきだ、こういう内容意見書を出したと聞いておるわけでありますが、それに対する水産庁側の、政府の反応はどうであったかということが一つです。  二つ目は、私たちが七十五国会で議員立法としてつくりました外国人漁業規制法の一部改正、この政令発動がいまだにございませんけれども、これについてあなたはどう考えるかということです。  三つ目は、今度の漁業再建整備法の減船第一号は皆さんのカツオ・マグロ業種が該当しておるわけでありますが、私非常に不思議に思うのは、こういう韓国産の輸入マグロなんかを野放しにしておいて、そうして国内に減船だ、減船だと言うことは、何か逆立ちしておるのじゃないか。果たしてそういう状態で、何というかそういう問題を野放しにしていながら減船して効果がどれだけ出るのかはなはだ疑問だと思うのです。この点についてひとつお聞きしたいというわけでありまして、私の若干の試算でありますが、五十年度のマグロ輸入の実績は約十万トンですね。その半分の五万余トンの輸入規制をやれば、政府が言うところの三カ年間で二百六十隻、これは減船しなくても済むのじゃないかという、これは私の試算ですけれども、こういうものが出ておりますので、それを含めたあなたの方の御見解をひとつお示しいただきたいと思います。  以上です。
  78. 増田正一

    増田参考人 三点御質問がございましたが、第一点は、日韓政府間による四月−六月の輸入量の取り決めの問題でございますが、本年の一月から三月までの実績等を勘案いたしますと、政府間で決めた輸入数量より相当大幅に実績が上回っているという心配から出発したわけでございます。昨年私どもカツオ・マグロ業界はマグロ類の韓国からの輸入について実力行使までやってこれを阻止しようということまで構えたのでありますが、先生方の特段の御理解を得まして、いま御指摘もございましたように、外国人漁業規制法の一部改正というものが国会を通過したわけでございます。現在はこの法律も現実には政令指定することなく、言うならば、たな上げされておるという実態でございますが、いま申しましたように、一月から三月までの輸入実績が当初の政府間の話よりも相当上回っているということから、あるいは再び四月−六月の期間の輸入量が業界の考えている数字あるいは昨年の実績等から見てはるかに上回るのではないか、やがては十二月になってこれは大変だ、五割増した、八割増したではどうにもならぬということで、いま先生のお触れになりましたように、水産庁に対しまして私どもの業界としては、従来のこの問題の経緯から見て、もし業界としてはなはだ不十分であり、遺憾であるという形の事実があらわれれば、従来の経緯から見て当然に外国人漁業規制法に基づく政令指定をすべきであるとわれわれは考える、したがって、そういう業界の考え方であるということを十分政府の方も理解して対韓国との交渉については非常に積極的に強腰でひとつ当たってほしいという陳情というよりもむしろ意見を具申したわけでございます。  で、さらに政府の方のあっせん等も得まして、私自身韓国の今回の交渉代表団にも直接会いまして、業界の現状、減船までせざるを得ない実情等もお話しいたしました。そうしてまたこの減船をした結果漁獲量が減る、あるいは幸いにして魚価があるところまで上がるということになれば、それを奇貨として韓国がますます輸出の増大を図るということでは、いまご指摘のように議論は逆立ちするわけでありますから、こういうことのないように、私どもが減船すれば韓国側もそれに呼応して輸出量を自制する、縮減する、こういう体制でないと日本の業界はおさまらぬということを言った次第でございます。聞くところによりますと、四月−六月の交渉の結果は大体前年並みの数字が出ているということでございますが、その詳細を私ども必ずしもまだ十分理解しておりませんので、この点をよく検討した上で、先ほど申しました業界の意見というものとも勘案して今後慎重に対応していきたい、こう考えております。  それから第二の問題でございますけれども、規制の発動についてどう考えるかという問題でありますが、私どもの業界の中には外国人漁業規制法を一刻も早く発動してほしいという空気が非常に強いわけです。政府から言うと、いま政府間の交渉をやっている最中であるし、もう少しそういう実績を見てくれということでいま問題が中断しているというのが事実でございます。そして、減船につきまして私ども三カ年間で先ほども申しましたように二割を予定しているわけでございますけれども、ひとり韓国に限らず、日本が減船したから韓国、台湾等がどんどんそれに便乗して輸出を増強するということではこれはいけないと思いますし、私どももできるだけ韓国、台湾とも今後話し合いの場を持ちまして、日本の業界の実態、考え方を徹底して、両国の業界にもひとつそれに協力をしてもらうという努力を今後重ねていきたい、かように考えております。
  79. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  80. 湊徹郎

    湊委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 参考人には長時間大変御苦労さまでございます。午前中貴重な御意見を陳述いただきまして、大変ありがとうございました。  まず、森澤参考人にお尋ねしますけれども、海洋法制定後では遅いということを午前中申されました。特に行政が先行するはずはないのでということまでおっしゃって、ずいぶんいろいろと遠慮したような物の言い方をしておられましたけれども、経済水域二百海里というものは先ほどからもいろいろお話がありますようにこれはもう焦眉の問題となっております。これに対応して、沿岸漁業をどうするかということなんかが大変な問題になってくるわけですけれども、いわゆるポスト海洋法の問題でございますが、動向を見てからではもう遅い、またなまぬるいということが言われております。  そこで、私もぜひこの機会にさらにお尋ねをしておきたいのですけれども、先ほど及川参考人もしばしば焦燥感を感じている、こうおっしゃっておられますけれども、焦燥感を感じておったり行政が先行しないということで何も傍観しておられるわけではないと思いますけれども、私はこれらについては行政がそうであればあるほど大日本水産会としても各連合会とも連絡をとりながら、強力なマスタープランというものをやはりつくって、政府を叱咤しまた推進をさせていく、こういうようなことも当然いろいろと考えていかなければならぬ、かように思います。海洋法会議の途中であるからいろいろそういったことをやるとまたいろいろ影響もあることはよくわかりますけれども、そういったことについてはいろいろな意味から今後計画を作成をし、検討をしていくということは当然やっていくべき問題である、かように思っているのですけれども、その辺については十分やっておられると思うけれども、どうも何か手をこまねいているような感じがしてなりませんけれども、全漁民のために森澤参考人はどういうふうに決意をもって臨んでおられるか、その点まず最初にお伺いをしておきたい。
  82. 森澤基吉

    森澤参考人 いま瀬野先生からポスト海洋法対策の問題が提起をされましたが、私午前中に、行政の先取りというのは非常にむずかしいけれども国際情勢は非常に急を告げておるという意味の陳述を申し上げたわけでございます。少し詳しく申し上げますと、実は私たちは海洋法以後の問題を予想いたしまして、先ほどちょっと申し上げましたが、数年前に海洋水産資源開発センターというものの設立を政府に強く働きかけて、官民一体となったセンターの設立を見て、今日漁場開発について大きな貢献をしてきているわけでございます。それとさらに、もう三年前になりますか、政府と一体のもとに海外漁業の協力のための組織を財団法人でつくりまして、海外漁業協力財団と申しますが、主として開発途上国に対する合弁事業なり経済援助なりに対するソフトローンを行う機構、こういうものを主として政府の原資をベースにして発足をさせたわけでございます。この海洋資源開発センターにいたしましても海洋漁業協力財団にいたしましても、私は主として発展途上国を目標に置いたポスト海洋法対策である、こういうように考えております。したがって、先ほど海洋法については北の比重が大きいということを申し上げましたけれども、南北問題も非常に複雑多岐でございます。したがって、開発途上国に対しましてはいま申し上げたようなセンターと財団というものの機能を今後拡大強化する方向に進ませることによって、私は一つのポスト対策として十分迫力を持つものになるであろうというふうに考えておりますが、ただ合弁事業にいたしましても協力事業にいたしましても、いろいろと相手国の条件が海洋法会議の結果エスカレートしてまいりますので、従来財団が融資をしているような考え方たけて私は——融資てございますから業界は財団にお金を返さなければなりません。幾ら長期資金でありましても借金でございます。したがって、相手の条件のエスカレートによってはとても対応し切れない。むしろいま外務省に毎年十億の水産の無償援助の資金枠が組まれておりますが、こういうものを増大をさせていただきまして、これは開発途上国に限りますけれども、無償援助というものをもっともっと大きくしていかないと、財団のローンだけではポスト対策として主に南の国に対しては対応し切れなくなるおそれがある、こういうふうに考えておるわけでございます。  しかし、一番問題は先進国対策でございます。これは開発途上国対策と違いまして経済援助で片のつく問題ではございませんので、先ほど角屋先生の御質問がございましたが、日米なり日ソなりあるいは日カなりの外交あるいは友好親善の高い立場も踏まえながら、水産庁、外務省という個々の担当省の問題ではなくて、政府としていろいろ粘り強い交渉をやっていただくしか手はない。その結果いろいろ余波が出てまいりましたものに対しては、先ほど申し上げましたけれども、再建整備特別措置法だけではなくて、特別の御援助の措置が減船整理対策等については必要である、これが私は先進国に対するいわゆるポスト海洋法の問題点であろうと思いますが、ただこのように船が減るであろうとかこのようなクォータの減少を食らうであろうかというようなことをいま予想することは不可能でございます。と同時に、そういうものを仮に予測して作業いたしました場合、それが外部に漏れました場合には日本政府の外交交渉の足を引っ張る危険性なしとしないということで、われわれとしても先取りしてくれということを申し上げたいのはやまやまでございますけれども、おのずと限界があることは承知をいたしております。しかし、南北問題でもあるいは対先進国  問題でもそういうことをきめ細かくやっていく政策お願いすると同時に、業界におきましてはまさしくいま瀬野先生が何かマスタープランを考えておるのかという御指摘がございましたが、これは当然業種別に大日本水産会等を中心にしてきめ細かく今後の国際情勢を業界なりに見通して、経営を確保していくためにはどの程度の船でどういうふうな体制で操業しなければならないのかということを、サケマスサケマス、カツオ・マグロはカツオ・マグロ、それからニシンはニシンと業種別に細かくマスタープランを一応概定をいたしまして、大きな余波が来た場合にはそれをベースに政府施策を迫るという姿勢が当然必要だと思います。大変だから何かしてほしいというような要望は、もうこれは通じませんので、私たちは、各業種別団体、皆私どもの方の正会員でございますので、そういう接触をしておりますが、きわめて率直に申し上げまして、非常に切実感を持って具体的なマスタープランを練っておられるのは、これは増田さんがおられるから言うわけじゃございませんが、カツオ・マグロだけでございます。北洋は非常に重要でございますが、余りにも問題が複雑多岐、業種も多くて、何とかしたいけれども業界ではプランが立たぬというのが実態でございますが、私は、だからと言って手をこまねいていていいというふうには考えておりません。今後もそういう業界の意見をできるだけまとめるように努力をいたしたい、こういうように考えております。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 森澤参考人にもう一点お伺いしますけれども、水産庁の漁業制度の許可行政のあり方について来たるべき委員会でいろいろお尋ねしたい考えがあるので、参考人の御意見を承っておきたいと思っているのですけれども、アメリカでは五十二年三月から漁業専管水域二百海里実施というようなことでいろいろ報道されておりますが、御存じのように世界の大勢は経済水域二百海里に動いておることは事実であります。そういったことから、こういう情勢下において、漁業制度の許可というものは現在のままでいいのかという問題があるわけです。今後どういうふうにしてもらいたいのか。御存じのように、四十七年だったですか、許可制は五年ごとに更新となっておりまして、だから五十二年の七月がちょうど一斉更新の時期になるわけですけれども、これに対しては業界ではどういうふうにお考えであるか、参考にお聞かせいただきたいと思います。
  84. 森澤基吉

    森澤参考人 主に漁業法を中心とする許可漁業、もちろん免許漁業もございますが、これにつきましては、水産庁にも制度研究会というものをつくられまして、前からいろいろ検討を進めておられます。業界自体におきましても、私の方に制度の研究会というものを設けまして、主に大臣許可漁業中心に制度のあり方につきましていろいろ議論をいたしておりますが、まだ最終的な結論はもちろん得ておりません。したがいまして、ある程度私の個人的な考え方にならざるを得ないわけでございますけれども、私は、海洋法条約が施行された場合を想定をいたしますと、恐らく現在の漁業法というものはかなり矛盾が出てくるのではないかというふうに率直に申し上げられると思います。というのは、現在の漁業法というのは公海自由の原則のもとにつくられた制度でございます。漁業権問題は別といたしまして、特に許可制度につきましてはそういう原則にのっとってやっておったものが、今度は逆に、主な漁場はほとんどどこかの国の経済水域の中に入ってしまう、こういうことになるわけでございます。いま、日米交渉のお話も出ましたけれども、外国の経済水域の中で操業する日本の漁船、当然これは相手国政府の許可、こういうものが要求されると思います。アメリカの二百海里水域法案でもそうでございます。現在までは、農林大臣の許可さえあれば、領海の中へ入らなければ、あるいは漁業水域へ入らなければ、世界じゅうで操業ができた、これが全く逆立ちするわけでございますので、一体外国政府の許可と日本政府の農林大臣の許可とどう調整するのか、外国政府の許可だけで足りるという一とになりますと、私は業界の内部に大きな混乱が起こると思います。したがって、当然農林大臣の許可される船で、しかも政府交渉によって相手国の認める船が二百海里の中で操業するというふうな形にならなければ非常に問題が出るであろう、こういうふうに思います。  それは単に一部分でございますが、そういう一例を申し上げましても、制度の改正というものは、将来大幅にやらなければなりませんが、漁業法は何しろ漁業の基本制度でございますので、そう短兵急に拙速主義でやるわけにはまいりません。なるべく情勢を見詰めながら、私は水産庁に対しても早く詰めを行っていただきたいということを申しておりますが、いま先生御指摘の、昭和五十二年の許可の一斉更新に際しましては、漁業法の改正というのは恐らく間に合わぬと思います。したがって、一斉更新は現行法のもとでやらざるを得ない。漁業法ではございませんが、トン数速度条約というものがございまして、これが発効いたしますと、漁船のトン数が大きく変わります。これがやはり現在の漁業法のもとにおける許可制度にも重大な影響を及ぼしてくるわけでございますが、いずれにしても検討は急いで行わなければなりませんが、来年の一斉更新には間に合わぬというのが率直な私の見解でございます。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 森澤参考人の率直な個人の見解ということで承っておきます。  それでは、次に増田参考人にお尋ねいたしますが、漁業再建整備特別措置法案が今回提案されておりますけれども、遠洋カツオ・マグロ漁業のあり方と自主減船についてですが、先ほどからいろいろ話がございました。私もぜひお尋ねしておきたいのは、漁業政策上あるいは食糧政策の観点から減船の限界をどこに求めるかということは、これは大変問題であります。そこで、将来にわたって維持存続すべき規模をどのくらいと業界では考えておられるかということを聞きたい、なかなかむずかしい問題だと思いますけれども。特にこのカツオ・マグロについて韓国の規制輸入をとめずに自国の減船をする、いわゆる自主減船をするということは、これは漁民としても、率直に憤りを感ずる問題です。それで、日本の漁民は自主減船をしなければならないときに輸入をしているということも、これはまことに忍びない。かといって、輸入を全面的にやめるということにもまいらぬという事情はよく承知しておるわけですけれども、それで、その辺のことは、先ほどもいろいろ御答弁がございましたが、今回出されておりますこの漁業再建整備特別措置法によっていろいろ減船に対する手法がなされておりますけれども、今後予想される自主減船に当たって、本法による措置にとらわれることなく別途措置をしてほしいというようなことを業界では言っているやに聞いておりますけれども、その辺のことについてひとつお考えをお聞かせいただきたい、かように思うわけです。聞くところによると、サケマスの方では一応了解しているやにも聞いておりますけれども、その辺ひとつ、水産庁おられるけれども、率直に御意見を承っておきたい、かように思います。
  86. 増田正一

    増田参考人 カツオ・マグロの減船の問題については、午前中からいろいろと申し上げておりますが、ただいま先生の御指摘になりましたように、カツオ・マグロの現状、それから外国からの輸入情勢の中で自主減船がどの程度が限界かという点でございます。これは非常にむずかしい問題で、私ども自身は、漁業経営の実態から考えていく場合と、それからもう一つは、海洋法が進展して、やがてどの程度の漁場制約がくるだろうか、その結果カツオ・マグロ漁船としてはどの程度のものが妥当であろうかということを一応考えるわけでございます。先ほども申し上げましたように、二百マイルの経済水域とか、あるいは群島水域がそのまま実施されますと、おおよそ四割の漁獲量が減少する。もしそれをそのままの比率でやれば四割を減船せなければいけない、こういう問題に一応はなるわけでございます。  それからもう一つ漁業経営ですが、そういう外国からのしわ寄せ以前に、漁業経営という立場で現実にどういう事態が起きてくるか、あるいは倒産なり係船というものが陸続としてあらわれてくる、こういう経営の問題の方がより早く現実問題として出てくる。そういうことからあらわれる混乱というものをできるだけ私どもは予防したいし、それからまたわれわれのやれる範囲のことはまずやっていきたいということがそもそもこの減船が浮かび出した根拠でございます。しかし、だんだんと話を詰めていきますと、いま先生も御指摘になったように、本日提案されております再建整備特別措置法の第七条では、指導とかあるいは金融のあっせんというほかにその他の援助に政府は努める、こう言っておりますが、その援助とは何かというのが私どもはなかなか実体がつかめないわけでございます。一般的に私どもが政府の補助とか——補助ということを私はこの席て何回か申し上げておりますが、そういったことであれば、補助なり補償なり、こういう問題をぜひうたってほしかったと思うのでありますが、援助ということになりますと非常に弱い意味ではないか。現に五十一年度の予算の中では、私どもの減船に関連した事務費補助というものが約三千万程度のものが予算に計上されております。そういった程度のものを指すのであれば、まさに私どもの方の期待とは実は大きく違ってきます。したがって、このその他の援助の意味するところを、非常に細かくなりますが、できるだけ国の補償に、極限までひとつ近づけてもらいたいという希望が実はあるわけであります。その意味で午前中から私は、政府の方がこの減船に関連してひとつ前面に出ていただいて、できるだけ直接補助というものを主体にした減船にしていただきたいということを実はるる申し上げてきたわけでございます。  それで、別の規定がどうかという問題でございますけれども、私どもはいま私が要望した形のように、私はこの現実の結果を実は希望しているのでありまして、御審議の過程におきましていまの援助というものが私どもの望む直接の補助を意味するものであるということであれば、あとは私ども予算折衝に全力を挙げるべきだ、かように考えている次第でございます。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後及川参考人に一点だけお聞きして質問を終わることにいたしますけれども、漁船船主責任保険臨時措置法案が提案されておりますけれども、この中で、保険事故の種類の中で船主相互保険組合法においては、同法第二条の第四項に一号から四号まで保険事故の種類等が規定されて書いてありますが、今回提案されている本法には、試験実施という関係から具体的な規定が書いてありません。これは政府にも私いろいろだだすことにしておりますけれども、どういう事故が起きたときに金を出すのか、またどういう事故を想定してほしいと考えておられるのか、本法立法に当たっていろいろ事前に協議なさったと思うけれども、組合としてはどういうふうにお考えであるか、その点をお聞かせいただければ幸いです。
  88. 及川孝平

    及川参考人 残念でございますが、その詳細については私実は存じておりません。特に私の方で問題になっておりますのは、人身事故の場合の、すでに全水共等でやっておるノリコーという人身事故のことでございますが、片一方の方にもそれが入ってくるということで、その調整が非常に問題になっているという点だけを私は承知しておりまして、幸い水産庁が仲に入りまして、いま調停ができたということぐらいしか私その点について存じておりません。  はなはだどうも……。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、以上で終わります。
  90. 湊徹郎

    湊委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、この際厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  91. 湊徹郎

  92. 松形祐堯

    松形政府委員 林業改善資金助成法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  この法律案は、本則十五条及び附則から成っております。  まず、第一条におきましては、この法律の目的を定めております。  すなわち、この法律は、林業従事者等に対する林業生産高度化資金林業労働安全衛生施設資金または林業後継者等養成資金の貸し付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を確立し、もって林業経営の健全な発展、林業生産力の増大及び林業従事者の福祉の向上に資することをその目的といたしております。  次に、第二条におきましては、都道府県が貸し付けを行うこれらの資金をそれぞれ定義しております。  まず林業生産高度化資金は、間伐の団地的な実施等林業経営改善促進するために普及を図る必要があると認められる林野の林業的利用の高度化及び林業技術の向上を図るための林業生産の方式を導入するのに必要な資金で政令で定めるものをいうことといたしております。  次に、林業労働安全衛生施設資金は、林業労働に係る労働災害を防止するために普及を図る必要があると認められる防振チェーンソー等林業労働に係る安全衛生施設を導入するのに必要な資金で政令で定めるものをいうことといたしております。  また、林業後継者等養成資金は、林業後継者たる青年または林業労働に従事する者が近代的な林業経営を担当し、または近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者となるために必要な近代的な林業経営方法または技術を実地に習得するのに必要な資金で政令で定めるものをいうことといたしております。  第三条におきましては、都道府県に対する政府助成につきまして定めております。  すなわち、政府は、都道府県がこの法律の定めるところにより林業従事者等に対する林業生産高度化資金林業労働安全衛生施設資金または林業後継者等養成資金の貸し付けの事業を行うときは、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、当該事業に必要な資金の一部に充てるため補助金を交付することができることといたしております。  第四条及び第五条におきましては、貸付金の貸し付け条件につきまして、その限度額、利率及び償還期間について定めております。  すなわち、一林業従事者等ごとの限度額は、それぞれの資金の種類ごとに、農林大臣が定める額とすることといたしております。  また、利率につきましては、これらの資金の性格にかんがみ、これを無利子とするとともに、償還期間は、林業生産高度化資金及び林業後継者等養成資金にあっては五年を超えない範囲内で、林業労働安全衛生施設資金にあっては七年を超えない範囲内で、それぞれ、その種類ごとに、政令で定める期間とすることといたしております。  第六条から第十一条までにおきましては、貸し付けに当たって担保を提供させ、また保証人を立てさせること、災害等の場合において償還金の支払いを猶予できること等の資金の貸し付け及び貸付金に係る債権の管理を適正に実施するための所要の事項を定めております。  第十二条及び第十三条におきましては、都道府県がこの貸し付けの事業を行う場合には、当核事業の経理は、特別会計を設けて行わなければならないこととするとともに、当核事業に係る事務の  一部を森林組合連合会等に委託することができることといたしております。  第十四条及び第十五条におきましては、交付する補助金の額は、都道府県が貸付金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額または都道府県ごとに農林大臣が定める金額のいずれか低い額以内とすること及び都道府県が当核貸し付けの事業を廃止したときは、政府の補助を受けた割合に応じて政府に納付金を納付しなければならないことについて定めております。  最後に、附則におきましては、この法律の施行期日等について定めておりまして、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上をもちまして林業改善資金助成法案理由の補足説明を終わります。
  93. 湊徹郎

  94. 内村良英

    ○内村政府委員 漁業再建整備特別措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案は、提案理由の説明にもありましたとおり、経営が困難となっている中小漁業者についてその経営の再建を図るため緊急に必要な固定化債務の整理等のための資金の融通の円滑化の措置、特定の業種に係る中小漁業についての構造改善促進のための措置及び漁船の隻数の縮減を必要とする業種についてその推進を図るための措置をその主要な内容といたしております。  以下、その内容について概要を御説明申し上げます。  第一に、この法律案にいう中小漁業者の範囲についてであります。これは、第二条に規定いたしておりますように、漁業を営む個人または会社であって、その常時従業者が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が三千トン以下であるもの、漁業を営む漁業協同組合及び漁業生産組合をいうものといたしております。  第二に、漁業経営再建のための措置についてでありますが、これは第三条及び第八条に規定いたしております。すなわち、漁業経営維持が困難となっている中小漁業者であってその経営の再建を図ろうとするものは、漁業経営の状況、経営再建措置の概要等を記載した漁業経営再建計画を作成し、農林大臣または都道府県知事の認定を受けることができることといたしております。  この認定を受けた中小漁業者に対しては、融資機関が、固定化債務の整理等に緊急に必要な資金を利率年六・五%以内その他の貸し付け条件で貸し付ける場合において、政府は、都道府県または漁業者団体が当該資金について利子補給を行うのに必要な経費の全部または一部を補助することができることといたしております。  第三に、中小漁業の構造改善促進のための措置についてでありますが、これは、第四条及び第五条並びに第九条から第十一条までに規定いたしております。まず、中小漁業のうち構造改善を図ること等により経営の近代化を促進することが緊急に必要であると認められる業種につきましては、これを特定業種として政令で指定することといたしておりますが、構造改善計画的に推進するためには、特定業種ごとに、その構造改善の具体的方向を明示する必要があることにかんがみ、農林大臣は、おおむね五年を一期として中小漁業構造改善基本方針を定めることといたしております。  次に、特定業種に係る漁業を営む中小漁業者を構成員とする漁業者団体は、経営規模の拡大、生産行程についての協業化その他の構造改善に関する事業について構造改善計画を作成し、農林大臣の認定を受けることができることといたしております。  この構造改善事業の円滑な実施を図るため、必要な資金の融通措置及び税制上の特例措置を講ずることといたしております。  すなわち、構造改善計画に従い、構造改善事業を実施するために必要な資金につきましては、農林漁業金融公庫または沖繩振興開発金融公庫が、それぞれ農林漁業金融公庫法または沖繩振興開発金融公庫法で定めるところにより貸し付けを行うものといたしております。  税制上の特例措置につきましては、まず、構造改善計画に従って行われる中小漁業者の合併、現物出資等につきまして、農林大臣が、経営の近代化を著しく促進することとなると認める場合には、租税特別措置法で定めるところにより、法人税または登録免許税を軽減することといたしております。また、構造改善計画の認定を受けた漁業者団体の構成員である中小漁業者の有する固定資産につきましては、租税特別措置法で定めるところにより、特別償却をすることができることといたしております。  第四に、漁業の整備計画についてでありますが、これは第六条及び第九条に規定いたしております。まず、その漁業に関連する国際環境の変化、資源の状況等に照らし漁船の隻数の縮減その他当該漁業の整備を行うことが必要であると認められる業種につきましては、政令で業種指定することといたしております。この指定を受けた業種に係る漁業者を構成員とする漁業者団体は、当該漁業に使用される漁船の隻数の縮減その他の漁業の整備事業について整備計画を作成し、農林大臣の認定を受けることができることといたしております。  この整備計画に従い整備事業を実施するために必要な資金につきましては、構造改善事業の場合と同じく農林漁業金融公庫または沖繩振興開発金融公庫が貸し付けを行うものといたしております。  なお、以上の構造改善計画または整備計画の円滑な達成を図るため、政府はこれに必要な助言、指導及び資金の融通のあっせんその他の援助を行うよう努めるべき旨の一般的援助規定を第七条に設けております。  第五に、国際環境の変化等に対処するために実施された漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者に対する措置でありますが、これは第十二条から第十四条までに規定いたしております。まず、このような離職者に対して、政府は就職のあっせん等の措置を講ずるよう努めるものといたしております。また、これらの離職者のうち政令で定める業種に係る漁業に従事していた者で船員になろうとするものがその有する能力に適合する職業につくことを促進するため、政府は職業転換給付金を支給することができることといたしますとともに、職業転換給付金に対する公課の禁止等の措置を講ずることといたしております。なお、陸上の職業につこうとする離職者につきましては、雇用対策法に基づき同様の措置がとられることとなっております。  その他、第十五条及び第十六条におきましては、整備計画及びこれに基づいてする行為に対する独占禁止法の適用除外等に関する規定、第十七条以下に報告の徴収及び罰則についての規定をそれぞれ設けておりますほか、附則におきましては、中小漁業振興特別措置法の廃止及び農林漁業金融公庫法の一部改正等所要の事項について規定いたしております。  以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。  次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一は、中央漁業信用基金の業務の拡充であります。  まず、中央基金は漁業信用基金協会を相手方として、協会が漁業近代化資金等に係る借り入れに対して行う債務の保証につき、中央基金とその協会との間に保険関係が成立する旨の契約を締結することができることといたしております。この保険関係における条件は、現在政府が行っている保証保険に係る保険関係の条件と同一の内容といたしております。  次に、中央基金は、保証保険の事業に関して保険資金を設け、政府出資をもってこれに充てることとするとともに、当該保証保険の業務と現在行っている融資保険の業務及び貸し付けの業務とをそれぞれ区分して経理させることといたしております。  第二は、緊急融資資金の保険のてん補率の引き上げであります。  まず、保証保険のてん補率は、従来地方公共団体の基金協会に対する出資の多少によって一般には七割または五割とされておりましたが、漁業再建整備特別措置法第八条第一項の規定に基づき融資される資金その他漁業経営に関する事情の著しい変化により事業活動に支障を生じている中小漁業者等に対しその事業活動の継続を図るため緊急に融資される資金のうち国の助成に係る利子補給が行われる資金で主務大臣が指定するものにつきましては、これら資金の融通の円滑化を図るため地方公共団体の出資の有無にかかわらず八割に引き上げることといたしております。  また、これら資金に係る融資保険のてん補率につきましても同様の趣旨により八割に引き上げることといたしております。  第三は、中小漁業融資保証保険特別会計に属する権利義務の承継等についてであります。  まず、同特別会計による保証保険業務の中央基金への移行に伴い、中小漁業融資保証保険特別会計法を廃止するとともに、同会計の決算の処理方法等について規定しております。  次に、同特別会計に属する一切の権利義務を中央基金に承継させ、政府と協会との間で成立している保険関係を中央基金との間の保険関係として移行させることといたしておりますほか、同特別会計の資産から負債を控除した残額に相当する金額は、保証保険に係る保険資金に充てるべきものとして政府から中央基金に対して出資されたものとすることといたしております。  以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。  次に、漁船船主責任保険臨時措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  この法律案は、全五章及び附則から成っておりますが、まず第一章におきましては、この法律の趣旨と定義とを定めております。  この法律は、漁船の運航に伴って生ずることのある漁船の所有者または借受人の費用及び責任等を漁業経営の安定を図る見地から適切に保険する制度の確立に資するため、漁船保険組合による漁船船主責任保険事業及び漁船保険中央会によるその再保険事業を試験的に実施するための必要な措置を定めることをその趣旨としております。  また、漁船船主責任保険は、漁船の所有者または借受人が、その所有し、借り受け、もしくは用船し、もしくは回航を請け負う漁船の運航に伴って生じた費用で自己が負担しなければならないものを負担し、または当該漁船の運航に伴って生じた損害につき自己の賠償責任に基づき賠償することによる損害をてん補する保険と定義し、漁船乗組船主保険は、漁船の所有者または借受人であってその所有しまたは借り受ける漁船の乗組員であるものにつき当該漁船の運航に伴って死亡その他の事故が生じた場合に一定の金額を支払う保険と定義しております。  第二章におきましては、漁船保険組合の行う漁船船主責任保険事業等につきまして、その実施の手続と事業内容を定めております。  実施の手続といたしましては、漁船保険組合が漁船船主責任保険事業等を行おうとするときは、総会の議決を経て、事業計画及び保険約款を定めた上、農林大臣の認可を受けなければならないこととしております。  次に、事業内容でありますが、被保険者は、漁船船主責任保険におきましては漁船の所有者または借受人とし、漁船乗組船主保険におきましてはこれらの者のうち当該漁船の乗組員であるものとしており、保険契約者はいずれの保険におきましても組合員等であって保険契約の成立によって被保険者となる者に限っております。  なお、漁船乗組船主保険につきましては、漁業における就労の特殊性により特に設けることとしたという事情にかんがみ、漁船船主責任保険と一体的に契約するのでなければ、保険契約を締結することができないこととしております。  第三章におきましては、漁船保険中央会の行う再保険事業につきまして、その実施の手続と事業内容を定めております。  実施の手続といたしましては、漁船保険中央会が再保険事業を行おうとするときは、総会の議決を経て再保険約款を定めた上、農林大臣の認可を受けなければならないことといたしております。  次に、事業内容でありますが、再保険契約は、漁船保険組合段階において保険契約が成立したときに当然成立することとし、所要の規定を設けることといたしております。  第四章におきましては、国の援助、印紙税の非課税措置等について規定いたしております。  第五章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、この法律案の施行期日及び失効について定めております。  この法律は、昭和五十一年十月一日から施行し、その日から五年を超えない範囲内で別に法律で定める日に失効することといたしております。  以上をもちまして、漁船船主責任保険臨時措置法案の提案理由の補足説明を終わります。
  95. 湊徹郎

    湊委員長 以上で、各案の補足説明は終わりました。  各案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十四分散会