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田中国務大臣 ただいま議題となりました
健康保険法等の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
医療保険
制度につきましては、
昭和四十八年の改正により大幅な給付改善が図られるとともに、保険財政の健全化のための諸施策が講じられたところであります。
しかし、御
承知のとおり、その後のわが国における
社会経済情勢の変動はまことに著しいものがあり、医療保険におきましても財政状況が再び悪化の様相を呈する等その影響を看過することができなくなってきております。医療保険
制度の健全な維持発展を図っていくためには、この際、速やかに適切な対応策を講じてゆくことがぜひとも必要であります。
今回の改正は、このような事情を考慮し、経済情勢の変動等に応じて手直しを行う必要がある事項を中心に最小限のスライド的措置を講ずるものであり、標準報酬及び一部負担金について必要な改正を行うとともに、現金給付の
水準を実情に合わせて改善するほか、任意継続被保険者
制度の拡充を図ることとした次第であります。
以下、この
法律の内容について概略を御説明申し上げます。
まず、健康保険法の改正について申し上げます。
第一は、現金給付の改善でありまして、
本人分娩費の
最低保障額及び配偶者分娩費の額を
現行六万円から十万円に引上げるとともに、
本人埋葬料の
最低保障額及び家族埋葬料の額につきましても、
現行三万円から五万円に引き上げることといたしております。
第二は、標準報酬の上下限の改定でありまして、最近における給与の実態にかんがみ、被保険者の保険料負担の公平を図る見地から標準報酬の上限を
現行二十万円から三十二万円に、下限を二万円から三万円に改定するものであります。
第三は、一部負担金に関する改正でありまして、その額は
昭和四十二年以来据え置かれておりますが、その間医療費、
所得等が大幅に伸びていることにかんがみ、初診時一部負担金の額を
現行二百円から六百円に、入院時一部負担金の額を
現行一日当り六十円から二百円に改定するとともに、入院時一部負担金を支払うべき期間を一カ月から六カ月とすることといたしております。なお、継続療養給付を受ける者の入院時一部負担金の額は、一日当り百円とすることといたしております。
第四は、任意継続被保険者
制度の拡充でありまして、この
制度を高齢退職者等にも利用しやすいものとするため、その
制度の拡充を図ることとしております。
まず、第一点は、任意継続被保険者
制度に加入できる期間を
現行一年から二年に延長することであります。
第二点は、任意継続被保険者の標準報酬をその者の保険者の管掌する全被保険者の標準報酬月額の平均額またはその者の退職時の標準報酬月額のいずれか低い額とすることにより、保険料負担の軽減を図ることであります。
第三点は、任意継続被保険者が加入期間中にかかった疾病について、一定の条件のもとに資格喪失後も継続して給付が受けられるようにすることであります。
第四点は、現在政府管掌健康保険においてのみ実施している任意継続被保険者
制度を健康保険組合においても実施することであります。
次に、船員保険法の改正について申し上げます。
第一に現金給付の改善でありますが、健康保険と同様に分娩費の
最低保障額及び配偶者分娩費の額を十万円に、葬祭料の
最低保障額及び家族葬祭料の額を五万円に引き上げることとしております。
第二に、標準報酬の上下限の改定でありますが、上限を
現行二十万円から三十四万円に、下限を
現行二万四千円から三万六千円に改めることとしております。
第三に、一部負担金につきましては、初診時一部負担金の額を健康保険と同様に
現行二百円から六百円に改定することとしております。
第四に、任意継続被保険者
制度の導入についてでありますが、健康保険における任意継続被保険者
制度の拡充と相まって、船員保険にも健康保険に準じた
制度を新たに設けることとしております。
また、
社会保険診療報酬支払基金法につきましては、基金の業務の範囲を改める等所要の改正を行うこととしております。
なお、この
法律の実施時期につきましては、本年七月一日からとしておりますが、船員保険法の標準報酬に係る改正につきましては、本年八月一日から実施することとし、また、
社会保険診療報酬支払基金法の改正は、公布の日からとしております。
以上が、この
法律案を提出する理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
ただいま議題となりました
予防接種法及び
結核予防法の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
予防接種法及び
結核予防法による予防接種につきましては、これまで伝染病の発生及び蔓延の予防に所期の効果を上げてきたところでありますが、今回、最近における伝染病の発生状況、医学医術の進歩、
生活環境の改善等にかんがみ、
予防接種法による予防接種の対象疾病、実施方法等を改めるとともに、
予防接種法及び
結核予防法による予防接種を受けたことによる健康被害について、新たに
法律上の救済
制度を設けようとするものであります。
以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
まず、
予防接種法の一部改正について申し上げます。
第一に、
予防接種法の対象疾病について、腸チフス、パラチフス、発疹チフス及びペストを削除するとともに、新たに麻疹、風疹、
日本脳炎及び特に必要があると認められる疾病で政令で定めるものを加えることとしております。また、定期の予防接種を行う疾病及びその定期を政令で定めるものとしております。
第二に、臨時の予防接種について、
現行の臨時の予防接種を、緊急の必要がある場合に行うものとそれ以外のものとに区分し、緊急の必要がある場合に行う臨時の予防接種の対象疾病は、痘瘡、コレラ及び
厚生大臣が定める疾病とすることとしております。
第三に、予防接種を受ける義務の違反については、緊急の必要がある場合に行う臨時の予防接種にのみ罰則を設けることとしております。
第四に、予防接種による健康被害の救済に関する措置でありますが、予防接種を受けたことにより、疾病にかかり、廃疾となり、または死亡した場合には、市町村長は、医療費、医療手当、障害児養育
年金、障害
年金、死亡一時金及び葬祭料を
支給することとしており、その額、
支給方法等については、政令で定めることとしております。また、これらの給付に要する
費用については、市町村及び都道府県がそれぞれ四分の一、国が二分の一を負担することとしております。
次に、
結核予防法の一部改正についてでありますが、
結核予防法による予防接種を受けたことにより、疾病にかかり、廃疾となり、または死亡した場合には、市町村長は、
予防接種法の例により給付を行うこととしております。
次に、従前の予防接種による健康被害の救済に関する措置についてでありますが、健康被害の救済に関する規定の施行日前に
予防接種法、
結核予防法等により行われた予防接種を受けたことにより、同日以後に疾病にかかり、もしくは廃疾となっている場合または死亡した場合には、市町村長は、
予防接種法による給付に準ずる給付を行なうこととしております。
最後に、実施の時期については、予防接種に関する改正は公布の日から施行することとしておりますが、予防接種による健康被害の救済に関する措置の創設は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この
法律案の提出理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
ただいま議題となりました
廃棄物の
処理及び
清掃に関する
法律及び
廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する
法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
廃棄物の適正な
処理は、
国民の健康の保護と
生活環境の保全のために必要欠くべからざるものであり、このため
昭和四十五年には
廃棄物の
処理及び
清掃に関する
法律を制定し、新たに
廃棄物の
処理体系の整備を図ったところでありますが、その後における産業
廃棄物の
処理の実態は必ずしも適正に行われているとは言いがたい状況にあり、産業
廃棄物の
処理に関する事業者の責務の確実な履行を確保するための措置を整備する等、
廃棄物の適正な
処理を図るための
制度の改善を行うことが必要となっております。
また、
廃棄物の適正な
処理を図るため、引き続き
廃棄物処理施設の緊急かつ計画的な整備を強力に進めていくことが必要であります。
このような諸般の情勢にかんがみ、産業
廃棄物の
処理に関する規制及び監督の強化を中心に、
廃棄物の
処理に関し当面速やかに改善措置を講ずべき事項について必要な
制度の改善を行うとともに、
現行の
廃棄物処理施設整備計画に引き続き、
昭和五十五年度までの
廃棄物処理施設整備計画を策定することとした次第であります。
以下、この
法律案の内容について、その要旨を御説明申し上げます。
まず、
廃棄物の
処理及び
清掃に関する
法律の一部改正について申し上げます。
第一に、事業者がその産業
廃棄物の
処理を他人に委託する場合には一定の基準に従わなければならないこととするとともに、有害な産業
廃棄物を生ずる一定の施設が設置されている事業場または一定の産業
廃棄物処理施設を設置する事業場ごとに、産業
廃棄物の適正な
処理を行わせるため、産業
廃棄物処理責任者を置かなければならないこととしております。
第二に、産業
廃棄物処理業、一般
廃棄物処理業等について、その許可
制度の整備を図るとともに、産業
廃棄物処理業の許可を受けた者は、一定の場合を除き、その
処理を他人に委託してはならないものとしております。
第三に、新たに、
廃棄物の最終処分場で一定のものを届け出を要する
廃棄物処理施設とするとともに、都道府県知事は、
廃棄物処理施設の設置等の届け出があった場合において、当該
廃棄物処理施設が一定の基準に適合していないと認めるときは、その計画の変更等を命ずることができることとし、さらに設置後において基準に適合しなくなった場合にも必要な改善を命ずることができることとしております。
第四に、事業者及び産業
廃棄物処理業者等は、それぞれ帳簿を備え、
廃棄物の
処理に関し所要の事項を記載し、これを保存しなければならないこととし、
廃棄物の
処理の実態の把握に資することとしております。
第五に、都道府県知事または市町村長は、
廃棄物の処分基準に適合しない処分によって一
生活環境の保全上重大な支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められる場合に、その処分を行った者に対してその支障を防除するための所要の措置を命ずることができることとしております。また、産業
廃棄物に関しては、委託基準に違反した委託によりその処分が行われたときは、当該委託者に対しても同様の措置を命ずることができることとしております。
第六に、有害な産業
廃棄物等、環境保全上特に問題となる産業
廃棄物の投棄禁止に違反した者に対する罰則を強化し、委託基準に違反して産業
廃棄物の
処理を委託した者に対し罰則を適用することとするほか、罰則について所要の整備を行うことといたしております。
次に、
廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部改正についてでありますが、
厚生大臣は、
昭和五十五年度までの
廃棄物処理施設整備計画を作成し、閣議の決定を求めなければならないこととしております。
なお、
廃棄物の
処理及び
清掃に関する
法律の一部改正は、公布の日から起算して九カ月を超えない範囲において政令で定める日から、
廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部改正は公布の日から施行することといたしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。