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八木政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、一部
負担のあり方につきまして、いろいろな御
意見なり御議論があるところでございます。確かに先生からお話しございましたように、本来保険料で支払っているのだから、それ以外の一部
負担は要らないのじゃないかというような御議論もあるわけでございます。この問題につきましては、社会保険審議会等におきましても、ずいぶん議論がされたわけでございます。
そこで、一部
負担の基本的な性格なりあり方につきましては、いろいろなお立場なりあるいはいろいろな角度から御
意見というのが分かれたわけでございます。
そこで、一部
負担のあります理由として従来から言われております考え方といたしましては、
医療を受ける方と受けない方というものにつきまして、
給付を受ける者との何らかの均衡という面からこういうような
制度が必要ではないか、あるいは乱受診を防止するという意味でこういうようなものも必要ではないか、あるいは
保険財政の見地からも必要ではないか、さらに健康に対する自己責任というものを認識していただくというような面から一部
負担の機能なり役割りというものはあるのではないかというような、一部
負担につきましての御議論等もあるわけでございます。
一方、一部
負担に対します反対論につきましては、ただいま先生からお話しございました御議論もあります。あるいは受診抑制につながり、早期発見、早期
治療を妨げるのじゃないかというような面からの反対の御議論もあるわけでございます。
そういうようなことで、社会保険審議会でもいろいろ御議論があったわけでございますけれども、いまの段階におきましては、この問題につきましては、なかなか
意見の一致を見るに至らないというようなことでございますし、私どもも一部
負担のあり方なり基本的な性格という問題につきましては、今後とも真剣に考えていかなければならない問題であるというふうに十分認識しているわけでございます。
そこで、今回御提案申し上げております一部
負担額の改定の問題でございますが、これにつきましては、そういうような基本的な見解なり
意見につきまして、いろいろこれからの問題であるというようなことで、基本的な性格論をどうするかということではなしに、
昭和四十二年に現在の額が設定されているわけでございますが、
昭和四十二年以来今日までの経済状況等を考えました場合に、所得の面におきまして、あるいは
医療費の面におきまして、あるいは
標準報酬の面におきまして、大体三倍以上というような率になっているわけでございまして、そういうような各種の経済指標等のその後の動き等を考えました場合に、四十二年当時ございました一部
負担というものがあるわけでございますので、今日の段階におきまして、経済指標等の動きに見合いましたスライド的な内容であるということであれば、いろいろ御
意見のあるのは十分承知している次第でございますが、国民の皆様なりに御理解、御納得いただけるのではないか。しかも
医療保険の財政というものが非常に悪化しているわけでございますし、四十八年以後の
経済情勢に対応するという意味で
最小限度のスライド的な
改正をお願いしたいというのが真意でございます。