運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-05-12 第77回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)委員会におい て、次のとおり小委員及び小委員長選任した。  公職選挙法改正等調査小委員       奥野 誠亮君    吉川 久衛君       久野 忠治君    小泉純一郎君       小島 徹三君    田中 榮一君       松永  光君    阿部 昭吾君       佐藤 観樹君    山田 芳治君       林  百郎君    林  孝矩君       小沢 貞孝君  公職選挙法改正等調査小委員長 奥野 誠亮昭和五十一年五月十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 粟山 ひで君    理事 吉川 久衛君 理事 久野 忠治君    理事 小泉純一郎君 理事 田中 榮一君    理事 阿部 昭吾君 理事 山田 芳治君    理事 林  百郎君       小澤 太郎君    福永 健司君       佐藤 観樹君    山本 幸一君       浅井 美幸君    林  孝矩君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         内閣法制次長  真田 秀夫君         警察庁刑事局長 土金 賢三君         国税庁次長   横井 正美君         国税庁税部長 熊谷 文雄君         自治政務次官  奥田 敬和君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         自治省行政局選         挙部選挙課長  秋山陽一郎君         自治省行政局選         挙部管理課長  大林 勝臣君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十七日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     松永  光君 二月二日  辞任         補欠選任   津金 佑近君     青柳 盛雄君 四月二十八日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一榮君     小沢 貞孝君     ――――――――――――― 二月十九日  公職選挙法の公正な適用及び執行に関する陳情  書  (第六七号) 三月二十三日  公明選挙運動の推進に関する陳情書  (第一四〇号)  海上における船員の選挙権行使に関する陳情書  外三件(第  一四一号) 四月十六日  最高裁判所裁判事務処理規則第十四条後段によ  る上告人選定当事者黒川厚雄被上告人千葉  県選挙管理委員会間の選挙無効請求事件につい  ての判決正本 は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  公職選挙法改正に関する件(最高裁判所の違憲  判決問題及び政治資金規正問題等)      ――――◇―――――
  2. 粟山ひで

    粟山委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  去る四月十四日最高裁判所から国会に、上告人選定当事者黒川厚雄被上告人千葉県選挙管理委員会間の選挙無効請求事件についての判決正本が送付され、去る十六日議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告をいたしておきます。      ————◇—————
  3. 粟山ひで

    粟山委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  本委員会に小委員十三名よりなる公職選挙法改正等調査小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 粟山ひで

    粟山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 粟山ひで

    粟山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、公職選挙法改正等調査小委員に       奥野 誠亮君    吉川 久衛君       久野 忠治君    小泉純一郎君       小島 徹三君    田中 栄一君       松永  光君    阿部 昭吾君       佐藤 観樹君    山田 芳治君       林  百郎君    林  孝矩君       小沢 貞孝君 以上十三名を指名し、小委員長には奥野誠亮君を指名いたします。  次に、小委員及び小委員長辞任補欠選任等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 粟山ひで

    粟山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  7. 粟山ひで

    粟山委員長 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  8. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょう、久しぶりに公職選挙法委員会が開かれたわけですが、午前中は大臣がいらっしゃいませんので、重要な問題について、事務的レベルで少しお伺いしておきたいと思います。  まず、ロッキード事件に関連する問題なんですけれども、大体いま言われていることは、四十七年をピークとして金が動いた、それがいわゆるロッキード社という外国法人から児玉譽士夫を通して政府高官に流れたと言われているわけでありますけれども、まだ事件が最終的に解明されたわけではありませんので、なかなか答弁はしにくいと思いますが、たとえば、児玉譽士夫から政府高官に流れた資金、それによってその政府高官選挙をやった、それを選挙資金にしたという場合に、当時の、つまり改正前の公職選挙法あるいは政治資金規正法で、これは一体どういうところに抵触することになるのか、まず、この点をお伺いしておきたいと思います。
  9. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、資金が流れる場合に、外国の会社から仮に児玉さんを通じて流れたといたしました場合でも、児玉さんが完全に自分所得にした上で児玉さん個人としておやりになったのか、あるいはまた外国のものを通過させるかっこうでおやりになったか、そこらはいろいろ問題があろうかと思いますが、いまのお尋ねの御趣旨から申しますと、そこを通過していった場合どうかということになりますと、改正前の政治資金規正法の二十二条一項、それからこれも改正前の公職選挙法の二百条の二項でございますが、何人も、選挙に関し、外国人外国法人及び外国団体から寄付を受けてはならないということにされておるわけでございますから、改正前の問題でございますと、選挙に関して寄付を受けたということになりますと、いまの条文に触れるということになるわけでございます。ただ、そちらから御指摘をいただきましたように、具体的にどういうふうになっているかということは、これは私どもはわかりません。法的にはそういうことになろうかと思います。  なお、関連して申し上げますと、改正法におきましては、御承知のように、選挙に関すると否とを問わず、何人も、外国人外国法人またはその主たる構成員外国人もしくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄付は受けてはならないということにされておることは御承知のとおりでございます。
  10. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで部長、問題になるのは——その前に申しておきますけれども児玉譽士夫被疑者ですから、「さん」という言葉を使うことは必要ないと私は思うのです。それだけは申し上げておきます。  そこで、問題になるのは、「選挙に関し」というのは一体どういうことか。それから、児玉譽士夫選挙に出た——これは児玉譽士夫自身はいま否定をしておりますけれども児玉譽士夫自身がたとえば選挙に出たというふうになった場合には、これはかなり立証ができやすいと思うのです。しかし、児玉譽士夫から政府高官に金が流れたといま言われているわけですね。そうなった場合に、その政府高官が受け取った金というのは、児玉譽士夫からもらった金であるかもしれないけれども、金に色がついているわけじゃないから、それがロッキード社から来たものか、あるいは児玉譽士夫が通常の仕事で得た金かというのは、この場合わからないわけですね。この選挙に関して、外国人外国法人及び外国団体から受け取ってはならないというのは、いまある程度判明している今度のロッキード事件については、政府高官児玉譽士夫からもらったということだけでこの旧の公職選挙法二百条の項目に該当するのかしないのか。このあたりは、直接ロッキード社から政府高官が受け取ってなければ、この公職選挙法第二百条の二項には該当しないのだ、こういう狭い見解になるのか。それともある程度時期が一緒になって、ロッキード社から児玉譽士夫に金が渡り、その金の一部が政府高官に行った場合には、これはやはり同様にロッキード社から、つまり外国法人から受け取ったことになって、二百条の第二項に該当すると考えるのか。その点はいかがでございますか。
  11. 土屋佳照

    土屋政府委員 「選挙に関し」というのは、言葉としては非常にわかりにくいことでございますけれども、やはり特定選挙に関連して、それを動機としてということで密接に関連しておるという形のものだということになろうかと思いますが、いまのお話のように、児玉を通じてきた場合、児玉自身が金を受け取った場合に、それを仮に自分所得として税も払い、雑所得なら雑所得として届けたというかっこうで完全に本人の物に一回なってしまえば、そこからやる場合はこれは本人がやったということになろうかと思います。ただ、形式が本人を通じたというだけで何ら本人所得にならなかったという形で、ただそこを通じたというだけでありますと、ある程度そこは実質的に見る必要があるのだろうと思います。ただ、それは現実にどういう形でどうなったかということが捜査上明らかにされませんと私どもにはわからないわけでございまして、やはりそこらのところは実質的に判断すべきだと思います。  それと同時に、いまの「選挙に関し」ということを見る場合には、本人ではなくて、いずれにしても最終的に受け取った人が選挙にそれを使うという直接的な関係があるという場合であろうかと思います。
  12. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、こう整理をしておいてよろしいですね。いま、児玉譽士夫関係するもので出ているのは、あくまでこれは仮領収証なんですよね。仮領収証課税についてもこれは認めないという態度に出てきたわけですから、予想されることは、通過をしたという可能性が非常に強いと言ってもいいんではないかと思うのですね。  そうなってきますと、いまの土屋部長お話ですと、本人が受け取って本人所得に完全になった、そうしてそれは税法上も申告をしてある、そういう場合には、その後これはロッキードからもらった金であるということが時期的にほぼわかったとしても、あるいはこれがいま検察の問題としてわかったとしても、それは完全に自分所得だ、児玉譽士夫個人所得だというふうに税申告もされている場合には、これが政府高官に流れ、それによって選挙をしても、これは公職選挙法二百条の第二項には該当しない、こういうことになると思うのですね。もしそれがいまの状況のようにあくまで仮領収証である、つまり、一時自分は金を受け取ったけれども、それは児玉譽士夫個人所得には帰属しない、通過であるという場合には、時期的に見て、あるいはその職務柄、これは検察の問題でありますけれども、何らか関係があるということが判明した場合には、二百条の二項に該当する、つまりそれによって選挙を行った政府高官というのは公職選挙法によって罰則を受ける、こういうことに整理できると思うのですが、そういうことでよろしゅうございますか。
  13. 土屋佳照

    土屋政府委員 そこらは、非常に微妙なところだと思うのでございますが、前段本人の完全な所得になっておる場合はおっしゃるとおりだと思うのです。後の本人通過したという場合いかなることかということは、これは実態を見ないとなかなか申しにくいわけです。  と申しますのは、法文も「外国人外国法人及び外国団体から寄附を受けてはならない。」というのですから、外国団体はあくまでも児玉自身に金をやるというかっこうで、ほかの人の選挙に使われるということが何もないような場合もあるわけでございますね。その場合に一体どういう意思の流れがあり、どういう受け渡しが行われたのか。そこら実態をよく突きとめないと、一概には申せないと思うのでございます。  ただ、場合によっては、形でただ単に通過しても、そういうつもりで渡したという場合は、実質的にこの法文に触れる場合もあり得ることは理論的にあると思います。
  14. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その場合、さらに詰めていきますと、「選挙に関し」という場合には、一応この概念は、選挙が終わったときに届け出選挙費用ですね。そこで、そういう狭い範囲に限られるのか、あるいはそれは事前運動なり選挙の前後に使う金というふうにある程度幅をもって考えるのか、それとも前段に申しましたように、あくまで選挙費用という届け出が必要な金なのか、その点はいかがでございますか。
  15. 土屋佳照

    土屋政府委員 「選挙に関し」というのは、公職選挙法上の選挙に関する寄付として受け取ったものとして届けたものだけではない。やはり当該選挙に直接的に関連するものとして、それをねらいとして渡したというものは選挙に関した金であるというふうに考えられます。
  16. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それでは、それを受けて今度新しく改正をされた、ことしの一月一日から施行になりました政治資金規正法の第二十二条の五に、改正前の公職選挙法の二百条の第二項というのは生きてきていると思うわけでありますが、この違いは、あくまで公職選挙法選挙に関しての寄付であったのに比べ、政治資金規正法の方は政治活動にかかわる資金だということに変わったことだ、こういうふうに理解するわけですが、その点はよろしゅうございますね。
  17. 土屋佳照

    土屋政府委員 重要な点はそういうことであろうかと存じます。
  18. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その場合、また問題になってくるのは、政治運動に関する寄付ということですね。このことは先ほど前段でも御質問をしましたように、政治活動に関する寄付ですから、政治家が行う個人的な消費以外のものはほぼ政治活動に関するものということになると思うのですね。その場合の形態についても、外国法人から直接政治関係するものをもらう場合ではなくて、その間に第三者介在をしても、その第三者介在をしたものは個人所得に帰属をしないで、あくまでそれはトランシットだ、そこを通過しただけだ、そしてそれを政治活動に使ったという場合にはこの第二十二条の五に抵触をする、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  19. 土屋佳照

    土屋政府委員 何人外国人等からもらってはいけないという形になっておりますから、それは実質的に判断すべきことだと思います。したがいまして、言うならばもぐりというかっこうで名前だけ通過したということが明確になれば、それはやはり直接的な因果関係があるのだというふうに判断すべきだと存じます。
  20. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それからもう一つ、旧法の公職選挙法の二百条についてお伺いしておきたいのですが、これは時効というものはあるのですか。
  21. 土屋佳照

    土屋政府委員 時効は一般的な意味においてございます。
  22. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 どのくらいですか。
  23. 土屋佳照

    土屋政府委員 禁錮五年の場合とか三年の場合によって違いますが、この二百条違反は、ちょっといま確認いたしますが、禁錮三年以下だったと思います。そうなれば三年の時効ということになろうかと存じます。——大変失礼いたしました。罰則禁錮三年以下ということでございますから、刑訴の関係で、これは時効は三年ということになろうかと存じます。
  24. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 では、次の問題に移ります。  次の問題は、政治家個人としてもらった政治献金、私は余りそういうものがないのでどうも実態がよくわからぬのですが、その場合の税務上の申告の問題なんです。これは参議院においても青島議員質問なさって、どうも法的根拠が余り明白ではなかったのですけれども、時間が短いこともあって少し誤解されて世間に通じているようなところがあるわけです。この委員会に出席なさっている皆さん方にも関係をしていることで、名誉に関する問題でありますので、少し税法上のことをつまびらかにしていただきたいと思うのでございます。  まず、きょうは直税部長がお見えですが、後援会その他の政治資金規正法上の届け出のしてある団体ではなく、全く個人がいわゆる政治献金という形で寄付というか金銭の授受というか、金銭をもらった場合に、これは税務署への正しい申告の仕方というのはどういうふうになるのですか。
  25. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 すでに先生御案内のとおりでございますが、一般的に申しまして、政治家の得る政治資金というものは、それを企業あるいは個人から直接受けた場合、政治団体から受けた場合、いろいろとあるかと思いますが、政治家政治活動資金として受け入れた場合には、それはまず雑所得収入金額になるわけでございます。一方、経費といたしましては、政治活動のための必要経費、これはたとえば選挙事務所経費でございますとか、秘書の給与でございますとか、あるいは政見発表のパンフレットの経費でございますとか、その他会場の借上料とか、そういったものがあると思います。こういうものを経費として差し引いたものが雑所得というふうになるわけでございます。その場合に、雑所得と申しますと、確定申告で他の所得と合算して総合課税を受けるわけでございますけれども雑所得赤字になった場合には、ほかの所得との通算はないというふうになっております。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その場合に、雑所得を書く欄がありますね。所得税確定申告書でいきますと、8というところに雑所得を書くわけですが、たとえば私が個人として五百万の政治献金——そんなことはあり得ないですが、五百万の政治献金をもらった。そのうち四百五十万はいろいろなことに使った。そうすると残りは五十万ですね。五十万だけをこの最終欄所得金額のところに書けば申告をしたということになるわけですね。
  27. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 仰せのとおりでございます。
  28. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうすると、収入金額必要経費を書かなくても、所得金額だけを最終的に雑所得の欄に書けば税務署は通る、いまの税法手続上はそういうふうになっているということでございますね。
  29. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 現在、税制上のたてまえはそういうことでございます。
  30. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、これは、たとえば原稿料等皆さん方が見積もっている大体三〇%なら三〇%の必要経費をはじいていらっしゃるわけですね。その他の雑所得についても、この必要経費というのは、領収証あるいはそのコピーをつけなくても、いまの税法上は書類は通る、税務署は認める、こういう手続になっているわけですね。
  31. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 そのとおりでございます。
  32. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで問題になってくるのは、雑所得所得金額がゼロになった場合あるいはマイナスになった場合、これはいまの税法上は雑所得にその金額を書かなければいけないということになっていますか。
  33. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 先ほど、雑所得赤字になった場合には、他の所得と損益は通算できないと申し上げましたけれども、いまの御質問のお答えといたしましては、雑所得が生じない場合、あるいは先ほど申し上げましたそういった赤字が生じた場合、この二つの場合には、私どもとしましては、所得税課税標準でございます所得金額には直接関係ございませんので、これにつきましては、その場合には申告を求めるという制度にはなっていないのが現在のたてまえでございます。
  34. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうすると、たとえば政治献金を一千万もらった、そして経費としてあるいは個人的に自分子分というのですか、そういうのに一千万全部おろした、そして差し引きゼロだったという場合には、その子分におろしたものが、たとえば私なら私の名義で出したとしても、結局雑所得はゼロになるからこれは申告しなくてもいい、いまの税法上の取り扱い申告の仕方というのは、こういうふうになっているということでございますね。
  35. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 そういうことでございます。
  36. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、青島議員が御質問になったことは二点にわたっているわけですけれども政治家所得が、われわれのように国会からの歳費が九九%だという場合には問題にならぬわけですが、その他大物政治家になりますと、他に個人的政治献金という形で収入金額がある。これは、もらった収入金額所得に上がってこないわけですから、いまの税法取り扱いとしては、所得金額がゼロになった場合には申告しなくてもいいし、あるいは残りだけを申告していけば税法上つながるということがありますので、もし政治家という特殊の、やはり国民の目から見れば何か別途の収入があるのじゃないかということで疑ぐられて、そしてその面から見るとかなり公表されている所得金額が少ないのではないか、私に言わせればこういうような誤解ですね、こういう税法上の手続上の誤解を解くためには、やり方としては、収入金額必要経費あるいは残った課税所得を別途公表しなければならない、こういうことになるのでしょう。現行法ではしたがって無理なのであって、政治家という特殊な、国民の目にさらされる必要のある仕事であるから、雑所得については、一体収入金額幾らであって、そのための経費幾らであって、所得金額幾ら残りましたということを、別途法律でもつくって公表するということにしないと、いまの税法上は無理だ、こういうことになるのじゃないですか。
  37. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 私ども政治家所得の把握につきましては、日ごろから注意をさせていただいているわけでございますが、たとえば政治家の方々の私的資産の形成でございますとか、あるいは私的な消費に向けられた部分がある場合に、そういうことからの調査を進める。あるいは、いま御指摘のように、支出の内容というものはなかなか簡単にわからないというふうな場合もあるかと思いますが、私どもとしましては、ただいま申し上げましたような面からの調査のほか、関連の企業とかが非常に多い場合がございますので、そういう面からの課税資料の収集に当たりまして、そういう政治家課税の問題につきましては、十分慎重に対処をしてまいっておるわけでございます。  ただ、政治活動にかかわる所得という特定所得だけを特別の申告義務を課するということにつきましては、私どもとしましては、税制の面からいって現在の段階では適当ではないというふうに考えておるというふうに承っております。
  38. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 承っておるというのは、どこから承っておるのかわからないのですが、現行法ではそういうことはできないわけでしょう。
  39. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 制度として義務を課するということはできないわけでございます。
  40. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 できないというのは、現行法ではできないという意味であって、個人的な政治献金幾らあって、それによるところの雑所得課税所得幾らになるかということは、新しい法律でもつくって公表する義務を課するということでもしなければ、現行法では無理だ、できない、こういうことですね。
  41. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 そういうことでございまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、そのところだけを取り出して義務を課するということは、税制面から言っても立法が非常にむずかしいのではないかということのようでございます。これは立法のことでございますので、承っておりますということを先ほど申し上げたわけでございます。
  42. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それともう一つ選挙費用として受け取った金ですね。私なんかの場合にはそんなことはあり得ないのですが、ある人もあると思うのです。五百万いろいろな形で選挙中にもらった。それで選挙は四百五十万で済んだ。それは選挙管理委員会届け出するわけですね。五十万残ったという場合に、恐らく残った五十万というのは、個人に帰属をすると思うのですが、現行法では、選挙管理委員会届け出さえして、剰余金が出たということだけ明白にしてあれば、これは個人所得に帰属をする。そしてその場合に、課税上はこれはどうなっていますか。
  43. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 その段階では、課税所得にはなりません。そのまま結果としまして政治資金として使われるということを私どもは考えておるわけでございます。
  44. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 選挙中に集めた金が選挙が終わって残っていた、それは次の政治活動に使われるから課税の対象にならない、こういうことですか。
  45. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 選挙活動でございますとか、あるいはその後の政治活動に使われるのであろうということではないかと思います。
  46. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いやいや、選挙活動にはもう使った残りの問題なんですよ。だから、選挙活動に使うことはないわけなんです。たとえば、ことしの九月に総選挙がある、そして余ると、私なら私の五十一年の所得申告に本来出るわけでしょう。そうすると余るものは、いまの御説明ですと、恐らく政治活動に使われるから課税の対象にならない、こういう御答弁ですね。つまり、理由はその次の政治活動に使われるから課税の対象にならぬ。直税部長ですから御専門ですが、課税の対象にならないということと、残った金は政治活動に使って、そしてさっきの質問になるのですが、政治活動に使うということになれば、本来五十一年なら五十一年で切ってみて剰余が出れば、これは雑所得に上げるわけでしょう。ですから、政治活動に使うから課税の対象にならないということとそこはイコールにならないのじゃないですか。
  47. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 受け取られました資金が私的消費に向かった場合には、それは課税に当然なるわけでございますけれども、そこで留保されておりまして、いずれ政治活動につながった資金として費消される場合には、それは課税にならない、所得として残らないというふうに考えております。
  48. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ちょっと土屋さん、私が理解したところでは、選挙中に集めた金で、たとえば例として五百万集めて四百五十万を選挙費用に使った、五十万余った、これは選挙管理委員会に届ければ、ちょっと何条か忘れましたけれども現行法では非課税ということになるのじゃないですか。つまり、そこで一度切るのじゃないのですか。いまの熊谷さんの御答弁ですと、次の政治活動に使うから。次の政治活動に使うというなら、確定申告収入金額の中に上がってこなければいかぬわけですよね。だけれども現行法では何条だかちょっと私失念をしたのでありますけれども、たしか現行法では、選挙管理委員会に届けて、五十万なら五十万余ったとすれば、これは非課税の対象になっているのじゃないですか。
  49. 土屋佳照

    土屋政府委員 税の方の専門ではございませんが、私どもが公選法に関連して承知しておりますところは、所得税法の第九条でございますが、非課税の項目が並んでおりますが、その第二十二号で、公選法上の届け出をされた金は非課税であるということになっておるわけでございます。  そこで、いまのお話はこういうことだろうと思うのでございますが、選挙に関しては、選挙の都度、選挙に関してこれだけの収入があったということを公に届けるわけでございます。これは公表されます。したがって、本人所得として選挙運動に関する寄付収入というのはこれだけあったというのが公にはっきり出される。そういうものとして集まったものである。本来、それの残ったものはどうするかという問題は当然あるわけですけれども、公開もされたものであり、そういう形で使われたものであるから、これは非課税だということだろうと思います。  最初おっしゃったのは、選挙運動に関するものではない、一般の政治資金という場合になります。かねがねの政治資金としての寄付でございますね。これはその部分だけ特にまとめて届けるということもないわけでございますから、一般の雑所得と同じ扱いをされておるのだろうというふうに考えておるわけでございます。
  50. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、現行の所得税法の九条の解釈が若干違うのじゃないかと私は思うのですよ。土屋さんの言われるのと熊谷さんの言われるのは違うのですよ。要するに現行法の、自治省が考えておる考え方というのは、選挙期間中に集めたいわゆる選挙のために使う費用で余ったものについては、選挙管理委員会に届けて公表されているから非課税になっているということなんですよね。現行法は非課税になっておるわけです。私がわからないのは、どうしてそれが、最終的には恐らく個人所得に帰するのだろうから、これが非課税の対象になっているのか、私はその理由がわからないわけです。そこで熊谷さんにお伺いをしたら、つまりそれは選挙が終わってから、当選しようと落選しようと次の政治活動に使われるからそれは非課税になるのでしょうという御答弁なのだが、それはおかしいんじゃないか。現行法は、とにかく選挙期間中に集めて使わなかった金というのは非課税なんですから、この確定申告申告書には収入金額の中にも上げる必要がないのじゃないですか、非課税ということならば。
  51. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、所得税法のこの現行制度はいま選挙部長がおっしゃったとおりでございますが、それがよって来るところはそういうところから出たのではないかということを申し上げたわけでございまして、現在は結果として非課税でございますし、したがって所得申告の場合には、それを落としてやるということになっておるわけでございます。
  52. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、改めてお伺いしますが、選挙期間中に集めた金が選挙に使わずに余った、その場合の余った金というのは、とにかく選挙管理委員会届け出をしてあって公表されているわけです。したがってこれをどういうふうに使おうと、とにかく現行法では非課税になっている。どのように使ったら課税がされて、どのように使わなかったら課税されないなんということは書いてないわけですから、現行法は、いい悪いは別ですが、非課税になっている。このことはいいですね。
  53. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 現行法上、そういうふうになっております。
  54. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、なぜこの金が非課税になっているのかというのが私はわからぬわけですね。これは一体現在の税法というのは何を期待して非課税になっているのですか。
  55. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 この規定につきましては、私は国税庁でございまして、税制立法の際の審議に参加いたしておりませんので、正確なお答えはちょっといたしかねますので、恐縮でございますが……。
  56. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 わかりました。失礼いたしました。じゃ、いずれかの機会に主税当局にお伺いしたいと思いますが、そうしますと、執行上は、たとえばいま言ったように、例として五十万選挙期間中の金が余った、これはもう確定申告の際にその五十万というのは雑所得として上げる必要はない、つまり雑所得として、その挙選期間中に余った五十万というのは収入金額のうちに入れなくてもいいんですか。
  57. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 仰せのとおり、報告がされたものにつきましては申告義務がないわけでございます。
  58. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ここで新しい問題が起こったと私は思うのでありますが、なぜこれが非課税になっているかというのは、確かに直税部長では御答弁が適当でないと思いますので、その点だけをきょうははっきりさせて、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は、新聞等に、自治省に届けられた政治資金規正法上のいわゆる政治団体が非常に少ないという書き方がされているので、私もいろいろと調べてみたのですが、たとえば私の政治団体を例にとりますと、私は愛知県出身ですけれども、主たる活動はほとんど愛知県でやっているわけですね。収入についても支出についてもしているという場合に、主たる活動、つまり政治資金規正法の第六条の第一項二号の解釈の問題なんですが、第六条の二号に、「二以上の都道府県の区域にわたり、又は主たる事務所の所在地の都道府県の区域外の地域において、主としてその活動を行う政治団体」、これは「主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会を経て自治大臣」に届け出をしなければならぬということになっているのですね。その場合に「主としてその活動を行う」というその「主として行う」の範疇なんですが、これはたとえば、政治資金規正法ですから、金を、寄付を受ける際に、一体どのくらいそれでは事務所の置いてある地域以外のところから資金を受け取った場合に、この第二項に該当をして自治省まで届け出をしなければいかぬのか。それから歳出について、つまり政治活動についてどのくらい主たる事務所以外の地域でやっている場合に、これは自治省まで届け出をしなければいかぬのか。  私の場合には、これは東京にも若干寄付をしてくれる人もいるわけですね。全く若干です。あるいは私、愛知県ですから、木曾川の向こうの岐阜県にも若干の知り合いがある。しかし、それは非常にパーセンテージが少ない。こういう場合にも一応、いま言えば三つにわたっているわけですけれども、こういう場合にも自治省まで届け出をしなければいかぬのか、愛知県の選挙管理委員会だけでいいのか、その辺の限界というのは、一体どういうふうに考えられているのですか。
  59. 土屋佳照

    土屋政府委員 御指摘の第六条の規定でございますが、主としてその活動が行われる区域ということになりますと、一口に言えば、政治団体政治活動の大部分がその都道府県なり何なりの区域を中心として行われておるというふうに解すべきであって、しからば、その場合の活動というのは何だということにもなるわけでございますが、これは総合的に見るべきで、おっしゃるように、金の寄付を受ける先が若干ほかのところに出ているというような、支持者が外におるという場合も、広い意味では政治活動の区域になるのでございましょうけれども、実際は集まった金で政治団体の目的を知らせるためにいろいろ活動される、その範囲でとらえるのが筋だと思うのでございます。いまの例でございますと、愛知に持っておられてほとんど愛知県で管理をやっておられる。岐阜県にも支持者がおって出しておるという程度のことでは、それはもう愛知県だけだと思うのであります。ただ、仮に東京には主たる事務所があるけれども、実際は愛知県でほとんど活動をやっておるような場合は、これは両方にまたがるということで、自治大臣に届けてもらうということになってくるわけでございまして、それじゃ八割か七割かというようなところは、ちょっとそれは法律で明確に書きにくいわけでございますけれども、大部分がその人の活動はここを中心に、その人の政治的な活動というものはここで生かしていくのだ、そういうことで見ていく以外にはないだろうというふうに考えるわけでございます。
  60. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かに一律収入のうち何割、過半数が主たる事務所以外のところからきているということになれば、これは当然そこは二つにまたがるから自治省まで届け出をしなければいかぬと思いますが、歳出、金の出る方もほとんど私の場合を例にとれば愛知県だけだ。しかも、その事務所も愛知県、政治団体の事務所というのは愛知県になっているわけですね。そういう場合には、もちろん一律には決まらないと思いますけれども、愛知県だけでいいということで、こういった問題はいろいろな具体的な例で、私のところはこれは自治省に届け出るのか、あるいは当該の選挙管理委員会だけでいいのか、こういった問い合わせなり何なり来て、それなりの一つの基準ですね、こういったものは出ているわけですか。
  61. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま申し上げたようなことを基準に、それぞれの政治団体でお考えいただいてお届けいただければいいわけでございます。ただ、余りにもだれが見ても数県にわたってやっておるというようなのに一都道府県だけで出されれば、これはやはりおかしいじゃないかという指摘はあろうかと思いますが、もちろんそれぞれの選管の方でお問い合わせをいただければ、それなりに御相談に応じて、こういう届け出の仕方がよろしいということは言うことができると思いますが、一次的にはそれぞれの団体でお考えいただくということで結構だと存じます。
  62. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、これからも政治資金課というのをつくるわけですから、各選挙管理委員会届け出をしている政治団体、こういったものは、それは自治省としての権限にはこれは完全に掌握——掌握ということは数とかその他の実態について掌握をしなければいかぬという義務はありませんけれども、参考程度にはある程度そういうものは掌握をしておりますか。
  63. 土屋佳照

    土屋政府委員 どの程度の政治団体があるか、それでまた新法が適用されました場合に再届け出が行われたわけでございますから、そういうものとか、新規分はどうなっておるかという総体的な数の状況等は把握いたしております。
  64. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それじゃ次の問題に移ります。  次は、政治資金を、さらにいろいろ問題があるわけでありますので、自治省の方でも政治資金課というのをつくって管理をもう少しするということのようなんですが、これは新聞等で拝見すると、七月の一日から独立をするということが五月七日の閣議で了承されたということを聞いておるわけでありますが、自治省の組織令の改正等もあると思うのですが、いま考えている政治資金課の権限の範囲というのはどのあたりまでですか。
  65. 土屋佳照

    土屋政府委員 仰せのとおり、この政治資金規正法に基づく事務が質量ともにふえてまいりました。そういうことで七月一日から政治資金課というものを設けるということにいたしたわけでございます。きわめて小人数の課でございますけれども、一応内容は、一つ政治資金に関する制度の企画、立案、政治資金規正法に関連する問題でございます。それから政治団体届け出を受理したり届け出事項を公表するという法律上課せられた義務を遂行すること、それから政治団体の収支報告書を受理してその要旨を公表するという仕事もございます。そのほかに政治資金規正法に基づく自治大臣の権限の行使に関すること、そのほか所掌事務に関しての調査、統計事務、そういったこと等が予定されておりまして、発足してみませんとわかりませんが、課長以下八人ぐらいのことを予定いたしております小さな課でございますので、いろいろ関連した資料等できるだけ必要なものは私どもは整えていきたいという気持ちでおるわけでございます。発足した後徐々に充実をしていきたいと考えております。
  66. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、問題になるのは、いま調査中の中曽根派の政治団体の虚偽申請の問題と関連をしてくるわけですね。その場合に、政治資金収支報告の受理と公表、その場合に受理というのは、法律にはとにかく申請する方が正しいものを申請しなければいかぬということがあるわけでありますけれども、そのチェック、つまり本当にその収支報告書が正しいものであって、したがって国民の前にそれを公表するということがいまの八人でできるのかどうなのか、そのチェックの権限というのは、果たして今度の政治資金課というのにはあるのかどうなのか、それはどうですか。
  67. 土屋佳照

    土屋政府委員 基本的な問題といたしまして、政治資金規正法の理念の問題になるわけでございますけれども、本来、政治資金規正法のねらいは、ただいまも御指摘がございましたように、政治団体それぞれが、これは正しいものであるということを誓う旨を添えてお出しいただくわけで、私どもとしてはそれを形式的に審査をして、合っておればそれを国民の前に公開をいたしまして、そして国民の批判と監視を受けるという形になっておるわけでございまして、そういった意味では一々その内容に実質的に行政庁と申しますか公権力と申しますか、そういうものが介入していくということは、本質的に合わないだろうという考え方に貫かれておると思うのでございます。そういった意味で従来から、また今度の新しい改正法でもそうでございますが、一々中身に入っていない、これが基本的な問題でございます。  それともう一つは、自治大臣に出されてくるものでも、御承知のように千数百あるわけでございます。その中身は大変な項目になるわけでございます。一応住所、氏名、職業とこう書いてございました場合に、それは相当な数になるわけでございますが、一々これは誤りではないかというようなことで、実質審査はとても、相当な機構をもってもなかなか容易ではないだろうと思います。基本的には最初に申し上げた考え方のもとで、新しい政治資金課ができましても一々そういう実質的なチェックをするというわけにはまいらないという考えでございます。
  68. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、前段の、自治省の政治資金課というものが政治団体の収支にどこまで介入すべきかどうかの立法上の問題ですね、これは若干後に残すとして、実態的に千四百もある政治資金団体、いま届けられているものだけでも、それの実態を掌握する、虚偽かどうかをさらに確かめるということになると、これは私も確かに行政的にはとてもじゃないけれども膨大な人間が要ると思うのです。一体どのくらいの人間がいれば少なくともできると思いますか。
  69. 土屋佳照

    土屋政府委員 どうも数的に明確にお答えすることはできないわけでございますが、いま御承知のように全国的な、課税をするという立場で税務署その他がございまして、相当なものを対象に、これは個人企業もでございますけれども、まあ御承知のような数があるわけでございますから、それよりはもちろん少なくていいとは思いますけれども、なかなか容易ではございません。特にどこか団体が届けてきたものについては、調べようと思えばあるいは調べられる、権限があれば調べられると思いますけれども、何も言わないものを全国的にこれは政治団体であるまいかと、何といいますか、見つけてやることは、これは大変なことになりますので、なかなかどの程度あればできるというわけにはまいらないと思うのでございます。
  70. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、政治資金課というのができても、今度起こった中曽根派の政治資金団体の虚偽申請のような事件は起こり得る、こういう結論になりますね、まあ答えにくいでしょうけれども
  71. 土屋佳照

    土屋政府委員 いままでのほんの三、四人でやっておったことに比べますと、私どもとしては形式的審査でもかなり今度はチェックはできると思うのでございます。ただ、実質的に堂々と氏名、職業、その他と書いてこられた場合に、これはうそではあるまいかというかっこうでやるというようなことはできないので、残念ながらそれは起こり得ると言わざるを得ないと存じます。
  72. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それともう一つ非常に重要な問題は、確かにわれわれの方としても考えなければいかぬのは、自治省にじゃたとえばそれだけの検察権限のようなものまで、捜査権限のようなものまで持たせることは、政府と政党という関係からいって、これはいささか問題があるのではないかと思うわけです。これはだれに質問したらいいのか、自治大臣なのかちょっとわかりませんが、土屋さんあるいは行政局長ではちょっと荷が重い質問かなと思うのですが、本来ならこれはそこまで本当に徹底して政治資金の問題を虚偽かどうか実態を掌握するということになると、これは会計検査院的な第三者的な機関でもつくってかなりの人員を擁して捜査権限、検察権限まで持ってやらぬと、本当の実態掌握、審査、告発というところまでいかぬのじゃないか、しかもそれはやはり会計検査院的な第三者機関にゆだねるという方向が一番政党と政府、行政というものの関係からいって正しいあり方ではないかと、これは私の個人的な意見です、党の意見じゃなくて個人的な意見ですがそう思いますが、これはだれに答えてもらうのがいいか、行政局長か土屋さんか、こちらの立法上の問題とも関連してくるので、答えられる範囲で答えてください。
  73. 土屋佳照

    土屋政府委員 基本的には非常にむずかしい問題でありますが、私から答えるのもどうかと存じますけれども、当初に政治資金規正法は議員立法でつくられたわけでございますが、そのときのいろいろないきさつから見ましても、この規正法という字が、正しいという「正」を使っておる点からもおわかりいただけますように、先ほども申し上げましたけれども、やはり政治団体そのものが自覚されまして、そして適正なものを出していただく、そしてそれを国民の前に公開をして批判と監視を仰ぐというシステムでいっておるわけでございまして、本来やはり政党、政治団体というものは国民の中で権力とは離れて生々発展していくべきものだと思うのでございます。そういったものに公権力的なものが深く介入するということは、これはやはり基本的に避けるべきものではなかろうか、そういう思想でいま貫かれてきておると思うのでございます。したがいまして、それを厳正にやるという意味においては、いろいろな方法というものは考えられるとは思うのでございますけれども、こういうところを所管しておるたとえば自治省のあたりでいまおっしゃいましたような捜査権的なものを持ってやるということは、これはそぐわないというふうに私は考えておるわけでございます。
  74. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまの答弁は非常に次元の高い大変りっぱな答弁だと私は思うのであります。  次の問題に移ります。これを最後にしたいと思うのですが、それは地方制度調査会の第十回の研究会で「住民の自治意識の向上に資するための方策に関する答申(案)」というのが出されているわけでありますけれども、これについて、選挙関係の問題だけについて、非常に重要な問題でありますので、二、三点だけ具体的な内容はどういうことなのか、こういうことをやるのかやらないのか、また大臣が見えたときにお伺いするにしましても、具体的な内容についてだけ少しお伺いをしていきたいと思うのであります。  まず、「選挙制度の充実」という項目で一に「選挙期日の統一」、二に「議会の議員の半数改選制」、こういうふうに書かれているわけでありますが、一々の中身については若干お伺いしますが、これは一と二は同時に行う、つまり二年に一遍ずつ統一して地方選挙を行う、一と二はあわせて一体のものだ、こういうまず理解をしてよろしいですね。
  75. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在地方制度調査会がいま御指摘ありましたような案で審議を進めておる段階でございますので、この答申の真の意図がどうであるか、それからこれが一体のものか切り離すものかというのは、答申がまとまった段階で恐らく地方制度調査会の方から事務レベル的な方へおりてくるものと思いますので、私の方としては、いまこれがどうであるということははっきり申し上げられないと思いますけれども、ただこの二つの答申がそのとおりに実施された場合は二年に一遍ずつ統一した形で選挙を行うということになるであろう、これは推察がつくわけでございます。
  76. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま行政局長から御説明があったとおりのものでありますから、それはまだ中間的な答申案のたたき台ですから、それは行政局長から非常になかなか答弁しにくい段階だと思いますので、あくまでこの文書に書いてある説明ということで結構でございます。  そこで、「選挙期日の統一」のところの一番最後の行にある「この場合」、つまり「この場合」というのは「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙はすべて統一して行う」ということでありますけれども、これは前にも自民党さんの方でささやかれていた、いまの四年に一遍の地方選挙を一遍にした方がいいんじゃないか、そうした方が革新の側は選挙の応援にも行けないしというような発想があったこともあるわけですね。どうも私はこれと軌を一にしている気がするわけで、警戒をしておるわけでありますけれども、その最後のところに、では議員の場合、欠員ができた場合は一体どうするのだろうか、あるいは長の場合、知事なり市町村長の欠員ができた場合に、統一してやるというと、その間の空白が当然できてくるわけですね。それがあと一カ月くらいであったなら、たとえば助役にかわる、副知事にかわるということも行政的には許されることで、現行法でもできるわけですけれども、それが選挙が終わってから一カ月か二カ月で不幸にして亡くなった、こういう場合、残りの在任期間をまさかかわりにやるというわけにいかぬ。その場合には、一番長いような場合には一年何カ月というものをその長というのは次の統一の選挙まで空白ができてくるわけです。こうなってくると、地方自治の促進どころか、これは非常に大変な問題になってくる、むしろ地方自治自体を壊していくような問題になるのではないかと思うわけであります。  そこで、ここでは具体的にそういうようなことをどういうふうに考えられたのか、だれがどう言ったということは必要ないので、議論の中でどういうような形で、この「選挙期日の統一を維持するために必要な最小限度の任期の特例を設けるものとする。」これはどういうものを一応具体的に想定をしてこういう表現になっているのですか。
  77. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 恐らく調査会としてはそういった空白が生ずるようなことをどう法的に措置して埋めるかはそれは事務の方で研究せいと、こういうことにおなりになるのではないか、ここで言っておいでになるのは、選挙統一ということが非常に住民の自治に関する関心を高める、また半数改選というのは、いままで四年に一遍の選挙を二年に一遍住民は自分団体の議員から選び直せるということで、参政権、それが非常に拡大するので、自治意識の向上につながるだろう。しかし、その間をどうつなぐかということは、法技術的によく検討をして事務当局の方で案を考えなさいということになるのではなかろうか。まだこの案がここへ出てきた段階でそこまでの御議論が進んでいるようにもお見受けできません。かといって、いま先生のおっしゃったように一年半とか二年とかを空白で置くなどということはとうてい考えられないことでございますので、その間選挙の統一を維持しながらそういう空白ができないようにするためにはどういうふうな任期の特例を設けたらいいか。何らかの任期の特例がなければ空白が出ることは先生のおっしゃるとおりでございますので、そこの任期の特例ということを考えて、空白ができないように措置をすることが必要である。ここまで示唆しておられるのではないか、実はこういうふうに思っておるわけでございます。
  78. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まだこれは具体化しているわけじゃありませんから、私は指摘だけをしておきたいのですが、いま行政局長も言われたように、なぜ統一地方選挙が崩れてきたかというと、途中で亡くなった方、あるいは議会が行政側と対立をして解散になる、首長が途中で辞任をする、こういったような場合に選挙が行われるために統一地方選挙というのが崩れてきたわけですね。これはこれで自治というものの一つの行動として起こったことだと私は思うのですよ。それは逆に、統一にした方が選挙意識が上がるし投票率も上がるからということで無理やりすべて統一にするということが本当の自治の発展になるかということについては、私は余り自治の専門家じゃないのでそれ以上のことは申し上げるものはないけれども、ちょっと逆立ちしている論議じゃないかなという気が私はするわけです。特に議員の場合には、たとえば市会議員が三十人、四十人おる中で欠員が一人あった場合には、いまの場合でもそのままいってしまっておりますが、長の場合には、調査会で大筋だけは議論したけれども、あとは事務当局任せでこの措置はするのだというのは非常に大きな問題で、私はそう簡単にいかぬ問題じゃないかなというふうに思います。これは時間もかなりたっておりますので、ちょっと指摘だけしておきます。  もう一点だけお伺いしておきたいのは、二番目の「議会の議員の半数改選制」の問題です。ここで、私、地方自治というものにそう明るいものじゃないけれども、ちょっと読んでみてこれも論理が逆さまじゃないかなというふうに思ったのは、前から三行目に書いてありますけれども、「地方公共団体の住民がその政治に参与する機会を多くし、住民の意思をより的確に反映するようにするため、議会の議員を半数ずつ改選することは、さらにこれに伴う住民の関心の高揚と行政の継続性、安定性の維持等種々の長所があると思われる。」そこの「さらにこれに伴う住民の関心の高揚」、これはまだ私もわかります。しかし、「行政の継続性、安定性の維持等種々の長所があると思われる。」これは地方制度調査会のメンバーとして非常に問題のある記載ではないかというふうに私は思うのです。  というのは、二分の一ずつかえた際に、たとえば急激に民意が変わったという場合、いま東京の周りのたくさんの都市はどんどん意識が変わっていますね。そうなってきますと、その意思というのを議会が反映しているわけですから、いまの議会でかなり政党の配分というようなものが変わった。これはこれで市民の一つの意思のあらわれなんですね。しかし、この発想というのは、むしろそういった急激な民意の反映というのは議会はしない方が行政の継続性、安定性の維持のために種々の長所があるのだ、こういう意味になっているのだと私は思うのですね。これはむしろ地方議会の行政の方が相対的に国政よりも種々優位に立っている部分があることは私もわかっておりますが、行政の継続性、安定性の維持のためにむしろこれは二年に一遍ということで、こういう表現はいいかどうかわかりませんが、穏やかな変化の方が、前の議会と今度の議会とが意思が相反するというようなことがない方がいいのだという考え方は、地方制度調査会としては、まさに地方自治を促進するという意味の答申からいくと、論理的には逆さまではないか。行政の継続性、安定性等の維持を、民意の反映というものより優位に立たせる考え方だというふうに私はこれを読んだのですが、そういうことじゃないのですか。
  79. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この半数改選に関する長所と短所というのは、恐らくこれから調査会の中で数多く議論が取り交わされることと思いますので、いま先生が御指摘になったようなことも議論をされた上で結論が出ることになると思います。  ただ、あえて私をして申し上げさせていただけば、継続性、安定性というのは、半数ずつかえることによって、変化があるとしても穏やかな変化だということになる、それは御指摘のとおりだと思います。ただ、民意が大きく変わったのを当然反映するという場合に、たとえば選挙後に何か事件でもございまして大きく民意が変わったというのは、いままでの制度だと四年たたなければ反映できないのが、二年後に半分は反映できる。そういうことで、民意の迅速な反映という意味では、こういうふうに半数改選にすることは民意をより早く反映させるという効果もあるのじゃなかろうか。恐らくそういう点も調査会で、これは国会の先生も各団体の代表もおられますし、学識経験者もおられるところで今後議論が詰められて結論が出ることと存じております。
  80. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後に一問だけお伺いしておきます。  もしこの半数改選制が行われるということになりますれば、市会議員の選挙のようにまだ小選挙区をやっているところがあるかと思いますけれども、市全体が選挙区だという場合には、ある程度選挙区をいじらなくても済むからできると思うのですが、たとえば県会のように一名区、三名区あるいは五名区というふうになっておる場合には、いまの参議院の地方区のように、これはすべて偶数にしなければいけなくなるわけですね。その選挙区の改定をしなければいかぬ。そうなってきますと、偶数ということになれば一名区というのは非常に多くなってくる。これはまさに県会レベルにおいては小選挙区制だ。私の愛知県は、これはちょっと正確な数字は忘れましたが、五十五ぐらいの選挙区のうち三十五ぐらいが一名区なんです。これは非常に問題ですね。私の選挙区だけ言えば、十区県会議員の選挙区があるうち複数区、つまり三名区、四名区というのは二区しかないのです。あとの八区は全部一名区なんです。これは不幸にして保守系が握っていくということになるので、半数改選制というのは、そういうふうに具体的に例をとってみますと、事実上小選挙区をやるのと同じことになる。これは地方自治の少数意見というか、ほぼ半分に近い意見を抹殺する、地方自治の増進にはとてもならぬというふうに私は思います。その点をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  81. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに、政令都市以外は全部一選挙区でございますから、市町村の場合は比較的問題は少ないのでございますが、県会の場合は、現在の一人区を少なくとも二人区以上に再編成しなければいけないということは先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、現在県会議員に一人区がたくさんできたのは、町村合併のおかげで小さい市がたくさんできたというのが実は事の起こりでございまして、その前の郡市の単位というのはそういう小さい選挙区は少なかったのでございますが、その一人区を再編成するに当たって、隣の三人区に入れて四人区にするというケースも非常に多く出てくるのじゃなかろうか。つまり、一人区の解消そのものは三人区なり四人区なりに吸収されるというケースも非常に多いわけで、一人区は必ずしも二人区にならない。むしろ二人区になるケースは少ないのかもしれません。隣の大きな市に入って、五人区の方へ一人入って六人区ということにもなるかもしれませんので、どの党あるいは少数党に有利とか不利とかいうことは全く言えないのじゃないか。現在の答申の審議状況を見ながら私たちはそう思っておるわけでございます。
  82. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまの問題ですが、午後は局長に来ていただくことになっていませんので、ついでに関連質問をします。  いまの地方自治制度の基本の問題は、大統領制をとっているので、いわゆるチェック・アンド・バランスということで議会側と長の側との権限を等しくしておく。そういう中で、議会側がいわゆる不信任案を出した場合に、解散もしくはみずからやめるという形をとっているわけです。そういう場合に、任期が二年と四年というふうに変わってくる場合、先ほどの長が欠けるという問題と関連をして、解散された場合に、選挙の期日の問題と、あるいはそういう制度はなくなってしまうのか、参議院制度と同じように解散がないのか。そうすると、チェック・アンド・バランスといういまの地方制度を支えている基本の考え方が崩れ去る。そうでない、まだ置いておくのだということになるのならば、いま言った選挙期日の問題との兼ね合いがどうなるのか、あるいは議会の運営でチェック・アンド・バランスというのはどういうふうに大きく変わるのかということを一つ踏んまえてこの議論はされているのかどうか、その点をひとつ局長にお伺いします。
  83. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 もちろんこの答申が固まりましてから詳しい法律的検討に入ることになると思いますので、現在細かいことはわかりませんですけれども、現在の、三十年定着したいわゆる長と議会との間のチェック・アンド・バランス、不信任あるいはそれに基づく解散、辞職というような制度をやめるということはとうていできない。当然これはある程度熟成した制度としてこのまま置いておかなければいけない。そうすると、半数改選の場合に、それとどう調整するかという法律技術的な解決を求めるということになりますが、もしこの半数改選の制度ができましたとすると、それに移行するときの一番最初のやり方というのは、全体を選挙して、長期の任期の議員と短期の議員を得票数で分けるというような姿になると思います。もし解散ということがありました場合、解散というのはケースは非常に少ないわけでありますが、ありました場合は、それと同じような経過措置をとって全員改選をする、そして長期と短期に分ける、現在としてはこういう方法しかないのではないと思っております。答申が出てまいりました場合に、その場合の任期をどうするかというような問題についてさらに突き詰めた検討をし、さらにそれを各方面で御審議願うことになるのじゃないかと思いますが、そういう制度をなくすということは現在考えられないだろうと私たちは思っております。
  84. 山田芳治

    山田(芳)委員 この問題は、もちろん当公選法の委員会ではなくて地方行政委員会の場で十分論議をしなければならぬ問題ですから、そちらへ譲りますけれども、もう一つ、われわれが検討するために、この機会がありますから、もう一点だけ伺っておきます。  そうしますと、恐らく残任期間にでも選挙をしなければならぬという形になるのだけれども、いまの選挙制度というのは、解散とかあるいは長が欠けた場合には選挙の期日から任期が始まるということによって四年が始まるのが、かつての例のリコールによって信を問う場合には、残任期間という、ああいう発想になるのだろうと想像するのですが、そういうことになると、選挙制度自身としても大きな改変になるのだというふうに思うので、これはこの限りにおいては、私は、選挙法、選挙制度にかかわり合いを持ってくる問題である、こういうふうに思うので、単にこれが地方制度のサイドだけで物が議論されるべきではなくて、もう少し選挙制度全体の問題としての関連があるのではないかという気がするのでこの委員会で取り上げたのですが、そういうふうに理解してよろしいのかどうか、そこらあたりの議論をちょっと……。
  85. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 おっしゃるとおり、地方制度の仕組みとしても、この答申案を実施するということになりますと相当大きな改変になりますので、当然地方制度あるいは国会でいえば地方行政委員会での御議論が必要だ。同時に、その根本的な方法が定まった場合に、これをどう消化するかということで、おっしゃるとおり、大変選挙制度としても関心を持たなければならぬ案件であろうと思います。いずれにせよ、答申が固まりましたら、それを今度は法律技術的に消化をして、こういうふうにするのだという案を固めて、その上での御議論になろうかと存じております。
  86. 山田芳治

    山田(芳)委員 最後に一点。確かに地方制度調査会、いろんな発想をされるわけですね。しかし、過去にたくさんの答申をしている。それは、具体的に言うならば、わが党が非常に熱心に考えている、たとえば地方におる国家公務員、いわゆる地方事務官としている国費職員の身分の切りかえの問題一つでも、いまだに自治省の努力にもかかわらずできていないという現状において、そういう過去に答申されたものがまだ十分行われていないのに、次から次へ新しいこんな大問題を提起されて、それはまあ行政局長さん御苦労さんだし、それから大臣にこのことは伺わなければいかぬことかもしれないけれども、そんなに問題を山のように抱えられて、現実に、すでに答申を受けたものすら満足にできていないのに、こんなに大きな答申を受けるというようなことになると、これは大変なことだとわれわれは考えるわけであります。だから、私どもは、むしろいままで答申を受けたもので実現をすべきものはやはりしていくのが先ではないかという、これは大臣に質問のすべきことかもしれませんけれども、われわれはそういう考えを持っておるのですが、最後にその点についての局長としての、地方制度調査会の補佐役の最高責任者としての御意見を伺いたい。
  87. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かにいままで答申をいただきましたものの実現の率は非常に悪うございます。問題ないと思われるような例の問題でさえ解決していない、おっしゃるとおりで、その点なお努力はしているわけでございますけれども、それが達成できないことについてはおわびをいたします。ただ、自治省といたしましては、従来地方制度調査会で答申をいただいたものについては省を挙げてその実現にいつも力を注いでいる。今回も、仮に答申をいただきますれば、できるだけその趣旨の実現に努めるという態度であることは従来と変わらないとお考えいただいて結構です。
  88. 山田芳治

    山田(芳)委員 わが党は反対であるということはもうあらかじめ申し上げておきます。  これで終わります。
  89. 粟山ひで

    粟山委員長 午後零時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後零時三十七分開議
  90. 粟山ひで

    粟山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、自治政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。自治政務次官奥田敬和君。
  91. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 お許しを得て、ごあいさつ申し上げます。  昨年暮れ自治政務次官を拝命いたしました奥田敬和でございます。  議会制度の根幹に当たる選挙制度全般の御審議に当たられる当委員会において、今後とも諸先生方の驥尾に付して重責を全ういたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。(拍手)
  92. 粟山ひで

    粟山委員長 質疑を続行いたします。小泉純一郎君。
  93. 小泉純一郎

    ○小泉委員 きょうは、去る四月十四日に最高裁の判決が出てから最初の衆議院における公職選挙法委員会でありますから、その最高裁の判決にかんがみて、現在の衆議院の選挙制度、また参議院の選挙制度に関して、私の考えを述べながら、また政府側の御意見を聞かせていただきたい、こう考えております。  去る四月十四日、最高裁は選挙区によって一票の重さに差があるのは法のもとの平等を保障した憲法十四条に違反するという判決を下したわけであります。そうしますと、これは明らかに本来この判決が出る前に国会あるいは政府が当然なすべき改革をしていなかった、この怠慢を突いたものだと私は思うのです。こういう最高裁の判決について、国会は本当に怠慢であった、政府は怠慢であったと私は思いますが、大臣はどのように考えられますか。
  94. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 先般最高裁の判決がございまして、法の規定するところに従って、いわゆる選挙権というか投票権の平等というものを尊重しなければならないということが出ました。私は趣旨においてはごもっともであると思いますが、しかし、最高裁といえども一対五というのを具体的な例として、千葉一区の場合において一対四・九九というような少ないところとの比率というのは非常におかしい、違憲である、こういう判決を下したことは事実であります。しかし、それだからといって一対四・九九以外の一対四・七では違憲になるのか、一対四・五ならいいのか、一対三ならどうかということについては何ら明らかにしておらないわけでありまして、こういうことについて選挙権の平等ということを論ずる場合においては、こういういろいろの条件も考慮しなければならないということをつけて判決をいたしておるわけでございます。  そこで、いま小泉さんの言われる意味は、そういうような最高裁の判決がないときに政府としては法の平等というような趣旨から何か考えたらいいじゃないか、考えるべきであったのではないかという御趣旨と私は承るわけであります。幸いにして昨年の七月四日に、千葉県の第一区を含めて十一区において定員の増を二十名とすることによっていろいろの仕組みを変えたわけです。したがって、その結果はどうなっておるかといえば、五十年の国勢調査による人口を見ますと、一対三・七という比率が今度出てきたわけであります。一対三・七になったときにこれが一体いいか悪いか、こういう問題がまたある意味では出てくる。法の平等という言葉だけから言うと一対一になるのが当然である、こういうことも言えるわけです。まあ、大体選挙制度というものは、海外先進諸国といいますか、イギリスとかアメリカとかそういうところから導入されてきたものであって、そういうところでも一対二というくらいまでを一つの限度にしているわけなんです。平等とはどこまでが平等かということについての確たる基準というものはいままでは示されておらなかった。今回初めて、言うならば一対五という基準が示されたということは非常に重要であると思うわけであります。  したがいまして、結果的には最高裁の判決が示しております一対五というような数字はなくなっておるわけでありますから、その意味では比率がどうなっておろうと、いまの段階では一対三・七という数字があるから違憲であるということには直接相ならないのではないかと私は考えておりますが、しかし、いやしくも選挙制度を論ずる場合においては、人口といいますか、有権者数というものを十分考えて今後も処理していかなければならないということについては十分注意をしなければならないかと思っておるわけであります。
  95. 小泉純一郎

    ○小泉委員 私は大臣の政治家としての認識をお伺いしたがったのです。いまの衆議院の選挙制度をこのまま放置しておいて果たしていいのだろうか。最高裁の判決が出て何かしなきゃいかぬという感じを持ったかどうか。これは国会が大変怠慢だったんじゃないか。近く年内に総選挙が行われるわけでありますが、終わっても、この最高裁の判決にかんがみて、必ず衆議院の選挙制度に対する論議というのは大変盛り上がってくると思うのです。しかし、この最高裁の判決について、しかも選挙制度の最高の責任者である大臣の政治家としての認識、技術論とかそういうことではなくて大臣としての認識、これは国会もサボっていたというか、大変怠慢であった、また将来に対してもこの判決を深刻に受けとめて何かしなきゃいかぬという気持ちをお持ちになりませんでしたか。
  96. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、政治家というものは常に一つの理想を持っていなければならない、筋というものを持っていなければならないと思います。しかし、この選挙制度の問題については、理想というものだけで問題は解決しておらない。現実にこの前の公選法の改正でも、言われて十年近くもたってようやくまあまあということが行われたわけであります。政治家は言を挙げて物を言うことはやすいけれども、しかしそれを実行しないようであれば有言不実行になる。そういうことが国民の信をつなぐ道であるかどうかということについては私は非常に疑問を持っておるわけです。政治家というものは一遍言えばやるんだ、ここに政治家としての国民に対する信頼感が出てくる。  こういう点から言うと、理想は持っていなければならないけれども、何でもこうします、ああしますというようなことを軽々に言うことがいいかどうかということについては、私自身は一つの疑問を持っておるわけです。だから、そういう意味政治家の資格がないと言われればごもっともといって頭を下げるだけでありますが、しかし、いままでにやってみたところで、実際には十年も議論していてこの間あの程度のことがやっとできたわけなんです。それは、立法府のことは立法府に任せるという一つの憲法のたてまえができておるわけでありますから、やはり立法府の中でもって考えなければいけないのであって、そういう意味においては司法権と立法権あるいは行政権、こういう三権が分立しているというたてまえから見て、ここですぐ私が意見を述べなければいけない、またその意見を述べることは、いまあなたがおっしゃったように責任のある地位ですね。一応は。それが果たして前進になるのか後退になるのかわからないと私は思っておる。  だから私は、この間も参議院の会議がありまして、同じような御質問がありましたから、この前の定員の問題をやったのも、衆議院において各党間の御意見が一致したから私はそれをもとにしてやったわけであります。今回も参議院の問題がありますけれども、これは衆参両院を通じて、選挙制度については各党間で十分お話し合いをしていただいて、そうしてその多数の御意見に従うということで処理をいたしたい、かように申し上げたわけでございます。まあ、あなたが激励の意味で言っていただいたのだとは思いますけれども、その実情をひとつ理解をしていただきたい、かように考えるわけであります。
  97. 小泉純一郎

    ○小泉委員 現在ロッキード事件なんかをめぐりまして一番大事なことは、政治に対する信頼というものを国民からかち取らなきゃいけない。そういうことを考えますと、この最高裁の判決は民主主義の根幹にかかわる問題だと思うのです。この判決があった後、閣議での模様はどのような様子だったでしょうか。差し支えない範囲でお聞かせいただきたいのです。
  98. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 閣議におきましては、こういう判決があった、この判決を踏まえて今後の選挙制度についていろいろの問題について十分検討をしよう、こういうことで終わっております。そのときに私は、こういう案がいいと思いますとかこうしたらいいということは言いませんでした。それは先ほど申し上げたような考え方を私が持っておったからと御理解を願いたいのでございます。
  99. 小泉純一郎

    ○小泉委員 この最高裁の判決は衆議院の議員定数に関してでありましたけれども、実際、昨年国会におきまして、議員の定数の不均衡に対して若干の緩和がなされました。しかしながら、あの公選法の一部改正は、四十五年の国勢調査人口に基づいて行われたわけであります。そして最近、五十年の国勢調査人口を見てみますと、改正後の議員定数配分におきましてもかなりの不均衡が見られる。  具体的に申し上げますと、衆議院の場合、全国の議員一人当たり人口が二十一万九千四十八人でございますが、議員一人当たり人口の最高は千葉四区四十一万であります。そして最少が兵庫五区の十一万。これでも改正公選法によりましても、なおかつ一対三・七二の格差が生じておるわけであります。これはあの最高裁の判決の趣旨を常識的に判断するならば、法のもとの平等をこれでも保障してないと私は言えると思うのであります。  そこで、衆議院の場合は、人口を基準にする、これが定数配分の最大の要素になっております。そういうことから、いまの現行制度は非常に矛盾に満ちている。これを改正しようとなると、もう一部手直しでは済まないような状態になっていると私は思うのです。いまの場合は定員三名から五名の枠内でなされておりますが、これを最高裁の判決の趣旨に沿って、できるだけ一人一票の趣旨に沿うような形で定数是正がなされるとしますと、当然減員区が出てくる。また、ふえる選挙区も出てくる。そうなりますと、いまの三名から五名という枠はとうてい守り切れない。全国にわたって選挙区の境界の見直しが行われなければならない、当然改正されなければならない。  そうしますと、私はこれからのあるべき選挙制度という論議をこれからしていきたいと思いますけれども、これは現行制度にあえてとらわれる必要はないと思うのであります。政府側の答弁になりますと、常に野党から追及されるということでもう余り物を言いたくない。また、ちょっと言ったことが大きくとられる、反響が大きいということで非常に慎重な言い回しになるかもしれませんが、私は、これからいろいろな民主主義の発展過程において、まず言わなければ、論議されなければ、どういう結論が出てくるかわからないと思うのであります。そういうことで、いまの現行選挙制度について私は非常に矛盾を感じておりますから、これからのよりよい選挙制度を求めるのだったならば、根本的な選挙制度改革論議も当然あってしかるべきだ。また大臣も、あるべき選挙制度はこういう方がいいと思うというのは私は自由だと思うのです。これをもしけしからぬと言う政党があったら、それこそ言論の自由を封殺するものである。現行法を守るということと、現行法はよくないからこうやった方がいいということは、私は別だと思うのです。現行法は守っていても、私はこういう方がいいと思うというのは、いかなる地位の人であっても私は言って当然だと思う。  それに対して、けしからぬとか、そういう論議を封ずるという形は、私は好ましくないものと思っております。そういうことについて、私はこれからあるべき選挙制度を考える場合、第七次選挙制度審議会の中間報告が出ております。そうなりますと、これから将来政党本位、政策本位の選挙制度に改めるというのならば、小選挙区比例代表制を導入すべきだという論議が当然出てくると思うのであります。(「反対」と呼ぶ者あり)反対、賛成、それは自由であります。しかしながら、小選挙区制問題が即一党独裁につながるとか、あるいは自由民主党の永久政権を目指すものだという、まことにばかげた議論に対して、何ら政府が反論しない、これは大変おかしいのじゃないか。あるべき選挙制度改革、しかも自治省、政府が選挙制度審議会に諮問している。小選挙区比例代表制というのが堂々出てきている。これを言うと、もう政治が動かない、こういう事態こそ全く異常なわけであります。  そういう意味において、あるべき選挙制度として、いまの現行の矛盾に満ちた選挙制度改革において、私は一つの案として、根本的に見直す。しかも、政党本位の選挙制度を推進するについては小選挙区制、さらに小選挙区制だと死票が出るというおそれが強いということで、比例代表も加味する論議というのは、私は、これから検討に値する、傾聴すべき非常にいい議論だと思うのですが、大臣はどう思われますか。
  100. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 まず、二点お答えをしなければならないと思うのでありまして、今度の判決というものを踏まえて問題の処理に当たるべきではないか、こういうお話であります。  実際国民によく理解していただく意味では、あの判決の主文がよく理解されてわかってもらっていないと思うのです。あの判決が、たとえば一対三が正しい、一対二にしなさい、こういうことであれば一つの基準が出ますから、わりあいに問題の処理は簡単になってくる。ところが、最高限を示しただけで、中間についてはいろいろの事情もあるから、これらを踏まえて処理をするんだという考え方が出ておるわけであります。この点が私は、最高裁は立法府にその裁量権というものを任しておるのだ、しかし、これ以上はいけませんよという最高限の判断を示したもの、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。そこで、ひとつ各党の間において十分これらを踏まえて問題を考えていただきたい、こういうことを言っております。  それから、次の小選挙区制、またこれに比例代表を加味した小選挙区制というものについての御意見であります。私は一つの傾聴すべき御意見であると思っております。しかし、こういうことについても、やはり十分に各党間において話し合いを進めて、また国民によくわかるようにこのPRをするということは、私は何も悪いことではないと思う。そう決めるという意味じゃないのですから、決めるときはやはり立法府においてそれを処理をすればいいわけでありまして、何も一党独裁でやれるわけじゃありません。また、自治省が勝手に決めてそのとおり処理をできるわけではございません。  しかし、これは一つの具体的な政党政治というものから考えてみますと、今日のように野党と与党というものが対立しているというのですけれども、その野党の間においても意見が違うということで、果たしてそういうような政治が十分に民意を明らかにしておるということがあらわされておるかということになると、私、問題だと思うのです。実は野党がいま四党おいでになるということになっておるのでありますが、その四党の間の御意見が一緒になり、そして与党と対決するというのであれば、これはまた非常に話が前進するわけなんですが、その間がみんな意見が違っておるわけですね。そうして選挙のときになりますと、皆それぞれの意見というものを言われるわけなんで、相なるべくは、もしそういうような小選挙区制というのが一番望ましいという形になるには、本当は野党の間の意見が一応まとまっておるということが非常にいいんじゃないか。そういうことになれば、この問題も一つのいい方法になると私は思いますけれども、いまのように野党自体の間にいろいろな意見がございますと、果たしてそれが一番いい方法になるかどうかということは問題があるのではないかと私は考えておるわけであります。  御案内のように、いま自民党支持率が四二%だとよく言われるのですが、野党の方は五十数%、いわゆる反対は五十数%ある。ところが、実際に議員が出てくるのは、与党の方が非常に多くて野党が少ない、これはおかしいじゃないか、こういうことを言うけれども、私はその点はちょっと意見が違うのです。同じような意見を持っておいでになるのならば、それはごもっともだ、同じような政策を持っておいでになるのならごもっともだと私は思いますが、政策が違っておるという意味において比較多数と言いますか、そういう意味でいまの自民党が多数を持っておると私は考えておるのでありまして、そういう点から考えてみますと、いまあなたのおっしゃったようないわゆる小選挙区制、比例代表も加味して、比例代表制ということになりますと、意見の違った人の代表も比例代表によって救われるという面があるのでありますから、これは一つの見識である、こういうふうに私は考えます。  私は、それだからいまここでそういう案を採用するとか、この案を推し進めるということは申し上げません。ということは、やはりこの段階において五党の間でよく話し合いを詰められて、そして問題の解決に当たっていただきたいというのが私たち自治省としての考え方であるということを申し述べさしていただきたいと思うのであります。
  101. 小泉純一郎

    ○小泉委員 定数の不均衡の問題ですが、私はいたずらに少ない方に合わせてどんどんふやしていく、これは必ずしも、たとえそれによって不均衡が緩和されても余り国民の納得を得るものじゃないと思うのです。やはり総定数の枠といいますか法律的な数、また民意を十分に反映し得る数、その大枠というものは決めないと、これからどんどんふえていくおそれがある。そういうことから、これからの定数問題について、やはり総定数をひとつ決めておくということと、それから選挙区への配分をどうやってやるか、そして何対何になったらその一票の格差が許容限度か、そういう是正方法というものをひとつ決めておかないと、これからの新しい改革案については、これからどんどんまた人口も変わるわけですから、非常にぎくしゃく出てくる。  そういう点から考えますと、合理的な定数制度というものをやはり真剣に速やかに検討しなければならないと思うのですが、自治省はそういうことは全く出す気はないのですか。完全に国会に、政党に任せてしまう、自治省についてはそういうことを出す考えは一つもいま持っておらないわけですか。
  102. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、いまあなたのおっしゃっただけではなくて、やはり地域というものとか歴史というものとかいろんなことも考える必要があると思っておるわけです。高度成長によって人口が非常に急増した。その急増したところにおいて選挙を行うというと大体棄権率が非常に多い。いわゆる国政に参加する意思を持っていない人の意見までもこれを認めるかどうか。権利というものは、法においては権利を主張する者が初めてその権利を主張できるのであって、権利を主張しない人にまで権利を与える必要があるかどうかというのは一つ法律論の問題としても出てくるわけでございます。こういうようなこともひとつ考えてみなければならない面があると私は思っておる。  いずれにしましても、そういういろいろのことがありますが、私はいまの議論から言えば、たとえばイギリスなどの制度というものもずいぶんおかしい。世界がすべてそういうふうになっておるか、そうではございません。やはり日本には日本の法律、日本の制度に合った仕組みというものを考えていかなければならぬ。私はそういう意味からいって、地域の問題ということも無視するわけにはいかないと思っているわけであります。これはあなたのいまの御質問に十分に答えておらないと思うのでありますが、要するに自治省としてそういうことを一つの案を出すつもりはないかということでありますが、研究はいたしますけれども、いまの段階においては私は自治省案というものを出す考えはございません。
  103. 小泉純一郎

    ○小泉委員 衆議院の問題は、一応一部手直しが行われて総選挙が年内に行われるということでありますから、現実的な改革案をいま考えるというのはとても無理だと思うのです。しかしながら、衆議院の場合は人口の要素というのが一番大きな配分の要素になっておりますから、将来これから合理的な衆議院の選挙制度については十分意欲的に勇気を持っていろいろ考えなければいけない、委員としても私はそう思っております。さしあたり衆議院はそれくらいにしまして、参議院の方に移りたいと思います。  去る十日、参議院の公選法特別委員会で吉國内閣法制局長官は最高裁の判決についてこういうことを言いました。一票の価値の平等についての最高裁判決は衆参両院を貫くものである。しかし、衆院と参院では選挙制度決定の際考慮すべき政策的、技術的要素が違うので、不均衡の内容について数字的に同じでなければならないというものではないと述べたそうであります。私もこの長官の判断は大変妥当なものだと思っております。  そこで、参議院の制度を考える場合、地方区と全国区と一体のものとなっている。考え方としては、参議院は衆議院と違って人口の要素というものは入っておりますけれども、それだけを基準にしてない。かなり地域的な面もある。一つの考え方として、地方区というものは全部地域代表にする、全国区というのは完全な人口配分、比例代表、これは民意を反映する一つの大変いい方法だと思うのです。いま全国区のあり方、論議は別として、全国区制としての考えは、人口の要素を十分に加味して民意を比例代表的に反映させ得るものだと私は思っている。  ですから、根本的な改革を行うとすれば、衆議院と参議院と同じである必要はないのですから、各都道府県全部二名にするという案でも、これは一つの案だと思うのです、これは理論的に。(「それは違憲だ」と呼ぶ者あり)私はこれは違憲とはならないと思うのです、地域代表と人口代表というものを制度的に考えれば。そういう考えもあるのですが、それとは別にいたしまして、現在の参議院議員選挙を施行した当時、この地方区の定数配分をした経緯というもの、これは昭和二十一年四月二十六日の臨時統計調査人口を基準にして配当基数を算出し、その配当基数が二以下では二人区、三以上は四人区、五以上を六人区、七以上を八人区にする案を採用したということになっておりますが、これに間違いありませんか。
  104. 土屋佳照

    土屋政府委員 おおむねそういうことでございますが、当時考えられたのに甲案と乙案がございました。甲案の一案と乙案の一案というのが同じでございました。大体そのどちらをとったということは明確ではございませんけれども、いまお話のございましたように、二人以下はということではございませんが、偶数のところは結果的には偶数で配当し、奇数のところは切り上げて、ちょうどそれが百五十人にはまったということでございます。その面をいまおっしゃったような言い方であらわすこともできると思います。
  105. 小泉純一郎

    ○小泉委員 配当基数は選挙区の人口を議員一人当たり人口で割ったものでありますけれども、この配当基数そのものでも、参議院の場合は各三年ごとに選挙されますから、全部一名ずつという、きっちりそのとおりいくわけにはいかないと思うのですが、新聞報道によりますと、参議院の方で市川房枝さんが地方区において増員なしの現行の定員内における是正案を出しておられます、十四名減、十四名増という。これはやはり一つの考え方だと思うのですが、大臣はこの案についてどう思われますか。
  106. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 まだ私はその案の内容を詳しく検討いたしておりませんが、しかし、これも制度の問題に直接関連をいたしてまいるわけでありますから、私としては、そういう事実は認識いたしますけれども、これを是とも非ともここで言うことは、また、参議院においても申し上げることは差し控えさせていただいたわけでございます。
  107. 小泉純一郎

    ○小泉委員 現在の地方区の定数が百五十名になっています。そうして参議院の場合は、各県少なくとも二名ずつは出ておりますから、地域の重要性ということを考えれば、すべて人口どおりやるということも適当でない。地域ということを十分考えるならば、どんな小さな県でも、最低その県代表というか、その地域を代表する者を出すのは当然だという考え方はあってしかるべきだ。そうなりますと、鳥取は余りにも少ないからこれを一名に減らせ、あるいはゼロにしろということはとても無理だ、当然二名、裏表といいますか、三年ごとに選挙が行われる。そうしますと、非常に現実的な、できるだけいまの制度を手直ししない、現行の枠で考えられるだけの可能性の高いものを考えるならば、しかも、国民から納得を得るという観点からすると、私は、もう余り議員の数をふやすべきでない、定数枠を守ってその中で是正を図るべきだと個人的に考えております。  そうして、いま地方区で百五十二名でありますから、四十七都道府県あります、そうすると、最低二名出すとなりますと九十四、百五十二マイナス九十四ということは五十八名です。この残りの五十八名の中で、人口の要素というものを十分に考えて定数の格差是正を図るという考えが当然出てきてもいいと思うのです。そういうことを考えますと、この五十八名というのですけれども、これは当然二名ですから、二で割ると二十九になります。上位二十九ということが、非常に人口の多い都道府県になるわけですね。  この中で一つの定数是正というものを考えてみますと、昭和二十一年に配当基数というものを出した。それからずいぶんこの配当基数の中でも、定数の配分で、現在の五十年調査をもとにしますと矛盾が出ております。  というのは、これは全く私一人で計算したものなんですが、五十年国勢調査の人口をもとにして配当基数が三以下のところを捜してみますと、特にこの矛盾が激しいというのは宮城とか岐阜、これは定員が二名なんですね。配当基数が、宮城が二・七、岐阜が二・五。ところが、同じ二・五の岡山、二・七の福島とか長野というのは、定数が四名与えられているわけです。同時に、群馬とか鹿児島とか熊本とか栃木なんというのも、配当基数が岐阜とか宮城以下なのにもかかわらず、岐阜とか宮城よりも倍の定数配分が行われています。  こういうことから、現行定数の枠の中で少しでも是正を図ろうという、全くもう机上の計算と言ってもいいと思うのですけれども、机上の計算からいくと、この配当基数三以下を全部二名のほかの普通の県に合わせようとしますと、大体七県において二名にするという案が一応計算から成り立つわけであります。  同時に、さらに今度は過密地区の方を見ますと、これまた、配当基数をもとに計算しますと、非常に矛盾点が出ている。その顕著な例が、北海道が配当基数が七・二、それで八名与えられている。神奈川県が八・七で四名。半分しか与えられていない。しかも、兵庫なんというのは配当基数が六・八なんです。それなのに六名しか与えないで、六名区、八名区というのがいま非常に逆転現象を起こしておる面がある。同時に、四名区と六名区についてもそうなんです。福岡が配当基数五・八なんです。それで定員が六名与えられている。千葉が五・六、ほぼ同じなのに、定員は四名しか与えられていない。こういうことから考えると、過密地域におきましても、昭和二十一年に定数の配分の大きな要素になった基準に非常に合わなくなってきている。  そういうことから、この配当基数を十分考えて、現在の定員枠をふやさないということで各党が話し合えば、この最高裁判決の趣旨に沿うような是正が早い機会に行われ得る、またその努力をしなければいけないと思っているのですが、この配当基数を基準にした考え方、これを大臣はどういうふうに思われますか。
  108. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 一つの傾聴すべき考え方であるとは思いますが、いずれにしても、やはりこれはよく各党の間で合意が得られるように、ひとつ御努力を願いたいと思います。
  109. 小泉純一郎

    ○小泉委員 この選挙制度の改革というのは、政党の利害また個人の利害が絡んでおる非常にむずかしいもの、これはもう昨年の衆議院の一部改正の際にも身をもって私は体験しましたし、わかるのですが、やはりここで戦後三十年、一つの大きな転換期に来ている。国民も民主主義というものに対して、これからどういうふうな民主主義を育てるか、これは日本の将来を占う上において大変大事な問題だと思うのです。そういう意味において、この選挙制度の改革というのは政党の利害を離れて、また個人の利害を全く離れて論じろと口では言いますけれども、実際問題となるとなかなかそういうわけにはいかない。これもいままでの経験から、私は十分わかっているつもりであります。  しかし、ここでさらに改めて銘記しなければならないのは、参議院も衆議院も、参議院議員のためにあるのじゃない、衆議院議員のためにあるのじゃない、選挙制度も政党のためにあるのじゃないということだと思うのです。私は自由民主党員であります。しかしながら、公職選挙法委員の一人として、自分の常識に合った観点から考えれば、いまこそあの最高裁の判決の趣旨というものを早急に具体化すべき作業に当委員会は着手しなければならない、しかもこれは一つの数字をもって国民の納得し得るそういう案を早急に決めていかなければならない問題だと私は思います。これがやはりひいては国民政治に対する信頼を持っていく一つの大きなかぎになると思います。そういう観点から自治省もいろいろな考えを、恐れずに勇気を持って合理的な選挙制度の改革に向かって一層努力を続けていただきたいと思います。  これをもちまして私の質問を終わりたいと思います。
  110. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御趣旨を十分体して努力をさしていただきます。
  111. 粟山ひで

  112. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまの小泉委員に対する大臣の御答弁も踏まえしまて、若干御質問さしていただきたいと思うのです。  冒頭、参議院地方区の問題に入る前に、初めての内容のある委員会でございますので、一つだけお伺いをしておきたいことは、例の中曽根派の政治団体の虚偽申請の問題であります。この問題は非常に重要な問題であり、担当は一応自治大臣が政治資金の収支報告書の最高の責任者になるわけであります。そこで、きょう午前中も議論をしたわけでありますけれども、自治省の方では政治資金課をつくられる、これは私たちもいいことだと思うのでありますが、その権限も、きょう午前中詰めましたけれども、課長さんを入れて七名では虚偽申請がなされているかどうか全部これを審査するというわけにいかぬ。しかも、そこまで審査をすること自体が果たして行政府がやるべきことかどうか、警察、検察にわたるようなことまでやるべきことかどうかということについては私たちも疑問を持っています。その面では今後改革をしなければいかぬいろいろの大きな問題があると思いますが、少なくも政治資金の収支報告書の届け出を受理する自治大臣として、今度の中曽根派の政治団体の虚偽申請というものについて、担当の大臣としてどのように受け取られ、この教訓というのは今後一体どのように生かしていかれようと考えているのか、閣僚の一人として、お伺いしたいと思います。
  113. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、中曽根派四団体申告の内容について、虚偽の報告があったということについてはまことに遺憾であると思っておるのでございます。しかし、今後の問題としてどういうふうにしたらいいかということについては、事務当局の方からもいろいろ述べたと思いますが、一々全部チェックするということは、なかなか言うべくして行われないことであります。人数を大分ふやしたからといって、それで全部一々チェックするということはできない。また政治家というものは、そういうようなチェックをされなければ真実のことを述べていないというようなことでは、非常に残念な政治であると私は思っております。しかし、こう言いますが、どうも中曽根君がまるで指揮してそういうことを書かしたのかどうかということになると、これは調べてもらわないとわからないわけです。ところが、私の見るところでは、どうもこの事務局長が何か勝手にやったんだという説もある。これも説でございますから私にはわかりません。したがって、総理も道義的責任は免れないということを言うておられるのだと思うのでありまして、私もそういう気がいたします。  いずれにしても、これは警察関係で、虚偽の申告のあった事実というものは消えないのですから、それはあったことは事実なんですから、再訂正したから、訂正すれば全部御破算になったと言えるかどうかということは非常に問題だと思うので、そういう意味で、事実の解明を見て、そしてどういうことかということを明らかにし、これを参考にしながら将来の政治資金ができるだけ明瞭になり、また国民からも疑いを持たれないような、完全なものはできませんけれども、何か一つのフォーミュラというか、形式というものを整えることも必要ではないかと私は考えておって、その点は十分検討するようにいま事務局に命じておるところであります。
  114. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この問題も非常に重要な問題でありますので、もう少しお伺いをしたいのでありますけれども、限られた時間でありますので、次の参議院地方区の定数是正問題について若干お伺いをしたいと思うのです。  大臣のお言葉にもありましたように、この問題は、たとえば独禁法とかその他の経済的な法律と違いまして、あくまで第一義者というのは、私も立法府に大きな責任があると思っております。その意味では、大臣の御答弁も若干逃げにとられるところもなきにしもあらずでありますが、しかし、この問題の大きな責任は立法府側、私に言わせれば挙げて自民党側に大きな責任がある、私はこういう立場から、この立場を踏まえながらひとつ大臣の見解をただしておきたいと思うのであります。  まず、法制局にお伺いをしたいのでありますが、参議院の公選法の委員会の方でも問題になったわけでありますが、今度の四・一四の違憲判決、これは当然それ以上の議員定数のアンバランスを持っている参議院の地方区にも、この最高裁が下した判決というのが拘束をする、そのようにしなさいということを立法府にも行政府にも責任を課している、こういうふうに私は考えるわけですが、内閣法制局としては、今度の違憲判決が参議院の地方区はどういうふうに下しているか、この見解についてお伺いをしたい。
  115. 真田秀夫

    ○真田政府委員 結論から先に申し上げますが、いまの御質問の中で、去る四月十四日の最高裁判所大法廷の判決が、現行の公職選挙法による参議院地方区の定数の配分の仕方についても拘束力があるのじゃないかというふうなお尋ねでございましたけれども、純理から申しますと、今回の判決は衆議院の千葉一区の選挙が違法であったのだということを言っただけであって、これは法律的にはただそれを言っただけであって、ほかのことに触れているわけではございません。  ただ、おっしゃるお気持ちは、今回の最高裁判所の判決の理由中に示されている考え方が、参議院の地方区の場合にも妥当するのじゃないか、通用するのじゃないかというようなお気持ちでお尋ねになっているのではなかろうかと思いますので、その観点から若干補足的に御説明をしたいと思います。  つまり、あの判決は、理由中の総論的な部分で、選挙権の平等というのは、単に選挙人資格についての平等だけじゃなしに、選挙権の内容の平等をも当然要求されるものであるというのが、まず根本的な考え方でございます。そういう限りにおきましては、この総論的な部分は特に衆議院の選挙についてはというふうに限定をしておりませんので、この考え方自体は、基本的には参議院の地方区の選挙にもあるいは地方の選挙にも妥当するといいますか、通用するといいますか、基本において流れておると言えるだろうと思います。ただ、最高裁判所はそのように基本的な考え方を立てまして、それに立脚していろいろ判決を書いておるわけでございますけれども、具体的な定数配分規定が平等の原則に違反するかどうかを判断するに当たっては、それは人口だけではないのだということも明瞭に言っておるわけでございます。これはその判決の少しおしまいの方で、具体的にどのように選挙区を区分し、そのそれぞれに幾人の議員を配分するかを決定するについては云々とありまして、各選挙区の選挙人数または人口数と配分議員定数との比率の平等が最も重要かつ基本的な基準とされるということは当然であるにしても、それ以外にも実際上考慮され、かつ考慮されてしかるべき要素が少なくないのだ、こういうふうに言っておりまして、結局人口比例以外の諸要素を勘案しまして、そして合理的に考慮に値すると思われる諸要素を踏まえて、それとの調和の上において定数が決められるのだと、こういうことを言っております。  そこで、また冒頭に申しました結論に戻りますが、今回のは、衆議院議員の定数配分については、いろいろ合理的だと思われることを考えてみたけれども、やはりこれはとてもがまんができないという判断を下したものでございまして、それから直ちに参議院の地方区の定数がやはり違法になるのだというふうに決めつけることは法律的にはまだ無理であろう、かように思う次第でございます。
  116. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それでは逆にお伺いしますが、考え方の中に、参議院地方区というのは考え方によっては地方の代表なんだ、したがって参議院地方区はちょうどアメリカの上院のように大きい県も小さい県も人口がどうであろうと一律表裏二名、つまり一名区で地方の代表なんだという考え方がある、あるということは、私はこの考え方は非常に間違っていると思うわけですが、そういう説もあるわけですね。しかし、これはいまの判決から言いますと、人口が最も重要な要素である、しかしそれだけではないということでありますけれども、最も重要な要素であるということからいきますならば、一律どんな大きな県でも小さな県でも人口に関係なく一律二名、選挙で言えば一律一名区という考え方は明らかにこれは違憲である、こう解釈してよろしゅうございますね。
  117. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほども申しましたように、人口比例を基準にするということが最も大事なことであると言っております。そのほかにもいろいろの事情を参酌してそれらの調和の上に立って具体的な定数配分を決めなさい、それが憲法の要請するところでありますよということを実は言っているわけでございまして、いまおっしゃいましたように、人口の方は目をつぶっちゃいまして、府県代表だからすべてのところに同数ずつということはどうも最高裁判所の判決の趣旨をずっと踏まえて読みますと、やはり合理性に欠けるのじゃないかという疑問はどうしても残ります。  ただ、アメリカのように連邦制の場合にはこれは話が別でございまして、それがあるからといって日本も直ちにそれをまねするというわけにはもちろんいかない筋合いでございますが、結局最高裁判所の気持ちを見ますと、人口比例によるほかに、いまの地方区については地方のそれぞれの利益を代表するというのは少し言い過ぎかと思いますが、そういう代表的な機能、役割りをも予期していいのじゃなかろうかというようなことも言えますので、ある程度それを参酌することはいいのじゃなかろうかと思いますけれども、おっしゃいましたように、すべて人口のことは念頭に置かないで、東京も鳥取も北海道もみな同数だというのはいかがかというふうな疑問を持っている次第でざざいます。
  118. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 わが党の立場をはっきりしておきますが、小さい県はじゃどっかの隣の県と合併して、そしてすべてを人口で地方区というのは議員定数を決めればいいんだと言っているわけじゃないわけですね。あくまで昭和二十一年に議員定数を配分したときのように、小さな県も大きな県も、これは表裏一律二名、どんな県でも一律二名だ。しかし、その後残された地方区の議員定数については、やはり人口に比例をするというのが原則だろう、私はそう思っておるわけです。したがって、いま言われているような、地方代表なんだから人口に関係なく表裏二名なんだ、アメリカの連邦制を踏まえたような発想というのは明らかにこれは法律の制定時の考え方、あるいは今度の最高裁の判決に示された考え方の延長線からいって明らかに間違いである、私はこういうふうに思うわけでありますが、重ねてそういう考えでよろしゅうございますね。
  119. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほど申しましたように、今回の判決は衆議院のことを言っているのであって、参議院のことを直接言っているわけでは毛頭ございませんけれども、この判決の考え方の筋を追っていきますと、恐らくおっしゃるようなことに帰着するのではなかろうかというふうに推測いたしますが、これは最高裁判所が判断することでございますので、私がここでそれはもう明らかに違憲であるというふうに断定する立場では毛頭ございませんので、その辺はどうぞ御了承願いたいと思います。  それから、最低表裏一名、合計二名ずつを配分して、そのほかにまた今度は残り何人かを人口比例で配分するのはどうかというお尋ねでございますけれども、その辺になりますと、どうもやはり立法政策もかなり入ってきますし、これこそ国会が合理的に御判断願ってしかるべきことでございますので、私からそれはそのとおりで結構だというふうに申し上げる立場でもまたございませんので、この点も御了承願いたいと思います。
  120. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後に一問、大臣に一応確認しておいていただきたいのでありますけれども土屋挙部長、この参議院地方区の議員定数ができたとき、時の担当大臣である大村清一国務大臣がこの地方区の定数についてどういう考え方で議員定数を配分をしたのかということを委員会で述べていますね。これはどういうふうに述べていますか。
  121. 土屋佳照

    土屋政府委員 配分の方法につきまして、当時の大村国務大臣が述べておられますのは、前は省略いたしますが、「議員定数はこれを二百五十人といたしたのであります。このうち百五十人を地方選出議員といたし、各選挙区において選挙すべき議員の数は、最近の人口調査の結果に基ずきまして、各都道府県の人口に比例して、最低二人、最高八人の間におきまして半数ずつ交替することを可能ならしめるために、それぞれ偶数となるように定めることといたし、残りの百人を全国選出議員と定めた次第であります。」云々ということを述べておられます。
  122. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この立法のときの大臣の答弁から見ても、あくまでそこには面積とか地方代表的なとかあるいは歴史的なとか、そういうようなことはこのときの大村国務大臣の答弁の中に入ってないのですよ。あくまでこれは「各都道府県の人口に比例して、最低二人、最高八人の間におきまして半数ずつ交替することを可能ならしめるために、それぞれ偶数となるように定めることといたし、残りの百人を全国選出議員と定めた次第であります。」ということであって、だから、基本はやはりこの地方区の定数を決めたときの大村国務大臣の考え方というのが基本である、この点だけは大臣ひとつ認識をしておいていただきたいと思うのです。よろしゅうございますね。——議事録に書いてあることを確認をしておるわけですから、大臣、別に……。
  123. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いやいや、ここはずいぶん何度も読んだところなんですけれども、重要なところだから念を押してやっておるわけなんです。この提案理由の説明の中にもいまおっしゃったような趣旨が書いてございます。
  124. 粟山ひで

  125. 山田芳治

    山田(芳)委員 最初に一度だけ確認をいまのに関連して質問申し上げるのですが、現在の参議院の定数については、いまお話がありましたように、人口というものが主たる要素だが、それ以外の要素も考えて立法政策的、立法技術的にいろいろ判断をすべきであるということであるというお話です。しかし、少なくとも配当基数から言えば、たとえば神奈川県と北海道とが逆転をしている部分がありますね。あるいは宮城、岐阜が二・七、二・五であるのにかかわらず、栃木、熊本二・三というふうに人が逆転をしていますね。これをそのまま放置することは明らかに違憲であるというふうに考えられますか、その点一遍確認の意味で……。
  126. 真田秀夫

    ○真田政府委員 非常に説明の答弁の苦しい御質問でございますけれども、先ほども申しましたように、とにかく人口比例を第一に考えるということは一番大事なことだというふうに言っておりますので、いまお示しのような逆転現象があるとすれば、あるいはそれが直ちに違憲だというふうに言えるかどうかはなお最高裁判所がどうおっしゃるか、つまり、参議院の地方区の場合には、衆議院の選挙の場合に人口比例以外に配慮すべき合理的基準というものを書いておりますけれども、そのほかに参議院の場合にはあるのだろうと思うのです。それからまた沿革ということもあるでしょうし、直ちにこれが憲法違反だというふうに私は断定する勇気はございません。
  127. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、一票の価値の重さというものが逆転現象まであるということに至っているのにかかわらず、その他の要素の方が人口比率よりも高いという比較考量の問題が出てくると思うのだけれども、少なくとも比較考量の最大なるものはいまのお話だと人口だとおっしゃったんだから、人口が逆転をしているのにかかわらず定数が少ないということは、少なくともいまの論法から、さっきの説明から言えば違憲の疑いがきわめて強い。それは最高裁までいかなければわからぬと言うならまたやらなければいかぬということになります、また十年もかかるんですけれども。少なくとも法制局としては、人口がそれだけのウエートがあるのにかかわらず逆転をしているということであるなら、他の要素が、人口の逆転以上の要素があるという判決が出ているのなら私は納得するのだけれども、そういう判決は出ていないんですからね。明らかに違憲の疑いが強いというふうに答弁さるべきものだと思うのですが、どうですか。
  128. 真田秀夫

    ○真田政府委員 私は行政府の公務員でございますので、国会が現在制定されております法律が憲法違反だというふうに断定するような立場じゃないわけなんです。内閣は法律を誠実に執行しなければいかぬわけですから、内閣がこれは憲法違反だと断定した場合のことを考えますと、そういうことはやはり許されないのだろうと思うのです。ただ、前に申しましたように、非常に答弁に苦しい御質問だと申しました辺をよくおくみ取り願いまして、合理性において説明するのはかなり苦しいだろうとは思います。思いますが、いまここで憲法違反だとか疑いきわめて強い、濃いというようなことを申し上げる立場じゃございませんので、御勘弁願いたいと思います。
  129. 山田芳治

    山田(芳)委員 だから、私の言っているのは、もうくどく申しませんが、人口が逆転をしている以上はその他の要素が人口以上にウエートが高いという比較考量の問題であるというのが、これ読んで見るとそう書いてありますよ。沿革であるとか地域の特殊性だとか府県においては府県の行政的な意味合いだとかというようなことが必要だと書いてあるけれども、少なくともそういうものがあっても、人口を超える要素があるという判断は最高裁は示していないだろうというふうに思うのです。もう答弁はよろしい、よかったらうなずいてもらって結構です。(笑声)そういう判決だと思うんです。そうですね。そうでしょう。笑っておられちゃわからぬのだ。そういう意味だと私はこれを素直に読めば、私も若干法律を大学で勉強してきた人間だからそのくらいのことはわかるので、そういうふうに読むべきものだと思う。それでいいんですな、一言だけ。
  130. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほど申しましたように、現行法をつかまえて憲法違反だということを私は言えないのです、立場として。聞きますと昨年あたりですか、参議院の地方区の定数の是正の何か剱木案とかいうのがあったのだそうですか、その辺何かあったことも、いまの御質問のような点を御考慮になって一案ができているものであると思います。
  131. 山田芳治

    山田(芳)委員 よく苦しい意味はわかっております。最高裁も事情判決までされているという点も含めてわかりますが、立法府として、やはりその責任を感じて積極的にこれは是正をすべきであるということについては確認できたと思いますので、私はこの程度にいたします。  次に、前国会において私どもは中央、地方の選挙管理機構について、公選法、政治資金規正法が直ったのであるから整備をすべきであるということを決議をして、政府に善処方を申し入れておいたわけでありますが、政治資金規正課というものができて数名の課員がふえたという程度であるわけであります。はなはだどうもわれわれとしては不本意である。引き続いてこの国会の趣旨について、大臣としては選挙管理機構の充実強化について今後どのように考えておられるかということが一点と、地方の選挙管理機構についてもあわせて決議をしたわけでありますが、地方の選挙管理機構についてはどういうふうに充実強化をされるかという点についてお伺いしたい。
  132. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 確かに、当委員会におきまして、選挙法を改正したことに関連をして、いわゆる選挙関係のある行政部門を充実すべきであるという御決議もいただきました。その意味で、私は閣議においても実は主張をいたしました。実は閣議の際に、いまこういう非常に不景気といいますか景気が停滞をいたしておるときに、官吏を増員するというようなことはもう一切しないようにしたいという、そういう種類のことを書いた申し合わせ事項にサインをしろという話があったわけであります。それはあの決議のあった次の日にあったのです。私は、絶対にサインをしない、いやしくもこの委員会において充実をしろという附帯決議があって、それに私がわかりました、善処いたしますと言って、そんなことにサインができるはずがないじゃないかということを実は主張をいたしました。これは大蔵大臣が出した案なんですけれどね。だから、主張することはいい、しかし幾らふやすとかふやさぬとかというのは、これは閣議で決めるのだからという大蔵大臣の説明があったから、それならば私はサインをしてもよろしい、私は主張はしますよというわけで、主張はしたわけなんです。  ただ、どうも力弱くして皆さんの御要望にこたえられなかったということは、まことに遺憾に存じておるところでありますが、今後もひとつ十分皆様の御趣旨を体して、また選挙制度というものの重要性を認識してその充実に努力をいたしたい、かように考えておるところであります。  それから、地方選管の問題については、これは非常にあれですが、一名各都道府県においてふやすということにいたしました。実は人数の面については、中央はわずか四名しかふやさなかったわけでありまして、そういう意味からいえば、四十七名ふえたということになりますから、数はふえたようでありますが、これで十分かというと、私は必ずしも十分だとは思っておりません。したがって、今後もこの事態に対処して、そしてこの充実といいますか、それに努力をしていかなければならないと、かように考えておるわけであります。
  133. 山田芳治

    山田(芳)委員 先ほど話があったように、確かに昭和五十一年度は不景気である、財政きわめて窮迫をしているという実情の中で、やむを得なかったということだと思いますけれども、景気も政府の見通しによればある程度回復をしてきている、来年度の予算においては、再び同様の趣旨を生かせるように、同様の要求をぜひ出していただきたいという点について、ひとつ大臣の決意だけを伺っておきます。
  134. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御趣旨に沿って努力をいたしたいと思います。
  135. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、政治資金の規制の問題でありますけれども、先ほど佐藤観樹委員から中曽根派の問題について話がありました。私も月刊雑誌を読んで、その内容を調べたという点について読みましたけれども政治資金規制について、形式的審査であるということがいま自治省としては言われておりますが、しかし、少なくとも本人としては、事務局長かだれか知りませんけれども、何遍か訂正をして持ってきているということは、明らかに虚偽の申告をしたということを自白をしているということに通ずるのであるから、これは少なくとも虚偽の申告の罪にひっかかるのである。また刑事訴訟法によると、公務員はそういう犯罪事実があった場合には告発をしなければならないという規定がある。この点の関連は、刑事局長さん、いかがなものでしょう。
  136. 土金賢三

    土金政府委員 この問題につきましては、警察庁といたしましても政治資金規正法違反の疑いがあるというふうに判断いたしまして、目下警視庁において事実関係の把握に努めるなどしてその解明に当たっているところでございます。  ただ、この問題につきましては、所管行政庁において、つまり自治省において、所要の行政上の措置がとられておるところでございますので、警察といたしましては、その措置状況を踏まえて捜査を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  137. 山田芳治

    山田(芳)委員 その刑事訴訟法との関係について、それじゃ選挙部長、どうですか。
  138. 土屋佳照

    土屋政府委員 今回の事件は、御承知のとおり、前に提出をされたものについて誤りがあったということで自発的にその訂正を持っておいでになったわけでございます。そういった意味では、前のものが誤りであったということはわかるわけでございますけれども、私どもとしては、先ほどから申し上げておりますように、届け出られたものを国民の前に公表して批判を仰ぐ、そういった仕事をやっておるわけでございますから、直ちにその中身に立ち入って、そうしてそれが事実か事実でないかといった立ち入った監視をするといったような立場にないわけでございます。そういった立場にございませんので、一応前のが誤りであったからと言われたからといって、直ちにそれが虚偽申告であったかどうかといったような見地からこれを告発をするとかどうとかいったようなことは、私どもの立場としてはなし得ないというふうに考えておるわけでございます。
  139. 山田芳治

    山田(芳)委員 自発的、まあ私はそれもおかしいと思うのだけれども、自発的に出したというなら、これは虚偽ではなくて誤りであるからやむを得ない、こういう点もわかるのですが、少なくとも雑誌その他において、詳細にあるいは個別的に全部人の名前を当たって調査をされた結果があの公開された雑誌に出ている。通常、市販をされているわけでありますから、少なくともそういう指摘を受けて、そうして直してきたという形であるということは、少なくともわれわれあの雑誌を読む限り、その雑誌がうそであるというなら告発をしたらいいと思うのでありますが、もし正しいのであるならば、実在する人もおれば実在しない人もいるという形になっているので、そういうことから言えば、雑誌その他から言えば、明らかにあれは真実に足る。そういう点からいって、持ってきたということは少なくとも虚偽であったということをみずから認めたという形なんであるから、これはやはり政治資金規正法の条項に照らすべきものではないか、公務員として当然刑事訴訟法等の措置が適用されるべきものではないか。ただ、従来からそういうものをやっていない、新しい政治資金規正法の制定を待ってそういうものは処理をしていくんだというのなら、それも一つの方法であろうかと思うけれども、そういう事実が通常世間に知られているのに何ら措置をしないということになると、これはどう見てもわれわれとしては納得ができない。もう少し説得力のある答弁をお願いしたい。
  140. 土屋佳照

    土屋政府委員 訂正報告があったということは事実でございます。しかし、そういった訂正報告があったという事実のみから直ちにそれが故意であったとかあるいは重大な過失があったとかということになりますと、雑誌等で読んだことはございますけれども、それを一々具体的に私どもがチェックをして、その事実を突き詰めなければならないわけでございますが、そういった立場にないわけでございますので、あそこで、法律で決めております虚偽の報告があったということで直ちにそれを告発するといった立場にはないということを申し上げておるわけでございます。
  141. 山田芳治

    山田(芳)委員 納得をいたしませんが、時間の関係もあるので本日はこの程度にとどめておきますけれども、私は、やはり公務員は犯罪の事実を職務上知り得たら、当然処置をすべきものであるということが法の命ずるところであると確信をいたしておりますから、この点はひとつ十分考えておいていただきたい。  次に、それと関連をして、前国会委員会で、金丸国土庁長官の件については捜査をいたしておりますという返事がございました。その結果をひとつお知らせをいただきたい。それからまた、新聞に、自民党の某議員が陣中見舞いを本人の名前で持っていったというのが出ておりますが、この点についての捜査当局の判断はいかがなものでありますか、お聞きをいたしたい。
  142. 土金賢三

    土金政府委員 お答え申し上げます。  金丸代議士後援会のネクタイ問題の調査の結果はどうか、こういうお尋ねでございますが、金丸代議士の後援会であります久親会のシンボルマーク入りネクタイ及び似顔絵入りネクタイ問題につきましては、山梨県警察において調査を行ったわけでございます。その結果、シンボルマーク入りネクタイは二万数千本作成され、後援会員に対し昨年十一月に行われる後援会の結成記念大会の記念品として配付されたものと認められたのであります。このネクタイの製作は、久親会の費用で賄われまして、配付の方法は、各支部がそれぞれ配ったものと認められます。また、配付の時期につきましては、総選挙が比較的近いと判断される時期と認められたわけでございます。したがいまして、このような時期にきわめて大量のネクタイが配付されたものであるということ、また、そのネクタイは金丸氏個人の氏名を類推させるシンボルマークが織り込まれていたということ、こういったことなどから、事前運動の疑いがあるものと判断されましたので、本年の一月二十一日に久親会の責任者に対しまして、同種の事案を起こさないよう厳重な警告を行ったところであります。  なお、似顔絵入りネクタイにつきましても、同様の趣旨でこれは約六百本つくられたわけでございますが、これにつきましても同様の趣旨で責任者に警告を行いました。  警察といたしましては、公職選挙法の趣旨を体して、今後とも選挙の公正確保に寄与するため厳正、公平な取り締まりを行っていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  143. 山田芳治

    山田(芳)委員 あとの陣中見舞いの問題……。
  144. 土金賢三

    土金政府委員 陣中見舞いの問題、つまり高鳥代議士が上越市議選挙において、市議候補者に陣中見舞いとして現金を贈った、そういう記事が出ておったわけでございますが、この件につきましては、上越市市議選挙の前である四月十三日と十四日の両日にわたり、「祈必勝 高鳥修」と記載され、現金一万円ないし三万円の入ったのし袋が、同選挙立候補予定者に贈られた事案であるというふうに承知いたしております。  この事案の措置でございますが、これにつきましては、陣中見舞いとして現金が贈られたということであれば、それは寄付と考えられますので、公選法第百九十九条の二あるいは三、または四のいずれかの違反になる疑いがあるものと考えられます。しかし、罰則が適用されますのは、当該選挙に関して、または通常一般の社交の程度を超えて寄付がなされた場合でありますので、新潟県警においてもこれらの二つの面から関係者より事情を聞くなど、事実の調査を行っているところでございます。
  145. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうしますと、陣中見舞いが本人の名前で出される場合は寄付であるから、通常社交の程度を超えれば違反になる、そのとおりだろうと思いますが、通常社交の程度ということがまたここで問題になるわけでありますけれども、いまお話しのように一万ないし三万程度のものでは通常社交の程度と認定されるのかどうか、そこらあたりは今後の問題で、まだ捜査中であると言うのか、その点をももう少し明確にお答えを願いたいと思います。
  146. 土金賢三

    土金政府委員 仰せのとおり、これは今後の問題として捜査をいたしておる次第でございます。
  147. 山田芳治

    山田(芳)委員 この事件で、一万ないし三万程度が通常社交の程度である、国会議員の陣中見舞いというのは一万ないし三万ということなら社交の程度だということになりますから、この点は今後の非常に大きな事例になると思います。その程度なら社交の程度なんだということになれば、三万ぐらいなら大丈夫だ、五万ならどうだという問題もあろうと思いますが、少なくとも三万までは大丈夫だというふうになりますので、いずれ捜査の結果はまたお尋ねをいたしたいと思いますが、金丸長官のは、結局一件落着である、関係者を呼んで注意をした、こういうことに理解してよろしいのですな。
  148. 土金賢三

    土金政府委員 金丸長官の事案につきましては、厳重に警告をいたしまして落着と申しますか、終了いたしておるわけでございます。
  149. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常に問題があるわけで、この点、たとえばこの前林百郎議員が言われたように、千万単位の金が出ているわけでありますから、それが一体どういう形で出ているか、政治資金届け出等も伺いたいと思いますけれども、時間が来ておりますので、いずれの機会にかまたお伺いするとして私の質問を終わります。
  150. 粟山ひで

    粟山委員長 林百郎君。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 法制局次長、あなたに時間の関係で一番先質問しますが、最高裁の判決、これの趣旨は、衆議院の選挙についての一票の重みについての判断をしているわけです。判決の内容には憲法の十四条その他が援用されているわけです。しかし、この判決の前半を見ますと、国会選挙において平等な憲法十四条の精神が生かされなければならないということが精神なんですから、既判力の問題、いろいろあるにしても、この判決の精神としては、やはり参議院においても一票の価値が一と五五というような著しいアンバランスが出ている場合は、それを是正することがこの判決の精神だ、そう解釈していいと思いますが、どうですか。
  152. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほどお答えしましたように、既判力なりいわゆる判決の拘束力は、衆議院の千葉一区の選挙が違憲であるということに尽きるわけでございますが、これも先ほど申しましたように、判決の理由中において、その総論的な部分において、選挙権の平等は選挙人資格の平等のみならず、選挙権の価値の平等をも票求されるのだというふうに言っておりますので、そういう考え方は参議院の地方区の選挙にも通用するだろうと考える次第でございます。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 結構です。どうぞ法務委員会の方に行ってください。  大臣、あなた、政党本位の選挙をする場合には、小選挙区制ということも一つの考え方としてあり得る。必ずしもそうすると、あなた言っているわけじゃありませんけれども、この政党本位の選挙というのはどういうことなんでしょうか。私たちは、少なくとも共産党に関する限り政党本位の選挙をいまの区制でもしておりますので、あなたの言う政党本位の選挙というのは、自民党の中の派閥がたくさんあって、派閥間の抗争が激しい。したがって一人区でないと派閥の争いが規制できないという意味にとれるわけなんですけれども、政党本位の選挙というのはいまの選挙制度で区制を変えなくとも十分できるはずだと思うのです。政党本位の選挙というのは、政党自身の持っている体質をまず変えなければ、幾ら選挙の区制を変え、選挙制度を変えても、政党そのものが政党本位の行動をするような政党にならなければ直らないのじゃないですか。その点をまずお聞きしておきます。あなたには耳の痛いことかもしれませんが。
  154. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は何も政党本位の選挙というのが、派閥の弊害を除去することが政党本位の選挙をしなければならない理由だとは毛頭考えておりません。要するに、たとえばいまの制度でも選挙の運動のやり方その他を通じて政党本位の選挙というものができることは当然であります。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 それならば、何も小選挙区でなければ政党本位の選挙ができないのだということを大臣が考えているというわけじゃないのですね。そういうようにお聞きしておいていいですね。
  156. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私が申し上げておるのは、やはり小選挙区制というやり方で選挙をやることも一つの合理的な物の考え方になるし、またそういう形をとりますと、恐らく野党の間においても政策面においてお互いに話し合いをするということが、現在の段階では、現在のように自民党が非常に数が多いような場合には、私は非常に意味があるのじゃないかと思っております。これが小選挙区になったような場合において、また各党ばらばらでは、これはてんで問題にならなくなるわけですから。しかし、それでもやはり自民党のやり方はもう一番いかぬ、どうも五党のうちでは一番いかぬという批評が出てくれば、それじゃこちらの方へやろうということで野党の方が当選されることももちろんあるわけでありますけれども、私たちから言うと、何か言うなれば将来政権交代がわりあいに平易に行われて、そして政策の転換がうまくできるような仕組みがあると、私はそれは自民党というか、いまの多数党にとってもプラスの面があると思うのです。そう長いこと政権を常に担当しなければならないというのではなくて、常にそういう一つの政策によって政権が動いていくというような姿が出ることが望ましいというようなことも、私は小選挙区制の一つのメリットだと考えております。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 私は小選挙区制のメリットをあなたに聞いているわけじゃなくて、あなたが答弁されたように、現行の制度においても政党本位の選挙というものはできるのだ。そして政党本位の選挙というのは、その政党の持っている体質自体を、まず政党としてのそういう基本的な姿勢をとることこそが先決だ、こういうことはお認めになるかどうかということなんです。それだけを簡単に答えてもらえばいいのですよ。小選挙区制のメリットなんかあなたから聞かなくとも、私の方はデメリットがうんとあると思っておるのだから。
  158. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御質問に端的に答えないといっておしかりを受けてもあれですけれども、やはりお互いにいろいろな話し合いをしておるわけですから、林さんのようにそういうふうにぴったり決めつけられてしまうと、答弁が余り簡単になり過ぎていけないこともあるのですが、私は、いまあなたのおっしゃったように、現行制度でも政党本位の選挙というものはできると思っております。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 それでいいです。  そこで、先ほど小泉君が案を出されたのですが、これはけさの読売にも出ておるのですが、これによりますと、新しく参議院の地方区の四人区が二人区になって、そしてそれは選挙のたびに一人ずつということになるわけなんですが、それが七つ出てくるわけですね。そして今度は島根と長野の比例を見ますと、長野は四が今度は二になりますから、これは私の出身県ですからやってみますと、一・三四七になるのですね。これは一体自民党の案として小泉君が責任を持って言われたものなんですか。それともこれは小泉君の個人の意見として聞いておけばいいのでしょうか。
  160. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、自民党の意見ではなくて、小泉氏の意見であると思っております。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 土屋部長、憲法の九十九条ですね、もういうまでもなく憲法尊重の義務が公務員に課せられておるわけですね。いま法制局次長も言われるように、今風の最高裁の判決は、その精神は衆議院と参議院の地方区にも当然これは考えが及ぼされるべきものと思う、既判力はいろいろあるけれども。そういうように言われていますが、あなた自身としては、選挙の最高行政責任のある人として、まあもちろん自治大臣はいますけれども、参議院の地方区の定数の是正ということは考えられていますか。あるいはあなたの部として考えなくても、あなたの考えでもいいのですが、とにかく考えなければならないということはありますか。
  162. 土屋佳照

    土屋政府委員 事柄が、私が事務的にお答えするにはちょっと大きな問題だと思うのでございますが、今回の判決は、先ほどから言われておりますように衆議院に関したものである。参議院については、最近では四十九年に地方区の問題について判決が出ておるわけでございますけれども、今度の判決が直ちに参議院の地方区について言っていないにいたしましても、全般的な意味でその価値の平等ということについては触れておるわけでございますから、そこに言われておる精神というのは含めて、将来の研究としては考えなければならない。  私どもの事務的な立場で申し上げますと、第六次の選挙制度審議会あたりから、こういった問題いろいろな方向から議論をされておるわけでございますから、どうすればいいかということは国会立法府における御意見等が主なものになると思いますけれども、われわれとしての技術的な面からのいろいろな検討というのは、これという確定したものではなくて、議論はいろいろしておることは事実でございます。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、先ほど参議院の地方区の定数の問題についてはいろいろ各党で意見がばらばらだというようなお話がありましたが、自民党を除いては、参議院の国対関係者の間で、二十六名地方区増員でこのアンバランスを直すということはもう決まっているわけなんですよ。自民党さんがそれをワンパッケージとかいろいろなことを出してくるものだから、そこが進んでいないわけですが、このことをあなたは御存じですか。
  164. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 一応そういうようなことであるということは承っております。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 これは土屋部長と大臣と両方にお聞きしたいのですが、最高裁の判決が出たついでに、別表について、「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」これは言うまでもなく、あるわけですね。最高裁の判決の中にも、こういう点について国会の側にもやるべきことを怠ったと言われる、これは少数意見だと思いましたが、そういう批判を受けてもやむを得ないではないかというようなこともあるわけですね。本来立法府としてこういうものはやるべきだという。そこで衆議院も何かこの前の定数の是正で、あれでもう一応片づいたように言われておるわけなんですが、しかしその後、あれはたしか昭和四十五年の国勢調査に基づいて行ったので、あの是正によって一対四・八が一対二・八に直ったのですが、五十年の国勢調査によると、例を申しますと、兵庫五区と千葉四区の格差は幾らになっていますか。
  166. 土屋佳照

    土屋政府委員 一対三・七ぐらいになっております。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大臣、やはりわれわれこうやって司法当局の方から、何か立法府や政府がこういう民主主義の根幹にかかわるような法律の是正について法律どおりに行なっていないところを批判されるということはわれわれとしても心外でございまして、こういう点については、将来別表については、五年ごとの国勢調査でこの表を更正するのを例とするとありますが、これを今後どういうように厳格に行っていくお考えですか。このことが指定されているわけですね。もう八年間何の手もついていない。いろいろ立法府としては立法府の政策的な観点はあるだろうけれども、ここまで来たのでは違憲だということを言われているわけですね。やはりこのことを厳格に守っていく必要があると思うのですが、そのことについて、選挙部長と最高の行政の責任者である大臣はどうお考えになっていますか。
  168. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はその法律の条文から見ても、「例とする」と書いてあるので、しなければならないとは書いてない。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕 法律というのは、何々しなさいとか、しなければならないとか——「例とする」というのは、余り差が、幅が広くなり過ぎたならば考えなければならないという意味を含めて「例とする」という表現を使ったのではないか。実は立法のときに私は立ち会っていないからわからないのですが、私はそう思っている。で、しなければならないというのなら、どういう比率になったらしなければならないと、こう書かなければいけない。こういう意味において、これらの点を勘案して立法府は十分に研究しなさい、そして処置をしていくべきではないか、また行政府もこの点について考えをいたさなければならない、こういう意味を規定したものだと考えております。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、「例とする」というのは、これを例として守つていくべきであると、もっと厳格に解釈すべきだと思うのですがね。どうも大臣の答弁、ちょっと歯切れが悪いですね、その点。また法制局で聞いたり、提案理由をいろいろ聞くつもりですが、どうも、はなはだしくなった場合に直せばいいんだというような解釈をしているから、今度の最高裁の判決みたいに、立法府の怠慢が指摘されるようなことも起きるわけなんです。あるいはまた、立法府ばかりじゃなくて、時の政府の責任でもあるわけですが、選挙部長、どういうように解釈されるか。「例とする」、だから適当なときに適当にやればいいということでいいのですか。大臣の言うような、そういう厳格さをいささか欠くに過ぎるような解釈でいいのでしょうか。
  170. 土屋佳照

    土屋政府委員 「例とする」ということは、もう御承知のように、一種の訓辞的な規定でございますから、必ずしなければならないといったものではございません。ただ、ここで流れておる考え方は、国勢調査が行われて、その結果大きな異動があつたとかどうとかいうようなことがあれば、そういうことはしんしゃくをして、立法府としてもいろいろ考える必要があろうという意味でこれは書いてあるわけでございまして、そういったことから今回の最高裁の判決等を見ましても、基礎には投票の価値の平等というのがあるにいたしましても、ぴったりと一致した平等というわけじゃないだろう、それはいろいろな条件が、府県の区域とかどうとかあるだろう、しかしながら、今度のような大きな幅に至ったのでは、もはやどうも問題があると言わざるを得ない、しかも、その瞬間そうなるというのじゃなくて、ある程度憲法上要求される合理的期間内に直さないでほうっておいたのがいかぬのだ、こういったことで違憲であるというようなことを述べておるわけでございます。  そういった意味で、われわれとしては、基礎になるのは国勢調査でございます。これは五年ごとにあるわけですから、少なくとも五年たってみないと確定的な人口の変動というのはよくわからない。そういうことを参酌しながらどうするかということが検討されるわけでございましょうが、ちょっと動いただけで一々全部変えていかなきゃならぬということになりますと、これはやはり、非常に具体的な現実の国会議員の身分にかかわる問題でございますから、なかなかそういった点は問題があるということで、「例とする」ということで、十分合理的なものをお考えになったらいかがであろうかということで載っておるものだ、こういうふうに付記されておるものだというふうに解釈をいたしております。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、これはもう少し厳密に解釈すべきだと思うのですよ。「例とする」というのは、もう恒例として考えるべきだ。だから、少なくても五年ごとの国勢調査があるわけですから、もう昭和五十年の国勢調査もなされたわけですから、それに対してわれわれ国会議員も、あなたの言われたように一対三・七まで来ているが、最高裁の判決もあるし、この点はどうかということを検討し、そして合理的な政府側の答弁、国会側のそれに対する質疑がなされて、われわれとしてそういう点に無関心でいたというようなことが指摘されないような、そういう努力はしていかなきゃならないと思うのですよ。私は、そのことを最高裁の判決は示していると思うのですよ。八年間か何かほっぽらかしておくということは、これは立法府のいろいろな事情があるだろうけれども、その点はやはり考えてみなければいかぬじゃないかというように指摘されているわけです。その点については今後自治省としてももう少しシビアに考えていかれる、こういうことをお考えでしょうか。われわれの方もまた自治省の見解をただしますけれども、その点どうですか。
  172. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどからいろいろ議論が行われておりますように、今回の判決、衆議院の千葉一区についての判決文の中には、そういった投票の価値の平等ということもいろいろ述べられておるわけでございますから、そういった見地を十分注意をしろという判決でございます。将来いろいろな研究の際には、そういうことは念頭に置いてやるべきだと思っております。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、中曽根君の政治資金届け出の問題を質問したいと思うのです。  私は、この問題は、やはり一党の幹事長としての非常に重要な地位にある人ですし、それからいま騒がれているロッキード問題があった田中内閣ができ、あるいは田中総理がかつてない金を使われたと言って福田赳夫氏が嘆いた総裁選挙が行われたとき、それから田中内閣で中曽根君は通産大臣という要職にあった人でありまして、これは一応の疑惑が中曽根君に寄せられることもあって当然だと思います。それを非難することはできないと思うのですね、こういう位置にあったのだから。そしてロッキードの一番裏の秘密の代理人である児玉譽士夫に、コーチャンの証言によりますと、昭和四十七年度には約十一億の金がロッキードから来ておりまして、田中氏が総理になってからそのうちの約六億以上の金が来ているというのです。これはコーチャンの証言ですね。こういうこともあるとき通産大臣をしていた。  この人の政治資金届け出だ。先ほどから、中曽根君に故意があったかどうかという点について問題があるのでと言っていますけれども、これは自治省にお尋ねしますが、新政治調査会、新政同志会、近代政治研究会、山王経済研究会、いわゆる中曽根派の四政治団体といわれているこれに対して訂正個所があったということはお認めになりますか。
  174. 土屋佳照

    土屋政府委員 そのとおりでございます。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 何件で、金額にしてどのくらいに上る訂正がなされたわけですか。
  176. 土屋佳照

    土屋政府委員 件数にいたしまして四百七十五件でございます。金額は七億六千五百万余りでございます。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 非常に大きな訂正件数ですし、金額にしても大きなものなんですね。  大臣、私がこれを質問しますのは、それはもちろん中曽根派の政治団体だとはいいますけれども、実質的にはこれは中曽根君がコントロールしているわけですからね、だと思うのですよ。ぼくは、自民党の派閥と派閥のキャップとの間の関係をよく知りませんが、中曽根君が知らないはずはないのじゃないか。やはりこの中曽根君の道義的責任というもの、場合によっては刑事的な責任にまで及ぶかどうか、それは今後の捜査にまつべきだと思いますが、これはやはり無視できないと思うのですよね。  その上問題は、この名前を使われた人たちが非常に憤慨しているということですよ。私の方では、名前を使われている人百二十三人に全部往復はがきを出してみたのです。あなた、中曽根さんの届け出には金を一千万もらった、二千万もらった、何百万もらったと書いてありますが、いかがですか。ところが、みんな「あて所に尋ねあたりません」こういうのが全部来ているわけです。やむを得ませんから、電話もかけてみたんです。名前を見て電話で調べたのですが、たまたま一、二電話が通じた人があったのですけれども、それがとんでもない遠くの方の人だったりいろいろしている。  こう言っているのです。ある人は、私のような百姓のところにだれがそんな大金をくれるんだ、くれるわけないじゃないか、領収証があるならそれを確認してから電話してくれ、どうしても出しているというなら裁判所で調べてもらおうじゃないか、もうかんかんに怒って返事が来るわけですね。  これは岩田康夫という人のことを調べたのですが、届け出の住所地域は、数年前にできた大きなマンションと民家数十軒が建て込んでいる一角、マンションにも民家にも岩田という名前は出ていない。戦前からずっとここに住んでいる本橋邦太さんに聞いたのですが、岩田、岩田ねえ、聞いたことがありません、そんな大金をもらった人ですか、違うところに住んでいるのじゃないの、ここにはいませんよ、こういうような回答が次から次へ寄せられているわけですね。  それから、これは彼の選挙区のある人からですが、その事実なし、中曽根政治団体と無縁、昭和四十八年六月二十四日は九州にいた、そんな金が私のところに来るはずがない、そのころは九州にいた、こういうことも来ているわけですね。  だから、これは非常に悪質だと思うのですよ。架空な名前を使って金の行き先をごまかしている。金の行き先をごまかすということは、金の入ってくるところもはっきりできないから行き先もごまかすということもあるかもしれません。  そこで、一体こういうことが故意でなされたかどうかということについては、これは警察も聞いておいてもらいたいのですが、たしか四月十日ですね、新政同志会の代表者である、これは言うまでもなく御存じだと思いますが、中曽根派の櫻内義雄君が記者会見しているわけです。この櫻内義雄君の記者会見のときの発表によりますと、政治資金の大部分は中曽根派議員に支出したのを、議員名を出さない方がよいということで、実在しない人物や実在しても同派と全く関係のない人物の名前を使っていたと発表している。もう意識的に実在しない人に出したと言っているのですよ。土金さん、よく聞いておいてください。これはもう明らかに虚偽の報告をする故意があるのですよ。そういうことをちゃんと中曽根派の中心的地位にある、重要な位置にある櫻内さんが言っているわけですよ。行き先は議員だった、しかしその議員の名前を出したのじゃその議員に迷惑をかけるかもしれないから虚偽の人の名前を出したのだ、実在しない人物を出した、実在しても同派とは全く関係のない人物の名前を出した、これは、故意じゃありませんか、あなた。これはまだ警察が、故意にやったかどうかわからぬから捜査はもう少し行政府のあり方を見てから調べますなんというのは、どういうことだか私はわかりませんですよ。  そこで今度は訂正を出したのです。これは土屋部長にお聞きしますが、第一回目の訂正、これはどういう訂正が出たわけですか。
  178. 土屋佳照

    土屋政府委員 団体によって違いますが、一つは誤りであったという個所を入れかえまして、事務局長が受け取ったという形で出てきたのもございました。それから一つは、たとえば賃金あたりを一人の人に一括して受け取ったというかっこうになっておりました。そのいったこと等で、支出先がその事務局長だけであればあるいはそういう事実であろうかと私どもも思ったわけでございますが、同時に、そこを通じて所属の国会議員の方へ出したものであるということがあわせて書いてございましたので、それではやっぱりそこをはっきりしてもらう必要があるのではないかということで訂正をお願いをしたということになっておるわけでございます。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、中曽根派に所属する議員にこの金は渡っておりますということが第一回の訂正には出ておるのですか。
  180. 土屋佳照

    土屋政府委員 その旨が付記されておりました。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで選挙部長としては、あるいはあなたの方としては再提出を命じられましたね、そういう点を正確に出せ。それはお受け取りになりましたか。
  182. 土屋佳照

    土屋政府委員 大体期限の時期から入ってまいりまして、四月二十六日から四月三十日にかけて受け取っております。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 それには議員の名前が載っているのですか。
  184. 土屋佳照

    土屋政府委員 私が見た限りではかなり克明に出ております。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 これは私、資料としてひとつ御提出を願いたいのです。これはどうせ告示するわけでしょう。
  186. 土屋佳照

    土屋政府委員 官報で告示するものは大きな項目についての総額でございます。これは総額としては変わっておりません。中身でございますが、これは受け取って、正式に受理いたしました場合は閲覧に供するわけでございますから、一般の人が見られるわけでございます。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、いま行政的な整理もしている段階でしょうから、余り細かいことを聞いてもあなたは言わないかもしれませんが、大体議員何名ぐらいになっているのですか。大体の数で結構です。
  188. 土屋佳照

    土屋政府委員 議員については、議員さんの部面もあれば、あるいはアルバイトの賃金の部面も、いろいろございますし、そしてまた同じ方もダブっておりますから、正確に数はわかりませんが、大まかで恐縮でございますが二、三十名ではなかろうかと思っております。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 二十名と三十名じゃえらい違いで、十名も幅があるわけです。これは閲覧できるようになるわけなんですから、当公選委員会にいずれ提出していただきたいと思いますが、いつごろ提出願えますか。閲覧と同時にこっちへ出していただいてもいいですし、あるいは国会に敬意を表してその前に出してもらえればなおいいのですが、いつごろなら出してもらえますか。
  190. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもとしては今週中に所定の手続はとりたいと思っております。閲覧に供しますと、結局いろいろな方が見に来られるということもございましたりしまして、また、数も多いわけでございますので、仮に出すということになりましても若干時間はいただきたいと思いますが、もちろん一カ月もというようなそんな長い時間ではございません。物理的に昼間を抜いて、夜、人が見ないようなときに作業をするということになろうと思いますので、そこらの時間は必要だというふうに考えております。
  191. 林百郎

    ○林(百)委員 議員数も二、三十名ということで大分幅があるのですが、議員に対する金額はどれぐらいからどれぐらいですか。これもごく大まかなところでいいです。多いところはこのくらい、少ないところでこのくらいで結構です。
  192. 土屋佳照

    土屋政府委員 たくさんの資料でございまして、私もいまのところ克明にまだ見ておりませんが、五十万程度というのが非常に多かったように記憶をいたしております。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 訂正金額が七億幾らというのに、五十万でそれで合うのですか。あるいはどこか一括して大きく出しているというところがあるのですか。
  194. 土屋佳照

    土屋政府委員 克明に覚えておりませんが、この四団体のうちの二団体が議員の方が多かったわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、議員に出すものだけではなくて、アルバイトの賃金とか、そういうところもいろいろ明確にされてきた点もございますから、議員だけの問題ではないわけでございます。額としてはその程度のもので、非常に数が多くなっております。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 七億の訂正があったといって、一人五十万で三十人といったら千五百万でしょう。それに、しかもこれは中曽根派の政治団体なんですから、櫻内さんもそれを認めておるのだから、非常に不自然じゃないですか。それで各議員の受け取りもちゃんとついているのですか。ますます私は怪しいと思うのですよね。
  196. 土屋佳照

    土屋政府委員 あるいは私の説明がちょっと悪かったかと思うのでございますが、四十七年下期から何期にもわたって、しかも、それぞれの団体の中に何度も名前が出てくるわけです。その出されるときの一回が五十万程度ということで、そういうのが数が幾つもあるわけです。だから、件数として足していけばたくさんの数になるわけでございます。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 一つ、私の方の調査で明らかになったことを言いますと、近代政治研究会は、四十八年上期から人件費と称してかなりの額を支出しているが、不思議なことに名半期ごとに十名前後の人間に給与を出しており、それが毎月ごとに人が変わっていく、常識では考えられない支出をしている。もちろん、これらの人も大部分実在しない人物である。要するにあなたの言う、人件費とか何とか言って出しているけれども、それは人数を多くするために、実在する人もしない人も、また毎月ごとに人が変わったりしている。こういう事実をよく確かめてください。  それから、中曽根君の、幹事長個人政治団体ですが、山王経済研究会、これはまた四十七年の下期から四十九年の上期にかけて、講師料として三十一人に総額三百二十五万円を支出したと報告しておりますけれども、これらの講師の人たちの住所が、たとえば杉並区久我山とあるだけで何丁目何番地というものが全然載っておらない。これ自体きわめて不備であるけれども、そこでこちらはせめて電話で聞いておこうと思って中曽根派の山王経済研究会の講師と称する人のところの電話番号を調べてみたところが、一人を除いて全部電話を持っていない人だった。こんな講師を中曽根派の人たちは呼んで何の講義を受けるか知りませんけれども、これも明らかに脱法行為だと思うのですよ。こういう点もよく調べてもらいたい。  そこで私は、土金君にお聞きしますが、あなたは調べる調べると言って、もう四月二十六日の参議院の予算委員会からそんなことを言っているのですよ。これは何で手が出ないのですか。第一、自治省で二回目の再提出を命じているのですよ。あなた、それを取り寄せて見ましたか。そんなことをやっていれば、警察というものは政治権力のある者や政界の大物には手が出ないんだという印象を国民に与えますよ。自治省が二回目の再訂正を命じて出したものを、あなた、見ましたか。
  198. 土金賢三

    土金政府委員 警察はすでに内偵と申しますか、捜査を進めておりまして、自治省からの資料入手についても必要な手続はとっております。したがって、先ほどの自治省の御答弁にもありましたように、今週中には閲覧に供せられるというふうなことで、私の方にも、さきにとりました手続に基づきまして資料が提供されることになっております。したがいまして、従来進めてきました捜査とあわせて、さらにそういった資料を入れて捜査を進めていくということになるわけでございまして、まだ私自身はそれは見ておりません。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、いまの答弁で、捜査はもう進めておるのだと聞いていいと思いますね。  そこで、自治省ですらこれはおかしいと言って、二回目の訂正をさせたんですから、これは政治資金規正法の二十五条によって虚偽の疑いがあることは濃厚なんですよ。だからこそ自治省だって、こんなものじゃだめですよ、もう一度出し直しなさいと言ってるわけですから、その点は一つの情状証覚になると私は思いますが、これは警察官の感覚として言えば明確だと思うのですよ。だから、これを急いでごらんになって、そしてまた虚偽の届け出をしていたということになりますと、二重になりますからね。再訂正を命じて、再提出をしたものの先を——自治省では書面を受理するだけですから、実在するかどうかわからない。しかし、警察としては、再提出したものの、今度金をもらったという人を調べてみて、それがまた実在していなかったら、これは最初のも実在しない人になっているし、もし証拠が必要なら、私の方のはがきの写しを幾らでも差し上げますから、それを持っていって、自治省から再提出を命ぜられた、そしてその金の使途がまた実在しない人のところへ行っていたということになれば、これは二重の被疑事実になるわけなんですから、やはり警察としては十分な捜査をすべきであり、また、早急にごらんになる必要があると思います。その点は、先ほどあなたはまだ見ておらないと言いましたけれども、これは至急取り寄せて、捜査ですから、自治省との話し合いで再提出の届け出は見ることができるわけですから、至急ごらんになった方がいいと思いますが、どうでしょう。
  200. 土金賢三

    土金政府委員 捜査は警視庁においてやっておりますので、警視庁において、そういうふうな資料が提供されたらそれをやりますと同時に、そういうふうな点についても、先ほど御指摘のように私文書偽造の疑いもございますので、当然捜査をいたすわけでございます。  ただ、私、何回も御答弁申し上げておるわけでございますが、御承知のように政治資金規正法罰則は、その主管行政庁による行政上の措置、その行政目的を担保するためのものであるということがやはり法律の趣旨であると私は思うのであります。したがいまして、その法律の趣旨に沿った行政措置というものを待って、その目的が達せられないような場合にこの罰条を——五年以下というのは相当重い罰則でございますから、適用するということになるわけでありまして、私どもとしては決して捜査を故意におくらしておるとかなんとか、そういうことではございません。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことであればあるほど、自治省が命じた再訂正、まあ私の方で調査しますと、小林弘之というような名前で、これが新政治調査会の代表であり、新政同志会の会計責任者である。これに一括金を出したというような部分があって、それで自治省の方も、そのほかにもいろいろあったでしょうけれども、これではもう一度よく検討して出し直せということを言われたと思うのですね。  それで、土金さんがもし行政行為の担保としての刑事罰があるんだということなら、それが真実のものであるかどうか至急調べてみて、これほど行政的な指導をしてもなおそれに対して反省の色が見えないということになれば、これはもう断固として政治資金規正法の二十五条をするよりしようがないじゃないですか。そうでなければ二十五条の意味はないじゃないですか。だから、警察庁としては警視庁へも督促をして、その点を至急捜査を進められることを私は求めますが、どうですか。
  202. 土屋佳照

    土屋政府委員 その前に一言ちょっと、関連しますので……。ただいまお話がございましたように、自発的に持ってこられた訂正の中には、事務局長の小林さんという方が一括したというかっこうで出ておるわけでございます。ただ、これは事実を聞いてみましても、そういう立場におられるので金を出して、そのときにそういう方が受け取ったものをいろいろやったという事実はあるのだということでございましたけれども、だから、それはそれで虚偽とは思えなかったのでございますが、それ以外に、そういうことでその人を通じてさらにほかへ配ったということですから、それが書いてあるならばそれを明確にしてくださいということで、若干不備である、不明確であるという意味で再訂正をお願いしたということになっておるわけでございます。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 虚偽であるかどうかという刑事的な責任の判断は警察がやると思うのです。それは行政のあなたがやる必要はないと思うのです。あなたはただ書面上これは行政責任者としてこれをそのまま受け取るわけにいかないということで注意されたと思う。だから私は警察に言っているわけです。そうすると選挙部長の言うとおりだとすれば、小林弘之君が両方の団体の金を一括してもらってそれから配ったということなら、前の四百何件というものはこれを虚偽になるわけですか。どっちかが虚偽にならなければおかしいんじゃないですか、両立しないんですから。それは土金さんでも土屋さんでもどっちでもいいです。
  204. 土屋佳照

    土屋政府委員 これは事実だけでございますが、先ほどもお話がございましたように、それぞれの団体で最初に出したものが誤りであったということは認めておられるから訂正を出されたわけであるというふうに思います。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 土屋さん、誤りであった、これは行政官としては誤りであったという言葉を使うのはいいでしょう。しかし、あなたの方は、その誤りが意識的な故意に基づくかあるいは故意の容疑があるかどうかの判断はあなたの方がするわけですから、あなたの方はやはり捜査の責任上、あなたもさっきいったように、私文書の偽造もあるし、場合によっては受け取りが偽造されていれば印鑑の偽造もあるでしょうし、こういう刑法上の責任も出てくるわけですね、あなたがさっき言われたように。そういう点はあなたの本来の職務ですよ。何も行政の担保ということだけでなくて、これはもう普通の犯罪として私文書偽造あるいは印鑑の偽造というものがあるわけなんですから、印鑑の偽造による私文書の偽造ですか、というものがあるわけですから、その判断はあなたがしなければいけない。あなたの責任ですよ。  土屋部長としては、これは事実でないというようにさっき、正確な表現を私忘れましたけれども、とにかくこれは事実でないように思うから事実に即したものを出すと言ったと言われたから、これは行政指導ですね。その事実でないということが故意による虚偽のものであったかどうか、あるいは刑法上の私文書偽造までになるかどうかという判断はあなたの方がしなければいかぬわけですから、これは捜査は鋭意全力を尽くしてやらなければいかぬわけですね。そうでなかったら警察の権威なんというのは、七億幾らの金がだれのところにどう行ったかわからない、いや警察もやってみたけれどもまあまあいいでしょう、これではあなた、いま二千円、三千円の窃盗だってみんな逮捕されて留置場に入れられているんですから、土金さんよく知っておいてください。こういうことだから、こういう人だから手が出ないなんということになったら大変ですから、その点は厳然として警察の中立性の立場から捜査してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  206. 土金賢三

    土金政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもは厳正公正なる捜査を進めることにいたしております。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  それでは委員長、大体一週間もあれば再提出を命じた届け出の資料も整理がつくそうですから、そうしたらひとつ委員会に参考までに提出するように、また理事会で御相談くださっても結構ですが、お取り計らい願いたいと思います。
  208. 久野忠治

    久野委員長代理 理事会に諮った上措置いたしたいと思います。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、自治省にお聞きしますが、こういうことが一体歴史的にもあったのかどうかということを少し私どもも調べてみたいのですが、昭和二十八年から四十七年、二十年間といいましょうか、政治資金規正法の違反で有罪判決を受けた件数は、私の方で調べたのは、まずわずかな十件しかない。通常の起訴で有罪になったのは三件で、あと七件は略式有罪ということになっている。こういうように軽いものだと思うのですね、略式等もありますから。ところが今度のような金額、そうして関係者がこのように多くの人が関係しているというような、こういう政治資金規制に関する違反というか、少なくとも自治省として再提出を命令して、もう少し正確なものを出すといったような、こういう規模のものはいままであったのでしょうか。
  210. 土屋佳照

    土屋政府委員 私の経験では、こういう大きな訂正を出されたものは記憶にございません。ただ、はるか前の時期はどうだったかわかりませんけれども、それほど大きなものがあったということは資料等からは推測されないわけでございます。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、もう時間が参りますから、福田さん、今度は国務大臣でなくて、これはあなたの所属する自民党の幹事長としてこういうことをなさって、そうしてあなたが、しかも選挙の最高行政責任者として、金のかからない選挙だとかあるいは政党本位の選挙だと言っても、あなたのここで言うことがうつろに聞こえるわけですね。こういう問題について、まだいろいろ刑事的には捜査も進めなければならないでしょうし、行政的にはこの届け出をいろいろ整理しなければならない部分もございますけれども、少なくとも新聞でももう相当報道されておりますし、それからさっき山田同僚議員も言われたように週刊誌にも書かれている、こういう事態において、このことをあなたはどう受けとめられているのでしょうか。
  212. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は自治大臣としてこの委員会に出席をいたしておるのでありますから、私は何も自由民主党の立場で物事をお答えするわけにはいかないと思います。自治大臣として申し上げますればまことに遺憾なことである、今後このようなことがないようにして、そうして国民の疑惑を招かないように努力すべきである、自治省もそういう意味で努力をいたすべきである、こうお答えする以外にありません。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 私の質問を終わります。
  214. 久野忠治

    久野委員長代理 林孝矩君。
  215. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最初に、中曽根派政治団体の虚偽の収支報告の問題に関して、自治省並びに警察庁にお伺いします。  この問題は、昨年三月三日の衆議院の予算委員会において、わが党の山田太郎委員が取り上げました。その四日後の三月七日に自治省に届け出が出された。ところが、この届け出した同派の団体、新政治調査会、新政同志会、近代政治研究会、山王経済研究会、この四団体の収支報告書において、昭和四十七年下期から昭和五十年下期にかけての三年間に、先ほどもお話がありましたように四百二十二件、約八億円にわたって、全くでたらめな報告がなされておったということが判明したわけです。自治省から訂正要求を受けて再度提出した報告書が、またもいいかげんな報告であった。そういうことで政治資金規正法の第六条並びに第八条違反さらに私文書偽造、先ほども答弁がございましたその疑いが持たれている。こうした重大な意味を持つ問題であるわけです。と同時に、政府高官に多額な献金が流れたというロッキード献金問題、この問題にも象徴されるように、政治献金政治資金の集め方、使い方という問題に対する重大な意味を持つ事件でもある。  そこで先ほど来、再提出された資料の問題がございましたが、四月二十六日に中曽根派から再提出された収支報告書は自治省が正式に受理されたのかどうか、されたとしたならばいつ受理されたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  216. 土屋佳照

    土屋政府委員 訂正をお願いいたしました報告書は四月二十六日に大部分が提出されまして、それから一つ団体の一部が四月三十日に提出されたわけでございます。そこで、私どもとしては、一応事務的に形式的な審査を行ったわけでございまして、その結果大体担当の方では整理はついたようでございます。ただ、こういう形でこうなりましたということは、最高責任者でございます大臣までお話をした上で受け取るということになります。それを近々のうちにいたしたいと思っておるところでございます。そういった意味では、来てはおりますが、正式受理というようなことは、特別法律にはないわけでございますけれども、まあそれでいいなということになれば提出された日付で受け取ったのだということになるだろうというふうに考えております。
  217. 林孝矩

    ○林(孝)委員 先ほど来警察庁の答弁の中に、行政措置の担保として警察は捜査をするということがございました。それとの関連で御質問をいたしますが、四月三十日に再提出が終わった。この再提出された収支報告書に対して、自治省としてその収支報告書に対する処分以外、今日までされなかった問題が残っておるわけです。いわゆる報告しなければならない、届け出をしなければならない、こうした問題に対して、していなかったという政治資金規正法上の問題があるわけですね。こういうものを含めて、この事件に対してどのような処分を考えているか。そして私がお伺いする意味の中に、四月二十六日の参議院予算委員会の警察庁の答弁の中で、先ほど来述べられておりますように、自治省の行政措置の結果を待って捜査を進めたいという答弁があるわけです。これとの関連をやはり明確にしておかないと、この問題の本格的な解明の行動というものが行われない。したがって、その点について自治省並びに警察庁の答弁を求めたいと思います。
  218. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほども関連した問題でお答えを申し上げたわけでございますが、私どもとしてはこの政治資金規正法の基本的な理念というものが、それぞれの政治団体が収支の報告を提出されまして、それを形式的に審査をした上で国民の前にこれを公開をしまして国民の監視と批判を仰ぐ、そういうたてまえになっておるわけでございまして、私ども一々その中身について形式が整っておるものをこれは間違いじゃないかということで全部にわたってチェックするというような、そういった権能は持ってないわけでございます。そういったことで、一々実質的な審査に入って告発するような立場にないということを御了解願いたいと思うのでございます。  それから、いまちょっと私、十分理解できなかったわけでございますが、届けてないものというようなことでございましたが、今回のものは自発的に向こうから訂正を申し込んでこられて、それを見た結果不十分であったという点を補完をしてもらって再提出をしていただいたということでございます。
  219. 林孝矩

    ○林(孝)委員 警察庁、ちょっと後から……。  いまの答弁に対して質問いたしますけれども、再提出された収支報告書に対するチェック機能というものについて、非常に物理的に不可能であるという意味の話があるわけです。それは一般的に数が多い、だから数が多いものについては人員が足らないのでチェック機能を持たないという、これは先ほどの課が一つ新設されたという業務内容に関する質問の中にも答弁があったわけです。  ただ、こうした具体的に一つ政治団体あるいは四つの政治団体についての問題として提議されて、そしてその問題の内容というものもかくかくしかじかであるという形で明らかにされていることに関して、これは自治省としてチェックする能力を持たないとか、そういうことでは私は弁明はできないと思うのです。この問題に対しては、積極的に自治省として内容の検討というものをすることが、政治資金規正法改正に当たってわれわれは審議しましたけれども、そのときの自治大臣の答弁あるいは選挙部長の答弁の中にもそうした姿勢の話があった。そういうことから考えて、当然なすべきものがなされてないという問題があるわけですね。  この点について、たとえば新政同志会について詳しく申し上げますと、この新政同志会の政治資金の流れの中に一つ団体として新政治調査会というのがあります。この新政治調査会の支出の明細を見ますと、新政治調査会から新政同志会、これは千代田区平河町の砂防会館にあるわけですけれども、支出名目が政治活動費五千万、調査研究費八百万、合計五千八百万。さらに新政同志会横浜支部、これは横浜市神奈川区旭ヶ丘九丁目にありますが、ここに政治活動費として千九百二十万、調査研究費として二千四百三十万、合計四千三百五十万、大阪支部、これは大阪市北区にある支部でありますけれども政治活動費千四百五十万、調査研究費千九百五十万、合計三千四百万。さらに九州支部、北九州市の小倉区にある事務所でありますけれども政治活動費二千六百三十万、調査研究費三千七百三十万、合計六千三百六十万。したがってトータルいたしますと政治活動費として一億一千万、調査研究費として八千九百十万、合計一億九千九百十万、こうした政治資金の流れがあるわけです。  この新政治調査会という政治団体は、昭和四十四年十二月十三日に中曽根康弘会長として政治活動のために結成された。そして機関紙「新政」を出版しております。その他数々の研修会等を開催しておりますけれども、こうした一つ政治団体の例を見てわかるように、昭和四十四年に設立されて、そして全然届けていなかった。いわゆる無届けの団体、これが今回の中曽根派の政治献金の問題に関係して明らかになってきている。そしてこの新政同志会という一つ政治団体、いわゆる新政治調査会から支出を受けた団体として浮かび上がった新政同志会、この団体の自治省に対する収支報告の届け出が問題にもなっておる。  こういう事実関係というものは、国会の中で明らかにされて以来今日まで自治省において調査されたかどうか。警察庁が自治省の行政の担保として捜査をするという答弁が参議院の予算委員会でなされておるわけですけれども、自治省が、こうした明らかにされたものに対して何ら動いていないとすれば、いつまでたっても警察の捜査は進まないということになるわけですし、それとは別途に警察は捜査をすべきであるという考え方に立つならば立つで、そうした自治省の見解を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  220. 土屋佳照

    土屋政府委員 最初に、第一点でございますが、先ほども申し上げましたように、この政治資金規正法というものが、政治団体の中に行政庁が立ち入って、そして公正を担保するという形ではなくて、やはり本来政治団体そのものが、これは正しい報告でありますという立場でお届けになる。それを国民の前に公開をして批判を仰ぐということでございます。現にその公開の結果がいろいろと批判もされておるわけでございますが、そういうことでその公正さを担保していこうというねらいでございまして、私どもが何か実質的に中へ入って捜査して、政党の中へ飛び込んでいくということは、これはやはり基本的に法の精神としておかしいのではないか、そういう仕組みになっておると私は思うのであります。  といって、いまお話のございましたように、政治団体である実態を備えながら、事実金銭の収支もあって届け出ないということは、これはもちろん法に違反しておるわけでございまして、許されるべきことではないわけでございますが、一般的に、ある団体政治団体に該当するかどうかということは、その団体自身がその目的、活動状況等の実態に照らして判断され、またそれによって定まるわけでございまして、私どもが、どこかの団体がどうも動いておるらしいという形で、届け出てないのはけしからぬではないかというかっこうで見つけ出していく、そういう意味での権能はないわけでございます。  ただ、いまお話がございましたように、新政同志会でございましたか、その実態は、国会で公明党の山田議員だったかと思いますが、御指摘を受けまして、そういうものについては、私どもも全然関係がないからといってほっておるわけではございませんで、実質的な形にはなりますが、ある程度そういう指摘があったということで、当時大臣も国会でも、聞いてみたいというようなことを言っておられたことから、私どもも若干話を聞いたわけでございます。その結果、そこの団体も、大体一つの研究グループであって政治団体まで熟してないと思っておられたようでございますけれども、いろいろ話を聞いて向こうもこれは政治団体として届けるべきものであるということを自覚されまして、五十年から届け出をされたということになっておるわけでございます。  私どもも、それ以前の実態政治団体というようなかっこうに熟しておったか、本当に研究活動をしておられたのか、それは実質中へ入って調べておるわけでもございませんので、その当時のことについて言及するわけにはまいらないわけでございますけれども、いまのような問題のあったところは、われわれが捜査権的なかっこうで実質的に中に入らない限りは、できるだけ連絡をとって適正なものにしていこうという努力はしたいし今後もそういう努力はいたしたいと思っておるわけであります。
  221. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの答弁を聞いておりますと、一般的な問題についての話はわかりました。ところが、具体的な問題としてこの新政同志会の内容を私は話したわけです。そうしますと、この政治資金規正法の第六条に、政治団体の届出義務というのは七日以内ということになっておりますね。それから第八条に「政治団体は、第六条第一項の規定による届出がされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。」こうなっております。この六条と八条の文言から考えますと、たとえばこの新政治調査会という政治団体、四十四年の十二月十三日に設立されておって、雑誌を出し、研修会を開催し、こうした政治活動をし、さらに資金を得ておる。これはどのように考えればいいんですか。
  222. 土屋佳照

    土屋政府委員 そういった、いまおっしゃったような活動をしておったかどうか、私どもこれは事実はわからないわけでございますけれども、まあいろいろな団体がありますが、それが全部政治団体になるかならないかということはその実態によって決まるわけでございます。やはり先ほども申し上げましたような、団体の掲げておる目的とか活動状況等といったようなことから判断されるわけでございまして、私どもがそれをいろいろな団体を見つけ出すというような形で、おかしいではないかという指摘は、これはできないわけでございます。しかし、事実そういうことがあったということが言われた場合に、それではどうするかということになれば、それは実際捜査能力のあるところでお調べいただいて、これは違反じゃないかということになれば、それは問題になってくると思うのでございますけれども、そういったことが指摘されるまで、現実にそれが研究グループということであったのか、親睦団体だったのか、何かそこらのことは、いまおっしゃっておることは多分事実いろいろ調べられた結果ではあろうと思うのでございますけれども、私どもが、当時政治団体であったはずなんだ、それをやってなかったからこれはいけないんだと、そこまで言い切るだけの調査能力もちょっとないわけでございますので、その点は御了解願いたいと思うのでございます。
  223. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、これは警察当局に伺いますけれども、いま自治省の答弁は、そうした問題に対して全然手がつけられない、捜査能力を持たないということですね。これは昨年の三月に国会で具体的な事実を挙げて問題にした件なんです。そうすると、一年たって自治省はこうした具体的な問題に対して捜査しないというと、いまの答弁は、これは警察庁のやることですということを暗にほのめかしておると私は解釈するのですが、どうなんでしょうか。
  224. 土金賢三

    土金政府委員 お尋ねの新政同志会でございますが、その当時、五十年三月に政治団体として届け出をしておるということでございますが、その当時の実態がどうかということにかかる問題でございまして、調査した上で事実関係が明らかにされない限り、直ちに警察としてどうするか、こういう問題には警察としても出られない、出るのが本筋ではない、こういうことになるわけでございます。と申しますのは、こういう団体というものにつきましては、やはり政治資金規正法による届け出によってそういうふうにやるべきでございますから、その前にそういったあらゆる団体について警察がその実態を事前に全部調査するというふうなことは、ちょっとこれは不可能でもありますし、また、犯罪の容疑も何もないうちから、そういうふうなことをやるのはいかがか、こういうふうに考えるわけでございます。
  225. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、自治省も警察も何にも手をつけない、しかし、こうしたことが許される、これは非常に重大な問題ですよ。いいですか、第六条に政治団体届け出義務があって、この団体は届けていないわけですよ。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕 四十四年に設立して届けてない団体があるわけです。そして第八条には「届出がされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。」こういうことになっておるわけです。ところが、この団体はすでに政治活動をやり、金銭の収支がそこに起こっておる。そしてそういうことを国会の場で提起して、警察は全然捜査をしない、自治省もそれに対しては何にも手を下す方法がないというと、今度は政治資金規正法そのものが全然生かされない、こういう法律であるということを政府みずからが裏づけていることになるのじゃないですか。
  226. 土屋佳照

    土屋政府委員 たびたび申し上げておりますように、ある団体がある、これが政治団体であるかどうかということは、その目的、活動状況、そういうことから判断されるわけでございましょうが、その団体が、現にどこかにある団体がそういう政治活動をやっておる、いわゆる政治団体だ、にもかかわらず届けないで、収支があったとかというような事実は、私どもこれは前もってわからないわけであります。しかし、議論がいろいろされた場合に、私どもとしても実質調査権がないにいたしましても、連絡をとっていろいろ言われているがどうだということで、その程度の接触はしたわけでございます。その結果、やはりこれは政治団体として今後いろいろ活動をしていくという上ではちゃんと届け出た方がいいということで届け出られたという結果になっておるわけでございます。  そういった意味では私ども手をこまねいておったわけではございませんが、しからばその前にやったことは、すべてこれはいまおっしゃったような違反になるのじゃないかと言われますと、あるいはそういうことがあるかどうかを含めまして私どもにはわからない。当時は親睦のグループだったのかもしれませんし、本当に政治団体であったのかどうかということは、これは先ほど申し上げたように、私どもがそれを知る能力がなかったわけでございますから、その点については、残念ながら、個々にさかのぼってそのとき違反しておったとかどうとかという事実を調査をする権能は自治省としてはないのだということを申し上げておるわけでございます。しかし、いま言ったように、いろいろ問題が起こったときに、私どもが許される範囲内で接触したりして適正なものへ持っていくというような形にする努力はやらなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  227. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの話を聞いておるとよくわかるのです。  では、今度は立場を変えて言うと、ある政治家がすでに一つのグループを形成して、届け出をしないで政治活動をやり、金銭の授受、いわゆる寄付の収支があった。ずっと何にも収支報告をしないできておるわけです。たとえばこれが七年たっておるとしましょう。そして七年目に、ではそろそろ報告しようかという形で報告した。その報告内容は、たとえば去年設立した政治団体である、これは七年前に設立したということを隠してそういう形にして報告した。そして一年間の収支報告を出してきた。それを自治省が受け取った。その段階では過去のことは自治省わかりませんでしょう。  ところが、過去の事実関係というものを、実はこれは七年前に設立したものであったということを調査の上で明らかにして発表して、それを責任ある一つの政党が公の立場に明らかにした。そうしますと、それから先、この間の問題について起こってくるのがこの六条、八条の問題です。でなかったらこの六条、八条というのは全然働かない法律ということになりますね。それから先の話はどういう形で当局は受けとめられているのですか。これは警察庁の関係です。
  228. 土屋佳照

    土屋政府委員 確かに政治資金規正法の精神というものをどうとらえるかということに基本的にかかわる問題でございまして、何遍も申し上げますように、大変失礼なんでございますが、この政党、政治団体というものは、やはり行政庁が余り介入しないという立場で、ここにある法の趣旨を守って、政治団体がちゃんと届け出て、政治団体という実態であるなら、自分たちが届けて、そしてその上にこの寄付その他を受け取ってくださいということになっております。それを守ってもらうということでございますが、それができない場合の担保として確かに罰則はございますけれども、いま言ったように、過去にさかのぼってそのときがどうだということで、実際政治団体としての実体を持っておったかどうかという認定は、これは自治省としてはむずかしいわけでございます。だから、非常に明確な事実なり何なりがあった場合に、あるいはその捜査上の問題として出てくるのかどうか、それは専門の立場からのお話があろうかと思いますけれども、われわれとしてはそういう立場にある。だから、前については、いまの六条なり八条なりというのは、罰則はあるけれどもなかなか有効に働かないのではないかという御指摘の気持ちはわかるわけでございますけれども、この法の精神から見て、私どもとしては、そこまでの権限を持っていないということをお答えする以外にはないわけでございます。
  229. 林孝矩

    ○林(孝)委員 警察庁、専門的な立場で……。
  230. 土金賢三

    土金政府委員 私どもも自治省のただいまのお考えと同様に考えております。
  231. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ちょっと、もう少し詳しく言ってください。
  232. 土金賢三

    土金政府委員 この政治資金規正法の趣旨と申しますのは、やはり主管の行政庁であります自治省がまず行政目的に沿う措置をとるということが前提にありまして、それを受けて罰則関係の捜査なりそういう司法当局の捜査、出動なりそういうことはすべきであるというのがこういう種類の法律の原則である、私はこういうふうに考えておるわけでございます。ですから、最も典型的な例を考えますならば、本来自治省におかれてそういう事件調査なりされて、その実態法律に違反するということを認定されました場合には告発をされる、告発を受けて警察が措置に乗り出すというのが、こういう法律においては最も典型的な場合である、それが望ましいと実は考えておるわけでございますけれども、必ずしも、実際の事案につきましてはそうもいかない場合もありますし、特に今度の中曽根派の問題などについては、事案の性質上私どもで捜査をすでに開始しておりますが、これは直ちにそういった罰則を、警察としても違反の容疑をもって措置、捜査を開始しなければならぬというふうに考えられるものもございますので一概には言えませんけれども、しかし、本筋的に言うならば、やはり行政措置が先行する、こういうたてまえがこの政治資金規正法の趣旨である、精神である、こういうふうに考えるわけでございます。
  233. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうすると、行政措置が先行しない場合には警察は動かない、捜査のいわゆる端緒にはならない、行政措置を自治省ができなければこうした問題は全然動かない、結論的にそうなるわけです。そうしますと、これは政治家の良心に待つ以外にないわけでありますけれども、こうしたたぐいの例は、いわゆるよくないことであっても、手のつけようがないというような状態に置かれてしまう結果になるわけです。そうすると、この政治資金規正法の内容、六条、八条というものは働かないし、また二十三条の「政治団体が第八条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、五年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」というこの条項も働かない。結局、この政治資金規正法の六条、八条、二十三条というものは全くざる法だということになるわけです。そうすると、こうしたことをなくしていくためには、やはり政治資金規正法改正ということを考えていかなければならない。これは大きな問題提起だと私は思っているわけです。  そういうことで今回の問題をさらに考えますと、今度は提出したものが全然でたらめであったという問題ですね。これは今度は自治省の中に収支報告がなされてから後の問題になりますから、そこはいま私が言ったそれ以前の問題と違うわけですね。われわれの調査によっても、先ほどから指摘があったように、いわゆる架空の名義、そうしたものが支出先になっておる、こういうでたらめな報告内容があることが判明しておるわけです。  そこで、これは一つ税法上の問題としても取り上げておきたいと思うわけですけれども、午前中も議論がありました。いわゆる中曽根派に入った約八億のお金が、四十七年から五十年までの間の報告書が出されて、再提出の書類が出ているわけですけれども、その内容が今週中に明らかにされるそうでありますけれども、再び架空の人物、そうした者に支出されているということが明らかになった場合、もう一つは、架空の人物ではなしに今度は実在の政治家あるいは高官に出されておるということが明らかになった場合に、これは大蔵省から来ていただいておると思いますけれども、税の方の申告の問題として、先ほどの本委員会での質疑の中に、いわゆる雑所得として出すのは政治活動に使った金以外の授受した金ですね、こういうもののみが出される、当然それは課税されるという。ところが、主税局で聞きますと、いわゆるそうした金額、金は全部雑所得として出して、その中からこれだけは政治活動に使ったというここで控除されるのだ、全部使った場合には当然非課税だ、しかし財産形成であるとか、そういう部分にこれだけは使ったというものが残っておれば、当然それは課税の対象になる、しかしこれは原則論です、こういう説明がありました。そうしますと、大蔵省の中でも少しニュアンスが違う。この辺はどういうことが真実なのでしょう。
  234. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 ただいま先生から、私が午前中にお答えしましたことに関連しましてお話がございましたが、政治家所得雑所得であるというふうに申し上げましたけれども、この場合に収入というのは雑所得としての収入でございまして、政治資金収入だけではございませんので、それらをプールした雑所得収入、それから必要経費を引いたものが所得になるわけでございます。したがって、主税局の方が申し上げましたのは正しいのでございまして、私はそういう意味でけさお答えしたつもりでございます。したがって、その収入の中から政治資金として使われないでほかの、たとえば私的消費でございますとか、私的資産形成に対して流れたもの、これは所得として残れば、これが課税になるといふうになるわけでございす。
  235. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、今回の約八億の政治献金の支出先がたとえば議員であった、そうしてその議員が政治活動に使った以外の財産形成に使ったお金があった場合は、当然これは課税の対象になると、こういうことですね。
  236. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 こういうことは申すまでもございませんが、所得税申告所得者みずからが適正に申告されるというたてまえでございますので、政治資金を受け取った政治家が適正に収入金額から必要経費、を差し引いてすでに所得計算をしておられれば、もちろん問題ないわけでございますけれども、こういった今回のことに関連しまして新しい事実がもし生じており、しかもそれが雑所得として残っているということになりますと、それは新しい材料として私どもは適正な処理をしなければならないというふうに思っております。  ただ、現在の時点におきましては、自治省の方の閲覧がまだでございますので、近く閲覧されるということでございますから、そういったものを課税の資料として利用さしていただくということになると思います。
  237. 林孝矩

    ○林(孝)委員 前段に申し上げました以後の問題としての処理の仕方は、自治省としてはどうお考えになりますか。
  238. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどからたびたび申し上げておりますように、二十六日と三十日に訂正されたものを受け取っておりますが、大体事務的にはチェックをいたしましたので、最終的に大臣にこういう形でありますという了承を得ましたら受け付けたことになりますから、公開し閲覧に供するということで、大体今週中にはそれができるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  239. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その内容にいわゆる虚偽というような問題があった場合、さらにそうした違反条項がその中に発見された場合に、今度は自治省としてはどうするか、警察庁としてはどうするかということを聞いておきたいと思います。
  240. 土屋佳照

    土屋政府委員 私が見た感じだけ申し上げますと、かなり克明にその報告はなされておると受け取っておりますが、すでに先ほどから警察の方からも話がございましたように、当初に間違っておったと言って訂正を出されたそのもとのもの等についても、いろいろ警察としては捜査に入っておるというようなお話でございます。したがいまして、今回の最後のものと含めてそれは検討されるということになろうかと存じます。
  241. 土金賢三

    土金政府委員 ただいま自治省からお話がありましたように、当初に届け出たもの、それからさらに訂正されて受理されたもの等を比較してその事実を明らかにする、こういうことになろうかと存じます。
  242. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、三木派の政治団体の無届け問題について。  これは昭和四十九年の十二月二十日の衆議院予算委員会で取り上げた問題がいまだにうやむやにされておるわけであります。三木総理の無届け政治団体、政策調査会、政経同志会、新政経同志会、無届けの団体に総額六億八千万の寄付がなされておった、こういう問題、これがことしの参議院の予算委員会でも取り上げられまして、鋭意整理中、こういう答弁があり、自治大臣からは具体的な経過、いきさつがどうなっているか調査したい、こういう答弁がありました。これに対する報告をしていただきたいと思います。
  243. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、当時予算委員会でございましたか議論がされまして問題が提出されまして、総理からもその経過についてお答えがあったわけでございますが、その際、自治大臣としてもそこらの実情を調査をしてみたいと言われたわけでございまして、その御意思がございましたので、私どもといたしましても、いまのお話のあったところの関係者にも接触いたしまして若干事情を聞いたわけでございます。  その結果、御指摘のございました政策同志会、それから政経研究会、政経同志会、政策調査会というものは、届け出政治団体でございまして、三木さんを支持し後援しております政策懇談会とそれから近代化研究会の内部グループとしてのいわばプロジェクトチームにすぎないということ、それからプロジェクトチームとしての研究課題に関してどのような活動をしたかということにつきましては、概略的に事情は聞けたわけでございますけれども、これに要した経費の明細がどういうかっこうになっておったかという点にについてまでは明らかに聞くことができなかったわけでございます。何分古いことでございますから、概略は聞けましたけれども経費の明細については把握はできなかったわけでございます。  結局これらの団体というものが、当時指摘されましたのは一つの別途の政治団体ではないか、そういうことであればそこへ金が出されておるのは政治資金規正法違反ではないかという御指摘から出発したわけでございますけれども、調べていろいろ聞いてみましても、そういった政治団体としての形は実際上なかった、人間もおるわけでもございませんし、いま申し上げましたプロジェクトチームでございまして、その中の一つのチームの幹事役であります個人、政策同志会と政経研究会については岩野美代治という方だそうでございますが、それから政経同志会と政策調査会については林幸一という人がそういった責任者としていろいろな会合を主催したり世話をするといいますか、そういう形で必要経費を一括して処理をされておったそうでございまして、そういった事実はそれは事実であるというふうに私ども受け取ったわけでございます。しかし、何分古いことでもございまして、細部の資料も残っておりませんで、収支の明細の報告を受けることは困難であると認めざるを得なかったわけでございます。  確かに経理の方法としましては、こういったチームに対する支出として一括して経理したことはやはり不手際であるし、十分とは言いにくいわけでございます。しかし、第一点、政策同志会等が政治団体というほど熟したものでない、したがって届け出すべき形のものではなかったということは、どうもそういうことのようであったということを認めざるを得なかったわけでございます。また、先ほど申し上げましたような二人の人が受領して支払いに充てたということも、これも事実のようでございました。私どもとしてはより詳細にそれがわかって国民の前に明らかにされることが法の趣旨であると思いますけれども、支出というものが供与のほかに金銭等の利益の交付ということもございます。その交付をその人が受けて自分の責任で主催をして使われたというその意味においては全然虚偽であるとも思えないわけでございますけれども、何分それが非常に一括した形でございまして、十分でないということは言わざるを得ない、そういうことでございましたけれども、もう当時のものが領収証その他があるわけではございませんし、その意味ではいかんともしがたい。どうもうそじゃないけれども不十分だと言いながら、結局強く注意をするということにとどめた次第でございます。
  244. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえばこういう場合はどういう税法の措置をとられるのかお伺いしたいのですけれども、いま中曽根派の問題、いま三木派の問題もそうですけれども、いわゆる法人でもない、政治団体として届け出てもいない、しかし、それぞれが何億という金額寄付を受けて支出しておる、こういう団体というのはどのように位置づけされるのか。たとえばその団体が事務員を使っておる、そうした場合に当然給与を支払うわけですが、源泉徴収はどうなっておるのか、こうした解明されなければならないこともまだあるわけですね。この点はいままで調査されたことがあるかないかということと、調査される意思があるかないか、さらにこういう場合の位置づけをどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  245. 土屋佳照

    土屋政府委員 たびたび申し上げておりますので詳細は避けたいと思いますが、政治資金規正法のこの精神から見まして、ここに書いてある団体自分政治団体に該当するかどうかということはみずから判断をして、そしてこの法の趣旨に従って届け出をし、正しい収支の報告をしていただくということがたてまえになっておるわけでございます。しかしながら、いまお話しのように、私どもが気づきませんが、中には政治団体としての実体を持っておる団体で届けてない団体がないとは申せません。ただ、それをほうっておくのは無責任ではないかと言われても、これはちょっと私どもがそこまで調べて回るというようなことは不可能でもございますし、またそれはこの法はそこまでは求めておるとは思わないわけでございます。しかしながら、ただいまの例でもございましたように、私どもだけではなくて国民全体が監視をしておるわけでございますから、こういう中でこういうのはどうもおかしいじゃないかという問題が、前の新政同志会が例として引かれましたが、あったようなときは、私ども捜査的な意味ではなくて実情を聞いて、向こうでよく判断をされるその情報というものはこっちから十分法の解釈その他について提供するというようなことを通じての努力はしなければならぬと思っておるわけでございます。  ただいままで、おまえのところは政治団体じゃないかと言って、たまたまそういうのを見つけて注意したといったような、そういうことはできませんし、事実もございません。ただそういうような、いま国会で御指摘があって接触をしたような、そういうことは今後ともされると思っておるわけでございます。
  246. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この問題の主眼は大蔵省にお伺いしたい、いまの質問に対する税法上の問題。
  247. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 ただいまの御質問の、まず法人格のない政治団体に対する源泉課税の問題でございますが、その一点につきましては、一般に給与や報酬、料金等の源泉徴収の対象になる所得を支払う場合には、家事使用人が二人以下という場合には除かれますけれども、このような法人格のない政治団体につきましても徴収義務があるわけでございます。  それから、法人法人税の関係でございますけれども、税の立場から申しますと、政治資金規正法届け出の有無にかかわりませず、政治団体が人格のない社団といたしまして実体があるという場合には、その後の政治活動というものは収益事業ではございませんので、たとえば物品販売業でございますとか、そういうふうな収益事業を行っている限りその分野について法人課税を行うということになるわけでございます。  それから、実態をどうしておるかという御質問でございますけれども、現在私どもが判断しておりますのは、たとえば源泉の問題でございますけれども、これにつきましては現状におきましては、たとえば政治団体につきまして先ほど申し上げました源泉徴収の義務があることなどにつきまして広報用のしおり等を配付いたしたりしまして課税適正化に従来努めておるわけでございます。ただ、課税漏れがあると想定されるような団体に対しましては、必要に応じまして調査をしております。いま問題になっておりますような問題につきましては、私どもは適切に処理が行われておる、こういうふうに申し上げてよろしいかと思います。
  248. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、先ほどから指摘いたしましたこうした無届けの団体等の税徴収等においては適切な処置が行われておるというふうに解釈していいわけですか。それとも、たとえばいま指摘した三木派、中曽根派の政治団体の中で全然調査をしてない、そういう団体がありますか。
  249. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 特定の源泉徴収義務者に関する調査あるいは調査の内容につきましては、この席で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先生御指摘の点につきましては、先ほど申し上げましたように、課税漏れがあるのではないかという想定がついた場合には当然調査の対象にいたしますし、私どもが現在把握しております限りにおきましては、適正な処理が行われるというふうに思います。
  250. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣が来られましたのでいまの中曽根派の問題、三木派の問題、この中で明らかになったのは、政治資金規正法の六条、八条、二十三条が働かない、働かせようがないというか働かないというか非常にざる法の状態がいまの答弁の中でも明らかになってきたわけです。こういう実態を解明して、こうしたことをなくしていくために法改正というものをさらに進めていかなければならないというふうに考えるわけです。大臣として、先ほどからの議論を聞いて、六条、八条あるいは二十三条が働かない問題にどのように対応されようとするか、考え方をお聞きしておきたいと思います。
  251. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘の各条文についてその条文が十分に働いておらないじゃないか、これに対して自治大臣としてどう考えるか、法の改正まで考えていくべきではないか、こういう御質問かと思うのでありますが、この法自体が、政治をやる者はちゃんとそれをわきまえてやるべきものであるというような含みを持って立案をされておったと私は思うのです。いやしくも政治をやる者は間違いを起こさないだろうという気持ち、そしてそういう規定があればそれに従ってやるであろうということだと思うのでありますが、それが事実上行われておらない、それならばここで強制的にそういうことがあったら一々細かくあれをしてやるという法律に直していいものかどうかということは、またこれは一面において政治に介入するといいますか、権力が介入する場合、必ずしも自民党政府とは言いませんけれども、そういうような面もまた考えてみなければならないことがあるかと思います。  しかし、いずれにしてもこれは立法の技術の問題であり、立法の目的と技術の問題と絡み合った問題でありますから、われわれとしても今後研究をいたしますが、政治をやっておいでになる各政党間においても、これはちゃんとやっているのだからおれらのところは問題はないのだと言われればおっしゃるとおりかもしれませんけれども、それをどう処理するかということについて御研究を願えれば幸いである、かように存ずるわけであります。
  252. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その信頼するということが、結局総理、自民党幹事長が率先してこういうことをやられておるので非常に問題も大きいし、また政治に対する不信というものも起こっておる、こういうことがやはり一番の大きな問題。  たとえば総理の、先ほどの三木派の無届け政治団体のこういう事務所の一覧表を見ましても、議員会館の自分の部屋を事務所にしているというのが一カ所出てくるわけです。これは議員会館の取り扱い規定に違反しておりますし、昭和四十二年十二月の議運の通達でもこういうものに使ってはいけない、各種団体の事務所にすることを禁止しておるわけで、こういうことにも違反しておる。調べてみますと、いま百十九件後援会に使われておるのがあるわけです。こういうふうなことに始まって、総理から、幹事長から違反ばかりやって、それが全然解決されない。こういう認識を重大認識として自治大臣は受けとめて、これからの法改正あるいはこうした問題をなくしていくための教訓にしていかなければならない。  時間が来ましたので、もう一点質問しますけれども、全国都道府県選管がまとめた四十六年から五十年の五年間十回の収支報告提出状況、これは大臣もすでに御存じのように非常に実態がお粗末です。特に山形、奈良、佐賀、大分、こうしたところでは全然報告していない、こういう実態も明らかになっておる。こういうことに関しても、もう源がそうですから枝葉は全部そういうふうになっておる。これはやはり自民党の政府の自治大臣、自治省の一つの大きな行政の欠陥ではないでしょうか。
  253. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘のように、各政党の分についての届け出その他も調べてみますと、実体があるのかないのか、私はそれまで調べたわけではございませんが、各党とも届けの出ていないものが相当あることは事実でございます。公明党さんは非常によく出ておりますが、私の調べておるところでは出ておらないところが相当あるように見受けられます。したがいまして、今後は御指摘の点を踏まえてそういうことのないように努力をいたしたいと思います。
  254. 林孝矩

    ○林(孝)委員 定数是正の問題について先ほどから議論がなされて、われわれも全く今回の最高裁の違憲判決に対する認識は、これは衆議院の定数是正に関する問題としての判決であったとしても、参議院の現在の地方区の定数の極端なアンバランスを考えますと、今回立法府に与えられた役割りというもの、立法府の持つ役割りというものは非常に重大だという認識に立っております。われわれが提案しておるのは、こうした問題が起こったときに初めて議論を始めるのではなしに、常にそうした議論が行われるようなルールづくりをしておく必要があるのではないか。  たとえば四十五年に国勢調査が行われて、その資料をもとに衆議院の定数是正で二十名増をやった。ところが、五十年の国勢調査の結果があらわれたときに今回の定数是正が適正であるかどうかということについては、これはもう適正であることはないのであって、新しい人口流動ということを考えると、すぐさまその定数是正という問題を議論していかなければならない、そういうこともあります。そうしますと、それは当然のこととして参議院の地方区の定数是正という問題にも関連するわけで、われわれとしては今回の違憲判決を待つまでもなく、常にそうした定数是正というものに対する姿勢は積極的に持つべきであるという考え方で取り組んでおるわけです。  今回の参議院の地方区の定数是正という問題は、やがて衆議院の小委員会が中心になってその結論を出すために積極的に取り組むわけですけれども、きょうの本委員会委員からいろいろ質問があって、大臣のその答弁を聞いておりまして、積極的な姿勢を示しつつも、かつ何かつばを飲み込むようなそういう印象があるわけですけれども、この際、今国会でその参議院の地方区の定数是正が、われわれ積極的に努力しますが、もし合意した場合には、当然のこととして今国会において成立させる、そうしたこと、また、合意できるような環境づくりを、大臣は閣僚でありますけれども、自民党の政治家としても働きかけるというぐらいに積極的な姿勢があるかどうかお伺いして、私の質問を終わります。
  255. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私も自民党の一人の議員でありますが、同時に、いま自治大臣をしておりますから、自民党から全然そういう話がなかったとは申し上げません。したがって、そういう場合においては、各党と十分お話し合いをして詰めていただきたいということは言っておるわけであります。こうしろというようなこと、これがいいという案は私が出しても通らないのですよ、実際問題として。皆さん私に全部一任されるというなら、私ここでなにします。これはそういうわけにはいかない。そういうわけにいかないのだから、各党の間で話してください、こう申し上げざるを得ないということなんです。ひとつそういう意味で話が決まれば、これはもう一生懸命やらしていただきます。
  256. 粟山ひで

  257. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終わりなので重複している点があるかもしれませんが、まず、違憲判決を受けて、これは四月三十日の参議院の総括質問の際だと思いましたが、衆議院の方は定数是正はこの間済んだからやらない、こういう方針か、それから参議院の方は来年の通常選挙に間に合うように地方区の定数是正をやる、こういうように御理解していいですか。
  258. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 総理からもいろいろお答えをいたしております。私もまたお答えをいたしておるのでありますが、まあ衆議院の場合はもう近く、いつになるかは知りませんが、秋までには選挙をやらなければいかぬことになっております。それから四月十四日のあれは千葉一区のことについての判決でありますけれども、これはこの前の七月四日の公選法の改正で是正をされておるというようなこともございますので、衆議院についてはいますぐにこれをやろうという意思はないということははっきり申し上げたわけでございます。  参議院の問題については、昨年来の参議院の予算委員会その他において、やはり次の参議院の選挙までにはなるべく実現するように努力いたしますということを総理も言っておるわけですし、私も実は答弁をいたしておるわけです。しかし、先ほど来申し上げておりますように、これについてはやはり両院の議決を必要とするわけでございます。参議院だけで話が決まったから、参議院の議決でこの定数是正が決まるというわけではございません。衆議院と参議院と両方でもって法案が成立しなければこれは法律にならないということになりますから、そこで衆参両院におけるこの選挙に関する各党間の合意ができるようにひとつ御努力を願いたい、私がこれについてとやかく案のようなものを言うことはかえって邪魔になるというような考え方で、私としては各党間の合意が得られることを心から念願をいたしております。できたら一生懸命やります、こういうことをまたお答えをいたしておるわけであります。
  259. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは事務当局にお尋ねいたしますが、来年の通常選挙に、定数是正、増のみに終わるか、増、減に終わるかそれは別として、間に合わせるようにするならば、どのくらいの期間を要するのですか。最低いつまでにやらなければならないか。この国会は二十四日に終わりでありますが、来年の国会、次の通常国会はことしの十二月に召集される、こういうことになっておるわけであります。だから、次の通常国会で間に合うのか、事務当局としての準備その他から、事務的にお答えをいただきたいと思います。
  260. 土屋佳照

    土屋政府委員 参議院の制度が各党でいろいろ議論されて、改正するといたしました場合にどういった形のものになるのか、その内容にもよると思うのでございます。非常に複雑な内容にわたれば、法案その他の準備にも相当時間がかかるということになるわけでございますが、きわめて簡単な場合に、各党が合意を得られた場合はそれほど長い期間をも要しないということも言えるかと思うのでございます。その法案の準備とか後の選挙の準備といった問題もさりながら、やはり、どうも個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、選挙が行われる場合はどの定数に基づいてどうしてやるのだという、いろいろなある程度の期間というものが必要だろうと思うのです。合意が得られたから、それじゃぱっと——法律が決まったにしましても、また、事務的準備はできたにしましても、果たして各党の選挙対策が、これは事実の問題としてもいろいろございましょう、そういったものがうまくいくのかどうか、そういうことも考えなければならないと思うのでございます。  だから、場合によっては、それが非常に簡単な改正であります場合は、次の通常国会の初めでもやればまだまだ間に合うのだということもあるかもしれませんが、別途、その事務的な問題ではなくて、そのころではもう各党対応しにくいという議論も出るかもしれません。なかなか一概に言えないと思うのでございます。だから、法案の中身によりますが、事務的なそういう意味では、次の通常国会の初めだって、各党みんな一致してやられるとなればできないとは言えないと思うのでございます。そういったことで、明確にはちょっとお答えしにくいわけでございます。いろんなケースによって違ってくるだろうと思うのでございます。
  261. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 違憲判決が出た、これは当然参議院の方にもこの違憲という精神は考えて是正をしなければならない、こういうことになれば、政府みずからが各党の合意を得られるような案をつくって提案する、それが政府としてあたりまえのことだ、各党が合意するように待っていて、うまくいったらやりましょう、これは一面無責任な話じゃないか、こう思うのです。政府みずからが各党と話して、合意を得られる是正案をつくって提案をする、そういう積極的姿勢があってしかるべきものではないですか。大臣、どうです。
  262. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 選挙制度の問題については、御案内のように選挙制度審議会というものがありまして、それに基づいていろいろ法案を出したこともありますが、これがいままで一度も、一度もというより、かれこれ十年間実現をしておらない。それは各党間の合意がないからでございます。したがいまして、今回の場合においても、これを是正をした方がいいじゃないかといいますか、少なくとも千葉県一区の問題にしても、余り差があった場合には考えなければいけないという、人口を基準にしたところの選挙の実施というものを最高裁が決めたわけでございますから、私としても何も黙っておるわけではございません。実は自民党の方にも、こういうものが出ておるのだからひとつ何か考えなければいかぬのじゃないですかということはちゃんと話はしてあります。  しかし、それではここで私が自治省案というものを出して、それでまとまるかというと、かえってこれは混乱を招くだけだ。どちらからもいろいろ言われて、かえってできなくなるという可能性の方が強いと私思うのです。選挙制度審議会でずいぶん何度もいろいろな案が出たけれども一つも通っておらない。こういうことを考えてみると、やはりこれは各院の、また各党の考え方によって処理をしていくということ以外に、実際問題としてかえって邪魔になるようなことをしない方がいいのだ。むしろひとつ各党にお願いをするのが実際の目的を達する道である、こういうように私は判断しております。私は、あなたもわかっていただけると思うのだけれども、わかりましたと言ったらやるんですよ。やりますと言ってできないような案を出す気にはどうしてもならない。やはりやると言ったらやらなければいかぬ、やらないと言ったらやらないんだ、これが政治家としての態度だと私は考えております。そういう意味でひとつ御理解を願いたいと思います。
  263. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣の決意はわかりました。わかりましたが、各党のどうしても合意を得られないで、そのまま来年の通常選挙が行われた。いまのところ鳥取と神奈川の新しい人口とを比べれば多分六対一の開きがある。そういうことになれば、この次に行った選挙は明らかに違憲だという判決が出てくる。その責任はこれだけの格差があるのを政府がほっておいた、そういう責任になるのではないか。こういうように考えるならば、各党の合意が得られないならば、少なくとも来年の通常選挙前に、今度は政府がみずから筋の通した各党の合意を得られるような案を模索して提案をする責任があるのではないか。どうでしょう、一言だけでいいです。
  264. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 それはちょっと一言というわけにいかないのです。あの判決の内容をごらんくだすってもいろいろな事情があるのです。人口の問題もあるけれども、いろいろな事情があるということを数点挙げております。それから参議院と衆議院とはやはり構成の仕方が違っておる、こういうこともあります。だから、衆議院の方で判決が出たから、すでにそれを参議院に引き移していっていいかどうかという問題も出てくるでしょう。こういう参議院をつくったときの物の考え方、そういう考え方に基づいてもおかしいじゃないかという先ほど来の議論も出ておるのです。私はそういうこともよくわかっておりますけれども、そういうことを踏まえてできるならどうしても実現したいと思うのです。実現するには、各党で話し合いをしないと、自治省が幾ら案を出してもむだだ。むだと言うとおしかりを受けるかもしれぬけれども、おまえは無能力だからやめろとおっしゃればいたし方がございませんが、そういうことになるかもしれませんが、実際問題の処理ということになると、政策の問題と違うのです。政策の問題なら、私は責任を完全に負わなければいかぬと思います。しかし、これは院の構成の問題でありますから、やはり立法府というものが相当な責任を負うというたてまえでなければならないのじゃないか、私はそういうふうに考えておるわけであります。
  265. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではどちらがやるべきかという論争はこれでやめて、先ほど来言明のように、衆議院は次回の選挙には是正はしない。これはいいんだけれども、衆議院の方はもうこれ以上増員は恐らく物理的にもできないのではないか。それから増だけやってきたことに対する批判があるから、次回のときには増減、いわゆる是正をしなければいけない。それから各国の例を見ていると増減をスムーズにやっているようであります。それから地方議会の、都道府県議会等はまことにスムーズに郡市別に増減をやっているようです。  そういうことを考えると、いままでの別表の附則に書いてあるように「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」これだけを頼りにやってきたわけであります。こういうことではなくて、今度は本法の中に一章を新たに起こす。それには前提がある。判決文は五対一という言葉が出ているから、ある程度の基準を五対一以上の開きということにしてもいいと思います。五対一以上の開きになったとき、それから間近に行われた国勢調査の結果そういうことになったとき、そのときには、衆議院定数是正審議会あるいは訂正委員会、こういうものを常設をしておいて、そして自動的にそこに諮って、その結論によって増減をやる。立法府も何もみんなそれに従う、そういうあらかじめの立法をつくっておけば、毎回あれだけの苦労をして、立法府がやりなさい、いや政府がやりなさい、こういうことをやらないで済むのではないか。  この間定数増二十名をやったときに、選挙法の権威の門司亮先生が私のところに電話を二、三回かけて、怒ってくるわけです。何をやっているか、増だけでは是正じゃないじゃないか、こういうように言ってこられたのでヒントを受けているわけですが、これは次の通常国会でもいいと思います、来年の国会でいいと思いますから、そのときに一章を設けて定数是正委員会をつくり、ある限度以上になったら自動的にやる、こういう制度を設けておけばもうりっぱなものではないか。そうすると増をしないで、議事堂をつくり直さないでも済む、こう思います。大臣どうでしょう、これは。
  266. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 小沢さんはこの問題の専門家であられるので、私もいろいろ教えてもらったこともありますから非常に尊敬いたしておりますが、ただいまの御提案は一つの考えである。特に一対五以上になったらすぐにもう自動的にできるような仕組みをつくっておく、それには法律改正もしておくべきであるということであれば、それは私は一つの考えだと思うのですよ。ただし、その場合に、委員の人選についてちゃんと決めておかなければいけない、それから委員が決議をしたら、それは両院とも守るということも法律で決めておかなければいけない。そういうふうにしませんと、いままでやったように、選挙制度審議会みたいなことを幾らやっていてもだめだと思うので、私はそういう意味での法律ならば賛成いたしたいと思います。
  267. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣の言うとおりです。法律で決めてしまうわけです。そこの委員会の決定が出たならば、当然自動的にそのとおりにやる。そういうことで部長、大臣も大変積極的なようだから、来年の通常国会か何かを目指してひとつ各国の様子やその他を研究して、立法の準備をしていただくように要請だけしておきます。  次に、きのうは小泉試案も出て大分物議を醸しておるようですが、参議院のある選挙区の定数増をする、こういう場合のその具体的な増の仕方であります。たとえばある選挙区で定員四名の選挙区ということになると、憲法上半数改選ですから二名ずつ選挙をやってきたわけであります。それを二名減らすということですから、一回選挙をうろ抜くか——長野県は定数四で二名ずつ選挙をやっているわけですから、それをマイナス二とするならば、一回長野県だけは通常選挙をやらないでうろ抜けば、自然に定数二になる。これはどう考えても憲法違反みたいなことになるわけです。  そうすると、定数四のものを二にするというときには具体的にはどういうようにやるか、やり方は二つ、三つあると思います。一回選挙をうろ抜いちゃって、二回目のときに高点の者は六年、次の者は三年とやればできるが、これはどう考えても納得できる案ではない。長野県の例で言えば定数四。定数四を二にするということになると、一回選挙をうろ抜かなければできない、こういうことになるわけです。だからそういうことはできないのでどうするかというと、二名に減らすにしても、次には二名で選挙をやって、そのときに高点の者は六年議員、その次の点の者は三年議員、こういうようにやって、いまから言うと六年後には、次には定数は二でなくて一でやる、こういうように三年後に定数四ではなくて三にして、六年後に二になる、こういう長期の時間をかけなければ定数減は実現不可能だ。どう考えてもそう思うわけです。どうでしょう。
  268. 土屋佳照

    土屋政府委員 いま御指摘のように、過去の例としては増員の例しかございませんし、この場合でも補欠選挙みたいな観念を取り入れてやったわけでございますが、減になりますと、仰せのとおり非常にむずかしい問題が出ると思うのであります。まさに憲法四十六条の「任期は、六年とし、三年ごとに議員の半數を改選する。」半数を改選するにも、減る場合はどう改選するかということはこの条文からも非常にむずかしいと思います。  そこで、何らかの定数上の経過措置を設けながら、いまおっしゃいましたようにある程度期間を置いてやっていくというのも一つの方法でございましょうし、まあ若干議論はしたことがあるのでございますけれども、これが一番いいとかどうとかということはなおいろいろの人の意見を聞いて研究して確定しなければいかぬと思いますので、こうしたらいいのじゃないかということは私からはちょっと申し上げにくいと思いますが、何らか経過的な措置は要るだろうというような感じはするわけでございます。
  269. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ、その減らす場合に、いま私の言うような案以外に研究した素案なりなんなりがあったらここでちょっと……。まあその責任を追及するとか、それはどうでもやれとかは言わないが、何かうまい方法があったらちょっと……。これは実はいま大臣も、各党間でやれよ。各党間でやる場合に、そのやり方がまた重要なことになっていくので、私は、一つの案としてこのほかに何かあったら聞かしてもらいたい。
  270. 土屋佳照

    土屋政府委員 私もにわかにこれという案もございません。ただ一つ、仮に四人が二人になったときに、次の選挙のときに一人だけ選ぶということが半数改選ということで許されるのかどうか。あるいはまた極端な例で言いますと、この半数を改選するというのは選挙区ごとではなくて、全定数を通じて半数改選ならいいんだというような解釈は一体できるのかできないのか。そういった憲法解釈とかいろいろむずかしい問題がございまして、実は法制局あたりにも相談しなければいかぬということで考えておりますが、一番スムーズにいくにはどうしたらいいかということについては、ちょっとまだ自信がございません。もう少しそういう論議が出て、いろいろ増減案もございますので、仮定のことではございますが、私どもは技術的にどういう方法があるかということはもう少し勉強させていただきたいと思います。(発言する者あり)
  271. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 減ということをやることは大変、いまもこっちから不規則発言が出ているように、なかなか抵抗があるわけです。だから、減の仕方によればやりやすい方法もなきにしもあらず、こういうようにも考えられる。そういうことから考えるならば、こういう案がある、こういう案があるということを早く提示をしてもらわないと、大臣、各党間で話し合えと言ったって、話し合いのしようがないのです。実は小泉提案だって、いま感心して聞いているが、なるほど減らすというのはそんなにむずかしいものか、こういうことを言っているようなことで、減にしさえすればいいのだと言ったって、なかなかむずかしい。その減の、私のさっき言ったのだって、厳密に言えば憲法に抵触するしないという問題もあるし、定数を半分にするというのを、三年間だけは半分の半分にしておいて、三年後には本当の半分にしますと、こういう立法の仕方をしなければならないかもしれないので、方法をひとつ事務当局も研究を至急していただきたい。これはひとつお願い。  さあ今度は逆に増の場合にはどうやったらいいですか。たとえば長野県がいま定員四名、これを二名ふやす、こういう場合にはどうやったらいいか。これもまた大変むずかしい問題になるわけです。  たとえば私がちょっとこれは思いつきで考えると、二名増というならば、これは仕方がない、二名一気にやっちまう。長野県の場合には二対二ですから、二名のところに二名増するなら、二名定員分だけやる。それは立法の趣旨に合うわけですからやっちまう。そうすると四名で選挙をやる。そのうち最下位の者を三年議員にずる。そういうことにするならば、次からは三人、三人でいい。こういうことになることがどうも私は一番スムーズな定員増の仕方ではないか。こういうように増の場合にはそう考えるわけです。  あるいはもう一案としては、定員二名増という場合に、三年間だけは一名増、三年後になったらば二名増という段階を設けるような立法を、そういうことができるかどうか知りませんが、そういう方法を講じなければ、スムーズな増はできない。少なくとも考える場合にそんな二つの方法がありはしないか、こう思うわけです。どうでしょう。
  272. 土屋佳照

    土屋政府委員 増員の場合は、減の場合よりは比較的考えやすいとは思うのでございますけれども、先ほど申し上げた憲法第四十六条の「三年ごとに議員の半數を改選する。」というその「改選」という字句にひっかかってしまいますと、一体二名ふえた場合の改選というのはどういうことになるだろうかということになるわけですけれども、新しくふえた定数ですから、それはいまおっしゃった二つの方法があるとは思うのです。  ただ、過去の例で申しますと、一番しょっぱなの選挙のときは、これは一緒に選んで、得票の高い者が任期の長い議員だというかっこうにしたわけでございます。もう一つ、沖繩が国政参加ということで、国政参加に伴って四十五年の十一月に行われました沖繩県のときは、これは新しく出てきたわけですが、このときも一緒に選んで六年と三年と、こうやったわけでございます。だからそのやり方が一つはあるだろうと思うのです。いまのように一人ずつふやしていくということが、いまのような半数、二ふえたが、その二のうちの半分の改選というようなことになるのかならぬのか、ちょっとそこらが非常に微妙な問題だと思うのでございますけれども、考え方としてはいまお示しになったようなやはり二つの案というのが、一緒にやるか、交代ずつやるかというようなことにならざるを得ないのじゃなかろうかと思いますけれども、私どもも増減案とかいろいろ議論はされておりますが、具体的に政府としてこんな案をとやっているわけでもないものでございますから、この場合はこうするのだというところまで私どもとして詰めた考えを持っているわけじゃございません。
  273. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 さっき部長は、やろうと思えば次の通常国会ででもいいと、こういうようなことまで言われたのだけれども、この前、衆議院の定数の是正の衆議院の附帯決議あるいは参議院において参議院議長も署名してやったのによれば、この国会で実現を期する、こういうようにみんな考えているわけです。この国会は余すところ十日前後しかないわけです。そのときに、増の仕方、減の仕方がまだどういう方法でやっていいかわからぬ、こういうことでは、大臣が言うように各党間で話し合ったらうまい方法はないかと言うけれども、そのやり方によってこれは重大な影響を及ぼすので、これは大臣にお願いをしておきますが、減員の仕方、増員の仕方、これだったら合法で、これならできる、その二、三の種類を大至急ひとつ提示をしていただきたい。ここ五日か六日の間に提示してもらわなければ、この選挙改正を期そうというのに間に合わない。  これは小泉議員だって勝手に発表したけれども、減員の仕方はどうやっていいか、そんなこと研究をして発表しちゃいないのだ。参議院においても勝手にだれか増減の発表をしたりいろいろしているけれども、減の仕方をどうやってやるかということになると、大変なむずかしい事態になっていきますから、ここ四、五日の間にこういう方法、ああいう方法という方法をわれわれに明示してもらわなければいけない。これは事務当局が法律的にあの方法、この方法なら合法、こういうことを明示しなければ、われわれ実際これはやりようがないわけです。本当にやりようがない。どうです、大臣及び部長
  274. 土屋佳照

    土屋政府委員 第六次の選挙制度審議会のときに、増減としての答申がございましたので、そのとき議論はしたわけでございますけれども、なかなかむずかしい問題がございます。ただ、私どもがこうしようということだけではなくて、ただいま申し上げました憲法四十六条の解釈の関係がございますので、これはやはり内閣法制局と詰めなければならぬと思いますが、いまの御意見でございます。至急に法制局あたりのお知恵も借りまして、私どもとしては研究を進めてみたいと思います。
  275. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは大臣にもお願いしておきますが、この国会は二十四日しかないわけです。普通だったらこの次の十二月だから、来年の三、四月ごろでなければ本格的な論議ができないわけです。通常選挙は多分来年六月ごろだと思います。だからほっておけばやれないということになっちゃう。だから、事務当局に精力的にそういう案を示してもらわなければ、これはやりようがないわけです。大臣、これは厳重に、大至急法制局とでも、衆議院法制局でも内閣法制局でもどこでもいいから、大至急打ち合わせをして、こういう案、ああいう案が可能性がある、増員案、減員案について二、三の案を示してもらいたい。大臣どうでしょうか。
  276. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま事務からも申し上げましたが、憲法の条章との関係もございますし、これは法制局等ともよく詰めて、そしてその回答が得られるように努力をいたしたいと思います。  しかし、小沢さん、この国会でやらなければできないようなことをおっしゃるけれども、各党で話し合いがつけば、法案なんというものは一日ででも両院を通ることもあるのです。だからそう心配せぬでもいいと私は思う。ただ、具体的な案ができなければだめですよ。その具体的な案をつくるのにはやはりある程度、そう簡単に一週間か十日というような話でやってできるかどうか、これはなかなかむずかしいと思うのです。しかし、私としては、なるべく速やかにそういう案ができるように、またそういう意味での条文の問題について、増減のやり方についても研究をさせていただきたいと思います。
  277. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣の答弁のようで結構ですが、大至急やっていただきたい。  実は、会期も少ないので各党間で話せということですが、話が進んでいるわけで、進んでいるが事務的にそういうところへいってつかえて、もう具体的になってきているものだから、それで急いでほしい、こういうわけであります。これは自民党案も出した、何とか案もみんな出ている、だからこれはうまくまとまるようにしようじゃないかということは、一日か半日あればすぐまとまる話です。ただ、そのやり方について、方法をどうしたらいいか。そこで実はつかえちゃう見込みが出てきたものだから、大至急事務局を叱咤激励して、減増員について二、三種類ずつ方法を提示していただきたい。強く要望しておきます。  次に、国税庁から来ていただいておりますので、国税庁の方へお尋ねをしたいと思います。  私たち県選管に政治団体届け出をいたしましたところ、最近届け出した二つのものに通知が来たわけです。「政治団体設立届に添付する綱領等の取扱い等について(通知)」県選管から政治団体の長殿。いま一つは、長野県選挙管理委員会委員長名で政治団体の長殿、五十一年四月一日付で、「政治活動に関する寄附に係る税制上の優遇措置の取扱について(通知)」。この税制上の取り扱いについて、国税庁あるいは自治省は取り扱いの具体的なことについて通達を出したでしょうか。出したとするならば、その概略の内容をお聞かせいただきたいと思います。先に国税庁、何か出してありますか。
  278. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 ただいまの御質問の件に関しましては、国税庁といたしましてはすでに五十一年四月十三日付で、通達ではございませんけれども、私どもの直税部の所得税課の情報といたしまして、各税務署に対しまして寄付金控除制度の概要につきましての連絡をいたしております。また重ねて部長会議あるいは全国の課長会議等におきまして同じ趣旨の説明をいたしまして、万遺漏のないようにいたしておるわけでございます。
  279. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと自治省の答弁の前に、その四月十三日付で所得税課の情報として出したものを、委員長にお願いをいたしますが、われわれにも資料として提示をしていただきたい。これは資料要求であります。
  280. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 検討いたしまして、出させていただくような方向で処理させていただきたいと思います。
  281. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 自治省、何かありますか。
  282. 土屋佳照

    土屋政府委員 本年二月十九日付で私どもの方からもこの税制上の優遇措置について各都道府県の選管に通知を出しておりまして、こういう取り扱いをするようにと、数項目にわたってやったものがございます。それに従って、選管は、税務署との関連ですね、税務署から必要な資料について照会があればそれに応じていくということで、税務署との間の事務がスムーズにいくように準備をさせておるわけでございます。
  283. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 法律に順応してうまくやるためには、これもやはり積極的に、自治省で出したのも一緒に資料としてわれわれに提示をしていただきたい。委員長に要求します。自治省、いいですか。
  284. 土屋佳照

    土屋政府委員 結構でございます。
  285. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、国税庁に具体的にお尋ねをいたしますが、私、小沢貞孝会議員が寄付をすることについて、次の場合には一体税減免の、例の所得税法の特定寄付に該当するか。  私は小沢貞孝後援会というものを持っています。その後援会に私が寄付をする。それは税減免の対象になるか。それが一点。  民社党という党本部がある。そこへ私が寄付するのは税減免の対象になるか。  さしあたってその二つを伺いたい。
  286. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 第一点の御自分後援会に対する寄付でございますが、これは政治資金規正法の「その寄附をした者に特別な利益が及ぶと認められるもの」ということでございまして、私どもの解釈といたしましては寄付金控除の対象とならないというふうに思っております。  第二番目の民社党につきましては当然減免になる、寄付金控除の対象になるわけでございます。
  287. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その民社党への寄付についてさらにお尋ねをしたいと思います。  私の選挙区は長野県で、四区選挙区があるわけです。私は第四区であります。その場合に、民社党長野県連に私が寄付した場合にも政党への寄付として当然に扱われるか。これが一点。  私の選挙区は中信地区という地区であります。そこに民社党中信地区という組織があります。そこへ私が寄付しても、民社党の組織ですから、それは税の優遇措置の対象になるか。  第三点。私の選挙区内には松本市、塩尻市という市があります。市に民社党の組織があります。その民社党の組織、選挙区の中の一市でありますが、そこへ寄付しても、これは政党であるなら全部いいわけですか。  時間の関係があるので、簡単にすぱっと言っていただきたい。
  288. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 三つのケースとも、それが政治資金規正法の報告をされているものでございましたならばすべて寄付金控除の対象になるわけでございます。ただし、条件がございます。たとえばその献金の見返りとしてその地方組織の有する施設等を排他的に利用するとかいうふうな場合には、これは寄付金控除の対象にならない、つまり特別の受益に関係があるというふうに考えております。
  289. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大事なところに来て排他的にという言葉が出てきたのだが、私の選挙区は定員三名だから、民社党が二人立つのか三人立つのかわからぬ。いま現実には私だけ。その私の選挙区の中にある松本市支部とか、私の選挙区の組織は私の運動だけをやるわけじゃない。途中においては地方議員の選挙もやる。こういうようにやるならば、それは排他的とは言えない。そこの党組織を大きくすることは党全体のことであって、地方議員の育成にも役立つ。政治資金規正法上のいろいろの条件の具備は当然でありますが、そういうように考えるならば、もう条件なしでここへの寄付はいいわけですか。
  290. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 いまおっしゃいましたように民社党、具体的に言えば先生の場合には、現実には先生だけの仕事をその施設においてやるわけではございませんので、すべてよろしいということになるかと思います。
  291. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それで明確にわかりました。  これは蛇足ですが、もう一つの例だけ質問しておきます。  私の選挙区内に、ある県会議員が県会議員の後援会を持っております。そこへ私が寄付するのは、私の選挙区内の県会議員だから、その県会議員の政治活動に大いに役立てば、間接的には私の利益に還元してくるかもしれないが、主目的はその県会議員が大いに政治活動ができるようにということで寄付になるわけです。A県会議員がおりました、A県会議員の後援会がありました、そこへそれよりちょっと上の大きな組織の私が寄付をいたします、それもいろいろの条件が具備しておればいいですか。
  292. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 先生の方からそういう県会議員の方の後援会寄付されるということは、寄付金控除の対象になるわけでございますけれども、別途お互いに寄付をし合うという場合には、寄付金控除の対象にならないということでございます。
  293. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、私がA県会議員のところへ二十万円寄付いたしました、A県会議員の政治団体から私の後援会に二十万円寄付いたしました、こういうケースはいけない、こういう意味ですか。
  294. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 そういう意味でございます。
  295. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。それでは、寄付に関することは明確にわかりましたので、先に進ませていただきたいと思います。  先ほど来、中曽根派の政治資金の違反の問題がありましたので、私は中曽根さんという人にまるきり信用を置けなくなってしまった。テレホンサービスでもって、三月中に民社と予算を成立させるような密約ができておりました、こういううそでたらめを報道をしておるので、正式には文書を持って本人がわが党に陳謝に来て取り消しをいたしましたので、それを追及しようとはいたしませんけれども、そういうようなこともあり、私たちは党全体が不信感を実は持っているわけであります。  それで、新聞に出ました四団体政治資金の過去昭和四十六年、七年ごろからの報告を見て、まことにうべなるかな、あの人ならばそういうことはありかねないことだ、こうわれわれは感じておるわけです。  そこで、先ほど来質問したことについて私は触れようといたしません。そこで私は、まず資料を要求いたしますが、新聞によれば、四十六年から四十九年までの四年間に四団体で二十八億三千四百八十二万円の収入を得、計二十一億一千六百五十万百の支出をした、これは恐らくいままで自治省に報告された各年度の累計でもこういうようにされておるのではないかと思います。  そこで、私は、まず第一の資料としては、昭和四十六年以来当該団体、ここで団体名を言いますと、新政治調査会、新政同志会、近代政治研究会、山王経済研究会、この四団体の、これは四十六年から五十年末まで出ているはずだと思いますので、その間における訂正をさせる前のすでに出された報告の写しをひとつ出していただきたい。これはすでに官報に載っているはずだと思いますから、われわれが写しにいけばわかるはずだが、それをまず出していただきたい。  それから、大臣も、中曽根派の収支は、先ほど来の質疑応答の中でも近く公開ができると言っておりますので、それがどういうような形跡で訂正ができたか、当然官報なり何なりで公表するだろうと思いますけれども、それもひとつ資料として出していただきたい。委員長からひとつ要求していただきたいと思います。
  296. 土屋佳照

    土屋政府委員 仰せの趣旨はよくわかったわけでございますが、この四団体について、いまの各年度ごとの上下、上下と全部やりますと、相当なものになるわけでございます。だから四十六年ということからとなりますと、これは千ページ以上になりますので、そういうものを焼いてということになりますと資料としては大変な手間になるわけであります。  それともう一つは、御承知のように非常に膨大な資料だものですから、三年たったら私ども焼却していきますので、四十六年についてはそういう詳細なものはもうないわけでございます。四十七年も期間がもう来ておるわけでございまして、それ以外に、先生のおっしゃるような意味で官報に載っておるのではないかという意味の、総額についてどういう経緯で幾ら払ったとか、どこから寄付があったというものはこれは官報に出ておりますからわかるわけですが、ただ、いまおっしゃるその中身ということになりますと、膨大なものでございますし、また時期的には三年で焼却してしまいますから、そんな古いものはもうないわけでございます。
  297. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは警察庁に聞いた方がいいのですか、いま取り調べをやらんとしているか、新聞ではもうやっているみたいに聞いていたんだが、さっきは行政措置を待っていて、一歩後退で、しり込みしてしまったようなんだが、この違反問題は、罰則問題は旧政治資金規正法二十五条によるのか、新しい政治資金規正法によるのか、先にそっちからお尋ねします。
  298. 土金賢三

    土金政府委員 それは提出当時の旧政治資金規正法罰則によってやるわけでございます。
  299. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これには時効というのはどういうようになっておりますか。
  300. 土金賢三

    土金政府委員 政治資金規正法の虚偽の報告というのは、二十五条によりますと「五年以下の禁錮又は五千円以上十万円以下の罰金」こうなっております。五年以下の禁錮時効は五年でございます。
  301. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、五年というと、いま五十一年だから、四十六年までまだ時効にはならない、こういうように確認していいですか。
  302. 土屋佳照

    土屋政府委員 五年という場合は、それはそこまでかかるわけでございます。ただ、これは念のために申し上げておきますが、私どもの方へ訂正をしてみえたのは、四十六年は入っておりませんで、四十七年以降でございます。
  303. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで、先ほど各委員に全部出すということは不可能なほどの膨大な資料のようですが、これはひとつ委員会として、われわれがいつでも閲覧できるように、委員長のもとへ一部だけ、少なくとも先ほど言った四十六年以降の膨大な資料を一部だけまず出していただきたい。  それから、訂正ができてきたら、その明細のついたものもまた一部だけで結構でありますから出していただきたい。
  304. 土屋佳照

    土屋政府委員 訂正部分については、先ほどもお話がございましたし、そこになりますと限定されてまいりますから資料としても整えやすいと思いますが、理事会で御相談いただくということでございますので、事務的なそういった問題は、後の方のものも含めて、その際にひとつ御相談をさせていただきたいと思うのでございます。
  305. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは理事会でひとつ相談をしていただくように委員長にお取り計らいをお願いいたします。  それから、国税庁お尋ねしますが、これはいまごろになって支出先が変わってきて、先ほどの林委員質問ではないけれども、ある国会議員は五十万円前後、二十名ないし三十名、こういう御答弁があったが、資料によってわれわれは明らかにしたいと思いますが、このあるA議員ならA議員がもらったものは、A議員の政治資金として収入支出の報告のない限り、これは個人収入で当然税の対象になる。これは自治省か国税庁かどっちですか、私の解釈でいいですか。
  306. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 一般的にそういう場合にはすべて雑所得収入になるわけでございまして、赤字の場合には申告義務はないわけですが、黒の場合には当然申告の内容に入ってまいるわけでございます。  失礼しました。収入は当然入るわけでございますけれども、一方で経費で落ちますと、所得申告義務はなくなってくる、こういうことでございます。
  307. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の言っていることは、片方で経費がどういうようにあるかは別として、とにかくある議員に上半期五十万、下半期五十万、こういうように出てくれば、年間百万の収入があれば、その議員は政治資金規正法上の届け出に従って収入五十万、五十万、それによって政治活動で五十万支出した、こういうことが疎明されればそれは個人所得にはならぬ、これは私はそう思います。  だけれども、今度私は自治省にさらに要求をいたしますけれども、二十何億という膨大な額でありますから、アルバイト料、何とか料というようにいろいろごまかしてやってあるかもしれませんが、議員に来ているのは、議員の名前が出るというからはっきりしていると思いますが、今度はその議員についての後援会であろうと、政党の活動であろうといい、その収入があって、支出が政治資金規正法上の収入、支出が出ているかどうか、これは大変な、また奈良県の国会議員が中曽根派の何とか団体から年間二百万もらったというと奈良県の選管に届け出たのがあるかないか見なければならないと思いますけれども、そういうように政治活動にして収入、支出がない限り、それは経費その他で落ちればまた別ですが、雑所得かなんかになる。国税庁、どうですか。
  308. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 ただいま収入から必要経費政治資金としての経費が引かれた後に所得が残れば、それは申告義務があるわけでございます。
  309. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで、自治省にお尋ねしますが、二、三十名の国会議員だというから数は大したことない、それが本人の派閥の団体か、後援会か、あるいは政党の組織か、そういうことに収入、支出が出ているかどうか、国会議員のことについてだけ、それも御調査をいただきたい。
  310. 土屋佳照

    土屋政府委員 御承知のとおり、政治資金規正法は政党その他の政治団体が収支を報告して届け出ることになっておりまして、いまの訂正されてきたものが、支出先がだれだれ後援団体というかっこうで出ておるならば、それはその団体にちゃんと入ったというかっこうで整理をしていただかないと正しいものにならないわけでございます。ただ、私が見た範囲では、もう一回よく精査はいたしますけれども、見た範囲では、今回はそういう個人の後援団体ではなくて、国会議個人が受け取りになっておるという形がほとんどだったように記憶しておるわけでございます。そうなると、それはまさに個人雑所得になるかどうかということで、個人所得上の問題になるわけで、政治資金規正法上の届け出義務はないわけでございます。
  311. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 児玉ロッキードじゃないけれども、もらったのが支出が明確になって政治資金届け出たら、あるいはまた国税庁所得税法違反であれは追徴金何億といったか、八億とか十億とか新聞には出ておったが、ああいうことにはならないで、それは収入のあったものを政治資金届け出る、または政治資金に出した、こうなれば  いいが、もらった人がどういう形でもらって何に使ったかわからないという形になっておれば、これは当然本人所得になり、これはさかのぼって五年になるのか三年の時効になるのか知らないが、国税庁でも調べなければならないテーマではないかと思うのですが、国税庁、どうですか。
  312. 熊谷文雄

    熊谷(文)政府委員 届け出の結果閲覧に供されるわけでございますが、私どもとしては、その閲覧資料を拝見いたしまして、必要な場合には調査をするということになるわけでございます。
  313. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間も大分過ぎておりますので、また二十日にあるといいますので、さらに警察庁はどういうように捜査が進んでいるか、自治省にはどういうように出されたか、あるいは国税庁のこれの対処の仕方、そういうような問題についてさらに日を改めてまた質問をいたしたいと思います。  先ほど来お願いした資料については、委員長からまた理事会にお諮りをいただき、提出をしていただくようにお願いをして終わります。
  314. 粟山ひで

    粟山委員長 次回は来る二十日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会