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遠藤説明員 お答えいたします。
私が最後にその背景と申しましたのは、先生御
指摘のその点でございます。
公社が
発足しましてから、仮に
昭和四十八年までといたしますと約二十年間でございますが、その間に
電話は約二十倍になりました。それに対応いたします
職員がわずか二倍にしかなっておりません。したがいまして、先ほど
総裁が御
答弁申し上げましたように、
生産性としても現在ATTとほぼ並ぶような
生産性を維持し、またその間における給料等の賃金アップ等もその中で吸収することができてきたわけでございます。
その
原因は何であったかと申しますと、
一つは大きな
技術の革新あるいは
技術の進歩というものがございます。それからもう
一つは、自動化というものが
国民の皆様の
要望にもこたえると同時に、
公社の中の
経営の
合理化にもずいぶん寄与いたしました。この
二つが支えとなりまして、
生産性を上げあるいは
生産性の中で
ベースアップを吸収してくることができたのが
昭和四十七年ごろまででございます。ところが、その
状態は、
昭和四十七年当時第五次五カ年
計画をつくりますときにすでに怪しくなっておりますのは、大きな
技術革新でほぼ先は見えてまいりました。マイクロウエーブも御案内のように
全国に張りめぐらされてまいりましたし、もちろん
技術は日進月歩でありますけれ
ども、かつてのような大きな吸収能力のある
技術革新というものは望めない。
それから自動即時化というものも局数としては多いのですが、
加入者数としては、先ほど
総裁も申し上げましたように、九〇%以上が自動即時化をしておりますので、この面での
合理化もなくなった。この二本の支えの柱が消えてまいりますと、後へ残りますものは何かと申しますと、先生御
指摘のような住宅用
電話と事務用
電話の
関係でございます。事務用
電話と住宅用
電話のコストにつきましてはいろいろ御議論がございますけれ
ども、これは装置産業としておわかりだと思うのですが、私は全然差がないとは申しませんが、コストとしては事務用も住宅用も、ありましても一割程度の差で、ほとんどこれに要する費用というものは異ならないという前提に立っております。それが当時、月額四千六百円ほどのコストを一本の
電話について要したわけでございます。ところが、それに対応いたしまして、
公社発足当時は事務用
電話というものが全体の九四%、住宅用がわずかに六%でございます。事務用
電話というのは、事務用
電話すべてとは申しませんけれ
ども、大体コスト以上の金額を払っていただく
電話が相当多いわけです。そういう形でやってまいりましたが、御案内のように
昭和四十七年にクロスをいたしまして、今日では約六十何%が住宅用
電話であります。それからまた、今後二年間にわたって積滞解消までにつけます
電話の八五%までが住宅用
電話でございますと、やはりそこに住宅用
電話というものが大きな問題としてかぶさってくるわけでございます。その姿というものは、おくれておった
日本の
電話があるべき姿になった
状態でありまして、そこで先ほど
総裁が申しましたように、
外国の
料金と比較をする段階が出てきたと私は思うのでございます。そういう意味から申しますと、コストは、先ほど申し上げましたような二本柱がなくなりましたので、もろに
人件費のアップがかかってまいります。特に石油ショックによって大幅に増大いたしまして、今日時点では恐らく五千円くらいになっておると思うのでございます。それに対応して事務用
電話は現在でも全体といたしまして五千円以上の月額収入をいただいておりますが、住宅用
電話はそのコストに満たない金額のものが大半でございます。もっと端的に申し上げますならば、九四%までがコスト倒れの
料金しかいただいておらないし、
基本料を含めて月額二千円以下のものは半分でございます。
このままの
状態で積滞解消まで
電話をつけていくというときに、肝心の
公社の台所がこれではひっくり返ってしまうということで、やはりここで
外国の
料金なり何なりと比較対照すべき段階に来たのではないか。その前は、確かに先生おっしゃいますように、私
どもも一生懸命積滞解消、自動改式をやっておりましたからそういう段階でなかったと思うのでありますが、今日、そういう
先進国並みの
状態になりましたところで、
外国と比較をいたしますと、確かに二倍ないし三倍、物によっては四倍という差があるというのが大きな
一つの
理由になっております。