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大倉政府委員 おっしゃるとおり一人当たりは
アメリカの方がまだ日本よりも大分高いわけでございます。それからフランス、ドイツもまだ日本より高いわけでございます。したがって、同じランクで比べました場合に、一人当たりが向こうが高いのなら、同じ二百万円であれば、たとえばドイツなり
アメリカの方が日本より負担率が安くてむしろあたりまえというふうに私
どもは
考えます。つまりもっと上の方に人がおるわけですから、同じ二百万円という人を比べれば。もっと一般的にフローが大きい国は、
所得税負担としては同じ二百万円を比べれば日本よりは向こうの方が少なくても、全体としての負担はカバーできるはずではないか、その
意味で先ほど私が、
アメリカは日本よりも一人当たりが大きいのに、それでも二百万円で比べると、
アメリカの方が税が高いのですということを申し上げたつもりでございます。
なお、それをもう少し敷衍して申し上げますと、たとえば一人当たりの平均
所得の人が一体どれくらいの
所得税負担をしているであろうかという比べ方もございましょう。これは一人当たりをごく単純に比べますために四倍いたしまして——つまり
国民所得というのは赤ん坊まで平均してございますから、それを四人だということで、それがおやじのかせぎであるという単純化をいたしまして、一人当たり平均
所得の四倍をいたしてみますと、日本は一番新しい数字が五十一年でございますが、ほかの国は四十九年しかございませんけれ
ども、日本は約五百万円になります。
アメリカが六百五十万円、日本より高い。イギリスは、ちょっとレートの
関係な
どもありますが、三百万円で日本より大分少なくなってしまっております。ドイツが五百七十万円、フランスが五百三十万円でございますが、それぞれの国のそういう平均的な
所得者がそれそれの国での税法ではどの程度の負担率になっておるかということを申し上げますと、日本では一〇・六でございます。約一割の
所得税、住民税負担をしておる。
アメリカでは一九%、つまり平均的な人は約二割負担しておるわけでございます。イギリスでは二四・三%で約四分の一でございます。ドイツが一七・八。フランスは
所得税の安い国でございまして八・五、フランスだけは日本よりも
所得税がやや低い。それは申すまでもなく
付加価値税のウエートが大きいということであろうかと思います。
また、同じような
考え方で今度は同じ平均
所得の人に、いまのような人に日本の税法を適用したらどうなるだろうか。日本の場合は同じ数字の一〇・六でございますが、
アメリカの平均
所得者がもし日本にいたら、そして日本の税法がかかったらそれは一四・六でございまして、
アメリカにいる一九よりも低くなる。そういう角度で見ていく限りは、日本の
所得税の方が安いんだというふうに申し上げて誤りでないだろうと思います。イギリスの場合は本国税法なら二四・三ですが、日本の税法でございますと三一・四。ドイツの場合は西ドイツの税法で一七・八、日本に来れば一五・七。フランスの場合でも八・五が七・八ということでございまして——失礼しました。これは逆でございます。ただいまのは全部訂正いたします。どうも数字が逆になりましておかしいと思いました。日本の平均
所得の人が外国の税法を課せられたらどうなるかという数字で、大変失礼しました。日本の税法であれば一〇・六である。
アメリカの税法が日本の
所得に適用されれば一四・六である。イギリスであれば三一・四であり、ドイツであれば一五・七であって、フランスは逆に日本の
所得ならフランスの税法の方が安い、七・八になるということでございまして、いずれにしても、平均的な
所得者がこういうような前提で
計算いたしましたときに約一割の
所得税、住民税負担で済んでいるということは、これはやはり歳出全体のウエートがほかの国に比べて小さいということが当然その前提となる事情にありますけれ
ども、
所得税、住民税の負担としては、少なくとも
アメリカ、イギリス、ドイツというところよりは日本の方が恵まれておるということを申し上げても、これはうそではないと思います。