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受田委員 二十五名前後のキャリア出身の大使が認証官の大半を握っておる、キャリア以外は四名しかおらぬ、そこに
外務省の枯渇した外交が出てくるし、そうして経済外交、文化とかいうような特色を持った
外交官の採用にとびらが閉ざされておる。
外交官試験を今度改めるようになって、学歴制限の中から外国語の会話等を外すというようなことで、今度いささか人材が広く吸収できることを――これは松永さんが努力されたと思います。従来の官房長がやらなかったことをやられたと思うのです。私も、かつて歴代の官房長に、在勤俸及び加俸、俸の字がつくようなものを
外務省が別に持っておるのはけしからぬと、十年以上にわたってこの
委員会で毎年やっておった。ところが、俸の字をつけなければいかぬと固執しておったのが、四十四年に初めてこれを在外手当に変えたのです。十年以上当
委員会で叫び続けてきて、そうして固執したのが誤りであったというので十年後に悟りが開かれたのです。
外交官の試験でいささか前進した人材が吸収できるようになったけれ
ども、毎年二十五人程度の
外交官の、それが最終的には大半が認証官になるという世界は、これはもう大変な世界です。
外交官にもっと――婦人
外交官、そして経済
外交官で優秀な人材がおる。
報道人などにも、海外の
特派員でたくさんおる。最近、一部そういう
報道関係からも人材を簡抜されておるようではございますが、各省から
外務省へ出向している書記官、公使、最高の公使までを、そういう人々もその国々の外交の実情に通じたら、もう通産省やその他の省から来た
外交官もひとつ大使に任用する道を開く。そしてノンキャリアが遠い小さな国に初めてぼこっと、最後にほんにおこぼれ的な景物として三名か四名かを任用しているというこの
外務省のキャリア独占の体制を、
宮澤さん、ひとつ変えなければいかぬ。それは二十五名程度の、他の
一般公務員の上級職をパスした皆さんと比較したら、ほんの一握りの人がこれに行っておる。そしてノンキャリアの中に刻苦精励した人がおる。ただ、卒業のときのちょこっとした試験だけで一生涯の勝負をつけるというのは問題です。上級職試験でちょこちょこっと勉強して点数を取った者だけが生涯認証官で大半を占めるというこの
外務省の古い体制をこの際改めなければいかぬ。経済問題に詳しい
外交官、ときには文化性を豊かに持った文学大使、後進性の国、開発途上国なりへ行って本当に力を上げるのはそういう人々です。
もう一つ、外国へ行ったときに銭がなくなった、現地の人が
日本へ帰るときに銭をとられてなくなったというときに、国の援助で金を貸す
法律がありますよ。
外交官も銭をとられたときなどに、こっちに戻って後から払えるような
法律がありますね。ああいうことでも、細かい事務はキャリア出身の大使は知らぬのです。それはもう事務局に任しておけというようないばった大使ばかり養成したらいかぬです。実務に精通した大使がおって、本当に細かい問題も心を配る、そういう大使が本当の大使になるのです。もうあとは部下にだけ任して、そうしていばる方のコースだけを進んでくるような、教養を身につけ、努力を怠る大使じゃいかぬです。本当に精励刻苦して、艱難なんじを玉にする大使でなければいかぬです。これはひとつ
宮澤さん、一握りのキャリア出身の大使だけが優遇され、努力を怠り、上級試験に合格しただけで勝負をつける、勉強不足の、平和裏に傷なしに最後までいきたい、いい国の大使になりたい、そういう大使をやめさして、僻遠の地へ――不健康地対策の
法律もあるが、不健康地へみずから進んで行こうというような、そういう優秀な大使を養成して、ひとつこの際
外務省の人事刷新を根本的に図る。
日本じゅうの認証官百六十八人の大半が
外務省の一握りの
外交官で占められるという基本体制をどう変えるかについて、明白なる所信を御表明願いたい。