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1976-05-18 第77回国会 衆議院 社会労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十八日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 熊谷 義雄君    理事 住  栄作君 理事 竹内 黎一君    理事 戸井田三郎君 理事 葉梨 信行君    理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君    理事 村山 富市君 理事 石母田 達君       伊東 正義君    大野  明君       大橋 武夫君    加藤 紘一君       瓦   力君    小林 正巳君       菅波  茂君    田川 誠一君       高橋 千寿君    中山 正暉君       野原 正勝君    羽生田 進君       橋本龍太郎君    粟山 ひで君       山口 敏夫君    金子 みつ君       島本 虎三君    田口 一男君       森井 忠良君    田中美智子君       寺前  巖君    大橋 敏雄君       岡本 富夫君    伏木 和雄君       小宮 武喜君    和田 耕作君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 田中 正巳君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局長      松浦十四郎君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 山下 眞臣君         通商産業大臣官         房審議官    伊藤 和夫君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部公害課長  浜田 栄次君         環境庁水質保全         局企画課長   西村 純幸君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    弓削田英一君         通商産業省生活         産業局紙業課長 沢田  仁君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      佐藤 弘毅君         労働省労働基準         局補償課長   溝邊 秀郎君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         日本国有鉄道環         境保全部次長  渡辺 和美君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 五月十七日  医療制度等の改善に関する請願(田中美智子君  紹介)(第四九〇二号)  同(寺前巖君紹介)(第四九〇三号)  同(枝村要作君紹介)(第四九九六号)  同(金子みつ君紹介)(第四九九七号)  同(寺前巖君紹介)(第四九九八号)  同(大橋敏雄君紹介)(第五〇八五号)  同(小宮武喜君紹介)(第五〇八六号)  ダンプカー運転者生活保障に関する請願(紺  野与次郎君紹介)(第四九〇四号)  同(沖本泰幸君紹介)(第四九八七号)  旧満蒙開拓青少年義勇軍関係者処遇改善等に  関する請願(早稻田柳右エ門君紹介)(第四九  〇五号)  身体障害者雇用促進法の改正に関する請願(稲  葉誠一君紹介)(第四九〇六号)  同(島本虎三君紹介)(第四九九五号)  健康保険制度改悪反対に関する請願(田中美  智子君紹介)(第四九〇七号)  同(中島武敏君紹介)(第四九八五号)  同(大橋敏雄君紹介)(第五〇七八号)  短期雇用特例保険者失業保険金改善に関す  る請願(多田光雄君紹介)(第四九〇八号)  医療保険制度の確立に関する請願(庄司幸助君  紹介)(第四九〇九号)  同(田中美智子君紹介)(第四九一〇号)  同(中路雅弘君紹介)(第四九八九号)  同(増本一彦君紹介)(第四九九〇号)  同(石母田達君紹介)(第五一三〇号)  同外一件(大橋敏雄君紹介)(第五一三一号)  同(田中美智子君紹介)(第五一三二号)  同(多田光雄君紹介)(第五一三三号)  同(寺前巖君紹介)(第五一三四号)  同(中川利三郎君紹介)(第五一三五号)  同(平田藤吉君紹介)(第五一三六号)  同(岡本富夫君紹介)(第五一三七号)  全国一律最低賃金制確立等に関する請願(辻原  弘市君紹介)(第四九一一号)  同(村山富市君紹介)(第四九一二号)  同(島本虎三君紹介)(第五〇五〇号)  同外一件(村山富市君紹介)(第五〇五一号)  同(島本虎三君紹介)(第五一〇三号)  同(中澤茂一君紹介)(第五一〇四号)  同外一件(村山富市君紹介)(第五一〇五号)  政府関係法人における労働条件改善等に関する  請願(中村茂君紹介)(第四九一三号)  同(板川正吾君紹介)(第五〇〇〇号)  同(中村茂君紹介)(第五〇〇一号)  同(下平正一君紹介)(第五〇八四号)  社会保障制度改善等に関する請願(井上泉君紹  介)(第四九一四号)  同(江田三郎君紹介)(第四九一五号)  同(小川省吾君紹介)(第四九一六号)  同(川崎寛治君紹介)(第四九一七号)  同(小林信一君紹介)(第四九一八号)  同(坂本恭一君紹介)(第四九一九号)  同(佐藤観樹君紹介)(第四九二〇号)  同(島本虎三君紹介)(第四九二一号)  同(竹村幸雄君紹介)(第四九二二号)  同(中村茂君紹介)(第四九二三号)  同(日野吉夫君紹介)(第四九二四号)  同(古川喜一君紹介)(第四九二五号)  同(美濃政市君紹介)(第四九二六号)  同(森井忠良君紹介)(第四九二七号)  同(山口鶴男君紹介)(第四九二八号)  同(米内山義一郎君紹介)(第四九二九号)  同外一件(江田三郎君紹介)(第五〇〇五号)  同(沖本泰幸君紹介)(第五〇〇六号)  同(勝澤芳雄君紹介)(第五〇〇七号)  同(小林進君紹介)(第五〇〇八号)  同(兒玉末男君紹介)(第五〇〇九号)  同外一件(佐藤観樹君紹介)(第五〇一〇号)  同(鈴切康雄君紹介)(第五〇一一号)  同外一件(田口一男君紹介)(第五〇一二号)  同(高田富之君紹介)(第五〇一三号)  同(土井たか子君紹介)(第五〇一四号)  同(辻原弘市君紹介)(第五〇一五号)  同外一件(日野吉夫君紹介)(第五〇一六号)  同(平林剛君紹介)(第五〇一七号)  同(藤田高敏君紹介)(第五〇一八号)  同(古川喜一君紹介)(第五〇一九号)  同(鬼木勝利君紹介)(第五〇二〇号)  同(森井忠良君紹介)(第五〇二一号)  同(八木昇君紹介)(第五〇二二号)  同(山口鶴男君紹介)(第五〇二三号)  同外一件(米内山義一郎君紹介)(第五〇二四  号)  同(安宅常彦君紹介)(第五一三八号)  同(江田三郎君紹介)(第五一三九号)  同(大柴滋夫君紹介)(第五一四〇号)  同(岡田哲児君紹介)(第五一四一号)  同(金瀬俊雄君紹介)(第五一四二号)  同(久保三郎君紹介)(第五一四三号)  同外一件(佐藤観樹君紹介)(第五一四四号)  同(佐藤敬治君紹介)(第五一四五号)  同(佐野憲治君紹介)(第五一四六号)  同(清水徳松君紹介)(第五一四七号)  同(島本虎三君紹介)(第五一四八号)  同(下平正一君紹介)(第五一四九号)  同外九件(鈴切康雄君紹介)(第五一五〇号)  同(楯兼次郎君紹介)(第五一五一号)  同(津金佑近君紹介)(第五一五二号)  同外一件(中村重光君紹介)(第五一五三号)  同(中村茂君紹介)(第五一五四号)  同(馬場昇君紹介)(第五一五五号)  同(日野吉夫君紹介)(第五一五六号)  同(古川喜一君紹介)(第五一五七号)  同(三宅正一君紹介)(第五一五八号)  同(村山富市君紹介)(第五一五九号)  同(森井忠良君紹介)(第五一六〇号)  同(横山利秋君紹介)(第五一六一号)  同(吉田法晴君紹介)(第五一六二号)  医療従事者の確保に関する請願(湊徹郎君紹  介)(第四九七六号)  老人福祉対策充実強化に関する請願(湊徹郎  君紹介)(第四九七七号)  年金制度拡充強化に関する請願(湊徹郎君紹  介)(第四九七八号)  年金制度改善に関する請願(紺野与次郎君紹  介)(第四九七九号)  保険料等患者負担引上げ中止に関する請願(  田中美智子君紹介)(第四九八〇号)  健康保険法改正反対及び医療制度の改善に関  する請願(浦井洋君紹介)(第四九八一号)  同(神崎敏雄君紹介)(第四九八二号)  同(中島武敏君紹介)(第四九八三号)  同(近江巳記夫君紹介)(第五〇八九号)  同(庄司幸助君紹介)(第五〇九〇号)  同(瀬崎博義君紹介)(第五〇九一号)  同(平田藤吉君紹介)(第五〇九二号)  健康保険法改悪反対及び国民医療の改善に関  する請願外一件(田中美智子君紹介)(第四九  八四号)  同外一件(赤松勇君紹介)(第五〇七九号)  同外二件(横山利秋君紹介)(第五〇八〇号)  あん摩、マツサージ、指圧、はり、きゆう治療  費の保険給付取扱いに関する請願(林百郎君紹  介)(第四九八六号)  健康保険法改正反対等に関する請願(増本一彦  君紹介)(第四九八八号)  保育所の父母負担軽減に関する請願(中島武敏  君紹介)(第四九九一号)  同(横路孝弘君紹介)(第五一〇〇号)  医療・年金制度の改善に関する請願(寺前巖君  紹介)(第四九九二号)  同(大橋敏雄君紹介)(第五〇八七号)  同(横路孝弘君紹介)(第五〇八八号)  各種障害年金制度改善に関する請願(田中美智  子君紹介)(第四九九三号)  同(寺前巖君紹介)(第四九九四号)  同(稲葉誠一君紹介)(第五〇九五号)  同(大橋敏雄君紹介)(第五〇九六号)  同(小宮武喜君紹介)(第五〇九七号)  准看護婦制度廃止に関する請願外一件(田邊誠  君紹介)(第四九九九号)  同(枝村要作君紹介)(第五〇六九号)  同(大橋敏雄君紹介)(第五〇七〇号)  同(小宮武喜君紹介)(第五〇七一号)  同(佐野進君紹介)(第五〇七二号)  同(田口一男君紹介)(第五〇七三号)  同外一件(村山富市君紹介)(第五〇七四号)  同(森井忠良君紹介)(第五〇七五号)  同外一件(八木昇君紹介)(第五〇七六号)  母性の社会保障に関する請願(阿部昭吾君紹  介)(第五〇〇二号)  同(河上民雄君紹介)(第五〇〇三号)  同(佐野進君紹介)(第五〇〇四号)  社会福祉制度改善等に関する請願(瀬野栄次  郎君紹介)(第五〇七七号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願(庄司幸助君紹介)(第五〇八一  号)  同(瀬崎博義君紹介)(第五〇八二号)  同(松本善明君紹介)(第五〇八三号)  結核患者医療保障等に関する請願(津川武一  君紹介)(第五〇九三号)  同(中川利三郎君紹介)(第五〇九四号)  戦時災害援護法制定に関する請願(田口一男君  紹介)(第五〇九八号)  老後保障としての婦人の年金制度改善に関する  請願(金子みつ君紹介)(第五〇九九号)  准看護婦制度の廃止に関する請願(大橋敏雄君  紹介)(第五一〇一号)  同(岡本富夫君紹介)(第五一〇二号)  療術の制度化に関する請願外三件(足立篤郎君  紹介)(第五一〇六号)  同(臼井莊一君紹介)(第五一〇七号)  同外十四件(大石千八君紹介)(第五一〇八  号)  同外十四件(鴨田宗一君紹介)(第五一〇九  号)  同(木村俊夫君紹介)(第五一一〇号)  同外七件(栗原祐幸君紹介)(第五一一一号)  同外十二件(小平忠君紹介)(第五一一二号)  同外五件(佐々木秀世君紹介)(第五一一三  号)  同外四件(斉藤滋与史君紹介)(第五一一四  号)  同外十三件(三枝三郎君紹介)(第五一一五  号)  同(塩谷一夫君紹介)(第五一一六号)  同外九件(篠田弘作君紹介)(第五一一七号)  同(田中伊三次君紹介)(第五一一八号)  同外十二件(高見三郎君紹介)(第五一一九  号)  同外二件(竹本孫一君紹介)(第五一二〇号)  同外五十三件(地崎宇三郎君紹介)(第五一二  一号)  同外五十八件(中川一郎君紹介)(第五一二二  号)  同外四件(西村英一君紹介)(第五一二三号)  同外十二件(西村直己君紹介)(第五一二四  号)  同外五件(福永健司君紹介)(第五一二五号)  同外八十件(松浦周太郎君紹介)(第五一二六  号)  同外三件(松永光君紹介)(第五一二七号)  同外三件(三ツ林弥太郎君紹介)(第五一二八  号)  同外十三件(箕輪登君紹介)(第五一二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物  処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六三号)(参議院送付)  クリーニング業法の一部を改正する法律案起草  の件      ————◇—————
  2. 熊谷義雄

    熊谷委員長 これより会議を開きます。  廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律、問題はこの二つに及んでいるわけでありまして、この点等においてはその性格上、清掃一つであるけれども、性格が違うものを二つ組み合わされている法律であります。したがって、これはいろいろな点からして相反するような措置をとらなければならない場合もあります。  そこでまず、私は、廃棄物処理施設整備緊急措置法、この面から先にちょっと聞いていきたいと思います。  五十一年四月九日に本法案に基づいて整備計画閣議了解が作成されておりますが、これはどういうような割合実施状況になっておりますか、一応ちょっと簡単に報告願います。
  4. 山下眞臣

    山下政府委員 一応五十一年度から五カ年間の廃棄物処理施設整備計画総額を、これは新経済社会発展計画において大枠が概案決定されておるわけでありますが、一兆一千三百億という総額にいたしておるわけでございます。五十一年四月の閣議了解におきましては、その内訳といたしましては、ごみ処理施設につきまして七千七百四十億、それから屎尿処理施設におきまして二千百四十億、それから産業廃棄物処理施設、これは地方公共団体が設置する分のみでございますが、これにつきましては九百六十億、それから予備費につきまして四百六十億、合計一兆一千三百億、そういう内容を概案決定いたしておるわけでございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 そうすると、この割合、パーセンテージはどうなりますか。
  6. 山下眞臣

    山下政府委員 正確な計算はいまいたしておりませんが、ごみ処理が約七〇%、屎尿処理が約二〇%、産業廃棄物関係が一〇%弱、そういうふうな数字になるかと存じます。
  7. 島本虎三

    島本委員 そうすると、当然産業廃棄物関係処理施設分は一番少ない。これは考え方によって当然です。しかし、あくまでも産業廃棄物である以上これは事業者それぞれが施設しなければならない、処理しなければならないという原則があるから、この緊急を要するいまの状態では産業廃棄物対策、こういうようなものがあらゆる面からいま緊急性を帯びてきているわけであります。そうすると、この対策はいままでのようにして、恐らく七千七百四十億がごみ関係、それから屎尿関係が二千百四十億、それから今度は産業廃棄物関係が九百六十億、こういうような割合のようでありますけれども、この産業廃棄物対策というものを、金の面だけが対策じゃないはずだから、今度はきちっとしてやるのでなければ方々にこれまた環境破壊公害が別な意味で発生してくる。この辺を手抜きしてはならないのでありますが、これは同じ行政で同じように考えてはならないものであります。ある場合には指導しなければならない、同時にこれの強力なる管理をしなければならない、ある場合には罰則を適用しなければならない、こういう場合さえあるのでありますが、どうも厚生省はえてしてこの産業廃棄物の場合には余り具体的に乗り出していない、こういううらみがあるのじゃないか、こう思います。したがって、前回の閣議了解による整備計画は十分達成されたと考えますか。
  8. 山下眞臣

    山下政府委員 第三次の計画とその達成状況を御報告申し上げたいと思うのでございますが、実は第三次は第二次の最終年度と第三次の初年度とがダブる関係で一応四カ年計画になっておるわけでございます。  まず、投資額につきまして見ます場合におきましては、第三次計画では四十七年から五十年の間の四カ年計画を総投資額四千二十億、こういうふうに見たわけでございます。ところが実際の投資額は、その期間におきまして行われましたのは六千三百四十二億ということで、金額の面におきまして計画よりも約六割多い金額投資いたしておるわけでございます。特にその比重が高うございますのは、屎尿処理施設につきまして、下水道の方の整備計画が思うように進展しておりませんために、計画よりも六六%多い金額を投入したというような事情が働いておるわけでございまして、ごみ処理施設につきましても一〇〇%ちょっとを超える投資をいたしておるわけでございます。さように、施設投資額、それからその投資によって予定をいたしました屎尿処理施設なりごみ処理施設処理能力実施状況計画よりも上回った内容になっております。しかしながら、率直に申し上げまして、実はそれらの投資なり施設能力整備することによりまして、ごみ処理につきましては可燃性ごみの九〇%焼却、屎尿処理につきましては下水道によって処理されるもの以外のくみ取り分につきましてほぼ一〇〇%の施設処理という処理率を想定いたしたわけでございますが、実際の処理率は、その想定した一〇〇%なり九〇%の処理率にまで到達しないという状況になっておるわけでございます。  その原因はいろいろあるわけでございますけれども、まず屎尿の面につきましては、やはりこういった屎尿処理施設によりましてくみ取り屎尿処理いたします計画を立てます際に、当然下水道普及とのうらはらの関係で考えるわけでございますが、下水道普及が当初想定いたしましたほどには進んでおらなかったという点が一つあろうかと思うわけでございます。それからごみ処理につきましても、やはりその後の一人当たりのごみ排出量増加なり、両方を通じまして想定いたしました計画処理区域範囲拡大等による人口増加というような点がございまして、なお達成率といいますか処理率と申しますか、そういう面では若干目標を達成しておらない。しかし、投資額なり能力の面においては計画を上回る実績を有するに至っておる、そういう率直な状況でございます。
  9. 島本虎三

    島本委員 それは、実際はそういうような能力があり、そういうような予算でやっても、物価が高くなったり、そして地方自治体の財政状態並びにその地域事情によって工事実施ができなかった、こういうようなところにも原因があるんじゃありませんか。予算は十分使った、しかしながら工事は半分近くしかできておらない。そうだとすると、その原因は何かということははっきりわかりますよね。その辺はどうなっていますか。
  10. 山下眞臣

    山下政府委員 予算の額が四千億に対しまして六千三百億というふうに大幅な増加投資になっておるという要素一つには、ただいま先生がおっしゃいましたその間における建設単価増加等要素もあろうかと思うのでございますが、実はその施設処理能力自体につきましては、屎尿処理につきましてその期間に一万一千三百キロリットルの処理能力増加を予定いたしたものに対しまして一万八千八百キロの能力を達成しておる。それからごみ処理施設につきましては四万八千三百トンの計画に対しまして四万八千四百五十トンの処理能力を達成しているということで、金額ほどではないにいたしましても、施設能力はできておるわけでございます。施設能力をでかしたけれども、しかし実際に人口に対する処理率という点から見ますと、片っ方におきまして人口増加しておるということ、片っ方において下水道等がおくれておるということ、あるいは施設自体稼働率が予定したよりも若干低い、これは労働条件等も絡むと思うわけでございますが、そういう要素でございまして、先生がおっしゃったような要素もないことはないわけでございますが、それによりまして設備能力の設置ができなかったということではございませんのでございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 それなら、建設省来ておりますね。  この下水道計画はどうですか。これはやはり財源難だとかインフレ、こういうことで下水道整備に完全に支障を来しているんじゃありませんか。そういうようなあんばいで支障を来しているような自治体が非常にふえてきておる。実際に実行された工事下水道整備五カ年計画のどの程度まで達成したことになっておるのでありますか。予算面達成率をちょっと説明してください。——これは建設省が来てないということになったら困るのだが、委員長から厳重に言ってやらないとだめだ。通すものを通したらあと少しふやけてきた。人の出も悪いし……。これは厚生省の方でわからぬのですか、下水道計画
  12. 山下眞臣

    山下政府委員 正確な数字を存じておりませんのでございますが、非常にアバウトな申し上げ方をいたしますると、当初におきまして計画したとおりには必ずしも進捗しなかった。これは非常な建設省の御努力はあるわけでございますけれども、実態がそこまでついていけなかったという事情があるように拝察いたしております。
  13. 島本虎三

    島本委員 では、この問題については係が来るまで保留いたします。そうでないと、ここでやったってさっぱりわけがわかりません。  では、一般廃棄物の問題についてでありますけれども、これはどういうことになりますか。この改正案の中で、一般廃棄物についての事業者収集義務、こういうものが規定されてありますか。ないとすると、そういうように義務づける必要がないというお考えなのですか。
  14. 山下眞臣

    山下政府委員 一般廃棄物につきましての事業者に関する規定は、実は現行法におきまして相当規定がございまして、一つには、市町村長は、自分の区域内における一般廃棄物事業活動に伴って多量に排出するようなものに対しましては、その一般廃棄物を指定する場所まであるいは指定する方法によって運搬して持ってきなさいということを指示することができるというような規定が六条の五項にございます。  なお、現行法におきまして廃棄物の種類が大まかに一般廃棄物産業廃棄物に分類をされておりますけれども、その一般廃棄物の中にもいわゆる事業系一廃と申しまして、事業活動に伴って生ずる一般廃棄物があるわけでございます。そういうものにつきましても、訓示規定精神規定といたしましては、事業者はなるたけみずからの責任で処理するようにしなければならない、こういう規定四条等にあるわけでございます。それに対しまして具体的にはいま申し上げたような運搬方法指示等ができることになっております。そのほかに、事業者の一廃、産廃を通じます責務等は第三条等に規定がされておりまして、現行法におきましてそういう規定が一応整備されておる、このように理解をいたしておるわけでございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 それで問題は、観光地における廃棄物対策、こういうようなものはいつでも大きい問題になります。上高地など、いわゆる国定公園国立公園、こういうような指定を受けておる、これらの場所へは一般の人がどんどん利用のために参ります。そうなるとその廃棄物のために相当程度その地域が汚されることになるのでありますが、こういうような対策をきちっとしておかないといつも問題が起きます。この辺の対策等については、一般産業等にかかわらずこれはきちっとされておりますか。
  16. 山下眞臣

    山下政府委員 観光地等におきますたとえば空きかんでありますとか空きびんでありますとか、非常に問題になっているのは御指摘のとおりでございまして、現在、現行法のたてまえにおきましては、そういうものにつきましても一応都道府県または市町村を中心といたしまして対策を進めていくということになっておりまして、現に市町村を中心といたしまして、旅館でありますとかあるいは電鉄会社でありますとかあるいは売店でありますとかいうような観光業者や、あるいは民間のボランティア活動というような人たちの協力のもとに推進しておる実情にあるわけでございますけれども、地域事情によりましては、たとえばびん類のようなものにつきまして、製造業者と販売店との協力によってその回収が適切に行われるというような地域もあるわけでございます。こういった点を参考にしながら今後対策をさらに進めてまいりたい、こういうふうに思っております。なお、観光地等における具体的な指導通知等もいままで出しておるわけでございますが、たとえばそういった業者等に、観光地におけるごみの収集箱を適時、人の集まるようなところにきちっと備えつけさせて、空きびん用とか空きかん用とかというようなことで分別収集の手助けにするとか、そういった措置等に協力を願っておるというような事例等もございます。
  17. 島本虎三

    島本委員 これはあなたに説明を求めるのもちょっと無理なんだ。環境庁も来ておると思うのですが、観光地、たとえば上高地、あの辺はいわゆる観光公害と言われている。そうして、山へ入った人たちがたれ流す屎尿、そうしてそれによって雷鳥あたりも被害を受けている。梓川、あれも五十鈴川に匹敵するほどの清流ですけれども、あの中には大腸菌がうようよしている。こういうようなのは厚生省のいういわゆる衛生対策の不備に当たるのか、観光行政としてはっきり一つのしきたりというか規制をしてないために行われるのか。かつては世界に冠たる観光地でも、衛生面から見たらこれはまことにはだ寒いものがある。こういうようなことにしておいて、恐らく対策というものはないじゃありませんか。私はやはりこういうような点から見ても、観光地においての廃棄物対策というものは、利用者負担、こういうような点で考えるのか、公費負担というふうにして考えるのか、または観光によって利益を受ける業者負担、こういうようにして考えるのか、いずれの道をも全部合わせて指導するのか、いろいろあると思うのです。これは環境庁の方としてはどういうふうに、いわば一つ限定してもよろしい、国立公園の中、国定公園の中、または都道府県の自然公園の中、こういうようにして限定された中のこういうような廃棄物対策というものをきちっとしておりますか。
  18. 西村純幸

    西村説明員 私、水質保全局の企画課長でございまして、私の担当しておる分野を著しく越えますけれども、大変重要な問題を出されておると思います。いま先生の御指摘の点につきましては今後十分検討していかなければならぬ問題だと考えます。この分野の問題を、自然公園法、自然環境保全法等に基づく自然環境を保全すべき地域等の行政の問題としてとらえるとらえ方もございましょうし、それから廃棄物処理法におきましても、たとえば第六条の第一項によりまして、市町村はその指定地域につきまして廃棄物処理計画を策定することになっておりますが、それは必ずしも多人数が住む区域に限らず、そのような景勝を保全しなければならぬ観光地等で多数人が集まる地域におきましても廃棄物処理計画を策定しなければならぬことになっております。なお、費用の負担につきましていま御指摘にありましたような問題は環境庁におきましても検討している段階でございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 厚生省ではこういうような廃棄物対策というものを特に考えていないのですか。
  20. 山下眞臣

    山下政府委員 一つ法律の問題といたしまして、そういった空きびん等の適正処理困難物について、現在三条の二項によりまして、事業者は物の製造、加工、販売等に際して廃棄物となったときの処理が困難でないように努めなければならぬ、こういう規定があるわけでございます。これをさらに一歩進めて強制するかどうかということも検討いたしたわけでございますけれども、なお検討すべき点が非常に多い。適正処理困難物の範囲というものはどういうものにするのか、あるいはそういった適正処理困難物がもしあるといたしました場合の処理責任というものを製造段階に求めるか販売段階に求めるか。製造段階にいたしましても原材料から一次製造、二次製造とありますし、販売にいたしましても卸、小売と各種の段階がある。それで何よりもこれは、事業活動から直接に出るものじゃなくて、一たん消費者の手に渡って、消費者が使用いたしました後に廃棄される、そこの通過点がございますので、やはり消費者の面にもゼロの責任というわけにもまいらぬだろう。そういったこと等についてなお十分詰めなければならぬ。したがいまして、当面はただいまございますこの規定の精神を生かしまして、かつまたこれに従います指導によりまして、こういったものの処理をできるだけ適正にやるようにやっていきたい、かように思っておるわけでございます。そういった見地に立ちまして、従前から、一般公衆道徳の向上はもとよりでございますけれども、適切なごみ容器の設置でありますとか、集積場所の指定でありますとかいうことを行うとともに、特にその事情によりまして地域的に協力を求めるべき対象がはっきりいたしておりますような場合には、製造業者等と協力体制を組んで対処していくように、こういう指導をいたしてきているわけでございます。  なお、実は先ほど五カ年計画のお話もございました。その中で私は処理施設稼働率という問題を申し上げたわけでございますが、今後、もしこの法案を成立さしていただきますならば、これに基づきまして新しい五カ年計画内容を策定していくわけでございますけれども、そういったごみ処理施設屎尿処理施設等の必要な能力の算定におきまして、そういった季節的要因と申しますか、観光地等におきましては、平生のときは百トンでいいのだけれども、春であるとか秋であるとかいうような季節的な要因の場合にはそれが非常に、五割も六割も上がる能力を持たないと処理できないというような、季節的要因の要素が非常に多いと思うのでございます。そういった要因を計画の中に組み込み、今後私どもが行政をいたしていきます場合にもそういう点をも配慮いたしていきたい、かように思っております。
  21. 島本虎三

    島本委員 これは言ってもなかなかできないことであって、配慮するというのは言葉では配慮でありますけれども、一番困っているのは現地の自治体なんです。この問題は環境庁も行政指導の責任は当然あるはずです。普通の人口はほんの何千、観光シーズンになりますとそれが何十万というふうになってしまうから、結局後始末だけ強いられる。その結果、来る交付税そのものはほんの知れたもの、結局こういうようなことで悩む自治体も多いようであります。したがって、この後処理というか廃棄物対策というか、こういうようなものに対してはきちっと負担区分を決めて指導してやるのでなければこれはだめだと思います。これは共管になる法律だということを聞いておりますが、あくまでもこういうような指導の点においては完璧を期してもらいたい。  ことに、われわれが全然知らなかったのでありますが、行って聞いてみて驚くのは、世界に冠たる観光地と言われるそこのいわば廃棄物公害のこと、これはものすごいのであります。ただ投げ捨てられておるだけ。穂高でも北アルプスでも、登る人は一日二日歩いてくるのだが、どこでうんこをたれるのですか、どこで屎尿やこういうようなものを始末しているのですか。山の中、一軒一軒あるのですか。ない。ないとすると、自然現象ですから用を足す、そういうようなものをそのままにしておく、なかなか腐らない。したがってそれが春先だんだん流れてくる。またその辺に住んでいる雷鳥なんかも、臓物を調べてみたらこの中に人ぷんによるところの大腸菌の被害が大分あったという報告さえ受けている。  その末端までの指導はできないでしょうけれども、しかし下流、下の万におりてきて、そしてこの廃棄物処理というようなものに対してはきちっと指導しておかないとだめだ。それと、登る人にも、こういうようないろいろな関係で他に迷惑をかける、被害を与える、こんなことのないようにこれも指導すべきだと思うのであります。これを強く要請しておきたいと思います。この点、いつでも問題になっているのであります。国立公園国定公園、どの個所もこれは問題になっております。一定の方式はありませんが、これは十分対処すべきだと思います。また夏、秋にかけては問題も起きるでしょうから今後十分対処してもらいたいと思うのです。この点、大臣は環境庁長官とよく相談して万全を期してください。よろしゅうございますね。
  22. 田中正巳

    田中国務大臣 観光地における廃棄物処理のみならず、廃棄物処理を越えましていわゆる衛生基準の確保、こうしたことについてはいろいろ問題があるわけです。先生いまお挙げになったいろいろな話も、実は一般廃棄物処理についてのお話もございましたし、また衛生基準、たとえば清流の水質が汚濁しているといったようなこともございます。いろいろな角度から、厚生省所管の事項もございますし、ことに国立公園を所管している環境庁としてのまたいろいろやらなければならぬこともありますので、環境庁長官とこの問題についてはよく相談をいたしまして、施策が前進するように努力をいたします。
  23. 島本虎三

    島本委員 期待いたします。  それで、建設省来ましたか。——依然として来ない。  それじゃ、産業廃棄物の実態調査、これは四十五年以来何回行っていますか。
  24. 山下眞臣

    山下政府委員 率直に申し上げましてその点大変おくれておりまして、実は昨年、全国の産業廃棄物の排出状況の推計を、一応各都道府県の調査を積み上げまして三億二千万トンというのを出したのが調査らしい調査の第一号でございます。実は夏、六価クロムの問題が起こりまして、まず実情把握に努力をしなければならぬ非常な御指摘をいただきまして、直ちに五十年度、五十一年度で有害物質を含む産業廃棄物の実態調査に取りかかりたいということで、昨年から取りかかったわけでございます。現在その調査が進行中でございまして、おおむね五十一年度中には有害産業廃棄物についての実情がまとまる。現段階における中間的な取りまとめもここ一、二カ月のうちにはできるのじゃないか、かように思っております。
  25. 島本虎三

    島本委員 産業廃棄物に対して四十五年以後十分実態把握がされていない。その間に六価クロムの問題でも、いろいろ各般にわたっての廃棄物による被害、あるいはまた環境破壊公害が勃発しているわけであります。これはやはりその実態を十分に把握していない、いないというよりできない、こういうような状態がいわゆるこういう被害を引き起こしているのじゃないかというふうに思うわけであります。今度の改正でその点十分手当てされ、担保されていますか。
  26. 山下眞臣

    山下政府委員 実は昨年秋の公環特におきましても先生からその点の御指摘をいただいておりまして、急遽取りかかりました法案作成の過程におきましても、その問題を一つの問題点と意識をして案の作成に当たったわけでありますが、一応の整備はできておるもの、かように思っております。  すなわち、その内容といたしまして、事業者処理業者通じまして、産業廃棄物処理状況につきまして帳簿を備えて記録する義務を課するというのが第一点。しかしてこれを保存せしめるということを義務づけておるわけでございます。そういった業務の統括者として、従来ありました技術管理者のほかに産業廃棄物処理責任者というものを設置させまして、そういった帳簿による記録を義務づけるということをいたしておりますのが、第一点でございます。  第二点といたしましては、法制的に省令でもやれるということでございますので、成立後の省令において措置されることとなるわけでございますが、有害産業廃棄物、これにつきましては定期報告ということを定めたい。一定の時期に必ず定期的に報告をせしめるということをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。なお、従来からございました報告徴収、立入検査の権限、現行法の十八条、十九条でございますが、これの活発な活用も図らなければならないわけでございますが、立入検査権の対象の拡充と申しますか、範囲拡大というようなことについても配慮いたしているわけでありまして、一応法制的には今回の改正案によって情報把握の基礎となる制度は整備できるもの、かように考えておる次第でございます。
  27. 島本虎三

    島本委員 指導監督の点、この点を怠ってはならない、これははっきりしているのであります。往々にして、事業者の怠慢、こういうようなものは各方面にわたっていわゆる自然環境の破壊になり、公害になり、あるいはまたもちろん水質汚濁につながりますから、警察問題にもなって、当然現在告発さえされている人もおるわけであります。そういうふうにしてみると、その報告の義務並びに記録の義務、こういうようなものに対して指導監督をきちっとしていかないと、こういうような点でいつでも抜けるわけであります。労働基準監督官がいるけれども、全事業場を回るのに十年以上もかからなければ回れない、こういうような貧弱な配置状態だ。まして今度は有害物質に対して記録義務や報告義務、こういうようなものをやってあっても、実際これをだれが指導監督するのか、だれがどうしてこの問題に対して把握するのか、この点は一つの問題として残るだろうと思うのです。いつでも抜けるのはこの辺が抜けるのであります。せっかくいいものをつくっているが、しかし、あえて言うと、人がいない、足りない、十分その把握もできないし、指導監督も不十分だ、こういうようなところに問題が発生しますので、指導監督の人員の配置ややり方等においては万遺憾なきを期さなければならないのでありますが、よろしゅうございますか。
  28. 山下眞臣

    山下政府委員 まさしく御指摘のとおりに、制度の整備を図りますと同時に、その整備された制度を実効あらしめることに努めなければならぬと考えるわけでございます。産業廃棄物につきましては、もう先生先般御承知のとおりに、都道府県並びに保健所を設置いたします政令市、これが中心となりまして、具体的には保健所が第一線になるわけでございますが、指導監督に当たっておるわけでございます。私どもの立場といたしましては増員その他大いに図りたい、かつまたそのように努力をいたしたいところでございます。御承知のような地方財政の状況でございますために、何分にもこの増員というのはそう簡単に安易にできるものだとは考えておりませんけれども、できるだけの努力をしていかなければならぬと思っているわけでございます。  五十年度並びに今年度、五十一年度地方交付税法上の標準団体における算定基礎におきまして、連年、二年間にわたりまして一名の職員増が見られたわけでございます。非常に地方財政の厳しい折の中で……(島本委員「幾らですか、一千名……」と呼ぶ)一名ずつ、標準団体におきまして一名の増が二年続けて図られたということでございます。地方財政の非常に苦しい中におきます一歩前進だと考えておるわけでございます。  そういったこととあわせまして、厚生省といたしまして、少ない人員を非常に有効に活用するという方策についても同時に努力をしていかなければならぬ。特に産業廃棄物みたいなものは、科学的な知見に基づく監視、指導というのが要請されるわけでございますので、厚生省といたしましても各種の研究成果を集めましたガイドラインの配布でありますとか、あるいは技術取得のための研修会、講習会といったようなものの実施でございますとか、こういったものにつきましては最大の努力を払いたいと思っておるわけでございます。  なお、実は先生が一番お詳しいわけでございますけれども、産業廃棄物行政と一般公害行政との関係が密接不可分でございます。少ない人員をより有効に活用いたしますためには、この廃棄物の環境衛生指導員を中心といたしまして、それらの職員が、公害部局やあるいは水でありますとか大気でありますとかそういった部局との連携を密接にいたしまして効率的な監視、指導ができるようなことを配慮していかなければならぬと思っておりまして、そのような指導に心がけたい、かように思っております。
  29. 島本虎三

    島本委員 これはすでに答弁の段階や言葉の段階ではないのだ。もう具体的に被害が起きている段階ですから、これからやるなんというのは少し遅きに過ぎるのでありますけれども、やらないよりはいいから、心を一つにしてこれから当たってもらいます。  いま、産業廃棄物の問題の一つとして公共関与によるところの処理施設、こういうようなものも言われておりますが、現在こういうようなものは幾つくらい、どの都道府県で行われておりますか。同時に、その機能は十分発揮されておりますかどうか。
  30. 山下眞臣

    山下政府委員 五十一年の二月現在で、産業廃棄物のいわゆる処理施設でございますが、焼却ででありますとか乾燥の施設の総数を調査いたしておりますが、五十一年二月一日現在で四千八百四十九という届け出の処理施設がございます。そのうち、公共のかかわる処理施設というのは百二十九という数字を示しておるわけでございます。これは施設面から見ました数字であるわけでございますが、その後における公共関与の状況につきまして申し上げますと、都道府県なり公共が全額出資なりあるいは一部出資なりいたしまして設立されております法人を持っております都道府県、これは現在十二を数えておるわけでございます。しかしながら、私どもがことしの初めに全国につきまして、何らかの形で産業廃棄物に関しまして公共関与の事業の計画を持っておるかどうかということを調査いたしたわけでございますが、まだ実施に至らない計画段階のものまで含めて見ますると、四十七都道府県のうち二十六都道府県は何らかの形での公共関与広域処理というような計画に取りかかっておるという状況でございます。一番大もとの東京都につきましても、実は処理計画の策定等大変おくれておったわけでございますけれども、ことしの一月に至りまして産業廃棄物処理計画というものの大綱を策定いたしまして、その中におきましても所要の公共関与の計画が述べられております。具体的には中央防波堤外側に埋立処分地の造成を行うというようなことを発表いたしております。そういうことで、昨年夏の六価クロムを契機といたしまして、その後今日に至りますまで相当の公共関与事業の進展を見ておるというふうに申すことができるかと思います。
  31. 島本虎三

    島本委員 四十七中二十六。あとの二十一はどういうふうにしているのですか。
  32. 山下眞臣

    山下政府委員 これはことしの一月ごろ調査いたしたわけでございますが、その時点におきましては、具体的に県でこういう事業を行うとか、そういう計画にまでまだ至ってないということで、これからの計画ということになっていこうかと思うわけでございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 県自体でも、そういう産業廃棄物はもうPPPの原則によって排出者が処理しなければならないことになっておりますが、はっきりこれを排出者に処理させているということを確認しているのですか。それとも、排出者はそのまま下請のまた下請の、あるいはもういろいろわけのわからないものにただ処理させている、これがいままでの六価クロムに対する被害というような実態となっていろいろあらわれてきておるわけでありますが、この点等に対しては、二十一というものがまだつくっていないとすると、これに対する対策などは当然に考えておかなければいけない。たとえつくられてあったにしろ、その内容が問題であると思うのです。どの程度のものができているのか。一つや二つできてもこれはだめなわけです。あらゆるこういうような産業廃棄物の出てくるものに対して、きちっとそれを処理するようにしておかなければならないはずです。それが抜けているのであります。ただ業者に任しておく。処理業者は自分でやらないで、その下のまた下の、孫のまた下あたりにつかみ金でやらせる、こういうようなものに対して警察さえも動いていない、それがいままでの実態ではありませんか。これはもう行政の怠慢だと私は思っておるのであります。本当にこの点なんかに警察はもっともっと動いてほしいところであります。しかしそれにしてみても、こういうような点で不十分だということで今後はきちっと指導していかないといけないと思います。恐らくはこの点等については警察庁でも十分考えておられると思うのですが、警察庁、いかがですか。
  34. 山下眞臣

    山下政府委員 警察庁からお答えをいただきます前にちょっと一言。数字でございますが、いま二十六府県が計画を持っておると申しましたのは、具体的な事業の計画を持っておるのが二十六ぐらいあるということでございまして、ちょっと誤解を与えるといけませんので。いわゆる廃棄物処理法の十一条によりまして、都道府県は産業廃棄物処理計画を策定しなければならぬという問題がございます。この処理計画の策定状況はもっとも進んでおりまして、四十七都道府県中すでに三十五都道府県が策定済みであるという状況でございまして、残る十二府県は現在、私どもが調べておりますが、これは地方公害対策審議会等にかけなければならぬので、そういう審議会におかけして御審議を願っておるというようなことで、処理計画につきましてはすでに三十五の府県におきまして策定がされておる、こういう状況でございます。その三十五の府県の中で公共関与の事業が具体化している計画を持っているものというものにしぼりますと、先ほど申しました二十六府県程度、こういうことでございます。
  35. 浜田栄次

    ○浜田説明員 ただいまの関係は、現行法でございますと不法投棄の十六条だけでございましたので必ずしも十分ではなかったと思いますけれども、今度は十二条の関係で、相手方の確認でございますとか、あるいは委託した者が収集する義務が課せられますので、今度法改正になりますと取り締まりが十分にできていけるようになろうかと考えております。
  36. 島本虎三

    島本委員 法改正にならなくてもこれはやらなければならなかったのですね。投げるべき、捨てるべき場所でない場所へ行ってやみ夜に紛れて捨てているのですから。そういうようなものに対して法はまことに厳しいはずなんですが、警察はこの点まことにとろかったわけです。いままで方々でこういうような実態が住民によって暴露されましたね。住民運動が起こらないと公害対策が進まない、またこういうような廃棄物処理についても明確にならないというところに行政の悲劇があるんじゃないかと思っております。私はこの点等については、人命にも関することであり、健康にも関することですから、これはもっときちっとやってほしい。違法行為なんですから。今度できるといったって、いままでだってやればできたんですから、今度はきちっとやってほしい、このことを希望しておきます。  いま言ったいわゆる産業廃棄物の処分基準、これはもう見直すことになりますから、特に政令で決められている有害物質、こういうようなものに対して追加することになるんじゃないかと思いますが、これはどうなっていますか。
  37. 西村純幸

    西村説明員 このたびの法改正に伴いまして、有害物質等を含む産業廃棄物の処分基準を追加していくということには直接的にはならないわけでございますが、こういうことを機に、従来ございます基準を見直してまいりたい、このように考えております。
  38. 島本虎三

    島本委員 これを見直していきたい。そうすると、基準についての強化の点についてはどう考えていますか。
  39. 西村純幸

    西村説明員 現在の基準も、現時点での知見に基づきまして十分専門の学者、先生などの御意見も聞いて定めたものでございまして、特にこれを強化するということをいま直接的に考えているわけではございませんけれども、この分野の行政を直接担当しております地方公共団体その他関係方面等の意見もよく聞きましていろいろ検討してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  40. 島本虎三

    島本委員 そうすると、いままで実際行われていた行政の中では、この産業廃棄物に対する実態の把握が不十分であった、それからこの有害物質としての基準の強化ということに対しても不十分であった、こういうようなことからして、あの六価クロムによる被害はいまでもまだ続いておりますが、最も悲惨なのは、北海道の栗山町から日本電工が徳島県の阿南市の徳島工場へ全部移った、それらの人がほとんど鼻中隔せん孔になっていて、そういうような事業所に対して労働省基準局では表彰している、よくやっていると努力賞を出している、こういうのはナンセンスもはなはだしいところだ。行政は、えてしてそういうように表面だけの指導や表面だけの管理にとどまる、こういうようなことであってはいけないわけであります。今度の場合は、これを機にして、完全に有害物質に対しては規制を強化していく、いわば環境破壊公害になるようなことがないように、また中に働く労働者がこの職業病並びに労災、こういうようなことにならないように十分今後は指導しなければならないと思うのです。この六価クロムに対してのその後の指導はきちっとしておりますか。
  41. 溝邊秀郎

    溝邊説明員 五十一年三月二十五日現在で労働省本省としてつかまえました補償状況につきましては、先ほど先生御指摘の栗山工場を含めまして、労災の認定をした者が全部で六百八十八名、現在請求書を受け付け、未決定の者が二百十四名でございます。その内訳といたしましては、悪性腫瘍を含む肺がんにつきまして認定をしました者が二十九名、肺がん以外のがんその他の疾病については百六十六名、鼻中隔せん孔につきましては四百九十三名でございます。なお、この中にはクロム酸塩製造事業場とその他の事業場がございますが、クロム酸塩につきましては二百三十六名、その他の事業場については二百五十七名ということになっております。
  42. 島本虎三

    島本委員 この六価クロムに対しての処理はどういうふうに指導するのですか。
  43. 西村純幸

    西村説明員 昨年の秋ごろ以来大変大きな社会問題になりました六価クロム鉱滓問題は、実は廃棄物処理法が施行されます以前に埋め立て処分したものでございます。その大部分は東京の日本化工の小松川工場と北海道の栗山の日本電工から出たものでございます。それらにつきましては、現在東京都及び北海道等におきましてそれぞれ環境調査を実施しておりまして、大体その成果がまとまりつつあるという段階でございまして、それを慎重に評価しまして、必要に応じて周辺地域の汚染防止対策を十分立てて実施していきたい、このように考えております。  それから、現在生産されておりますのは日本電工の徳島工場と日本化工の徳山工場でございます。それらにつきましてはもちろん現行の廃棄物処理法の政令で定めております厳しい基準に従いまして無害化処理をした上で、周辺の環境を汚染することのないような構造の埋立地に安全に処分しておるというのが現状でございます。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
  44. 島本虎三

    島本委員 そうすると、六価クロムを埋め立てに使う場合の指導基準はきちっとしておりますか。
  45. 西村純幸

    西村説明員 日本化工について申しますと、現在生じております鉱滓につきましては人工骨材に使用いたしております。もちろん十分還元焙焼等をいたしまして、六価クロムの有害分を除却いたしました上で人工骨材に、一種の副産物として使用しておるというのが実情でございます。  それから日本電工の方は、焙焼キルンでもって焼却いたしまして安全なものにした上で、工場内に公共水域等を汚染することのないような構造の埋立地を設けまして、そこに安全に処分しております。
  46. 島本虎三

    島本委員 多分、ああいうような有害なもの、またそういうふうに認められるものは完全遮蔽して、コンクリートでくるんで、そしてそれを埋め立てに使う、こういうような指導がなされておったのじゃありませんでしょうか。ただ単にそれを埋め立てすればいい、これならば、たとえば六価クロムの被害の場合、黄色い水が出るだけでも一〇ppmですから、これが一〇〇ppmになったら人間の体に影響いたしますから、これを見る場合には、作業をする人はほとんど手を隠して、長いそでを着て作業するのでなければ直ちに体に影響がくる、こういうような実態でしょう。そういうようなものをそのままいままで出しておった事態が問題なんです。これを埋め立てするにしても、生のままの埋め立てばだめなんです。ただ簡単に埋め立てすればいいなんという考えはだめなんです。もう一回再処理するか再加工して、それを無害なものに処理するか、そうでなければコンクリートで四方をくるんでそれを埋め立てに使う、こういうようなことになっておると思うのです。どうも黙っておくと完全にやってしまって、われわれが調査に行ったところは道路の上に敷いたり広場の上にただ敷いている。それで上からアスファルトをかけている。後は何でもないと言うけれども、中から地下水が出ますよ。周囲が土ですからそこからの浸水もあります。まことにずさんなような現地指導しかやっておらない、こういうようなことです。今後こういうような点を十分注意してやってください。注意しても、し足りないのでありますけれども、この点は私どもが一番遺憾とするところであります。  それで、産業廃棄物は無許可の処理業者によっていままで処理されておったわけですけれども、今度は依頼した者も罰される、こういうようなことになりますね。これは処理業者としては大事なことでありますから、これは大変いいことだと思うのです。したがって、処理業者の育成、指導、これもまた適切でなければ実効が上がらないと思います。いままで処理業者がきちんとあるのです。なくて問題が起きたのじゃないのです。あっていながら、その処理業者が下部の方に下ろしてやって、最後はもう何もわからないような人、こういうような人がやみ夜に乗じてそれを処理してしまっている、こういうのが実態であります。しかし、依頼した人、元請、こういうような人も罰されますから、今度の場合は改正の点では私は期待しております。しかしながら、このようなものをそのままにしておいては実効は上がらない。新法のもとではいわゆる育成、指導というものも当然考えられなければならないし、その点等においてきちっと行われているかどうか。警察庁あたりもその点の監視もすべきじゃないかと思っているのです。いままでのところは警察は怠慢だ。産業公害、こういうようなものに対しては本当に逃げ腰です。私はもう少しこの点の摘発やこういうようなものの指導をきちっとやってもらいたい、こう思いますが、この点はどうでしょうか。
  47. 浜田栄次

    ○浜田説明員 廃棄物処理につきましては、警察で取り締まりいたします公害犯罪の約六八%ぐらいを占めておるわけでございます。そのうち、廃棄物処理法の中のいわゆる産業廃棄物、これの無許可でございますとかあるいは不法投棄でございますのが約六七%ぐらいでございまして、警察もこの廃棄物処理につきましては非常に重大な関心を持って従来臨んできておるわけでございます。しかし、今度さらに今回の法改正によりまして非常に厳しい規制になってきてございますので、今後におきましてもこの改正の趣旨、内容、そういうものを十分に一線に指導、教養いたしますと同時に、関係行政庁の指導の経過等も考慮いたしまして、先生の御期待に沿うような取り締まりを厳しく指導していきたい、こういうふうに考えております。
  48. 島本虎三

    島本委員 船舶の廃油による海洋汚染、こういうようなものに対して直接やっておるのは海上保安庁ですね。そうすると、今国会ですか、海洋汚染防止法が改正になりましたね。これに船舶清掃の義務条項というのがございましたでしょうか。
  49. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 今国会で海洋汚染防止法の一部改正の審議が行われておるわけでございますが、船舶内の清掃関係ということでございますれば、私、担当ではございませんけれども、ちょっと聞いておらないように感じておりますが、担当でございませんので明確なお答えはできないので、申しわけございません。
  50. 島本虎三

    島本委員 多分これはないと思うのです。したがって、船舶清掃の義務条項がないとすると何らかの対策を立てなければならない。これは立てるとするとやはり今回の廃棄物処理及び清掃に関する法律、こういうようなことにならないか、またはこの廃棄物処理施設整備緊急措置法、これによってこれをきちっと規定すべきじゃないのか、こう思うわけでありますが、この点等についてはいかがでしょう。
  51. 山下眞臣

    山下政府委員 一応、現在の廃棄物処理法におきましては、一般廃棄物につきまして市町村が一定の計画を定め、その清掃をいたすというのはその区域内についてであるわけでございます。したがいまして、海上に出ました後の船の中の清掃という問題になりますと、直接この法律の問題であるのか、あるいは船舶関係なり海上保安関係法律なのであるのか、よく運輸省と連絡をとって詰めてみたいと思っております。
  52. 島本虎三

    島本委員 これは、いまの海洋汚染防止法の問題では世界的な一つの流れの中で日本が担うべき一つの部分なのであります。しかし、政治的にこれを見る場合には、いまの状態ではだんだん、遠洋の漁業ですが、これが規制を受けて沖合いにだんだん転換してくる。沖合いにおった人は沿岸の方の漁業に転換してくる。しかし、いずれにしてもこれは油で汚されるということになると、これはやはり国民の生活の問題にもなってくるわけです。政治的にそういうふうに流れがずっと追い込められてきておりますから、いままで出ていっていたのですが、今度はその流れの中ではだんだん周辺をきちっとしてきれいにしなければならない状態になっているのです。したがって、現在の海上の廃油処理施設稼働率、これは全国的に見てどうなっていますか。低いですか、高いですか。
  53. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 廃油処理施設の運用その他につきましては、これは港湾局の所管でございまして私どもの所管ではございませんけれども、私の聞き及ぶところによりますと、現在の体制でございますれば船舶から発生する廃油の処理を十分に引き受ける体制にあるというふうに聞いておるわけでございますが、責任者でございませんので、聞いておるということで御理解賜りたいと思います。
  54. 島本虎三

    島本委員 その点、もう一回。あなたの場合は海上公害課長でしょう。
  55. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 はい、さようでございます。
  56. 島本虎三

    島本委員 こういうような場合には、確かにその施設はあっても稼働率は全国的に見て低いはずです。というのは、そこへやるよりも、時間と金をかけるよりも、海洋へ持っていってこっそりやみ夜に紛れて流す、こういう以前の方法が依然としてとられるからであります。したがって、この利用度合いをうんと増すということがそれらを減らすことになるわけであります。施設をつくっても、きちっとこれを指導するのでなければ、時間と金がかかるのですから、すぐ出港してしまってやみ夜に紛れる、こういうようなことになってしまいます。その後始末は保安庁がしなければならないのだから、これを入り口できちっととめるのでなければだめなんです。沖合いへ出してしまったら跡を追いかけて歩くようなもので、これは大変です。この点等においても今後十分配慮して指導すべきだと思います。  それと同時に、問題は最終処分地の確保、これが今回一番問題じゃないかと思うのでありますけれども、企業独自ではこれは困難になってきております。特に中小企業、こういうようなものでは深刻になっているのじゃないかと思います。国や自治体、これもまた最終処分地、この確保のためにはいろいろ問題があるようであります。これに対してどういうような指導を計画なすっておりますか。
  57. 山下眞臣

    山下政府委員 結局、廃棄物の最後の姿は最終処分をされるわけでございまして、最終処分地の問題が廃棄物にとって最終的な問題になるという意識は私どもも持っておるわけでございます。これまで私どもがやってまいりましたこと、あるいは現在考えておりますことを取りまぜて一応の御説明を申し上げたいと思いますけれども、従来から、こういった埋立処分地に廃棄物が埋め立て処分される場合の環境汚染の問題というのは、これは十分研究していかなければならぬということで、四十六年、法律ができまして以来厚生省が中心になりまして、埋立処分地に関する技術的な研究は連年続けてきまして、その成果等は各都道府県にも配布をいたしてきたわけでございます。なお、昨年六価クロム問題が起こりました後の有害産廃の実情調査につきましても、単にその処理、処分の排出状況だけではございませんで、今年度におきましてはそういった有害産廃が埋め立てられておる埋立処分地の数ないしはその内容、これについても実情調査をいたしたいということで現在取り進めておるわけでございます。  そういったことをやってまいりまして、今回、もうすでに御承知のとおり、改正案におきましては埋立処分地につきまして、通常の処理施設と同様に事前届け出制、事前審査制というものを設けまして、この最終処分地につきまして、公害発生源とならないような所要の規制をきちっとやるということを改正案の中に盛り込んでおるわけでございます。ともすればこういった処分地が、総論的には必要はわかるけれども、現実につくろうということになりますと、どうも汚水を出すのではないかということ等で住民反対運動がよくあるわけでございますが、こういった規制の強化、基準の明定というようなことによりまして確実な履行をいたしてまいりますれば、そういったことについての理解も得られる契機になっていくのではないかと期待をいたしておるわけでございます。そういった規制の強化と相並びまして施策面の充実も図らなければならない、こういうことで、実は従来から開銀なり公害防止事業団におきまして、ごく一部的にはこの埋立処分地につきましての融資も行われておったわけでございますが、五十一年度におきましては公害防止事業団におきまして産業廃棄物処理施設用の特別枠ということで二百億を用意いたしまして、その中におきまして埋立処分地というものに対する融資を正面から取り上げる、こういうことをいたすようにしてきておるわけでございます。御指摘のとおりに、処分地の問題といえども、産業廃棄物につきましては第一次的には事業者がみずからそれを獲得し、設置する努力をすべきものだと思います。しかしながら、非常に周囲の状況から困難になってきております。ことに中小企業等においては問題が深刻であろうと思うわけでございまして、そういったやむにやまれない場合につきましての地方公共団体等による公共関与というものも進めていかなければならぬ。その場合における応援体制を私ども組まなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたような状況で、そういった実情も地方段階において相当の進展を見てきております。これに対しまして、私ども、融資面その他技術的な側面等によりまして大いに応援をいたしてまいりたいと思っております。  なお、事業者みずからの処理につきましても、これも最近調査いたしたわけでございますけれども、非常に共同化、協業化というような機運もございます。現在約九十三の共同団体がございます。そのうち相当数のものがこの処分地に取り組むというようなことも考えておるわけでございます。そういったことでございまして、私どもといたしましては今後この問題につきまして、なかなか問題の性質上ごく短期間に一挙解決というわけにはいきがたい問題でございますけれども、努力を積み重ねてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 島本虎三

    島本委員 その最終処分地、この確保、この場合にはいままでいろいろとやはりトラブルがございます。しかし、あくまでもこれは環境影響評価もきちっとするし、それから住民にもその場合に意見を聞いたり、いわば住民参加でこういうようなものもやるように指導する、こういうようなことになると、私はもうわりあいに案ずるより早いのじゃないかと思っているのです。いままでのように、ただ単にやろうとする、やった後住民が追いかけて反対運動を起こす、こういうことになってはいかぬ。初めから、苦労であってもそういうような環境影響評価もした上で、その処分地の実施に当たっては住民の意見も十分聞いて、住民参加によってそれを決めるように指導する。  ことに零細な排出業者、いま一番困っているのはそれじゃないかと思います。この零細な排出業者、いろいろあります。印刷業者もあるわけです。それから町工場もあるわけであります。そこから排出されるいろいろな物質、こういうようなものに対して、そのままにしておくととんでもないことになるし、いまだに行政も及ばない、警察もそういうのを見逃している、進んで手をつけようとしない、こういうような面があります。ただ単にそれを施設がないから下水道へ流し込む、こういうことをやられている点を知っております。しかし、やはりこの零細な排出業者についての適正な指導、援助、こういうものも国や自治体がきちっとしておかなければならない。  この最終処理地の問題が一つ、それから零細な排出業者、これに対する適切な指導と援助、これをきちっとしてやるということ、これは二つとも大事なことです。したがって、いまいろいろ規制しても最後に残る穴はこの二つなんです。最終処分地の確保、これに対しては最大の努力を払おうとする厚生省のその態度、それに対して、私は、環境影響評価とともに、住民の参加できるような指導もしてやって、そして円満にこれを確保するようにしてやってほしいし、その指導も国や自治体が当然行ってしかるべきだ。それと同時に、零細な排出業者に対しての適切な指導と援助、これもやってほしい。いまこういうような問題に対してはほとんどやっているはずでありますけれども、実際は効果を上げておらない、これが実態です。これはもう規制を厳しくしても結局はたれ流しになってしまう。そのおそれがあるからといっても、零細であるから警察も遠慮して余り手をつけないわけです。そういうような結果が環境の破壊につながるわけです。それで共同処理施設の設置、こういうようなものに対しては、零細企業の場合、特に公害防止事業団もあることであります。こういうことは特別な配慮を必要とするのであります。こういうようなことに対して厚生省並びに、これは環境庁も一枚かむのじゃないかと思うのです。具体的なこの共同処理施設の設置や零細排出業者に対する適切な指導ははっきりしておりますか。
  59. 山下眞臣

    山下政府委員 最終処分地につきましての事前届け出制度、この法案を成立さしていたださましたらスタートをいたすわけでございますが、先生がおっしゃいますような周辺住民等の問題、これは従前からございまするところの一般ごみ処理施設屎尿処理施設についても同様の問題が存在をしてきておるわけでございます。私どもといたしましては従前から、そういった施設につきまして設置いたします場合に、よく周辺地域住民の方とお話し合いをいたしまして、その同意を得て事を円満に進めるような努力をお願いしたいということで強力な指導を従来からやってきておるわけでございまして、そういった考え方に基づきまして今後ともこれを推進してまいりたい。基本的には、やはり一番中心になりますのは科学的、技術的な問題の確立にあると思うわけでございますが、それと同時に、そういった要素につきましての努力も怠らないようにいたしていかなければならぬと、かように思っておるわけでございます。  それから、まさしく先生御指摘のとおりに、もう一つの中小企業、零細企業の問題が実態上の問題として存在をいたすわけでございます。先ほども申し上げましたようなことで、これらの協業化というようなものもすでに九十三できておると申しておりましたが、そういう協業化につきましてもいろいろタイプがございまして、業種別の共同事業あるいは地域における共同事業あるいは系列企業における共同事業というタイプがございます。それらのものの推進に特に留意していかなければならぬと思うわけでございます。こういった処理施設等に対します政府関係金融機関、現在七つほどございますけれども、その中の体系を見ましても、たとえば公害防止事業団におきましても、大企業の場合に比べまして中小零細企業については利率を安くいたしております。特に一番安くやっておりますのは通産省系統におきまする中小企業近代化資金でありますとか、中小企業振興事業団の系統の特別の措置というようなものは大変利子が安いようでございます。そういった低利融資というものの充実ということも、私ども廃棄物処理の立場からも特に要請をいたしたいところでございますし、そういったものの中における廃棄物部面についての分野の拡充ということについても私どもも努力をいたしていきたいと、かように思っておるわけでございます。
  60. 島本虎三

    島本委員 確かに、いま言ったように中小企業近代化資金、こういうようなものを借りたら安いのです。それに据え置き期間もあるのです。ところがそれが借りられないのです。枠がないのです。そういうようなものは、ただし公害対策上の必要として、零細なる排出業者に対して特別枠の設定をしてやるとか、公害防止事業団からそういうような、協業によるあるいは共同による施設、こういうようなものを一定の申請があったならば、これをきちっとして指導してやるとか、あるいはまたつくって、それを市に貸してやり、市が特に業者に貸してやるとか、二重のこういうようなやり方になると思うのですが、こういうような点も今後きちっと指導してやっていかなければ画竜点睛を欠くのです。いつでも問題になるのはこの零細企業なのです。それと大企業なんです。大企業は全然サボる、そして中小企業に落とす、業者へ落とす、それが回り回って一人親方のような、こういうようなところに行ってしまうのです、ですから処理の体制でも問題がある。また企業の中の零細な排出業者、こういうものはそれに耐えられないような状態で経営していますから、こういうような点も十分処理していってもらいたい、指導していってもらいたい。確かに近代化資金、これはりっぱで安くていいのですが、それが十分立ち回っていると思いますか。皆借りてしまって枠がないのです。したがって、公害防止事業団が、専門にこれをやる機関がありますから、その点等に対しては十分措置をするように指導してもらいたい。特別な配慮を持ってやってもらいたい。この点です。  それと、監視体制の強化を図る必要があると思いますが、この点はいかがですか。まあ、あたりまえだと思えばこれは答弁要らないが、あたりまえの話ですか。監視体制の強化を図る、こういうようなことが必要です。そのためにはやはり共同してそういうような処理施設をつくる。つくってもある程度経費がかかる、経費がかかるとそこまで持っていかない、そしてたれ流してしまったり、あるいは下水道の方へすうっと入れてしまったりというようなことがひそかに行われる。こういうようなことがないようにいままで何回注意しても、警察も末端の方に行くと動かないのです。ですから、この制度をきちっとし、その施設もきちっとしてやったならば全部それで処理させるようにしないとだめだ。少し零細企業や中小企業には厳しいかも知れぬけれども、やはり環境保全や公害防止にかえられないのですから、したがって、その場合にはたれ流しをさせないように、これは警察もただ検挙のみではなくて、指導的にこれはやるべきなのです。いまこれは末端へ行っても行われていませんよ。ほんの有志の人や篤志的な人たちが動いているにすぎない。総体的に動いていない。その原因としては、そういうような処理施設がないから、ないのにそれをやったらかわいそうだと、こういうような配慮もあるでしょう。しかし、まずこれからつくらせるのですから、つくったところにおいては必ずそれを利用させるようにする、このやり方、心がまえが必要です。私があえて言うのは、地名を挙げませんけれどもそういうような実例を二、三知っているのです。ですから、今度これをやる場合にはきちっとやろうじゃありませんか。またやらせようじゃありませんか。ましてこの新法ができ上がった以降においては、厚生省も環境庁も、もちろん海上保安庁も警察庁も、この点は連絡しながらきちっとやって、環境の保全、公害対策に当たってもらいたい。それから労働省の場合には特に内部規制をしてもらいたい。内部から職業病、それから労災、こういうものをなくするようにしてしまえばいいのです。それが存在すると外にも出るからこれが公害になるのです。六価クロムの問題がいい例です。こういうことがないように十分注意して指導してもらいたい、こう思うのであります。  なお、環境衛生指導員というようなものも増員するように、これはもう財政措置を講ずべきじゃありませんか。
  61. 山下眞臣

    山下政府委員 先ほど申し上げましたようなことでございまして、私どもの立場といたしましては、こういった職員の増員、充実ということを期待をいたし、それなりの努力をいたしたいと思っておるわけでございます。大変厳しい地方財政の中でございますけれども、事柄の重要性にかんがみましてそのようにお願いいたしたいと思っておるわけでございます。先ほど申し上げましたようなことで、まあ五十年度、五十一年度、引き続いて地方交付税法上、標準団体における一名の増員を実現いたしてきているわけでございますけれども、今後とも努力をいたしたいと思います。
  62. 浜田栄次

    ○浜田説明員 警察庁といたしましても関係行政庁と十分に連絡を密にいたしまして、今後は悪質なものについては厳しくやります。まあ軽微な事案につきましては指導を十分にやりまして、公害の防止に寄与するように努力をしてまいりたいと思います。
  63. 島本虎三

    島本委員 下水道計画、これは建設省ですけれども、先ほど来ておりませんので後になったのであります。言われたらすぐ来ないとだめですよ。委員長にかわって注意しておく。  下水道計画についてでありますけれども、これは財源難やインフレの高進で下水道整備支障を来している自治体がありますね。こういうのが大分ふえてきていると思うのでありますけれども、実際は下水道整備五カ年計画、これをどのように達成されておりますか。
  64. 遠山啓

    ○遠山説明員 建設省といたしましては昭和四十六年度から第三次の下水道整備計画を推進してまいりまして、総事業費としまして二兆五千百三十四億円、予備費といたしまして八百六十六億円、合計二兆六千億を予定しまして実施してまいりました。実績といたしましてそれが二兆六千二百四十一億円、すなわち一〇四%の達成率になっております。しかしながら、いま先生おっしゃいましたように諸物価の値上がり等ございまして、全人口に対します下水道処理人口が二二・八%というところで終っております。
  65. 島本虎三

    島本委員 したがって、計画のおくれに対しては新五カ年計画ではどのように配慮していますか。
  66. 遠山啓

    ○遠山説明員 新計画は五十一年度から第四次計画を発足させる準備をしてありますが、第四次計画におきましては五十年度の単価をもちまして計画を組んでございまして、今後それが達成に努めたいと思っております。
  67. 島本虎三

    島本委員 四十六年度から五十年度までの五カ年計画、この達成の実績は十分なんですか。
  68. 遠山啓

    ○遠山説明員 物価の値上がりでございますとか、あるいは市街地におきまして交通事情その他で、開削工事といいまして、路面を掘って下水管を入れる工事その他非常にむずかしくなりまして、そういうところでは値段の高いトンネル工法というものを多く採用してまいりました。したがいまして、おおむね事業量といたしまして五〇%ぐらいの達成になってございます。
  69. 島本虎三

    島本委員 しかし金額では上回っていますね。予算面では二兆三百八十三億に対して実績は二兆一千百四億、これだけが出ているようで、金額は上回って実績は半分。これあたりは幾らやっても追いつかない。したがって今度の場合も、五十一年二月二十日ですか、閣議了解がありましたね。これによっても、今後の点だけはきちっとしていかないとだめじゃありませんか。やはりこれをやったならば、金額の面では一〇〇%を超えているのだけれども実績の面では半分しかやってない、これは困った問題でありまして、今度の新計画の中にはこういうようなことのないように配慮していくというのが本当じゃありませんか。このためには、補助率の引き上げや地方債の枠の拡大、こういうようなものを当然考えられていいのじゃありませんか。この点について特に聞きたいのでありますが、いまのやつは後で一緒に答弁してください。  それと、下水の処理に当たっては水質汚濁の防止、特に水の富栄養化を阻止する上で、三次処理ないしは高度の処理施設を設置する必要があると思いますが、この点はいかがでしょう。聞くところによると、実験的に三次処理施設が設置されていると聞いておりますが、この状況はどうでしょうか。また、この三次処理の今後はどういうふうにしていくつもりでしょうか。  いまべらべらっと聞いたけれども、三つ、おわかりですか。補助率の引き上げと地方債の枠の拡大も入れて……。
  70. 遠山啓

    ○遠山説明員 第四次計画におきましては第三次計画庭よりも、先生のおっしゃいました補助対象の範囲を拡大してまいりました。すなわち、終末処理場等の建設あるいは用地買収に際しまして地元民の反対を受ける理由の一つといたしまして、非常に汚いものであるという印象も受けておりますので、植樹するとか芝張りをしまして美化いたしまして、きらわれない処理場にしたいというような環境整備費を補助対象にする、そういうことをいたしまして、公共下水道の終末処理場並びに流域下水道の終末処理場につきましてはそういう改善を図っておりますし、総合的な補助対象率といたしましては五七%を六〇%に変えてございます。  それから第二点の地方債につきましても、これは自治省が主管でございますが、われわれはなるべく地元の負担のかからぬように自治省と協議いたしておるところでございます。  三次処理につきましては、先ほど申し上げました第三次の終わりにおきましての普及率が二二・八%でございまして、これを四次計画の終わりに四〇%にしたいということで、外国に比べまして下水処理普及率が非常におくれておりますので、われわれといたしましてはとにかく普及率を上げるということにまず全力を注いでまいりたいと思います。しかしながら一方では、おっしゃいましたように三次処理の必要な水域が出てございます。主として大都市付近でございますが、こういうところにつきまして三次処理をやっていきたいというふうに思っております。また、三次処理の技術開発でございますけれども、現在建設省では土木研究所あるいは日本下水道事業団というところで大規模な実験プラントをつくりまして実験を続けておりますし、指定都市等技術の進んだ都市との連絡の会議を開きながら、そちらで得た資料も使って今後の三次処理の建設の推進に努めたいというふうに思っております。
  71. 島本虎三

    島本委員 これは最後になりますが、大臣です。  産業廃棄物に対しては基本的に排出する事業者の責任で自己処理する、これが原則です。許可業者に委託する際でも、事業者の責任というものは新法によってもさらに明らかにしなければならないし、これから逃れることはできないわけです。したがって、厳しくこの産業廃棄物に当たらなければならないので、産業廃棄物として排出されるもので処理困難であることが明らかな場合をどうするかというような点は残るでしょう。こういうようなことはあり得るでしょうか、あり得ないでしょうか。これはあるのです。したがって、明らかな場合には製造、加工、販売、この辺にまできちっと規制するように指導する必要があるのじゃないかと思うのです。いままで一番最後の製造、加工、販売は野放しだったのであります。したがって、産業廃棄物は出るところまでは出る。後の処理は業者任せで、法律によって許可業者の方へ委託してもいいことになっている。許可業者はそのまま親請から子供請から孫請とずっと下へおろして、最後にはやみ夜に紛れて流してきた。今度はその責任は許可業者にもある、こういうようなことになるわけでありますけれども、しかし、いよいよもって処理困難であることが明らかになった場合には、製造、加工、販売も規制するような措置は当然考えるべきだと私は思うのでありますが、この新法を実施するに当たってなおこの問題に当面した場合の大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  72. 山下眞臣

    山下政府委員 先生御指摘のとおりに、この産業廃棄物の問題、この廃棄物処理法で直接規制をいたしておりますのはただいま御指摘ございましたように廃棄物についてでございますけれども、やはり量的にも質的にも非常に困難なものにつきましては出さない努力をする、これを減らすということが最も望ましい、かつ上策であろうと私どもは思うわけでございます。そういう意味におきましては、やはり資源化再利用でありますとか、生産工程のクローズド化でありますとか、あるいは技術の開発だとか、そういったことに努力をいたしまして、産業自身におかれましても産業廃棄物をなるだけ出さないように、これを抑制するように努力をしていただきたいという気持ちは、廃棄物処理の立場に立ちましても切なるものがあるわけでございます。ただ、それらの点につきまして、製造、加工、販売の段階につきまして法的規制を加えるということについての御提言がただいまあったわけでございますけれども、この問題はやはり検討すべき問題が多々存在をいたすと思いますし、いま直ちには非常に困難かと思うわけでございます。気持ちといたしましてはもうおっしゃるような気持ちを私どもも持っておるわけでございます。
  73. 島本虎三

    島本委員 しかし、この今度の法律、これは何に準拠して改正されましたか。
  74. 山下眞臣

    山下政府委員 御質問の趣旨がよくきちっと明確に私理解できておらないかもしれませんが、やはり先ほど来先生がおっしゃっておられます事業者責任の原則、PPPの原則、これが根本にあると思います。
  75. 島本虎三

    島本委員 そうじゃない。やはり法律をつくるには何かの答申によってやったり、それから何かの一つの根拠になるものがあるはずですよ。どういう根拠によって法の改正を行ったかということ。
  76. 山下眞臣

    山下政府委員 この問題は、昨年九月に急遽、法改正を大臣が決意されまして生活環境審議会に諮問をいたしたわけでございます。その答申が十二月まとまりまして、この答申が一つのよりどころということになっております。同時に、四十八年から産業廃棄物問題懇談会というのを厚生省の諮問機関としてやってきておりました。それにつきましても意見が十二月にまとまってきております。それらを一つの根拠にいたしておる。なおそのほかに、問題提起という形になっておりますけれども、環境庁を座長といたしまして関係八省庁の会議を続けてまいりまして、これが十一月に一応の意見を出しているわけでございます。それら三つの審議会、会議等を一応のよりどころといたしまして今回の改正案の取りまとめに当たった、こういう次第でございます。
  77. 島本虎三

    島本委員 わかりました。しかし、そのうちでも生活環境審議会からのこの改善方策について、昭和五十年十二月十一日、これによってやったら完全ではありませんか。このとおりやったらいいですよ。法律が果たしてこのとおりであるかどうか。もしそのとおりだとすると、私の言ったような産業廃棄物としての排出されるもので処理困難であることが明らかな場合には製造、加工、販売を規制する、これもきちっとするじゃありませんか。こういうような点をやってくださいよ。余りくどくど言わぬ。しかし、もうやってくれというような段階じゃないのです。被害として起きて、その処理をどうするかという段階なんでありますから、今後この法律実施するに当たっての行政的な立場を十分きちっとして当たってもらいたい。きょう来ていただきました警察庁、環境庁、海上保安庁、労働省並びに建設省、みんな同じような立場です。これを実施するに当たっては細心の注意を払ってやってもらいたいことを心から要請いたします。大体これで私は終わることになりますが、ひとつこの点は心から皆さんに要請してきょうは終わる次第です。
  78. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 この際、休憩し、本会議散会後直ちに再開することといたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  79. 熊谷義雄

    熊谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案質疑を続けます。寺前巖君。
  80. 寺前巖

    寺前委員 今度の法改正に当たりまして、産業廃棄物について幾つかの改善がなされておりますが、いま廃棄物を考える場合に、もともと清掃法から出発しているだけに、一般廃棄物についても産業廃棄物についても、やはり全面的にメスを入れてみないといかぬのじゃないかというように私は思います。ひとつ別々に取り上げてみたいと思います。  最初に一般廃棄物から入ります。  従来から問題になっていたわけですが、一般廃棄物、すなわち市町村の固有の義務として行われているあの廃棄物に対して、焼却炉からいろいろな有害物質が出てくる。そこで防じん装置をつけて大気に影響しないように装置をする、それに水をぶっかけて下へ流す、それで沈でん池に入れてそこから川へ流していく、そこでたまったヘドロをくみ上げて最終処分地へ持っていくという措置がとられていると思うのです。この場合に、水質汚濁法の特定施設の対象に、焼却炉から出るところの排水はなっていないと思うわけです。環境庁の方お見えですか。——こういう問題について環境庁としてはどういうふうにされるのか、説明いただきたいと思うのです。
  81. 西村純幸

    西村説明員 市町村のごみ焼却施設からの排水につきましていろいろ調査いたしてみますと、BODとかその他重金属の一部等につきましてそれぞれ水濁法の一般排水基準値を超過するものがございまして、これらの調査結果を踏まえまして中央公害対策審議会の水質部会の方で御審議願いましたところ、ごみ処理場からの排水を水質汚濁防止法の規制の対象とすることが適当であろうという答申を得ておりまして、環境庁としましてはなるべく早くこの規制を実施したいということで、関係省庁等と協議をしている段階でございます。
  82. 寺前巖

    寺前委員 昨年の十二月十八日付で、中央公害対策審議会の会長名で環境庁の小沢辰男長官あてに答申が出ております。この答申を見ると、別紙として二つ書かれております。「病院、浄水場、水産物市場及びごみ処理場からの排水による公共用水域の水質の汚濁を防止するため、これらの事業場からの排水を水質汚濁防止法の規制の対象とすることが必要である。」「規制に当たっては、当該事業場からの排水が公共用水域の水質に与える影響の度合及び実施上の問題について配慮するものとする。」と、具体的な対象名も挙げて指摘をやっております。これは従来から問題になっておった点なので、もう少し具体的に、いつからこういうふうにやりたいということを提起してもらわないと、これはきのうきょう始まったところの答申じゃないと思うのです、準備がもうすでになされておって当然だと思いますので、その点どうなっておるのか、もう一度重ねて聞きたいと思います。
  83. 西村純幸

    西村説明員 これらの実施に当たりましては、除去施設整備等に相当の準備を要することでありますし、また予算もかかることでもありますので、一定計画のもとに逐次そういうようなものの施設の充実を図っていかなければならぬという観点から、まだ具体的な日取り等につきましては定まるに至っておりませんけれども、なるべく早くその規制を実施するという方針で関係省庁と協議をしておるところでございます。
  84. 寺前巖

    寺前委員 ぼくが聞いている話では、もう六月一日から浄水場や水産物市場は政令を改正したいという話を聞いているのだけれども、うそかどうか。あなたの話を聞いておったら、速やかに速やかにということで一向らちが明かない。こんな答申が出てきておる段階で、すでに考えられておってあたりまえの話であって、この指定問題が従来から問題になっているのに対して、環境庁として本当に環境をちゃんと守るためにしっかりした態度があるのかどうか、私は疑問に思わざるを得ない。ですから改めて、これはこういうふうにやりたい、これはこういうふうにしたいとはっきり言ってもらわなかったら、こんな法律を何ぼ審議しておったって、実際に政令にゆだねるという場合に政令自身でいいかげんなことをやられておったら法律が泣いてしまうじゃないですか。あなたの態度は非常にふまじめだ。だからもう少し具体的に、これはこういうふうにやりたい、これについてはこういう問題があるから困るんだと、はっきり物を言ってもらわなかったら仕事にならぬ。
  85. 西村純幸

    西村説明員 浄水場、それから水産物市場に関しましては、浄水場ですと一万トン以上の施設を対象とし、水産物市場では中央卸売市場を対象としまして、本年六月一日から排水規制を実施するということで、いま政令策定の準備をいたしておるところでございます。
  86. 寺前巖

    寺前委員 その他は。
  87. 西村純幸

    西村説明員 その他につきましては、先ほどのような事情もございましてなお具体の期日につきまして確定するに至っておりませんけれども、なるべく早く実施したいという考えでございます。
  88. 寺前巖

    寺前委員 こういう一般廃棄物処理施設というのは市町村の固有の事務だから、市町村は、指定をされたならば具体的な措置が伴うわけでしょう。お金が要るわけでしょう。この答申が出ているのは十二月でしょう。政府の最終段階の予算を組む前でしょう。そうすると、政府の予算案に載せていないからこれは指定をしにくいんだとか、具体的にあるんじゃないですか。ですから、今度の予算の中で予算が取れなかったので指定地域ができないんだったら、必ずやるけれども今回はできないんだとか、あるいは補正でくるさかいにやるんだとか、物をはっきり言わなかったら、速やかにやりますとか、何ぼ言うておったって、現実には市町村の固有の事務なんだから、市町村自身が困ることに対する財政援助はどうするんだという問題もあわせて提起しなかったらだめじゃないか。私は無責任だと思うのですよ、あなたたちのやっている仕事は。わかっていないんだったらわかっていないと言いなよ、おれの方が詳しいと言うんだったら。大臣、そう思いませんか。こんな話は無責任でしょうがないと思うんだよ。これはだれの目にも明らかなんだよ、指定しなければだめだということは。答申も出てしまっているんだよ。その他経過措置が必要なんだ。経過措置は金が要るんだ。そんなことぐらいあなた常識ですよ。はっきり言うべきですよ。そのためには財政上どうするんだ。何にもはっきりしてないじゃないか。厚生省はこの問題についてどう思いますか。
  89. 山下眞臣

    山下政府委員 実は昨年の十二月、この委員会におきまして寺前先生からこの問題の御指摘を受けまして、その後におきまして中央公害対策審議会の答申をいただいたわけでございます。夏の段階から私ども予算要求をいたしておりました結果、新規補助金でございますが、おおむね七十カ所分、約四億一千万円の排水処理施設を敷設するための予算予算化されるに至っておるわけでございます。厚生省といたしましてはこの予算をもとにいたしまして、できるだけ早くこれらの整備に努力をいたしたいと思っております。御承知のとおりに、最近のごみ処理施設につきましては所要の施設を設置されているものが多うございまして、特別にこういった改造をすべきあるいは敷設をすべきものは過去の古いごみ処理施設になるわけでございます。これをできるだけ早急に整備をいたしたい、かように思っているわけでございます。特定施設、環境庁において御指定をいただくわけでございますが、いわば、この問題に関しましては私どもは規制を受ける側と申しますか、指定を受ける側の立場に立つわけでございまするので、その規制に応じ得るような体制に最大の努力を払わなければいかぬ。それと同時に、やはりきょう言ってあすというわけにもまいらぬわけでございますから、合理的な良識的な経過期間は設定をしていただきたい、かように思っているわけでございます。
  90. 寺前巖

    寺前委員 ぼくはそうだろうと思いますよ。市町村は、やれと言われても金が伴う問題だから経過措置が要る。現実に厚生省の方からいただいているところの排水処理施設整備状況、昨年の暮れのものを見ても、千八百八十一施設のうちで半分、九百九十八施設がこれは整備しなければならない状況にある。いま厚生省がおっしゃったように七十施設では、そうしたら一割にも満たない状況なんで、したがって、このままでいったら、こういう予算のつけ方でいったら十カ年の経過措置がなければ対応策になっていかないということにもなってしまう。新設の問題も考えたらもっともっとほど遠いことになってしまう。したがって、全面的に指定をするという問題はこれは科学的に当然のことなんだから、そうするとあとは財政問題が伴うんだから、だから、補正予算なり来年度予算からは、全面的に経過措置が早急にできるように対応するということが重要な課題だろうというふうに位置づけてもらわなければいかぬと私は思うんです。大臣、いかがでしょうか。
  91. 田中正巳

    田中国務大臣 この予算につきましては本年初めてついたわけでございます。それにしても少ないじゃないかとおしかりをこうむればそれまででございますが、いずれにしても新規施策は困難な五十一年度予算でやっとついたわけでございます。先生おっしゃるように、この施策というのは現下きわめて大事なことでございますので、今後さらに予算化をするように努力をいたしたいというふうに思います。
  92. 寺前巖

    寺前委員 次に、屎尿の浄化槽の問題について聞きたいと思います。特に新開地で問題になります浄化槽、都市近郊の地域に団地をつくっていくときに、浄化槽が個人でつくられたりあるいは一定の団地で共同的な浄化槽がつくられたり、この浄化槽の保守点検あるいは清掃問題が、農村地域にあるために農業に影響したりあるいはその地域に住む人の生活環境に不快なものを与えるという状況が出てきます。     〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 ところが、この建物をつくるときには建設省がその浄化槽の構造指導をおやりになる、ところが厚生省の方が保守点検の問題と清掃の方の監督になるわけですか、そして直接的には市町村ということになってくるんじゃないでしょうか。ということになってくると、もともと、つくるときの構造から保守点検から清掃というのが一体の関連したものでなければならないはずですよ。ところが、構造は構造だ、その後のことはその後のことだ、これでは現実的にはこの苦情は絶えないことになるのじゃないのか。ここの問題の解決はしなければならない問題点だと思うんだけれども、この点について建設省はどういうお考えを持っておられるのか、まず最初に聞きたいと思います。
  93. 大田敏彦

    ○大田説明員 屎尿浄化槽は建築物と一体となりまして建築物の効用を全うするものでございますので、建築基準法で建築設備として構造基準を定めております。これにつきましては建築行政で処理するのが適当であろう、こう思っておるわけでございます。一方、その維持管理につきましては、環境行政上の立場から廃棄物処理及び清掃に関する法律で定められておりますが、浄化槽の機能を十分発揮させるためには、構造基準、施工、維持管理が一体となって初めて可能なことでございますので、したがいまして私どもの方は、水質基準を所管いたしております環境庁、維持管理を所管いたしております厚生省、それと私ども三省庁が集まりまして、行政を有効かつ適切に進めるため昭和四十九年五月に連絡会議を設けまして、十分な連絡調整を図りつつ行政を推進してまいりたい、このように考えております。
  94. 寺前巖

    寺前委員 あなた、きれいなことを言うけれども、現実は汚い話ですよ。現実は、建物は建物、構造は構造、それから清掃清掃、市町村が。そして保守管理が悪いということで住民がみんな迷惑を受けている。住民の不満は全部市町村へ来るわけだ。そこには、上の方では体裁のいいことを言うておるけれども、現実には権限関係から言うたら市町村の諸君は権限を持っておらへん。これは言葉としては、総合的でなければならない、一元化しなければならない、そのために協議会を持っております。上の機関はそんなことを言うておったって現場はそうじゃないんだから。だからこれを統一的にする方式を実現しないことには住民は責任が持てない状況になっている。だからここのところを具体的に解決するためにどうするんだという問題をあなたは研究しなかったら、四十九年に集まって協議会つくりましたといったって、そんな協議会は一体何の役に立つんやろかということになりますやろ。厚生省はこの問題についてどないしてます。
  95. 山下眞臣

    山下政府委員 先生御指摘のとおりに、屎尿浄化槽につきまして、構造基準の面は建築基準法、維持管理面は廃棄物処理法、公共水域の放流水につきましては水質汚濁防止法という、それぞれの法律の見地から規制がなされておるわけでございます。ただいま建設省から御答弁がありましたようなことで、三省庁相集まりました会議を持ってきておるわけでございまするし、座長であられる環境庁におかれましても今後さらにこれの推進をいたしたい、必要に応じて専門家も入れて検討をいたしていきたいということでございます。そういった検討を行いますとともに、私どもといたしましては一歩でも前進をいたしたいということで、実は府県によりましては都道府県、市町村段階におきまして建築部局と衛生部局との合同連絡会を定期的に開くというようなことによって、その間の連絡調整が密にいっておる県もございますので、そういった例等を各都道府県等にもお知らせし、かつ御指導して、この問題についての解決に努力をいたしたい、かように思っております。
  96. 寺前巖

    寺前委員 ぼくはどっちも無責任だと思うんだ、現場の関係からいったら。いわばこの場限りの話なんだよ。ちょっとも解決せえへんですよ。建物をつくるときから保守管理から清掃まで一貫的に物を見なかったらあかんわけだから、そのための御援助はどこに求めるかといったら自治体にしかないんですよ、結局のところ。末端の自治体が法律的に機能がなかったら法律的に整備したらいいし、法律以前でもやれる体制があるんならばやることを具体化させることを検討しなかったら——これは一貫性のものとして物を見るための体制をどういうふうにやるのか、そのために必要なお金が要るんだったら金を、必要な技術が要るんだったら必要な技術の講習会をやるとか、手を打たなかったらこの問題解決しませんよ。ですから私は、そういう協議会がつくってあるんだったら速やかに、一番末端がそのことを対処し得るようにそれこそ速やかに、直ちにやる必要があると思うんですが、これはもう皆さん方はそんなことばかり言うんだったら私は大臣に答弁してもらいますよ。あたりまえのことだと思うんだ。
  97. 田中正巳

    田中国務大臣 屎尿浄化槽についての行政、三省庁にまたがっておるわけでございまして、これを先生おっしゃるように一元化していくことは考えなければならないところであろうと思いますが、なかなか過去の経緯がございまして実はそう簡単にいかない。私は実は純民間人出身の大臣でございまして、この種の問題、こういう問題についての解決のめんどうさかげんというものをいやというほど閣僚になってから知らされているわけでございますが、いまここで一元化をいたしますというふうに申し上げることは私は食言のおそれなしとしないわけでございますので、何とか先生のおっしゃるような姿になれるように、末端の方でそのことが、上部における監督官庁が違っているために不便にならないようにいま少しく検討もし、努力もしてみたいという御答弁を、いまは私正直言って、申し上げる以外にないというふうに思っていますが、努力はいたします。
  98. 寺前巖

    寺前委員 次にいきます。  市町村の焼却灰の処理の問題です。これは各地で起こっているんですね。たとえば大阪の吹田市、これは私の方の京都の亀岡というところに業者を通じて土地を買うて、そこにほかしに来るという問題で大騒ぎになっている。吹田市は吹田市で、これはお金を出して買うたもんだからえらいことになる。持ってこられた方の市は市で、冗談じゃない、おまえのところ困っているからといってわしのところに来られたってわしのところも困る、こういう話になってきます。ところが、何もそういう吹田市と亀岡市の問題だけではありません。大阪の衛星都市ですね、これが奈良県へ焼却灰を、下請というんですか、業者を使って、自分のところで焼却はするけれども最終処分地には委託をして渡してしまう。委託者は奈良県へほかしに来ます。奈良県と京都府の境、そこにぱっと見に行ったら、業者はどう言うかというと——私が京都の出身の代議士であるということを知らなかったんでしょう、どういうふうに言うかといったら、ぱっと見つかって、いや、迷惑は、ここは奈良県ですけれどもこの水は京都へ流れますさかい大丈夫ですわと、こういうことを言う。笑い話みたいな話です。  現実に一番最終処分地問題というのを真剣に考えなければいかぬわけでしょう。私は、今日の一般廃棄物における一つの重要問題は、最終処分地問題に、大都市あるいは密集地域の市町村にとっては固有の事務では済まない要素が出てきている。ここのところを責任持って解決をしなかったらだめだというふうに思うんです。  そこで、今度の法律で若干の改正案がなされているけれども、市町村が他の市町村に持っていくのに、いまの法律のもとにおいてあるいはあなたたちの改正案のもとにおいて、持ってこられた側の市町村は迷惑で困っているんだけれども、法的に取り締まることができますか。そこはどうなっています。簡単に答えてください。
  99. 山下眞臣

    山下政府委員 従来は規制がなかった最終処分場につきまして、今回の改正案におきましては、それを設置しようとする場所の都道府県知事に対して事前に届け出なければならない。都道府県知事は、あらかじめ厚生省令、環境庁令で定められました構造基準に従ってそれを審査して受理を決める、そういう規制が行われます。それが第一点でございます。  第二点、そのような最終処分場において委託業者による不法なる行為、処分基準違反のような行為がなされた場合につきましては、当該委託業者に対して適切なる措置命令をかけるということができることに相なっております。
  100. 寺前巖

    寺前委員 私の聞いているのもそうです。事実上の問題など、そんなことを言ってない。こちらの市住民との諸関係もあるわけですよ、自治体というのは。他の市町村がそこの市へほかしに来る、委託業者であろうと直接であろうと、最終処分地として求めて、このことに対して当該市町村が発言の場、ありますかというんです。簡単に言うてください。
  101. 山下眞臣

    山下政府委員 最終処分場の構造基準の審査並びに届け出の受理の権限は都道府県知事ということに改正案におきましては整理をいたしております。したがいまして、当該処分場の属する権限といたしましては知事の権限ということで整理をいたしております。事実上の問題といたしましては、その地元の市町村の合意でありますとか意見でありますとか、そういったことのいわゆる円満な設置ということに努力すべきは当然でございますけれども、法律上は知事の権限ということで整理をいたしております。
  102. 寺前巖

    寺前委員 要するに、法律上言うたら、市町村は、よその人が最終処分地を求めてやってきても、構造上問題がなければ知事のところの届け出で済むだけの話であって、当該市町村が住民感情との関連性で、ちょっと待ってくれ、わしのところにもないのにそんなものをつくられたら困るということも起こるだろうと思うが、そういうことを法的には規制することができないことは間違いないでしょう。現実に起こっている問題はそのことなんですよ。対市同士の間のもめごと、ごみ戦争と言われるのは全部そのことなんです。だから、今度の一般廃棄物の上において単に構造上のあれをやっただけではだめなんだ、ちゃんと当該の市町村の合意を得るとか——あなたさっきおっしゃったとおり、常識だと言ったって法的には常識ではなくなっている、だから私は、ここが一つの問題点だと思います。  話はさらに先へ行きますが、最終処分地を当該の市町村の固有の事務だということで、自分の市町村だけで求めがたい地域が出てきているのじゃないでしょうか。とすると、都道府県の範囲で、あるいは国の範囲でそういう措置を特定の場合にはするということを考えなかったならば、現実的ではなくなってきているのではないかということを私は痛切に感ずるのだけれども、そのことはどうでしょう。
  103. 山下眞臣

    山下政府委員 先ほど知事の権限と申しましたが、正確に申しますと、知事の権限でありますと同時に、保健所を設置する市、全国で三十幾つございますが、その分につきましては市長の権限ということでございますので、訂正させていただきたいと思います。  産廃もそうでございますが、一廃につきましても、各自治体においてこの処分地の獲得に非常に苦労しておられる実情というのは、私どももよく承知をいたしておるところでございまして、国といたしましても、できるだけの応援をいたし、また技術的援助をいたしてまいらなければならぬ、かように思っておるところでございます。  昨年も十二月に先生から御指摘をいただいたところでございます。これまた数年来要求をいたしておったところでございますが、ようやく初めて今年度予算におきまして芽を出しましたのは、こういう一般廃棄物処理施設につきましての排水処理施設、間仕切りあるいは擁壁というような施設の設置につきまして国庫補助制度が創設されるに至りました。五十一年度は約二億ということでございますが、今後これを育てながら推進に当たってまいりたいと思うわけでございます。  なお、現実の問題として単独の一市町村のみで処分地を設置するのが非常にむずかしくなってきておりまして、数カ町村の一部事務組合等によって設置をするというような動きも間々出てきております。そういった動きにつきましても、私どもは気持ちの上では積極的にこれを応援いたしていきたい、かように考えておるところでございます。  最後におっしゃいましたが、国が直接処分地を経営してはどうかというような御指摘でございますが、率直に申し上げまして、非常に地域性の高い問題でございますし、各地方におけるそれぞれの処分場を国が直営で経営するということにつきましては、私ども現段階においてはいかがか、かように考えますので、国庫補助制度の新しい制度を育て、いろんな一部事務組合等の設置等についてできるだけの応援をしていくということによりまして、問題解決に努力をいたしてまいりたい、かように思っております。
  104. 寺前巖

    寺前委員 大臣にお聞きしておきますが、一般廃棄物は市町村の固有の事務になっているわけですね、その自分の市町村でできなくなったら、市町村が組んでやったらどうであろうかというお話がいまあったが、客観的にはそうならざるを得なくなってきているわけですね。これが焼却灰の最終処分地が、その都道府県の範囲内で措置できるときには、こういう条件の場合には都道府県が世話をするのだという条件を考えたらいいと思うのです。ところが、それでは済まぬ段階にまた来ておる、一つの府県だけではね。県をまたがざるを得ない段階に来ている。そうなってきたら、もう府県を乗り越えなければならない条件下のときには、国がそれなりに  私は市町村の固有の事務をほかせと言うのじゃないんですよ。それなりのそういう段階の場合には、国がそういう段階と認めるものは措置をするという問題について、もう考えなければならぬところに来ているのじゃないだろうか。御検討いただきたいと思うのですが、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  105. 田中正巳

    田中国務大臣 いま県を越えてそういったような共同の仕事をしなければならない場面があるということですが、この場合でも、先生、一部事務組合は組めるのじゃないかと思います。そういうわけで、私どもとしては、本来この一廃の処理というのは、市町村固有の事務でございますから、そうした方向で一部事務組合を組むというようなことで処理をいたすのが本則であろうと思われますが、特殊なケースについては、またいろいろと国の方で御相談を申し上げますが、そういったようなことであるからといって、国が直接この事業に乗り出すというようなことについてはいかがかと考えております。
  106. 寺前巖

    寺前委員 話をちょっと先に進めますけれども、よく地方自治体では空きかん条例とかいろいろあります。清掃法から廃棄物法律改正されるときに、ヤクルトの容器問題をめぐって当委員会においても大問題になりました。現在こういう適正処理が困難なものについて対策を打っている種類のものというのは、国としてどんなものが指導としてはなされているのでしょうか。
  107. 山下眞臣

    山下政府委員 一口に適正処理困難物と申しましても、その性格が幾つか種類があると思うのでございます。一つは、その物自体を処理するのに技術的、化学的に非常に困難をするというような意味の処理困難物というものもあろうかと思うわけでございます。それからもう一つは、現実に市町村の処理能力あるいは施設能力、こういうものに照らしてみまして、当該市町村にとってその処理をすることがきわめてむずかしい状態にあるというような性質のものもあろうかと思うわけでございます。  それらをひっくるめまして、精神規定として現在の廃棄物処理法三条二項に御承知のような規定があるわけでございますが、この規定をもとにいたしましてそれなりの指導と措置を講じているわけでございますが、現在全国的に共通の問題といたしまして処理されております問題は、一つは、すでに御承知のとおり電気製品等の部品として使われておりますPCB、通産省と事業官庁の御協力を得まして、これの回収体制の指導ということをいたしておるわけでございます。もう一つは、ただいま先生が御指摘になりましたようなヤクルトのポリ容器といったものについても、その典型があるわけでございます。そのほか地域によりましてそれぞれの事業体で努力がなされ、その方向で処理がなされているものもあるかと存じます。
  108. 寺前巖

    寺前委員 当時も問題になりましたけれども、空きかんとかあるいはプラスチックとかタイヤとか、あるいはもっと大きなものとして自動車とか家庭電気製品とかピアノとか、そういうような問題を含めて生産した企業、そういう企業の責任問題として追及をすべきではないかということが論議になりました。現実に地方条例で空きかん条例という形でそうことを結んだり、いろいろやっている地域があります。私は、やはりこれは非常に大きな問題だと思いますので、そういう粗大ごみとかそういうような適正処理困難なものについて、いま二種類の問題の指導をやっておられるようですけれども、単に二種類にとどまらず、もっと全面的に、やはり地方で困っているから条例をつくるぐらいですから、国としてそういう措置をとるべきではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  109. 山下眞臣

    山下政府委員 御指摘のようなことを十分踏まえまして今後対処してまいりたいと思います。
  110. 寺前巖

    寺前委員 国鉄お見えですか。——一般廃棄物と直接関係するわけですが、屎尿の問題です。国鉄は屎尿を積んで走っている列車もあれば、排出してたれ流しで走っている列車もあるわけです。これが住民の中における苦情というものは大きなものがあります。さればこそ、たとえば東京に列車が入ってくるときに、ここからはもうトイレは使わないでください、住民の皆さんが迷惑されるからという放送がされます。大都市の入り口に入ってくると、そういう放送があるわけですけれども、中間の都市になりますと、そんなことを言うておったらトイレは使えぬということになってしまいますから、その放送は頭からせぬわけです。それはそうだろうと思うのです。そうすると、結果としては、大都市でそれを言っているくらいだから、中間の都市ではそれをかぶっているという実態になっていて、これに対する不満というのが従来からあるわけです。  そこで、現実に国鉄の車両がどれだけあって、それに対していつからこういうふうに対応してきて、将来、いつに向かってこういうふうにしようと計画を立てておられるのかを、最初に国鉄当局から御説明をいただきたいと思うのです。
  111. 渡辺和美

    ○渡辺説明員 全対象車両としましては、現在旅客車の総数が二万六千両ほどございますが、その中でトイレのついておる列車、これが一万六千五百両でございます。いまおっしゃいますように、たれ流しのものをタンク貯留方式という形で、車の方の施設と地上施設と両面相まちながら進めておるわけでございますが、五十年度末時点で四千五百両ほどがタンク貯留式になってございます。そのほかにつきましては、とりあえず七千両を目標に五十三年度までに処理したいというふうに考えてございます。
  112. 寺前巖

    寺前委員 私のところへ手紙が来まして、山陰線の福知山ですが、府の衛生研究所ですか、そこが調査に行ったりすると、沿線四百メートルの範囲にわたって影響を受けているというような話も出てくるわけです。それで、現実にあの福知山を前後して走っている車が何台あって、現在対応されているのは何台で、これからどういうふうにしようとしておられるのかを、もっと下へおろして細かく説明してみてください。
  113. 渡辺和美

    ○渡辺説明員 山陰線の福知山付近といいましても、列車が途中で打ち切られたり、あるいは列車が組成されたりしまして、線一本で申し上げることは困難でございますので、たとえば福知山−和田山間ということで取り上げてみますと、現在対象になる特急、寝台を含めてですけれども、特急、急行合わせて列車本数にしまして三十本ございます。その中で現在処理をしておるものが六本ございます。これを先ほど申し上げました五十三年末対応で、処理施設その他列車のタンク、そういったものの設備にしますとプラス十六本、つまり二十二本が処理可能な列車本数になると思います。
  114. 寺前巖

    寺前委員 五十三年になると、たとえば山陰線の福知山でみると、特急、急行で三十台走っておって、現在は六本、五分の一だが、いまから努力をして十六本を急遽直すようにしていきたい。二十二本になっても、それでもなおかつ八本は残っていく。これを進めていく上において、タンク式にするのだけれども、タンクにした屎尿は、どこかで処理せんならぬでしょう。そうすると、一般廃棄物は市町村の固有の事務でしょう、しかし、これは市町村の人の屎尿じゃないですよね、汽車でずっとためて走ってきておるのだから。そうすると、当該の市町村が、うちが責任持たなければならぬような屎尿じゃございませんよという勘定になりませんか。  そうすると、問題は、こういう列車の方の改装をしていったとしても、これを処理するところをどうするのだという問題に突き当たると私は思う。国鉄、そうじゃございませんか。その問題を処理しないことには、現実には進まないのじゃないでしょうか。一体どれだけの処理施設が国鉄として必要なのか、現在何ぼできておるのか、これから何ぼつくらなければならないのか、ちょっと説明してください。
  115. 渡辺和美

    ○渡辺説明員 地上施設に限って申し上げますと、先ほどの列車七千両を処理しますには、基地にしまして二十二基地必要でございます。現在のところ、五十一年三月時点で完成を見たものが五カ所でございます。残り十七カ所について五十三年までにやりたいと思っています。
  116. 寺前巖

    寺前委員 厚生省に聞きますが、基地が二十二要る、現実には五基地しかない、あと十七基地、これも並行して処理していかなければならない。当該市町村にすれば、固有の事務じゃないものを持ち込まれることになる。さて、そういう場合には、厚生省として具体的にどういうふうに解決するためにやっておられるのか。具体的にやっておられることを説明してほしいと思うのです。
  117. 山下眞臣

    山下政府委員 基本的には、鉄道の運営という事業を国鉄がやっておられるわけでございますので、事業者たる国鉄の方におかれまして、そういった基地施設の増設、処理、こういうものにお力を入れていただきたい、これが私どもの立場でございます。  具体的にいま何をやっているかという御質問でございますが、まあそういったものも含めた市町村の屎尿処理施設の設置計画がございまして、国庫補助申請等がございますれば、その補助申請の査定の際に配慮をするということで対処していくことになろうと思いますけれども、基本的にはぜひ基地施設増加をお願いしたい、かように思っております。
  118. 寺前巖

    寺前委員 国鉄さんは予算をちゃんと組んでいます。ところが、市町村みずからの屎尿施設の設置でも住民との関係でなかなかむずかしいわけでしょう。そうすると、全然違う事業体の人がそこの市へ行って処理しようとしたって、これは客貨車区か何かあるところで。パイプでつないでそれをされていくのが一番いいやり方なんだろうから、私は、正直に言ってなかなかむずかしい問題があろうと思います。ですから、国鉄当局とよく相談をして、地域住民が現実に迷惑をしているのだから、この迷惑を解決する一つの問題は、国鉄の事業活動におけるトイレの処理施設をどうするかという問題について真剣に厚生省は相談に乗り、地方自治体の相談に乗って、全面的に解決するように努力すべきだと私は思うのですけれども、その点についてどうですか。
  119. 山下眞臣

    山下政府委員 御趣旨のとおりに存じますので、努力いたします。
  120. 寺前巖

    寺前委員 さっきも提起した問題ですけれども、最終処分地はいまこうなっているんですね。さっきも言ったように焼却炉まではやる、そこから今度は、大都市の周辺の場合は処理業者に任せてしまって、そこから先はわかりませんという事態がたくさんある。これが県を越えて、よそへ持ってきて迷惑を受けている事態がいま生まれているわけですね。  そこで私は、最終処分へ向かっていく処理業者であろうと、もともと出したところが最後まで責任を持つということを体制的にも考えなければならぬと思うし、それから最終処分地に対して積極的に国有地を提供するという問題もあわせて検討すべき段階に来ているのではないだろうか。  いま私は、一般廃棄物で言っていますが、産業廃棄物の場合にもメッキ業者の問題があります。メッキ業者というのは、大きな業者は少ないんですよ。一番大きなところでも、従業員五百人がおるところは指折り数えるほどしかありません。私のおる京都でも、九十何社ありますけれども、直接的にこれを専業としておるのは五十何社です。この諸君たちが一番困っているのは何かといったらスラグです。これに困っている。コンクリート固めにしておるけれども、自社に置いているわけです。どこへ処分していいかわからない。  そこで、こういう中小企業の産業廃棄物を含めて国が国有地を提供するとか積極的に乗り出す段階に来ていると私は思いますが、そんなことを考えたことはあるのかないのか、どういうことになっていますか。
  121. 山下眞臣

    山下政府委員 まず一般廃棄物処理施設につきましての助成策につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、数年来の懸案が実りまして、五十一年度初めて処分地施設、擁壁、間仕切り、排水処理施設、これについて二億ではございますが、芽を出したわけでございます。こういったものの拡充強化につきましては、今後とも努力をいたしてまいりたいと思うわけでございます。  国有地の問題でございますが、一般廃棄物処理施設、産廃につきましても、特に中小企業にかかわるものについての配慮がなされてしかるべきではないかという御質問でございますが、現在、国有財産特別措置法という法律がございまして、その三条におきまして減額譲渡なり貸し付けのケースがございます。その中に公害防止関係の必要事業ということで政令で定めるものということで、政令上廃棄物処理施設ということで整理がなされておるわけでございます。そういう意味におきまして、法令上全く道が開かれていないかと申しますと、開かれておるわけでございます。  いままでそのようなことについて意識をし、十分の努力をいたしてきたかという点につきましては、なお不十分な点があったかと思いますけれども、こういう問題はどこのどういう土地ということで具体的な話としてそれをお世話申し上げるというのが、何というか一番具体的になっていくのだろうと思います。そういう問題が今後出ますれば、私どもといたしましても、できるだけのお世話なり努力をいたしたい、かように考えます。
  122. 寺前巖

    寺前委員 それじゃ積極的にこれをやってもらわないと、メッキ業界の最大の問題は最終処分地ですよ、みんな自社で抱えておって大変な事態になっておる。  それからもう一つは、再利用を研究し処理していく問題です。これがどうなっているのか。たとえば神戸で三十三社のメッキ屋さんが同和精鉱に頼んで処理しようということに話が進んでいった。処理するに当たっては二つの段階が問題になるわけですね、再利用については。一つは、分離するという問題があるわけですね、含んでいるものに対して。この分離に金がものすごくかかる。これをどうするのかという問題。もう一つは、山元へ持っていく。ところが、それを持ってきたら、今度は、たとえば神戸の話でいったら、同和精鉱は尼崎の大気汚染の担当者の方からそんなことをやってもらったら大変だといって拒否されてしまった。これは大気汚染の問題が出てきます。だから、もともと鉱石を精錬する場合の方が金がかからぬし、それなりに進んでおるわけです。こういう再利用する過程は、分類をしなければならないし、その処理をするところが非常に困難だ。この点でも全国的な計画を、厚生省が通産省と一緒になって再利用の問題について、あるいは環境庁も含めてどういうふうにやるかということを、国自身が全国的な観点に立って計画を進めることも必要ではないだろうか。私は、これは行き詰まったままになっていると思うのです。何か具体的に進んでいることがあったら、ひとつ報告をしてもらいたいし、そうでなかったら速やかに検討してほしいと思うのです。いかがなものでしょうか。
  123. 山下眞臣

    山下政府委員 廃棄物の再生利用という問題につきましては、資源の有効利用という見地からいたしましても、かつまた私ども廃棄物処理する事業のサイドから見ましても、ぜひともこれはできるだけの努力をして推進をしてまいり、大いにやらなければならぬ非常に重要な事項であると考えております。  よく先生御承知で、ただいまのお話の中にも御指摘がございましたように、非常に道は簡単ではございませんで、技術の問題あるいは収集分別の問題あるいは再生品についての市場開拓の問題、それらの過程における経済性の問題、越えていくべき障害は多々あるわけでございますけれども、廃棄物処理行政からもわれわれが努力目標とすべき一つの大きなテーマだろうと思っておるわけでございます。  今度の廃棄物処理改正におきましても、通産省等とも十分連絡をとり合っておりまして、ひとつ私の方から提案をいたしまして、この資源化問題についての打合会をやろうじゃないかということをいたしております。現在は一廃、産廃を通じまして、なるたけ資源化の道を広くいたしたいということで、御承知のとおりくず鉄、故繊維等四品目につきましては、再生利用専門にやる場合には、処理業の許可は要らないという措置を講じておるわけでございますが、現在の実態に即しましてこれらの措置についても、その拡大を検討していきたい。省令でやれますので、そういう方向でやっていきたいと思っております。  資源化再利用の全国計画を立てろという御指摘でございます。最終的には、そこまで私どもとしても努力を志すべきだと思うのでございますけれども、直ちにはなかなか困難だと思いますので、事業官庁等ともよく連絡をとりながら、できるものから努力してまいりたい、かように思っております。
  124. 寺前巖

    寺前委員 厚生省の方から「産業廃棄物処理施設に係る補助金及び起債について」という文書をいただきました。四十六年から毎年予算として一億ないしは二億という予算をずっとつけてきております。ところが執行状況を見ると、実績は全部ゼロであります。一体これはどういうことなんだろうか。産業廃棄物処理施設といっても、もちろん下水道や浄水場に係るところの問題の処理もあるでしょう。しかし、それはそれなりの予算が別枠でありますから、とすると、ゼロできているこの補助金の問題は、一体どういうことになっているのだろうか、私は不思議でかなわない。それだったら、むしろいま中小零細な業者が多いこういうメッキ業界などに積極的に国有地の提供問題も考えたり、あるいは積極的に共同施設に援助をしていくとか、あるいはそういう中小零細なものたちの共同処理に対する公社方式を自治体がとっていくとか、何かそういうものに対して積極的に助成していくとか、そういう積極策に打って出る必要を、むしろこういう予算をつくるぐらいだったら、私は考えてみたらいいんじゃないだろうかと思うのですが、こういう産業廃棄物処理施設に対する財政的な援助面に対するこの点と今後の考え方について聞かしてほしいと思います。
  125. 山下眞臣

    山下政府委員 この産廃処理施設補助金一億、御指摘のとおり組まれておるわけでございますが、もう先生御承知の上でおっしゃっておられると思うのでございますが、これは一般の企業なり事業者に対する補助ということで組んでおるのではございませんで、各都道府県、市町村等の公共施設から出る廃棄物につきまして、広域的に公共団体が設置いたします場合の補助ということで想定をしてきているわけでございます。残念ながら今日までのところ、具体的なプロジェクトがそれに即応して生じておりませんために、これは便宜一般廃棄物処理施設の補助金の方に流用いたしておるわけでございます。御指摘ではございますけれども、企業なり一般の事業が設置いたします処理施設につきまして、直に税金からする補助金を出すということにつきましては、いささかPPPの原則等にも照らしましても、やはり抵抗のある話でございまして、なかなかむずかしい問題があると思うわけでございます。私どもといたしましては、やはりこういった事業者等の処理につきましては、まず第一に融資という手段によってやっていくのがよろしいのじゃないか、特にその融資の場合における中小企業等に対しますところの利率、その他の配慮は当然なされるべきだと思うのでございますが、やはり税金から直接の補助金を産業廃棄物処理に投入するということについては、なかなか踏み切れない問題があろう、かように思っているわけでございます。
  126. 寺前巖

    寺前委員 私の提起しているのは、中小企業が共同処理施設をやっていくとか、あるいは公社方式で何かやるやり方を自治体もかんで、その地域の特殊な産業を育成する立場からやっていくというようなことについて積極的に考えてもいいのじゃないだろうか、最終処分地問題は、非常に大きな位置を地場産業の場合に特別に持つ場合がありますから、そういうことを積極的にお考えになったらどうなんでしょうかという意味で問題を提起しているわけです。後からお答えをいただいたら結構です。  それから、もう時間がないようなので、対象枠の問題とかいろいろあるわけですが、罰則が、他の罰則との関連もあってやむを得ないのですというのがお答えだろうと思いますけれども、たとえば西ドイツの例と比べると、日本の罰則は少ないという批判がありますが、それについてはどうなんでしょうかということが一つ。  それから、こういう廃棄物処理法があるわけですけれども、廃棄物によって地域住民やあるいは農業に被害を与えております。たとえば六価クロムをめぐるところの地域住民の生活に影響を与えました。あるいはまた農業被害というのがやはり与えられています。大気汚染防止法の場合だったら二十五条で、それから水質汚濁防止法の場合だったら十九条で、それぞれ損害賠償の問題の指摘があります。救済の問題が指摘されています。この廃棄物の場合には、なぜそのことを考えないのか御説明をいただきたい。この二点いかがでしょう。
  127. 山下眞臣

    山下政府委員 罰則につきましては、もう御質問の中で先生おっしゃいましたとおり、国内の他の類似する法令との均衡等からこの程度が妥当な線ではないかという判断でこのようにいたしたわけでございます。御指摘のとおり、西ドイツにおきましては最高十万マルク、一千万という罰金もございますが、これも外国も国によるわけでございまして、英国等におきましては、二、三十万とかいう程度のところもあるようでございます。  それから、後段の問題でございますけれども、実は従来、国会あるいは審議会等の議論の過程におきましても、いま先生が御指摘になられました点は、正面から問題として意識して議論されたということがございません。私ども率直に申し上げまして、この問題を詰めて詰め切っておるということではございませんが、廃棄物処理法というものが、廃棄物処理あるいはそれの規制ということに重点を置くわけでございまして、それの適切な処理、その担保のための制裁措置措置命令、そういったものの整備を今回行ったわけでございまして、そういった問題に絡みますいわば民事上の責任でありますとか損害賠償の問題、これは直接廃棄物処理法は従来から取り扱っておりませんものですから、なお今後ひとつ勉強してみたいと思っております。明確な意識を持っていなかったわけです。
  128. 寺前巖

    寺前委員 それでは最後に、この産業廃棄物について都道府県が計画を立てて、そして事務をやっていくことを十条、十一条のところで指摘をしております。国の委任事務として産業廃棄物の担当者が都道府県の本庁や保健所におります。私は、委任事務である以上は、これは機関委任事務として当然のことながら国がその人件費のめんどうを見なければいかぬのじゃないかと思うのですが、皆さんの方からいただいた資料によると、本庁には去年まで一人でことしから平均すると二人の配置をやって対処をしているということになるのじゃないかと思うのです。ところが、現実にまた別の資料をいただくと、客観的に、専任の担当者を置いていない府県も含めて、それぞれの県の本庁には平均五・五人の人を配置しているということになっている。現実的にはこの人数のあれは合わないじゃないか。本当にこの産業廃棄物について都道府県に委任事務としてやらせていくというのだったら、せめて人件費はすべてめんどうを見るようにしなければいけないのじゃないか。  さらに言うならば、一般的批判があります。それは何かというと、国は法律はつくるけれども、やるのは都道府県じゃないか、そして仕事に実際上必要な経費は都道府県には与えられていないというそういう批判がこういう分野で言われるわけです。また、業者の方にしても、産業廃棄物について言うならば、メッキ業界の方はこう言われます。不法投棄はけしからぬとおっしゃるけれども、合法投棄についてのめんどうを見てくれていないじゃないか、先ほど言いましたような最終処分地問題に対して行き詰まっている問題についての対処をやってくれていないじゃないか、いずれもこれらは国に対するところの批判であります。  これを考えたときに、せめて都道府県の人員の配置が現実に合うように対処されること、あるいはいま業者の批判にあるように、最終処分地問題についても国の積極的な手だてが要るのではないか。この点についての御意見を承って質問を終わりたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
  129. 田中正巳

    田中国務大臣 地方におけるこの種の職員については、地方交付税をもって人件費の助成をしているところでございまして、最近これを逐年ふやしておりますが、まだ十分であるとは私、言い切れないと思います。今後ともこうしたことに従事する職員の増員を図るために、国としては積極的な助成を図っていくようにいたさなければならないと思っております。  また、いわゆる最終処分地をめぐる問題については、いま少しくわれわれとして積極的にこれに助成をいたしたいというふうに思っております。実は正直言いますと、この法案の作成の過程でこの問題が一つの焦点であったわけであります。しかし何分にも期日が短い、また国並びに地方公共団体の未曽有の財政難という時期に逢着をいたしました。したがって、これを十分に手当てをしないでこの法律を出すことはいかがか、こう思いましたが、やはりその問題は後日に努力することとして、この法律をひとつ御審議願ってより改善の方向に進むべきだということで、そのことをよくわれわれは反省もし、また今後の政策課題として踏まえつつこの法案を出したわけでございますので、問題意識を持っており、今後さらに努力をいたす所存であります。
  130. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  131. 山下徳夫

    山下(徳)委員長代理 岡本富夫君。
  132. 岡本富夫

    岡本委員 時間が非常に限られておりますので、重複を避けまして御質問いたしますから、簡単明瞭に、しかも要領よくお答えを願いたいと思います。  最初にお聞きしておきたいことは、昭和四十七年の三月十四日の閣議了解事項で「廃棄物処理施設整備計画について」四十七年から五十年におけるところの処理施設として五百億円が投入されておるということでありますけれども、その実態はどうなっておるのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  133. 山下眞臣

    山下政府委員 第三次の四カ年計画の中で、産廃処理施設分として五百億という計画がございましたのは事実でございます。その実績は、いまちょっと数字を持っておりませんが、やや下回りまして、三百八、九十億のオーダーでとまっておったのではないかと記憶いたしております。正確な数字は、後ほど調査いたしましてお答えいたします。
  134. 岡本富夫

    岡本委員 これが全部施行されていないということは、産廃処理施設整備計画がずさんであったのか、あるいはまた、もう十分できて余ってきたのか、その点についてはどうなのか。わかりませんか。
  135. 山下眞臣

    山下政府委員 推測で申し上げて大変恐縮なのでございますが、初めて国の行政として、あるいは都道府県の行政として産業廃棄物が表面に上がってまいりましたのが、四十五年法改正で四十六年からだということは御承知のとおりでございます。各都道府県の処理計画等も、それからスタートいたしたわけでございまして、実は昨年の夏の六価クロムの際に、先生からも御指摘を受けましたとおり、あの当時における都道府県の処理計画の策定状況は、いまだ遅々としておったわけでございます。  そういった事情が反映しておるのが一つあるのではないかというふうに思うわけでございますが、昨年来、この問題についての各地方公共団体等における意識も非常に高まってまいりまして、現在では各都道府県の処理計画も三十五を超える都道府県ですでに策定しております。残る都道府県につきましても、全都道府県がただいま計画の策定中ないし審議会の御審議中ということで、最近において意識が非常に急速に上がってきた、こういうことであろうと思います。
  136. 岡本富夫

    岡本委員 非常に遅々として進まない、四十九年八月の行政管理庁の勧告でも、中間処理設備の不十分というものが指摘されておるはずです。  それで、厚生省が四十七年に立案したところの日本産業廃棄物処理株式会社構想、こういう構想を発表されたわけですが、その後これは立ち消えになったのかどうか、これをひとつお聞きしておきたい。
  137. 山下眞臣

    山下政府委員 確かに昭和四十七年度の要求案の中に御指摘のような案があったわけでございます。これまた実を申しますと、四十六年に初めて法律ができて、それっということで非常にあわててつくったという感じがございまして、いろいろ詰めてまいりますと難点がある。まずその前提となりますところのきちっとした産業廃棄物の実情、情報、これが前提として把握されておりませんと、具体的な計画というのは立たぬわけでございます。そういった問題から始まりまして、やはり全国一つの会社でやるというのが、広域のものもあるとはいえ、地域的特性の強いこういったものに対する対応の姿として果たして妥当かどうかというようなこともございます。また、当時の状況といたしまして、基本となっていく技術に必ずしも完成されたものが十分でないというようなこと等がございまして、その後は、その前段階となるべきものについての努力をまずやるべきではないかということで、現段階においては一応これは取り下げておる、こういう状態でございます。
  138. 岡本富夫

    岡本委員 この産業廃棄物については、非常に被害も受け、あるいはまた、この廃棄物処理について非常に困っておる。だのに、厚生省がこうしたいろいろ案を立てても遅々として進まない。結局この処理法ができてからほとんど何もやってないのではないかというくらいに厳しい批判があって、たしか去年だったか厚生大臣に、当委員会でなくして公害委員会かどこかに出てもらって、相当論議したことがあるわけですが、そのときに、法改正もやるのだということでおっしゃったわけでありますけれども、いかに法改正をやり、いろいろなことをやりましても、結局実体が進まなかったら何もならないわけです。  そこで、この法施行以前に投棄された廃棄物の問題点もある。また、この法改正以前に、ということはいままでですが、投棄されておるところの産業廃棄物、わけても有害物質の廃棄物の実態把握、これが大事だと思うのですけれども、厚生省の方ではそれができておるのかどうか、ひとつお聞きしておきたい。
  139. 山下眞臣

    山下政府委員 昨年六価クロムが起こりまして、公環特におきまして岡本先生からも御指摘を受けたところでございます。厚生省といたしましては、昨年秋から、とりあえず、まず有害産業廃棄物の実情把握に乗り出したいということで、五十年度は年度途中でございましたものですから、環境庁の調整費に応援をいただいて取りかかり、五十一年度は予算化をいたしておるわけでございます。  それで、やり方といたしましては、当面、最初に六価クロムを排出するような事業場、これはその事業場が六価クロム以外のシアンとか鉛を出すことも考えられます。そういう事業場については、六価クロムに限りませず、全有害物質の状況把握をいたしたい。それから二年目の五十一年度におきましては、それ以外の有害産業廃棄物を排出する事業場の実情を調べたい、こういうことで、二年度にわたって調査を実施いたしておるわけでございます。  初年度の分の調査が一応全国から調査票が参っております。それで、現在その集計、分析を急いでおるところでございます。いまわかっております範囲でちょっと申し上げさせていただきますと、当初私どもは、この有害産業廃棄物を排出する可能性のある事業場というもののまずリストアップからかかったわけでございますが、約一万七千と踏んでおりました。ほぼ当たっておるのでございますが、結果的には、その後の政令改正によりまして、試験研究機関が追加されましたので、その分が増加いたしまして、約一万八千程度の事業場が有害産業廃棄物を排出する可能性のある事業場ということで把握をいたしておるわけでございます。  なお、現在詳細を分析中でございますので、終了いたしましたならば、中間発表をいたしたいと思っておるわけですが、よく検討いたしてみますと、この一万八千の有害産業廃棄物の事業場というのは、有害産業廃棄物を排出する可能性のある施設を有する事業場でございまして、現実に排出している事業場、それを原料面から当たっていきますと、これよりも大分減ります。約三分の二ぐらいの数字になるかと思うのです。たとえばメッキをやるにいたしましても、有害物を使わないでやっているというようなものもありますものですから、そういう実情でございまして、まだその途中でございますので、詳細の御報告ができませんが、そういう状況に相なっているわけでございます。
  140. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、きょうちょっとPCBの問題について、PCBを含む故紙の再生製紙工場、この廃棄物でありますが、これが非常に環境を汚染しておることが私どもの調査でわかったわけでありますけれども、これについてはどこが所管をして、どこが調査をしておるのか。環境庁が四十九年の総点検でPCBの汚染状況を発表して、それからずっと忘れられたような感じになっておりますけれども、危機感が遠のいておりますけれども、PCBというのは残留性が非常に強くて分解しにくい。御承知のように、野鳥なんかが落ちてきた、それを分析するとPCBが非常に含まれておる、そういう結果も出ておるわけでありますけれども、ノーカーボン紙が故紙として回収され、再生工場に行き、ちり紙等の家庭用紙となっておりますが、そのときに同時に製紙スラッジといいますか、廃棄物が発生しておる。そこで、このスラッジがいまどういうようになっておるのかということを検討され、また把握されておるのか、ひとつお聞きしておきたい。これは厚生省と環境庁、両方聞こうかな。
  141. 山下眞臣

    山下政府委員 PCBにつきましては、もう岡本先生御指摘のとおりでございまして、非常な問題が出まして、今後新たにはもうこういうものが出ることがないような措置は講ぜられてきておるわけですが、過去に使われたものが廃棄物等となって流通していく、これに対する対策はどうかということで、御承知のとおり、電気部品につきまして回収措置を講じますと同時に、ノーカーボン紙等につきましても、保管回収というような措置を講じ、そのための機関につきまして電機ピーシービー処理協会あるいはピーシービー入り旧ノーカーボン紙処理協会、こういったものを設置いたしまして、そして、そのための処理施設につきまして、その設置を現在努力しておる、こういう状況に相なっておるわけでございます。
  142. 西村純幸

    西村説明員 いま厚生省から御答弁ありましたように、現時点ではこれらのものが原則として製造され、また使用、販売されていないことは言うまでもないところでございますが、過去のものの環境汚染の程度に関しましては、環境庁が中心になり、各省の協力も得まして、四十七年度以降、全国一斉に調査を実施いたしまして、四十九年にその結果を公表したわけでございますが、その後も五十年、五十一年とそのフォロー調査を実施しております。  産業廃棄物関係あるいは一般廃棄物関係で申しますと、この三月からPCBを含有する廃棄物の厳しい排出規制を実施しておりますし、それから故紙再生業の特定施設から出てまいります排水中にPCBを含有するものがあるわけでございまして、その排水規制も、この三月から実施しているという状況でございます。
  143. 岡本富夫

    岡本委員 排水を規制しておるということはわかるのですが、スラッジの方はどうなっているのですか。これを言っている。
  144. 沢田仁

    ○沢田説明員 スラッジの中にどのくらいPCBが入っているか、最近の検査の結果を申し上げますと、昨年七月でございますけれども、ちり紙あるいはトイレットペーパーの主産地でございます静岡県の富士地区におきまして、静岡県の紙業協会が富士市立ち会いのもとに二十四検体のスラッジを対象にいたしましてスラッジの中のPCBの賦存状況を調べました。その前に、先生御高承のごとく、規制では、スラッジが水などに当たって、そしてその溶出してくる段階でPCBの濃度が〇・〇〇三ppm以上のものは封じ込めの埋め立てをしなければいけませんし、また、それ以下のものは通常の埋め立てでいい、そういう区分けになっているわけでございます。そのような観点から、前回やりました調査におきましては、溶出のPCBがどのような状況で出てくるかを調べたわけでございます。結論といたしましては、検出せず、あるいは先ほど申しました〇・〇〇三ppm以下の範囲に全部おさまっておりまして、決して楽観はできないわけではございますけれども、この調査は分析の機関も権威のあるところでやりまして、私どもとしては、一応好結果が得られたのではないかというふうに受けとめております。
  145. 岡本富夫

    岡本委員 いつあなたの方は調査したか知りませんが、私ども公明党では、昨年末からことしの初めにかけて故紙再生工場が比較的多い静岡、愛媛、福岡、岐阜、この各県にわたって実態調査をしました。そうしますと、まず静岡県におきましては、山梨県の大泉村の開拓農地に、富士市の製紙会社のスラッジを肥料として廃棄場所であるところの地主と契約して、約三百四十トン、大型ダンプにして二十六台分を夜中に運んで不法投棄しておる。これを村民が発見して、地元の警察やあるいは保健所、県の衛生課がこれを調査した。そして、このスラッジを県の公害衛生研究所で分析したところが、PCBが二〇一ppm検出されておる。大臣、これがそのぼくの方で写真を撮ってきた実態なんですよ。こういうことを厚生省の方は御存じなのか、いかがですか。
  146. 山下眞臣

    山下政府委員 実は率直に申し上げて、恐縮なんですが、すべての個々の事例を完全に把握しておるというわけではございませんで、昨日、先生からいろいろ御指摘ございましたので、急遽いま各都道府県に問い合わせをして、その実情把握に努めているということでございまして、個別のそういった事件のすべてを的確に把握いたしておるという状況にはなかったわけでございます。
  147. 岡本富夫

    岡本委員 いま通産省の方から、あたかもりっぱな結果が得られた——これなかなかりっぱでないですよ。これは現場をそのまま写真を撮ってきた。これは静岡県のあれが山梨に持っていって捨てたやつ、また、それ以外に山梨県の須玉町の農地に約四百トン、これを山梨県から静岡県に撤去を申し出て、県同士の争いになっている、こういうことなんですね。この静岡県の方の産廃の処理業者は、処理について山梨県知事の許可を得ていない。また愛媛県におきましても、これは土居町ですが、休耕田のところに無認可の処理業者が約七千トンのスラッジを投棄しておる。地元農民が再三県に要請しておるけれども、どんな措置もできない。また伊予三島では、河口付近の田畑の堤防みたいなところの土手の上に約七千六百トン投棄されて、そのまま置いてある。雨が降りますと、そこからどんどんと流れておる。また、その近所は伊予三島市でありますから、瀬戸内海にそのスラッジが流れておる。それで農産物や井戸水にも影響しておる。しかし行政当局はまだ分析をしてない、これが愛媛県の姿です。  それから、福岡県の八女市では七工場、これは花宗川という川の付近に土のうを積んで、その上に置いてあるわけですね。この福岡県のを検査しますと、百二十ppmという高濃度のものです。  また岐阜県では、これは岐阜の実態でありますけれども、岐阜県の美濃市、長良川の漁業組合からいろいろ要請がありまして、私どもが調査いたしますと、やはりヘドロがあって、そこからたびたび流れておってアユとかに奇形魚がずいぶん出ておる。こういうことについてどこの省が責任を持っておるのか。通産省なのか環境庁なのか厚生省なのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。言い分があったら、ひとつ各省からお聞きしましよう。
  148. 山下眞臣

    山下政府委員 やはりスラッジという形において投棄をされるわけでございますので、廃棄物であるということには間違いがないわけでございまして、廃棄物処理法の対象たる物であるという意味におきまして、廃棄物処理法を中心的に所管いたしております私ども厚生省において、実情を十分把握し、適切な指導をするということが第一次的に責任があるのではないかと私ども考えております。もちろん環境汚染の問題で環境庁、さらには、そういった事業者の指導という面におきまして通産省、こういった省庁の非常な御協力をいただくことなしには所期の目的を達することはできないわけでございますが、第一次の廃棄物処理の責任官庁は私ども厚生省にあるのではないかと考えます。
  149. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、このPCBのノーカーボンについては、私たち公環特で論議したときも、特に通産省の方でそういうものを絶対に排出しないように全部保管をさせて、その処理方法処理技術ができるまでは動かさないのだというような答弁があったわけであります。ところが、事実はこうやってどんどん——これは岐阜県の美濃の廃棄物状態なんですよ。そこを写真を撮ってきた。こういうことになると、結局、通産省の方はノーカーボン紙を全部把握しておったのかどうか、その処理についての適切な指導をしたのかどうか、同時に、今度は、そのとおり各企業が守ったのかどうか、この点について非常に疑問を感ぜざるを得ないわけです。委員会や新聞あるいは世論が喚起されてわあっと言っているときだけは、ああします、こうしますというような答弁があって、いかにもできるようだけれども、その後は野放し、こういう結果がここに出てきたのではないかと私は思うんですよ。局長に来てもらうか、でなかったらぐあいが悪いわけですけれども、沢田さん、これについてあなたの方で何か答弁がありますか。
  150. 沢田仁

    ○沢田説明員 御指摘のとおり、官公庁で保管しておりますのが千百トン、それから民間の事業所におきまして保管しておりますのが千五百五十トン、これは、われわれ判明しているところで凍結して保管しております。しかしまた、この感圧紙の状態から考えまして、いろいろなところに散在しておるわけでございまして、御指摘のように、これを全部網羅的に把握することは非常に困難でございます。完全に日本じゅうに散在しております感圧紙を掌握して、これを適切に封じ込めることは非常にむずかしゅうございますけれども、いろいろな手段を打ちまして、できるだけ封じ込められるように努力はしてまいったつもりでございます。  先ほど御答弁ございましたように、ことしの三月一日から政令の指定をいただきまして、PCBの塗ってあります感圧紙を産廃に指定いたしまして、一つの手段といたしまして法的にこれを古紙回収業の段階で取り扱いの対象から外す、扱うと違法になる措置をとったわけでございます。それでもこの感圧紙の封じ込め対策として完璧を期することに自信が持てませんので、もう一段といたしまして東京の足立地区、ここで故紙回収の問屋が機能を営んでおりまして、この足立地区から供給される故紙が、先ほどの主産地でございます静岡方面に原料として流れていく要点でもございますので、法的にはこの三月一日以降、PCBを塗った感圧紙は違法な、扱えない品物になったわけでございますが、万一それに漏れて流通することがあってはいけないと思いまして、関係業界の協力を得て、そういう法的な目をくぐって出ていく感圧紙があるかないか調査を現在実施しております。  それにしましても、全国に散在しておると推定されますこういう性質の紙でございますので、完全に一網打尽につかまえることは非常に困難でございます。ですから、私ども決して楽観はしておりませんけれども、別の面で工場排水から出てまいりますPCBの濃度につきましては、私ども静岡あるいはほかの地区である期間を追って調べております。まだ完全な楽観できる結果は出ておりませんが、傾向としては排水中に含まれますPCBの濃度が減る傾向に出ておると思います。     〔山下(徳)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕 だからといって安心できる状態でございませんが、今後努力いたしまして、極力感圧紙の段階あるいはスラッジの段階、排水の段階でこの有毒なPCBが出てくることを封じ込めるように通産省といたしましても努力を続けていきたいと思っております。
  151. 岡本富夫

    岡本委員 厚生大臣、私は、各県の実態を調査したものがまだまだあるのですけれども、通産省としてノーカーボン紙を全部押さえることはなかなかむずかしかったと思うのです。  それから、通産省と厚生省の間にいろいろ取り決めをつくって、そして、こういうものはこうだ、ああいうものはこうだというふうにきちんとして、そしてつかまえて、その処理についてもどうするかというような的確な指示をしてあげないと、結局先ほど申しましたような状態になるのではないかと私は思うのです。それも、その点についてまた各地方自治体に対してその指示を出す。一番の問題は何かと申しますと、結局この処理の金銭的負担ですよ、この予算。だれが捨てたかわからぬような、あるいはまた、いろいろなのがたくさんあるわけですが、こういった後の処理、これを抜本的にどういうふうにして考えるか、ここに私は一番の問題があろうと思うのです。したがって、法改正して今後のものは何とかと言いますけれども、この法改正以前のこういったものがまだ山積しているわけですね。これをどういうように考えていくのか。  なるほどPCBの生産というものは一応とめているわけですけれども、まだ全国に約七万四、五千トンあって、そして回収したといえども、まだまだほとんど回収されてない状態であるわけですが、今後やはりまたこういう投棄の問題が起こってくる、スラッジだとかあるいはまた廃棄物の問題について、これから起こってくると私は思うのです。これについて抜本的な対策についてはどういうようにお考えになっているのか、この点を一つ聞きしておきたい。
  152. 山下眞臣

    山下政府委員 最初にちょっと触れましたように、電気PCBにつきましては電気PCB処理協会、ノーカーボン紙につきましてはノーカーボン紙処理協会という、いわばその事業者の方々が協会をつくりまして、自主的にこれの回収処理を進めていくという努力をいたしておられますので、この努力がひとつ実りあるものになるように、私どもとしても、できるだけの援助、努力をいたしていかなければならぬと思うわけでございます。  先ほど来、幾つかの事例を申されましたが、すでにもういわば不法投棄されたスラッジ処理、こういったものの問題がございます。この点につきましては、現行法上必ずしも十分な規定ではないかもしれませんので、改正案におきましては、所要の規定整備を図ったところであることは、もう御承知のとおりでございますけれども、その情状に応じまして、投棄をいたした者あるいはその投棄を委託した者等につきまして、所要の回復措置を指導し、かつまた命じていくというようなことに相なっていくことになるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  153. 岡本富夫

    岡本委員 電気機器あるいはまたノーカーボン紙の業者が協会をつくっているということですが、果たしてそんなところで、自主的にこういうものの処理あるいはまた、すでにそういう人たちが捨てた物に対する処理、こういうものが本当にできるのであろうか。やはり業者というのは、利益にならないとなかなかやりませんからね。それをやったときに、その人たちにどれだけのメリットがあるのかということも、やはり考えて指導をしなければ、あるいはまた助成をしなければ、これはすでに済んだノーカーボン紙あるいはまたスラッジ、こういうものですから、いまのような対策で果たして解決するでしょうかね。この点ひとつ自信があるのかないのか、一遍お聞きをしておきたいと思うのです。
  154. 山下眞臣

    山下政府委員 技術的にも、千二百度でございますか、これによって焼却すれば大丈夫だということもあるようでございます。これらの協会におきましても、その処理施設の設置にいま心がけておりまして、場所等の物色に現実に入っておる状態にあるようでございます。したがいまして、先ほど通産省の課長の方からもお話がございましたように、非常に少量のものが個々に紛れ込んでおるというようなものも、すべてきちっとここでやれるかということでございますれば、問題があろうかと思うのでございますが、相当量まとまって保管をされている、あるいは相当把握することができるという状態にある、こういうものにつきましては、その一元的な回収処理ということも可能であると存じますし、通産省におかれましても、その線で鋭意業界の指導に当たっておられるものと拝察をいたしておるわけでございます。
  155. 岡本富夫

    岡本委員 どうもくつの上から足をかいているような状態ですね。  そこで通産省、これは公害防止指導課長さんですか、千二百度の炉をつくって、そうしてスラッジあるいはまたノーカーボン紙を処理した場合に、空気中に散乱するPCBの問題は、要するに大気中に出る問題は、その後どういうように試験が終わったのか。兵庫県の高砂におきまして、御承知のように鐘渕化学が最初そういったPCBの処理をやっておった。ところが、その煙突から出る排煙中に出るところのPCBの散乱と申しますか、それが非常に問題になりまして、現在とめておる。その点について、たしか通産政務次官の答弁として、通産省の方で、政府の方でそういった技術開発をきちんとする、そうして適切な処理ができるようにしたいという明確な答弁を私はいただいたことがあるわけですが、その後それはどうなっていますか。
  156. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 先生御指摘のように、PCBの処理に関しましては、私ども工業技術院の公害資源研究所でいろいろな処理研究を実施したわけでございます。三つぐらい方法があったかと思いますが、その研究の中で最も有効な方法として、いま御指摘の高温燃焼というのが、千二百度以上で燃やせばPCBはほとんど分解されるという結果が出ているわけでございまして、私、聞きましたところによりますと、先生御指摘のように、煙突から飛散するPCBもないというふうに私、聞いているわけでございまして、今後PCBの原液あるいは電気関係のPCB等の処理に関しましては、この方式によりまして処理を進めたい、かように考えている次第でございます。
  157. 岡本富夫

    岡本委員 それは、たとえば全国で一カ所か二カ所つくったぐらいではとても輸送に——全国に散らばっておるわけですからね。それで、原液になったものに対しては何とか回収をしておる。しかし、それも全部ではない。同時に、故紙のようなもの、それからスラッジ、このスラッジの最後の処理はどういうふうにするのか。先ほど申しましたように、川の堤防の横に積んであったり、あるいはまた、たんぼの横に野積みにしてある。先ほど写真で見せたような姿なんですね。こういうものの処理は、それを、どこかつくったところまでわざわざ持っていくわけにもいかないでしょうが、こういうような処理はどうするような考えをしているのか。ひとつどの省からでもいいですから、通産省かな。
  158. 山下眞臣

    山下政府委員 生の姿で保管をされておりますノーカーボン紙でありますとか、あるいは電気PCB、これの処理の問題につきましては、全国に一カ所の施設で足りるかどうか、その辺、実情を踏まえて通産省ともよく相談をいたしながら、先ほどの業界等の指導に当たってまいりたいと思うわけでございます。  それらが焼却されました結果生じまするスラッジ、汚泥等の処理でございますが、これにつきましては、もう一般廃棄物と同じような、相当量のものを含んでいれば有害廃棄物ということに相なるわけでございまして、それにつきましての処理基準の面につきましては、ことし三月に環境庁において決められた線で無害化処理等の技術的方法を指導していくわけでございます。  現実の問題として、そういったものが中小企業の製紙工場あるいはそういった事業場等で汚泥が出てくる、そういったものの処理対策に対する施策はどうか、こういう趣旨の御質問かと考えるわけでございますが、これは先ほどのお話にもございましたとおり、ことに産業廃棄物処理に当たりましての中小企業、零細企業という問題は、われわれが重点を置いていくべき対象の一つであるわけでございます。これに対しまする措置といたしましては、各種の公的な融資の措置でありますとか、あるいは個々の事業者ごとではなかなか困難だと思いますので、業種別、地域別あるいは系列別というような見地からいたしまする協業化でありますとか、そういった施策を大いに指導いたしていかなければならぬと思うわけでございます。幾つかの都道府県におきましては、そういった中小零細企業を対象にいたしまして、公共関与の事業を手がけておるところもございます。そういったものにつきましても、私どもとしては、できるだけの応援をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  159. 岡本富夫

    岡本委員 先ほど事例を挙げたわけですが、事例を挙げました山梨県、これは静岡のやつですが、それから岐阜県、愛媛県、福岡県、こういう方面のPCBのスラッジの処理につきまして、これは、どこで、だれが実施するのか。先ほどお話がありましたような小規模の企業では、これはとてもできないと私は思うのです。したがって、すでにこうして置いてあるところのこういったものに対しての処理方法、これは最後の決着をどこがつけるか。国がそういった処理場をつくって、そして、そこへ処理する費用を幾らかとってやるのか、この点ひとつはっきりしておいてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  160. 山下眞臣

    山下政府委員 御指摘の数府県にそういった実情が生じておるという御指摘でございますので、私どもも、よく調査をいたしまして、それぞれの地域に応じた施策を講じていくということになろうと思うのでございます。観念的には、やはり事業者が排出者としてみずから処理するというのが法の精神でございますし、第一次的なことだろうと思うのでございますけれども、お話のございましたように、中小零細企業の場合に、個々の事業者が完全に処理するということはできないかと思います。そういった場合につきましては、事業官庁等の御協力も得ながら、そういった協業化でありますとか、その協業をして処理施設処理場等を設置いたします場合につきましての融資のお世話でございますとか、そういったことにつきまして、廃棄物処理のサイドから都道府県にもあっせん、御指導をお願いしていくということで、その地域地域の具体的な問題につきまして、その処理なり対策を講じていく、こういうことになろうかと思います。
  161. 岡本富夫

    岡本委員 一つの例をお聞きしますが、静岡の場合ですね、無許可の廃棄物処理業者が山梨県の須玉町ですか、ここに四百トンも無許可で投棄をしておる。こういうものの撤去ですね、これはどういうふうにして撤去をし、または処理をするのか。それはケース・バイ・ケースだと言いますけれども、ケース・バイ・ケースで結局何にもやらなかったという話になるわけですね。どういう考えでおるのか、これをまずひとつ聞いてみましょうか。
  162. 山下眞臣

    山下政府委員 実は、まず法律問題といたしましては、現行法におきましては、処分基準に違反した処分をいたしたものにつきましては、処理業者の場合は許可の取り消し、それから事業者の場合は処理方法改善命令というのがあるだけなんでございます。そういった点も考慮いたしまして、今度の改正案、いま御審議をいただいております法律案の中におきましては、十九条の二という規定を設けまして、基準に適合しない処分がなされた場合には、その処分をした者に対して撤去命令、是正命令を出すことができる、こういう法律上の整理をいたしております。  これが従来のと非常に違います点は、従来は処理業者なら処理業者、事業者なら事業者という法律の平面に上がってきたものにつきまして所要の措置をするという程度法律であったわけですが、今度は無許可業者であろうとも、その行為を行った者に対しては措置命令をかけることができる、こういう規定になっております。それから、その措置命令をかける対象が法改正後における基準に適合しない処分をした者について適用されることは当然でございますけれども、この法律改正施行前に行われたものについて適用できるかどうかという問題があるわけでございます。その点につきましては、法制当局とも詰めまして、その行為がなされた時点においてそのとき定められていた処分基準に違反しておった、適合していなかったということであり、かつ、現にその廃棄されておる廃棄物が環境に支障を生じ、または生ずるおそれがあるという状態にあるという場合には、過去のものについても、行為は過去であっても現に廃棄物があるのであるから、その行った者に対して措置命令をかけることができる、このような解釈をいたしておるわけでございます。  したがいまして、いま御指摘のございました静岡におきまして無許可業者が投棄をしておる、無許可業者の投棄でございますれば、恐らくその当時における処分基準にも違反した投棄になっておるだろうと思いますので、改正案におきましては、法律論といたしましては、その無許可業者を探し出しまして、その者に対してしかるべき措置命令をかけることができる、こういう法律上の措置は講ぜられることに相なります。
  163. 岡本富夫

    岡本委員 そうしたら、そういう無許可で、あるいはまた不法投棄をした業者に、その廃棄したものを全部また引き取って処分せいという命令はかけられますけれども、それを持った人は今度はどのようにしてそれを処理しますか。たとえばPCBのスラッジの入ったものについて、どういうふうに処分するのか、環境庁。
  164. 西村純幸

    西村説明員 スラッジ、いわゆる汚泥に関しましては、それにPCBが含まれておるということが明らかである場合には、溶出試験をいたしまして、それに含有せられるPCBの溶出濃度が〇・〇三ppmを超えるとか一定基準を超えるという場合には、遮断埋め立て、公共水域、地下水域と遮断された構造の埋立地に事業者が埋め立て処分をするというのが基準でございます。
  165. 岡本富夫

    岡本委員 私どもが点検いたしまして、静岡の場合がわりにそういったように遮断してやっている。ほかは何にもやっていない。先ほど申しましたように、ほかはもうほとんど土手に捨ててあったりして、雨が降ればどんどん流れる、しかも多量のPCBが含まれている。  これについて一つ一つ申し上げている時間もありませんが、私の方の点検したこの資料をお渡ししますから、環境庁、厚生省、それから通産省が集まって、そして都道府県ともよく相談をして、どういうようにしてこれをきちっとしていくのか、このおさめもやってもらいたい。  なぜかならば、このPCBは御承知のように皮膚障害、肝臓障害、催奇性、こういった慢性毒性がやはりあるわけですし、すでにこの廃棄物処理法の中の有害物質の中に入れていると思うけれども、この点についてひとつかっちりしたその後の処理を、私たちも点検をいたしたわけでありますから、やってもらいたい、これを要求いたしておきます。  時間が参りましたが、最後に大臣に。  私どもは、参議院で何点かの改正点を指摘したわけです。残念ながら皆さんの同意を得ることができなくて原案のままになったわけでありますけれども、この法律はもう完全であるという抜本的な改正まで行っていません。非常にお急ぎになっただろうと思うのです。したがって、将来われわれが指摘したような改正点について、さらに御検討をいただいて、前向きのりっぱな法案にしていただきたい、これをひとつ要求をいたしておきたいのですが、大臣の所信を承って終わりたいと思います。
  166. 田中正巳

    田中国務大臣 この法律は、御承知のとおり、昨年六価クロム問題が起こって、それを契機にして、現在の法律が非常に不備であるというようなことが言われたものでございますから、私どもとしては、取り急ぎこの不備な点を改善しようということで取り組んだわけであります。したがいまして、すべてを万全にするということになればもっともっと時間がかかるということですが、そうしたことも待てないということでやったわけでありまして、最初から私はこの委員会で、これについてはとにかくとりあえず急ぐものを立法しようということで申し上げたわけでございますので、いま岡本さんが言うとおり、さらに多くを望むといったようなことも出てくるかと思いますが、そうした趣旨でとりあえずのものを立法しようとしているわけでございます。  そういうわけで、おたくの党が参議院でいろいろと修正案等もお出しになりましたが、これらのものについて必要なものであり、できる段階になったならば取り込んでいく方向でございます。そうした趣旨でございますので、完全を望むということも大切ですが、とりあえずということも行政の上では私は必要な場面があろうと思いますので、そうしたことでどうぞ御理解を賜りたいというふうに思います。
  167. 岡本富夫

    岡本委員 もの一つ、各地方自治体で、産業廃棄物もそうでありますけれども、この廃棄物処理の問題につきましては相当な負担がかかるわけですね。したがって今後、政府の方、国の方から相当各都道府県、地方自治体に対しての助成、わけても、それと同時にあわせて小規模の事業者に対しての金融あるいはまた助成と申しますか、そういう配慮も重ねてひとつ要望しておきたいと思っておりますが、これもひとつ大臣の御所見を承っておきたい。
  168. 田中正巳

    田中国務大臣 廃棄物処理の行政を推進する場合、地方公共団体がいろいろ関与しなければならないことは事実であり、そういう仕組みにもなっているわけであります。物の性質、事業の性質によっていろいろ考えなければなるまいというふうに思います。国の助成になじむもの、あるいはその他指導になじむもの、場合によってはまた融資、起債等になじむもの等々ございますが、できるだけ本政策が円滑に実施できるよう国としてもできるだけのことはいたしていこうと思っております。
  169. 岡本富夫

    岡本委員 終わります。
  170. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 和田君。
  171. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まず大臣にお伺いをしたいのです。     〔葉梨委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕  産業廃棄物の中の特に有害な産業廃棄物が出ておるという場合に——少しやかましいですから、静かに願います。
  172. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長代理 御静粛に願います。
  173. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 産業廃棄物が出た、しかも有害な場合に、それを出した企業の責任とその地方の公共団体の責任と国のやるべきことというこの三つの問題についてどのようにお考えになっておるのか、まずお伺いしたい。
  174. 山下眞臣

    山下政府委員 有害産業廃棄物に限らず、産業廃棄物につきましては、現行法におきまして明定されておりまして、第一次的には事業者、排出者が責任を持ってこれを処理しなければならぬ、こういうふうに規定がされておりますし、これは大原則であろうと思うわけでございます。しかしながら、それを補完する措置といたしまして、処理業者に委託して処理する場合も想定いたしております。それからさらに事業者処理業者による処理によっても、なお十分でないというような場合におきまして、市町村は一般廃棄物とあわせ処理をすることができる、都道府県は広域的に処理した方がよろしいというものについて必要と認めるときはその処理を行うことができる、こういうことになっておるわけでございます。そういった見地に立ちまして、地方公共団体、都道府県は産業廃棄物の適正な処理が行われるように必要な措置を講ずべき責務を有しておるわけでございまして、国はこれらに対しまして、地方公共団体の行う責務が十分に果たされるように技術的、財政的な援助を与えるようにしなければならない、こういうことが四条の三項に決められておるわけでございます。基本的にまた第一次的には、排出事業者の責任によって処理する、これがこの法律を流れます基本精神に相なっております。
  175. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これからの私の質問の一つの中心は、いままでの産業廃棄物だけではありません、いろいろな公害といわれるものに対しての対策として、それを出した企業主の責任だということに余りとらわれて打つべき施策がおくれたり、不十分だったりするようなことがなかったとお思いになるのか、あるいはそういう点があったとお思いになるのか、その点についてお伺いいたします。
  176. 田中正巳

    田中国務大臣 いまの問題は、私は、やはり産業廃棄物は、排出した事業者の責任であるという旗印を掲げておかなければいくまいというふうに思うわけであります。それを、いかにしてこの法目的を達するために事業者が関与をするかというようなことについて、テーゼはテーゼとしながらも、これとうまくかみ合わせるところに実はこの政策の妙味があるし、また、その辺は考えねばなるまいということであります。ただいままでこの種の施策がうまくいかなかったということについては、私、率直に認めたいと思います。新しく出てきた政策でございますので、したがいまして、法律は持っておりましたものの、法律も不備であり、行政の取り組みも私は十分ではなかったと思うのであります。昨年、いろいろな社会事象が起こってまいりました。これではいけないということで、われわれは心を新たにし、これと行政的にも真摯に取り組もうと思い、また法律もこれをできるだけ完備をしようということで決意をし、いま御審議を願っているような法案を国会に提出したのも、その一端のあらわれでございます。
  177. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そのような心構えは私はいいと思うのですけれども、たとえば産業廃棄物が出た場合に、その原因がまだはっきりしないという場合もあるでしょう。あるいはまた、はっきりしておっても、それに対する対策をやるためには、その企業個々では非常に不十分にしかできない、ほとんどできないという場合もあると思います。そういうふうなことが非常に多いのがこの実態だと思うのです、産業廃棄物から受ける国民の被害という問題は。そういうふうな場合に、これは出した企業の責任だから、企業に、おまえさん何とかしなさいということをあんまり強く意識すると、行政的な施策は当然打つべきことがおくれてしまう。そして、そのおくれる度合いに応じて国民の迷惑は拡大し、継続していくということがかなり目立っておりはしないかという感じが私するのです。昨年、一昨年来の六価クロムの問題でもそういう感じがするのです。あるいは東京都のやっておる態度の中にもそういうものが見られると私は思うのです。  先ほど、寺前君がメッキ工場の問題を提起されたのですけれども、この問題なんかも私、まさしくそういう例に当たると思うのです。メッキ工場が有害な廃棄物を出した。これは大変有害なものだということはわかっている。これがわかっても、メッキ工場を法律に照らして処罰をするとか、あるいは規制をするとかいうふうなことをやっても、これを改善するために積極的に国が指導、援助あるいは補助をしてやるべきものを、そういう施策をやっていないという問題がありはしないかと思うのです。あるいは終末処理施設なんかを、国有地がその近くにあれば当然国有地を出して、ここにそういうものをつくりなさい、つくるためには国がこういう援助をしてあげようというようなことをしなければ、とてもじゃない、メッキ工場一つ一つの工場では何もできないのが実情だと思うんですね。そういう場合に、有害な産業廃棄物を出したのは、その産業の責任だというたてまえに余りこだわりますと、そういうふうなやるべき施策ができないし、それに従って国民は大変迷惑を受けるということになるのじゃないかと思うのですが、まず、そういう考え方としての問題はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  178. 田中正巳

    田中国務大臣 産業廃棄物について事業者責任という旗印をおろしてしまいますと、野放図もなくなることは、先生も御理解できるだろうと思います。ですから、これを排出した事業者がとにかくできるだけのことをやりなさいということを言っていかなければ、私はらちもなくなるだろうと思います。しかし、いま先生がおっしゃったように、さればと言ってこれ一本やりでは行政はうまくいかないということもございますので、そうしたことについて公共がいろいろ関与したり、あるいはお手伝いをしたりすることについては怠ってはいけない。なかんずく中小企業などの場合には、そうした政策要請がかなりあるものというふうに思いますが、そうしたことのかみ合わせを上手にやるというところではなかろうかと私は思います。
  179. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大臣、言葉を返す意味じゃないですけれども、行政がお手伝いをするという感じでなくて、たとえばメッキ工場のような中小企業の圧倒的に多いようなところ、しかも非常に有害なものを出すというところでは、行政が積極的に指導していかなければならない。そして、こういう土地があるからここへ処理場をつくりなさいというような形で指導していかなければならない。それにかかった費用は、その企業からできるだけ出させるというような、そういう積極性がないと、メッキ工場のような中小企業、これに類するものは非常に多いと思うのですが、それに対しての適切な処理はなかなかとれないのじゃないか。そういうところを余り——企業責任ということも、これは大義名分です、これを外してはいけません。いけませんけれども、これに余りとらわれてしまうと、そして国が早目に出かけてくると、国は企業の味方ばかりしているのだなんてとんでもない変な非難も出てくることがある。そういうことがいやさにそういうことをかげんするということはいけない段階に来ていると私は思うんですよ。そういう点についての御所見をひとつお伺いしたい。
  180. 田中正巳

    田中国務大臣 いまお世話申し上げるというのは、指導ということを含めて俗に言ったのですが、指導とか助成とかお世話とか、いろいろな面でそういったようなことについて公共がいろいろ手を出すといったようなことも考えなければなるまい。ただ、排出事業者の責任であるということのみを言っておったのでは、行政はうまくいかないということは、よくわれわれとしても心得てやる所存でございます。
  181. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 具体的な例を二つほど聞きたいと思うのですが、数年前に静岡県の例の製紙工場でヘドロを出したのが大問題になった。このとき国と地方庁がどのような処置をなさったか、大づかみで結構ですからひとつお伺いしておきたい。そう厳密でなくていいです。
  182. 西村純幸

    西村説明員 田子の浦港とその周辺で問題になったわけでございますが、その周辺に多数の故紙再生業が集中しておりまして、有機ヘドロがその港湾とその周辺に堆積しておる、悪臭も発生いたしますし、大きな問題になりまして、静岡県は港湾公害防止事業として、この有機ヘドロを四十六年から四十九年五月にかけて約百三十万立米を除去いたしました。除去後の形質を後ほど検査いたしましたところ、なおかなり高濃度のPCBを含んでおりまして、五十年に環境庁の方で設定いたしました暫定除去基準値から見ると、PCB汚染対策としてさらに除去等の対策が必要であると判断いたしまして、現在静岡県において詳細な調査を実施しておるところでございまして、この結果をもとに除去計画を県において検討させることにしておりますが、このように県において除去することを国で指導しておるというのが実情でございます。
  183. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 国としてどういう対策をおとりになったのですか。たとえばこれを取り上げて国立試験所でこれを研究してというふうなことでもいいのです。
  184. 西村純幸

    西村説明員 先ほどもちょっと申しましたけれども、まず除去すべきか否か、その判定の基準、そのようなものは国で設定して、それで指導しておりますし、そのほか、除去工事の際の二次公害の発生の防止その他、いろいろ技術面についての指導はいたしております。
  185. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最近私は、初台にある国立工業試験所ですか、あそこへ行きまして、そしていろいろな設備を視察しておったのですが、あそこではヘドロを分解して全くきれいな水とブロックになった物質に分ける作業に完全に成功しておる。こういうふうなことを国がかなり迅速にやって、そういう開発までしておるということですね。  私、いまこの例を申し上げているのは、あの製紙工場のヘドロが大問題になったときの初期の状態、日本の公害、ああいう産業廃棄物の問題にとっては非常に初期の状態、そういう初期の状態では自治体も政府も関係機関がかなり積極的な態度をとって、製紙工場に任せてはとてもできそうもないことをどんどんとやっていったんですね。ところがそのうちに、問題になると、その出した企業が責任を持つべきだという当然の議論が出てきた。しかし余りこれにとらわれて、国とか地方公共団体が積極的にやるべきことが鈍ってしまったという感じを持つのです、その後現在までのいろいろな有害廃棄物処理等について。それは国として怠けるという意味ではなくて、企業のやるべきことを国が出ていくとあらぬ誤解を受けたり何かするというようなことを、恐らく少しは考えておったかしらぬけれども、とにかく国と地方公共団体が出張っていって、大変な迷惑になる事態を自分が積極的に先頭に立って打開するという努力が非常に欠けている、そういう感じを受けるのですけれども、いかがでしょう。
  186. 田中正巳

    田中国務大臣 確かに先生のおっしゃるような傾向がなきにしもあらずだと思います。しかし排出業者みずからの手によってやる責任があるのだということは、先生御存じだと思いますが、これは当然のことでございますし、また国際的にもOECDのプリンシプルもそうなっているわけであります。しかし、さればと言って、国がこういうものに手を染めたのじゃ痛くもない腹を探られる。世間にはときどきこういう議論があるんですね、本当の話。そうしたあつものにこりてなますを吹くような姿では行政はうまくいかない。ですから、国としてやるべき仕事といいますかやり方、やる範囲というものは限定されるべきだ。国として最もあるべき努力の姿というものはどういうものであるか、そういうものを峻別して、そういうものの手を通じてこういう問題の処理に入っていくということがいいのではないか。  それについては、いろいろなやり方があろうと思います。また仕事の内容によってあるものは監督をし、あるものは試験研究をしてやる、あるものは助成をしてやる、あるものは融質をしてやる、また、あるものはいろいろと行政上のめんどうを見てやる、いろいろな形のものがあると思いますが、要は、やはり事業者の責任ということに焦点を合わせ、それを補完する、あるいはそれを助長するというようなことでそれぞれの手法を考えるのが正しいのじゃないか。何から何まですべて国が引き取るというようなやり方は、いかなる場合でもよくないと思いますが、そのことを余り強調すると、先生のおっしゃるようなことにもなるということの反省は常に脳裏に置いてこの問題と取り組むべきものだと思います。
  187. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題についての参議院の審議の結果、附帯決議が行われておりますけれども、なかなか大事な決議がいろいろとあるようでございますが、その第一に「産業廃棄物の排出および処理に関し、その実態を十分掌握し、生活環境の保全に万全を期するとともに、その指導、監視に必要な職員の充実について努力すること。」つまり、これは産業廃棄物の実態についての情報をしっかりと収集し、確認をして、いろいろ出てきておる生活環境を破壊する問題について、その保全のために努力をする、と同時に指導して、人間を配置するということなんですね。つまり、このことなんです、私が特に国とか地方公共団体が積極的に出張っていかなければならないと言っていることは。この問題を処理するために、国あるいは地方公共団体から一々役人が出張っていくということは適当でないと思うのです。つまり、こういう問題を処理するための特別の機関、先ほど岡本君が公害処理の株式会社とかなんとかいうあれがあったとおっしゃったのですけれども、情報を適確に処理して集めて、それに対する第一次的な処理をして今後の指導をする、そのような企画あるいは指導の一つの中心機関が今後は必要になってくるのじゃないかという感じがするのです。いますぐそれをやれというわけじゃないのです。いまはこの法律に盛られたいろいろなこと、不十分であってもやることはだんだんにやっていくということが必要ですけれども、将来の見通しとして、これは複雑多岐ですから、そして今後、いままでいいと思っていたもので悪くなって出てくるというふうなものが非常に多いですから、そういう問題を含めて正確な情報を整理して、それに対する一次的な対策を指導するということですね。その費用は当該産業から取ればいいのです。国は当然そういうふうな形の補助をすべきです。あるいは三分の一なり半分、あるいは公共団体、国が合わせて半分くらいは当然出すべきですね。そういうふうな考え方で総合的な中心機関、参謀本部的な、立案じゃなくて実施もする機関をぜひとも、大臣、この問題は今後の起こってくる予想も考えながら、そういう公社的なものを考える必要があると私は思うのですけれども、いかがでしょうか、将来の問題として。
  188. 田中正巳

    田中国務大臣 いま先生のおっしゃったような、そしてまた附帯決議の第一項にあるようなものは、私は、まさしく行政の範疇に属するものだろうと思います。そういうことでございますので、この法律にもそうしたことに対応するような、不完全ではあろうと思いますが、条項も入っておりますし、また人も、必要な職員の確保についても、先ほど御答弁申し上げたとおり、今後努力をしていく所存でございます。  問題は、やはり私は地方における実態だろうと思います。これについては、先ごろ来いろいろお話がございましたが、地方においての本政策を円滑にやるための一つの受け皿というものが不十分であろうということについては、私も首肯するにやぶさかではございません。     〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕  そうした意味で、各地方においていろいろとできてまいっておりまする第三セクターのようなものについては、これは助成をし、拡充強化していくという方向がよろしいのではなかろうか。やはり全般をスーパバイズするのが行政の仕事だろうと私は思う。中央にまで公社方式のようなものをつくったのでは、どうも焦点がぼけやしないかということでございますので、私は、ただいまは、いま申し上げたようなことで考えておりますが、先生の御説についても検討することはやぶさかではございません。
  189. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私がたとえば公社的なものと申し上げたのは、行政が直接出張ってきますと、やはり企業の責任という問題とのこんがらがりが出てくることが非常に多いんですね。といって、個個の企業に任せることなしに、総合的にこれをキャッチして、第一次的な対策をしていくという機能が必要なわけですね。これは役所がすぐやるというわけにはなかなかいかない問題が多いと私は思うのです。そのことをぜひとも御検討をいただきたいと思います。これは大体おわかりいただけますね。ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  190. 田中正巳

    田中国務大臣 これは先生、すべて国が直接やるわけではないので、地方公共団体を通じてやる行政でもございますので、したがって、そうした面で行政の場がこれに対応して十分やっていくということで私は適当であると思いますが、しかし先生のおっしゃるような点についても、メリットも全然ないわけじゃございません。そういう点については、今後研究はいたします。
  191. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それから、この附帯決議の第二項、第三項に載せてある項目ですけれども、先ほど私、ヘドロの問題についての工業試験所の例を申し上げたのですが、あれも一種のプロジェクトチームのような形で成功している例なんですね。あれは非常にりっぱなものです。初台にありますね。つまり「産業廃棄物の減量化、無害化、安定化を図るための中間処理技術の開発」その次の問題は「廃棄物の再資源化及び有効利用」についての技術その他の方法の開発。つまり厚生大臣、この問題は、いまの六価クロムの問題もそうでしょうし、あるいは水銀、つまりメッキ等の問題もそうですけれども、重要な問題については、素早くプロジェクトチームを編成して——これは厚生省だけじゃ無論ないのです。これは科学技術庁も通産省も農林省も、各関係の機関が必要ですけれども、技術者も必要ですけれども、素早くそういうものを組織して、起こっておる問題を内容的に解決する体制をとっていく、これが必要だと思うのです。  いま幾つになるか、ここで挙げることもできませんけれども、六つや七つはあると思うのです。そういう問題について、ひとつ行政として積極的な姿勢をとって、この問題については、こういうあれをつくってやっていくのだという構えが必要だと思うのですけれども、いかがでしょう。
  192. 田中正巳

    田中国務大臣 この法律では、出てきた産業廃棄物を適当に処理をするということについて、社会に弊害を流さないようにというのがこの法律の趣旨でございますが、私は、この附帯決議の二項、三項に書かれていることは、きわめて大事なことで、廃棄物処理行政からも、また資源利用という面からも大事なことだと思うのでありまして、先生のおっしゃるとおり、政府といたしましても、こうしたことの研究開発に努める所存でございますし、また民間にもそうした団体があるようでございますので、そうしたところを助成する、官民一体になって今後この方向にとり進めるべきものであるというふうに思います。
  193. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これで終わりますけれども、特に私、きょう指摘したかったことは、産業廃棄物だけではありません、これは原子力発電の問題でもそうですし、あるいは薬品の公害と言われる問題でも、添加物の問題でもそうです。必要でないものであれば、こんなもの、会社なんかつぶれてもいいのです。そういう企業はなくてもいいのです。しかし大部分は国民の生活にとって必要なものです。そういうことですから、こういう問題をどのようにすれば国民の害を少なく、あるいはなくして、そして、この会社がうまくいくようにということは、個々の会社ではできませんよ、そういう問題は。これは政府なり地方公共団体が積極的に出張っていって指導をするということが必要だと思うのです。そのことをひとつ強調したいと思いまして、御質問申したわけです。  それで、具体的にたとえばメッキ工場のような場合には、先ほど資金の融資はするけれども補助金は出さないというお考えを出されておりましたけれども、補助金を出してもいいんですよ、あるいは補助金の形でなくても、他のところから金を取ってきて、そういうものをつくる場合にはやってもいいのです。そういうところに当面起こっている緊急な事態を解決するための行政の責任というものを、特にこの問題についてはお考えいただきたい。  私、申し上げるのは、断りますけれども、各企業企業の責任を軽視するわけではありません、ありませんけれども、それを余りやかましく言っていると、やるべきことがやられないようなおそれがあるということを恐れるがために申し上げておるわけでございまして、どうかひとつよろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。
  194. 熊谷義雄

    熊谷委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  195. 熊谷義雄

    熊谷委員長 ただいままでに委員長の手元に石母田達君、田中美智子君及び寺前巖君から本案に対する修正案が提出されております。  その趣旨の説明を求めます。田中美智子君。
  196. 田中美智子

    田中(美)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました廃棄物処理改正案に対する修正案について、その提案理由を説明させていただきます。  すでに労災補償を行った死亡者二十一名を含む多数の被害者を出した六価クロム事件を契機に、産業廃棄物処理の危険な実態が明るみに出て、廃棄物処理法の抜本的改正を求める世論が急速に盛り上がったのであります。大企業の利潤第一、健康無視の悪質な行為には、ほとんどざる法に近い現行法の不備は、日本共産党が法制定時から一貫して指摘してきたところであります。  政府が今国会に提出している廃棄物処理改正案は、世論に押されて、不法投棄の原状回復命令の採用など、一定の規制の強化を図ったものではありますが、現行法の根本的弱点である事業者の事故処理責任の不徹底や産業廃棄物の範囲のきわめて狭い限定にはほとんど手をつけておらず、また東京のごみ戦争を初め、各地で深刻化している一般廃棄物処理の困難打開のための対策はおざなりにされているという不十分なものであります。  このような政府案の不備を補い、国民の期待にこたえ、当面する廃棄物処理問題の真に有効な解決を図ることを目的としたものであります。  以上が本修正案の提案理由であります。  次に、その概要を申し上げます。  第一に、産業廃棄物に対する規制の強化を行い、産業廃棄物の広域的処理に関する国の責務や事業主の処理責任を明確にいたしました。また処理業者が不法投棄を行った場合に、委託した事業者に対しても、原状回復命令等を出せることなどを定めました。  第二に、中小企業に対する援助につきましては、国及び都道府県は、中小企業が行う廃棄物処理に対し、財政上、技術上の援助を行うとともに、最終処分地の確保について協力する義務を負うこととしたのであります。  第三に、一般廃棄物改善につきましては、市町村負担を軽減するため、処理施設等に対する国庫補助率を三分の二以内に引き上げること、最終処分地の取得に対する国庫補助制度を新設するとともに、不法投棄者が地方自治体である場合でも、原状回復命令が出せることといたしました。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  以上をもって私の提案理由説明とさせていただきます。
  197. 熊谷義雄

    熊谷委員長 この際、修正案について内閣の意見があればお述べ願います。田中厚生大臣。
  198. 田中正巳

    田中国務大臣 ただいま御提案のありました修正案につきましては、政府といたしましては反対でございます。     —————————————
  199. 熊谷義雄

    熊谷委員長 これより本案並びにこれに対する修正案を討論に付します。討論の申し出がありますので、これを許します。大橋敏雄君。
  200. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は、公明党を代表して、廃棄物及び清掃に関する法律案及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対し、若干の意見を述べ、賛成の意を表明するものであります。  わが国の一般廃棄物及び産業廃棄物の発生量は、現在、年間五億トンとも七億トンとも言われる膨大な量に達しております。また石油化学工業を中心とした近代産業の目覚ましい発展に伴って、有害な化学物質や重金属を含む多種多様な廃棄物が生み出され、廃棄物処理上、重大かつ深刻な問題が数多く生じていることは御承知のとおりであります。処理施設の未整備処理技術の未開発、最終処分地の絶対的不足、また事業者処理業者の不法投棄や不適正な処理の横行、それらに伴う環境汚染の多発、さらに処理施設の建設をめぐる地元住民とのトラブル等々、いずれも解決困難な問題が山積しているのが現状であります。  このような現状は、これまでのように廃棄物を収集し、中間処理し、埋め立てや海洋投棄をするといった排出された廃棄物を単に後始末するだけの現行の処理体系と方法によっては解決できないことは言うまでもありません。根本的な打開を図るためには、廃棄物の排出をより少なくする産業社会構造への転換や製品商品構造の改善などが必要でありますが、より緊急の策として、排出された廃棄物を再生利用または再資源化していく対策が強力に推進されていかねばなりません。  しかるに、残念ながら政府案はかような観点を踏まえた改正の域には至っていないのであります。さらに、これまでの処理体系と方法を踏まえた事業者処理業者の処理責任の強化や処理施設に対する規制、管理の強化を図っており、さらに現在廃棄物処理の上で地方公共団体に強いられている過重な負担を軽減するための国の役割りと責任の強化が何ら明確にされておりません。その意味から政府案は抜本的に改める必要があると考え、わが党は参議院において修正案を提出したのであります。  その概要は、現状では廃棄物処理が単に中間処理を施して埋め立てや海洋投棄など、環境還元的処理にゆだねられている現状を改めるため、地方公共団体の責務として廃棄物の再生利用の明記、これに対する財政的、技術的援助についての国の責務を義務規定とする、さらに市町村は一般廃棄物処理計画とあわせて廃棄物再生利用計画を定めることができること、市町村長は適正処理困難物の製造、販売等の事業を行う者に対し、回収等の勧告をすることができるものとすること、また一定の事業者産業廃棄物処理状況についてその処理状況を報告すること、事業者産業廃棄物処理を他人に委託する場合は、処理業として許可を受けた者でなければ委託してはならない、さらに受託者に対して産業廃棄物の組成物質、有害性等を告知すること、市町村が設置する一般廃棄物再生利用施設の設置に要する費用について国庫補助並びに国が資金の融通、あっせん等に努めるものとすること等々であります。  以上のとおりであり、当面する廃棄物処理問題の解決を図るためには、これらの処理を法制化することが緊要でありますが、一方、政府提出案が現行法よりは現状を改善するものであることは認められるところでありますが、今後政府において、参議院提出のわが党改正案の主張する点を十分しんしゃくして一層の改善を早期に実施することを強く要望して賛成の討論を終わるものであります。(拍手)
  201. 熊谷義雄

    熊谷委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  202. 熊谷義雄

    熊谷委員長 廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、石母田達君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 熊谷義雄

    熊谷委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 熊谷義雄

    熊谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  205. 熊谷義雄

    熊谷委員長 この際、住栄作君、村山富市君、石母田達君、大橋敏雄君及び和田耕作君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の説明を聴取いたします。住栄作君。
  206. 住栄作

    ○住委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。  案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。 廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法施行に当たり、次の事項につき格段の努力を払うべきである。 一 産業廃棄物に関する処理基準、構造基準、維持管理基準、有害産業廃棄物処理委託基準等の制定、改正及びこれらの運用に当たつては、産業廃棄物の不適正な処理による環境への悪影響を防止する見地にたつて、万全の配慮を加えること。 二 産業廃棄物の適正な処理に資するため、無害化、減量化、安定化を図り、資源化、再利用を促進するための技術開発に努めること。 三 産業廃棄物処理に関し、事業者処理責任の一層の徹底を図り、あわせて中小零細企業に対しては、産業廃棄物の共同処理の推進、その他の援助を強化するとともに、産業廃棄物の最終処分地の確保を図るため、地元対策を含め用地のあつせんを行う等その支援対策を積極的に講ずること。また、市町村による一般廃棄物の最終処分地の確保が著しく困難な場合について、国及び都道府県がその用地の確保に協力すること。 四 産業廃棄物の資源化再利用を促進することとし、このために必要な回収体制の整備、再生品の品質の規格化、市場の確保対策等に積極的に取り組むこと。 五 事業者に対し、廃棄物となつた場合に適正な処理が困難となる製品、容器等の製造、加工、販売等を行わないよう指導を徹底するとともに、適正な処理が困難な製品、容器等については、必要に応じこれを回収、処理させるよう指導すること。 六 産業廃棄物処理行政を円滑に推進するため、産業廃棄物の排出及び処理の実態を十分に把握し、指導監視に必要な職員の充実に努めるとともに、国及び地方を通じ、関係行政機関の連携を密にし、行政の一体的運用を確保すること。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  207. 熊谷義雄

    熊谷委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 熊谷義雄

    熊谷委員長 起立総員。よって、本案については、住栄作君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田中厚生大臣。
  209. 田中正巳

    田中国務大臣 ただいま御議決になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  210. 熊谷義雄

    熊谷委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 熊谷義雄

    熊谷委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  212. 熊谷義雄

    熊谷委員長 次に、クリーニング業法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件について橋本龍太郎君から発言を求められておりますので、これを許します。橋本龍太郎君。
  213. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党委員の協議に基づく試案がございます。各委員のお手元に配付してありますが、四党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。  近年クリーニング所数の増加に伴って、クリーニング所で扱う洗たく物の量は著しく増加していると思われ、かつ、その内容も複雑多岐なものとなってきております。  クリーニング業法第三条第三項において、営業者が公衆衛生上講ずべき措置が定められておりますが、このような事情から、それらの措置の確保が必ずしも十分に行われないおそれもあるやに聞いております。  本案は、そのような情勢を背景としまして、クリーニング所の従事者の当該業務に関する知識及び技能を高めるために講ずべき措置に関し、必要に応じて都道府県が条例で定めることができるものとしたものであります。  この際、私は四党を代表いたしまして動議を提出したいと思います。  お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  214. 熊谷義雄

    熊谷委員長 ただいまの橋本龍太郎君、枝村要作君、大橋敏雄君及び和田耕作君の動議について御発言はございませんか。——御発言もございませんので、本動議について採決いたします。  橋本龍太郎君外三名提出の動議のごとく、お手元に配付いたしました草案を成案とし、これを本委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  215. 熊谷義雄

    熊谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 熊谷義雄

    熊谷委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、明十九日水曜日午後二時十五分理事会、二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会