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大平国務大臣 荒木さんには釈迦に説法だと思いますが、大体
財政というのは公金を扱うわけでございまして、人間というのは弱点がございまして、自分の金は大事にするけれ
ども公金というのは大事にしないものなのです。自分のうちの庭の木は大事にするけれ
ども、公園の樹木というのは案外粗末にするというのが人間の弱点なのでございます。さればこそ
財政には
会計検査院という制度を設けてその後をフォローアップいたしましていわゆる
監査を徹底いたしておるわけでございますが、私
経済にはそんな
監査制度なんかなくても非常に
節約してやるわけなのでございます。でございますから、こういう公
経済におきましてはいつまでたってもそういういろんな
意味の構造的な弱点というのは私は絶えないのじゃないかと思います。社会主義
経済なんというのはもっとひどいと思います。非能率で構造的な弱点を、われわれの混合
経済というか資本主義
経済なんかよりずっと持っておると思いますけれ
ども、それはともかくといたしまして、そこでまずそういう場合に一番大事なことは、われわれ
査定する
当局、いわばいまの場合は
大蔵省でございますが、
大蔵省がよその省より
節約することだと思うのです。よその省に率先してつましくすることでございます。したがって、いま
大蔵省は一文の報償費も持っておりません。現実に交際費その他非常に不自由をいたしておりますけれ
ども、
大蔵省はそういう御
要求をいたしておりません。そして、みんながまずともかく度を過ごさないようにしないと、
大蔵省が羽目を外すともう日本
政府全体が緩んでくるわけでございますから、そういう点が第一だと考えております。
それから、
お尋ねの点のお答えに入りますが、
予算が成立しまして、これからの
主計局は
概算要求を受けるまでの間、明
年度の
予算の
編成を控えて御
指摘のようないろいろな勉強をしなければならぬわけでございますし、
概算要求を受けて綿密なヒヤリングをやらなければいかぬわけでございますが、そして
査定案をつくって閣議の決定を仰ぐことになるわけでございますが、十三名が
防衛庁一兆五千億の
予算について非常に周到にむだのないように
査定をせいと言っても私は大変無理だと思うのです。
防衛庁には二十六万六千人自衛官がおるわけでございます。そのほかに一般の職員もおるわけでございますが、先ほど次長も申し上げましたように、
防衛庁の
皆さんの協力をまず全幅に得なければならぬと思うのでございまして、あなたは全
国民がまず見ておったらむだがすぐわかるじゃないかと言われるが、全
国民が見る前に二十六万人がまずむだのないようにお願いしなければならぬわけでございまして、十三名でひとつむだのないように
査定せよと言ったって、これはもうとても末端に至るまで酷を強いることになりはしないかと私は思うのでございます。
そこで、
査定について次長も申し上げましたように、われわれとしてはいろいろな工夫をこらしまして全力を挙げますけれ
ども、いろいろな落ち度が毎年
検査院で
指摘されておりますことを非常に残念に思いますが、それをできるだけ少なくするように
努力をいたしますが、同時にそのことは、
防衛庁も一緒になって真剣になっていただくようにひとつ御協力をいただかなければいかぬわけでございまして、そういうようにしながら一緒に
財政危機の打開にひとつ協力して進んでいただくというようにしむけなければならぬと思うのでございます。私はそれはできない相談ではないと思うのでございまして、そういう
方向でできるだけ
努力をして御期待に沿わなければならぬと考えております。