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1976-05-12 第77回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)     午後一時九分開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 金子 岩三君 理事 三原 朝雄君    理事 山下 徳夫君 理事 岡田 春夫君    理事 多賀谷真稔君 理事 多田 光雄君       佐々木秀世君    三枝 三郎君       篠田 弘作君    中村 弘海君       楢橋  進君    野田  毅君       上坂  昇君    細谷 治嘉君       渡辺 惣蔵君    松尾 信人君       稲富 稜人君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         労 働 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         通商産業政務次         官       綿貫 民輔君         通商産業省立地         公害局長    宮本 四郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         労働大臣官房審         議官      細野  正君         労働省職業安定         局失業対策部長 石井 甲二君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    蓼沼 美夫君         通商産業省立地         公害局石炭課長 清滝昌三郎君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     篠島 義明君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君     ――――――――――――― 四月二十四日  田川市の石炭鉱害復旧促進に関する請願田代  文久紹介)(第三七三六号) 五月十日  鉱害復旧促進に関する請願田代文久紹介)  (第四一六三号)  同(多田光雄紹介)(第四一九四号)  同(三浦久紹介)(第四一九五号)  幌内鉱ガス爆発事故対策等に関する請願多田  光雄紹介)(第四三一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月九日  北海道万字炭鉱及び幌内炭鉱再建復旧に関  する陳情書(第二  〇五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。時間がきわめて短く限定されておりますので、答弁は簡潔に、明確にお願いいたします。岡田春夫君。
  3. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間が大変、限られておりますので、いま、お話のありましたように簡潔に、ひとつお答えをいただきたいし、私も問題点を中心的に取り上げて大臣に伺ってまいりたいと思います。  まず第一点でございますが、先日、政府当局の方の報告を伺いますと、五十年度生産の実績は千八百六十万トンになった。新政策が出されましてから、劈頭から二千万トンに達しないというような状態があらわれてまいったわけであります。そういう点から言いますと、新政策というものが非常に問題があるのではないかということにもなるわけですが、一番大きな問題は、何といいましても幌内災害の問題が生産目標に非常に大きな障害になったであろうということが考えられるわけであります。幌内災害は、あの山が大体、年産百五十万トンぐらいの山でございますから、少なくとも五十一年度においてもマイナス百五十万トンという数字が出てくるということになってくるわけでございますし、また、五十二年度以降においても、直ちに百五十万トンを回復するという可能性があるというわけではありません。そうなってまいりますと、今後、二千万トン体制を続けるためには当面、具体的にどういうことをお考えになっているのか、こういう点を、これは基本の問題でございますから大臣から、ひとつ具体的なお考えを伺っておきたい、こういうように思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の石炭生産量が二千万トンを若干、割って、その目標よりも減少したということは事実でございます。  しからば今後、二千万トンの水準を維持するためには一体どうするかということでありますが、その原因は、最大のものは幌内の問題でございますので、一に幌内の処置を今後どうするかということにかかってあると思います。
  5. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大臣、いかがなんですか。たとえば新鉱開発とか、あるいは買い上げ炭鉱を再開発するとか、こういうような点が具体的に出てまいりませんと、いまの御答弁だけでは二千万トンを本当に維持するというめどはついてこないと思うのですが、ここら辺はいかがですか。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 二千万トン計画の中には、新鉱の開発とか、そういうものは全部、具体的に織り込んであるわけです。でありますから、予定が狂ったというのは主として幌内の問題でございます。
  7. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや二千万トンの中で、これは予算委員会で私が質問したときに河本通産大臣は答えているのですが、新鉱関係は二百万トン見込んであります、これを見込んで二千万トンですということですね。しかし、その見込んだ分でさえ千八百六十万トンということのめどしか、つきかねるとするならば、新規に、どうするかという問題が出てくるのじゃないかと思うのだが、それはどうなんです。
  8. 高木俊介

    高木政府委員 ただいまの先生の御質問の二千万トン体制でございますけれども、前、御説明いたしましたように、現有鉱生産能力が二千万トンで、当然その中の一部はスクラップの方より来るものもございますので、現有だけでいけば恐らく千八百万トン前後になるだろうということの御説明もしたと思います。  それでは、あと、どうするのかということでございますけれども、いわゆる事業団保有鉱区あるいは消滅鉱区の再開発の問題あるいは新鉱開発の問題ということで、昨年度及び本年度も予算計上させていただいております調査費によりまして現在、調査しておる段階でございまして、そういうものをベースにしながら、直ちには本年度あるいは来年度生産に、すぐ乗るかどうかは疑問でもございますけれども、六十年度目標には二千万トン体制を維持するという姿勢で、いろいろ、いま調査あるいはそういうような買い上げについて、できるような点につきまして検討している最中でございます。
  9. 岡田春夫

    岡田(春)委員 じゃあ具体的に伺いましょう。たとえば買い上げ鉱区の場合、住友赤平隣接鉱区として赤間、これは買い上げ鉱区としてある。これは二百万トンの中の計算に入っているのか入っていないのか、そこの点が一つなんだが、これはどうしても再開発をしなければならないと思っているんだ。まず、ここで伺いたいのは、それは二百万トンの枠の中に入っているのかどうなのか、これが一つ。  第二点は、再開発するのは、いつからやるのか。できるだけ、これは早くやってもらわなければならないのですが、ここら辺の経過はどうなっているのか。
  10. 高木俊介

    高木政府委員 赤間鉱区調整の問題でございますけれども、本件につきましては、ただいま事業団業務方法書改正が大蔵省と話が大体つきまして、改正をすべく、いま持ち回りしている最中でございますので、ごく近いうちに決着がつくと思います。当然、住友赤間鉱区としての再開発ということは当初も考えていたことでございますし、今後これが幾らの量に、はっきり落ちつくかというのは、まあ、いろいろ問題がございますけれども、できるだけ鉱区調整をやりまして、増産の形に持っていくというのが基本的姿勢でございます。
  11. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大体いつごろから着手できるのですか、再開発。なるべく早くと言われても……。
  12. 高木俊介

    高木政府委員 いま北海道の方で手続をしている最中だと思いますけれども、それが済み次第、恐らく企業の方としては、そっちの方への掘進なり着手ということが始められるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  13. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや時期を聞きたかったんだ。
  14. 高木俊介

    高木政府委員 鉱区調整が済みますと、恐らく本年度の末ごろになるのじゃなかろうかと思いますけれども坑道の掘進が、まず最初に行われるのだというふうに理解しております。
  15. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今月の末ですね。
  16. 高木俊介

    高木政府委員 いや本年度の末になるのじゃなかろうか、坑道掘進を開始するのが。
  17. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、赤間坑道掘進を開始するのは、ことしの末、それで間違いなく、これは着工する、こういう御答弁だったと思うのですが、これだけでもプラスアルファになってくるわけです。そればかりではありません。三月の末だったと思いますが、石炭協会北海道支部から、従来の二百万トンの枠以外に新鉱開発をやってもらいたいということで、相当数量の炭量を見込んで、これは大臣も聞いておいていただきたいのですが、八カ所について新鉱開発してもらいたい、そういう希望が本省に来ているわけです。その場所その他をひとつ、ここで明らかにしていただきたい。
  18. 高木俊介

    高木政府委員 私のところには、そういうまとまった資料としては来ておりませんけれども、いま先生の御指摘みたいな個別の問題としましては、私のところへじかにお見えになりまして、たとえば当初、私なんかのところの計画へ入っておりませんけれども、昔の羽幌炭砿の跡を開発したいとか、あるいは北海道の方の釧路でございますけれども釧路地域の、これは電力との需要関係も結びつくわけでございますけれども、そういう需要がはっきりするならば、ぜひ開発したいのだという、個別の話は、いろいろ来ております。そのほか九州でも同じような、かつて消滅した山でございますけれども、そこをもう一遍、再開発したいのだというような要望が来ておるのは事実でございます。
  19. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたのところへ来ていないと言うが、来ていますよ。担当課の方、調べてごらんなさい。私は、持っていった人から直接、聞いたんだから間違いない。  そんなことを一々あれしてもしようがないから具体的に言います。北炭関係四鉱、それ以外に三菱一つ三井一つ、いま、あなたが言った羽幌と米町と、全部で八つですよ。たとえば、それでは具体的に言いますが、三菱の場合には三菱美唄炭鉱の跡にある東美唄の六の沢というところです。それから三井は旧三井美唄の裏側です。それから北炭の場合では、これは後でまた、ほかの渡辺委員からも質問があるかもしれませんが、万字の後始末に関連をする問題でもあるんだが、磐の沢鉱の問題です。それからもう一つは、北炭桜沢の問題です。こういう幾つかの問題が出てきているわけです。私は、これはやはり、この際でございますから、いままで二百万トンの計画の中になかった分を、新たに開発するという姿勢が必要になってきている。特に、いま万字炭砿に関連して磐の沢鉱の問題、それから東美唄の六の沢の問題、それから空知砿鉱区の中にある桜沢の場合、これは北炭鉱区ですね。これらの点について、やはり前向きに取り組んでいくことが必要になってきていると思う。炭量としても、全体を合わせますと相当の量になってくるはずです、百万トンにならないにしても、それぞれ近いぐらいのものが出てくる可能性があると思います。こういう点について大臣は、こういう細かい点を御存じないと思うが、石炭部長として相当これらの点を研究しておられるんじゃないかと思うので、具体的に私、質問したんですから、具体的にお答えをいただきたい。
  20. 高木俊介

    高木政府委員 まず、いわゆる萩原構想指摘になりました四地区というのが入るのじゃなかろうかと思いますけれども、その四地区は磐の沢、鹿の谷穂別空知桜沢という四つの地区じゃなかろうかと思います。  磐の沢につきましては、前に朝日炭砿の閉山のとき、いろいろ問題があったわけでございまして、私どもとしましては、できるだけ、あそこを開発させたいということで当時、動いたわけでございますけれども、不幸にして開発段階までいけなかったというのが実態でございますけれども、現在、北炭鉱区として存続しておりまして、北炭総合開発としてやるか、あるいは磐の沢区域だけの開発として考えるかという二つの問題があるわけでございますけれども、いま地元の方からは、磐の沢の小炭鉱として、地域の問題として、小さな炭鉱でもいいから開発するようなことは考えられぬかという話を受けているのも事実でございます。これにつきましては事業主体をどこにするかとか、もう少し具体的に詰める必要があろうと思いますので、いま、そういう点で相手側の方と話をしているというのが実態でございまして、まだ正式に具体化されている段階までは至っておりません。  それから桜沢の問題でございますけれども、これは縦坑の追さくをすることによりまして、この下の炭量は掘れるということでございますので、こういう点で北炭の方にも指導しておりまして、また北炭も、そういうつもりでおるようでございます。  なお、あと鹿の谷穂別につきましては、これはもう少しデータその他で検討しなくては、いますぐ、ここで御返事申し上げるという段階には至っていないようでございます。  なお、六の沢の区域でございますけれども、これは三菱鉱業の旧美唄炭鉱の跡のフィールドの問題だろうと思いますけれども、これにつきましては三菱鉱業の方に一応、開発計画、どうなのかということを、いま問い合わせている最中でございまして、会社の方からは、現地の方から資料を取り寄せて検討しておるということでございますけれども、これは開発するとか、しないとかという返事はまだ、いただいておりません。  残り二地区につきましては、先ほど申し上げましたように、羽幌あるいは北海道釧路の方の問題ではなかろうかと思いますけれども、先ほど先生、まとまって資料が出ておるというお話でございますけれども、実は私も見ておりませんので、いま個別問題としては、そういうことで検討しておるというのが実態でございます。
  21. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは少なくとも、こういうことは言えるわけですね。企業の方で、その気になるならば、磐の沢の場合も、それから桜沢の場合も、桜沢縦坑をおろせばやれる、こういうんだし、それから三菱美唄の六の沢ですが、この点も企業の方で、その気になれば、政府としての近代化資金なり、そういうものを入れてでも、これは協力をして生産量をふやす、そういう方向に努力する、そういうようにお約束を、いま、ここで答弁された、こういうように理解してもいいわけですか。
  22. 高木俊介

    高木政府委員 そのとおりでございます。
  23. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それは五十二年度からという意味ですか。
  24. 高木俊介

    高木政府委員 法律改正によりまして鉱区調整しなくちゃならぬところは、これは、ことしはできません。いわゆる事業団消滅鉱区あるいは保有鉱区につきましては、法律改正後になろうと思いますけれども、その他の問題につきましては、できるだけ早くから、そういう姿勢で臨みたいというのが私どもの気持ちでございます。
  25. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この問題を余りやっていると肝心な問題に入れないので、続いて進めますが、幌内の問題です。先ほど大臣も言われたように、幌内復旧というのは非常に大きな問題になっている。これは言うまでもないのですが、立地公害局長に伺っておきますが、その後この復旧状態、こういう点はどうなんです。
  26. 宮本四郎

    宮本政府委員 幌内のその後の状況につきましては先生、御案内のように水封を完了いたしましたのが三月の二十七日でございます。このときは二片レベルの上、十メートルまで完了したわけでございます。そこで今度は坑内の状況が好転しましたので、常盤斜坑から揚水作業を開始いたしたわけでございます。さしあたり四月五日、二片レベルまでの揚水を完了いたしました。そこで今度は、作業の完了した部分につきまして、二片坑道崩落個所の取り明けを現在やっておるわけでございまして、整備を進めておるわけでございます。  今後はどうなるかというのが次の問題でございますけれども会社側の判断によりますと、十月上旬には七片坑道まで揚水をした上で、今年中に遺体を収容し、五十二年の三月から一部の生産を開始したい、こういう計画を持っておるようでございます。
  27. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは再三にわたってのことになるのですが、大臣に再度、確認をしておきたいのですけれども幌内再建の問題です。これは、これからもいろいろ困難があると思うのです。しかし、大臣現地の人々に対して何度も約束をされたように、幌内の場合においては、再建をすることが、これはもう二千万トンの体制を守る意味においても最大の課題になってくると思う。途中において、初め会社考えているような、あるいは政府考えているような計画どおりいかない場合が、部分的にあるかもしれない。あるかもしれなくとも、それに対応する対策というものは、また当然、考えていかなければなりませんし、再開をするという基本方針だけは、政府としては、はっきり持っておいてもらわないと、これは石炭政策上、非常に問題がございますので、この点について、もう一度、大臣から確認をしておきたいと思います。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 再開をしたいというのが政府基本方針でございます。ただしかし、そのためには会社の方で実情をよく調べて、再建計画というものをびしっと立ててもらわなければいかぬと思います。
  29. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはもう再建計画が出て、それに基づいて、いま公害局長が言っているように三月、再開という計画でやっているわけです。ただ問題は、部分的に何片の坑道が使えなくなったとかという場合もあるかもしれない。しかし、そういう場合でも、それに対応するような政策が当然、考えられるはずだし、技術的にも可能だと思うのです。たとえば一本、斜坑を入れてでもやるとか、これは一つの例ですよ、そういう方法を含めてでも全力を挙げて、やってもらわなければならない。幌内の再開発については、そういう努力をしていただきたいということなんです。  問題はそこで、もう一つ資金問題があるわけですが、資金の点についても、ひとつ、この後、質問してまいりますが、そういう資金問題を含めて全力を挙げて、やっていただきたいということです。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 再開をしたいというのが基本方針でございます。そのためには会社がやはり、その姿勢で臨んでもらうということが第一だと思います。  それから、もちろん再建をする場合には資金の投入も必要でございますが、やはり政府資金を投入する以上は、その政府資金が有効に使われるということの前提条件というものをつくってもらわなければいかぬと思います。
  31. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや全く、そのとおりなんで、有効に使われることが非常に大切なんだ。先ほども理事会資金問題がいろいろ議論されました。北炭通産省に出しました資料、こういう資料もいただいたわけでございますが、こういう点からいって、資金の点では非常に窮屈であるということはわかる。しかし、その数字内容等については、いろいろ、われわれも議論をしなければならない点がある。特に大臣御存じでございましょうか、大体、資金のショートしているのは二百十八億ある。その中で労働者の賃金は、賃上げ期末手当は、ことしはあきらめてくれ、それで九十一億浮かしたい。それから政府の方から六十億出してくれ、市中銀行会社自身努力をして七十億をつくります。こういうのがいろいろな機会に、そういう発言があるわけです。われわれも直接、社会党として調べた場合において、そういう答えも出ておりますし、また、この間、政務次官が現地に行かれた際にも、それに類した話が出ている。ということになってきた場合、やはり私たちから言うと、賃上げはやめてくれと言われても、この物価高の中で賃上げはやめてくれということになると、一体、労働者はどうやって生きていくのだという重大問題があるのですが、こういう点の問題については後で別な角度から私、質問いたしてまいりますけれども、それまで会社が言うならば、会社の経理というものは、やはりガラス箱の中で、はっきりしておいてもらわないと困る。  たとえば、こういう点をはっきりしておくためには、大臣御存じのように最近、新聞週刊誌で、北炭の現会長である萩原さんの問題がいろいろ出ていますね。ことしの三月ですか「宝石」という雑誌を見ると、その内容を読んで見れば、十六億から三十億ぐらいの政治献金はしたという意味のことを、萩原さん自身が言われたのだということを、ある作家が書いているわけですよね。これでは何か、ちょっと——ちょっとでない霧に包まれて、本当に一体これはどういうわけなんだと、国の補助金や、あるいは近代化資金その他の資金の融資があるわけでしょう、財政資金が。それがそういう方に使われたのじゃないのかというような疑惑まで出てきているわけですね。こういう点は恐らく石炭担当局である通産省は調べているのだろうと思うが、この際ここの点をはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  32. 高木俊介

    高木政府委員 萩原会長児玉さんとの関係、その辺は私なんかの知るところではございませんけれども、少なくとも会社の方へのいろいろな手厚い助成をやっているのは事実でございまして、四十二年度安定補給金制度あるいは坑道進補助金制度あるいは再建整備臨時措置法、いわゆる元利補給金関係でございますけれども、四十二年の十一月から、こういう制度を始めまして、その後、年々の収支関係あるいは支払の額というものにつきましては、十分うちの方も監査その他を通じまして資料をとっておりますので、まさか、そういうようなことが四十二年度以降について、あろうとは、私ども考えていないところでございます。四十二年度以降につきまして、いろいろな、たとえばコスト関係、それに基づきます損益関係あるいは補助金関係が、ここから入っておりますので、その補助金関係の支出というようなものも十分調べておるような状態でございます。なお、役所の方で主として合理化事業団を通じて出している金でございますけれども、たとえば近代化資金につきましては、これは設備が入らなくては金を出しておりません。そういうことで、びしゃっと設備が入った裏づけとして近代化資金の金を貸している。あるいは補助金関係にしましても、その坑道ができたということを確認して補助金を出しておりますので、そういう問題はないんじゃなかろうかというふうに私なんかは考えているところでございます。
  33. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ないんではなかろうかという話なんだが、調べているわけでしょう、それは結論はいつ出るのですか。
  34. 高木俊介

    高木政府委員 別に政治献金北炭からやったかどうかということの調べはいたしておりません。
  35. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや、そんなこと言ってない。国の資金が適正に使われているかどうかということは調べているのでしょうと言ってるのです、石炭関係で。
  36. 高木俊介

    高木政府委員 それは調べております。
  37. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その結果、ではなかろうかという程度しか結論が出せないということですか。
  38. 高木俊介

    高木政府委員 私の表現がまずかったと思いますけれども先生が、いつの時点か知りませんけれども政治献金をしているということを萩原会長個人が言っておられるということでありますならば、その金が、どこから出たかは私どもはわかりませんけれども、果たして、そういうあれがあったかどうかということも、これは調べておるわけでもございませんし、少なくとも石炭企業内部につきましては、そういうことはないということは、はっきり言えるのではなかろうかと思います。
  39. 岡田春夫

    岡田(春)委員 なかろうかが、いつもつきますから、もうちょっと、はっきりしてください。  具体的に一つ伺ってみましょう。これは、ある新聞にも出ている問題ですが、北炭の子会社である北星海運という会社が、昭和四十三年の六月に、全株一千万株のうち北炭所有の五百十万株が、児玉氏に一株三十円で売られた。そして四十六年の四月には、北炭の関連会社三社が一株五十円で買い戻した。そしてその差額一億二千万円が利益として児玉氏に渡った。こういうことが、ある新聞に出ているのですけれども北炭としては、その当時、昭和四十三年から四十六年のころに子会社の株を売らなければならないような経済的な苦境はなかったはずなんです。しかも四十四年には児玉がロッキードの秘密代理人になっている。こういうことで、いろいろな話が出ているわけですが、ここら辺についてはどうなっているのですか。
  40. 高木俊介

    高木政府委員 四十二年度あるいは四十三年度ぐらいの時点の経常損益でございますけれども、経常損益としましては、四十二年度で十一億六千八百万とか、四十三年度で三十一億七千八百万、あるいは四十四年度で二十九億三千四百万というような赤字になっております。これにいわゆる資産売却というような形で、四十二年度は三億六千七百とか、四十三年度は十六億一千六百、四十四年度は八億九千八百とかいうような資産売却をやりまして、できるだけ赤字を、当期の損益を少なくしようという姿勢に立っているのは、資料上はっきりしているところでございますけれども、いま先生の御指摘のような内容については詳しく私なんかは知らないところでございます。
  41. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや、いまお話を聞くと四十三年が赤字である。それで、そういうように売ったんだが買い戻しているわけですよね。そういう点もありますので、これはひとつ、ぜひ調べてください。もう私、一分しかなくなったんで詰められないのですが、これはぜひ調べていただいて御報告を願いたい。  それからもう一つは、あなたの方から、きょう、いただいた資料、これを見ると労働者に対しては九十一億の分を分担しろという意味のことが出ている。政府から六十億出してくれということが出ている。ところが、かねがね北炭の方の会社が言っている資金のショート額二百十八億という数字は、これから出てきませんね。これは一体どういうわけなんですか。あなたの方、これを国会にお出しになるんなら、そこの関連は当然わかって、お出しになっていると思うのだが、この関係はどうなります。
  42. 高木俊介

    高木政府委員 きょう理事会で御説明しました資料が、いわゆる北海道炭礦汽船の資金計画として現時点における、これはつい前でございますけれども会社から取りました資料をベースにいたしまして、私どもが、これを手直ししたんじゃございませんで、その数字が最もわかりやすいように表にして先生方に御説明したわけでございまして、きょうも理事会で御説明いたしましたように、いわゆる経常収支で百七十七億、金融収支の方で一応、百十七億の黒になるので六十億というようなことで、六十億を国で見てくれ。しかし、このほかに国には、いわゆる長期の借入金、設備資金の問題あるいは短期の運転資金の問題、こういう金額を合理化事業団に長期借り入れとして、長期資金としていわゆる設備資金関係が主でございますけれども四十一億とか、あるいは運転資金の短期の借り入れでございますけれども百三十億とか、こういうものも見た上で、なお六十億不足するという言い方でございまして、いま先生のおっしゃる二百十八億という数字との直接の関連の数字じゃございませんけれども先生の先ほどのお話の九十億あるいは銀行関係の七十億、政府の六十億ということからいきますと、大体、私ども数字は合うんじゃなかろうかと思いますけれども、その先生のいま御指摘数字との相互チェックはいたしておりませんので、後ほど、その点は確かめたいというように考えております。
  43. 岡田春夫

    岡田(春)委員 実は時間がないので、やれないのですが、社会党として会社側に対して、いろいろ資料を要求して手に入れた数字が、あなたのところに出ている数字と対比しまして、ずいぶん違うのです。たとえば、五十年度の場合、これは実績ですね、これの場合は約二十億違うのです。五十一年度の場合には七十七億違うのです。これは大きいのです。億ですよ。七十七円じゃないのですよ。これだとわれわれ、やはりどうも会社労働者に負担させる九十一億というものを固定の数字として決めて、そして政府の方から六十億もらう、こういうことが北炭関係の金融機関と北炭との間で合作をして、最終的には労働者に九十億をかぶせる、そういう作戦のように見えてならない。こういう点では、あなた、どうですか、物価はこういうように上がっているときに、賃金一銭も上げません、それから期末手当も一銭も出しませんなどと言って、労働者はどうやって食っていくんですか。こういう点はやはり、あなたの方が経理の内容を調べられるならば、それは労使関係でございますから、われわれノータッチでございますということだけでは私は済まないと思うんだ。やっぱり生産再開するためには、大臣、食えるだけの賃金を上げない限りにおいては、これは話にならぬですよ。それは財政的に苦しいことはわかっているけれども労働者の賃金については、これだけのことはするんだというような努力をやり、生産を上げるためには石炭当局としては努力してもらわないと困ると思う。特にあなた御存じでしょうが、石炭関係の大手四社は独自で交渉をやって、そして北炭は、そういう財政事情にあるために対角線交渉になった。対角線交渉の協定の中には、大手四社の賃金を尊重しますということまで言ってるんだ。ところが一方において九十一億、一銭も出せませんと、こうなっている。これじゃ話にならぬと思う。これについて、やっぱり労働者は食えるような形を財政的にも——いろんな点を皆さんが精査されるのは結構です。精査した上で、労働者が食えるような方向で、あなたの方は石炭当局としてやらないと、生産の確保できませんよ。掘れないだけの問題ではないですよ、北炭の全体の山の問題になりますよ。こういう点については、どういうようにお考えになりますか。
  44. 高木俊介

    高木政府委員 あるいは、おしかりを受けるかもしれませんけれども、賃金問題は、ただいま労使でやっている最中でございまして、これが結果を北炭が、先生指摘のように、尊重するという点で労使がいま話をしておるのであれば、果たして、この九十一億がどうなるかは、これは私なんかのところでは、いまのところ軽々しく言えない数字でございますけれども、一応、北炭としまして今後、再建するという姿勢である以上、銀行に説明し、あるいは役所に説明するためにも、ある程度の企業としての考え方ということを、はっきり銀行等にも説明しませんと、銀行の方でも金の融資という問題については相当むずかしいんじゃなかろうかと思います。そういう意味で、先ほど説明いたしました資料につきまして役所で、どれだけの協力が可能なのか、また、そういうことをもって、労使の協力、役所の協力ということをもって銀行へ話に行くというような社長の話でもございましたので、社長には、金額は控えさしていただきますけれども、大体この程度は見れるんじゃないかということは話してございます。また、反面、私どもとしましても役所の金だけで、これが動く問題でもございませんので、三井銀行の常務にもお会いいたしまして、銀行の姿勢というものも私どもとしましては一応お聞かせいただいて、全員が一緒になって、この再建に取り組まなくちゃならぬのではなかろうかというふうに考えております。
  45. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間がもうなくなっちゃって困ったんですが、あなた、全員が協力をするというためには、労働者は一銭も物を食わないでやれということではないでしょう。やっぱり物価は八%も上がると言われているのに、ゼロでございます。それで結構でございます。全員協力してくださいなんという話にはならぬでしょう。やっぱり財政問題になってくる。金融機関に依存するということもわからぬわけではないけれども、金融機関の方としては労働者の賃金を抑えろ、こういう考え方が出ていることは、あなた、おわかりのとおりなんだ。労使の関係に直接、介入することはできませんがというあなたのお話なんだが、それは八%を一〇%にしなさいというような介入の仕方はできませんということだが、しかし少なくともゼロでいいなんということにはならぬでしょう。やっぱり、そこは行政指導の問題じゃありませんか。ゼロで労働者はただ働きなさい、経営者の方はこうしている、やりなさい、これじゃ話にならぬと思うんですよ。やっぱり最低生活が保障される、これは憲法の問題だ。最低生活が保障されるような方向に行政指導をすることが、やはり大切な問題だと私は思いますので、あなたとしての行政指導としては、労働者の協力を、協力をとおっしゃるが、この協力の仕方については、現在の物価上昇に見合った形のものは少なくとも確保されなければならぬし、そういうことが最低限度であるということの基本的な考え方を伺っておきたいのです。これが第一点。  それから第二点、これは時間がなくなったので一遍にやりますが、保安問題です。宮本さんの方で保安懇談会をやっていますね。そして五月七日に中間答申のような試案が出されましたね。しかし、この中間答申のようなものの内容を見てみると、国会で抜本的に保安問題を再検討するという決議をしているにもかかわらず、あなたの方は何か労使と中間の学識経験者に任せてしまって、立地公害局はどうも熱意がないんじゃないかという感じがしてしょうがない。  たとえば例を挙げます。保安技術開発センターの問題、これについても中間答申は何もないじゃないですか。こういう点は一体どうされるんですか。国会の決議では、保安技術開発センターについては、ぜひ、やれということまであったんだけれども、その趣旨に基づいて決議はされているんですよ。そういう点についても何にもないじゃありませんか。  それから、保安の問題については、この前、私が予算委員会質問して、三木総理、河本通産大臣が答えている。これは宮本さんも、あのとき、おったからおわかりでしょうが、保安は最大の課題である。緊急の措置として、現場における労働者が危険だから退避しなければいけない、こういう問題についても当然、十分その趣旨に従ってやりますということを三木総理が答えているところが、これを見ると、保安日をつくるという問題でさえ、いまだに解決していないでしょう。保安日はいままでどおりでいい。すなわち月に一遍、保安日で三十分間、保安の検査をやる。これに対して炭労の方では、月に二日やってくれ、しかも全日ではなくて一時間ずつでいいんだ、こういうことまで言っている。これでさえ、あなた、まだ決まっていないじゃないですか。これは立地公害局として指導するのがあたりまえじゃありませんか。  それから、一、二、三方まで全部が、どの山もすべて保安担当者が完全についているとは言えない現状ですね。そうするのならば、保安監督員補佐員の問題にしても保安委員の問題にしても、やはり一、二、三方全部について保安の点の十分な措置をとるというくらいなことが、やれないということはないはずです。こういうことについても、立地公害局では何か中立委員に任せ切りで、どうも、うまくまとまらないから、しょうがないんだというような消極的な態度に見えてしょうがないのですが、こういう点は、あなたの方では、保安を最大考えるならば、そういう行政指導をすべきだと思うのですが、どうですか。私は五十分までですから、これで質問もできなくなりましたので、再質問しないように、ひとつ、お二人で、それぞれ答弁をしていただきたい。
  46. 高木俊介

    高木政府委員 先生の初めの御質問は、いわゆる生活ができる賃金というような問題ではなかろうかと思いますけれども北炭で言っておりますのは、この災害のために相当な赤字になるので、いわゆる再建するまで、本年度のベースアップ分あるいはボーナスの支給を、できるならゼロにして労働の方に協力をしてくれという頼みでございますので、一応これは当然、労使間で片づけていただかなくてはならぬ問題だろうと思いますし、また、私どもの方で、賃金はそれは多いほど、いいのでございますけれども、どこまで、これを見てやれ、あるいはゼロあるいは、ほかの社で決まるベースアップの何%を見てやれというようなことは現在、言えるような立場でもございませんし、これは少なくとも、北炭労働者として北炭再建にどれだけ協力していただけるかということは、当然、労使間でお決めいただく問題だろうというふうに考えております。
  47. 宮本四郎

    宮本政府委員 石炭鉱山保安懇談会は、二月十日に第一回を開催いたしましてから六回の総会を開きまして、その間、中立の先生によりますところの総会でない会合も、たびたび持たれておりまして、非常に精力的に御検討を賜っております。もちろん労使の御意見も陳述されましたし、国会の決議も十分、検討していただきましたし、テーマといたしまして、保安管理体制、研究開発体制、教育訓練、こういった基本問題について各般の討議を賜っております。  先生、御指摘の保安技術開発センターにつきましても、非常に長く議論はされたわけでございまして、現在、その取り組むべきテーマあるいは体制のあり方、さらに、ちょっと時間が足らぬので、もっと研究する必要があるというような意向が示されております。  保安日につきましても、これは労使の話も別途、行われておりまして、中立の先生が現在、取りまとめということで鋭意、努力を賜っておりまして、この問題については近く結果が出てくるのではないかと思っておりますが、先ほど御指摘の一、二、三番方におけるところの管理体制というふうなことに関連いたしまして、補佐員、保安委員の問題も出ております。  私どもは、この懇談会が三者構成になっておりますので、その御議論を通じまして、できるだけ早く結論を得て、その結論については尊重してまいりたい、かように考えております。
  48. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これで終わりますが、高木さんの先ほどの答弁では、私は納得しません。最低生活が保障されるのかどうかということは、あなた、労使関係の問題よりも憲法の問題です。通産省は最低生活が保障されなくてもいいというのですか。そんなことはないでしょう。だから物価上昇分については、それくらいのことを考えないと話になりませんよ。そういう点で努力していただきたいことを強く要望して、時間がありませんので、これで終わります。
  49. 田代文久

  50. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 時間が不足しておりますので、そのものずばり具体的な問題で質問したいと思います。  大臣を煩わす問題でない事務的な問題から入りますが、去る五月七日に、地元の北海道新聞に札幌通産局の姿勢といたしまして「道内石炭産業振興 長期計画づくりスタート」こういう通産局の意見が発表されております。  この問題の骨組みは一般的な問題ですが、特に一般的な五項目を挙げたのに対して、具体的に開発の方向を一つ出しています。そのうちに御存じの天北、釧路炭田新鉱開発に着手するとか、その他、現有炭鉱の安定と強化を図る、可採量を確認する、露天掘りも積極的にやるという問題が掲げられておりますが、特に、こっちで鉱区の調整、休廃止、放棄鉱区の活用、こういう項目があるのですが、これは札幌通産局の問題点指摘であるとしても、当然、本省として下部構造ですから、緊密な連絡のもとに行われておると思うのですが、この鉱区の調整は、どこをどうしようとするのか、休廃止されておる鉱区、それから放棄鉱区の活用ということは、どういう範囲なのか、どこを意味しておるのか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。もし、ここで具体的にできないなら、それに関する具体的な資料の提出を要求します。
  51. 高木俊介

    高木政府委員 五月七日の北海道新聞にという先生の御指摘でございますけれども、実は恐らく、その資料は、来年度の予算要求として北海道石炭部がいろいろ検討し、本省の方へ要望事項として持ってくる資料として外部に発表したものじゃなかろうかと思われます。実際、現在のところ、まだ、そういう資料は、うちの方は局の方から正式には受けとっておりません。  いま御指摘鉱区調整あるいは放棄鉱区の問題でございますけれども現有鉱鉱区調整につきましては、先ほども岡田先生の御質問お答えしたのでございますけれども、これは事業団業務方法書を一部、改正しなければなりません。その手続は当然、財政当局である大蔵省とも相談しなければならぬわけでございますけれども一応、話がつきまして、いま起案して回っている最中でございますので、現有鉱鉱区調整については問題がないというふうに御理解をいただいていいと思います。たとえば例としましては赤間の問題あるいは、そのほか北炭としての部分的な鉱区調整があったのでございますけれども、いま北炭としましては、例の幌内再建のために一応とだえてはおりますけれども現有鉱鉱区調整については問題はございません。現に北海道のみならず宇部地区においても、そういう線に沿ってできるように、やっておりますし、現在、動いている山の鉱区調整としては問題はないと御理解をいただきたいと思います。  なお、事業団保有鉱区あるいは消滅鉱区につきましては、周りに山がございませんと、その地区の鉱業権の設定あるいは再開発というような問題につきましては、来年度、法律を改正いたしますと、その場合、事業団が鉱業権を取得し、事業者に譲渡するというような方法ですが、不幸にしまして本年度、法律が改正できませんでしたので、来年度の法律の改正によりまして、できるだけ、いままでの事業団保有鉱区消滅鉱区開発に力を入れていきたいというのが私ども考えでございます。
  52. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 官庁間の明年度の予算獲得の一つの戦術として、こう、やられたのでは年じゅう引っ張り回されてかなわぬのです。そういうことでなしに、具体的に現実に法律改正をも含めた方法として、一体、鉱区の調整や休廃止鉱区その他がどういう状態になっているか、実体のあるがままの資料を要求しているのです。その点についての答弁が漏れていますが、資料について。
  53. 高木俊介

    高木政府委員 北海道の局の方と連絡をとりまして、北海道の局が考えておる地域が、どういう点であるかも調べなくてはいかぬと思いますので、局の方と連絡をとりました後、先生の方に御報告したいというふうに考えます。
  54. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 考えているところと、あるがままの実体と混乱しないでください。あるがままの実体を知りたいのです。そこをすりかえないように通産局の方へ指示してもらいたいと思います。  時間がありませんから次の問題に移ります。  大臣質問いたしますが、これも新聞に依存して恐縮なんですが、北海道新聞の十一月七日の相当、大きな記事です。これによりますと、萩原吉太郎氏が石炭政策を批判した書物、パンフレットが出ておるので、この書物は、福田副総理、河本通産大臣、増田エネルギー庁長官並びに自民党の議員諸公に提出をして精力的に要請運動を起こす、こういう解説になっておるのですが、大臣はお読みになりましたか、配付を受けておりますか、御存じですか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  55. 河本敏夫

    河本国務大臣 読みませんが、内容の説明は石炭部長から受けました。ただし、内容の方向は先般の答申と大分、違っておるようでございまして、政府の方は石炭審議会の答申を中心に石炭政策を進めていく、こういうことでございます。
  56. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 パンフレットは、彼がしばらく石炭業界から逃避して、久しぶりで会長に舞い戻ってきて、そこで一席メートルを上げたということで、大分ほらが入っているのです。日本の石炭政策は自分がやってきたので、通産省も国会も、ぼろくそです。要するに彼のほらが入っていますが、私はこの中で無視できないのは、別表の中で非常に具体的な資料が出ております。北炭系統の中で四つの山を開発するということで、具体的に数字を挙げておることです。この数字が挙げられた、また、これが発行されている時点が問題だと思うのです。この、わが国の石炭政策を批判するところのパンフレットが出ておりますのは去年の九月です。去年の九月といいますと、それは当然、夕張新鉱の災害の後であり、万字炭砿の後であるということです。幌内炭鉱との中間に、この資料が出されておるということです。したがって、執筆した萩原吉太郎氏にしてみれば、北炭がそういうような危機的な状況にあることも承知の上で発行したものだと思うのです。したがって、発行者については会長とか社長という名前は入っていなくても石炭萩原吉太郎で、北炭会長であることは間違いない。そういう意味で、この中に指摘されておりますのは、いま岡田君が、それぞれ指摘いたしました具体的な開発地点に対して、きわめて具体的にしておりますが、穂別炭鉱が五千万トンある。これは年間五十万トン増産できる。桜沢、これは歌志内ですが三千五百万トンで年間百万トン、磐の沢は二千万トンであって年間五十万トン、鹿の谷は一千万トンで三十万トン、合わせますと、ここで具体的に、はっきり数字を出しているのですが、年間に二百三十万トン増産できると彼は主張しているのです。しかも、それはボーリングも進んで、具体的に可採炭量や経済炭量がはっきりしている、こういう指摘をしておるのですが、いまここで千八百六十万トンと、二千万トンに穴があいた時期に、まことに好個の資料だが、そういうものが現実にできるのかどうかという問題が出てくると思うのです。それも政府並びに関係機関の石炭政策に対する徹底的な批判の上に立って彼がこれを主張している。  そこで問題になりますのは、この穂別とか桜沢とか磐の沢とか鹿の谷などという山々は、なるほど改めてボーリングをしなくてもいい状況にあるわけです。穂別というのは夕張の隣の胆振地帯にあって、これは約二十年ほど前に一遍、閉山になって、最近では赤平建設というのが露頭炭をやっているので、現にやっているところです。それから、桜沢という歌志内の山は、これも二十年前に神威炭鉱が閉山した、その同じ地帯なんです。それから夕張市にあります。鹿の谷は、もとの新夕張炭鉱と、もとの平和炭鉱の間に接続する鹿の谷の地帯です。地下の鉱脈はつながっていると思うのです。  ところが問題になりますのは、新夕張炭鉱というのは、世間周知のように萩原吉太郎が児玉譽士夫に提供して、租鉱山としてやらせている。新夕張炭鉱を一遍、閉山したものを、大和鉱業という名前で租鉱山にして児玉譽士夫一族にやらせておいて、それがやがて新夕張炭鉱株式会社として、また名称が戻る。新夕張炭鉱も食いつぶして、今度は大和鉱業センターというのができて、これが、いまゴルフ場を経営したり、新夕張会館を経営したり、いろいろなものを経営して夕張に拠点を持っておる。こういう、いわくつきの地帯に存在するものであることが問題だと思うのです。  ことに私どもの理解できないのは、磐の沢の炭鉱です。これは去年さんざん、ひどい目に遭いました朝日炭砿の閉山のときに、これは通産省も札幌通産局も一緒ですが、朝日炭砿を持続させるためにやらせるということで施業案を出しているのですよ。通産局は施業の認可を与えているのです。ところが朝日炭砿、野村宗一郎の山がつぶれてしまうと同時に、これは、いつの間にか施業案が撤回されて消滅してしまっているのです。いま万字炭砿が閉山になる直前に、ぜひ万字にやらせてくれ、国鉄も同じ線だし地続きだから、非常に交通至便のところだから、やらせてくれと言ったのを、ついにやらせずに、同じ北炭会社万字を生かすために北炭の山を生かさずに、あべこべに北炭関係のない朝日炭砿に施業案を出して援助をしている。人の会社には、どういう事情であったか知りませんが、そういう方法をとって、自分の山をつぶすためには、これを切って利用させなかった、いわくつきです。幌内と同じ三笠市にあるんですが、現に幌内炭鉱が深部開発一つの橋頭堡としてやりたいと願望しているが、まだ、うんともすんとも結論が出てこない。一体、出しているものが、どういう評価をすればいいのか、この北炭会長の文書ですよ。過去三十年にわたって日本の石炭政策を徹底的に究明した文書です。これに対して、どういう評価をわれわれはしていいのか。これが一体、政策的には通産省はどう取り上げようとしているのか、どういう評価をしているか伺いたいと思うのです。
  57. 高木俊介

    高木政府委員 内容を読ませていただきますと、いわゆる萩原会長としましては、自分のところの鉱区の中で、できるだけ石炭の増産をもってエネルギーの自給に貢献したいという御意思から、ああいうものが出たのではなかろうかと思いますけれども、いま直ちに私ども萩原構想そのものを全面、政策として取り入れるというわけにはいかぬのじゃなかろうかと思います。しかし中には、たとえば、いま先生、御指摘の磐の沢の問題あるいは空知桜沢の問題というのは、たとえば桜沢につきましては縦坑の追さくによって掘れるんでございますから、これは、そういう構想でもございませんけれども、当然、資源の有効活用という点からいきましても掘らすべきではないかということで、北炭に指導しているというのが実態でございます。  なおまた、磐の沢の問題につきましては、前のときは確かに北炭から租鉱の形で朝日炭砿にやってもらうということで、租鉱権の設定まで、施業案の手続まで、やったのでございますけれども、不幸にして朝日炭砿の方で、いろいろな問題から着手ということが不可能になりまして、鉱業権は北炭の方に返っているわけでございますけれども北炭としまして、いま直ちに、そこを北炭の資力で磐の沢を開発するということは、なかなか困難じゃなかろうかということでございますので、むしろ磐の沢を小さな山でいいから開発したいという方も、いま話が出てきておりますので、そういう方々が具体的に計画をお出しになるならば、当然、北炭の方にお話ししまして、磐の沢の鉱区につきましては前と同じような方法で、租鉱なり、なんなりで北炭の収支にも寄与することでございますので、指導していきたいというふうに考えております。  なお、鹿の谷あるいは穂別の問題につきましては、これは、もう少し調査をさせていただきませんと、いま北炭の方で三十万トンあるいは五十万トンというような計画を一応、大きくは出ておりますけれども、直ちに、このまま着手できるかどうかというのは大きな疑問がございますので、もう少し調査なり、なんなりということも実施しました後、結論を出すべきではないかというふうに考えます。
  58. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 残念ですが、時間がありませんから後日に譲ります。
  59. 田代文久

  60. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 各党に割て当てられた時間が、社会党あと二分くらいしかありませんから、簡潔に質問いたします。  実は貝島炭砿株式会社の件でありますが、この炭鉱昭和三十七年、炭労が政転闘争をいたしましたときに、炭量があって、まだ十分、操業できるけれども、とりあえず資金がなくて閉山のやむなきに至る炭鉱を何とか救いたい、こういうことで昭和三十八年に合理化法を改正いたしまして、いわば開発銀行から中期運転資金を出すことになったのであります。これが貝島炭砿が第一号でありまして以来十三年を経ております。その間かなりの原料炭を出したわけですけれども、この炭鉱御存じのように会社更生法の適用を受けざるを得なくなったわけでありまして、しかも、それは石炭見直し論が出てきた、この時期に会社更生法の適用を受けなければならぬという事態になったということについて、われわれは、いろいろな所感を持つわけであります。一方、二百億以上の鉱害がまだ、あるわけです。そこで賃金は何とか払っておるようですけれども、五十年度の米麦の補償金すら十分でない。本日、陳情を受けたところによりますと大体、二億三千八百三十万円の農地賠償金に対して、まだ現金受け取りは二千三百五十二万円程度である、こういうわけであります。昨年の米麦補償でありますから、これは農家も非常に困るという問題もある。  そこで、一体こういう問題をどういうように処理するか、時間がありませんから、大臣に一言、私はお聞かせ願いたいと思うのですが、やはり、これはプロジェクトでもつくって、そうして、この炭鉱をどういうように再建さすか、あるいは石炭見直しについて、どういう位置を占めるのか、あるいは地域住民との関係はどうなのか、あるいは貝島炭砿はかなり多くの関連会社を持っておるわけであります。でありますから、親会社が倒産すれば、その関連会社が倒産をするという問題も含んでおる。ですから貝島炭砿だけの問題でない。貝島炭砿会社更生法の適用を受けて、いま、いわば裁判所の手に渡っておるのですが、関連会社の方は渡ってないもんですから、関連会社がやっていけるかどうかの問題もあるわけです。そこで私は、役所が総合的に、現地の通産局も入れて、ひとつプロジェクトでもつくって、この問題を処理するという方針を出してもらいたい。時間がありませんから、これをひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  61. 河本敏夫

    河本国務大臣 貝島炭砿が経営が行き詰まりまして、いま会社更生法の適用を裁判所に申請をしておる。裁判所の方では、いろいろな資料を集めまして、そして、いろいろ対策を練っておるようでございます。その結論の方向が、どういうふうに持っていかれるのか、そこらあたりを、もう少し見きわめませんと、現時点では何とも私は申しかねると思います。
  62. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この種の問題は、私は裁判所の問題じゃないと思うのですよ。裁判官の判断よりも、むしろ政治的に、また政策的に、どうするかの問題ですよ。普通の会社の債権債務の会社更生法の問題じゃないですよ。要するに日本の石炭行政というものは、かなり多くの国家の資金が入っておる。国家がどういう方針でいくかということが、すなわち再建になるかどうかということにつながるわけでありまして、これは裁判所の方もあるでしょうけれども、普通の会社更生法の適用の事案とは違うんだ。少なくとも今日の石炭政策というものは大部分が国の政策に頼っておるわけですから、国がどういう政策をとるかによって再建できたり、できなかったり、あるいは鉱害賠償がどういうようになったりするわけですから、これはただ、じんぜん日を待って裁判所の結論を待つというのじゃなくて、積極的に役所としては、こうした方がベターだという線を両々相まって検討すべきではないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  63. 河本敏夫

    河本国務大臣 一時は年間百五十万トンの生産がございまして、現在は、その十分の一に減ってしまっておるわけでありますが、古い歴史のある炭鉱でございますので、私たちも非常に関心を持っておるわけです。ただ産業政策という立場からも、もちろん考えなければなりませんが、一つ企業でございますからね、経営者自体が一体どう考えておるのか、経営者が一体どうしようとしておるのか、それがやはり一番根本だと思うのですね。これまで通産省方面に対する連絡も不十分であったようでありますし、いたしますので、いま、せっかくの御質問、御意見でございますから、関係者等の意見も十分、聞きまして、一体どういうふうに希望しておるのかという希望を、まず聞きまして、政府としての考え方をまとめてみたいと思います。
  64. 田代文久

  65. 多田光雄

    多田委員 久しぶりに大臣も当委員会に来られて、短時間ですけれども二、三、大事な問題をお伺いしたいと思います。  私ごとになりますけれども、当委員会に席を持ってから、もう四年になろうとしております。この間、私個人としては、やはり日本のエネルギーが非常に外国依存になっているということで、特に自国産のエネルギー、とりわけ、まだ豊富にある石炭の増産をして自給度を高めていくという問題、それから、いま一つ石炭産業を発展させる上で非常に大きなネックになっている保安の問題です。こういう問題を自分では取り上げてきたつもりでいるのです。  保安の問題というのは、御承知のとおり単に人道上の問題であるというだけじゃなくて、まさに労働力の確保という意味からいっても非常に致命的な問題であろう、こう思うのですね。この間、政府も幾つか改善されてきた点もございますし、当委員会でも国内炭重視の与野党一致した決議もあるということもあるのですが、しかし事態は、やはり根本的に改善されてない、こう思うのです。それは現に五十年度の二千万トン以上という、これが千八百六十万トン台に実績として下がってしまったということが端的に示しているんじゃないかと思うのです。石油パニック以来の経済危機の深刻さ、それから相次ぐ保安事故と減産ですね。さらにまた最近、出たロッキード事件に関連する北炭萩原会長をめぐる黒い霧のうわさ、問題、こういう日本の政治とエネルギーですね、あるいは石炭と言ってもいいでしょう、これの構造にかかわるような重大な問題が、この数年、出てきているというように思うのです。ですから、そういう中で、いま問題になっている北炭幌内鉱の再開の問題、いま一つは、きょうも資料で御説明があった北炭資金繰りの問題、これに、どう対処するかというのは、従来の石炭政策を、さらに悲劇的になるかもしれないし、あるいは日本の石油政策を根本的に切りかえていくという一つの目安になる問題だというように私は思っておりますので、時間がありませんので基本点だけ、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。  これは千八百六十万トン台に下がったわけですが、五十一年度、五十二年度ぐらいの短期的な展望でもって、この間、部長も説明があったけれども、二千万トン台を維持していくポイントというのは、北炭の新鉱開発と、それから、いま一つは、この幌内鉱の再開、私はここにポイントがあるんじゃないかというふうに思うのです。なぜなら新鉱開発は、まだ二年、三年かかりますからね。そしてまた、ほかの山の増産も、この間もヒヤリングで伺ったけれども、さほどの額ではない。致命的なものは、この幌内鉱の再開と、そして新鉱が十月からと言われておる百五十万トン台に上がるかどうかという問題だろうと思うのですが、これはどうでしょうか。
  66. 高木俊介

    高木政府委員 新鉱の方は当初の予定よりも約一年おくれましたけれども、現在は、たしか三千トンベースでいっておりますし、十月以降には五千トンベースになりまして、当初の百五十万トン体制に入れるというふうに考えております。  なお、五十年度生産は千八百六十万トンという数字でございまして、これには幌内の下期の生産も入っておりませんし、その他、災害関係あるいはスト等によりまして千八百六十という数字になったわけでございますけれども、五十一年度でございますけれども、本年度は、まるまる一年、幌内生産を見込むわけにはいかぬだろうという考えでございます。そうしましても百五十万トン体制等を入れますと五十一年度も、まだ審議会の方で、この数字は最終的にはお決めいただかなくちゃならない数字でございますけれども、大体、昨年度の千八百六十万トン程度は五十一年度は確保できるのではないかというのが現在の見通しでございます。
  67. 多田光雄

    多田委員 いま明確に答えておられないけれども、やっぱり新鉱の百五十万トンと、それから幌内これは一応、計画としては来年三月から百万トン上乗せというようなことで、これもおくれているようですけれども、そこにポイントがある、私はこうにらんでいるわけです。うなずいていますから、そうだろうと思うのですがね。  そこで北炭をみると、増産計画をしているのは、私の聞いたのでは、ともかく新鉱と幌内は別にして真谷地ぐらいだろう、こう私は見ているわけです。しかも、北炭五山と北炭空知炭砿の六山で、昭和四十九年度の実績で全国二千二十九万トンのうち、北炭系が三百五十一万トン、空知砿を入れて四百六十一万トン、約二三%を占めているのです。そういう意味からいっても、二千万トン以上これ自体、私は賛成はしておりません、この数字には。しかし、それを維推するとしても、この北炭に対する態度というのは非常に大事な問題だというふうに私は思うのです。  そこでお伺いしたいのですが、この増産を図っていく上で決定的な問題というのは、資金の問題とあわせて、もう一つ災害を果たして絶滅できるかどうかという問題と、いま一つは労働力の確保の問題だろう、こう私は思うのです。とりわけ当局の出してきた五十年度生産状況分析を見ても、減産の最大の問題は、これは幌内を含めて九十五万トンということになっている、その後にはストライキによる減産あるいは自然条件の悪化による減産というふうな順位になっているわけですがね。そこで労働力の問題だけれども、ここで、ひとつ伺いたいのは、新鉱の百五十万トン体制に必要な労働力というのは、どれだけですか。
  68. 高木俊介

    高木政府委員 ただいま、ここに資料がございませんので申しわけございませんけれども、恐らく千数百名じゃなかったかという記憶はしております。
  69. 多田光雄

    多田委員 これは会社の発表によりますと、北炭生産計画では、百五十万トン体制で必要なのは昭和五十年度で千六百八十名、それから昭和五十三年度で千七百九十名、最低これぐらいなければ百五十万トンの維持というのは非常に過酷な労働と、ときには保安事故ということも想定しなければならない。そこで伺いますが、いまの、つまり百五十万トンを目指す新鉱の労働者の数、それから、その労働者の数の中で幌内炭鉱から出向している人は何名ですか。
  70. 高木俊介

    高木政府委員 十二月、万字炭砿の閉山関係の事故によります出向者というようなことで百六十四名が万字炭砿から行っておりますし、また五十一年度の四月、本年度でございますけれども幌内鉱より三百五十名を受け入れるということが決まっているようでございます。
  71. 多田光雄

    多田委員 現在、約千五百、そして実際、新鉱にいた数は千二百、そこに三百の人が行って、そして十月から百五十万トン体制をとっていく。これ自体が計画から少ない。だから言えば幸か不幸か、幌内の事故が膨大な犠牲を払って起きたがゆえに、新鉱の労働力が確保されていると言っても、これは犠牲者にとっては私は大変、言いづらいことだけれども、不幸にして、そういう結果になっている。  そこで部長、伺いたいのは、もし幌内の事故が起きなかったとするならば、百五十万トン体制の労働力はどこから持ってくる予定でしたか。
  72. 高木俊介

    高木政府委員 会社計画としましては、新規採用を教育して新たに坑内に入れるという計画で、先ほど先生、御指摘の千六百八十あるいは千七百九十を当初、計画していたというふうに記憶をいたしております。
  73. 多田光雄

    多田委員 新規採用は、この事故で、いまストップしているし、それから以前だって、それほどじゃないのです。私がにらんでいるところでは、どうも夕張新二鉱、この辺から労働者を持っていこうとする案ではなかったかと推測しているのです。夕張新二鉱のことは後で、大臣がおらなくなってから、いろいろお伺いしたいと思っております。  つまり、北炭のやり口を見ているというと、これも幸か不幸か事故が起きる、そして、そこの山を整理する、そして、これからドル箱になるであろう北炭新鉱にどんどん持っていっているのです。たとえば夕張第一鉱から昭和四十八年に三百名持っていっているのです。平和鉱から九百名、万字砿から八十名、その上に幌内の労働力を、いま持っていっているのです。まるで将棋のこまなんです。この間ある有力な石炭の幹部に会ったら、石炭企業にとっては事故は金も出るけれども、いまの段階では、ある意味では都合がいいと言っている、労働力を動かせるから。  そこで私はお伺いしたい。もし来年三月から幌内計画どおり再開になった場合、三百名は労使協定によって幌内に帰しますね。これは第一線の労働者です。それを帰した場合、百五十万トン体制を保障する労働力は一体どうなんですか。
  74. 高木俊介

    高木政府委員 当然、幌内再開とにらみ合わせながら労働者の新規採用という問題が出てくると思います。その点は、まだ現在、会社の方から具体的に計画を聞いておりませんけれども、いま御指摘のとおり、幌内再開と新鉱の開発百五十万トン体制ということになりますと、労働力の補充ということは当然、起きてくる問題だと理解しております。
  75. 多田光雄

    多田委員 非常にあいまいなんです。だから幌内炭鉱再開が、掘って水を揚げてみて、どうなるかということなんですね。もう、あなた任せみたいなやり方なんですよ。労働力の制限の中で大変なことになるだろうと見ている。しかも、先ほども論議になったけれども北炭の五十一年度資金計画の中には、この物価高の中で賃上げ期末手当労働者に協力してもらって、九十一億という膨大な賃上げを認めない、つまり抑制していく、こういうやり方なんですよ。どこに労働者が集まってきますか。  しかも、私ここに、ちょっと資料があるのだけれども萩原氏は大変、調子のいいことを言っている。これは昨年十月のある雑誌に出たものですが、こういうことを言っているのですね、国から出る補助金は全部労働対策に使えと。そしてこう言っているのです。「苦しい地下労働の労務者のことを考えれば、炭住地の環境整備のための金を出すこと」だ。それから「賃金水準が低いので炭鉱独自の新賃金体系」をつくらなければならない、そのために「金を出すこと」だ。「第三には、よその産業にないかもしれないけれども、年金というか、老後の不安をなくしてやること」だ。言やよしですよ。言やよしであるけれども、現実に自分の経営の失敗を、労働者に対して九十一億の、これはいわば賃下げを求める。しかも、さっきも話が出たけれども、これから膨大な山の炭を掘ると言っておりながら、実際に労働者を確保する対策を十分とられていないじゃありませんか。  こういう意味で、まず致命的なのは労働力の問題で、どんなに逆立ちしてみたって「二千万トン以上」は不可能だろう。これは炭労自身が言っている、労働者を犠牲にしての「二千万トン以上」だと。しかも災害の問題は大臣が十分、御存じのとおりです。こういう状況の中で、果たして一体、二千万トン確保できるのか。ここをひとつ真剣に考えてもらわないと、日本の石炭産業は重大な危機を迎えるのだということを言いたいのです。つまり結論から言えば、労働者の犠牲の上に立って、いま北炭再開しようとしているし、二千万トン維持しようとしていると言っても、決して、これは極論じゃないのです。  そこで次に、保安の問題は後にしますが、二千万トン維持する決定的な条件である資金問題のあいまいさ、それから労働力の確保の見通しのなさ、保安問題、ここでまず失格なんです。  次に、北炭の政治姿勢、経営姿勢は一体どうなんだということです。これは部長にお伺いしたいのですが、北炭側の昭和四十二年から五十年までの債務の肩がわりの額は幾らぐらいになりますか。
  76. 高木俊介

    高木政府委員 肩がわりは一次、二次、三次と三回の肩がわりをやっておりますけれども、一次の肩がわりの北炭の総額が約百四十三億、二次の肩がわりが百十九億、三次の肩がわりが百十八億というような数字になっております。
  77. 多田光雄

    多田委員 トータルは幾らですか。
  78. 高木俊介

    高木政府委員 四百億強と思います。
  79. 多田光雄

    多田委員 この十年そこそこで、それだけの膨大な政府資金を、これはもらったと言ったらいいかね、取っているんですよ。そのほかに制度資金として莫大なものでしょう。新鉱の開発だって制度融資として二百億以上でしょう。そして今度の計画を見ても、市中銀行よりも国におんぶされる方が多いわけでしょう。三井銀行あたりも政府の協力が前提になっているわけでしょう。ですから、こういう膨大な金をもらっていて、萩原氏、北炭政治献金をやっているのは御存じのとおりなんです。先ほど三十億という話が出ました。これは御本人も認めておるようです。私は裏づけのために北友調査会の資料を調べた。時間がないので詳しく述べられないけれども、北友調査会について言うと、こういうことなんです。これは私、昨年伺いまして大臣から、政府から金をもらっている企業政治献金はいかぬというお話があって、その後、北炭はやめられたようですが、昭和四十七年十月一日から四十九年九月三十日までの二年間で合計の献金額は三億三千三百万円。ところが自治省に報告しているのはわずか一千万ですよ。これは萩原さんが認めている。そして同調査会の十年間の届け出の額は七千七十一万円です。ですから、先ほど言った透明度、献金三億三千三百万円のうち政府に届けているのはわずか一千万、三十三分の一ですよ。この調子でもって七千七十一万円を三十倍すると、まさに言われている二十数億になるのです。そのほかに北炭独自から出ているのです。これだけの膨大な資金を国から、つまり国民の税金をもらって、そこから三十億になんなんとする、私はもっと多いのじゃないかと思うのですが、そういう政治献金をやっているわけですよ。これは大臣、一体どうお思いになりますか。
  80. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府補助金を出しておる企業政治献金をすることは好ましくないということは前に申し上げたとおりでございます。先ほどのお話では、最近は中止になっておるそうでございますが、しかし、いずれにいたしましても、幌内炭鉱再建をするためには、企業側がきわめて精度の高い積極的な再建計画を立てるということが前提条件であることが一つと、それから、政府に依存する部分もあるわけでありますから、政府の方から出す金が有効に使われるという前提条件を確立するということ、これはもう当然の条件でございます。
  81. 多田光雄

    多田委員 その有効が問題なんです。スクラップ・アンド・ビルド以来、炭鉱の経営には二つの流れがあった。つまり炭鉱から、いかに資産を逃避させるかというやり方です。三井、常磐、太平洋なんかは、いわば分離、独立でしょう。そうして優良資産を全部、別会社に譲って、炭鉱はその子会社になってしまう。ところが北炭はどうかというと、御存じのとおり、ここぐらい関連の企業が多いところはない。だから週刊誌でも一体、三十億の政治献金はどこから出たんだ、恐らく、これは関連の企業だろう、こうさえたたかれる。私も調べてみたら、どうもそうらしい。東証の一部に上場しているぐらいの北炭ですから、そう、むちゃなことは表向きは、できないでしょう。だから北友調査会のような関連企業をたくさん集めている。この中には驚くなかれ児玉ファミリーが三つも四つも入っているのです。これはまた、いずれ別の機会に、いろいろお伺いしたいと思っております。そうして三井観光開発をつくって、そこに膨大な含み資産を、炭鉱労働者の血と汗のものを移してしまう。裸一貫になったのは北炭だけでございます。そうして政府資金でしょう。北炭を含む三井グループにしてみれば、少々の赤字程度でも、やらしておきなさい、日本の安全弁だ、そして国から金をとる、このやり方です。実際の金は、先ほど言ったように関連の企業から政治献金を集めてやっているのです。つまり政府から金をもらって、金に色はありませんから差別はつきませんが、実際には、彼は労働者の蓄積したものを関連企業に投資して、そして政治献金しているんですよ。まさに政府依存のやり方なんです。しかも政界と結びつく。戦犯の児玉譽士夫と結びつく。児玉譽士夫に第一次FX戦争のときに七千万からの金を出したということは、児玉自身も伝記で言っているし、北海道新聞がこの間インタビューしたときも認めているのです。ですから、このように北炭一つ取り上げてみても、政治との癒着はまさに骨がらみなんですよ。政府資金に依存してしまう、こういう経営姿勢で本格的に石炭開発はできると思いますか。これは何も北炭だけじゃないのです。かっこうはいいけれども、大なり小なり三井三菱住友も同じことなんです。まさに一兆になんなんとする石炭予算は、炭鉱取りつぶしのために出したし、石油と競争する安い炭価をつくらせるために出したようなものです。しかも、個々の企業は赤字になったかもしれぬけれども北炭を囲う三井グループ、三菱炭鉱を囲う三菱グループ、こういう金融資本というのは何にも痛んでいないのですよ。ここに日本の石炭がいまだに立ち上がれない根本問題があるのです。ここに、いまメスを入れないと、仮に、いま北炭が苦しいからといって金を出してみたって同じことになるだろうというように私は思うのです。  時間が参りましたから、最後に私は大臣にひとつお伺いしておきたいと思うのですが、この大事な問題の幌内再開資金、それから北炭資金繰りです。これをまず北炭と関連企業三井銀行を中心にする三井グループ、ここが自主的に出すということ。なぜなら、三井観光自体が相当の含み資産を持っているのです。その責任はあると思うのです。それを政府におんぶする、労働者の賃金抑制だということではなく、その姿勢萩原氏や北炭が立つかどうか、そういう指導をされるかどうか、これを大臣にお伺いしたいと思います。
  82. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭産業というものは非常に厳しい産業でございますから、それだけ経営者の強い自覚を必要とすると私は思います。ましてや、大きな事故を起こした、その炭鉱が立ち上がろうとする場合には、さらに一般の厳しい決意以上の考え方が私は必要だと思います。  それから、あわせて一言で申し上げますけれども、とにかく政府が金を出す場合には、有効にその金が使われる、そういう保証が必要である。当然のことでございます。いずれにいたしましても、資金を出す場合には十分、条件を調べまして出さなければならぬ、こう思います。
  83. 多田光雄

    多田委員 それはぜひ、やっていただきたい。  それから次に、幌内再開に当たって、やはり十三名の、まだ地底に眠っている犠牲者を救出する、これが大前提です。同時に私は幌内の資源を、まず掘るということが大事だと思うのです。聞くところによりますと、これは北炭の専務からも聞いたのだが、いいかげんのところで、今度は条件のいい、かつて住友の持っていた奔別の方に鉱区調整して伸びていきたいと言う。これぐらい虫のいい話はない。つまり、こういう企業に、またいい鉱区をやると食い荒らしなんですよ。資源を大事にするのではなくて、もうけるところだけ掘っていって、そして大事な資源を投げていって、いわば、まんじゅうのあんこだけ食って外だけ全部、投げている。いままで、みんなそうです。その意味で、幌内再開に、大臣は先ほど決意を述べられたのですが、私は簡単な鉱区調整に反対です。ですから私は、まず幌内の資源を北炭が十分、責任を持って掘る、そういう姿勢をとっていただきたい。これが萩原氏に言によれば、資源を本当に尊重する、まさにそれなんです。彼はそれをやらないだけの話だ。  それから、もう一つ私がお願いしておきたいことは、新鉱開発の三百名の労働者は必ず幌内に帰してもらいたい。それからもう一つ、九十一億円という労働者の賃金カット、これは労使の問題だというように傍観者的に見ておられるのではなくて、まさに、こういうことをすると労働事故が起きるし、当然ストライキが起きてくる。あたりまえのことだ。減産になるのです。だとすれば大臣はいつも、石炭の場合は同時にそれは保安の問題だというふうに言っておられるわけですから、そういう意味で、やはり労働者の常識的な賃上げを認めていくためにも、九十一億円のめんどうを見てもらうなんという、そういう、やましいことはやめさせるように大所高所から、ひとつ指導していただきたい、その三点について最後に、大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  84. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず賃金、ボーナスの問題でありますが、これはやはり企業側が将来のことをよく考えて総合的に判断すべき問題だと思います。当面のことも、さることながら、将来のことを、いろいろ深く考えて総合的に判断すべき問題だと私は思います。  それから、いま鉱区調整お話が出ましたが、そういうことを十分、考慮いたしまして総合的に判断をいたすことにいたします。
  85. 多田光雄

    多田委員 それから幌内の三百名を必ず幌内に帰す、そういう指導もしていただきたいと思います。
  86. 河本敏夫

    河本国務大臣 このことは、やはり幌内再開とも関連をするわけでありますが、約束として、再開すれば当然、帰る、こういうことで行っておられるのだと思いますので、それは再開問題が解決すれば自然に解決する問題でなかろうかと思います。
  87. 多田光雄

    多田委員 時間が少し超過しました。ともかく、この北炭に対処する今度のやり方というのは、まさに日本のエネルギー問題の解決、石炭問題の解決の根幹にかかわる問題でございますから、いずれまた改めて大臣に、いろいろお伺いしたいと思います。これで終わります。
  88. 田代文久

    田代委員長 松尾信人君。
  89. 松尾信人

    ○松尾委員 昨年八月の総合エネルギー調査会の答申並びに十二月の総合エネルギー対策閣僚会議基本方向の決定、これでまあまあ、ある程度、積極的な姿勢というものが評価されたわけでありますけれども、しかしながら現実の情勢は、幌内炭鉱のガス爆発の事故、万字炭砿の閉山、貝島炭砿の閉山問題等で非常に暗い影を与えたわけでありまして、結局、五十年度生産実績も、当初二千八十万トンの計画に対して千九百七十五万トンで百五万トンの減、二千万トンを割ったわけであります。このようなことは、いろいろ災害だとか、そのようなことで、どうしようもないとか防ぎようがないとかいうようなお答えではいけないのでありまして、やはり二千万トンということが論議の中心でございます。私は三時ちょっと過ぎたら質疑を終わりたいと思いますので、急ぐわけでありますけれども、この五十一年度石炭の需給、特に生産面において、どうだということを一言おっしゃってもらいたい。
  90. 高木俊介

    高木政府委員 先ほども御説明しましたように、五十一年度生産見込みは恐らく五十年度と同数量の千八百六十万トンまでは見込めるのではないかというのが、いま現在、事務局での考えでございます。しかし、需要の方は当然これを上回りますので、その数字を、いま集めている最中でございますけれども、不足する分につきましては輸入炭をもって充当するという考えで、需要面からいきますと恐らく二千万トンを超える需要を、不足する分については輸入炭で補わなければならぬという考えでございます。
  91. 松尾信人

    ○松尾委員 結局五十年度も二千万トンを割った。ですから五十一年度も同じ趨勢で国内炭というものは二千万トンを割っていく、これを、あなたの方では前提としたようなお話でございますけれども、私は、それでは政府姿勢としては受け取りがたいのであります。何といっても事故防止、閉山の防止ということが大切でございますけれども、そういう点について反省を加えながら、五十年度のいろいろな問題について反省を加えながら、やはり二千万トンを維持していくという基本的な姿勢を堅持していく、そのためには、事故をなくすためには、どのようなことを政府のあなた方としてはやっていかなくてはいけないのか、特別に、こういうことをやっていかなくてはいけないというものが当然あると私は思うのですけれども、いままでのような予算的な措置じゃなくて、特別に、この二千万トンを割らないという決意のもとに、ひとつ保安体制等について抜本的な対策を立ててもらいたい、こう思うのですが、何か考えがありますか。
  92. 高木俊介

    高木政府委員 保安問題につきましては立地公害局長がおいでになりますので、そちらの方からお答えいただくことにしまして、生産面から見ますと、あくまでも企業が黒字で動けるような状態にしてあげたいというのが、私なんかのねらいでございまして、答申にも出ておりますように、早急に黒字に持っていくというための、いろいろ問題はございますけれども、炭価交渉も現在やっておるというのが実態でございます。  企業が黒字になり、反面、将来への明るい見通しができるならば、当然、労働者の方もお集まりいただけるでございましょうし、二千万トン体制を維持できるというように考えております。そのためには現有鉱だけではございませんで、いわゆる消滅鉱区あるいは保有鉱区開発の問題あるいは鉱区調整の問題、そういうことを総合的に勘案しながら、ぜひ二千万トンの体制は確保したいのだということで私どもは、いま取り組んでいる最中でございます。
  93. 宮本四郎

    宮本政府委員 保安の問題につきましては、ただいま石炭鉱山保安懇談会で鋭意、御検討賜っております。保安管理体制、研究開発体制あるいは教育訓練、その他いろいろアイデアも、それから強化の方向も、いろいろ問題が出されておりますが、ただ、やはり保安を貫徹するためには、どうしても経営の健全なあり方が前提とされるという認識も出ておりますので、御紹介さしていただきます。
  94. 松尾信人

    ○松尾委員 当然のことですね。そして次に問題になりまするのは、二千万トン体制を維持する、その支えは国内炭の再開発でありましょう。五十年度より可能性の調整を行っているわけでありますけれども、その結果はいかがですか。
  95. 高木俊介

    高木政府委員 五十年度から国内資源の調査ということで開発調査を、五十年度は九地域の十九地点を合理化事業団へ委嘱しまして調査したわけでございます。その内容は、これは、たとえば地質調査その他の、いろいろな資料をまとめますので、膨大な資料になりますけれども、いま、それを整理している段階でございます。なお五十一年度は、同じく天北を初めとしまして、あと地域、全国で三地域につきまして、もう少し具体的なボーリング等々を含みます調査をし、この結果を待ちまして、開発できるところには早く着手したいというのが私ども考え方でございます。
  96. 松尾信人

    ○松尾委員 いまの調査の結果でありますけれども、いま集計中だ、明るい見通しのものがありますか。開発できそうな見通し、再開発のできそうな見通しのものがありますか。
  97. 高木俊介

    高木政府委員 私まだ具体的には内容を見ておりませんけれども、恐らく、そういう地点もございましょうし、なお、いろいろ地域問題あるいは炭層の賦存状況から、むずかしい場所もあるのじゃなかろうかと思います。本年度やりましたのは十九カ所の広い範囲をやっておりますので、これが全部、開発できるというふうには理解しておりません。
  98. 松尾信人

    ○松尾委員 これはひとつ、しっかり結論を出すように、明るい結論が出るように努力してもらいたいと思うのです。  次は外国炭の輸入の問題でありますけれども、積みかえる場所が必要である。コールセンター問題です。これは予算もいろいろ五十一年度に要求しておられるようでありますけれども、どのような考え方があるのか。そして将来は、やはり九州、北海道にも、そういう場所が要るのであろうと思うのでありますけれども、構想を述べていただきたい。
  99. 高木俊介

    高木政府委員 将来、国内炭の供給で不足します、いわゆる一般炭の需要面に見合う輸入炭という問題がございまして、エネルギー調査会の答申では、五十五年度約五百万トンあるいは六十年度千五百万トン弱という数字が予想されているわけでございまして、これは輸入しました場合、いわゆる需要者に安定供給ということを前提に考えなければならぬ問題がございますので、いわゆる輸入炭の中継基地と申しますか、そのためのコールセンターという構想が出たわけでございます。それには国内炭の低位炭の利用ということも当然、考えまして、これは、いわゆる輸入の高級炭と国内の低位炭との混炭、混合による利用、活用というようなことを考えておるわけでございます。そういうことで流通の合理化というようなことを根本に置きました貯炭場的な機能を持たすコールセンターの設置が必要であろうということで、本年度四千二百万でございますけれども、予算を確保いたしまして、現在これを立地センターの方に委嘱いたしまして、将来どういう地点がいいのか、あるいは、これはいわゆる気象条件あるいは海象条件、いろいろな環境条件も含めまして場所を選定してもらう調査をやると同時に、ある程度の対象地域のレイアウトまで持っていきたいというのが現在の考えでございます。
  100. 松尾信人

    ○松尾委員 では、これで最後の質問になりますが、貝島炭砿の問題であります。  会社更正法の適用の申請、その結果は大きな社会問題でございます。いずれになりましょうとも、現地におきましては炭鉱による鉱害復旧の問題、それから鉱害農地における水稲作付確保の問題、未収になっている五十年度農地鉱害賠償金の問題と今後の農地鉱害賠償金の対策、解決ということは、いま非常に社会問題として取り上げられておるわけでありますが、これもやはり国の石炭政策の一環といたしまして、あなた方の考え、今後のあなたたちの対処するその態度というものが大きく、これを左右すると思うのでありますが、これは一言、大臣から、こういう社会的な問題について、国の石炭政策の一環として配慮をやっていくのかどうか、これは当然、私は配慮をすべきであると強く要請するものでありますが、大臣考えを聞いておきたいと思うのであります。
  101. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま裁判所で最終の判断をされつつあるところでございますので、最終の判断は、それに待たなければなりませんが、しかし経営者が一体、何を考えておるのか、本当の希望するところは何なのか、こういうことについて、さらに十分、聞きまして、そして通産省としての態度を決めたい、こう思っております。
  102. 松尾信人

    ○松尾委員 一言でありますけれども、この経営者というものが力があれば問題ないわけであります。仮に力がないというような結論が出た場合に、やはり、ほっておくわけにいかない問題でございますので、そこに、いろいろの配慮が必要であろう、こう言っておるわけでありますから、そういう点を、よくわきまえられまして、これは、りっぱに対処していただきたい、これを重ねて申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  103. 田代文久

  104. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の質問の持ち時間が十分間でございますので、一つ一つ答弁をいただいておりますと一問で終わりますので、私まとめまして最初に全部、質問いたしますから、後でまとめて御答弁をお願いしたいと思います。  まず第一に、お尋ねいたしたいと思いますことは、わが国唯一のエネルギー資源であります石炭産業の重要性が非常に認識されております現在、二千万トン体制を中軸として生産力を安定することは、最大のわが国の課題であると思います。それがために第一に取り組まなければいけない問題は、保安体制の確立が必要であると思います。政府は特に保安体制に留意して指導監督をすべきである、かように考えますが、これに対して政府は、いかなる考えを持って、いかなる留意のもとに指導監督というものをやられておるか、この点を承ると同時に、ひとつ今後の、これに対する対策等も承りたい。これが第一問であります。  第二は、さらに、これがために将来、考えなければいけない問題は、炭鉱の坑内の若返り対策というものが当然、必要な問題として考えなければいけないと思うのであります。これに対しましては、やはり政府の助成等が当然、必要となってくると思いますが、こういう問題に対して政府は、いかなる考え方を持っておられるか、これを第二にお尋ねいたします。  第三の問題といたしましては、さらに新鉱開発並びに抹消鉱山の再開発に際しましては、一面においては大規模近代化炭鉱を造出する、こういうようなことも必要でありますが、また他面におきましては、その鉱山の持っております規模に沿いまして、あるいは残存鉱産量等を考えて、安直なものにつきましても、できるだけ開発対象とすることが必要ではないか、こういうことも考えられますが、こういう点に対して政府は、いかなる考え方を持っておられるか、承りたいと思うのでございます。  第四にお尋ねいたしますことは、こういうような面から私は、今日の石炭産業で非常に必要な問題は、労務面の近代化対策をいかに推進するかということであると思います。御承知のごとく、最近ようやく炭鉱見直しの機運が生じたとはいいますけれども、御承知のとおり長い間の炭鉱の不況の結果、労務面が非常におくれているということは、これはもう否定し得ない事実であります。こういうような問題を近代化することが炭鉱安定化のための非常な必要条件でもあるかと思うのであります。これを推進するための対策といたしましては、まず住宅並びに住宅地域の環境の近代化というものが非常に必要ではないかと思います。こういうことに対して、いかなる指導、いかなる対策が必要であるということを政府考えておられるかということを承りたい。  さらに、これと並びまして必要なものは、労務者の保健、医療制度の充実というものが必要でありますが、これも、ただいま申しましたような長い間の石炭の不況対策上、この点も非常におくれておる点が多いと思いますので、これに対する指導をいかにされようとするのであるか、この点もあわせて承りたいと思います。  その次に、お尋ねいたしたいと思いますことは、現在、御承知のとおり労務者の給料制度というものは日給制でございます。炭鉱労務者というものを職業に安定せしめ希望を持たせるためには、やはり、これを月給制に切りかえることが必要ではないかということを、われわれはよく考えますので、この点に対しまして政府は、いかなる指導をなさろうとするのであるか。さらに、月給制とすると同時に、現在、炭鉱労務者におきます。坑内に下がって仕事をやるという特殊な、困難な、非常に苦労のあります立場から申し上げましても、週休二日制を実施するということは、特に炭鉱労務者においては必要ではないかと私は思いますが、こういうようなことに対して政府は、いかなる考え方を持っておられるか、また、いかなる考え方で指導をされようと思っておるのか、この点を承りたいと思うのであります。  さらに次に、お尋ねいたしますことは、こういうようなことを実現することによりまして、将来、炭鉱に働く若年層の者に魅力を持たせる必要が非常に生じてくるのじゃないか。どうも最近の炭鉱労務者というのは老齢化するというような傾向もありますので、こういうことをやることによって若年労務者というものに希望を持たせる、炭鉱労務者としての魅力を持たせる、こういうようなことが非常に必要であるということを考えますので、この点を特に、ひとつ留意して考える必要があるのではないか。  さらに、今後の問題として私が考えることは、炭鉱の労働組合と経営者との間の労使関係というものが、非常に今後、石炭生産の上においては大きな影響を来すものであるということは見逃すことができない、かように考えますので、この労使関係というものを、いかに確立し、いかに調和させ、いかに協力体制を保っていくか、こういうようなことが特に考えなければ、できない問題ではないかと思います。たとえば例を申しましても、二千万トン体制下における出炭計画の中において、五十年度の実績は一千八百六十万トンに終わったというようにされております。聞くところによりますと、三池であるとか、あるいは松島であるとか、こういうようなところは、すでに計画をオーバーしている。しかしながら、そういう計画をオーバーしているところがあるにもかかわらず、全体としては、いま申しましたような二千万トン体制が一千八百六十万トンにとどまっている。こういうような原因はどこにあったか、こういうようなことを政府はどう把握されておるのであるか。さらに、こういうような関係にあります労使の姿勢を、どう正そうというお考えを持っておられるか、こういうこともひとつ承りたいと思います。  その次に、お尋ねいたしたいと思いますことは、石炭産業の安定供給体制を確立するためには、ただいままで申し上げましたように、高くなる石炭生産コストをいかに補てんするかということであります。それには政府財政資金と炭価において、どのようにするかということが、新しい石炭政策を立てる上の重大なる路線になると思うのであります。これに対しては政府は、石炭コストに対応して、いかなる合理的なルートで炭価を決定しようと思われているのか、この点をひとつ承り、その方法等に対しましても政府の方針を承りたいと思います。  最後に、もう時間がありませんから結論だけ申しますが、先刻から、いろいろ論議されておりました北炭再建対策であります。いやしくも、この北炭再建対策を進めることによって他の山に影響を来さないようにする、こういう配慮が非常に必要ではないかと私は思いますので、この点につきましての政府考え方というものを、この際、十分承りたい。  以上、時間がありませんので、まとめてお尋ねをいたしましたので、これに対して政府の御答弁を求めたい、かように考えます。
  105. 河本敏夫

    河本国務大臣 幾つかの問題を、いま御指摘になりましたが、昨年、石炭政策の方向が明らかになりましたので、私どもは、その線に沿ってやっていきたいと考えておりますが、そのためには、やはり第一に企業経営を軌道に乗せるということがスタートだと思います。いま最後に、生産コスト、炭価はどうするか、こういうような問題もございましたが、これをやはり適正なものにするということが、企業経営を軌道に乗せるということになりますので、この方向で、いろいろな問題を処理したい、こう思います。  それから石炭問題を考えますときには、やはり保安体制の強化ということが何よりも大切でございまして、保安体制を強化することにより、また企業経営を軌道に乗せることによりまして、労務者も確保できる、こう思います。また労務者を確保した場合に、それに対する待遇等について、いろいろ条件あるいはまた御意見が出されましたが、お述べになりました幾つかの点は、やはり将来、検討すべき課題だと思います。これは当然、労使間で決まるべき問題でありますけれども、近代的な経営としては当然、前向きに労使間で検討さるべき問題だ、こういうふうに考えております。そのことによって健全な労使関係というものが確立される、そういうことを期待いたします。
  106. 高木俊介

    高木政府委員 大綱は大臣から、いま、お述べになったとおりでございますけれども二、三、具体的な問題について申し上げますと、たとえば北炭幌内対策と他の炭鉱への影響というような問題を御指摘になりましたけれども、私どもは一定の予算の中で、いろいろ配分を考えなければならぬ問題でございまして、北炭のためばかりに、ほかの山が逆に変なことになったのでは大きな問題でございますので、そういうことも考慮しつつ、企業の方で、できるならば銀行関係の方の融資も仰ぐように、一緒になって、いま検討しておるというのが実態でございます。そういう観点から、決して他の山には影響を及ぼさぬようなことで北炭問題は解決したいというふうに考えております。  なお、減産の理由がどうかというような点もございましたけれども、ことしの千八百六十万トンの数量は、むしろ一番、大きな原因としては幌内の下期の生産が、これに入ってこなかったというようなことで、いわゆる災害関係におきまして九十五万トンくらいの減がございます。なお、そのほかストによる三十八万トン、自然条件の悪化による生産減が三十七万トンというようなことで、当初の計画の二千三十万トンが実施できなかったというのが実態でございますので、今後、災害は撲滅いたしまして、できるならばスト関係も労使の協力によりまして、できるだけストのないようにし、自然条件の問題につきましては、これはいろいろ問題はございますけれども、掘進の伸びをできるだけ早くやることによって坑内の自然条件は把握できるわけでございますので、掘進の強化という点に助成面でも力を入れていこうというふうに現在、考えておるわけでございまして、五十年度が千八百六十万であったから五十一年度以降も千八百六十でいいのだというような気持ちは毛頭ございませんし、そのためには先ほどから御説明しておりますような鉱区調整の問題、新鉱開発の問題、そういうようなことも強力に進めながら、ぜひ二千万トン以上の体制を堅持したいというのが、私どものいまの考えでございます。
  107. 宮本四郎

    宮本政府委員 先ほど大臣からお話がございましたので、若干、補足させていただきます。  保安は申すまでもなく石炭鉱山の基本でございます。その基本について、どう考えるかという立場になりますと、自主保安がやはり中心でございまして、経営者も労働者も、あらゆる不安全事項を徹底的に排除するということではないかと思います。同時に、国の立場におきましても監督、指導を十分やるということでございます。なお、具体的には、保安管理体制、研究開発の問題あるいは技術基準の問題等々、幾つかの問題がございます。これは現在、石炭鉱山保安懇談会で鋭意、御検討中でございますので、その結論を得ますれば、当然これを尊重して実施に移したいと考えております。
  108. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろ再質問したいことがありますけれども、時間がありませんので、またの機会に譲ることにしまして、本日は、これで私の質問を終わります。
  109. 田代文久

    田代委員長 午後四時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後三時二十一分休憩      ————◇—————     午後四時十分開議
  110. 田代文久

    田代委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
  111. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 昨年の春に、御存じのように筑豊炭田では大変なショックを受けました。それは例の緊就、開就が石炭特別会計の中から除外をされるのではないか、あるいは除外をされる答申が出るのではないかというような不安がありまして、急遽、上京し、それから、いろいろ論議をして五十一年度は存続していただいたわけでございますけれども、五十二年度は、第一には石炭特別会計がどうなるかという問題がございます。これは日本の、いままでの石炭政策の面からいいましても、どうしても、やはり特別会計を残さなければならぬというのが第一の問題であります。さらにその中で、いままでどおり緊就、開就をぜひ、その会計の中で賄ってもらいたい、これが第二の問題であります。  そこで、石炭部長としては石炭特別会計の存続について、どういう方針でいかれるのか、これをまず、お聞かせ願いたい。
  112. 高木俊介

    高木政府委員 石特会計法の期限が本年度で切れまして、来年、見直しをやろうという大蔵省との話がついておるわけでございますけれども、昨年、財源問題としまして、いわゆる石炭、石油両方の財源確保のために現在の関税率を上げていただきたいということで、関税率審議会の方に、いろいろお話ししたのでございますけれども、なかなかガードはかとうございまして、昔といまの石炭政策というものは当然、違うのではないかという話があったのも事実でございます。  そういう点のむずかしい中を一応、五十一年度の財源については、いままでどおり石特会計の中で石炭、石油の予算を見ていこうということが決まりまして、御存じのように石炭部門におきましては、二十億強ではございますけれども予算はふえた中で、いろいろ配分が考えられ、逆に石油関係におきましては、昨年に比べて七十億減というようなことで予算が組まれたといういきさつがございます。  そういう点から今後、石特会計法を当然、残していただくということを私どもは前提にし、いろいろ話を詰めなくちゃいかぬわけでございますけれども、いずれにせよ石炭部門あるいは油部門の支出というものが幾らになるかということと、関税で入ってくる金というもののバランスがとれなかった場合、それを借り入れでやるのか、あるいは別途、財源率を上げた上で確保するようにするのか、あるいは何か新しい考えを持って、財源として充当しなくちゃならぬのか、あるいは向こうで、いっそのこと全部、一般会計というようなことも議論の中では言っておりますけれども、具体的に来年度の財源問題をどういう形で確保するということは、現在はまだ検討に、やっと着手したという程度で、石特会計法そのものは、いずれにせよ私どもとしましては残していただきたいという気持ちではおりますけれども資源エネルギー庁あるいは通産としまして最終的に、これをどういうように持っていくという結論は出ておりません。しかし私どもは、石炭部門としましては、いずれにせよ必要な予算は確保しなくちゃならぬということで臨むべきであることは申すまでもないことだというふうに考えております。
  113. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働大臣はどういうようにお考えですか。
  114. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 去年、大分お話がありまして、その際に私の立場を申し上げて、ことしの予算を組んだわけですが、五十二年度からという話でございますが、私は、この地方の、こういうものの該当者の数などを、ずっとフォローしておるわけです。これは多賀谷さん、皆さんの方がお詳しいと思いますが、労働省の立場からしますと、これは、いますぐ直ちに、この二つの事業は打ち切るべきじゃない、こういう構えで、いまから先も政策を推進してまいりたい、こう私は、いま感じております。
  115. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ひとつ、ぜひ御努力願いたいと思います。  そこで、これは予算も通過をしたことですから、若干出おくれの感があるのですが、緊就と開就を考えますと、開就の方は、わりあいに自治体は持ち出しがないのですよ。それは単価が、開就の場合は八千五百円が九千五百円になっておるわけです。それから緊就の場合が五千八百円が六千五百円になる。やはり緊就が持ち出しが非常に多い、こういうわけですね。  そこで、ある市町村によると、実は市町村の受け持っておる緊就を県にしてもらいたい、こういうことを言っている市町村もあるわけですね。そこで、もう少し緊就の単価を上げるべきではないか。とにかく緊就の場合、五千八百円が六千五百円で七百円しか上がっていないでしょう。開就の場合は八千五百円が九千五百円になっている。ですから、これはちょっと単価の差があり過ぎるのではないか。私ども一時、緊就の方が、これは炭鉱離職者というものを対象にしてやっておるのだから、わりあいに手厚い単価を見てあるのだろうと思っておりましたら、自治体の方から、開就はいいけれども緊就の方は、どうも持ち出しが多いから困る、こういう話がありまして、それで緊就と開就の単価の差が開き過ぎておるのじゃないか、こういう考えを持っておるのですが、どうでしょうか。
  116. 守屋孝一

    ○守屋説明員 緊就事業、開就事業また、ほかにも特開事業等がございますが、こういう各種の就労事業につきましては、先生も御承知と思いますが、最初なるほど出発当時は石炭開就が一番、単価が高くて、緊就などが非常に低いという状態でございました。その後、アップ率でごらんいただきますと、開就のアップ率よりも緊就のアップ率が高くなってきておるのも実態でございます。ただ、もとが低いものでございますから、額の差で見ますと、どうしても額の差は相変わらずついております。しかし、私どもといたしましては、今後ともに要は適正に事業運営が行われるということが一番、基礎でございます。もちろん超過負担等が出てくるというのも本来あるべき姿ではございませんし、私どもとしては今後ともに、より事業が適正に円滑に運営されるように、単価につきましても、そういう方針で努力していきたい、かように考えております。
  117. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は、その緊就と開就の差がひど過ぎるというので、一時、緊就の上げ幅が高かった時代がある。今度は、ちょっと逆になっているのですよ。そうして第一、あなたの方が要求した額が開就は九千七百円でしょう。それが九千五百円になっておる。ですから二百円削られた。ところが緊就の方は、あなたの方は七千円要求しておるのですよ。こっちは五百円削られておるのですよ。それで六千五百円になっている。ですから率から何からいっても、あなた方の要求ですら緊就の方は少ない金額なのに逆に五百円削られている。開就の方は高い金額なのに二百円しか削られていない。どうもアンバランスじゃないか。ですから現実には緊就の持ち出しが非常に多いというので自治体が言っているわけですよ、確かに一般失対と緊就は、後から申します特開もですが、持ち出しが多い。開就は、おかげで持ち出しが余り要らないのです、これだけの単価になりますと。それで、われわれ助かっておるのですが、私は、この実態を、補助金をずっと見てみたのですよ、きょうは時間がありませんから言いませんが。ところが、産業という性格からくるものは大体、持ち出しが少ないのです。ほとんどない。ところが福祉の面から、労働の面から、厚生の面からくると持ち出しが多いようになっておるのですよ。これは、ここで議論する問題じゃない。本来なら予算委員会の問題でしょうけれども、これは非常に問題だと思うのですよ。産業道路なんというのは自治体はほとんど持ち出しがないのですよ。ところが、これが福祉、厚生関係あるいは失業関係という関係になると持ち出しが多いのです。ですから保育所なんかのときは単価が十分、認めてない、こう言うけれども、ほかの産業政策の問題だったら絶対に持ち出しはないのですよ。日本の政治全体がそうなっておるのですよ。ですから、開就というのは地域開発、こう言う。緊就というのは労働者の就労だと、こう言う。ですから、どうも単価の差があり過ぎ、持ち出しが多いんじゃないか。特開しかりでしょう。これは特開の場合はどうかなと思うんですけれども、どうも、そういうくせが大蔵省にあるのか、どこにあるのかわからぬけれども、ある。現実にあなたの方が要求したのから見ると、あなたの方が適正だと思って要求しておる、現実に査定して予算になってくるときは、私が言ったような状態が残っておる、あるわけですね。これは次の予算からは、ひとつ十分、考えてもらいたい。これは労働大臣にひとつお願いしたいと思うのですが。
  118. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私も地方を歩いてみますと、昔は失対道路なんというのは九七%ぐらいは全部、国の方から来ているので、ほとんど町村は持ち出しはなかった。ですから失対道路なんて非常に喜んだ時代も一時ありましたね。いまのお話は、やはり適正なものを見つけていくという形で、私の方でも研究してまいります。
  119. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 開就そのものの就業条件というのは問題がありますけれども、時間もありませんし申し上げませんが、一つ、例の特開ですね。この特開があることを私は否定してないのです。それを廃止せいとかなんとか絶対、言ってないんです。存続してもらいたい。ところが、これが全部、府県の仕事ではなくて全部、市町村の仕事になっておるのですよ。ですから県と市町村の状態を見ますると、県の方は過去に比べまして、だんだん就労者が少なくなっている。自治体というか市町村の方は余り減ってないんですよ。ぼくは県の方がずるいと思うんですよ。ですから自治体というのは、みんな、産炭地の場合は、ことに困っておるわけです。福岡県というような大きなフィールドで見ますると、工業地帯もありますし、いろいろあるわけですから、何とか埋め合わせがつくわけですけれども、市町村ということになってきますと、たとえば碓井町にしても山田市にしても、どうも思うようにいかないのですね。それは全く財政が悪い。こういうところに特開を押しつけておるわけですよ。なぜ県にやらさないのか。これはやらさないようになっているのですよ。労働省が、特開の場合は市町村がやるということにしておるのですよ。ですから、県にしてくれと言ったって、県は特開をやるようになっておりませんと、こう言っておる。これはぜひ、ひとつ改めてもらいたい。県も特開ができるように、こういうようにしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  120. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 特開事業につきまして先生この前も、そういうお話がございました。要は、問題は市町村の財政問題と非常に関連があるということがポイントだと思うのです。労働省としても、制度事業全体を含めまして財政問題について、いろいろ、できるだけのことをやっていることも確かなんです。ただ特開につきましては、そもそも地域開発ということとコンビネーションを組みながら、制度的にたてまえをとっておりますので、一面、全県を対象とする県の行政機関が、一部の市町村に対応するということについての問題点もあると同時に、やはり、その地区開発という地域性という問題が、その根本にあるだろうと思います。ただ問題は、県がどう考えるかということについては、制度そのものが開発と結びついた関係がございますから、具体的に、たとえば福岡県がそういう問題を言ってきた場合に、私どもとしても、そういう観点から検討はしてみたいというふうに考える次第であります。
  121. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 地域と結びついておるといいますけれども、特開もやはり地域ですね。失業者の多い地域、それが一番、大きい条件になるわけです。ですから両方とも自治体の開発になるわけですよ。それは当該地域にやってもらえば、県の仕事であろうと、その地域開発になるんですけれども、特開の場合は事業主体は市町村でなければだめだ、県は許さないんだという仕組みになっている。それは、いまの状態の市町村財政から見ると酷じゃないか、なぜ、あの点を県がやってくれないのか、そうすると市町村としては、かなり財政が潤うじゃないか、こう思っておるのですが、その点どうでしょうか。
  122. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 おっしゃるように、地方財政問題という現実問題から考えますと、かなり財政がいい市町村であれば、これは問題ないわけですけれども、この事業主体が失業者の滞留、特に中高年の失業者の滞留ということを基本的な問題としておりますから、その地区の、そういった住民の要請というものと開発というものの兼ね合いの問題だろうと思うのです。したがいまして、仮に県から、そういう申請があった場合には、私どもとしても、いろんな要素を考えながら検討してまいりたいということにしております。
  123. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、県の方から申請があったら、やってくれますね。いままでのような制度論で全部、拒否しないで、やってくれますね。それをはっきりしてもらいたいわけです。
  124. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 私どもとしては、基本的には先ほど私、申し上げましたように、やはり地域性の問題であり、その開発というものを主体にコンビネーションを組んだ形であろうと思うのです。したがいまして、県から、もし、そういう申請があった場合、現実の社会的要請との対応で、どう考えるかについては慎重にやらしてもらいたいと思う。
  125. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 だめだ、そんなことを言ったら。何のために質問しているかわからぬじゃないですか。現実問題として市町村としては、この仕事はしたいけれども、県の特開でやってもらいたいという気持ちなんですよ。ですから実際問題としては、かなり仕事をつくらなければできないんですよ。同じような仕事だって、そうないんです。ですから、これはひとつ県で受け持ってもらいたい。労働者の、失業者の方は、その地域の人を使ってもらいたい。けれども財政がどうしても許さぬから県の仕事にしてもらいたいということが幾らでもあるんですよ。いままでは、いや県は特開は絶対にやっちゃならぬというので、労働省からやかましく言われておりますから受け付けない。ですから今後は自治体の方から県でやれ、じゃ県が労働省さえ、そういうことであれば、やりましょうということになれば、労働省は許可しますねと、こう聞いているんですよ。大臣どうですか、もういいでしょう。大臣から答弁を。
  126. 守屋孝一

    ○守屋説明員 ちょっと若干、私、事務的な面を御説明した上で大臣からの答弁をお願いしたいと思います。  なぜ特開事業を市町村でやっていただくかということを、ちょっと基本的な点を申し上げますと、これは一般のいわゆる失対事業ではないわけでございます。全国的に広いベースで、どこでもやるというのではなくて、特開事業が、そもそも、できたいきさつは、四十六年のあの中高年法ができました際に、それまでの事業吸収方式を改めて手帳発給方式に切りかえる、そういう中で、この特開事業というのは、きわめて臨時的な、きわめて例外的な制度として出てきたわけです。ということは、この特開事業には非常に限定的な要件が、いっぱい、ついているということなんですね。そうでなければ、まず第二失対というような形になってしまうわけです。  そういう限定的な要件ということの中で、たとえば、いま部長が申しましたように、どこでもやるというのではなくて、一般的な全国的な雇用、失業情勢より、さらに落ち込んでいる、きわめて悪いところ、さらに、その地域でもって地域開発可能性があるということ。ということは山間僻地では無理だということですね。さらに言いますと、その地域開発が現実にやられている、その地域開発のある一部分を、一環として、わが省の事業が分担する、こういうようないきさつがあるのです。ということは、全国的なベースあるいは広域的なベースでやるのでなくて、地域的にも非常に狭い範囲でしか、わが省は単位を考えていないわけです。という意味で、本来的には一番、狭い行政区画というのは市町村である。だから、そこでやるのが本来的には、まず、その制度の趣旨に合うのではないかということ。だから市町村がやるのが原則である。  しかし、いま部長が申しましたのは、しかし県がやりたいというお気持ちがあるならば、その時点で、そういうお気持ちも、しんしゃくして検討をいたしたい、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。ちょっと補足的に。
  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は本来それは間違っておると思うのですよ。中高年齢で手帳切れの者を扱うということで、一町村から、そんなによけいは出ないのですよ。ですから、むしろ地域的に、この町村は三人だった、この町村は四人だったというところを集めて県がやるのが、本来ならば至当なんです。それを町村に押しつけるというのが、そもそもの間違いである。ぼくは出発点から考え方が間違っていると思う。ですから一番、失業者が多いというのは一番、財政の悪い市町村ですよ。それに押しつけるというのが、そもそも間違っているけれども地域的に見ると集中というよりも、それは何人か出てくるわけでしょう。ですから、むしろブロック的に見てやる方がいい。それならば県がやる以外にないじゃないか。それを初めから市町村にしておるところに、基本的な出発が間違っておる。しかし、過去のことは言いませんよ。過去のことは言いませんけれども、私はひとつ、ぜひ大臣から、これは県でもやり得るのだというような方向に、労働省としては今後とも考える、こういうふうに言ってもらいたいと思うのですね。
  128. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 先生がおっしゃる意味は非常によくわかるのですけれども、その前提となる状態を、ひとつ説明したいと思います。  要するに、いま私ども考えているのは、四十六年の中高法の大きな枠といいますか、基本的な考え方の中の一環としての特開の役割りということを考えておるわけでございます。ですから、少なくとも手帳制度というものが全体の基本になっておるわけでございまして、これが、先ほど企画課長が第二失対と言いましたけれども、そういう形の中の解決の仕方、そういう役割りを果たさせるということとは若干、食い違いがあるというふうに思っておるわけでございます。そういう意味で、私も慎重にということを言いましたけれどもあと大臣からお答えになると思いますから……。
  129. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 四十六年からの問題で、そのときからのやり方が悪いと、いま言われても、なかなか大変なことですから、前のことには触れませんが、私も、これはひとつ研究させてもらいます。
  130. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いま時間がないそうですから、これは例の中高年の促進法の一部改正が本院にかかっております。社労で、もう一回やりますから、それまで、ひとつ答えをはっきり出しておいてもらいたい。これは本当に自治体は非常に困っておるのですよ。市町村としては大きい問題ですよ。ですから、なぜ県が見てくれないかという、そういう状態ですから、それまでに結論を出してもらいたい。このことを要望いたしまして、大変、時間をとりましたけれども、終わりたいと思います。
  131. 田代文久

  132. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間がありませんから簡単に伺いますが、ことしの春闘が大体、峠を越えてきたわけですけれども、大体どれぐらいまで解決をしたのですか、未解決のものが大体どれぐらいあるのか。それからアップの分は、大まかに言って平均どれくらいになっているのですか、そこら辺を、まず大臣に伺います。
  133. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 賃金のことは、まあ、これは原則論を申し上げるようですけれども、労使が決めていることでして、そこで、いま大山は一応、越えたと言われておりまして、鉄鋼が八・五六ですか、それから、ずっとやっておって大部分のものが片づいているというふうに思っております。最後は、どういうふうになるかわかりませんが、全体の数字は労働省としては、まだ、つかんでおりません。
  134. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の伺いたいのは、全体が平均、大体どれくらいになっているのかということを聞きたかったのですが、鉄鋼関係が大体八%ですか、まあそういうことが一応の基準になっていると思うのです。問題は、炭労はまだ未解決ですね。第一次の回答は八・五ぐらいになっていますね。  もう一つ、伺っておきたいのは、メタルいわゆる金属産業、これと石炭産業に格差があるわけですよね。五十年の段階で格差はどれぐらいになっていますか。
  135. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 いま手元にある資料で申し上げますと、労働省の毎勤によりますと、五十年度平均の石炭産業の坑内生産労働者男子賃金、現金給与総額で月額二十一万八千九百八十九円、そして金属鉱業は十九万九千三百十三円、こういうふうに出ております。
  136. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それ、あなた数字を読み違えているんじゃないかと思うんだけれども、中労委の、この間のあれで計算をしても一方四百八十円、大体、月間にして一万八千円ぐらい石炭産業の方が安いのですよ。高木さん、そうでしょう。その点まず伺っておきましょう。
  137. 高木俊介

    高木政府委員 私いま毎勤統計を見ておりませんので、あれでございますけれども、最近の資料のとり方にもよるんだと思いますけれども、いま労働大臣の方から御説明がございましたように、現時点においては、あるいは石炭の方が高いという実態があるかもしれません。前の差額の問題は、これは三年前でございますけれども当時、私どもが調べました三万九千幾らという、この見方も、いろいろ方数の、二十二・五で見るか、あるいは二十四方で見るか、こういうとり方によって違うと思いますけれども、一応、石炭鉱業では二十二・五ということでとって当時、三万九千何がしかだったと思いますけれども、それを、できるだけ早く埋めてあげたいということで、二年前は相当な炭鉱関係の賃アップがあったという事実がございます。その後、昨年度のメタルとの差、また本年度メタルがまだ決まっておりませんけれども、それとの差をどういうふうに見るかということによって、そのメタルとの差額問題というのは片がつくのじゃなかろうかというふうに考えております。
  138. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の言っている一万八千円というのは、あなたも御存じのように、去年の中労委のあっせんの堀方式で計算をするならば一万八千円、石炭産業の方が安いのですよ。それは、あなたの方の課で調べているでしょう。そういうことになるんで、私が長谷川労働大臣に、いま伺いたい点は、この点なんです。それは、いま言った一万八千円というのは、中労委が裁定をした堀という人の計算方式、それに基づいて計算すると石炭産業が一万八千円安いのですよ。その上に、この間の第一次の回答では八・五%アップという数字が出たのですよ。これが平均して大体一万二千円ぐらいですか。そうすると今度のアップ分を、この差額を含めて両方合わせて約三万ですね、三万上げなければメタルと同じにはならない、石炭産業はその状態である、こういうことになると思うのですよ。そうじゃないですか。
  139. 高木俊介

    高木政府委員 昨年度、一万八千円というのは私よく理解してないのでございますけれども、一昨年のメタルとの差額を一昨年の賃金において半分、埋めるということは事実であったと思います。その残りが一万八千円ということで先生おっしゃっているんだろうと思いますけれども、昨年の賃アップの状態それから、いま大臣の方から御説明ございました毎勤統計による石炭の賃金と金属の賃金関係を見ましても、もうすでに相当部分は埋まっているのではなかろうかというふうに理解しております。
  140. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで、その点ばかりやっておると時間がないから、問題は、私、伺いたかった点は北炭の場合ですね。今度は幌内災害の問題があって、そして資金的に非常に苦しい。それで二百十八億の赤字である。その中で九十一億は労働者賃上げ期末手当分、これはストップする。そして残りを財政的に何とかやっていこうというのが、いまの北炭会社の方針なんだけれども、賃金は全然上げないで、そして物価は、こういうように上がっているのに、いま私が、さっきから申し上げている約三万円の開きですね、北炭労働者だけ三万円の開き、安い賃金で、そして再建やってくれと言ったって、できないですよ。さっきも、ちょっと話が出たけれども、そんなことをしたら北炭から労働者いなくなってしまう。こういう状態では労働行政として私はきわめて不適当だと思うのですよ。特に、さっきは通産大臣のいるときに若干、質問したのですが、やはり憲法でも最低生活を保障すると言っているんだから、物価が上がることは目に見えているんだから、それなりに一銭も上げないなんという話は、私は労働行政を担当する労働大臣としては、そういうことは好ましくないというように言われるのだろうと思いますが、この点については、どういうようにお考えになりますか。
  141. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私の方からしますと、これは、こういう坑内で働く諸君のこともあり、環境なども考えまして、最低賃金の改正に当たっては、その辺をよく見ながら最低賃金を決めた。たとえば二月の十一日に改正した最低賃金引き上げを見ますと、石炭鉱業の最低賃金は十一万三千六百二十七円、こういうふうにしておりまして、ほかのものより多少、環境を見て、こういう裁定が下っている、こういうふうに見ます。いま北炭の問題が出ましたが、ああいうガス爆発で労働者が亡くなったこと、そして、その後の営業がずっと継続することを私も願ってもおりますが、いまの賃金交渉になりますと、労使の間で、いま話し合いが進んでいるところに、幾ら上げろとか幾ら下げろとかいうふうなことは、やはり、ちょっと入りにくいということだけは御理解いただきたいと思います。
  142. 岡田春夫

    岡田(春)委員 他産業と比べて若干いいようですがという意味お話だが、それはあたりまえですよ。坑内労働で、他の産業でやれないような危険な作業をやっている。いままで政府の方針としては、金属産業とせめて同列だ。それは坑内における労働ですから、そういう点がやはり守られるということで、さっきから高木石炭部長の言っているように、格差の問題は解決しよう、こう言ってきている。ところが、北炭の場合は格差どころの問題でなくなったわけだ、賃金それ自体、上げないと言っているのだから、期末手当も出さないと言っているのだから。とすれば、これじゃ余りにもひどいじゃないか。私は労働大臣に言っているのは、八・五%をもっと上げろとか率をどうしろとか言っているのじゃないです。その点も、それは私としては意見はあります。そうじゃなくて、九十一億というのは金を払いません、だから、それはことしはがまんしてくださいというのが余りにもひどいではないか、こう言っているのです。  大体、資金の調達というのを労働者がかぶらなければならないという理屈はないじゃありませんか。これは労働政策からいったって、そうでしょう。再建のためには労使協力でやってくれというのが皆さんの御意見であったとしても、それに金を払わないで、がまんしろなんというのは、これは、およそ会社の態度として、それこそ問題だと思うのです。賃金は出しますから働いてくださいというならわかるけれども、金も出しません、働いてくださいといったら、めちゃくちゃじゃありませんか。そういうことを労働行政としては、やはり働いてもらうためには、金額の率は何ぼとは言わないにしても、ゼロということはありませんよ、もっと上げることを考えなさいということぐらい、労働大臣として、労働者のことを考える労働省としては、言えないという話はないと思う。この点はどうですかということを伺っているのです。
  143. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 聞くところによりますと、ほかのところが、いま交渉などもしているし、そういう交渉なども一方、北炭の場合は見ているのじゃなかろうか、私こういうふうな感じを持つのです。それで労働省としては、とにかく、そういうふうな交渉を見ながら北炭が仮にやっているとすれば、やはり、これは労使のことで話し合いをしてもらう以外に、ちょっと具体的に私の方が事情を聴取しているわけではありませんで、恐らく中労委にかかっておるのじゃないですか。(岡田(春)委員「格差は」と呼ぶ)ですから、そういう問題も含めて中労委にかかっている問題もあり、一方は、ほかの方で集団交渉をしている。そういうものも苦しい中にあるでしょう。いろいろな両方の実情はあるでしょうけれども、そういうものもありながら、なおかつ、ほかの方の交渉などを見ながら、やっているのじゃなかろうかと私は推測するわけですが、そうした中で円満なる交渉を、勤労者の生活を考えつつ、やっていることだろうと私は思いますから、そうした意味での交渉というものは行われている、こう思っております。
  144. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう、これで終わります。大臣に要望しておきますが、労働組合の方は上げてくれと言うのです。ところが、会社の方はゼロだと言っているのです。物価が上がるといっているのに、労働省としては一体ゼロでいいと思っているのかどうかということを聞いているのです。いいと思うわけはないですよ、ほかの産業全部、上がっているのに。しかも、そのゼロだという理由は資金ができない。それは会社の責任の問題です。労働者にかぶせる問題ではないです。その問題を、あなた方は、けじめをはっきりしていただいて、やはりゼロでいいなどということは許さないようにしてもらわなければならないし、金額の幾らまでにせいということになると、いわゆる役所が労使関係に介入するということになるけれども、やはり、そういうことじゃ、うまくないということについて、あなた見解を伺って、やはり、そういう点は、本当に一生懸命、働こうとしているのですから、働けるような状態をつくっていただきたいということを言っている。いかがですか、よくおわかりだろうと思いますけれども
  145. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 ことしの賃金交渉の場合に、いろいろ意見が出ていることは、御承知のとおり雇用か賃金かという話があったり、いろいろな問題が出ている中に苦労しながら、国民連帯の中に自分たちの職場もあり、あるいは、その仕事を継続させていくという苦心があろうと私は思いますので、私としますというと、とにかく円満なる解決の中に勤労者の生活が守られて仕事ができ、そして企業まで成り立つような、そういうふうなことを願っているものであります。     〔委員長退席、多田委員長代理着席〕
  146. 多田光雄

    多田委員長代理 田代文久君。
  147. 田代文久

    田代委員 労働大臣にお尋ねしますが、現在の全国の失業者は百三十万、政府の発表では百二十五万と言っておりますが、実際は三百万を超えていると思うのですね。これは、いままでにない全くゆゆしい失業状態が出ておりますが、その中で筑豊いわゆる産炭地の失業者の事情というものは、全く本当に惨たんたる状態なんですね。これは一地域ですけれども嘉飯山地区、飯塚市それから嘉穂郡ですね。この産炭地の一中心地の職安の求職事情というのは、五千人求職して実際においては千人しか職にありつけない、五分の一しか仕事がないというのですね。こういう事情で、高度成長とかなんとかいいながら、労働者の暮らしというのは、とてもひどい状態になっておるのですね。ですから、こういう中で現在、政府がとっている一般失対、緊就、開就、特開、いろいろの、あの手この手みたいな手を打っておりますが、これはみんな細切れで、本当の失業対策、特に産炭地における、そういう政府石炭政策によって炭鉱を離職した、そういう犠牲者の人々に対する生存権なり、あるいは就職権というような点から見て、これは本当に手が打たれているんじゃないという気が、だれが見てもするわけですね。ですから、いままでやっている失業関係対策というやつは細切れで、結局、現地の失業して困っている人が本当に、もう、これは生きるか死ぬかの問題で訴えた結果、じゃ、ここをちょっと一般でやろう、これを緊就で片づけようこれは開就でやろうかという形で、なし崩しの全く、その場限りのおためごかしの政策じゃないかと私は思うのですよ。  ですから、この問題を解決するためには、本当の意味で産炭地を総合的に復興させるという基本的な政策を、中心にはっきり据えて、そうして、その中で公共を起こすとか、あるいは企業誘致をやるとか、したがって道路の整備とか交通の整備とか、いろいろありますが、そういう関係の中で失業者を救済しないと、こういう細切れ政策では解決できないんじゃないかというふうに私は思うのですが、そういう観点から、これは単に労働省だけの問題ではないと思うのですが、通産、大蔵あるいは自治関係なんかも当然、関係してきますが、政府としては、こういう非常にひどい失業対策を根本的に、抜本的に改正するためには、いままでのような細切れ対策でないものをやるというような方針をお持ちかどうか。また将来お持ちになるかどうか。そういう点を、ひとつ大臣に伺いたいと思うのです。
  148. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 先生お話ございましたように、特に筑豊地区の失業問題というのは非常に深刻なものがございます。恐らく戦後、石炭がこういうふうに政策全体が変わりました。歴史的にも非常に重要な一つの時代を経たと思うのでありますが、労働省としては、先ほど申し上げましたように、それに対して、どう対処したかということが一つの問題だろうと思います。  細切れというふうにおっしゃいましたけれども、現在の労働省としての失業者に対する対策基本は、先ほども多賀谷先生の御質問に答えましたように、一つはやはり手帳制度という新しい仕組みというものを、四十六年の段階で大きく変えたわけであります。特に炭鉱離職者の場合には、それ以前から三年間の手帳という形で就職の促進を図ってまいったわけでございまして、したがって私どもの現在の主要閉山炭鉱離職者の帰趨状況を見ましても、現実に、その対策の成果というものも、やはり相当あらわれてきていると思います。そのほかに特に筑豊につきましては、先ほど来、問題になっていますように、緊就、開就、特開という形を多用いたしまして、地方自治体の財政問題、いろんな補助率の問題その他ございますけれども、およそ問題になっているという、ぎりぎりの段階まで私ども対策を進めてまいったわけでございますが、ただ、いま先生が御指摘になりましたように、このままの状態で筑豊の対策が成り立つかどうかということについては、労働省としても非常に問題に思っております。それはやはり基本的には制度事業におんぶをするような形での、その地域問題あるいは失業問題の対処の仕方ということに対する基本問題が私はあると思います。  むしろやはり、いま御指摘のように全体の開発問題とか、あるいは近隣の労働市場地域との通勤問題というような問題を基本的に考えなければ、長期的な展望としての筑豊対策は成り立ち得ない。とはいいながら、そういう展望の中の開発政策を進めるという基本前提は、私ども全く、そのとおりだと思いますし、また最近、地方の市町村長あるいは一部の組合団体とも私しょっちゅう会っておりますけれども、そういう物の見方が最近、非常に出てきたように私は思います。しかし労働省としては、現に生身の方々が生活しているわけでありますから、現在の体制をできるだけ、予算的な措置を含めまして、進めてまいりますけれども基本的には、やはり地域開発あるいは、その近隣の市場との通勤体制といいますか、その地方の労働市場圏内の位置づけというものをはっきりするような方向でいくべきであろうということは、基本的な考えとして考えておるわけでございます。
  149. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私も、田代さん御存じのように多少、北九州に御縁があるものですから、あの地方を去年あたり歩いたりなんかしまして、非常な日本の経済の変動の中に、北九州の山というものがずっと閉山をされ、まだ残っておる方々が大変お困りになっておる、そしてまた労働省の訓練なども受けながら新しい職場開発をする、そういう自力の一生懸命やっておる諸君を、思わず肩をたたいて、遠賀川川筋の諸君が、こういうふうにして、いろいろ手当があって新しい職業訓練を受けているんだから、ひとつ元気を出したまえ、こういうふうに激励などもしてきたところでございますが、特殊のああいう事態でございますから、労働省として、いろいろな施設なり、あるいは陳情なりの話については、いままで耳も傾けてきたことでございますことは、あなたもおわかりのとおりでございます。いま全体を変えろとかというお話を突然お出しいただきましたけれども、先ほど多賀谷君の質問お答えした問題などについては、私たちの立場からして五十二年度以降もぜひ続けたいというふうな気持なども持ちながら、姿勢を、そういうふうなところに持ちながら、いまから先の問題も考えていきたい。いずれにしましても、いま部長がお話ししましたように、あれだけ広い経済圏ですから、やはり技術訓練などをすることによって新しい職場開発ということも一つの手じゃなかろうか。今日はライセンスの時代、技能訓練のある者がいろいろなところに変わられるという時代でもありますし、そういう意味では、冒頭に、いま百二十数万の失業者と言われましたけれども、これはわりに昨年の十一月ぐらいから見ますと大体、数字が上がらないで済んでいるというところに、いささか私たちは明るさを感じております。一人一人によっては皆、受け取り方が違うでしょうけれども、そういう感じ、その中に北九州のそういう問題などもありますと、なお痛さを感じるということですから、いままで、やってきていることを熱心に続けつつ、また新しい、いろいろな御提案等々について参考になる意見があるならば、それをまた研究をさせてもらいたい、こう思います。
  150. 田代文久

    田代委員 いままで労働省の指導なり政策で、さっき部長が言われた成果というものは、これは明らかにあるということは否定できないと思うのですね。もし、こういうことを政府がやっていなかったら、これは大変ですよ。社会問題として、これは恐らく筑豊を中心に暴動が起こっておっても、これはおかしくないような状態だと思うのです。しかし、いずれにしても、不十分ながら、とにかくいろいろな、そういう手を打ったということで来ているんだけれども、やはりいま地域の職をなくしておる人たちの不安というのは限界に来ていると思うのですね。ですから先ほど私が申しましたように、単にこれは労働省だけというのでは片づかない。だから通産とか、その他関係の各省とも連絡をとって、筑豊の失業問題というのは、これは単なる地域的な問題で解決するような問題ではなくて、これは日本の政策なり政治の集中的な矛盾が出ている地域だから、そういう点では、これは総合的な形で解決すべきだという方針を、失業者で苦しみ、また失業者が一番訴えておる労働省が音頭を取ってもらって、そういう筑豊の復興のために、もう少し全体的な総合的な手を打とうじゃないかという発案を政府が、実際のところ、やるべきだと思うのです。そうしないと、これは解決しないのではないかというふうに私は思うわけなんです。  そういう方向でやってもらいたいのですが、そういうこととの関係で、緊就、開就あるいは特開、一般失対、こういうものを、私はさっき細切れと言いましたけれども、実際のところ細切れのような印象を受けるんですね。統一した一元的なものにまとめて、そうして、これは失業者をとにかく救済し、健全な就労の方向にするというような方向をとるべきじゃないか。そういう点では考えられたことはないか、また考える方向はないかということをお聞きしたいのですがね。
  151. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 先生、御承知のように、緊就にせよ開就にせよ歴史的な一つの経過の中から発生したものでございます。その中で先ほど申し上げましたように、失業対策というものの基本的な考え方を、四十六年の段階で一般失対事業を含めまして一つの手帳制度というものに切りかえたわけでございます。その中で特に炭鉱離職者につきましては臨時措置法の中で手厚くいたしましたわけでございますが、そこで、これを統一的に全部、集約をしているとかという、いまのお話でございますけれども、これは、むしろ緊就にせよ開就にせよ、一つの歴史的なものとしての現実的な対応という形を現在とっておるわけでございます。たとえば緊就につきましては、法律的には、すでに、その根拠を失っておりますけれども、これを閣議決定あるいは予算措置という形でやっておるわけでございまして、これを統一的に全部、集的して、一つの別の体系のものにするという御提案につきましては、やや問題があるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  152. 田代文久

    田代委員 それで、この労働政策、実際のところ労働省は狭いんですね。やはり失業対策とかいうのは、これこそ政府が大きな手を打たないと本当に禍根をずっと残していくと私は思うんですよ。それは、いまお話がありますように歴史的な、またすぐ応急の手を打たなければならぬという点で、こういう三つも四つもの、いろいろの手が打たれておりますけれども、これでは、やはり、いかぬではないか。こういうことを続けられていくということは、結局のところ現在、非常に不安の中で緊就やら開就やら特開あるいは一般についている人たちは、やはり政府としては細切れにしておいて、一つずつ、これを小さい城から陥落さして、そして結局はなくするんじゃないか。いわゆる一切のものは産業の発展の中で労働者が全部、吸収されて失業者をなくする方向でなければなりませんけれども、実際において失業者が滞留せざるを得ないような条件のある中で、それを打ち切るというような方向へ出るということは、労働者にとっては非常に不安なんですから、そういう点で、私はさっき一元化と言いました、単なる労働省だけの問題としては解決できない問題ということの関係、そういう方向をとるべきじゃないかということを主張するわけですが、現在、地方自治体で、なるほど緊就やら開就をやっていたことはありがたい、また、それによって地方自治体としても、いろいろ道路がよくなるとか、あるいは住宅団地をつくる場合、非常に役立っているというありがたみはあるが、同時に現在では、特に産炭地の地方自治体では、もう財政が破綻して、それをやりたいけれども、実際において持ち出しがあるから、これはもうやめたいというあれがあるのですが、実際において、これをやりたいけれども、これをやめたいというような希望を政府に漏らされたり、あるいは労働省としてつかんでおられる件数はないですか。
  153. 守屋孝一

    ○守屋説明員 昨年でございましたか、ちょっと名前はここで申し上げるのはいかがかと思いますが、先生も御承知のある町議会で、そういう議決があったというのは私どもも承知しております。それ以外につきましては、いまのところ具体的に、そういう表に出る形で客観的に、そういう意思表示があったのは聞いておりませんが、市町村長さん方のお気持ちとしては、財政的な面から拡大というのができない、あるいは現状を維持するというのも非常につらいというお声はよく聞いております。  私どもといたしましては、最大の問題は、先ほども話がありましたような超過負担とか、そういう問題もございますので、私どもとしては単価の引き上げ等の問題につきまして適正な事業が実施できるように、より適正な単価にしていくように、今後ともに努力していきたい、かように考えている次第でございます。
  154. 田代文久

    田代委員 あれはたしか碓井町だったと思うんですね。碓井町は本当にせっぱ詰まって、あんなになったんですけれども、ほかに、まだ筑豊には、たくさん、そういうあれがあるのですね。しかし、これをやると、やはりいろいろ赤字指定団体になると困るとかなんとか言って、本当に最後のところで踏ん張って食いしばっているのがあるのですから、実情は、これは本当にやりたいけれども持ち出しが、とても、もたないというような状態のところが、たくさんあるので、そういう点から言いまして、先ほど緊就と開就の単価問題が出ましたが、それと違った面から、開就と緊就に対する補助率、これが開就の方が安いですね、緊就の方がいいわけでしょう。これは開就の補助率を緊就並みに上げてほしいというのが非常に地方自治体としては要望が強いのですね。この点はどうなんですか。
  155. 石井甲二

    ○石井(甲)政府委員 補助率につきましては、いま先生がおっしゃったような格差がございますけれども、ただ緊就の場合の補助率については、先ほど来から御存じのように、やはり石炭政策の問題との関連がございまして、そういう率になったと思いますが、これも補助率を引き上げるということにつきましては、これは全体の関連もございまして非常に困難であろうというふうに考えます。
  156. 田代文久

    田代委員 その困難なところを、ぜひ、ひとつ労働大臣やってくださいよ、困難なところをやらなければ、これは政治じゃないですから。  それと、また困難ということをおっしゃいましょうけれども、開就の人たちは、あれは十ヵ月くらいの期間ですか、実際においては、それを割っていますね。ですから端境期には本当に仕事がなくて食うや食わずというようなあれがあるのですが、これを通年で、してほしいという要望なんですが、これは大体、何とかならぬですか。そういうことは考えられませんか。
  157. 守屋孝一

    ○守屋説明員 これは私どもがやっております——と言いますと語弊かあるかもしれませんが、私どもの方で予算補助しております就労事業、これはやはり何といいましても大前提は、民間あるいは一般公共事業への就労がまず前提になりまして、その足らざる部分を私どもの方の制度事業で補っていくというのが、制度基本的な仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、そういう意味合いから見ましたときに、これを年間ずっと就労という形で、ある意味で就労の場を保障するということは、四十六年の法改正の趣旨から見まして、いささか問題点もあるかとは存じます。ただ、いま先生がおっしゃいました点は、いまの開就事業にいたしましても緊就事業も、これは一部ではございますが、雇用保険の適用になっております。そういう意味合いで、ある期間はうちの制度事業に就労して、それから一般の民間あるいは公共事業へ就労されるという、こういうタイプの方と、それから、ある時期は雇用保険をもらわれるというタイプの方と、いろいろあるわけでございます。私どももこの実態を一度、昨年、調査しております。これは、ごく部分的な例でございますが、そういう中で見まして大体、年間通じて、ほぼ何らかの形で、それらの雇用保険もあれば、あるいは他の方へ就労されるという場合もありますし、いろいろな組み合わせは何通りかございますが、そういう中で大多数の方は何らかの形で生活の維持を図っておられるというのが私は現実の姿かと思います。しかし、事業自体を年間通じてということは、先ほど申しましたように本来、一般の公共事業なり民間に就労する、そこに行くのが大前提になっていて、さらに、その中で非常に、その地域が雇用情勢がよくなくて非常に民間の求人が薄い、そういう中で私ども制度事業をやるということになっておりますから、言うなれば補完的なものなので、これを十カ月という点は、もう御指摘もございますが、そういう意味合いから、ちょっといろいろ、むずかしい問題はあろうかと存じます。
  158. 田代文久

    田代委員 むずかしい問題があるという御説明ですが、それは、いまの法律のそういうたてまえからいえば、そういうことになるかもしれませんが、現実に、実際に開就に、とにかく仕事が欲しい、そうでなければ食えない、餓死するのだというような形で、されている実情から見れば、しゃくし定規的な解釈で処置すべき性質のものではない、そういう点はとくと考えて、たとえ十日でも一カ月でも延ばすという方向で、やはり対処していただきたいということを申し上げるのです。  最後に、これは労働大臣に、もう一度、確かめたいのですけれども、例のさっき多賀谷さんに答弁された緊就、開就の問題ですね、これに対して、やはり打ち切られたら大変だという不安というものは非常にたくさん続いておるわけですね。ですから、これは絶対に、そういう打ち切るようなことはやらないということですね。これは五十二年度以後も継続してやらなければ、やはり労働政策としても、あるいは労働者の生きる基本的な権利というようなものからいっても社会問題であるし、政府としては、そういう点では、そういう事業にやむなく従事されている人々に対して不安がないという保障になるような発言なり政策をひとつ示していただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 先ほど多賀谷君からも質問がありましたけれども、やはり今後の産炭地域における雇用、失業状態あるいは就労者の生活実態などを勘案しながらも慎重に検討をしなければならぬ、そういう気持ちで見ますというと、いまの状態から、いますぐ直ちにこれは、やはり両事業を打ち切るというふうな考え方はすべきじゃない、そういう意味で私の方は努力してまいりたい、こう思っております。     〔多田委員長代理退席、委員長着席〕
  160. 田代文久

  161. 多田光雄

    多田委員 綿貫政務次官に私お伺いするのは初めてですけれども幌内災害で先般、行ってこられたということを伺っているわけですので、冒頭ちょっとお伺いしたいのは、炭鉱災害というものについて、どのように御認識なさっておられるか、それをまず、ひとつ伺いたいと思います。
  162. 綿貫民輔

    ○綿貫政府委員 炭鉱災害について、どういうふうな認識を持っておるかということですが、今回のような大事故は、もうめったにあることじゃないのですが、起こると大変、悲惨な状態で、いまなお十三遺体が地下千メートルに眠っておられるというような状況でして、やはり、いろいろ保安上の問題には念には念を入れておりますけれども、保安優先ということを考えなければならぬ、こういうことを非常に強く感じております。大変、悲惨なものであるということはよく認識いたしております。
  163. 多田光雄

    多田委員 それで実は宮本局長に、ちょっとお伺いしたいのですが、一番、心配なのは、いま北炭があれだけの事故が起きて、いずれにしても経営も大変だ。そして幌内再開ということにも追われているという状況なんですね。ですから、企業から労働者を含めて、やはり非常に不安定な状況に、気持ちの上でもあるだろう、こう思うのですね。それだけに北炭のこれからの保安対策というものについて非常に関心を持たざるを得ないし、また北炭は、各企業の中でも一番、保安事故が多いということからも、なお二、三お伺いをしたいのですが、四月二十七日夕張新鉱の北第二跡向十尺上層ロングで異常ガス発生の事故があったという報告は来ておりませんでしょうか。
  164. 宮本四郎

    宮本政府委員 参っております。
  165. 多田光雄

    多田委員 その中身を、ちょっと簡単に言ってください。
  166. 宮本四郎

    宮本政府委員 石炭課長に答弁をいたさせます。
  167. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、ただいま、ちょっと手元に資料がございませんが、私どもの記憶いたしますところでは、誘導発破によりましてガスの異常湧出を見ております。ただ、それにつきましては、いわゆる着炭に近いというところで、一応、万全の警戒態勢をしきまして、その結果におきましては、特に災害なり、その他、問題となるべき事故は発生しておりません。詳しくは、ちょっと手元に資料がございませんので、必要によりまして、また御報告申し上げたいと思います。
  168. 多田光雄

    多田委員 ちょっと心配があったものですから、数日間、私ども現地調査してきたのですが、この事故は、夕張保安監督署によって作業停止命令が出ている事故なんですよ。事故の中身に、ちょっと触れますと、これは監督署で聞いてきたのですが、払いの進行後、後山がバレて、そして大天ガスが流出したものだ。ガス量は二%から三%ということなんですね。結果としては、この現場の事前のガス抜き対策がきわめて不十分であったということになるわけですが、ガス対策として会社は監督官の命令で十六本のガス抜きボーリングを実施しているわけです。それまでは十四本のボーリングであったということなんですよ。ここにも端的に一つ問題が出ているというふうに私は思うのです。私がいま、これから述べるのは、何か、これのあら探しをやるというのでは決してなくて、一つの傾向の中に非常に重要な、また大きな事故が起きるという不安がありますので、聞いておる。ぜひひとつ、そういうことで聞いてください。  それから五月三日に同じ現場で何か事故があったということを聞いておりませんか。
  169. 宮本四郎

    宮本政府委員 その点は聞いておりません。
  170. 多田光雄

    多田委員 これは現場の方で聞いたのですが、同じ現場の二番方で、ガス警報器が鳴りっ放しの中で、ちょっと考えられないことですが、資材運搬の電車が走ったという状況なんですよ。そして幌内から出向している労働者が、鉄柱をハンマーでたたいちゃいかぬ、それからまたレールを投げないでほしい、そういうことで保安係員にどやされることが多いというのが出向する労働者からの意見なんですよ。これはかなりの人から聞いているのです。ガスの濃度がかなり濃いということを示していると思うのですが、この現場で五月三日のガス測定の結果、払い跡の上添えで三%を超えるガスが検出されて、労働者の抗議で採炭作業を停止して、そして保安作業に切りかえる、こういう問題が起きているのです。こういうことが皆さんの耳に入っておらないということは報告がなかったことだろうというように思うのです。  さらに、これは幌内から出向している家族の話です。つまり土曜日に、出向している労働者幌内に帰ってくるわけです。それで口々に、幌内に比べて新鉱はガスが多いということを言って労働組合にも訴えていっている。ある労働者からは、いずれ近く大きな事故が起きるのじゃないかという声も聞こえているのですよ。それで家族からは、そんな危険な山は御免だという声も出ている。行っている連中も布団を畳んで帰ろうと言っている。これはもう二、三じゃありません。こういう問題もひとつ皆さん頭に入れておいていただきたいと思うのです。  そこで、今度は幌内の問題ですが、幌内の取り明け作業について四月二十五日、労働組合に、請負作業にするという提案があったということを現地で聞いているのですけれども、それは聞いていませんか。
  171. 宮本四郎

    宮本政府委員 聞いておりません。
  172. 多田光雄

    多田委員 事実として、取り明け作業を請負作業に切りかえるということが四月二十五日、組合に提案されているのです。いま取り明け作業は坑内で一番方が二百名、二番方が百三十から百五十名、三番方が百三十から百五十名、就労しているわけですけれども、取り明け作業のような重要な問題を、能率給を基本とする請負作業とすることは、作業量の設定そのものが無理なのです。しかも、取り明け作業そのものは保安作業そのものですよ。こういうことを北炭がまた組合に提案している。あせっている気持ち、経理が苦しいから、なるべく安上がりにしたいという気持ちもわからぬわけではありませんけれども、もし、こういうことがやられて、取り明け作業中に事故でも起きたら、これはまた、えらいことになる。皆さん、お調べになって、もしそれが事実であるということを御確認されたら、どういう措置をおとりになりますか。
  173. 宮本四郎

    宮本政府委員 まず、最初に先生から御指摘のございました夕張新鉱のガスの湧出でございますが、これは私どもは直接、報告は受けておりませんが、監督署の方で最近は巡回の密度が非常に高くなっております。たとえて申し上げますと、札幌の監督局それから夕張の現地の監督署が、この新鉱に対しまして毎月、巡回をいたしておるわけでございますが、その密度が、数字を申し上げますと、たとえば三月は二十四人目ということになっております。四月は二十七人目ということでございまして、休みを別といたしますと、理屈から言えば、ほとんど毎日、入っておるということでありますが、これは何名か複数で参りますので、必ずしも、そういう状況ではございません。しかし、こういうことで入っておりまして、先ほどのような話を情報として、いろいろ耳にいたしますので、中に行って調べておるわけでございます。  北二番のロングの問題でございますが、これは会社側では、始発部から二十メーター入ったところで、ぽっとガスが出たということで、そのガス抜きをいろいろやっておった。こういうところへ出つくわしたわけでございまして、監督署の方で局部通気その他で十分ガスを抜けということで、また確認いたしまして、それで作業再開ということを現実に指導はいたしております。  それから、先ほどおっしゃいました二番方でガスが出たという話、これは情報として聞いたわけでございますが、現地へ参りまして調べたところが、どうもそういう事実はない。この辺はよくわかりませんが、一応そういう報告は受けておるわけでございます。  それから幌内鉱のいまのお話でございますが、私ども非常に関心を持って、幌内鉱の再建のために現在、水を二片レベルまで揚げて、二片の坑道の取り明けをやって、それから三片の揚水に入るわけでございます。そういう非常に重要な仕事をやっておるわけでございますので、どういうやり方、どういうふうな事情か、それぞれ、それは会社会社の言い分があろうかと思いますけれども十分、調査いたしまして、御趣旨もっともだと思いますので、指導してみたいと思っております。
  174. 多田光雄

    多田委員 この上また取り明け作業中に重大事故でも起きれば、それこそ本当に足腰立たぬことになりますから、ぜひひとつ善処していただきたいと思います。  先ほど、ちょっと触れました新二鉱の問題なんですが、三月十七日、二番方で事故が起きたということは聞いておりませんか。
  175. 宮本四郎

    宮本政府委員 これは従来、私どもの監督署、監督部、監督局に対します行政上の報告の基準がございまして、その基準から言いますと、必ずしも報告すべき事項に入っておりませんので報告はございませんでしたが、情報を得ましたので、現地に行って事態を調べております。
  176. 多田光雄

    多田委員 これは場所は左三片の第二ロングです。現場は弱い砂岩の天盤であって、従来は保安炭を二ないし三十センチ残して採炭している。これで天盤崩れを防止していたというのですね。ところが、それに対して炭鉱長が残炭を一かけらも残すなというので、保安炭までも採炭させることを、かなり強く指示したということですね。これは現場の労働者は、その指示に反対したのですよ。しかし、やった。その直後、八十メートルのロング全面にわたって、天盤が二メートルから五メートルにわたる高さで大きな崩落が起きているのですよ。そして自走枠の鉄柱が約六十本、損傷を受けるというように規模が大きいのです。そして、この復旧作業に約一カ月かかっているのですよ。これも私、現場へ行ってわかったのです。私は夕張新二鉱については、北炭新鉱との関係で、いずれ早晩というふうに見ていたのですけれども、しかし、いま幌内が出炭がストップしているということで、かなり北炭が新二鉱の採炭を強行しているというふうに見ていいんじゃないかと思うのですが、これもひとつ、ぜひ調べて後で御報告を願いたいと思うのであります。  そこで政務次官、夕張に行ってごらんになったとおり山が多いのですよ。とても三人や五人で、幾ら保安監督官に有能な人がいても見れないのですが、あそこで保安監督官、何名いると思いますか。二名ですよ。前から保安監督官の増員というものは当委員会でも問題になっているわけです。ですから北炭の場合は、そういうふうに、いま、むずかしい問題を持っておりますから、やはり、いろいろなことで援助をするという措置をひとつ、とっていただきたいと思うのです。局長、何か答弁ありますか。
  177. 宮本四郎

    宮本政府委員 三月十七日の崩落につきましては、その後、調べまして、ただいま先生、御指摘のとおり、こちらの方も同じことを把握いたしております。原因その他につきましても大体、似たような感じでございます。結局、天盤の弱いところであった、自走枠不十分というふうなことで、それを復旧いたしまして作業をやっておりますが、四月八日から作業に入りまして、現在までのところは異常が見受けられないということでございます。  なお、御指摘のような問題もあろうかと思いまして、データを少し挙げてみますと、この夕張新二鉱におきましては、五十年度計画、出炭が七十万四千トン、この労働者が七百六十三人、これが五十一年度計画では五十二万九千トンと下がりまして、労働者の方は六百八十一人ということになります。この比率をとりますと九百二十トン、それが五十一年度は七百七十トンということで一応は下がってまいっておりますので、非常に強行するとかいう計画と申しますか、そういう傾きは、いまのところ出ておりません。
  178. 多田光雄

    多田委員 政務次官に、ちょっと私、要望したいのですけれども、昨年も北炭で事故が続きまして、かなり政府の方でも力を入れて点検をされたことがあるのですが、やはりいま挙げたような、こういう事故が続いていて、大事故につながらないという保証は、さらさらないわけです。それだけに、ひとつこの際、新鉱を含めて北炭の保安を一定の計画をもって、もう一度、春先ですから点検していただきたいということと、それからいま一つは、夕張の保安監督官、二名じゃかわいそうですよ。これをやはり何らかの形で補強をするということに、ひとつ善処願いたいと思うのですが、お答え願いたいと思います。
  179. 綿貫民輔

    ○綿貫政府委員 保安問題につきましては保安懇談会もございまして、もう六回も、ことしは開いて、近くいろいろ結論も出るようになっておりますが、先般、私、幌内へ参りましたときも、いろいろと保安問題について現地で情勢を聞いてまいりました。いま、おっしゃった趣旨はよくわかりますが、何人ふやすとか、どうするとか、よく事務当局と検討いたしたい、こういうことでございます。
  180. 多田光雄

    多田委員 その点検の方はいかがですか。
  181. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 幌内の事故の後でございますが、北炭の系統の山に対しまして、特に保安問題について集中的に調査をし、監督をする、こういうことで本省から指示をいたしております。ここにございますように、たとえば夕張の第二に対しましても、いままでの頻度より、はるかに頻度を高めまして監督の十分を期しております。
  182. 多田光雄

    多田委員 保安の方はそれでよろしいと思います。  そこで次に、ちょっとお伺いしたいのですが、いま四電力が電気料金の三割以上のアップということで、これが非常に大きな問題になっているわけですが、その中で、とりわけ一番、高率の値上げを申請しているのは北海道電力の三九・一%ということなんです。これは政務次官どうですか。これはいま、どういう作業をしておられるのですか。このままお認めになるおつもりですか。
  183. 綿貫民輔

    ○綿貫政府委員 前回の値上げのときは、オイルショックの影響が、わりあい少ないということで北海道電力が一番、低かったわけでありますが、今回は炭価アップその他を含めまして大幅の値上げ要請になっておりますけれども、いま物価との関連で、北海道電力のみならず四社につきましても、経済企画庁その他とも、いろいろと打ち合わせもありますし、なるべく物価にはね返らないようにということで苦慮をいたしておりますから、この問題は、いま電力債の問題で商工委員会でも野党の皆さん方から御質問を受けて慎重にやっておるところであります。
  184. 多田光雄

    多田委員 これは各社とも、そうなんですけれども、燃料費の急増というのを第一の理由に挙げているのですが、特に北海道電力の場合は、ここに値上げの資料も来ているのですけれども昭和五十年度の基準炭価は前年に続いて再値上げされ、四十九年の前回料金改定時より約二二%の上昇となりました」というのが、これは燃料費の中の第一の理由に挙げているわけです。  そこで、北海道電力で石炭を使っている比率は、どんなものですか。
  185. 篠島義明

    ○篠島説明員 大体、石炭については四割ぐらい使っております。これは共同火力から買っておる分を含めてです。自社の分と買電を全部、含めて大体、四割ぐらいが石炭で発電しておると記憶しております。
  186. 多田光雄

    多田委員 これは北電の資料ですけれども、水力発電が三七・六%、火力発電が六二・四%です。その火力発電の中で石炭が四六・一%です。それから油その他が一六・三%と、つまり火力発電所の中で七三・八%が石炭火力ということになるわけですね。  そこで、時間もあれなんですが、石炭の五十年度の購入量が約三百三十五万トンなんですよ。いま言ったように、五十年度石炭が二二%になったから収支を大きく圧迫していると、こういうことなんですね。二二%というのは五千キロカロリーを基準にしているのです。五千キロカロリーね。そこで、北炭の五千キロカロリー以下と五千キロカロリー以上の量ですね。これ、どういうふうになっているか御存じですか。
  187. 篠島義明

    ○篠島説明員 五千キロカロリー以上のものが五十年度の購入ベースで約三割でございます。
  188. 多田光雄

    多田委員 そうですね。五千キロカロリー以上のものは三割で、以下が正確には六八・七%、約七割ですね。こういうことになっているわけです。  そこで、その五千キロカロリーでもって、いま言った二二%確かに単価は上がっているのです。ところが五千キロカロリー以下のものは、そうじゃないですね。ですから五千キロカロリー以下のものを七割近く使っていて、そして五千キロカロリー以上のものが三割だ、それが二二%上がった。そこで、こちらもコンピューターではないけれども、細かく調べてみた。この間、北電の東京支社にも行ってみた。そうするとトン当たり大体、私どもの見たところでは昨年の一三・六%なんです。何で二二%と書いたのでしょう。これは疑問に思いませんか。
  189. 篠島義明

    ○篠島説明員 申請書の表現では、たしか基準炭価で二二%と、先生おっしゃるように書いてあるわけでございますが、実際には五十年度の実績購入金額に対する五十一年度申請のアップ率は、そこまでいっておらないわけでございまして、もし二二%というアップ率があるために、全体で三九・一五というアップ率になったのだというふうにとられる直接的な表現をしてくれば、非常に問題があるかと思いますが、あそこの表現では、必ずしも、そういうふうには受けとめられるような表現になっていないと思いますけれども、やや軽率な数字の扱い方だったと、われわれの方としては思っています。
  190. 多田光雄

    多田委員 そうすると五千キロカロリー以上、以下も含めて二二%のアップではないということですね。
  191. 篠島義明

    ○篠島説明員 全体を含めては、われわれの計算では大体一四・六%アップになるという数字を受けております。
  192. 多田光雄

    多田委員 ですから、この文書はこうなんですよ。この北電の説明は「昭和五十年度の基準炭価は前年に続いて再値上げされ、前回料金改定時より約二二%の上昇となりました」確かに注意して読めば、そうかもしれないけれども、ところが一般のPRでは二二%石炭上がりましたと、こうなるのですよ。ところが、いま私の計算では一三・六%、あなたは一四・幾ら、大した違いないです。これだけの違いで何億も違います。それが確認できただけでも結構です。こういうことが今度の中で出ているのです。この間も北電に行って常務に会って聞いたら、大変あいまいな返事なんです。短い文章で意を尽くしませんでしたと、こうなんです。これは非常に重大なことですよ。  そこで、私は政務次官に申し上げたいのですが、これを、このままお認めになりますと政府自身がペテンにかかったということなんです。こういう大きな経済問題、社会問題になっている電気料金の値上げ、しかもイの一番に三九・一%値上げしている北電が、その第一に挙げている諸経費高騰の中の第一の燃料の中の大宗を占める石炭について、こういういわばペテンに近い表現を使ってみたり、そういうPRをしているということは、これは非常に大事な問題だと私は思うのです。この点について、これを抑える必要がある、正確にする必要がある。すでにもう、きのう、おとといから公聴会が現地でやられている。各社もやるでしょう。ですから、これはぜひ抑える必要があると思うのですが、次官どうでしょうか。
  193. 綿貫民輔

    ○綿貫政府委員 まあペテン的なと言われると、ちょっとオーバーな表現だと思いますが、いま、おっしゃった意味と篠島課長が答えました点と、もう一遍よく調べてみなければならぬと思いますが、当然、申請されたものを、そのままうのみにするということではございませんし、いろいろ審議会等の意見も聞いておりますし、いまの点は私も耳にとめまして、もう一遍よく検討するように事務当局にも申し伝えたい、こう思っております。
  194. 多田光雄

    多田委員 当然、検討は私は必要だと思うのですよ。しかし重要なことは、各産業のパンとも言われる、しかも、これが導火線になって諸物価にも少なくない影響を与えていく、家庭にも大きな影響を与えていく問題で、しかも社会的な批判がある、この電気料金値上げの問題で、こういう報告をしているということは、これは企業姿勢としては重大だと思うのですよ。お調べになることは結構です、当然しなくちゃならないのですが、こういうことに対して、どういう御措置をおとりになるのかということなんです。
  195. 綿貫民輔

    ○綿貫政府委員 私も、いま突然、聞きまして、事前にお話を承っておりませんでしたので、北電の真意その他をもう一遍、聞いてみたいと思っております。
  196. 篠島義明

    ○篠島説明員 実はこの点は、われわれも、いろいろヒヤリングをやって、事実が、さっき先生がおっしゃったような状態になっておりますので、基準炭価をベースにした石炭のアップ率を、いわゆる民間に対する説明会その他で使わないようにということは前々から注意しておりまして、その点は北電も十分、心得ておるはずでございます。
  197. 多田光雄

    多田委員 まあ、きょうの前半の質問でも、北炭の経理の内容を見ますと、ともかく大変、石炭部長が困っておられるようだけれども、本当にわれわれも、ある意味では唖然とする面もあるのですよ。今度の四電力のものを私、全部にわたって詳細に調べているわけではありませんが、たとえて言いますと、こういうことを北電はやっているんですね。これも、この間、行って確認したんだけれども、原子力発電所を北海道の岩内というところにつける準備をしているんですね。いま非常に抵抗が強いわけですよ。どういうことをやっているかというと、あそこに泊、共和、岩内という三つの関係する町村があるのですが、人口はそう多いところじゃない。そこから二千人の人を、ともかく道外の原子力発電所に連れていって、しかも飛行機ですよ、そして大変なごちそうをして、行っている人は、まあともかく、きれいな原子力発電所を見てきたと、中のことはわからないのですよ。それで安全だ安全だというPRを受けて帰ってきた。それで幾ら金使ったんだと聞きましたら、この間、北電の常務は一億使いました、どこに経費入っているのだ、仮建設費のうちに入っています、将来は建設費の中に入れますと、こうなんですね。二千人の人を、あの北海道から飛行機に乗せて、そして全国の原発を見せる、しかも行っているのは年寄りが多いのです。物見遊山に行っているのです。これは後でまたやりますが、どうも、この中身は違法性も臭いのですよ。こういうことをやっている。だから一々、中を点検してみると、私かなり問題があるように思うのです。時間がありませんので、私どもの分析した資料を別な機会に、また使わせていただきますけれども、そういう意味で次官、十分にひとつ検討していただいて、そして、できましたらば、こういう資料を公聴会、あるいは国会はもとよりのことですけれども、やはり一般に正確に公開するということが非常に大事だというように思うのです。前回も通産大臣に電力問題でお会いしたときに、ぜひ、ひとつ資料を渡していただきたい、善処しますということだったのですけれども、どうでしょうか。私、北電のことを言っているのですが、北電を含めて、より正確な資料を国会に出していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  198. 綿貫民輔

    ○綿貫政府委員 国会に資料を出す問題につきましては、いろいろと各委員会でも、いろいろなケースもあるようでありますから、この問題は従来の経緯もあることでありますので、いろいろと、また協議をしなければならない、こう思っております。
  199. 多田光雄

    多田委員 ともかく石炭で、これだけの大きな額、率直に言うとペテンですよ、政府がお認めになったように、全く違ったことをやっているわけですから。これはぜひ、ひとつ、きちんと措置していただきたい、こう思うのです。  それからもう一つ。もうすぐ終わります。  例の前総理の田中角榮さんが列島改造を持ち出されたころなんですが、列島改造のいわゆる模範、ひな形は北海道総合開発の苫小牧東部だということを、ずいぶんおっしゃって、あの方の「列島改造論」の中でも、この問題に触れているわけです。あそこに石炭専焼という火発がつくことになっていて、ことしも特会から予算がついているわけですが、私、昨年の予算委員会で、この問題で果たして窒素酸化物の脱硝装置ができているのかということで、いろいろお伺いして、当時の立地公害局長からも、そういう大型のものはできておりません。これから検討してみますということになっていまだに電調審にかけられないでいるのですが、電調審には、いつごろおかけになる予定ですか。
  200. 篠島義明

    ○篠島説明員 私、所管しておりませんので、その点は正確には存じておりません。
  201. 多田光雄

    多田委員 先ほど、ちょっと経企庁の方へ聞きましたら、六月の電調審にかけたいというような意向がある、そして通産省が、いま企業の方から、これは北電ですが、ヒヤリングをして、関係省庁の連絡会議に対するレポートを準備しておられるようだということを伺ったのですが、事実ですか。
  202. 篠島義明

    ○篠島説明員 私、まだ担当の課の責任者から、はっきり聞いておりません。
  203. 多田光雄

    多田委員 そうしますと地元は、かなり企業が、いま苫小牧東部の建設を始めているのですが、私が昨年の春、質問した脱硝装置、これは完成したと思いますか、どう思いますか。
  204. 宮本四郎

    宮本政府委員 窒素酸化物は大気汚染の中で、いま非常に問題になっているわけでございます匂いろいろ問題点あるわけでございますが、第一が技術上の開発ができておるかどうかという一番大きな問題でございます。  これにつきまして私も何度か事情を聞いたことがございますが、現在の事情を率直に申し上げますと、クリーンガス、たとえばLPガスとかLNGとか、そういうことでございますが、そういうものをたく場合には脱硝装置は、ほぼ確立したと見ていい。ところがダーティーガス、石炭を燃すような場合にはダーティーガスということになろうかと思いますが、その点につきましては、まだ確立されていないというふうに私は理解いたしております。
  205. 多田光雄

    多田委員 そのとおりだと私も思うのです。一番たやすい脱硝のガス自身が、いろいろ問題を持っていて、まして一番むずかしい固形物の、しかも石炭を大規模に使うものの脱硝装置が、恐らく世界的に、まだ、できていないのですよ。電発の竹原でもやっていますけれども、これはテストプラントがようやく着工が始まったくらいのもので、いま少しやっていますか、そういうところで、それの二百倍の排煙量を持っている苫東の火発というのは、私は、いまはつくるべきではないように思うのですよ。これはバックグラウンドからいったって、とうてい許容できるものじゃないのです。私がこういうことを石炭特別委員会で言うのは、石炭を使わせないように誤解されるかもわからないが、そう、じゃないのですよ。これこそ、まさに石炭を本当に使用させない方向に行っちゃうのです。ですから私は本当の意味で、そうじゃないし、何といっても人命を守る必要がありますので、これはやはり適切な処置をしなくちゃならないというように思うのですが、そうすると電調審に仮にかけられたとしても、その前に各省庁の連絡会議があるわけですが、そこで、この問題が解決しない限りは石炭専焼の火発については皆さんなかなかお認めになれないということですか、そういうことになりますかな。
  206. 宮本四郎

    宮本政府委員 本件につきましては私どもの局について、まだ相談がございませんので、実情についてお答えいたしかねる状態でございます。
  207. 多田光雄

    多田委員 これで終わります。いずれにしても、まだ不可能なんです。これだけの大型の脱硝装置というのは国際的にも不可能なことなんです。しかも苫小牧は環境庁の中でも、非常に窒素酸化物の多いところで指定になっているところですね。ですから、そういう意味では十分ひとつ慎重に扱っていただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  208. 田代文久

    田代委員長 次回は、来る五月十九日、開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会