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藤繩政府委員 先ほども申し上げましたが、長期傷病
補償給付、今度の
改正で傷病
補償年金でございますが、これは先生よく御承知のようにほかの
制度にはないものでございまして、通常でございますと療養
補償、休業
補償、それで治れば障害
補償、障害年金というものが出ますけれども、長期にわたって治らない状態に対してどういう
給付をするかということは、従来は打切
補償であったものを、それではいけないということで三十五年から
労災においてこういう独特の領域を
確立してきたと思います。その間に、考え方として年金ということにしましたけれども、これは一体障害年金の系統でものを考えるのか、あるいは障害
補償の考え方でこれを考えていくのか、あるいは休業
補償の延長線上でものを考えるのかというような点についても、いままでの沿革を見ますといろんなものの考え方の間を動揺しておったようなところがあろうかと思います。結局は、その都度の各障害
補償、休業
補償とのバランスをとりながらこの長期傷病
補償給付の
水準というものが決まってきたというのが
実情であろうと思うのでございます。
そこで、今回
基本的にこの
制度をどうするかという議論が
審議会でなされまして、やはりこういった長期のなかなか治りにくいという者に対する年金というものは、どちらかといえばやはり障害
補償という考え方に立脚すべきではなかろうか、しかも、この前の
改正で障害
補償年金が大変
改善されましたからそれとのバランスも実際問題として考慮する必要があるというようなことから、先ほど申し上げましたような一級、二級、三級というようなところの
水準を割り出したわけでございます。
そこで、従来は通達で
一つの基準というものをつくりまして長期傷病
補償給付に移行してまいりましたが、いまお尋ねの
根幹の問題でございますけれども、これは一言で申し上げますと、障害
補償のランキングとは一応
関係がないというふうに御
理解をいただきたいと思います。と言いますのは、従来も療養
補償、休業
補償ということでまいりました。八〇%
補償を受けておりました。そして治って障害
補償に移ります場合には、ものによってはもちろん下がるということは幾らでもあるわけでございます。それはやはり
補償の体系が違うからということであって、別に観念をしているわけではない。今度の傷病
補償年金というのは、障害
補償給付でもない、さりとて通常の療養
補償、休業
補償の体系でもない、別な体系でございますから、いままでと同じようなことでこれを処理していきたいと思っております。
法律の条文といたしましては十二条の八を
改正いたしまして、「当該負傷又は疾病が治っていない」ということと、それからその「廃疾の程度が省令で定める廃疾等級に該当すること」ということで傷病
補償年金を支給するということにいたしておりまして、この等級につきましては、先ほど申し上げましたように、今後
関係審議会で十分御討議をいただいた上で決定をいたしますけれども、私どもの考え方としては従来の通達と同じようなことで、三つの区分を置きましてやってまいりたい。障害
補償年金の三級がいわば完全
労働不能というところでございますから、それとの関連があるといえばありますけれども、しかし具体的に先ほどお挙げになりましたような、それでは五級とはどうだとか、いろんな問題があります。そこでさっきはっきり申し上げたように、一応観念としては別にそこは割り切ったということで御
理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。