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枝村委員 病気、疲れ、それはなぜなったかということになりましょうが、あなた、正直に言って、藤井さんが、いやになっちゃったというのは、やはり再建問題とスト権の問題で、おれの言うとおりにならなかった、できなかったということもあるというふうに率直にお認めになるでしょう。病気、疲れの中にもその一因としてあるということをお認めになりませんか。まあ、言わぬでもいいですけれ
ども、思うでしょう。
そういう
意味で、藤井総裁が就任するまでの国鉄というものは、もうきわめて
労使関係が険悪であって激しい対立をする。特にマル生問題での国労の反撃、当局の攻撃、大変な騒動であったのですけれ
ども、藤井さんが就任して以来、そういう
関係が次第になくなってきたことは事実であります。国鉄当局の加賀谷常務
理事もこの
委員会で参考人としてお述べになりましたように、完全によくなったとは言わぬけれ
ども、漸次よくなるということをやはり明らかにしております。
ですから、これは一体どういう理由があるかと言えば、労使双方がお互いの立場を理解しながら、考え方の
根本にはやはり相違があるかもしれませんけれ
ども、何とかしていかねばならぬ。その基調となる問題は、国鉄の再建問題とスト権は切り離さずにいこう、こういうところで似通った一致点が見出されたからそういう方向になってきた。その立場に立って藤井さんが、条件つきであってもスト権を今日付与するのが
労使関係をよくする
一つの大きな原因になるし、国鉄再建になるというふうにいろいろの方面で発言されたと私は思うのです。そういういままでにない総裁が、いやになってやめたというその原因は、先ほど言いましたように自分の思うとおりにならなかったということもありましょうが、そのほかに外部からの介入、それから干渉、弾圧とは言いませんけれ
ども、圧力がかかる、そういうことは見逃してはならぬと思うのです。ですから、今度新しい総裁を選ぶにしても、なかなかなり手はないでしょう。最後には自民党のだれかになるかもしれませんけれ
ども、きわめて政治的な何かがない限りは、純粋に国鉄再建や経済の問題、労使の
関係を思ったときにはそれこそ、藤井総裁じゃありませんが、いやになっちゃってやりませんよ。そういう
状態にあるということを
労働大臣もやはりちゃんと知っておいてもらわなければならぬ。それが部内の不統一の問題から発展してなるのだったら、これは別ですよ。ロッキードの問題じゃありませんが、大庭さんがやめたのも、内か外かわかりませんけれ
ども、大体外からの圧力によっておやめになったということであります。その点はやはり
労働大臣も、これからスト権の問題、国鉄再建の問題を取り扱う場合に、十分心の中にとめて対処しなくちゃならぬ、このように思っております。
それからもう
一つの問題は、先ほど言いましたように、再建問題、これは当局が当然考えて、そして
政府と協力してやらなくてはなりません。ところがここに新たに、国鉄労働組合という組合が、独自の案ではありますけれ
ども、きわめて具体的に再建案というのを提起したのであります。これはよほどの決意がないとそういうことはできぬのです。ですから、国労がそれを発表して以来、労働界の中でも賛否両論でいま沸き返ろうとしておるのです。当初の提案は若干、赤字線の廃止とか貨物なんかやめてしまえ、こういうニュアンスがありましたけれ
ども、それは誤り伝えられたものでありますが、しかしそれを中心にきわめて活発に討議が展開されようとしておるのです。
今日まで労働運動は、あなたも御承知のように、複雑な変遷を通じて一定の方向で発展してきております。その中でとりわけやはり特徴的なものは、特に階級闘争を堅持するという、こういう組合の全体の方針ですね。組合の中にそれをうたう、うたわぬは別にして、労働組合の幹部が政党に所属しておったり、あるいはそれぞれイデオロギーを持っておりますから、いまの資本主義体制ではわれわれ
労働者の解放はない、やはり社会主義体制になって
労働者が主人公にならなくてはだめだ、こういう考え方を持つのは自由なんです。いわゆる総評系に結集する労働組合はそういう人たちが多数構成しているために、
一つの指導の方向として階級闘争を堅持するということになっている。ですから、その場合には労使協調を排除したり、経営参加という問題についてもこれは余り好きたがらない
傾向にあることは、そういう
意味から私は当然だと思っております。
ところが今度は国労は、経営参加とかいうことではありませんけれ
ども、みずからの力によって国鉄再建をしようという提起をしたのですからね。しかもその提起は、いま国労が経済要求だけで闘争しておっても国民は支持してくれない、本当に国民のための国鉄を再建するためにはどうしたらいいかという観点から提起をしておるのです。ですから、いろいろ問題はありましょうけれ
ども、この問題が労働運動の全体の各企業組合にも及ぼしていく可能性もあるわけなんです。しかし、それによって階級闘争を放棄したり、労使協調になるというものではない。それを堅持しながら、いま言ったように、いかにして国民のための国鉄になるかという方向でいまから行くわけなんですから、その点についてはあなたも認識されておろうと思いますけれ
ども、こういう国鉄労働組合の新たな再建提起の問題についてどういうふうに受けとめておるか。あなたが労使の健全なる発展を願うという観点から、この問題はどういうふうに受けとめておるかという点について質問をいたしておきたいと思います。