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山中(吾)
委員 大蔵大臣の人柄、
責任感を唯一の歯どめとしていまお聞きしたのを一応質問を続けていきたい、ほかに歯どめがなさそうでありますから。
私は、一言さらに加えれば、政策目的のために
国債をこれだけ
発行しなければならぬならば、
建設国債をもっと出せばよい。七兆円全部
建設国債で住宅あるいは地方環境施設、地方道、政策目的を言うならもっと枠を多くして
建設国債でやるべきであると思っているのです。しかし、そうすることは一方に刺激
予算になり、過熱になるという可能性があるので、政策目的、いわゆる国民生活の安定と国民経済の安定を考えるときは公共事業はこのぐらいにとどめるべきものだというので、
建設国債を三兆円
程度に抑えて、
残りはもう
財政的な目的しか考えるわけにいかないから、この
特例公債をお出しになった。したがって、この目的を入れるということは矛盾であり、これを入れるのなら全部七兆円
建設国債を出すべきだと私は思っておるわけですから、その点ひとつさらに理性的に
財政法のたてまえに立って吟味をしていただきたいと思うのであります。
そこで、
大臣のお話というものを信頼をして、それなら
大蔵大臣のこの
特例公債を出す心構えとか
責任感というものがどこにあらわれておるか、それをお聞きしていきたいと思うのです。
私、お聞きしたいその
責任感はどこに探し求めるのがいいかということを考えたときに、第一は、五十一年度の
予算編成にこの
特例国債の
発行額を最小限にとどめる努力がされて、どこにあらわれておるかということ。
第二に、いまちょっとお触れになった
償還計画に速やかに均衡
財政に復元する苦心がどこに出ておるかということ。
第三に、この
国債の
市中消化、その消化にいろいろ苦心をして、インフレ防止をするためにどういう対応をとっておられるか。
第四に、将来さらに二度と、例外中の例外はあるかもしれぬが、しょっちゅう出るような
特例公債の
発行の状況を起こさないために、私は本
会議で、西独の例にならう経済安定法などの制定があるかということをちょっとお聞きしましたが、これは予防対策ですね。こういうことが、将来出さぬために、
税収の自然増収がある場合にはいわゆる基金の設定をするとか、再び
特例公債を
発行する必要のない、政策的に予防対策を準備されているかどうか。
大体四つの点でお聞きして初めて、この
特例公債発行の歯どめというものがあるかないかが、それによってわれわれ
国会議員は心証を得るしかないのだ。そうすると、
政府及び
大蔵大臣の具体的な苦心の跡が、この
法案の提案の裏づけに実証されておるかどうかということを中心に置いてこの
法案を吟味するしかないのだ、こういうふうに私は思ってきたわけなんです。
そこで第一の、五十一年度の
予算編成について
特例公債発行するについての御苦心がどれだけ払われたかということを、ちょっと
予算を通じて一べつをしてみたところ、そんなに苦心をされておられないのではないかと思うので、その辺ひとつお聞きいたしたい。具体例を一、二ずつ出してお聞きいたします。
これは本
会議のときも私、お聞きいたしました。公共事業の中で、どうも大型プロジェクトが非常に多い。中国四国の連絡橋あるいは新幹線、大
企業の要望にこたえた点が非常に多いのではないか。まだ
田中さんの日本列島改造論が生きておるのではないかという錯覚さえ起こす巨大なプロジェクトが多い。これは、こういう
特例公債を出すような状況にあるならば、住宅とかあるいは地方の上下水道とかあるいは環境施設とかあるいは地方道とか、生活に直接関連した公共事業、こういうものにうんと出すべきではないか。必要なら、政策目標を掲げるくらいなら、
特例公債を出さないで、いわゆる建設
公債の枠を七兆にしても、全部それでやった方がいいとさえ私は思うのでありますが、どうも、公共事業の場合にそういう大
企業を救う事業が重点に行われておる。
なぜ私、申し上げますかというと、こういう大事業に着手すれば、途中でもう中止はできない。七年、八年ですね。橋をかける、途中から中止はできないと思うのです。しかし、住宅とか地方道とかそういうものは、ことし、来年、再来年の経済の状況その他によっていわゆる緩急自在に、少し延ばすとか、公共事業の進捗の仕方を一時中止するとかいうことはできる。しかしこの大事業は、一たん着手したらできないじゃないですか。
こういう
特例公債を出す
段階で、しかもあと三年、四年出さざるを得ない試算をお出しになっておる
大蔵省でありますから、
歳出面において同じ公共事業を計上するならば、
景気の
回復によってその進捗を緩急調整できるものにする配慮があれば、ああ、ずいぶん御苦心されておるなということも私は受け取れるのですが、それがないように思うのです。中国と四国の連絡橋は、
大平さんが四国の出身ですから、これはちょっと、申し上げると痛いのではないかと思いますが、一般論で。そういう配慮が少な過ぎると思うのですが、いかがですか。