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1976-05-12 第77回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君   理事 志賀  節君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 阿部未喜男君 理事 古川 喜一君    理事 平田 藤吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       高橋 千寿君    地崎宇三郎君       坪川 信三君    水野  清君       金丸 徳重君    久保  等君       下平 正一君    松浦 利尚君       米田 東吾君    土橋 一吉君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  羽田  孜君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政省電波管理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         文部省社会教育         局視聴覚教育課         長       稲垣  守君         厚生省社会局庶         務課長     北村 和男君         労働省職業訓練         局管理課長   中野 光秋君         自治省行政局選         挙部管理課長  大林 勝臣君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員会委員         長)      工藤信一良君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     早川  崇君 同日  辞任         補欠選任   早川  崇君     小渕 恵三君 同月十二日  辞任         補欠選任   大柴 滋夫君     松浦 利尚君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     大柴 滋夫君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 NHK予算に関して若干の質問をいたしたいと思います。  これは昨年も私の方から提起したわけですが、事業支出の中に占める給与割合がだんだん高くなってきた。昭和四十三年度の給与構成比率は二六・〇%、四十四年度になったら二七・六、四十五年度は二九・三、四十六年度は一二・六、四十七年度は三三・四、四十八年度は三四・八、四十九年度は三八・三、五十年度予算で言うと三七・九、こういうぐあいに事業支出の中における給与構成比率というものが、事業費の中の四分の一くらいからだんだん四割近くなってきた。こういう現象は今後もさらに続いていくのではないか、こう思います。ところが、それを何で補っているかというと、去年だったかおととしだか記憶には定かではありませんが、減価償却費定率から定額制度に切りかえる、こういうようなことをやっておるわけです。たとえば減価償却費を見ると、昭和四十三年度は一五%でありました。ところが、だんだん減ってきて、四十八年度、四十九年度あたりに来ると、四十九年度が一〇六%、五十年度の予算でいくと八・五%、五十一年度だと七・四%、これは半減しているわけであります。減価償却費が少なくなるということは、機械の更新が簡単にはできないことで、財産を食いつぶしている。つまり、人件費はだんだん割合が高くなって、それを財産を食いつぶしている、こういうように構成比で見ると感じられるわけであります。だから、これはやはり憂うべきことではないか、こう思います。それから国内放送費削減も行っているようです。四十三年度は三〇・五%のものを四十九年度は二三・九、五十年度予算で言うと二四・五ということですから、国内放送費という大事な事業費機械を更新しようという大事な減価償却費、こういうものを食いつぶして人件費のウエートが高くなっている。これは、全体を通じて冷厳に見ると、大変憂うべき現象だ、こういうように考えますが、これらの対策、今後の見通し、そういうものについて、会長から御所見をお伺いしたいわけであります。
  4. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  支出の中に占めます諸経費の構成比率につきましては、ただいま御指摘のとおり、人件費の占める比率が漸次増大をいたし、また減価償却の面については減少をいたしておるということは、お説のとおりでございます。これも非常にいまの財政運営の中におきましていろんな困難な状態に逢着をいたしておりますし、それがゆえに財政の安定のために料金改定に手をつけなければならない、こういう事態に逢着したわけでございます。ここまで至ります過程において、料金値上げなしにやっていけるという状態ではございませんでした。いろいろ赤字を抱えながら、いろんな算段をして今日に至っておるわけでございまして、支出伸び等を見ましても、年々非常に厳しい状態になっております。片や人件費関係は、インフレの進行その他につれまして予想をはるかに上回る上昇をしなければならないような状況になりました。もちろん、そういうことに対します財政的にあるいは経営として正しいあるべき合理化効率化措置もいたしておりますけれども、それだけではこういった情勢に対応できないということで、昭和四十九年度予算におきましては、御説のとおり、減価償却につきまして、建物構築物につきましては定率から定額に変える措置をとらざるを得なかったわけでございます。ただ日常技術革新のテンポに合わして放送サービス維持向上に努めなければなりません機械設備等につきましては、これはそのまま定率定額に変えてそういう面から財政の窮迫を救う手段に用うるべきではないということで、定率制を維持しておりますけれども建物構築物につきましては、そういった非常手段もとってまいりました。  そういうような見地で、現在のそういう傾向財政経理内容の中で好ましい姿であるとは毛頭考えておりません。したがって、現状並びに将来に対しましては、そういった面を好ましい状態に漸次直していかなければならないと思いますので、今回のいわゆる料金改定措置を織り込みました予算の御承認を得られますると、人件費比率なるものも、これもかなり低下することになろうかと思いますし、また将来重ねて平凡な料金値上げの繰り返しということは極力避けなければなりませんので、あらゆる施策を講じて財政内容健全化に努めてまいらなければならないことは当然でございます。そのような努力は今後大いにやっていくつもりでございます。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまのことはさらに質問したいと思いますが、きょうちょうど公職選挙法改正特別委員会が開かれているところを自治省大林選挙部管理課長がお見えになっておりますので、一言だけ先にお尋ねをしたいと思います。  日放労、NHK労働組合委員長参議院議員上田哲さん、これは現役の参議院議員で、委員長だと思います。この上田参議院議員の、新しい政治資金規制法で言うならば政治団体に、哲友会上田哲の友の会ですね、こういう政治団体届け出が、昭和四十何年かに届け出られておると聞いております。いつ設立届け出がありましたか。その日、それからその後参議院選挙等があったようでありますが、選挙収支報告、これは当然出ておるのではないかと思いますが、選挙収支報告ではなくして、政治資金収支報告設立以来今日まで出されておるかどうか、その点が第二点。  第三点は、新しい政治資金規正法改正になりましたから、既存の政治団体、政党の届け出は全部ことしになってやり直すことになっているはずでありますが、新しい届け出がなされておるかどうか、以上三点について自治省管理課長お尋ねしたいと思います。
  6. 大林勝臣

    大林説明員 お答え申し上げます。  御質問哲友会につきましては、設立届け出昭和四十九年二月十八日となっております。したがって、昭和四十九年二月十八日に自治大臣あて届け出がされております。その後四十九年じゅう及び五十年じゅういずれもお尋ね収支報告提出されておりません。  それから新法に基づきます再届け出につきましては届け出がされており、すでに官報で公表いたしたところでございます。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると届け出はなされておるけれども昭和四十九年二月十八日ですから昭和四十九年の前半、四十九年の後半、五十年前半、五十年後半、以上四期に旧政治資金規正法では報告を出すことになっているわけであります。届け出がなされていながら収支報告がないものについては、これは類が違うと思いますが、中曽根幹事長か何かが昭和四十七年の八億円の届け出が全部違っていたからまた出し直せとかいって、盛んに新聞等で私たちは見ておりますが、こういうものの収支報告が出されていない実態については自治省は調べようとしませんか、調べましたか、その点だけ。
  8. 大林勝臣

    大林説明員 お答え申し上げます。  政治団体収支報告につきましては、御承知のように残念ながらその提出率というのは余り成績が芳しくございません。ただ自治省所管政治団体につきましても、また、県段階政治団体におきましては、都道府県の選管が所管をいたしますが、報告の時期になりますと、あるいは報告用紙をあらかじめ政治団体に配布するなり、あるいは時期までに提出をされない政治団体につきましては電話でその都度督促をするなり、早く出していただくようにいろいろお願いをしているところでありますが、残念ながら成績は余り芳しくないことは御承知のとおりでございます。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どうぞ課長、公選法の委員会があるそうですから、これだけでもう結構です。  それではもとに戻りまして、会長がいま大変苦心されて経営を健全ならしめようとしてあらゆる努力をしているということはわかりますが、たとえば四十七年から新規採用をしないとか、不採用方針でやって人員がさらにふえていかないようなぐあいに苦心をしていることはわかりますが、人を採用しないということはだんだん年齢構成が高くなってしまって、若い人を採用しないということで、これは人事管理上必ずしも好ましいことではないと思います。それらの対策を立てるために、これは民間だったら傍系会社に出向させる、あるいはそっちに職を変えさせる。お役所の方も、天下り天下りといって、たくさんいろいろなことがあるが、天下りをやって人事交流を図ってやっていく、こういうことをやっているわけですが、NHKとしてはそういう面については考えたことはないでしょうか。何かやっておりますか。
  10. 小野吉郎

    小野参考人 御承知のとおりNHKは、いわゆる関係団体といたしましてさほどはけ口のある団体を持っておりません。多少のそういう措置はいたしておりますけれども、また人事の新陳代謝は好ましいわけでございますけれども、なかなかそういったはけ口もない、こういうような悩みは持っておることは事実でございます。ただ、全然やらないわけではなく、多少のそういった配意も局限された範囲内ながら試みてはおりますけれども、何分にも昭和三十四年、五年あたりに、いわゆるテレビの非常な拡充期並び教育テレビの創始、拡充関係で各年平均をはるかに上回る多量な者を採用いたしております。それが年数がたつに従って一つ人事運用上の非常な悩みになっております現実は御指摘のとおりでございます。そういったような関係で、いろいろこの辺の志気阻喪をさせないような施策をとりながら人事運用面においても理想的な形を実現すべく努力をしなければならないと思います。ただ、全然新規採用がないわけではございませんで、年々に起きますいわゆる自然退職あるいは定年退職等に関連をいたします限度内におきましては、新しい生気あふれた若い人たち採用を続けてまいっておりますことは御承知のとおりでございます。
  11. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは郵政大臣にもお尋ねをしたいわけですが、郵政大臣NHK人事やそういうものにくちばしを入れることは当然できないことだと思いますが、いま会長の御答弁を聞いておって、自然退職だとか定年になる者だけの交流程度では、新しい人を採用しないという原則の上に立てばどうしても人事は停滞していってしまうと私は思います。これはどこの会社、お役所へ行ってもそうだと思います。この人事の停滞ということが一番問題ではないか、私はこういうように考えますから、昔は私の聞くところによれば、民放等へも天下りと言えばおかしいが、要望があればそっちの方へ人を向けてやったというようなことがあって、そういうところにおいては下の人がどんどん上がっていける、こういうはつらつたる人事構成人事行政ができるのではないか、こう思います。いま定年退職自然退職だけでやっているようなことでは、えらい人はつかえている、下からはちっとも出世はできないわということで、NHK人事というものを大変停滞したまずい雰囲気にしていくのではないか、私はこういうように考えるわけです。これはまあ十分NHK相談をしなければいけないのですが、技術的な面も事務的な面もそうだと思いますが、類似な役所で言うならば、たとえば電電公社とか宇宙開発何とかとか、あるいは郵政省とか科学技術庁とか、そういうところは技術者もまた事務屋さんもそれぞれ交流ができるようなお役所ではないかと思います。ただ放送法があるものだから、人事のことにくちばしを入れることはまかりならぬと言われるから、さわらぬ神にたたりなしということでそっとよけておっても、NHKの中はだんだん人事は停滞する、上はつかえておる、そういうことがNHKにとって大変な問題ではないか、私はこう思います。これは会長郵政大臣からお聞きしたいのだが、そういうところに新しい交流の芽を見つけて人事刷新を図っていく、若い人がどんどん出世できるような要素をつくっていく、こういうことはお考えいただけませんでしょうか。
  12. 村上勇

    村上国務大臣 私は先生の御指摘のとおりだと思います。とにかくやめる人を待っておって新しい人を入れない。そのやめる人は定年でなければやめるわけはないと思いますから、そういうようなことでNHK公共放送としての使命を果たすためにはやはりそこに新風を吹き込んでいくということが大事ではないかと思いますが、そういうことを考えてみますと、やはりこれはNHK財政難というところからそういうことをあえてやっているんじゃないかと思います。したがいまして、やはり今回の予算等につきましても、よろしくひとつ御審議の上、速やかに御可決いただきますように、私からもお願いいたしておきます。
  13. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘のとおり、定年退職自然退職の減を埋める程度ではそれはいわゆる活発な人事刷新といったものはできかねることは御指摘のとおりでございます。  ただ、いろいろ人員効率化生産性向上も期さなければなりませんし、片やそういうことによる財政の破綻を来すことがあってはなりませんので、きわめて過酷な労働強化にならない限りはここ数年定員は一名もふやさない、現状定員を維持するということでまいっておりますので、そういったことではけ口もふさがれておるという面もございましょう。  ただ、何しろ放送事業知識産業でございますので、現在相対的に申しますと平均年齢が三十八歳ぐらいになっております。新聞社関係では三十七歳から三十九歳ぐらい、これが平均のようでございます。民放界におきましては、これまたやはり三十七、八歳ぐらいが平均のようでございますし、そういった面から申しますと、ほかの同種の企業に比べて特に老齢化しておるという関係でもございません。いわゆる肉体労働を主とするものでもございませんし、知識産業でございますので、経験が豊富になることは、これは非常に好ましいことと思いますけれども、やはり各年次の採用が非常に均一化されておらない、こういうところに非常な悩みを持っております。これが平均化されておれば非常にこの処理もしやすいのでございますけれども、三十四年、五年ごろのいわゆる事業拡張の時期が他の年度を追い越した、飛び抜けた一つの多量な採用になっておりますので、この辺から人心がうんでくるようなことがあっては大変なことと思います。この処遇を考えますと同時に、その三十四年、五年が壁になりまして三十六年以降のそれが全く希望が持てないというようなことになってもこれまた大変だと思いますので、その辺のところは今後大いに人事運用面については万全の策を講じてまいらなければならないものと考えております。
  14. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 郵政大臣もせっかく私の質問で前向きに検討しようと言うのだから、これは会長郵政省とも相談をして、ある程度老朽幹部と言うとおかしいのだけれども、上の方の頭がつかえておって、下の方で困っておるようなところもあるに違いないと思いますから、ひとつそれは積極的に話し合いをして十分納得のいくような形で人事交流をやる、こういうようなことをひとつお願いしたい。  それから、きょうは資料を持っておりませんが、三日、四日前の新聞に、政府のどこのセクションで言い出したかわかりませんが、新聞に大きく発表されて、特殊法人の何か役員みたいなものを一割以上減らすんだ、こういうことが出ております。NHKはそれに該当するかどうかわかりませんが、NHK経営委員の方はこれは法律で決まっていますから、法律改正しない限りどうにもならないのだが、役員の方はいま何人で、どういう、簡単な分担なり何なりお聞かせいただいて、政府がああいう方針を出したのに対応してやはり減らしていくことができるかどうか、その辺もお聞かせいただきたい。
  15. 小野吉郎

    小野参考人 先般新聞に出ておりましたいわゆる政府機関あるいは政府関係機関役員人員削減でございますけれども日本放送協会政府機関でも政府関係機関でもございませんので、このリストの中には載っておりません。  現在の役員は、これまた法律規定されておりますけれども会長一名、副会長一名、理事十名以内、このようになっておりまして、全体で会長、副会長入れて十二名でございます。経営委員会が法定されておりますことは御承知のとおりでございます。  この分担もいろいろ業務範囲が非常に広範になってまいりますにつれまして、放送法政正の三十四年当時に理事の増員があったわけでございます。その前には、理事はわずかに三名でございましたけれども、三十四年の改正でいまの会長一人、副会長一人、理事十名以内、こうなっておるわけでございますけれども、その当時にはまだ地方の大阪名古屋等には理事を配置することが可能でございました。漸次本部機構の非常な複雑化に伴いましていろいろ分担がやはりふえてまいりましたので、そういうことから、現在大阪名古屋理事役員の配置は不可能になっておりまして、いろいろ本部に集中してまいっておる、こういうような関係でございます。  先ほどの政府関係機関等役員削減のその中には入っておりませんし、また私どももそのような措置をとる余地もないものと考えております。
  16. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 給与費構成比の高い問題についてはこのくらいにしておきたいと思いますが、これはやはり傾向を見ていくと大変憂うべき現象で、四割は人件費に食われてしまうというような傾向になっていくことは大変悪い傾向じゃないか、こう思います。それには老朽、高級、年齢の高い層、これをなるべく外との人事交流によって外へ出すような、そうして若い人がどんどん上がっていくような、そういうはつらつたる人事行政といいますか人事をやらなければいけない、こう思いますので、この点については今後も特段の配慮をいただくようにお願いをしたいと思います。  あと、若干小さい問題ですが、NHK基本問題調査会調査報告書のたしか五十ページ、五十一ページに出ておりますが、これはNHK予算の節減の上からもこういう提言がなされたと思いますが、五十一ページの中段以下に「なお、部外に対する技術援助及び特許実施許諾にあたっては、事業体の性格上営利を目的としてはならないことは当然であるが、研究開発受信料を基礎として進められたことも考慮し、可能な限り、その回収を図るよう努めるべきである(第十八表、第十九表)。」その十八表には、技術協力、四十五年度には四十七件、四十六年度には四十七件、四十七年度には三十八件、四十八年度には四十三件、四十九年度には五十七件、受託試験、四十五年度以降七、四十、三十三、二十七、十七、これだけある。私は中身はよくわかりませんけれども、何かこういうものは、NHK受信料でいろいろ営々と技術開発をしながら、それを部外に対して、これは民放かどこかわかりませんが、何かただででも援助をしているように感ずるわけですが、この辺のたとえば技術協力受託試験、この試験をやるコスト、技術協力をやる技術を開発するためにどのくらいかかったか、そういうものは一体外部にはただでやっているのか、幾ら協力費を取ってやっているのか、その辺、事務当局なり何なりで結構ですが……。
  17. 藤島克己

    藤島参考人 お答えをいたします。  ただいま先生指摘のとおりに、非常に貴重な受信料を預かって仕事をしているわけですから、そういう面でいささかもむだがあってはならない。細心の気持ちで仕事をしているわけでございますけれども先生いま御指摘幾らくらい回収しているかということについて、数字でお答えを申し上げます。  五十年度はまだ決算がすっかり済んでおりませんので、四十九年度までの二、三年間を申し上げますと、四十七年度が、技術研究費が約十一億でございます。四十八年度が十五億、四十九年度が十二億強というのが技術研究費として私どもが使っている研究費でございます。  それを土台にいたしまして、いろいろ私どもの本来業務のために研究をしているわけですけれども、その研究成果について外部からぜひ協力をしてもらいたい、あるいは技術指導をしてもらいたい、あるいは特許実施をさせてもらいたいという問題がございますので、そういうことに対して私どもがいろいろ基準を設けまして一応御要求にこたえているわけでございますけれども、それによって私どもに入ってきた収入は、四十七年度が三千七百万円、それから四十八年度が四千五百万円強、四十九年度が五千七百万円。使った金に対しまして入ってきたパーセントを申し上げますと、四十七年度が三・二五%、四十八年度が三・〇七%、四十九年度が四・六三%ということでございます。多少まだ今後も改定を要する問題があろうと思いますけれども、こういう問題はいろいろ技術という非常に抽象的な財産を扱っておるものですからなかなか決めにくいわけでございますが、関連しましたいろいろな公共企業体の研究所その他の実績もいろいろ検討いたしまして、今後ともむだのないように努めてまいりたいと思っております。
  18. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは委員長お願いしますが、技術協力なり何なりをやる場合にある程度の基準を設けて適当な回収をしているらしいのですが、その基準をひとつ資料として出していただきたい。  それからその中の例で、公共企業体、電電公社等にもやっているわけですか。――そういうところとか、あるいは民間にも特許の何かあるいは技術協力、こういうものをやっていると思いますが、何か一つ、二つ、三つばかり具体的にこういうものを日本電気だか電電公社だかどこかへやった、それにはコストが幾らかかっておったがこれだけでやった、こういうものをひとついまそこで説明してくれませんか。十数億の金をかけていてこれだけの技術的な援助協力をやっていながら回収がたった三%から四%、これはNHK財政赤字の折から、ここに基本問題調査会が言っているとおり、受信料を国民からもらっておって、それだけ三%ぐらいしか回収できないということはちょっと意外に感ずるわけです。具体的な例を二つ三つ……。
  19. 藤島克己

    藤島参考人 大変残念でございますけれども、具体的な一つ一つの事例はただいま手元にございませんので、後ほど資料としてお届けしたいと思います。
  20. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、民間へ援助した、あるいは特許を何かした、こういうものを十件ほど――民間もありますね。それから電電公社、その他公共企業体へ出した二十件ぐらいにわたって抽出をして、一つは、その研究開発にはコストは大体どのくらいかかっているだろうか、回収した金はどのくらいに当たっているか。もう一回申し上げますと、民間等は十件くらい、十の例でいいわけです。一般公共企業体等は二十件くらいの例、それの研究開発、こういうものに幾らかかった、実際の援助幾ら金を回収してやったか、そういうことでいいですから、これも委員長、資料として出していただくようにお願いしたいと思います。  会長、これいまざっと聞いただけで年々十数億、十一億、十五億、十二億かけているわけで、これだけの技術スタッフでもって営々と開発したものがたった三%かそこらしか――いま聞けば十何億のうち三千七百万、四千何百万、五千何百万しか回収できないというのは、これはちょっと大盤振る舞いというか、だんな様、まあいいや、いいや、そっちの方はただでいいわ、みんな国民から金もらっているので、こういうふうに見えてしょうがないわけですね。どうでしょうか、会長
  21. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘のとおりでございます。NHKもいろいろ商売気がないものでございますから、いろいろな金をかけて開発したそれもいろいろ開放して、他のいわゆる文化技術向上に役立つように活用はいたしておるのでございますけれども、実費だけをいただくという、その実費がはなはだしく本当の実費以下にとどまっておるような面も多々あろうかと思います。これは国内だけでなしに外国の関係についても、技術関係についてはかなりの援助をいたしておりますが、その多くは発展途上国に対する協力でございますので、これはまたその国の事情もございましょうし、いろいろありますけれども、現在少なくとも特許だけでもNHKで四百件を超える特許を持っております。これの活用は大いに図るべきだと思います。  一例を申し上げますと、ファクシミリの関係等につきましても、今日はかなりメーカーでいろいろな開発もされておりますけれども、このもとを築きましたのはNHKの技研でございます。それがある段階へ来たときに、これがやはり技術協力の名前でメーカーの方に移されておる。これは営利の対象になる基盤でございますけれども、そういうのに対してももう少しやはりNHK財政状態その他を考えて、営利は営んではならないという放送法の制約はございますけれども、いま少し商才を発揮すべきではないだろうか、こう考えますし、基本問題調査会もその点を指摘されたものと思いますので、将来はそういった面について十分に配慮をいたしてまいりたいと思います。
  22. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの中には途上国に対する技術的な援助もあるわけですね。これは大臣、日本国家がやるべきみたいなことを日本国家にかわってNHKというところがやっているみたいに感ずるわけです。政府はそういうことを途上国に政策上大いにやっていいんだけれどもNHK自体がやっている。これは一つの外交問題の一環としてやるべきようなことをNHKみずからやっていたんじゃ、NHKは金がかかってしまってやり切れないのだけれども、いま初めてそういうことに気づいたわけです。これは何か方法はないのですかね。これは東南アジアかどこかの途上国にNHKの開発したものをやるのと、対外的には日本がやるのと変わりはないわけです。それをまるでわれわれの受信料から研究費に膨大につぎ込んだものをやっている。政府はそれを外交上何ら関係なし、こういうことについて私は矛盾を感ずるわけです。それが一つ。  それからNHKは営利をやってはいけないということは書いてあるが、損は幾らしてもいいということに何の歯どめもないようですが、十億の開発費のかかっておるものをある営利会社にやったら、十億全部とはいわなくても、その八、九割は回収することを考えなければ、国民は受信料を納めていて営利会社NHKを通してぐるぐるっとただやっているような形になっちゃうわけです。どうでしょうかね。
  23. 小野吉郎

    小野参考人 誤解を生じてはまことに恐縮でございますので、発展途上国に対する援助関係あるいは技術協力関係につきましては、できればこれは日本国の対外援助の一環といたしまして外務省を通じてその方面の経費においてやるようにいたしております。そのほかに、その枠を超えたいわゆる放送機関同士の相互協力、こういう協定に基づいてNHKでやっておるものもございますけれども、それは御説のとおり、NHKがこういった財政事情のもとで、いかに外国に対する技術協力とはいえまる損になるような――これはまさに国が表に立ってやるべきでございましょう。たてまえはそういうようなことで運用いたしてまいっておるわけでございまして、この点につきましては、あるいは先ほどの御答弁は誤解を招くおそれがあったかもしれませんので、少し補足を申し上げておきたいと思います。
  24. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 日本の対外援助の一環としてこれは外務省もそれに絡まっていると思いますが、日本の対外援助だったら、日本はある程度金をかけていることは幾らでもあると思います。したがって、そういう技術を開発したNHKが相当元をかけたということになれば、政府を通じて対外援助をやるというのならば、政府は当然その対価、すべてでなくてもいいと思いますが、ある程度コストを償うべきものをNHKに払うという道を開かなければいけないのじゃないか。それをどうしているか、これからどうしようとするか、その一点。  いま一つは、営利会社にやっているものが、間に郵政省も何も入らない。これはくちばしを入れるな、入れるなということになるから、郵政省くちばしを入れたくはないだろうけれどもNHKというものは大だんなだ。いつでも受信料を上げさえすれば入ってくるから、これは大盤振る舞いだ、よしよし、一億かかるのをそれは三%くらいだから三百万ぐらいでやりましょう、こういうことをNHKと営利会社の間でやっているということになれば、これはゆゆしき問題だと思います。だからある程度コストがかかったものをコスト計算をする、その何割くらいとして民間なら民間に、営利会社にやる、こういう基準というものをもっときちっとしなければいけないと思うが、郵政省どうでしょう。
  25. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  第一点の問題でございますが、この海外への技術協力でございますが、現在の海外に対する技術協力といたしまして、特に開発途上国に対する技術協力という面におきましては、これは国際協力事業団というのがございまして、そこが中心になってやっているわけでございます。これは外務省などがこれを監督しておるわけでございますが、われわれの方としましては、国際協力事業団の方からの海外援助の要請を受けまして、われわれの方で電気通信関係あるいは放送関係についてはそういう派遣団を編成して、事業団の名前において技術援助をするというたてまえになっております。これにつきましての経費は事業団の方から通常支払われるわけでございます。  そのほかNHKとしましては、直接放送関係ということで技術協力という面もあるかと思いますが、そういうものと両方のやり方が現在の海外に対する技術援助でございます。  それに対してNHKに何か国から払うべきではなかろうかという先生の御質問でございますが、これはNHKの方に頭脳をおかりしているということでございまして、現実にそれがなかなか金額に換算される内容のものではございませんので、その点はどのような基準をもって経費を算定するか、ちょっと私たちもはかりかねるわけでございます。  それから、営利会社技術を売ってということでございますが、NHKがそういうようなもので使われますのは、特許などのようないわゆるソフト的なものが多いわけでございますので、実際の営利という問題でございますが、その機器を販売してというのはみんな会社の方の利益になるわけでございまして、NHKの非常に高度な専門的技術というものを渡す。特許の場合ですとこれははっきりいたしますが、それ以外に、NHKの従来から蓄積されている技術を広く国民一般に公開して、その技術を使っていただいてわが国の放送技術を上げるということでございますので、これもソフトの部面になりますと、ちょっとなかなか基準がつくりかねるのではなかろうか、かように考えております。
  26. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、先ほどお願いした民間のと公共企業体のと、もう一つ海外のと、事業団を通じてある程度ペイされているのかどうか知りませんが、それも五件か十件資料として出していただきたい、こう思います。  いまの郵政省お答え、私は納得がいかぬわけです。NHKが金が余って困って優秀な頭脳を蓄えて、それに人件費を払ってその優秀な頭脳で研究したものはNHKの貴重な財産です。これはNHKが黒字で困っているのだったならば、広く国民に利用してもらうという立場から無料でもよかろうし、どういう形でもいいと思いますが、いまは財政が赤字で――後で申し上げようと思っているのは、NHK受信料というのは、大金持ちで三台も四台も一軒のうちに入れてありながら、今度七百十円ですか、一台分しか徴収しない、ところが、生活保護ぎりぎりの人も七百十円徴収する、そういう性格の受信料ですから、私はこれは貴重な受信料だと思います。だからそういうものを、無形の頭脳の蓄積だからといって、一般、民間その他に無料に近いような形で公開するようなことは許されない、こう思いますから、きょう私も勉強不足ですので、対外援助、民間にやるもの、援助するもの、あるいは公共企業体、それに分けてこの問題についてはNHKどうでしょうか。郵政省も間に入って、やはりある程度の価格なり基準をもう少し上げて、これによって十数億毎年使っているのをある程度回収できるような道を講ずるのが至当ではないか、こう思います。どうでしょう。
  27. 小野吉郎

    小野参考人 御趣旨は全くそのとおりでございまして、ただNHKが十数億かけて開発研究に投じておりますのも大部分はNHK技術向上のためでございまして、その中で他の協力援助に回しているものが全部ではございませんので、その辺の点については適正なそういった範囲において貴重な金をかけておるわけでございますから、その実費は回収するような努力をしなければならないものと思います。
  28. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ひとつできるだけ回収できるように御努力お願いしたいと思います。  先ほど会長は、商売気がNHKはないんだよ、こう言うから、私は経営委員なんかを見て、もう少し経営に堪能な人でも入れておいたらもう少し商売気と言いますか、それに目を向けるのではないかと思いますが、たとえばこれは郵政省お尋ねしたらいいか、NHKお尋ねしたらいいか、総理府が窓口ですが、政府政府関係のことの宣伝といいますか、総理府でやっているのに「政府の窓」というのがあって、それをラジオやテレビの民間と契約をして、そうして放送料を支払ってやっているわけであります。その予算をこの間聞いてみたら約百億あるわけです。これは膨大な額であるわけです。そのほかに、税務署では、いつまでに申告してくれ、いつが納期でございますという、税務署もあれば、農林省もあれば、その他公社公団もあれば、政府機関もあれば、官公庁もあれは――これは私は民放のように、民間から放送料を取ってやれとは言わぬが、少なくとも「政府の窓」、それから官公庁、公社公団、公共企業体、こういうようなところが必要に迫られて放送するものはそれ相当な対価を取ってNHKは放送してやる、それによって何十億収入になるか何百億収入になるかわからぬが、そういう道を考えたことはありませんか。またそういう道はできないでしょうか。
  29. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまの点は一応理屈の上では考えられるのでありますけれども、事公共放送としての立場の基本にかかわる問題も発生しかねないわけでございます。そういった関係で、NHKNHKの自主的判断において、政府の行政活動でありましょうとあるいはその他のいろいろな関係でありましょうとも、これを自主的に取材して国民にお伝えすることがやはり本来の使命ではないだろうか。財政上の関係からそういった収入の便宜手段に着目をいたしまして、いわゆる政府のそういった活動を一つの宣伝としてそれに対する対価として費用をいただくということは、やはりここに非常に大きな他の問題を発生しかねない、かようにも考えますので、そう軽々しくは考えられない問題ではないかと私は考えております。
  30. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 武士は食わねど高ようじと言うように、何も収入を図る道を考えようとしないで、受信料だけを上げればそれで放送はできていくような立場に立てば、あるいは今会長のような御答弁かもしれません。しかし政府が「政府の窓」、これで特別のイデオロギーを放送しているわけじゃないわけです。民放もやっていればあるいは私たちのところには有線放送電話というものもある。そういうところでもやっている。それに政府は対価を払ってやっている。これを公共放送を自主的な立場だからといって拒否をしなければならないかどうか。私は単なる収入の便宜の手段とは考えない。納税の時期がいつになります、三月十五日が申告の時期でありますというのを、NHKが国税庁から放送料を多少収入を得るために取って放送したって、それは国民の利益になることであって、これがNHKの自主放送の妨げになるとは考えない。これはここで私は論争をしようと思いませんが、これはひとつ郵政大臣の御意見もそういう問題については聞かしてもらいたい。  それからこの問題は経営委員会に諮って、ひとつ十分討議して、NHK自体も結論を出していただきたい。これは三年間の値上げ、仮に通ったとしてもそのときになればまたこの次上げなければならないという、大問題になっていくと私は思うのです。もっと企業経営という感覚でNHKを見なければならないのではないか、私はこう思います。大臣、ちょっと御意見をお聞かせいただきたい。
  31. 村上勇

    村上国務大臣 先生の前段の、政府であろうがどこであろうとも、政府が必要によって依頼した場合に、それをただ単に無料で放送する必要はないじゃないか、こういう御意見のようでしたけれども……
  32. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 違う、違う。ちょっと大臣、もう一回。  たとえば「政府の窓」、これは総理府に百億ばかり予算があって、民放や何かには、それを宣伝してもらっているときに金を出しているわけです。あるいは。パンフレットや何か、政府のことを出しているやつがあるわけです。だから、公共放送NHKでやはり受信料政府から取って、そういうものがある放送を入れてはどうだろうか。もっとうんと簡単に言うならば、国税庁からの宣伝で、三月十五日は申告の期限でございます。どうぞ皆さん申告漏れなくと、こういうのはイデオロギーでもなければ何でもないから、政府のそういうことは宣伝料を取って、放送料を取ってやればいいじゃないか。それは受信料を上げないで済む、収入の一助になるのではないか、こういうことなんですよ。
  33. 村上勇

    村上国務大臣 いや、よくわかりました。  そのことは、私はやはり公共放送として、政府としては必要なことであっても、NHKがそれから料金を――料金によって放送するということについては、NHKの基本問題に触れることになろうかと思います。  ただ先生の先ほどから再三御意見のありましたNHKの――私はNHK技術開発した場合に、もうけてはならない、利益を追求してはならないけれども、しかし、それを適正な価格で与えることは、決して矛盾するものでもないし、NHKの公共性を云々というものではない。ですから、技術提供とかあるいは特許等の、民間なりあるいは他の国にも提供する場合でも、これは私は採算を十分とれるようにして出していっていい、こう思っております。  とにかく、利益を追求してはいけないでしょうけれどもNHKが損してそういうものを提供する必要はないのじゃないか、これは私なりに、いまその御質問を伺ってそう考えております。
  34. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、放送法のできるときのいきさつはわかりませんが、国家権力の支配にこのままNHK公共放送が屈してはいけない、そういうことで、国家権力との壁というものをきちっとつけたいという一貫した思想があったと思います。ただ、日本は民主国家ですから、これは政府高官を見つけるために、灰色高官を捜せとあれだけ世論が盛り上がり、これだけやっているわけですから、この国家は、日本は。これだけの言論の自由な国が、その自由な府を通じて決まったことを、納税申告は三月十五日でございます。これは国民に知らせる必要があると私は思うのです。そういうものから放送の実費を取ってやるということは、私は公共放送というものが国家権力に屈したとか、そういうことにはちっとも通じないと思うのです。それよりは恐ろしいのは、武士は食わねど高ようじ、収入はどこかにないものだろうかという目でもってNHK経営を見ないところに、私は根本的な欠陥があるのではないか、こういうように考えるわけです。  私は、放送法のもとに立ってこれを論争したいとは思いませんけれども、どうかひとつ、これだけ料金を上げてもまた三年持たない、また赤字になってしまう、また上げなければならぬ、そのときには大変な事態になってくると私は思いますから、もう少し経営というものをどういうようにやっていくかという視点から、NHKというものを見なければいけないのじゃないか。そういうものの一環として、さっきの対外援助だとか技術的な援助に対する実費ぐらいは取りなさい、こういうことです。それで政府機関、それから「政府の窓」こういうようなところのものは、この民主的な国会で決まったことの国民への伝達ぐらいなことは、私は国家権力によって支配されるとも考えないし、何も考えない。どうか経営委員会で、そういう視点から検討していただくようにお願いをしたいと思うわけです。郵政省もひとつこの問題については考えていただきたい、こう思います。
  35. 村上勇

    村上国務大臣 私の先ほどのお答えを補足いたしますが、御提案の、NHKにそういう政府の広報活動等の料金を取ったらどうだという御意見でありますが、先ほども申しましたけれどもNHKにこのような道を開くことにつきましては、受信料という一種の国民的な負担金によって維持、運営されるという、NHKの基本的な性格にもかかわってまいりますとともに、民放との競合関係も生じるなど、そういう幾つかの問題を生じますために、NHK料金を取って放送するということについては望ましくないものと、こう考えております。
  36. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあ、大臣は後ろの方の役所から借りてきたメモを読んだのでしょう。ところが政府ですよ、「政府の窓」ですよ。百億の予算がある。それを民放のために一生懸命われわれの税金をかけてやらなければいけないのでしょうか。だから、民放にある一定の時間をやるのに年間一億もかけているものなら、NHKだったら半額でやる、半額の金を出しましょうと言った方が、政府自体としても支出が少なくて済むし、公共放送がそういうことをやることは国民は拒否しないでしょうし、だからこれは、どうも民放との競合という問題だけではなくして、NHK経営という立場から、これだけ国会で民主的に決めたことのわずかな実施みたいなことぐらいの放送を、なぜ公共放送ができないか。せっかく小野会長経営委員会においても検討してくれる、こう言っておりますので、郵政省もその道が開けるように、郵政省なりにひとつ研究していただきたい、こう思います。そういう視点から見ると、まだたくさんあるわけです。  次の質問に移ります。  受信料の収納のことについて、これは「文藝春秋」に出ておりましたが、集金人はどのくらいおるでしょうか。それが一つ。  集金人は基本給及び請負でやっているか。その集金人の一人当たりの、基本給と請負と両方あるなら合計でも結構ですが、一体幾らだろうか。
  37. 川原正人

    ○川原参考人 現在集金に従事している人間は、協会の職員が直接外に出る者も約千名近くおりますけれども、主として委託契約によります集金の者が全国で約四千名弱ございます。それからその収入につきましては、これは原則といたしまして出来高、つまり受け持ちを何軒ぐらい受け持つか、そして一定の時期にどれだけ集金をしてくるかということによって、各人かなり差がございます。特に大都市の場合と地方の場合とでは差がございますので、いろいろ違いはございますが、平均して申し上げますと、ただいま実施しております五十年度の予算の場合、全国約四千人弱の者の平均で月々の収入が十四万円、五十一年度で申し上げますと、平均で月々のものが約十五万円ぐらいになります。
  38. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、税金を百億取るためには徴税費というものは何%に相当するだろうか、それから電電公社なら電話料を徴収するにはその徴収の費用は何%に相当するか、こういうのはみんな決まっているわけです。だから、NHKは一体この受信料を徴収するための費用というものは受信料総額の何%に相当しますか。いまこういう大まかなものしか、営業費二百三十四億七千万、約二百三十五億使っているわけです。これは「文藝春秋」をちょっと拝見したら、その八〇%だか九〇%はいま言う四千人の人が集めて歩く費用だと言っておりますが、その四千人の人が集めて歩く費用は一体幾らかかっておるのですか。この二百三十五億の何%に相当しますか。
  39. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま御審議中の五十一年度予算のそれにおいて、いわゆる集金コストを申し上げますと、集金と契約と両方合わせまして一二%ぐらいに当たるわけでございます。
  40. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、NHKはこの集金という請負者に契約の業務まで委託しているわけですか。契約というのは、NHKの人が出かけていって契約をしてくるのか、請負人に契約兼集金をやらしておるのか。
  41. 川原正人

    ○川原参考人 契約の取り次ぎのこともこの請負者にやらせております。しかし、そのほかになお特別に、契約だけを専門に調査する者も約二百数十名、これは主として都市部において仕事をさせております。それから、先ほど申しました外を回ります職員も当然、これは主としていろいろ支払いの滞っている方を中心に説得等の活動に従事しておりますけれども、この者も当然業務として契約の獲得をいたしております。全部でやっております。
  42. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 きょうはもうこれを取り上げるつもりはないわけですが、たとえば受信料不払い運動があるのに対抗して、いや、NHKとしては九八%ぐらいは受信料を徴収していると言うし、不払い運動の連中は、いや、それは九割だとか八割だとこう盛んに言っているし、しかし、その末端の契約の大事な仕事に当たる人が請負人でやっている。これは、職員を大勢使うわけにはいかないからやむを得ない、こういう措置でやったと思いますけれども、それで信頼が置けるような契約なり捕捉がみんなできているのでしょうか、それが一点。  いま一つは、この集金コスト一二%というのは、国の税金やその他のものと比べて、私は五割も六割も高くついていないかと思います。一般的に私は七%が集金コストではないかと思いますから、大げさに言うなら倍もかかっていないかと思います。その辺どうでしょう。
  43. 小野吉郎

    小野参考人 税金等と比べますことは、私は、税金がどのくらいのいわゆるコスト単価になっておるかをいま承知をいたしておりませんけれども、これは国の税金でございますので、いわゆる足でかせぐといったような種類のものではございません。進んで国民がこの義務を果たさなければならないようなものでございますので、NHK受信料の収納率との比較においてはこれはちょっと対象にならないのではないかと思います。先ほど集金と契約のコストを合わせて一二%と申しましたが、集金オンリーのコストが一二%で、これに契約コストを加えますと一四%になっております。果たしてこれが高いかどうかでございますけれども現状私はほかのそれとの関係をよく承知しておりません。少なくとも電話の料金等は、これは進んで、納入の通知に対して必要な金融機関へ行って支払わなければならないような状況になっております。そういう状況でして、あるいは振替が非常に進んでおりますので集金コストは余りかかっていないようにも思いますけれども、実際はやはりNHKと同様に原則として各戸を回って集金しなければならないような体制にありますのは簡易保険の集金でございます。これが、ちょうど厚生省ができました昭和十三年の当時、そういった契約維持、運用等の関係は逓信省に、管理事務は厚生省に分かれました。そのときに、いわゆる厚生省の簡易保険局としてそういった集金、契約、こういったコストについて逓信省へ繰り入れをしなければなりませんでしたけれども、その当時の集金の費用というものは、今日の労働条件その他の関係から言えばかなり低位のものであったと思いますけれども、私がそれを担当いたしまして、逓信省への繰り入れの料率を決めましたそれは、一円について十三銭でございます。一三%かかっております。最近のそれは、仄聞するあれでございますけれども二〇%を超えるような集金、契約コストがかかっておるやに聞いております。いまのNHKの契約、集金を合わせた一四%、集金のみで一二%、これの半額あたりで済むような状態ではとうていないと、かように考えます。したがいまして、NHKのいまの集金のそれは、この複雑な社会環境で一戸一戸回って、そこには非常にいろいろな文句を食うこともございましょう、いろいろなことをやって集金をいたしますのにこれが一二%で済んでいるということは、きわめて合理性を欠くものとは私は考えておらないわけでございます。
  44. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは私はその辺のデータをほかの集金コストと比較してありませんから……。ただ、この問題についても、その二百三十五億近い営業費の大部分はその集金のため。いま契約と集金を合わせれば一四%のコストというから、これはなかなか大変なコストについているわけです。これをもっと抜本的に――幸い郵政省もある。郵政省に委託するとか、何か方法を考えたことはないでしょうか。そうしたらどうでしょう。あるいは、契約だけはNHKの者が契約をする。田舎へ行けば、もう契約のごまかしなんてものはありっこないから、田舎はもう全然、一台据えれば何年と同じように取れますから、これはもう契約なんて用はないわけです。契約のむずかしいのは団地とか転勤族のいるところ、こういうところだと思いますから、そういうところにだけNHKの職員を特別に配置する、あとはどこかに集金を委託する。これは税金と同じようにみんな取れるわけです。これをもっと積極的に考えたのが、たとえばNHK料金もそれから電気料金も電話料金も簡易保険も何とか保険も、料金の収納公団みたいなものを末端につくっておいて、そこにみんな委託してやれば能率は上がるが、これは郵政大臣でも骨を折って各セクションのものをみんな集めてこなければなかなかできないわけですが、何らかの工夫をもっと考えなければならないのではないか、どうでしょう。
  45. 小野吉郎

    小野参考人 集金の能率を向上いたしますために、各種のそういった集金業務を一括して扱う機関ができまして、それが集めるということが有効に働けばこれは非常に結構だと思います。そのような動きがなかったわけではありません。かつて某銀行がそういう方面に意欲を持ちまして、あるいはガス料金、水道料金、電信電話料金NHKの集金料金新聞代、これを一括して集金をしょう、こういうような計画も立てられ、企画を練られてそういうことをやられたこともありますけれども、これはなかなか実現性が困難なようで立ち消えになったわけでございます。NHKとしましては、これは普通の対価主義による料金よりかなり収納上苦労を要するわけでございまして、そういう関係で、払わなければ当然供給停止さえあるといったようなほかの料金と一緒に行っても、これが円滑に集まるかどうか。絶対だめだとは申せませんけれども、きわめて困難性が伴う。こういうこともありましていまのような状況になっております。しかもこれは、郵政省への委託の関係先生お触れでございましたけれども、もともと受信料の集金についての体制は、郵政省の郵便局において外勤の方もおられますので、これに集金していただくことにほとんど依存しておったわけでございますが、その後いろいろ繰り入れのいわゆる手数料その他の関係あるいは労働条件等をめぐりまして、全逓もこういったNHKの集金まで受けることは真っ平だというような動きもございました。そういうことで現在縮小いたしまして、いわゆる特定局長を配置しております郵便局のある部分については委託制度が残っておりまして、その数が今日約三千五百でございます。そのほかに、NHKの場合やはり集金だけでなしに、NHKの企業としてのいろいろな面を理解してもらうために役立つ一つの先兵でもありますので、あとは全部委託によらないで職員でやるべきじゃないかという意見もあると思います。職員のそれは、いろいろな経過を見ますと案外能率が低いのでございます。いまの委託制度がいつまで続くかは、労働条件、社会環境の変化によって非常な問題もございましょうけれども現状で申しますと委託集金の方がはるかに成績が上がっておるというような状況でございますので、そういう面については今後の研究課題と思います。  実は今回の料金改定に伴う予算の編成に当たりましては、私は強く、そういった労働条件等によって、将来委託者が果たして要望されるように得られるであろうかどうであろうか、また社会環境のそれにつれてやはりそういう委託者によって円滑に能率が上げられるものかどうか、この辺も将来の見通しとして非常にいろいろな危惧もございますので、そういった面についてはあるいは振替口座を活用すべきではないか。そのためには銀行、信用組合等のこれだけでは足りないので、やはり郵便局の窓口でそういうことが可能なような制度がなければなりません。今日郵便局の窓口にはそのような制度がございません。そういうような関係で、郵便局の窓口でも振りかえの関係が可能になるようなこともお願いをしながら、しかもそれには口座振りかえに魅力のある何がしかの割引制度をつけて、これによって推進をしていくというような措置を実は非常に真剣に考えたのでございますけれども、諸般の事情で今回の予算編成には間に合いませんでした。そういうこともございますので、いまは直接職員による集金、委託者による集金、郵政委託による集金と三本立てになっておりますけれども、これは将来の大きな研究課題であることは間違いないと考えております。
  46. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それはひとつぜひ研究をしていただきたいが、いま一つは、やはりこれは文藝春秋に載っていたことなんですが、民間においては六〇%以上というものを委託してよそからつくってもらっている、ところがNHKは自主制作という立場に立って九〇%はみんな自分でやっている、買っているものは「刑事コロンボ」や洋画等を若干購入しているだけだ、こういうことなんです。これは経営全体の立場から考えて、もう少し制作コストを安くするとかそういう立場から、TBS並みに六割を外へというわけにはいかぬでしょうが、そういう感覚でいま少し制作費なりのコストを安くする、こういうことは検討しておりますか。
  47. 小野吉郎

    小野参考人 御説のとおり、現在自主制作の面は御指摘のとおりでございますけれども、これが絶対不動のものであるとは私は考えておりません。ただそこには、放送による責任は十分明確にNHKが負うようなたてまえでなければなりません。民放等ではかなり制作費の合理化と申しますか切り下げと申しますか、そういうような面から自主制作によるコスト高を避けて、下請等の関係で番組をつくっておられるような面もございます。しかしその関係についてのそれは、これは下請に出したのだから責任はそこだ、放送会社自体は自分が編成にタッチしておらぬ、こういうような面も例としてはあります。NHKがそういうことであってはならないと私は思います。いわゆる経営上経費のセーブに役立つような外注、これは常に検討して考えなければなりませんけれども、と同時に、どこまでも終局の責任はNHKが厳然と持つ、こういう態度は貫かなければならない、このように考えております。
  48. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今回の場合に、沖繩だけが値上げになっていないわけですね。元が安いところへ値上げをしないということになると、内地との格差はますます開いていく。一体これには何か理由があるのですか。元が安かったのだから、今度五割二分なら五割二分上げるなら、沖繩も同じ五割二分上げてやったら、格差は依然開くとも縮むことはない。沖繩の減免で収入のあるべきものが幾ら少なくなるか、その額は大体どのくらいになるのですか。
  49. 川原正人

    ○川原参考人 いま御質問ありました、もし沖繩も同じように上げたらどのくらいの収入になったであろうか。これは金額を今度の七百十円、四百二十円と同額にいたしました場合は、約五億八千万円くらいの増収になったであろうというふうに思っております。
  50. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 受信料にだんだん格差がついてきて、全免というものがあるし半額免除というものもある。沖繩は内地から比べれば恐らく半額免除に近くなっていくのじゃないか。こういうように格差をつけるならば、所得に応じて三段階ぐらいな格差をつけることの方が公平ではないか。たとえば五百万以下の収入の者、五百万から一千万の収入の者、一千万以上の者、そういうように所得に応じて格差をつけることの方がより妥当ではないかと考える。それが一点と、そういう感覚から見るならば、前田会長時分にちょっと新聞に発表等があったが、値上げをするよりは二台保有しているような富裕な家から、まあ二台分の倍取らずに一・五倍でもよろしい、そういうような取り方の方が所得に応じた、より公平な取り方ではないか。これは検討してみたでしょうか、どうでしょう。
  51. 小野吉郎

    小野参考人 いわゆる所得格差によって料金額に差別をつけたらというお話がございますけれども、その前に沖繩の関係につきまして、何であそこがそんなに低位なのか、こういういきさつでございますけれども、沖繩の返還のときにあそこは、いわゆる個々の所得の関係の高い、低いではございません、地域全体としていろいろな面でまだまだ配意しなければならないような地帯であろうと思います。それと、返還の当時におきましては受信料関係につきましても、本土と同じ料金をもらうのにはまだサービスの不均斉がございました。先島等については今日でもまだ回線がございませんので、いわゆる空輸によってフィルムで放送しておる。また総合、教育両放送系統も整っておりません。本島も教育テレビは返還の当初はなかったわけでございます。そういうこともあり、政府におかれても五年を時限としていろいろな特殊な配慮が下されました。NHK料金関係については五年間とか何年間とか有期の暫定措置ではなく、本土と同じようなサービスレベルになるまでは本土並みの料金は取れない、こういうことで差別を設けました。今日沖繩本島においては教育テレビもそろいました。FM放送も始まっております。サービスとしては本土並みのサービスができておるわけでございますけれども、その面から言えばもう料金を本土並みにしていいのでございますけれども、まだいろいろ、あの地域がいわゆる公共放送からスタートしないで、民間放送のスポンサーつきの広告料収入で立つ放送機関でスタートしておりまして、公共放送としてははるかにそれにおくれてスタートいたしましたので受信料制度に対するなじみが薄うございます。残念ながら今日収納率も本土と比べますとはなはだしく低位になっております。そういう面に対する理解を根底に築いてまいらなければなりませんし、何年間は現行料金だということではございませんし、また将来永続的に本土と差別をつける意図はございませんけれども、いま当分のところはまだ料金値上げについて本土と同じように扱うわけにはいかないのではないか、こういうことで実は特例の措置をとっておるような状況でございます。  また所得階層に従って何段階かの料金体系をつくったらということですが、これも一つのきわめて有益な御発想であろうと思います。ただどもとしては、それは人のふところぐあいでございますので、把握が困難でございます。またそれはいわゆる事収入の面に関しますとプライバシーにも関係し、あるいはメンツにも関係する問題も起きようかと思いますので、この点については、発想はなかなかいいのでございますけれども、取りにくいのではないかという感じを私は持ちます。ただ、大体台数制につきましては、確かに一台よりも二台、二台よりも三台とよけい持っておられる方によけい負担していただくということは、受信料負担の公平を期する上において最善の方法であろうと思います。現在の世界各国の放送関係の実情を見ましても、受信料制度に立っておりますBBC初めフランス、イタリア、西独、オーストラリア、こういったような大国におきましては、何か偶然の一致でございましょうか、複数台数制をとっておりません。そこには現実にどういうような事情があるのか私もつまびらかにしないのでありますけれども、いまの最も公平と見られます台数制をとっておりますのは、イスラエル初め発展途上国でございます。こういうところは台数制をとって円滑に運営されておるようでございます。これは将来の検討問題でございますけれども、この公平な制度を取り入れます前提には、各戸にわたって設置された台数を把握する有効な措置があることが必要ではないかと思います。そういうことで、過去におきましても検討しないわけではございませんでした。今回の料金改定の作業の中でもこの関係一つの方策として検討はいたしたわけでございますけれども、悲しいかな、現在複数に持っておられる世帯が全体の大体もう四〇%ぐらいになっているという推定まではできるのでありますけれども、各戸にわたって、このうちには何台ある、これを把握することは非常に至難でございます。そういうことで、理想的な公平な案ではございますけれども、にわかにこれに着手するというわけにまいっておらないのが実情でございます。
  52. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの沖繩の五億円の減免と、内地でもって勝手にNHKがやった、という言葉を使ったのじゃちょっと穏当ではないかもしれませんが、郵政大臣の許可を得てやったのでしょうが、全免、半額免除、これが約四十五億か五十億近く、合計で五十億というものを社会政策的な意味で減免した、言うならばそういうふうにとれるわけです。私はNHKが社会政策をやる必要もないのじゃないか、こう思います。もしどうしてもやるのだったら所得を三段階ぐらいに分けて最低、中、上、そういうようにすることの方が公平であって、これは勝手に四十億も五十億もNHKが減免しておいて、だから一般の受信料を上げろということはちょっと聞こえない点もなきにしもあらず、これは私は酷な話ですが、だんだん全免、減免というものを廃止の方向へ持っていって、それは厚生省なり文部省なりしかるべきところでそこの生活その他を見てやる、これが筋ではないか、昔受信料がどんどん入ってきたときの遺物ではないか、私はそう思う。どうでしょう、これは。
  53. 小野吉郎

    小野参考人 公共放送のいわゆる社会的使命にかんがみまして、NHKでは事業創始以来減免制度を取り上げております。それは、BBCがそのようなことをやっておるということも一つの先例になったでありましょう。文教政策あるいは社会政策等の関係において、そういう措置を導入して今日に参っておりますけれどもNHK財政が豊かである場合には、いわゆる受信料を負担される聴視者の方々からも、この点について奇異の感を持たれなかったかもわかりませんけれどもNHK財政的に壁にぶつかりまして、あるいは値上げをしなければならぬ、こういうような状況になってみますと、NHKが永久的にそういうふうな負担をしていいかどうか、やはり議論の分かれるところと思います。そういう面から見れば、一気にもまいりませんでしょうけれども、徐々にそういった政策の根源にさかのぼって、そういうようなところで負担がわりをしていただくということは、私どもとしては好ましい方向と思います。少なくとも社会施設関係についても、いわゆる貧困な方々とか身障者の方々とか個人対象のものはともかくとして、施設の関係等については、やはりまずそういうような肩がわりをしてもらえることを私は願っております。
  54. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がないので……。これはまだいろいろ節約すべきものがあるわけで、いまもう少し経営という立場でNHKを見るならば、先ほど来私が質問してきたことは、まだ経営改善の余地がずいぶんありそうに見えるわけです。最も大きいのはことしの予算では百四十何億でしょうか、難視聴解消に直接使っているのが五十億、保守か何かというのも合わせて百四十何億でしょうかね。最近郵政大臣の通達で「テレビジョン放送の難視聴解消の促進について」というミニサテの問題についての通達があって、これもまた共同建設でやればよかろう、こう思いますが、共同建設をやる場合にもNHKが大部分を負担して、民放にはきわめてわずかな負担しかさせない。こういうようなことをずっと拾い上げていくと、今回の値上げが月に六十億ですから年間七百二十億、それくらいな金は――いま時間がないので、私がさっきから申し上げたのをどのくらいになるというトータルをしませんが、そういうことをみんな節約なりメスを加えて、もっとNHK経営するという面で見ていくならば、私はそのくらいな予算が出てくるのではないか、こう思います。今回は提案してしまったから間に合わないのですが、少なくともこれが長もちをしないということになると、いま私が申し上げたその最たるものは――前前から申し上げておるのできょうは言いません。民放NHKも、国から援助を出して難視聴解消公団みたいなものをつくって放送電波料を取ってそういうことをやれば、これはNHKが百何億あるいは百億近い節約ができるということを含めて、もう少し経営管理という目で見ればずいぶん節約するところがあるのではないか。どうもいままで高度経済成長の上に乗っかってカラーテレビはどんどんふえていきますわ、増収はどんどんできますわ、突き当ったところで内幸町を売ったから間に合ってきたのだが、さて、減速経済のもとにあって、私はNHK経営というものを新しい目でもう少し――民間の人というのはもっと目のつけどころが違う。ぱっぱっぱっと、何だこんなつまらぬことをやっているかと言ってたちまち改善していくわけですよ。そういう目で見るならば、まだNHKにはいろいろ合理化なり経営の近代化をやれるようなところがたくさんあるのではないか。ひとつそういう目でもって、もう少し経営という目でもってNHKをもう一回見直していただきたい。これはいまおる人で自分のところを見ることは、これは特に役人ですから、役所は不可能であります。第三者がそれを見て、ここはどうだ、ここはどうだ。たとえば幸いにその一部としてはこの調査会があるわけですが、それ以外にも民間の人から見てもらう必要があるのではないか、そういうことをひとつ御努力をいただきたいと思います。  最後に一つNHK労働組合のことをお尋ねしますが、私は協約等ここで読み上げませんが、協約の第一条によって「乙の組合員は、甲の従業員でなければならない。」、したがって、私は完全な企業内の従業員組合だと思います。企業内従業員組合、こういうように思うわけです。だから、おたくの従業員がおたくの労働組合員です、八割、九割近いものは。だから、労働組合のあり方というものは、また経営管理者が社内における教育とうらはらにその方針というものは出てくるのではないか、私はこういうような考えをいつも持っているわけであります。そういう意味から見ると、私はこの労働組合の運動方針を拝見をいたしました。これを拝見すると、これを貫いているものは反体制運動であり、反体制運動がどういうようにして放送管理にまでくちばしを入れようか、そういうずっと一貫した流れであります。反体制運動に貫かれておるわけです。そしてこういう言葉も出ております。「日放労は、こうした運動の積み上げのなかから、放送のたたかいを、具体的に協会側との労使交渉の主軸に据えることを果していった。毎年のベア闘争のなかに放送制作交渉が重く位置づけられ、職場の放送運動を進める原動力となっている。」要するに、放送をわれわれが管理したい、反体制という立場から。反体制ということはここに二十カ所も出ておりますから、私はこれを一々申し上げようとしませんが、一般に素人受けする言葉ならば反安保、反基地、反自衛隊、そういうようなことから始まって、とにかく国家権力は悪である、反体制運動は善である、こういう立場から貫かれておって、そのいまの後にこういうことが書いてある。「この間「総理と語る」の放送を中止させるための抗議行動をはじめ、吉田国葬問題」云々と、こういうことでいかにして――放送の編集権というものはこれは当局にあると私は思う。侵すべからざることだと思う、労使交渉の中で。それにいかにいどむかというのが私は日放労の運動方針じゃないか。その日放労というのは、繰り返し申し上げるけれども、協約にあるおたくの企業の中だけの従業員によって組織されているわけです。私は労使は鏡だということをしょっちゅう言うわけです。労働組合の顔を見れば経営者の顔がわかる、経営者の顔を見れば労働組合の顔がわかる、そういうことはこの企業内組合においては特に言えるのではないか。この反体制運動をこうやって一生懸命で推し進めてくるのを、当局側、何の教育もしない。放送法第一条の不偏不党であるという、そういう教育ぐらい社内でやっていなければ、この労働運動は、この運動の中にも学習、労働学校学習というものはいっぱいやっているわけです。労働組合の方が一生懸命で集めては反体制運動の教育をやるわけだ。当局側は何にも従業員教育をやらなければ、ついにはこの運動方針にあるように、放送権というものまで反体制運動の中に巻き込まれていくのではないか、私はこう思いますから、従業員を放送法第一条で不偏不党、そういうものを管理者挙げてやはり教育をしなければ、NHKはとんでもないところにいっちゃうんじゃないか、こう思うわけです。
  55. 小野吉郎

    小野参考人 編集権は協会にございます。協会を代表するものは会長でございます。したがって、編集権の所在は会長に集中されるわけでございます。労働組合は労働条件の改善のために、いわゆる進んだ近代社会においてそのような利益を守るための活動を活発にせられることは当然であろうと思いますし、これは尊重すべきものと思います。ただ問題は、それが編集権に作用されるようなことがあっては、私は労働運動の逸脱であろうと思います。労働運動はどこまでも従業員の利益なり待遇なり労働条件の維持向上、これに全力を挙げられるべきだと思います。恐らくいまのNHK現状の中では、そういった関係できわめて編集権が組合運動の中にやはり非常に揺らいでおる、こういうような気持ちは持っておりません。また、そうさせるべきではないと思います。  そのためのいわゆる従業員教育につきましては、新採用者の教育もこれは三カ月ぐらいはみっちりやっておりますし、放送法の基本精神を十分にたたき込むような教育もいたしておりますし、またすでに職場に帰っておる職員に対しても、あるいは職場にあるいは研修所に集めまして、大体二年か二年半には一巡するくらいのそれで研修もいたしておりますし、また管理者研修も抜かりなくやっておりますので、この関係については編集の所在、放送法で決められた不偏不党、これの編集権の問題については誤解のないように十分に教育は徹底させておるつもりでございます。ただ組合の運動方針となりますと、いろいろ表現としては出てまいりましょう。現実にはそういうようなことで、いわゆる番組編成というNHKの本来の仕事、これを中軸にしての経営関係について、いわゆる両頭政治というようなものが許されてはならないわけでございまして、この関係については経営の問題は経営の問題で会長を頂点としてすっきり通るようなことでなければ放送法NHKに期待された使命を果たし得るものではないと確信をいたしております。
  56. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が参りましたから終わりたいと思います。ただNHKの八割、九割も占める人がみんな自分の会費を出してこの運動方針承認している。それは全部おたくの従業員なんですよ。だからそのことはきちっと考えて、この労働組合のあり方についてはまだたくさん問題もありそうですか、きょうは時間がないのでまた一般質問その他のときに譲りたいと思いますが、きちっとその辺はやっていただかないとならないと思いますので、要望だけ申し上げておきたいと思います。  終わります。
  57. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 この際、自治省大林選挙部管理課長から発言を求められております。これを許します。大林課長
  58. 大林勝臣

    大林説明員 先ほど小沢委員の御質問の中で、哲友会関係お答え申し上げました一部につきまして訂正させていただきたいと存じます。  先ほど哲友会収支報告につきまして、四十九年及び五十年中において未提出となっている旨お答え申し上げましたけれども、これはこれまでの定時公表分及び追加公表分を含めまして公表済みの収支報告の中に見当たりませんでしたために未提出と申し上げたのでございますが、その後の調査で、同会の四十九年分及び五十年分の収支報告が本年の二月五日になって提出されておりまして、現在、追加公表の準備中であることが判明いたしましたので、この際、先ほどのお答えを訂正かたがたおわび申し上げたいと思います。
  59. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ――――◇―――――     午後一時九分開議
  60. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。久保等君。
  61. 久保等

    ○久保(等)委員 ただいま昭和五十一年度のNHK予算案が提案せられて本委員会で審議中でありますが、本日は特にNHK経営委員会の工藤委員長に御出席をお願いいたしまして、御足労をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。  ところで、NHK経営委員会というものは放送法にも定められておりますが、きわめて強い権限と責任をお持ちになっておる委員会だと存じます。他の公社における経営委員なりあるいは経営委員会と比較をしてもはるかに強い権限をお持ちになっておる。すなわち、予算決算等はもちろんのことでありますが、さらには役員の報酬あるいは退職金、交際費、こういったこともこの経営委員会でお決めになることになっておりますし、さらには何といってもNHK会長なりあるいは監事に対する任命権をお持ちになっておるし、さらには、もちろんこれに対する罷免権等もお持ちになっておるようであります。そういう点では非常に高い地位とまた強い権限をお持ちになっておる経営委員会、その中で委員長をお務めになっておられる工藤委員長、すでに約七年間にわたって経営委員として、また経営委員長としていろいろNHKの最高方針の御決定等に当たっておられるわけでありまして、その御苦労を多とするものでございますが、きょうは私若干経営委員会の運営状況等についてもお伺いしたり、あるいはまた現在、先ほど申し上げましたように昭和五十一年度のNHK予算、中身はしかもきわめて重要な、いわゆる大幅値上げと言われる受信料値上げを含んだ予算、当然経営委員会でいろいろと慎重に御検討になり、御決定になったのだろうと思うのでありますが、そういうことについてお尋ねをいたしたいと思います。  経営委員会、十三名の経営委員構成しておられるわけでありますが、特に経営委員会の御出席状況等についてもちょっと資料をちょうだいして拝見したのですが、まずまず比較的各委員の方々勉強になっておられるように拝見するのです。  ただ一つ、具体的な問題で恐縮なんですけれども、鈴木俊三委員、昨年一年間ぐらいずっとお休みになっておるようであります。これはNHK事務当局の方からでも結構なんですが、どういう理由でお休みになったのか。一昨年の十二月の経営委員会以来昨年十二月ごろぐらいまでお休みになり、途中九月に一回ぐらい御出席になっておるようです。まる一年間お休みになっておるようでありますが、この事情についてちょっとお伺いしたいと思うのです。
  62. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 先生のおっしゃるとおりなことでございますが、理由は御病気で、おいでになる御意思はございましても御出席できないような状況で御出席がなかったということでございます。
  63. 久保等

    ○久保(等)委員 一年間お休みになるということになれば、これはいわゆる長期とも考えられるのですが、先ほどもちょっと申し上げたように、確かに人数は十名を超える経営委員ではありますが、経営委員会の使命なりあるいはまた責任という点から考えますと、――もちろん放送法の中には心身障害等によっておやめを願うということにもなっておるのですが、そういうことになりますと、これは経営委員会でももちろん御相談をいただかなければならぬと思うのですが、結果は、最近は恐らく御丈夫になったのだろうと思うのでありますけれども、途中で一回お出になっておりますが、まる一年間お休みになる、そういうことになりますれば、当然適当な方と交代を願うといったようなことが考えられてしかるべきなんですが、そういう場合についてこれは手続的にはどういうことになるのか。一体どういうふうにこういった問題を処理されるのか。長期にわたって――われわれは一年間ということになれば長期にわたって、やはり御病気、身体の障害ということに考えられると思うのですが、その間ただ漫然と病気がお治りになるのを待っておったということだったのでしょうか。どういう対処の仕方をしたのでしょうか。こういった問題についてNHK自体としてはどういうふうに、たとえば郵政省報告をする――経営委員の交代ということになればこれは郵政省が窓口と申しますか中心になっておやりになるのだろうと思いますが、そういう扱い方はどういうことになっておるのでしょうか。
  64. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 経営委員会の出席の状況とかあるいは審議の状況については、後に郵政省報告いたしております。ただ今回の鈴木先生の場合には、途中よくなられるような状況もあったわけでございますが、その後また手術をされまして、さらにそれが長引いたというような状況で、御出席をお待ちするというようなかっこうになったわけでございます。
  65. 久保等

    ○久保(等)委員 少なくとも途中で一回ちょっとお出になっておりますが、連続して約十カ月お休みになるということになれば、これはやはり私は長期にわたる体の故障というふうな問題だろうと思うのですね。後から結果的に見れば一年間ということになったんでしょうが、そこらの対応の仕方ももう少し時期を逸しないような形で処理をせられることが必要だろうと思うのですね。とかく委員会の運営というものはきちっとどこに責任があるかということになると不分明な点もあるだろうと思うのですけれども、しかし少なくともこういった病気で長期にわたってお休みになるというような問題になってくれば、当然交代といったようなことを考慮すべきだと私は思いますし、こういった処理の仕方についてぜひひとつもう少してきぱきとやってもらいたいと思うのですが、郵政省はこのことについて知っておられたのですか、どうだったのですか。
  66. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいま先生のおっしゃいました鈴木経営委員の御病気の状況等につきまして、詳細については存じておりませんでした。したがいまして、そういった点についての措置という点につきましては、何ら相談に応じておりません。
  67. 久保等

    ○久保(等)委員 とにかく、こういった問題は事務的な問題としても、もう少しきちっと処理をせられる必要があるのではないかと思うのです。いまの御答弁だと、おそらく連絡らしい連絡もしなかったということじゃないかと思うのですが、そうじゃないですか、NHKの方は。
  68. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 御病気の詳しい内容については確かに連絡不十分だったかと思いますが、ただ出席状況と審議状況は一月おくれぐらいで報告はいたしております。
  69. 久保等

    ○久保(等)委員 ですからそれは十三名の方々についての一括しての報告だろうと思うのですが、したがって、具体的な個々の問題等についても処理をすべき問題についてはやはり時期を失せず適当な措置をとっていくことは必要だろうと思うのです。この問題については、今後のそういったことについてはぜひひとついま申し上げたような方向で処理を願いたいと思うのです。  ところで、今度の予算は、先ほども申し上げましたように、きわめて大幅な受信料値上げを考えておるわけなんですが、当然、経営委員会としては最も重要な審議事項の一つだったと思うのです。今回の値上げ問題について、経営委員長、経営委員会でいろいろ議論せられたと思うのですが、結論的にはもちろん国会に出てまいっておる予算案に了承を与えたということなんですが、この値上げ問題をめぐって経営委員会の中でどういう議論がなされたのか。いろいろとNHK経営問題については意見もあるわけでありますし、また一般の世論の批判等もあるわけです。昨年の夏から年末にかけて例のNHK基本問題調査会等も会長のところで設けられて、それからの答申も出ておるわけなんですが、そういった中でこの値上げ問題について経営委員会としてどういう議論がせられたのか、簡単で結構でありますが、一応模様をお伺いしたいと思うのです。
  70. 工藤信一良

    ○工藤参考人 先ほど御指摘になりましたように、経営委員会の重大な責任というものをわれわれは十分自覚しておるつもりであります。微力を尽くして責任を果たしたいと思っております。  冒頭にこう申し上げておいて、今度のいま御審議いただいております予算につきましては、われわれも、経営委員会としましても値上げが含まれるということは十分察知しておりましたので、例年よりも特に慎重な態度で臨みました。御承知のように、七月に基本問題調査会が設置されましたので、これと時を同じくしまして調査会の人選にも経営委員会としては非常に関与をいたしました。執行部から出てきました人選についても十分検討いたしまして追加、修正を申し込んだということもございます。それほどわれわれは最初から今度の予算というものに重大な関心を持っておったわけでございますが、その基本問題調査会の発足と同時に、これは昨年の七月でございましたが、経営委員会もそれと並行いたしまして、予算審議といいますか、予算はまだできておりませんけれども予算の大綱、予算方針というものについて月々の定例で、ちょうど基本問題調査会と並行して審議を続けてまいりました。その間にいろいろな議論も出てまいりました。  そこで、十月の末でございますか、基本問題調査会の結論が出まして、それより前に、基本問題調査会の開かれますごとに執行部から詳細な報告を受けております。経営委員会としまして詳細な報告も受け、またその報告と資料に基づいて検討も続けてまいりました。それで最後に基本問題調査会の結論が出ました時点で経営委員会としましてもいろいろ検討をいたしまして、無論経営委員会としてはそのときにその方針を是とするとか非とするとかいうことは申しませんでしたけれども、これを十分検討いたしまして、われわれの経営委員会としての意思を執行部が予算を編成する際に十分しんしゃくして予算を編成していただきたいと思いまして、経営委員会としてのいろいろな注文事項も申し上げたように記憶いたしております。  その間に経営委員会の中で一体どういう議論があったかということについては一々申し上げることもなんでございますが、経営委員会の中には、消費者の立場から検討されておる委員もございますし、また経済学者として検討を進めておられる委員もございました。いろいろな議論も出ました。しかし結論を申しますと、赤字をさらにこれ以上大きくして、累積さしていくのは無責任きわまることであって、この際に値上げは好ましくはないけれども、ある程度値上げをして健全なる財政に立ち戻りたい。これは昨年の国会の附帯決議にもございましたように、健全な財政に立ち戻れ、健全な財政をやれという国会からの御指示もございましたので、赤字を続けていってはいかぬ、戻らなければならぬ、それについては無論これはできるだけの節約をし、合理化をし尽くした上でなおかつどうしても赤字が出るということならば値上げもまたやむを得ないのではないか、こういうふうなこれは最後の結論でございます。それに至るまでは、もう少し値上げ幅を少なくできないかとか、あるいは毎年毎年物価とスライドして決めたらどうかとか、いろいろその間において議論が出ましたけれども、最後は全会一致で今回御審議願っております予算に賛成いたしたという経緯でございます。
  71. 久保等

    ○久保(等)委員 大幅の受信料値上げをやろうとしておるわけなんですが、NHKそのものが一つの大きな転機といいますか、一つの大きな関頭に立っておりますことは申し上げるまでもないと思うのです。調査会の答申の中にもいわれておりますように、年数の面からいっても、ちょうどNHKが発足して半世紀という一つの区切りに当たる時期でもありますが、たまたま経営的な面から見ても赤字を抱えた今日の状況、そしてまた批判はますます内外から非常に強い形で出てまいっておる。     〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕 こういうときに際会して、私は、経営委員会の任務もきわめて大きいと思うのです。経営委員会NHK理事者ないしは理事会とはまた違った立場で、より高い立場でこの経営問題についてあるいはまた日常の運営問題等について直接タッチをしておられるわけなんですが、これだけの、どちらかと言えば経営委員の数も非常に多い大世帯でありますが、この運営について、事務的には何か事務局的なものがあるのかないのか、NHKの組織の中でどこが担当しておりますか。もし事務局的なものがないのなら、そういった経営委員会の事務局的な仕事はどこがやっておるのか、これはNHK理事者の方からお答え願いたいと思います。
  72. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 これは会長室の中の秘書関係のところで事務局として経営委員会の事務を承っておりますし、その責任者は私でございます。
  73. 久保等

    ○久保(等)委員 副会長がやっておるということですが、実際の事務的な先端といいますか、そういったスタッフ的なものはどのぐらいの陣容でやっているのですか。
  74. 小野吉郎

    小野参考人 経営委員会には経営委員会任命の監事がございます。現在常勤が二人、非常勤が一人でございますけれども、これは経営委員会のいわゆる活動の事務的中枢をなすものだろうと思います。ここには監事、事務局を置きまして、事務局長を配置し、その下に数名の職員を置きまして、日常やはり監事としては法律上はNHKの執行部、役員のいわゆる業務についてこれを監査する、こうなっておりますけれども、これは言いかえれば協会業務の監査に当たるわけでございます。この監査の結果は、経営委員会がいろいろ最高方針を決定される重要な基盤になろうかと思うわけでございまして、その素材を提供する事務局として十分な働きをいたしておると思います。  そのほかに経営委員会自体としての事務局はございませんけれども、これはやはり監事事務局がそういう機能を果たし得る立場にもございますので、そういったことによって十分な使命の発揮ができますし、傍らいわゆる雑務的事務関係については、これはまたNHKの事務機構とは別に経営委員会に付属した事務局を置くことも、そういう必要があるような議論もございますけれども、これはやはり場合によると屋上屋になりかねませんので、そういうことは会長室において処理することになっておるわけでございます。
  75. 久保等

    ○久保(等)委員 いま会長のお話だと、監事室といいますか監事の皆さんが事務局的な仕事をやっておられるという話なんですが、監事はこれまた監事として協会の内部監査の主たる仕事があると思うのですね。ところが経営委員会における責任なり任務というものは、私はちょっとさっきも申し上げましたが、それこそ協会の全般にわたっての、しかも大方針についていろいろと検討を加え、それからまた理事者あるいは理事会等に対して指示といいますか意見といいますか、そういったものを少なくとも出さなければならぬ非常に重要な責任のある経営委員会だと私は思うのですね。だから事務局の若干のいわゆる庶務的な仕事、こういったことのために特別事務局を置けということを私は申しておるのではないのですが、本当の意味のスタッフ的な、経営委員が十分にその責務を果たすためには若干のスタッフ的なものが必要なのではないかというふうに考えるのですね。そこらの運営については、もう少し実際責任の持てる経営委員会というものにするためには、そういった問題も検討する必要があるのではないかというふうに考えます。十数名に及ぶ経営委員という頭数の問題についても、私は若干むしろ多過ぎるのではないかという感じさえするのですね。したがって、もう少し質の面で、そのかわりにこれを補強していくということが経営委員会の今後の運営について必要なことではないかというふうに考えるのです。一般公社、公団等、公団の場合は別ですが、公社あたりにおける経営委員というのはきわめて数が少ないですね。ほんの数名。その中に総裁、副総裁あたりが特別経営委員という形で入ったりなどしておりますが、NHKの場合にはそういう形になっておらない。そういたしますと、やはり理事者と経営委員との関係というものは、一面においてはもちろん協力といいますか、しなければならぬのですが、一面においてはまた立場を違えた立場でやはり指導あるいはまた会長あるいは監事の任免権さえ持っておるという経営委員会であってみれば、やはりある程度独立といいますか、特殊な立場というものもあるわけですから、単に一体になってやっておればいいのだということでは、経営委員会を設けた意味がまたなくなってくると思うのですね。そういう点から考えますと、運営について一考を要するのではないかと思うのですが、いかがなものでしょう。
  76. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまお述べのような意見は、いまに始まったことではなく、常に出る点でございます。あるいは郵政省で、法律に基づきます放送法制調査機関を設けられましたけれども、この答申の中にもそういったことがあったやに考えられます。あるいはそれを離れましても、ひとりNHKだけでなしに、いわゆる一般のそれとしてはそういった意見もありますし、特にNHKの場合には、昭和三十四年の法改正の前には会長経営委員会のいわゆるメンバーの一人、電電公社と同じような形になっておりましたが、これは意思機関と執行機関を截然と分ける、責任の所在をはっきりさせる。しかも経営委員会NHKにおいては内部役員機構ではございますけれどもNHKの最高意思を決定する、こういう高度な使命を持った立場でもございますので、そういった使命を全うするための行動を全からしめるためにも特別な事務機構をやはり持つべきではないかということは、よく私どももその意味は理解されます。今後の検討問題でもあろうかと思いますので、現在は、先ほど申し上げましたようにそれを監事事務局に兼ねさせて政策的なものはやらし、雑務的なものは会長室でということにいたしておりますけれども、検討問題ではあろうかと思います。
  77. 久保等

    ○久保(等)委員 会長が私の所見に対して大体賛意を表したような御所見なんですが、放送法なり電波法という問題については、かねがね私が主張いたしておりますように、これは私、郵政大臣に直接前々から強く要望もしておるのですが、改正問題がもう十数年、二十年ぐらい前からの懸案事項で実はあるわけなんですが、いまだに国会に出てくる様子もないのですけれども、やはりNHK放送法改正問題に関して私がいま申し上げているような問題は、当然一面においては放送法そのものの改正をしなければならぬ問題もあると思いますが、いま申し上げましたようにかねてから電波法、放送法改正問題、根本的に改正をしなければならぬ必要性は認めつつも、なかなか政府の準備そのものが遅々として進まない状態改正されておらないのですけれども、いま申し上げたような問題は会長のお話にもありましたように経営委員会理事会、こういったものとの間の責任を明確にするという立場でいまちょっとお話があったように、途中から改正をせられた経緯があればあるほど、やはり経営委員会というものをますます権威あらしめ、また実際それにふさわしい実力を持たさなければならぬと思うのですが、それにはやはり現在のような状態で事務局的なものは理事者側の方でひとつ協力をしてやるということだけでは処理し切れない問題があると思うのですね。このことについては、経営委員会自体としても、では、法制的にどういう形にした方がいいのか、事務局の問題、あるいはまた先ほどちょっと申し上げましたが、経営委員の人数等の問題についても私はやはり検討する必要があると思っておるのですが、これは立法上の問題でありますからこれ以上申し上げませんけれども、しかし、やはり経営委員会なりあるいはまた協会そのものが、自主的な立場で法改正についてもいろいろ検討されておく必要があると思うのですね。単に郵政省だけが検討といいますか、法改正についていろいろ考えるというのではなくて、NHKみずからがそういった問題等についても十分ひとつ研究おきを願って、いま申し上げたような点についての改善方をぜひ要望しておきたいと思うのです。  次に移りますが、今度の受信料改定はきわめて大幅であるわけなんですが、従来から例の受信料不払いという問題がいつも委員会でも問題になり、また今後の問題としても一番心配せられる問題の一つだろうと思うのです。このいわゆる不払い運動が、今度のこういったようなことになりますと、またさらに一つの契機を与えることにもなりかねないと思うのですけれども、この問題については経営委員会で恐らくいままで何回か議論もされてまいっておる問題だと思いますが、経営委員長として今回の大幅受信料の引き上げというものがこの不払い運動との関係においてどういふうにお考えになっておりますか。また、不払い運動に対して今後どう対処していくべきか。基本的なと申しますか、大綱的なことについて経営委員長にお伺いいたしたいと思います。
  78. 工藤信一良

    ○工藤参考人 不払い問題というものは、今後この値上げを契機としてさらにむずかしい問題になってくるということはわれわれも十分自覚しておりまして、経営委員会においても再三討議されました。その対策として、万能薬的なものはむろんございませんけれども、よく言われていますように、どうしても国民のための公共放送ということを明確にひとつ皆さんに御認識を願うということが第一だと思います。このなには非常に迂遠なようでございますけれども、この認識なくしてはNHKだけに料金を払うということが割り切れないわけでございまして、これはもうどうしてもわれわれも全力を挙げてこれを宣伝し、かつ理解していただくという点に努めなければならぬ。これは基本問題調査会の結論としても出まして、NHKが現在まで一種のPRと申しますか宣伝活動、NHKのやっておる仕事公共放送としての大事な仕事をやり、かつ聴取料のみに頼ってNHKが存在しておるのであるという点に関しての教宣活動と申しますか、広報活動と申しますか、これが非常に弱かったということは、経営委員会においても再三指摘されました。基本問題調査会もその点に触れておりましたけれども、私いろいろな名前を申すとなんですけれども、高名な小説家に最近話しましたら、NHK政府から金をもらっているんだと信じ込んでおったのです。常識のある小説家がそうでしたが、それからまたある有名なお医者さんでございますが、この人もまたNHK政府から金をもらっておるのだというふうに信じておる。というのは、NHK予算というものは国会を通りますために、どうも国家予算と混同されておるような点がございまして、聴視料のみに頼ってNHKが存在しておるという点が見過ごされておる点がございます。今後こういう点を、聴視料だけでNHKが存在しており、しかもNHK公共放送として存在する十分な理由があり、国民全部の支持を得る、公共放送としてNHKはなくてはならぬものだというふうに国民の支持を得るということが大事でございますが、支持を得た上で、しかもNHKは聴視料にのみ頼っておるということが徹底いたしますれば、現在のこの聴視料の不払いという状況も改善されてくるのではなかろうか。今後大いに広報活動を強め、かつ、NHKが国民の公共放送であるという立場を明確にしてやっていくということが非常に大事なことだと思っております。
  79. 久保等

    ○久保(等)委員 この不払いの問題は、NHKにとって最も頭の痛い、しかも重要な問題だと思うのですが、今回のカラーの五割二分強の値上げ、あるいは白黒の三割二分程度値上げ、この問題についても、すでにいろいろと新聞で報道せられておりますように、不払いの動きが各所に出ておるやに見受けられるのですけれども、開かれたNHKとかいうようなことがやかましく言われるのですが、こういった問題等については、こういう機会にこそ、いま経営委員長のお話にあったように、比較的一般的な事情に詳しいと思われる方が案外NHKの性格なりあるいはまた受信料等の問題についても理解されておらない面があると思うのですが、ましてや一般的にまだ十分な理解を持っておられない方がおられることは十分に予想できると思うのです。したがって、あらゆる機会を通じてPRといいますか、十分に理解をいただくための努力をしなければならぬと思うのですが、わけても今回のようなこういう大幅値上げをやる機会にこそ、それこそ幹部を初め協会の皆さん方が先頭に立って、とにかく直接一般国民の中に入っていって、十分に趣旨を説明をして御理解を願う、また、そのことを通じてNHKと国民との間における信頼関係をつくっていくということが必要だと思うのですが、具体的ないろいろな動きがあった、あるいはまた現にあるわけなんですが、そういったことについてはどういうふうな手を打っておられるのか、これは協会の方に一つお尋ねしたいと思うのです。
  80. 川原正人

    ○川原参考人 確かに、昨年来私どもが五十一年度の財政状況をいろいろ検討する中で、率直に申しまして受信料値上げの話がいろいろな形で一般に伝えられまして、その過程におきまして、その受信料値上げに対して批判のある意見、あるいは不払いというような運動の形をとったものも出てまいりました。ただ、現在までの時点、私どもはこれに対しまして、原則としましては、どのような方でありましても、NHK料金、あるいは料金に限らずNHK経営、番組全般について御意見のある方については、率直に御意見を伺う、必要があればこちらから出向いていかようにも御説明申し上げるということで、特に昨年の夏以来、全国におきまして約六十数名の管理職を特に配置転換いたしまして、特別な推進チームをつくりまして、積極的にこちらからも出ていっております。すでに昨年の夏ごろから今日まで延べ八百カ所でグループの方々と特別なそういう、従来のPRと申しますか懇談会に加えまして、そのぐらいのことを展開いたしております。ただ、中に、これは数年前からでございますけれども、もともと、現在のNHKを解体する、あるいは現在の放送法規定そのものを否定をするという、ごく少数でございますけれども、そういうグループの方がいらっしゃいまして、この方々とも実はすでに数回にわたり、延べ数時間にわたりいろいろな形でお話し合いをしているわけでございますが、なかなか議論がかみ合わないというか、幾らお話ししても実りのあるお話しができないという方も、ごく少数ではございますがいることは事実でございます。この方々の中には、先般来、NHK出てこい、といいますか、説明を求めるという特別な会合等の動きもございましたけれども、私どもは、そういう現在の法の制度そのものを御否定になって、NHKを解体するんだという一つの意図のもとに行動されている方とは、従来の経験からいいまして、これ以上お話ししてもほとんど実りがない、かみ合わないという場合には出席をお断りした例もないではございません。しかし、原則としましてはいかなる場所、いかなる方にも積極的にこちらから出向いて協会の立場をお話しするし、また、そういう御批判があれば忌憚なく私ども承って、業務に反映すべきものは反映したい、こういう姿勢で対処しております。
  81. 久保等

    ○久保(等)委員 ただいま八百カ所にわたって全国的にいろいろな懇談会やらあるいは説明会等を持たれたというのですが、人数にすると大体どのぐらいになりますか。それから、放送法をもう頭から否定する、あるいはまた公共放送そのものを全面的に根本からこれを認めない、そういった諸君は、これは私は論外だと思います、率直に言って。けれども、やはりそういった動きがこれまたいろいろ波及してまいりますこと、あると思うのですが、そこらのところについてはやはりはっきりしたけじめをつけるべきだと私は思うのですが、たとえばいま言ったようなNHK解体といったようなことを主張しておられる団体というものはどういう団体があるのですか。なにだったらひとつ具体的にお聞かせ願いたいと思うのですが。
  82. 川原正人

    ○川原参考人 最初に聴視者とお話ししました回数とか人数のことを申し上げますが、私が申し上げましたのは、昨年の夏以来特に従来の運動に加えて実施した分でございまして、もともとここ数年にわたりまして大体年間千数百カ所で延べ三万人に近い受信者の方と、これはいろいろな形の懇談会がございます。あるいはNHK懇話会と申し、あるいは視聴者懇談会あるいは各種の消費者団体とのお話し合い、それから青少年の方々と特別な懇談会、そういうものを展開しておりまして、この基礎的なものが年間に千数百回、約三万名ぐらいの方と大体ここ数年ひざを交えてお話ししております。それに加えまして、実は昨年の夏から特別にそういうチームをつくって展開したものがさらに八百数十回ある、こういうわけでございます。
  83. 久保等

    ○久保(等)委員 その人数。
  84. 川原正人

    ○川原参考人 それは、実際には一カ所それほど多数の人数ではございませんので、延人員は正確にはとっておりませんが、大体一カ所数名から十数名の集まりだと思いますので、おそらく数千人という数字だろうと思います。それから、先ほど言いました特別な、NHK解体等の意図的な不払いの運動を展開しておられる方、名前といいますと、いろいろな組織があるようでございます。そして、最終的にはNHK受信料値上げ阻止のための連絡の会議というような名称で行動しておられます。ただ、これは私どもの方にもつい先日も二十何名の方がお見えになりまして、延べ三時間ぐらい私どもと話をした、といいますか、結局かみ合わない議論であったわけですが、私どもとしてはそのような運動は絶対困るし、法は守っていただきたいし、受信機をお持ちである以上きちんとその受信料を払っていただきたいと、まあこちらが説得というか抗議というか、そういう形になったわけでございますけれども、その程度のグループがございます。ただし、何人ぐらいでやっておられるか、私ども必ずしも正確にはわかりませんけれども、それほど多数のお集まりではないと思っております。
  85. 久保等

    ○久保(等)委員 いずれにしても、こういった大幅な受信料値上げでありますから、上がることについていろいろ抵抗があることは当然でありますし、またわれわれも、値上げそのものには、極力何とか節約をするなり、あるいはまた他の増収を図るなりというふうな方法でこういった受信料値上げは回避すべきだと思いますが、しかし、どうしても値上げをせざるを得ないという問題については、やはりもう少し積極的に、十分に理解を得るような働きかけをやっていく必要があるのじゃないか。たとえば集会等もむしろ積極的に開催を呼びかけるぐらいの積極性を持って、やはりこういった問題については理解を求めるという姿勢が必要だろうと私は思うのです。ましてや集まったところに出席してもらえないかというような連絡があったときに、それに対して消極的であるとかとかくの批判が出たりするようなことのないように、ひとつ十分にそういったことについて今後努力をしてもらいたいと思います。  不払い問題については時間の関係もございますからその程度にいたしまして、私、次にNHK会長に若干お尋ねしたいと思うのです。それは特に公共放送の重要な使命にかんがみて、会長NHKの最高の責任者として経営あるいは運営に当たるに当たって、これは当然放送法に決められた使命があるわけですから、その上にのっとっておやりになっておることとは思うのでありますが、NHK会長として改めてお尋ねをしたいと思うのです。重大な責任を果たす上で、いかなるお考えで取り組んでおられるのか。要するにNHKの自主性あるいは公共放送であるという立場からお考えになって、もちろん、不偏不党、公共放送としての公正さというものを確保してまいらなければならぬのは当然でありますが、具体的な問題についてもお尋ねしたいと思うのでありますが、そこらあたりのことについて、最初にちょっとお伺いしたいと思うのです。
  86. 小野吉郎

    小野参考人 NHK会長の地位というものはきわめて高いものと思います。民主国家におきまして、いわゆる特に情報化の時代に、言論、報道の自由をもって国民に必要な情報を提供する使命は、近代社会においてはきわめて高度な使命であろうと思います。放送法もそのために不偏不党、厳正中立、こういった立場を貫くように要請をいたしております。しかもそのために、法律の定めによる場合でなければいかなる介入も干渉も許さない、こういうような立場に立たされておるわけであります。NHKといたしましては、そういった不偏不党、厳正中正な立場から放送を厳然と守ってまいらなければならないのでありますけれども、その根底には、やはり今日現在の国民の幸福、繁栄に寄与するばかりでなしに、明日将来の国民の健全な幸福と繁栄に尽くしてまいらなければならないと思います。そういった面から申しますと、公共放送の歩む道というものは非常にむずかしい険しいものがあろうと思いますけれども、いかなるそういう事態にも左右されないで、放送法の期待をいたしております。また国民がこうあってほしいと期待しておられます姿勢を貫いてまいることがNHK会長としては特に重要であろうと思いますので、このためには私は万全を期してまいりたいと思っております。
  87. 久保等

    ○久保(等)委員 厳正中立の立場で公共放送を守ってまいるという会長のいまの御見解なんですが、その点は全く同感です。  ところで昨年、例の公労協に対するスト権問題をめぐって、会長はたまたま例の公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会、いわゆる専門懇と言われる懇談会の座長をやっておられて、昨年の十一月の二十六日に政府に対して答申が出されたわけなんですが、当時は、いまさら私が説明申し上げるまでもなく、十一月の二十六日から公労協が長期的なストに突入をした初日であります。その日に、もちろんNHK会長という立場を離れて小野個人といいますか、要するに専門懇の座長という立場でお出しになったわけなんでしょうが、しかしやはりNHK会長であるという認識は一般国民といえども忘れていないと思いますし、また会長としてもそういう立場は十分に念頭に置かれて座長をお務めになったものだと私は思うのです。ところがあのスト権問題そのものが、これまたきわめて政治的なむずかしい問題であり、一昨年の国民春闘以来特に注目を集めていた問題だと思うのです。一昨年の春の時期に、当時の田中総理みずからがこのスト権問題について労働組合の間とも話し合われて、当時の話ではございますが、とにかく明年の秋、すなわち昨年の秋ごろまでにスト権問題についてはひとつ前向きで決着をつけたいというようなお考えで、そのことを労働組合にも意思表示をし、一昨年の国民春闘は一応このスト権の問題についてはおさまったという経緯があったわけであります。そういたしますと、私が客観的にながめても、政府そのものも昨年の秋あたりには当然結論を出さなければならぬ。しかもそれは前向きに結論を出すということになっておったわけでありますから、少なくともその線に沿って懇談会としてもいろいろ検討を加えられたものだと思うのです。しかし出された専門懇の結論というものは、まことに意外な結論であったと思うのです。一言で言えば、要するに各公共企業体の経営形態の問題を離れてスト権の問題を論ずるわけにはいかぬということであったと思いますし、したがって、国営なり公共企業体という経営形態を離れるならばスト権というものはおのずから解決するであろうといったようなことが言われておりますが、要するに民営であればいい、民営でなければだめだという、われわれから見れば――ひとりわれわれだけではありません。この結論については、当時各新聞等が社説、論説等でいろいろ指摘しておりますように、私はあの専門懇の結論そのものをまことにどうも非常識だと実は思っております。たとえば昨年十一月二十八日の朝日新聞の社説「政治はどうスト収拾するのか」という見出しでもって書かれている中で、こういうことを言っております。「われわれは意見書の内容に賛成できない。以前から断片的に報道されていた通り、内容は経営形態優先で、労働基本権や労使関係に対する認識がまるでない。重要な時期に委員の外遊を許し、なぜスト突入時にしか提出できなかったのか。なぜ政治が対応できるもっと早い時期にまとめえなかったのか。こうした野党側の批判の方に生々しい説得力がある。内容も二年前の第三次公務員制度審議会の公益委員見解よりはるかに時代逆行的である。それはともかく、われわれが最も理解しがたいのは意見書の基本的な「姿勢」についてである。第一に、論理重点の建前をとりながら、その実きわめてイデオロギー的で、労組不信、労組敵視が強く打ち出されている。第二に、労使関係の改善は経営形態を理想的な形に変えることによって初めて実現するという。」そういった社説が出ておるのですが、当時の良識ある国民一般の理解の仕方はほぼこういったところではなかったかと私は思うのです。私は別に特別な立場に立って物を申し上げているつもりではないのですけれども、少なくとも一つの流れとして一昨年以来の一年有半にわたる経過から考えても、あの事態収拾に当たってもう少し積極的に、この中にも言われておりますように、もう少し時期を早めて十一月のしかるべき時期になぜ出せなかったのか。しかも当初のわれわれの期待は、少なくとも十一月二十五日には出ると一般に言われておったわけです。もちろん与党の自民党の一部の諸君の中には、何もスト前に出すことはないといったような意見もあったようでありますが、しかしそういった意見は別として、少なくとも事態収拾を図ろうとする誠意があったり、また専門懇にそれだけの責任感があるのだったら、私は一日でも二日でも早めて答申を出すべき問題だったと思うのです。ストをやったことによって国民も大変な迷惑を受けるわけだし、またストをやっておる諸君にいたしましても決して好んでやっておるわけではないのですが、私はそういう点を考えたときに、小野座長の責任は非常に重大であったと思うのですね。ところが、結果的には予定よりもわざわざ一日ずらして二十六日のストに入ってから専門懇の答申を出す、しかも中身は、いま言われたように、まことに非常識きわまる答申を出された。私は、NHK会長という、一面で非常に重要なポストにおられる小野座長がこういう答申を出されたことについても、好意的に申し上げても全く不可解であります。と同時に、むしろ私は当時も非常に実は憤慨をしたのであります。一体NHK会長という立場は人間的にはこれまた一体不可分のものでして、区分けをしてとやかくできる問題ではないと思いますし、やはり本質的にスト権の問題に対する理解の仕方の問題がこういう程度の御理解では、国民世論のそれこそ支持を受けた形で経営をしなければならぬNHK会長として、果たして適当であるかどうか、そういうことさえ私は痛感をしたのですが、この問題に対して会長はどんなふうにお考えですか。
  88. 小野吉郎

    小野参考人 御質問を要約いたしますと、三点ぐらいあろうかと思います。  まず第一には、不偏不党を貫かなければならないNHK会長が政治問題の渦中に陥りやすいそういったスト権の問題の座長になることが適切であるかどうかという問題であろうと思います。この点につきましては、NHKの不偏不党の精神、運営をこれがゆえに曲げることは厳に慎まなければならないことでございまして、私はそれはそのように処理してまいったつもりでございます。したがいまして、その後の実績から申しますと、NHKの放送がそういうことによって偏った状態にはなっておらない、NHKは本来の不偏不党の姿勢を貫き通した、こう私は思っておりますし、これはそのように御理解していただいておる向きが多いと思います。ただそこには、不偏不党の機関の長がそういった、場合によると非常に国論の分かれる問題の渦中にあることがいろいろな疑惑を受けないかどうかの問題でございます。これは現実の問題としてあり得ることでございますし、そういった面から申しますと、厳正公正を貫かなければならないNHK会長がそういう立場に立って誤解を受けることは避けなければならないことであったと思います。そのようなことから、この点については放送自体、NHKの運営自体にいささかの影響も及ぼしておりませんけれども、そのことだけでは足りませんので、将来はやはりそういう誤解を受けることのないような人生行動を貫くべきだ、かように考えております。  第二点は、専門懇のあの答申の内容いかんでございますけれども、これは私一人が作業し答申をしたものではございません。しかもその座長は機械的に年長者がなるということでなったわけでございますし、またNHK会長という資格によって選定される筋合いのものでございません。どこまでも学識経験者としての小野吉郎個人としての委員であり、また年長者としての座長でございました。したがいまして、私は自分の見解をもって専門懇の作業をリードいたしておりません。二十名の委員の各意見を率直にそのまま素直に集約して御答申をしたということでございます。これは、座長として全体の空気の流れをかれこれ左右するようなことがあってはならない、こういうことを座長としては厳に考えておりましたので、客観的にまた率直に、あった意見をそのまま集約した、こういうものでございます。  第三点は、その時期が非常にけしからぬではないか、こういうことでございますけれども、私もこれは非常に遺憾に思います。私も座長を引き受けました以上は、いろいろな混乱を時期によってことさらに起こすことはやはり避けなければならぬと思っておりました。たまたまアジア放送連合の総会がございまして、これには幾多の重要なそれがあり、私がアジア放送連合の総会に欠席するわけにはまいりませんでしたので、ちょうど十一月十三日に私はオーストラリアへ立ったわけでございますけれども、十二日では、それまでに出たいろいろな意見の中にはまだまだ言い尽くせない面もあっただろうと思いますが、あと十日間ばかりの予定の外国出張の間に、そのために答申がおくれるようなことがあっては申しわけない、こういうことで、立ちます前日の十二日には全体の意見の集約ははっきりいたしておきました。そして起草の委員も決めまして、後はその集約した内容によって起草さえすればいい。私は留守中にも答申が出されることを期待しておりました。またそのようなことを考えて十二日に集約を諮ったはずでございます。それがどういうわけか、二十三日に帰ってまいりますと、まだ起草も完成しておりませんでした。また起草の過程におきまして各委員の発言に間違いがないかどうかを事務局としては一々確かめておったようでございます。そういうことで日がおくれたことはまことに遺憾でございますけれども、これは私の意思ではございません。私は、十二日に集約し、起草委員も決まっておるわけでございますから、できれは月中にももう答申ができるような作業をし、期待もして実はオーストラリアへ立ったようなわけでございまして、この点は意図的に私がどうこう操作したというものでは毛頭ございませんので、何とぞその点は御了承いただきたいと思います。
  89. 久保等

    ○久保(等)委員 いや、それは会長そのものが外国へ出かけられた、これもなるほどNHK会長としてはやむを得ざる、いまお話があったような事情だったと思います。しかしそれにしてもあれだけの大変な混乱が予想せられるストを前にして、しかも作業がどうだったとかこうだったとかと言っておられますが、それだって今日これだけ電話、通信が発達している時代に、座長としてまとめなければならぬ責任は何といったって会長にあるわけです。ただ答申の中身の問題については、私は必ずしも会長の責任をとやかく申し上げようとは思っていません。これはそれこそ皆さんで議論をされて出された結論だと思います。しかし少なくとも出す日取り等の問題については、出す時期も非常に重要です。事前に出して事態の収拾を図るのか、わざわざほうりっ放しにしておいて、ストに入ってからそういう答申、しかもそれが常識的に考えられてもまずまずというような答申ならばいざ知らず、先ほど申し上げたように、世論全体としても、少なくとも納得できるような内容でないようなものをわざわざむしろ火に油を注ぐような専門懇の答申を出したと言われてもいたし方がない。しかも一般に言われておったのは、少なくとも十一月二十五日には出るであろうと言われておった。それで会長もいま二十三日にお帰りになったと言う。あのときの一日、二日というのはきわめて重要な時期であったと思うのです。ストに入るか入らないかというときに出すのと、入ってから出すというのとじゃ大変な差だと思うのです。そういったことについて、それは座長として、いやそれは結局作業がおくれて、私だけの責任じやありませんなどといったって、これは私は了承はできないのです。しかもほとんど発表してもいいようなところまでまとめておられたという話です。私は新聞で見たのですが、会長がおいでになった時期か、おいでになっている留守中だったか、新聞にもすでにもう実際発表になったのですからね。だからどこをどういう議論をするがためにわざわざ延ばさなければならなかったのか、そんなことまで一々せんさくしようとは思いませんけれども、少なくとも座長としての責任もきわめて重大です。単に意見があってそれをまとめたのが座長だ、作業もおくれたから二十六日になったのだということでは済まされない重要な問題だと思うのです。  それから、私は中身の問題について会長一人を責めようとは思っていませんが、特にそれならば二十六日に専門懇の答申を出された後の新聞記者諸君との談話、この中身は会長、一体どういうおつもりでああいう談話をいろいろ出されたのですか。
  90. 小野吉郎

    小野参考人 答申の時期につきましては、いろいろ私の責任を言われますけれども、座長のかわりには代行がおります。上村健太郎さんという方が代行しておられました。私は十二日に、あの答申の内容は全体のいろいろな意見の集約でございますので、まとめて起草されて留守中でも処理してください、こう頼んで立ったわけでございまして、私の期待としては私の留守中に答申が済んでおるということにも思い、またそれを期待をいたしてもおりました。  それはともかくといたしまして、あの後の記者会見のそれは、やはり専門懇の各委員から、記者会見のそれについてはこのように表現してもらいたい、こういうような要望がその都度ございますので、そういう関係に率直に素直にみんなの気持ちを代弁したというだけでございまして、私が特に強くそういうことを言うような意思も持ちませんし、そういうような筋合いのものではなかったわけでございます。
  91. 久保等

    ○久保(等)委員 会長、そういう答弁をしておられるのでは、これは納得できませんよ、率直に言って。特に新聞記者団との間で交わした談話の中身の問題、ここで中心になったのは、スト権ストの問題についてやはり中心になっているのですね、今度はスト権の問題を離れて。現実にストライキに入っているのですから、そのスト権ストの問題についてのお話の中にも、たとえば各国鉄なりその他の公社関係の総裁あたりがいわゆる条件つきスト権は認めるべきだという態度で大体まとまっておったと思うのですね。そのことに対して座長みずからの発言としては、そういったものは何か問題にもならぬような形の、少なくとも否定せられた見解を発表しておられるのですね。それでその日のストライキそのものもけしからぬと。ストライキそのものに対する見方はいろいろあるでありましょう。あるでありましょうが、しかも十一月二十六日という日がどういう日であるかは、これまた私が申し上げるまでもなく、座長としてこういう答申を出される片方、同じ日に、今度はNHKの基本問題調査会からあなたは答申をもらったのでしょう。同じ日に同じ手で、片や専門懇でああいう答申を出す、片やNHKで国民に開かれたNHKにしなければならぬ、国民の信頼を得るNHKにしなければならぬという答申をもらっておられる。そういう十一月二十六日なんですね。それでいて、私は会長としてまことに、何ら省みて恥じるところがないというようにお考えなのかどうなのか、そこらあたりの心境をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  92. 小野吉郎

    小野参考人 私は会長として、あるいは専門懇の座長として恥ずるところがあるような発言はいたしておりません。やはり冒頭に申し上げましたように、不偏不党を標榜するNHKでありますし、この姿勢は貫かなければなりません。したがって、専門懇の委員をいたしましてもこれははっきりNHK業務にそれが影響されるようなことが断じてあってはならないわけでありまして、それは現実に厳重に区分してまいっております。  それと、そういった意味合いにおける責任の問題その他の関係につきましては、私は分けておるつもりでございますけれども、やはり不偏不党を標榜する会長といたしましてはそういうような目に対して誤解を受けないような態度が必要であろうと思いますので、そういった面から言えば、ああいった立場には立たなかった方がよかったのではないか、NHK会長に専念すべき仕事であるほどNHK業務というものは非常に重大だ、こういうことを痛切に感じております。
  93. 久保等

    ○久保(等)委員 だから会長も、ただ答弁としてきわめて不偏不党とか云々とか言っておりますが、私はそういうことを聞いておるのじゃないのです。あくまでも現実に昨年の十一月二十六日にいま言った新聞記者団に対するあなたの談話等を述べられたその中身について言っているので、NHKにそれが具体的に結果的にどういう悪影響を及ぼしたかどうか、こういった問題は、会長がこういうことを言ったがために現実にNHKの番組がこういうふうに曲がった、そういう問題じゃないのです。やはり会長みずからの姿勢の問題だと私は思うのです。そのことを言っているのであって、影響があるかないかの問題は、これは私はまた別の角度から、また具体的な問題について判断すべき問題だと思うのですね。だから会長の少なくとも基本的な姿勢、会長の基本的な物の考え方そのものに問題があるということを申し上げておるのです。それであなたが結局省みて何ら恥ずるというか、反省する必要はないと言われる見解については、私は納得できないですよ。しかも、少なくとも二十六日にこれだけ新聞で、あなた自体が「スト権ストを非難」と言ったように各社とも報道しているのです。しかも、中身は単に一言、二言じゃないのですね。条件つきストを各公社とも幹部の皆さん方が一応了承する、むしろ認めるという積極的な態度に少なくともあの時点では移り変わっておったのです。それに対してあなたが、これまた批判を加えているわけです。と同時に、その日のスト権ストの問題に対して、これまたあなた自体の見解を表明されておる。そのことによってNHKそのものに対して何らの影響がないというふうに判断されるのですか。
  94. 小野吉郎

    小野参考人 私は先ほど申し上げましたとおりの心境でございますし、またいろいろインタビューの発言等につきましても、これはやはり専門懇の全体の意見を代弁したつもりでございますし、またそのような要望も個々にありました。そういうことでございますし、そういう面で私はそういうことに対して責任がないと言うとどぎつく聞こえます、そういうことを申し上げておるわけではございません。そういう面も含めていろいろな誤解を受ける立場に立ったことをまことに遺憾に思うということを考えておるわけでございまして、しかも各公社の総裁の言われたそれを否定しどうこうした覚えはございません。新聞の記事の論調はどうなったか知りませんが、私はそこで明確に、現実に最高責任者がそのような意見を持っておられることは十分に尊重すべきであり、十分に自分としても承知もしておるし、それはそれなりに一つのりっぱな御意見だ、こういうことはインタビューでも申しておるわけでございまして、それをやはり批判するとかどうというようなことは現実には私は覚えがございません。記者会見においても明確にそれは申しておったわけでございます。
  95. 久保等

    ○久保(等)委員 そういう答弁に終始をしている限り、私の質問とは一向にかみ合わないのですから、私は余り多くをお聞きしようとは思わないのですが、しかし、少なくとも会長のそういう言動そのものは、明らかに国民との関係において少なくとも信頼を、信頼関係を薄めてまいることだけは間違いないと思うのです。だからそれが具体的に一挙にして信頼が崩れるとかそういうものじゃないのです。不信感というものは一挙にして、一夜にして生まれてくるものじゃないと私は思うのです。少なくとも今回のこの問題に対する会長のそういう答弁については、私は納得できない。しかもあなたがそれについて相変わらず不偏不党でやっておるのだとかなんとか言われても、私の言っているのはいま言った具体的な問題についてのあなたの言明その他を指摘して申し上げているのですが、少なくともそれであなたが座長のあの立場と、あの際とった言動と、それからまた現在進められつつあるところの会長としての考え方とが何ら矛盾もしないし、常に一貫しているんだというふうにお考えだとすると、これは非常に私は甘いと思いますよ。そのことだけを申し上げておいて、私、次に移りたいと思います。  せっかく経営委員長がおいでになっておりますから、第一にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、経営委員の選出の問題についても、先般も参考人を呼んでいろいろ意見を拝聴したのですが、その際も言われておったのですが、経営委員のこの人選の問題についてやはり非常に偏っておるではないかという意見もあったのですが、そういった点は、私も、この経営委員の皆さん方の顔ぶれを拝見してちょっと考えられるのは、たとえば、民間の会社の社長をやっておられる方が非常に多いのです。委員長はもちろん言論界の方でございますから除外いたしましても、とにかく会社関係が約六人経営委員としておられるわけです。十三名のうち六名民間の会社関係、こういったようなことを見ても、非常に経営委員が偏っておるのではないかという批判もやはり一面の真理があると私は思うのです。やはりもう少し経営委員の問題については、これは先ほど来申し上げますように、最高の重要な決議機関でありますと同時に、決議機関より以上に人事問題についても、あるいはまた役員給与問題等についても直接お決めになるといったような、非常に一方執行面的な面にまで何か責任をお持ちになっておやりになっておるような、非常に大事な経営委員だと思うのです。そういう点からまいれば、この経営委員、協会の最高機関である経営委員会構成というものについては、もう少し全国民的なと申しますか、あらゆる階層をできるだけ網羅した形で考えてまいることが必要じゃないかと思うのですね。やはりいま言ったように民間の会社の社長さんあるいは関係者が顔を並べておるというだけではなくて、もう少したとえば労働組合関係であるとか、あるいはまたもう少し幅広く庶民的な立場を代表する人たちを加えるべきだ。もう少し端的に申し上げますならば、これはどうしても人事は協会という性格はあっても政府寄りの人選になるきらいが多分にあると思うのです。これはもともと国会の同意を得ているとはいいながら、やはり総理大臣が任命するわけですから、もともと推薦するところが、一体どこが推薦するかということになれば、天然自然現象ではありませんから、あるところからやはり推薦する。あるところからというのは、結局内閣なりあるいは郵政省、そこらあたりが推薦をせられてだんだん決まっていくのだと思います。そういうことになりますと、人選の問題については、率直に言って野党方面からの推薦についてもぜひひとつ今後の問題として考慮願いたい。これはもちろん私は人物本位で考えるべき問題でありますが、いま申し上げたような角度から、何か政府の一方的な実質的な推薦で決まっていくということではない、もう少し立場を変えた立場からも推薦がなされていくというような方法でお考え願いたいと思うのですが、郵政大臣からひとつ御答弁願いたいと思います。
  96. 村上勇

    村上国務大臣 NHK経営委員の任命につきましては、個人、個人を厳密にまた一律に分類することは非常にむずかしいものと考えております。したがいまして、任命に当たりましては、教育文化、科学、産業などの各方面に関する学識経験を十分に念頭に置いて慎重に選考してまいっておると思います。放送法のその線に沿って、不偏不党であり、何ら政治的に、政党的にも関係のないということが条件になっておりますので、そういう点は、もう十分考慮してまいっておると思います。これは私が決めるわけではないのでございますけれども、私といたしましても、今後とも広く各界の意向が反映するように配慮をしてまいりたいと思っております。
  97. 久保等

    ○久保(等)委員 必ずしも経営委員は不偏不党でなくてもいいのではないかと私は思うのです。たとえば、政党人であってもいいということになっているのです。ただ政党人が余り多く占めたのでは困るといったようなことに規定はなっておると思うのですが、どうですか。「委員のうち五人以上が同一の政党に属することとなったときは、同一の政党に属する者が四人になるように、両議院の同意を得て、委員を罷免するものとする。」必ずしも政党人がなってはいかぬということでもないのです、経営委員の場合。少なくとも法のたてまえはそういうふうになっているのですね。ですから問題は結局全体的なバランスがとれておるかどうかだと思うのです。ですから何も不偏不党さえ言っておればすべて解決する問題ではないんで、経営委員の場合には、明らかに放送法はいま私が読み上げたように二十条ですね。ですから私はお願いをしたいと思うのは、先ほど技術だとか文化だとか言われたが、そういったものももちろん考慮の中に入れていただいて結構ですが、階層的な面でもひとつもう少し広範な立場から選考し、推薦をするというふうにしてもらいたいと思うのです。  それからこの問題はもちろん郵政大臣だけがお決めになるわけではないのですが、しかし所管をせられる大臣という立場では、これは少なくとも何らかの形で非常に大きなかかわりあいを持っておると思うのです。NHK経営委員だからといって、だれも推薦しないが自然に決まっていくものではないのでありまして、実際問題としては所管大臣あるいは内閣官房、こういったところでいろいろ協議をしながら進められていくのだと思うのですけれども、少なくともここで郵政大臣というのは当事者という立場でぜひいま申し上げたような方向で今後の経営委員の人選についてはお考えを願いたいというふうに私は思うのですが、そのことはぜひひとつ大臣に御確認願うと同時に、これは何といってもやはり官房長官なり総理自体の問題にも関係すると思うのですが、ぜひひとつそういう立場でこれが実行せられるように御協議なりお話を願いたいと思うのです。そのことについてひとつ大臣からお答えを願いたいのです。
  98. 村上勇

    村上国務大臣 御意見ではありますが、放送法に示されておることを根拠といたしまして各界から選考するということが妥当だろうと思います。また、先ほど申しました政党と申しますのは、政党の役員はいかないということでありますので……。     〔志賀委員長代理退席、委員長着席〕
  99. 久保等

    ○久保(等)委員 NHKの基本問題調査会の答申が出ているわけですが、これが非常によく各方面にわたって現状を分析し、また今後のとるべき方途についてもいろいろ提言をせられておるようでありますが、時間の関係もありますから、いろいろ詳しくお尋ねをしたい点もありますけれども、省略をできるだけして簡単にお尋ねしたいと思うのです。  結局、先ほどもちょっと会長に強くお尋ねをしたこととも関連するのですが、問題は口の先できれいごとを並べて答弁をしてそれで済ませるという問題ではなくて、私はやはり身をもって国民にわかる具体的な行動が必要だろうと思うのでして、基本問題調査会の答申の中にも「今後の業務運営にあたっては、国民の声に謙虚に耳を傾け、意見や批判に柔軟に対応できるようにNHKの体質改善を図り、」と明らかに体質改善の必要を認めてこういうことが言われております。そして「真に国民のための放送機関としての実を上げるよう努めるべきである。」こういう指摘があるのですが、会長、先ほどのような答弁では私も若干気持ちがすっきりしないのですが、このことについてどういうふうにお考えになるか。今後のNHKの運営についての基本方針について、整理をして確認をする意味で、私は、大きく分けて三項目に分けて、ひとつ会長の確たる答弁を願いたいと思うのです。  私の方でちょっと三項目ばかり指摘をして申し上げますから、それに対してお答えを願いたいと思うのです。  まず最初に、放送の不偏不党にして公正、番組編集の自由はNHKの生命である。したがって、協会はこの使命を果たすため、番組内容や人事面等について何人の介入、干渉も絶対許さない毅然たる態度を堅持すべきであると思うのですが、その点について、余りくだくだしい答弁は要りませんが、簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
  100. 小野吉郎

    小野参考人 いま御指摘の点はまさにそうあるべきだと思います。私は、そういった面につきましては全力を尽くしまして御要望に沿いたいと思いますし、そのことが公共放送の真の姿であろうと思います。また、人事等の関係につきましても、これはやはり自主性を十分に保っていかなければならないものと考えますし、その他の放送関係の面についても、厳然とそういった面については、いろいろな圧力で揺らぐことなく、はっきりした中正な態度を示していくべきものと思います。
  101. 久保等

    ○久保(等)委員 それから第二番目に、NHK受信料制度、番組等経営全般について広く国民の意見や要望、批判を協会の事業運営に積極的に反映させるため、公開討論会、公聴会の開催や視聴者参加番組の充実を図るなど、一層国民の放送局としてのNHKに徹すべきであると思いますが、どう思いますか。  また、もう一つもついでに申し上げますが、三つ目として、中央、地方番組審議会委員構成についてはもっと広く国民各層から代表を選ぶべきである。たとえば青年や主婦、労働者といった、名実ともに開かれたNHKにすべきであると思いますが、どんなふうにお考えになりますか。
  102. 小野吉郎

    小野参考人 NHKが国民の基盤に立つ放送機関でなければNHKとしての存立の意義はないと固く考えておりますので、国民の各種の要望に対しましては、これができるだけ経営あるいは番組面に反映できますように最大の努力を尽くしていかなければならないものと思います。今日もそういうことで各般の努力をいたしておりますけれども、今日の現状をもってまだ十分とは考えておりません。一層いろいろな施策を取り入れまして、こういった面の共感を得るような姿にしなければならないと思います。そのために、あるいは公聴会とかあるいは公の懇談会だとか、いろいろな手段がございましょう。そういった面は、やはり最も御理解を得やすい有効な手段によって、開かれたNHK経営のそれをしんから理解してもらえるような努力を尽くすべきものと思います。  また、中央、地方番組審議会の委員構成メンバー等につきましても、これはやはり先ほど申し上げましたようなそういう趣旨で、十分にあらゆる意見が公平に代表されますように配意をしなければならないと思います。今日の中央、地方番組審議会のメンバー構成はそういう意味からいって必ずしも御期待に沿えるようでないことは率直に認めます。この点については今後大いに改善を図ってまいりたいと思います。
  103. 久保等

    ○久保(等)委員 それと、補足してなお要望しておきたいと思うのですが、やはりNHKの組織も、一万六千名を超える陣容を擁した、いわば大組織だと思うのですが、とかく組織が大きくなれば、少しまとめていこうとする場合には、とかく力でもって律して、何といいますか、強制的に締めていくといったような傾向が、とかく大きな組織になればなるほど出てくる。私は、やはり特にこの公共放送といったような言論機関を預かる組織は、第一線といいますか、職場の従業員そのものが非常な意欲を持って取り組んでいくことが必要だと思うのです。お役所仕事と違って、特に言論関係仕事ということになれば、人間のそれこそ直接能力に関係する問題でありますだけに、いわば通り一遍の事務的な処理のできる問題ではないと思うのです。したがって、職場で労働意欲といいますか、あるいは事業に対する意欲的な、積極的な気持ちで働くか働かないかによってこれは雲泥の差が出てくると思うのです。そういういわば現場に生きた、躍動する労働意欲といいますか、使命感に燃えた形で職場の従業員が任務に当たってまいるという状況をつくり出すことが非常に大事だと思うのです。しかも、先ほど来申し上げるように公共放送が自主性を持たなければならぬ、また、権力あるいは他からの圧力に屈してはならぬというような性格のものであればあるほど、また内部的にもひとつぜひ職場の職員、職場の担当者が本当に伸び伸びとした気持ちで取り組んで仕事がやれるような雰囲気をつくると同時に、またそういうことに格別な配慮を願いたいと思うのです。労働組合そのもののことについては、これは労働組合労働組合としての自主的な運動としてやっていくことは当然だと思うのですが、こういったことについても、したがって、不当労働行為だとか何とか言われないような配慮も当然私は十分にしていかなければならぬと思うのですが、特に職場でのそういった労働意欲ということに対して、ひとつ格別の御配慮を願いたいと思うのですが、そのことについてひとつお答え願いたいと思います。
  104. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまの御質問の趣旨、私も全面的に賛成でございます。組織が膨大化しておるために半身不随になって、そのためにいわゆる職員の士気高揚が阻害されるようなことがあってはまことに国民に対して申しわけないと思います。本当に国民の皆さんにいろいろ尽くしてまいらなければならないNHK経営といたしましては、いかに仕事が膨大であり、組織が非常に膨大で複雑で、非常にそこにいろいろな問題点がありましょうとも、それを乗り越え乗り越えて、内からやはり国民に対して十全なサービスをするという旺盛な職場意欲が盛り上がらなければなりません。そのためには職員制度その他いろいろ配慮を下さなければならない点が多々あると思いますけれども、そういった面はいろいろ有効な施策を検討、実施いたしまして、御期待に沿えるようなNHKにしてまいりたいと思います。
  105. 久保等

    ○久保(等)委員 それじゃ、時間もありませんから次に難視聴問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、郵政省の方でこれまた二年有半にわたっていろいろ検討をしてもらっておったテレビジョン放送難視対策調査会、昨年これの答申が出たようでありますが、従来からこの難視聴問題に対しては郵政当局の方では、遠からずこの調査会で答申が出ることになっておるので、答申が出れば具体的な施策をまた考えていきたいといったようなことも過去委員会等で答弁をせられておるようでありますが、長い間かかって、しかも専門家も交えた小委員会等も開いてこの調査会の報告書が出てまいったようでありますが、この中に行政上の措置あるいは立法上措置すべき問題、大きく分けてそういった問題があるようでありますが、時間もありませんから余り詳細な報告は要りませんけれども、行政上とった当面の措置あるいはまたきわめて将来とるべき問題、あるいは立法上の問題、そういったことについて、どういう問題をお考えになっておるのか、あるいはまた、おやりになったことについても、簡単にひとつお答え願いたい。
  106. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  昨年の八月にテレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書が郵政省提出されたわけでございます。これを受けまして、郵政省といたしましてはこの難視聴解消対策に省を挙げて取り組もうということで、その直後に省内に難視聴対策委員会というものを設置いたしまして、その委員会において今後の対策の検討を進めているというところでございます。  現在までにどのような行政上の措置をやったかということでございますが、大体大きく分けまして四つほどございます。  一つは、昨年の十二月でございますが、これは極微小電力テレビジョン放送局、いわゆるミニサテ局と称しておりますが、これを実用化すべく省令の改正を行ったわけでございます。これを契機といたしまして、ことしの一月でございますが、郵政大臣から一般放送事業者、それから民放連の会長、こういう方々に対しまして、今後難視聴解消の一層の促進を図っていただきたいということを要望いたしました。  それから都市の受信障害解消でございますが、これにつきましてはことしの三月に、当面やはり都市の受信障害解消は、共同受信施設によらざるを得ないだろうということでございますので、その共同受信施設の設置によりまして受信障害を解消することについての当事者間の協議というのをどのようなたてまえで行ったらいいかというものについての当面の基準的な考え方、これを示した指導要領というものを各地方電波監理局に通達いたしました。そして今後それぞれの地方におきますこの問題の解決に資するということでございます。  それからもう一つは、ことしの二月でございますが、NHKに対しましてSHF帯放送に関する実験局の開設の免許を与えました。これは実はこの調査会の報告書の中にもございますように、都市の受信障害を有線によって解決する方法と同時に、無線による解決方法も考えるべきであるということが述べられております。それを受けまして、私たちの方で検討しました結果、SHF帯を使って都市の受信障害の解消ができないかということでこの実験を開始したところでございます。  以上のようなことを実施したところでございますが、立法上の問題につきましてはなかなかむずかしい問題もございますので、今後はさらにこの委員会におきまして、検討結果などに基づさまして今後の諸施策を講じてまいりたい、かように考えております。
  107. 久保等

    ○久保(等)委員 立法上の問題については、これは単に郵政省だけが検討するなりあるいはまた法案の改正案等を準備すればいいというだけではなくて、たとえば建設省あたりの建築基準法ですか、そういったものとの関連における法改正等も考えてまいらなければならぬ面があるんじゃないかと思うわけですが、そういう点では、だから政府間においても横との連絡を図りながら、立法準備をしなければならぬじゃないかと思うのです。したがって、単に電波を、放送法をいじればいいという問題だけではなくて、そういう問題もあるのじゃないかと思うのですが、電波監理局長ちょっとその点について。
  108. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先生からただいま御指摘ございましたように、最近のこの受信障害の態様というものは非常に複雑化してきております。したがいまして、これを抜本的に解消するためには当事者間の解決ということを前提とする指導要領などでもおのずから限界が参ります。調査会の報告書におきましても、いろいろな方法が提言されておるわけでございますが、その一つとしてやはり集団的解決策として基金方式のようなものをとったらどうだというような、制度的な解消を図ることが望ましいというような意見もございます。  ただいま御指摘ございましたように、このようなことになりますと、やはりこれはただ郵政省だけではなくて、建築主だとか国とか地方公共団体放送事業者、さらに受信者、こういうようなものの関連性をどういうふうにするかということになりますと、非常に幅広く関係者が出てまいりますので、その点、立法的にはあらゆる方面と折衝しながら解決していかなければいけないのではなかろうか、かように考えております。
  109. 久保等

    ○久保(等)委員 それじゃちょっと一言だけお尋ねして、私の時間が来たようでありますから、ぼつぼつ終わりたいと思うのですが、日本盲人福祉研究会というのがあるようですが、この会長本間一夫さんから、NHK会長あてに陳情が出ておるようです。ことしの二月三日付で出ておるようですが、中身は「NHKの番組内容紹介のための点字刊行物発刊のお願い」という見出しで、もちろん盲人の方々がテレビを直接見るわけにはまいらないわけですが、せめてNHKの番組の個々の内容、たとえば出演者の横顔だとか取材時のエピソード、解説などを掲載した点字誌を発行してもらいたいというような要望が出ておるようですが、私もこういった非常に目の不自由な方々に対して、今日これだけテレビが国民全般に普及をしている反面、身体障害のために十分とはもちろんいきませんが、十分でなくてもある程度そういった刊行物によってテレビそのものに対する便益が受けられるならば非常に幸いではないかと思うのでして、できればこの要望に対して沿えるような措置をとったらどうかと思うのですが、すでに二月にNHKの方にこういった陳情が出されておりますだけに具体的に措置を考えておられるのかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
  110. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生のお話しのようにNHK会長あてにそういう御要望をいただいております。  われわれも目の御不自由な方に対するサービスとしてできるだけのことはしたいという気持ちはもちろん十分ございますけれども、現実の問題といたしまして、現在NHKで盲人の方々の放送利用の便を考えまして、毎年一回でございますけれども、点字の週間の時刻表をつくりまして、それを全国の盲人の施設、学校あるいは御希望のありました個人の方々に配付いたしております。  ただ、今回の御要望はその週間のスケジュールのほかに、できたらば一週間に一遍ぐらい番組の、いま先生がおっしゃったような中身の刊行物をという御要望でございますので、これは現実の問題としますと、なかなかまだ、すぐ御要望に沿うような形での御回答がしかねておるわけでございますけれども、なお、一般の点字の刊行物、たとえば点字毎日であるとかあるいは点字ジャーナルなどに対しまして、NHKから資料を提供いたしまして掲載方をお願いいたしておりまして、一部そういう点で、点字毎日あるいは点字ジャーナルで御協力ただいておる事情がございます。ただ、御要望に沿うことの点につきましては、まだ具体的な御回答を申し上げかねておるわけでございますけれども、現場において、なお接触をとりながら検討させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 久保等

    ○久保(等)委員 じゃ最後に、この福祉研究会の方では「有料、頒布されることはいっこうにさしつかえないと考えております。」と言っておられるわけでして、「英国のBBCでは盲人のために、テレビ・ラジオの番組内容を紹介する雑誌を、英国盲人援護協会に託しております。五千部を印刷し、全英の盲人に配布しているとのことです。」というように書かれているのですが、金を出してもいいからひとつつくってもらえぬかという要望のようでございますので、ぜひひとつこの要望に沿えるように考えてもらいたいと思うのです。お答え願いたいと思います。  終わります。
  112. 坂本朝一

    ○坂本参考人 確かに先方も、先生がおっしゃいますように有料でもいいんだというふうにおっしゃっていただいておるわけでございますけれども、いま例にお引きになりましたBBCの場合は、BBCの外にそういうボランタリーの協会がございまして、そこがいわば経費その他についてのバックアップをいたしてくださっておるということでございますので、NHKの場合も、NHK自身がそういうことができますかどうかということも含めまして、外部のそういういろんな諸団体とのアプローチもいたしまして検討していきたいというふうに考えております。
  113. 久保等

    ○久保(等)委員 終わります。
  114. 伊藤宗一郎

  115. 松浦利尚

    松浦(利)委員 このNHK予算というのは非常に重要なものであって、大切な議論をしなければならない案件だと思うのです。しかも、国民がNHK予算に接触する舞台というのはこの国会以外にないわけであります。しかも、国会には修正権もないわけであります。そういう状況で、しかもできるだけ速やかに通さなければならぬという厳しい情勢にもありますから、質問をさしていただきたいと思います。  先ほど私が申し上げましたように、会長、この姿を具体的に数字で挙げると問題がありますから申し上げませんが、やはりNHKをまじめに国民の立場に立って考えておる姿というのが正直に私は反映をされてくるのが委員会だ、国民が負託をしておるわけですから。その点をあなたは、NHKの幹部はよく見ておってくださいよ。そうしなければあなたたちは間違いを犯すのではないかという気がしてならぬのです。  そこで、きょうの質問の論点、一つ予算の問題、一つ公共放送としての公正中立という問題、この二つにしぼって質問さしていただきます。  そのまず第一点の予算の問題でありますが、このNHK予算が年度内に成立をしなかった場合、政府は三カ月の暫定予算NHKにつくることを認めておる。しかし、いま仮に三カ月の暫定予算が執行されている間に新年度の予算が通らないという状況も私たちは想定し得るわけですね。そういう場合に一体どういう対処の仕方をすればいいのか、NHKとしてどう対処をしていこうとしておるのか、その点について郵政省側の意見を大臣から的確にお答えをいただきたいと思います。暫定予算三カ月編成した以内に新年度予算が通らなかった場合はNHK予算というのはどういう状態になるのか、これがまず第一点。  それからNHKの聴視料は国会の議決を経るということになっておるわけですが、国会の議決を経なかった場合は、個々人の聴視者というのは、受像機を持っておる聴視者というのはNHKとの間に私契約として聴視料を契約しておるわけですね。国会の議決がなかった場合、その私契約に与える影響というのはあるのかないのか。ないとすれば旧料金の徴収は可能なのかどうか。しかし徴収はできるが、国会で予算案の承認がないのに対して支出はどうするのか。その点について正確にひとつお答えただきたいと思うのです。
  116. 村上勇

    村上国務大臣 放送法上暫定予算は三カ月以内に限られておりますので、本予算承認がないまま三カ月を経過した場合には、七月一日以降NHKについては本予算の国会承認もなく、暫定予算の認可も受けることができないこととなります。その結果、NHKの正常な業務運営のため必要な国会の承認を経た収支予算、事業計画が存在せず、また受信料につきましてもその月額の定めがないこととなりまして、法律の予定しない異常な事態を迎えることとなります。  受信料につきましては、その月額が放送法上収支予算の国会承認によって定まることとされておりますために、収支予算の国会承認がないまま三カ月を経過した場合、七月一日以降は法律受信料月額が定まらないこととなりまして、受信料を徴収することはきわめて困難であると考えられます。
  117. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、受信料の旧料金の徴収もできないということになれば、NHKは何もできずに会長以下もう、ということになるわけですか。
  118. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から申し上げましたように、三カ月を過ぎまして七月一日以降になりますと、法律では不可能な状態になるわけでございます。
  119. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だから具体的に私は聞いておるのです。  不可能になるということは、NHKがもうなくなる、率直に言うとなくなる、こういうことでしょう。
  120. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 たてまえとしまして、NHKは存在するわけでございますが、事業ができなくなるということでございます。
  121. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは電波局長、電波法では許可された電波をみだりにとめることはできないことになっているわけですね。ですから、予算がなくなったから執行できない、NHKはあるけれども執行できないということは、電波が出せない。そのときに、あなたの方に電波が出せなくなりましたと言ったときに、NHKに対してそれじゃ認可の周波数の取り消しや何かやるのですか、常識的に言って。
  122. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 そのような状態になりますと、NHKの方では業務が休止せざるを得ないということでございますので、NHKの方から休止届けが出てくる、こういうことでございます。
  123. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ですから、そういう異常事態というのをNHKは解釈しておらない。この法律のたてまえは、そういう異常状態はないという前提でこの予算というのはつくられておるのですよ。いいですか。そのことはなぜか。それはNHKというのは受け取り方のいかんの相違はあったにしても、法律のたてまえは、受信契約をした国民がNHKを支えておる。そのことが前提なるがゆえにそういう異常事態はないと判断してつくられたのがこの法律なんですよ。そうでしょう。ということになれば、NHKの現在の皆さん方は国民に対してどうあるべきかということをまず念頭に考えなければならぬでしょう。そのことは、会長どうですか。
  124. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘のとおりでございます。
  125. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではNHK当局にお尋ねをいたしますが、NHKが五十一年度の予算を御議論なさって国会に提出する手続をしたときに、討論の過程における、結果は別ですよ、われわれの耳に入った中では、今度の値上げ幅は非常に大きい、大きいから野党が反対するだろう、反対はしてもかまわぬから、与党だけでもやったらどうかという意見があった。しかし、最終的には、結果は別になったけれども、過程で幹部の中でそういう意見があったという事実を私たちは耳にしておるのですよ。そういう事実があったですか、なかったですか。
  126. 小野吉郎

    小野参考人 それは毛頭ございません。何かの誤報であろうと思います。
  127. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういうのが誤報である。確かに出てきておる結果は違う。討論する過程ではそういう議論があったということを私は耳にしておる。立ち会っておるわけではないから、私はここで具体的にそのことをいろいろ申し上げようとは思わない。いま会長が、あなたがそういうことはなかったと言うから、あなたの言うことを私は信じたいと思うのです。しかし仮にそういう人がNHKの幹部の中におったとしたら、あなたはどうしますか。
  128. 小野吉郎

    小野参考人 そういう役員はいないと思います。私も予算の編成前に基本問題調査会の答申を受けまして、この答申の中には、国民的合意を得るようにと要請されております。私は、明確に国民的合意を得ることは、具体的にはやはり一つの制度のたてまえからいって、国会における全会一致以外にはない、このように断言をいたしております。
  129. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま小野会長が言われたことは非常に大切なことなのです。NHK予算というのは、国民がただ一つ接触する機会にあるこの議会、ここに来ておる議員、その人たちが国民の意見を負託されてここで述べておる。基本問題調査会の中山先生が答申なさった、あまねく国民の同意を得なさいというのは、まさしく、形は違うがこの議会の満場一致の同意というのが絶対に必要だということを教えておるのですよ。これからもそのことを守っていきますか。
  130. 小野吉郎

    小野参考人 これは断固として守っていかなければならないものと思います。
  131. 松浦利尚

    松浦(利)委員 言葉のやりとりで私は言っておるのではない。これからNHKが公正中立であるという場合は、議会におけるどんな場合でも満場一致。仮に一部の政党が反対するというようなときには、あまねく国民の同意を得るという努力をする。場合によっては値上げを見送ってでもいいから同意をする。そのことが公正中立を守っていくただ一つの道である。私の言っていることに間違いがあったら否定してください。同意されるなら同意と言ってください。
  132. 小野吉郎

    小野参考人 完全に同意をいたします。
  133. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは大臣にお尋ねしますが、先ほど久保委員からも指摘をいたししましたが、例の昨年のスト権専門懇の座長に小野NHK会長が選ばれました。いま私とやりとりしましたように、会長というのはこういう国会審議の中では異例の満場一致を前提とした予算を預っておるNHK会長だ。少なくともこの人は中立、公正な人だ。NHK会長というのは少なくとも中立、公正の人だ。なるがゆえに、非常に意見の多い、賛成、反対の非常にふくそうしておる、しかも政治絡みのスト権専門懇という厳しい対立の中の座長には最もふさわしい人だ。そういう意味で選ばれたのが会長その人だった、こう私は思うのですね。それは会長個人がどうこうではない。NHKという機構の会長だからこそ――大体公正というのは、真ん中というのは御承知のようになかなかおらないですね。中立的な人というのはなかなかおらない。選んで選んで選び抜いて中立だと思われたのが小野会長だと私は思うのです。そうでしょう。大臣、どう思われますか。
  134. 村上勇

    村上国務大臣 私もそう思っております。
  135. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、いま大臣から言われたように、あなたはそういう意味で座長に選ばれたということを意識していましたか。
  136. 小野吉郎

    小野参考人 私はNHK会長の資格で選任されたとは思っておりません。
  137. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたは言葉のやりとりで政治家のような発言をしたらだめなんです。先ほどから私の言っておるようにNHK会長として選ばれたと言っておらないでしょう。NHKという中立、公正、無私の機関の会長をしておられる小野個人だから、だからこそ中立性を保てるだろうと思って、あなたが選ばれたのですよ。あなたのような、いまのような考え方でおるから間違いを起こすのですよ。あなたは基本的にそこに間違いがあるんだ。私はNHK会長として選ばれたのではありません、小野個人で選ばれたのです――そんな人ならどこにでもたくさんおる。何もあなたでなくてもいいんだよ。しかし、政治的に非常に厳しい接触点にある重要な問題だから、ここでいえば自民党と社会党と反対をするような、そういうところだから、人を得るにも非常にむずかしい。だれを選ぶか。そうなれば、さっきも言ったようにこの法律のたてまえからいっても、中立、公正であるべき機関の長、ここにおる個人小野というのが中立だろう、そう思ってあなたが選ばれたのですよ。あなたはいま、私はNHK会長として行ったのではない、こう言い逃れたけれども、あなたがそういうことを言えば、まさしく先ほどの大臣の答弁と食い違う。あなたを選んだということは政府のミステリー人事だよ、そんなに言うなら。大臣はそうは言っておらないのですよ。そういうことを言うから、NHKがとかく偏向しておるとか、いろいろな議論が右から左から出るのですよ。いまの発言は、あなた、訂正する意思がありますか。
  138. 小野吉郎

    小野参考人 私は発令のその真意まではよく知りませんので、そういうこともあり得ることでございます。そういう面においていわゆる専門懇の座長としては中正、公正にやはり意見の集約をすべきだという任務を託されたことは、そのとおりであろうと思います。
  139. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは先ほど久保委員指摘をしておりましたが、結果をまとめて結論が出ることは私はやむを得ない。多数の意見がそうなったのだから。その結果に対しての意見はそれぞれの立場によって違うと思う。しかし少なくともその座長であるあなたが、しかも中立、公正であるべきあなたが、先ほど久保委員指摘したような新聞記者会見で個人の意見を付して記者会見に臨まれる。先ほど私が聞いておったら、いや、記者会見へ出てもいろいろひもがつくから、こういうふうに言われたけれども、そのこと自体が結果に対して中立ではないのですよ。極端な言い方をすると、最高裁の判例にしたって少数意見というものを付すでしょう。あなたはそれすらも行っておらない。むしろあなた自身は先ほど久保委員指摘したような発言をして、そのことが記事になっておる。先ほど私はいろいろ聞いておったら、あなたはそのことに対して何らの反省の意思もない。むしろ言葉だけでやりとりをして逃げようとしておる。私は、公正、中立なる者が間違ったときには、間違えました――われわれに謝るのではない。あの結論に対して反対をする人も聴視料を納めておるんだ。いいですか。ここが大切なところです。それに追い打ちをかけるように、あなたがそういうことを言ったときに、その聴視料を払っておる人が、何だ、NHKは偏向しておるじゃないか。NHKの機関というものは偏向しておらない。しかし軽々に会長個人がそういう発言をすることによって、NHK自体が、何だ、右寄りじゃないか、けしからぬではないか、偏向しておるじゃないか。こういう批判を受けるということではあなたは重大な責任を問われなければいかぬのですよ。私はそういう意味で、言葉のやりとりでない――先ほどから座長にこれからはならない、結果に対して反省は確かに出ておりますね。それは私は認めます。しかし、そういう経過をたどってきたことに対するあなた自身の反省がない。だからこそ各野党の議員が厳しくあなたを追及しておるのですよ。その点について、私はあなたがとってきた行動について――あなたも言いたいことがあるだろう。個人的に意見はたくさんある。しかし少なくともNHK会長である。しかも満場一致というものを前提とした予算を預かっておる会長なんです。あなたは過去のそういうものに対して、いままでの経緯を踏まえて反省をする意思があるのかないのか。私はそのことは決して恥ずべきことではないと思うのです。恥ずべきときには勇気をもって国民に謝罪をすべきだと私は思う。その勇気がないところに公正中立は保てません。私は、明確にその点について返事をしてもらいたいと思います。
  140. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘のとおり、いわゆる公正中立であるNHK会長としてはいささかの誤解も受けてはならないと思います。その意味におきまして、結果だけでなく、途中の経過につきましても私は非常な反省をいたしております。済んだことですからあれですけれども、いまに至って考えますと、ああいう立場に立たなかった方がいい、かように考えておるわけでございまして、それは結果論としてのそれではなく、やはり深い反省を持っておることは率直に私は申し上げられます。
  141. 松浦利尚

    松浦(利)委員 われわれに反省をしておるというふうに言っておられるけれども、やはり国民に対して、間違っておったと、そういうことをはっきりさせるべきじゃないでしょうかね。
  142. 小野吉郎

    小野参考人 私は、国民の代表機関であります国会の場において先ほどの発言をしたわけでございます。
  143. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、私はわれわれの内部でいろいろな意見を聞きます。これは自民党の皆さんには議論としてお聞き流しをいただきたいと思うのだけれども、あなたは田中さんが郵政大臣のときの事務次官だった。だからあなたはどうも自民党でも田中さん寄りだ、そういううわさが出るんですよ。私はそうじゃないと思う。だから、そういう意味では、私は、どういう経歴であってもなくても、一番必要なことは、現在与えられておる任務に対してどうかということがその人にとって一番大切な評価の問題だと思う。過去がどうあろうとそんなことは関係ない。特にNHK会長以下幹部の皆さん方が、過去の経歴ということじゃなくて、本当に国民の立場に立って、NHKという公共放送を預かっておるのだ、そういう気持ちに全体が統一されなければならぬと私は思う。いまいろいろな誤解が出ていますね。そういうことについて会長の御見解を承っておきたいと思います。
  144. 小野吉郎

    小野参考人 人間は、経歴その他におきましていろいろな経過をたどります。そのたびごとに世間では色をつけやすくございます。私は、そういった面については決して、世間ではどう言われましょうとも、私自身として、あるいは専務であれば専務、副会長であれば副会長会長であれば会長として、やはり公共放送に携わる責任的地位として、そういうような色には関係なく公共放送の使命に徹すべきであろうと思います。私ばかりでなく他の役員も御指摘のとおり同様であることが、これが絶対必要であろうと思います。
  145. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、さらに具体的な事実としてお尋ねをしてまいりたいと思うのですが、実はきのう、NHKの非常に評判のいい、視聴率の高い「ニュースセンター九時」の磯村さんの話を聞いておりました。あの放送を聞いて、私はあわてて私の党の政策審議会の事務局の書記の皆さんに、どういうことなのかすぐ調べてみてくれと、調査をいたしました。週刊誌にいろいろなことが出ておるそうであります。それは、あの方はNHKの非常に評判のいい番組を担当される解説者でありますから、あちらこちらに講師に来てもらいたいということで行かれるのだそうであります。あるところで話をされた。ところがその話の中に、どうもロッキード事件にかかわる人は三十二名おるらしいという発言をしたことに対して、相当な圧力をNHKのある人がかけておる――名前は知りませんよ、週刊誌には具体的に書いておらぬですから。そこで、要するに磯村さんはやめるかもしれないという記事が、これは類推記事ですけれども、書いてある。しかも、きのうの「ニュースセンター九時」で、あの人は非常にアドリブの出る人ですけれども、ぱっとそれが出た。そのこと自体は何を教えておるのか。ロッキード事件ということを外で言ったら直ちに圧力がかかるという事実を教えておるのじゃないですか。いまマスコミは、ロッキード事件というのは、国民の総意を受けて、もう必死になって努力をしておるんですよ。いま、確かに国会の政治経済情勢の動きも重要であります。しかし、社会事件のトップは何といったってロッキード事件でしょう。ロッキードを抜きにして今日のマスコミはないんですよ。必死になってテレビ新聞も一生懸命国民の立場に立っていろいろな情報を提供しておる。そのことを一NHKの人が外で言ったら、そのことに対して圧力を受けるということは一体何を物語っているんですか。そのことは、どういうことがあったというふうにあなたは思いますか、あなたも週刊誌見ておられると思うのだけれども
  146. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま先生指摘の、そのロッキード云々ということはこの場で初めて伺ったことでございまして、磯村君が外部に講演等をいたしますことは、勤務に差し支えのない限りしておるわけでございますけれども、そこでそのロッキードの問題を話して、そのために圧力がかかったというようなことは私は絶対ないというふうに信じたいと思います。
  147. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私も信じたいんですよ。あなたと一緒なんです。ところが、出席したのはロータリークラブなんですよね。あの人が行ったのは、経営者の集まりなんです。週刊誌で書いておるんですよ。あなたはきのうの「ニュースセンター九時」を見られましたか。
  148. 坂本朝一

    ○坂本参考人 見ました。見ましたけれども、冒頭で磯村君が週刊誌、正確な表現は必ずしも覚えておらないのですけれども、週刊誌でいろいろ言われているけれども自分がやめるというようなことはない、というふうな意味の発言をしたように記憶しております。
  149. 松浦利尚

    松浦(利)委員 磯村さんがあの発言をなさって、私が週刊誌を調べてみたら、そういうことが書いてあるんです。絶対に磯村さんに圧力がかかったことはありませんね、個人の名前を挙げて恐縮ですが。
  150. 坂本朝一

    ○坂本参考人 絶対にございません。
  151. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は磯村さん自身の意見を聞いておりませんから、また、磯村さんという人は圧力を受けても圧力を受けたというようなことを言う人じゃない、自分でやっていける人だから。私は、その一言を見て、いろいろといまのNHKの内部を、どうなっておるのかというのを調べてみた。新聞の報道も全部スクラップをしてみました。ところが、この前ロッキードにかかわる二十八名の政府高官名が「赤旗」に記載してあったという、「赤旗」がそういうふうに報道をしておるという報道をした。ところがそれが自民党の総務会で大変に問題になった。その後NHK内部でいろいろな意味で機構改革、そういったことをなさったですか。その後なさらなかったですか、しなかったらしなかった、したらした、簡単に会長でなくて結構ですから、責任者の方御答弁ください。
  152. 小野吉郎

    小野参考人 このために機構改革はいたしておりません。ただ欠員になっておりました副編集長の補充はいたしました。
  153. 松浦利尚

    松浦(利)委員 副編集長の補充はなぜなさったのですか。
  154. 小野吉郎

    小野参考人 当然制度上は二名になっておるわけでございますけれども、昨年の四月にこのNHK経営問題に対するいろいろな作業をする関係上、副編集長をいわゆるそういう面の経営主幹に一時転用しておりました。これをもとの二名に戻したということでございます。
  155. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃお尋ねをいたしますが、放送する、特にニュースを報道する、そのニュースの報道について取り扱いを変えた、従来どおり、そのどちらですか。
  156. 小野吉郎

    小野参考人 ニュースは事実でございます。これは人間の意思によって曲げられるものではございません。真実ありのままの姿を出すのがニュースでございますので、その点について何ら変えておりません。
  157. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先月二十八日の委員会で、自民党の志賀委員がニュースに対するチェックはどうなっているかという質問に、あなたは、報道の管理体制を強化するため、理事を先頭に考査、解説など合議する機関をつくるとともに、欠員中のニュースセンター副編集長を補充したと述べておりますね、間違いないですか。
  158. 小野吉郎

    小野参考人 そのとおりでございます。
  159. 松浦利尚

    松浦(利)委員 変えたじゃないですか。あなたはいま変えないと言ったでしょう。変えたじゃないですか。しかも私は全部調べたんです。私は大蔵委員だけれども、差しかえで来たんだけれども質問するためには与党の先生であろうとだれであろうとなさったこと全部調べた。調べたらちゃんと書いてある。理事を先頭に考査、解説など合議する機関をつくるとともに、欠員中のニュースセンター副編集長を補充したとあなたが述べているでしょう。変えたじゃないですか。私はつくるとかつくらぬとかということを言っておるのじゃない。私のは、これは要約ですからね。小野全長、そうでしょう。
  160. 小野吉郎

    小野参考人 報道体制を整備したことは事実でございます。いままでのやり方を変えたわけではございません。(志賀委員「管理体制という言葉は一文字も使ってない」と呼ぶ)
  161. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いや、それは私が言っておるのです。管理体制を強化するとは私が言っているのです。(志賀委員「そういう言葉は、私も使ってなければ、小野会長も使っておらない」と呼ぶ)だから私は訂正している。それはあなたの方の誤解であって、それではあなたはニュースに対するチェックはどうなっているかという質問に対して、理事を先頭に考査、解説など合議する機関をつくるために欠員中のニュースセンター副編集長を補充した、こういった答弁をなさっていますね。そういう意味で修正しますよ。けれどもあなたはいまそういう答弁をなさった。志賀委員には御迷惑をかけたことはおわびします。これは率直に私のミスです。これは訂正してほしい。それは私の意見と一緒になったんだ。  ということは、逆に言うと、いままでの報道ではいかぬ、ある程度チェック機能を強化しなければいかぬ、ある程度報道に対する管理を強化しなければいかぬ、そういうことをねらっておるわけでしょう。私がそういうふうに理解することは間違っておりますか。
  162. 小野吉郎

    小野参考人 いわゆるチェックといったことは、私は言ったことはございません。報道は真実を伝えることが使命でございます。
  163. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、真実を伝えるとかどうかというのはこれから議論するのですよ。機構上の問題を私は言っておる。いまあなたが言ったように、報道の管理体制を強化するというのは私たちの発想なんです。しかし、あなたは厳正にすると言う。それはこれからいろいろ意見を申し上げますが、いずれにしても、あの赤旗の事件があったときに、志賀委員のこの前の御指摘もあったし、あるいはいろいろな意味の御指摘があるでしょう。そういうものに対して、管理体制と言うとまた怒られますから、要するに、現状をもう少し変えていきたいという御判断に立たれた、公正を保つためにとあなたはつけておられるけれども、そういうふうに具体的に機構をいじられたということだけは事実でございましょう。
  164. 小野吉郎

    小野参考人 これは機構ではございません。機構の運用でございます。当然にそこには副編集長として理事が配置してあります。これはやはり今回の措置をとらぬでも、こういう面についての編集の指導をする立場にあることは間違いございません。ただ、その辺をやはり明確にいたしませんと、いかにも現場に編集権があるやの誤解も受けますから、その点を明確にしたというだけでございまして、機構いじりをしておりませんし、機構の運用に対して万全を期した、こういうものでございます。
  165. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  166. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 速記を始めて。
  167. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、志賀委員の部分は、私は削除します。答弁の部分だけ生かしてください。  それで、いままではそうじゃなかった、私が聞いた範囲内では、報道は迅速性が必要だ、しかも公正に真実を述べるということが必要だ、そういう意味で、ニュースセンターの責任者がチェックすればよかった、従来の機構ではなぜいけなくなったのか、その点についてひとつ会長から具体的にお聞かせ願いたい。いままではチェックが甘かったから間違った報道が出た、だから今度はチェックを厳しくする、そういう意味で機構改革したわけですか。
  168. 小野吉郎

    小野参考人 何度も申し上げておりますように、機構の改正は全然いたしておりません。ただ運用体制を整備したわけでございます。もちろんこれについては、通常のそれはニュースセンターに責任の長がおります。これもやはりその権限の淵源するところは会長の編集権から出ておるわけでございます。そういうような関係でございますから、ニュースセンターがやるならもう何も要らないようなことになると、会長も要らない、理事も要らないということになります。こういう組織体はないと思います。そういう意味合いにおいて、これは安保のときにもそういう万全体制をとったのでございますけれども、今回もやはりニュースの報道、あるいはそのニュースを受けて解説もいたします、あるいはそれに対する考査の関係もあります。そういうところが、やはり問題は遺憾なからしめるために、万全を期するために連絡を密にしよう、こういうことをやっただけでございまして、何もいままでの機構が悪い、何かの事件で悪かったからこれで機構を変えたというものでは毛頭ございません。
  169. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は機構という言葉がNHKになじまなければ、機構という言葉はやめます。要するに、従来の機構の中でと、こう言っておられるけれども、しかしいずれにしても、そういう理事を先頭にしたチェック機能というものを強化をしていったということは、過去に報道に対して真実性がなかったからそうする、こういうことでしょう。赤旗が二十八名の政府高官名を出したということについていろいろな意見があるでしょう、行き過ぎだったという意見もある。しかし、それは改めればいいことなんです、さっきから言うように。そのことで全体を律してしまってはいけない。その点が誤解を生んでおる。逆に言うと、それは与党の方がどういう意見を言われる、それは自由です。社会党の内部だっていろいろなNHKに対する、右に偏向しておるではないかという意見が出ることもあるのですから、しかしそのことはいいけれども、かりそめにも私は、右往左往して、そのことを受けた形で何らかの形の動きが出るということは国民の目から見てどうもこれはおかしいんじゃないかという疑いを持たれるようなことになるというふうには会長はお考えになりませんか。
  170. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ外部から誤解を受けることはこれは好ましいことではございません。これは明確に申します。ただ運用体制としてはやはり  一糸乱れない体制でいかなければなりませんので、その関係を万全ならしむるためにそういった方式と申しますかをとったわけでございまして、何も在来のそれが悪いので、ある種のチェックシステムをとったとか機構を変えたとかいうものでは毛頭ございません。
  171. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それがたまたま時期を同じくしておるわけですよね。たまたま時期を同じくしておるから誤解を生むわけでしょう。そうすると、そういうことをしたときに、私はやはり第一線の記者の皆さんは相当抵抗を感ずると思うのですよ。私はいま思い出しておるのですが、亡くなられました佐藤前総理が退陣の弁をするときに、新聞社はけしからぬから出ていけ、私はもうテレビとだけ話しますと、こう言われたことがありますね。私はそのことをいま思い起こすのです。なぜか。それは各新聞社が非常に厳しく佐藤さんのことを書いたからなんです。私はマスコミ経験者じゃありませんし、外国のマスコミを調べたことはありませんから内容はわかりませんけれども、強いものに対しては厳しくあれ、強いものというのは権力を握っておる政府、そういった権力に対しては厳しくあってもらいたい、それが私は報道の一つの精神だと思うのです。権力側に対して厳しければ厳しいだけ報道の公正は保たれていくというふうに私は理解をしておるわけです。  前会長の前田さんがこういうことを言ったことも私は記憶をいたします。それは、権力者が原則を無視した要求を力をもって押しつけてきても決して私は屈しませんぞ、そういうことを言われたことを私はいま思い起こしておるわけですけれども、この法律のたてまえ、国民全体が支持しておるんだ、国民の中には政党に対して批判を持つ人もおるでしょう、自民党の支持者もおる、あるいは社会党、共産党、公明党、民社党の支持者もおる、しかしそれはみんなNHKという機関を支えておる国民の一人一人でしょう。そういうことから考えていくなら、たとえ少数の人であってもその意見というものは反映されてこなければならぬ。だからこそ前田さんが、権力者が原則を無視して押しつけてきたとき私は抵抗いたしますと言われたんだと私は思う。やはり報道というのは公正中立でなければならぬ。特に国民の聴視料に支えられておるNHKというのはそうでなければならぬと思う。それを忘れたときに、それを失ったときにこそNHKというのは崩壊の運命をたどる。  いまロッキード事件という国論を二分するような事態が生まれてきておる。承ると、何か報道するとすぐ会長の自宅に抗議の電話がかかってくる。あるいは副会長、専務のところに電話がかかってくる。だから会長の電話というのは教えないようにして、かかってこないようにして、どうかやらなければならぬぐらいに国民は一つの報道に対して両方から敏感な反応を示す。だからといって、いま機構、機構じゃありません、そういう管理体制を強化するとかなんとかかんとかという動きを示すことは、逆に言うと、国民から非常に疑いの目を向けられると思うのですよ。苦しいことはわかります。だからこそ、いま一番大切なことは、公共機関の中心であるNHKはもっともっと厳しさを持たなければならぬ。右に対しても左に対してもすべて中立公平でなければならぬ。そのことが、今年度の予算についてもいろいろな意見がある、高過ぎるじゃないか、もっと安くせよ、値上げそのものを見たら高い低いの問題だけれども、いま一番われわれが考えなければならぬのは、本当に報道というものを公正中立のものにして守っていくんだ、そのことの方がより重大なんだ、そういう考え方に立つためには、まずNHKの皆さん方にそういう姿勢を保ってもらわなければいかぬ一番大切なときなんです。そういうときに、これは会長はいろいろな意見があるでしょうけれども、私は率直に申し上げますが、いま何かわれわれの側に報道の規制の強化に結びつくようなチェック機能をつくったということは非常に誤解を生む。私はそういう意味で、もう私の時間が来ましたからこれ以上申し上げませんが、この際小野会長から、NHKが律していくという意味で、お覚悟のほどを、決意のほどを御報告ただいて、そしてまたそれを指導する立場にある大臣から、仮にそういう圧力がNHKにかかったときには、郵政省としてもそういうことのないように努力をしていくというお考えがあるのかないのかをお聞かせいただいて、私の質問は終わります。
  172. 小野吉郎

    小野参考人 不当な圧力に屈しない、NHKの中正な道をどこまでも毅然として守るということは、これはだれが会長になっても同様であろうと思います。前田会長お一人の独占物ではございません。私も前田さんに劣らず、そのような決意は持っております。  そういうことでございますので、それがいわゆる心にもない誤解をいろいろ受けることは避けなければならない、これもごもっともでございます。そういうようなことで右往左往すべきものではないと思います。厳然と公共放送としての道を邁進すべきものと考えております。
  173. 村上勇

    村上国務大臣 NHKはその言論報道機関としての性格に基づきまして業務の運営が自主的に行われるよう保障されているところであります。それでありますので、NHKは放送の不偏不党を堅持するよう不断の努力を傾けるべきものであると考えられます。
  174. 松浦利尚

    松浦(利)委員 時間が少し超過しましたが、終わります。
  175. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 土橋一吉君。
  176. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、小野会長を初め、NHKの幹部の皆さんが五十一年度予算あるいは事業計画、収支決算等について説明をしてくださること、大変御苦労だと思います。  まず最初、小野会長を中心にお答えを願いたいと思いますが、受信料値上げという問題が第一の私の質問の内容であります。  受信料値上げを含む今回のNHK予算には多くの国民の批判があります。特にカラー契約受信者については七百十円、すなわち五二・七%の値上であります。また普通契約受信者にとっては四百二十円、すなわち三三・三%の値上げでありますが、これが妥当かどうかあるいは非常に過大ではないかというようなことについて大変な意見があるのは御承知のとおりであります。  そこで私は、NHK基本問題調査会の報告でもすでにこの問題については論及をいたしております。その個所をお示し申し上げると、「収支不足額圧縮の努力によってもなお是正できない不足額については、受信料月額の改訂によることも考慮せざるを得ないであろうが、その場合には、国民的合意を得るよう最大限の努力を行うべきである。」こういうふうにして一応切っておるわけです。したがって、NHKとしては今回のかつてない異常な受信料値上げ問題について国民の合意を得なければならぬわけです。そのために今日までの努力としては一体どういうことをやってきたのか。つまりNHKの基本問題調査会のいわゆる調査報告といいましょうか、そういうものから見て、一体どういうふうに自分たちは今日まで努力をしてきたのか。その差はどこにあるのかというような点について端的に、たくさん述べなくても結構ですから中心的な問題だけを簡潔に説明していただきたいと思うわけであります。
  177. 小野吉郎

    小野参考人 基本問題調査会で指摘をしておられますとおり、収支の不足は漫然とそのままに料金改定に持っていくべきでない。まず支出を切り詰める努力もしなければなりませんし、収入をふやす努力もしなければなりません。そうしてやむを得ない不足額については料金改定もやむを得ない。ただしその場合には国民的合意を得るように努めろ、こういうことでございます。私どもは収入をふやすためにはいろいろ契約の把握の関係についても再検討をいたしまして、当初の計算よりもなお努力すべき余地ありと見るものについてはその面の増収も図っております。支出の切り詰めにつきましては、いろいろ協会の運営全般にわたりまして切り詰め得るものは切り詰め、あるいは組織の簡素化によって、人員、金額がセーブできるものはそういうことにし、また運用体制の改良によって同様な趣旨が達せられるものは数点にわたってそういうことをやるということによりまして、将来大体人員にして五百名ばかり、金額にして五十億ぐらいの節約ができる。こういうことも実は策定をいたしまして、どうしてもつじつまの合わないそれを受信料改定に求めております。この際にやはりいろいろ受信者の方々からもあるいは納得される向きもありますし、非常な批判を受けている向きもございます。これには十分にやはり謙虚に耳を傾けながら、しかも過去のNHK受信料額の変遷の推移、他の料金との権衡、そういうようなものを勘案いたしまして、五〇%というと大きく聞こえるのでございますけれども、これはもう大体においてそう当を失したものでないだろう、こういうことで策定をいたしたわけでございます。しかもこれを国民的合意を得るように努力しなければなりませんことは当然なことでございまして、それは国民の代表であります国会において各党の賛成を得ることが、具象的には国民の合意を得る一つの象徴的姿でございましょう。そういうためにはいろいろ努力もいたしておりますし、その他世論調査の関係でございますとかあるいは放送の画面を通じまして、そういう面についてはどうしてもこうせざるを得なかったということは数度にわたって実は御理解を得られるように努力はいたしてまいったつもりでございます。  なお、この予算の御承認の後におきましては、有効、適切なあらゆる措置を動員いたしまして、そういう国民の合意、理解を得られるような努力を積み重ねてまいらなければならないと思っております。
  178. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、かいつまんで言えば、あなたは要するに経費の節減と事業内容については簡素化を中心として努力をしたいし、そして番組のいいものをつくるために努力をしてきた、こういうことに要約されると思うのです。よろしいですね。  また報告書では、「今後の業務運営にあたっては、国民の声に謙虚に耳を傾け、意見や批判に軟柔に対応できるようにNHKの体質改善を図り、」――体質を改善することですよ。言葉の説明ではございませんよ。体質の改善を図り、わが国のいわゆる高度経済成長時代と時を同じくして順調に発展をしたといわれているこのNHKの「経営について、社会、経済の転換の時にあたり、見直しと反省を行い」――見直しと反省です。「新たな視点に立って効率的安定経営を実現すべきである。」と述べられておるわけですね。したがって、NHKはこの指摘を受けて、見直しと反省を行って、どういうような点について現在までやってきた問題を直そうとしておるのか。どういうような心組みでその政策を一体実行しようとしておるのか。こういう点について端的に、今度はあなたのこれを受けてどういうふうにやるのだという決意の内容を披瀝していただきたいと思うのであります。
  179. 小野吉郎

    小野参考人 NHKのあり方についてはいろいろな御批判がございます。国民の声を十分に反映いたし、わずかな意見でもこれを反映してまいらなければならないことは当然でございます。そこでNHKの体質の問題に関連いたしまして、これをやはり変えていかなければならないのではないか。現在の体質が世間でいわれるように私は官僚的であり、独善であるとは思いませんけれども、そういう目で見られることはまことに残念でございまして、私は会長就任以来そういうことを払拭しなければ国民の支持は得られない、こういうことで、そのためには内容的にもいろいろな努力の諸点がございましょう。まずやはり態度を変えること。ちょっと見ただけで非常に傲慢に見えるような、いわゆる体は心をあらわすで、そういうような面からいかにも独善的、官僚的に見えるような、ふん反り返ったようなそれはまずやめるべきだ。それと企業体にはありがちな、何かの問題に取り組むにしましても、常にやはり社内事情と申しますかその事情を先に考えてやる、これは国民の放送機関である実態に沿わないわけでございますから、窓を国民の方にあけて心を外に向けろ、こういうことを言っております。  具体的なそれとしては、いろいろ措置をとっておりますけれども、国民の声、国民の要望に対しましてはこれにこたえるべく、あるいは相談所の設置でございますとか、懇談会とか懇話会とか、あるいは電話その他投書等の関係も大いに歓迎をいたしておりますし、これを十分に国民の要望に沿うように処理していくことがNHKの使命であろうと思います。義務であると思います。そのためにはいろいろ努力しておりますが、内部的の処理だけでは世間の目に映りません。NHK、一体何をやっているか。いろいろ手紙を出しても出しっ放しでないか。電話をかけて文句を言っても聞きっ放しではないか。これはまことに残念でございます。そのためにいわゆる視聴者の代表とも称せられるべきようなそれを視聴者委員会という形において昨年の暮れにつくりまして、そこで私どもが処理しておる実態を見ていただき、足らぬところは指摘してもらい、それをやはり番組の面でときどきテレビで出して国民全般にNHKはこのようにやはり声を処理しているのだというところを見てもらうような、この誠意も尽くさなければならないであろう。その他いろいろな点がございます。先ほど御質問にもありましたような、あるいは国民の声を傾聴するために地方ごとに、あるいは中央、地方を通じて公聴会的なものとか、いろいろな関係のそれを取り入れたらどうかとか。私も全く賛成であります。そういうような面を今後努力を重ねてまいらなければならないと思っております。
  180. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、冒頭あなたがお述べになったようにまず官僚的な態度を改めるということ。そして体質がきわめて民主的で、いかなる問題でも柔軟に受けて、そして受けるだけでは足りません。必ずそれを実行する。あるいは組織の面においても、財政の面においても、経営全体の面においても、そういう姿勢をとると同時に、必ずそれを実行する。そして国民の負託にこたえる。国民の声にマッチしたようなそういう放送内容なんかも実現をする、こういうふうに受け取ってよろしいですね。  そこで、私は会長に直接お尋ねをいたしますが、この受信料の問題については、もうこの委員会におきましてもそれこそ大ぜいの方から耳にたこがなるほどいろいろ御発言もございました。非常に有益な発言がございました。それで私は端的にお尋ねしますが、四十九年度決算では、累積全体から見まして、実際このNHK経営は黒字であったのか赤字であったのか、四十九年度の決算状態を簡単に、簡潔に答えていただきたいのです。たくさん説明は要りません。簡潔に、黒字であったか赤字であったか、ひとつこれを聞かせてください。
  181. 山本博

    ○山本参考人 四十九年度は、事業収支で五億円の赤字でございます。それから損益では四十億の赤字ということでございます。
  182. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。そうすると、損益計算では四十億の赤字を出しておった、実際の実態では五億の赤字だ、これでいいですね。そうすると五十年度予算では二百十六億円の赤字を見込んでいたが、実際の赤字額はどれぐらいになっておったのですか。
  183. 山本博

    ○山本参考人 五十年度決算はまだ内部的に理事会の最終の議決も得ておりません。それから経営委員会の議決も得ておりませんので、最終的に確定した数字があるという段階まで至っておりませんけれども、大体計算をいたしました趨勢といたしましては、予算を組みましたときには二百十六億円の赤字で組んでございました。結果におきまして、この前会長も触れましたように、約二十数億赤字幅が減少する見込みでございます。その中身といたしましては、財務費が、年度の途中におきまして公定歩合が大分下がりましたので、その部分と、それから節約、合理化、こういうことで生み出したものと合わせて二十数億になる予定でございます。
  184. 土橋一吉

    ○土橋委員 私どもがいままであなたの方のいろいろな報告などをお聞きしたり調べた結果は、五十年度予算では二百十六億の赤字を見込んでいたけれども、実際には赤字額はいまお話しになったように二十数億円で大体のところ間違いございませんか。
  185. 山本博

    ○山本参考人 二百十六億の赤字予定でございましたけれども、約二十数億赤字幅が減るであろう、したがいましてほぼ百九十億前後になるだろうということでございます。
  186. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は勘違いいたしまして、えらい差があると思ったのです。大体私どもは百九十億ぐらいじゃなかろうかと。大体合っておりますね。はい、よろしいです。そうすると、五十年度決算はまだ済んでおらないわけですよ、これは先ほどあなたもちょっとお話しになったように。そうすると、一体五十年度では、全体の決算をしたと想定してみれば――もう現にやらなければならぬ時期だと思うのですよ。そうですね、いま五月中旬ですから。そうすると、その場合は一体赤字になるのかどうか、そういうことについてわかれば教えてもらいたいと思います。
  187. 山本博

    ○山本参考人 赤字になることは間違いございません。金額といたしましても、いま申し上げました約百九十億前後が赤字ということになります。
  188. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、いまのお話だと、まあ百九十億ぐらいの赤字になるのですか。これは間違いございませんね。私の方ではそういう内容にはなっていないのですがね、いろいろ調べた結果。それは間違いないですか。
  189. 山本博

    ○山本参考人 私の方で積算をいたしました数字では、赤字はほぼそのぐらいの数字になるだろう。これはしかし、決算をいたします決算の仕方といいますか、最終的にどうそれを処理するかということとは問題が別でございます。
  190. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、今度五十一年度の値上げというのは、いまあなたがおっしゃったようなことをも含めた、五十一年度を中心として一応予算は組んでおる。しかしながら、三年計画だと言ってワンセットにしておるわけですね。これはある委員からも指摘されておりますように、予算は単年度ごとにやるものですから、その単年度の収支計算がやはり中心に据わらなければいかぬわけだ。これは小野会長の答弁でも、五十三年ですか、こいつは一応そういう目安だというだけであって、これは予算に組み入れることはできぬわけですね、ただ一応そういう目安だというだけですから。  それでは、いまの話の点から私どもでまた論議を進めていきたいと思うのです。  次に有価証券の保有の状態ですが、五十一年三月末の有価証券の保有額はどの程度保有しておるのか。それと、主な有価証券の、たとえば電力であるとか、主なものだけ一、二示していただいて、その金額をちょっと教えていただきたいと思います。
  191. 山本博

    ○山本参考人 有価証券の保有状況でございますが、五十年度の末で九十二億一千七百万ほど保有しております。その中身でございますが、大きな枠で申し上げますと、金融債、政府保証債、事業債、国債、電電債その他でございます。
  192. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなた方のいままでの有価証券の保有状態を私どもで調べたところによると、四十八年度決算では大体百四十九億円、四十九年度決算では百十五億円、五十年度決算では大体九十億前後というふうになっておりますが、大体こういうふうな順序で来ておるのですか。
  193. 山本博

    ○山本参考人 いまおっしゃった数字のとおりでございます。なお付加いたしますと、五十一年度の予算では三百六十三億ばかり保有する予定でございます。
  194. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、これから五十一年度予算の問題を審議するわけですが、赤字だ赤字だと言って困っておるのに、一体なぜそういう金融債だ、電電債だ、あるいは国債だというものを保有しなければならないのでしょうか。なぜそれを手放して適当に経理の内容を明確にするような体制をとらないのでしょうか。
  195. 山本博

    ○山本参考人 金融債として運用しております財源は、そのほとんどがいわゆる前受け金でございます。いわば、受信者の方が前払いとしてNHKにお払いをいただく金がその財源になっております。前払いと申しますと、これは予算上翌年度の収入になるものでございまして、前年度のうちに、いわば事実上の資金繰りに使うのはともかくといたしまして、その収入に挙げるわけにはまいりません。いわば前受け金として預かっておる金でございます。しかも、前払いでございますので、毎月お払いいただく方に比べますと年間にしまして約八・三%ばかり割引になっております。そうしますと、この金は運用によりましてできるだけ、八・三%割り引いてあるものをより回復をして、ただ遊ばしておくよりも、翌年度の収入になるまでにできるだけよき運用をいたしまして、その割引率まではいかないといたしましてもできるだけ回復をしておく運用の仕方が望ましいということで、一番有利なこういう金融債その他のものを購入をして、いわば前受け金の運用として処理をしておるということでございます。
  196. 土橋一吉

    ○土橋委員 ところが、あなたの方ではこの五十年度の借入金が相当額に上っておりますね。そうすると、借入金を一方でやっていながらそういう有効な自分のところの財産を持っておって、それは十分な活用をしないで、これは前払いだから置いておくんだということでは、これは料金値上げにつながるものであって、やはり適正な――自分のふところへ入れば、前払いであろうと後払いであろうと、処置をしてきちっとやるべきじゃありませんか。そうすれば一般の国民が見てもよくわかることだし、自分のふところへ入ったものを別にしておいて借り入れをするなんて、こんなへまなことを、先ほどどなたかがおっしゃったが、士族の商法のようなことやらなくたっていいじゃないですか、どうですか。
  197. 山本博

    ○山本参考人 先ほど申し上げましたように、前受け金といいますか、前払い制度で受信料をお払いいただいたこの金は、当年度の収入ではございませんのでございます。来年度以降の収入になる分でございまして、予算上は当年度に自由にそういう形で使えるという金ではございませんので、ただ運用をいたしましてできるだけ有利に翌年度の予算として受け入れて翌年度有効に使うという性質のものでございます。
  198. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうもそこのところが、後半はわかる。後半は非常に説明がいいと思う。明快だと思いますが、前半がどうもちょっと、自分のところに委託をされて、前払いでもらったものでしょう。それを何か予算から外しておいて、一般の国民が見てわからないような、それは来年度予算でございますからというのではなくて、もうもらったのでしょう、あなたの方は。それならば、そのような措置をきちっとして、だれが見てもなるほど五百億も要するに借り受けをしておいて、それはそれで別だというようなことではなしに、きちっと自分の財産として処置するものは処置するし、利用を待つものは待ってちゃんと収入の分きちっと入れれば、そんなに赤字、赤字と騒がなくてもいいのじゃないかということをここで私が端的に言いたいところなんですよ。会長、どう思いますか。
  199. 小野吉郎

    小野参考人 御説の趣旨もよくわかります。前受け金であろうとその年度は使えないであろうと、資金的には持っておるわけでございますから、利子の高い外部負債を負うよりは、それで賄っておくということはよくわかります。ただし、それは赤字による関係において料金値上げを回避し得るものではございません。これはやはり一つの借金がそういう保有資金で賄われたということでございまして、収支の差額というものはそれとは別に出てくるわけでございます。そういうことでございますので、いま先生のお考えのように、それによって料金値上げが回避できるじゃないかということがそのとおりであれば、私どももこれをとるにやぶさかでございません。ないのでございますけれども、結果はそうならないものですから、いまのような非常に御理解しにくいような措置をとっております。ただ、これは将来の問題として検討には値すると思います。
  200. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体わかりました。しかし、まあその処置は考えてみる必要があるということですよね。そうでないと、とかくの批判も出てくるでしょうし、先ほど申し上げた国民全体が要するに納得のできるような、そういう財政措置をしておるということがやはりわからなければいかぬということなんですよ。  この財務費の問題についてお尋ねをいたしますが、五十年度予算では財務費は大体どの程度見積もっておるのか、大体簡単に私の方では四十六億ぐらい見積っておるのではないかと思うのですが、どうですか。
  201. 山本博

    ○山本参考人 そのとおりでございます。
  202. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、実際の支出はどれぐらいですか。
  203. 山本博

    ○山本参考人 三十六億五千万でございます。
  204. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、三十六億五千万ならば、見積もりのあなたの四十億と三十六億何ぼとでは何ぼ差が出てきておるんですか。
  205. 山本博

    ○山本参考人 差し引き計算しますと、九億五千万でございます。
  206. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、九億五千万という金は大金ですよ、山本さん。九億五千万というのは大変ですが、しかもこれが当時のいわゆる政府の公定歩合引き下げ等の問題で金融措置をつけようということでやっておられて、大体金利はどれぐらい見ておったのですか。
  207. 山本博

    ○山本参考人 予算を組みます段階におきましては、公定歩合は九%でございました。それが急速に下がってまいりまして、五十年度の年度末には六・五%まで下がりました。したがいまして、予算を組む段階におきましては約一〇%と見まして、公定歩合どおり借りられませんので、それに何がしかの上積みがございます。実際に借りますときには。したがいまして、約一〇%ということで予算を組んだわけでございます。しかし、その後年度末までに公定歩合が非常に急激に下がってまいりまして、その結果、こういう差額がでてまいったというのが事情でございます。
  208. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、結局、先ほどお話し申し上げたように、NHK現状予算を組む上においては相当多額な金額がある。しかもあなたの御説明だと九%、当時は九・九%であったと言われておるわけですね。それがぐっと下がってきましたから相当の関係が、いまのように約十億近い金になってくると思うのですが、こういうことをぜひ見通してやっていただきたいということと、それから上積みがあるということをちょっとあなたおっしゃいましたね。その上積みということはどういうことの内容ですか、何かNHKが少し財産を持っておるからというような意味で、そういうものを上積みしなければならぬという意味なのか、そこのところをちょっと聞かしてください。
  209. 山本博

    ○山本参考人 先ほど申しました点でございますが、九億五千万の財務費の剰余といいますか残余が生じました。これが、冒頭申し上げました決算が約二十数億赤字幅が減るであろうと言った中の一部に入っておるわけでございます。  それから次の問題でございますが、公定歩合が九%というときは、これは民間企業も同じでございますが、九%で借りられるというものではございませんで、プライムレートというのは、必ず公定歩合に何がしか、〇・二五くらいが上積みになるものでございます。上積みと言うとおかしいのですが、銀行が貸し出しをいたしますときには、公定歩合のまま貸すわけではなくて、別にプライムレートというのが設定されます。そのプライムレートの金額にほぼ近いものでNHKが現在借りておる。したがいまして九%よりも高いものになりまして、先ほど御指摘になりましたように、放送債券も入れまして財務費全体として平均九・九%で予算を組んだということでございます。
  210. 土橋一吉

    ○土橋委員 こういう経済の非常に変動のときでありますから、それは九・九%で組みましても、あるいは政府施策等によってはそういう事態も起こってくるし、そういう見積もりの金額は素人の人が見ても、大体この予算を見ればそういう差がここであって、NHKは払うべき金を払わなくても済んだというようなことがはっきりわかるように今後やっていただきたいということが、やはりこの質問の要旨であるわけです。  続いて五十一年度予算についてお尋ねをいたしますが、受信料値上げになると、その増収分は一体幾らくらい増収になる見込みなんですか。つまり、五十一年度の、従来のカラー契約あるいは普通契約その他のものから見まして大体何ぼ増収分が出るのか。
  211. 山本博

    ○山本参考人 受信料だけでございますと、ネット増収分七百三十億ばかりでございます。
  212. 土橋一吉

    ○土橋委員 約七百三十億でしょうが、正確なのは七百二十八億ぐらいでしょう。そうしてカラー契約分が六百三十四億、普通契約が四十億、それから契約上のいろいろなものが五十四億、これで間違いないですね。
  213. 山本博

    ○山本参考人 厳密に申し上げますと七百二十七億でございます。
  214. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、四月、五月は、先ほどから質問が出ておるように暫定予算を組んだわけですね。したがって、受信料は据え置きになっておるわけだ。それに伴う減収分は大体どれくらいと見ておるのですか。
  215. 山本博

    ○山本参考人 二カ月で約百二十億でございます。
  216. 土橋一吉

    ○土橋委員 百二十億ではなくて百十二億くらいじゃないですか、どうですか。
  217. 山本博

    ○山本参考人 非常に数字を細かく申しますと、百二十億の中には受信料値上げの分と、それから自然増収の分と両方ございまして、自然増収の分を引きますといま御指摘になった数字になります。
  218. 土橋一吉

    ○土橋委員 やはり、受信料だけのいま話をしておるのだ。ですから要するに、受信料だけだと百十二億くらいになるというわけでいいですね。大体それはそれでいいです。  次は、選挙放送交付金についてお尋ねをしたいのですが、選挙放送の交付金を大体どの程度見積もっておるのですか。
  219. 山本博

    ○山本参考人 五十一年度の選挙放送で見ております数字は四百四十五万六千円でございます。
  220. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうしてそんなに過小なものを見積もっておるのですか。山本さん、なぜそんなに過小ですか。自治省は政見放送に約五億円を計上しておるというふうに私は聞いておるのですよ。そのうち約三三%、それがNHKに交付される。三三%かければ、三、五、十五で計算したってわかるように、一億六千五百万円入ってくるという計算に私たちなると思っているのですが、どうですか。
  221. 山本博

    ○山本参考人 五十一年度予算として選挙放送関係の交付金は四百四十五万六千円でございます。  それで、いま御指摘がありましたように、確かに自治省が予定しておる金額と大分開きがございます。この開きがございますのは、この予算を組む段階におきましては、五十一年度における選挙というものがどういう規模で、どういう単価で決まるのかということが未定でございましたので、これはNHK予算総則の十一条に、予算が成立した後にこういう交付金がふえた場合は、その交付金をその目的に充当して使うことができるような運用規則がございます。したがいまして、国の予算が成立をした後にこれを交付していただいて、その総則の運用によってこれを実施してまいろうということで、この予算を組む段階において未定要素があったものですから、衆議院関係予算だけを省いて後で処理をしようということでこういう結果になったわけでございます。
  222. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは会長も聞いていただきたいと思うのですよ。ことしはいやおうなしに選挙をやる年なんですよ。やるかどうかわからぬということじゃないのですよ。もうことしは必ず選挙をやるのですよ。ただ時期が早いか遅いかの問題なんですよ。そのさなかに予算を上程してきておって、国民の前には四百四十六万円だなんて言っておいて、自治省は五億円も出しておる。そのうちの三三%NHKがもらうんだということになっておるのに、四百四十六万なんという軽少なものを計上しておいて、それは細則の六条の規定によったって出すべきなんですよ。なぜそういうサボタージュをするのか。なぜそういう国民の目の前に――これは現在の状況から言うならば、いまのお話によると約一億六千万の差があるのですよ。ですから私たちは、そういうNHKの大世帯さんから見るならば、あるいは軽少と思うかもわからぬけれども、われわれから見たら気の遠くなるような大金なんだ。それがいまのような方法で、ことしは必ず選挙をやる、ただ選挙の単価とかそういうものは具体的に過去からずっとやっておるのだから、それはあなたの方で経常費は一三%上がっていく、物価は八・六%だとちゃんと書いておるんだから、その比率でやったらちゃんと出るわけなんだ。そういう点をやはりだれが見てもわかるようにきちっとしなさいよということを私は言っておるのです。どうですか。
  223. 小野吉郎

    小野参考人 御説のとおりでございます。  ただ、先ほど山本理事から御答弁申し上げましたように、この予算の作成段階では選挙があることはもう確実でございますけれども、その規模その他の関係でまだ幾らという金額が確定いたしておりませんでしたので、これは後日必要なものは入ってくるということで、予算の計上には非常にやはり一見まことにおかしいようなものになっております。
  224. 土橋一吉

    ○土橋委員 ですから、あなたがおっしゃいましたように、実際この五十一年度予算というのは、将来入るであろうところの金と、出るであろうという金について、要するに報告をして国会の承認を得たい、それで受信料というものを決めてもらいたい、こういうわけでしょう。それならば、ことしはいやおうなしに選挙があるんだから、そのような予算措置をちゃんと書いて出すべきじゃないか。四百四十六万なんて書いておれば、だれが見たってことしは選挙をやるんじゃないかということがわかっておるのに、それじゃ結局これはごまかしているんじゃないか、こういう疑いの目をもって見られて、この経理の内容はどれを見ても非常におかしいぞというようなことになっては困るということを私は言っているのですよ。当然入る金なんですから。
  225. 山本博

    ○山本参考人 私が少し言葉が足らなかったと思いますが、この予算を組む段階におきまして、選挙関係の費用を計算する根拠が実はまだ決まっておりませんでした。たとえば候補者一人当たりの交付金の額が従来と変わるであろうということについてはすでに自治省においても方針を決められ、予算もそういう形で組まれておった途中の段階でございまして、したがって、これは国会を通っておりませんので、最終の数字にはなりません。また政見放送の時間が今度延びる予定になっておりますが、その時間においても最終決定がなっておりません。これはいずれにいたしましてもNHK予算の収入になると同時に支出にもなりますので、この収入と支出両面が確定しない段階でこれを処理するよりは、法律ないし予算として国会を通った後に私たちの方が交付をしていただく、その受け皿だけつくっておくという形で処理をした方がいいのではないかという判断をいたしたわけでございます。
  226. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは山本さん、大変に心得違いだと思うのです。というのは、われわれの側から見るならば、当然入るべき金を、それははったりかけたりなんかしてはいかぬでしょうけれども、四百四十六万なんて、だれが計算したって、こんな小さい金で政見放送ができるなんて考える者はだれもいませんよ。しかも自治省が五十一年度予算では、いろいろもめているけれども五億円というものを組んでおるということになれば、これは当然NHKとしては、その前後を見たものを計上してやるということは当然だと思います。私はやはりその点はもう少し検討してみる必要があると思う。国民の、いわゆる受信者の放送局であるし、国民の放送局ということになれば、そういう点は端的にドライにやる必要があるじゃないかということを言っているわけです。  次は予備費の問題ですが、四十九年度は五億円、五十年度は十一億円、五十一年度は二十億円とだんだんふえておるのですが、これは一体どういう理由でこんなにふやしているのですか。
  227. 山本博

    ○山本参考人 急に予備費が上がったような感じがいたしますことは確かでございますが、実はもう四十五年度以来予備費は、財政状況が相当苦しくなってきたものでございますから、正常な形での予備費の計算ということを差し控えまして、予備費をできるだけ圧縮いたしました。したがいまして、四十五年以降ずっと長い間四億円で据え置きまして、他の公共企業体などに比べますと、比率にいたしますと約三分の一程度比率の予備費しか組んでおりませんで、たまたまいろいろな事情がありまして何とかしのいでまいりましたけれども、昨年あたりからはその額だけでは非常に苦しくなってまいりまして、昨年度は十一億に上げました。これでもなお他の公共企業体の組んでおります予備費のパーセントに比較いたしますと、約半分程度からちょっと上ぐらいでございましたが、五十一年度になりますと、受信料値上げということもありまして、収入総額が約五十数%上がってまいります。それでこういう財政状況の余裕といいますか、そういう受信料収入のアップによりまして、他の公共企業体その他が予備費を計算をいたしております大体の水準がございます。それから国の予算においても同様でございますが、ほぼその水準に合わしまして、全収入の約一%程度を予備費としてとっておきたい。  それでその中の使い方といたしましては、災害復旧の経費とかそれから郵政委託の経費とか、特に今度電電関係の回線使用料とか、その他物価がこれから、予算に組み込め得なかった年度の途中からの物価、公共料金値上げ、たとえば電力というようなことがありましたときはこの中で賄っていきたいということで、トータルとして二十億円という数字を組みましたが、もともとの予備費の方がやや十分でなかったということで、特に五十一年度に異常な――上がり方は確かにパーセントとしては高うございますけれども、実態的には従来予備費としての運用価値というものが四億円ないし五億円では非常に窮屈であったということの結果こういうことになったわけでございます。
  228. 土橋一吉

    ○土橋委員 はい、わかりました。ここで私は注意しておきたい点は、今度は五割も上がるんだといって、いままでは五億円だ、しみったれて八億円でやっておった。今度は思い切って二十億だ、こういう経理の発想方法が問題になるわけです。これは信用できない。NHKは今度は入ってくるんだから、予備費もたんと組んで、いままで五億とか六億といっておって急に二十億という、こういう経理のやり方については私は非常に問題があると思う。やはり各項目ごとにちゃんとバランスのとれた形でやっていって、やはり予備費というのは、いざという場合のぎりぎりの問題でありますから、だれが見たって予備費を急に五割上がったから従来の倍とか三倍とかやるのは、こういうのはやはり適切でないと思うのです。この点はやはり明確にしておきませんと、何だ、受信料を上げればこんなことをやってもいいのかということになりますので、この点は厳重な注意をする必要があるし、組み方の上でも各項目でちゃんと入れておけば、さっきあなたも言ったでしょう、簡素化もやらなければいかぬ、経費の節減もしなければいかぬと答えておるのに、経理でここでこんなことをやっておったんではしようがないでしょう。  次は財政の見通しについて聞きましょう。  今回の受信料値上げによって五十一年度の黒字は何ぼになるのか、その使途はどういうふうに考えているのか。
  229. 山本博

    ○山本参考人 全体といたしまして予算上百八十億、厳密に言いますと百七十九億の繰越金といいますか、次年度以降の財政安定の資金が出てまいるということになります。
  230. 土橋一吉

    ○土橋委員 山本さん、それは違うわ。そうじゃなくて、もう一回よく聞いてくださいよ。今回の受信料値上げによって五十一年度の黒字は幾らになるのか、その資金はどういうふうにするのかということですよ。いまのそんな百七十億なんかの金じゃないですよ。
  231. 山本博

    ○山本参考人 事業収支差金といたしましては二百八十九億出てまいります。そのうち資本収支へ百十億繰り入れまして、残りの百七十九億が次年度以降の財政安定資金に使われるということでございます。
  232. 土橋一吉

    ○土橋委員 五十年度末の債務は放送債券が百三十億と長期借入金が四百六億、合計五百三十六億になっておると言われておるわけですね。大体これは間違いないのですか。
  233. 山本博

    ○山本参考人 そのとおりでございます。
  234. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、五十一年度で百十億の債務償還を行うというのですが、その分だけ五十年度より債務が減るんじゃないですか。この点はどうでしょうか。
  235. 山本博

    ○山本参考人 五十年度の残高が五百三十五億円でございます。五十一年度の最終残高が五百十七億でございます。
  236. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、五十一年度で要するにこれだけ債務償還に百十億充てるという予定をしておるのでしょう。そうしますと、債務償還は五十年度の債務についてどんどん消していくわけでしょう。違うのですか。どういうふうにそこはやっておるのです。
  237. 山本博

    ○山本参考人 ただいま申し上げました百十億というものの計算は、これは五十一年度から五十三年度の全体の財政の状況というものを決めますときに、過去の債務は十年間で返済をしていこう。それから五十年度の二百十六億の赤字幅のうち、当年度に借り入れをいたしました百二十九億円は三年間で返済していこう、そういう計算をいたしました結果、五十一年度は百十億の債務返還を五十一年度の収入の中から充当していこうという計算をいたしました数字でございます。
  238. 土橋一吉

    ○土橋委員 まあ説明はそういうことになるでしょうが、結論として、結局百十億を返済し、その次は何ぼぐらい返済するのですか、予定では。
  239. 山本博

    ○山本参考人 資本収支へ繰り入れます数字が五十一年度で百十億円、五十二年度が百十八億円、五十三年度も百十八億円、三カ年間総計で三百四十六億円を資本収支へ繰り入れていくという計画でございます。
  240. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと五十一年度、債券及び借入金両方で五百十七億になっておる予定なんですが、これはどんどん減ってくるんじゃないですか。減らないのですか。
  241. 山本博

    ○山本参考人 五十二年度、五十三年度にいくうちにだんだん減ってまいります。
  242. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと五十三年度の最後のときは何ぼぐらいまだ残りが出てくるというふうに見ておるんです。大体の見通しです。
  243. 小野吉郎

    小野参考人 非常に御不審に思われると思いますけれども、返済をする一方ではございませんで、五十二年度におきましても新たに債務負担をいたします。その差額が減ってくるということでございますので、五十年度末の負債額から百十億返せばそれを引いたものが五十一年度末の負債額にはならないわけでございます。
  244. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますとあなた方はこういうことをやっておるんですね。一方では百十億、その次は百十八億、その次も百十八億返済していく。そして財政としては要するにまた一方どんどん借りておる。放送債券も発行する、こういう措置をして、それじゃいまのたとえば五十一年当時にあった五百十七億というようなもの、あるいは債券だけでも百七十九億ですか、こういうものは、ちょっとわれわれが見ますと結局わからない状態でそういうことが繰り返されて、健全な財政としては債券も償還してしまった、あるいは借入金もどんどん償還してしまったということにならないで、一方またどんどん金を借りておる。ちょっとわかりにくいですね。それは何か手があってそういうことをやっておるんですか。
  245. 山本博

    ○山本参考人 別段、特段、手があるわけではございません。外部資金の残高は、先ほど申し上げましたように五十一年度に五百十七億になります。それから五十二年度が四百六十七億、五十三年度が四百十一億、こういうふうに残高は減ってまいります。長期借入金だけ見ますと、五十一年度が三百三十八億、五十二年度が二百六十二億、五十三年度が百八十二億というふうに減ってまいりますけれども、いま会長が申し上げましたように、片一方いろいろな建設投資がございますので、建設投資の分については外部資金の調達をいたし、債務としてこういうふうに累積しておりますものは、先ほど申し上げましたように、十年間かかって返済していこう。したがいまして、三年目にはまだ完全に返済し切れておらない。その三年間の見通しで財務状況を見まして、どのぐらいの受信料が必要であるかという一つの基礎にこれがなっておるわけでございます。
  246. 土橋一吉

    ○土橋委員 非常に私自身もなかなかわかりにくいのですがね。結局もう少し簡素化して、あなたのおっしゃいましたように。そしてNHKは受信者の受信料を中心に生き延び、しかも活動し、そして国民に奉仕をする、こういう立場なんですから、従来の経理の内容におきましても、いま申し上げたように、聞いておっても私自身もよくわからないんだ。ですから、これをやはり簡素化してもう少しわかりやすい方法で、しかも決着のつくのはきちっと決着をつけて、そして国民に報告するという体制に、やはり一歩あるいは二歩前進すべきではないかというふうに私は思うのですよ。具体的な処置の問題についてはなかなかむずかしいと思うのです。むずかしいと思うけれども、でき得べくんばやはりそういう方向に進めていくべきではないかというふうに私は思います。  私は、この予算上の問題について幾つかの問題を指摘をいたしましたが、結局、問題の中心は、公共放送機関であるNHKは、その経営においてもありのまま国民の目の前に提出をして、そして単年度単年度で受信料というものは決定されていくわけですから、だからだれが見てもわかりやすい方法で、やはり経理の内容を堅実にやる必要がある、同時に、物価は異常な変動状態にあるからして、そういうことも十分見通してやるべきであるという点が、この調査会基本方針で「NHKは、国民との一体化への努力を継続し、一層国民の理解と支持を得るよう努めることが必要である。」というふうに指摘をしておる。あなたも先ほどそういうことをおっしゃいましたですね。これらの点について会長の見解をもう一回、いま私は財政問題についていろいろ聞きましたけれども、こういう点について、いまの山本さんの説明だけではなかなかわからないと思うのですよ。山本経理局長や前経理局長はわかっても、これは恐らくなかなかわかりにくい。これをやはり国民の放送局にふさわしいような体制をとるべきじゃないかということであります。会長、どうですか。
  247. 小野吉郎

    小野参考人 国民の理解と支持を得ますために、経理が非常にわかりやすく明確にすることは必要でございます。そのような面には大いに努力しなければなりませんけれども、現在の借金の返還、新しい借金の背負い込み、これは借金にはいろいろ返さなければならぬ条件がついております。約束がついておりますので、約束の期限が来たものは返さなければなりません。それでは、返しっぱなしで全然新しく借金をしないで済むかと申しますと、これはいろいろな難視聴解消等の設備投資もいたしますけれども、その設備投資をそのまますぐ受信料にかけては、非常にこれは大変でございますので、相当長期の期間をかけてこれを償却するような方法をとらなければなりません。そのためには、減価償却の積立金だけでは建設投資が間に合いませんので、その差額は新しい負債によらざるを得ません。仮にそういう新しい負債をしないで、返す金があるならそれを充てて新規の債務を負わなければいいじゃないか、これも一つの理屈でございますけれども、これはやはり返還の条件がございますので、条件に従って返すべきものは返す。もっとも、全体を通じまして理解の得られるような、わかりやすい簡素な経理体制にしなければならないことは御説のとおりでございます。
  248. 土橋一吉

    ○土橋委員 次は、国際放送に対する国の負担の問題についてお尋ねしたい。  御承知のように、五十一年度、国の命令によって国際放送を行うのですが、その費用はNHKは大体どの程度かかると見ておるのですか、命令による国際放送。
  249. 山本博

    ○山本参考人 具体的にNHKが自主放送としております部分と政府命令放送分と、両方の金額は予算に成立したとおりの金額でございまして、命令放送をやる分に幾らかかるかということになりますと、命令放送分はもらった金額の範囲内で実施しておりまして、それ以外はNHKの自主放送の分であるということになります。
  250. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこのところが一番の問題点なんだね。もらった分だけしかやらぬ、あとは自主放送でやるんだと言っても、そのもらった分しかやらないと言っていながら、実は郵政大臣を通じての命令放送という内容がもらった分だけで果たしてできるかどうか。というのは、国の経費の支出が非常に少ないわけですよ、問題は。だから、そこのところをどうしても念を押しておかなければいけないわけですよ。  それならばお尋ねするんだが、あなたの方では国に対して何ぼ要求したのか。
  251. 山本博

    ○山本参考人 命令放送というものは、こちらの方から幾らの命令をしろという形で金額を折衝するといいますか、そういうわけにまいりませんので、これはインフォーマルにはいろいろ相談がございますけれども、この金額で命令しろというようなことをこちらから言うべき筋合いでございませんので、実際に政府の方が最終的にこの金額で国際放送を政府命令分としてやってくれと言ったときに、その金額が著しく社会通念に反して、これではとても引き受けられないというときはお返しせざるを得ませんけれども、大体この程度のことならば何とかやれるというときは、それはお引き受けるするということになっております。
  252. 土橋一吉

    ○土橋委員 山本さん、それはいまの異常な料金値上げをしよう、つまり受信料値上げをしようという段階においては通らない理屈じゃないですか。あなた方は公平かつ不偏不党、自立性を持っておるでしょう。他の機関が何と言おうとおれのところでは従来の例から見て大体これだけ命令放送というものはやらなければならぬようになっておる、そうすればうちは大体これだけ政府に要求するんだ、政府が何と言おうと私の方はこれでないとできませんと言い切っていいじゃないですか。向こうがくれたらばその範囲においてやるなんて、それじゃ会長がさっき言った自主性とか自立性なんて持っていないということを証明するんじゃないかね。どうかね。自立性があればいまのような答弁はできないはずなんだ。だれが何と言おうと私のところは法律規定によって自立性を持っておるんだから、うちが採算の合わないようなことをやってもらっては困ると言うべきじゃないですか。向こうがくれただけしかできません、そんなことを言う筋はないなんて、それじゃまるで郵政省の貯金局長が言っておるような答弁じゃないですか。
  253. 山本博

    ○山本参考人 私はただいまNHK理事でございますので、NHK理事としてお答えをいたします。  先ほど申し上げましたように、国際放送として政府が命令をするのは、インフォーマルにはいろいろ接触はございますが、たてまえといたしましてはこれは政府命令でございますので、その内容についてはNHK自身として自主性なり独立性なり、これは堅持いたしておりますけれども、金額そのものについてこちらからこの金額でなければということを先に、予算成立前に申し上げるという形には性格上まいりません。ただ、申し上げられることは、国においても国際放送の重要性というものを御認識されて、もっと金額をおふやしになるのが至当であるとは思っております。
  254. 土橋一吉

    ○土橋委員 それじゃさっきの話とまた違ってくるじゃないの。山本さんがさっき話した説明といまの話は相当違ったことを言っておるですよ。そうじゃないの、私の聞きたいことは。やはり自主性を持っておる放送局としては、受信料によってわれわれは賄われております。政府のそういう金によって賄われておりませんから、私の方では今年度いままでの計算から言えばこれだけ要求しなければいけませんと言って開き直ってもしかるべきじゃないかということを再三私は言っているのですよ。  私の方の聞くところによりますと、あなたの方は郵政省に九億円を要請した。ところが、また郵政省村上さんにお尋ねするが、あなたは九億円要求したにもかかわらず六億円しか大蔵省に要求していないというようなことが言われておるのですが、それは事実ですか。
  255. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  先ほどNHKの山本理事が申しましたように、政府が命令するいわゆる放送法三十三条による国際放送でございますが、この経費につきましては、私たちも資料集めが十分でございませんので、いろいろNHKのお知恵を拝借しながらわれわれの方で算定するわけでございます。その結果、五十一年度の政府命令分の国際放送に対しましては五億九千万という額を見積もりまして、これを大蔵省へ要求したわけでございます。しかし、その後大蔵省と折衝いたしました結果、予算といたしましては四億四千八百万という金で本年度の政府命令分の国際放送を実施していただこう、こういうことでございます。そのほか、NHKといたしましては放送法第九条の二によります自主的な国際放送を実施するということになっております。
  256. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは委員長も聞いてください。ここは逓信委員会ですから、ほかの委員会と違います。大蔵省いますか。――大蔵省は、お尋ねをいたしますが、なぜそういう越権行為をやるのですか。受信料によって賄われている放送局に対して、国は当然出すべき金を出さないでおいて、そして九億円要求しておるという話なのにその半分しかくれないというのはどういうわけだ。これは悪徳商人よりもひどいじゃないですか。
  257. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 先日当委員会でもお答え申し上げましたとおりでございますが、私の方はNHKから九億円とかなんとかという話は全然知らないわけでございまして、郵政省の方から確かに五億九千三百万円の要求がございました。この五億九千三百万円というお金でございますが、昨年五十年度の予算は三億四千二百万円でございまして、これに対してふえ方といたしまして七三%ぐらいの大きな額でございます。御承知のように国の一般会計全体といたしましてお金が非常に窮屈な状況でございまして、本年は国債を七兆二千億以上発行してやり繰りをしなければいかぬ。それでも一四・一%しか全体の規模としてふえない状況でございます。そこで先日も申し上げましたように、私どもの大臣が予算委員会お答えしておりますような趣旨に沿って考えるといたしましても、一四・一%しか全体規模が伸びないところで七三%の増加というのは、これはなかなかむずかしい。それで郵政省の方といろいろ御相談申し上げまして、三〇・八%の増加の四億四千八百万円というところでやっていただくということになったわけでございます。
  258. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。  私は大平さんがどういう考え違いをしておるのか知らぬけれども、これは国民の受信料によって賄われる公共機関ですよ。しかも特殊法人ですよ。もし国がそういうえげつない態度をとって、たとえば従来は二〇%だが今度は七億四千万の赤字国債を発行したから二二%にして、これで行政行為をやってくれというなら筋は通りますよ。しかしこれは受信者を中心とする公共放送ですよ。その公共放送が赤字でどうにもならないというような時期に、しかも郵政省は六億を要求しておる。それをまた値切って、何事ですか。国民に対する行政行為としてどうしても政府全体をよく説得してやる場合と違うのですよ。受信者の受信料によって賄われている特殊法人ですよ。そんなものと一緒にして行政行為をやるなら、これはとんでもない間違いです。私がここではっきりしたいことは、郵政大臣もしっかりしてください。NHK郵政省の私物じゃないのですよ。親類でもないのですよ。ただあなたの方は主管庁として、電波監理行政上のいろいろな問題やこの国会へ上程することについて意見を付するだけの問題ですよ。それならば、こちらが要求したことについてちゃんとまともに九億要求してしかるべきですよ。何で途中で悪いサバをつけて、それで六億で要求するなんて、こんな越権行為をしては悪いですよ。やはりちゃんとNHKを養成するようにしてもらわなければいかぬですよ。今度の予算はそういう点に非常に難色があります。われわれが見ておっても、郵政省全体のやり方あるいはNHK自身も、先ほど山本さんの答弁がちょっちょっと変わってくるように全く情ない状態なんだ。だからやはり会長が最初言ったように、ちゃんと公平でしかも不偏不党で自律性を持っておって公共機関であるという点に徹するならば、当然その要求をしてしかるべきだし、やるべきだと思うのですよ。  時間がありませんので、次は全額免除の問題について、あなたの方は聞かなくたってわかっておりますから、私は端的にここに来ておられる各省の方々にちょっとお尋ねするのですが、労働省、文部省、厚生省来ておられますね。あなた方は、NHK予算が従来のように潤沢にあってカラーの契約も比較的伸びたとかというような状況においては、公共機関としてえてしてそういうところに甘えるものなんですね。しかし受信者から守られておる放送局が、たとえば何十万件という小中学校なんかのカラーテレビを見るとか、あるいは心身障害者の方々とかそういう気の毒な方々に対してやるとか、あるいは労働省関係でやるという場合に、なぜ一体その金を出さないのか。あなた方のこの間からの説明を聞いておりますと、従来のままの状態だから余りいじらない方がいいというような精神しか説明していないわけですよ。これではNHKは非常に困っておるわけだ。これは総額におきましても、全部加えたら恐らく相当の金額になるのですよ。だから受信料免除の五十五万というものは、すでに防衛庁あるいは防衛施設庁等は金を出しておるのですね。それから鉄道関係なんかの場合も出しておるのですよ。こういう点から考えまして、防衛庁が騒音で出しておって国鉄がそういうことについてめんどう見ておるのに、なぜ厚生省、労働省、文部省は見ないのですか。簡単でいいからその見れないという、だれが聞いても納得できる答弁をしてください。従来のような答弁ではお聞きする必要はない。納得のできる答弁をしてください。――あなた方は、憲法の規定によって答弁をする義務があるのです。しり込みして逃げているなんてもってのほかだ。あなた方は大臣にかわって答弁をする義務を負っておるのです。
  259. 稲垣守

    ○稲垣説明員 現在、放送法に基づいて学校向けの教育番組が放送されているわけでございますが、学校教育におけるテレビの利用は大変効果もありますし、子弟の教育の上においても大変重要な意味を持っておるわけでございまして、文部省といたしましてもその利用については従来とも促進してまいったわけでございます。NHK財政事情もおありになることとは思いますが、NHKの公共的性格にかんがみまして、ぜひとも今後ともこのよい制度を継続していただくようお願いしたいのでございます。
  260. 中野光秋

    ○中野説明員 労働省といたしましては、職業訓練法に基づきます職業訓練校のテレビにつきまして全免措置お願いしておるわけでございますが、これは職業訓練によります青少年の教育という問題にNHKの放送が非常に重大な役割りを果たすということで全免の措置お願いしておるわけでございまして、今後もこの職業訓練の方法といたしましてもNHKの放送が非常に効果があるという点もございますので、できますならば従来どおりの取り扱いをお願いしたいと思います。
  261. 北村和男

    ○北村説明員 社会福祉に関しまして最近いろいろきめ細かな施策が要請されているようでございますが、ひとり厚生省だけではなくていろいろな機関、各省各団体等でそれぞれ幅広い協力と支援をちょうだいしなければならないことでございます。従前NHKが行っておられたこの減免制度も、その一翼を担っていただいておるものだと了解いたしておりますが、何分NHKの方でいろいろ減免基準をお決めになり郵政省の御認可を得て実施されていることでございますので、その公共性にかんがみまして、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思っておるわけでございます。
  262. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、あなた方の答弁は、一つは公共性があるからいままでどおりやってくれということ、それから片っ方は実際的に訓練に非常にいい教科書として利用させてもらっている、ぜひお願いしたい、それからいまのお話だというと、結局NHKの減免規定は自主的にやっておるのではないか、ちょっと反論めいた答弁になるわけだけれども、この三つを総合してみまして、どこにもあなた方がそういうことを言う権限はないわけだ。公共放送だからといって甘えていいという理由は一つもない。教科書になっておると言いながら金も払わない。いまも開き直ったように、減免規定がおまえのところは放送法規定にあるじゃないかというようなことを言ったところで、これまた理由にならない。というのは、何回も言うように、受信者によって支えられて、受信料によって経営されている特殊法人なんですよ。だから、もみ手をしてひとつ金をまけてくれなんというしろものじゃないわけですよ。これはぜひひとつ郵政大臣は今後活躍してくださって、こういう答弁や質問を二度とこの逓信委員会でやらせないように、あなたの御配慮を願いたいと思いますが、どうですか。
  263. 村上勇

    村上国務大臣 どうも従来からの非常にいい慣習でありますので、これを直ちにどうするかということについては十分検討した上でひとつ決めさせてもらいたいと思います。
  264. 土橋一吉

    ○土橋委員 いい慣習じゃないですよ、悪い慣習ですよ。というのは、厚生省だって文部省だって労働省だって、ちゃんと予算をもらって自分の所管事項としての仕事をやっているわけですから、公共放送だからといって小野さんところにみんな食いついていったら、これはもうとんでもない話ですよ。小野さんのすねをかじるんじゃないですよ、国民のすねをかじっているわけなんですよ。税金を二重取りするわけですよ。そうでしょう。小野さんのすねかじったというぐらいなら、これで見てどの程度かなと思って見ているけれども、そうじゃないんだよ。国民のすねをかじっているんですよ、厚生省、文部省は。これをやはりやめさせる必要がある。委員先生方もひとつこれはきちっとしておかなければいかぬですよ。委員長、ぜひひとつこの点を、この次こういうことで何回も討論するようなことをやめさせてください。  次に、電波障害の問題をやりましょう。  これは非常に大きな問題でございますし、先ほどもちょっとお話がございましたが、高層建築物などによる電波障害について、郵政省でもいわゆる通達とかあるいはそういうものについての答申等をいろいろいただいて調査の内容も示しておるわけです。しかし、依然として都市におけるところの高層建築物などによる電波障害というのはなかなか解決していないわけですよ。それはミニサテの問題もありましょうし、有線放送その他のいろいろな問題もありましょうが、現実に一体このNHK努力もさることながら、私は郵政省に全責任があると思うのですよ。郵政省がもっと指導性を発揮してこの問題について――もう二年くらい前からわかっていることなんだ。それを徹底的にやらなかったという責任は、ひとつどうしても村上さんのところが負うべきだと思うのですよ。同時に、この問題について善処をする間の困っておる人々の受信料をどうするかという問題も起こってくるでしょう。それからまた、NHK自身も中途半端な立場に立つのではなくて、やはりこの電波障害を克服するということですね。あなたの方の予算措置を見ますと、国鉄騒音などによるよりも少ないわけなんだよ。飛行機の騒音などよりも少ないのですよ。片方は四億円ぐらい組んでいるけれども片っ方は二億何千万しか組んでない。ところが、都市難視の高層建築物などによるところの障害はこれからますますふえるわけですよ。こういう点から予算措置を私、見ておって、何を逆さまやっておるのかなあと思ったわけですよ、率直に言って。ですからこの電波障害が東京中野区における二万七千世帯等の問題もありまして、その問題をどういうふうに解決したのか、またそれに対して今後どういうように解決しようとしておるのか。私はあともう時間が十五、六分しかないんですよ。だから簡単に答えてください。まだ大事な問題がある。
  265. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま先生からお話しございました都市の受信障害の問題でございますが、これにつきましては、われわれ従来から原因者責任というたてまえで措置されるべきものだというふうに考えまして、建築主などを指導してきたわけでございます。  それに対するいろいろな対策でございますが、先生からいまお話しございましたこの中野地区の状況を申し上げますと、相当以前から中野地区において例の受信障害が起きまして、地元とそれから新宿新都心開発協議会、SKKと称しておりますが、これとの間で話が進んでおりました。これにつきましては、ことしの一月九日から二月十六日までの間、SKKとNHKが合同で受信状況の実態調査を行いました。調査の結果によりますと、大体対策を必要とする地域内の世帯数が一万八千あろうということになりました。これにつきましていろいろ対策を講じたわけでございますが、SKKといたしましても対策を地元へ連絡いたしまして、対策実施する範囲NHKが示したところによるというようなこと、それから対象といたしましては、受信評価が二以下の世帯を対象とする、それから対策の方法としては、有線による共同受信施設の設置による、大体こういうような話になったわけでございますが、ただ、これの維持管理費一世帯当たり二百円ということでございますが、これについてSKK側は地元負担をお願いしたい、地元の方としてはそれについて難色を示しているという段階で、この点についてはまだ話ができ上がってないという状況でございます。
  266. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこのところが郵政大臣会長も聞いていただきたいんですよ。結局、高層建築などによるところの電波障害が起こっておるのに、月々二百円あて金を取り立てて共同アンテナの金を出せ、こう言ってSKKはごねているわけですよ。ところが一般大衆から見れば、そんなものを建てたから要するに電波障害が起こって見ることができないんだから、自分の家にあれば自分のところでアンテナを立てる、そういう人様の、個人の、要するにふところぐあいの問題までも計算に入れて二百円出せというのは不当じゃないですか。当然それは高層ビルを建てた諸君の原因者負担の原則でいくべきですよ。いまのお話を聞いてみると、まだそれが解決しない。しかもSKKの諸君は、御承知のように大会社と言われる大きな土地会社の社長さんとか、名前は言いませんけれども性質が余りよくない。非常に悪質なんですよ。私も数回立ち会っておるし、この連中の話を聞いておるけれども、あんな大きなビルに入っちゃって、あんな大きな事務所を構えておるけれども、まことに不都合なものの言い方をしておるのですよ。特に郵政大臣をなめておるのですよ。われわれの力だったらもうUHFの波なんかもらえるなんて、こういう不遜なことを言っておる連中を相手にして、NHK郵政大臣は徹底的に責任を持って、そんなばかなことはない、原因者負担でいきなさい、これをきちっとやってもらいたい。石川さん、ひとつ答弁を。
  267. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいまの御質問ございました維持費の問題でございますが、これは原則といたしましては、地元とそれから原因を与えた者の間で話し合われるのがたてまえでございます。しかし私たちの、先般各地方電波監理局に送りました通達での考え方でございますが、これは全国的な規模で考えたわけでございまして、その場合におきましては、もしそういう設備がなければみずからでアンテナを立てなければいけないであろうというような分程度のものは、受信者において負担していただいたらいいのではないかというようなことでございます。そういうような考え方で対処しておりますので、それはそれといたしましても、やはりこの問題は地元で一応解決していただかなければいけない問題だろうと思います。地元の事情を勘案して決定していただきたい、かように考えております。
  268. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは委員長もお聞きになって――石川さんも腰が弱いのだね。郵政省自身がそういう通達を各地方電波監理局長に伝達をしておるのですよ。それを向こうは盾にとっておるわけなんだ。だからして、もとの起こりは郵政省が一番優柔不断であるし、やる気がないと言わざるを得ないのですよ。この人たちは、要するに原因者負担の原則を貫かないでおいて、最後は、いまも二回お話がございましたね、地元で話し合ってやってください、こういうことを言うから、力を持っておる方のSKKは応じないわけですよ。力の弱い方を屈服させようとしておるわけなんだ。しかも片方は十ばかりのわずかの会社なんですよ。片方は一万八千人とか二万人なんだ。それでやり方が大変憎いことは、自分の直接下の新宿区の何かの地域はちゃんと金を払ってそういうことをしてやっておるのだ。西友という大きなデパートさんの私鉄さん、あれはいまの高層建築のあるところのグループからはちょっと外れておるのですよ、あの西武電鉄の今度新しく建った。あそこなんかもちゃんと自分で前もって根回しをして、地元の人の要求をちゃんと入れて、おみやげまでつけて、どうぞひとつよろしゅう願いますとやっているわけなんだ。片方は中野であるものだからこのSKKの諸君はいい気になっちゃって、いまのような通達を盾にとって彼らは悶着をしておるわけですよ。ですから、この通達がいかに指導性のないものか、いかにおくれたものであるかは明瞭なんだ。というのは、原因者負担の原則というのは、他の場合とちょっと違ってはっきりしておることは、いわゆるSKKの諸君の建物によるものだということは明瞭なんですよ。もう一つは、中野へ今度新しく電電公社は大きいのを建てたのですよ。だからこのSKKの諸君は、中野に建った電電公社の二十階か二十五階のあの建物にも原因があるようなことを言おうとしておるわけなんだ。そういう中にいまのような答弁をしてくると、向こうはそれに乗っかってくるわけですよ。これはここだけではっきりさせることができないならば、これは郵政大臣ともう一回NHKはよく話し合って、厳然たる態度をとらないというと、これはいつまでも長引く、そんなことはこの間からも騒いでいるわけなんですよ。見えないという現実を直そうとしないわけなんだ。郵政大臣、この点は大切ですよ。NHKとしてもこの点はやはり早く問題を解決して、そして後の話は後の話としてまず一応やるならやって、とにかく難視聴を解消するということが中心ですよ。話が決着がつかなければ、二百円当たり出さなかったら難視聴問題は解決しないなんていう態度をとったんじゃ間違いですよ。この点を私、明確に申し上げて、ひとつ善処を願っておきます。  それで、郵政大臣なんかに対しても不都合千万なことを言っているのだ。放送局に対しても。まるで自分たちが何とでもできるようなそういう態度をとっておる。まあ名前をはっきり言えば、住友の不動産の社長ですよ。こういう連中に屈服しちゃいけませんよ。この点をはっきりひとつ委員会でもきちっとする必要があるというふうに思います。  時間がなくなるといけない、最後は経営委員会です。経営委員会の、主に私の方では公開をしてだれもがその内容をよく見るということが必要だ。先ほどから経営委員会の問題、出ております。経営委員会は御承知のように放送法の第十四条の規定あるいは二十七条の規定、四十四条の三及び六の規定等、重要な問題を審議をするわけですね。この重要な経営委員会について残念ながらこの中には――この間の参考人招致によりましていろいろな意見が出ておったことは御承知だと思うのですよ。この中でも経営委員会の問題について中身については触れていない、経営委員会のことについては。ほかのことはたくさんいろいろなことを書いていらっしゃるけれども、肝心かなめな経営委員会が、内容については書いていない。それだけ一つ見てもこの内容全体がどこかいびつな調査をしておるんじゃないかということを私は感じて見ておるのですよ。  そうしてくると、まず構成上の問題から考えまして、この経営委員会は御承知のように、ここに書いておりますね。経営委員会の内容は第十四条の規定によって、経営委員会が、要するに収支予算、事業計画及び資金計画の問題をやるということになっております。それでこの委員会構成のところを見ますと現在十三名になっています。先ほども指摘がありました。この内容を見ると、これが一体本当にそういう第十六条が規定しているように、「広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」というふうに書いてあるわけですよ。ところがこの委員会構成のこれを見ると、果たして一体公平にそういう人が代表されておるのかということは、だれが見たって疑問なんですよ。この委員会構成のあなたの方の資料を見ると、ここに出ておりますね、たとえば二番目の人は日本通信協力株式会社会長ですよ。三番目の人は海外経済協力基金総裁ですよ。四番目の人は、先ほど問題になった休んでおられたという人ですが、第四番目の方は鈴木自動車工業株式会社会長さんですよ。その次の方が日東工業株式会社会長さんですよ。その次の方が日新林業株式会社会長ですよ。その次は伊藤組株式会社社長です。それから最後から二番目の方が経済団体連合会事務総長ですよ。何ですか、これは。これだけの人が一体……(「まことに不都合だ」と呼ぶ者あり)まことに不都合だ。お助け願ってありがとうございます。まことに不都合じゃないですか。ここに書いてある「その他」という内容が最近非常に変わっているわけですね。教育界それから文化人それから科学者、そのほかに先ほどもお話が出た労働界とか受信者層とか中小商人層とかあるいは勤労農民層とか、たくさんいるじゃないですか。なぜこんなでたらめなことをしておるんですか。これは会長さんよりは郵政大臣に私は――郵政大臣、どうしてこんなことになっているの。これは地域代表で構成しているの。地域代表でしかも有名な実業家をもって構成しているの。そうじゃないでしょう。どうですか、これ。大臣、どうぞ。
  269. 村上勇

    村上国務大臣 大体、地域代表も相当含まれておりますが、やはり放送法に示してありますように、言論、科学、建設、科学・教育、教育、公企業経営機械工業、林業・文化、経済、言論・文化、中小企業・科学、農業と各分野にわたっておるようでございます。私のときではありませんが……。
  270. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは村上さんと私との見解の相違ではないのです。基本的な思想性の問題なんです。あなたの御説明はそれはそれで私はお聞きはいたしますけれども、近代的なものじゃないです、それは。この間の参考人の方々の御意見を見ましても、そういうことは言っていないんです。つまり各界各層の者を網羅して十三名の人がどこの地域から出ようとも、まず勤労農民の代表であるとかあるいは受信者の代表であるとかあるいは労働組合側の代表であるとか、こういうのが近代国家においては非常な発言力とまた非常な力といいましょうか、分野を占めておるんですよ。いまお話しになったようなことは全然悪いとは申しておりません。それはそれで一定の成果を上げられたし、また一定の立場があることは私どもよくわかる。しかしこうやって見たところは、これは自由民主党内閣総理大臣の推薦あるいはそういうことによっておるが、これを見たってNHK構成という大事なことをやる経営委員会がまともなものじゃないということはだれでもわかる。これがまともだなんて考えておられるとすれば、大臣ちょっと古くなりましたね。これはどうしても直すべきであります。特にこの経営委員会は、先ほどもお話がございましたように、理事さんも入らないところで、会長も入らないところでこういう方々が論議をしたって本当の論議ができるかという問題なんだ。本当にNHKの放送内容の民主化、経営の民主化あるいは番組についても斬新なものができるかということです。これは私と同じ郷里の方なんですけれども、ここに偉い人の名前が出ておるので私はちょっと申し上げたいが、上から六番目の方です。この六番目の方は私と同じ郷里ですからよく知っておるのです。この方は、御承知のように大変有名な方です。しかも自由民主党の、要するに幹部なんです。しかも大きな山持ちなんです。出羽の本間かこの方かというぐらいなんです。こういう方を推薦をしておる、現在のある大臣なんかがその配下におって衆議院に出てきたというようなこと、皆、よく知っておるのですよ。そのまた一番の頭目の、幹部の方がいまロッキード問題で国民から非常に批判をされておる、こういう関係に立っておるわけですね。そうしてくると、ここの中にもロッキード問題の臭いにおいがするのじゃないかということを言わざるを得ないような方が――これは電電公社でも似たような方がいらっしゃるのですよ、名前は省きますけれども。これでは経営委員会というものの権威がなくなるじゃないか。しかも、だんなさんと言われるようなそういう人が入って、いまの状態が真に刷新ができるかということであります。郵政大臣、いかがですか。郵政大臣、最後の答弁、こういうロッキードにも関係のあるような人……。
  271. 村上勇

    村上国務大臣 私が推薦といいますか、私が推薦した人はいないようですが、もうずっと前から国会で承認されて、十分その資格を持っておりますので、個人的な、その人が適格であるとか不適格だとかいうような批判は私には許されておりませんし、私はこれらの人たちはそれぞれ各界の代表としてりっぱな人である、こういまの段階では思っております。
  272. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に、残念ながらあなたのそういう御説では、これは恐らくここにいらっしゃる自民党の方だって賛成はできないと思うのですよ。この十六条の規定なんかに教育、文化あるいは科学、産業その他の代表というように書いてありますが、「その他」の中には、先ほど申し上げたように、最近の大ぜいのそういうグループといいましょうか、一つの階層といいましょうか、やはりこれを入れて、その出身地はどこでありという地域代表のような形をとっていくようなことはやはりもう時期ではないし、ましてや放送法の内容についてもこれだけ審議をしておるわけですから、ひとつあなたのお考えを切りかえていただいて、これは現在の内閣総理大臣にも話していただきまして、やはりこの規定の精神をくむような体制で経営委員を選ぶように御努力を願いたいということを切に何回も忠告しまして、私の質問を終わります。
  273. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 田中昭二君。
  274. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 NHK予算について、当局の幹部の皆さん、遅くまで御苦労さまでございます。私の質問が最後になるかと思いますが、ひとつ明快な納得のいく御答弁をいただくように前もってお願いする次第でございます。  各委員から広範な御意見なり、当局から御答弁があったようでございますが、重複する点もあるかと思いますが、その点については私がまだ納得いきませんからお尋ねするわけでございまして、あらかじめ御了承を得ておきたいと思います。  そこで最初に、私、このNHKのことをいろいろ勉強します中で、何といいましても当局のいままでNHK経営に当たってこられた方々、また関係者の方が衆知を集めて努力してつくられたこの基本問題調査会の報告書、これをもとにして、この問題の中に含まれておる表面に出てきてないような問題も掘り下げてみる必要があろう、こういう意味で質問を展開していきたいと思います。  そこで最初に、重複的なことでお聞きいたしますが、ひとつ簡単明瞭にお答え願いたいと思いますが、NHKが自主的公共放送機関であるということについての国民の納得のいく説明をお願いしたい。
  275. 小野吉郎

    小野参考人 自主的な放送をいたします放送機関といたしましては、国民の十分な負託にこたえるような姿勢をもって運営をしてまいらなければならないと思います。そういった見地から、いろいろ御批判があることは大いに歓迎をいたしますし、その御批判に対しては謙虚に耳を傾けるつもりでございます。そして、適切な御批判に対しましては直ちにこれを経営に反映させるということが必要でございますし、他面、不偏不党、厳正公正を保ちますためには、不当ないろいろな圧力等に対しては毅然として臨んでいかなければならない、これによって国民の信頼をつなぎ得るものと考えております。
  276. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、先ほども他の委員からございましたが、この提言の中で、「今後の業務運営にあたっては、国民の声に謙虚に耳を傾け、意見や批判に柔軟に対応できるようにNHKの体質改善を図り、」云々、こうございます。そこで、先ほどの委員の方からは体質改善を三項目挙げられたようでございますね。私はそのほかにもあろうと思います。そのほかの現在までに改善すべき体質にはどのようなものがあり、その代表的なものについて会長がどのような認識をお持ちになっておるか、それに対しての今後の決意といいますか、お考えをお聞きしたいと思います。
  277. 小野吉郎

    小野参考人 国民の御要望、声に応じまして、それにこたえなければならないことは当然でございます。そのためには、現在いろいろな措置をとっておりますけれども、まだ現在の措置で十分であるとは私は決して考えておりません。そういったような意味合いから、今後ますますいろいろな施策を考えまして、それによって国民の声が十分に反映され、本当に国民の放送局にふさわしい運営をしてまいらなければならないと思います。そのためには、いわゆる放送法も国民の意向の調査並びにこれを経営に反映さすことを要請されておりますけれども、いろいろな相談室を設けまして、国民の批判なり声なり要望なりを非常に歓迎し、これを経営並びに番組の面に反映させることはもちろんでございますけれども、われわれとしては進んで国民の意のあるところを把握し、これを反映していく努力を大いに傾けなければならないと考えております。
  278. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 失礼でございますが、りっぱなお言葉は聞きましたが、私がお尋ねしたのは、改善すべき体質がNHKにあるというのでしょう。それは先ほども三項目述べられた。これは委員の方から述べられた。しかし、会長自体のいままでの長い経験の上で、そのほかにもまだ改善すべき体質があるわけでしょう。それをお聞きしたのです。それは相談所を通してとか、細かいことはいろいろありますが、その中にあるのです。それを一つでもいいですからもう一遍答えてください。
  279. 小野吉郎

    小野参考人 体質の基本的なものは、在来の流れに安住して、そして外の意見を聞くやに見えて実際は内部事情を先にすることであろうと思います。こういうことであっては、真に国民の期待に沿い得る放送局にはなり得ないと思います。とかく企業体の中には、まず家庭事情と申しますか社内の事情を非常に優先させるきらいがあります。NHKでもこれが全然ないとは申せません。そういうようなことでは所期の目的は達成できないわけでございますので、目をむしろ外部に向けて、その方の要望に沿うようなことを優先さすべきだと思います。これがやはり体質改善の基本的な問題であり、最も必要な問題であると私は考えております。
  280. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もちろん、それは将来のことでもそういうことはございましょうけれども、いままでの経営の中に改善すべき体質があるんではないか、こう指摘しましてもいまのような抽象的なお言葉で、私は大変残念です。まだ質問項目があって、こうやって時間が制限されておりますから、はなはだ納得できませんけれども次に進みます。  次に、「新たな視点に立って効率的安定経営を実現すべきである。」このことについてもひとつ具体的にお答えただきたいと思います。
  281. 小野吉郎

    小野参考人 いまいわゆる経済の曲がり角に来ております。国民生活についても同様であろうと思います。かつての所得倍増計画に支えられたいわゆる成長、成長といった面に観念を置いての事業運営では、これは高度の効率化と時代の要請に即応するような経営体制というものはなかなかとりにくいと思います。こういった流れの変化に応じまして非常に能率の高い、いわゆる効率を発揮した経営が望ましいのではないか。いつまでも高度成長の夢を持っておったのでは、こういう時代の要請に即応できるものではございません。したがいまして、在来のものでも、もう従来やっているからということで安易にそれを継承するだけではなく、これにも抜本的な検討を加えて切り捨てるべきものは切り捨て、合理化すべきものは合理化し、新たに時代の要請にこたえるそれは、できるだけ経費の節減に役立つような方法において取り入れていく、こういうことで、安易な新規計画の着手には手を染めるべきでない、このように考えます。
  282. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これも具体的な御説明が――私は大体質問の項目は申し上げておったのですから、もう少し具体的に。そういう御答弁をなさるのであれば、今後は質問を教える必要も何もないという感じがいたします。  文句を言っても仕方がないので、次に移ります。細かいことでございますけれどもNHKの基盤を支えている受信料の問題ですから、細かい問題ですけれども取り上げます。  ここに「昭和四十七年頃より受像機の普及がほぼ限界に到達した。」このように協会も考えておられますか。そうしますと、また別のところには、「受信者数の増加を期待し得なくなり、」こういうふうにも書いてあります。私はこれは違うと思うのです。受信契約が限界にきておるのじゃないのです。協会がその受信契約の開発に努力しなかったという証拠が出ておるのです。どうですか。ですから一つを取り上げてみれば、毎年のこの逓信委員会においても、NHK予算の国会附帯決議についても、この受信契約の開発には努力しますということがほとんど全部書いてある。そういうことから言えば、附帯決議も言わせるだけで実態はやってないということの裏づけになる。いい悪いは別ですが、裏づけになる。いかがですか。
  283. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘の点は私どもが心からそのように思っておる点でございまして、一応はいままでの実績等の関係から見まして、いろいろ努力をしても契約の伸びが限界にきたとかいろんなことを言っておりますけれども、契約の畑がないわけではございません。私も先生と同じような気持ちでおります。ただ、いろいろ複雑な特にいまの大都市の生活環境といった面について、まだまだ努力しなければならぬ面が多々あると思います。
  284. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そのことでつけ加えておきます。  テレビを持つ人がいなくなるのじゃないのですね。協会のこの受信契約に対する取り組み方、運営が当を得てないと言うのです。では当を得てないと何が起こるかというと、受信契約の開発と逆の方向が現実に起こってくる。そこに何が起こるか。受信料という、税金でもない国民の善意に支えられているNHK、こう言いますけれども、そういうことを繰り返すといわゆる国民との相互不信がまた出てくる。そして受信料拒否者、未契約者も含めて未払い者が増大してきておる。ということは、受信者である国民と協会の内部の混乱を一層助長しておることになると思いますが、この現状はいかがですか。
  285. 小野吉郎

    小野参考人 受信料制度の維持の根本条件といたしましては、この制度の運用が非常に公正でなければならないと思います。しかも負担の均衡がだれから見てもきわめて公平にいっておる、こういうことでなければならないと思います。現在の現実におきましては、この見地からいろいろ御批判を受ける余地はあろうかと思いますので、この点については田中先生からは非世帯の問題あるいは世帯契約でもそうでございますけれども、多分のお力添えと激励を賜っております。その結果多少の改善も見られましたけれども、この程度で満足すべきではないと思います。こういった方面をやはりNHKも非常に努力をしておる、しかもその成果を上げつつあるという実績を持ってまいりませんと、先生の御指摘のようないろんな好ましくないことが出ますので、こういった点については一層の努力をしなければならないことは特に痛感をいたしておるところでございます。
  286. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 一応かすみのかかったみたいにお認めになったところもありますけれども、私はこの際でございますからまた後ほど具体的に申し上げてみたいと思います。  そこで次に、さらに提言の最後の方に「国民との一体化への努力を継続し、」とありますね。いままでNHKがそういう努力をしてきた結果、国民との一体化の進展がずっとあったと思います。その進展によって国民との密着度を深め、そして理解と支持を深めたという現状があれば、それを一つだけでもいいですからお聞かせ願いたいと思います。
  287. 小野吉郎

    小野参考人 外国の放送機関の方々もよくNHKに来られるのでございますけれども、自国あるいはその他の外国の放送機関のそれと比較しまして、たとえば地方でもそうでございますが、特に渋谷のいまの放送センターには毎日一万人近い人が出入りをしております。これは見学コースもちゃんと設けてやっております。これはNHKと受信者の間が非常にぴったりいっておる、こういう印象を与えるようでございます。これだけでは足りないのでございますけれども、そういった面について、ホールが非常にぜいたくだとかいろんな御批判は受けますけれども、やはり受信者とNHKを結ぶ、一体感を増進する一つの成果は上がりつつあるのではないかと思います。一例を挙げますと、そういうように考えます。
  288. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その見学コースのことについては私も認めます。しかしそれにはまた疑問がございます。  そのほかのこともございますが、ここでは時間がありませんからそれを避けまして、次には、先ほどの大事な受信料の問題で受信規約というものをおたくの方ではつくっておられますね。これは法三十二条の条文によって受信契約というものができておるわけでございますが、私それを見せてもらいました。本条は一条から十五条までございますが、これを見てみますと、一応は常識的な私的契約といいますか、そういう約束事が決めてあるのでございます。そこで、この規約とは全然別のことを伺いますが、ちょうど料金改定の時期でもありますから、もしもこの改定料額がこの国会で承認が終われば、いつの時点から変わることになりますか。
  289. 小野吉郎

    小野参考人 新しい料金の徴収開始時期でございますが、これはいま五月暫定予算で歩んでおりますけれども、五月中に本予算の御承認を受けることになりますと、六月一日からは新料金で徴収することに相なるわけでございます。
  290. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 わかりました。  次に、この規約の中に入りますが、十二条関係、義務違反というところがあるようでございますが、この十二条の義務違反の規約は正確に守られておりますか。
  291. 川原正人

    ○川原参考人 御指摘は割り増し金の規定であろうと思いますけれども、これはいままでにこの割り増し金を適用した事例はございません。
  292. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の質問に的確に答えてください。私はこの十二条の規約が正確に守られておりますかと言ったのです。そんな先回りして答弁する必要はありません。もういいです、次に聞いていきますから。  それではこの十二条(1)、これは会長さんもう御存じと思いますが、「支払いについて不正があったとき」それが倍額の徴収になる、こうなっておるわけでございますが、この不正があったという場合、不正かどうかということはだれが判断するのですか。これは不正な行為だということをだれが判断するのですか。
  293. 川原正人

    ○川原参考人 不正と申しますのは具体的な内容とすれば、たとえば受信機をお持ちになってテレビをごらんになっているのにその契約を結んでおられない、あるいは料金をお支払いにならないというのが不正だと思いますが、結論としてはその当事者といいますか、この放送法を施行しその義務を果たしてまいっておる、受信料を徴収している、いわば放送法の義務を果たしているのは私どもでございますので、最終的にはやはりNHKの責任者がそれを判断する。しかし、もし争いがあるとすればそれはやはり最終的には訴訟の問題になろうかと思います。
  294. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは責任者と言えば会長さんからずっとどこまでかあるわけでしょうからね。大変あいまいでございますが、それではそのまま次に移ります。  次の二項には、いわゆる受信料の支払いを三期分以上滞納した、延納した場合は、こうなっていますね。この場合も確実に行われておりますか。
  295. 川原正人

    ○川原参考人 この十二条の規定を確実に適用はいたしておりません。
  296. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いたしてない。先ほどの第一項もない。義務違反のいわゆる罰則規定のものでしょう、二倍徴収するというのですから。第一項もない、第二項もない。ところが、NHKが基本問題調査会に出された資料の中には罰則その他法律上の制裁措置は設けられておりませんと書いてありますが、これはこの規約の義務違反の項目とはどういう関係になりますか。うそを出しておるのですか、調査会に。
  297. 川原正人

    ○川原参考人 そういう意味ではございませんで、私どもとしては大原則としてまず放送法において受信料の支払いの契約をし、支払わなければならないという意味のことが規定いたしてございます。その問題について法律の方で罰則がないということをいろいろな機会に申し上げているわけでございます。
  298. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことは言い逃れです。法律に基づいて規約をつくっているわけでしょう。その規約はいま言ったように、全然――それじゃ、確実に行われないとするような規約は現実問題としてこれは死文化も等しいじゃないですか、ないのと同じじゃないですか。こういう単純な矛盾を抱えておる現場、受信者、このことによってどういう現象が起こっておるか、あなたたちは、御存じないとは言えませんよ。それじゃ協会は、こういうことを適用したこともない、法律上の罰則も設けられないならば、この規約は除いた方がいいのではないですか。
  299. 川原正人

    ○川原参考人 私どもとしては、この規約はぜひ必要であるというふうに考えております。それは確かにこのとおり割り増し金の適用をしたことはございませんが、私どもは今後の事態の推移により、もしどうしても受信料の負担の公平が図り切れない、かつまた国民の大多数の方がこのままでは納得がいかないというような事態がさらに出てきた場合に、やはり負担の公平を図る、不正をしあるいは支払を理由なく延滞しておる方からは、それなりの割り増し金といいますか追徴というものは、場合によれば訴訟に訴えてでも取らなければならぬ事態があるいはあるかもしれない、そういう意味においては、この規定は精神規定におきましてもまた現実問題としましても必要ではないかというように考えております。
  300. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは重大な発言になりますよ。協会の最高の責任者である会長からひとついまのことについて御発言いただくし、また郵政省の方はこの規約は郵政大臣の認可ですか。認可を受けてつくったと書いてある。この規約は死文化して、いままで何十年と適用したことがないんです。今後のことも、いままでに一回でもあれば今後もあり得るということが考えられますよ、何十年と一回もないような規定をつくっておって、おどかしじゃないですか、この規約は。だからそれなら、私が先ほど言いましたように、この規約があるためにどんな内部の混乱が起こっていますか。全部指摘できますよ。この放送白書にもどれだけそのことに関連することが書いてありますか。ですからまず会長から、こういうぶざまなことでは今後の経営がうまくいくと私は思いません、また郵政省は何でこういう認可をして監督する立場にありながらじっとしているのか、それぞれ御答弁ください。
  301. 小野吉郎

    小野参考人 率直に申しまして規定はございます。制度はございますけれども、その運用の場がいままでなかったことは事実そのとおりでございます。何ゆえにそのようになるかと申しますと、NHKは国民の放送協会といたしまして、国民の十分な納得のいく御理解と御支持を得ることを基本に据えるべきでありましょうし、そういった見地から発動できるそういう規定を持ちながら、その基本的なものに従って十分納得してもらって支払ってもらう、こういう努力をいたしておるわけでございまして、そういった面がこの規定が不要だということにすぐにはつながらないのではないかと思うわけでございます。  そういった面で将来の問題といたしましては、基本は国民の方々の御理解と御支持を得るように努力しなければなりません。この規定の発動がないことが好ましいのでございますけれども、いろいろ滞納あるいは不払いの実態も非常に変遷しつつございます。そういうような関係に対しまして全然手をこまねいて、あるべき規定の発動もない、これが非常に受信料の負担の不公平だ、正直者がばかを見る。それで受信者全体のいろいろな御支持が得られるようなことがあれば、公正を維持するためにあるいはそのような規定の発動も必要になる場合が起きてくるのではないか、このように考えております。
  302. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この規定でございますが、この規定NHKと受信契約者との間の契約を守るために必要であるということで定められたものでございます。現在までには、先ほどのお話のように一度も発動されたことがなかったということではございますが、それなりに契約という意味におきましては意義のある規定であると考えられますので、これを削るということはいかがかと存じます。
  303. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 削るということにもなりますが、私は、この問題は裏に隠されたいろんな問題、これがあるためにいろんな内部の混乱とか受信者のいろんな問題が起こってきている。そういうことを見てじっとしておって、そしていままで以上にNHKが国民の信頼を得て発展すればいいですよ。しかし、それがもとで受信料の問題にも内部混乱が起こったりするということは経営の発展につながらないじゃないですか。それを見てあげるのが郵政省でしょう。  もう一回大臣にお尋ねしますけれども、この十二条の契約の違反者に対する制裁として、確かに契約上の履行行為として法文上の問題はないでありましょうが、現実問題として、放送法における罰則規定がないため強制力がなく、受信契約しない者が年々増大しておる現状が一方ではあるのです。一方では、この規約の十二条は正直な契約者だけに適用されるという現実もあるのです。先ほど会長さんは、正直者がばかを見ないようにと言われたけれども、正直者がばかを見るような作用になっているのです。だから、ここで言われておる現実が違うから私は問題にしたのでしょう。ここだけで言葉で言って終わる問題というようなことをいままで繰り返してきたから、だんだん受信契約の開発もできなくなったことも指摘したはずです。大臣、いかがですか。
  304. 村上勇

    村上国務大臣 NHK公共放送としての料金を支払うということは一つの原則になっております。常識ある国民は、NHK料金は払わんでもいいという人は一人もないと思います。たまたまよからぬ――よからぬというわけではないでしょうが、考え方の違った人があって受信料を正確に払わない。その十二条の規定というものが――その際にすぐ伝家の宝刀を抜くというようなことは国民的な放送事業として避くべきだ、なるたけ抜かない。しかし伝家の宝刀は袋におさめておってもこれを持っておるということは、抜かぬで済むようにというのがNHKの考え方、われわれもそう考えておりますが、しかし宝刀を持っておることは私は大事だと思います。
  305. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 委員長、私はNHKが今後正常に、みんな国民から喜ばれて発展することを願っていま議論しておるのですよ。ところが、こういう答弁では用意しておることを言ってもむだですよ。現場の混乱とかいろいろな問題を教えても、ああそうですかで終わってしまう――もうやめます。きょうはNHKの大事な料金改定を控えた予算一つのかかりにして、NHKの発展を願って私議論しようとしているが、今後委員長からも、答弁のいいかげんなときは十分指摘をしてもらって、私はきちっとした答弁をもらわなければやめませんよ。おどかすわけではありませんから、本当なんです。
  306. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 そのように取り計らいます。
  307. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 では次に移ります。委員長の計らいもありますから……。  次に、先ほどからいろいろ言われますから、私、事実をもって指摘するのですが、資料のことを明かすことはその中で明かしていきましょうね。  NHKの公明正大な発展を願う国民がたくさんおられます。その人たちの多くの意見の中で、たった一部分でございますけれども、先ほどから言いますように、受信料について代表的な意見を私はかわりに述べますよ。そのまま述べます。いいですか、これはうそじゃありません。ちゃんと全部資料がございますから後で見せます。  その第一番は、NHK放送法及び放送受信契約を確実に守っていない、先ほどの件ですね、いい悪いは別にして。二番目、公平であるべき受信料が公平に支払われていない。会長さんは公平にするとおっしゃるけれども、そうじゃないというのです。これはおたくの方の組合でつくった放送白書の中にもそういうことは出ていますよ。私がここで指摘するまでもないと思いますけれども一つだけ指摘しましょう。この組合が調べた最終まとめとして、意見として最も多かったのは受信料の集金の不公平、不平等についての不満が一番多かったとなっている。三番目は、契約拒否及び受信料未払い者が多数ふえつつある。これも私はわかります。四番目、長期滞納者がそのまま移転した場合、その人は大変優遇されているというのです。これはちょっと不思議に思われるかもしれませんが、後で事実をもって申し上げます。五番目、これは大変会長さんに申しわけないのですが、受信料収納率または集金について会長さんは――会長はと書いてあるが、会長さんはうそを言っている、こう書いてある。  以上、率直で素朴な言葉での表現でございますが、協会内部の人の意見でもあり、現状においてはしかるべきこととも思われます。協会として、いまの一から五までについておおむね全部認められますか。それともこの中で一項目だけでもお認めになりますか。いかがですか。
  308. 川原正人

    ○川原参考人 それに似たような議論というのがあることは私も承知はしておりますけれども、私としましては総じて申し上げてやはり確かに問題はございます。完璧というふうには参っておりませんけれども、総じて言って受信料はかなり国民全体の中においては公平に近い形で取られている。ただし、私はこれでもっていいとは決して思っておりません。先ほど会長申しましたように、まだまだ努力の余地はありますけれども、総じて言えばおおむねある種の限界ぎりぎりのところまで受信料契約はできている。それからいま御指摘の項目の中に収納率とか契約率についていろいろ御意見ございましたけれども、これも私どもは決してうそのようなことは申し上げているつもりは全くございません。いろいろな物の見方というのはいろいろな場合にあろうかと思いますけれども、私どもが推定し得る限りのデータをもとにあるいは私どもが確実に把握している契約者についてのデータについては少しも間違った数字は出しておりません。
  309. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 答えになっていません。おおむね全部五項目を認めるかと言ったのに、そのことは一つも言ってないじゃないですか。
  310. 小野吉郎

    小野参考人 いま指摘されました、そういうことを言われる実態が現存しておることは認めます。これは改善しなければならないと思っております。
  311. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういう答弁で済むのだったら、理事さんは出てこないで、会長さんにお願いしなさいよ。時間のむだですよ。そうでしょう。そのはずです。これを全部認めるか一つでも認めるかと私聞いたのですから。いま会長さんのお話ではそういう事実があることは知っておる、こうおっしゃるのですから。  それじゃ次に移ります。いま私、二番目に申し上げました公平の問題ですが、これについてある事例をもとにして述べますと、いいですか、よく聞いておってくださいよ、これは川原さんは知っているかもしれませんけれども、恐らく会長さんの方には来ていないと思いますから、ある事例ですから。実例ですから。そういう資料は全部ございますから、いいかげんな答弁はせぬことにしてくださいよ。ある放送局の昭和五十年四月現在で、管内の世帯数が七十万三千三百です。これは放送局の普通の世帯数がですね。に対し、受信契約数が五十六万八千百七。ですから、いつも会長さんが大変契約率がいいというときに使いなさる割合、あれからいけば、ここは単純に割ってみますと八〇%です。余りよくないですね。しかし、その内容を詳しく見てみますと、契約数の中には、まず私がいつも指摘しました、いわゆる事業所等の純粋な非世帯の契約数、これは除かなければいけませんよね。わかりますね。その非世帯の契約数と、今度は世帯の登録を行っていない出かせぎ人、一時滞在者、学生とかいろいろおりましょうね。学生はまああれですけれども。そういう人の受信契約をちゃんと調べてあるのです。その数をいわゆる非世帯の分と合計して――この一時滞在者の方は世帯に入っていないのですから。わかりますか。まだおわかりにくい方は、たとえば私は国会におりますが、福岡で世帯契約をしております。宿舎で契約をしております。しかしこれは私は青山ではいまここで言う登録を行っていないのです。そうですね。それで、会館でもしている。私は受信契約を三つしておりますが、一つも見ない。見ないと言うとおかしいけれども、一世帯で五台も六台も持っておって一つも払わぬ者もおるのです。そうでしょう。そこをまた言うと細かくなってきますから申しませんが、とにかく私は青山で受信契約はしていますが、これは私は青山の世帯に入っていないのですから、当然そういう分と非世帯の分を総受信契約数から除きますと、当初の登録世帯に対する割合はおおむね六〇%になるのです。ということは、その地域に住んでいる世帯の人で、受信契約をしていない人が四〇%もおるということです。そうですね。その中におって契約していない世帯の人が大体四〇%もおる。世帯の人と言えば大体一台持っておるのが常識ですから、またそういうことでいままでずっとこの委員会でも会長さんは答弁なさっているのですが、そうすると、これは四〇%といいますと、この管内では先ほど言いましたようにおおよそ世帯が七十万でした、それの四〇%ということは、大体二十九万も世帯で未契約があるということです。さらに、そのほかに非世帯の契約に属する人たち、いわゆる官公署とかホテルとか旅館とか病院とか、そういうものの非世帯に属する未契約も相当数に上ります。これ、全部調べてあります。相当数に上ります。この両方の受信未契約の数は膨大なものになります。先ほどの二十九万に加わっていきます。この数は概算でも少なくとも三十五万から四十万近くなるのです。としますと、これが仮に四十万あったとすると、いま出ておるところの契約数の六〇%から七〇%になるのです。いまの五十六万の六〇%から七〇%も未契約があるということです。すなわち、現在の受信契約者が、いまのこの管内では、いいですか、その六〇%ぐらいのそういう莫大な未契約の分の費用、と言うとあれですけれども、その未契約の分まで負担していることになりますね。このような総体的な数字での不公平でございますが、これは放置されてはならないと思いますが、いかがでございますか。
  312. 小野吉郎

    小野参考人 そのような事態を放置することは、これは絶対にできないと思います。
  313. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうですね。その証拠にこの中にも――一、二引いておきます。そう言っても、わからぬ人もおりますからね。会長さんは大体認められましたが。この中にも、そういう未契約者がおるために、実際集金人さんが回っていきますと「国民の「NHKばなれ」「受信料制度への無関心」は日を追うごとに高まっており」ます。これが一般的な状況です。だから「これに対し、まやかしの公平負担論や高収納率論では社会的説得は極めて困難である。」先ほどの川原理事の言われた言葉ですね、これは内部でだめだと言ってあるのです。公平負担論や高収納率論ではだめだ、通用しない、困難だと書いてあります。こういう言葉はまだたくさんございますよ。その次のページには「受信料制度の社会的認知力を高めねばならないということである。今日までその努力が欠けていた。」、それからその次は「NHK経営はきわめて重い病患におちいっている」、これは内部の人がおっしゃるのです。これだけのいろいろな調査をやったりしてまとめられたものですから、私はそういう感じがあることは事実だろうと思いますが、そのほかにも、取り上げてみればもう切りがありません。  もう少しどこかを読みましょう。「公平をめざす理想はわかるとも、自己主張ばかりが多い現実、正直者は馬鹿をみる状況の中で、」そういう状況だとおっしゃるのです。これは集金人さんの言葉ですが「我々は「殆んどの皆さんに公平に払っていただいています」という事の空々しさ、空しさはいかんともしがたい。」むなしさというものを禁じ得ない、そんなことは言われないということです。もう取り上げれば数限りがありませんけれども、こういう状況のようでございます。  そこで、会長さんは不公平があることはわかっていただいたと思います。そういう現実もわかっていただいたと思います。  次に、三番目の契約拒否の問題ですね。未払い者の問題です。受信料の未払いについていままでたくさん、多くの機会に論じられました。また、いろいろなマスコミにも報道されております。ところが、いつも協会の説明では、未払いのことを言いますと、不払い同盟のことを言いますと、何かはれものにでもさわるような状態で、積極的にそれに取り組む姿勢が見られません。説明も不十分であります。あるときには一万五千と言ったり、四十五万と言ってみたり、五十万と言ってみたり、そういう説明ではとうてい疑問に答えられるものではない、答えたものではない。そういうことを言われると、逆に疑問を深める感じさえ私は持ってくる。どうですか。
  314. 川原正人

    ○川原参考人 私ども、契約の仕事をするに当たりまして、いろいろ御意見のある方が多々あることは、現場の実態としても私もよく承知しておりますし、いままでいろいろな国会への提出資料、あるいは答弁等で申し上げましたことは、その都度御質問に対し部分的にお答えしたことがありましたので、あるいは全貌を御理解するのにむずかしい点があったかもしれませんが、いま私どもが把握いたしております滞納の数につきましても、あるいは不払い運動等につきましても、私どもとしては知り得る限りの数は全部正確に申し上げているつもりでございます。
  315. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまそういう答弁をいただきましたけれども、私は納得できません。先ほどから言いますように、この提言、またこの資料の中にある、いまのことで私はある人の代表の意見を読んだのですが、そこの中のいわゆる未払いのことにつきまして、この資料には「受信契約者の増加と受信料の確実な収納を期する。」と、こういうふうに資料に書いてある。そうすると、これはうそになりますね、いまのような御答弁だけでは。それから、この中にもまたそれを裏づけるようなことが出ておりますね。もうこの際ですから読みますよ。これは何もつくりごとじゃないのですから。ここには、「極めてアンバランスな業務体系が続いた。「とれるところからとる」というこの施策はいたるところに「NHKばなれ」を生じ」ている。先ほどのですね。取れるところから取る、納めぬ者は納めぬでいいというようなことだと言っているんです。「特に滞納・未契約の増加は危険なまでになっている。」こういうふうに指摘というか、そのままを述べてあると私は思いますけれども、こう読んでも、本当にうそじゃないのですから、私はそのまま認めてもらったら次の施策が打てると思いますよ。ここには、四百五十六ページですが、「協会はもっと現実の姿と苦しみを数字の上からも表わすべきではないだろうか。もっとも、滞納者や拒否、不払者の実態をさらけだせば、」ここが私わからなかったのですが、「もっと附和雷同型の同調者が続出し、我々の手におえないのではないかという矛盾もあり複雑である。」これは現場の人の意見ですから、結局、不払いや拒否している人をNHKが明らかにしないことは、そういう付和雷同でさらに不払い者を募るというようなことが現実に起こっておるということと、それから、これをはっきりするともう手に負えないような状態になるという矛盾があるというようなことが言われておるようですね。  三番目ですが、長期滞納者の実情についてでございますが、まずある地域で集金の受け持ち区域が、ある集金人さんでおおよそ五百軒ぐらいあるそうです、この資料にあるので見れば。そのうち相当数の滞納者がおりまして、さらにその滞納者の中に、昭和四十七年度末で七十八軒もの整理、いわゆる切り捨てであります。この整理というのは切り捨てのようです。切り捨てた滞納者がおられます。そういう実績があります。その主なものの内容を見てみますと、二年八カ月または一年六カ月も滞納した、その理由は住所移転となっております。おかしなことにすぐ近くにおる人の新住所の確認がなされないまま、未確認のまま二年八カ月、一年何カ月分のものが切り捨てられています。これは協会の文書によって指示されたということになっているんですよ。これははっきり理事さんの方が御存じでございますがね。さらにある滞納者は、切りかえの時点で、これは善意の人ですね、私の以前の未納分についてはどうして請求しませんか、こういう申し出をしている人もおるのです。ところがこれも切り捨てられた。切り捨てられたその領収証の控えが、これは複写ですけれども、ここに現実にあるんですよ。これは日本放送協会の領収証です。大体わかるでしょう。つけてあるんです。この人の分です。もう少し言っておきましょう。そこで住所の変わらない人たちへの請求とか、どんどんされるんですね。そうすると、未納分をまじめに支払った人、また、まじめに完納している人、こういう人たちの間にはさらに不公平感が高まるじゃありませんか。こういう事務運営、こういう文書、通達をわざわざ出して、取り扱い注意文書として。その文書もございますよ。これです、これは文書の一部分ですけれども。このような指示が協会の方針として行われるところに問題があると言わざるを得ないです。この中にも千葉県の実例で、「対応できない体制」ということで述べられております。また、そのほか挙げれば切りがないだけあります。これはどうですか。
  316. 川原正人

    ○川原参考人 具体的なケースについて詳細に調べませんと正確なお答えは大変むずかしい。ただ、滞納者の中で、住所が変更いたしました場合、私どもは、住所をどちらへ御移転になったかは当然調べて、その先の受け持ちのところで、やはり滞納分があればそれは督促をしなければならない。当然のことでございます。ただ、何分全国で二千数百万の契約者との仕事をやっておりますので、私も、そのケースではございません、別のケースで承知しているものはないではございませんが、その移転先等がはっきりしないままで、行き先が不明ということで、これは契約を廃止の処置をせざるを得ないということがあるのは事実でございます。それからさらに、そういった事実があった後、実はその方が、いま御指摘のように、すぐ近くの、たまたま住所が変更になったためにEDPの中での処理がわからなくなりましたけれども、実際はすぐ近くの町に住んでおられたというようなことを後で発見するような事例もございます。しかし、全国的に言いますとそれはそれほど多くの事例ではなくて、全体とすれば第一線の諸君はかなり綿密な調査、追跡等をやって非常に努力をしております。その努力が時として、先ほど労働組合のそのいろいろな資料等、私もそれは読みましたが、その努力が時としてなかなか実らないときに、これは私自身も経験ございますけれども、非常に悲観的な意見となってはね返ってくることもございます。これは、やっぱり私どもその衝に当たる者として、それをそのまま放置することはよくないと、私ども一緒になってその解決に当たらなければいけないというふうに常日ごろ戒めているところでございます。
  317. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 こういう事実を突きつけてもそういうことをおっしゃるのであれば、一つ一つ詰めていけば時間が切りがないですから……。  私はある放送局へ行ったら、町名から受信者の名前まで全部載った資料があるのです。こう言ったことが、何か私は抽象的なことを言っているようなふうにとられた答弁では困ります。あなたはある地方と言ったけれども、ある地方じゃないです、これを見ると。全国的にそういうものはあるんです。集金人には外務主任と普通の受託集金人とおるわけでしょう。その辺のことまで全部わかってないじゃないですか。ですから、これは途中は省きます。委員長、これは答弁になりませんから、後で書類ででも出してもらいます。お願いします。ようございますね。
  318. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 承知しました。
  319. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 三月八日ですか、二十三時のイレブンで集金人さんのことが報道されましたね。集金人さんを軽べつしたと言ってNHKでは抗議されたそうですけれども、問題はその集金人さんのことだけじゃないんです。その裏に隠されているNHKの本質的なものをあれはあらわしていると私は見ているんです。そういう事実も全部ここにありますけれども委員長、抗議されたそうでございますからね、民放に。どういうふうな抗議をなさったか、それも一緒に提出してください。それを見ますとNHKさんが何を考えてあるかわかるんです。  そのほかいろいろなマスコミの週刊誌とか本とか、有名なマスコミの人は、おれは絶対に払わぬと、おれのところには一遍も集金に来ぬということを公言しておる人がおるじゃないですか。それを何でここでまともな――あのときの放送でも、おたくにおられた方二人の、何という方ですか、二人の御意見がずっと放送されましたけれども、きょうは放送番組のことに入りませんけれども、先ほどから中立とか自主的放送とか言ってありますけれども、あのもとNHKにおられた二人の方の意見も、私はまんざらうそじゃないと思います。少し誇張した部分もあるかもしれませんけれども。作品なんかドラマになっていない、総体として上層部が好ましいというものだけ放送されておるということは、あのとき言われたことだけじゃない、これにも出ている。公共放送の中立なんというのは保たれていない。九六%の人がそういうことを言っておるじゃないですか。  それで、この問題の最後にしますが、協会は法に従って運営されております。それでは、善意によって、まじめに受信料を納める受信者の方々に、どのように対処していきますか。
  320. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ現実の事例があります。これは事実でありましょう。私は、そのとおりに深刻に受けとめております。いわゆるりっぱな建物もアリの一穴から崩れる危険もございます。これは看過し得ない問題でございます。  ただ、それがいかにも全体のように見えますけれども、たとえば隣同士で住んで、Aの人が支払っておる、Bの人が支払っていなければ一〇〇%不公平でございます。これは大局的に見ますと、二千六百万世帯の者が現在NHKと契約をして、金を払ってもらっております。そういう面から見ますと、全体がいかにも不公平であり、不公正なことになり、NHK離れになっておる。これは大変なことでございますけれども、そういった面は、世界の受信料制度を持つ放送機関との比較におきましても、現在のNHKの姿が全面的に不公平であり不公正であり、NHK離れの危険がある、このようには私は考えておりません。そう言うと、先生は何を言うかとおっしゃるかもわかりませんけれども……。ただ、具体的には御指摘になったような事実はございます。これはまことに残念でございますが、放置できない問題でございます。これに対する対処は十分にいたしてまいらなければならないと思っております。
  321. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの会長の御答弁に対して、私は、ここの中からもう一つ取り上げて言っておきます。「支払いをしている家、不払いの家、それでもNHKが見られる。なんと矛盾している世の中でしょう。」「正直者は損をする」これを一つだけ読んでおきましょう。  次ですが、今度料金改定が行われますね。いまのような状態から見ますと、正直な者だけが負担が増大しますね、会長さんがおっしゃる多い少ないは別にして。そうすると、一般的に言われていますいわゆる不公平というのはさらに拡大しますね。そうすると、料金改定によって不公平が拡大することが協会の任務ですか。
  322. 小野吉郎

    小野参考人 そういうことが任務ではございません。  NHKとしては、全国民の理解と支持を得るように努力しなければなりませんので、恐らく料金改定には常にそういう危険がつきまといますけれども、いままでのそういった不払いとかいろいろな関係が連鎖反応を起こす危険があることは十分に承知いたしております。これは、何といたしましても、あるいは番組面に対して御理解を得、御支持を得るような努力をすると同時に、経営自体のあり方、体質のそれについても、できるだけ御批判のないように慎んでまいらなければならないと思います。これによって、改定後のNHKの使命が十分に達成できますように努力しなければならないものと考えます。
  323. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私、厳しいことを言うようでございますが、言っても余り結果が出ないことについて少し疑問がありますけれども……。  次に、不公平が拡大するようなことを協会はやるのじゃないかということを、私ちょっと言いましたけれども、それを実証するものとして、もう一つ現実に北海道の深川市での不払いの問題おたくの方から資料を出してもらって、これを分析してみますとそれがはっきりするのです。深川の不払いの問題は有名な一つの事件といいますか、だけれども、そこまで時間がありませんから、もう少し先に進んでから、時間があればやっていきたいと思います。  次に、いまもずっと議論した中に出てきたわけですが、NHKに対するいろいろな国民の声を反映させる唯一の場がこの逓信委員会であるというのは、先ほど松浦委員からもお話があった。また会長からも、先ほど私が非世帯の契約数の問題で指摘したということでお話がありました。会長は協会を代表して、その指摘に対して大変よかった、ありがたい御指摘を受けた、こういうふうに先ほどもおっしゃいましたが、その指摘事項を事業運営にどのように反映してこられたか。その結果協会の発展充実、それと国民の理解と信頼がどのように具体的に前進したと思われますか。     〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕
  324. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ御示教にあずかりまして、努力をいたしました。その成果はさほど満足なものではない、私自身もそう考えておりますけれども一つの前進をいたしておりますことは事実であろうと思います。なおなおこれだけでは足りませんので、大いに努力をしなければなりませんけれども、そういった面については、何がしかやはり理解と支持を増進する一つの原因にはなっておると考えるわけでございます。NHKも、受信者の方々の支持と理解を得るためにその他いろいろな努力をいたしておりますが、急激にはそれが具体的にこういうメリットがあったというところにはあらわれにくいのでございますけれども、漸次そういった面について、あるいは番組の面でもそういうことを知っていただくような努力もいたしておりますし、またその他の活動を通じましても、NHKが一生懸命に努力をしておるということはできるだけ知っていただくような努力もし、またいろいろ御指摘を受けました、現在十分でない点については、決してこれを当然のこととして放置しておるのではないということも御理解を賜るための努力をいたしますし、そういうことで、受信契約の面等から見ましても、決してそれが悪い方へのみ走るのでなく、一歩一歩いい方面に近づきつつあるのではないか、かように私は考えております。
  325. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は言葉じりをとらえるわけではありませんが、小さいながらも前進しておるというその具体例をお聞きしたのです。ところが具体的な御説明がない。大変残念です。  それはどうしてだろうかというふうなことも考えてみる。というのは、先ほどから言いますように、ここでいろいろなことを言ったことがここだけで終わっておる。全部じゃないですね。一部はあれだ。その一部現場まで流れますが、それがまた今度は問題なんですね。いわゆる上層部から一方的通達に終わっておる。そのために、その流したことが独善とか官僚的とか言われる。その事業運営の現場では混乱を来して内部の信頼関係も失われる。内部の信頼関係というのは大事なことだと思うのです。そして残るものは、また不満が残る。その結果受信者である国民からも批判が増大する。内と外からそういうことによって問題が起こってくる。これでは事志と違って、物事が逆な方向で裏目に出ておるようなものです。協会の経営すらそのことによって脅かされようすとる結果がいま目の前にあるのです。もう何遍も言いませんが、この場で論議したことが空理空論に終わるようならばやらぬ方がいい。やれば結局そのツケは国民に回っていく。これは問題です。ですから、いままでそういうことがあったことはある程度素直に認めて、そのような原因がどこにあると思われますか。失礼ですけれども、これは結局は会長さんを初め協会の上層部の皆さんの責任であると私は思いますが、いかがでしょう。
  326. 小野吉郎

    小野参考人 御説のとおりだと思います。私どもがより一層心を引き締めて、国民の理解と支持を得るような努力を傾けなければならないと思っております。
  327. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ここでも一、二読んでおきましょう。おわかりになっておると思いますが、「困難な受信者を生み出した責任は無定見で無能な協会経営にあるという点で外務職員の意見は一致している。」もうやめましょうか。――これも読みましょう。「安易な値上げは受信者の反感を買い、ますます不払受信者が増大し、我々営業現場の苦しみは増すのみ」私が指摘しておるとおりですね。「受信料支払い拒否者が多くなり、非常に仕事がやりにくくなった。その上、仕事に注文が多すぎる。(曰く契約は沢山とれ!滞納整理・受託者指導・応援集金etc)一方、それに対する処遇は余りにも貧弱である。」処遇の問題が出ますけれども、「これで不満がなければ不思議である。」「あるいは集金に来るから払っているだけだという人も多い。そして、国民の知る権利がどうだとか、マスコミの状況とか、放送の自由が守られてはいないのではなどと言う人の方に契約拒否、支払拒否者の多いジレンマを、どう処理していけば良いのだろうか。」こういうことが言われていることが私がいま申し上げたところの現実の姿です。  そこで、今度は提言の方でございますが、提言の参考資料の十九ページに「受信契約の積極的推進」という項目を挙げてあります。大体こういうことをやりますということが言ってありますが、残念ながらその「受信契約の積極的推進」の中身が何にも書いてない。いままでずっと述べましたようなことでいけば、この「受信契約の積極的推進」というのはただ空虚さだけが残り、から回りして進まないのではないか、こう私は心配するのですが、それが一つ。その証拠に、ここに五十三年度末の契約の見込み数が書いてありますが、先ほどの未契約の分とかいろいろ考えてみれば、これは現実とは大変かけ離れたものですね。この前郵政省は契約の対象になる台数は五千万台というようなことを答弁しました。後から言い直したことですが、あれは言い直しても何も根拠がないのですから私は信用しませんけれども、これは強いて努力目標を掲げておるということだけで、書かなければいかぬから書いておるというようなものである、こういうことですね。まずそれが一つ。たくさんありますけれども、「受信契約の積極的推進」ということができるのかできないのか。
  328. 川原正人

    ○川原参考人 このことは私どもとしては必ずやらなければならない、この積極的な契約の開発、収納率の向上ということを考えなければ、私どもとしての協会の先行きに非常な不安が生ずる。これは全力を挙げていたさなければならない。そのための具体的な方策はいろいろまた考えなければならないと思いますけれども、基本のところは、全受信者の方の期待に全力を挙げて協会がこたえていく、あるいはもし受信者の中に協会の現在のありようなり仕事なりについて御不満なり不平なりあるいは御批判があれば、これを率直に承って業務に反映をしていく、この基本以外にはないと考えております。
  329. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 本当にやる気をなくしますね。これだけありますが、省きます。どうしようもないです。     〔志賀委員長代理退席、委員長着席〕  次に、先ほどちょっと申し上げましたが、非世帯の契約数です。これについて先ほど会長さん言われましたのは、私は昭和四十七年分について指摘をしたわけですが、その指摘にもかかわらず昭和四十八年度は、直前でしたから大した見積もりができなくて大変少ない見積もりになっております。しかし当初予算上に協会が見込んだところの非世帯の数は、指摘したにもかかわらず前年より三万しか増加してないのです。実績はその三倍、九万ふえたのです。そしてさらに四十九年は、四十七から四十八に九万ふえたのですから、今度は四十八から五十年には少なくとも九万より多少でも多く見積もるべきがあたりまえです。これをやらないというのは、協会の体質にいわゆる官僚的な発想がある。前年に見比べて余り高い数字は持っていかないという官僚的発想です。ですから当初見積もりは四十九年には少なくとも十万件以上を見積もるべきなんです。しかし間違って五万件しか増加を計上しなかった。現場の不信感も黙殺して五万件としたことが少なかったという証拠に、実績の上では七万件増加しておる。仮に二万件の増加にしてみましても、当初見積もった五万増の四〇%に当たりますね。このような低目低目の間違いを繰り返していく、そういう行き方こそ官僚的であり、独善性と言われても仕方がない。会長さんはせんだってから非世帯契約数は現実の対象数と幾分そぐわないというようなこともおっしゃった。現実と違うだろうというようなことをおっしゃった。ところが担当の方では絶対自信がありますとこういうふうに言われましたが、この提言の中の非世帯は八〇%取っておりますとかこういうことは全部うそになる。私事実を指摘しますが、まず私がいま言った四十七、四十八、四十九年の非世帯の増加については間違いございませんね。それだけ答えてください。
  330. 川原正人

    ○川原参考人 御指摘のとおりでございます。
  331. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで会長さん、これをひとつ見てください。私がいま申し上げた非世帯の数を具体的に図解してみました。私がここに書いております四十九年分ですね、赤で、こちらは黒く塗りつぶした百五十七万というのが――これを言うたら当局の方はうそですと言うでしょう。しかし私の方にはその算定の根拠があるのです。  まずもう少し協会が出した数字のからくり、でたらめだということを申し上げましょうかね。  ここにいただいております事業所、非世帯の契約状況、四十八、四十九、こっちには四十七年がございますが、この四十七、四十八の中で一番おかしなことは、四十七年より四十八年は事業所数もふえているのですが、ホテル、旅館、病院、診療所、飲食店その他というこの内容を見てみますと、四十八年が減っているのです。契約数と推定台数はふえている。その他で調整されている。おかしなことですよ。  取り上げてみましょうか。ホテル・旅館は四十七年は非世帯契約の対象事業所数が七万九千だったのが四十八年は六万になっておるのです。病院。診療所は四十七年が十万三千だったのが、事業所数ですよ、二万四千に減っている。そして実際の契約数は、ホテルが三万ぐらいふえている。そして病院は二千ぐらいふえている。  そういうことで、私の方の調査によりますと、これは一々根拠を申し上げると時間がありませんから私が総体だけ申し上げておきますが、内容別に見てみて一番おかしいのは、いわゆるその他官公庁・会社等ということになっているこの欄が一番実際、先ほど私がある放送局と申し上げたでしょう。あそこに世帯登録していない受信者も全部調べてあるのですから、一軒一軒行って。そのときに非世帯の数も全部調べてある。それからいきますと、このその他の欄が、当局の出しておるのでいけば、仮に事業所数を基礎にしますと、事業所数の五%も満たないのです。四百九十一万三千に対して二十三万三千です。ところが実際ある先ほどの放送局で調べてみますと、事業所総数の二割五分から三割あるのです。私の方で出ている数字は二割五分です。二割五分ということは、この四十九年分で見れば、四百九十一万三千の仮に二割五分あったとすると、おおよそ百二十三万になります。そうしますと、ここには二十三万しか挙っていないのですから、不思議にもちょうど百万少ないです。私は何か当局がちょっと一けた百万書き損ねたんじゃなかろうかと思いますけれども、それは毎年ずっとありますから、ここだけそういう数字を見損なったということではないと思う。百万違うのです。そうしますと、この非世帯の中ではその他官庁の数が一番大きい。全体の数から見ればあとはわずかなものですからね。ですから、これをそのまま見てみれば、四十九年は百五十七万。ここで出ているのが五十七万ですから、当局が出しておるのは。ですからそれにプラス百万、百五十七万という数字が出てくる。それがいまこの図解で申し上げたこの部分ですね。どうですか。  大体この非世帯の増加割合を見ても、世帯の契約受信者の、先ほど四〇%の未契約数がありましたね。あれをもとにした先ほどの受信契約の限界とかなんとかいうことを申し上げましたでしょう。全然うそなんです。うそというか把握率が悪いのです。そうでしょう。これでも毎年、非世帯でも四割、五割ふえているのですよ。有料契約を新しくつかんできたんです、それだけ割合。いままでのNHKの世帯の受信契約の伸びというのは何ぼですか。大した数じゃありませんね。割合で見て大した数じゃないですね、伸び方が。四%とか二%とか三%、そういう状況です。  ですから、ここで私はいまこういう実際の数を申し上げましたことは、いかに未契約のものについて、いわゆる先ほどから収納率を上げたり効率化をして受信料の確保それから開発を努力しますと言いながらその実績を上げてないかという証拠になるわけですね。そこに私は問題があると思う。だから先ほどから言いますように、正直者がばかを見るというような議論が出てくる。NHK離れをするという発想が出てくるのですね。ですからこの数字を一つ一つ確認してもいいのですけれども、時間がございませんから、これはまた川原さんの方にわかっておることでございますから、それとも何かございますか。会長さん、いま私が申し上げましたね。たとえばいま二千六百万台くらい契約を持っておられます。これを仮に五千万台ですね、まだ二千四百万、仮に大ざっぱに言って二千四百万未契約があるならば、それをどう開発していこうかということについての本気になっての取り組みが足らないと私は言うのです。そしてそれが実際上から、本社からと言うとなんですが、協会から流れてくる指示をそのとおり現場がずっと部署部署でその言われたとおりを実行すると、先ほど言ったように、切り捨てられたり、それからいま言ったような問題がたくさん起こってきて、で、内部不信が起こって、先ほど言われたように集金人さんだけが責任を押しつけられる、目標などというのはノルマの押しつけだけだ、実際の開発はできないと言っていますよ。そういうことを考えて、会長さんひとつ最後にこの問題についての締めくくりの明快な御答弁をお願いいたします。
  332. 小野吉郎

    小野参考人 まだ捕捉しなければならないものがかなりあることは私も認めます。現在の契約の把握率は九〇%でございます。(田中(昭)委員「そうじゃないですよ、そんなことを言ったらまた……」と呼ぶ)それは先生は台数を計算をされますと、日本に普及しておる、家庭に行き渡っておる台数は五千万台くらいあるかもわかりません。NHKのいまの受信料制度は台数別に料金を徴収いたしておりません。一世帯に何台あっても一契約でございます。  全体の世帯の中で有料契約の対象になり得る世帯がどのくらいあるかということですけれども、これは約二千九百万ぐらいでございます。そのうち二千六百万は契約で把握いたしております。
  333. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ちょっと委員長、それは全然違います。問題は、そういうことであれされては困ります。そういうことを言われるのだったら、またもとのいままでの議論になってしまいますよ。いいですか。それじゃいまの二千六百万台なら二千六百万台に、私がさっき言いましたように、世帯世帯とおっしゃるならば、世帯登録してない人が受信契約を結んでいる数を調べてありますか。そういうものとか、事業所等にある当然契約を結ばなければならない台数が何ぼあるかということを協会の方がはっきり数字を示すならば、私は認めます。それから先日私郵政省に答弁を求めたのは、NHKと受信契約をすべき台数は何ぼかという質問です。それに対して五千万台と答えた。それはいい悪いは別にして、常識なんです。それを生産台数であるとか家庭の中に三つも四つもあるのを含めた全部であるとか、そんな議論にされては困ります。どうですか。それじゃその全国の二千六百万台の中に世帯で登録してない人が受信契約を何ぼしているか、それを明らかにしてください。非世帯の方を除いてそれだけでもいいです。そうしたら私は了解します。
  334. 川原正人

    ○川原参考人 率直に申し上げまして、いわゆる住民登録をしてある方としてない方という区別は私ども把握いたしておりません。これは実はごく一部でございますけれどもサンプルの調査をしたことがございまして、そのときに、確かにいろいろなところにお住まいの方の中で住民登録をしておられていらっしゃらない方と、それから住民登録をしていなくてそこに住んでおられる方と、実際にそれございます。ただ、私どもが調べたときにはそれはほとんど似通った数字で、いずれも……(田中(昭)委員「私はそれを出せと言っているのだよ」と呼ぶ)それは私どもはいまのところ掌握できておりません。
  335. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 質問に答えなさい。  会長、いまのあなたの答弁は取り消してください。それでは納得できません。
  336. 小野吉郎

    小野参考人 これは何かやはり誤解があるようでございますけれども、私は率直に、素直に御答弁申し上げておりますけれども、現在の非世帯の契約につきましては、非世帯の事業所その他の関係で設置した台数ごとにいただくことになっております。この関係NHKの資料に対しましては、先生と、これは私もはっきりしたものを把握しておりませんからあれですけれどもNHKがいま対象はこのくらいあるという、それはもっとあるんじゃないかという感じはいたします。世帯の関係につきましては、現在何台持っておりましょうとも一世帯一契約ということを制度としておりますので、したがいまして、いまの厚生省の人口統計あるいは世帯統計等の関係から見ましても、日本全体で世帯数としてありますのは、この中で未登録とかどうとかは別といたしまして、これは三千二百万世帯ぐらいにいまはなっておるわけでございます。そのうちにまだ受信機、いわゆるテレビセットを持っておらない世帯もありますし、持っておられても有料契約の対象にならないでNHKのいわゆる免除の対象になるものもありますので、そういうものを差し引きますと有料契約の対象数は二千九百万と把握をいたしております。そのうち二千六百万を契約をいたしておるのでございますから、何か先生のおっしゃることに違った意味の答弁をいたしますけれども、これは現実がそういう制度のたてまえになっておりますので、二千四百万世帯も契約の対象外に放置されておる、こういう実態では実はないわけでございます。
  337. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 だからそういう実態でないならば、私はその計算の基礎を示したのですから、そちらからそうでないという計算の基礎を示してください。そんな大ざっぱな御答弁では私は――会長さんがいままでの関係上言っておることはわかりますよ。しかしそれを変えてもらわなければならないから私は申し上げたわけです。しかし一つも変えられない。それならば私は先ほどから言いますように、ここだけの議論に終わらかすというようなことになる。受信料NHKの存在の基盤をなすものでしょう。それに対して仮に会長さんがおっしゃるような二千九百万台世帯がそろえているとするならば、家にあるとすれば、純契約すべきものがあるとするならば、それ以外に登録してない世帯で、私みたいに青山で受信契約しているような数字は何ぼありますか。その数字があれば――その二千五百万か二千四百万台、いま契約持っていますね、それから引かなければならないでしょう。だけど、まあこれはいつかは事実がわかってきます。わかってきたときには、結果的には受信料NHKが基盤を支えるということが崩れることになります。水かけ論になりますから次の問題に移りますが、それだけ私は強く申し上げておきます。  次に健全財政の確立ということでございますが、五十一年から三年間の収支見通しを計上してございますが、まず収入の平均が三・四%の伸びで見ておられます。このもとになりますところの受信契約数と伸び率、そして収入のうちの受信料収入と総体の収入ですね、それの伸び率、それを各年ごとにひとつ教えていただきたい。
  338. 山本博

    ○山本参考人 最初に契約数の方を申し上げます。  契約数の方は契約総数全体といたしますと、五十一年度が二・七%増、五十二年度が二・六%増、五十三年度が二・一%増。それでカラー契約につきましては、それぞれ五十一年度が五・六、五十二年度が四・七、五十三年度が三・七、この数字を基礎にいたしました。  収入の方は、五十一年度が、これは受信料値上げいたしました当初の年でございますから伸び率が非常に大きくなりまして、五六・九%になります。しかし五十二年度以降は、ただいま申し上げましたように契約総数の変動が非常に少のうございますので、金額といたしましては三・六%増、五十三年度が三・二%増こういう数字に相なります。
  339. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、いままだ私が言うたことに答えていないのですが、もう仕方ありませんから、そうするとやはり三年間の平均伸び率は三・何%、これは間違いありませんか。
  340. 山本博

    ○山本参考人 契約総数としてはそういう数字になります。
  341. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この三・四%ですけれども、私ずっと過去の分、過去の受信料収入それから総体の収入の伸びを四十三年から四十七年まで見てみますと、受信料の収入の伸びも事業収入の伸びも、大体平均で七%ですね。そうすると四十八年から五十年、これはオイルショックがあったときも含めてですが、このときが大体六%前後。ですから先ほどから議論しましたように、受信契約の開発ということも根本的にやり直すならばこの三・四%は絶対低い。そう低く見積もったということは料金改定が高過ぎる、幅が大き過ぎるということになるのですが、いかがですか。
  342. 山本博

    ○山本参考人 受信料の額を算定いたしますときには、実はNHKの場合は支出計画の方をまず第一に算定をいたしまして、このぐらいの事業計画、たとえば難視聴対策をこのぐらいする、規模としてこのぐらい実施をする。あるいは職員の給与をこのぐらいにしなければならない。あるいは放送関係支出をこのぐらいにしなければならない。いろいろ各事業計画を算定いたしまして、その額の必要経費がどのぐらいになるだろうという計算をいたしまして、それで結果といたしまして収入の、ただいま御指摘がありました、パーセントとしては非常に最近低くなっておりますが、その伸び率で収入を計算いたしまして、その差額につきまして受信料の算定ということをいたしております。御指摘がありましたように、前に値上げをいたしました四十三年から五十年度までの収入の伸びは平均いたしまして六・六でございまして、今後伸びます三年、今後の三年に比べますとその当時の方が収入の伸び率としては高うございまして、今後三年というのは三%台という非常に低い率になっておりますのも事実でございます。
  343. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 収入を言えば支出がもとになっておるからという逃げ口上でございますから、それじゃ支出の方を先にやっておきますが、事業支出平均一五%程度の伸びを見ておりますね。ところがこれも四十三年から四十七年までは平均九%です。四十八年から五十年も予算上は一一・二%の平均の伸びになりますが、これは五十年度の決算が経費節約等で赤字も減ったような状態ですから伸びがちょっと減ると思いますが、特にこの五十年度の事業支出の内容を見てみますと、まあ事業支出の中で占める人件費でしょう。国内放送費なんかというのは余りにも伸ばし過ぎています。これは私が前に指摘したとおりですが、そこで九%から一〇%というのを何で一五%に五十二年、五十三年は伸ばさなければいけないのですか。低成長で四十八年、四十九年のような人件費のベースアップもないんでしょう。それともNHKだけ一五%以上のベースアップを何かするのですか。
  344. 山本博

    ○山本参考人 今後三年間の見通しの中でとりあえず五十一年度の問題だけ申し上げますと、両方連関させて申し上げますと、NHKの場合、事業支出として、三年間平均いたしますと一三%台でございます。事業支出は一三・六%に抑えてございます。一五%というのは、当初NHKが今後三年間の計画を立てますときに、金利その他もろもろの条件変更がございましたので、一五%で計算をした経緯はございますが、その後最終的に三カ年間平均一三%台で計算してございます。人員は三カ年間ふやさない、物価の値上がりは三カ年間平均八%ということで見ております。給与につきましては、三カ年間を平均いたしまして、政府見通しにほぼ合わせまして、一一%ちょっとという形で見ております。そういうもろもろの要素を総合いたしまして、新しい事業計画といいますか、いわば膨張といいますか、そういうような要素のものは三カ年間計画の中にほとんど入っておりません。強いて申し上げれば、教育テレビのカラー化という点が入っておりますが、あとは難視関係だけでございまして、その他に特に大きな事業計画というものはございません。で、現状の規模をいろいろな面で充実はいたしますけれども、膨張というようなことは基本線としてとっておりません。それで三カ年間の事業計画というものを見通したわけでございまして、そのうち五十一年度につきましては、やはり同じように、三カ年間平均一三%でございますけれども、その年々によってややパーセントの違いがございまして、初年度は事業支出は一四%台でございます。これは、本年度の一般会計支出も一四%台でございますし、特段NHK事業支出の規模を大きくしたということでございませんで、大体内容におきましては、人件費あるいはその他の財務費も、本年度の金利を約七%と見まして、これで抑えるという、現在考えられます社会的なもろもろの水準を準用いたしまして事業計画を立てて、大体一四%ということになっております。  なお、その一四%の中で一%ばかりは、過去、財政が窮迫しておりました当時、いろいろ新しい機械を買わないで、古いまま使っておったものがございますので、その分に約一%ばかり充てますので、そういう過去のしわを取り除く点をとりますと、今年度も実質的な意味の支出は一三%台ということになるわけでございます。
  345. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、いまの山本理事の説明では、数字では全然納得できません。これは、おおよそでいいですから、最高責任者である会長にひとつ答えてもらいたいのですが、いま山本理事の言われた中で数字の矛盾を申し上げますと、最初一五%の伸び率を見たということをおっしゃった。提言のときそういうようになっています。それを一三%か一四%にしたというのは、理由としては、いわゆる借入金の利子が少なくて済むからというようなことのようですね。そうして、その他の協会以外の何か一般の企業のことでしょう、支出が一一%から一三%くらいになっているというようなお話があった。この提言が出たときといまの改定額を計算したときは、どれだけの期間がありますか。七カ月でしょう。  それと、私は先ほど指摘しましたが、四十三年――四十七年の事業支出平均の伸びは九%ですよ。四十八年から物価が上がったときから五十年度の決算を見て――これは決算の実数ですからね。平均一一%ですよ。それを何で一三%とか一四%、五十一年度一四%伸ばさなければいけないのですか。経済の伸びでも、消費者物価の上昇率でも、そんな数字はありませんよ。今度電電が度数料の改定をしておりますが、その計算の基礎になったものでも、支出の増は平均で九%ですよ。過去の実績を私が申し上げた数字は決算の数字ですよ。何で一三%伸ばさなければいけませんか。おおよその見当でございますから、会長から御答弁いただきます。
  346. 小野吉郎

    小野参考人 将来三年間における支出の伸びの平均率を一五%にとった作業の過去の経歴はございます。しかし、そのときには、基本問題調査会検討の初期の段階でございまして、そういうことで計算をいたしますと、五十一年度から五十三年度まで三年間に収支不足を生じますいわゆる赤字分は、その計算による収支の不足分は三年間を通じまして二千三百八十二億でございました。それは基本問題調査会の審議の過程において、支出はできるだけ圧縮し、収入は伸ばし、合理化は進め、そういうことによってできるだけ収支不足額を圧縮しろ、こういうような御要望も強うございました。結局、答申の内容はそのようになっておりますけれども、そういうことで、一五%の伸び率は、いわゆる高度成長が非常に鈍化して、この時期に、これを下げまして、先ほど山本理事が申し上げましたような平均一三%台でございます。恐らくこれは政府予算関係でもやはりそのような見通しでございましょうし、(田中(昭)委員「電電は九%ですよ」と呼ぶ)また電電の関係も、一部の部門を見ますとそういう九%台のものもありましょうけれども、そういうことになっております。  それが過去のNHKの決算の実績による九・九%の伸び率に対して、低成長になったのに高いじゃないかと言われること、ごもっともでございます。しかしこれは九・九%で、あの高度成長の延長線で、しかもインフレのショックを受けたさなかに、そんな支出でおさまるはずはございません。したがって、やるべき当然の措置も控えております。たとえば器材で、もうすでに寿命が尽きて、民放さんの画面よりもはるかに劣勢になっておる画面もこれを駆使して使っており、この更改を抑えてやっておって、しかも九・九%でございます。しかも、その陰には、減価償却の問題につきましても、支出を抑えますために減価償却の方式変更によって金を出す、こういうことで、定率定額に変えて、そのために浮きました金が約六十億ぐらいになっている予定でございます。そういうような非常な無理算段をいたしまして抑えた結果が九・九%で、これが恒常的な伸び率ではございません。  これとやはり比較して抑えてまいりますと、いつまでたっても更改すべき施設の更改もできない。民放さんよりも劣勢な状態のままで今後推移しなければならない。これは公共放送のサービスとして非常に遺憾にたえない状況でございますので、その過去の数年間にたまりたまったそういうものが、やはり今後更改していかなければならないようなものもまじっておりますし、かたがた一五%の問題を一三%台に抑えただけでなしに、合理化あるいは節約の措置も極力強く指令を私もいたしまして、そういうものを織りまぜて三年間に二千三百八十二億不足になるそれは、三百八十二億余切って千九百……、二千億ちょっと欠けますけれども、そのくらいの不足分に圧縮をして料金計算をしたような経緯でございます。
  347. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 委員長からも催促が来ておるようでございますし、また筆頭理事から催促が来ておるようでございますけれども質問ではしょってやったものが大分あるわけですが、皆さんのお疲れのことも私もわかりますし、私も疲れるので、最後のあれになります。  大変残念です。私はいろいろなことを申し上げましたけれども、これは結局五十一年度の予算には受信料改定という重大な、国民の負担になることが含まれておりますし、この承認いかんによっては先ほどから出ておりますように、協会の運営ができなくなる、世間で言われておりますように放送がとまるかもしれない、私を初め皆様もそういうことでは困りますし、私も望むところではありません。そのことでは私も協会の皆さんも意見は一致している。しかし、先ほどから言いますように、一致できない事実上からの議論を私はしてきました。そこでは私も少しオーバーなところもあったかもしれませんけれども、いまの認識、意見の違いをそのままにして終わるということは、私は国民の皆さんに対して大変申しわけなく思います。そういう気持ちで、本当にどうしていいかわからないような、気持ちの整理ができないような状態です。  そこで会長から、一致するところはそれでいいのですが、違った意見がここだけで、今後の事業運営の上からもそのままにしておくことができない数カ所の問題があったと思います。その点についてひとつ国民の納得のいく御説明をいただきたいと思います。
  348. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ実際に御調査になりました資料をもとにして御質問を受けました。私はそのとおりに率直にそれを受けとめます。いろいろ私どもの答弁と食い違う面もございますけれども、決して私どもの方が全面的に正しくて先生の方のそれが違っておるというようなことは申しません。先生の御指摘の点についきましては、この場の聞き捨てではなく、私はこの国会の場における私どもの立場は修練の場と考えておりますので、それらの御意見は十分に腹におさめまして、今後の運営の中で私どもの足らぬところもこれによって再考もし、いろいろ御趣旨に沿うような努力を重ねてまいりたいと思います。
  349. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 先ほど収支の見通しとか収入の伸び率とかもろもろ言いました、意識的に低いことを言いましたけれども、それはそれなりの原因があると思います。その原因の中の、協会内部のいろいろ大まかな面とか、それから先ほど言いますように、逆に受信契約を減少させるような運営、そしてまた改善すべきものが放置されておるという現状をひとつここでお互い認識をして、今後正常なNHK経営が望まれてしかたがありません。  そこで最後に一言。委員の皆さんも私と同じと思いますが、国民の立場に立って、言うならば最小限の国民に対する約束として、料金改定額を再検討して再提出するか、五十一年度の改定を見送るか、これが妥当ではないかと思いますがいかがでしょう。これは会長郵政大臣から御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  350. 小野吉郎

    小野参考人 私どもも先ほどいろいろ御答弁を申し上げまして、全面的にこれが受け入れられない面もあろうと思います。これは十分に率直に私も考えますけれども、ここで再検討をして料金の引き上げを見送るか、あるいはこれを低位に改定するか、これはちょっと御勘弁を願いたいと思うのでございまして、それだけにこの予算の御承認の後、本当にこの国会のいろいろな指摘の面については十分耳を傾けて努力をしつつある、こうお認め願えるような努力をいたしますことは御約束申し上げますので、改定あるいは引き下がりの方のそれは御勘弁をいただきたいと思います。
  351. 村上勇

    村上国務大臣 先生NHK経営上の大変積極的な建設的な御意見を拝聴いたしまして、私も非常に資するものがあったと思います。しかし、この予算改定をいまどうするというようなことは、これはとうていできない段階でありまして、どうぞひとつその点についてはまげて御賛同をお願いいたします。
  352. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明十三日木曜日、午前十時理事会、同十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時六分散会