○福田(赳)国務大臣 物価につきましては、私は国民の意識は、とにかく上昇はしておるけれ
どもなだらかになってきたな、つまり安定基調という、そういうとらえ方をしておると思うのです。私
どもといたしましても、再びインフレと言われるような物価騰貴を起こすようなことは絶対にいたしません。
ただ、そうは申しましても、
数字に出てくるこの物価上昇率というのがわりあいに高く出るのです。五十年度で言いますと、
消費者物価は
年間上昇率が八・八%と出る、これは私
どもは決して満足どころか、私は非常に不満と思っている
数字なんです。しかし、これがやむを得ない事情があるという点もまた国民には理解してもらわなければなりませんのは、これは
一つは海外の物価が上がるのです。わが国は主要の資源をほとんど海外に依存しておる、その資源の価格が上がる。それから人件費が上がるのです。これは、春闘はなだらかに済んだとはいうものの、とにかく八・八%上がっておる、中小のものになりますとなおそれよりも上がっておる、こういうような状態です。
そういう状態で、ある
程度の物価上昇というものは避けられない情勢でありますが、そこへもう
一つ問題がありますのは公共料金です。物価狂乱と言われたあのころ、これは本当のインフレである、どうしてもこのインフレの火の手を消さなければならぬ、そこで公共料金はこれを厳に抑制をするという
考え方をとってきたのです。しかし、この抑制を抑制しっ放しでおくわけにはいかない。しかし、この抑制を一挙に解除するということになりますと、これがまた物価に
影響してくる。
そこで、政府が直接関係しておる公共料金につきましては、大体三年ぐらいに分けまして、そしてその石油ショックヘの
調整をしたい。つまり、原油の輸入価格が四倍ないし五倍に上がってしまった、それに伴う
調整であります。これを三
年間ぐらいにならしてやりたいというので、昨年は酒、たばこ、郵便料金、この三つを中心として
調整をする、それから五十一年度におきましては国鉄、電信電話料金、この
調整をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、国鉄、電信電話料金といえ
ども、これを一挙にやりますとこれまた衝撃的であるというので、ただいまのところではこれをまた二ヵ年に割ってやろう、こういう
考え方をとっておるわけであります。
そこで、昨年五十年度では
消費者物価が八・八%上がったのでありますが、その中で公共料金の占める割合はどうだというと二・七%。八・八%の中で二・七%は酒、たばこ、郵便料金その他の、まあ私鉄なんかは大きいですが、そういうものが二・七です。ことしはその公共料金、これは電力料金等を含めまして、その
消費者物価への
影響度をどのくらいにするか、まあ二%強にとどめたい。二%強というのは一体何だとこう言われますから、私は四捨五入すると二%になる
程度にとどめたい、こういう考えなのですが、さて、そういう
考え方を持っておったところ、もう五十一年度は始まった。その経過を見てみますと、電力料金なんかが私
どもが当初想定したよりはやや高いところへ出てくるのです。
しかし、そうなりますと八%物価目標というのに支障がありますので、そこで米価です。米価を実は一五%ぐらいを当時踏んでおったのです。財政事情なんかを考慮いたしまして一五%上げということを考えておったのでありますが、これを一〇・二というところへ抑え込む、こういうふうにいたしまして、まあ彼此総合いたしましてこれを二%強、つまり二・四%
程度のところには公共料金全体といたしましてこれを抑え込みたい、こういうふうに考えておるわけであります。
まあ、ただいま申し上げましたような特殊な事情がなければ、もちろん
消費者物価というものは、今日この基調でありますればこれは定期預金金利の以下になるはずなんです。しかし、
先ほど申し上げましたように海外の事情もある、それから公共料金の問題もある、そういうようなことで八%ということを目標とせざるを得ないのですが、これとて決して満足しているわけではありません。早く公共料金問題等も片づけまして、一、二年後ごろにおきましては、これは定期預金金利の水準までぜひ
消費者物価の上昇水準というものを持っていきたい、こういうふうに考えております。