○賀集
政府委員 御
指摘のとおり各方面から要望がございました。要望を一番先に受けましたのは日本弁護士連合会からでございます。その
趣旨は、現在おります沖繩弁護士二十名につきまして、再度選考を行って——選考の前に講習を受けさせてもらいたいという要望もありましたけれ
ども、再度選考を行って正規の弁護士にしてもらいたいというこういう要望がございました。その次に、沖繩県知事からも全く同
趣旨の要望がございました。それから昨年の暮れになりまして、沖繩県議会が私
ども一法務大臣に意見書を
提出しまして、その意見書の中では、正規の弁護士資格というはっきりした線は出しておりませんけれ
ども、現在の沖繩弁護士が引き続き弁護士
業務を行うことができる特別の
措置を講じてもらいたいというのであります。書面で私
どもいただきましたのはその三件であります。その間に、沖繩弁護士会所属の弁護士さんを初め県議会の方々が部屋へ訪れてこられまして陳情を受けたこともございます。
さっそく法務省としましては
検討いたしました。ことに日本弁護士連合会の要望書には非常に詳しい
理由が書いてありましたので、その
理由について逐一
検討しましたし、それからその
理由に書いてある事実
関係が果たしてそうかという証拠固めといいますか事実認定もいたしました。それで、結論的には現在の
ところそういう御要望に応ずるというのははなはだ困難であって、要望にはいろいろ
問題点が多いということでございます。
その
問題点の主なものを二、三紹介といいますか申し上げますと、復帰前の沖繩弁護士の資格問題につきましては、もうすでに復帰に際し、私
ども沖弁法と言っておりますが、そういう特別法によって解決済みでございまして、いわばけりがついた問題である。そして再度これを
検討し直すべき特別の事情は現在の
ところ見当たらないというのが第一の
理由でございます。
それから第二の
理由として問題にしておりますのは、五年間の暫定
措置というのは、沖繩弁護士が従来復帰前から持っておった受任事件がございますが、それの整理とかそれから沖繩時代の弁護士さんが復帰に際し職を離れると非常に気の毒だということで転職のための準備期間として五年だ、こういうように設けられた
制度でございまして、その点は四十五年に、いわゆる沖弁法ができましたときに法案
審議の
段階でも御
説明申し上げておりますが、そういうようにしまして現在の沖繩弁護士さんに対する配慮というのは十分なされておる。したがって、いまさらこれを再度どうするという
意味は見当たらない。
それから三番目といたしまして、沖繩弁護士は現在二十名おるわけでございます。沖繩弁護士という特殊の弁護士が沖繩にできました事情といいますのは、復帰前の沖繩弁護士というのは本土の弁護士よりもかなり緩やかな資格であったわけでございます。だから復帰に際しまして、かなり緩やかな弁護士さんを本土の弁護士と同様の資格を与えるということは困難であるというわけで試験をしたわけでございます。その試験というのは、どちらかといいますと親心の入った緩やかな試験だと思いますけれ
ども、その試験の結果、多くの方が正規の弁護士として本土のどこへでも登録して弁護士活動ができることになったわけでございますが、いま御
指摘の沖繩弁護士というのはその試験に合格しなかった方あるいは試験を受けなかった方、そういう方が沖繩弁護士になったわけでございます。そういう方については、
先ほど言いましたように、すぐ職を失うのは気の毒だというわけで五年間の暫定
措置というのを設けたわけでございますが、通らなかった方あるいは受けなかった方は全部で百五十名あるいはそれ以上いるわけでございます。その百五十名ぐらいの多くの方のほとんどは五年間の暫定
措置ということを
法律の条文の額面どおり受け取りまして、沖繩弁護士になり得たにもかかわらず、ならなかったわけでございます。現在要望等で問題になっております二十名というのは、ほとんどの方は額面どおり五年間というわけでならなかったのですけれ
ども、二十名だけはなった。しかもその二十名というのは、非常に困ったことに、四十七年沖繩復帰の年になって、私
どもの
言葉では滑り込みといいますか駆け込みのような形で登録された方もいらっしゃるわけでございます。その駆け込みのような形で登録された方は十一人もいるわけでございます。そうすると、この五年間に限定した暫定
措置を設けた
理由というのは、本来ずっと長く沖繩で弁護士さんをやっておられた方の残務整理とか転職のための準備でございますが、四十七年の復帰の年になられた方に果たしてもう一遍暫定
措置の延長とかいうことをすべきであろうか、額面どおり受け取った方との間に大きな社会的な不公正がなかろうかということで、これがかなり大きな問題になっております。