○広沢
委員 できるだけ早くというわけですが、予算の
総額はわかってもいつこれが完全なものになるかということで
住民が不安であるということ、現実はいまお話があったように、地すべりがまだ続いているということ、そういうことでございますから、この点はひとつはっきりしていただきたいと思うのです。
ところが、私その
現地に参って、そこで、行管庁の指摘ではございませんが、いろいろ聞いて、問題点が出てきたわけであります。いま地すべりが続いているから、いざといったときにはどういう避難体制が行われているのかと聞きましたが、どこが安全な
地帯だと言われても、
住民の人たちははっきり答えられない。いま自分のところは大変だけれ
ども、多分向こうの山は大丈夫でしょうというお答えしかない。それから、避難
場所はないということなんですね。そういうような状況でありますから、いざ何か起こったときの連絡はどうするのかというと、電話一本しかない。一々電話をかけているのでは、これはなかなか時間がかかって、緊急の
対策にはどうにもならない。そこにやはり警報機をつけるなり、あるいはよく町村にあります、マイクでしゃべったら全部落に聞こえるという、そういう体制でもつくれば、まだこれは少しは周知徹底できるのかもしれません。しかし、それもない、こういう状況。これは一つの例を挙げているわけで、何もここだけの問題ではない。これは全国的な問題だと思うのです。そういう個所はいろいろあると思うのです。
ですから、先ほど冒頭に申し上げました、人命をまず守るということからやっていくならば、避難体制を考えなければならない。避難体制を考える以上は、避難する
場所をはっきりと設置しなければならぬ。そして、いっときも早くこの状況というものは刻々
住民に知らされて、対応しなければならない。そうしてまた、先ほ
ども保全
課長さんからお話がありましたように、ここの危険個所ば、今日これだけ科学が発達した時代であるわけですから、十二分に科学的な
調査をして、そしてその
地域の
住民が納得して、ここはこういう危険があるから——何じ町村の中でも
場所によっていろいろ違うわけですから、その
地域地域における教育といいますか、そういうものを十分に徹底しておかなければならぬ。人間だれしも安全だろうという安心感はあると思うのです。そして、何回も避難をしても、事故がなければ幸いなことですけれ
ども、事故がないと、ついついそれは大丈夫だろうと思いがちになる。それが、ある日突然にこういう問題が起こってくる。これも物理的に考えたら、ある日突然にではなくて、そういう状況が醸成されてきておるということははっきりしておるわけでございますけれ
ども、
住民にとっては、ある日突然にということになってしまう。ですから、よほどその防災体制の中での行政
当局の
指導あるいは連絡、いま申し上げたいろんな問題が通常徹底されていなければならぬということに相なろうかと思うわけなんです。
ここで現実に彼らが不安がっているというのは、じゃその危険なときをどう処置すればいいかということは
住民にもわからない。ただ、実際に地すべりをしているから、去年とことしでは一尺も、これだけも地が下がったのですよ、
現場を見てくださいという調子で見ているから、ここが危険だということはわかるけれ
ども、どの程度でどうだということはわからないという状況にあります。
ですから、これはいま林野
関係の問題で指摘したのですけれ
ども、やはり急
傾斜地の問題も、いま申し上げたように、同じ状況にあるかと思います。したがって、
工事をしている個所においてもそうでありますから、してない個所はなおさらたくさんあるわけですね。したがって、そのしてない個所に対しては、もう避難体制しかいまの
対策は立てようがない、この人身事故を回避しようと思えば、その点に相当な重点が払われなければならないけれ
ども、この指摘にもありますように、
現地に行ってみると、まだまだ甘い面があろうかと思います。その点についての所管庁の
指導を徹底していかなければならないし、さらに避難
場所の問題です。
時間がありませんから続けて申し上げますが、避難
場所の問題についても、こういう
危険地帯というのは、さて避難
場所をどこに設定しようか、今度はその
場所がない。それこそふもとまで出ていくんだったら、それは過疎に拍車をかけて、その村から、町から出ていかなければならぬという問題がある。したがって、いま学校だとかああいうある程度の施設、そこを対象にしたとしても、それは全町村の中でたくさんあるわけじゃありませんから、
応急の処置としては間に合いません。こういう問題がある。
そこで、これは国土庁か消防庁になるのかどうか知りませんが、新聞に出ておりますが、防災構想、拠点構想というんですか、こういうことが出ておりました。これは内容を読んでみますと、首都圏においての
災害、火災だとかいろいろな
災害を防止するために、連絡だとかそういういろいろな処置を講じようという構想を、国土庁では五十一年からマスタープランをつくり、五十二年にモデル拠点を建設して、五十三年から一斉に着手したいという、これは新聞の報道でありますが、出ておりました。
それは過密
地域においては、一つの防災の考え方として、過密
地域における防災拠点構想というものは考えていくべきでありましょうが、過疎
地域においても、こういうたくさんの危険個所というものが指摘されながら、避難
場所すら現実に満足にないという状況にある。
市町村あるいは県における財政的な問題もあって、そういうものをつくりたくてもつくれない、こういうことになれば、少なくとも危険個所の中でも最大、すぐ手を打たなければならないという
場所は、もうこれは
調査の上わかっているはずでありますから、その
地域においても総合的なマスタープランをつくって、避難
場所を財政的にもどうしようもないところは、国の財政等も考えて避難
場所を設置する、あるいはそういう避難体制の連絡網の不備なところは、ある程度財政的な援助を与えてそういうものを直ちに設置する、こういうことを直ちにやっていただかなかったならば、来年も同じ梅雨期になってまた人身事故がどうだ、同じことをまたしゃべらなければいかぬようになる。その繰り返しは何十年繰り返していったって、これは仕方がないじゃないか。
政務次官は冒頭に、人災として受けとめられるというお考えがありました。私も、今日の科学的社会におきましては、それはもういまの避難体制さえ完備していけばそれこそ防げる問題だと思いますから、人災としてそれを取り上げて、何らかの処置を講じようという行政
当局の姿勢は納得はいたします。しかし、納得はするけれ
ども、具体的にやってくれなければ現実に何にもならないわけです。ただ、防災
工事をいまやろうということについては、財政的な問題と日時的な問題がありますから、一遍にはできません。したがって、六万七百五十六ヵ所、四十七年に調べたけれ
ども、いま毎年毎年やっているのは七百か八百の
地区をやっているだけでありますから、この段取りでこの六万個所を直そう、さらにはふえていく
場所を直していこうとしたならば、これは大変な日限、それこそ百年河清を待つということになりましょう。したがって、少なくともその人身事故をなくそうとするならば、具体的にそういう手を打たなければならぬ。手を打っているところでも、いま私が林野庁
関係の地すべり
対策で申し上げたとおり、たくさんなお金を入れてやりながらいまだに
住民の不安は現実的な解消がなされていないという状況でありますから、その点、人身事故をゼロにするという考え方に立っていくなら、もう少し積極的にそういう面に予算の配分、さらにそういう面に対する適確な
行政指導というものをなさなきやならぬと思いますが、所管庁においてその点に対する御答弁をいただきたいと思うわけであります。
時間がないので一遍に申し上げましたから、それぞれの所管庁でお答えください。