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1976-03-05 第77回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月五日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 稻村左近四郎君    理事 橋口  隆君 理事 前田治一郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 安田 貴六君    理事 渡部 恒三君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       木部 佳昭君    塩川正十郎君       島村 一郎君    羽田野忠文君       萩原 幸雄君    深谷 隆司君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       竹村 幸雄君    中村 重光君       渡辺 三郎君    米原  昶君       近江巳記夫君    宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         通商産業政務次         官       綿貫 民輔君         通商産業審議官 天谷 直弘君         通商産業大臣官         房審議官    藤原 一郎君         通商産業省生活         産業局長    野口 一郎君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         中小企業庁指導         部長      児玉 清隆君  委員外出席者         農林省食品流通         局食品油脂課長 吉田鉄太郎君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     近江巳記夫君     ————————————— 三月四日  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律改正に関する請願(松尾信人  君紹介)(第七三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
  3. 加藤清政

    加藤清政委員 きょうは大臣が限られた時間でありますので、要にして簡、ひとつ効率的な時間の運用をお願いしたいと思います。  最初に、河本通産大臣は本年一月四日から十七日にわたりましてイランイラクエジプトサウジアラビア中東四ヵ国を訪問されておりますが、これは、石油ショックのさなかに政府が特使を派遣して以来、約二年ぶりの閣僚の中東訪問であったわけであります。特にエネルギー問題や貿易担当大臣である通産大臣が訪問されたのでありますから、石油問題、貿易拡大経済協力などの問題について話し合われたことと思います。もちろん大きな成果を上げてきたことと思いますが、この際、その主要なテーマと成果について、まず端的にお答えをお願いしたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の一月、総理施政方針演説で、中東諸国との経済関係を強化したい、そのために、これまでの経済協力を質の面、量の面、あるいはまた方法の面においてすべて再検討しなければならぬ、こういう趣旨演説をされたわけでございますが、私は、その総理施政方針演説を具体化するために今回中東訪問をしたわけでありますが、まず第一番に、経済協力貿易関係拡大する場合でも、やはり何と申しましてもお互いに相手を知り合うということ、理解し合うということがまず何よりも先決でございます。そういう意味で、各国首脳十分話し合いをするということが何よりも必要である、こういう観点に立ちましてまず話し合いをいたしました。それから第二に、当面する懸案の経済案件をどう具体化するか、それから第三に、今後の貿易関係をどういうふうに拡大していくか、こういう順序で話し合いをしたわけでございます。  まず、イランにおきましては、イランは御案内のように日本の必要とする油のおよそ四分の一を現在向こうから輸入しておりまして、貿易関係も現在往復で約六十八億ドルぐらいになっております。非常に大切な相手方であると思いますが、いろいろ話し合いをいたしました結果、経済協力案件につきましては今後解決するめどが大体ついてきたと思います。また、貿易拡大方向につきましても双方で意見の一致を見ましたので、今後はさらに頻繁に話し合いをしよう、こういうことで、一応当面する問題についての処理は済んだ、こういうふうに考えております。  イラクにおきましても、油の輸入量こそ少ないですけれども、先方との間には一昨年十億ドルという経済援助協定もできておりますし、非常に大きなたくさんのプロジェクトが進行中でございます。それを促進するために今後どうすればよいかということについて話し合いをいたしましたが、先方より近くジャズラウィという工業大臣がお見えになることになっておりますので、それを機会にさらに一層話し合いを進めたい、こう思っております。  それから、エジプトとは貿易関係はさほど大きくございませんけれども、何と申しましてもアラブ諸国の政治的な中心でございますので、経済協力案件あるいは商品援助の問題、スエズ援助の問題、それから投資保護協定あるいはまた輸銀取引の再開、こういう諸問題についていろいろお話し合いをいたしまして、これも当面の問題は大体解決したと、かように考えております。  また、サウジアラビアも、日本の必要とする油の四分の一を向こうから輸入しておりますし、そのシェアはだんだんふえる傾向にございます。そういう意味で非常に大切な相手方でございますが、この国とは昨年の三月一日に経済技術協定が調印されましてから話し合いがとだえておりましたので、先方大分不満を持っておられたわけであります。しかし、私が訪問いたします事前に、通産省中心とする政府の事務的なミッションを派遣いたしまして、数日間にわたりまして精力的に話し合いを十分させましたので、私が参りまして一月の十三日、十四日と第一回の合同委員会を開きましたけれども、その合同委員会では、事前準備等が相当進んでおりましたので、ある程度スムーズにいったのではないかと、こう思っております。  この三月中には、石油化学ミッション日本から向こうに行くことになっております。それから還元鉄ミッションも三月中には行くことになっておりますし、すでに技術協力分野につきましては政府の方から専門官を派遣いたしまして、どの分野技術協力するかということについて、二月の下旬から現在まで話し合いを続けております。それからまた、この合同委員会事務局も近くリヤドに置くことに合意をいたしまして、目下人選を急いでおりますので、これを機会に、サウジとの間の経済協力貿易関係が一層飛躍的に進むことを私どもも強く期待をしておるわけでございます。
  5. 加藤清政

    加藤清政委員 次に、わが国中小企業は、事業所数では五百十一万事業所のうちの九九%を占めておりますが、三千九百万人の従業者のうち七八%に当たる三千四十万人が中小企業に携わっておるわけであります。このようにわが国産業の中に占める中小企業の割合は非常に大きいものでありまして、日本経済発展を実質的に支えているのは中小企業であると言っても過言でないわけであります。  それにもかかわらず、中小企業は対大企業の間で弱い立場に置かれております。特に下請企業は、大企業の一方的な都合によって景気の調整弁として利用され、現在のような不況下ではそのしわ寄せをまともに受けているのであります。零細企業は、賃金、労働環境安定性、将来性など、多くの点で大企業より立ちおくれております。  このような中小企業に対して、より効果的な政策を実施するために中小企業省の設置が要望されておるわけでありますけれども、いまだに実現されておりません。このように、中小企業産業構造の中で大きな比重を占め、大企業の犠牲になりながら、みずからの力でその分野を確保してきたのであります。  ところが、大企業は、中小企業が営々として築き上げてきた分野にまで進出して、中小企業を締め出そうとしております。このような大企業進出によって、中小企業はその存立の基盤を脅かされているのが実情であります。また、中小企業はその経営を脅かされているのみならず、事業の継続すら困難になっております。大企業は、その資本力技術力を武器として、中小企業事業分野進出して中小企業存立を脅かしております。これに対して通産大臣はどう考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業対策というものは、産業政策の中でも最大の課題であると心得ております。そういう意味から、これまで政府も、あらゆる角度から中小企業振興対策を進めてきたわけでございます。  御案内のように、こうした不況になりますと中小企業が非常に大きな影響を受けることも、ただいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、当面の対策といたしましても、金融面であるとか、あるいはまた仕事の量を確保するという面からも、緊急にいろいろな対策を立てております。同時に、事業分野調整という問題につきましても、これは中小企業政策の中では一番大きな問題であろう、こう思っております。  ただ、中小企業分野調整という問題は、非常に大きな問題でありますけれども、これを進めていきますのに二つ方法があると思うのです。一つは、行政指導でこれを解決するという方法、それから法律をつくって改正をするという方法二つあるわけでございますが、ただいままで通産省といたしましては、幾つかのトラブルが各地で発生をしておりますけれども、この大部分の問題につきましては話し合い解決をしてまいりました。これを法律で規制をしようといたしますと、やはり幾つかの問題点があるわけです。たとえば、何十万とあります企業種類ごとに、果たしてこれのどれとどれを分野調整の対象にすることが技術的に可能かどうかという問題等もございましょうし、それからさらに、法律でそういうことを決めますと、果たして技術革新が将来行われるかどうか、したがって、消費者に対する利益は一体どうなるか、こういう問題も考えてみなければならぬわけでございます。  そういうことをいろいろ考えますと、これまで行政指導で大部分の問題を解決できたわけでありますので、これからはさらにこれまでのやり方を徹底いたしまして、たとえば、できるだけ早く、全国いかなる地域において、分野調整問題に関連をしていかなるトラブル発生しようとしておるのかということを、事前に、かつ早急に掌握するということがまず必要だと思うのです。いまそういう制度もつくろうとしております。それから同時に、それを調整するための現在の機能がまだ十分ではありませんので、調整する機能を強化していこう、そういうことも考えまして、予算上も五十一年度はある程度認められております。  そういうことでございますので、政府は、行政指導によりまして問題は解決できたし、今後もさらに体制を強化することによって十分解決できる、こういう考え方でございます。分野調整が非常に大きな課題であるという認識においては、ただいまの御意見と全く同じでございます。
  7. 加藤清政

    加藤清政委員 大臣にぜひ御答弁願いたい。時間がありませんので、ひとつまとめて御質問いたします。  まず、いま、分野調整は大変重要な問題であるし、このことについては予算措置したということでありますが、具体的にどのような予算措置をしたかという点が一点、後でお答え願いたいと思います。  さらに、通産大臣はこの委員会で、大企業中小企業分野への進出行政指導処理をしていくと発言されました。ところが、現在はトラブル発生してから行政指導がなされるために、弱い立場にある中小企業者は常に不利益をこうむっておる結果になっております。たとえば、大企業進出して、撤退したのはヤクルトの豆腐業界への進出だけでありますけれども、豆腐業界でも、森永乳業や協同乳業が依然として、いまだもって生産を続けております。また、他の業界でも大企業進出を続けておりまして、中小企業経営はますますその大企業進出に脅かされておる。このように、行政指導ではトラブル発生した後の始末だけになってしまって、中小企業のために満足な結果は得られないのが現況であります。  こういうトラブルが起こらないようにするためには、中小企業事業分野を明確にして、その分野に対する大企業の無秩序な進出を禁止することによって中小企業を守るための法律が必然的に必要になるわけでありますが、この事業分野立法化に対する大臣見解をお尋ねしたいと思います。  さらに、事業分野進出調整するために、社会党ではさきの国会に提案をいたしましたが、いまだ十分な審議が行われていないことは大変残念なことであります。しかしながら、他の党も積極的にこの問題に取り組むという姿勢を示したことは一歩前進だと思います。  この法律立法化運動は、現在中小企業団体中心として進められております。特に大企業自分たち事業分野を荒らされたクリーニング業界豆腐油揚げ業界、軽印刷業界などを中心にした十団体以上に及ぶ団体は、中小企業事業分野確保法促進協議会を結成いたしまして、立法化運動を強力に推し進めております。これは、これらの業界行政指導では満足な回答が得られないという立場に立って、もっと推進したいというやむにやまれない気持ちから出たものであろうと思います。そして、いままでの行政指導が、反面、中小企業者が納得する内容でなかったことを裏づけておるわけであります。このほかにも、全国中小企業団体中央会を初めとする二十数団体に及ぶ中小企業組織立法化運動を推進しておることはおわかりと思います。  また、昨年七月四日の本委員会におきまして、中小企業政策の確立に関する決議におきまして、この事業分野については「大企業中小企業分野進出し、深刻な影響を及ぼしている実情にかんがみ、中小企業事業分野確保のため、早急に立法措置検討すること。」を決議しております。その際、通産大臣は、決議趣旨に沿って努力をすると確信を持って発言しております。この中小企業分野に対する法律案政府みずから進んで国会に提出するというくらいの積極的な姿勢というものがなければならないと思いますが、重ねて通産大臣にその見解をあわせてお伺いいたします。  さらに、通産省小松次官は、昨年十一月十二日の記者会見で、大企業進出について既成事実化している場合であっても、その分野からの撤退を含めて原状に回復することを求めることもあるといった、実効性を伴った厳しい行政指導をする方針を明らかにしております。これは、大企業事業分野を荒らされている中小企業にとってはまことに喜ばしいわけでありますけれども、しかしながら行政指導によって原状回復を求め、進出してもまた大企業を本当に撤退させることができると考えられますかどうか、現在の行政指導についての見解をお伺いいたしたいと思います。  さらに、大企業中小企業分野への進出によって、中小企業倒産したり転廃業を余儀なくされております。現在の日本経済は、不況深刻化によって企業倒産は戦後最高を記録しております。そして失業者は増加する一方で、完全失業者は百万人を超え、潜在失業者はすでに二百万人を超えておるという雇用不安定な状態であるわけであります。このような中で大企業進出によって中小企業倒産が続くことになれば、失業者はますます増大し、雇用不安はいよいよ深刻化していく結果になることは火を見るより明らかであります。特に地方都市などでは地場産業を含めて雇用機会をより減少させる結果になるために、大企業中小企業分野への進出法律によって規制することは、中小企業分野を確保するだけでなく、雇用拡大にもつながるものであるわけであります。この意味からも事業分野法立法化が必要であると考えられます。通産大臣の重ねての見解をお願いしたいと思います。  さらにまた、行政指導だけでなく、大企業中小企業分野を侵し、中小企業存立を危うくしている、中小企業が危機に瀕するという事態に対して、通産大臣は、中小企業を守り育成するという立場から、中小企業分野確保立法化検討を加え、踏み切る決意をお持ちかどうか、ひとつこの際はっきりとお答えを願いたいと思います。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず、予算上、昭和五十一年度に分野調整を行政的に指導するためにいかなる予算措置を講じておるかという御質問につきましては、後ほど中小企業庁長官から詳細答弁をさせます。  それから、中小企業対策につきましていろいろお述べになりましたが、通産省といたしましてもかねて申しておりますように、中小企業対策を非常に重大な課題と心得ております。それは日本の全生産の五割が中小企業によって上げられ、さらにまた従業員も三千万に達する、こういう状態でありますので、中小企業振興なくして日本産業振興発展というものはない、こういうことを根本的に強く考えておるからでございます。  ただ、先ほど答弁をいたしましたように、何十万とあるいろいろな業種について法律分野を規定するということは、これは技術的にもなかなかむずかしい問題でありますし、それからそういうことを法律で規定をいたしますと、外界からの刺激というものがなくなりますので、果たして産業合理化やあるいは技術革新にそれがつながるかどうかということを当然十分考えてみなければならぬと思います。それから、先ほども申し上げましたように、消費者立場消費者利益ということも十分考えなければなりません。  だから、分野調整ということは大きな問題ではありますけれども、これが行政指導解決できればそれに越したことはない。行政指導解決できないということであれば別でありますけれども、行政指導解決できればそれが一番よろしい、こういう考え方に立っておるわけでございまして、繰り返して恐縮でありますけれども、大部分の問題ば解決できたと思っております。これまでのトラブルの大部分行政指導解決したと思いますので、今後はトラブル発生をできるだけ速やかにこれを把握いたしまして、そうして適切な対策が立てられるように、先ほど申し上げましたようないろいろな強化策を五十一年度の予算でも講じておるわけでございますので、政府がこの問題に対してとにかく真剣に取り組んでおるのだ、こういう点についてはひとつ十分御理解をいただきまして、なお行政指導で不十分な点があるならば、こういうことをすればどうかというふうな点につきましてもひとついろいろ御意見を聞かせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、現在の行政指導を強化することによってこの問題を解決したい、かように考えておる次第でございます。
  9. 加藤清政

    加藤清政委員 大臣予算委員会で十一時五分までに退席するということでありますので、最後に、本委員会決議において、先ほども申し上げましたように、中小企業分野確保ということは大変重要である、そのことについての立法化検討を加えるという決議まであるわけであります。しかも大臣は、中小企業分野の問題については行政指導あるいは立法化二つ方法があるということでありますが、この行政指導については、細かい点についてもう数百のトラブルが山積しておりまして、いまだに未解決で、しかも業者が不安と焦燥にあえいでおる現状であるので、先ほど通産大臣が言いました立法化の問題について、中小企業分野を確保するということについての御熱意について最後にひとつお答え願いたいと思います。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 あらゆる行政指導によりまして努力をいたしましてもどうしても解決できない、こういうことでもあればそれはまた別でありますけれども、先ほども申し上げましたように、大部分の問題は私は解決方向に進んでおると思うのです。でありますから、その方向政府はしばらくの間全力を挙げて進みたい、こういうふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  11. 加藤清政

    加藤清政委員 重ねてお伺いいたしますが、行政指導でなかなか解決できないというその隘路にぶつかったときに、大臣のいま言われた立法化方向確信を持って踏み切るということについて、ひとつ大臣の重ねての御答弁をお願いしたいと思います。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 行政指導でどうしても解決できない、こういうことにでもなれば、これはまた新しい方法として立法化ということを考えなければならぬと思いますけれども、私は、そういうことはしなくても十分行政指導でやれる、そのためにいま体制を強化しつつある、いま強化しつつある体制ができ上がればそれで十分やっていける、こういう確信を持っております。
  13. 加藤清政

    加藤清政委員 福田総理も十一時半までの時間でありますが、ひとつ細かいいまの中小企業事業分野の具体的な問題についてまとめて質問いたしますので、通産省からそれぞれ担当の方が御答弁願いたいと思うのです。  次に、具体的な問題に入りますが、まず第一番目に、理化学医療ガラス業界への岩城硝子進出についてお尋ねいたします。  この岩城硝子は、板ガラスの大手メーカーである旭硝子とアメリカのコーニング社合弁会社であります。この理化医ガラス業界全国で約二百社、総従業員数が一万五千三百有余という中小企業業界であります。岩城硝子は、中小企業を含む既存の業界と協調を保ち、混乱を起こさないように十分留意すると言っていながら、昭和四十五年には理化学工業用ガラス管市場進出して、不当廉売市場混乱に陥れ、中小企業者十五社を転業あるいは廃業に追い込みました。そして、昨年四月からは自動成形機を導入して理化医ガラス業界へと本格的に進出しております。驚いた中小企業零細企業人たちの切なる陳情に対して、通産省行政指導解決すると言っておりますが、一体現在どうなっておりますか、また行政指導内容と、それに至るまでの経過について説明されたいと思います。  理化医ガラス業界岩城硝子進出について機械を撤去することを求めていましたが、この行政指導では業界は非常に不満足であります。しかし、業界意見も聞いてこの行政指導を出されたのでありましょうから、この問題はいいのですが、岩城硝子出荷量についてお尋ねしたいと思います。行政指導では、岩城硝子出荷は今後六ヵ月間は平均して同社の四十九年度の出荷実績以下、その後五十二年末までの出荷水準は六ヵ月ごと通産省が指示する水準となっております。これでは数字が入っていないために具体的な内容がわかりません。この際、その数字を明らかにしていただきたいと考えます。  それから、その後の通産省が指示する水準ということですが、この水準の算出に当たって、通産省はもちろん理化医ガラス業界意見を十分に聞いて定められることとは思いますが、これに当たってどのような姿勢で臨まれるつもりか、お伺いしたいと思います。  さらに、行政指導の中に、通産省は、中小理化医ガラスメーカーに対して今後二年間における改善計画の作成を指示しております。理化医ガラスメーカーも従来からその合理化近代化には十分努力をしてきておるわけでありますが、ここで二年間の改善計画を指示しても、中小メーカー自動成形機を導入できるわけでもないのであります。つまり、具体的な改善計画方針が明らかにされておりません。通産省は、業界の作成した改善計画に従って資金融資、行政指導に見合う財政の裏づけがなければなりません。指導はしたけれども、それに対する裏づけがないということになると、仏つくって魂入れずのたとえになるわけであります。具体的にこのことについてお伺いしたいと思います。  さらに、軽印刷業界についてお尋ねいたします。  この業界は、ガリ版印刷を主体とする本当に中小零細企業だけの業界であります。この業界に、四十八年に大手の印刷会社の大日本印刷が直系子会社のQプリントをつくって参入し、第一号店を東京の京橋に開店して、続いて二号店を大阪に開設し、全国にフランチャイズネットワークをつくると発表しております。その後、通産省行政指導によりまして、通産省の了解を得なければ契約店をつくれないことになったわけであります。しかしながら、Qプリントは五十年八月に北海道の帯広に、続いて十月に千葉市内に契約店を開店しております。何のための行政指導か、その点も大変疑問に思います。この新規店舗の開設に当たって、通産省はどのような姿勢でこの問題に臨まれておるか、また、今後Qプリントから出店の了解を求められた場合にはどのように対処するか、お伺いいたしたいと思います。  続いて、豆腐の業界に対する進出についてお尋ねします。  この業界は、その日につくった豆腐はその日のうちに売るという昔ながらの商売を続けておる業界でありますが、地域的にもその商売半径は五百メートルでありまして、中小企業向けの業種であります。そして全国で三万五千軒の業者があり、総従業員数で約十万五千人からおります。この零細な業界にヤクルトが四十九年九月から、また森永乳業が十月から進出して、豆腐の製造販売を始めたのであります。このような大企業の攻撃をまともに受けた豆腐店は、転業、廃業に追い込まれております。幸いにしてヤクルトは撤退をしましたが、森永乳業は依然として生産を続けております。行政指導によって当事者間の話し合いを続けているということでありますが、現在どうなっておりますか、お尋ねします。また、具体的な行政指導内容についてもお尋ねしたいと思います。答弁は、ひとつ福田総理答弁の後にお願いしたいと思います。  福田総理は十一時二十五分には退席したいということでありますので、大事な予算委員会でありますから、福田総理にお尋ねしたいと思います。福田総理にはまとめて御質問いたします。  政府は、昭和五十年度の経済見通しを、当初はGNPでは名目成長率で一五・九%、実質成長では四・三%の伸びを見込んでおります。つまり、政府は今年度の景気は緩やかに上昇すると見たわけであります。ところが、四回にわたる不況対策や公定歩合の引き下げを実施したにもかかわらず、経済成長率は伸び悩み、経済企画庁の実績見込みでは名目で九・一%、実質では二・六%となっております。このように政府経済見通しが大きく狂ってしまった原因は一体どこにあるか、その点をお伺いしたいと思います。  さらに、政府は五十年度の個人消費支出を一八・四%の増加と見ておりましたが、実際には一五%程度の伸び率にとどまってしまったのであります。給与総額でも前年比で一八%の増加をすると見込んでいたのでありますが、昨年の春闘の結果、この見通しよりははるかに低い、全産業では一二%以下の給与上昇にとどまったのであります。個人消費支出は国民総生産の約五〇%を占めており、景気回復には欠かせない重要な要素であります。ところが、給与上昇が一二%以下というはなはだ低い水準にとどまったことと、景気の回復、物価の上昇などの生活の先行き不安のために、国民は消費を大幅に手控え、貯蓄に努力をしたのであります。  来年度も、現在審議中の予算案では所得税の減税が盛り込まれておりません。つまり、来年度は物価の上昇分だけ実質賃金は下がってしまうのであります。また、不況深刻化によって、経営者側は春闘の賃上げに誠意ある回答を示そうとはしておりません。このような現状で、政府は本当に個人消費が一三・七%増加すると考えておられるのかどうか、この点についてのお答えをお願いしたいと思います。  さらに、昭和五十一年度は四十八年のあの石油ショックから三年目になるわけであります。福田総理は、石油ショックによる経済変動を収拾するためには三ヵ年を要するとしばしば発言されておりますが、来年度はその三年目に当たるわけであります。また、昭和五十一年度は、新しい経済五ヵ年計画で安定成長経済への初年度にも当たるわけであります。高度経済成長政策から安定成長政策へ踏み出す第一歩でもありますが、ことしは日本経済の今後に大きな影響を与える年でもあります。このようなときに当たって、政府は来年度の経済見通しを、GNPの成長率では名目で一三%、実質成長では五・六%としております。この経済見通しに対する見解をお尋ねしたいと思います。景気の見通し、一体いつになったら回復されるであろうかという見通しについて、福田総理の御見解をお願いしたいと思います。  現在の日本経済は非常に不安定であります。企業倒産件数は、民間の調査機関の統計によりますると、負債額が一千万円以上のものだけでも昨年  一年間で一万二千六百六件となっております。また、負債総額でも一兆九千億円と、件数、金額とも戦後最高という悪い記録をつくっております。この原因も、経営者の責任である放漫経営によるものは少なく、販売不振や売掛金の回収難といった、不況が原因の倒産がほとんどであります。  これから年度末にかけては、国債の市中消化や地方債の引き受けの増加などで、金融機関の選別融資に一層拍車をかけられるだろうと思います。年度末の決算資金などの資金需要は強まり、企業倒産、特に中小企業倒産増加の傾向はますます激しくなると思います。  これら不況とインフレに苦しんでいる中小企業者が安定した経営ができ、また労働者が雇用不安に脅かされることのないように、政府は一体どのような手を打たれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。  次に、物価の見通しについてお尋ねいたします。  総理府統計局の二月二十七日の発表によりますと、二月の東京都区部の消費者物価指数は一八一・五と、前月に比較して〇・八%の上昇となっておりまして、対前年同月比では一〇・七%と、二けた台になっております。  物価の上昇率を今年度末に一けたにするという公約は、三木総理、特に福田総理は胸をたたいて絶対に実現すると国民の前に約束をいたしました。そして、最も重要な政策として、政府経済政策の大前提となっていたものであります。そのために総需要を抑制して、不況が異常に長引き、企業倒産、労働者の失業を増大させたのであります。労働者は雇用不安におびえながら物価高に悩み、苦しい毎日を送っております。  公約どおりに東京都区部の物価指数を前年同月比上昇率を一けたにするためには、三月中の上昇幅を〇・三以下にしなければならないのであります。一昨日も私は神田市場を視察いたしました。異常な野菜の高騰であります。三月には、麦の値上げによるパン類の値上げ、食パンは一斤が九十円から百円に、牛乳が二百ccで四十八円から五十三円に値上げされます。これだけでも三月の一けた達成はまず絶望的であると私は考えますが、物価の最高責任者を自他ともに認められておる福田総理の、物価見通しについての御見解をお伺いしたいと思います。  時間が参りましたので、最後に独禁法の改正についてお尋ねいたします。  独禁法の改正は、通常国会では五党一致で衆議院を通過させましたが、参議院では残念なことに廃案になってしまいました。そして福田総理は、臨時国会において冒頭、次期通常国会に提案すると申されております。私の物価対策特別委員会における福田総理に対する質問に対しましても、明快に通常国会に提案するということを約束いたしました。こういう話をされておりますが、その約束の国会が現在開会されており、すでに二ヵ月以上をけみしました。いまだに内閣からは提案されようとはいたしませんし、その気配すら感じられないのであります。政府は、独禁法の改正案を今国会に提案する意思が本当にあるかどうか。福田総理は、責任を持って来国会にはひとつ提案したいと申されましたが、このことについて、一体提案するといたしまするならばその時期はいつごろになるか、福田総理の明快なる見解をお願いしたいと思います。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 予算委員会の時間が迫ってまいりましたので、ごく簡潔に、要点だけをお答えさせていただきたいと思います。  まず、五十年度の成長率を四・三から二・六に改定したその理由いかん、こういうことでございますが、二つ問題があったわけです。一つは、設備投資が大変な落ち込みになりましたが、さほどまでに考えておらなかった。それからもう一つは、輸出が、世界経済の落ち込みが大変深刻な状態でありまして、わが国以外全部の先進諸国がマイナス成長だ、そういうような状態の中でわが国の輸出不振、この二つのことが響いたわけです。  ですから、その二つだけを見ますと、これはまあ二・六%成長どころじゃない、わが国もまた世界各国同様にマイナス成長ということだったのですが、ところが個人消費が意外に堅実でありまして、これは大体実質五%ぐらいの伸びでございます。一八%名目というふうに言っておりましたが、これは物価も落ちついてまいりました。そういうようなことから、実質に換算しますと五%の伸びだ。それから、第一次−第四次の景気対策、これもかなりの効果をあらわしてまいりまして、この個人消費と政府の公共投資などの対策、これが輸出また設備投資の不振を補いましてプラス成長、わずかでありまするけれども、二・六%程度の成長が実現できるのではないかというふうに考えためですが、この改定をいたしましてからの推移をずっとながめてまいりますと、大体改定目標は達成できそうな状態でございます。  それから、個人消費についてのお話でございますが、これは、いまも申し上げましたようにわりあいに着実に伸びているのです。五十年のこういう経済不況の中でも実質で五%前後だ。その勢いは私は五十一年度も続くと見ているのです。五十年度の五%という伸びを物価換算というか名目に直しますと、これが一五%ぐらいになるわけですが、その一五%という伸びを五十一年度の物価に対比いたしますと、大体また五十年度同様、実質では五%ぐらいの伸びになる、こういうふうに見ております。これは着実にそういうふうにいくだろう、こういうふうな見解でございます。  それから、五十一年度につきましては、個人消費がそういう状態だ、それに加えまして輸出がかなり伸びる、こういうふうに見ております。それから、今度御審議を願っております予算案による影響、これはまあ実質で七%ぐらいの伸びは示すであろう。設備投資も五十年度のマイナスから今度は微弱ではありますけれどもプラスに転ずる。そういうものを彼此総合いたしますと、五%ないし六%の成長は私は確実に実現し得る、そういうふうに考えております。  でありますので、景気は一体どういうふうになるかというお話でございますが、もうそろそろ上昇傾向が出てきておるのです。暮れの景気指数を見ましても、あるいは一月の景気指数を見ましても、あるいは二月の一部の景気指数を見ましても、それぞれ上昇の趨勢を示しておるわけであります。ことに輸出、したがって生産、そういうものは十二月からずっと伸びる傾向になっておりまして、この勢いは五十一年度四月以降かなり顕著になってあらわれてくるであろう、こういうふうに見ております。それに伴いまして雇用の情勢というものもかなりの改善を見る、こういうふうに考えております。  そういう中で金融政策を一体どうするかというお話でございますが、これはいまかなり金融緩慢な状態にあるわけです。しかし公債発行がだんだん、だんだんとふえてくる、それに伴いましてそれらの資金は吸収されるわけでございますけれども、金融政策は、これは政府の、ことしは景気回復だ、これを最大の課題としておるというその方針と歩調を合わせまして機動的に弾力的にやってまいる。それによって企業が打撃を受けるというようなことのないことを旨として運用してまいりたい、かように考えております。  物価一けたはどうかという話でありますが、一けたという話は全国値の話なんです。東京区部はあるいはどうかという懸念を持っておりますが、全国値九・九以下という目標につきましては、努力は必要なんです、手放しではいかがかとも思いまするけれども、努力をいたしまして何とかしてこれを実現いたしたい、また実現できるだろうというふうに考えております。  それから独占禁止法につきましては、先般加藤さんにもお答え申し上げたとおりに考えております。すなわち、今通常国会中に御提案を申し上げる。その時期は、目下いろいろ自由民主党の方とも意見調整をしておる最中です。何事もしないというお話でありますが、そうではない、大変な努力をいましておるのです。その調整が終わり次第、成案をつくり上げまして、そしてなるべく速やかに今国会に提案をするということにいたしたいと存じます。
  15. 野口一郎

    ○野口政府委員 取りまとめて御答弁申し上げます。  最初に、岩城硝子中小企業理化医ガラスメーカーとの行政指導に関する問題でございます。  経過につきましては先生が先ほどお述べになりましたとおりでございまして、特に昨年の四月に岩城硝子自動成形機を入れたことに端を発しまして、中小の理化医ガラスメーカーと問題が起きたわけでございますが、特に昨年の不況の状況ということもございまして、中小企業側の方から、自動成形機の撤去というような問題を含めまして当省にもいろいろ陳情があったわけでございます。その後、私どもの方では中小企業庁と協力をいたしまして、両当事者からいろいろ話を聞く等実態の把握に努めまして、その結果、十二月の下旬に双方の当事者と話し合いがつきまして、それに基づいて両当事者を指導しているわけでございます。  その内容でございますが、岩城硝子のとりあえずの出荷水準抑制の問題でございます。それは先生も先ほど述べられましたとおりに、当面五十一年の一月から六月まで半年の岩城硝子出荷のレベルを、昭和四十九年の出荷実績よりも相当下回る水準で抑えるということでございましたが、その内容は具体的にどうなんだという御質問がありましたが、私どもは当面一割程度下回る水準、こういうふうに考えて、その程度で抑制するように指導をしているわけでございます。  これは当面一月から六ヵ月の出荷水準でございます。その後は六ヵ月ごとに、市場の状況あるいは価格の動向等を勘案いたしまして当省の方から指示をするということになっておりまして、その指示に従って会社の方で出荷を抑制する、こういうことになっておるわけでございます。  その六ヵ月後の出荷水準についてどういうふうに決めるのだというのが第二の御質問だったと思うのでありますが、一月から六月の生産水準を決めるのと同じように、いま申しましたように、そのときの景気の動向あるいは市場の動向等を十分勘案いたしまして、当然中小企業の関係の業界考え方なり意見なりというものを聞きまして、それを指示の上に反映させるようにわれわれの方は努めよう、こういうふうに考えておるわけでございます。  さらに、この出荷措置を私どもの方は一応二年間程度を考えているわけでございますけれども、さらにその先、五十三年以降におきましても、野放しということではなくて、経済情勢あるいはそのときの中小企業の、特に理化医ガラス業界の二年間の近代化なり合理化なりというものの成果等をにらみ合わせまして、必要があればさらに岩城硝子に対する指導を継続してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、第三番目の御質問でございました、理化医ガラスに対する助成策あるいは育成策はどういうことを考えているのだ、こういう御質問でございます。これにつきましては、ただいまのところ中小理化医ガラス業界には実は工業組合の組織がございません。やはり中小企業の育成あるいは助成ということになりますと、組合というものを手がかりにいたしましていろいろ指導なり育成をしているわけでございますので、やはり工業組合ができることが前提にございます。これの設立について昨年から現在指導しておるわけでございますが、工業組合ができますれば、あとはその工業組合の意欲あるいは準備のぐあいに応ずるわけでございますけれども、中小企業近代化促進法の指定ということも当然考えられるわけでございまして、その準備なりが整い、かつ業界からの要請がございますれば、それを受けて立って、近代化につきまして、あるいは構造改善につきまして、当局といたしましても御協力、御支援をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほど先生、中小企業業界では多額のお金を投入して、たとえば自動成形機の導入のようなことはむずかしいのではないかというような御趣旨の御質問があったかと思うわけでございます。やはりそれは大企業のまねをそのまましようとしてもなかなかむずかしかろうというふうに思うわけでございますが、中小企業業界中小企業業界なりに、それぞれ固有の分野、あるいは少量であっても品質のいい物というようないろいろ工夫をいたしますれば、品質なり分野におきましてりっぱにやっていける、あるいは伸びていける方面もあろうかと思うわけでございます。品質さえよければ、自動成形でなくて手吹きの方法でもやっていける分野があろうというふうに考えておるわけでございます。  具体的には、たとえば五十年度、本年度におきまして、理化医ガラスメーカー技術改善のために、若干ではございますけれども、小型炉による電気溶解法につきまして技術開発を支援するための補助金を出したというような実例もございます。いろいろな手段方法を講じまして斯業の近代化合理化を支援してまいりたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、先生から提起されましたQプリントの問題でございますが、これは先生よく御存じのように、大日本印刷が一〇〇%の出資でQプリントのショップをつくる、これを全国で五百店ぐらいのネットワークをつくろう、こういうのが本来当初の考えであったわけでございます。こういうことになりますと、これは軽印刷を中心とする中小企業印刷業界に与える影響は非常に大きいと私どもは考えたわけでございます。そこで四十九年の三月に、当事者、特にQプリント、大日本印刷等に要請をいたしまして、行政指導方針を決めたわけでございます。  それの大要、中身を簡単に申しますと、とりあえずともかく二つだけの店舗は認めましょう、大日本印刷の子会社であるQプリントのいわば直轄店でございますが、これは東京と大阪に一店ずつ認める、ただこれは経営上、技術上のノーハウを蓄積するためのいわばパイロットショップでありますということで、本格的にこのQプリントのやり方で仕事をする店は、ちょうどたまたま中小企業近代化促進法に基づく構造改善の事業を中小の印刷業界がやっておるわけでございますので、この事業の一環として取り上げて、構造改善事業をやっている中小企業の方々にこういう技術なりあるいはやり方をやってもらおうじゃないか、こういうのが基本的な考え方行政指導をいたしてきておるわけでございます。  そこで、そのやり方といたしましては、あくまでも当事者間の話し合いで円満に進めていくということでございます。その例として、先生が北海道の帯広とそれから千葉の例を申したわけでございますが、この方針に従いまして、現在中小企業業界でこの方式でやっているのは以上の二つの店でございます。  それぞれの問題があったではないかというような御質問があったかと思いますが、帯広店におきましては、この構造改善事業をやっている組合員でない者がQプリントをやろうというものでございまして、いわばアウトサイダーがこの分野に出ようとしたことがその発端であったわけでございます。私どもの方が定めた基本的な考え方といたしまして、原則としてこのQプリントのフランチャイジーになる者は、やはり先ほども言いましたように構造改善事業をやっている組合員、原則としては組合員に限るのだ、こういうことであったわけでございます。ただ、例外的に組合員でない者もフランチャイジーになる場合もあろう、その場合には大日本印刷の子会社であるQプリントが通産省の了解を得るのだ、こういうふうになっておったわけでございますが、このアウトサイダーの帯広店は通産省への報告を怠ったということがございます。  もちろんそういう手続上だけのミスではなくて、やはりその関連の中小企業に与える影響というようなことにつきまして、十分な話し合いがあるいは欠けておったのではないか、こういう面もあろうかと思いますが、主としてそういう手続上のミスで問題が発生したわけでございますが、それはその後いろいろ話し合った結果、円満に解決をいたしました。  それから、もう一つの千葉の例でございますが、この場合は構造改善事業を実施しておる組合のインサイダーでございましたが、たまたま印刷関係の団体の中におきますいろいろな感情的なもつれその他がございまして、いわばインサイダーの中における組合の問題であったわけでございますが、これも当省が間に入りまして円満な話し合いをつけたわけでございます。  今後の方針でございますが、Qプリントのフランチャイジーは原則として構造改善事業を実施している組合員であるということでございますけれども、私どもの方といたしましては、構造改善事業を実施している組合員であっても、アウトサイダーの場合はもちろんでございますけれども、やはり野放しで自由に店をどんどんつくっていっていいというものではないだろう、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、四十九年三月の、先ほどの基本的な考え方に基づきまして、印刷関係の三団体、これは全日本印刷工業組合連合会、それから日本軽印刷工業会及び全日本青写真工業連合会、この関係の三団体がございますけれども、この三団体の円満な話し合いを進めていく、そしてやはり秩序ある進出でなければならぬ、こういうふうな考えを持っておるわけでございまして、こういう方向で私ども今後とも指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  16. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 森永はその後どうなっているかという点と、それから農林省の行政指導内容につきましてお答え申し上げたいと思います。  先ほど先生からお話がございましたように、四十九年の秋にヤクルト並びに森永乳業が豆腐製造を開始したわけでございます。豆腐は約三万五千のほとんどが零細企業でございますので、これら大企業進出したその当該地域の業者との間で大きな摩擦を起こしては好ましくないので、行政指導によりまして円満にこれを解決してまいりたい、こういう方針のもとに、五十年の二月にヤクルト並びに森永乳業に対しまして、豆腐の団体に対しまして円満に解決するようにということで指導したわけであります。その後ずっと話し合いを進めておりまして、ヤクルトにつきましては、五十年の九月に一応豆腐業界への進出を断念すると  いうことになったわけでございます。その後、森永乳業につきましても、現在全国団体との間で話し合いを進めております。農林省といたしましては、その話し合いが円満に解決するまでの間は、現有製造設備、森永の場合におきますと日産約五万丁でございますが、それ以上増設をしないということに指導いたしておりまして、そのことにつきましては森永乳業の方も了承いたしております。  以上でございます。
  17. 加藤清政

    加藤清政委員 時間がすでに二十分経過しま  して、後の質問者には大変申しわけないと思いまして、おわびいたします。  最後に、「ピンチはチャンス」という言葉があります。中小企業は全く不況とインフレの中に倒産あるいは経営難であえいでおりますし、大企業進出中小企業の基盤を脅かしておるわけであります。そこで、この中小企業の育成のためにいろいろと行政指導をやっておりますけれども、行政指導にはおのずから限界があるわけであります。いま通産大臣から、行政指導についていろいろと手を打つけれども、その隘路を打開するためにはやはり法の立法化も考えておるという明快な答弁があったわけであります。したがって、この中小企業分野を守るということが必然的ないまの社会情勢でありますので、まず中小企業分野法については各党もこれに対して大変賛意を示しておるのでありますから、何といってもこの法の法律化を図り、法範疇においての行政指導において中小企業の育成強化を図っていかなければならないと考えるわけでありますので、この点はひとつ通産当局も積極的にお願いをしたいと思います。  ともすると、大企業が政商あるいは政界に対してきわめていまわしい事態がいろいろとうわさされておるわけでありまして、これは恐るべきことであろうと思います。少なくとも国民の不信あるいは疑惑の中に政治の発展というものは期待できないわけでありますので、何といってもこの政治の不信は大きくやがてはファッショにも通ずる、民主制議会主義を根本からくつがえすものであろうと思いますので、大企業の点につきましては適切な行政指導を行うと同時に、まず中小企業分野を守るという立法化に向かって通産省当局もひとつ積極的にその作業について御検討を願い、御協力を願うことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  18. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 今後安定成長に日本経済が向かうにつれまして、大企業進出に伴います中小企業との摩擦といった問題は従来以上にやはり増加するようなことになるのではなかろうかというふうに見られるわけでございます。この件につきましては、私どもといたしましては、大企業の急激な進出によりまして営々と努力してまいりました中小企業が転業等のやむなきに至る、こういう事態は極力避けなければならない。したがって、そういう事態を生み出すことのないように、大企業進出につきましては大企業自体の自粛を求めますとともに、それが中小企業に悪影響を与えるというような場合には、機動的に強力に行政指導をいたしまして、悪影響の出ないようにいたしたいと考えております。  そのために、大臣先ほど申し上げましたように、情報収集体制の整備を図りたい、また行政指導体制の機構の整備も図りたい、かように考えておりまして、今回の五十一年度予算でその関係をいろいろお願いをいたしておるところでございますが、たとえば情報収集体制強化策といたしまして、全国の二百九十五の商工会議所、それから四十八の都道府県の中小企業団体中央会並びに同じく四十八の商工会の県の連合会、こういうところに分野調整の指導調査員というものを委嘱をいたしまして、そこで分野調整に関します紛争の事例に関しましてなるべく早く情報を収集していただきまして、所管省の方に御連絡をいただく、こういう体制をとりたいと考えております。  それから、役所側の受け入れ体制といたしまして、中小企業庁並びに全国通商産業局に分野調整問題を専門に担当いたします中小企業調整官というものを設置いたしまして、こういった関係につきましての苦情の申し出等につきまして相談に応じますとともに、必要な調整を行う、あるいは関係各省庁との連携、本省との連携、こういうものをとってまいるというふうにいたしたいと考えております。  そのほか、実際の紛争に当たりましての情報収集の調査費等々も計上いたしておりまして、予算面では約二千二百万円を五十一年度予算に計上をいたしております。  こういった措置を強化することによりまして、今後も紛争の速やかな解決努力をいたしてまいりたいと考えております。
  19. 加藤清政

    加藤清政委員 終わります。
  20. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 午後三時二十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕