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1976-04-27 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十七日(火曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 山崎  拓君 理事 渡辺 紘三君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君    片岡 清一君       大西 正男君    篠田 弘作君       木村武千代君    古屋  亨君       渡海元三郎君    岩垂寿喜男君       井岡 大治君    細谷 治嘉君       小川 省吾君    多田 光雄君       山田 芳治君    小川新一郎君       中川利三郎君    折小野良一君       小濱 新次君  出席政府委員         自治政務次官  奥田 敬和君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   西村 純幸君         国土庁長官官房         参事官     富永 孝雄君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         大蔵省主税局税         制第二課長   島崎 晴夫君         大蔵省主税局税         制第三課長   水野  勝君         大蔵省理財局地         方資金課長   高倉  建君         大蔵省証券局資         本市場課長   今永 伸二君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         文部省初等中等         教育局審議官  柳川 覚治君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   山村 勝美君         農林大臣官房審         議官      小笠原正男君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      佐藤 弘毅君         建設省都市局区         画整理課長   高桑 保治君         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         建設省住宅局企         画官      松永 義則君         自治省財政局調         整室長     中村 瑞夫君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   林  百郎君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     林  百郎君     ————————————— 四月二十四日  地方自治体財政難打開等に関する請願(林百  郎君紹介)(第三六二九号)  同(増本一彦紹介)(第三六三〇号)  同(三谷秀治紹介)(第三六三一号)  地方財政確立のための緊急措置に関する請願(  長谷川正三紹介)(第三六三二号)  同(加藤清政紹介)(第三六六六号)  同(山本政弘紹介)(第三六六七号)  地方財政危機突破に関する請願高沢寅男君紹  介)(第三六三三号)  地方財政擁護に関する請願山田芳治紹介)  (第三六三四号)  都行政確立に関する請願加藤清政紹介)  (第三六三五号)  同(高沢寅男紹介)(第三六三六号)  同(長谷川正三紹介)(第三六三七号)  同(山本政弘紹介)(第三六三八号)  同(高沢寅男紹介)(第三六六四号)  同(長谷川正三紹介)(第三六六五号)  同(山本政弘紹介)(第三七〇九号)  同(加藤清政紹介)(第三七五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二八号)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五八号)      ————◇—————
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方財政法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
  3. 山田芳治

    山田(芳)委員 大臣がおられませんので、基本的なことについては質疑を保留させていただいて、しかし、政務次官もせっかくおいでになって、勉強されておると思いますので、政務次官中心にひとつお伺いをいたしたいと存じます。  地方財政危機というのは御承知のように、急激に深刻化しておるわけであります。昭和四十九年度決算では、東京大阪、京都などの六府県赤字を出して、その総額は二百七十四億ということであったわけですけれども、これはすでに財政白書等で出ているわけでありますが、五十年度決算、これはまだ出ておりませんが、ある新聞の推計によると、赤字団体数は一挙に三十九に激増する、その額も千九百五十一億ではないかと言われておるわけでありますが、このことは、戦後最大の危機だったと言われるいわゆる三十年代の財政危機から言うても、その当時は三十六団体赤字額二百五十六億という、インフレその他で貨幣価値は違うといたしましても、非常な危機であるということが言えるわけであります。特に今度の財政危機というのは、東京大阪その他富裕府県あるいは大阪や名古屋のような大都市で早くあらわれているということは、これはまさに高度経済成長政策の欠陥に基づく問題である、税収の激減が問題である、こういうふうに考えるわけであります。  さてそこで、今回政府は、この財政危機に対して御承知のように、一定の地方財政対策措置を、五十年度補正予算を含めて、同じような発想の中で五十一年度地方財政対策をとったわけでありますけれども、五十一年度地方財源不足というのは、政府の発表によると二兆六千二百億ということでありますけれども、これに対して、一兆三千七百億を交付税補てんする、それから一兆二千五百億を地方債発行を認める、こういう形になっているわけでありますが、五十年度においても同じような措置をとられているわけであります。  こうなりますと、二年間で地方交付税特別会計借入額というのは二兆四千三百四十二億であり、地方財政対策として特別に五十年、五十一年度地方債発行は二兆五千百六十六億、こういうことになるわけでありますから、これは大変な借金財政である。交付税においても、たとえ交付税として地方に配られても、それは交付税特別会計借入金である。将来これを返さなければならない。たとえ借入金の利子は国庫負担していっても元利交付税会計から返さなければならない、こういうわけでありますし、また、地方債の今回の償還額が、新しく今度の法律の中で、昭和五十年度地方債元利償還金というものを交付税で見ているというように、過去の借金交付税で支払っていくための財源措置をするということになると、まさにこれは交付税借金といいながら交付税先食いである、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、この前の当委員会においても質問をいたしたわけでありますが、大臣は、三年程度交付税赤字があるならば、これは交付税率を変えなければならないということを申したわけであります。先般発表された自治省中期地方財政展望においても、約二兆円近いものが五十二年においても不足するのではないかということを発表しているわけであります。  こういうふうに考えてきますと、交付税を含めた来年以降に対する措置というものを抜本的に見直さなければならないということは、三木総理以下関係閣僚みんな言われているわけでありますが、この点については、本当は大臣にお伺いをしたいのでありますが、せっかく政務次官おいでいただいていますから、政務次官から、来年度以降の地方財政見直し抜本策については一体どのように考えておられるかということを、まずひとつ決意のほどを伺ってから、個別的な質問に入りたいと思いますので、この点、来年度以降大変な事態になる、それに対する政務次官決意のほどをひとつこの際お聞かせをいただきたい。
  4. 奥田敬和

    奥田政府委員 ただいま先生指摘のとおり、大変な地方財源不足を来していることは事実でございます。このよって来た原因ということになりますと、オイルショック以来の大変な産業構造の激変もございます。したがって御指摘のとおり、昭和五十年度においても、また引き続き本年度におきましても、大変な財源不足を生じ、地方財政が大変危機的な様相にあるということは、御指摘のとおりであろうと思います。したがって、ただいま御審議いただいておるように、こういった二兆六千二百億に上る多額補てん措置としてそれぞれ、多額資金運用部資金等借り入れ、あるいは地方債増発措置等によって措置を一応行っておるわけでございますけれども、しかし、国、地方とも借金財政という認識においては、私は先生と大体同じ考え方に立ちます。  ただ、五十年度、五十一年度と引き続いたこういった状態が、さらに来年度も引き続いてこういった多額税収不足地方財源不足をもたらすかどうかということは、まことに流動的でございます。特にことしの経済推移あるいは来年度——まあ中期展望計画の中では、確かに来年度相当額のそういった財源不足を生ずるということで、もしこうなれば、先生の御指摘のように、交付税率の抜本的な見直しも含めて、あるいはこういった税制、あるいはそういった負担金国庫補助制度問題等も含めて洗い直しをしなければいかぬ時期でもあろうかと思っております。  しかし、いずれにしても応急的措置とはいいながら、本年度地方財政に関しては一応の措置をとったわけでございますので、なお引き続きことしの経済状況、もちろん来年度にわたるそういった経済情勢等々を踏まえて、私たちはいま地方制度調査会あるいは関係諸機関にもこういった面の見直しをお願い、検討をしておるといった情勢でございます。いずれにしましても、五十年、五十一年、五十二年、こういった経済情勢が続くということになれば、いままでのような応急的な措置だけではなくて、交付税率等々の引き上げ等も含めた問題を前向きに検討してまいらなければいかぬ重大な時期であろうという認識に立っております。
  5. 山田芳治

    山田(芳)委員 今回発表されている交付税年度別返還計画によると、昭和六十年度では四千百九十九億という数字が挙がっているわけであります。また来年度も同じような発想交付税借金をするなどということになると、これは大変なことになるというふうに思うわけでありますから、これはいずれ大臣にも決意のほどを伺いたいと思いますが、五十年度以降本当に腹を決めて、地方財政に対する抜本的な対策を講じてもらわなければならぬという時期が来ているということをまず指摘をしておきます。  次には、地方交付税崩壊をしているのではないかということを質問をいたしたいのであります。と申しますのは、昨年の十月の補正予算でも、地方財源対策のために一兆一千二百億の借り入れをしております。今回もさらに交付税特別会計資金運用部から一兆三千百四十一億を借り入れている。一兆三千百四十一億という金は、交付税の本来の姿からいいますと、十数%になる金ですね。本年度の三税十二兆円に関して三二%を掛ければ三兆八千六百五十六億でありますから、一兆三千百四十一億という金は、十二兆に比べて十数%になる。交付税率に直せば、すでに四十数%という金になる。一時借り入れという形とはいえ、十数%に及ぶ借り入れをしている。また先ほど言いましたように、昨年の十月の補正予算においては一兆一千二百億、こういうような多額の金を借り入れるということになると、これは交付税自身、しかも先ほど申しましたように、このこと自身は現在の段階においては先食いということになるわけでありますから、いずれ返さなければならぬという償還計画まで出ている。こういうことになると、地方交付税制度自身がすでに現実の地方財政状況に対しては、三二%などという率を考えていること自身がナンセンスであって、地方交付税そのもの崩壊をしているというふうに認識をされても仕方がないと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  6. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、たとえば五十一年度財源措置特別借り入れ一兆三千百四十一億というような大幅な借り入れをいたしておるわけであります。臨特等を含めまして確保をいたしました交付税総額は、ただいまの国税三税に比べまして四三%ぐらいの実質の内容に当たっておるという状況であるわけでございまして、その点、本年度に関する限り、こういった臨時措置がいかに大きいものであるか、逆に申しますと、三二%という税率ではとても五十一年度が過ごせ得なかったという点については御指摘のとおりの状況であると考えるわけであります。  ただ、先生も御案内のように、交付税率の問題は国と地方との基本的な財源配分にかかわる問題でございます。この点を考えますと、先生も御案内のとおり、ただいまの状況では非常に流動的な時期でございますので、国、地方両方とも大幅な財源不足ということに見舞われておるわけでございまして、その意味において臨時的な借り入れ措置ということで補てんをさせていただいた、五十一年度はそういう特例の扱いということになるわけでございます。  将来の問題といたしましては、ただいま政務次官から御説明がありましたように、こういう事態が続くものであれば、やはり制度の基本的な点に立ち返って、交付税率の問題そのほか補助制度負担制度、こういうものも含めて抜本的な検討の第一歩を踏み出さなければならぬ事態、こういうことに相なろうかと私どもも考えております。
  7. 山田芳治

    山田(芳)委員 もう少し基本問題、もう一点だけ触れておきたいと思うのですが、この間も質問いたしましたように、いわゆる地方財政中期展望においては、国民負担を、地方を一として国三%程度地方が一%程度昭和五十五年なり何なりにおいて均衡するという考え方をとっておるわけでありますが、一%の税負担国民にかけていくということは非常に大きいのであります。御承知のように本年度、各地方自治体超過課税をやったり新税を探したり、ありとあらゆる努力をしている、その中からなかなかこれといった税源が見つからないということは、財政局長税務局長のときに私の質問に対してもお答えをいただいたように、果たして新しい税制、しかも国民負担%——国税としてはどうやら検討に値するというような付加価値税の導入、われわれは絶対に反対でありますから、これはそう簡単にはいかないと思いますけれども地方においては一体どういうものを考えて一%の国民負担というものを推算をされているのか。そうでもしなければ現在の国の税を地方移譲する以外には地方財源はふえない。私どもは、これはそんなことはあり得るか得ないか知りませんけれども、われわれが政権をとれば所得税地方に回すべきだという意見を持っておるわけです。ところが、これはわれわれが政権をとってからの話でありますから、ここでは論じません。現在の政府としては、新しく国民負担をかけなければいかぬという中期財政計画を発表しているわけでありますから、付加価値税国税であるとするならば一体地方は何を考えているか。その考えている考え方くらいは頭のどこか、胸のどこかにあって中期財政計画を出されたものであろうと思うのですが、どういうものを考えておられるのか、具体的にどうだと言われぬでも、一遍この際考え方としてどう考えておられるか。国の場合には、付加価値税検討に値する、こう言っておるわけですから、恐らくそれを考えているだろう。われわれは反対だ。しかし、そういうことはそれなりにつじつまが合う。地方の場合はどういうことを考えておられるか、もし頭か胸のどこかにあればひとつ聞かしていただきたいと思います。
  8. 森岡敞

    森岡政府委員 今後長期的な観点から国民租税負担率を、経済計画概案で示しておりますように、国、地方を通じて三%程度引き上げるという場合に、地方税といたしましてどのような新たな税源を考えるかという御質問でございますが、まず第一に、直接税、間接税のバランスをどう考えるかという問題が一つあろうかと思います。現在は御案内のように、直接税の比率がわが国の税制では非常に高うございます。特に地方税制の場合には、国の税制に比較いたしましてさらに直接税のウエートが高い。具体的に申しますと、直間比率は八三%と一七%というような比率になっておるわけであります。  そこで、考え方といたしましては、地方税においても間接税というものをいま少しくふやしてはどうかという一つ考え方があろうかと思います。ただ、間接税につきましては、地方税の場合に課税技術あるいは税制の立て方として適切な間接税地方税に新たに盛り込んでいくということはなかなかむずかしい面があろうかという感じが私はいたしておるわけであります。  そこで、国、地方を通じまして、現行の税制の中で直接税よりも間接税ウエートをいま少しく高めていくという方向に仮に向いていくといたしますと、先ほど御指摘のありましたように、それと並行いたしまして国からの税源移譲を受けるというのが一つ方向ではなかろうかと思うのであります。その場合に、法人課税でありますとかあるいは個人所得課税でありますとか、そういう最も直接税の中心であります所得課税移譲を受けていくということは、地方税制といたしましては、私は望ましいことであろうと思うのであります。その場合に、所得税個人住民税との間の個人個人負担調整という、これは技術的な問題が出てまいりますが、そういう点を克服しながら、国から税源移譲を受けて直接税を中心地方税源の充実を図っていく、これが第一ではなかろうかと私は思います。  第二に、先ほど大変むずかしいと申しましたが、間接税につきましても適切なものがございますれば、これはまあこれからの検討でございますけれども、やはり地方税源の将来の弾力的な充足というものを考えまして、ぜひ間接税につきましても適切なものを検討して、苦心をいたしまして追加をしていくという努力は続けたい、かように思うわけでございます。
  9. 山田芳治

    山田(芳)委員 もう少し基本的なことをお伺いしたいのでありますが、大臣質問を留保しておりますから、細かい点に触れていきたいと思います。  まず第一に、今度の地方財政対策の中で、一兆二千五百億の地方交付税からの振りかえの地方債を認めるという方向になったわけであります。そのうち四千五百億分につきましては二千億と二千五百億に分けて、いずれにしても交付税と同様の配分をする、こういうことでありますから、まあ先ほど質問をいたしました交付税先食い論は一応おくとしても、地方としては財源補てんをしていかれる、こういうかっこうになるわけでありますが、いわゆる五十一年度公共事業費及び高校新増設費等投資的経費に係る地方負担額地方債振りかえられたいわゆる八千億、これについては現在のところ自治省は、これらの元利償還金のうち、「八千億円分については、その相当額算入されるよう検討中である。」ということがいろいろ自治省関係担当官等解説等によると出ておるわけでありますが、この八千億について一体どうするのかということをこの際明確にしていただかないとこれは審議できないわけでありますから、「相当額算入されるよう検討中である。」という「相当額」とは一体何であるか、「検討中」はもう終わったのか、ひとつこの点、八千億に対する、将来に対する措置、これをこの際明確にしていただきたい。
  10. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘の八千億につきましては、主として従前交付税で扱ってまいりました事業費補正、こういったものを廃止いたしまして、そのかわりこれに振りかえるという措置中心にいたしまして、そのほかもございますが、財源充当を考えておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、この八千億の元利償還分はやはり将来当該団体基準財政需要額算入をしていくという方向措置をすべきものと考えております。具体的には、基準財政需要額算入でございますから、元利償還費の八割を下らざる額とでも申しますか、それだけを需要額に立てまして当該団体交付税算定をしていく、このようなことをやっていけば当該団体に迷惑をかけなくて済むのではないか、こう考えております。
  11. 山田芳治

    山田(芳)委員 八割というのはどういうことでしょうか。
  12. 首藤堯

    首藤政府委員 御案内のように、基準財政需要額算定をいたします際に、基準収入額の方が基準率がございます。したがいまして、財政計画計上額の満度を需要算入いたしますと、交付税との計算のつじつまが合わなくなるという問題がございますので、大体先生案内のように、通常の行政経費は八割算入がいわば交付税上の満額算入、こういうことでございますが、それに準じた扱い、こういうことでございます。
  13. 山田芳治

    山田(芳)委員 この八千億あるいは四千五百億に関連をいたしまして、地方債計画の中にいわゆる調整として千三百二十九億ありますね。最初はこれは一遍計算した後のいわゆる調整だということを言われておったのですが、最近の自治省発行のいろいろな書物を読んでも、このことに全然触れなくなってきておるのですが、千三百二十九億、これについて一体どういうふうにするのか、それからいま言ったその分についても交付税算入をされるのかどうか、この際ひとつ明確にしていただきたい。  それから公共事業予備費というものがいま千五百億ある。これについては財源対策がないと言われておりますが、これは地方負担分地方債対策をいずれやらなければならぬ問題があるのですが、それについても同様であるかどうか、この二点をひとつお伺いしたい。
  14. 首藤堯

    首藤政府委員 調整費千三百二十九億の地方債につきましては、財源振りかえのアンバランス等が出ました際に調整をする、こういう考え方で保留をいたしておるものでございますので、この額につきましても、先ほどの八千億と全く同じ扱いにいたしたいと思っております。  それから、公共事業予備費がどうなるのか、これはまあわかりませんが、予備費がもし使われまして、そのことにより裏負担地方団体に出てくるということでございますと、その場合にはその負担につきましては、満額地方債を充当するという考え方で切り抜けていきたいと考えておるのは御指摘のとおりでございます。この裏負担につきましては、まだ事態がはっきり出ておりませんので、いまのところはっきりと明定をいたしておりませんが、いわゆる八千億に準じた扱い、こういったことを考えてまいりたいと思います。
  15. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、その状況を見ながらまた別の機会に質問をいたします。  次に、本年の三月末、地方債計画の枠外でいわゆる健全化債あるいは退職手当債というものを認めました。これは、われわれから言うと、何か合理化にどんどん努力すれば、それの功績手当みたいなことをやっているので非常に問題があると思いますけれども退職手当債を何団体に幾ら、財政健全化債についてはどのぐらいの府県、市町村にどのぐらい認められたか、まずこの際発表していただきたいと思います。
  16. 首藤堯

    首藤政府委員 いわゆる財政健全化債でございますが、総計が千三百三十五億ほどに相なっております。適用団体は道府県で二十二団体、合計五十五団体、こういうことでございます。このうち退職手当の繰り上げ分に充てましたものが七百二十一億、そのほかに退職手当債が百十七団体に三百三十八億、このぐらいを許可いたしております。
  17. 山田芳治

    山田(芳)委員 これは資料で出していただけますか。
  18. 首藤堯

    首藤政府委員 はい、わかりました。
  19. 山田芳治

    山田(芳)委員 われわれとしては、確かにこういう非常に地方財政が苦しいときには、人員削減を決め、定数条例を落としたところに対してこういうような措置、千三百三十五億という大きな額を認めていくということについては、地方団体も非常に渇望するということで、ずいぶん無理をしておるという点があるのでありまして、この点については資料をいただいて一遍検討してからまた質問をさせていただきたいと思いますが、非常に大きな額を枠外債で許可されたということについては、非常に問題があると思います。  ただ、もう一点伺いたいのは、これを含めて本年度三月末に枠外債はどのぐらい許可になられましたか。ちょっとその点をもう一遍質問したい。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 枠外債の見込みでございますが、これを含めて七千三、四百億だろうと思います。
  21. 山田芳治

    山田(芳)委員 ちょっと後でまたはっきりした数字を示してください。資料をいただいてからこの点についてまた別の機会に御質問いたします。  大蔵省の方に来ていただいておりますので、先に質問をさせていただきますが、最近新聞等でいわゆる地方債に格づけ制度を設けるという報道がございます。大蔵省の方針として安全性、利回りに目安を置いて格づけは第三者機関でやるのだということを言われておるわけであります。  御承知のように、今度の地方債というものは大変なことになっておるわけでありまして、もうこれはいまさら数字を挙げて申し上げる必要もないと思うのでありますけれども、大変な縁故債が許可をされるという形になります。しかも国債は御承知のように七兆二千七百五十億、政府保証債などを含めると十三兆に近い公債が発行されることが予定されている。ところが地方自治体の方は、二兆八千億というものが金融市場で集められる、こういうことになるわけでありますから、ただでさえ非常に地方債というものの消化がむずかしいというのにもかかわらず、国債が七兆円を超え、政府保証債まで含めれば十三兆、こういうことになってきているのに、一方では地方債に格づけ制度を導入するというようなことは、いまの地方債の許可制度からいっても逆行するのではないかというふうに思うので、この際二つの点をお伺いをしたい。  一点は、政府関係で十三兆に近い公共債の発行が予定される。資金収集能力の弱い地方自治体でも二兆八千億の地方債が必要だ。大蔵省と自治大臣の間で国が責任を持って完全に消化に努めるという申し合わせがされているということを聞いておりますけれども、果たして申し合わせだけで実際できるかどうかということが非常に問題である。しかもこのごろは非常に手数料が上がってきておりますから、地方負担が大きくなっているということも報告をされております。そういう点を見て、果たして消化できるのかどうか。ちなみに日本で貯金の年間ふえる額というのは大体十兆円だと言われておりますね。そうなると十兆円ふえるというふうに言われている預貯金が、−−ありとあらゆる、これは生命保険まで含めてでありますが、いま言った十三兆に上る国の公共債、二兆八千億に上る地方の縁故債を果たして消化できるのか、それじゃ民間資金はどうなるのかということが当然問題になるのでありますが、そこらあたりは一体どうかという点が一点。  それから、そういう状況であればあるほど、市町村にはできるだけ政府資金でございますとおっしゃるのでありましょうけれども地方債に格づけ制度を導入するということになると、これは許可制度をいまとっている理由として、自治省は私どもに、そういった担保能力が弱いといいますか、信用力の弱い地方団体のために総枠を決めてそこの資金量を確保し、保障するために許可制度地方債においてはとっているということと矛盾しないのかどうか、この点を自治、大蔵両省にひとつお伺いをしたいと思います。
  22. 今永伸二

    今永説明員 御承知のごとく最近公社債の発行額は年々急増いたしております。ただ大変残念なことに、現在わが国で発行されております公社債の大部分は、銀行その他の金融機関によって保有されておりまして、いまだ個人消化はきわめて少額にとどまっております。私どもは、将来、公社債はできるだけ直接個人投資家に買っていただきたい。個人投資家ばかりでなく、資金的に比較的余裕のございます信用金庫だとかあるいは農協だとかいったような零細な金融機関にできるだけ保有するような方向に持っていきたいというふうに考えております。しかしながら、かように多くの銘柄が発行されるようになってまいりますと、都市銀行だとかあるいは保険会社のように調査能力を十分持っております金融機関の場合には銘柄の選別が比較的容易でございますけれども、そういった調査機能を十分に持っていない零細な金融機関あるいは個人投資家におきましては銘柄の選択というのは非常にむずかしいというのが現状でございます。その点が現在個人投資家に公社債が十分普及しないという一つの大きな理由ではないかというふうに考えておるわけでございます。  他方、公社債につきましての先進国でありますアメリカにおきましては、ムーディーズという会社とそれからスタンダード・アンド・プアーズという二つの権威ある格づけ会社が存在いたしておりまして、そこで行われました格づけというのが公社債に対する投資家の投資判断の重要な基準になっているというのが現状でございます。  このような状態を踏まえまして、ひとつわが国でもそのような投資家の投資判断の基準になるような格づけ機関をつくってはどうかという動きが、最近民間において高まってきておるということは承知いたしております。しかし、ただいま申し上げましたアメリカの例を見ましても、こういった格づけ機関が真に権威のあるものとして認められるようになりますのにはかなりの長い年月を要しておるわけであります。仮に、わが国におきましてそのような機関ができましても、相当長期を要するのではないかというふうに考えております。そういった機関が真に権威ある格づけ機関として育つということは日本の公社債市場の発展のために大変好ましいこととは考えておりますが、それはあくまでも民間の自主的な機関として行われるべきものでございまして、発行者でございます政府が介入すべきものではないというふうに考えております。  御指摘のように、最近一部の新聞報道にございましたような、政府がそのような機関の設立を考えているあるいはそういった方向検討中であるということは、全く事実ではございません。
  23. 首藤堯

    首藤政府委員 地方債の格づけ制度ということについての御質問でございますが、ただいま大蔵省から御発言がございましたように、政府としてそのようなことを考えておるという事実はないのでございまして、私どもといたしましても、ことしはこれだけの大幅な民間資金活用の計画を立てておるわけでございますが、これをいま御説のように、格づけをすることによって消化をするというようなことを前提にとりますと、むしろ逆に、財政力の弱い地方団体ほど金利負担が高くなる、こういう状況にも相なろうかと思います。地方公共団体は破産するわけではございませんので、その付近、消化方策としては別途の方策がとられるべきでございましょうし、また財政力の弱い団体にはできるだけ政府資金を充てていく、こういった措置もあわせ講ずべきだろうと考えております。したがいまして、私どもとしては現在格づけ制度は予想いたしておりません。
  24. 山田芳治

    山田(芳)委員 政府が考えておられないのなら結構でありますが、一部新聞に伝えられ、それには大蔵省がという、ちゃんとした主語が入っておったので伺ったわけで、この点は明確にしておいていただきたいと思います。  それから次に、ついででありますが、縁故債の発行条件が非常に悪くなっていますね。私もある市からぜひ何とかしてくれるように国会でやってくれという文書をもらっておるのでありますが、手数料が、昭和四十九年については額面百円で引き受けが二十五銭だったものが、五十年度には九十九円二十五銭の発行価額で一円十銭というようなべらぼうな引き受けの手数料等になっているというように、縁故債が非常に悪い条件になっているわけですね。しかも、これだけ多額発行されてくる。もちろん一定部分は政府債との利子の補給をいたすということであろうと思いますけれども、利子の問題はそうですけれども、手数料を高めるという形で非常な負担になっているという点を自治省はどうお考えになっているか、この際ひとつお伺いしたいと思います。
  25. 首藤堯

    首藤政府委員 金利の状況でございますが、最近縁故債につきまして、若干ずつ利率が上がってきておるという点は御指摘のとおりでございます。しかし、現在、五十年度の縁故債の借り入れ条件について、なお交渉中のものが多いのでございますが、いま私ども承知をいたしておりますところでは、都道府県及び指定市が中心でございますが、発行者利回りにいたしまして、最も低いもので八分七厘程度、それから高いもので九分五毛程度、こういったところでございまして、総体的に九分そこそこといったところの発行者利回りに相なっておる、こう考えております。もちろん私どもとしては、公債費の問題も考えまして、できるだけ有利な条件で借り得ることが望ましいわけでございますが、やはり地元におきます金融機関との折衝、これが第一でございますので、その自主性に大勢としてはゆだねたいと思っておりますが、ただいまのところその程度の金利でございまして、特にどうこうしなければならぬという事態にまでは立ち至っていない、こう考えております。
  26. 山田芳治

    山田(芳)委員 確かに金利については地元の金融機関との折衝でいろいろあろうと思いますが、手数料によって非常に高くなっているという点は、これは私も自治体でやってきたとき、つくづくそれを感じたことがあるのでありますが、なかなかまだ政府にどうしろと言ってもむずかしいのかもしれませんけれども、非常に悪くなっているということは、非常に弱い立場に地方団体が置かれているということで、縁故債というものをそんなにたくさん認めれば認めるほど弱い立場に立つのだということで、できるだけやはり政府資金というものによってやるべきだというふうに思います。  それから、先ほどちょっと答弁が漏れておったと思うのですが、年間約十兆円程度の預貯金の増しかないのに、先ほど言った、非常に多くの縁故債が発行されていることについての考え方についての大蔵省なりあるいは自治省考え方、ちょっとで結構ですから聞かしていただきたい。
  27. 高倉建

    ○高倉説明員 私、預貯金全体の伸びその他の計数的なことを詳細に把握しておりませんので、銀行局からかねてから聞いておりますことで申し上げたいと思います。  確かに、先生指摘のとおり、大量の公共債の発行ということになっておりますが、現在見通されております金融情勢と民間との収支の見込みというようなものから見れば、マクロ的には消化は可能であるということで御判断をされているわけでございます。  ただ、地方債につきましては、地域的な問題その他もございますし、それから、地方債発行というのはどうしても年度後半に偏るというようなこともございますので、今後の金融情勢あるいは金利の情勢等をよく掌握しながら、自治省と十分御相談をして、円滑な消化に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  28. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常に抽象的答弁でございまして、説得力がない。マクロ的にはあると思いますというだけで私に納得せいといっても、それは預貯金の増がそれほどないではないかという質問なんで、その点についてこれがどうなるか、まあ月別にこれだけのものがどれだけ消化されるかという表でももらえばわかるのですけれども、それはとっても出せやせぬでしょうから、これは伺っておくだけにしておきます。これはまたもう少し別に、そういう段階において具体的に質問をいたします。  次に、時間がありませんので、地方財政と関連をして租税特別措置ですが、財政局長として、いま国の租税特別措置によって免除されるのは大体四千億ぐらいだろう、こう言われているのですけれども、これもはっきり言ってわからない数字で、私どもはもっと多いと思いますけれども、いわゆる租税特別措置による減税額を廃止せよというのが私たちの要求なんでありますが、国はそういうふうに言いますが、果たして地方では一体いまどのくらいあって、今度電気税の非課税対象の一部廃止等の特例措置の整理によるものわずかに十九億。全部廃止をすれば一体どれくらいあると思われますか。その点ひとつ数字を挙げてお答えをいただきたいと思います。
  29. 森岡敞

    森岡政府委員 租税特別措置地方税源に与えております影響は、全体で昭和五十一年度で三千八百五十七億円というふうに見込んでおります。このうち国税の租税特別措置による地方税の減収見込み額が千二百五十八億円、地方税法自体の非課税等の措置によります減収見込み額が二千五百九十九億円であります。  本年度国税地方税を通じます租税特別措置の縮減、合理化によります増収見込み額は、初年度で約八十四億円、平年度で約五百億円程度というふうに見込んでおるわけであります。
  30. 山田芳治

    山田(芳)委員 五百億ですから、非常に少ないですね。これでは租税特別措置を再検討するというに値しないというふうに思います。一層これはやってもらいたいと思いますが、これはまた大臣質問をいたしますから、この程度にとどめます。  次に、超過負担の問題でありますが、本年度五十一年度の予算では、統計調査事務費十三億、保健所運営費四十八億、府県警察施設費二十四億の八十五億、また、四十九年度の実態調査関連分として百四十五億、それから外人登録事務費一億の百四十六億、計二百三十一億の国費ベースの解消措置を講じたとしているけれども地方団体は、超過負担は六千三百六十億ある、これは対象差もあり、数量差もある、対象差、数量差にも手をつけなければいかぬという時期に来ているわけです。余りにもかけ離れているというふうに思うわけでありますが、感想はいかがですか、政務次官
  31. 奥田敬和

    奥田政府委員 確かに私も国の地方への委任事務、そういったものに伴う形の中で、いろいろなもので地方財政の圧迫要因がたくさんあるということは承知いたしております。超過負担の問題も、自治省としては当然、地方財政の圧迫要因になるようなことはやってもらっては困るという形で、各省と積極的に折衝いたしておるわけでございますし、特にこの問題に関しては、大蔵、自治の間でこういった個々の実態調査も含めて、前向きに超過負担解消に全力を挙げておるというのが実態でございますけれども先生指摘のように、たてまえと現実との間にまだ相当大きな、いろいろな調査面を含めておくれておることもまた事実だろう。そういった面を踏まえまして、前向きにひとつ処理してまいりたいと思っております。
  32. 山田芳治

    山田(芳)委員 いかに政務次官がそう言われても、地方団体が組織した地方自治確立対策協議会が四十九年度の実態で調査したものが六千三百六十億、これだけあるというのに、さっき言ったように二百三十一億というのじゃ焼け石に水というか、九牛の一毛というか、ひどい差があるので、もしそれがそうじゃないとおっしゃるなら、この六千三百六十億が間違っておるということをひとつ挙証していただければ六団体もわかると思うのですけれども、これでは余りにもギャップが激しいと思います。まあこの程度にして、またこれも大臣にいずれ質問をいたします。  次に、事務的な見地から質問をいたします。  実は、交付税の種地の問題ですね。これはわれわれ承っているところによると、自治省も五十一年度から五十三年度の間において手直しをする。種地がいま一つの階段的になっておって、ちょっとの点数が違うとえらい差がある、ボーダーラインにおける差というのは激しいのだということですね。それから私の地元でもあるのでありますけれども、大都市からの距離というのに、京都だって大都市だ、大阪も大都市だ。京都からはかれば近くて種地が上がるのに、大阪からわざわざはかって種地を落としているというやり方をやっているなんというのはこれは矛盾ですよ。おかしいじゃないか。特別交付税で半分ぐらい調整していただいておりますから私は黙っておったのですけれども、京都が大都市でなくて大阪が大都市だなんてそんなばかなことはないので、そういう矛盾もある。矛盾があるというので直されるということでありますから、それは前向きの措置として評価をいたします。したがって、どうされるかということを、私は自治省へ行っていろいろ聞いておりますから余りあれでありますけれども、ひとつこの際はっきりお答えをいただいておくことが今後のために必要だと思いますので、いま考えておられることをはっきりしておいていただきたい。
  33. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、市町村分の交付税算定につきまして態容補正がございまして、種地区分によりまして態容補正をかけております。この極地区分は人口集中地区人口とか経済構造とか宅地の平均価格指数、こういう指数を算定をいたしました評点によって種地区分を行っておりますので、ただいま御指摘のように定の評点ごとに段階刻みになっておりまして、点差があるために一種地違うとかなり大きな影響が出る、こういう事態がありますのが現状でございます。そこで、一つにはこういった段階刻みの補正係数をできるだけ連続線による補正に改めて、なだらかにしていく、こういう措置をとるのが適当であろうと考えております。ただ一挙にそれに完全に踏み切りますと非常に激変を来しますので、三年程度の時期をちょうだいをいたしながらこれを連続線に近いものに修正をいたしていく、こういう措置をことしからぜひとりたい、こういうことを考えております。なお、先ほど申し上げました点数を決めます基礎になりますたとえば人口集中地区人口とかそういったたぐいのものは、新たな指数が五十二年の夏ごろ公表される予定でございますから、これはもちろんこの公表が行われればそれに基づいて直していくということでございます。  それから最後に、中核都市から距離が二十キロメートル未満の市町村、これは特例加算によって乙地の取り扱いをする。したがって、二十キロを超すと落ちて大変その間に段階差がつく、こういう問題がございます。最近の交通経済事情等がございますので、この二十キロをできるだけ距離を広げていく、遠くしていく、こういうことについていま検討しておる最中でございます。
  34. 山田芳治

    山田(芳)委員 また具体的になった段階で、ひとつこの種地の改善等について詳細伺うことにして、改善されるという立場を明確にされたので、一応次に移ります。  本年度から特別交付税を二遍に分けて、一遍はいままで言われたルール分を十二月の終わりに、そしていわゆる調整分と称するものを三月末にされるというふうにされたと伺っておりますが、それではルール分と称するもの、これはいわゆる純ルールと称するものもあるのでありますけれども、一体ことしの交付税総額三千数百億の中でどの程度がいわゆる自治省で見ておられるルール分と称せられるもので、どの程度のものがいわゆる調整分のものであるかという点について、五十一年度の特別交付税は一七%伸びていますから、そういう点を含めて自治省考え方をお聞かせいただきたい。
  35. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御審議をお願いをいたしております交付税法の改正案では、特別交付税を十二月と二月の二回に分けて配分をする案を御審議を賜っております。その場合、十二月に交付をいたしますものは従前の取り扱いで大体ルール分として計算をいたしておりましたものを主体に配分をいたし、二月にはその他のものを配分をする、こういうことにいたしたいと考えておるわけであります。大体その具体的な量でございますが、十二月に配分をいたしますいわゆる純粋ルール分、災害等が中心に相なりますが、これを特別交付税総額の約三分の一の額、この程度にほぼ相当すると思いますので、その額を先に計算をして差し上げる、以下の算定分については二月に回す、こういうつもりでおります。
  36. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、非常に事務的なことで恐縮ですけれども、首都圏や近畿圏等の財政特例措置が五年間延長されることになったわけですね。ところがこの法の成立は昭和四十一年なんで、それから現在十年間に関連事業についての国庫補助制度自体に改正があって、これに伴い手直しをする必要があると考える分があると思うのであります。たとえば下水道について見ますと、市町村施行の下水道のみ補助率がかさ上げされるということになるけれども昭和四十五年に下水道法の改正で都道府県施行の流域下水道が制度化されておって、現在では流域下水道が占めるウエートが非常に高い。しかし府県のやる流域下水道はいわゆるメーンの間であって、市町村がいわゆる公共下水道としてやっていくというかっこうになるわけですね。そうすると、流域下水道の場合にはかさ上げがされないとなると、その枝管である市町村においてもかさ上げ措置ができないというようなことになると、市町村は流域下水道制度がなければ下水道の全事業が対象となっていることになるのに、流域下水道の制度ができたために逆に不利な扱いをされるじゃないかというふうになるのでありますが、この点は一体どういうふうにお考えになるか、ひとつお伺いをしたい。
  37. 中村瑞夫

    中村説明員 ただいまのお尋ねでございますけれども、今回の首都圏あるいは近畿圏、中部圏等の財政特例措置に関する法律の延長に関しまして、これまでの財政特例措置の内容につきまして検討を要すべき点もあるのではないかということでございましたけれども、今回の法律につきましては、御案内のように、暫定的に五年間延長をするという考え方をいたしておりますので、それらの細かい点につきまして改正をするということにはいたしてないわけでございます。いまお話のございました下水道関係につきましても、いろいろと地方団体の方からはそのお話を伺っておりますけれども、今後、こうした財政特例措置を今後における地方都市整備の問題等の中でどういうふうにとらえていくかという中で、検討課題として検討いたしてまいりたいというふうに存じているわけでございます。
  38. 山田芳治

    山田(芳)委員 あなた、もう五年間しかなくて、これから検討しておったら、これは過ぎてしまいはしませんか。大丈夫ですか。
  39. 中村瑞夫

    中村説明員 ただいまお答え申し上げましたように、この財政上の特例措置の問題につきましては、現在の段階で内容につきましていろいろと改変を加えるということにつきましては、今後の地方都市整備の問題が第三次の総合開発計画等との関連もございまして流動的な段階でございますので、現在の段階では余り適当な時期ではないのではなかろうかということで単純な延長ということを考えたわけでございますので、御指摘のような点につきましては、今後の問題といたしまして十分検討いたしてまいりたいというふうに思います。
  40. 山田芳治

    山田(芳)委員 制度的に矛盾しているというふうにはお考えになっているわけですね。
  41. 中村瑞夫

    中村説明員 制度的に問題がある点につきましては、私ども検討に値すると思っております。
  42. 山田芳治

    山田(芳)委員 早急にひとつ検討してやっていただきたいと言うのは、やはり大きな河川の流域というのはもうほとんど流域下水道になっていく可能性があるというふうに思うので、ひとつその点を親切に配慮していただきたい、その点を局長にもお願いしておきます。  次の質問に移りますが、本年は、いわゆる地方におけるこういった非常に異常な事態の中で交付税法の提出なり、あるいは地方財政の基本の問題について、いわゆる地方財政計画も若干早く出された点はわかるわけでありますが、そのバックになっている単位費用の問題、こういう問題になると非常に遅い。したがって、市町村等ではなかなか一ことしのように激変のあるときにはもっと早く知らしてやっていただきたいというふうに思うわけであります。非常に予算編成期が迫っているのに、国の考え方自治省考え方というものが明確に決まらないので、市町村ではこの交付税の計算なり、あるいは地方債の計算なりに非常に苦労しているという実態があります。ことしのような事態はそうはないのだとおっしゃるかもしれませんけれども地方財政計画の提案にいたしましても、それに伴って単位費用を含めた地方交付税法の改正案等についても、今後はもっと早く予算編成期に間に合うようにやってやっていただかないと、地方は予算編成に非常に困っておるという点だけをひとつお願いをいたしておきます。  それから次に、交付税法案には、単位費用と補正の種類というものが明らかにされているわけですけれども、補正の具体的な係数あるいは算式、事業費補正等についてはすべて省令にゆだねられているというかっこうになっております。ですから、単位費用だけ見たって、交付税が一体どのくらい来るのだろうということがわからないわけですね、いまの実態が。これは政府自身がやるのだということになるのだけれども、大まかに見て一体どうですか、総体の単位費用から割り出される交付税総額と補正係数によって動くところの総額との割合というようなものはどの程度あるものですか。
  43. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどの、なるたけ早く単位費用その他の見通しをという御意見でございますが、全くそのとおりと私どもも考えております。ことし等は非常にむずかしい事態でございましたので、交付税法の提案、閣議決定が二月十七日、こういうことにずれ込んだのでございますが、なるたけ早くお知らせをするというのは、私どもも当然そうありたいと考えておるわけでございます。現に、ことしも一月の二十六日に全国財政課長会議地方課長会議等を開きまして、大体需要の全般の伸び率はどの程度になる見当ですよ、こういったようなことは御連絡を申し上げ、なるたけ予算編成に便利ならしめるように努力をいたしたわけでございます。  それから、第二点の補正のあれでございますが、五十年度当初算定では、都道府県分が三千七百億くらいが補正による増加需要でございまして、これは全体に対して大体六%程度府県は余りばらつきがございませんので、補正によります増加はわりに少のうございます。六%でございます。市町村の方はいろいろたくさん態様がございますので補正の割合が多くなっておりまして、市町村分では一兆五千八百億くらいで、全体の三〇%程度、こういっものが補正で動く、こういうことでございます。  それから、大変申しわけございませんが、先ほど特別交付税を十二月と二月の二回に分けてと御説明申し上げましたが、十二月と三月の誤りでございます。
  44. 山田芳治

    山田(芳)委員 時間が余りありませんので一、二点伺っておきますが、また、後で大臣のときにも少し申し上げることで保留しておきますが、基準財政需要額算定についてちょっと伺いたいのであります。  本年度基準財政需要額府県の場合においては、法人関係税の伸び率を一三・九と五十一年の当初分を五十年の決算の一三・九というふうに伸ばしているのですが、ちょっと高いのじゃないか。三月決算が五十一年度に入ってくるのですが、どうも三月決算はそんなによくない。それじゃ、一三・九伸ばすためには九月決算を大幅に伸ばさないと、これは決算よりも一三・九上回るというふうに思えないのですが、これはちょっと伸びを高く見ているのじゃないかというのが一つ。  それから、市町村分についての住民税の個人所得割がたしか八・二%と見ているはずですが、私は税務署長なんかに、あちこち聞いてみますと、昭和五十一年の課税標準に使う五十年の所得は確かに一三%ぐらい本俸で伸びてます。しかし、大体時間外というのが二割ぐらいあります。二割ぐらいあるのが全部切られたので九九ないし八%ぐらいじゃないでしょうかなんて、私の地元の税務署長が言うておるぐらいですので、いわゆる源泉分というのは非常に低かったように——私のところは非常に人口急増地帯で工場地帯の税務署ですから、わりにそういうところをあらわしていると思うのですが、そういうことを言っておるのです。すでにもう出ていると思いますけれども、そんなに伸びておりますかどうか、市町村で非常に疑問を持っておるようであります。
  45. 森岡敞

    森岡政府委員 法人関係税の五十一年度税収見込みの問題でございますが、基本的には法人税の税収見込みに伸び率を合わしております。今後の経済情勢の推移も問題でございますけれども経済企画庁の月例経済報告をごらんいただきましても、景気の状況は足踏み状態を脱しまして回復基調を強めつつあるわけでございます。ただ、これが税収にどういうふうに反映していくかということにつきましては、いま少しく様子を見定めなければならぬ、こういう問題はあろうかと思いますけれども、大きな情勢変化がない限り、この二二%強の法人関係税の収入は、法人税も法人関係地方税も確保できるもの、かように考えております。  それから個人住民税所得割の問題でございますが、現在出納整理期間中でございますので市町村の最終報告がまだまとまっておりませんが、大体九月末の調定実績から推計しますと、おおむね一兆三千二百五十億円ないし一兆三千三百億円程度見込める。これをもとに計算いたしますと、五十年度実績に対しましてほぼ九%程度の伸びが五十  一年度の収入見込みで見込まれておる、こういうことでございます。いまお話がありましたように、四十九年所得と五十年所得の伸びは、マクロで見ますと当然一〇%を超えておるわけでございます。ただ、お話がありましたように、源泉分につきましてやや伸びが低いのではないか、こういう見方もあることを私どもは聞いておりますけれども、現段階では全体の所得の四十九対五十年度の伸びを基礎に考えますと、現在見込んでおります個人所得割の税収見込みは確保できるものと考えております。
  46. 山田芳治

    山田(芳)委員 もう時間がございませんので、質問を留保しておいて次に移ります。  水道関係について質問をいたします。  水道法を提案される予定で厚生省は作業をしておられるようでありますが、一体現在の見通しはどうですか。今国会に出される予定であるかどうか、その点ひとつまずお伺いしたい。
  47. 国川建二

    ○国川説明員 水道法の改正の問題でございますが、厚生省といたしましては今国会に提出いたしたいという方針のもとに昨年来水道関係団体等との意見調整などを進めながら現在草案の取りまとめをいたしておるところでございますが、今日の段階では諸般の事情もございましてまだ成案を得るに至っていない段階でございます。しかしながら水道事業をめぐる問題多々ございますし、これらの問題に適切に対処していくために、私どもといたしましては最善を尽くしてこの改正を図りたいと思って、今後も引き続き努力を続けていきたいと思っております。
  48. 山田芳治

    山田(芳)委員 まだ何ともその成否がわからないのですというのが答えですか。
  49. 国川建二

    ○国川説明員 私どもといたしましては、ぜひ改正を進めたいと思っておるわけでございますが、いつごろというその時期等につきましては、現在の段階ではなお定かに申し上げにくい段階でございますので、御了承いただきたいと思います。
  50. 山田芳治

    山田(芳)委員 どこにネックがあるか等を聞きたいと思いますが、時間がございませんから次に移ります。  われわれ何遍もばかの一つ覚えみたいに言っておるのですが、工業用水道に補助を出しているのに上水道に補助が入らないということはおかしいじゃないかということを毎年言っておるのでありますが、大蔵省の梅澤主計官に毎回聞いているのですが、これも工業用水道には過去の経緯があってそうなっておるのである、しかし上水道については、これは独立採算制だという答えであろうと思う。ただ広域水道については別だ、こういう答えでありますが、もうぼちぼち工業用水道に対する補助というものをやめて上水道に補助を導入すべき時期が来ていると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  51. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま参議院で御審議願っております本年度の予算案でございますが、上水道の事業費は前年に比べましておよそ二六%ふやしております。これは一般会計の伸び率が一四%でございますから相当な伸びになっているわけでございます。工業用水につきましてもおよそ二百四十四億円、伸び率にいたしますと上水道の半分の伸び率でございますが、これは山田委員よく御案内のとおり工業用水につきましても——もちろん上水道につきましてその事業の性質上これは国民、住民に欠かせない事業でございまして、それはそれなりとして国として奨励の補助を行っておるわけでございますけれども、一方工業用水につきましてもこの補助によりまして、たとえば工業の適地分散と申しますか、そういう政策効果もございますし、それからただいま御指摘になりましたように発生の経緯からいたしまして地盤沈下対策と申しますか、そういう国土保全的な要素もあるわけでございまして、工業用水と上水道の補助のあり方については従来からも種々議論があるところでございますけれども、私どもといたしましてはただいま申しましたように五十一年度予算におきましても、両事業の需要と申しますか財政の需要をよく勘案いたしまして資金配分をしたわけでございまして、今後とも手抜かりのない措置をとりたい、かように考えております。
  52. 山田芳治

    山田(芳)委員 広域水道には補助制度が拡充強化されたということでありますが、広域水道は複数の団体ということを言っておるわけです。たとえば東京都に群馬県の八ツ場ダムから引っ張るように、まさに一地方団体かもしれないけれども、事業の内容がきわめて広域的な事業の内容というような、遠くから送水管を引っ張るというようなものにも、これは広域水道と同等に、他府県からの導水管による非常に巨大なる経費がかかるものについても広域水道と同様の扱いをすべきであるというふうにわれわれは強く主張しているわけでありますけれども、この点については一体厚生省はどうお考えになりますか。
  53. 国川建二

    ○国川説明員 ただいま先生が例に挙げられました、たとえば利根川上流のダムに依存いたしまして東京都が下流で取水するという場合でございますが、現在の補助制度といたしましては、上流につくりますダム建設費並びに中流部におきます導水路等、いわゆる水源開発施設と目されるものにつきましては水源の補助制度というものがとられているわけでございます。先ほどもお話ございましたように、水道事業に対する補助制度は水源補助と他方広域水道補助がございますけれども東京都の例をとりますと、下流部で取水するまでに必要な施設はいわゆる水源開発施設として行っております。私どもとして広域水道ということになりますと、歴史的に水道事業が市町村単位で建設されてきてほぼそれほどの大きな困難なく進んできたという経緯等もございますが、私どもとしては貴重な水資源の合理的な配分あるいは重複投資の排除という観点から申し上げますならば、できるだけ数市町村あるいは複数の市町村にまたがりまして広域的に整備される事業に対しましていわゆる広域水道の補助制度が適用されることが好ましい姿ではないだろうか、このように現在のところ考えております。
  54. 山田芳治

    山田(芳)委員 おっしゃるとおり水源開発対策についての補助はあるのですけれども、いま私の申し上げているのは、非常に長い距離を導水管でつなぐということは非常な費用がかかるから、広域的でなくても他府県から水を引っ張るというような広域水道以上の経費がかかるようなものについても広域水道とみなして補助すべきであるというのがわれわれの強い要求でありますから、ひとつ検討していただきたいと思います。  それから、二点補助制度についてお伺いをいたしたいのは、一つは高料金対策というので、現在自治省におかれては一定の条件、非常に厳しいのでありますけれども、高料金を下げるための経費として特別交付税において一定額が高料金対策として交付されております。しかし私どもは、これはまさに交付税が補助金制度の代替的役割りをしているのじゃないか。むしろ厚生省がそういうシビルミニマムあるいはナショナルミニマムの立場に立って一定の、水源はそこから引っ張る以外にないのだというのは、地域住民の責任というよりもやはり自然の問題であるわけでありますから、そういうところによって非常に高料金である場合には、自治省の特別交付税対策は一定の役割りを果たしていると思うけれども、非常に不明確である。むしろ厚生省において高料金対策として補助金化していくべきである。どうも交付税が補助金化しているのじゃないかとわれわれは思う部分があるわけですが、これもひとつそういう感じがしてならないのでありますが、高料金対策に対する補助制度というものを特別交付税ではなくて、厚生省が補助金として計上してやるべきではないかというのが一点と、それから何遍もこれも申し上げているのですが、水質、いわゆる公害の水質、公害によって汚されているわけですから、公害ですからどこが必ずしもあれかは明確にわからない場合があるわけでありますし、それの観測機器の整備補助を出すべきであるということを強くここ数年来申し上げているのですが、この点、二点について厚生省及び自治省にお伺いをいたしたい。
  55. 国川建二

    ○国川説明員 第一点の高料金水道に対する補助制度というものの創設というような御提案でございますが、現在、お話もございましたように、一応特別交付税によりまして措置されている点等もございますので、私どもといたしまして十分検討さしていただきたいと思います。  それから、第二点のいわゆる水質測定機器の整備に関する問題でございますけれども、もちろん水質の問題は水道にとりまして最も基本的な問題でございますし、不可欠な施設でございます。したがいまして、それらを完備してみずから安全をチェックするのがたてまえでございます。したがいまして、従来ともこれに対しましては、試験室、水質検査室あるいはその他主要な器材等につきましては融資等の措置もとられているのではございますけれども、なお実態等をよく検討いたしまして、水道事業の立場からこれらのものに対する助成と申しますか、そういうものが必要かどうか検討さしていただきたいと思います。
  56. 横手正

    ○横手政府委員 お答えいたします。  まず第一点の高料金対策でございますが、これは厚生省の方から検討される、こういうことでございます。私どもの方も高料金という名前がちょっと内容にそぐわない面もございますが、これはむしろ高資本対策と申しますか、給水コストが高くて、なおかつ資本費が非常に大きい、こういうような点に対しまして、一般会計からの繰り出しに対して従来から特別交付税措置を講じておるところでございます。厚生省さんの検討の推移を見ながら、私どももあわせて考えてまいりたい、かように存じます。
  57. 山田芳治

    山田(芳)委員 大臣に対する質問を留保して、本日はこれで終わります。(拍手)
  58. 小山省二

    小山委員長 先ほど山田委員より資料提出の要求がありましたが、よろしいですか。——  小川省吾君。
  59. 小川省吾

    小川(省)委員 本論に遠い方から質問をいたしてまいりたいと思うのであります。  まず建設省に、区画整理事業と都市計画について、原則的な点について伺いたいと思うのであります。  田中内閣の列島改造計画が、よい意味でも悪い意味でも都市改造や都市計画を非常に高め、進める機運をつくり出したことは御承知のとおりであります。いろいろそういう中で区画整理事業が推し進められているわけでありますが、まず区画整理事業の原理原則的な点について確認をする意味で伺いたいと思うのであります。  まず第一として、都市計画が都市の健全な発展、秩序ある整備を図ることは、市街地開発事業がその中心の手段、方法としてやられているものだというふうに理解をしていますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  60. 高桑保治

    ○高桑説明員 御指摘のとおりでございます。
  61. 小川省吾

    小川(省)委員 二番目として、土地区画整理事業の特性といいますか、特質といいますか、地区内の公共施設の整備、改善とともに、すべての宅地の利用増進が公平とバランスをもって進められることが基本であって、通常その特質として次のような点が言われているわけであります。  一つとしては、一部の人のみが都市施設等の用地を提供することではなくして、地区全域の人々が公平に負担をしていくということ。たとえば市のある部分を犠牲にするのではなくして、市全体、区域全体で公平にその負担を分担することがより望ましいことであると理解をしていますが、そのとおりですか。
  62. 高桑保治

    ○高桑説明員 抑せのとおりでございます。
  63. 小川省吾

    小川(省)委員 二番目としては、土地区画整理事業にはいわゆる減歩方式とかあるいはまた換地方式等がとられていますが、土地が減じても使用収益の価値が増進されればよいというふうに言われているわけであります。しかし私はどうしても、この考え方の中にある、面積は減っても価値は下がらない、同じであるというふうな思想には矛盾があると思うのであります。使用収益の価値の増進というのは、土地の売却であるとかあるいは処分の前提というのがあるだろうと思うのであります。ですから、営業の位置や場所が有利になる場合のみであって、住宅建築のために土地を購入、取得をした人とか、あるいは宅地としてずっとそこに住み続けようという人の場合については、むしろ使用価値の減少だけであるというふうに思っておりますけれども、その点はどうですか。
  64. 高桑保治

    ○高桑説明員 ただいまの御指摘の中で、区画整理の施行によりまして宅地の整備がなされ、外郭が整備された段階で私どもとしては使用価値の上昇があるというふうに理解をしておるわけでございます。
  65. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、その考え方の根本にはかなり問題があると思いますが、いまそれを討論をしようとは思っておりませんので、またいずれの機会に譲ります。  また、特性の一つとして、市街地が整備をされて、引き続いてそこに住民が居住をできるということだというふうに言われているわけであります。それと、また一つは、保留地を生み出してその処分によって事業の費用を生み出すことができるというふうに言われているわけでありますが、大別するとそういう四つの点が特質だというふうに言われているようであります。  しかし、これらの中で、事業終了後宅地が道路に面する場合に利便になったという思想があるようでありますけれども、現今のような車公害の時代にあっては、私は、道路に面するようになったということが必ずしも便利になったというふうには言い得ないというのが実態であろうというふうに思っています。また土地区画整理事業の目的の中には、いろいろあると思いますが、災害の復興であるとかあるいは都市改造あるいは市街地開発、他の公共事業との並行施行とかいろいろの場合があるだろうというふうに思うのでありますが、しかし、いずれの場合にしても、そこに住む住民の立場を尊重することが、あらゆる場合であってもその基本であると理解をしておりますけれども、こういう理解でよろしいですか。
  66. 高桑保治

    ○高桑説明員 仰せのとおり、区画整理の施行におきましては、関係地域の住民の方々の理解と御協力がなくては事業の実施は困難でございまして、住民の意向の尊重は基本条件だと私ども考えております。
  67. 小川省吾

    小川(省)委員 いま幾つかの基本的な点について理解を求めたわけでありますが、私が理解をしていることと同じようであります。  しかしながら、実際には、これに反して住民の意思を無視してといいますか、住民の意向を尊重しない、いわゆる住民不在の区画整理事業が時として推し進められる場合が多いわけであります。住民の意向が無視をされてやられているような場合が各地にはかなり多いわけであります。  いま私が例に挙げますのは群馬県の例なんでありますけれども、群馬県に館林という町があります。非常に静かな城下町であります。いま課長さんが答弁をされたような基本的な原理原則、住民の意思を尊重するというような点が無視をされて計画が進められてきたわけなんでありますけれども、さきに建設省の方に申し入れをいたしましたところ、最近では市当局もかなり考え方が変わってまいりまして、住民の意思をくむようになっているようでありますけれども、恐らく御存じだろうと思うのですが、館林市の駅西区画整理事業なのであります。今年度測量で五十二年度から五カ年計画のようでありますけれども、その説明項目等を見てみますると、市街地に進出入するところの自動車の交通をスムーズにするというふうなことがうたわれてもおりますし、館林というのは静かな城下町でございますから、そういった点でこの駅西地区には区画整理反対の立て看板が実は林立をいたしておるわけであります。住民の意思が無視をされたことに対する住民の反発の姿であろうというふうに思っております。静かな環境を保持をし続けることも私は都市環境の整備の一つであるとも思いますし、別の近接をする場所に都市環境をつくることもこれは都市計画一つであろうというふうに思っています。さらにこの計画の中には、いわゆる産業道路をこの中に組み込もうというのが一つの主要な眼目になっておるようでありますし、さらには準工業地帯等も相変わらず残っていくようであります。地方にはその道の専門家が少ないわけでありますからいろいろ問題があろうというふうに思いますし、そういう意味で建設省の適切な指導が特に望まれているところであろうと思っておるわけであります。そういう意味では、すべからく地域住民の意見がくみ上げられて尊重され配慮されて区画整理事業が実施をされなければならぬというふうに思っています。本件についても当然そうだと思いますけれども、県等を通じて状況等はそう詳しくは御承知にならないでしょうから、その意味ではよく調査をしていただいて、適切な指導を引き続いてやっていただくように特に要請をしておきたいと思うのでありますが、やっていただけますか。
  68. 高倉建

    ○高倉説明員 御趣旨のとおり、私ども区画整理の指導につきましては今後とも住民の意向を尊重して、円満なうちに区画整理事業が進行しますよう、県並びに市の方を指導してまいりたいと考えております。
  69. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつそういう形で住民意思が尊重をされ、住民の意思をくみ上げるような、住民の意向に沿うような都市計画、区画整理事業を進められるように強く要請をいたしておきたいと思っております。  次に、文部省にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、戦後PTAができた当時は、学校というものが、自分の卒業した母校であるという意味と別に非常に身近な存在であった。昭和二十年代は学校というものが非常に身近な存在であったけれども、最近では校長や教頭が管理職として法制化をされて、あるいはまた主任制度ができてきてしまうと、学校は市役所や役場などよりもはるかに遠い、近寄りにくい場所になってしまってくるし、私どもの生活とは、非常に近づいてきていた学校が遠ざかってしまうというふうな言葉がよく聞かれるわけであります。私は、この父母の言葉を文部省がどんなように受けとめていられるのか、また、そんなことは聞いたことがないと言われるのか、その点についての文部省の考え方をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  70. 柳川覚治

    ○柳川説明員 わが国の学校が学びやという形で発展してまいりましたことは御指摘のとおりでございますし、常に住民との十分な接触を保ちながら学校が正常な発展をしていくということが学校運営の基本であろうと思っております。  このたびの主任制度問題も、まさにそういう意味で教育指導の実績を上げるためのお世話をする方を決めていくというような形で取り組んでおるわけでございます。決して学校を管理強化だけの観点から近寄りがたいものにするというような考え方は持っておらない。特にこのたびの給与改善の一環として部活動の手当の勧告を受けております。これも、学校において子供たちが学校の施設、設備を十分活用して体を鍛え、また学んでいくという、そういう学びやの精神を呼び起こしていくというような観点に立っておりますつもりで文部省としては取り組んでおる次第でございます。
  71. 小川省吾

    小川(省)委員 永井文部大臣は調和のとれた学校運営という言葉をよく用いられるようであります。私は私なりに、教育とは、社会と学校、家庭と学校、校長やそして教師群、そしてまた教師と児童、生徒との魂の触れ合いの場であるというふうに実は思っているわけであります。しかしいま審議官が答弁されたように、果たして主任制度の採用が調和のとれた教育の場と言いますか、教育環境を保障していくでしょうか。私は大変疑問に思っております。私は県庁育ちでありますから、教育委員会の事務局やあるいは教育事務所、教育の現場等もある程度承知をいたしておるつもりであります。しかし私の見てきた限りでは、あるいはまた見ている限りでは、現在の調整手当の支給以前あるいは人材確保法以前、さらにまたあえて言うならば勤務評定制度以前の方が、学校現場は活気に満ちておりましたし、調和がとれていたように思っておりますが、その点についてはいかがですか。
  72. 柳川覚治

    ○柳川説明員 学校が教育の目的達成のために、それぞれの決まりは決まりとして守り、秩序を守っていくという面と、常に温い教育の手を差し伸べて児童、生徒を導いていく、この両面が常に調和のとれた学校運営をしてほしいということを文部大臣も常々申しておりますし、このたびの省令改正もそういう学校運営のよき仕組みを確立するという趣旨でございます。物の見方、いろいろあろうかと思いますけれども、私どもとしては秩序の確立と教育指導の充実、この両面が今後主任制の実施等を契機といたしまして調和のとれた学校運営が期待できるというように存じておる次第でございます。
  73. 小川省吾

    小川(省)委員 勤評以来の教育の管理面の強化の中で、校長の大部分というのは教育者という立場よりも学校の施設整備や教師群に対するところの管理的な部面のみが強まってまいりまして、ときどき教育委員会の代弁者的な立場になってしまったのではないかというふうに思われてなりません。創造的な活気のある魂の触れ合いといいますか、あるいはまた教師群とともに創造的な教育を追い求めるという校長など影をひそめてしまったのではないかと実はおそれているわけであります。調和のとれた学校教育の実現には、調整手当以前、人確法以前、勤評以前に立ち返る必要があるのではないかというふうに思っています。  そういう意味で主任制度は、そういう教育における管理面の強化の輪を締める役割りしか果たさないのではないかというふうに私は思うわけでありますが、その点についてはいかがですか。
  74. 柳川覚治

    ○柳川説明員 学校におきましても管理者と非管理者、組合員と非組合員というような形の中でのぎしぎしした状態というのがあったことは確かでございますし、また文部大臣もその面のことに触れておるわけでございますが、このたびの主任制は、従来学校に定着しつつありました主任の中で、全国的に共通にかつ基本的、中枢的な機能として必要なものの職務を明確化したわけでございます。また、その主任の労に報いるということで主任に対してしかるべき手当を支給していただきたいということをお願いしてまいった問題でございまして、まあ主任によって組合員の身分を外すとかいうような次元でのとらえ方をいたしておりません。およそ人の社会には、それぞれお世話をされる世話係というものが置かれるのが常でございまして、その世話係の人はそれなりにお世話代もかかるわけでございますから、それに相当する主任に対してしかるべき手当を支給してほしいということをかねがね人事院当局にお願いしてまいりました。さきの勧告で特殊勤務手当でこの面の実現が期待できる勧告があったわけでございまして、私ども、管理と被管理者というような観点だけで物をとらえていく——学校はやはり子供を焦点として、子供を宝として教育活動していくということに尽きるわけでございます。その面の運営の仕組みがよくなるというための主任制の役割りというものは今後その活躍が期待できるというように思っておる次第でございます。
  75. 小川省吾

    小川(省)委員 若干意見を異にいたしますが、いまここでこれを論争するのが私の趣旨ではありませんから一応おきます。  教育が学校や家庭や社会の三位一体でその実を上げてまいりますように、学校教育というものも、校長と教師、そしてまた教師以外の職員、言うならば事務職員でありますとか給食関係職員とかあるいは用務員等、それぞれが教育の場で、教育の面でその役割りを果たして学校教育の実というものが上がっていくはずであります。その中で教師のみのいわば処遇の改善がずっと一連とされてきたわけでありますが、そういう意味で、教育の現場ではこういう教師のみの処遇改善という中で、むしろ調和がそれたといいますか、調和に欠けたようなものにどんどんなってきたというふうに私は思っておりますけれども、その点はいかがですか。
  76. 柳川覚治

    ○柳川説明員 御指摘の点でございますが、学校の内部におきましても教員と事務職員との間の給与の格差が高まってきているということは事実でございますが、教育は人にありという観点から、教育界に広く人材を得るというために人確法が制定されまして、この人確法は教員の処遇を一般の公務員よりも優遇するという趣旨で組まれたものでございまして、これに基づく給与改善がいま進められている。その結果、そういうような新たな悩みがまた起こってきているということは事実でございます。
  77. 小川省吾

    小川(省)委員 いま御答弁にありましたように、私は、教育というのは教師のみの処遇改善ではない、学校教育も、校長があり、教師があり、そしてまた教師以外の職員があって学校教育の実が上がるというふうに思うのでありますから、そういう意味で、文部省が本当の意味で学校教育を考えるならば、教師以外についても当然十分な配慮がなされなければ調和が欠けていくような状態にますますなっていってしまう。そういうものを補足をしていかなければ教育の実はなかなか上がるものじゃない、私はこういうふうに実は思っているわけであります。  そこでまた、いま答弁の中で出ましたから、事務職員の問題について若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  最近、学校の管理施策の強化につれて学校事務も増加をするし複雑化をしていることは、これは当然のことであります。こういう実情からするならば、学校事務職員は必置にしていかなければならないというふうに思っています。学校教育法の二十八条一項のただし書きは削除すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  78. 柳川覚治

    ○柳川説明員 現在学校になお事務職員が配置されておらないという学校を残しておる次第でございまして、その中でいま教職員の定数改善の年次計画を進めておりまして、そういう中で将来にわたって学校の事務職員の適正配置を努力中でございますので、そういう段階においては当分現行のの規定に基づいた努力を重ねておるということでございます。
  79. 小川省吾

    小川(省)委員 文部省が必置に近づけるようにといいますか、全校必置になるように努力をしていることは理解をするのにやぶさかではありません。しかし、やはり学校教育の実を上げようと思って教師に焦点を当てるのは当然でありましょう。しかし余りにもそこのところに執着をして、教員のみの待遇改善なり処遇改善ということに余り重きを置きますと、全体の学校教育というものがへんぱになってしまう、私は実はそういう意味で言っているわけであります。この二十八条一項の中で特に「特別の事情のあるときは、」という解釈なんですけれども、いわゆる分校とか学級数の少ない小規模校をということに「特別の事情」というものを解釈をして必置にしていないのだと思うのでありますが、この解釈は私は誤りであろうというふうに思っていますし、文部省に都合のいいように解釈をしているのではないかというふうに思っています。事実努力をされて増員をしてきていることも承知をしているわけでありますけれども、そういう意味では、二十八条の一項はどの段階になったら削除していただけるのですか。
  80. 柳川覚治

    ○柳川説明員 第一項の問題でございますが、学校はやはり全国津々浦々にわたって子供たちが通学できる体制をとるということの責任があるわけでございまして、その限りにおきましてはやはり僻地等の小規模校というものが必要になるということがございます。したがいまして、そういう小規模校におきましては、しかるべき数の教師がおられるということで、必ずしも事務職員までの配置を必要としないという実態も今後ともあろうかと思います。趣旨は、各学校に必要な事務職員を適正に配置していくということが趣旨でございますので、その趣旨に沿っての努力を重ねていくということで、必ずしもその条文それ自体を削る必要はないじゃないかというように、趣旨をくんだ努力をしていくということでこたえてまいりたいと思っております。
  81. 小川省吾

    小川(省)委員 条文そのもののただし書きを削除する必要はないと言いますが、必置になればこの条文があることがじゃまなんでしょう。そうなれば、何年計画かの中で必置できる体制をつくっていかれるわけでしょう。そうなればこの条文は要らなくなるわけでしょう。だとするならば、大体何年計画ぐらいの間に必置できるような状態をつくろうというふうに思っているわけですか。
  82. 柳川覚治

    ○柳川説明員 現在教職員の定数改善の第三次の改善計画を進めておりますが、その中で事務職員につきましては、県費負担職員としての事務吏員に相当する職員の配置を、大体小中につきまして七二・五%の学校を対象にできるというような計画を現在進めておりまして、ことしがその三年次に入っておる次第でございます。それから先、第三次があと三年続くわけでございますが、これが計画が完了いたしました際に改めて事務職員の適正配置の問題を検討させていただきたいというように考えておる次第でございます。
  83. 小川省吾

    小川(省)委員 今回主任制度の実施について、主任制の中に事務職員を含むような文部省がモデル条例のABCの三案を出したわけです。大体きのうあたりで鹿児島が実施をするとなると、東京、神奈川、京都、大阪等を除いてほとんどの県が実施されるというふうな方向になってきているようでありますが、複数配置の高校はいま別として、単数といいますか、いわゆる一人の義務教育校の場合は、これは何といいますか、各都道府県教育委員会の解釈もあると思うのでありますが、実際に義務教育学校の事務職員を主任制度の該当にしようという場合に、文部省としては基本としては大体どんなふうにお考えになっておられるわけですか。
  84. 柳川覚治

    ○柳川説明員 学校の事務職員で一人しかおらないという学校がかなりあることは事実でありますし、この辺の事務職員の処遇につきましてはかねてからの懸案でございまして、三十五年の通達の際にも、必ずしも部下職員の数等にとらわれず、その事務職員の経歴等を勘案した処遇をするようにという通達を出してまいりました。その辺の精神をずうっとくんで今日まで来ておるわけでございまして、このたびの省令改正におきまして、小中学校においては事務主任を置くことができるようにいたしました。高等学校はそれなりの事務体制が整っておる実態がございますので、事務長制を明定したわけでございますが、したがいまして、事務主任は、その人の置かれている位置づけを決めるということでございますし、また、同時にその人の持つ経験、学歴等も勘案して決められていくというように私ども承知しておりまして、一人だけしかいないから事務主任にはなれないという問題ではないというように考えておる次第でございます。
  85. 小川省吾

    小川(省)委員 それは当然そうですよね。ですから、いま、一つの事例を挙げて、私は文部省の見解をただしたいと思っているわけでありますが、私の友人に一人の事務職員がいるわけであります。十四、五学級の学校ですから、当然単数配置であります。日常の場合、教育事務所や地区の教育委員会との連絡、折衝はほとんどこの人で済まされているわけであります。ちょうど給食の指定校でありますけれども、当然給食主任の先生はいらっしゃいますけれども、給食調理員の人などを指導をして、いわゆる施設の整備や衛生管理など給食主任的な役割りを果たしているわけであります。また、PTAの指導等も当然やっています。教頭が教育実践面のいわゆる校長の右腕ならば、いわゆる経理管理面ではまさに校長の左腕的な役割りを果たしているわけであります。ということは、これは学校の中では、当然そこの自治体の中でも周知の事実であります。群馬県では事務職員の処遇については、大体事務長、事務主査、事務主任、それから事務職員、事務補佐というふうになっているわけでありますが、大体これはいわゆる処遇上の年功序列で大体決まっておりますし、経験年数、年齢、在職の級号によってランクがつけられているわけでありますから、いわゆる現在の事務長がこの主任制度の該当になっていくのだろうと思いますが、群馬の場合には文部省の準則のBを採用しているわけです。いま私が申し上げたような事例の人のような場合、当然今回の主任制度の処遇の中には含まれない、群馬における処遇上の事務長がなるわけでありますから、そういう意味ではその主任制度の恩恵といいますか、そういう適用は受けないわけであります。こういう実態との遊離といいますか、実情はこうなっているけれども、そういうものは受けない。こういう点についてはいかがお考えですか。
  86. 柳川覚治

    ○柳川説明員 各学校における配置の実態が県によりましてもいろいろ異なっております。その辺のところは各県で調整をとりながら、また、個々の人の経験年数等も配慮し、かつ、今後一体、高等学校の事務長とか事務主任に対してどういうような等級上の格づけをするかというような問題の検討も含めて適正な対策措置が講じられたというふうに文部省としては現在期待しておるところでございまして、御指摘のとおり学校運営における事務職員の役割りの重要性は申すまでもございませんので、その待遇改善に当たって明確な事務職員の位置づけということがまず前提にあるということでこのような主任制度をしいたわけでございますので、各県で調和のとれた位置づけ、また、それに対する適正な待遇改善ということが今後において進んでいくというように期待しておる次第でございます。
  87. 小川省吾

    小川(省)委員 いま審議官の口から、はしなくも出てきたわけだけれども、文部省が事務職員の処遇改善を言う場合には、いつも給料表上の格づけということで済まされてきているわけですね。私は、そういう中で、教員は処遇の改善があっても事務職員についてはなかなかされない。そういう中で不調和がますます現出をされるという状態が全国のあらゆるところで出ているのが実態であろうというふうに思っています。そういう点では一般の行政職員の関連などということも言われるわけでありますから、そういう意味では、単数配置という特殊性があるわけなんですから、特に、当然教育事務所に配置がえになる場合もあるし、教育委員会事務局に配置がえになる場合もあるわけでありますから、学校に配置をされている間は、給料の調整額というような制度を使って処遇の改善に当たられたらいかがかと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  88. 柳川覚治

    ○柳川説明員 文部省の中でも、公立の小中につきましては単数配置等の特殊な事情もある、そういう中で、これに対して何らかの俸給調整額的なものが出せないかという検討も進めておるわけでございますが、国立の付属学校の事務職員との対応の問題等もございますし、また、一般の行政のその他の機関との対応の問題もありまして、学校なるがゆえにという特殊性だけでもって俸給の調整的なものを要求するということがなかなか困難だという状態で、まだ、文部省の予算要求等でも玄関まで出るというまでに至っておらないという状態でございます。  そこで私ども、この辺の問題につきましては、たとえば教育委員会は学校の設置者の管理機関の立場で責任を負っておるわけでございます。そういうところの職員との人事交流の問題、もちろん考えるわけでございますし、また、そこに働く一般行政の職員との間に著しく均衡を欠くというような問題が起これば問題でございますが、一般の行政の職にある者との間に調和がとれるということがまず第一だろうということで、その面に焦点を当てた検討をしておるというところでございます。
  89. 小川省吾

    小川(省)委員 これはぜひひとつ重要項目として検討をしていただきたいのですが、いまの答弁の中にありました行政職員との調和を欠いてはまずいということなんですが、教育委員会事務局の職員も、あるいはまた出先の教育事務所の職員も、なかなか学校の事務職員には行きたがらないのですよ。事務職員は、あるいは教育事務所や教育委員会事務局へ出たがるのですがね。そういうことだから困るというふうなことだとすれば、余りにも文部省は現場の認識が足りないと思うのですよ。そういう実態にあるわけだから、私はそういう意味で、単数配置の学校については調整額という点を取り上げていま申し上げたわけでありますから、いずれにしても、ぜひひとつ十分に御検討いただきたいと思うのであります。  それから、先ほどの三十五年の通達でというふうなお話でありますが、学校事務職員の処遇についての通達というのは、三十二年の、現行給料表ができた段階における通達が最後であろうというふうに私は思っています。都道府県教育委員会は、文部省から通達があるならばある程度処遇改善には、財政権は知事部局が握っているわけでありますから踏み切れるのですが、なかなか踏み切れないのが実態であります。そういう意味では、今回もまた口頭で——現在まで国家公務員行政職給料表(一)表の五等級から八等級までを使っているわけでありますが、一等級上位を使ったらどうかというような口頭指導をなされているようでありますが、こういう指導では処遇の改善はできないのです。前々から私は文部省には常々言っておりますように、学校事務職員の処遇の改善についての通達の文書を出してもらいたいということを申し上げているわけでありますけれども、今回はぜひひとつ、主任制度が実施をされたという、私ども反対でありますけれども、とにかく、されたという現実の中では、大臣が言われる調和のとれた教育を本当の意味でもしも実践をしたいということを事務当局がお考えならば、今回は、事務職員の処遇改善についてぜひひとつ通達文書を出してほしいというふうに私はお願いをしたいわけですけれども、審議官、いかがですか。
  90. 柳川覚治

    ○柳川説明員 先生からかねがね御指摘のことでございますが、昨年の三月三十一日に給与法の一部改正につきましての通知を全国に流しました際に、特に事務職員の給与等につきまして格段の配慮をしてもらうような通知を重ねて盛り込んだ経緯がございます。  それから、このたびの事務主任あるいは事務長という事務職員の位置づけを省令の上で明確にしたということは、まさに先生指摘の、事務職員の処遇改善に将来結びついていく、そのことの期待があるわけでございまして、この辺の位置づけの明確化と相まって、現在三十二年の通達の趣旨をくんで、四等級相当の格づけの県は十九県でございますが、この辺の県がさらに将来進んでいく、広がっていくことを私どもは期待をしておる次第でございます。
  91. 小川省吾

    小川(省)委員 いま審議官言われたように、十九県がそういう形になってきているわけですが、そういう一連のものをこの時点で総括をして、ぜひひとつ文書による指導通達を出してほしいと思いますが、いかがですか。
  92. 柳川覚治

    ○柳川説明員 かねての通達の趣旨で、これの徹底を図っていく指導で尽きると私どもは思っておるわけでございますが、基本に、一般の行政機関の職員との間に、学校の事務職員であるからといって不利がないかどうか、その辺の問題を含めましての調査を、五月一日現在で事務職員の待遇につきましての全国調査を行ったらどうかということを現在検討中でございます。その辺の調査結果を待っていろいろな措置も考えてまいりたいというように思っております。
  93. 小川省吾

    小川(省)委員 それならば、その五月一日の調査を待って、調査をすれば、結果についてはこれは公表するというか、当然その結果がどうだということを出すわけでありますから、教育の場に調和が欠けることのないように、ぜひひとつ調査の結果を総括して一応通知を出してもらいたい、こう思いますが、よろしいですね。
  94. 柳川覚治

    ○柳川説明員 はい。
  95. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで自治省にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  最高責任者である大臣がいらっしゃいませんから、政務次官にお伺いをするわけでありますが、正式な国会の委員会で、時の大臣が議員の質問に答えての了解事項といいますか、確認をされた事項というのは、よもや大臣がかわったからといってその了解事項、確認事項が死んでしまうというようなことはないであろうと思うのでありますが、国会の正式な委員会の場で確認をされた事項というものは当然生きているという理解でよろしゅうございますね。
  96. 奥田敬和

    奥田政府委員 当然継承されるべきものだと思います。
  97. 小川省吾

    小川(省)委員 実は昭和四十二年の八月十八日、第五十六国会の地方行政委員会で、時の大臣は私の県出身のいまは亡き藤枝泉介大臣であります。委員長は、亀山孝一委員長であります。わが党の細谷治嘉委員質問で、自治省に公務員部が新たに設置をされたに当たってのその質問の中で、四項目の確認がなされているわけであります。次官、御存じですか。
  98. 奥田敬和

    奥田政府委員 三項目ではないかと承っておりますけれども、もし間違いでしたら御指摘賜りたいと思います。
  99. 小川省吾

    小川(省)委員 承知していますね。
  100. 奥田敬和

    奥田政府委員 はい、大体承知いたしております。
  101. 小川省吾

    小川(省)委員 現に亀山先生や細谷先生も現職としておられるわけでありますし、公務員部もあるわけでありますから、私はこの確認が完全に生きているというふうに理解をしているわけですが、その確認が短いので、再現をする意味でちょっと読んでみたいと思うのであります。  先ほど言ったように、質問は四つですが、確認の事項は三項目ですね。  そこで、まず細谷委員、   第一点は、自治省内に公務員部を新設し、公務員に関する事務を強化するにあたって、地方公共団体の労使双方に対して常に公正中立の立場で行政指導を行なうべきであると考えるのでありますが、大臣、どうお考えですか。  ○藤枝国務大臣 御指摘のとおり、われわれ自治省といたしましては、労使双方に対して常に公正中立の立場で指導と申しますか、助言と申しますか、やってまいる所存でございます。  ○細谷委員 第二点は、最近の地方財政の窮迫などの事情から、地方公務員の人件費総ワクを 節減することが各地で見られますが、公務員部は、これら財政事情のいかんを問わず、地方公務員の待遇改善、定員確保、権利保護のために絶えず行政上注意を払って積極的に発言し、行政指導を行なうべきであると考えるのでありますが、いかがでございますか。  ○藤枝国務大臣 公務員部の最も重要な任務は、ただいま御指摘地方公務員の適正な待遇改善あるいは定数の確保、権利保護というもの が中心であることはお話しのとおりでございます。  ○細谷委員 したがって公務員部を設置するということは、公務員の労働運動というものに干渉したり弾圧するためのものではないということは確認できますか。  ○藤枝国務大臣 もちろん当然のことでございます。  ○細谷委員 第三番目は、最近、公務員の賃金に関連いたしまして、人事院勧告の実施にからんで全国的な闘争が年々激化する傾向にございます。このような場合、地方公共団体においても中央の労働問題から直接影響を受けることから紛争、争議の状態に入ることがございますが、公務員部はこれらの紛争について地方自治体の自主性をおかすような介入、指導を行なうべきでないと考えるのであります。この点、いかがですか。  ○藤枝国務大臣 もとより地方自治の原則をおかすようなことは、毛頭いたす所存はございません。  ○細谷委員 特に任免権者に属する懲戒処分等について、その具体的な内容にまで立ち入って任免権者に強制を加えるような指導をいたさないということを約束していただけると思うのでありますが、いかがですか。  ○藤枝国務大臣 地方におきまして紛争が起こった場合に、任命権者が行なう個々の処分等について強制にわたるような指導、助言はいたす所存はございません。  ○細谷委員 大体、大臣のおことばで、公務員部設置についての大臣の姿勢というのが明らかになりましたから、という確認で、細谷委員質問は別な問題に移っておるわけであります。  この議事録の内容、いま現在でも改めて確認ができますか。はっきりお約束ができますか。
  102. 奥田敬和

    奥田政府委員 はっきりお約束はできると思います。
  103. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで伺いたいのでございますけれども自治省の現在の自治体に対する指導というのは、当然、正式な場で、正式に自治省が国会の場で約束をされた事項に背いた指導がなされていると私は思うのであります。はっきりいまでもお約束できるということでありますが、自治省がいままでやってきた指導、助言の中で、これを逸脱するようなことはありませんでしたか。
  104. 奥田敬和

    奥田政府委員 具体的な内容については私定かではございませんけれども、もしいま御指摘にあったような形の中で地方自治体の自主性を損なうような不当な弾圧あるいは介入というような具体的事実があれば、まことに遺憾でございます。しかし、自治省としても地方自治の自主性を尊重しながらも適正な助言、指導を行うわけでございますので、そういった面について先ほどの、当時の藤枝大臣と細谷先生との間に行われた三原則の精神というものは尊重しなければいかぬ原則でございますし、この点については従来とも尊重してまいったつもりでございます。
  105. 小川省吾

    小川(省)委員 次官はそう言われますけれども、実はこの確認事項にもとるような現状なんですよ。遺憾だらけなんですよ。いまもしも逸脱をしておれば、この確認が守られていなければ遺憾だというふうに言われましたけれども、実は全国津々浦々遺憾だらけのことばかりなんですよ。そういう意味ではどうもこの確認が自治省の助言、指導という中では守られていないのではないかというふうに思っております。財政に名をかりた介入や干渉ばかりがやられておるのですね。そういう意味では、特に昨年の五・一六の次官通達などはいわゆる財政に名をかりて実際にはこの確認を踏みにじった最大のものであろうというふうに思っております。しかし、いま、大臣のいない最高責任者の次官が、この確認は生きている、守られているということでありますから、ぜひひとつそういうことでこの確認を熟読玩味をして、拳々服膺をされて、この確認に逸脱をしないような指導に立ち返ってもらいたいと思いますけれども、お約束できますか。
  106. 奥田敬和

    奥田政府委員 先生指摘のとおり、三原則は尊重しながら、ただ先生の御指摘になられるように介入、干渉であったか、適切な助言、指導であったかということについては、私も非常にこれは慎重を要する問題であろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、先生の御指摘になった三原則に関しましてははっきりお約束できると思います。
  107. 小川省吾

    小川(省)委員 はっきりしたお約束をいただいたので一応安心をいたしましたけれども、しかし実際にはこれに逸脱をしているような状態が各地に起こっているわけであります。そういう意味では、やはりこういう状態では原点に返らなければならぬというふうに思うわけであります。ぜひひとつそういう点を配慮をして、私は、奥田さんが自治省の中における歴代の名次官であったというような形でそういう点を調整をされて、自治省の指導に誤りのないように、少なくとも国会の場でお約束をしたことが踏みにじられるような指導を事務当局にやらせていくようなことをやらせないように、次官としてぜひやってもらいたい、こういう点を要請をしておきたいと思いますが、何か御発言はございますか。
  108. 奥田敬和

    奥田政府委員 御趣旨を尊重して、在任中はいささかもそういった線にもとることのないように全力を挙げてがんばりたいと思います。
  109. 小川省吾

    小川(省)委員 ありがとうございました。在任中といっても、どうもこういう情勢ではそう長くないと思うので、しかし大臣であっても次官であっても、当然約束をしたことはずっとかわられても生きるわけでありますから、そういう点を確立をした名次官になってもらいたいというふうに思っています。  次に、法改正についてお尋ねをしてまいりたいと思うわけであります。  地方財政危機的な状態を迎えて地方財政に対する国民の関心がようやくにして高まってきた昨今でありますけれども、びほう的ないわば借金財政という形で昭和五十一年度地方財政つじつまを合わせたわけでありますけれども、そういう意味ではいまこそ抜本的に地方財政に対する対策というものを確立をしていかなければならない必要に迫られていると思うのであります。五十一年度の財政対策交付税会計借り入れあるいは地方債への依存という形で、こういう傾向が強まってきている中で解決をしてきたわけなのですけれども、恐らく現時点では少なくとも後年度に残した多くの問題があるわけでありますし、そういう点では少なくとも財政の健全な運営を説いてきた自治省なのでありますから、安易な公債依存政策というものが正しいというふうには思っていないというふうに思っておりますけれども、将来にわたって公債費の負担の累増を招いて財政の硬直化が当然進んでくるわけであります。自治省は公債費を増加して財政が硬直化をしてはならぬというふうな指導をやってきたわけでありますから、当然自治省としては現時点で何らかの反省というか、そういうものがあるはずだと思うのであります。そういう意味で今年度財源確保対策をした上に立って、現時点で自治省としてはどうお考えなのかお伺いをいたしたいと思います。
  110. 首藤堯

    首藤政府委員 本年度地方財政対策が、二兆六千二百億と見込まれました非常に多額財源不足額に、ともかく何としてでも対処をしなければならぬという緊急的な理由から、御指摘のように地方交付税会計で一兆三千百四十一億円の借り入れをする、地方債で一兆二千五百億円の財源振りかえをやる、こういう措置をあわせまして所要の財源を確保することに向かってまとめたという事態であるのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもも五十年、五十一年と続きましたこのようないわば緊急の措置借金で所要財源を確保するという措置がいつまでも続いていいものとは決して考えておるわけではないのでございまして、できるだけ早い機会に抜本的な制度見直しを含めまして適正な財源地方に与えられますように私どもとしては渾身の努力を尽くしたい、このような決意でおりますことは申し上げるまでもございません。  なお、このような措置をとりましたことしの借入金でございますので、前々も申し上げましたように、たとえば一兆二千五百億円の財源振りかえ債につきましては、これを将来全般の財源措置としては地方財政計画の歳出に組み込みまして、それに対して適切な財源措置をするということで地方団体に迷惑をかけないようにいたしますし、個別の問題といたしましては、この償還費を交付税算入の際の基準財政需要額算入をする、こういう措置を通じて個別の団体に迷惑がかからないように措置をしていく、このような態度でおる次第でございます。
  111. 小川省吾

    小川(省)委員 このような手だてをすること以外に講ずる方法はなかったのかということなのですけれども、いまの三二%という税率のいわゆる交付税制度というものの耐用年数が当然きているのではないかというふうに思っているわけであります。そういう意味では、率の引き上げがなぜ考慮をされなかったのか。やったけれども大蔵省の壁が厚かったということなのでしょうが、少なくとも地方一般財源の保障には交付税内容の徹底した洗い直しと率の引き上げ以外にはないのではないかというふうに実は思うのでありますが、借金と債務の償還で硬直化が進行するだけではないかというふうに思っていますが、その点において次年度以降の地方財政の予想さるべき方向というものについてはどうなのですか。
  112. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、本来ならば地方財政に対しまして所要の財源を従前のようにできるだけ一般財源措置をしていく、税及び交付税措置をしていく、こういうことが望ましい方向であったことは間違いがないのでございます。ただ、御案内のように、地方交付税制度は国、地方を通じました一つ財源配分税源配分、これに関連する制度でございます。ただいまの時点では景気の下降等の理由によりまして、国、地方を通じましてのいわゆる税財源総量がひどく枯渇をいたしてまいっておりまして、地方財政多額不足に見舞われますとともに、国の財政においても非常に多額不足財源に見舞われる、こういう事態でございました。したがいまして、このような事態においてはただ交付税率を引き上げるという措置だけでこの事態を乗り切ることが事実問題としてははなはだ困難でございましたので、御指摘のような借り入れ措置等を通じまして応急の財源措置をいたしたわけでございます。  なお、このような事態は、先ほど申し上げましたように長く続いていい事態だとは私ども決して考えていないのでございまして、しかるべき抜本的な見直しの第一歩を踏み出すべきだと考えておりますし、また現実に、ことしとりましたこのような借入金措置については、地方団体に迷惑をかけないように、地方財源全般の確保を図るように、先ほど申し上げましたような措置を通じて地方財源を確保していく、こういう態度でいるわけでございます。
  113. 小川省吾

    小川(省)委員 五十二年度も五十一年度と同じような状態が続くんだろうというふうに思っていますが、財源不足が生じてまいるのは当然だと思いますが、この国会が終了すればすぐに五十二年度対策に頭を使っていかれると思うのでありますけれども、現時点で、じゃ来年度財源不足に対する対策というものはどうお考えなんですか。
  114. 首藤堯

    首藤政府委員 明年度におきましても、当時国の当初予算が編成され、地方財政計画が編成をされておった経済情勢そのものを前提にして試算をいたしますと、前々ごらんをいただきました中期見通しで明らかにいたしましたように、地方財政においてなおしばらくの間多額財源不足が見込まれるような事態になるのではないか、このようにおそれを持っておるわけでございます。ただ、今後の問題といたしましては、一つには今後の経済情勢がどう動いてまいりますのか、こういったことも非常に大きな要素になりますので、そういった推移を見守りながら対策を考えていくべきだと思っておるわけでございます。  将来の具体的な対策につきましては、現在明確な案を確定をいたしておる段階ではございませんで、まあ負担区分の問題、事務配分の問題あるいは税源そのものをどう考えていくのかといった問題、こういった問題があると思いますが、そのような問題を含め、なおかつ交付税の率の問題も含め、慎重に、前向きに検討いたしたい、このように考えているわけでございまして、具体的には、地方制度調査会そのほかの関係機関にも今後お諮りをいたしながら方策を定めてまいりたい、このように考えております。
  115. 小川省吾

    小川(省)委員 仮に、先ほどの話にもありましたけれども交付税率の引き上げがなかなか大蔵との間で容易ではない、こういうことだとするならば、少なくとも交付税財源としての酒税や法人税、所得税だけではなくして、税目を一つ二つ取って、率が三二%であるならば国税三税を五税なり六税なりにふやしていけばいいじゃないですか。そういう点についての折衝といいますか、検討はやったことがあるのですか。
  116. 首藤堯

    首藤政府委員 交付税の率の対象になっておりますものが、現在国税三税に決められておりますのは、この三税が国税において最も大きなウェートを占めております。まあ、大体八割以上を占めるといったような事態、そういうメーンの税目でございまして、この税目のうちどの程度のものが本来地方団体配分されるべきものかということで制度を立てたらいいだろう、こんな考え方で三税が選ばれておりますのは先生案内のとおりでございます。したがいまして、この率の問題、それから対象税目をふやすかどうかという問題、これは両方とも収納いたされております国税のうち、どの程度のものを地方の分だとして配分をすべきか、こういうことに関連をする問題であろうかと思うわけでございまして、交付税の率等の問題を含めまして、国、地方を通じました税制のあり方等とも関連をして今後検討すべき問題だと、心得ております。いままで交付税の対象をただ六税にふやせばいいではないかといったようなことを、そのことだけを大蔵省に対しまして要求をしたことはございません。
  117. 小川省吾

    小川(省)委員 交付税の税目の取り入れでよく出てくるのが付加価値税の話で、私この前の委員会でも指摘をしたわけなんですけれども付加価値税はどうも問題があり過ぎる。最近では、物品税を創設して、これを交付税の中に取り入れようという動きが実は自治省の幹部の中にもあるというふうに聞いておるわけでありますが、その辺のところはいかがですか。
  118. 首藤堯

    首藤政府委員 今後の税制のあり方を国、地方を通じましてどのようなかっこうで持っていくのかということがまず基本的な第一の問題であろうと思います。その場合に、ただいま御指摘がございましたように、現在国税地方税を通じましてわが国の税制間接税ウエートが非常に低うございますから、間接税というものに対してどう考えていくのかといった議論は今後出てくる問題であろうと思うわけでございます。  そのようにして国、地方を通じましての税源のあり方がまず議論をされますとともに、次の問題はその税源を国と地方でどう分けるか、こういう問題であろうかと思うわけでございまして、私ども本来の立場から非常に多くの行政需要地方団体でこなしておりますので、地方団体にその  一般税源をいままでよりウエートを置いて配分をきるべきものである、こういうかたい信念に立っていろいろ努力をいたしておるわけでございますが、そのような場合に、その渡されるべき財源を税で配分をしてもらうのか、つまり国税地方税移譲とかあるいは新設された税源地方にたくさん回してもらうのか、あるいは交付税というかっこうで回してもらうのか、これは両方道があろうかと思いますが、そのそれぞれについて今後検討さるべき問題だろうと考えております。
  119. 小川省吾

    小川(省)委員 御承知のように、国家財政も同じように大変厳しいわけでありますけれども多額国税、いわゆる国債が発行をされているわけであります。来年度においても恐らく国債に依存をしていくだろうというふうに思うのでありますが、自治省は大蔵との折衝の中で、地方自治体に対する起債ということではなくして、少なくとも交付税総額ぐらいは、同じ出すんならば国債の上に乗せてしまって、それで交付税全額を確保する。国債の枠は広がるわけでありますが、大蔵との間でそういうような主張といいますか折衝といいますか、そういうようなことを話し合われたことはありませんか。
  120. 首藤堯

    首藤政府委員 今回の財源不足が非常に大きいことにおきまして、できる限りの額を地方交付税総額における増加額、こういうことで処置をしていただきたいということは、われわれ念願として大蔵省にも強くお願いをしたのでございます。ただ、いままでの制度といたしまして、交付税特別会計借り入れをやってこれを増額いたします場合には、先生案内のように政府資金を借り入れをいたしまして、それでもって交付税総額をふくらましていく、こういうことがいままでの例でございましたので、今回もそのような立場から、まあ政府資金もかなり枯渇をいたしましたので、できる限りの額を地方交付税額に借り入れをするということで一兆三千百四十一億という額がセットをされたわけでございます。残りの財源不足分一兆二千五百億円につきましては、これは先生指摘のように国債で発行して交付税に入れるのか、それとも地方団体が独自で地方債発行するのか、それぞれの問題はあろうかと思いますが、一兆二千五百億を四千五百億と八千億の二つに分けて、元利償還を臨特で措置をしたり利子の全額を臨特で措置をしたり、こういう措置をとりましたのは、できる限り交付税特別会計借り入れをしたのと同じような効果をあらわす分野を大きくしていく、こういうことで措置をとっていただいたわけでございまして、私どもとしては可能なる限りの要求もし、折衝もしてこのような結果に相なった、このように理解をいたしておるわけでございます。
  121. 小川省吾

    小川(省)委員 国債のうちいわゆる三税に相当する額、交付税に相当する分がおおよそ一三%だというふうに言われています。それで、なぜ国債発行のうち、いわば三税に相当する分について特例措置をとらせることができなかったのかという疑問なんでありますが、そうでなければ地方財源はいわば債務を負っていくばかりなんでありますから、国債発行下におけるところの地方財政というのは、国債発行のうちで三税に相当する分の三二%、これを当然特例措置として認めさせて出させていく。借り入れというふうな形ではなく、特例措置というのをなぜとらせることができないのですか。
  122. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘の問題点は、国債が発行されますのは国税収入が全般的に不足をするために国債を発行するのだから、その意味で、国税のかわりとして発行される国債の三二%も地方交付税としてもらえばいいではないか、こういう御趣旨かと考えるわけでございます。ただいま御指摘をいただきましたような考え方で、国税と国債との合計額に対して一定の率を設定をしてそれを交付税にすべきであるという議論は、かってそのような議論がございまして、私どももいろいろ検討してみた事態があるわけでございます。地方制度調査会等におきましても、そのような御検討がなされた事態がございます。ただ、その後の推移ないしは事態によりまして、そのような措置をとります場合にはその国債の償還費について国と地方とがどのような負担をしていくのかといったような問題が起こってみたり、あるいは、国債が増額になるときはよろしゅうございますけれども、国債がうんと減った場合には逆に交付税が減る、こういうような事態にどう対応していくのかといったようないろいろ問題がございまして、必ずしも国債、地方税を合わせて積算することは適当でないだろう、このような結論に相なっておるわけでございます。ただいまの措置といたしましては、したがいまして地方交付税特別会計で非常に多額借入金をするという措置でことしはしのいだわけでございますが、この借入金そのものは将来財政計画償還額を計上する、こういう措置をとりながら将来地方財政運営に支障を来さないように適切な措置をとっていく、このような話し合いを大蔵省とも御案内のように約束をいたしてはおるわけでございますので、臨時の措置としては、地方交付税の額を緊急に増加するための措置としては最もやむを得ない措置ではなかったか、このように考えておるわけでございます。
  123. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、かねがね主張してきたところなんですけれども、国、地方を通ずる機能分担の明確化といいますか、事務と財源の再配分、特に機関委任事務の徹底的な見直しをいまこそやるべきであるし、いまやらなければやるときがない。いまこの地方財政の窮迫をした折こそ特に思い切ってこれについてはやっていくべきだというふうに思っていますけれども自治省決意のほどはどうなのか伺いたいと思うのであります。これは財源問題等行政事務を含めた問題でありますから、次官ですかね。
  124. 奥田敬和

    奥田政府委員 先生指摘のとおりに、地方財政が大変窮迫しておる、こういった原因の根底には、やはり現在の交付税のいま御審議になった問題あるいは国の補助制度に関する中で地方に不当な超過負担があるのではないかといったような問題、もろもろの要件がございます。こういった面を改めて洗い直し、見直ししていかなければならない時期が参っておるという認識に立っております。
  125. 小川省吾

    小川(省)委員 決意を持って進めてもらわなければ困るのですけれども、事務と税源の再配分の断行こそが地方財政見直しをする、洗い直しをするという基本だと私は思うのですね。それをやらなければ、自治省が本当に腰を入れて——地方財政の問題についてはただ地方を泣かせればいいというふうなことしか考えていないのだというふうに思うのであります。そこでいま次官からそういう答弁があったわけでありますが、ただしかしあれだけ強い附帯決議までついて、総理までが約束をした国費職員の身分移管問題もできなかったのでありますから、余り期待をする方が無理なんじゃないかとも思っているのですが、そういう意味で、次官からまとめた、自治省代表としての答弁があったわけでありますから、税務局長と行政局長とひとつ各論で答弁をいただきたいのです。いまの事務と財源の再配分についての責任当局としての答弁を承りたいと思うのであります。  それから行政局長の方では、いま言ったように身分移管の問題がこういう状態になってしまったわけでありますから、その辺のところについての謝罪的な意味も当然あると思いますし、そういう点についてのさらに今後の取り組み等を含めた答弁をお願いをいたしたいと思うのであります。
  126. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 いわゆる地方事務官の身分移管問題については、まさに先生指摘いただきましたように私の方の力不足ということはこれはもう弁明の余地はございません。その意味では大変申しわけないと思っております。ただ、これにつきましては、従来この地方行政委員会でも御決議いただきましたその線に沿って——今回は政府部内でそれがまとまらないという事態でお約束をしたことが実現できませんでしたけれども、当省の方針としては微動だにもしない。この線に沿って続いて努力をしてまいりたい。実はこういう答弁もこの国会でもう何遍もさせていただきまして、その意味じゃまことに申しわけございませんけれども、いささかもそれについて熱意がといいますか、より一層の努力を改めてお約束させていただきたいと思います。
  127. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように将来の抜本的な改善を図っていきますためには、御指摘のような事務配分の改善、こういった問題がまず第一の問題だと思いますし、事務配分が決定をしてまいりますと、次は財政問題といたしましてその経費の負担区分をどう持っていくのか、現在の国庫補助負担金制度、これについて改善をすべき点があるのかないのか、こういう点が問題になろうかと思います。それから第三に、先ほどから申し上げております国、地方を通じましての税源のあり方がどうか、それを国と地方でどう税源配分をしていくのか、そして最後に、国の税の中からいわゆる財源保障制度ないしは財源調整制度としての交付税のボリュームをどの程度に持っていくか、こういう問題になろうかと思います。それぞれにおきまして非常に大きな問題をたくさん含むわけでございますが、今後検討を続けてさせていただきたい、そのように考えております。
  128. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、今回職員の規模是正を七万五千人やったわけですね。大変結構なことだというふうに思っていますが、まだまだ実態とは乖離をしているのではないかというふうに思っていますが、自治省としてはまだ規模是正をするべき人員がどのくらい残っているというふうに思っておられるのか、そしてまた来年度はどうするのか、伺いたいと思います。
  129. 首藤堯

    首藤政府委員 従前、先生も御案内のとおり、五年に一回でございますか、給与実態調査の結果の年次に人員の是正をやるという制度をとってまいりましたのを、最近の事態で非常に大きな変動がございますので、四十九年、五十年ごろから既定規模の是正ということで定員の是正を行ってまいりました。四十九年は約二万四千人、五十年には十三万八千人という規模是正をいたしました上に、ことし五十一年にさらに御指摘のように七万五千人、こういうような規模是正をいたしたのでございます。この七万五千人は四十八年の統計と五十年の統計におきます実際の増加数から財政計画で増員措置をいたしましたものを差し引いた残りの数、これを基準にいたしまして規模是正をいたしたのでございまして、現在理論的に考え得ます人数は一応全部措置をした、このように考えておるわけでございます。しかし、現実の問題としてなお実際の現員との間に乖離がまだないわけではございません。一つには、たとえば義務教育関係職員等で標準定数を超えます員数がございますとか、それから、従前昭和四十八年時代からあったわけでございますが、毎年国の措置に準じて一定の人員削減措置、このような計画がとられたのでございますが、そのような分に関します数であるとか、このようなものがまだ残っておるのでございますが、ただいまの五十一年の措置としては理論的に考え得ますものは一応みんな取り上げたというように考えております。  なお、将来の問題でございますが、給与実態調査等における人員の調査が今後も行われましょうから、そういう実態を見ながら適実な措置を考えていきたい、このように考えております。
  130. 小川省吾

    小川(省)委員 七万五千人規模是正をしても実態との間に乖離はあるわけでありますから、慎重な調査の上に立って、実態との乖離を埋めるような努力はぜひ続けてほしいということを要望いたしておきたいと思います。  そこで、計画決算との乖離の原因にはいろいろありますけれども、やはり地財計画の策定と地方自治体予算の編成上の時期との関連が非常に強いと思うのであります。先ほども山田議員が要望をいたしておりましたけれども、地財計画ができたときには、すでに地方予算の骨格は編成されているという時期に実際にはなるわけでありますから、乖離が生ずるのはある意味ではやむを得ないと思うのでありますが、そういう意味で地方財政計画の策定というのをもっと早めることができないのか、少なくとも年末か年の初めぐらいに策定をすることができないものなのかどうか、お尋ねをいたします。
  131. 首藤堯

    首藤政府委員 地方財政計画をできるだけ早期に策定したいということは全く御指摘のとおりでございまして、私どもも鋭意努力をさせていただいておるのでございますが、ただ一つだけ問題点がございますのは、地方財政計画の中には非常に多額に上ります国庫負担金、支出金、これに伴います事業、公共事業中心にいたしましていわゆる国庫補助負担事業があるわけでございますが、これの地方負担額算定をしなければならぬ、こういう宿命がございます。この点は、国の予算が決まりまして後に各省においてその張りつけが行われ、それに伴う地方負担算定が行われざるを得ない、こういう実態がございますので、正式なかっこうでまとまります地方財政計画の策定は、どうしても国の予算決定後かなりの時日を要する、こういう事態に相なるわけでございます。  ただ、これで地方団体が財政運営に支障を来すことがあってはならぬと考えておりますのは私どもも同じ考えでございまして、先ほども申し上げましたように、できるだけ早期の、新年度予算の算定に間に合います時期において、たとえば交付税基準財政需要額の伸び率等の見込み等につきまして、できるだけ地方に情報を提供するというような措置でこれを補完していきたい、こう考えておるわけでございます。
  132. 小川省吾

    小川(省)委員 答弁の趣旨はよくわかります。確かに国家予算、いわゆる事業費予算の個所づけというか張りつけが決まらぬと国の事業に対する地方負担分がわからない、こういうことで先へ延びると思うのでありますが、少なくとも、突発的な災害復旧の関係でもなければ、大体従来の統計もあるわけでありますから、もう少し合理的にやっていけば、後でささいな乖離は是正をするにしても、私は可能な面での客観的なあれは得られるだろうと思うのであります。そういう意味でぜひひとつ、種々検討をしながら、少しでも早期に地財計画を策定するような努力は相変わらず続けていただきたいということを強く要請をいたしておきたいと思います。  次に、公営競技に関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  今回、公営競技に関連をして地方財政法の三十二条と公営企業金融公庫法の二十八条が改正をされるわけであります。しかし、いま公営競技を持っている団体と持たない自治体の不公平ははなはだしいというふうに言わなければなりません。この不均衡や不公正を是正していかなければ、私は公営競技収益金の均てん化、公正なる地方財政確立、そんなことはどうも言えないのじゃないかと思っているほど、公営競技をやっている団体と公営競技を持たざる団体との格差が大きいわけであります。納付期間の延長などで済まされる問題ではない。〇・七にするようでありますが、基準財政収入額や需要額に、いわゆる前年度の公営競技の収益金なりあるいは観覧場の設備等もあるのでありましょうから、当年度は見込めないにしても、前年度の実績等を見ていけば、そういうものの二分の一ぐらいを見て、全体としてそうなれば計算的には交付税の総枠はある意味では浮くわけでありますから、そういうことによっての、いわゆる公営競技収益金の均てん化ということも当然図り得るのだというふうに思っていますが、六%程度の特交の中である程度操作をしているというだけでは、私は公営競技を持たざる団体の不公平感というのはなくならないというふうに思っているわけでありますが、これを一歩進めて、やれ納付率の引き上げだとか納付期間の延長とかいうことではなくして、実際に公営競技を持たない団体が不公平の最たるものとして見ている問題について、自治省としてはどう均てん化といいますかやっていこうとされているのか、その点について伺いたいと思います。
  133. 首藤堯

    首藤政府委員 公営競技の収益金が非常に偏っておりますために不公平が生じておる、これを均てんすべきであるという考え方、御趣旨には私どもも全く同感でございまして、そうする必要があるというように考えておるわけでございます。  その一つの方法として、ただいま御指摘をいただきましたような、交付税の基準収入にある程度算入してみてはどうかといったような説も現実にあるわけでございまして、私どももいろいろ検討はいたしておるのでございますが、ただ、すぐ交付税の基準収入に算入するにつきましては、幾つか難点がございます。たとえば、基準収入の考え方が、いわゆる標準税収入、どの団体にも普遍的な税収入といったものを算定をするという基礎的な考え方から、公営競技収益金をそのまま入れることがどうかといった理論的な問題もございますとともに、御案内のように、交付税措置をいたしますと、不交付団体に対しては何ら関係がなくなるわけでございまして、その分には何も措置が残らないということになります等の理由もございます。  そこで当面は、ただいま御指摘をいただきましたように、特別交付税配分の際あるいは地方債配分の際、こういったものを通じました調整措置を行いますとともに、今回、御指摘のように公営企業金融公庫に対する納付率を引き上げて期限も延ばしていく。五十四年までには少なくとも現在の〇・五%を一%にまで上げて措置をいたしたい、このように考えておるのでございますが、このような措置を通じて均てん化を進めていく。なおまた、公営競技の実施団体そのものの認可の場合におきましても、できるだけこれを広い団体で、組合営等のかっこうでやってもらう、こういうことで均てん化を図っていく、このような措置を通じて措置を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  134. 小川省吾

    小川(省)委員 時間が残り少ないようでありますから飛ばしてまいりますが、若干細かい問題について伺っていきたいと思うのであります。  基準財政需要算定について、特に人口減少町村などでは、どうも伸びが少ないのではないかというふうな声があります。急減補正のやり方を変えたわけではないと思うのでありますが、どうも過疎といいますか準過疎といいますか、人口が減っていくような町村に対する手だてが足りないのではないかというふうに実は思っているわけであります。たとえば、産業経済費の単位費用のところを見てみましても、そういう中で、たとえば林業関係等の中では、農業が一九・九%、林業が一二・二%、水産が二七・六%、商工で二六・一%になっていますが、林野行政費が著しく低いというふうに実は思っているわけです。林道等の中で、最近ではスーパー林道でありますとか大型林道等ができて、非常にいい道路等もあるわけでありますが、林道等に対する裏づけもない。少なくともこういう大型林道以上の林道については、市町村道並みに扱っていただけないものかどうかというふうな声が、特に過疎の町村等では強いわけでありますが、林道補正等について特にこういうふうな扱いをやっていただけるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  135. 首藤堯

    首藤政府委員 過疎地域、準過疎地域につきましては、従来からできるだけその財源付与を強化をするという考え方で、地方交付税上も、それから例の地方債の辺地債、過疎債、こういったものの増額配分におきましても、ずいぶん努力をしてきたつもりでおるわけでございます。いずれにいたしましても、交付税等で措置をいたします場合には、過疎地域に代表的な費目においてできるだけ増加を図っていく、また人口急減補正をできるだけ行って人口減少に伴って需要が減らないようにしていく、こういったようなねらいを持っておるわけでございまして、たとえば消防費だとか小中学校の通学対策費だとか僻地医療対策だとか、そういったものに右代表選手になってもらいまして、需要の増加を図ってきておる、こういう実態でございます。五十一年度で過疎対策としての交付税措置額は恐らく三千二百億近くの増加額になろうかと思いますので、総額としては現在の財政状況では決して少なからざるものではなかろうかと私ども実は考えております。  林道につきましては、いろいろ御説があるわけでございますが、やはり一般交通の用に供するものではないものですから、市町村道と即同じに取り扱うということもいかがかと、こう思いますので、過疎地域における右代表選手の財政需要の増加をどこに求めていくかということを検討させていただきたいと思っております。
  136. 小川省吾

    小川(省)委員 過疎債や辺地債で手だてをしていくことはわかる、努力をされていることはわかるのですが、いずれにしても、これは借金ですね。だから、そういう意味ではぜひひとつ配慮してほしい。特にスーパー林道なり大型林道なりは、言えば県道的な役割りも果たしているわけでありますから、ぜひ検討してほしい。  それから、準過疎というふうな町村に対する手だてというのはほとんどされていないのじゃないかというふうに思いますが、ぜひひとつ準過疎に対する考慮というものも払われてほしいということを要請をいたしておきたいと思います。  それから、自治体の単独事業に対する交付税上の見方が少し足りないのではないかというふうに思っていますが、いわばその他の諸費などの中で必要な単独事業についてはある程度の手だてというものをぜひ講じてほしいということを要請をいたしておきたいと思います。  時間が来ますから、最後に、山林振興代行道路整備事業というのがあるようであります。これは過疎の町村にとっては大変ありがたいといいますか、非常に適切なクリーンヒットだというふうに実は思っているわけでありますが、都道府県としては、これはまた大変なんですね。これらに対する若干の手だてというものがやはりなされなければ、確かに人口が減っていくような僻地の町村については、非常にありがたいような、だれが考案されたかわからぬが、まさに非常に結構な事業でありますけれども、ぜひ都道府県に対して、これらを代行してやっていく事業に対する財源的な裏打ちをしてほしいということについて、財政局の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  137. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、都道府県において代行事業ということが制度化されていまして、非常に結構なことだと考えております。  この点につきましての都道府県への財源措置、これも御指摘のとおり必要だと思います。そこで、現在考えておりますことは、五十一年度地方交付税算定では、従前、過疎地域人口を基礎にこういった代行事業の需要算定いたしておりましたが、新たに山村地域人口も基礎に入れまして、基礎の人口をふやすとともに、単位費用算入額も増加をする、いままで人口一人当たり四百円余りでございましたが、これを六百三十円ぐらいにふやす、こういうふうな措置をとってみたいということでいま検討いたしております。このような措置をとりますと、恐らく八十億余りの金額が都道府県にこの代行事業に相当する財源として配分されるのではないか、こう考えております。
  138. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省がいま地方財政の窮迫の時期にあって努力をされていることはわかります。しかし、どうも努力をされているわけでありますが、努力のほどに実が上がっていない。またある意味じゃ職員団体との間に人件費をめぐってのトラブルがいろいろ起きているわけでありますから、これは先ほど来次官がお約束をされたように、四十二年の確約に基づくところの指導というものを行政局としてはぜひひとつ配慮をしながらやってほしい。  と同時に、財政局はいろいろ細かい点に配慮をされているわけでありますが、特にいま私はたまたま過疎と準過疎の地域の問題を主として取り上げたわけでありますけれども、そういう意味で、財政局の細かい具体的な事務的操作によって、ある意味では、過疎地域の市町村等は財政的になかなか収入の道がないところで実際には救われる道がかなりあるわけでありますから、そういう努力はぜひひとつ鋭意強めて行っていただくことを最後に要請をいたしまして、質問を終わります。(拍手)
  139. 小山省二

    小山委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後二時六分開議
  140. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  両案について質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  141. 三谷秀治

    三谷委員 交付税の構造上の問題については、先般の大臣所信に対する質問でお尋ねをしましたが、きょうは交付税総額に大きな影響を持ちます国庫支出金の問題についてお尋ねしたいと思います。  その一つは、屎尿のたれ流しの問題であります。政府は、五十年度中には下水道と屎尿処理の整備によりまして、屎尿はすべて陸上処理で処置すると述べてこられました。それまで暫定的に海洋投棄を認めるという方針をお示しになっておりましたが、五十年度がすでに終わろうとしておりますが、この実態はどうなっておりますのか、お尋ねしたいと思います。
  142. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 陸上で発生いたしました屎尿の海洋投棄につきましては、海洋汚染防止法関係法令により規制がなされております。現在投棄が認められております海域は、今年の四月一日からはC海域、これは領海の基線から五十海里を超える海域ということでございますけれども、このC海域というふうになっております。  なお、屎尿の海洋投棄につきましては、従来から種々の規制がなされておりまして、四十八年の四月一日から本年の……。
  143. 三谷秀治

    三谷委員 質問に対して的外れなことを言ってもらっては困るのだ、時間が制限されておるので。これは厚生省がまず答えなければいかぬ。
  144. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 失礼いたしました。投棄量についてお答えを申し上げます。  投棄量は、全国で四十八年は約五百三十八万トン、四十九年は約四百九十八万トンとなっております。  四十九年の内訳を見てまいりますと、野島崎沖二百五万トン、土佐、潮岬沖百三十二万トン、九州北部沖七十二万トン、伊勢湾沖四十七万トン、山陰沖二十四万トン、南西海域十四万トン、九州の南部の海域二万トン、仙台沖二万トンというふうになっております。
  145. 山村勝美

    ○山村説明員 四十八年度の調査によりますと、若干海上保安庁の数字と違うようでございますが、四百七十三万六千キロリットルが年間に投棄されております。場所等につきましては、海上保安庁の方で述べられたのとほぼ同様だと思います。
  146. 三谷秀治

    三谷委員 厚生省は五十年度中には下水道や屎尿処理場の整備によって屎尿はすべて陸上処理でやっていくんだということをお答えになっている。速記録に入っておるわけなんです。それがいまどうなっておるかということを聞いたんですよ。それで投棄の具体的な数量などについてはいま聞いているわけではなしに、その陸上処理の問題はどうなっておるのかということをお聞きしておるのです。
  147. 山村勝美

    ○山村説明員 ただいま細かい数字を用意いたしておりませんが、五十年度までに陸上処理に切りかえるという目標を立てた第三次の廃棄物処理施設整備計画を策定いたしまして、公表してまいって、計画どおりあるいはそれ以上の施設の整備をしてまいりました。約一万一千キロリットルに対して一万六千キロリットルだったと思いますが、ほぼこのレベルの施設を整備してまいりましたが、御案内のとおり屎尿の処理といいますのは下水道の整備によって水洗化を図っていく、これが第一義的に進められておりまして、建設省で施行されております公共下水道とのタイアップで一〇〇%達成する、こういう構想になっておったわけでございますが、諸般の情勢で下水道の整備がおくれる等の事情から、現時点では約六七%が衛生処理されておるというふうに理解をいたしております。
  148. 三谷秀治

    三谷委員 その諸般の事情というのは一体どういうことなのか。私がお尋ねしたいと思っておりますのは、下水道の普及率もそれから処理場の建設も著しく立ちおくれておる、計画から見ましても立ちおくれてきておる。この責任は一体だれにあるのか、そして政府の行政上の責任はないものかどうか、制度上の欠陥に原因がないのかどうか、こういう点についてお尋ねしたいと思います。
  149. 井前勝人

    ○井前説明員 私ども関係の下水道について御説明いたします。  先生指摘のように、下水道事業につきましては鋭意五カ年計画でもって進捗を図っているわけでございまして、昭和五十年度現在で第三次五カ年計画が一応終了するわけでございますが、これに要しました投資額は二兆六千億でございます。事業費の面ではほぼ投資額を満足しておりますけれども、事業量の面におきましては、いま御指摘のように予期した事業量のおおむね半分程度でございます。このため、当初予定しました普及率よりも若干落ち込んでおるわけでございますが、この要因といたしましては、この五カ年計画期間中のいろいろの物価変動あるいは工法の高度化に伴う単価増等の要因が合成されまして、いま申し上げましたように事業量が約半減しておるというのが実情でございます。  したがいまして、今後私どもとしましては、五十一年度から新たに第四次の発足をお願いしておるわけでございますが、この場合におきましては五十年度の単価をベースにいたしますので、第三次のようないろいろの要因はある程度吸収された単価で新しい四次五カ年計画はスタートすると見込んでおりますので、計画量の第三次ほどの減少はないようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  150. 三谷秀治

    三谷委員 屎尿処理場はどうですか。
  151. 山村勝美

    ○山村説明員 屎尿処理施設の整備につきましては、先ほどちょっと数字を間違えたのでございますが、計画では一万一千三百キロリットル、約一万一千キロリットルと申し上げましたが、一万一千三百キロリットルの計画に対しまして先ほど一万六千キロリットルと申しましたが、一万一千八百三十九キロリットルの施設を整備いたしてございます。したがって、屎尿処理施設に関しましては計画以上のものが整備されたということになろうかと思います。
  152. 三谷秀治

    三谷委員 陸上処理が進捗しない要因の一つは、国庫補助制度の欠陥にあるのではないかということはたびたび指摘しておりますが、この点についてはどうお考えでしょうか。たとえば屎尿処理場に対する国庫補助率は、たてまえとしては三分の一になっておる。実際には基準単価が安い。今度少し改善されましたが、これでもなお実勢と比べますと非常に低いわけであります。ですから実質補助率が十分の一とか八分の一とかいう程度にとどまっている。下水道整備費も同じ状態になっている。これは具体的な実例は時間の関係で挙げませんけれども、そういう国庫補助制度というものが適正に運営されていないところに事業の進捗を阻害する重大な要因があるのではないかというふうに考えておりますが、この点についてはどのような御所見でしょうか。
  153. 山村勝美

    ○山村説明員 問題が二つあろうかと思いますが、採尿処理施設の整備が進まないという理由の一つとして、先生の御指摘のような問題はあるいはあろうかと思いますが、一つには、この種の施設が立地する際に地域問題として非常に設置しにくいというような状況がございまして、特に人口密集地区等においてはどうしてもおくれがちになるという、こういう事情が一つにはあろうかと思います。  御指摘国庫補助単価の問題でございますが、従来から奨励的観点から助成をしてまいりまして、年々実態に合わせて措置するよう努力してまいったところでございまして、たとえば四十九年から五十年におきましては、ごみ処理については二・一倍、それから屎尿処理につきましては一・五倍というように、第一段階、単価を上げました。さらに五十一年度政府原案におきましても、ごみ処理につきましては一・四倍、採尿処理については一・三倍、この三年間にごみについては三倍、屎尿については二倍というふうに単価を改善してまいったわけでございます。その改善の趣旨といたしましては、物価、人件費の高騰とそれから公害規制の強化に対応する施設の高度化、そういった点を重視して改善を図ってきたものでございます。
  154. 三谷秀治

    三谷委員 どうも基本のところについて問題をそらしてしまって、どう改善をした、こう改善したとおっしゃっておりますが、改善をされましてもなお足りないのではないかというところに問題点があるというふうにお尋ねしているわけなんです。  そこで、たとえば少し具体例を挙げる必要がありますが、昭和六十三年まで屎尿の処理は海洋投棄に頼らざるを得ないという尼崎市の場合、第三次下水道整備計画では事業費が二百億になっておりますが、最終年度であります本年度末の事業実績見込みは百五十九億円にとどまっております。下水処理普及率の達成はおろか、事業費においても計画どおり実施できない理由を尼崎市に尋ねますと、国補助金が来ないために補助金を基本にして予算を組まないと市の持ち出し、つまり超過負担が生じるから、予定どおり事業費を消化したいのだが、それができない、こう言っております。こういう状態で計画達成ができるとお考えなんでしょうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  155. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道事業には、御案内のように、国の措置といたしましては補助率と補助対象率と二つ関係するわけでございます。そこで、補助率につきましては、毎年努力いたしまして、最終的には四十九年度に相当大幅な引き上げがなされて改善されたとわれわれは思っておるわけでございますが、なお残る問題といたしまして、補助対象の範囲がやはり決められております。したがいまして、この補助対象範囲をできるだけわれわれも拡大していきたいという気持ちはございますが、やはりこれは五カ年計画ごとに補助対象率を決めていくというルールになっておりまして、第三次より若干、第四次ではその補助対象の範囲も改善していきたいということを考えておるわけでございます。  それからまた、国の補助金の絶対額が、いま御指摘の尼崎市のような場合でも市の希望するような額にいかないのは事実でございまして、これはやはりわれわれとしても補助金の絶対額の確保になお一層努力していかなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  156. 三谷秀治

    三谷委員 お答えになっておりますことが、何か非常に法律上の規定とか、それの制限などを無視した、何か恣意的な処置のような扱いをされておりますが、これは補助金等についての国庫支出金につきましては十分なものでなくてはいけない、あるいは負担を転嫁してはならないというようなことが法定されておるわけでありますから、そういう法定されました事項についてはそれに基づいて厳格にやるということが必要であります。あなた方の答弁を聞いておりますと、何かそれは恣意的なものであって、適当に改善をしていきつつあるんだ、だからいいだろうというようなお考えのようでありますけれども、そうじゃないでしょう。地方財政法の規定というものはそうなっていない。国の補助金、負担金につきましては十分に地方の実際の事業を賄うに足るものであることが必要であるということが言われておりますが、そういう点から見まして、果たしていまのようなお答えでいいだろうかという疑問を持つものでありますが、その点についてはどのような御見解でしょうか。
  157. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道全般の財政につきましては、建設省所管の国庫補助金のほかにいろいろ自治省関係の予算措置もございますので、国庫補助金関係だけに限定いたしますと、下水道法の三十四条によりまして、設置、改築に要する費用は、予算の範囲内において補助することができるというふうになっております。そういう意味で、やはり絶対の予算の確保ということが建設省サイドでは一番大事なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  158. 三谷秀治

    三谷委員 その予算の範囲内ということと、それから三分の一とか四分の一とかいう率の関係はどうなるわけですか。その三分の一とか四分の一とかいう補助率というものは予算の範囲によっていっでも変動する、どのようにでもそれは変化し得るものである、そういうお考えですか。
  159. 井前勝人

    ○井前説明員 補助率及び補助対象率は一定しておるわけでございます。したがいまして、予算の絶対額の多寡によりまして補助対象になる事業量は前後するわけでございます。
  160. 三谷秀治

    三谷委員 いまのよくわかりませんが、要するに補助事業というものは補助対象になります事業費がありますね。その事業費の中から一定の基準単価を見出して、その三分の一なり四分の一を補助するというたてまえなものなんでしょう。そうしますと、その三分の一や四分の一というものは、予算の範囲というものがあってこれは伸縮するものなんですか。あるいは三分の一、四分の一というものは伸縮するものではない、事業の単価を対象にして正確に割り出すものであるということなんですか。どうお考えになっておるわけですか。
  161. 井前勝人

    ○井前説明員 私の説明が若干舌足らずでございましたけれども、単価につきましては実勢単価を採用しておりますので、単価の面での伸縮はございません。地元の御希望どおりの単価を採用しております。ただ国費の絶対額が減りますと補助対象になる施設の量が増減するという意味でございます。
  162. 三谷秀治

    三谷委員 そうでしょう。それですとわかります。ですから補助対象になる数量がいろいろ減少する、伸縮する、このことは予算の範囲によりましてあり得るわけなんです。しかし、実勢単価というものと三分の一という率というものは変わりがないわけなんでしょう。そうしますと、補助金額、補助単価というものは、これは予算の範囲によって変動するものではないということなんですよ。そうしますと、いまおっしゃいます国の補助金というものが非常に実勢とかけ離れておるという事態については一体どのような解釈をすればいいわけなんでしょう。
  163. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道事業そのものが比較的新しい事業でございます。最近特に昭和四十五年以降の公害関係から、非常に下水道の促進を要望する公共団体がふえたわけでございまして、したがいまして、それに見合う国庫補助金というものは非常に膨大になるわけでございますが、国全体の予算の規模から、年々下水道に入る国庫補助金そのものもふえてはおりますけれども、必ずしも地方公共団体の要望に見合う補助金の確保は十分ではないということはわれわれも承知しておるわけでございます。やはりそういう意味で、下水道事業の国庫補助金の確保に建設省としてはなお一層努力すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  164. 三谷秀治

    三谷委員 三分の一補助、四分の一補助が決まっております限りは、補助する対象に対しては実勢価格に基づいて正確に割り出しをして補助するということはやってもらわなければいかぬでしょう。それから補助対象個所がどうかという問題については、これはまあ別の議論がありますが、きょうはその問題には触れませんけれども、少なくとも、補助する限りは法定された規定に基づいて正確に補助をして、超過負担がないようにしていくということがたてまえだろうと思いますが、その点どうでしょうか。
  165. 井前勝人

    ○井前説明員 市町村の立場から申しますと、やはり一日も早く下水道を整備したい、したがって、その中に含まれる補助対象施設についてはできるだけ期間を短縮して設置していきたいという御希望だと思いますが、それと実際の国の予算の調整といいますか、需要に見合うだけの国費が十分確保されていないというところに市の希望と若干相反する現象ができるものと解釈しております。ですから、毎年市からいろいろ公共団体の要望をとっておりますけれども、その要望に見合う国費がわれわれとしても十分確保できないということが御指摘の現状だと思います。十分国費の増については今後とも努力していきたいというふうに考えているわけでございます。
  166. 三谷秀治

    三谷委員 市の希望ではありませんで、市は確かにそういう希望をしておるかしりませんが、私は市の希望として物を言っているわけじゃない。法律のたてまえに基づいて国庫補助制度を運用していくという観点に立ちますならば、当然これは市の希望がどうあろうとそのようにすべきものであって、超過負担などが出てくるのはあたりまえであって、それは徐々に解決しつつあるんだからまあがまんしろというような性質のものではない。超過負担があってはならぬものだというたてまえで私は問題を提起しておるわけなんです。ですからその点から申しますと、この屎尿処理場の超過負担などというものも非常に大きなものに達しております。これは前回大阪の例を申し上げましたから繰り返すことはしませんけれども、たとえば三三%補助がたてまえでありますのに一四%しか補助がいっていないのですね。補助対象としたところだけとってみてもいっていない。そのことは厚生省の方もお認めになっておって、全国的に見て大体そのような状況である、こうおっしゃっているわけなんですね。つまり、そのことが公然として政府自身が黙認をしつつあるという状態になってきておりますが、そういうことで果たして法に基づく予算の処置と言えますでしょうか。
  167. 山村勝美

    ○山村説明員 屎尿処理、ごみ処理施設等に関する超過負担的なものとして、厳密に申し上げますとあくまで奨励補助という性格でございまして、義務的なものでないということが法律上はっきりいたしております。それを一つお断りいたしておきます。  先般も私、先生にお答えいたしましたように、実勢と予算単価との間になお問題があるのではないかということに対して、なおそういう実態があるというお答えを申し上げたわけでございますが、先生の御指摘のように実勢単価に合わせていくということについてはわれわれも全く異存ございませんで、先ほど申し上げましたように年々、ここ数年改善について努力してまいったという結果でございまして、その結果として相当の改善が行われたわけでございますが、なお問題があるようでございますので、今後とも厚生省としては改善について努力してまいりたいというふうにお答えいたしたいと思います。
  168. 三谷秀治

    三谷委員 その改善につきましては後でまた意見を申し上げますが、ごみの方はどうなんでしょうか。ごみ処理施設の方は一体どういう状況になっておりますのか、ごみの不法投棄というものがますます増大しております。残かいの処理が公害上からも非常な問題になっておりますが、これにつきましてどのような認識をお持ちになっておりますのか、お尋ねしたいと思います。
  169. 山村勝美

    ○山村説明員 ごみの処理につきましては、収集されたごみのうち、推計でございますが、五十年度末で約五五%が焼却処理されておるという推計がございます。その残りは生のまま埋め立てられておるという実態でございます。  御指摘の残かいの問題でございますが、焼却灰につきましてはそのまま一応埋め立てていくというのが通常行われておる例でございまして、そこで埋立地に関する問題が発生するわけでございますが、埋立地、つまり処分地について何らかの手当てをしなくてはならないということで、現在審議中の五十一年度予算案におきましては、新たに埋立処分地施設に対する国庫補助が開かれました。それによって適切な処理が行われるような施設の整備を図っていきたいというふうに考えております。
  170. 三谷秀治

    三谷委員 ごみ焼却場で出ました残かいの最終処分をしますために埋立処分地施設整備費補助制度がことしから設けられた。初年度分として全国で十カ所分、一億九千万円が計上されておりますが、いまおっしゃいました、このことでございますか。
  171. 山村勝美

    ○山村説明員 そのとおりでございます。
  172. 三谷秀治

    三谷委員 全国で十カ所で一体いまの残かいの処理について対応できるでしょうか。たとえばいま山間や谷間に投棄されております残かいがかなりございます。私どもは現場の写真も撮ったものを持っておりますが、きょうは時間もありませんから提示いたしませんが、これが水銀やカドミウムや鉛などの有毒物質の重大な発生源になっております。これが簡易水道や農地を汚染しております例は少なくございません。これは厚生省や環境庁の調査でも明瞭になっております。これについて十カ所とおっしゃっておる。厚生省の調査では、全国のごみ焼却施設のうち、これは千六百四十五カ所と聞いておりますが、このうち重金属の除去能力を持つ施設が二百にすぎないと聞いております。そうしますと千四百四十五カ所というものは除去能力を備えておりません。こういう状態にあるわけでございます。しかもこれで足りなくて、山間や谷間に対する投棄が行われるという状態でありますが、これに対して、いまの十カ所の埋立施設整備費補助制度でごみ問題の緊急な対策として果たして間尺に合ったものと言えるでしょうか。
  173. 山村勝美

    ○山村説明員 ごみの埋立処分地施設がただの十カ所である、これが現状で十分なのかという御指摘でございますが、もちろん十分とは考えておりませんで、本年度新たに開いた補助制度ということで措置いたしておりまして、来年以降、市町村の要望に応じて十分充足できるように厚生省としては努力してまいりたいというふうに考えております。
  174. 三谷秀治

    三谷委員 全国の知事会が調査しました昭和四十九年度の実態によりますと、ごみ処理施設と屎尿処理施設の超過負担額が事業費ベースで四百七十五億円と言っております。超過負担率が一七五%と述べておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  175. 山村勝美

    ○山村説明員 詳しい内容、聞いておりませんので、その数字が厳密な意味で正確かどうか、いまのところ評価できない段階でございます。
  176. 三谷秀治

    三谷委員 自治省はどうでしょう。
  177. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどから御指摘がございましたように、ごみ、屎尿関係につきましては、実勢単価と補助対象単価の間にかなりの乖離がありますのは御指摘のとおりでございまして、この関連で実際上仕事をいたします分についてかなりの超過負担が出る、このことは事実であろうと考えております。したがいまして、速やかに実勢単価に補助単価を近づけていただくように厚生省に対しましても私ども毎年強くお願いを申し上げておるところでございます。
  178. 三谷秀治

    三谷委員 このようにしまして生活関連施設における超過負担が年々累積しておるのです。一方におきましては、産業関連では超過負担が出ない。道路、港湾あるいは工業水道、こういうところは超過負担が出ないわけだ。そういう仕組みになっておる。超過負担が出ないようにちゃんと国庫補助金を出しておるわけだ。ところが、生活関連施設におきましては超過負担があたりまえになってきておる。それを改善している改善していると毎年繰り返しておる。しかし、毎年超過負担は解消していない。これは一体どうするのですか。大蔵省の方の見解をお尋ねしたい。
  179. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 先ほどから御指摘になっております廃棄物の処理施設に限定いたしまして若干御説明を申し上げますと、現在の屎尿処理あるいはごみ処理に対します国庫補助の制度は法制上は奨励補助でございまして、いわゆる義務的な補助との対比で見ました場合に、実際に地方公共団体負担した事業費と国庫補助の基本となります額の開差をいわゆる超過負担と観念するかどうかということは非常に議論のあるところでございまして、ただ議論にかかわりますところでありますので、この点については詳細な御説明は申し上げませんけれども、たとえば公共土木事業のようなものと、いま御指摘になりました廃棄物処理施設のような場合、実際の事業費との間に開差が出るという問題でございますけれども、これは一つは事業の性格上そうならざるを得ない面があるわけでございます。これは廃棄物処理に限りませんで、たとえば私どもが所管しております保育所の施設整備費等についても同じようなことが言えるわけでございますけれども、この種の建築物あるいは機械システムのようなものは、実施主体の御判断に、あるいは周囲のニーズによりましてそれぞれ展開されます事業内容が非常に千差万別になるわけでございます。たとえば、少し長くなりますけれども、保育所などを例にとって申し上げますと、四十九年度に三省で実態調査をいたしました。そのときに、当時の超過負担解消前の単価と対比してみました場合に、公共団体によりましてその開差が非常にあるわけでございます。つまり、比較的当時の単価に近い事業規模でおやりになっているところもございますし、極端な場合、それの二倍、三倍というような単価がかかっている場合もあるわけです。これはたとえば建築物で申し上げますと、材質とかあるいは設計等々によりまして、同じ機能を果たすものでも事業単価が千差万別になることは、これはやむを得ないことであろうかと思います。同じようなことが機械システム等についても言えるところでございまして、さればといって、実勢単価とそれから奨励補助であるがゆえに補助単価の差があってよいという議論にはならないと思いますけれども、なるべく実勢単価には近づけなければいけませんけれども、事業の性質上、地方公共団体負担した額をそのまま基本にして国が補助をするということは、この種の事業の補助制度としてはなじまない。つまり、ある種の基準的なもの、それを押さえてまいりませんと、全体の資金枠に限度があるわけでございますから、したがって、結論といたしましては、そういう適正な実勢価格と申しますよりも、実勢価格をよく見ながら、しかも適正な基準をどこで押さえていくか。これが毎年度ども廃棄物の場合でございますと、厚生省と予算を編成する段階で各種のデータを集めて調整しているわけでございます。  若干付言いたしますと、先ほど自治省の方からも御説明がございましたけれども、この廃棄物につきましてはここ二、三年来設備システムの内容が高度化しております。私どもはそれを実勢に近づけなければいけない。これは厚生省からも自治省からも強い御要望がございまして、五十年度、五十一年度と飛躍的な改善を図っているところでございます。
  180. 三谷秀治

    三谷委員 先ほどから奨励的な補助であるということを盛んに強調されますが、義務的な補助であっても超過負担が出ているんですから、奨励的な補助だから超過負担が出るんだという説明では納得できませんよ。  それからもう一つ、これが果たして奨励的な補助でいいのかという問題があるんですよ。たとえばこれは小さい市町村の範囲では解決できない問題を含んでいるわけなんです。非常に広域的な処置を必要とする。たとえば投棄場所にしましたってその市町村の中にはない。隣接した市町村に投棄する場所をつくるだとか、あるいは海洋投棄などやりますと、言うまでもありませんが、中国地方から潮岬の先端の方に投棄に行く、そういう状態になってきている。しかもこの問題というのはゆるがせにできない問題なんでしょう。ごみの始末や肥の始末をせずに、どうして健康で文化的な人間生活が保障されますか。それを地方自治体に背負わしている。そして補助は奨励的なものだ、こう言っている。その奨励的なものという考え方がおかしいのであって、もしもいま奨励的な補助でとどめておるならば、これは当然義務的な補助にすべきものだ。事業の性格はそのことを示している。なぜこれは義務的な補助になりませんのか、そのことをひとつお尋ねしたい。
  181. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 現在廃棄物処理施設につきましては、廃棄物処理法、清掃法によりまして市町村、地方公共団体の固有事務になっているわけでございます。したがいまして、法制上の観点から申しますと、地方公共団体の固有事務でございますものを国が助成するという場合に、これを義務的補助として構成するというには非常に問題がある。現在でも法制上そういうふうになっておるわけでございまして、ただ廃棄物全体を国なり地方公共団体の間でどのように構成していくかということは、これは将来の問題であろうかと思います。
  182. 三谷秀治

    三谷委員 肥の始末やごみの始末が市町村の固有の事務になっているということは承知しておりますよ。しかし、それがそのままでいいのかという問題があるわけです。そのことを含めて言っているんですよ。ですから、もしも市町村の固有の事務になっているから、これは奨励補助の域を出ないのだとおっしゃるのであれば、この事務を広域的な事務にしていくという処置、これが必要になってくるでしょう。たとえば、これはさっき言いますように、処理そのものが広域性を要するわけですよ。今日自分の市町村だけでは肥の始末はできない、あるいは廃棄物の始末もできないという実際から見ますならば、そういう状態の中でこれを市町村の固有の事務だといって放置しておくこと自体にも問題があるわけなんでしょう。もしもそのために奨励的な補助しかできないとおっしゃるならば、これはもう少し広域的な処理責任を明確にする必要がある。これについて自治省の方の見解をお尋ねしたい。  それから、奨励的な補助ではありましても、補助率や補助対象というものが法律で決まっております場合には、奨励的な補助だからといって恣意的に伸縮できるという性質のものではない。奨励的な補助でありましても、補助制度というものが法定されて、それが当然国の奨励的な義務となるものであれば、それに基づいた処置が必要であると私は思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  183. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、ごみ、屎尿の処理は現在の法体系では第一義的に市町村の固有事務、こういうことになっておるわけでございますが、御指摘をいただきましたように、最近こういった廃棄物の処理、特に産業廃棄物の処理等の新たな問題も起こってまいりましたので、この処理のあり方につきましては御指摘のような広域的処理、そのほかを含めて今後検討していくべき問題をたくさん含んでおる、このように私ども認識をいたしております。なおこの点については、各省等の御意見も打ち合わせをいたしながらいろいろ検討してみたいと思います。  それから後段の、補助金であっても負担金であっても、その補助金を支出する場合に十分な金額を基礎として支出をすべきであるということは、もう御指摘のとおり理の当然でございまして、何をもって適正単価とするかという点については議論があろうかと思いますが、できるだけ適正な単価に直して、超過負担と申しますか、地方団体に余分な負担をさすという事態がないように努力をしていくべきものだ、このように考えております。
  184. 三谷秀治

    三谷委員 自治省努力はよくわかるけれども自治省努力だけで解決しないところに問題があるんですよ。たとえばごみ処理場の補助単価というのは、ことし改正されますと八百五十万になるわけです。ところがこの改善されました新単価は、四十九年度の平均実施単価九百七十万円にも足りないんですね。そういう計算が出ておるわけなんですね。頭から足りないことを前提にして補助単価が組まれておるのは一体どういうわけなんですか。
  185. 山村勝美

    ○山村説明員 御指摘のとおり、五十一年度予定されておりますのが八百五十万八千円という単価でございまして、四十九年度の全国平均実績が、補助対象として拾えるもの、いわゆる補助対象事業というものを整理してみますと、御指摘のように九百七十万円になるというのが実情でございます。これに対してちょっと低過ぎるじゃないかという御指摘はそのとおりでございますが、この中にはかなり過剰な高度化を行っておるとかいうような、若干余分なものもございます点が一つございます。若干その点割り引いて見る必要があろうかと思いますが、なお十分でないということは御指摘のとおりでございまして、一挙に解決することが財政問題、予算枠等を考えました際に非常に無理であるということから、少し中間的な単価を要求したという経緯でございます。
  186. 三谷秀治

    三谷委員 その中間的な単価というのはおかしいじゃないですか、考え方としましては。そうしますと、結局、あなた方の胸先三寸で単価が決まる。要するに行政というものが恣意的に運用されるということになってしまうのでしょう。やはり基準になります法律がある限りは、法律を守るという立場が一番基本になるわけでしょう。法律に基づいて国庫補助制度というものも運用されるという性質のものなんでしょう。そうしますと、少ないのはわかっている、実勢に足りないのはわかっているのだ、だがしかし、一遍には改善できないから中間的な改善——毎年中間的な改善なんですよ。いっでも足りないわけなんですよ。一体これはどうされますか。そういうことで果たしていいでしょうか。  もう一つ重要なのは、こういうふうな補助単価をお決めになりますと、交付税の事業費単価も同じ単価で計算するわけなんですね。ですから、国庫補助金が足りないということ、つまり超過負担が出るということは、交付税不足がそこで生み出されてきておる。つまり、超過負担が二乗されるわけなんですよ。そういう状態の中で地方財政の硬直化なんということが言われている。硬直化はそこから生まれてきている。国庫補助単価が安いために超過負担が出てくる。国庫補助単価をもとにして交付税の事業費を算定しますから、交付税が足りなくなってくる。両方が足りなくなってくるからこそ、それがだんだんと地方財政を圧迫してきて、そして硬直化現象が年々強まってくる、こういう状態になってきている。こういう状態に対して、いまのようなお考えで果たしていいでしょうか。これをお尋ねしたいのです。
  187. 山村勝美

    ○山村説明員 超過負担議論の交付税がらみの話が出ましたが、実勢に合った単価で補助をしていくということは、あくまで基本的な姿勢であると考えます。今日、地方財政が逼迫している段階で、その超過負担をできるだけ解消していくということは当然のことと考えておりますが、一方市町村においては、できるだけ事業量を確保したい、できるだけ早く施設を整備したいという要求も別途ございまして、したがって、その辺の折衷的な数字としてこういうような結果になったわけでございますが、たとえばごみ処理施設について見ますと、五十年度実績、約九千トンぐらいの事業量を消化してまいりました。しかし、単価の問題があるということで、単価を改善して事業量を七千五百トンに抑えるというような操作までいたしまして、市町村の設置要望を極力抑えていくというようなことも考えながら、こういう単価を算出したわけでございまして、決してこれで十分というように考えておりませんので、今後ともその点について努力してまいりたいというように考えております。
  188. 三谷秀治

    三谷委員 全体の予算の枠の問題をおっしゃっているようでありますが、たとえば道路建設予算なんというものは膨大なものじゃないですか。ことしの道路建設予算というものは、これまでにない大変な額になっている。しかもわが国の道路は一平方キロ当たりの道路延長が二・七九キロですか、可住面積一平方キロ当たりが九キロなんですね。これはアメリカの八倍という数字になっておりますね。ですから、世界一の道路網が建設されている。それをさらに景気対策とかいって道路費を組んでいく、特別に市町村にも道路起債を認めるというふうな処置がとられている。道路へだけは何ぼでも金を出している。ところが、こういう生活関連事業につきましては、全体の予算がどうだから事業の量に追っつかないとか、何とかかんとかおっしゃっている。なぜそういうアンバランスが出てくるのですか。いま道路なんというものはそれほど切実な問題にはなっておりませんが、この肥の始末の問題やごみの始末の問題というのは深刻なものでしょう。東京都でもごみの始末が都内ではできないのでしょう。投棄している額が膨大な額に上っております。東京都におきましても、五三%以上が都内処理ができない。埼玉、千葉に投棄する。しかも、大部分がもぐりの業者に委託しているというのでしょう。大阪府下の市町村なども、もぐり業者がごみを運んでおります。肥も運んでおります。どこへ持っていって棄てるのかということを議会で質問しますと、それには触れてくれるな、それに触れたらもうふん詰まりになってしまうということから、議会でも追及ができなくなってきている。とにかくどこかにほうっている。ごみの散乱、屎尿の散布というような状態になってきている。えのところになぜ金が回らぬ。道路になぜそんなにぎょうさんに金を回すのですか。要するに、生活関連と産業関連の問題というのが余りにもここで露骨に示されている。これを少し逆にしなくちゃいけませんよ。もう少し国民の生活関連に金を出して、産業関連の金を削るというのが、いまの安定成長下における政策としては当然のことじゃないでしょうか。これについて、これは大蔵省の御見解をお尋ねした方がいいと思う。
  189. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま御指摘のありました公共事業の中で道路と生活関連のプロポーションがおかしいのではないかという御議論でございますけれども、これは公共投資全般をどういうふうに組んでいくかという基本的な議論にかかる問題でございますので、詳細について御説明を申し上げるのはいかがかと思いますけれども、たとえば道路で申し上げますと、道路はそれなりの需要がある。日本の社会資本の基盤が薄いという段階で、もうこれでいいのだという段階には決してないはずでございます。なおまた、財源上の議論から考えますと、御承知のように、道路の場合は特定財源というものもございまして、一方、生活関連施設の場合は一般会計の中での財源調整になるわけでございまして、御案内のとおり、五十一年度の予算編成というのは財源上非常に問題がございまして、その限られた苦しい中で優先配分をどうするかということで、数ヵ月かかって各省庁間とも調整を済ませまして公共投資の五十一年度の姿ができ上がったわけでございますが、生活関連施設についてもいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、全体の公共事業費の伸びに比べますと、生活関連施設は大幅に伸びておりますし、また、公共事業費全体の中での生活関連施設のシェアも逐年改善されているわけでございまして、決していまの段階で十分であるとは私どもも考えておりませんけれども、御指摘になりましたような点も踏まえまして、五十一年度の予算は、不十分とはいいながらも、そういう方向は出ておるということは御理解願いたいと思います。
  190. 三谷秀治

    三谷委員 それは理解できるものじゃないよ。道路は財源上の問題があるとおっしゃっておりますが、確かに道路財源として自動車関連税を取っているわけだけれども、自動車関連税を道路財源だけに固定するのがおかしいのだ。自動車による公害とか災害なんというものは、これは多面的な影響を住民に与えているものであって、それを単に道路財源としてだけ固定してしまっている。そのこと自体が道路優先、産業基盤優先の政策をはっきり証明しているわけだ。ですから、そのことは、道路財源というものがあるということと、そのために道路を優先的にやるという問題とは別の問題だ。道路がいまのままでもういいかどうかという問題につきましては、これはなお議論があるでしょう。なお必要かわかりませんが、他のものと比べて道路の整備だけは優先的に進んできたことは、これは間違いがないのだ。これは旅行してみればだれでもわかることだ。実に急速に道路の整備が進んできておる。しかもことしは道路予算重点なんでしょう。そういう中でさっき申しました九百何十万円という実勢単価のものに対して八百五十万しか補助が出せないというふうな生活関連におけるアンバランスが出てきておる。これは直してもらわぬと困ると言っているんですよ。直してもらいたいということは希望を言っているんじゃないのだ。法律に基づいてきっちり法律を守ってもらいたいと言っているんだ。それはどうされますのか、聞いておきたい。  たとえばごみの問題ですけれども、新単価によって補助を受けます京都市の東部清掃工場のトン当たり建設予定単価は二千万円なんですね。さっき九百何十万かという厚生省の数字につきましては、個々には少し過剰な施設もあるとおっしゃっていますが、これは平均単価でありますから、個別の過剰設備というんですか、これは適当な言葉じゃないでしょうが、そういうふうなものとしてではなしに、平均実施単価が九百七十万円になっているわけですからね。それほど個別の若干の設備がよ過ぎるというふうな問題がこういう原因であるとは考えられません。ですから、当然この実勢単価を保障するということをぜひやってほしいと思っております。  それで、これは京都の例を一ついま申し上げました。大体二千万円ぐらいにつきますね。ですから厚生省が調査しております九百七十万円というのは非常に低い単価です。大阪周辺で調べてみますと、どうしてもいま二千万円ですね。それに対して八百五十万円の補助をするというわけですから、いかに基準が安いか明らかなわけでありますが、これは一体今後どのように処置されますのか、お尋ねしたい。  それから時間がありませんからもう一つ聞いておきますが、大阪の柏原市と羽曳野市、藤井寺市の清掃組合がごみの焼却場から出ます残かいや不燃ごみの最終処分地における公害に対処しますために、残かい埋め立て処理方式では水が流れ出たりしまして公害の発生が防げませんから、残かいや不燃物を圧縮しましてコンクリートブロック化するプラントをつくった。五億円金をかけました。しかし、これは住民の間からやかましい声が起きておりますし、これだけの負担をやってつくったわけです。ところが国の方ではこれは補助の対象にしない、こう言うのですね。これはなぜか、お尋ねしたい。この藤井寺、羽曳野、柏原のごみの焼却場から出ます残かいの最終処分に対して国が出しました補助金は五億に対して六千五百八十万円ですね。そして残かいのコンクリートブロック化工程につきましては補助対象から除外している。なぜか、これをお尋ねしたい。さきの点から先に答えてください。
  191. 山村勝美

    ○山村説明員 京都の例等をお引きになりまして実勢二千万円ぐらいかかっているのじゃないか、八百五十万は著しく低いという御指摘でございますが、先ほど申し上げました四十九年度の九百七十万円という数字は実際に整備された実績の全国平均でございまして、大体こんなものであろう、二千万円という施設もたまに見受けられますが、平均的にはこういうレベルであろうというふうに了解いたしております。  それから不燃性のごみについてコンクリート固形化に対して補助をしないのはどういうわけかということでございますが、御指摘のように最近ごみの質が変わってまいりまして、焼却した後の灰あるいはダスト等の一部に、産業廃棄物の有害判定基準というのがありますが、これに照らして有害と思われるようなものがたまには出てまいります。したがいましてそれに対して何らかの対策が要るわけでございますが、現在の処分基準等によりますと、それらを埋め立てた後に公共用水でありますとか地下水等を汚してはならないように措置しなさいという規定がございます。そのいろいろな方法があるわけでございますが、その一つとしてコンクリート固形化が適当な場合もあろうかと存じます。しかしながら家庭からのごみの中で有害な物質を含むものというのはそれほどございませんで、もしあるとすれば、そういう重金属等については再利用資源化という観点からも、むしろ分別収集によってあらかじめ取り除いてしまう、つまり焼却場には入れないという一つの前処理的な流れをまず準備すべきではなかろうか、その点について第一義的に現在も指導しておるところでございます。コンクリート固形化につきましては、現在なおそのコンクリートで被覆したブロックの破損の可能性といった技術上の問題もまだ解決されておりませんし、そういったコンクリート固形化をする施設、あるいはそれを維持管理していく経費等はきわめて高くなりますので、財政上の問題からも必ずしも適当であるのかどうか、それについては若干まだ慎重に考えていく必要があるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  192. 三谷秀治

    三谷委員 いまお答えになりましたことですが、九百七十万円というのは四十九年度のトータルなんでしょう。四十九年度におきます国庫補助単価というのは六百二万円なんでしょう。ですが今度八百五十万円になりましたのは五十一年度からなんですね。いま私が二千万円と申しましたのは過去の事業費ではない、これから予定されている事業費ですね、見積もりを進めている段階の事業費は二千万円なんだ。だから時間のずれがあるわけなんですよ。あなたがおっしゃっていますのは九百七十万円に対して八百五十万円の補助金というのでなしに、九百七十万円の平均単価が出ましたときには六百二万円の補助しかなかったのですよ。それを今度改正をして八百五十万円にするわけなんですね。八百五十万円にしました段階には実勢価格もまた上がっているわけなんです。これは九百七十万円じゃないわけなんですよ。一千万円を超すに決まっているのだ。補助の改善の過程におきまして絶えずそういう時間差が出てきている。この時間差について何ら考慮を払わずに、次元の違う場合の実勢単価と補助金をお挙げになって説明なさいますから混乱してしまう。ですからいま二千万円といいますのは、いま進めております予定単価でありまして過去の価格ではない。しかもその予定単価というのが、五十一年度におきましては補助額が八百五十万円に改まったわけなんです。それと比べまして問題があるということをお尋ねしたわけであります。  それから羽曳野の問題でありますけれども、これはいろいろやり方につきましては研究を加えまして、元来が赤字団体でありますからぜいたくな施設はできっこありませんけれども、いまの段階でどの処置が一番いいかという点をいろいろと研究をして、大阪府あたりとも相談を重ねましてコンクリートブロック化をするという方針を打ち出したわけなんです。これはやむを得ずやったわけなんです。それまで山にほかしておった。ところがそこから公害水が流出しまして大変な問題になってきましたから、やむを得ずそういう処置をとりましたが、この埋め立て処分地施設には新規の補助制度を取り入れたわけでありますから、残かいのコンクリートブロック化の工程についても補助対象にしないのはなぜかという疑問が当然出てくるわけなんです。一生懸命努力して、財政難の中でこういう公害防止の仕事をやっているわけでありますから、それはむしろ奨励をして補助をつけるということをやっていかなくちゃいけませんが、それをおやりにならぬからおかしいではないか、法令に基づいて環境保全の義務を果たすために積極的な努力をしておるのに対して、奨励補助の対象にもならないというようなことで、こういう環境行政というのが果たして進むだろうか。そういう姿勢の中にごみや屎尿の始末ができない重大な要因があるんではないかというところに、私たちは問題意識を持っておるわけなんです。これについてお答えいただきたい。  時間がありませんが、もう一つ聞いておきたいのは超過負担の問題ですけれども、超過負担超過負担とおっしゃっておりますが、超過負担はいつの場合でも古い実施単価を基礎にして改善されますから、改善されましたときにはすでに新しい実勢単価というのが騰勢に転じているわけです。だから超過負担はいつになっても解消しませんね。ですから、私は自治省にお尋ねしたいのですが、超過負担というのは、たとえば三年間くらいにわたって調べる、五年間くらいさかのぼって調べる、——ですから失った損失が補償されないわけだ。超過負担を改善する改善すると言いましても、いつでももう改善したときには新しい単価が上がってしまって、いつになっても超過負担は改善されませんから、失った損失というものが回復されません。この回復されないことは不合理なことなんです。これを回復しますためにさかのぼって調査をして、そうしてそれを何年計画かで補てんをするという処置をとらなければ、超過負担に対する真の改善処置はあり得ないと考えておりますが、次官どうでしょうか、こういう問題について。
  193. 奥田敬和

    奥田政府委員 先ほどから、先生のごみ、屎尿関係中心にされた大変高い次元のお話で勉強さしていただきました。ただ、いま仰せになったように、産業基盤整備等々に関しては地方財政負担がない。生活関連に関しては、非常に超過負担で財政を圧迫している。その要因、原因等につきましても、先ほどの質疑応答を通じて十分理解することができました。いずれにしましても大変大きな政策課題でございますし、私たちもこの生活関連重視という面においては、いささかも先生と変わらない理念で動いておるわけでございますので、自治省としては今後とも各省庁間と打ち合わせまして、前向きに、こういった形の実勢単価との大きな開きがない方向に全力で努力いたさなければならないと思っております。しかし、これはよく聞いてみないと確定的な御返事はできませんけれども、そういった超過負担における損失負担を、過去五年間くらいにさかのぼって解決しろという点に関しましては、単年度財政の原則から言っても、やはりこれからの課題として取り組むことで御了解を賜りたいと思います。
  194. 三谷秀治

    三谷委員 大変抽象的なことであって、それでは超過負担で受けました損失を地方自治体はどこでも補てんされませんね。超過負担解消解消と言いますけれども、解消するということは新しい年度で解消するわけであって、前年度におきまして出ました損害というものは、何ら回復しないわけなんですね。これは不合理なことなんですよ。受けました損害の回復処置がないわけですから、しかもそれが年々続いているわけですから、きわめて不合理です。これについてはひとつ研究していただきたいと思うのです。  確かに予算単年度制がありますけれども、やはり特例法をつくりまして何年度かにわたって調査をしてそれは補てんをしなければ、超過負担の問題は抜本的な解決は絶対にあり得ませんですね。そのことを要望しておきます。  それからさっきお尋ねしました点についてお答えいただきたい。  それから大蔵省にもう一つ聞いておきますけれども、この地方交付税不足につきまして自治省がおっしゃいますのは、国庫補助単価を是正してもらわなければ、交付税の基準単価だけを改定しますと、地方の一般財源であります交付税国庫支出金の不足を補うことになる、こうおっしゃる。これはあたりまえのことなんですね。これは正当な主張だと思いますけれども。ですから、何としましても国庫補助単価というものの是正がなければ、交付税の基準単価というものも改定ができないという条件があるわけですが、こういう問題について、国庫補助金についてさらに実勢に即した処置をやる意思があるのかどうか。いまあなた方で、これ果たしてお答えができるかどうか私は知りませんが、お尋ねしておきたいと思います。
  195. 山村勝美

    ○山村説明員 先ほど羽曳野市の例をお取り上げになって、コンクリート固型化をして適正な埋め立てを行うようにすべきじゃないかという御指摘でございますが、お言葉を返すようでございますが、羽曳野市の例について見ますと、実は一般の廃棄物あるいはそれを焼却した灰という対象ではございませんで、下水側溝の汚泥、これをコンクリートと一緒にまぜて、かつコンクリート被覆をして埋め立てる、こういう対策のようでございまして、下水道の側溝の汚泥でありますとかしゅんせつ汚泥でありますとかいったものは、元来そういった水面なり側溝の管理者がやるべきものである、産業廃棄物的な性格のものでございまして、厚生省が補助金を出すというシステムになじむのかどうか、これについては一つの問題がございますのでお断りしておきたいと思います。
  196. 三谷秀治

    三谷委員 それ、この前私が質問しようとしましたときに、予算委員会で厚生省そんなふうにおっしゃいましたから、問題が違うなと思ってもう一遍調査に行きました。そうしたら、やはり残かいなどの処理が含まれているということなんです。ですから、大阪府から厚生省に上がりました内容と若干違っている。調べてください。
  197. 山村勝美

    ○山村説明員 はい、これは調査いたします。  それ以前の問題として、先ほど申し上げましたようにコンクリートの固型化につきましては、現在環境庁の方でその具体的な基準化を急いでおる段階でございまして、なお技術的に詰めにゃいかぬ問題があるという点が一つでございます。  それから先ほど申し上げましたように財政的に非常に金がかかる、たとえば一トンのそういうものを処理するのに一万五千かかる。一万五千と申しますと、一般のごみを収集して処理するという、最終的にやっても一万五千はかからないというような非常に高いものでございまして、そういうものを永久的に金をかけていくということについては財政上も非常に問題がある。  それと埋立地の跡地利用を考えますと、そういう大きなコンクリートブロックがごろごろ入っておりますと、跡地利用上にも障害になる。そういったいろいろな問題があろうかと思いますので、そういったものを一般的に認めていくということについては、非常に問題があるんじゃないかというふうにわれわれは考えておりまして、個々の具体的な実例に照らして考えるべき問題であろう。  それよりも、そういう有害なものにつきましては、いわゆる隔離埋め立てという、物をそのまま持ち込んでコンクリートの中に入れてしまうとか、そういう隔離して公共用水域や地下水などと遮断した状態で埋め立てるというような方法もございますので、先ほど申し上げましたような有害物は別個に収集して分けて処理をするというようなことと並行いたしまして指導してまいりたいというふうに考えております。
  198. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 最後に御指摘になりました国庫補助単価について今後どう考えるかという問題でございますが、廃棄物の単価の問題につきましては先ほど来申し上げておりますように、特に廃棄物の場合はここ三、四年、施設なりシステムが急速に高度化いたしまして、実勢価格が上がってまいりました。そのために、たとえば五十年度では単価を二倍に上げておりますし、今度の予算では本年度四割程度上げるということで改善処置を講じてまいったわけでございまして、今後とも従来と同様改善に努力してまいりたいと思います。  ただ一言申し上げておきますが、冒頭に申し上げましたように、実勢価格という観念の問題につきましては、地方公共団体が実際に負担していくものが実勢価格であると、それを全部カバーできるような国庫補助単価を設定しろということにつきましては、私ども疑問なしとしないわけでございまして、適正価格というのはいかにあるべきかということは、今後とも努力して検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  199. 三谷秀治

    三谷委員 ごみ処理施設、ことし前年比で四一%上げている。それから屎尿が三〇%上がっている。ほかの方は七%程度の上昇率にとどまっているのに、上がっているとおっしゃっている。上がっているのは、従来非常に安かったということなんですよね。それだけのことなんだ。しかも、いま言いましたように、上がったものが全く実勢単価と乖離し過ぎておる。これはさらに検討し直してもらう必要がありますが、きょうは時間の関係がありまして、重ねてお尋ねはできませんが、問題として十分な検討を求めておきます。  関連しまして、これは地方財政法の関係でありますが、中川利三郎君の発言をお願いしたいと思います。
  200. 小山省二

  201. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 耕土培養法という法律がございますね。土を耕す、土を培養する。農民のためには大変いい名前の法律であります。これが今度、地方財政法の改正で、国が補助を義務づけられている、そこから外される、廃止されることになりましたが、これは、伝えられるところによりますと、この法律の事業が機能しなくなった、つまりほとんど意味がなくなった、こういうふうに言われていますが、それに間違いありませんか。
  202. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 耕土培養法に言いますところの耕土培養という手法に基づく地力の維持、増強という問題につきましては、数年前におおむねその所期の目的を達成いたしまして、現在では今日的な意義を失っている、そういうことに相なっております。
  203. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたは農林省ですか、自治省ですか。
  204. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 農林省です。
  205. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 なぜ機能しなくなったんですか、こんなに大変りっぱな名前なのに。
  206. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 耕土培養という言葉でございますが、耕土培養法によりますと、この当時法律をつくりました時代の経緯からお話し申し上げなければなりませんが、土壌の化学的性質、これに起因する不良な農地がわが国にある。そこで、石灰なり燐なり、こういうものを含有する物質を投下することによって土壌の改善を図ろうということで、昭和二十七年以来約二十年間にわたりまして耕土培養を進めてまいりました。その結果、各種農産物の増産も行われてまいったわけでありますが、その後、耕土培養という手法で効果が期待されるような、そういう土壌改良をやるような農地が減少してまいったということと、それから農業労働力が量的あるいは質的に変化をしてまいりまして、耕土培養ということだけではなくて、省力的な機械、施設の導入とか、いろいろなものと合わせてやらなければ耕土培養というものが推進されなくなってきたということでありますとか、相当な経年変化によってそういう事情が起こってまいったわけでありまして、現在問題となっておりますのは、実は土づくりの必要性ということ自体は少しも変わっておりませんで、今日でも従来以上に非常に重要なことでありますが、それは単なる土壌の化学的な性質の改良ということだけではなくて、化学的あるいは物理的な性質の改良でありますとか、あるいは土壌の深耕でありますとか、客土でありますとか、あるいは排水改良でありますとか、さまざまな新しい手法によって土づくりをやっていかなければならない、そういう時代に変わってきたというふうに考えているわけであります。
  207. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 なぜ機能しなくなったかということについてですけれども、この法律の中には非常に限られた、つまり鉄だとかあるいは石灰だとか、この二つしかないのだね。いま土地の問題が新しく脚光を浴びまして、土壌の見直しが叫ばれていますね。そうするならば、この条文にそういう問題を加えたらいいでしょう。この法律そのものが不備だから当然機能しないわけであって、ちょっとこれに書き加えるならば、あるいは化学的な分析だけでなくて、ほかのものもまぜてちょっと挿入すれば、これは十分生きてくる。現にこういう法律があったということを私は知らなかったのです。青森の弘前のリンゴ農民、秋田の鹿角のリンゴ農民にこの話をしたら、そんな法律があったのですか、それはよかったなと言っているのですね。しかし、この条文に見る限りは該当しないわけですね。鉄だとか石灰というので。だから、これに有機物だとか堆肥だとか挿入すればりっぱに息を吹き返して、新しくいまの農民の期待に沿えるものだと思いますけれども、そういう改正というものを抜本的に——抜本的というか、この法律法律としてより発展的な方向に改めるという御意向はありませんか。
  208. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 農林省といたしましては、今後の土づくりあるいは土壌改良改善のために、まず能率的な堆厩肥などを生産し、これを施用していく、あるいは稲わら、麦稈などを土壌に還元していくというようなことによります素材有機物の増投対策でありますとか、第二番目に、省力的な土壌改良資材の施用の推進でありますとか三番目に心土破砕あるいは深耕、こういう新しい土壌改良対策、それからさらには、これらの対策の実施に必要な集団組織の育成というような総合対策をここ二、三年来実施をしておるところであります。  それから、一方、実は昭和三十四年来、全国の農耕地につきまして、その土壌の各種の特質を詳細に調査をするという土壌保全調査というものをやっております。それは、全国の農耕地のほとんど全部につきまして、その土壌の化学的だけではなくて各種の特色を調べ、それに対応した対策を講ずるにはどうすればいいかという調査をせっかく三十四年からやっておりまして、あと一年で完了することになっております。私どもといたしましては、その調査の結果を踏まえまして、より総合的な、抜本的な新しい土づくり対策というものを確立していきたいというふうに考えておるわけでありまして、単に現在の法律、耕土培養法の手直しということだけでは済まない、そういう大きな制度も考えていきたいというふうに考えている次第であります。
  209. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 抜本的に土地問題をあなた、いま考えていらっしゃる、このことは大変結構です。ただ、だからといって、この耕土培養法というせっかくの法律があるわけですから、これを殺しておいていいということにならないと思う。これなりの分野でこれを生かすことを考える、このことが農民の期待に沿える。しかも、国会であなた方、これを何ぼか有機物だとか堆肥なんか加えたところで、何党も反対しない、これはもう確信があります。だから、抜本的にそういうものを改正すれば、たとえば地方財政法の中で、これで国の補助義務が削除されるところなんだ。あなた方が抜本的にこの土地全体に耕土培養法以外のあらゆるものを含めてやったところで、こういうものが削除されますと、再び入ってくるという可能性がないわけですね。ですから、私は、この法律はこの法律なりに生かす、そうしてこれを削除させない、これも生かしていくということを考えることは、あなた、当然じゃないですか。
  210. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 耕土培養という手法に基づきます事業の推進について、国がさらに進んで経費の全部または一部を負担するということで残すのはいかがかというふうに私どもは考えているわけでありまして、先ほど、五十一年度で完了する総合的な地力保全調査の完了を待ちまして新しい制度検討をしたいということを申し上げましたが、その検討の一環として当然法制化その他も考えております。その中で、どうしても国と県との密接な関係から見て、その法律に基づきます助成の仕方につきまして、自治省なりあるいは大蔵省なりとも、財政負担のあり方も含めて一緒に検討をお願いしたということを考えているわけでありまして、いま耕土培養法を地方財政法の中で残しておかなければ、新しい総合的な地力保全対策確立する場合におきまして負担関係が明らかにならないというふうには考えておりません。新しい制度の中身次第でありますが、財政当局とも十分そういうことも含めて協議、検討してまいりたいというふうに考えているわけです。
  211. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 新しい総合的な地力対策をあなた方立法する。その場合に、地方財政法で示されたような国の補助が義務づけられるという保証があなたおありになってそういうことを言っていらっしゃるのですか。その点どうですか。
  212. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 調査の結果を待ちまして、そういう点も含めて財政当局とも十分協議をして対処していきたいというふうに考えている次第であります。
  213. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 冗談じゃないですよ。一回外されますと、これが国の補助の義務づけとして成立するためには大変な手間暇かかるだけじゃなくて、全国的な運動を何年も継続しても、こういうかっこうでちゃんと国が補助の対象として義務を負わなければならないところまで追っていくということはなかなかできないと思うのですよ。その点自治省に私お伺いしますが、農林省がお話ししたように、いまここで十四の二「耕土培養に要する経費」、これが削除された。今度新しい立法が全面的に出た場合、いままでのようなかっこうでちゃんと国の補助を義務づける、こういう項目に該当させるという保証がありますか。
  214. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま農林省からもお話がございましたように、現行の法規定は耕土培養法に基づきます手法そのものがなくなっておりますので削除するということでございます。今後、農林省からお話がございましたように新たな調査、新たな検討に基づいて新たな手法で新制度が発足するという事態になりますならば、その内容がどんなものか私どもわかるわけもございませんが、それがこの十条の本来の精神に照らして国と地方負担を分かち合う、義務的に負担をし合うべき性格のものである、こういうことであれば、当然十条の中にまた新たなその手法のものが入ってくるということについては、これを拒む理由は何もないと思います。やぶさかでないと思います。その新しい事業内容それ次第だ、このように考えております。
  215. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたはその内容を見なければわからぬということでしょう。いまそれを約束するわけにはいかないということでしょう、端的に言えば。
  216. 首藤堯

    首藤政府委員 それは当然のことでございまして、十条の思想は先生案内のように、国と地方が法令に基づいて実施をしなければならない事務で、国と地方公共団体の相互の利害に関係がある、そういう仕事で国が進んで経費を負担をすべきものについては制限列挙的に国と地方負担を分かち合う、こういうことでございますから、新たな手法でやります仕事がそういうたぐいの仕事であればここに持ってくるのが当然でございましょうし、そうでなければそうでない。まあちょっと新たな手法がどんなものかわかりませんので……。
  217. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大体今度そういう法案が新しく出るということはいつになるか見当がつかないな、いま調査中だと。昭和五十一年まで何とかこれをまとめる、沖繩の場合は五十三年までだ、その後それを検討して法案にするというには相当の時間がかかる。それよりもいまある法律を、耕土培養法を中身を豊かにしてもう一字か二字をつけ加えればりっぱに息を吹き返すわけです。  もう一つは、面積差でまた制約を加えている。せっかくの法律を動かないようにつくっているのはあなた方なんです。面積は北海道で百ヘクタール以上、あるいは内地では五十ヘクタール以上そういう悪い土地が密集しておらなければ該当しないなんというのは、もう最初から皆さんやる気をなくしている。この法律は動かせないような法律になっているわけですから。しかも石灰と鉄だけですね、その手法だとおっしゃるけれども。そこのところを改正して、いま何年にそれができるかわかりません——いまの農民の期待にどうこたえるかということを考えていくのが、農林省として農民のサイドに立って考えるならば、それがあたりまえじゃないですか。これはどう思いますか。
  218. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 先ほども申し上げましたように、耕土培養法の一部手直しだけでは今後の地力保全対策というものは決して万全ではないというふうに考えているわけでありまして、私どもはここ十数年来の調査の結果を踏まえて、ぜひとも新しい地力保全の総合対策とこれに基づく総合的な助成制度確立をしてまいりたいというふうに考えているわけであります。農林省の考えますこのような施策内容はまだ明らかではございませんが、いずれにいたしましても都道府県との密接な協力関係なしにはできないのが地力保全対策でありますし、その辺の財政的な負担関係につきましても農林省としてはぜひとも全農家並びに国民の支援を得て前向きで対処をしてまいりたいといまから考えている次第であります。
  219. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の時間が来たようでありますからやめますけれども、最後にお聞きしますと、総合的政策をやるということはいいことだということを先ほど来私は言ったのですが、だからということでこのせっかくある現行の法律を死なして、しかもわざわざこれはもう死んだからということであなた方烙印を押して国の補助義務から外すわけですね。これを生かす、このことについては全くそういう腹はないのか、これをひとつ確認しておきたいと思います。  それからもう一つは、これは自治省からですけれども政府がそういう総合対策を将来つくった場合に、やはりいまあるものから後退すれば、これは大変なわけです。しかしその確約が何らいま示されない。将来の中身を見てからだということであれば、われわれ国政に責任を持つ者として何といったってがまんができないから、これははっきりいま削除される御意向を示しているわけでありますけれども、将来そういう総合対策については、いままでこれが機能しておったときのようなかっこうで補助をお約束できるかということを再確認したい。  もう一つ確認したいのは、あなたは、政府は総合的なものを立法すると言ったが、このことははっきりしたのですね。  この三つについてお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  220. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 耕土培養法という手法に基づきますものにつきましては四十七年度から助成をいたしておりませんが、その後、私が申し上げましたような総合的な地力保全対策ということで逐次予算上の助成を拡充してきております。さらに五十一年度で終わります調査の検討の結果を踏まえまして、新しい総合的な制度と、すでに購じております予算に基づきますもろもろの助成制度の思い切った拡充強化を含めて、自治省並びに大蔵省等とも十分政府部内で前向きで検討を進めていきたいというふうに考えております。
  221. 首藤堯

    首藤政府委員 新たな手法に基づいて実施をされることになるでありましょう事業の性質が第十条の規定に盛られております精神の事業に合致するものでありますならば、それは十条の中に盛り込まれるということはあたりまえであろうと思います。
  222. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間がありませんから、はなはだ不満でありますが、今後また詰めることにして、きょうはこれで終わります。
  223. 小山省二

    小山委員長 関連質問は終わりました。  小川新一郎君。
  224. 小川新一郎

    小川(新)委員 公明党を代表しての、前の地方財政地方税制、そういった問題の代表質問委員会で行われませんでした。そしてロッキード問題で空転を遂げましたので、本来は大臣の所信表明を踏まえた上で私は質問をいたしたいのでございますけれども、本日は参議院の総括質問で自治大臣がおられませんので残念でございますが、そういった問題を踏まえた上で御答弁をいただきたいと思います。  そこでその答弁者でございますけれども、本来大臣にお願いするわけでございますけれどもおりませんので、政務次官にこの問題をお尋ねいたします。多少の大臣との食い違いその他はあるのかないのか、そういう点まず、大臣考え方政務次官考え方が全く違うのであれば、これはお聞きしてもしょうがないのであって、だけれども、まあ政務次官になってまだ日も浅い奥田さんをいじめる気はさらさらありません。でありますからおわかりになる点で結構でございます。各党がやっているのにまだ代表質問ができないのはうちの党と民社党だけができておりません。それがはっきりいたしませんといろいろな点が明快になってまいりません。しかし物理的なそういった面で大臣に所信表明を聞けないということでございますから、お答えのできる範囲の中で、政務次官、要するに副大臣でございますから、新しく御就任なさっておめでとうございますが、そういう点でひとつがんばっていただきたいと思います。  そこで、新しい時代の要請に即応する行財政体制の整備の項というのが大臣の所信の中にございます。このような要請にこたえるために、すでに第十六次、十六回も地方制度調査会を行っておるのですが、国と地方公共団体との間の機能分担のあるべき姿など、現在の厳しい社会、経済情勢のもとにおける地方財政の諸政策について御審議いただき、考え方の基本をお示しいただいているところであり、これを尊重しつつ、事務配分及び財源配分について一層の改善に取り組んでまいるところでございますと、こうおっしゃっております。この中で考え方の基本、これは自治大臣はどのように政務次官とお話し合いがお済みになっておるのですか。この考え方の基本、これはあなたの考え方の基本をお尋ねいたします。
  225. 奥田敬和

    奥田政府委員 まず最初に、私のお答えし得る限りにおいては、大臣が従来とも国会の場で、また委員会の場で主張され、お述べになった線、その点は私とてそこから逸脱しなく、尊重してまいる、そういった形においての範囲内での御答弁をさせていただきたいと思います。  いま先生指摘になった中期展望を含めた地方財政のあるべき姿という中で、おまえはこれについてどういう見解を持っているかという御趣旨の御質問だと思いますけれども、先ほど来いろいろ先生方の御質疑を通じて、まず基本的に考えることは、大変厳しい地方財政危機もかつてないくらいの状態であるという基本的な認識に立っております。そこから国と地方との財源振り分け等々の問題、配分におきましても、私は、何としても地方財政に大きな負担がかからず、支障がないという形で健全な活力ある自治体を維持していくためには、もう自治省として全力をふるわなければいかぬという基本認識に立っております。したがって、先生の御指摘になられるように、いまそういった点に立って考えるときに、現在ある財源振り分け、交付税も含め、国庫負担、補助等々も含めあるいはあの地方税制の面も含め、こういった自治体にしわ寄せにならない形の中での抜本的な編み直しを必要とする時期である、こういった認識の上に立って今後とも自治体行政の健全な運営に努めてまいりたいという所念でございます。
  226. 小川新一郎

    小川(新)委員 まことに基本的な考え方の御答弁はよしであります。もうこれ以上のごりっぱな答弁がないほどの受けとめ方でございますけれども、それでは、そういう言葉の羅列の中で地方自治体が果たして改善されるかというと、地方自治体の行財政というものは一向に改革されないのであって、政治の求めるものは実行であり、しかもその実行はすべて法律に従って実行しなければならないという議会制民主主義のルールの中でわれわれは一つ一つ物を進めていかなければなりません。  そこでお尋ねいたしますけれども、いまの政務次官のまことにごりっぱな御認識の中に立って、あなたは、それでは一層の改善、抜本的改革、そういったすべてのものを踏まえて、踏まえてと申されましたし、また含まれ、含まれということも申されましたから、それは一体どのようにお考えになり、しかもあなたの上司、責任者である福田自治大臣、これは非常にごりっぱな方でございますが、私に言わするならば、非常にがんこな点もあるのです、この点は。何回言ってもなかなかいい返事をもらえない点もある。これはいいとか悪いとかを言っているのではないのです。政治家として当然そういう信念に立たれてわれわれの質問に対して御答弁なさっていることでありますから、私はこれは悪口とかそういう意味でなくて、しかしわれわれが共通して考えられることは、今日の地方行財政の仕組みがそのままでいいということの認識には立ってない。これは十六次の地方制度調査会の答申を踏まえた考え方の中でこれを抜本的に改正していかなければならないという基本的考え方の立場をいま次官がお答えいただいたのでありますから、いま言ったような問題をひとつ、あなたのお考えを具体的に、大臣大臣としてどのようにやるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。  余り横の方で知恵をつけないでいただきたいのです。これはあくまでも政治家としての政務次官、公明党小川新一郎として言っているのであって、——それから答弁の中によくこういう答弁をされるのがある。先ほど何々先生にお答えいたしました、こういうことはよけいなことでございます。私はそんなことを聞くのではない。私は私なりで聞いているのであって、先ほど何々先生のお答えを聞いてないから聞くのでありますから、どうか何々先生とか先ほどどうのこうのということは一切今後答弁につけないでいただきたい。よろしくお願いします。
  227. 奥田敬和

    奥田政府委員 大変厳しい御指摘で、応急措置、抜本的な見直しの具体例をそれじゃ言えと言われることでございますけれども、たとえば国と地方との財政の税源の分配一つにいたしましても、これは国と地方との基本にかかわる問題でございますし、それぞれの地方制度調査会なりあるいは税制調査会なり各種の機関を通しての御検討も願わぬばいかぬ問題ばかりでございます。大変重要な問題が山積しておるという形の中には、私が先ほど述べたそういった例がみんな含まれておると考えていただきたいわけでございます。具体的に、じゃどうするつもりかと言われますと、まことに、私からいま先生に全部この前ではっきり言えということはとても不才のいたすところでできません。しかしながら、ただ、五十年、五十一年という地方財政の状態を踏まえて、自治省としても大蔵省としても国として応急の施策を講じてきたことは現実の問題でございますし、ただあくまでも大変な借金財政の中で応急的な処置によって今日の地方財政財源不足措置してきたという状態でございます。したがって、これからの流動する経済の問題も踏まえて交付税率をどうするとかあるいは補助制度のあり方の具体的な補助問題がどういう形であるかとか、いまさっきも言われましたように、産業あるいは生活関連という面の区分分けというものに対して各省とも打ち合わせしなければいかぬ問題ばかりでございますし、こういった等々のことを踏まえて見直しを迫られておるということでございます。
  228. 小川新一郎

    小川(新)委員 見直しを迫られているということは、実施しなければならぬということと理解しますが、それに間違いありませんね。
  229. 奥田敬和

    奥田政府委員 前向きに検討して、改善すべきものは改善すべき方向で処置するということでございます。
  230. 小川新一郎

    小川(新)委員 次官、その御答弁は耳にたこができるほどわれわれはこの委員会で聞きもし、言いもしてきたのです。でありますから、私はもう自治大臣のお考えはよくわかっておりますし、次官としては、女房役としては、どうこの地方行財政の面でりっぱな自治大臣を補佐していかれるかという責任のある立場からきょうお尋ねしているのでありまして、自治大臣と同じ御答弁を繰り返し繰り返し聞いておっても一向にこれはよくならないのでありまして、私はきょうもしかここに福田自治大臣がおいでになれば恐らく何らかの示唆を与えると思うのです。残念なことにきょうは参議院に行かれておりますので、きょうはそういった御連絡の中から何らかひとつ奥田先生から実のある答弁を引き出したい、こういう決意でいたしておるのでございますので、よろしくお願いいたします。
  231. 奥田敬和

    奥田政府委員 小川先生の御期待に沿う答弁ができなくて申しわけないわけでありますけれども、ただ、国が本当にいい、豊かな形で繁栄していくという形を考えますときに、やはり国の手足もすべてを構える地方自治体自体が健康で活力ある形の力を持ってこないことには、とても国の健康が維持できない、健全な形があり得ないということは事実でございます。したがって、具体的に実のあるという形を言われますと大変困るわけでございますけれども、しかし、常に地方自治体サイドに立った上で、地方自治体の健全が即、国の健全につながるという形で、私は、むしろ国の立場ということよりも、地方自治体サイドに立った上での政策施行の方向努力いたしたい。そのためには、もちろん当面の財政問題等々を踏まえましても、また、自治省大臣も大蔵当局あるいは政府との間に常にこの自治体の側に立っての強力な主張がなされ、それが政策化され、今日の状態ではないかということを重視いたしております。
  232. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあ福田大臣より非常に親切な答弁が一つあったということは、自治体サイドに立って、これは福田さんはなかなか言わないんですよ。国側のサイドばかり言っているんですよ。きょう、あなたは自治体のサイドと言った。自治体のサイドということは、自治体の側に立って——自治体の側というのは何かと言えば、地方行財政の再配分、三割自治の返上、超過負担の解消、そして地方交付税率のアップ、これはもう革新、保守を問わず、どの自治体の首長さんもおっしゃっていることなんです。だから、そのあなたの自治体サイドに立った中でどれか一つ、たとえば事務官制度の問題などは非常にいろいろな大きな問題になっている。こういった問題もどうお考えになっているのかお聞きしたいのです。お聞きしたいのですけれども、あなたがまた御答弁に困るのが見えておりますからね。私はいまそこで、あなたときょう初めてお会いして、あいつは何と意地の悪いやろうだと思われたくもないし、また、そんな意味に立たなくて、お互い自治体のサイドに立った、きょうはこれだけ一ついただいただけでも私は非常に力強く思いますよ。この気持ちを忘れないでもらいたいんですね。私は、願わくはあなたが大臣になった方がいいんじゃないかと思うぐらいですよ。こんな福田さんよりも、自治体サイドに立ってがんばるという政務次官がいるということをきょうは発見したんだから。本来われわれは、もしも選挙を行ってもいいというんだったら、ここで即座に奥田自治大臣誕生のために——私はそのかわり、大臣になればもっと痛烈に、もっと注文をつけますが、いかんせん政務次官というのは盲腸のへそとかなんとかと言われて、お気の毒な立場の発言をした変な人もいますから、それ以上のことは申しませんけれども、まあいずれにいたしましても、自治体サイドということをあなたが本気になって、これから閣僚会議に出席する福田自治大臣にアドバイスをし続けて、少なくともいま申し上げました事務官の問題等々も踏まえた上で、一日も早い御回答が出るように、きょうは御注文をつけておきます。どうも済みませんです。  次に地方財政危機の原因、これはあなたにもう一つお尋ねします。地方財政危機の原因というものは政務次官としてはどこにあるのか。次官としては、まずどう把握しているのか、真の原因はどこにあるのか、これはいろいろなことを言われるのです。お隣にいらっしゃる方あたりはこう言っているのです。これは、まず人件費が上がった。それも当然です。その次には自治体が勝手に——勝手にとは言わないけれども、先走って福祉をやり過ぎる、それから合理化をやらない、いろいろな原因がある。それも一因あるでしょう。だけれども、真の地方財政危機というものは、次官としては、そういうことも踏まえた上で、それもないとは申しませんよ、私はそんな話のわからないことを言ってない。何もかもおれの言うことは正しいなんという独善的なことは言いませんから、それも踏まえた上で言いますが、もっと大きな要因もあるのではなかろうか。七〇年代の日本の政治というものがいま曲がり角に立っているということはあなたもよく御認識のことと思うし、私も認識しておりますから、そういった中で、地方自治体という民主主義の母体がいま危機にさらされているということは、先ほどの御認識の中でも当然これは重要なテーマとしてその行財政の危機という、真の危機というものはどこにあるのか、これをひとつお聞かせいただきたい。
  233. 奥田敬和

    奥田政府委員 いま、地方財政危機の真の原因は何かという御質問であると思います。私自身の見解を述べろということでございますから、述べさせていただきますけれども、昨年、またことし、そしてまた来年度も予想した場合に、これだけの大きな経済の激変というのは、やはり日本の国自体の産業構造も含めて、先般のオイルショック、その前にドルショック、そういったいろいろな要因を踏まえて日本の産業構造経済構造の転換も迫られておると思います。したがって、今後はこういった高度成長的な夢は再び追うことはできないであろう。あらゆるそういった、経済も世界的なマクロの見地からいっても、そういった形はできないだろう。私たちで言うと、高度成長から安定成長、これが不安定成長であるか低成長であるかという論議は別としても、そういった方向をたどらざるを得ないだろう。したがって、今日の地方財源不足地方財政危機というものは地方自治体の内部からの要因によって起きたものではなくて、むしろそういった、大きく言えば国際的、また大きく言えば国自体がかぶっているしわ寄せが自治体財政を含めての問題点として大きな今日の圧迫原因であろうと思います。  もちろん、いま先生が御指摘になった言葉をとらえるわけではありませんけれども、現在の地方財政危機の要因の中には、いま言った超過負担の問題もございます。そして人件費の問題も必ずしも全然ないというわけではございません。ある程度の硬直化要因の一部であることも事実であろうと思いますし、また、果たしてそれでは自治体側に過剰投資的なそういった面がなかったかということも含めて、地方自治体見直し、反省を迫られている問題も幾つかあると思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、真の原因はということになると、そういった大きな国際的、しかもその中で日本のすべての構造変革の中でいま自治体が危機にあえいでおると言った方が適切ではなかろうかと私は思います。  しかし、いずれにしましても、今日までこうして続けてきた福祉水準、そして地方住民の多様化したいろいろな住民要求、ニードと申しますか、そういったものは、水準を落とさないで、幾らひどい状態になってもやっていかなければいかぬというところに地方自治体の今日の悩みもあるだろうと思いますし、こういった面につきましては、そういった原因というものを、国そしてそういった大きな制度変革の中で今日の自治体があえいでおるという実態を直視して、支障のないようにやってまいりたいと思います。
  234. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、昭和二十七年以来、地方行財政の改革はほとんど、まあ余り行われない一方において、行政事務の増大に次ぐ増大が続けられてきたわけです。この機関委任事務というのは、次官、どういうふうに御認識くださっておりますか。
  235. 奥田敬和

    奥田政府委員 国が当然果たさなければいけない形の業務を地方自治体の力をかりて委任をしておるといった形で、はっきり言えば国がなすべき形の仕事を地方にお願いしているということではないかと思います。
  236. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、そういったお仕事をお任せするわけでございますが、これは多くなった方がいいのか、少なくなった方がいいのか、どっちです。
  237. 奥田敬和

    奥田政府委員 これは大変むずかしい問題だと思いますけれども、はっきり言うと、地方自治体の本旨を踏まえればやはりできるだけ地方自治の確立といった意味から言えば、中央と申しますか国サイドの仕事が地方にどんどん移譲されていくのがより好ましい形であろうかと思います。また、国自体もこれだけ多様化した行政問題を抱えておりますと、しかしいたずらに公務員の数をふやしてそういった地方に委任している業務までまた国が直接にやるという形は国民の望む方向とは思われません。したがって、直接地域住民との血の通った接触を持っている地方自治体側にこういった業務が委任、移譲されていくということは、私としてはより好ましいし、またそれがあるべき方向ではなかろうかと認識いたします。
  238. 小川新一郎

    小川(新)委員 全く私もその説に賛成でございます。そういった面で地方制度調査会の答申が行われているわけですね。  そこで、昭和二十七年に機関委任事務が三百十四件が昭和五十年には一挙に七百八十四件にも仕事がふえてしまった。これはいま言ったような行政上の多角的な経営の仕方がどんどんふえていくということは一つの細胞がふえていくことですから、そのこと自体がいい悪いではなくて、そのことの主管の任務を行うべき仕事が国が直轄するものなのか、または地方が憲法第九十二条で言う地方自治の本旨に従ってなすべきかという議論が当然沸いてきます。しかし、その機関委任事務制度という制度のありのままでこれがふえていくということは好ましくないことである。これは通達にも出ております。  そこで首藤さん、専門的な立場から、こういう問題が年々ふえていくということに対しては好ましくないことであるという認識を私はとっておるし、そのことによって行財政の面で地方がいろいろなひずみをこうむっていくことになってはならないのであって、一体これについては、自治省としては今後この問題はどう対処なされるか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  239. 首藤堯

    首藤政府委員 先生案内のように、また御指摘のように、最近地方自治体の事務が、国と地方との事務配分という面でなるたけ地方移譲されて住民の身近に行われる、こういう観念からふえてきておるわけでございまして、このこと自身はもちろん望ましいわけでございます。そのようなことに伴います地方の財政需要、これに対応して地方に与えられます財源が増強されていくべきである、基本的にはこのように考えます。  それから、負担区分の問題でございますが、この国と地方との負担区分の問題のときには、機関委任事務であるか固有事務であるか、こういう区別によるものではむしろございませんで、その事務の執行による利害が帰属するのが主としてどっちかということによって経費を負担すべきものであろうかと思います。したがって、もっぱら国の利害に関係がある、こういうような仕事を地方にやらせるときは当然それに伴う経費をつけて地方に事務を移譲すべきであると考えておりますし、また最近のように、従前と違いまして新たな国民のニーズによる事務がふえておる、こういったふえてきた事務をこなすについては、それをこなすに相応する財源を何らかのかっこうで付与していく、こういう前提で事務量がふえていくべきものである、それが本筋である、このように考えております。
  240. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは全くそのとおりなんですけれども、そのとおり事が運ばないところに自治体の悩みがあり、そこに人件費がはみ出たり、また超過負担が生じ、またその利益がどちらにウエートを置くことが好ましいか好ましくないかということは自治省が一番わかっておるわけで、これは財政局長がこの点に早急にメスを入れて、なおかつこれの解明の度を明確にしていただかなければ、地方行財政の再配分とか再改革という言葉が出てくるわけがないのであって、どうかその点に一言で結構でございますが、今後の見通し、決意、いかがですか。
  241. 首藤堯

    首藤政府委員 仰せのとおりでございまして、従前において出てきておりますひずみは今後の制度として正すべきであり、かつ今後付与される、新たに生ずる事務については負担区分を明確にしていく、こういうことだろうと思います。
  242. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題では議論すればまだ幾らでもできますが、時間の関係でやめます。  昭和五十年度の都道府県分及び市町村分の決算はいつごろまとまるのでございますか。また概略でも結構でございますが、決算見通しはいつごろでございますか。
  243. 首藤堯

    首藤政府委員 昭和五十年度決算は御案内のように一応各団体とも五月が出納閉鎖でございますので、その後取りまとめが行われるということに相なると思います。当方に報告が出てまいりまして集計というかっこうでまとまりますのは、大体例年都道府県分が十月、それから市町村分が大体十二月から一月ぐらいにならないと集計が出てまいりません。そういう状況でございます。ただいまの状況では、地方団体から一応口頭報告みたいなもので様子は聞いておりますが、四十九年度に比べてはかなり厳しい決算状況になるような見込みでございますけれども、ただいまのところ、その数字はつまびらかにいたしておりません。
  244. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大事なことなんであなたに対してちょっと確認をとっておきたいのですが、NHKの調査によると三十数都道府県赤字団体になるだろうということがNHKの朝のテレビで報道されておる。また全国市長会の調査によると、単年度収支では九〇%の市が赤字であるというようなことがいち早く一これは大事な発言ですから、自治省としてはそういうことを発言できないでしょうけれども、これが正確であるのかないのかということも大事な問題である。それが日本全国の電波に乗ってNHKがこういった放送をするということは、この最高の場である国会議員であるわれわれでもわからないし、こういうところで答弁を求めても数字がわからないような状況下にあって一カ月半も前にこういった報道がなされることの是非について、一体どうお考えですか。
  245. 首藤堯

    首藤政府委員 報道機関そのほかのところでいろいろな推測的報道がございます。これは承りますと、当該報道機関等の調査網によりましていろいろお問い合わせ等を地方団体になさいました結果、ある程度仮集計をなさいますか、そんなことで御発表のようでございまして、私ども自体として結果を取りまとめて発表した段階ではまだございません。また発表したこともございません。したがいまして、一般的に地方団体に年末くらいにどのくらいの状況かということでお問い合わせがあったものだと考えますので、その出ております結果は具体的なところまでは必ずしも正確ではなかろうと思います。地方団体自身も大体三月の末とか二月の末にそれほど正確な見通しが出るわけのものでもございませんし、またそのときの見通し次第によっていろいろ想定したものをお漏らしになったものであろうと考えております。したがってその是非善悪等について私たち判断をいたす立場ではございません。
  246. 小川新一郎

    小川(新)委員 この予想ということは、競輪でも競馬でもそうですけれども、なかなか当たらないのです。当たらないから予想なんであって、競馬や競輪の好きな人が電車の中で一生懸命新聞を見ながら赤ペンで研究なさる楽しみは結構でございますけれども、少なくともNHKの予想が一カ月半前、ある数字まで挙げてこれだけの正確度を期するような発言をしていること自体が私は問題だと思う。こういう問題について自治省としてそんな不正確なことを、少なくともこれは財団法人でありますか、NHKという問題については、国会だってこれに対しては相当注文をつける権利のある所管であるこういうNHKにおいて、首藤さんのようなベテランが見たって私に明確にまだ数字が答えられない一カ月半前にこうやって数字がどこどこ出てくることについて、いい悪いは別としても、私は報道というものは明確にならなければならないし、もしもわからないのであれば、自治省というものよりもNHKのテレビを見た方が早いということになる。NHKに行って聞いた方が何でもわかってしまう。それじゃうまくないのであって、こういった財政の問題については、明確に、ひとつはっきりした態度を打ち出すべきである、これはぼくの考え方ですから、間違いであれば結構ですが、それに対してあなたのお考えはどうですか。
  247. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもといたしましては、地方財政運営等につきまして責任を持っておる官庁でございますから、数字が明確になる段階、明確になった段階、そこで取りまとめをいたしまして、権威のある発表をいたしたいと思います。それだけでございます。
  248. 小川新一郎

    小川(新)委員 だから、それじゃ国民はもっと正確なことを知りたい。議員だから正確なことを知るより以上の権利があるというのじゃなくて、私がいま言ったような考え方が報道されること自体、もっと明確に出せるものだったら、中間に自治省としても中間報告をすべきであり、それが一つのNHKあたりの調査がリードをとっていくようなかっこうが一つの世論を巻き起こしていくのならそれも結構ですけれども、私はもっと権威のある立場からあなたの御見解を聞いたのであって、それは当方の知るべきことではない、そういうことではちょっと私も納得がいかないから、私の考えを述べたにすぎないのですけれども…−。  そこで、五十年度補正予算で特例地方債が認められ、先日許可、配分されたばかりでありますが、補正後の五十年度下半期国税地方税の見込み違いがあったのかなかったのか。もし下半期の税収が補正後の見込みよりも落ち込んでいる場合には、新たな財源不足が生ずることになると思いますが、これは一体どうなるか。この辺の、際どい、いまの数字でございますがね、日程から言っても。いかがでございますか。
  249. 首藤堯

    首藤政府委員 先生案内のように、昨年の年末におきます。補正措置は、五十年の当初において見込みました地方税収入、これが景気の大幅な落ち込みによりまして、法人関係税を中心に大幅な落ち込みができる、こういうことで一兆六百億余りの減収を見込んで、それに対する補てん債を用意いたしたわけでございます。その後各地方団体から、同様な税目につきましての決算見込み額、徴収見込み額を徴しましたところ、これによりまして補てんをすべき額が八千五百億余り、このくらいでまとまったわけでございます。そのことから御類推をいただきましても、補正後に見積もりました税収入の見積もり額、これは決して地方団体の実際税収入がこれを割り込むということはない、むしろ十二月に見込みましたときよりは、若干情勢が好転というかっこうではないか、このように理解をいたしております。
  250. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは大変ありがたい御答弁だと思います。  そこで自治省の、私どもがいつも予算委員会で御要望いたしております中期財政見通しの、地方財政展望によりまして、これは出てきたわけですが、地方の財政難はなお数年続き、五十二年度には一兆八千億から九千億、五十三年度も約一兆円の財源不足が見込まれております。地方財政財源不足が解消されるというふうには述べていない。これはこの行財政の体制のままで進んでいったときにはこうなって、なおかつまだ五十三年以降少なくとも五十年、五十一年の借金地方財政に当然あるべき数字が穴があいた分について国から手当てをされた分、並びに地方が独自で借金をする分、こういった分がしわ寄せになってくるのが五十三年以降。しかも国から借りた資金運用部資金のお金等々の返還等を踏まえた上で、なおかつ五十三年、中期財政見通しでは赤字が続いていくことになるというならば、見通しがわかったならば、これに対してはどうなるのか、この点について伺いたい。
  251. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘中期財政展望でございますが、ただいま御指摘がございましたように、現在の状況そのままという前提に立ちまして、それからまた国の財政におきまして中期展望をやりましたそれとモメントを全く同一のものとして仮定をいたしました場合の数字をごらんをいただいておりますのは御案内のとおりでございますが、それによりますと、ケースの場合には、昭和五十四年度まで財源不足、ケースの場合、つまり経済成長が若干前に寄るだろうというような想定の場合には五十三年まで、まあかなりの財源不足が生ずるということでございまして、計算の場合、ことし二兆六千二百億と見込まれておりますのに相当する財源不足額が一兆九千二百億、これは五十二、五十三と続きまして赤字が生ずるだろう、五十四年、五年ごろから少し直ってまいりますが、そういう見込みを立てておるのでございます。もとよりこの見込みは、先ほども申し上げましたように、経済状況、成長率等が、現在想定をされておりますそのもののままという仮定に立ったものでございますから、そこが動いてくれば当然この見通しも動くのでございますが、このような事態で推移をするということは非常に重大な問題でございますので、しからば、このような財源不足に対してどのような措置を講じていくのか、これは、先ほど先生指摘いただきましたような、今後の地方財政制度その他の見直し、これに対する対策の探求、こういうものの課題として出てくるもの、このように考えておるのでございます。
  252. 小川新一郎

    小川(新)委員 具体的には、五十年度以降大量に発生した財源不足が累積した、また後年度の、五十三年以降ですが、地方財政を圧迫することになりますが、国が地方交付税会計借金だけでもたな上げにしていただけるような状況というものは出るのかどうか。また、そういうものが出ることをわれわれは期待しているわけではありません。だからといって、高度経済成長政策、夢よもう一度というわけにもまいりませんでしょうから、一体どのラインでこういった問題が議論として沸き上がってくるのか。経済成長率八%として見込んでいって、果たして五十三年以降の地方行財政がいまのままでは立て直しが図れるのかどうかという問題は、これはわれわれもよくわかりませんけれども、そういった分野の中で借金たな上げ論やもしくは延長論、もしくはまたそれに対する減額論というような、いろいろな問題も考えられますが、財政局長としてはこの点ではどう見込んでおられるのでしょうか。
  253. 首藤堯

    首藤政府委員 たただいまごらんをいただいております中期財政展望の歳出には、本年度までに借り入れました地方交付税会計の償還金でございますとか、地方債の償還金でございますとか、これはもちろん歳出に入っております。入りました結果、このような財源不足が出てくるということでございます。  そこで、これに対する対策でございますが、ただいま御指摘がございましたように、これからの経済成長率をどのくらいに見ていくのか、またどういうように変化してくるのか、これが一つ非常に大きな要素でございまして、これが変わってまいりますと要素が違ってまいります。それから第二の問題点としては、一応現在の国、地方を通ずる財政需要がこのような規模で伸びるという前提に立ちましても、税負担のあり方等、つまり歳入のあり方でございます。これがどのようなかっこうになってき、かつこれが国と地方でどのように配分をされるのか、こういう問題も前提として変わってくれば変わってくるだろうと思います。さらに、そういったことを前提にいたしまして交付税率等の問題も当然起こってこようと思いますが、いずれにいたしましても、今後やはり非常に地方財政不足が生ずるという事態が続くものとするならば、たとえばいままで借りました交付税特別会計借入金等につきましても、国との間で適切な措置を講ずる、こういうことにもなっておりますので、それらの措置が皆、どのような組み合わせ方になるかは今後の問題でございますが、今後のこの財源不足に対する対策の要素として浮かび上がってくるもの、このように考えております。
  254. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省にお尋ねしますけれども、大蔵省の国の中期財政見通しによると、五十二年度以降何らかの大幅増税をすることと言われておりますが、この税目はどんなものであるのですか。
  255. 水野勝

    ○水野説明員 先生お示しのその計画の数字は、恐らくいままでも御説明があったかと思いますけれども、これをどのような措置で賄ってという性格のものでございませんで、企画庁の計画概案、これをもとにいたしまして税収をはじく、一方、概案にありますところの歳出に応じまして見通しを単純機械的にやりますとああいう数字になるという数字でございまして、そこに確かに現在の税収に対しましてはかなりな高い伸びの税収を一応計算しているわけでございますけれども、その中身を具体的にどうするかという点につきましては全く白紙でございまして、あの数字はそういったいろいろな仮定のもとにおきますところの単純機械的な計算の結果の数字である、ひとつそういうふうにお考えいただければと思うわけであります。
  256. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、五十二年度以降という問題はあくまでも単純機械的な税収の伸びというものを見込んでいるのであって、五十二年度以降新たに何らかの、たとえて一例を申し上げますと、五十二年度税制の中で、建設省が住宅建設五カ年計画を促進するために、関連の公共事業の財政を援助するための額をふやしてやるために、大都市の事務所税とか住宅税というようなものを考えて、その分を補助的なひもつき的な財源でやるのでなくて、地方交付税的な要素を踏まえた上で国が地方公共団体の住宅建設及び関連公共事業の費用に要する財源に充てていくというような構想が新聞に報道されております。そういったものを踏まえた上で、大蔵省というのは、たとえば自治省とか建設省とか、そういった関連省庁が、総合的な国の財政または一つの問題を運営していく上に、ほかの方から火の手が上がり出すという中において、その最も許可的な中枢的な考えを持っておる大蔵省の考えがいまだに明確にならない。しかも五十二年といえばもうじきでございます。そういった問題をここで明確にできないということは、そういった問題は全然頭にないのだ。たとえば建設省がどう言ってこようと、だれがどう言ってこようとそんなことはいまのところ考えてないのだ。こういう中で中期財政の展望というものをただ国会に提出して、いま言ったような単純機械的に税収の伸びというものだけを見計らってこの国家的な財政危機を乗り切るのだという発想なのかどうか、その辺のところが私には明確になりませんのできょうお尋ねしているわけなんです。
  257. 水野勝

    ○水野説明員 二つの点につきまして御説明を申し上げたいと思います。  その中期展望につきましての数字は、いま申し上げましたように単純機械的な数字ではございますけれども、やはりあの程度税収がなければ赤字特例公債を五十二年度の後半まで発行せざるを得ない、そういうことのないようにするためにはこんな税収が見込まれなければならないという意味もまたあるわけでございます。そのためには今後新しい税金を起こすのか、あるいは現行の税制の中で何らかの施策を講ずるのか、ここらの点につきましてはすぐ直ちに検討できる問題でもございません。しかし、私どもとして大きな問題点として今後各方面の御意見を聞きながらもちろん検討はいたすつもりでおるわけでございます。  それから、第二点といたしまして、五十二年度にいろいろな各省庁なりの計画も早くもいろいろお聞きしているわけでございますけれども、何分にも五十一年度自体が現在発足したばかりでございますし、五十一年度の予算につきましてもまだ暫定予算でやらせていただいている、こういう時期でございまして、五十二年度におきますところの財源事情でございますとか、その基礎になります経済情勢でございますとか、そういったものが全く現在のところまだ確固としたものを私ども持ち合わせておるわけではございませんので、五十二年度税制改正をどうするかといま言われましてもなかなかっかみがたいところでございます。まだ国会でいろいろ御議論いただいておる段階でございますので、今国会でのいろいろな御議論を踏まえて、また各省のそれぞれの御要望もお伺いしながら、大体まず毎年夏から秋にかけましていろいろな施策を具体化していく、そういう段階でございます。
  258. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はやはりこの辺で一つの目安というものが明確になっていかなければならぬと思いますが、いま言ったように時期的な問題もございますね。それは確かに実施される大蔵省で軽々な発言というものはできないでしょう。だけれども、もういろんな来年の税制の改正については、たとえば土地の保有税、取引税、これは要するに土地が高騰した日本列島改造計画のあの土地のブーム、高騰時代に買い込んできた企業、デベロッパーが保有している土地が、いまのような不景気になることを想像しなかった、しかしわれわれもこれは想像はしていなかった、また想像しておってもここまでなるとは思わなかった。しかもこういった打撃は企業のエゴで買い占めたのだからいいんだというような無責任な態度でわれわれとしても臨んでいるわけではありませんし、また当然こういった問題が住宅政策や都市問題、そして物価問題に影響のある施策というものを講じていかない限り、ただいたずらに企業を引き締めていくことによって、不況から脱出しない雇用問題や労働政策にまで影響してくるのであってはならないという考えの中で、当然財界等ではそういった問題も議論されているときに、私がいま言った土地の課税の緩和だとか、租税特別措置の整理をしなければならぬとか、または所得減税というものはことしは見送られました。それによれば実質的な増税になるというような、ベアで一〇%上がったことによる所得の増額はさらに一〇%以上の物価の高騰と合わせれば実質的な増税となる庶民のうらはらの願いの中で、当然この三つの柱というものがテーマになっているということをちまたでもうわさされているわけですね、うわさの段階を超えているわけですから私はいまあえて質問しているわけです。でありますから、この見通しがつくのはいつごろでございますか。
  259. 水野勝

    ○水野説明員 いま先生の御指摘の問題、それぞれ恐らく来年度税制改正の重要な問題、大きな問題となるであろうと私どもも思うわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、五十一年度自体が現在発足したばかり、五十二年度経済情勢なり財源事情というものが明らかになりますのも秋から冬にかけてでございまして、現在のところ大きな問題であるということは確かに私どもも考えるわけでございますが、そういった時期になりませんと具体的な方向とか、そういったものにつきましてなかなか申し上げられる段階にはないわけでございます。
  260. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省としてはこういった国の中期展望というものを踏まえた上で、やはりある程度中期展望というものを自治省自治省なりに地方公共団体の立場に立っての財政の策定というものを行わなければならぬ。ところが、根本である大蔵省がいままだ来年の見通しも方策もここでは発表する段階でない、しかし中期展望ですから五年先の展望というものを読んでいくとしかじかかくかくである、またしかじかかくかくにしなければ、こういうふうに国の財政も地方の財政も行き詰まるんだということの見通しに立って、少なくとも来年の問題をここでいま議論しているわけなんです。これは早くも遅くもないと思う。適切な時期に適切な方策を実行し示すというのが政治であるならば、大蔵省の中期財政展望による租税の負担率を三%程度引き上げることにしなければならないというその引き上げる内容についてはいま言えないにしても、では地方の立場からいけば、たとえば三%上がった税率のアップ分については地方公共団体にどれくらい回してくれるんだ、こういったような大きな展望に立って一体この中期展望というものをつくったのか、ただ見通しはこうなんでございますよというような単純明快な理論から出したのか、それとも国会がうるさいから早いところ処理してしまえというような、そういう気持ちじゃないでしょうけれども、予算委員会で各委員から早くしろ早くしろとせかれたから即席ラーメンのようにつくり上げたのかどうか、そういう点が明確になっていかなければ財政問題というものは議論できないのじゃないか、こういうわけです。
  261. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもの方で作成をいたしました中期財政展望は、国がつくられました中期財政見通しと全く同じ前提であったならばどうなるかということの単純な見通しでございます。したがいまして、先ほど先生指摘の三つのものがあるとするならばその真ん中のものでございますが、それに当たるものだろうと思います。そこで、この結果を見ていただきまして、今後国、地方を通じて国民の租税負担がもし三%上がるとするならば、それを国と地方とでどう配分をするかどうか、あるいはそのほかの財政制度なり何なりの改正をしていくかどうか、この政策論は今後の問題、この上に積み重なる問題、こういうこととして検討してまいりたい、こういうことでございます。
  262. 小川新一郎

    小川(新)委員 次官、いまいろいろと私がお話をずっとしてきましたね。あなたも私も地方自治体のサイドに立つ男として、政治家としてそれではその三割自治というものをなくすために、一体この三割自治なんという言葉があること自体がおかしいんであって、現実にはそういうことが言われているのですよ。じゃあそういう議論は何か。それはどこから発生した語源なのか。そんなことをいまここで議論しているわけじゃないので、実際の仕事の上でそういうことがもう通例に言われているような事態の中で、私はあなたの言われている地方自治体のサイドに立っての福祉事業や公共事業の地元負担など、地方の財政需要が増加している現状から、国民租税負担率を引き上げる場合には地方税に重点的に配分すべきである、こういう認識に立っている私でございますから、よもや違うというようなことは言わないと思いますけれども、どうですか。
  263. 奥田敬和

    奥田政府委員 いま先生が御指摘になりましたように、確かに政府中期展望に立てば租税の負担率が三%ほど上げなければいけない。それには国の分担率が二で地方が一だというようなことが基礎の算定になっておるわけでございますけれども、私は先生とやはり同じく今日の地方自治行財政のあり方を踏んまえて、当然そういった税収の伸びの多くは地方自治体配分されてしかるべきであると思っております。
  264. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省はどうですか。こういうふうにいまわれわれ地方サイドに立っている二人はこういう決意でいるのですが……。
  265. 水野勝

    ○水野説明員 ただいまの計画の概案に基づきます数字は確かに三%のうち二%が国、一%が地方といたしておりますが、これも全く単純、機械的な計算でございまして、過去五年なり三年間の平均の税収の実績を見てまいりますと、大体一・九八、九七とかそういう数字でございますので、そういう実績をもとにいたしました数字で、これは今後の財源配分の姿をどうこういうものではございません。それが一点でございます。  それから、現在そのように国税地方税二対一ぐらいの割合になっておるわけでございますが、これは交付税を加味いたしますれば、大体五分五分なり、半分以上地方に行っておりますし、さらにまた国税の中から支出しております国庫支出金等を加味いたしますと、もう六割、七割は地方の方に使っていただいておる、こういう実情もまた御了解いただきたいと思います。
  266. 小川新一郎

    小川(新)委員 それがいろいろあなた方の数字のトリック、魔術であって、それをいまここで、じゃあ一つずつこれはどうだということになると、これは大変な時間を要しますが、じゃあどうして地方財政がこういうふうな緊迫をした問題、先ほどから私がるる繰り返している要因は何か。国の財政見通しが誤った。経済の見通しが狂った、そしてその責任は当然中央官庁である国がめんどう見なければならない立場の機関委任事務でさえもどんどんふえて回していく。超過負担もさしてはならない、少なくとも基準財政需要額に盛り込まなければならないいろいろな問題がやれないような仕組みの中で、地方自治体が四苦八苦しているということを認めているからこそ、次官も私も民主主義の幼稚園と言われ、母体と言われているところの地方自治体のサイドに立って物を考えるここは当該行政常任委員会なんだ。あなたの専門である大蔵委員会じゃないのです、ここは。でありますから、ここの席というものはすべて政府の答弁側に立つ方も野党である私も同じ認識の土壌の上に立って、多少の政策の違いはあるでしょう、また大きな違いがあるかもしれない。しかし、地方自治体のサイドに立つということは、認識が一致した。だからそういった認識の上に立って中期経済展望ではこうなるのだから、その制度を変えない限りは五十三年以降も赤字が出てまいりますよ。そのことは議会制民主主義のルールの破壊にもつながり、地方自治体崩壊は民主主義の崩壊につながっていくということを考えたときに、私はいまあえてあなたにこういった問題を提起しているわけでございますので、ひとつ大所高所に立って御答弁いただきたい、こう思うのですね。
  267. 水野勝

    ○水野説明員 私どもはとうてい大所高所に立てるほどの者でございませんので、どちら側にということではございませんが、国、地方それぞれが円滑な行政が運営されるように財源も確保されるべきではないか。どちら側ということでなしに、それぞれの面におきまして支障のないように考えるべきではなかろうかと考えておるわけでございますし、ただその中におきましても、あの中期展望におきましての税収の見通しでございますと、若干どうも地方の方がゆとりがあると申しますか、伸びの面では余力があるというか、そういった面もございます。それからまた、国も現在三兆七千五百億の特例国債を出しておるという非常に厳しい事情にあるということも頭の片すみに御理解をいただければと思うわけでございます。
  268. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はもう理解に次ぐ理解の上で発言しているつもりでございます。無理解なことは申しておりません。理解を本当によくしているのですけれども、私は三千三百余の地方公共団体一つ一つ独立した自治という立場に立って、憲法で保障されております自治権の尊重という立場に立って——国も確かにそれは大変である、大変でないなんて言っているわけじゃないんです。だけれども、ここで知恵を結集して、じゃいつも同じ状態でいいのかということになれば余りにも無策であり、これは余りにも前進のない姿であるからこそ、無理を承知でまた無理を言わなければならない自治体の立場のサイドに立って物を論じているわけですね。  そこで、これは首藤さん、交付税を来年税率アップしますか。
  269. 首藤堯

    首藤政府委員 来年度におきましても大変厳しい財政の状況が続くと考えられますので、これは交付税の率の問題も含みましてそのほか国庫補助負担金のあり方あるいは税源配分のあり方、こういうことをみんなあわせまして検討をいたしたい、このように考えております。
  270. 小川新一郎

    小川(新)委員 検討するということは、五十二年じゃまだ結果は出ないということですか。それとも五十二年度後半では何らかの結果が出るのか。それとも五十三年ならそういった線に落ちついていくのか。検討とか前向きの姿勢とか慎重な研究とかということはもう年じゅう聞いているわけですよ。ここまで財政計画でもビジョンが示され、いろいろな険路を踏まえていかなければならぬというところですから、財政局長一つぐらい大臣にかわって本日は大所高所に立って張り切ってひとつ答弁してくださいよ。
  271. 首藤堯

    首藤政府委員 基本的な改正のあり方につきましてはいろいろな方法があろうと思います。そのそれぞれにつきまして今後地方制度調査会等でも十分御議論を賜りたい、それで行く道を定めていっていただきたい、このように考えております。その線について努力を惜しまないつもりでございます。まず五十二年からそういった基本的改革の第一歩を踏み出してまいりたい、このような覚悟でおります。
  272. 小川新一郎

    小川(新)委員 またそんな第一歩だなんてしみったれたことを言っているんだな。第一歩だ十歩だなんて言わないで、あなたいつも一歩じゃないですか。歌に、だってあるじゃないですか。押してもだめなら引いてみなと、前へ進めと言っているんだ。三歩でも五歩でも進んだって悪いなんということはないのですよ。いつも一歩。一歩じゃないの、だ、半歩も進まないじゃないですか、これじゃいつまでたっても。やはり正義の味方であなたひとつどうですか。
  273. 奥田敬和

    奥田政府委員 いま財政局長先生のそういった御趣旨を踏まえてもう不動の決意で一歩前に出るということは、私、横で聞いておりまして三歩も四歩も前進したという意味の答弁に受け取っております。しかし立場が立場ですから、やはりそこで慎重な発言ということになったんだと思っております。私も、もしも五十年、五十一年さらに五十二年度も引き続いて大変なこういつた窮迫した財政状態である場合においては、これは自治省全体ということだけじゃなくて、全国自治体のそういった形を大いに踏んまえて三歩も四歩も前進した抜本的な改革に乗り出さなければいけない。先生方の御協力をぜひお願いしなければいかぬと思っております。
  274. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常にそれは立場が立場で、きょうは大臣がいないからとあなたが大臣を守るいじらしい気持ち、よくわかります。わかりますけれども、ここは国会の重要な審議の場ですから、私はこうやって気分をやわらげながら発言しているのです。どなるばかりが能じゃないですから、こうやって実のある答弁を引き出そうと思って一生懸命がんばっておるのですよ、これでも。だから、本当に、一歩前進ということが三歩前進という理解につながるということは、お互いに政治を担当する者として国民の側に立つ、三歩前進ということが非常にいい答えであるという理解を私はきょうは腹の底にしまっておきます。だからといって、ではいつなんというようなそんなことはいまここで言えない立場ということも了解しておりますから、どうか首藤さん、本当にこの点、わかりますね。そういうことでひとつお願いしたいと思います。  それから、交付税法第十六条の二項については御質問もあったと思いますが、今回のロッキード問題で国会審議が大幅におくれ、五十一年度予算というものが四月一日から五月十日までの四十日間の暫定予算が組まれた。政府の五十一年度暫定予算によって、本予算が成立しない場合と比べて四月分が三千二百四十九億未交付となる。そのために地方財政運営はときに資金繰りが逼迫すると言われますが、このような予算編成をした経緯並びに基本的な考え方についてお尋ねするわけでございますけれども、暫定予算で四月交付分を八千九百四十一億と決めたわけです。ところがこれは本来だったら七千七百七十四億、四月概算交付額が七千七百七十四億、それに一千百六十七億プラスして八千九百四十一億を交付した。これは非常に御好意のある解釈として私は解釈するのでございますが、一般的な暫定予算を組むときは五十年度国税三税の税収をもととして計算するのですけれども、今回は五十一年度国税三税の税収見込みをもとに計算しているようであります。しかし、そこまで一千何百億プラスするのであれば、できるならば所定の額だけ上乗せをしてもいいんじゃないかという考え方も出てきます。われわれとしては、予算案に対して反対し、ロッキード問題で国会をおくらせているのは野党の責任ではないか、何おまえたちは勝手なことをこういうときだけ言うのか、交付税の概算要求の支払いについてだけはその反対している予算案をもとにして計算しろ、私も非常に言いにくいのですよ、本当のことを言って。わかっています。わかっていますけれども、これは言わなければならないでしょう。でありますから、そういった立場の基本的な物の発想の仕方の中で、わかり過ぎるほどわかっている首藤さんですから、その点について明快なる答弁をいただき、これを今後の国会運営の財政上の問題について将来のいろいろな参考にしたい。こういう問題でお答えいただきたい。
  275. 首藤堯

    首藤政府委員 暫定予算におきます交付税の概算交付の額でございますが、四月概算分につきましては、御指摘のように四月という月は地方団体は資金繰りに非常に苦労する月でございますので、できるだけ多くの額を暫定予算の場合に措置をしていただくよう各方面に要請をいたしたわけでございます。その結果、従前の例を破りまして、特例といたしまして五十年の国税三税を基礎とせず五十一年度国税税収入見込み、この中から法人税法の改正によります増税見込み額だけは、わずかでございますが差し引いておりますが、それを基礎にして八千九百四十一億、こういう額を措置をさせていただいたわけでございます。  これが、本来予算が通っておりまして、しかも交付税法の改正が通っておりますと、先生案内のように今回の交付税総額は一兆三千億余りの借入金措置をいたしまして総額の確保をしておりますので四月の概算交付額が一兆二千億余りになり得たわけでございますが、暫定予算を組みます場合に、総額交付税法の改正をもって初めて五兆一千億という額に設定をされるわけでございます。この交付税法がまだ通っていないという事態におきまして、そこまでの額を基礎にして暫定予算に組むということは非常に困難と申しますか、できなかったわけでございまして、次善の策として、できるだけ多額という意味で五十一年度の自然増収分を含んだ国税三税の見込み額、これを基礎にして八千九百億を措置いたした、こういうことでございます。  あと三千二百億ほどの四月概算交付の未交付額があるわけでございますが、これはできるだけ早急に予算が成立をし、交付税法の改正法を成立させていただいて、成立し次第直ちに交付をする、こういうふうに準備をいたしたいと考えております。
  276. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、自然成立をした時点において速やかに各地方自治体にこの三千何がしかの差額分については御配慮いただける、こう理解していいですか。
  277. 首藤堯

    首藤政府委員 そうではございませんで、予算の自然成立ないしは議決成立、これはもちろん一つの前提でございます。もう一つは、交付税総額を確保いたします地方交付税法の改正、この法律が成立をいたしませんと一兆二千億を配ることはかなわないわけでございまして、そういう両方の成立が一日も早からんことを希求しております。
  278. 小川新一郎

    小川(新)委員 どうも最後になるとこっちの方が変なふうになるような物の言い方をしなければならないところに、政府の担当者としての御苦衷はわかりますけれども、われわれも、何も地方交付税法をおくらせて喜んで、鬼の首でも取ったという法律じゃないですから、きょうもこうして精力的にがんばっているのですから、一日も早く上げて参議院に送付してやらなければいけません。でありますが、いま言ったようなことで、自治体が本当に安心をしなければならぬという点も考えております。  そこで、この地方交付税法第十六条二項、いろいろな問題でいまお尋ねしているわけでございますけれども、限度いっぱいまではできなかったということで、その間の理由等も不明確でありますけれども、納得するわけです。五十年度補正で交付税不足額が一千百五億、五十一年度交付税法案によりますと一兆三千七百億国から交付税特別会計借り入れる。二年連続の一兆円以上の借金政策、こういった借金政策の押しつけと言ってはいろいろ語弊があるのでございますけれども、この後年度地方財政の圧迫が非常に懸念されてくるわけです。これは、先ほども私がるる言ってきた財政展望によってもそうであるし、そういったものを踏まえた上で何らかの処置をしなければならぬと思います。当然、現行の交付税率三二%を大幅に引き上げるべきであると思いますし、これは過日社会党の方々から提案されております地方交付税法の改正、これは前年もそうですか、もし三二%で抑えるならば、暫定措置として少なくとも三年間八%ぐらい上げるところの第二交付税制度のようなもの、これはわれわれは非常に賛成しているのでございますが、こういったものも踏まえた上で、先ほどのアップのことはわかりましたから、この三年ぐらいの特別的な物の発想考え方というもの、これは全然問題にならないですか、問題になりますか。
  279. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘の五十年及び五十一年度交付税会計借り入れ、これを償還をするわけでございます。償還額は、できるだけ長期でなだらかにということを考えておりますが、いずれにいたしましてもこれが当該地方財政にそれ相応の影響を及ぼす、これは御指摘のとおりだろうと思います。そこで、こういった償還につきましては、国、地方おのおのの財政状況を勘案をしながら、その償還に非常に無理がある、こういう事態になりました場合にはその負担の緩和について配慮を行う、こういうことを大蔵大臣と自治大臣との間で覚書も取り交わしておる、これは御案内のとおりでございます。そういう事態でございますので、地方団体にこのことをもちまして財政上の困惑を感じさせるということがないように、あらゆる措置を駆使いたしたいというふうに実は考えております。  ただいま御指摘の臨時的な考え方等も、問題が数あろうかと思いますが、そういった問題点の一つであることはやはり当然のことだろうと思います。
  280. 小川新一郎

    小川(新)委員 きょうは通産省来ていらっしゃいますか。——来ておりませんね。それでは大蔵省、ちょっとお尋ねします。  自動車の排気ガス五十一年度規制の問題でちょっとお尋ねいたしますけれども、自動車の問題は通産省が一番よくわかるのですけれども、二年延期した。これは昭和四十七年にさかのぼらないと歴史はわかりませんけれども、三木内閣の約束の中に、昭和五十一年度からNOx、窒素酸化物一キロ走行〇・二五グラムこういった〇・二五グラムを全体にやることで進めてきたわけでございますが、そういうことがだんだんおくれ、おくれてきて五十三年になるわけですが、これもやるか、やらないかもまだ明確にならないところなんですが、各自動車メーカーは五十三年度実施を目指して研究開発に努力している。一部のメーカーでは、それより前の五十二年度中にも五十三年度規制値を達成した車もありますが、これが総体的にできないということで今日までおくれてきているわけです。そこで、五十二年度税制改正のときには、五十三年度規制のできた車とできない車との間に、税制上の格差をつけて、低公害車を普及させ、大気汚染対策を十分に行うべきであるということは、昭和五十一年度の駆け込み増産のときにも、低公害車の自動車税、これは地方公共団体に入ってくるので非常に影響が出てくるのですが、ただそのことと値段をアップすることとは別でございますが、こういった低公害車の税金という問題については、これは普及させるためにも当然何らかの処置を講じてあげなければなりませんし、通産省と大蔵省の考え方が聞きたかったのですけれども、こういった問題で、できるところとできないところに格差をつけて、税金の面で何とかしてあげる。また、税の格差をつける場合には、低公害車の物品税などを安くする方法と、高公害車の重量税などの引き上げで販売価格を高くする方法とがあると思うのですが、こういうことを踏まえた上で、こういった自動車税の問題についてはいまのところ御研究なさっておりますかどうか。
  281. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 まだ検討しておりません。前提としては当初の標値の〇・二五グラム・パー・キロメートルという基準が環境庁なり運輸省によって設定されることが必要だと考えます。それが設定された暁におきまして、私どもは、それに対応してどういう措置をとるべきか、またとる必要があるかということを検討するという段取りになると思います。
  282. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省はどう考えておりますか、自動車税、軽自動車税等にそういった公害車の税的な格差をつけることについて。また、それに対する、自治団体に対する財源問題等を考えたときに、いかが考えておられますか。こんな考えはありませんか。
  283. 森岡敞

    森岡政府委員 五十一年度税制改正におきましても、先般成立させていただきました地方税法におきまして、自動車税の税率の引き上げを行いましたが、五十一年度規制適合車につきましては、五十一年度と五十二年度の二年度間、税率を従前のまま据え置くという措置を講じております。御指摘の五十三年度適合車につきましては、いま大蔵省から話がございましたように、まだその規則基準そのものが最終的に決まっていない、こういう段階でございますので、最終的な結論を得るには至りませんけれども、しかしその五十三年度規制基準が決められ、それに基づく販売価格あるいは燃費、そういうふうな状況が明確になりました段階で、必要がありますれば適切な措置は講じたい、私はかように考えます。
  284. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございます。そういった方向で進めることが大切なことだと私は思います。ただ、いま言ったようにまだ明確になっておりませんけれども、これは私が二月十日の予算委員会の総括質問で、小沢環境庁長官から、五十三年度規制というものは明確にやるということだけは答弁をとってあります。ただ、それをいつやれるかということが問題になっているわけですから、ひとつその点の御配慮をいただきたいと思います。  建設省、来ておりますか。——先ほども話が出たのでございますが、朝日新聞の四月二十六日月曜日、きのうの「都市企業に新税かけ 地方住宅に回す」云々という題のもとに、竹下建設大臣の話が載っておりますが、先ほど私が申しましたような税の問題、増減の問題について、五十二年度税改正の問題についてはいま考えていないのだという、先ほどからの、るる大蔵省からの答弁もありますが、こういった問題が建設省から出ておりますが、これは一体建設省としてはどういう意図、どういう発想でこういった問題が建設大臣から出されてきたのか、これはまたどういうふうに進められるのか、お尋ねします。
  285. 松永義則

    ○松永説明員 ただいまの住宅税制の構想についてでございますが、大都市地域におきます人口集中は非常に著しいわけでございますが、それに伴いまして非常に住宅問題も深刻である。良質低廉な住宅の建設が一番望まれておるわけでございますけれども、これがなかなか進捗をしない実情でございます。その原因といたしましては、住宅団地の建設に伴って必要となります関連の公共公益施設整備が必要でございますが、それにつまして非常にこれが追いつかないという実情でございます。関連公共施設の整備につきましては、すでに立てかえ施行制度その他の地方財政の援助措置が講ぜられておるわけでございますけれども、必ずしもこれが十分ではないということで、そういった関連公共施設の建設の隘路になっております財源問題につきまして、これを何らか措置をいたしたい。そうして大都市地域におきます住宅の建設を促進したいということでございますが、大都市地域におきます人口集中の一つの原因になっております企業につきまして、これに国税である特別の課税を行いまして、その税収をもちましてそういった関連公共施設の整備費の一部に充当をいたしたい。それによりまして大都市地域におきます住宅の建設を促進してまいりたい、こういう趣旨でございます。これにつきましては、まだ住宅局の局内で検討をしております段階でございまして、今後省内調整もございますし、それから関係各省庁とも十分協議調整をいたしていかなければならないと思っております。
  286. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省の御意見を承りたいと思います。
  287. 水野勝

    ○水野説明員 先ほどお答えいたしましたように、五十二年度税制改正につきましては、現在五十一年度自体が発足したばかりでございますので、基礎になります財源事情や税収状況もかいもく見当がつかない段階では、現在なお検討の手がかりがない状態でございます。例年でございますと、おおむね八月、九月ごろ各省庁のいろいろな御構想が固まりまして、お話をお伺いして、秋から冬にかけまして詰めさせていただく、そういう段取りになっておるわけでございまして、現段階としてはなかなかいま申し上げることはないわけでございます。ただ、先ほど出ておりましたような中期展望の話もございまして、五十二年度経済が若干上向きになりましたといたしましても、財源事情等からかなり厳しい年であろうかとも思われますので、どれだけ新しい施策が税制の面で講じられるかということにつきましては、私どもなかなかむずかしい年次ではないかという予測はしておるわけでございます。
  288. 小川新一郎

    小川(新)委員 松永さん、いまお聞きのとおりです、大蔵省の考え方は。そこからあなた方が道を開くのでございますから、これは並み大抵なことじゃないと思います。本当はきょうは経済企画庁とか通産省、こういった関係の方にも聞いて、こういったいま企業が底冷えしているときに増税を打ち出すことがいいのかどうか。それよりも、大企業への恩典という、都市のデメリットを生じている原因を取り除くことが、一つの開発課徴金制度のような問題をいまから五年ぐらい前に私が提言したことがある、そういった都市問題総体的の中から考えていくことが優先されるのか、企業の底冷えをいま回復させて雇用やそういった労働賃金の面ということから考え直していくことが税制の面で必要なのか、また、大蔵省の注目しているようなそういったすべてのものを踏まえた上で国の高度経済成長政策がどの程度までこのままいってくれるのかというようなことを考えたときに、この建設大臣が出した問題というものを、建設省としては不退の決意でこれをやられるのかどうか、その辺のところの決意を十二分にきょうお聞きしておきたい、こういうことでございます。
  289. 松永義則

    ○松永説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、実は本当にまだ住宅局の部内で検討段階でございまして、住宅局といたしましては、何とかひとつ住宅の建設を促進いたしたいということで実現をいたしたいと思っておりますが、非常に大きな問題でございますし、ほかにもいろいろ波及をする問題でございますので、実は省内の調整もまだついておりません。したがって、今後調整をつけるわけでございますが、それと国土庁とか大蔵省とか自治省、いろいろ関係省庁ございますので、そういった方面の御意見の調整も十分していかなければいかぬということでございますので、住宅局としてはぜひやりたいと思っておりますけれども、いろいろそういう調整上むずかしい問題はあろうかと思っております。
  290. 小川新一郎

    小川(新)委員 住宅建設五カ年計画の進捗率のマイナス分というものは、埼玉県や千葉県や神奈川県のように、関連公共事業の持ち出し分が超過負担になったり、また、そういった分が非常に地方財政を圧迫しているという理由によって大型デベロッパーの導入を阻害している。住宅政策の隘路はそいった財政面であるという理解の上に立って、自治体に財源を与えるための発想であるならば、むしろこうしたものが実現した暁には、国が全部いただくのではなくて、その大部分を地方自治体に回してあげる、こういった面でこういった財源を確保するというのならば、首藤さん、自治省としても何らかのバックアップを建設省にすべきではなかろうか。これはあくまでも住宅局の試案の段階だとおっしゃっておりますけれども、こういった住宅という憲法で保障されている衣食住の人間の基本的な問題を解決でき得ないことが、地方財政の、金がないための理由だけで人間の権利が主張できないようなこと自体、福祉国家という名が名目的に終わるのではなかろうか。しかも五カ年計画でどれくらいの進捗率があるのか、私、まだ建設の関係よく勉強しておりませんが、そういった面であるならば、自治省としてはどういう考えを持っていますか。
  291. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、公営住宅を多量に建設をいたしますことが非常にむずかしくなっておる一つの理由として、大量に住宅が建設されることに伴いまして必要となる公共施設、これの施設に要する経費が大変だ、こういう問題が明らかにあるわけでございます。したがいまして、そういう点について財源付与を措置をして、それを促進をしていくということは、これはもうまさしく適切なことだと思います。しかし、その財源をあのような形の目的税源にするのがいいのかどうか、ここは税制の問題としていろいろ問題点があろうかと思いますので、これはまた別途税制そのものとしては慎重にじっくり検討すべき必要があるのではなかろうか、こう思います。
  292. 小川新一郎

    小川(新)委員 その辺のところの詰めばこれから三省でやられるのでございましょうけれども、大蔵省、こういった問題が当該委員会で非常に議論されたということを踏まえた上で、ひとつ前向きに、それこそ前向きに、慎重に、速やかに検討しなければならぬ問題だと思うのです。どうぞよろしくひとつお願いいたします。これは答弁要りませんから。  そこで大蔵省、重ねてお尋ねしますけれども地方債の問題。この地方債の問題が自治、大蔵大臣の、円満に円滑にということで、昭和五十年の地方の起債の問題については配慮するということで了解がついているのですが、昭和五十一年度は完全にという、消化することに完全に、自治と大蔵の覚書が、完全ということと円滑にということで変わってきた。ところが、伝え聞くところによりますと、大蔵省は地方債の市中消化を促進する対策の一環として地方自治体経済力、財政力に応じてそれぞれの地方債にAAもしくはABBなどという、まるで何だか知らないような格づけをするという地方債の格づけ制度を導入する考えを固めたなどということをある報道機関が報道しておりますが、これは事実ですか。
  293. 高倉建

    ○高倉説明員 お答えいたします。  証券局の方からが適切かと思いますが、証券局に私ども聞きましたところ、そのようなことを政府としてやることは考えていないというお答えでございます。私どもの方もそのようなことをやるということは考えておりません。新聞の方の何かの誤解か勧告かではなかったかとも思います。
  294. 小川新一郎

    小川(新)委員 当然だと思います。貸し付けた額を市中消化のために、たとえばここは安全であるとかここは超A級であるとか、自治体そのものの品評会のような、これは当然返せないような、不渡りを出すような銘柄にされた、地方自治体がまるで会社と同格のようなそういった品格をつけることがもしも事実であればこれは大変なことで、私も心配の余りこうして質問したわけでございますが、それが事実でないということになって、新聞の誤報道であるということでありますから、安心してまあ今晩は寝ることになりますけれども、そういうことでひとつよろしくお願いします。  次に高校の補助制度についてですけれども、この高校の補助の問題について、教育上の問題については岩垂さんが本会議でお尋ねになっておりまして、義務教育にはしないということ、その辺の制度ということはよく聞きましたが、たとえば高校建設は用地費、建設費ともに財源不足に悩む県が負担することになっておりますが、現実には用地費の一部を地元市町村に提供させているところが多いのです。しかし、県も苦しいのですけれども、人口急増による財政需要の増大に悩む市町村財政の方がもっと深刻であるという理解を私は持っているのですが、このように県の事業に対処して市町村にその経費の一部を負担させていることは地方財政法第二十七条違反の疑いがあるのではなかろうかという議論さえもあります。この点について、財政局長、御意見いかがでございますか。
  295. 首藤堯

    首藤政府委員 本来都道府県でやるべき仕事のものにつきまして市町村に財政負担を強制をするということは、これは財政法で禁じておるところでございます。ただいまの高等学校新設につきましてのいろんな負担関係が、市町村においてもいろんな形でございますが、あるという事情は知っておるわけでございますが、私どもとしてはできるだけ、これは望ましくないことで、そのようなことのないように、こういう指導をいたしておるわけでございます。
  296. 小川新一郎

    小川(新)委員 それをひとつ、埼玉県及び非常に、私の住んでいるところで鳩ケ谷というところがございますが、地元のことで恐縮なんですが、三十幾つかある市の中で、高校がないところは、次官、これは聞いてもらいたいのですが、それはもう全くかわいそうな状態でございまして、嶋ケ谷市に高校がないのですが、ところがよく調べたらあるという。どこにあるかといったら嶋ケ谷の地域の中に門だけある。その後ろが川口市、鳩ケ谷市のところだけは門であります。それでもあるということになっているのです。鳩ケ谷市の地域の中に高校の門だけあって、その本体は川口市。それでも門でもあればこれは高校が一校あることに通ずるのだと言っているのですけれども、そういうふうなことが認識できますか、あなた。私もできないのだけれども。そういうふうな状態の中で鳩ケ谷の財政がいま圧迫されているので、それじゃ高校を誘致するということになれば、いま言ったように財政上に、地域に用地の負担はせい、あれもせいということであれば、これは私は非常に大きな問題点が出てくるということでいまお尋ねしたのでございますが、ぜひとも鳩ケ谷市に高校を建設するようあなたからも、一つくらい私の言うことも聞いてくださいよ。高校建設のために、いま言っているのは、門だけあるからあるなんというような、そういう見解は、この際この議事録の上ではっきりしておきますが、私は認めない。あなたの御見解をひとつ承って、ぜひとも鳩ケ谷市に高校を建設するように、この間も自治大臣に陳情に行ったけれども、余りつれない返事なんです。門でもあればいいじゃないか、門があったってしようがない。そういうことじゃ困るのであります。どうかひとつよろしくお願いいたします。まあ、門だけあればいいということは私が言ったのでありますけれども、門があったから高校があるという見解じゃ困るというのです。どうしても鳩ケ谷に高校を建設しなければならぬということで、いま言ったような問題があるので、ひとつ御配慮をいただきたいということです。
  297. 奥田敬和

    奥田政府委員 お言葉を返すようですけれども、自治体の自主性に踏んまえまして、地元要望がどうしても高校新設という形の中でまとまって、用地取得その他の問題点でまたこちらの方に関係がございますれば、これこそ前向きに処理するように努力いたしたいと思います。
  298. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたので、これで終わらしていただきます。  なぜ、こういうローカルな問題をやるかというと、分科会のときに私は本当に主張したかったのですが、時間がございませんので、きょうはこの問題を一つだけぜひともお願いをしたいのは、埼玉県の東武伊勢崎線の草加を通る問題で、四省の覚書交換の問題については過日当委員会で私は質問をいたしておりますし、要望をいたしております。いまこの草加市並びに竹の塚団地を踏まえて人口急増の最も強いところ、東武伊勢崎線の三複線化ということで問題になっておることはよくよく御了解のことだと思います。  そこで埼玉県は、国と地方とがいたずらに財政戦争を行うことによって東武伊勢崎線の複々線化がおくれれば、結局混雑が響いて迷惑を受けるのは地域住民であります。そういう立場から、複々線化に伴う利子補給のうち、国が二分の一、地方自治体が二分の一という地元負担分を引き受けることに了承し、第一号議案として、昭和五十一年度の埼玉県一般会計予算案の中に盛り込んで県議会に提案しておりますし、これは借金で行うという債務負担行為でやるということ、このような福祉行政の現場である地方自治体は、住民の要望と財政需要にどうしてもこたえなければならないという使命感と責任との板ばさみの中で、先ほどから住民サイドに立たなければならないという、財政戦争のひずみを地域住民や国民に押しつけるわけにまいりませんので、ひとつ地方住民の財政需要にこたえられるようすべきであると思います。  そういう点につきまして、現在の行財政の仕組みのままでは将来の行政硬直化の要因を大きくするだけであります。そこで、どうしても抜本的な行財政改革というものが叫ばれるわけでございますから、この東武伊勢崎線の複々線化の問題について、財政当局の御決意なり今後の対応についてお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  299. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまの埼玉県に関連をいたします私鉄の増線工事費の負担問題でございますが、前回でございましたか、先生から御質問がありまして、前の財政局長がお答えを申し上げておりますが、そのような意味で私も状況を存じ上げております。  こういったやり方そのものにつきましてはいろいろ問題点があろうかと思いますが、実際の問題として、国の各省も関連をいたしましてそのような事業の実施が行われるようになったという事柄は、事実として私どもも明確に受けとめなければならぬだろうと思っております。  こういった負担をいたしますこと自身は、本来地方財政上の性格といたしましては、埼玉県のおやりになりますいわば単独事業、こういうことで認識をすべきものであろうと考えますが、現実にその生じました負担によって、これは五十七年以降になりますけれども、県財政に非常にしわ寄せが寄るとか、そういう事態になりますれば、その財政の事態を踏まえながらどういう措置をとるか、財政状況を見ながら検討をさせていただきたい、このように考えております。
  300. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  301. 小山省二

  302. 折小野良一

    ○折小野委員 今日の大変厳しい地方財政の中におきまして、現在地方自治体はそれぞれの公共事業をやろうといたしておりますし、また、やることが要請をされております。乙の公共事業につきまして、それは景気対策だからやれ、もちろん地方自治体といたしましても景気がよくなることを望むわけでございますから、まあそれもそうでしょうかということになるわけでしょう。しかし、それにつきましては、今日大変財政的に厳しい。そしてまた、これは借金でやるにいたしましても後年度負担が残っていくわけでございます。そういう中におきまして、地方自治体はとにかく公共事業をいろいろとやらなければならない。また、やろうといたしておるわけです。  この公共事業につきまして、自治省としましては、何のために地方自治体はそれをやらなければならないのか、あるいはやるべきであるのか、どういうふうにお考えになっておりますでしょうか。  と申しますのは、もっとはっきり申しますと、最近のいろいろな施策というものは、余りにも景気対策振り回され過ぎておるんじゃないか。地方自治体がいま行おうとしておる公共事業は景気対策のためなのか、あるいはそれぞれの地域住民の福祉のためなのか、こういうような疑問があるわけでございます。少なくも所管する自治省としましては、これらの公共事業を実施する自治体の態度といたしましては、それが何のために行わるべきか、そういう点につきましてはっきりした指導の方針というものを示すことが必要じゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。自治省のお考えを承りたいと思います。
  303. 首藤堯

    首藤政府委員 先生も御案内のように、地方行政でもって扱っております事業を景気対策の面等から考えてみました場合に、二つ種類があろうかと思います。  一つは、通常公共事業的なもののように、国と同一の基盤、それに立ちまして景気対策上の問題も含め、かつまた、その事業の実施による住民福祉の問題も含めて、やはり国と地方が協力をし合いながら実施していかなければならないと思われます。  それからもう一つは、やはり地方行政でございますから、住民の日常生活に密接に関連をいたしておりますたぐいのものにつきましては、これはもう景気のいかんにかかわらず住民のためにどうしても実施をしなければならぬ、こういう分野のものがあろうかと思います。主として単独事業等はこういっ面に該当するものが多かろうかと思うわけでございます。  それにいたしましても、現在地方財政は、その大部分をやはり広い意味での税収入ということに頼りますものですから、やはり経済の安定とその適度の成長が必要であり、また住民生活のためにも望ましい、こういう観点に立ちますと、できるだけ景気浮揚策として今回取り上げられております公共事業につきましては、地方公共団体もこれに協力をして、その地域に事業を実施することによって住民福祉とともども景気の浮揚、こういう目的を果たしていく、こういう態度であってしかるべきではないかと、このように考えております。その意味で、公共事業の施行促進につきましては地方団体もまた協力をしてほしい、こういう考え方を私どもとっておりまして、公共事業に対する起債の充当率等のかさ上げ措置を行っておりますのは御案内のとおりでございます。
  304. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに両面があるだろうと思います。そしてまた、地方財政といえど国の景気によっていろいろと変動があり、これに対して無関心ではおれない、これは地方といたしましても当然そうだと思いますし、それが現実的な考え方であろうと思います。しかし基本的には、やはり地方自治体がみずから公共事業を行うのはその地域住民の福祉の向上のためにということでなければならない、そういう基本的な立場というものを踏まえて仕事をやっていく。これに対しまして景気対策としていろいろな協力を要請する、こういうことはあったにいたしましても、やはりその基本を忘れてはならないんじゃなかろうか。したがってまた、自治省といたしましても、ただ単にこれは景気対策だからやれということでなしに、やはりそれをやる自治体がみずから地域住民のための事業であるのだ、こういう立場でその事業に取り組み、あるいはその事業の選択をやっていく、こういうことが大切なことじゃなかろうか、こういうふうに考えます。  これは私の偏見かもしれませんけれども、最近自治体のいろいろな仕事が国の景気対策にむしろ振り回されておる、こういうような懸念を私自身が感じますので、ちょっと申し上げたわけでございます。  ところで、地方行財政と申しますのは、これはもう申し上げるまでもなく地方自治を伸ばしていく、その中において地域住民の福祉を向上させていく、こういう基本的な立場に立って運営されていかなければならないわけでございます。したがいまして、いまの財政という問題にいたしましても、当然そのためにあるべき姿というものがなければいけないのじゃなかろうか。ただ単に、景気がよくなって財源が多くなれば仕事をたくさんやれる、財源がなくなって苦しくなれば借金してでもやむを得ない、こういうようなことでなしに、やはり本来の地方自治というものをやっていく上において地方財政というものはこうなければならない、こういうあるべき姿というものをはっきり打ち立てていくことが必要なのじゃなかろうかというふうに考えます。そして、その地方財政のあるべき姿、これを具体的に示していくものは、いまの制度の中においては、これはやはり地方財政計画じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。もちろん、地方財政計画というものは地方交付税法の中に規定されております一つ制度でございますから、本来は必ずしもそういう意図をもってできた制度ではなかったと思っております。しかし、だんだん地方財政計画というものの機能と申しますか、これに対する期待が大きくなってきておる、これが現状だと思います。  そういう点からいたしまして、地方財政計画というものは地方財政のあるべき姿をこの中に表現すべきものだ、こういうふうに考えておりますし、また、今後の扱いとしましてそうあるべきものだ、そういうふうに考えるのですが、自治省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  305. 首藤堯

    首藤政府委員 全く御指摘のとおりに私どもも考えております。  当該地域の行財政、自治体が財政運営をします場合に、もちろん自治団体でございますから自主的に判断をいたしてまいりますが、やはり行財政のあるべき姿というものが示されて、そういったものを参考、標準にしながら、地方団体がそれぞれの自主性を発揮していくということが最も望ましい、このように考えております。  ただいま御指摘のように、そういったような見地から、ただいま、地方財政計画が毎年度の標準的な地方財政の姿、財源措置のあり方、あるいは行政内容等につきまして、一応の姿を明らかにいたしておるのでございますが、これに御指摘のようにあるべき姿、こういったことも加えながら地方財政計画が策定されること、これが最も望ましい姿ではなかろうかと私も考えておりまして、御説に全く賛同でございます。
  306. 折小野良一

    ○折小野委員 今後地方財政のあるべき姿を地方財政計画の中に盛り込んでいく、国全体といたしましてはそういうことで一つの目標が定まってくるだろうと思います。個々の自治体にとりましてはまた個々の自治体の行財政のあるべき姿というものがあっていいわけでございますし、自治法上、市町村におきましてはいわゆる長期計画を立てるということが義務づけられております。  ところが、この長期計画も、最近のように経済の変動が大きくなってまいりますと、一たん立てた計画も現実と非常に乖離したものになってしまう。ところが地方自治法上は、その計画を立てるときには議会の議決を経て立てなければならないということになっておりますが、後の措置、これについては何ら規定されていないわけでございます。ある時期においてはマスタープランをつくることが一つ地方自治体の流行みたいになって、各自治体においてはほとんどそれができております。ところが、去年からことしにかけましての経済の変動の中でその計画自体が大きく変わらなければならない。ところがこれを具体的に変更をする、見直しをしたり練り直しをやったり、そういうことをやることが果たして現実に行われておるかと申しますと、計画は立てたわ、後は野となれ山となれと申しますか、そういうような状態でほうってあるのが現状じゃなかろうかというふうに考えます。  したがいまして、こういう面につきましては、やはりせっかく立てる計画でありますならば、将来にわたりまして一つの目標になるものでなければなりませんし、そういう意味においてはそれぞれ情勢の変化に応じて変革もしていかなければならない、変更もやっていかなければならない、練り直しもやっていかなければならないということじゃなかろうかと思いますが、そういう面についての御指導、そういう面はどういうふうにお考えになっておられますか。
  307. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように地方団体それぞれが長期的な計画を立てまして、それに基づいて行政の骨子、重要な施策というものを決めて計画的に実施していく、これは非常に望ましいことだと思っております。それからまた、ただいま御指摘のように、非常に大きな経済変動にさらされましたために、財政の見通しがなかなかむずかしくなって、いませっかく立てました計画につきましても、それの変更等について地方団体が戸惑っておる、こういう事態があることも私承知をいたしております。  そういった現在の時点では、激しい経済変動という時点で計画の修正等はなかなか困難な面もあろうかと思うのでありますが、一言をもって申し上げますならば、長期計画を立てました場合に、それの実施計画的なものを二年なり三年なりに一度ずつ、たとえばローリングシステムみたいなかっこうででもよろしゅうございますが、見直しをやりながら、見込み得る財源ということも片一方に見込みを立てながら、その持てる力をどのようにこれに対応していくか、こういった計画事態に応じてなるたけしげく、実行計画として改定をしていきながら事業を実施していく、こういうことが望ましいのではないかと思っております。私ども、いろいろ起債等の財源措置そのほかを考えます際も、そのような計画に基づいて行われております事業等については援助をできるだけいたしたい、このように考えております。
  308. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、地方自治の進展のために、そして地方行財政というものが一つの目標をもって計画的に運営されることが望ましいと思います。  ところで、その地方財政計画につきまして、これは実は前に一遍御質問をいたしたのでありますが、去年からことしにかけまして交付税総額地方財政計画に置く、こういうことになってまいりました。それだけ、さっき申し上げたように地方財政計画というものの位置づけというものが大きく期待されるようになった、こういうことでございますので、そういうような事態、そして今後の地方財政運営上の方向という面からいたしますと、この地方財政計画というものを地方財政法上の制度としてもっと明確に、一般的に位置づけることが必要じゃないかということを申し上げて、まあ大臣検討しようというふうにおっしゃったのですが、財政局長として事務当局としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  309. 首藤堯

    首藤政府委員 先生も御承知のとおりに、この地方財政計画策定の歴史的因縁が、例の地方財政平衡交付金に端を発しまして地方交付税法に移ってまいりまして、地方団体措置をすべき財源の額を測定するというのが最初のスタートでございましたものですから、地方交付税法の中に規定がされておる、こういう歴史的因縁があるのはもう先生百も御承知のとおりでございます。  この地方財政計画が近年非常にウエートをまた高めてまいっておりますし、最近のような事態になりますと、地方団体財源措置をすべき所要額の測定にもまた機能を発揮し出したという御認識は、まことにそのとおりのことでございまして、そういった意味からでは、やはり国と地方との財政の基本関係を示します、本来ならば地方財政法の中にあるべきものではないかという御説も、十分にわれわれとしても首肯できるのでございます。  しかし、いずれにいたしましても、歴史的因縁から地方交付税法の中に入っておりまして、これも法律ということでございまして、そこに明定をされておるという意味では法律上のものであるという価値と申しますか、位置づけにおいては、法的には同じではないか、このようにも思われますので、先生指摘のように、地方財政法の中に規定をされておるようなウエートのあるものだというような立場に立ちまして、今後この地方財政計画の策定に対しては、なお一層意を用いてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  310. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、昨年からことしにかけましての経済の変動によりまして、交付税というものが、その制度の趣旨からいたしまして、その制度が崩れてきたと申しますか、あるいはその機能が低下してきたと申しますか、そういうような状態になってまいっておるわけでございます。五十年度非常に大きな財源不足を来した、そして五十一年度もまたそれを上回る大きな財源不足を来しておるわけでございます。そして、先ほど来いろいろと質問もありますように、五十二年度以降につきましても、交付税というものが地方団体の財政上の期待に十分こたえ得ない、こういうような状況あるわけでございます。  こういうような情勢になってまいりますと、当然交付税そのものも変えていかなければならない、また、関連する地方財政制度そのものについてもいろいろと見直しをしていかなければならないということになってまいろうかと思います。当然それを予測いたしまして、交付税法の第六条の三ですか、第二項に、こうした場合においては行財政に関する諸制度の改正あるいは交付税税率の改正を行うべきものであるということが規定されておるわけでございます。この規定に基づきますと、当然五十二年度はいろいろな形における改善が行われなければならない年である、こういうふうに考えてよろしいわけですね。
  311. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、交付税法六条の三でございますかにございます規定の精神から考えてみましても、五十年にすでに財源不足が起き、五十一年度財源不足があり、それから五十二年、今後の動向にもよりますが、やはり非常に大幅な財源不足が見込まれるというような事態、これが続きますれば、やはりその条項に基づいて、制度改正であるとか交付税率であるとか、こういうものについて見直しを行うべき時期に当たってきた、このように観念すべきだと私も考えております。
  312. 折小野良一

    ○折小野委員 先ほどの御答弁によって、来年度そういう面については一歩を踏み出す、こういう御答弁があったわけです。その一歩についても幅があるわけなんでして、私どもできるだけ大きな幅の一歩を期待しておるわけなのですが、その一歩というのは、この法律では税率の改定というのが一つ挙げられております。それから行財政の制度の改正ということが挙げられておりますが、どちらの方向に向かって一歩を踏み出そうというふうに考えておられますか。
  313. 首藤堯

    首藤政府委員 制度の改正、交付税率の問題、いずれも相互に絡み合って非常に関係があると思います。たとえば、制度の改正と申しますと、事務配分の問題もございましょうし、負担区分の問題もございましょうし、あるいは地方税制度、国税制度も含めまして税制度の問題もございましょうし、こういう問題もございますし、それとともに、そういったある程度制度改正とかみ合わせました場合においても、しからば交付税の率をどうするか、こういうことも問題があろうかと思います。それぞれの分野について相互に関連をし、要するに現在の時点では地方の一般財源を増強していくということに重点が置かれるべきだと思うわけでございますが、そのそれぞれについて非常にそれぞれ大きな問題があろうかと思いますので、いろいろ方策を探求いたしますとともに、なるたけ、ただいま御指摘がありましたように、大きな幅において改正を着実に実施をしていくように努力をいたしたい、このようなつもりで申し上げたのでございます。
  314. 折小野良一

    ○折小野委員 その幅をもう少し具体的にお尋ねをしたいと思います。  まあ恐らくいまの状態で率を何%にするとかあるいはどういう税金を新たに設けるとか、そういうことはおっしゃれないだろうと思います。  この交付税法の基本的な考え方の中には、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を損なわないように措置をするというのが、この交付税に期待された制度の目的であるということでございます。そういう点からいたしますと、五十年度、五十一年度の財政措置、いわゆる借金で穴埋めするというこの措置は、決してこの基本の方針に沿った措置ではない、こういうふうに考えます。  そういう点からいたしますと、その一歩の幅は、少なくも財源不足地方債の特例措置で埋めるようなことはもうやらない、五十二年度はそういう事態にはならない、その程度の幅を持った一歩である、こういうふうに考えてよろしいですか。
  315. 首藤堯

    首藤政府委員 いろいろの御指摘を賜ったのでございますが、いずれにいたしましても、まず前提といたしましては、五十二年度地方財政全般の見通しが、今後、秋等の経済情勢の変更等も踏まえまして、どういったかっこうになってくるか、これは第一問題だと思います。それから、国、地方を通じまして、やはり中期展望にもございますように、ある程度税源等の充実、これもいろいろ研究をされなければならぬ問題だろうと思います。それから、そういった場合に、充実をされました税源地方団体にどの程度配分をするのか、こういっことも問題だろうと思うわけでございます。かてて加えて、補助負担金制度等につきましても、いろいろ修正すべき問題点があろうかと思います。  こういった問題をすべて含めまして最も適実な措置ということになろうかと思うわけでございまして、その組み合わせがどういうかっこうになってまいりますのか、これはただいまの時点では申し上げようもないのでございまして、地方制度調査会そのほかにも十分御討議をいただきながら、そういった線にのっとりまして私どもとしては渾身の努力を続ける、こう申し上げるよりほかただいまちょっとお答えの申し上げようがございません。
  316. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな面を考慮し、そしてまた今後のいろいろな情勢を判断をいたしまして努力をされる、これは当然なことだと思います。しかし、この交付税法の規定が期待をいたしておりますのは、健全な地方自治の運営ができるように、その機能を損なわないようにということを期待をいたしておるわけであります。そういう点からいきますと、いろいろな方法がございますでしょう。それらの方法をいろいろ勘案をしていくということになろうかと思いますが、その結果としましては去年、ことしのような地方債の特例措置で穴埋めしなければならぬという事態はもうなくなる、こういうふうに考えていいのではありませんでしょうか。それが当然なんじゃありませんでしょうか。
  317. 首藤堯

    首藤政府委員 地方財政の機能を阻害をいたさないということは、所要の一般財源、これを確保していくという趣旨であろうと私どもも理解をいたしております。したがいまして、そのような考え方に立ちまして、できる限り交付税、税を通じました一般財源を増強し、その機能を全うならしめる、こういったことを目標に置きながら努力をいたしたいと考えております。
  318. 折小野良一

    ○折小野委員 一般財源によってその不足は完全に補われるというふうに理解していいわけですね、一般財源によって。
  319. 首藤堯

    首藤政府委員 一般財源によりまして所要の措置を講じていくということを目標にいたしまして努力をいたしたいと思います。
  320. 折小野良一

    ○折小野委員 私どもの普通の判断からいきますと、一般財源というのは通常税か交付税かということですね。それでよろしいわけですね。
  321. 首藤堯

    首藤政府委員 一般財源はもちろん通常の大宗といたしましては税、交付税、こういったものでございます。
  322. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、地方交付税法は毎年改正がされるわけなんです。その地方交付税法の一つの目標といたしまして、行政運営の基準になるようにという一つの目標があるわけであります。これは、交付税制度の中にあります地方財政計画もその一つであろうと思っております。そしてまた、この中に毎年改正されますいわゆる単位費用、これなどもやはり本来は一つの行政の基準が示されるべきものだ、こういうふうに期待された制度なのじゃなかろうかというふうに考えます。しかし、実際の運用から見てみますと、この単位費用というのはその年その年の単なる計算上の一つの資料にしかすぎないのでして、現実にはこれが行政の基準になるというものじゃ決してないわけでございます。特に本年度の改正の場合におきましては、一部従来交付税で見ておりました事業費を起債の方に振り向ける、こういう措置がとられまして、その分だけ単位費用が減額されておる、こういうことになっております。と申しますと、従来はせめてその単位費用がどういう状況で上がっていったか、ふえたか減ったか、こういうような点も一つの基準になり得たのですが、今回のようなこういう措置を考えますと、この単位費用というのは全然行政の基準になり得ない、単なる計算の基礎にしかすぎない、こういうふうに考えざるを得ません。むしろこういう単位費用というのは一つの行政の基準として運営さるべきものじゃなかろうか。もちろん、最近のような経済の変動が大幅にございますと、それは変わってまいります。しかし、それはいわゆる物価係数というようなものによって調整していけば済むわけでございまして、むしろ法律で掲げられます単位費用というのは一つの行政の基準としての役目を示すべきものじゃなかろうか、そういうふうに考えるわけでございます。  この点につきましては、今後いろいろと検討していただかなければならない面も多いと思いますが、自治省といたしまして、この法律で掲げられた単位費用というものを一つの行政の基準にする、こういう考え方で今後考えていかれるおつもりはないかどうか、お伺いしたいと思います。
  323. 首藤堯

    首藤政府委員 地方交付税の単位費用が地方交付税の適正公平な配分を保障する一つ制度でありますとともに、また一定の水準行政を確保するのに必要な財源を渡すという基準になりますので、その意味では先生指摘一つの行政の基準を示す、標準を示すというものであってしかるべきものであるということは、私もそのとおりだと思います。ただ、若干修正をしなければなりませんのは、基準収入が一〇〇%主義でございませんので、その分だけの若干の一般財源の割り増し、これは加味をして標準的なものが出てくる、こういうことであろうかと思うのでございます。そういった意味では、一般行政のあり方につきましては、単位費用がしかるべき実体的な基準を明確に示し、また現実の問題と余りかけ離れないものであってしかるべきものだ、こう考えております。そのことに対する一つの保障といたしましては、私ども地方財政計画そのものをもちまして全般の財源不足額の算定並びにこれに対する財源対策というものが総額として決まってまいりまして、その財政計画に基づきまして交付税配分が行われます。その際に財政計画を基準にして単位費用そのほかが出てまいりますので、そういった意味では両者ともつながりが持ち得るのではないか。  ただ一点だけ、今後の政策問題、あり方等も含めまして議論をしなければならぬと思いますことは、投資的経費に対します単位費用の問題でございますが、これは投資的経費そのものが全部一般財源で実施をされてしかるべきものだということには必ずしも相なるまいと思います。地方債の活用というものがあってしかるべきだと思いますので、地方債をどの程度投資的経費に活用し、財政運営をしていくべきか。また、そういった場合には当然地方債の償還に要します財源等も今度は将来の経費に算入さるべきでございますけれども、そういうものも含めてその付近の考え方をどうやっていくのか。従前幾たびか変遷がございまして、地方債をなるべく活用するという時代、それからなるべく地方債を減らして一般財源にすべき時代、いろいろ時代の変遷がございましたが、そういうことについてはその時期に応じた考え方がとられようかと思いますが、一般行政費につきましては先生の御説まことに当然のこと、このように考えております。
  324. 折小野良一

    ○折小野委員 それをやらなければ意味がないと思いますよ。これを出しますのには、細かい計算をしてそしてこの数字が出てくるのですけれども、しかし結果的には、現在のところは総額に合わせて金の配分をするための計算の尺度にしかなっていないわけなんです。ですから、せっかく細かな計算をして出しておられるのですから、これが一つの行政運営の基準になるような、そういう運用の仕方というものをこの制度の中で考えていくべきじゃなかろうか。端的に言って、さっき申し上げたように物価の関係は物価係数というようなものを掛けていけばそれで済むことだ。したがって、それを改定する、単位費用を改めるというのは、ただ単に金が変わっていくからそれを改めるというのではなくて、行政の重点をそれで示していく。たとえば清掃関係が大切であるならばそこに経費がよけい計算をされる、こういうようなことになってまいりますならば地方行財政運営の一つの基準になり得るのじゃないか。せっかく巧妙精緻と言われる交付税制度でございますから、これが地方自治体の行財政の運営に本当に活用されるということが大切なことじゃなかろうかというふうに考えております。せっかく法はそれを期待をしておりながら、現状は余り活用されていない。ましてこの単位費用というようなものは毎年毎年単なる計算の基礎として改められるにすぎない。これじゃ活用のしようがない、こういうことじゃなかろうかと思います。この点については、ひとつ今後この交付税制度の抜本的な改善につきまして十分御検討をお願いをいたしたいというふうに考えます。  次に、地方財源の中で税に次いで大きな財源になっておりますのはいわゆる補助金です。この補助金制度につきましても、これまでいろいろと意見も出されておりますし、また今日問題もたくさんございます。この補助金制度をより合理的なものにしていくために、いわゆる事務再配分というような問題がございますが、なかなかそれには時間がかかるわけでございまして、その過程におきましてその方向に向かってのいろいろなやり方というものがあろうと思っております。昨年の暮れに出されました地方財政審議会あたりの意見におきましても、総合補助金制度というものを考えてみたらどうか、こういうような意見も出ております。またそのほかに、零細な補助金であるとかそういうようなものを一つ一つにまとめて、もう少し効果的に運用するような、そういう制度というものを考えていったらどうか、そういう意味における第二交付税制度というものは一つの今後の考え方じゃなかろうか、こういうような意見等もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在の補助金制度を改善する過程におきまして、総合補助金制度、こういうものに対する自治省としてのお考えを承っておきたいと思います。
  325. 首藤堯

    首藤政府委員 国庫補助金につきまして改善をすべき問題点が数々あるということは、私どもも常日ごろ考えておるところでございます。特に零細補助金あるいは目的をすでに達成をしたような補助金、それからえらい細かく仕分けをしました補助金、こういうものの存在がかなり地方自治行政そのものに実際上の制約になってあらわれてくる、こういったことは実態としてあり得るわけでございまして、こういったものをできるだけ統合をしていくあるいはメニュー化をしていくと申しますか、一定の目的のために出した補助金はそういう総合的な目的のためなら具体的な扱い方は地方団体の自由に任せる、こういったようなことが自治権を強化する点から非常に望ましい、このように考えております。それからさらに、零細であるとか不用であるとかいったような補助金等であれば、いっそのことこれを廃止をしてしまって一般財源振りかえる、地方交付税等に振りかえてしまう、こういったことも思い切った措置として望ましいことではないかと常日ごろ私ども考えておるわけでございます。  こういった問題点について今後、やはり制度の改正等を私どもも要望してまいりたいと考えておるわけでございますが、御案内のように、補助金そのものにまつわりますむずかしい問題が数々ございますので、いろいろ問題点もあろうかと思いますが、基本的な問題として今後私どもとしては、そのような方向努力をしていきたいと常日ごろ思っております。
  326. 折小野良一

    ○折小野委員 まあひとつ、一遍に理想的な制度をつくるということは現実になかなかむずかしいことでもございますし、それにはいろいろな抵抗があったり時間がかかったりいたします。ですから、できるところから手をつけてやっていくべきじゃなかろうかと思います。特にいまの御意見にもございました、地方の自主性を尊重する、そういう立場からいたしますならば、この補助金制度につきましてもあるいは起債の制度につきましても、運用上もっともっと考えていいことは多いのじゃなかろうかと思っております。特に最近のいろいろな問題の一つの原因が、中央と地方との相互不信感といいますか、そういうところにあるわけでございます。そういうようなところから、補助金にしても起債にしても細かに厳しく規制をしていこうというような態度をとられる。これに対してますます地方の方は、それに対する反発を感じていく、こういうようなことで、地方自治の健全な発展を阻害をするという面があろうかと思います。むしろ一定の枠でそれぞれの自主制に任せる、そしてそこに責任のある執行を期待をする、そういうことの方がより地方自治の進展のためにはプラスになると私は思います。そういう面からいたしますと、現在の補助金の中におきましてもすでに、零細補助金であるとか、同じ目的のためのいろいろな補助金とか、その全部でなくても一部でも、これを総合して交付するという余裕はあろうかと思います。そういうような面からでもひとつ手をつけていただくようにお願いをいたしたいと考えております。  それから、地方財政の問題につきまして、今日の地方財政危機の原因は何かというような議論がいろいろございます。しかし、現実にその地方財政を考え、そして地方財政を再建する上において避けて通ることのできないのは、やはり人件費の問題だというふうに考えております。そういう点から、人件費に関する二、三の御質問を申し上げたいと思っております。  最近、人件費問題がいろいろと地方自治体の関心を引くようになってまいりました。そうしてまた、現実に人件費に取り組んでいろいろな模索が行われておる現状は、自治省の皆さんもよく御存じのことだと思います。そういう中におきまして、たとえば横浜市であるとかあるいは福岡県であるとか、そういうようなところが、やり方はいろいろ違いますが、実質的な定年制に通ずると言われるようないろいろな制度を考慮しておるということ、たとえば一定の年齢に達しました場合においては昇給を延伸をするとか、あるいは一定の年齢に達して退職を勧奨した場合にそれに応じなかった場合には、その後の退職手当についての優遇措置を中止をするとか、いろいろな方法がございますが、そういう方法が最近地方自治体の中に広がってきつつございます。こういう動向につきまして、まず自治省におけるそういう動向に対する評価、これをお聞かせをいただきたいと思います。
  327. 植弘親民

    植弘政府委員 そういった人件費をめぐる各地方団体の動向というものにつきましては、先生指摘のとおりでございまして、当委員会でもすでに何度か御論議賜っておりますが、地方公務員の年齢構成といいましょうか、職員構成といいましょうか、そういう実態に着目いたしまして、新陳代謝を図り、そうして公務能率の増進に資したいという要望が非常に強いわけであります。もちろん、地方団体は御承知のように三千ございますから、一概に言えない面もございますし、それぞれの団体がそれぞれの立場で、自分のところの職員構成に着目して知恵を出し合っている現状でございます。  問題は、定年制という問題が非常にいろいろな観点から取り上げられておりますものの、なかなか実現を見ておりませんために、各地方団体では勧奨退職の制度を多く採用しているところでございますが、何と申しましても、この退職勧奨という制度は、最後は本人の自発的な意思によって決定するものでございます。したがいまして、勧奨に応じてやめていく職員と、やめないでそのまま残っていく職員といったものの中にはいろいろと不均衡も発生する、こういったような観点もございます。したがって、各地方団体では、そういった勧奨退職制度が円滑に機能し、そうして結果的には公務能率の増進に寄与できるという立場から、いろいろなことで、いま先生指摘のように、一定の年齢を過ぎた場合には昇給の面で考えるとか、退職手当の計算の方法で考慮するとか、こういったような制度がとられているわけでございます。  私どもといたしましては、やはり一概にどうということは言うべきでないと思いますが、それぞれの団体の実情に即した形で、現行の法律の許す範囲内で、そういった効果の上がる適切な措置が講ぜられることが望ましいと考えております。
  328. 折小野良一

    ○折小野委員 これらの運用につきましては、いろいろと問題もあるようでございます。しかし、こういうようなことが現実に起こってきておるということ、これは、公務員給与のその給与体系の基本にかかわる問題じゃなかろうかと思うのであります。国家公務員にしても地方公務員にいたしましても、基本的な給与体系は一緒なんですけれども、それは、いわゆる年功序列型の賃金体系であります。そのために、年をとって能率が落ちても給与は高くなっていく、あるいはそうなると退職金も多くなっていく、こういうようなところに一つの原因があるわけでございます。したがいまして、定年制を設けるかどうかということよりは、むしろ、基本的に公務員のこの年功序列型の給与体系に対する見直しというのがこの際必要になってくるのじゃなかろうか。もちろん現在の制度はほとんど国家公務員と地方公務員と同じような制度になっておりますから、国家公務員ができなければ、地方公務員だけというわけにはなかなかまいらないという面もあろうと思います。しかし、地方公務員は必ずしも国家公務員に準じなければならないということもない。しかし、いずれにいたしましても、今日国家公務員であろうと地方公務員であろうと、公務員に対する給与体系、この基本である年功序列型というもの、これに対して一つの大きな見直しの時期に来ておるのだ、こういうふうに私ども判断をいたすわけでございます。したがって、この基本的な面からの検討をぜひお願いをし、そういう面からの根本的な改革というものをやっていくべき時期じゃなかろうか、こういうふうに考えております。いかがですか。
  329. 植弘親民

    植弘政府委員 まさにいま先生指摘のような考え方は最も参考と申しましょうか、正当なお考えの一つであろうかと思っております。  申し上げるまでもなく、国家公務員におきましても地方公務員におきましても、職務給の原則、いわゆる職務と責任に応じた給与制度をとるべきであるという命題が戦後の新しい公務員制度で打ち出されているわけでございますが、御承知のように、わが国の労使関係の特色とされておりますところの終身雇用制度、あるいは年功序列型賃金体系、こういったような特色が民間にも公務員部門にもございまして、そういう点を考慮いたしまして、国家公務員法でも地方公務員法でも、そういった職務給の原則というものを速やかに実現するように努力すべきであるという目標が掲げられております。  現実問題としては、そういったわが国の特殊な社会経済の実態あるいは従来からの仕組みによりまして、いま先生のおっしゃる点は多分そこらにあるのだろうと存じますが、なかなかうまくいかないわけでございます。しかしながら、御指摘のように、私どもといたしましても単に定年制度とか勧奨退職だけで事足れりとせずに、やはり給与旧制度の根本にメスを入れるべき必要性のあることは十分感じておりますが、やはり国家公務員との関係は当然大事にしなければなりません。十分人事院あたり、総理府人事局あたりとも意見を交換しながら、そういう点の解明にも努力をさしていただきたいというふうに考えております。
  330. 折小野良一

    ○折小野委員 ひとつこの際、人件費の基本的な問題につきまして十分御検討をお願いし、抜本的な改善をやっていただきたいと思います。  それとともに、これもやはり同じ人件費の根本に関することでございますが、国家公務員も地方公務員も原則は職階制によって給与のランクづけがなされておるわけでございます。ところが、この職階制というものも現在いろいろな形で崩れてまいっております。その崩れの一つが渡りの制度というようなことで、地方公務員の給与につきましていろいろと非難をされておる一つの現象なのでございます。しかしそれだけでなくて、現実には制度の運用の中において、いろいろな面ですでに崩れてきておるわけなのであります。ある地方公務員に言わせますと、それは国家公務員もやっているじゃないか、こういうふうなことも言われるわけであります。したがって、こういう面につきましても今後根本的にやはり改善をしていただく必要があるのじゃなかろうかというふうに考えます。  まず、制度といたしまして、職階制を打ち出したいまの原則的な給与体系、それが出された当時におきましては、手当について管理職手当というのはなかったはずなのです。ところが、その後管理職手当というものができてまいりました。職階制というのは当然にその職務の忙しさとか、その職務の責任とか、こういうものを十分給与に反映をさせるという趣旨でできておるわけであります。ですから、それが十分その本来の趣旨に沿った格づけというものができておるならば、当然に管理職手当というのは要らないはずなんです。それを途中から管理職手当というものをつくってきた。これがやはり現在の職階制の原則を崩す一つの原因になったというふうに思うのですが、いかがですか。
  331. 植弘親民

    植弘政府委員 基本的には、先生のおっしゃる点、十分傾聴に値するのでございます。職階制というものは、先ほどもちょっと触れましたが、新しい公務員制度のもとにおきまして、メリットシステムの基本原則にのっとりまして、国家公務員につきましても職階法が現に制定されておるわけでありますが、これは現実には機能いたしておりません。そして、いわば給料表という形、給与準則の形におきまして職階的な立場がある程度貫かれておるというのが現状の姿でございます。そういったような経緯がございますために、御指摘のようにそれほどいまの給料表体系が職階的なものとして職務給的な、職務と責任に応じたものという区分けに合っていないのはおっしゃるとおりでございます。  また、いまいわゆる渡りという問題を御指摘でございましたが、本来、職務給的な制度がはっきりといたしますならば、一つの職務については一つの給与が決まりますから渡りという制度は存在しないわけでありますが、やはり現実問題といたしましては、はっきりとした職階制的、職務給的な原則に基づいての制度が行われておりませんために、現実問題としては運用の幅において、たとえばいま御指摘のように国家公務員にも渡り的なものがあるようでございますが、その点国家公務員におきましては、人事院がちゃんと職務分類表によりまして職務をはっきりと決めておりますから、形は渡り的なところがございますが、実際は職務をしっかりと人事院が認定して決めております。そこのところで運用が乱に流れないようにいたしております。   一方、地方団体の場合も、そういうふうにいわゆる職務の内容に応じてはっきりと規則をつくって運用しているものもございますけれども、場合によりまして、いわゆる渡りというものにつきましては一般の職員が係長級を超えて課長級までも昇給できるような、そういったような制度が行われておるのが普通であります。そういう点が、私ども地方公務員の給与制度ないしはその運用の適正化について地方団体にお願いしているゆえんのものでございます。  それからまた管理職手当につきましても、実はおっしゃるように当初はございませんでした。本来職務給的な給与が確立されておりますとすれば、管理職にある者には現在の管理職手当的なものが本俸の中に当然組み込まれるべきでございますから、先生指摘のように、管理職手当という存在はないのかもしれません。ところが実際は、やはり生活給与的なものと職務給与的なものとコンバインさして、いわば調整した形で現在の給与制度がとられたために、人事院では管理職といいましょうか、特に重要な管理、監督の地位にある者については特別な手当を出すといういまの制度を生んでいるものと思います。しかし、これはあくまで職務給の原則を貫く限りはやはり変則的といいましょうか、本来のものではないんじゃないのかという感じがいたします。そこらの点も先ほど御指摘の基本的な問題を考える際には十分にあわせて検討しなければならない問題だと思っております。
  332. 折小野良一

    ○折小野委員 国におきましても、昔は部長、課長課長補佐、係長、これぐらいが主な職務であった。ところがその後、審議官とか参事官とか調査官とか、いろいろな名前のつく役職というものがだんだんふえてきました。結局、地方において二等級が課長だとしますと、課長でない二等級がたくさんふえる。ただ、これには名前がついてないというだけのことであります。こういうような名前をつける、これは実際仕事の上の必要もあるんだと思いますけれども、また一面には、この職階制の一つの隠れみのというような意味においてこういうような役職がたくさんできてきたというふうに考えていいんじゃないかと思います。そして、今後もやはりそういうような傾向は多くなっていくんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。ところが、こういうふうなものをちゃんと規定すればそれは渡りではないということになってくるわけなんです。ですから、小さな市とか小さな町村で審議官とか参事官とかいうのをつけるのはおかしいので、そういうものはつけませんが、しかし同じ課長の等級にしておる、これと別にそう大して変わりはないんじゃないかというふうに考えます。ただ、そういう名前をつけたからそれは是認される、名前をつけないから是認されない。これはおかしいんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  333. 植弘親民

    植弘政府委員 そういう御指摘もまことだと存じます。国の場合をここで私が余り批評的に申し上げる立場じゃないと存じますが、実際に人事院が人事院規則によりまして職務分類表を示しております場合には、相当厳格な形で運用しておるようでございます。問題は、単に脱法的といいましょうか、名前をつけるだけで逃れようとするのじゃなしに、本来の職務の実態に照らして職務分類表の趣旨に照らした、厳格な運用でなく、精神の問題がやはり基本的には必要だろうと思います。現実に私ども地方団体の場合でもいろいろ問題にいたしておりますのは、単に似たような立場の者を現実に職務を分類した上で、分析した結果に基づきまして一職務二等級ぐらいの格づけをしておる場合でしたら、これは明らかに地方団体によりましても相当な理由がある場合が多いと思います。しかし、現実には、そういった分析の結果でなしに三等級にも渡るといった事例が多うございますので、そこらの点は十分適正化のために地方団体に御努力願いたい、こういう考え方でございます。
  334. 折小野良一

    ○折小野委員 しかし、こういう問題は、結局職階制というのがわが国の社会になじまないんだということに一番大きな原因があるんじゃないかと私は考えるわけです。職階制の趣旨からいきますと、ある人をここで課長にする、しかしその人がある時期からその課長の職に耐えられない、あるいはそのほかの人の方がもっとその課長として適任だということになれば、その課長はやめてもらうということになります。そうしますと給与が下がる、あるいはそれは左遷だ、あるいは下げられたのだ、こういうことになるわけです。こういうのがやはり日本の社会通念上余り割り切って見られない、こういうようなところにやはり一番の原因があるんじゃなかろうかと思います。ですから、それをうまく動かすようにしなければ、結局課長は固定をしてしまう、役職者が固定をしてしまう、それが結局事務能率の向上にかえってマイナスになっていく、こういうような面もある。そういうような点から、やむを得ずこういうような措置をやっていく。ということは、職階制というものをそのままやっていくというのは日本の風土にどうもなじめない、こういうところに一番の原因があるんじゃないかと思っております。したがいまして、この職階制というようなものにつきましてもやはり根本的に改めていかなければならない、もっと考え直すべきじゃなかろうか。職階制を貫くならば変なやり方をやらないで、それを貫いていくべきだと思います。しかし、どうしても職階制がいけないと言うんなら、これは基本的に職階制そのものの原則をやめてしまって、そうして日本の社会に合うような制度を考えていく、こういうようなことが必要だと思いますし、そういうことのためには、やはり今日はこういう問題も基本的に考え直し、見直す時期に来ておるんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。いかがでしょうか。
  335. 植弘親民

    植弘政府委員 御指摘のように、職階制法が国家公務員について制定公布されましてからもう三十年近く、二十五年ぐらいたっておりますが、やはりいま先生指摘のようなわが国の社会的風土といいましょうか——いわゆる職階制は申すまでもございませんが、職務が先にございまして、その職務に人を当てはめるというのが職階制の基本原理でございますが、わが国の場合は、人がありまして、その人に職をつけるという考え方が基本であるという意味におきまして、先生指摘のように、やはり本質的になじまない何かがわが国の場合にはあるのじゃないだろうか。それが現に二十数年たっておりましても完全に施行されてない原因ではなかろうかと私ども推察いたしておるところでございます。いずれにいたしましても、確かに地方団体の側にのみこの給与の問題を問いかけるだけではなしに、私どもの立場におきましても、人事院ないし国におきまして国家公務員の給与制度を基本的に考えられるところは考えていただいて、それに準じて地方公務員の給与制度も基本的に考えていくべきであるという点は全く同感でございます。
  336. 折小野良一

    ○折小野委員 やはり人件費の問題は非常に大切な問題でございます。したがいまして、今日、地方団体もそれぞれの立場でいろいろと努力をいたしておるわけでございます。国においてはまた国の立場において、基本的な問題についての十分な御検討をお願いをいたしておきたいと思います。  それから、今回の法案におきまして新産都市、工業整備特別地域、これにつきまして財政上の特別措置を今後五カ年間延長する、こういうことになっておるわけでございますが、新産都市と工特地域の整備の状況、これをまずお伺いをいたしたいと思います。簡単で結構でございます。実質的な達成率、特に人口あるいは工業出荷額あるいは環境整備の実情、こういう面についての達成率をひとつお知らせをいただきたい。
  337. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  新産業都市、工業整備特別地域の建設整備につきましては三十九年以来各地区の基本計画がございまして、それに基づきまして建設整備を進めてきたわけでございます。何分計画が十数年前に策定されたという事情がございまして、その後の経済情勢の変化等を主といたします環境の変化があったわけでございまして、したがいまして、計画の数字と実績をそのまま比較するということは必ずしも適当ではないと思うわけでございますが、仮にいま御指摘のございましたように、実質で比較をするということをしてみますと、工業出荷につきましては、実質で見ましてほぼ目標の数字に近いわけでございますけれども、しかし、やや目標の数字を下回っているということがございます。  また、施設整備のために投下された金額でございますけれども、これを実質で見ますと、これは目標をかなり下回っているという状況にございます。  また、人口でございますが、人口は一部の地域につきましてはほぼ目標を達成しておるわけでございますけれども、大多数の地区におきましてはまだ目標に達していないという状況でございます。  さらに、施設整備の中で、生活関連施設それから生産関連施設というふうに施設を分類いたしまして、その実績を見てまいりますと、最近では生活関連施設に対します投資の比率は次第に上がってきておりますけれども、全体といたしますれば、生産関連施設に比べまして生活関連施設の投資額がややおくれをとっている、そういった状況でございます。
  338. 折小野良一

    ○折小野委員 新産、工特が、建設が始まりましてもう十年になるわけでございますが、この制度ができた当時におきましては、結局過疎過密に歯どめをかける決め手というようなことで、この制度は大変もてはやされたわけでございます。したがって、これらの制度の基本的な考え方、いわゆる拠点開発方式、これがその後の過密過疎をなくする一つの戦略ということで、当時の政府の基本的な考え方でもあったわけでございますが、その後の経過の中におきまして、この当時とられた拠点開発方式に対するいろいろな疑問が出てきた。そして今日ではやはり拠点開発方式というのは余りよくはないんだ、こういうようなことで、現在政府の基本的な開発の考え方は拠点開発方式を否定をする、こういうようなことになってきておるというふうに聞いておるわけでございますが、いかがですか。
  339. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  新産業都市あるいは工業整備特別地域の開発を進めてまいりますということによりまして、人口並びに産業の地方分散を図るとい目的をこの整備の途上において達しつつあるわけでございますけれども、しかし、現在の人口の増加状況等を申しますと、いわゆる三大都市圏での増加が多いということの結果、人口の分散化は必ずしも達成されていないという御批判もあることは聞いております。ただ、たとえば人口をとってまいりますと、全国の人口の中で、この両整備地域の占める割合は若干ながら増加しておる。また、ごく最近の時点をとりましても、全体の増加率よりははるかに高い増加率で増加している、こういった状況にございます。  今後の地方分散を進めていく考え方は、基本的に現在新全国開発総合計画、三全総の策定作業でも検討されておるわけでございますけれども、新産、工特を軸といたしました拠点開発の考え方、これによりまして地方分散を図るという考え方は、やはり基本的には変わっているわけではございませんので、これを軸といたしまして、現在まだ未整備の生活関連施設でございますとか、あるいは工業につきましても、臨海性のいわゆる装置産業の比率はかなり上がってきたわけでございますけれども、雇用吸収の高い機械工業の比率はまだ十分でない。したがいまして、現在でき上がりました工業集積を基盤といたしまして、それに関連をした産業の発展を進めていく、そういったことによりまして、さらに一層の人口の集積をふやしていくということができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  340. 折小野良一

    ○折小野委員 最近十年とか十二年というのは短い期間のようでもありますし、またしかし、その間の変化というものも非常に大きいわけでございます。したがいまして、新産、工特についてのいろいろな考え方が出てくる、これももっともなことだというふうに考えるわけでございますが、先ほどの達成率のお話でもありましたように、目標に対しましては少し残っておるということのようですが、しかし、その残っているものの中で生活環境整備あたりの関係が大分たくさん残っておる。それから、新たにこれらの地域における公害問題、こういうような問題が当初予定した以上に問題が出てきておる、こういうようなことを承知をいたしておるわけでございます。  したがいまして、今度五カ年間延長されるわけでございますが、この五カ年間につきましては、そういうようなところを特に重点的にやっていただく必要があるのだと思いますけれども、ちょうど三全総の見直しの時期でもございますし、三全総のまとめと、恐らくその中に含まれるであろうこの新産、工特の扱いと申しますか、そういう面について何か具体的な方針がございましたら伺っておきたいと思います。
  341. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  三全総の中で新産、工特をどう位置づけていくかということにつきましては、地方分散、人口の地方定着化ということを一つのねらいとしております三全総の中でいま検討を進めている段階でございますので、長期的にはその検討の中で考えられる問題かと存じます。また同時に、地方都市の整備ということ、これは新産都市あるいは工業整備特別地域に含まれる都市もこれに含まれるわけでございますけれども、その地方都市の整備構想の中でも、長期的に検討されているという段階でございます。ただ、今度五年間延長された場合には、その新産都市、工業整備特別地域の各地域の基本計画は、当然新しい観点からこれを立てていくということになると思われるわけでございますが、その際には、ただいま先生の御指摘になりましたいろいろな問題点、特に地域別にもいろいろその問題点は違っておりますが、そういった点を十分踏まえまして、それぞれの地区の特性を踏まえまして問題点を踏まえた上で計画を立てていく、そういうふうにすべきであろうというふうに考えているわけでございます。
  342. 折小野良一

    ○折小野委員 そういうことで今後進めていただかなければならないと思いますが、今度五カ年間延長されました。これで打ち切りだ、こういうふうに考えてよろしいのですか。
  343. 富永孝雄

    ○富永説明員 現在ございます新産都市の計画は十年前にできたわけでございまして、十年という期間の中で建設、整備を進めていくということを考えたわけでございますが、その建設、整備にはかなり長期を要するということはあるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、当初の目標と比べて現在の実績を見てまいりますと、まだ未整備の点、十分に目標を達成されてない点があるわけでございます。したがって、この五年間の間には、その未整備の点を十分カバーしていくように考えたいと思います。  その五年後のことでございますけれども、現在三全総で検討しております長期的な構想の中で、五年後どうするかということは考えていくべきではないかというふうに考えているわけでございます。
  344. 折小野良一

    ○折小野委員 戦後いろいろな開発が行われてまいりました。それらが制度としてできていきますときには、各方面から非常に期待をされて出発をする、ところが、いつの間にやらそれは形だけであって実質は消えていってしまう、こういうようなことで今日に至っておるというのがわが国の戦後の開発行政じゃないかと思っております。  私は、新産とか工特とかはむしろ五年後にはもう打ち切るのだというはっきりした目標を立てて、この五年間に集中をして、生活環境とか公害とか、そういうものをやってしまう、そういうことでこれに対する扱いをやっていただきたい。これをただずるずる延ばしていって、何が何かわからなくなってしまうというふうにしてもらいたくはないのであります。その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  345. 富永孝雄

    ○富永説明員 先生の御指摘の点を十分踏まえまして、今後の基本計画の策定の際に反映していくようにしたいというふうに考えているわけでございますが、長期的に新産、工特を後どういう形で地方分散、地方都市整備の考え方につなげていくかということにつきましては、現在ほかの部局で検討しているわけでございまして、その検討の中で長期的なあり方が考えられるのではないかというふうに考えております。
  346. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、新産、工特につきましては、ひとつ終わりを全うさせる、そういうような気持ちで指導その他をやっていただきたい、こういうふうに考えます。  以上をもって終わります。
  347. 小山省二

    小山委員長 次回は、明二十八日水曜日午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十九分散会