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1976-05-19 第77回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十九日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 愛野興一郎君 理事 稲村 利幸君    理事 加藤常太郎君 理事 志賀  節君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 平田 藤吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    瓦   力君       高橋 千寿君    地崎宇三郎君       長谷川四郎君    水野  清君       金丸 徳重君    久保  等君       島本 虎三君    下平 正一君       森井 忠良君    米田 東吾君       土橋 一吉君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         総理府統計局長 川村 皓章君         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         経済企画庁長官         官房参事官   朴木  正君         郵政政務次官  羽田  孜君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君  委員外出席者         厚生省社会局保         護課長     山本 純男君         厚生省社会局更         生課長     金瀬 忠夫君         厚生省社会局老         人福祉課長   石原 公道君         厚生省児童家庭         局障害福祉課長 山内 豊徳君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社理事     玉野 義雄君         日本電信電話公         社計画局長   輿 寛次郎君         日本電信電話公         社施設局長   長田 武彦君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     木村 俊夫君 同日  辞任         補欠選任   木村 俊夫君     高橋 千寿君 同月十七日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     高橋 千寿君 同月十九日  辞任         補欠選任   廣瀬 正雄君     瓦   力君   大柴 滋夫君     島本 虎三君   下平 正一君     森井 忠良君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     廣瀬 正雄君   島本 虎三君     大柴 滋夫君   森井 忠良君     下平 正一君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 五月十四日  電報電話料金値上げ反対に関する請願(三  谷秀治紹介)(第四五一一号) 同月十七日  電報電話料金値上げ撤回に関する請願(土  橋一吉紹介)(第五〇三五号)  電報電話料金値上げ反対等に関する請願(平  田藤吉紹介)(第五一六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十八日  電信電話料金値上げ反対に関する陳情書外  一件(第二  九一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瓦力君。
  3. 瓦力

    瓦委員 私は、ただいま議題となっております公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を行いたいと思います。  まず最初に、今回電報料金を二倍に、電話度数料を七円を十円に、電話基本料を五十一年度は一・五倍、五十二年度は二倍に、また設備料を五万円から八万円にと大幅に引き上げをいたす、この内容が改正案となっておるわけでございますが、提出された理由につきましてお尋ねをしたいと思います。
  4. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  公社は、発足以来数次にわたる五ヵ年計画を実施いたしまして、加入電話の増設を重点に電信電話サービスの拡充、改善を図ってまいりましたが、この間、技術革新成果を生かすとともに、経営合理化により電報電話料金を極力据え置いてまいりました。  しかしながら、近年における人件費の大幅な上昇等によりまして、公社経営状況は急速に悪化いたしまして、昭和四十九年度、五十年度におきましては約四千九百億円にも達する欠損金が見込まれたのであります。今後一層の経営努力を期待するといたしましても、五十一年度から五十三年度までの三ヵ年の収支を見通しますと、さらに大幅な欠損の生ずることが見込まれるところでありまして、このまま放置いたしますればきわめて憂慮すべき事態に立ち至るものと考えられます。このような公社経営状況にかんがみまして、その財政基盤確立を図るために、電報電話料金を改定することといたした次第であります。
  5. 瓦力

    瓦委員 ただいま大臣から、公社発足以来、昭和二十七年以来でございますから四分の一世紀といいますか、料金を据え置いて、その間努力をしてこられた。そしてこの間、国民生活に与えた数多くの利便というものについても、私は、技術革新成果、さらに経営合理化について努力された足跡というものを理解することができるわけでございます。さらに、これから加入電話の積滞の解消というものを進めていかなければならぬ、こういう課題をしょっておるわけでございます。五次にわたる五カ年計画も順調に進むかに見えたわけでございますが、四十九年そして五十年、相当の赤字が見込まれるという大臣答弁でもございます。  そこで、郵政大臣お尋ねをしたいと思いますが、急速に経営状況が悪化した原因、その間いろいろ経済情勢の変化もございましたが、この経営状況が悪化をした原因についてお尋ねをしたいと思います。総裁からお答えをいただけますか。
  6. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の中にもございましたが、電電公社発足いたしまして、昭和二十七年以来二十四年の時間がたっておりますが、その間に二つ目標を掲げてまいりました。これは、国民のために電気通信事業を運営し発展させるという基本的な考え方ベースにしておりますが、一つは、電話の申し込みの積滞を全国的規模でなくなすということでありまして、申し込んだら大体平均一月以内につけるということであります。それからもう一つは、全国を即時化する。これは、その後の技術の進歩によりまして、全国をダイヤル即時化するという二つ目標を掲げてまいりました。五カ年計画を五回にわたって立てまして、現在それを進めております。全国的規模で積滞をなくなすということは、あと二年間でできる見込みになっております。それから、自動即時化するということは、すでに九九%自動即時化しておりますが、地方における自動改式等を進めまして、あと三年間にはこれを達成したいというふうに考えております。  しかし、この間技術革新も非常に激しく行われまして、電電公社技術は、ヨーロッパ西独フランス、それからイギリスを抜きまして、アメリカとほぼ対等という、技術革新レベル世界最高水準になっております。一方、生産性といいますか、能率的な経営という面につきましては、昭和四十年ごろはまだヨーロッパ先進三カ国に比べて生産性は落ちておりましたけれども、四十六、七年ころからは、ヨーロッパの三カ国を抜きまして、むしろ日本の方が生産性がよくなりまして、アメリカとほぼ対等というところに参りました。ところが、昭和四十八年のオイルショックが起こりまして、これは世界的に大きな物価高騰、資源の不足というものを露呈いたしたのでありますけれども日本もその影響を強く受けまして、物価高騰が起こりますし、それからまた、それに伴って大きな人件費の増、ベースアップが行われました。今後に対しましても、私たち技術革新をさらに進める、これからの建設投資の中で約五千億円くらい節減するということもやりたいと思いますし、それからまた、これは同時に損益勘定にはね返ってまいりまして、損益勘定減価償却とか利子も節減されることになります。そのほか、さらに電報近代化を進めるとかいろいろなことをやりまして、経営合理化をさらに進めたといたしましても、なおかつ赤字が出てくるのでありまして、すでに四十九と五十年度二カ年間の累積赤字が約四千九百億円くらいになる予定でございます。  先ほど大臣がお話しいたしましたように、今後の三カ年のことを考えてみましても、約二兆五千億円以上の赤字、それに若干のマージンがとってございますけれども、それらを考えますと、この際財政基盤確立というものがどうしても必要になってまいりますので、政府にお願いいたしまして公衆法改正電話料金値上げ電報料金値上げをお願いした、そういう経緯でございます。
  7. 瓦力

    瓦委員 さらに総裁お尋ねをいたします。  財政基盤が非常に落ち込んできた、立て直さなければならぬというようなことでございますが、赤字経営に転落した現状を一刻も早く立て直していくということに総裁非常に責任を感じておられる、こう思うのです。経営努力を積み重ねてまいりましても、これにはおのずから限度がございますから、適当な時期に適切な料金値上げをしていくということは、国民生活とかかわり深い電電業務にとっては避けて通ることはできないわけでございます。このまま放置すれば国鉄と同じようにずるずると落ち込んでしまう。国鉄状況もいろいろ懸念されておるところでございますが、何とかしてここで健全な財政を維持できるような形に今度の値上げに期待を持っておられる、その気持ちはわかるわけでございますが、この値上げでそれでは公社財政基盤というのは強化され、改善されていくのか。今日までですと、二十五年間にいろいろ技術革新、さらにいろいろなことを吸収していくことができたと思うのです。この間はできた。これからはなかなかむずかしくなる。よって、この値上げをしても、先十年なり二十年なりそのまま置くということはできないと思うのですが、当面今度の値上げによって健全財政をいつごろまで維持できるか、先の見通し、そういうものにつきましてひとつお伺いしたい。
  8. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  いま御質問の中にもございましたように、技術革新を非常に進めてまいりましたけれども、確かに今後はいよいよ困難にはなりますが、しかし、なお先ほどもお話しいたしましたように、五十一年から五十三年の三カ年にわたりまして建設投資の中で五千億円くらい節減したいと思います。  それから料金そのものでございますが、昭和二十八年に当時の一度数五円というものを七円に直していただきまして、自来制度の改正はございましたが、単位料金七円ということで参っております。電報料金につきましては改正をやっていただきまして、電話料金につきましては基本的には上がっていないのでありますが、しかし、これを外国の例、先進四カ国、西独フランスイギリス、それにアメリカと比較いたしましても、日本レベルは大体半分以下というような状態でございます。  ところで、財政基盤確立するということはきわめて大事なのでありますが、五十一年から五十三年の三カ年間をベースにいたしまして、この電話料金を引き上げていただきました場合には、少なくとも三年間はもたせる、三年間をベースにして考えております。
  9. 瓦力

    瓦委員 私は与えられた時間が制限されておりますので、簡単にお尋ねをしておきたいと思います。  建設投資資金調達状況を調べてみますと、四十六年度以降の加入者債券特別債券設備料等外部資金内部資金を上回るようになりまして、五十年度では内部資金比率が三〇%、外部資金が七〇%と大きく増加しておるわけでございます。このことは今後の公社経営を大きく圧迫することはもちろん、電信電話料金にも大きな影響を与えることは明白でございます。公社経営資金調達はどのような形の方がよいのか。建設投資資金調達状況を見まして、そのあたりのお答えを賜りたいと思います。
  10. 好本巧

    好本説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘建設投資資金または債務償還資金調達の内訳でございますが、御指摘のように昭和二十八年度以来約十カ年間は内部資金が六〇%を超えておりまして六五、外部資金が三五というふうな状況でございましたが、その後三十八年ごろからは、五カ年間見ますと、外部資金が五〇、内部資金が五〇というふうな比率になっておりまして、四十九年度に至りまして経常収支の非常な赤字を生みましたので、いま御指摘のような非常に変則的な形になったわけでございます。将来の外部内部資金調達比率というものがどういう割合が最も適正妥当なものであるかということにつきましては、いろいろな考え方もありますし、いろいろな説もあると思いますが、外国の例を見ましても、イギリスでは大体五〇、五〇というところを堅持しようという考えがありますし、アメリカフランス等電話事業におきましては、七〇%あるいは八〇%ぐらいを内部資金調達しようという考えもありますが、私どもといたしましては最低五〇%は内部資金でこれを補いたい。したがいまして、ただいま御提案、御審議をいただいておりますところの料金改定がもしこのとおり実施できたとするならば、五十一年度から五十二年度までの三カ年間の資金調達内部外部比率が五〇、五〇となるというふうな計画になっております。
  11. 瓦力

    瓦委員 それでは最後にお尋ねをしたいと思いますが、電電公社はきわめて巨大な企業に成長いたしまして、国民生活と深いかかわり合いを持つようになって今日に至っておるわけでございます。労使の間におきましても、恐らく国民利便に供するために常日ごろ総裁先頭に立って職員のことを心配しておられると思うのでございますが、今度の値上げ法案を通じて職員の給与の確保も図り、さらにまた公社経営基盤の安定を図り、公社に勤める職員勤労意欲を旺盛にしていく、この考えは――私、先ほど公社発足以来四分の一世紀と言ったのですが、新しい歴史に入る過渡的な時期であり、この料金値上げもそういった時期に遭遇しておるかと思うのですが、改めて総裁としてのそうした御決意なり意欲なりをお尋ねいたしまして、簡単ですが、質問を終えさせていただきたいと思います。
  12. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の中にございましたように、国民のために電信電話事業の運営をするためには、労使関係というのは非常に重要な要素を持っております。公社は、特に昭和四十年以来労使関係近代化路線というものを強く進めてまいっておりますし、その中で国民の皆さんに対してはサービス精神を自主的に浸透、高揚するということ、公社事業の中では人間尊重経営に反映するということで、労使関係の問題につきまして近代化路線を進めてまいりましたが、今後とも職員処遇改善等を含めましてその方向で努力をいたしたいと思っております。
  13. 瓦力

    瓦委員 以上をもって終わります。
  14. 伊藤宗一郎

  15. 森井忠良

    森井委員 いま自民党の瓦委員から電電公社なり郵政省が料金値上げをしなければならない理由について説明をしておられるのを聞きましたけれども、私は最初にそのことについてお伺いをしたいと思うのですが、端的に言って料金値上げをしなければならない理由、逆に言いますと赤字の主な原因、このことについてまずお伺いをしたいと思います。
  16. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社経営の場合には、それが電話並びに電報に関しまして独占企業でございますから、その経営能率的であるかないかということが一つの大きな物差しでございます。その能率的な点につきましては、昭和四十年ごろはまだヨーロッパの三カ国に比べまして日本の方が能率は落ちておりましたけれども、四十六、七年ごろになりましてヨーロッパ西独フランスイギリスを抜きまして日本の方が生産性が上がりまして、世界で一番能率が上がっていると言われるアメリカとほぼ対等というところまで参りました。  それから技術革新技術レベルはどうかということになりますと、これはやはりアメリカとほぼ対等の世界最高水準技術になっております。サービス世界最高レベルということになっております。  ところで料金そのものはどうかといいますと、これはこれらの国に比べまして、日本が総体的に非常に低いという状態でございまして、私たち国民のためにできるだけ低廉な料金電話を普及するということで努めてまいりましたが、オイルショック以来の世界的な物価高騰並びにそれに伴うベースアップ等経営上大きな赤字を生じてきた。概括的に申し上げますと以上のとおりでございます。
  17. 森井忠良

    森井委員 そういたしますと、率直に言いまして、諸外国と比べて技術水準は高くなったけれども、そのわりに料金は安い、こういうことですか。
  18. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  一言に言えばそういうことでございます。
  19. 森井忠良

    森井委員 公社の場合は、都合のいい場合は外国の例をお引きになりますし、後で申し上げますが、都合の悪い場合は外国の例をお隠しになるということがあるわけです。けしからぬことだと思うのですが、外国に比べて安いと言われますと――いままで電電公社が発展をいたしまして、たとえば固定資産等をずいぶんふやしてこられました。また総裁からおっしゃいましたように、技術革新の波に乗られまして大幅にサービス改良等もおやりになったことは私も認めます。ただその間で必要な資金収支差額、つまり毎年毎年の黒字で補ってこられました。それがすべてじゃありません。私の試算でざっと昭和二十八年以降四十九年ごろまでの間に五兆円近い黒字公社はつぎ込んでこられたと思うわけです。本来ですと、毎年の黒字、これは多いときには二五%ぐらいの黒字を生んでおられることがありますね。たしか昭和三十五、六年ごろでしたか。二五%と言えば、一般の企業から言えば莫大な利益です。そういうものをせっせと建設投資に回されましてそして今日の電電公社ができ上がった。その金額はいま申し上げましたとおり五兆円近くなっておると思うわけです。外国と比べて料金が安いとおっしゃいますけれども、いま申し上げましたような余力を残して、少なくとも昭和四十八年までは黒字でこられたわけでしょう。私はどうも総裁説明がぴんときません。もう一度、いま申し上げました点から御説明を願いたい。
  20. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  昭和二十八年に電話料金改正案国会認めていただきまして、当時一度数二円であったものが七円ということになりました。そのときに国会の中でもいろいろ御審議があったわけでございますけれども電話というものは既存の加入者の方に新しい加入者が入った場合にその相互の接続というものが行われてくる。したがって、ガス、水道というように根元から引っ張っていくというんじゃなくて、たとえばここに一千万の電話があり、そこに百万の電話がついた場合には、その百万と一千万というものはお互いに接続されるんだ。したがって、そういう際には減価償却というようなもの、取りかえということのほかに、いわゆる改良部分というものが電話においては非常に多いんだという事業特殊性を当時認めていただきまして、収入の二〇%を改良を含む建設投資の中に向けていいということで、そういうことで料金に対して建設投資に向ける道が開かれたわけでございます。これは外国等におきましてもそのような例をとっておるところもありますが、その二〇%というものの影響が、同時にまた技術革新影響が功を奏したことによって、これまでその収支差額が出まして、その収支差額を――一方また国民の皆様からは早く電話をつけるという熾烈な御要望がございました。国会の中でも法案をいろいろ公社関係で決めていただいたとき、あるいはまた質問過程でも電話を早くつけろという御要望が非常に強かったと思います。そういうことでその収支差額建設投資に向けるということで進めてまいったわけでございますが、しかし何といいましても、技術革新を進めてまいりましたが、一方におきまして特に物価高騰昭和四十八年以降起こったために赤字が四十九年度の決算から出てきた、こういうことでございます。
  21. 森井忠良

    森井委員 総裁、端的にお答えをいただきたいのですが、あなたは外国と比べて料金が低廉であるから、したがって、赤字が出たというふうな説明をなさったんです。私が聞いたのは、なぜ赤字が出たのかと聞いたんですから。そうしたら外国より安いから。しかし外国より安いと言われましても、いまあなたもお認めになりましたように、あれだけの建設投資をおやりになりましたけれども、その中には加入者が払ったその黒字分が五兆円近くも入っているじゃないですか。外国と比べまして日本は安いとか高いとか言うけれども、少なくとも外国と比較にならないということをお認めになりませんか。いままであれだけの黒字を出しても外国よりも安かったんでしょう、あなたの御説明によりますと。しかしそれにしても、収支とんとんじゃなくて、黒字があってそれをどんどん建設投資へ回すだけの余力があって今日まで来たわけでしょう。いかがですか。
  22. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  私ちょっと歴史的な過程と現在との問題を若干はしょったために、あるいは答弁が不十分だったかもしれませんが、確かに昭和二十八年の時点におきましては、先ほど申し上げましたように二〇%のマージンを取って進んでまいりました。しかしそのマージンがだんだんだんだんなくなってきて、四十八年以降は非常に変わってきた、こういうふうに御理解願ったらいいと思います。
  23. 森井忠良

    森井委員 まだその説明でも私納得ができませんが、時間の関係がありますからこの問題はこの程度にしておきます。  端的に伺いますが、四十九年度、五十年度、御説明によりますと四千九百億の赤字が出た、こういうことでありますが、その原因は何ですか。これは総裁でなくてもよろしゅうございます。
  24. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  先ほどの御質問にも関連するかと思いますが、二五%の収支差額が出た時代が昭和三十年代にあったことも事実であります。しかし先生御案内のように、第五次五カ年計画というものをごらんになりますと、五カ年計画の中におきましても最終年度におきましてはたしか二けた台の黒字で、二けた台の黒字というのは全体の損益何兆円からいいますともう剣の刃渡りのような数字でございます。ですから、オイルショックがある前から、この数年間、十年間というものは黒字とはいいながら一%ないし二%の海面すれすれの飛行を続けてきておったわけでありまして、私どもといたしましては五カ年計画第五次をつくりますときから、五十三年つまり五次の終わりました翌年からは料金の問題には先ほど総裁が申しましたように当然手をつけなくちゃいけない、こう思っておったわけです。ところが、それが意外に早くなりましたのが昭和四十八年のオイルショックでありまして、そのために四十九年に千七百数十億、それから五十年は、まだ決算出ておりませんが約三千億円程度の赤字が出る、こういうぐあいに雪だるま式な赤字が見込まれております。そこで今回の法案を提出をさせていただいたわけでございますが、その原因は主として物価の上昇と人件費高騰でございます。しかしその背景には、いま申し上げましたように、当然なるべくして予想されておったものが二、三年早まった、こういうことがあろうかと思うのでございます。
  25. 森井忠良

    森井委員 公社は、いままでは営業用の電話、事務用電話といいますか、公社発足当時は大部分が営業用の電話であって、住宅用の電話はわずかに六%そこそこ、非常に少なかった。それがだんだん住宅用の電話が当然ふえてまいりまして、たしか四十七年にはフィフティー・フィフティーになった、そして現在では六割を超しておると思うわけでありますが、われわれにしばしば住宅用の電話がふえるので、したがってもうからなくなった、あたかも住宅用電話がふえることによって赤字が増大をしていく、こういうふうに説明をしてきておられたわけでありますが、いま遠藤総務の御説明によりますと、直接の原因オイルショックだ、不況だ、しかし四十年代に入ってだんだん黒字傾向が減ってくる傾向にあった。したがって言うなれば、詰めて言いますと、オイルショックとそれからいままでの料金が低廉過ぎた、こういうことに尽きるように私は聞いたのでありますけれども、そのとおりなのか、住宅電話の増加の問題ともあわせて御答弁を願いたい。
  26. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  私が最後にその背景と申しましたのは、先生御指摘のその点でございます。公社発足しましてから、仮に昭和四十八年までといたしますと約二十年間でございますが、その間に電話は約二十倍になりました。それに対応いたします職員がわずか二倍にしかなっておりません。したがいまして、先ほど総裁が御答弁申し上げましたように、生産性としても現在ATTとほぼ並ぶような生産性を維持し、またその間における給料等の賃金アップ等もその中で吸収することができてきたわけでございます。  その原因は何であったかと申しますと、一つは大きな技術の革新あるいは技術の進歩というものがございます。それからもう一つは、自動化というものが国民の皆様の要望にもこたえると同時に、公社の中の経営合理化にもずいぶん寄与いたしました。この二つが支えとなりまして、生産性を上げあるいは生産性の中でベースアップを吸収してくることができたのが昭和四十七年ごろまででございます。ところが、その状態は、昭和四十七年当時第五次五カ年計画をつくりますときにすでに怪しくなっておりますのは、大きな技術革新でほぼ先は見えてまいりました。マイクロウエーブも御案内のように全国に張りめぐらされてまいりましたし、もちろん技術は日進月歩でありますけれども、かつてのような大きな吸収能力のある技術革新というものは望めない。  それから自動即時化というものも局数としては多いのですが、加入者数としては、先ほど総裁も申し上げましたように、九〇%以上が自動即時化をしておりますので、この面での合理化もなくなった。この二本の支えの柱が消えてまいりますと、後へ残りますものは何かと申しますと、先生御指摘のような住宅用電話と事務用電話関係でございます。事務用電話と住宅用電話のコストにつきましてはいろいろ御議論がございますけれども、これは装置産業としておわかりだと思うのですが、私は全然差がないとは申しませんが、コストとしては事務用も住宅用も、ありましても一割程度の差で、ほとんどこれに要する費用というものは異ならないという前提に立っております。それが当時、月額四千六百円ほどのコストを一本の電話について要したわけでございます。ところが、それに対応いたしまして、公社発足当時は事務用電話というものが全体の九四%、住宅用がわずかに六%でございます。事務用電話というのは、事務用電話すべてとは申しませんけれども、大体コスト以上の金額を払っていただく電話が相当多いわけです。そういう形でやってまいりましたが、御案内のように昭和四十七年にクロスをいたしまして、今日では約六十何%が住宅用電話であります。それからまた、今後二年間にわたって積滞解消までにつけます電話の八五%までが住宅用電話でございますと、やはりそこに住宅用電話というものが大きな問題としてかぶさってくるわけでございます。その姿というものは、おくれておった日本電話があるべき姿になった状態でありまして、そこで先ほど総裁が申しましたように、外国料金と比較をする段階が出てきたと私は思うのでございます。そういう意味から申しますと、コストは、先ほど申し上げましたような二本柱がなくなりましたので、もろに人件費のアップがかかってまいります。特に石油ショックによって大幅に増大いたしまして、今日時点では恐らく五千円くらいになっておると思うのでございます。それに対応して事務用電話は現在でも全体といたしまして五千円以上の月額収入をいただいておりますが、住宅用電話はそのコストに満たない金額のものが大半でございます。もっと端的に申し上げますならば、九四%までがコスト倒れの料金しかいただいておらないし、基本料を含めて月額二千円以下のものは半分でございます。  このままの状態で積滞解消まで電話をつけていくというときに、肝心の公社の台所がこれではひっくり返ってしまうということで、やはりここで外国料金なり何なりと比較対照すべき段階に来たのではないか。その前は、確かに先生おっしゃいますように、私どもも一生懸命積滞解消、自動改式をやっておりましたからそういう段階でなかったと思うのでありますが、今日、そういう先進国並みの状態になりましたところで、外国と比較をいたしますと、確かに二倍ないし三倍、物によっては四倍という差があるというのが大きな一つ理由になっております。
  27. 森井忠良

    森井委員 四十九年、五十年の赤字原因について、一つオイルショック等の不況、それから住宅電話の増加、まだあるかもしれませんが、大きな流れとして二つの問題があるというふうに言われましたので、順次解明をさしていただきたいと思う。  郵政省にお伺いいたしますが、「通信に関する現状報告」いわゆる通信白書がございますね、五十年版も出ておるわけですが、この「通信に関する現状報告」の中で、電気通信に関する項が、当然のことでありますが、ずいぶん出てまいります。私は毎年これを楽しみにしながら読ましていただくわけでありますが、いいことが書いてあります。中には悪いこともありますが……。それで通信に関する部分については、電電公社なりあるいは国際電電もあるかと思うのでありますが、これは電電公社と協議をなさっておつくりになるのですか。
  28. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 そのとおりでございます。
  29. 森井忠良

    森井委員 それではお伺いしますが、五十年版の「通信に関する現状報告」というのをお持ちでしょうか。これの中の二十三ページですね。ここに「景気変動と通信事業生産額」という項がございます。電気通信におけるオイルショック原因の究明等について非常に的確に私は書いていらっしゃると思うのですが、こういうふうに書いてございます。「四十八年度末のオイルショックを契機に不況に突入し、四十九年度はついに戦後初めてのマイナス成長を記録することになった。」その次に、「通信事業経営もこのような景気の下降局面に直面して悪化の状況にあるが、」ということで現状認識をなさった上で、「電電公社及び国際電電による公衆電気通信事業は、国内外の経済活動との関係が密接であるため、事業収入及び営業収益はマクロ経済の変動と符合した動きを示している。」こういうふうに述べておられまして、収入の減少の度合いについても触れておられるわけでありまして、その部分はこういうふうに書いてあります。「減少の度合いは、国際電電の営業収益の方が急激であるが、これは前年度における両収入の成長率の差異によるとともに、公社収入において電話収入の約三〇%を占める住宅用電話の利用が比較的景気に鈍感であることや」と、こういうふうにうたってございます。  長くなりましたが、一口で言いますと、国際電電の場合はもろに国内外の景気の変動の波をかぶった。電電公社の場合は国際電電よりも不況の波をかぶる率が少なかったのは、平たく申し上げますと、住宅用電話の収入が三〇%もあって、これは住宅用電話については景気の変動に差異がない。つまり安定的な収入だということをお認めになっていらっしゃると思うわけです。間違いありませんか。
  30. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 国際電電並びに電電公社の収入状況につきまして、景気変動の影響があるということはここに書いてあるわけでございますが、ただ、KDDに比較した場合に、比較的景気変動を受ける度合いが急激でないというふうに述べております。しかしながら、このことをもちまして直ちに住宅用電話影響であるというふうには断定できないと思っております。
  31. 森井忠良

    森井委員 電電公社にお伺いしますが、郵政省がこういうふうに断定をなさったことは、電電公社と協議をなさった上だというふうに先ほど確認をいたしましたが、いまの答弁は少しおかしいと思うのですが、それでは四十八年と四十九年を比較をいたしまして、つまり四十八年はまだ景気は残っておりましたから、したがって、四十八年と四十九年を比較しまして、一カ月当たり一加入の度数はどういうふうになっておるか、事務用とそれから住宅用とあわせて御答弁を願いたい。
  32. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  ただいま度数の方の資料がちょっとございませんが、一カ月当たりの絶対額で申し上げますと、事業収入で事務用が四十八年度が一カ月当たり、これは基本料も全部込みでございますが七千八百円でございます。それから四十九年度が事務用が七千四百円になっております。それから住宅用につきましては、四十八年度が二千四百円でございますが、四十九年度は二千六百円になっております。
  33. 森井忠良

    森井委員 そうしますと、事務用の電話は、四十八年七千八百円であったものが七千四百円で四百円減っておりますね。住宅用の電話は、四十八年が二千四百円だったのが二千六百円。これはふえておる。まさに通信白書にうたわれておりますとおり、四十八年と四十九年を比べれば、事務用の電話は収入が減っておるが、住宅用の電話は不景気にもかかわらずふえておるではありませんか。だから通信白書は住宅用の電話を評価をして、収入の三〇%を占める住宅用電話の収入があったから景気の波をかぶる率が少なかった。先ほどの郵政省の答弁、私納得できません。もう一度説明してください。
  34. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 先生御指摘のとおり四十九年度の状況におきましては、住宅用電話影響というものは、景気変動における影響が鈍感でございまして、そういう意味では四十八年度と四十九年度を対比いたしました場合には、単位当たりの収入は上がっているわけでございます。したがいまして、そういった意味でKDDに比較した場合において電電公社の方が営業収益につきまして急激な変動を受けなかったということは言えるかと思うわけでございますが、これをもちましてこの住宅用電話影響によりまして、KDDと比較した場合に、全体として見た場合に営業収益が急激な変動を受けなかったと断定し得ないのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  35. 森井忠良

    森井委員 どうも監理官、意味が私、わかりませんけれども、それでは端的に一言で言ってください。
  36. 遠藤正介

    遠藤説明員 いま監理官の方で整理をしておられますので、協議を受けたそうですから、というと語弊がありますが、私自身は協議は受けなかったのですが、事務的に協議を受けておりますので私の見解を申し上げますが、私は先生のおっしゃったとおりだと思います。つまり、別に四十八年でなくても住宅用電話というものは着実に、景気の変動とは別に少しずつでありますが、上がっておることは事実であります。それから事務用電話というのは景気の変動によって、全部の事務用がそうではございませんが、一番大きく払われる大企業あたりは非常に大きな変動がございまして、不安定性要素が強いことも事実だと思います。ただ、国際電電との比較は私、ちょっとわかりませんが、ただそれと私が先ほど申し上げたことは決して矛盾をいたしません。そのことも先生に申し上げておかなければいけないのですが、それは……。(森井委員「それは後でいいです」と呼ぶ)いや、先に言わしていただきますと、現在時点で住宅電話はストップしてしまっている状態であればおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、もともと非常な低収入の住宅用電話を現在の時点では年間八割近くつけているという事実が公社全体の財務に与える影響というものは、先ほど申し上げたものをカバーしてなお余りがある、こういうぐあいに御理解はもうなさっておられると思うのですが、私の申し上げたことと先生のおっしゃったことは決して矛盾をいたしませんし、先生のおっしゃったことは確かにそのとおりでございます。
  37. 森井忠良

    森井委員 前段の遠藤総務の答弁は正直で非常に私は好感を持ちます。ただ、ここで監督官庁である郵政省とそれから電電公社の見解が違うということにつきましては私は納得できないのですが、次の質問を進める上でもまずこの点だけは明確にしていただきたい。郵政省が間違いなら間違いでよろしい。電電公社が間違いなら間違いでよろしい。本来ですと監督官庁ですから、郵政省の分析の方が正しいのではないかという気もいたしますけれども、明確にしていただきたい。
  38. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 私の誤りでございまして、先生御指摘のとおりでございます。
  39. 森井忠良

    森井委員 そういうことなら、今度は遠藤総務、先ほどの御答弁の後段について私分析を申し上げて御意見を伺いたいと思うのですが、まず歴史的な経過については余り違わないと思うのです。当初は、当初といいますか電電公社発足当時は住宅用電話はわずか六%。順次それが一〇%になり、一五%になり、ふえてきたわけですね。そして三〇%、四〇%になって大体昭和四十七年にフィフティー・フィフティーになった。現在は六割を超しておる、こういうことです。ところが不可思議なことに、それなら収入の状況はどうか。あなたの理論でいくなら、だんだん住宅用電話がふえるにしたがって電電公社経営は苦しくならなければならない。確かに波はあります。三十五、六年ごろには恐らく二五%前後の黒字を生んでいらっしゃいますし、また昭和四十七、八年ごろになりますと水平線すれすれというふうな状態もございました。しかしまず基本的なことは、電電公社の長い歴史が示すように、事務用の電話とそれから住宅用の電話というものがずっと密接不離の関係にあって、しかも収支を保ってきたという、この動かすことのできない歴史的な事実というものを私は忘れてはならないと思うのです。電電公社の収入といいますか、料金体系といいますか、事務用とそれから住宅用の、先ほどもちょっと言われましたコストの比率等につきましても、それを認識をした上で事務用と住宅用というものをずっとミックスをして今日まで来たことは事実です。いまになって住宅用と事務用と別の議論をすることについてはどうかと思う。その点についての見解をひとつお伺いしたい。  それから二つ目は、遠藤総務そうおっしゃいますけれども、いま私の手元に昭和四十四年から昭和四十八年まで、加入数とそれから事業収入、そういう関係について資料を持っておるわけでございます。それによりますと、加入数は、昭和四十四年を一〇〇としますと昭和四十八年には一八六になっております。戸数も千三百万五千戸から二千四百十六万六千戸。これは数字だけは違っておらないと思いますので、したがって、昭和四十四年を一〇〇とした場合に、その伸びの率についても見解の違いはないと思いますが、もう一度申し上げますと、加入数は、昭和四十四年を一〇〇とすると昭和四十八年は一八六になっております。事業収入はどうかといいますと、時間の関係で金額は申し上げませんが、昭和四十四年を一〇〇としますと昭和四十八年は一八〇です。この間、住宅用の電話は、昭和四十四年を一〇〇としますと実に二六四%という数字が出ておるわけです。つまり、はっきり申し上げますと、昭和四十四年以降から見ますと、住宅用電話は大幅にふえておるけれども公社の収入の比率は変わっていない。四十九年につきましては、先ほど指摘申し上げましたように、これはオイルショックという大きな影響がありますから様子が変わってきておるわけでありますが、いずれにいたしましても現実の問題として住宅用電話がふえることによって収入は余り減っておらない。この点についてどう考えるか、これが二つ目の質問であります。  とりあえず以上二点。
  40. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  第一点につきましては、確かに公社発足以来といいますか、先進国いずれもそうでございますが、事務用の電話料金というものと住宅用の電話料金というものを差をつけるということはいたしておりません。私どももそういう意味ではそれを一体としてやってまいったことは事実でありますし、また今後もそうであろうかと思うのであります。というのは、やはりこの電話というものが全体としてネットワークになっておりまして、料金は発信主義で取っておりますが、事務用電話からかける電話は必ずしも相手は事務用だけでなくて住宅用にもかかるわけでございますし、発信主義という形で料金を取っている以上は、その点は私はやむを得ない点じゃないかと思うのであります。  それから第二点につきましては、いま私、先生の指摘されたその数字を見てはおりませんが、大体そんなものだろうと思います。なぜそうなったかということは、私はこれはもっと正確に数字的に研究してお答えをする機会があればお答えをさしていただきますが、その時期というものは日本の経済がいわゆる一番華やかに高度成長しておった時代でございまして、経済活動が一番華やかで、言うなれば事務用電話が非常に大幅に上がっておった時代だろうと思います。したがいまして、その程度の住宅用電話の伸びというものをカバーして余りがあった、あるいはそれととんとんであったということは、その先生御指摘の数字に対していま私が抱いておる考えでございます。
  41. 森井忠良

    森井委員 住宅用電話と事務用電話の相互の関連につきましては、発信主義という点で御説明がありましたが、この点についても私どもも意見の違いはありません。率直なところ、住宅用電話とそれから事務用電話というものは切っても切り離せない関係にあることだけは事実なんです。だから、あえて住宅用、事務用という形で区別することについては誤りである、こういうように私は思うわけです。  ただ、これは遠藤総務にお伺いしたいわけでありますが、同じ事務用の中でもコスト以下で使っているのがかなりありますね。私の持っております資料からいきますと、事務用の電話の中でも、たとえば四十九年で申し上げますと、これは必要な一加入当たり月額の支出が四千六百円ということになっています。先ほどの御説明のとおりですが、これ以下ということについて調べてみますと、これは事務用にも六割近くあるのですね。五九%ぐらいはやはり四千六百円以下のものがあるのです。もっとも住宅用はもっと比率が多くて、先ほど御答弁がありましたように九割以上が四千六百円を割っておることは事実ですけれども、事務用におきましてもやはり同じようにコストを割っておるものもあるわけです。いまや、そういうことから言いますと、くどいようでありますけれども、やはり住宅用、事務用も合わせて考えるべきであって、特に住宅用を目のかたきにするというのは当たらない、こういうふうに思うわけです。  時間の都合がありますので、次に進ましていただきたいと思いますが、もう一回郵政省にお伺いしたいのですが、先ほどの通信白書、今度は二十五ページなんですが、ここに「家計における通信情報関係支出」というのがございますね。これを見ますと、電報電話の家計におきます全消費支出に占める割合というのが出ております。非常に高いのでして、たとえば交通が一・七、郵便は〇・一なんですね。これは%です。それに対して電報電話というのは一・二というシェアになっておるわけでありまして、「通信関係支出の一か月平均は、二千八十八円で前年に比べ一六・九%の増加となった。」これは御案内のとおり家計ですから、あくまでも私は住宅用電話とみなさざるを得ない。もちろん電報も入っておりますけれども料金は上がっていないのですけれども、この年度では一カ月平均が二千八十八円で、前年に比べ一六・九%の増加となった。これは何を意味するのでしょうか。
  42. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 諸原因があろうかと思いますが、一番大きな原因考えられますのは、電話の普及であろうと思います。
  43. 森井忠良

    森井委員 私も、それも一つ理由だと思いますが、住宅用電話は順次利用度数が上がってきておる。庶民的な言い方をすれば、かつては大人だけの必需品でしたけれども、最近は子供の宿題の打ち合わせまで全部電話になってきているわけなんです。したがって、これからこの家計支出の割合というのは順次ふえる傾向にあるのじゃないか、この判断についてはどうでしょう。
  44. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 そのとおりと思います。
  45. 森井忠良

    森井委員 住宅用の電話につきましての認識をいただきましたので、次に進みたいと思います。  電電公社にお伺いをしたいのですが、五十一年から五十三年までの建設投資額は幾らですか。というのは、一ころ五兆四千三百億という数字がありましたし、最近は五兆円ぽっきりという数字があったりするのですが、ちょっとこの点を確認をさしてくれませんか。
  46. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  現在考えております五十一年から五十三年度の建設投資は、正確に申せば五兆四百億円を想定いたしております。
  47. 森井忠良

    森井委員 経済企画庁見えておりますか。――どうもお待たせしました。  あなたの方が、今月の十四日の閣議決定で、いわゆる新経済五カ年計画というものを発表なさいましたね。これによりますと、経済成長率というのは、昭和五十五年までだと思いますけれども、平均をして六%強、こういうことのようでありますが、時間もありませんから概括的でいいのですけれども、六%強になすった理由についてお伺いしたい。
  48. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 今後の成長率を考えます場合に、余り高い成長ということを考えますと、資源とかエネルギーとか土地、水、そういうような制約条件からいたしまして、社会的な混乱がいろいろ起きるのではないかというふうに考えました。また一方、非常に低い成長率というふうなことになりますと、国民がいろいろ要望しておりますところの国民生活の充実というふうな面だとか、あるいは雇用等の面におきましても、失業の解消ということもできないというようなことがございます。したがいまして、資源の問題とかあるいは国際収支の問題、あるいは財政、雇用、そういうようなものを総合いたしまして、それらを同時に達成できるような成長率としましては、期間内に六%強というふうなものが望ましいのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。
  49. 森井忠良

    森井委員 同じ閣議の日ですが、閣議が終わった後で、河本通産大臣が早速もう強気の経済見通しを述べていますね。輸出が伸びたのが大きな原因、それから民間設備投資も、電力業界に続いて自動車業界、その他の業界も強気に転じておるというふうなことから、早速強気な見通しを述べておられるわけでございます。六%強というのは、当然計画期間中を通じてならしてでありますけれども、一般的な傾向としては、早速上向きに転ずるような形の六%平均ですか。
  50. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 先生御指摘の点は、現下の状況が非常によくなってきたので、それをベースにすればもっと高い成長率になるのではないかというふうな御質問かとも思いますが、私たち考えますのに、期間としては五年間を考えておりまして、今後国際的な制約、あるいは非常に高過ぎますとやはり物価が上昇するというようなこともありますし、それから先ほども申し上げました資源上の制約、そういうようなことからいたしますと、適正な成長としては六%強がよろしいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  51. 森井忠良

    森井委員 私どもの経験でも、この種の経済計画というのは、二年もするとまた変えなければならぬということがずっと起きておりますが、そういう意味で、あなた方の描いていらっしゃるとおりにいくかどうかはわかりませんけれども、当面は、私どもとしてこの経済計画というものをよりどころにして議論せざるを得ないわけですから、そういう意味で御質問申し上げたわけです。  そこでもう一つ、公共投資百兆円、その具体的な内訳として計画期間中の部門別公共投資額というのが出ていますね。それを見ますと電気通信七兆三千億、こういうことでありますが、具体的な中身は何ですか、一言でいいですけれども
  52. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 電気通信施設につきましては、国民生活の基盤を形成し、また国民生活の質的充実を図る、こういうふうな観点から重要な施設であるというふうに考えておりまして、したがいまして、この期間内におきまして、住宅電話を中心にいたしまして電話の普及を図る、あるいは早急に加入電話の積滞を解消しなければならない、あるいは過疎地域におけるところの電話の自動化の問題とか、あるいは医療情報システム等の福祉型のデータ通信の開発が必要である、こういうようなことを勘案いたしまして七兆三千億という枠を決定した次第でございます。
  53. 森井忠良

    森井委員 電電公社のこれは五十三年までですね。五十一年、五十二年、五十三年までで先ほど五兆円余り、これとの関係はどうなるのですか。どちらからでもいいから御答弁を願いたい。
  54. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  これにつきましては、現在の政府の新経済計画は五十一年から五十五年の五年間でございます。それに対しまして、われわれの現在想定しております料金改定ベースになっております投資は、五十一年から五十三年の三年間でございまして、これが先ほど申し上げた五兆でございますが、五十一年から五十五年も、政府の経済計画と当然整合を図ってございます。それが先ほど申し上げた七兆三千億でございます。ただし、この七兆三千億は五十年度価格でございまして、われわれの申しております五兆というのは、いわゆる時価といいますか、五十一、五十二、五十三のそれぞれを足したものでございますので、その辺ちょっと数字が違うと思っております。
  55. 森井忠良

    森井委員 そうすると、経済企画庁の方は五年間で七兆三千億、電電公社の方は三年間で五兆円余りということになると、ずいぶん後の方で、つまり五十四年、五十五年というテンポから見ますとこの数字が違っております。これは確認をいたしますけれども、片方の電電公社の方は時価、それから経済企画庁の方は五十年度の価格という違いであって、そこに電電公社と経済企画庁との考えに違いはない、こういうように理解をしていいわけですか。
  56. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 経済企画庁の方は五十年価格で算出しておりますし、ただいま電電公社の方からお話がありましたものはそれぞれ時価で算出しておるということでございます。
  57. 森井忠良

    森井委員 休憩の時間が来たようでありますからやめたいのですが、大臣御退屈なようですから、あと時間があればこの経済見通し等の議論はもっとしたいと思っておるわけですが、きわめて不親切なんですよ。片っ方は五十年価格で計算をして発表する、電電公社はとかく経営とかそれから建設計画国民に一番結びつかなければならぬものについて、いままでどちらかというと国民に対してはベールに包んだままで、いきなり見せられますし、片っ方はその年々の時価ではじいておる。こういうことだし、きわめて遺憾なんですよ。この点大臣、これは同じ政府関係の機関ですから、今後ぜひひとつ整合を図るようにお願いをしておきたいと思うのです。いかがですか。
  58. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘の点、十分考慮に入れまして善処いたしたいと思います。
  59. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十五分開議
  60. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森井忠良君。
  61. 森井忠良

    森井委員 経済企画庁から経済成長の見通し等についてお聞きをしたわけでありますが、疑問として残るのは、電電公社の五十五年までの建設計画、この点であります。つまり先ほど企画庁から答弁がございましたのは、五十年代前半、五十五年までの経済見通しでありますが、電電公社の場合、いまのところ五十三年度までしか明らかにされておりません。先ほど確認ができましたように、金額の違いは実質的には明らかになったわけでありまして、経済企画庁の五十年価格におきます。兆三千億ということになりますと、電電公社は少なくとも五十一年度から五十五年度までの建設計画について明らかにされる必要があると思います。その点をお聞きいたしたい。
  62. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  先ほどはちょっと言葉が足りませんで失礼いたしましたが、詳しく申しますと、経済企画庁といいますか経済審議会で決めました五十一年から五十五年の電信電話におきます投資額は七兆三千億でございます。これは時価に直しますと大体九兆円になります。先ほどお話ししましたように、われわれは、五十一年から五十三年、五兆四百億と想定しておりまして、ごく粗い数字で申しますと、その後五十四年が約一兆九千億、五十五年が二兆くらいのものを想定いたしまして、総額で約九兆、それを五十年度価格に直しますと七兆三千億、こういうふうに考えておるわけでございます。
  63. 森井忠良

    森井委員 それでいわゆる六%強の成長率になりますか。
  64. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  六%強ということではございませんで、時価で計算いたしますと大体五十三年以降は五%強でございます。われわれは中身といたしましてはそう詰めておりませんが、大体五十二年末には積滞が解消いたしますので、その後は大体毎年二百万程度の新規需要に見合うものを増設していきたい、そういうことでございまして、額といたしましては先ほど申したようなことでございます。
  65. 森井忠良

    森井委員 率直なところ経済企画庁が説明をされたことと、いまの計画局長の御説明とは必ずしも一致しない。伸び率その他から見ましても疑問が大いにございます。この点につきましてはそれぞれ時間の関係もありますので、資料の要求をしておきたいと思いますが、五十一年度から五十五年度までの建設計画、金額はもちろんでありますけれども、具体的な中身について後刻御提出を願いたい。よろしゅうございますか。
  66. 輿寛次郎

    ○輿説明員 承知いたしました。
  67. 森井忠良

    森井委員 それでは次に、もう一回通信白書に戻るのですけれども、やはり五十年版の通信白書で、先ほど申し上げましたように、家計における通信情報関係支出というのが出ておるわけでありますが、具体的な内容の説明になってまいりますと、こういうふうに書いてあるわけですね。けさほど申し上げましたように、通信関係の支出は一ヵ月平均で二千八十八円、これは前年に比べて、一六・九%、こうなっておるわけですが、その具体的な中身について郵便で百五十七円、これは対前年比一五・四%増、それから電報電話で千六百十四円、これは同じく対前年比で二〇・四%増、こうなっておるわけです。けさほども申し上げましたように、全然料金値上げはなかったわけですから、家計支出から見ればつまり電話をたくさん使ったということになると理解できると思うのですよね。すでに、電話の場合は、度数料こそ七円ですが、使えば使うほど事実上電電公社電話料としてたくさん払うわけでしょう。そうしますと、この通信白書は電電公社も関与されておつくりになったということを確認をしておりますから電電公社でも御異論はないと思うわけでありますが、すでに二割ほど家計支出がふえておる。つまり、電報料金もしくは電話料金をすでに二割たくさん払っておる。事実上の、何といいますか、言葉は悪うございますが、適当な言葉がありませんが、事実上の値上げを家計支出から見れば感じる、私どもそういうふうに考えるわけであります。恐らくこの家計支出はさらに毎年ふえていくのじゃないか。先ほど申し上げましたように、とにかく電話の利用度というのは、これは加入者増もありますけれども、非常に国民と切っても切り離せないものになっておるという点から見ますと、ずいぶん利用度数がふえていくのじゃないかという傾向を私は感じるわけであります。この点についてどのようにお考えになっておられますか。これはひとつ電電公社からお答えをいただきたい。総裁、いかがですか。
  68. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のような数字、私はいま記憶はいたしておりませんが、多分そうだろうと思います。その要因は、一つは先ほど申し上げましたように、住宅電話におきましても着実でありますが、景気の変動にかかわらず利用がふえておるということも事実でありますし、家計調査の中に占める比率としては、そのほかに電話の普及ということが一つあると思います。したがいまして、住宅電話の単金そのものが二〇%ふえたということにはなりませんが、その点が第一点と、それで、後段の方におっしゃいました住宅電話の将来ということになりますと、私はやはり着実な形でこれから先もふえていくだろうと思いますし、またそれが国民生活にプラスになると思っております。ただ、くどいようですが、私どもは住宅電話を毛ぎらいをしているわけじゃ毛頭ございません。そういったような形で住宅電話を伸ばしていくために、現在の料金体系でいいかどうかということを考えておるわけでございますし、また現在の家計調査におきましても、実は公表をするのはいささか我田引水の気味がありますので、公表はいたしておりませんが、全体の家計支出の中で一・何%という通信の比率というのは、現在の国民生活比率から言うと、たとえば先進国に比べると非常に低い比率だろうと思います。逆に通信の比率がふえていくに反比例いたしましてといいますか、交通費ですとかあるいは交際費というものの比率が低下しているのを、このすべてが通信が便利になったからとは申しませんが、そういった面もございまして、これは公表するといささか我田引水でまたお怒りになられると思いまして公表はいたしておりませんが、そういう面もあろうかと思います。
  69. 森井忠良

    森井委員 お伺いをするわけでありますが、もう経済企画庁は帰っていただきましたが、今回の電報電話料金値上げがそのまま原案のとおり実施をされるといたしますと、一体消費者物価を幾ら押し上げるのか。電電公社としても把握をしていらっしゃると思いますので御答弁を願いたい。
  70. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  昭和五十一年度におきまして〇・四%弱消費者物価を押し上げるということになっております。
  71. 森井忠良

    森井委員 そうしますと、国鉄の場合が消費者物価に〇・五%影響すると、これは福田経済企画庁長官が本会議お答えになりました。電報電話料金についてもほぼ変らない〇・四%押し上げるという形でございます。  郵政大臣にお伺いをしたいわけでありますが、三木内閣の有力閣僚のお一人として、先ほど申し上げましたとおりすでに電報電話料金につきましては、値上げはありませんでも利用度数の増加等でそれだけ国民に浸透しておるわけでありますが、とにかく対前年比で二〇%も料金をたくさん払っておるという実態があるわけです。それに加えていまお聞きのとおり、今回の値上げ案がそのまま通りますと、〇・四%押し上げる。私ども試算をいたしますと、政府計画をしていらっしゃいますもろもろの公共料金等を計算に入れますと、八・八%ぐらい物価影響するのじゃないかと考えておりますが、その議論はさておくとしましても、非常に国民に親しまれ、しかも生活の必需品になっておるものについての値上げでございますから、したがって何といいましても私は物価の問題を非常に憂うわけです。ぜひひとつこの物価に対する今回の値上げ関係につきまして大臣のお気持ちを承っておきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  72. 村上勇

    村上国務大臣 福田企画庁長官の話によりますと、これらのものを総合してことし一年間の物価上昇指数というものはやはり八%だというように聞いておりまして、通信料金の〇・四%の上昇もこれに大体みんな見合わしておる、こういうように解釈いたしております。
  73. 森井忠良

    森井委員 私は三木内閣としてやはり料金値上げを提案される前にやってもらわなければならないことがずいぶんあると思うのですよ。時間の関係で大きな議論は吹っかけられませんが、たとえばシルバー電話というようなものがございます。これはお年寄りの福祉に通じる電話でありまして、いままで電電公社の費用で研究開発をされ、国民に喜ばれておるようなものでございます。これは一面におきましては社会保障政策の一環とも言えるわけでございまして、私は、電電公社だけに負担をさせるというのはずいぶん無理がある。あるいは最近の加入電話状況は、御案内のとおり都市から農村、そして本土から離島、そういうところへだんだん広がっていく傾向にございます。電電公社がしばしば言いますように、そういった点が、特に住宅用電話が多いものでありますから減収につながるという言い方をしておるわけでありますが、とにかく、たとえばバスでしたら過疎バス対策でそれぞれ国なりあるいは地方自治体が財政的な援助をいたしておるわけでございます。国鉄にいたしましても、地方のローカル線、しかもこれは公共の福祉の面からどうしても通さなければならないというようなものにつきましても、今年度初めて大蔵省は予算を組んでまいりました。電電公社の場合も、経理内容をずっと見てまいりますと、そういう意味でずいぶん政府が手をかさなければならないものがあるわけでございます。電電公社の場合は、いま申し上げましたようにいままでむしろ収支差額黒字をどんどん建設投資に回しまして、かなり発展をしてきたわけでありますが、今回値上げという時期になりますと、この辺で国民に負担をかけないという意味で、やはり政府としても電電公社に、いま申し上げましたような趣旨で、本来、政府が何らかの方策をとらなければならないというふうなものにつきましては、私は積極的な資金援助をなさってしかるべきだと思うわけでございます。その点いかがでしょうか。
  74. 村上勇

    村上国務大臣 老人や身体障害者に対する福祉電話につきましては、その設置費の一部について従来国庫補助を行っているのでありますが、なお関係機関とも緊密に連絡をとりながらこれらの普及に努めてまいりたいと思います。社会福祉的なものについては十分政府としても考慮をすべきものだ、かように思っております。
  75. 森井忠良

    森井委員 もう一つの問題は、いままで電電公社が発展をしてきた過程の中で、収支差額建設投資に回したということもありますが、加入者から拡充法によりまして債券を購入してもらう。現在では最高十五万円でありますが、これの資金がかなり物を言っておるわけでございます。ところが、これは当然のことでありますが、利子が要りますし、恐らく九%近い利子ではないかと思うわけです。この点は電電公社から確認をしたいと思うのでありますが、とにかくそういうふうに拡充法によります債券を購入をさせ、年々利子を払っていっておるわけですね。この点、きわめて高い金利に結果としてなっておる。電話をつける人から最高十五万円の借金をする形でありますから。せめてこれなども私は他の政府の制度と同じように具体的に金利の応援をしたらどうか、こういうふうに考えるわけでありますが、先ほどの前向きの大臣の御答弁はこの問題にも当てはまるのでしょうか。
  76. 好本巧

    好本説明員 大臣お答えされる前にちょっとお答えいたします。  御指摘のように現在の電信電話債券の中の加入者債券、いわゆる受益者債券でありますけれども、東京ですと十五万円を持っていただく、いわゆる受益者債券というのは、確定利付で現在のところ八・四%年利ということになっておりますが、これは御案内のように拡充法の中で政府保証債券の発行条件をよくそれと合わせたような、ほとんどそれと同じような利子でなければいけないということが決めてありますので、その準則に従って郵政省の方でお決めになっているわけでございます。
  77. 森井忠良

    森井委員 大臣、先ほどのはよろしゅうございますか。つまり電電公社建設投資につきましては、一つはいままでもうかった金を建設投資に入れておりました。それからいま指摘をしましたように債券を加入申込者にある意味で強制的に買わせてそれを資金に当てておりました。ところが利子が高いのです。少なくとも値上げをしなければならぬという緊急事態のときには私は三木内閣とされましても電電公社に応援できるだけしていただく。そうでないと国民が納得しないと思うわけですよ。そういう意味で、先ほどお年寄りの電話等十分検討したいということでございましたが、いま申し上げましたような趣旨からするならば、高い利子を払っている。しかもこれは外国に例がないのですね。電話をつけるときに東京の場合ですと十五万円も債券を買わなければ電話をつけない。こういうのは外国に例がないのですよ。そういうような点から見ましても、私は、この点についても利子補給等の措置をされる必要がある。少なくともそのことについていま明確にお答えいただくわけにいかなければ、これは十分に検討に値するものだというくらいの御答弁はいただきたいと思う。
  78. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘の点については十分に検討いたしたいと思いますが、具体的な問題でありますので、事務当局からお答えさせます。
  79. 好本巧

    好本説明員 先ほどのお答え、少し言葉が足りませんでしたので補足いたします。  政府保証債の金利とほぼ同じというふうに拡充法で決めておられます趣旨のものは、すでに御案内のように政府財政投融資計画によるところの政府保証債、政府引受債というものは、いわゆる政府の方の御援助によりまして、一般の市中金利と比べますと非常に低い金利でありまして、その点につきましてはすでに国の方から非常に御援助いただいているというふうに理解いたしております。
  80. 森井忠良

    森井委員 あなた、答えなくてもいいものを答えてくれたから……。そうすると、電電公社としては加入者が買う債券、この利子は負担になっていないのですか。
  81. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。  もちろん負担になっておりまして、年々債券の金額も残高がふえますので財政一つの圧迫になっております。ただ、ほかの市中金利と比べるとまだ非常に御援助いただいているということを申し上げたわけでございます。
  82. 森井忠良

    森井委員 時間が余りありませんので、次の質問に移りたいと思いますが、設備料というのは何ですか。
  83. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  設備料につきましては、新しく電話をおつけいたします場合に、それに対する工事費の一部を負担していただくという性格のものでございます。
  84. 森井忠良

    森井委員 工事費の一部を負担をしてもらうということになると、ある程度原価主義でいくわけですね。
  85. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  設備料をいただきますときには、新しく電話をつけます場合の工事費といいますか、それにかかる経費を全部いただくのじゃございませんで、その一部でございます。
  86. 森井忠良

    森井委員 今回、設備料を五万円から八万円にされるわけですけれども、御説明によりますと、昭和四十六年に現行五万円になったわけですね。そして今回八万円、六割引き上げるというわけです。その理由として、あなた方の説明によりますと、昭和四十六年の物価と現在の物価とを比較をしてみまして五万円を八万円にしなければならぬ、こういう説明になっておるわけですよね。この点、どうですか。ずいぶん食い違いがあると思うのだけれども
  87. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  いまの説明はPR用といいますか、一般の国民の方に対する説明で、私どもが納得していただきたいと思った説明の方法でございますが、設備料を上げる理由は、基本的にはいま先生おっしゃいましたように原価主義でございます。それで、工事費の全体の中で一応着目をいたしておりますのは、昔は加入者専有部分と言っておりましたが、宅内設備あるいは加入者線路という、加入者に一番近いところの価格を中心にもともと一万円当時から決めてその一部をいただく、こういうことにしておったわけでございますが、昭和四十六年から今日までその部分につきまして、大体当時七万円であったものが十二万五千円、約七割程度上がりました。これは、その間にいまの石油ショックがありましたり、物価上昇、人件費、工費の上昇によって上がったわけであります。したがって、純粋の原価主義から言えば七割上げるべきかもわかりませんが、そうでなくて、国民の方に納得をしていただくためには、一般の物価指数が当時と比較いたしますと今日六割上がったので六割にとどめた、そういう形で、四十六年当時に新規に申し込まれた方とほぼ同じ負担でもって電話が申し込める、こういう形で御説明を申し上げておるわけでございまして、基本的には先生のおっしゃったように原価主義に基づいて計算をいたしておるわけでございます。
  88. 森井忠良

    森井委員 いままでは確かにいま御答弁がありましたように実際に費用がかかるからこの程度負担をしてくれということだったわけです。いまPR用にとおっしゃったのは、私はひっかかるわけですよ。原価なら原価でいいのですよ。最後には原価とおっしゃいましたけれども、PR用には物価がこれだけ上がりましたからというのではやはり納得できない。時間の関係もありますから、明確に申し上げておきます。  そこで、原価主義になりますと私まだしっくりしないわけです。けさほど総裁答弁をしていらっしゃいましたが、本来ですと、昭和五十三年までの建設投資につきましてももう五千億ほどよけいにかかるんだ、ところが、それは新技術の導入によって建設投資の経費を節減するのだ、そういうふうに総裁は御説明になったわけです。これは非常にウエートとして大きいわけですね。五千億の経費の節約。そうしますと、これは主として伝送路とか交換機あるいはケーブル、そういうような形になっておるようですけれども、五千億経費が節減できるなら、設備料をいまの五万円から八万円に引き上げる理由はない。もともと電電公社は年々歳々技術革新を行ってこられました。原価は逆にうんと安くなっておると思うのですよ。設備料を上げるというのはきわめて問題があるし、いまの説明から言われればこれは矛盾がある。しかも、けさもちょっと言いましたけれども、あなた方は大事なときは外国の例をお引きになる。設備料は何ですか。外国に例がありますか。――外国に例はあるんだ。例はあるんだけれども外国と比べてこれは不当に高いじゃないですか。今度八万円になるということですけれども、これだけの設備料を取っている国がありますか。  以上二点についてお答えを願いたい。
  89. 遠藤正介

    遠藤説明員 先ほど総裁が新しい技術の導入によって五千億の投資を節減する、こうおっしゃいました。それはもちろんそのとおりでございますが、これは損益に見返りますと四千七百億ぐらいのあれになりまして、私ども一応損益面でも四千七百億ぐらいの節約を見込みまして、なお、いまお願いしておりますような値上げを申請しておるわけです。そこで、いまの技術の問題と宅内あるいは管理者線路の部分というのとは必ずしもそこにそれが全部当てはまるわけではございませんで、やはり宅内部分につきましては具体的な工事費とかいうものが多うございますので、先ほど申し上げましたように七割近い値上げになっておることは事実なんでございます。  それから第二点は、これは確かに先生のおっしゃるとおりに、私ども別に隠しているわけじゃございませんが、加入者債にいたしましてもこれは外国に例はございませんし、また設備料にいたしましても、外国に例はもちろん各国ございますが、金額としては相当大きなものでございます。しかしそれは見ようによりますと、たとえば拡充法なんかにつきましては、外国はこれは要らないという意味じゃなくて、外国資金面ではいろいろ工夫をしているので、むしろ外国の方からこの拡充法は非常にいい案だと言って研究をされておるようなわけでありますが、こういう短期間に三千万に近い加入者をふやしていくという大増設をやりますいわゆる拡充計画の中では、これは私はやむを得ない問題じゃないかと思っておりますし、それからまた、外国ではこれもほとんど例がないのですが、一つ電話を持ちますと、全国どこへ行っても、今度は設備料なしで孫子の代まで、北海道から九州へ移っても移転できる、そういう制度もその見返りにございます。それから拡充法につきましては、先年御討議をいただきまして、昭和五十八年にこれが切れます。これは再延長はしないというお約束をしておりまして、それまでの間にこの拡充計画を終わり積滞解消をしたい、こういうことでございますので、それらを勘案いたしますと、確かに先生御指摘の点はございますが、この際八万円に値上げをさしていただきたい、こう申し上げておるわけでございます。
  90. 森井忠良

    森井委員 時間が来たようですから簡単にいたしますが、聞き捨てならなかったのは、けさほどの瓦委員総裁とのやりとりの中だったと思うのですけれども、かつては内部資金が豊富であったけれども、最近は内部資金が不足をして、むしろフィフティー・フィフティーから、今度はさらに内部資金比率が少なくなった。これはきわめて遺憾なことであって、そういう意味からも値上げをしなければならぬ、こういう趣旨の話し合いが続いたわけでありますが、私は設備料外部資金に入れるというのがわからない。加入者債については、確かに加入者から債券を買っていただくわけでありますが、少なくとも設備料については、いま御答弁でも明らかになったように、一部を負担していただくという形なんでしょう。明らかに内部資金じゃないですか。時間の関係で全部申し上げますけれども、貸借対照表の中では、資本剰余金として経理をされていますね。資本剰余金というのは内部資金じゃないのですか。これまで含めて外部資金に入れ、言葉は悪うございますが、意図的にあなた方は内部資金が足りないということを表に出そうとしていらっしゃる。ですから、いま言いましたように、これは具体的な扱いが問題なのです。再度この点について明らかにしてもらいたい。  それから、最近郵政の労使関係の不正常な点をいろいろ耳にしておるわけでございますが、最後の質問として、この点についてお答え願いたいと思うのです。  郵政にしろ電電にしろ、労使関係の正常化こそ事業運営の基本ではないかと思うわけです。特に郵政では、東海郵政局の不当労働行為の問題、新宿郵便局の紛争等、全国的に労使間の不信が伝えられておる。これらの問題の解決のために、郵政当局は一体どのように努力をしていらっしゃるのか、お答えを願いたい。また、解決の見通しはどこまでいっておるのか。もし解決が長引くようなら、この問題については徹底的に追及をする用意が私どもにございます。この点については、何もむずかしいことではございませんので、大臣から御答弁をいただきたいと思うのです。  もう一つ大臣に御答弁いただきたい点がございます。それは、きょう昼に、私ども社会党の電通合理化対策特別委員会の勝間田委員長に、私どももお供いたしましたけれども郵政大臣と会談をしていただきました。具体的に電気通信事業のあり方並びに料金に関する方針について、私ども社会党はいわゆるナショナルミニマムを確実に実行していくという立場で長い問苦労いたしまして、電気通信事業の将来をどうするか、民主化の問題をどうするか、いかに国民の声を反映をし、経理をガラス張りにしていくか、そういうふうなことを含めた具体的な提案を申し上げておるわけでございます。きょうのことでございますから、直ちに大臣のこの問題に対するすべての見解をお聞きするわけにはいかないと思いますけれども、とりあえず大臣の心構えについてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  91. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  最初の、郵政関係労使の問題ですか、紛争の問題については、新宿あるいは長崎あるいはまた東海地区等におきまして、まことに遺憾な紛争のありましたことについては、私もどうしても納得のできないものがありまして、少なくとも郵政事業国民の負託にこたえていくためには、従業員が一致結束して当たらなければならないと思っておるやさきのことでありまして、まことに遺憾にたえません。何といたしましても、これらの問題につきましては一切私に責任のあることですから、少なくともわれわれの郵政省を守る従業員でありますので、これはひとつ私も十分決心して、そして今後こういう不祥事のないように努力してまいりたいと思います。  それから、電電公社の基本問題につきましては、先ほどいただきました書類をもって今後十分に検討いたしたいと思いまして、通信部長の三ツ林君とちょうど会いましたので、三ツ林君にこのことを伝えて、そしてひとつ党内においても十二分に検討して成案を得てもらいたいというようなことを申し伝えまして、これらの問題につきましては積極的に検討してみたい、かように思っております。
  92. 森井忠良

    森井委員 終わります。
  93. 伊藤宗一郎

  94. 島本虎三

    島本委員 しばらくぶりで、公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、私も若干疑義をただしていきたい、こう思うわけであります。  まず、その前に、大臣にちょっとお伺いしたいことがあるのであります。前からもいろいろ問題になっておって、一回や二回ではございませんが、村上郵政大臣は逓信大臣も兼務しているのですか。どうもこの点わからないのでありますが、郵政大臣でしょうか、逓信大臣でしょうか。
  95. 村上勇

    村上国務大臣 郵政大臣だということになっております。
  96. 島本虎三

    島本委員 その点等におきましては、昭和三十三年三月第二十八国会、三十回国会昭和三十三年九月、それから三十一国会昭和三十四年一月、ずっとこうあるのでありますけれども、いまだにまだ逓信大臣郵政大臣が併立しているのであります。いま出された公衆電気通信法のみが「「逓信大臣」を「郵政大臣」に改め」こういうようなことになっているのだ。ですから、これはいいのですよ。したがって、郵政大臣はいま大いばりで、この公衆電気通信法改正法案に対しては、郵政大臣としてここにはべって、答弁してもいいことになるわけであります。  しかし、これはどういうことになりましょうか。日本電信電話公社法第三条第二項、「逓信大臣」ですね。電波法によると、九条四項、十五条、十六条一項、二項、二十条二項、六項、二十五条、六十条、みんな逓信大臣及び逓信省令ですね。郵便為替法もまだ栄光ある逓信大臣になっているわけです。そしてこの件については、昭和四十六年三月二十五日並びに昭和四十七年四月十九日、それぞれ質問し、議事録では廣瀬郵政大臣あるいは井出現官房長官はすぐにこれを直すということを言明しているのであります。すぐに直すということは直ちに直すことであって、もう逓信大臣は存在しないということなのでありますが、依然として村上逓信大臣がまだ存在するのであります。これはちょっとおかしいではありませんか。このままにしておかないで、一つの法律ですっきりと改正すべきじゃありませんか。この点、今後もこういうことがあるのです。みんなこれを善意に解釈しながらやっているから、あなたは逓信大臣と言われないだけなんです。しかしあなた、半分ずつなんです。こっちの半分は郵政大臣、半分は逓信大臣。すっきりと一本にして改正しませんか。
  97. 村上勇

    村上国務大臣 島本先生の強い御要請によって逓信大臣郵政大臣に改められたというような創建の由来を聞かされておりますが、とにかくいまだに直っていないところがあると思いますので、それはその機会にその都度変えていきたいと思います。公衆電気通信法以外の法律につきましては、それらの法律を改正する都度改めていく考えであります。
  98. 島本虎三

    島本委員 余りこれに時間は費やしたくないのでありますけれども、やはりこれで一区切りつけないといけません。歴代の大臣はつけられなかったのです。現に井出官房長官も、郵政大臣のときやると言いながら依然としてやれないでいるのです。官房長官ですよ。村上郵政大臣のときにこれをきちんとやりませんか。栄光に輝く村上郵政大臣としてここに自他ともに許すような大臣になってほしいのであります。  しかし、ちょっと気になるのが一つあるのです。電波法なりあるいは設置法なりそれぞれの中に、郵政省の省名が逓信省に改められるまでの間は「逓信大臣」を「郵政大臣」と、「逓信省令」を「郵政省令」と読みかえるものとするとなっているのであります。これはいつ「郵政省」から「逓信省」に改められるつもりですか。
  99. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり公衆電気通信法は今回御提案いたしました中で「逓信省」を「郵政省」に改める、また「逓信大臣」を「郵政大臣」に改める、かように措置をいたしたいということで御提案申し上げております。  なおその他にも、ただいま御指摘ありましたように日本電信電話公社法あるいは電波法、郵便為替法にそれぞれ「逓信大臣」というような字句がまだございます。これらにつきましては、先生が御指摘いただきましたように、井出郵政大臣あるいはまた廣瀬郵政大臣の当時にそういった点御指摘いただきまして、当時大臣からそれぞれ法律を改正する際に、それぞれの法律の改正案におきまして一括してそれぞれの字句を改めてまいりたい、かように申し上げているところでございまして、今回公衆電気通信法改正ということになりまして、そういう措置をとったわけでございますが、その他の法律につきましても、なお現在のところそれぞれの法律の改正の具体案というものを得るに至っておりません。それぞれ改正の時期におきまして、ひとつそういった点を改めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  100. 島本虎三

    島本委員 郵政省とはそういうものですかね。問題を複雑にしちゃいけませんよ。郵政省の省名が逓信省に改められるまでの間は、逓信大臣郵政大臣と、逓信省令を郵政省令と読みかえるものとする。こういうような読みかえ規定によって読みかえているのです。読みかえ規定の前提に、いつ逓信省になるのですか、これがあるのですよ。こういうことがないならば一挙にこの問題に対しては……。何でもないじゃありませんか。その法律一つだけ改めたらいい。ここで公衆電気通信法がこれによって今回改まるのです。――今回改まるかいつ改まるかわかりませんけれども、とにかく改まる。しかしこれを実施するのは公社でしょう。日本電信電話公社法第三条二項「逓信大臣」またここに存在するのです。四谷怪談みたいじゃありませんか。一つの法律でやってもこれを実施する主体にはまだこれが残っておる一電波法に至ってはずっと全部残っておる。郵便為替法にも第三十七条の三に残っているのです。こういうようなものを全部修正すれば何でもないじゃありませんか。今回公衆電気通信法の一部を改正する法律案をやったついでにこれも一緒にやってしまえばいいじゃないですか。一つ一つやらなければならないというのは官房長、だれがそれを決めたのですか。至近的に、最も近い機会があったならばこの問題は精査して改定すると言っているのですよ。何も一つ一つやっていくなんて言ってないです。これは怠慢以外の何物でもないと思うのであります。逓信大臣の御答弁を願います。
  101. 村上勇

    村上国務大臣 これは間違っているのですから、いま逓信大臣というものはないのですから、ないものがあるということがおかしいので、これはどういう機会にやるか、私は法律的には精通いたしておりませんけれども、しかしこれはないものをあらしめておく理屈はございません。十分検討した上で御期待に沿うように改めたいと思います。
  102. 島本虎三

    島本委員 この問題に対しては余りやりませんけれども大臣やはりこれはあるのはわかっているのですから、今度郵政省の何かの法律をやる機会にこの点指摘してもいいのです。読みかえ規定にしておくとなおその前条が残るのですから。いつ逓信省になるのかわからないのに、こういうようになるまでの間となっているのですからね。こういうようなのはきちっとしておいた方がいいのであります。この点においては一挙にこの次にはこれを改正すべきですよ。郵政官僚の怠慢をあなたから許さないようにしてやったらいいですよ。いいでしょう、それは。はっきりやると言ってください。簡単にできるのですから。
  103. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘のとおりに努力いたします。
  104. 島本虎三

    島本委員 その点については大臣答弁に心から期待し、実施を望みます。  今回の公衆電気通信法改正法案の中にちょっと私が不思議でしようがないことが一つあるのであります。逓信委員会の方面には私は余り来ておりませんので、そういうようなことになるのかもしれません。しかしいろいろな財政上の問題、収入減、支出増、こういうような問題でいまここにいろいろと改定案が出されているのであります。その中で国際電電の持っている国際料金の滞納がある場合には国内通話も停止ができるという問題がここに提起されているのであります。私はこの問題に対してはちょっと理解に苦しむのでありますが、本条の立法の趣旨はどういうところに存在するのでしょうか。経費が不足だと言いながらも国際電電の方の滞納のために国内通話も全部ストップさせる、これだったら不足なのに上塗りをするようなことになるじゃありませんか。どうもこの点私は理解に苦しみますので、本条の立法の趣旨をお聞かせ願いたいと思います。
  105. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 ただいま先生御指摘ございましたが、公社は国際電電から要請があったときは、国際通話の料金を滞納している加入電話加入者について一定の期間その加入電話の通話を停止することができるというふうに定めたわけでございます。ただいま先生の御質問は、この料金改定問題等で非常に財政逼迫している折から、電電公社がなぜこういう公社加入電話を停止してKDDの財政援助をしなければならないのかという御趣旨であろうかと思うわけでございますが、この国際通話の料金の中には国際電電の料金もございますが、同時にまた公社の取り分としての国内公衆電話の通話料も含まっておるわけでございます。したがいましてそういう意味から言うならば、この国際通話の料金を滞納しておるということになりますと、単にこれは国際電電だけの問題ではなくして、ひいてはNTTの収入にも影響を及ぼすことになりかねないという点があるわけでございまして、そういう意味から今回、KDD並びに電電公社におきましてそれぞれ話し合いのもとにこういった扱い方をされることに取り決めまして、現在法案として提出した次第でございます。
  106. 島本虎三

    島本委員 監理官、質問の要旨をはずさないように。こういうように財政不如意、そして収入減、支出増、こういうようになっているときに、その理由があるのはわかるけれども、なぜ国際電電の料金の滞納のために国内電話も全部とめなければならないのか、これなんです。なぜなんです、この理由
  107. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 その債務の取り扱いにつきましては、今後引き続きまして国際電電と電電公社において話し合われることと思いますが、このために電電公社が収入面において欠陥の生じないように国際電電において配意していくということに原則的にはなっております。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
  108. 島本虎三

    島本委員 もうすでにこれだけの理由ではなしに、収入減でしょう、支出増でしょう。そうなっているとき、これが行われることによって収入増になるのか、ならない。ならないことをなぜやらなければならないのだ、その趣旨を説明してくれというんですが、大体わかるようでわからぬようで……。じゃついでに聞きますが、これをやると国内、国外の料金のパーセンテージはどういうようになるのですか。
  109. 玉野義雄

    ○玉野説明員 国際電電の国際の電話収入がございますが、その中の私の方の国内通話といいますか、これの占める割合でございましたら全体で約八%になっております。
  110. 島本虎三

    島本委員 八〇%ですか、八%ですか。
  111. 玉野義雄

    ○玉野説明員 四十九年度のKDDの収入から見ますと八%でございます。
  112. 島本虎三

    島本委員 KDDの収入全体との割合じゃないのですよ。一通話かけたりすると、その問題、国内線を通す、それから国外にも行く、これは国内が二〇%、国外が八〇%、このような割合じゃないですか、八対二じゃないですか。そんな低い割合ですか。
  113. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 それぞれ対地によりまして相違しておりますが、たとえばソウルの場合でございますと国内通話料のウエートは二七・五%、ニューヨークの場合でございますと一三・七%、香港の場合でございますと二三・五%等々でございまして、おおむね一〇%から二〇%台を前後しておるというような状況でございます。
  114. 島本虎三

    島本委員 わかりました。  そうすると、国際料金の滞納のために国際通話を停止することによって国際通話料の滞納が予防できるのですか。
  115. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 そのように考えております。
  116. 島本虎三

    島本委員 本当にそう考えますか。
  117. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは島本先生、実は数年前からこの逓信委員会で、たしか一番最初は阿部未喜男先生が火をつけられた問題だと思います。決して皮肉で申し上げておるわけじゃないのですが、私どもの方は当初これに対して、KDDの料金のためにうちを通話停止にするということ自体よりも、料金徴収について全電通の組合員が非常に苦労しておる現状、現在公社の収納率が九九%に近いわけですが、それには二十年の歴史があって、やはり労使一体となってこれをやってきたわけでありますが、KDDは、率直に申し上げてその点で少し甘いんじゃないかという問題ですとか、あるいは今度KDDの問題で通話停止をいたしますと、全然わからない請求書に基づいて加入者に通話停止を全電通の組合員がやるわけでございますから、私どもの組合員にも相当納得のいく説明をしないといけない、そのための窓口のトラブルなんかについても結局組合員が負担をこうむるので御勘弁願いたいということをずっと申し上げてきておったわけです。ところがその後、阿部先生だけじゃなくて、KDDの方にも伺いますと、実はKDDの料金収入の中で、全部の外国通話がそう  じゃなくて、ある特定対地に対する通話に対して計画的に満納する、こういうのが、金額もたしか何十億とかいう数字で非常に多いということになりますと、まあ郵政省のお考えも、郵政省は結局電電公社とKDD両方の監督官庁でございますから、両方の立場を考えて、何とかならぬか、こういうお話もございました。私どもも決して電電だけの立場ではなくて、やはり国全体の立場からそういった意味の、KDDのためにも考えなくちゃいけないのじゃないか。いまの御質問のように、これをやることによってある特定対地のしかも相当多数の金額がKDDに未収金で残るのじゃなくて実収で入ってくるということになりますと、いま営業局長が申し上げましたように、私どもの方への国内分収分もそれだけ入ってくるわけでございますから、金額はわずかでございますけれども、やはりわが方にとっても若干のプラスはある。そしてまたこういう法律をつくりましたからといって、すぐあしたからそういうぐあいにやるというのじゃなくて、これは組合とも話をしておるのですが、KDDとも話をいま進めておりますが、やはりKDDもやっていただくことは十分やっていただき、そしてうちの組合員が通話停止がやりやすいような条件をある程度つくった上でやる。そしてそれに要する経費ですね、今度はいろいろなトラブルなんかに要する経資がございますから、そういったようなものについてはKDDから後で支払っていただく、こういうことで赤字もなくしていく、こういうお話し合いをいま郵政省御指導のもとに進めておるわけです。そしてまあ郵政省、大岡裁判じゃありませんが、両方うまくいくようにいきたいということで、これは多年、たしか三、四年前からだとも思いますが、懸案事項をこの法律改正によって両方がうまくいくようにめどがつきましたので、今回郵政省で御提案になったものと私どもは伺っており、またその線に従って、その御指導に従って現在KDDと折衝を続けておるわけでございます。
  118. 島本虎三

    島本委員 公社の方は折衝をし続けているということであります。以前、この問題等についてさすがに逓信委員会で阿部委員やその他がこれを十分やったということを聞いて安心したわけであります。しかし依然としてこういうように残っているということは、逓信大臣と一緒に、これはまた皆さん方は残しておくことに意義を感じているんではないか、こうさえ思われます。一体、これはもう早く解決しないといけませんよ。ほんの少しだとしても、そういうような集団的に特定の者がそういうようなことを計画し、そしてそれを実行している。それは犯罪じゃありませんか。これはやはりそういうような計画的な滞納だとすると、意思があるところをまた実行に移した、犯罪じゃありませんか。そんなやつはなぜ警察権の実施を認めないのですか。やはりそういうふうにしてやって――これは郵政省なんですか。電電公社が進んでやってもらうのですか。郵政省がやらしているのですか。これをすると滞納金の支払い見込みがそれによってあるということになるのですか。この措置によって公社の年間減収額、こういうようなものに対してはKDDが支払うのですか。そういうようなことをきちっとして郵政省はやらせているのですか。この点に対して、私は初めて来て、今回初めてこの公衆電気通信法改正法案を見て、私自身、この点に疑問を感じたのであります。もしいままでこういうようなものが数回にわたって論議されているというなら結構であります。なおさらこの際にきちっとさせようじゃありませんか。まして国民に重大な影響を与える値上げ法案、この中でこういうようなことを強いているというようなことに対しては、ちょっと私どもとしては理解ができないのであります。これはもう進んで公社がこういうふうにやってくれと求めたのですか。郵政省でこれをやらしているのですか。いずれなんでしょうか。
  119. 佐野芳男

    ○佐野(芳)政府委員 お答えいたします。  いま公社当局からるる御説明がありまして、私がこの会にお世話になる前からこの問題が出されておりまして、ただし先生御理解のようにこの問題はKDDとNTTといいますか、電電公社が絡んだ問題、そこにまたそこで働く職員といいますか、組合が絡んだ問題で、郵政省としては、先ほど私どもにかわって説明がありましたように、KDDの事業電電公社事業もうまくいくように何とか調整をとってもらいたいと思っておったわけでございますが、したがいまして解決が長引いたのはやはりその辺の調整の仕方がむずかしい。それからちょっと口幅ったい言い方ですけれども、この問題だけで公衆法改正していただくというのもなかなか大変で、チャンスをねらっていたということもございます。  それからもう一つは、私も公社料金収納事務については多少心得ておるつもりでございますが、確かに非常に徹底的に計画を立てて緻密にやっております。その点についてKDDも滞納金が非常にふえてまいりましたし、財政的にも非常に響いてくるということで、ここ数年ぐらい前からこの問題に非常に熱心に取り組み出したところでございまして、まだまだ詰めるべき点があるんではないかというふうに私ども常に指導してきたところでございますが、KDDもそういうムードが高まり、施設的にも相当設備がされるということでございますし、ちょうど料金改定の時期ともぶつかりましたし、公社の方にも十分事情をお話ししましてその辺の調整をとりながら今回改定をお願いしたという経緯でございます。
  120. 島本虎三

    島本委員 二つ質問すると一つくらいしか答えないんですね。減収額についてはKDDが支払うことになるのかどうかということ、それからこれをやることによって滞納金を支払う見込みがあるのですかと、これを聞いているのです。
  121. 佐野芳男

    ○佐野(芳)政府委員 失礼しました。KDDが未収になった分でも公社に当然払うべきものは払っております。  それから最後の、この措置をいたすことによって滞納金が回収できるかどうか、それからもう一つは、先ほどちょっと漏れましたけれども、警察その他の話が出ましたけれども、現在におきましてもKDDにおいていわゆる法的措置といいましょうか、非常に悪質なものについては、調べました上で訴訟といいますか、裁判にかけて、もちろん裁判費用等も相当かかると思いますが、やはり筋目を通すということでそういう措置もしております。それからこの措置がとられましたら、少し時間はかかるかもしれませんが、やはり通話停止ということが加入者に与える影響といいますか、それが非常に響いてまいりまして、従来よりは回収率がよくなるというふうに考えております。
  122. 島本虎三

    島本委員 これは先ほどの答弁が誤りでないとするならば、計画的な滞納だというんでしょう。これは相当多数の者だというんでしょう。特定多数の者だという。意思があって実行しているんですから犯罪じゃありませんか。滞納もぐっとたくさんある。注意してもやめない。外交問題でもあるんじゃありませんか、こういうのは。ただ単に内部でこっそりと通話だけとめればそれで事足る、余りこそく因循ではありませんか。もっと主張すべきものは主張したらどうですか。どうもこの点は弱腰だ。これはもう事務当局はだめだとして、大臣、こういうようなのを聞いたら、ある特定な国でしょう。外交機関もあるでしょう。そのための特殊の機関もあるでしょう。やられっ放し、やられこうばいなんて、こんなばかな話ありませんね。もしこういうようなことだったら犯罪としてもこれはできる。もしそうでなかったらこれは外交手段に訴えてもできるはずのものなんです。なぜこそくなこの手段しかとらないのですか。今後これに対して郵政省としての一つの態度、立場、こういうようなものに対して大臣、きちっとしないとだめだと私は思うのです。いまこれ出たのはほんの少しだ、少しであってもこれは国際的な問題でしょう。信頼と友好に欠けるでしょう、こんなことをしたら。それが特定の国だった場合はいわゆる外交問題じゃありませんか。きちっと内閣としてすべきじゃありませんか。御所見を伺います。
  123. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  法的な措置についてはKDDにおいて十分とっておるようでありますけれども、ただそれだけでも実効が上がらないということでこういうようなことをお願いしているわけでございまして、御指摘のとおり非常に私どもも重要視いたしております。
  124. 島本虎三

    島本委員 どうもだめですな。これじゃまた逓信大臣と一緒に残るんじゃありませんかね、この負債が。もう少し――大丈夫ですよ。内閣なんかなくなってもいいから、あなたがっしりやったらいいんですよ、この際。いつも優秀な人だけ郵政大臣になって来ているんですよ。いま三木内閣に対する批判があるにしても郵政大臣に対する批判ないじゃありませんか。やることを期待するからではありませんか。いまの答弁、だめです。監理官なんかの言うこと聞いちゃだめだ。あなた自身はっきりしたことを言えばいいんです。国際的な機関があるでしょう。そういう機関を通じてきちっと日本の態度を明らかにすべきですよ。私はこれは日本の国、政府としても重大だと思っておるからです。どうです、ひとつ今後もがっしりやりませんか。二度とこういうようなことが提案されないようにやりませんか。大臣の決意です、今度は。
  125. 村上勇

    村上国務大臣 方法は先生よりもっと強いことを考えておりますが、第一段階としてまずこの程度のところでやらせていただきたいと思っております。
  126. 島本虎三

    島本委員 まことに不満でありますが、次に移らせてもらいます。  電電公社、この高度経済成長政策が、いわば産業優先ということで、公害、環境破壊、それがもたらされた結果の反省が、今度は福祉社会の志向ということになってあらわれてきておりますが、あえて申しますと、こういうような波乱の多い経済界の中で、その影響を正面切ってまともに受けなかった企業として電電公社電気通信事業がある、こう思っているのであります。電気通信が今日の社会経済に不可欠な存在となっている、これはもう私なんかが言う必要もないほど周知の事実であります。まして電話そのものは、すでにいまや生活体系の中に操り入れられて、そして生活必需品、こういうようなことになっておるわけであります。このような電気通信事業の現状、これは、電気通信事業においてもナショナルミニマムの姿勢が重視されなければならない、それが今後の電電公社としてとらなければならない重要な問題点である、私はそう思っておりますが、これに対する公社のお考えを承りたいと思います。
  127. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  ただいま質問の中にもございましたが、高度成長から安定成長に移るという過程におきまして、福祉社会建設の上で電気通信が持つ役割りはきわめて大きいと思います。その拡張計画あるいはサービスの面におきましても、ナショナルミニマムという考え方を十分取り入れて、福祉社会実現の重要なメディアとして運営していきたいと思います。
  128. 島本虎三

    島本委員 それで、今度は電気通信監理官、ナショナルミニマムとは何ですか。
  129. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 国家的最低限の水準あるいは保障等であろうと思います。
  130. 島本虎三

    島本委員 一般的には大体いままで言った答弁のうちで一番簡潔でしっかりしている。国民最低限の生活水準を意味していますわね。そうですね。国家がその社会的責任として最低限度の水準を保障するという意味を持っていますわね。この保障の点では監理官どう考えますか。
  131. 佐野芳男

    ○佐野(芳)政府委員 お答えいたします。  先生のお尋ねですが、ナショナルミニマムとは何かという御質問がありまして、その後について私にどう考えるかというお話でございますから、郵政省あるいは電電公社日本の電気通信施策というものがナショナルミニマムに対して十分満足しているかどうかという設問かと思います。(島本委員「そこまで言ってないよ」と呼ぶ)そういうふうなことじゃないかと思いますが、郵政省としましては、電電公社が、迅速かつ確実な公衆電気通信役務をしかも合理的な料金であまねく公平に提供するということでもって設立された企業でございますし、これが公衆電気通信法の目的でございます。これは先生の十分御承知のことだと思います。具体的にどういうことかといいますと、先ほど来御質問に出ています老人福祉電話のこともございますが、全般的に言えますことは、住宅電話の普及といいますか積滞の解消といいましょうか、加入電話の充足あるいは農山漁村あるいは離島などにおきます通信の確保、その他先ほど言いました福祉電話の充実、こういうものを充足することが公社の使命でございますし、そういうふうに指導するのが郵政省の役目かと思います。
  132. 島本虎三

    島本委員 一歩先を越されましたよ。そこまで聞いていないのですが、まあ結構。よくわかりました。それは大体電電公社としての考えているナショナルミニマムの具体的なものだということになりますね。わかました。  そうすると、五十二年度末で電話は完全充足されることに計画上なっていますね。申し込めばすぐつく電話、こういうようなことでございましょう。そうすると、老人福祉電話、住宅電話、それから離島電話やその他、こういうようなのを充足してしまって、五十二年度で一応は電話は完全充足となる。では、その後はこれはどういうことになりましょうか。完全充足してしまった後、これでいいということになるのでしょうか、それともまだまだ足りないということになるのですか。
  133. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  五十二年度末で積滞解消という目標を掲げまして、現在、いまの予定でまいればできると思っておりますが、その後におきましても、実はいわゆる自然の需要増がございまして、この測定はむずかしゅうございますが、毎年世帯はふえてまいりますし、あるいは人口もふえる、あるいはその他いわゆる御商売の方もつけるというようなことで、われわれは、年々かなりの需要が出るものと見込んでおります。(「積滞は解消しないじゃないか」と呼ぶ者あり)
  134. 島本虎三

    島本委員 そうすると、いまちょっと不規則発言がありましたけれども、五十二年度末で申し込めばすぐつく電話になる。五十三年度までの――これはもう私どもとして、計画を策定する前に、申し込めばすぐつく、こういうふうに考えているわけですけれども、その後でも残るのでしょうか。それともまた五十三年度までの公社の建設計画の中身、こういうようなものも入れて、では計画局長、ひとつあなたの持ち前でしょうから、十分に説明してください。
  135. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ちょっと言葉が足りませんで失礼いたしましたが、積滞解消と申しますのは、われわれ申し込めばすぐつく電話でございまして、恐らく五十三年以降は、われわれの計画どおりまいりますれば、その年に出た需要、新規需要につきましては、遅滞なく応ずることができる。この考え方はいろいろございますが、大体最大でも三カ月以内にはっける。申し込んですぐつくというふうにはまいりませんが、また場所にもよりましょうけれども、平均すれば全国的規模において申し込んだらすぐつくという意味ではわれわれはこれが積滞解消だと思っております。言うならば需給均衡でございまして、その年に出た新規需要に対して遅滞なく応ずるという形でございます。そのためには、われわれといたしましては、やはり必要な設備を十分用意しておかなければならないわけでございまして、設備自体は一年、二年でできるものでもございませんので、現在からすでに計画をいたしまして、電話局の建設あるいは線路の建設あるいはマンホールの設置、そういったものを進めまして積滞解消の時代に備えたい、こういう意味でございます。
  136. 島本虎三

    島本委員 五十三年度までの公社の建設計画の中身ですが、電話局を建てたり、線路をやったり、マンホールをつくったりする、これが全部じゃないでしょう。この計画の主なものはどういうようなものでしょうか。
  137. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  われわれは、計画しておりますのは、五十一年から五十三年の三年間で約五兆、五兆四百億を想定しておりまして、そのうち四兆六百億程度をもちまして電話あるいは各種電話サービスをしたい、あと、その他、データ通信、画像通信、含めまして五兆を想定しております。工程で申しますと、その一番主なものは一般加入電話でございまして、一般加入電話七百七十万を架設したい。内訳を申しますと、そのうち百二十七万が事務用でございまして、六百四十三万が住宅用でございます。その他、公衆電話は十四万五千、市外電話回線は四十三万回線程度を想定しております。
  138. 島本虎三

    島本委員 住宅用電話の建設資金は、現在、一加入当たり幾らぐらいにつくものですか。
  139. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  いま一電話当たりの創設負担金というものは、実は建設勘定予算を編成いたします場合には個々の工程を積み上げて編成をしておりますので、したがいまして電話の特質からいいまして、大ぜいのお客さんで共用で使っていただく設備が非常に多うございますので、これを細かく分計することは非常にむずかしい面がございます。また年度の予算の中におきましては、新規増設の分と、それから既設の加入者のみサービス改善なり、あるいは呼量の増に見合う設備増であるとか、あるいは設備の老朽劣化に伴いますその取りかえ費用であるとか、こういう既設加入者の維持改良のための経費も含まれております。  また工事の面から見てみますと、新規加入者の増設のための工事、それからこの維持、改良のための工事というのは一つの工事にまとめて実施するということが非常に多うございますので正確な分計は非常にむずかしゅうございます。しかし非常に大胆な前提を立てまして分計をしてみますと、加入電話一加入当たりの創設のためには大体三十二万円を要するというのが五十一年度から五十三年度の間の計画に対応する数字でございます。
  140. 島本虎三

    島本委員 たしか二、三日前のテレビでもそういうふうに言っていましたね。これは間違いないようです。そうするといま公社の具体的なナショナルミニマムは老人福祉電話、積滞解消、住宅電話加入電話、離島電話、こういうようなものを充足することだ、こういうようなことになりますけれども公社考えているナショナルミニマムに必要な資金、そしてその他の計画に要する資金、それはどれほどになるような想定でございましょうか。大ざっぱでいいです。
  141. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ナショナルミニマムという形での整理はしてございません。しかしわれわれ五兆の建設計画を立てますときに大きな柱を三つ立てまして、電気通信の普及発展により豊かな国民生活の実現と国民福祉の充実に寄与する、こういう柱のもとに加入電話の開通とか公衆電話あるいは過疎対策、福祉対策なんかを考えておりますが、そういった方の区分でまいりますと全体の約六一%三兆一千億ぐらいのものがそれに当たろうかと思っております。これはナショナルミニマムそのものではございませんが、そういった考えに基づいたものをここに集めてみるとその程度になる、そういう数字でございます。
  142. 島本虎三

    島本委員 先ほど老人福祉関係電話、住宅電話、積滞解消、加入電話、離島電話、こういうことを充足するのが公社考えている具体的なナショナルミニマムだという答弁があったのですが、そっちはそういうようなことを考えていない。そうするとこれは計画と実施が違うのですか。
  143. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるナショナルミニマム的な考えで申しますと多少数字が違うかもしれませんが、私が申しましたのは、先ほどのいわゆる電気通信の普及発展によって、豊かな国民生活の実現と国民福祉の充実に寄与するという意味の整理をしたものでございまして、実はそのほかにもいろいろなものがございますが、具体的な数字についてはここではまだ整理してございません。
  144. 島本虎三

    島本委員 公社考えているナショナルミニマムに必要な資金、その他の計画に要する資金、これは考えていない。では考えていないと言うのなら、前にも答弁がございますから、この点を資料にして大体幾らぐらいになるのかということを提出願えませんですか。
  145. 輿寛次郎

    ○輿説明員 後ほど提出いたします。
  146. 島本虎三

    島本委員 厚生省にちょっとお伺いしておきたいと思いますけれども、いまナショナルミニマムの電電公社版、これに対しての一つの発想をお伺いしたわけであります。厚生省の方で一人暮らしの老人、寝たきり老人、身体障害者、重症心身障害者、こういうものの数がはっきりしておりましたらお知らせ願います。
  147. 石原公道

    ○石原説明員 それぞれ担当の者から御説明申し上げますが、一人暮らしの老人の数は昭和五十年度におきましておおむね五十万人というふうに推定いたしております。
  148. 金瀬忠夫

    金瀬説明員 身体障害者の数でございますけれども、私ども四十五年に実施いたしました実態調査をもとにした現在の推計値では百四十一万三千人となっております。
  149. 山内豊徳

    ○山内説明員 特に障害の重い重症心身障害児は、一番最近の資料で一万八千九百人ばかりを把握しております。
  150. 金瀬忠夫

    金瀬説明員 ちょっといまの数字を百四十一万三千と申しましたけれども、百三十一万四千の誤りでございますので訂正させていただきます。
  151. 石原公道

    ○石原説明員 寝たきり老人の数は同じ時点でございますと、約三十三万人というふうに考えております。
  152. 山本純男

    山本(純)説明員 生活保護を受ける世帯は、昭和五十年十二月で申し上げますと七十一万二千四百二十八世帯でございまして、人員をあわせて申し上げますと、同じ月で百三十六万三千二百五十四人でございます。
  153. 島本虎三

    島本委員 そういたしますと、ここに総計はちょっととれないが、一人暮らしの老人五十万人、寝たきり老人三十三万人、身体障害者百三十一万四千人、それから重症心身障害者が一万八千九百人、そのほかにまた生活保護世帯があるのですが、いま挙げた数字、これはやはりいま最低の保護をしなければならない数字であります。公社の方ではこれだけの数字をナショナルミニマムとしてきちっと準備をしておいてこれに当たるつもりでありますか。一体公社考えているナショナルミニマムに要する数はどれほどでしょうか。
  154. 遠藤正介

    遠藤説明員 私どもの方は公社という立場から、そういう方々から電話なり先ほどのシルバーホンのようなもののお申し込みがありましたときに、それにすぐ応ぜられる体制をとっておくということと、またそういう方々が使いやすい便利な機種というものを開発しておくというのが一番大きな目標だろうと思います。それであとは法律上、たとえば債券免除という問題もございますし、使用料等につきましては郵政省の御指導によりまして地方の市町村等の補助ということで、公社自体としてはそういう使用料の免除を長期にわたってやる考えはございません。それは、それぞれに国の中での責任のある方がおやりになるというのがたてまえだろうと思っております。そういう線で、また私どもの方でそういう方々に強制的に、この電話は便利だからつけるということもすべきではなかろう、そういったようなものはやはり地方自治体なり何らかから勧められるべきじゃないか。ただ、そういったお申し込みがありましたときに、間に合いませんとか、つけられませんとか、そういうことのないように十分なる手配をしておくということが、こういった問題に対する公社の基本的姿勢ではなかろうかと考えております。
  155. 島本虎三

    島本委員 では国の方では、いま挙げたようにいわばナショナルミニマムとしても救済しなければならない、またそれに該当するような人たちがこんなにたくさんいる。まして、ナショナルミニマムとは何だ。それで先に聞いておいたのであります。一般的には、社会的に公認されている国民の最低限度の生活水準を意味しているし、国家がその社会的責任として国民の最低限度の生活水準を保障するという意味を持っておる。国が関与している電電公社電気通信事業、そしてそれがやはりナショナルミニマムを実施する、こういう以上、こういうような資料を参考にして、きちっとこれからの電気通信事業を発展させていかなければならないはずじゃありませんか。そして準備し、地方自治体並びにいろいろ関係方面もあるでしょう、そういうような方面と協力して進んでやっていく必要があるじゃありませんか。ただ要請だけを待っておる、これで果たしてナショナルミニマムと言えるのですか。ことに遠藤総務理事は、あなたは鋭いことと頭脳のいいことにおいては天下随一だそうではありませんか。それがいまの答弁では、世界の笑い物じゃありませんか。問題はナショナルミニマムに対処する電電公社の姿勢ですよ。そのために厚生省も来ておる。これだけの数字もある。いまそういうふうにはっきりした。つまり社会的に認められている国民の最低限度の生活水準、これを維持するために認める――数字がよけいなんだ。電電公社はどれほどやるのだと言えばほんの刺身のつま、これでナショナルミニマムに対峙していく姿勢かと言ったら、これでいいでしょうか。もう少しこの問題と取っ組んでいく必要が公社として今後あるんじゃありませんでしょうか。やはりいまのような対策では焼け石に水のような状態にすぎない。公社は福祉に寄与するというような気持ちよりも、福祉を利用して増収を図る、こういうような気持ちじゃないか、いまの答弁を聞いてそう思いました。もっと積極的にやるべきじゃないでしょうか。この点私はいまの答弁を聞いて、今後の電電公社のいわゆる公衆電気通信、これを志向するいまの社会的要請にマッチする行き方、これを見る場合にはまことにさびしい。果たしてこの程度でいいかどうか、もう一回考えなければならないのじゃないでしょうか。私はこの点で総裁の意見を聞いておきたいと思うのです。
  156. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  先ほど厚生省の当局からいろいろ数字について御説明ありまして、電話といいましても必ずしもシルバーホンというように限定しないでいいと思います。これらの電話の中には公社が開発いたしましたワンタッチテレホンみたいなものも入っておりますが、どんどん普及されてそれらの方の生活に役立たせたいというのが私たちの基本的な考え方であります。ただ具体的に、たとえばシルバーホンをつけるとなりますと若干毎月の経費が多いとかいうことがございます。しかし一般の電話ならそういうことがないのでございまして、それらを組み合わせた形でそれらの御要望に応じていくということで進めたらいかがかと思っております。公社といたしましては、それらの方々に積極的に電話を使っていただくという意図ははっきり持っております。
  157. 島本虎三

    島本委員 そうするならば、郵政大臣総裁には、きょうだと思いましたが、私は行きませんでしたけれども電気通信事業のあり方ならびに料金に関する方針」という文書を手渡されただろうと思うのであります。その中に書いてある一部分、ことに「電気通信事業経営のあり方」の中のこれまた一部分、これからの電気通信事業の部分だけは、私はナショナルミニマムとしての国民の通信確保と福祉サービスの充実のために必要な要件だ、こういうように思っておるのであります。ことにこの部分はりっぱじゃありませんか。「住宅用電話を中心として加入電話の充足」、ここは公社と一致するところです。「終日利用可能な公衆電話の充実」、これあたりは必要です。「災害時等における通信確保対策の推進」、日本にはこれが一番必要だと思うのです。「公衆電報サービスの確保」「過疎地域における電話の普及と離島などにおける通信の確保」、これは公社の方でも考えられておるようであります。そして六番目には「福祉電話の充実」、そして「データ通信における公害監視、環境保全、気象観測、災害予知、流通監視、救急医療情報、過疎地域の医療充実のための心電図伝送、映像やデータ伝送の実施などの社会福祉型システムの推進」、これ一つやってもナショナルミニマムとしてぴしっとするじゃありませんか。これは産業政策として出されたものですが、やはり公社としても十分この意味を理解して、これを取り入れて今後の電気通信事業経営のあり方とすべきじゃなかろうかと思っておるのであります。  これを受けて、どのようにお考えになりましたでしょうか。これは郵政大臣も一緒でしたから、ひとつ郵政大臣の感想を聞かしてください。
  158. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  公社が迅速かつ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金であまねくかつ公平に提供することを図ることによって公共の福祉を増進することが公衆電気通信法の目的でありますことは、先生御指摘のとおりでございます。具体的には住宅用電話など加入電話の充足、あるいは農山漁村、離島などにおける通信の確保と福祉電話の充実を図るなど、公社の指導について配意してきたところでありますが、今後ともなお一層努力してまいる所存であります。
  159. 島本虎三

    島本委員 総理府にこの際ちょっとお伺いしたい。  現在のわが国における世帯数は一体どれほどになっておりますか、そして今後世帯数は減る傾向にありますか、増加する傾向にありますか。第二番目、現在一般家庭の消費支出に占める通信料はどの程度になっておりますか、この二つをお知らせ願います。
  160. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答えを申し上げます。  第一の、現在の世帯数でございますが、これは五年ごとに行なわれる国勢調査で出てまいる数値でございます。一番最近の昨年行われました五十年の国勢調査におきましては、全国の普通の世帯数は三千百三十九万世帯でございます。  第二は、今後世帯数の推移はどうかという御質問でございますが、この世帯数の問題はある意味で人口増に伴い世帯が割れていくという問題それから従来の一般的に世帯数がふえてきたという二つの要因が絡まっておりますので、軽々に、これは幾ら増加するということは的確に申し上げられないと思いますが、いままで過去五回の国勢調査の傾向からするならば、世帯数は引き続き今後ふえていくと見込まれております。もし細かいデータが必要でございましたら、過去からのデータの御提出を申し上げたいと思います。  次に、消費支出の中にどのくらい通信費の金額及び割合があるかという質問でございます。これは実際には家計調査の結果によって求めております。これの昭和五十年の一カ年間の月当たり平均一世帯の消費支出の金額は十五万七千九百八十二円でございまして、そのうちの通信費は二千百二十二円、割合として一・三%でございます。その通信費の内訳と申しますのは、はがき代なりその他の封書等の郵便料それから電話電報料を含んだものでございます。
  161. 島本虎三

    島本委員 よくわかりました。  次に、電信電話料金のほかの物価への関連効果はどのようになるか、この点もお知らせ願います。電気、ガス、運賃、こういうようなものとの比較、ちょっとお知らせ願いたい。
  162. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答えを申し上げます。  公共料金が一般的に物価全体にどのような影響を及ぼすかという問題は、一般的に申しまして、波及の態様というのはいろいろ複雑な態様を持っておりますので、間接的な効果まで含めて影響を測定することは困難でございます。一つの例を申し上げますと、仮にダイレクトメールを上げた場合に仮にこれが幾ら上がった、そうするとそれがある意味でダイレクトメールを出すところの一種のコストが上がるわけなんで、間接に仮に製品に影響するというようなものは測定不可能でございますので、仮に御質問の意味を直接的な影響ということに限って申し上げたいと思いますし、それから料金がどれほど上がるかというのは、ひとつ仮定させていただきたいと思います。仮に御質問の意味を、一〇%上昇した場合というふうに限ってこの直接的な影響お答え申し上げておきます。  まず通話料でございますが、これが一〇%上がったときに現在の物価指数への影響は〇・一弱でございます。電報料につきましては、現在の消費者物価指数にほとんど影響はございません。さらに関連して、電気代、ガス代、運賃、これは国鉄運賃に限ってお答えを申し上げますと、電気代の場合に、これも一〇%上がったと仮定するならば、これの影響は〇・一強と考えていただいて結構でありますし、ガス代につきましても〇・一弱、国鉄運賃の場合も〇・一程度というふうにお考えいただいて結構だと思います。
  163. 島本虎三

    島本委員 それでわかりましたけれども、これはやはりナショナルミニマムの姿勢としても先ほど電電公社米澤総裁もはっきりと答弁されましたけれども、ナショナルミニマムの姿勢、これは料金にも同時に貫かなければならないのじゃないかと思われるわけであります。いま総理府の方からいろいろな報告がございました。やはり今後は世帯数はふえる、そうして三千百三十九万世帯、これは五十年調査、そうして二月当たりこれまた通信費の占める割合が一・三%、直接波及の態様を見ると〇・一弱であるとかいろいろ申されました。このナショナルミニマムの姿勢そのものが、料金についても貫かれなければならないのじゃないか、料金だけ別に突っ走る、こういうような態様じゃいけないのじゃないか、一応こう考えられるのでありますけれども、これはいかがなものでありましょうか。私の考えは間違いでしょうか。
  164. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えします。  率直に申し上げまして、ナショナルミニマムの考え方の中には設備だけではなく、それに対応する料金の問題、負担の問題も関連することは私も当然だろうと思います。
  165. 島本虎三

    島本委員 じゃ遠藤総務理事料金は体系の中でどのように具体化されようとしておりますか。またするつもりですか。
  166. 遠藤正介

    遠藤説明員 とお答えいたしましたからといって、現在それらのものについての料金をほかのものより安くするという考えは、二、三のものを除きまして私の方は全然考えておりません。というのは、ナショナルミニマムの中にもやはりいろいろあると思うのでございます。確かに電話というものは今日の社会においてだんだんナショナルミニマム的な要素を占める率が多くなりましたが、やはり電力、ガス、水道というような日常の生活、衣食住に直接関係するものと比較をいたしますと、電話というもののナショナルミニマムの比率は昔ほどではございませんが、やはり若干の距離もあろうかと思いますし、また今日の料金体系の中から見まして、それらのものを現在私どもが提出をしております法案の以下に下げる必要は、私どもは現在の段階ではないと考えております。
  167. 島本虎三

    島本委員 これはいまの最後の言葉は、料金体系については下げる必要はないということですか。何かそういうふうに聞こえましたが……。
  168. 遠藤正介

    遠藤説明員 そう申し上げたわけであります。
  169. 島本虎三

    島本委員 では、今度の公社料金値上げ案の中で、ナショナルミニマムであるとか、福祉、こういうようなものに対して、どういうように具体的に載せてありますか。
  170. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  一般的に私どもは今度の法案の中に、その点は一般の料金と同じような形で値上げを申請しておりますが、ただその中でも認可料金に落ちておりますものにつきましては、いろいろ考え方があろうかと思いますが、これは郵政省の御指導によりまして、法案通過後私どもで検討させていただきたいと思います。たとえばその一つの例として、これはいろいろ御議論がありますが、公衆電話というようなものは、この際たとえば市内の公衆電話料は据え置く、相対的に下げるということになりますが、現在のままに据え置くというのも一つ考え方であろうかと思っております。
  171. 島本虎三

    島本委員 それくらいでしょうかね。今後は申請認可料金の中でこれをやっていくし、公衆電話は据え置く、これがナショナルミニマムや福祉に対する具体策だ、こういうようなことだとすると、ちょっと公社として、遠藤総務、さびしいじゃありませんか。総裁のいままでの答弁の中でも、ナショナルミニマムの要綱さえはっきりしておるのです。そして、その解釈まではっきりしているのです。あなたの方だけ飛び抜けて突っ走る、こういうようなことがあってはいけない。これはどういうことですかね。
  172. 遠藤正介

    遠藤説明員 認可料金につきましては、現在まだ法案が通過をしておりませんので、具体的な内容をまだ郵政省と詰めておりませんが、その一例として公衆電話の場合を申し上げたわけですが、その他の端末、特に先ほどの福祉電話、シルバーホンのようなもの、こういったようなものの料金の決め方につきましては、一般の電話、端末の場合には効用部分を相当とりますが、そうでなくて、こういったようなものについては純粋な原価主義で効用部分を加味しないというような形も一つ考えだろうと思います。ただ、これは私ども考え、あるいは総裁の先ほど申し上げましたナショナルミニマムについての公社の基本的な姿勢に基づく考えでありまして、郵政省とさらに御相談をしなくてはいけない問題でありますが、そういったようなものを拾い上げていくと、私は相当数はあると思います。そういうところでございます。
  173. 島本虎三

    島本委員 やはりどうもはっきりしない。まあはっきりしないというのはおかしいと言ってしまえばそれまでですけれども、この点は十分対処していかなければならない公社のこれからの一つの使命だと思うからです。その方面を度外視してこれからの電気通信の発展は考えられないし、考えることはまた批判の対象にもなるわけであります。したがって、いまこれを詳しく聞いたのですが、余りはっきりしないのであります。これは具体的に、各省庁の方では、こういうような問題はこれまでだというふうなデータまである。しかし、口では福祉電話なんか言っても、これは全部利益を上げる対象にしかすぎない、こういうようなことであると、これは本当にさびしい限りであります。それにしてみましても、公社のこの料金値上げが需要に与える影響、こういうようなことを考えてございましょうか。どのように予測してございましょうか。これはたとえば住宅、事務、電報こういうように分けて、ひとつ需要に与える影響についてお考えございましたらお知らせ願いたいと思います。
  174. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えします。  いま提出をしております法案の中で、大ざっぱに分けまして、設備料の問題、それから使用料といいますか、普通の料金基本料あるいは通話料の問題、それから電報料、この三つに分けて考えますと、先ほどお答えいたしましたように、現在価格といいますか、物価換算で設備料を上げましても、これは若干需要に響く程度でございまして、そう大きな響きはないと思っております。  それから通話料あるいは基本料につきましては、これは多年の経験と申しますか、余り回数は多くないのですが、先ほど森井委員にもお答えをいたしましたように、一般的な通話増高の傾向もございますし、そういった面から景気変動のようなものは別でございますが、一般的には三カ月ないし六カ月は料金値上げによる影響があると思いますが、三カ月ないし六カ月いたしますればもとへ戻るというのが私どもの従来の経験であります。したがって、そういう形になるのではないかと私どもは予想しております。  それから電報料につきましては、これは一番大きな影響があろうかと思いますが、今日の電報料は一般のものに比べて配達を含めまして不当に安いという点がございまして、本来の電報以外の使われ方をしておる例が相当ございます。たとえばサラ金の督促にこれを使うとか、そういったような不必要な電報の使用というものが減るとか、あるいは慶弔電報のようなものにつきましては、これを今度三倍に値上げをさせていただく大きな原因だろうと思いますが、やはり三倍になりますれば慶弔電報あたりは相当大きく永続的に通数は減ると思います。  いずれにいたしましても、そういったような点を弾性値として、私どもが今度の料金改正によって得られる効果を数字的にあらわすときには、そういったようなものを織り込んで計算をしてございます。
  175. 島本虎三

    島本委員 大体わかりましたけれども設備料に対するいろいろな影響等についても進んでの説明があったわけでありますが、この設備料というものに対しては先ほど森井委員に対する答弁を聞いておりますと、工事費の一部負担をしてもらうことだという御答弁があったようであります。これも、その正確なる基本料との関係はどうもあいまいであります。設備料を一万円に値上げしたときには、また一万円から三万円に値上げしたときには、一応その積算の根拠というようなものの説明があったはずであります。五万円に値上げしたときにはその積算の根拠、これがあいまいであり、負担金的な性格はそのときからついてきているわけであります。こういうようにして一回一回この理由や性格が変わるということ、これはどうも私どもとして理解できない。当時この問題について、初め最も近い電柱から電話のある場所までと言った。それから電話局からとした。ついその後小林郵政大臣のころには、それは決める規定によってそれが設備料の規定になると言った。それが地球の裏側からも起算することがあり得るかと言ったら、そのときは笑いながら、あり得ないことではないと言った。こういうようにして、一回一回設備料、この性格が変わってきているようであります。私はこの設備料の性格が一回一回変わるということは、これはやはりよろしくないと思う。設備料設備料としてきちっとしたものでなければならないはずであります。そういうような設備料影響もまああるわけでありますけれども、しかし公企体としていまのような考え方遠藤総務のような考え方だとすると、私はやはり問題が残ると思います。少なくとも料金値上げが需要を規制するようなことになることを承知で値上げ案を提起する。これは公共性の放棄ではないでしょうか。そういうような姿勢はそのまま貫いて、われこそは公共性を持っている独占企業である、こういうように言っても、恐らくはもう口で言っても、羊頭狗肉である、こういうようなことになるじゃないでしょうか。私はやはりこの点について、国民に対してはっきり責任を持つべきだから、この機会にはっきりしなければならないのであります。料金値上げが需要を規制する、それも承知の上で出す。六カ月くらいの間には回復する。遠藤総務の御答弁であります。しかし料金値上げが需要を規制することを承知の上で値上げ案を提起するということは公共性の放棄だと思います。これについてどう思いますか。これに対しては総裁の御意見を伺います。
  176. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  最初設備料でございますが、確かに過去においてはいろいろ経緯がありましたけれども、工事費の一部を負担していただくための料金という小林郵政大臣、たしか四十三、四年でございますか、そのときの解釈のとおりであります。過去のことはそのときにすでにもう訂正されておったというふうに理解しております。  それから需要の問題でございますが、現在の時点から考えましてあの三万円が五万円になった時点以後にオイルショックが起こっておるのでありまして、五万円の設備料が八万円になっても、先ほど遠藤総務理事も答えましたが、全国どこへでも電話が移転できるというシステムになっております。したがって、一遍電話を架設して持った方は、その電話はどこへでも持っていく。それが過去においては一遍外してしまってまたそれをつけるということで設備料を二度いただいた場合もありますが、一遍入っていただけば、その一回きりでどこへでも電話が動くというように状況も変わっておりますし、それからまたオイルショック後の物価上昇等もありますので、八万円になっても需要はほとんど変わりないのではないかというふうに考えております。
  177. 島本虎三

    島本委員 郵政大臣、これは最後でありますけれども郵政大臣電気通信事業のあり方並びに料金に関する方針、これは十分に御理解賜ったものだと思います。しかし、いまいろいろ伺いましたとおりに、今回のこの大幅料金値上げは、需要に与える影響はある。通話料金の場合には三カ月から六カ月影響がある。また設備料金の場合もある。こういうような御答弁があり、いま総裁からもるるこれに対する決意の表明があったわけであります。しかしやはり料金値上げが需要を規制することになることを承知の上で値上げ案を提起するのだとするならば、その六カ月の間、これはやはり需要に対して影響がはっきりあるということはわかり切っている計画でありますから、その際にもそういうようなことのないように、落ちこぼれがないように十分それを検討した上でこれは提案しなければならないはずです。それが公共性であります。公共性のあるものが、やはり利潤を先行させて、六カ月ぐらいはやむを得ないのだ、こういうような考えで出してくるというのは、公共性の放棄につながるのではないかと思います。われわれとしてもこういうようなことがないように、きょう大臣の手元に電気通信の料金のあり方について明らかにした文章が届いたと思います。十分公社としてもこれを取り入れて、そして郵政大臣としても十分いままでの論議の過程を踏まえて国民に対して責任を持つべきだ、それがいわゆる公共事業の最たるものである、こういうふうに思うわけであります。責任を持たない公共事業なんかございませんから。その点からして、今後のこういうような公共事業に対する指導方針、と言うと大きくなるのですが、大臣考え方、姿勢です、今後きちっとしないとだめなんです。これなんかいいことばかり書いてあるでしょう。お経の文句よりいいですよ。したがって、こういうようなことを十分拳々服膺して、今後、「通信事業のあり方ならびに料金に関する方針」こういうのをもっと熟読玩味して、そして十分その体系等も考えながら善処してもらいたい。これについて大臣のお考えを承ります。
  178. 村上勇

    村上国務大臣 私の考えはほとんど先生が御指摘になりましたので、別にこれといって申し上げることもございませんが、先ほどいただきました、その御言及になった点についても十分検討してみたいと思います。なお、何と申しましても電電公社の健全な経営によらなければあらゆる問題が解決しないと思います。そういう点から申しましても、どうしてもこの程度の料金改定は御検討の上ぜひともひとつ御協力賜りたいものだ、私はそう思っております。
  179. 島本虎三

    島本委員 では、これで終わりますが、一言。逓信省令、逓信大臣だけは村上郵政大臣を最後にして、もうこの世の中にこういうような幽霊が出ないように心から期待いたしまして、私の質問を終わる次第です。ありがとうございました。
  180. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 平田藤吉君。
  181. 平田藤吉

    ○平田委員 電電公社値上げ法案を中心に幾つかの点について質問したいと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、公社は三年間の収支見込みということで一兆八千七百億円の赤字が出るというふうにいっております。それが大蔵省などと相談しているうちに、三年間で一兆七千二百億円の赤字になるというふうに変わったわけです。政府と折衝しているだけで千五百億円も赤字が減ることになったわけですけれども、どういう理由なのか、ひとつ聞かせていただきたい。
  182. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の一兆八千七百億の赤字が出るというような案を前につくったことがございますが、これは昨年の十一月につくりました料金改定案の原案でございます。その後、確かに政府にそれをお出しいたしましてから、政府の方でもいろいろ御検討になったようでございますし、またちょうど昨年の末に新経済計画のフレームが出まして、そういったものとの整合を図る、あるいは物価への影響その他を考えまして、五十一年度は基本料は五〇%増、原案は一〇〇%増でございますが、そういうような査定を受けたわけでございます。そういったところを考えまして、それで約千五百億円の査定を受けましたので、われわれといたしましてもそれに合わせるべくいろいろ検討いたしまして営業費その他を調整いたしまして千五百億円の減、赤字は一兆七千億ということにしたわけでございます。
  183. 平田藤吉

    ○平田委員 もう少し時間をかけてやっていると、もう少し大幅に減るのではないかというように思っているのですが、そこいら辺はどう考えておられますか。
  184. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  われわれの試算にはいろいろ前提がございますので、前提が変わればまた変わることがあろうかと思いますが、昨年の暮れに出ました新経済計画ベースにしておりますので、そういったものが大きく変わらない限りは変える必要はない、したがってこれ以上は出ない、こう思っております。
  185. 平田藤吉

    ○平田委員 ずいぶんやすやすと大幅に変更できるものだ、ずいぶんいいかげんじゃないかという気がしているわけです。三年間で料金改定をして、それによって生まれる増収のうちの一千億円は公衆電話料金や専用線、それからテレックスなどの料金改定によるものだというふうにいわれているようだけれども、それぞれの内訳をちょっと聞かしてくれませんか。
  186. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  約三百億が公衆電話でございます。それから約三百億が加入電信でございます。残りが専用料の改定その他でございます。
  187. 平田藤吉

    ○平田委員 公衆電話料というのは五十年に一千百七十三億円というふうに見ていたわけですね。これと、改定しないとすると三年間で幾らぐらいになるものなんですか。
  188. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  三年間で約三千三百六十億、いまのままでいきますとそれだけです。
  189. 平田藤吉

    ○平田委員 平均して二五%上げると見て、大体一千億円になるわけですよね。そうしますと、料金改定による増収のうちの一千億円、これが公衆電話だというとどういうことになるのですか。さっきのお話ですと公衆電話三百億、それから電信三百億、専用四百億というような内訳を言われていたのですけれども、公衆電話の方を値上げしただけで、データとかテレックスだとかいうのは別に入ってこないのじゃないですか。そこら辺はどうなっておるのです。
  190. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えします。  いまの公衆電話料につきましては、御案内のように現在の体系がどうなっておるかから御説明しないとあるいはおわかりにくいかもわかりませんが、現在黒電話加入電話料金というものは、七円を単位料金といたしまして十四段階の距離別に秒数が異なっておるわけでございます。一番長いところは市内の三分、一番短いところは沖繩の二・五秒というぐあいに。それに対応いたしまして、現在は赤電話料金、公衆電話料金というものは七円という硬貨が使えませんから、十円というものをどうしても使わなくてはいけない。そうすると、十円の硬貨に対応して、七円で二・五秒の場合が十円なら幾らかということで秒数を若干長くして、一応平均して黒電話の体系と赤電話の体系が同じようにしてあるわけです。それを今度、黒電話が十円になりますのでそういう妙なむずかしい操作をする必要はなくて、黒電話も赤電話も秒数は全く同じでいい、こういうぐあいになります。そうしますと、沖繩の分は二・五秒に戻ってくるわけですから、その分が増収になるわけです。ところが、市内の一番長い三分のところは、昔から三分七円で黒電話がありますし、赤電話の方は三分十円であります。したがって、三分十円のところはそのまま据え置きということになるわけです。これを上げたらどうかという御意見も確かに一部にございますが、先ほど島本先生の御質問にもお答えしましたように、公衆電話の特に市内についてはナショナルミニマム的な要素も強いのでこれを据え置くということにいたしますと、赤電話を使って市外をかけるよりも、大半のものが、半分以上、たしか七割近いものが市内通話に終始しておりますが、その部分が据え置きという形になりますので、上がる部分が残りの二、三割ということで、先ほど先生が計算されたような千億円の大台にならないで、三百億のオーダーの増収になる、こういうことになるわけであります。
  191. 平田藤吉

    ○平田委員 それは、あなた方の方では三百億程度の増収だという見方で予算を組まれているのですか。
  192. 玉野義雄

    ○玉野説明員 公衆電話についてはそういう計算で考えております。
  193. 平田藤吉

    ○平田委員 これは、五十一年度の公衆電話の予算ですと千三百二十九億になっているのじゃないですか。
  194. 玉野義雄

    ○玉野説明員 五十一年でございますが、この公衆電話料は約千三百億で出しております。それで、増収部分が五十一年度は六十億でございます。
  195. 平田藤吉

    ○平田委員 四十九年度と五十年度の累積赤字は幾らになっていますか。
  196. 玉野義雄

    ○玉野説明員 四十九年度と五十年度の累積赤字は、まだ五十年度の決算が出ませんので正確な数字は言えませんが、大体四千九百億程度になるのではないか、こういうふうに考えております。
  197. 平田藤吉

    ○平田委員 その赤字の分類を部門別にちょっと聞かしてくれますか。
  198. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  これは先般参議院でも共産党の山中先生にお話をいたしましたが、御案内のように公社の予算あるいは決算というものは分計主義になっておりませんで、収入面では電信電話収入というぐあいになっていますが、支出面では人件費、物件費というような形で分かれております。ただ、内部経営管理上、決算につきましてはそれぞれの項目で大ざっぱに四、五種類ほどの分計を、大変大ざっぱでありますが、これは一つの大きな仮定を前提といたしましてやっております。それで、五十年度の決算におきましても当然そういうものが出てくると思うのですが、五十三年までの現在お示ししました一兆七千億の赤字につきましてはそれはやっておりません。やっておらないのですが、同じような手法でやったらどうなるという……。
  199. 平田藤吉

    ○平田委員 そうじゃなくて、私が聞いていますのは、四十九年度と五十年度の部門別赤字、四つか五つになっているでしょう、それをお聞きしているのですよ。
  200. 遠藤正介

    遠藤説明員 金額でございますか。
  201. 平田藤吉

    ○平田委員 ええ。どうしても五十年が出ないというならばやむを得ないけれども、大体見当がつくでしょうから、それを聞かしてもらいたい。
  202. 遠藤正介

    遠藤説明員 金額がもし必要であれば、四十九年度のやつは後でお答えできるかと思いますが、五十年度につきましてはまだ決算が出ておりませんので金額は無理だと思います。ただ収支率といいますか、営業係数といいますか、要するにプラスかマイナスかということになりますと、四十九年からその五種目、全種目につきまして、専用線が黒字のほかは全部赤字になりました。  具体的に申し上げますと、一番大きな電話部門の収支率が一〇〇%を超えましたし、加入電信につきましても一〇〇%を超えました。電報は前々から七〇〇ないし八〇〇%でございますから、問題の外でございます。データ通信はもちろん超えておりますが、これは全体としては、計数としてはだんだんよくなってきております。そういう状況でございます。五十年度の数字は、もうしばらくいたしまして決算が出ました段階でお示しできると思います。
  203. 平田藤吉

    ○平田委員 四十九年度の数字をちょっと聞かしてください。
  204. 玉野義雄

    ○玉野説明員 電話事業で約五百億の赤字でございます。それから、電報事業で約一千億でございます。それから、データで約三百億でございます。それから専用線は、先ほど遠藤が申し上げましたように、百五十億の黒字でございます。それから、その他が百億ほどございます。
  205. 平田藤吉

    ○平田委員 テレックスは幾らになります。
  206. 玉野義雄

    ○玉野説明員 テレックスが約五十億の赤字でございます。
  207. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、テレックスとデータで大体三百五十億余りの赤字になるわけですね。
  208. 玉野義雄

    ○玉野説明員 データと加入電信で約三百五十億でございます。
  209. 平田藤吉

    ○平田委員 このデータと加入電信赤字は、どこで埋めるのですか。
  210. 遠藤正介

    遠藤説明員 正面切ったお答えをいたしますと、総括原価主義でございますから公社全体の中で埋めるということになりますが、具体的に申し上げますと、加入電信は、この法案が通りました後で認可料金の改定をお願いいたしまして、その中で埋めていきたい、こう思っております。それから、データ通信につきましては、何度も総裁が申し上げておりますように、現在の段階で赤字でございますが、やがて昭和五十三年になれば黒字に転換いたしまして、その中で今度は過去の赤字も埋めていく、こういう形でございます。しかし、一時的に現時点だけ見ますと、全体の中でこれらの赤字を処理して決算をしているわけでございます。
  211. 平田藤吉

    ○平田委員 全体の中で埋めていくのでございますというふうに言われるけれども、それは今度の値上げの中で賄っていこうという腹でしょう。あなた方の方で、もしそうではなくて、この法案が通った後に上げていきたいというのだったら、当然のことながら予算とのかかわり合いもあることなのですから、大体の見当がついているのだろうし、改定案らしきものもあるのだろうと思う。そういうものを出さないで、値上げするのでございますと言ったって、話が通らないのですから、そこのところをひとつ聞かせてください。
  212. 遠藤正介

    遠藤説明員 それが、具体的に申し上げました、料金改定後の増収額の千億の中に含まれておる専用線四百億あるいはテレックス、加入電信三百億というものでございます。それで、全体としては電話事業が占めます比重というものは現在時点でもまだ七十数%でございます。また、テレックスあるいは専用線の占めます比率というのは非常に微々たるものでございます。したがって、いま私どもが申し上げましたその他の中にそれが入っておるというだけでなくて、それを、現在時点において確かに先生の言われるとおりでありますが、長期的あるいは数年の後に回収していくということになれば、電話に及ぼす影響というものはほとんど皆無に近いのであります。
  213. 平田藤吉

    ○平田委員 あなたの方は、データ通信やテレックスの問題については、私が前からずっと聞いているけれども、とにかく先に行ったら黒字になるのだ、黒字になるのだと言うだけですよ。こうだから黒字になるという説明はないのですよ。それは納得できる説明じゃないですよ。前から言われてきていることだが、私がいま挙げた数字というのは、あなたの方から出してもらった四十九年度の数字なんですね。これからどうなるかという問題は別なんですよ。しかも、テレックスやデータにこれからかけていく投資だって莫大なものになるわけですから、そういう点を考えて検討したら、とてもいまあなたがきれいな口をきけるような筋合いのものではないと思うのですよ。何だか早いところやめてくれみたいな話もきているのですけれども、いろいろ御都合があるようですから、できるだけ簡単に進んでいきたいと思うのですが、いずれにしましても、私どもにはそういう意味の説明ではなかなか納得がいかないわけです。  この間私が本会議質問しましたが、そのときに私は、公社の言う赤字というのは、どうも宣伝を見ているとつくられた赤字だと言わざるを得ない。大企業に対しては昨年七月通信料金値上げしているというような状況で、しかも設備投資の方はどうなんだと言えば、大企業のための設備投資に莫大な金をつぎ込んでいるというふうになっておるわけです。しかも、利子の増大だとかあるいは過大な償却費などが赤字をつくり出すからくりの一つのよりどころになっておるわけです。この点を是正すれば、赤字をなくすことはできるのだ、値上げしなくてもいいのだということを私は主張したのです。これに対して、大臣はまともに答えられなかったわけですよ。そしてたとえば過大な減価償却制度をめぐる問題、これを改めた方がいいのではないかという指摘に対しても、大臣は民間企業と比べてみてどうだとか、あるいは技術革新が著しいからどうだとかいうような理由を挙げておられるわけです。しかし、電電公社の報告によれば、全国的な自動化がほぼ完了したか完了に近い状態だ。こういう状況のもとで、なおかつ累進的な定率制の償却を行うという理由はないのではないのか、一般電話について、この点で言えばどういうふうに言うことができるのだろうかというふうに考える。まして民間企業とほぼ同率だから不当ではないなどという言い分は、電電公社の現状との関係で言えば私は当たっていないのではないかというふうに思うのですよ。ですから、この間大臣はそういうふうに答えられたのですが、最初電電公社の方から、累進的な定率制をなおかつとっていこうとしているねらいについてお聞かせ願いたいと思います。
  214. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。  減価償却費が過大ではないかという問題現在とっておりますところの定率制の減価償却方法というのが妥当であるか、また今後これをとっていくのか、なぜかという御質問だろうと思いますが、減価償却は、耐用命数というものが妥当である限りにおきましては、これは妥当でなければいかぬわけですが、耐用命数がもし同じであるとするならば、定率法をとりましても定額法をとりましても累計の総額は同じであることはすでに御案内のとおりでございます。ただ耐用命数が過小である、実際の実存寿命より短うございますと、過小償却になりますし、過長であると、過大償却になることは当然でございます。  しかしなぜ定率法をとっておりまして定額法にしない方がいいと私ども思っているかということを簡単に御説明いたしますと、電話事業といいますのはすでに御存じのように技術革新の非常に大きい部類の事業でございまして、いろいろ投下いたします設備のいわゆる陳腐化も起こってまいりますし、その上に局外施設設備、地下の埋蔵物等も非常に多い資産産業、設備産業でございますので、国の国土計画でございますとか都市計画でございますとか、いわゆる電電公社の意思以外の他律的な原因によりまして実存寿命が短くなる傾向が非常に強いということは、ほかの事業との対比において御了解願えるのではないかと思っております。  それからもう一つは、膨大な設備であると同時に種類が非常に多岐にわたっておりまして、設備が非常にたくさんの種類のものの混合体でございます。したがいまして、簡単なごくわずかな種類の固定資産でございますと、一つ一つ個別的に償却できるわけでありますが、こういうことは実際上相当困難でございますので、各社ともこれを総合償却をやる。似たような分類に従いましてそのグループごとに一定の率を掛けていくということをやらざるを得ないと私ども考えております。そういたしますと、定率法と定額法は、すでに御存じであると思いますけれども、定額法というのは取得価格、簿価に一定の率をかけるわけでありますが、定率法は取得価格から減価償却引当金を除きました残りのネットの固定資産に対して同じ率を毎年掛けていくわけでございますので、もし耐用命数が正確無類でございまして絶対に間違いないというときには、定額法であってしかも総合償却をやりましても間違いは起こらないと思いますけれども、とにかく耐用命数というのはあくまで予見でございまして、将来の予見をして何年と決めるわけでございますので、若干の狂いが出てまいる。狂いが出てまいりますときに定率法をとりますと、定率法の最大のメリットは自動調節機能がございまして、定額法の最大の弱みは耐用命数が狂いますと過小償却も起こる、過大償却も起こるということがございますので、私どもとしては定率法というものが目下正しいものであろう、こういうふうに考えております。
  215. 平田藤吉

    ○平田委員 いまのお話を聞いておりましても、大体耐用年数内で償却をしていくという点においては、定率法も定額法も同じだと言われればそうだと私も思うのです。ただ今日段階で定額法に改めて償却のテンポを少し緩めていきますと、大体一兆七千二百億円ぐらいの赤字の大半を解消するぐらいの額になるのですね。ですからそういう意味で、今日の困難な状況の中でわれわれは定率法を定額法に改めていったらどうなのか。耐用年数についてはあなた方が計算して――耐用年数そのものだってわれわれに言わせれば問題があるのですよ。だからその点で定額法に改めて、そうしていま出ているといわれる莫大な赤字を解消していくようにしたらどうなんだということを言っているわけですよ。だからそれができるのかできないのか。
  216. 好本巧

    好本説明員 お答え申し上げます。  確かに定額と定率の違いは先ほど申し上げましたようなことでございますけれども、実際に毎年毎年の投資規模が年々非常に伸び率が高い、非常に伸び率が高いときにはどうしても定率法の方が同じ耐用命数の間におきましては前重になる、相対的に定額法は先重になるという傾向を持っております。しかしこれは毎年毎年の設備投資の規模が伸び率が非常に高いときに非常に大きな乖離が出てまいりますが、大分これがサチュレートいたしましてほとんど伸びがないということになってくると一ある時期におきましては、定額も定率も結果的には同じことになります。したがって、ロングランで見るか非常に近い目で見るかというところに違いがあると思いまして、ある一定の長い期間で見ますと、それを実際以上に先重の方にいたしまして一現在のところの減価償却引当金をなるべく減して、見せかけ上利益が出たようにする、あるいは赤字が少ないようにするということが果たしてロングランで見たときにこれでいいのかどうかということはあろうかと思います。
  217. 平田藤吉

    ○平田委員 償却のテンポをめぐる問題についてはまた機会を見て論ずることにして、次に、過大な設備投資を適正にする、現在計画されている計画だけでも適正にすれば赤字はなくすことができるのですよ。五十一年から五十三年まで電話建設投資四兆五千九百億円というふうに言っておりますけれども、わかりませんのは、過去三年間は九百五十万台つけるのに三兆八百億とされているのですよ。今度は三年間に七百七十万でしょう。九百五十万から七百七十万削ってごらんなさい。これは数の上でも大変少なくなるはずですよ。百八十万台ぐらい少ないのです。それなのに前回と比べてみて一兆五千億円もよけいにかかる。これは一体どういうことなんだろうか。これについても、この前本会議のときに大臣はまともに答えられなかったわけですけれども電話をつける数が百八十万台も減ったのに、お金の方は一兆五千億円も前の三年間よりもよけいかかるというのは一体どうなんだろうか、理由をひとつ聞かしてもらいたい。
  218. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の件につきましては、恐らく四十八年度から五十年度の当初予算とわれわれが出しております五十一年から五十三年の三年間のいわゆる計画との対比であろうかと思っております。これにつきましては確かにそういう考え方もございましょうが、ちょっとそこに問題がありますのは、まずわれわれとしてもその辺は十分検討いたしまして計画を立てているわけでございまして、確かに開通可能数で申しますと実際は百五十万の差がございます。これはそのまま行けば確かに安くなる理屈でございますが、実はここにいろいろ問題がございます。と申しますは、一つはいままでの経過を見ますと、四十八年、四十九年、五十年、いずれもいわゆる景気の影響を受けまして非常に投資を抑えられております。具体的に申しますと、五%増で四十九、五十ときておりますので、そういった意味では、われわれから申しますとかなり基礎投資を食いつぶした形になっております。そういったものはこれから先の、七百七十万でございますが、積滞解消、あるいは五十三年度以降は需給均衡というようなことを考えますと、どうしても必要な設備投資はしなければならない。そういう点から見ますと、どうしてもいままで食いつぶした基礎投資というものはやはりここで戻す必要があるということでそういったものが加わっておるわけでございます。  もう一つは、やはりこれは大きな問題でございますが、電話事業の特質といたしまして、新しくつくお客様だけでなくて、現在ありますたとえば三千万の加入者と接続するわけでございますから、一年たつとそれが三千万が三千三百万になるということになりますと、そういった大きなネットワークを維持し、改良するための経費がかなりかかるわけでございます。これを維持改良と私ら言っておりますが、新設のほかに維持改良費というものが必ず出てくる。これは極端に申しますと、ある年に一切加入者の新設をしなくても要る金でございます。そういったものは、やはりだんだん加入者がふえてまいりますから、ふえてまいる。そういった意味では、四十八年から五十年度と五十一年度から五十三年度を比べましてもかなりその数は違ってまいります。  そういった点で、大きく言えばそういう二つでございますが、そのほかに当然のことながら人件費の上昇、物価上昇等ございまして、そういったものを全部入れまして、われわれといたしましては極力詰めた結果の投資計画がこの五兆四百でございます。  そして念のために、いままでの四十八年から五十年度と、五十一年から五十三年度の新しい計画を対比してみますと、たとえば部門別に分けてみますと、電話に投資する額で申しまして九二%程度でございますが、これは今度の計画でも変わっておりません。それからいわゆる工事計画といたしましても大体同じような比率でございまして、全体の九〇%が一般工事計画に充てられている。研究施設とか共通施設とかあるいはデータ通信とか、そういうものを除いた数字でも大体同じでございまして、そういった意味では今後の新しい計画も、いままでの予算といいますか実績も大体内容としては同じだろうと考えております。  以上でございます。
  219. 平田藤吉

    ○平田委員 どうも理解できませんのは、大体電電公社先を見て仕事をやっているのですよね。三年たったら狂いました、五年たったら計画狂いましたというようなものじゃないのですよ。先を見てやっているのですからね。そんなに台数がふえたために設備全体を更新しなければならぬというような事態が一体起こるのかということですな。そんなことじゃないんじゃないかということですよ。しかも新たにふえる分についてはそういうものをも含めてちゃんと金を取るようにできておるんですから。だからそこいら辺で、いま計画局長がおっしゃる、数字がいろいろございましてといういろいろのところがいろいろと問題があるんじゃないかというように思っているのですよ。だから私がかなり疑問に思っておりますのは、前よりも台数が百八十万台も電話の数が少ないのです、三年間をとってみると。それで一兆五千百億も金が多くかかるというのは、どう説明されてもこれは解明し切れるものじゃないのですよ。だからこれはこれでまた私は、もしあなた方の方でこれを解明する資料があるのならばこれはひとつ出してもらいたい。ありますか。出せますか。
  220. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  計算のやり方がいろいろございまして、御納得いただけるかどうかわかりませんが、もちろんある程度の仮定を置いての計算でございますが、そういったものはございますので、またお知らせしたいと思います。
  221. 平田藤吉

    ○平田委員 これはぜひひとつ委員長の方でいまの資料をお出しいただくようにお願いいたします。  それからいままで電電公社のいろいろな宣伝で、住宅電話がふえたために大変なんだよというふうに言われてきているわけですよ。トラフィックのピークに応じた設備をしているというふうに五十年十一月十九日のこの委員会での私の質問に対して答えておられるわけですけれども、このピークの九〇%はビジネス、事務用によるものだというふうに公社の資料が言っているようですけれども、その点はどうですか。
  222. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  いまのトラフィックの問題につきましては前にもお答えしたことがあるかと思いますが、確かに事務用電話と住宅用電話とは違っております。しかしいろいろ統計の仕方ございますが、われわれのいままでの検討によりますと、ピーク時におきましても三〇%程度は住宅用電話のトラフィックというふうに承知しております。
  223. 平田藤吉

    ○平田委員 これもあなたの方のトラフィックについての資料を出してもらいたいと再三私の方から言っているのですけれども、出さないのですな。出してもらえないのじゃ、これはうそを言っているとしか思えないですよ。いままでのは大体九〇%になっているはずですよね。あなた方の方から出している四十九年のデータによれば、ピーク時はビジネス九〇%、住宅用一〇%、こういうふうになって出ているのですよ。あなた首をかしげたってだめなんだって。あなたの方の資料ですよ、ちゃんと。だからこれは若干データが古いのかもしれませんから、あなたの方で、ピーク時でも住宅電話が大体三〇%でございますとおっしゃるのなら、その資料をひとつ、これも委員長、ひとつ資料を出してもらうようにお願いします。
  224. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 出ますか。
  225. 輿寛次郎

    ○輿説明員 はい、承知いたしました。
  226. 平田藤吉

    ○平田委員 仮に七〇%としても、住宅用電話がトラフィックのピーク時以外に多くが使われているという点は間違いないですな。
  227. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答えいたします。  ちょっとおっしゃる意味がよくわかりませんが、大体ビジネス、事務用電話というものは当然事務用に使うわけでございますから、朝の始業時から夕方まで、いわゆる就業時間中に使う率が多い。それに対して家庭用の方は大体平均といいますか、ビジネス通話ほどのピークは出ないだろうということは言えるわけでございます。
  228. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた方の宣伝が一貫して住宅用電話赤字のために値上げせざるを得ないのだ、だから今度の値上げはいわゆる一般電話値上げするんだという宣伝に尽きているのですよね。正確じゃないんですよ。私がとにかく一貫して強調しているのはそこのところなんですよ。全国電話設備が企業用を重点に、本位につくられているのではないかということも私が繰り返し言ってきたわけですけれども、四十六年当時加入電話の五〇%は住宅用電話だったわけです。その当時設備にかかっているのは大体一〇%ですね、設備費は一〇%ですよ。ですからそこのあたりの点から考えても、あなた方の言い分が当たらないんじゃないのか。四十六年当時を思い起こしてみてどうですか。
  229. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えしますが、その前に、私どもはコストで申し上げておるのですが、いま先生がおっしゃった四十六年当時一〇%というのは、一体何が一〇%とおっしゃっておるのでございますか。
  230. 平田藤吉

    ○平田委員 何が聞きたいの。話がおかしいね。
  231. 遠藤正介

    遠藤説明員 それがわからないと答弁ができませんので……。
  232. 平田藤吉

    ○平田委員 いや、あなた方の方で持っているデータで答えなさい。そうなっておりませんと言うんならそうなっておりませんと。
  233. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは大変恐縮ですが、先生は投資というものとコストというものを年じゅうこんがらがられることがありまして、それで私はお伺いしなくちゃいかぬのですが、私どもから申しますと、コストというものは、一本の電話に要するコストというものは住宅用、事務用、全然差がないとは申しませんが、これは常識的にお考えになりましてもそうだと思うのですが、資本費用あるいは電話帳の費用あるいは料金の発行事務に要する費用、これは住宅用が一回しか使わなくても一枚の伝票を使います。それから事務用は百回使っても一枚の伝票で済みます。そういったような意味でコストとしてはほとんど差がないということを私は申し上げておるわけです。ありましても最大一割ぐらいだろうということはおわかりいただけるんじゃないか。その前提に立ちますと、はっきりするのは、先ほど森井先生の御質問お答えしたと思うのですが、収入面でどうなっているかといいますと、これははっきり基本料度数料を入れまして、事務用と住宅用の収入は大体三対一なんでございます。したがって、その四千六百円ないし五千円のコストというものに対して九十何%はコスト倒れしておるというのは、住宅用がそうだという状況もありまして、しかも、私は決して住宅用電話を目のかたきにしているわけじゃありませんが、これから住宅用電話がますますふえていく、こういう現状でもっとそういうものをうまく使っていただき、住宅用電話を社会生活に生かしていただくためにはここでどうしても料金改定をいたしませんと、この傷はますます深くなるだけだ、こういうぐあいに申し上げておるわけです。
  234. 平田藤吉

    ○平田委員 私が言っているのはそうじゃないんだよ、あなた。よく聞いていなければだめだよ。余り失礼な物の言い方はしなさんなよ。四十六年は全体の電話加入者のうちの五〇%は住宅電話だ、それは違うのか、一体。加藤さん、少しやりますからね。余りふざけている。
  235. 遠藤正介

    遠藤説明員 五〇%にクロスしたのは四十六年から四十七年でございます。ですから、その時点においては確かにおっしゃるとおりだと思います。
  236. 平田藤吉

    ○平田委員 その設備にかけた費用が住宅用では一〇%ではないかということを聞いているんだよ。
  237. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ちょっと手元に資料もございませんが、いまのお話のように全体の加入者のうち事務用が五〇%、要するにフィフティー・フィフティーであるとすると、その分計は非常にむずかしゅうございますが、私らのいまの想像でもとても一〇%なんということではなくて、やはりほとんどその比率に近いんではないか、言うならばフィフティー・フィフティーに近いんではないかと思っております。
  238. 平田藤吉

    ○平田委員 これもひとつ後でデータを出してください。あなた方の方はデータについて非常に渋いのだ。それで非常に苦労するのですよ、問題を解明するのに。そうしておいて、何と、こんがらがらせる、君の方が質問をしている人の質問をよく聞いてないじゃないですか。謝りなさいよ。
  239. 遠藤正介

    遠藤説明員 私は正確にお答えするためにはやはり正確に伺わなくちゃいけないと思うのです。それで、いま先生がおっしゃっている、あるいは私どもが申し上げております赤字というのは損益の問題でございます。いまわかりましたが、先生のおっしゃるのはその投資金額の問題である。投資金額からもちろん資本費用その他で損益にかかってまいりますが、コストで一〇%というようなことは私はあり得ないと思って聞いておりましたものですから、また先生も非常に簡明におっしゃいましたし、まあ言葉遣いはそうでございましたが、いまははっきりわかりました。そういう意味で失礼がありましたらおわびをいたします。
  240. 平田藤吉

    ○平田委員 失礼がありましたらじゃないんだ。非常に失礼な話です。年じゅう間違って話しているって、どこが間違っているか、一遍言ってみなさい。失礼がありましたらとは何事です。
  241. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。ただいまは大変失礼な答弁をいたしまして、申しわけありません。
  242. 平田藤吉

    ○平田委員 まあこれは遠藤理事が言ったことをあなた、総裁が謝っているんだ。おかしな話だね。でたらめやった者が謝るのがあたりまえですよ。質問したら質問に答えるのがあたりまえだ。理解できなかったら――あなた、私が言っていることをよく聞いていないから、そこから出ている。年じゅう私が間違えているとは何だ。余りふざけたことを言いなさんな、あなた。まあ次に進みましょう。それはまたこれで後で問題にしようと思いますから。  赤字は住宅用電話がふえるからだという話で、赤字原因というふうに言われておりますけれども、いま言いましたように、四十六年度に赤字が出たけれども、四十七年、四十八年度はたしか黒字決算になっていますね。しかも四十七年、四十八年は赤字の住宅電話を二百五十四万台、全加入の約一〇%ぐらいに当たるんじゃないですか、その次が二百五十三万台というふうに大量に増設しているんですね。これでどういうんでしょうね、住宅電話をつくって、大量に増設しているわけなんだけれども、一体このときはどういうことになっているんです。赤字になっているんですか、どうなんです。これはなっていなかったとしたらどういうことなんです。
  243. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  もちろんそのときの住宅電話、つけました住宅電話だけ取り上げればそうでありますが、公社全体といたしましては、たまたまその時期は御承知のようにいわゆる高度成長といいますか、経済活動がきわめて活発な時期でございまして、いわゆる事務用の収入が非常にふえた年でございます。したがいまして、まだ五〇%台程度の住宅用電話の低収入を補うことができた、こういうことが概括的に言えるのであろうと思います。ただその黒字の幅というのはその数字をごらんになりましてもおわかりのように本当に一%か二%、軽わざのような黒字でございまして、かつてのような目に見えた大きな黒字ではございません。しかし、その原因というのは恐らく経済成長が非常に華やかな時代で事務用電話が、これは景気に非常に左右されますために非常にふえてきておったということであろうと思います。それが四十八年以後になりますと事務用電話も御案内のような形で伸び悩み、ないし下降線でございます。それから住宅用電話比率がますます大きくなる、こういう要素があるわけでございます。
  244. 平田藤吉

    ○平田委員 いまそうおっしゃいますがね。事務用電話の伸びは四十七年度は七%なんですな。四十八年度は六%なんですよ。高度成長のテンポで大変伸びがありまして、それで二百五十四万台、二百五十三万台というふうに全加入数の一〇%に相当するぐらいのものを大規模にふやしていっても賄えたんでございますという理屈は私は聞こえませんわな。そういう意味で、あなた方の方のこれまでの住宅電話赤字なんでございますという、大赤字が出たから今度は住宅電話値上げをするのでございますという言い分は、私はそのまま受け取るわけにはいかないわけですよ。またの機会に質問をすることにしまして、とにかくいまずっと聞いてまいりましたけれども、私の方の考えが違っているために、あるいは間違っているために理解できないんだということを遠藤理事はおっしゃった。こういう物の言い方で事に対処しようとしているのですから、住宅電話のために赤字なんだという理屈だって、あなた方のくっつけたものなんだ。いま聞いてきたことだけから見たってはっきりしているのです。そういう意味で私は、この値上げ法案国民生活にも重大な影響を与えますからね、廃案にしなければならないというふうに考えるわけです。  以上で質問を終わります。
  245. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 小沢貞孝君。
  246. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総裁及び郵政大臣お尋ねをしたいと思いますが、今度の値上げは六月一日から上げよう、こういう法律であります。しかし、今日の時点における政治情勢から言えば、六月一日はとうてい無理ではないか、こういう判断が、これは大臣総裁もできると思います。先ほど来直ちに臨時国会を開くみたいなニュースも入ってきておるようですが、その国会においても、どうも与野党一致して利害が一致するようなものだけやろうというようなムードがあるというようなことになると、悪い場合には選挙でも終わった後の特別国会でなければ、先ほどの質問者は断固廃案だなんて言うし、国鉄と電電の値上げだけは選挙後に回されるような政治的ムードではないか、こういうように考えると、幾ら早くやっても恐らく十二月とか来年一月からでなければ上がらない、こういうことになる可能性を持っておるのではないか。これは判断のしようなのですが、そういうことになってくると、私は、この電電公社の建設計画から資金計画から何から、いろいろ大分狂ってくるのではないか、こう思いますが、まずその辺の政治判断、一体大臣としては、どういうことになっていつごろからは間違いなく上がる、こういう政治判断をするか、総裁としては、そうなった場合に一体どういう影響を与えるか、こういうようなことをまず冒頭お尋ねをしたいと思います。
  247. 村上勇

    村上国務大臣 なかなかむずかしいと思いますが、公衆電気通信法改正案につきましては、現在御審議をお願いしておるわけでありますが、早期の成立を強く私ども期待しているものであります。もし仮にも改正案が通らず、料金改定ができない場合はどうかということでありますが、その場合には、多年の目標でありました電話の積滞解消あるいは農村、漁村地域における電話普及計画等の建設計画に非常な支障を来しまして、国民生活にも大きな影響を及ぼすものと考えられます。したがいまして、改正案を何としても早期に成立させていただきたいものと願っておる次第であります。
  248. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  先ほど昭和五十一年度の予算を国会で成立させていただきましたが、本年度の公社資金計画で、この法律に関係いたしました電話並びに電報料金値上げ資金といたしまして五千二百二十五億円期待いたしている次第でございます。したがいまして、私たちといたしましては――私たちは政治のことはよくわかりませんが、一日も早くこの法律案国会で成立されることを望んでいる次第でございまして、五千二百二十五億を十カ月で割りますと、損益勘定の計算の中で申しますと五百二十五億という大きな数字でございます。先ほど申し上げましたように、非常に影響が多いので、一日も早く成立することをお願いしたいと思います。
  249. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣には大変むずかしい質問だったが、いつごろ通るであろうか、どういう見通しであろうかと聞いたのだが、答弁は早く成立させてくれという答弁で、これは答弁にならぬと思うのですが、どうでしょう。
  250. 村上勇

    村上国務大臣 まだ日にちもあることでありますし、いまの段階で不成立というようなことについての見込みは私は立っておりません。
  251. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の見通しは、なかなか容易ではないと思うわけです。それは容易なことでない。恐らく選挙でも終わった後でなければ値上げ法案にまともに取り組もうということをしないとするならば――三木さんは早く解散をしたいというが、ほかの人は解散をさせない、こういうようなことをやっておれば、これは選挙がなかなか遅くなって、選挙後の特別国会ということになれば、本当にことしの暦年の中ではできるかどうかわからぬような事態さえあるのではないか、こう思うわけです。残念ながらそういう政治情勢の中に追い込まれているときに、この値上げを出してきたということは大変不幸なことだと思いますが、私は、そういう政治情勢ではないか、こういうように思います。  この際、私は、ざっくばらんに、きのうだか、ちょっと雑談の中で社会党の先生方にも申し上げたのだけれども、これを一気に上げると言わないで、この国会だけでせめてこのくらいぐらいは通してもらいたいという案はないか、こういうことを私は次善の策として考えるわけで、私は値上げすることに反対なんだけれども、そうかといってほうっておいていいという事態でももうないではないか。そういうふうに考えると、後で質問しますけれども、使用料、基本料値上げ、ことし半分上げておいて、また来年半分上げようということを一本の法律で出してきているわけであります。この出し方も、私はどうも後で時間があったら法制局なりに聞きたいと思いますが、いずれにしても、もしだんだんおくれて、年末だ、来年から値上げをする一月一日から値上げをするということになれば、一月一日になって基本料を半額上げます、法律は通りましたから三カ月後の四月からはまた上げます、これは国民も私は納得しないのではないか。こういうように考えるならば、せめて、この大幅ないろいろの使用料その他の、電報やそういうものの値上げ一切合財は後で御審議をいただきます。そのかわり、使用料、こういうものと、もう一つ設備料があるわけで、設備料、こういうものぐらい、これは多分五十一年度分で一千四百億ぐらい基本料を予定してあるのではないか。これは違っていたら直していただきたいと思いますが、設備料はことし六百三十八億、合計二千何億ですから、電電公社が予定しておった五千二百二十五億に六百三十八億、ちょっと六千億近いものから比べれば三分の一ではあるけれども、次善の策として、この国会で急いでということであるならば、そういうような妥協案なり修正案なり、そういうものに応じて、それだけでもまず先に通してもらえないかと、こういう態度の方がより現実的で、より賢い方法ではないか、こう思うのです。大臣どうでしょう、大変むずかしいような質問で、あれなんだけれども
  252. 村上勇

    村上国務大臣 先生の御質問、非常にむずかしいのでありまして、私にそれを返事をせよということは、この段階ではちょっと無理じゃないか、こう思います。それぞれ皆御相談するところもあるようでありますので、私はあくまでも、たとえいかなる方法をしてでも提案したものは何とか通していきたいということだけしかいまの段階では申し上げかねる次第であります。
  253. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 電電公社総裁お尋ねをしますが、建設一兆五千億、その財源等がいろいろあるわけです。しかし値上げができなかった、設備料が上がらなかった、こういう場合にはどういう対処の仕方をするわけですか。
  254. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  私たちといたしまして、この法案の成立を極力お願いしておる事態でございまして、具体的にどうするかということを実はまだ公社の中で相談するには至っておりません。しかし、何といいましても、先ほど申し上げましたように、損益勘定の中で五千二百二十五億という大きな金がこの資金の裏づけになっておりますし、それからまた一方設備料につきましても六百億以上の金が必要になってくる。したがって、もしもこれを十カ月で割りますと片一方が五百二十五億、片一方が約六十五億というものを足しまして約五百九十億ぐらいのものになりますから、もしそれが一月でも延びれば、その分の資金欠陥を生ずるということになりまして、一方におきまして建設工程は、われわれとして積滞解消というのは大きな目標でございますので、それをやめてしまうわけにはいかない。その際非常にジレンマになるわけでございます。しかしまだその具体的な内容をいろいろ決める段階には早いと思っておりますが、ただ非常に影響力が多いということだけをここに申し上げたいと思います。
  255. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 資金計画を立てた担当の局でいいのですが、三の資金調達計画の(A)をちょっと見ていただきたい。  内部資金九千二百二十七億。その内訳は、減価償却八千七百三十八億、収支差額四百八十九億、外部資金一兆二千八百七十二億。加入者債券設備料財政投融資特別債・借入金二兆二千九十九億になっておるのだが、これはいま申し上げるようにことしの十二月までに上がらないという事態になれば、このうちどういうものにどういう影響がありますか。
  256. 好本巧

    好本説明員 お答え申し上げます。  まず内部資金の九千二百二十七億円でございますが、これは御指摘のように減価償却引当金と収支差額、いわゆる黒字の四百八十九億円を合算したものでございますから、ここから五千二百二十五億円が不足する。もし仮に本年度いっぱい料金改定がなかったという前提でございますが、この九千二百二十七億円から五千二百二十五億円が不足するわけでございます。  外部資金の方で、上から二行目の設備料二千八十八億円でありますが、この中の増収分の六百三十八億円が欠落するということに相なります。
  257. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると五千二百二十五億円と六百三十八億円と、要するに約六千億ばかりが二兆二千億からショートする、こういう簡単な解釈でいいですか。二兆二千億から約六千億ですから相当な割合のものがショートした場合に、それを補うとして、もし借り入れによるとすれば財政投融資の資金に頼るようにすることができますか。それは不可能なことですか。
  258. 好本巧

    好本説明員 すでに御案内のごとく財政投資あるいはその他の特別債・借入金というものは昭和五十一年度の予算総則の中で限度額が決まっておりますので、ただいまの予算の範囲では、これ以上その限度額を超えまして財投の資金を仰ぐとか、あるいは電電公社が債券を発行し借入金の額をふやすということは不可能でございます。
  259. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その場合には民間から融資を受けるという道が開けるわけですか。
  260. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。  民間から、あるいは国庫から、あるいは国のお金、その他資金の源泉が何であろうと、限度額が現在の予算で決まっておりますので、その枠を超えてはこれ以上の借り入れはできないわけでございます。
  261. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうするとまた先ほどの質問じゃないが私たち素人がお尋ねするのだが、いま言った五千二百二十五億及び設備料の六百三十八億、これはそっくりそのままこの資金調達計画からショートしてしまって、もうどうすることもできない、それだけは必ずマイナスになる、こういう理解の仕方でいいですか。
  262. 好本巧

    好本説明員 説明が舌足らずでございましたので補足いたしますが、ただいま御指摘のように、たとえば五千二百二十五億円という資金は完全に穴があきますけれども損益勘定収支で費用の方をもっと努力をして節約を立てる、それから収入の方も、いわゆる料金改定の分の収入でない方の収入をもっと努力をして少しでも収入を上げるというふうにいたしますと、その分だけは五千二百二十五億円が減るという理屈になろうかと思います。
  263. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういう答弁を総合すると、企業努力によって収益を上げるとか赤字を少なくするという企業努力の要素というものはあるのだけれども、それ以外には資金調達については手段はない、こう理解していいわけですね。
  264. 好本巧

    好本説明員 先ごろ成立いたしました五十一年度予算の範囲内ではそうでございます。
  265. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。  これも事務的なことですが、この減価償却引当金、数字はもう時間もあれですから一々申し上げませんが、電電公社さんはこれを定率でやっているのではないか。昔は、たしか昭和二十八年か三十年前後は二八%かその辺だと思いますが、最近は五〇%近い減価償却引当金になってきたのだけれども、これを定率を定額に直すとか、そういうことによって、これは公社が勝手に自分でできるのではないかと思いますが、その減価償却の方法によっていまの資金調達を変えることはできるか、あるいは今度は損益勘定の方の赤字黒字影響を及ぼすことができるか、もし直したとするならばどういう影響を与えるだろうか、そういうことを検討したことがあるか。
  266. 好本巧

    好本説明員 先ほども答弁いたしましたけれども、定率法を定額法にただいま修正いたしますと、確かにいろいろな前提がございますが、あるいは二〇%程度の誤差が出てくるかと思います。したがいまして、その分だけは赤字が減るといいますか、定率をとっておりますよりは赤字が減るということには相なろうかと思いますが、私どもはこういう考えは持っておりませんが、そうなった場合におきましても内部資金の総額は同じでございます。利益がちょっとふえるとか赤字が減るかわりに減価償却引当金の方が減るわけでございますから、内部資金のトータルの金額は同じでございます。
  267. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この資金調達計画においてトータルが同じなことはわかりますが、いわゆる赤字赤字だというのは二割近い減価償却、ちょっと八千、九千億の減価償却の二割というものが影響をするということになれば、損益勘定の方には非常に大きな影響を及ぼすのではないか。私は、電電公社技術革新の本家本元にいますから、なるべく定率法で速やかに償却をして、そして早く技術革新に対応できるという、これは私は償却の方法として正しいのだが、先ほど申し上げたように年内にこれ値上げができないということになると、それを検討するようなことを非常手段として考えなければならないのではないか、どうでしょう、これは副総裁の方からお答えいただいた方が
  268. 秋草篤二

    ○秋草説明員 償却の理論は、いま好本君が答弁したとおりでありまして、そうやってみても結局正当な経営処理を濁して、ちょっと不自然な処理をするというだけであって、資金上はプラスマイナスゼロでありまして、何ら関係ございません。  私どもは、この提出を考えましたときも、もう先生のおっしゃるとおりに二十年近くなりまして、会計学者を三人ほど動員しまして十分研究しまして定率法に直したのでありまして、現在もう税法上も堂々と認められておりますし、また一般にこれは通念になっております。ただ減価償却費の経費に占める割合が多いからといって何かこれを非常に不正なようなふうに思われるのは非常に心外でございまして、いまの制度が一番いいのである、ことにこの制度は成長の激しい時代は相当きつく出てまいりますけれども、やがてこの投資が平準化しますと、ぐんぐんと減ってまいります。現に、もうそういう傾向が五十年度の傾向では少しずつ、微少でございますがシェアが減ってきております。したがって、将来になってきますと、定率よりも定額の方が逆に多くなるという時代も出てくると思っております。非常にこの点は、私ども学者ではありませんけれども、練りに練った案でございましてずっとここまでやってきたのでございまして、ちょっとこの問題をいまここで改める意思はございません。
  269. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは副総裁答弁の仕方がこれこそ私は不穏当だと思うのです。副総裁、定率を、その企業黒字を出させるために定額にして償却を減らして何か利益を出して株主配当やらなければいけないみたいなことは、これは民間ではしょっちゅうやっているし、現に郵政大臣、NHKだってこの間までは定率だったんだけれども、だんだん赤字になってきたので、去年だかおととし定額に直したわけですよ。これは私が値が上がらないからそのいっときをしのぐためという意味もあるし、これはやはり定額に直して少しでも赤字を減らしていくというのは、企業経営者として私はあたりまえのことだと思うのです。そういうことも考えてみる必要があるということはあたりまえのことだと思うのです。それを減価償却費を減らすことは何か不正な手段みたいな言い方をすることは心外で、経営者としてそういうことを考えることがあたりまえのことだ、私はそう思う。
  270. 秋草篤二

    ○秋草説明員 不正な手段などということは毛頭考えてない。これは定額法がいいか定率法がいいかというのは学者がいろいろ議論するところでありまして、決して不正な手段だとは思っておりませんけれども、やはりこれだけ大きな、設備産業の中でも最大の設備産業で、設備だけで仕事をするというふうに言っても過言でないくらいの大きな投資産業でございまして、やはりこの問題については、償却費というものは正当な理論を守っていくということが一番いいのではなかろうかというふうに思っておるわけでございまして、御質問の趣旨に合わないかもしれませんけれども、私どもはいまの定率法で一番いいと思っております。
  271. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私も素人なんだが、答弁する方も素人なんで、素人が素人に質問したり答弁しているから、よくわからないわけなんですが、私は一般のところで赤字で困っている会社は、こういうときにその赤字を防ぐためには、定率の償却という無理なことをやらないで、定額に償却を直す、株主に対する配当のためにやむを得ずそういうこともやる、資産を売ります、そういうことをして、経営者としてはうちの経営黒字でございますということをやらなければいけないところがいっぱい出てくる。あたりまえのことをやっている。国の法律か何かで定率法及び定額法によると書いてあるのだから一どっちにおったっていいわけなんですよ。不正でもなければ何でもない。現にNHKは、多分二、三年前だと思ったが、こういう赤字対策のためか、理由はそのときよく聞かなんだが、定率償却でなくて、ああいうやはり技術革新のただ中にいるNHKは定額法に直してやっている。こういうことがあるのだから、そういうことも値が上がらなかったときの非常手段としては考えなければならないのじゃないかと言って、私の方で親切に言っているのだけれども、まるで悪いことはできませんみたいな答弁だから、これどっちか専門屋さん、だれかいないかな。
  272. 好本巧

    好本説明員 専門屋じゃありませんが、ただいま副総裁答弁いたしましたことを私はこういうふうに解釈するわけでございますが、まず第一に、先ほど御親切に御指摘いただきましたように、資金の大きな欠陥が生じまして、その対策としては減価償却費をいじったところでその効果はないということで出しておるわけでございます。  それから、その損益のいわゆる収支差額といいますか、利益金といいますか、あるいは欠損金という金額がふえたり減ったりということは、確かに結果的に生じます。  それからまた、株式会社の場合はそういう例があちこちあるということは、私どもも十分耳にしておりますが、これはやはり株式会社としてはそういう必要性があるからその年にある程度、言葉は悪うございますけれども、若干筋を曲げてでもそういうことをするということもあるのかもしれませんけれども、副総裁が申し上げましたのは、われわれは株式会社でありませんので、利益金もこれは社外に流失することもございませんし、配当も必要でない。したがって、期間損益と期間計算としてでき得る限り正確なものをお示しして、しかも長い目で見て、長い問永続的に経営を行って、国民の前に期間計算としてはでき得る限り正確に近いものを表示するという方が正しいのではなかろうか、したがいまして、株式会社でとっておられるようなことはやはりとらない方がいいのではないかと考えておるという意味だと思います。
  273. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは料金値上げさえすればいつでもまた黒字になって、資金計画損益計算もうまくいくから、そういう答弁があるのであって、電電公社という経営を何とか収支償うように、こういうような目標を立てるとするならば、そういう企業努力が必要だとするならば、私のような見方がある、こう言っているわけです。これはいいんだ、赤字になれば料金を上げてもらえばいい、そういうことだけで言うならば、これは定率の方が電電公社としては正しいからあくまでも押している、こういう見方もあるけれども電電公社赤字を大きく出した場合には、企業経営者というものはこれで首がちょんになってしまいます、そういうシステムを今度つくったらどうかと思う。そういうことにするならば、何とかしてこれはやはり黒字にしなければいけない、こういう努力になって、定率を定額に直すということも一つの手段として考えざるを得ない。赤字になればなったで国会へお願いします、政府お願いします、料金上げてください、そういう安易な経営をやっている者にはそういう発想が出ないかもしれないが、もし赤字経営を何年か続ければ、それはもう経営者交代だ、こういう厳しいあれがあるならば、必ずそういうことも考えるのではなかろうか、こう思います。このことは押し問答しても仕方がないからこれ以上続けませんが、公労法十六条の問題があるわけであります。その前に事務的にお尋ねしたい。  ことしの予算には定期昇給、ベースアップ等はどのくらい計上されておるか。それから今度の仲裁裁定によってさらに不足分はどのくらいになるか、先にそのパーセントと数字だけ言ってください。
  274. 山本正司

    山本(正)説明員 お答え申し上げます。  五十一年度の予算には五%の給与改善費といたしまして五百二十五億が予算として組み込まれております。それから近く出されるでありましょうところの仲裁裁定が、仮に四月二十二日の調停委員長見解どおりだといたしますと、私ども電電公社としての所要額は約六百八十億でございます。
  275. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは伝えられるところによると、政府値上げ国会を通過するという条件のもとに仲裁裁定を承認してくれ、第十六条、こういう出し方をするというのですが、政府はそういうように意思統一ができているわけですか。
  276. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 仲裁裁定につきましては、現在公労委におきまして鋭意作業が進められているところでございます。したがいまして、まだその内容につきまして確定したものを承知していないわけでございます。裁定を出されました段階におきまして関係各省と協議いたしまして、その取り扱いを決定してまいりたいと思っております。
  277. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私はこれは政治的な問題だと思うので、新聞にはずっと前から出ている問題なので大臣に聞いておるわけなんだけれども、二十二日とかいっとか間違いなく出てくる。国会の残された日は二日ばかりしかない。こういうときに出されてくる。出されてから十日以内に国会に付議し、資金上予算上不足する場合には国会の承認を求めなければならない。ところが国会は、大臣も御承知だが、二十四日で終わり。最後の日に出してきて、この日にばっばっと議決してくれというわけにはまいらぬと思う。そうすると、秋の臨時国会といえば十一月ごろ開くのが普通なんだけれども、一体それの扱いはどうするか。これもさっきのあれと同じでどうするか。これは電電公社の従業員にとっては最大の関心事ではないかと思う。それをどうするか。それからさっきお尋ねをした条件つき、値が上がらなければ、資金上予算上どういうことにもならないからだめですという条件つきで出す方法が法律的にあるのかないのか。この公労法十六条というのは、単純にそれだけでもってイエスかノーか認めてくれ、こういうところにただし書きか何かをつけて、料金値上げをしなければ認められない、それも政府で出したものをまるまる認めなければと書くのか。半額でも認めてくれればと書くのか。一割でも認めてくれればと書くのか。ことしの十二月から認めてくれればと書くのか。六月一日でなければいけないと書くのか。その書き方は一体どうするか。これはさっきから言うように、十二月過ぎ一月ごろの公算が大だから、値上げの時期がどうでなければならないという問題もある。値上げの額が政府提案どおりでなければいけないということになるかもしれない。あるいは、さっき私は妥協案みたいなものを出したが、当面使用料だけででも、基本料だけでもよろしい、そういう出し方もあるでしょう。いろいろ出し方があるが、まず最初にそういう条件をつけて公労法十六条の承認を求めるという条件のつけ方というのがあるのかどうか、そういうことも含めて、ひとつ……。
  278. 松井清武

    ○松井(清)政府委員 先ほども答弁申し上げましたが、仲裁裁定の内容がまだ確定していない段階でございます。したがいまして、いつ出されるかということはいろいろ考えられるわけでございますが、仮にこの国会に仲裁裁定が出まして、公労法の三十五条あるいは十六条の関係によりまして予算上資金上支出が困難だという場合には、国会に付議してその承認を求めなければならないという手続が必要であるわけでございますが、仲裁裁定の時期いかんによりましては、今国会に間に合わないということもあるわけでございます。そのような場合には見送らざるを得ないというふうに考えております。その段階におきまして、次の臨時国会におきましてどういうふうな形で事由をつけて付議するかということに相なろうかと思いますが、そのことにつきましてはまだ確定を見ておりません。
  279. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 事務当局は法律どおりのことを言っているのです。この問題には大臣答弁してください。値上げが十一月になろうと十二月になろうと、四月一日からという裁定であるならば四月一日からやるのか、あるいは値上げ認めてもらって実施できる月からやるのか、いまのところは恐らく六月一日から上がるということになっているから、二カ月のずれがあるから、十二月上がっても十月から実施できるというのか、八月ごろ値上げ認められればさかのぼって二カ月のずれをそのままずらすならば六月から実施するというのか、その辺はどうお考えになっているか。
  280. 村上勇

    村上国務大臣 いまの段階ではまだそこまで検討いたしておりません。
  281. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、内輪話をすれば、大いに電電公社料金値上げ審議してもらわなければいけないから、質問してくれ、あしたでいいじゃないか、これは国会の終わりでいいじゃないかというのに、電電公社から郵政省、みんな飛んできて、どうしても質問してくれと言っているが、尋ねていることに何にも答弁できなければ、一体これは何のために審議をしてくれ、促進をしてくれと言っているのかわからない。答えられなければ答えられるまで質問はもうできぬということになってしまう。
  282. 村上勇

    村上国務大臣 これはやはり政府全体の問題でもありますし、私がいまここで自分のこうだと思うことだけを申し上げて、かえって禍根を残すおそれがありますので、いまの段階ではひとつ御容赦願いたいと思います。
  283. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 副総裁お尋ねしたいが、三十万になんなんとする電電公社の労働組合の人は、うんと簡単に言えば、この値上げに賛成の態度なのか反対の態度なのか、これはどういうことでしょうか。
  284. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私は二十八万の労働者の長ではありませんで、これは推察でございますけれども、やはり事業で飯を食うという従業員の心境、本音は、電電公社赤字を一刻も早く改善したいというのが真情だと思っております。労働組合の表面的ないろいろな御意見とかは、先生方十分御存じと思いますけれども、私は真情はそういうふうにとっております。
  285. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いやいや、これは労働組合じゃない人に労働組合のことを聞くのに、表面はどうあろうと真情はこうであろうというような推察をするのは、失礼なことじゃないかと思うのだが、私は文書か何かで運動方針なり何とか方針で出されたものがあるだろうから、それをきちっと答えてもらいたい。どこか総務理事ですか、人事か職員の担当の方から……。
  286. 遠藤正介

    遠藤説明員 この答弁は、なかなか一歩誤りますと先ほど以上に怒られる可能性がありますので。先刻、勝間田先生の、社会党の御意向としていただきましたものをざっと通覧をいたしました。もちろん私どもも含めて公共料金というものあるいは物価というものが上がらないということはこれはだれしも思うことでございますが、いま副総裁が申しましたように、数年前公社料金改定をいたしますときの全電通なら全電通という組合の態度と、ことし特にこの国会にかかりましてから以後の組合の態度というものは、運動方針あるいはその後の先ほど申し上げました勝間田委員会のあれを見ましても、私はこれは楽観的かもわかりませんが、絶対反対だというものではない。もしあるならば、ああいうものをお出しになることはなくて、絶対反対、はち巻きをして、かつてのようにビラをまくということだろうと思うのでありますが、そういうぐあいに受けとめております。  それからこれは個人的な問題になりますけれども、組織としてどうかという問題のほかに、組合員あるいは組合員外の方と話をいたしましても、幸か不幸か国鉄というものが横におりまして、国鉄労使関係というものを見ますと、やはり大きな一つ原因には、多年にわたって赤字だったということが一つあると思うのでございます。そういうものになりたくない、むしろ自分たちは現在生産性手当というような形で、一般の給与のほかに生産性を伸ばせば給与がさらにあれをしていく、単なる年功序列でなくて上がっていくという制度を十分取り入れてもらいたいということも言っておりますし、そういう面、いろんな方面から私はいまの副総裁答弁を裏づけするものはあり得るんじゃないか。まあ大変歯切れの悪いあれですが、一歩誤ると危ないので……。
  287. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほどの勝間田先生というのは、要約すればどういうことですか。それが一つと、いいんだ、推測とかそういうことはいいから、方針の中かなんか紙に書いてあるのは、反対と書いてあるか賛成で上げてくれと書いてあるか、それをイエスかノーかひとつ言ってくれればいいの。推測とか本音とかたてまえとか、それは別で。
  288. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは昔のように反対とは書いてないのです。といって賛成とも書いてありませんが、しかし、公社料金の決め方は、今後こうあるべきだ、あるいは公社経営というのはこうあるべきだという具体的な御提案をいただいております。もちろん、きょうの昼ですから、まだ私もよくはっきりは見ておりませんが。ということは、数年前のように絶対反対という、もう引っ込めろ、この法案を引っ込めろということでもなく、また本日社会党の先生もお二人御質問いただきましたが、大体その線に沿っておられるんじゃないかと思って理解をしておるわけでございますが、ですから絶対反対という党の御方針ではないんじゃないか。党の方針と組合の方針と確かに違います。しかし組合も大体その線は十分承知しているはずでございますから、労働組合の諸君とはまださらに突っ込んで話をしてみなくちゃいけませんが、これ以上はひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  289. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その問題はそれ以上聞かないが、私は副総裁にこういうことを言いたいわけ。自分のところの従業員に、値上げをしなければ赤字になるぞ、あるいはみんな生産性の向上に協力をして黒字にしようじゃないか。さっき大臣から答弁がないが、公労法十六条の問題で、六月一日から上がったらば四月一日からベアができるが、十二月上がった場合にはいつになるかというような問題について答弁がないんだけれども、私は、ここの企業の中で働いている者として、あるいは企業の中の経営者として、自分の企業の中の経営者が国会へ出して国民審議をしてくれということとまるきり違う方針を従業員が持っていたら、実際はわれわれは審議のしようがないのです。自分の従業員にさえ説明のできない、自分の従業員さえ説得できないようなものを国会へ持ってきておれたちをどうやって説得するか、こういうように私は言いたいわけです。だから自分たちは一生懸命で企業黒字にするように、生産性を上げるように努力をした。努力をしたけれどもなおかついけない。今度はその労働組合は本音だ、たてまえだなんて言わないで、胸を張って国民の前にビラでも何でも配ってもいいと思う。上げてもらわなければわれわれは食っていけないから、また電電の経営の未来というものは危ないからやってもらいたい、こういうのが素直であたりまえのことだと思うのです。したがって、私は経営の立場から言うならば、自分のところの従業員さえ説得していないのか、こういうことを私はまず聞きたいわけです。そこに職を奉ずる者が、会社が、当局側が値上げしてくれと言うのにまるきり違う方の、そんなものは反対だと言っていたらわれわれも審議のしようがない。国民説明のしようがない、こう思う。どうでしょう、これは。
  290. 秋草篤二

    ○秋草説明員 全く先生のおっしゃるとおりだと私は思います。先ほど遠藤君も答弁申し上げましたように、労働組合に対してはずいぶん団体交渉を通じ、また陰になり、いろいろあの手この手で手分けしていろいろとよく説明しました。いろいろな方、企業に対する誤解もございます。認識不足もございます。われわれは毎日そういうのを専門的に調べて経営というものを考えておりますが、労働者の立場はやはりそういうことをやる立場ではございませんので、多少説明すれば納得する点もございます。ただいまのところは労働組合全員の真情というものはやはり赤字は早く解消しないといけないということを思っているのではなかろうか、私はこういうふうに思っております。ただし今日まで労働運動、ことに公労協というものはやはりかなり政治的な動きを持っておりますので、一面たてまえと実際という形になると思いますが、まあ急には経営者と一緒になってビラを配って値上げ賛成というわけにはまいらぬと思いますが、確かに自分の職場が経営がうまくないということはやはり収入にも徐々に響いてまいりますので、その点は十分承知してきているのではなかろうかと思っています。
  291. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、これをこれ以上質問しようと思いません。  ところで、なるべく早くやめたらどうかという御意見が方々からあるようですから……。ただこのことは、私が電電公社経営を見ていると、こういうことをどんどん進めていけば赤字になる、そういうことを承知してどんどん進めている。たとえば先ほど来質問があるように、住宅電話というのはコストは四千五、六百円でしょうか。そうですね。それで収入はひどいのになると千円以下。だからそういうものはなるべくこれはどんどん設備しない方が電電公社としては黒字でやっていけるわけですよ。だから設備料というものを高くして片方においては建設費を賄い、そしてある面においては赤字になる要因のものをなるべくつくらないようにする、そういう経営努力が私はないような気がする。どうしてもないような気がする。たとえば今度の設備料の中でも多数共同、これは一万円が一万六千円か、幾らでもつける。幾らでもつけるけれども、そのコストも四千六百円の四分の一だ、五分の一だということにはならぬと思う。一般住宅用は今度は八万円にしようというわけだ。多数共同でどんどん電話をつけるのには、今度は一万六千円にしようというのですから、五分の一ですか、五分の一の値段で電話をぼんぼんつけさせるようなことをしても、そのコストは単独の電話は月に四千六百円かかる、それで多数共同の電話をその五分の一で、五、八、四千円、八百円ばかりで済むか、絶対済まない。どうしてそういうように、この設備料の出し方一つを見ても、どんどん赤字になるような要因をみずから推進していくか。これは経営に対する根本的な批判をしなければいけない面ではないか、私はこう思うのです。     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つの面から申し上げると、おととしの暮れの十一月ごろ値上げの原原案みたいなものは、使っても使わぬでも二千円取りましょう。これは四千何百円かかるから二千円取りましょう。なるほど私は、経営という原価主義の立場から言えば一つの見方だと思っていた。ところが今度は、それにかわるものとして基本料を上げてきている。私はそういうように変わってきていると思う。ところが基本料の取り方においても、度数料金局が一級局から何級局まである。一級局から何級局まであるのに、どうして基本料金的な性格のものに格差をつけて、コストの高くなる、そういうようなところの使用料というものを安くしていくのか。コストの安くなるようなところのものを安くしているというなら話はわかるのだが、二千円パーで取るよりは、今度のやり方の方が、コストの高くなるようなところのものを逆に安くして、コストの安くなるようなところを高くしている。私は、使用料から見てもそうだ、設備料から見てもそうだと思う。だから経営というものを黒字に何とか持っていって、原価主義でやらなければいけない。これは経営者としての厳しい姿勢、こういうものが貫かれていないように私は思う。  福祉電話みたいなものをやることは結構です。これは悪いことだと言わない。しかし、そういう福祉政策を電電公社は請け負ってやるというならば、またこれは別の話だと思う。こういうことをやることを私は悪いと言うわけではないが、ますます赤字になるような要因のものにどんどん事をやっている、こういうように見えてどうしてもしようがない。経営の基本について、これは副総裁から……。
  292. 秋草篤二

    ○秋草説明員 大変むずかしい話でございますが、私ども公社の性格というものは、設立以来公益性というものを頭から貫いて、その上に立って経営的に、能率的にやるという大使命があると思っております。いままでの事業の過去を顧みましても、現在全く収支の合わないところもやるということは当然な使命であって、これは私企業と違う大きな公社としてのあり方だと思って、日本全国加入者、いろいろ分けますれば山村僻地、農村、漁村、当然これはペイいたしません。非常な赤字であります。電報はもちろんのこと、それから住宅用から企業用を考えれば、住宅は軽くして企業に重くする、これは当然だと思っておりまして、いままでこれが余りに差が大きい。住宅電話赤字を上げて、企業用でカバーする、これは歴然たる数字をもって証明できるわけで、その点を少しこれから補っていただくという意味で基本料を上げている。度数料はみんな共通でございますけれども、余りにも大きな格差がある。言うならば、私は電電公社企業はきわめて福祉型な事業をもうすでに五、六年前から突っ走っているのだというふうに自負しておるのでありまして、確かにもう一歩いまの共同電話とかいろんな施策を経営的に考えれば、もう少しきめの細かい配慮はできますが、また一面、国民の消費者あるいは需要者から見ますと、もっともっと企業用に厚くかぶせて住宅なり庶民を救えという御意見もございます。この辺のバランスをどの辺に求めるかということが一番大事だと思っていまして、今度の法案もそういう点を篤と御審議いただいて、いまの時点では御提案申し上げている案件が一番いい案だ、またこれ以上もう変えられないかというと、これは将来の課題として先生の御意見等もしんしゃくしたいと思っております。
  293. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと納得いかない点があるし、答弁がちぐはぐになっていますから、だれか事務当局で、局長でいいですから答えていただきたいと思う。度数料金局の一級度数料金局は、事務用の千四百円、住宅用の千円、こうなっているわけです。この一級度数料金局と五級度数料金局とはどういう違いがあるのですか。そうして一級度数料金局が今度は千四百円になるのだが、五級度数料金局は二千六百円という、これは加入者数か何かだと思うのですが、これは原価主義か何かの上からこういう開きがあるのか、それをお尋ねしたい。
  294. 遠藤正介

    遠藤説明員 これはおっしゃいますように、コストの面ではなくて、加入者数によって従来からずっと五級局に割り当ててきたものであります。そうして従来いろいろなものをやっておったわけでございますが、御案内の広域時分制にいたしましたときに、級局のあれを加入区域ごとに取るのではなくて、単位料金区域ごとに取ります。広いやつですね。そういうぐあいに中身は変わっておりますが、基本的にはその加入者数によって五段階をつけておるわけでございます。したがって、先ほど先生が……。
  295. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 一級局は加入者は幾つ、五級局は幾つ、それをちょっと教えてもらいたい。
  296. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  五級局は一番大きいところでして、四十万以上になっております。一級局は八百未満でございます。
  297. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総裁、聞いてください。一級度数料金局で加入者が八百未満のところの使用料は千四百円で、五級局という四十万も加入しているところの設備料は二千六百円、コストからいくとこれは逆ではないかと私は思う。八百くらいしか加入しないような過疎の地域においては私はむしろ建設費は高くつくし、コストも高くついていると思う。四十万も入っているところは逆にコストは安いのではないか、こう思う。だからその逆にしろとは私は申し上げないけれども、何でこんなに複雑に一級料金局から五級料金局まで使用料に区別をつけなければいけないか。私はそこが納得がいかないわけです。
  298. 遠藤正介

    遠藤説明員 その点は私どもが案をつくりますときも、あるいは郵政省にそれを申請いたしまして、郵政省と御協議をいたしましたときも一つの問題で、十分討議をいたしました。確かに、コストの面ではございませんが、コストの面を離れまして、効用という面からいきまして、基本料というものと通話料というものとでコストを回収するといったときに、たとえば東京のように、三百万の加入者と最低料金で通話ができるところと、それから地方のように、仮に単位料金区域内と言いながら、一万とか二万とかいうところでは効用面で相当差があるということで、これを逆転さすあるいは一本化するというのも一つの案かもわかりませんが、やはりこれは当面このまま残しておこうじゃないか。というのは、実は人口の増加あるいは加入者数の増加によりまして一級局から五級局まで分かれておりますけれども、年々歳々単位料金区域内の加入数がふえますから、自然増といいますか、自然に上に上がっていくわけです。たとえば一級局のごときものは、数字ははっきり覚えておりませんが、最近では微々たるもので、やがてそのうちに五級局と四級局に全国がほとんどしぼられる、九〇%までがそうなる、そういう形の方が、いろいろあちこちで値上げをいたしましてお怒りを買うよりは、自然な形で自然増を待った方がいいのではないかということで、私どももその案を出したわけでございます。しかし先生のおっしゃる、コストだけから見ますと、確かにそういうお考えのあることはわかります。しかし、その考えではなくて、効用面からそういうようなぐあいのことを考えたということであります。  それから、ついででございますが、もう一つ先生が先ほどおっしゃいました点で、総裁も答えましたが、公共性と収益性ということの中で、私どもは住宅電話をとめてしまえば、これは変な話ですが、よほどばかでも公社経営というのはできるわけです。しかし、やはり公社というものがあり、あるいはこれが独占であれされておるのは、そういう過疎地域の電話もつけていくということでありますし、現にアメリカあたりのような民間会社でも住宅電話がどんどんふえていく、その中で企業努力をして、電話を便利なものにすることによって経営を安定化していっておる、その努力をやはり私どもはやっていかないと、先ほど申し上げた公共性と収益性ということがわれわれに課せられた任務だ、その自信もございます。それで、ただここで基本料を倍に上げていただきますと、基本料というのは固定収入でございますから、外国に比べまして現在日本は固定収入が総額の中の二〇%程度にしかならないのですが、アメリカあたりでは四〇%になっておりますが、これを倍にしていただきますと、三〇%が固定収入で入ってくる、残りの七〇%の従量制といいますか、通話料をわれわれの基本的な努力によってやっていけば、公共性と収益性はここ当分の問は額に汗をして私どもが何とか国民の期待にこたえていくことができるのじゃないかということで、この案を提出しておるわけでございます。
  299. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 あと一点だけ質問します。  この問題については、後でまた時間があればさらにお尋ねをしたいわけですが、前々から私は提唱しているのだが、これだけ赤字になる電報、しかもその必要性というものは、「チチキトク」式のものは伝えられるところによると二、三%になった、あとは不必要なものなんです。だから、この電報を廃止することによって電電公社赤字を少なくさせることができる、これはあたりまえのことだと私は思うのです。だから、これについても私は激変緩和で、たしか電電公社二万人、郵政省で八千人いるというのですから、それを一気にやることはできないのだけれども、少なくとも三カ年計画とかそういう計画を立てて、これをやめる方向に持っていかなければ、収支率十三倍、いま電報を百円とすると千三百円もかかる電報を、しかもこれは何で電電公社が持っていなければならないか、私はたしか自民党の逓信部会でもそういうことを主張する人もいたと聞くのだけれども、そうならば、これを一気にやめるというのは大変な問題になってしまうから、たとえば都会だったら電報なんて必要ないのですよ。それから集団電話や何かをやるところは電報は必要ないと思うのですよ。あるいはまた、できるだけ職員とか郵政省に委託するのを年次計画でやめていって、これはだれか特定な人に請負をさせてやるとか、ある程度の計画を持っていかなければ、これは人の問題ですから、大変な問題となると思うのです。それをいたずらにただ電報を二倍、三倍に上げますというのは、私は大変経営としても能のない話だと受けとめざるを得ないわけです。これは検討の過程なり何なり、そういうことを検討されましたか。
  300. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいました百円の電報が千三百円になるというのは、たしか料金水準で五十二年ぐらいにそうなるのでございます。現在四十九年でたしか百円に対して九百何十円でございまして、大体二百円ずつくらい悪くなっています。というのは、電報はほとんど配達に大きな経費がかかりまして、あとの経費はほとんど合理化してしまったわけでございます。そこで、私どもも七〇〇ないし九〇〇という現時点の収支率を少なくとも昭和五十四、五年ごろまで維持するというために、二倍、三倍に上げさしていただいたわけでありまして、その間に、いま申されました電報合理化というものと真剣に五ケ年計画を立てて取り組んでいきたい、こういうぐあいに考えて、現在成案作成中でございます。  この場合一番考えなくちゃいけませんのは、やはり人の問題でありますから、労働組合と配転、職転その他について考える、協議を十分やらなくてはいけない。もう一つは郵政省の問題でありまして、郵政省の方は、私どもの方で無理無理改式などをお願いしておって、そのために人が浮いてくる、さらにここで電報を急激な合理化をいたしますと、郵政省としても大変お困りだろうと思うので、労働組合と郵政省と両面の方に十分お話をしながらやっていくつもりでありますが、そのやり方としましては、先生御案内のように、まず、現在の電報は通数が減りましたが、現在時点で恐らく七割近いものが慶弔電報でございます。慶弔電報というのは果して電報か、通信か、儀礼的なものか、公共料金かということになると問題があります。これはまあ一番大きな問題で、恐らく三倍になれば相当これが削減されるということも予想しております。  それで、縦割り方式といいますか、先生御提案のように都会あたりでやめていくという形でございますが、電報のようなものは発信と配達までの一つの作業がございまして、それを東京なら東京で全部やめてみましても、田舎で打った電報が東京へ来るということを考えると、そういうやり方よりは横割り方式で、現在のサービスを、電話がこれだけ発達してきたし、それから現在の電報サービスというのはよく考えてみると、かつて郵便が非常によかった時代の基準にさらに記録性と迅速性ということでつくられておるのですが、現在の郵便のサービス状況に合わせてこのサービスレベルを一応下げていく、下げていくと言うと語弊がありますが、たとえば夜あたりはだんだんやめていくとか、翌日配達にするとか、そういう形でもってサービスレベル全体を逐次下げていって、その中でいま申し上げたような形で人をうまく配転あるいは職転をしてやっていく、そして五年ぐらい後には、今度の料金改定であれされた七〇〇%ぐらいの収支をさらに低下するようにしたい。最終的にはやはり、基本的電報というものはある意味では廃止をされ、ほかの手段に変わっていくと思います。その時期は恐らく五十四年以降になると思うのですが、まあ言われるテレメールでありますとかそういうようなものに変わりますか、あるいは「チチキトク」あたりも――外国電報で夜開いているのはアメリカあたりでも数十局なんですね、日本みたいに二千局も開いてはいません。そういうところはやはり「チチキトク」であっても、警察の方にお願いをして、警察の方から電話がなくても走っていただくと、そのために警察に委託料を払うとか、そういうようなことも考えていきたい、こう考えております。
  301. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 電報その他についてもまだ納得をしませんし、われわれもわれわれなりに考えているから、また機会を見て質問をする、こういうことにして、きょうは打ち切りたいと思います。
  302. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 志賀節君。
  303. 志賀節

    ○志賀委員 ただいまも小沢委員から御質問がございましたが、電電公社職員労働組合の人たちは今回の値上げに対して賛成なのか反対なのか、こういうお話でございました。  実は私のところに、私だけではないと思うのでありますが、電電公社の下請の企業体の方たちが何とか早期にこの法案を成立させてほしい、こういう御要望、御陳情においでになりました。私は、この法案を成立させるもさせないも、これは選挙にたとえて恐縮でありますが、選挙を本当に闘い抜くためには自分の後援会が火の玉になる、そのことが大事なことでありまして、やはり電電の内部がこれに対してそごを来すようなことがあってはならないのではないか。しかも、私どものところに見えたその企業の方々というのは中小企業であります。野党の方々がかねてからその育成保護を求めておられる中小企業であります。この中小企業がこの法案が不成立に終わった場合にはいたく手傷を負うのでございます。そういう意味におきまして、私はこの法案成立に対する電電それ自体の姿勢というもの――外の人がそれぞれ応援団が一生懸命になっているのに内部が不統一であってはいけない。この点について、副総裁のお気持ちをただしたいと思うのでございます。
  304. 秋草篤二

    ○秋草説明員 今度の料金案を国会で通過させなければならぬという信念は、私どもでは社内一致して日夜努力しております。これは言葉で幾ら申し上げても済みませんと思いますが、問題は従業員が余り関心を持っておらぬじゃないかという意味だと思っておりますが、これは先ほど小沢先生の御質問に答えて、従業員も、一応たてまえと実際というようなものも公労協のいろいろな動き方等を見てもおわかりと思いますが、現在の時点ではかなりこの問題に対しては真剣に考えて、われわれと裏ではいろいろ折衝しております。ですから、その点は私どもは管理者あるいは経営者と全く同じレベルで従業員が考えているとは思いませんけれども、やはり総裁以下全部がこの問題を早く解決して明るい経営にしたいということは当然持っておると思っております。
  305. 志賀節

    ○志賀委員 私見でございますが、戦後の敗戦の荒廃の中から奇跡的な復興を遂げたこの日本が、その勢いに乗って高度経済成長を遂げて昭和四十八年の年末の石油ショックまで、これがいわば第一段階であった。これはほとんど物質的な、極端な物の言い方をすれば銭で横っ面を張れば何とかなるような時代であった。ところが、それ以後はいわゆる低成長と申しますか、安定成長と申しますか、こういう時代に直面してこれから抜け出ることができない。先ほども企画庁の方から大体六%程度の成長を見込む今後の経済計画のお話もございました。私は、六%でも先進国の成長率からすれば著しくこれは有利な成長率だとは思うのでございますが、しかしいままでの繁栄になれたわれわれ日本人にとっては、もう一歩何か繁栄が足りない、そういう気持ちを否めないと思うのであります。  そういう時代にこれからの経営というものが、これは政治も同じでございますけれども、最も重視をしなければならないのは心と申しますか、精神の問題。いわゆるこれから第二期に入ったわれわれの時代は、この精神を、心を重視しなければいけない。その古来不変の原理だと思いますのは、信賞必罰が厳になされることだと思うのであります。この信賞必罰が行われて初めて組織体というものは生き生きとした、躍動した組織体たり得ると思うのであります。しかしながら、その信賞必罰について、私はかねてから電電公社の今日までの経営においてそれが厳に行われてきたかどうかを危ぶむ一員でございます。特に私は国鉄等と電電と、たとえば処分問題等についても平仄を合わせなければいけないかのようなお話をしばしば耳にいたします。しかし国鉄というのはあしきモデルでありまして、いまのような状態になっているのは何よりもあしきモデルで、この国鉄の轍を踏まないようにするのが電電の今後ともの使命だと思いますので、同じようなことを信賞必罰において行うということは理が通りません。そこで、この信賞必罰について、いま総裁がおられませんので、電電の最高の地位におられます副総裁秋草さんの御意見を再び承りたいと存じます。
  306. 秋草篤二

    ○秋草説明員 労働組合員に対するたび重なる処分の考え方は、私ども総裁がいつも申しております。とおり、終始一貫わが公社の自主性と公社総裁考え方というものを貫いて、だれにも御指示なり相談を受けたことはございません。ただ、郵政大臣だけには処分の四、五日前には必ずこういうふうにやらしてほしいということを報告なり了承を求める。また、郵政大臣から何らそういうもっと軽くしろ、重くしろという御指示もございません。これは各企業体一貫したやり方だと思っております。その証拠には、その処分の内容もかなりみな違っておりまして、私どもは先ほど先生おっしゃったように国鉄に合わせるということは毛頭考えておりません。
  307. 志賀節

    ○志賀委員 大臣、いまのことについてでございますが、国鉄よりも電電の方が処分問題で突っ走ってはどうも好ましくない、かえって抵抗が出るなどというような声をその際に私は仄聞するのでありますが、そういうことについて、大臣もまた副総裁が言われましたように、そういうことは一切念頭に置かないで独自性ということで貫いておられるのか、今後ともそのお気持ちでおられるのか、その辺を承らしていただきたいと存じます。
  308. 村上勇

    村上国務大臣 電電のストに対する処分につきましては、総裁から相談がありました。しかし、それは私も妥当なものであるというように考えまして、電電公社の自主性をどこまでも尊重してまいったつもりであります。
  309. 志賀節

    ○志賀委員 最後に、これは直接電電の問題とのかかわりから離れるわけでございますが、今後のこともございますので、これはお願いでございますが、実は前回松浦利尚委員から、志賀の質問はこういうことであったけれどもこうではないかという御趣旨の御質問がありましたのに対しまして、私は、いやそういう事実はないという、いすに腰かけていての反論をしたわけでございます。それは、私にも実は落ち度があったと思うのでありますが、その前に阿部未喜男委員が御質問をなされました。その際に、実はまだ議事録の印刷ができておりませんで、そのために、私は志賀委員がこういうことを言ったけれども云々というお話に対して、ああおれはそういうことを言ったのかなという気持ちからにわかにそれに対して反論することは差し控えまして、そして今日まで印刷物のでき上がってくるのを待っておったわけでございます。私があえてこれを申し上げますのは、そういう一つの御認識の違いを土台として質問をなされますと、その先の議論が若干異なってくるといけないと思いまして、これは今後も公衆電気通信法のこの法律案審議をめぐって出ることが――同じようなことがあってはいけないという転ばぬ先のつえから申し上げるわけでございます。  二点ございますが、第一点はNHKの報道の偏向について私が問いただして、それに対してNHKの会長が、管理システムを強化するんだ、こういうようなことを即座に答えたではないか、こういうことに対して阿部委員からの御指摘でございましたが、見てみましたら私の発言の中ではそういう言い方にはなっておらないわけでございます。その点は、現場の者が書いたものがすぐ報道されるようなことであっては非常に寒心にたえないから、そのチェック機関というものはないのだろうか、こういうことを私は聞いておるわけでございます。  それからもう一つは、私は一度もNHKの職員の給与が高いということは言っておらないわけであります。ところが阿部委員は、どうもNHKの経営が非常に苦しい内容の一つ職員の給与が非常に高いのではないかという質問を私がした、こういうふうにございますが、私はそういうことを一言も言っておりません。でございますから、そういうような質問の場合に今後も行われてはいけないことだと思いますので、ひとつ質問者の発言を十分正確に踏んまえての御質問を今後なされることを強く希望いたす次第でございます。  以上でございます。
  310. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次回は明二十日木曜日、午前十時半理事会、同十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会