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○
田中委員長 これより会議を開きます。
日本輸出入銀行法の一部を
改正する
法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
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○横山
委員 輸出入銀行の質問なのでありますが、どうも最近あわただしい雰囲気が国会を取り巻き、そして私どもの質問にまともにお答えになっている心境なのか、別のことをいつもお考えになっておるような気がしてならぬのであります。こういうことでは野党の私どももまじめに本当に質問する気がなかなか出てまいりません。それで、
委員会を開けばそこで政府並びに各自民党の首脳部に本当に審議をやってほしいのですか、そう言って聞かざるを得ぬのであります。
大蔵大臣もまたその点について同様であります。あなたがきのう、おとといおっしゃったことが、私ども野党にしてみれば、何だ、それじゃあさってのことを考えておって、われわれの審議に対して根本的に物の考え方、立場、あり方が違うのじゃないかという気がしてならぬのであります。大蔵大臣として、いまのこの国会にあります財特法なりあるいは国鉄なり電電なり重要法案がいま会期末にある。そうして伝え聞くところによりますと、臨時国会は開かぬ、そして会期延長はしないことになっている。そうだとすれば、大蔵大臣の心境やいまいかん、こういうふうに私どもは考えざるを得ないのであります。
輸出入銀行について御質問をする前に、一体あちらのこと、あさってごとばかりをどうも言っていらっしゃるようだけれども、当面するいまのこの国会の運営についてどうしておられるのか。主張されております財特法の成立なり国鉄なり電電の運賃、料金について財政の責任者としてどうしてほしいのか、それを率直に聞かしていただきたいと思います。
-
○大平国務大臣 財政、経済、長い不況、しかも深刻な不況から国民生活と国民経済、中央、地方の財政を救い出さなければならない重要な段階でございます。それに全力投球いたしまして微力を傾け尽くさなければならぬ立場にあることは仰せのとおりでございまして、私は自分を顧みて、力は弱うございますけれども、その努力を怠っておるとは考えていないつもりでございます。年内に予算の編成を終えて一月二十三日に予算案を御提出申し上げて、予算関係法案につきましても早目に国会に御提案を申し上げて御審議をお願いいたしてまいったわけでございます。私の微力のゆえをもちましてなかなか満足のいく御答弁はできないかもしれませんけれども、それは私の能力の不足でございまして、私の誠意の不足ではないのであります。
ただ、私も政治家の一人でございまして、当面の政局につきまして意見を求められる場合もございます。所見を述べなければならぬ場合もあります。しかし、そのことあるがゆえに国会の審議を厘毫も怠ったつもりはないわけでございます。そういうことをしては大変だと考えておるわけでございます。もしそういうことがあったとすれば御指摘をいただきたいと思いますが、私はそういうことをしたことはないと確信をいたしておるわけでございます。
財特を初めといたしまして、御提案申し上げました法案に昼夜を分かたず最後まで御協力、御審議をちょうだいいたしておることに対しまして、厚くお礼を申し上げますとともに、残された期間はわずかでございますけれども、最善を尽くしまして皆さんの熱心な審議にこたえまして審議を尽くし、その終点におきましてすべての提出法案が御理解と御支援を得まして成立の運びになりますよう、心から念願をいたしておるのが私のただいまの偽らない心境でございます。
-
○横山
委員 遠慮しておっしゃるけれども、私は長年存じ上げている大平大蔵大臣が、誠意はあるけれども能力がないとは思っていません。あなたは誠意もあり、かつ能力もある人だと思います。ただ、そうであっても、大蔵大臣として国会に提案をしたことがうまくいっていない。宮本武蔵じゃないけれども、どんなに一生懸念にやってもそれがうまくいかなかったときの責任を人間はとらなければいかぬということわざがあるわけであります。あなたがときどき、財特が成立しなければ云々という話をなさるとかなさらぬとかいう話がございますが、私は、誠意も能力もあるのだけれども、なおかつこれがうまくいかなかったときに、それは天災地変だ、おれに関係ないことだ、おれに責任はないことだと言うばかりでも済まされない問題があるのじゃないかということが一つ。
それからもう一つは、最後まで一生懸念にやるとおっしゃるけれども、それはもう二十四日を前にして空な御返事だ。二十四日を前にして、もはや会期の延長もしない、直ちに臨時国会もしないということになれば、全部パアになっているではないか。それを大蔵大臣としてどう考えるのか、こう聞いているのであります。
それからもう一つあわせてお聞きしたいのは、何かあなたはみそぎをみんなやれ、こういうお話だそうであります。どういう意味でおっしゃったかよくわかりません。つまり三木総理以外の自民党の首脳部は全部役職を退陣してみそぎをしろというお話をなさったやに新聞が伝えております。それは一体どういう意味なんでありましょうか。要するにその首脳部の中に黒い高官がおる、ないしはピーナツの共同責任をみんなが一遍受ける、そういう意味なんでありましょうか。また本当にあなたは、自由民主党の首脳部、政府の首脳部、派閥の首脳部は全部一遍みそぎをやれとおっしゃったのでありましょうか。なぜそのことをおっしゃったのでありますか、その心境を伺いたい。
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○大平国務大臣 私は、財特法につきまして、国会におきまして与野党を通じて御理解が進み、衆議院で成立を見、参議院の最終段階に来ておるわけでございますが、この法律は必ずや国会の理解を得まして成立を見るものと確信いたしておるわけでございまして、この法律が成立しないというような状況はみじんも考えていないわけでございます。
それから、第二の問題でございまして、二十四日までもう空な時間ではないかという御指摘でございますが、横山さんの御意見でございますけれども、賛成いたしかねます。二十四日まで残された時間、非常に大事だと考えておるわけでございます。この残された時間に最善を尽くして成果を上げなければ相済まぬと考えております。
それからみそぎ論でございますが、私は、大体みそぎというのは、一遍身を清めると言いますか、そういうことでございまして、罪深き人間というのは、しょっちゅうそういうみずからを清めて、新たな決意で新たな課題に真剣に取り組む心の用意が必要でないかと思うのでございまして、自由民主党もそういう気持ちでやらないといけないのじゃないかという私の心境を語ったわけでございまして、それ以上のものでもなく、それ以下のものでもないのであります。
-
○横山
委員 余人ならばいざ知らず、またほかのときならばいざ知らず、期せずしてあなたと福田さんが、片一方はみそぎ論、片一方は、だれがやってもロッキードは追及をする、変わりはないということをおっしゃったことには、それぞれやはり、単にみそぎはきれいな気持ちでいつも政治をやらなければいかぬということではないと私どもが判断するのは当然であります。あなたも一党の派閥の首領であり、かつ総理大臣の候補者の一人であることは、万人ともに認めるところであります。その人がこの時期に、この条件のもとに、それぞれの派閥の首領はこの際、みそぎの気持ちで引退をしろ、離職をしろと言う意味は、それなりの戦略的な物の考え方がおありだろう。それはあなた自身でなくて、自由民主党はこうあるべきだという、そういう戦略的な強い一つの信念と申しますか、自分自身の問題ではなくて、自由民主党が、また政局がこうあるべきだというお考えで言われたものと私は思い、また新聞もそう受け取り、期せずして福田さんとそれが符合が合ったわけであります。ですから、まあいまあなたのおっしゃったようなことで、ああそうですかと言うわけにはまいりません。
しかし、これは押し問答してもなんでございますが、もう一度一つだけお答えを願いたい。みそぎというものがいまの自民党のあるべき、あしたあるべき方向を示したもの、その内容というものは、伝うるところによりますと、一遍みんながやめて出直す、こういう意味でございますか。
-
○大平国務大臣 きのうとかきょうとかあしたとかいう問題ではなくて、いつも身の処し方はそういう気持ちで事に当たらないといけないのではないかということを申し上げたわけでございまして、戦略というようなこととは無縁でございます。
-
○横山
委員 一遍出直した方がいいということは、要するに私も大蔵大臣をやめるというふうに受け取るわけなんであります。それをお答えを受けようとは思いませんが、しかし、そういう気持ちでなければみそぎという意味は通じないと私は思います。そうすると、心中深く決するところがあると私は思います。大蔵大臣が心中深く決するところがある、そしてみそぎを人に言う以上は、自分がやるというふうに思います。
そういう心境だと推察をするあなたに、大蔵大臣としてお伺いをしたいのですが、このロッキードの国税庁に関する問題は大蔵大臣として時々的確に報告を受けておられますか。国税庁におけるロッキード汚職、脱税等の調査結果については随時適切に報告を受けておられますか。
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○大平国務大臣 随時報告を受けております。
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○横山
委員 その随時受けておられる報告はかなり重要な部面が含まれておると私は推察をいたします。この間も二回にわたって私はあなたにその件について一つの意見を申し上げておるところでありますが、国民の納税者の心理から言いましても、稻葉法務大臣が適当な機会に中間発表をしてもいいのではないかと思っておると同様に、大蔵大臣として、国税庁の調査の状況、その結果について、納税者の信頼にこたえ得られるように、また国会から何回も聞かれておるという点をも含めまして、適切な時期に適当な方法で国会に中間的な御報告をなさるお気持ちがあるかどうか伺いたいと思います。
-
○大平国務大臣 政府の調査、捜査というものはいま鋭意進渉を見ておるところでございまして、中間で発表するということによりまして、その調査、捜査というものに支障があり得ることは横山さんも容易に御想像いただけるかと思うのでございまして、どのように国民が関心がございまするロッキード事件の政府のやりました調査結果並びに調査内容につきまして報告ができますか、いつやるべきかというようなことにつきましては非常に重大な問題でございますので、これは私の一存でいまお答えすることは御遠慮いたしたいと思いますけれども、捜査あるいは公判というようないろいろな関連が出てまいりますことを考慮しなければならぬし、またしかし、同時にあなたの言われるような世論の反応というものも政府としては考慮しなければならぬことも当然だと思うのでございまして、諸般の立場から、どのように取り扱うべきかにつきましては政府部内でよく考えなければならぬことと存じますということだけのお答えにきょうはとどめさせていただきたいと思います。
-
○横山
委員 ぜひ御検討を願いたいと思うのであります。
考えますに、検察庁、法務省は、発表はしないとは言いながら、新聞、テレビでごらんのように、かなり世論の動向に気を使いながら、そして大体どういうふうに問題が進展しているかについての示唆をしておると私は思うのであります。つまり、ある意味の発表をしておる。そして法務大臣も国民に対する間接的な私話のようなかっこうで、ロッキード問題の推移についてある意味で報告をしておると思うのであります。そのことは、ロッキード問題と申しますと、国民にとってはその政府高官を刑務所へ送るというような、そういうことより以前に、もっと身近な、私どもの納税という問題で最も反発を感じておるわけでありますから、納税というこの問題において信頼感を減殺されることのないように、国税庁並びに大蔵省としましては、ロッキード問題と税金について国民の信頼を失うことのないような、世論に対する報告、世論に対する結果の発表を、一定の条件、一定の時期、一定の方法を考えながら、いまお話しのような慎重な方法で結構でございますが、それがいままで少しもなさっていらっしゃらない、そんな感じがするわけであります。この際、ひとつ十分検討をして、適当な方法を考慮せられるように要望したいと思いますが、いかがでございますか。
-
○大平国務大臣 御趣旨は承りましたので、よく検討をさしていただきます。
-
○横山
委員 それでは輸銀の法律について若干の質問をいたします。
この法案は「
日本輸出入銀行の業務の円滑な運営に資するため、借入金等の限度額を引き上げるとともに、外貨債券を発行することができることとする」とあります。いまこういう内外の経済情勢の中で、この法律を提案しなければならない積極的な経済条件、積極的な輸銀の条件は何でありますか、まずそれから伺います。
-
○田辺政府
委員 御案内のように、目下わが国の経済政策の基本は、景気の着実な回復を軌道に乗せる、それによって雇用の安定を図っていく、こういう局面にあるわけでございますが、幸いにして、最近の指標を見ておりますと輸出がかなり伸びております。いわば、輸出がある種の先駆者となって経済の回復を引っ張っているような感じもいたしますが、ただ
日本輸出入銀行は、通常の消費財等の輸出ではなくて、延べ払いに対する金融というものを主にしておるわけでございまして、大型のプラントであるとか、あるいはまた海外の投資案件であるとか、そういうことについての融資をやっているわけでございますが、最近の各国からの引き合い、商談、打診、そういうようなものがかなり多くなってきております。しかも一つ一つが大変大型になっております。現在の、輸出入銀行の五十一年度の予算、資金計画によりますと、貸付の予定計画としては一兆一千一百億ということにしております。その中で、輸出関係が五千八百六十億円ということになっておりますけれども、この大型の商談、引き合いが具体化してまいりますと、これは競争の問題でございますから、各国とも競争しておりますから、現在の法律のもとにおきましては、その融資の枠というものは自己資本の額に縛られておるわけでございます。ただ、この比率というものは、これから長期に見ましても、この比率をそのまま維持していくためには、毎年相当多額の増資を余儀なくされるわけでございまして、今年度の場合におきましても、この枠がかせになりまして、せっかく回復の基調に乗りつつある輸出の動向というものに対して水をかけるというようなことになる可能性があるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、年度の途中におきましてこの融資枠を突破するというようなことがございましても、これは財政投融資の方は弾力条項によりまして機動的に対処することができるわけでございますけれども、この法定限度、割合について修正が加えられておりませんと、そこでストップせざるを得ない、こういうことになる、これを恐れているわけでございます。
-
○横山
委員 輸出の問題に関連をいたしまして、いま直面をいたしております問題の中で、朝鮮民主主義人民共和国との決済が非常に悪化をしておるということがもうここしばらくの間続いています。いま平壌で日朝貿易会の相川理一郎専務
理事が朝鮮国際貿易促進
委員会首脳との間でその打開の道が、交渉が行われておるのでありますが、この問題につきまして通産省に伺いたいのであります。
〔
委員長退席、
山下(元)
委員長代理着席〕
いまの日本の朝鮮民主主義人民共和国に対する債権残高はどのような状況になっていますか。
-
○
新井説明員 お答え申し上げます。
債権残高のとらえ方はいろいろございますけれども、輸出保険という立場からその責任残高というベースで見ますと八百億円強になっております。
-
○横山
委員 八百億円、実に膨大な債権残高であります。それらは一体いまだれが負担を、リスクを負っておるわけでございますか。短期案件と延べ払い案件とあるわけでありますが、業者がすべてそのリスクを負っておるのか、銀行に肩がわりがなっているのか。どこでその八百億を超える貸出残高を負担しておるわけでありますか。
-
○
新井説明員 この責任と申しますか、危険は、第一義的には債権者、つまり手形につきましては銀行、それから通常の延べ払い案件に関しましては、商社あるいはメーカーが負担しております。
-
○横山
委員 私の知るところでは、短期案件では七百六十億ばかり銀行がリスクを負う。延べ払い案件一年以上でありますと、残余になりますか、それだけのものが銀行なりあるいはメーカーなり、商社が負担をしておる。そしていまなおこの打開の道が混沌としておるということはきわめて重大な問題でありましょう。そうだとすれば、なぜ一体輸出保険の請求が出てこないのか、また通産省はこの問題をどう考えておるのか、伺いたいと思います。
-
○
新井説明員 保険請求が出てまいらない理由については、恐らく輸出者といたしましてやはり北朝鮮との貿易関係を維持したいというふうな観点から、まず北朝鮮側と代金支払い問題につきまして十分に話し合いを行いまして円満な解決を図りたいと考えておるのではないかと思います。
-
○横山
委員 それはもう一般的なお答えであろうと思います。まあそういうことだろう。早く話がついて、そうした円満な解決があって共和国に払ってもらうようにありたい、期待したいということはそうでありましょうが、しかし、この八百億を超える債権残が、どう考えても速急に話がつくとは思いません。伝え聞くところによりますと、これだけの八百億になんなんといたします債権残高を共和国側は全部二年延長してもらいたい、その利子は七%にしてもらいたい、こういう要望をしておるそうであります。七%と言えば、日本側の標準金利九%といたしますとそれだけの損害がもろに出てくるわけでありますし、二年間のこの延長を日本側がそう簡単にのめるとも思われません。そう考えますと、現在民間ベースで共和国と交渉しているその交渉の成り行きを、一体政府はどう見ているわけでありますか。
-
○
新井説明員 私どもといたしましては、代金支払い問題の話し合いができるだけ早く解決することを期待しておりまして、そのために相川専務
理事がいま北朝鮮に行っております。その交渉の結果を見まして、その後の方針を考えていきたいというふうに考えております。
-
○横山
委員 いま交渉の最中でありますから、その交渉に影響を与えるような質問をし、また回答を得るということはなるべく私は避けようと思って慎重な質問をしておるわけでありますが、いずれにしても、これは何らかの解決をしなければなりますまい。もし決裂をすれば、この保険の請求をまた仮にするとすれば、政府は保険は支払うが、日本と共和国との貿易はこれで数年にわたってとんざしてしまうことになりそうなことはもう言うまでもありません。それをお互いに望まないとしたならば、双方とも何らかの譲歩をして妥結をしなければならぬと思います。
そこで輸銀にお伺いをしたいのですが、この債権残の中に輸出入銀行が融資をしておりますものがどのくらいございますか。
-
○澄田説明員 輸出入銀行が朝鮮民主主義人民共和国向けの輸出延べ払いに対しまして貸し付けをしておる、融資をしておるその残高は、ことしの三月末で十一億円でござます。
-
○横山
委員 現在の状況、これから交渉がどうなるかわかりませんが、私は少なくとも貿易は継続さるべし、そしてお互い譲歩をして話をつけて解決の方向にいくべし、こう考えますと、あちらこちらでいろんなリスクを負担しなければならぬ、そういう状況の中で、よもやと思うのでありますが、輸銀がもう共和国向けの貸し付けはしない、そういうお考えはないでしょうね。
-
○澄田説明員 一般的に申し上げますと、輸銀といたしましては、具体的な融資の申請がなされた段階で、関係当局と緊密な連絡をとって案件の内容について審査を行いまして、そうして融資を決定する、こういうやり方をいたしておるわけでございます。
〔
山下(元)
委員長代理退席、森(美)
委員長代理着席〕
北朝鮮向けの輸銀の融資案件に限って申し上げれば、若干
元利払いの遅延というようなものが見られますが、一応支払いは行われてきている、こう申し上げていいかと思います。
なお、今後の融資につきましては、こういう状況を踏まえまして、もしそういう案件が将来出てまいりました場合にはよく検討をいたしたい、しばらく事態を注視してまいりたい、かように思っております。
-
○横山
委員 最後にちょっと意味深長なことをおしゃるのですが、しばらく注目をしたいというのですか、ということは、共和国向けの輸銀の金については後ろ向きになるという意味なんですか。私は、こういう条件であろうけれども、恐らく話はつくであろうから、まさかとは思うけれども、こういうことがあっても輸銀がこの共和国向けの融資について十分な考え方を、従来どおりの考え方を持つべきだと言っておるのですが、この意味でお答えを再度お願いしたい。
-
○澄田説明員 注視をしてまいりたいと申しましたことは、まずはいま話し合いが行われておる、そういう状況を踏まえて申し上げた次第でございまして、そういう話し合いの状況等を勘案いたしまして、そうして今後融資の問題が出てきた場合には、関係当局と緊密な連絡をとってその処理をしてまいりたい、かように考えております。
-
○横山
委員 輸銀は、お金を貸す商社なり会社の資本金だとかその態様によって、これ以下の会社には貸さぬという適格条件がございますか。
-
○澄田説明員 そのような欠格条件というようなものはございません。
-
○横山
委員 それならばお伺いをいたしますが、ソビエトでもあるいは朝鮮民主主義人民共和国でも中国でも、伝統的に友好商社方式を大なり小なりとっておるわけであります。その友好商社方式といいますのは、御存じのように、前からとにかくそれぞれの国とおつき合いをしておる、その古い友達を大事にするということで、これを窓口にして貿易を中国が行う。ところが、その友好商社はまだそんなに大きくない。だから友好商社が向こうと、たとえば中国と話をつけて、それじゃこれを取引いたしましょうとなって、友好商社がおたくへ行っても、おまえさんのところは小さいからだめだ、私どもの対象ではないと言われたそうであります。もちろん友好商社でもピンからキリまでございますから、全部が全部やれと言っているわけではありません。しかし、友好商社というものの歴史的な経験と、それから中国側の信頼の厚いといいますか、そういうところは、資本金がどのくらいであれ、あるいはまた経営内容が充実しておれば、優に輸銀の対象になってしかるべきではないか。私は特に名前は出しませんが、その友好商社が中国側と話がついたときに、おまえさんのところはだめだから、大手商社に貸すからそこから輸銀の金を使ってくれという話になったそうでありまして、大変残念がっておるわけであります。その点について何か反省か
改善の余地はございますまいか。
-
○澄田説明員 輸出入銀行の融資は、企業のいかんによってというようなことはございませんで、これはまずは対象の案件の内容によるということでございます。それが輸出案件でありまして、そしてその内容が輸銀の融資の対象としてしかるべき輸出である、機械プラント等の輸出である、そういう場合におきまして、その内容審査をいたして、そうして融資の決定をいたすわけでございます。したがいまして、企業の規模が小さいというようなことによってその融資を否定するようなことはいたしておりません。ただ、当該企業に貸し付けるわけでございますので、その信用度等については十分考えなければならない、そして担保のいかん等につきましても、その企業によって確実を期するというような配慮は金融機関として当然しなければらなないところでございます。
いまお話しの友好商社、古くから貿易を開拓してこられてきた友好商社というような場合においても、いま申し上げましたような方針、原則に従ってこれを行ってきておりまして、事実、友好商社と言われるような企業や商社に融資を行ったというふうなケースもあるわけでございます。十分案件を見、そして当該企業の信用度というものも勘案しながら行っておるわけでございます。
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○横山
委員 ここで具体的、個別的なことを余りやってもいかがかと思いますし、あなたがいまおっしゃったことについて一遍よく分析をしたいと思うのでありますが、少なくとも中国側が友好商社方式をとっておる。その貿易が間違いないものであり、しかしその金額から言うならば、その友好商社が担保力に欠ける場合があると思うのですね。だからもうおまえのところはいかぬからどこか大手商社を連れてこいということにあるいはなったのか、それは知りません。知りませんが、結果としてその商売、取引はうまくいっておるわけでありますから、ほかの資本主義国との貿易とは違う友好商社方式、その伝統、その相手側の信頼というものを考えれば、格段別段の配慮をしてしかるべきではないかということをこの際申し上げたいと思うのです。
それから業界でうわさを聞きますと、輸出入銀行のお金は特定の大手商社に結果として——悪い意味ではないと、私はあえて冠詞をかぶせますけれども、結果として特定の大手商社が一番よく利用しておる。もう少し全体的な配分を、交通整理をお考えになってはどうであろうかという意見が潜在をいたしておりますことも、この際申し上げておきたいと思います。
次はベトナムでありますが、来月、統一されたベトナムの国会が開かれるでありましょう。そして統一国家としての諸般の手続をとると思われるのであります。この統一国家ができ上がりますれば、当然のこととして日本国、日本政府との間の交渉も始まると思われます。また当然のように新しい角度の貿易が行われることは言うまでもありません。
そこで、まず通産省にお伺いをいたしますが、従来の北との輸出保険、南との輸出保険、統一されるベトナムとの輸出保険、それぞれの輸出保険の扱い方はどうであり、かつ今後はどうなるでありましょうか。
-
○
新井説明員 ベトナムにつきましては情勢が非常に流動的でございまして、現在は北のベトナムに対しまして慎重に対処するという以外は引き受けを停止しております。これをいかにすべきか、それは今後の情勢を見きわめまして、その上で決定をいたしたいというふうに考えております。
-
○横山
委員 大蔵大臣、いま
課長としてはいまの答弁しかできないと思うのでありますが、いま統一されるベトナム国家について国連からの援助、各国からの援助、借款、民間ベースにおける貿易、それがこの短時間の間に殺到していくと私は推定しています。
遠慮なく聞くのですが、政府は南ベトナムに対して百五十億の借款が残っていますね。この間臨時革命政府は、そういう南ベトナムに対する日本政府からの借款はわれわれは支払わないという声明をしたという話を聞いています。つまり日本政府は南ベトナムのゴ・ジン・ジエムやそういう政府に対してお金を貸して、その金でわれわれを攻めた、われわれの仲間を殺した、そういう借金を統一政府が継承しろと言ってもばかげてできるか、こういう気持ちのようでございます。突然の質問でなんでございますが、ただここで問題にいたしたいのは、そういう問題は存在するが、それと輸出入輸行の融資、それから輸出保険の適用、もうすぐ話題になってくるわけであります。そのことを切り離してお考えが願えるかどうかということを、大蔵大臣の御意見を伺いたい。
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○大平国務大臣 結論から申しますと、大蔵省の方に対しまして外務省その他から、その案件につきましてどのように取り扱うべきか、統一ベトナムについて、政府ベースにおいて、あるいは輸銀ベースその他民間ベースのおつき合いをどういう仕組みでいたすか、またバイラテラルにどうやるか、マルチの部面でどういうようにやってまいるか、そういったことはまだ御相談がございませんので、私の方から国会に御答弁申し上げるまでに熟した段階ではないわけでございます。ただ、きょうあなたからもそういう問題提起がありましたこと、そしてベトナムの新たな情勢に対応いたしまして、いずれそういった問題について政府といたしましても取り組んでまいって適正な処理をしなければならぬということは、私は考えなければいかぬと思っております。
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○横山
委員 恐らく大臣、外務省なりあるいは関係のところでは、私どもの気持ちは全然別なんですが、役所としては南に貸した金が統一政府が引き継いでもらいたいという理論をまずお立てになると思うのです。それは恐らく臨時革命政府は承知しないということに、私はもちろんなると思うのです。もしそういうことの話がつかない限りは輸銀の金も動かさない、輸出保険もしないということは避けた方がいい、私の意見はそういうことなんです。百五十億になんなんといたします南ベトナムに対る借款、これは国民の税金でございますからその扱いについて私もいま直ちに軽率な意見は申しません。しかしいま大事なことは、先ほど申しましたように、少なくとも統一政府が来月国会を開いて国家としての体をなし、そして全力を挙げて再建にかかるベトナム統一政府に対して、日本政府は一刻も早く外交の手がかり、貿易の手がかり、友好の手がかりをつけるべき条件下にある、しかもそれは日本政府ばかりではない、各国また国連が一斎にそういうふうに動き始めておる条件下にある。したがってそこを考えてみますと、わが国からベトナムに対する援助貿易等の有力な手がかりとなります輸出入銀行の融資、輸出保険、そういうものをその百五十億の交渉の条件にすることはお避けになった方がよろしい、こういうふうに勧めておるのですが、いかがでございますか。
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○大平国務大臣 いまそういう問題について具体的な御相談がまだないわけでございますので何とも答えようがないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたようにいずれそういった問題も含めましてどのような取り組み方をしなければならぬものか、そういった点はそこが問題になってくるのじゃないかと思いますので、きょう問題提起がありましたことは念頭に置きまして極力適正な処理をする方向で努力をするつもりでございます。
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○横山
委員 大臣にそういうお答えをしていただいた後で輸銀から聞くのはやぼな話でございます。しかし輸銀は理屈を申せば政府に関係なくケース・バイ・ケースで貸すのでございますから、いまの大臣の話は聞かなかったことにしてあなたの感想を伺いたいと思います。
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○澄田説明員 輸銀の融資の場合は、先ほどもちょっと申し上げましたが、融資案件が出てまいりましたときに、その対象について検討いたしました、その段階におきましては政府と十分に意見を調整いたしまして御相談を申し上げて、そして融資をするということにいたしております。実際問題として政府との連絡という点についてはこれは非常に重要なことでございますので、そのように心得てやっている次第でございます。いまの御指摘の点につきましてはいまの御意見等も伺いましたので、今後十分考えて対処していきたい、かように思っています。
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○横山
委員 いま輸銀が貿易等に融資をいたします金利はどのくらいでございますか。何か最近聞くところによりますと、輸銀も金利が上がるような話を聞いておりますが、そういうことが輸出振興に及ぼす影響も非常に大きいと心配をしている向きが多うございますから、金利の状況について今後の展望をもあわせて御説明を願いたい。
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○澄田説明員 輸銀の金利の体系は輸出あるいは輸入、海外投資それからいわゆる借款におきましても、政府ベースの借款とバンクローンとかバイヤーズクレジットというような形の輸銀独自の借款等によりまして異なっております。また対象の案件によりましてもそれぞれ基準を設けて行っております。その範囲は六%から九%という範囲が通常の範囲でございます。ただ現在の金利水準等によりまして実際に適用されている金利といたしましては七%から八%というところが、輸出を中心に申し上げれば現在の金利水準における通常の金利になっております。
-
○横山
委員 最後にもう一度通産省に返りまして、今度の共和国のような問題で、相手国が支払い不能で輸出保険を出して、そのために貿易がとんざをした過去の実例、特に資本主義国でなくて社会主義国や後進国や特殊な国、また国交のない国のそういう過去の実例を少し説明してもらいたい。
-
○
新井説明員 過去におきまして幾つかございますが、社会主義圏という観点からは現在までございません。それから国交のない国との間でも現在経験しておりません。現在まで経験しておりますのは数件でございますが、最大のものはインドネシアに対しまして数年前に起きましたものがございまして、現在それ以外にはリスケ中のものはチリ、ガーナ等ございまして、ザイールにつきましては目下交渉が国際的な場で行われております。
-
○横山
委員 それでは時間が参りましたので、輸出入銀行並びに通産省に対しましては、いま最後に申しましたベトナムの貿易について大蔵大臣は一度検討してみるというお話でございましたが、前向きに輸銀の適用、輸出保険の適用についてそれぞれ御検討をくださるよう要望して私の質問を終わります。
-
-
○
小林(政)
委員 今回の輸銀法の
改正は、借入限度額の拡大、あるいは外債の発行、あるいは協調融資を行う銀行の融資範囲の拡大、大きく分けてこの三本の柱から
改正が行われようとしているわけでございますけれども、私は特に短い時間で大臣に三つの問題についてお伺いをいたしたいと思います。
まず第一の問題は、借入金の限度額を今回自己資本の四倍から十倍にする、また貸付限度額及び保証限度額についても、これを自己資金の五倍から十一倍にする、こういうことが
改正の内容でございますけれども、輸銀の原資はこれはもういまさら言うまでもなく産投会計あるいは資金運用部資金、そして自己資金、こういうものから成っているわけでありますし、今回積極的な輸出の拡大という立場から貸し付け計画等を見ましても一兆一千億円の貸付枠の計画を立てておりますし、しかも輸出が五千八百六十億、八〇・九%の前年度に対する増額ということになっております。
私が一つお伺いしたいのは、このような今回の
改正が結局は資金運用部資金を輸銀を通じて集中的に企業に投入していく、こういうことになりますと、結局同じ資金運用部資金が活用されております政府の金融機関、その他のたとえば国民が住宅を建設するためのこの公庫の資金とかあるいは中小企業融資とか、こういったものに結局資金運用部資金というものがしわ寄せをされていく、こういった結果になっていくんではないか。資金運用部資金は今回国債だとか地方債の消化とかそのようなもので非常に窮屈になっていくという傾向が強まっているということも言われている中で、今回の限度額を大幅にここでもって輸出を促進していくという上でやられるということについては、これら中小金融機関その他の歯どめ政策といいますかあるいはまた資金運用部資金の配分問題等について、大臣は具体的にどのようにしわ寄せがいかないように措置を検討されているのか、この点をまず第一点としてお伺いをいたします。
-
○松川政府
委員 御案内のとおり資金運用部資金はその大宗が郵便貯金でありまた各種の年金である、非常に公共性の高いものでございます。したがいまして、この運用につきましては資金運用部資金法におきましても「確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめる」ということが目的としてうたってございます。この資金運用部資金が財政投融資計画を通じまして各般の目的に使われておるわけでございますが、私どもはこの配分に当たりましてはこの法律の目的に合致するようなことを常々配慮いたしてやっております。したがいましてその結果を見ますと、たとえば目的別に分類いたしましたいわゆる一−六分類、住宅であるとか生活環境、厚生福祉、文教、中小企業、農林漁業、こういったものにつきましての配分ができるだけ厚くまいるように、たとえば今五十一年度の予算をとりますれば、財政投融資計画の中で六四・一%はそういった直接的なものに配分されております。御指摘のようにことしは輸銀に対する配分が若干多くなっておりますが、これらはあくまでも全体のバランスの中でそれを考えながら措置をいたしたつもりでございます。
-
○
小林(政)
委員 歯どめ措置等について具体的な検討をされていますかということでお伺いをいたしたのです。政治的な立場で。
-
○大平国務大臣 輸銀法の
改正に関連してのお尋ねでございますが、今度の輸銀法の
改正は、御案内のように輸出が個々の商品の輸出と申しますよりはプラント類の輸出、船舶等の輸出にだんだん移行してまいりまして、いまの輸銀の仕組みでは対応し切れなくなりましたので、輸銀の融資、信用供与能力というものを拡大させていただこうということを考えたわけでございまして、これによって資金を輸銀に意図的に集中いたしまして、
小林先生御心配の中小企業あるいは国民生活の方への運用部資金の運用を圧迫するということを意図的にやったというようなものではございません。しかし、理財
局長が答弁いたしましたように、ことしの資金運用部の資金の割り当てにつきましては、輸銀に対する融資は、確かに資金運用部からの貸し付けはふえております。しかし全体の枠組みにおきましては、いま御答弁がございましたように資金運用部資金法の精神にのっとりまして有利、確実を旨といたしますと同時に、国民生活の需要に応じまして経済の政策の基本を生産から生活へ、成長から福祉へというような基本的な政策の方向を踏まえて、それを踏み外すことのないような運営、運用の仕方を政府は運用審議会の審議を通じてやってまいる決意でございます。
-
○
小林(政)
委員 私は、運用の面でいろいろと配慮していくということですけれども、具体的にやはりこの問題についての今後の展望も含めて歯どめの施策というものが必要じゃないかと思う。これは少し極端な考え方になるかもしれませんけれども、たとえばことしの五十一年度末の計画に基づきますと輸銀の自己資本八千三百一億円ですね。これを今回十倍まで借り入れができるようにするということになりますと、これは機械的な計算の問題でございますけれども、実際には八兆三千億円借り入れの枠が広がる、八兆三千億円も借り入れることができる、こういう数字が出てまいります。しかも五十年度末にはすでに資金運用部資金から二兆六千億円借り入れをいたしておりますから、結局その残の五兆七千億円があと借り入れ可能である、こういう数字が計算上では出てまいります。私はことしの財投計画も見てみましたけれども、資金運用部資金のことしの計画は九兆六千二百十九億円です。したがって、もしあと五兆七千億円、機械的計算で考えて、これが全部輸銀の借り入れ枠だということで、そういうことになれば、これはもうことしの財投計画、資金運用部資金の大半を占めてしまうというようなことになるわけです。ですから運用の部分についてはいろいろと配慮していく云々ということがあるでしょうけれども、しかし、このうち特に国債を保有していくということも資金運用部資金でやっていくわけですから、こういうことを考えますと、やはり何らかのたとえば基準を設けるとか、歯どめをどうするとか、配分はどういう基準でもってやっていくか、こういうことをひとつきちっと決めておきませんと、これからは資金運用部資金が窮屈になっていくという中で、結局好むと好まざるとにかかわらずある程度そこにしわ寄せがいくのではないかという危惧を持つのは当然だと思うのです。今後の長期経済計画の展望等も踏まえて具体的にこの基準というものを、ただ運用面でそのときそのときで適当に問題の起きないようにやっておきますなどというようなことではなくて、きちっとしたものをこの際決めておくことが当然ではないかということで、大臣に何らかの措置を検討されていますかということをお聞きをいたしたわけです。大臣答えてください。
-
○松川政府
委員 資金運用部の資金に対する需要は非常に各般にわたっております。ここでただいま御審議をいただいております輸銀法が通りますと、輸銀のサイドから見れば法律的にはそれだけの借り入れが可能になるというのは事実でございます。しかしながら、資金の配分に当たりまして、これは資金運用審議会の議も経、また予算総則に掲示いたしまして国会の御承認も得るわけでございますが、毎年毎年の配分に当たりましてどの程度をどうするかということは、そのときそのときに各般の財政需要を見ながら決めていかなければならないと思います。
そしてそのときに歯どめがないではないかという御心配でございますが、私どもは先ほど御説明申し上げました法律の目的の趣旨に沿うように、財投計画で申すならば一−六分類の方にできるだけよけい配分ができるようにということを頭に置きながら配分いたしていきたいと考えております。
-
○大平国務大臣 あわせて、
小林先生も御案内のように今度の
改正によりまして、輸銀は外債の発行権限をお願いするようにいたしておりますし、また協調融資をお願いする金融機関の範囲を拡大するというような方法によりまして新たな資金の給源を開拓するということで、資金運用部に過大な依存をしないという方向にも施策を進めておりますこともあわせて御理解をいただきたいと思います。
-
○
小林(政)
委員 五十一年度事業計画の五十一年末で調べてみますと、国民金融公庫は資金運用部からの資金が残高で二兆九百五十四億円、中小企業金融公庫は一兆九千七百四十九億円、輸銀は三兆一千六百四十六億円、こういう数字が出ております。私はただ単にこのような情勢の中で輸銀の融資枠をそれこそ自己資本の十倍にも大きく拡大していくという中でその主要な資金がいままで資金運用部資金であった、今後外債ということも出ていますけれども、しかしこの問題については大臣、国民金融公庫や中小企業金融公庫だとか、こういうところにしわ寄せがこの結果によっていかないというような何らかの措置を今後十分配慮していく必要があるのはないか、こういうことで私はいま御質問を申し上げているわけです。この点について前向きの御答弁をお願いいたしたいと思います。
-
○大平国務大臣 いまの制度の活用を通じまして資金の配分がバランスのとれた状態になるように運用を通じて配慮いたしますということは申し上げたことでございます。さらに、あなたは制度的にそういうチェックできる歯どめをつくれという仰せでございますが、そこまでは政府は考えていないのであります。何となれば、この輸銀の融資というものと中小企業あるいは国民生活の関係でございますが、これは輸出の振興あるいは国際交流の拡大ということを通じて雇用の維持あるいは中小企業の振興ということに至大の関係を持っておる金融でございますし、さればこそ政府の機関を通じましての精力的な金融をいたしておるわけでございますので、そのあたりは
小林先生におかれましても、輸銀の金融ということは国民生活と遠いところにいってしまうのではなくて、これは非常に国民生活と近接した関係にあるんだということもあなたは御理解いただかないと話にならぬと思うのです。
それでその点は御理解いただけるといたしまして、制度的な仕組みということにつきましては政府のいまからの運営の実績を御監視いただきまして、政府はこれは逃げ隠れいたしませんから、運営実績というようなものはいつも国会に御報告いたしまするし、御要求に応じましてこのようにいたしておりますということはごらんいただくわけでございまするので、その状況をごらんいただきまして、いつでも御批判にたえるだけの実績を私どもはつくり上げる用意があるわけでございます。そういった点につきまして一層の御理解を賜れば幸せと思います。
-
○森(美)
委員長代理 関連質問を許します。
増本君。
-
○
増本委員 そこで大臣、いま一つは、歯どめの問題が出たらそれは運用で、実は運用イコール裏返せば歯どめだ、そういうような趣旨のお話になってきているわけですね。一体財政投融資の姿がこの中期経済計画の案の出てきた段階で、しかも財政についての五年後の展望も出されてきている段階で、第二の予算と言われている財政投融資が一体どういう姿になるのか、そしてその中で生活中心というようなことも政府の方では言われるようになって、それがどういうような中身になってくるのか、その辺についてこの輸銀法の審議を機会にひとつ検討されて当
委員会に提示をしていただきたいというように考えるのですが、いかがでしょうか。
-
○松川政府
委員 五十年代前期の概案ができまして、これに基づいて財政の試算をはじき出したのはご案内のとおりでございます。これがさらに財投の姿でどうなるかというのは、あの概案におきまして盛られております各種の前提がございます。これに対して財政、予算と税金だけでも相当の追加的な前提を置いて計算しなければいけない、財投になりますとその追加的な前提の幅がさらに広くなりまして、しかもその前提を置くにしても非常に大胆な前提を置かなければいけない、そういうようなことがございまして、私どももできればそういう作業ができるか、少し長期の展望がかけるかということを試みたことはございましたが、途中で断念いたしましたのが実情でございます。その意味で私どもその前提がどういうふうになっていくか、この辺を見きわめながら、そしてまた企画庁のつくりました概案並びに国会に大蔵省から御提出いたしました財政の見通し、展望、こういったものと整合性を保ちながら私どもの財政投融資の方も将来にわたって運営してまいりたいと思っておりますが、現在の段階ではこれを計数的に把握するというのは非常に無理な面がたくさんございますので、計数的にはちょっと出せないのではないかと考えております。
-
-
○松川政府
委員 検討は引き続き続けてやっております。
-
○
小林(政)
委員 そうしますと、大臣、ただいまの御答弁で、国民金融公庫なりあるいは中小企業金融なりこういうところにしわ寄せは結果としてはいかないのだというふうに確認してよろしゅうございますね。
-
○大平国務大臣 そういうことにならぬように十分配慮してまいるつもりです。
-
○
小林(政)
委員 次にお伺いいたしますのは、今回の
改正の中で、資本金別残高で見ますと、昭和五十年三月末で私ども資料をつくっていただいたのですけれども、このつくってもらいました資料によりますと、輸銀の融資というのが資本金五千万円以下の企業に対する貸付残高は全体の中の一%程度なんですね。数字を申し上げますと、資本金十億円を超えるものが九五%を占めています。そして逆に、いま申し上げました五千万以下の企業という場合には貸付残高は二百三十九億円で、一%程度にすぎないわけです。今回の
改正で輸銀と協調融資を行い得る金融機関の範囲を拡大いたしました。私は商工中金とか相互銀行、こういうものも含めて当然中小企業に対する融資比率、いまのようなほんのわずかというものが、さらにもっと高まっていくのではないか、またそうしていかなければいけないのではないだろうか、こう思いますけれども、この点についていかがお考えでございますか。
-
○澄田説明員 今回の法律
改正案にございます協調融資の対象を広げるということによりまして——御承知のように輸銀の融資は協調融資をたてまえとしておりますし、その場合に協調融資をする銀行を通じて融資の案件が輸銀に来るというのが仕組みになっております。そして従来は協調融資の範囲が銀行に限られておりましたために、銀行との取引の少ない中小企業が不便を感じておった、これは争えない事実だと思います。今回その範囲が拡大されるということによりましてそういった中堅企業あるいは中小企業の輸銀融資がより円滑になるということをわれわれは大いに期待しておる次第でございます。
なお、近来輸銀におきましても海外投資の相談室を設け、そういうことになれない中小企業の方々にいろいろ御相談に乗っているというようなこともいたしております。それから、大阪事務所で直接に取り扱う範囲を拡大して、中小企業の方々の便宜を図るということもいたしておりますが、今後ともそういう方向についてはさらにこれを強めてまいりまして、各地にこちらから出向いて、商工会議所等で輸銀融資について説明をするというようなこともさらにやってまいって、中小企業の場合の便益を図って、そして融資の拡大を図ってまいりたい、かように考えております。
-
○
小林(政)
委員 そうしますと、たとえば中小企業の融資状況等は、いま私が申し上げたように非常にいままで少なかったわけですね。これが今回の
改正によって、計画段階の中で具体的にどの程度までに持っていきたいとか、あるいはこの程度まではいくであろうとか、貸付総額では大体どのくらいまでいくだろうか、あるいは件数なども、いままでの実績を見てみますと、全体で貸付件数四千九百七十五件のうち百六十三件と、これもほんのわずかですね。この件数なんかも大体どの程度にまでしていきたい、あるいは貸付融資もどの程度までにはいくであろうというようなことが検討されているならば、その点についてもお伺いをいたしたいと思います。
-
○澄田説明員 輸銀の融資は、先ほども申し上げましたように対象の案件の性格によりまして、内容によりまして、そしてこれが輸銀融資の対象として適切であるか、こういうようなことで判断をしてまいるわけでございます。今回の法律
改正その他の措置によりまして、今後輸銀融資における中小企業の割合、それはお示しの貸付残高におきましても、あるいは件数におきましても、そういうものがいままでよりはふえていくということは私どももぜひそういうふうに持ってまいりたいというふうに努力をいたしてまいるところでございます。そのための配慮についても今後鋭意努めてまいりたいと思っております。ただ、それの割合をどこまでするかとか、御質問のようなそういうめどがあるかということにつきましては、先ほど申しましたように、対象案件によって決めていくということでありまして、企業によって決めていくのでないというたてまえもございまして、そういう目標を立てるというようなことはいたしかねるわけでございます。
それから一言つけ加えさせていただきますと、輸銀融資というものは、船舶、プラントの延べ払い輸出であるとか、あるいは鉱物やエネルギーなどの重要資源の輸入でありますとか、海外投資でありますとか、そういうことでありまして、こういった海外との契約の当事者というものは、中小企業が直ちにこの当事者になるというケースがどうしても少ないということもやむを得ないことでございます。こういう国際取引におきましては、その取引になれて、そして危険を負担してそういう取引を行うというものは、やはりどうしても国際取引の知識、経験の豊富なところ、商社でありますとか、あるいは直接海外取引をやっておりますメーカー等が中心になってくるということはやむを得ないところでございます。ただ、そういう案件が、実際においては直接その契約の当事者にならなくても、中小企業が関連メーカーとしてこれに関係をしてくるという割合は非常に高いわけでございます。私どもいろいろな例で調べてみますると、たとえば中小企業への発注の割合がその中の三九%である船の案件でありますとか、あるいはプラントの案件でも三〇%を上回る案件でありますとか、そういうものが非常に多いわけであります。したがいまして、契約の当事者はいわゆる大企業である、ところが実際は中小企業がその仕事を行っている、そういう意味合いにおいて輸銀融資による便益を受けている、こういうケースも非常に多いということも重ねて申し上げておきたいと思います。
-
○
小林(政)
委員 いまのお話を聞いていますと、今回の協調融資に、商工中金とかあるいは相銀を含めたということは業者の立場からも大変結構なことだというふうに思ったのです。ところがいまのお答えをちょっと聞いていますと、これは一体銀行側から要請が出た問題なのか、あるいは中小の業者側からぜひ融資を、今度は自分たちとの取引の最も多い中小銀行も協調融資としてこれを認めてほしいということで果たして出てきたのか、いまの御答弁を聞いていて私はわからなくなりました。一体どっちなんですか。
-
○田辺政府
委員 特にこれは前々からもときどきございましたけれども、中小企業者の方々が輸出を取り扱うといわれる場合に、そのメーンバンクである商工中金とか、いま法定されていない銀行をメーンバンクにされているという方々の御相談などもありました。特にこれは銀行側の要請を受けてとか、あるいはまた輸出業者、中小企業者の要請を受けてとかということでは格別ございませんけれども、いままでは何といっても輸出の大宗はそういう大銀行を経由する——為替に関する知識も少なく、まだ普及しておりませんでしたし、貿易についての経験も浅い、そういう状態でございましたけれども、いまやこのような状態のときに法律でもって協調融資の相手先銀行を特定しておくということはふさわしくない。そういう意味合いでその他の機関を政令で指定できるようにさせていただきたいと思ったわけでございまして、そのめどとしては、いまおっしゃいましたように商工中金及び相互銀行を指定したい、こう考えておるわけでございます。
-
○
小林(政)
委員 最後に一つ。
せっかくこういう制度がとられましたので、いま輸入業者といってもある程度の規模を持った中小の業者が輸銀の融資を受けたくても、取引銀行がいままで対象の範囲に入ってなかったというようなこともあってなかなか受けにくい、こういうことでいろいろと問題になっていた話を幾つか聞いております。したがってそういう点からも、むしろ中小の輸入業者が積極的に参加できるような方向に持っていかれるということをぜひ強く要望したいと私は思いますし、大臣にひとつその点のお答えをいただいて、時間がありませんので質問を終わりたいと思います。
-
○大平国務大臣 そういう方向で配慮してまいりたいと思います。
-
-
○坂口
委員 非常に限られた時間でございますので、輸銀総裁等に対する質問は午後に回させていただきまして、大臣に二、三だけお聞きをして終わりにしたいと思います。
昭和四十七年の輸銀法の
改正がありましたときのその理由の大きな柱として、外貸減らしということが大蔵省当局からも言われていたわけであります。今回の
改正案を拝見しますと、昭和五十一年度予算だけを見ましても、対前年度比で輸入が六七・五%、それから輸出の方が一八〇・九%となっておりまして、輸出振興型あるいは外貨ふやしという言葉が言えるかどうかわかりませんが、そういうことも言えるような内容ではないかと思うわけであります。現在、輸入よりも輸出超過ということが問題になっておりますが、さらにこの格差を大きくする危険性もあると思いますけれども、大臣はこの点をどのようにお考えになり、また今後どのようにかじを取っていかれようとなさるのか、この辺ひとつお伺いしたい。
-
○大平国務大臣 貿易は輸出、輸入から成り立っておるわけでございます。また、輸出をすることは同時に輸入をすること、輸入力を養うことでございます。したがって、むやみに、一方的に輸出をふやすことが芸ではないのでございまして、それに応じてわが国の必要とする原材料、食糧はもとよりでございますけれども、その他の品物も豊富に輸入ができる力をわが国が持ちまして、わが国の経済が豊かになり、国民生活の内容が充実してまいることこそ、究極において輸出の目的であろうと思うのでございます。
ところが、最近輸出の形態がだんだん変わってまいりまして、先ほども申し上げましたように、コモディティーの輸出と申しますよりはプラントの輸出というような方向にだんだんと変わってまいりましたし、またキャッシュの貿易から延べ払いの輸出にだんだん変わってくるという質的な変貌を遂げてきておるわけでございまして、それに対応した措置を政府は講じまして、できるだけ自由な経済交流の拡大を通じて国民経済の発展を期するということは結構なことである、またそうしなければならないと考えておる。今度の輸銀法の
改正措置も、そういう考え方の一環として御審議をお願いいたしておるわけでございます。
-
○坂口
委員 詳しくディスカッションしておる時間がございませんので、粗っぽいところだけ少し申し上げておきたいと思いますが、昭和四十九年度それから五十年度と国民は不況を経験してきたわけでありますけれども、インフレをおさめる方法は不況を招くことしかないのかという素朴な疑問が国民の中に蔓延していることは事実だと思うのでございます。
大臣は、景気の回復につきましてもいろいろこの
委員会でも意見を述べておみえになるわけでありますが、今回のこの輸銀法の
改正案等を見せていただきましてもわかりますように、景気の回復ということには、貿易に非常に大きなウエートを置いておみえになるように私感じるわけであります。私も決して貿易の拡大ということに反対するものではございません。しかしながら、貿易の回復ということも大事ではありますけれども、いわゆる国内の消費水準をより高めていくということも、あるいはむしろそちらの方がより大事ではないかと考えるものでありますが、ことしの予算案あるいはまたその他の関連法案等を見まするときに、ややもいたしますと、国内における消費水準の上昇のための、たとえば減税問題でありますとか、あるいはまた公共料金の問題でありますとか、その他を考えますと、余りそちらの方には御熱心でない、むしろ貿易の回復ということによって現在の経営危機の回復を図っていくのだというふうに、非常に貿易に大きく偏ったお考えをお持ちのような気がしてならないわけです。決してそんなことはないと御反論をされるであろうと思いますけれども、その辺、はたから見せていただきますと非常にそういうふうにとれるわけであります。いかがでございますか。
-
○大平国務大臣 坂口さんおっしゃるとおり、やはり経済を支えておる最大の力は国民の消費でございます。五十数%が経済を支える力になっておることは申すまでもございませんで、それが温まってこないと、どうしても景気の本格的な回復にはならぬことは仰せのとおりでございます。現にその方は着実に上向いてきておることは事実でございますけれども、しかしながら、わが国の国民性から申しまして、そう顕著な増加を見ない。貯蓄性向は依然として高い。察するに、国民経済の明るい展望が開かれない限り、国民の財布のひもはなかなか緩まないと見るのが常識ではなかろうかと私ども思うのでございます。
ところが、御案内のように、企業の操業は依然として八割を割っておる。稼働率指数はまだ八六・六%強程度の回復でございます。まだ失業者が百二十数万おるという状況でございまするし、この稼働率をもっと上げなければいかぬし、雇用をもっと安定させなければいかぬということから考えますと、どうしても減退を記録してまいりました輸出が伸びてくるということに一つの着目をするのは当然の道行きであろうと思いまするし、去年、おととしと総需要抑制の必要から抑え込んでまいりました公共投資を若干ふやしていくというようなことを考えて、端的に景気回復の糸口をつくろうというようなことも御理解いただけるのではないかと思うのでございまして、われわれは輸出にそんなに過大な期待を持っておるわけでもございませんし、公共投資にそんなに過大な期待を持っておるわけでもございませんで、こういうものを今日のような条件のもとで拡大して、着実に伸ばしていくにはどういう条件をつくり、どういう政策でもって誘導してまいるかということをじみちに考えさせていただいたわけでございまして、仰せのように、ことしの予算はこの二つの点に力点を置いたように見えますけれども、過大な期待を特にそこに置いたというものでないことは、政府全体の経済計画を精細にごらんいただければ御理解いただけると私は思います。
-
○坂口
委員 財布のひもが緩まないということをおっしゃいましたけれども、私は、緩める政策がないということを申し上げたわけであります。そのことをもう少し言いたいのですが、これも時間がございませんので、次回に譲らせていただきます。
先ほども申しましたとおり、ロッキードがらみの問題は午後からやらせていただきたいと思いますが、先ほども横山議員との間で、いわゆるみそぎ論の議論が交わされました。大臣がおっしゃったみそぎ論というものが、身をそそぐということだという、単純な意味だということをおっしゃったわけであります。これは全体にかかわりのあります問題でありますので、一言だけお聞きをしておきたいと思いますが、これは自己批判をするという言葉に置きかえられるのかどうか、いかがでございますか。
-
○大平国務大臣 ますみずからこれは謙虚になり、みずから省みて、みずから正していくということが仰せのように一番根本だと思います。
-
○坂口
委員 このみそぎという意味が、私も文学的にどういう意味かよくわからない点がありますけれども、一遍滝に打たれたら、もう人間がころっと変わって、新しい人間に変わった、いわゆる新しい人間に生まれ変わったんだというような話は、これは児童文学としては非常におもしろい話でございますけれども、大蔵大臣のお言葉としてはそうとはちょっと行きかねる問題だろうと思うわけです。前回のこの輸銀法の
改正のときには問題にならなかったけれども、後日これがロッキードがらみになってきたというようなこともございますが、これはやはり政治の体質からこういう結果を結果的に招いたんだと思うわけです。そういうふうな意味で、このみそぎ論を大臣が言われる以上は政策的な転換というものをなさっていかないと、今回のこの輸銀法の
改正がまた同じような轍を踏まないとは言えないわけであります。ただ滝に打たれる、身を清めるというだけで人間が生まれ変わる、政治家が生まれ変わるわけでないことは、私が申し上げるまでもないと思うわけです。
そういう意味で、これは少なくとも、身を清める、みそぎをすると言われるからには、現在の自民党の中心の皆さん方は少なくとも数年ぐらいは、百歩譲って数年ぐらいは療養、加療を要されると私は御診断を申し上げるわけです。そういう意味で、大蔵大臣並みに文学的な表現をすれば、ひたひたと押し寄せるその大臣の心情というものをお聞かせいただきたいと思います。
-
○大平国務大臣 一回みそぎをすれば足りるというのではなくて、これは毎日毎日、日夜やらないといけない。人間というのはそういう弱いもので、毎日毎日やってまいらなければならぬものでございまして、これは政策ばかりでなく、政策の運用、政策の立案もそうでございますし、日常坐臥、日常の行蔵がそうでなければならぬことは、坂口さんの仰せを待つまでもなく、私はそうだと思うのでございます。そういうきわめてあたりまえのことを申し上げたわけでございますが、このごろは世情が乾いておりまして、いろいろなことを申し上げますといろいろ活字になりますので、大変にぎやかな世の中で、ここでやりとりしますとまた活字になるかもしらないわけでございますが、それはともかくといたしまして、輸銀の融資関係とロッキード問題というのはいわれなきことでございまして、私は、ロッキード問題は、真相は究明せなければいかぬと思います。そして、究明されて、厳正な処断がなされなければならぬと思います。その過程におきまして、輸銀の融資はロッキード事件には関係がなかったということが白日のもとに公明になることを私は期待いたしておるわけでございます。
-
○坂口
委員 私の診断に対してはお答えいただけなかったわけでございますが、いまも申しましたとおり、前回のこの
改正案が出されました四十七年当時、だれもこういうことになろうと気づいてはいなかったと思うわけでありますけれども、結果的に見ました場合に、こういうことにこのロッキードとのからみで議論をしなければならないという不幸な事態を招いているわけであります。今回のこの
改正案、先ほどから議論されておりますように、幾つかの
改正点がございますが、これらのことが、たとえば、いままで四倍であったものが十倍になりますとか、十一倍になりますとかというような点もございますし、あるいはまた若干中小企業等についても配慮をされたかに思われる向きもあるわけであります。こういうふうないろいろの点がございますけれども、しかし、政策全体の転換なしに今後同じように進んでいきますと、今回の
改正案がたとえ通ったといたしましても、それがまた第二のロッキード事件の轍を踏まないとは限らないわけです。その辺のところを、大臣がみそぎを受けるとおっしゃる以上は、どう経済政策というものを今後変えていくか、それをお示しにならなければみそぎを受けることにはならないと思うのです。表面はみそぎを受けたとしましても、内面はそのままということになるのではないか、その辺を私は、二度と繰り返させないためにどのような決意をなすっているのかということをひとつお聞きをして終わりにしたいと思います。
-
○大平国務大臣 一般論と特殊論があると思うのでございます。一般論といたしましては、先ほど申しましたように、いつも不断の反省、不断の自制が、政策面におきましても、政策の運用面におきましても、日常の行蔵におきましてもなければならぬということ、これはもう申すまでもないことでございまして、そして、その不断の反省の上に立たなければ、坂口さんがおっしゃるように、いろいろな問題が将来またくびすを接して起こるというようなこと、まあないとは保証できないわけでございますので、われわれが最も戒めなければならぬことだと思います。あなたと全く同感でございます。
それから第二は特殊論でございますが、あなたはこの輸銀の問題で、全日空に対する輸銀の融資がロッキード問題の一環であるような御認識をお持ちのようでございますけれども、私は全然違うのでございます。全然関係がないことなんでございますが、これは、真相は、
日本輸出入銀行の名誉のために、日本の政府の名誉のために私は解明していただかなければいかぬと思うのです。そうしないと、これは、そのようなことがロッキードの事件に関係があるということがフィーリングとしてでも言われることはゆゆしい問題だと思うので、この点は、あくまでもロッキード問題が解明されなければ、真相が解明されて、そこに非違がございました場合には厳正な処断が行われなければならぬことは当然でございます。そうしないといかぬと思うのです。そうしないと、また正しい者が救われません、これでは。でございますので、その点は私は、輸出入銀行に関連いたしました問題では、そう確信を持っておりますので、これから大いに議論をして真相を解明してまいりたいものだ、日本政府と
日本輸出入銀行の名誉のために。
-
-
○森(美)
委員長代理 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
————◇—————
午後一時六分
開議
-
-
○
佐藤(観)
委員 午前中の質疑に引き続いて基本的な点だけ若干お伺いをしておきたいと思います。
今度の
改正で輸銀の借入限度枠の拡大、それから貸付限度枠及び債務保証の額が大幅にふえるわけでありますけれども、その基準となります五十一年度当初つまり資本金が今度もふえるわけでありますが、資本金の額が八千二百八十三億それから法定準備金が十八億六千万円合計して自己資本の額が八千三百一億六千万円、こういう数字になるということはよろしゅうございますか。
-
○田辺政府
委員 五十一年度末のことでございますので、現在の計画でまいりますと仰せのとおりの数字に相なります。
-
○
佐藤(観)
委員 そうしますと、今度の法案が通りますと八千三百一億六千万円の十一倍の額が貸し付け及び債務保証の限度額だということになりますね。幾らになりますか。
-
○田辺政府
委員 八千三百一億をもとにいたしまして借入限度はその四倍でございますので、三兆三千二百六億となります。それで借入残高の予測をしなければなりませんが、現在の予算計画でいきますと、これに少し余裕が出ます。三兆一千八百五十億ぐらいになる、いまの予算でございますが。それでもう一つ貸付保証限度の方でございますが、先ほどの自己資本に対しまして五倍ということになりまして、四兆一千五百八億、こう相なります。
-
○
佐藤(観)
委員 それが今度は貸付限度枠及び保証債務の限度枠というのは十一倍にふえるわけでしょう、今度の法案が通ると。ですから、そうすると幾らになりますか。貸付限度枠だけで結構です。
-
○田辺政府
委員 貸し付けと保証は一緒にしてありますものですから……。
-
○澄田説明員 九兆一千三百十一億円という数字になります。
-
○
佐藤(観)
委員 それで五十年度末に貸してある貸付残高ですね、これは幾らになっておりますか。
-
○澄田説明員 五十年度末の貸付残高は三兆三千九百三億円でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 そうしますと、今度の法案が通りますと、残りの枠の拡大としましては五兆七千四百八億円の貸し付けの枠ができる、こういうことになりますね。
-
○澄田説明員 私の申し上げました数字は、これは貸付残高の予算ベースの五十年度末の予想でございますが、なおそのほかに保証残高が六百三十七億予定されておりますので、これを加えなければならないわけであります。これを加えたものを九兆一千三百十一億から差し引くと五兆六千七百七十一億円でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 そうですね。これは一番重要なことですからぴちっとしておいてもらわなければいかぬのですが、今度、枠が拡大をして、そして五十一年度四月以降法案が成立しているとなりますと、五兆六千七百七十一億円の枠がふえる。そして今度の当初の計画では、貸し付けの計画が一兆一千億になっていますから、来年度、つまり五十二年度は約四兆五千億の枠が残る、こういうことになるわけですね。
-
○澄田説明員 五十一年度の貸付計画によりますわれわれの貸し付けの予定額は一兆一千百億でございます。先ほどの五兆六千七百七十一億円から一兆一千百億円を引きますと、四兆五千六百七十一億円ということに相なりますが、ただ五十一年度中に回収されてくる資金がございます。その分がこれに上乗せをされる、こういうふうになるわけでございます。
-
○
佐藤(観)
委員 たしか従来の額でいきますと、戻ってくるのが三千億ぐらいと見ていけばいいんじゃなかったかと思いますけれども、いずれにしろこれにそれだけをプラスした額が五十二年度の当初の枠になってくるということですね。
なぜこういうことをお伺いするかというと、貸付限度額及び債務保証の合計の限度額というのを、五倍を十一倍にするというのは、いままでの限度額の一挙に二倍になるわけですね。それは確かに大きなプラントがふえ、それから件数もこれからふえてくれば当然ふえてくるけれども、五十二年度当初にまだ貸し付けの枠が四兆七、八千億あるというのは、これは皆さん方にとってみては非常に便利かもしれないけれども、どうもわれわれの方から言わせると、きょうの午前中の質疑にもあったように、余りにも裁量権が大きくなり過ぎやしないか。特に財投の中で七千億、八千億という膨大な資金が繰り込まれる輸出入銀行の現状を見ますと、決算も国会に出されない、こういったようないまの輸銀のあり方として、少し枠が大き過ぎないだろうか。聞くところによりますと、その限度枠を五倍だ十一倍だと言っているのは開銀の数字に合わしたという話を聞いているわけです。その辺はどうもわれわれとしては合点がいかない。やはり四兆五千億もありますと、これは五十四年ぐらいまでこの枠でもつんじゃないか。ことしも入れてあと四年分ぐらいまあまあもつんじゃないかという数字だと思うんですね。
その辺からいきますと、この貸付限度額を一挙に十一倍という現状の約二倍にしたのは、これは枠が大き過ぎないかという疑問がまず起こるわけです。この点について納得のいくような御説明をひとつお願いをしたいと思います。
-
○田辺政府
委員 法律上のこの倍率、つまり貸し付けや保証にとりましては限度枠ということは、法制上の限度をそこに置いているわけでございまして、当面の資金繰りとか、当面のたとえば来年度、再来年度というようなところでその枠を全部使ってしまうということを予定しているわけではないわけでございまして、従来の数値でまいりますと、輸銀の貸付金というものは場合によっては二〇%を超すような年率で伸びている場合もございますし、やはり十数%の伸び率で年々伸びていかざるを得ないのではないか、そういう感じでございます。これは先のことでわかりませんけれども。一方、この枠が余裕があるから増資、つまり出資ですね、政府の方からの出資は全然やらないんだ、こういうことも考えておりません。これはやはり輸出入銀行という一個の独立した金融機関としての資産の健全性、資産内容の良質化という意味ではどんどん借り入れ倍率をふやせばいいというものでもないわけでございますから、やはり妥当な額の増資というものは考えていかなければならない。ですから、そういうようなことで、仮定の大ざっぱなめどでございますけれども、年々妥当な増資を精いっぱいやっていく。そして一方では、貸付規模の伸びがいままでの傾向よりはやや低目でも、大体傾向に沿って伸びていくというようなことを考えまして試算をいたしますと、いまの法定限度が大体昭和五十年代の終わりごろにまた天井に達して、そこでどうするかということを考えなければならぬ、こういうことになるかもしれない、こう思っておるわけでございます。
-
○
佐藤(観)
委員 ですから、私の言っているのは、じゃ、枠があるから全部使っちゃう、またそんなことはできるわけはないわけで、そんなに一挙に輸出、輸入がふえるわけはないわけですから、そういうわけではないことは私もわかっているわけですが、いま言われたように、この輸出入銀行というのが、これは貿易立国としてはある程度、基本的には当然のことだと思いますけれども、運営の面で後で若干お伺いしますけれども、基本的には貿易立国として容認できることだと思うのです。ただし、非常に大きな銀行になりそのチェックが、国民の目からなかなか届かなくなることについては非常に問題があるだろう。
そこで、その点からいきますと、いま
局長からお話があったように、恐らく五十四年ぐらいでまた限度額が来ると私は思うのですね。そうすると、また五十四年の国会に貸付限度額の枠を広げる法案が出てくる。これはむしろ皆さん方の方は、なるべく回数を少なくして国会に出した方がめんどうくさくないし、うるさいことを言われないからいいと思われるのだけれども、これだけ大きな銀行になってくるとやはりそれだけの国民的なチェックが必要だ。その面では、一挙に五倍を十一倍にしておいた方が皆さん方は便利だけれども、われわれの監視という意味からいいますと、これを一挙に余り膨大なものにするということは、その面で国民的なチェックが非常にしにくくなる。その意味で、十一倍というのは、聞いてみれば開銀の数字と合わしたのだ——恐らくそうばかりじゃなく、これからの輸出あるいは輸入の伸び率等を計算して、まあ三年に一遍か四年に一遍くらいずつ限度額をふやしていく、こういうことだと思うのですけれども、それについても若干今度は、いま具体的な数字ではじいてみたように、枠を一挙に広げ過ぎではないかという感がするわけであります。つまり、国会における具体的な輸出入銀行の行動あるいは運営のチェックをそれだけ先に延ばすということはいかがなものか。それだけ皆さん方の方に裁量権が大きくいってしまうことに対する疑問と不安がわれわれの側にはあるわけですね。そういうことを思うわけでありますので、その点についてだけお伺いしておきたい。
-
○田辺政府
委員 輸出入銀行の予算につきましては、御案内のとおり毎年度国会に提出をいたしまして、その議決を得ているわけでございます。また、財政投融資の資金の配分につきましては、予算総則によりまして毎年度御審議を願う、こういうことに相なっておるわけでございます。その都度議決を願う前提として、輸出入銀行の業務のあり方あるいはその融資の配分の現状なり計画を御審議願っていると私は思っております。また、当
委員会等におきましても、輸出入銀行に対しましてのいろいろな御質問なり御要求なりに対しまして、その実情と考え方をお答え申し上げているわけでございまして、何か法律を
改正する関門がなければ輸銀の実態が明らかにされない、こういうものでは毛頭ないわけでございます。いまの借入限度、貸し付け及び保証の倍率は、いろいろ考えましたけれども、開発銀行が同じような経過をたどっておりまして、現在の例としまして一つの数値が出ておるわけでございます。毎年あるいは二、三年に一遍変えるというようなめどでこの限度をつくるというのではなくて、考え方として、自己資本の比率はおおよそどの程度が現在の状態においては望ましいか、あるべき姿かということから考えて法案を提出したわけでございます。
-
○
佐藤(観)
委員 財投が非常に大きくなって第二の予算だと言われるようになって、承認案件にしたのはたしか三年くらい前だと思いましたけれども、財政投融資が非常に大きな規模になってきますので、その意味では予算
委員会だけで具体的に個々の公団のあり方についてチェックするというのはなかなかむずかしい、この大蔵
委員会の関係の公団でも事実上十分でき切らないというところまできておりますので、そういった意味で予算
委員会だけにこれを任せるというわけにいかない。その意味では、やはり当
委員会でかなり綿密に輸出入銀行あるいはその他の政府機関についてのチェックをしていかなきゃいかぬと思うわけであります。
次の問題に移りますが、輸銀の五十一年度の貸付計画、これは総額として一兆一千百億円ということになっているわけでありますけれども、これと、いま日本の景気が輸出を先行として上昇に向かっているんだと言われている輸出全体の伸び率と申しますか、輸出の現状との関係は一体どうなっているのだろうかという疑問が生ずるわけであります。
それでまず通産省にお伺いをしたいのでありますけれども、今度の五十一年度の主要経済指標では、通関の輸出が六百二十九億ドル、約十八兆円に組まれているわけですね。これは新聞で読んだもので私も確認をしていないのでありますけれども、この主要経済指標に組まれた六百二十九億ドルに対して、通産大臣は、いま輸出が非常にいいものだから、たしか七百よりちょっと出ているような数字ができるのじゃないかというように話をされているのを読んだことがあるのです。われわれの見るところ、確かにこの二月、三月は調子がいい、特にアメリカ向けの輸出は調子がいいけれども、果たしてそれだけいくのだろうか、特に七百億ドルということになると、これはまた逆に為替の問題やら起きてくるのじゃないかという気もするわけですね。いま確かに輸出は好調でありますけれども、先の見通しはこのままの調子でいくのかどうなのか、その辺の見通しについて若干お伺いをしたいのであります。
-
○
広瀬説明員 最近の輸出の動向を見ますと、この二月以来、前年同期比で比較して上向きに転じております。通関の数字で申しますと、二月には七・九%、それから三月は一八・二%、また四月は一〇・六%増といわゆる前年同期を上回っているわけでございます。しかし、最近の輸出の増加分の中には、輸入国の景気回復に伴う需要増加のほかに、在庫積み増しと申しますか、在庫調整によるものも含まれているものと判断されるわけでございます。したがって、今後長期にわたって一八%というような高率の伸びが期待できるとは私ども見ていないわけでございます。当面の輸出増加が五十一年度年間を通じて続くとは思いませんけれども、しかし全体としましては、輸出の環境は非常に明るくなってきておりまして、政府の経済見通しによります通関額六百二十九億ドル、前年度比
一三%増になりますが、この達成はかたいと申しますか確実である、このように判断しております。
-
○
佐藤(観)
委員 いまの御答弁の中で、一つは在庫の問題ですね、つまり相手国における在庫の積み増しがほぼ終わったのではないかという見解、それともう一つは、いろいろな指標を見ますと、物量におきましてはかなり増加しているけれども、価格の面でいきますと前年に比べて低くなっている、つまり、逆に言えば、値段を下げてでもとにかく物の量でカバーをしていこう、したがって総量として輸出がふえている、額としてもふえている、こういう分析がされると思うのであります。その在庫積み増し、これは非常にむずかしいことで、自国の経済もなかなか分析できないわけですから、相手の各国の経済ということになるとこれはなかなかむずかしいと思いますけれども、いま御答弁にあったように、三月の一八%増というようなことでいかないというのは、一つは、相手の在庫調整、在庫の積み増しがほぼ終わった、特にアメリカを中心として終わったというふうに考えられているのかどうかという点が一点。それと物の値段と量との関係、この点についてはいかがお考えになっていますか。
-
○
広瀬説明員 輸入国の在庫積み増し、在庫調整が終わったかどうかという問題は非常にむずかしい問題でございます。かつ、一般論ではなくて、これは業種別に見ないとよく把握できないわけでございます。
私はここで自信を持ってお答えするだけの資料がありませんけれども、たとえて申しますと、アメリカ向けの自動車を例にとるわけでございますが、自動車は最近非常に対米輸出が好調でございます。やっと適正在庫に近づきつつあるというような見解も出ております。したがって、いずれ在庫積み増しに関しましては頭打ちになるだろうと考えるわけでございます。しかし自動車以外の業種につきまして、たとえば鉄鋼とか家電とか繊維とかたくさんございますけれども、これにつきましては十分な御説明をする自信がないということでお許しをいただきたいと思います。
〔
田中委員長退席、森(美)
委員長代理着席〕
それから第二点でございますが、価格と数量の関係で、先生御指摘のとおり確かに五十年度、昨年度を振り返ってみますと、価格指数は四十九年度に対しまして四・七%のマイナスでございます。一方、数量はちょうど同じような数字でございますけれども四・九%の増でございます。したがって、五十年度に果たして安売りがあったかというような御質問が出ようかと思いますが、私どもはそうは理解してないわけでございます。なぜかと申しますと、四十九年度は輸出額は全体で約五割伸びたわけでございます。しかし、それを数量と価格に分けてみますと、数量が約一八%の増、価格面が三三%の増、要するに四十九年度におきましては、価格の増加による輸出の増が期待できたというわけでございます。言葉は不適当かと思いますけれども、要するに四十九年度におきましては高く売れたという意味でございます。しかし、五十年度の四・七%マイナスといいますのは、決して日本の企業がコストを割って輸出しておるという意味ではなくて、四十九年度のような利益が出なかった、このように理解しております。
なお、五十一年度の見通しにつきましては、最近の価格も、対前年同期比で見ましても徐々に
改善をされてきております。これからますます価格はよくなってくるというふうに考えておりますので、いわゆる安値輸出というものはなくなってくる、このように理解しております。
-
○
佐藤(観)
委員 そうしますと、見通しというのはななかむずかしいですが、
広瀬課長の見通しとしましては、ほぼ政府が五十一年度に組んだ経済指標どおり六百二十九億ドル、細かい端数は別としまして、これはいまの大方の見通しとしては達成できる、ふえてもそう特別ふえる数字ではない、こういうふうに結論的に理解しておいてよろしいですか。
-
-
○
佐藤(観)
委員 そうしますと、六百二十九億ドルといいますと約十八兆八千七百億円、まあ十九兆と丸い数字にしておきます。そのときに輸銀の貸付計画一兆一千百億円、こういう数字になっているわけでありますけれども、輸出が十八兆八千七百億円組まれ、そしてそれに対する貸し付けというのは何か一応目安があってこういうことになるのか、それとも輸銀の方は輸銀の方としてある程度前年度の実績にプラスしていくのか、この辺のところはマクロの話として、通産省は輸出を扱っているところとしてどういう関係になるのですか。
-
○浜岡説明員 大変むずかしい御質問でございますが、一つの手がかりとして御説明を申し上げますと、主として輸銀の輸出につきまして問題になりますのはプラント輸出でございますが、延べ払い等については輸出承認が必要でございまして、いわゆる輸出承認ベースの数字というものを私ども持っております。五十年度について申し上げますと、貿易会議の目標数字は五十二億五千万ドルでございましたが、ほぼ目標どおりの五十二億四千万ドルというような数字になっております。私ども輸出入銀行の資金需要というようなものを考えます際には、この輸出承認数字というようなものを一つの手がかりとして考えておるわけでございます。
-
○
佐藤(観)
委員 確かに輸銀の場合には、大型のプラントの成約が一つあるかないかによって三百億も数字が違ってきてしまいますから非常にむずかしいと思うのでありますが、そうしますと、具体的に主要経済指標の六百二十九億ドルとこの輸銀を中心とした貸付額というむしろ、主要経済指標の方が非常にマクロの数字であって、それから輸銀の方の貸付計画というのは、ある程度前年からわかるものもあるわけですね。それの積み上げ値、完全な積み上げではないけれども、そういったものを含めた額だということで、主要経済指標で決められた目標値とは必ずしも連結していないということにもなりますが、その辺の実態はどうなんですか。
-
○澄田説明員 私からお答えを申し上げます。
輸銀の五十一年度の一兆一千百というのには、輸入とか投資とかそういった関係も入っております。いまの輸出の数字で申し上げますと、輸出の延べ払いが五千八百六十億、このうちに船舶が二千百十億、プラントが三千七百五十億、こういうことになっておりまして、この辺の数字が、いまの輸出の全体の数字との関係が御質問の対象になろうと思います。
そこで、そのうちのたとえば船舶について申し上げますと、船舶の受注残で大体どのくらいの船舶が五十一年度中に建造輸出されるということが、およその推定が各船台ごとに見るということによってつくわけでございます。そして輸出船のうちで延べ払い船がどのくらいあるかというのがこの場合にその次に問題になりまして、一時は延べ払い船の割合が非常に低く、ほとんど現金船でございました。延べ払い比率は四十七年度受注でございますので、実際に出てくるのはもっと後になりますが、それは一二%台になっておりましたが、五十年度には六〇%台くらいまで上がってきております。ということは、輸銀資金を必要とする船が非常にふえてきているという、これは国際的な金融情勢等によって非常に延べ払い船がふえてきた、こういう次第でございます。そこで、こういう延べ払いの必要な船の輸出がどれだけ五十一年度に見込まれるかというような計算をいたしまして、そこで出てまいりましたのが船の二千百十億円という五十一年度の資金量でございます。
プラントにつきましては、もう少し一件一件見る以外に一般的に見込まれるというようなものを見込んでおりますが、これがやはり三千七百五十億という資金を必要と見込んでいるやり方でございます。
なお、そのほかに直接借款の中にあります。バンクローンとかバイヤーズクレジット、これも実態はプラントの輸出となるようなものでございまして、これらにつきましても大体相手国からの発注見込みというようなものを見越しまして、必要な資金量を推定いたしました。そして財政投融資の計画をつくるときにその輸銀の見込み等を参酌をして政府が決定される、こういうことになっております。
-
○
佐藤(観)
委員 そうすると、これは
広瀬課長にお伺いした方がいいのか浜岡
課長にお伺いした方がいいのかわかりませんが、逆に言いますと、いまの輸銀の五十一年度計画というのはある程度それなりの積み上げ、それは細かい——細かいと言ったって二百億とか三百億ぐらいは違ってきますね、年度ごとに若干次の季節にまたがってしまうものがあるから変わってきますが、五十一年度計画の一兆一千百億円の貸付計画というのはこれはある程度積み上げておると見ていい。そうすると、逆に主要経済指標に出てくる通関輸出としての六百二十九億ドル、約十八兆八千七百億円という数字は、ある程度輸銀なり何なりのそういった積み上げの数字というものを、もちろん前年度のいろいろな積み上げもあるだろうし、それから景気の見通しをその上にある程度掛け算するということにも当然なってくるでしょうし、各公団等がつくってくるそういった計画とこの主要経済指標に出てくる六百二十九億ドルというのとはどういう関係になるかというか、むしろ積み上げてきたものはどういう形で参考にされてこの主要経済指標に出てくる数字というのはでき上がってくるのですか、これはどなたにお伺いしたらいいか……。
-
○浜岡説明員 いまお話しの六百数十億ドルという数字は全通関額でございます。その中で輸出入銀行の資金需要につながってまいりますのは、いまお話しの船舶とそれからプラント類でございます。それから、五十一年度の通関ベースでは、私どもの大ざっぱな感覚では船舶が五十億ドルから六十億ドルの間ぐらい、プラントが三十億ドルから四十億ドルの間ぐらいというような感覚ではなかろうかと思うわけでございますけれども、この数字と輸出入銀行サイドの資金手当てというものがほぼ見合っているかどうかというようなことになろうかと思うわけでございます。大ざっぱな感じといたしましては何とかぎりぎり足りているのではなかろうか、精いっぱいのところではないかなというような感じを持っております。
-
○
佐藤(観)
委員 ということは、つまり六百二十九億ドルという、もちろんこれは通関の輸出ですから、貸し付けが必要でないものもありますから、輸銀を通さないものは幾らでもあるわけですから、もちろんすべての輸出でありますけれども、この数字の中には輸銀がある程度予想される輸出というものも計算にあるいは参考に十分入っての数字がここに出てきている、われわれはそういうふうに理解してよろしいのですか。
-
○浜岡説明員 さように御理解いただいて結構でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 輸出のことについては、実はいろいろ、日本の為替相場がこれからこれだけ外貨保有が多くなってくるとどうなるかというような問題やら、ダンピングの問題やら、先ほどちょっと触れた積み増しがどうなっていくだろうかというような問題があるのですが、それまでやっているとまた時間が来てしまいますので、輸出の先行きと計画についてはこの辺で終わらせていただきたいと思います。
その次に、これもちょっと午前中問題になったのでありますけれども、共産圏向けの直接借款、これはいま私の手元にある資料では、ソ連はかなり額が大きいわけですけれども、ソ連しかないように思うのですが、直接借款の国別の傾向、特に共産圏向けのものはどういうふうになっておりますか。
-
○澄田説明員 直接借款のうちバンクローンとかバイヤーズクレジットといういわゆる輸銀ベースの政府借款でない直接借款、これはいま仰せになりましたように、ソ連向けに四十九年以降大口のものが行われております。五十一年三月末におきましては、輸銀ベース直接借款全体で五千四百九十五億円でございますが、このうちソ連向けが三千百六十三億円、こういうことになっております。
ソ連以外の国はないのかということでございますが、メキシコとかブラジルとかニュージーランドその他がございますが、共産圏につきましては実はまだまとまって貸付契約を結んだものはございませんが、昨年四月だったと思いますが、ルーマニアのチャウシェスク大統領が訪日されましたときに、黒海の港湾施設の拡充のために八千万ドル相当のバンクローンにつきまして覚書を結びまして、今後交渉が進展すれば直接借款として貸し付けが行われる、こういった案件もございます。その他ポーランド等とも内々話を進めておりますが、まだまとまったというところまで至っておりませんが、そういう下話というような話は行われている実情でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 そうすると、こういうふうに認識しておいてよろしいですか。共産圏からのそういった申し入れはある、しかしまだ結論として成約されたものはない、それから輸銀の方の態度として、共産圏向けのものだからいかぬのだという方針はとってない、こういうふうに理解してよろしいですか。
-
○澄田説明員 共産圏向けの直接借款でございますが、これにつきましては案件によりまして、案件がいわゆるバンクローンあるいはバイヤーズクレジットにふさわしいものであるということ、そして相手国政府がこれを要求している、要望をしていること等を勘案いたしまして、そしてふさわしい分については政府と御相談の上これを認めていくという方針に変わりはございません。先ほど申しましたルーマニア向け等は実態は決まっておるわけでございますがまだ調印が行われていない、こういう次第でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 それでは、そういった条件さえ調えば、別に相手の国の体制がどうであろうとそれは輸銀としては問題がない。ただ、きょう午前中横山
委員からも質問がありましたように、国情によってはいろいろと複雑な問題があるところがありますからそれは別といたしましても、かつての冷戦下のような態度というのは一切輸銀としてはないというふうに理解しておいてよろしいですね。
-
○澄田説明員 原則といたしましては、直接借款にふさわしい案件がある、相手国もこれを希望するという場合においては、その国情あるいは政体等によって差を設けるというようなことはございません。
-
○
佐藤(観)
委員 次の問題は、いつも輸銀というと問題になる問題でありますが、貸付先が非常に大企業に偏っているのではないかという問題です。それで、五十年三月末現在の資本金別の貸付会社数の実態についてちょっと報告をしてください。
〔森(美)
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○澄田説明員 五十年三月末で会社数で申しますと百五社になっております。これは資本金一億円以下の企業の数でございます。輸銀融資をしております会社総数のうちの、社数だけで申し上げれば二三%という数字になっております。
-
○
佐藤(観)
委員 いま総裁が言われたのは、資本金一億円以下の会社の数ですね。そうしますと、それ以上は一億円から十億円、十億円から百億円、百億円超、こういうことになりますと、会社数としてはどのくらいになりますか。
-
○澄田説明員 一億円超十億円が九十八社、十億円超百億円以下が百五十二社、百億円超が百二社、合計四百五十七社、こういうことになります。
-
○
佐藤(観)
委員 それはきょう午前中の答弁の中にでも、総裁も話がありましたように、輸出ということになりますとかなりリスクも考えなければいかぬし、輸出業務の繁雑さもあります。したがって、やはり大きな企業の方がそれがやりやすいということはわからぬわけではないわけですね。しかし、日本の中小企業も根強いところもありますし、それにはやはり道を必ず開いていかなければいかぬ。日本の企業の場合、資本金だけで物を考えるというのは若干正鵠を欠く場合もありますけれども、それにしても四百五十七社のうち一億円以下の会社というのは百五社ということですから、四分の一程度しかないということですね。これはやはり輸銀というものの性格を、今度も協調融資をする銀行の範囲を広げたわけでありますから、もう少しその辺の中小企業の輸出にしやすいようなことを考える必要があると思うのです。
ちなみに、これはいまの区分で貸付残高の額の数字がありますか。
-
○澄田説明員 いまの区分とちゃっと違うのでございますが、これは五十年九月末で時期もちょっと違います。
一億円以下で貸付残高で申し上げますと、二百五十二億円で任意融資全体の一%ということになります。一億円から十億円、資本金が十億円までということになりますと、貸付残高が千八十五億円で総残高の中の四・四%、以上十億円以下一億円以下両方合わせますと千三百三十七億円、五・四%、こういう数字になります。
-
-
○澄田説明員 十億円超は二兆三千四百九億円でございます。九四・六%という次第でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 そうしますと、一億円超の会社を合計しますと九九%、こういう数字になりますね。
-
○澄田説明員 そのとおりでございます。
-
○
佐藤(観)
委員 そこでもう少し実態をお伺いをしていきたいのでありますけれども、いま私お話ししたように、非常に資金の融資先が偏在をしている。これはおのおの理由があるのでしょうけれども、偏在をしている。先ほど午前中に総裁からあった輸出、輸入というもののむずかしさということもわかりますが、いわゆる中小企業、たとえば資本金一億円以下といたしますと、こういったところから申し出がないのかどうなのか、それから事実上協調融資を断っている場合というのは具体的にどういう場合に断っているのか、その点についてお伺いしたいのです。
-
○澄田説明員 中小企業あるいは中堅企業の輸出あるいは輸入、あるいは海外投資案件等につきましては、これはできるだけ要望にこたえるというつもりで特に近年鋭意やっております。そのためにいろいろ相談業務というものを海外投資等を中心にやっておりますし、それから、輸銀は国内で営業を行っておりますところは東京のほか大阪しかございませんので、大阪は従来は窓口業務をやっておりませんでしたが、大阪地区あるいは関西地区に中小企業案件が多いというようなこともありまして、ここでも直接受け付けをし、直接貸し付けを行う、こういうことを広げてやっております。その結果として中小企業の案件というものが出てまいります。それに対しましては、中小企業なるがゆえにそれを取り上げないということは絶対にございませんし、できる限りそういう要望にこたえるという趣旨でやってきております。お尋ねの、来たけれども断った、あるいは協調の段階でまとまらなくて断ったというような案件は、そういう理由によるものは私はないと承知をいたしております。
-
○
佐藤(観)
委員 そういう理由というのは、つまり中小企業だから、資本金が小さいからという理由で断ったことはない。そうしますと、具体的に、持ち込まれる案件でこれはちょっと輸銀では無理ですという案件というのはどういうことになるのですかね。たとえば、この成約はちょっと危ない、相手の信用がちょっと危ないというような場合とか、何かやはり断っているものがあると思うのです。
それから具体的に断っている件数とかそういったものは皆さん方の方のお手元に調べはあるのですか。もちろんいわゆる相談があった、話の段階だというようなことは数字には上ってこないかもしれませんけれども、具体的な案件で上がってきた、しかしこれはどうも主力銀行と相談したけれどもちょっと輸銀は手を出せないというような案件はどのくらいあるというような数字はあるのですか。
-
○澄田説明員 相談、下話というような段階で融資の申請にまでは至らないというようなケースはないわけではございませんが、融資の申請をしてくる場合は融資ができるというような場合に申請をしてくる、こういう形になっておりますので、そこまで至らなかった案件の件数というものはつかみにくいわけでございます。信用状況等で必要な担保を供する、銀行保証でありますとかその他の保証を供するというようなことをいたしておりまして、信用についてはそういうふうな点で補強をする。それから、向こうの外国に輸出をしたその輸出債権については輸出先の方でやはりしかるべく銀行保証その他の保証をつける、こういうようなことで、外貨債権、輸出債権とそれから国内の当該企業の信用力、両方についての担保力を確かめて融資をする、そういうことをいたしております。そういう段階におきまして、中小企業の案件等についてはそういうことで信用度を確実にしてそして融資をする、こういうやり方をいたしております。
-
○
佐藤(観)
委員 いまの総裁の御答弁を聞いていますと、ほとんど断ることはない、双方とも相手国の信用保証の問題もあるし、おのおのそれなりの保険もかけていくから。いまの話ですと、いまここで上がってきた案件、いま申しましたように一億円以上の会社に対する融資額が九九%を占めているということは、中小企業も申し出があり、実態が、額としてはこういうことになるんだ、したがって、別に中小企業だからだめだということはないし、そういった意味では、これが実態なんだというふうに受け取れるわけですが、やはり申し出があっても、いろいろな条件で断る場合があるわけでしょう。いまのお話ですと、そういう場合はないように聞こえるわけですね。
-
○澄田説明員 実態といたしましては、午前中にもちょっと申し上げましたように、輸銀融資の対象となります船舶あるいはプラント類の輸出それから重要物資、資源、エネルギー等の輸入、それから海外投資、こういう関係の海外との取引というものは、大体の場合におきましては、事柄の性質上、そういった海外取引をいままでずっと広くやってきて、海外に手足を持ち、情報網を持っている、そういう企業がこれを行うというのが実態でございます。したがいまして、中小企業の案件については、特に配慮をして、輸銀融資の対象となり得るものであって、そうして契約がまとまったというような場合には、むしろこれを積極的に取り上げるという方針でやってきているというのが実情でございます。ちなみに、日本の輸出及び輸入の六〇%は大手商社が行っているというのが実情でございますし、近ごろ中小企業の進出というのは、たとえば海外投資等の面においても逐次伸びてきておりますが、まだパーセンテージとしては少ない、こういうのが実情ではないかと思います。
-
○
佐藤(観)
委員 時間が来ましたのでまとめにいたしますが、いま輸銀の貸付残高で上位十社をちょっと挙げてみてください。ついでに額も一緒に。
-
○澄田説明員 これは有価証券報告書に基づくものでございますが、五十年三月末現在でございます。上位十社で申しますと、三井物産が貸付残高二千四百億円、石川島播麿重工業が千九百六十億円、三菱商事が千六百二十九億円、日立造船が千百七十億円、三菱重工業が千百五十二億円、丸紅が八百九十一億円、伊藤忠商事が七百七十五億円、日本鋼管が六百三十八億円、日商岩井が五百八十一億円、川崎重工業が五百四十八億円、以上が十社でございます。
-
○
佐藤(観)
委員 いまの総裁の答弁の中にもありましたように、十社のうち五社までは商社ですね。いま総裁も言われたように、日本の輸出入を扱っているのは、額としては確かに六割ぐらい商社であります。したがってこのことを考えていきますと、いま都市銀行からの商社に対する貸付枠、これは商社ばかりじゃなく、銀行が余りにも過大に一社に投資することは、経済危機が起こったときに、その他経済支配という面から言って非常に問題があるということで、貸付限度額の問題が大きな問題になっている。あるいは商社自体が、日本の商社というのはきわめて世界にない営業をやっているという状態を考えてみたときに、ここで輸銀の融資枠を非常にふやせということは、一面では確かに日本の輸出入を活発化していくということで非常に重要なことであることは私も認めないわけではありませんけれども、いまの実態を見ますと、銀行の方から締めつけられたから、今度は輸銀の方の枠をふやしていって輸銀からなるべく借りていこう、そして商社が関連の会社あるいは下請の会社、こういったいわゆる商社金融というのを財投を原資とするところの輸銀に頼っていこう、こういう傾向に、今度の場合に融資枠の拡大ということがそうなり得る可能性というのは非常に多くなってくるのじゃないか。このあたりが、きょう午前中も議論があったように、財政投融資の本来的なあり方、特に国民の貯蓄を中心にしているわけでありますから、国民に還元をするという立場から言いますと、どうもこの辺がいまの輸銀の融資のあり方自体、中小企業は輸出をしたい、輸入をしたいと思っても、なかなか輸銀では貸してもらえない。大きな商社を中心とするところの一億円以上の大会社が九九%も輸銀の資金を持っていってしまうという実態になりやすくなってくるのじゃないかと思うのです。
時間が来ましたから、最後に
局長に、これはある程度商社が輸出入を扱っているから当然額が多くなることはわかりますけれども、今度は協調金融機関もふやしたというのは、それなりの下からの需要があってやっていることだというのです。その面から申しまして、中小企業に対する貸し付け、これもさらにふやしていく。それから商社も輸銀としてもやはり需要があれば幾らでも貸し付けるということじゃなくて、やはりこれはおのずと考えていかなければならぬと私は思うのであります。この点について
局長の御答弁をお伺いをしたいと思います。
-
○田辺政府
委員 確かに現在のわが国の貿易取引の中に占める商社取扱高、約六割でございますから、それが輸銀の業務の方にも反映してきているのはやむを得ない。ただ商社に対する融資の比率は全体の輸銀としては約三割程度でこのところ推移してきておりますから、商社の貿易高に占める比率よりははるかに低いということにはなっておりますけれども、これは一般市中銀行について大口融資規制をやっておりますが、同様な観点、輸出入銀行といたしましても、特定の債務者にその貸し付けが偏るということは余り好ましくないことでございます。したがいまして、この点も、最近におきましては重要物資、資源の輸入に関しまして、ユーザーとなりますところの製錬メーカーであるとか電力会社等を相手に融資をするというようなことも行われておりますし、また、欧米諸国に対しますいわゆる直接借款、そういうような形で行われるということは特定の企業に散らばってくる、こういうことになります。そういう方向でやはり対処していくべきであろうと思っております。
今回の法律
改正案には、先ほど来お話がありましたように、その協調融資の金融機関をふやしまして、特に中小企業金融を行っている金融機関を指定したいと思っているわけでございますが、そのようなことは、先生がおっしゃるとおり、同様な実力といいますか、適格性を持っておる輸出案件について中小企業が携わっているものについて輸銀が直接貸し出しをしていくという方向を進めたい、このように思っておるわけでございます。
-
-
-
○
小林(政)
委員 輸銀法の問題について午前中も質疑をいたしたわけでございますけれども、私は前回、輸銀とロッキードとの関係についてこの
委員会で質問をいたしております。したがって、当時からこのロッキード社のL一〇一一の航空機の価格の中には賄賂というものが上積みをされている、国民の立場に立って考えてみますと、こういう疑惑は日増しに強まってきているという、こういう状態の中で輸銀当局からも必要な資料等も提出をしてもらいました。そしてその提出をされました資料の中でいろいろと検討をいたしてみますと、トライスターの十機分、この融資額は、六機分については八月八日に契約、貸付が行われておりますけれども、これは円に換算いたして三百四十四億九千六百万円、そして四機分につきましては四十九年六月に二百十五億二千八百万円、合計いたしますと五百六十億二千四百万円、トライスターの全日空との契約額というものはどうなっているかという点についても資料を提出してもらいましたけれども、これは六機分については四百三十一億二千万円、四機分の方は二百七十七億二千万円ということで、合計七百八億四千万円、こういうことでございます。これを六機分の方を見てみますと、一機については七十一億九千万円、四機分の方は一機六十九億三千万円、端数は除きますけれども、こういう数字が出てまいります。この点については、この数字を御確認願えますね。
-
○澄田説明員 六機分の融資の金額は、三百八円で円に換算いたしますと、端数を切り上げますと三百四十五億円でございます。四機分は二百十五億円でございます。それから契約金額でございますが、六機分は四百三十一億円、四機分は二百七十七億円でございます。一機に割った数字はいま手元にございませんが、おっしゃった数字で正しいと思います。
-
○
小林(政)
委員 そこで、まず会計検査院にお伺いをいたしたいと思います。お見えになっていますか。——それではいまの問題につきましては会計検査院が見えてから改めて伺いたいというふうに思います。
そこで次にお伺いしたいのは、国際金融局見えておりますか。——それではそちらに入りたいと思います。
昭和四十七年の十一月に、ちょうど総選挙の直前でしたけれども、前回の総選挙の直前に輸銀法の
改正が行われました。当時のこの輸銀法の
改正は、外貨準備などの関係で、端的に言ってアメリカのドル防衛に協力をする日本のドル減らしのための
改正であった、こう言われておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
-
○田辺政府
委員 輸銀法の
改正の問題でございますので私からお答えいたしますが、まさに当時の国際収支が非常に輸出超過、外貨準備がどんどん激増していくという状態で、円の平価、この問題が非常に揺れておった時代でございまして、早急にその日本の持っておる外貨を減らす、特に対米関係の貿易関係でわが国の出超を減らすというような目的をもちまして前回の輸銀法の
改正が行われたわけでございます。
-
○
小林(政)
委員 昭和四十七年の十一月のこの輸銀法
改正以降、航空機を含む設備輸入——航空機がこのときに重要な設備であるということが輸銀法の
改正の中でうたわれたわけですけれども、この航空機を除いて、日本の輸銀の融資を設備でもって受けたものがございましたか。
-
○田辺政府
委員 輸入案件につきましては、航空機でない設備を輸入するのに融資をしたというのはございません。設備のうちでは航空機でございます。
-
○
小林(政)
委員 そうしますと、設備輸入のための融資の申し込みというものが当時ありましたでしょうか。
-
○田辺政府
委員 ちょっとその当時にどういう引き合いがあったかというのは私わかりませんが、想像で申し上げて恐縮でございますけれども、設備類、いわゆる工場設備あるいはその他の機械というような、大型のいわゆる設備に該当するもののわが国への輸入というのは余りなかったのではないかと思います。
-
○
小林(政)
委員 そうしますと、その当時、その時期にアメリカ輸銀の融資を受けた、アメリカ輸銀の融資がついた、そういう設備輸入というものはどんな状況だったか、御存じでしょうか。
-
○田辺政府
委員 これは実は調べたことがないわけでございます。アメリカの輸銀から、わが国に輸入される設備、航空機以外で借りたのがあるかどうかというのは実は調べたことがございませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
-
○
小林(政)
委員 そうしますと、具体的には設備輸入の状況というものは、私どももこの点について資料を要求していたんです。通関統計等を見ればあるいはということでもありましたけれども、この点について恐らく私どもの調べた範囲では、当時、関西電力の原子力発電設備、こういったものが実際には——いまこれは届いた資料なんですけれども、原子力発電のプラントですか、これがそうだろうと思うのです。いま届いたばかりでまだ私もよく検討しておりませんけれども、これがあったのではないか、それ以外は、設備といいますとどうしても大きいものでございますから、恐らくなかったんではないか、こう思いますけれどもいかがでしょうか。
-
○田辺政府
委員 ちゃんと調べたわけではございませんのではっきりしたお答えはいたしかねますけれども、原子力発電設備のようなものについてはそういう事例があるということは想像にかたくないわけでございます。
-
○
小林(政)
委員 私は、むしろドル減らしのためにこの輸銀法の
改正が行われたんだ、しかも、法律
改正の中に重要設備ということで航空機が入ったわけですね。そうしますと、この輸銀法の
改正で、いま幾つかお聞きをいたしましたけれども、そのほか具体的に日本のドル減らしに協力をするという意味で日本の輸銀の融資がついた設備、こういったものというのは恐らく航空機のみに限られたんじゃないか、航空機だけしがなかったんじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
-
○田辺政府
委員 四十七年の輸銀法の
改正は、輸入金融の拡充のほかに投資金融につきましての拡充等もいろいろございましたが、輸入に関して、特に設備の輸入に関しまして言いますならば、輸銀の融資は実績としましては航空機だけになっております。
-
○
小林(政)
委員 ドル減らしである、そしてそのための輸銀法の
改正なんだということであれば、当然これはそのほかの設備、すでに先ほど申し上げたような原子力発電その他のプラントなども当時設備として入ってきていたわけですから、こういうものが対象にならないで航空機だけに——アメリカの輸銀がつけていた当時のものを日本の輸銀が肩がわりをして、結局これを融資の対象にしたということは、ドル減らしという点から見ると、航空機だけ、あとは何もついてないというのは、これはちょっとおかしいんじゃないかと私は思うのですけれども、この理由は一体どういうことだったんでしょうか。
-
○田辺政府
委員 いまちょっと引き合いに出されました原子力発電設備の輸入についてのその時期あるいはその商談がいつごろ行われてきてどういう話になってきていつ輸入されたのかというのは、私ちょっと知りませんものですから、お答えしにくいわけですけれども、あの時期でございますので、要するに緊急にアメリカから物を輸入しようということで具体的なことをいろいろ考えたわけでございますから、それで鶴見・インガソル会談でもいろいろなことが、航空機の輸入のみならす他の物を含めて発表されたようなことでございますから、もしある程度具体的に見込みのある大型の設備の輸入というような計画があるならば、やはり同様なことは講ぜられたのではないかと思います。思いますが、ちょっとその事実関係をよく知りませんので……。
-
○
小林(政)
委員 ちょって見てください。——いまお見せをいたしました資料で、四十七年当時やはり原子力発電のプラントを一億八千百万ドルですか、こういったものがあったわけですし、私は、むしろドル防衛という点で輸銀法の
改正を行うという場合には、もしそうならば、本来であれば、航空機だけじゃなくてその他の物も当然認めてしかるべきだったのじゃないか、ここのところに、航空機だけということにやはり何か問題があるのではないか、こういうふうに思うわけです。しかもその後ドル減らしというようなことがいろいろと言われておりますけれども、五十年度より航空機の輸入についても実際には日本の輸銀からアメリカ輸銀にこれがまた戻されたといいますか、こういう事情は一体どういうところから出てきたのですか、まずそこをお聞きしたいと思います。
-
○田辺政府
委員 二番目の方から先にお答えいたしたいと思いますが、御案内のように当時の外貨減らしを緊急にやらなければならないという意味合いで、とりあえず四十七年及び四十八年発注分については全部輸銀から外貨貸しの方式でもってやるということで、これが具体的に輸入されてきましたものは少しずつずれて四十八年度及び四十九年度に輸入されてきているわけでございますけれども、四十八年の半ば過ぎごろからわが国の対外収支も、やや従来のような黒字の激増という状態から様子が変わってまいってきたわけでございまして、しかしなおまだ多額の外貨準備を持っておりましたし、円の相場自体もかなり強い状態でございまして、将来のことがなお心配であったわけでございますけれども、四十八年の暮れ、いわゆるオイルショックというような事態が起こりまして、わが国の貿易構造、輸出入の関係が、非常に大きな様相の転換といいますか激変を来すことになるわけでございまして、したがいまして、このような状況を見まして、もう四十九年の発注分からはもとに戻す、つまり日本の輸銀から融資するという方式から従来どおりのアメリカの輸出入銀行からの融資に戻す、こういうことにしたわけでございます。
それから第一点の原子力発電設備の点でございますが、いまお見せいただきました資料によりますと、四十五、六年、四十七年に輸入が行われているようでございますが、四十八年度、四十九年度は輸入がない状態でございますから、恐らく四十七年度の輸入ということになりますると、具体的な購入契約、それ以前の発注なり、そういうようなものはかなり以前にもうすでに話が煮詰まってきておったのではなかろうか。そういう状態でございますと、そういう決まったような状態から急に金融の形態を変えるということは事実問題としてできませんので、それは恐らく話に上らなかったのであろう、こう想像いたします。
-
○
小林(政)
委員 結局、アメリカ輸銀に融資を戻したということは、ドルとの関係で日本の外貨準備高が非常に減ってきた、こういうことのために行われたのだということでございますけれども、私ども四十八年、四十九年の外貨準備高がどうなっていたのかということをちょっと調べてみますと、これは経済統計月報に出ておりましたものですけれども、四十八年の二月には百九十億六千七百万ドルであったものが、四十九年の六月には百三十四億二千九百万ドル、当初から比べて六十億ドルぐらい外貨が減っているわけですね。こういうことであれば、四十九年の六月の時点、いわゆる第二次の契約のときに航空機の問題については米輸銀の融資にかえていくということが当然ではなかったのか。この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
-
○藤岡政府
委員 御指摘のとおり、四十八年の二月には外貨準備は百九十億ドルに達しまして、その後次第に減っているわけでございますが、円のレートはそのころ二百六十五円くらいで非常に強い状態にございました。外貨準備は一つの大きな指標でございますが、通貨の強さを見る場合にはやはり為替レートも大きな重要性を持っているわけでございまして、しかしながら十月にいわゆる石油危機が起こりましてから日本の通貨情勢も変わってまいりまして、それを機にEXIMの方へ戻したということでございます。
-
○
小林(政)
委員 大変おくれてからアメリカ輸銀に戻しているわけですよね。これは具体的な当初の見込みですね、ドル減らしだ、外貨準備をもっとアメリカに協力をしていくのだという形で減らしていくということでつくった制度が、わずかの間にこういう事態が起こってきた。私はむしろこういう状態の中で、ちょうど四十九年といえば石油ショックでもってそれこそ国際収支の悪化ということが非常に大きな問題にもなり、また石油ショックの中で国内にもいろいろな問題が起こっていたわけです。この時点でどうしてアメリカ輸銀にこれを切りかえるということができなかったのか、その理由は一体何なのだろうか。五十年になってからはこれは切りかえていますけれども、外貨がどんどん減っていく。しかも国際収支が悪化の方向をずっと強めてきている。この時点でやはり米輸銀の融資に措置を切りかえるということが常識的に考えても当然のことじゃないかというふうに私ども思いますけれども、これができなかった理由は何なのか、明らかにしてもらいたいと思います。
-
○藤岡政府
委員 いま申し上げましたように、外貨準備とか、円の為替相場等を見まして私どもは十月の石油危機のころから非常に情勢が変わったと思ったわけで、それでEXIMに返すような方針転換をしたわけでございます。
ただし、こういうような大きな輸入案件になりますと、やはり契約から商談をするのに数カ月かかるのが通例でございますので、手を打ちまして契約の更新を始めましても、それが現実の輸入になるのには数カ月おくれるというのが実情でございました。
-
○
小林(政)
委員 私は、この事実は、いまいろいろとこういう条件であったということが述べられましたけれども、やはり政策判断の誤りじゃなかったか、しかも単純な政策判断というよりも、大蔵省は具体的にいま国際収支の状況がどんなふうになっていたのか、あるいは輸銀も国際収支の状況が当時どういう状況にあったのか、こういうことについては一番よく知っている立場にもあったし、こういう中で直ちに政策の手直しをドル減らしのために当時やった措置であるならば、直ちにこの時期でもって切りかえていくということが当然じゃなかったか。これは単なる政策の誤りということだけではなくて、一番よく事情を知っていた大蔵省や輸銀がなぜそれをやろうとしなかったのか、なぜできなかったのかという点についていまいろいろと事務的な説明がありましたけれども、これは私はやはりこの判断を誤り、あるいは政策的にも一つの判断の誤りを犯したのではないかというふうに考えます。
以上、私どうもこの問題腑に落ちないのは、ドルショックのための輸銀の
改正なんだということを言いながら、実際には対象にしたのは航空機だけなんですね。そうしてしかも日本のドルが、外貨がどんどん減っていくという、こういう状況のもとでもなおかつ日本の輸銀がこの航空機の融資を続けていく、こういうことは実際ドルショックのために輸銀法の
改正というものが本当にやられたのかどうなのか、私はそれこそほかの理由があったのじゃないかと思うのですよ。対象にしたのは飛行機だけでしょう。しかもドルがどんどん減っていく中でもこの問題については手をつけてなかった、これはおかしいじゃないか、輸銀法の
改正は結局はドル減らしのための
改正ということよりも、本当の理由は私はむしろロッキード社の事情にあったのじゃないかと思うのです。ロッキード社の当時の事情をよく御存じですか。ロッキード社の経営状況を少し知っていたら話してください。
-
○澄田説明員 私から輸銀融資を米輸銀に切りかえた時期が遅いではないかという点についてお答え申し上げます。
この点につきましては、四十七年の九月の鶴見・インガソル会談におきまして、四十七年度及び四十八年度になされる発注の航空機についてこれを緊急輸入を行う、こういうような申し合わせがなされております。この緊急輸入は先ほどお話しのようなドル対策、日本の対米黒字を減らすために行われた、こういうものでございます。
そうしてこの結果として米輸銀の金融を日本の輸出入銀行の金融に切りかえたわけでございますが、金融は事柄の性質上契約をされて発注されますときに金融の話をまとめて融資のめどをつけて、そうして航空機の輸入が行われる、こういうことになっております。したがいまして、四十七年度、それから四十八年度は先ほど国金
局長の方から御説明がありましたが、後半におきまして日本の国際収支の状態というものが変わってはまいりましたが、しかし四十七年度、四十八年度の発注分につきましては、これはその発注のときに日本の輸出入銀行の融資で行う、こういうことで契約が行われ、準備が進んだわけでございます。現実に入ってまいりましたのは四十九年度になってきている、こういうことで、そこにずれが出たわけでございます。そうして四十九年度の発注分からは、これはアメリカの輸出入銀行にまた戻して切りかえております。
したがいまして、この点の政策判断に誤りがあったのではないかという御質問でございますが、航空機の発注並びにそれに伴う金融というようなものの性格上、この切りかえにはある程度期間がかかる、その発注時に金融の方を決めてかからなければならない、こういう事情によるものである、そういうふうに承知をいたしております。
-
○
小林(政)
委員 ともかく、先ほど鶴見・インガソル会談の話も出ましたけれども、あそこでは三億二千万ドルですね、航空機を買いましょう、そして、日本がそれに対して、契約が成立すれば容易に購入できるような措置をとりたいという意味のことが言われているわけで、結局その場合に日本の輸銀にするとか開銀にするとか、そういうことを言っているわけじゃないんですね。品物を買いましょう、それがドル減らしに対する協力なんだ、また日本の外貨を減らしていくという立場にも立って品物をともかく買いましょう、こういうことなんでしょう。私は、そういう問題と、どうして輸銀法の
改正というものが当時行われたのかという、この問題も非常に疑問があるんですけれども、しかしドル減らしだということを理由にして
改正がされたという。だとすれば、外貨がどんどん減ってきている段階で、事務的にはいろいろむずかしい面も幾つかあると思います。しかし、相当大きな額ですよ。やはりこういうものがそのまま残されていたということは、外貨減らしということよりもほかに理由があったし、私がさっき聞いたのは、ロッキード社が当時どういう経営状態にあったのか、大蔵省は御存じですかということをお聞きしたのです。御存じですか。
-
○田辺政府
委員 当時、ロッキード社がどういう状態であったかということはつまびらかにいたしておりません。ただ、この輸銀の融資の対象になりまして——外貨減らしという意味はおわかりだと思いますけれども、従来方式の、アメリカからお金を借りて払っておったのでは一向に日本の外貨は減らない、したがって、日本の輸銀から外貨でもって貸していこう、こういうことにしたわけでございまして、そのためには輸出入銀行法の
改正も必要であったわけでございますが、それによって輸入されましたものは別にロッキードの飛行機ばかりでなくて、ダグラスもございますればボーイングもあるわけでございまして、何かそういうロッキードと輸出入銀行法の
改正とが絡んでいるということは、とうてい信じられないわけでございます。
-
○
小林(政)
委員 これは新聞などにもいろいろと伝えられているように、当時ロッキード社というのは非常に経営的にもピンチに立っていた。しかも、その中で具体的に経営規模の問題等も含めて、従業員の解雇も行われるとか、あるいはアメリカ政府から実際には融資も受けるというような中で、非常に経営的にピンチになっていたということは、もう周知の事実なんですね。だから実際にロッキード社自身が、自分の国内であるアメリカの輸銀の融資を受けようとしても非常に困難でむずかしい状態にあったのではなかったか。あるいは市中銀行などが実際にロッキード社に融資をするというような条件がその当時あったのかどうなのか。これはいろいろと調べてみれば明らかなように、非常に窮迫した状態に当時あったということが言われているんですね。私は、そういう中で当時のこの日本の輸銀法の
改正という問題がロッキード社の航空機を購入するため、しかも輸銀法を
改正して入ってきた物は航空機だけなんですから、こういう点についても非常にいろいろな疑惑がますます深まるばかりでございます。しかも、米国輸銀の融資条件というのはどういうふうにやって決められるのかということを、私ども日本輸銀の中にあります海外投資研究所の海外投資相談室の室長さんにお電話をして聞いてみました。ところが、このアメリカ輸銀が輸出金融をつける場合には、借り手が輸入企業の場合でも、メーカーの経営状態が重要なポイントになります。つまりメーカーが民間から資金をどれぐらい借りる力、導入する力を持っているかということなどが当然これは判断の材料になります。こういうことをおっしゃっています。私はこれは当然だと思うのですね。融資をする場合に、アメリカの輸銀が実際にメーカーに対してそのような調査をやっているのだということは、これはもう当然だと思うのですけれども、私はこういう問題について輸銀も金融当局も具体的に調査を一体どのようにされているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
-
○田辺政府
委員 輸出入銀行の海外投資関係の調査の方がどのようなことをおっしゃったかあれですが、このような輸入の案件につきましては、まさしくその航空機なら航空機というものが、完全に製造能力がありまして、そしてそれが完全に全日空の方に、輸入社に引き渡されるということがはっきり確定をしまして輸銀の融資は行われなければならない、そういう方式でもってちゃんとした手順を踏んで実際にこの輸入は遂行されているわけでございますから、この点に関しての輸銀の融資について、ロッキード社の経営状態とかなんとかいうことからおかしかったということはないと思います。
なお、ちなみに、アメリカの輸銀の発表しておりますものを見てみますと、一九七二年十二月でございますから、ちょうどわが国の輸銀法が
改正されたころでございます。四十七年の十二月になると思いますが、このときにロッキード社に対しまして、これは三機分、フィリピン向けとなっておりますが、融資の承諾を行っている、こういうことになっておりますから、こういうことを考えましても、アメリカの輸銀からお金が借りられなかったからということではないのでございまして、これは前々から御答弁いたしておりますけれども、わが国の方でもって輸銀から金を貸すことによってぜひこの外貸の有効な活用をしたい、こういうことを考えたわけでございます。
-
○
小林(政)
委員 時間がございませんので、いまの問題、まず一つだけお願いをしておきたいと思います。
これはアメリカ輸銀から借りられなかったからということではないのだということでございますけれども、もしそうであるとするなら、アメリカ輸銀の融資の条件とか、あるいはまた融資方法あるいは詳細な明細といいますか、こういったものを明らかにしたアメリカ輸銀の業務方法書や細則など必要な資料をひとつ取り寄せていただきたいと私は思うのです。実際にアメリカ輸銀から融資を受けられないということではないのだというふうにいまおっしゃっているわけですから、だとするならば、ひとつこういうものを提出していただきたい。これは外務省を通じてでもアメリカから取り寄せていただきたい。恐らく輸銀関係の業務の中でこういったものは取り寄せられるのではないかというふうに思いますけれども、その点についてひとつ資料を提出していただきたいということをお願いをいたしたいと思います。これはまた後で
委員長にお願いを申し上げますけれども、会計検査院の方がお見えになっていらっしゃるということですから、一つだけお伺いいたします。
ロッキードの購入価格の中に賄賂とか手数料が上乗せをされているのではないか、こういうことがいろいろ言われておりますけれども、正確にこれを確認するためには原価構成の厳密な調査というものが一般的にいって当然必要ではないかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
-
○柴崎会計検査院説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもも、今回のロッキード問題に関連いたしまして疑惑の生じている件につきましては、もっぱらこのトライスターの購入価格に水増しがあるかどうかということが問題であろうと思います。それはまたひいては輸銀の融資額にも関連する、こういうことでございましたので、それについては私ども、検査を続行中でございますけれども、確かにおっしゃっるとおり、最終的な詰めといたしましては、ロッキードにおけるトライスターの製作の原価構成、ここまで当たりませんとその正確な内容については確認することができないというのが実情でございます。
-
○
小林(政)
委員 結局、いままでいろいろと可能な限りの調査をして、そして現在のところでは価格の中に上積みされているという事実は確認されていない、こういうことを答弁されていますけれども、いかにも疑惑はないんだというように受け取られるような答弁が行われるということ、これは私は非常に残念だというふうに思うのですよ。むしろ、確認されない限り実情がどうなっているかということがわからないのだというのが本当だろうと思うのです。
具体的に調査をされたと言われているのですけれども、時間がないので、どんな調査をされましたのか。そして、私がお伺いいたしました範囲では、いろいろと各国の航空機の価格を比較してみたら、それは差がなかっただとか、いろいろなことが言われております。全日空の帳簿を見せてもらったら、それも別に特段と問題はなかった。こういったようなことの調査がいかにも、疑惑はなかった、価格の上乗せというものはないんだというようなこと。私は、いいかげんとは言いません。しかし、このようなずさんな調査でもって、一切価格の上乗せというものはないんだというようなことが言えるのかどうなのか、私はその点を明確にしてもらって、きょうの質問を終わりたいと思います。
-
○柴崎会計検査院説明員 この点につきましては、国会でも私ども何回か御説明をさせていただいておりますが、私どもの検査は、まず融資の根拠の有無、それから諸条件の適否、それからその融資を受けた資金の使途の当否、これらが重点になりますが、その中で融資額が妥当であったかどうか、私どものの検査の立場から申しますと、ここが一つのまたポイントになります。その場合には、当然、融資額の額のいかんということは購入価格のいかんということによるわけでございますので、その購入価格につきましては、私どもまだ確認は終わっておりません。このことは、したがいまして、この購入価格の面は別といたしまして、その他の諸条件については融資の手続上についての確認を終わっておる、こういう御説明を終始いたしてまいったわけでございまして、このトライスターの購入価格そのものについての確認は残念ながらまだ終わっていない、こういうことを留保いたしまして御説明をいままで終始してきてまいったつもりでございます。ということでございますので、この購入価格の面については、私ども、百方手段を尽くして何とかこれを確認いたしたい、このように現在も努力をいたしておるわけでございます。
-
-
-
○
増本委員 関連してちょっと五十一年度の貸付計画についてお尋ねをしておきたいと思います。
今度の貸付計画は、さっきからも議論がありましたように、輸出によって景気の浮揚を図るという景気対策で構成をされているわけですが、その中で特に顕著に伸びる計画を立てておられるのが船舶の輸出ですね。船舶の輸出ということになりますと、いままで商社と造船会社が大体船台を押さえておいて、五年ぐらい先まで手当てをしておくわけですね。そして、要するに仕組み船や便宜置籍船のようなものを、商社のいわばそれぞれの海外法人が受け持つような仕組みでやられてきているわけですが、いま延べ払いに輸出船の増加に対処するために二倍以上にふやしたという説明が当局からされているわけですけれども、この船舶輸出の具体的な中身をひとつ御説明いただきたいと思います。
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○澄田説明員 船舶輸出につきましては、その当該年度の船舶の輸出の状況、これはすでに契約が成約をしておりまして、それがその年度に出ていくというものが大部分でございますが、その成約の状況、そうしてその成約で船舶の引き渡しの時期等でその年度に引き渡されるものにつきまして、それが延べ払いで輸出されるという場合においては、その船舶の輸出の所要資金というものを計上して、そうして輸銀の船舶輸出の所要資金量をはじく次第でございます。そういうふうなことによりまして五十一年度は延べ払い船の割合が非常にふえた結果といたしまして、前年度の九百七十億から二千百十億というふうに所要資金の増大を見込んでおる次第でございます。
-
○
増本委員 そうしますと、輸出先はどういうところなんですか。
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○澄田説明員 輸出先はきわめて広くわたっていると思われますが、五十年度の一年間の船舶輸出の主要な先を申し上げます。
ノルウェー、パナマ、マレーシア、トルコ、キューバ等になっております。
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○
増本委員 これらで、それぞれの船籍はいまお答えいただいたような国だけれども、しかし、その船主である契約の購入者の方が日本の現地法人であるというようなものはありますか。
-
○澄田説明員 輸出先の船主が日本の現地法人であるいわゆる便宜置籍船でございますが、それに対しては輸銀はこれは輸出と認めませんで、融資をいたしておりません。したがって、そういうものは対象としてございません。
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○
増本委員 従来そういう取り扱いでやってこられている説明は聞いていますけれども、ここへ来て二倍以上の船舶の輸出を見込んだ資金計画を立てておられるので、具体的にいま、たとえば国際的な船舶の業界の状況を見ましても非常に過当競争になっているとかいろいろなことが言われている中で、新造船を延べ払いで輸出をする状況がふえているというここのところとの絡みで需要を意識的につくるような手だてが現地法人などを中心にして行われているのではないかという点に疑問を持ったからですが、そういうような点はいささかもなく、全くのそれぞれの国の実需でございますか。
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○澄田説明員 実情を申し上げますと、五十一年度の船舶の輸出は実は五十年度よりもふえるわけではございません。隻数においてはむしろ減少いたします。それは、一つは船価が上がっておりますので船価によって増加する部分がございます。それから最大の理由は、先ほどから申しております延べ払い船がふえたことでありまして、五十年度は現金船で輸銀融資の厄介にならないで船主側でもって外で資金を調達する。それに対してこういう金融情勢でございますし、船も買い手市場になってまいりました。金融を延べ払いでなければキャンセルする、こういうような話もございまして、そういうことで延べ払い船の割合が急速にふえております。船価の増大と、それよりも延べ払い船の割合の増大、この二つが船舶輸出の資金量が倍増をいたしている理由でございます。
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○
増本委員 ではもう一問別の問題をお尋ねしておきたいと思います。
今度は外貨債の取り入れがこの法案で新しく入ったわけですが、大蔵大臣の認可を受けてやることになっていますが、これは全部合わせて債券発行の条件の中に、いわゆる債券発行枠の中には外貨債と内国債と両方が入って、十倍ですかの枠になっている、こういう趣旨ですね。
-
-
○
増本委員 その都度の資金需要に応じて借入金の取り入れをしていくんだろうというように思いますが、外貨債をどのぐらい取り入れるかというその限度その他については一定の目安とかリミットというものは運用上お考えになっているのでしょうか。
-
○田辺政府
委員 外貨債の発行というのは恐らくそう頻繁に行われるわけではないと思っておりますが、やはり外国における資本市場の状態、もちろんわが国の運用部借り入れの状態であるとか融資量の問題とか、全体が勘案されていかなければならないと思いますが、特に輸銀の発行する外貨債の総枠は幾らという考えは持っておりません。ただ、御案内のように、これは政府保証をすることになっておりますが、政府保証債の総枠につきましては、その当該年度の予算におきまして決められておる、こういうことでございます。
-
○
増本委員 そうしますと、各年度のこれからの資金計画の中の原資の中に、事前に外貨債を予定する場合には、それが項目としてこれから入ってくるということになりますか。
-
○田辺政府
委員 年度当初といいますか、前年度の末ごろ近くにこの予算案を決めるわけでございますけれども、そう前広に幾らの外債を発行できるということは、いままでの開銀や何かの例でもなかなかできませんから、それは全体の資金調達の中でやりくりをする、もしその年度経過中に外債発行が可能になった場合におきましてもその中でやりくりをするということにならざるを得ないと思っております。
-
○
増本委員 それは一年間に資本市場もいろいろ動きますから、だからもちろんそれは予測は不可能かもしれないけれども、しかし一方で貸付計画が出て、それに見合う原資も一応の見込みを立てるわけですね。その原資の中で、いままでですと財投資金と自己資金ということで、資金運用部からの借入金で原資のそれぞれ計画が立てられていたわけですが、少なくとも一定のそういう原資計画、資金調達計画はもう少し細かい——特に外債の取り入れということをおやりになるわけですから、その点についてこれはもう当然運用ですから一定の見込みが入ると思いますが、しかしその点については明らかにされることが必要ではないかというように思います。ひとつ検討してしかるべき手だてをとってもらいたい、こういうように考えるわけですが、いかがですか。
-
○田辺政府
委員 資金計画でいま出されております項目といたしましては、財政投融資資金と自己資金、財政投融資資金は産投会計出資金と運用部借入金、こういう項目になっておりまして、自己資金の中で回収金等がございますので、運用部から借り入れるのはどれぐらい、それから産投会計の出資はどれぐらい、これは政府の計画と関係がございますから、これは計画として項目を出さざるを得ないといいますか、出すべきであると思いますが、外債という民間市場から出るものの場合には予定ができませんから、結局回収金プラス外債発行というような歳入といいますか収入を含みましてもそれができない場合には穴があいてしまいますから、結局大きな枠の中でする以外はないと思います。それはやむを得ないことだと思っております。
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○
増本委員 自己資金の中で確定できる部分とそれから未確定、取り込まなければならない部分と出てくるわけですね。そうすると、確定できる部分についてはその内訳でそれ以外のものはどうするかということで、数字の上でも原資計画の中でその程度のものは明らかにされてもよろしいんじゃないですか。そうすると私たちの方も、これからの運用をどうやっていくのかということが資金計画を見るだけで一応の見通しも立つし、その中からこの問題についてもさらに接近した質疑もできるのじゃないかということを感ずるわけです。ひとつその面を含めて、その中身がわかるような検討をお願いしまして、時間ですので終わります。
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-
○坂口
委員 午前中の大蔵大臣に対する質問の中で、大蔵大臣は前回の昭和四十七年におきます輸銀法の
改正というものはロッキード事件とは全くかかわり合いのないことであった、これは大蔵省それから輸出入銀行両方の名誉にかけて明らかにしなければならない、こう述べられたわけであります。そのことについてこれ以上議論しようとは思いませんが、具体的な問題についてお聞きする中で、ひとつ名誉にかけて御答弁をいただきたいと思うわけであります。
輸銀の総裁にまずお伺いをしたいと思いますが、全日空が四十八年の七月十七日及び四十九年の六月十二日に融資の借り入れ申し込みをしているわけであります。この両申し込みの金額、使途、取引内容あるいは返済方法等についてどのようになっているか、おわかりの点だけひとつ御説明をいただきたいと思います。
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○澄田説明員 四十八年七月十七日の全日空の借入申込書は、借り入れの使途といたしましてはロッキード一〇一一、六機の購入資金、借入期待額といたしましては一億一千二百万ドル、そして、対象契約はロッキード・エアクラフト社との間の航空機輸入契約を対象としてこれだけの資金借り入れをいたしたい、そういう申込書でございます。これに対して融資契約を同年八月二十九日に結んだわけでございますが、この場合の融資の限度額、その金額までを限度として融資をするという金額でございますが、限度額は申し込みと同じ一億一千二百万ドル、使途はロッキード一〇一一、六機の購入資金、償還期間は十年ということでございます。
それから、四十九年六月十二日申し込みの四機分でございますが、これは借入期待額七千二百万ドル、そしてその内訳は外貨五〇%、円貨五〇%で借り入れたい、こういうような申し込みになっております。使途はロッキード一〇一一、四機等の購入資金、対象契約はやはりロッキード・エアクラフト社等との間の航空機輸入契約でございます。これに対しまして同年六月二十六日に融資契約を結びまして、融資限度額は円貨分が百四億四千万円、ドル分が三千六百万ドルでございます。償還期間は十年間ということになっております。
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○坂口
委員 もう一つ続いてお伺いをいたしますが、この両申し込みに対して貸付承諾額及び貸付金額、これはどれだけになっておりますか。
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○澄田説明員 承諾額は先ほど申し上げました限度額がすなわち輸銀融資としての融資承諾額ということになっております。これに対しまして貸付額が、六機分でございますが、一億四百八十六万ドルでございます。それから四機分でございますが、貸付実行額は、円貨分が百四億四千万円、それからドル額が三千六百万ドル、これは全額限度額と同じになっております。
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○坂口
委員 もう一度復習させていただきますが、第一回目の六機分は四十八年七月十七日に借り入れ申し込みがありまして、それが一億一千二百万ドル、貸付承諾額も同じく一億一千二百万ドル、貸付額が一億四百八十六万ドル、それから二回目の四機分につきましてが、四十九年六月十二日に借り入れ申し込みがありまして、これが日本円の方が百四億四千万円、それからドルの方が三千六百万ドル、これは貸付承諾額も貸付額も同じ、こういうことに間違いございませんね。
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○澄田説明員 結構でございます。
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○坂口
委員 そこで、航空機、この場合トライスターでございますが、これは一機ごとに契約書とは別に、後で手紙によって特別なる値引きをしているということが言われておりますが、このことについて輸銀の方は御存じかどうか。それから、もしこれが値引きされているということになれば、このことに対して調査をされたかどうかお聞きをしたいと思います。
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○澄田説明員 輸銀が融資を行う場合には、当事者の契約を基礎にいたしましてその内容を十分検討いたしまして、融資対象として適格なものにつきまして政府の輸入許可等を確認の上融資を決定しているわけでございます。
本件の契約中に、契約締結以後の仕様変更や、あるいは物価の変動ないしは為替レートの変動等によって契約金額の調整が行われる場合があるわけでありますが、本件についても契約にそういう条項がございます。そういう条項は、当然これを検討いたしまして、そういうことで調整されて不要になった金額等は、これは融資金額から除くということにいたしております。
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○坂口
委員 そういたしますと、最初の六機分について貸付承諾額が一億一千二百万ドルであったのに対して、貸付額が一億四百八十六万ドルというふうに減っているわけですね。この減っておりますのが変動によって減額になった、こう理解してよろしゅうございますか。
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○澄田説明員 そのとおりでございます。
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○坂口
委員 そういたしますと、その後の四機分につきましては、申し入れ額と貸付承諾額それから貸付額が皆同じでございます。四機分につきましては、日本円で百四億四千万円、それからドルで三千六百万ドル、これは承諾額も貸付額も同じでございます。この二回目の四機分について、すべてドルに直しますと七千二百万ドルになるわけでありますが、同額の融資をされているということは、そういう変化がなかったということなんでしょうか。それともそういう変化があったのだけれども、そのことについて何もされなかったということなのでしょうか。どうでしょう。
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○澄田説明員 第二次口四機分につきましては、やはりその変更、調整等の条項はあったわけでございます。しかし、価格が動いた分を差し引きいたしましたその結果といたしましては、当初と同じ金額、当初金額になった、こういうことでありまして、現実の貸出額が承諾額と同じことになったという理由は、そういう差し引き計算をした結果でございます。
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○坂口
委員 この後の四機分について、値引き、仕様変更、こういったものがされた疑いが非常に強いわけでありますが、このことについて詳しく調査をされておりますか。もしもされておったとしたら、いまのような漠然とした話ではなしに、もう少し詳しい話を承りたいと思います。
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○澄田説明員 いま手元にあります資料でわかりますことは、後の二次口の場合、仕様、いわゆるスペックでありますね、仕様の変更等はございませんでした。
それから、値引き、価格調整等につきましては、この二次口の場合におきましては、五〇%が円貨でございまして、この円貨による為替送金がございまして、そのときのレートがその後に変更がございまして、実際の送金レートで計算をいたしました結果、総計といたしましては当初の承諾額と同額になった、そういうふうな資料になっております。
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○坂口
委員 手元の資料だけによりますとという前置きによりますところの説明でございますが、これは常識的に考えましても、一回目がこれだけ値引きをされているというのがわかっていながら、二回目がその値引きがないというのは、ちょっと考えただけでもおかしいことでありまして、輸銀としてはこの辺に着目をして詳しく調べられてしかるべきところだと思うわけです。
いま御説明になりましたところは、手元の資料だけという非常に限られた発言でありましたけれども、これは本店にお帰りになればもっと詳しい資料があるのか。このことについての詳しい資料がもしないとすれば、これはもう一度再調査されますか。
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○澄田説明員 輸銀におきまして融資の承諾をいたすときには、契約の金額をもとにして契約内容をチェックをいたしまして、そして輸出承諾額を決めております。その後に貸し付けを実行する場合におきましては、航空機の引き渡し、それから送金等を、インボイスとかあるいは航空機引き渡し証明書、あるいは送金内容の証明書等についてその都度一々チェックをして送金金額を決めて、そして融資をしているわけでございます。この点につきましては、重ねてその後調査をいたしまして、そうして確認をいたしております。いま手元の資料で申し上げてはなはだ恐縮でございますが、手元に持っておりますものは、何回かに分けて貸し付けをいたしておりますその合計を申し上げた次第でございまして、内容それぞれにつきましては、その都度十分確認をしてやっておりますので、したがって、いま手元にないという意味でございまして、輸銀の資料としては十分確認できております。
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○坂口
委員 それでは、この資料につきましてはひとつ詳しいのを御提出いただけますか。
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○澄田説明員 よく検討いたしまして、極力御要望に沿うような資料をつくるようにいたしたいと思います。
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○坂口
委員 おっしゃるのは、あるけれども、出せないものもあるという意味でございますか。
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○澄田説明員 融資の内容等にわたる事項につきましては、やはり他の資料との整合性等もございますし、従来から大蔵ともよく協議をいたしまして提出をいたしておるわけでございます。本件もそういう意味で申し上げた次第でございます。
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○坂口
委員 時間がなくなってまいりましたので、それではそれはぜひ提出をお願いしまして、問題を先に進めさせていただきたいと思います。
もう一つ輸銀の方にお聞きをしたいわけでありますが、このロッキード事件に関係して、他の問題等も含めて、検察庁等から事情聴取をされたことがございますか。
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○澄田説明員 特に事情聴取というようなことが行われた例はございません。
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○澄田説明員 私どもの方から今後どうかということについて申し上げることはできないわけでございます。
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○坂口
委員 ちょっと言葉が足りませんでした。皆さん方がこれからもしも調査をされることがありますれば、それに関連することで、検察庁等から、どうしても聞かなければならないということがあれば、今後聞かれることは、いま現在そういう予定がございますかということをお聞きしたわけです。
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○澄田説明員 特に予定のようなものは伺っておりません。
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○坂口
委員 会計検査院の
局長さんお見えいただいておりますね。——会計検査院の方は、輸銀及び全日空に対して、融資の対象となりました航空機の購入資金の経理、それから価格の内容でありますとかあるいは値引きの経過、契約状況、あるいはまた全日空の支払い状況やインボイスの確認、それから航空機の登録の状況でありますとか外国への送金状況あるいは精算状況、こういったものを検査されていると思いますが、このことにつきまして、できる限り御説明をいただきたいと思います。
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○柴崎会計検査院説明員 先ほども
小林委員への御説明の際にちょっと触れましたが、私どもは輸銀の融資の当否ということを基盤にいたしまして輸銀の検査、それから全日空に臨んでの関係といったようなことで検査を実施いたしました。
その着眼点は、先ほど申し上げましたが、融資の根拠の有無あるいは諸条件の適否あるいは融資を受けた資金の使途の当否といったようなことが中心でございます。そのうち、これも先ほど御説明申し上げましたが、トライスターの購入価格の内容につきましては、やはりロッキードにおける製造価格、その原価というものに当たりませんと、真実の意味の確認ができません。そういうことで、これについては現在難渋をしている段階でございますが、百方手を尽くしてさらに調査をいたしたい、このように考えているわけでございます。
そのほか値引きに関する事項、これにつきましては、全日空とロッキード社、両社の間の交渉で二、三の項目についての値引きが行われておりますが、これらはいずれも両社の合意によって行われております。
またインボイス、送り状ですが、その面においてもそれらの関係が明らかになっておりまして、購入代金の支払い額から差し引くという形で処理をされておる。また輸銀におかれましても、融資額からその分は差し引いて融資をしているというような実情につきましては、これを確認いたしました。
次に融資の諸条件でございますが、この一次口、二次口、詳しいことは輸銀の方から御説明がございましたので省くといたしまして、これにつきましては、いずれも法律の定めあるいは業務方法書の定めの範囲内に従って融資の条件を定めているというようなところから、手続上不適切な点はない、このように考えておるわけでございます。
さらに全日空において調査いたしました全日空自体の支払いの状況とかにつきましては、これはいずれも分割して支払われておりますけれども、この支払いに基づきまして、全日空からは輸銀に対して資金交付の請求がございます。これによって、輸銀では貸し出しの実行を行っているわけでございますが、その関係につきましてもインボイス等を確認いたしまして、その適否を確認いたしました。
さらに輸銀から交付された資金、これを全日空がどうしたかという関係でございますが、これにつきましては、即日外国の為替銀行を通して全額これをロッキード社に対して送金をしている、こういう事実をインボイスなりあるいは送金証明書等の関係書類の原本によって全日空で確認をいたしました。
また、全日空におきましては、航空機の購入つまり引き渡しでございますが、その実情とかあるいは支払い額といったようなものにつきまして、これを会計証票あるいは資産台帳、そういったものについて確認をいたしたわけでございます。この航空機につきましては登録が必要でございますが、これにつきましても、機体の引き渡し時に行っているというような関係につきましても、航空機の登録原簿謄本によってこれを確認いたしたというようなことでございまして、この融資関係につきましての手続上の処理につきましては一応不適切な点はない、このように現在のところ確認をいたしております。重ねて申し上げますが、購入価格そのものにつきましてはなお調査中でございます。
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○坂口
委員 この購入価格でございますが、これが現在はっきりしていないというのは、ロッキード社の方についてこれをはっきりさせることができないという意味でございますか。全日空の方の調査はできても、ロッキード社の方ができないからはっきりしない、こういう意味でございますか。
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○柴崎会計検査院説明員 全日空が契約に基づくところの購入代金の支払いそのものはきちんとやっておるということは、関係書類等の上においても確認ができたけれども、購入価格そのものの内容に、現在疑惑が持たれているような上積みなり何なりがあるかどうかということにつきましては、航空機の製造会社であるロッキード社における原価の構成、これを見ませんと最終的には判断がつきかねるわけでございます。しかしながら私どもの権限といたしまして、ロッキード社に乗り込んでそういった検査をする権限がございませんというようなところから、また別の方法があるかないかということで、傍証的な面であれこれと資料を集めたいということで努力しているというのが現状でございます。
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○坂口
委員 ロッキード社に乗り込んで真っ正面からこの問題を調査されるということが困難なことは私も理解ができるわけでありますけれども、しかし外国のことであるとはいいますものの、その国の政府、この場合は米国でございますが、米政府、それから会計検査院等に対して、その主権を侵害しない範囲内において調査をすることは可能である、こう思いますがいかがですか。
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○柴崎会計検査院説明員 私どもの検査は、国内法である会計検査院法に基づいて権限を付与されておりまして、その範囲においてしか検査の権限が及ばない、こういうことでございます。要するに資料の提供等について協力を求める場合におきましても、やはり外交ルートを通してこれを実施しなければならないというような点がございます。
それからただいまの相手方の、本件の場合で申し上げますればアメリカ政府なり何なりの了承のもとにということでございますけれども、これも私どもの検査権限は、当然のことでございますけれどもわが国の行政権の及ぶ範囲に限定されるということでございますので、直ちに外国に協力を求めてこれを行うということは困難で、不可能であると考えております。ただ外国政府の何らかの形で了承が与えられた場合、こういったような場合でございますが、その場合には当然のことですが、これは私どもの院法に基づく権限の行使ではない、単なる調査活動といったようなことはあり得ようかとも思いますけれども、この場合でも当然のことでございますが、相手国の主権を侵害しない範囲内での一般的な調査に限られるのではないか、このように考えております。
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○坂口
委員 いま御説明いただいたように、わが国の行政権の及ぶ限りということは私も理解できるわけでありますけれども、しかしわが国の行政権の及ぶ限りの問題においていまいろいろのことが出ているわけでありまして、それに関連したことが外国にも及んでいるという場合、それはいわゆる外国のことを調べるのではなしに、わが国の行政権の範囲内のことを調べるのに、参考資料として、あるいはまたそれに対する一部として外国のものを調べなければならないということも、単なる調査活動ということではなしにあり得るだろうというのです。いま調査活動としてはあり得るという御答弁であったわけでありますが、百歩譲りまして調査活動という形にいたしましても、このことについてあいまいにすることはできないということであるならば、やはり何らかの形で接触を保たれる。そして調査活動という形にしましても調査を進められるというのが筋道ではないかと思いますがいかがでございますか。余り時間がございませんので簡単にひとつ……。
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○柴崎会計検査院説明員 おっしゃるとおり、私どもといたしましても及ぶ限りのそういった線では考えておるわけでございますが、何せ外国のことでございますので、果たしてどこまでそういう意味の了承を得られるかということについて、ここで確定的なことは申し上げられないという意味で最前の御答弁を申し上げたわけでございます。
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○坂口
委員 これで最後にいたしますが、相手のあることでありますから、それならばどういう結果になるかは別にいたしまして、このことについて調査等含めて取り組むという姿勢は持たれるということですね。その答えだけ聞いて終わります。
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○柴崎会計検査院説明員 現在までのところでは、私どもの立場として外国政府の了承を得ていけるというところまでの確信がございません。これが実情でございます。
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○柴崎会計検査院説明員 いや、今後の見通しとしてでございます。
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○坂口
委員 残念ですが、時間がありませんので終わります。
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○
竹本委員 輸出入銀行につきましては、私どもは非常に大きな期待を持っておるわけですが、今回は貸付保証限度枠の引き上げというものが行われるわけですが、きょうは基本的な問題について二、三意見も申し上げながら、主として総裁のお考えを承りたいと思います。
ます第一は、世界貿易が去年はマイナス六%ぐらいであった。ことしは非常に大きく回復するように期待をいたしておる向きが多いのですけれども、今回の限度枠の引き上げについては、世界の貿易というのはどの程度伸びるということ、それは五十一年度だけではなくて、これから何年間かの間どの程度、どういうふうに伸びるということを前提にしてはじき出されたものであるか。貿易の将来、特に日本資易の将来についてどういうようなお考えであるか。基本的な問題を、大ざっぱでいいですけれども承りたいと思います。
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○澄田説明員 今後の世界貿易の伸び、その中における日本貿易の伸びという点につきましては、やはり経済審議会で決められました「昭和五十年代前期経済計画」の中で、世界貿易の伸びを実質におきまして六%弱、日本の輸出の平均伸び率につきましては、実質でなくて名目でございますが、一四%と規定をされておりますので、今後の輸出入銀行の資金量の推定、その中におきます。ことに輸出の点につきましては、こういった趨勢というようなものを頭の中に置きまして考えなければならないものと思っております。
ただ、輸銀の担当いたします輸出は船舶あるいはプラント輸出というものでございます。この中船舶につきましては、石油危機以後過剰船腹というものが非常に問題になって、将来は船舶輸出につきましての伸びというものはいままでのようなものは期待できないわけでございます。ただ、ここ一両年を考えます場合には、金融が非常に緩和されておりましたために、延べ払いでなくて現金による船の輸出というものが非常に多かったわけであります。一時は八割は現金であったわけであります。ところが、金融の逼迫に伴いまして、また通貨の情勢が変わったこと等もありまして、延べ払いの船が非常にふえてきている。したがって、輸銀の資金量で見る限りにおいては、ここ一両年は船舶輸出自体は伸び悩みにかかわらず、船舶の延べ払いの資金量は増加する、こういう現象を踏まえなければならないと思っております。
プラントにつきましては、日本のプラント輸出というものが近年、毎年三割ないし五割の増加率で伸びております。日本の輸出構造を考えます場合には、こういった付加価値の高い技術集約的なプラント輸出が今後とも伸びていくということは非常に望ましいことと考えますし、また日本の機械やプラントに対する海外からの需要は近年非常に強くなっております。一般の輸出の伸びよりももっとこういったプラント輸出が伸びていく、一般の伸びをはるかに上回る増加をしていく、こういうことで考えていかなければならない。これがまた日本の輸出構造の上でも望ましいことである、こういうふうに考えておるわけであります。
こうした情勢の中で輸銀のプラント関係の融資額、これは輸出金融の中のプラントと輸銀ベースのバンクローンとかバイヤーズクレジットという形をとるものを合わせまして、その分については一般の輸出をはるかに上回る趨勢で伸びていくということで輸銀の資金量を考えなければならない。今回の貸付限度額の拡大につきましては、そういう状況のもとにおいてそういう面における日本の輸出、もちろんそのほかに重要資源の輸入についても遺憾なきを期さなければならないという情勢でございます。そういうものを勘案して今回の限度拡大を中心とする輸銀法の
改正をお願いしている、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。
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○
竹本委員 大体承りましたが、これからの輸出はいまおっしゃるように六%ぐらい伸びるだろう、あるいは日本はプラント輸出その他を中心にしてさらに伸びるであろう、一四、五%伸びるであろうということも、一応数字の上ではわかります。ただ基本的な問題として、これは経済企画庁なり通産省なりと議論を深めなければならない問題だと思うのです。そういう意味で、私の方から申し上げますが、総裁の感じを承りたいのです。
これから日本の輸出を伸ばしていきたいと思うのだけれども、いろいろの制約条件がある。その一つは、世界の景気は回復するということが言われるのだけれども、タイムであったかニューズウイークであったか忘れましたが、五十一年度の経済はワールドスランプの状態からステディーペースで、着実な足取りで回復するであろうということを書いておる。しかしながらアンスペクタクラーと書いてある。日本人は大体一大壮観といったようなことを期待していると思うのだけれども、そういうふうにはいかない。余り華々しくはいかないが、ステディーペースで回復するであろうと言っておる。その本当の意味がどれだけ理解されるかということが問題なんですけれども、たとえば同じくアメリカあたりでもあるいは世界的に問題にしておりますのは、資本主義というものは生き残り得るかという基本的な問題が問われているのですね。
時間がありませんから簡単に申し上げますけれども、そういうことから言えば、大体資本主義国はどこでもインフレ的構造だと思うのです。政治は汚職構造、経済はインフレ構造と、大体相場が決まっている。インフレ構造でありますからどうしても、少し回復し始めるとインフレがぐっと激しくなる。そうするとまた、今度は逆にそれを引き締めなければならぬ。引き締められればまたペースが変わって、貿易も実質経済の成長も大きく抑えられる。そういう意味でU字型の経済回復なんというものは全くないと見てもいいのですね。私はW型と言っていますけれども、上がりかけては落ち、また上がっていくという意味でW型の景気回復以外にはない。現にアメリカも去年の四月ごろから御承知のように景気が非常に回復しております。しかし、もう最近では少しインフレの心配があるということでM1、M2までバーンズが抑えようとしているのですね。そのほか、金融全体を締めていこうという考え方に変わっておる。そういうことを見ると、アメリカの景気も一本調子で回復をして、日本の輸出も対米輸出が五三・四%伸びたとかいって喜んでおるわけだけれども、そういう調子で五割、六割と伸びていくということは困難である。すなわち資本主義経済そのものが昔のようなスムーズな経済回復はなかな約束されないのだ、したがって日本の輸出にもそれが影を落としてまいりますから、その問題が一つある。
それからその次に、第二には、各国のナショナリズムが非常に強くなってきておって、いつも自動車は三百万台、この次には四百万台というふうに自動車の輸出が伸びていく。テレビも、アメリカでは生産も需要も大体三割ぐらい去年落ちたようですけれども、日本だけは倍に倍にとふえていった、そういうペースで伸びていくということもできない。また伸びていくということになればナショナリズムで反撃が来る、イギリスその他の方もそうですね、自動車についてもそうだ。結局、ナショナリズムから来る政治的な反撃というものを大きく計算しないと、安くてよければそれでどんどん貿易が伸びるという時代ではなくなったというのが第二の制約。
それから、第三の問題は、アメリカの経済の競争力というものをこれからどう見るべきか、ドルは一時はぐうたらなドルになってしまいまして、あやふやなことになってしまったのだけれども、ベトナム戦争も終わったというか負けたというかなくなりまして、そういう負担がなくなった結果、身軽になったアメリカが最近は底力を発揮してドルが強くなってきた。ドルが強くなってきたということが世界の経済にどういう影響を及ぼすか、日本の輸出力にどういう影響を及ぼすかということも考えなければならぬ。
第四番目の大きな条件は、日本自体の交易条件が最近物すごく悪くなっておるということであります。これはあたりまえなことであっ、買う油その他必要な原料、材料というは、ある意味においては向こうさんが準どん上げてくる。それに対して日本の万国日本でありますから無条件降服みたい、泣き寝入りでがまんしなければならぬ出の方を今度は単価を上げて、価格をうということになれば、外国の反撃ある国の競争その他いろいろの条件があ出価格は余り上げることができないある。そうしますと輸出の価格は、が上がっているのです。実際は上がけれども、結果として上げれば売れなうことで上げることができない。それか方は、原料、材料、資源少国のためにれてもある意味においていたし方ないことで、驚いたことは、これは横浜銀が最近綿密な勉強をしておるようだけこにもあるように、日本の輸出の関年をベースにして見ると、交易条件はある、ドイツは一〇〇・一ぐらいでない、アメリカでも八二・九か何かなってない。日本は大体六四という四割がた落ちである。六四・五なん近くのものを簡単に言えば損していだ。それが日本の経済の将来の実質ういう悪影響を及ぼすかということばならぬ。
こういうような、いま四つか五つ挙げましたけれども、これは全部輸の責任と思いませんが、そういう問いうことをどういうふうに受けとめか、念のために承っておきたいと
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○澄田説明員 大変広範なしかも今なポイントを御指摘いただきました在の景気の回復あるいは世界の貿易であろう、そういう予想におきまし気回復期におけるような予想をするこ間違っている、こういうふうに思います。
先ほど昭和五十年代前期の経済計画において六%弱の世界貿易の伸びを見込んでいると申しましたが、これも従来の景気の回復期等におきましては、世界貿易は八%ないし一〇%というような伸びをして、日本はそれのさらに倍ぐらい伸びている、こういう状況でございましたが、今回はその点につきましても今後六%弱の輸出の伸び、世界貿易の伸び、こういうことを考えているのもやはりそういう点だろうと思います。そうしてそこには物価問題等の配慮によって当然野放しは許されない、そういう状況にあることも事実でございます。
この点は、ただ第二番目に御指摘になりました各国のナショナリズムその他による輸出に対する抵抗、従来のような輸出市場を拡大していくことに対する困難な点という点と関連をいたしますけれども、通常貿易におきましては確かにいままでのような伸びは見込むことができませんし、またそれを無理に強行すれば非常な国際的ないろんな問題にぶつかるということがあると思います。
しかし、プラントを中心とします輸出は、これは発展途上国の工業化に非常に資するという面がございまして、そしてそういった国がいずれも望んでそういうプラントを日本から買おうとするわけでございます。産油国あるいは発展途上国あるいは共産圏諸国、いずれもそういうことで非常にそういう要望が強い、輸銀による融資の要望も非常に強いわけでございます。これはそういった国国の工業建設、国内の工業化、そういうことに協力するという意味合いを持っておりまして、通常の商品貿易による輸出の押し込みというものとは性格が非常に違っております。そういう点からこういった貿易が今後伸びていく、プラント輸出等が今後伸びていくということは、いろいろな御指摘の面はございますが、しかしそれと違った面もやはり今後持っていくことができるのではないか。日本はこの点については今後なお伸ばし得る余地が相当あるのではないかというふうに考えるわけであります。通常貿易におきましては、確かに過大な伸びを期待するということは慎まなければならないことである、私全くそういうふうに思っております。
アメリカの競争力が非常に強くなっているということも事実でございますが、他面日本の場合も石油危機を脱しまして、あのような狂乱物価の折は価格面で国際入札等において負ける例が非常に多かったわけでありますが、しかしその後物価の落ちつきと、それから若干円のレートが下がったというようなこともプラスをしまして、最近においてはそのプラント類の国際競争においても日本はむしろ強い立場である、こういうことが言えると思います。
交易条件の問題は、むしろ輸入側の石油の輸入等による要素も非常に大きい、輸出価格だけでこれを解決するのはできないことであって、それだけでこの問題は解決できない、こういうふうに考えております。
以上でございます。
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○
竹本委員 五十年代の前期の経済見通しの問題はまた機会を改めて別途論議しなければならぬですが、しかしその六%が前提になっているということでございますから一口だけ言いますと、私はああいう計画を余り高く評価しないのですよ。それはいままでも実績を見てもわかるようになかなか当たらないのです。しかしこれからの問題から言いますと、今度のやつもまだ十分検討してみないとわかりませんけれども、要するにあれはいわゆる経済官僚の経済計画なんですね。ところがこれからの経済は、政治、軍事、外交あるいは教育、文化、そういうものを離れての経済計画というのはぼくはあり得ないと思っているのです。
そういう意味から言うと、たとえばあの中に一兆円を超す、あれは一兆六千億というか、そういうような防衛費というものがどういうふうに織り込まれているのか、今度の計画の中にですよ。それから教育計画だって社会保障計画だってあるいは地方財政の赤字の問題だって、これは大きく経済の伸びを制約する条件だけれども、それがどこまで科学的に分析され、取り入れられておるかということになると非常に問題点が多い。軍事とか国防費なんというものは一応経済計画には関係ないように普通は言っているんだけれども、それは大きな間違いであって、実はまた機会を改めてこれは論じなければいかぬのですが、ロッキード問題もみんな多国籍企業だとかなんとかいうことでそのビヘービアがけしからぬとうような意味でだけ取り上げておるんだけれども、本当は私が理解しておるところではこういう問題があると思うのですね。
それは根底にはアメリカの核戦略があるんですよ。千百十億ドルのアメリカの国防予算と言っても、しさいに内容をこれから分析しなければならぬのだけれども、非常に特徴的なことは核戦力に物すごい力を今度は入れることになったのですね。そうすると、同じ軍事費の中でロッキードの軍用機を買う余地はだんだん減ってくるのですよ。しかもその軍用機の近代科学的な装備ということから言えば、コンピューターその他の方へ割り当てなければならぬコスト、経費が多くなってきた。本当のロッキード社がもうけることのできるような製造部門というもののウエートはだんだん減ってくるのですよ。ロッキードの会社が先ほど来問題があるように経営が放漫だとか傾いておったという問題のほかに、アメリカの予算のあり方がロッキード中心でなくなり、そしてまた、飛行機もコンピューターその他の近代的な装備が重大な要素になってくると、ロッキード社の利益あるいは利益をかせぎ出す余地というものがだんだん減ってくるので、これじゃあたまらぬということで殴り込みをかけたように日本に大いに売り込もう、そのためにこれはピーナツをまいたか、食わしたか知らないけれども、そういう必然性があるんですね。だから軍事費なんというものは一応経済計画とは別枠だなんというような考え方では、ぼくはこれからは理解ができないんじゃないか、そういうふうに思いますので、一口申し上げておきます。
そこで本論に帰りまして、プラント輸出について河本通産大臣はばかに強気がありますが、一体どのくらいまで、三倍にも伸びるようなことを考えておるようなことを言ったこともあるようだけれども、そんなに伸びを期待できるのか。それからいまおっしゃったように、いろいろ開発途上国その他からはプラントの、向こうで言えば輸入を大いに期待しておるということは確かにそのとおりだと思いますけれども、日本の競争力、確かに根強いものがあると思いますけれども、通産省が考えておられるように、大きな期待を持ってよろしいかどうか。それから、一体どこの国にどういう形で売り出していくのか知らないが、これも非常に長期の展望から言えば、そこの工業化ということはやがてはわれわれの日本の工業、産業に対する反撃の力を培っていくわけですから、いまの間は輸出さえすればいいということになるでしょうけれども、そういう問題についての配慮もあるのかないのか、その辺どうですか。
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○澄田説明員 プラント輸出の見込みでございますが、五十年度は通産省の輸出承認ベースで見ますると、五十二億ドルを若干超しておる実績になっております。これに対しまして、五十一年度はその倍ぐらいというような意味で百二十億ドルというような数字が言われておるわけでございますが、この百二十億ドルがどうかということは、なかなかいまの段階においてはわからないわけでございますが、しかし、最近のいろいろな成約の状況から見まして、また、四十七年以降等の伸び等から見まして、この五十二億ドルという輸出承認の水準が五十一年度においてはさらに相当上がるのではないか、こういうことは申し上げることができると思います。輸銀資金におきましてもプラント輸出の資金及びバンクローンやバイヤーズクレジットという実質はプラントの輸出でございますが、相手側に直接借款という形で融資をする、それを両方合わせましたところはやはり約八割近く伸びる、こういうような数字に資金量を見込んでおる次第でございます。こういうところで相当増加をし、そして日本の主要な輸出、従来鉄鋼、自動車、船舶というようなものが輸出の三大品目になっておりますが、プラント輸出というものがこれに匹敵するものになってくる、こういうことは十分考えられるところであろうと思います。
プラント輸出の輸出先でございますが、近年まではアジアが中心でございましたが、ここ二、三年前からあるいは中南米あるいは中東諸国あるいはソ連、東欧その他共産圏諸国、社会主義諸国、こういったところに非常に伸びてまいり、ことに昨年あたりから中東が非常にふえております。大体、現在東南アジアを含めまして四つの地域に重点が置かれて、それぞれの地域においてかなり伸びている。ことに産油国やあるいは共産圏諸国等の伸びが近年著しい、こういう状況でございます。
なお、プラント輸出に伴いましてわが国の競売産業をつくっていくという問題でございますが、これは日本の産業構造のさらに一層の高度化、そういう国内の産業構造の転換というものと並行して考えていかなければならない問題ではないか、これは私の立場を越えることでございますが、そういうふうに考えるものでございます。
-
○
竹本委員 プラント輸出は私も百二十億くらいまではいくといいますよ。また、いってもらわなければ困るというのだが、何か新聞であるとき読んだのでは、三倍の百八十億から二百億ドルに近づくではないかというふうなことを読んだことがあるのだが、そういう過大な見積もりはやらぬ方がいいだろうという意味で申し上げました。
それから、いまの工業化という問題も、これはたとえばいま繊維産業がそうですね。東南アジアに繊維の織機をどんどん売って一時はえらい喜んだんだけれども、やってみればいまはそれに攻め立てられて参ってしまっておる。そういうような侮いを後日に残さないように、これは総合計画の問題になりますが、やってもらいたいということであります。
大臣が見えたから時間を節約して、あと二つばかり聞きますが、一つは、いま話が出ましたが、対共産圏貿易ということで、一体、輸銀はこれからいままでにまさってどういう貢献、役割りをより大きく担おうとしておるかという問題についてのお考えを。それから第二には、今度は相互銀行や商工中金までも協調融資の相手にするという話だけれども、中小企業関係に対していままでどういう役割りがあったのか、今後は協調融資も盛んにすることによって中小企業製品をどの程度、どこへ向けて伸ばしていこうとしておられるのであるか、まずその二つだけちょっと簡単に聞かしてください。
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○澄田説明員 対共産圏貿易でございますが、共産圏の諸国に対する輸銀融資につきましては、従来からもいろいろな形で出ておったわけでございますが、近年特にバンクローンとかバイヤーズクレジットという、相手国の銀行ないし相手国の政府機関に直接にクレジットを出すという形を非常に強く要望してきておるわけでございます。これにつきましては、シベリア開発案件に始まりまして、その後大型のプラントにつきましてはこういう道を開いていくということで、最近ソ連及び東欧の諸国についていろいろな話が進められておる次第でございます。こういう方法も相まって交流を深めるという意味合いにおいて共産圏貿易に対しても輸銀としては積極的に取り組んでまいりたい、かように思っております。
それから、中小企業に対する対外取引についての輸銀の融資でございますが、今回の法律
改正ができますれば、従来、取引銀行が輸銀の協調融資の銀行になっていないということによって中小企業がこうむっておった不便については次第に
改善されていく、こういうことを十分期待でざると思います。そして、その案件も最近いろいろ出ておりますが、これに対して、中小企業は従来こういう経験においてなれない点がある。そういうことの相談の窓口を拡充し強化をするということもいたしておりますし、それから、輸銀の出先機関としては、国内においては大阪だけでございますが、大阪地区にそういう需要が多いというようなことで、大阪では直接その窓口を開いて大阪で融資を決定する、一々東京に足を運ばないでもこれができるというようなことも進めてきておりまして、かなりの実績を上げてきております。
以上のようなことでございます。
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○
竹本委員 じゃ、最後に、これは大臣に伺っておきたい。
先ほど来、日本は産業立国であり、したがってまた貿易立国でなければならぬという立場でいろいろ質問をして、おるわけですが、いま、日本の世界貿易に占めておるシェアは大体七・六ぐらいですね。それに対しましてドイツは十・何%、アメリカは
一三・三%。今度は十倍、十一倍と限度枠を広げていくわけですけれども、簡単に結論だけでいいのですが、日本は世界貿易の中で何%ぐらいのシェアを占めることを一つの努力目標にしておられるかという問題が一つ。
それから第二は、その努力目標に向かっていくということを輸出入金融がこれから賄っていくわけですけれども、今度の限度枠の拡大で大体どの辺までやれるのか。これもいつも思いつきみたいにちょっと広げちょっと広げ、こうやってきているのですね。展望を持ちながらここまで行くのだ、したがって輸出入銀行はここまで賄うのだから十倍にしなければならぬ、十一倍に限度枠を広げなければならぬというような総合性、総合的な判断が一体あるのかどうか。裏から言うならば、この
改正で何年ぐらいやれますか、何年やるつもりですかということも、今後の努力目標とあわせて、御意見があれば伺っておきたい、こういうことであります。結論だけで結構です。
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○大平国務大臣 世界貿易に占める日本のシェアでございますが、一概に何%がいいということを私も自信を持って申し上げることはできませんけれども、わが国の経済の充実と相まちまして、現在持っておるシェアを着実に固めながら伸ばしてまいるということが正しい方向じゃないかと考えます。
第二は、輸出入銀行の信用供与でございますけれども、今日御承認をいただく措置によりまして拡大されたものによって、大体昭和五十年代はこの枠内で処理できるのではないかという見当をつけております。
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-
-
○
田中委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
日本輸出入銀行法の一部を
改正する
法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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-
○
田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して
山下元利君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、提出者より趣旨の説明を求めます。
山田耻目君。
-
○
山田(耻)
委員 ただいま議題となりました
日本輸出入銀行法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議案に対し、提案者を代表して、私より提案の趣旨を申し上げます。
まず、決議案の案文でありますが、案文はお手元に配付してありますので、その朗読は省略いたします。
現下、
日本輸出入銀行の融資状況を見ますと、逐年その貸付規模が顕著に増大し、貸し付け一件当たりについても、その額が巨額と言える金額に達している実情であります。
ところで、
日本輸出入銀行の業務運営については、その資金源が財政資金で賄われていること等にかんがみまして、資金の効率的運用に留意すべきことはもちろんであり、いまさら申し上げる必要はないのであります。
しかるに、その融資、保証状況の実態となりますと、いささかその内容が明確に把握されていないきらいがあるのであります。したがいまして、政府においては、
日本輸出入銀行の業務の実績等を明らかにし、当
委員会に適時報告を求め、実情の把握をいたしたいのであります。
また、わが国の中小企業がわが国経済の中で重要な役割りを果たしている実情からいたしまして、今後ますます中小企業の海外取引、海外投資等の助長を図る見地から、
日本輸出入銀行への資金依存の割合が高まるとともに、要請が強いのであります。したがいまして、政府においては、
日本輸出入銀行の中小企業向け貸付資金枠の拡大とともに、その資金運用を積極的に行うべきであります。
以上、各位の御賛意をお願いいたしまして、趣旨の説明といたします。(拍手)
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日本輸出入銀行法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
一 政府は、
日本輸出入銀行の業務運営について資金の効率的運用に一層配慮するとともに、その融資・保証状況を明らかにすべきである。
一 政府は、
日本輸出入銀行の中小企業向け貸付けを拡大するとともに、その資金運用を積極的に図るべきである。
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-
○
田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
お諮りいたします。本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
-
○大平国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては御趣旨を十分尊重いたす所存であります。
—————————————
-
○
田中委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました
法律案に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
○
田中委員長 これより
請願の審査に入ります。
本日の
請願日程全部を一括して議題といたします。
本会期中、当
委員会に付託された
請願は三百八十三件であります。その取り扱いにつきましては、本日の
理事会において協議いたしたのでありますが、この際、各
請願について
紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
本日の
請願日程中、第二ないし第四、第六、第八、第九、第二一五及び第二八六の各
請願は、いずれも議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、ただいま議決いたしました
請願に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
○
田中委員長 なお、本会期中、参考送付されました陳情書は、昭和五十一年度
税制改正に関する陳情書外十件であります。
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○
田中委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
すなわち、第七十一回国会より継続審査となっております
広瀬秀吉君外九名提出、銀行法の一部を
改正する
法律案
武藤山治君外四名提出
昭和五十一年分の
所得税の臨時特例に関する
法律案
所得税法の一部を
改正する
法律案
有価証券取引税法の一部を
改正する
法律案
法人税法の一部を
改正する
法律案
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案
武藤山治君外三名提出、土地増価税法案
並びに
国の会計に関する件
税制に関する件
関税に関する件
金融に関する件
証券取引に関する件
外国為替に関する件
国有財産に関する件
専売事業に関する件
印刷事業に関する件
及び
造幣事業に関する件
の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、お諮りいたします。
閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置いたしておりました四小
委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、各小
委員会の小
委員及び小
委員長の
辞任及び
補欠選任等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、閉会中審査におきまして、
委員会及び各小
委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、
委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
閉会中、
委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し
委員派遣承認申請を行うこととし、派遣
委員の人数、氏名、派遣地、期間、その他所要の手続等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十三分散会