○伊達
政府委員 お答え申し上げます。
第一番目の御
質問でございます海洋法
会議でどのような
結論が出たときに領海十二海里を実施していくのであるかということでございますが、領海十二海里問題に関しましては、まず現状を申し上げますと、
世界のうちで約六十カ国近くが十二海里の領海をしいております。ただ、伝統的に国際法上いかなる幅員が、領海幅が国際法上の正統な解釈であるかということになりますと、やはり三海里であって、その点につきましては、
世界有数の海洋国家と申しますか、先進国はやはり三海里説をとっておりまして、その数は二十三カ国、しかもこれは国の数で申しますとそのような勘定になりますが、船舶の保有量とか海洋の利用ということから考えていきますと、非常に多くの船舶を保有している国ないしは海洋を利用している国が依然として領海三海里という伝統的な国際法をもって踏まえておる。したがいまして、領海十二海里というのはいまだ国際法として確立したものではないというのがただいまの純粋に法律的な解釈になっております。
ただ、現在海洋法
会議で問題となっておりますのは、実効上、国際法と申しますのはいつの時点から——一夜にして簡単に慣行から法律に変わっていくものじゃございませんで、だんだんと諸国の実施
状況というものが積み重ねられまして、そして国際法ないし慣習法ないしはそれが法典化されて条約になり明文の規定になっていくという関係にございますので、十二海里をとっている国も間々ふえてきているわけでございますので、十二海里でやったらどうかという話がいま海洋法で論議されておる。その点につきましては、それだけの問題といたしますれば、もはや十二海里とすることに反対の国は
世界の国でどこもいないというのが現状だと思います。もっとも二百海里説を主張している国は十二海里にすることについてまだいろいろな条件をつけてはおりますけれども、しかし十二海里全体とすることについて十二海里より狭い国からは何らの反対はない。したがって、仮に
日本が十二海里とする場合におきましても、それが直ちに諸国から非難を浴びるようなことはないのであろう、そのように思いますけれども、海洋法
会議ではその十二海里にするということ自体には
先ほど申しましたように反対を唱える国はございませんが、海洋法
会議では御
承知のように二百海里の
経済水域でございますとか、それから国際海峡の問題でございますとか、その他種々の従来の海に関する国際法を相当革命的に変える話が出て、それが論議されているわけでございまして、そうしますと、海洋法の
会議で領海十二海里だけを決めるということではなく、それらのものを一括、特に二百海里の
経済水域それから国際航行に使用される海峡の通航問題というようなものをも一括して、それが海洋法
会議に参加いたします万国の賛同を得て成立するのであれば、領海十二海里とすることに異存はないというような空気になっております。したがって、領海の十二海里ということが単独で問題となっているわけではございませんで、一括の取引と申しますか、交渉の中の
一つのエレメントとして存在しているということになっているわけでございます。したがいまして、どういう
結論が出ればということでお答えいたしますれば、そのようなぐあいに領海十二海里の幅も含めまして、他の問題も各国の賛同を得て、海洋法
会議において
会議としての意思決定がまとまるということが必要なわけでございまして、私どもはそれを今回のニューヨークの
会議ででき上がるように努力をしてみたい、またでき上がってほしいものだと考えているわけでございます。
そこで第二番目の点に移るわけでございますが、第一番目の点で御説明申し上げましたことと若干関係がございまして、
日本は十二海里とすることにつきましては原則的に反対ではない。ただし、それはやはり
先ほども申しましたように他の海洋法の諸問題とともに解決されることが必要である、そのような
考え方で
会議に臨みたい、そういうふうに考えているわけでございます。