○小泉
委員 この最高裁の判決は衆議院の議員定数に関してでありましたけれ
ども、実際、昨年
国会におきまして、議員の定数の不均衡に対して若干の緩和がなされました。しかしながら、あの公選法の一部
改正は、四十五年の国勢
調査人口に基づいて行われたわけであります。そして最近、五十年の国勢
調査人口を見てみますと、
改正後の議員定数配分におきましてもかなりの不均衡が見られる。
具体的に申し上げますと、衆議院の場合、全国の議員一人当たり人口が二十一万九千四十八人でございますが、議員一人当たり人口の最高は千葉四区四十一万であります。そして最少が兵庫五区の十一万。これでも
改正公選法によりましても、なおかつ一対三・七二の格差が生じておるわけであります。これはあの最高裁の判決の趣旨を常識的に判断するならば、法のもとの平等をこれでも保障してないと私は言えると思うのであります。
そこで、衆議院の場合は、人口を基準にする、これが定数配分の最大の要素になっております。そういうことから、いまの現行
制度は非常に矛盾に満ちている。これを
改正しようとなると、もう一部手直しでは済まないような状態になっていると私は思うのです。いまの場合は定員三名から五名の枠内でなされておりますが、これを最高裁の判決の趣旨に沿って、できるだけ一人一票の趣旨に沿うような形で定数是正がなされるとしますと、当然減員区が出てくる。また、ふえる
選挙区も出てくる。そうなりますと、いまの三名から五名という枠はとうてい守り切れない。全国にわたって
選挙区の境界の見直しが行われなければならない、当然
改正されなければならない。
そうしますと、私はこれからのあるべき
選挙制度という論議をこれからしていきたいと思いますけれ
ども、これは現行
制度にあえてとらわれる必要はないと思うのであります。政府側の答弁になりますと、常に野党から追及されるということでもう余り物を言いたくない。また、ちょっと言ったことが大きくとられる、反響が大きいということで非常に慎重な言い回しになるかもしれませんが、私は、これからいろいろな民主主義の発展過程において、まず言わなければ、論議されなければ、どういう結論が出てくるかわからないと思うのであります。そういうことで、いまの現行
選挙制度について私は非常に矛盾を感じておりますから、これからのよりよい
選挙制度を求めるのだったならば、根本的な
選挙制度改革論議も当然あってしかるべきだ。また大臣も、あるべき
選挙制度はこういう方がいいと思うというのは私は自由だと思うのです。これをもしけしからぬと言う政党があったら、それこそ言論の自由を封殺するものである。
現行法を守るということと、
現行法はよくないからこうやった方がいいということは、私は別だと思うのです。
現行法は守っていても、私はこういう方がいいと思うというのは、いかなる地位の人であっても私は言って当然だと思う。
それに対して、けしからぬとか、そういう論議を封ずるという形は、私は好ましくないものと思っております。そういうことについて、私はこれからあるべき
選挙制度を考える場合、第七次
選挙制度審議会の中間報告が出ております。そうなりますと、これから将来政党本位、政策本位の
選挙制度に改めるというのならば、小
選挙区比例代表制を導入すべきだという論議が当然出てくると思うのであります。(「反対」と呼ぶ者あり)反対、賛成、それは自由であります。しかしながら、小
選挙区制問題が即一党独裁につながるとか、あるいは自由民主党の永久政権を目指すものだという、まことにばかげた議論に対して、何ら政府が反論しない、これは大変おかしいのじゃないか。あるべき
選挙制度改革、しかも自治省、政府が
選挙制度審議会に諮問している。小
選挙区比例代表制というのが堂々出てきている。これを言うと、もう
政治が動かない、こういう事態こそ全く異常なわけであります。
そういう
意味において、あるべき
選挙制度として、いまの現行の矛盾に満ちた
選挙制度改革において、私は
一つの案として、根本的に見直す。しかも、政党本位の
選挙制度を推進するについては小
選挙区制、さらに小
選挙区制だと死票が出るというおそれが強いということで、比例代表も加味する論議というのは、私は、これから検討に値する、傾聴すべき非常にいい議論だと思うのですが、大臣はどう思われますか。