○
大平国務大臣 ただいま
議題となりました
日本輸出入銀行法の一部を
改正する
法律案の
提案の
理由及びその
概要を御
説明申し上げます。
日本輸出入銀行は、昭和二十五年に設立されて以来、船舶及びプラントの延べ払い輸出を中心として、輸出入及び海外投資に関する金融を行い、貿易を主とする
わが国と外国との
経済交流の促進に格段の寄与をいたしてまいりましたことは、御承知のとおりであります。
日本輸出入銀行の
業務活動は、設立以来輸出の振興に重点が置かれてまいりましたが、昭和四十年代に入って、エネルギー資源を初めとする重要資源の長期安定的な確保が、
わが国経済の今後の発展のため緊要な課題になるに及び、同行は輸出金融に加え、輸入及び投
資金融等各種の金融形態を通じて、海外資源の
開発案件に対しても積極的な
融資を行ってきております。また、
融資対象
地域につきましても、顕著な拡大傾向を示しております。
すなわち近年、中近東を初めとする
産油国並びに中国、ソ連といった共産圏
諸国における
経済開発の進捗に伴い、
わが国からこれら
諸国に対する大型プラントの輸出案件がとみに増大しておりますが、これに対して、
日本輸出入銀行の金融が大いに活用されておるのであります。
このような
日本輸出入銀行の
融資における基本的な趨勢に加えまして、昭和五十一年度におきましては、
経済運営の第一の目標として、景気の着実な回復と雇用の安定が挙げられており、そのためにも貿易の拡大に特に配意する必要がありますが、この面から見ましても、
日本輸出入銀行の
活動に期待されるところは大きいものがあります。
日本輸出入銀行がこうした今後に予想される
資金需要に弾力的に対処し、その
業務の円滑な
運営に遺憾なきを期していくため、ここに、この
法律案を提出した次第であります。
以下、この
法律案につきまして、その
概要を申し上げます。
第一に、
借り入れの
限度額を引き上げることであります。
日本輸出入銀行の借入金の
限度額は、現在自己資本の四倍と法定されておりますが、今後も引き続き増大が見込まれる
資金需要に対処していくため、この
限度額を、後に述べます外貨債券の発行額の限度と合わせ、自己資本の十倍に引き上げることといたしております。
第二に、
日本輸出入銀行と協調
融資を行う
金融機関の
範囲を拡大することであります。
現在、輸出入金融及び技術提供金融については、
日本輸出入銀行と協調
融資を行う
金融機関は、
銀行、長期信用
銀行及び外国為替
銀行に限定されておりますが、このたび、中堅及び中小企業が
日本輸出入銀行の
資金を一層容易に活用し得るよう、この
金融機関の
範囲を政令により拡大できることといたしております。
第三に、
日本輸出入銀行が
大蔵大臣の認可を受けて外貨債券を発行することができるようにすることであります。
現在、同行の
資金調達の
方法は、
政府からの
借り入れ及び外国の
銀行その他の
金融機関からの外貨
資金の
借り入れに限られておりますが、今後予想される
資金需要の増大に備え、
資金調達手段の多様化を図るため、日本
開発銀行の例にならい、外貨債券の発行について新たに
規定を設けることといたしております。
なお、同行の発行する外貨債券に係る債務につき、
政府が予算の定める限度において保証することができるようにする等、
所要の
規定の
整備を行うことといたしております。
以上が、この
法律案を提出いたしました
理由及びその
概要であります。
何とぞ、御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。