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1976-05-19 第77回国会 衆議院 社会労働委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和五十一年五月十九日(水曜日) 午後三時開議
出席委員
委員長 熊谷 義雄君 理事 住 栄作君 理事 竹内 黎一君 理事
戸井田三郎
君 理事 葉梨 信行君 理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君 理事 村山 富市君 理事 石母田 達君 伊東 正義君 大橋 武夫君 加藤 紘一君 瓦 力君 小林 正巳君 田川 誠一君 高橋 千寿君 羽生田 進君 金子 みつ君 島本 虎三君 田邊 誠君 森井 忠良君 八木 昇君 和田 貞夫君
田中美智子
君 寺前 巖君 大橋 敏雄君 和田 耕作君
出席国務大臣
労 働 大 臣 長谷川 峻君
出席政府委員
労働政務次官
石井 一君
労働大臣官房審
議官 吉本 実君
労働省職業安定
局長 遠藤 政夫君
労働省職業安定
局失業対策部長
石井 甲二君
労働省職業訓練
局長 中原 晁君 委員外の出席者
公安調査庁総務
部職員課長
安部 敏男君
厚生省児童家庭
局障害福祉課長
山内 豊徳君
労働省職業安定
局業務指導課長
望月 三郎君
自治省行政局公
務員部公務員
第 一課長
鹿児島重治
君
社会労働委員会
調査室長
濱中雄太郎
君 ――
―――――――――――
委員の異動 五月十九日 辞任
補欠選任
瓦 力君 廣瀬 正雄君 稲葉 誠一君 和田 貞夫君 島本 虎三君 大柴 滋夫君 森井 忠良君 下平 正一君 八木 昇君 八百板 正君 同日 辞任
補欠選任
廣瀬 正雄君 瓦 力君 大柴 滋夫君 島本 虎三君 下平 正一君 森井 忠良君 八百板 正君 八木 昇君 和田 貞夫君 稲葉 誠一君 ――
―――――――――――
五月十八日 母性の
保護強化等
に関する請願(
大橋敏雄
君紹 介)(第五二〇一号) 同(
石母田達
君紹介)(第五三五八号) 退職者の年金・
医療制度改善
に関する請願(石 母田達君紹介)(第五二〇二号) 同(
沖本泰幸
君紹介)(第五二〇三号) 同(
小林政子
君紹介)(第五二〇四号) 同(
鈴切康雄
君紹介)(第五二〇五号) 同(寺前巖君紹介)(第五二〇六号) 同(
平田藤吉
君紹介)(第五二〇七号) 同(
松本忠助
君紹介)(第五二〇八号) 新
鮮血対策
の確立に関する請願(
山本政弘
君紹 介)(第五二〇九号) 同(寺前巖君紹介)(第五三六九号) 同(
山口敏夫
君紹介)(第五三七〇号) あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゆう治療 費の
保険給付取扱い
に関する請願(
土橋一吉
君 紹介)(第五二一〇号)
准看護婦制度
の廃止に関する請願(
大橋敏雄
君 紹介)(第五二一一号) 同(
岡本富夫
君紹介)(第五二一二号) 同(
伏木和雄
君紹介)(第五二一三号) 全国一律
最低賃金制確立等
に関する請願(阿部 昭吾君紹介)(第五二一四号) 同外二件(
島本虎三
君紹介)(第五二一五号) 同(
中澤茂一
君紹介)(第五二一六号) 同(
村山富市
君紹介)(第五二一七号)
健康保険制度
の
改悪反対
に関する請願(石母田 達君紹介)(第五二一八号) 同(
平田藤吉
君紹介)(第五二一九号)
建設国民健康保険組合
に対する
国庫補助増額
に 関する請願(
石母田達
君紹介)(第五二二〇 号) 同(
大久保直彦
君紹介)(第五二二一号) 同(
紺野与次郎
君紹介)(第五二二二号) 同(
鈴切康雄
君紹介)(第五二二三号) 同外一件(
土橋一吉
君紹介)(第五二二四号) 同(
井上普方
君紹介)(第五三八五号) 同(
枝村要作
君紹介)(第五三八六号) 同(
大柴滋夫
君紹介)(第五三八七号) 同(
加藤清政
君紹介)(第五三八八号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五三八九号) 同(
河上民雄
君紹介)(第五三九〇号) 同(
小林政子
君紹介)(第五三九一号) 同(
下平正一
君紹介)(第五三九二号) 同(
田口一男
君紹介)(第五三九三号) 同(楯兼次郎君紹介)(第五三九四号) 同(
中澤茂一
君紹介)(第五三九五号) 同(中村茂君紹介)(第五三九六号) 同(
野坂浩賢
君紹介)(第五三九七号) 同(原茂君紹介)(第五三九八号) 同(
日野吉夫
君紹介)(第五三九九号) 同(
福岡義登
君紹介)(第五四〇〇号) 同(
村山富市
君紹介)(第五四〇一号) 同(
森井忠義
君紹介)(第五四〇二号) 同(八木昇君紹介)(第五四〇三号) 同(
山本幸一
君紹介)(第五四〇四号) 同(
渡辺三郎
君紹介)(第五四〇五号) 保育所の
父母負担軽減
に関する請願(
石母田達
君紹介)(第五二二五号) 同(
岡本富夫
君紹介)(第五三五六号) 同(
小林政子
君紹介)(第五三五七号) 医療・
年金制度
の改善に関する請願(
石母田達
君紹介)(第五二二六号) 同(
枝村要作
君紹介)(第五三六五号) 同(
岡本富夫
君紹介)(第五三六六号) 同(
島本虎三
君紹介)(第五三六七号) 同外一件(八木昇君紹介)(第五三六八号)
医療制度等
の改善に関する請願(
石母田達
君紹 介)(第五二二七号)
健康保険
の
改悪反対等
に関する請願(
石母田達
君紹介)(第五二二八号) 同(
小林政子
君紹介)(第五三六〇号) 同(
瀬崎博義
君紹介)(第五三六一号)
健康保険法
の
改正反対
及び
医療制度
の改善に関 する請願(林孝矩君紹介)(第五二二九号) 同(
井岡大治
君紹介)(第五三七三号) 同(
石母田達
君紹介)(第五三七四号) 同(
岡本富夫
君紹介)(第五三七五号) 同(
柴田睦夫
君紹介)(第五三七六号) 同(嶋崎譲君紹介)(第五三七七号) 同(
田口一男
君紹介)(第五三七八号) 同外一件(竹内猛君紹介)(第五三七九号) 同(楯兼次郎君紹介)(第五三八〇号) 同(
津川武一
君紹介)(第五三八一号) 同(松浦利尚君紹介)(第五三八二号) 同(
矢野絢也君紹介
)(第五三八三号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第五三八四号)
身体障害者雇用促進法
の改正に関する請願(石 母田達君紹介)(第五二三〇号)
各種障害年金制度改善
に関する請願(
石母田達
君紹介)(第五二三一号) 同(
岡本富夫
君紹介)(第五三五九号)
健康保険法
の
改悪反対
及び
国民医療
の改善に関 する請願(
石田幸四郎
君紹介)(第五二三二 号) 同(
田中美智子
君紹介)(第五二三三号) 同(赤松勇君紹介)(第五三六三号) 同(
田口一男
君紹介)(第五三六四号) 旧
満蒙開拓青少年義勇軍関係者
の
処遇改善等
に 関する請願外二件(
赤城宗徳
君紹介)(第五二 三四号) 同(
小川平二
君紹介)(第五二三五号) 同(
奥田敬和
君紹介)(第五二三六号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五二三七号) 同外二件(黒金泰美君紹介)(第五二三八号) 同(
河本敏夫
君紹介)(第五二三九号) 同外二件(
笹山茂太郎
君紹介)(第五二四〇 号) 同(
早稻田柳右エ門
君紹介)(第五二四一号) 同外十二件(
渡辺栄一
君紹介)(第五二四二 号) 同(
上村千一郎
君紹介)(第五四一四号) 同(
田川誠一
君紹介)(第五四一五号) 同外二件(島田安夫君紹介)(第五四一六号) 同外二件(
山口敏夫
君紹介)(第五四一七号)
医療保険制度
の確立に関する請願(井上泉君紹 介)(第五二四三号) 同(
石田幸四郎
君紹介)(第五二四四号) 同(
石母田達
君紹介)(第五二四五号) 同(
大橋敏雄
君紹介)(第五二四六号) 同(
岡本富夫
君紹介)(第五二四七号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五二四八号) 同(
神崎敏雄
君紹介)(第五二四九号) 同(栗田翠君紹介)(第五二五〇号) 同(
下平正一
君紹介)(第五二五一号) 同(
庄司幸助
君紹介)(第五二五二号) 同(
鈴切康雄
君紹介)(第五二五三号) 同(楯兼次郎君紹介)(第五二五四号) 同(
土橋一吉
君紹介)(第五二五五号) 同(
中澤茂一
君紹介)(第五二五六号) 同(中路雅弘君紹介)(第五二五七号) 同(中村茂君紹介)(第五二五八号) 同(原茂君紹介)(第五二五九号) 同(林百郎君紹介)(第五二六〇号) 同(
平田藤吉
君紹介)(第五二六一号) 同(
福岡義登
君紹介)(第五二六二号) 同外一件(
伏木和雄
君紹介)(第五二六三号) 同(増本一彦君紹介)(第五二六四号) 同(
村山富市
君紹介)(第五二六五号) 同(
森井忠良
君紹介)(第五二六六号) 同(八木昇君紹介)(第五二六七号) 同(
米田東吾
君紹介)(第五二六八号) 同(
渡辺三郎
君紹介)(第五二六九号) 同(
小林政子
君紹介)(第五三七二号)
社会保障制度改善等
に関する請願(浅井美幸君 紹介)(第五二七〇号) 同(
石橋政嗣君紹介
)(第五二七一号) 同(大出俊君紹介)(第五二七二号) 同(
大柴滋夫
君紹介)(第五二七三号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五二七四号) 同外二件(
川俣健二郎
君紹介)(第五二七五 号) 同(北側義一君紹介)(第五二七六号) 同外二件(久保等君紹介)(第五二七七号) 同(坂井弘一君紹介)(第五二七八号) 同(坂口力君紹介)(第五二七九号) 同外二件(
島本虎三
君紹介)(第五二八〇号) 同(
藤田高敏
君紹介)(第五二八一号) 同(
中村重光
君紹介)(第五二八二号) 同(古川喜一君紹介)(第五二八三号) 同(
森井忠良
君紹介)(第五二八四号) 同(
米田東吾
君紹介)(第五二八五号) 同外一件(
米内山義一郎
君紹介)(第五二八六 号) 同(佐藤観樹君紹介)(第五二八七号) 同外一件(
石橋政嗣君紹介
)(第五四二七号) 同(
岩垂寿喜男
君紹介)(第五四二八号) 同(
江田三郎
君紹介)(第五四二九号) 同(大出俊君紹介)(第五四三〇号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五四三一号) 同(
川俣健二郎
君紹介)(第五四三二号) 同外四件(久保等君紹介)(第五四三三号) 同(兒玉末男君紹介)(第五四三四号) 同(
佐野憲治
君紹介)(第五四三五号) 同(佐野進君紹介)(第五四三六号) 同外二件(
島本虎三
君紹介)(第五四三七号) 同外二件(楯兼次郎君紹介)(第五四三八号) 同(
中澤茂一
君紹介)(第五四三九号) 同(
野坂浩賢
君紹介)(第五四四〇号) 同(
森井忠良
君紹介)(第五四四一号) 同(横路孝弘君紹介)(第五四四二号) 同(横山利秋君紹介)(第五四四三号) 療術の制度化に関する請願外四件(足立篤郎君 紹介)(第五三〇四号) 同(
臼井莊一君紹介
)(第五三〇五号) 同外十四件(大石千八君紹介)(第五三〇六 号) 同外七件(鴨田宗一君紹介)(第五三〇七号) 同外一件(木村俊夫君紹介)(第五三〇八号) 同外八件(栗原祐幸君紹介)(第五三〇九号) 同外二件(
佐々木秀世
君紹介)(第五三一〇 号) 同外三件(斉藤滋与史君紹介)(第五三一一 号) 同外十五件(
三枝三郎
君紹介)(第五三一二 号) 同(塩谷一夫君紹介)(第五三一三号) 同外九件(
篠田弘作
君紹介)(第五三一四号) 同外七件(
高見三郎
君紹介)(第五三一五号) 同外四十二件(
地崎宇三郎
君紹介)(第五三一 六号) 同外六十四件(
中川一郎
君紹介)(第五三一七 号) 同外五件(
西村英一
君紹介)(第五三一八号) 同外十三件(
西村直己
君紹介)(第五三一九 号) 同外九件(広瀬秀吉君紹介)(第五三二〇号) 同外五件(福永健司君紹介)(第五三二一号) 同外六件(
松浦周太郎
君紹介)(第五三二二 号) 同外二件(松永光君紹介)(第五三二三号) 同外三件(
三ツ林弥太郎
君紹介)(第五三二四 号) 同外十三件(箕輪登君紹介)(第五三二五号) 同(岡田春夫君紹介)(第五四一八号) 同外二件(
加藤清政
君紹介)(第五四一九号) 同外四十一件(
金瀬俊雄
君紹介)(第五四二〇 号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五四二一号) 同外二十三件(
小宮山重四郎
君紹介)(第五四 二二号) 同外一件(
島本虎三
君紹介)(第五四二三号) 同外三件(嶋崎譲君紹介)(第五四二四号) 同外六十七件(
松浦周太郎
君紹介)(第五四二 五号) 同外一件(武藤山治君紹介)(第五四二六号)
風疹ワクチン
の製造に関する請願(
田川誠一
君 紹介)(第五三四八号)
健康保険法
の一部
改正反対等
に関する請願(寺 前巖君紹介)(第五三四九号) 同(山田芳治君外一名紹介)(第五三五〇号)
児童扶養手当等
の
支給年齢引上げ等
に関する請 願(
井岡大治
君紹介)(第五三五一号) 同(
枝村要作
君紹介)(第五三五二号) 同(
金子みつ
君紹介)(第五三五三号) 同(
村山富市
君紹介)(第五三五四号) 同(
森井忠良
君紹介)(第五三五五号)
健康保険法改正反対等
に関する請願(平林剛君 紹介)(第五三六二号)
ダンプカー運転者
の
生活保障
に関する請願(小 濱新次君紹介)(第五三七一号)
准看護婦制度廃止
に関する請願外二十四件(伊 東正義君紹介)(第五四〇六号) 同(
稲葉誠一
君紹介)(第五四〇七号) 同外一件(
枝村要作
君紹介)(第五四〇八号) 同外一件(
金子みつ
君紹介)(第五四〇九号) 同外二件(
川俣健二郎
君紹介)(第五四一〇 号) 同(
島本虎三
君紹介)(第五四一一号) 同(
村山富市
君紹介)(第五四一二号) 同外二件(
森井忠良
君紹介)(五四一三号) は本委員会に付託された。 ――
―――――――――――
五月十八日
国立松本療養所
の
整備促進
に関する陳情書 (第二三六号)
優生保護法
の改正に関する
陳情書外
一件 (第二三七号)
血液確保対策確立
に関する
陳情書外
三件 (第二三八号)
難病対策
の
特別措置法制定
に関する
陳情書外二
件)(第二 三九号) 自閉症児の医療、
福祉対策
に関する陳情書 (第二四〇号)
国民健康保険財政
の
拡充強化
に関する
陳情書外
十一件 (第二四一号)
健康保険法
の
改正反対等
に関する陳情書 (第二四二号)
社会保障制度
の
充実強化等
に関する陳情書 (第二四三号) 大
規模年金保養基地
の
財政措置
に関する陳情書 (第二四四号)
市町村社会福祉協議会
の
充実強化
に関する陳情 書外十件 (第二四五号)
母性保障基本法
の制定に関する
陳情書外
一件 (第二四 六号)
母子家庭
の
医療費公費負担
に関する陳情書 (第二四 七号)
生活保護法
による
保護基準
の
加算方式改正
に関 する陳情書(第二 四八号)
保育所措置費
に対する
国庫負担金増額
に関する 陳情書 (第二四九号)
児童福祉法
に基づく
学童保育
の制度化に関する 陳情書 (第二五〇号)
身体障害者福祉対策
の
充実強化
に関する陳情書 (第二五一号)
原子爆弾被爆者援護法制定
に関する
陳情書外
一 件(第二五 二号)
水道事業
の
国庫補助増額等
に関する
陳情書外四
件(第二五 三号) 雇用の安定及び
失業対策確立
に関する
陳情書外
四十一件 (第二五四号) 全国全産業一律
最低賃金制確立
に関する陳情書 外三件(第 二五五号) は本委員会に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件
身体障害者雇用促進法
及び
中高年齢者等
の雇用 の促進に関する
特別措置法
の一部を改正する法 律案(内閣提出第六四号)(
参議院送付
) ――――◇―――――
熊谷義雄
1
○
熊谷委員長
これより
会議
を開きます。
身体障害者雇用促進法
及び
中高年齢者等
の
雇用
の
促進
に関する
特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
提案理由
の説明を聴取いたします。
労働大臣長谷川峻
君。
長谷川峻
2
○
長谷川国務大臣
ただいま
議題
となりました
身体障害者雇用促進法
及び
中高年齢者等
の
雇用
の
促進
に関する
特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御説明申し上げます。
身体障害者
及び
中高年齢者
につきましては、先般来の不況の中で、その
雇用
の
確保
が大きな問題となっているところであり、また、今後における
わが国
の
経済情勢
と
労働力
の
高齢化等
を考慮いたしますと、これらの
対策
を抜本的に
強化
することが必要であります。 まず、
身体障害者
の
雇用対策
の
拡充強化
につきまして御説明申し上げます。
身体障害者
の
雇用対策
につきましては、
身体障害者雇用促進法
による
雇用率制度
を中心として、その
雇用
の
促進
に努めてまいりましたが、同
法施行
以来十五年余を経過した今日におきましても、
身体障害者
の
雇用
の現状はいまだ十分ではなく、
雇用率
未
達成
の
事業所
は四割に近く、大
規模事業所
ほど
雇用割合
が低い
状況
にあります。 このような
情勢
に対処するため、
事業主
に対する
身体障害者
の
雇用義務
の
強化
、
身体障害者雇用納付金制度
の
創設等
によって、
身体障害者
の
雇用対策
を飛躍的に拡充することとし、次のように
身体障害者雇用促進法
の一部を
改正
することといたしました。 第一に、すべて
事業主
は
社会連帯
の理念に基づき
身体障害者
の
雇用
に関して共同の責務を有することを明らかにするとともに、
身体障害者自身
も
職業人
としての自覚を持ち、自立に努めるべきであるという原則を明らかにすることといたしております。 第二に、
身体障害者雇用率制度
につきまして、
現行
の
努力義務
を改め、
事業主
は、
雇用率
以上の
身体障害者
を
雇用
していなければならないこととするとともに、
重度障害者
の
取り扱い等
についても
改善
を図り、あわせて、
身体障害者
の
雇用
に著しく消極的な
事業主
を公表する
制度
を設けることといたしております。 第三は、
身体障害者雇用納付金制度
の
創設
であります。すなわち、
事業主
間の
身体障害者
の
雇用
に伴う
経済的負担
の
調整
を図るとともに、
事業主
の
身体障害者
の
雇用
を容易にすることを目的として、
雇用促進事業団
が当面、三百人以上の
労働者
を
雇用
する
事業主
から
雇用率
未
達成
の
身体障害者数
に応じて
納付金
を徴収し、
雇用率
を超えて
身体障害者
を
雇用
している
事業主
に対して
身体障害者雇用調整金
及び
報奨金
を支給するとともに、
身体障害者
を
雇用
するために必要な施設、設備の
改善整備等
に対して
各種
の
助成
を行うことといたしております。 第四に、
労働大臣
の認可により
身体障害者雇用促進協会
を設立し、
身体障害者職業生活相談員
の講習を初め、
事業主
に対する
各種
の
指導援助
、
身体障害者職業訓練校
の運営、
身体障害者
の
雇用
の
促進
に関する
調査
、
研究等
を行わせることといたしております。 第五に、
精神薄弱者
につきましては、その
適職
に関する
調査研究等
の推進に努めるとともに、
職業紹介
、
適応訓練
、
納付金
の減額、
納付金
による
助成等
の規定を適用することといたしております。 以上のほか、
身体障害者職業生活相談員
の
選任等身体障害者
の
雇用
の安定に必要な所要の
措置
を定めることといたしております。 次に、
中高年齢者
の
雇用対策
の
拡充強化
につきまして御説明申し上げます。
中高年齢者
の
雇用対策
につきましては、最近の厳しい
経済事情
のもとで、特に
定年
前後の
高年齢者
の再
就職
が困難となっており、また、
高齢化社会
の急激な進展に伴い、
わが国
の高
年齢労働力人口
は今後急速に増大すると見込まれ、これら
高年齢者
に安定した
雇用
の場を
確保
することは
雇用対策
上の最大の課題となっております。 このため、
高年齢者
については、当面六十歳までは
定年延長
の
促進等
により
雇用
の維持に努めるとともに、六十歳から六十五歳までは
定年
後の再
雇用
を含めて再
就職
を
促進
することが必要であると考えられますので、これらについての
助成措置
の
充実
を図る一方、高
年齢者雇用率
を定めて
事業主
の
自主的努力
を促すこととし、次のように
中高年齢者等
の
雇用
の
促進
に関する
特別措置法
の一部を
改正
することといたしました。 第一は、高
年齢者雇用率制度
の
創設
であります。
労働大臣
は、企業における
高年齢者
の
雇用
に関し高
年齢者雇用率
を設定することができることとし、
事業主
は、高
年齢者雇用率
以上の
高年齢者
を
雇用
するように努めなければならないことといたしております。 第二に、高
年齢者雇用率
の
達成
を図るため、
労働大臣
は、
雇用率
未
達成
の
事業主
に対し、
雇用率達成
に関する計画の作成を命じ、また、その適正な実施について勧告することができることとするとともに、特に必要がある場合には、
高年齢者
の雇い
入れ
その他
高年齢者
の
雇用
の安定に関して必要な
措置
をとることを要請することができることといたしております。 第三に、
中高年齢者
の
適職
として選定した職種につきましては、
中高年齢者
の雇い
入れ
を
促進
するため、
事業主等
に対して必要な
指導
を行うことといたしております。 以上、この
法律案
の
提案理由
及び
内容
の
概要
につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、御
審議
の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 —————————————
熊谷義雄
3
○
熊谷委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
高橋千寿
君。
高橋千寿
4
○
高橋
(千)
委員
ただいま
議題
になりました
身体障害者雇用促進法
について二、三お尋ねいたします。
身体障害者
の
雇用
の
状況
につきましては、相当
改善
されてきてはおりますものの、まだ必ずしも満足すべき状態ではないし、今後
わが国経済
は
安定成長時代
を迎えて、
雇用
の拡大も従来のようには期待できないと考えられますので、そのような点も十分考慮し、その
雇用
の
促進
と安定のために思い切った
対策
を講ずる必要があると思います。 このような
観点
から、わが党といたしましても、
労働部会
の中に
障害者雇用対策小委員会
を設置して真剣な
検討
を進め、その
検討
結果に基づき
政府
とも十分な打ち合わせを行ってきました。今回
提出
された
改正案
は、その
内容
も十分に組み込んでいただいておりまして、その点敬意を表するものであります。 〔
委員長退席
、
山下
(徳)
委員長代理着席
〕 また、
身体障害者雇用審議会
のこれまでの答申などを見ても、非常に重要な問題が論議されてきておるわけでございますが、この
改正案
の
提出
までの経緯といったものを御説明していただきとうございます。
遠藤政夫
5
○
遠藤政府委員
いま先生御
指摘
になりましたように、
昭和
三十五年に
身体障害者雇用促進法
が
制定
されまして、それ以来この
法律
の
各種制度
に基づきまして
雇用
の
促進
が図られてまいっております。一応
努力義務
として規定されております一・三%、官公庁につきましては一・六ないし一・七の
雇用率
が最近におきましてはほぼ
達成
されておるわけでございますが、その中身について見ますと、いま御
指摘
のとおり必ずしも十分ではございませんで、かなりの分野におきまして未
達成
の点が見受けられるわけでございます。特にこれから
高度成長時代
と違いまして低
成長時代
に入りますと、いままで以上にこういった不十分な事態がなお一層拡大するおそれもございますし、
完全雇用
の
達成
ということがこれからの
行政
、政治の
至上命題
ということになりますと、なお一層こういうしわ寄せを受けやすい
身体障害者
の
雇用
の問題をいかにして
確保
していくかということが重要な私どもの使命でございます。 そういった
観点
から、
現行
の
身体障害者雇用促進法
ではきわめて不十分な点が多いということから、昨年来、
身体障害者雇用審議会
におきましても、これからの
身体障害者雇用促進
についてのあり方を御
検討
いただきましたし、また自民党の
労働部会
におきましても、小
委員会
を設けられまして寄り寄り御
審議
をいただいたわけでございます。この両
委員会
の御結論によりまして、私どもは、これからの低成長下における
身体障害者
の
雇用
のあり方、
雇用
促進
の具体的な方策につきまして御示唆をいただきまして、これをもとにして今回成案を得て、ただいま御
審議
中の法案を
提出
いたしたわけでございます。 いままでの
身体障害者
の
雇用
の問題につきましては、ややもすれば
身体障害者
を弱い者、こういった者に対して同情の手を差し伸べる、救済をするというような考え方で一方的に使用者に責任を負わせればいい、こういう考え方になりがちであったようであります。こういった点を根本的に改めまして、使用者の社会的連帯責任を強調いたしまして、これに法的な義務を課すると同時に、
身体障害者自身
も
職業人
として自立の能力を高めていただく、そういう努力によって職場を
確保
する、こういう体制で今後の
雇用
を図ってまいりたい、こういう考え方を基本にして
制度
を組み立てたわけでございます。
高橋千寿
6
○
高橋
(千)
委員
障害者に対する
雇用対策
は、
昭和
三十五年の法
制定
以来、
就職
資金貸付
制度
、身元保証
制度
等、あるいは通勤用自動車、盲人用かなタイプなどの購入資金の貸付
制度
などが
創設
され、また障害者を
雇用
する
事業主
に対しても、モデル工場に対する特別融資
制度
など、あるいは税制上の優遇
措置
などなど、
各種
の
助成
援護
措置
が講じられてきておりましたが、現在の
雇用
状況
はどのようになっておりますか、職種それから求職
状況
などをお答え願いたい。 〔
山下
(徳)
委員長
代理退席、葉梨
委員長代理着席
〕
遠藤政夫
7
○
遠藤政府委員
細かい点を省略させていただきまして概数を申し上げますと、十八歳以上六十五歳未満の
身体障害者
は約八十八万人で、そのうち就業者が五十三万人ということで、就業率は六〇%ということになっております。これは四十八年の
調査
でございますが、これを一般の健常者の就業率七一%に比べますと一〇%程度低い
状況
になります。さらに、いろいろ問題になります
重度障害者
にいたしますと、就業率四五%とかなり低くなってきております。 こういう人たちが就業いたしておりますが、
身体障害者雇用促進法
によります
雇用率
の
状況
から見ますと、一・三%の民間
事業所
の
雇用率
に対しまして、現在では一・三六とかなり
雇用率
を上回ってはおりますけれども、個別に見てまいりますと、大企業を中心にまだ
雇用率
を
達成
していない企業が四割近くに上っておる、こういう
状況
でございますので、今後こういった点を具体的な施策を進めることによって十分補強していき、
身体障害者
の
雇用
の
促進
を図っていかなければならない、かように考えております。
高橋千寿
8
○
高橋
(千)
委員
いま
雇用率
が大分よけいに上がってきたと申されましたけれども、労働省からの資料によりますと、四十九年十月一日現在におきましては、民間
事業所
百人以下のところでは一・六七%となっており、そして官公庁などにおいては、現業的機関におきましては一・六六%、こういうようになっております。 こういう資料をいただいておりますけれども、民間の百人以下のところが一・六七であって、官公庁の方が一・六六、それは四十九年度ではありましても、このような差があるということは、官公庁の方がおろそかにしているというような感じを受けるのでございますが、こういう点について官公庁に対してもう少し力を
入れ
てほしいということをお願いしとうございます。これについてひとつお答え願いたいと思います。
望月三郎
9
○望月説明員 官公庁につきましては、身障者の
雇用
につきまして高い
雇用率
を設定いたしまして、民間より率先して
雇用
をするという基本的態度で臨んでおるわけでございます。そういう意味で、先生おっしゃるように、若干民間の方が成績がよくなっているという事情もございますが、今後とも先ほどのような率先して雇っていただくという考え方で
行政
指導
を強力にやっていきたい、こう思っております。
高橋千寿
10
○
高橋
(千)
委員
いま、これから一生懸命やるというお答えがございましたが、民間におきましても、この間、新聞の切り抜きにおきまして、東京新聞の五月十二日におきましては、「目の不自由な人たちの新職場」というようなことで、伊勢丹でしょうか、これがマッサージの部屋をつくっておいて従業員の方々のサービスをしたり、また朝日新聞の五月四日付におきましては、体の不自由な方々が自分たちだけの作業場をつくったというような記事がございます。この作業場をつくられた方々の言葉の中に、「病院なんかを回っても、車いすだと階段をのぼれないでしょ。品物も持って歩けないし。限界を感じて、身障者たちが力を合わせてできる仕事場をつくらねば、といつも考えてました」ということで、自分たちが一緒になってこのような作業場をつくったということでございます。 〔葉梨
委員長
代理退席、
竹内
(黎)
委員長代理着席
〕 この言葉の中に「限界を感じて」という言葉がございますが、こういう身障者の方々が限界を感じるような
行政
では、
わが国
としては大変いけないと思いますので、皆様方
政府
の方といたしましても、こういうことのないように、官公庁においてことさら努力をしていただきたいということをお願いしとうございますが、いかがですか。
長谷川峻
11
○
長谷川国務大臣
私も、この新聞を拝見いたしましたが、この視力障害者の
雇用
の場の拡大のためには、従来から重度視覚障害者を対象とする特定の職種につきましては、特別の
雇用率
を設定することとされておりまして、現在あんま、マッサージ、指圧師の採用に当たっては、重度視覚障害者が七〇%となるように努めるように定められております。従来からこれに基づいて必要な
行政
指導
はやってきたところでございます。 先生御
指摘
のような民間企業における視覚障害者であるマッサージ師の
雇用
につきましては、東京都においても昨年以来、公共職業安定所と国立東京視力障害センターが中心となって、従業員の福祉厚生の一環として、企業内ヘルスキープ
制度
としてその推進を図っているところでありまして、今後の普及拡大について必要な
検討
と
行政
指導
をやってまいりたい、こう思っております。
高橋千寿
12
○
高橋
(千)
委員
では職種の拡大のためにはせいぜい
政府
の方で努力していただきたいと思います。 官公庁と申しますと、ちょっと思い出したのですが、昨年大臣に国家公務員の採用試験で女子を締め出している職種があるという問題で御質問申し上げ、大臣から、婦人年をきっかけに婦人の地位を高めるため努力する旨の御答弁をいただきました。その後、初級
行政
事務Bについては女子も採用試験を受けられるようになりましたけれども、国税専門官などほかの職種についてはまだ是正されておりませんので、総理府の国内行動計画概案の趣旨に沿って、人事院などと協議の上、男女差別の解消を図っていただくように申し添えておきます。大臣のお答えを願いたい。
長谷川峻
13
○
長谷川国務大臣
先ほど官公庁の
身体障害者
の
雇用率
の問題なども出まして、
課長
からも御答弁いたしましたけれども、私も閣議のときには、各役所の大臣あるいは長官に、あなたの方はこれだけ
雇用率
を守っておりませんよということを具体的に申し上げまして、推進申し上げているところであります。それをつけ加えます。 ただいま先生のおっしゃった女子の受験が制限されている国家公務員、これはまさに昨年メキシコの国際婦人年の大会をきっかけといたしまして、さらに大きなムードに上がってまいりまして、皆さん方も非常に御努力いただきましたし、私の方の婦人少年
局長
なども、それぞれの省庁に参って具体的に
陳情
などもし相談などもして、わずかでございますが、おっしゃるように
行政
の事務Bがことしから初級職の試験を受けられるようになった、なお、その他につきましても機会あるたびに推進してまいりたい、こう思っております。
高橋千寿
14
○
高橋
(千)
委員
身体障害者
雇用
納付金
についてお尋ねいたします。
納付金
のたてまえは、全
事業主
に納付義務があると言われておりますが、
雇用率
以上の身障者を
雇用
している
事業主
からは徴収しないから、結局、
雇用率
の未
達成
の
事業主
から徴収するということの結果、罰金とか制裁金とかいうような感じを私は受けるのですが、一種の不
雇用
税ではないかとも考えられますが、この
納付金
について、どんな性質のお金かということを御説明願いたいと思います。
遠藤政夫
15
○
遠藤政府委員
今回の法案で予定されております
身体障害者
雇用
納付金
の性格はというお尋ねでございますが、
身体障害者
を雇います場合には、一般の人を雇う場合と違いまして、作業機械を
改善
しなければならぬとか、あるいは作業設備の環境の
改善
とか、そういったことで通常以上の経費の負担が必要になります。したがいまして、この
納付金
は、こういった
身体障害者
を雇ったことによって負担の増大を来す、雇った企業と雇わない企業との負担の不均衡を
調整
するといったような
観点
から、負担の
調整
を図るという趣旨のもとに設けられたものでございます。と同時に、また一方、
身体障害者
を雇います場合に、そういった必要な経費の
助成措置
を、こういった
納付金
制度
によってやっていこう、こういう趣旨でございますので、言ってみますと、この
納付金
は一種の
身体障害者
雇用
に伴う不
雇用
税的な性格を持ったものだと言うことができようかと思っております。
高橋千寿
16
○
高橋
(千)
委員
納付金
制度
によって、
身体障害者
を多数
雇用
している企業には
調整
金また奨励金が支給されることになっております。これらは、いずれも身障者の数に応じて定額制となっております。しかし、いままで障害者を多数
雇用
してきた企業に対して、新たに
調整
金を支給することとしても、効果が薄いということが考えられますので、
納付金
制度
の運用に当たりましては、できる限り、新たに身障者を雇い
入れ
た企業に対して負担金を軽くするために支給するという
助成
金に重点を置いて考えた方が効果的ではないかと思いますけれども、
政府
のお考えはいかがでしょうか。
長谷川峻
17
○
長谷川国務大臣
納付金
制度
は、まず第一に、
身体障害者
を
雇用
している
事業主
と
雇用
していない
事業主
との間の
経済的負担
の
調整
を図ることを目的としております。それから第二番目には、新たに
身体障害者
を雇い
入れ
る
事業主
に対して
助成措置
を講ずることによって、
事業主
の
身体障害者
の
雇用
を容易にすることを目的としております。 しかし、いずれにいたしましても、最終的なねらいとするところは、
身体障害者
の
雇用
の
促進
であります。そのために、すでに
身体障害者
を一定率以上
雇用
している
事業主
に対して、一定額の金の給付を行うことよりは、むしろ
身体障害者
を雇い
入れ
ることと直接結びついた
助成
金を支給することにウエートを傾ける方が効果的であると思います。先生御
指摘
のとおりであると私も考えます。
納付金
制度
の運用に当たっては、その点を十分考慮して
助成
金の効果的な活用を図るように努めてまいりたい、こう思っております。
高橋千寿
18
○
高橋
(千)
委員
効果的な使い方をお願いいたします。 財源としての
納付金
と、それから
助成
金などに充てる金額との収支の見通しはどのようになっておりますか。
遠藤政夫
19
○
遠藤政府委員
これは
納付金
として徴収いたします、いわゆる
調整
金の額を幾らにするのか、それから、いま御
指摘
のありました
調整
金として支給するもの、それから
助成
援助の
措置
として、
身体障害者
を新しく雇う人に対してどういう程度の、どういう種類の援助
助成
をやるか、そういった点まだ具体的に詰めておりますので、その収支をいまここで明らかにお答えできる段階に至っておりませんが、先ほど大臣からお答えございましたように、この
納付金
制度
を、できるだけそういう先生の御趣旨に沿って運用するように努めてまいりたいと思っております。
高橋千寿
20
○
高橋
(千)
委員
ちょっと皮肉な言い方を申し上げますけれども、
達成
されないことを前提としているのではないかと考えられるのですけれども、幸いにして
雇用率
が
達成
されたとき、障害者の財源としての
納付金
は徴収できず、支給はふえるといったような形になってきますけれども、これは、どうお考えでございましょう。
遠藤政夫
21
○
遠藤政府委員
もちろん
納付金
は
雇用率
を
達成
しない企業から
達成
しない度合いに応じて徴収するということになります。したがって、もし
身体障害者
雇用率
を全企業が
達成
したということになりますと、
納付金
は入らないことになります。それは大変結構なことでして、
身体障害者
で
雇用
の場につきたい、
就職
をしたい人たちが全部
就職
をしてしまえば
雇用率
が満たされることになるわけでございます。したがって、そういう場合には、この
納付金
が入らなくなります。しかし
雇用率
が
達成
されまして、なおかつそれ以上に新しく
身体障害者
で
就職
希望者があるということになれば、その分
雇用率
を引き上げるということになるわけでございます。当然
行政
的には引き上げざるを得ない、引き上げるべき段階に来たことになりますので、
雇用率
が引き上げられれば、それに応じてまたいま御
指摘
のような状態が生じてくる、こういうことになろうかと思います。
高橋千寿
22
○
高橋
(千)
委員
それから、
納付金
は当分の間、常用
労働者
三百人以下の規模の
事業主
から徴収しない、こう言われておりますが、三百人以下の
事業主
の中にも
身体障害者
の
雇用
に非常に理解がある方とそうでない方といろいろあると思いますが、
社会連帯
の理念に基づき
事業主
間の
経済的負担
のアンバランスを是正する
観点
に立つならば、やはり未
達成
の
事業主
からも徴収すべきではないかと考えます。身障者にとっては通勤しやすいことが第一の条件であり、近くにある中小企業に
就職
しがちであるという面もあるのではないかと思い、身障者の
雇用
に熱心でない中小企業の
事業主
にも何らかの負担をさせるという意味で、三百人以上の率と同じ率にするのがむずかしければ、三百人以下の人を一つのグループとしてとらえ、やや低い率で
納付金
を徴収する方法を考えられてはいかがでしょうか。これは三百人以下の会社の中にも、
納付金
を支払わなくともよいと言って身障者の
雇用
に努力しない人たちが出るのではないかという風潮を恐れてのお尋ねですが、いかがでしょうか。
遠藤政夫
23
○
遠藤政府委員
この
納付金
の適用をどうするかといった問題は、御
指摘
のとおりでございますが、ただ、一般的に申しますと、従来の経緯から申しまして、
身体障害者
の
雇用
という面からは、冒頭に申し上げましたように、比較的大企業中心に
雇用率
未
達成
の企業が多く、中小企業は先生も御
指摘
になりましたように、率をはるかに上回って
雇用
されているという面がございます。そういった一般的に中小企業の方か比較的
身体障害者
の
雇用
に熱心であるということと、それからもう一つは、この
納付金
制度
を適用するにいたしましても、三百人以下の中小企業につきましては、その負担能力といったような
観点
から、新しくこの
納付金
制度
をとりますにつきまして、さしあたってはそういった
観点
から考慮いたしまして、中小企業を当分の間猶予いたしまして、比較的
雇用
未
達成
の大企業を中心にしてまず運用していく。原則としては、全企業から
納付金
を納めていただくことになっておりますが、さしあたり当分の間は、まず大企業中心に発足いたしまして、将来そういった先生の御
指摘
のような方向で考えることも十分可能であろう、こういうふうに考えております。
高橋千寿
24
○
高橋
(千)
委員
次に、
中高年齢者
の関係についてお尋ねいたします。
わが国
は急速に高齢者社会へ移行すると言われておりますが、
労働力
需給の展望をどのようにとらえておられるか。さらに産業構造の転換過程で多数の失業の発生も予想されております。今後
雇用
情勢
はどう展開していくか、あわせてお答え願います。
遠藤政夫
25
○
遠藤政府委員
従来の高度成長期と違いまして、これから低
成長時代
に入ってまいりますと、
労働力
需給の緩和という事態が予態されるわけでございます。しかし、そうは申しましても、ただいま計画しております第三次
雇用対策
基本計画の中で考えられます
労働力
の需給の状態は、一応経済成長六%程度が
確保
されるならば、
労働力
の供給水準から見まして
完全雇用
の
確保
はそうむずかしいことではないと私どもは考えておりますが、これは、あくまでマクロとしての見方でございますが、その中でいま御
指摘
のように、
労働力
の高齢化か進んでまいりますと、必然的に——現在でも百二十数万の失業者の中で中高齢者の滞留が際立っております。これから低成長下で不況の事態が起こったり、あるいは産業構造の転換といった事態になってまいりますと、やはりどうしても中高年齢層、特に
高年齢者
層がしわ寄せを受けやすいという事態が起こってまいります。 そこで、これからの
雇用
問題といたしましては、こういう
完全雇用
の
確保
ということを目標にしながら、その中で
高年齢者
の
雇用対策
をいかにして進めるか、どういう施策を具体的に進めていくかということがこれからの
行政
の最重点課題になろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
高橋千寿
26
○
高橋
(千)
委員
高年齢者
の
雇用対策
で一番ネックになっているのは、
定年
制の存在だと考えます。
定年延長
奨励金の支給などによって努力されておりますが、やはり五十五歳
定年
が一般的ではないかと思います。平均寿命は大きく延び、また労働可能年齢も延びている現在、
労働力
事情にそぐわない
定年
年齢と思いますが、経済社会の活力ある発展のためにも
定年
の延長を図ることは欠くべからざるものだと考えるのですが、どうでしょうか。あわせて
定年
年齢の
状況
と企業分布がどうなっておりますか、御答弁願います。
望月三郎
27
○望月説明員 先に
定年
年齢の
状況
について御説明いたします。
昭和
四十八年に実施いたしました
雇用
管理
調査
の結果によりますと、
定年
制を定めておるのが全体の六六%、そのうちの大体三分の二が一律
定年
制を定めておりますが、その一律
定年
制によって分布を見てみますと、五十五歳を
定年
とする企業が過半数の五二・〇%を占めまして、六十歳を
定年
とする企業は、次第に増加してはおりますが、三二・四%にとどまっております。 また、
定年
年齢の分布を企業規模別に見ますと、三十人から九十九人の規模の企業では五十五歳が五二%、六十歳が三七%と、この二つの年齢でほとんどを占めているのに対しまして、五千人以上の規模では五十五歳が三八%、五十六歳が二三%、五十七歳が二四%と、五十五歳から五十七歳の間の占める割合が高くて、一般に小企業では五十五歳と六十歳の両年齢に集中しておるのに対しまして、大企業では五十五歳から五十七歳の間に
定年
年齢が集中しておるという
状況
でございます。
遠藤政夫
28
○
遠藤政府委員
ただいま
課長
から御説明申し上げましたような
状況
でございますが、
労働力
が高齢化してまいりまして、いわゆる戦前の日本人の寿命が五十歳と言われた時代の五十五歳
定年
がいまなお大きな割合を占めておるということでございますので、これから
雇用
政策の中で
高年齢者
対策
が大きな問題になってまいります。といたしますならば、何としても、さしあたりこの五十五歳
定年
を六十歳まで延ばしていくということが必要でございます。そのために従来から
定年延長
奨励金とかそういった
助成措置
を実施いたしておりましたが、今年度から、さらにこの
定年延長
のための
各種
の援助策を
強化
いたしますと同時に、新たに今回の
法律
によりまして、
高年齢者
の
雇用率制度
を定めまして、側面からこの
定年
の延長に資していきたい、こういうことで考えておるわけでございます。
定年延長
を実施いたします場合にどうしてもネックになりますのは、従来から終身
雇用
制に伴います賃金慣行、いわゆる年功序列型賃金、こういった賃金の問題、それから人事管理の問題、こういった問題がネックになっておりますが、こういった問題につきましても、抜本的な新しい考え方でこの
定年延長
を進めていかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
高橋千寿
29
○
高橋
(千)
委員
先日、五月四日の朝日新聞の朝刊に「
定年
退職家庭 不安な日々」という見出しで出ておりました。再
就職
をする家庭というものは、おおよそ七割が平均生活を下回っていると言っておりますが、どうか
政府
におきましても、きょうの提案説明の中にもありますように「
中高年齢者
の
適職
として選定した職種につきましては、
中高年齢者
の雇い
入れ
を
促進
するため、
事業主
に対し必要な
指導
を行う」という点におきまして、賃金の低下などまた労働条件の悪化に対する是正というものに対して極力お考え願いたいと思います。お答えをお願いいたします。
遠藤政夫
30
○
遠藤政府委員
定年延長
をできるだけ
促進
していきたい、そういう中で、いま御
指摘
のございましたように、
高年齢者
が
定年
退職後生活に困窮を来たすといったことのないように、その職場の
確保
に努力いたしますと同時に、賃金面につきましても、いわゆる
高年齢者
の職場がそういう不当な賃金の引き下げといったような事態にならないような
行政
指導
も適切に進めていきたい、こういうふうに考えております。
高橋千寿
31
○
高橋
(千)
委員
最後に、今国会だけで見ても、労災法を初めとする労働関係法案、そして本法案と労働
行政
はますます重要であります。大臣におかれましても、労働
行政
機能の
強化
のために一層の御努力を要望いたしまして質問を終わりますが、大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
長谷川峻
32
○
長谷川国務大臣
こう不況になりますと、本当に労働問題というのは大変でございます。こうして国会で、皆さん方から非常に御
指導
あるいは御鞭撻を受けて、その中から、いまからは中高年齢社会というときにこういう
法律
を出し、あるいは身障の
法律
を出すということで、いままでの労働
行政
の上にプラスアルファ、そして、たとえばいまの
定年
制の問題にいたしましても、
法律
が通らぬ時代でも、
事業主
に私、会いますと申し上げるんですよ、あなたは重役だからここにおられる、一般の人ならばとっくに
定年
で退職ですよ、だから、ほかの人のことも考えて
定年延長
しなさいというふうなことも申し上げるようなことでございまして、皆さんの激励にこたえながら、労働省はしっかりがんばってまいりたいと思います。
高橋千寿
33
○
高橋
(千)
委員
終わります。
竹内黎一
34
○
竹内
(黎)
委員長
代理 速記をとめてください。 〔速記中止〕
竹内黎一
35
○
竹内
(黎)
委員長
代理 速記を始めて。 この際、暫時休憩いたします。 午後三時三十八分休憩 ————◇————— 午後三時四十七分
開議
竹内黎一
36
○
竹内
(黎)
委員長
代理 休憩前に引き続き
会議
を開きます。 休憩前の
質疑
を続けます。
森井忠良
君。
森井忠良
37
○
森井
委員
労働大臣
、今度の二つの
法律
の
改正
については、かなり努力の跡が見られるわけでありまして、率直なところ評価を申し上げたいと思うのです。ですが、たとえば私の手元に四十九年度の
身体障害者
の皆さんの
就職
状況
等がありますけれども、有効求職申し込み件数が四万六百四十一件で
就職
者数が二万一千二百五十七件、
就職
率は五二・三%、まだ二人に一人は断られている。しかも、これは文字どおり有効求職申し込み件数でありまして、潜在的なものはずいぶんある。申し込んでもだめだという層が非常に多いと思うわけです。また、
中高年齢者
の求人
状況
につきましても、ほぼ同じようなことが言えるのでありまして、これも四十九年度でありますが、年齢別有効求人倍率を見ますと四十五歳以下は一・四一倍、四十五歳以上になりますとがたっと落ちまして〇・四六倍、五十五歳以上ともなりますと〇・二二倍というふうな非常に深刻な状態であります。 そこで、大臣にお伺いをするわけでありますが、先ほど申し上げました前進の跡は歴然としておりますけれども、深刻なこういう
状況
で今回の二法の
改正
で間に合うのかどうなのか、大臣のお気持ちをまずお聞かせ願いたい。
長谷川峻
38
○
長谷川国務大臣
お互い皆、選挙区を持っているわけです。私は、十四、五年前に多少文教に関係しましたが、そのころは僻地、離島、こういうところの教育が大事、その次に出てきたのが、いま言葉が変わっているかどうか知りませんが特殊学級、こういうふうに感じます。この
法律
は、先ほど
提案理由
で説明しましたように、十五年前にできた
法律
で、ヨーロッパことに西ドイツのように第一次、第二次世界大戦によって
身体障害者
、戦傷者、こういう者が出たところは、私たちも西ドイツへ参りましたが、たしか六%の
雇用率
です。しかも昔の戦争で足のない人、手のない人がエレベーターを動かしている姿などを見ますと、日本が十五年前からこういう
法律
の中で——従来は臨時規定で
雇用率
を決めておりましたが、これがようやく義務規定になるという段階で、まさに漸進的で満足すべきものじゃありませんが、とにかくようやくここまで来たというところなんですね。 さらに、それを義務規定にしながら、
納付金
制度
とかいろいろなもので、日本全体がこういう不況の中にいるときに、一番弱い層にしわ寄せさせられるかもしらぬというところに連帯の感じを持たしていきたい。たとえば組合の場合でも国民春闘ということをよく言いました。この
委員会
などで御
審議
をいただいたときに、組合の方からも頼んだらいいじゃないかというふうな御提案などもあったりした。大企業、千人以上の会社がなかなか
雇用率
を
達成
しないという御批判の中で、会社にも言うし、組合にもお願いしろというふうな提案などありましたが、そういう進んだところに今度の義務規定が生まれたゆえんがある。いまから先もこういう姿の中で前進させて連帯性を守っていきたい。そして働く意思があって自立していこう、社会参加しようという身障者のこういう方々にお互いに協力してやる姿というものが日本の場合に一番大事じゃなかろうか、こう思っています。
森井忠良
39
○
森井
委員
われわれは、常に理想的なものを
政府
当局に迫っていくわけでありますが、
労働大臣
の場合は、関係各省庁との関係もありましょうし、物によっては予算の制約等もありましょうし、時として経営者の団体から強い圧力がかかる場合もありましょうし、御苦労のほどはわかるわけでありますが、せっかくの
改正
ならさらに一層御努力をいただきたい、そういうふうな意味で御質問を申し上げたいと思うのです。 まず、
身体障害者雇用促進法
の場合ですが、これは、もういままでの精神訓話からはっきりと
雇用義務
が課せられたわけでありまして、評価を申し上げるわけでありますが、その義務を守らなかった
事業主
は一体どうなるのだろうか。今回の
改正
では、公表
制度
が出てまいりましたし、そして、これはまあ制裁ではないとおっしゃるかもしれませんが、事実上の制裁に値する
納付金
制度
というものが出てまいりました。しかし公表されたり、あるいは
納付金
を納めたりということだけで、
身体障害者
の
雇用
責任を免れるものではない、そういうふうに私は思うわけでありますが、まず、その点の基本的な考え方についてお伺いをしておきたい。
遠藤政夫
40
○
遠藤政府委員
まさに先生御
指摘
のとおりでございまして、
納付金
制度
を適用するとかあるいは
雇用義務
を
強化
するとか公表
制度
を採用する、こういったことだけで解決するわけのものではございませんで、まず基本的には、何よりもすべての企業が企業の社会的責任、連帯という観念の上に立って
身体障害者
の
雇用
をみずからのものとして受けとめていく、こういう姿勢が大事だろうと思います。 同時に、もう一つは、
職業人
として自立しようとする
身体障害者
の方々がみずから
職業人
として必要な技能を身につけ、その技能をそれぞれの残存能力に応じて新しく開発し、それを向上させて、
職業人
として一般健常者にまじって、一般健常者に劣らないような、それだけの自立の覚悟をしていただくということがどうしても必要だろうと思います。この雇い
入れ
る受け
入れ
の側と雇われる側の
身体障害者
御自身の両方の自覚と認識が相まって、その上に立って
各種
の施策が進められるならば、
身体障害者
の
雇用
の問題も根本的に解決が可能であろう、こういうふうに私は考えております。
森井忠良
41
○
森井
委員
身体障害者自身
の問題でもあるという言い方は、ある意味でそのとおりだと思いますけれども、言いようによっては、これはやはり問題のある言葉だと私は思うんですよね。一生懸命やろうとしていることについては変わりないにしても、ある意味で、いままでの
雇用
状況
のおくれ等の責任を、
身体障害者
の皆さんに転嫁するようにも受け取れますので、この問題の運用については、厳に気をつけていただきたいことを申し上げておきたいと思うのです。 そこで、やはりいい経営者と悪い経営者があるんですよね。悪い経営者の方は、私が先ほどちょっと言いましたように、金さえ払えば済むということで、そして、これは別に罰則はないのですから、公表だって面の皮を厚くしていれば、これは余りこたえないという問題もあるでしょう。だから、いい経営者と悪い経営者がある。やはり悪い経営者のためには、この際、
雇用義務
を課せられたということから見れば、当然罰則をつけるべきであった。私は、きわめて残念でなりませんけれども、なぜ罰則をつけなかったのですか。
遠藤政夫
42
○
遠藤政府委員
確かに
審議
会等におきましても、そういう御議論が一部にはございました。ただ、先ほど申し上げましたように、
身体障害者
の
雇用
の問題は、そういった相互連帯、国民の理解、企業の受け
入れ
体制の整備ということの上に立って初めて可能なわけでございまして、この
雇用義務
に違反したから罰則を科するということで、通り一遍の罰則を一回科したからといって
雇用
が進むわけのものではございません。むしろ私どもは、企業の
社会連帯
責任、そういったものに期待をし、そのために必要な援助、
助成措置
も十分行う、それでもしなおかつ、それに対して誠意を示さないような企業に対しては、雇い
入れ
計画の作成命令も発しますし、その計画もつくらない、あるいはそういう努力もしないという場合には、これには罰則がございます。そういった雇い
入れ
についての手順を踏まないものについては、罰則を科して手順を踏ませるようにしますが、雇わなかった、義務を履行しなかったからといって罰則をかけてそれで終わりというのじゃ、これはそれだけのことになってしまいます。 したがいまして、そういう罰則については、やはり大勢の意見としてはきわめて批判的で、そういうことよりもむしろ積極策に手を尽くすべきだ、こういう御意見だったわけでございます。そういうことで、幾つかの罰則も予定いたしておりますが、
雇用義務
を履行しなかったそのことについての罰則をかけなかったのは、そういうわけでございます。
森井忠良
43
○
森井
委員
あなたがどんなに強弁をされても、罰則があるのとないのとでは強制力がうんと違ってくる。だから、今回は一挙に罰則をつけにくい、まずこれでやってみてということなら了解ができるわけでありますが、いまのあなたのお答えのように、罰則は一切要らないということになると、私は非常に抵抗を感じるわけです。やってみて、もしこれでもなおかつうまくいかなかった場合には罰則を考えますか。
遠藤政夫
44
○
遠藤政府委員
私は、罰則は一切要らない、罰則の要らない性格のものだと申し上げているわけではございませんで、
身体障害者
の
雇用
を本当に進めるためには一体どうすべきかという
観点
からいろいろ議論を進められた結果、当面のこの問題としては、罰則を科するよりはむしろそのほかの積極策を講ずべきであろう、罰則をかけることがかえってマイナスになる面も考えられますし、そういったプラス、マイナス面を考えると、むしろいま御提案申し上げているような方策で
身体障害者
の
雇用
を進める方がよりベターであろう、こういう結論に達したわけでございます。
長谷川峻
45
○
長谷川国務大臣
罰則の問題が出ましたけれども、こういうところで議論するのは私は大変いいことだと思う。たとえば、いままで公表
制度
というのは法制化されていなかったけれども、倫理規定である一・三%なりを
達成
しない
事業所
は公表したらどうかという国会の議論がありました。私も、いたしますと言った、二月の
委員会
でそれを申し上げた。ですから、一部からは早く公表しろという話もありました。そして、それはたしか十二月に公表したのですが、その公表するということを言うただけで、過去十カ月の間にやはり企業がずっとやってくれた、
雇用
してくれたのです。公表することが目的じゃなくて雇ってもらうことが目的でございますが、しかし今度の公表
制度
というのは、
法律
でうたっているのですから、それこそ社会的制裁になると思うのです。ということで、やはり
雇用
ですから、中へ入ってぎしぎしでも困りますから、こういうふんわかと申しますか雰囲気の中で前進させてもらいたい、こう思っております。
森井忠良
46
○
森井
委員
それから
雇用率
も、もうちょっと
現行
に合わなくなっているんですよね。
昭和
四十三年でしたか、〇・二ふやしたのは。それ以降これはいじっておりませんからね。したがって、
雇用率
も直さなければならない。昨年の暮れの
身体障害者雇用審議会
でもその問題が議論をされているが、どの程度これは引き上げようとしておられるのですか。
遠藤政夫
47
○
遠藤政府委員
雇用率
を幾らに決めるのが妥当であるか、こういうことは前々からこの
委員会
でも御議論ございましたわけでございますが、今回新しく
法律
を
改正
いたしまして
雇用義務
を法的に
強化
する、こういうことになりまして、それで具体的にこれからの
法施行
後の
雇用率
につきましては、
審議
会の御意見を聞いて適正な
雇用率
を定めてまいりたい、かように考えております。 基本的な考え方としましては、先ほど来御
指摘
になっておりますような、いわゆる
身体障害者
の中で
雇用
を希望する方々の数がどれだけあるのか、その数を踏まえた上で全体の
雇用
労働者
数に対してその割合を求めまして、それをもとにしてこれからの
雇用
を進めていく上に適正な
雇用率
を決めていきたい、かように考えておりますが、少なくともいまの一・三%の
雇用率
がそのままでいいかどうか、この点は大いに議論をしていただきたい、かように考えております。
森井忠良
48
○
森井
委員
時間の関係もありますから申し上げますが、伝え聞くところによると〇・二ほどまた引き上げるのじゃないか、これは新聞等にもちょっと報道されたようにも思いますけれども、この程度ではとても納得できるものじゃない。先ほど
労働大臣
が言われましたけれども、諸外国の例を見ても、これはずいぶん違う。いろいろ戦争という事情もありますけれども、しかし、それにしても民間の会社が、ドイツの場合は十六人以上になっているんですね。それで六%。官庁の場合は十人以上の職場ですと一〇%なんですよ。イギリスが三%ですね。私が調べた範囲で一番悪いイタリアでも、二%ぐらいになっています。しかも日本のように除外職員というのがない。もろにかかってくるような仕組みになっていますね。 そうしますと、いまの一・三を一・五に引き上げるというふうな消極的な姿勢では、
遠藤
さん、困ると思うんですよ。現に労働省の方でお調べになっておる現在の
雇用
状況
、これは大企業ほど悪いのですけれども、七十七人から九十九人の職場では平均一・七一%ですよ。一・七一いっている。五百人以上のいわゆる大企業については一・二三、少しよくなっていますね。私は、四十九年に御質問申し上げたことがあるのですが、たしか一・一七だったと思う。それがわずかに出まして一・二三という形になっておる。ならしますと、いま一・三六でありますが、中小企業ができて大企業ができないということはない。これは平均ですから、先ほど言いましたよい
事業主
のところは、もっともっといっているわけですが、〇・二上がって一・五、こんなことでは、私は、労働省の姿勢が疑われると思う。少なくとも百歩譲ってもイタリア並みにしてもらいたい。現状でも平均が一・七いっているのですから。これは無理ですか。労働省の本心をちょっと話してみてください。
遠藤政夫
49
○
遠藤政府委員
先生いまヨーロッパ各国の例をお挙げになりましたが、その前提として、置かれた環境の相違ということをちょっとお触れになったと思います。日本の場合とヨーロッパ各国の場合は、戦傷者、そういった
身体障害者
の実情の相違もございます。ですから、適正な
雇用率
を定めます場合に、
身体障害者
の中の
雇用
希望者数がどれだけあるのか、こういったことが前提になって適正な
雇用率
を定めたい、かように考えているわけでございまして、この
雇用率
が高ければ高いほどいいというわけのものではなくて、実際に
雇用
希望者がないのに
雇用率
を定めるといっても、これは全く無意味なものでございまして、私どもは、実際に
就職
を希望する
身体障害者
の方が十全に
就職
できるような、そういう適正な
雇用率
を定めて、その
雇用率
を履行していただく、こういう姿勢で今後の運営を図ってまいりたいと考えております。
森井忠良
50
○
森井
委員
労働大臣
、官庁も悪いんですよ。先ほど私が申し上げましたように、民間の企業は昨年でしたかい百五十社ばかり公表なさいましたね。ホテルとか銀行とか商社とかありましたけれども、これは、もう全然議論の余地のないくらい横着なものですからやむを得ないにしても、少なくとも民間に範をたれなければならない官公庁ですら、まだ達してないところがあるのです、大分減ることは減りましたけれども。しかも官庁の場合は公表
制度
がないんですね。こんなけしからぬことはないですよ。民間のだけ発表しておいて、官公庁は発表しない。 具体的に申し上げますと、これはまだ五十年の労働省の調べですが、自治省が〇・八〇、内閣法制局が、これはゼロです、不足数が一人だから、一人足りないということでしょうけれども。沖繩開発庁が〇・七〇、公安
調査
庁が〇・二〇、消防庁が、これもゼロ。まあ、これは人数が少のうございますし、二人足りないということになっておるわけです。少なくとも官庁でこういうふうに未
達成
の
事業所
があるということについては、どうしても納得できない。しかも、きのう決めてきょうじゃないのです。しばしばこの国会でも問題になっているものなんです。いつも協議をする、協議をすると答弁が返ってきておるわけですけれども、この機会に、どういう理由でまだ
達成
できないのか、労働省として把握していらっしゃる範囲でお答えを願いたい。
遠藤政夫
51
○
遠藤政府委員
確かに、いま御
指摘
になりました五省庁につきましては、三公五現を含めた国の機関の中で未
達成
でいまなお残っております。昨年、一昨年、この二年間に未
達成
の各省庁はかなりございましたけれども、大臣に閣議等で再三発言をしていただきますし、また人事担当者
会議
で労働省から各省庁に協力を依頼いたしまして、そういった各省庁が全部
雇用率
を
達成
いたしておりまして、全体の
雇用率
といたしましては、官公庁非現業の一・七が一・八九になっております。現業で一・六のところが一・七三ということで、その中でいま御
指摘
になりました五省庁が残っておりますが、全部はつまびらかにいたしておりませんが、この中で特に多い公安
調査
庁、沖繩開発庁につきましては、これは、いずれも各省庁からの出向者が大半を占めております。そういった関係で、この省庁自体で新規に採用されるという職員がほとんどないといったようなことから、努力はしていただいておりますけれども、短期間にこの目標を
達成
することが非常にむずかしいというような状態でございますが、今後一層努力をしていただくように私どもの方からお願いをしておるような状態でございます。
長谷川峻
52
○
長谷川国務大臣
私は、本当に閣議では時には憎まれ役を買うわけですよ。公表
制度
と言いますけれども、これは随時公表
制度
でやっておりまして、あなたの役所は何名足りない、その後は記者会見で各役所の足りない数やらずっと出すことがあるのです。まさに役所の方が、率先垂範すべき立場がおくれておるところもまだありますから、今度こうして御
審議
をいただいて法案でも御可決いただいた後には、国会においてこういう議論が出たからしっかり守れというふうに、もう一遍しっかりハッパをかけようと思いますから……。
森井忠良
53
○
森井
委員
政府
関係各省もそうなんですけれども、これは自治省は成績が悪いので県や市町村の
指導
は言う資格がないかと思うのですけれども、地方自治体の
状況
はどうなっていますか。県や市町村ですね、私は、
達成
してないところがずいぶん多いのじゃないかと思う。具体的な
指導
も、恐らく自治省はする資格がないからしてないのじゃないかという感じすら持ちますが、いかがですか。
望月三郎
54
○望月説明員 地方自治体につきましては、全体としては
雇用率
は一・四二%になっております。
森井忠良
55
○
森井
委員
それでは、もう絶対に足りないということがはっきりしているわけです。したがって、これは具体的に
指導
通達を——これは労働省じかではやはりいけないのかな。いずれにしても、場合によっては自治省と協議をしても完全に守らせるための
措置
をおとりになりますか。でないと、民間は今度は
納付金
その他あるんですから。まさか官公庁から、成績が悪いから、未
達成
だから
納付金
を取るというわけにいかないでしょう。ここのところが問題なんですよ。
納付金
を払うとすれば税金で払うわけだから。だから、あなた方が
納付金
制度
をつくられないという気持ちはわかる。わかるかわりに、それじゃあ
納付金
を払わなくてもいいようにしなければ、これはもう全然問題になりませんので、具体的な通達を労働省じかか、あるいは自治省なり、あるいは県から市町村へ出せる方法があるのか、方法はお任せするとして、強力な
指導
通知をお出しになるのかどうなのか、この際はっきりしていただきたい。
遠藤政夫
56
○
遠藤政府委員
官公庁、特に国の機関はもちろんでございますが、地方公共団体につきましても、率先垂範して民間に先んじて
雇用
を進めるべきことは当然でございますし、今回の
法律
改正
におきまして、新しい
雇用義務
の点でいま御
指摘
のように官公庁、地方公共団体は
納付金
制度
の適用を外されております。これは当然のことでございますが、それだけに国、地方公共団体は
雇用率
を
達成
すべきことは当然でございます。さらに進んで民間
事業所
に対して、
雇用率達成
の
指導
の責務に当たるわけでございます。したがいまして、みずからの
雇用率
を
達成
するための方途につきましては、ただいま御
指摘
のように、自治省とも協議いたしまして強かな
指導
対策
を講じてまいりたい、かように考えております。
森井忠良
57
○
森井
委員
公安
調査
庁見えていますね。——あなたのところは、先ほど申し上げましたように、まだ
達成
率は〇・二〇です。これはずいぶん足りない。しかも、きょうだけじゃないんですね。私が御質問申し上げたのが、
昭和
四十九年の二月二十六日、二年以上前です。その当時は
竹内
さんという、たしか総務部長だったと思うのですが、具体的にこれではひどいじゃないか——〇・一〇ですからね。そうしましたら、四の五の最初は弁解がございましたが、結論から申し上げますと、私が、公安
調査
庁と労働省は直ちに協議をして、そして「将来におきますこの
雇用
計画を明確にした上、この
委員会
で計画作成が明確になった段階で御報告を願いたいと思います。」こういう要求をしておるわけなんです。これはお約束になったんです。ところが二年待ってあげたのに、ほとんど進歩の跡が見られない。あなたのところを引き合いに出して、そういう意味では名指しだから、大変気の毒なんですけれども、しかし先ほど
労働大臣
が答弁をなさいましたように、率先垂範してやらなければならない役所なんで、しかも外へ出歩く人ばかりじゃないのでしょう。あなた労働省へ行きましたか。行ってごらんなさい。エレベーターを操作してくださるのは
身体障害者
の方なんです。問題はやはり性根だと私は思うのです。いままでどれだけ努力なさったか、お答え願いたい。
安部敏男
58
○安部説明員 お答えいたします。 ただいま御
指摘
をいただきましたとおり、現在わずか〇・二%でございまして、人員にしまして四名でございます。前回二名でございましたが、ようやく現在四名、まだまことにささやかでございます。 〔
竹内
(黎)
委員長
代理退席、葉梨
委員長代理着席
〕 どうしてそういう状態になっておるかということを一言御説明を申し上げます。 先生も御承知でおられると思いますが、公安
調査
官と申しますのは、破壊的団体の規制のための
調査
ということを仕事としておりまして、デスクワークだけでございませんで、大部分が外勤、戸外で活発な活動をしながらの
調査
、こういうことでございます。そういうことでございまして、われわれといたしましても、この法の精神にのっとりまして、できるだけわが庁に希望してこられる方、しかもそういう
調査
活動に適する方がおられましたら採用をしていきたいと考えておりますが、こういう公安
調査
官という仕事を一般に知っておられるせいかとも思いますが、わが方への採用希望が、身障者の方で、いままでほとんどございませんので、結果的にこういうことになっておりまして、まことに申しわけないと存じておる次第でございます。
森井忠良
59
○
森井
委員
納得できません。あなたの職場は千人以上の職場ですね。たしか千三百、もっと多いですか、いずれにしてもずいぶん多い
事業所
です。しかも公安
調査
官ばかりじゃないでしょう。
身体障害者
の皆さんに沿う職種はいろいろあると思うのです。だから、希望者がないというのは、無責任な話でして、それじゃきちっと職種をきめて、もうこの職種なら
身体障害者
の皆さんにできるという職種ははっきりしているのですから、労働省と協議されて、具体的に
身体障害者
に限って、あなたのところは四人雇っていらっしゃいますが、二十九人足りないのでしょう、職種を決めて公募してごらんなさい、希望者があるかないか、喜んで来ますよ、あなた、役所ですから。やっていただけますか。
安部敏男
60
○安部説明員 実は、いま御
指摘
のとおり、タイプを打っておられる方とか電話の交換その他一般事務、こういう方が百八十四名全庁でおります。これにつきましては、なるべくそういう方で御希望がありましたら採用する、こういう方針でやっておりますが、いま公務員を採用しますのは、人事院の試験を通った者から採用するということになっておりまして、人事院の方へも、また労働省とも話し合いまして、そういう方がおりましたら、私のところへおいでになれば採用していきたい。いままでもそのようにやっておりますが、幸いいまおります四名の身障者の方は、
調査
官でございませんで、一般事務の方へ入っておられるわけでございます。今後もわが庁の方へ採用を希望される方がありましたら、そのように努力をしていきたいと考えております。
森井忠良
61
○
森井
委員
職業安定
局長
、
身体障害者
に限っていまおくれておるわけですが、
雇用
募集をする、採用募集をするという場合に、何か法的に触れるものがありますか。
遠藤政夫
62
○
遠藤政府委員
いま公安
調査
庁からも御回答ございましたように、公務員を採用いたします場合、人事院試験の合格者でなければならない、それから定員の関係で欠員がないと採用できない、こういう二つの制約がございます。各省庁の中で毎年その枠内で新規採用が可能なもの、それから公務員試験の合格者以外でもできますいわゆる庁務要員、雑役とかこういったものについては可能かと思いますが、公安
調査
庁の場合、いまお話ございましたように、
調査
官以外は百八十名くらい
全国
でございますが、その中でいわゆる公務員試験合格者以外の者でも採用できる職種と、それから定員の関係でなかなか短期間ということはむずかしいかと思いますが、私ども公安
調査
庁と御相談しながら、できるだけ早急に目標の
雇用率
が
達成
できるように努力してまいりたいと考えております。
森井忠良
63
○
森井
委員
それじゃ
身体障害者
の皆さんももちろん試験には合格しなければなりませんが、
身体障害者
に限って人事院と協議をして採用するということは違法ではないようですから、具体的には定員の問題については私も理解ができますので、欠員ができ次第——いま欠員があるのかないのか、もう時間の関係で聞きませんけれども、マスコミの皆さんもみんな聞いていただいておるのですから、あなたの方に応募者がないことはないのですから、この際、私の申し上げました趣旨を理解して、ひとつ
措置
してくれますね。この点だけ一言お答え願いたい。
安部敏男
64
○安部説明員 ただいまの点、われわれもそのように考えておりまして、できるだけ採用していきたいと思います。
森井忠良
65
○
森井
委員
じゃ次の質問に入るわけですが、今度は
雇用率
算定の場合に
重度障害者
の方を率を上げる、これは労働省としては、一人を二人に計算をすることのようでありまして、非常に結構なことだと思うわけです。二人がいいかどうかということにつきましては、議論のあるところでしょうから、実情に合うように一層御研究を願いたいと思いますが、逆の場合もあるんですよね。正常の方に近いような人ばかりより好みをして雇うというような役所、国会で問題になりましたからそう多くは申し上げませんが、たとえば電電公社のように、これは少しひどいですね。職種別身体機能要件というのがございまして、ネジ、ビスなど微小部品を取り扱えること、それから二つ目として一日七時間勤務のうち一回二時間程度の立ち作業ができること、三つ目として四キログラム程度の物を約十メートル持ち運べること、四つ目としてはしご、脚立に上りおりできること、それから五番目としてうずくまったり、しゃがんだりできること、これは男子機械職のようでありますが、いずれにしても、これは要求する方が無理なんですよ。しかも労働省のお考えは、できるだけ重度の皆さんも雇い
入れ
るようにしたいというのが趣旨ですから、きわめて私は遺憾だと思うわけでありますが、具体的に電電公社の例を申し上げますと、
雇用率
が
達成
しておるというかっこうになっておる。ここのところが私は問題点だと思うわけです。重度の方について一人を二人にするというふうな
措置
がなされるのなら、やはり実情から見てむしろ逆に今度は計算をする方法があるのじゃないか。 これは、いま明確にお答えをいただくのは無理かと思いますけれども、たとえばそういったところについて、やはり強力な
行政
指導
をしていく、聞かなければ最終的には、いま言いました率の計算についてもやはり査定をしていくというふうな姿勢がなければ、とかく先ほど申し上げました悪い
事業主
の方は、それに走りがちだという傾向があると思うのです。この点についても御
検討
いただけるかどうか、お答えを願いたい。
遠藤政夫
66
○
遠藤政府委員
これからの
身体障害者
の
雇用
を進めていきます際に、
重度障害者
の
雇用
の場を
確保
するということが一つの大きな眼目でもございます。したがって、
重度障害者
を雇いやすくするというような
観点
から、
雇用率
の算定に当たりましても特段の配慮をいたします。同時に、いろいろな援助、
助成
の
措置
につきましても、たとえばモデル工場というのを三年前から実施いたしておりまして、
全国
ですでに十数工場発足いたしております。これに特別な低利融資をして
重度障害者
、これはほとんどが
重度障害者
でございます。こういうことでいろいろな
措置
をとってまいっております。 問題は、いま御
指摘
になりましたように、きわめて軽度の障害者を障害者として扱うのかどうかということでございますが、この
雇用率
の適用対象になります
身体障害者
の範囲につきましては、いままで
身体障害者
福祉法によります
身体障害者
の範囲と必ずしも一致しておりませんので、今後は
身体障害者
福祉法による
身体障害者
の等級区分によって一致さしていこうと思っております。 と同時に、厚生省でいま
身体障害者
の等級についても再
検討
が行われておるやに聞いておりますが、こういった点につきましても、私どもの方も積極的に厚生省と相談をいたしまして、
雇用
の
観点
からも
身体障害者
の等級決定につきまして、もう一遍十分な配慮をしていただくように御相談をしてまいりたい。そういうことによりまして、いまお話しになりますようなきわめて軽度の者で
身体障害者
として考慮する必要のないような人たちが、この
雇用率
の中にカウントされるということにならないような配慮もこれから必要であろうと思います。たとえば私は左の目が〇・〇一ですから、これは
身体障害者
になるのじゃないかと思いますけれども、私自身、実は
身体障害者
と思っておりません。そういう人たちが
雇用率
の算定に入るということは、これは確かに不合理だと思います。そういった点、十分これから配慮しながら、
身体障害者
の範囲の問題なり、あるいはその
雇用率
算定の扱い方の問題なりの
検討
を進めていきたい、こういうふうに考えております。
森井忠良
67
○
森井
委員
次に、
納付金
の
制度
についてお伺いをしたいのですが、まず、はっきりしないのは単価が幾らかということですね。これは幾らですか。 それから、時間の関係もありますから、もう一つ質問いたしますと、いつも問題になるわけでありますが、未
達成
の
事業所
へは今度は
納付金
を取るということなんですが、官公需の請負をやらせない、これは、しばしば国会で問題になるわけですけれども、そういった別の意味での制裁というのはとれないのかどうか、とりあえずこの二つお伺いします。
遠藤政夫
68
○
遠藤政府委員
この新しい
法律
によります
納付金
を幾らにするかということは、まだ具体的に決定いたしておりません。当然この
法律
が成立いたしましたならば、
審議
会にお諮りして、
審議
会の御意見をもとにして決定することになろうかと思いますが、基本的な考え方は、
身体障害者
を雇います場合に、どうしても一般の人を雇う場合よりもいろいろな費用の負担がかかる、たとえば作業機械の改造をやるとか、あるいは環境の整備をしなければならぬとか、そういった負担の増がどうしても必要になってまいります。そういったことを基準にいたしまして、
身体障害者
を雇わない場合はそういった費用がかからない、その負担の
調整
を図るというのが基本的な考え方でございますので、そういった点を十分計算しながら、一体幾らにすれば適正な
納付金
制度
の運用に資することができるか、そういった
観点
からこの
納付金
の額を決めてまいりたい、こういうふうに考えております。 それから、第二点の官公需の問題でございますが、官公需の発注に際しましては、予算の執行なり会計
制度
上のいろいろな問題がございまして、
身体障害者
の
雇用
について官公需の発注について規制をするとかそういったことはいろいろむずかしい問題がございますが、御趣旨は大変ごもっともでございまして、
身体障害者
を多数
雇用
している事業場にできるだけそういった配慮をしながらこの官公需の発注の問題を考えるということにつきましては、私どもそういう方向で御趣旨に沿って考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
森井忠良
69
○
森井
委員
金額について結局いま何と言われたか、私わからなかったのです。何円にされるのですか。 それから、官公需の点ですけれども、これは、あなたの所管ではありませんけれども、たとえば中小企業退職金共済がありますね、そのうちの建設共済、これあたりは、業者が指名に入るときに、きちっと
労働者
の切手を持ってこなければ指名に入札させないとか、私も定かではありませんが、たしかそれくらいの制裁をしてきた。これは悪弊も残っておりますよ。大急ぎでとりあえず加入して、後で切手を破るというような悪質なものもありますけれども、やはり例はあるわけですから、この際、これは、もちろん労働省だけではいきませんけれども、
長谷川
労働大臣
は、思い余ったら閣議ででも
身体障害者
の問題について訴えておられるくらいですから、私はこれくらいできなくはないと思うのです。 特に今回の
改正
を機会に——これは何回も問題になっておるわけです。いま
遠藤
局長
はああいうふうに言われましたけれども、これは大臣の答弁もあるんですよ。四十八年の七月三日、衆議院の
社会労働委員会
で
加藤
国務大臣は、民社党の小宮
委員
の質問に答えて「お説ごもっともで、いいアイデアでありますので、官公需に対する発注の問題は積極的に
確保
をはかるように関係各省に連絡をいたしまして、閣議などでも発言いたしましてその方針にすることは私は当然と思います。」これだけはっきり
加藤
さんは答えていらっしゃるのです。大臣もかわられたわけですし、いまはさらにすばらしい
長谷川
労働大臣
ですから、当然やっていただけると思うわけです。いかがでしょうか。
長谷川峻
70
○
長谷川国務大臣
加藤
さんほどすばらしくないものですから……。まあ、しかしお話の筋はよく承りながら、従来の慣行、いろいろなことを見ながら前向きの姿勢で勉強してまいりたい、こう思っております。
遠藤政夫
71
○
遠藤政府委員
お尋ねでございますが、
納付金
の金額につきましては、先ほど申し上げましたように、こういった基準で決定いたしたいと、考え方を申し上げたわけですが、具体的金額は決めておりません。
森井忠良
72
○
森井
委員
私そのために冒頭申し上げたのですが、金で済むという発想を与えれば大変なことになると申し上げました。いまここでも金額は
局長
から言わせませんが、金で済むというその発想にしても、これは痛いなというくらいの金額にはしていただかなければならない。はっきり申し上げますが、何か三万円そこそこのちっぽけな金額で考えていらっしゃるようでありますけれども、これは絶対に私は納得できない。金額は大幅にふやしていただくように強く要求をしておきます。これは答弁は要りません。うかつな答弁をもらいますと、かえって後へ向きますので、強く要求をしておきます。 次に、時間の関係もありますから未
達成
企業の公表ですね、これは去年初めておやりになったわけですが、考えてみると、いつどういう方法でやるのか、第一回の例がああいうふうな形でして、これも、たとえば勧告等を経た後に、先ほど大臣の御説明のようにおやりになったと思うわけですが、具体的にいつどういう方法でおやりになるかということを明らかにしておいていただく必要がある、今度はきちっと公表
制度
というものができるわけですから。それから去年発表のものには
雇用率
が書いてないのです。これは意図的にぼかされたのか、あるいはどれくらいとかいうふうなもので基準をお決めになったのか、その点、もう時間がありませんから、ちょこっとでもよろしゅうございますからお答え願いたい。
遠藤政夫
73
○
遠藤政府委員
公表
制度
の運用につきましては、どういう形で、たとえば定期的に毎年一回
調査
の結果発表するのがいいのか、あるいは随時
行政
指導
の結果発表するのがいいのか、そういった点は
審議
会でもう少し御意見を伺った上で最終的に決めたいと思っております。 いずれにいたしましても、
雇用率
未
達成
の企業に対しまして、雇い
入れ
計画を作成させて、そして雇い
入れ
の具体的な方策を進めさせる、あるいはそれが不備な場合は勧告権を発動する、そういった
措置
をしてなおかつ
雇用
の努力が認められない、誠意が認められぬ、こういったものについて公表するということになろうかと思います。公表すること自体が目的ではなくて、
雇用
してもらうことが目的でございますので、その趣旨に沿って運用をしてまいりたい、かように考えております。 それから、昨年の十二月に公表いたしましたのは、全体の
調査
の結果、五百人以上の企業で〇・五%以下、もちろん
雇用率
は一・三でございますけれども、その中で特に
雇用率
の低い、〇・五%以下の努力の跡の見られないものについて公表いたしたわけでございます。
森井忠良
74
○
森井
委員
私が聞きたかったのは、いま御答弁があった以外に、たとえば年に二回なのか一回なのか、定期的なのか不定期なのか、私は、少なくとも年に二回ぐらい、先ほど大臣の御答弁によりますと、発表するぞと言っただけで
雇用率
が上がるくらいですから、その意味で最低限年に二回、具体的に御提案申し上げたいと思うわけでありますが、年に二回ぐらいはやってもらいたい、それが一つ。 それからもう一つは、いつも発表していると大臣はおっしゃったのですけれども、官庁の
雇用率
についても私は公表
制度
を考えてもらいたい。というのは、
政府
関係はまだいいんですよ。何郡の何町の役場が未
達成
だということになれば、その住民が、おれのところの村は、おれのところの町は恥ずかしいじゃないか、町長さん雇ってくれという空気が出てくると思うのです。必ず
身体障害者
の皆さんそこに住んでいらっしゃるわけですから、そういう意味で、これは中央、地方を問わず官庁の公表
制度
についてもお考えを願いたい。 以上二点について……。
遠藤政夫
75
○
遠藤政府委員
地方公共団体、市町村等につきましては、
法律
上の
制度
はございませんが、国の機関に準じて当然公表するつもりでございます。 それから、一般の民間の公表
制度
につきましては、御意見年に二回ぐらいということでございますが、むしろ公表することによってその間に
雇用
を進めさせるということがこの公表
制度
の目的でもあり、趣旨でもございますので、私といたしましては、まだ決めてはおりませんけれども、もし仮に定期的にやるとすれば、年一回ぐらいが適当ではないだろうか、あるいは定期的にではなくて、随時
調査
をして
行政
指導
の結果公表するということの方が、この
制度
の趣旨からいってベターか、いずれが適当か、実はまだ最終的に決定いたしておりませんので、十分そういった点を考慮していずれかに決定いたしたいと思っております。
森井忠良
76
○
森井
委員
それでは、時間が本当になくなりましたけれども、
精神薄弱者
の方々の問題についてお伺いしたいと思うのです。 今度法的には
雇用義務
、
雇用率
、そういったもの以外は大体適用されるようになって一歩前進だとは思いますけれども、何かやはり該当する方々から言えば、取り残された感じをお持ちじゃないかと私は非常に心配をするわけです。 それから、
雇用
問題を扱うところにしても、
身体障害者雇用審議会
でおやりになるのでしょうけれども、すでにその実績はあるのじゃないかと思いますけれども、これは名称からして
身体障害者雇用審議会
になっているわけですから、やはり主たる
審議
の中身は
身体障害者
であって、
精神薄弱者
の皆さんは対象にならないというようなことがあってはならない。したがって、
審議
会の改組であるとか、あるいはむずかしい問題があることはわかりますが、一日も早く
身体障害者
と少なくとも同じような扱いになるような御努力をいただきたいと思うが、いかがでしょうか。
遠藤政夫
77
○
遠藤政府委員
今回の
改正
に際しまして、精薄者の
対策
をどうするかということが、この
改正案
作成の段階で一番大きく議論のあったところでございます。これは
審議
会におきましても、関係団体の代表の方においでいただきましていろいろ御意見も伺い、大変御討論をいただいたところでございますし、この作成の過程で、自民党の
労働部会
におきましても、精薄
対策
というものをどうするかということが非常に大きな焦点になった問題でございます。 いまお話ございましたように、
雇用率
、
納付金
制度
、この二点を除きましては、ほぼ
身体障害者
と同じような扱いでこの新しい
法律
改正案
の中に盛り込んできたつもりでございます。 ただ問題は、
身体障害者
と全く同じように
雇用対策
を進めていくかどうかということにつきましては、精薄者につきましては、いまの段階では、一般的に申しまして
雇用
になじまない。その点につきまして、医学的な判断なりあるいは職業能力といったような点につきましてどう考えたらいいのか、そういった点をいままではややもすれば十分解明ができていなかった。そこで先般来、精薄関係の団体の方々とも御相談をしまして
審議
会で
検討
していただくことはもちろんでございますが、私ども
行政
レベルで関係者団体の方々と具体的にそういった問題を早急に
検討
を始めようというお約束をいたしたわけでございます。 今回の
法律
の中でも、この精薄者の扱いにつきましては、附則でそういった
検討
なり研究なり
適職
の開発なり、そういったものが進むまでの間、暫定
措置
として身障者と同じように扱う、こういう
措置
が明記されておりますので、そういった研究なり
検討
なりを早急に具体的に進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
森井忠良
78
○
森井
委員
持ち時間がなくなりました。
精神薄弱者
の皆さんの問題をおろそかにするわけではありませんが、時間の関係がありますので、
中高年齢者
の
雇用
促進
法の
改正
についても若干お伺いしておきたいと思うのです。 法案を通じて流れている労働省の考え方というのは、やはり将来、
定年延長
に持っていこうという意図、これは私どもも歓迎ができるところです。ただ、やはり到達目標が六十歳でしょう。諸外国の例を持ち出すまでもなく、もう六十五ですよ。平均寿命からもそのことは言えるわけでして、何かこれでは物足りない。そうかといって、日本の場合は終身
雇用
ですし、それから賃金についても、年功序列型賃金になっていますし、いろいろ後がつかえるという人事面での問題もありましょう。ですから、理解できなくはないが、これは、それぞれ所管の官庁で
検討
していただかなければならぬが、はっきり申し上げでおきたいのは、もう六十でよろしいということでは、これは話になりませんよ。やはり将来の問題として、六十五まで何らかの形で到達をさせる、そのための障害はやはり労働省も
調査
研究をし、あるいは関係の官庁とも十分合議をされて——いまのところ六十歳でやむを得ないにしても、企業としてまだ
達成
していないところもずいぶんあるわけですから。しかし目標としては、やはり六十五歳に置くべきである、こういうふうに考えますが、この点だけお答えを願いたい。
遠藤政夫
79
○
遠藤政府委員
私どもは、
雇用
政策の対象として、あるいは
労働力
対策
の対象として六十五歳までということを考えておりますし、また中高年齢法でも六十五歳ということを明記してございます。 いまお話しのように、現在一般的に行われております五十五歳
定年
を、さしあたり当面六十歳まで何とかして延ばそう、こういうことで
雇用
奨励
措置
も拡充してまいっております。今回の中高年法の
改正
も、そこに主眼を置かれておりまして、側面からこの
定年延長
を
促進
していこうという趣旨でございます。と同時に、六十歳以上はいいのかというと、そうではございませんで、先般成立しました本年度の予算では、六十歳を超えて継続して
雇用
される場合、継続
雇用
奨励金という
制度
を新設しております。六十五歳までは何としても働いていただこう、こういう趣旨で
制度
を仕組んできておるわけでございまして、私どもは、六十歳までの
定年延長
、六十歳を超したならば、
年金
と働いた賃金とで生活を支えていけるような体制をとっていこう、こういうことで六十五歳までの職場の
確保
、
雇用
の
確保
、安定ということを念願しておるわけでございます。
森井忠良
80
○
森井
委員
中高年のうち高年、五十五歳以上だけ
雇用率
をお決めになりました。従来からの職種別の
雇用率
は当然生かされると思うのですが、それに加えて高年者の場合、
雇用率
をお決めになったが、率をお幾らにされるのか。それが一つ。 これから、これを設けることによって、仮に職種によって不利になるような場合が、中高年ということになりますと、高年だけ決めますから、あるいはあるのじゃないかという感じもするわけですけれども、その点についてお伺いしておきたいと思います。 時間がないから、もう一つ質問をいたしたいと思いますが、ことしの二月二日に、これは中央職安
審議
会で
労働者
側
委員
から、中高年齢失業者等求職手帳発給の条件緩和、さらに特定地域開発就労事業の拡大、この二つについて、
行政
指導
の
強化
によって弾力的に運用するように、こういう意見が述べられていますね。公益側
委員
全員が協議をした結果、次のようになっています。中高年齢失業者等求職手帳の発給については十分配慮する、また特定地域開発就労事業についても、
行政
上努力をするという当局側の答弁をつけるということで了承することになったというふうに私は聞いておるわけであります。非常に関心の深い問題ですので、明確にしていただきたいのでありますが、このことは間違いないのかどうなのか、また今後、この趣旨を踏まえて具体的
措置
が行われるのだろうと期待をしておるわけでありますが、この点についてもお答えを願いたい。
遠藤政夫
81
○
遠藤政府委員
今回、六十歳までの
定年延長
ということを進めるべく
高年齢者
の
雇用率
を
制定
いたすことにしたわけでございます。それに伴って、従来ありました
中高年齢者
の職種別の
雇用率
という
制度
が
廃止
になったわけでございます。しかし中高年齢向けの職種の研究開発ということは、依然として
検討
を進め、具体的に
措置
いたしております。この新しい
改正
によりまして、職種別の
雇用率
がなくなったからといって、
中高年齢者
にとりまして不利になるようなことは絶対ないものと私ども確信いたしておりますし、
行政
指導
、具体的な
措置
の面でそういうことにならないように今後とも十全の
措置
をとってまいるつもりでございます。 それから、この
雇用率
をどれくらいにするかということでございますが、これは五十五歳以上の
高年齢者
の、全体の
雇用
労働者
の中で占める割合が大体一〇%から一一%ぐらいになる見込みでございます。そういったことを前提にいたしまして、この
定年延長
の趣旨にのっとって、どれくらいに
雇用率
を決めるのが適正妥当であるか、これも
審議
会の御意見を承りまして、その結果によって率を定めてまいりたい、こういうふうに考えております。 それからいま、ことしの二月の
審議
会におきまして
議題
になりました、労働側の
委員
から提案されました中高年手帳
制度
の運用の問題でございますが、発給要件を緩和してほしいという御意見でございましたが、その点につきまして私からお答えいたしましたのは、最近は
雇用
情勢
は好転してまいっておりますが、当時のこういった
雇用
の、非常に不況下でいろいろ問題でございます。そういう実態に即して適正な運用を実施してまいりたい、こういうふうにお答え申したわけでございます。そのとおりに運用してまいるつもりでございます。 それから、特定地域開発就労事業の実施拡大ということでございますが、これは、この予算
措置
によりまして、特定地域開発就労事業をすでに実施いたしまして数年になりますが、この事業は、失対事業と異なりまして、当該市町村、当該地域の開発振興に役立ち、それによって
雇用
の場が拡大されるということが一つの条件になっております。そういった趣旨に基づきまして、当該市町村、地方公共団体がこの事業の実施に踏み切らないことには、私どもの方で強制するわけにまいりませんので、当該地域の失業の実態と当該市町村、地方公共団体の意向を十分くんで、関係者の意向も尊重しながら、この具体的な施行に当たってまいりたい、こういうふうにお答えしたわけでございます。
森井忠良
82
○
森井
委員
時間がありませんから終わります。
葉梨信行
83
○葉梨
委員長
代理 次に、
和田
貞夫
君。
和田貞夫
84
○
和田
(貞)
委員
委員外
ですので時間が十分与えられておりませんので、端的にお答えいただきたいと思います。
身体障害者
なり
精神薄弱者
の
雇用
促進
、
法律
を幾らつくっても、
法律
を幾ら
強化
しても、問題は、
身体障害者
や
精神薄弱者
の労働権を保障するということ、生活権を保障するということ、それにはどういうような対応していくかということ、役所なり企業がどういうように
身体障害者
や
精神薄弱者
の受け
入れ
体制を整えるかということ、あるいは縦割り
行政
で労働省が労働省だけで考えるというのでなくて、横の連携を持って社会保障の問題であるとか教育の問題であるとか
医療
の問題であるとか、こういう多岐にわたった全体的な中で
身体障害者
、
精神薄弱者
の労働権を保障していく、生活権を保障していく、基本的にこういう立場に立たない限りは問題の解決にはならない、こういうように私は思うわけです。 そこで、一、二例を挙げたいわけでありますが、私のごく近所の子供さんです。中学校二年生のときに理科の実験をなさっておった。ところが、やんちゃな者がおりまして、先生の
指導
を聞かないでちょっと手を出した。そのことによって爆発して片方失明したのです。そこで、このお母さんは、自分の子供に対して、御近所の子供さんのことでありましたから、恨んだらいかぬ、こういう家庭教育をやりまして、高等学校、大学に進学して四十九年三月に卒業した。いざ
就職
ということになりました。そして
就職
の時期にあちらこちら当たっているわけですが——申しおくれましたが、本人は大阪市立大学の経済学部を卒業した。とにかく本人が当たっただけで、安宅産業に
就職
試験を受けた、だめだ。兼松江商の試験を受けた、だめだ。阪和興業を受けた、だめだ。塩野義製薬を受けてもまただめだ。大日本インキ化学を受けた、まただめだ。積水化学を受けて、だめだ。日本ゼオンを受けた、だめだ。百貨店につきましては、高島屋もだめだ、大丸もだめだ、そごうもだめだ。これだけ受けておるのです。お母さんがこのことで非常に嘆いてこられました。(発言する者あり)不規則発言がありますが、大阪市立大学経済学部の成績はかなりいいものです。失明しておる、これが原因なんです。お母さんはいままで自分の子供に対して、友達を恨むなという家庭教育をやってきた。そのお母さんの子供に対する教育というのは正しかったか正しくなかったかということでお母さんとして悩んでおられる。心配をして来られまして、この子もあるところに
就職
をさせて、いま元気で働いておるわけであります。 あるいは新潟県の糸魚川市という自治体がございますが、ここで、
昭和
三十二年四月に給任として
就職
しまして、
昭和
三十六年に一般
行政
職になりまして予防衛生の
行政
に五年間携わり、税務
行政
に七年間携わりました。
昭和
四十四年から四十五年にかけてベーチェット氏病という難病にかかって視力が衰弱いたしました。そして新潟大学で診断を受け、ステロイドホルモンを服用し、東京女子医大で検査を受け、帝京大学で左眼の手術をした。四十九年十二月に左眼が失明、右眼が〇・〇二という視力になりました。病気休暇をとっておりましたが、去年の四月二十一日に休職、公務疾病じゃございませんから、ことしの四月二十一日で休職の更新、いま無給で家庭におられるわけです。 ところがこの自治体側がどういうように言っているかといいますと、こういう私病、難病で失明した、視力が衰弱したという職員をそのまま継続して
雇用
するというような前例がないということ、そして継続
雇用
していこうと思えば、金がないのではないと言う。金はあると言うのです。大事なことは、市民感情を悪くすると言うのです。これが一つの理由です。もう一つの理由は、たとえば視力が衰弱したわけでありますから、受け
入れ
る職場をつくったらいいのでありますが、そういう受け
入れ
る職場は、市の方にはつくられないと言う。東京都にはそういう例が過去にあったわけでありますが、しかし東京都の二人の例は大学出であった、こういう理由を突きつけて本人をやめさせようとしておる。 一方では
雇用
促進
法を、新しい角度から前向きになって、私に言わせるならば不十分でありますが、何とか前向きになってということで御
検討
され、法案
審議
をしておるわけでありますが、一方ではこういう民間企業がある、こういう自治体が現存する。この
法律
でいかに自治体に対する義務づけ、企業に対する義務づけがあっても、こういう問題をなくそうと思いましたならば、先ほど申し上げましたように、基本的な考え方に立たない限りは、当然この問題の解決にはならない、こういうように思うわけでありますが、
労働大臣
の考え方と、自治省が直接担当でありますから、この
法律
で義務づけられるにもかかわらず、現実的にこういう自治体が一つでもあるということについて、今後自治体に対してどういうような
行政
指導
をしようと考えておられるか、お答え願いたい。
長谷川峻
85
○
長谷川国務大臣
人生は本当に複雑でもあります。私は、自分が健常者であること、また人の親として自分の子供が健常であること、これが最大の幸福だと思っております。それだけにまた、たとえば先ほどから労働省の話が出ましたが、やはり国民連帯というのは、いろいろなところで認識してもらわなければならぬと思うのですね。労働省に身障者の方々が勤めていらっしゃるのですが、クラブの諸君も最初入ってきたときは、ちょっといままでそういう方々と接触していない人などは、最初は何かやはり違和感を感じた。半年でも一年でも労働省に出入りする。エレベーターに乗って見る。自分はそれで非常に問題がわかった、こういうのが一般じゃないでしょうか。 ですから、私は、それぞれがこのたびの
法律
で、あなたのおっしゃるように、全部の人が心の中まで満足いくようなことはなかなかできないと思いますが、しかし、それはみんなでやはり努力して連帯感、また、そういう方が一生懸命にやっていこうとする姿を、気持ちをわかってもらうような社会の雰囲気かなければ——
雇用率
を今度は義務づけもいたしますから、その程度はできるでしょうけれども、しかし一人一人の心の中までなかなか入っていけない。そのいら立たしさを感ずるのです。それだけにまた、これは事業者だけにあらず、ほかの関係の方々も、みんなで理解していく姿というものがどうしても大事だ。そういう理解の気持ちがあれば、
雇用率
も
達成
するだろうし、また、そういう気持ちがあれば、そうした人々も一生懸命自分の体に訓練をつけるとか、
適職
でこれをがんばるという気持ちがわくのじゃなかろうか。生きている世の中というものは、まさに苦労が多い、それが人生。それを健常者の者が本当に連帯意識で、お互いが翼を広げながら一人一人を抱えるような気持ちというのが大事じゃなかろうか。 そういう意味からしますと、どんな
法律
ができてもうまくいかぬという御批判があるでしょうけれども、いまある
法律
をそういう意味で実行して効果を上げる、こういうふうな気持ちであります。
鹿児島重治
86
○鹿児島説明員 ただいま先生から特に御
指摘
のございました
内容
につきましては、私ども、まだ事情をつまびらかにいたしておりません。ただいま先生からお話がございましたような
身体障害者
の
雇用
問題等につきましても、私ども従来から
法律
の趣旨にのっとって
雇用
促進
をということで
指導
してまいったつもりでございます。 ただ、具体的な問題になりますと、先生もよく御承知のとおり、一方でやはり公務能率という問題がございます。公務能率の増進という
観点
、それから
雇用
促進
という
観点
、これをどう調和させるかということで、具体の問題を処理していかなければなりません。 御
指摘
ございました糸魚川市の場合、職員数も御案内のように五百名内外の小さな市でございまして、そういうところに配置転換できるかどうか、私ども事情をつまびらかにいたしませんので、事情は
調査
をいたしたいと思います。
和田貞夫
87
○
和田
(貞)
委員
自治省、こういう例が過去にやはり
政府
機関にも、あるいは民間にもあるんですよ。横浜税関で問題があったでしょう。受付案内係として継続
雇用
する。東京都でも先ほど触れましたように、失明者二人を電話の交換手、受付、福祉相談員、こういう形で継続
雇用
しているでしょう。横須賀市につきましても、これは新採用でありますが、点字図書館員という職種をつくって、盲人の方を採用しているじゃないですか。新潟県でも同じことです。あるいは東京国税局でも、同じようにテレホンサービス係というのを置いて、継続
雇用
して、現在非常に好評だというのを私は聞いている。民間の場合でも、東京十二チャンネルにそういう事例が現実にあるじゃないですか。自治体として、いま能率ということを言われましたけれども、努力をしようと思えばできるのです。受付係でもいいのです。電話の交換手にでもいける。 ただ、私が憎いのは、先ほども申し上げましたように、言っておることがけしからぬのです。これは単にこの自治体だけじゃない。今日、
身体障害者
の
雇用
が
促進
できない、あるいは
精神薄弱者
の
雇用
ができないというのは、市民感情を悪くするという、これが理由なんです。こういうようなばかげたことで、義務づけられる自治体の一自治体でもそういうようなことがあっては問題です。国や自治体が、この
法律
の規定によって率先してやらなければいかぬ義務がある。だから、ひとつ早急に
調査
をなさって、強硬な
行政
指導
をやっていただきたい。このことを申し添えておきます。 私は、いま能率という問題がたまたま出てまいりましたので、労働省の方にお尋ねしたいわけでありますが、最低賃金法第八条の、精神または身体の障害による労働能力の低い者を最低賃金の適用除外者と認める、こういう条文があるが、これ自体に問題があるんじゃないですか。先ほども申し上げましたように、環境を整備していくという中で、この最低賃金法自体もやはり合わせていらっていく、こういうような主張がありはしないかというように思うわけなんですが、どうですか。
望月三郎
88
○望月説明員 御
指摘
のように、最賃法の第八条に、精神または身体の欠陥によりまして能力が著しく低い場合の適用除外の規定がございます。これにつきましては、身体ないしは精神の欠陥で、能力があるのに適用除外をするという趣旨ではなくて、能力が著しく差があるという場合につきまして、具体的なケースについて一件一件適用除外をしていくというたてまえの
制度
になっております。したがいまして、その法の趣旨にのっとりまして、これは私の局の所管ではございませんが、担当者がおりませんが、運用
状況
を見てみますと、年間約千数百件につきまして適用除外が認められておりますが、その運用に当たりましては、一件一件について相当慎重なチェックをして適用除外をしておるというように聞いております。
和田貞夫
89
○
和田
(貞)
委員
大臣、どうですか。この条文を正確に読み上げますと、能力の低い者となっておる。能力は十分あるんですよ。能力はあるが健常者と
身体障害者
あるいは
精神薄弱者
の間に障害があるわけなんですから、同じ仕事をやれば当然能率が低下するのはあたりまえなことです。そうでしょう。能率と能力と違いますよ。
法律
では能力が低い者を、精神または身体の障害による労働能力の低い者、こうなっておるんですよ。これを最低賃金の適用除外者というように認めておる。ここらあたり問題があるということを私は言っているわけですからね。これはひとつこの法文を削除するというような点を含めて
検討
する必要があるんじゃないですか。せっかくこの
法律
を
改正
して
雇用率
を高めていこうという前向きの姿があるならば、ここらあたりにも手をつける必要があるんじゃないですか。どうですか。
遠藤政夫
90
○
遠藤政府委員
先ほど
森井
先生からも一部御
指摘
のあった問題でございますが、いまのお話も、
身体障害者
なるがゆえに能力が低いと私ども考えておりません。しかしながら、いろいろな身体欠陥があり、あるいは内部疾患があるということによりまして、そのままでは確かに能力が落ち、あるいは能率が落ちるということはあり得ることでございますが、これは先ほど申し上げましたように、新しい
改正案
の三条の三に、
身体障害者自身
も身体の障害いかんにかかわらず職業能力を高めていただく、あるいは新しい技能を開発していただく、そして健常者に劣らないような職業能力を身につけていただく、そういう努力をしていただきたい、こう申し上げているわけです。しかし、なおかつ一般の健常者に比べてどうしても普通の人よりも能力が落ちるという場合はあり得ると思います。そういう人に通常の人と同じような賃金を払え、最低賃金法の適用をいたしまして最低賃金以上の賃金を払わなければならぬということを規制をいたしますと、逆にそういった人たちの
雇用
の場を狭めることになってしまいます。ですから、身体に欠陥があり障害があって能力が普通の人よりも劣るならば、その能力に応じた賃金が支払われるということはこれは当然のことだと私は思います。それをもし能力以上に賃金を払えるという、最低賃金法の適用除外を
廃止
をいたしまして規制をするとするならば、逆にそういった人たちの
雇用
の場を狭めてしまう結果になるおそれがあるわけでございます。したがって、そういうことを十分配慮しながらこの適用除外の運用もなされているわけでございまして、私は、むしろこの最低賃金適用除外の条項を適用されないように能力を高めていただくことがまず望ましいことである、どうしてもそれができない、能力の落ちる人についてはやむを得ない、むしろその能力に応じた賃金が支払われるということで適用除外がされることはあり得ることだ、こういうふうに考えております。
和田貞夫
91
○
和田
(貞)
委員
能率を余り重要視して、それのために不当に
身体障害者
や
精神薄弱者
の賃金を抑制するということは、これは社会
正義
の点からいってもけしからぬ話でありまして、許すことができないというように私は思うのです。やはり障害があるわけですから、その障害があっても一〇〇%の能力を発揮することに努力しておればそれなりの賃金というものは保障していく、そのことによって初めて
身体障害者
や
精神薄弱者
が健常者とひとしく、生きる人間としての権利が保障される、こういうことになりはしないかと私は思うわけです。その点はひとつはき違えないように研究してもらいたいと私は思うわけです。 それからあわせて、保健婦助産婦看護婦法という
法律
があります。第九条「絶対的欠格事由」にどういうふうに書いておるかというと「つんぼ、おし又は盲の者には、前二条の規定による免許を与えない。」これは法文どおりです。これは所管はあなたのところと違いますよ。厚生省ですよ。しかし、私は言いましたように、せっかくこのような姿勢に立つのであれば、労働省は労働省、これは厚生省だからというのじゃなくて——たとえば一例を挙げたわけです。つんぼ、おし、盲と
法律
の条文に書いておること自体にこれは問題があるのです、こういう差別用語を使うということは。絶対的欠格事由ということで。先ほど私が一つ例も申し上げましたように、たまたまある自治体の職員が、
行政
職であったからよかったが、仮にこれが病院に勤務しておる看護婦さんであった場合どうなるのですか、保健所に勤務しておる保健婦さんであった場合どうなるのですか。それがしかも私的な疾病じゃなくて、公務災害によって失明する、あるいは視力が劣る、こういうことになった場合はどうなるのですか。民間の病院に勤務しておる看護婦さんがこういう場合になったらどうなるのですか。新しくこの資格を受けるためじゃないわけですよ、絶対的欠格事由ということになっておるわけなんですから、この
法律
があるために、私的な疾病であっても公務労災でありましても、直ちにその資格がなくて首になるということなんですよ。この法の精神に反するわけじゃないですか。それをやはり
雇用
を
促進
さしていく、こういうことであるならば、こういう
法律
の
改正
というようなことも——あなたの方の所管じゃありませんからなんですが、せっかく
指摘
したことでありますから、やはりこの法の精神に乗って
雇用
を
促進
していくという立場に立って、ひとつ厚生大臣に厳重に申し
入れ
てこの法の
改正
に当たるということも
労働者
として努力してもらいたいと思うのですが、
労働大臣
、どうですか。
遠藤政夫
92
○
遠藤政府委員
私どもは
身体障害者
の方々の
雇用
を
促進
していくという立場にもちろん立つわけですが、そのための施策を進めていきます場合に、いかなる職種にも、どんな作業にも一般健常者と同じように
就職
をさせろ、
雇用
を
確保
しろということでは、私はむしろ逆の結果になりはしないかと思うわけでございます。いま御
指摘
になりました
法律
、私ども所管でございませんで中身を詳しく存じませんけれども、保健婦とか看護婦さんというのは人の命を預かる人たちでございます。そういう人たちに、そういった聾唖者とかそういう人たちが果たして適格であるかどうか、これはいろいろ問題があろうかと思います。そういった点から絶対的欠格条項とされているのかと思いますけれども、私どもは、
身体障害者
でいろいろ肉体的に欠陥のある方々に、それぞれのその
状況
に応じての
適職
を研究開発し、その
適職
に応じてあるいはその職業能力に応じて
雇用
を
確保
していくということでなければ本当の意味での
雇用
促進
の解決にはならないだろうと思います。そういう意味で私どもは、
身体障害者自身
もそれぞれの残存能力を十二分に発揮して、健常者以上の能力を身につけていただくような努力もしていただかなければなりませんし、そういった人たちに向いた職種をできるだけ拡大していく、そのために必要な作業環境の整備とか作業用具の開発研究とか、そういったことによりまして最大限に
雇用
の
促進
のための努力をしていく、こういう考え方でございます。
身体障害者
に向かない職種にでも同じように保障しろ、
就職
させろということではないんじゃないかと私ども考えております。
和田貞夫
93
○
和田
(貞)
委員
これは私、別に改めて厚生省と議論したいと思いますけれども、いま職安
局長
言われたように、聾唖者だとか盲人だということであれば一つの理由になりますよ。いま法文どおり私は読んでおる。「つんぼ」と書いておる。「おし」と書いておる。「盲」と書いておる。切り放しておるんですよ。そういうことでしょう。そうすると、私的な疾病によっても、あるいは労災あるいは公務疾病によって、公務障害によって視力が衰弱するという場合があるでしょう、聴力が劣るという場合があるでしょう。これは該当するんですよ。だから言うておるのです。法文はいまあなたの把握したことじゃないのです。それで言うておるのだから。
身体障害者
の
雇用
促進
という立場に立つならば、あなたの方の所管じゃないけれども、また改めて私は厚生省の方と論議しますけれども、この法の精神からひとつ厚生省の方に
労働大臣
が、やはりおまえのところ、これは改めるべきじゃないかという、こういうことを言うぐらいが当然のことじゃないですか。どうですか。
遠藤政夫
94
○
遠藤政府委員
御質問の趣旨、私ちょっとはき違えておったかもわかりませんが、そういう用語の点につきましては、昔はそれであたりまえだとして通ったことが、時代が変わりまして、べっ視的な用語というふうに受け取られるものにつきましては改めていただくように私ども十分配慮いたしておりますし、その点につきましてはすでに厚生省にその趣旨のことを申し
入れ
た事実がございますので、今後ともそういうふうに御相談をしてまいりたいと思います。
和田貞夫
95
○
和田
(貞)
委員
時間がないのでなんですが、まとめて申し上げますと、先ほどの
森井
君の方も言っておりましたけれども、民間の場合も比較的小さな企業ほどまじめなんです。いままでの
現行
法であっても小さな企業ほどまじめなんです。大きな企業ほど大体けしからぬ。先ほど具体例を申し上げたようなこと、大きな企業ほど
身体障害者
に対して市民感情が悪くなるということ、これは表面上は能率であるとか能力であるとかなんとか言いますけれども、結果的に市民感情が悪くなる、こういうたてまえをとっておるのですよ。そのために大きな企業、その中でも金融業であるとかあるいはサービス業であるとか、こういうようなところは特に悪いということを皆さん方把握してもらっておると思うのです。それがいみじくも、市民感情が悪くなる、差別的な見地に立って
身体障害者
や
精神薄弱者
の
雇用
を受け
入れ
ようとしないというのが企業の本質なんですね。あるいは、
雇用率
、
雇用率
ということを言われますけれども、当然業務として、先ほど通りましたあの労災患者は、労災患者というのは業務上災害を受けた災害
労働者
でありますから、
雇用
者としては
雇用
を継続していくのがあたりまえのことなのです。そういうものも含めて
雇用率
というものを把握している、こういう向きがあるのですよ。そういう点は除外して、新しく
身体障害者
を
雇用
する率が幾らだ、こういう率を言ってもらいたい。安全管理が非常に悪い企業で労災患者を非常に多く抱えておる、それで自分の企業の安全管理のことを言わないで、
雇用率
がおれのところはこれだけだというようなことでむしろ胸を張るというような、そういう企業が出てくるということになるかもわからないのですから、そういう点はやはり区分けをして考えてもらわなくちゃならないというふうに私は思うのです。 〔葉梨
委員長
代理退席、住
委員長代理着席
〕 私はあわせて言ってしまいますけれども、たとえば国会の議事堂というのがあります。ここによく見学に来られますよ。足の不自由な方が来られますよ。重度心身障害者も来られますよ。どうなんですか、これはどこから入ってどういうように見学するのですか。設備がないじゃないですか。まあ、国
会議
事堂がこうだからといってあなたの方の責任じゃないですよ。しかし聞いてほしい。国
会議
事堂は古くからの建物でありますから、そうですか、しかし最高裁判所、どうです。最高裁判所は一番新しい、ばかでかいものを建てておるでしょう。あの最高裁判所の施設を見ましたら、
身体障害者
の
雇用
促進
ということで
法律
の
改正
をしようと思いましても、足の不自由な
身体障害者
は判事にもなれませんよ。検事にもなれませんよ。弁護士にもなれませんよ。
身体障害者
が当然受ける権利があるんじゃないですか。憲法が保障しているんじゃないですか。施設がそういう施設であるがために、検事にもなれない、判事にもなれない、弁護士にもなれない。国自体の施設がそういう施設である限りは、これは
法律
をつくってもだめなんです。 だから、冒頭申し上げましたように、こういう
法律
だけではなくて、
行政
は縦割りになっておりますけれども、やはり横の連携をして、
身体障害者
、精神障害者の労働の権利、仕事を与えてもらうという権利、仕事につけるという権利、それを通じて生活できるという権利、こういう権利を保障するという立場に立ってこの
身体障害者
の
雇用
という問題について考えてもらいたい、こういうふうに私は思うわけであります。だから、この
法律
が
改正
されたからということで非常によくなったんだというような考え方には決してならないように、いま申し上げましたような見地に立って
身体障害者
や精神障害者の
雇用
促進
について今後ひとつ努力してもらいたいというように思いますが、最後に
労働大臣
の方から決意のほど、所信のほどを述べてもらいたいと思います。
長谷川峻
96
○
長谷川国務大臣
身障者の方々、そういう方々に生きがいを見出していただけるようにするということは、先ほどから申し上げているように、まさに国民に連帯意識がなければなかなかできないことだと思うのです。自分の役所のことを申し上げると、重度の方々が五十名ぐらいおられる、車いすの方々を初め。みんな来ているお客さんも、違和感も何も感じない。逆にこのごろは、なるほど、これでよかったな、自分の方も考えなきゃいかぬというふうな感じもあります。国会のことが出ましたけれども、これはお互いに、皆さん方の管理の問題でございますから、車いすの方が出入りできるように、新幹線などにも私は乗ってみましたが、そこには身障者の方々のために何かつけた便所、それからコンパートがちゃんと用意されております。 そういうように、
改正
すべきものは一つ一つ、やはり気のついた方々で横の方から推進してもらわなければならぬ。
雇用率
の問題も義務規定をして決めましたけれども、義務でありますからこれはどうしてもやってもらわなければなりませんが、それをまた大きく、早く実現するためにも、先生がおっしゃるようなそういう雰囲気を各方面でひとつぜひ起こしていただきたい。もちろん私の方は身障者の方々の
雇用
の
促進
と職業の安定にぜひひとつ努力していきたい。また、いま勤めている方々は本当に懸命にやっているわけです。私は、こういう不況のときに身障者で勤めている方々が一番先にしわ寄せされるのじゃないかと心配しながらいろいろ考慮してまいりましたが、職場を本当に守っている姿勢を見て、ますます私は、お手伝いすることが生きがいであることに対する御加勢である、こう思っておりますので、御
指導
、御激励をいただきながら懸命にいまからもやってまいりたい、こう思っております。
和田貞夫
97
○
和田
(貞)
委員
では終わります。
住栄作
98
○住
委員長
代理 次に、
寺前巖
君。
寺前巖
99
○
寺前
委員
遅うございますので、要領よく質問をしたいと思いますので御答弁の方もよろしくお願いします。
身体障害者雇用促進法
及び
中高年齢者等
の
雇用
の
促進
に関する
特別措置法
の一部
改正
、私は、従来のしり抜けになっている点を何とかよくしたいという気持ちと、また国民の皆さん方の要望が一定反映している
法律
の
改正
であるというふうには思いますが、幾つか関連して聞きたいと思います。 まず第一に、
政府
当局の姿勢との関係で聞きたいと思います。 昨年の十月に私どもの党の者が予算
委員会
で具体的に企業名を挙げて、
雇用率
がゼロないしそれに近い
状況
にあるということを
指摘
いたしました。 〔住
委員長
代理退席、戸井田
委員長代理着席
〕 日本の大会社の中心が飯田橋にありますから、ですから、大会社の
事業所
としての
雇用
は一体どうなんだという形の
指摘
をしたと思います。昨年の十月のことですから、もうそれから半年はとうにたちました。その後皆さん方も積極的に、
法律
で指定してある
雇用率
を
達成
しないところには名前を発表してでもやりますよということの指示もしておられたし、また事実、昨年の暮れには会社名の公表もされました。 ところで、私は、公表したりあるいはそういう
指導
をされた結果がどうなっているんだ。公表したり
指導
をするというのは一つの手段であって、目的はやはりしっかりと雇っていただくということにあると思う。ですから具体的にお聞きをしたいと思うのです。旭化成なり三菱化成なり、具体的に挙げた十の会社の中で、明確に
雇用率
が一〇〇%に到達した会社はあるのかないのか。あればその会社の名前をお挙げいただきたい。それから、少なくともその時点と比べて五割以上
改善
した会社は何社あるのか。全然対処していない会社は何社あるのか。私は、挙げた十の企業名に従って限ってお答えをいただきたいというふうに思います。
遠藤政夫
100
○
遠藤政府委員
いま御
指摘
になりましたように、公表することはそれ自体が目的でなくて、
雇用
を進めるための、
雇用率
をできるだけ引き上げてもらうための手段である。まさにそのとおりでございまして、昨年の二月に、先ほど大臣からお答えございましたように、来る十月に
調査
をして、その結果
雇用率
の悪いところは公表しますよ、こういうことによって、二月から十月の
調査
時点までの間に相当な
雇用率
の上昇を見たわけでございます。その結果、十月現在で
調査
の結果、
雇用率
の悪いところを百十数社列記しまして公表いたしたわけでございます。この公表いたしました
事業所
につきましては、公表をいたしますと同時に、それぞれの安定所で担当者が企業と密接に連携をとりまして採用計画をつくらせるなり、求人について、それぞれの職種について
身体障害者
の
雇用
を進めるというような
措置
をとってまいっておりますが、具体的に、その百十五の企業なりあるいはそれ以外の企業につきましても、
雇用率
を満たすような企業についてどれだけ
雇用
が進んだか、具体的な
調査
はことしの十月に実施する予定でございますので、まだ一社一社個別的に具体的な計数をつまびらかにいたしておりません。 それから、昨年の予算
委員会
で何かワーストテンと、十社を公表されたとおっしゃっておられますが、私どもは関知いたしておりませんので、どういう会社がどうなっているのか、私どもにはわかりかねます。
寺前巖
101
○
寺前
委員
会社名を具体的に
指摘
をしたのは質問者の側じゃないですか。問題にしたのだから、問題にした会社をすぐに職安は調べればすぐ明らかになるのじゃないですか。私はその百何社をどうこうせいなんということは言ってない。予算
委員会
で具体的に、ゼロないしはそれに近い
状況
にある会社はこれこれあるというふうに思っておるので、それについてどうなんだという
指摘
をしているのであって、そのときにわからなければ後から調べても明らかになる話だ。そしてそれが間違いだったら間違いだということを明らかにされたらいいことなんだ。そしてそのとおりだったらその後の
改善
の
指導
がやられたらいいんだ。やられた結果はいまどうなっているのかということさえ明らかになったらいいのであって、何も知らないといって居直るということはふまじめな態度じゃないでしょうか。私は、せっかく障害者の皆さんの立場に立って、具体的にこういう会社はこうなっているのと違うかという御
指摘
が他の
委員
さんからあったんだから、素直に聞き
入れ
て調べてみられたらいいのであって、何でそれを調べようとされないのか。かえってそのことの方が不思議でかなわない。大臣、どう思いますか。
遠藤政夫
102
○
遠藤政府委員
昨年の一月か二月の衆議院の予算
委員会
であったかと思いますが、十社をお挙げになりまして、それが労働省で調べた、これは企業名は公表いたしておりませんけれども、各代表的な業種についての
雇用
状況
とお挙げになりました十社とは完全に食い違っておりまして、私どもはそのお挙げになりました十社につきましては資料としても差し上げた覚えはございませんし、食い違っておりますということをお答え申し上げたわけでございます。いまお挙げになりました十社の、何か旭化成と三菱化成という名前をお挙げになりましたが、その
状況
がどうかというお尋ねでございますが、その点については
調査
いたしておりませんのでつまびらかにいたしておりませんと申し上げております。
寺前巖
103
○
寺前
委員
それじゃもういいですよ。私がやっているのと違うから、人がやられたものを私が取り上げているのだから、もう一度ちゃんとしなさいよ。 それじゃ、昨年の十月現在、私はいまからそのときに名前を挙げられておった会社名を言いますから、調べて本
委員会
に報告を願いたいと思うのです。旭化成、三菱化成、富士通、日本配合飼料、野村証券、東京電力、山一証券、三井造船、明治生命など名前が挙がっていましたよ。ですから私は、せっかく名前を挙げられてまでやられた話だったら、事実はどうだったんで、
指導
の結果きょう現在でどういう結果になっているか。先ほど私は担当の人に言うてあるのだから、この場で出てこないというのは一体どういうことだったのだ。大臣、よろしいですか、
調査
をしてちゃんと御報告いただけますか。
遠藤政夫
104
○
遠藤政府委員
いま幾つか企業名をお挙げになりました。私、いま初めて承知いたしましたので、昨年の十二月に公表いたしました百十五社の中にこれが入っておりますか入っておりませんか、それもいまつまびらかでございませんが、仮に入っておるといたしますならば、先ほど申し上げましたように、その百十五社につきましては特にそれぞれの出先におきまして
雇用
促進
方の
行政
指導
措置
をとっておるはずでございますが、その結果がどうなっているか、これは
調査
すればもちろんわかるわけでございますが、ことしの十月に
調査
をする予定であるということを申し上げております。その結果は、これは公表
制度
との関連でございまして、新しい
法律
改正案
ができまして公表
制度
が成立いたしましたならば、その公表
制度
の運用をどうするか、これは先ほど
森井
先生の質問にもお答えいたしたわけでございますが、その
制度
に乗らない限りいまの時点の
現行
法には公表
制度
はございません。したがって、これを個別に個別企業の名を挙げて公表するというわけにまいりませんで、その点は御了承いただきたいと思います。
寺前巖
105
○
寺前
委員
あなた、ぼくが提起している問題をすりかえたらいかぬですよ。公表されているのか、されていないかというようなことを聞いているのではない。私はちゃんと全部調べてある。公表は必ずしも、ゼロないしそれに近いところは全部公表していないですよ。
改善
の
指導
方向があって、大体そういう方向になるものは全部省いてあるのだから。だから私は、あの公表前に具体的に
指摘
された会社が、公表するという過程の中を通じて果たして
改善
されておったのかという事実を確かめたいから具体的に御答弁いただきたいと提起しているんだよ。それ以前に
指摘
した十社なんだから、発表した百十五社に関係するかしないか、そんなこと関係ない。それ以前にゼロないしそれに近い
状況
にあった会社を具体的に他の
委員
さんが御
指摘
になっているのだから、私が聞きたいのは、それで
雇用率
一〇〇%をその後
達成
された企業は、これは名誉回復のために企業の名前をお出しになったらどうですかと言っておるのだ。一〇〇%なされたのだったらその会社は全部名前を出しなさいよ。そこまでいかないものはもう私はあえて会社名は言いません。五〇%以上
改善
されたところは何社ありますか。それから依然として全然やっていないところは何社ありますか。私は、十の会社を具体的に御指定になっているから、それを取り上げて、その後の
指導
の結果はどうなってあらわれているだろうか。これは法案審査の上にとって、どんなようなやり方をしても
指導
の徹底がどうなっているかということがはっきりしなければだめだからあえてそのことを聞いている。 ですから、あなたの答弁はわかりましたよ。それ以上のことを言ったって始まらないから、だから私は大臣にはっきりと、先ほど指定をされた会社名についてその後の結果がどうなっているのかをきちんと御報告いただきたい、いいですか。——ちょっと待ってくれ。私に何回同じことを言わすの。大臣に求めておる。あなたの話はわかっておると言っているがね、
局長
の話は。
長谷川峻
106
○
長谷川国務大臣
たしか去年の予算
委員会
かどこかであなた方の同志がワーストテンですか、そういう名前を出したことを、どの会社の名前か知りませんけれども、とにかく名前を読み上げられた記憶はあります。しかし、一つ一つの会社について随意にこういうことは公表すべきではないという感じはございますから、私の方はまとめて、十二月でしたか、出したわけであります。そして、その会社がどういうふうになっているかは、現在資料はございません。一つ一つの会社を随意に、随時適切にと申しますか、そういうときに公表する
制度
ではございませんので、あなたの方で十社挙げたなら十社について、私の方が、それはこうなっている、こうなっていますと、ここで言われてお答えするわけにもいきませんし、今度は公表
制度
が
制度
としてできるのですから、その
制度
のときに、ある場合には全般的に、日本じゅう全体の中において、それに該当するものがあれば出てくるだろう、こういうふうに感じます。
寺前巖
107
○
寺前
委員
あなたもおかしなことを言うじゃないか。疑わしき会社がゼロないしそれに近い
状況
にある、
雇用率
はちゃんと
現行
法律
の中にある、
改善
の
指導
が要るじゃないか、そういう問題提起なんだよ。その問題提起に対して、
調査
してしかるべき処置をする、
改善
が行われたら
改善
がされましたということでいいんじゃないの。何でそれをこだわらなければならないか。私は何も、いまここで間に合わないのだったら後で結構ですと言っているのだから、一般的に言っているのじゃない。
長谷川峻
108
○
長谷川国務大臣
余り大声を張り上げなくてもいいですよ。突然話を出してきてぎりぎり言うたってだめなんだ。 私どもの公表
制度
というものは、一つ一つの会社を具体的に挙げるところではありません。これは一般的に、その率を持っていないところを
全国
的に公表しておるのでありまして、ここで、この会社はどうなっておる、その後
改善
しておるかどうかということを一つ一つ私の方が挙げる
制度
になってない。ですから、今度の公表
制度
が
法律
事項として出てくれば、あなたの希望されているものがその中に入っておるかどうか、一般的なものの中にそれが公表される形になる、こう思います。
寺前巖
109
○
寺前
委員
私は一般論を言っているのじゃない。
指導
というのは具体的なものですよ。障害者を本当に雇ってくれ、
法律
では何%雇ってくださいよというふうに書いてある。そうしたら、積極的にそういう会社個々を
指導
しないことにはそのことは
達成
できないのでしょう。そうすると、少なくとも日本的に有名なこういう大きな会社がそういうことになっていないではありませんかと言われれば、そうしたら、そういう典型的なりっぱな大きな会社なんだから、そういうところを個別に
指導
されてこそ私はあたりまえであると思うので、一般的にみんな気張れよというような文書を出しておったってだめじゃないですかということを私は
指摘
をしておるのであって、えらい誤解をしておられるようですけれども、私はここを御
指導
くださいよということを言っている。ここを
指導
しなければ現実化しない。個々の疑いのある企業が明確になれば、それに対して
調査
をされてしかるべきだと私は思うのです。何で
調査
をされないのか。私、いま突然ここで言うのではない。大臣には突然かもしれない、私は初めてここで会うのだから。だけれども担当官の人にはちゃんと伝わっている話ですよ。ですから、いま間に合わないのだったら私は後でいいですよとあえて言っているのだ。そうでしょう。しかも私がもともと提起している問題じゃないのですよと言っている。だから、いままでに当然そういう分野については御
検討
になっておってあたりまえだろうと思うから聞いておるのである。私も別に大声を出してどうこうしようなんて思っておるのではないので、障害者のために本当に、個々について問題にされたらやはり個々について
調査
をして、御
検討
いただきたいということを私は要望したいと思うので、これは後の質問のときに一緒に答弁してくださいよ、大臣。 それから次に、今度の
法律
で
雇用
促進
協会というのが出てきます。先ほど労働省の方からいただきました関係資料にこう書いてあります。「
身体障害者雇用促進協会
の設立
身体障害者雇用促進協会
は、
事業主
の団体であって
身体障害者
の
雇用
の
促進
に係る事業を行うもの等を会員とし、
全国
を通じて一を限り、
労働大臣
の認可を受けて設立することができる」。そしてそこの業務は、職業生活相談員の資格認定講習をやったり、国からの委託を受けて職業訓練校の運営をやったり云々というふうに後に出てきます。私は、何で
事業主
団体がこういうようなことをするんだろうか。職業生活相談員の資格認定講習をやったり、
身体障害者職業訓練校
の運営を考えるんだったら、当然のことながら、障害者団体やあるいはその親の会なり、関係団体の皆さん方こそが中心になられたらいいのじゃないだろうかと思うのですが、何でこういうふうに
事業主
をもって構成するというふうに位置づけられなければならないのでしょうか。大臣、お聞きしたいと思うのですよ。
遠藤政夫
110
○
遠藤政府委員
先ほどから繰り返しお話しになっておられます、御
指摘
になりましたそのワーストテンと称する十社につきましては、確かに昨年の予算
委員会
で共産党の
委員
の方から御
指摘
ございました。その御
指摘
になりました十社について、
雇用率
が未
達成
であるならば当然昨年暮れの百十五社の中にも入っているだろうと思いますが、同時に、先ほど申し上げましたように、その
雇用率
未
達成
の企業につきましては重点的に
雇用率
を
達成
するような方策を具体的に
指導
し、
措置
をしているわけでございます。問題は、それはそのとおりでございまして、私どもも当然やるべきことをやっておるはずでございますが、その結果がどうなっておるかということを、そういった全体的に
調査
をいたしておりませんということを申し上げております。その
調査
は十月の時点で行います。また、その
指導
なり
調査
した結果を報告をしろとおっしゃるので、それは公表
制度
の方と関連がありまして、報告するわけにはまいりません、個別企業を具体的に固有名詞を挙げて御報告するわけにはまいりませんと申し上げているわけでございます。
指導
しないとか
雇用
を推進しないということを言っているわけではございませんで、
雇用率
未
達成
の企業であれば、当然
雇用率
を
達成
すべくそれ相応の
措置
をとり、努力をするということは当然なことでございます。 それから、
雇用
促進
協会の件でございますが、この
改正
法に基づきます
各種
の
雇用
促進
のための事業を
雇用促進事業団
をして行わしめることになっております。その
雇用促進事業団
が行うべき事業の一部を、事業団から委託を受けてこの
雇用
促進
協会が実施するということになっております。従来各都道府県に、主として
事業主
を中心にした
身体障害者
の
雇用
促進
の団体が設立されておりまして、すでに昨年度までに四十三都道府県に設置されております。本年度中に全都道府県に設置される見込みでございますが、こういった各都道府県の
雇用
促進
団体を構成員とする新たなこの
法律
に基づく
雇用
促進
協会を設置いたしまして、この
雇用
促進
協会をして
各種
の
雇用
促進
のための
助成
業務を行わせるという仕組みになっておるわけでございまして、
事業主
の団体というのはいま申し上げましたようなものでございまして、決してこの
法律
の趣旨に反するものではない、私どもはかように考えております。
寺前巖
111
○
寺前
委員
どこから考えたって私はその問題については理解できませんな。本当に生活相談員の資格認定講習をやったり、あるいは職訓校の運営などを国から委託を受けてやる、そういう協会というのが、
事業主
団体の手だけでやるというのは私には理解できませんし、恐らく障害者の皆さんだって理解できないだろうと私は思いますよ、そういう位置づけをやられるというのは。これは私は
改善
されるべきじゃないかと思います。もうここは意見になりますからこれでやめておきますけれども、後から大臣、それを忘れずに、大臣の見解をもう一度私は聞きたいと思う。後でいいですよ、大臣。もう見解の違いになるかもしれませんが、私は、それは障害者団体の皆さん方にも理解できない点だろうと思うので、念のために言っておきます。 それから、さきの問題については十月に
調査
するからわかりませんということじゃなくして、あなた、せっかく国政
調査
として提起をされた問題について、その十社か何社か、そのうち一〇〇%できた会社が何社あるか、そして五〇%できたものが何社あるか。執行
状況
について、果たして
法律
がつくられたときにどうなるかというようなことについて、現状のああいう公表
制度
、公表をやってみた結果なども含めていま
法律
を
検討
するときに、やっているのに、この次の十月までやりません。それはそうでしょう、
全国
問題としてはそうかもしらない。だけれども、特定に限って問題になった事象が一体どうだということについて、
調査
して報告されてぼくはあたりまえだと思いますよ、国会でそれが問題になった以上は。 ですから、私はこれ以上もうここで
政府
当局とは言い合いません。
委員長
、
理事
会に要望いたします。当然のことながら、さっき挙げた企業名について、あの時点の
状況
と比べて
雇用率
が一〇〇%到達した会社が何社あるのか、五〇%以上進んだところが何ぼあるのか、そして全然
改善
されなかったところは何ぼあるのか。私は会社名をあえて挙げろということは言いませんから、それを
理事
会に要望したいと思います。
理事
会で
検討
してください。
戸井田三郎
112
○戸井田
委員長
代理 ただいまの
寺前
委員
の件につきまして、
理事
会で一応
理事
と諮りまして相談してみます。
寺前巖
113
○
寺前
委員
次へいきます。
身体障害者
の
雇用
問題は、障害別あるいは障害の程度別によって
対策
を組んでいかないことには現実にはむずかしい問題だと言わなければならないと思います。そこで私はきょうは障害別の問題として、視力障害者の問題について聞いてみたいと思います。
全国
的に
身体障害者
の職訓校というのが幾つかあります。この分野で、視力障害者が受けることのできる科目は一体何があって、どこでその訓練がされているのかをお聞きしたいと思います。
望月三郎
114
○望月説明員 私の所管ではございませんが、いま所管の
課長
が来ておりませんのでお答えしますが、盲人に対しまして職業訓練を実施している訓練校は、五十年度から神奈川身障訓練校で電話交換訓練を実施しております。
寺前巖
115
○
寺前
委員
一校だけですね。神奈川だけだということですね。
遠藤政夫
116
○
遠藤政府委員
訓練
局長
をお呼びでございませんでしたので、正確なことはわかりかねます。
寺前巖
117
○
寺前
委員
じゃあ、訓練
局長
おいででなかったら大臣でもいい、直接……。この
法律
を
検討
するには全部関係してくることだから当然のことだと私は思うよ。
遠藤政夫
118
○
遠藤政府委員
事前に質問を通告していらっしゃるものですから……。
寺前巖
119
○
寺前
委員
質問と言うけれども、この
法律
を検 しておるのに何言っているんだ、冗談じゃない。一般質問をやっているのと違うのだ。きわめて明確だ、この
法律
を
審議
しているのに。だから関連して全部出てくるのがあたりまえだよ。 実は、ある全盲の人が先日新宿の職業安定所に仕事のあっせんを願ったんですよ。そうしたら一言、むずかしいですね、杉並にある視力障害センターに行ってごらんなさいと言って電話番号を教えてくれた。もうこの一言です。それで視力障害センターに行かれたんですよ。そうしたら、そこでの返事は何かというと、来年の四月まで無理ですね、これでもう話は終わりなんです。それはそうでしょう、視力障害センターというのは、あんまとか、はりとか、きゅうとか、マッサージ師の養成をやっておるところで、ちゃんと計画的に
制度
でやっているんですから。ところが職業を求めていく人たちというのは随時行くことになるわけですね。これは何も新宿の職業安定所が悪いわけではなくして、大体そういうことになっているんじゃないだろうかと思いますよ。 それで日本の場合を見ておったら、視力障害者の場合、一番多い仕事は何かと言ったら事実、あんま、はり、きゅう、マッサージ、この分野の仕事の人々が非常に多い。だから職業安定所にすれば
紹介
先がむしろないに近い状態だ。だから現にいまお話があったように、神奈川で電話交換手のやつをやっていると言うけれども、私はせいぜいそこへまで来たというのが現実に上等な話になっているんじゃないだろうか。だから、そういうことを考えてみたときに、この視力障害者の職種の研究開発問題というのは非常に重要な位置を占めているんじゃないだろうか。一体どういうようにしてこの分野の人々の仕事の開発を研究しておられるのか、現実にやっておられることをお聞きしたいと思うのです。
遠藤政夫
120
○
遠藤政府委員
こういう
身体障害者
の方が安定所へ行かれて、職業相談あるいは
就職
のあっせんを受けにおいでになった場合に、安定所はもちろん一般の人についても当然ですが、特になかんずく
身体障害者
については、サービスをモットーとする安定所ができる限り親切に職業相談に応ずるということはこれは当然のことでございます。ただ残念ながら、そういった場合に全盲の人が安定所へ行って何か仕事をと言われても、これはいまおっしゃるとおりなかなかむずかしいだろうと思います。現在盲人の人たちが主として
就職
されておる職場は、あんま、はり、きゅう、マッサージといったような分野が大部分でございます。そこで、何もほかに技能を持っておられない盲人の人が行かれても、安定所ではまあ手のつけようがないという感じを持つだろうと思います。そこでそうならないように、こういった
重度障害者
、特に盲人とか聾唖者についてその職域の開発研究ということが特に緊急の課題になっておりまして、職業研究所におきましても現在、そういった既設の分野以外に、先ほどお話ししました電話交換業務とかあるいは点字の翻訳だとか、いろいろ
検討
はいたしておりますが、なかなかむずかしい問題で、職種が拡大されるということについてはまだ時間を要するようでございますが、そういった研究開発も実施いたしております。したがって、それに伴って、そういった新しく開発された職種について盲人の方々もそういった技能を身につける努力をしていただきたい、そうすることによって新しい職場に
就職
をしていただける、私どもそういう方向で今後とも努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
寺前巖
121
○
寺前
委員
イギリスの例を見ると、全体の五五・六%が工業的職業についています。ですから、あんま、はり、きゅう、マッサージ、その分野の仕事が日本特有のものとして存在しておったということは、そのこと自身は、そのために救われている面があることは事実だし、今後もそういう分野の仕事を保証することは大事なことだけれども、逆に言うたら、すべてをそこに頼ることによって、他の分野におけるところの開発研究というのがおくれるという側面もまた否定することのできない事実であろうと思う。そういうことを考えたら、積極的にこの分野の開発をやっていく必要がある。それを思ったら国が、県に委託しているところの仕事ではあるけれども、
身体障害者
のための職訓校の中における科目の中にまで入って、一方で開発研究をやりながら、この科目の分野においても
検討
し直して、積極的に組み
入れ
るということをやっていかなければいけないのじゃないだろうかと思うわけです。その点、いかがなものでしょうか。
長谷川峻
122
○
長谷川国務大臣
こうした
法律
が皆さんによって御
審議
いただいた暁には、何といたしましても生きがいを求めるためには、自分に、身に、腕に技術をつけていかなければなりません。そうしたことにおいては、おっしゃるようにいろいろな開発について勉強してみたい、しなければならぬ、こう思っております。
寺前巖
123
○
寺前
委員
開発と同時に、職訓校における科目についてもそれと関連さして再
検討
していく必要があるのじゃないだろうか。受け
入れ
る条件を取り上げていくようにしていくことが重要なのではないだろうか。その点についてはどういうことになっているのでしょうか、そういう方向がもう進んでいるのでしょうか。
遠藤政夫
124
○
遠藤政府委員
ただいま申し上げましたように、職業研究所でもこういった職種の研究開発を行っておりますし、職業訓練の部門でも、訓練大学の
調査
研究部でこういった研究をいたしております。同時に、先ほどけしからぬというお話でしたけれども、新しくつくられます
身体障害者雇用促進協会
、この受け
入れ
の方の側から、こういった
雇用
の職種の開発、研究、あるいは教育、訓練の研究といったこともここでも実施させるということで、いろいろな側面からこういった研究、開発を進めていきたいと思っております。
寺前巖
125
○
寺前
委員
ぼくの聞いておるのは職訓校の科目ですよ。さっきおっしゃったのは一つだけ、神奈川で電話交換がある、こうなっておるのですよ。だから
紹介
するにも、職訓校へ行ったってないわけですよ。ですからこの分野の科目においてももっとお役に立つ科目に変えていくことを研究すべきだ。そうならなければ、身障者の職訓校と言ったって現実的には役に立たぬ。だから、この障害者
対策
というのは、障害別にも、あるいはまた度合い別にも細かくやっていく必要があるだけに、そういう分野にわたってもメスを
入れ
て
検討
するか、しないのかということをお聞きしているのです。
中原晁
126
○中原
政府
委員
視力障害者の職業訓練につきましては、先生いま御
指摘
のとおり、神奈川におきまして実験的に電話交換手を行っているわけでございますが、それに加えましてアビリンピック、いわゆる
身体障害者
の方の技能五輪大会におきまして、たとえば今後非常に発展性のありますところのかなタイプ、それからいまの電話交換手、こういう種目も取り
入れ
まして、特にそういう技能の普及、研究、こういう点につきましてもあわせて行っているところでございますが、今後とも一層、視力障害につきましては従来の在来意識にこだわらず広い見地で
検討
してまいりたい、こういうように存じております。
寺前巖
127
○
寺前
委員
同じような問題になるわけですが、いわゆる知恵おくれと言われる人、
精神薄弱者
ですね、これは今度の法
改正
の中で大分皆さん方の間でも問題になったようですが、先ほどの御答弁を聞いておりますと、
雇用
になじまないということをおっしゃっておりました。確かに
雇用
上むずかしいことがあることは、それは多くの人たちが認めるところだろうと思うのです。しかし、
雇用
になじまないという形でその分野の方々を放置しておくことはできない。だからそこから
検討
事項に、この
法律
改正
の中にも盛ってこられた
内容
だろう、私はそう想像します。 そこでお聞きしたいのですが、
雇用
になじむのかなじまないのか、実践的にでもその分野の人たちの
雇用
を現実に国自身がおやりになったことがあるのかどうか。私は一つ具体的に聞きたいと思うのです。各省別に、この分野の人々について一体どれだけの人の
雇用
をやって、そしてどういう教訓を持っておられるのかをお聞きしたいと思うのです。
遠藤政夫
128
○
遠藤政府委員
国の機関、各省庁で精薄者を雇っているのかいないのか、そういう
調査
をいたしたこともございませんが、そもそも、この
法律
の附則に書いておりますように、精薄者が
雇用
になじむのかなじまないのか、そういった点が医学的にもあるいは職業能力の面からもまだ明確にされておりません。そういった点を具体的に
行政
の面でも
検討
を早急に進めていこうというのを附則の条項に明らかにした次第でございまして、今後そういった点を具体的に精薄の関係者と詰めながら、この
対策
を今後講じていきたい、こういうふうに思っております。
寺前巖
129
○
寺前
委員
検討
されるのですから、私は
検討
をやってもらうことを否定するものじゃありません。現に、たとえば神戸市の場合だったら六人の方を雇って、そこからの経験を踏んまえながら積極的にどうしようかというふうにやっておられます。あるいは大阪へ行きますと、守口市というところで六人の人を現実に雇っておられて、そこから問題点をまた究明していこう、実践をやりながら解決する方向を見出そうとしておられる。現実にこういう自治体があるわけです。それを考えたら、私は、なじむかなじまないかという抽象論議をやることも大事か知らないけれども、一方で実践的に、なじまないものかどうかをやりながら
検討
していくということもきわめて重要な位置を占めると思うのです。私は積極的にそういう態度でこの問題についても取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の決意のほどを聞きたいと思うのです。
長谷川峻
130
○
長谷川国務大臣
ヘレン・ケラーの伝記を読みあるいは映画を見ても、やはりあれだけ苦労してあれだけの能力を出してきたわけであります。そうして、こういうものは
政府
が何でも先にやれということもありますけれども、ときにはそういう民間の方々がいろいろな実験する中にいいものをフォローして
政府
がそれを拡大していくということもございます。いずれにいたしましても、体験の中から得たそういうレポートなどもいただきながら将来ともに
検討
してまいりたい、こう思います。
寺前巖
131
○
寺前
委員
どうも、そういう点でみずからがやはりやりながらやっていかれるということをやられなかったら、どっかでおやりになったらレポートをくれではちょっといかぬと思うのです。それもそれでいいですよ。やはりみずから乗り出されて、みずからの体験から積極的に打ち出していく。私は労働省へ行きますと感じます。エレベーターのところでお仕事をしておられる人の姿とか、他の省に見られない積極性というものは入っただけで一目で感じます。そういう意味で、この
法律
の新しい一つの課題として
精神薄弱者
の問題に取り組むと言ったら、私は、そういう決意を持って労働省が実践的にもやはりメスを
入れ
てみるということを始められるべきだろうということを、あえてもう一度大臣に御提起しておきたいと思います。 それからもう一つは、中高年手帳があります。先ほども聞いたら、障害者が千三百人ほどこの中高年手帳をもらっておられるというわけですけれども、障害別にどうなっていますかと、こう聞いたら、整理されてない、もともとそういう整理の仕方をしていないということをおっしゃっていました。それだったら私はここでやはり、これからの障害者
対策
というのは、何度も申し上げますが、障害別、それから度合い別に
検討
をきめ細かくやっていかなければやっていけない分野だけに、統計のとり方などもきめ細かく統計をとられることを、あえてこれも、けしからぬという言い方じゃなくして、今後の問題として御提起したいのですが、いかがなもんでしょうかということ、これも 一緒に御答弁をいただいたら結構です。 それからもう一つは、養護学校が五十四年義務化されて、ずっといま積極的に都道府県でやっています。養護学校を終わったら次に社会に出てくる、すなわち労働分野に出てくるわけです。その分野で今度の
法律
もまた意味を持ってくるわけですけれども、現実の中で知恵おくれの子供たちが社会へ出てくるときに
就職
が一番困難に直面をしているわけです。困っているわけです。そこで、学校を出る子供たちに対してどうにも対処できなくなって、学校でそのまま抱えてめんどうをしばらく見るということが行われるわけです。しかしそれだけではもうどうにもならなくなって、少数の人々が共同作業場をつくって、自主的にボランティアの人たちがめんどうを見ながらお守りをする、そういう共同作業場というのが各地で生まれ始めてきています。私はこれは所管は知りませんよ、労働省の所管になるのかあるいは厚生省の所管になるのか知らないけれども、要するに学校を終わった段階の子供たちのその仕事をどうして保証していくのか。その形態の一つは、
検討
して
雇用
という問題があるでしょう。しかし、現実にはそれがそこへいかない段階の問題に、共同作業なりあるいはまた福祉工場なり、いろんな形態がそこに存在をする。一番いま現実的に問題に直面してくるのは、共同作業場をやって、十名前後の子供たちが学校を卒業してからそこで先生方やボランティアの皆さんと一緒に協力してやっているというのが多いわけです。ですから現実的な問題として、そういう分野に対して積極的に何らかのめんどうを見るやり方は考えられないものなんだろうかということについての御意見をひとつお聞かせいただきたい。
遠藤政夫
132
○
遠藤政府委員
先ほどの御提案は御提案として、障害別あるいは度合い別、程度別に
対策
を講ずべきであるということ、ごもっともでございます。ただ、それを業務統計その他でそういったとり方をすることが果たして可能なのかどうなのか、またそれだけの必要性があるのかどうか、そういった点は十分研究してみたいと思います。 それから、いまの養護学校の問題でございますが、そもそも、この問題は精薄の問題と似たような問題でもございますが、いわゆる
雇用対策
として対処すべきものか、あるいは
福祉対策
、収容
対策
として処理すべきものか、そういったところの問題の混同がそこに一つあると思います。
雇用
適性を持った者については当然
雇用対策
として対処すべきものだと思いますが、そうでない者を無理やりに
雇用
に結びつけようとすれば、かえって効果は逆に減殺されるというようなこともあり得ることでございます。その点は精薄の問題と同様に、厚生省と十分密接な連携をとりながらその
対策
を十分考究していく必要があろうか、こういうふうに考えております。
寺前巖
133
○
寺前
委員
厚生省の人、おられますか。
山内豊徳
134
○山内説明員
精神薄弱者
福祉法によります施設の御説明でございますが、現在でも、二十名以上の定員でございますと
精神薄弱者
授産施設、通所型の施設がございまして、現実に四十数カ所ございまして一応動いているわけでございますが、御
指摘
のような形での御要望がある事実は私どもも承っております。端的に申しまして、やはり現在の基準に合った授産施設は私どもの計画から申しますとかなり不足しているという感じを持っておりますので、それに対する
助成
を優先に考えておるわけでございます。私ども、精薄者福祉法に基づきまして職親委託という
制度
がございます。これが、登録希望者は二千人以上いらっしゃるのでございますが、現実に六百人程度しかお預りいただけないわけでございます。そういった
制度
のどういった弱点があるかなどは積極的に取り組むよう努力しております。いま申しました二十名以上の通所型の授産施設の整備を重点的にやっているのが現状でございます。
寺前巖
135
○
寺前
委員
私の提起している問題をまともに
検討
してもらわなければいかぬと思うのですよ。知恵おくれの子供たちが社会へ出ていって
就職
する。その知恵おくれの人たちの問題といえば、
就職
しても環境が第一なんですね。ですから結局養護学校の先生方か出ていって——共同作業でめんどう見られる範囲というのは十名前後ですよ。大きな施設といえば話はまたそれはそれでやったらいいのですよ。その中間段階というのが現実には必要になっているのですよ。そういうふうなめんどうの見方をやっていかないことには、職安と学校の先生方と相談してこの子たちをどうしようかといったって、どうにもいかない事態に直面しているのが現実なんですよ。だからそういう分野について積極的な手だてをひとつ考えていってもらいたい。
雇用
の問題を積極的に考える、それからそこへいくまでの段階のやつがある。それから授産所みたいに大きくやっていけるところもある。度合いがいろいろあるのだからきめ細かくやらなければいかぬ。だからこの問題についてぜひとも関係機関の皆さん方で、分野別にどう対応していくのかということを御
検討
いただきたいという問題提起をしているのです。これは総合的な話になりますから、きょうは
労働大臣
がお見えですので、ひとつ
労働大臣
の方からでも関係省間の話を詰めてもらって、こういう分野、こういう分野、いろいろあると思いますので、そこをそれぞれ適合する方向で、障害者の立場に立って御
検討
いただきたい。
長谷川峻
136
○
長谷川国務大臣
私たちも郷里なんか帰りますとその問題が一番大きな問題です。御婦人方が集まってきての話は、十四、五までは自分でやるけれども後は一体どうなるか、この悩みを聞いた場合には涙を流さざるを得ません。そういうことでございますから、地域社会においてもこれが今日はどの町村でも大きな問題になっているわけであります。関係者はもちろんのこと。そうしたことにおいていろんな面でのおっしゃるようなことを、各省庁あるいは各関係者、いまから先の問題として真剣に考えるように、私も勉強もしますし、関係者にもお話を申し上げながら推進してまいりたい、こう思います。
寺前巖
137
○
寺前
委員
それから、話はきわめて個別的に小さくならざるを得ない要素になるわけですね。たとえば私の京都なんかになりますと、伝統産業というのは二十五種類、八百の職種があるわけです。ほとんど小さい
事業所
ということになるわけです。そこへ行って勉強しながら伝統工芸の後継者に育っていくわけですね。ですから、技術習得の上でも障害者用に
対策
を組まなければいけないし、その後の仕事場の問題だって障害者用というのはきめ細かく考えていかなければならぬことになるわけです。 そこで私は、もう時間もあれですが、お聞きしたいのは、身障者
雇用
促進
の融資
制度
というのがあります。障害者の作業施設として一千万円を限度として、中小の場合には利息七・五%、大企業で八%という形で作業施設を
改善
する融資
制度
が労働省にあります。モデル工場の場合はもっと、一億五千万円までの機械なりあるいは建物なりのあれがありますけれども、現実に伝統産業の小さい
事業所
の問題といったら、こういう障害者を
入れ
るための環境
改善
は
事業主
がやはり善意に協力してくれないとできないというのが正直な問題点なんです。ところが、この一千万円の利息七・五%では正直言って高い利息なんですよ。モデル工場の場合だったら四・六%でやっているわけですね。だから、善意にだけ頼るのじゃなくして、
事業主
の皆さん方が受け
入れ
てくれることができるように、こういう融資のあれなんかでも、せめてモデル工場並みの四・六%に下げるとかいうような
措置
は
検討
できないものなんだろうかということを私は考えるのです。これが一つ。 それからもう一つは、家から動くことのできない障害者というのがやはりたくさんおります。たとえば近所にガソリンスタンドがある、そこの伝票整理だったら家でできるわけですよ。そういうふうに在宅の人で事実上そういう仕事場。そこへ体を持っていったらそこで仕事ができるわけだけれども、在宅でそのままできるという、こういう形態の方というのは障害者の中にやっぱりあると思うのです。だから、こういうような障害者が在宅で仕事をする場合に、これも一種の
雇用
形態が存在するというふうにして、在宅
雇用
制度
というか、
雇用
形態の存在として認めて社会保険も考えていくとか、積極的に、障害者の在宅
雇用
問題というものについてもこれを新しく切り開いていくということをお考えになったらどうなんだろうかということを私は常日ごろ思うので、この点についてのお考えもあわせてお聞きしたいと思います。
遠藤政夫
138
○
遠藤政府委員
身体障害者
を雇います場合に作業設備を
改善
しなければならぬ、あるいは職場環境の
改善
が必要だ、こういうことでいま融資
制度
がございますが、確かに利息が比較的モデル工場より高い。この点、実は
改正
法案をごらんいただきますと、この十八条で、
納付金
を原資にしましてこういった設備の
改善
、環境設備の整備について
助成
金を支給するという
制度
を設けることにいたしております。むしろ、融資して利息を安くするということではなくして、補助金を出してそういう設備環境の
改善
をしてもらう、こういう
措置
によって
身体障害者
を雇いやすくする、こういう
措置
を考えております。 それから、いまの在宅
雇用
という問題でございますが、言ってみれば一種の家内労働みたいなものでございまして、こういう人たちについてある程度の
雇用
関係に持っていく、そういう
促進
策ということ、これは一つ研究課題だろうと思います。いま直ちにどうというわけにまいりませんけれども、
身体障害者
の職域の拡大というような
観点
から一応研究してみたいと思います。
寺前巖
139
○
寺前
委員
ぜひともそれを御
検討
いただくということにして、先ほどの金融の話は、
現行
ある
制度
ですから、私は京都の府庁へ行って、どんなになっておるか、本当にこれを借りる人がおるのかと聞いたら、一件も借りてないと言うのです。それで今度は障害者を雇ってもらう側に聞いてみたら、手続は厄介だし率は高いから、本当のところ正直言ってこれではねえと、こう言われたんですよ。ですから私は、
現行
存在しておる問題ですから、存在しておる問題について改めてもう一度御
検討
いただくということを提起して、時間もあれですから最後の質問に入りたいと思うのです。 中高年法の問題ですが、中高年法の問題の一つは、今度取り上げられました
雇用
の率の問題などについて、この間四十九年の
労働力
調査
というのを見せていただいたら、規模別・
高年齢者
雇用
比率を見ると、
事業所
が一人から四人までのところが一三・三%、五人から二十九人のところが一三%、三十人から九十九人のところが一二・五%、百人から四百九十九人のところが九四%、五百人から九百九十九人のところが七・五%、そして千人以上の規模のところが四・七%、大企業ほど中高年を雇っていないというのがこの率の結果から出ているわけですよ。こういうふうに思ったら、大企業の方が積極的に
雇用
させるように、
雇用率
を明らかにする場合にも大企業に責任を負わす
雇用率
をもう少し明確にされたらどうなんだろうか。現実は逆転している。だから、大きな企業ほどまだ余裕があるんだから、そちら側に積極的に
雇用
してもらうようにするということと、もう一つは、障害者の問題についても今日まで到達する過程で公表
制度
ということが問題になってきたので、だから中高年の
雇用
問題についても、これを拘束することができるようにするために何らかの拘束力を示すところの手段として、たとえば公表
制度
というのを
検討
されたらどうなんだろうかということについてお聞きをしたいと思うのです。
遠藤政夫
140
○
遠藤政府委員
確かに、いま高齢者の
雇用率
を企業規模別に見ますとお示しのような数字になっております。これは当然のことでございまして、いままで戦前から慣行として五十五歳
定年
が行われております。
定年
制をしいておりますのは主として大企業でございます。しかも、大企業は五十五歳
定年
をしいて、そして若年
労働力
を採用する。いままで
高度成長時代
に
労働力
不足が叫ばれておりましたけれども、若年
労働力
が金の卵と言われておりまして非常に希少価値があった、こういう若年者、いわゆる新卒を採用できない中小企業が大企業の
定年
になった人たちを採用する、こういう形で進行してまいっておりますので、当然の帰結として、企業規模が小さいほど、
定年
制のないところほど
高年齢者
の
雇用率
が高い、こういう結果になっております。今回
高年齢者
の
雇用率
を定めることにいたしました一つの大きな眼目は、実はこの数年来提唱し、
行政
指導
をしてまいっております五十五歳
定年
を六十歳まで当面
改善
をしたい、その一つとして、いろいろ予算
措置
なり
行政
措置
で奨励
措置
、
行政
指導
を行っておりますけれども、
法律
的な下支えという意味でこの
高年齢者
の
雇用率制度
をつくったわけでございます。 そこで、強制力といいますか、拘束力とかそういった
措置
を考えないのかという御
指摘
でございますが、同じ
雇用率
という表現を使い、字句を使っておりますけれども、
身体障害者
の場合と
高年齢者
の
雇用率
とは全く性格を異にしております。異質のものでございます。
高年齢者
というのは
労働力
が高齢化してまいっておりますが、すべての
労働者
が、すべての人間が全部年をとってきて高齢化するわけでございます。そういった人たちについての
雇用
の
確保
を図っていこう、要するに
定年
を延長していこうという趣旨でございます。そういったことから、事細かに申し上げると時間が長くなりますけれども、私どもは、
身体障害者
の場合と同じように公表
制度
なりあるいはその他のいろいろな拘束力を持たせるというようなことは考えておりません。
寺前巖
141
○
寺前
委員
拘束力を持たさなかったら何をやっているのかわからぬということになりかねないのじゃないだろうか。だから何らかの手段を考えなければならないことは、私は結果として当然だと思いますが、大臣、ひとつそれについて御研究いただきたいと思うのですが、それが一つ。 それから
局長
さんに、せっかくの機会ですから最後に、中高年の人について直接国がずっとやっておられる一つの問題として、現実の失対の問題があると思うのです。時間がありませんからもう前段を略しますけれども、今年度から高齢者を中心とする賃金について二事業に分類をされて、そして賃金体系を変えられました。ところが時間単位の賃金を見ると、軽労働の賃金単価よりも重労働の賃金単価が下回っているという事態が生まれている。甲事業の賃金が劣悪な上に、重労働の方がさらにそれを下回るというのは、
労働者
の働く意欲にとって重要な問題を示していると思いますので、この
改善
をされなければいけないんじゃないだろうか。大臣の御答弁と、
局長
さんか関係者の御答弁をいただきたいと思います。
長谷川峻
142
○
長谷川国務大臣
前段の
中高年齢者
の問題につきましてはこの
法律
をきっかけに、いままでも
定年延長
を目標にしていろいろやって、援助
措置
、
助成措置
等々でやってまいりましたが、
行政
措置
を十分に行いながら目的を達したい、こう思っております。
石井甲二
143
○
石井
(甲)
政府
委員
失業
対策
事業につきましては、先生御
指摘
のようにこの四月から新しい方式を導入したわけでございます。その趣旨は結局、現在失対事業の就労者は平均年齢が六十・九歳という
状況
であります。しかも、将来失対事業を打ち切らないという前提に立った場合に、この方々の就労についてやはり一つの健康管理の面も考えなければいかぬということで二つの事業に分割をいたしたわけでございます。その場合に、一つの大きな
措置
としましては労働時間を切り下げたわけでございます。特に甲事業につきましては六時間の労働時間ということにいたしたわけであります。そこで実は賃金
審議
会でも非常に議論があったわけでございますが、この六時間に切り下げたことによって賃金を切り下げるということは、これは実態問題としてできない。特に高齢者の方々も長い間失対の賃金に生活を求めているわけでありますから、そういうことでこの六十歳といいますか、甲事業の方々の賃金の切り下げはできないということから、いわゆる賃率にいたしますと、時間が六時間に下がりましたものですから、結果論的に甲事業と乙事業の時間単価がそのような状態になっておるわけでございます。ただし一日当たりの賃金を見ますとやはり甲事業よりは乙事業が高いという状態でございまして、この問題につきましては来年度以降の賃金
審議
会におきましても十分に
検討
しながら考えてまいりたいというふうに思います。
寺前巖
144
○
寺前
委員
お約束の時間が来ましたのでやめますが、不合理というものは、
法律
事項でございませんので、いつでも処理することができるものでありますので、積極的に速やかに
改善
されんことを要望して終わります。
戸井田三郎
145
○戸井田
委員長
代理
大橋敏雄
君。
大橋敏雄
146
○
大橋
(敏)
委員
インフレ、不況、同時進行という、これまで経験したことのない社会
情勢
の中にあって、本当に社会経済は激変の中に立ったわけであります。そうして
雇用
・失業
情勢
というものがきわめて深刻な状態になりまして、国民生活に大変な影響を与え出してきたわけですが、そういう中にあっていわゆる社会的に弱い人々に対しては特段の配慮をすべきである、こういう声がほうはいと沸き上がってきたわけで、特に社会保障、社会福祉の
充実
の問題はそれこそ表舞台に出てきたわけでありますが、そういう中にあって、今回提案されております法案の趣旨というものはある意味で私は大変評価していい
内容
であろうと思っております。たとえば、
雇用率達成
を従来は努力目標としていたわけでございますが、今回は
法律
的にそれを義務づける、いわゆる法的義務まで高めたということは私は画期的なことであった、このように評価をいたしております。しかし、このように法的義務を課した立場でのこのような
雇用率
等の問題を見ていった場合は、これからが本当の意味のこうした人々に対する
対策
の出発点である、このように思うわけであります。 そこで、かなり問題点と思われるところがございますので、これから順次お尋ねをしていくわけでございますが、まず最初に、今回の
法律
の中で国及び地方公共団体を除かれたわけでありますけれども、一体どういう理由でこれを除いたのか、お尋ねをしたいと思います。
遠藤政夫
147
○
遠藤政府委員
今回の
法律
も
現行
法と同じように、国、地方公共団体につきましても
雇用義務
は課せられております。したがって、これを除外しているわけではございませんで、ちょっと法文上は複雑になっておりまして、その点ちょっと誤解をなさっているのじゃないかと思います。従来どおり
雇用義務
として法定されますし、したがって、民間が法的な義務ということになりますと、国、地方公共団体も同じような形になるわけでございます。
大橋敏雄
148
○
大橋
(敏)
委員
いまの
局長
の答弁を聞いていますと、国や地方公共団体等にはすでにその義務が課せられ、あるいは計画義務といいますか、そういうものが課せられて、それから公表
制度
もきちっとなされてきた。だから、国や地方公共団体は従来あるのであって、これまで努力目標であった民間について法的にこうして義務づけたのだ、だから平等になったのだと理解していいのですか。
遠藤政夫
149
○
遠藤政府委員
私の言葉が足りませんでどうも失礼いたしました。
雇用率
はいままでと同じように、
雇用率
の定めが今回は民間と同じように国、地方公共団体にも適用されるわけでございます。ただ、公表
制度
とか
納付金
制度
、そういったものは、国、地方公共団体の特殊性からしまして適用されないことになっております。
大橋敏雄
150
○
大橋
(敏)
委員
いま、国及び地方公共団体で未
達成
の省あるいは庁ですか、地方公共団体まで掌握されているかどうか知りませんが、もしそれがわかればこの際はっきりと公表してもらいたいと思います。
遠藤政夫
151
○
遠藤政府委員
従来、民間につきましては、
雇用率
未
達成
の部分につきまして昨年初めて公表という
措置
をとったわけでございますけれども、国の機関、各省庁につきましては、従来からも機会あるごとにいろいろな手段を講じて公表ないしは公表に準ずる
措置
をとってきております。国会で御質問がありますと、具体的に資料なりあるいは口頭で御回答いたしておりますし、新聞等にも公表いたしておりますので、公表
制度
という
制度
ではございませんけれども、国の機関等につきましてはそういった同じような
措置
をとってきております。 現在、国の各省庁につきましては、マクロでは、全体としてはもちろん一・六ないし一・七のそれぞれの
雇用率
を上回っておりますけれども、その中で、先ほど来御
指摘
がありましたように、公安
調査
庁、沖繩開発庁、それから自治省、消防庁、内閣法制局、この五省庁が法定の
雇用率
を下回っているというのが実情でございます。 地方公共団体につきましては、これは全体としましても平均的にも下回っております。個別につきましては、従来都道府県、市町村につきまして詳細な資料を持っておりませんが、この
法律
が
制定
されました暁には、自治省とも相談をいたしまして、都道府県を通じて各市町村、それぞれ個別に
雇用率
の
達成
を強く
指導
してまいるつもりでございます。
大橋敏雄
152
○
大橋
(敏)
委員
国の省庁関係はほとんど大体
達成
をしている、マクロ的にはそれ以上のところもたくさんあるのだけれども、五カ所だけはまだ
達成
していないという話でありますが、やはりこういう法案を出すからにはまず率先して国がその範をたれねばならぬと私は思うわけであります。特に労働省は他の省に比べましてかなり積極的に障害者の
雇用
に乗り出していることは私も理解しているわけでございますが、この機になお一層、垂範という意味も含めて努力をしていただきたいことを強く要請をいたしておきます。 さて、今度の
法律
の趣旨をじっと見ておりますと、要するに、障害者等の皆様が働きやすい環境にならない限りは、行きたい行きたいと思っても行けないし、また経営者の方からしてみても、
雇用
しやすい
状況
をつくり出していかなければそれを採用するわけにもいかない、こういうことであろうと思うのです。ですから、端的に言って、働きやすい環境をつくること、あるいは
雇用
しやすい
状況
をつくることにその目標が、焦点がしぼられていかねばならぬと思うわけですが、そういう方向に進みながら、運用面で一番問題になるのはやはり
雇用率
の定め方であろうと私は思うのです。
雇用率
が幾らに決まるのか、それによって
納付金
の問題も出てくるし、あるいは奨励金等にも影響していくわけでございますので、この
雇用率
の設定について、従来一・三%というようなことで聞いてきましたけれども、これではとてもではない、こういう低いことでは話にならぬという気持ちでおるわけでございますが、この点についてはどのようなお考えを持っておられるのか、お尋ねをいたします。
遠藤政夫
153
○
遠藤政府委員
この
改正
法案によります
雇用率
を幾らに定めるべきか。これは基本的には、全体の
雇用
労働者
数に対しまして
身体障害者
で現に
雇用
されている人、それにこれから
雇用
を希望する人、その総数がどれくらいになるか、それを見きわめた上で、その比率の上に立って、こういった
就職
を希望する人たちの
雇用
を
確保
していく上に幾らにしたら最も適正かつ妥当であるか、そういう点を十分見きわめた上で
雇用率
を設定したい、かように考えておりますが、
現行
の一・三%につきましては、
重度障害者
の
対策
の仕方等もかなりきめ細かく手厚い方策を講ずることにしておりますので、そういった点からも当然
雇用率
はある程度は引き上げられることはもちろんでございます。
大橋敏雄
154
○
大橋
(敏)
委員
今度の法案の
内容
を見てまいりましても、大体五年置きに
雇用率
の再設定、見直しをやっていく、こういうふうになっているわけでございますが、
現行
の一・三%というのはたしか
昭和
四十三年でしたか、これで決まってそのまま今日にきているわけですから、当然これは見直されるであろう、大幅に引き上げられるであろうと期待をいたしております。 そこで、ちょっと立場は変わりますけれども、
雇用率
の算定の条件に現在は精薄者は除外されている立場にあると思うわけですね。私はこれも含めるべきではないかという考えを持っているのですけれども、この点についてはどのようなお考えか、お尋ねをいたします。
遠藤政夫
155
○
遠藤政府委員
先ほど来お答えいたしておりますように、精薄者につきましては一般的に
雇用
になじまないと私どもは現在考えております。これを
雇用
の対象として考えていくかどうか、将来の問題でございますが、それにはその前提として、こういった人たちの
雇用
適性というものをいかに判断するのか、その判断基準をどこに置くのか、その判断の判定をだれがするのか、そういった点について現在以上に具体的に
検討
を必要とする問題がたくさんございますので、そういった問題を、今回の
改正
法の附則の中で具体的に
検討
をするということが条項で明らかにされております。したがいまして現段階では、
雇用率
を設定いたします場合に、分子として
身体障害者
に加えて精薄者を考慮して
雇用率
を決めるという考えは全く持っておりません。
大橋敏雄
156
○
大橋
(敏)
委員
雇用率
の算定条件の中にはそれは考えていないという話ですけれども、今回の法案を見ますと、仮に精薄者を
雇用
した場合は
身体障害者
と同等にみなしてそれを取り扱う、こうありますね。ですから、精薄者に対してある意味では
助成
あるいは
納付金
等の減額等の
措置
がとられるわけですから、かなり気持ちを開いた立場でこうしたことが推進されているように私は思うわけです。いろいろ事情はありましょうけれども、
雇用率
を引き上げる大きな条件としてこの問題は強力な
内容
になってくるのではないかと思います。 実は
身体障害者
の関係団体の方々から私の手元に要請書が届いているのですけれども、その中にも、今回の
身体障害者雇用促進法
の
改正
に伴ってこういうふうにしてもらいたいというので、まず
身体障害者雇用促進法
というものは「障害者
雇用
法」に改めていただきたい、そして「
精神薄弱者
、難病」括弧して(患者)としてありますが、それから「慢性疾患、ハンセン氏病回復者、元職をなくした労災職業病回復者など、すべての障害者を
雇用
の対象とすること」というきわめて具体的な要請がなされてきているわけです。関係者の皆さんはこの
改正
に当たりまして相当真剣に
検討
し、討議をなされた結果であろうと思う。ですから私も、この
雇用率
の設定に当たっては、その引き上げの条件としてやはりこういう方々の要請を取り
入れ
た立場で再
検討
さるべきではなかろうか、このように思うわけでございますので、これも十分
検討
していただきたいことを要請いたしますが、いかがでしょうか。
遠藤政夫
157
○
遠藤政府委員
この
法律案
の作成の段階で、
身体障害者
の団体、精薄者の団体の方々とずいぶん時間をかけて議論をしてきたところでございます。いま御
指摘
になりました
身体障害者雇用促進法
の
法律
の題名から変えてかかれという御要請もございましたけれども、そういった点を含めまして精薄者の扱いについては十分納得のいくまで議論を尽くした上で、御納得をいただいてこの
法律案
を作成いたしたわけでございます。したがいまして私どもとしましては、賢明な
大橋
先生はいまお読み上げになりました中身についても十分御理解の上でお話しいただいていると思いますが、たとえばいまの難病者等につきまして、これは病人であって、病気が治癒するまでは
雇用
の対象にならないわけでございます。この中に精薄者、難病者、そういったいろいろな問題が混同されておりますことは御承知のとおりでございます。私どもは、そういったものにつきましてそれぞれの
対策
をとるべきである、かように考えておりまして、精薄の問題につきましては、繰り返すようでございますが、いまの段階では
雇用
に一般的になじまない。
雇用
適性をいかに判別するかという前提となる問題がまだ解明されておりませんので、したがってその問題を解明することがまず先決である。この
法律
の附則によってその問題の解明に早急に取りかかって、できるだけ早い機会にこの問題を解決し、そして
雇用
に適する人については
身体障害者
と同じような
措置
を講じますし、それに適しないそれ以外の人については、収容
対策
なり
福祉対策
の対象として
行政
的に対処されるべきであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
大橋敏雄
158
○
大橋
(敏)
委員
現行
の
雇用率
一・三%は、当然これは再
検討
されて引き上げられるであろうという答弁をいただいたわけでございますが、これはどこでどのような姿で
検討
されて、いつごろ決定されるのかということが一つです。 それから、
雇用率
の引き上げの条件の中に、いま私いろいろ申し上げたのですけれども、精薄者その他の問題はいろいろと問題もあるというような御答弁ではございますが、それでは次の問題について、いまの質問にあわせてお答えを願いたいと思います。 現在身障者は約百四十一万人と言われておりますが、その中に
重度障害者
は三十八万人である。一般的な障害者の方は百三万人、こうなるわけでございますが、これを合わせて百四十一万人、これが一応一・三%ということになっているわけですね。ところが今回、重度の障害者を
雇用
した場合は一人を二人にみなします、こういうことになっておるわけですから、三十八万人掛ける二になるわけですね。そうしますと、一般の障害者百三万人プラス七十六万人イコール百七十九万人、こうなるわけですね。そうなると大体一・八%になるわけですよ。だから私は、精薄者は別問題として考えても、少なくとも今回の法案のたてまえからいっても一・八%ないしはそれ以上に定められなければならぬのではないかと思うのでございますが、この辺は大臣の見解もぜひ聞いておきたいと思います。
遠藤政夫
159
○
遠藤政府委員
雇用率
をいつどういう手順で決めるかという御質問でございますが、これは、この
法律
が成立いたしました以降、
身体障害者雇用審議会
がございますので、この
審議
会に諮問いたしまして、その答申を得て決定するわけでございますが、時期といたしましては、この
法律
が本年の十月一日から施行される予定になっております。したがって、その時点以前にこの
雇用率
を設定いたしまして公布する、こういうことになろうかと思います。 そこで、具体的にいま障害者の数なり就業希望者を挙げて
雇用率
がこうなるであろうという御質問でございますが、実はこの
身体障害者
の就業希望者の中で、いわゆる
雇用
労働者
と、それから自営、その他の就業者とございます。この
雇用率
の対象になりますのは
雇用
を希望する人たちということになります。それに
重度障害者
の場合はそれが二倍ということになるわけでございます。したがって、いま計算されましたような一・八という数字にはなりませんけれども、
現行
の一・三につきましても、その中に含まれております
重度障害者
を二倍で計算いたしますと、当然その部分だけでも
雇用率
が上がってくるということになろうかと思います。
大橋敏雄
160
○
大橋
(敏)
委員
大臣、この
雇用率
というのは今回の法案の運営面で一番基本になると思うのですね。そして、実際に障害を持っていらっしゃる方の団体、いろいろ組織がございますけれども、いずれの組織からも
雇用率
は二%にすべきだという声が出ているわけですね。これは、いま言ったような
重度障害者
のいわゆる一人を二人に見るというようなことだとか、あるいは精薄者等も含んでいただきたいだとか、そのほかにいろいろな難病等も含んでしていただきたいという、一切合財のものを含めて見れば、やはり二%は妥当ではないかという考えが反映しているんだと私は思うのですね。ですから、障害者のこの気持ちも十分勘案された上でやはり思い切った
雇用率
を定めるように、いずれ
検討
審議
されるわけですが、そのメンバーの方々に私たちのこの気持ちを十分伝えていただきたいということです。
長谷川峻
161
○
長谷川国務大臣
大橋
さんがいろいろ数字までずっと試算されている熱意に対しては敬意を払います。おっしゃったような話の出ましたことなどもお伝えしながら、適正な
雇用率
を決めることに努力してみたい、こう思います。いずれにいたしましても、働きがいを見出して一生懸命にやろうとする人がたくさんふえることが一番ありがたい、こう思っております。
大橋敏雄
162
○
大橋
(敏)
委員
雇用率
の算定に当たりまして、先ほど申し上げましたように
重度障害者
一人を二人として計算するなど、
重度障害者
に対する配慮はある程度なされていると私は思うのでございますが、これで十分かどうか。私はとても十分ではないと思うのでございますが、今後重度
対策
についてはどのように進めていく考えでおられるのか、お尋ねをいたします。
遠藤政夫
163
○
遠藤政府委員
重度障害者
対策
といたしましては従来とも、たとえば
雇用
奨励金
制度
につきましても一般の
身体障害者
よりも重度者の方に手厚くするというような
措置
をとっておりますが、今回、
雇用率
の算定につきましても
重度障害者
を二倍に計算をする。そのほか援助、
助成
の対象になります場合も、
助成措置
をとります場合、
重度障害者
につきましては特に作業環境の整備とか機械設備の
改善
とか、こういった点で一般の中軽の障害者よりは、
身体障害者
を雇い、受け
入れ
る場合の費用の負担も増大するかと思います。そういった点につきましては、こういった
重度障害者
を雇いやすいようにそういった働きやすいような環境をつくる、そういう点で
助成措置
について十分配慮してまいるつもりでございます。
大橋敏雄
164
○
大橋
(敏)
委員
いま
局長
おっしゃったとおり、
重度障害者
に対しては特段の配慮を今後とも払っていっていただきたい。 それから、
納付金
の問題でございますけれども、一体この
納付金
というのはどういう性格なんだろうかという疑問が一つあるわけです。それと同時に、この
納付金
を取る本当の目的は一体何だということですね。それから、集まってくる
納付金
、これで一体何をしようとしているのか。法案の
内容
を見てまいりますと、奨励金というような意味を含めて、
雇用率
を
達成
した、それ以上に
雇用
しているところにはそれを充当するというようなことになっておりますけれども、こういう点についてお尋ねをいたします。
遠藤政夫
165
○
遠藤政府委員
身体障害者
雇用
納付金
という
制度
を新しくつくって、
雇用率
の法的義務の
強化
、この
納付金
制度
、この二つを柱にして今後の
身体障害者
の
雇用対策
を強力に進めたい、こういう趣旨でこの
法律案
を作成したわけでございますが、この
納付金
につきましてはいろいろ御意見がございまして、これは罰金じゃないのか、あるいはこの
納付金
を納めることによって
雇用
が免除されるというようなことになるのじゃないのか、こういった疑念も提起されております。そこで、この
納付金
というのは一体どういう性格のものかということを明らかにしておく必要があろうかと思います。 この
納付金
制度
につきましては、この
法律
の条文に書かれておりますように、
身体障害者
を雇います場合に、その身体障害の度合いが高ければ高いほど、先ほどから申し上げておりますように、機械設備を改造しなければならぬ、あるいは職場環境を
改善
しなければならぬ、そういった、一般の健常者が働かれる場合よりもいろいろな面で経費の負担がかかるわけでございます。そういたしますと、雇った場合にそういった経費が増大する、雇わない場合にはそういう経費の負担を免れる、こういうことになりますので、一方で
雇用率
を設定いたしまして
身体障害者
の
雇用
を義務づけると同時に、そういった
雇用率
を
達成
している企業と
達成
してない向きとの経済的な面でのアンバランスを
調整
する必要がある。そこで、法定の
雇用率
に達しない企業からは、その達するまでの部分について一人当たり幾らという定額の
納付金
を徴収いたしまして、それを、
雇用率
を上回った企業に対してその一人当たり
調整
金を支給することによって、
身体障害者
を雇った企業と雇わない企業との経済的な不均衡の
調整
を図る、これが一つでございます。それからもう一つは、
身体障害者
を雇います場合にいろいろな費用がかかりますので、その費用を援助、
助成
することによって
身体障害者
を雇いやすくする、こういう援助、
助成
の
措置
のための費用に充てる。主としてこの二つの目的を持たしておるわけでございます。そこで、こういった二つの目的を持った
納付金
というものを性格づけするといたしますならば、一種の、
身体障害者
の
雇用
に伴う
雇用
税的な性格を特ったもの、こうお考えいただければよろしいかと思います。
大橋敏雄
166
○
大橋
(敏)
委員
これからの問題ですけれども、これまでの未
達成
雇用
の実情から勘案して、
納付金
というのは、幾らになるのかは知りませんが、大体どの程度で、幾らくらい集まってくると考えておられるのか。そうして今度与えられる場合ですね、これはどの程度与える考えなのか、お尋ねいたします。
遠藤政夫
167
○
遠藤政府委員
納付金
は、
雇用率
未
達成
の企業につきまして、未
達成
に相当する
身体障害者
一人当たり月額幾らという形で定める予定にいたしておりますが、具体的に幾らにするかということはまだ決めておりません。これはいまお話しのように、一体
経済的負担
の
調整
というものをどの程度にやれば適正であるのか、それから
助成措置
をどの範囲でどのくらいにやるのか、それに必要な原資がどれくらいなのか、そういった点を十分勘案しながら具体的に徴収する
納付金
の額を決めていきたい、こういうふうに思っております。したがいまして、まだいま具体的にどれぐらいになりますということを定かに申し上げる段階ではございません。
大橋敏雄
168
○
大橋
(敏)
委員
そこで問題が一つ出てくると私は思うのですね。企業の立場からいって、
身体障害者
を雇うのは設備その他いろいろとめんどうだ、
納付金
を納めて……というようなことで、障害者の
雇用
を避けるようなことが出てくるんではないだろうか、こういうおそれを実は私は抱くわけです。ですから、すでに新聞等には三万円程度がどうかとかいうような記事も出ておりますけれども、むしろ
身体障害者
の方々は現在の一般勤労者の賃金程度に
納付金
を取っていただきたい。そうしないといまのようなおそれが出てきますよ、こういう心配をなされているわけでございますが、その点についてどういうお考えを持っておられるのか。それから、もし
納付金
を納めないような企業が出てきたときにはどういう
指導
をなさる考えなのか、お尋ねをいたします。
遠藤政夫
169
○
遠藤政府委員
具体的に幾らかということ、重ねてのお尋ねでございますし、新聞等で一部に三万円云々という報道もなされておりました。これはあくまでいろいろ試算の段階での推測による記事でございまして、明確にいまお答えする段階じゃございませんけれども、仮に一人月額三万円ということにしますと、年間大体この
納付金
の収入が七、八十億ぐらいになろうかと思います。問題は、これが仮に三万円という一応の試算を考えました場合に高いか安いかということでございますが、西ドイツの例で見ますと、西ドイツの場合は一人月額百マルク、日本円に換算しますと、いまの為替レートで約一万二千円ということでございます。そういったことも考えながら私どもは適正な
納付金
の額を決定したいと思います。 それから、大企業で
納付金
を納めなければならぬ義務を負いながら納めない、これをどうするか。これは国税滞納処分の例によって強制徴収の処置がこの
法律
で講じられておりますし、大企業で対象
事業所
数が
全国
的にも比較的少のうございます。この
調査
を担当します安定所の管内で、東京の飯田橋みたいなところはかなり多うございますけれども、一般的には数
事業所
ということになりますので、把握漏れということはまず起こり得る可能性はございませんし、強制徴収処分というものが控えておりますので、一般のほかの例からいいますと、そういった徴収漏れというようなことはまずまずないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
大橋敏雄
170
○
大橋
(敏)
委員
今度は
納付金
の対象ですね。とりあえず三百人以上の
事業所
、それ以下の中小企業は
納付金
の対象から外すということのようでございますが、その理由が一つと、三百人以上の
納付金
を納める対象の企業に対して、もしそれが
雇用率
以上に
達成
した場合はそれには
調整
金が支給される、中小企業の方には
報奨金
という名前でそれが支給される、こういうことで多少そこには格差が出てきているんじゃないかと思うのでございますが、この点を明快に答えていただきたいと思います。
遠藤政夫
171
○
遠藤政府委員
この
納付金
は大企業、中小企業を問わず、この
法律
の適用を受ける企業については全部適用されることになっております。こういうたてまえになっております。しかしながら、
納付金
制度
を発足するにつきまして、一般的に申しますと、中小企業の方は大企業に比較いたしまして比較的
身体障害者
の
雇用
の
状況
が良好であるということ、それから三百人以下の中小企業につきましては負担の面でいろいろと問題がある、こういうことから、たてまえは全企業に対して、適用事業に対して適用されることになっておりますが、ごらんのとおり、さしあたって当分の間、中小企業についてはこの
納付金
の適用を免除するということになっておりまして、これは附則でそういう
制度
を設けております。したがって、将来は全体に適用をするということになろうかと思いますが、さしあたり当分の間はこういうことで運用を図っていきたい、かように考えているわけでございます。
大橋敏雄
172
○
大橋
(敏)
委員
大臣、中小企業の体質というのは、申し上げるまでもなく大企業に比べれば大変な格差があるわけでございますので、こういう問題を推進していく上においては十分中小企業には配慮をしていただきたい。 そこで、あわせて大臣にお尋ねいたしますが、この
納付金
制度
において、
事業主
間の
調整
を図るということで
調整
金が支給されることとなっておりますけれども、これはすでに一定率以上
雇用
している
事業主
に対して一律に支給するものでありまして、
身体障害者
の
雇用
を拡大するための効果は比較的私は薄いのではないか、こう思うわけですね。ですからむしろ、
身体障害者
を本当の意味で雇っていこうということになれば、やはり機械整備だとかあるいは設備ですね、そういうものの方が大事だと思うわけですから、これはこれで当然やっていきながら、特に
助成
金の方にウエートを置くべきではないか、私はこう思うのでございますが、いかがですか。
長谷川峻
173
○
長谷川国務大臣
この場合に一般の方々によくお考えを願いたいのは、一・三と言うでしょう、そうすると千人雇っているところは十三人雇えばいいのですからね。これはできないことじゃないと思うのですよ。だから
雇用率
を
達成
させることにまず重点を置く。そして後はおっしゃるように、中小企業の問題についてはいま
局長
がお話ししたように、そういうところももし雇ってくれるならいろいろ
助成
もするというふうなかっこうになりますからね。一・三とか一・七というと何かえらい雇うようなことになりますけれども、何のことはないのです、十三人だもの。ですから、千人以上の大企業が
雇用率
が悪いと言うのは、一昨年からいつでも私がこの
委員会
で大企業はけしからぬと言うのはそういう意味なんです。そういうことで、御趣旨に沿うようにがんばります。
大橋敏雄
174
○
大橋
(敏)
委員
私は、その後の方ですよね。後の、
達成
している、以上
達成
したところには奨励金を渡すわけですけれども、それに力を
入れ
ることよりも、
助成
の方に本当のウエートを置くべきではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
長谷川峻
175
○
長谷川国務大臣
そのとおりです。
大橋敏雄
176
○
大橋
(敏)
委員
じゃ次に移りますが、
身体障害者
の解雇については職業安定所に届け出ることになったわけでございますけれども、この程度で、最もしわ寄せを受けている、受けやすいといいますか、
身体障害者
の解雇規制が行えるだろうかという疑問を抱くのですけれども、いかがですか。
遠藤政夫
177
○
遠藤政府委員
身体障害者
を解雇する場合に事前の届け出を規定いたしておりますが、それは実を申しますと解雇を規制するという趣旨ではございませんで、やむを得ず解雇されざるを得ない、解雇せざるを得ない場合には事前に安定所に届けてもらうことによって、その解雇される
身体障害者
の再
就職
を事前から十分準備をして、離職後再
就職
を早急に図っていこう、こういう趣旨でございます。もちろん、こういった事前届け出という
制度
をとることによって、できるだけ解雇を控えてもらうという効果はないとはいえませんけれども、主たる目的は再
就職
の
促進
ということでございますので、その趣旨を十分生かしながら、できるだけ解雇を避けていただくような
行政
指導
を進めていきたいと思っております。
大橋敏雄
178
○
大橋
(敏)
委員
それは基準法と関係していくからなかなかむずかしいかもしれませんが、基準法の方では解雇する場合は一カ月前に事前に通告するわけですが、こうした
身体障害者
の方々についてはやはりいろいろな特殊事情があるわけですから、少なくとも三カ月ぐらい前から通告してほしい、いろいろの団体の皆さんからこういう強い要請があっておりますが、これについて
検討
される用意があるかどうか、お尋ねいたします。
遠藤政夫
179
○
遠藤政府委員
この問題は、法的に解雇の事前届け出、こういったことで規制というような考え方をとりますよりも、むしろ私どもは、各県に設けられております
雇用
促進
協会、あるいはこの
法律
で新しくできます
身体障害者雇用促進協会
がいろいろな
助成
業務をやることになっております。この中で、職業生活相談員の設置等につきましてもこの協会がいろいろと関与することになっておりますが、そういった人たちに
身体障害者
のいわゆる
就職
のアフターケアについて十分相談に乗っていただく、そして安定機関と密接な連絡をとりながらできるだけ解雇を避けるような
措置
をとっていただく。どうしても企業が倒産その他の事由によりまして解雇という事態に立ち至らざるを得ない場合には、そういった人たちの離職後の再
就職
を図っていく、こういう連携動作がこれからもっと大事なのではなかろうか。ただ単に
法律
の一条をもちまして解雇を規制すると言っても、その規制をされたことによって、企業が倒産してしまって、のっぴきならなくなって解雇される、離職されるという事態を防ぐわけにはまいりませんので、むしろそういったことよりも、もっときめ細かな
行政
指導
、あるいは民間ベースによる、協会による相談
指導
、こういった
措置
を十分活用していくことの方がより効率的、効果的ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
大橋敏雄
180
○
大橋
(敏)
委員
時間も大分迫ってまいりましたので次に移りますが、職安における
身体障害者
の
職業紹介
体制というものは十分でない、率直に私はこう見るわけです。その機能
強化
も含めて、どのような基本姿勢でこの
法律
の施行に当たられる考えなのか、お願いいたします。
長谷川峻
181
○
長谷川国務大臣
これは私がお答えしましょう。 いままでも懸命にやってきたつもりでございますけれども、相手がやらせない気持ちでこられることですから、なかなか御満足いくというふうな感じにならないこともわかります。今度この法案が通りますと、本年度からは専門的知識と経験を有する
就職
促進
指導
官の増員をやります。その次には民間の有識者などを活用する職業相談員
制度
の
充実
、それから安定所において手話協力員の増員、さらにまた障害者の能力判定、
適職
判定等を専門とする心身障害者職業センター等の増設などを図ります。いずれにいたしましても、
制度
の
改善
を図りますとともに、職安の皆さん方が身障者一人一人に温かい心と温かい態度を持って接しながら、血の通った
行政
を行い、そして社会に生きようとするそういう方々のよき相談相手になるように、この
法律
が通った暁には改めてみんなにそういうふうなことの行き渡るような訓示をしたい、こう思っております。
大橋敏雄
182
○
大橋
(敏)
委員
いまおっしゃったような
内容
はきわめて重要な問題であります。
法律
ができ上がりましても、その目的を
達成
するためにはそれに対応する
対策
こそ肝心でありますので、いまの点、十分配慮していただきたいことを強く要請をいたしておきます。 次に、
身体障害者
の
雇用
を
促進
していくためには、
制度
改善
を図ったりあるいは
事業主
の義務を
強化
したりすることが必要であることはもう当然のことでありますが、今回の
改正案
におきましてもそれらについては一定の配慮をなされているようでございますけれども、
身体障害者自身
が積極的な意欲を持って
雇用
の場に入り込んでいくようにすることもまた私は重要であろうと思います。
政府
といたしましても、このような機運を盛り上げるために
身体障害者
が
全国
的な規模で参加するような行事等を計画をなさる考えがあるかどうか、この点をお尋ねいたします。
遠藤政夫
183
○
遠藤政府委員
身体障害者
につきましては、いわゆるアビリンピック、技能競技大会も実施いたしておりますし、それから、
身体障害者
の人たちがいろいろな分野でいろいろな物をつくっておられる、そういった作品展とか、そういった行事も
全国
的に実施いたしておりますし、各都道府県でも実施されております。今度の
改正
法案の第二条の三で、
身体障害者
の自立の
努力義務
と申しますか、自覚を持ってもらいたいということを条文で明確にいたしておりますが、そういったことからも、
身体障害者
の人たちがみずからの
職業人
としての技能を開発し、向上させていただく、そういう努力をしていただくと同時に、そういった努力に対して、私ども
行政
の面からもいろいろと積極的な援助、
助成
を進めていきたい、こういうことで
身体障害者
の
雇用
の
促進
に資してまいりたい、こういうふうに考えております。
大橋敏雄
184
○
大橋
(敏)
委員
大臣、この点は私は非常に重要な問題だと思うのですね。アビリンピックその他、今度また新たにいろいろと考えを持っているということでございますが、この点について大臣自身のお考えをお伺いしておきたいと思います。
長谷川峻
185
○
長谷川国務大臣
私はわりにこういうものに出席するのです。昨年も千葉の大会にも出席しましたが、私たちが行くことによって激励されるというのはこれがいいことだと思いますので、どうぞひとつ諸先生方も御参加いただきながら盛り上げを願いたいと思います。
大橋敏雄
186
○
大橋
(敏)
委員
いま私がお尋ねしたのは、新しくやはり何かを考え出して、そして
身体障害者
がその働く意欲をより持っていくような、そういうものを編み出してもらいたい、それに特段の意欲を燃やしていただきたい、こう言っているわけです。 それではこれから、残りわずかな時間でございますが、
中高年齢者
に関しての質問をいたします。
定年延長
についてはいろいろと聞いてきたわけでございますが、高年者
雇用率制度
のみならず、総合的な
対策
を講じなければならぬと私は思うのでございますが、これにつきましてどのようなお考えでおられるのか、お尋ねをいたします。
長谷川峻
187
○
長谷川国務大臣
高年齢者
は、五十五歳
定年
制によりまして
雇用
が不安定になっている向きがあります。少なくともこれは六十歳まで
定年
を延長すべきものだと考えて、事あるたびに実は主張し、ことしの春の賃金改定の時期に当たりましても、組合の皆さん方が
雇用
とか賃金とかいうときであるから、組合の方でもひとつこういう問題を積極的にやってくれないかということを勧奨したほどであります。従来から
定年
の延長を
雇用
政策の重要な柱として掲げてきましたけれども、
事業主
団体や労働組合に対し啓蒙、助言その他の
行政
指導
を推進するとともに、
定年延長
奨励金
制度
によるところの
助成措置
を講じ、
定年
の引き上げを
促進
してきたところであることは御案内のとおりです。特に本年度は、
定年延長
奨励金について大企業にも支給することなど大幅な拡充を図るとともに、継続
雇用
奨励金
制度
を
創設
しまして、六十歳以上の
定年
による
退職者
の継続
雇用
の
促進
を図ることとしております。 今度の法
改正
によって、高
年齢者雇用率制度
は、
事業主
に一定の率以上の高齢者を
雇用
するよう努力する義務を課して
高年齢者
の
雇用
の安定の基盤をつくり出そうとするものでありまして、従来の
定年延長
対策
をさらに
強化
しようとするものであります。今後、高
年齢者雇用率制度
を軸にいたしまして、
事業主
に対する
助成
の
措置
活用、
定年延長
に伴う必要な
雇用
管理に関する
指導
等の
対策
を講ずることによって、積極的に
定年
の延長を推進してまいる考えであります。
大橋敏雄
188
○
大橋
(敏)
委員
高年齢者
の
雇用率
を六%ないし七%にするというふうに考えているということが言われているわけでございますが、これはその程度になるのかどうかということですね。どうでしょうか。
遠藤政夫
189
○
遠藤政府委員
全体の
雇用
労働者
の中で
高年齢者
、五十五歳以上の占める比率が大体平均的に見ますと一〇ないし一一%くらいだというふうに見られております。この中で、今回のこの
雇用率制度
を設定いたします際に具体的に
雇用率
をどれくらいに決めるのが妥当かということになりますが、いろいろな試算をいたしております。まだ具体的に決めておりませんが、一応この
定年延長
、五十五歳の
定年
を六十歳まで延長させるための支えとしてこういう
制度
をつくるとすれば、いま御
指摘
のような線も一つの線として考えられないところではない。いまいろいろと試算の段階でございますが、今後、この
制度
ができました暁に最も効率的に運用するとした場合にどれくらいが適当であるか、十分慎重に配慮しながら具体的な率の設定を図ってまいりたい、かように考えております。
大橋敏雄
190
○
大橋
(敏)
委員
高年齢者
の再
就職
を容易にするため、
定年
を含めまして、職業訓練を
強化
すべきであると私は思うのでありますが、
高年齢者
の
適職
の拡大、これらの
適職
について訓練科目の増大なども図るべきだと思うのでございますが、どのようなお考えでおられるか、お尋ねいたします。
中原晁
191
○中原
政府
委員
先生御
指摘
のように、公共職業訓練施設におきまして今後は
高年齢者
の職業訓練、これが若年層に比べましても一層重大になってくると思いますので、これにつきましては、たとえば人材銀行に付設しております人材セミナーでありますとか、あるいは
定年
になる前にその準備のために訓練を行う
定年
前訓練、こういうものをやっておりますほか、
昭和
四十七年度から、特に
高年齢者
にふさわしいものとしまして表具科あるいは造園科というような
高年齢者
に適した訓練科を増設しまして、相当高い応募等もございまして、職業訓練を行っておりますけれども、先生御
指摘
のとおり、今後ともこういう方面の職業訓練につきましてはもっともっと
充実
してやってまいりたい、こういうふうに存じております。
大橋敏雄
192
○
大橋
(敏)
委員
この中高年齢
労働者
が働きやすくするための方策として、企業内あるいは企業外において職業教育訓練を広く行って、また中高年齢
労働者
が教育訓練を受けやすくする必要があると私は思うのでございますが、そこで、職業訓練校において夜間及び休日にも開校している職業訓練校といいますか、それはどのくらいあるのか。また、収容はどれほどしているのかをお尋ねをしてみたいと思います。そしてまた、今後こういう方面についてどのような考えでおられるのか、あわせてお尋ねいたします。
中原晁
193
○中原
政府
委員
夜間の訓練につきましては、一部、たとえば東京都等でかなりやっておるわけでございますが、これにつきましても両論ございまして、なるべく昼間に切りかえるという方針もございますけれども、現にそういう需要がありますので、東京都等で夜間等でやっております。休日等につきましては、これは職業訓練校の職員のいろいろな問題等もございますし、訓練校の庁舎管理等もございますので、休日には職業訓練校で訓練を行うことはやっておりませんけれども、たとえば土曜日等につきましては、会社の休みの場合、あるいは学校の生徒、あるいは中高年の人で土曜日に都合のいい人もありますので、一日職業訓練校、あるいは職業訓練施設の開放、技能教室というようなかっこうで、土曜日等につきましては、先生御
指摘
の日も含めまして、広く一般の住民あるいは
中高年齢者
に対しまして職業訓練校を開放して施設を活用しているわけでございます。
大橋敏雄
194
○
大橋
(敏)
委員
これは今後非常に重要な課題であろうと思いますので、この運営に当たっては真剣に
検討
していただきたいことを強く要請をしておきます。 最後に、
中高年齢者
はこの
雇用
変動の影響を大きく受けるので、
雇用
変動期における
対策
は一体どうするのか、これを最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
遠藤政夫
195
○
遠藤政府委員
これから低
成長時代
に入りますと、その中で不景気、不況の波にさらされて失業者が増大する、そういった際に、やはりこの
中高年齢者
、特に
高年齢者
層が一番しわ寄せを受けやすい、こういうことになろうかと思います。そこで、一方で
定年延長
、
定年
制度
の六十歳までの延長
措置
を具体的に強力に進めると同時に、その支えとしてこの
高年齢者
の
雇用率
という
制度
をつくりまして、各企業に対して五十五歳以上の人を一定割合雇っておいてもらいたい。雇わなければならない、こういう
努力義務
を課しておるわけでございます。と同時に、こういった中高年齢層の人がそういった不況の際にいわゆる
雇用
調整
の対象となりやすい。こういう点は、昨年来経験いたしましたような
雇用
調整
給付金
制度
なり、あるいは、これから
雇用対策
基本計画の中でいろいろと盛り込んでおります新しい
制度
の中でこういった
高年齢者
の職業転換、再教育といったような具体的な
措置
を講じながら、こういう人たちの
雇用
の場が失われることのないように十分積極的な施策を講じてまいりたい、かように考えているわけでございます。
大橋敏雄
196
○
大橋
(敏)
委員
今回のこの法
改正
は、ある意味では画期的なものであろうと私も評価しておりますが、先ほど申し上げましたように、努力目標からこのような法定義務づけされる
内容
になってきましたことだし、そういう意味からいけばスタートしたばかりですので、いよいよその
内容
を
検討
され、さらに
改善
されていくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
戸井田三郎
197
○戸井田
委員長
代理 次回は、明二十日木曜日午前九時四十五分
理事
会、十時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時二十五分散会