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1976-04-28 第77回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十八日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 稻村左近四郎君    理事 橋口  隆君 理事 前田治一郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 安田 貴六君    理事 渡部 恒三君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    今井  勇君       宇野 宗佑君    内田 常雄君       浦野 幸男君    小川 平二君       大石 千八君    片岡 清一君       瓦   力君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    塩川正十郎君       中村 弘海君    楢橋  進君       深谷 隆司君    松永  光君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    勝澤 芳雄君       多賀谷真稔君    竹村 幸雄君       中村 重光君    渡辺 三郎君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       綿貫 民輔君         通商産業大臣官         房長      濃野  滋君         通商産業大臣官         房審議官    藤原 一郎君         通商産業省通商         政策局長    橋本 利一君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      松村 克之君         参  考  人         (全日本鉱業協         会会長)    藤崎  章君         参  考  人         (全日本金属鉱         山労働組合連合         会執行委員長) 原口 幸隆君         参  考  人         (全日本資源産         業労働組合連合         会中央執行委員         長)      橘  金六君         参  考  人         (金属鉱業事業         団理事長)   平塚 保明君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   天野 公義君     瓦   力君   越智 通雄君     宇野 宗佑君   粕谷  茂君     今井  勇君   栗原 祐幸君     大石 千八君   島村 一郎君     中村 弘海君   田中 榮一君     木野 晴夫君   萩原 幸雄君     片岡 清一君   八田 貞義君     松永  光君   山崎  拓君     楢橋  進君   渡辺 三郎君     多賀谷真稔君 同日  辞任         補欠選任   今井  勇君     粕谷  茂君   宇野 宗佑君     越智 通雄君   大石 千八君     栗原 祐幸君   片岡 清一君     萩原 幸雄君   瓦   力君     天野 公義君   木野 晴夫君     田中 榮一君   中村 弘海君     島村 一郎君   楢橋  進君     山崎  拓君   松永  光君     八田 貞義君   多賀谷真稔君     渡辺 三郎君     ————————————— 四月二十七日  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四七号) 同月二十八日  中小企業事業転換対策臨時措置法案内閣提出  第四六号)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(板  川正吾君外九名提出衆法第八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五号)      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として、日本鉱業協会会長藤崎章君、全日本金属鉱山労働組合連合会執行委員長原口幸隆君、全日本資源産業労働組合連合会中央執行委員長橘金六君、以上三名の方々の御出席を願っております。  この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  本日は、本法案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  この際、念のために申し上げますが、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  まず、藤崎参考人お願いいたします。
  3. 藤崎章

    藤崎参考人 私、日本鉱業協会会長を務めております藤崎でございます。  初めに、金属鉱業につきまして日ごろから深い御理解、御指導をいただきましたことを、ここで心から感謝申し上げる次第でございます。  本日は、特にわれわれの業界実情につきましてお聞き取りいただく機会を与えられまして、まことに光栄に存ずる次第でございます。  本法案につきまして意見を申し述べさせていただきます前に、この問題の御理解の一助となると存じますので、当業界現況につきまして、きわめて簡単に一言申し述べさせていただきたいと思います。  非鉄金属製錬業界は、銅、鉛、亜鉛ベースメタル、そのほかニッケルその他のレアメタル、これを大体根幹といたしまして、国内鉱山、製錬所を保有いたしまして、わが国経済成長に不可欠とも申します基礎原材料安定供給を使命といたしております。特に、昭和四十年代の前半、日本経済高度成長下のもと、非鉄金属需要というものは非常に大きく伸びましたが、国際的には時あたかも銅を中心といたします大きな激動期でございまして、銅その他の非鉄金属一切、世界的に見て非常に需要関係がタイトな状況を現出いたしました。これに対しまして、ありとあらゆる苦労をいたしましてその供給責任というものを果たしてまいりました業界でございます。  その後、日本経済がさらに発展の道をたどることをわれわれといたしましても予想いたしまして、必要な基礎原材料安定供給を引き受けるという意図のもとに、国内的には製錬所の新鋭大型化努力を積みましたほか、鉱石原料につきましては、国内資源開発にも大いに力を注ぎましたが、海外におきまして資源開発確保に鋭意取り組んでまいった次第でございます。  石油資源、それから鉄鉱資源同様、非鉄金属原料の場合に、銅は年間八十万トンないし九十万トンの生産というのが現状でございますが、その生産のうち国内原料が八万トンから九万トン、亜鉛は七、八十万トンの年間生産に対しまして三十万トン程度国内鉱山供給し得るわけでございまして、残りは輸入に仰いでまいっておるわけでございます。ニッケルその他に至りましてはすべて海外資源に依存しているものもございます。  このため、資源確保資源保有国に対する経済協力を基調といたします政府資源政策に基づきまして、また、国民全体の合意のもとに、商社の協力も得まして、東南アジア、中央アジア、大洋州、北米、中南米、アフリカ等、全世界にわたりまして資源確保努力を展開してまいりました。  しかしながら、海外におきます資源開発は、莫大な資本と大きなリスクを伴うものでございます。これは発展途上国が多い次第でございますので、ようやく相手側との探鉱交渉が成立いたしましても、多額のオプションマネーを使い、探査費用をかけて、鉱山開発にそれが結びつくということも、これはきわめてまれなケースでございまして、非常にすそ野のリスクが多い仕事でございます。  幸い開発するにいたしましても、最近は単に鉱山開発工事ばかりでなく、多くのケースにおきましてはいわゆる住宅街をつくり、町をつくり、学校をつくり、道路をつくる、港湾を建設するということで、大変な規模のものに相なっております。しかも、これらの海外資源確保のための投融資は、われわれの方に実力がございませんので、多くが借入金によって賄われておりまして、非鉄金属業界全体といたしましては、最近、投融資残高は五億ドル以上に及んでおります。しかしながら、これらの多くの困難を乗り越えまして、近年、海外資源確保体制がようやく軌道に乗りかかってまいった次第でございます。  しかるに、一昨年の秋のいわゆる石油危機に対処いたしまして総需要抑制策がとられまして、国内景気は大幅に後退し、非鉄金属需要は非常に大幅に停滞をいたしまして、ここに過剰在庫という大きな問題が生じてまいりました。  このような場合、一般産業でございますと、需要面では輸出促進あるいは原材料の購入の削減という方法があるわけでございます。われわれといたしましても、四十九年二月から銅を海外輸出するということも試みた次第でございますが、これは産銅発展途上国に及ぼす影響が大きく、同四十九年の十一月に政府の御措置によってこれが中止になっております。このためにわれわれの業界自己犠牲のもとに大幅な操短をせざるを得なくなりまして、現在でも、保有いたします適正能力に対しまして、大体三五%程度減産を強行いたしておるわけであります。したがいまして、製品はいずれも適正在庫を超え、過剰在庫は四カ月あるいは六カ月というような状況に立ち至っておりまして、不況深刻化に伴いましてきわめて自己資本比率が低くなっておりますだけに、こういう在庫手当て資金をすべて借入金で賄わなければなりませんので、非常な苦境に立ち至っております。  このようにいたしまして、各製錬所では膨大な地金がストックされておりますが、前に述べましたようにいろいろ努力して確保してまいりました海外原料鉱石も、これも余り大量になりますと収容すること自体が困難でございますので、やむを得ずこれの削減交渉をいろいろ試みざるを得なくなりました。一般に一五%のカット海外お願いいたしております。  しかしながら、このようなカット交渉というものは、契約上、元来契約契約でございますから問題があるのみならず、特に原料輸出国後進国が多うございまして、その財政国際収支、これは挙げて銅の輸出に頼っておるところが多いわけでございまするので、そういうところにも問題が起き、こういう状態で推移せんか、長年にわたって築き上げてまいりましたいわゆる産出国発展途上国との友好関係の上でも、きわめて好ましからざる影響が生ずるのではないかということが強く懸念されるに至ったわけでございます。  一方、世界経済の動向を見ました場合、御高承のとおり、発展途上国は一次産品需給価格の安定を強く望んでおりまして、国際緩衝在庫を含みます一次産品総合計画の実現を、種々の会議先進国に対して強くこれの理解と行動を求めておるところでございます。  最近開催されました国際経済協力会議産銅並びに消費国会議、それからやがてナイロビで開催されますUNCTADの総会におきましても、これらの一次産品問題が焦点でありまして、先進国、特に世界最大資源輸入国でございますわが国にとりましても、何らかの対応を迫られる問題ではないかと思う次第でございます。  たとえば銅を例にとってみますと、世界産銅は六百二十万トン程度でございますが、これはザンビア、ザイール、チリ、ペルーのCIPEC諸国に、さらに準加盟国でございますインドネシアとパプア・ニューギニアを加えますと、これが大体世界生産の五〇%を占めるわけでございます。  他方、自由諸国銅需要は、世界経済不況をまともに受けまして、大体七三年度に対しまして七五年度は二五%の減少になっております。また、国際価格は、これも皆様御高承のとおり、七四年の四月に千四百ポンド、国内換算で九十四万六千円までまいりました。これをピークにいたしまして、七五年十二月には五百五十八ポンド三十四万七千円と、邦貨換算で大体半値以下に下落をいたしたわけでございます。銅に国家財政の大部分を依存しておりますこれらの国の打撃がいかに大きなものであるか、御理解をいただけると存ずる次第でございます。  わが国銅資源輸入は、これらのCIPECと準加盟国を加えまして、日本輸入しております五〇%をこれらの国々から調達をいたしておりますが、さらに隣国のフィリピンを加えますと、日本銅輸入の七〇%は一次産品産出国であるこういう国々から輸入をしておるわけでございます。  さて、われわれが扱っております非鉄金属は、いわゆる供給価格関係価格弾力性という言葉を使っておりますが、物が非常に足りなくなって値段が上がると、これに供給がふえれば値段は適正にいくわけでございますが、何と言いましても山で開発をし、それが出てくるまでの時間がかかりますので、直ちにこれが供給をふやすということにはまいりません。したがいまして、ちょっと足りないということが心理的に非常な大きな影響を及ぼしまして、とかくロンドン金物市場を乱高下させる、こういう問題があるわけでございます。  このような特殊性から、値段が下がったから直ちに減産をして閉山を行うということは、理屈の上では申し上げられるわけでございますが、一度閉山をいたしますと鉱山を再開することがいかに困難であるかということは、るる再々申し上げたこともございますけれども、新規鉱山開発以上にこれは大変な問題でございます。こういうふうにいたしますと、数年後、また取り返しのつかないショーテージが起こる、かような問題もあろうかと存じます。  以上述べましたような状況のもとに、わが国の銅、鉛、亜鉛、アルミの資源につきましては、その輸入の安定を図りまして、もって資源輸出発展途上国経済発展にも協力し、わが国経済発展に必要な資源安定供給確保するために、今回本備蓄制度の発足をお取り上げいただきまして、事業団法改正が行われるということは、現在の国際事情並びにわが国資源問題の将来の観点からきわめて大きな意義があり、まことに時宜を得た施策と感ずる次第でございまして、本案に心から賛意を表させていただきたいと思います。  さらにお願いといたしましては、これがいわゆる需給の安定、それから価格の総体的安定にもつながりますので、さらにこれの整備拡充につきましても格段の御配慮を賜りたいと思います。  時間がございませんが、この機会に、国内鉱山並びに製錬につきまして、ごく簡単に一言だけ追加させていただきます。  ここ数年の間、日本国内生産というのはほぼ一定水準をたどっておりますが、その実態は次第に地盤沈下をしておるということが実情でございます。硫酸、硫化の収入減、それから公害防止等の設備の非常な大きさ、それからさらに、近く予想されます電力料金アップ鉄道運賃アップ、こういうことを考えますと、現状ですら非常に苦しい山というものは壊滅的な打撃を受けざるを得ない、こういうことになってまいるわけでございます。  しかしながら、国内資源というものは、わずか十万トン足らずでも国内にとってはセキュリティーという意味でのきわめて重要な給源でございます。あわせまして、これは日本の各地に散在いたしまして地域社会との深いつながりもあり、なかなか軽々にやめられない上に、かつ、今後日本海外資源を求めます場合に、技術経験の集積の場、その基地としての機能がきわめて重大  でございます。ただいまの段階では、いろいろな補助金その他をいただきました上に、それから事業団に基づきます探鉱、これに加えまして関税をいただいておりますので、その関税の一万五千円分というものを山に還元をいたしまして、ただいまの段階、ちょっとこのところ関税がなくなりかけておりますが、五十七万円までということにして、何とかこれを維持するということに懸命の努力をいたしております。この席をおかりいたしまして、なおこの上とも諸般の諸政策につきまして心からなるお力添えを賜りたいと存ずる次第でございます。  それから、製錬につきましては、これは明らかに世界一流水準のりっぱな技術を持っておりますが、ニクソンのドル声明ドルがいわゆる円貨表示で上がりました関係上、いままでもらっておりましたドル建てのいわゆるTC、RCと申しますが、もらっておりますチャージが引き下げられたということ、それからいろいろ対公害関係投資にかなりなものをいたしまして、非常に完全なものにいたしたばかりにこのコストが高い、それから最近の肥料の不振で、硫安で、硫酸で大変苦しんでおりますこと、こういうことがございますが、基本的には、これは高度成長時代にわれわれが外国から買いましたものの条件が劣悪でございます。したがって、この劣悪なことは業界挙げてこれの改善に努力をいたしておりますが、日本のような大きな経済で、国内にある程度のこういう製錬所が存在いたしましてかなりなものを安定的に供給し得るということは、日本経済発展にもきわめて不可欠であり、重要なことであろうと思うわけでございます。そういうわけで、われわれは必ずやれますので……
  4. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 藤崎参考人に申し上げます。  時間がオーバーいたしておりますので、簡潔にお願いいたします。
  5. 藤崎章

    藤崎参考人 そういうことでございますので、この上とも温かくひとつ育成をお願いして、私の意見表明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  6. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次に、原口参考人お願いいたします。  時間は決められておりますので、十分以内にぜひお願いを申し上げたいと思います。
  7. 原口幸隆

    原口参考人 全鉱の原口でございます。  まず、備蓄問題について申し述べさせていただきます。  資源ナショナリズムの高揚、一次産品問題の国際化の中で、いつでも安定的かつ低廉に資源が入手できるという情勢は大きく変化をいたしました。また、オイルショック以降の世界的な景気後退の中で、非鉄金属需要の減退と価格低落は特に顕著でございまして、資源産出発展途上国経済的打撃は大きく、国際的な問題ともなっております。わが国世界最大資源輸入国であり、非鉄金属について世界で第二位の消費国でもありますわが国としても、資源安定供給体制確立のために積極的な対策確立する国際的な責任があると考えられます。  かかる情勢の中で、金属鉱業事業団法改正による備蓄制度が実現できることは、今日的意義のあることであるというふうに存じます。  わが組合としては、これまで一貫して、鉱業政策確立のためには需給価格安定化対策が不可欠であると主張してまいりました。御承知のように、鉱産物価格投機的色彩の強いLME、ロンドン・メタル・エクスチェンジによって左右され、コストを無視した価格変動幅がきわめて大きく、鉱業安定的操業発展を大きく阻害しております。この備蓄制度は単なる滞貨調節のための備蓄ではなく、需給価格安定化を図り、国内鉱山を保護するための備蓄制度拡充強化する必要があると考えられます。  また、わが国国内金属鉱山は、価格低落の中で休閉山縮小大手による鉱山部門の分離、第二会社化が相次いでおりまして、現状を放置すれば壊滅してしまう傾向にございます。四十六年の四月に鉱山数が二百二十八ありましたのが、五十年の四月には百六に半減いたしております。従業員数も三万五百人が、現在では一万九千人に減っております。製錬所も昨年来三〇%の操短を続けております。国内鉱山コストは銅一トン当たり五十六万円ないし六十万円にもかかわらず、昨年、五十年の平均建て値は三十九万円でございました。  最近、海外事情景気回復などを反映いたしまして国際市況がやや好転しているものの、国際的にはまだ百二十万トンないし百五十万トン程度過剰在庫があると言われております。国内的にも需要回復の動きは非常に鈍く、依然として苦境にあえいでいるのが現況でございます。  こうした国内鉱山に対する現状からも、備蓄制度を早急に実現し、その拡充強化を図る必要がございます。そのためには、単に非鉄金属輸入安定化のための備蓄ではなくて、国内鉱山を保護し、需給価格の安定のための備蓄制度に拡充する必要があると考えられます。輸入安定のために国内鉱山犠牲にしてはならないというふうに考えます。そのため、国内鉱石コスト保障による優先的な買い上げ措置をぜひ確立すべきであるというふうに思います。また、単なる融資ではなく、国の費用で、公的機関備蓄を行うようにすべきであるというふうに考えております。  さらに、備蓄制度運用の公平、民主化のための措置をぜひ確立すべきである。備蓄運用関連業界各社間の利害に終始するおそれがあり、備蓄運用によっては国内鉱山の存立に影響し、ひいては労働者の雇用と生活にも大きなかかわりがございます。また、今日、世界的にも労働組合経営参加などが言われておりますし、また、ILO等においても強く経営参加を主張しておりますが、備蓄経営サイドの問題としてだけとらえるべきではないというふうに考え、運用の公平、民主化のために、労働組合代表学識経験者を入れた機関を設けるべきだというふうに考えます。  備蓄は当面、銅、鉛、亜鉛、アルミニウムの四鉱種となっておりますが、ニッケルアンチモニー等主要鉱産物に拡大する必要が将来ある。また、これまで述べた方向によって、将来の方向としては、金属鉱業事業団が単なる備蓄資金貸付業務を行うだけではなくて、直接備蓄を行うようにしたらどうであろうかというふうに考えられるところであります。  次に、国内鉱山安定化対策確立について触れさせていただきますが、国内鉱山に対する通産省の位置づけは、安定供給源として一定量確保に努めるというものではあるが、数量的確保のめどもなく、休閉山縮小に対する歯どめがございません。物理的な鉱量枯渇以外の市況不振による休閉山を規制し、探鉱開発と相まって、自給率向上量的拡大を目指した一定量確保、銅で言えば十万トンを基本とした抜本的対策確立すべきであります。  次に、そのために少なくとも生産コスト保障措置確立すべきであり、生産コスト鉱床規模など自然的な条件に左右されるので、傾斜的な措置がとられるべきであろうと考えられます。  また、優先引き取り保証について、天然石こうなど化学石こうとの競合にさらされておりますので、国内鉱山維持のため、国内鉱産物の優先引き取り保証制度確立すべきであろうというふうに思います。  さらに、現行助成策の見直しと強化について、新鉱床探査補助金探鉱融資制度などは、現在大手中小鉱山区別がございますが、現在の国内鉱山現状から言って、補助融資の対象としてその区別をなくし、内容を強化すべきであろうと思います。  関税対策確立についても、現行スライド関税制度を維持して国内鉱山コスト、銅で言えば五十六万円を加味した免税点、税額の引き上げを考慮すべきであろうと思います。  さらに、探鉱開発体制の一元化を促進すべきであり、そのために鉱区の整理統合、利権的な鉱業権に対する規制を行い、金属鉱業事業団による直接的な鉱業権の設定などを認めるような特別措置確立すべきであり、そのことが開発促進、鉱害対策強化につながるものと考えられます。  最後に、鉱業年金制の早期実現についてでありますが、本委員会で再三にわたって決議をいただきましたけれども、いまだ実現しておりません。決議の権威にもかかわります。五十年六月に社会党法案として提出しておられますので、早急に実現すべきであろうと考えられます。  最後でございますけれども、これらの鉱業政策の運動については、業界関係労働組合、さらに鉱山県である秋田県を中心とした地方自治体三者が一体となりまして、地域住民、地域産業、さらには国内資源の保護育成、技術の温存、いろいろな観点から、過去数年にわたって運動を続けて、共通の産業防衛の運動を今日まで展開していることを申し添えておきたいと思います。  以上、陳述を終わらしていただきます。
  8. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次に、橘参考人お願いいたします。
  9. 橘金六

    ○橘参考人 私は、非鉄金属産業を主体として、関連企業も含めて組織をしている全日本資源業労働組合連合会、略称資源労連の委員長でございます。  組織人員は約一万人でございますが、従来から私ども資源労連は、傘下の労働者の雇用を守り、生活の維持向上を図るため、鉱業政策労働者の立場から国に対しましてお願いをしてまいりました。今般通産省から提案をされております金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案、すなわち銅、鉛、亜鉛備蓄問題につきましても、昭和四十八年より通産、大蔵、労働、その他関連の機関、各政党の皆さん方に対しまして陳情をいたしてまいりました。  非鉄金属鉱業につきましては、皆さん方も御承知とは思いますが、他の産業と違いまして、地下に眠っている資源を掘り出し、金属原材料に仕上げる産業でありますが、特に鉱山は、新しく始めましても鉱石を産出するまでには十年はかかると言われておりますし、既設の鉱山の中の新鉱床開発にいたしましても三年はかかると言われておりまして、実際にそれくらいの期間が必要でございます。そこで、問題になりますのは、三年後に一体どのくらいの価格であるのか、これは重要な開発のファクターでありますけれども、現在は全くそういう面からの価格の見通しというものは立たないのが実情でございます。  現在の非鉄価格はほとんど国際価格にスライドしておりまして、他産業の製品のようにコストを考えるなりあるいは国内需要等はほとんど影響なく決定されておるのが実情でございまして、国際価格の変動はきわめて激しい動きであります。国内建て値で見ましても、四十九年四月に銅の場合にトン当たり八十四万円いたしましたのが、五十年十二月では三十七万円というふうに下がっております。また、この非鉄金属価格というのは、私もこの産業に三十年勤めておりますけれども、昭和二十五年から現在まで約三十年近い年月の間で、一番高い価格でも倍ぐらいにしかなってございません。四十六、七年まではその間ほとんど価格が上がっておらないという製品でございまして、そういう意味合いからいたしましても、その中に働く労働者というものは、きわめて厳しい労働環境の中でやってまいったわけでございます。  このような価格変動が大きいために、国内中小鉱山の経営は大変それによって左右をされます。従来、閉山というのは鉱量がなくなったということによるのが普通でありますけれども、このごろはメタル価格の下がったときにほとんどが閉山をしておりますということは、この価格変動というものが私どもの働く職場を奪い、雇用から失業になっておるという実情でございます。また、特に中小鉱山の場合における現在の就業者の年齢はきわめて高いわけでありまして、大体四十歳以上の平均年齢の人たちでございますから、一たん職場から追われますと、再就職ということはなかなか大変でございますし、また、その地域に勤めておりますし、家も若干の土地も持っておるというのが実情でございますから、これがほかへ移動するということはなかなか困難でございます。  特に今次不況世界的であった関係から、戦後最大の操業の短縮を行っておりますが、なお在庫が多くなって、ひいては中小鉱山の鉱石引き取りというものも減少をするという、価格と滞貨鉱石とその両方からパンチを受けているのが実情でございます。関連する鉱山は現在約百、従業員数は二万人でございますけれども、この雇用を守る立場から、特にこの法案の御決定と、いま申し上げました内容を補完する運用を強く望む次第でございます。  なお、この施策の中でも、私どもから見ました政府保証借入金額につきましては、なお一層の拡大をお願いするということで、私の陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  10. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で参考人意見の開陳は終わりました。  なお、きのうに引き続き、金属鉱業事業団理事長平塚保明君にも参考人として出席を願っております。
  11. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願います。佐野進君。
  12. 佐野進

    ○佐野(進)委員 各参考人には御苦労さまです。  平塚参考人につきましては後の法案審議の際に質問するといたしまして、私の持ち時間がきわめて少ない関係もございますので、藤崎参考人原口参考人、橘参考人に質問をしてみたいと思います。     〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕  金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会に付託され、その審議を一刻も早くいたしたい、こういうことでそれぞれ取り組んでまいったわけでありますが、御承知のような事情で、昨日に至るまで審議ができ得ませんでした。しかし、昨日、通商産業大臣出席のもとに本案の審議に入ったわけでありますが、時間的にきわめて短い時間の中でこの審議をするということでございますから、いまだ政府に対する質問も十分行っていない段階の中で参考人の御意見をお伺いするということになった次第であります。したがいまして、きょう時間があればそれぞれじっくり質問をしてみたいと考えたわけでございますが、きょうもまた参議院における予算委員会の開会等の事情もございまして、きわめて不十分な質問しかでき得ないのを残念に思いますし、忙しい中おいでを願った皆様方には失礼かと思いますが、端的にひとつ質問をしてみたいと思うわけであります。  私どもは、この金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案は、今日の情勢の中で、先ほど参考人各位意見陳述をされたような情勢等を踏まえながら、賛成の立場に立って審議をいたしておるわけであります。しかし、この審議をいたす中で、われわれとしてはきわめて不十分であると考えられる点が幾つかあるわけでありまして、いま御意見をお聞きしながら、全く皆さん方の御意見についても私どもの検討の内容と一致する面が多いということを感じたわけであります。私は、そういう意味で一点だけにしぼって質問してみたいと思うわけでありますが、時間もございませんので、藤崎参考人原口参考人、橘参考人、お三人それぞれ共通した点についての御質問を申し上げますので、逐次お答えをいただきたいと思います。  まず第一に、今回のこの法律の改正が、いわゆる備蓄法案であると一口に言われておるように、国内価格と申しましょうか、この種金属の価格を安定させるために、輸入せられたものあるいは生産されたもの等について、一定条件の中で、それぞれの特別の枠の中で価格安定化を目指す措置を講ずる、こういうことになっておるわけでございますが、私どもが一番心配するのは、これが国内鉱山安定のためにどのような役割りを持つのか。いわゆる輸入という条件の中で、幾らでも入ってくるものは入ってくる、だがしかし、それはそのことによって価格の乱高下が起こることが国内鉱山に対してもその他に対してもきわめて悪影響を及ぼす、したがって、それに対して一定条件の中でその乱高下を食いとめるというか、安定化するというか、そういう形の中においてそれを措置するということになるわけでありますが、しかし、輸入が行われるという形の中で、結局国際的な国内鉱山との競争力の差がそこにおいてどのようにあらわれるかということによっていろいろな問題が出てくると思うわけでありますが、この法律によって、国内鉱山の休山あるいは縮小等、そういうような問題についてどのような効果が得られるとお考えになっておられるのか、そしてまた、その効果が得られないとするならば、どのような形の中で、この法律の中でそれらについての歯どめと申しましょうか、将来への希望を含めた措置を講ずることがいいとお考えになられるのか。  この法律は何回も何回も改正改正を重ねながら今日の段階に来ておるわけでありますので、また来年改正しなければならぬ、そういう事情も当然あるかもわかりませんけれども、そうでなくして行われ得るという希望も私どもとして持ちたいと思いますので、この点について三参考人から逐次御見解をひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  13. 藤崎章

    藤崎参考人 お答え申し上げます。  備蓄は、価格の安定並びに需給の安定に確かに有効だと思うわけでございますが、今度御計画いただきます規模というものは必ずしもまだ大きなものでございません。私、ここで率直に申し上げますが、これが万能薬ではない、しかしながら非常に有効な手段であるということは申し上げられるかと思います。  したがいまして、いま先生の御指摘の点は、単に備蓄だけで片づく問題ではございませんので、将来の銅価というものが五十五、六万円、八十セントから一ドルが将来の世界各国の安定帯といたしますと、大体それのバルクラインに入りますものは、これは極力維持し、これを持ちこたえるべきだと思います。これには、先ほどちょっと私も申し述べました関税によりまして国内鉱山を保護していただくこと、あるいは事業団による三段階の探査方針並びにいろいろ新鉱床補助金その他をいただいておりますが、こういうものを助成と相まってやるべきものでございますが、この備蓄も、需給を安定させ、価格を総体的に安定させる、こういう意味で非常に貴重な存在でございますので、あわせて大変効果のある存在である、かように考えております。
  14. 原口幸隆

    原口参考人 お答えいたします。  直接的に国内鉱山縮小閉山を救済するという因果関係には残念ながらなり得ない。しかしながら、この運用について、たとえば国内鉱山コスト事業団が買い入れるというようにすれば、国内鉱山の保護に直接いい影響があるというふうに思います。  さらに、この備蓄をする対象物について、業界はその利益というベースで物を考えられるでしょうけれども、国内鉱山から出てきた地金を優先的に買い上げるという運用措置をとるならば、国内鉱山の維持発展に大きなプラスになるであろうというふうに思います。
  15. 橘金六

    ○橘参考人 まず、国内鉱山安定化にどういう役割りを果たすのかという御質問でございますが、私は端的に申し上げまして、実はきょう閉山組合がございまして、それにちょうど立ち合う予定でございましたが、かわりの者をやってきょうは出たわけでございますけれども、この閉山の理由というものが、製錬所における操業短縮という形の中で、近くにあった製錬所がほかに操業を移したために、珪酸鉱を主とします鉱山でございますけれども、運賃等の関係から閉山をせざるを得なくなった、こういう実情でございまして、これは鉱石がなくなったということではなくて、このような環境の中で行われた閉山でございます。端的に申しますと、いまのような形のものがあったとすれば、簡単に閉山になるということはなかったと思います。  それからまた、価格がこのように変動いたしますと、悪いときには特に高品位の鉱石を掘るために山の寿命が少なくなります。これは鉱山の宿命でございまして、できるだけ多くの鉱石を有効に使って、次の探鉱によってさらに鉱石を見つけていくというのが多くの仕事でございますけれども、これが高品位の鉱石を採掘することによりまして鉱山の寿命を縮めるという結果になると思います。  なお、将来につきましては、このほかにも、たとえば電力料金の値上げ等の問題もございますし、運賃の値上げ等もございますが、鉱山といたしましては、こういうものもあわせまして、あるいは炭鉱の問題、関税の問題、こういうものも総合的にしていくならば、国内鉱山はやっていけると私は思っております。  以上でございます。
  16. 佐野進

    ○佐野(進)委員 終わります。
  17. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員長代理 次に、板川正吾君。
  18. 板川正吾

    ○板川委員 参考人にお伺いをいたしたいと思います。  昭和四十五年から五十年までの日本鉱山状況を見ますと、昭和四十五年に二百四十六社であったものが五十年三月では百六社、そして、従業員が三万四千人から一万九千人で、企業数では六割減り、人数において半減しておる状況であります。もし現状のような状態が続いたならば、五年後には一体どのような状態になるのか。この点について、藤崎さん、原口さん、橘さん、各参考人から、一言見通しを伺っておきたいと思います。
  19. 藤崎章

    藤崎参考人 お答えを申し上げます。  大変むずかしいお尋ねでございますが、やはり少しずつ減っていくという傾向は、私、見通しとして否めないと存じますが、先ほど佐野先生の御質問にお答え申し上げましたとおり、将来の銅価というのは大体八十セントからさらに一ドルへという水準が期待できると思います。したがいまして、それよりやや悪いか、何とかそれに近いところは維持すべきである。また、これが当然鉱業政策の命題でなければならないと存ずるわけであります。ただいまの関税制度その他でも、そういうことをいたしまして、免税点がくると困るわけでございますが、五十七万円まで何とかこれを維持する、こういうことをやっておりますので、なおかつ残っています山はかなりいい山でございますので、漸減は否めないと思いますが、このくらいは何とか維持しなければいかぬ、かように考えております。お答えにならぬかもしれませんが、申しわけございません。
  20. 原口幸隆

    原口参考人 現在の状況が続くとすれば、五年後においてはほとんどの国内鉱山は休山にならざるを得ないであろうというふうに思います。しかしながら、国際的に見て、発展途上国の貧困とか日本が東南アジアに占める役割りとか、そういう観点から考えた場合に、有限の地下資源を最大限に利用して、日本だけではなしに広く国際的にこの資源を活用していかなければならないという長期的な展望から言えば、絶対に国内鉱山現状より漸減させるということをやむを得ないとする鉱業政策はとるべきではないというふうに考えております。
  21. 橘金六

    ○橘参考人 五年後には一体どうなるのかという先生の御質問でございますが、鉱山というのは鉱量的には非常にいろいろの問題がございます。優良な鉱山でございますればそれは生き残れると思いますけれども、全体的に見てまいりますときわめて危険な状態であろうというふうに考えざるを得ません。しかしながら、私どもの鉱山技術というのは一朝一夕にできた技術ではございません。長い間蓄積をされました坑内における採掘技術というのは非常に優秀なものでございますし、仮に海外の鉱石を持ってくる、あるいは開発をするという立場の中でも絶対に必要な技術でございますから、資源確保という立場の中ではこれをつぶしてはならないと思いますし、そういう意味合いで、私どもは何とかがんばっていきたいとは思いますけれども、きわめて危険であるということを言わざるを得ないと思います。
  22. 板川正吾

    ○板川委員 藤崎参考人に伺いますが、輸入関税がことし四月から四十八万円に免税点の上限が決まりました。銅を中心に議論してみますが、銅の場合に国内鉱山コストが五十五、六万から六十万ぐらいかかる、こう言われておるわけでありますが、こういう形でいきますと、製錬所では国内鉱よりも輸入鉱に頼った方が有利である、こういうことになるだろうと思うのですね。そういう形でいきますと、どうしても国内鉱というものをつぶして輸入鉱に頼るような傾向になってくる、こういう形になるのじゃないかと私は思いますが、この点、どう考えておられますか。
  23. 藤崎章

    藤崎参考人 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、ただいま四十八万円のところに免税点がございまして、関税はトン当たり一万五千円になっております。したがいまして、四十六万五千円に達しますまでは最高十二万五千円というものを、海外鉱から得ましたものを国内に回しておるということも御承知のとおりでございます。したがって、そうすると海外鉱だけでやってあると得をするからということでございますが、経営は単なる算術ばかりでもないように私は思います。  たとえば一例を自社の例で申し上げて申しわけございませんが、私の方の会社で四国に持っております山の例でございます。これは最近鉱量が枯渇いたしましたので、やむを得ずこれを半減繰業にいたしました。そして延ばすということ。われわれが国内に山を持つということは、海外開発いたしますにつけても、これは重要な技術を温存するプールでございますので、決して軽々に国内の山を捨てるということにはなりませんで、私なりに申しますれば、犠牲、損失を覚悟してでもこれを維持すべきものであるし、また、そうでなければ海外に対して大きな発展はできない、かように考えて経営を運営いたしております。
  24. 板川正吾

    ○板川委員 もう一点、藤崎参考人に伺いますが、国鉄運賃の五〇%二回値上げをしようという計画があります。電力料金も地方では四〇%、大手で三〇%台の値上げが申請されると言われておるわけでありますが、国鉄運賃が相次いで五〇%、五〇%値上がりをしたり、電力料金がさらにこのように値上げをされた場合に、一体国内鉱山にどのような影響を与えるのか、これについて説明を願いたいと思います。
  25. 藤崎章

    藤崎参考人 国鉄運賃と電力、二点についてのお尋ねでございますので、国鉄運賃の方からお答えを申し上げます。  端的に申しまして、四十九年度の輸送実績が四百七十七万トンございます。それの現行運賃総額が約六十五億円でございます。これがただいま想定されます国鉄運賃値上げによります改定幅を考えますと百三億円に相なります。値上げ幅三十八億円でございますが、われわれが鉱石運賃の値上げを非常に困難といたします理由は、先生御指摘でございますが、鉱山が山間僻地にございまして、他の物資に比べて中長距離、大量輸送でございます。それで、いままでトラックとか船舶に頼れるものはほとんど転移を終わっておりますので、どうしてもそこにしわ寄せがくるところだけが残っておる、これがまず第一点の実情でございます。  それから、鉱石価格は、もう先ほど来先生よく御高承のとおり、結局は国際価格に左右されておりますので、高くなったからといってこれのコスト転嫁ができない次第がございます。したがいまして、この現状コストですらもう大体中小の山は、特別いいものを除きまして、総体としては赤字もとことんというところでございますので、この国鉄の値上げも、それからその後申し上げます電力の値上げも即これが赤字に転嫁されると非常に困った問題でございます。単純に鉄道運賃の問題だけでも解決はつきませんが、この席をかりまして、広範な鉱業政策という見地から、大所高所の御判断で国内鉱山が生き残れるようにぜひひとつ政策の御誘導を願いたい、こうお願いする次第でございます。  それから次に、電力値上げにつきましてでございますが、われわれ非鉄業界はただいま減産中でございますが、電力料金業界として、これはやや限定されますが、年間三百五十億円払っておりますが、この値上げが申請どおり、最近三五であるとか三六であるとか言われておりますが、これが行われますと百三十億円ばかりの負担増になります。特にこれは山でございますと、大体山のコストの十数%から二〇%近いものが電力代でございます。したがいまして、苦しい山にとりましてはこの一〇%から一五%のものがさらに三〇%上がる、三五%上がるというのは、これはもうよくお考えいただけるように大変な負担であるということを申し上げておきます。  それから、特に問題になりますのは、アルミではすでに非常に御運動になっておられまして、われわれも亜鉛につきまして一生懸命やっておりますが、日本は年産百万トンに近い能力を持ちまして世界有数の亜鉛製錬国でございますが、その約四分の三が電解亜鉛もしくは電熱亜鉛、こういうものをいたしております。この分野で六十億円ばかりの負担増がございます。亜鉛製錬といえども現状決して楽ではございませんので、大変な負担でございます。  一例で申し上げますと、亜鉛で大体コストとして支弁し得るものは売り値から原料代を差っ引きまして六万二千円と申しております。そのうちの三万四、五千円がいわゆる電力費でございます。これが一万二千円からもうちょっと一万四、五千円まで上がるというので、われわれは死活問題だと言って騒いでおります。  これも御同様にコストが上がりましたら何とか需要家さんにお願いして幾らか見ていただきたいというのが本音でございますが、われわれの価格制度、国際商品という面からできませんので、中小鉱山並びに亜鉛、それからやや条件が変わりますがフェロニッケル、こういうものにはかなり重大な影響がございます。鋭意陳情の運動を続けておりますが、またひとつ先生方の高い見地からの御高配を賜れば大変幸せに存ずる次第でございます。
  26. 板川正吾

    ○板川委員 このままでいきますと、亜鉛なんかは海外に逃げ出さざるを得なくなるのじゃないかなと実は考えておるわけです。  時間がありませんので先を急ぎますが、今度の備蓄法は輸入安定化がねらいであって、国内鉱山の維持というものは間接的には先ほどお話がありましたように影響はありますが、国内鉱山の維持のための政策ではない、こういう点で、私どもは備蓄法による輸入鉱物資源安定化と同時に国内鉱業安定化を図らなくちゃなるまい、こう考えておるわけであります。  これは原口さんに伺いたいのですが、御承知のように、昭和三十八年から四十三年、貿易自由化を前にいたしまして、金属鉱業等安定臨時措置法という法律がございました。貿易の自由化によって海外の安い鉱石が入ってきて国内鉱山が被害を受けてはいかぬということで、暫定的に五年間の限時法で安定化対策をとったわけでありますが、その当時は、銅に例をとってみますと、海外依存度というのが約半分ちょっとだろうと思うのです。半々ぐらいの場合に、たとえば海外からの輸入をされる、国内鉱山が半分ぐらいある、この半分の国内鉱山を維持するために、独禁法の適用除外法としてお互いに取引の話し合いができるような制度をとったわけでありますが、今日では、銅の場合には九〇%が輸入であり、国内産出が一〇%という状態ですから、この九〇%に対するある程度の調整をするならば、国内鉱山が維持できるようなことも十分可能である、こう私は思うのであります。  鉱業審議会のメンバーである原口さんに伺いたいのですが、こういう金属鉱業等安定臨時措置法的なものがいま必要とされておるのじゃないだろうか、こういう感じが私はいたしますが、これはどうお考えでしょうか。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 原口幸隆

    原口参考人 いま先生の御指摘の金属鉱業等安定臨時措置法の現代版というようなものについては、先生のおっしゃるとおり全く賛成でございます。当時貿易の自由化を目の前にしまして、この金属鉱業等安定臨時措置法が先生方の御理解によりましてでき上がったために、当時の国内鉱山を守ることができたという歴史的なことを振り返るとき、再三参考人が共通して述べております。国内的な要因で値段が上がったり下がったりするよりは、労使のあずかり知らないロンドンにおいて投機的に値段が決まって、それによって左右をされているということをずっと続けるならば、国内鉱山は不安定でありますし、休廃止、縮小の宿命に常に直面せざるを得ません。したがって、投機的なLMEの制度自体について日本全体がほかの国と手をつないで直していくか、そうでなければ、金属鉱業等安定臨時措置法のような基本的な産業立法というものが国内的につくられることがぜひ必要であるというふうに考えております。
  28. 板川正吾

    ○板川委員 藤崎参考人はどうお考えですか。
  29. 藤崎章

    藤崎参考人 過去に貿易自由化のときにおきまして、安定措置法というのは大きな効果を果たしたことは事実でございます。この法律の重要性というものはよく認識しておりますが、ただいまの段階で直ちにこれをやるかどうかということについてまだ考えがまとまっておりません。先生のお考えは十分検討に値する考え方で、われわれも大いに勉強させていただきたい、かように思っております。
  30. 板川正吾

    ○板川委員 あと三十秒しかありませんから、橘さんも三十秒の範囲で、いまの点、一言意見を伺いたい。
  31. 橘金六

    ○橘参考人 先生のお考えにつきましては、大綱としてはいいと思いますけれども、問題になりますのは、今後、先ほど申し上げましたように、電力等が上がりますと、海外から安い金属が入ってまいると思います。この辺を十分にお考えになっていただいて、これとの組み合わせの中でお考えいただくということが一番私どもは適当ではなかろうかと思います。
  32. 板川正吾

    ○板川委員 終わります。
  33. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 神崎敏雄君。
  34. 神崎敏雄

    ○神崎委員 参考人の皆さんには御苦労さんでございます。  この法案は幾つか重大な問題を持っていると考えますので、私は、国内資源確保国内資源産業振興という点に限定して、参考人の皆さんに若干の点を伺いたいと思うのであります。  まず第一に、国内鉱業の荒廃、その危機が叫ばれておりますが、その真の原因はどこにあるのか、私、時間が十五分しかございませんので、簡潔に藤崎さん、原口さん、橘さん、各参考人さん方の考えを聞きたいと思うのです。
  35. 藤崎章

    藤崎参考人 大変むずかしいお尋ねでございますが、基本的には私は、日本の鉱床、それから品位、こういう自然条件が基調であろうと思います。ただ、特殊な、たとえば秋田地区にございます黒鉱でございますとか、こういうものは十分今後ともたえていけるわけでございます。私が再々申し上げておりますように、大体世界的なコストあるいはそれに近いところで若干の手を打てば維持できるというものは極力伸ばすべきであると思いますが、やはりそれに達しないものは自然条件が大きな原因でこうなっておるのではないか、かように考えております。
  36. 原口幸隆

    原口参考人 地下資源というものは、国がどうしても必要であるという前提に立っての鉱業政策がいまだ確立されていないというところに根本的な原因があろうかと思います。さらに、地下資源というものはもっともっと社会化されていかなければならないのではなかろうか。つまり、採算に合わない場合には休廃止されてしまう、それもLMEによって左右されていくというような現状では、基本的な危機というものは解消されないというふうに思います。
  37. 橘金六

    ○橘参考人 特に大きな問題は国際価格によってまず値段が決められるということでありまして、その国際価格の決め方は産出国なりあるいはコストという面からは全然見られておらないということが、一番大きな価格による問題点であろうと思いますし、また、政策としてのいままでの不備も大きな原因になっておると思います。  以上であります。
  38. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私どもは、何よりも歴代自民党政府の対米従属的な資源エネルギー政策とそれから資源外交政策に、今日の国内資源産業の危機の最大の原因があると考えております。それは、石炭から石油への強引なエネルギー革命のもたらした数々の日本経済のゆがみ、それから行き詰まりの事実が明白に示しているところであります。この二十年間、石炭産業の育成を口にしながら行ってきた政府の石炭産業破壊の政策から、業界としてどういう教訓を学び取っておられるのか、藤崎さんからお伺いいたしたいと思います。
  39. 藤崎章

    藤崎参考人 私、他の産業の例にはよく通じておりませんが、金属鉱山の問題につきましては、第一次の危機は昭和三十五年以降の貿易自由化のときであったかと思います。これにつきましては、金属鉱業等安定臨時措置法が制定いたされまして、それに基づきまして、事業団に基づきますいわゆる三段階探鉱方針というものが確定されました。その後、かなりな鉱量が発見されまして、そしてこれが非常に有益に日本資源として働いたもの、私はかように考えております。  その後、、ごく最近に至りましていわゆるニクソンのドル防衛声明、それから最近の中東の戦争を機にいたすいわゆるオイルショックの問題、これがもとになりまして異常にコストが上がり、さらに公害問題につきましてもわれわれも鋭意これにこたえるという態度をとりまして、それが異常なコスト高になっておるということは事実でございます。今後どうするかということが非常にむずかしい問題になってまいるわけでございますが、われわれは、国内の非常に貴重な資源でございますので、鋭意これを育て、何とか維持していきたい、こういう念願に燃えてひとつ邁進してまいりたい、かように思っております。
  40. 神崎敏雄

    ○神崎委員 その御意見についてはいろいろこちらも意見がございますが、何せ時間がございませんので、承っておくことにいたします。  次に、石炭の先例もありますが、またわが国鉱業もこめ十年間に深刻に荒廃が進行しています。昭和四十年に三百九十九あった鉱山が、昭和四十九年には百二十九になっております。関係労働者も四万六千六百人から二万一千人に減少しております。しかも、引き続き合理化、首切り、鉱山部門の別会社への分離というような国内鉱山破壊の政策がとられています。これにストップをかけ、真に自主的な振興政策を進めることが最も強く求められていると思います。政府が宣伝しているような安定供給価格の安定が最大の解決策とは思えないのです。そこで、原口さん、橘さんから、労働組合としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  41. 原口幸隆

    原口参考人 現在の経済機構の中では、やはり国内鉱山コストを割らない適正価格というものが保証されるということが当面の大きな課題であろう、先ほども触れましたように、投機的なLMEの相場によって左右されているという限りにおいては、この不安な状態は長期的に続くものと考えなければなりませんし、したがって、国内において石炭の二の舞を見ないような金属資源確保に関する基本的な政策というものが当面打ち立てられるべきだというふうに思います。
  42. 橘金六

    ○橘参考人 おっしゃられるとおり、これだけで解決できるとは思いません。特に炭鉱、非鉄金属の宿命といたしまして、資源は有限でございますから、掘っている間に次の鉱石を見つけなければならないという大きな問題がございます。こういう形の中では、特に鉱山におきます炭鉱補助金というものが大きなウエートになると思いますが、現在でも補助をいただいておりますけれども、さらにこういうものもふやして、いただかなければなりませんし、また、当面しております国鉄運賃あるいは電力料金の値上げというものも、今後の問題としても重要な問題であると考えております。  以上であります。
  43. 神崎敏雄

    ○神崎委員 過剰在庫の買い上げということは、目先の問題として一定のメリットがあるかもしれませんけれども、しかし、同時にそれは安心して輸入できるという体制の整備をも意味するものです。資源の外国依存体制を一層深める、国内資源産業の一層の合理化を促進する条件強化するものであります。国内資源産業の振興を図ることに本当に役立つと言えるのか、藤崎さんにお聞きいたしたいと思うのであります。
  44. 藤崎章

    藤崎参考人 国内鉱山につきましての問題に間接ではございませんで、やはりこの備蓄の問題、それからいろいろお願いしております新鉱床の探査補助、それから事業団による探査、それから関税による保護でございますね、こういうものは私は一括した資源政策だと思います。それの切り離せない一環として、需給を安定し、価格を総体的に安定させる効果というものはあろうかと思います。  ただ、先生御指摘のとおり、現在輸入地金というものが現実には消費者、特に電線その他の需要業界の方で輸入されておりますので、これに対しては、現在たとえば輸入は自由でございますからどういうことをするということはできませんが、基本的にお考えいただきたいのは、やはり日本国内資源だけでは頼れないわけでございまして、かなり大きな幅のものを、いわゆる原料をとってきてそれを製錬するという仕事がなければ、日本供給の安定ということは非常に困難でございます。したがいまして、そこで過剰が出て引き取れないという問題が残っておりますので、やはりこれは広義の意味での一次産品対策として、一五%もカットお願いしておりますが、できるだけ入れて、そしてその一部は備蓄にしていただくということ以外、今度はわれわれが非常に苦しい、どうにもならぬ状況にございますから、基本はやはりLDC諸国の輸入というものを、ある程度向こうの信頼にもこたえる程度のものを引き取れるような体制をつくる、こういう環境づくりとして備蓄制度をお考えいただきたい。また、われわれがこれで助けていただいていることは事実だと思いますが、基本は私はさように理解をいたしております。
  45. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、最後に、発展途上国資源産出国との関係においても、わが国はアメリカの政策の枠内での対応、その従属性を断ち切ることが大切であります。また、わが国の独占大企業の乱開発、これへの民主的な規制が必要であります。こうした点にメスを加えることなく、過剰在庫の買い上げ、安定輸入というだけでは、いわゆるあからさまな大企業救済と言われても仕方がないのではないか、こう思うのであります。実際、独占的な大企業は、業界再編成とか、新日鉄のアルミ部門の進出とか、いろいろと独占資本本位の危機打開策を画策しているのであります。いま提起されている備蓄政策は、自主的な国内鉱業、また国内資源産業の振興の真の道に反しまして、労働者の雇用安定、労働条件の改善にも反し、対米従属、大企業本位の資源政策をさらに促進するものだと考えるのですが、これは労働組合としてどういう観点に立っておられるか、お二人からの御意見を伺いたいと思います。
  46. 原口幸隆

    原口参考人 われわれは備蓄制度については歓迎をいたしております。その理由については、現実に春のベースアップ交渉がまだわれわれの産業の中では決まっておりませんし、現在のところ回答は世間相場の半分でありますけれども、これも現在の国際的な金属鉱業の低迷からきている、そういうものを国内的、国際的に安定的なものにしていくということが即発展途上国労働者並びに日本関係労働者の雇用、生活防衛というものにもつながるという観点に立っております。  ただ、この備蓄制度運用について、国内鉱山コストに見合う価格で買い上げる、あるいは国内鉱山での地金というものを優先的に考えるというような、買い上げの運用についての注文はございます。
  47. 橘金六

    ○橘参考人 資源産出国に対しましても私も先ほど触れたかったわけでありますが、価格のこのような乱高下というものはそこに働く労働者にとりましても大変大きな問題であろうと思います。  また、安定輸入の問題でございますけれども、いまの仕組みといたしましては、ロンドン相場から船賃あるいはその間の金利等を考慮いたしまして価格を決定しておるようでありますから、そういうために逆に現在の非鉄金属鉱山というものあるいは製錬所という問題に非常に大きな影響を与えておりますので、そういう意味でも本法案をどうしても通していただきたい、こういう考え方でございます。
  48. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 松尾信人君。
  49. 松尾信人

    ○松尾委員 非常に時間がありませんので、端的にお伺いしてまいります。  日本資源政策と申しますか、エネルギーも含めてでありますけれども、この取り組み方が非常に安易に、安い石油をどんどん輸入する、そして先般の石油ショックでやっと石炭を見直す、このようなことになって方向転換のようでありますけれども、なお石炭も本当の転換ではないわけです。この金属資源政策につきましても、こういう日本の基本的な姿勢というものを明確に、はっきりさせていないと、やがて将来、日本中小鉱山から閉山に追い込まれていくであろう。石炭が閉山に次ぐ閉山です。そうすると同じ状態が金属鉱業の方にもあるわけでありまして、そして皆苦しんでいる。一生懸命働いていながら苦しんでいる。片や閉山だ、そして働く人がどんどんいなくなる。大事な資源輸入し、開発し、そして加工貿易をして、それを日本の国是としながら、日本国内資源というものが非常に大事にされていないのじゃないか。それで、一たん問題がありますと非常に行き詰まって、あわててももう間に合わない、こういうことでありますので、石炭でいやというほどわれわれは反省をさせられておるわけであります。  そこで、皆様方の金属資源の問題でも同じだと思うのでありますけれども、石炭第五次対策というものもできておりますが、皆様方の方で基本的にこの金属資源政策に対する大綱というものは御準備になっておると思うのでありますが、いかがですか、まず、藤崎さん。
  50. 藤崎章

    藤崎参考人 大変広範なお尋ねでございますが、一度閉山をすると非常に大変で、一度閉山をしたら捨てたも同然だ、あるいは休止しても同様でございます。これはわれわれ骨の髄まで実は存じております。したがいまして、いまの石炭政策に関連してのお話でございますが、これにいろいろ私自身大きく不満もございますし、また、お立場の変わる方々、いろいろ御不満はお持ちだと思いますが、私は、日本資源政策は、政府の御努力並びに諸先生方の御指導でかなりしっかりしておるのではないか、実はこういうふうに考えております。と申しますのは、国内金属鉱業事業団による探鉱、それから新鉱床探査補助、いろいろな融資、それから関税というものをお考えいただいて、これは山に還元できるようになりました。要するに、歯どめをつけてやっていけるもの、大事なものは残さなければいけない、こういうふうに御努力……(松尾委員「質問の時間が少ないので、要領よく御説明ください」と呼ぶ)そういうことでございますので、われわれも十分そういう意図のもとでやっておりますので、不満はございますけれども、大綱としてはよろしいのではないかと思います。
  51. 松尾信人

    ○松尾委員 原口さん、どうぞ。
  52. 原口幸隆

    原口参考人 国内鉱山から出る鉱量については一定量を確保する、銅で言えば十万トンは国内鉱山から出す、そのために探鉱に力を入れるというようなこととか、関税制度をさらに充実させる、あるいは問題になっておりますこの備蓄制度規模をもっと大きくして適正なものにし、かつ早期に実現して当面の問題解決の一助にする、あるいは国鉄運賃、電力の問題等を総合的に施策よろしきを得れば、石炭の二の舞にならないという観点で私は現在も運動を続けておるつもりでございます。
  53. 松尾信人

    ○松尾委員 橘さん、どうぞ。
  54. 橘金六

    ○橘参考人 確かに資源政策の基本というものは大変大事なものだと私ども考えております。かつて、非鉄金属の中でも硫黄が大変いい例でございますけれども、回収硫黄等が出まして、硫黄鉱山がつぶれてまいりました。いま日本には硫黄鉱山はございませんけれども、その一年後には、当時の価格の三倍ぐらいに硫黄がなってしまった、こういう実情もございます。どうしても非鉄金属というものの鉱山をもっと政策的にも見直していただきまして、何とか残していただきたい、こういう気持ちでございます。
  55. 松尾信人

    ○松尾委員 私も、皆様方のいろいろのそういう考え方というものをそれぞれ今度さらに固めていただいて、また、それをわれわれも勉強さしてもらって、そして推進したい、このような気持ちでただいま質問をしておるわけであります。  私は、やはりその中で一番問題は価格の点だろうと思うのです。値段ですね。掘っても掘っても赤字になるというような山があるわけですね。現在、特にいま非常に国際価格が下がっておるというので、中小鉱山が非常に立場が苦しい。きょうも閉山だとおっしゃいましたね、そういうところが相次いである。石炭の方では、もう閉山は一切認めないというのが基本の姿勢なんですね。どうするかと言えば、石炭では炭価、皆様の方ではそれぞれの鉱種値段というものが大きくそこに物を言うわけでありますから、やはりその山が維持できる値段というものがあると思うのですよ。どこにそのラインを引くかというのはむずかしい点でありますけれども、やはり閉山はしないというような一つの原則を立てておいて、その中からその価格というものを安定的に、またつぶれない程度にどうにか助成していかないと、これは石炭と同じく取り返しのつかないような段階に追い込まれていくのじゃないか、こういう心配が私はあるわけです。  今回の法案も、それでひとつ備蓄をやろう、皆様方の手持ちの在庫というものを中心に買い上げていくわけでありますけれども、その買い上げ価格なんかも私は非常に問題であろうと思うのです。困っているから、値段が安いからいま買う、高くなってから今度は備蓄法人が放出するというような仕組みだと思うのでありますけれども、そういうことであれば、安く買われて高く買わなくちゃいけない。皆様方は安く買い上げられて、今度は景気がよくなった場合に高く買う、こういうようなかっこうで、これも一つの助成としてはそこに問題点があると私は思うのです。そういう点も皆様方の意見をやはりどんどん反映させていくようにしっかりがんばっていかなくては、今後ともにこの法案の運営というものがなされていくであろう、こう思います。これは私の感じだけです。  それから、もう一点は、これは原口さんが言われた問題でありますけれども、今回の三百億円というのは、これは単なる融資にすぎませんね。備蓄という大きな問題に取り組むわけでありますから、これは石油の備蓄と同じく、やはり政府等の機関がある程度出資もする、そうして備蓄に対する応分の負担も政府が引き受ける、そうして分担しながら危機を突破するというような考え方がいいと思うのでありますけれども、これは原口さんが言われたのだから、では、あと御両所、そういう点についてどういう考えであるか、実はこれは参考のために私は聞いておきたいと思うのです。
  56. 藤崎章

    藤崎参考人 先生の御説のとおりでございまして、これが整備され、拡充充実されることは、心から望んでおります。
  57. 橘金六

    ○橘参考人 特に買い入れ価格等、あるいは放出といいますか、そういうときの価格等が一番大きな問題点になると私は思います。こういう点については、本旨に沿ってひとつ十分な対策をとっていただきたい、こういうふうに考えております。
  58. 松尾信人

    ○松尾委員 それじゃ、時間もありませんので、私、これで質疑を終わりますけれども、今後ともに皆様方、やはりはっきりとした目標を立てて、そうしてそれをわれわれにも示して、あわせてこの金属資源という問題をがっちりがんばっていきたいと思います。
  59. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  なお、金属鉱業事業団理事長はお残り願います。     —————————————
  60. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 引き続き、政府に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。     〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕
  61. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣に対して質問をしたいと思います。  すでに昨日来、金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案については質問が行われておるわけであります。また、きょうは十二時半から本会議が開会されるということでございますので、時間がありませんから、大変残念でありまするけれども、きわめて重点的に質問をいたしまして、この法案の内容についてひとつ明らかにしてまいりたいと思います。  いま参考人からそれぞれ意見開陳を受けたわけでありまするが、参考人もそれぞれ、この法律を制定することが望ましいという形の中で意見開陳を行われました。私どももまた、金属鉱業の今日置かれている情勢の中において、本法律が一日も早く成立することを望むものであります。しかし、この法律をしさいに検討いたしますれば、なおその中にいろいろな不満も、また不十分なものもあるわけであります。そういう点について逐次明らかにしてまいりたいと思うわけであります。  まず第一点、この法律案改正についての今日置かれている情勢、その情勢下において、それぞれの品目について、いわゆる備蓄と称するそういうような形の中で改正を行おうとしておるわけでありまするが、このことによってまず一番心配されることは、輸入される品物に対して、その価格の高下、それを安定的にするという形の中でいわゆる備蓄措置を講じ、そのために多くの資金が投ぜられるわけでありまするけれども、この措置を講ずることによって国内鉱山安定化対策にどのようなメリットがあり、あるいはそのことによってむしろこれに対するところの打撃というか、そういうものが起こる心配はないのかどうかということについて、私ども大変懸念をするわけでありますが、この法律の改正によって与えるであろう国内外の影響等について、総括的に大臣から御見解をお示しいただきたいと思います。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 わが国は、昨年と一昨年の国内不況によりまして、一次産品諸国に貿易上非常に大きな迷惑をかけたわけでございます。そういうことで、特に非鉄金属四品目につきまして一次産品諸国との間に長期的な安定的取引を確立したいというのが、この法律の第一の目的でございます。  それから第二は、あわせて国内非鉄金属業界の健全な発展を図りたいということでございますが、この備蓄運用につきましては、その法の精神を十分体しまして、慎重に運用してまいりたいと考えております。
  63. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういたしますると、運用については慎重に対応していきたいということでありまするが、この法律の改正に基づいて、国内鉱山安定化対策、いわゆる輸入品に対する備蓄を行うということだけでなく、国内産品に対してもこの備蓄を行う、こういうことにもなろうかと思うのでありまするけれども、この面に対して、一定量というような形の中でこの備蓄の目標が定められていくと思うのでありますが、一体どの程度それを確保しようとせられておるのか、そのことが国内鉱山安定化対策にどういうような役割りを果たすようになるのか、これはエネルギー庁長官でも結構ですから、ひとつお答えいただきたい。
  64. 増田実

    ○増田政府委員 お答え申し上げます。  今回の備蓄制度は、海外の鉱石引き取りの円滑化というものを対象といたしておるわけでございます。そういうことで、買い上げ対象は、国内鉱山の鉱石その他はもちろん入っておらないという制度になっておるわけでございます。ただ、先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、今後の鉱業政策といたしましては、国内鉱山の重要性を十分認識し、また、今回のこの備蓄制度によりまして、私は国内鉱山にも間接的ながらいい影響を与えるものと確信しております。
  65. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういたしますると、国内は対象に入っていない、間接的な好影響を与えることになるということになりますると、どうしても国内鉱山を保護するという立場における対策が必要になってくるのではないかと考えるわけです。国内鉱山を保護する、こういう形で輸入備蓄制度を行うということになりますると、必然的に関税制度が大きな役割りを果たすようになると思うのでありまするが、この関税制度についてはどのような措置を講じようとしておるのか、その点について見解をお示しいただきたいと思います。
  66. 増田実

    ○増田政府委員 関税制度につきましては、先生御承知のとおり、五十一年度に改正が行われまして、従来免税点が四十四万円でありましたものを四十八万円、これはトン当たりでございますが、四十八万円に引き上げたという点がございます。この関税制度につきましては、今後も価格情勢その他に対応いたしまして、十分関税制度が働くように持っていきたい、こういう所存でございます。
  67. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そのような措置を進める中で、この法律がもし成立した——まあ成立することになると思うのでありまするけれども、成立したといたしますると、この運用金属鉱業事業団が行うと思うのであります。理事長さんがおいででありますのでお伺いしておきたいと思うのでありますが、これの運用についてはどのようなお考えで当たられるのか、原則的な立場に立って御見解をお示しいただきたい。
  68. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答え申し上げます。  この法案が通りますと、金属鉱業事業団はその中で資金の調達のことを引き受けることに相なっております。したがいまして、直接的な備蓄の業務は、新たにできまする財団法人が措置することと相なっております。さよう御承知願います。
  69. 佐野進

    ○佐野(進)委員 エネルギー庁長官にお尋ねいたしますが、その財団法人の機関というのは、どういう構想で設置されようとしておるのですか。
  70. 増田実

    ○増田政府委員 今後備蓄を実際に行いますための備蓄機関、これを財団法人として設立する計画になっております。この財団法人が、金属鉱業事業団からの融資を受けまして、実際に備蓄の地金の買い上げ及び放出を行う、こういうことで、現在、財団法人による備蓄運用を図るということで計画しております。
  71. 佐野進

    ○佐野(進)委員 その運用を図っていくということでありまするけれども、この法律が制定され実施され、それらについて金融の面については金属鉱業事業団が当たり、運用の面については新しい財団法人がこれに当たる、こういうような形になっておりますが、これの連絡調整が十分その機能を果たさなければ、この法律が生きた形の中で活用されないと思うのであります。これに対して金属鉱業事業団として要望ないし具体的な見解の表明等が行われたかどうか、この点について事業団理事長からお答えをいただきます。
  72. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、この目的を達するためには関係の者が十分に協力をしてまいらなければなりません。私どもといたしましては、現在備蓄の準備室をつくりまして部内の体制を整え、このためには備蓄関係の課を一つつくりまして、人数も五、六名ふやしていただくようなことでいま準備を進めております。  なお、新しい財団の組織を、資源エネルギー庁が中心となりまして、関係鉱業協会、私どももメンバーの中に入りまして、目下案を極力練っておるところでございます。
  73. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この運用については、ひとつ十分慎重なる配慮に基づいて対処していただきたいと、長官並びに事業団の方に要望をしておきたいと思います。  そこで、大臣に御質問をいたしたいわけでありまするが、この法律案が出された背景の中で、国内的に今日の金属の置かれている状況下において立法措置が必要であるという条件の中で出されておりまするけれども、したがって、参考人もぜひひとつ成立させてもらいたいという要望がありまするが、同時にまた、国際的にこの問題が立法を促しておる、こう言い得る要素もあろうと思うのであります。  たとえばわが国における輸入がきわめて少なくなった。したがって、輸出国である低開発国等々がその輸出先に困る。したがって、それぞれの国におけるところの国内経済に与える影響がきわめて大きいという形の中で強い要請が出され、それらが一つの立法の契機になっているやにわれわれも判断をいたしておるわけでありまするが、この今日の情勢下においてそれらの動きと対応して、それらの国々に対して一定の満足感というか、その希望を入れ得る状態をつくり得るとするならば、政府としては一体との程度の——この備蓄制度活用に対して、今日の状態の中において、その限界といいまするか、たとえば今度三百億というような金額は示されておりまするが、今後これが大きくふくらむのか、あるいは国際的な情勢の中においてはこれらはそう問題にならず、その程度で当面推移することができると判断されておるのか、あるいはこれら国際的な問題に対して政府として基本的にどのように対処されていこうとされるのか、この点について大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  74. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この制度が生まれますまでに、一次産品諸国、特に東南アジアの政府首脳部から何回も強い要請を受けまして、非鉄金属の安定的な取引という強い要望があったわけでございますが、それを受けてこの法律案の作成ということになったわけでございます。  そこで、今後の備蓄の量等の問題でありますが、これはわが国景気の動向によって左右されるわけでございまして、景気が非常に悪くて向こうからの輸入量が激減する、そういう場合には当然備蓄量も多くなりますし、景気がよくなれば逆に備蓄量も少なくて済む、こういうことでございますので、今後のわが国景気動向によって来年度以降の数量等を考えたい、かように考えております。
  75. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間がなくなってまいりますので、質問を終わりに近づけたいと思うわけでありますけれども、今回は四品目ということでございますけれども、景気の動向によってその量は左右されてくる、こういうようないまの大臣の見解がございまするが、そういたしますと、この四品目という品目を決定した現在の情勢、それが将来景気の動勢において、それではこの品目も減るのか、あるいは品目をふやすということが必要になってくるのか、あるいはこの業務というものはそのとき景気情勢の中で常にいま大臣が言われたように伸縮性を持った形の中で対応しておるのか、要すれば時限的な性格も持っているのかどうか、これは今後非常に重要な問題になっておりますので、この点についてその見解をお聞きしておきたいと思います。
  76. 増田実

    ○増田政府委員 今回発足を予定いたしております非鉄金属備蓄制度は四品目が対象になっておるわけでございますが、この四品目について、私どもは、今後ともこの買い上げを行うかどうかは別として、この制度は必要だと思っております。そういう意味で、ただいまの先生のお尋ねに対してお答えいたしますと、この四品目は今後相当期間維持するつもりでございます。  ただ、これ以外の品目につきまして、現在のところは私どもは四品目を対象とすべきだというふうに考えておりますが、情勢の変化によりまして、いまの四品目と同様な事情が生じました場合は追加を検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  77. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それじゃ、最後に大臣に質問をいたします。  冒頭に質問申し上げましたとおり、この法律を制定することについてわれわれは賛成をしておる。それは先ほど言った国際的、国内情勢の中でわが国の置かれておる立場を認識した上でそういう見解を出しておるわけですが、いずれにせよ、この制度が発足するに際していろいろな弊害が起きるであろうと予測されることに対しては、万全なる措置をおとりになっていただかなければならない。一つの制度が出ることによって、現存する制度と申しましょうか、立場にある人たちが被害を受けるということがあってはならない。したがって、いいことはいいことで前進させるが、悪くなることに対してはその歯どめをかけるということについて十分配慮していただきたいと思うわけであります。  特に中小鉱山がどのような影響を受けるかということについては、まだ予測でき得ない状況等もたくさんあるわけでありまするが、こういう面に対して温かい対策を講ぜられるということが必要であろうと思いますので、この際、この法律が成立する際において、これを運用するに対していま私が申し述べたような立場に立っての大臣の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  78. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまいろいろな点で御指摘がございましたが、お示しの点につきましては今後十二分に配慮して運用してまいります。
  79. 佐野進

    ○佐野(進)委員 終わります。
  80. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 午後二時四十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時四十九分開議
  81. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 この五月五日からナイロビにおきましてUNCTADの第四回総会が開催される予定ということを聞いておるわけでございますが、今回の総会におきましては、かねてから懸案になっております一次産品対策につきまして何らかの具体的な方針が決定されるのではないか、このように思うわけでございます。  そこで、まずお聞きしたいのは、この総会の見通しと各国の総会への取り組み方、こういうものにつきまして政府としてはどういう認識をなさっておりますか。
  83. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 来月の初めに事務局間で打ち合わせがございまして、正式の開会は五月五日のようでございますが、ほとんど五月いっぱい、長期にわたって開かれるという国際会議でございますが、政府の方も非常に重大な会議と心得まして、昨日、UNCTAD関係閣僚会議を開きまして、それに対処すべき方針について相談をいたしました。  結論を申し上げますと、一次産品諸国と先進工業国との関係は相互依存の関係にある、だから、この会議を通じてお互いにその相互依存という立場を確認すると同時に、さらにこれまでの関係をひとつ密接にしていこうということだと思うのです。具体的には、それでは一次産品問題をどうするのか、あるいは一次産品諸国の所得を一体今後どうして確保していくのか、こういう問題であるとか、あるいは一次産品諸国の累積債務をどう処理するのか、こういう幾つかの問題があろうかと思いますが、先進工業国での打ち合わせもまだいたしておりませんし、現地に集まりましていろいろ意見調整が行われる、こういうことだと思います。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣がおっしゃいましたように、一次産品対策におきます総合計画、さらに具体策としましての共通基金の設置等が最大の問題点になるのじゃないか、このように思うわけですが、現地に行かれてから先進国同士が打ち合わせをするということでは、私は非常に遅過ぎるように思うのです。わが国としての主体性ある考えは持っておられると思うのですが、その点をもう少し煮詰めてお答えをいただきたい、このように思うわけです。
  85. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 実はアメリカのキッシンジャーが六日に演説をすることになっておりまして、日本の代表は十一日に演説をすることになっておるわけです。アメリカ側の意向も大体のところはわかっておるのですけれども、今度新しく提案しようとする国際資源銀行等の構想等につきまして、まだ中身もはっきりしておりませんし、現地におきまして木村特派大使がキッシンジャーと事前に会いまして十分意見の調整をする、こういうスケジュールのようでございます。  ただ、基本的な方針といたしましては、先進工業国と一次産品諸国は相互依存の関係にある、したがって、この関係をよくしていかなければならぬ、これがあくまで大原則だと思います。それに沿って、いま近江委員がお述べになりましたような諸問題を処理していく、こういう方向だと思います。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の改正案によります備蓄制度というものは、輸入安定化のための緩衝在庫をねらったわが国独自のものと思うわけですが、現状におきましてはそうした意義を認めるということについてはやぶさかではありませんけれども、将来、UNCTADの場で共通基金制度等が具体化された場合、わが国が相当の負担を負うことも当然考えられるわけであります。そうなってまいりますと、国内での独自の制度との二重構造ということが問題になってくるのじゃないか、このように思うわけですが、この点につきましては、政府としてはどういう見解を持っておられますか。
  87. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたUNCTAD事務局が出しております総合プログラムの中の共通基金、これは対象十品目を考えまして、それに対する国際バッファーストック、いわゆる緩衝在庫の融資のための財源にしょう、こういうように考えておるようであります。バッファーストックの趣旨とするところは、需給の混乱を排除いたしまして一次産品輸出価格を安定させようというところにねらいがある。  今回お願いいたしておりますわが国における備蓄制度につきましても、やはり景気のいかんにかかわらず安定的な輸入水準というものを維持いたしまして、その限りにおいて価格も安定させるというような趣旨でございますので、コモンファンドが仮に将来できるにいたしましても、必ずしも自主的にそごを来すものではないと考えておりますし、かたがた、先進諸国では個別品目の検討をする前に共通基金を設定することについていろいろと意見も持っておるようでございます。そういったことからいたしまして、今回の総会の結果を見守らなくてはいけないかと思いますが、いずれにいたしましてもそごを来すものではないと考えております。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 その辺はよく検討されて、ばたばたしないように十分勉強しておいてもらいたい、このように思うわけです。  それから、今回はいわゆる法人がこの備蓄業務をするということになっておるわけでございますが、事業団が直接業務としてなぜやらなかったかという問題があるわけです。この点については、なぜこういう形をとったのですか。
  89. 増田実

    ○増田政府委員 今回の備蓄業務でございますが、これを金属鉱業事業団が直接やる方法と、それから今回私どもが計画しているように、金属鉱業事業団から融資を受けた備蓄機関がやるという方法と、二つあるわけでございます。  それで、ただいまのお尋ねは、金属鉱業事業団みずからやるべきじゃないかという御趣旨と思いますが、金属鉱業事業団の業務の内容といたしましては、一つは、国内鉱山及び海外鉱山探鉱促進事業、それから第二番目は、鉱害防止に関します融資、その他鉱害防止に関する業務、この二本が金属鉱業事業団の業務になっております。これに加えまして、今回の備蓄制度というものを加えるのが事業団の性格としてどうかという問題もございまして、ただ、今回の制度は事業団を通じまして全部融資をいたすわけでございますので、実質的には、事業団融資先であります備蓄機関というものが事業団融資条件を受けてこれを実施するということでございますから、いわば金属鉱業事業団の別働隊という形になるということで、今回のような形を考えたわけでございます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点は、別法人ということでございますけれども、その趣旨を履行できるように、ひとつまたよく監督、指導をしていただきたい、こう思います。  それから、わが国国内鉱山昭和四十九年度の生産量は、銅が八万四千八百トンと聞いておるわけであります。鉛が五万一千四百トン、亜鉛が二十五万四千七百トンということを聞いておるわけでございますが、今日におきましてはいずれも海外依存度の方が非常に高くなっておるわけであります。しかし、国内鉱山というものは最も安定した供給源となっておりますし、しかも、海外から開発輸入する場合等におきましても、不可欠な技術と人材を育成する場としても重要な役割りを果たしておるわけであります。ところが、こうした国内鉱山も、最近の不況あるいはインフレ等の影響を受けまして、特に中小鉱山におきましては極端に苦しい経営状態が続いておるわけでございます。  そこで、この中小鉱山の経営に苦しんでおるそういう実態というものを政府がどれだけ認識しておるかということが問題であります。どうしてもあなた方の考え方は大鉱山に向いておるということはいつも指摘されておるわけでございますが、その点、現況についてどういう認識をしておるか、また、その対策についてお伺いしたいと思うわけであります。
  91. 増田実

    ○増田政府委員 国内鉱山の重要性につきましては、ただいま近江先生がおっしゃられました理由、そのとおりでございまして、私どもも国内鉱山というものを維持発展させる必要があると思っております。ただ、従来の経緯を見ますと、従来は国内鉱山鉱石が過半数を占めて製練が成り立っておったわけでございますが、日本の高度成長に伴い非鉄金属の製品の需要がふえるに伴いまして、国内鉱山のシェアというものは非常に減ってきておる。しかも、その価格条件その他でこれが非常に苦境にあるという状況でございます。  ただ、いま先生からも御指摘がありましたような立場から、今後、国内鉱山についてはこれを維持していくことが鉱山政策の一つの重要な柱である、こういうふうに考えております。こういう立場から、すでに国内鉱山につきましては、金属鉱業事業団を通じまして、いわゆる三段階方式ということで計画的、組織的な探鉱を行っております。これによりまして優良な鉱床を発見し、それがリプレースされて、国内鉱山の寿命の維持というものが行われておるわけでございます。また、これ以外にも、国内鉱山の維持その他の維持発展のために関税制度あるいは税制についても各種の措置を行っておるということでございます。  以上のようなことから、国内鉱山につきましては、私どもとしては今後もこれの維持発展に努めていきたいというふうに考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 国内鉱山と言いましても、いわゆる大企業と中小鉱山があるわけですね。私は特に中小鉱山に焦点を当ててお聞きしておるわけです。また、今回のこの備蓄制度の創設というものが特に海外開発鉱山を持つ大手業者に有利となって、国内中小鉱山がますます苦しい立場に置かれるというようなことになりますと、これはもう趣旨とは全然違うわけでございますので、今後中小の国内鉱山育成ということに特に皆さん方の頭を置いてもらわないと困るわけでございます。  そこで、この中小の国内鉱山育成方針というものをあなた方はどのように考えておるか、これについてお伺いしたいと思います。
  93. 増田実

    ○増田政府委員 国内鉱山、特に中小鉱山につきましての政策についての御質問でございますが、中小鉱山は現在非常に苦境にあるということは先ほど申し上げましたとおりでございますが、たとえば先ほど申し上げました三段階方式の探鉱に関する国の援助というものは、中小鉱山につきましては新鉱床探査補助金という形で、大企業の鉱山融資制度でやっておりますが、中小鉱山につきましては特に厚く補助金制度でやっておるということで、若干の差を設けておるわけでございます。  また、これは国内中小鉱山だけに限るわけではございませんが、スライド関税が働いています期間につきましては、国内鉱山からの鉱石買い上げにつきましてはそれに対しての補給金と申しますか、交付金というものの制度を設けまして、国内鉱山コストの高いものを保証しておるという制度を行っております。これは五十年度に比較いたしまして、五十一年度はトン当たり増額をいたしております。これらの種々の細かい施策を行っておりまして、中小鉱山苦境に対しましてできるだけの施策を行うという方針でやっております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 ともすればそういうように苦境を訴えられて、それから対策を考える。政府みずからがそうした問題点を吸い上げ、対策を打っていくという先手の姿勢というものが足らないように思うわけです。そういう点で、特にこの中小鉱山につきましてはサーチライトをよく当てて、いまの制度が必ずしもいいとは限らぬわけでありますから、もっと充実したきめ細かな育成対策というものについて十分ひとつ考えていただきたい、このように思います。  それから、昨年わが国としましては銅地金の特認輸出を認めたわけですが、それが国際価格暴落のきっかけになったということで、発展途上諸国から批判があったということを聞いておるわけです。これは在庫が増大したとかいろいろあったと思うのでありますが、国際価格影響を及ぼして批判を受けるというようなことは、これはやはり外交政策上からいきましても十分ひとつ影響というものを考えつつやっていかなければならないことではないか、このように思うのですが、いわゆる開発諸国のそうした批判というものについては政府としてはどういうように受けとめて、どういう措置をとられたか、お伺いしたいと思います。
  95. 増田実

    ○増田政府委員 銅に関しましての対開発諸国に関しましていかなる措置をとったかということにつきまして、まず、いま先生から御指摘のありました銅地金の輸出問題に関する取り扱いの経緯を簡単に申し上げますが、国内需給状況が非常に悪くなりまして、そういうことから従来輸出は原則的には許可しておらなかったものを、四十九年二月、これは石油危機の翌年の二月になりますが、輸出を承認する、これによって国内に異常にふえました在庫を処理させるということを行ったわけでございます。その結果、銅について申しますど、従来の輸出はこれは非常に例外的な輸出でございまして、四十七年度、四十八年度大体三万トン前後であったものが、四十九年度においては二月からの輸出が十一月まで約二十七万トンに達したということでございます。これは先ほど申し上げましたように、国内過剰在庫というものを国外で売って処理するということで行ったわけでございます。  ところが、この輸出によりまして世界の銅の価格が下がったということを、これは開発途上国と申しますか、低開発国で銅を産出している国のみならず、銅の消費国その他からも文句が来たわけでございます。ただ、これにつきまして私どもは、日本輸出だけで銅の価格が動くわけでもございませんし、また、銅の国際的な需給状況というものが反映されて価格に出てきております。そういう意味で、日本国際価格を下げる元凶であったということにつきましては、その非難は当たらないという主張をし続けたわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても日本から相当な量が出ているということにつきましては、これをとめるというのが国際協調の立場からとるべき措置だということで、四十九年の十一月に輸出を再び停止いたしたわけでございます。  この間、銅の輸出機構でありますCIPECの事務局長も来日いたしまして、私もいろいろその事務局長と話し合いをいたしました。先方の要望も入れましてこの輸出停止を行ったわけでございます。ただ、先ほど言いましたように、日本輸出が銅の価格の下がる原因でなかったことは、これは輸出停止をいたしましても依然として下がり気味であったことが証明しております。  それから、もう一つは銅の産出開発途上国との対策でございますが、鉱石の長期契約に基づく引き取りというものをカットせざるを得なかったわけでございます。しかしながら、開発途上銅産出国に対しましてはそれぞれに人を派遣し、また十分話し合いを行って、日本の窮状を説明した上でカットを行ったということでございます。ただ、これにつきましても、いまの銅産出国がそれによって非常に大きな影響を受けたわけでございますので、今回の非鉄金属備蓄制度は、これに対する対応策ということで設立をいたしたいということでお願いをしている次第でございます。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 この備蓄制度の資金規模は大体三百億ということを聞いておるわけですが、この制度の中身あるいはこうした資金規模等もやはり将来拡充していかなければならぬのじゃないか、このように思うわけです。先ほどおっしゃったような開発国とのそうした摩擦の関係等もありまして、今後、この外交関係のいわゆる円滑化を期さなければなりませんし、また、この制度自体さらに拡充していく必要があるのじゃないかと思うわけですが、この点についてはいかがですか。
  97. 増田実

    ○増田政府委員 今度新しく発足を予定されております非鉄金属備蓄制度は、総金額三百億円でございます。これにつきましては、今後の経済状況いかんによりますが、いまのような状況に近いものが続くということであれば、備蓄の資金というものは相当ふやさなければならないと思っておりますが、これにつきましては、今後の非鉄金属の国際的な需給事情、国際価格の動き、その他を見ながら今後の予算規模を検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 この非鉄金属につきましては海外依存度というものがわが国は非常に高いわけですが、今回のこの備蓄制度で四鉱種、銅、鉛、亜鉛、アルミニウムに限定しておられるわけでございます。これは消費量の面と資源輸出国の経済に占める影響度からそういうふうにされたのじゃないかと思われるわけでございますが、他の鉱種につきましても非常に海外依存度の高いものもあるわけでありまして、今後他の鉱種についてはどういう考え方をしておられるか、あるいはまた、こうした緩衝在庫だけにとどまらず、ストックパイル的な考え方も導入していく必要があるのじゃないかと思うわけですが、この点についてはどのようにお考えですか。
  99. 増田実

    ○増田政府委員 今回発足を予定いたしております非鉄金属備蓄の対象品目は四品目でございますが、これ以外の非鉄金属、たとえばニッケル、コバルト、マンガンその他、これらにつきましても、備蓄問題懇談会その他の委員会で専門家の御意見を聞きながら検討いたしたわけでございますが、さしあたり発足を要する、つまり緊急を要するのはこの四品目だということでございます。  ただ、今後この四品目以外の品目につきまして、もし同様な必要が生じた場合はこれを追加いたしたいというのが私どもの考えでございます。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国非鉄金属の在庫及びこの需給の最近の状況、また今後の見通しにつきまして、どういう考えを持っておられるか、簡潔にひとつポイントをお伺いしたいと思います。
  101. 増田実

    ○増田政府委員 それでは、ただいまお尋ねのありました非鉄金属需給状況及び在庫状況について簡単に御説明申し上げます。  非鉄金属需給状況が非常に悪化いたしましたのは四十九年度でございますので、四十九年度が四十八年度に対してどれくらい需要が落ちたかということをパーセンテージで申し上げますと、銅は三五%、鉛は二八%、亜鉛は二六%、アルミが三四%、それぞれ前年、四十八年度の需要に対しまして落ちたわけでございまして、三〇%以上が銅、アルミ、それから二五%以上が鉛、亜鉛、こういう状況になっております。  これが四十九年度から五十年度にどれくらい変わったかということでございますが、五十年度もほぼ横ばいの状況でございます。これは三月末の統計が全部まだ出切っておりませんが、一応推定数値を含めまして申し上げますと、四十九年から五十年はほぼ横ばいでございまして、銅につきましては六・四%、ほんのわずかの増しでございます。鉛は五%増し、亜鉛はむしろマイナス〇・六%、それからアルミにつきましては一六・七%アップになっておりますが、これはむしろ五十年の下期になりまして非常に需給状況が悪化いたしておるわけでございます。  そういうような需給状況でございまして、五十一年度は景気の若干の回復に伴いましてこれが向上する、つまりもう少し内需がふえるものと期待いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、三〇%前後四十九年度に落ち込みましたのか五十年度に継続いたして、二年間継続いたしておるというのが状況でございます。  次に、在庫について簡単に申し上げますと、五十一年三月末、つまり五十年度末の在庫でございますが、生産者、それから需要者、流通の三つの在庫を申しますと、銅が二十九万トン、鉛が約三万トン、亜鉛が二十七万トン、アルミが四十三万トン、大体以上でございまして、これは従来の在庫量に比べてそれぞれ三倍ないし四倍、鉛はそれほどではございませんが、三倍ないし四倍という状況になっております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 具体的にこの備蓄法人が活動する場合に、この買い上げ及び放出の時期、並びにその場合の基準というものはどのようにお考えになっているか、また、具体的に発動する時期の見通しと、具体的な仕組みというものについて御説明をいただきたいと思います。
  103. 増田実

    ○増田政府委員 備蓄につきましての買い入れの時期及び放出の時期につきましては、一定の客観的な基準を設けようということで、基準につきましては二つの基準を設ける。一つは、生産者在庫がどのくらいになっているかということで、現在は生産者在庫が三カ月間、通常在庫の五割以上を超えたという場合を一応発動の時期にするということの案を検討しておりますが、これについてはもう少し詰めたいと思っております。それからもう一つは、国際的に一応コストの計算がなされておりますので、それを基準にいたしまして、それに比較してある一定水準以下というときに発動をするということで、価格要素と在庫要素を設ける。放出につきましても同様に、在庫と、それから価格につきましていま言いましたような基準を設けまして、そして発動の客観的な基準を設けて、そのときに初めて買い取りないし放出を始めるという形でやっていきたいと思っております。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから終わりたいと思いますが、最後に、大臣と理事長に特に要望し、また、お答えいただきた…のは、先ほどから何回も申し上げておりますが、鉱山の中にも大手と中小があるわけです。そういうことで、今後この備蓄業務の実施に当たりましては特に公正を期さなければならぬ、このように思います。そういうことで、特に中小の点については十分な配慮をして公正な運用を期していただきたい、これを特に要望し、大臣と理事長の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。まず大臣から……。
  105. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 十分配慮いたします。
  106. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答えいたします。  ただいま近江先生の御趣旨の点、重々心にとどめまして、必ずや効果のある成績を上げるように努力いたします。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  108. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 玉置一徳君。
  109. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣にお伺いしたいと思います。昨日当局からお伺いしたのでありますが、大臣の決意をこの際承っておきたい、こう思うのです。  一つは、きのうの表現をそのままいたしますと、昔は自分の国で掘っておりました鉱石を自分の国の優秀な技術で製錬をして需要を賄っておったわけでありますが、それがだんだんと拡大されて、海外に頼らざるを得なくなってきて、その数量も銅で九三%、あるいは鉛、亜鉛等々も七十数%を占める形になってきたわけであります。御承知のように、昨今の経済の停滞で一息はついておるわけですが、なお今後景気の回復を見ますと、それに伴うてわが国需要も多くなり、海外依存が目に見えてくるわけでありますが、さりとてわが国におきます国内産の鉱山の、したがってそこにおきます企業とそれに従事する人々というもの、これも貴重な存在でございますが、今後とも国内鉱山についてどのような位置づけをされますか、と同時に、それの従業員対策ということにどのような配慮をなされるか、この際、お伺いをしておきたいと思います。
  110. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今回お願いをいたしております法律の趣旨は、一つは、東南アジアを中心とする一次産品諸国との間に安定的な取引関係というものを確立していきたい、昨年、一昨年は大変先方の国々に迷惑をかけましたので、そういうことのないように安定した長期の取引というものの確立を望みたい、あわせて国内非鉄金属産業の健全な育成を図っていく、こういう二つの趣旨からお願いをしておるわけでございますが、その法律をお願いいたしております趣旨を体しまして、今後とも国内鉱山対策というものを進めていきたいと思います。
  111. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、拡大する海外需要、しかも公害問題等々諸般の事情で、それがやがて海外に製錬所等も配置せざるを得なくなるような形もあり得ると思うのです。しかしながら、これも現在の国内の製錬所を全部移すというのじゃなしに、これから年々拡大していく需要の分を、適当な立地条件に合うところがあればと、こういう程度でないかということが現実的には考えられるわけです。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  そこで、きのうもお伺いしておったのですが、わが国の製錬所というものは世界に有数なものである、こういうお話でございますけれども、さらに今後とも技術の革新とコストダウンのための新たな技術開発ということにひとつ思い切った姿勢を出していかなければ、残り得るあれがないのじゃないだろうか。つまり、各国の鉱石を持ってまいりまして、一大製錬所でこれを処理していくわけですが、承りますと、そうたくさんな技術の革新というものもあり得ないような感じを受けるわけですが、ことに電力料金との問題も絡み合いまして、そのコストダウンのためにも、将来の安定した企業の経営確保のためにも、さらに優秀な技術開発に努めなければならないわけでありますが、現在はどのような状況にあって、それが将来どのような芽を吹き出そうとしておるのか、まず松村鉱業課長から説明をしていただいて、大臣のそれに対する決意のほどをしかと承っておきたい、こう思うのです。
  112. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  いま先生から御指摘がございましたように、金属鉱業におきましては技術開発は非常に不可欠のものでございますが、昨日、金属鉱業事業団理事長から製錬関係における技術開発について御説明をいたしましたので、ここで私の方から御説明いたしますのは、それ以外のむしろ採掘関係についての説明をさせていただきたいと思います。  現在、金属鉱業事業団におきましては、金属資源探査技術開発、調査ということに重点を置きまして、二つの項目につきまして探査、開発技術開発をいたしているわけでございます。  第一は、五十年度から始めております新探査技術の導入、開発でございますが、これはいわゆる空中電磁法と申しまして、飛行機を飛ばしまして空中から地面の下の鉱床の賦存について探鉱をする。これはカナダのように非常に雪の深い地域において発達した方法でございまして、日本でも黒鉱等が埋蔵しております東北地域等につきましては、直接の地表調査等が困難でございますので、こういった空中からの探査技術というものに力を入れているわけでございます。  また、第二番目は、本年度から開始する予定でございます遠隔探知情報の解析技術開発でございますが、これも金属鉱業事業団が中心となっていたす予定になっております技術開発でございまして、簡単に申しますと、たとえば資源衛星といったような非常に長距離からの情報というものを利用いたしまして、それによって探査のための情報解析に役立てる、こういう技術でございます。  この二つはいずれも探査に関する技術開発でございまして、現在の金属鉱業の企業力をもっていたしましてはなかなかこの開発が容易でないといったようなものについて、金属鉱業事業団が中心となってこれを開発していく予定になっているわけでございます。  いま一つ申し上げたいのは、これはいろんな考え方があるわけでございますが、今後採掘に伴う人件費の増大といったようなこともございますので、いわゆるインプレースリーチングといいまして、地面の下にある鉱物をそのままで採取する、こういった技術、これは酸を使いますとかあるいはバクテリアを使うことによって可能であろうかというようないろいろな議論がなされているわけでございますが、こういった先端的な採掘技術につきましても今後検討を進めまして、何らかの形でその実現を行政的にも推進していきたい、こういうふうに考えております。
  113. 玉置一徳

    ○玉置委員 時間の関係もありますので、大臣の答弁は省いていただきまして、次の質問に移りたいと思います。  それにいたしましても、私は海外資源に頼る部分はパーセンテージをふやしていくことも否めない事実だと思います。そこで、いつも私が申しておりますように、いま不況で、一次産品の諸国がその鉱山の採掘と輸出に非常に期待を寄せておいでになるときこそ、世界的な買鉱、したがって貯鉱等々の将来の安定帯をつくっていくために、供給の安定、価格の安定、両者あわせましていまが一番国際的な活動の値打ちがあるときじゃないか、こういう感じがしてならないのであります。したがって、こういうことにつきまして、今度の場合も、一つは企業が収拾つかないようになるのを救済することと、あわせて国策としてのそういう将来の供給の安定を確保するための施策の一助に今回の法案提出されたのだと思いますけれども、さらにこういう問題について積極的に手を差し伸べておいきになるお考えがあるかどうか、その点について大臣のお答えをいただきたいと思います。
  114. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今度の法律の目的は、先ほども申し述べましたように、一次産品諸国との安定的な長期にわたる契約確立していきたいというところに最大のねらいがあるわけでございますから、今後ともその考えの上に立ってこの政策を進めていくつもりでございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕  先ほど海外における製錬というお話がございましたが、特にアルミのごときは今後十カ年間にほぼ百八十万トン程度の新しい需要が見込まれるわけでありますけれども、少なくともその三分の二以上は海外の立地ということを考えないと確保できないという事情もございますので、海外における開発活動については、さらに積極的に、こういうときにこそいろいろ配慮していかなければならぬと思います。
  115. 玉置一徳

    ○玉置委員 時間もありませんからかためて質問をいたしますので、簡明に、しかもわかりやすく御答弁いただければありがたい、こう思います。  三木内閣ができましてから、ロッキード問題も出ましたけれども、それまでは政治姿勢の問題が、経済においても独禁法等の問題が主として躍り出ておりましたが、わが国の一番大事な食糧の将来の安定と、資源エネルギーの低廉にしてしかも必要なだけの安定的供給というものを、資源ナショナリズムの横溢する中でどのようにしていくかということが非常に大切な国の根本的施策だ、こう思います。このことを通産大臣が所管しておいでになるわけであります。  たとえば電力にいたしましても、いまのように油の生だきをしておれば、油代の値上がりごとに高くなるのはあたりまえであります。原子力そのもののアレルギーのあることもわかっておりますけれども、少なくとも革新陣営であるとかあるいは文明に挑戦をするような国民であれば、さらにこれに向かって推進しなければならない、こう思うのです。こういう意味でい原子力を含め、エネルギーの思い切った低廉な安定的供給確保を図らなければ、加工貿易で成り立っていくわが日本経済としては将来に大きな禍根を残すと思います。石油の精製業者の構造的な体質の強化というようなこともこの一環として、予算に百億円を計上されたことも同じでありますが、その行方もいま定かではないというのが現状であります。  だから、こういう問題につきまして、一つは資源エネルギーの安定的供給確保のために大臣はどのような方針をお持ちになっておるか、そして、今後それをどのように推進されようと思っておるか、それから、先ほど言いました原子力を含め、エネルギーの問題につきまして、石油の精製業の体質強化のためにどのような施策を講じようとしておいでになるか、これらの諸点について御答弁をいただきたいと思います。
  116. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 わが国産業政策の最大の柱は、資源のない、またエネルギーのない日本といたしまして、エネルギーと資源をいかに安く、しかも長期に安定的に確保していくかということが最大の課題でございます。特にエネルギーの安定的確保ということは、その中でも一番大事な課題だと思います。  そこで、いま政府が考えております一つの方法は、日本は全エネルギーの約八割を石油に依存しておりますので、その石油に対する依存率というものをできるだけ下げていくということでございます。しかし、これはあらゆる努力を払いましてもそう下がりません。現在は八割でございますが、それを全エネルギーの三分の二見当まで下げるということが精いっぱいでないかと思います。  そこで、他のエネルギー、たとえば原子力であるとか、LNGであるとか、地熱発電であるとか、一連のサンシャイン計画であるとか、こういう開発に力を入れますと同時に、依然として全エネルギーの三分の二を占めます石油の安定確保を図りますために輸入ソースを多角化していくということ、中東に偏っておりました輸入ソースをできるだけ広く分散をするということ、それから同時に、開発事業を進めるということ。それから、もう一つここで非常に大事なことは備蓄問題だと思うのです。  昭和四十八年の秋のあのショックのときも、わが国がもう少し備蓄を持っておりましたならばあれだけの混乱は起こらなかったわけでございますが、エネルギー政策におきましては石油の備蓄ということが非常に大事でございますし、それから、いまお示しになりました石油企業の構造的な強化ということももちろん大切でございますが、これはいま作業をしておりまして、多分この秋までには大体の方向が決まるものと思っております。  今回お願いをいたしております法律も、当初に申し上げましたように、一次産品諸国との安定的な長期の取引を図るために備蓄制度強化していこう、活用していこう、こういうことでございますが、一連のエネルギー、それから非鉄金属、食糧その他、資源のない日本といたしましては備蓄政策ということが非常に大きな課題である、こういうふうに考えております。
  117. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、もう一点だけ質問しまして終わりたいと思います。  一つは、石油備蓄は意図しながら、意図のごとく動いておるのかどうか、つまり、うまく進んでおるのかどうかということを一点お伺いしたいし、それについてどのようなお考えを持っておいでになるか。  二番目は、日韓大陸だなの問題は外交案件でもありますけれども、純経済的に考えて、通産大臣のベースとして見れば、法案がぶら下がっておることは事実でありますが、これの緊急性をどのようにお考えになっておるか、この二点をお伺いしまして、委員会の議事の運営に協力したい、こう思います。
  118. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石油の備蓄制度につきましては、昨年の秋の臨時国会で法律を通していただきまして、二、三日前にその法律を施行したばかりでございます。むずかしい課題がたくさんございますけれども、日本のエネルギー政策の中で最大の課題である、また、エネルギー政策産業政策の中でも最大の課題である、こういうふうに私は理解をいたしておりますので、これは単に通産省だけではなくして、政府を挙げて、全力を挙げてこれに取り組んでいかなければならぬ、こういう強い決意でこれを解決していく所存でございます。  それから、第二の日韓大陸だな、これはぜひ推進したいと思います。と申しますのは、海外における石油開発ということももちろん必要でありますけれども、最近は国有化というふうなことが起こってまいりまして、せっかく開発したものもすぐ取り上げられる、そして結局、普通の条件で油を買うのとほとんど変わらぬような条件でその油を買い戻さなければならぬということになりますと、何のために莫大な投資をしたのかという問題も起こってまいりますし、最近の世界情勢から考えまして、日本にとりましてこの開発というものはやはり日本近海にもっと主力を注がなければならぬ。  そういう意味から、韓国との間に締結をいたしております大陸だなの開発は、条約を締結いたしましてからもうすでに二年にもなりますし、韓国の方もじりじりいたしまして、何とか早く日本の方で批准してもらえぬかということをほとんど毎日のようにやかましく言ってきておるわけでございますが、エネルギー資源のない日本といたしましては、埋蔵量の可能性の非常に大きい大陸だなの開発というものを一刻も早く手がけたいと強く期待いたしておるところでございます。
  119. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  120. 稻村佐近四郎

  121. 板川正吾

    ○板川委員 私の時間は三十分ですから、その間五つほど質問申し上げたいと思います。簡潔にひとつ御答弁願いたいと思います。  本法の目的は、金属鉱物の輸入安定化を図るということは再三お話しのとおりであります。金属資源ばかりじゃありませんが、この大部分を海外に依存せざるを得ないわが国として、輸入安定化を図ることは確かに重要であることは言うまでもありません。しかし、海外輸入にはどんな安定化対策をとっても、石油危機に示されましたように、供給価格生産が国際情勢によって左右される不安定さが残るわけであります。供給安定化を図るのには、国内資源開発維持こそ最大の安定供給であろうと、こう私は思います。国内鉱業の維持というものについて、政府の見解を伺っておきたいと思います。
  122. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 仰せのとおりでございまして、国内における資源開発ということは非常に大きな課題でございまして、金属鉱業事業団におきましても、いまお示しの仕事を第一の仕事といたしておるわけでございます。
  123. 板川正吾

    ○板川委員 国内鉱山の推移を見ますと、昭和四十五年に二百四十六社、関係従業員が三万四千人であったものが、五年後の昭和五十年の四月現在で、企業数にして百六社、関係従業員が一万九千人と半減しておるわけであります。もしこの情勢が推移されるならば、五年後には国内鉱山というのは全く壊滅をしてしまうおそれがあると、こう思います。輸入安定化対策も重要でありますが、政府国内鉱山維持のためにいかなる対策を今後とろうとしているのか、その心構えを伺っておきたいと思います。
  124. 増田実

    ○増田政府委員 国内鉱山の維持につきましては、通産省の重要施策の一環として行っておるわけでございまして、具体的に申しますと、現在あります国内鉱山探鉱をさらに進めまして、新しい有望な鉱床の発見に努めさせるということで、このためのいわゆる三段階方式、広域地質構造調査、精密地質構造調査を経まして、新鉱床探査の補助金を与えるということで、新しい鉱脈の発見に努めておるわけでございます。  また、外国の安い地金が入るということにつきましては、これに対しまして関税制度をしいておるわけでございまして、五十一年度におきまして従来の免税点をさらに引き上げるということで、これも国内鉱山対策でございます。  それ以外にも、減耗控助制度その他各種の制度を行っておるわけでございますが、要は、先生のおっしゃられますように、国内鉱山というものが日本非鉄金属鉱業の一つの重要な原料の地位を占めておるという立場から、国内鉱山の維持発展に努めていくというのが基本的な考え方でございます。
  125. 板川正吾

    ○板川委員 国内鉱山保護のために、現在スライド関税制がとられております。しかし、その関税免税点というのが従来非常に低く抑えられてきましたために、国内企業は国内鉱山をつぶして海外鉱に依存するようになってきたことが、企業数、従業員数が激減してきた要因であろうと、こう思います。国内鉱山の今日の生産規模を少なくとも最小限維持するためには、私は、いまエネルギー庁長官が言ったようなこそくな手段ではもう維持できないのじゃないかという感じがいたします。  そこで、伺いたいのでありますが、昭和三十八年から四十三年三月まで金属鉱業等安定臨時措置法という法律がございました。これは貿易自由化の対策として一定期間内国内鉱山を保護しようとした法律であって、内容は鉱産物の取引に関する業者間の取り決めを可能としたものであります。そして、独占禁止法の適用除外法でもありました。当時は、銅にとってみますと自給率が四二%、これは四十年ですが、三十七、八年ごろですと、銅の場合にちょうど半々じゃないかと思います。半分ぐらい国内鉱で生産され、半分ぐらいが輸入されておった。この半分近い国内鉱山を維持するために、こういう業者間の取り決めで調整することを許された。  現在は、御承知のように、輸入国内自給率の比率は九対一でありまして、はるかに輸入の方が多くなった。ですから、輸入関係の数量、価格を調整するならば、国内現状を維持する、たとえば十万トンの銅の生産を維持するということはわりあいにやりやすい状況ではないのだろうかと思います。かつてあって、いまは廃止された法律でありますが、こういう種類の法律をもう一遍洗い直して、国内鉱山の維持のために新たな対策が必要じゃないだろうか、雇用面からいって、あるいは資源の最小限の安定供給確保する面からいって、私は必要ではないかという感じがいたしますが、これに対して政府はどういうお考えでしょうか。
  126. 増田実

    ○増田政府委員 非鉄金属輸入自由化に対処いたしまして、昭和三十八年に金属鉱業等安定臨時措置法ができました。その内容は、ただいま先生が述べられたとおりのものでございます。これが昭和四十三年に一応期限が参りまして廃止になっておるわけでございます。当時国際価格が非常に高騰するというような事情もありまして、貿易自由化に一応対処し得たという意味で、その役割りを果たしたものとして四十三年三月に廃止されたわけでございます。  ただ、その後、ことに最近の二、三年、非鉄金属業界需給のアンバランスから非常な不況に入っております。これに対する対策を何かしら打たなければならないという状況になっておりまして、今回の備蓄制度海外に対する対応ということでお願いいたしておるわけでございますが、これ以外にも、先ほど申し上げましたように、関税制度につきましては四十二年以降にスライド関税というものが設けられまして、これによって国内鉱山あるいは製錬業者の保護というものが行われる。それから、先ほど言いましたように、金属鉱業事業団を通じます各種の探鉱資金の融資とか、あるいは三段階方式による探鉱促進が行われておるわけでございます。  最近の国内鉱山の非常な苦況に対応いたしまして、先ほど申し上げました非鉄金属関税につきましては、ことに銅につきましては昭和四十九年度までは免税点が三十八万円でありましたのを、五十年には四十四万円に上げ、五十一年度には四十八万円に上げました。銅の関税のこの免税点改正というのは、従来は三年か五年に一回しか行われておりませんでしたものを、五十年、五十一年と引き続いて改定いたしたわけでございます。また、これに伴いまして、先ほども触れましたが、国内鉱山に対します製錬業者からのいわゆる補給金につきましても、五十年度に対しまして五十一年度は相当大幅な増加をいたしております。そういうことで、各種の施策を積み重ねて国内鉱山の維持拡大に努めております。  そういう意味で、ただいま先生の御質問にありました新しい法律、つまり三十八年の法律を復活するのが適当かどうかということについては検討いたしておりますが、いまのような各種の実質の、実のある施策の積み重ねによって国内鉱山の維持発展を図りたいというのが現在の私どもの考え方でございます。
  127. 板川正吾

    ○板川委員 これは事務当局でもいいのですが、五十年で銅の輸入関税の金額は幾らですか。去年でいいです。
  128. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  五十年の銅地金関税の収入額についての御質問でございますが、まだ一月−三月の数字がございませんので、五十年の四月から十二月までの数字で申しますと、おおよそ十億円でございます。
  129. 板川正吾

    ○板川委員 五十年で概算をしますと二十二億五千万円ぐらいの予定だと実は聞いておるわけでありますが、銅地金の関税に対しては関税収入が二十二億もあるだろう。四十七年のを計算してみましたらば、四十七年は三十七億円の関税収入がある。しかし、銅関係の新鉱床補助金などは、四十七年の場合でもわずか五億五千万、五十年の場合でも八億程度でありますね。ですから、関税収入は大変収入があるのに、それに対応する補助制度というのが非常に少ないのじゃないだろうか。多いときも少ないときもありますが、通算をしますと、銅の場合一つとっても余りにも少ないのじゃないか、こう思います。もっともこれは目的税じゃありませんから、関税一般収入になるわけで、一般会計に入るわけですから直接比較するのはどうかと思いますが、いずれにしましても少なくとも関税収入に見合う程度対策資金が出てもいいのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  130. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  銅地金の関税収入が目的税ではございませんので、これをこのまま直接に比較することについての問題はもちろんあるわけでございますが、そのほかに、やはり銅の関税は御承知のとおり有税のときと無税のときとございますので、それに直接これをリンクさせるということは政策として非常に不安定になるというような面もございます。また、実際に政策として支出しております金額は、新鉱床探査補助金のほかにも、金鉱床に対する補助金あるいは三段階方式による予算といったようなものもございますので、直接にこれを結びつけることは若干問題があるのじゃないか、こういうふうに考えます。
  131. 板川正吾

    ○板川委員 直接結びつけるべきものではないことは承知しております。しかし、原油関税を一二%取って、十二分の十を石炭対策に使うということがあるのですから、それは全く前例がないわけじゃない。見合う数字ぐらいは使えるような努力をすべきじゃないか、こう思います。  先へ進みますが、この法律が成立をしますと、備蓄法人ができて、政府保証融資を受けて備蓄業務を行うことになります。備蓄法人の運営、機構、陣容、こういうものについて御説明を願いたいと思います。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
  132. 増田実

    ○増田政府委員 お答え申し上げます。  今後この備蓄を行います主体として考えておりますのは、財団法人を備蓄機関として考えておるわけでございますが、これの組織、運営につきまして簡単に御説明いたしますと、組織といたしましては、これはできるだけ簡素化いたしたいというふうに考えておりますので、実際に実働の職員というものは十人以下、できれば五人前後ということで持っていきたいと思っております。  ただ、ここで意思決定をいたします理事会というものをその上に置くわけでございますが、これにつきましては、備蓄制度が公正妥当に運営されますように、できれば半分以上の方々はいわゆる中立の方々を置くということで考えております。また、評議委員会というものを置きまして、その意見を十分取り入れるという形で持っていくという考えでございます。  それで、備蓄法人につきましての業務内容は、金属鉱業事業団から備蓄用の資金の借り入れをいたしまして、それを用いまして備蓄地金の買い入れ、それから放出というものを行う。それ以外に、備蓄対象の鉱種、つまり四品目につきましての需給価格関係の調査をさせる、こういうことで運営させていきたいというふうに考えております。
  133. 板川正吾

    ○板川委員 この理事会の人選——名前ではないのですが、たとえば理事を十名なら十名として、どういう比率で理事会のメンバーというのは予定されておるのですか。評議委員会等についてももう少し説明してみてください。
  134. 増田実

    ○増田政府委員 私どもの方で、まだ内部で検討中でございますが、理事といたしましては大体十人内外というふうに考えておりますが、そのうちの半数はいわゆる中立の方にお願いをいたしたいというふうに考えております。また、理事長はやはり中立な方を置くということで、現在いろいろな人選を進めておる段階でございます。  それから、先ほど申し上げました評議委員会というものを置くことを考えておりますが、評議委員会は大体十五人内外ということで現在案を立てておる次第でございます。
  135. 板川正吾

    ○板川委員 理事の中には業者の代表も若干入るだろうと思うのですが、労働者の代表、働く者の代表というのは入りませんか。
  136. 増田実

    ○増田政府委員 この備蓄制度につきましては、これは先ほども申し上げましたようにその運営が公正妥当でなければなりませんので、利害関係者が直ちに自分の利害で主張するのは不適当だと思います。ただ、日本鉱業協会会長という立場で、これはどこかの会社の社長になるわけですが、会長という立場で入っていただくとか、あるいは従来非鉄金属業界の経営に携わっていたけれども現在は引退して、そしていろいろ公平な意見を出してくれるということで、私ども考えておりますのは会社代表ということは避けたいというふうに考えております。
  137. 板川正吾

    ○板川委員 実は、私どもはこの備蓄法人の運営に重大な関心を持っておるのです。幾らで買いに出動して幾らで売りに回るか、その決定いかんでは海外鉱の方が有利で国内鉱山が不利になるという場合もあり得るわけであります。それで、従来も国内鉱山が不利になってつぶされてきておるわけでありますが、今後も同じような形で運営されたということになりますと、閉山して一番犠牲を受けるのは労働者であります。そこで働く人であります。金があれば他に転業もできますが、労働者はなかなかそうはいかない。ですから、労働者の代表がこの運営に重大な関心を持っているというのは私は当然だと思うのです。備蓄法人の運用については、そこで働く労働者の——先ほど長官は、かつての経営者であるとか、あるいは現在は社長で会長という役職にある者とかということであれば、それに見合う労働者の代表を最低一人は入れて、その意見を聞いて公正な、あるいは国内鉱山の維持、労働者の職場の維持、雇用の安定という面からも配慮できるような構成にすべきじゃないか、こう私は思います。御承知のように、西ドイツでは労働者が経営に参加しておるという制度もあるくらいであって、わが国でもこういうようなところに労働者が参加しても決しておかしくないというふうに感じますので、この点について私は強く要望しておきたい、こう思います。  次に伺いますが、石炭労働者には御承知のように年金加給制度がございます。石炭鉱業年金基金法という法律がございまして、石炭関係で働く労働者に対して厚生年金の上に上積みされた制度が現にございます。これは、鉱山で働く人たちは作業環境が悪い、同じような厚生年金ではどうしても作業環境が悪くて寿命が短かったりする関係もあって、厚生年金に対する上乗せ制度というのができたと思うのです。一般の厚生年金では六十歳以上でなければ受給資格がありませんが、石炭労働者の場合には五十五歳から受給できる制度になっておるわけであります。私は、坑内で働く石炭労働者と、鉱山で働く坑内労働者、これは作業環境というのは同じだろうと思うのです。ですから、私ども社会党が御承知のように七十五国会で、この鉱山労働者にも石炭鉱業年金基金法と同じような扱いをしてほしいという法案を出して、いま継続審議になっているわけでありますが、これは私は、同じ通産省の管轄のもとで石炭の場合と差別があってはやはりまずいのじゃないだろうか、金属鉱山労働者にも坑内労働者には同じような措置がとらるべきじゃないか、こう思いますが、大臣ひとつこれに対する所見を伺いたいと思います。
  138. 増田実

    ○増田政府委員 この年金制度につきましては、これは前から問題になっておるわけでございまして、同じ地下で働かれる方々にとって、石炭の方につきましては石炭鉱業年金制度がございます。これにつきましては事業主が全額負担でございまして、その負担につきましては、これまた石炭鉱業安定補給金から供給されておるということで、制度化されておるわけでございます。これに対しまして、同じように地下で働かれる鉱山労働者につきまして、いまのような年金制度がないということについて、非常にそこのところにアンバランスでないかという議論が前々からございまして、私どもの方もこの厚生年金制度に加えてそういう年金制度が何とかしてできないかということでいろいろ検討いたしておりますが、問題は財源問題をいかにするかということで現在まで難航いたしておるというのが現状でございます。
  139. 板川正吾

    ○板川委員 財源がないというのもおかしいと思うので、これは財源をつくってやるべきだと私ども思うのです。財源がないから何もしないというのじゃ何にもならないので、政策になりません。だから、それは何らかの方法で財源をつくり出してやるべきだ。一銭も持たないでやれと言っているわけじゃない。その答弁はないよ。それはもっと慎重に誠意ある答弁をしなければだめだ。
  140. 増田実

    ○増田政府委員 どうもただいま私の言葉が足りなくておしかりを受けましたですが、ただいま申しました財源という問題は、石炭鉱業年金につきましては、これは全額事業主負担になっております。ただ、事業主もほとんどこれを負担し切れない、それに対しまして石炭石油特別会計の石炭鉱業安定補助金からその分が補給されている。ところが、鉱山の方にはそういう制度がないところに問題点がございますということで、これにつきまして、先ほど御答弁申し上げましたように、私どもも何らかの打開をすべきだということで努力いたしておるわけでございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 板川正吾

    ○板川委員 だから、石炭より労働者の人数が少ないし、財源もそう多くないし、石炭だって石油関税の特別会計をつくって石油関税からやられておるわけであります。ですから、この輸入鉱石なりそういうものに関税をかけて取るという方法だって、私は石油と石炭の関係と同じようにあり得ると思うのです。検討を願いたいと思います。  あと二分しかありませんから、最後に伺いますが、現行の鉱業法による鉱業権の問題は、御承知のように先願主義をとっているわけであります。この先願主義の欠陥というのは、やる気がないのに、あるいは資力もないのに出願してつばだけつけて、権利だけ確保しておこう、こういうところにあると思います。特許法にも実はそういう傾向があって、いろいろその弊害が修正されてきた、こう思うのです。そこで、この先願主義の弊害を是正するような——これは実は大問題になるかと思いますが、前に鉱業法の改正案が出されて、その辺から実は行き詰まって流れた例もありますが、鉱業審議会あたりでひとつこの先願主義の弊害を除去するような検討をしてもらいたいな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  142. 松村克之

    ○松村説明員 お答え申します。  先願主義の問題そのほか、古い法律でございますので鉱業法上のいろいろな問題が出てきておりまして、鉱業法の改正というのが非常に重要な問題であることは御指摘のとおりでございますが、何分お話のとおり非常に複雑な問題がございまして、私どもとしても鋭意検討を続けているわけでございます。また、法律の改正とまでいかなくても、たとえば休眠鉱区の問題でございますとか、ある注鉱区錯綜の弊害といったような問題については、鉱業審議会あるいはその他の場において行政的にでもできる限りその弊害を少なくしていきたい、こういうふうに考えております。
  143. 板川正吾

    ○板川委員 終わります。
  144. 稻村佐近四郎

  145. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 金属鉱業政策について、この備蓄問題、それから価格安定帯の設定というのは長い間の懸案でありました。ことに昭和三十七年に、貿易自由化を前にいたしまして、本院におきましても本会議において、自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する決議案という、いわば異例の決議案を出したわけであります。こういう経過から見ますと、ようやくにして備蓄制度ができた。遅きに失するわけですが、私どもは関係者として一歩前進をしたと考えます。  しかし、昭和三十七年ぐらいに備蓄制度、安定帯価格と言ったものと、今度の備蓄制度というものは内容的に非常に異にしておるという感じがするわけです。と申しますのは、当時は、十万トンが国内産の鉱石による地金、十万トンが海外鉱石によるものでした。それによって、むしろ国内鉱山を保護するという面から備蓄制度というのが言われたわけです。ところが、今日この法案の提案を見ると、第一次産品の長期輸入の安定を確保するため、こういうことでして、第一、目的が非常に変わってきておる。  私も、ちょうど一昨年、同僚の議員と中南米を視察したときに、チリにおいて関係大臣が会いたいということでありまして、私ども各議員が参ったのですが、そのとき、日本輸出をしておるから非常にけしからぬというお話をいたしました。私も、こういうものは長期的に見てもらいたいが、近く日本では備蓄制度が設定をされるからということで了解を求めたわけでございますけれども、今日出ておりますのは第一次産品の長期輸入安定ということで、国内資源の保護という面が全然出ていない。そのことは、私は逆に国内鉱山を圧迫するのじゃないかという感じを持つのです。  大局的に言いますと、海外の鉱産物の方が価格が安くなるのはかなりいまの日本の状態からして趨勢である、こう考えなければならぬ。そうすると、どうしても日本鉱山の出鉱量というものは下がっていく。やがては、御存じのように、一体日本国内鉱山の鉱石を出しても日本経済にどれだけの寄与をするかという問題になる。そういうようになったときにあわてまくっても遅いわけであります。先ほどから議論が出ておりますから言いませんけれども、ある程度規模を有しておかなければ、海外開発技術の根拠地を失うということになるわけです。  そこで、具体的に言いますと、一体どうして国内鉱山を保護する方向にこの備蓄を通じて行くのか、私は備蓄ということが逆に国内鉱山圧迫の要因になるのではないか、こういうことすら考えられるわけです。これに対してどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
  146. 増田実

    ○増田政府委員 今回の備蓄制度が、長期契約によって海外から購入されます鉱石の引き取りが非常にできない、削減しなければならない、こういう点に、いろいろな問題が出てきます。それを契機としましてようやく実現できたわけでございます。そういう経緯から申しまして、今回の備蓄制度というものは海外の鉱石を安定的に確保するということが目的でできておるわけでございます。  ただ、ただいま先生からお話がありました、これが国内鉱山についてマイナスに働くのではないかという御懸念でございますが、私どもは、これを実現することによりまして、直接的ではございませんが、間接的に国内鉱山に対しましてもむしろプラスの影響が出てくるということで確信いたしておるわけでございます。これは国内の各製錬業者その他ともいろいろ話しておりまして、国内鉱山の重要性につきましては意見が一致しております。また、通産省の政策といたしましても、国内鉱山の維持発展というものについていろいろな施策を努力いたしておるわけでございます。そういう中の一環といたしまして、備蓄政策も、直接的ではございませんが、やはり国内鉱山の維持発展というものにつきましてはプラスに働くように私どもも運用していきたい、こういうふうに考えております。
  147. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、結局備蓄ということになれば、これは地金の備蓄ということになるのでしょう。そういたしますと、国内あるいは海外鉱石、おのおの出ます地金の備蓄については、これはどういう割り当てをするわけですか。
  148. 増田実

    ○増田政府委員 今度の備蓄制度につきましては、先ほど申し上げましたような目的から出てきておりますので、海外の鉱石の安定的な引き取りというものを促進するための制度でございます。ただ、備蓄いたしますのは製品である地金でございますので、これは国内鉱石と、それから海外から輸入いたしました鉱石とをまぜて地金ができるわけでございますから、特に国内鉱山だけの地金というものもございませんし、逆の場合もございませんので、そこは一応製品となった地金を備蓄する、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 製錬所によりますと、ほとんど国内産の鉱石による製錬をやっておるところもある、それから海外鉱石を主として製錬しておるところもある、そういう場合にはどうしますか。極端に言えば、国内産の鉱石を製錬しておる製錬所の地金は買わないのですか、買うのですか。
  150. 増田実

    ○増田政府委員 これは先ほど申し上げましたように、海外の引き取り促進という制度になっておりますから、一応海外輸入、ことに長期取引の実態その他に合わせまして鉱石の備蓄を行わせるわけでございますが、ただ、いまおっしゃられましたように製錬所別の備蓄数量ということではございませんで、会社として割り当てをするわけでございますので、そういうことであれば、これは当然各社とも海外鉱石を使っておりますから、各社とも備蓄の対象になる、こういうことになるわけでございます。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 各社ということになれば、国内産のウエートの多いところと、ほとんど国内産のないところがあるでしょう。企業別に見るとなお格差が出てくるわけですよ。でありますから、外国鉱石の地金を主として買うのだということになれば、それは結局国内の方が調整用になって、輸入はコンスタントに入れるということになるでしょう。ですから、私が直接的にこの法律が圧迫につながるのではないかという心配をしておると言うのは、そういう点ですよ。企業別に言っても、国内の鉱石のウエートの高いところと、ほとんど国内の鉱石はなくて海外鉱石に依存しておるところがあるわけでしょう。どうするのですか。
  152. 増田実

    ○増田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、この制度が国内の鉱石の引き取りということでなくて、海外の長期契約の鉱石の引き取りというものを円滑にするという制度でございますので、この運用にはやはり海外鉱石の輸入契約というものが基準になって買い取りが行われなければならないということでございますが、ただ、その基準につきましては、海外鉱石だけではなくて、会社別に備蓄実情その他いろんなファクターを入れて運用いたしたいということで、先生のおっしゃられるように、この制度ができることによって国内鉱山にとってマイナスになるということは、私ども先ほどから申し上げておりますように、資源政策の一つの大きな柱として国内鉱山の維持発展というものを掲げておるわけでございますので、その運用に当たって十分それらの点は気をつけてやっていきたい、こういうふうに思っております。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、これはきわめて重要な問題だと思うのですよ。たとえばいまの関税制度が、国内鉱石の保護にも必ずしもなっていない。いままで閉山をした山を見てごらんなさい。製錬所を持っている企業の、コストの高い山からつぶされていっております。一社一山の企業は何とかして生き残ろうとしてがんばっておるわけです。外国鉱石をどんどん入れる、しかも、製錬所を持っているのがコストの高いところから順番につぶしていっているでしょう。ですから、私が一番心配しておるのは、一社一山のような中小企業は会社がなくなるから何とかがんばるけれども、どうもスメルターの中で比較的コストの高い方からずっとつぶされていっておる。それで全体の鉱山閉山が多くなっておるわけですよ。それは国内鉱山の保護にならない。  もう私は時間がないから言いませんけれども、第一、関税がそういうようになっていないのですよ。スメルターですから関税の還付はやりません、こういうふうになっているでしょう。ところが、これは例の徳永構想と言われました昭和三十七年から八年にかけての制度はそうではないのですよ。要するにスメルターの鉱山でも、その中小鉱山の方へは多くの補助金を出した——補助金といいますか、還付金がありまして、スメルターでも国内鉱山には出したわけですね。そういうように、企業だけを考えないで、個々の山を考えて政策をつくった。  ところが、今度の場合は、そういう点の関税方式が変わっておる。それから、とにかく海外の鉱石には何とか調整用の歯どめがあるけれども、国内には全然ない。極端に言えば、国内産の地金に扱わないのですよ。国内産鉱石による地金は扱わない、こういうことになれば、あんなに鉱山を保護せい、保護せいと言って運動したのとは全く違う結論が出るじゃないですか。この点は非常に危惧されているところですよ。ですから、それは行政として何とかごまかしてやろうというならそれでもできぬことはないでしょうけれども、しかし、厳格に言うと、この法律から見ると、あなた方の説明から見ると、国内産の鉱石による地金は買わない、備蓄の対象にならない、こういうことにならざるを得ない。この点はひとつ大臣、はっきりしてもらいたい。いままで備蓄せい、備蓄せいということを叫んできて、この肝心なところでするっとすり変わっておるわけです。ですから、一体どういうようにお考えですか。国内産の鉱石から出る地金も買います、備蓄の対象にいたします、こういう明快な答弁がない以上、これは重大問題ですよ。まるっきり趣旨が反対になってしまう。
  154. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 まず第一に、当初に申し上げましたように、この法律は、一次産品諸国との安定的な長期の非鉄金属についての取引関係確立するというところに最大の目的があるわけでございます。それによりまして、同時に、あわせて国内非鉄金属業界が健全になる、企業がしっかりしてくる、こういうことは当然期待できるわけでございます。私は、そのことによりまして業界全体は非常に大きなプラスになる、こう思うわけです。その趣旨を一番当初にエネルギー庁の長官が言ったわけだと思います。  それから、この備蓄につきましては、公益法人たる備蓄機関というものができまして、それの運用を十分配慮することによりまして、いま御心配のようなことが起こらぬように、国内鉱山の保護が十分できるように配慮してまいります。
  155. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは私はやはり非常に心配をするわけです。ですから、国内鉱山備蓄制度によって圧迫を受ける、差別をされる、こういうことは許せない。そこで、最初備蓄制度をつくる趣旨は一次産品輸入安定にありましても、制度ができたなら、ひとつ制度は全体に均てんするように運営してもらいたい、こういうように思います。  それから、限界鉱山の個別的政策がなければ、結局エネルギーでも同じですが、国内資源確保はできないと私は思うのです。ですから、ある基準よりもコストが高い——それは品種とか含有量とか、全部そういう基準をつくればいいわけです。その場合はこの程度は残しておきたい、そうすると限界鉱山をどうして救済するか、この制度を確立しておかないと、企業に任したら大変だと私は思うのです。現実に、たとえば日本鉱業でもそうでしょう。三菱金属でもそうでしょう。もう鉱山は全然ないのですよ。鉱山は全部別会社にしてしまっておるわけです。そうして、名前は鉱山だけれども実際は製錬会社になっておる。こういうことが現実に行われておるわけですよ。ですから、一体そういう状態で国内資源が守れるかということです。会社自体が、本体が傷つかないために、もう皆分離しておるでしょう。こういう姿勢で、第一、日本国内資源が守れるかどうか。問題は、限界鉱山をどうして保護するか、これをどういうふうに考えておるか、これは長官からでもいいですが、御答弁願いたい。
  156. 増田実

    ○増田政府委員 鉱山対策につきましてただいま多賀谷先生から貴重な御意見を承りまして、私どももその線に沿って国内鉱山対策を進めていきたいと思いますが、ただいま国内鉱山の問題につきましては、やはり新しい探鉱を行いまして、そして有望な鉱脈を発見し、それによって鉱山の生命を長くするというのが一つの大きな政策だというふうに考えておりまして、このためにいわゆる三段階方式というものを行っておるわけでございます。また、それだけでは足りないわけでございますので、今後私どもとしては、先ほど言いましたように、資源政策の一つの中核として国内鉱山の維持発展を進めていきたい、こういうふうに思います。
  157. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この金属鉱山は第二の石炭にならないようにと、こう言う。ところが、私は、いま石炭は逆に第二の金属鉱山にならないように注意すべきだ、こう言っておるのですよ。というのは、これは石炭と違って需要がものすごくあるでしょう。需要があるのに、国内鉱山はどんどんつぶれていっておるわけですよ。それは結局輸入に対する政府政策がない。ですから、そういう点で限界鉱山をどういうように保護していくか、残していくか。  それは残さないのはいいのですよ。もうこれは客観的にだれが見てもつぶすというようなのはいいですよ。しかし、企業の採算によってそれが動かされておるでしょう。日本全体から見て、この鉱山はもう採算がとれないからというので閉山するなら、やむを得ないのですよ。そうではなくて、企業ごとの採算によって閉山をしたり残したりしておるでしょう。そういう点を何らか政府として政策的に工夫をしなければ、外国の開発がうまくいった鉱山会社ほど国内鉱山は不要になってくるのですよ。こういう点の歯どめが全然ないということ、今後ひとつこういう点は十分鉱業政策として考えていただきたい。時間がありませんので、この程度、基本問題についてだけ質問をしたわけです。ひとつ大臣から……。
  158. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 重ねて申し上げますが、非鉄金属産業についての基本的な方針は、今回お願いをいたしておりますこの備蓄制度によりまして、海外の一次産品諸国との長期にわたる安定的な取引関係確立するというのが一つと、それからもう一つの大きな柱といたしまして、国内における鉱山の維持と国内資源確保ということを備蓄制度と並ぶ大きな柱と考えております。そういう意味におきまして、国内資源開発維持ということにつきましては格段の配慮を払いまして、いま御指摘のようなことが起こりませんように十分努力をしてまいるつもりでございます。
  159. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  160. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  161. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  162. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 本法律案に対し、安田貴六君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。上坂昇君。
  163. 上坂昇

    ○上坂委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、現下の経済情勢において、金属鉱業が未曾有の過剰在庫をかかえ、大幅操業短縮、休閉山・縮少を余儀なくされ、長期契約による鉱石輸入削減のやむなきに至っている実情にかんがみ、本法施行にあたり、次の点について適切な措置を講ずべきである。  一、金属鉱業の基盤である国内鉱山の保護育成を図り、一定生産量を確保するため、国内探鉱融資制度、新鉱床探査費補助金制度及び関税制度の改善、労働福祉対策の充実、蓄積鉱害対策の推進等、鉱業政策の抜本的拡充を図ること。  二、金属鉱産物の備蓄については、対象品目の拡大、備蓄規模の増強等、制度のあり方を含めその拡充強化について検討するとともに、備蓄業務の実施にあたっては、公正を期するよう十分配慮すること。 以上であります。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、案文及び審査の過程により御理解をいただけると存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  164. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  165. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  166. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を体しまして、行政に万遺漏なきことを期する所存でございます。     —————————————
  167. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  169. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次回は、来る五月七日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会