○増田
政府委員 標準
価格につきましては、この十三日の告示をもって廃止いたしたわけでございます。
この標準
価格を設定いたしましたのは昨年の十二月一日でございますが、十月一日からOPECの値上げが行われたわけでございますが、その以前におきましてすでに
石油業界は御存じのように非常な
赤字、製品の
販売価格と原油の輸入
価格と逆ざやという問題がございまして、このままでは一部の
企業は成り立っていかないというような
状況にあったわけでございますが、それにさらに追いかけて十月一日の原油
価格の値上げということであったわけです。これを放置できないという
状況であったために、
石油審議会を開きまして、そこで
石油の生産コストというものがどれくらいになっているかということを計算の基礎といたしまして、標準
価格というものを設定いたしたわけでございます。
標準
価格を設定いたしましたのはガソリンとナフサとC重油の三品種でございまして、これらの品目を選びました理由は、特にこれらの三品目につきまして逆ざやが激しいという点であったわけでございます。その後の
状況を申し上げますと、大体ガソリンとC重油につきましては、本年二月に標準
価格がほぼ達成いたしたということでございます。ナフサにつきましては、これを購入いたします
石油化学
業界が非常な苦境にありました。
石油業界に劣らないような収支の悪化というもののさなかにあったわけでございまして、両
業界との間の話し合いがなかなかつかなかったわけでございますが、四月一日からほぼ標準
価格の線で取引をするということに決定されたわけでございます。
それで、先ほど申し上げましたように、この
標準価格制度というものは、私どもの方は、その当時の
価格状況では
石油というエネルギーの供給者である基礎
産業が崩壊するおそれがあるということで、緊急やむを得ない
措置としてやったわけでございますので、四月一日にほぼナフサも標準
価格に到達したということで、この五月十三日に外した次第でございます。
ただ、今後の
石油価格の問題につきましては、先ほど先生から御質問のありました、OPECがこの五月二十七日からインドネシアのバリ島でOPEC総会を開きます。これによりまして、七月一日の原油
価格というものを、昨年の十月一日から維持されていたものをどういうように変えるかということの相談が行われるわけでございます。一般に言われておりますのは、現在まだ
石油に対する需要というものが強くなっておりません、むしろ供給過剰という
状況でございますので、こういう需給
状況の中ではなかなかOPEC諸国が値上げを決定しないのではないかということ、また、OPEC諸国の中で、
世界経済に対する
石油価格の
影響というものから現在上げるべきではないという主張も一部の国から相当強く出ておるということで、私どもも今度のOPEC総会でそう大きな変化はないというふうに見ておるわけでございます。
大体以上申し上げましたのが
価格の問題でございますが、最後に、この標準
価格に一応到達したわけでございますが、
石油企業の経理
状況について申し上げますと、今回のこの
法案を
提出いたしております理由でもございますが、
民族系の
企業と外資系の
企業と非常な格差が生じておるわけでございます。
民族系の
企業につきましては、標準
価格に到達いたしましても、従来の大幅な
赤字というものは消えないわけでございます。私どもの方の計算いたしました標準
価格というのは、過去の
赤字というものを消す
価格ではございませんで、そのときの生産コストを考えまして計算いたしたわけでございますから、公称二千億と言われますが、実質的にはそれをはるかに上回る過去の累積
赤字というものが消えないような
状況になっておるわけでございます。しかも、
民族系にそれがほとんどしわが寄っておるということでございます。
そのために
民族系の
企業が非常に苦境にあるというのをいかに打開するか、これによりまして
石油産業全体の
体質改善を行うというのが今回の構造改善でございますが、先ほど先生から、
民族系を二つないし三つのグループ、それから外資系を三ないし四のグループというのが通産省の
再編成の構想ではないかという御指摘がありましたが、
民族系を二ないし三のグループに最終的に持っていく、これは何年かかるかわかりません、それから今後まだ検討を要する点がございますが、これにつきましては、昨年十二月の総合エネルギー
調査会石油部会で
結論が出まして一応答申をいただいております。ただ、先生が先ほどおっしゃられました、三ないし四に外資系をグループ化する、これは私どもの方は考えておりません。
そういう意味から言いますと、先ほど公取の
事務局長からもお話がございました寡占のおそれというものにつきましては、私どもは、
石油産業を寡占化するための構造改善ということでは考えておりませんし、また、これは現行独禁法の立場から言っても寡占化は許されませんし、また、基礎エネルギーである
石油が寡占化して値上げをするということをやってはならないと思います。
ただ、私どもが今回の構造改善が必要だということで出しておりますのは、
民族系の
企業を対象として構造改善をいたす。その構造改善をなぜ行うかということは、先ほど申し上げましたように、
民族系と外資系の
企業と非常な差が出て、このまま放置しますと、
民族系の
企業の崩壊につながるということで、現在大体外資系と
民族系と五〇、五〇になっておりますのが、これが相当崩れてくるという
状況になってきているということでございます。寡占の
弊害その他につきましては、私の方は十分監視もいたしますし、また、今度の構造改善は
石油産業の寡占化につながるものでは決してございませんので、それだけつけ加えて御答弁申し上げた次第でございます。