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福田(一)
国務大臣 その前に、林さんが先ほど言われたことで一言だけ申し上げておきたいと思うのです。
日本経済の問題ですけれ
ども、これは世界経済とのつながりが非常にあるということはもうあなたも御承知のとおりでありますが、特に日本経済のうちで弱いと思われている点は、借入金が多いということですね。法人、会社が非常な借入金を持っておるのですよ。それはフランスとか何かから比べてみると、自己資金が四〇%とか五、六〇%もあるのに、日本の場合一五%でしょう。だから、非常に基礎が弱いのですね。そういう基礎が弱いところへ、税率から言いますと世界最高の五一%、五二%という税率まで
負担をしておるような税法にいまなっておることは、あなたも御承知のとおりだと思うのであります。
そういうことから考えてみますと
——私は外形課税ということに何も反対しているわけじゃないのですよ。そういうこともまた、あんな大きな会社がちっとも金を
負担しないで、
地方税を
一つもめんどうを見ないなんておかしいじゃないかという理屈は私はごもっともだと思うけれ
ども、しかしまた一面において、そういうような日本の法人というか、日本の事業会社の脆弱性というものもこれは認識してみなければならない。だから、日本の国の全体の力というものに相応したような税制というものが必要になってくるんじゃないかということを実は私はいつも考えておりますので、ちょっとそういうお話が出ましたから、この
機会に一言発言をさせていただいたわけであります。
ただいまの
地方債の引き受けの問題につきまして、大蔵
大臣とどういう話をしたかということになりますと、実を言えば、われわれから言えば、
交付税会計へもっと金を繰り入れてもらう工夫をしてもらいたかった。これはずいぶんがんばりました。それから、もしそういうことがいけないのなら、公営企業金融公庫というのを
地方金融公庫にして、そうして各
自治体が出資をするようにして、みんなで、特に悪いところへこの金を回すようにしてもらいたいというような話も
事務当局がずいぶんいたしましたり、いろいろ詰めに詰めていったのでありますけれ
ども、国もこういうふうに非常に困っておるときだから、何とかひとつ
地方債もこの程度は持ってもらいたいということでありましたから、それかといって、これだけ困っておるのだから、ただ単に
地方債でもってこれを埋めるということではいけないから、あるものはもうほとんど
交付税と同じような取り扱いをするとか、あるいはその返還等についても十分考えるとかというクレームをつけると同時に、一方においては起債を、
地方債をやると言っても、
地方銀行がすでに持っておる
地方債が現にいま六兆円以上あるのですから、そこへもってきてまた大変な縁故債というものを持たされては、それはいかに
地方銀行といえ
どもなかなかそう簡単には応じられない。特に大きい
自治体、市などならいいですけれ
ども、町村なんということになりますと、とてもそうは銀行の方も引き受けられませんよと言われたとき困ってしまいますから、そこで私
たちは、そういうものについてはいわゆる国の資金、
財政資金というようなものをわりあいに振り向けるようにして、そして大きいところは何とかひとつ縁故債で持ってもらおうじゃないかということにするようにしたわけですが、その縁故債が一体果たして引き受けてもらえるのかどうか。いまあなたがおっしゃったように、資金需要というものを考えてみますと、景気がよくなれば設備投資というものは当然に興ってくるわけであります。設備投資というものは、会社に金がないのですから、やはり銀行から金を借りなければいかぬわけなんです。金を借りれば、それだけ資金量というものは減るのですから、そこへまた縁故債を引き受けろと言えば、なかなかそう簡単にはいきませんよ、こういう問題が起きるということも予想しておったわけであります。ことしはそんなに、去年のようにだんだん落ち込むなんて思っておりませんから、少しはよくしておるつもりでおったのですから、そういうとき一体どうしてくれるのかという詰めをいたしました結果、もしそういうことがあった場合には、銀行局の方から十分いろいろ話をつけて、そして縁故債は十分に支払えるというように必ずするという、これも実は大蔵
大臣との間で話し合いがついておるわけです。
そこで、われわれは今度のような
地方財政計画というものについて一応承諾をした、こういうことがあるのでありますから、だからわれわれから見れば、もし、いま林さんが言われるように、そんなことができるというような段階になった場合には、これは何としても大蔵省に対して、その措置について考える。私はそうなった場合に、全然できないほど日本の銀行業界とかが力がないとは思いませんけれ
ども、そういうことでおもしろいことは、この間、神戸の市債を募集するのに一億円の市債を募集しようと思ったら、民間の人がみんな、婦人団体が協力いたしまして、そして七億七千万円の市債を、これはある
意味で言えば一種の縁故債ですね、その募集に応じてくれた。そこでこの間、神戸市の連中を呼びまして、
自治大臣表彰というのをやったのですが、本人連中も大いに喜んでくれましたが、やはりそういたしませんと、
——自治というものにみんながいまは
本当の
関心を持っていないのですよ。いまはもう大体、市
会議員を当選させれば、府
会議員を当選させれば、
県会議員を当選させれば、まあそこらで何とかやってくれるだろうというような感触が
国民の間にまだ強いと思うのです。ないとは言いませんよ、そんな、おれは非常に研究をしておるというような者もたくさんいますけれ
ども。だから、そういう
意味から言っても、私はこういうことで、いよいよそういうような事態が来れば、まあそれぞれひとつ
国民にもよく
理解をしてもらうような工夫もしてみたい、まあこういうふうに考えておるわけでありますが、いまの段階においてあなたが御心配になるような縁故債さえ募集できないようなことは万々ない、私はそう考えておるわけでございます。